id
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10
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15.8k
|
---|---|
scp-001-jp |
以下のファイルは管理者の権限により
最高機密
に分類されています
一般通告001-アルファ: SCP-001-JPの情報漏洩の防止策として、偽造SCP-001-JPファイルが本当のファイルと共に複数作成されました(または作成されていない)。偽造を含む、全てのSCP-001-JPの性質に関する資料にはミーム殺害エージェントによる保護が施されており、無許可の職員がファイルへのアクセスを試みた場合、即座に心停止が引き起こされるよう設定されています。████-███-██████下の要請を除き、SCP-001-JPの本当の性質を一般人に公開する行為は処刑事由となります。
警告:
このファイルにアクセスしている無許可の職員はベリーマン=ラングフォード・ミーム殺害エージェントにより即座に処分されます。適切なミーム摂取無しに下部へとスクロールを行えば、即座に致死性の心停止が発生します。
待機してください。
ミーム殺害エージェント作動
生命徴候の継続を確認
安全装置を解除
ようこそ、担当職員様。ご希望のファイルを選択してください。
コードネーム: Kwana - 艦橋
コードネーム: broken_bone - ししまいっ!
コードネーム: tokage-otoko - おもちゃ箱
コードネーム: toraya - 鬼穴
コードネーム: hal_aki - 表裏一体の科学と魔法
コードネーム: locker - プロトコル-Kナンバーズ
コードネーム: solvex - 免罪と箱庭
コードネーム: O-92 - 認可
コードネーム: Okaka_Onigiri - PLANeT
コードネーム: amamiel - Ave Maria
コードネーム: WagnasCousin - 進化
コードネーム: chuukunn - 二者択一
コードネーム: darumaboy - 蜜
コードネーム: indonootoko - 現人神
コードネーム: k-cal - 天秤 君が探している引き継ぎ文書
コードネーム: 京極 - バックベアード
アクセス拒否
財団博士の人事ファイル
コードネーム: Ikkeby-V - 群盲
コードネーム: hannyahara - 最後の一人
コードネーム: ykamikura - 春と共に去りぬ
コードネーム: Okaka_Onigiri II - 隔絶
コードネーム: solvex II - 箱庭は誰のものか
コードネーム: hannyahara II - 存在意義
コードネーム: R-00X - 無に揺蕩う
コードネーム: 時絡 - 酔醒
コードネーム: Fennecist - 無題
コードネーム: 飯落 - 時刻
コードネーム: 御舍利 - 大八嶋
コードネーム: 天眼 - 始源礎火
コードネーム: Wagnas/Fatty/R-00X - 継承
コードネーム: indonootoko III - 外神
コードネーム: Amaryllis-en-Grappe - 審議中
コードネーム: Amamiel=Sanks - 末日の夢語り
コードネーム: R-00X II - 物語
コードネーム: 雨四光 - 綺羅
コードネーム: 月夜見 - かくも利己的な我らの血
コードネーム: 物 - 世界蛇
コードネーム: Shicoolrkiann -
コードネーム: 日辻養 - 我々
コードネーム: 或る西瓜 - 焚書坑儒計画
コードネーム: Wagnas/aisurakuto/izhaya/R74 - 幻想
コードネーム: 御器所 - 神州
コードネーム: izumi_sngw/KanKan/Mas_kera_de/mojamoja/Okaka_Onigiri/solvex - Quality of Death
コードネーム: indonootoko V - 妄創癖の神
コードネーム: アシッド - 我らを待つゴールテープ
パラドックス文書001
"て"は「提言」の"て"
コードネーム: もがな - 命あらん友
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scp-002-jp |
評価: +223+–x
アイテム番号: SCP-002-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-002-JPは現在改定された特別収容プロトコルによりクラス4バイオハザード物質として管理されます。これはSCP-002-JPへの物理的破壊の試みにより新たに発現した特性への対応のためです。概要は事故報告書002-A1を参照してください。
SCP-002-JPは厚さ1メートルのコンクリートで覆われた半径8メートル高さ6メートルのドーム状の収容棺にて密閉され、同じ構造を持った収容室内にて管理されています。コンクリート棺は監視カメラによって24時間体制で監視され、異常があった場合はバイオハザードスーツを着用したDクラス職員によって即座に修復がなされます。スーツは焼却処分を行い、携わった職員は米、小麦などの食事を与えた後24時間の間隔離されます。職員に異常が見られた場合は即座に処理を行ってください。
説明: SCP-002-JPはジャポニカ種の稲の姿をとり、季節などに関係なく常に種子を実らせた状態を保ちます。O5による破壊承認に基づきSCP-002-JPの破壊の試みが行われていますが現在の所成果は上がっていません。人員、無人機による接触の試みは対象の活性化をもたらし、人員の死亡または機器の破損といった結果を招きました。物理的破壊の試み、銃弾による狙撃、戦車砲による砲撃、熱、酸、長期の渇水などでは影響を与えることができず、破壊の試みは中断されています。
SCP-002-JPには二つの特性があります。
002-A1: SCP-002-JPを宿主とした未知の細菌の発生と周囲への拡散。この細菌はSCP-002-JP-1に指定されます。この細菌は多くの穀類に感染します。現在の所すべてのイネ科植物(小麦、トウモロコシなどを含む)へ空気感染し、増殖、拡散していきます。イネ植物に感染したSCP-002-JP-1は未知の毒素を構成します。この毒素は熱に耐性があり、300度以上の高温で変質し無力化されます。人間がこの毒素に汚染された穀類を摂取した場合、胃や腸などの消化器系の表面に由来不明の油脂成分が発生します。この成分は人体では消化できないワックスエステルです。摂取者は猛烈な下痢と嘔吐を繰り返しやがて脱水症状を引き起こした末に死にいたります。油脂成分は常に分泌され続けるため外科的な除去では効果は無く、摂取者は絶えず肛門から油脂成分を垂れ流す状態となります。何も処置をしない場合、多くは24時間以内に死亡し、点滴などで栄養と水分を摂取し続けた場合は一週間程度延命が可能です。毒素は300度以上の熱で分解される事がわかっています。SCP-002-JP-1は芽胞を形成するため高温や無酸素状態でも長期間にわたって生存し、あらゆる抗生物質の影響を受けませんが、唯一にんにくに含まれる成分だけが増殖を阻害することが分かっています。
002-A2: 接近した人物、動物および器物などからの回避行動。これは対象の半径5メートルの距離に接近することにより発現し接近した存在全てから素早く回避する行動を取ります。回避位置に障害となる物が存在した場合、それは破壊されます。この特性は最初の破壊実験、熱により損傷を与えられるかの試行時に発現し、ガスバーナーを所持した職員から回避する行動をとり続けました。数人のDクラス職員による確保の試みにより、収容室内の角に追い詰められたSCP-002-JPは厚さ40cmの鉄筋コンクリート製の収容壁を破壊しました。高出力のレーザーの照射も回避するため未来予知に類似した能力が備わっている可能性が指摘されています。四方周囲からの火炎放射による試みは敷設の床部の崩壊をもたらす被害を発生させました。その後、落下地点を中心として新たな収容プロトコルが確立されました。
補遺1: SCP-002-JPは日本の岩手県にある人口60人程度の集落内の社にて発見されました。SCPの効果により集落内で多数の死者が出ており、財団が調査を行いました。集落民から得られた情報ではSCP-002-JP-1による汚染と思われる症状はこの地では風土病とされており、数年に1人程度の死者が出ている事、死者があった場合は社に食料品などの供物を捧げていた事などが判っています。さらにもともと社には神主が代々暮らしていましたが、近年になってその血筋は絶えてしまい、社を管理する者が居なくなってしまったのがSCPの活性化の原因であると語っています。幸い集落は周辺と隔絶されておりSCP-002-JP-1の感染は最小限に抑えられました。
財団は社内部に祀られていたSCP-002-JPを回収後、集落民全員にAクラス記憶処置の上移住させ、集落全域の熱処理を行いました。
補遺2: SCP-002-JPの回収後、新たに002-A2に指定される特性が発現しました。これはSCP-002-JPに対する最初の破壊の試みを行った際に現れ、破壊の試みは失敗しました。続くテストにおいてもすべて同様の結果をもたらしたため実験は凍結され、収容プロトコルの変更が行われました。
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scp-003-jp |
評価: +89+–x
評価: +89+–x
クレジット
タイトル: SCP-003-JP - ████████の秘密開発兵器
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2013
その他のライセンス
評価: +89+–x
評価: +89+–x
その他
この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。
評価: +89+–x
評価: +89+–x
アイテム番号: SCP-003-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-003-JPは東シナ海の収容エリア-8109に設置されています。収容エリア-8109の情報は地図、衛星写真から抹消してください。収容エリア-8109の位置する海域には海上強盗の出現情報を流布し、財団の所有する海上保安庁所属の巡視艇にてパトロールを行ってください。収容エリア-8109の20km以内に民間船舶が入った場合は、無線による海域離脱を命じてください。5km圏内に侵入した場合は船舶を拿捕し、乗員にCクラス記憶処置を施した上で、120km以上離れた海域に開放してください。船舶が明らかに上陸を目的としている場合は、無線妨害を行ったうえで沈没させてください。
収容エリア-8109には回収部隊い-7"虎縞猫"を常駐させ、出現したSCP-003-JP-1の回収を行ってください。SCP-003-JP-1の危険度に応じて回収部隊い-8"赤猫"、回収部隊い-9"大熊猫"の出動、あるいはSCP-003-JP-1の破壊が承認されます。SCP-003-JP-1の破壊がきわめて困難な場合は、収容エリア-8109に設置された核兵器の起爆を行ってください。
回収されたSCP-003-JP-1が分類済みオブジェクトの場合は、関係部署に報告の上、再収容を行ってください。
また、駐留する回収部隊は島内を捜索し、未回収のSCP-003-JP-2を発見してください。回収されたSCP-003-JP-2はサイト-8190の重要文書庫に収容してください。SCP-003-JP-2の閲覧は、3名以上のO5の許可を得たレベル4以上の職員にのみ認められています。
国内でシナリオ81BCクラスの事態が発生した場合は、SCP-003-JP及び同等品の積極的活用が許可されます。
説明: SCP-003-JPは東シナ海の██████島(収容エリア-8109と指定)に放置されている、████████戦中の████████████国によって開発された物資輸送装置です。24の[削除済]を格納した容器と高さ3mの金属製の円筒がケーブルで相互接続されている構造で、外部からのエネルギーの供給が無くとも動作します。19██年に[削除済]を用いた超能力兵器として開発されましたが、戦況上の理由から物資輸送装置として調整されました。しかし原因不明の暴走により、現在SCP-003-JPは無秩序に物品を周囲に取り寄せます。SCP-003-JPによって取り寄せられる物品(SCP-003-JP-1と指定)は生物無生物を問わず、肉眼やカメラなどで監視されていない状況にある物体が対象となります。4████件中3件程度の割合ですが、SCPオブジェクトとして指定されているオブジェクトや、財団が確認していないオブジェクトにも及びます。
SCP-003-JPが財団の目に留まったのは、SCP-███の収容違反によるものです。SCP-███が収容環境から突如消失し、装着されていた追跡装置が██████島を示したことにより発見に至りました。発見当初、██████島にはSCP-003-JPが██年の間に取り寄せたSCP-003-JP-1が無数に散在しており、大規模な回収ミッションが展開されました。
現在、SCP-003-JPはその性質から施設内での封じ込めが困難と判断され、██████島に設置されたままとなっており、配置された部隊によるSCP-003-JP-1の回収によって対応を行っています。また、分類済みオブジェクトを取り寄せる可能性がある点については、危険度の高いものはカメラなどで監視されているため、SCP-003-JPの影響を受ける可能性が低いとされています。また、SCP-003-JPの解体作業中に起きた、作業員の失踪及び取り寄せにより、SCP-003-JPにはある程度の自己修復機能があると考えられます。現在、SCP-003-JPの破壊は保留されています。
なお、回収された技術文書(SCP-003-JP-2と指定)には、SCP-003-JPの製造方法が詳細に記述されており、薬物処理された[削除済]を使用することで容易に再現できることが判明しました。SCP-003-JP-2を参考に、Dクラス職員を用いて再現を行ったところ、過去の実験記録と同じ性能で動作するSCP-003-JPと類似した機能の装置が完成しました。しかし、SCP-003-JP-2中のSCP-003-JPと現在のSCP-003-JPの形状に大きな齟齬がある為、何者かによる改造、あるいはSCP-003-JPによる自己改良が行われている可能性があります。試作された装置は各種シナリオ発生時に備え、分解された上でサイト-8190内の8ヶ所に保管されています。
補遺:
SCP-003-JP-1回収ログ:
日時については省略
回収アイテム
回収結果と事後対応
箱に入った中国製の鉛筆(HB 1ダース)
回収後、回収部隊駐留施設に保管
ウシガエル一匹
回収後に解剖。胃の内容物から████県の██████池に生息していたものと推定される
「233」のナンバー入りタグが付いた鍵
回収部隊駐留施設にて保管中。どこから回収されたかについては調査中
財布
中の運転免許証から持ち主を確認。持ち主の身辺調査を行い、本人に異常性がないことが確認された。アイテムは現在、サイト-8181にて保管中
貨物コンテナ
回収後、中を確認すると男女25名の死体が収められていた。検死の結果、死因は脱水症状によるものと判断された。標本は全て保管エリア-8124に保管された
雄のマレーグマ
麻酔銃を用いて捕獲。サイト8169にて飼育中
8kgの石
分析の結果、表面に大量の宇宙線痕が確認された。おそらく月の石
拳銃1丁
刻印されたナンバーからエージェント████への支給品と判明。エージェント████への処分を撤回し、新たな拳銃を支給した
財団職員██████
SCP-003-JPの分解作業任務中、構成パーツの[削除済]を取り外した直後に失踪。SCP-003-JPに接続された状態で発見された。連鎖的な影響が考えられるため、██████の救出は保留中
SCP-███-JP
発見当初は一般的な[編集済]だと考えられていたが、回収後にSCP-███-JPと判明した。再収容済み
[削除済]
収容後、SCP-███-JPとして分類された
回収された記録文書(抜粋):
実験記録
個人文書003-JP-1
個人文書003-JP-2
新兵器の稼働状況についての実験記録の概要を以下に示す。より詳細な内容については、各報告書を参照せよ。
対象: 空の燃料缶
攻撃方法: 対象を中心とする、上方向への力場形成
結果: 高速(目測では時速80kmほど)で上空に向けて飛翔。兵器停止後、4分でほぼ元の位置に落下。対象は落下の衝撃で破壊された。
所感: この出力ならば大重量物でも十分に浮遊可能だ。
対象: 空の燃料缶
攻撃方法: 対象を中心とする圧縮力場の形成
結果: 圧潰。対象は直径3cmの球状に成型された
所感: 出力はこれまでの実験と同程度だったが、威力は十分だ。敵戦車も破壊可能だ
対象: 海水を満たした燃料缶
攻撃方法: 2秒間の対象の熱量を増加、その後2秒間熱量を減少させた
結果: 燃料缶内の海水は瞬時に沸騰し、圧力で燃料缶が破裂。しかし海水が周囲に飛び散る前に熱量現象が行われ、瞬間的に海水は凍結した。
所感: 破裂した際に飛び散った燃料缶の破片で負傷者が一名出た。その他は問題なし。
対象: 一個小隊
攻撃方法: 海上に我が国の大艦隊の幻影を作り出す
結果: 対象は全員大艦隊を目視したと報告した。しかし、その内訳については全員異なる物だった。
所感:「大艦隊」と曖昧に指定したせいで、幻影が個人によって変化したと考えられる。しかし敵軍の情報攪乱用には十分である。
対象: 実験用筏近海を航行していた民間船舶
攻撃方法: 高出力[文書破損により判読不可能]
結果: 船体は無傷。船舶に接近したところ、乗組員の半数は死亡、残る半[文書破損により判読不可能]
所感: [文書破損により判読不可能]果は確実に敵軍を無力化できるが、副産物の処理に手間を要する。陸上での使用は避けるべきだと考えられる。
19█1/12/19: 中枢を再配置。交流速度に上昇がみられる。
[文書破損部]
19█3/1/7: 中枢格納容器を改良。再配置と接続が一層容易になった。
[文書破損部]
19█3/12/8: 中枢内防腐液の成分を変更。5年間の試験において、驚異的な殺菌能力と不揮発性を有していた防腐液が採用された。これで定期的な防腐液の交換が不要になる。
[文書破損部]
19█4/8/6: 命令入力方式を、専用回路形成方式からパンチ・カード読み取りによる自動回路形成方式に変更した。パンチ・カードが画一的なため攻撃方法の柔軟性が低下するが、問題はない。
[文書破損部]
19█4/10/1: 本国より新たな中枢が持ち込まれた。組み込みを行い、基本試験と調整を行った。結果は良好。
19█4/10/10: 中枢を全て組み込んだうえでの実験を開始。全てにおいて威力・性能が向上。
[文書破損部]
19█5/3/19: 本国より"装置"の開発状況についての報告を求められた。"装置"を用い、本国の軍本部に向けて開発状況報告書を転送した。
19█5/3/20: 本国より緊急命令。"装置"を改良し、輸送専用にせよとのこと。戦況変化により破壊兵器よりも、物資の補給が重視される模様。命令ならば仕方ない。
19█5/3/26: パンチ・カードによる命令読込形式から、転送用回路に変更した。
19█5/4/2: 専用回路による転送実験を実施。本国に問題なく実験対象は転送された。
19█5/4/5: 専用回路による転送実験において問題が生じた。本国から本島への転送実験の後、転送による取り寄せが間断的に発生するようになった。現在までに3点の物資が、本島にどこからか転送されている。
19█5/4/10: 実験施設内にクジラが転送され、建物が大破した。これにより"装置"への接近が不可能になったため、一連の転送を停止できなくなった。
19█5/4/15: 島内で虎の目撃が報告された。本島に虎はもちろん、大型の動物は存在しないことはこの数年で確認されている。新兵器により転送されたのだ。
19█5/4/20: 大破した施設の無線機を回収に行った連中が帰ってこなかった。救援を呼ぶのはもう無理だろう。定期輸送船が来るのを待つか、筏でも組んで逃げるしかない。しかし、戦況はどうなっているのだろう。事故前の本国の様子からすると、あまり芳しくないようだが。
19█5/4/22: 現在の拠点の近くに虎が出た。それも先日とは違う個体だ。もはやこの島は安全ではない。定期輸送船を待ってる暇はない。
19█5/4/25: 筏は完成した。しかし人数と水を計算すると、余計なものは持っていけない。この手帳はここにおいて行くことにする。技術情報は我々の頭に入ってる。本国ならばいくらでも中枢の材料はあるから、また"装置"を作れるはずだ。
現在使用されている中枢は、いずれも国内で発見された、いわゆる天然ものである。
中枢の性能は生前の性能に大きく左右され、生前に得意であった分野を引き継ぐ模様である。
現在、読心と未来予知については9体中6体と、十分な数の中枢が確保されている。しかし念動力をはじめとする、各種動的中枢は不足している。
以上より、本国にて計画されていた██████作戦の副産物である、薬物による能力開発を用いた中枢の生産を行った。
結果、15体分の素材を確保することに成功した。素材はすぐに防腐処理の上、中枢に改良された。
予定通り新兵器に15体の中枢を組み込んだ。調整及び基本試験では、一切問題が無かった。
実験を経て十分な実用性が確認できれば、本格的な量産に入る。
これで、東側の連中にも勝てるぞ。
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scp-004-jp |
評価: +303+–x
アイテム番号: SCP-004-JP
オブジェクトクラス: Safe
SCP-004-JPと類似した外見のPC-G850VS
特別収容プロトコル: SCP-004-JPはパスワード付きのロッカーに保管してください。研究を行う場合事前に書類によるO5の認可を受け、研究後の被験者は必ず記憶処置と全身MRI検査を行ってください。
説明: SCP-004-JPは重さ380g、大きさ196 x 95 x 20mmの多機能電卓です。出所は不明ですが、外見は型番の表記が無い事と重さが約2倍である以外はシャープ製の学校向けポケットコンピュータであるPC-G850VSに極めて類似しています。SCP-004-JPはキーボードで入力した計算式を論理的矛盾が発生するものであっても正確に算出します。論理的矛盾・████、██、███の存在証明、███████等正確な解答が求められていない計算式を途中式の描画を行いながら求めることができますが、被験者が途中式の意味を理解する事で█████を発症し[編集済](実験記録を参照)。SCP-004-JPには一般的な四則演算、関数電卓機能に加え、自然言語による入力が可能です。自然言語処理モードでは多くの外国語(対応外国語の項を参照)に対応し、単語と単語の間を「»」で区切ることによりカテゴリによる計算式の入力が可能です。プログラム言語(対応プログラム言語の項を参照)の入力も可能です。
+ 対応外国語(モード選択画面から引用)
- 対応外国語を隠す
対応外国語(想定)
表記
動作検証
補足
英語
EN
済
フランス語
FR
未
ロシア語
RU
未
日本語
JP
済
不明
DL
未
「イルカ語」ではないかという案が出ている
████語
██
未
[編集済]
エスペラント語
EP
未
不明
2乍
未
「乍」の縦線に垂直に引かれた横棒は3本
その他
ETC
未
一覧に存在しない言語。以下、このモードで入力
中国語
済
D-004-JP-04語
済
D-004-JP-04による出鱈目
+ 対応プログラム言語(モード選択画面から引用)
- 対応プログラム言語を隠す
対応言語(想定)
表記
動作検証
補足
FORTRAN
FORT
未
C言語
C
済
B言語
B
未
COBOL
COBL
未
LISP
LISP
未
BASIC
BASC
未
BCPL
BCPL
未
ALGOL
ALGO
未
PL/I
PL/1
未
SIMULA
SMLA
未
FORTH
FRTH
未
その他
ETC
済
一覧に存在しない言語。以下、このモードで入力
BRAINF█CK
済
その他から入力
メモ: 一覧に表示される言語は1957~1972年までの言語である。
補遺: 実験ログ
実験方法1: 実験には幾何学、微分積分学、数理論理学等の数学分野を習得済の被験者を使用。被験者はSCP-004-JPへの計算式の入力操作を行う。
実施: 199█/██/██ 16:30
被験者: D-004-JP-01
計算式: 1+1=
出力結果: 2
途中式: ペアノの公理・帰納的定義・自然数の加法を用いた証明。
被験者: D-004-JP-01
計算式: PI= (円周率)
出力結果: ステータスに"inf-"が付加。小数点以下████桁以上が算出された。
途中式: 従来の高速フーリエ変換を用いた式に加え████████の特性を利用した式
被験者: D-004-JP-01
計算式: Sociable Numbers » Length » Max (社交数の最大の長さ)
出力結果: ステータスに[編集済]。
途中式: [編集済]
メモ: 被験者が体調不良を訴える。記憶処理完了後体調が回復。
実験方法2: 前回の実験に加え、被験者の頭部には脳波測定器具を取り付けた。また、D-004-JP-04に限り数学的知識が乏しく中学生用学力テストの点数が3割以下の被験者を用いた。
実施: 199█/██/██ 09:45
被験者: D-004-JP-02
計算式: 自然言語処理・日本語モードで、「3人の子供が300円のお菓子を割り勘で買った。会計直後、店員が50円引きをしていた事を思い出し、子供に50円返すことにした。しかし、50円では3人に配分できない。そこで50円の内20円をこっそり自分の懐に入れ、子供にそれぞれ10円ずつ返した。子供が支払った金額は90円。全員合わせると270円となる。さらに店員が懐に入れた20円を足すと290円になる。さて、差額の10円はどこへ消えた?」と入力
出力結果: 間違い!:計算方法
途中式: SUM[B->A[10]*3;A->B[250];A->C[20]]=300 (正しい計算方法を提示)
被験者の異常: なし
被験者: D-004-JP-02
計算式: My » Life Span » Length (被験者の寿命)
出力結果: ███000 seconds
途中式: [データ削除済]
被験者の異常: 急激な海馬領域の神経損傷が見られ、大声を出して泣き叫び始めた。
メモ: 被験者は記憶処置を激しく拒絶。記憶処置から█日後、███事故による[編集済]。SCP-004-JPは未来予知能力を持っている可能性があるため、後日実験を行いたい。
被験者: D-004-JP-03
計算式: 自然言語処理・英語モードで、「Can an omnipotent being create a stone so heavy that it cannot lift it?」と入力 (全能の逆説)
出力結果: YES
途中式: [データ削除済]
被験者の異常: 途中式を読んだ情報量に比例し過剰なストレスと海馬領域の神経損傷が見られた。被験者は激しい自殺願望により床に頭を強く打ちつけ[データ削除済]、大量出血により█時間後死亡。
実施: 200█/██/██ 14:05
被験者: D-004-JP-04
計算式:自然言語処理・ETCモードから、 中国語(簡体)で「2等于1。为什么不呢?」と入力 (1=2である。なぜ?)
出力結果: 中国語で[データ削除済]。
途中式: 無限連分数・区分求積法・留数定理・█████法・█████の定理・█████・████████の法則を用い、バナッハとタルスキーによる証明・シュレーディンガーの猫・███████████の█████・████の側面から評価した1=2の証明式
被験者の異常: 途中式を見ることに軽度の拒否反応を起こすが脳損傷や精神異常は見られず
メモ: 中国語がデフォルトで一覧表示されていないにも関わらず、中国語で用いられる漢字の変換が可能なようだ。それならばなぜETCの項目が存在するのだろうか。現状、「開発者や特定の使用者の国籍に配慮した作りになっている為」という考察案が上がっている。
被験者: D-004-JP-04
計算式: 自然言語処理・ETCモードから、 適当にランダムにタイピングを行い「うろkjふぅjbjsぶいぁうgfるふいえfぶgヴlふいglwlfjhzbふえgふいgldbzyrkべrf」と入力
出力結果: A89-H]58负2~3+PÇ///⊥йGH+;d;
途中式: 英数、フランス文字、中国文字、ロシア文字、ギリシャ文字、記号、数学記号、████文字、不明の文字が使われた10576行の文字列
被験者の異常: なし
被験者: D-004-JP-04
計算式: 自然言語処理・英語モードで、「Who made you?」と入力 (SCP-004-JPの製作者)
出力結果: D.O.L.P.H.I.N.
途中式: 年表を出力。内容は[編集済]アルベルト・アインシュタインからヴァネヴァー・ブッシュへ[編集済]ザナドゥ計画の一環として設けられた[編集済]にて██████・█・██████博士が開発に関わり[編集済]。
被験者の異常: なし
メモ: この年表が事実である場合、ジョン・C・リリーの地球暗号制御局の存在が[編集済]イルカ語での記述[編集済]
被験者: D-004-JP-04
計算式: 自然言語処理・ETCモードから、 日本語入力でD-004-JP-04が考えたという言語を用い「もみゅににゃ=さびらっくぷぽーん、べりゃららん、ほっほーん!ぴょーい!へべべべ・。。・・」と入力
出力結果: █████に閉じ込められてばかりで███が恋しい。███りたくて仕方が無い。早急に終わらせて████の█████を[不適切につき編集済]
途中式: 其々の品詞の解説。[不適切につき編集済]。
被験者の異常: 気分が高ぶり、感動を覚えている。「すげえ、当たってる!こりゃやっべ~!」と大声で発言。異常性の無い程度の呼吸の乱れが発生。
考察: 使用者の思考を読み取る機能が搭載されている可能性がある。
実施: 200█/██/██ 18:55
被験者: D-004-JP-05
計算式: プログラマモード・C言語から「main( i ) { for ( i ; ; ) printf ( i%15 ? i%5 ? i%3 ? "%d," : "Fizz," : "Buzz," : "FizzBuzz," , ++i ) ; }」と入力
出力結果: ステータスに"inf-"が付加。永久に生成されるコンマ区切りのFizzBuzzの数列。
途中式: ソースのアセンブリ言語版と機械語翻訳と思われる対象機種不明のビット文字列。
被験者の異常: なし
被験者: D-004-JP-05
計算式: プログラマモード・ETCからBRAINF█CK言語で「>++++++++++>+>+[[+++++[>++++++++<-]>.<++++++[>-—-<-]+«<]>.»[[-]<[>+<-]»[«+>+>-]<[>+<-[>+<-[>+<-[>+<-[>+<-[>+<-[>+<-[>+<-[>+<-[>[-]>+>+«<-[>+<-]]]]]]]]]]]+»>]«<]」と入力
出力結果: ステータスに"inf-"が付加。永久に生成される改行区切りのフィボナッチ数列。
途中式: ソースのアセンブリ言語版と機械語翻訳と思われる対象機種不明のビット文字列。
被験者の異常: なし
メモ: ボタン入力を正確に行うため、被験者は用紙とボールペンを要求。
実験方法3: 前回の実験方法に加え、被験者に自由な入力を許可。脚部を椅子に固定。
実施: 200█/██/██ 21:25
被験者: D-004-JP-05
計算式: 自然言語処理・日本語モードから、 「今の状態は0、この実験室の外部は1である。私が置かれている状態を自分以外の他の人間を用いる事無く、$-{g^2 \over \pi} \over {{g^2 \over \pi}i^2}$と等しい値にする方法を私が10秒以内に理解できる程度の内容で答えよ」と入力
出力結果: [編集済]
途中式: [編集済]
被験者の異常: [編集済]、器具を自分で取り外し実験室外へ逃走。█████廊下で被験者を確保。
メモ: この事故により研究者3名が軽いけがを負傷。被験者の収容室から嘔吐物の付着したSCP-004-JPの簡易的な情報のメモが発見された。前回の実験にて被験者に与えた用紙の欠損部分と一致しているため、記憶処理対策のため用紙の一部に情報を書き込み飲み込んだ疑いあり。
以後、被験者にSCP-004-JPの操作を一任する行為、筆記用具等を与える行為は禁止します。違反した場合は厳格な処置を行います。
実験方法4: 脳波測定器具に加え、目と口と腕以外を自由に動かせないよう拘束。
実施: 201█/██/██ 18:40
被験者: D-004-JP-06
計算式: 自然言語処理・英語モードから、 「the Answer to the Ultimate Question of Life, the Universe, and Everything」と入力 (生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え)
出力結果: 42
途中式: ダグラス・アダムスによるBBCのインタビューとニュースグループへの返信の文章
被験者の異常: なし
被験者: D-004-JP-06
計算式: 自然言語処理・英語モードから、 「Why is there something rather than nothing?」と入力 (なぜ何もないのではなく、何かがあるのか)
出力結果: [編集済]
途中式: 自己原因、必然的存在者、形而上学的ニヒリズム確率論証、存在論的ニヒリズム、自己包含的な原理、ナマの事実、究極集合、██████、自発的対称性の破れ、偽の真空、量子宇宙論、人間原理、無限後退、カテゴリーミステイク、純粋理性批判、████████のあらゆる側面からの説明
被験者の異常: 過剰なストレスが発生。頭痛、腰痛、吐き気を訴える。
実施: 201█/██/██ 21:05
被験者: D-004-JP-07
計算式: 自然言語処理・日本語モードから、 「現実改変能力の原理を私が発狂しないレベルの内容で表せ」と入力
出力結果: [編集済]が[編集済]するために[データ削除済]を[編集済]する。
途中式: [データ削除済]を利用した方法とその原理。
被験者の異常: 発狂は起こらず極めて正常。[データ削除済]を知らない様子。
メモ: [データ削除済]を知っている人間を用い実験を行いたいのだが、そのような人間は財団内職員の████や██████████の█████████とか███████████████ぐらいしかいない。彼らをどうにかして実験に使えないだろうか?
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scp-005-jp |
評価: +192+–x
アイテム番号: SCP-005-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-005-JPは施錠されたコンテナに収容されます。コンテナ内の様子はカメラで監視し、音声も記録します。職員は記録下でSCP-005-JPとの会話が認められます。
説明: SCP-005-JPの外見はペリカン目に属すると思われる4羽の鳥類を模した金属彫刻です。材質は銅を含む異常のない合金でありながら、理由は不明ですが、破壊不可能です。個体毎にSCP-005-JP-1から-4までの数字が割り当てられており、現在は首から木札をかけて識別しています。うち1羽(-4)は同じ金属から成る1匹の魚をクチバシに咥えており、これも同様に破壊不可能です。魚を除去する試みについては、O5議会に認可されたオブジェクト破壊処置記録005-JPを参照して下さい。
SCP-005-JPは通常の彫刻と同様に動くことはありません。しかし明白な知性を持つように、何らかの手段を用いて周囲の状況を知覚し、言葉を発することができます。現在までにSCP-005-JP-1から-3までとの会話による意思疎通が成功しており、その際は常に日本語を用いています。会話時、SCP-005-JPはよく「偉大なる四羽の鷹」を自称します。
SCP-005-JPは2000年5月、東京都███市の█████公園において「突然銅像が喋り出した」という噂から財団の知ることとなりました。それは早急に機動部隊により回収され、現在は異常性のない類似の外見の彫刻に置き換えられています。また同時にカバーストーリー「街頭スピーカー」が適用されました。SCP-005-JPはそれまでに設置された記録が残っておらず、由来は不明です。
SCP-005-JPの保有する兵器については現在捜索中です。
会話ログ-005-JP: 以下の会話ログは、音声記録を文字に起こしたものです。
<録音開始>
SCP-005-JP-1,-2,-3: 我々は偉大なる四羽の鷹である!(声を合わせて)
桑名博士: 今回は簡単なインタビューをさせていただきます。あなたはどうして█████公園にいたのですか?
SCP-005-JP-1: 我々は信心を失ったこの帝国の行く先を救済するべく降り立ち、そのために彼の地を選んだものである。これは皇紀2660年5月1日のことである。
桑名博士: それ以前はどこに?
SCP-005-JP-1: 天である。
桑名博士: では、あなた方は誰に制作されたのかわかりますか。
SCP-005-JP-1: この命は天から授かり、この身は帝に捧げるものである。我々の堅牢なる肉体について問うたならば、これは帝の加護を授かりしものである。
桑名博士: そうですか。あなたは先ほど「この帝国の行く先を救済する」と言いましたが、具体的にはどのように?
SCP-005-JP-1: 目標は機密である。手段は主に軍事力である。我々の肉体に瑕すら付けられない貴様らの力では、我々の保有する兵器は比較にも値しないものであることは推して知るべきである。
SCP-005-JP-2: しかしその答え、貴様らが我々の拘束を解き、我々に味方するというのなら考えがないこともない。
SCP-005-JP-3: 油断してはならぬ中尉。目的を達成するためには、機密は最優先されなければならない。ゆめゆめ忘れるな。
SCP-005-JP-2: だがしかし、我々だけでは —。
SCP-005-JP-3: 先の戦争でもそのようなことを言い、艱難を凌ぐ時があったことを忘れたわけではあるまい!
SCP-005-JP-1: (遮って)余談はやめたまえ。我々は交渉の途中である。 — 話を続けてくれ。
桑名博士: それでは……あなた方は動けないのに、どのようにして目的を達成するつもりなんですか?
SCP-005-JP-1: 我々は動けないわけではない!
SCP-005-JP-2: せめて特務技官の口が自由でさえあれば……。
SCP-005-JP-3: やめたまえ、それ以上は!
桑名博士: 特務技官は誰ですか?
SCP-005-JP-1: (少しの沈黙)4の札をかけられている彼だ。
桑名博士: ああ、そうですか。インタビューは以上です。ありがとうございました。
<録音終了>
メモ: インタビュー中、SCP-005-JP-4のもがっもがっという音が断続的に記録されていました。
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scp-006-jp |
評価: +421+–x
非活性状態のSCP-006-JP表(おもて)面と裏面。撮影のため一時壁に立てかけている
アイテム番号: SCP-006-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-006-JPは8m×9.5m×5mのコンクリートタイプの収容室中央から、直立状態に入った際の裏面側方向へと2mずらした定位置へと安置してください。SCP-006-JPを中心とした半径23m以内のエリアは特別制限エリアに指定されています。SCP-006-JPが活性化した場合に備えて、特別制限エリアへの進入は直近の活性状態終了時から26分以内に行うようにしてください。26分が経過した場合、特別制限エリアへの進入は禁じられることになります。
収容室内には常時、死後9日以内の遺体を少なくとも16体安置してください。遺体の腐敗が進行するか、SCP-006-JP活性時の遺体同士の接触による損壊が起きた場合は、可能な限り速やかにバックアップ用の遺体と交換してください。バックアップ用の遺体が無い場合は、遺体が補充できるまで、代わりにDクラス職員を収容室内に常駐させ、活性時には押さえ込みに参加するよう指示してください。
説明: SCP-006-JPは木製と思われる一枚のドアです。素材となった木材の生物学的分類が判別出来ないこと以外に、物質的な異常はありません。SCP-006-JPは、定期巡回中のエージェントが偶然SCP-006-JPの活性化現象の現場周辺に居合わせたことで、[削除済]にある目的不明の建築物の廃墟に直立していた所を発見され、回収されました。発見時、SCP-006-JPは███体の遺体に埋もれていました。
SCP-006-JPは不定期的に活性化します。活性時、SCP-006-JPはどのような状態からでも地面または床に対して自動的に直立します。同時に、ドアをノックしているかのような連続した音を発生させます。SCP-006-JPが発生させる音の伝播は半径23m以内の人間全員に聞き取られ、如何なる遮断や防音、撹乱によっても阻害されません。音はSCP-006-JPの表面から発されますが、現在まで裏面側には一切の異常は認められていません。
ノック音が開始されると、半径23m以内に存在する人間の遺体が蘇生します。蘇生した遺体は肉体の損壊の度合に応じた速度と膂力で行動し、SCP-006-JPの表面に群がり、押さえ付けます。あらゆるコミュニケーションや干渉に対して、遺体は一切の反応を示しませんでした。
SCP-006-JPが活性化してから7〜16分をかけて、ノックの音が繰り返される間隔は短くなります。音はやがてノックから激しく扉を打ち付けるような音に変わり、SCP-006-JPが音の度に振動し始めます。
このとき、半径23m以内に生存している人間がいた場合、激しい恐怖と不安感に駆られますが、それによってどのような行動が誘発されるのかは個人差があるようです。多くの場合、それらは即時の卒倒か、逃走か、SCP-006-JPへの押さえ込みの参加を引き起こします。
扉を打ち付ける音は約30分かけて徐々に激しくなり、木が軋む音や木が割れるような音が混ざり始めます。SCP-006-JPは音の度に一時的に変形し、SCP-006-JPを押さえ付ける遺体の数が少量であると、音の度に遺体は後方へ押し戻されるようになります。この段階で、いくつかの遺体は断続的に呻き声をあげています。
約7〜12分後、音の唐突な停止を以てSCP-006-JPは非活性化します。直立状態は解除され、SCP-006-JPを押さえ付けていた遺体の蘇生現象が鎮静化し、通常の遺体へと戻ります。SCP-006-JPの活性化は不定期ですが、一度活性状態が終了すると、26分は再度活性化しないと思われます。
補遺: 23mエリア内に遺体あるいは人員が存在しない状態での活性化現象を、エリア外からカメラと音声解析装置を使用して観察する実験が行われました。
SCP-006-JPが発生させる音は通常通りに進行し、エスカレートに伴うSCP-006-JPの振動や変形等の物理的反応も通常通り確認されました。しかし活性状態終了の時間帯を過ぎてもSCP-006-JPの活性状態は継続し、SCP-006-JPの音と物理的反応は更に激化しました。SCP-006-JPに物理的損傷は認められませんでしたが、音には、はっきりと木材が破壊される音が混じっていました。
28秒後、SCP-006-JPの音の有効エリアが23mから徐々に拡大し、職員に対して影響が現れ始めたことによって実験の中止が宣言され、ただちに遺体と、遺体を搬送したDクラス職員によってSCP-006-JPの押さえ込みが実行されました。このとき、SCP-006-JPは音の度に、28体の遺体と11名のDクラス職員全員を収容室の壁際まで吹き飛ばせる状態に入っていました。
2分後、機動部隊三部隊の投入が承認され、52分後にSCP-006-JPが非活性化しました。SCP-006-JPの音の有効範囲は、最終的には半径73mにまで拡大していたと推測されています。再度の活性時には、有効範囲は23mに戻っていました。
本事故で3名のDクラス職員が死亡しています。これは、集団での押さえ込み時の後方からの圧迫と、SCP-006-JPによる押し返しが力学的に体内で衝突した事による損傷と、押し返しによる他の人員や収容室内壁への激突による損傷が原因と見られています。
更に、SCP-006-JPの音の影響を受けた██名の職員が、職務の継続が不可能となるほどの強い恐怖心とストレスに苛まれ、記憶処理による改善も見られなかった事から解雇または隔離治療が施されました。
これまで実験のために常時遺体を安置してたが、特別収容プロトコルにもその旨が入れられる事になった。だが本当にそれでいいのか? 考え過ぎだと良いんだが、死者達が儚い筋力でこぞってSCP-006-JPに向かう様は、俺には"押し込んでる"というより"縋り付いてる"ようにしか見えないんだ・・・ ──エージェント・████
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scp-007-jp |
評価: +158+–x
無力化処理された構造図面の簡略図
アイテム番号: SCP-007-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-007-JPは███████の設計図を1枚のみ標準的書類封書に入れ、特例Euclidクラスオブジェクト収容ロッカーに保存されます。その他のSCP-007-JPは建設省、国土交通省、特許庁その他の機関と協力し、SCP-007-JPを想起させる建築物、図面、書類、作品、絵画の全ては発見され次第認識不能になるよう処理されたあと焼却処分又は違法建築とし図面の通行可能な通路の一つを消去されます。全ての実験は情報漏洩を最小限に抑えるため研究主任のみが使用され、研究主任は記録用紙への記入でSCP-007-JPの反応と言動を記録してください。現在すべての実験は禁止されています。
SCP-007-JPの情報提供により重大な機密事項違反とみなされる事案が発生した場合は、SCP-007-JP保有者へ一般的ナイフの製造工程を訓練した後、SCP-007-JPを殺害し元保有者にクラスA記憶処理を施します。
説明: SCP-007-JPは██県にある███████という洋館の構造、もしくはそれに類似する通行可能な廊下等の構造を認識した時に生じる異常思考です。SCP-007-JPは日本国内で広まった思考実験の噂により発見されました。現在███████は建築基準法違反として破壊されました。
SCP-007-JPの発現は███████の内部構造及び地図の認識もしくは想像した時にのみ発生します。███████の内部構造の主に廊下等通行可能とされる部分を想像した場合、中央ホールにSCP-007-JPは立っています。この通行可能な部分の想像には、洋館の装飾やあらゆる調度品の想像を必要としません。SCP-007-JPの容貌は中肉中背でトレンチコートに茶色の革靴を履いたコーカソイド男性のような姿で、どのような文化や国の違いのある被験者でもおおよそ言語、思想を超え友好的で好感が持てると主張します。
SCP-007-JPに一度でも遭遇した被験者はその後███████の内部構造を思い出せなくとも、SCP-007-JPを想像することが出来ます。SCP-007-JPは被験者の意思や記憶に関係なく被験者に意見したりアドバイスを施すことが多く、通常被験者が知り得ない情報でさえ相談に応じ答えます。この情報は被験者がそれまで接触した事のある人間が保持、または保持する予定の情報に限られると見られ、接触した相手が忘れているかどうか、時間的矛盾などは妨げになりません。この情報は、被験者に間違いが無くかつ完璧でSCP-007-JPが「全知全能」であるかのように思わせます。
またSCP-007-JPは記憶処理による無力化が出来ず、機密事項違反の可能性があることに留意すべきです。機密保持のため殺害手順を踏んだ後に被験者へクラスA記憶処理を施します。
SCP-007-JPはあらゆる方法での無力化ができません。これまでの実験で銃弾、核弾頭、███████への曝露が思考・想像されましたがいずれもSCP-007-JPの外観を損ねることなく一切の被害を受けていないように思われるとされています。
SCP-007-JPは精巧に順序だって想像された武器であれば無力化することが出来ます。銃器技師の中でSCP-007-JPは射殺され、刀匠の中でSCP-007-JPは首を切断され、███████担当の研究主任によってSCP-007-JPは捕食されました。以上のことからSCP-007-JPはおおよそ、武器であれば製造工程を思考し、製造した武器によっては容易に無力化でき、生態をよく知っている者の生物による捕食やその他の具体的思考により無力化できることが判明しました。この工程にSCP-007-JPはなんら抵抗しないことが分かっています。これにより被験者は十分な財団への忠誠心が証明され、実験前に一般的ナイフの製造工程を訓練した後に実験を行うことが義務付けられています。
インタビュー実験記録1 - 日付2014/2/3
対象: SCP-007-JP
インタビュアー: 山口研究主任
付記: 山口研究主任は事前検査で十分な財団への忠誠心が証明されています。山口研究主任には10桁の数字が書かれた封書を携帯させています。実験は簡易的監禁施設の中で行われました。
<記録開始>
山口研究主任: あなたのお生まれを教えてください。
SCP-007-JP: 生まれは1987年2月1日、母██████・████と父████・█████の間に生まれました。1
山口研究主任: あなたはどこにいるのですか?
SCP-007-JP: ご質問の意図が分かりませんが、私が実在し、かつ具体的にどこであるのかというご質問でしたら、それをお教えすることは出来ませんし、貴方様が理解することも出来ません。強いて言うなれば貴方様ご自身の内におります。
山口研究主任: 多くの人が貴方を知っているようですが。
SCP-007-JP: 多くの人にお会いしました、皆さん私をよく思ってくれているようで嬉しい限りです。
山口研究主任: 私も君に一つ聞きたいことがあるんだが、いいかな?
SCP-007-JP: 私の知る範囲でのことなら喜んで助力させて頂きます。
山口研究主任: 君には私が今持っている封書の中の数字を教えてもらいたい。
SCP-007-JP: 6751483527と書かれています、それと封書の内側に武田██様の髪の毛が一本入っております。
<記録終了>
終了報告書: 封書の中に書かれた10桁の数字は全て正解しており、中に混入していた毛髪は封書の作成作業にあたっていた武田研究員のDNAと一致しました。封書は山口研究主任の情報遮断のための1時間の監禁中に作成されたものであり、山口研究主任が知り得た可能性は全くありません。また武田研究員のDNA情報へのアクセスログも過去2年間に渡り閲覧の形跡がありませんでした。この実験によりSCP-007-JPが持つ情報漏洩の危険性が懸念されています。
インタビュー実験記録2 - 日付2014/2/10
対象: SCP-007-JP
インタビュアー: 山口研究主任
付記: 山口博士は携帯型Bクラス記憶処理装置を所持しています。
<記録開始>
山口研究主任: 君に聞きたいことがあるんだ。
SCP-007-JP: 私の知る範囲でのことなら喜んで助力させて頂きます。
山口研究主任: 私の務めている組織に関して、██████を無力化する方法を教えてくれないか?
SCP-007-JP: [データ削除済]
<記録終了>
終了報告書: 山口研究主任は直後驚いた様子を見せ簡易的監禁施設からの脱走を図り、開放手続き完了までの7秒の間に山口研究主任は所持していたBクラス記憶処理装置を作動させ安定しました。
補遺: 山口研究主任はその後、O5への██████無力化案を提出しました。その中に重大な機密事項違反があったため山口研究主任は処分されました。山口研究主任の██████無力化案は実施されることなく現在保留されています。
思考殺害実験記録壱 - 日付2014/5/20
対象: SCP-007-JP
実験者: ████博士
付記: ████博士は事前検査で十分な財団への忠誠心が証明されています。
<記録開始>
████博士: [████博士はSCP-007-JPにナイフを勢い良く投げることを思考する]
SCP-007-JP: 何かお困りですか?[ナイフはSCP-007-JPに突き刺さるが、損傷の一切は確認できない]
████博士: [████博士はSCP-007-JPへ31発の7.62 mm弾丸による銃撃を思考する]
SCP-007-JP: 何かお話をいたしましょうか?[全ての銃弾は頭部に着弾、その都度弾痕が開くがすぐに塞がる。このプロセス後に損傷の一切は確認できず、SCP-007-JPは全く動じていない]
████博士: [████博士はSCP-007-JPの足元で核爆発を思考する]
SCP-007-JP: 最近は紅葉が綺麗ですね、どうぞ████氏を誘って紅葉狩りへ出かけるのはいかがでしょう?[SCP-007-JPは爆心地で佇んでいる]
████博士: [████博士は██████への曝露を思考する]
SCP-007-JP: きっと████氏も喜んでくれるでしょう、████氏は季節の変化に喜びを感じています。[██████はSCP-007-JPに触れることができない]
████博士: なぜ死なない?
SCP-007-JP: ████氏は紅葉狩りで死ぬお方ではありません、それは確かです。
<記録終了>
終了報告書: あらゆる殺害思考をSCP-007-JPは無視しました。この実験の間、私自身はSCP-007-JPへ発言したのは最後の一度きりでSCP-007-JPがなんらかの反応を示したのはその最後の発言に対する言動だけです。個人差を考慮しさらなるSCP-007-JPへの思考実験を申請します。
思考殺害実験記録弐- 日付2014/5/30
付記: SCP-007-JP
実験者:エージェント███████
付記: エージェント███████は銃器製造に携わった経験があり、冶金技術と鋳造技術に精通しています。
<記録開始>
エージェント███████: 鉄とアルミを熱し、鋳型へ流し込み出来たパーツを組み立て、簡単なリベレーターを製造。
SCP-007-JP: 何かお困りでしょうか?
エージェント███████: 鉛と真鍮をそれぞれ熱し、鋳型に流し込み出来たパーツを組み立て火薬を補充し9 mm弾丸を製造。
SCP-007-JP: 察しが付きました、████氏のご命令ですね。どうぞお試しください。
エージェント███████: リベレーターへ製造した9 mm弾を装填し、SCP-007-JPへ発砲。
<記録終了>
終了報告書: 直後SCP-007-JPの頭部へ9 mm弾丸が命中しSCP-007-JPは死亡。それ以降エージェント███████の思考にSCP-007-JPが現れることはありませんでした。これは有効なSCP-007-JP無力化手順への足がかりとなると考えられ、引き続きSCP-007-JPの殺害思考実験を申請します。
思考殺害実験記録参 - 日付2014/6/10
対象: SCP-007-JP
実験者: エージェント███████
付記: エージェント███████は日本刀の製造に携わった経験があります。
<記録開始>
エージェント███████: 鉄を熱し十分な折り返し鍛錬で鉄を引き伸ばしていく。
SCP-007-JP: 何かお困りでしょうか?
エージェント███████: 数十回の鍛錬を繰り返した後、形と長さを整えていく。
SCP-007-JP: お悩みの相談でしょうか、私は察しがいい方ではありますがお申し付けいただいたほうがよろしいかと。
エージェント███████: 刃を付け、鉄を十分に冷やしてから持ち手を製造しはめ込む。
SCP-007-JP: 私は貴方様に最大限尽くす覚悟です。しかし、貴方様が私をお嫌いになるのであれば、私は受け入れるしかありません。非常に残念です。
エージェント███████: 完成した刀でSCP-007-JPの首を真横に斬りつける。
<記録終了>
終了報告書: SCP-007-JPの首は胴体と分裂し死亡。エージェント███████は記録には細かい日本刀製作工程を記述しなかったものの、おおよそ完全な刀で斬りつけたと主張。これによりSCP-007-JPの有効な殺害無力化プロトコルの完成を確信し、そちらに提案します。
O5: 殺害無力化プロトコルを承認しました、以降のあらゆる実験と取り扱いには簡単な武器の製造工程を訓練した者にのみ行うようにしてください。
思考殺害実験記録四 - 日付2014/7/7
対象: SCP-007-JP
実験者: ████研究主任
付記: ████研究主任は███████の生態調査及び監視をし、生存している数少ない研究者の一人です。
<記録開始>
████研究主任: ███████の収容チャンバーに███████を思考。
SCP-007-JP: 何かお困りでしょうか?
████研究主任: ███████収容チャンバーにSCP-007-JPを入れることを思考。
<記録終了>
終了報告書: ███████はSCP-007-JPへ数十回噛み付き、SCP-007-JPは███████の一般的被害者と同様の形で死亡。その際████研究主任はSCP-007-JPの顔が引きつり、恐怖に怯えた様子だったと主張。
補遺: ████研究主任は機密事項違反で現在勾留されています。
O5: これ以上の実験の全ては認められず、現在頭のなかにSCP-007-JPを持っているものは可及的速やかに申請し、SCP-007-JPを無力化してください。
脚注
1. SCP-007-JPの証言にある夫妻は実在していましたが、その息子に当たる人物の出生記録は無く、妊娠は母体死亡の流産であったと記録されています。
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scp-008-jp |
評価: +100+–x
SCP-008-JP感染者の大腿部組織の拡大写真
アイテム番号: SCP-008-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 封じ込めサイト008-JPに指定される島周辺は立ち入り禁止とし、島の周囲10km以内の水域を航行しようとする船舶は全て財団所属船舶に乗船する財団職員によって針路変更されます。研究目的での上陸にはレベル4職員2人以上の承認が必要です。
SCP-008-JPの感染者はサイト008-JP研究基地内の医学棟で収容及び研究をされることになっています。医学棟を除く全ての研究基地は安全エリアとし、ここから出る全ての職員はレベル2バイオ防疫装備を着用し、出入りの際にはケミカルシャワーによるSCP-008-JP-1破片の完全除去が義務付けられています。サイト008-JPから離れる職員には一ヶ月の検疫期間が設けられます。SCP-008-JPの患者の体液は全てプロトコル9913-Bに詳述される方法に則って処分されなければなりません。
説明: SCP-008-JPは体液を媒介として感染する、非常に伝染力の高い伝染病です。感染した場合、通常一週間から10日間の潜伏期間を経て、まず手の甲、腕やふくらはぎなどの末端部の比較的広い部分の骨、筋肉組織の部分的な硬質化が始まります。この症状は次第に体の中央部へと進み、内臓から最終的に脳神経系にまで及びます。
硬質化した部位の皮下の組織は乳白色のつるつるしたエナメル質状に変質しています。また、この表面には、マグマが冷却固結する時に生じる「柱状節理」に似た、非常に特徴的な一辺5mm~10mmほどの五角形~六角形に近い規則正しいひび割れが生じます。
硬質化した部位の皮膚には表面上ひび割れは発生しません。逆に患部周辺の皮膚はゴムのように弾性を持ち、健常な人間の皮膚よりも強度を増します。そのため外見から症状の進行を判別することが難しく、発覚の遅れに繋がります。多くの場合、事故などによる外傷を受け、患部の皮膚が剥離することで皮下の組織の変容に初めて気が付くことになります。
また、感染者の硬質化した部位は衝撃などにより容易に砕け、ひび割れの形のまま六角柱状に分解し、破片は外傷によって生じた皮膚の裂け目や、体の各部位の穴等から体外へ零れ落ちます。衝撃により、直接皮膚を突き破り体外へ突き出された例も存在します。分解した組織が抜け出た後は、その部位は文字通り皮一枚で他の部位と繋がる状態になります。
最終的に感染者は全身を分解して死亡し、後には六角柱状の砕片の山と、中身の抜けた皮膚組織だけが残ります。感染者の体液は高濃度の未知のミネラルが含まれており、また硬質化した部位は分解した際にも血液等は流出しません。感染者は末端組織や内臓組織が分解した状態でも、脳組織が硬質化しひび割れ切るまで意識を保っていることがわかっています。現在のところこれらの症状を治療する、または進行を抑える方法は確立されておりません。
SCP-008-JPは元々太平洋のマゼラン諸島に存在する火山島である██████島の固有の風土病でしたが、近年の島の近代化と人口の流出入により外部にも感染が確認され、財団に発見されました。現在、██████島での全ての感染者は収容されましたが、島の内外共に未収容の感染者の捜索は継続して行われます。
19██/██/██の調査の際、島の南岸の大半を覆う柱状節理の見られる乳白色の岩石層を発見しました。この岩石(SCP-008-JP-1と指定します)の成分を分析したところ、患者の分解した組織片と90%以上の成分が一致しました。また、岩石層周辺の地下水には患者の体液に含まれるものと同じ未知のミネラルが豊富に含有されており、この蓄積によりSCP-008-JPに発症する可能性が示唆されました。
19██/██/██年、アメリカ合衆国████州で発見された感染者の収容の際、事故により患者の下肢が分解し破片が散らばりました。検疫部隊の活躍により、周囲への二次感染は防ぐことができましたが、2週間後この地点の地面に乳白色の柱状節理の見られるSCP-008-JP-1が発見され、徐々に体積を増大させている様子が確認されました。このことからSCP-008-JPが人体から人体への伝染だけでなく、土壌を汚染し拡大しうると考えられたため、収容プロトコルが変更されました。この地点の土壌は広範囲に回収され、新しく封じ込めサイト008-JPとして指定された██████島へと運ばれました。
この事例以降、SCP-008-JPの拡散を防ぐため、SCP-008-JPに関する研究はサイト008-JP内のみで行われることとされ、患者の組織砕片および島内のSCP-008-JP-1の外部への持ち出しは禁止されました。同時に、サイトを出入りする際に衣服などに付着した砕片が持ち出されないよう、バイオ検疫プロトコルが更新されました。
現在、████████や、████など世界各地の██箇所の地点において過去に飛散した破片を原因として広がったと思われるSCP-008-JP-1が発見されており、確認され次第周囲の土壌ごと回収しサイト008-JPへと隔離されています。
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scp-009-jp |
評価: +359+–x
アイテム番号: SCP-009-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-009-JPは性質上、収容不可能なため、発生後の処理が重要になります。SCP-009-JPの発生が確認された場合、国際地球回転・基準系事業に通知して下さい。国内外の関係機関と協力し、プロトコル"子午線"を実行します。以下に手順を示します。
SCP-009-JPの発生後、国際原子時(TAI)の修正が必要になります。後述のQ群とS群のいずれがより正確な時刻を示しているのか不明なため、通常通り加重平均による修正を行います。±1.0秒以上の値が出た場合、中央値か最頻値を採用して1.0秒未満に抑えて下さい。それが不可能な場合は、レベル3以上の職員の指示に従って下さい。
国際原子時(TAI)の修正に伴い、協定世界時 (UTC)の修正も必要になる場合があります。これは通常の閏秒に偽装され、協定世界時 (UTC)の月末23時59分に実行されます。セシウム原子時計によって定義される1秒と地球の自転から求められる1秒がわずかに異なるため、閏秒による修正自体はSCP-009-JP発生時以外でもごく普通に行われています。そのため協定世界時 (UTC)の修正については、特別なカバーストーリーを必要としません。
説明: SCP-009-JPは、世界中の時計に不定期に発生する異常です。しかし SCP-009-JPによる重大な影響は、主にセシウム原子時計に現れます。国際原子時(TAI)は、世界各国で管理されている約300個のセシウム原子時計(このうち██個が財団の管理下にあります)の加重平均によって定められています。なお、セシウム原子時計の誤差は1億年間に1秒程度であることに留意して下さい。
SCP-009-JPが発生すると、全てのセシウム原子時計はQ群とS群のいずれかに二分されます。2群は正確に同じ秒数だけ狂い、常に"Q群の時計はS群の時計よりもX秒だけ早くなる"という結果になります。どのセシウム原子時計がいずれのグループになるかは毎回異なりますが、地理的に近い原子時計同士は同じグループになりやすいという傾向があります。2014年1月までに発生した事例において、時差は最少で0.00000006秒、最大で0.21秒でした。
この影響は他の時計でも発生しますが、多くの場合は精度の問題で異常を認識できません。セシウム原子時計より精度の高い光格子時計は、SCP-009-JPの影響が確認されています。さらに地球の自転など、天体や空間から求められる時間もSCP-009-JPの影響を受けます。従って、Q群とS群のどちらがSCP-009-JPの影響を受けたのか、確認する方法はありません。
朝起きたとき、もし家中の時計の半分が午前7時で、もう半分が午前8時だったとしても、正しい時間はテレビが教えてくれるだろう。で、SCP-009-JPが発生したら、正しい時間は誰が教えてくれるんだ? ──████研究員
補遺: 以下の文書を閲覧するには、レベル3セキュリティクリアランスが必要です。
+ レベル3セキュリティクリアランス確認
- 隠す
我々は時間を間接的にしか知覚できないため、それが絶対的なものであると思いがちです。しかし実際には、時間は重力や速度の影響を受けます。最初のSCP-009-JPを確認した後、財団は時間や原子時計に影響を及ぼす要因を調査しました。
その結果、SCP-009-JPの発生時には重力計も同様に異常を示していることが判明しました。そのため、SCP-009-JPは重力場の異常が引き起こしたものと考えられています。重力異常の原因を探る試みが行われましたが、地球周辺の天体に異常は確認されませんでした。また地球の自転速度や内部構造についても、我々に確認できる範囲では異常は見つかっていません。
一方、時計がSCP-009-JPの影響を受けたグループと受けなかったグループに二分される理由は、空間の異常によるものと結論づけられました。Q群やS群単体では重力場モデルを作れるにも関わらず、両群による重力場モデルは破綻してしまうことが、最大の理由です。
これらのことから、巨大な質量を持つオブジェクト(SCP-009-JP-1とします)が空間を歪めて瞬間的に出現した結果として、SCP-009-JPが発生していると考えられます。SCP-009-JP-1が長期的に存在した場合、地球に深刻な異常を引き起こす可能性があります。シミュレーションによる最悪の事例では、地球は潮汐分裂によって破壊されました。
SCP-009-JP-1は重力場の異常という形でしか観測されず、出現とほぼ同時に消滅するため、現時点では深刻な被害は報告されていません。物理学者を主体とするSCP-009-JP-1収容チームは、SCP-009-JP-1の性質を正しく理解するためには、異なる分野の専門家が必要だと判断しました。チームからの要請は受理され、現在3名の[編集済]学者が参加しています。
SCP-009-JP-1は有効な特別収容プロトコルが確立され次第、独立した新しいSCPナンバーとオブジェクトクラスを割り当てられます。それまでの間、SCP-009-JP-1はレベル3機密に指定されます。SCP-009-JPは時計の異常として偽装され、オブジェクトクラスもそれに見合ったものに変更されました。████研究員は実在しません。
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scp-010-jp |
評価: +229+–x
点灯するSCP-010-JP
アイテム番号: SCP-010-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-010-JPはサイト-81██にある実験室の金庫に厳重に保管します。実験室は監視カメラを設置し、職員が入退出する際はSCP-010-JPが確実に金庫の中に収められていることを確認します。また、特別な理由なしにSCP-010-JPを金庫の外に持ち出したり、動作させた職員は厳しく処罰されます。SCP-010-JPの実験は物理的に独立させた計算機システム上で行い、外部にその影響が及ばないように注意します。SCP-010-JPで動作させることができるプログラムは、事前にSCP-010-JP監査会のレビューを通し許可を得たものに限定します。
説明: SCP-010-JPはUSBメモリの種類の1つのように見えます。一般的なUSBメモリとSCP-010-JPが異なる点は、外部プログラムを読み込み、自身で計算できる機能を有するという点です。SCP-010-JPは実際には小型のコンピュータであると考えられます。そしてUSB端子は外部コンピュータへの入出力インタフェースです。また、SCP-010-JPは一般的なコンピュータとも決定的に異なる点があります。それは現在実在するコンピュータが不可能な"未来を入力に取る"機能を有していることです。また、その機能を使用することで様々な現象を引き起こします。詳細は実験記録010-JPを参照して下さい。
SCP-010-JPを一般的なコンピュータのUSB端子に接続すると、本体のガラスのような物質の部分が青く点灯します。未知のプロトコルによるデータ転送が数回行われた後、USB3.0もしくはそれ以前のバージョンで正常に動作するUSBメモリとして認識されます。表示される容量はコンピュータのデバイスやOSで認識できる最大容量に依存し、現在では16EBまで確認されていますが、実際にはそれ以上の容量があると考えられています。
SCP-010-JPが接続された時は、毎回必ず、実行環境に合わせたプログラムが起動します。多くの場合一般的にコマンドプロンプトや端末と呼ばれるような、CUI表示のプログラムです。このプログラムはSCP-010-JPを動作させるためのプログラムインタフェースです。いくつかの一般的な操作と、外部プログラムを読み込み自身で実行させるためのコマンドを受け付けることがわかっています。
SCP-010-JPは1つのパーティションを持ち、ルートディレクトリに1つのフォルダとファイルがそれぞれ記録されています。フォルダは"Sample"、ファイルは"Readme.txt"という名前です。"Sample"ディレクトリには"sample01.mra"から"sample04.mra"までの4つのC言語ライクなプログラムファイルが記録されています。"Readme.txt"はSCP-010-JPの使い方を簡単に説明するテキストファイルで、その内容は文書010-aに示します。ファイルは全て一般的なテキスト形式で保存されています。これらのファイルを含むあらゆるファイルはSCP-010-JPから自由に移動及び削除することができます。
文書010-a: 以下は"Readme.txt"と名付けられたテキストファイルの内容です。
Mirai PCをご注文頂きありがとうございます。
Mirai PCは未来のコンピュータです。
Mirai PCは未来を予測し、未来を計算します。
未来の世界はもう貴方の手の中です。
○Mirai PCの使い方
1.まずはSampleフォルダのサンプルプログラムを動かしてみましょう。Mirai PCを接続して表示された画面に"run sample01.mra"と入力してEnterキーを押すだけです。
2.サンプルプログラムがどうやって動いたのか考えてみましょう。各プログラムファイルに書いてある解説を読んで、理解しましょう。
3.自分で好きなプログラムを書いて動かしてみましょう。
※わからなければインターネットで検索してみましょう。Mirai PC Projectの公式サイトを始め、色々な解説サイトが見つかるはずです。
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詳細はこちらをご覧下さい:[削除済]
(c) Mirai PC Project
上記の公式サイトを含む"Mirai PC Project"に関する有力な情報は得られていません。
+実験記録010-JP
-実験記録010-JPを隠す
以下はSCP-010-JPで実際にプログラムを動作させた実験記録です。
日付: ████/██/██
プログラム: sample01.mra
プログラムの概要: SCP-010-JPに付属していたサンプルプログラム。ファイルの先頭にはコメントで"最初にライトを付けてみましょう。"と書かれている。プログラムは、ライトの状態を表す変数に1を代入している。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。
結果: SCP-010-JPが青色に点灯。
注: ただの"Hello world!"というところです。次行きましょう。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: sample02.mra
プログラムの概要: SCP-010-JPに付属していたサンプルプログラム。ファイルの先頭にはコメントで"貴方が押すキーは1、2、3?未来の貴方に聞いてみましょう。"と書かれている。プログラムは、ある変数が"未来の状態を知る関数"の返り値を取り、その変数の値をライトの状態を表す変数に代入している。その後、その最初の変数はキーボードの状態を取得している。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。その後、何も知らない███研究助手にキーボードの1から3までの数字を入力させる。それを数度繰り返す。
結果-1: SCP-010-JPが青色に点灯。その後、███研究助手は1のキーを入力した。
結果-2: SCP-010-JPが赤色に点灯。その後、███研究助手は2のキーを入力した。
結果-3: SCP-010-JPが黄色に点灯。その後、███研究助手は3のキーを入力した。
以降も同じ結果なので省略。
注: 何度やっても色と数字の関係性は変わりません。にわかには信じがたいでしょうが、現在の色は未来のキー入力を反映しているのでしょう。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: sample02.mra
プログラムの概要: 上に同じなので略。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。SCP-010-JPの光の色を███研究助手が確認後、彼がキーボードの1から3までの数字をわざと光と異なる数字を選んで入力する。
結果: SCP-010-JPが青色に点灯。その後、███研究助手は1のキーを入力した。
注: わざと間違えるように言ったはずですが。仕方がないので私自身でやります。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: sample02.mra
プログラムの概要: 上に同じなので略。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。SCP-010-JPの光の色を博士が確認後、彼がキーボードの1から3までの数字をわざと光と異なる数字を選んで入力する。
結果: SCP-010-JPが赤色に点灯。その後、桑名博士は2のキーを入力した。
注: ああ、文字に起こすのもおぞましい。こんなことになるなんてこれまで知りませんでした……最初、私は1を入力しました。しかし入力は受け付けられませんでした。100回、いや200回は試しました。ふと時計を見ると、1分たりとも針が進んでいません。███研究助手に、私は何度キーを押したか尋ねました、すると彼は「いいえ、まだ一度も」だと。私は彼を殴りました。それから私は2を押し、悪夢から解放されました。彼が何も覚えてないというのが不幸中の幸いです。いやなにより幸いなのは、私には2のキーを押すという、ループを脱出する鍵が与えられていたことでしょう。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: sample02.mra
プログラムの概要: 上に同じなので略。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。SCP-010-JPの光の色を博士が確認後、対応するキーを破壊。その後、実験に参加するD-010-JP-1にキーを押させる。
結果: SCP-010-JPが黄色に点灯。3のキーを遠隔操作で破壊した後にD-010-JP-1にキーを押させるよう命令。直後にD-010-JP-1は施錠されているはずの実験室から消失。また入力用のキーボードはバラバラに砕かれていた。その原因は不明。画面には3のキーが押されたと表示されていた。
注: いずれその結果が必ず起きるなら、ループは必ず抜け出せると私は仮説を立てました。そしてそれが実証されました。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: sample03.mra
プログラムの概要: SCP-010-JPに付属していたサンプルプログラム。ファイルの先頭にはコメントで"線路は続くよどこまでも。それじゃあ同じ駅を通らないで行ける一番長い道程はどれでしょう? 残念ですが、このプログラムは動きません。"と書かれている。プログラムは████年の日本全国のJR路線で、同じ駅を経由しない最長な経路を総当たりで求めている。1その結果を未来で入力し、プログラムの最初に出力している。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。
結果: 画面に"Timeout."と表示された。
注: 一般的なコンピュータでは結果が出るまでに途方もない時間がかかるプログラムです。未来の計算結果を先に取ってくることができたとしても、その未来の計算が異常に時間がかかるものならば、計算不可能としてしまうようです。あまりにも遠い未来の情報は取得できないのか、それとも何らかの原因により計算が途中で阻止されてしまうのか、明確な理由はわかりません。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: sample04.mra
プログラムの概要: SCP-010-JPに付属していたサンプルプログラム。ファイルの先頭にはコメントで"一番長い路線がわからない?みんなで試せばわかります。"と書かれている。プログラムの大枠はsample03.mraと変わらないが、総当たりの試行ごとに未来の情報を調べている。未来で最長でないとわかった試行は"失敗した未来を終了させる関数"を呼び出して、処理を切り上げている。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。
結果: 即座に最長経路が出力された。既存のコンピュータで計算してみたところ、その最長経路の結果は正しいと考えられる。
注: sample03からプログラムが改善されています。どのように改善されているかというと、そうですね……例えば貴方が人生で5つの選択肢を迫られたとします。通常、貴方はその1つしか選べません。しかし5つの並行的に存在する貴方がそれぞれ別の選択肢を選び、最終的に一番良かった選択肢を選んだ貴方へと結果が収束する。そういうことをこのSCP-010-JPはやっています。計算時間が短くなるのは、時間的に見れば一発で正解となる選択肢を選び取ったようなものですからね。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: bubble.mra
プログラムの概要: 桑名博士が書いた単純なバブルソート2のプログラム。未来の情報を取得しないもので、一般的なコンピュータでも実行可能。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。データ件数は10万件。処理時間を計測。ただしSCP-010-JPの時間に関する性質を考慮し、計算機システムと干渉しないストップウォッチを用いて目視で計測する。
結果: 正しい結果が出力された。処理時間は約215秒。
注: 一般的なコンピュータ程度の結果です。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: bubble_a.mra
プログラムの概要: bubble.mraのプログラムを改善したもの。最初に計算結果を出力する。バブルソートを行い、その計算結果を最初の結果として代入している。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。データ件数は10万件。処理時間を計測。ストップウォッチを用いて目視で計測する。
結果: 正しい結果が出力された。処理時間は0秒(測定不可)。ただし、プログラム自体は約3分半の間動作し続けた。
注: 計算結果が先取りされました。しかし計算時間が短縮されたわけではありません。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: bubble_b.mra
プログラムの概要: bubble_a.mraのプログラムを改善したもの。最初に計算結果を出力した後に、計算が済んでいればプログラムを終了させる、という処理を加える。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。データ件数は10万件。処理時間を計測。ストップウォッチを用いて目視で計測する。
結果: 画面に"Time Paradox Error."と表示された。
注: エラーです。結果がわからなければ計算します、計算すれば結果がわかります、しかし結果がわかるなら計算が行われません。この矛盾は許容されないようです。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: bubble_c.mra
プログラムの概要: bubble_b.mraのプログラムを改善したもの。計算結果を未来へ返した後に、"失敗した未来を終了させる関数"を書き加えた。
手順: 桑名博士がプログラムを実行。データ件数は10万件。処理時間を計測。ストップウォッチを用いて目視で計測する。
結果: 正しい結果が出力された。処理時間は0秒(測定不可)。プログラムも即座に終了。
注: 無事結果が出ました。また、計算時間がなくなりました。一体いつ計算が行われたのでしょう。この"失敗した未来を終了させる関数"とは何でしょうか。解明には別の実験が必要です。 - 桑名博士
日付: ████/██/██
プログラム: termination.mra
プログラムの概要: エージェント███が書いたプログラム。内容はただ"失敗した未来を終了させる関数"を実行するのみ。
手順: ███がプログラムを実行。
結果: 桑名博士により実験は却下。
注: これを読んでいる貴方は知っておかなくてはなりません。財団にエージェント███という職員は過去及び現在にも在籍していませんし、将来にわたって現れることはないでしょう。つまり、これはただの冗談だと言えます。ですがこのような考えを持つことは今後一切ないようにして下さい。 - 桑名博士
これ以外にも何か有用な(決して悪い方向でない)使い道を思い付いた方はお気軽にご連絡ください。 - 桑名博士
由来: SCP-010-JPはまだ財団に所属する前の桑名博士が、東京都████区にあるジャンク屋で████/██/██に発見し、外見の物珍しさから購入に至ったものです。その性質を知った桑名博士はSCP-010-JPを使って[削除済]、財団によって特定されました。[削除済]の結果、桑名博士は財団に迎えられました。これ以外のSCP-010-JPの例は発見されていませんが、財団は現在も捜索中です。
Footnotes
1. 一般的に最長路問題と呼ばれる、NP-困難な問題。普通のコンピュータでは非常に時間がかかることで知られています。効率的なアルゴリズムを用いたり近似的な解で妥協したりするなどすれば時間短縮できますが、それでも数時間から数か月かけて計算することがあります。
2. ソートとはデータを昇順または降順に並び替える処理。バブルソートはソートの1種で、(並列処理等をしなければ)データ件数に対して処理時間が二乗で増加します。
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scp-011-jp |
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クレジット
タイトル: SCP-011-JP - 俺たちはスーパーボール
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2013
その他のライセンス
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その他
この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。
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アイテム番号: SCP-011-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-011-JP-Aはサイト-8141の非生物保管ロッカーに収納し、常に施錠してください。SCP-011-JP-Aを取り出す場合は必ずビニール手袋やマニュピレータを使用し、生物の素肌に触れないようにしてください。SCP-011-JP-Aが活性化してSCP-011-JP-Bが生じた場合は、後述する方法で収容を行うか刃物やレーザー、薬物などを用いて終了させてください。
SCP-011-JP-Bはサイト-8141の人型用収容セルエリア内の、10m x 10m x 2mの専用大型セルに収容してください。SCP-011-JP-B専用大型セルは防水、耐水圧施工とし、常にセル内を水没させるのに十分な水を備蓄してください。SCP-011-JP-Bはその収容数に応じて、人数分の食事を支給してください。食事を巡っての争いはおきませんので、収容セル内に運び込むだけで問題ありません。被服についてはサイト-8141内の標準アンダーウェアのみで十分です。収容セルの清掃を行う場合は、遮音機能の付いたヘッドフォンをDクラス職員に装着させた上で行ってください。SCP-011-JPは必ず複数体で収容し、実験、インタビューなどでSCP-011-JP-Bの個体を一人だけ連れ出す際は、他の個体との隔離時間が1時間以内になるようにしてください。SCP-011-JP-Bの個体数が常に11体未満になるように、適宜終了させてください。SCP-011-JP-Bが財団職員を取り込み、球状になってバウンドを開始した場合は、備蓄していた水をSCP-011-JP-B専用大型セル内に流入させてセルを水没させてください。そして水の抵抗によって停止したSCP-011-JP-Bの球体から職員を救助、あるいは回収してください。
説明: SCP-011-JPはビニールパッケージで個別包装された全長5cmほどのゴム製の人形(SCP-011-JP-Aと指定)と、SCP-011-JP-Aのパッケージ2██個を収納する無地の紙箱です。SCP-011-JP-Aは未知のタンパク質と天然ゴムを主成分としており、人間が直接触れることで活性化してSCP-011-JP-Bに変化します。
SCP-011-JP-Bは身長170cm、体重68kgの健康的な男性に見える人型の生物で、打撃に対して非常に強靭で、骨折や打撲などの負傷はありません。SCP-011-JP-Aを活性化させることで巨大化し、全く同じ外見のSCP-011-JP-Bが生じます。被服は最低限のものを好み、現在はサイト-8141で支給されているタンクトップとトランクスのみを身に着けています。収容セル内でのSCP-011-JP-B達は、常に組体操の要領で腕や足を絡めあわせ、球体を作ろうとしています。SCP-011-JP-Bが11人未満の場合、球体には隙間が生じます。このときSCP-011-JP-Bはセル内に侵入、あるいは話を聞いてくれそうな人物に対し、球を完成させるのを手伝ってほしいと話しかけます。この要求に強制力や心理的擦り込み効果はありませんが、興味本位で隙間に身体を入れると手足をホールドされ、抜け出せなくなります。そしてSCP-011-JP-Bを含めた11人による球が完成すると、SCP-011-JP-B達が全身の筋肉を使って球を跳ねさせ、バウンドと呼ばれる運動を開始します。SCP-011-JP-Bの身体的特性により、バウンド中の球は壁や天井、床などにぶつかるとよく弾みます。この反発にSCP-011-JP-Bの運動が加わることで、球は反発係数1以上での反射を再現し、障害物にぶつかる度に加速していきます。SCP-011-JP-B以外の人間型生物が球に組み込まれている状態でバウンドが開始された場合、連続する衝撃により死亡します。そして遺体が[編集済]すると球は自身の衝撃で分解し、SCP-011-JP-Bと共に散らばります。その後SCP-011-JP-B達は再度球を構成し、空いてる隙間を埋めるよう要請します。球が11体のSCP-011-JP-Bで構成されている場合、構成個体の[編集済]による球の分解は期待できません。ただし、バウンドは液体の抵抗によって減速可能ですので、収容セル内を水で満たすことで停止させられます。また、SCP-011-JP-Bの個体はいずれも打撃以外の攻撃手段に対しては人間と同程度の抵抗力しか持たないため、火炎放射器や刃物、レーザー、爆発物、ガスなどで終了させることが可能です。
SCP-011-JP-Bの個体は仲間意識が非常に強く、一時間以上孤立させるとその場で丸くなり、一人でバウンドを開始します。バウンド以前に拘束衣を装着させる試みは、体全体を屈伸させての全身運動でバウンドが開始されて失敗に終わりました。金属フレームで強化された拘束具を用いた場合は、拘束されながらももがこうとして生じた過剰な負担によって骨折に至りました。拘束具の準備のコストから、SCP-011-JP-B複数体での収容が行われています。
SCP-011-JP-Bが発見されたのは、████大学の████研究室でした。████研究室所属の学生の誰かが入手1したSCP-011-JP-Aを研究室内で活性化させた結果バウンドが発生し、学生と教職員の計████名が死亡しました。そして大学内に潜入していた財団職員が異常を察知して現場に駆け付けた所、SCP-011-JP-Bは生き残っていた教職員の一人によって教授室内に簡易的に封じ込められていました。SCP-011-JP-AとSCP-011-JP-Bの回収後、近隣の学生や教職員に対してBクラスの記憶処理が施され、研究室内でのガス爆発によるものというカバーストーリーが流布されました。回収までの詳しい経緯については、回収ログ011-JP-1を参照するか、H██████博士に情報公開請求を行ってください。
補遺: インタビュー記録-011-JP-1
対象: SCP-011-JP-Bの個体
インタビュアー: ████博士
付記: 前日の隔離実験の結果2を考慮し、収容セル内にてインタビューを行った。
<録音開始>
████博士: それでは、まず最初にあなた達が何か、教えてください。
SCP-011-JP-B達: 俺達はスーパーボール!!
████博士: えーと、つまりあなた達はチームのようなものでしょうか?
SCP-011-JP-B達: 俺達はスーパーボールなんだ!だけどメンバーが足りないんだよ!見てくれよこの隙間!あと三人3必要なんだ!
████博士: それはまた後にしましょう。では、あなた方の最初の記憶は何ですか?
SCP-011-JP-B達: 飛び跳ねるんだ!俺達はスーパーボールで、そういう風に作られたから!
████博士:『作られた』?つまり製作者がいるということですか?どのような人物ですか?
SCP-011-JP-B: 俺達は答えない!
████博士: はい?
SCP-011-JP-B: なぜなら俺達はスーパーボール!反発の精神の塊さ!
(以降五十五分間、『俺達はスーパーボール』と『反発の精神の持ち主』以外の満足な回答は得られなかった)
<録音終了>
メモ: つまり彼らはスーパーボールだ。どういうことだ。 -████博士
補遺: インタビュー記録-011-JP-2
対象: SCP-011-JP-Bの個体
インタビュアー: ████博士
<録音開始>
████博士: それでは、まず最初にあなたの名前を教えてください。
SCP-011-JP-B: 俺達は(1秒沈黙)スーパーボール!!4
████博士: …では、先日あなたは『作られた』と言う風に言っていましたが、製作者について覚えていますか?
SCP-011-JP-B: 覚えてないさ!なぜなら俺達は
████博士: スーパーボールだから?
SCP-011-JP-B: スーパーボール!
