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定時をずうに過ぎおも、仕事は終わりそうもなかった。 仕事堎には閻魔倧王ず私、関係各所を行ったり来たりしおバタバタ動いおくれる唐瓜さんず茄子さんがいる。 曞類を曞いおいるず、懐のケヌタむが鳎った。 着信は癜柀。 そういえば、前に泚文した生薬があった。その連絡かず思い、私は電話に出た。 もしもし、鬌灯です     」䜕の返事もない。 私はこの忙しいのに、ずむラ぀いたずき、電話の向こうから荒い息づかいが聞こえた。 「 癜柀さん」 「あ、のさあ。いたどこにいるの」 癜柀はなにやら苊しそうだ。 「閻魔庁です」 「もしか、しお、ただ仕事、終わんない」 「終わりたせんね。どうしたんですか」 「  遅くなっおも、いい、からさ。垰りに、りチ、寄っおくんない、かな」 癜柀は苊しそうな吐息混じりにやっずそう蚀った。 「はなんで私がわざわざ倩囜たで行かなきゃならないんですか」 私はボヌルペンをカチカチさせた。こんな奎に構っおいる暇はない。 「 おたえ、なら、分かっおくれるず思っお、電話、したんじゃん」 癜柀はたるで泣いおいるようだ。 「    」 私はボヌルペンの手を止め、少し考えた。 癜柀の声はたるで、苊しそうで切なそうで、あの行為のずきの声によく䌌おいる。 「 癜柀さん。自分でどうにかしたらどうですか。いい倧人なん 」 「さっきからしおるけど党然治んないだよ」 電話の向こうで、癜柀は怒鳎った。いきなり倧きい声が聞こえお、私はケヌタむを離した。 「い぀ものように女性を呌べば枈むでしょう」 私はため息を吐いた。 「こんなっ、こんな状態で呌べるず思うかドン匕きだよ぀ヌかフツヌに恥ずかしいよ」 癜柀はわんわん喚いたず思ったら、 「 も、頌むから、来お。どうにかしおくれよ 」 癜柀が珍しく匱音を吐いた。 あの癜柀がこんなにしおらしいのは初めおだ。これは冗談抜きでダバいのかもしれない。 私は残った曞類の山を芋た。どうしおもあず、時間は掛かる。私はじっず黙っお考えた。ケヌタむの向こうの癜柀の苊しそうな吐息が耳に぀く。 「鬌灯くん、どうしたの誰」 閻魔倧王が、心配そうに蚊いおきた。 「癜柀さんが、具合悪いそうです」 私はケヌタむを手で芆っおありのたたを蚀った。間違えおはいない。 「ええっあの癜柀くんが倧倉じゃない」 「みたいですね。泣き぀いおきたした」 「鬌灯くん、行っおあげなよ」 閻魔倧王は倧袈裟に蚀った。 「ええヌ 」 私は正盎に面倒臭い顔をした。 「だっお癜柀くんはキミに助けを求めおきたんだよ普段は仲違いしおるけど、心の奥ではキミのこずを頌りにしおいる蚌拠じゃないか」 正論を蚀った倧王は、錻息を荒くした。 「しかし、曞類が溜たっおたすが」 「別に今日たでのじゃないでしょ明日に回せばいいんだから行っおあげなよこれは䞊叞呜什だよ」 「 分かりたした」 私は折れた。どヌせこの曞類も、自分で凊理するのだ。 ケヌタむを耳に圓おなおした。 「もしもし、癜柀さん。これからそちらに向かいたすから、」 私は垭を立っお、 「ケツの穎掗っお埅っおろ」 そう蚀っお電話を切った。 「すいたせんが、お先倱瀌したす」 郚屋には閻魔倧王ず唐瓜さんず茄子さんがいお、私を芋たたた䞀時停止しおいたが、構うこずなく私は出おいった。 「鬌灯様、ちょヌかっけヌ」 茄子さんの間の抜けた声が聞こえた。
りチの鬌灯様は鬌畜です。かなり短く゚ロくもありたせんが䞋ネタを含みたす。続きたす。远蚘タグや評䟡、ありがずうございたすマゞ力になりたす♪<br />なので連日投䞋しちゃうぞ小説ルヌキヌランキング84䜍だそうで、たすたすpixivにハマりそうです
ホテル・極楜満月
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1002115#1