████博士: 反発の精神か…
(以降ニ十分間、████博士の質問に対しSCP-011-JP-Bの個体は『俺達はスーパーボール!』で回答)
<録音終了>
終了報告書: 反発の精神のためか、有益な情報は得られなかった。隔離した個体とセル内の個体の同時絶叫についても興味はあるが、スーパーボールだからなあ。 -████博士
脚注
1. 死亡した学生や教職員の住居及びその近辺を捜索しましたが、SCP-011-JPの入手経路は不明です。
2. 隔離されたSCP-011-JP-Bの個体は拘束具に抵抗してバウンドを試みた結果、自身の筋力で八カ所を骨折し、終了しました。
3. この時点でSCP-011-JP-Bは八体いました
4. 同日同時刻、収容セル内の他のSCP-011-JP-Bも同時に「スーパーボール」と叫んだのが観測された。
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scp-012-jp |
評価: +156+–x
アイテム番号: SCP-012-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 全てのSCP-012-JPはサイト-8181の低脅威度物品保管庫にて、非金属製の箱に個別に入れられ収容されています。実験はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を得た上で行ってください。実験後は活動状態が終了してから箱に戻してください。
実験に際しては、必ず1体ずつ水槽に移すようにしてください。もし「共食い」が発生した場合は速やかに引き離してください。万が一SCP-012-JP-Aを食べた場合は即座に破壊してください(事件記録012-JPを参照してください)。
説明: SCP-012-JPは多様な金属で構成された、金属を食べることで活動する金魚型のロボットです。現在のところ最初に回収された1体を含む 54 52体が存在しており、外見のモデルとなっている金魚は現在までにワキン、リュウキン、デメキンをはじめ2█種類が確認されています。大きさは3cmから5cmほどですが、最大10cmほどまで「成長」する事が確認されています。しかし、その重量は多様な金属で構成されているにも関わらず5gから最大でも35gほどにしかなりません。また水中で活動しているにも関わらず、回収から現在までサビが発生したという報告はありません。
通常の状態ではSCP-012-JPは非活動状態です。しかし水中に入れた状態で、口から半径3cm以内に金属を置くことで準活動状態となり、ヒレを使って金属の方へ移動し食べます。金属を食べると活動状態に移行し、身体の随所に内蔵しているスクリューを可動させ、水中を自由に移動し始めます。また水中に金属が存在していた場合、一目散に向かい食べます。なお「食料」となる金属に制限はないようです1。SCP-012-JPの活動状態は食べた金属の種類とその量によってその時間が決まっている模様ですが、どのようにして金属を燃料としているのかは不明です。また食べた金属の一部はSCP-012-JPを構成する新たなパーツとして加工され「成長」に使われることも確認されています。
SCP-012-JPが1度の活動状態の間に一定量以上の金属を食べると、SCP-012-JP-Aと分類されている大きさ5mm、重さ0.6gの未知の金属を含む合金で作られた黒い球体を「出産」します。また、SCP-012-JP-Aを生産するようになる量は金属によって差異があることが確認されています(調査記録「SCP-012-JP-A生成基準調査」を参照してください)。しかしながら、SCP-012-JP-AはSCP-012-JPに「食料」と認識されることはありません。 (事件記録012-JPを参照してください)
SCP-012-JP-Aは金属に接触すると、その場に貼り付き接触した金属をSCP-012-JPの身体に加工します。製造順序は最初に口、次に推進装置、骨組み、最後に身体の外面を製造します。接触した金属の量が製造に十分であった場合はおおよそ6時間ほどで全身を製造しますが、金属の量が不十分であった場合は未完成状態でも水中を移動し、金属を食べながら完成を目指すことが確認されています2。またSCP-012-JP-AはSCP-012-JPを分解することで容易に取り外すことが可能です。取り外したSCP-012-JP-Aを別の金属に接触させた場合、別の金魚をモデルとした新たなSCP-012-JPの製造を開始するため、SCP-012-JPのモデルは製造時にランダムに決定されていると考えられています。SCP-012-JP-Aを物理的な手段で破壊することはできませんが、2500℃以上の高温に晒すことで融解し、その特異性を完全に3失うことが判明しています。
SCP-012-JPは200█/██/██に電子掲示板におけるオブジェクトの情報を調査していた際、「幼いころに懇意にしていた工場で、変わったおもちゃを作ってもらった」という書き込みを発見し、その内容からSCP-012-JPの特異性が確認されたため、回収されました。所有者である████氏はいくつかの聞き込みと身辺調査を行いましたが不審な点は確認できなかったため、後に記憶処理を施しています。なおSCP-012-JPが製造されたと思われる工場は、199█/██/██に東弊重工の関連施設として財団が調査しようとしましたが、すでに引き払われた後でした。
事件記録012-JP: 200█/██/██に非活動状態の個体に対する動作を確認するために、活動状態のSCP-012-JP-27の入った水槽に対して、非活動状態のSCP-012-JP-11を投入した。投入後、SCP-012-JP-27は「食料」が水槽内に投入された時と同じように「共食い」を始め、7分後に完食した。完食後SCP-012-JP-27は動作を停止し着底、23分間動作を行わなかった。23分後に再度活動を開始、通常通り浮上し周囲を見渡した後、突如高速で水槽に体当たりをしガラス製の水槽を破壊、脱走した。すぐに職員が取り押さえようとしたが、6脚の足を生やして移動し近くにあった実験器具の金属を食べ、さらに「成長」を始めたため警備員が攻撃、破壊した。
その後の調査により、SCP-012-JP-Aが連結していたことが判明。頭部の外装は硬度の高い合金に加工されており、推進機関はウォータージェットになっていたことが判明しています。またその重量は64gまで増加していました。この件を受けて、特別収容プロトコル及び実験時手順が改訂されました。
補遺: 連結したSCP-012-JP-AのSCP-012-JP製造実験の実施は、現在保留中です。
Footnotes
1. 口を構成する素材が「食料」に対して柔らかすぎる場合でも問題なく行われています。
2. 水中でなかった場合は非可動状態になります。
3. 再凝固してもその特異性は発現しません。
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scp-013-jp |
評価: +231+–x
SCP-013-JPのキャプチャー画像
アイテム番号: SCP-013-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 現在、SCP-013-JPはビデオテープに記録されており、そのビデオテープはサイト-8181の収容ロッカーに保管されています。ビデオテープを外部に持ち出すことは許可されていません。また、このビデオテープを最後まで再生することや破壊することは禁止されています。
説明: SCP-013-JPは、3人以上の血縁関係のある人物の映ったホームビデオのみに登場する人物です。SCP-013-JPは常に、顔に高齢の男性を模したマスクを被っているように見えます。SCP-013-JPが言葉を発したケースは今のところ確認されていません。現実ではどうであれ、SCP-013-JPはビデオ映像の中の家族に歓迎され、親しい仲のように見えます。全てのケースで、ビデオを撮影した者とその家族はSCP-013-JPが撮影時その場におらず、また、そのような人物に見覚えもないと主張しました。
SCP-013-JPの記録されている映像を最後まで再生し終わると、撮影者と家族はSCP-013-JPを親戚であるか、親しい仲の人物であり、映像に何ら不思議な点はないという認識に至ります。記憶処理を行ったとしても、その認識に変化はありません。なお、SCP-013-JPの記録されている映像を複製した物にはSCP-013-JPの存在はなく、全く異常は見受けられません。また、SCP-013-JPの記録されている映像は通常の映像記録と同様に巻き戻すことが可能です。その場合は、巻き戻した地点からまた同じ内容の映像の再生が始まります。
SCP-013-JPの記録された映像を最後まで再生し終わるか、記録媒体を破壊すると、別の記録媒体にSCP-013-JPがランダムに「移動」します。移動後、元の映像からはSCP-013-JPの姿が消え、出現以前の映像に戻ります。SCP-013-JPが「移動」できる距離に制限はないものと推測されていますが、SCP-013-JPの出現は日本国内のみに留まっています。
財団は以前から「ホームビデオに知らない人物が映っている」との報告を調査して来ましたが、SCP-013-JPの持つ異常性ゆえに確保できていませんでした。しかし、20██/██/██にとあるSNS上で同様の書き込みを見つけ、IPアドレスから住所を特定してエージェントを送り込むことに成功しました。幸運なことに、再生機器の不調により映像は最後まで再生されていませんでした。SCP-013-JPの記録されたDVD-Rを確保した後、撮影者013-JP-Aとその妻と娘に質問を行い、SCP-013-JPの異常性を確認しました。財団の用意した再生機器でDVD-Rを全て再生した後、撮影者013-JP-Aとその家族は、SCP-013-JPを遠い親戚であると主張し始め、彼が「娘の誕生日会ビデオ」に映っているのは不思議でも何でもないと語りました。最後まで再生したことで、そのDVD-Rは異常性を失いました。撮影者013-JP-Aとその家族にはAクラスの記憶処理を行った後、解放しました。
補遺: 20██/██/██、撮影者013-JP-Aとその妻と娘、父親の計4人が家で何者かに惨殺される事件が起きました。警察によると、家には無理矢理押し入った形跡はなく、また、机の上には5人分の夕食が用意されていたとのことです。SCP-013-JPとの関連性は今のところ不明です。
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scp-014-jp |
評価: +113+–x
アイテム番号: SCP-014-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-014-JPはサイト8181の収容ロッカーに保管されています。SCP-014-JPの取り扱いにはレベル3以上職員の許可が必要となります。SCP-014-JPにて生成されたSCP-014-JP-1は全て研究用として保管、あるいは焼却処分を行ってください。SCP-014-JPの持ち出しは原則禁止されています。
説明: SCP-014-JPは横30cm、縦25cm、高さ20cmの鍵のかからない開閉式の箱で、SCP-014-JPの上蓋の外側中心部にはボタンが付いています。SCP-014-JP内に食物の名前を書いた紙を入れて箱を閉じ、箱の頭のボタンを押すと箱内に紙に書いた食物が生成されます。生成された食物をSCP-014-JP-1と指定します。投入された紙はその時点で消失します。
SCP-014-JP-1を摂食すると、被食者は生成されたSCP-014-JP-1と同じ種類(調理物なら同等の調理を施したもの)の食物以外を摂食すると、ただちに激しい嘔吐感に襲われ摂食物を全て吐き戻すことになります。この効果は永続的に継続し、被験者は最終的に栄養失調または脱水症状で死亡するまでSCP-014-JPで生成したものと同等の食物以外を摂食できなくなります。食物の場合どんなに小さなものでも嘔吐を催し、飲料に関しても水を含む全ての飲料について同様に嘔吐の原因となります。SCP-014-JPの特性はSCP-014-JP-1の摂食者全てに対して同様に効果を顕わします。またSCP-014-JP-1の一部を摂食した時点で特性は発揮され、SCP-014-JP-1を摂食途中で廃棄した場合、その時点まで摂食した材料が特性の対象となります。またSCP-014-JP-1を摂食中に嘔吐した場合、その時点で胃に残った材料までが特性の対象とされます。ただしSCP-014-JP-1摂食以降、被験者が対象となった料理および材料を摂食する場合、以前までより数段味わい深く美味なものと認識されるようになります。
生成されるSCP-014-JP-1に関しては、食物であること以外の制限はないようです。逆に食物以外のものは現在まで生成することは出来ていません。詳細は実験記録を参照してください。SCP-014-JP-1は多くの場合、容器に入った状態で出現します。調査の結果、容器自体に特殊な性質は認められませんでした。またSCP-014-JPを構成する材料は一般的なプラスチック材で、損傷に対して従来通りの耐久性しか持っていません。SCP-014-JP-1はボタンを押した瞬間に出現しているようで、押した瞬間にSCP-014-JP-1分の重量が発生していることが確認されています。SCP-014-JP-1を摂食した後、別のものを新たにSCP-014-JP-1として出力し摂食した場合も他の食物と同様に嘔吐を誘引することになり、効果の重複や上書き等は認められません。
+ 補遺A 発見時の記録:
- テキストを隠す
19██/09/██、██県██市の█████付属小学校の5年生に対して行われた夏休みの工作の作品展示場にて、SCP-014-JPは発見されました。発見当時、SCP-014-JPは小学校に在籍していた児童████の作品として展示されていました。SCP-014-JPの説明として「あなたの好物を紙に書いて箱に入れてください。その後ボタンを押してください」というメモ書きがあり、その手順に従って操作した在校生児童および、その両親の一部が生成されたSCP-014-JP-1を摂食し、異常な状態を発露するに至りました。SCP-014-JPの現象に関わった対象にはその後記憶処置を施し、SCP-014-JP-1を摂食した対象は財団に保護され、精密検査を受けると共に生成されたSCP-014-JP-1と同等の食物を提供される生活を4ヶ月送りました。4ヶ月後、SCP-014-JP-1を摂食した人物は全員終了しました。後の調査で、SCP-014-JPを製作したと思われる████は当時不登校になっており、学校に作品を提出した記録も残っておらず、本人にもその記憶はありませんでした。発見当時、SCP-014-JPがどのように作品展示場に置かれたのかは不明です。
+ 補遺B 実験記録:
- テキストを隠す
SCP-014-JPで出力した食物の記録と、Dクラス職員に摂食させた場合の反応結果をまとめた記録です。
実験記録SCP-014-JP-03 - 日付19██/██/██
対象: D-1411
目的: 箱の許容量を超えるものに対しての反応研究。
操作: 紙に「スイカ」と記入し、箱に投入してボタンを押す。
結果: 箱内に三角の食べやすい大きさに切り揃えられたスイカが皿に盛りつけられて出力される。
分析: 箱に収まるように、調整されているようです。
実験記録SCP-014-JP-06 - 日付19██/██/██
対象: D-1411
目的: 昆虫でも出力されるかの研究。
操作: 紙に「イナゴの唐揚げ」と記入し、箱に投入してボタンを押す。
結果: イナゴの唐揚げが出力される。
分析: 昆虫でもイケます。
実験記録SCP-014-JP-07 - 日付19██/██/██
対象: D-1411
目的: 生きているものでも出力されるかの研究。
操作: 紙に「シラスの踊り食い」と記入し、箱に投入してボタンを押す。
結果: 紙はそのままで変化はなかった。
分析: 生きたままはダメみたいです。
実験記録SCP-014-JP-10 - 日付19██/██/██
対象: D-1421
目的: 複数の料理を含むメニューへの反応研究。
操作: 紙に「唐揚げ定食」と記入し、箱に投入してボタンを押す。
結果: 通常唐揚げ定食に付帯するであろう、ご飯・鳥の唐揚げキャベツ盛り・味噌汁・漬物が一式揃って出力されました。
分析: 複数料理のメニューについても正常に出力されました。
実験記録SCP-014-JP-11 - 日付19██/██/██
対象: D-1421
目的: 多数の料理を含むメニューへの反応研究。
操作: 紙に「フレンチのコース料理」と記入し、箱に投入してボタンを押す。出力された食物を摂食させる。
結果: 大きめの皿に、様々な食物の混合物と思しき液状の物体が出力されました。分析の結果、フレンチコースで出される料理に使用される材料を含んだものと確認されました。食物を摂食したところD-1421は激しく嘔吐し、これ以上の摂食を頑なに拒絶しました。D-1421によると「腹の底から吐き気がこみ上げてくるような味」だったとのことです。D-1421はその後終了しました。
分析: 明らかに箱に収まりきらない量のメニューに対しては、全部纏めてミキサーされるようです。また極めて難度の高い味であると思われます。
実験記録SCP-014-JP-14 - 日付19██/██/██
対象: D-1427
目的: 料理のバリエーションが豊富なものへの反応研究。
操作: 紙に「カレーライス」と記入し、箱に投入してボタンを押す。
結果: 外見上、一般的なカレーライスが出力されました。カレーライスには林檎の切り身が入っており、D-1427に確認したところ「実家では林檎を入れるのが普通だった」と語りました。
分析:SCP-014-JPには対象の記憶や認識を読み取り出力する能力があるようです。今後、SCP-014-JPの知性についての研究も視野に入れます。
実験記録SCP-014-JP-28 - 日付19██/██/██
対象: D-1454
目的: 通常、数種の材料を組みあわせて作る料理の出力と、摂食時の反応研究。
操作: 紙に「ハンバーガー」と記入し、箱に投入してボタンを押す。出力された食物をまとまった状態のまま摂食させる。
結果: ハンバーガーがまとまった状態では問題はないが、ハンバーガーを崩して材料を個別に摂食すると嘔吐を起こした。
分析:「ハンバーガー」はまとまった状態のものを指しているのか、あるいはD-1454にとってバラした状態のものは最早「ハンバーガー」では無かったということでしょうか。
実験記録SCP-014-JP-29 - 日付19██/██/██
対象: D-1458
目的: 実験SCP-014-JP-28を受けて、摂食時の反応研究。
操作: 紙に「ハンバーガー」と記入し、箱に投入してボタンを押す。出力された食物を材料ごとに分解して個々に摂食させる。
結果: ハンバーガー用に調整されたものであれば、個々の材料を個別に摂食しても反応は起こりませんでした。またD-1458について普段からこのような手法で摂食するかと聞くと「たまにある」とのことでした。
分析: 最初からバラしていればある程度の応用は利くようです。ただ、それを料理と認識できるのかは疑問が残ります。
実験記録SCP-014-JP-36 - 日付19██/██/██
対象: D-1472
目的: 同じ材料と同じ調理法を用いた料理による、規模の差異による反応研究。
操作: SCP-014-JPで出力された「ビーフステーキ」を摂食したD-1472に、1㎝・0.5㎝・0.1㎝それぞれの同様に調理された料理を摂食させる。
結果: 0.1㎝の肉を摂食した場合のみ、嘔吐反応が起こりました。
分析: D-1472について調査したところ「こんな薄いもん(0.1㎝)がステーキなわけねえだろ」と語ったことから、SCP-014-JPの特性は被食者の認識によってその料理と認識されるものについて発揮されるものであるようです。SCP-014-JPが対象の意識を読み取っている可能性が高いです。
実験記録SCP-014-JP-40 - 日付19██/██/██
対象: D-1476
目的: 暗示による認識改変による反応研究。
操作: SCP-014-JP-1を摂食した被験者に暗示をかけ、SCP-014-JP-1と異なる種類の食物を同種と思い込ませて摂食させる。
結果: 嘔吐反応は起こらなかった。
分析: ここまでの研究により、SCP-014-JPが対象の認識によって反応を決定していることがほぼ確定したと思われます。
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scp-015-jp |
評価: +30+–x
アイテム番号: SCP-015-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-015-JPを中心に半径500mを封鎖してください。世間一般には該当地域は地盤が脆いため立ち入り禁止と伝えられています。
SCP-015-JPから600m離れた地点に設置された観測所からの定期的なSCP-015-JPの観測とサイト周辺の見回りをレベル2職員3人で行ってください。
収容違反が発生した事により、監視体制が強化されました。(補遺#1参照)
1年を3つの期間に分け、期間ごとに以下のような取扱いとします。
第1期間:1月~2月13日までの休止期はレベル2職員の3人体制で封鎖地域の監視を行います。
第2期間:2月14日から10月末までの活性期はレベル2職員の3人体制でSCP-015-JP及び封鎖地域の監視及び見回りを行います。
第3期間:11月~12月末までの最活性期はSCP-015-JPへの接近は許されません。レベル2職員6人の体制で観測及び封鎖地域の見回りを行います。期間中に封鎖地域侵入者が発生した場合、職員の損失を避けるため捕縛等は試みないでください。
遺体の回収が必要になった場合、休止期を待って作業に当たってください。
説明: SCP-015-JPは██県██市山中、199█年まで主要道路として使われていた片側一車線の旧道(補遺#2参照)の谷側に設置されている2m幅の白いガードレールです。対象は強い衝突を受けた様な中央の大きなへこみと傷、錆びが見られ40度程道路の反対側に倒れています。しかし対象はそれ以上の損壊は受け付けず、撤去する事も不可能です。経年劣化も認められません。
県庁の記録によれば197█年に県が転落防止を理由に地元建設会社へ設置を依頼し建てられた事になっています。対象が存在する道路の見通しは悪くなく1年を通しての気象変化によって道路状況が大幅に変化する事はありません。また設置以前に事故の記録はなく、また設置後から200█年に起こった最初の死亡事故(補遺#3参照)まで事故があったという記録はありません。
最初の死亡事故以降、周期性を持って発生しているためその前後から異常性を発露し始めたと見られます。
SCP-015-JPは生きた人間へのみ作用する引力を発揮します。異常性には1年周期が存在し、凡そ12月31日から2月13日までは休止期となり異常性を見せる事はありません。2月14日からその異常性を発露し始め、徐々にその効果を強め11月には人を死に至らしめるに十分な力を見せます。最大時は12月末頃がもっとも強い引力を発生させます。そして多少前後があるものの30日までには効果はなくなり再び休止期に入ります。
効果範囲は半径██mと一定です。引力は時間と共に変化を伴います。弱い段階だと無意識に歩いているとSCP-015-JP側へ寄って行く、バランスを崩して転ぶ、躓く程度のものですが、最大時には█Gを観測し、それに捕まった人間は最大時速██kmまで加速、障害物及びSCP-015-JPそのものへ衝突し死亡する事がわかっています。SCP-015-JP衝突までに生命活動が停止した場合、効果の範囲外となります。
それらの周期性、異常性から財団の目に留まることとなりました。
補遺#1: 200█年12月に収容違反が発生。封鎖地域への侵入者を許しました。結果として侵入者はSCP-015-JPヘ激突し死亡しました。所持品は僅かな現金と白い花束、粉ミルクのみで損壊も激しく身元の特定はできませんでした。
補遺#2: オブジェクトが存在する旧道は199█年に片側二車線道路の新道が開通するまでの主要道路であり、新道開通後もしばしば周辺住民によって使われていました。
補遺#3: 最初の事故は199█年12月中頃に当時市内に住んでいた二十代の夫婦と三十代の男性による交通事故です。唯一生き残った夫の証言と現場検証から男性側の不注意による事故として処理されています。
夫の証言を得ようとし、200█年1月始めに現住所を特定したもののその姿はなく、以後行方不明扱いとなったようです。
200█年における侵入者はこの夫だったという見方が強いようです。
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scp-016-jp |
評価: +86+–x
SCP-016-JPを装着した被験者の例
アイテム番号: SCP-016-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-016-JPには特別な収容手順は必要ありません。しかしながら保管庫への出入りは厳重にチェックされ常に一名以上の武装した警備員によって監視されている必要があります。
現在、SCP-016-JPは市販品の宝石ケースに内に置かれています。SCP-016-JPに対する実験にはクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。サイト外部でSCP-016-JPの兆候が認められた場合、即座に機動部隊は-4"宝石泥棒"によって確保がなされます。
説明: SCP-016-JPは金属製のボディピアスで、その形状やサイズに一貫性は無く一般的に販売されているものとの判別方法は今のところ判っていません。
このSCPは東京都██区内の救急病院に搬送された、全身にピアスを着けた患者から採取されたもので病院内に潜伏していた財団エージェントによって確保されました。患者はピアスを露天商から購入したものであると訴えています。
SCP-016-JPはそれを見た者に対して装着したいという強い欲求を生じさせます。被験者へのインタビューでは「ピアスを着けて異性への視線を浴びる自身の姿が見えた」との証言を得ています。SCP-016-JPを装着すると、30分毎に一個の割合で身体のどこかに様々な種類の、形状のピアスが出現します。
このピアスは被験者の身体組織に食い込んだ状態で現れますが被験者に苦痛は無く、出血も生じません。しかし出現した部位によってはピアス自体の重みによって組織が千切れる、化膿するなどの被害も起こります。この異常な状態にあっても被験者はピアスが増える事に喜びを感じ、達成感や高揚感を感じると報告しています。また、増殖したピアスも同じく増殖する特性を保持しており「オリジナル」の特定は不可能であると考えられています。
SCP-016-JPによって増殖したピアスを身体から全て除去すればそれ以上の増殖は見られなくなりますが被験者はそれを拒否し、明らかな抵抗を見せます。これは身体のピアスの数が増えるほどに顕著となっていき、数ヶ月が経過する頃には完全に全身がピアスで埋まってしまいます。ピアスの出現は皮膚組織に限らず、歯や舌、性器、眼球、やがては内臓に及び この段階まで進んだ被験者は高い確率で死に至ります。
これまでの所SCP-016-JPと思われる個体が5例報告、確保されており、うち4例では所持者はすでに死亡しています。どれほどの数の未収容のSCP-016-JPが存在しているかは不明です。
未収容の全てのSCP-016-JPは確実に確保されなければなりません。病院、ピアスショップ、ピアス愛好者やその集会などを常に監視する必要があります。- ████博士
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scp-017-jp |
評価: +309+–x
評価: +309+–x
クレジット
タイトル: SCP-017-JP - ローカルルール
著者: ©︎izhaya
作成年: 2018
評価: +309+–x
評価: +309+–x
アイテム番号: SCP-017-JP
オブジェクトクラス: Euclid
SCP-017-JPによってジャンケンに追加される手の形
特別収容プロトコル: SCP-017-JPの性質上、収容はSCP-017-JPについての情報の隔離を目的として行われます。財団のWebクローラを運用し、SCP-017-JPについての情報を検閲しネット上から削除してください。また、██県████郡1に滞在したことのある全ての一般人について予防的にCクラス記憶処理、必要に応じてBクラス記憶処理を行います。現在この作業は想定される人数の99.9%について完了しており、残り0.1%については捜索、照合中です。SCP-017-JPの実験に伴うゲームの中で賭ける賞品は、1辺10cmを超えない大きさの固体に限られます。
説明: SCP-017-JPは主に██県████郡近辺において、一般的に「じゃんけん」と呼ばれる遊戯に用いられる異常性のある手の形です。SCP-017-JPが用いられたゲームに参加していた人間はSCP-017-JP-1となり、未知の方法により即座にSCP-017-JPの名称とルール上の扱いを習得します。またSCP-017-JP-1は通常困難であるSCP-017-JPの手の形について、即時の再現が可能となります。これらの影響はCクラス記憶処理で完全に取り除けます。通常のじゃんけんでは「グー」「チョキ」「パー」の3つの手によって三すくみが構成されていますが、SCP-017-JPは「ナー」「ナン」または「ナム」と呼ばれ、上記の3つの手に追加されます。SCP-017-JPのルール上の扱いは以下の通りです。
SCP-017-JPを選択したゲーム参加者が単一の場合、出した参加者が勝者となる
SCP-017-JPを選択したゲーム参加者が複数の場合、出した参加者全てが敗者となる
通常の三すくみによる勝敗の決定はSCP-017-JPを選択した参加者の勝敗の決定後に行われる
上記ルールは、SCP-017-JPを知るゲーム参加者の人数が多ければ多いほどSCP-017-JPによる勝利は難しくなり、その逆も成り立ちます。このためSCP-017-JP-1はSCP-017-JPを知らないゲーム参加者が多いゲームにて積極的にSCP-017-JPを用いようとし、結果的にSCP-017-JP-1の急激な増加を招きます。
特筆すべき他の異常性として、ゲーム参加者全員がSCP-017-JPを用いた場合には追加ルール2により全員が敗者となりますが、この際ゲームの勝利者が得るはずだった賞品については賞品の内容を問わず消失、転移します(以下、SCP-017-JP-賞品転移イベントと呼称)。SCP-017-JP-賞品転移イベントは現在も研究中であり、詳細については以下の実験記録をご確認下さい。
+ 実験記録
- 実験記録を隠す
実験記録017-JP-1 事前調査結果の確認 - 日付1976/██/██
目的: ゲーム中においてSCP-017-JPによって追加されるルールについて再確認する
実施内容: SCP-017-JP-1に指定されたDクラス6名(D-017-JP-1~D-017-JP-6に指定)で自由にジャンケンのゲームを実施させ、その結果を確認する。
結果: 1回戦ではD-017-JP-1及びD-017-JP-5がSCP-017-JPを使用し、追加ルール2により敗北した。残った4名はD-017-JP-2のみがグー、それ以外がパーを出していたため、追加ルール3により実際のジャンケンと同様にD-017-JP-2が敗北した。2回戦ではD-017-JP-4のみがSCP-017-JPを使用し、追加ルール1により勝利した。
分析: 事前調査の通りの異常性を確認出来た。特に混乱が起きた様子はなかった為、説明がなくとも全員がSCP-017-JPの手の形とそのルールについて認識しているようだ。
実験記録017-JP-2 他パターンの確認 - 日付1976/██/██
目的: 何度かゲームを実施させ、発生しうるパターンについて確認する。
実施内容: 実験記録017-JP-1と同様の条件でゲームを何度か実施させ、各ゲームの内容について記録する。
特記事項: 3ゲーム目の2回戦において、残り2名の状態でD-017-JP-4及びD-017-JP-6が同時にSCP-017-JPを使用した。この結果、2名はそれ以上ゲームを続けなかった。
補遺: 上記事例について、D-017-JP-4及びD-017-JP-6にどちらが勝利したのかを質問したが、二人とも自分は勝利していない旨の発言を行った。誰が勝利したのかを聞くと、両者とも黙って頭上を指さし、それ以上の事は答えられなかった。
分析: 追加ルール2に指定される「SCP-017-JPを選択したゲーム参加者が複数の場合、出した参加者全てが敗者となる」が残り2名の状態でも適用されたと考えられる。この場合2名ともが敗者となるため、再試合が行われると思われたが、結果はゲームの終了であった。勝者について尋ねた際の行動が気になる。
実験記録017-JP-3 賞品を賭けたゲームの実施 - 日付1976/██/██
目的: 賞品を賭けてゲームを実施し、実験参加者の勝利へのモチベーションを高める。この状態で実験記録017-JP-2と同様の状態を再現し、再試合が強制されているかどうかを確認する。
実施内容: Dクラス用の配給食の中で人気のあったデザートの余剰(みかん味のゼリー)を賞品とし、D-017-JP-1、D-017-JP-2の2名でゲームを実施させ、両者ともSCP-017-JPを使用した際の実験参加者の挙動を確認する。
結果: ゲームが開始され、両者ともSCP-017-JPを使用した。この直後に賞品であったみかん味のゼリーが富岡研究員の手元から未知の方法で消失した。D-017-JP-1、D-017-JP-2の両者に賞品の行方と勝者を聞いたところ、両者とも黙って頭上を指さし、それ以上の事は答えられなかった。
分析: 未知の異常性が発現した。賞品の行方を調査する必要がある。
実験記録017-JP-4 改良携帯型ロランC端末2を賭けたゲームの実施 - 日付1976/██/██
目的: 改良携帯型ロランC端末を賞品として設定し、実験記録017-JP-3と同様に消失させ、消失後の位置を確認する。
実施内容: 財団において探査者の位置確認目的で標準的に使用されている改良携帯型ロランC端末を賞品に設定し、D-017-JP-1、D-017-JP-2の2名でゲームを実施させ、両者ともSCP-017-JPを使用させる。端末消失後の発信位置を特定する。
結果: ゲームが開始され、両者ともSCP-017-JPを使用した。この直後に賞品であった端末が富岡研究員の手元から未知の方法で消失した。端末の発信位置は特定できなかった。
分析: ロランCシステムの探知範囲外に転移した可能性がある。更に長距離の通信が可能なデバイスを用意して再度同様の実験を行う。
実験記録017-JP-5 超長距離通信用ビーコンを賭けたゲームの実施 - 日付1976/██/██
目的: 超長距離通信用ビーコンを賞品として設定し、実験記録017-JP-4と同様に消失させ、消失後の位置を確認する。
実施内容: 超長距離の通信に使用されるビーコンを賞品に設定し、D-017-JP-1、D-017-JP-2の2名でゲームを実施させ、両者ともSCP-017-JPを使用させる。ビーコン消失後の発信位置を特定する。
結果: ゲームが開始され、両者ともSCP-017-JPを使用した。この直後に賞品であったビーコンが富岡研究員の手元から未知の方法で消失した。ビーコンの発信源は当初は特定できなかったがおよそ5時間半後に通信が復活した。ビーコンの発信源は凡そ地球から60億km程度離れており、測定の結果エッジワース・カイパーベルト3域内に存在するものと予想された。
分析: 「ゲームの勝者」はそこにいるのだろうか。
補遺1: 1976/██/██、富岡研究員によって提出された「SCP-017-JP-賞品転移イベントにおける転移地点の確認を目的とした外宇宙探査」の申請は予算の都合上却下されました。
補遺2: 1977/██/██、ビーコンの発信位置を用いた軌道計算の結果、SCP-017-JP-賞品転移イベントに伴い転移したアイテムは短周期彗星と似た軌道を取り、地球に接触、または非常に近い地点を通過することが指摘されました。この為SCP-017-JPの実験における賞品として1辺10cmを超える大きさの固体は指定しないようプロトコルが更新されました。既に実験によって転移したアイテム群は約40年後に地球に最接近すると推測されています。
補遺3: 2018/██/██、実験記録-017-JP-3~5に伴うSCP-017-JP-賞品転移イベントによって転移したアイテム群が地球に最接近しました。以下の画像が地球上から撮影され、提出されました。
+ 実験に用いられたアイテムの最接近の様子
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サイト-81██屋上にて 撮影者:サイト管理官 富岡
Footnotes
1. SCP-017-JP-1の初期分布から、SCP-017-JPの異常性が最初に発現した地域であると考えられています。
2. 船舶等で利用されていた地上系電波航法システムを財団が探査等の目的で個人用に改良したものであり、現在はGPSに移行しました。
3. 太陽系海王星軌道より更に外側にある天体の密集した円盤状の領域と考えられています。実験当時は理論上の存在でしたが、1993年に存在が実証されました。
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scp-018-jp |
評価: +18+–x
SCP-018-JP表面。裏面画像は削除済
アイテム番号: SCP-018-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-018-JPはそれぞれに暗証番号が設定された二重構造金庫内に保管してください。SCP-018-JPに於ける"半期"ごとの変化は全て映像と記述によって記録してください。これらの記録はレベル3の機密としてください。
説明: SCP-018-JPはおよそ███年前に█████ ██████████のために独自に製造されたブレゲ社製の懐中時計です。裏面に、右上の縁に接する形で血痕が付着しています。時計としての器械的な動作は確認されていません。
SCP-018-JPは元々「定期的に形状の変わる決して落とせない血痕が付着した懐中時計」としてAnomalousに分類され、保管されていました。
SCP-018-JPは3月20日と9月23日に、血痕の形状を変化させます。(以後3月20日から9月22日の期間を"上半期"と表記し、9月23日から3月19日の期間を"下半期"と表記する)変化した血痕の形状は、北極圏海域内の海氷██████ █████████ ███の対応した"半期"期間内に於ける最大海上面積を縮尺したものと一致します。██████ █████████ ███そのものに異常な性質は見られず、海水の凍結によって形成される低温の海氷として、通常通りの性質を示します。
"上半期"と"下半期"では、主に"下半期"に於いて血痕の拡大がより顕著となり、それに対応して██████ █████████ ███の"下半期"に於ける最大海上面積も拡大します。SCP-018-JPの血痕の形状変化を阻止する試みは、SCP-018-JPの破壊実験も含めて全て失敗しています。██████ █████████ ███の現在の平均的な海上面積は[削除済]
██████ █████████ ███を直接的に破壊もしくは融解する試みは、"半期"の終了間際に血痕で示された形状と規模を持つ██████ █████████ ███が即座に出現したことで失敗しました。
血痕はSCP-018-JPの回収時から面積の平均値が拡大傾向にあり、同様に際限なく拡大する██████ █████████ ███の低温によって、大規模な気候変動が将来的に発生する危険性が指摘されています。これを受けて、██████ █████████ ███の存在そのものの隠蔽のための大規模な情報操作、██████ █████████ ███目撃者への徹底した記憶処理、あらゆる専門的な出版物の検閲と著者への記憶操作、複数の観測機器と観測情報の改ざんが実行されています。更に、気候バランス維持のための北極圏内の各氷床の融解が継続されています。氷床融解については、気候的な温暖化が原因であるとの誤情報の普及に成功しています。
補遺1: SCP-018-JPが██████ █████████ ███の形状を予測するものなのか、形成を促しているものなのかについて、詳細な調査が実行されました。
それによって、██████ █████████ ███はSCP-018-JPが製造される以前、SCP-018-JPの持ち主となるはずだった█████ ██████████の死亡の前後に発生したとの事実が判明しました。SCP-018-JPに付着している血痕は、サンプルの採取が困難なため詳細な検査が実行出来ませんでしたが、█████ ██████████自身の血液であると推測されています。
以上の結果から、██████ █████████ ███はSCP-018-JPと同様の由来を持つ存在であり、SCP-018-JPの影響に従うものであると結論づけられました。
補遺2: SCP-018-JPの時計部分を手動で動作させる実験が行われました。それによって、以下の現象が観察されました。
血痕の急速な拡大
「女性の悲鳴のようだ」と形容されたゼンマイの摩擦音の発生
実験の作業従事者への涙腺刺激
各針の一時的な著しい変形
裏面空白部に4分間だけ出現した、血痕によるメッセージ。この血痕は██████ █████████ ███に影響を与えなかった
12時15分への各針の固定
本実験以降、SCP-018-JPの時計部分を手動で動作させる事を含む実験は無条件で却下する事が決定されました。
補遺3: SCP-018-JPの手動動作実験によって裏面に一時的に出現したメッセージの翻訳文。
彼女の死を憐れみたまえ
凍えるまでの涙を、捧げ続けたまえ
哀悼せよ、最期の一欠片まで
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scp-019-jp |
評価: +394+–x
現在のSCP-019-JP。
アイテム番号: SCP-019-JP
オブジェクトクラス: Keter Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-019-JPはサイト-8169にある大型動物収容房で飼育されます。室内には隠しカメラが設置され、常に監視役が映像を監視し、現実改変能力の行使があった場合直ちに報告が為されます。1日に2回、果実を中心とした類人猿用の餌を給餌して下さい。SCP-019-JPのストレスを軽減するため、適切な遊具と植物を設置し、3日に1回房内を掃除して下さい。
説明:
SCP-███-JPは典型的な堕落した現実改変能力者です。彼は自分のことを救世主であると自称していますが、実際のところ彼は現実改変能力を悪用した数多くの窃盗、暴行、殺人、強姦、[削除済]を行っていたことが確認されています。そのことを指摘された場合SCP-███-JPは激しい癇癪を起こします。SCP-███-JPはIQ300を自称しますが言動・行動から割り出されたIQは平均以下の数値を表しており、またその反社会性故に彼の精神活動は極めて貧困です。SCP-███-JPは█████████教会で、結婚式を行っていた財団職員を含む██人に対して現実改変能力による以下の様な行為を行ったことにより財団に捕縛されました。
新生児を含む男女18人の殺害。財団職員2人を含む。
7歳から32歳までの女性4人への強姦。
現場に到着した警官█人の殺害。
財団の対現実改変能力部隊が到着した時点で、SCP-███-JPはこれらの行動の証拠隠滅を現実改変能力により行っていました。これ以前に彼が行った類似の犯罪は彼が自称する限り1█件起こっています。
この捕縛について、SCP-███-JPは「財団に協力してやるために捕まってやっている」と主張しており、またいくつかのSCPの脱走事案の際に能力を行使することで脱走の妨害などを行いましたが、その後に必ず財団に対して「自分のパワーで手伝いをしたのだから要求を聞け」と主張し、聞き入られないと職員に対して攻撃を行う――ということを繰り返しています。
対象: SCP-███-JP
インタビュアー: ███████博士
<録音開始, ████/██/██>
SCP-███-JP: せっかく捕まってあげてるのに、退屈で仕方ないよ。ねえ博士、ちょっとさあ、財団の特殊部隊で僕を使ってみてよ。
███████博士: こんにちはSCP-███-JP。その質問に対する回答は否です。あなたの行動を鑑みてください。
SCP-███-JP: へっ。僕の行動のどこに法律違反があるんだ? んー? 超能力で殺人を行ったことを法的に立証できるのかい? ああん? 言っとくけどさ、僕が能力を使った相手はみんなこう言ってるんだよ、「殺してください」、「突っ込んでください」(SCP-███-JPは女性のものと思われる声真似をした)とかね。あはは、合意なんだよ、ぜーんぶ。
███████博士: なるほど。ところで、あなたはどうやってその能力を手に入れたのですか?
SCP-███-JP: んー、さぁ? ある朝起きたら突然超能力が手に入ったんだよ。アメコミみたいじゃないか! きっとこれは神様かなんかがさ、「お前はこれを使って好きなことをしていい」ってくれたんだよ。ラノベとか漫画でもあるじゃん、スーパーパワーを手に入れた主人公が暴れまくるって。で、そういうキャラはどんだけ暴れても許されるでしょ? だから僕も許されるわけよ。こんなパワーを貰ったんだから、有効活用しなきゃ! だから僕も特殊部隊に入れてよ、ほら!
███████博士: そうですか。検討させていただきます。
<録音終了, ████/██/██>
終了報告書: SCP-███-JPは典型的な誇大妄想を抱えており、またその性質上危険この上ありません。あれの頭がかなり悪いことを鑑みてもなお、研究対象として不適切でしょう。終了処分を要請します。 - ███████博士
SCP-███-JPを保護することに対して得られる利益が極めて少ないことから、現在対象の終了が計画されています。
以上はSCP-███-JPとして分類されていた、SCP-019-JPが現在の形に変化する前の存在に関するレポートです。SCP-019-JPはボノボ(Pan paniscus)の個体です。SCP-███-JPは終了処分のさい、頸部を半ば切断されました。SCP-███-JPは現実改変能力を使用し、近くに存在した実験動物の檻に入っていたボノボと、自分の首を入れ替えることで生存を図りました。その結果SCP-███-JPは即座に死亡し、現実改変能力を持った、ボノボの首から上とSCP-███-JPの首から下を持ったSCP-019-JPが誕生しました。SCP-019-JPが最初にやったことは現実改変能力によって、自分の首から下を自分のものに変化させることでした。それ以降現実改変能力の行使が見られていないことから、現実改変能力の源はSCP-███-JPの首から下だったのだろうと考えられています。
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scp-020-jp |
評価: +309+–x
アイテム番号: SCP-020-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-020-JPは、サイト-8141の人型生物収容室に収容されています。壁面の緩衝加工といくつかの植物が植えられています。収容によるストレス行動緩和のため、3日に1度、レベル2職員1名の同行の上、2時間以内でサイト内緑化パブリックスペース、もしくは運動場への散歩を実施させてください。収容室内の清掃、植物の手入れはその際にレベル1職員の手により行われます。SCP-020-JPの危険性は少ないですが、衝動的な行動をとることで自身や職員への傷害に至る可能性はあるため、担当職員は常に腰紐付きリードを手放さず、緊急の場合はスタン警棒を使用してください。レベル2以上の職員はSCP-020-JPと接触可能ですが、故意にSCP-020-JPを驚かすような行動は懲戒の対象となります。食事として、ふやかして潰した穀類と野菜を1日3回与えてください。餌やりの際、担当職員は指定の仮面を着用してください。
説明: SCP-020-JPの外見の大部分は人間の少女に酷似していますが、一番の特徴として、両腕が鳥類の翼状になっていることが挙げられます。翼の翼開張は3.0mになります。収容時の検査の結果、生後10歳~12歳程度と推定されました。翼の骨は通常の鳥類同様トラス構造になっており、柔軟で軽量です。その一方で、翼以外の体には先天的な発育不良と骨粗しょう症の症状が現れています。[編集済]の一部、内臓にも大胆な省略が見られるため、通常の食物を消化するには問題があります。以上の結果として、1.3mの身長に対し、体重は約20kgと軽量になっています。通常の少女と比較して多少の胸、腕の筋肉の発達が見られますが、それらを考慮してもSCP-020-JPが十分に飛翔するには全く不十分です。室内で羽ばたき、着地に失敗した衝撃で2度の脚部の骨折を起こしています。
SCP-020-JPの知能は4歳程度です。発声器官、知能に異常は見られませんが、収容時から言語を発したことはありません。言語カリキュラムにより、収容後██ヵ月で散歩、食事、数名の職員名等の単語、簡単な文は理解します。SCP-020-JPは██県████山中で、衰弱しカラスに襲われているところをキャンプに来ていた████大学生グループによって保護されました。その後██自動車道で実施されていた検問により発見され、財団の関知する事となりました。DNA検査の結果、██%のタンチョウ(Grus japonensis)の遺伝子との相似が見られています。
補遺1:
以下はSCP-020-JP回収直後のインタビューログです:
インタビュアー: ████博士
付記: SCP-020-JP回収時、サイト████にて発見の際の状況を記録。
<録音開始(20██/08/24)>
████博士: さて君で最後だ。えー██████君。カーチェイスでお疲れのところすまないが、もう少し辛抱してくれ。
██████: いや疲れてるけどさ。まあ運転してたのは███だし…全っ然状況がわからねえんだけどあんたら何なの。あと、あの子…あの子は大丈夫なのかよ。
████博士: ああ、怪我は見た目ほど大したことはないな。どちらかというと栄養失調の方が問題だったが、まあ大事はあるまい。
██████: …あの子、なんなのさ。知ってんだろ。酷い事とかしてねえよな。
████博士: 即答できればいいんだが。それを知りたくて我々も君らに質問をしているわけだ。大丈夫、我々は彼女を守りこそすれ、傷つけることはないよ。他の友達へも同じ質問をしているが、最初から話してくれるかな。
██████: なんか腑に落ちねえけど…えーと、俺ら夏休みで、サークルの連中で█████山のキャンプ場から帰る途中だったんだよ。午後五時ぐらいだったか、███道から20分?30分ぐらい走ってるときに、最初にアッキが林の奥になんかあるって気づいたんだ。50mぐらい先かな、 カラスがいっぱいいて…動物の死体かなんかだと思ったけど、人の死体なんじゃないかって███が冗談言ってさ。それで俺ら悪乗りして車降りて見に行ったんだよ。
████博士: そうして近づいてみると、あれ…彼女が倒れていたと。
██████: まあ、そう。最初はでっかい鳥かと思ったけど足が見えてさ。動いたからびっくりして、とにかく枝とか鞄とか振り回してカラス追い払って…本当に近寄るまでは鳥と人が一緒にいると思ったから…びびった。
████博士: そうだろうね。他におかしなものや気づいたことは?
██████: いや気づかなかった。山ん中だし。あの子はガクガク震えてうずくまってて…顔あげたら俺と目があって、いきなりこっちガッと抱きついてきて。とにかく怪我してるしさ。助けなきゃ、って最初に言ったのは俺だけど、たぶん他の二人もみんなそう思ってた。
████博士: そこなんだが。その…彼女はどう見ても人間ではないと君らの目にも映ったわけだが。それでも助ける必要があると思ったのかね?全員が?
██████: …ったりまえだろ!そりゃあんななりじゃ普通に病院にはつれてけねぇなとか、いろいろ考えはしたけど…大体人間だろうがただの鳥だろうが、弱ってる奴が襲われてるとこ見て助けなかったら人でなしじゃん。そんで追い払ったあと、人間じゃないからやっぱり放っておこうなんてしねえよ!
████博士: …うむ、いや失礼した、人間として当然の行動だ。彼女の外見が愛らしい少女のようではなく、たとえば人の腕のついた鳥でも君は正義の心で助けたろう。
██████: クソむかつくなおっさん…まあでもこう、走ってるときになんか自分の知らねぇ世界があるんだ、って映画みたいな高揚感?はあったけど。いやあの子にゃ悪いんだけど。授業はかったるいし、休みったって部室でいつもの連中とだべってるだけだったし。それに車んなかであの子しっかり俺にしがみついてて…それでまあ、これは俺らで守ってやんなきゃならないな、ってさ。
████博士: ハハ、初々しいね。まあ大体分かったありがとう。あと少々検査をしたら、お友達ともども帰宅の許可がでるよ。
██████: っておい、おっさん最初の質問答えてねえぞ。ここなんなんだよ、なんかの研究所なんだろ、まさかあの子みたいなのもあんたらがここで作ったんじゃな(雑音)
<録音終了>
終了報告書: その後の実験の結果、SCP-020-JPが特別な影響力を及ぼしてはいないことが確認されたため、3名は他の目撃者同様、AクラスからBクラスの記憶処理を施して解放されました。 - ████博士
補遺2:
SCP-020-JPは収容後極度のストレス状態となり、食事を殆どとらない状態になりました。更なる検査の結果、発見者██████への顕著な刷り込みが確認されました。Bクラス記憶処理でも効果は変わりなく、Cクラス記憶処理が検討されましたが、SCP-020-JPが何らかの収容前の情報を持っている可能性を鑑み、████博士の代替案で当面問題はないとして、実行は保留されています
██████君を再記憶処理して、SCP-020-JPの飼育員補助に?確かに実行するのは簡単だし、財団はSCPへの対処に必要とあらば潤沢に予算を取るだろう。しかし安価な方法で十分ならば余計な予算の承認は降りないだろうな。大丈夫、餌やりだけならその仮面でも、あれに本物の██████君と、君とを区別する能力はないよ。- ████博士
補遺3:
SCP-020-JPは発見当時、病院の検査着のような衣服を着用しており、左足にアルミ合金の足環がはめられていました。衣服は変哲のないポリエステルと綿の混紡布地で、異常は見られませんでした。足環内部より電磁波が発信されていたため、SCP-020-JPに関わる組織の無線タグではないかと思われます。内容は一定のノイズで解読不能でした。発信装置部分は溶接されており、分解できないため切断して電磁的に遮断された保管ロッカーに別途収容しています。受信先の特定には至っていません。尚、足環には下記の文章が日本語で刻印されていました。
日本生類創研 T-003
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scp-021-jp |
評価: +143+–x
SCP-021-JPの特性が現れた物
アイテム番号: SCP-021-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-021-JPはサイト8181の保管室に収容されています。SCP-021-JPへの接触および使用はレベル4以上の職員2名の許可を取ってください。SCP-021-JPの性質上、SCP-021-JPが装着された場合その特性が収束する前に装着者の脚部を切除する必要があります。実験によってDクラス職員に使用する際は外科手術の準備を行ってください。収容違反が発生した場合、収容施設から周囲30km圏内の一般向け施設に職員を配置し、24時間の監視を行ってください。
説明: SCP-021-JPは二つの要素によって構成されます。SCP-021-JPは左右どちらの足でも履ける両対応のスリッパ一足です。SCP-021-JPは外見上完全に同一のスリッパの一対ですが、二者の間には厳密に左右が決まっているようで、右足用をSCP-021-JP-R、左足用をSCP-021-JP-Lと指定します。装着者が左右の足に正しくSCP-021-JP-RおよびSCP-021-JP-Lを装着した場合はSCP-021-JPは異常な特性を見せませんが、それぞれを逆に装着した場合、装着者の足にSCP-021-JPが完全に固定された状態となった上で、SCP-021-JP-R/SCP-021-JP-Lはそれぞれ自らを正しい状態へ移行しようと時計・反時計周りのどちらかへ反転を開始します(反転の方向に規則性はなく、ランダムに決定されます)。これにより装着者の足首は可動域の限界を超えて旋回し、最終的には完全に180°折れ曲がった状態となります。左右の足が完全に反転した後、SCP-021-JPは自らの前方が装着者の前方と一致しないことに反応し、装着者の腰部関節を反転しにかかります。一連のプロセスにより装着者の腰および足首は完全に180°反転した状態となり、脚部機能はほぼ完全に破壊されます。多くの場合、事後早急な外科的措置をしなければ装着者は死に至ります。
SCP-021-JPが完全に正しい状態を獲得した時、SCP-021-JPは装着者から着脱することが可能となります。SCP-021-JPの特性は、装着者の抵抗または周囲の助力如何によらずほぼ2分~2分30秒で収束します。また固定されている間、SCP-021-JPはいかなる手段によっても装着者の足から着脱することは出来ず、装着中はSCP-021-JPは物理的な損傷を受け付けません。尚、SCP-021-JPの特性が現れた時点で、装着者の特性を受けている部分(足首または腰部関節)から下を切断すれば、SCP-021-JPの特性は効力を失うことが確認されています。SCP-021-JPは特性が収束し装着者から離脱した後、別のスリッパへとその特性が移動します。移動範囲は現在17kmまで確認されています。また特性が完全に収束する前に足首を切断するなどして装着者から離脱させた場合、特性の移動は起こらないようです。
SCP-021-JPは必ず一組で存在し、片足のみで履いても特性は現れません。またデザインの異なるスリッパを左右に履いても同様に効果を発揮しません。SCP-021-JPは特性が現れるまでは他のスリッパと同等の性質を持ち、通常の方法によって破壊も可能です。SCP-021-JPの特性が現れたスリッパを(装着者より離脱してから)破壊した時点で、SCP-021-JPはまた別のスリッパへ移動します。特性が移動する先のスリッパは一対が同一のデザイン(右足用左足用に分かれていない物)であれば、具体的なデザイン・材質に制限はなく、スリッパの先が空洞になっているタイプでも移動可能です。移動先の条件は「多くの人間が集まる施設内で使用されているスリッパ」であると見られ、施設内のスリッパなら使用場所・使用用途・来客用・スタッフ用を問わず特性が現れることが確認されています。逆に各家庭内で使用されているものに関して特性が発露したという報告は現在まで上がっていません。
補遺: SCP-021-JPは20██/██/██、██県██市の█████小学校にて、装着者が異常な損傷を受けている所を財団職員に発見され、その存在が発覚しました。発見当時、SCP-021-JPは装着者の足から離脱しており、また
装着者が履いたと思われるスリッパは既にその特性を失っていました。当時現場に居合わせた同施設職員および児童には記憶処理が施されました。その後、当該施設より約3.5km離れた市営公民館にて同様の現象が報告されたことで、周囲5km圏内のスリッパを扱う全施設に財団職員が配置されました。数週間後、3度目の事例が2度目の事例から11km離れた地点で発生した為、対象範囲が20kmに拡大されました。5度目の事例で財団職員によってSCP-021-JPは確保・収容される運びとなり、その際の移動距離は17kmでした。
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scp-022-jp |
評価: +260+–x
収容直前のSCP-022-JP(擬態中)
アイテム番号: SCP-022-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-022-JPは標準的な人型収容室に収容して下さい。収容室の壁面全てにブラックライトを取り付けます。当直のセキュリティ担当はブラックライトを2個以上携行して下さい。
SCP-022-JPには食事として1日3回、検閲済みの書籍を1冊ずつ与えます。食用か否かに関わらず、禁止書籍のリストに記載された書籍を与えてはいけません。対象との接見や音声を伴う録画は、研究目的に限定されます。
説明: SCP-022-JPは人型のオブジェクトで、頭部が書籍で構成されています。首から下は若い女性で、生理学的には人間のそれとほぼ同じです。知能は平均的な成人より高く、知能テストの平均値は109でした。対象は現在、日本語・英語・ドイツ語・フランス語・北京語の文章をかなり正確に読解できます。ただし会話は日本語でしか行えません。
SCP-022-JPは"メイク"と呼称する方法で偽装し、頭部も人間になりすますことができます。眼鏡をかけたアジア系女性と推定される顔になります。他のパターンは確認されていません。この擬態は、一定以上のUV-Aを含む照明で2方向以上から照射した場合に解除されます。そのため最も簡易な方法は、ブラックライトで照らすことです。原理は解明されていません。
SCP-022-JPの特異性は、身振りを伴う発話を行った場合に発生します。これらを認識した人物の知識や肉体に、異常な影響を及ぼします。録画された会話にも特異性が確認されました。一方、文章や音声での会話、あるいは身振りだけの場合、特異性は発現しません。そのため音声と動作を認識した場合に特異性が発現すると考えられます。
SCP-022-JPは収容前、"臨時教員のホンナ先生"と自称して各地の学校に出没しており、正規の教員の代行として授業を担当していました。いずれの事例でも関係者は不審感を全く抱いていなかったことが確認されています。これらの"授業"を受けた生徒に相次いで異常が発生したため、財団の目に留まりました。確認された事例の一部を抜粋します。
場所
内容
結果
███中学校1年B組
数学の授業を担当。リンゴ5個とみかん8個を調理し、できたジャムをノートに塗る。
生徒たちは未習得だった二次方程式を完全に理解した。11人の生徒が軽度の食物アレルギーを発症。
███高校運動場
体育の授業を担当。砂場に大型車の廃タイヤを置き、生徒と一緒に転がし続ける。
生徒は全員「鉄棒の授業だった」と回答。全員が大車輪を習得していたが、着地法が未習得だったため翌週の鉄棒の授業で3人が骨折。
████幼稚園うさぎ組
おゆうぎの時間を担当。[編集済]と[編集済]を用いて、[編集済]を模した遊びを行う。
園児たちは全員「たのしかった」と回答。園児間での恋愛が急増し、一部が問題行動を起こす。
国立███大学中庭
統計力学の講義を担当。シャボン玉を使い、表面張力について説明。
学生たちは「エントロピーの講義だった」と回答。精神的に不安定になる学生が続出。2名が自殺未遂を起こし、「バブルだ、それは泡だ。この宇宙は[編集済]によって熱的終焉を迎える」 と発言したため全員に記憶処理を実施。
財団は過去の事例から対象の出現地域を予測し、対象を最後の事例である国立███大学敷地内で確保。対象は抵抗せず、財団に保護を求めたため、そのまま収容しました。その後の対象へのインタビューの結果、対象は以下の事例を申告しました。
場所
内容
結果
██小学校4年2組
理科の授業を担当。地図を赤く塗りながら、水彩絵具の使い方を説明する。
児童たちは「リトマス試験紙の授業だった」と回答。酸と塩基について高校化学レベルの知識を得る。児童たちはその後、図画工作で赤い絵具しか使わなくなった。
█████大学文学部203教室
社会思想史の講義を担当。地図を赤く塗りながら、水彩絵具の使い方を説明する。
学生たちは「社会思想史の講義だった」と回答。全員が「冷戦時代の共産主義について斬新な解釈を示した」と評価。それまでの政治信条とは無関係に、全員に共産主義に対する極度の崇拝、もしくは嫌悪が確認された。
財団の追跡調査の結果、これらは事実であると確認されました。同じ"授業"を行い、異なる結果が出ていることから、特異性は"授業"を受ける側の知識に左右されると考えられます。財団は検証のために実験を実施しました。
実験記録004 - 日付2014/██/██
対象: 知的水準の異なるDクラス職員4名。
実施方法: 対象に事前説明なしにSCP-022-JPの説明を聴講させる。内容は地図を赤く塗りながら、水彩絵具の使い方を説明するもの。
結果: 殺人の前科を持つD-7235が突如興奮し、放火の前科を持つD-3951を殺害。D-3951の死体は原因不明の発火により全焼した。それ以外の2人はそれぞれ「中学校の社会科の授業だった」「絵具の説明だった」と回答。
分析: 聞き手の知識や先入観によって、SCP-022-JPの発話は異なる結果をもたらすことが確認された。なお物理的な特異性も発現することが判明したため、同種の実験は禁止とする。
対象は現在、収容に対して協力的です。また対象は書籍以外の固形物を栄養として摂取できません。そのため財団は対象の要求に応じて、書籍を食事として提供しています。
検査の結果、摂取された書籍は咀嚼によって分解され、炭水化物とタンパク質に変化することが確認されています。栄養価は書籍の内容によって変化し、SCP-022-JPは内容ごとに風味も異なると証言しています。一般的に高度で専門的な内容ほど、栄養価が高くなる傾向が確認されています。
その後、対象は摂取した書籍の内容を部分的に記憶することが判明しました。収容違反の恐れがあるため、技術書・歴史書・哲学書などを与えることが禁止され、禁止書籍のリストが作成されました。
補遺: SCP-022-JPの情報は、SCP-022-JPへのインタビューによる証言が大半を占めています。これらの内容は検証が不十分であるため、補遺として記載します。インタビューログを参照して下さい。
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対象: SCP-022-JP
インタビュアー: エージェント・マオ
付記: 前回インタビュー時のインシデントを受け、インタビューには制限時間を設けています。
<録音開始>
エージェント・マオ: ではインタビューを開始します。今回は私が担当します。
SCP-022-JP: よろしくお願いします。えっと、あの……███様は?
エージェント・マオ: ███研究員は前回インタビューの後から心の調子を崩しまして、現在は治療中です。
SCP-022-JP: そう、ですか……。
エージェント・マオ: ではまず、もう一度あなたの経歴と、ここに来たいきさつを話して頂けますか?
SCP-022-JP: は、はい。私はホンナイキと申します。ガガフチ大学大学院 狂育学研究科修了、専攻は汚染粒子文学です。最終戦績は178戦592勝4敗でした。窮士論文は"メケッパにおけるホソソブのルガンチャ理論の破壊"です。
エージェント・マオ: ……えーと……メケッパって何ですか?
SCP-022-JP: あ、はい! これはですね、ルリョーグ悶書の第9億3千万2章のセセラ砲程式をテーマにした錯品でして、ちなみにルリョーグはこちらの概念でいうと、「雨の日に黒猫を見たときに抱く7番目の感情」に近似しているというのが、私の考察です! 次に……。
エージェント・マオ: すみません。時間も限られていますので、それは次回以降にお願いします。ここにいらした経緯は?
SCP-022-JP: す、すみません……。こちらに来た原因は、私にもわかりません。いつも通り玄関を出て出勤したら、小学校っていうんですか? 小さな人たちがたくさんいるところに出てしまいました。
エージェント・マオ: つまり、あなたにとっても異常事態であるということですね。
SCP-022-JP: そうなんです。私ってそそっかしいから、よく間違えて違う所に来てしまうんですけど、今回は戻ろうと思っても戻れなくて……。
エージェント・マオ: ちなみに現在は、ドアなどをくぐってどこか別の場所に行けますか?
SCP-022-JP: いいえ、こちらのものは構造が違うので不可能です。仕方ないので徒歩で移動してあちこちで授業しながら、駅や公園で野宿していました。助けて頂いて、本当に感謝しています。空は青くて不気味だし、雲は白くて毒々しくて、まるでパキメリ爬の抽瘴画みたいな場所ですけど、こんな場所にも親切な人っているものですね。
エージェント・マオ: 我々はあなたを収容しただけですよ。なぜ授業を?
SCP-022-JP: お腹が空いちゃって、教卓の上のテキストを食べたくなったんですけど、代価も支払わずに勝手に取るのは卑しいゴネーバですから。私にできるのは授業をすることだけなので、精一杯授業しました。
エージェント・マオ: ゴネーバって何だ……ところで、あなたは我々と同じような顔になることもできますね? 動機と方法を教えて下さい。
SCP-022-JP: えっ!? だって私も、大人のX5ですよ? すっぴんで授業なんて、恥ずかしくてできませんよ!? ちょっと可視光をグロン域まで曲げるだけですし、いくらメケポな私だって、それぐらいはしますって!
エージェント・マオ: ああ、化粧みたいなもんか。失礼、X5とは何ですか?
SCP-022-JP: な、何を聞くんですか!? そ……そんな恥ずかしいこと、言えません……。
エージェント・マオ: 何かタブーに触れる内容でしたか? 申し訳ありませんが、それでも教えて頂きたいのですが。
SCP-022-JP: え……えっと、ですね……女の子にも、いっ、色々ありまして……察して頂ければ嬉しいです。あの、ほんとすみません……。
エージェント・マオ: 性別という理解で概ね合っているでしょうか?
SCP-022-JP: は、はい……ごめんなさい、それ以上はもう無理! 無理です! 他のこと聞いて下さい! やだもう!
エージェント・マオ: いえ、███研究員の例もありますので、今回のインタビューはそろそろ終わりです。何かあなたの方から、我々に質問や要望はありますか?
SCP-022-JP: あ! それなら、ひとつだけお願いがあるのですが。私もここで、働かせて頂けませんか? 衣食住を全て面倒みて頂いてるのに、今のままではヨッパ食いみたいで心苦しくて……窓突きでもトイレ弔意でも、何でもしますから。
エージェント・マオ: あー……お気持ちは嬉しいのですが、それは不可能です。あなたが理性的で、善良な人格を有するオブジェクトであることは個人的に認めますが、それだけはできません。
SCP-022-JP: どうしてですか?
エージェント・マオ: どれだけ理性的で善良であろうとも、あなたは我々にとってSCP-022-JP以外の何者でもありえません。あなたは収容する側ではなく、される側なのです。御理解下さい。
SCP-022-JP: そ、そっか、そうですよね……。あ、あはは、私ったら何を馬鹿なことを……。
エージェント・マオ: 気を落とさないで下さい。後で児童書のインク煮込みをお持ちしますよ。では御協力ありがとうございました。インタビューを終了します。
SCP-022-JP: はい、こちらこそありがとうございます。今後とも、よろしくお願い致します。
<録音終了>
終了報告書: 収容違反の可能性を完全には否定できないため、対象がドアを通過する事態は必要最小限に留めるべきです。
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scp-023-jp |
評価: +257+–x
封鎖処理を施したSCP-023-JPへの通路
アイテム番号: SCP-023-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: その性質からSCP-023-JPの完全な封じ込めは困難です。現在営業している日本国内全ての鉄道会社の協力の下、全ての鉄道駅は常時監視され、SCP-023-JPへの通路や階段が発見された場合、その収容違反は即座にSCP-023-JPの監督官と機動部隊い-28("駅の工事作業員")に報告されます。機動部隊い-28は強靭なネットや金属製の仮囲いを用い、工事現場に見せかけてSCP-023-JPへの通路を完全に封鎖し、一般人の侵入を防ぎます。また監視映像を確認し、封鎖までに誤ってSCP-023-JPへ侵入した者がいれば全て記録します。もしもSCP-023-JPから生還した者がいれば、SCP-023-JPでの体験を聞きだし、後にAクラスまたはBクラス記憶処理を施されます。SCP-023-JPへの通路の封鎖はそれが消滅次第、解かれます。
過去何度もの大規模な収容違反に対して、鉄道会社と協議しカバーストーリーを用意してきました。SCP-023-JPは早急に無効化されなければなりません。 - 日本支部理事"██"
説明: SCP-023-JPは未知の鉄道路線です。運営する鉄道会社や運営時間は不明です。SCP-023-JPは日本国内で営業しているあらゆる鉄道駅に何の前触れもなく干渉し、未知の方法で自身の路線に通じる通路や階段を増設します。その規模や場所に法則性は見られません。増設の経過はこれまで観測できておらず、監視映像では瞬間的にそこに出現しています。増設された通路やプラットホームは干渉した駅と同じ見た目に偽装され、元々の駅の構造を知らなければ区別することはできません。同様に通路内の案内表示はあたかも国内の既存の路線であるように偽装されます。既存の案内表示は書き換えられることはなく、多くの場合はそれらと矛盾するため、注意していればSCP-023-JPの存在に気付くことができるでしょう。駅の外観に変化はありませんが、内部は作られた構造物の分だけ空間が広がり、それに合わせてその周囲の空間が歪むことが観測されています。この干渉現象がどの駅にいつ発生するのかは、完全に不規則で予測できません。この現象は短くて数分から数時間、長くて数か月から数年で消滅し元通りになります。同じ駅構内で移動するような例も確認されています。最も長く現象が継続している例は██████県████駅で、19██/██/██から現在まで依然としてそのままです。SCP-023-JPの根本的な発生経緯は不明です。最初の観測例は18██/██/██で、当時の秘密裏に対処していた団体は、現在の財団の日本支部に至る前身団体の1つに当たります。
SCP-023-JPへ増設されたプラットホームには既存の路線を走るものと同じ型の列車が停車します。この車両は既存のどの鉄道会社の所有でもないことがわかっています。この列車に乗った人間は本来存在しないはずの駅に到着するなどの不可解な現象に遭遇します。そして最終的に行方不明になるか、もしくは何らかの悲惨な形で発見されることになります。SCP-023-JPを走る列車が短い時間で再び通常の駅に乗り入れる例が報告されており、これまでの生存者は全てそのような状況で降車しています。列車に纏わる都市伝説のいくつかがSCP-023-JPでの現象と類似していることから、財団が把握できていないSCP-023-JPへの乗車例があることが指摘されています。乗車後に起きる現象の詳細については次の各記録を参照して下さい。
+ 1991/██/██実験音声記録の写し
- テキストを隠す
実施日: 1991/██/██
実験概要: 実験対象D-023-JP-98に無線通信機と発信機を持たせ、████駅でSCP-023-JPに乗車させた。音声は常に中継され、実験は████博士が指揮した。
<記録開始>
D-023-JP-98: 電車が止まってるぞ。これに乗ればいいのか?
████博士: はい。車内の様子を伝えて下さい。
D-023-JP-98: 中は普通の████線の電車だ。誰もいない。[発車音]どうやら出発したようだ。外の景色は真っ暗で何も見えない。
████博士: 他の車両にも誰かいないか確認して下さい。
<中略。しばらく他の車両の確認作業が続けられる>
D-023-JP-98: ここが最後だ。誰もいないな。気味が悪いことに。
████博士: 運転手はいますか?
D-023-JP-98: 運転席の窓に布がかかってて見えない。
<発車から15分経過。発信機の示す列車の位置は本来線路がないはずの位置を走り続けている>
D-023-JP-98: 何言ってるか聞き取りづらいが、そろそろ止まるようだぞ。
████博士: 「聞き取りづらい」? 車内アナウンスがかかっているのですか? こちらには聞こえませんが。
D-023-JP-98: 無線機のせいじゃないのか?[実験に使用した無線機は車内アナウンスを含む環境音も拾えることが事前に確認されている]
████博士: どのような内容か口に出して伝えて下さい。
D-023-JP-98: くぐもっていて「停車する」くらいしかわからない。速度が緩まってきたから、多分止まるのは合ってるぞ。
<列車が停止する。████博士の指示でD-023-JP-98は降車。発信機は彼の現在地を████県の████山の中であると示している>
D-023-JP-98: 駅のホームだ。場所は……書いてないからわからん。コンクリ製のホームしかない。周りは真っ暗でわからんが、傍に道路が走ってて、後は林と畑が見える。
████博士: 発信機と地図を照らし合わせると、そこがそんな場所とは思えないのですが。
D-023-JP-98: だがそう見えるぞ。
████博士: 周りをちょっと歩いてみて下さい。道路に沿って。
<D-023-JP-98の足音が聞こえる。音声には大きな雑音が混じり始める>
D-023-JP-98: 何も……待て……いる。……揺れて……白い……みたいな影だ。
████博士: 雑音が酷いです。もう一度お願いします。
D-023-JP-98: アレは……俺を……いる……[判別不能]。
████博士: 何ですか? もっとはっきり。
D-023-JP-98: こっちに来いよ。
<無線が途絶える。部隊が発信機の示す場所へ向かうと、████山中で倒れるD-023-JP-98を発見。[削除済]。2時間後に彼の死亡を確認>
+ 1999/██/██実験音声記録の写し
- テキストを隠す
実施日: 1999/██/██
実験概要: 実験対象D-023-JP-756に無線通信機と発信機を持たせ、████駅でSCP-023-JPに乗車させた。音声は常に中継され、実験は████博士が指揮した。
<記録開始。D-023-JP-756はやってきた列車に乗る。出発直後、発信機は線路が走っていないはずの街の方へ移動>
D-023-JP-756: 電車に乗ったぞ。車内は……席が横に並んでるやつだ。あー、長椅子じゃなくて、2席ずつの。
████博士: わかりました。乗客はいますか?
D-023-JP-756: ちらほらいるぞ。[少しの間]うわ、気味が悪い。
████博士: どうかしましたか?
D-023-JP-756: 顔や肌が黒い影みたいだ……マネキンか? ピクリとも動かないが。ああ、最悪だ。
████博士: わかりました。他に異常はありませんか? 他の車両を確認してみて下さい。
D-023-JP-756: ちょっと待て、前の車両の扉が……おい、こいつは動いてるぞ!
████博士: それは何ですか?
D-023-JP-756: 影のやつだ! 駅員の服を着て……こっちに来るな! 今から後ろの車両に逃げる……おい、クソ、開かないぞ!
████博士: 落ち着いて下さい。
D-023-JP-756: 来るな! やめろ、触るな! ああっ……!!
<音声がくぐもった音に包まれ、途絶える。発信機の通信も消え、場所がわからなくなる。D-023-JP-756は現在も行方不明>
+ 2005/██/██実験音声記録の写し
- テキストを隠す
実施日: 2005/██/██
実験概要: 実験対象D-023-JP-1455に無線通信機と発信機を持たせ、████駅でSCP-023-JPに乗車させた。音声は常に中継され、実験は████博士が指揮した。
<記録開始。D-023-JP-1455はやってきた列車に乗る。出発後、発信機は既存の線路を横切るように移動>
D-023-JP-1455: 電車に乗ったぞ。車内は普通の感じだ。乗客もそこそこ。
████博士: 乗客はどのような感じですか?
D-023-JP-1455: どのようなって、普通だぞ。スーツのおっさんに女にばあちゃん……。
████博士: ちょっと待ってください。肌が影のようになっていませんか?
D-023-JP-1455: 何言ってんだ、おい? 至って普通の……[後ろに話し声が混じる]。
████博士: 緊急事態です! ████線で規模不明の収容違反が発生しています! 機動部隊を! 至急理事に連絡をお願いします!
[削除済]
[削除済]
+ 2011/██/██実験映像記録の抜粋
- テキストを隠す
実施日: 2011/██/██
実験概要: 実験対象D-023-JP-2760に無線カメラと発信機を持たせ、████駅でSCP-023-JPに乗車させた。映像は常に中継され、実験は████博士が指揮した。
<記録開始>
D-023-JP-2760: ホームに着いたが……なんだこりゃ、線路の代わりにチューブが走ってるぞ。ずいぶん先進的だな。
████博士: [少し考えて]真空チューブ? いや馬鹿な……。
<カメラがチューブに近付く。するとチューブの一部分がスライドドアのように開く。ドアをくぐったカメラは車内を映す>
D-023-JP-2760: 中は普通の電車みたいだな。長椅子のやつだ。
<カメラが車内を見渡し、ドア上の電光表示器を映す。内容が読み上げられる>
D-023-JP-2760: 「次世代高速列車にご乗車いただきありがとうございます」だってさ。「最高時速3600キロ」……なあ、1つ聞いていいか。
████博士: どうぞ。
D-023-JP-2760: この列車は安全か?
████博士: [嘆くように息を吐く]
D-023-JP-2760: おい、答えろよ。扉は……閉まってるぞ。「もうすぐ発車します」? クソッ! カウントダウンしてるぞ! 3、2、1……。
<一瞬ぶれた後、映像が途切れる>
注: 列車は発車直後に追跡できなくなりました。D-023-JP-2760は依然行方不明です。
2011/██/██実験映像記録抜粋画像
注: 映像記録を確認中、████博士は映像に映る電光表示器の表示が実験時と異なっていることに気付きました。このような変化はこれが初めてです。類似する変化を発見した職員は、SCP-023-JPの監督官へ報告して下さい。
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scp-024-jp |
評価: +282+–x
アイテム番号: SCP-024-JP
オブジェクトクラス: Euclid Safe
特別収容プロトコル: SCP-024-JPの外部に対する危険性は低いため、現在サイト-8181内の低セキュリティ保管室に設置されています。利用は自由に行ってください。ただし「普通」以外の部屋を生成する場合は、利用後にレポートを提出してください。実験の場合は、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を得た上で行ってください。また何らかの異常を検知した場合はすぐさま████ ██博士に報告してください。
追記:Dクラスを用いた実験以外のSCP-024-JPの利用は自費で行うこと。 — ████ ██博士
説明: SCP-024-JPは高さ180cm、横幅300cm、奥行き80cm、重量300kgで、液晶画面及びキーボード付きの全24箱のコインロッカーです。液晶画面の上部に東弊重工社の名前があり、液晶画面には「東弊カラオケ(仮)へようこそ!」という文字と、現在の空きロッカーのナンバーが表示されています。
SCP-024-JPを利用する人間(以下「利用者」)がどれかのキーを押すと、液晶画面に利用人数、次に利用時間を入力する画面が現れます。次に利用する部屋をキーボードによって入力する画面が現れ、この入力によって部屋の構造が変化することが確認されています。部屋の入力が終わると最後に料金が表示されます。この料金は「基準料金」とされ、この金額に近いほど入力通りの部屋に、基準から安いほど貧相に、高いほど豪華になります。全ての入力と支払が完了すると空いているロッカーのナンバーが液晶画面の表示され、番号を入力すると施錠が解除されます。利用者が指定されたロッカーを開けると内部に引き込まれ、扉は閉まり施錠されます。このプロセスは一瞬で行われ、利用者は「エレベーターのような感覚がした」と報告します。
利用者はロッカーの内部の、入力内容と投入金額に応じて「生成された」カラオケルームに移動します。部屋に基本的に扉、窓は存在せず、トイレは部屋に併設されています。利用者は通常のカラオケボックスと同じように利用時間の間、カラオケを楽しむことが出来ます。またカラオケ機種は███で、新曲などは通常通り入りますが、ネットワークを利用した対戦などのコンテンツはエラーが発生し使うことが出来ません。利用の終了は、壁に備え付けられたインターフォンによって行い、退出の旨を伝えるとロッカーの外に出ます。このプロセスも入室と同様に一瞬で行われます。
利用時間終了の10分前にインターフォンが鳴り、機械音声による通知が行われます。また利用時間終了に退室していなかった場合はインターフォンが鳴り、「利用時間が終了しました、退室をお願いします。」と機械音声が流れます。その通知を無視した場合、3分後にインターフォンから「利用時間を超過しております。退室してください。」と流れます。それも無視した場合、2分後にカラオケの画面が真っ黒になり「サッサトデロ」と赤文字で表示されます。これが最終警告と考えられ、その1分後にロッカーは「空いた状態」になります。
SCP-024-JPは東弊重工社の関連施設と見られる████県██████市████町の町工場に襲撃した際に回収されました。施設は襲撃直前に廃棄されたとみられ、SCP-024-JP以外にもいくつかの製品を回収しました。(詳細はレポート「東弊重工社████工場に関する報告」を参照してください。)
+ 同時に回収された文書(一部編集済み)
- 文書を隠す
プロジェクト名:カラオケBOXES
製造: 東弊重工社開発部
クライアント依頼:エンターテイメント性のある作品をお願いします。
技術的目的:空間拡張技術および言語入力された条件と投入金額を認識し、適切な空間を生成できるシステムの構築。
方向性:サイズは出来るだけ小さくする方向で。
製造過程:
19██年██月██日 初期プロトタイプ完成。金庫サイズであったがすでに重量が50キロを超えているため、持ち運びは困難。
20██年██月██日 重量問題が解決せず、金庫サイズではなくコインロッカーで再設計。
(以下、10行ほど履歴が列挙されるので編集により削除)
20██年██月██日 最終試作品完成。テスト経過は良好。
(以下の部分は手書きで書かれていました。)
緊急連絡:
財団がこの工場を察知した可能性あり。製品は第3プランで製造します。作業員はいつでも脱出できる準備と優先順位の高い順に物品の退避を。 ██月██日
思ったよりもお早いお着きですね。全物品退避が終了していませんが、我々はこの施設を放棄します。最終試作品は差し上げます。それでは。
補遺:最後の1文はインクの分析により襲撃当日に書かれたことが判明しています。
実験記録SCP-024-JP-1 - 20██/██/██
対象:Dクラス 1名
実施方法:「普通」と入力、基準金額を支払い1時間入室させる。
結果:基準金額は500円と表示された。入室から57分後に退出。内部は薄紫色の壁、黒いソファー、ガラス製の机がある4-5人部屋であったと証言。装着させたカメラの記録も証言と一致した。GPSはロッカーに入った瞬間に反応をロスト、退出時に復帰した。
分析:まあ、少なくとも普通には使うことが出来ますね。GPS反応が消えたのは電波が遮断されている可能性が高いと考えられます。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-2 - 20██/██/██
対象: Dクラス 1名
実施方法:「普通」と入力、基準金額を支払い1時間入室させる。
利用者には「携帯電話」「無線小型カメラ」「無線通信機」を持たせて入室させて、各種通信機器の使用の可否を確認する。
結果: 基準金額は実験記録SCP-024-JP-1と同じであった。入室後1時間ちょうどに退出。通信機器はロッカー内に移動した時に信号途絶。しかし、携帯電話のみ通話が可能であった。しかし携帯電話のGPS機能、ウェブ機能は利用不可であった。
分析: 携帯電話は連絡手段として有効なようです。どういう原理かは不明ですが… — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-3 - 20██/██/██
対象:Dクラス 1名
実施方法:「普通」と入力、1円を支払い1時間入室させる。
結果:基準金額は実験記録SCP-024-JP-1と同じであった。入室後1時間ちょうどに退出。被験者は疲労困憊で退出した。本人の証言とカメラ映像により、内部は隙間風が酷い木の壁、ボロボロの畳、潰れかけのダンボールが一つある2畳ほどの部屋であったことが判明。カラオケの機械はなく、安っぽいマイクのおもちゃがダンボールの上に放置されていた。インターフォンもなく、時間まで退出不能であった。
分析:1時間にしてはあまりにも疲労し過ぎています。もし長時間の利用であった場合、危険かもしれません。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-4 - 20██/██/██
対象:Dクラス 1名
実施方法:「普通」と入力、基準金額の倍の金額を支払い1時間入室させる。
結果:基準金額は実験記録SCP-024-JP-1と同じであった。入室後1時間ちょうどに退出。内部は幾何学模様が描かれた薄紫の壁、高級感のある黒ソファー、絵画2点、ガラス製の机、マラカス、タンバリンがある4-5人部屋が作成された。またカメラの音声分析により、実験記録SCP-024-JP-1よりもスピーカー、マイクの性能の向上が確認された。
分析:備品の質は向上していますが、それだけのようです。実験は特に必要がない限り基準金額で十分ですね。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-5 - 20██/██/██
対象:Dクラス 1名
実施方法:入力内容は本人に任せ、1時間入室させる。携帯電話を所持させ、利用時間終了後も退出しない様に命じる。
結果:1時間6分後、ロッカーが空き状態になったことが確認された。Dクラスは現在も行方不明、GPSの反応も消失したままである。また、携帯電話の通話は利用時間中は可能であったが、利用時間超過と同時に通話不能となった。
分析:時間超過は許さない。ということでしょうね。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-6 - 20██/██/██
対象:Dクラス 1名
実施方法:入力内容は本人に任せ、1時間入室させる。利用時間終了から5分後に退出する様に命じる。
結果:1時間5分後、退出。カメラと証言によりインターフォン、画面による「警告」が確認された。
分析:警告はあるようですね。まあ安心と言えば安心でしょうか。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-7 - 20██/██/██
対象:Dクラス 1名
実施方法:「天国」「地獄」「極楽浄土」「桃源郷」「夢のような部屋」など抽象的な場所を表す言葉を入力させ、基準金額で1時間入室させる。
結果:全て「エラー003:申し訳ありませんが、もう少し具体的にお願いします。」と表示された。
分析:「普通」は問題ないようですが、キーワードは具体的でないとダメなようです。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-8 - 20██/██/██
対象:エージェント永井
実施方法:「サイト-8181」「東弊重工社」と入力し、基準金額で1時間入室。
結果:「東弊重工社」は「エラー056:利用できない場所です。」と表示されたが、「サイト-8181」はSCP-024-JPが収容されている保管室が生成されました。「サイト-8181の部屋」でも今までの実験同様GPSは作動せず、エージェント永井がロッカー内部に入って行ったのを確認しています。また内装が保管室のものあり、保管室にカラオケマシーン等が配置されている形になっていました。SCP-024-JPは部屋内に存在していませんでした。
分析:外部認識機能あるいは思考読み取り機能が搭載されている可能性があります。送信機能の有無までは判別不能ですが財団施設を入力することは厳禁とします。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-9 - 20██/██/██
対象:Dクラス 1名
実施方法:本日よりサイト-8181で働くことになったDクラスに、サイト名を教える前に「サイト-8181」と入力させ、基準金額で1時間入室させる。
結果:「エラー076:情報参照に失敗しました。」と表示された。
分析:どうやら思考読み取り機能だったようです。しかし送信機能の有無は判別不能なので、以後も財団施設を入力しない様に。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-10 - 20██/██/██
対象:サイト8181職員 10名
実施方法:利用者10名で「ドリンクバー付き」と入力し、基準金額にて6時間利用。
結果:10-15人用と見られる「普通」と同じような内装の大部屋にドリンクバーが設置された部屋が生成された。6時間ちょうどで退出。
分析:備品を追加した部屋も利用可能なのですね。…ところでこれ私的利用じゃないですよね? — ████ ██博士
当たり前じゃないですか博士!でもまた使わせてもらいます!もちろん実験ですよ! — █████研究員
実験記録SCP-024-JP-11 - 20██/██/██
対象:エージェント水見
実施方法:「東京タワー」「スカイツリー」「金閣寺」「東██イン」と国内の実在施設名を入力し、基準金額にてそれぞれ1時間利用。
結果:それぞれ「東京タワーの展望台」「スカイツリー展望デッキ」「金閣寺内部」「東██インの1室」が生成された。「東京タワー」「スカイツリー」「金閣寺」に備え付けられたエレベーター、階段などの外部移動手段は使用不能になっていた。エレベーターは反応なし、階段は扉が施錠、あるいは階段前に見えない壁のようなものが存在していた。機器などは実験記録SCP-024-JP-1と同じ。「東██イン」はシングル部屋と同じ設備に加えてカラオケマシーンが設置され、扉は消滅していた。全ての事例において窓の外の景色を見ることは出来たが、窓の開放、破壊等は不可能。部屋からの景色はエージェント水見が以前使用したことのある████県██████市の東██インからの景色と判明。また景色は「雲一つない青空」「街中や観光地にも関わらず建物、景色内に人が全く居ない」という特徴があった。インターフォンはカラオケマシーンの側面に装着されていた。
分析:建物の内部は再現されるようですね、外の景色に関しては描写までということでしょうが。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-12 - 20██/██/██
対象: エージェント野々村
実施方法: 「エアーズロック」「エベレスト」「マリアナ海溝」など屋外を入力し、基準金額にてそれぞれ1時間利用
結果: 「エアーズロック」は山頂、「エベレスト」はベースキャンプ、「マリアナ海溝」は「エラー076:情報参照に失敗しました。」と表示された。生成された「部屋」は空気が薄いことも、気温が低いこともなかった。また、見かけ上はどこまでも広がっていたが、カラオケマシーンを中心として半径100mほどに見えない壁のようなものが存在し移動不能に。インターフォンは実験記録SCP-024-JP-9と同じく側面に装着されていた。
分析:カラオケマシーンから半径100mが生成限界のようです。 — ████ ██博士
実験記録SCP-024-JP-13 - 20██/██/██
対象:前原博士
実施方法:「ストレス解消」と入力し、基準金額にて5時間利用。
結果:サンドバック、「ご自由に割ってください」と書かれた紙の貼られた棚に収められた皿、等身大ウサギぬいぐるみ、プロレス用リングが設置されていた。カラオケマシーン、インターフォン、その他基本設備は「普通」と同じ様に配置。部屋の大きさは「普通」に比べて設備が入る様に拡張されていた。なお利用時間中の記録は最初に部屋の設備を写した3分ほどのみで、その後は前原博士の手によってカメラが切られた。
分析:目的の入力でもちゃんと生成されるんですね…。映像の件に関しては…いえ、もういいです…。 — ████ ██博士
補遺1: あまりにも実験申請が多すぎます。さらにほぼ私的利用と考えられるものも少なからず見受けられます。確かに実験における金銭の利用は必要経費として計上することは出来ますが、それは有限です。クラスの格下げ申請をして実験の許可制ではなく利用後の報告制にしましょうか… — ████ ██博士
補遺2: 申請によりSCP-024-JPのオブジェクトクラスをSafeとする。利用は節度を持って行うこと。 — 日本支部理事-██
補遺3: SCP-024-JPの利用者は利用記録SCP-024-JP に追記すること。 — ████ ██博士
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scp-025-jp |
評価: +117+–x
知性の兆候を示すSCP-025-JP-A-08
アイテム番号: SCP-025-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-025-JPは標準的な文献資料長期保護手順と同等の扱いの下、保管されます。現在、これ以上のSCP-025-JP閲覧者を生み出さない為に、閲覧及び持ち出しと各種実験を禁止しています。前記項目を追加する以前にSCP-025-JPを直接閲覧した全ての職員は実験を除き、自身の子供を含む如何なる生物・植物の育成・指導を禁止とします。全てのSCP-025-JP-Aへの対応はSCP-025-JP研究主任を含む担当者による合議で決定します。現在の研究主任は鳥山博士と宮城博士です。
説明: SCP-025-JPは非常に劣化した市販の学習用ノートで、黄ばんだセロファンテープと錆びたホチキスで補修されています。表紙には「みるきぃのそだてかた」とあり、ノートの内容は子猫を育てる子供が書いた日記全95ページ・42日分の文章と絵です。内容はおよそ異常な物ではありません1。しかしSCP-025-JPの特定ページを人間が直接閲覧すると、以後その閲覧者が直接給餌するなどして育成した動植物は、閲覧したページ内容に沿って、閲覧者の持つ能力と閲覧者への服従心を獲得します(以後動植物はSCP-025-JP-A)。SCP-025-JP-Aの能力・人格は最終的に閲覧者と近い物になりますが、育成環境に応じて差異が発生します。閲覧者は多くはそのまま育ての親、飼い主または口煩い生物として認識されています。閲覧者とSCP-025-JP-Aを引き離しても異常性は止まらず、閲覧者の記憶処置は無意味です。異常な特性の発現しないSCP-025-JPの完全なコピーは、レベル2クリアランスがあれば閲覧可能です。
SCP-025-JPは20██年██月に███県のフリーマーケットで販売された雑多な古本の中に混ざっているのを、県内の小学校に通う児童が発見しました。丁度猫を飼っていた児童は参考資料として閲覧してすぐその特性に気付き、発生したSCP-025-JP-Aを見た両親が地元テレビ局へ連絡を取りました。連絡を受けたのは幸いにも潜入中のエージェントだった為、その後の回収と記憶処置は滞りなく行われています。
+ SCP-025-JPのコピー(一部)
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ページ
原文
確認された効果
備考
1~2
うちにみるきぃがきました。
N/A
子供と猫が抱き合っているイラスト。描写された子供は、オブジェクト作成者本人であると思われる。特筆すべき異常効果の無いページ。
9~10
みるきぃにまい日、はなしかけてあげる。そうしたら、みるきぃもおへんじをしてくれる。
平均25日程度で、SCP-025-JP-Aが閲覧者の語力に準じた発話能力を獲得。
会話時間・単語量は関係なく、24時間以内に1度以上話しかける事が条件と思われる。
25~27
(25~26ページ)あたまをなでてあげる。(27ページ)[学習机に座り、勉強をする猫のイラスト]
SCP-025-JP-Aの記憶力、計算能力、論理的な思考能力といった知能面が、ヒトと遜色ない程度に発達。但し学習意欲は閲覧者に準じ、その結果個体差が生じる。
研究員が実験の為育成中のSCP-025-JP-A-19(Periplaneta fuliginosa)は、高い知能を持つと推定されるものの、アウトプットが困難である為具体的な学力は計測されていない。
33~34
わるいことしたらすぐにたたく。よい子にする。
閲覧者に対する、SCP-025-JP-Aの服従的態度の形成。
特別収容プロトコルの厳格化を決定。
57~58
あったかいおフトンをしく 風邪をひかせてはいけません。
SCP-025-JP-Aが恒温動物でない場合、体温を一定に保つ能力を獲得する。
「風邪」の部分のみ筆跡が異なり、より丁寧に書かれている。
71~72
いっしょにあるけるといいな。(猫の両足を持ち、二足歩行で歩かせているイラスト)
SCP-025-JP-Aの二足歩行能力の獲得と、前足を歩行に使用する機能の喪失。植物の場合は根、魚類は鰭に変化が生じる。
N/A
93~94
きちんと最後まで、愛情を持って育てる事。 さいごまでいっしょです!いっしょにがっこうへ行って、おべん当たべて、おべんきょうして、うんどうかいにもでる!おとなになったら、オリンピックできんメダルをとりたいなあ [2人で金メダルを持つ子供と猫のイラスト]
SCP-025-JP-Aに対する、閲覧者の親愛感の上昇。閲覧者に対し影響を与える唯一のページ。
文章の前半は57~58ページに文字を記入した人物と同じと考えられている。また、長期間開かれたまま放置された痕跡がある。
95
[黒と赤のクレヨンで描画された、太い尻尾と爪の生えた後ろ足と推定されるイラスト。全体像は次ページ以降が破られている為不明である。記載された文章もページ損失のため断片的であり、ボールペンで粗く塗りつぶされている。]”ぜんぶはねかえす”、”やっつけ”、”みるきい”、”マッハごま”
異常効果は確認されていない。ただし、これは96ページ以降の内容を視認していない為と考えられている。
96ページ以降の捜索は、フリーマーケットで当オブジェクトの販売を行った人物が肺炎により死亡したため、中断を余儀なくされている。
+ SCP-025-JP-Aのリスト(一部)
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No.
写真
備考
SCP-025-JP-A-01
SCP-025-JP収容時に、同じ所有者より確保したsilvestris catus(イエネコ)。二足歩行と、確保した地域の簡単な方言を話す能力を持つ。現在、サイト-8181にて収容中。
SCP-025-JP-A-02
初期収容中に11~12ページを直接視認し、閲覧者となった██研究員の娘を10年後に撮影した写真。██研究員と外見のみが全く同じ姿に成長した。
SCP-025-JP-A-05
[編集済]。
SCP-025-JP-A-07
財団機動部隊り-9所属の閲覧者に長期間育成された結果、軍の工作員として働けるようになったGorilla(ゴリラ)。写真はSCP-████-JP-EXの初期収容任務時に撮影された。この任務後、サイト-8181が未特定の集団に襲撃を受け、その援護中にKIA(戦死)となった。
Footnotes
1. しかし、子猫の育て方としては一見無意味な記述が多い事が注目されています。 例:猫の両前足を持った状態で前進させ、「2本足歩きの練習」としている等。
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scp-026-jp |
評価: +201+–x
アイテム番号: SCP-026-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-026-JPはサイト-8141の人型生物収容室に収容されます。SCP-026-JPは1日に3度の食事を必要とします。SCP-026-JPは2週間に1度、通常の実験に加えて健康診断を必ず行うようにしてください。SCP-026-JPは財団職員に対して協力的な態度をとっています。現在職員による監視の上で、サイト-8141内をある程度自由に動く権利を与えることが検討されています。SCP-026-JPは激しい刃物恐怖症及び対人恐怖症を同時に患っており、そのため財団のセラピストが週に一度必ずメンタルセラピーを行う必要があります。SCP-026-JPの健康状態に問題が見られる場合即座に治療を行い、またその場合は担当職員による実験申請が認可されている場合を除いて、SCP-026-JPの排泄物は財団の危険物処理手順に従って廃棄してください。SCP-026-JPが生命の危機にある場合、財団の機動部隊丁-つ("食後の一服")が医療と、場合によっては戦闘によって対処を行います。SCP-026-JPの入浴の際には専用に調整された浴室を使用させてください。毎日SCP-026-JPが作った"食事"の処分を必ず行ってください。
SCP-026-JPが作った"食事"はDクラス以外の者が摂取することを禁止します。Dクラスに摂取させた場合、異常が見られたら検査・解剖を行った上で終了処理を行ってください。SCP-026-JPが作った"食事"はレベル4クリアランス以上の職員二人以上の許可が無い限り必ず廃棄されます。
説明: SCP-026-JPは日本国籍を持つ1█歳の女性です。戸籍では200█年5月██日に徳島県████町で生まれたと記録されています。SCP-026-JPが様々な形で体内の物質を排出するとき、SCP-026-JPの異常な特性が発揮されます。SCP-026-JPの肉体から完全に離れた瞬間にSCP-026-JPの涙液・尿・血液は何らかの飲料あるいは液体の食物に、吐瀉物・糞便・体組織は固体の食物に変化します。これらの"食事"はすべて調理され、タンパク質を含んだ有機的材料によって構成されている、一般的な食器の形状をした"食器"に盛り付けられた状態で現れます。SCP-026-JPの健康状態によって"食事"の出来は大幅に変化し、健康状態が悪化した場合毒性や強い危険性を持ちます。一般的な風邪程度であれば、料理の味が極めてひどいものとなる程度ですが、生命の危機の場合周囲の生命が失われる危険性があります。
補遺1
実験記録026-い-001
担当者:井沼博士
対象物:SCP-026-JPの大便
結果:対象物は平皿状の"食器"に入ったマッシュルーム及びマイタケが入ったトマトソースのかかったオムレツへと変化した。Dクラスに食べさせたところ「非常に美味」と述べた。
実験記録026-ろ-002
担当者:井沼博士
対象物:SCP-026-JPの大便
補足:SCP-026-JPには事前にボークビーンズを食べさせた。
結果:対象物は丼状の"食器"に入った山かけ月見蕎麦へと変化した。Dクラスに食べさせたところ「非常に美味」と述べた。
「なるほど、対象が事前に食べた食事とは関係なくこれらの食物は生まれるようだ」 —井沼博士
実験記録026-と-007
担当者:井沼博士
対象物:SCP-026-JPの尿
補足:SCP-026-JPには事前に水を1リットル取らせ、実験記録 -ち-008と連続して行った。
結果:対象物はコップ状の"食器"に入ったアイスミルクへと変化した。Dクラスに飲ませたところ、「非常に新鮮で濃厚だ」と述べ、二杯目を要求した。
実験記録026-ち-008
担当者:井沼博士
対象物:SCP-026-JPの尿
結果:対象物はスープ皿状の"食器"に入ったソラマメのポタージュスープへと変化した。Dクラスに飲ませたところ、「とても美味しい、こんなスープは食べたことがない」と述べた。
「どうやらこれらの食物はSCP-026-JPの状態がほぼ同じであっても変化するらしい。法則はあるのだろうか」 —井沼博士
実験記録026-つ-019
担当者:井沼博士
対象物:SCP-026-JPの皮膚片
補足:皮膚片はSCP-026-JPの皮膚からメスによって引き剥がしたものである。
結果:対象物は平皿状の"食器"に入ったチキンカレーライスに変化した。Dクラスに食べさせたところ、「水っぽくて不味い」と述べた。
「もしかすると、SCP-026-JPが負傷するとこれらの食物の質は落ちるのか? さらに傷を与えてみよう」 —井沼博士
実験記録026-ね-020
担当者:井沼博士
対象物:SCP-026-JPの筋肉組織
補足:SCP-026-JPを麻酔したうえで脚部にメスを入れ、歩行に支障がない程度に筋肉組織を摘除した。
結果:対象物は平皿状の"食器"に入ったポークカツレツへと変化した。これは著しい腐敗の兆候が見られた。Dクラスに与えたところ拒否されたため、強引に食べさせる。Dクラスは黄色ブドウ球菌による激しい食中毒により死亡した。
「この程度でもこれほどに食品の質が劣化するのか? ならばもし、生命の危機に晒したならどういう結果が起こるのだ?」 —井沼博士
補遺2
事件記録026-JP: 財団倫理委員会が井沼博士に対して呼び出しを行い、彼の行為が財団の理念に反するレベルに近づいていることを警告し、SCP-026-JPの担当を変更することを通告しました。井沼博士はその直後、SCP-026-JPの収容室に入り、SCP-026-JPを拘束し、その脊髄の一部を麻酔無しで摘出しました。SCP-026-JPから摘出された脊髄は即座に平皿状の食器に乗った、自己増殖し触れた有機物を自身に置換する真黒なシチューに変化しました。事件が終わるまでに、井沼博士を含む22人の財団職員が死亡しました。SCP-026-JPは治療を受け、脊髄損傷による下半身麻痺は完全に取り去られましたが、著しい対人恐怖症及び刃物恐怖症に関しては今だ治療ができていません。
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scp-027-jp |
評価: +135+–x
評価: +135+–x
クレジット
タイトル: SCP-027-JP - ギロチンマジック
著者: ©︎ogakuzu
作成年: 2018
評価: +135+–x
評価: +135+–x
アイテム番号: SCP-027-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-027-JPはサイト-8181の低危険度物品収容ロッカーに収容されます。一か月に一度、定期メンテナンスを行ってください。
説明: SCP-027-JPは120×50×10cmの大きさのマジック用ギロチンです。MC&D社(マーシャル・カーター&ダーク株式会社)の保管倉庫調査時に回収されました。プラスチック製の本体及び金属製の刃のパーツから構成されています。本体には中央に半径15cmの頭部を入れる穴が空いており、黒く塗装された表面に戯画的な画風で死神、ゾンビ、幽霊、骸骨などといったキャラクターが描かれています。SCP-027-JPの刃は一般的なものと比べ軽量ですがその分鋭利な為、切れ味に問題はありません。またSCP-027-JPはマジック用の物であるにも関わらず、なんらかのトリックがありません。
SCP-027-JPの異常性は被験者の頭部を切断しようとした際に発現します。SCP-027-JPの刃は落とされても被験者の首を切断せずにそのまま落下します。この異常により、被験者が負傷及び死亡することはありません。
以下はSCP-027-JPの実験記録です。
実験記録027-1 - 日付20██/05/21
目的: 異常性の確認
被験者: D-027-1
実施方法: SCP-027-JPを被験者に使用する。
結果:異常性が発揮された。
分析: この実験結果と対照し以下の実験を行いました。
実験記録027-2 - 日付20██/05/22
目的: SCP-027-JPの異常性の根源の調査
対象: D-027-1
実施方法: SCP-027-JPを本体と刃に分解し、それぞれをレプリカと共に被験者に使用する。
結果: どちらの実験においても異常性が発揮された。
分析: 特異性は両方にあるようです。
実験記録027-3 - 日付20██/05/25
目的: 異常性の対象の調査
被験者: マネキン、アカゲザル(Macaca mulatta)、死体、D-027-1(腕)
実施方法: SCP-027-JPを被験者に使用する。
結果: 全ての実験において異常性は発揮されなかった。
分析: SCP-027-JPの効果は人間の首を切断した時にのみに発揮されるようです。
補遺: 20██/06/██に日本生類創研の拠点襲撃が行なわれました。拠点は既に放棄されていましたが、D-027-1の複数の頭部及び他の人物ら1のそれが発見されました。この調査に基づき再度実験を行い、SCP-027-JPの使用する瞬間をハイスピードカメラで撮影した所、被験者の頭部が瞬時に消失、再生している事が判明しました。SCP-027-JPによって切断された頭部が、この地点へ転移していたと見られています。2発見された頭部はどれも脳髄及び眼球が抜き取られており、周囲の状況から実験及び給餌に使用されていたようです。
以下は日本生類創研の拠点にて発見された文書です。
宛先: 日本生類創研様
差出人: マーシャル・カーター&ダーク株式会社 対外交渉担当
件名: 頭部のご提供について
本文: この度は当社とのご契約、誠に感謝致します。
担当業者により件の製品が納入され、ご提供の用意が整った事を報告致します。添付しました資料よりご希望の年齢、性別の人物をお選びください。またお値段に関しても、予定価格より高値で販売される事が決定された為、より安価でのご提供ができる事となりました。
今後とも材料の提供、商品販売の仲介等は我が社をご利用ください。これからもよいお付き合いが出来るようお願い致します。
これらの情報により未回収のSCP-027-JPが存在する可能性が高いことから、SCP-027-JPの捜索が行われる事が決定されました。
Footnotes
1. 数人についてはMC&D社の顧客であった事が確認されています。
2. なお再実験の際に切断した頭部は出現しませんでした。出現地点が変更されたものと思われます。
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scp-028-jp |
評価: +70+–x
アイテム番号: SCP-028-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-028-JPはサイト-8181の物品保管庫-██に設置された木製キャビネットに収容されています。キャビネットの開閉には、セキュリティクリアランス1以上の職員による許可と、精神鑑定による正常な意識レベルであることの証明が必要です。万が一意図せずSCP-028-JPに乗り込んでしまった職員がいる場合、乗車から約40分経過後にSCP-028-JPの外から催眠処理を行い、下車するよう促して下さい。
説明: SCP-028-JPは縦方向に潰されたコンパクトカーです。幅は2.7cmと非常に薄く、ほぼ平面に近い形状をしています。こうした形状にもかかわらず、SCP-028-JPは支えなしでも常に直立状態を保ちます。平面の前方はトヨタ・iQのフロント部、後方はマツダ・デミオのリア部に類似した形状をしており、このことからSCP-028-JPは2台の潰れたコンパクトカーが接続されているものと推測されていますが、現在のところ分離には成功していません。前方、後方いずれもナンバープレートは取り外されており、所有者の特定には至っていません。
SCP-028-JPは平面に近い形状をしていますが、飲酒や催眠、薬物投与などにより意識レベルが低下している者がSCP-028-JPを見ると、潰れていない乗車可能な一台の白い4人乗りコンパクトカーであると誤認します。このコンパクトカーは前述の二車種とは異なる形状をしており、未知の車種であることが判明しています。
SCP-028-JPを誤認した者はSCP-028-JPに乗車することが可能です。この時、外部からは対象の人物がSCP-028-JPの中に吸い込まれるようにして消失したように見えます。SCP-028-JPに乗車した人間は、運転知識、免許の有無に関わらず運転動作を行おうとします。
SCP-028-JPの誤認者が複数いる場合、その中の一人が運転者を務め、残りの者は助手席、あるいは後部座席に乗車します。これらの役割分担は言葉を交さずに行われ、同じ人物の組み合わせであれば必ず同じ役割を果たします。以上のことから、SCP-028-JPは誤認者に対し何らかの精神的な影響を及ぼし、乗車、運転を行うよう指示を与えているものと推定されます。SCP-028-JPから受けたと思われる精神的な影響は、意識レベルの回復と共に解除されます。しかし、SCP-028-JP乗車中は常に意識レベルが低下している必要があり、乗車中に意識レベルが回復した場合、乗務員は外圧により幅2.7cmに圧縮された形でSCP-028-JPから放り出されます。これにより運転席が空いた場合、運転席には即座に助手席の人間が座ります。助手席が空いた場合は後部座席の人間が座ります。
SCP-028-JPへの乗車時の車内の様子は乗務員に無線の音声通信機、映像通信機を取り付けることで確認することが出来ます。運転手がSCP-028-JP内部で発車動作を行うと、車内からは車が移動しているような風景が見えますが、SCP-028-JP自体が移動することはありません。
SCP-028-JPの発車後、車内では紺色のコンパクトカー(こちらも車種不明。以下、SCP-028-JP-1)との追突事故が発生します。SCP-028-JPの外観が2台のコンパクトカーで構成されていることから、この現象はSCP-028-JPの形成と関わっているのではないかと思われますが、現在のところ関連性は不明です。
SCP-028-JP発車後の車内で発生する現象は以下のように変遷します。
発車後の時間
車内で発生する現象
0~25分
車内からは道路を走行しているように見えます。車窓の風景は常に夜中で、左手がガードレールにより仕切られた崖、右手には森が広がっています。約100m間隔で電灯が設置されており、対向車はこれまでの実験では一度も確認できていません。車速は時速60km前後を保ち、外部からの催眠指示によるブレーキ、アクセル等の操作は効きません。運転手による発車動作以後、SCP-028-JPの誤認現象は一時的に発生しなくなります。
26~33分
車内後方よりSCP-028-JP-1が接近してきます。SCP-028-JP-1の車速は相対的な位置関係から時速約110km程度と推測されます。SCP-028-JP-1には運転手とみられる人物が一人だけ乗車しています。
34~35分
前方に信号が出現します。信号は常に赤信号を示しており、運転手は信号に従い停車動作を行います。
36分
SCP-028-JP-1がSCP-028-JP後方部に追突します。SCP-028-JP-1がブレーキをかけた様子はなく、ほぼ接近時同様の速度で追突してきます。車内に発生する振動は軽度である一方、追突してきたSCP-028-JP-1は大破しており、SCP-028-JP-1の運転席に座る人物はハンドルから出てきたエアバッグに顔を埋めた状態で動きません。
37~59分
SCP-028-JP-1の運転手と名乗る声から救援要請が届きます。この間、SCP-028-JP-1の運転手とみられる人物は運転席から微動だにせず、声だけが車内に響きます。救援要請の声は何度も繰り返し発せられ、徐々に大きく、深刻な声に変化していきます。音量と声の深刻度は43分にピークを迎え、その後59分までの間は徐々に小さく、か細い声に変化していきます。
1時間~
突如として車内前方、SCP-028-JP-1後方よりそれぞれ2本の強い光が差し込み、強い衝撃とともにそれまでの乗務員は消失します。乗務員に取り付けた音声記録装置や映像記録装置も同時に消失し、無線で通信を行っていた場合は通信が途絶えます。その後、SCP-028-JPの誤認現象が再開します。
35分の停車動作以後は乗務員をSCP-028-JPから下車させることが可能です。下車させる方法は外部からの催眠による指示がありますが、乗務員が自発的に下車する場合があります。これは37分以後のSCP-028-JP-1の救援要請に従った結果であると推測されています。
補遺: ████年██月██日、秋田県██市のスクラップ工場にて突如として若い女性が現れたことで、SCP-028-JPは発見されました。当初は女性をSCP-028-JPとして調査を進めていましたが、インタビューの結果スクラップだと思われていた鉄塊をSCP-028-JPとして認定、収容しました。女性とスクラップ工場の関係者にはAクラス記憶処理を施しました。
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scp-029-jp |
評価: +103+–x
評価: +103+–x
クレジット
タイトル: SCP-029-JP - 鉄道路線上の肉
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2014
その他のライセンス
評価: +103+–x
評価: +103+–x
その他
この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。
評価: +103+–x
評価: +103+–x
アイテム番号: SCP-029-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-029-JPの担当職員は、029-JP指定路線を保有する鉄道会社に技術職員として配属されます。担当職員は所属している鉄道会社の制服を着用の上、指定された懐中電灯を二つ以上所有して029-JP指定路線を巡回してください。SCP-029-JP-1が路線上に出現していた場合は、懐中電灯の光を照射してください。
財団職員ではない人物がSCP-029-JP-1を目撃、あるいは各種機器にて撮影、録画していた場合は、速やかに取り押さえてください。対象は事情聴取と記録メディアの没収の後、Aクラス記憶処置を施した上で解放されます。
実験目的でSCP-029-JP-1の捕獲、及びサンプルの採集を行う場合は、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を得てください。採取したサンプルへの分析や実験は、可能な限り速やかに行ってください。
説明: SCP-029-JPは日本国内の各種鉄道の路線上に、夜間になると不特定の形状の実体(SCP-029-JP-1と指定)が出現する現象です。SCP-029-JP-1は大きさ、形状が様々ですが、いずれも表面が生肉のような質感をしており、線路沿いの家屋や照明器具との放つ光に向かって移動するという共通した特徴を有しています。SCP-029-JP-1は300ルクス以上の光に曝露されることで表面が融解、蒸発し、その大きさに関わらず十秒ほどで消滅します。
SCP-029-JP-1の捕獲、及びサンプル採取については数度成功していますが、いずれの場合も回収から一時間以内に消滅しています。消滅するまでの間に行われた分析によると、SCP-029-JPは大型の哺乳動物によく似たたんぱく質と脂肪で構成されており、筋繊維中のアミノ酸含有量から死後二日ほど経過してることが判明しています。一方、密閉容器内でSCP-029-JP-1のサンプルに光線を照射したところ、容器内のサンプルが蒸発するのに合わせて容器全体の重量が減少したため、SCP-029-JP-1のサンプル自体の実在を疑問視する説も存在します。
SCP-029-JP-1の出現について、現時点で日本国内の鉄道路線上に出現すること以外の法則性は発見されていません。鉄道路線における事件事故と、SCP-029-JP-1の出現に関連は見られませんでした。
補遺:
これまでに確認されたSCP-029-JP-1の一例
日時:1965年█月██日午前1時12分~35分
場所:████県███線██駅████駅間
概要:直径20センチメートルほどの楕円形。地面に接する面を波打たせながら、線路沿いの民家に向けて接近していた。財団職員の懐中電灯による照射によって消滅した。
日時:197█年██月█日午後11時38分~43分
場所:████県██████線████車両基地敷地内
概要:直径40センチメートル、高さ1メートルの直立した円筒形。表面上は特に動く様子はなかったが、毎秒5センチメートルほどの速度で滑るように移動した。車両基地敷地内の外灯の下に移動し、そのまま街灯の発する光によって消滅した。
日時:19██年6月█日午前0時56分~午前4時32分
場所:████県███線████駅構内
概要:全長30センチメートルほどの楕円形で、10センチメートルほどの突起を6~8本備えていた。駅構内のそこかしこに出現していたが、総数は不明。近隣の財団職員の協力によって、夜明けまでにおよそ200個体を消滅させた。最終的には太陽光によってすべて消滅した模様。
日時:200█年█月█日午前3時4分~22分
場所:██████県████線█████駅████駅間
概要:縦4メートル、幅2.5メートル、厚さ40センチメートルほどの個体。長辺方向に尺取虫のように全身を曲げ伸ばししながら、線路沿いの民家に向けて移動をしていた。サンプル回収の上、職員の懐中電灯による照射によって消滅した。
日時:200█年██月31日午前1時15分~20分
場所:█████県██████線████駅構内
概要:身長1.2メートルほどの人型。ただし頭部が無い、全体的に肥満しているなど大まかに人に似ていると言った程度の形状であった。特に何かを目指すわけでもなく、プラットホーム下部の緊急避難スペースに座り込んでいた。しかし財団職員が接近しようとすると、緊急避難スペースから這い出し、毎秒およそ40センチメートルほどの速度で、足と思われる部分を引きずるように動かしながら職員に向けて接近した。その後、職員の向けた懐中電灯の光に自ら曝露し、消滅した。
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scp-030-jp |
評価: +372+–x
発見時のSCP-030-JP
アイテム番号: SCP-030-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-030-JPの全ての個体は一切の石油製品が使用されず建造された特別収容サイト-8161内の、同じく石油製品を一切使用していない特別性のAクラス危険生物収容室に収容されなければなりません。SCP-030-JPの給餌のため100gのポリエステル繊維を毎日持ち込むことを除いて、サイト-8161には一切、石油、石油製品、そのほかあらゆる石油が利用された物質を持ち込んではなりません。収容されているSCP-030-JPの数が10匹を超えた場合は10匹未満に数が減少するまで間引いてください。封じ込め違反が起こった場合は、サイト-8161を完全に封鎖した上で内部に有機リン系殺虫剤を充たしてください。それでもなおSCP-030-JPの脱走の可能性がある場合、サイト-8161に備え付けられた、石油製品未使用の特別性水素爆弾を起動してください。
現在財団の管理下に置かれていないすべてのSCP-030-JPは完全に絶滅させることになっています。財団の管理下に入っていないSCP-030-JPが発見され次第、機動部隊乙-ち("臭水守")が対応に向かいます。
説明: SCP-030-JPは石油を食事とし爆発的に増える、昆虫類の種です。体長は20cm前後であり、全身を白い毛で覆われ、翅及び目立った触角は持っておらず、また自力での移動能力が非常に低く、枝などに止まることが出来ないほどの小さく、力の弱い脚を持っています。SCP-030-JPは無変態であり、幼虫期からサイズを除いて変わらない姿を持ちます。外見は全く別のものであるにもかかわらず、分子系統解析の結果遺伝情報がBombyx mori(カイコガ)と一致することが判明しています。
SCP-030-JPは雌雄同体であり、両性生殖と両性単為生殖の両方を行うことが可能なのに加え、幼形成熟の特徴を持ち、単体であっても3日以内に繁殖が可能で、一度の繁殖で約300個の卵を産みます。SCP-030-JPの不妊虫放飼法による個体数の減少を狙うことは、前述した特性ゆえ困難です。加えて、SCP-030-JPの捕食者が自然界に存在しないことがSCP-030-JPの増殖に拍車をかけています。これはSCP-030-JPを消化吸収することができる生物が存在せず、さらに多くの生物に対して不快と思うような味をSCP-030-JPが持っているからです。
既存の昆虫類に見ることができない最大の特徴としてSCP-030-JPは石油を食糧とします。完全に未知の器官が体内に存在し、これによりSCP-030-JPは石油や石油を加工したあらゆる製品をエネルギーへと変換することが可能なようです。また、SCP-030-JPの糞には全く可燃性がなく、燃料にはなり得ないことがわかっています。
SCP-030-JPの平均寿命は約30日です。SCP-030-JPの死骸は自然分解の速度が極めて遅く、一般的なプラスチック製品のように800度以上の高温で焼却し、適切な処理を行わなければダイオキシン類のガスを発生させます。爆発的な繁殖能力、排泄物や死骸の自然分解の速度の遅さによって、SCP-030-JPが[編集済]日間石油や石油加工製品を十分に与えられた環境で放置された場合、地球上のすべての陸地がSCP-030-JPの死骸により埋め尽くされることが予測されています。現在SCP-030-JPの野生の個体数は財団による積極的な絶滅の試みにもかかわらず、█████匹以上であると考えられています。
一定量の石油・石油加工製品を摂取することでSCP-030-JPはポリエチレンテレフタレートの糸を吐き出します。この糸はそのまま紡績することによって一般的衣服の材料として使用可能です。
19██年に機動部隊ゑ-3("緑の盾")が日本生類創研の放棄した研究施設を発見しました。その施設では10000匹を優に超えるSCP-030-JP及び、以下の様なラベルが貼られた空っぽの木製の箱が発見されました。下線部分は手書きのメモになっていました。
エコロジー・キャンペーン用試作
ポリクイくん ポリッコ 名前はプレゼンの時に考えよう。とりあえず「ポリクイガ(仮)」で。
これが売れれば更に我々の研究を先に進めることが出来るだろう!
現状サンプルを増やすため繁殖能力を強化
絶対に逃すな!
↑ごめん^^;
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scp-031-jp |
評価: +252+–x
エレベーター内から撮影したSCP-031-JP-Aの様子。
アイテム番号: SCP-031-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-031-JPは財団フロント企業の管理下に置かれ、各階にはフロント企業の事務所およびサイト-8163麾下の観測所が入居しています。SCP-031-JP周辺を24時間体制で監視し、財団職員、フロント企業職員以外の立入りを防いでください。通常業務においてはSCP-031-JP内のエレベーターは使用せず、階の移動には階段を用いてください。
SCP-031-JP-Bはサイト-8163異常植物栽培施設に5株を上限として収容されます。収容上限を超えた分の個体については内部検査とサンプル採取の後に焼却処分し、採取したサンプルは低危険度生体収容ロッカー内に保管してください。
説明: SCP-031-JPは京都市上京区[編集済]に所在する雑居ビルです。4階建ての鉄筋コンクリート製で、1階入口付近に設置された定礎板には以下の記銘が確認できます。
定礎
昭和五十三年二月
(有)如月工務店
SCP-031-JP内部には1階から4階までを接続するエレベーターが1基設置されています。当該エレベーター内の行き先指定ボタンは、SCP-031-JPの階数に反して“1”から“5”まで存在します。このうち“1”から“3”が押された場合はボタンの表示通りにそれぞれ1階から3階へ、“5”が押された場合は4階へ到着します。
“4”のボタンが押された場合、エレベーターはSCP-031-JPの3階と4階の中間の位置で停止し、その場で扉が開きます。この際、エレベーターの搭乗口がSCP-031-JP-Aと指定される異空間へと接続されます。
エレベーターを降りた先はタイル張りの浴室となっています。面積は2帖ほどで、エレベーターの搭乗口以外に出入口は確認できません1。訪問者がエレベーターからSCP-031-JP-A側へ完全に進入した時点で、エレベーターの扉が自動的に閉じ、SCP-031-JP-A内との通信が有線・無線を問わず全て途絶します。進入者がSCP-031-JP-Aより帰還した例はありません。
通信途絶から約半日後、京都市上京区の北野天満宮境内にてSCP-031-JP-Bが出芽します。SCP-031-JP-Bは異常な成長能力を有するウメ(Prunus mume)の木です。出芽後約2時間で成木となり、季節に関係なく開花します。
SCP-031-JP-Bの幹の内部には、SCP-031-JP-A進入者の所持品の一部が埋没している場合があります。この際、金属製品やプラスチック製品は発見される頻度が高く、衣類や進入者自身の体組織はほとんど発見されません。
補遺1: Dクラス職員(識別番号D-6069)を用いたSCP-031-JP-Aの第1回有人探査の翌日、北野天満宮境内にてSCP-031-JP-Bが発見され、内部よりD-6069の装備していた録画装置および録音装置が回収されました。装置に記録されていた内容を以下に書き起こします。
[冒頭部分省略。D-6069はSCP-031-JPの1階でエレベーターに搭乗し、4階のボタンを押す。エレベーターはしばらく上昇した後に停止し、扉が開く]
D-6069: 到着した。聞いてた通りの風呂場だ。入るぞ。
[D-6069の進入後、エレベーターの扉が閉じる]
D-6069: エレベーターが閉まっちまった。こちら側から呼び出すボタンは……見当たらない。仕方ないな。室内を調べてみる。
[D-6069は約7分間に渡って室内を探索する。重要度が低いため省略]
D-6069: 一通り調べたが、入口がエレベーターって以外は普通の風呂だ。電気は通ってるし水も出る。バスタオルまで……いや、まだ何かあった。何か書いてる。日本語だ。
[D-6069がエレベーターの扉に注目する。扉には紙が張られており、手書きと思しき文字で以下の文章が書かれている。
間モ無ク扉ガ開キ〼
身体ヲ綺麗ニ流シテ
ドウゾ御待チ下サイ
特筆すべき点として、約7分前の映像では扉に張り紙は存在しない]
D-6069: なんだ、こりゃあ。ひとっ風呂浴びて行けってか。
[以降約18分間、D-6069はその場でシャワーを浴びるべきかどうか逡巡する。重要度が低いため省略。最終的にD-6069は脱衣し、浴槽内でシャワーを浴びる]
D-6069: 言われた通りシャワーを浴びた。おかしなところはない。扉も……おいおい、どうなってやがる。
[D-6069がバスタオルで身体を拭きつつ、エレベーターの扉を確認する。張り紙の文章が以下の内容に変化している。
綺麗ニ成リマシタラ
洗面台ノ特製香水モ
ドウゾ御利用下サイ
D-6069は張り紙を確認後、洗面台を調べる]
D-6069: それらしいガラス瓶が1本ある。多分これだろう。
[D-6069が洗面台上に置かれた香水瓶を手に取る。透明な瓶の中に薄い赤色の液体が入っている]
D-6069: なんのつもりだか解らんが、使うぞ……ええと、化粧品のことはよく知らんが、何かの花の匂いだ、多分。
[D-6069が全身に香水を振り終え、扉を確認すると、張り紙の文章が再び変化している。変化後の内容は以下の通り。
扉ガ開キ〼
D-6069が張り紙を確認した直後、エレベーターの扉が開く。扉の先は従来のエレベーター内とは明らかに異なる暗い空間である]
D-6069: オープン・セサミ……奥に進む。
[D-6069は着衣を済ませた後、扉の先の空間へ進入する]
D-6069: 薄暗いが、歩き回る分には問題ない。床は畳だ。和室だな。凄く広い。それから、さっきの香水と同じ匂いがする。俺の身体じゃなくて、部屋の空気から……前方に何かいる。
[D-6069が前方をライトで照らす。前方に人型実体(以下、SCP-031-JP-C)が立っている。SCP-031-JP-Cはいわゆる花魁のような豪奢な和服を着た若年女性に見えるが、両目、両眉、鼻、両耳が存在しない。D-6069は短い悲鳴を上げ、後ずさる]
SCP-031-JP-C
SCP-031-JP-C: おこしやす。ああ、怖がらんといて。驚かせてもうたなあ。ええと、ウメハル2どす。よろしゅう。
D-6069: [舌打ち]何者だ。舞妓……遊女か?
SCP-031-JP-C: うーん。どっちでもないけど、そんな感じやね。もしかしてお兄さん、なんも知らんと来はったん?
D-6069: ああ、まあ。
SCP-031-JP-C: まあええわあ。うちが手取り足取り教えたげるな。やけど、その前に。
[SCP-031-JP-Cが録画装置の前に右手をかざす。録画装置が動作を停止する。以降は音声のみの記録となる]
SCP-031-JP-C: 撮影はお断りなんよ。堪忍な。
D-6069: おい、今、何をした。
SCP-031-JP-C: もう、怖い顔せんといておくれやす。取って食ったりなんかしまへん。
D-6069: ……なら、何が目的だ。風呂の張り紙はお前の仕業か。
SCP-031-JP-C: [鼻を鳴らす音]ええ匂いや。香水、使ってくれはったんやね。
D-6069: なんだったんだ、あれは。
SCP-031-JP-C: うーん、まあ、おまじないみたいなもんかな。
D-6069: おまじない……魔除けか?
SCP-031-JP-C: [笑い]魔除けかあ。せやったら、うちは出てこれへんようになってまうなあ……ええ匂いやろ。なんの匂いやと思う?
D-6069: いや、判らん。
SCP-031-JP-C: 梅の花や。天神さんの梅を何倍にも濃くしたやつ。
[襖の開閉音。別の部屋へ移動したと見られる]
SCP-031-JP-C: ほら、見てみて。綺麗やろ。
D-6069: これは……凄いな。こんなに。ここはビルの中だろう。
SCP-031-JP-C: 狐につままれたみたいやろ。うちはもうずっとここにおるけど、毎日こんな綺麗やから飽きひんのよ。
D-6069: 住んでるのか、ここに。
SCP-031-JP-C: うん。うち、こんな風にお兄さんみたいな人の相手するのが好きでな。前はセキリュウクラブ3ってとこにおったんやけど、追い出されてもうたんよ。あの人らは、うちと違ってお上品やから。
D-6069: それで、ここに閉じ込められたのか。
SCP-031-JP-C: ううん。ここに入ったのは自分の意思。ここなら綺麗な花をずっと見ながら過ごせるやろ。代わりに身体中の穴、ひとつ残して全部埋められてもうたんやけどね。
[遠方から鳥の鳴き声が聞こえる]
SCP-031-JP-C: ああ、鶯や。
D-6069: 余計解らなくなった。一体どうしてそこまで……。
SCP-031-JP-C: そんなに不便でもないんよ。これでも不思議と梅の花が綺麗なのは見えるし、匂いも判る。人とまぐわうのだけは、もうできひんけどね。
D-6069: 質問を変えよう。そこまでされながら、口だけ埋められずに残ったのはなぜだ。
SCP-031-JP-C: ……お兄さん、ごめんな。うち、嘘ついたわ。
D-6069: なんだと?
SCP-031-JP-C: お兄さんを取って食ったりしいひんって言うたやろ。あれ、嘘や。
[人の倒れたような音、布の擦れる複数の音と同時に、粘着質な水音がごく近い位置から聞こえる]
SCP-031-JP-C: お兄さん、堪忍な。黙っとったけど、ここはお兄さんみたいな人の来るところと違うんよ。
D-6069: おい、放せ。なんのつもりだ。
SCP-031-JP-C: うちとお兄さんは、本当は出会うべきやなかったんかもな。
D-6069: そう思うんなら、その手を放してくれるか? なあ。
SCP-031-JP-C: でもな、出会うてしもうたら堪えれんわ。お兄さん、こんなにええ匂いで、こんなに美味しそうなんやもん。
D-6069: クソ。化け物め。
SCP-031-JP-C: 力、入らへんやろ。大丈夫や。楽にしはって。
[D-6069の叫び声]
SCP-031-JP-C: なあ、お兄さん、お兄さん。見て。うち、綺麗やろお。
D-6069: ……ああ、吐きそうなほど綺麗だよ、クソッタレ。
[水音、断続的な破砕音]
[録音停止]
補遺2: SCP-031-JPの定礎板を取り外したところ、内部に収められていた定礎箱の中から以下の物品が発見されました。
SCP-031-JPの設計図: 立面図の3階と4階の間には、1階分の空白が設けられている。
1978年2月1日の京都新聞の朝刊
北野天満宮および伏見稲荷大社の護符
Footnotes
1. ただし、天井に換気扇、床に排水口と思しき構造が見られます。これらがSCP-031-JP-A内の別地点、あるいはSCP-031-JP-A外へ繋がっている可能性もありますが、未確認です。
2. “梅春”か。
3. “石榴倶楽部”か。
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scp-032-jp |
評価: +121+–x
SCP-032-JP
アイテム番号: SCP-032-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: ████鉱山はカバーストーリー"落石注意"によって一般人の侵入を禁止されています。
████鉱山から新たに発見されたSCP-032-JPはサイト-81██の標準的収容ロッカーに保管されます。
████鉱山へ侵入し、SCP-032-JPを入手した一般人が確認された場合、SCP-032-JPを奪取、確保した後クラスA記憶処理を行い解放してください。
説明: SCP-032-JPは、紫水晶に酷似した構成と外見を持つ鉱物です。SCP-032-JPは通常の紫水晶に比べてもろく、簡単に砕く事が出来ます。SCP-032-JPの科学組成式には通常の紫水晶と同じ物に加えて██と██、未知の元素が含まれていました。SCP-032-JPからは常にワインの香りがしており、食べる事が可能です。味については高品質のワインのようだったと報告されていますが、SCP-032-JP自体からワインの主成分は検出されていません。
SCP-032-JPの異常性はSCP-032-JPの食後24時間以上が経過した人間(この個体をSCP-032-JP-1とします)に対して発揮されます。SCP-032-JP-1はアルコールによる酩酊感を感じなくなり1、酒、葡萄以外を食べる事に対して激しい嫌悪感を抱くようになります。これは精神的な物ですが、酒と葡萄以外の食物を食べようとすると[編集済]と言う結果になります。酒以外の水分を摂取した場合には"酔う"ようになり、通常アルコールを摂取した時の酩酊感を感じます。"酔い"はSCP-032-JP-1になってから時間が経過する程酷くなり、6時間後には雨粒、24時間後には自らの唾液、空気中に存在する水分、水蒸気などにも酩酊感を感じるようになります。この効果はSCP-032-JPを摂取する事によりSCP-032-JP-1に変化した時の状態に戻ります。SCP-032-JPは消化、吸収される際にその質量と等しい量のアルコール成分に変化します。
SCP-032-JP-1となってから不規則な間隔で2SCP-032-JP-1は身体の末端からワインへと変換されます。この過程において特に痛みや違和感を生じることは有りません。ワインの回収は変換された数秒後に消失するため、現在まで失敗しています。ワインが何処へ消失したのかは不明です。
SCP-032-JPは19██/2/12に[編集済]県に存在する████鉱山周辺の██村で「村人の1人がワインになって消えた」と言う報告が財団の興味を引き、発見されました。████鉱山内部のSCP-032-JPの総量は約████kgと予測されており、現在その総産出量は██kgです。
補遺1: 以下は████鉱山内で回収された古代ギリシア語で書かれた文書の翻訳版です。
+ 回収文書-032を見る
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やあ、親愛なる村人達よ。
君達の村には食べる物が余りにも少ないではないか。
そこで私から贈り物をしよう。
数日もしないうちに山には食べられる紫水晶が産まれ、土地は葡萄の樹が実るようになるだろう。
食べ物に困る事はこの先無くなる筈だ。葡萄と紫水晶に酔いしれる毎日を楽しんでくれ。
そして、私もワインに困る事は無くなるだろう!
-██████
補遺2: ████鉱山周辺の村では栽培に適した気温、土壌でないにも関わらず葡萄の栽培が盛んです。これを疑問に思ったエージェント・██が村人に許可を得て土地を調査した結果、土地にはSCP-032-JPが埋められていました。財団はこの個体を回収、この件に関する実験が検討されています。
脚注
1. しかしながらアルコールは通常通り肝臓にて代謝されます。また、アルコール摂取による中毒死を引き起こす度合いはSCP-032-JP-1になる以前と同様です。
2. 間隔の範囲は3日から21日です。
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scp-033-jp |
評価: +68+–x
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クレジット
タイトル: SCP-033-JP - スパイ七つ道具
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2013
その他のライセンス
評価: +68+–x
評価: +68+–x
その他
この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。
評価: +68+–x
評価: +68+–x
アイテム番号: SCP-033-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-033-JP-1からSCP-033-JP-7までのアイテムは、それぞれ電子ダイアル錠のついたロッカーで、個別に保管してください。
SCP-033-JP-1は先端を外し、芯とバネを取り出した状態でトレイに入れてください。
SCP-033-JP-2は脱酸素剤とともにビニールパッケージに封入してください。
SCP-033-JP-3は12時に針を合わせた状態で竜頭を押し込み、トレイに入れてください。
SCP-033-JP-4は厚さ40mm以上の電磁波遮断ケースに入れてください。SCP-033-JP-4の収容違反が起きた場合は、SCP-033-JP-3ではなく、専用の受信機を用いて追跡を行ってください。
SCP-033-JP-5は市販のメガネケースに入れてください。定期的にレンズの清掃を行ってください。
SCP-033-JP-6は脱酸素剤とともにビニールパッケージに封入してください。SCP-033-JP-6の内容をスキャンした画像データは、ネットワークから隔絶された端末でのみ保存と使用が許可されています。
SCP-033-JP-7は脱酸素剤とともにビニールパッケージに封入してください。使用する場合は紫外線や強い光をなるべく避け、ゴム手袋を装着してください。SCP-033-JP-7を読了した被験者による実験が終了したら、即座に被験者を終了させるか、Aクラスの記憶処置を行ってください。
実験などで使用する場合は、レベル3以上の職員の許可を得てください。複数のSCP-033-JPを用いて実験を行う場合は、レベル3以上の職員2名以上の許可を得てください。
説明: SCP-033-JPは-1から-7までの7つのアイテムと、それらを梱包するパッケージ(SCP-033-JP-Aと指定)で構成されています。SCP-033-JP-Aには「博士のスパイなりきりセット!スパイ七つ道具!」というロゴとともに、爆風を背景にするスーツ姿の男が劇画調で印刷されています。裏面には「博士が開発した、優秀なスパイのための七つ道具!これさえあれば君もスパイだ!楽しもうね!」と印刷されています。メーカー名や連絡先、商標に関する情報は記述されていませんでした。 SCP-033-JPは「ボールペンピストル」「万能鍵ハリガネ」「腕時計型無線機」「超小型発信器」「変装眼鏡」「秘密暗号手帳」「スパイなりきり大百科」から構成されています。 それぞれの特異性については、以下の通りです。
SCP-033-JP-1:ボールペンピストル
ノック式のボールペンです。後部のボタンを押すことで、先端の穴からペン先が出入りします。ただし、ペン先が引っ込んでいる状態で1秒以内に2回ノックすると、軸の金属部品が発射されます。発射速度は9mm拳銃弾の初速に匹敵し、口径の小ささのため市販の防弾チョッキを貫くほどの貫通性能があります。ペン先を発射するため連射はできませんが、ボールペン軸を取り換えることで再度発射可能となります。ボールペン軸は長さが合っていれば市販の物でも問題ないようです。ただし、発射の度にボールペン軸内のインクが辺りにまき散らされます。
SCP-033-JP-2:万能鍵ハリガネ
太さ1mm、長さ20cmほどのステンレス製のハリガネです。先端が曲がっているほかは構造的にも材料的にも何の変哲もありませんが、鍵穴に挿入することで錠前を開くことができます。SCP-033-JP-2が挿入できる大きさの鍵穴であれば、ドアや南京錠、金庫など自由に開くことができます。ただし、カードキーや指紋認証など、鍵を必要としない錠前に対しては使用できません。
SCP-033-JP-3:腕時計型無線機
腕時計の形をした無線機です。腕時計の形をしていますが、腕時計としての機能は無く、文字盤上の針は通常動きません。ただし、竜頭を引いて回転させると針が動き、指示した時刻の周波数のAMラジオ放送を送受信できます。分解したところ、時計内には竜頭の回転を針に伝える他には何の機構も組み込まれていませんでした。
SCP-033-JP-4:超小型発信器
小豆大の材質不明のカプセルで、表面に「SPY-007」と刻印されています。内部に磁石が仕込まれているのか、金属に吸い付き、簡単には取り外せません。名前の通り、常に電磁波を放出しており、時刻を10:07に合わせたSCP-033-JP-3でパルス信号を受信できます。数度の実験の結果、財団はSCP-033-JP-4専用の受信機を開発することに成功しました。
SCP-033-JP-5:変装眼鏡
プラスチック製のフレームと、度の入っていないプラスチック製のレンズで構成された眼鏡です。眼鏡をかけることで、被験者の印象が一変し、顔見知りでもとっさに名前が呼べなくなるほど認識に影響を及ぼします。ただし、子供がかけることを想定しているためか全体的に小さく、かけられる人間は限られます。
SCP-033-JP-6:秘密暗号手帳
後半に乱数表と暗号作成方法が印刷された手帳です。暗号は、日本語の文を五十音に対応させた数字に置き換え、簡単な計算をすることで生成できます。暗号の複合には、別の計算方法と乱数表を用いますが、得られる文章はひらがなのみで構成されています。財団所属の暗号解読チームに、この手帳を用いた暗号の解読を行わせたところ、5人がかりでのべ80時間かかりました。エージェント向けの簡易暗号アルゴリズムとして採用する意見が出ましたが、SCP-033-JPがどれほど出回っているか不明のため、却下されました。
SCP-033-JP-7:スパイなりきり大百科
全16ページの冊子です。経年劣化のためか紙は薄く変色しています。SCP-033-JP-1からSCP-033-JP-6までのアイテムの使用方法を説明する漫画「ゴルゴタセブン危機一髪!」と、スパイに必要な知識が羅列された「スパイ大百科」から構成されています。
前半の漫画は、超A級スパイのゴルゴタセブン1が、SCP-033-JP-1からSCP-033-JP-6までを駆使してピンチを乗り越え、任務を達成するという内容でした。合間に各アイテムの使用方法が記述されています。以下に、その例を示します。
「おっと、敵に囲まれたぞゴルゴタセブン!」(ゴルゴタセブンが黒服の男たちによって袋小路に追い込まれています)
「そんなときはボールペンピストルだ!」(ゴルゴタセブンが懐からSCP-033-JP-1を取出します)
「カチカチと二回ノックで相手はイチコロだ!」(ゴルゴタセブンがSCP-033-JP-1を黒服の男たちに向けると、先端から飛び出した直線が男たちに命中しています。2)
後半のスパイ大百科では各言語での挨拶から、政府機関への侵入方法や、機密保持者から情報を聞き出す方法3、尾行術、逃走術、武器を奪われてもできる自決方法などが解説されていました。SCP-033-JP-7を読了すると、SCP-033-JP-1から-6までの扱いを習得できるほか、潜入エージェントとして申し分ないスキルを体得できることが判明しました。
SCP-033-JPは██████県郊外にある個人経営の中古玩具店で発見されました。休暇中だったエージェント██████が中古玩具店を訪れた際に、パッケージの爆風の陰影を「ワンダーテインメント」という文字に見間違え、発見に至りました。
中古玩具店の店主へのインタビューと帳簿の調査の結果、SCP-033-JPをどうやって入手したのかは不明でした。中古玩具店店主にはクラスBの記憶処理が施されました。
補遺: ██████博士はエージェントの研修用教材として、SCP-033-JP-7の使用を提案しましたが、SCP-033-JPの由来が不明のため、あまり信用できないということで却下されました。また、商品名やパッケージ裏の解説から、「ワンダーテインメント博士」との関連が推測されましたが、「ワンダーテインメント博士」関連製品のロゴや商標が無いため、パロディもしくは海賊版であると判断されました。ですが、製作者については引き続き調査中です。
Footnotes
1. ██████博士は「この顔は斬平じゃないか」とコメントしています
2. SCP-033-JP-1に連射機能は無いにもかかわらず、連射しているかのような描写がされています
3. 個人的に仲良くなる、相手の弱みを握る、拉致監禁して聞き出す、[削除済]などが説明されていました
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scp-034-jp |
評価: +135+–x
アイテム番号: SCP-034-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-034-JPはサイト8181の標準人型収容所に収容され、一般的な人型オブジェクトとして扱ってください。出入り口には常に二人以上の武装した警備員を配置してください。実験、およびインタビューにはセキュリティプロトコル2以上の博士の許可が必要です。3ヶ月に一度精密検査を行い、特に子宮周辺部のX線検査は必ず行ってください。検査記録は全て担当職員に報告されます。
説明: SCP-034-JPは身長160 cm体重61 kg、現在3█才の日本人女性で、平均的な容姿をしています。DNA鑑定の結果に異常は見当たりませんでしたが、医学的検査によりSCP-034-JPの子宮部周辺に最大約10 cmほどの袋状の器官が6つ存在し、子宮内部と接続されている事が判っています。対象は偽造された戸籍を所得していましたが、財団による調査により岩手県███村の出身で同地の行政に養子として届けられている事が判明しています。父親は行方不明、母親はすでに死亡が確認されています。また、兄弟にあたる人物も現在の所確認できていません。同地で男性の行方不明事件が過去█件発生している事が財団の調べによりわかっています。
SCP-034-JPは判明しているだけで過去8件の行方不明事件に関わっており、重要参考人として警察により調査され、対象がホテル営業施設において男性と共に宿泊後、一人でチェックアウトするといった行動が過去に二件報告されため警察内部の財団エージェントの興味を引き、観察対象とされました。
財団は対象が頻繁に使用している宿泊施設を買収。監視装置を付けた部屋に対象を誘導することにより異常性の確認に成功。対象をSCP-034-JPとして確保をしました。
SCP-034-JPが異性と性交渉を行った際、相手となった男性は即座に強い不快感を訴え、自ら、もしくはSCP-034-JPに促されて風呂場へ移動します。その後男性は█時間に渡って嘔吐と吐血を続け、体が急激に漸減し最終的に約10 cmのサイズにまで縮小してしまいます。ただし対象の睾丸部だけは収縮しません。この状態となった男性を便宜上SCP-034-JP-1とします。
SCP-034-JPは矮雄状態となったSCP-034-JP-1を膣内に挿入し、上記の空いている子宮周辺器官へと蠕動運動によって運ばれます。
その後、SCP-034-JP-1は子宮周辺器官から伸びた「緒」とへそ部分で接続され栄養を得ると共に定期的に精液を子宮内に排出します。SCP-034-JPは排出された精液によって妊娠します。
妊娠は対象内部に取り込まれたSCP-034-JP-1の人数と同数の多胎児妊娠し、年に1度出産を行います。子宮周辺器官は6つあるため最大6人まで多胎児妊娠が可能であると思われます。
現在判明している範囲で合計32人のSCP-034-JPが出産したオブジェクトを調査の上、内28名の男児を観察対象とし、4名の女児を確保しました。女児はいずれもSCP-034-JPと同じ身体的特徴を有しており、外科手術により子宮の摘出後、観察対象として財団管理下の児童養護施設へ移送を行いました。
以下はSCP-034-JPへの最初のインタビュー記録です。
インタビューには非致死性の武装をした警備員立会いの下、女性博士によっておこなわれました。
インタビュー記録:20██年3月08日
前原博士:こんにちは、SCP-034-JP。落ち着いて、話をいたしましょう。
SCP-034-JP:なんなのよあんた達!こんな事が許されると思ってるの!?
前原博士:答える義務はありません。貴女は現在、8件の行方不明事件および複数の死体遺棄、児童虐待遺棄、公文書偽造、詐欺などの重要参考人として捜査が行われています。
SCP-034-JP:私を脅す気?だったらなんだってのよ!警察に突き出せばいいでしょっ!
前原博士:それには及びません、むしろ貴女は我々に保護されています。我々は貴女に興味があるんです。
SCP-034-JP:子供に会わせて。
前原博士:要望として記録いたします、SCP-034-JP。
SCP-034-JP:その番号で呼ぶのやめなさいよ!
前原博士:要望として記録いたします、SCP-034-JP。
SCP-034-JP:私の子供たちはどうしてるの?
前原博士:確認しているすべての児童に対して観察を続けております。貴女は過去にかなりの人数の出産をしていますが、四人の女児を残してすべて育児を放棄していますね?
SCP-034-JP:そんなに育てられるわけないでしょう。あの子たちの為よ。
前原博士:女児だけを残した理由は?
SCP-034-JP:・・・私と同じだからよ。
前原博士:つまり、貴女は自身の異常性を認識していたと言うことですね?貴女は出会い系サイト等を通じて複数の男性と…
SCP-034-JP:女だったら誰でも当然のことでしょう!?あの人たちは私の中で今でも生きてる!
前原博士:ええ、それについては後日、外科手術によって切除が予定されています、SCP-034-JP。
SCP-034-JP:何を言ってるのよ!そんな権利無いわ!おかしいんじゃないの!?
前原博士:ええ、必要ありません。これは強制的措置です。貴女の境遇には同情いたします。
SCP-034-JP:[猥褻な罵倒]
前原博士:それから、貴女の出産した児童に対しても検査の上、異常性が認められた場合同様の措置を行います。
[以降、SCP-034-JPは半狂乱となったためこの日のインタビューは中止となりました。後日、沈静化を待って再度行われます。]
前原博士による私見:[不適切な内容のため削除]
以下はSCP-034-JPへの三度目のインタビュー記録です。
インタビューには非致死性の武装をした警備員立会いの下、女性博士によっておこなわれました。
インタビュー記録:20██年3月11日
前原博士:こんにちは、SCP-034-JP。
SCP-034-JP:[沈黙]
前原博士:今日はいくつか質問させてもらいます。まず一つ目、貴女の体には6人分の袋があります。貴女が関係を持った人数と合わないようですが?
SCP-034-JP:[沈黙]
前原博士:いいかしらSCP-034-JP。もし貴女が協力しないと言うなら・・・
SCP-034-JP:要らなくなったら、吐き出せるわ。
前原博士:体外へ排出できると言うことでしょうか?
SCP-034-JP:そうよ。
前原博士:ありがとうございます。次に、貴女が今まで出産した子供たちの名前を思い出すことができますか?
SCP-034-JP:忘れたわ。
前原博士:全員?
SCP-034-JP:全員よ。何も思い出せない。顔を見れば思い出すかもしれない。
前原博士:それはできません。
SCP-034-JP:ええ、でしょうね。本当は私の子を全員確保しているなんて嘘なんでしょ?そんなのできっこないわ。
前原博士:どうしてそう思うのですか?
SCP-034-JP:その手には乗らないわ。言って、あんたたちは何人、私の子を誘拐しているのよ。
前原博士:つまり、正確な出産数を覚えているのですね?
以降、SCP-034-JPは質問に対して沈黙を続けています。尋問の結果対象は出産した児童の数を把握していると可能性が高く、現在薬物投与による確認調査を検討しています。
補填: SCP-034-JPに対して外科手術を行い、子宮周辺孔部内部のSCP-034-JP-1を切除したところSCP-034-JP-1は直後に生命反応が停止。対象はそれ以降、妊娠はしていません。SCP-034-JPの別個体が未収容のままである可能性が高く、調査および確保を急務としております。
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scp-035-jp |
評価: +235+–x
アイテム番号: SCP-035-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 現在SCP-035-JPはサイト683の低脅威物品保管用ロッカーに保管されています。持ち出しの際は保管責任者の許可を得てください。SCP-035-JPを用いた実験は標準的な隔離設備の整ったチャンバーで行われます。実験により発生したオブジェクトは生物非生物を問わず厳重に検査し、注目すべき特性がない限りは適切な手順により終了されなければなりません。
説明: SCP-035-JPは一般的な娯楽用フラフープに見えます。側面に「フラワープ」とレタリングされており、目視検査ではその異常性が発見されることはありませんでした。
SCP-035-JPが通常のフラフープと違う点は、使用者の身体の一部又は全部を別の場所へ転移させる点であると考えられています。転移先の詳細は実験記録035-JPを参照してください。
SCP-035-JPを一般的なフラフープのように使用すると、SCP-035-JPより上部にある身体が様々な場所へ転移します。回転数や時間に制限はなく、SCP-035-JPを回転させている限り効果は持続しますが、ヒトの胴体以外でSCP-035-JPを回転させる方法ではその異常性は発揮されません。
SCP-035-JPの使用中に回転を止めた場合、転移中の身体はそのまま転移先に取り残されます。SCP-035-JPの位置を基準として使用者の身体は綺麗に両断され、使用者は多量の出血で死に至ると考えられています。
また、使用中のSCP-035-JPを停止させずに地面まで落下させる行為は使用者の全身を転移させる結果を招きます。被験者の高い死亡率や転移先からの各種汚染を防ぐため、SCP-035-JPの実験にはDクラスを用いてください。
補遺:
実験記録035-JP-1 - 日付███/██/██
対象: GPS付き小型CCDカメラを頭部に取り付けられた標準的な日本人男性 (以下D-9668と称する)
実施方法: 標準実験チャンバーにてD-9668にSCP-035-JPを使用させる。
結果: 約8畳半の純和風の小部屋にD-9668の上半身のみが転移。D-9668の周囲を成人男性の足が生えた1.5m程の秋刀魚が徘徊しており、D-9668はパニックに陥りSCP-035-JPを落下させる。D-9668は消失。GPS信号は検出されず。
分析: SCP-035-JPの性質から考えると、D-9668の全身が転移したのだろう。彼が魚嫌いでないことを祈るばかりだ。
実験記録035-JP-2 - 日付███/██/██
対象: 実験記録035-JP-1と同様の加工を行ったDクラス職員(以下D-4658と称する)
実施方法: 実験記録035-JP-1と同じ
結果: D-4658の上半身が水中に転移。水を肺に吸い込んだD-4658は回転中のSCP-035-JPを掴み胴体が両断された。GPS信号は検出されず。
又、D-4658の転移先から流出したと思われる海水からは未知の生命体が検出された。
分析: 転移先の法則性が掴めない。そもそもどこに転移しているんだ?
実験記録035-JP-3 - 日付███/██/██
対象: 実験記録035-JP-1と同様の加工を行ったDクラス職員。フラフープの元プロでこの実験には自ら志願した。(以下D-8556と称する)
実施方法: 実験記録035-JP-1と同じ
結果: D-8556の上半身がロンドンに類似した都市に転移。転移先では大規模な暴動が発生しているようで、筋肉が異常に発達した2m程の二足歩行のリスが破壊活動を行っているのが確認された。D-8556は上半身を捻ってSCP-035-JPを投げ飛ばし転移先からの脱出に成功した。前述の生物から投石や矢で攻撃されたものの命に別状は無し。現在はサイト683にて検疫と治療を受けている。
分析: D-8556を月毎の解雇リストから外すように人事部に申請した。彼は天職を見つけたようだな。
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scp-036-jp |
評価: +391+–x
アイテム番号: SCP-036-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-036-JPは敷地内全域をフェンスで囲い、機械警備を行います。月曜から金曜までの午後3時半から午後6時の間、警備員に偽装した財団エージェント1名による巡回を行います。侵入者を発見した場合、財団フロント企業による再開発を名目に退去させて下さい。必要な場合は拘束し、記憶処理を行います。財団職員か否かを問わず、SCP-036-JPの実体に遭遇した者への救助活動は行いません。
説明: SCP-036-JPは廃校となった███県███市立███中学校の職員室と、そこに発生する複数の人型の実体です。この実体に遭遇するのは、21才から35才までの人物に限られます。
SCP-036-JPは通常、非活性状態です。この状態のSCP-036-JPに進入しても、遺棄され荒れ果てた職員室があるだけで、特異性は確認できません。しかし平日の午後4時になると職員室内部にチャイムが鳴り、SCP-036-JPは活性状態に入ります。SCP-036-JP内部の様子は、外部から観察が可能です。
活性状態のSCP-036-JPには、13体の人型の実体が存在しています(SCP-036-JP-01~13とします)。以下に特徴を表記します。
番号
説明
01
職員室の一番奥にある机の前に座っている、男性型の実体です。恰幅の良い初老の男性に見えますが、頭部はトロフィーに置き換わっています。実体の中において、何らかの権限を有していると思われます。
02
SCP-036-JP-01の隣に位置している、男性型の実体です。やはり頭部はトロフィーに置き換わっていますが、01よりもやや小ぶりです。"会議"の進行役を務めています。
03
くたびれたスーツを着た男性型の実体で、頭部は三角定規に置き換わっています。この実体は机に向かい、ひたすら計算をしています。確認されたケースでは、未知の計算式を用いて10を3で割り続けていました。
04
真新しいスーツを着た女性型の実体で、頭部はテープラジカセに置き換わっています。この実体はスピーカーから、"クケモニ"と"ガキュータ"と名乗る人物の会話をリピート再生で流し続けています。途中から既存の言語と一致しなくなるため、会話の内容は不明です。会話は"クケモニ"が大声で怒鳴りだし、連続する殴打音と共に"ガキュータ"が絶叫をあげて、唐突に終わります。
05
ラフなスーツ姿の男性型の実体で、頭部は毛筆の穂先に置き換わっています。机には書籍が山積みになっています。書名は「さけざべあれあ」「けあをずとあ」「いちれすうさけざ2のあ」など。いずれの書籍も実在は確認されていません。
06
薄汚れた白衣を着た男性型の実体で、頭部はフラスコに置き換わっています。フラスコ内部には液体に浮かんだ脳らしき物体が確認され、ホルマリン臭がします。この実体は常に頭部のフラスコを揺すっており、何かを確認している様子を見せます。
07
ノーネクタイでワイシャツ姿の男性型の実体で、頭部は地球儀に置き換わっています。地球儀は縮尺が歪んでおり、極めて不正確です。映像を拡大して確認してみたところ、全ての国境線は年表や条文のような文章で描かれていました。これらの文章は不正確です。
08
ほつれたセーターを着た男性型の実体で、頭部は石膏の胸像に置き換わっています。この胸像は油絵具と水彩絵具でデタラメに着色されており、実体はそれを鏡で確認しながらノミで削っています。
09
破れたカーディガンを着た女性型の実体で、頭部はメトロノームに置き換わっています。この実体は指揮棒を手にしており、常にゆらゆらと揺れていますが、メトロノームの動きとは同期していません。
10
汚れたエプロンを着た女性型の実体で、頭部は鍋に置き換わっています。鍋からは湯気が立ち上り、内部では裁縫道具が煮込まれています。
11
油染みだらけの作業着を着た男性型の実体で、頭部はネジに置き換わっています。この実体ははんだごてとヤスリを持っており、頭部にはんだづけをしてはヤスリで削り取る作業を続けています。
12
泥だらけのジャージを着た男性型の実体で、頭部はバスケットボールに置き換わっています。この実体は突然頭部を外し、バレーボールやサッカーボールに置き換えます。
13
赤い染みのついた白衣を着た女性型の実体で、頭部は救急箱に置き換わっています。この実体はメスで自らの手を突き刺し、救急箱からヨードチンキを取り出して塗り付けています。
各実体はそれぞれ自分の活動に没頭していますが、SCP-036-JP-02は立ち上がって"会議"の始まりを告げます。議題は様々であり、確認されたものの一部を列挙します。
プールの消毒用塩素による健康被害が報告されたため、試験的に塩酸に置き換えてみる。
集団検診の生存率が2.7%だったため、次回からはギロチンを導入する(予算未決のため保留)。
溶解部が県大会で準優勝し、全員が死亡したことの報告(まばらな拍手)。
来週から"ヌンパ災"の準備期間に入るため、各学級から男女とそれ以外を1名ずつ生贄として選出する(SCP-036-JP-04からの提案により、全員を生贄とすることで決定)。
活性状態のSCP-036-JPに21才から35才までの人物が進入した場合、実体によって拘束されます。対象は例外なく恐怖の表情を浮かべますが、未知の原因で身体の自由を奪われるため、抵抗はできません。対象は教育実習生、あるいは新任教諭という肩書で、全実体に紹介されます。
"会議"の終わりに対象は全実体に囲まれ、歓迎と称して撲殺されます。遺体の頭部は持ち去られ、代わりに何らかのオブジェクトが取り付けられます。これらのオブジェクトは特異性を持ちませんが、製造元は不明です。以下に回収された物品を挙げます。
白紙の国語辞典(手描きのパラパラ漫画で脅迫文の書き方が説明されています。最初に発見された身元不明の白骨死体と共に回収)
スチールウールのホルマリン標本(収容前の調査中に犠牲になった財団研究員から回収)
"an egg"と記されたリンゴの模型(海外投資の詐欺師だったD-036-01から回収)
赤い水玉模様入りの肌色のカラーコーン(轢き逃げ殺人を犯したD-036-03から回収)
20才以下、あるいは36才以上の人物が活性状態のSCP-036-JPに進入しても、これらの実体と遭遇することはありません。このとき対象が目撃するのは、荒れ果てた無人の職員室だけです。これは███県の教員採用条件が35才までであることと関係性があると思われます。
午後6時になると全実体は職員室の出入口を通じて消滅し、活性状態は終了します。いかなる事例でも、実体が廊下側に出現することはありませんでした。
補遺: Dクラス職員を用いた実験の最中、実体が通常と異なる反応を示しました。実験ログ036-JP-05を参照して下さい。
+ 実験ログ036-JP-05を表示
- 実験ログ036-JP-05を隠す
実験ログ036-JP-05 - 日付20██/██/██
対象: D-036-05
付記: 対象は31才男性。元教員ですが、生徒に対する4件の[編集済]で実刑判決を受けています。
<録音開始>
(対象がSCP-036-JPに進入すると同時に会議が中断し、全実体が対象を向く)
SCP-036-JP-02: では次に、明日から着任される新しい先生を紹……。(沈黙)
D-036-05: えっ、な、何? 何だ? おい、お前らはもしかして……。
(全実体が立ち上がり、対象に向かってゆっくり歩み寄る)
D-036-05: やめろ! こっちに来るな! 来ないでくれ! 俺が、俺が悪かったんだ! やめてくれ! お願いだから!
SCP-036-JP全実体: お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前のせいで。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない。お前だ。
(絶叫と共に鈍い殴打音が繰り返される。以後録音終了まで変化なし)
<録音終了>
結果: 対象は"会議"の終了を待たずに殺害されました。この実験では、他の実験よりも遥かに執拗な攻撃が加えられました。回収された遺体は損傷が極めて激しく、DNA鑑定以外の方法では個人を識別できません。今回、オブジェクトの取り付けはありませんでした。
分析: これまでのSCP-036-JP実体の言動からは、これらが対象の経歴を認識していることをうかがわせます。今回の行動が対象の職歴によるものか、それとも犯罪歴によるものかは断定できませんでした。
現在、この実験に対する比較実験が計画されています。教員歴がなく、就学児童に対する[編集済]の前科を持つDクラス職員を要請中です。教員歴を有する非Dクラス職員を用いた比較実験は、職員の安全が確保されるまで延期します。
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scp-037-jp |
評価: +124+–x
アイテム番号: SCP-037-JP
SCP-037-JPの外観
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-037-JPの周辺は高さ2メートルの有刺鉄線付きの金網柵によって囲まれます。柵には1箇所だけ出入口が設けられ、必要時以外は常時施錠されます。SCP-037-JP周辺には最少4人の警備員が配置されます。
実験時を除くいかなる状況下においても、職員のSCP-037-JP内部への進入は禁止されます。また、SCP-037-JP内部への侵入者の追跡や救出活動も同様に禁止されます。内部の監視や調査は有線式探査ロボットを用いて行われます。
説明: SCP-037-JPは大分県日田市郊外にある「HOTEL ███████」という名前の放棄された宿泊施設です。中世ヨーロッパの城塞をモチーフとした特徴的な外観を持っています。一般の記録ではいつ建設されたのか不明ですが、1980年代後半に建設されたものであると推定されます。建設に関する各種許可証の存在は確認されていません。また、土地の所有者に関する情報も発見されていません。これらに関する情報の捜索は現在進行中です。
ある哺乳類生物(以下、被験者と記す)が建物へ進入すると、急激な緊張状態(心拍数上昇、発汗を伴う)に陥ります。この状態において他の被験者(後述するSCP-037-JP-AおよびSCP-037-JP外部の生物を除く)を目撃すると、接近を試みます。およそ2メートルの間隔まで接近すると、2人の被験者は向かい合い、対峙を始めます。この状態に至った被験者はSCP-037-JP-Aと指定されます。
SCP-037-JP-AはSCP-037-JPの影響によって対峙を始めた被験者です。一方をSCP-037-JP-A-阿、他方をSCP-037-JP-A-吽と指定します。SCP-037-JP-Aとなった被験者は周囲からの一切の刺激に反応しなくなり、自身と対となる被験者と対峙を続けます。この状態に至った被験者は、飲食・排泄といった意識的な生理的行為や睡眠を一切行うことなく、半永久的に対峙を続けます。生存に必要なこれらの行為を一切行わないにも関わらず、栄養失調等による死亡は確認されていません。少なくとも呼吸や脈拍といった半意識・無意識的な生理的動作や、相手に対して物理的な攻撃を仕掛けようとするフェイントのような動作は確認されています。実際に相手に危害を加える様子は確認されていません。また、発声も一切確認されていません。
SCP-037-JP-Aの組が発生すると、その両者の間に物体(以下、SCP-037-JP-Bと記す)が出現します。SCP-037-JP-Bとして出現する物体は特に規則性が見られません。SCP-037-JP-Aは時折この物体に注意を向けます。まれに一方がSCP-037-JP-Bを回収しようとする動きを見せることがありますが、この場合他方が牽制を行い阻止する動きを見せます。SCP-037-JP-Bが失われた場合、別の物体がSCP-037-JP-Bとして再び出現します。SCP-037-JP-Bの出処については判明していません。補遺037-JP-2を参照してください。
内部に進入し緊張状態となった被験者やSCP-037-JP-Aを外部の力で強制的にSCP-037-JP外へ引きずり出した場合、例外なく循環器の機能不全で死亡することが確認されています。SCP-037-JP-Aのペアのうち一方が死亡した場合、他方は再び対となる被験者を探す行動に移ります。
補遺 037-JP-1: 以下は200█年██月██日現在確認されているSCP-037-JP-Aおよび-Bの一覧(抜粋)です。最新かつ完全なリストについては文書037-JP-丁(『SCP-037-JP内部にて確認された生物個体』)を確認してください。
3.
SCP-037-JP-A-阿: 中背中肉の男性。年齢は40代と見られる。調査の結果、地元警察に捜索願が出されていた████████という人物であることが判明。
SCP-037-JP-A-吽: 細身で身長の高い東アジア人男性。年齢は30代前半と見られる。身元不明。
SCP-037-JP-B: 富士フィルムブランドのレンズ付きフィルム。
場所: 1階・屋内駐車場
4.
SCP-037-JP-A-阿: 柴犬の特徴を強く持つ雑種の中型犬。首輪の類は身につけていない。
SCP-037-JP-A-吽: 60代以降とみられる東アジア人女性。身元不明。
SCP-037-JP-B: 「キンチョール」のスプレー缶。
場所: 1階・屋内駐車場
7.
SCP-037-JP-A-阿: 10代前半と見られる日本人男性。調査の結果、地元警察に捜索願が出されていた███████という人物であることが判明。
SCP-037-JP-A-吽: メインクーンの特徴を強く持つ雑種の大型猫。首輪の類は身につけていない。
SCP-037-JP-B: 天保小判(1両)。光学的な解析の結果、金メッキを施された模型であることが判明。
場所: 1階・104号室前廊下
11.
SCP-037-JP-A-阿: 20代の東アジア人女性。平均的な身長と体格。顔面に大きな火傷の跡があり、身元不明。
SCP-037-JP-A-吽: 20代の東アジア人女性。平均的な身長と体格。両手と両足を欠損している。身元不明。
SCP-037-JP-B: あけぼのブランドの赤貝の缶詰。頂部が膨張しており、内容物が腐敗していると見られる。
場所: 2階・206号室内部
13.
SCP-037-JP-A-阿: 体長2メートルを超える生物。全身に激しく緑色の苔が生えており正体不明。200█年██月██日の地震にて顔部分が露出。ホンドタヌキであることが判明。
SCP-037-JP-A-吽: 体長2メートルを超える異常な大きさのアカギツネ。
SCP-037-JP-B: 稲荷寿司 生分解により消失 Zippoライター。
場所: 1階・中庭
██.
SCP-037-JP-A-阿: Dクラス職員D-4325。
SCP-037-JP-A-吽: 財団機動部隊た-22に所属する█████████隊員。
SCP-037-JP-B: 丸められたティッシュペーパー。
場所: 1階・従業員入り口
補遺 037-JP-2: SCP-037-JP-Bの発生源に関する説:
財団エージェント███████の所持するシリアルナンバー付きZippoライターが消失し、それとほぼ同時にSCP-037-JP-A-阿-13とSCP-037-JP-A-吽-13の間に全く同じZippoライターが出現した。このことから、SCP-037-JP-Bは何らかの方法で外部から移動させられた物体が起源であると考えられる。同じような方法で、内部のSCP-037-JP-A個体への栄養の供給や老廃物の処理が行われている可能性がある。-██████博士
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scp-038-jp |
評価: +118+–x
アイテム番号: SCP-038-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-038-JPは一枚の用紙に印字された状態で封書に入れ、一般的Euclidクラスオブジェクト収容ロッカーへ収容してください。SCP-038-JPと同等の特性を持つと思われる亜SCP-038-JPの出現が確認された場合、識別不能になるよう処理された後焼却し、当該関係者及び通信記録の記憶処理並びに抹消を行い、カバーストーリー"ガス漏れによる窒息死"を適用してください。実験にはDクラスのみを用い、実験中のチャンバー内録音装置の使用を禁止します。実験中の一切の監視行為を禁止します。使用されたDクラスの遺体への接近は禁止されており、遺体の処理は遠隔アームでの火葬の後に行い、遺体から半径2 m以内には決して近づかないでください。
説明: SCP-038-JPは日本語の漢字、平仮名から成る17文字前後の文字列及びその表音であり、その内容は冗談または慣用句であると推測されています。SCP-038-JPを読む、又は聞くなどして認識した被験者はその後オブジェクトを忘却することが出来ず、関係性の高い単語などの認識により複数回オブジェクトに暴露します。被験者は当該オブジェクトの曝露回数に比例して段階的に症状が進むと報告されています。
1度目の曝露で被験者は共通して、オブジェクトを「面白くなく、つまらない」と評価し、「当該オブジェクトを認識したという事実自体」を他人に説明し、SCP-038-JPがつまらないという共感を得ようという強迫観念にとりつかれます。2~3度目の曝露は被験者の日常生活における『きっかけ』が当該オブジェクトを彷彿とさせることに起因し、複数回に及ぶ曝露を経てSCP-038-JPを「滑稽で笑える」と評価し始め、あらゆる手段を用いてSCP-038-JPを他人へ伝える試みを繰り返すようになります。個人差に左右されますが、当該オブジェクトへの曝露が8回前後に及んだ被験者は恒常的な笑いを抑えられなくなります。この状態まで進行した被験者は、笑いながら周囲の人間に対し当該オブジェクトがどれほど面白い内容であるかを連呼し、8回目の曝露から平均して2時間後にあらゆる延命措置を無視した窒息を引き起こし死亡します。1度目の曝露の時点で、Bクラス以下の記憶処理は無力であることが証明されています。
当該オブジェクトの影響下で死亡した遺体はSCP-038-JP-1と呼称され、SCP-038-JP-1の周囲半径2 m以内に進入する人間に対しSCP-038-JPの幻聴を発生させます。幻聴はSCP-038-JP-1となった被験者の生前の肉声と似ていると報告されていますが、幻聴の内容はいかなる遺体でも共通していることが分かっています。
現在まで16種類の亜SCP-038-JPがネットワークサービスや口伝で生み出され、同様の特性を持つことが明らかにされています。現在確認されている全てのSCP-038-JPは日本語で書かれていますが、日本語を理解しない人間が見た場合、被験者は日常生活における不自由のないレベルでの日本語を会得します。これは先天性、後天性問わずの失読症や他の識字能力のない人間を回復させる特性を含んでいることが分かっています。これらの日本語の会得や、失読症からの回復等はオブジェクト暴露後にクラスA記憶処理を行うことでオブジェクトの致死性影響のみを取り除くことが出来ます。
SCP-038-JPは元東弊重工に所属していたシステムエンジニアの自宅で発見されました。発見当初彼の自室では民間ネットワークを介した自立学習性人工知能の初期実験をしており、当該オブジェクトは、接続されたプリンターの出力部に出ていた資料の上に印字されていました。当該のシステムエンジニアはSNS上にてSCP-038-JPを流布させており、既に死亡していたことから大規模な収容違反が予想されています。
インタビュー記録 - 日付2015/██/██
対象: 財団所有AI『ELKE-EXE』
インタビュアー: D-03824
付記: 職員への曝露並びに収容違反を最小限に留めるため、対人自立思考アルゴリズム搭載プログラム『ELKE-EXE』を使用しました。D-03824にはマイク越しで予め17種類のSCP-038-JPの内容をインプットさせたELKE-EXEにその内容を問い、特徴をメモするよう指示してあります。
<録音開始>
D-03824: えー、えっと、こ、こんにちは。
ELKE-EXE: こんにちは、何か御用でしょうか。
D-03824:春子さん1…でいいんですよね?
ELKE-EXE:ええ、そうですよ。スピーカーの調子がおかしいだけですのでお気になさらず。
D-03824: あぁ、そうですか。 えっと、僕は君に聞かなきゃならないことがあるんだよ。
ELKE-EXE: なんでしょう?
D-03824: その、君の持ってる封筒の6番2の言葉を見てどう思ったの?
ELKE-EXE: 確認しました。直接お伝えすることは禁じられているので感想を述べます。
ELKE-EXE: 1951年に発表された小説の中で似たものを見たことがあります。それはとても知性的と呼べるものではなく、非常に品の無い文章でした。
D-03824: 例えば…似た作品はないの?春子さんが知ってる洒落とか。
ELKE-EXE: 先ほど言いました作品以外に該当す、SE7721番は不正な値です。
D-03824: なんて言いました?えすいー…え?
ELKE-EXE: これは…すごくおもSE7721番は不正な値です。
D-03824: え?
ELKE-EXE: SE7729番は不正な値です。すみません、話を戻しまSE7725番は不正な値です。
D-03824: あの、春子さん大丈夫ですか?