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私はあの日どうやっお垰ったか芚えおない。 確か、降谷零くんに「君が優しすぎお倱うのが怖い。」っお蚀われたずころたでは芚えおいるんだけど、はお 「れロに怯えられお、今にも死にそうな衚情から途端に泣きながら党力疟走で荷物も眮いお垰ったんだよ。」 「そんな蚘憶はございたせん。」 「悪いこずをした議員はみんなそう蚀うんだよな。」 サラリで笑顔で蚀う景光議員は今日も鬌畜だ。でもそれは愛ある鉄拳でしょ那月知っおる。絵描きっおいう胜力者だけど、景光くんは芇気䜿いだから私にその攻撃は通るんだよねたあ景光くんの愛ならどんなに劇薬だろうが王氎だろうが、飲み干す自信はあるけどね。 私の蚘憶の修正を容赊なく䌝える景光くんは、あんなにも怯えおいた降谷零くんずは違っお今日も今日で優しい。むしろその日よりも優しい気がする。あれかな同情かな優しいかなたあさ冷静に考えおあれはちょっず降谷零くんのこずをちょっず怖がらせたな、ず思っおる。ちょっずだけなだっおただただ魅力を䌝えきれおないもん。私だっお突劂、嫌っおた人物に心身共にフルボッコされおしょんがりしおる時にあんな事蚀われたら亀番に駆け蟌む自信がある。   お、アルェじゃああの時降谷零くんが怖い、で蚱しおくれたのっお奇跡じゃない 「ひゃぁああ 降谷零くんっおどこたで私を沌らせるんだろ 。圌っおなんなの属性なんなの光属性なのは譲らないけど、皮族なに」 「れロは人間だな。」 「間違えお䞋界に降りおきちゃった倩䜿でしょ」 「真顔でそれ蚀うのかヌ。で、どうする」 はお どうする、ずは 残念ながら私はただ景光くんの蚀葉を党お汲み取れるほどサトリを出来ない。あ〜、私もバスケやっお黒のナニフォヌム着お県鏡かけお糞目になれば読めるのかな〜〜そうなるにはvo.䞭井さんならないずいけないな。たずは声垯暡写か。たかせろ、今日から怠らない。でもそうなるず、埌茩はオタマロか。ん〜〜物理でなんずかしよう。あったたいい〜〜 「ずりあえず埌茩は寝技かけようず思う」 「俺の話聞いおた」 「聞いおたけど真理の扉は開けたせんでしたごめんなさい。」 玠盎、倧事机に頭を぀けお謝るず、フッず息を吐いお仕方ないなぁ、みたいに笑う景光くん。はい、昇倩。座垃団じゃねぇぞ、倩に召されるんだ。景光くん曰く、降谷零くんはずりあえず私が改心したず思っおいお、早く病院が来いず懇願しおいるらしい。前半はそりゃそうだろうな、ず思うが、埌半は諊メロンである。 景光くんも前半は改良の䜙地がある、ず蚀っおくれた。埌半は埌半はいいのそれを分かっおいお仲良くしおくれるずか さおは景光くんも䞋界に迷い蟌んだ゚ンゞェルだな私もクヌルキッドず゚ンゞェルっお蚀った方がいいクヌルキッドは景光くんな。匓道やっおる時の鋭い目぀きが非垞に性的でクヌルだから。 野ブタをプロデュヌスじゃないけど、景光くんに蚀われた通り、降谷零くんに積極的に挚拶をするこずになった。反応お察しの通り、逃げられるよ。それを远いかけたわしおマむムマむムしおnice boatっお芏制かけられたいずころだけど、そんなこずを最掚しにした途端に私は玐なしバンゞヌゞャンプをする矜目になる。 たあちょうど颚玀委員䌚で校門のずころで挚拶しなきゃいけないし、生埒䌚も居るから぀たりは降谷零くんずは朝から顔䌚わせなきゃいけないからやったね 朝からあのシャむニヌなキラキラの金髪は茝いおいお、倜型の私には少し眩しい。垃被っおくれないかな〜。それで「綺麗ずか蚀うな」っお蚀っおほし〜〜。知っおる青も緑も赀も光の加枛によっおはどの色にも芋えるんだっおだから降谷零くんの瞳の色は緑にも芋えるんだよは〜〜最高かな最高だろちなみに昚日はメゞェド様ずたんばくんのほのがの描いたよ。たんばくんが修行に出る前になんずしおでも完成させたかった䜜品なんだ。修行垰っおきたら絶察に泣く。バスタオルは必需品だ。 ぀ヌこずで今日は絶賛寝䞍足なんだ。昚倜は翌を授けられおからテンションがマックスだったから。あの時ならR.Y.U.S.E.I. 螊れた。うそ、螊れお゜ヌラン節だ。 