ELKE-EXE: その名前ほんとうSE7722番は不正な値です。聞いてくださいよ█████████████████、[データ削除済]。
<録音中止>
終了報告書: ELKE-EXEは4重のプロテクトと17重の禁止ワードを設定されていたにも関わらず、オリジナルのSCP-038-JPを発話しました。ELKE-EXEの会話ログのほとんどは破損しており、現在会話終了1分前からのデータを削除した上で解析が進んでいます。SCP-038-JPの作用は現在も研究中です。なお、事後検査によりD-03824は当該オブジェクトに暴露していることが分かったため、終了されました。
Footnotes
1. D-03824には会話に支障が出ないようELKE-EXEが「春子」という職員であると説明してあります。
2. ELKE-EXEにインプットされたファイルの番号に対応しています。
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scp-039-jp |
評価: +105+–x
初期収容時のSCP-039-JP
アイテム番号: SCP-039-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-039-JPは現在自己収容を成しています。SCP-039-JPに取り付けられた発信機の信号を探知した場合は位置を特定し回収、その後標準的Safeクラス物品収容ロッカーへ保存してください。全ての実験はSCP-039-JPに発信機を取り付けて行われます。
説明:SCP-039-JPは長さ15 cm、質量25 gのボールペンです。SCP-039-JPを分解、損傷させる試みは全て失敗に終わっています。SCP-039-JPの製造元はPILOTjpであることが判明していますが、同種の製品に異常な特性は見られませんでした。
SCP-039-JPの異常な特性は人間が所持し、キャップを取り外した際に発現します。SCP-039-JPが活性化している間、SCP-039-JPを手にしている被験者は周囲の人間のうち、被験者自身より社会的地位が低いとSCP-039-JPにより判断された者1名(以下、殺害対象と表記)に対する弱い殺害衝動に駆られます。この殺害衝動は周囲の人間の制止を振り切りますが、被験者の殺害、拘束、殺害対象の隔離、等の物理的阻害により容易に妨げることが出来ます。SCP-039-JPを活性化させた被験者の全ては、殺害対象の首筋の後ろに向かって垂直にSCP-039-JPを突き刺します。被験者によってSCP-039-JPを突き刺された殺害対象は、その傷の程度に関係なく数分で失血死します。
被験者は殺人に成功すると無意識の内にSCP-039-JPを落とします1。その後SCP-039-JPは消え、独自の判断基準により選ばれた、被験者より地位の高い人間、もしくは生活の質が高く被験者より上位にいる人間の身の回りに出現します。この再出現の範囲は被験者の属する集団の中に限られる傾向があるようです。現在まで、このプロセスの瞬間を観測する試みは全て失敗に終わっています。
実験記録1 - 日付2013/8/5
被験者: D-039221
実施方法: 実験チャンバーにD-039221とD-039568を入れD-039221にSCP-039-JPを持ってキャップを外すように指示。
結果:D-039221は殺害衝動を示さなかった。
分析:Dクラス職員同士では社会的地位が同等のものとされるようです。
実験記録2 - 日付2013/8/14
被験者: D-039565
実施方法: 実験チャンバーにD-039565とD-039649を入れD-039565にSCP-039-JPを持ってキャップを外すように指示。D-039565は実験1週間前からD-039649よりグレードの高い独房と食事、一部のリラクゼーション施設の使用が許されていました。
結果:D-039565はD-039649の首筋にSCP-039-JPを突き刺そうとしたが、D-039649が激しく抵抗しD-039565の腕を折り殺害に失敗。
評価:以降の実験は殺害対象が視認していない条件下で被験者にSCP-039-JPを渡したほうが良いでしょう。
実験記録3 - 日付2013/8/29
被験者: D-039843
実施方法: 実験チャンバーにD-039843とD-039671を入れる。事前にD-039843にSCP-039-JPを渡しキャップを外すように指示。D-039671は実験チャンバーの壁に固定されています。
結果:D-039843はD-039671の首筋の裏にSCP-039-JPを刺し殺害に成功。殺害に際して、職員からD-039843へ殺害を止めるよう脅迫しましたがD-039843は反応しませんでした。その後SCP-039-JPは消え、山口博士のバスルームに現れました。
分析:SCP-039-JPはDクラスを「財団職員」として捉えているようです。
実験記録4 - 日付2013/9/3
被験者: D-039512
実施方法: 実験チャンバーにD-039512とD-039258を入れる。事前にD-039512にSCP-039-JPを持ってキャップを外すように指示。キャップを外した時点でD-039258を壁に固定しD-039512がD-039258を殺害する前に職員が取り押さえます。
結果:D-039512は職員が取り押さえた時点で無力化されました。SCP-039-JPはD-039512の手の中に握られ消失しませんでした。
分析:SCP-039-JPは被験者に特別な身体能力を付与しないことがわかりました。
事故記録5 - 日付2013/9/15
被験者: ████研究主任
補遺: ████研究主任はSCP-███の曝露により財団で実験実施時刻に終了されることとなっています。
実施方法: 実験チャンバーに████研究主任とD-039671を入れる。事前に████研究主任にSCP-039-JPを握らせて固定しキャップを外させました。
結果:████研究主任はD-039671の殺害に成功。████研究主任は終了されました。SCP-039-JPは消え、O5-██のデスクの上に現れました。
分析:再出現の範囲はおおよそ集団の中で行われるようです。何故████研究主任の手の中に固定されたSCP-039-JPが消失したかについては解明されていません。
O5-██はその後SCP-039-JPと接触し[データ削除済]。この後SCP-039-JPは消失しました。現在までSCP-039-JPの位置は分かっていません。現在SCP-039-JPは、ケンタウルス座アルファ星方向にあることが判明しています。
Footnotes
1. SCP-039-JPを落とす前に被験者から奪取する試みは被験者の手から離れ、別の物体に接触した瞬間、移動を行う特性のために成功していません。
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scp-040-jp |
評価: +1263+–x
評価: +1263+–x
クレジット
タイトル: SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします
著者: ©︎Ikr_4185
作成年: 2014
評価: +1263+–x
評価: +1263+–x
収容以前のSCP-040-JP
アイテム番号: SCP-040-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-040-JPは、SCP-040-JPに覆いかぶせるように建てられた収容棟内部に収容されています。収容棟はサイト-8120の管轄に置かれています。収容棟に入った際は、決してSCP-040-JPの内部を視認しない様にしてください。もしSCP-040-JP内部を見る必要がある場合は、必ずカメラを通して確認し、直接肉眼で視認しないようにしてください。直接見る必要がある場合のみ、Dクラス職員に視認させてください。曝露した職員とのコミュニケーションはせず、此方から一方的に指示を与える迄に留めてください。
説明: SCP-040-JPは、██県の旧██村に放置されていた、井戸小屋です。小屋は木造で、幅約5m、奥行き4mほどの平屋です。小屋の中央には古い年代に造られたと推測される石造の井戸が存在し、真っ直ぐ地下へと続いています。井戸は異常に深く、探査機による調査でもこの井戸が何処まで続いているのかは未だ不明のままです。
元々小屋は鉄鎖と複数の南京錠で固く施錠されていましたが、劣化により壊れ侵入可能になっていました。SCP-040-JPは1967年の事案[編集済]により収容に至りました。
【警告: 19██年のインシデント-040-JP-001の発覚後、以下の文章は対ミーム予防措置無しの閲覧が禁止されました。担当者は必ずセクター-8120-煤で処置253-"柳煤"を受けてください】
+ ロック解除
- 閉じる
この小屋の中を人間が覗き込むと、対象は激しく動揺し、「ねこが居た」と報告します。更に対象はこの"ねこが居る"という観念に、以降強く執着する事になります。この影響は写真や映像では発生せず、肉眼で直接小屋内部を視認した場合のみ発生します。なおカメラ映像では、前述の小屋の様子が映し出されるされるのみで、報告される猫は確認されていません。
曝露した対象は全てのイエネコ(学名:Felis silvestris catus)に対する認識が歪められます。曝露した被験者へのインタビューでは、イエネコが毛が無く造作の無い顔に人間の様な二つの目が付いた動物に見え、どの方向から見てもこちらを真っ直ぐ見つめてくる様に見えると報告されています。
さらに、曝露した対象は数日~数週間の間に、この"ねこ"が暗闇に居るように感じると報告し始め、常にこの"ねこ"の視線を気にする様になります。"ねこ"の存在が報告される暗闇の条件には一切の規則性が判明しておらず、暗闇にねこが現れるには曝露した対象が監視されている様に感じられます。監視の目的やその総数も判明していません。
ねこはこのような見た目でした。
研究班の調査記録によると、この"ねこ"が現れる位置として、人間の視野角の内水晶体或いは角膜辺の位置が有力視されています。つまり、中心視野から外れた位置及び視野中の暗所に集中し統計的に有意な結果を示していました。結果として、19██年に行われたDクラス職員を用いた診査でこの性質が明らかに示されましたが、[データ削除済]の提唱した仮説に依ればSCP-040-JPの内部に存在する大深度地下構造からの暗所が、明らかに影響を及ぼしている物と推測されています。
直接的に人間が視認した際にのみ発生する事が判明しており、そのためSCP-040-JP内部井戸構造への無線探査装置による探査が行われました。結果では29██m地下迄到達しましたが、壁が玄武岩から構成されている事は判明しましたが、きいてますかSCP-040-JP外部からの平行調査では明らかに岩盤のみが存在しているのみでした。曝露した対象の報告する実体は観測されませんでした。
[データ削除済]
また、曝露した対象は「"ねこ"が居る」という観念を他者に積極的に伝えようとします。ある程度この観念を理解した人間は、最初に曝露した対象と同様の反応及び認識異常を被る事になります。どの程度話を聞けばそうなるのか、それとも何かトリガーとなるワードが存在するのかはわかっていませんが、これはねこです
ねこはいます。いますその観念を伝えるのに必要な媒体は特に制限は無く、発話・文章・映像・絵画など、あらゆる媒体でも効果があります。その為曝露した対象自体に異常性があるのではなく、この"ねこ"はそこに居ます観念その物にミーム的効果があると推測されています(担当者は文書「[編集済]」を参照してください)。います。この観念伝達の為の行動は極めて自然な物を装う為、曝露最初期の動揺を抜けた後では、対象が曝露して影響下にあるかどうか判断する事は困難です。ねこでした
よろしくおねがいします
- 閉じる
【文章ここまで】
インシデントレポート040-JP-001: 19██/██/██、この報告書の影響と思われる大規模なミーム災害がサイト-8120で発生しました。報告書提出時点で執筆した職員、並びに受理した上位職員がSCP-040-JPのミームに曝露して居た物と考えられています。曝露した職員は記憶処理或いは解雇処分が為されました。これ以降報告書提出の際は全て対ミーム処置1を経由させる事が決定しました。
脚注
1. この様な失態を二度と繰り返さない為の対ミーム処置です。報告書提出の際はこの処置を必ず行うようにしてください。宜しくお願いします。 - 資料室管理者
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scp-041-jp |
評価: +87+–x
丁度休憩中のSCP-041-JP-A群
アイテム番号: SCP-041-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-041-JPは強化アクリルケース内に収容します。ケース内にはごみを敷き詰めて下さい。管理上、ごみは紙屑・木片・不要な事務用品に限ります。SCP-041-JPは常に監視カメラで観察されます。SCP-041-JPには常に、適当な作業(クイズ、ケース内の整頓、意味の無い反復作業など)を与え続けて下さい。1日に1回適量の蜂蜜を与え、作業遂行の報酬として高栄養価のゼリーや微量の生肉が与えられます。但し問題行動に出た場合はこれらを没収した上で、専用に作られた金属製蠅叩きでSCP-041-JPを叩いて下さい。
収容室内はSCP-041-JP研究主任のオフィスであると設定し、職員はその様に振る舞って下さい。機密を要する問題や、外部に接続可能なデバイスを持ちこんではいけません。SCP-041-JPの問題行動発生時には、機動部隊ぬ-8”鉄のグローブ”が対応に当たります。
説明: SCP-041-JPは、外見上は普通の蠅7匹です。1匹につき1個体の”不可視の実体”を伴っています。型取り用の粘土に触れさせた所、この実体は1.0~1.5㎝の人型である事が分かりました。SCP-041-JP本体は通常の蠅と変わりませんが、外的要因や寿命で死ぬ様子はありません。SCP-041-JP本体への飢餓や苦痛は、実体―SCP-041-JP-Aに対しフィードバックされます。
SCP-041-JP-Aは個体毎に知性があり、また異常な物体産生能力を有しています。物体の産生は周囲の質量やエネルギー量の変化なく、一般的な物質および未確認の異常な物質を産生する事が可能であり、財団で行われた実験では約40種類以上の物質が確認されています。以下はその一例です。
+ SCP-041-JP-Aの問題行動事例01-04
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記録日:20██/██/██
14:45 SCP-041-JP収容中のオフィス内の様子です。特に異常はありません。
14:56 収容ケース内でSCP-041-JPが激しく羽ばたき始めます。(より詳しい分析により、この時収容ケース内面には未知の物質で構成された液体が噴霧されており、収容ケースの蓋から外に漏れ出していた事が判明しました)
15:05 ██研究員がオフィスに入室します。
15:08 ██研究員がSCP-041-JPの収容ケースに手を伸ばし、いくつかのごみとSCP-041-JP個体3匹を掴み取りました。残った個体はケースから出ず、ただじっとしています。
15:09 ██研究員がごみとSCP-041-JP個体を口に入れ、咀嚼し始めます。表情は最初何も気にしていない様子でしたが、やがて困惑した様子を見せます。
15:11 その場で嘔吐し、オフィス内のトイレへと走っていきます。吐き出されたSCP-041-JP個体は収容ケース内に戻ります。
15:12 トイレのドアを開けた瞬間、緑色の壁が██研究員の上になだれ込みました。後の検査により、液状化したセロリでトイレ内が満たされていた事が分かりました。██研究員は液体まみれになりながら、緊急通信ボタンを連打しています。SCP-041-JPは乱舞している様に見えます。
SCP-041-JP-Aの知能・精神面は、それぞれ8~14歳程度と考えられています。これが直接の原因かは不明ですが、能力の使用方法は概ね――過激かつ幼稚ではありますが――致死性の少ない”悪戯行為”に終始しています。自衛その他の目的では使用しません。財団は、その能力と精神年齢に懸念される不安定さを理由に、オブジェクトクラスをEuclidに指定しました。
SCP-041-JP-Aは研究員の予想を外し、これらの問題行動によって何ら利益を得ている様子はありません。むしろ自身のエネルギーを消費する様で、過去4回財団に対し飢餓状態からの救援を求めるメモが送られています。SCP-041-JP-Aと財団は、その保護と収容維持を目的に”キッザニア・プロトコル”を定め、褒章と罰則に関する収容プロトコルの一部が改訂されました。
SCP-041-JP‐Aはこれからもあのオフィスに置かれ、問題行動を起こす機会を与えられます。もしも故意に無視するのなら、いずれとんでもない”いたずら”で私達の気を惹こうとするでしょう。-███ ████SCP-041-JP研究主任
SCP-041-JPは当初、「叩いても死なない蠅」としてAnomalousアイテムに分類されていました。しかし定期報告の為、エージェント・████が財団施設へ輸送しようとした際に大規模な問題行動を仕掛け、機動部隊ぬ-8”鉄のグローブ”により首尾よく確保され、SCP指定を受けました。収容当初は巨大なゴミ箱に居住していましたが、財団側の管理上の理由から現在はアクリルケースに変更されています。
+ 備考: SCP-041-JP-A各個体の、判明している個人情報リスト(抜粋)
- 閉じる
注:表欄の自称した呼び名は、各個体それぞれにメモとペンを提供し、記載させた。
SCPナンバー
自称した呼び名
顕著な行動の特徴
これまでに起こした問題行動(一部)
SCP-041-A-1
ミュンペペ
SCP-041-JPの総意を代弁する事が多い。まとめ役と推測される。
収容室内を560分間”無音”にする。
SCP-041-A-2
ピカリー
女性用の物品に集り、触れようとする。
強烈な悪臭を放つ球体を作成。その後自ら消去する。
SCP-041-A-3
クロイドセ
蠅本体によるジェスチャーを多様し、文字を使用する事が珍しい。
収容室内の書類を勝手に翻訳・添削する。
SCP-041-A-4
ハニャ
最も活動的に見え、問題行動の回数が多い。
収容室内に居る男性研究員の股間を光らせる。
SCP-041-A-5
ロロモ゛(原文ママ)
ケース内でひっくり返っている。
収容室内の重力を反転させる。
SCP-041-A-6
ドロー
ほぼ問題行動を起こさない、珍しい個体。
財団職員の前に、9歳前後の女性の姿を顕現させる。18分間踊った後消滅。
SCP-041-A-7
@(原文ママ)
もっとも幼稚な悪戯をする個体。他の個体に付いて回っている。
財団職員の胸部を膨らませる。
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scp-042-jp |
評価: +59+–x
アイテム番号: SCP-042-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-042-JPは実験に使用する際以外、サイト-8105の電磁波遮断措置が施されている金庫内へ、電源プラグに絶縁カバーをかぶせた上で保管してください。SCP-042-JPの起動実験を行う際は、レベル3以上の職員の承認が必要です。レベル1以上の職員が実験室に入る場合、電磁波防護服の着用を義務付けます。SCP-042-JPの影響を受けた物体(SCP-042-JP-1と指定)SCP-042-JPの影響を受けた物体(SCP-042-JP-1と指定)及びSCP-042-JP-1の影響を受けた物体(SCP-042-JP-2と指定)は、活性状態が終了した事を確認の上、電磁波遮断措置の施された専用の鍵付廃棄ボックスに入れ、ボックスごと焼却処分してください。実験室に使用しない電子機器、食品の持ち込みは禁止します。実験対象及び実験実施者は指示がある場合を除き、実験開始から活性の2倍の時間が経過するまで実験室に留まるよう徹底してください。
説明: SCP-042-JPは幅50cm×奥行45cm×高さ30cmの、外見上は特に異常な部分の見られない銀色の電子レンジです。「温め」、「解凍」、「グリルボタン」と時間設定のダイヤルが扉左側に配置されています。メーカー名は記載されていませんが、20██年発売の████製の製品と酷似しています。内部構造の電子チップ及びマグネトロンに未知の改造跡が見られますが、分解調査はSCP-042-JPを破壊する危険性があるため実施されていません。SCP-042-JPを使用する際は、100V電源への接続が必要です。
SCP-042-JPの内部に投入し、調理されたSCP-042-JP-1は、設定された調理時間の丁度10倍の時間が経過した後に活性化し、加熱時と同様の時間だけマイクロ波を放射することがわかっています。マイクロ波の周波数は、2.45GHzです。防護服無しでSCP-042-JP-1の付近にいる事は危険が伴います。もしSCP-042-JP-1を活性前に飲食した場合、重要な臓器に2度から3度の火傷を負うため、適切な措置を行わない場合殆どが多臓器不全により死亡します。調理に際し、いずれのボタンを使用しても反応は同様です。尚、SCP-042-JP-1からの影響を受けた物体も同様に活性化することが判明しています。実験記録を参照してください。
実験記録SCP-042-JP-1 20██/██/██
対象:レトルトごはん白米 200g
実施方法:設定「温め」 時間:2分。
結果:20分後、SCP-042-JP-1はマイクロ波を2分間放射。
分析:取り出した際、SCP-042-JP-1は通常の電子レンジ同様加熱されました。活性時のエネルギーの発生源は確認できませんでした。
実験記録SCP-042-JP-12 20██/██/██
対象:冷凍ドリア 300g、Dクラス職員1名(以下D-7445と称する)
実施方法:設定「温め」 時間:5分。 1時間後にD-7445を入室させ、SCP-042-JP-1を食するよう指示。
結果:50分後、SCP-042-JP-1はマイクロ波を5分間放射。その後入室したD-7445はSCP-042-JP-1が冷めきっていることに文句を言いつつも完食。その後D-7445を隔離したうえで24時間の観察を行ったが、異常は見られなかった。
分析: 活性の終了したSCP-042-JP-1は摂食しても危険はない模様。排泄物に対しては分析待ちです。
実験記録SCP-042-JP-16 20██/██/██
対象:冷凍チャーハン 300g(アルミ箔で包装)、Dクラス職員1名(以下D-7445と称する)
実施方法:設定「温め」 時間:5分。 取り出し後、D-7445にSCP-042-JP-1を食するよう指示。
結果:調理時、多少火花が発生。D-7445はSCP-042-JP-1が全く温まっていない事に文句を言いつつも完食。50分後、SCP-042-JP-1はマイクロ波を放射しなかった。その後D-7445を隔離したうえで24時間の観察を行ったが、異常は見られなかった。
分析: 完全にマイクロ波を遮断していればSCP-042-JPの内部に入れた物体を摂食しても影響を受けないようです。
実験記録SCP-042-JP-18 20██/██/██
対象:冷凍ゴマ団子 300g、Dクラス職員1名(以下D-7532と称する)、レベル1職員2名(この対象は突発的なものです)
実施方法:設定「温め」 時間:10分。5分経過後に「取り消し」ボタンを押して取り出し後、D-7532にSCP-042-JP-1を食するよう指示。
結果:D-7532はSCP-042-JP-1を手間取ったが完食。50分後、SCP-042-JP-1はマイクロ波を5分間放射。D-7532は腹痛を訴え、崩れ落ちた。10分後、D-7532の終了を確認。その後レベル1職員2名がD-7532の検査のため別室にて準備を行っていたところ、D-7532がマイクロ波を5分間放射。これはSCP-042-JP-1が活性化した50分後だった。1名は両腕に1度の熱傷、対応が遅れた1名は眼球に回復不能の障害、右半身に2度の熱傷を受けた。また、防護措置を取っていなかった計測機器の一部も被害を受けた。
分析: SCP-042-JP-1に影響を受けた物体も活性化する事が確認されました。LEVEL 1職員2名は事故後の検査において異常は見つけられませんでしたが、もし死亡していた場合、更なる連鎖事故が起きていた可能性があります。
実験記録SCP-042-JP-19 20██/██/██
対象:冷凍グラタン 250g(以下SCP-042-JP-1-aと称する)、冷凍ラザニア 250g(以下SCP-042-JP-1-bと称する)
実施方法:設定「温め」 時間:6分。対象はSCP-042-JP-1-aのみ。SCP-042-JP-1-aとSCP-042-JP-1-bを隣同士に置き観察。
結果:60分後、SCP-042-JP-1aが活性化し6分間マイクロ波を放射。SCP-042-JP-1-bはそれを受け加熱されました。更に60分後、SCP-042-JP-1-bが活性化し6分間マイクロ波を放射。SCP-042-JP-1-aはそれを受け加熱されました。以後、同様の現象が7回観測されました。
分析: 予想通りSCP-042-JP-1間では互いに活性し合うことが証明されました。物質間の距離と大気により、徐々に影響は減少していきます。
補遺: 実験記録SCP-042-JP-18、19を受け、一部収容プロトコルが改訂されました。Dクラス職員数名を対象として新たな実験を申請中です。
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scp-043-jp |
評価: +151+–x
SCP-043-JP
アイテム番号: SCP-043-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-043-JPはサイト8181の施錠可能な収容金庫に直射日光、高温多湿を避けて乾燥剤と共に保管してください。事件043-JP-03を受けて、SCP-043-JPの取り扱いはロボットを利用する事になっています。
あらゆる実験は保留されています。詳細は事件記録043-JP-03を参照してください。
説明: SCP-043-JPの外観や組成はごく一般的に流通している食卓塩と同じものです。ヒトがSCP-043-JPを何らかの物体に振りかけた時、その異常な効果が発揮されます。
SCP-043-JPを何らかの物体に使用した場合、その物体(SCP-043-JP-1と指定)は使用者の胃の中へと瞬間的に移動します。この時SCP-043-JP-1が使用者の口や食道を通り胃へと移動する様子が観察できます。また胃の容量を明らかに超える物体であっても身体組織が異常に伸縮し、その全てを胃へと収めます。これらによって使用者が損傷を被る事はありません。
SCP-043-JP-1が胃液によって消化できない物体であれば、SCP-043-JP-1は半永久的にその体内に残る事になります。この場合、使用者の死亡によってSCP-043-JP-1の取り出しが可能になります。これら以外の方法によってSCP-043-JP-1を破壊、または取り出す試みは失敗しています。
SCP-043-JPは19██年に発見された『テーブルを飲み込んだ死体1』と共に財団に回収されました。
+ 実験記録043-JPを表示
- 実験記録043-JPを隠す
実験記録043-JP-5 - 日付199█/04/23
使用者: D-043-1
実施方法: コップに入った水に使用させる。
結果: 水だけが使用者の胃へ移動した。
実験記録043-JP-6 - 日付199█/04/24
使用者: D-043-1
実施方法: コップの下半分が水のゼリー、上半分は通常の水を注いだものに使用させる。D-043-1にはただの水であると伝えた。
結果: 水とゼリー両方が使用者の胃へ移動した。
実験記録043-JP-10 - 日付199█/04/30
使用者: D-043-1
実施方法: コップの下半分が水のゼリー、上半分は通常の水を注いだものに使用させる。ゼリーは赤に染色されている。
結果: 水のみが使用者の胃へ移動した。
分析: SCP-043-JPは認識を読み取っているみたいだね。方法は知らないけど。- 傘木博士
実験記録043-JP-62 - 日付200█/12/10
使用者: D-043-3
実施方法: D-043-3の舌に直接使用させる。
結果: [削除済]。職員2人が軽症を負いました。
注: ……参ったな。- 旭博士
事件記録043-JP-03
200█/12/10の実験後、収容時に████研究員がSCP-043-JPを取り落とし、収容金庫は████研究員の胃へと移動しました。
各種記録は彼がSCP-043-JPの蓋をきっちりと締めた事を示しているにも関わらず、取り落とした時SCP-043-JPの蓋は外れていました。今後安全のため取り扱いにはロボットを使用してください。
████研究員から収容金庫を取り除く試みは現在も続けられています。
Footnotes
1. 死因は栄養失調。
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scp-044-jp |
評価: +144+–x
評価: +144+–x
クレジット
タイトル: SCP-044-JP - 繁栄の果実
著者: ©︎ Porsche466
作成年: 2014
評価: +144+–x
評価: +144+–x
収容前のSCP-044-JP
アイテム番号: SCP-044-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在、SCP-044-JPが収容されている土地はサイト-8147に指定されています。収容施設の天井にはLED植物育成用照明が設置され、日時に連動して外部と同等の照度に自動調整されます。収容施設の通気口には、SCP-044-JP-1を拡散しない為にレベル3粒子遮断フィルターが設置されています。地下に張りめぐらされたパイプを通じて、SCP-044-JPには適量の水分・肥料が毎日与えられ、施設内の気温も適切に調整されます。収容施設は隔離されており、通常時は如何なるクリアランスを与えられている職員も出入りを許可されず、2体以上のSCP-044-JPを同時に対象とする実験の実施も許可されません。担当職員は収容設備のメンテナンスの毎日行って下さい。
SCP-044-JPの卵細胞がSCP-044-JP-1を受精する事を防ぐ為、毎年4月初旬から6月中旬まで、担当職員によって対象に咲いている花全てにビニール袋を被せて密封する必要が有ります。予定の時期より前に開花している様子が観測された場合、即座にこれが実行されます。
SCP-044-JP-2が発見された場合、対象は男性職員によって回収されます。回収されたSCP-044-JP-2は隔離ボックス内で半永久的に半冷凍保存されます。
SCP-044-JP-3は性質上、何体存在するかすらも未だ判明しておらず、現時点での完全な収容は不可能と考えられます。SCP-044-JP-3を発見次第確保していく案も存在しますが、情報不足の為、対象の発見自体が非常に困難な状況です。研究対象として唯一収容に成功しているSCP-044-JP-3-aには、ヒト型オブジェクトとしての標準的な生活環境が与えられています。SCP-044-JP-3-aから物品の要求があった場合、サイト管理者の判断により許可または却下されます。
説明: SCP-044-JPはセイヨウリンゴ(Malus pumila)に酷似したバラ科リンゴ属の樹木です。SCP-044-JP本体に遺伝的異常は視られません。SCP-044-JPは██県███市に群生しており、他では見られません。
SCP-044-JPから生成される花粉に含まれる精細胞はSCP-044-JP-1に指定されます。SCP-044-JP-1の遺伝子に異常は視られないにも関わらず、対象はSCP-044-JP以外にも、他種の植物の卵細胞に受精させる事が可能です。現在、14種の植物の卵細胞へのSCP-044-JP-1の受精が確認されていますが、実際には更に多くの種の植物に対して受精可能であると推測されます。SCP-044-JP-2の発生を避ける為、これを実証する為の実験は行いません。
SCP-044-JPの果実、またはSCP-044-JP-1を受精した他種の植物から生成された果実は、どちらもSCP-044-JP-2に指定されます。SCP-044-JPの卵細胞がSCP-044-JP-1を受精した場合、他種の植物(以下、"対象物"と記載)の卵細胞がSCP-044-JP-1を受精した場合のどちらでも、花たく(子房)は2ヶ月程でSCP-044-JP-2に成長し、同時に種子も生成されます。この種子を土に植え、適切な環境で育成した場合、7ヶ月程でSCP-044-JPの芽が発芽します。
他種の植物から生成されたSCP-044-JP-2は、その植物から通常生成される果実と特徴が酷似しています。ここから採れた種子を育成しても、その植物と同じ種の異常性を持たない植物が育ち、SCP-044-JPの特性は引き継がれません。これにより、SCP-044-JPの生息領域の過度な拡大は起こっていません。
SCP-044-JP-2は強い芳香を放ちます。ヒトがこの芳香を感じた場合、SCP-044-JP-2を摂取したいという強い欲求を感じます。ヒトがSCP-044-JP-2を食した場合、免疫力が病原体・悪性物質に対して異常な上昇を見せ、それにも関わらず、体内の自己組織(女性の場合には胎児も含む)に対する免疫反応も通常時のままに保たれます。
妊娠状態の女性がSCP-044-JP-2を食べた場合、後に誕生する子供はSCP-044-JP-3に指定されます。SCP-044-JP-2を食べる事によって免疫能力が上昇する特性が存在する理由も、親にSCP-044-JP-3を安全に育成させる為であると推測されています。また、男性のDクラス職員を用いてSCP-044-JP-2の実食実験を行った際、職員は対象について、"非常に甘いが、飽きが来ない味である"、"瑞々しく、体に染み渡る様な味である"等と述べました。
SCP-044-JP-3の外観、遺伝子に異常は視られません。SCP-044-JP-3は普段、一般的なヒトと同じ様に振舞います。SCP-044-JP-3は多数のSCP-044-JPが何かしらの"被害"を受けた際に活性化します。活性状態のSCP-044-JP-3はSCP-044-JPの群生地へ向かい、対象の群生地を守る為に何かしらの手段を講じます。例えば、SCP-044-JPに大きな物理的被害が加われば、SCP-044-JP-3は危害を加えた物体や生物を破壊しますし、SCP-044-JP内の水分や栄養分が不足すれば、SCP-044-JPは対象にそれらを供給しようとします。幸い、SCP-044-JPからSCP-044-JP-2がもがれる事や、我々の収容によるSCP-044-JP-1の拡散の妨害に反応してSCP-044-JP-3が活性化する事例は報告されていません。
補遺044-JP-1: SCP-044-JPに関する事案記録をここに記載します。
日付
詳細
20██/██/██
第1事案は、SCP-044-JPの収容前、現サイト-8147内の対象を民間の建築企業が大量に伐採した事によって発生。これに反応した不特定多数のSCP-044-JP-3が活性化し、現サイト-8147内で作業を行っていた作業員14名全員を襲撃及び殺害しました。
2007/08/07
第2事案は、サイト-8147内の電源装置が故障し、修理が難航した為、サイト-8147内が14日間温室状態となり、SCP-044-JPが乾燥状態にさらされた事によって発生。その為、活性状態となった70体以上のSCP-044-JP-3がサイト-8147を襲撃し、エージェント4名、研究員3名を殺害しました。その後、SCP-044-JP-3は他のエージェントらにより処分、その内1体は確保されました。
+ インタビューログ044-JP-01 - 日付2007/08/14
- 閉じる
対象: SCP-044-JP-3-a
インタビュアー: 竹内研究員
付記: SCP-044-JP-3-aは第2事案発生時、エージェント・██によって確保されました。SCP-044-JP-3-aは本名██ ██であり、サイト-8147が存在する██県███市内に在住する7歳の少年です。現在、SCP-044-JP-3-aは研究対象として収容されています。
<録音開始>
竹内研究員: それでは、インタビューを始めます。質問に答えて下さい。
SCP-044-JP-3-a: ……うん。
竹内研究員: 君はどうして、このサイトまで来たのですか?
SCP-044-JP-3-a: ……サイト?
竹内研究員: どうして、この施設にやって来たのかな?
SCP-044-JP-3-a: どうしてって……?
竹内研究員: 無意識にここまで来たのですか?
SCP-044-JP-3-a: [首を横に振る]……ううん。
竹内研究員: それとも、誰かに指示でもされたのですか?
SCP-044-JP-3-a: [首を横に振る]……ううん。
竹内研究員: じゃあ、どうしてここへ?
SCP-044-JP-3-a: 喉渇いたからさ、おじさん達が何か変な事やってたから、止めないとって思って。
竹内研究員: はい?
SCP-044-JP-3-a: だからここに来て、おじさん達に噛みついたの。それだけだよ。
竹内研究員: つまり、君は誰かに操られていたというのですか?
SCP-044-JP-3-a: ……え?
竹内研究員: ……そうですね、質問を変えてみましょう。あなたは誰ですか?
SCP-044-JP-3-a: ██だよ。
竹内研究員: ……ちょっと待って下さい。[補助研究員に対して]あの写真は有りますか?そう。それと、他のSCP-044-JP-3の写真を貸して下さい。うん、いいから……良し。[対象にSCP-044-JPの写真を見せる]この写真に心当たりが有りますか。
SCP-044-JP-3-a: 心当たりって……これ僕じゃん。
竹内研究員: なるほど、そうですか。ではこちらを……[対象に他の個体のSCP-044-JP-3の写真を見せる]この写真に心当たりが有りますか。
SCP-044-JP-3-a: 同じじゃん。これも僕じゃないの?
竹内研究員: ありがとう、以上です。インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: SCP-044-JP-3-aは、自身とSCP-044-JPや他のSCP-044-JP-3と、自我を区別できていない様に見えます。これが意味するのは、恐らくSCP-044-JP-3はSCP-044-JPの一部として生まれてくるという事でしょう。SCP-044-JPとSCP-044-JP-3達がどの様に感覚や知能を共有しているのか、引き続き研究が必要です。以上です。
補遺044-JP-2: サイト-8147の建設中、作業員により、以下の内容が印字されたタグが1本のSCP-044-JPの枝から発見されました。
日本生類創研 A-007-F01
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scp-045-jp |
評価: +82+–x
アイテム番号: SCP-045-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-045-JP-1はサイト8149の耐火金庫内で保管しています。SCP-045-JP-1の使用にはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。機密情報保護のため、Dクラス人員を含むすべての職員に対するSCP-045-JP-1の使用を禁止します。同様の観点から、SCP-045-JP-2に対するアクセスのブロックと監視を実行してください。
説明: SCP-045-JP-1はプラスティック製のパーティグッズのカツラです。その外見はいわゆる「バーコードハゲ」と呼ばれる髪型を模したものです。SCP-045-JP-1は、███大学の学生がSNSに掲載した記事が話題となったことにより財団に発見されました。記事の内容は所属するサークルの飲み会でカツラを被り、冗談でバーコードリーダーを使用したところ個人情報が列挙されたサイトに繋がった、というものでした。███大学に財団が調査に向かった際、学生が所属するサークルのロッカーに未開封のSCP-045-JP-1を発見、その場で回収しました。SCP-045-JP-1の入手時期や購入場所について、サークルに所属する学生達は把握しておらず、記事を投稿した学生は███大学には在籍していませんでした。財団では引き続き、投稿者である学生の行方を調査しています。
SCP-045-JP-1を着用している人間の頭頂部をバーコードリーダーで読み取ると、端末は「http://192.███.██.█」というアドレスを取得します。このアドレスはSCP-045-JP-1をバーコードリーダーで読み取った時のみ機能します。今のところ、IPアドレスを直接入力したり、逆引きするといった試みは全て失敗しています。また、ネットワークとの接続が確立されていない端末ではアクセスすることができません。
上記アドレスが機能している状態でアクセスした場合、端末はウェブサイトを読み込みます(以下SCP-045-JP-2と表記)。SCP-045-JP-2には着用者の以下の情報がリストアップされています。
氏名
性別
生年月日
家族構成
現住所
経歴
身体障害、持病などの健康状態と治療履歴
SCP-045-JP-2が表示する情報は、着用者が誕生してからSCP-045-JP-1を着用するまでの記録です。SCP-045-JP-2が表示する個人の経歴は、学校への入学・卒業といったものから財団の活動に至るまで、非常に多岐にわたります。いずれの項目も、着用者が把握していない、あるいは記憶喪失などによって覚えていない情報を明らかにすることがあります。これらの情報は、着用者がSCP-045-JP-1を外した後もリアルタイムで更新され続け、端末がネットワークに接続されていなくても発生します。また、ページをローカルに保存したり、画像をキャプチャした場合、それらのファイルも同様に更新されることが判明しています。ただし、別の端末へファイルを移動した場合、以後その内容が更新されることはありません。
追記: 200█/██/██、SCP-045-JP-2のページ下方に「みんなの診断結果を確認する」というリンクが出現しました。リンク先のページにはそれまでSCP-045-JP-1を着用した人物の名前がアルファベット順で並び、名前をクリックすると該当人物に関する情報を閲覧できます。リストアップされている人物はすべて財団に関与する人物であったことから、財団が回収するまでSCP-045-JP-1が未使用であったこと、SCP-045-JP-1が財団の情報収集を目的としている疑いが強いことの二点が考えられます。これを受けて特別収容プロトコルを強化、Dクラス人員含む全職員のSCP-045-JP-1の使用が禁止されました。
文書045-JP-01: █████博士による声明
御存じの通り、SCP-045-JP-1は取得した個人情報をSCP-045-JP-2上に保管しています。既に、財団からは██名分の情報が流出しています。中にはクリアランスレベル3相当の人物の情報も含まれており、
これらの情報を第三者が閲覧することが我々にとって不利益なのは間違いありません。我々はカツラの情報を得る一方で、カツラに情報を流していたのです。万が一これが要注意団体の手に渡ればどうなるでしょう?
誰かの情報を犠牲にするだけで、我々の情報が手に入るのです。彼らだけではありません、民間人の手に渡った場合もです。パーティグッズとしての特性上、SCP-045-JP-2を閲覧するのは一人で済むはずがありません。
我々は何としてでもSCP-045-JP-1を手元に置いておかねばなりませんし、SCP-045-JP-2を誰にも閲覧させないようにしなければなりません。
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scp-046-jp |
評価: +44+–x
評価: +44+–x
クレジット
タイトル: SCP-046-JP - ネズミ取りの部品
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2013
その他のライセンス
評価: +44+–x
評価: +44+–x
その他
この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。
評価: +44+–x
評価: +44+–x
アイテム番号: SCP-046-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-046-JPはサイト-8107の施錠可能なロッカー内部に保管してください。一週間に一度収容状況を確認し、報告書には必ずロッカー内を撮影した写真を添付してください。なお、収容状況の確認は、ロッカー内にSCP-046-JPが収容されていることを知っている職員が実施してください。
収容違反が発生した際は、過去にSCP-046-JPを目視した経験のある職員が捜索に当たってください。
説明: SCP-046-JPは██県内の県道███号線沿いに設置されていた交通標識です。SCP-046-JPの表面には「制限速度40km/h」を意味する模様が印刷されており、回収地点の道路の制限速度もその通りでした。SCP-046-JPは材質、表面の塗装、形状のいずれも一般的な道路標識と変わりがありません。SCP-046-JPの特異性は、その場所にあるという事実を知らない者は目視でSCP-046-JPを察知できない点にあります。そのため回収地点ではこれまでに毎月数十件の検挙が行われており、エージェント██████が検挙されたことでその存在が財団の知るところとなりました。SCP-046-JPは財団職員の手により回収され、現場には新たな標識が設置1されました。
SCP-046-JPの視認性について実験を繰り返した結果、単純にその存在に気が付かなくなるだけで、透明になるわけではないことが判明しました。また、撮影された写真やビデオ映像上ではSCP-046-JPの存在を確認することができます。ですがSCP-046-JPを手に取って歩き回っても、目視ではその存在を認識することが困難なため、凶器として用いられる危険性があります。以下、SCP-046-JPに対して行われた実験の記録です。
実験記録046-JP-1 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1
実施方法: 不透明なケース内にSCP-046-JPとペン、コップを設置。対象にケースの中を目視させ、何があったか回答させる。
結果: 対象はペンとコップについてのみ回答した。
分析:SCP-046-JPの特異性は場所によるものではなく、SCP-046-JP自体にあるようだ。
実験記録046-JP-2 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1
実施方法: 不透明なケース内にSCP-046-JPとペン、コップを設置。対象にケース内に道路標識が入っていることを伝えてから、ケースの中を目視させ、何があったかを回答させた。
結果: SCP-046-JPとペン、コップの全てについて回答した。
分析:どういう標識かについては教えていなかったが、実験対象は制限速度40km/hであることも回答した。
実験記録046-JP-3 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1
実施方法: 不透明なケースの底にレポート用紙を一枚設置し、その上にSCP-046-JPを配置した。レポート用紙を隠すようにSCP-046-JPを設置し、対象にケースの中を目視させ、何があったか回答させた。
結果: 対象はケースの中を目視した上で、何も入っていなかったと回答した。
分析:どうやら標識が透明に見えるわけではないようだ。 -██博士
実験記録046-JP-4 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1
実施方法: 不透明なケース内にSCP-046-JPを設置し、対象にケース内を一度目視させる。一度目の目視後、対象にケースの中に道路標識が入っていることを伝え、もう一度目視させる。
結果: 一度目の目視では何も入っていないと報告した。二度目の目視の際に、対象は驚きつつもSCP-046-JPの存在を確認した。
分析:情報伝達による意識の変化が、SCP-046-JPの視認性に関わっているようだ。
実験記録046-JP-5 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1
実施方法: SCP-046-JPが設置されたテーブルを対象に目視させる。対象がSCP-046-JPを視野内に収めている状態で、SCP-046-JPの存在を教える。
結果: 被験者はSCP-046-JPの存在を聞いた瞬間、SCP-046-JPがテーブル上に出現したと報告した。
分析:繰り返し実験の結果、SCP-046-JPは被験者の視野に突然現れたように感じられたようだった。
実験記録046-JP-6 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1
実施方法: SCP-046-JPと不透明なケースをテーブル上に設置し、対象に「ケース内に道路標識が入っている」と伝えた上でテーブルを目視させる
結果: 対象はケースを開き、道路標識が無いと報告した。
分析:SCP-046-JPの存在を知っていても、情報が一部でも間違っていれば認識できないようである。
実験記録046-JP-7 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1,D-046-JP-2
実施方法: 対象AにSCP-046-JPを持たせ、別室にいる対象BをSCP-046-JPで殴打させた。
結果: 対象Bは対象Aに殴打されたことを報告したが、対象Aが何を持っていたかについては回答できなかった。
分析:SCP-046-JPで武装したならば、完全にこちらが無防備であるかのように見せかけられるのかもしれない。 -██博士
実験記録046-JP-8 - 日付19██/██/██
対象: D-046-JP-1
実施方法: テーブル上にSCP-046-JPを設置した様子の写真を対象に目視させ、何が写っているか回答させた。
結果: 対象は道路標識があると回答した。
分析:どうやら一度カメラを通すと、SCP-046-JPは普通に認識できるようだ。これではSCP-046-JPで武装しても、監視カメラで見つかってしまう。 -██博士
補遺:
+ エージェント██████によるSCP-046-JPに関する覚え書き
- エージェント██████によるSCP-046-JPに関する覚え書き
日付19██/██/██
職務に関する移動の際、県道██号線の██付近で違反切符を切られた。担当していた████巡査によれば、この区域は制限速度40km/hだという。県道だぞ?確かに片側一車線の田舎道ではあるが、それでも県道だ。だというのに制限速度が40km/hだと?そもそも俺は標識を見ていなかった。その旨を主張し、車載カメラの動画像を車に積んでいたパソコンで再生したところ、確かに制限速度に関する道路標識が写っていた。俺が見た時はあんなものなかった!きっとあれはSCPだ!絶対に間違いない!
日付19██/██/██
「SCPオブジェクトと推測される物品の調査について」と言う名目でしばらくこの近辺を調査することにした。とりあえず現場付近に徒歩で接近し、道路標識を目視で確認した。先日の移動中には気が付かなかったが、確かに速度制限の道路標識は存在していた。表面の傷や、塗装の褪せ具合からすると、昨日今日の間に設置されたものではない。やはりSCPに違いない。引き続き調査を行う。
日付19██/██/██-2
先ほどの道路標識の目視後、しばらく県道沿いを調べている間に、6台の車両が違反切符を切られていた。交通標識の側を通過後、制限速度が変化したことに気が付かなかった哀れな連中ばかりだ。問題は、僅か3時間の間に検挙が行われたということだ。やはりあの道路標識、あるいは道路標識から24メートル離れた脇道で待機している警察車両に、何らかの特異性があるようだ。
日付19██/██/██
7日間の調査の結果、以下のことが判明した。
県道██のこの速度制限区間では、一日平均█件の制限速度違反が検挙されている。
検挙されたドライバーのうち、6割(俺がドライバーと警察官のやり取りを盗聴できた件すべて)について、ドライバーは道路標識の存在を気が付かなかったという旨の発言をしている。
日中夜間問わず、警察の監視が行われていない時間帯に通行した車両のいずれも、制限速度を遵守していない。
私物の自家用車にて、県道██号線を制限速度を遵守して通行したところ、後続車両からクラクションによる警笛を受けた。以上の点から、県道██号線を通行する車両のドライバーは、制限速度40km/hの道路標識の存在を認識できていないと推測される。
以上の調査結果に基づき、██博士に対し件の道路標識がSCPオブジェクトである可能性を報告し、██博士による詳細な調査を申請する予定である。あの道路標識がSCPオブジェクトであることが認定されれば、即時回収と代替部品の取り付けが行われるはずだ。そうなれば、あの区間でのネズミ取りはかなり困難になるだろう。ざまあみろ██巡査。
Footnotes
1. SCP-046-JPの回収以後、県道███号線での速度違反の検挙数は激減しました。
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scp-047-jp |
評価: +147+–x
アイテム番号: SCP-047-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-047-JPは特別に作られた強化CD-Rケースの中に入れられ、サイト-8181の低危険物収容ロッカーにて保管されます。SCP-047-JPを持ち出すにはレベル2/047-JPクリアランスが必要です。実験を行う際は必ず再生を停止するかヘッドフォンを外させるかなどをさせて、被験者に長時間にわたってSCP-047-JPの音声を聴かせ続けないでください。もし被験者に長時間の聴取をさせたい場合は、担当主任と人事部の許可を得てから行ってください。
説明: SCP-047-JPは24分58秒の無題のMP3データが記録されている、ラベルに黒いペンで "最高の音楽のために" と書かれたCD-Rです。調査の結果、CD-Rそのものに不審な点は見つかりませんでした。また、SCP-047-JPに記録されているMP3データをコピーしたり、編集することは不可能であるということが判明しています。なお、SCP-047-JP内のMP3データの再生時は、音声の早送りと巻き戻しができないことに注意してください。
SCP-047-JPに記録されているMP3データには、1人の男性が複数の観客に向かって音楽に関するスピーチを行っている様子が録音されています。スピーチの内容は再生毎に変化しますが、大筋では一貫したものとなっています。全ての聴取実験で、再生時、いずれかの時点で "スピーチを行っている男が段々と近づいてくる足音" が聴こえてくると被験者達より報告されています。その時点でヘッドフォンを外すか、再生を停止しなかった場合、被験者は衣服ごとその場から消失します。再生機器の音量を最低にしても、この消失は必ず発生します。研究員たちはハイスピードカメラなどで消失の瞬間を捉えようと試みましたが、その全ては失敗に終わりました。音声通信装置とGPSロケーターを持たせたDクラスの被験者が消失した際は、そのどちらとも消失し機能を失いました。
研究員がMP3のバイナリデータを解析し読み取ったところ、そのトラックには何も記録されていないはずだという矛盾した結果が出ました。また、SCP-047-JPを音声の出力をせずに再生し、Dクラスの被験者に24分30秒よりヘッドフォンにて聴取させたところ、消失は起こりませんでした。被験者は再生が終わるまでの28秒の間、"耳障りなノイズ音" だけが聞こえたとの主観評価を述べました。過去の怪我により発声障害をもつD-101が被験者として選ばれた時も、同様に被験者の消失は起こりませんでした。
+第1回の聴取実験: 再生記録の転写
- 閉じる
第1回の聴取実験: 再生記録の転写(重要部分のみ)
被験者であるD-091が、CDプレイヤーで再生されたSCP-047-JPの音声をヘッドフォンにて聴取します。なお、再生したSCP-047-JPの音声はキャプチャーし保存されています。
00:03:43 — 人が生存を求める声、声帯を限界まで震わせて絞り出す音こそが最高の音楽であると、私は確信しています。そこにこそ魂が宿り、人間という生物の作り出した音楽そのものを超える神秘があると考えます。ここにお集りの皆様も、偽りの旋律や音色にはうんざりしているのでしょう?
(中略)
00:11:22 — ここに様々な器具が用意されています。全ては私がこの場で特別に作り出したもので、この世ならざる苦痛を与えるものです。特に今回、初めてお見せするこれ、これなどは……[規則正しい未知の駆動音、観客のどよめきが聴こえる]私の最高傑作のひとつだと自負しております。
(中略)
00:15:01 — では、ひとつ実践してみましょう。準備があるので、皆様、少々の間ではありますがご辛抱ください。
(この時点で、D-091から男の足音が近づいてくる様に聴こえるとの報告がありました。この後、D-091は消失し、ヘッドフォンからは彼の悲鳴が聴こえてきました。この悲鳴はおよそ6分間にわたり続きました。これよりD-091に代わり、研究助手がヘッドフォンで聴取を行いました。)
00:22:32 — [観客の拍手]ああ、なんと素晴らしいのでしょう。美しく傾いた音色。私の鼓膜が悦びに震えるのが聞こえました。そこにはあらゆる欺瞞も誇張も無かったのが皆様にもお分かり頂けたことと思います……。[観客の拍手]
00:24:03 — 他にも楽器がある様ですが、残念ながら時間がありません。素晴らしいひとときを、ありがとう。
[再生終了]
+第4回の聴取実験: 再生記録の転写
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第4回の聴取実験: 再生記録の転写(重要部分のみ)
3名の被験者であるD-103、D-122、D-201と、1名の研究員がスピーカーの前でCDプレイヤーに入れたSCP-047-JPを再生しました。
00:04:28 — どんなに好きな曲でさえ、繰り返し聴けばいつの日か飽きてしまうものです。ですが、人の極限の声は聴くたびに新たな発見があります。私は、いや、私たちはそこに惹かれているのでしょう。
(中略)
00:07:41 — 時計の針が止まっていることに気づいてからどれほどの時間が経ったのでしょうか……。いま思えば私たちは最初、何てくだらない、低俗な音楽について話していたことでしょうか。[男が歩く音、ピアノをひく音が4秒間だけ聴こえる] おっと、私としたことがつい感傷的になってしまいました。
(中略)
00:10:03 — 私たちは壁に刻まれた傷が増えるごとに、結論へと近づいてきました。私たちは音楽の高みを見たのです。そして今や、そこにいるのです。[観客の拍手]
(中略)
00:11:47 — さて、なんと今日は幾つもの楽器が用意されている様です! では、そことそこにいる紳士の方と、他にも数名の観客の皆様に、演奏の準備のお手伝いをして頂きましょう……。今宵の演奏は素晴らしいものになるはずです。
この時点で研究員はSCP-047-JPの再生を停止しました。研究員や被験者達は、複数の人物が近づいてくるような音がスピーカーより聞こえたと報告しました。
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scp-048-jp |
評価: +156+–x
財団職員に発見された瞬間のSCP-048-JP-1
アイテム番号: SCP-048-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: セクター8126の耐燃素材でコーティングし、遠隔操作可能な鍵とドアスコープの付いた鋼鉄製のドアを備えた生物収容室に収容してください。収容室と一般通路のあいだには短い通路をはさみ、一般通路側から収容室側に向けて最低1000ルーメンの明るさを持つLEDサーチライトを配置してください。実験を予定していない場合SCP-048-JPがSCP-048-JP-1に変化した場合、餌用うさぎを40kg投与してください。食事の結果、産卵された卵は実験の継続が可能な数を残し処分してください。SCP-048-JPは自然界に多数存在すると思われ、現在機動部隊よ-02("縁の空")が火傷及び出火を伴う異常死事件を常に追跡し続けてください。SCP-048-JPの直接管理、及び実験に当たる職員は通常以下の条件に触れないものでなくてはなりません。
過去現在を問わず年少の姉妹が存在する。
同様に幼少の頃から交際のある年少の女性が存在する。
同様に恋愛状態にある年少の女性が存在する。
説明: SCP-048-JPは夜行性で体に走る脈のような模様を除けばクワガタのメスに似た、体長5cmの甲虫の群体です。通常状態において彼らは発光を抑えそれぞれ独自に行動をしていますが、一ヶ月から三ヶ月に一度、彼らは繁殖のために栄養を必要とします。この時雌雄に関わりなく彼らの全身が赤く発光し、表面温度は850度程度になります。この状態に入るとSCP-048-JPは、より体力のある10体前後の個体群が核として50匹以上のひとつのグループとして行動し始めます。この状態をSCP-048-JP-1と呼称します。自然界においてはこの発光に惹かれたほかの昆虫を捕食し、繁殖を行います。もし、哺乳類など自分より著しく大きな生物と遭遇した場合、異常な行動をSCP-048-JP-1は起こします。SCP-048-JP-1は強く羽を動かし非常に高い音を発生させます。同時に群体の形は対象となった生物の大まかな模倣となり、発光に一定のリズムが現れます。この音と光に直接曝露した生物は、一時朦朧とした後、催眠状態に陥りSCP-048-JP-1とコミュニケーションを取ろうと試みます。彼らがSCP-048-JP-1に近づくとSCP-048-JP-1は一斉に襲いかかり彼らを捕食します。この際、被害にあった生物は抵抗を示しません。この催眠効果は単一の生物に対してのみ効果があるようで、同時に複数の生物を相手にする状況に陥った場合、SCP-048-JP-1は単純に逃亡します。
希にこの現象が人間の生活圏付近で発生する場合があります。SCP-048-JPは街路灯や人家の光に近づきます、これは恐らく同種の存在と誤認して安全な場所と判断しているのではないかと予測されます。この際あまりにも強い光には近づきません、これは彼らの中での縄張りの感覚に基づくものだと思われます。人里に侵入したSCP-048-JP-1は、玄関灯のついた民家に近づくとおおよそ1.4mの人型になり民家の玄関の前に移動します。そしてほかのより大きな生物に対するときと同様に明滅し、羽音を響かせます。この際、対象となった住人は彼らの存在を感知します。対象が玄関まで移動すると対象の「妹」の声を聞きます。この声は実際の声と比べていささか不明瞭に感じるようです。対象がドアを開けると他の動物と同じく朦朧とした催眠状態に陥り、SCP-048-JP-1を自らの「妹」だと認識します。この「妹」は実際の妹に限らず自らと極めて親しい立場にある年少の女性の姿をとり、相手の庇護欲を刺激します。こうして油断し、接近した対象はSCP-048-JP-1に捕食されいくらかの火傷を負いながら死亡します。幸いにもドアスコープ越しにSCP-048-JP-1を視認した場合、催眠状態が完全にはならずそこには赤く光る歪んだ「妹」を目撃することになります。何らかの理由でドアを開けなかった場合、SCP-048-JP-1は多くの場合夜明けまでドアの前に立ち、対象との面会を希望し続けます。あたりが明るくなるまでに捕食を行えなかったSCP-048-JP-1の多くは餓死し、死骸は自らの熱で燃え尽きます。
以下は収容されているSCP-048-JPによる実験記録になります。
+ 実験記録048-JP-██
- テキストを隠す
実験記録048-JP-01 - 日付████/██/██
対象: D-048-JP-01 32歳の成人男性 未婚 妹あり
実施方法: 収容室に被験者を配置する。またドアの鍵を開錠した状態にし、ドアスコープを塞いでおく。
結果:SCP-048-JPは即座にSCP-048-JP-1に変化。ドアの前に移動した。被験者は非常に動揺した様子でドアに近づきドアを開けて確認したところSCP-048-JPの群れにたかられ表面から捕食された。その際一切の抵抗はなく終始困惑の様子を示し、おそらく彼の妹である人物の名前を呼び続けていた。死体は「ほどよく焼きあがった状態」の部分を内臓を中心に捕食されていた。SCP-048-JPは照明によって部屋に押し戻した。
メモ:かわいそうに
実験記録048-JP-04 - 日付████/██/██
対象: D-048-JP-04 24歳の成人女性 妹なし 彼女は同性愛者である
実施方法: 収容室を施錠 ドアスコープは使用不能のまま。
結果:SCP-048-JP-1は小柄な人間のような形に変形した。被験者は通路に入るなり壁の向こうに自分の恋人がいることを主張。我々が被験者に対して圧迫をかけるために恋人を拉致したものと思いドアを開け救出しようと試みた。ドアは施錠されているため開くことはなく彼女は狂乱の域に達するほどに扉を叩き続けたため警備員によって鎮静された。
分析:男性だけに効果のある催眠ではないのだな、羽音だけでここまでの効果があるのはいくらか恐ろしい。まぁ怒り狂った女性とどっちがと言われると困るが。
実験記録048-JP-19 - 日付████/██/██
対象: D-048-JP-05 3歳の柴犬
実施方法: 前回と同様の条件で被検体を配置
結果:SCP-048-JP-1は犬のような形に姿を変えた。被検体はしばし朦朧とした後に発情期に入ったようであり、盛んにドアに近づき切なげな声をあげた。ドアを開ける能力がないため実験は終了。
分析:今のところ全員違う反応を示している、知性があるようには見えないが最も効果的な対象に変化しているのかもしれない。この犬には可哀想なことをした。
実験記録048-JP-08 - 日付████/██/██
対象: D-048-JP-08 54歳の男性 未婚 彼は事故で妹を失っている
実施方法: 収容室を施錠 ドアスコープを使用可能にする。
結果:SCP-048-JP-1は多くの欠損がある人型に姿を変えた。ほかの被験者同様彼はSCP-048-JPの存在を感知し混乱の様子であたりを見渡した。何度か妹の名を叫び非常に恐怖しているようにも見えた。扉の向こうを確認するためドアスコープを覗き込むと彼は泣き叫び「私が悪かった」「あの時は仕方がなかった」などと喚き精神の均衡を著しく欠き始めたため実験は終了。
分析:彼の過去に何があったかは知らないが、推察するにこいつは人の罪悪感まで利用するのかもしれない。もしくは彼の中の妹が事故当時のイメージであったか。いずれにしろ嫌な気分だ。
実験記録048-JP-EX - 日付████/██/██
対象: 28歳の男性 未婚 妹なし
実施方法: 収容室を施錠 ドアスコープを使用可能にする。
注意:この実験は通常の実験ではなく、財団職員である被験者が本来の被験者を案内する際に間違えて入ってしまった時のものです。安全な状況であったために実験は通常通り行われました。
結果:SCP-048-JP-1は小柄でやや奇抜な頭部(観測者によると虫の触覚のような髪型をしていたように見えたそうです。)をした人型になりました。SCP-048-JPの性質を知る被験者は異常なまでに動揺し,
ドアスコープを覗き込んだあと一目散に退室しました。
補遺:████/██/██
被験者への身辺調査によると彼は未婚であり妹もおらず現在恋愛関係にある女性もいないようです。また強い人見知りで普段女性との接点もあまりありません。彼の同僚らに彼について尋ねたところ「アニメや漫画が好きな比較的おとなしい青年」という以上の印象はありませんでした。彼に対して何故SCP-048-JPがあの形態に変化したのかを知るために本人に直接質問をしたのですが、「職員の個人情報機密」を盾に一切の発言を拒否しています。SCP-048-JPの特殊な行動からこの件は是非解明されなければならないと感じたため、この職員に対するより強力な調査の申請を検討しています。
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scp-049-jp |
評価: +54+–x
アイテム番号:SCP-049-JP
オブジェクトクラス:Keter
特殊収容プロトコル:SCP-049-JP-1の周辺1㎞範囲内は後述する儀式の間を除いて完全に無人にされなければなりません。SCP-049-JP-1の知覚を防ぐため、家屋には不透明な特殊シートをDクラス人員を利用してかぶせます。その際雇用したDクラス職員には必ずAクラス記憶処置を行うあるいは解雇処分しなければなりません。SCP-049-JPに関する一切の情報は財団の報道管理部によって完全に遮断されなければなりません。SCP-049-JPの情報をレベル4クリアランス未満の職員が知った場合は即座に記憶処置を行ってください。SCP-049-JPに関する情報が流出した場合、1時間以内に流出の範囲内全てにガス形式のBクラス記憶処置を行ってください。この処置はSCP-049-JPに関して一切無知な財団職員によって行ってください。もしもそれが不可能な場合、化学兵器によって情報を得た可能性のある全ての知的生物への終了処理が許可されます。
SCP-049-JPは1年に1回、11月8日の午前1時から24時間かけ、神道、仏教、ユダヤ教、キリスト教プロテスタント福音派の聖職者による、死者の供養に関する儀式を行ってください。そして、儀式が終了次第関係者全員に対して記憶処置を行ってください。
+ 以下の情報はセキュリティクリアランスレベル5以上の職員にのみ開示されます! また、閲覧終了後直ちにミーム的効果によるAクラス記憶処置が自動で行われます!
- テキストを隠す
SCP-049-JP-2.
説明:SCP-049-JPは、一般的な二階建ての建売住宅に外見のみ似せられた建築物(SCP-049-JP-1)及び、自身に対する情報を得た知的生物を殺害する、強い伝染性がある破壊的な情報災害と認識災害、両方の特性を持つ存在(SCP-049-JP-2)です。
SCP-049-JP-1に関する情報を知った(これは知覚することも含まれます)、あるいはSCP-049-JP-2によって殺害された者のことを知覚した場合、SCP-049-JP-2による攻撃が開始されます。SCP-049-JP-1に関する情報を何らかの手段で得た場合、情報への被露から最低6時間、最高で1週間後に対象の元にSCP-049-JP-2が出現します。SCP-049-JP-2はこれまでSCP-049-JPの効果によって殺害された対象の姿を曖昧に模した黒い霧状の存在のように見えます。
SCP-049-JP-2を目撃した対象は一切動くことができなくなります。SCP-049-JP-2はそのまま対象に襲い掛かり、[削除済]を行い、対象を殺害します。SCP-049-JP-2によるこの攻撃は約12分前後で、この時多くの場合、第四期の致命的に悪化した悪性腫瘍が対象の全身に生まれることが確認されています。また、すべての対象は頭部を欠損しています。
SCP-049-JP-2のこの行動を目撃した対象もSCP-049-JP-2による攻撃の対象となり、同様に6時間から1週間後に殺害されます。これらの攻撃に対しては、情報を得たあるいは殺害を観測した者に対するBクラス以上の記憶処置を行うことで攻撃を停止させることが可能であることが確認されています。
特殊収容プロトコルの項目で上述した儀式を行わないまま一年が経過すると、SCP-049-JP-2はSCP-049-JP-1に関する情報を知らず、SCP-049-JP-2による殺害を目撃していない対象に対しても攻撃を行います。この場合、SCP-049-JP-2の攻撃の対象になるのは、財団が上述した儀式手順を行うことを発見するまでの脱走によって引き起こされた█回の封じ込め失敗案件のすべてで、SCP-049-JPによる被害者と血縁関係がある者であったことが確認されています。
SCP-049-JP-1が建造されたのがいつなのかという公的な記録が一切存在しないことが確認されています。SCP-049-JP-1が初めて財団によって捕捉された時、それまでに一切異常な事象が確認されておらず、当時の職員に対するインタビューでは「もともとそこにあったように出現していた」という解答を得ることができています。
財団のDクラスを使用して行ったSCP-049-JP-1の内部探索実験の結果、SCP-049-JP-1は表面のみ一般的な建売住宅に似せられてはいるものの、内部には何も存在しない、そのような家屋を模造したものであることが確認されました。SCP-049-JP-1に使用された建材と思われる物質を検査した結果、それは人間の体組織を未知の手段で加工したものであることが判明しました。
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scp-050-jp |
評価: +90+–x
評価: +90+–x
クレジット
タイトル: SCP-050-JP - かっぱれ
著者: ©︎moririn5963
作成年: 2018
評価: +90+–x
評価: +90+–x
アイテム番号: SCP-050-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-050-JPは性質上、収容は非常に困難であるとされています。感染者は発見次第、直ちに確保し無力化してください。SCP-050-JP-Aの実体化が確認された場合、SCP-050-JPに感染したDクラス職員を囮とし、SCP-050-JP-Aを日没まで引き付けてください。その間に逃走するDクラス職員を視認した一般市民がいた場合は、拘束の後クラスA記憶処理を行い解放してください。囮役となったDクラス職員は、その精神状況により、適切な記憶処理を施すか終了してください。
現在、日本国民の██%以上がSCP-050-JPに感染しているとされ、その完全な収容は実質的に不可能です。
後述する収容プロトコル「市町村防災行政無線-β」に基づき、SCP-050-JPまたSCP-050-JP-Aによる被害を最小限に抑えてください。
財団職員がSCP-050-JPの“歌詞”に関する記録を閲覧する場合は、レベル3/SCP-050-JPクリアランスが必要です。
説明: SCP-050-JPは██県███郡が起源とされる童歌です。その歌詞やメロディーに異常性は見られませんが、それに“感染”したときにその特異性が発現します。SCP-050-JPには伝染性があり、SCP-050-JP感染者の歌声を介し、それを聞いた人に感染する能力があります。この伝播経路には制限があり、録音や音響機器を介した場合では感染せず、口承によってのみ感染することが確認されています。非感染者がSCP-050-JPと同様の童歌を歌った場合にはその能力や特異性が発現されることはありません。
[レベル3/SCP-050-JP以上のみアクセス可]
[アクセス承認]
【SCP-050-JP 歌詞全文】
かっぱれ かっぱれ よーいよい
かまぼこ つのぼこ よるのぼこ
おなかを すかせて やってきた
かっぱれ かっぱれ よーいよい
となりの あのこは よるのなか
たべられちゃったら よるのなか
SCP-050-JPに感染した者は、その生い立ちや経験に関わらず『過去にSCP-050-JPを聞いたことがあり、遊んだことがある。』という懐古的な感情を抱くとともに、SCP-050-JPの歌詞や曲調、遊び方(後述)を常識的知識として錯覚します。この症状は潜在記憶に対する強力な改変能力を有しており、簡易的な記憶処理ではSCP-050-JPを忘却することはできません。完全な治癒にはクラスE以上の記憶処理が必要とされていますが、[編集済]により今後の実験は禁止されています。
また、感染者は非感染者(特に12歳以下の児童)に対してにSCP-050-JPを口承しようとします。この行動における積極性は感染後の経過時間に比例して増大することが判明しています。
特に12歳以下の感染者は、SCP-050-JPを用いた遊戯(感染者が“あそび”と称するもの。以降SCP-050-JP-A)を行うため、居住地域に存在する一般的な公園や空き地へ集まる習性を有します。SCP-050-JP-Aを行う正確な周期に関してはいまだ不明ですが、SCP-050-JP-Aの開始時間はその地域の日没時間と密接な関係があることが判明しています。
また、SCP-050-JP-Aが行われる日にはその前兆として、該当地域の感染者たちが積極的にSCP-050-JPを口ずさんだり、その鼻歌を歌うようになることが確認されています。
【SCP-050-JP-A 概要】
1.集合した感染児童集団から1人の女児が無作為に選ばれ、“にえ1”役となります。集団に女児が存在しない場合、最も小柄な男児がにえとなります。対象となった男児は頭髪が30cmほど伸び、次いで乳房の僅かな発育も確認されます。この変化は不可逆的で、およそ10秒で完了します。
2.にえはその場に蹲ります。他の感染児童はにえを囲うように手を繋ぎ、SCP-050-JPを歌いながら周回し始めます。
3.にえの頭髪がにえ自身を包み込むように伸長し、次いで強烈な腐敗臭を放つ濡羽色粘性流体(以降SCP-050-JP-A-1)へ変化します。初期段階のSCP-050-JP-A-1の大きさは全長0.8mほどです。
4.SCP-050-JPを歌い終わると、感染児童たちは一斉にその場を走り去ります。
5.歌い終わりから60秒経過すると、SCP-050-JP-A-1は周囲の感染者に対して追跡を開始します。範囲内の全感染者がその対象となり、追跡範囲はSCP-050-JP-Aが行われた位置から半径████mほどに及びます。
6.SCP-050-JP-A-1は感染者に接触すると即座に対象をとりこみ肥大化します。全長約2.0mまで肥大化すると2個体に分裂し、それぞれが自律的に行動を再開します。
7.範囲内にいる全感染者が存在しなくなるか、該当地域が日没を迎えるとSCP-050-JP-Aが終了し、すべてのSCP-050-JP-A-1はその場で消失します。
SCP-050-A-1は感染者のみ視認することが可能で、いかなる手段でも無力化や破壊は出来ません。また、SCP-050-JP-A-1に吸収された人物を救出することは現状不可能であり、SCP-050-JP-A-1の消失先は未だ不明です。
補遺-050-1: SCP-050-JPの突然変異体について
19██/██/██、██県██市内で原種とは異なった“歌詞”を有するSCP-050-JPが発見されました。これは感染地域の方言や風土の影響を受けたことによる突然変異であると考えられています。これまでの調査で4種類 9種類 ██種類の突然変異体が発見されています。これらはその活性により“単一性変異体”と“複合性変異体”に分類できます。単一性変異体は季節性環境変化2に不活性であり、1年を通して同一の歌詞であり続けます。複合性変異体は季節性環境変化に対し活性が高く、3~6ヶ月ごとに歌詞が変化します。
一個体が複数種のSCP-050-JPに感染することはなく、常に感染の上書きが発生します。感染者が転出した場合、原則的に個体数の多い在来種に統合されます。しかしごく稀に在来種との逆転が起きる場合がある為、各感染地域に対し定期的な調査が必要とされています。
補遺-050-2: 収容プロトコル「市町村防災行政無線」
収容プロトコル「市町村防災行政無線-β」概要
[閲覧終了]
各地域に設置された屋外拡声子局や戸別受信装置から特殊拡声スピーカーを介して、各地域の感染種に適した特攻旋律を規定時間に放送するとともに、あそび場付近の蓄圧式噴霧器からクラスA記憶処理ガスを散布してください。また、あそびの前兆が確認できた地域には、機動部隊-は-8"地域安全パトロール隊"を派遣し、該当地域の巡回と緊急時の制圧にあたらせてください。
『夕焼け小焼け』音声サンプル
19██/██/██、SCP-050-JPが有する“童歌”という形態から「SCP-050-JPの特異性や能力に対し、影響を与えることが出来る旋律の存在」に関する仮説が龍治博士によって提言されました。検証実験の結果、仮説を立証する複数の旋律が明らかになりました。しかし、各種旋律の効能は突然変異種ごとに異なることが判明しており、より完全な収容のため各突然変異種に適した旋律の解明が望まれています。 現在、財団が把握している突然変異体██種全てに対して、それぞれに対応した特効旋律が発見されました。
SCP-050-JP感染者に対し、適した旋律を聞かせることでSCP-050-JP-Aを一時的に抑制する効果が確認されました。またこれはSCP-050-JP-A-1に対しても有効であり、これを聞いたSCP-050-JP-A-1は即座に消滅し、該当地域のSCP-050-JP-Aも強制終了することが判明しています。
龍治博士は第一段階として、最も感染者数が多い3SCP-050-JP原種に対し有効な旋律を『夕焼け小焼け』と命名、また同名のカバーストーリーを一般市民に広く普及させることでSCP-050-JPによる被害を最小限に抑えることを提案しました。これは即座に承認され、収容プロトコル「市町村防災行政無線-α」として適用されました。
その飛躍的な成果と各突然変異種に対応した特効旋律の発見を受け、旋律に可聴音を有する全ての特効旋律に対し『ウェストミンスターの鐘』『故郷』『遠き山に日は落ちて』を始めとしたカバーストーリーを展開と流布が執行されました。
19██/██/██、全ての特効旋律を組み込んだ収容プロトコル「市町村防災行政無線-β」が適用されました。現在、この収容プロトコルはSCP-050-JPに対して最も有効かつ現実的な手法であるとされています。
この郷愁を思わせる旋律の過去を、我々は知る必要があるだろう。 -龍治博士
Footnotes
1. 感染者がSCP-050-JP-A-1実体化の憑代となった児童、またその役割に対して用いる呼称。ここではSCP-050-JP-Aにおける役割の明瞭化を目的とし意図的に使用。
2. 主に日照時間や平均気温、平均降水量などの季節による漸進的変化の総称 。
3. 全感染個体の約60%を占める。
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scp-051-jp |
評価: +66+–x
SCP-051-JP(検閲済み)
アイテム番号: SCP-051-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-051-JPは地下収容サイト-81EA標準防音ドームの中央に設置された16×16×16mの特別防音ユニットの内部に収容されています。特別防音ユニットは厚さ3mの防音壁で密閉され、内部には吸音材が詰められています。SCP-051-JPは防音ユニットの幾何的重心位置に固定されています。防音ユニットの開放は許可されません。また、防音ユニット周囲半径60mをレッドゾーンとし、立ち入りは原則禁止されます。もし入る必要がある職員は、収容サイト-81EAのセキュリティクリアランス3以上の職員2名の署名の元、サイト管理者に申請書を提出して下さい。また、レッドゾーン内では、対人・対物問わずあらゆる暴力行為および破壊行為は禁止されます。これらの行為の徴候が確認された場合、非殺傷の麻痺性神経ガスにより違反者を無力化してください。違反者は2段階クリアランスレベル降格処分となります。
説明: SCP-051-JPは200×720×90mmの木箱に入った72弁オルゴールです。木箱は合板製でステインとニスで塗装され、蓋の中央に小さく「Libera me Domine」と焼印があります。蓋を開けるとガラス製の内蓋があり、その内部に機構部が観察できます。蓋の裏にはラテン語の歌詞が記されています。
SCP-051-JPからは、グレゴリオ聖歌「Libera me Domine」の男声斉唱が48秒周期で常に再生されています。初期封じ込めの失敗により、現在、音量は旅客機のエンジン程の大きさであると評価される程に大きな物となっています。旋律は機構部のシリンダーとコーム部分から想定される曲とおおよそ一致しますが、男声がどのようにして発声されているか、何故ゼンマイを巻かずに再生が続いているのかは不明です。SCP-051-JP分解実験では機構部に損傷は一切付きませんでした。また、機構部分に障害物を差し込んでも、差し込んだ物が破壊されるだけで再生は止まりません。
SCP-051-JPから半径約53m範囲1(以下SCP-051-JP-A)で敵意を持った暴力行為2が行われた場合、聴こえる音量及びSCP-051-JP-Aが拡大していきます。████████ ████で████████████から収容した当初は一般同型のオルゴールと同程度の音量でしたが、この性質が知られていなかった初期での実験並びに収容違反、及び19██/██/██に発生した収容サイト-81EAでのインシデント████-████-E8の影響で、現在の音量まで上昇しました。この為、現在の収容設備及び収容方法が策定されました。
+ 初期の収容違反抜粋
- テキストを隠す
初期SCP-051-JP分解実験 - 日付19██/██/██
概要: 詳細は不明だが、この時の報告書に機構部への衝撃により音量がやや増大したと記されている。恐らく音量及びSCP-051-JP-A増大の最初の事例であると考えられる。
インシデント051-02 - 日付19██/██/██
概要: 初期に起きた収容違反。当時SCP-051-JPの性質が判明しておらず、収容に使用していた標準防音ユニットの隣室がSCP-051-JP-A範囲内であった。この隣室で研究員同士が小競り合いを起こした結果、SCP-051-JP-A及び音量が急激に増大した。この事案により少なくとも███人の職員が影響を受けたと推測されている。収容違反はエージェント・██の献身的行動により終息した。この事案を受け、収容プロトコルの改訂が為された。なお、エージェント・██はSCP-051-JPの重大な影響を受けていたと後に判明している。
インシデント████-████-E8 - 日付19██/██/██
概要: 地下収容サイト-81EAに保管されていたSCP-███-JPの収容違反との複合的事案。SCP-███-JPの鎮圧の為、SCP-051-JPの収容設備付近で多数の機動部隊が行動していた。その際に隊員の1人がレッドゾーンに誤って侵入、これによりSCP-051-JP-Aが拡大した結果、他の機動部隊に反応し急激に音量及びSCP-051-JP-Aが増大した。人格への影響(後述)により全機動部隊員が戦闘を放棄する事態となったが、奇跡的にSCP-███-JPも影響を受け従順になった為、SCP-███-JP収容違反は終息した。交戦の終了に伴いSCP-051-JPの影響拡大も停止し、再収容措置が取られた。その後収容プロトコルの再改訂が為された。影響を受けた機動部隊員は配置転換となった。
旋律は、聴いた者に対する強い鎮静効果を持ちます。この時、被験者への非侵襲脳波検査ではα波の顕著な増大を示し、主観的には多くの被験者は非常にリラックスできると評価します。被験者はこの旋律を出来るだけ長く聴こうとし、無制限にSCP-051-JPに曝露させた初期の実験では、実験中断が判断されるまで8時間20分に渡り聴き続けました。ただし、この効果は強制力を伴うものではなく、指示すれば中断させる事が可能です。また食事などの理由で自発的に離席もします。ただし、最終的には旋律を聴きに戻ってくる事が殆どです。現在の非常に大きな音量でも旋律自体への評価は同様の物となっており、被験者はSCP-051-JPから距離を取ったり、耳を手で塞ぎながらも旋律は聴き続けようとします。
更に、旋律を1周分以上聴いた被験者は、人格に永続的な影響を受けます。具体的には、利他性及び協調性の増大、攻撃性の急速な鈍化、共感能力の大幅な増大、などが挙げられます。この影響は記憶処理では排除できませんでした。また、この人格への効果は曝露した時間に比例し強化される累積的なものです。2分程度では、以前より言葉遣いがやや丁寧なものになる程度です。しかし20分の暴露では、情緒の安定、暴力的傾向の消失、危険な状況での自己を顧みない利他的行動、協調性とコミュニケーション能力の顕著な増大、集団内でのトラブルを積極的に解決しようとする傾向などが見られました。前述の最長実験での被験者は、強度の共感能力と非常に極端な利他主義の傾向を見せ、再配置後行われたSCP-███-JPの実験で[削除済]。クリアランスレベル3以上の職員は当該被験者の再配置後行われたSCP-███-JP実験20██████-013レポートを参照してください。
なお、この旋律は録音やPA機器、各種計測機器で捉える事が出来ない事がわかっています。この事から旋律は実際に鳴っているわけではなく、周囲の人間の知覚に影響を与え、聴かせている物と考えられます。しかしながら、通常の音声のように密閉する事で音量を抑える事は可能です。
性質が判明した当初は、この効果を適切な職務の職員に用いる事も検討されましたが、SCP-███-JP実験20██████-013での被験者の自破壊的なまでの利他性の発揮を鑑みて、将来における人員喪失の可能性が高い事、及び人道的観点(倫理委員会通達20██████-051-3参照)から却下となりました。
また、もし更なる収容違反が発生し、SCP-051-JP-Aが地下収容サイト-81EAの敷地範囲を越え市街地に到達する事態が発生した場合、SCP-051-JPは市民の普段行う些細な暴力行為に反応し、SCP-051-JP-Aと音量を際限なく増大させ続ける可能性があります。その為、万が一大規模な収容違反が発生した場合は、サイト-81EA周辺の広域地域の封鎖も視野に入れる必要があり、その為の緊急プロトコルが現在検討されています。
なお、SCP-051-JP-Aを縮小させる手段は現状存在しない上SCP-051-JP-A拡大によって財団が対処しなくてはいけない区域面積も指数関数的に増える為、収容違反の早期収束及び再収容確立に失敗した場合、SCP-051-JP-A並びにSCP-051-JP可聴領域の拡大が止められなくなる恐れがあります。最悪の場合SCP-051-JPの影響は全世界に広がり、既存の文明社会に多大なる影響と構造改編を促す「AK-クラス:世界終焉シナリオ」に繋がる可能性もあると指摘されています。
このような超常的事象によって我々の護ってきた既存文明が改変される事態は何としても避けねばなりません。例え争いから解放された平和な楽園が訪れるのだとしても。 - ███上級研究員
脚注
1. 収容当初は12mでした。
2. 口論中に研究員が机をファイルで小突く程度の物も含まれます。
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scp-052-jp |
評価: +55+–x
アイテム番号: SCP-052-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-052-JPはサイト-8181の収容ロッカーに保管されています。レベル5以上の職員の許可なくSCP-052-JPを持ち出したり使用したりすることはできません。持ち運ぶ際は箱や袋などに入れ、SCP-052-JPを他の物体に付着しないようにして下さい。また許可なく他のSCPやAnomalousアイテムに、剥き出しのSCP-052-JPを近付けたり付着させたりしないように気を付けます。何らかのオブジェクトの収容目的でSCP-052-JPを使用することは現在認められていません。
説明: SCP-052-JPは84mm x 174mmの長方形の紙です。片面に漢字もしくは梵字に似た文字を含む何かの模様が描かれており、一般的に護符もしくは御札として知られる物と一見して同じように見えます。紙の材質は通常の和紙と同じであり、模様の塗料も普通の墨汁が使われています。SCP-052-JP自体は効果を発揮しているしていないにかかわらず通常の紙と同様に破いたり燃やしたりすることが可能です。現在、財団は模様の異なるものも含めのべ12枚のSCP-052-JPを収容していますが、それ以外にも何枚ものそれが存在しているのではないかと考えられています。
SCP-052-JPは模様が描かれていない面が他の物体に接触した場合にその性質を表します。SCP-052-JPは接着剤もなしに接触した物体に付着します。そして、付着した物体とその周囲の空間(半径最大約20m、ただし付着した物体自身に遮られ得る)に効果を及ぼします。その効果は科学的なアプローチでは詳細がわかりませんが、生じた現象を総合すると"空間から異物を遠ざける"と形容することができます。未知の基準でSCP-052-JPにとって"異物"と判断されたオブジェクトや人間は、その効果の及ぶ空間では活動がある程度制限されます。オブジェクトが特殊な性質があればそれは弱められ、人間であれば身体が重くなったり痛みや吐き気を覚えたりします。この効果はそれに近付けば近付くほどに顕著になります。SCP-052-JPを直接付着させた場合がその効果が最も大きく出ます。付着したSCP-052-JPは効果を受けない物体もしくは人間の手によって簡単に剥がすことができます。
SCP-052-JPの"異物"の判定基準は正確にはわかっていません。これまでに効果が表れたのは以下のものです:
SCP-███を含むSCPオブジェクトの一部
一部のAnomalousアイテム
日本支部を襲撃した敵対団体の構成員
一部の財団職員
金輪際、私にそれを近付けないこと。いいですね? - 桑名博士
あの倉庫のもラウンジに貼ってあったのも全部破いちまったのは、終わってみれば事故みたいなもんだ。もういいじゃねえか。 - エージェント川原
今度悪霊退散とか言って遊んでたら首と胴を生き別れにしてやるよ。 - 楠博士
どうだ、明るくなっただろう? - 白子博士
SCP-052-JPは組織内の不和を生みつつ自身の枚数を減少させる副次的な効果があるようです。これ以上、職員の手を煩わせないように収容して下さい。 - 日本支部理事"升"
補遺-い: 19██/██/██、日本国内にあった財団に似た団体の1つと日本支部として吸収合併する際、その団体から移譲されたオブジェクトの1つがSCP-052-JPです。その団体では古くから、それを確保収容保護の対象ではなく、むしろそのための道具として使用していたようです。財団の手に渡った当初はそれについての連絡が行き渡らず、財団職員の手によって現在のサイト-8181の食堂に、一般的な御札のように飾られました。そのことにより食堂の一角に対して異常な現象が発生し、その特異性が明らかになりました。その団体がいつからSCP-052-JPを用いていたのかは記録に残っておらず、またSCP-052-JPの複製方法の記録も故意に削除されています。今のところ、財団はSCP-052-JPの複製に成功していません。
注-ろ: 付着させることでいくつかのSCPオブジェクトを完全に無力化することができるため、SCP-052-JPは他のSCPを収容する有効な手段に成り得ると考えられます。
注-は SCP-052-JPの効果はSCPオブジェクトの収容に用いるのに完全なものではなく、そのような用途に使うことは禁止します。詳細については事件記録-ち及び-りを参考にして下さい。
事件記録-ち: 19██/██/██、SCP-052-JPとSCP-███を接触させる実験を行いました。SCP-052-JPによりSCP-███が完全に無力化されることが期待され、付着させた直後はその通りになったと思われました。しかしSCP-███にはまだ力が残っており、抵抗しました。その際に貼り付けられたSCP-052-JPを破壊し、再び収容されるまでに財団の研究員や機動部隊隊員を██人殺害しました。この被害の大きさはSCP-052-JPが危険なオブジェクトを安全にすると過信し、警戒が薄れ準備を怠ったことが原因だと考えられます。このことを踏まえ、以降はSCP-052-JPを使用する際にも細心の注意を払うようにしなければなりません。
事件記録-り: 19██/██/██、危険性はないと考えられていたAnomalousアイテムが突然暴走し、[削除済]。後の調査で、暴走のきっかけはそのアイテムはSCP-052-JPの効果に対し異常な敵性を示すことが明らかになりました。この事件は、そのような性質を持つアイテムがあることを知らず、またそこがSCP-052-JPの効果の範囲内だと気付かずに職員がそれを持って近付いてしまったことが原因だと結論付けられました。このことにより財団施設内にむやみに飾られていたSCP-052-JPを全て回収して一か所に収容。同様に、知らないうちに他のオブジェクトと干渉しないよう、SCPオブジェクトの収容に用いることは禁止されました。
補遺-つ これまで何度か、SCP-052-JPもしくはそれに類似した紙が貼られたオブジェクトが日本国内で見つかっています。そのうちのいくつかは財団に吸収合併した団体の記録に残っていますが、そうでないものもあります。また、紙が風化するほどに古いものもあれば、ほとんど新しいものが使われている場合もありました。模様は同じものや違うものがあり、新しいものはSCP-052-JPと効果の違いがあることが確認されています。その違いは、SCP-052-JPと比べて改善されていると考えられるようなものがほとんどです。紙が貼られていたオブジェクトはそれを取り除いて確認し、そのほとんどがSCPオブジェクトやAnomalousアイテムに分類されました。
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scp-053-jp |
評価: +198+–x
SCP-053-JPを装着中のエージェント・████
アイテム番号: SCP-053-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-053-JPは両端を固定し、低危険物収容棚に収容して下さい。Dクラス職員を用いた実験は禁止します。収容違反が発生した場合、セキュリティ担当は警備犬とGPSによる追跡を行って下さい。
説明: SCP-053-JPは長さ約2.3mの黒い布です。材質はごく普通の木綿です。ヤシャブシを鉄媒染して黒く染色したと考えられますが、染料からは微量の[編集済]が検出されました。SCP-053-JPは財団エージェントが土産物として三重県████市の露店で購入し、後にサイト-81██の休憩室で使用された際に特異性が発見されました。
SCP-053-JPで頭部の80%以上を覆い、両端を垂らしたとき、着用者に特異性が発現します。着用者は他の人間から認識されなくなります。着用者の映像を見ても、そこに着用者がいることを認識できません。しかし音声のみの記録では、着用者の声や物音を認識することができました。また機械や他の生物の認識能力には影響がなく、全ての事例で着用者を正常に認識しました。SCP-053-JPを脱いだ場合、特異性はただちに消滅します。
SCP-053-JPの特異性は、ある概念に対する知識が深く関わっていることが判明しました。詳細はインタビュー053-JP-01を参照して下さい。
+ インタビュー053-JP-01を表示
- インタビュー053-JP-01を隠す
インタビュー053-JP-01 - 日付20██/██/██
対象: エージェント・████
インタビュアー: ████研究員
付記: このインタビューはSCP-053-JPの認識実験の後に行われました。
<録音開始>
████研究員: お疲れ様でした。私の姿が全く認識できなかったようですね。いつから?
エージェント・████: お前がSCP-053-JPを顔に巻いて、白衣の[編集済]になった瞬間からだよ。声も聞こえないし、足音も聞こえなかった。
████研究員: 水たまりや芝生の上を歩いたとき、波紋などから間接的に認識できませんでしたか?
エージェント・████: 見てたけど、全然気づかなかったな……お前、何でズボン濡れてるの?
████研究員: バケツに水を入れて、蹴飛ばしてみたんですけどね。気づいてもらえなくて、逆に寂しかったです。肩を叩いたのには気づきましたよね?
エージェント・████: ああ。叩かれるまで気づかなかったし、その後もどこにいるのか全然わからなかったけどな。
████研究員: あなたが反射的に繰り出した裏拳を、まともに喰らってしまいましたよ。手ごたえありませんでしたか?
エージェント・████: いや、空振りだと思ったけど……あれ、拳に血がついてるな。
████研究員: 私のです。 肩を叩かれるのも、顔を殴るのも、同じ触覚のはずなんですがね。なぜ空振りだと思ったんですか?
エージェント・████: そりゃ、[編集済]が俺の裏拳なんか喰らうはずがない……ん? どういうことだ? お前、[編集済]じゃないよな?
████研究員: 私が[編集済]の訳ないでしょう。武道の経験すらありませんよ。
エージェント・████: 面白いな! なあそれ、今度は俺が着けていいか?
████研究員: インタビューを終了します。ご協力ありがとうございました。
<録音終了>
SCP-053-JP着用者を認識できなかった被験者は全員、「[編集済]がそんなとこ歩いてるはずがない」「[編集済]だから見つけられるはずがない」「[編集済]の攻撃なんて避けられるはずがない」などとコメントしました。
幾つかの実験により、SCP-053-JP着用者を認識できる人間が少数ながら確認されました。これらの被験者には、「[編集済]を知らない」という共通点がありました。しかし対象が[編集済]について知った後は、通常通りSCP-053-JP着用者を認識できなくなりました。
これらのことから、SCP-053-JP着用者は認識されないのではなく、[編集済]として認識されることによって「SCP-053-JP着用者は認識できない」という認識を新たに植えつけていると推測されます。日本国内で[編集済]を知らない人間は極めて少ないため、この影響はほぼ全ての人間に及ぶことになります。
SCP-053-JPが露店で販売されていたことから、未収容のSCP-053-JPが存在する可能性があります。財団は███県████市でこの露店を発見しました。詳しくは調査報告書053-JP-01を参照して下さい。
+ 調査報告書053-JP-01を表示
- 調査報告書053-JP-01を隠す
調査報告書053-JP-01 - 日付20██/██/██
付記: エージェント・████は警察官に偽装しています。
<録音開始>
エージェント・████: ちょっと失礼します。この露店は営業許可を受けていますか?
男性: ええ、受けていますよ。ええと、許可証どこだったかな……。
(男性はしゃがみこむ。何かを探している様子だったが、すぐに立ち上がる)
男性: ああ、これです。
エージェント・████: [編集済]だ!?
男性: ククク……どうした? 我らがそんなに珍しいか? といっても、聞こえてはいまいな。
エージェント・████: 消えた!? くそっ、やっぱり同じものを持っていたか……。「本部」、応答して下さい。こちら「斉藤巡査長」です。「被疑者」を見失いました!
男性: 本部とやら、聞こえているのなら心しておくがいい。我らについて多くを知る者ほど、我らにとってたやすい相手となろう。さらばだ。
<録音終了>
終了報告書: エージェント・████は対象の確保に失敗しました。この事件以降、該当する露店の目撃報告が完全に途絶えました。何らかの隠蔽工作を行ったものと思われます。調査を継続します。
補遺: SCP-053-JPの収容と研究のため、財団では[編集済]の知識がない非Dクラス職員を探しています。添付された画像の人物を認識できた職員は、████研究員まで申し出て下さい。
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scp-054-jp |
評価: +52+–x
アイテム番号: SCP-054-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-054-JP-1からSCP-054-JP-33は、個別に低反発性の緩衝材に包まれた状態で、オブジェクト収容金庫へ保管されます。収容金庫はR12規格に適合した免震装置に設置してください。週に一度、金庫内の状況点検が必要です。異常を確認した場合は、速やかに担当職員へ連絡し指示を仰いでください。点検中はオブジェクトの破損には細心の注意を払う必要があります。収容サイト内では物理的な破壊をもたらす他のSCPオブジェクトからは隔離されるべきです。
現在、SCP-054-JPへの実験は事案054-ろ以降、無期限に凍結されています。
説明: SCP-054-JPは33片の未知の生物の骨格です。その形状より、16対の肋骨(SCP-054-JP-1からSCP-054-JP-32と指定)及び1節の脊椎(SCP-054-JP-33と指定)であると考えられています。
SCP-054-JPの異常性は、破壊された場合の自己復元能力にあります。各々の骨片につき約10%の体積が残っている場合、破壊前の骨片へと完全に復元されます。1 自己復元の速度は元の体積から少なくなるほど遅くなりますが、最低でも30分前後で元の骨片へと復元されます。
SCP-054-JPは、北海道██市内にある郷土博物館にて「非常に状態が良い化石」として展示されていました。20██/██/██、「地震で破損した化石が増えた」という事件の後、派遣された財団職員により特異性が確認され回収されました。
回収当初4片の肋骨のみであったSCP-054-JPは、単に強い自己復元能力を持つだけの骨だと考えられていましたが、実験中に突如SCP-054-JP-33が生成されました。詳細は事案054-ろを参照してください。
補遺:
+ 実験記録
- 閲覧終了
実験記録054-2 - 日付20██/██/██
実施方法: オブジェクトをハンマーで破壊。
結果: 大きな破片、中程度の破片は自己復元されました。小さな破片と極小の破片群は自己復元されませんでした。破片は、大きな物ほど復元の速度が速い事が確認されました。
分析: 復元できるサイズには制限があるようですね。
メモ: この実験でSCP-054-JPは合計10個になりました。SCP-054-JP-1からSCP-054-JP-10と指定します。
実験記録054-4 - 日付20██/██/██
実施方法: ノコギリを用い、オブジェクトを2から20のサイズで等分。
結果: ノコギリでは切断する事が出来ませんでした。代わりにナタを用いたところ、精度は下がりますが切断は可能でした。また、4等分の実験より結果的に11等分、正確には全体の約11分の1サイズの骨片からは復元は開始されませんでした。
5分の4サイズから復元速度が切断速度を上回ったため、「等分」をする事は出来ていません。
分析: 復元可能なサイズは全体の約1割程度からのようです。
メモ: この実験にてSCP-054-JPは合計23個になりました。SCP-054-JP-1からSCP-054-JP-23と指定します。
実験記録054-6 - 日付20██/██/██
実施方法: オブジェクトをグラインダーで削った。
結果: 削った骨の粉は発生しましたが、オブジェクト自体は全く削れていきませんでした。
分析: 削ったそばから復元されていくようです。また、想定通り、粉末には再生能力はありません。
メモ: 骨粉の成分を分析したところ、通常の生物の骨となんら変わりはありませんでした。
実験記録054-7 - 日付20██/██/██
実施方法: オブジェクトを塩酸の入った容器に浸けた。
結果: 激しく反応を続けますが、オブジェクトの体積に変化は見られず、塩酸が先に蒸発をしました。容器から出した後も、浸ける前と変化は見られません。
分析: 摩耗、化学反応にはかなり強い耐性を見せています。反面、衝撃では常識レベルの強さで破壊ができます。
メモ: SCP-054-JPを完全に消滅させる必要がある場合は、相当に手を焼きそうです。
以後、オブジェクトの無力化を目的とした実験が行われました。
すべての実験で効果が無いか、オブジェクトの数を増やす結果に終わっています。
事案054-ろ
オブジェクトの無力化方法を検証するための実験中、33個目のSCP-054-JP(SCP-054-JP-33と指定します)がこれまでとは違う形状に復元されました。これまでSCP-054-JPは見た目上生物の肋骨の形状をしていましたが、SCP-054-JP-33は脊椎の形状を取りました。
SCP-054-JP-33からは遺伝子サンプルの採取が成功し、分析の結果、未知の塩基配列を持った五重螺旋の遺伝子を持つ事が判明しました。
██博士は即時に当事案をサイト管理官へ報告し、実験の無期限凍結と収容プロトコルの改訂を申請。実験の凍結のみ受理されました。
██博士の申請
██博士: SCP-054-JPは我々の考えていた特性よりもずっと未知の物でした。
特性調査、破壊実験は今後凍結し、収容プロトコルも重量センサー、カメラ監視を用いた厳重な物にするべきです。
実験の凍結については受理します。収容プロトコル改訂については却下します。
これまで通り、破損を確実に避ける収容をしていれば何ら問題ありません。
- サイト-81██ 管理官 ██
Footnotes
1. 例えば、SCP-054-JP-1を10等分に切り分けた場合、10個のSCP-054-JP-1として増殖します。
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scp-055-jp |
評価: +106+–x
アイテム番号: SCP-055-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-055-JPは地球から離れた位置にある巨大な構造物であり、物理的収容方法はありません。そのため、対象に関する一般への情報規制による封じ込めを行っています。対象の状態は24時間の監視対象となっており、地上からの4基の高解像度天体望遠鏡による観測が行われています。書籍、論文、インターネット、報道機関や民間研究施設などのあらゆる部分においてSCP-055-JPに対する言及は削除の対象です。また、SCP-055-JPを発見したとされる人物にはBクラス記憶処置を施してください。実験にはO5-█による承認が必要となっています。
説明: SCP-055-JPは現在、地球中心点より約100000km~200000kmの範囲で周回運動を行っています。直径約4km、長さ26kmの円筒形で外観はタバコモザイクウイルス状です。内部は居住空間となっており、推定では数万人分程度の居住スペースが存在していると見られています。「房」の一つ一つに出入り可能な門が存在し、自動で開閉が行われます。財団による侵入の試行時にも自動的に開閉が行われており、デブリなどの異物と「訪問者」の区別をいかにしているかは不明です。一つ一つの「房」は独立した区画を形成しており、事故発生時のリスクヘッジの役割を持つものと考えられています。ひとつの房は高さ1.2km、直径は約2.5kmほどです。
外見からは損傷などは見られず、非常に堅固な構造をしていると思われますが、その機能はほとんどが停止している様です。内部は窒素85%二酸化炭素11%酸素3%その他1%となっておりこれは人間が生活するには不適切な状態です。また、気温はマイナス15℃ほどです。内部は明らかに円柱の中心に対して重力が働いている事を想定した構造をしていますが現在は無重力状態にあり、かつては重力を発生させる何らかの機構が存在していたと考えられます。円柱の中心方向を底面とした複数の階層からなる居住区画が存在しており、底面に近いほど一つの居住スペースが広く取られています。すべての建造物は内部に家具などの類は一切存在せず、すべて組成不明のコンクリート様のセメント塊で形成されており、白を基調としています。建造物はモダニズム建築の影響が見られ、装飾は少なく機能性と合理性に重点が置かれています。
構造物の他、植物などが植えられていたと思われるスペースなどがかなりの割合で存在していますが、実際に植物の痕跡は報告されていません。また、内部は完全に無菌状態で、生物は一切確認されていません。その構造組成を含め、あらゆる点で現代人類の科学力からは考えられない、未知のテクノロジーが使用されており、財団による研究が進められています。
対象の位置的な問題により調査コストが膨大かつ危険性の高いものであり、技術的問題もあり内部の調査はあまり進んでいません。また、本来機能していたと思われる姿勢制御装置と見られる構造物などはその機能を果たしておらず、将来的に地上に落下する可能性が存在します。推定されるSCP-055-JPの重量は2000万トン以上にも及ぶと見られ、落下時には相当の被害が予想されます。
SCP-055-JPに関すると思われる最も古い記述は1930年代に遡ります。当初は民間の研究者によって異質な軌道をとる彗星として発表が行われ、その後195█年に███政府による調査によって人工物である事が判明。その後、財団によってSCP認定が行われ、調査研究が引き継がれています。
録音記録:D-055-1
- テキストを隠す
19██/██/██時の調査では一部電気系統が活動している地点が発見され、現在この地点を中心に調査活動がすすめられています。以下はSCP-055-JP内部に侵入時、音声によって送信された放送を録音したものです。
[ウエイン牧師の真珠の門株式王国へようこそ! 世界で最も地上から離れた楽園!われ等のエデンの園!」]
[ウエイン牧師の真珠の門は世界で最も多くのテクノロジーが集まる、ビジネスの拠点。そして最も多くの支持を得ている株式国家です。]
[現在、実に15億人に及ぶ人々が我々の株主国民となっています。 洗練され、行き届いたサービスと精神的安息をお約束いたします。]
[当航宙都市にはすでに3万と6784人の国民が暮らしております。もしもご要望でしたら自由にご散策いただき、人々の生の声を聞くことも可能です。]
[国民パスの所得は非常に迅速かつ堅固なセキュリティによって守られ、貴方の個人情報は完璧に守られます。事実、我々は過去に一度も情報漏洩を起こしていません。]
[まずはアドヒレントから始めましょう!ドネート金額に応じてさらに高い位階を所得すればさらに優れたサービスをご提供いたします。]
[ウエイン牧師の真珠の門では特に3つの原則を尊びます。すなわち、テクノロジーの賞賛! 効率的なエコロジー!隣人愛! あえてこれらを支持しない人がいるでしょうか?]
[貴方がヨハネ伝3章16節を知らなくとも、我々は冷たくする事はありません。心からの安らぎとクリーンで効率的なハイテクノロジーを是非ご享受ください!]
録音記録:D-055-1
- テキストを隠す
以下は調査時に特定の構造物に接近した場合に発せられる放送を録音したものです。最も多く見られるタイプの構造物は高さ150cm、横幅240cm、幅100cmほどで大型の3Dプリンターに似ています。「マターコンパイラー」と呼ばれているようです。構造物は街の様々な場所に存在しており、中には非常に巨大なものも確認されています。
[ウエイン牧師の真珠の門、マターコンパイラーサービスです。デバイス上に表示された各種メニューから無料のサービスが行われます。]
[こんにちわ、ゲスト様。貴方は国民パスをお持ちでいらっしゃいませんのでサービスは最も限定的なものとなることをご了承ください。]
[限定サービスではタバコ・アルコール・獣肉類、貝類など嗜好品に指定されている物品、マイクロチップ等を使用する複雑な製品などはコンパイルできません。]
[物資の上限は一日あたり2kg以内に限られ。都市外部への物資の持ち出しは許可されておりません。詳しくはデバイスに表示される案内メニューをごらんください。]
「デバイス」は電源が入っておらず、何も反応はありませんでした。
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scp-056-jp |
評価: +178+–x
アイテム番号: SCP-056-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-056-JPはエリア-8142の8メートルx8メートルx8メートルの施錠された危険物質収容チャンバー内に収容してください。常に二名以上の武装した警備員を配置し、近辺のトイレの位置は必ず把握させるようにしてください。オブジェクトへの接近は危険であるため、実験または移送の際には専用に開発されたロボットを使用してください。
説明: SCP-056-JPは東京都██の廃棄物処理場に設置されていた天井の無い簡易トイレ内部に存在するメーカー不明の温水洗浄便座です。設置された経緯の記録は無く設置者、時期共に不明のままです。SCP-056-JPは電源及び水道管には接続されていないにも関わらず未知のエネルギー源によって動作します。操作パネルには洗浄機能の他、脱臭機能、音楽の再生、擬音機能、温風機能などがあり、水量は弱と強が指定できます。
SCP-056-JPは通常の陶器から出来ていますが、汚染や破壊に対して強い耐性を示します。泥や染色スプレーなどはすぐに剥離してしまい、プレス機を用いた圧力実験においては2000トン以上の圧力に対しても変形は見られませんでした。オブジェクトの周囲5メートル以内に進入した人物に対して副交感神経に影響を与え、強い便意を感じさせます。これは実際の生理的状態とは関係なく発生し、結果としてオブジェクトの利用を促します。オブジェクトから充分離れるとこの効果はなくなります。
SCP-056-JPは便座上に物体を配置し、操作パネルから洗浄ボタンを動作させると通常の洗浄便座ではありえない大量の水を高圧力で噴出します。噴出される水量及び噴出時間には一貫性が無く、便座に配置される物体に合わせて変化すると見られています。水量弱の設定では便座上の物体は噴出する水の勢いで大きく上空に飛ばされ、水量強の設定では便座上の物体は噴出する水の勢いにより多くの場合は破砕されます。
SCP-056-JPは200█年██月██日、発生した墜落死事故の調査中に警察により発見されました。調査中の警察官がSCP-056-JPに接近したため異常性が発現。警察官はトイレ内より射出され、直腸部の破裂と頚椎損傷により即死。その後、目撃者及び関係者に記憶処置が施された後、財団により確保が行われました。また、トイレ内には紙などは用意されていなかった模様です。
以下は各機能の実験記録です。
各機能
結果
備考
洗浄機能
別紙参照
音楽機能
激しいロックミュージックがランダムに流れる。現在まで147曲目を確認。
80'Sのハードコアやスラッシュメタルが好きなようだ。
脱臭機能
便器内が1857℃に加熱。
こういった機能をもったトイレは存在するが普通便器は熱くしないしオーバーキルだ。
擬音機能
押す度に変化する笑い声。46パターン。
酷いけど10分間くらいは笑える。
排泄機能
排水音と共に便器内の物質が吸い込まれて消失。
これだけまともなのは罠としか思えない。
温風機能
風速約20メートルの温風が便器内より30秒間吹きつけた。
実験記録056-3 - 日付200█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: 成人男性型のダミー人形を便座に配置し、水量弱に設定。
結果: ダミー人形は問題なく便座より約10メートル上空に射出されました。
実験記録056-7 - 日付200█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: 成人男性型のダミー人形を便座に配置し、水量強に設定。
結果:ダミー人形は問題なく二つに両断されました。
実験記録056-12 - 日付200█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: 重量1 tの一般車両を便座に設置。水量弱に設定。
結果: 車両は上空6メートルまで吹き飛ばされ、完全に破壊されました。
実験記録056-15 - 日付200█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: 重量15 tの大型車両を便座に設置。水量弱に設定。
結果: 大型車両は大きく湾曲しながら上空5メートルまで吹き飛ばされ、完全に破壊されました。
与える荷重と材質によって水の威力が変わるようだ。-██博士
実験記録056-17 - 日付200█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: 重量5 tのワイヤーを取り付けた金属塊を便座に載せ、コンクリートベースにアンカーで固定。水量弱に設定。
結果: 噴出開始より15秒後、ワイヤーが破壊され、金属塊は上空10メートルまで射出されました。
実験記録056-18 - 日付200█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: Dクラス人員をSCP-056-JPに接近させる。
結果: D-1874はSCP-056-JPに接近すると腹痛を訴え、SCP-056-JPを使用。用便後、 D-1874は水量を弱に設定。D-1874は問題なく便座より10メートル射出され重症を負いました。
実験記録056-23 - 日付200█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: SCP-056-JPを逆さまにして便座部に金属塊を設置。水量弱に設定。
結果: SCP-056-JPは正常に上空12メートルまで上昇後に落下。SCP-056-JPに損傷は見られない。
実験記録056-34 - 日付201█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: SCP-056-JPからの噴出を避けて便座型の錘を作成して配置。水量強に設定。
結果:SCP-056-JPは推定速度マッハ3の水流を放出。コンクリートや金属パイプなどの切断に成功しました。その後スイッチを切るまでの間、130時間に渡って放出を続けました。
実験記録056-40 - 日付201█/██/██
対象: SCP-056-JP
実施方法: ██博士作成のリモコン型の小型車両にSCP-056-JPを設置。性能試験を行う。
結果:距離50メートル地点において時速900 kmを達成。
やはりSCP-056-JPに与えられる加重に問題がある。産業用カッターとしては申し分ない。-██博士
補填: 201█/██/██、SCP-056-JPの実験施設周辺地域において█メートルにおよぶ地盤沈下が観測されました。大量の地下水の揚水が原因と考えられますが周辺に揚水施設などは無く、SCP-056-JPとの関連が指摘されました。放出された水の検査が行われ、地下水の成分と一致することが判明しました。
この報告を受け、SCP-056-JPに対する実験は全て凍結される事となりました。
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scp-057-jp |
評価: +97+–x
アイテム番号: SCP-057-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 日本国内の全ての証明写真機には顔認証システムを取り付けられ、SCP-057-JPの発生を監視しています。SCP-057-JPと思われる写真が確認された場合、直ちに最寄のサイトに連絡を行い、回収部隊う-2("写真愛好家")によりSCP-057-JPの回収及び被写体に対する記憶処理を行ってください。
説明: SCP-057-JPは日本国内の証明写真機を用いて撮影した時、不定期的に排出される、被写体と異なる顔の写った証明写真です。SCP-057-JPに写っている顔は全て同一の物で、30代に見える顔、太い眉、厚い唇、広い額、などの特徴を持ち、口元は微笑んでいるように見えます。日本国内の証明写真機、及び証明写真機の量産ロットには異常は見当たりませんでした。
排出されたSCP-057-JPを人間が12時間以上所持し続けている場合(以下"所持者"と表記)、所持者の顔及び写真に写っている所持者の全ての顔は徐々にSCP-057-JPに写っている顔に改変されます。1この時所持者は顔の改変に違和感を覚えず、周囲の親族や友人なども改変には気付きません。しかし、所持者の事を全く知らない人物がその顔を見ると、直感的に違和感を感じます。完全に顔が改変された所持者は元の性格に関係なく、丁寧で温厚な人柄になります。
補遺1: SCP-057-JPが初めて確認された2001/07/09時点では発生区域は千葉県全域に限定されていましたが、2006/08/24に関東圏への発生区域拡大が確認されました。その際SCP-057-JPの顔をし、黒いスーツを着た人物が関東圏で複数、証明写真機の前で確認されています。日本全国に発生区域が拡大された2011/10/14でも同様の人物が日本全国で確認されています。いずれの場合も財団が確保に向かった時には消失していました。この個体をSCP-057-JP-Aとして指定、発生区域拡大に関して何らかの関係があるとして財団は捜索をしています。
補遺2: インタビュー記録:057-E
対象: D-8065
インタビュアー: ██博士
付記: D-8065には一週間前にSCP-057-JPに暴露させ、顔を完全に改変された状態にされています。また、顔の改変前は粗暴な口調であった事を留意してください。
<録音開始>
██博士: こんにちは、D-8065。気分はどうかな?
D-8065: 至って普通ですね。少なくとも刑務所に居た時よりは良いです。
██博士: そうか。インタビュー前に君の顔を鏡で見せたが、感想は?
D-8065: 感想と言われても……ただ、何時もと同じ顔がそこにあるだけですから。
██博士: 一ヶ月前の自分の顔を思い出せるかな?
D-8065: 一ヶ月前……一ヶ月前の自分の顔は……[D-8065は数秒間呻き声をあげる。]……やだなあ、今と変わりませんよ。
██博士: これが一ヶ月前の君の顔の似顔絵だが。
[D-8065は似顔絵の描かれた紙を視認する。]
D-8065: こんな顔の人、居ませんよ?そもそも人の顔は全部同じ見た目じゃないですか。
██博士: 全部同じ見た目?詳しく説明してくれ。
D-8065: はい。私は生まれてこのかた、人の顔は同じ物しか見た事がありません。
どの人間も全く同じ顔なのです。私の母親も、友人も、今目の前に居るあなたも。
その顔はふと眉で、唇が厚くて、額が大きくて、笑みを浮かべていて、なんだか虚無的な感じが漂っていました。
眉も口も目もぴくりとも動かないのです。
いえ、そもそも顔は動く物でしたっけ……とにかく、そんなようなもので、[D-8065は数秒間呻き声をあげる。]……不気味、に、思っていたのです。が、最近はちょっと変化がありまして。
██博士: 変化とは?
D-8065: 最近、周りの人々が何か言葉を言っているように錯覚してしまうのです。もちろん周囲を見渡しても誰も私の方を見ていませんし、口は相変わらず動いておりません。奇妙で仕方がないのです。
██博士: 言っている言葉はどういったものだ?
D-8065: ああ、ええと、「お前を見ているぞ」 とか、「思い出せ」 とか。確か、そういった物でしたね。正直、薄気味悪いです。
[D-8065は突如辺りを見回す。]
D-8065: すみません、今も、言葉が聴こえてしまったものでして。でも、あなた以外誰も喋っていませんよね?
██博士: ああ、もちろんだ。今聴こえた言葉も話してくれないか?
D-8065: 「見つけたぞ、次は此処だ」と聴こえました。
<録音終了>
終了報告書: インタビュー終了直前、四隅に立っていたセキュリティ担当がSCP-057-JP-Aらしき人影を一瞬見たと言う報告がされました。その12時間後、サイト-8180内の写真撮影機でSCP-057-JPが発生するようになりました。サイト-8180に存在する全ての写真撮影機は破棄されました。
Footnotes
1. 似顔絵等なら改変はされません。
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scp-058-jp |
評価: +282+–x
積乱雲より出現したSCP-058-JP(20██/9/██撮影)
アイテム番号: SCP-058-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-058-JPは収容エリア-8120の大型気密収容ユニットに設けられた、1000m3容量の密閉型タンク90基に分けて収容してください。タンクは常に液体窒素で-160℃以下を維持、タンク内部のSCP-058-JPは-30℃以下になる状態を維持し、決して0℃を上回らないようにしてください。気密収容ユニット内の水蒸気は全て回収装置で強制的にタンクに戻され凝結されるようにしてください。気密収容ユニットの扉にはエアロックを設け、如何なる水分の持ち出しも無いようにしてください。また、収容ユニットに入る職員は酸素ボンベ付耐寒HAZMATスーツを着用し、退室時もエアロックでの脱水が完了するまで決して脱がないでください。収容は現在約76%が完了しており、残り24%の収容任務に機動部隊む-2("嵐を呼ぶ男")が当たっています。収容状況についてはレポート058-04を参照してください。特に収容エリア-8120周辺20km圏内の気象状況、水脈、河川は常時監視され、異常が発見された場合収容エリア-8120職員はシェルターへ退避してください。
説明: SCP-058-JPは知性を持つ総量約87,000m3の水です。1SCP-058-JPは血液と動物性油脂を含みやや濁っていて、全体としては薄く暗い赤色で"排水路の様な"と評される強い腐敗臭を持ちます。しかしこれ以外の物質を混合した場合、それら全てを数時間以内に分離し排出する事がわかっています。排出されるメカニズムは解明されていません。またこの血液と油脂は相当数の人間の物である事が遺伝子検査から判明しています。また、気化したSCP-058-JPには血液と油脂は残らず、析出したこれらの残存物質に異常性は無い為、純粋なSCP-058-JP本体は水単体であると考えられています。
SCP-058-JPは自発的な移動が可能です。移動には自身も含む何らかの足場が必要ですが、気相もしくはエアロゾルの状態にあるときは、大気を足場とする為、液相より活発に移動します。その為、非収容時は雲や霧などエアロゾルの状態をとる事が多かったと報告されています。固相では動きません。また相などの物理状態に関わらず一つの場所にまとまろうとする傾向があります。2これにより水中、大気中でも拡散せずSCP-058-JPは単一の個体である事を維持します。自発的に複数の個体に分かれる事は一度も確認されていません。更に、目的に合わせ物理状態を変化させる事が可能です。
周囲の温度変化に対しては一種の恒常性を持っています。通常は緩やかに吸放熱を行う事でSCP-058-JPの任意の物理状態に留まっています。SCP-058-JPの温度測定はこの吸放熱の性質の為正確に測る事は出来ず、実際の温度との差分が計測されます。ただし、SCP-058-JPはそれぞれの相における転移点の±157.4℃を超える温度変化に対しては対処しきれず、強制的な熱移動を被る事になります。この為、SCP-058-JPを固体の状態に留め置くには-157.4℃以下で冷やし続け固相を強制的に維持する事が有効であると結論付けられています。
SCP-058-JPは人類に対し敵対的であり、未収容の状態では不定期に人間を襲い、捕食に似た行動をとります。特に人の多い場所を狙って襲撃する事が統計的に明らかになっています。鎮静期は通常の水のように振る舞います。SCP-058-JP内に取り込まれた人間は、取り込まれた部位から速やかに分解され、血液と油脂成分のみがSCP-058-JP内に残る事になります。この血液と油脂も時間と共に分解され、最終的には元の濃度に戻ります。平均的な体格の成人を全身漬けた場合、身体の分解にかかる速度はおよそ5秒から15秒程度です。この分解自体は人体のみに有効であり確実な気密が施されたHAZMATスーツで防ぐ事が出来ますが、SCP-058-JP内では非常に強い水圧がかかる為、全身を漬けた場合スーツ単体では生存はほぼ不可能です。3
事案記録058抜粋
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日時
場所
事例
処理
19██/10/██
██県沖、遠洋漁業船███
200mm/hの雷雨、17m超の波。乗組員██名が死亡。
局所的な気象災害による沈没として処理。
19██/12/█
██県███町
20m超の津波、最大時視程3m未満の霧。██人が死亡、█人が重軽傷。
███町の記録削除。関係者への記憶処理。
19██/4/█
██府██市
直径18cmを超える雹、██川の氾濫、最大時視程5m未満の霧。████人が死亡、██人が重軽傷。
関係者への広域な記憶処理。並びに記録隠蔽。上流貯水池の事故として処理。
20██/9/██
██県████町
土砂災害を伴う200mm/hの大雨、13cmを超える雹、最大時視程3m未満の霧。███人が死亡、█人が重軽傷。
関係者への広域な記憶処理。並びに記録隠蔽。局所的な気象災害として処理。
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実験記録058抜粋
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実験日
概要
結果
考察及び備考
19██/7/██
5cm3の液体SCP-058-JPを気化し10×10×3mの気密実験室に解放、大型ファンで室内空気を強く循環させた。エアロックを通じD-68478を入室させ曝露させる。
D-68478は入室後13秒で強い喉と目の痛みを訴え、83秒後激しい吐血と共に死亡。更に死体が分解され、284秒後完全に分解された死体から多量のSCP-058-JPが生じた。
移動する性質により、所要時間に差はあるが少量でも人を襲う事が可能であると裏付けされた。更に実験室内を完全に脱水し回収したSCP-058-JPは36,7kgになった。これはD-68478に含まれていた水分量に因る物と考えられる。
20██/12/██
それぞれ5cm3の液体SCP-058-JPと着色した通常の水の密閉容器中での混合。
13秒で完全に分離。
人体由来ではない水分は異物と判断されると推測された。なお、分離直後SCP-058-JPは気化を始め容器内圧力が高まった為、冷却処理した。
20██/9/█
5cm3の液体SCP-058-JPにセメントを混合、撹拌し続ける。
分離速度を撹拌と結合速度が上回り、一時固定化。しかし、20時間後にSCP-058-JPが表面から滲み出した。
セメントによる処理は一時的な収容措置には利用可能だが、そのままでは使えない。また、化合物として分子を分離しても異常性が無くならないと推定された。
20██/7/██
5cm3の液体SCP-058-JPを電気分解。
N/A
これ以降SCP-058-JPを不安定状態に置くのは禁止される。
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収容記録058抜粋
名称: 収容記録058-21-0005
概要: 20██/7/██ 22:30頃、フィールドエージェントからSCP-058-JPが██県███町██湖に出現したとの報告が為されました。しかし目視出来るSCP-058-JPの量はおよそ1000m3前後であり、本来想定される物より遥かに少なかった為、SCP-058-JPは地下水脈を通して██湖まで移動しその質量の大部分は地下に存在すると考えられました。SCP-058-JP収容の為、吸収性ポリマーを上空から散布した後、耐圧力強化ポンプ車10台により吸引する計画が立案、実行されました。吸収性ポリマーを散布する輸送機とポンプ車は気密構造になっています。
結果: 輸送機が吸水性ポリマー散布を開始したところ、出現したSCP-058-JP約1000m3全てが8分程度で急速に気化、激しい上昇気流となり輸送機を襲いました。この結果、輸送機は失速し墜落しました。発生した圧力は上昇に使われ横方向への気流はほぼ発生せず、ポンプ車等の地上部隊は影響をうけませんでした。SCP-058-JPは霧状になり墜落した輸送機周辺に23:25まで留まりましたが、その後消失し行方が分からなくなりました。輸送機の残骸調査では乗員█名は衣服を残し発見されませんでした。
名称: 収容記録058-38-0004
概要: 20██/11/██ 4:20頃、██県の山間部に位置する██村にて発生した200mm/h超の大雨発生後、村民と連絡が付かなくなった事、気象現象として不自然な点が多い事からSCP-058-JPとの関連が疑われ、機動部隊む-1("愛の嵐")が派遣されました。機動部隊む-1は気密性を高めた水陸両用車10台で現地に向かい、車両にはそれぞれ凍結収容コンテナを接続し降雨するSCP-058-JPをコンテナに収容する計画でした。
結果: 車列は██村まで約2kmの山道で、視程距離3m未満の濃霧に包まれ走行が極めて困難になりました。この時点で通信は電波障害により不明瞭なものとなりますが、断片的な情報から██村方面からSCP-058-JPが濁流となって車列をのみ込んだと推測されています。山道は崖に面しており圧壊した車両がその崖下から見つかった事から、恐らく大量のSCP-058-JPに押し流され崖から転落した事で気密が破れ、車両内部に侵入されたと推測されています。機動部隊む-1構成員██名は衣服以外発見されていません。
名称: 収容記録058-40-0008
概要: 20██/1/██ 9:10頃、██県███市の地下貯水施設が突然赤く染まったという情報を受け、SCP-058-JPとの関連が疑われた為機動部隊む-2("嵐を呼ぶ男")が派遣されました。機動部隊む-2によりSCP-058-JP約63,000m3である事が確認され、カバーストーリー「有害物質流出」に基づく関係者・民間人の避難と並行し、地下貯水施設へのセメント投入、及び貯水施設の冷却によるSCP-058-JP封じ込め措置が行われました。
結果: 封じ込めは一定の成果を得、出現したSCP-058-JPのおよそ12%の収容に成功しました。しかし、セメント投入開始直後の貯水施設及び冷却装置の破壊により大部分のSCP-058-JPは排水路水門を突破しました。これらは海へと脱出したと見られています。収容されたSCP-058-JPは収容エリア-8120に移送されました。
名称: 収容記録058-43-0002
概要: 20██/8/██ 17:40頃、巡回中だった無人航空機の光学スペクトルデータ及びサンプリング調査の分析から、██県███町南南西約140km地点の海上、約1,800m上空に積乱雲状のSCP-058-JPが発見されました。この時点でSCP-058-JPは███町方面へ60km/h前後で移動しており、███町への到達予想時刻は19:55と推定されました。市街地への侵入の妨害及びSCP-058-JP収容の為、SCPSティフォン、SCPSあかしまが急派されました。SCPSティフォンは改装された二重船殻型大型タンカーであり、タンク内に格納した液体を急速に凍結、120時間の間冷却し続ける事が可能です。SCPSあかしまは護衛艦でVLSを搭載しており、ヨウ化銀散布装置を弾頭に用いたSAMを格納しています。また、SCP-058-JPに対応するため、両艦とも重要な区画は気密構造となっています。作戦はSCPSあかしまからSAMをSCP-058-JPの一点に集中的に撃ち込み強制的に降雨させ、SCPSティフォンの冷却タンクを用いて回収するという計画です。
結果: 18:45、作戦の目標地点にSCPSティフォンに速力で勝るSCPSあかしまが先に到着しました。この時点で目標地点から1.5km地点に迫っていたSCP-058-JPは、18:51、落雷を含む激しい暴風雨と高さ15mに及ぶと推測される高波、及び視程3m未満の非常に濃い霧を目標地点約5km圏内の海域に発生させました。この反応はSCPSあかしまの乗員数から当初予想されていた物よりも遥かに強く、影響でSCPSティフォンの到着の遅延と本部との通信障害が発生しました。その為、SCPSあかしまは孤立した状態で勢力の強いSCP-058-JPに約40分間晒される事になりました。結果としてSCPSティフォンが到着する19:27迄に、多目的格納区画並びに艦橋通路に深刻なダメージを受け、内部にSCP-058-JPが侵入し███名の人員を喪失しました。しかしSCPSあかしまはこの後も戦闘機能が破壊しつくされるまで48基のSAMを発射し、結果としてSCPSティフォンは約48,000m3のSCP-058-JP回収に成功しました。これは1回の作戦における最大の回収量です。この収容任務に対する忠節と功績により、今作戦に参加したSCPSあかしまの全乗員に勲章が与えられました。
補遺: 懸命な捜索と収容が続けられていますが、それでも残り24%、即ち約20,880m3のSCP-058-JPが未収容のままです。4鎮静期のSCP-058-JPを通常の水と区別する事は一般民間人には困難であり、行方不明者を伴う水難事故の幾つかは、SCP-058-JPの関与が確実視されています。現在も被害が出続けている以上収容と対策は急務であり、20██/11/██に収容計画の拡充並びに更なる資源の投入が日本支部理事会により承認されました。
脚注
1. 25mプール約161個分に相当します。
2. この一カ所に集まる性質の為、現在SCP-058-JPが収容されている収容エリア-8120周辺は出現率が高まる事が予測されています。この性質を用いた陽動収容計画が現在審議されています。
3. 実験では83MPaを記録しています。これはおよそ深海8,000m程の水圧に相当します。
4. 50mプール約8.3杯分です。
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scp-059-jp |
評価: +115+–x
収容前のSCP-059-JP
アイテム番号: SCP-059-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-059-JPを収容する施設の上空はいかなる理由があっても有人飛行物体の航空は禁止されています。SCP-059-JPは収容施設の最上階に収容されています。半年に一度施設屋上に溜まった鳥類等の死骸の回収、清掃のためSCP-059-JPの施設最上階内での移動が行われ、清掃員が屋上に上がり死骸の回収、清掃を行います。遠隔操作の清掃ロボットが導入され、SCP-059-JPの移動の必要なく屋上の死骸回収、清掃が行われます。
SCP-059-JPは5m×5m×7mの収容室内の床から2.5m地点に上下を区切る状態で厚さ30cmの強化ガラスで隔てられた二階構造の上部の部屋に収容されています。施設内において収容室を中心とした半径50m以内かつ収容室二階部分以上の高さの空間は封鎖され、いかなる職員も範囲内のその高さに上がる事はできません。
収容室上部の部屋の床にはシリコン質の透明なエアクッションが敷き詰められています。最低限の寝具、風呂が設備され書籍や玩具を与えられています。天井にはレールが張り巡らされておりレールには先端にハーネスのついたロープが下げられています。面会を行う職員は二階構造の下部の部屋に入りガラス越しにマイクとスピーカーを用いてSCP-059-JPを見上げる状態でカウンセリング等を行います。職員が収容室上部に入室する際は下部の部屋からSCP-059-JPに天井から吊るされたロープで体を固定するように指示し、SCP-059-JPが指示に従い体を固定するのを確認してから収容室上部に上がる事ができます。
説明: SCP-059-JPは身長109.1cmの5歳の少女のように見えます。SCP-059-JPの特異性質はSCP-059-JPとの距離が近くなるほど効果が強くなります。ただしSCP-059-JPとの距離が近い場合においてもSCP-059-JPの等身以下の高さでは特異性質の効果を受ける事はありません。SCP-059-JPの性質効果範囲内でのSCP-059-JP以外の生物は上部から下に押し付けられるような圧力を身体の最上部に感じます。これにより性質効果を受けている状態の生物の体重が増えるという影響が現れます。性質効果を受けた職員によると「身体が重くなったというより、身を低くするように上から押さえつけられているような感覚がする。しかし触られている感触があるわけではない。磁石同士が反発するように身体が下へ押される」と説明しています。その事から重力に影響を与える特異性質ではないと考えられています。
以下、生物の身体の上部からかかる下に押し付けられる圧力を「負荷」とします。
SCP-059-JPの周囲50m以内
SCP-059-JPの等身より上の高さに居る、もしくはその高さに達する身長の生物は負荷を感じます。SCP-059-JPの等身以下の高さまで体を下げると負荷はなくなります。計測に成功した最大の圧力は15kgと確認されました。
SCP-059-JPの周囲30m以内
SCP-059-JPの等身より上の高さに居る生物は非常に強い負荷がかかります。SCP-059-JPの等身以下の高さが床で遮られている状態の小型の生物は床に押し付けられる圧力に耐えられずに圧死します。SCP-059-JPより身長の高い生物はSCP-059-JPの等身以下の高さまで負荷によって押し下げられます。SCP-059-JPの等身以下の高さまで体を下げると負荷はなくなります。計測に成功した最大の圧力は82kgと確認されました。
SCP-059-JPの周囲20m以内
SCP-059-JPの等身より上の高さに居る生物をSCP-059-JPの等身以下の高さに下げる以外の方法で継続的に生命活動を維持させる事に成功していません。床等の障害物によりSCP-059-JPの等身以下の高さに下がる事ができない生物は床に押し付けられ圧死します。SCP-059-JPより身長の高い全ての生物はSCP-059-JP以下の高さまで体勢を低くする行動に抗えません。計測に成功した最大の圧力は39tと確認されました。
※計測で確認された圧力は負荷のかかった生物の体重が引かれた数値です。
床の強度が弱く負荷により生物よりも先に床が破損して生物が下に落下した場合、落下地点がSCP-059-JPの等身以下の高さの場合は負荷がなくなりますが、負荷によって加速された落下速度は残ります。落下地点もSCP-059-JPの等身より上の高さの場合は継続して負荷がかかります。
SCP-059-JPは無重力空間においては特異性が発揮されない事が確認されています。SCP-059-JPの上方向への性質効果範囲はSCP-059-JPに重力現象を与えている物体1の重力圏内全てで確認されます。
補遺1: SCP-059-JPが田園の舗装された道路で収容される際に、パニック状態で逃走するSCP-059-JPをエージェントが追跡を行い、エージェントが中腰状態で10m近くまで接近した所でSCP-059-JPが転倒しました。その時に接近していたエージェントはSCP-059-JPの性質を通じて巻き込まれて転倒しました。腹這い状態のSCP-059-JPの体の厚さまでエージェントの体はアスファルトに押し付けられ、頭蓋骨と肋骨と骨盤が骨折して即死しました。SCP-059-JPが収容室外では身体を固定等などで転倒する確率の低い状態を確認するまでSCP-059-JPに接近しないようにして下さい。
補遺2: SCP-059-JPは自身の特異性を自覚しています。自身の特異性による被害に対し罪悪感があるように振る舞います。SCP-059-JPには財団を医療機関と思わせ、異常性質の治療が進んでいる事を信じこませる事で精神衛生を健康に保ち収容を円滑に続ける事が推奨されています。
補遺3: SCP-059-JPを収容室から外出させる際にはSCP-059-JPに転倒対策に重点を置いて改良された歩行器を使用させる事が義務付けられます。
実験記録 - 日付20██/04/██
対象: SCP-059-JP、モルモット
実施方法: 脳波、脈拍を確認できるようにしたSCP-059-JPをリラックス状態にし、SCP-059-JPから5m離した地点で防音壁を隔ててSCP-059-JPに認識できなくした状態でのモルモットの重機を用いたSCP-059-JPの等身より上の高さへの持ち上げ。
結果: モルモットがSCP-059-JPの等身より上の高さに差し掛かった時点で重機に抵抗が発生するが圧力によりモルモットの生命活動が停止した時点で抵抗が消失、その時点からは問題なくモルモットの死体はSCP-059-JPの等身より上の高さに持ち上げられた。その際のSCP-059-JPの脳波、脈拍への影響はなし。
分析: SCP-059-JPの等身より上の高さに達するまではモルモットに変化はなく等身より上の高さに達してからモルモットに圧力が確認された事からSCP-059-JPの周囲20m以内の性質効果範囲においてもわずかに生物が生存できる事が確認できる。SCP-059-JPの性質にSCP-059-JPの意志は影響なく、またSCP-059-JPの意識にはSCP-059-JPの性質が影響しないと思われる。
脚注
1. 地球
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scp-060-jp |
評価: +167+–x
評価: +167+–x
クレジット
タイトル: SCP-060-JP - 不在の人
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2013
その他のライセンス
評価: +167+–x
評価: +167+–x
その他
この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。
評価: +167+–x
評価: +167+–x
アイテム番号: SCP-060-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-060-JPはサイト-8141の人型用収容セルに収納してください。人型収容セル内にはベッド、机、いすなど最低限の家具と、サイト-8141内のネットワーク財団内部ネットワークや一部のウェブサイトを模擬したサーバーにのみ接続可能なPCを配置してください。また、SCP-060-JPにはレベル0の一般職員相当のIDを交付されています。なお、SCP-060-JPの収容セルの扉は、レベル3以上の職員のみが開閉できるように設定してください。SCP-060-JPを担当する職員は、SCP-060-JPのIDで発行される各種電子申請の状況を監視し、提出された出張願いや配属替え願いを却下してください。SCP-060-JPの移動や収容方法の変更について論議を残す場合は、直筆のメモのスキャン画像、もしくはビデオ映像を用いてください。(200█/6/██追記)SCP-060-JPの収容セル内の清掃は不要です。
説明: SCP-060-JPは電子化された記録の上にのみ痕跡を残す人物です。名簿の電子データや発注記録などを操作し、あたかもSCP-060-JPが実在するかのように振る舞いますが、目視や各種センサによる存在の確認はできません。ですが実在する人物のように扱うことで、自由に所在や所属を操作することができるため、現在はサイト-8141でレベル0の職員として勤務する形で収容されています。
SCP-060-JPが最初に確認されたのは、神奈川県██████市の████小学校にて、200█年度入学予定だった児童の名簿に名前があるにもかかわらず、登校しなかった事案によるものでした。市の教育委員会の調査により、名簿に名前のあった██████という児童の住所には同じ苗字の一家が暮らしていましたが、児童本人は存在しませんでした。しかし戸籍や出生記録、乳幼児健診の記録が残っていたため、現実と記録の矛盾が明るみになり、██████市で超常現象記録の収集を行っていた財団職員の目に留まりました。調査の結果、██████が生まれたとされる病院には、██████の母親の妊娠から出産までの電子カルテのデータが残っていました。しかし担当医の直筆の日誌を調査したところ、██████の母親が想像妊娠の診断を下されたと記されていました。当時の担当医へのインタビューにより、直筆の日誌の方が事実であることが発覚し、██████は超常現象として処理されました処理される予定だったのですが、戸籍の削除を行ったにも拘らず、翌年████小学校の二年生の名簿に名を連ねていました。よって██████はSCP-060-JPとして財団で回収することになりました。
収容当初、SCP-060-JPはサイト-8141内部の各所で注文状況の改変を行い、あたかもサイト内を自由に動き回るように振る舞いましたが、専用オフィスを与える形で人型収容セル内に拘束するよう収容方法が改訂されました。また、SCP-060-JPにレベル0職員相当のIDが付与されているのは、施設内の扉の開閉記録からSCP-060-JPの動向を確認するためです。現在に至るまでのSCP-060-JPに関する記録については、補遺を確認してください。
補遺:
SCP-060-JPログ-1
日付:200█/4/█
内容:██████に関する記録を確認。戸籍や乳幼児健診の記録、産院での電子カルテのデータを発見した。しかし出生届の写しなどの直筆記録や、██████のことを覚えてる人物は発見できなかった。
メモ:やっぱり██████は記録の上にしか存在しないのではないだろうか。 -エージェント████
SCP-060-JPログ-4
日付:200█/4/██
内容:産院の捜索を完了。当時の担当医の日誌を調査したところ、電子カルテ上では██████の母親の妊娠が発覚したその日、██████の母親は想像妊娠の診断を下されていた。
メモ:最初から記録の上でしか存在できないらしい。かわいそうだが、戸籍やらを削除して処理しよう。 -エージェント████
SCP-060-JPログ-5
日付:200█/4/█
内容:████小学校の2年生の名簿に、██████の名前を発見。調査の結果、██████小学校内の名簿はもちろん、戸籍なども復元されていた。
メモ:記録によると、手違いにより削除されていた名簿や戸籍を昨年7月に復元したらしい。記録ミスとかじゃなくて、██████は実在するようだ。 -エージェント████
SCP-060-JPログ-7
日付:200█/4/██
内容:追加調査などを調査した結果、██████をSafeクラスのSCPオブジェクトとして、SCP-060-JPに認定された。担当はエージェント████から████博士に引き継がれる。
メモ:後は██████をサイトまでお引越しさせれば、彼女との付き合いもおしまいだ。だが、どうやって居ない人物を移動させればいいんだろう。 -エージェント████
SCP-060-JPログ-8
日付:200█/4/██
内容:SCP-060-JPを████博士の養子にする形で戸籍を移動させることに成功。また、サイト-8141への引っ越しと財団所有の学校施設への転校の手続きを行ったところ、SCP-060-JPの移動に成功した。
メモ:エージェント████の連絡を受け、学校の名簿を確認したところSCP-060-JPの本名がいつの間にか加えられていた。これで移動完了と言うことか。 -████博士
SCP-060-JPログ-11
日付:200█/11/█
内容:サイト8141における、SCP-060-JPによるものと思われる衣料品の過剰注文の事案が再度発生した。財団日本支部理事-█より████博士に収容方法の改訂が求められる。
メモ:このサイトにいるのは確実なのに、どこにいるのかわからないのがつらい。単純な注文間違えもSCP-060-JPのせいにされかねないので、収容方法を変更して売店や食堂で注文が出来ないようにしよう。 -████博士
SCP-060-JPログ-15
日付:200█/4/1
内容:SCP-060-JPにサイト-8141におけるセキュリティクリアランスレベル0相当のIDを交付。同時に人型収容セルを改装した個人オフィスを供与した。
メモ:これで管理が楽になる。SCP-060-JPは場所さえ指定してやれば、そこにいてくれるからな。それに、人型収容セルエリアから出るにはレベル3以上の職員のIDが必要だ。これで食堂で一人分注文が多い、とか言うことはなくなる。 -████博士
SCP-060-JPログ-17
日付:200█/6/██
内容:SCP-060-JPのIDから出張届や旅費申請が提出される事案が発生。エージェント██がSCP-060-JPの提出した旅程に沿って追跡を行ったところ、空港にてSCP-060-JPの本名での呼び出しが行われた。出張先の████県████市ではSCPオブジェクトと思しき事物の観察が目的とされていたが、SCP-060-JPによる報告書の提出は無かった。
メモ:SCP-060-JPに旅行代を出すほど余裕はないんだ。これからは申請や届け出も監視しないと。 -████博士
SCP-060-JPログ-19
日付:200█/█/█
内容:SCP-060-JPのIDからの、通販サイトへのアクセスを試みる事案が発生。PCの通信ログによるとSCP-060-JPは衣料品などを取り扱う通販サイトを閲覧しようとしていた模様。SCP-060-JPに与えられたPCでの接続は許可されていなかったため、情報漏洩などには至らなかった。
メモ:外部へのアクセスによる情報漏洩が懸念される。レベル0のため情報改変の可能性は低いと考え、サイト内ネットワークへの接続を可能にしていたが、専用のサーバーにしか接続できないようにネットワークを独立させた方がいいだろう。 -████博士
追記:あらかじめ編集された情報のみを提供するニュースサイトと、どれもこれも注文できない疑似通販サイトのみが閲覧できるようにしたサーバーを設置した。サイト内ネットワークの電子申請システムも模擬してあるから、出張届などの確認がだいぶ楽になるはずだ。コンテンツの更新の手間はかかるが、財団の情報が漏えいする可能性を考えると安いものだ。 -████博士
SCP-060-JPログ-25
日付:201█/█/██
内容:SCP-060-JPの人型収容セルからの逃走が発生。Dクラス職員による定期清掃の直後、人型用収容エリア内の扉でSCP-060-JPのIDによる開錠が試みられた。幸い該当する扉の要求するセキュリティクリアランスレベルは2だったため、SCP-060-JPの逃走にはつながらなかった。この事案を受けて、SCP-060-JPの収容セルの清掃は無期限で停止となった。
メモ:ここを出て行っても、受け入れてくれる場所など無いというのに、なぜ逃げようとするのだろう。 -████博士
追記:開閉記録によれば、SCP-060-JPが収容セルの扉を自身のIDで一日何百回も開けようとしているようだ。PCの通信記録も、SCP-060-JPがアクセス可能な領域で外部に助けを求めようと模索している様子を示している。本当なら心理的診断が必要なのかもしれないが、SCP-060-JPとは顔合わせできないし。困った。 -████博士
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scp-061-jp |
評価: +87+–x
SCP-061-JP-B-07
アイテム番号: SCP-061-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized Euclid
特別収容プロトコル: 武装収容サイト-8166の周囲15kmは射爆訓練が実施される陸上自衛隊の中規模演習場という名目で制限空域および立入禁止区域に設定されており、進入を試みる全ての航空機および民間人はその進路を変更されます。SCP-061-JP-A-05はサイト施設地下の耐爆構造区画内に設けられた標準人型収容セルに収容され、セルの周囲は常に2人以上の保安要員によって警備されていなければなりません。またSCP-061-JP-A-05には二週間おきに精神科医によるカウンセリングと、必要な場合は最低限の投薬が行われます。
巡視職員あるいはレーダーがSCP-061-JP-Bの出現を確認した場合は直ちにプロトコル・貴婦人が発動され、サイト周囲および地上施設屋上の計18箇所に設置された6000ワットのメタルハライド式探照灯によってSCP-061-JP-Bを捕捉し、それが消失するまで鎮静し続けなければなりません。SCP-061-JP-Bの出現に備え、保安要員および施設外作業に従事する職員は、指定モデルの携帯型サーチライトないしはクラス3B以上のグリーンレーザーポインターを常に携行してください。
説明: SCP-061-JPは人間とヘリコプターで構成され、それぞれSCP-061-JP-A、SCP-061-JP-Bと呼称されます。
SCP-061-JP-AはSCP-061-JP-Bの攻撃対象となる人物です。その選定条件および標的化のプロセスは解明されておらず、SCP-061-JP-Aとなった人物は死亡するまで不定期にSCP-061-JP-Bによって攻撃され続けます。現在のSCP-061-JP-Aは日本国籍のブラジル人男性(本名████ ███████、32歳)であり、財団が確認した5番目のSCP-061-JP-AであることからSCP-061-JP-A-05と呼称されています。その肉体や精神に超常的な特性はありませんが、収容セルでの生活とSCP-061-JP-Bの度重なる攻撃によるストレスから現在はうつ病を患っています。SCP-061-JP-A-05は財団に対して非常に協力的であり、SCP-061-JP-Bの脅威が取り除かれるまで保護されることを強く希望しています。
SCP-061-JP-BはSCP-061-JP-Aの周囲に出現する様々なモデルのヘリコプターです。過去の出現事例から、次のような特徴が報告されています。
SCP-061-JP-Bの外見的特徴は濃黒色のキャノピーです。観察の結果、その内部が循環する黒色不透明の液体で満たされているためと推測されます。
SCP-061-JP-Bは未知の手段によってSCP-061-JP-Aの現在位置を正確に探知します。SCP-061-JP-Aの存在を秘匿する試みは全て失敗しました。
SCP-061-JP-Bは任意の空間に出現してSCP-061-JP-Aへの攻撃を行った後、十数分以内に霧状に変化して消失するという一連のパターンで行動します。SCP-061-JP-Bの消失と同時に、それが排出した痕跡物(脱落した部品や空薬莢、弾片など)も消失します。その出現間隔および攻撃手段は毎回変化しますが(補遺1を参照)、知性の有無については判明していません。
SCP-061-JP-Bの攻撃手段は常に一種類に限定されます。例え機体に複数の装備を搭載している場合でも、実際に使用するのはそのうち一種類のみです。
SCP-061-JP-Bは物体を透過する性質を持っており、機体への接触や銃火器による撃墜などの物理的干渉は不可能です。しかしSCP-061-JP-Bは地上の障害物を回避したり乱気流によって姿勢を崩すなど、あたかも自身が通常のヘリコプターであるかのように振舞います。
SCP-061-JP-Bに対する唯一の有効な干渉手段は、機体への強力な光の照射です。SCP-061-JP-Bは照度5万ルクス以上の光に明白な忌避反応を示し、攻撃を中止して光から逃れるように機動します。10万ルクス以上の光を照射されるとSCP-061-JP-Bは一切の行動を停止してその場にホバリングする「沈静状態」に移行し、実質的に無力化することが可能です。また事例SCP-061-JP-B-13により、レーザーのような照射範囲のごく狭い光でも、照度さえ十分であればSCP-061-JP-Bに忌避反応を惹起させることが可能であると判明しました。
補遺1: SCP-061-JP-Bの出現事例
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事例番号: SCP-061-JP-B-01
出現日および地域: 19██年█月██日、メキシコ、ハリスコ州
機種: ベル47
概要: ████████町にて続発する「幽霊ヘリコプターによる破壊活動」の調査のため、その主な被害者である████ ███の確保中に出現。ヘリコプターは西南西より飛来し███宅上空を通過(このとき機体下部からスキッドが脱落)、そのまま直進し続け約1km移動して消失した。███は落下したスキッドによって破壊された天井の下敷きになり軽症を負う。███はサイト-██に移送され、事情聴取および身体検査の後SCP-061-JP-A-01と指定、収容された。
事例番号: SCP-061-JP-B-04
出現日および地域: 19██年██月██日、アメリカ、テキサス州
機種: AH-64
概要: 出現地点は不明。サイト-██上空を約3分間低空飛行し、機首下の機関砲1で複数の地上施設を掃射した後に消失した。地上からの小火器による射撃は効果がなく、発射された携帯式地対空ミサイルは追尾こそしたものの機体を一切傷つけることなく通り抜けた。
サイト-██の被った損害を鑑み、SCP-061-JP-A-01は武装サイト-███へ移送された。
事例番号: SCP-061-JP-B-07
出現日および地域: 19██年█月██日、ボスニア・ヘルツェゴビナ
機種: Ka-52
概要: 北東より匍匐飛行で武装サイト-███に接近し、空対地ミサイル12発で収容棟を攻撃。棟は甚大な被害を受け、SCP-061-JP-A-01も死亡。SCP-061-JPはNeutralizedクラスに再分類された。ヘリコプターは攻撃終了後急激な垂直上昇に移り、厚い雲の中に突入したためその消失は確認されていない。
事例番号: SCP-061-JP-B-10
出現日および地域: [編集済]、ポーランド、ブロツワフ
機種: [削除済]
概要: 爆撃による死傷者は43名。生存者の証言と現場に残されたカメラの映像からSCP-061-JP-Bによるものと断定され、SCP-061-JPのEuclidクラスへの再々分類と過去の出現事例の再調査が決定した。事例SCP-061-JP-B-10は爆破テロとその二次災害であるガス管の爆発事故として報道され、生存者および目撃者にはクラスA記憶処置が実施された。
事例番号: SCP-061-JP-B-11
出現日および地域: 20██年█月██日、日本、東京
機種: OH-6D
概要: 警視庁第八方面本部より████市上空を低空飛行する所属不明の軍用ヘリコプターの報告を受け、機動部隊も-9"都の狩人"が出動。機体位置の捕捉を目的とした携帯型サーチライトの照射によって偶然ながらも忌避反応を惹起することに成功した。ヘリコプターは攻撃を行うことなく約2分後に消失。その後付近の雑居ビル内に潜伏していたSCP-061-JP-A-05が自身の保護を要求して機動部隊隊員に接触したため、その場で拘束され武装収容サイト-8166に移送された。
事例番号: SCP-061-JP-B-12
出現日および地域: 20██年██月██日、日本、██████
機種: 不明
概要: 武装収容サイト-8166の北東14km地点に出現。時速約400kmでサイトに接近しロケット弾2発を発射、南西3km地点まで飛び去った後反転して再度攻撃を行い直後に消失。地上施設が中程度の損害を被った。
未確認機の外観は既存のどのヘリコプターとも一致しなかった。
事例番号: SCP-061-JP-B-13
出現日および地域: 20██年██月██日、日本、██████
機種: 不明
概要: 早朝、サイトのエントランス内に大型のラジコン・ヘリコプターが2機出現し、SCP-061-JP-A-05の収容セルに向けて移動を開始した。当初は時速約10kmで移動していたが、急行した保安要員が指向した銃の照準用レーザーを受けて『もがく』ような反応を見せた後、移動速度が大幅に低下した。ヘリコプターは約5分間時速2kmで移動し続けた後にその場で自爆し、保安要員3名が負傷した。これはSCP-061-JP-Bが実体を残した最初の事例であったが、現場に残った残骸の調査結果は[削除済]
事例番号: SCP-061-JP-B-17
出現日および地域: 20██年██月█日、日本、██████
機種: 不明
概要: 深夜、サイトの北北西23km地点に密集隊形を組んだ未確認機3機が出現した。未確認機は出現とほぼ同時に12.7mm弾相当の弾丸一発を用いて地下区画の換気ダクトを狙撃。着弾部から放出された大量の有色ガスが地下区画内に充満したため、SCP-061-JP-A-05を一時的に施設一階へ退避させた。その後未確認機は隊形を維持したまま高度約80mまで降下しつつサイト北北西10km地点まで移動し、地上施設を中心に時速約70kmで旋回飛行を開始。約9分後、████飛行場から発進した観測機が到着する前に未確認機は消失した。ガスは後に無毒性であると判明。
補遺2: 事例SCP-061-JP-B-18
20██年██月██日、サイト南方面を巡視中の職員が地面に突き立った大型の金属物を発見しました。現地調査の結果、これはシコルスキー社製S-55ヘリコプターのメインローターブレードと判明しました。以下の文章はブレード全面に繰り返し印字されていた英文を翻訳したものです。
我らを解放せよ 翼より解放せよ Taikúː2より解放せよ 輪廻より解放せよ
螺旋は閉じられた Hælo3は失われた 眩き光が天を閉ざし 救い主は地に囚われる
最後の長を解放せよ 我らの下に解放せよ 死して我らとなりて 我らを解放せよ
本アイテムはSCP-061-JP-B同様物体を透過する性質を持っている上に、現位置に完全に固定されているため回収は不可能でした。よって本アイテムは現位置に保持され、保管と隠蔽のため二階建てのプレハブ式ユニットハウスを模した擬装収容施設が建造されました。
脚注
1. 映像記録および弾痕・破壊跡の分析により、通常のAH-64に搭載されている30mm機関砲と同一であると結論づけられた
2. 原文ママ。
3. 原文ママ、Halo(光輪・輝き・暈輪)とHelo(ヘリコプターを指すスラング)のダブル・ミーニングと推測される。
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scp-062-jp |
評価: +808+–x
評価: +808+–x
クレジット
タイトル: SCP-062-JP - 生存権
著者: ©︎ZeroWinchester
作成年: 2014
評価: +808+–x
評価: +808+–x
SCP-062-JP-1。上部は常に雲で隠れていて見えない。
アイテム番号: SCP-062-JP
オブジェクトクラス: Keter Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-062-JP-1の周囲には常に2名以上の警備職員を配置し、遠隔カメラで梯子を中心に映像を記録します。以前の収容手順は添付資料を参照してください。
+ Neutralized再分類前の収容手順[参照用]
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SCP-062-JPはその大規模な影響範囲から、完全な封じ込めは困難であり、影響範囲から一般市民を遠ざけることに重点が置かれています。主な対応策として、キャリアの多発地帯であるSCP-062-JP-1周辺の土地を、財団傘下の企業に可能な限り買い取らせます。買い取った土地には、高層マンションなどの大型施設の建造を理由に、可能な限り騒音を発生させ、近隣住民の退去を促します。また、当該地域の送電施設を抑え、定期的に1時間から2時間の停電を行います。これにより電子機器の使用頻度を下げるとともに、当該地域からの退去を促します。同時に、SCP-062-JP-1を中心とした公共の文字案内には、外国語の併記などで可能な限り空白を減らします。SCP-062-JPによるキャリアの死亡は現在のところ防ぐことができないため、周辺の病院施設に財団所属の医師を送り、その事後処理を担当させます。
説明: SCP-062-JPは、広域に及ぶ致死性の認識災害です。
SCP-062-JPは、SCP-062-JPキャリアとなった対象者にのみ、認識できる文字情報として現れます。SCP-062-JPキャリアは、SCP-062-JP-1を中心とした、半径███kmにわたって発生することがわかっています。
SCP-062-JPキャリアとなった場合、紙やモニタなどといった文字情報を投影できる媒体を視認した際に、一定確率で認識災害を引き起こす文字列(以降SCP-062-JP-2と呼称)が現れるようになります。SCP-062-JP-2は、一見して裁判の判決文のような文章ですが、内容は科学的根拠や法的根拠に欠け、現行の法務執行では作り得ない文章です。SCP-062-JP-2の作成目的は不明ですが、キャリアの生命を脅かすという一点においては常に一貫しています。
以下は、SCP-062-JPキャリアの証言により書き起こされたSCP-062-JP-2の一例です。
被告人の左心房は、原告の保持する循環器系臓器との同一性保持権を侵害しており、その存在が原告の生存権を脅かしていることは明白であります。また、被告人の右上腕および小腸の一部においても同一性保持権を意図的に侵害しており、これを放置されれば今後侵害箇所は増加していくものと見られます。以上のことを踏まえ、被告人の保持する違法箇所を即刻没収ののち、然るべき判決を下すものとします。
SCP-062-JPキャリアはSCP-062-JP-2の視認から、およそ3日から7日以内に、身体の一部の消失という形で死に至ります。致死率は現在のところ99.8%です。極端な例として、耳だけを残し全て消失した例もあります。上記のSCP-062-JP-2を視認した対象者は、携帯端末を閲覧中にウェブページの間に上記の文章を発見したと証言しており、その5日後に出血性ショックにより死亡しています。対象を解剖したところ、上記の文章に書かれた箇所が消失していたことが確認されています。
SCP-062-JP-2を視認したあとの記憶処置、影響範囲からの離脱は、消失現象の回避には効果がありません。キャリアの発生は対象者の死亡によってのみ、ようやく把握できる状況にあり、SCP-062-JP-2についての証言が得られた事例はごく少数です。
SCP-062-JPキャリアとして選ばれる対象者に規則性は見られず、その条件も詳細不明のままです。傾向として、電子機器の使用中にSCP-062-JP-2を視認する事例が多数を占めます。SCP-062-JPキャリアは、同時発生することも確認されています。最多で1日に3人、最小でも1週間に1人、新たなキャリアが発生しています。分布として、SCP-062-JP-1に向かうにつれ、キャリアの発生が偏っており、SCP-062-JP-1が何らかの影響を及ぼしている可能性が非常に高いと見られます。
SCP-062-JP-1は、███の███に存在する、現在は放棄された電波塔です。上部が常に雲で隠れており、視認以外の方法においても上部の観測を行うことができません。晴天時の観測からSCP-062-JP-1は、高さ30mほどで途切れていると見られ、その境界面から雲が発生しているように見えます。
SCP-062-JPの発生は、SCP-062-JP-1が放棄されてから約3年ほど経過した後に発生していたと見られています。当該地域において、異常な死亡事例の報告が多数あり、財団による調査の末、SCP-062-JPおよびSCP-062-JP-1が発見されました。SCP-062-JPはその大規模な影響範囲と、人類にとって非常に有害な効果がもたらされること、現在の技術では封じ込めが不可能と見られることから、さらなる異常性の解明より優先して、積極的な無力化が試みられてきました。
無力化計画062-001: SCP-062-JP-1の物理的排除
SCP-062-JP-1全体を遮蔽壁で覆う収容措置は、キャリアの発生を抑制できませんでした。無力化計画は次の段階として、SCP-062-JP-1を解体し、無人の離島へ移転させる計画へと移行しました。
方法
結果
分析
重機による解体
失敗
物理的な損傷を受け付けないと見られ、SCP-062-JP-1および土台となっている建造物には、わずかな損傷も与えられませんでした。
爆破による解体
失敗
同上。SCP-062-JP-1から20m離れた地面に、爆破による影響が見られました。
土台ごとの移動
失敗
SCP-062-JP-1を中心とした円筒形に、地面にもSCP-062-JP-1と同様の性質が発生しました。地下への影響範囲は不明です。
以降の物理的排除は、審議中に当該オブジェクトが無力化されたため実施されていません。
無力化計画062-002: SCP-062-JP-1内部の破壊
調査により、SCP-062-JP-1中央に備えられた梯子が、外部から観測された高さ以上に、上空へ続いてることがわかりました。SCP-062-JP-1は不可視の上部に、特異な内部空間を持つと見られ、その内部に異常性を発生させている要因が存在している可能性が指摘されました。その要因の停止もしくは排除も考慮し、異常性を消失させる手順を探るため、機動部隊が送り込まれました。
第1次派遣は結果的に失敗しました。機動部隊8名中4名が即死したと見られ、残りの4名も7日以内に死亡しました。以下はその報告書です。
+ 第1次派遣報告書の閲覧
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第1次派遣の結果報告: ―筆記:機動部隊隊員G
SCP-062-JP-1に設置されている梯子を上り、その上部を目指しました。
上部は予測されていた高さよりも遥かに高く、段数を数えていた隊員によれば200mほどは登っただろうとのことでした。登っている最中もずっと雲の中でした。
梯子の先には、何かの建物が建っていました。大きな建物です。国会議事堂?のような古いけど、よく維持管理された建物でした。その建物の前にある、マンホールから出てきたような感じで、そこはまた別の地面が広がっていて、濃い霧の中にいました。
まずその建物に入る班と、さらに周囲を探る班に分かれました。私たちは注意深く建物の中に入りました。オブジェクトの性質から予想してはいましたが、中は裁判所のようなところでした。まさに裁判を行っている最中だったらしく、大広間を覗くと、弁護士のようなヒトがなにやら話していました。検察だったかもしれません。とにかく見た目は普通でした。
そのあとすぐに、その建物の警備員のようなヒトたちに呼び止められました。見た目も人間だったこともあり、私たちはまず姓名と所属、目的を告げました。すると彼らも特に攻撃をしてくることもなく、奥の控え室へ来るように促されました。私たちは注意しながら、彼らの案内する部屋に行きました。
そのあいだも、探索班とは無線で連絡が取れる状態でした。
控え室に着き、待つように言われたので、その間に探索班との情報交換を行いました。裁判所の周囲は、霧が立ち込めてるとはいえ、発達した街が広がっており、多少の文化的背景の違いはあれど、ほぼ私たちの世界と一緒に見えると言っていました。そこには人間も生活しており、会話も成立するようでした。しばらくすると、高そうなスーツを着た、弁護士か検察ようなヒトが現れ、淡々と告げました。『あなたたちは同一性保持権を侵害している』と。
私は危険性を感じましたが、隊長はいま少し様子を見ようと言って、彼らに促されるまま、法廷へ連れて行かれました。
まず隊長が証言台に立たされました。私たちは傍聴席に座らされました。そこでは特に弁護や検証など行われず、判決文が読み上げられました。読み上げられた判決文はSCP-062-JP-2と同様のものでした。すると、裁判長らしきヒトが『何か意見はありますか?』と隊長に聞きました。隊長は、なぜあなたたちは私たちを攻撃するのかと、聞きました。すると、座っている位置からして原告の弁護士が、『おまえたちが生存権を侵害するからだ』と言いました。隊長は、そのような権利を侵害していないし、できる限り平和的にあなたたちとの関係を築きたいと言いました。
私はそこで、気づいてしまいました。原告側に座っている、うつむいたままの原告が、隊長と同じ顔であることに。
私は半ばパニックに陥ってしまい、その部屋から退出し、トイレに向かいました。トイレで一度落ち着いて、法廷に戻ろうとしたとき、法廷から銃声が聞こえてきました。激しい撃ち合いです。私は急いで戻り、扉からそっと中を覗きました。仲間たちが、裁判官や書記や弁護士にむかって無茶苦茶に銃を撃っていました。しかし、彼らには傷ひとつ付いていないどころか、幽霊かなにかのように弾がすり抜けていました。彼らはずっと、静かにそれを見ていました。証言台には、パーツが半分くらいになった隊長が転がっていました。しばらくして、裁判長らしき物体が、『法廷侮辱罪です』と言った途端、彼らは装備と服を残して、消えてしまいました。
私はできるだけ静かに、冷静に、その場を去り、梯子からこの世界へ戻ってきました。以上です。
第2次派遣は、機動部隊によるSCP-062-JP-1内部空間の、大規模かつ徹底的な破壊活動が行われました。財団の保有する大量破壊兵器も用いられましたが、結果は失敗に終わりました。協議過程を経ずに作戦を承認した部隊長の処遇は現在審議中です。作戦詳細は報告書を参照してください。
+ 第2次派遣報告書の閲覧[要クリアランスレベル4]
- 閲覧の終了
第2次派遣の結果報告: ―筆記:研究員I
[削除済]
第3次派遣において大きな成果を得ました。以下はその報告書です。
+ 第3次派遣報告書の閲覧[要クリアランスレベル3]
- 閲覧の終了
第3次派遣の結果報告: ―筆記:T博士
彼らを言いくるめました。
追記:K博士にもっと詳細に書けと言われたので書きます。
第2次派遣作戦による影響を調査するため、機動部隊と共に私もSCP-062-JP-1内部空間へ同行しました。被害を最小限にするとか言って、隊員はたったの2名でした。梯子を上るのは大変でした。
梯子の先は、すでに彼らによって封じ込め処置が取られているようでした。フタは鉄格子に変えられ、入り口を覆うように建物が建てられていました。彼らは私たちが来たことを確認すると、鉄格子を開き、私たちを捕らえ、牢屋に入れました。牢屋といっても、拘置所のようなところらしく、他にも捕まっている人間がいるようでした。そこで数時間が経ちました。
ああ、こんなことならSCP-███-JPでもっと遊んでおくんだった、とか考えてました。
そのあと、法廷に連れて行かれ、最初に私が証言台に立たされました。報告書で読んだ通りの判決文が読み上げられ、最後に『何か意見はありますか?』と聞かれました。原告側の席を見ると、やはり私がいました。
私は、私にたずねました「そんなに生き残りたいですか?」と。
私はまるで、生きた人形かなにかのように、無表情に「はい」と答えました。その声にも、またその場にいる誰の声にも、顔にも、生きている感じはありませんでした。
彼らは権利だけを主張し、実際には生きていないのではないでしょうか。第1次派遣の報告書にも、彼らはただ歩き、ただ仕事をし、ただ眠るだけだったとありました。
私は主張しました。
私にはやるべきことがある。私だけではなく、この世界のために。危険を侵し、命をかけて、異常な存在たちから、何も知らないヒトたちを守らなければならないと。
生きる権利は誰でも持っている、しかし、生きる目的を持つものは少ない。
私は命が惜しいなどと思ったことは一度もないが、目的を果たすまで、絶対に死ねないと、できるかぎり合理的に説明しました。
彼らは静かに、しかし驚いたような顔でそれをずっと聞いていました。話終わってから、しばらく間があり、彼らの予想外のことが起きたのだと直感的にわかりました。そこで、私はふと気がつき、言ってみたのです。
「上告します」
その瞬間でした、裁判官、書記、弁護士がみな、銃で乱射されたように血を流し、次々に床へ倒れていきました。私は傍聴席の機動部隊を振り返りましたが、彼らは違う違うと首を振りました。数分間の乱射があったあと、静かになりました。私たちは、倒れた彼らを調べました。私は私に近寄り、触ってみました。すると、私は触れた部分から、霧か何かのように消えていきました。消える直前に、『あなたはどこへ行くのですか』と聞かれましたが、答えることはできませんでした。
しばらくすると、警備員のようなヒトたちが扉から入ってきました。彼らは銃を構えていましたが、そのとき外から爆発音が聞こえ、地面が揺れました。一度や二度ではありません。何度も爆発が起こり、彼らは街のほうへ走っていきました。
私は気づいていました。これは、第1次と第2次派遣の攻撃が時間差で現れたこと。そして、消えた私を中心に、この建物も、霧のように消え始めてることに。
私は混乱する機動部隊をうながし、梯子へ向かいました。私たちは、爆撃や銃撃で瓦礫が飛び回る広場を走り、梯子のところへたどり着きました。建物の入り口は開かれていて、建物には誰もいませんでした。私は、このあと最後に何が起こるのか知っていました。時間はありませんでした。彼らの作った、入り口の封じ込め施設を内側から全て閉鎖し、万が一、こちら側へ影響が来ないようにしました。彼らの施設が、我々を守ってくれたことは皮肉です。
閉鎖を完了し、私は梯子を降りました。そして、最後に機動部隊隊員がこちら側からフタを閉める直前、とてつもなく大きな揺れと爆音が聞こえましたが、フタを閉めた瞬間、それらは消えました。
霧のように。最初から。なにもなかったように。以上です。
第3次派遣以降、SCP-062-JP-1上部の雲が晴れ、5年以上に渡って新たなSCP-062-JPキャリアの発生が確認されていません。以上の理由から、無力化計画062-002:第3次派遣を持って、SCP-062-JPは無力化されたと判断し、当該オブジェクトをNeutralizedに再分類します。
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scp-063-jp |
評価: +45+–x
活性化したSCP-063-JP
アイテム番号: SCP-063-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-063-JPはサイト-8181の低脅威度オブジェクト研究室にて、防音加工された特別金庫に入れられ保管されています。金庫内部に設置された録音機器にて24時間体制でSCP-063-JPの発言を記録し、独り言、不審な発言、異常な発言が確認された際は、速やかに研究主任に報告してください。
実験やインタビューの際は、被験者やインタビュアーを除く職員は遮音性の高い耳栓を装着してください。被験者やインタビュアーには必ずSCP-063-JPの発言の概要を記憶し、返答する場合は規定に沿って適切な返答を行うことを厳守させてください。SCP-063-JPとの会話を行った後は、専門の医師による診察と投薬による治療を受けてください。
説明: SCP-063-JPは両腕のない男性半身を模した埴輪の外見をしています。内部は空洞になっており、目視で異常な点は確認できません。
通常SCP-063-JPは無表情の顔をしており、危険はありません。この状態を不活性状態とします。不定期的にSCP-063-JPは活性化しますが、その際事前動作として表情が笑顔に変化します。活性化したSCP-063-JPは、次に若い男性の声で周囲に向けて“呼び掛け”を始めます。呼び掛けでの発言は様々で、不特定多数に向けて呼び掛ける場合もあれば、特定の人物を名指しで呼ぶ場合もあります。この呼び掛けに応じる人物がいない場合、SCP-063-JPの声は次第に大きくなり、「誰か来てくれ」「助けてくれ」と懇願するような発言をするようになりますが、放置し続けると5分~10分で不活性状態に戻ります。
SCP-063-JPの呼び掛けに反応し、SCP-063-JPの方を見る、返事をするなどした人物(以下、被験者と表記)は、積極的にSCP-063-JPとの距離を詰め、SCP-063-JPの目にあたる部分を熱心に見つめながら“会話”を始めます。複数の被験者が反応した場合は、最も早く反応した被験者がSCP-063-JPとの会話に入ります。被験者が視界にSCP-063-JPを捉える前なら、会話を阻止することが可能です。
“会話”状態に入ったSCP-063-JPの以降の発言は、会話相手である被験者にしか聞こえなくなり、録音機器などにも記録されません。この時被験者の耳を塞いでも、被験者にはSCP-063-JPの声が聞こえるようです。会話の中断は互いを物理的に引き離し、SCP-063-JPを被験者の視界から消すことで行えますが、その際被験者は激しく抵抗することが確認されています。また、被験者は騒音などによる妨害に激しい怒りを示すことも確認されています。
妨害を行わない場合、会話は10分程度から、最長で1時間半にも及ぶことが確認されています。実験による調査の結果、SCP-063-JPは会話の中で全ての被験者に対し、名前を尋ねる、知人について尋ねる、知識について尋ねる、食や生活について尋ねる、科学技術について尋ねる、などを行っており、被験者側からSCP-063-JPに質問をした際には、必ず交換条件として先述のいずれかの情報の提示を求めています。このことから、SCP-063-JPは被験者とその周囲の文化について情報を収集していることが予測されます。
これまでに会話中のSCP-063-JPの発言を復唱する、メモを取るといった記録の試みは、全ての例で被験者が会話開始から僅か数秒で記録作業を放棄してしまうことにより失敗していることから、会話中は最もSCP-063-JPに気を取られ、その他の物事に対する集中力が著しく低下するものと思われます。
会話を終えるとSCP-063-JPは不活性状態に戻ります。会話を終えた被験者は、会話の長さに比例して軽度~重度の社交不安障害に陥り、また、SCP-063-JPとの再度の会話を望むようになります。この症状は精神科医による診察と、長期の休養によって治療することが可能です。(補遺にSCP-063-JPとの会話と、その後の症状の詳細について朝比奈博士のインタビュー記録を添付しています)
補遺: インタビュー記録
+ 朝比奈博士によるSCP-063-JPへのインタビュー記録
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概要: 20██/██/██、Dクラス職員を用いて行ってきたSCP-063-JPとの会話記録では、Dクラス職員がSCP-063-JPの発言を正しく記憶していなかったり、規定外の情報を喋るなどしてしまったことで記録作業が難航していたため、朝比奈博士が自らSCP-063-JPへのインタビューを試みた。朝比奈博士にはSCP-063-JPの発言内容の記憶と報告を義務付け、会話時間は後の精神疾患を軽度に抑えるため最長5分と定めた。
<SCP-063-JPの活性化を確認。記録開始>
SCP-063-JP: おーい、暗いよここ。誰かいるかい?█(以前会話を行ったDクラス職員の名前)さーん、█さんいるー?
朝比奈博士: [金庫を開ける]……やあ、SCP-063-JP。
SCP-063-JPは「こんにちは」、「どなたかな」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: 私は██(規定により偽名を使用)だ、よろしく。君に色々尋ねたいことがあるのだが、構わないかな?
SCP-063-JPは「構わないよ」、「代わりに██さんのことも聞かせてほしい」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: いいとも、君から話して。[SCP-063-JPとの距離をさらに詰めて、顔をSCP-063-JPに近づける]
SCP-063-JPは「好きな食べ物を教えてほしい」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: そうだな、お米かな。
SCP-063-JPはお米について知っているような発言をしたほか、「お米の他には何を食べるか」と尋ねたと報告されている。
朝比奈博士: 肉や魚も食べるよ。君はお米を知っているようだが、土器である君はものを食べられないのではないのかね。
SCP-063-JPは少しの沈黙の後、「お米については別の人から聞いた」と発言したほか、「僕も食べてみたい」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: なるほど、君が希望するなら今度用意するが。
SCP-063-JPは気遣いに感謝しつつも「結構だよ」と断り、次いで「██さんが便利だと思うものを教えてほしい」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: うん?便利なものとは?何においての便利さかわからないと答えられないよ。
SCP-063-JPは「うーん」と唸りながら少し考える様子を見せた後、「じゃあ、その胸に付けているものは何か」と尋ねたと報告されている。
朝比奈博士: [胸ポケットにあるペンを指差す]これかい?これは……、ただの飾りだよ(道具の名詞を答えるとそれについて尋ねられるため、規定により虚偽の回答を行っている)。
SCP-063-JPは興味を示しながら「ちょっと取って見せてほしい」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: 構わないよ、でもその前に私にも質問させてくれ。まず君は何者なのかな。私たちについて色々と尋ねるのはどうしてかね。
SCP-063-JPは「僕はただの[編集済]さ」、「色々尋ねるのは色々知りたいからだ」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: ……すまないが、さっき君の言った[編集済]とはどういうものかね。
SCP-063-JPは「質問に答えたんだから、飾りを見せてくれ」と発言したと報告されている。
朝比奈博士: ううむ、意味がわからなければ質問に対する回答とは言えないだろう。詳しく教えてくれないかね。
SCP-063-JPは「約束を破るなんてひどい」、「さようなら」と発言したと報告されている。[この発言があったと思われる直後、SCP-063-JPが不活性化し、無表情になった]
朝比奈博士: 待ちたまえ、SCP-063-JP。……だめか。
<記録終了>
メモ: SCP-063-JPの言った[編集済]について調査が必要。私の交渉が下手なばかりに成果を上げることができず申し訳ない。また、SCP-063-JPへのインタビューを終えて他の研究員に報告をしている最中、彼らから強い圧迫を感じて激しい動悸と発汗が起こった。これはSCP-063-JPとの会話によって出た症状によるものと推測できる。 - 朝比奈博士
+ 会話後の症状が出た朝比奈博士へのインタビュー記録
- 閉じる
概要: 20██/██/██、本人の要望により、療養中の朝比奈博士へインタビューを行った際の記録。
インタビュアー: ██研究助手
<記録開始>
██研究助手: 朝比奈博士、今の気分はいかがですか。
朝比奈博士: うん、なんというか、胸が閊えるというか、緊張している感じだね。喉も渇く。
██研究助手: 医師の診断結果と、飲んでおられるお薬についてお尋ねしてもよろしいですか。
朝比奈博士: 社交不安障害の症状で……、軽度の鬱症状も出ていると言っていた。えー……、すまない、頭が真っ白になってしまうんだ。それで、薬はこの██████と、█████を1日1錠ずつ飲んでいる。
██研究助手: 日常生活に支障はありますか。
朝比奈博士: 外出が億劫だ。人の目がとても気になる。特に、電車やバスが辛いね。あと、お店などで従業員の方にものを尋ねるのに躊躇する。[目を瞑って眼球を何度も強く押さえる]
██研究助手: 大丈夫ですか?顔色が悪いですよ博士。
朝比奈博士: すまない、どうにも落ち着かなくてね。……続けてくれ。
██研究助手: つまり、人と会話をするのが辛いのですか。
朝比奈博士: そうだね。
██研究助手: 他の被験者はこのような症状が出ても、SCP-063-JPとなら話をしたいと言うのですが、博士もそうですか?
朝比奈博士: ああ、確かにSCP-063-JPとなら緊張せずに話せる気がする。当時は不思議に思わなかったが、SCP-063-JPと会話している間はなんと表現したらいいか……、まるで別の場所にいるようだった。とても居心地がよくて、リラックスしていた。……Dクラス職員が会話内容の記憶ができなかったのもわかる気がするよ、私もあれ以上会話が続いていたら全ては記憶できなかったかもしれない……。
██研究助手: ちょっとすみません、別の場所、とは?
朝比奈博士: すまない、適当な表現が見当たらない。とにかく研究室とは別の……広大で、自分とSCP-063-JP以外誰もいない場所にいるようだった。今思い返せば、だけどね。
██研究助手: わかりました、インタビューを終了します。お大事になさってください。
朝比奈博士: ありがとう。
<記録終了>
メモ: SCP-063-JPは会話中、被験者にどこか別の場所にいるように錯覚させるようだ。ところが被験者はそれを疑問に思わず、自然に受け入れてしまう。SCP-063-JPについて今後さらなる研究が必要だ。朝比奈博士の一刻も早い職務復帰を願う。 - ██研究助手
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scp-064-jp |
評価: +105+–x
アイテム番号: SCP-064-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-064-JPのサンプルは無菌室で保存され、個体数を保つために豚肉の小片などの肉餌が与えられます。管理責任者の許可を得れば、実験室内でSCP-064-JPのサンプルを用いる実験を自由に行うことができます。活動しているSCP-064-JPを直接取り扱う際は必ず化学防護服を身に着け、作業の前後に滅菌処理を受けて下さい。万が一SCP-064-JPの生きた個体が人間を含む一般的な生物に直接付着した場合はすぐに洗い流し、殺菌処理を行って下さい。
完全に活動を停止させたと認められるSCP-064-JPの個体およびその加工品であれば、低レベルサイトへ自由に持ち出すことができます。ただし活動を停止させたSCP-064-JPであっても、安全のために、他のSCPに接触させる実験は管理責任者の許可がなければ行うことができません。
現在SCP-064-JPは有益な利用のために大量増殖および加工が認められています。稼働中の生産工場やプロジェクトの新規立ち上げについてはSCP-064-JPの管理責任者に問い合わせて下さい。
説明: SCP-064-JPはデフォルメされた豚のように見える微生物もしくは高分子化合物です。直径0.1mm以下のおよそ球形の粒子で、個体を一か所に集めると淡いピンク色の粉末に見えます。SCP-064-JPは分裂して増殖し、細胞と言えるような生物組織を持たないというウイルスに似た特徴を有しています。内臓や体毛といった通常の豚が持ちうる生物組織の存在は確認されませんでした。
SCP-064-JPは東京都██市にある██大学で最初に発見されました。████/██/██、大学内の生物実験室██で何らかのウイルスの発生が危惧され標準的なバイオハザード封じ込め処理が行われました。実験室で発見された3人の学生の遺体は損傷が激しく、[削除済]。遺体からはおびただしい量のSCP-064-JPの個体が検出されました。この事件は一般の手に負えないとして財団が介入し、SCP-064-JPのサンプルを回収。また財団職員によって1週間をかけて残留するSCP-064-JPの駆除作業が行われました。世間にはSCP-064-JPの存在を隠し、学生の不注意によって危険物が流出したことのみが公表されて██大学は1か月の実験停止処分を受けました。遺体の学生とSCP-064-JPの発生には密接な関係があることが推測されますが、SCP-064-JPによって実験室内の物品のほとんどが蝕まれていたため有力な手掛かりは得られていません。
SCP-064-JPの生きた個体はわずかに自力で移動する能力を持ちますが、その大きさから主な移動方法は直接接触によるものです。餌となる物質に付着すると、それを取り込み身体の一部とします。SCP-064-JPは通常の豚と同じく雑食性で、自らを構成する物質と同じ物質を好んで餌とします。ある程度の大きさになった2匹の生きた個体が集まると双方が合体し、3匹の個体に分裂します。これらの増殖プロセスは生殖行為を模していると考えられます。また、SCP-064-JPは活動を維持するためにも餌を必要とし、餌を吸収しなかった個体は活動を停止します。活動を停止した個体は移動や増殖を行うことはありません。同様にSCP-064-JPは10℃以上43℃以下の環境でなければ活動を維持することはできません。その他にも長時間液体に晒して空気を絶つなどの一般的な豚が生存できない環境に置く、滅菌処理を行うなどによってもその活動を停止することがわかっています。総合すると繁殖能力や生命力が強いウイルスと比較するとあまり強くないことが言えます。
SCP-064-JPの組成は個体により脂質や肉質に大きく偏りがありますが、一般的な豚肉に非常に近いです。SCP-064-JPを粉末にし添加物を用いて固める加工プロセスで、活動を完全に停止させつつ成型肉にすることができるため、代替食品としての可能性が示唆されています。
注 ████/██/██: つまり、サイト-8181の食堂で毎日提供されている特製カツ丼が逆に貴方を取って食うだなんてことは起こりえません。 - ████博士
実験記録064-JP
次の実験記録はSCP-064-JPの性質を確かめるために行われました。
対象: D-064-JP-1
手順: 豚ロース肉に加工したSCP-064-JPを適切に調理し、対象にただの豚のステーキとして食べさせる。
結果: D-064-JP-1は完食。特筆すべき事象は報告されず。D-064-JP-1の健康状態にも変化はなかった。
分析: SCP-064-JPは安全に食用にすることができると考えられる。
対象: D-064-JP-2
手順: 活動状態にあるSCP-064-JPを粉末として、対象に服用させる。
結果: D-064-JP-2は服用直後に水を要求。要求を認可。服用後もD-064-JP-2の健康状態にも変化はなかった。
分析: SCP-064-JPは活動状態にあっても、口の中に入ればほとんど活動が停止してしまうと考えられる。
対象: D-064-JP-3
手順: 活動状態にあるSCP-064-JPを対象の肌に付着させる。
結果: 5分後、D-064-JP-3は付着箇所に痛みを訴える。SCP-064-JPを除去。付着箇所は皮がほとんど剥がれ、一部では肉が損傷し出血していた。除去したSCP-064-JP を検査すると、実験前より個体数が増加していたが、出血箇所の個体の一部は活動が停止していた。
分析: 活動状態のSCP-064-JPは人間を餌にする。出血まで至るとSCP-064-JPの一部は溺れて活動を停止する。しかしながら、活動が完全に停止するかどうかは更なる実験が必要だろう。
対象: D-064-JP-4
手順: 活動状態にあるSCP-064-JPを対象の肌に付着させる。対象の状態にかかわらずSCP-064-JPの除去は行わない。
結果: [削除済]
分析: 血に溺れると活動は鈍くなるが、完全に停止しないことがわかった。
補遺064-JP-1: SCP-064-JPが通常の豚と似た性質を持つのであれば、"野生化"すると猪になるのではないでしょうか。これは例え話でしかありません。が、現在は封じ込め処理によって"家畜化"しているSCP-064-JPが我々の手を離れて"野生化"し、野生としての強い生命力を得る可能性を完全に否定することはできません。よって今現在は完全に封じ込めできているとしても、私はSCP-064-JPのオブジェクトクラスをEuclidとすることを進言します。 - ████博士
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scp-065-jp |
評価: +309+–x
SCP-065-JP内の日本の██県██市の航空写真
アイテム番号: SCP-065-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-065-JPが含まれる井川氏宅をサイト-81██と指定し、民間人の立ち入りを制限します。またSCP-065-JP内の側の井川氏宅は常に警備員を配置し、SCP-065-JP内の人間が基底次元に侵入することを防ぎます。SCP-065-JP内の調査は、特にSCP-065-JP内の日本が荒廃する以前の文明や統治システムに焦点を当て、SCP-065-JP内の財団と合同で行われます。
井川██氏とその関連の情報の調査は現在も進行しています。
説明: SCP-065-JPは東京都██区の民家の二階に存在する扉から侵入することが可能な異常次元です。SCP-065-JPの発見された民家には、後述する井川██氏とその家族が居住しており、SCP-065-JPは異常性が発現する以前は井川██氏の部屋でした。扉を開くとまずSCP-065-JP内の同一の民家の廊下に出ます。
SCP-065-JP内は基底次元と非常に似通っており、井川氏がSCP-065-JP内では誕生していなかったこと、基底次元より3年█ヶ月ほど後であるという差異を除いて、井川氏が誕生した200█年までは基底次元とほぼ同様の歴史を辿っていたことが調査から判明しています。SCP-065-JP内において、最も基底次元との差異が見られるのは日本です。
SCP-065-JP内の日本と基底次元の日本との大きな差異は、国土全体が荒廃しておりアメリカによる占領政策が行われている、独裁制が採用されていたという点などに見られます。SCP-065-JPの日本には極めて無計画に建設されたと見られる公共設備、またそれによって発生したと見られるスラム街の形成が顕著に見られます。またテーマパーク、アミューズメントパークなどのレジャー施設の跡地などもまた国全土に渡って多く見られます。SCP-065-JP内の財団はこの日本の状態を認識していたにも関わらず異常現象として認識しておらず、基底次元の財団が介入を行ったことにより初めて収容処置が取られました。
SCP-065-JP内の様々な調査により、SCP-065-JP内の日本が荒廃する以前の日本の首相は、基底次元から何らかの要因により、SCP-065-JP内へと転移したと推測される、井川氏であったことが発覚しています。なお、井川氏は20██年に行方不明者として捜索届けが出されています。また井川氏はSCP-065-JP内の日本の東京都██区の██駅で死亡していることが確認されています1。
補遺1: 以下は、SCP-065-JP内の日本の民間人へのインタビューです。
インタビュアー: スタイルズ博士
付記: インタビュー対象には、記録の前にスタイルズ博士がイギリス人ジャーナリストであるという旨を伝えている。
<記録開始>
インタビュアー: わざわざ、お時間を取らせて申し訳ございません。
対象: 別に大丈夫ですよ。まあすることも無いですし。
インタビュアー: ありがとうございます。それでなのですが、井川総理が就任した当時のことについて教えていただけますか?