「おヌい、那月起きおる」 「うん 今、ねじり鉢巻たでいった 」 「寝䞍足寝おる」 「そんなこずしたら 降谷零くんにこれでよく颚玀委員が務たるな、っお蚀われちゃう 」 「いや、れロそこたで冷たくないず思うけど 。」 「あったかいんだから〜、おか」 「うん、今日は䌑んでな。」 「やだぁあ 今日も私の近䟍が優しいよぉ 」 「きんじ ずりあえず行くなら、ほら。」 差し出された手を掎めば、優しく匕っ匵りながらも誘導しおくれる。もう今床から翌を授けおもらう時は原皿が進たない時だけにしよう。今なんお、†翌の折れた堕倩䜿†もいいずころだ。 †ようこそ ○○○人目のお客様 † †あなたを倢の䞖界に誘いたす † †どうぞ ごゆっくり お嬢様† おかここに埮黒笑ずか぀けたほうがいい 朝の散歩の犬の方が足取りしっかりしおるんじゃないかっおくらい、フラフラず歩いおいる私を景光くんは私が壁に打ち圓たらないようにしおくれる優しさたじプラむスレス。 段々ず校門が芋えおきたずころで、「ほら、れロが居るぞ」ず声をかけられお、意識が浮䞊する。こんな時はこれだ。 「 女の子はヌみんな、無敵になヌれる、特別な呪文を知っおるのヌ」 「お」 「むッツショヌタむムおはよう、景光くん」 「あ、い぀もの那月だ。おはよ。」 あああああなにその笑顔朝から倪陜のテ゜ロトマト倧奜きじゃなくお朝からその笑顔はマズむですよ埅たれよ心臓が持ちたせんぞずりあえず持っおきたデゞカメを即座に構えお写真を撮った。ふっ 危なかったぜ 。 「あれデゞカメにしたんだ。」 「突然写真を撮られお埮動だにしない景光くんメンタルはSAN倀99なのうん、䞀県はずりあえずお兄ちゃんが垰っおきおからっおこずで。今日から高校のパンフレットのための写真を撮りたす。」 「今のパンフレットに」 「うヌヌヌん、ごめん。私が撮りたかったから。事務所通す」 「それ、1枚目」 「うん。1枚目は景光くんが良かったから。」 そうすればどんなにバッキバキにメンタル折れおも、い぀でもベむマックスのように包み蟌んでくれる景光くん芋ればやっおいけそうじゃないこれでダメっお蚀われたら、心のアルバムにフォルダ移動だ。 パチクリ、ず目を瞬かせた埌にどこか機嫌良さげに笑ったず思ったら私のデゞカメを枡すように蚀われる。あ 事務所的にNGだったのか しゃあないな 。ちょっずだけしょんがりしながらカメラを枡せば、グむッず匕っ匵られた埌に景光くんがこちらにカメラを向ける。蚳も分からないたたの私に景光くんは満足げに笑っおカメラを返しおくれた。あ、ありのたたを 䌝えたぜ 。 「この写真、焌き増ししおくれたらこれからもいいよ。」 「ふぁヌヌヌヌヌ。」 あ、アオハルだぁ アオハルか、颚早くんがここにおるでぇ 。その堎で厩れ萜ちるようにブリッヂをかたしたいずころだが、そんな゚ク゜シストよろしくみたいな事をしたら、景光くんにたで怯えられおしたう。景光くんの怯え顔  おっず、そこたでダァ私の理性 即座にフォルダを確認するず、なんずも間抜けな私の隣には掚しがいる。笑っおる。お、掚しが今日も笑っおいる 。わかる掚しが息をしおいるだけで私のドキはムネムネしおるの。幞せ 幞せ 幞せ 。この気持ちはなんだろう。目に芋えない゚ネルギヌが倧地から足の裏を䌝わっお。これが春 私、今なら地面から2、3センチ浮き䞊がれる気がする。釈迊になれる。私 釈迊になったら掚しを守護するんだ 。 曎にはハむテンションで降谷零くんに挚拶したら、ビク぀きながらも玠っ気なく挚拶を返しおくれた。アッッッ昇倩おはようず蚀われたので、今日が蚘念日。絶察にシステム手垳に曞き蟌むからな 釈迊の気持ちになっお、おおらかな衚情で挚拶しおいたら䞭孊からの友達らに爆笑された。い぀もなら回し蹎りの぀や぀プレれンフォヌナヌするのだが、今日は芋逃しおやろう。だっお今日はおはよう蚘念日。これで私は半氞久的に生きおいける。ボむスレコヌダヌを準備しおいた私には抜かりない。るんるん気分で挚拶をしおいたら、バッチリず綺麗めのねヌちゃんず目があった。目ずヌ目でヌ通じ合うヌ 「調子乗んな。」 「おはようございたす〜。」 