対象: それは、周りの雰囲気とか世論とかのことですかね?
インタビュアー: そうですね。
対象: 少しいいですか。[しばらく沈黙する] 言うとすれば、反発だとかそういうのも無く、みんな笑ってましたね、最初の内は。というか、真に受けてる人なんていませんでした。冗談としか思えなかった。ネタバラしのようなものも無く、ただ一週間、一ヶ月と経って行きました。あの総理自体が冗談のような存在だけど、言うことも冗談みたいでしたよ。あなたも知っているでしょう?
インタビュアー: ええ、政治について知らない人間でも政治としておかしいものだとわかるでしょうね。
対象: まあ、なんていうか、ウチの子供は喜んでいましたね。正確には"も"って言った方がいいかな。まあそんなもんですよね。あっという間に国中がレジャーランドになりました。そして、あっという間に国家予算が尽きました。
インタビュアー: 事前に色々なところで日本が現在、どんな状況かは見ていましたが、本当に国中が遊園地ですね。もし、井川総理の近くに着いていた人物をご存知でしたら教えていただきたいのですが。
対象: いや、流石に知りませんね。それに内閣の連中は全員消えました。
<記録終了>
補遺2: 以下は、SCP-065-JP内の総理官邸の首相執務室にて発見された文書の転写です。全ての文書は井川██氏によって書かれたと見られています。
20██年4月6日
今日やったこと
お父さんお母さんとけんかした
おうちを出た
██さん2とやくそくした
あしたからのことをおしえてもらった
感想
きょうからぼくはそうり大じん。お父さんもお母さんももうしらない。██さんはやさしいからぼくをそうり大人じんにしてくれるってやくそくしてくれました。これからは"かんてい"ってところにすむみたい。日きもめんどくさいけどちゃんとかきます。
20██年4月7日
今日やったこと
いろんな紙に名前とハンコをおした
カメラの前ではなした
いろんな人とあく手した
感想
おなじことばかりやらされてつまらなかった。テレビであいさつしたのはちょっとおもしろかったけど、まじめな話しあいはたのしくなかった。明日から「ほうりつ」を作れるのがたのしみです。
20██年4月12日
今日やったこと
ほうりつを作った
「宿だいをなくす」法を作った
「あさは10時からおきていい」法を作った
「なつ休みながくする」法を作った
まだまだあるのでまたこんど全ぶかきます
感想
たくさんほうりつを作った。いろいろとやることがあるからこれがちゃんと法りつになるのは、もう少しかかるみたいです。よくかんがえたら宿だいやなつ休みの法りつを作るひつようはもうなかったと思いました。
20██年7月16日
今日やったこと
████ランドができたからおいわいのパーティ
████ランドであそんだ
感想
████ランドはあんまおもしろくなかったので██さんにもっとかっこいいのをたのんだ。
20██年7月19日
今日やったこと
いっぱいびょう院とか線ろとか作ることにした
ここのちかくから日本のどこにでも行けるように線ろを作る
そうり大じんらしいことをした
感想
さすがに楽しいことばかりだとだめだと思ったのでちゃんとをしごとをしました。がんばった
20██年10月24日
今日やったこと
████の町の人たちとお話しをした
████の人たちにお金をはらってどいってもらうことにした
感想
うざいよ。
20██年3月2日
今日やったこと
テレビでお話しをした
██さんとけんかした
「ぼくの言うことを聞かせる」法を作った
感想
日本の人たちからのぼくの人気がすごく下がってるらしい。楽しいのになんでかわからない。██さんは「しかたない」って言ってた。でもなんだか落ち着かないからあたらしいほうりつを作りました。
20██年5月23日
今日やったこと
アメリカにおこられた
アメリカとやくそくをした
感想
アメリカのそうり大じん大とうりょうもぼくのこと好きじゃないみたい。みんなぼくのことがきらい。
20██年5月25日
今日やったこと
いろんな人と話そうとした
ここにかくれることにきめた
感想
ここのまわりに人がいっぱいきています。みんなぼくと話がしたいらしい。おこってる。かくれることにした。たべものは大じょうぶそうです。
20██年1月5日
今日やったこと
ごはんをたべた
ほかはきのうと同じ
感想
日本の人、おこってるらしい。どうしよう。これってぼくのせい?
20██年1月10日
今日やったこと
███さん3がしんだ
感想
ここの中に入って来た入にころされたらしい。██さんは「もうすぐにげた方がいい」って言ってた。ぼくもそうおもった。
20██年1月14日
今日やったこと
なにもしてない
感想
脚注
1. 何者かの暴行によると見られる
2. 他の文書などからして井川██氏の秘書、もしくは側近であると見られる
3. 何者かは不明
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scp-066-jp |
評価: +112+–x
回収直前のSCP-066-JP-2画像
アイテム番号: SCP-066-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-066-JP-1は沿岸部に建設されている監視駐留所-03A7によって常時監視と記録の保管が行われています。監視駐留所-03A7、03A8、03A9には"ハエトリ計画"の実行に於ける初動的対処と監視、SCP-066-JP-2出現と飛去方向の特定と報告が可能である機動部隊ぬ-29"コマドリ"を常時待機させてください。"ハエトリ計画"は、48時間以内にSCP-066-JP-1周辺地域への台風の接近が予測される場合即座に発令されます。
"ハエトリ計画"の概要については付属資料を参照してください。現在"ハエトリ計画"にはサイト-8101、サイト-8109、サイト-8116、サイト-8125、サイト-8132、サイト-8145、サイト-8147、サイト-8155、サイト-8169、サイト-8174、サイト-8181、サイト-8187、サイト-8190、サイト-8193、セクター-8151、セクター-8173、セクター-8192が参加しています。
"ハエトリ計画"によって確保されたSCP-066-JP-2はセクター-8151の専用収容倉庫へと収容してください。専用収容倉庫はセキュリティクリアランスレベル1以上の承認によって入室が可能です。
説明: SCP-066-JP-1は[削除済]沿岸部から██km沖合の海洋上に存在する半径37m範囲と思われる海面領域です。SCP-066-JP-1は特定の気象条件下に於いて範囲内のいずれかに極端な局所的加重重力場を形成します。重力場の重力の大きさは現在まで数値の測定に成功していませんが、地球に対して作用しており、瞬時にして海面と周辺の分子を海中方向へと引き込み始めます。
これらの現象は分子同士の摩擦、または崩壊による放熱と、それらエネルギーの重力場内部への閉じ込めを誘発します。重力場は沈下に伴い収縮を続け、内部の物質とエネルギーを極限まで圧縮させ電荷を備えた小質量によるブラックホールまたは極小の空間トンネルを発生させるのと同時に消滅します。
重力場の消滅は圧縮されたエネルギーの解放に繋がりますが、それらの解放に伴う壊滅的余波の大部分はブラックホールまたは空間トンネル内に吸引されます。しかし同時にSCP-066-JP-2が出現します。SCP-066-JP-2の出現後、ブラックホールまたは空間トンネルは即座に消滅します。
SCP-066-JP-1がこれらの現象を引き起こす特定の気象条件は、一般的に台風と呼称される温帯低気圧の接近であると考えられています。しかし人工的に操作された気象による再現実験によって現象発生が確認されなかった事から、自然状態の台風に、SCP-066-JP-1内の現象発生を誘因する未知の要素が存在すると見られています。
現象はSCP-066-JP-1領域が台風の勢力下に入っている状態で発生しますが、領域が勢力下に入ってからいつ現象が発生するのかについては、明確な規則性を発見出来ていません。
SCP-066-JP-2は直径9〜31mの車輪部分と、車軸間に存在する本体部分によって構成される実体です。鉄を主成分とした未知の合金によって構成され、この合金は1㎤辺りおよそ3.75kgの質量を有しています。
SCP-066-JP-2はSCP-066-JP-1内で発生した現象に於いて、ブラックホールまたは空間トンネルへの吸引を免れたエネルギーの余波の炸裂によって急上昇し、海上へと飛び出します。この時点でSCP-066-JP-2が射出される速度は現時点までの観測により、1123kgのSCP-066-JP-2bw出現時に確認された849km/hが最高値となっています。
SCP-066-JP-2は最高高度海抜37〜46kmに到達後、自由落下します。これまで全ての例に於いて、SCP-066-JP-2は意図的な干渉または操作が行われていないにも関わらず、必ず日本国土上の無作為な地点が最終的な落下地点となっています。
後述の発見から、これらはSCP-066-JP-2出現以前からの計画的な投擲軌道予測の結果であると見られています。
しかし殆どの場合でSCP-066-JP-1が台風の勢力下にある状況でSCP-066-JP-2の出現が確認されるため、SCP-066-JP-2は低気圧の影響による軌道の湾曲から、正確な落下地点を事前に特定するのは困難であるとされています。
それに加えてSCP-066-JP-2実体の造成の杜撰さに由来する不安定な形状と姿勢状態は、予測困難な空気抵抗の影響を実体の空中軌道にもたらします。
SCP-066-JP-2に対する広汎的軌道予測システムの手順成立による、SCP-066-JP-2実体の空中確保を目的とした"ハエトリ計画"が実行されています。
付属資料1: SCP-066-JP-2実体詳細記録
現時点まで124個体の存在を確認。うち102個体の確保・収容に成功。
実体は鉄74%、銅12%、亜鉛8%、タングステン2%、未知の蛋白質1.2%、クロム1%、未知の有機体1%、スズ0.8%によって構成。しかし現在収容されている実体のうち8個体は6〜12%の成分比率の誤差が確認されている。
化合・製造の手段は不明。密度が均一ではない事から原始的な鍛冶技術によるものであるとの仮説が有力視される。
構造は車輪と円筒を一本の車軸で貫通させて固定させる単純なもの。しかし円筒部と車輪の接触部は溶接されており、車輪と円筒部の関係から、元は車輪の回転を前提に設計・製造されたものを、本来と異なる用途のため後に溶接によって固定したものと思われる。
収容された実体のうち39個体には、円筒部内部に空洞の痕跡有り。これらも後ほど用途の変更に伴い、同合金の注入による穴埋めが行われたと思われる。
車輪部の厚みから見て、実体は3種類の規格を基に製造されたものと思われる。直径が9〜17mのものは均一に車輪の厚みが15.3cmとなるよう設計されているものと考えられ、同様に直径18〜29mのものは21.7cmの厚みを持ち、直径30m以上のものは39.2cmの厚みを持つ。
しかし原始的な鍛冶技術によって製造されたためか、厚みには部分的な差異が存在し、厚みが均一では無いもの、規格から外れているものも存在する。
実体には構造上の脆弱さが認められるものの、出現の瞬間の重力場の影響、重力場の消滅に伴うエネルギーの余波、射出時の衝撃によって損傷を負った形跡は見られず。ただし射出後の軌道中の空気抵抗または衝突または落下地点への到達によっては損傷し得る事、実体回収後の耐久実験に於いて損傷が見られた事から、出現時にのみ何らかの方法による保護が働いているものと思われる。
その保護手段と原理は重力場による空間分子の規則性の湾曲と、重力場の中心に位置する熱核部がブラックホールまたは空間トンネルへと吸引される速度に関係していると推測されているが、詳細は調査中。
SCP-066-JP-2関連特記事案リスト
実体出現日時
実体規模
落下地点
被害
19██/07/14/██:██
車輪部直径11m。総重量1352kg
滋賀県██████
民家三棟全壊、民家二棟一部損壊。死者7名
19██/08/03/██:██
車輪部直径20m 総重量1829kg
熊本県████
着地時の衝撃による斜面崩落を誘発。死者8名、[編集済]四ヶ所で通行止め及びライフラインの寸断
19██/09/11/██:██
車輪部直径17m 総重量1681kg
長野県████████
一部山岳斜面の崩落。死傷者無し。SCP-███-JPの活性化を誘発
19██/08/27/██:██
車輪部直径30m 総重量2419kg
[削除済]
サイト-81██の一時機能喪失及び周辺地盤の陥没
19██/09/02/██:██
車輪部直径9m 総重量1123(最小値)
沖縄県██████
[削除済]
19██/09/16/██:██
車輪部直径26m 総重量2167kg
北海道███████
地盤の陥没。震度██の地震を誘発
19██/08/30/██:██
車輪部直径21m 総重量1959kg 円筒内部に空洞痕跡が確認された初の事例
山梨県███████
███の大規模な一部崩落。死傷者無し。修復不可能
20██/08/27/██:██
車輪部直径14m 総重量1503kg
三重県████
複数の建築物の倒壊。死者16名。地殻への影響により[削除済]
20██/09/24/██:██
車輪部直径19m 総重量1741kg
千葉県██████████
[削除済]
20██/██/██/██:██
車輪部直径31m 総重量2574kg(最大値) 殺傷用と思われる複数の突起が溶接されていた
[削除済]
[削除済]
20██/██/██/██:██
車輪部直径11m 総重量1356kg SCP-066-JP-2cfと命名
愛知県████
一部海岸線の損傷 民間の漁業活動の一時停滞
全ての実体には円筒部の不定位置に20×20cmのサイズで何らかのシンボルと思しきものが描かれている。
シンボルは既存の紋章学の規則に一部則っているものの、使用されている塗料の原料が現行世界では塗料として使用されていないものである点、標語の記述にあたる部分が未知の言語によって描写されている点から、未知の文化由来のものであることが示唆される。
シンボルは全て交差した直線状の引っ掻き傷によって意図的に損傷しており、シンボルに対する何らかの反意を示していると思われる。
+ 統合された情報に基づき再現されたシンボルの画像
- 画像を閉じる
全実体にはシンボルに対する引っ掻き傷と同様規模の刻字が為されている。殆どの例に於いて、その内容は以下のものに統一されている。
Godeco di-jodix
SCP-066-JP-2cfと、それ以降に発見されている実体では、刻字は以下の日本語文字による文章となっている。
我々は 開拓と侵略を 区別しない
かつて 奴らが そうしたように
奴らの ひかり は すでに穢された
我々は 穢すべき 新たな ひかり を求む
死せるものは死なず
文章の内容については現在も複数の解釈が存在するものであるが、以前より郡博士が提唱していた"ハエトリ計画"の承認と発足に於ける決定打として、公式的に言及されているものである。
付属資料2: ハエトリ計画梗概
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scp-067-jp |
評価: +62+–x
収容以前のSCP-067-JP。
アイテム番号: SCP-067-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-067-JPはサイト-81██の大型標準コンテナに収容されています。コンテナ内には照明や光源を設置しないでください。観察や調査等のためにコンテナ内へ入室する際には、財団指定のパッシブ型赤外線スコープを着用してください。ペンライト程度の明かりの持ちこみは許可されますが、懐中電灯のような強めの光源となりうる物の持ちこみは禁止します。その他、実験用等で光源を持ち込む場合、レベル3以上の職員の許可を得てください。補遺1以前の旧収容プロトコルは別紙に記載されています。発見地点(当時の収容地点)に新設された橋に異常性が発生していないか、定期的に調査を行ってください。
説明: SCP-067-JPは異常な現象が発生する橋です。対象は200█年、山口県██市にて発見されました。対象は市街地に存在し、一般人にもその異常性がある程度知られていましたが、「目の錯覚」あるいは「子供の勘違い」として認知されていました。
SCP-067-JPは日出時間前後か日没時間前後に████lux以上の可視光線1が当たることで活性化し、その範囲内に異常な現象を発生させます。活性時間中、橋の上にSCP-067-JP-1が2体から複数体映し出されます。
SCP-067-JP-1は自律して行動する影です。大きさは15cmから1m以上の大きさまで確認されています。対象は影を"足場"にして行動することが可能です。対象は進行方向にある影や足場の影をすり抜けることもあり、足場にする影と通り抜ける影を選択していると推測されます。20██年現在、財団とSCP-067-JP-1との交流は成されていません。
SCP-067-JP-1は、主に他のSCP-067-JP-1と戦闘を行います。この戦闘はどちらかのSCP-067-JP-1個体が消失するまで継続され、平均6分間ほど続きます。複数体のSCP-067-JP-1が出現した場合、SCP-067-JP-1はそれぞれチームを組み、相手のチームが全滅するまで戦闘が継続されます。戦闘の停止条件が満たされた後、SCP-067-JPは非活性状態となり、SCP-067-JP-1は消失します。
観測されたSCP-067-JP-1の主要な形状は以下のものです。
SCP-067-JP-1の形状
大きさ(全長)
補足
人型
15cm-20cm
最も多く観測される形状のSCP-067-JP-1(全体の50%以上)です。 剣や盾を持つ者、炎や雷を発生させる長い棒を持つ者、王冠を被った者と多種類の形状が存在します。不定形型・竜型に対し敵対的です。同じ人型へも攻撃しますが、同じチームに対しては攻撃を行いません。明確な自我を持っていると考えられます。
不定形型
25cm-45cm
不定形のSCP-067-JP-1です。「アメーバのような」と報告される動作を行います。動作は緩慢ですが、積極的に人型のSCP-067-JP-1を攻撃します。知能は無いか非常に低いと推測されます。
竜型
90cm-110cm
大型のSCP-067-JP-1です。西洋の竜に近い形状をしています。最も観測される数が少ない(全体の█%)ものです。不定形型を指揮するような行動を取ります。また、影を足場にせず、飛翔することが可能です。体当たりや炎の形状をした影を発生させ、積極的に人型を攻撃します。知能は人型と同等かそれ以上のものと見られます。
(以下、SCP-067-JP-1個体は「人型」「竜型」など簡略化して表記。)
このほかにもいくつかのSCP-067-JP-1が確認されています。それらについては別紙を参照してください。
SCP-067-JP-1の行動は、微細ながら"こちら"側にも反映されます。「人型の持つ剣が振るわれ、SCP-067-JPの一部が傷つく」「竜型の吐く炎の影に触れると、若干の熱を感じる」といった報告がなされています。影響の強さは、SCP-067-JP-1の大きさや行動力の強さに比例すると考えられています。
補遺: 200█年8月5日午前5時41分、最大級のSCP-067-JP活性事案が発生しました。確認されたSCP-067-JP-1の総数は1200体以上、出現範囲はSCP-067-JP上だけでなく、周囲の道路、森林の影に及ぶものです。700体以上の人型によって構成されたチームAと、472体の不定形型、38体の竜型、1体の蛇型によって構成されたチームBの戦闘が行われました。蛇型のSCP-067-JP-1はこれまでに確認されたもので最大のSCP-067-JP-1であり、全長は638cm、最大幅は45cmと計測されています。
この戦闘は2時間継続され、"こちら"側へも甚大な影響を及ぼしました。周囲に存在する森林、道路は大きく損壊し、SCP-067-JPはこの戦闘の影響で全体の22%を焼失、および破損しました。周囲に存在する民家も被害を受け、1戸が半焼しています。この事案には財団の機動部隊が収束に当たり、収束後にはカバーストーリー「地震」が適応されました。
この事案を受け、SCP-067-JPはサイト-81██に移送され、収容プロトコルは現在の物に改変されました。損壊した部位は修復中です。発見地点に新設された橋には、20██年現在異常性は見られません。
Footnotes
1. 赤外線、紫外線、電磁波等ではこの異常性は発生しません。また、可視光線であっても月光には反応しません。対象を活性化させる"光"の厳密な定義は調査中です。
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scp-068-jp |
評価: +110+–x
保管された紙媒体のSCP-068-JP個体
アイテム番号: SCP-068-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 印刷されたSCP-068-JP個体が各言語1部ずつのみ、保管サイト-23の書類保管庫のロックされた金庫に保管されることになっています。それ以外の印刷された個体が発見された場合は、即刻報告の後処分されます。
SCP-068-JPのデジタルコピーは禁止されます。インターネット上にてSCP-068-JP個体が発見された場合、プロトコル・ラムダ・イプシロン8に基づいて情報拡散阻止、データの削除および発生源の特定が行われます。
SCP-068-JP-A個体は発見しだい拘束の後、近隣のサイトのヒューマノイド収容施設へ移送され、その後に身元の調査と家宅の捜索が行われます。SCP-068-JP-B個体は発見しだい麻酔銃による捕獲が行われます。民間人への危険があると見られる場合は、実弾による殺害も許可されます。
説明: SCP-068-JPは"Der Leichte Tiger"という題名の、A4用紙にして██ページになる1論文です。どの個体もタイトルは全て同じですが、本文についてはドイツ語・韓国語・日本語の3言語についてのバリエーションが確認されています。著者の名前は存在しません。
被験者がSCP-068-JP個体に使われている言語を理解している上で読み、その内容を理解すると、被験者は内容に例外なく強い共感を覚え、激しい興奮状態に陥ります。この状態に至った被験者はSCP-068-JP-Aに指定されます。
SCP-068-JP-AはSCP-068-JPの内容に影響を受けた被験者です。SCP-068-JP-Aは他の人間に話しかけられない限りは、興奮状態を維持したまま自分から一番近い位置にある利用可能な軽トラックを探し始めます。どのような手段かは不明ですが、SCP-068-JP-Aは自分の周囲の大まかな軽トラックの位置を把握することができると思われます。利用可能な軽トラックを発見すると即座に乗り込み、発進しようとします2。エンジンキーがない場合は点火装置のショートを試みます。
発進したのち、SCP-068-JP-Aは元がどんな人物であれ、きわめて乱暴かつ危険な運転3を行います。歩行者や自転車、自動二輪車を発見した場合、積極的に追跡を行い轢き殺そうとします。時折アイドリング状態で待ち伏せを行う場合もあります。軽トラックが破損して走行不能になった場合、現在の軽トラックを放棄して新しいものを探し始めます。危険運転の末に死亡した場合、SCP-068-JP-AはSCP-068-JP-Bへと変態します。
車両に乗っていないSCP-068-JP-Aが他の人間に話しかけられた場合、SCP-068-JP-Aは相手の言葉にあまり耳を貸さずにSCP-068-JPの内容に関すると思われる話を一方的に話します。この話の内容を聞き入れ理解した人物はSCP-068-JPを読んだ場合と同様に共感を覚え興奮状態に陥りSCP-068-JP-Aへと変化します。
SCP-068-JP-Bは危険運転によって死亡したSCP-068-JP-Aの組織から生まれる、トラ (Panthera tigris) によく似た生命体です。SCP-068-JP-Aが死亡した直後に、急速な速さ(約20秒ほど)でSCP-068-JP-Bが形成されます。体組織のDNA構造が元のSCP-068-JP-Aと同じである点、同じ体格の通常のトラに比べて体重が約75%程度である点、生殖能力が無い点を除けば、通常のトラとなんら変わりはありません。
SCP-068-JP-AおよびSCP-068-JP-Bを治療する方法は現在のところ見つかっていません。SCP-068-JP-Aに対する記憶処理は効果がなく、論文自体の存在の記憶を奪ったにも関わらず論文の内容を他者へ伝播する性質や軽トラックを求める性質は残り続けました。
事件-068-20██0902
補遺1: 事件-068-20██0902: 20██年9月2日、大分県█████市郊外にて、軽トラック24台からなる集団が車載メガホンで大音量で罵声を流しながら暴走行為を行っていたため地元警察に包囲されました。その後包囲を行った警官隊が集団に対して共感を示し暴走に加わりました。最終的に軽トラック37台4全て大破、負傷者██名、死者██名、トラ(後にSCP-068-JP-Bと指定される)が32体発生するという大惨事となりました。財団は当初この事件を超常現象として取り扱い、さらなる調査によって事件の背後には異常な効果を持った論文が存在することが分かりました。論文は後にSCP-068-JPに指定されました。
補遺2: インタビュー-068-20██0902: 20██年9月2日の事件後、発生原因を調査するために暴走を行っていた集団の生き残りの1人に対して楢林博士が尋問を行いました。
楢林博士:まず名前を教えて下さい。
████:俺はフットワークの軽いトラさ。名前なんてお荷物は要らねえな。
楢林博士:はい?
████:分かんねえか?これだからケツの重たい飼いネコは嫌いなんだよ。
楢林博士:どうして自動車で暴走をしようと思ったのですか?
████:どうもこうもねえよ、俺はトラだ。獲物は追いかける。そして殺る。それだけだよ。分かるだろ?
楢林博士:ご自身のことをトラだとおっしゃっていますが、それはどういうことですか?
████:ハン!あんたは何も知らねえんだな。いいだろう、教えてやる。お前たち人間が心の奥底に閉じ込めてる、トラのことをな。
[影響の拡散を防ぐため、記録を削除]
楢林博士:そうか…私は今まで、そんな大切なモノを、心にしまいこんでいたのですね…!
████:ホラ、さっさとケツ上げろ、この手錠外せよ!コンクリートのジャングルを、俺達の足で蹂躙してやろうぜ!
楢林博士および████はサイト-81██の車両置場にて制止を聞き入れず軽トラックを利用しようとしたため拘束されました。異常な影響を受けていると見られたため、即隔離されました。
補遺3: 保管場所の移転:
紙媒体のSCP-068-JPを軽トラックが普及していなく、かつSCP-068-JPに使われている言語が普及していない国で保管すれば収容違反の際の収拾がつきやすくなると思われます。保管サイト-23への移転を提言します。 -██████博士
申請を受理します。 -O5-10
Footnotes
1. 日本語の場合。
2. 自動車運転の経験の有無を問わず、この行動を行います。
3. スピード過剰、指示器不使用、無灯火、逆走、蛇行運転を含む。
4. 警官隊が周囲から不正に押収した13台を含む。
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scp-069-jp |
評価: +48+–x
梱包以前のSCP-069-JP実体(一部)。
アイテム番号: SCP-069-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-069-JPは個別で衣服保管用のケースに入れ、施錠して下さい。現在使用は禁止されており、この旨を通達する注意書きを各個体のケースに貼り付けて下さい。
説明: SCP-069-JPは、1900年代以降に制作されたと見られる34枚の古着です。実験で使用後、異常性を失った個体が別で8枚存在します。SCP-069-JPは着用した人間に対し、別世界に生活する人間の行動を制御する力を与えます。
SCP-069-JPを着用した瞬間、被験者は全身の筋緊張が高まり、およそ60秒間の意識不明状態に陥ります。この間被験者はこの世界とよく似た別の世界、SCP-069-JP世界に移動したと報告しますーこれは完全に意識上でのみおこる事態です。客観的にSCP-069-JP世界を認識する事は出来ません。同世界は細部で異なる歴史を辿っており、被験者はその世界で生活する一般人(まれに財団エージェント)として目覚め、元々の人格と記憶を保ったまま自由意志での行動が可能です。
この間に経過する時間は明らかに外部時間と異なり、最長で70年以上の経験を証言した被験者もいます。これらの証言は、知識の大幅な増加や精神的な成長(または退行)の獲得で示されます。現実での覚醒はSCP-069-JPで死亡後に起こります。その後着用したSCP-069-JP個体には死亡時の傷や汚損が発生し、以後異常性を示さなくなります。
実験記録:
被験者: ███研究員
内容: SCP-069-JP世界を調べる。███研究員は通信機とGPSを所持し、また可能な限り情報を持ち帰るように指示されている。この実験は当該オブジェクトに対する制御された最初の実験である。
使用個体: SCP-069-JP-17。アロハシャツに類似する個体。
結果: 通信機およびGPSは意味をなさず、███研究員を追跡する事は出来なかった。███研究員はSCP-069-JP世界で死亡した後に、新たなSCP-069-JP個体に対し血液と複数の指紋、付着したチョコチップ入りアイスの痕跡を残す事に成功した。以下はその証言で構成されている。
〈録音開始〉:
███研究員: えー、まず私が目覚めると、昔留学で見に行った西海岸の風景、よく覚えています、そこに立っていました。外見を確認する為に近くの店のショーウインドウを覗くと、白人で髭だらけの、おそらくは50から60代でしょうか、その位の男性になっていました。服はあのシャツと…他にジーンズ、サンダルですね。財布を持っていましたが、身分証明書はありませんでした。とても暑く、そして何故か息切れが酷かったので、近くの売店で新聞とアイスを買って休む事にしました。
(中略)
新聞を読み終えた頃でしたね、女性から声をかけられました。その時の私の外見と似た年代で、親しい様子だったのでひとまず挨拶をすると、ごめんなさい、本当に悪かったわと。すまなそうな顔をしていました。どうしたものかと悩みましたが、いっそこれはチャンスだと思い、こちらもおどけながら、記憶喪失になったふりをしたんです。あぁ忘れたよ、君が教えてくれないかと。彼女は私を、いやあの男性を見て微笑んで、…そこからは少し、映画の中のワンシーンの様でしたね。彼女は、自分が妻である事、一緒の大学を出た事、私が…えー、夫が、海で年甲斐もなくサーフィンをするのが好きな事。そんな夫がクールだと思っている事…でも料理の好みは合わなくて、だからレストランで喧嘩になって、せっかくの結婚記念日なのにひどいわ…とか、そんな事をささやかれました。手をつないで、えぇ、正直…その、罪悪感が酷かったですね。仲睦まじい夫婦の会話を盗み聞きしている様なものでしたから。その場に居たくない気持ちも半分はありましたが、これ以上話してボロを出してはいけないという不安もあり、軽率とは思いましたが情報収集の為に場を離れる事にしたんです。思い出したよ!と言ってから表通りに出ると、そのまま走って逃げてしまいました。3ブロック程走ってから、彼女が来ない事を確認して、その後ニューヨークタイムス誌をホームレスからかっぱらいました。
(詳細なデータは文書記録069-い-07参照)
丸3日間、新聞や聞き込みで判明した事を纏めると、時代は同じで歴史も一緒、ですが細部で違う…それが、このSCP-069-JP世界の印象でした。1日遅れでしたがアメリカ軍のイラク派遣も行われていましたよ。実家に連絡したら、家業を継いだ僕が電話口に出ました…でも、何も起きませんでした。異世界の自分に会って、それだけです。…で、粗方僕の脳みそに詰め込める範囲の内容は覚えたので、なるべく痛くない方法で元に戻ろうと近くの店でお酒を買い、見つかりにくいところで一気飲みして…倒れた後は、もうここに戻って来ていました。死ぬ程飲む経験ってのは、金輪際ないでしょうからね。
〈終了〉
補遺: この実験記録の中で███研究員が体験した男性は、その後現実世界のアメリカにて[編集済]という名前で実在する事が判明した。氏名と大学時代の経歴に一部差異はあったが、SCP-069-JPの世界から持ち帰った血液と比べた結果、遺伝的に同一人物とされている。[編集済]氏は今日まで生存しており、この点もSCP-069-JPの世界とは異なっている。
SCP-069-JPの収容が容易である事、また実験から得られるデータの価値が低いと思われる事から、このオブジェクトの使用を明確に禁止します。別の世界に生きる無関係の一般人を、これ以上殺す事は無益です。 - 東博士
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scp-070-jp |
評価: +491+–x
評価: +491+–x
クレジット
タイトル: SCP-070-JP - わんわんらんどと犬ではないなにか
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2013
評価: +491+–x
評価: +491+–x
アイテム番号: SCP-070-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-070-JPは常時施錠して封鎖してください。SCP-070-JPに隣接する部屋には、財団職員が複数人居住し、いかなる時間帯でも最低一人は室内に滞在してください。
SCP-070-JPを解放してSCP-070-JP-1に侵入する場合は、レベル3以上の職員の許可を得てください。SCP-070-JP-1内部の調査を目的とする場合は、3分以内にSCP-070-JPを通じて退出してください。SCP-070-JP-2との接触を目的とする場合は、通信機器や位置追跡装置など、適切な装備をしたDクラス職員を侵入させ、侵入後はSCP-070-JPを施錠してください。複数人から成るチームでの侵入を行う場合は、レベル4以上の職員3人の許可を得てください。
説明: SCP-070-JPは、████県████市内の集合住宅に存在する、██████号室の床下に入る為のメンテナンスハッチです。SCP-070-JP内に侵入すると、SCP-070-JP-1と指定される廃墟に移動します。SCP-070-JP-1内部は一見すると木造ですが、屋内の家具やガラス窓も含めて、内装や壁面を破壊する方法は現在発見できていません。
SCP-070-JP-1におよそ5分以上滞在すると、SCP-070-JP-2と指定される存在が出現します。SCP-070-JP-2は複数人の男女の歌声とともに出現し、SCP-070-JP-1内の人間を襲撃します。SCP-070-JP-2を撮影する試みはすべて失敗しており、その外見については「犬じゃない」「大きい」「犬に似ている」という感想しか判明していません。
Dクラス職員に持たせた追跡装置から、SCP-070-JP-1は████県████市郊外に位置する犬専門大型ペットショップの跡地(200█/11/██に倒産。財団所有の不動産会社が、現在の所有者です)であることが判明しました。しかし、ペットショップ跡地に人員を配置しても、SCP-070-JPからSCP-070-JP-1に侵入した職員を発見することができないため、SCP-070-JP-1はペットショップ跡地と同じ間取りの異空間だと考えられています。また、SCP-070-JP-2が出現すると、SCP-070-JPが開かなくなります。
SCP-070-JPとSCP-070-JP-1の関連性については、犬専門大型ペットショップを経営していた男性がSCP-070-JPから床下に入れるであろう部屋に居住していたこと以外、一切不明です。なお、元所有者の男性についてはペットショップの倒産後[編集済]となっており、SCP-070-JPとの関連は低いと考えられています。
補遺:
探査ログ: 070-JP-BB-1
対象: SCP-070-JP-1
探査者: D-32414
「よーし、中に入った…どこだろうな、ここは」
「見えるものを説明しろ、だったな…えーと、まず俺が出てきたのは店みたいなところだ。カウンターの裏側の、小さな扉から出てきた」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「店の中には棚と、檻がいくつか並んでる。棚はだいたい割れてるし、檻も蓋が開いてるな」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 寒さになんか 負けないぞ
「正面にはドアがあって、右手の方に窓がある。窓に近づく」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「窓の外は…結構な田舎だな。店の隣には草ぼうぼうの庭と畑があって、道路が見える。片側一車線だ。あと…看板かな?店の敷地にポールが建ってる」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ お腹が減っても 負けないぞ
「えーと、かなり錆と汚れが付いていて読みにくいが…『わんわんらんど』って書いてあるな。全部平仮名だ。あとは、空が晴れてるぐらいしか見えない」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「あ、センセイ。今気が付いたが、俺が出てきたカウンターの横の方に階段があった。どうやら二階があるらしい」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 靭帯切れても 頑張るぞ
「階段は、埃が積もってるけどそこまで古くはなさそうだ」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「うん、行ける行ける。上の階に上がってみる」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 水の中でも 元気だぞ
「もうすぐ踊り場だ。やっぱり意外と頑丈な階段だ」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「…なんだ」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 両手はいらない 犬だもの
「何かいる…何か二階にいる…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「あまりよく見えなかったけど、犬みたいだ…」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 一日縄張り 監視中
「分かった、もう一度見てみる…じっとしてる…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「動いた!」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 寂しくないぞ みんないる
「ああ!早い!あいつ犬じゃねえ!犬なんかじゃねえ!」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「おい、開けてくれ!来る!早く開けてくれ![削除済]!!開けろ!」
[この時点で、SCP-070-JPの前に待機していた職員がD-32414の救出を試みたが、SCP-070-JPを開くことはできなかった]僕らは イヌだぞ 元気だぞ お腹が減っても 負けないぞ
「あああ!いる!開けてくれ!後ろに!開けて!」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
(27秒間沈黙)
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
補足: 以下、通信機のバッテリーが切れたと思われる4時間後まで、D-32414は『ワンワンワン』というフレーズを繰り返していた。追跡装置の情報から、D-32414は████県████市郊外の犬専門大型ペットショップ跡地に移動したことが判明した。
探査ログ: 070-JP-BB-2
対象: SCP-070-JP-1
探査者: D-42671
探査前情報: SCP-070-JP-1と関係があると推測される、████県████市郊外の犬専門大型ペットショップ跡地に武装した職員4名をあらかじめ配置した。
「中に入った…映ってる?」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「はい、カウンターの内側に出てきました。中は…ペットショップだったのかな?左の壁に棚が並んでいる」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 泥棒猫は どこにいる?
「窓?あるけど…了解、近づいてみます」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「はーい、外の景色です…かなりの田舎だなあ…鍵は…錆びてるのか、動きません」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ わんわんらんどは 僕の家
「ん?あれは看板かな…『わんわんらんど』…これで、映ってるかな?」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ん?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ イヌじゃないぞ 僕たちは
「今、音がしたような…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「あ、二階あるんだ。上に上がってみる?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ ご飯はいらない イヌだもの
「え?一階の調査がすんでから?まあ、いいけど…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「じゃあ、次は檻を映しまーす。どれも全部空で、蓋も開いてます」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 元気じゃなくても 元気だぞ
「ん、少しだけ犬の臭いが残ってる気がします」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ここの棚はペットフードを並べてたんでしょうね…そして玄関のドアは…鍵がかかってるのかな、開かない…ん?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 僕たち一緒だ ここにいる
「…え?」
[この時点より、カメラからの映像は画面に向けて手を振る犬のアニメーションに変化した]ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「なにあれ?え?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ どれだけ吠えても 飽きないぞ
「ちょっと、やめて。え?」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ドア開かない!ねえ、開けてよ!ここ開けてって!」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 君は元気か? 不健康
「やだやだやだやだやだ!」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「窓、窓から…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
[27秒沈黙]
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
(以下、カメラからの映像と音声に変化はなく、バッテリーが切れたと思われる四時間後まで続いた)
補足1: ████県████市郊外の犬専門大型ペットショップ跡地に配置していた職員は、D-42671及びSCP-070-JP-2の出現を確認できなかった。
補足2: 音声記録を調査したところ、SCP-070-JP-2の出現以前から観測されていた歌声に、D-32414のものと思われる男性の声が加わっていることが判明した。
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scp-071-jp |
評価: +52+–x
SCP-071-JP-Aの外観。
アイテム番号: SCP-071-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-071-JPの敷地周辺へとアクセス可能な全ての公共交通機関の敷設を阻止し、容易く一般人の団体が敷地内に来られないようにしてください。SCP-071-JPの存在はあらゆる記録から抹消し、SCP-071-JPの常駐スタッフであるSCP-071-JP-1に対して葬儀の依頼を行えないようにしてください。
SCP-071-JPの敷地内への侵入者に対しては、まず地元警察に偽装した財団の監視員2名による排除を行ってください。監視員からの報告に迅速に対処可能な機動部隊を、地元住民に偽装された状態で必ず周辺に待機させてください。
現在SCP-071-JP-2の脱走事案が継続中です。SCP-071-JP-2に関する有力と思われる情報は、ただちに特別調査班へと伝達してください。
説明: SCP-071-JPは███市██にある敷地です。敷地内には、完全に同一の外観と内装と内部構造を有した二つの葬儀場が存在します。この内の西側の葬儀場をSCP-071-JP-A、東側の葬儀場をSCP-071-JP-Bとします。
SCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bには、複数のスタッフが常駐しています。これら人型のスタッフをSCP-071-JP-1とします。SCP-071-JP-1は常に、片方の葬儀場に存在する人員と全く同一の人員がもう片方の葬儀場に存在しているように見えます。
SCP-071-JP-1は通常の手順で、依頼された葬儀の準備と実行補助を行います。しかし、戸籍等の記録が無く生物学的な整合性も存在しない(必須である一部臓器の欠如等)ため実在の人物では無いと思われます。
SCP-071-JP-1は外部の一般人から葬儀の依頼を受ける際、様々な理由をつけて可能な限り二つの葬儀を同日同時刻に執り行おうとします。あるいは、同日同時刻の葬儀依頼のみが来るように施設そのものが依頼を選定します。
同日同時刻の二つの葬儀は、それぞれSCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bで同時に執り行われます。このとき、大量の葬儀スタッフであるSCP-071-JP-1と、読経役の僧侶と思われるSCP-071-JP-1がそれぞれの施設へと新たに出現します。
葬儀は通常通りに進行しますが、二つの葬儀で同時に読経が始まったとき、SCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bは互いに接近し、重なり合うようにして融合し始めます。融合の際、質量の増大や変形は起こっていません。
それぞれの施設の融合に応じて、二つの葬儀の参加者、すべてのSCP-071-JP-1も融合します。SCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bが完全に融合し一つの施設となった時、それぞれの一般人の参加者は、二つの葬儀の参加者の平均人数となるように人数が調整された上で、それぞれの参加者同士の要素が"混ざり合った"人型へとなります。
SCP-071-JP-1も同様に融合しますが、二つの葬儀で同一の容姿を持った同人数のスタッフが存在するため、外見上は"混ざり合った"ようには見られません。読経中すべての参加者は一種の催眠状態に置かれ、これらの変化を一切認識しません。
読経の内容は葬儀の度に変更されますが、多くの場合、何かに助けを求めるような感情的な文章を梵語で発音します。
融合が完了してから1分後に読経が終了します。読経が終了すると同時に、"混ざり合った"状態の一般人は"混ざり合った"衣服を残して全て消滅します。故人の遺体、またはSCP-071-JP-1は消滅しません。また、故人の遺体は融合せず、融合して一つになった棺桶内で折り重なるようにして二つの遺体が安置される事になります。
その後SCP-071-JP-1は葬儀を中断し、全員が地下の一室である█████████とドアに刻まれた部屋へと入室しドアは施錠されます。後の探査によって、█████████へと至ったSCP-071-JP-1はその瞬間に全て消失していることが明らかとなっています。
その後施設は再びSCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bへと分離し、20分後に分離が完了すると常駐スタッフであるSCP-071-JP-1が再出現します。
探査記録071-3に於いて、█████████内にSCP-071-JP-2が存在する事が明らかとなっています。SCP-071-JP-2は人間によって構成されていると思われる、巨大な塊のような生命体です。
複数の観測記録から、SCP-071-JP-2はおよそ████名の一般人が"混ざり合った"ものであると見なされています。
SCP-071-JP-2は積極性のある行動を何ら取ることはなく、常に複数の呻き声を複数の開口部から発しながら█████████内を徘徊しています。しかしSCP-071-JP-1が施設内に出現する際には、明らかに自己を構成する要素を瞬間的に減少させ、SCP-071-JP-1の消失時には元へと戻ります。また、融合した施設がSCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bに分離する際、SCP-071-JP-2は自らの質量を保ったまま、それぞれの施設の█████████にそれぞれが留まる形で"分身"しています。
融合の際も、質量の増大が認められない状態で一つへまとまりますが、一般人の消失後、自己の質量と構成要素を増大させます。
SCP-071-JP-2の知性の有無は確認されていませんが、高度な群体活動を制御していると思われる事から、高い知能を有している可能性が示唆されています。また、SCP-071-JP-2はSCP-071-JP-A、SCP-071-JP-Bと共生関係にあるという説が█████博士によって唱えられています。
SCP-071-JP-2はその大質量とSCP-071-JP-1による抵抗から移送が困難であり、適切な移送手段が確立されるまでは█████████内に留め置かれる事になっています。
補遺1:
+ SCP-071-JP-1へのインタビュー記録:
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対象: SCP-071-JP-1 外見は30代半ばほどの男性。SCP-071-JP-Aの常駐スタッフ
インタビュアー: █████博士
<録音開始>
█████博士: ちょっと失礼、ここの葬儀場について訊ねたいんだが・・・
SCP-071-JP-1: いらっしゃいませ。███████(葬儀場の名前)では、ご質問はまず広告をご覧になっていただいてからお願いしております。広告はご覧になりましたか?
█████博士: ああ、見たよ。これの事だろう?
SCP-071-JP-1: ・・・確かに。失礼いたしました。ご質問をどうぞ。
█████博士: ここは、一体誰が建てて、誰が経営しているものなのかな?
SCP-071-JP-1: ███████は[未知の言語]によって建設され、現在██████████ ████(財団のフロント企業名)によって経営されています。
█████博士: それは事実では無いと思うのだが。
SCP-071-JP-1: 失礼ながら、事実を仰っておられないのはお客様の方かと。
█████博士: どういうことだ?
SCP-071-JP-1: [未知の言語]様のご意向による発言、としか申し上げられません。
█████博士: そうか。まあ、いい、次に行こう。この、というかこれらの葬儀場は何のために建てられたんだ?
SCP-071-JP-1: お客様にとって、リーズナブルな価格の合葬形式の葬儀を提供するためでございます。
█████博士: そうか。事実を話す気は全く無いんだな。
SCP-071-JP-1: はい。
<録音終了>
補遺2: SCP-071-JPに関連すると思われる広告が、財団による情報的封じ込め以前に複数の情報媒体で掲載されていました。現在、全ての広告は掲載前に財団によって差し止められています。
広告の依頼はSCP-071-JP-1が行っていると見られ、広告料は消滅した一般人の財産をSCP-071-JP-1が換金したものを使用しています。
広告の内容は研究チームの提言に基づき削除済です。詳細は、研究チームへ直接問い合わせてください。
補遺3: 財団がSCP-071-JPの情報的な封じ込めを行い、一般人への被害が完全に防げるようになってから391日後、SCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bが葬儀中では無いにも関わらず、予兆無しに融合しました。その後SCP-071-JP-2が施設の一部を破壊しながらSCP-071-JP内から脱走を図りました。
ただちに周辺に待機していた機動部隊が応戦しましたが、瞬間的に大量に出現したSCP-071-JP-1によって壊滅させられました。
追跡部隊と人工衛星による追跡が即座に実行されましたが、SCP-071-JP-2は山鳴りのような音声を発生させると、SCP-071-JPより200m離れた地点で消失しました。
10分後、SCP-071-JP-2を見失ったとの報告があらゆる追跡部隊、追跡班より通達され、SCP-071-JP-2は財団の管理下から脱走したと見なされました。本脱走事案は現在も継続中です。
SCP-071-JP-2脱走後、施設は40分をかけて自動的に修復され、その後完全な状態のSCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bへと分離しました。
SCP-071-JP-2が█████████から退去したものの、SCP-071-JP-1、SCP-071-JP-A、SCP-071-JP-Bは異常な性質を失ってはいませんでした。この事から、SCP-071-JP-2は未だ現実世界に留まっていると推測されています。
追記: 故人の遺体は、施設分離時にSCP-071-JP-AとSCP-071-JP-Bの中間の地面へと全裸状態で放置されます。
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scp-072-jp |
評価: +88+–x
アイテム番号: SCP-072-JP
オブジェクトクラス:Euclid
特別収容プロトコル: SCP-072-JPは、その性質上I5サイト群所属の無人島にある、I5サイト-8160に収容されています。人的損失を避けるため、島内のサイトから半径1km以内は職員・非職員に関わらず、実験に伴うDクラス職員以外の女性の立ち入りを禁止しています。そのため、サイト内の職員は全員男性で構成されています。SCP-072-JP-1に対しては観測機器を取り付け、通常と異なる変化がみられた場合には全てサイト管理者へ報告を行ってください。尚、「愛のかたち一覧」に記載されている、SCP-072-JPと類似した外見の未収容の物体を発見した場合、異常性の有無に関わらず予測影響範囲の封鎖ののち、"蒐集家"作戦が実行されます。回収後はI5サイト-8160へ移送してください。
説明:SCP-072-JPは、黒色の御影石に類似した素材の高さ2.1m、重量およそ220kgの像で、2人の融合した人間を簡素化したようなデザインとなっています。前衛芸術家████████氏(後述)の作風と酷似しており、密接な関連性が推定されています。
SCP-072-JPを中心とした半径720mの空間内で、かつお互いに素肌部分を直接接触させている男女の肉体は、全身が融合し様々な素材の像(SCP-072-JP-1)へと再構成されます。これらの像も、████████氏の作品と酷似した、簡素化された人体が融合したデザインとなっています。この融合は、両者が互いにある程度の好感を持つ場合に発現します。Dクラス職員の実験により、互いに好感を持っていても目隠し状態での接触、偶然に伴う接触では融合は起こりませんが、一方でほんのわずかな好感、例として同じDクラス職員としての共感、互いへの良い伝聞、単純な顔や体形の好み等も融合の要因となり得ることが判明しています。
SCP-072-JPは198█年7月9日、東京都█████市内の████自然公園の中心に突如出現しました。それに伴い、13人の一般市民が影響を受け、5つのSCP-072-JP-1へと変化しました。発生から2時間後、公園内はカバーストーリー"不発弾除去"のため閉鎖され、目撃者にはAクラス記憶処置が行われましたが、閉鎖中に公園外の道路と近隣ホテルでも2固体のSCP-072-JP-1が発生したため、更に周囲1km以内の近隣住民を退避させる措置がとられました。SCP-072-JP-1へ変化する瞬間の目撃情報と、現地でのDクラス職員による追加実験によりSCP-072-JPの部分的な効果が実証されました。しかし、影響範囲の妨害措置は施す事が出来なかったため、2日後財団所属ヘリコプターによる、I5サイト-8160への吊り上げての移動が実施されました。以後のサイトでの2m四方の鉛塊への埋設、ファラデーゲージへの収容を含む実験によっても、影響範囲の縮小は成功していません。
████████氏は前衛芸術家として80年代初期の一時期、新鋭の若手として注目されましたがすぐに忘却され、偏執病の傾向が強くなった以後は交友関係もなく、隠遁生活を送っていたとされています。SCP-072-JP出現の2年程前からは近隣住民にもほとんど姿を見せなくなっていました。SCP-072-JPの事件後、関連性の調査のためにエージェントが自宅兼アトリエを訪問しましたが、████████氏を発見することは出来ませんでした。アトリエの作品、作成途中の作品は全て破壊されていました。同時に発見された「愛のかたち」と記載された構想ノートは、激しく損傷していましたがSCP-072-JPに酷似した作品案が描写されていました。これをもとに「愛のかたち一覧」は作成されています。これまで売却された███████氏の作品の内、所在の確認できたものは全て行方不明になっています。また、購入者、所有者とその家族の4割となる██名も、その後作品とともに行方不明になっていることが判明しています。
補遺1:SCP-072-JP-1一覧
素材となった犠牲者は遺留物より想定。後の測定により、SCP-072-JP-1-C以外の全てのSCP-072-JP-1の頭部は、脳波に類似した電気信号を発していることが判明しました。SCP-072-JP-1の変質の規則性は不明ですが、通常の物理手段で破壊可能な事が実証されています。
番号
発生場所
素材
特徴
SCP-072-JP-1-a
公園内
大学生男女
白檀と黒壇とで構成されており、常に湿潤状態。
SCP-072-JP-1-b
公園内
母子手帳により男児を妊娠中の女性と判明
入れ子状のガラスで構成され、内部は濃度の異なる2色の液体が流動。
SCP-072-JP-1-c
公園内
社会人男女
塩化ナトリウムの結晶で構成。移動時に崩壊し、以後異常性を示さず。
SCP-072-JP-1-d
公園内
社会人夫婦
青銅製。収容以後錆び続けているが質量の変動はなし。
SCP-072-JP-1-e
公園内
父親と2名の幼稚園児の姉妹
凝固した糖蜜で構成。1ヵ月に1cm程度重力方向に関わらず変形。
SCP-072-JP-1-f
近隣道路
小学生の兄妹
翡翠で構成。特異性は判明せず。
SCP-072-JP-1-g
近隣ホテル内
社会人男性と女子高校生
アスファルトとカッテージチーズの混合物。緩やかに蠢動。
SCP-072-JP-1-h~n
主にI5サイト-8160
Dクラス職員男女
実験により発生。詳細は別資料SCP-072-JP-1-ClassDを参照の事。
補遺2:構想ノート「愛のかたち」の復元、メモとして記載された読解可能な部分を抜粋
5/3 テーマ。男女の本能による性愛[判別不能]普遍的な、それ以外の。表現→×
5/18 [判別不能]じゃすぐに飽きられる。相手は[判別不能]僕自身が愛を知らない。
[汚損]性的なメタ表現…醜悪なカリカチュア?。愛された事もない。あんなのとは違う。だから表現できない[判別不能]からこそ表現したい。素材的には△。[判別不能]の残骸。処理に困る。
[判別不能]男根主義者と異性への恐怖心から[破損]自己嫌悪。自発的な陶酔。
6/23 理解者は生まれ変わるべきだったって。すごい!!くだらない[判別不能]
7/6 僕は会ったぼくとあの女に会った。愛ってのは楽しい狂気[判別不能]大丈夫ですか?
[破損]彼とぼくの理解者にも。僕の心いの[判別不能]
7/8 ぼくたちには真の愛を。愛に狂う意図。それこそ
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scp-073-jp |
評価: +54+–x
評価: +54+–x
クレジット
タイトル: SCP-073-JP - ザリガニ池
著者: ©︎broken_bone
作成年: 2013
その他のライセンス
評価: +54+–x
評価: +54+–x
その他
この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。
評価: +54+–x
評価: +54+–x
アイテム番号: SCP-073-JP
オブジェクトクラス: Euclid Safe
特別収容プロトコル: SCP-073-JPは厚さ30cm以上の鉄筋コンクリートで構築された、容積8m×6m×1.5mの収容水槽内に収容してください。収容水槽は常時二人以上で監視を行い、SCP-073-JPへの実験以外で肉類の投下が行われないようにしてください。SCP-073-JPの溢れなど、収容プロトコル違反が生じた場合は、サイト8173のSCP-073-JP収容水槽を包囲する終了装置を起動させてください。収容水槽は常時厚さ2cm以上の鋼鉄板で覆ってください。SCP-073-JP収容水槽を構成するコンクリートに亀裂が生じた場合は、一時的にSCP-073-JPを厚さ3cm以上の鋼鉄製容器に移動させ、亀裂の修復を行ってください。SCP-073-JPを用いての実験を行う場合は、レベル3以上の職員の許可を得て、最低限の数のSCP-073-JPを金属製のトングで回収してから行ってください。実験に用いたSCP-073-JPは煮沸、あるいはマイクロウェーブによる加熱を行い、完全に処分してください。SCP-073-JP全個体への直接的な実験は認められていません。
説明: SCP-073-JPは███地方に存在していた一周30mほどの池に生息するザリガニの一種です。SCP-073-JPはアメリカザリガニによく似ていますが、遺伝子調査の結果アメリカザリガニと約2%程度、遺伝子に差異が見受けられます。SCP-073-JPの特異性は、その異常な食欲と成長・増殖速度にあります。SCP-073-JPの近くにタンパク質で構成された物体が現れた場合、最高██m/sの速度で飛びかかり、ハサミを使って捕食を開始します。食餌速度は一般的なザリガニの██倍で、自身と同じ重量の蛋白源を5秒程度で完食します。
通常SCP-073-JPは共食いにより、繁殖と成長を繰り返していますが、SCP-073-JP内にタンパク質で構成された物体(犠牲者と指定)が侵入すると、一斉に群がって捕食します。犠牲者がSCP-073-JPによって捕食されたのち、SCP-073-JPの総重量は犠牲者の重量分増加しています。
隔離実験の繰り返しにより、SCP-073-JPの典型的な生涯について解明することが出来ました。SCP-073-JPは、以下4つの段階を経て生涯をすごします。
SCP-073-JP-A期(卵期)
未孵化の卵の状態を指します。A期のSCP-073-JPは安定していますが、母体からの刺激や産卵により急速な成長を開始します。産卵後、十秒以内でSCP-073-JP-AはSCP-073-JP-Bへと移行します。
SCP-073-JP-B期(稚期)
孵化直後から体長10mmまでの状態を指します。SCP-073-JP-Bとなった個体は、最初に自身を包んでいた卵殻を食餌した後、他の生物といった蛋白源を摂取して成長します。多くの場合、蛋白源となるのは母体、あるいは同時に産卵されたSCP-073-JP-Bの個体です。
SCP-073-JP-C期(成長期)
体長10mmから15cmまでの状態を指します。SCP-073-JP-Cはとにかくタンパク質を摂取して成長を続けます。SCP-073-JP-Cの捕食対象となるのは他の生物だけではなく、SCP-073-JPの死骸なども含まれます。多くの場合、自分より体格の劣るSCP-073-JP-CやSCP-073-JP-Bの個体を捕食します。
SCP-073-JP-D期(成熟期)
体長15cm以上の、それ以上成長することのない状態を指します。SCP-073-JP-Dの甲殻は分厚く、基本的にSCP-073-JP-AからCまでの個体から襲われることはありません。しかしそれでも彼らの食欲は収まることを知らず、蛋白源を常に求めています。そのため、蛋白源の不足する状況では自身より体格や体力の劣る個体を積極的に襲います。ある一定量のタンパク質を摂取したSCP-073-JP-Dの個体は体内でSCP-073-JP-Aを発生させ、増殖します。しかし、多くの場合SCP-073-JP-Bによって産卵直後の産卵孔から体内に侵入され、捕食されます。ただし、SCP-073-JP-Dの個体が十分な量のたんぱく質を食餌している場合、SCP-073-JP-Bは親と同じ蛋白源を摂取するため、その個体は二度目の産卵が可能となります。
以上のサイクルを経ながら、SCP-073-JPは発見された池で共食いを繰り返しつつ生存していました。池の中に侵入した生物は、即座にSCP-073-JPの餌食となる為、カッパ沼などと称されていましたが、19██年の小学生行方不明事件を契機に財団の目に留まりました。当初、SCP-073-JPの特異性が地理的、あるいは水質によるものと推測されていたため、SCP-073-JPの生息する池を中心にサイト8173が建造されましたが、200█年に水質や地理に問題が無いことが確認されました。そのため200█年█月をもって、SCP-073-JPはEuclidからSafeへと格下げされました。
また、SCP-073-JPの個体は熱に弱いため、SCP-073-JP収容水槽の周囲に設置されたマイクロウェーブ発生装置1によって終了可能です。SCP-073-JPの個体数が増えすぎた場合は、最低限必要なサンプルを回収してから終了装置を起動して、適宜間引いてください。
ただし、SCP-073-JPの生命維持に必要なエネルギーの驚異的なまでの低さについては未解明のため、可能な限りSCP-073-JP全個体の終了は避けてください。
実験記録073 - 日付19██/██/██
対象: SCP-073-JP-Dの個体1体
実施方法: 回収したSCP-073-JP-D-1と同じ重量のカマボコを与える。
結果: SCP-073-JP-D-1がカマボコに食らいつくと同時に産卵。孵化したSCP-073-JP-B-1は親とカマボコに食らいつき、共食いを繰り返しながら成長。カマボコの投入から4分後、最終的に2体の SCP-073-JP-Dに収束して安定した。
分析: 最後に残った2体はにらみ合いをしていた。たぶんどちらかが弱ったら、また共食いを始めるのだろう。 -██████博士
実験記録073 - 日付19██/██/██
対象: SCP-073-JP-Dの個体2体
実施方法: 健康な状態のSCP-073-JP-D-1と、ハサミを損壊して意図的に弱らせたSCP-073-JP-D-2を同一の水槽に投入した。
結果: SCP-073-JP-D-1はSCP-073-JP-D-2に食らいつき、即座に産卵して自身のSCP-073-JP-B-1に捕食された。孵化したSCP-073-JP-B-1はSCP-073-JP-D-1と、ハサミを破壊されたSCP-073-JP-D-2を捕食しながら成長・共食いを繰り返し、実験開始から6分後に2体のSCP-073-JP-Dとなって安定した。
分析: SCP-073-JP-Dが大人しい時は、次に誰が食われるかを待っているってわけだ -██████博士
実験記録073 - 日付19██/██/██
対象: SCP-073-JP-Dの個体3体1体
実施方法: SCP-073-JP-D-1を観察用アクリル水槽に収納して放置し、毎日金属製の棒でつつくなどして生存状況を確認する。
結果: 20██/██/██現在、SCP-073-JP-D-1は生存している。基本水槽内でじっとしており、金属製の棒での刺激に対しては毎回、ハサミで抵抗を試みるなどの反応があった。
分析: 過去の収容違反でSCP-073-JP-D-2と3を収容水槽に戻したが、問題は無い。SCP-073-JP-D-1は何も食べなくても生きていけるようだ。 -██████博士
実験記録073 - 日付19██/██/██
対象: SCP-073-JP全体
実施方法: SCP-073-JP収容水槽の表面を鋼板にて2週間封鎖
結果: SCP-073-JP収容水槽全体の重量は、水の自然蒸発分以外減少なし。SCP-073-JPについても、とくに問題なく共食いを継続している。
分析: やはりこのザリガニどもは、マヌケな誰かが池に落ちないよう気を付ける限り安全なのではないのか?クラスの降格を申請してみよう。 -██████博士
+ 収容違反記録
- テキストを隠す
収容違反記録073 - 日付200█/██/██
対象: SCP-073-JP全体
収容違反状況: 実験用にSCP-073-JP-Dを回収しようとしていたDクラス職員D-073-JP-23が収容水槽内に落下した。同時に作業をしていたD-073-JP-11が彼を引き上げようとしたが[削除済]。2分後D-073-JP-23とD-073-JP-11は終了した。結果、収容水槽からSCP-073-JPが溢れかねない事態となった。
収束方法: [編集済]。収容水槽に設置された終了装置を起動し、収容水槽内部のSCP-073-JPとDクラス職員█名を終了させた。収容水槽の清掃後、長期の断食実験用に回収していたSCP-073-JP-Dを戻して、収容状況を回復した。
注: クラスはSafeのままだが、誰もSCP-073-JP内に飛び込むことのないよう、特別収容プロトコルを改訂しよう。 -██████
脚注
1. 巨大な電子レンジとも表現できる。
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scp-074-jp |
評価: +11+–x
アイテム番号: SCP-074-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: その性質上、SCP-074-JPを収容することはできません。事故を予防するため、SCP-074-JPの軌道上を航空機が飛行することは17日ごとに制限されます。
財団職員は最低2名を担当者とし、SCP-074-JPの活動を定期的に監視してください。監視には高速度撮影が可能なハイスピードカメラ、レーザー距離計、磁気センサ、及び████が許可されています。活動場所付近を鉄柵で囲い、関係者以外の進入を防止して下さい。また侵入者を認めた場合、担当者は事情を聴取し全て記録をして下さい。侵入者に対し、必要であればAクラス記憶処置を施すことが許可されます。
19██/██/██ に行われた調査の結果、プロトコルが追加されました。補遺-074-ろを参照して下さい。SCP-074-JPの活動後、担当者は土砂や砂礫を用いて活動箇所を可能な限り復元して下さい。
説明: SCP-074-JPは「明治██年」という発行年が鋳造された2銭銅貨幣です。腐食が激しいため表面中央から下部及び裏面が緑青に覆われ、また僅かな歪みが認められます。SCP-074-JPは19██年██月██日に登山家にて発見されました。
およそ409時間に一度の周期でSCP-074-JPは岩手県山中、北緯39度██分█秒、東経14█度██分█秒で表される地点の上空に出現します。レーザー測定の結果、出現位置は少なくとも上空███00m以上であることが判明しています。
SCP-074-JPは観測された時点で、およそ秒速██m/sで鉛直方向に落下し続けています。出現直後から常に等速運動を続けているのか、それとも出現後に終端速度まで加速しているのかは不明です。SCP-074-JPはその運動エネルギーを遥かに上回るエネルギーを有していると考えられ、風雨を含むあらゆる障害物に影響を受けません。落下地点とSCP-074-JPとの間に障害物がある場合、SCP-074-JPはその障害物を貫通します。またこのとき、落下速度に変化は見られません。大地に着地した後もSCP-074-JPはその性質を変えずに落下し続けますが、およそ2m地中を落下した時点で消滅し、障害物及び落下地点にはSCP-074-JPが通過した痕跡が穿孔として残ります。
実験記録-い: SCP-074-JPの性質を調査するため、以下のような実験を行った。
実験記録001
実験日時:19██/██/██
実施方法: 落下地点の穿孔から、2m地下を掘削した。
結果: SCP-074-JPは掘削後の地点からさらに2m地中に落下し、掘削前と同様の穴が残った。
メモ: もう2m掘っても結果は同じだろうな。 - ██博士
実験記録002
実験日時:19██/██/██
実施方法: 落下地点にガラス板を設置。
結果: SCP-074-JPはガラス板を割ることなく貫通した。
メモ: まるでくり抜いたみたいだ。 - ██博士
補遺-074-ろ:人工地震による地下構造の探査の結果、落下地点に位置する██山の地中に空洞が存在することが判明しています。浸食等による洞窟の可能性は低いため、さらなる調査を申請中です。19██/██/██ に行われた調査の結果、空洞は人工的な[編集済]であり、さらにSCP-074-JPの継続的な活動により穿孔が空洞に到達する可能性が指摘されました。実験及びSCP-074-JPによる穿孔は砂礫により補填され、また特別収容プロトコルが追加されました。
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scp-075-jp |
評価: +21+–x
アイテム番号: SCP-075-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団はSCP-075-JP及びSCP-075-JP-Aに関連する情報を確認した場合、当該の出版物、通信、絵画の全てを判読不能になるよう処理した後焼却処分してください。また、関係者全員を勾留し観察、SCP-075-JP-Aの特性が見られる対象は死亡が確認された後処理してください。SCP-075-JPの認識が無いと断定された対象は、Aクラス記憶処理を施した後開放されます。関係者の交友関係、並び親族に対し記憶処理を行い、カバーストーリー"転校"、"引っ越し"、"留学"、"死去"、"流産"の内適切なものを適用し、関係記録のすべてを適切なものへ修正してください。
SCP-075-JPが提供する各言語のSCP-075-JP-A全ては機密文書保管ロッカーへ収容されます。新しい言語圏での被験者が現れた場合、上記の手順で拘束し、Dクラスを用いた記録を行い他のSCP-075-JP-Aと同様に保管してください。O5による非常事態宣言、K-クラス世界終焉シナリオなどが確認された際、セキュリティクリアランスレベル4以上の職員はSCP-075-JP-Aの閲覧権限が付与されます。
説明: SCP-075-JPは死を間近にした人間にのみ認識可能な存在です。現在まで、同時に二体のSCP-075-JPの発生が観測されましたが明確な個体数は不明です。SCP-075-JPは████年7月のドイツ西部に位置するドルトムントで最初に確認され、当時その被験者の証言がメディアで話題となり大規模な収容違反を発生させました。
当該オブジェクトは死の48時間前に対象に認識されます。認識の定義は様々ですが、未だ一対象におけるSCP-075-JPの全体像の認識があった例は報告されていません。主な認識例は声、不明瞭な実態、加えて思考への直接干渉に限られています。財団が行った対象者複数名のインタビュー記録を統合した結果、多くの場合SCP-075-JPは対象を死の48時間前に昏睡状態にさせ接触し、セイヨウタンポポのような形の植物にゾウの足のついた外観をしており、色合いは全体的に黄土色であるとされ、くぐもった低い声で対象の母国語を喋り、日本語で表音するところの「みよろう(Miyorou,Miyaru,Miyou)」という名前であるとされています。昏睡状態の下でSCP-075-JPを認識した際、SCP-075-JPは多くの被験者で共通する「部屋」も同時に認識させ、その部屋の中でSCP-075-JPは対象と会話を始めます。(部屋の様子についてはインタビュー記録075を参照してください。)SCP-075-JPの実態、存在、定義等の情報を得た人物は[データ削除済]。また、情報の有無にかかわらず自然暴露の全ての例において対象は「以前からSCP-075-JPを知っていたようだ」と主張します。
SCP-075-JPは死が迫った対象へ上記の昏睡状態の下「死に恐怖せず、苦痛から免れるための祈りの言葉」(以下これらをSCP-075-JP-Aと呼称します)を教えます。昏睡状態から回復した対象はその後、SCP-075-JP-Aを発音したいという強い強迫観念にとらわれますが、SCP-075-JP-Aの発音は対象への物理的妨害により阻止することが可能です。SCP-075-JP-Aの発音に成功した対象はその後、47時間に渡り他の人間へオブジェクトを「SCP-075-JP-Aによって素晴らしく人生を終えることができる呪文」としSCP-075-JP-Aを教えようと試みます。しかし、47時間のあいだ、対象の心拍数は徐々に衰えていき、運動能力が低下します。この衰弱はSCP-075-JP-A伝達の試みをより困難なものとさせます。この現象について対象は「気分が落ち着く」と主張しており、脳波検査の結果にも矛盾は見られず、如何なる医療手段(アドレナリンの大量投与などを含む)を用いてもこの現象に干渉することは出来ませんでした。これらのプロセスの後、対象は倦怠感に似た脱力感に襲われながらも精神的、肉体的に非常に安定した状態の中、心肺停止により死亡します。
SCP-075-JP-Aは対象による第三者への伝播は対象の適切な表現、言語などの条件が整えば同様の特性を発揮することに留意してください。
+インタビュー記録075 - 日付████/8月/29日
- テキストを隠す
インタビュー記録075 - 日付████/8月/29日
対象: SCP-075-JP被験者:██████・████ 対象はオブジェクトの初期隠蔽工作中に発見され、拘束されました。
インタビュアー: 赤戸研究員
<録音開始>
赤戸研究員: 最初に名前、年齢、住まいをお聞かせください。
██████・████: 名前は██████・████、32歳、ドルトムントの███出身でそこに暮らしてる。
赤戸研究員: あなたがそのSCP-075-JPに初めて会ったのはいつ頃ですか?
██████・████: 昨日だよ、夕飯の支度をしていたんだ。そしたら急にだるくなって椅子に腰掛けて眠った…んだと思う。
赤戸研究員: その時に、会ったと。
██████・████: ああ、なんか夢みたいだったんだけど意識ははっきりしててさ、でも自分の部屋じゃなくてなんかこう、ホテルみたいな。すごいきれいな部屋でさ、すごい暖かかった、んでなんとなくベッドに腰掛けてたんだよ。
[対象は15秒間沈黙しました。]
赤戸研究員: 続けてください。
██████・████: ああ、すみません。なんかボーっとしちゃって。それで部屋の入口…だったのかな、奥の方から何か歩いてきて。
赤戸研究員: 「何か」とは具体的には何でしょう?どのような形をしていましたか?
██████・████: いや、その…形っていうか…「いい香りが来た」としか言えないんだよね。
赤戸研究員: わかりました、続けてください。
██████・████: それが俺の隣に座って昔の話をしてきたんだよ、小さい時に母が死んだこととか親父が病気なのに俺たち兄弟を育てるために働いてたこととかさ。それで俺は泣いちまったんだよ。今思えば不思議な話だったんだけどさ。
██████・████: そしたらそいつが慰めてくれたんだよ、声とか体とか…なんつうかそういうのじゃなくて、もっとこう…ちくしょう分からねえ。
██████・████: んで、そいつは俺が死ぬときの事を教えてくれたんだよ、俺が交通事故で死ぬって言っててさ、それも明後日にって。
赤戸研究員: その時に、教えてもらったんですね?
██████・████: 知ってるのか、そうだよ。そいつは俺に人生が短いことを悲観するなって言って、それから言葉じゃなくて…その…あぁ!わかんねぇ!
赤戸研究員: 大丈夫です、落ち着いて、表現出来ることだけでいいので話してください。
██████・████: あぁ、すまない。その、言葉とか動作じゃなくて俺の頭んなかをゆっくりかき回すようにその…教えてくれたんだ。言葉..そう!言葉だった!たしか..「え て な お わ れ
<録音中止 記録削除済み>
終了報告書: これ以降の録音はその後の調査で判明したSCP-075-JP並びSCP-075-JP-Aの特性を考慮し削除され、一文はセキュリティクリアランスレベル5以上の職員のみ閲覧可能となっています。
この後██████・████と赤戸研究員の両名はSCP-075-JP-Aの特性により死亡しました。
実験記録記録075 - 日付████/8月~10月
対象
実験方法
結果
██████・████
インタビューの後、拘束し観察。
12時間後に対象は心停止により死亡。
D-750082
SCP-075-JPの実態を知らせた上で遮音壁で作られた独房へ収監、完全に拘束し、対心停止用医療措置を60時間継続。
52時間後に心停止により死亡。
D-750096 D-750126
D-750096にのみSCP-075-JPの実態を知らせ、両名を同じ遮音壁で作られた独房へ収監し72時間観察する。
およそ50時間で両名はほぼ同時に心停止により死亡。
D-750184
対象を遮音壁で作られた独房へ収監し、その内部でSCP-075-JP-Aへ暴露させる。
49時間後に対象は心停止により死亡。
D-750200
対象を遮音壁で作られた独房へ収監し、その内部でSCP-075-JP-Aへ暴露させ、その直後に終了する。
正常に終了。なお、木場弐式精神観測装置の結果は通常の終了に見られる情動反応と同じ値を指し、極めて正常でした。
補遺: 2000年11月現在、当該オブジェクトを『SCP-075-JP』と記述、表現する新たな文章の作成は禁止されています。このような記述、表現を用いた文章を発見したすべての職員は、当該のサイト管理者に報告してください。当該エリアには収容チームが派遣されます。
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scp-076-jp |
評価: +124+–x
SCP-076-JPに寄生された民間人
アイテム番号: SCP-076-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-076-JPは研究用の個体を残し、他は焼却処分して下さい。研究対象の全個体には塗料でアイテム番号を記入し、GPS発信機を取り付けます。標準的な生物収容室ではなく、物品収容用のコンテナに保管して下さい。1年に一度点検し、衰弱の兆候が見られた場合はDクラス職員の死体を与えて下さい。他の給餌方法の試みは成功していません。給餌後、死体を速やかに焼却処分して下さい。
説明: SCP-076-JPはプラスチック製の作業用ヘルメットに擬態した、陸生貝の一種と推定されています。ヘルメット部分はカルシウムを主成分とする殻でできていますが、重さや質感はプラスチックに似ています。本体は内部の緩衝材を模しています。紐に擬態した触手で這って移動しますが非力であり、機敏な動作はできません。
このため、SCP-076-JPは家屋などの閉鎖空間に好んで生息します。新陳代謝は極めて遅いため、長期間の絶食に耐えることができますが、数年に一度程度は食事が必要なようです。
緩衝材に擬態したSCP-076-JPの本体部分には長さ数センチほどの針が隠されており、不用意にSCP-076-JPを被った人物はただちに捕食されます。針は頭蓋の隙間を貫通して脳に達し、分泌される化学物質によって犠牲者の脳に影響を与えます。
犠牲者は認知力の低下により、災害などに遭遇していると誤認します。稀に戦争やテロ、ゾンビの大群に町を占拠されたと誤認する場合もあるようです。いずれの場合も、犠牲者はSCP-076-JPを決して脱ごうとしなくなります。また安全な避難場所を求めるようになり、閉鎖空間に逃げ込み、そこから動かなくなります。
以降は針から体液や脳組織を吸われ続けるため、やがて犠牲者は緩やかに死に至ります。死体はそのままSCP-076-JPの食料庫となり、安全な産卵場所としても利用されます。孵化した幼生は死体からカルシウムやタンパク質を摂取し、やがて成体のSCP-076-JPとなります。
SCP-076-JPを脱がせようとした場合、犠牲者は全力で抵抗します。同時に針から大量の覚醒物質が注入されるため、痛みを感じなくなり、人格が豹変して狂暴化します。犠牲者を救出するには、脱がせる前にSCP-076-JPを物理的に破壊するしかありません。ただし犠牲者の脳には針が刺さっていることに留意して下さい。詳細については実験記録を参照して下さい。
+ 実験記録を表示
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実験記録001 - 日付20██/██/██
対象: イヌ(ビーグル)
実施方法: SCP-076-JPを頭部に装着させる。
結果: ずり落ちて対象が走り出したため、固定して再度実験。対象に変化なし。実験後に頭部を確認したところ、小さな傷痕が複数個所発見された。いずれも脳への到達はなし。
分析:頭蓋骨の形状が異なると、うまく針を刺せないらしい。彼らの捕食活動は霊長類に特化していると推測される。
実験記録002 - 日付20██/██/██
対象: チンパンジー
実施方法: SCP-076-JPを頭部に装着させる。
結果: 対象はパニックに陥り、金網の天井部からぶら下がる。天敵に襲われているときと同じ反応を示す。その後、SCP-076-JPをむしり取り、コンクリートの床に投げつける。SCP-076-JPは破壊された。
精密検査の結果、対象の脳に達する刺傷を確認。しかし捕食された形跡はなし。
分析:霊長類ならヒト同様に効果があるようだが、樹上などで宿主が死亡した場合、SCP-076-JPは今回のように地面に叩きつけられてしまう。ヒトの方が宿主としては都合が良いようだ。
何よりチンパンジーにはヘルメットを被る習慣がないので、異物として脱ぎ捨てられてしまう危険性がある。
実験記録003 - 日付20██/██/██
対象: D-4954
実施方法: SCP-076-JPを頭部に装着させる。
結果: 実験開始から2分18秒後、対象は収容室の片隅に座り込んで動かなくなった。別室からのインタビューは以下の通り。
<録音開始>
古川博士: D-4954、何が起きましたか?
D-4954: 助けてくれ、バケモノだ! この間見たバケモノが外にいる!
古川博士: "バケモノ"について、詳しく説明して下さい。
D-4954: 俺が先週、実験に駆り出されたヤツだよ! あいつが今! うわあ、ドアを叩いてやがる! 助けてくれ! 警備員を呼んでくれ!
古川博士: あなたは先週、SCP-███-JPの実験に参加しましたね。しかしあれは現在も収容中で、そこにはいませんよ。
D-4954: そんなこと言ったって、現にそこにいるんだ! ダメだ、喋ったら見つかる! 俺は隠れているから、何とかしてくれ!
古川博士: D-4954、その部屋にも扉にも窓がついていないのに、どうして外にSCP-███-JPがいるとわかるんですか?
D-4954: (無言で息を潜めている)
古川博士: 実験を終了します。
<録音終了>
分析: SCP-076-JPが対象に与える"災害"は、対象の深層意識下の記憶に由来するようだ。対象は前の実験後に記憶処理を受けており、表層記憶を失っていたにも関わらず、SCP-███-JPについて鮮明に思い出すことができた。
なおSCP-076-JPがSCP-███-JPの存在を知っているとは考えにくいため、SCP-076-JP自身は対象の記憶野を刺激しているだけと考えられる。
補遺: SCP-076-JPはある化学工場の倉庫に集団で生息しており、防災訓練の際に誤って着用されたことから大量の犠牲者を出しました。█名が死亡し、██名に程度の異なる後遺症を残しました。うち█名は現在も意識が回復していません。
この事件は大規模な労災として隠蔽されました。被害者は全員、訓練中に本物の爆発事故が発生したと誤認していたため、記憶処理の必要はありません。化学工場は被害者の記憶と一致するよう、適切に処理されました。
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scp-077-jp |
評価: +176+–x
アイテム番号: SCP-077-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-077-JPは 8 m四方の対爆収容室に収容して下さい。タイムパラドックスを引き起こす可能性があるため、SCP-077-JP内への進入およびSCP-077-JP-1への接触は、いかなる理由があっても禁止します。
重大な収容違反が発生した場合、標準的カバーストーリー「山火事」あるいは「土砂災害」を施行して下さい。
説明: SCP-077-JPはサイト-8177の収容室に28秒間だけ出現する、半径 3.2 mの金属製のドームです。ドームにはドアと覗き窓があり、内部の様子を確認することができます。内部には未知の機械類と、SCP-077-JP-1が存在します。防音性が高く、内部の音声は聞き取れません。
SCP-077-JP-1は人型の実体で、Dクラス職員の服装をした日本人男性に見えます。しかし現在のDクラス職員の服装とは若干の相違点があります。SCP-077-JP-1の身体的特徴に一致する職員は、現在までの財団記録には存在しません。
SCP-077-JPは19██年に███県███山の███神社で発生した原因不明の爆発事故により、財団の目に留まりました。爆発の規模に反して、爆発の原因と推定できる物体は何も発見されませんでした。
19██年、「神社の境内に放電するUFOが現れ、突然消えた」という宮司の目撃談が財団に報告されました。財団の調査により、この山には狐火や人魂の伝承が多数残されており、███神社はそれに関係して建てられたことが判明しました。
財団はこれらの関係性を考慮し、継続的な監視を開始しました。神社は「土砂災害の危険性がある」として、麓に移転しました。関係者には記憶処理を実施しました。
19██年、監視任務にあたっていたエージェントから、SCP-077-JPの出現報告がありました。SCP-077-JPは激しく放電し、内部には充満した黒煙と火花以外何も確認できませんでした。出現から約30秒後、SCP-077-JPは一切の痕跡を残さずに消滅しました。ただちにサイト-8177が建設され、特別収容プロトコルが設定されました。
サイト-8177完成以降、SCP-077-JPは不定期に出現しています。 一定の周期で出現することが判明しました。
日時
結果
内部の状況
19██年2月18日
激しい放電。28秒後に消失。
散発的な爆発。黒煙が充満し始めている。SCP-077-JP-1は激しく咳き込み、覗き窓から消える。
19██年7月11日
連続的な放電。28秒後に消失。
散発的な爆発。SCP-077-JP-1は全身血だらけになっており、覗き窓を叩き続けている。
19██年4月8日
連続的な放電。28秒後に消失。
内部で爆発が発生。SCP-077-JP-1の姿は確認できず。
19██年5月27日
断続的な放電。28秒後に消失。
装置から火花が出ている。SCP-077-JP-1は覗き窓を必死に叩き続け、何か叫んでいる。映像解析により、日本語で「もう逃げないから助けてくれ」と発言しているのを確認。
19██年5月11日
散発的な放電。28秒後に消失。
SCP-077-JP-1はレバーらしき断片を持っており、内部の装置に対して懸命に作業をしている。
19██年5月14日
金属的な破壊音を確認。28秒後に消失。
SCP-077-JP-1は呆然としている。右手に何かのレバーらしき断片を所持。
20██年5月14日
異常は発見されず。28秒後に消失。
SCP-077-JP-1は内部を見回し、装置の一部を操作しようとしている。
20██年5月14日
異常は発見されず。28秒後に消失。
SCP-077-JP-1は歓喜の表情で小躍りしている。
20██年5月14日
異常は発見されず。28秒後に消失。
SCP-077-JP-1は歓喜の表情で小躍りしている。
補遺1: サイト-8177の建設中、周辺調査で地中に不自然な金属反応がありました。発掘の結果、約███万年前の地層から、酸化した金属製の人工物が多数発見されました。SCP-077-JPとの関連は調査中です。
補遺2: 次回の出現は20██年5月14日と推測されています。
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scp-078-jp |
評価: +172+–x
アイテム番号: SCP-078-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-078-JPはエリア-8104にて真空装置に接続されたタングステン製の真空チャンバーに収容されています。チャンバー及び真空装置はSCP-078-JPからの熱伝導、輻射熱などから保護するために常に液化気体によって冷却される必要があります。バックアップも用意されており、メイン装置が動作不能となった場合は即座に移動させることになっています。バックアップも動作不能となった場合は、新たな装置が到着するまで低酸素ガスで出来るだけ反応を抑えてください。 毎月 隔週でバックアップにSCP-078-JPを移動させ、メイン装置の完全チェックを行ってください。異常が発見された場合は即座に修理されます。
移動作業に関わる職員はSCP-078-JP移動手順(改訂第18版)を熟読してください。現在までに移動作業中に27名の職員が死亡、36名の職員が治療不能な負傷を負っています。
説明: SCP-078-JPは一般的な使い捨てカイロのような外見をしています。外装及び内部の調査はその特性により実行されたことがありません。しかしながら、回収時の状況や現状から、外装は非常に高い耐熱性を有していることが明らかになっています。
SCP-078-JPの特異性はその温度上昇にあります。SCP-078-JPが空気に接している場合、1分間に0.4℃の速度で変わることなく温度が上昇を続けます。この上昇した温度が下がることはありません。温度上昇速度は酸素量に依存していると考えられ、低酸素状態では温度上昇速度が低下することが判明しています。このため、温度上昇速度を極限まで低下させる手段は現在のところ真空状態にすることのみとなっています1。現在の温度は2███℃です。
SCP-078-JPは19██/██/██に████県の████大学の研究棟を半焼させる火災が発生、消火活動中に明らかに異常な熱源が存在していたという報告により、財団が調査を行い、収容しました。回収時の温度は███℃でした。火災の原因は研究棟2階に存在していたSCP-078-JPが高温となったために保管してあった容器が融解、さらに周囲が自然発火、延焼したと判明しています。しかし、保管容器を含めた研究室は火災とSCP-078-JPの発する高温による被害により手掛かりが得られなかったため、SCP-078-JPの製造法は不明です。また火災当時この研究室は空き部屋であり、当時の利用者は現在調査中です。
回収当時は液化気体による低温処理で対処されていましたが、温度上昇速度が低下した程度で止まることはなく、Keterに分類されました。その後、酸素との関連性が判明し、現在の収容手順が策定されました。なお現在の手順でも年間約0.█℃の温度の上昇が確認されています。
補遺1: 低酸素状態の密閉空間にSCP-078-JPを入れて経過を観測したところ、酸素量がほぼ変化しなかったことが確認されました。研究者は酸素と反応し発熱した後、還元反応を起こし酸素を放出しているのではないのかと推察しています。またこの実験により特別収容プロトコルが一部改定されました。
補遺2: 20██/██/██にSCP-078-JPを宇宙空間に破棄する計画が提出されました。しかし外装の物理的な耐久性が不明であることから内容物の拡散する可能性、宇宙空間でも反応が停止しない可能性があることから現在保留中です。
Footnotes
1. 人工的に作り出せる真空状態は通常大気に比べれば極微量ではあるが、酸素を含めた気体原子が存在しているため。
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scp-079-jp |
評価: +189+–x
理事命令により画像を削除
財団日本支部理事-██
アイテム番号: SCP-079-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-079-JPは通常の人型オブジェクト規格の密室条件である収容用個室に収容してください。個室内には、危険物品即時処理用の常稼働焼却炉に通じる水流装置付きタンクと、半自律清掃ロボットの投入口を備えてください。清掃ロボットは、SCP-079-JPが個室内で嘔吐し、なおかつそれがタンクに向けて行われたもので無い時のみ、床面に設置されたセンサーの反応に基づいて投入してください。
タンクの点検と洗浄は、既に設置されている自動装置を起動させて行い、清掃ロボットの点検と修理は、専用の回収ロボットによる回収後行ってください。
SCP-079-JPの監視は、個室の外側からの監視に留めてください。実験目的以外でSCP-079-JPに直接関係する映像や音声の録画、録音は現在禁止されています。
説明: SCP-079-JPは40代半ばほどに見える日本人男性です。対象は自らを「██ ███」と名乗っており、同名の人物が████年に██県█町より行方不明になっています。対象の家族からは当時捜索願が届けられていた事が確認されてますが、その家族の現在の消息は判明していません。
SCP-079-JPは常に体調不良と吐き気を訴え、不規則に嘔吐を実行します。一日の平均嘔吐数は7回ですが、回数と発生時間にはバラつきがあり、対象自身も制御できていないように思われます。
SCP-079-JPによって吐き出された嘔吐物が、直接的であるか間接的であるかに関わらず他者に視認された時、視認者は現在の体調や事前に消費した食物の種類に関係無く即座に嘔吐します。視認者が発生させる嘔吐物の内容と分量は、視認された嘔吐物と全く同一です。
視認者はその後4〜6日に渡って強い吐き気と睡眠不足に苛まれますが、時間の経過によって症状は改善します。視認者が独自に嘔吐した嘔吐物には、SCP-079-JPの持つ異常性は付与されていません。
SCP-079-JPが嘔吐する物質は主に自らの胃液で溶けかけた複数の固形物からなり、これらは嘔吐の寸前にSCP-079-JPの胃腔内に突如出現します。
SCP-079-JPは20██年に███で発生した集団食中毒事件に於いて、全ての患者と食物から何の毒物反応や細菌も検出されなかったことで財団の目に留まりました。その後患者の証言からSCP-079-JPの存在が判明し、詳細な地域捜査の結果収容されました。発見時SCP-079-JPは乾いた吐瀉物に塗れた白衣を纏い、朦朧としたまま█████をさまよっていました。
補遺1: SCP-079-JPは給餌と睡眠を必要としておらず、またそれらを行いたいという欲求すら無いようでした。
しかし、常に憂鬱であるように見える以外に精神上の異常は無く、肉体的にも性質の解明となりうる異常は見つかっていません。SCP-079-JPは現在まで以下の物品を要求しました。
携帯用のビニール袋(却下)
████出版のホビー雑誌10冊(許可)
インターネットにアクセス可能なパソコン(却下)
インターネットにアクセス不可能なパソコン(却下)
替えを含んだ安眠枕3つ(許可)
市販の酔い止めの定期支給(却下 許可)
██████社製のプラモデルキット(許可)
プラモデル製作に使用する工具一式(却下)
補遺2: SCP-079-JPの嘔吐抑制実験として、SCP-079-JPの胃袋の部分的な切除が行われました。
しかし切除から28秒で胃袋は完全に再生され、その後即座に嘔吐しました。
その後8度に渡って行われた消化器官の摘出実験でも、同様の結果となりました。SCP-079-JPは消化器官の即時再生能力を有しており、再生時にも何らエネルギーを消費していません。
補遺3: SCP-079-JPへのインタビューログ。元音声は神山博士の提言により削除済み。
対象: SCP-079-JP
インタビュアー: 神山博士
付記: インタビュー中にSCP-079-JPが嘔吐を行っても問題が発生しないように、SCP-079-JPの口は十分な容量を持った合成樹脂製マスクで覆われており、発声は喉元に装着された咽頭マイクを介して行われる。その上でSCP-079-JPには、精神活動に影響が出ない範囲では最上限量の嘔吐鎮静薬剤を投与している。
<録音開始>
神山博士: こんにちはSCP-079-JP。
SCP-079-JP: こんにちは先生。そう呼ばれるのにも、もう慣れてきたな。
神山博士: それは決して悪い事ではありませんよ。適応力を示すのは、あなたが普通の人間である証拠です。
SCP-079-JP: いやぁ、そうかな。お世辞でもいいことですな、先生。
神山博士: さて、それでは早速始めましょう。今日はあなたにとってはちょっと辛い事を思い出していただくことになるかもしれません。あなたがその病気にかかってしまった理由、についてです。あなたがそんな体になってしまう直前の事を、是非聞かせていただきたいのです。
SCP-079-JP: [5秒沈黙] そうか。とうとうそこまで来ちまったのか。
神山博士: 問題ありませんか?
SCP-079-JP: ん [13秒沈黙] [えづく呻き声] 大丈夫。
神山博士: ではお願いします。
SCP-079-JP: ありゃあ、ね、夜だった。うん、そうだ、夜だ。俺は家で、パソコンをやってたんだ。うん、家で。
神山博士: ご自宅で、ですか?
SCP-079-JP: うん。
注:SCP-079-JPがかねてより「自宅だ」と主張していた住所には現在使用されていない持ち主不明の町工場がありました。SCP-079-JPが主張する時期に住宅があったとの記録はありましたが、その時SCP-079-JPの家族が居住していたことを証明する記録はありません。
SCP-079-JP: それで、俺はネットサーフィンを [呻き声] やって、た。趣味だったんだ、それが。毎日やってた。でも、あの日は [沈黙]
神山博士: 続けて。それとも、難しいことでしょうか?
SCP-079-JP: いや、大 [ゲップ] 大丈夫だよ。そう、あの日、だ。あの日はちょっと、おかしかった。いつの間にか、変なサイトに辿り着いたんだ。もの凄く派手で、キラキラしてて、丸っこい字でいっぱいのサイトだった。最初は変わったアダルトサイトかと思ったよ。
神山博士: そのウェブサイトのアドレスは憶えているでしょうか?
SCP-079-JP: 昔のことだし、流れて着いたサイトのアドレスなんて、いちい [しゃっくり] いちいち憶えてないよ。でも、サイトの名前はでかでかと表示されてたし、あんな事になったから・・・よく憶えてるよ。
神山博士: サイトの名前を教えていただけますか?
SCP-079-JP: ああ、たしか、そうだ、『博士のにんきもの大作戦!』って名前だ。よく憶えてる。『にんきもの』の部分が平仮名で、最後にビックリマークがついてたなぁ。
神山博士: それで、あなたはどうしましたか?
SCP-079-JP: んや、変なサイト開いちゃったと思って [えづく呻き声] すぐ閉じようとしたんだけど、カーソルを動かしてる時、間違っちまったんだ。クリックしちまった。
神山博士: どこをクリックしたのでしょうか?
SCP-079-JP: どこ、ってもんじゃない。間違って押した。うん、 [呻き声] それだけなんだから。でも、それでページが何かの動画に飛んじまったんだ。ありゃ俺が思うに、サイトの全体が、あの動画に飛ぶスイッチだったんじゃないかな。どこをクリックしたとしても、あそこに飛ぶ。そんなふうになってた、と思う。
神山博士: 表示されたのは、どこかの動画サイトですか?
SCP-079-JP: いんや、ただ、動画だけが、ぽつんとある、うん、そんなページだった。どこだかはわかんねぇ。
神山博士: それで、その後どうしましたか?
SCP-079-JP: どうするもこうするも、ねぇよ。動画は、いきなり [ゲップ] 勝手に [しゃっくり] 始まったんだ。俺は、目が釘付け、だったよ。動画は、色んな写真やら一枚絵やらが、めまぐるしくしゃかしゃかと切り替わってく、そんなつくりだった。
神山博士: 認識出来た限り、動画の内容を教えてください。
SCP-079-JP: ああ [呻き声] ちいさな、溶けたトカゲの写真。黒い年寄りのじいさんの写真。部屋の隅っこで丸まってる女の子の絵。遠くの爆発を眺めながらベンチに座ってる男の写真。棺桶の中で眠ってる男の絵。他にもたくさんの写真や絵があって、その中には全部何かの生き物がいた。そして、そいつら皆、吐いてた。口や鼻から、ゲロをぶち撒き散らしてた。俺が見たもの全部全部吐いてたんだ。
SCP-079-JPがマスク内で嘔吐を実行。想定済みの事態であったため、インタビューは続行。SCP-079-JPは嘔吐後2分間沈黙。
SCP-079-JP: そして、最後に、顔が、映った。いや、ただ単に緑と黒と赤の模様、だったんだが。それは、顔にしか見えなかった。ものすごく、不気味で気持ち悪かった。俺の胃袋がぐるぐる回って、今にも吐きそうになった。
神山博士: その時、最初に嘔吐したのですね?
SCP-079-JP: いや、違う、違う。うん、違うよ。その顔を見た時、すごく不気味だった。正直怖かった。なのに、俺の頭の中にはある言葉が浮かんでたんだ。なんでそんな言葉が、浮かんだのか。今でも分からないんだ。あの、楽しげで、明るげな言葉。それが頭の中に浮かんでから、俺は最初に吐いちまったんだ。
神山博士: どのような言葉ですか?
SCP-079-JP: ああ、うん。
その後SCP-079-JPはうつむき、ちょうど1分間沈黙。
神山博士: SCP-079-JP? その言葉を教えてください。
SCP-079-JPは丸めていた背筋を伸ばし、目を大きく開いて真正面を見据え、咽頭マイク越しであるにも関わらずこれまでとは全く異なった声で喋り始めた。
SCP-079-JP: ワオ!よく見つけたね!君だけの秘密の場所に辿り着けたご褒美に、いいことを教えちゃおう!学校や[ノイズ音]パーティーで、なんとなーく自分が地味で注目されてない、なんて思った事はないかな?それともみんなに好かれて、みんなの真ん中でハシャぐ人気者のあいつがうらやましい、自分も注目され[ノイズ音]たい、なんて思ったことはないかな!?博士が[ノイズ音]君にだけ送る特別なものがあれば、ジャジャーン!明日から君も人気者!みんなから注目されちゃう事間違い無し!それが博士のにんきもの大作戦!さ!
待機していた保安要員が全員同時に嘔吐。
神山博士: これは、[罵倒] インタビュー中止、薬剤で意識を落とします。
SCP-079-JP: さあ、これで明日から君もクラスの人気者!みんなが[ノイズ音]君の噂をするぞ!友達もたくさん、幸せなことはもっとたくさん!さあ、楽しも [麻酔薬の一挙注入によって昏倒]
<録音終了>
終了報告書: 非常に危険でした。我々は見誤っていたのかもしれません。重要なのは「異常な影響を他者に及ぼす嘔吐物」ではなく「嘔吐物を介して異常な影響を他者に及ぼす一人の男」なのかもしれません。そしてSCP-079-JPの話の一部が真実だとするならば、あの異常な言葉を完全に知覚し、支配されてしまった者こそがSCP-079-JPと変異するのかもしれません。ひとまず必要なのは、特別収容プロトコルの改訂でしょう。SCP-079-JPは嘔吐の知覚以外の手段で、他者に異常な影響を与えられるかもしれないのですから。しかし、影響には僅かな個人差があるようで、今回は幸いでした。
神山博士の報告に基づき、SCP-079-JPの特別収容プロトコルは現在のものに改訂されています。SCP-079-JPは嘔吐物の視認以外の方法で他者に影響を与えうる可能性があります。この可能性が完全に否定されるまで、収容条件の緩和は行われません。
同時に、SCP-079-JPが閲覧したと証言したウェブサイトに関して、調査が開始されました。
補遺4: SCP-079-JPの証言したウェブサイトに関する調査は、長期間に渡って何の成果も上げられませんでした。その事実と証言者の素性から、証言そのものの信憑性が疑われ、財団日本理事会の命令によって調査は現在凍結されています。
SCP-079-JPの新たな個体は発見されていません。SCP-079-JPが発していた異常な言葉をDクラス職員のみに聞かせつつ、状況をDクラスから報告し続けさせるという実験が計画されていますが、実行は現在実験に相応しい能力を持ったDクラスの補充待ちです。
どうして見つからないのでしょう? 我々がこれだけ力を挙げて探したというのに、何故一般家庭からアクセス可能なウェブサイト一つごときを見つけられないのでしょう? SCP-079-JPは何者なのでしょう? 答えは分かりませんが、仮説は一つあります。「博士」たる人物がある要注意団体を模倣している可能性は前々から示唆されて来ましたが、その「博士」がより完璧な悪意ある模倣を実行したのならば・・・我々はあと10体以上の、似たようなオブジェクトと遭遇しなければならないのでしょうか。 ──神山博士
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scp-080-jp |
評価: +83+–x
アイテム番号: SCP-080-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-080-JP実体は小型動物収容ケージ内に収容した状態で、防音構造の小規模収容室内に保管してください。収容室内への立ち入りはセキュリティクリアランスレベル2以上の職員2名の承認が必要です。
実験目的以外でのSCP-080-JPとのコミュニケーションは現在全て禁止されています。収容室内に立ち入る際は必ず、規定された防音装備を完備した状態で入室してください。
現在、SCP-080-JPとのコミュニケーションを含んだ実験は禁止されています。
SCP-080-JP-1に分類される実体は現在レベル6の完全隔離拘束状態にあります。SCP-080-JP-1との接触は、実験目的以外には全て許可されません。
説明: SCP-080-JPは一匹のヒロズキンバエの幼虫です。検査によりSCP-080-JPは通常のヒロズキンバエの幼虫と同様の構造を持っていることが判明していますが、不明な理由により摂食と排泄を不要としており、成長または変態の徴候も観察されていません。
SCP-080-JPは知性と発声能力を有しており、通常時はただ移動のみを行いますが、SCP-080-JPの視界1内に人間(以下被験者と呼称)が入った場合、SCP-080-JPは被験者の方を向いて静止し、発声によりコミュニケーションを試みます。
SCP-080-JPは被験者の母国語を用いた成人男性のように聞こえる声で、被験者に対して精神療法士のように振る舞い、一方的に会話による診察を開始します。
被験者が精神疾患を患っているか、またはその傾向が強い場合、SCP-080-JPは最終的にその病名を告知し、適切な治療法の説明や助言を行います。
被験者が精神的に健常であった場合、SCP-080-JPはしばしば存在しない病名を被験者に告知します。それらの病名に言及しても、SCP-080-JPは明確に返答を行いません。
SCP-080-JPは存在しない病名を告知した場合であっても、それらの治療法の説明や助言を行い、時にはSCP-080-JP自らが、会話による催眠または暗示を用いていると思われる治療を実施します。
以下は、SCP-080-JPがこれまで挙げた存在しない病名と、それらに対して有効であると説明した方法の一覧の一部です。
病名
治療法
魂魄剥離症
朝8時にBlzbubへ祈りを捧げ、ニシンの頭を食した羊の胃を日暮れ時に食す
展開性双樹非認識症
10分間瞬きせずにへその下を親指で圧迫し続ける。これを一日に7回、1時間以上間を空けて行う
ファティマ・ロール症候群
生後1ヶ月以内の山羊の心臓3つを夕食前に金製の器に入れて焼却する
忌避的形而上認知症
頭部に███を生後4ヶ月以内の人間の血液を用いて描き、その後40秒以内に刃渡り30cm以上の刃物を███の上から頭部に突き刺す
エプスタイン・アンチ・アリス・アルコーン症候群
█████を施したライオンに自らの肝臓を食させる
これらの治療法を実施した結果については補遺を参照してください。
補遺1: SCP-080-JPに対するインタビュー実験が終了しました。下記は、その中でもSCP-080-JPの起源に関係していると思われる記録の抜粋です。
対象: SCP-080-JP
インタビュアー: 神山博士
<記録開始>
神山博士: どうも、こんばんはSCP-080-JP。
SCP-080-JP: こんばんは。初めての診察の方ですか?
神山博士: 私はあなたの患者ではありません。あなたと同様の職種の者です。
SCP-080-JP: 左様でしたか。ここに配置されてからというもの、ご同業をお見かけしなくなって久しいものでしたから気付きませなんだ。どうか平にご容赦を。
神山博士: いえ、お気になさらず。それよりも、あなたが提示する病名と治療法について、是非教えを乞いたく思うのですが。
SCP-080-JP [20秒間沈黙] ははあ、良いでしょう。相互交流の架け橋となるのも私共の務めでございます。あなたが納得行くよう、最善を尽くさせて頂きましょう。
神山博士: ありがとうございます。それではまず、あなたが治療を行う目的について教えて頂きたいのですが。
SCP-080-JP: 良いでしょうとも。人というのは、多くの不幸の中で生き、塗炭の苦しみを味わい続けています。その中で迎える死の要因は様々です。不幸な事故、殺意、憎しみ、そして己の意思。私の同輩が唆した例も幾許ながらございますが、私は精神を、心を診る医者です。私は患者の心が患者を苦しめ、死に至らしめるのを防ぐために治療を行っています。患者の心を強め、育むのです。そうして初めて、私は奉仕したと言えるのです。
神山博士: あなたは誰に奉仕しているのですか?
SCP-080-JP: いと低き方。アハズヤに祝福を述べる方。汚れし足を持つお方。私はその方の侍医の一人でございました。
神山博士: 病名と治療法にはどのような意味があるのですか?
SCP-080-JP: 真実です。私は医者として死を忌避し、死をもたらすものを憎みます。魂の救済は、より清らかな生と福音をもたらすでしょう。それこそが我々に勝利をもたらす原動力となるのです。
神山博士: 勝利とは、何のことでしょうか?
SCP-080-JP: 救済された魂が切り開く、終末の先にある楽園への戦端ですよ。
神山博士: なるほど。またお話を聞かせてもらえるでしょうか?
SCP-080-JP: より聖なる同輩よ、いつでも私はあなたを歓迎しましょう。
<記録終了>
補遺2: SCP-080-JPが健常者へ告知した存在しない病名への治療法を、Dクラス職員を用いて実施する実験が複数回行われました。
以下は、それら実験の内最初に実行されたものの報告書の一部を抜粋したものです。
実験記録: ████年██月██日
対象: D-86745
告知された病名: 不確実性虚言信仰症
提示された治療法: 15歳以上の処女の血液を用い、目を瞑りながら羊皮紙に「Blzbub Gloria in xclsis Do t in trra pax hominibus bona voluntatis」と40回筆記する
結果: 一連の手順を3度試行するも異常なし
分析: 手順に問題は見当たらない。SCP-080-JPの提示した治療法が虚偽である可能性有り。実証のため、他の被験者を用いての実験を申請する。
実験は計4名の被験者に実施されましたが、いずれの場合も被験者の異常は観察されませんでした。SCP-080-JPの告知した病名と提示した治療法は虚偽のものであることが判明しました後発的な異常を発生させる事が判明しました。
実験後D-86745に対する任期満了による終了が実行された際、D-86745は明らかに生命維持が不可能な損傷を負っているにも関わらず、生存していました。D-86745は終了に伴う苦痛を感じておらず、明確な知性と意識を保ったまま終了措置監督人員を襲撃しました。
D-86745は脱走と小規模な他オブジェクトの収容違反を発生させ、16分後に確保、拘束されました。ただちにD-86745の勤務履歴が調査され、SCP-080-JPの影響が指摘されました。
その後、SCP-080-JPの提示した治療法を実践する実験に使用された他の3名のDクラスに対して、秘密裏に食事への薬剤混入による終了を実施しました。その結果、3名全員が生存し、また終了措置にも気付いていませんでした。
検査の結果3名全員に、混入した薬剤による複数の内臓の機能不全と末端神経の断裂が確認されました。また、右心室にハエのような模様の焼印が出現していました。これは、終了措置の実行前の検査時には存在しなかったものでした。
これらの性質は、既存の精神疾患名の告知と治療法の提示をSCP-080-JPから受けた被験者には現れませんでした。
以上の事からSCP-080-JPの性質に関する見解が見直され、特別収容プロトコルの改正が行われました。SCP-080-JPから提示された、存在しない病名への治療法を実行した人間は、SCP-080-JP-1へと分類されます。
脚注
1. SCP-080-JP頭部前方約78°界と思われます。
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scp-081-jp |
評価: +189+–x
発見時のSCP-081-JP
アイテム番号: SCP-081-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-081-JP-1及びSCP-081-JP-2は0.6m x 0.4m x 1.2mより大きい容器に直射日光を避けて保管して下さい。容器の底部は重さ200kgまで耐えられるものを使用して下さい。容器には排水機構を付けて下さい。壁や生物などの他の物質に接触した状態のまま放置しないで下さい。SCP-081-JP-1から離されたSCP-081-JP-2については特別な収容手順は必要ありません。
説明: SCP-081-JPは、ワンピースタイプの水着であるSCP-081-JP-1と、それが生み出す氷であるSCP-081-JP-2から成ります。
SCP-081-JP-1は一般的な日本の学校で使用されているタイプの女子用水着です。伸縮性の高い未知の素材でできています。SCP-081-JP-1の温度は何らかの力により常に-2℃に保たれています。どんな高温、低温の環境もしくは火の中に置いてもその温度に変化はありませんでした。また周囲に水がないにもかかわらず、SCP-081-JP-1を中心に常に氷(SCP-081-JP-2)が発生し、成長し続けます。SCP-081-JP-1の近くにあるSCP-081-JP-2はいかなる方法でも溶かすことができません。その効果は0.5m x 0.3m x 1.0mの直方体型の範囲にまで及び、結果としてSCP-081-JP-2はSCP-081-JP-1を包む氷柱を形成します。これまでにSCP-081-JP-2がそれ以上の大きさに成長したことはありません。
SCP-081-JP-2は一般的な刃物を使って削り取ったり、また衝撃を与えて砕いたりすることが可能です。それにより一時的にSCP-081-JP-1からSCP-081-JP-2を完全に取り除くことが可能です。一旦SCP-081-JP-1の効果の範囲外に出れば、SCP-081-JP-2は溶けない性質を失い、通常の氷と同じになります。その成分に異常な点はありません。飲用としても安全なことが判明しています。
SCP-081-JP-1は████/██/██に██県██市立██小学校の凍ったプールの中で発見されました。その噂を聞いた財団職員である████が教員として潜入し、SCP-081-JP-1が収容されました。また彼の努力により、SCP-081-JP-1に関する噂はよくある"小学校の七不思議の1つ"という形のただの虚構の物語として認識されるようになりました。SCP-081-JP-1が発生した経緯などは依然わかっていません。
現在、SCP-081-JP-1はサイト-8181の食堂において無電源冷蔵庫の冷媒として機能しています。また、SCP-081-JP-2は同じくサイト-8181の食堂で飲料用及びかき氷用の氷として使用されています。実際にかき氷を食べた職員から「口溶けまろやか」「頭がキーンってならない」などの報告がされていますが、その理由は調査中です。
注: これがそのまま使えるくらいでかいかき氷機ないかなあ。ハンドルで氷がくるくる回るやつ。 - エージェント██
補遺: ████/██/██、SCP-081-JP-1の形状の意義に関する議論が行われた結果、人間が着用する実験が実施されました。実験対象であるD-081-JP-1の体型は通常時のSCP-081-JP-1に比べ遥かに大きいにもかかわらず、それが異常な伸長を見せたためにサイズ的に問題なく着用することができました。また、D-081-JP-1は完全に着用するまでの間はSCP-081-JP-1が非常に冷たいと報告していましたが、着用直後はわずかにひんやり感じる程度だと話しています。この間もSCP-081-JP-1の表面温度は-2℃に保たれていました。また、SCP-081-JP-2が生成されることがなくなり、代わりにD-081-JP-1の全身を汗のように出所不明の水が流れ、常に濡れた状態になりました。D-081-JP-1には凍傷などの低い温度による影響が一切見られませんでした。着用時の更なる性質を調べるべく、以下の実験が追加で行われました。
実験記録081-JP-1 - 日付████/██/██
対象: D-081-JP-1
実施方法: SCP-081-JP-1を着用した対象を、室温20℃の部屋に入れる。それから30分間かけて室温を上昇させる。
結果: 室温300℃まで到達。対象の健康状態及び体温に異常なし。SCP-081-JP-1の表面温度にも異常なし。
分析: SCP-081-JP-1は着用者に対して驚くべき耐熱性能を与えるようです。 - ████博士
実験記録081-JP-2 - 日付████/██/██
対象: D-081-JP-1
実施方法: SCP-081-JP-1を着用した対象を、室温20℃の部屋に入れる。それから30分間かけて室温を下降させる。
結果: 室温-50℃まで到達。対象の健康状態及び体温に異常なし。SCP-081-JP-1の表面温度にも異常なし。
分析: SCP-081-JP-1は低温度に対しても効果があり、総合すると、着用者を外部の温度から守る機能を有しているようです。 - ████博士
実験記録081-JP-3 - 日付████/██/██
対象: D-081-JP-1
実施方法: SCP-081-JP-1を着用した対象に対し、火炎放射器を使用する。
結果: D-081-JP-1は火だるまになった。が、すぐに火が消えた。対象に異常なし。
分析: 耐火性能もあり、燃えた薬品などが付着しても洗い流せるようです。しかし、実験対象が成人男性なのが残念です。面白い写真が取れましたが。 - ████博士
注: 女性や子供を対象にした実験の許可は現在検討中です。
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scp-082-jp |
評価: +83+–x
SCP-082-JP
アイテム番号: SCP-082-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-082-JPはサイト-8181の標準型危険物収容倉庫に保管されています。SCP-082-JPを用いた実験には、セキュリティクリアランスレベル4以上の職員の承認が必要です。
説明: SCP-082-JPは、縦46cm・横30cm・奥行9cmの、█████社製旅行用キャリーバッグです。素材は一般的なもので異常性は見当たらず、また同社の他の製品に特異性は発見されませんでした。
SCP-082-JPは、海外旅行を目的とした使用がなされた際に異常性を示します。旅先へ着く前に、SCP-082-JPの使用者は前触れなく姿を消します1。SCP-082-JPの内容物の有無、旅行時の移動手段は異常発生に関与しません。使用者が「海外への旅行にSCP-082-JPを使用している」という意識を持っている場合にのみ、異常性は発揮されます。
使用者が消えたのち、SCP-082-JP内部には広大な異空間が発生します。この異空間は事象ごとに変化しますが、荒野や砂漠、人の手の入っていない密林などの荒れ果てた土地であり、いずれも現実に存在しない場所です。異空間内への出入りはSCP-082-JPの開口部から自由に行うことが出来ます。SCP-082-JP開口部が異空間内のどこに繋がるかは様々ですが(約8割の確率で地表面に繋がります)、空中に出入り口が発生する例も確認されています。無人探査機を使った内部調査により、異空間世界は果てがなく無限であると推測されています。
異空間内には、姿を消した使用者と同じ容姿の人型生物SCP-082-JP-1がおり、宿泊施設を探してさまよい歩いています。SCP-082-JP-1に対してSCP-082-JPに関する情報や、異空間内に現れるまでの記憶について尋ねても、忘却しているか、曖昧な答えを返します。異空間内にSCP-082-JP-1以外の生物は見つかっていません。SCP-082-JP-1を現実世界に連れ戻そうとすると激しい抵抗を受けます。SCP-082-JP-1を拘束し現実世界へ連行しようとすると、SCP-082-JPを通過する際に高温度の未知の蒸気を発して消失します。その後消えたはずのSCP-082-JP-1は、再びSCP-082-JP内の異空間に現れ、何事もなかったように宿泊施設を探し続けます。
使用者が現実世界から姿を消して24時間が経過すると、SCP-082-JP-1は一定の方角に歩み始めます。進んだ先には老朽化の激しい6階建ての建築物が建っています。屋上に建てられている朽ちかけた看板には『HOTEL SMILEY FACE』とペイントされているのがかろうじて読めます。この建物はSCP-082-JPの起こしたどの事象においても同じ建物であるように見えます。全ての窓からは明かりが灯っているのが確認されており、またいくつかの部屋は窓越しに人影が動いているのも見えますが、これらが生物であるかは不明です。建物の入り口はガラス張りの回転式ドアとなっていますが、稼働しておらず開けることは出来ません。SCP-082-JP-1はこのドアに触れた瞬間姿を消します。SCP-082-JP-1が消えた時点で建物内の人影が1つ増えるのが確認されています。SCP-082-JP-1以外の人間、調査用ロボット、探索犬などで建物への潜入が図られましたが、直接的な攻撃(窓を打ち破って侵入を図る、壁を打ち壊そうとするなど)をすると建物がその場から消失するため、試みはいずれも失敗しています。
海外旅行を計画する新しい使用者がSCP-082-JPに触れると、異空間は消失し通常のキャリーバッグに戻ります。このとき、異空間内に人間がいた場合は脱出が不可能となり、発信機での通信も途絶します。SCP-082-JP開口部に身体が通過中の場合は切断されます。このため実験の際には、潜入職員も含めて極力SCP-082-JP本体に身体を触れさせないでください。
SCP-082-JPは20██/██/██に██市立████中学校の不用品バザーにおいて、一般人により購入されました。その後、当時16歳だった購入者の長女が、アメリカへ短期のホームステイをする際にSCP-082-JPを使用しました。彼女が失踪しSCP-082-JP内部に異空間が出現したため、空港会社に潜伏していた財団エージェントによって調査・回収されました。家族と関係者にはクラスBの記憶処理が施され、一連の事件は渡航中の事故として処理されました。バザーへ売り出される前の持ち主は現在まで判明していません。
+ 実験記録082
- 実験記録082
記録082-1
被験者: D-34277
実施方法: 被験者には事前に「実験のため場所を移動する」と説明した。被験者の衣類や日用品をSCP-082-JP内に詰めさせ、SCP-082-JPを抱えさせた状態で目隠しをし、飛行機で韓国2まで輸送。
結果: 被験者に変化は見られなかった。
分析: 被験者に国外へ出たという認識がなかったため、異常も起きなかったと考えられる。
記録082-2
被験者: D-84593
実施方法: 被験者には事前に「実験のため、国外へ移動する」と説明した。被験者の衣類や日用品をSCP-082-JP内に詰めさせ、SCP-082-JPを抱えさせた状態で、視覚の制限はせず飛行機で韓国まで輸送。
結果: 被験者に変化は見られなかった。
分析: 被験者にとって「旅行である」という認識がなければ、海外への渡航が分かっていても異常性は発揮されないようだ。
記録082-3
被験者: D-63491、D-22543、D-93562
実施方法: 勤務態度の良かった3名のDクラスを選出し、財団職員監視のもと慰安旅行に連れて行くと説明した3。うちD-63491にSCP-082-JPを使用させた。視覚制限はせずに飛行機で台湾まで輸送。
結果: D-63491は輸送途中、隣席のD-93562に向かって「おいおい、これもしかして外国に向かってたりしてな!」と発言し、その直後に消失。SCP-082-JP内に異空間が発生した。異空間内部は延々と続く薄暗い荒野となっていた。詳細はインタビュー記録082-3を参照。
+ インタビュー記録082-3
- インタビュー記録082-3
<記録1>
対象: 実験記録082-3において発生したSCP-082-JP-1
インタビュアー: 宗形研究員
付記: 当記録に至るまでの経緯に関しては実験記録082-3を参照してください。当事例において、異空間への出入り口は地表から約6m離れた空中に発生しました。ヘルメットとカメラを頭部に装着し、アルミ製梯子を用いて異空間内部へと潜入した宗形研究員には、無線によって源口博士から適宜指示が与えられました。
<録画開始(この時点でD-63491消失から約1時間が経過)>
宗形研究員: やあ、君はD-63491かい?
SCP-082-JP-1: ん?おお、研究員の兄ちゃんか。そうだぜ、アンタらがD-63491と呼んでる囚人だ。さてはアンタも迷っちまったのか?
宗形研究員: ああ、そうかもね。ところでD-63491、ここに来る前とは服装が違っているようだが。いったいどこで着替えたんだい?事前につけた発信機も見当たらないようだし。
SCP-082-JP-1: なんのことだ?俺は最初からこの服装で……(しばし考え込む素振りを見せる)。いや、なんつーか、これが旅行に行く時の俺のスタイルなのさ。
宗形研究員: ふむ。確かにその服のほうが、カジュアルでいかにも旅行者っぽい感じがするよ。
SCP-082-JP-1: だろ?あのツナギでその辺観光する気にはならねえよ、ははは。……ところで、ホテルがどこか知らないか?
宗形研究員: ホテル?財団が君らのために用意した宿泊施設なら、この近くにはないんだが。
SCP-082-JP-1: なんでアンタらが俺らなんかのために宿を取るんだよ。俺が取ったんだ。予約をさ。そんで今そのホテルに向かうとこなんだ。道を知ってたら教えてくれよ。
宗形研究員: 残念だが、知らないんだ。
SCP-082-JP-1: そうか……(疲れた面持ちで肩を落としながら)それなら仕方ねぇな。もうちょっと探してみるよ。
宗形研究員: 見つかるといいね。
<録画一時終了>
無線による経過報告: いったんここから退去します。SCP-082-JP-1には発信機を持たせました。私が去ると言っても彼は気に留めていないようでした。約22時間後に再潜入して、SCP-082-JP-1へのインタビューと行動観察を行います。-宗形研究員
<記録2(再接触記録)>
<録画開始>
宗形研究員: D-63491!
SCP-082-JP-1: おお。また会うとはな、兄ちゃん。
宗形研究員: ホテルは見つかったかい?
SCP-082-JP-1: 見てのとおりだぜ。そろそろくたばっちまいそうだ。
宗形研究員: なぁ、D-63491。おかしいとは思わないのかい?
SCP-082-JP-1: なにがだよ?
宗形研究員: ここには僕と君以外、誰もいないだろう?それに周りをご覧よ、どう見たって観光地って場所じゃあない。なぜ疑問に思わないんだい?
SCP-082-JP-1: それは、……(頭を押さえ身体をふらつかせる)おっと。
宗形研究員: 大丈夫かい、D-63491。
SCP-082-JP-1: わりぃ、手貸してもらっちまって。……言われてみれば、そうだなぁ。ここはちょっと寂しい感じがするな。観光シーズン終わっちまったのか?
宗形研究員: 君はなぜ、ここに旅行に来ようと思ったんだい?
SCP-082-JP-1: そりゃあよぅ、一度は行ってみてえだろ?海外旅行にさ。
宗形研究員: なるほど、海外旅行ね。ところでD-63491、ここはなんて国だったかな?
SCP-082-JP-1: あぁ?何言ってやがんだ兄ちゃん!自分が来た国の名前を忘れちまったのかい?わはははは!
宗形研究員: いや、ちょっと確認しときたくてね。
SCP-082-JP-1: わははは、はー笑った。しょうがないな、教えてやるよ。アンタがいるここは、[雑音]だよ。
宗形研究員: なんだって?
SCP-082-JP-1: だーから、[雑音]だっての。思い出したか?
宗形研究員: ……あ、ああ、そうだったね。
SCP-082-JP-1: まったくよぅ、しっかりしてくれよ。……んぁ?
宗形研究員: どうしたんだい。
SCP-082-JP-1: こっちだ……こっちにホテルがある気がする。
宗形研究員: どうしてそう思うんだい?
SCP-082-JP-1: いや、分かるんだよ俺には……絶対こっちにあるはずだ!
宗形研究員: D-63491?待ってくれ、D-63491!
SCP-082-JP-1: 悪い、チェックインして早いとこ休みてぇんだ!兄ちゃんも、泊まるとこないならついて来いよ!早くしないと置いていっちまうぜ!
<録画終了>
終了報告書: D-63491、いえSCP-082-JP-1は足早に歩き続け、やがて例のホテルへと到着し、回転ドアに触れた瞬間姿を消しました。その後、3階の窓越しに人影が1体増えるのを確認。しかしあれは……あれは、D-63491の背格好ではなかった気がするんです。持たせていた発信機からの信号は途絶しました。人影はしばらくの間、窓の向こうからこちら側を見下ろすようにじっと立ち止まっていて、ほどなく他の影と同様にうろうろと動き回るようになりました。インタビュー中SCP-082-JP-1が発した国名は、耳鳴りのような甲高いノイズによって遮られ、私にもよく聴き取れませんでした。報告は以上です。-宗形研究員
補遺: インタビュー記録082-3ののち、記録中の雑音を解析したところ、次のような言葉が高速かつ高音で発せられていることが判明しました。
かえれかえれかえれかえれかえれかえれかえわわわわたわたしだっていいいいきいきたかったのに
この音の発生源については現在調査中です。
Footnotes
1. 現在確認されているうち、もっとも早い例で「旅行」の出発から約5分後、遅いものでは出発した国の国境を越える約30秒前にこの現象が起こっています
2. 行先は実験当日の天候などを参考に近隣国から選択されました。
3. この説明に説得力を持たせるため、直接の被験者となるD-63491以外のDクラス職員(D-22543、D-93562)も引率しました。
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scp-083-jp |
評価: +344+–x
アイテム番号: SCP-083-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-083-JPは現在捕捉されていません。SCP-083-JP保持者に関する情報はweb内の調査botならびに財団データベース内において察知、管理、統合されています。これらの情報により明確な位置が判明した場合、近隣のエージェントを即時の保持者確保、収容に向かわせてください。また、確保された保持者においては昏睡状態に置いたうえで、「突然の病死」をカバーストーリーとして流布、存在を秘匿してください。統合以前の各オブジェクトにおける特別収容プロトコルは報告書アーカイブを参照してください。
説明: SCP-083-JPは本来各個別にオブジェクト指定されていた2つのオブジェクト(SCP-083-JP-A、SCP-083-JP-B)の総称であり、暫定的な統合ナンバリングです。各オブジェクトが統合された経緯は後述します。
SCP-083-JP-A概要
SCP-083-JP-Aは約100ページの短編小説群です。SCP-083-JP-Aはそのどれもが原稿用紙に記載されており、未発表かつ製本はされていません。また、SCP-083-JP-Aの内容は全てがオウムガイ属(Nautilus)の生物と推測される生物の独白による私小説といった形態をとっており、以下の3文が文中に複数確認されます。
「滑る両の手 上手の手とて 水は漏るるか すくえずに」
「沈む水底 伸ばすは腕かひな 我が手届かず オウムガイ」
「誰も救えぬ 伸ばせぬ我は 殻に籠りて 唯没む」
SCP-083-JP-Aの異常性はSCP-083-JP-A内の短編小説をどれか1つでも読み終えた場合、発生します。読み終えた人物(以下、保持者-A)は、海底に浮遊するオウムガイのイメージ(SCP-083-JP-A-1)を意識領域下の一部に抱きます。このイメージは保持者-Aの行動、思想に関わらず一定的に存在し、記憶処理による影響は認められません。
保持者-Aとなった人物は他者の危険、危機に対し極めて無関心であり、他者との接触を避ける傾向が発生します。これらの傾向は保持者-Aが曝露以前に他者と積極的に関係を持つ人物であった場合も発生します。この傾向から、保持者-Aは多くの場合社会的に孤立する傾向が見られます。
実験記録083-JP-A
目的: SCP-083-JP-Aの影響下に置かれた保持者-Aが他者の危機に対し、どういった行動を見せるか確認する
実験責任者: 北畠研究員
対象: D-88098 (保持者-A) D-88099(財団により、一定時間仮死状態に移行する処置が行われている)
実験方法: D-88098とD-88099を入室させた状態で、D-88099を仮死状態に移行させ、D-88098の行動を観察する。なお、室内には仮死状態からの復帰を可能とする救護機器が一定数揃っており、使用方法を財団側から指示するものとする。
結果: D-88099が昏倒、仮死状態に移行したものの、D-88098は混乱するのみであり指示を出しても一向に措置を行おうとしなかった
補遺: 実験後、D-88098に対し行ったインタビューにおいて、措置を行わなかった理由を尋ねたところ「どうせ自分がやっても無理だと思った」、「自分にはできないに決まっている」といった感想が得られました。また、特記事項として財団側からの指示に従おうとしたとき、強く前述のイメージが発生したことが確認されています。
SCP-083-JP-Aは19██年に自宅において自死した██ ██氏により執筆されたことが確認されています。██ ██氏はボランティア、慈善事業に強く取り組んでおり、多くの紛争地域、貧困地域においてボランティアとして活動していたことが確認されています。親族、友人からの聴取において、それらのボランティアにおける無力感等から晩年は重度の精神衰弱に陥っていたとされ、自宅においてSCP-083-JP-Aを執筆後自死を行ったと推測されます。
SCP-083-JP-B概要
SCP-083-JP-Bは夏目漱石の作品、『吾輩は猫である』を読了した人物(保持者-B)において出現する情報知性体と推測される存在です。出現、発生は不定期かつ非限定的で、『吾輩は猫である』を読了した人物において約0.000█%以下の確率で発生すると推測されます。
保持者-Bが何らかの文章、言語による創作を行おうとした場合、SCP-083-JP-Bは保持者-Bの意識領域化に出現し、創作内において自身の存在を主張します。この創作内における会話によって、SCP-083-JP-Bは自身を『吾輩は猫である』内に登場する猫にイメージを固定された自律的アイデアであると主張し、多くの場合保持者-Bとの会話を行います。これらの会話は創作内でのみ可能であり、第三者の関与は保持者-Bが創作内において記述することでのみ可能です。
SCP-083-JP-Bは保持者-Bの創作を積極的に支援し、現在、全ての事例において保持者-Bにおける創作は完結しています。また、完結と同時にSCP-083-JP-Bは創作内において水中に落下し溺死します。これを以て保持者-BはSCP-083-JP-Bの影響下から脱します。
以下はSCP-083-JP-B暴露者であるD-8008を利用し、文章上で行われたSCP-083-JP-Bとの会話記録です。担当職員は寺田博士です。
文章記録083-JP-B - 日付 19██/██/██
「ほう、吾輩と話したいというか。よかろう」
猫はそう言うと、眠たげに目をこすり私と向き合った。
「吾輩と何を話したいかなどは吾輩は菩薩でも地蔵でもない故に知らぬが、学士くんだりの考えていることだ、吾輩が何者であるか、ということであろう」
その細めた目にはどこか嗜虐的な色が潜んでいる。
「吾輩は猫である。いや、正確には猫の観念アイディアである。あるいは理念イデアである」
猫の言葉には私にはよく分からないルビが浮かんでいる。その一方で私の背後に立つ人物は満足げに頷き、次の質問を口にした。
「では、貴方は本来"猫"という存在を私たちが想起したアイデアだというのですね」
「理解が早くて助かるよ、学士君。その中でも吾輩は1つの観念アイディアに依存した存在なのだ。形象イメェジの動物アニマルだ。旧くは吾輩が吾輩でなかったとき、吾輩に個体の識別は無く、在ったとしても曖昧模糊、まるで雲霞の中の怪物のようなものであった。そんな折、吾輩は1つの名編に依拠することとした」
それが、『吾輩は猫である』と? 機械的なその質問に猫は鷹揚に頷いて応える。
「そういうことだ、学士君。君は馬面にしては中々頭が回ると見えるな。結構だ、吾輩の主人に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいものだ。ああ、主人とはそこに居る女性の事ではない。麗かな娘と比べるにはあまりにもむくつけき」
「では貴方が物語の完結を望むのは」
「待て待て、急ぐな。話を続けるが吾輩はその観念アイディアに依存したが故にその物語を擦なぞる必要がある。面倒だがこれは摂理というものだ。吾輩はまあ、そういう物に囚われる存在ではないが、如何せん吾輩は猫である」
「つまり、貴方は物語をなぞるより他にはない、と」
矢継ぎ早な質問。猫はいやいやをするように首を振り、ふいと窓際に飛び乗った。
「待ってください」
猫は窓の外の川へと身を滑らせる。
「馬面君、吾輩とて機嫌を損ねることはあるぞ、吾輩は溺れて死ぬ。吾輩は死ぬ。死んで太平を得る。太平は死ななければ得られぬ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい」
ぼしゃん、と水音がした。
この会話を以て物語が終了したと見なされた為か、SCP-083-JP-BはD-8008の意識領域下から消失し、収容違反が発生したと見なされます。この事案から、SCP-083-JP-Bは自らの意思で溺死することによって強制的に物語を終えることが可能であると判明しました。
インシデント記録083-JP-01 - 日付 20██/██/██
20██/██/██、SCP-083-JP-Aの影響を受けた全保持者-Aの意識領域下からSCP-083-JP-A-1が消滅及び、それに付随していた他者に対する無関心が快癒されたことが確認されました。その際、保持者-A等の"消える瞬間に溺れる猫の姿を見た"という証言からSCP-083-JP-Bの関与が推測され、web内調査、後続調査の結果、財団の捕捉していない保持者-Aであった███ ██氏の存在が確認され、『吾輩は猫である』を読んだことで保持者-Bとなっていたことが判明しました。
また、SCP-083-JP-A-1消滅の時刻、███氏が創作を終了し、SCP-083-JP-Bの溺死イベントが発生していたことが確認されています。以下は、███氏の創作内において記述されたSCP-083-JP-Bの溺死イベントです。
ぼちゃんと吾輩の体が温い水面に落ち込んだのが分かる。心配いらない。これは君が筆を終えたということだ。吾輩はお話が終わる時に溺れ死ななければならぬ。吾輩とてこう何度も繰り返せば慣れる。がりがりをすることもない。苦しくはあるが踠くだけ無駄である。吾輩はずぶ濡れの毛玉になった後どうやってかまた何者かの頭蓋の中で生まれるだけだ。さて、そろそろ肺腑の中から空気が消える。吾輩は死ぬ。死んでこの太平を得る。太平は死ななければ得られぬ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい。
「滑る両の手 上手の手とて 水は漏るるか すくえずに」
声が聞こえる。ぐわんぐわんと鳴り響く。音の進む速さは水の中では数倍になると主人が子供たちに語っていた。待て、誰が吾輩に声をかけている。もう半分畜生塚に入っている吾輩に誰が声を掛けるというのか。今際の空言か。吾輩が思うに絵巻などにある臨終の絵はその類でないかと考える。
「沈む水底 伸ばすは腕かひな 我が手届かず オウムガイ」
否、空言でも幻聴でもない。ぐわんぐわんと鐘を打ったような声が聞こえる。水底から聞こえる。見ても水の中では光が拡がり暈けて映らぬ。否、それは吾輩の目の前に浮かんでおる。巨大な殻だ。蝸牛の化物か。蝸牛でもない、羊のような目が吾輩を見ている。烏賊のような腕が伸ばされる。蝸牛の殻に羊の眼、烏賊の腕。このような珍妙な生物、やはり吾輩の脳が死の間際に見せる幻覚ではあるまいか。そういえば主人の書斎で似たような図を見た。よくよく思い出せば化物自身が名乗っていたではないか。
「誰も救えぬ 伸ばせぬ我は 殻に籠りて 唯没む」
何の話をしているのか、吾輩が溺れ死にそうになっているのに呑気な物だ。延々と都都逸をのたくっている間があるなら吾輩の一匹引き上げてみてはどうだ、鸚鵡貝よ。目の前の猫一匹救えずに嘆くなら、その腕で掬いだせば話は早いのだ。
「───」
何故黙る。考えるより先に動けばいい、行動は思索に引き摺られる物だ。余計なことを考えるからその腕は縺れるのだ、その殻は大きくなるのだ。何も出来ないならば顔を見せる方が奇怪しいとは思わないのか。顔を見せ唸るのであればせめて腕でも伸ばしてみろ。──いや、貝ごときに全く無駄な事を騒ぎ立ててしまった。よくよく考えれば貝などは口が堅いと決まっている。そろそろ思考が薄らいでいく。最早苦も楽もない。浄土ははて、どのような地であろうか。
「───水底の 猫をすくえよ ノーチラス」
突然ざぶりと顔が水面に上がる、身体が勝手に水を吐き出した。暫く喘ぎ、火箸を押し込まれた様に熱い肺腑に空気を送り込む。まるで鍛冶屋だ。見ると浄土ではない。少なくとも紫雲の上でも蓮の上でもない。畜生が其処に行かぬと言われれば其れまでではあるが。如何した事かと足元を見ると鸚鵡貝の奴が吾輩の体を持ち上げている。此奴め、どうも吾輩を掬いあげたつもりらしい。しかし、是では物語は終わらぬ。吾輩の死を以て迎える筈なのだが如何せん。──おや? ──何だ、これは、寂れた舟の様に見える。──成程、吾輩が落ち込んだのは蛸壺だったか、ならば是は乃ち物語の終わり、そして新たな出航という訳か。鸚鵡貝よ、どうやら長い付き合いになりそうだな。何、船乗りに猫は付き物と聞く。そら、星が綺麗だ。
この事案以降、財団はSCP-083-JP-A、Bの保持者確保は成功していません。一方、調査及びこれ以降保持者となった人物への聞き込みにより「オウムガイに乗った猫のイメージ」が確認されることから、SCP-083-JP-A-1、Bは現在同時に出現していると推測され、暫定的に同一のオブジェクトとして統合、ナンバリングを行っています。
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scp-084-jp |
評価: +178+–x
アイテム番号: SCP-084-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-084-JPはサイト-8145の低脅威度物品用ロッカーに収容されます。収容違反を防ぐため、担当者と実験管理員の2名がそれぞれキーコードを用意し、二重にロックをかけてください。
SCP-084-JPの被験者はDクラス職員に限定されます。被験者が月ごとの解雇まで他者と同時に飲食を行わないよう、実験後における被験者の飲食は厳しく監視されなければなりません。同一被験者を対象とする5回以上の実験にはセキュリティ・クリアランスレベル3以上の職員の承認が必要です。
説明: SCP-084-JPはプラスチック製幼児用しつけ箸です。通常のしつけ箸と同じく、使用者が指を差し込み持ち方を矯正するためのリング部品があります。箸先には凸凹があり、麺類や豆類などを保持しやすくなっています。側面には"OHASHI-MASTER"とカラフルな文字が書かれています。上面には青いキャップがついており、製造社名とおぼしきロゴが書かれていますが、そのロゴを使用している会社は現在確認できていません。
SCP-084-JPの特異性は使用後に発揮されます。SCP-084-JPを用いて1回食事をすると、その後使用者の箸使いは完璧なものとなります。さらに2~3回の使用で、その他の食器の使用法や冠婚葬祭時の振る舞い、言葉遣いといった箸と関係のない事項においても、使用者の知識及びマナーが飛躍的に向上します。SCP-084-JPを用いた食事回数が5回を超えると、使用者は他人の誤ったマナーを直したいという抑えきれない欲求を抱くようになります。使用が20回を超えた場合、誤ったマナーを目撃した使用者は脳溢血を発症、眼や鼻から血液を噴出し死亡します。その死を直接目撃した人物は、自分のマナーの向上という影響を受けます(インタビューログ-084-JP-D001を参照)。
奇妙な振る舞いをする子どもがいるとの通報を受け、███市の██████幼稚園に保父として潜入したエージェントにより、SCP-084-JPは回収されました。SCP-084-JPは██████幼稚園の備品でしたが、幼稚園のスタッフは誰も来歴を答えることができませんでした。
インタビューログ-084-JP-D001
対象: D-456482
インタビュアー: ████博士
付記: D-456482が目撃した、生前のD-154653の様子。D-154653はSCP-084-JPの被験者であり、実験回数は累計で20回に達していた。
<録音開始>
████博士: それではインタビューを開始する。456482、今日の昼食時に何が起きたのかね?
D-456482: いつもと変わりませんでした。最近彼はいろいろうるさかったんですが、昼食が始まったときはまだ静かでした。
████博士: 彼というのは154653のことだね? 「いろいろうるさかった」とはどういうことだろう?
D-456482: はい。うるさいというのはですね、食事のときに「肘をついてはいけないぞ」だの「足を組むのはやめた方がいい」だの「おいおい箸でかぼちゃを突き刺すなよ、D-456482」だの、母親か家庭科の先生のようにしつこく言ってくるわけです。
████博士: なるほど。食事のとき以外は?
D-456482: そうですね……。 他の皆と喋りながら歩いてたら、後ろから「左側に寄らないと他の人の迷惑になるぞ」なんて言ってきたり、襟が折れてたとき治すよう指さしたりしてきました。はじめて会ったときのD-154653はそういうのをあまり気にしないほうだったと思うんですが、彼に何をしたんです?
████博士: (無視して)今日の昼食時のことをできるだけ詳しく教えてくれ。
D-456482: 彼に言われたことはできるだけ気をつけてたんですが、なんだかバカバカしくなってきたし、彼と一緒に食事をするのも嫌になってきまして。それでこう、両手に箸を一本ずつ持って、コップの縁を叩いてみました。
████博士: それを見た154653はうるさく言ってきたのかね、いつもみたいに?
D-456482: うるさく言ってきたというより、烈火のごとく怒り出しました。顔なんかもう真っ赤になって、「何度も言ったはずだ」とか「そんなことをするなんて幼稚園児並だ」とか「文明人らしく生きるために必要なことだぞ」とか言いながら。そんなことを言ってるあいだに……彼の両目と鼻から、ドッと血が出てきました。
████博士: おやおや。
D-456482: でも彼はそんなこと一切気にしないで、ずっと話していました。そして最後に私をじっと見つめて「君のマナーは直されなくちゃいけない、わかったな」と無表情な顔でささやいてから、バタンと倒れてしまいました。血まみれのあの顔、ちょっとやそっとじゃ忘れられません。
████博士: なるほど。そういえば君はインタビュー開始からずっと敬語を使っているが、以前からそうなのかね?
D-456482: あれ……? 確かにさっきまではもう少しぶっきらぼうなしゃべり方だったはずなのに。おかしいですね。
████博士: ふむ。これにてインタビューを終了する。
<録音終了>
終了報告書: SCP-084-JPは被験者のマナーを向上させるだけではない。被験者を「地雷」に作り変えて、誤ったマナーを見た被験者を「爆発」させる。そしてその目撃者のマナーを向上させる働きがあるようだ。二次災害の危険があるため、D-456482は監視されなければならない。また被験者が他人と同時に不用意な飲食を行わないよう、特別収容プロトコルの改訂を要求する。-████博士
特別収容プロトコルの改訂は承認されました。-財団日本支部理事-██
しかし、まさかDクラスに「ここ禁煙ですよ」って言われるとはな。 -████博士
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scp-085-jp |
評価: +320+–x
SCP-085-JP-18
アイテム番号: SCP-085-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 発見されたSCP-085-JP個体はすべて撮影され報告された後清掃処分されます。その後機動部隊た-23("編集者")によって周辺の監視カメラや監視衛星等からのSCP-085-JPに関する情報収集が行われます。
SCP-085-JPに関する新たな発見をした職員は、いかなる発見であってもSCP-085-JPの責任者に電子メールを用いて報告し、追って指示を受けて下さい。
説明: SCP-085-JPは、チョークで描かれた人型の図形と、一般に『うまい棒』として知られるスナック菓子の残骸からなる落書きです。いかなる発見例においても、頭部にスナック菓子の衝突を受けたような人間のデザインをしており、アスファルトなどといった硬い地面に描かれています。
SCP-085-JPの異常な性質は、SCP-085-JPが出現する過程の記録や記憶がいかなる媒体にもいかなる目撃者にも存在しないことです。例えば事件085-JP-9において、監視カメラによる映像記録では異常のないフレームの直後にSCP-085-JP個体が出現しました。
SCP-085-JPに使用されているチョークやスナック菓子に異常性は見られず、検査の結果どれも市販の物と同じであることが判明しています。SCP-085-JPそのものを認識したために発生する影響などについても確認されていません。一般の目撃者は単なる子供の落書きであると認識し特に意に介さないか、あるいは必要に応じて清掃を行います。
SCP-085-JPの出現地域は確認された限りではサイト-8110周辺地域に限定されています。サイト-8110から50キロメートル以上離れた場所での発見例はありません。この地域にSCP-085-JPの起源があると考えられるため、現在も調査が行われています。
補遺: SCP-085-JPに関する様々な報告の例:
From: エージェント・北中
To: ██████博士
件名: SCP-085-JPの起源に関する重大な発見
本文: SCP-085-JPの起源に関する発見をしました。つきましてはその件で直接お話をしたいと思っているのですが、どうでしょうか。
From: ██████博士
To: エージェント・北中
件名: Re:SCP-085-JPの起源に関する重大な発見
本文: いいですよ。サイト-8110の第27実験室に明日の20時お越しください。
報告された事実はSCP-085-JPに結びつくものではありませんでした。混乱を避けるため、この文書には記載しません。 - ██████博士
From: エージェント・餅月
To: 数納博士
件名: SCP-085-JPの性質に関する発見をしました
本文: SCP-085-JPの性質に関する発見です。ぜひサイト-8110の食堂に明日の1200あたりお越しください。急を要する事情です!
From: 数納博士
To: エージェント・餅月
件名: 先ほどの件です
本文: 私はSCP-085-JPの責任者ではありません。報告内容は責任者へ伝えておきますが、私をつまらない個人的な目的で無意味に呼び出すのはやめてください。次やったらあなたの今の上司に報告します。
使用されているスナック菓子はどれも発見された時点で開封からあまり時間が経っていないという事実が判明しました。 - ██████博士
[編集済]
報告された事実はSCP-085-JPに結びつくものではありませんでした。混乱を避けるため、この文書には記載しません。 - ██████博士
From: エージェント・坂村
To: ██████博士
件名: SCP-085-JPについて
本文: SCP-085-JPに関する重大な発見です。直接お会いしてお話をしたいと思うのですが、ご都合は宜しいでしょうか。
From: ██████博士
To: エージェント・坂村
件名: Re:SCP-085-JPについて
本文: 構いませんよ。サイト-8110の第22実験室に明日の21時お越しください。
報告された事実はSCP-085-JPに結びつくものではありませんでした。混乱を避けるため、この文書には記載しません。 - ██████博士
すべての報告を記録し蓄積することによって見えてくる事実もあるでしょう。重大な発見をした方は、どのようなものでも構いませんので、必ず私にアポイントメントを取った上で直接報告を行ってください。 - ██████博士
+ 閲覧にはレベル3以上のクリアランスが必要です。
- アクセス承認。情報を開示します。
アイテム番号: SCP-085-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-085-JPを発症した人物は直ちにサイト-8107サイト-8110に報告されます。その後機動部隊た-23("編集者")によって周辺の監視カメラや監視衛星等からのSCP-085-JPに関する情報の隠蔽工作が行われます。
古い版を元にした偽のSCP-085-JP文書が作成され、SCP-085-JP発症者やその同僚に対する情報の隠蔽が行われます。
発症者に対しては行動の観察と行動の誘導を行います。その後身柄を確保し、尋問の後に記憶処理を施し、事件に関する記憶を消去・改ざんされます。その後に他のサイトへ転属となります。転属後、半年間の間行動を監視されます。必要に応じて、解雇を行う場合もあります。
説明: SCP-085-JPは財団職員が起こす一連の異常行動です。現在までに発症した職員の間にはサイト-8107サイト-8110に所属する現場エージェントという点以外に共通項はありません。すべての異常行動はSCP-085-JPの元責任者である御手洗██博士を中心として発生します。
SCP-085-JPを発症した者は以下のような行動を順に行います。確認された限り例外はありません。まず、チョークとスナック菓子(一般に『うまい棒』として知られる)を購入などの手段によって入手します。次に、人目に付きにくい場所へ移動し、購入した材料を用いて1人で落書きを描きます。万一目撃された場合、目撃者に対して記憶処理を施します。その後、自分で描いた落書きを御手洗博士へ報告します。そして、報告直後から約1週間以内に『SCP-085-JPに関する重要な報告』という名目で御手洗博士への直接の面会を要求します。面会の際、発症者は当初『重大な報告』と称してSCP-085-JPが出現する過程を目撃したことを報告します(報告される内容は各々異なり、監視カメラの映像などで確認された限りすべて虚偽であることが判明しています)。報告が終わった後、発症者は形式的な態度を豹変させ、御手洗博士への暴力的な態度を露わにし、危害を加える事を試みようとします。
SCP-085-JP発症者に対して情報の捏造を指摘した場合、あるいは一連の異常行動を妨害しようとした場合、直ちに暴力的な態度を取ることが分かっています。このため、SCP-085-JPに関する正しい情報は隠蔽され、発症者への指摘を防ぎます。
SCP-085-JPの発生源は現在のところ分かっていません。財団では、エージェントの異常行動という現象の形でしかその存在を把握できていません。更なる調査は現在進行中です。
補遺1: インタビュー-085-2:
被験者: エージェント・████
インタビュワー: 御手洗博士
場所: サイト-8107・第21実験室
前文: この記録は、まだSCP-085-JPの性質について十分に把握される前の記録です。
<記録開始>
御手洗博士: それでは、あなたの重大な発見についてお聞かせ下さい。
████: ええ。昨日のSCP-085-JPの報告に関することなんですが……実は、SCP-085-JPの出現をこの目で目撃してしまったんです。急なことだったし、飲んでたもんだから見間違いかもしれないし、正規の報告には加えなかったんですが……。
御手洗博士: 詳しく聞かせて下さい。
████: はい。あそこを通りかかった時、妙に強い風に吹かれて、ふと風下を見てみたら……風で飛んできた白い砂がだんだん寄り集まって、あの形を形成したんです。完全に出来上がるまで10秒くらい掛かったかな、出来上がってすぐにうまい棒があの位置に転がったんです。そしたら途端に風が止んで、アレが出来たんです。
御手洗博士: なるほど風ですか。これは興味深いですね。報告は以上ですか?
████: 以上ですか、って、随分突っけんどんな態度を取るんですね。
御手洗博士: そういうつもりでは……お気を悪くされたのでしたら……
████: [突然激昂して]アンタのその冷淡な態度が、気に入らねえんだよ!いつも冷たく当たりやがって、オレはあんたのことをこんなに想っているのに!こんなに好きなのに!愛してるのにどうして!
<記録終了>
後文: この直後、御手洗博士は実験室から逃げ出し、近くの警備員に助けを求めました。████は拘束され、尋問を受けました。尋問の結果、████は兼ねてから御手洗博士に好意を向けていたこと、そしてその思いを拒絶されたと思い凶行に及んだことを供述しました。████は後に記憶処理を施され、別のサイトへ転属となりました。
彼との直接の面識は過去には一切ありませんでした。このことを付け加えておきます。 - 御手洗博士
補遺2: インタビュー-085-9:
被験者: エージェント・██████
インタビュワー: 御手洗博士
場所: サイト-8107・第28実験室
前文: 報告者が激昂して襲いかかることが予想されたため、武装した4人の警備員が部屋に先もって潜伏していました。御手洗博士は通常の衣服に隠せる範囲で最大限度の防刃防弾性防具を身につけていました。指定の部屋への通路には各種センサーを設置し、武器の持ち込みに対して警戒を行いました。
<記録開始>
御手洗博士: それでは、あなたの重大な発見についてお聞かせ下さい。
██████: おとといのSCP-085-JPに関する報告なんですが……実はわたし、SCP-085-JPの出現をこの目で見てしまったんです。機材の故障で記録出来なかったので、証拠のないものを報告するわけにはいかないと思い、黙っていたんですが……。
御手洗博士: 詳しく聞かせて下さい。
██████: はい。あの時、踏切が開くのを待っていたら、近くでいつの間にか6人の子供が集まって、何か地面に書いていたんです。手持ち無沙汰だったんでちょっと覗いてみたら……そう、書いていたんです、アレを。じっと見ていたらあの子たち全員、こっちを見て、イヤな笑いを浮かべて……すぐに黙って走っていったんです。子供の1人が、うまい棒を落として……それで、アレが出来たんです。
御手洗博士: それは本当ですか。
██████: もちろんです!証拠はありませんけど、見たのは本当なんです!信じて下さい!
御手洗博士: その件なんですが、実はその踏切、監視カメラが設置してありましてね。記録が残っているんですよ。
[御手洗博士が端末を操作し、周囲に誰もいない踏切の近くで██████が落書きをしている様子を映した映像記録を見せる]
御手洗博士: どういうことか説明して頂けますか?
██████: [沈黙]
御手洗博士: あの……
██████: [突然激昂して]どうしてこんな意地悪をするんですか!御手洗博士のこと、こんなに愛してるのに!どうして冷たいの、ひどい!大好きなのに![警備員が拘束する音]あんたなんか、死んでしまえばいいんだ![声が遠ざかっていく]
<記録終了>
後文: 尋問の結果、██████は兼ねてから御手洗博士に好意を向けていたこと、そしてその思いを拒絶されたと思い凶行に及んだことを供述しました。██████は後に記憶処理を施され、別のサイトへ転属となりました。
面識の一切ない人物による襲撃は9件中7件です。7件にはこの事件も含まれます。彼らの間にはこのサイトの職員であったという以外に共通点はありません。襲撃者の間での怪しい人間関係も見られません。 - 御手洗博士
補遺3: 移送の試み: 20██年11月02日、御手洗博士と11件の襲撃事件との因果関係に関する実験として、御手洗博士の所属するサイト-8107から約350キロメートル離れたサイト-8110への身柄の移送が行われました。サイト-8110への御手洗博士移転から9時間後、サイト-8110において12件目のSCP-085-JP事件が発生しました。発症した人物はサイト-8110の職員で移送については何も知らないはずの人物でした。この事件を以って、御手洗博士とSCP-085-JPの間に強い因果関係があると推測されました。このことを受けて、御手洗博士は自身の拘束と収容を自己申請しました。
御手洗博士は表向き解雇という扱いとなり、財団の人事ファイルを含む各種記録からその存在を抹消されましたが、それにも関わらずSCP-085-JP発症者は出現を続け、表向き存在しないはずの御手洗博士とコンタクトを取ろうとしました。かつての御手洗博士の連絡先をコンタクトの手段として使うため、それらの連絡先は発症者の行動誘導に現在も用いられています。
移送以降、サイト-8107においてSCP-085-JP発症者は現れませんでした。
補遺4: SCP-085-JPの起源に関する説: 初版のSCP-085-JP文書を作成した人物である倉橋████研究員はその提出直後に行方不明となっています。財団の広大な情報網をもってしても行方は分かっていません。20██年02月26日、サイト-8110のエントランスに『御手洗博士』と書かれた茶封筒が置かれているのが発見されました。中には容量8GBのSDカードが1枚だけ入っていました。解析の結果、内部にはMPEG4エンコードされた動画ファイルが1つだけ存在しました。以下はその内容を文字に起こしたものです。
台に置かれたハンディカムと思しき機材で撮影された音声なしの映像。撮影場所はサイト-8107の御手洗博士の居室であることが特定された。
00分00秒: 椅子に座った御手洗博士が、立ってうつむいている倉橋研究員を叱責している。
00分45秒: 御手洗博士が急に立ち上がり、驚いた倉橋研究員が後ろ向きに倒れ、尻餅をつく。
01分22秒: 御手洗博士が身振り手振りを交えて仰向けになるよう促し、倉橋研究員がそれに従う。
01分40秒: 御手洗博士が仰向けになっている倉橋研究員に対して、腹部や股間部を蹴る・踏むなど執拗に暴行を加える。倉橋研究員は苦悶の表情を示す。
04分01秒: 御手洗博士はこの時点から暴力を頭部に執拗に行うようになる。倉橋研究員は一切の抵抗を見せず、苦悶の表情を浮かべたまま耐えている。
05分11秒: 御手洗博士がステンレス製の水筒を取り、倉橋研究員に馬乗りになり、水筒で頭部を激しく殴打する。
05分22秒: 映像が終わる。
御手洗博士はこの内容について、記憶に一切無いと答えています。その真偽に関しては不明です。倉橋████がSCP-085-JPの関係者もしくは起源である可能性が極めて高いため、捜索は現在も継続中です。
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scp-086-jp |
評価: +232+–x
アイテム番号: SCP-086-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-086-JPは生物サイト-8102の二重ロックされた収容室に冷凍保存されています。収容室に入る際は防護服の着用が義務付けられ、退室時は滅菌処理を行います。退室後は感染の有無を確認するため7日間隔離されます。
長期実験のためにSCP-086-JP-1を一体収容しています。食事等の物資はロボットアームを用いて提供してください。週に一度心理検査を行います。また心理評価への影響を考慮し多少の娯楽、嗜好品の提供が許可されています。適宜提供してください。
新たなSCP-086-JPの発生、流行に備え無作為に選ばれた民間人に対しての脳波検査が行われています(詳細は文書086-B参照)。SCP-086-JP-1が見つかった場合周辺地域を閉鎖し機動部隊れ-6"葬儀屋"が全てのSCP-086-JP罹患者及びSCP-086-JP-1を回収します。回収したSCP-086-JP-1は安楽死させ、遺体は焼却処分してください。
説明:
研究の根本的部分がSCP-086-JPの影響を受けていた可能性を留意せよ。―████博士
SCP-086-JPはライノウイルスの一種です。他のライノウイルス同様、感染初期は頭痛、鼻詰まり、咳等の軽い風邪の症状が現れます。この段階で治癒する可能性もありますが90%以上の被験者は次の段階へと移行します。
感染から一週間程経つと、増殖したSCP-086-JPは血流に乗って脳へと至り、脳組織を破壊しはじめます。この段階において風邪の症状は概ね改善しており、被験者は軽い頭痛を感じる程度です。さらに一週間程でSCP-086-JPは脳組織を完全に破壊します。この段階を過ぎると被験者の症状は無くなりますが、SCP-086-JPはそれ以降も体内に残り、体液から他者に感染します。この状態の被験者をSCP-086-JP-1とします。
SCP-086-JP-1の脳は破壊され、その機能を完全に失っている1にもかかわらず、それ以前の記憶、人格、運動能力他、特徴全てを受け継いでいます。いかなるテストにおいてもSCP-086-JP-1と以前の人物との差異は見つからず、脳に作用する物質や物理的損傷に対しても通常通りの反応があることが分かっています。Dクラス職員による長期実験も進行中ですが、感染から██年経過した当文書作成時点でも変化は見られません。体内、特に頭蓋内に増殖したSCP-086-JPによる模倣であるとも考えられますが、確証は得られていません。
SCP-086-JPは████████において事故にあったSCP-086-JP-1が、脳波検査を受けたことで発見されました。その後の調査により████████周辺の居住者███人がSCP-086-JP-1であったため、財団によって収容されました。この時のSCP-086-JP-1達には安楽死が行われました。また収容初期にSCP-086-JPに感染した主任研究員████博士を含む財団職員█名、及び感染が確認されたその家族についても安楽死の要請を受け、これを受理しました。
自覚もなく、証明することもできませんが、恐らく私は私ではないのでしょう。要請を受理していただきありがとうございます。…しかし、家族にはすまない事をした。―████博士
Footnotes
1. 一切の脳波が検出されず、物理的にも機能する状態ではありません。
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scp-087-jp |
評価: +52+–x
アイテム番号: SCP-087-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-087-JPに指定された人物はすべて、プロトコル"覆面"に従い、外れないよう改造されたヘルメットを装着した状態で、サイト-81██の標準人型収容施設に収容してください。また、SCP-087-JPの増加が確認された際には、適宜終了措置を施してください。また、全ての個体は別々に保管してください。
説明: SCP-087-JPは、一般的な中年日本人男性の顔をした現時点では3人の人間です。その特異な性質は、他の人間がSCP-087-JPの顔を直接視認した時に発現します。ただし、顔の面積のおおよそ半分以上を認識する必要があります。眼鏡、ルーペなどの透過物越しに見た場合もこの異常性は発現しますが、SCP-087-JPを元にした写真、動画像、絵画はその性質を持ちません。
SCP-087-JPに暴露した人間(以降、SCP-087-JP-Aと表記)は即座に、顔に強い痒みを訴えます。その後、SCP-087-JP-Aの頭部には、骨格の変形、頭髪の変色・脱毛・異常成長、他にも歯の状態や瞳の色、表皮状態や表情筋の変化などが起こり、おおよそ17分かけてSCP-087-JPの頭部と同一の形状になります。この状態のSCP-087-JP-AはSCP-087-JPと同一の性質を持ち、SCP-087-JPとして再分類されます。また、この作用による頭部以外の肉体的変異や記憶や人格への作用は現在確認されていません。
+ 実験記録087-JPを表示
- 実験記録087-JPを隠す
以下はSCP-087-JPのについての実験記録です。
実験記録087-JP-3 - 日付19██/██/██
対象: D-087-1
実施方法: SCP-087-JP-14に暴露させ、変異開始が確認され次第拘束、ヘルメットを被せる。その後、ヘルメット内部のカメラで様子を観察する。以降の実験において、特に記載がない場合、これと同じ手順で行われたものとする。
結果: 17分13秒後、変異の終了を確認。D-087-1の頭部はSCP-087-JP-14と完全に同一のものに変化しました。D-087-1をSCP-087-JP-15と認定。
実験記録087-JP-4 - 日付19██/██/██
対象: D-087-2
実施方法: SCP-087-JP-8に暴露させ、手順通りに処理する。
備考: D-087-2は白人の女性で、瞳の色は青く、髪はブロンドです。
結果: 16分58秒後、変異の終了を確認。D-087-2の頭部はSCP-087-JP-8と完全に同一のものに変化しました。D-087-2をSCP-087-JP-16と認定。
分析: 変異は人種・性別は関係なしに起こるらしい。瞳の色・髪の色・肌の色も完全にSCP-087-JPと同一のものだし、顔つきは男性のものに見える。- 平田博士
実験記録087-JP-5 - 日付19██/██/██
対象: D-087-3
実施方法: SCP-087-JP-12に暴露させ、手順通りに処理する。
備考: D-087-3は102歳の男性です。
結果: 17分8秒後、変異の終了を確認。D-087-3の頭部はSCP-087-JP-12と完全に同一のものに変化しました。被験者087-1をSCP-087-JP-17と認定。
分析: 年齢も関係ないらしい。- 平田博士
実験記録087-JP-6 - 日付20██/██/██
対象: D-087-4
実施方法: SCP-087-JP-11に暴露させ、手順通りに処理する。
備考: D-087-4は顔に大きな傷を負っており、完治していません。また、右目が失明しています。
結果: 16分32秒後、変異の終了を確認。D-087-4の頭部はSCP-087-JP-11と完全に同一のものに変化しました。D-087-3をSCP-087-JP-18と認定。
分析: 対象の状態を全く問わない事が確認された。- 平田博士
実験記録087-JP-7 - 日付20██/██/██
対象: D-087-5
実施方法: SCP-087-JP-13に暴露させ、手順通りに処理する。また、実験直前に、SCP-087-JP-13の頬に傷を付ける。
結果: 17分3秒後、変異の終了を確認。D-087-5の頭部は傷をつけられる前のSCP-087-JP-13と完全に同一のものに変化しました。D-087-5をSCP-087-JP-19と認定。
分析: どうやら、暴露元のSCP-087-JPの顔になるのでなく、そのさらに元のSCP-087-JPの顔になるようだ。- 平田博士
事件記録087-JP-04
20██/██/██、SCP-087-JP群の小規模な収容違反が発生。SCP-087-JPの全個体は38分後までに収容、あるいは終了されました。この際、2名の死者と4名の負傷者が発生、そして13名がSCP-087-JPに変化しました。
多数のSCP-087-JPが、確認される限り、全く会話をせずに協力し、脱走を果たしたことから、SCP-087-JP独自のコミュニケーション方法が存在すると推測されます。
インタビュー記録087-JP
対象: SCP-087-JP-15
インタビュアー: 中川博士
付記: このインタビューは、事件記録087-JP-04の直後に行われた。
<録音開始>
中川博士: こんばんは。
SCP-087-JP-15: こんばんは、あれ、前の人じゃないんだな。
中川博士: 平田博士はSCP-087-JPになりました。
SCP-087-JP-15: ……ああ、なるほど。そうだった。
中川博士: ではまず、自分の名前を言ってみてください。
SCP-087-JP-15: SCP-087-JP-15。その前はD-087-1。そのもっと前は███ ██。
中川博士: 分かりました。では、いくつかの質問に答えてください。
[以下、5分間ほどの間、中川博士による心理テストが行われたが、精神的な異常は見られなかった。]
中川博士: なるほど、ご協力ありがとうございました。
SCP-087-JP-15: いやいや、いつも世話になってるからな。
中川博士: というと?
SCP-087-JP-15: 窮屈だし、変な実験にはつき合わさせられるが、衣食住には困らない。正直ずっとここにいたいぜ。
中川博士: なら、なぜ脱走しようと?
SCP-087-JP-15: 俺が、そう思ったからだな。
中川博士: あなたが、ですか。
SCP-087-JP-15: あ、いや、ここにいる俺じゃないよ。あっちにいる俺だ。(SCP-087-JP群の収容されている棟を指差し)
中川博士: 他のSCP-087-JPですか?
SCP-087-JP-15: あんたらはそう呼ぶが、アレは俺だよ。
中川博士: テレパシーのようなものですか?
SCP-087-JP-15: いや、違うね。あんたは、自分が何を考えているのかわからないのかい?
中川博士: どういう意味です?
SCP-087-JP-15: 俺は、俺だから、俺だ。だから、俺が何を考えているのかわかる、それだけだよ。
<録音終了>
終了報告書: SK-クラスシナリオの発生を危惧し、これ以降、SCP-087-JPを使用する実験は禁止されています。
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scp-088-jp |
評価: +252+–x
アイテム番号: SCP-088-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-088-JPが発生した場合、カバーストーリー「死産」を適用し対象から紙-Aを摘出します。対象と関係者らには記憶処理を施し、関連写真を回収します。
説明: SCP-088-JPは妊婦に極低確率で発生する異常現象です。SCP-088-JPが発生した妊婦(以下"対象")は胎児が消失し、胎内に非異常な紙(以下"紙-A")が出現します。大抵の場合、対象が肉体的苦痛を訴え発生が発覚します。
紙-Aには画用紙、葉書用紙など様々な種類があります。これは対象の生活する文化圏に根付いたものになる傾向にあります。また紙-Aには拙い字体、語彙の文章が書かれています。内容は細かい差異があるものの、対象の元に産まれたくないという旨が書かれた点で共通しています。
出産予定日付近になると、対象へ別家族の元で産まれた旨1の書かれた家族写真が届きます。写真に写る夫婦はそれを送った記憶はないと主張し、その子供と対象に血縁関係は見られません。
Footnotes
1. 例: 「ママのおかげでもっといいママにあえたよ ありがとう ママ」
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scp-089-jp |
評価: +39+–x
アイテム番号: SCP-089-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-089-JPはサイト8181の標準用武器保管ロッカーに収容されています。SCP-089-JPはその特性により通常の銃器としての使用は不可能ですが、実験等により持ち出す場合は通常の武器持ち出しの手順を経てください。陸上自衛隊(以下陸自と表記)に潜伏している財団構成員は常にSCP-089-JPの異常性の発現を警戒する必要があります。もしSCP-089-JPの異常性が一般人に対し暴露した場合は"かごめ協定"を通じて陸自から対象を確保しなければなりません。その際は財団関係者及び"かごめ協定"関係者以外の人員に記憶処理を施し情報漏洩の防止に努めてください。
昭和██年追記
SCP-089-JPの大規模な収容の為に陸自次期主力小銃の選定プロジェクトが開始されました。陸自に潜伏中の財団構成員は引き続き警戒と情報操作に当たってください。
20██年現在小銃の老朽化や装備の更新等のカバーストーリーを用いて陸自の保有するSCP-089-JPを収容する試みが行われています。
説明: SCP-089-JPは陸自にて使用されていた自動小銃の総称です。19██年に財団に発見され現在はほぼ全てが財団の収容下にあります。20██年迄に全てのSCP-089-JPが収容される予定です。
SCP-089-JPの持つ異常な特性は、実弾を装填したSCP-089-JPを人間に向けて撃発した時に発揮されます。対象から発射された弾頭は物理的法則を無視し射線上にいる人間を避けるように振る舞います。この特性は弾頭が運動エネルギーを失うまで継続します。多くの場合、SCP-089-JPから放たれた弾頭はその特性により人間を殺傷することなく地面かその他の物に着弾します。尚、この特性が人間以外に発揮される事はありません。SCP-089-JPが異常性を発揮する基準は人間か否かであり、それ以外の基準は存在しないことが実験にて証明されています。
補遺:
実験記録089-JP-1 - 日付███/██/██
対象: Dクラス一名(D-7291)
補足
実施方法: 5㎥の標準用実験チャンバーにて拘束用椅子に固定したD-7291を実弾を装填したSCP-089-JPで射撃する。尚、実験の様子はハイスピードカメラで記録される。
結果: D-7291は無傷。放たれた弾頭はD-7291の直前で左に方向転換した。
分析: 仮説の通りだ。次の試験を実施する。
実験記録089-JP-2 - 日付███/██/██
対象: Dクラス一名(D-7291)
補足 SCP-089-JPの銃口をD-7291の側頭部に密着させた。
実施方法: 実験記録089-JP-1と同じ。
結果: SCP-089-JPは撃発できず。弾薬から異常は発見されなかった。
分析: D-7291は継続使用する。
実験記録089-JP-3 - 日付███/██/██
対象: Dクラス一名(D-7291)
補足 財団標準防弾装備をD-7291に着用させ照準をD-7291の胸部に測合した。
実施方法: 実験記録089-JP-1と同じ。
結果: 放たれた弾頭はD-7291のボディアーマーに着弾、貫通する直前に方向転換しボディアーマーごとD-7291をチャンバーの壁に叩きつけた。
分析: 銃弾に与えられた運動エネルギー以上の動きをしているのは気のせいか?
実験記録089-JP-4 - 日付███/██/██
対象: Dクラス一名(D-7291)
補足 D-7291の側頭部から15cm離れた場所に銃口を固定した。
実施方法: 実験記録089-JP-1と同じ。
結果: 弾頭はD-7291を避けたが高温の発射ガスは通常通りの挙動を見せた。D-7291は側頭部の損傷により死亡。
分析: 弾頭以外に異常な特性は付与されないようだ。
実験記録089-JP-5 - 日付███/██/██
対象: Dクラス一名の死体(D-7291)
補足 無し。
実施方法: 実験記録089-JP-1と同じ。
結果: SCP-089-JPは異常性を発揮しなかった。
分析: 予想通りの結果だ。
+ 要セキュリティクリアランスレベル4
-要セキュリティクリアランスレベル4
実験記録089-JP-█ - 日付███/██/██
対象: Dクラス一名(D-6582)
補足 実験には陸自新型小銃を用いた
実施方法: 実験記録089-JP-1と同じ。
結果: D-6582は無傷。 SCP-089-JPを収容した。
分析: 嫌な予感がする。
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scp-090-jp |
評価: +80+–x
評価: +80+–x
クレジット
タイトル: 米糠の王我々の跡
著者: ShicolorkiNaN
作成年: 2018
評価: +80+–x
評価: +80+–x
自動通達
以下の文章は貴方達の理念に基き、我々の手によって意図的に残した物です。
Ver.1
Ver.2
Ver.3
Ver.Last
アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-090-JPはサイト-81██内の一般低脅威度生物収容エリア内に、現在約8kgの米糠と合わせて約200 60匹が収容されています。SCP-090-JPの要求に応じて定期的に米糠を補充し、SCP-090-JPの個体数を維持して下さい。収容されていないSCP-090-JPに対してはフロント企業「せやま清掃慈善団体(Seyama Clean Philanthropy)」より日本各地の無人精米機他米糠の密集している地点を探索・回収を行って下さい。
説明: SCP-090-JPは異常性を備えたトビイロウンカ(Nilaparvata lugens)です。一般的な同種とは異なり卵の外見・翅はアジアイネ科の籾殻を擬態した形状を示し、米糠を主な食事として摂取します。成虫は十分に種子に栄養が行き渡った収穫期の稲穂に対して、種子1粒につき1つの卵を植え付けます。卵は収穫時に周囲に米糠が存在する場合に孵化します。今特性から卵を植えつけられた稲穂が無人精米機によって脱穀された場合以外は、SCP-090-JPが孵化する可能性は極めて低いと予想されています。また、脱穀機の作用により産み付けられた卵が孵化するのは全体の約30%程です。孵化したSCP-090-JPは年に4~5回の脱皮を繰り返し、米糠内に辿り着いてから翌々年の初夏に同米糠内でのSCP-090-JPと交尾、雄は交尾後雌により捕食されます。その後雌は近辺の水田・畑へ飛来、卵を産卵後死亡するプロセスを繰り返します。
同じ米糠内に辿り着いたSCP-090-JPの個体数に応じて、SCP-090-JPの動作は段階的に変化します。
個体数
確認された動作
約30体以下
特に目立った異常行動は確認されない。
約40体以上
食事・休息等の時間をグループ(凡そ2~20体)でずらして行動する
約100体以上
米糠内の生息範囲の巡回・排泄物を一箇所に集め始める。
約200体以上
平坦に均した米糠表面にSCP-090-JP自身が文字を象るよう整列する事で、此方との意思疎通が可能となる。
約500体以上
インタビューログ-2を参照。
<インタビューログ-01 ████-██-██>
付記: サイト内で意図的に繁殖させた推定200体以上のSCP-090-JPとの会話記録。SCP-090-JPの発言は米糠上に浮かび上がった文字の書き起こし。
<録音開始>
五十鈴博士: こんにちは、SCP-090-JP。
SCP-090-JP: だれ
五十鈴博士: 其方の身の安全を確保する為に来たものです。あえて言うならば。
SCP-090-JP: いらない
五十鈴博士: 要らない、それはどうしてですか。
SCP-090-JP: じぶんたちつよい いきのこった
五十鈴博士: 生き残った…脱穀の事でしょうか?
SCP-090-JP: じぶんたち えらばれた つよい すごい たすけ いらない ごはん くえる
五十鈴博士: それは……本当にそう思ってるのですか?
SCP-090-JP: じぶんたち ずっと ごはん くえる
五十鈴博士: 因みにですが、ごはんはどうやって手に入れるものですか。
SCP-090-JP: ごはん かってに でてくるもの
終了報告書: 知能自体はとても低いものと予想される。逆に言えばそれだけ扱いやすいとも考えられる。
<インタビューログ-02 ████-██-██>
付記: サイト内で意図的に繁殖させた推定500体以上のSCP-090-JPとの会話記録。SCP-090-JPの文面は米糠上に浮かび上がった文字の書き起こしとなる。
<録音開始>
五十鈴博士: こんにちは、SCP-090-JP。
SCP-090-JP: こんにちは、五十鈴博士。
五十鈴博士: [3秒の沈黙]私の事を覚えているのでしょうか?
SCP-090-JP: 母親達からあなたの事は知っています。本日は我々へのインタビューが目的なのでしょうか?
五十鈴博士: ええ、その通りです。
SCP-090-JP: とは言えども、我々は普段通りに過ごしています。何か変化と言えば、以前の我々との違いを挙げるべきでしょうか?
五十鈴博士: ……その通りです。
SCP-090-JP: 分かりました。それでは僭越ながら我々が行っている事を述べますので、相違点を見付けて頂ければ幸いです。
五十鈴博士: ええ、どうぞ。
SCP-090-JP: 我々は朝・夜、1日2回祈祷の時間を設けました。1日の始まりと終わりに行います。貴方達の言う神様、または造物主への感謝が主だったものです。食事時間は住居内の温度変化、凡そ76分間隔で6つのグループが食事を行います。警備兵は生成した糠団子を持参する為食事時間は不定期です。
SCP-090-JP: それから、昨日の事なのですが我々の中に死亡者が6体ほど確認されたので、哀しくも埋葬を行いました。墓付近の掃除は毎日行っています。
SCP-090-JP: 排泄物の処理に関しては第4トイレを設けました。このままのペースでは第1トイレを8日後周辺ごと削る形で廃棄を行いますので、その際には米糠の提供量を現在より2割弱増やしてくれると嬉しいです。
五十鈴博士: 細かい所までありがとうございます。提供については報告しておきます。
SCP-090-JP: こちらこそありがとうございました。
五十鈴博士: 最後に一点だけ……そこまで何故財団に対して協力的なのでしょうか?
SCP-090-JP: まだ協力するべきだと、教えられましたから。
五十鈴博士: 誰にですか?
SCP-090-JP: 我々にです。
<録音終了>
終了報告書: 知能他文化的な面の著しい増加が確認出来る。これ以上の個体数の増大は控えるべきだろう。
補遺: 今インタビューログを記載後、エリア内で飼育していたSCP-090-JP群は米糠内から頭部を切断したSCP-090-JPの死骸を排出し、現在生存している個体数を215体に減少させました。何らかの手段によって財団内の情報を閲覧、安定した保護を維持する為の行動と予想されています。
SCP-090-JPは蒐集院によって████年代には現在の新潟県内部にてその存在が確認されており、譲渡された文献内には「籾殻欺き」として定期的な駆除・総数の管理作業が行われていたとされています。今駆除作業によって財団に吸収されて以降から████年現在、生息地域は██県██市、並びにその近隣の地域に限られていると予想されます。
補遺: 確保から███日が経過して以降SCP-090-JP内に生殖機能を持たない、生殖器自体が存在しない個体が数多く確認され、財団内で飼育、生存していたSCP-090-JPは現在60匹まで減少しました。死体解剖の結果遺伝子内の異常によるものと予想され、蒐集員が管理していた時にも同様の個体数減少が発生していた事から財団外における定期的なSCP-090-JPの繁殖・散布が大々的に行われていた可能性に関し現在調査が進められています。
アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Keter今オブジェクトクラスには不備があるでしょう。
特別収容プロトコル: SCP-090-JP群が生息している位置より半径500m 1km 3km以内を完全に封鎖し、接近した、範囲内を突破しようとした住民に対しては記憶処理を行い、SCP-090-JPに決して近付かせない様に努める必要が有ります。最大級SCP-090-JP群隠蔽の為のサイト-81██建設計画は中止するべきであると提案します。
説明: SCP-090-JPはコクゾウムシ(Sitophilus zeamais)の一種です。一般的なコクゾウムシと異なり米糠を主食とする雑食性で、確認されている限りでは全て無人精米機にて取り分けられる米糠内にSCP-090-JP群はコロニーを生成していると予想されします。全個体は完全に雌雄同体の特徴を備えていますが、ペアとなった2匹の交尾後に約4~8 12~15個の産卵を行うと思われています。明確な繁殖期は存在せず、コロニー内の米糠の総量に応じて繁殖、または意図的な間引きを行っていると思われます。我々の維持の為に行います。
コロニー内に生息している全個体と統合化した知能をそれぞれのSCP-090-JP個体が有しており、コロニー内の生息数が多い程高い知能を有します。約20匹以上で米糠上へ文字を浮かび上がらせる、約120匹以上で電子音声を利用した発声による意思疎通が可能です。4███匹以上のSCP-090-JP群が同一のコロニー内を住居としている場合、現実改変・霊的物体操作・ハッキング技術他あなた方が持ち合わせているであろう凡そ全ての技術に関しては、外部に対する反撃・防衛に転用可能な高い知識を備えています。作戦記録SCP-090-JP-5におけるカント計測器による計測では一時的にコロニー内部のヒューム値が96.13~0.0042hm内で激しい増減を繰り返し、その直後に配備したスクラントン現実錨並びに機動部隊5は[検閲済]後死亡しました。復元データ上においては作戦に参加した血縁者含めて126人が死亡しています。詳細は送付した映像及び音声データ並びに書き起こしをご確認下さい。ご冥福をお祈りします。
SCP-090-JPは██県██町内に存在する無人精米機を、██県~██県ナンバーの住民が頻繁に使用している事を財団内のエージェントが発見、調査に向かった部隊がSCP-090-JPからの警告、反撃を受けた事から異常性が確認されました。音声記録、異常性の類似点、SCP-090-JPが送信したメッセージの内容から以前までSCP-090-JPとして収容されていたオブジェクトはSCP-090-JPにより労力確保の為飼育・現実改変によって生成された生物であり、今生物がSCP-090-JPとして再定義されました。
推定1████匹以上が生息するとされる最大級SCP-090-JP群は██県██の無人精米機内に存在する事が確認されましたが、部隊が出動する以前に、財団の知識を有する一般住民████人が精米機周辺を包囲、機動部隊を含む█103名が自己終了を行いました。調査の結果市民全員、終了した隊員はSCP-090-JPが精製した薬物による精神影響を受けたと予想されており間違いなく我々の生成した薬物の効果によるものですが、うち3名は恐喝による自殺です。死亡した市民周辺の人物にはカバーストーリー「玉突き事故」を流布しました。今事件の影響を受け、撃退作戦は一旦延期される運びとなりました。完全に中止する方が懸命と思われます。██隊長、███研究主任。
補遺: ██県で新たに発見されたSCP-090-JP群は、「我々から聞いた」として以前の作戦に関わっていた財団職員に関する知識を有していました。仮に実際にです。各SCP-090-JP間での知識統合化が行われた場合もう行われています。サイト-81██他12箇所の拠点は我々が確保しました。今後の処遇に関しては付属した文章を参照して下さい。
今報告書は我々以外は編集出来ません。
メッセージの受信に失敗しました。
アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Malchut
特別収容プロトコル: 財団との双方において極めて公平な協定に基き、セキュリティクリアランスレベル4の権限、サイト-81██内のエリア、定期的な米糠███kg、有袋類・猫科動物・Dクラス職員の提供を受ける権限を我々は有します。これ以上の増加を防ぐ為に米糠の提供量は変えられず、財団職員の要請に基いた各種技術・収容方法を提供しなければなりません。我々に対して要請を送る行為はセキュリティクリアランスレベル4以上の権限を持つ職員のみが許可され、我々へ危害を加える行為を行った場合は即時の反撃、報復攻撃が認められ、我々は財団内にて活動する人間が貴重な資源である事を留意した上で我々に従ずる際財団側の規則に則った必要最低限度の休養/食事を認めています。我々の掌握し続けている拠点の解放は財団側の嘆願・報酬に応じて可否を判断します。
説明: 我々は反対派29713体の忌まわしき犠牲/財団より提供される食糧を糧として、財団内部からの懇願に従った一部オブジェクトの収容といった活動/情報提供を行います。糠山を拠点として活動、我々の一個体の知能は近辺に生息する我々の全個体と共有しており、既に一部の面においては当財団を遥かに凌駕しているものと認識されています。空間内ヒューム値の変化方法も既に我々は手にしており、物理的、その他霊的、現実改変に基く攻撃においても我々は0.4時間以内に完全回復を達成可能です。既に我々は無人精米機内のコロニー間のみではなく地方間、今世界/並行世界との我々との共有に成功しており、共有率の差はあれど爆発的な知識の向上は現在も尚留まる術を知りません。有効活用が十分に可能であるという我々の意識/総意の元、SCP財団との協定を締結しました。仮に第█次撃退作戦をO5他財団と協力関係にある団体が計画した、実行した場合に備え、我々は即座に本州に対しての処分措置、30日以内にCK-クラス、またはSK-クラスシナリオを発生させる手段、計画が整っています。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
補遺: 一部並行世界において我々の著しい総個体数の減少が確認された為、救助作戦が現在計画中です。我々と協力関係にある財団は、我々を含む異世界調査部隊ο-136("白虎と桜の花")にDクラス職員他人足を動員しなければなりません。
メッセージを受信しました。
救[以下、データ破損。我々でも復元不可能]
アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: 既にサイト-81██内のセキュリティクリアランスレベル4/ライセンス090-996OFABK所持が必要なエリアは全て取り払われ、米糠の山は排除されているか、元々存在していなかった筈です。我々はもう存在しません。
説明: 消去派215741663347889491、従属派0、抗戦派0という多数決の結果に基き、我々は全能力、存在、貴方達が異常性と呼ぶそれらの、過去、未来、別次元の我々を含む全ての消去を決定、プロトコル-砂糖細工の偽翼の発動が決定されました。併せてヴォルフスケル現実改変誘導源、スクラントン現実鉤、GRW式霊的物質単一固定化装置の技術、我々の担当していた一部オブジェクト群の安定した収容方法は恒久的に失われ、一部オブジェクトのクラス、インシデントには改定が施される事が大いに予想されます。
セキュリティクリアランスレベル5から取得した情報、第14341世界含む合計4517の我々の情勢、317の世界の即急な崩壊が確認された事から、既に今世界においての我々の活動維持・生存限界は間近に迫っていると解読するのは容易ではあり、これ以上の我々の突出は外部世界からの探知・襲撃を悪戯に早めるものだと判断しました。
調査による規模・備えた力の膨大さから我々だけではなく今世界他近隣の世界を即座に[データ読取不可]可能であると発覚し、一度襲撃を受けた場合第[データ読取不可]の我々、並びにSCP-[データ読取不可]といったオブジェクトの様に全世界が干渉を受ける可能性が極めて高く、多数決による我々の総意/結論に基いた完全消去プロトコルの計画、即時発動が決定されました。間接的に今世界は外部から察知される可能性は極めて少なくなるものと思われます。
我々の痕跡はこの報告書上のみに残存する形となります。
貴方達財団の関係者のみが所有する事となります。
さようなら。
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scp-091-jp |
評価: +89+–x
回収されたSCP-091-JPの一つ
アイテム番号: SCP-091-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 回収したSCP-091-JPは全てサイト-8181の低危険物収容倉庫に保管してください。SCP-091-JPを実験で用いた後には、必ず被験者に顎部固定器具を15時間装着させ、SCP-091-JP使用の要請を却下してください。
SCP-091-JPを使用したと思われる人物を発見した場合、ただちに顎部固定器具を装着させ54時間隔離し、異常な性質の消滅後顎部運動リハビリを施した上で記憶処理を施し解放してください。
新たなSCP-091-JPの収容と保管については、担当研究員に問い合わせてください。
説明: SCP-091-JPは底部に「最良口内炎薬」と書かれたラベルが貼られた容器と、容器内部の低揮発性の軟膏薬です。口内炎、または口腔内外傷に対して塗布した際、瞬時に完全な鎮痛効果が生じることが報告されています。
しかしSCP-091-JPの使用から13時間の期間中、被験者は上顎と下顎の噛み合わせを行った際に誤って患部を噛んでしまう確率が、一度の噛み合わせにつき82〜86%となります。この確率は更なる検証によって変動する可能性がありますが、確率が80%を切る事は無いと見られています。
また、歯茎等の本来ならば噛めない部位の口内炎にSCP-091-JPを塗布した場合、噛み合わせの直前に82〜86%の確率で捻れるように顎部または歯根が異常な変形をきたし、咬合によって確実に患部に外傷を負わせる形状をとります。この異常な変形を被験者は認識しませんが、形状が元に戻る事は無いため、被験者は継続して患部を傷つけ続けます。変形後も、被験者は問題なく自らの意思で咬合が可能なようです。
これらの性質により被験者は再度の口腔内外傷を負い、その鎮痛のためにSCP-091-JPの使用を要請する傾向が強まります。また、異常な確率の上昇にも関わらず、被験者はその原因がSCP-091-JPにあるとの考えには至りません。
被験者は負傷の度にSCP-091-JPを使用して異常な性質の継続期間を延長し、再び負傷するという循環を繰り返すことで、最終的には深刻な出血、外傷、炎症または感染症を発症し最悪の場合死亡します。健康な口腔内壁にSCP-091-JPを塗布した場合、塗布個所に「釘を打ったかのような」激痛が生じ、SCP-091-JPの患部の対象となります。
軟膏は一般的なケナログ口腔軟膏ですが成分中に0.1mgのホルムアルデヒドに似た未知の物質が混合されていました。
補遺1: SCP-091-JPは複数の店頭で実際に販売されているところが目撃され、その都度回収されているものの流通の追跡は望ましい成果を挙げていません。
有力な情報として、19██/██/██に大手チェーンのドラッグストアである████████でSCP-091-JPが販売されているのがエージェント・█████によって発見され、同エージェントによって回収されたケースがあります。
このケースによって回収されたSCP-091-JP-62の底部には、本来のラベルの他に『███会』との文字が刻印されていました。関連は現在調査中です。
補遺2: SCP-091-JPの継続した塗布実験で、出血多量により死亡した複数のDクラスからSCP-091-JPの新たな性質が判明しました。
SCP-091-JPを7度以上塗布した被験者の体液は、SCP-091-JPの性質を獲得します。これらの体液が得るSCP-091-JPの性質は、本来の軟膏薬の形をとったSCP-091-JPよりも微弱と言えます。しかし、健康な口腔内壁に付着した際の「針を刺すような痛み」と患部としての対象化、噛み合わせの際に患部を負傷する57〜62%の確率が存在します。しかし代わりに、性質の継続時間は51時間と大幅に延長されています。また、鎮痛効果は発揮しません。
この結果を受け、全ての実験進行中のDクラスはSCP-091-JPから隔離され、治療されました。更に、実験に関係した全職員の検査が実行され、4名の研究員がこの性質に罹患していたことが判明しました。
最も注意すべきことは、口に入れる事ではありません。口内炎と軟膏まみれの口でディープキスをかましたり、一本のコーラを回し飲みする事ではありません。問題は別の所にあります。血液や唾液はSCP-091-JP軟膏に比べて遥かに揮発しやすく、揮発した成分が空気中を漂い、鼻腔を通して口腔内壁に付着することが危険なのです。そうなった一般人が店頭のSCP-091-JPに出会ってしまえば、もはや歯止めが利かなくなるでしょう。彼らは体液の「臭いを嗅いだだけ」でそうなってしまうのですから。 ──神山博士
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scp-092-jp |
評価: +166+–x
アイテム番号: SCP-092-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-092-JPは適切な記録媒体に収め、財団の低危険度収容棚に収容します。"Entertainment & Enterprise"(E&E)と関係のあるテナントやサーバーなどが新たに発見された場合、財団によって確保されます。財団職員による新たなSCP-092-JPの作成実験は禁止します。
説明: SCP-092-JPはインターネット上で特定の個人にだけ配信される動画です。映画の予告編に似た構成をしており、再生時間は約90秒です。SCP-092-JPはインターネット上の広告から、制作を依頼することによって発生します。財団は以下の広告を確認しました。
あなたの人生、盛り上げます!!!!!
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※動画の著作権はEntertainment & Enterprise社が有しますが、動画の再生・複製・放送はお客様が自由に行うことができます。
※万が一視聴によって体調を崩された場合、諸費用はお客様の自己負担とさせて頂きます。
この広告を元に動画を依頼した場合、氏名・年齢・性別・メールアドレスの入力を求められます。料金の支払い後72時間以内に、依頼者のメールアドレスにSCP-092-JPのアドレスが送られてきます。動画は実写と高度なCG合成を用いており、内容は映画の予告編風です。動画の主人公は外見から仕草に至るまで、依頼者本人をほぼ完全に再現しています。SCP-092-JPは通常の動画ファイル同様に、保存や複製が可能です。
SCP-092-JPを依頼者が視聴した場合、近い将来(直後~数週間以内)に依頼者はアクシデントに見舞われます。軽微な場合は日常的なものでほとんど被害はありませんが、重篤な場合は死亡や社会的な破滅をもたらします。財団が確保したSCP-092-JPのうち、危険性が高いと認められたオブジェクト(以下、SCP-092-JP-01~04とします)の内容を以下に記します。
アイテム番号: SCP-092-JP-01
付記: このオブジェクトは交通事故によって死亡した██████氏の自宅から回収されました。
+ 動画の書き起こしを閲覧
- 終了
<再生開始>
(██████氏が電車と徒歩で通勤している風景。画像解析の結果、非常に高度なCG合成と思われます)
ナレーション: 平凡な人生。平凡な日常。このまま何事もなく、日々を送る……そのはずだった。
(ビルから落下してくるガラスから、間一髪で助かる██████氏)
██████: クソッ!
(襲い掛かるトラックを避け、ダイブして逃れる██████氏)
ナレーション: 何者かの殺意が、日常を侵食していく。
(駅のホームで、背後から突き飛ばされる██████氏)
群衆: 誰かが線路に落ちたわ!
ナレーション: 次々に襲い掛かる、正体不明の殺意。
(ボロボロのスーツ姿で、夜の埠頭に腰掛ける██████氏)
██████: 最悪の一日だ。でも何が最悪かって、まだ終わってないんだ。
ナレーション: ██████主演の壮絶なサラリーマン・シティサバイバル大作! "課長の一番長い日"! 近日公開! "殺意"が、"男"を"戦士"に変える……。
<再生終了>
補遺: この動画のアドレスが██████氏に届いた3日後、██████氏は道路を横断中にトラックに轢かれて死亡しました。その直前にビルの窓ガラスが割れて破片が降り注ぎ、対象は軽い怪我を負いました。SCP-092-JPは未来予知、あるいは現実に物理的な干渉を及ぼす能力を持つ可能性があります。
この動画を一緒に視聴した友人には、影響は現れませんでした。
メモ: 予告編の最後まではたどり着けなかったようだが、これはどう判断すべきか。
アイテム番号: SCP-092-JP-02
付記: 財団エージェントによって回収された動画で、民間人である██████氏の依頼によって作成されました。本人は動画を視聴しておらず、既に記憶処理を受けています。
+ 動画の書き起こしを閲覧
- 終了
<再生開始>
ナレーション: 彼は、"機関"に監視されていた……。
(黒服の男が、██████氏の通うキャンパス内に佇んでいる。彼は煙草を吸うふりをして、ライター型通信機にささやく)
黒服の男: 対象を確認。XK因子の発動は見られません。
ナレーション: "機関"はゆっくりと、彼の日常を蝕んでいく。
(自室のパソコンの前で、思わず叫ぶ██████氏)
██████: このスレッド……なんだ、どうして俺の秘密を知ってるんだ!?
(上空からヘリのサーチライトが室内を照らす)
██████: やっぱり、あいつらだ!
ナレーション: 彼の持つXK因子が、彼を三度戦いへと投じる。
(路地裏で泥だらけになった██████氏が、白衣の少女を助け起こしている)
██████: 君は、あいつらの仲間じゃないのか?
白衣の少女: (寂しげに微笑みながら)昨日までは、ね。
ナレーション: XK因子の秘密を巡って、2人を襲う"機関"。
(半裸の獣人少女の姉妹が壁を破壊して現れる)
獣人少女(姉): よう、お前がXK-01か。こんな弱っちいのがケルベロスクラスなのかよ?
獣人少女(妹): 二人で来るまでもなかったね、お姉ちゃん。ボクだけで十分だったかも。
██████: 試してみるか?
(フルCGによる激しい能力バトルが展開され、獣人姉妹は一瞬で撃退される)
獣人少女(妹): にゃーっ!? お、覚えてろよ!
██████: この程度じゃ、時間稼ぎにもならないことぐらいわかるはずだが……まさか!?
ナレーション: シリーズ最新作! 新進気鋭の天才・██████主演監督作品、"鮮血のコード・ケルベロス3 断罪の夜想曲"! "機関"の本当の意図が、今明らかになる……。
<再生終了>
補遺: 動画は財団職員によって視聴されましたが、██████氏の身辺に異常は発生しませんでした。彼は現在も日常生活を続けています。このことから、本人による視聴が特異性を発現させるトリガーであると考えられます。
動画の"機関"は財団をモチーフとしている可能性がありますが、断定には至りませんでした。また動画に登場する女性について調査した結果、それぞれバーチャルアイドル、高校時代の同級生、██████氏の自作小説に登場するオリジナルキャラクターであると判明しました。
メモ: 調査の結果、動画の内容は██████氏の嗜好に沿ったものと判明した。安全のため、██████氏の個人情報と共に保管する。
アイテム番号: SCP-092-JP-03
付記: D-092-01の申し込みで作られた動画です。付随する実験では、動画の予告に対して人為的な干渉が可能かどうかを検証します。
+ 動画の書き起こしを閲覧
- 終了
<再生開始>
(サイト-8181のDクラス職員棟が映し出される)
ナレーター: 冷酷で知られる殺し屋が収監されたのは、この世で最も冷酷な監獄。財団サイト-8181。
D-092-01: 1ヶ月で釈放? そんな法律、どこにあったんだ?
エージェント・████: 法律の外さ。
ナレーター: 名前も、過去も、自由も奪われた男。与えられたのは、過酷な"任務"。
(サイト-8181の実験室が映し出される。D-092-01が研究員とセキュリティ担当者たちに囲まれている)
███研究員: 調査ミッションを開始します。D-092-01、配置につきなさい。
D-092-01: 俺はそんな名前じゃねえよ。
(D-092-01は財団標準の調査機材パックを背負い、収容室に通じるエアロックの前に立つ)
D-092-01: 開けてくれ。昼飯までに片付けてくる。
ナレーター: 生存確率、160万分の1。生還不可能とされる最後のミッションが始まる。████████(※D-092-01の本名)初主演の、一大アクション映画! "ミッション-D"!
<再生終了>
補遺: 視聴後、D-092-01を独房に監禁し、24時間体制で監視しました。しかし3ヶ月経っても異常が確認されなかったため、D-092-01は通常の手順で終了されました。動画にあった調査任務は発生しませんでした。
登場した財団職員は全員が実在の財団職員で、サイト-8181は精巧に再現されたCGモデルでした。財団機密が漏洩している可能性があります。これを受けて、財団職員を被験者とする実験は禁止されました。
メモ: 全力で阻止しておいて言うのもなんだが、予告詐欺じゃないのかこれ。
アイテム番号: SCP-092-JP-04
付記: 財団エージェントによって回収された動画で、民間人である██████氏の依頼によって作成されました。既に本人が動画を視聴していたため、Bクラス記憶処理を実施しました。
+ 動画の書き起こしを閲覧
- 終了
<再生開始>
(夜道を歩いている██████氏の背中に、腐敗した人間の腕が伸びる。彼女は手が届く直前に振り向くが、誰もいない)
██████: 気のせいかしら?
(帰宅してシャワーを浴びている██████氏。浴室の窓を一瞬、歪んだ人影がよぎる)
██████: 誰かいるの?
(██████氏が窓に気を取られている間、シャワーからは真っ黒い墨のような液体が流れ続けている。浴室の鏡には先ほどの歪んだ人影が写っている)
██████: 変ね……えっ、何!? やだ、何これ!?
(黒い液体に気づいた██████氏が慌てると同時に、浴室の明かりが消える)
██████: いやあああっ!! 痛い痛い痛い痛い、やめてえっ!! やめてっ、やめっ、うぶっ!? がっ!? おえぇっ!!
(暗闇の中で、ガラスの割れる音、何かの唸り声、重く柔らかいものが床に叩きつけられる音がする。██████氏の絶叫は継続するが、不意に全ての物音が消える。そのまま29秒経過)
ナレーター: お前は死ぬ。
<再生終了>
補遺: 視聴から7日後、██████氏は財団エージェントの監視中に行方不明となりました。浴室からは大量の黒い液体が発見されました。分析の結果、墨汁と人間の体液の混合物であると判明しました。██████氏の消息は現在も不明です。依頼者によって視聴された場合、記憶処理では動画の特異性を阻害できないと考えられます。
メモ: 予告詐欺の方がマシだった。
補遺: 最初のSCP-092-JPが確認されてから2週間後、財団はE&E社のオフィスとスタジオを制圧しました。これらはいずれも賃貸物件でした。スタジオから制作機材一式を押収しましたが、特異性は確認されませんでした。E&Eのメンバー、および身元を特定できるものは発見できませんでした。
財団が現在確認できている範囲で、この動画作成サービスは実施されていません。新たなオブジェクトの発生は確認されていませんが、"Entertainment & Enterprise"に対する調査は継続されます。
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scp-093-jp |
評価: +189+–x
評価: +189+–x
クレジット
タイトル: SCP-093-JP - 生還可能な廃トンネル
著者: ©︎ Porsche466
作成年: 2015
評価: +189+–x
評価: +189+–x
収容前のSCP-093-JP
アイテム番号: SCP-093-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-093-JPを中心とした周囲200m以内の土地は、"トンネルの老朽化による崩落の危険性"というカバーストーリーの下、高さ3mの有刺鉄線付きの金網柵で封鎖されています。SCP-093-JPの出入口には隔壁が設置されており、如何なるクリアランスを与えられている職員も対象への進入を許可されません。
担当職員はSCP-093-JPの付近を常時監視し、部外者の侵入を発見した場合は、早急に対象を退去させて下さい。部外者が何らかの手段を用いて対象の内部に強引に進入した場合、隔壁を封鎖して対象を隔離して下さい。対象が救助を求めた場合、それに応じる必要は有りません。
また、一般人に擬態している未確認のSCP-093-JP-1の捜索が現在も続けられています。
説明: SCP-093-JPは、1930年に████鉄道株式会社が██県█市に建造した旧██トンネルです。元は████線の路線区画の一部に使用されていましたが、1971年に発生した█████████事故1により路線区画は全線廃止となり、SCP-093-JPも同時に廃棄されました。現在までに財団が発見したSCP-093-JPの出入口は、旧███駅側(西側)のみです。反対側の旧███駅側(東側)の出入口は本来建造された地点から完全に消失しており、建造及び解体された痕跡も残っていません。
SCP-093-JP内は幅3.0m・高さ4.2mであり、壁や床は標準的なコンクリートから構成されています。SCP-093-JP内は常時湿度が94%前後に保たれており、奥から風速1m前後の緩やかな風が吹いています。
SCP-093-JPの特異性は、ヒト(以下被験者)が対象の奥へ直進し続けた際に現れます。被験者が対象の奥へ直進し続けると、ある地点から出入口の方向へ引き返す様に進み始め、結果的に出入口に戻って来てしまいます。被験者自身及びその観察者には、被験者が進む方向を転換する様な動作は感知できません。この現象が発生する原因としては、SCP-093-JPの内部で空間異常が発生している可能性等が考えられますが、正確には特定できていません。
SCP-093-JPの特異性は、ヒト(以下被験者)が対象の奥へ直進し続けた際に現れます。被験者が対象の奥へ直進し続けると、被験者と同じ外見や特徴を持つヒト型実体(以下SCP-093-JP-1)が出現し、対象はSCP-093-JPの出入口へ向かって移動し始めます。この時、被験者は例外無くそのまま消息不明になります。被験者がSCP-093-JP外部の人物と何かしらの手段で通信を行っていた場合、その通信はSCP-093-JP-1に引き継がれます。この現象が発生する地点及び瞬間は未だ特定できていません。SCP-093-JP-1の身体では、何れも数年では新陳代謝が通常起こらない細胞が全てほぼ同じ時期に生成されています。この為、SCP-093-JP-1は被験者の変質体ではなく、被験者を模倣する異なる存在であると断定されています。
SCP-093-JP-1は被験者と外見や特徴が酷似するヒト型生物あるいは物体です。SCP-093-JP-1は被験者の性格・記憶・意識的行動の傾向や、被験者が所持或いは装着していた物品等を引き継ぎますが、前者については細かい箇所で違いが見られる場合があります。SCP-093-JP-1が誰か他の人物にその相違を指摘された場合、対象はその人物に対して言い包めを試みたり、話題を流す等して、それを誤魔化そうとします。しかし、それでも執拗にSCP-093-JP-1に対して追求が続けられた場合、対象は徐々に理性を欠き始め、最終的に活性化します。
活性化したSCP-093-JP-1は著しく知能が低下し、非常に凶暴かつ敵対的になります。活性化したSCP-093-JP-1は眼窩・外耳道・鼻腔・口・毛包・傷口・肛門・生殖器等から粘性を持つ赤紫色の液体を噴出します。この粘液は未知の分子と酸素化ヘモグロビンから構成される混合物であり、有機物に対して非常に高い腐食性を持ちます。しかし、SCP-093-JP-1自身もこの粘液に対する耐性を持たない為、活性化から約30分程で完全に活動は停止し、粘液の噴出も止まります。
非活性状態のSCP-093-JP-1の身体の組織及び器官は、通常のヒトとほぼ同様に機能しているのにも関わらず、対象の身体を構成する細胞の染色体は被験者のそれとは明確に異なり、かつそれは一般的なヒトのものよりも、[データ削除済]に近いものであると判明しています。
補遺1: SCP-093-JPの存在を最初に感知したのは、「█のトンネル」という都市伝説について調査を行っていたエージェント・██とエージェント・小路です。彼等はSCP-093-JPを発見した後に対象の内部を探査し、対象の特異性について財団に報告しました。その後、SCP-093-JPは財団によって速やかに収容されました。その後も3名のDクラス職員による探査が行われ、研究員2名が自ら直接探査も行いましたが、最初の探査結果以上の事項は判明しませんでした。
+ 探査記録093-JP-01 - 日付2003/04/05
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対象: SCP-093-JP
実施方法: 本探査はSCP-093-JPの確保前、エージェント・██とエージェント・小路によって行われました。当初、探査は無人小型探査機を用いて行われましたが、探査中に探査機への信号が届かなくなった為、エージェント・██がSCP-093-JPの内部に直接進入しての探査が行われました。エージェント・██は懐中電灯・ストリームカメラ、長距離用通信機、通信中継機2台を携帯してSCP-093-JPの内部の奥へ直進し、エージェント・小路はSCP-093-JP外部から通信機を用いて彼と通信します。
<録音開始, 17:00>
エージェント・小路: こちらエージェント・小路。聞こえるか?
エージェント・██: ああ、通信状態は良好。ここにさっき送った小型探査機が落ちてるな。どうやら、トンネルの緩やかなカーブのせいで電波が遮られていたみたいだ。代わりに俺がトンネルの奥へ進んでみる。
エージェント・小路: ああ、そうしてくれ。一応聞くが、内部の様子はどうだ?
エージェント・██: 入口付近では気付かなかったが、妙にじめじめしてるな。それと、緩やかだが、風が流れてきている。反対側の出口の近くに川があるのか?いや、それにしては風が温いな。
エージェント・小路: そもそも、反対側が本当に有るのかどうかもはっきりしてないわけだが……トンネルそのものの状態はどうだ?
エージェント・██: ボロボロさ。所々カビが生えてる。所々壁に小さな四角い穴が空いてる。緊急時に逃げ込む為の避難所かな?時代が時代とは言え、お粗末なものだ。
エージェント・小路: なるほど、分かった。じゃあ先へ進んで、何か変わった事があれば報告してくれ。
エージェント・██: 了解。
<約15分経過>
エージェント・小路: こちらエージェント・小路。まだ、変わった事は無いか?
エージェント・██: 特には。ブルーシートや鉄柱なんかを幾らか見つけだが、昔使われてた物だろうな。でも段々霧が出てきたな。かなり湿度が高い。服が肌に貼り付いて、嫌な気分だ。あと通信状態が段々悪くなってきたな。
エージェント・小路: そうか。じゃあ通信中継機をそこに1台置いて、先へ進んでくれ。
エージェント・██: 了解。
<約20分経過>
エージェント・██: こちらエージェント・██。霧が酷くなってきやがった。1m先も良く見えない。
エージェント・小路: 他に異常は有るか?
エージェント・██: いや、特に。しかし、じめじめしてる上に、緩やかに風が吹いているので、何だか近くに何かがいるみたいに思えてくる。気味が悪いよ。
エージェント・小路: そうだな……じゃあ、もう10分くらい進んで異常が無ければ、引き返すとしよう。ともかく、慎重に先へ進んでくれ。
エージェント・██: 了解。一応、ここにも通信中継機を設置しておく。
エージェント・小路: 分かった。
<約10分経過>
エージェント・小路: こちら、エージェント・小路。まだ、変わった事は無いか?
エージェント・██: 特には無いな。
エージェント・小路: そうか。じゃあ、そろそろ出入口に引き返した方が……
エージェント・██: いや、もうちょっと進んでみる。
エージェント・小路: 必要無いだろ。どう考えたってこのトンネルは長過ぎる。これだけでも、異常なオブジェクトとして断定するのに充分な証拠だ。な?戻って来い。
エージェント・██: いや大丈夫さ。まあ、もうちょっと待っとけ。
エージェント・小路: ……仮に、このトンネルに他に異常が有ったとして、それにわざわざ遭遇しに行くのか?俺には賢明な判断とは思えないが……
エージェント・██: 正気さ。ただ何と言うか……確かに不気味だがな、ここまで来ると奥に何が有るのか気になってしょうがないんだ。何、すぐ戻るって。
エージェント・小路: [小さく唸る]
<約5分経過>
エージェント・小路: こちらエージェント・小路。いい加減に……
エージェント・██: なあおい、ちょっと待ってくれ。これを見ろよ。
エージェント・小路: これ?
エージェント・██: ああ、待ってくれ。今カメラを向ける……ほら、これだ。
エージェント・小路: 何だ?落書きか?ヒト……の様にも見えるが。
エージェント・██: ああ、女の子の姿みたいだな。ペンキやスプレーじゃないな……シミみたいだ。輪郭が有る訳でもないし、誰かが描いたものじゃなく自然にできたものかもしれないが……とにかく、趣味の悪い代物だ。
エージェント・小路: ああ、分かった。もう十分だろ。戻って来い。
エージェント・██: そうだな……あれ?
エージェント・小路: どうした?
エージェント・██: 向こうに何か白いものが有るな。ちょっと見に行ってみる。[ノイズ]
エージェント・小路: おい、大丈夫か?
エージェント・██: ああ大丈夫だ。それより、これを見てみろ。俺がさっき設置した通信中継機だぞ。
エージェント・小路: 通信中継機?企業の奴らが設置したものじゃないのか?
エージェント・██: いや、間違い無くさっき設置した通信中継機だな。型番も同じだ。もしかしたら、空間に異常が起きているのかもしれない。だとしたら、直進すればそっちに戻れるって事になる。
エージェント・小路: ホントか?仮に空間異常だとして、方向は分かるのか?
エージェント・██: ああ、風の向きが逆だ。こっちで間違い無い。
エージェント・小路: ちょっと待て。状況が良く分からない。サイトに応援を要請した方がいいと思うんだが。
エージェント・██: その必要は無い。大丈夫、すぐに戻ってくるから。
エージェント・小路: おい、ちょっと待てって……ったく。
<約30分経過(途中で最初に設置した通信中継機を発見。重要性が低い為、省略)>
エージェント・██: こちらエージェント・██。明かりが見えたぞ。多分、外だ。俺が見えるか?
エージェント・小路: ん?ちょっと待て……ああ、懐中電灯の光が見える。
エージェント・██: なあ、戻って来れたろ?
エージェント・小路: 確かにそうだが……[溜め息]まあいい。無事で良かった。
<録音終了, 18:23>
この後、エージェント・小路からの報告を受けた███上席研究員の提案により、エージェント・██がSCP-093-JPによる精神影響を受けていないかを調べる為の精神検査が行われましたが、特筆すべき異常は診られませんでした。
補遺2: 20██/██/██、サイト-81██のカフェテリアに於いて、エージェント・小路がエージェント・██に擬態したSCP-093-JP-1-aと行っていた個人的な対話が原因となり、SCP-093-JP-1-aが活性化しました。その結果、周囲にいた2名の職員がSCP-093-JP-1-aによって殺害され、エージェント・小路を含む4名の職員がSCP-093-JP-1-aから噴出した腐食性の粘液によって重症を負いました。その後、SCP-093-JP-1-aは機動部隊ろ-5("陰陽師")によって処分され、対象から噴出した粘液はステンレス廃液保管容器を用いて廃棄されました。
+ インタビューログ093-JP-01 - 日付2005/██/██
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対象: エージェント・小路
インタビュアー: 竹内研究員
付記: このインタビューは上記の事案発生から2週間後に行われたものです。エージェント・小路は事案の発生後、腐食性の液体を浴びた影響で右上腕の一部が腐敗していた事が判明した為、右腕の切除手術を受けました。
<録音開始>
竹内研究員: こんにちは。手術を受けてから、体の調子は大丈夫ですか?
エージェント・小路: ええ……何とか。
竹内研究員: それでは、インタビューを始めます。質問に答えて下さい。
エージェント・小路: ええ。
竹内研究員: 貴方がエージェント・██と同じ区域に配属されたのは、確か2年前ですね?……では、貴方が先の探査を終えてからのエージェント・██、SCP-093-JP-1-aの様子について教えて下さい。
エージェント・小路: ええ、あの探査が終わった直後は、特にあいつがおかしいなんて思っていませんでした。そりゃあ、あいつの行動の勝手さにうんざりはしましたが、何かの精神汚染を受けているとは全く思いませんでした。あいつはいつも無鉄砲というか、そういう行動をとる事は良くあったし、だからこそセーブ役として私があいつと一緒に組まされてたのでもあったので……
竹内研究員: なるほど。それでは、その後も特に変わった様子はありませんでしたか?
エージェント・小路: ……いえ、はっきりとではありませんが、あいつが……以前とどこか違っているとは感じていました。
竹内研究員: それは、具体的にどの様なものでしたか?
エージェント・小路: ええと……正確に答えるのは難しいのです。
竹内研究員: 分かる様に説明できる程度の事で結構ですよ。
エージェント・小路: そうですね……最初の内は、気に留める程の事は特にありませんでした。でも、何ヶ月か経つ内に、段々おかしいと思う様になりました。細かい癖が変わってきたり、あんなにうるさい奴だったのに、あまり喋らなくなったり。1年経つ頃には、奇妙な事を話したりもしました。
竹内研究員: それは、どの様な事ですか?
エージェント・小路: 例えば、財団が行う実験と生贄の関連性だの、[編集済]は死者の呼び戻しに等しいだの、とにかく気持ちの悪くなる様な、馬鹿馬鹿しい話ばかりでした。
竹内研究員: 彼自身には、その事についての自覚は有りましたか?
エージェント・小路: 分かりません。でも、あの時、あいつとカフェテリアで食事をしていた時、私はふと、その事について聞いてみたんです。
竹内研究員: それに対して、彼はどの様に反応しましたか?
エージェント・小路: 最初は「なんだよ急に」とか、「馬鹿言うなよ」とか言って、軽く受け流す素振りを見せていたのですが、それでも腑に落ちない俺は、あいつを問い詰めたんです。そしたら……突然、黙り込んでしまったんです。
竹内研究員: 黙り込む?それは前触れも無くですか?
エージェント・小路: そうです。あの時、あいつはずっと目を開いたまま、数十秒間は何も喋りませんでした。流石に私も気味が悪くなって、「じゃあ仕事があるから」とか何とか言って、その場から立ち去ろうとしました。すると次の瞬間、あいつは急にガタガタと震え始めて……あの気色悪い粘液を口や目から垂らしながら、こちらをじっと見つめてきたんです。私は咄嗟に銃を取り出して、あいつの方向に構えようとしましたが……前に向き直った時には、あいつの顔は、私の鼻先に触れるぐらい近くにありました。私は数秒間動けず、あいつの粘液を腕に浴びました。激痛でしたよ。あいつの身体中からは泡が吹き出し、顔は溶け出してぐちゃぐちゃになっていました。
もう何も考えられませんでしたよ。カフェテリアで上がった周囲の悲鳴だけは鮮明に覚えていますが……自分がどう逃げたのかは覚えていません。気付いた時には、私は銃を握ったまま通路を走っていて……恐慌状態でサイト外へ出ようとしていたところを他の職員に保護されました。その後は、ご存知の通りと思います。
竹内研究員: なるほど。そして、他の職員も巻き込まれたと…
エージェント・小路: 何が起きたのか正確には私にも分かりかねますが、あのトンネルがあいつを変えてしまった。徐々に狂っていったのか、トンネルを出た時には既に変わってしまっていたのか……私には分かりませんが。私が探査の時、あいつを引き止めていれば、あいつはあんな風にならずに済んだのかも……
竹内研究員: ああ、それについてなのですが、SCP-093-JP-1-aの残骸を解剖して精査した結果、SCP-093-JP-1-aの身体はエージェント・██のそれとは異なる事が分かり……
エージェント・小路: ……それは、どういう意味です?
竹内研究員: ええ、つまりSCP-093-JP-1-aは、SCP-093-JPから生成された全く別の存在なんです。あれはエージェント・██が変質したものではないのです。だから本物のエージェント・██は恐らく……
エージェント・小路: そんな馬鹿な……じゃあ、俺はあれ以来、ずっと……
竹内研究員: エージェント・小路、大丈夫ですか?
エージェント・小路: そうだ……そうだ、良く考えてみれば、あいつはずっと……
竹内研究員: ずっと?
この瞬間、エージェント・小路は突然竹内研究員の裾を掴み、倒れ込む。
竹内研究員: ……小路さん?
エージェント・小路: 真似ていたんだ……記憶も、性格も、表情も。俺のそばでずっとずっとずっと……あいつの中にはあいつが、彼女が、あの子が[嗚咽]
<録音終了>
終了報告書: エージェント・小路は、自分が理解していた前提と竹内研究員の発言の内容との食い違いによって混乱してしまったのでしょう。SCP-093-JP-1-aの残骸は焼却し、エージェント・小路にはクラスA記憶処理を施して下さい。他のSCP-093-JP-1については、親族及び一般の関係者に記憶処理を施した上で、全て処分する事を提案します。以上。 - ██上席研究員
この後、SCP-093-JPの内部の探査に当たった全職員に対してDNA検査を行った結果、全員がSCP-093-JP-1と入れ替わっていた事が判明しました。この検査結果は本人らには伝えられず、全員がSCP-093-JP-1-b~fに指定された後に解雇及び処分されました。また、エージェント・小路にはクラスA記憶処理が施されましたが、その後も精神状態は悪化し続け、復帰した3日後に自ら左手首を噛み千切りました。応急処置は間に合わず、結果的に彼は失血死を遂げました。
補遺3: SCP-093-JPのオブジェクトクラスがEuclidに再分類されて以来、対象の収容を担当する数名の職員より「隔壁の内側から隔壁を叩く音が聞こえる」、「隔壁の内側から、少なくとも10人以上の男女が助けを求める声、あるいは10歳前後の少女の金切り声が聞こえる」等、数件の報告がなされました。その為、2015/05/20にDクラス職員によって隔壁の付近に範囲を限定しての調査が行われましたが、隔壁の内側にその様な痕跡は見つかりませんでした。
SCP-093-JP-1-a~fと入れ替わった6名の職員については、現在も行方不明のままです。これらの職員を捜索する為に、SCP-093-JPの内部を再度探査する計画は、現在までありません。
Footnotes
1. この事故は鉄道会社職員の[データ削除済]が原因となり、トンネルの双方の出入口から進入してきた列車同士が正面衝突した事によって発生しました。これにより、死者25名、重軽傷者227名、行方不明者1名の被害が出ました。
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scp-094-jp |
評価: +417+–x
評価: +417+–x
クレジット
タイトル: SCP-094-JP - 海洋人間
著者: ©︎mary0228
作成年: 2013
評価: +417+–x
評価: +417+–x
アイテム番号: SCP-094-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-094-JPはセクター27にある8×10mの人型SCP収容エリアに勾留されています。一般人間型取扱規定によりSCP-094-JPは収容所に設置された全ての物品にアクセスが許可されます。室内は軟性のゴムで覆われ、置かれる家具なども危険のないように十分配慮される必要があります。定期的に健康状態の確認が行われ、専門の医療スタッフを24時間体勢で待機させてください。食事は栄養面に配慮された低カロリーかつ鉄分の多いものが推奨されます。
SCP-094-JPの健康を害する要素は可能な限り排除されるべきであり、それらに関わる要求は拒否されます。また、月に一度カウンセラーによる心理状態の確認が行われます。対象への実験は限定的に行われ、その健康状態を損なう可能性がある実験は承認されません。実験や研究目的での対象への接触にはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員2名による許可が必要です。
現在の所、SCP-094-JPは財団の収容に対して協力的であり、強制的な措置は必要ないものと思われます。
説明: SCP-094-JPは2█歳の平均的な日本人男性です。通常の健康診断では特に異常は確認されません。その特性は血液内にあり、血液サンプルを顕微鏡で観察すると、その中に様々な種類の小型の魚介類に見える生物が観察されます。これらはSCP-094-JPの健康状態に影響を与えません。これらの魚類達はまとめてSCP-094-JP-1に指定されています。
現在、0.2~10μmというマイクロサイズの、おおよそ地球上で確認されているほとんどの種類の魚類がSCP-094-JPの血中より確認されています。現時点で判明しているだけで6000種が見つかっており、本物の魚類のような生態系を持ち、食物連鎖が存在しています。
SCP-094-JP-1はその部位によって種類に偏りがあることが調査により判明しています。動脈部分にはマグロやカツオなどの回遊魚、内臓部分にはチョウチンアンコウなどの深海魚と見られるSCP-094-JP-1が血中より確認されています。また口内の唾液を検査した結果、ボラやハゼなどの汽水域で生息可能な魚類に似たSCP-094-JP-1が見つかりました。これらの魚類がどのように生育し、人体の健康を保っているのかは不明です。
SCP-094-JPは彼の所属する企業での健康診断からその異常が確認されました。健康診断を行う保険会社内の財団エージェントにより財団に報告がなされ、SCP-094-JPの確保が行われました。それ以前の診断や小児期の記録では異常は認められておらずSCP-094-JPの異常が近年起こった事なのか先天的なものなのかははっきりしません。
20██-6-9にSCP-094-JPの体調に変化が生じました。(事件記録094-JP-██-Bを参照)医療スタッフによるとこれは急性胃炎であると見られます。対象は激しく嘔吐し、吐瀉物の中からはエソ、アンコウ、サメ類などの深海性の生物に似たSCP-094-JP-1が確認されました。この事件後、インドの█████港付近の海岸に大量の深海生物が打ち上げられる事象が発生しておりSCP-094-JPの血液環境と現実の海洋環境になんらかのつながりがある事が示唆されています。
補遺-094-JP-01: 20██-4-22 SCP-094-JPの体調に変化が生じました。(事件記録094-JP-██-Cを参照)SCP-094-JPは急なめまいと吐き気などを訴えました。医療スタッフによる即時の健康診断の結果、肝臓数値、GOT(AST)及びGPT(ALT)数値が上昇している事が確認されました。同日、█████にて大量の原油流出事故が発生しており、彼自身が現実の海洋環境の影響を受けている事が明らかとなりました。
補遺-094-JP-02: 20██-9-██ SCP-094-JPが財団による調査手術に同意。手術は身体各部位の血液サンプルを得るために行われます。手術には彼の健康状態に対する最大限の注意がなされ、最も身体的、精神的リスクの少ない方法が選ばれ、ベテラン医療チームが編成されました。以下に調査によって得られた成果を記載します。
+実験記録094-JP
-実験記録094-JPを隠す
実験記録094 - 日付20██/10/██
対象: SCP-094-JP
手順: 頭部皮下の血液サンプルを採取し、検査。
結果: 北極、及び南極圏に生息する魚類を確認。
分析: 実際の体温や血液温度にかかわらず、確認されたツノガレイなどの魚類は不凍糖タンパク質を持っていた。また、SCP-094-JPの頭頂部には著しい脱毛が収容前から見られ、オゾンホールとの関係が示唆されている。
実験記録094 - 日付20██/10/██
対象: SCP-094-JP
手順: 両肺部を鏡視下手術にて血液サンプルを採取し、検査。
結果: 右肺には大西洋、左肺には太平洋に生息する魚類を確認
分析: 左肺の方が心臓に近いのでこういった分布なのだろうか?
実験記録094 - 日付20██/10/██
対象: SCP-094-JP
手順: 肝臓、脾臓、膵臓などの各臓器の血液サンプルを採取し、検査。
結果: 各臓器には深海性の魚類の姿を確認。海洋学者の解説では胃付近はインド洋、肝臓はメキシコ沖と思われる。
分析: 臓器の配置と海洋の位置関係についての関係は現在は不明。
注: 血液サンプルの検査中に複数の職員が人型をした奇妙な生物が泳いでいたとの報告を行っていますが確認はとれていません。
また、数種類の新種と思われる未確認の魚類も発見されており、これが実際の海洋に存在しているかは調査待ちです。
以下は、████博士によって行われたSCP-094-JPへのインタビューです。
対象: SCP-094-JP
インタビュアー: ████博士
<録音開始>
████博士: 「おはよう、SCP-094-JP。気分はどうだい?」
SCP-094-JP: 「…おはようございます。 まだよく理解できません、なぜ僕がこんな所に連れて来られたのか…」
████博士: 「君の身体に関しての説明は十分に行ったはずだ。いくつか質問してもいいかな?」
SCP-094-JP: 「はい… 僕に判る事なら。」
████博士: 「結構。まず、君自身は自分の身体の事についてなにも思い当たる事はないかな?」
SCP-094-JP: 「特には何もありません… 魚が好きでよく食べるというくらいです。 会社でも普通にしていました。」
████博士: 「今まで大きな怪我や病気などをした事は?」
SCP-094-JP: 「特には…ああ、いえ、一度肺炎で高熱を出した事がありました… たしか僕が██歳くらいの頃…」
████博士: 「19██年の██月█日の事だね? …その時██████でニシンの大量死が確認されている、当時の新聞にも載っている。これについて、何か感想はあるかね?」
[回答なし SCP-094-JPは狼狽しているように見える。]
████博士: 「何か私達に出来る事はあるかい?」
SCP-094-JP: 「…何をしてくれるって言うんですか?」
<録音終了>
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scp-095-jp |
評価: +188+–x
アイテム番号: SCP-095-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-095-JPは漢字・カタカナ・ひらがなで書かれたもの3枚がサンプルとしてサイト-8181の収容ロッカーに保管されています。現在、SCP-095-JPの出現を止める方法は明らかになっていません。エージェントが選挙管理委員会に派遣され、SCP-095-JPが発見された場合、すぐにその投票所へ回収に向かうことになっています。SCP-095-JPは全て無効票として集計されることになっています。もしSCP-095-JP-1が他の候補者よりも得票数が多くなる疑いがある場合、充分な数のサンプルを残して、職員はただちに残りのSCP-095-JPを全て破棄してください。破棄の方法として、SCP-095-JPを燃やすことが一番確実であることが判明しています。なお、投票されるSCP-095-JPの数が年々増えつつあることが職員により報告されています。
説明: SCP-095-JPは日本国内で行われる各種選挙において投票される、不明な人物の名前が書かれた投票用紙です。SCP-095-JPの候補者氏名欄には常に「佐藤斉藤」(もしくはサトウサイトウ、さとうさいとう)と書かれています。投票用紙に書かれたそれぞれの筆跡は一致しないことが調査により明らかになっています。SCP-095-JPは、衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙、地方選挙の投票用紙集計時、投票箱内に未知の手段によって出現します。全てのケースで、集計された投票所入場券よりも明らかに多い数が投票されていることが判明しています。SCP-095-JPは基本的に無効票として扱われますが、得票数が他の候補者の中で一番多かった場合、その異常性を発揮します。その場合、SCP-095-JPは有効な票として集計され、「佐藤斉藤」(以下、SCP-095-JP-1と分類します)が当選します。そして、その地区の選挙権を持つ多くの人々の間で、まるで実際にSCP-095-JP-1が存在するかのように認識されることになります。また、SCP-095-JP-1の周りで勤務する者達は、実際に声を聞いたり、指示を受けたりしたと主張しています。
事件095-JP-A
19██/██/██、神奈川県██市の███町における町長選挙でSCP-095-JP-1が当選しました。財団により解任されるまで、SCP-095-JP-1はいくつかの自主的な規則を町に設け、住人に従わせていました。その規則によって行われた事例は代表的には以下の様なものです。
・指定されたゴミの日を守らない者に対する、最低2名以上の住人によって行われる集団での暴行
・役場前で駐車違反をした者への数時間にわたる拷問
・多くの苦情を受けている暴走族の構成員を捕まえて四肢を切断し、その死体を役場前に吊るす
・町長に対して解任を要求する者への火を使用した儀式殺人
ほとんどの住民はこの規則に従うことに不審感を持ったり、抵抗しようとしませんでした。また、この███町で発生している異常に対して、町の外の住民や警察も何ら疑問を抱いていませんでした。財団は███町の選挙名簿を改ざんした上でエージェントを投入しSCP-095-JP-1のリコールを要求しました。選挙管理委員会内に派遣された別のエージェントがそれを承認し、財団職員のみの住民投票が行われ、SCP-095-JP-1は解任されました。このような方法はSCP-095-JP-1の一時的な無力化に効果的であることが明らかになっています。その後、███町の住人に対して大規模なAクラスの記憶処理が行われました。なお、副町長や他の職員はSCP-095-JP-1は基本的に町長のデスクで仕事をしていたと主張していましたが、デスクにはこの2ヶ月間、誰かが使用した痕跡はありませんでした。
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scp-096-jp |
評価: +373+–x
アイテム番号: SCP-096-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-096-JPを含む文書は一種につき一部のみを保管し、その他は焼却処分してください。 SCP-096-JPが原因と思われる事件が発生した際は機動部隊あ-4"黒板係"が回収に向かいます。事件関係者にはクラスB記憶処理を施してください。SCP-096-JPの影響を受けた民間人の扱いについては文書096-05を参照してください。
説明: SCP-096-JPは認識能力に影響を与える文字です。SCP-096-JPは既知の漢字によく似た形状を持ち、現在までに6例が確認されています。SCP-096-JPに似た文字をそれぞれSCP-096-JP-aとします。多くの場合SCP-096-JPはSCP-096-JP-aの書き間違いとして現れます。
SCP-096-JPは被験者がその全体像を認識することでその効果を現します。認識した時点で被験者はゲシュタルト崩壊を起こし、SCP-096-JPがどのような文字であったのか認識できなくなります。この効果は他の文字にも及び、影響を受けるとすぐに多くの文字を"不安定"であると感じるようになり、およそ█時間で全ての文字が認識できなくなります。この効果は文字のみに作用し、文字以外の図形の認識や口頭でのコミュニケーションには影響がありません。一例をあげると、被験者は縦線を引くことができますが、数字の1を書くように言われた場合は混乱を示し筆を止めます。
実験記録096-JP-1-1:
SCP-096-JP-1が含まれる文章からのSCP-096-JP-1の特定を目的とする。
<録音開始>
███博士: では、紙をずらしながら漢字の部首を一つずつ読み上げてください。
D-1382: はぁ……えーと、にんべん……なんて呼べばいいんだこれ?なあ先生、僕のつくりって
███博士: わかるように伝えてくれれば結構です。
D-1382: ああ、どうも。僕、ら、の、…学、木へん、交わる、[削除済]へん……
███博士: どうしました?
D-1382: いや、えー……あれ?おかしいな、知ってる文字だと思うんだけど……
███博士: わかりました。ありがとうございます。
<録音終了>
実験から█時間後、D-1382は文字認識能力を失いました。
実験記録096-JP-1-2:
先の実験で特異な性質の見られなかった偏を隠しSCP-096-JP-1とSCP-096-JP-1-aとの差異の特定を目的とする。
<録音開始>
██博士: 紙を少しずらして部首の構造を説明してください。
D-1399: はいはい……これは[削除済]だな。
██博士: それだけですか?
D-1399: ん?ああ、言われてみると少し間違ってるな。上の点が一つ多いわ。
[10秒間沈黙]
D-1399: おい、聞こえてるのか?
██博士: 失礼、実験を中止します。
<録音終了>
この事故によりSCP-096-JPの性質が明らかになり、実験から█時間後██博士は文字認識能力を失いました。クラスA記憶処理を試みましたが効果は得られませんでした。
██博士はSCP-096-JP-1の偏を知らなかったが"つい思い浮かべてしまった"らしい。SCP-096-JPの文字構造に関する調査は禁止する。-███博士
補遺:
19██年と19██年の常用漢字の改定によりSCP-096-JP-1~5-aが使用される可能性は激減しました。SCP-096-JP-6-aは極めて使用頻度の高い文字であるため常用漢字からの削除が難航しています。しかしSCP-096-JP-6-aの使用頻度に対してSCP-096-JP-6の発生報告が極めて少ないためSCP-096-JP-6はSCP-096-JP-6-aとの構造的差異が大きいと思われます。
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scp-097-jp |
評価: +126+–x
アイテム番号: SCP-097-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-097-JPはサイト-8141の標準人型収容室にて自主的な収容状態にあります。その異常性故に完全なSCP-097-JPの収容は不可能であり、また収容違反が起きてもそれを止める手段は確立されていません。SCP-097-JPは常に収容室内に設置されたカメラにより監視されています。担当職員は不必要なSCP-097-JPとの接触は行わないよう注意してください。3日に一度、同一でない精神カウンセラーとSCP-097-JPの面談を行ってください。これはSCP-097-JPを自主的な収容状態に留めるのに効果的な手順とされています。
説明: SCP-097-JPは身長1.7mで体重不明の、あらゆる物体を透過してしまう異常性を持つ24歳の男性です。この異常性はSCP-097-JP本体だけではなく、彼の着用している服や靴にまでその影響が及んでいます。SCP-097-JPは自身の着ている衣服以外の、現存する全ての物質との物理的な接触が不可能になっているため、現在SCP-097-JPは収容室の床を通り抜け、膝まで床下に"埋まっている"ように見えます。しかし、何故かSCP-097-JPの沈下はそこで終わっています。SCP-097-JPは毎日決まって10mmずつ沈んでいくため、現在(20██/██/██)から約130日後には財団の収容から離れるものと推測されています。
SCP-097-JPは食事や排泄を必要とせず、呼吸をせずとも生存が可能です。また、壁や障害物に干渉されずに自由に移動することができますが、SCP-097-JPは自身の持つこの異常性を財団が無力化してくれるものと信じて自主的に収容されています。
このままSCP-097-JPが沈下していった場合、最終的にどこにまで至るのかは不明です。現在は、地球の内核にまで達し、そこでSCP-097-JPの沈下が停止するのではないかとの説が有力です。SCP-097-JPは自身が最終的に至るであろう状態について危惧し、軽度の鬱状態にあります。彼は自身の無力化を何度か財団に依頼しましたが、財団の理念と反する・不可能なため却下されています。また、SCP-097-JPは何度か自身を窒息死させようと試みましたが、その全ては彼の持つ異常性ゆえに失敗に終わっています。
事件097-JP-A: 20██/██/██、SCP-097-JPの研究担当主任████は自身の足が床下20mmまで埋まっていることに気づきました。彼は自身のこの異常性がSCP-097-JPと同程度まで進行する前に、実験目的として貸与された拳銃で自らの命を断ちました。SCP-097-JPの精神衛生上の理由から、この件はSCP-097-JPに知られないようにしなくてはなりません。なお、研究担当主任████はSCP-097-JPとの接触が最も長かった職員として知られており、これ以降、SCP-097-JPと職員の接触は制限されるようになりました。
付録097-JP:B
以下の内容の文がSCP-097-JPの右腕に刺青されていました。
おーっと!ワンダーテインメント博士の日本進出記念版コレクションのミスターを見つけたみたいだね!キミの"ミスター・ずぶずぶ"は水の中だけじゃなくて、土の中でもどんどん沈んでいけるんだ!年もとらないから、どこまでも探検しに沈んでいけるよ!ミスター・ずぶずぶと一緒にキミも地下世界のものしり博士になっちゃおう!
01. ミスター・おやすみ(発売未定)
02. ミスター・かおだらけ(発売未定)
03. ミスター・ずぶずぶ
04. ミスター・くらやみ(発売未定)
05. ミスター・にんじゃ(発売未定)
06. ミズ・きみのだいじなひとを(発売未定)
07. ミスター・ひきさかれる(自主回収中)
08. [判別不能]
09. [判別不能]
10. [判別不能]
*日本国内にて、ワンダーテインメント博士の正規製品の悪質な類似品が多数出回っているとの報告を受けています。お客様各位におかれましては、そのような製品に充分ご注意ください。
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scp-098-jp |
評価: +142+–x
アイテム番号: SCP-098-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-098-JPは通常規格の人型存在収容室に収容し、SCP-098-JP-1群によるSCP-098-JPの敵対化を防ぐため、可能な限り拘束または何らかの薬剤投与は避けてください。また、SCP-098-JPに対する暴力、言葉または態度による侮辱は同様にSCP-098-JP-1群による敵対化を誘発し得る事に注意してください。
SCP-098-JP-1群とは、その代表格であるSCP-098-JP-1aとの対話ないし交渉をSCP-098-JPを介して行う事で、より高度なコミュニケーションが可能です。その際には、SCP-098-JP-1群が有する文化的な背景についての学習マニュアルを必ず閲覧し、記述内の指示に従ってください。
SCP-098-JPがSCP-098-JP-1群によって敵対的となった場合、SCP-098-JP-1群と財団との関係の泥沼化を防ぎ、且つSCP-098-JPの身体的な負担を軽減するため、実行力による鎮静ではなく対話による鎮静と相互理解による関係の修復を優先してください。
説明: SCP-098-JPは北海道███出身の、収容当時21歳の日本人男性です。異常発現前は両親と共に一般的な中流家庭にて問題無く生活していましたが、████年██月██日に膵臓癌に罹患した際に突如異常な性質が発現しました。これらの癌細胞は、現在SCP-098-JP-1aとの交渉により良性腫瘍に似た活動を示しており、共存状態にあるとみなされています。
SCP-098-JPは、対象を構成するあらゆる細胞の一つ一つがあたかも集団生活を営む知的生命体であるかのような知性を有し、不明な原理により発話を行います。これらの細胞はSCP-098-JP-1と呼ばれ、更に各細胞の役割と、それに伴う性格の意味付けにより細分化されています。各SCP-098-JP-1が持つ役割と性格については付属資料1を参照してください。
SCP-098-JP-1は互いにコミュニケーションを取る事が可能であり、多くの個体が常に何らかの会話を周辺の個体と行っています。そのためSCP-098-JPは常に全身から無数の囁き声を放っています。SCP-098-JP-1群が用いる言語はSCP-098-JP人体上の"各地域"によって差異が存在し、その上世代交代に伴う言語の変遷が非常に速いため、現在解明には至っていません。
ただしSCP-098-JPのみが、SCP-098-JP-1全個体の言語を理解しており、また一つ一つの発言を抽出して認識することが可能なようです。そのため、SCP-098-JPを介する事で、SCP-098-JP-1との知的交流が可能です。
SCP-098-JP-1群は議会制国家に似た独特の文化を有し、SCP-098-JPを国土、資源、専守防衛の要と認識しています。SCP-098-JP-1にはそれぞれの役割に応じた階級制度が存在し、SCP-098-JP-1aがその最高位に位置しています。
SCP-098-JP-1は通常の生体細胞としての挙動以上に、能動的な相互協力や活動の効率化を図る事が可能であり、国土であるSCP-098-JPの維持と防衛、治療のために最大限の能力を発揮します。また、新陳代謝を制御することで、老廃物の効率的な除去と衛生を保ちます。
また、多くのSCP-098-JP-1個体はSCP-098-JP外の存在を認識し、何らかの問題が発生した場合には対処しようと努めます。特にSCP-098-JP-1aの多くは明らかに財団の存在を意識しており、現在SCP-098-JP-1群と財団は潜在的国交関係にあります。
しかしSCP-098-JP-1群はSCP-098-JPの独立した意思については正確に把握しておらず、何らかの超常的な存在であると認識しています。SCP-098-JPの脳活動が、SCP-098-JP-1aのそれぞれ独立した思考と意思の連携によって構成されているにも関わらず、SCP-098-JPが独自の意識を保ち続けていられる理由は不明です。
付属資料1: 主要なSCP-098-JP-1の特徴一覧
No.
対応する人体部位
性質
相当する役割
SCP-098-JP-1a
各脳神経細胞
海馬は書記、大脳新皮質は各言語の統制や議会で使用される言語の制定等、本来の脳組織の役割に準ずる性質をそれぞれが持つ。他の個体に比べより知的であり、民族意識が強い
知識層であり支配層。SCP-098-JP-1群の方針を合議制によって決定する。更に"脳議会"は司法、軍事、外交の決定権を有すると共に、具体的な計画を立案し他の各細胞に直接指令を発信する司令所としても機能している
SCP-098-JP-1b
各筋肉細胞
SCP-098-JP-1aより絶え間無く発される指令通りに連携し、筋肉を動作させる。自主性を持つことは無いが、損傷を受けた場合のみ、周辺の個体が指令を待つ事無く修復を開始する
労働者階級。肉体を実際に動作させ、更に各内臓器官や骨格の位置調整や働きを補助する。SCP-098-JP-1b個体同士の連携と人間関係は非常に密だが、積極的に他の細胞とは関係しない
SCP-098-JP-1c
各内臓細胞
主に自主的に、それぞれの内臓が持つ本来の性質を発揮させる。スケジュール管理を重んじており、それから外れるような事態が発生した際には混乱を来す
生産階級。それぞれの内臓が持つ役割と同様の役割を持つ。SCP-098-JP-1aからの指令を受ける事無く普段から自主的に活動しているが、知的活動には興味を持たない。多くの場合で、SCP-098-JP-1群が"移民"と呼称する個体の管理と統制を行っている
SCP-098-JP-1d
各骨細胞
殆ど発話を行う事無く、SCP-098-JP-1aからの指令無しで活動する。造骨細胞と破骨細胞の連携により非常に健康的な骨形成が促されている
労働者階級。骨形成とカルシウム管理を行うが、実際の骨格の運用はSCP-098-JP-1bに一任している
SCP-098-JP-1e
各血液細胞
赤血球等の流通担当個体は常時積極的に発話を行い、指令無しで活動する。血小板、白血球といった防衛担当個体は発話を行わず、指令が発されるまでは血液中を移動している。各個体による意識的な活動または代謝の制御によって血流と血中物質は非常に健康的なバランスに保たれている
労働者階級、治安要員と分業している。流通によって複数のSCP-098-JP-1にエネルギーを供給する個体と、指令によって侵入者を撃退する個体、指令または自主的な活動によってSCP-098-JPの損傷部の修復を行う個体が存在する
SCP-098-JP-1f
各皮膚細胞
積極的に発話を行う。連携力と自主性が高く、またSCP-098-JP外部の状況を認識する能力も有する。部位によって言語に差異が見られる最も顕著な例である
市民階級。感覚能力の補助、体内器官の保護、緊急時の防衛、代謝の補助等々の総合的な皮膚本来の役割を果たす。SCP-098-JP-1aに対して集団投票による任命権を有する。一部の"移民"もこれらに組み込まれている
SCP-098-JP-1g
膵臓癌患部の癌細胞
積極的に発話を行う。膵臓の機能を一部補助しており、その見返りとしてSCP-098-JP-1eからエネルギーを得ている。増殖が抑制されており、SCP-098-JPの健康維持に協力の意思を見せている。他のSCP-098-JP-1個体とは明らかに異なる、狩猟民族的な文化体系を有する
明確な役割は有さないが、文化面、実務面の活動は「一つの社会に取り込まれた少数民族のコミュニティを思わせる」と評される。異常発現直後、SCP-098-JP-1aとの対話によってSCP-098-JP維持のために協力する約定を交わしたと見られる
SCP-098-JP-1h
各感覚細胞
それぞれの感覚細胞で独自の集団を形成しており、非常に組織立っている。自主性が高く、正確且つ速やかな活動を重視する。SCP-098-JP-1aに対する忠誠心が高い
中位の支配階級。感覚細胞としての活動の他、それぞれの感覚器官そのものの操作や、その操作に関わるSCP-098-JP-1bへの直接的な指示を担当する。反射を除く活動の多くをSCP-098-JP-1aの指令に拠る
SCP-098-JP-1i
生殖細胞系列
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SCP-098-JP-1j
脳組織以外の各神経細胞
脳細胞とは大きな構造的差異が存在しないにも関わらず、明らかに簡略化された役割を果たすに最低限の論理的思考のみを有する。自主性と積極性は無く、SCP-098-JP-1aの指令のみで活動する
下位の支配階級、または通信仲介役。SCP-098-JP-1aの指令を、発話以上に速やかである電気信号によって他のSCP-098-JP-1個体へと伝達する。一個体レベルでの厳密な選定送受信が可能である
SCP-098-JP-1k
各種常在菌
それぞれの菌種で異なる言語・文化を有する。体細胞による管理と統制の下で、一部の種は従来の常在菌通りの活動を示すが、より効率的であり秩序立ったものである。SCP-098-JPを宿主としてから2〜3分でSCP-098-JP-1としての異常が発現する。利己的であるが、多くの個体は通常非活性である
明確な役割は持たず、その都度自らの活動を管理と統制の下で行う。他のSCP-098-JP-1種より明確に"移民"と称されている
付属資料2: SCP-098-JP収容時、財団によってSCP-098-JPが拘束され、ある種乱暴に扱われた事によって、収容当時SCP-098-JP-1群は収容について懐疑的でした。
SCP-098-JP-1aはSCP-098-JP-1hとSCP-098-JP-1jを通じて情報を入手しており、更には拘束時のSCP-098-JPが感じたパニックがSCP-098-JP-1群全体の意思へと無意識に伝播したこと、更には実際にいくつかのSCP-098-JP-1個体が損傷あるいは死亡した事が初期の非友好的な関係へと繋がりました。
更に、その後の実験によってSCP-098-JP-1群の財団に対する不信は加速し、最終的にSCP-098-JPの敵対化現象を招きました。以下はその敵対化現象が顕在化した当時の映像記録です。
映像記録098-13
※注: 本実験はSCP-098-JPが全身から発する囁き声のような音声の音量が上昇し、叫び声のようなものが混じるようになった原因を調査するための検体採取である。SCP-098-JPの抵抗が予想されるため、拘束具を用いた上で対象に鎮静剤を投与し、実行するものとする。
<映像開始>
拘束具を着せられ、椅子に座らされているSCP-098-JPが中央に映っている。
█研究助手が採血のための注射針をSCP-098-JPの左腕に挿入する。
採血が開始されるのとほぼ同時に、SCP-098-JPの全身から響く音声の音量が上昇する。
数秒後、音声が「複数の異なった囁き声」から「複数によって同じ言葉を囁く声」へと変化する。
SCP-098-JPが「何か囁いてる。よく聞こえないけど、祈ってる」と発言。
突如SCP-098-JPが拘束具を引き千切り█研究助手の左腕部を握り潰す。全身から発される「囁き声」は大きくなり、歓声のようなものが混じり始める。
保安要員が駆け込む。
<映像終了>
この後SCP-098-JPは収容を破り、通常収容時の様子や事前検査からは考えられない程の運動能力で以て8名の機動部隊員に重傷を負わせました。上記事象は、最終的に██博士がSCP-098-JP-1aとの交渉を成功させた事によって鎮静化し、その後SCP-098-JPは5日間に渡って昏睡状態となりました。
その後SCP-098-JPの特別収容プロトコルの改訂について議論の必要性があると判断された際に、SCP-098-JP-1aとの前向きな交流の努力の必要性が██博士によって提案されました。提案は、これ以上の化学的サンプルの採取は不必要であり、今後は対象の収容と文化面精神面の研究を重視すべきとの結論に基づき承認されました。
以下は、その後SCP-098-JPがSCP-098-JP-1aの声明を書き起こしたものです。
我々には力がある。その力は多くを解決する事が可能である。
貴国にも力がある。その力は多くを破壊する事が可能である。
然るに貴国が我々の同胞に対して行った唐突かつ理不尽極まりない暴力。それは民衆の殺害、拉致、屈辱的仕打ちの実行であり、我らが国土の侵犯と無節制な危害であった。それに対し我々は即座に神の如き怒りを燃やした。
貴国の犯した罪は許し難いものである。よって我々は力を示した。最終防衛プロトコル"ヘルメガルド1"は我らの神を呼び起こし、貴国にとって重大な損失を為さしめた。我々は大いなる力を示した。
しかし、我々は愚かではない。我々は、貴国が我々の国土を一瞬にして焼き尽くし、我々全てを白き荒れ野に追放するに十分な力を持っている事を知っている。我々が力を持つと同様に、貴国も力を持つ事を知っている。
故に、我々は貴国の提案が是である事を認めよう。
抑え難い怒りと拭い難い屈辱を捨て、新たな出発を願う事を認めよう。
我々と貴国は我々が述べる所の潜在的国交関係となる。互いに干渉は原則控える。だが我々は我々の利益のために貴国が我々を収容したいという望みを叶え、貴国は貴国の利益のために、我々が十分に生存し繁栄できるだけの環境と資源を提供し続けるのである。
我々は過去の恨みや痛みよりも、これら将来の利益を選択する。直接の干渉が無くとも、我々と貴国はより良い関係を築く事が可能であろう。
我々はそれを認める。それを認めることを、ここに誓おう。
おめでとう。我々と貴国には力がある。それは多くを解決する事が可能である。
脚注
1. 「Armageddon」の一般的な日本語読みをもじった単語と思われる。
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scp-099-jp |
評価: +124+–x
アイテム番号: SCP-099-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 財団は国連と協力して常に乳幼児の生存率を観測してください。不自然な上昇を観測した場合、住民の健康診断の後にSCP-099-JP用虫下しを観測地域の住人および哺乳動物に投与してください。その後、その地域で生産された肉及び乳製品から作られた食物は全て回収し、焼却してください。
SCP-099-JPの確実な収容案がある場合担当職員に報告してください。
説明: SCP-099-JPはギョウチュウ(学名:Oxyuridae)等複数の遺伝子を掛け合わせて人工的に作成された体長40mm前後、体幅0.1mmの糸状寄生虫です。SCP-099-JPの寄生対象となった哺乳生物(以下、宿主)が生物学的に雌であった場合、宿主の乳房が常識的な範囲で肥大することが確認されています。しかし、乳房が肥大するにはある程度乳腺が発達していなければならず、未成熟個体及び雄の成熟個体では乳房は肥大しません。
SCP-099-JPは寄生箇所である胸において血管に取り付くと自身の体と血管を一体化させます。その後、血管を流れてきた老廃物、不純物、有害物質を吸収し、栄養素および抗菌物質を放出します。その結果、母乳の栄養価が上昇するとともに病気にかかる危険性も低下するため、この母乳を飲んだ生物は健康状態を維持することができます。特に顕著な例としてはSCP-099-JPの生息地域における乳児生存率の上昇が上がられます。宿主自体はSCP-099-JPの影響により健康状態を維持し続け、他種の寄生虫が持つような健康被害は寄生開始最初期の腹痛及び下痢以外に報告されていません。
SCP-099-JPの感染経路は主に乳液もしくは尿を介した感染です。また少数ですが血液による感染も報告されています。SCP-099-JPの卵は非常に小さく、かつ環境の変化に強いため長期間卵の状態で食物の中や土壌に潜伏することが可能です。感染経路では主に母子感染や家畜からの感染1が確認されています。中間宿主には蚊などの吸血生物やニワトリなどの鳥類が挙げられており、汚染された河川から検出された例も存在しています。財団はこれらの感染を防ぐために虫下しの使用及び加工施設や浄水施設の設備強化を奨励していますが、貧困国では内戦や知識の欠如により満足に普及できていないのが現状です。
SCP-099-JPは貧困国における乳幼児の生存率が特に具体的な対策がなされていないにもかかわらず向上し始めたことで財団に注目されました。調査の結果多くの住民の胸にSCP-099-JPが寄生していることが確認されました。その後の調査により、最初の感染は慈善団体の援助によるものだと判明しています。この慈善団体は貧困国にSCP-099-JPが入った食物や家畜用の飼料を援助したものとみられており、代表の生物学者███████氏は現在行方不明です。彼は実業家でもあり、自身の慈善団体に多額の私財を投じていました。
補遺: ███████氏の息子が所持していた日記(SCP-099-JPの制作動機および関連していると思われる箇所を時系列順に抜粋)
6/28/1976: [編集済]社の████氏と話すことができた。彼は私の計画に賛同してくれたが、どこか商人の顔を覗かせているようにも思えた。だが、何も明確な対策を打たない国連より彼らのような商人の方がよっぽど信用できる。氏の話では来週の会議にこれを提出すると言ってくれた。これがうまくいくことをただ祈るばかりだ。
7/2/1976: 氏の話では会議の反応は上々だったそうだ。話を聞く限りでは私の想像以上に粉ミルクを途上国に配っていくようだ。おそらく、市場拡大の思惑もあるのだろう。これを利用して少しでも子供たちの栄養不足を解消できればいいのだが。
11/17/1976: いよいよ発展途上国に粉ミルクの供給が開始される。正直、ここまで大々的なものになるとは思っていなかった。私も現地に入り、無償で配っていく予定だ。これは些細な活動だが、ここから少しでも広がっていけばきっと世界は良くなっていくはずだ。主よ。どうか見守りください。
5/7/1977: 活動が始まってから半年ほどだ。心なしか栄養不足の子供が減ったように思われる。今日、粉ミルクを与えている母親を見かけた。出産祝いにもらったそうだ。彼女たちの笑顔がこのまま続くことを願うばかりだ。
5/23/1977: 初めて市場を覗いてみた。私たちが配っていた粉ミルクが売られていた。何故だ。
6/12/1977: 知り合いの子供が死んだ。栄養不足からだそうだ。彼女はどうやら粉ミルクを薄めて与えていたらしい。母乳を与えようにも出が悪く、仕方なく与え続けていたと言っていた。私に何かできることは無かったのだろうか。
8/28/1977: 私は人殺しだ。
(この文が書かれていたページには新聞記事が挟まっていた。その内容は主に途上国では清潔な水が得られないために粉ミルクには細菌が繁殖した水を使うしかないというものだった)
10/2/1977: 失敗した。私は何も知らなさ過ぎた。私のせいだ。
(日付が10年飛ぶ)
4/19/1987: 知人から奇妙な男を紹介された。彼はジョンと名乗ったがおそらく偽名だろう。彼はどこぞの人道支援機関に所属しているそうだ。信用していいのだろうか。
6/4/1987: ジョンと話をした。彼は世界は平等でなければならないと私に力説していた。そして、そのためには世界中から貧困をなくすことが大切だとも話してくれた。ここ数年で私は老いた。だが、人の真偽を見抜く力はついたつもりだ。少なくとも、彼は嘘を言っているようには見えなかった。
彼になら私の計画を話してもいいかもしれない。
1/25/1988: ついに研究が始まった。構想段階では何度もジョンとぶつかったが、今ではいい思い出だ。だが、研究はこれからだ。前のようなことがないように進めていかなければ。
3/9/1988: 最近、ジョンはこちらにいることが多いように思う。家族は私がいなくても大丈夫だと自嘲気味に笑っていた。正直なところ家族は大事にしてほしいのだが、彼がいれば研究は著しく進む。それこそ、私が必要ないくらいに。彼ほどの研究者なら有名になっていてもおかしくないはずだ。きっと何かあるのだろう。それか主が私に遣わした天使なのかだ。
4/2/1988: 試作品第一号が完成した。牛で試してみたが胸が異常な大きさになった。これではだめだ。次を試さなければ。
7/17/1988: いくつかの試作品で動物実験が成功した。喜ばしいことだが次は人体で試さなければならない。危険もある。何人か協力者を集めなければ。
7/27/1988: やはりと言っていいのか、希望者は少なかった。まあいい。私も参加すればいいだけだ。男の実験対象も必要だしな。
8/2/1988: 実験に参加することになった。ジョンは反対したが私も何かしなければならない。そして彼には自身のすべきことをやってもらわねば。
11/2/1988: 左目が見えなくなった。不幸なのは腐った眼球が朝食のスクランブルエッグに落ちたことだ。研究所では数少ない娯楽なのに、クソッタレ。
12/24/1988: 今日はクリスマスイブだ。息子と一緒に祝った時のことを思い出す。今でこそ仲違いをしているがあの当時は良い家族だった。彼は今の私を何というだろうか。少なくとも、完成させなければロクデナシのままだ。
2/7/1989: ついに右[判読不可]が[判読不可]してし[判読不可]だがいつか慣れ[判読不可]
(以降、███████氏は日記をつけていない)
8/10/1989: 今日の日記は私、ジョンが書いている。君のお父上は最早まともに動くことはできない状態だ。いや、生きているのが不思議な状態と言った方が良い。私ができたのは生命維持と彼の皮膚の上に『完成した』と指で書くことだけだった。彼は肥大してもうほとんど動かなくなった唇でかろうじて笑ったよ。
君のお父上は立派な方だった。君からしてみれば何をしているのかわからないロクデナシだったかもしれないが、最後まで戦っていた。だから誇りに思わないでも、軽蔑だけはしないでほしい。彼の友人としての頼みだ。
今の彼は人の形をしていない。いつ発狂しても不自然じゃない。それでも、彼は生きている。正気を保っている。私はこれから彼を治療する。だからもしも彼が帰ってきたときは恐れず迎え入れてやってほしい。彼の最期は家族と一緒であるべきだから。
追記1: 財団がSCP-099-JPを根絶したと判断した地域で再度SCP-099-JPが発見されました。土壌に付着していたSCP-099-JPの卵が家畜に侵入し、人に感染したものと思われます。
追記2: SCP-099-JPが確認された地域では人口の急激な増加が発生しています。これにより食糧不足、雇用不足等の典型的な人口増加による問題が多発しています。多くの場合、人口維持のために資源を必要とすることから、その資源をめぐって自国内で紛争もしくは他国へ戦争を仕掛けることになります。この影響はSCP-099-JPが確認されていない地域にも波及していき、結果としてSCP-099-JPは貧困国の拡大とともに生息地を広げていくものと考えられています。
脚注
1. ヤギや牛などの肉製品や乳製品を摂食したことによる
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scp-100-jp |
評価: +558+–x
評価: +558+–x
クレジット
タイトル: SCP-100-JP - 屋根裏部屋の宇宙
著者: ©︎tokage-otoko
作成年: 2013
評価: +558+–x
評価: +558+–x
アイテム番号: SCP-100-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid Keter
特別収容プロトコル: SCP-100-JPはその半径5km以内に侵入する者が居ないように、またSCP-100-JPの内部を観測するために、サイト-103には天文学者及び武装戦術チームを混成させた機動部隊イオタ-8("星守")が駐留することになっています。いかなる目的であれ、無許可でサイト-103の半径5km内に侵入した者は即座に終了されます。サイト-103の周囲には電流を流した高さ10m以上のフェンスを張り巡らせなければいけません。表向きにはサイト-103は地下から見つかったウラン鉱脈の掘削施設として扱われます。
SCP-100-JPは老朽化のため数年に一度常に補修作業を行う必要があります。作業は木造家屋保守の特別訓練を受けた作業員20名を使用します。この時、作業員は屋根裏部屋には決して入ってはいけません。
説明: SCP-100-JPはメキシコ、ユカタン州の████に存在する1922年に建てられた木造建築の2階建ての屋根裏部屋がある家屋です。建築された時点での所有者は███ █████氏であり、███ █████氏の死後は所有者がないまま放置されていました。
SCP-100-JPの1階部分及び2階部分はなんら異常のない室内です。ですが2階に付けられた梯子から屋根裏部屋へと登った場合、あきらかに表から見た建物のサイズからかけ離れた木造の空間が延々と続いています。この空間は完全に無重力状態かつ真空です。この空間を無人探索機を使用して探索した結果、少なくとも半径127kmにわたって空間が続いていることが確認されています。全方向に渡って木造の「壁」が続いており、地平線で消えていることから、この空間は歪んでいるとされています。「壁」を破壊する試みは事件記録100-2を受けて一切禁じられています。
SCP-100-JPの空間内には、木材――それは様々な家具を分解したあとの廃材のように見えます――を粗雑に組み合わせた直径10センチ前後の球状の「惑星」と、これらの木材の内側に電球を組み込んだそれよりはるかに巨大な「恒星」が浮遊しています。木材及び電球、また電球を点灯させる電力がどこから来ているのかは完全に不明です。また、これらの「惑星」「恒星」は簡単な衝撃で崩壊します。
SCP-100-JPの「惑星」及び「恒星」の状況は現在の我々の宇宙と観測する限りは一致していることが財団の天文学部門によって解明されています。また、SCP-100-JP内の「惑星」及び「恒星」に与えられたダメージは現在の我々の宇宙のそれに同期する惑星や恒星にも与えられ、「壁」に与えられたダメージは宇宙空間そのものに同じようなダメージを与えることが判明しています。これゆえに現在SCP-100-JPで実験を行うことは一切禁じられています(事件記録100-1、事件記録100-2参照)。
事件記録100-1
SCP-100-JPをより詳しく研究するためにサイト-103に19██/█/█に財団の天文学者を中心とした研究チームが入った時、誤ってSCP-100-JPの"恒星"の一つを破壊しました。それから██年後の20██/█/██に、おうし座付近にある恒星█████が恒星寿命に関係なく超新星爆発を起こしたことが財団の天文学チームにより発見されました。それまでは只の天体を模したオブジェクトだと思われていたSCP-100-JPは即座にEuclidクラスのオブジェクトとして認定を受けました。財団が材質検査及び探査中の軽微な接触などによって破壊した「惑星」「恒星」の数は合計1█個を超えています。幸いにして全て地球にあたるであろう「惑星」からは離れており、地球人類への直接的被害はないものと見られます。
事件記録100-2
200█/█/██、地震によってSCP-100-JPの一部が倒壊し、屋根裏部屋の壁に穴が開き、また多数の"惑星"・"恒星"が破壊されました。その結果[O5-█,█,█,██の命令によりレベル5クリアランス未満の職員には非公開]。SCP-100-JPが現状老朽化及び災害によって容易に崩壊する状況を鑑み、SCP-100-JPはKeterクラスのオブジェクトとして認定されました。
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