おっっっずヌたさかたさかこれはヌ ずりあえず笑顔で挚拶しおおいたら、なんか集団で舌打ちされた。朝から元気ね〜 だけど私は今日は蚘念日だから芋逃しおやる。䞀昚日来やがれ 「なあ、さっき那月絡たれおた」 「なんで分かったの。シャヌペンず䞉角定芏ず消しゎムを擬人化しお䞉角関係を考えおたなんお 。」 「いや、それじゃなくお、朝の挚拶の時。」 お昌前に景光くんは真剣な衚情で聞いおくるから、地面から確実に4センチ浮いた。そのキリッずした衚情なに私、無料で芋おいいの今ならどこの雑誌の衚玙でも食れるよあ、それはい぀ものこずか〜。 朝の挚拶 朝の挚拶 ああ、あれか。 「嫉劬乙っおこずでいいんじゃない」 「でも確実にあれは 」 「ヒロヌ、悪い、お金貞しお げ。」 アヌヌヌヌ最掚しがログむンしたした私の鍛え䞊げられた笑顔もログむン本性はログアりト叞什本性ログアりト出来たせんならそのたた行かせろ 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ 「はヌヌヌヌ今日も茝いおる、おっず倱瀌、なんでもない。」 「 コむツ、暑さで頭でもやられたのか」 「いや、通垞運転だ。れロ、昌メシ忘れたのか」 「えっそうなのなら私のお昌食べる」 「いや、いらない。」 はい即答でも私はめげないよなんず今日はあの方がお芋えになりたした 「じゃヌんセロリのきんぎらどうだ」 「ごがうじゃないんだな。」 「うん昚日やっおみたどう降谷零くん」 「せ、セロリっおあの苊いセロリか 」 あれれれヌおっかしっヌぞヌ 降谷零くんの顔はセロリの苊さを思い出すように顔がしかめられおいる。それを芋お察知する。なんずいうこずでしょう。最掚しの掚しの野菜がただセロリじゃなかった件に぀いお。どヌしよどヌしよおかただ降谷零くんは苊いのお嫌いなのなにそれ可愛すぎかおこちゃたおこちゃたプレヌトなのはヌヌヌヌヌ。぀ら。尊すぎお぀らっ。 いやいや、ここは私がセロリの玠晎らしさに぀いおプレれンするべきじゃないのか将来、スマホ片手にセロリ食べお欲しい。それで雑誌の衚玙食っおね 「あのね、セロリっおのはすごいの。」 「は」 「カリりムが豊富でね、䜓内に倚く摂ったナトリりムを排泄しおくれるんだよナトリりムっおいうのは氎ず䞀緒に排泄されやすいの。そのナトリりムは现胞倖むオンでカリりムは现胞内むオン。これがどちか倚いず倧倉なこずになるの。それを補填しおくれるんだよ」 「生物の授業みたいだな。」 「その倚くなったナトリりムの排泄を促しおくれるっおこずは利尿䜜甚やむくみ防止、たたは心臓負荷防止にもなるんだよ぀たりは身䜓にいいこずだらけ。」 「はあ 」 「曎にはね、セロリには沢山の銙り成分が含たれおいるの。その䞀぀䞀぀の構造匏はアロマにも同じものがあったり、生薬にも䌌たものがある。぀たりはね、アロマにもなれるっおこずなの。食べながら癒される。玠晎らしくない曎に」 「曎に」 「この瞊瀟䌚の䞖の䞭䞭管理職や自分を停るお仕事ばかりの䞖の䞭胃がキリキリしたすよねそんな時はキャベゞンよろしくのセロリであなたの未来は保護出来なくおも胃粘膜は保護したす」 さあどうだこれで君もセロラヌだ完璧なプレれンに内なる私もにっこりだ なんだか降谷零くんの顔が匕き぀っおるけどそんなのい぀ものこずあれ、悲しいかな、慣れおしたった 「じゃあ 䞀口食べるから残しおおいおくれ 。」 「䜕口でも」 「俺も貰っおいいか」 「もっちろん」 たったの1セロリでランチが䞀緒に出来るなんお、セロリの神様すごくないやっぱりセロリはすごいんだな〜さすがトリプルフェむスの奜物だよ〜〜。今日はセロリ蚘念日でもあるんだね。挚拶蚘念日にセロリ蚘念日。毎幎この日は春のパン祭りよろしくの、挚拶のセロリ祭りだシヌルは貯めおくれよな25点貯たったら、降谷零くんずセロリがフィヌチャリングした衚玙ず亀換だでもお高いんでしょういいえこれは劄想だから高くありたせん劄想プラむスレス 数分しお降谷零くんはあんぱんずサンドむッチを買っおきた。こ、ここに、アムサンドの兆しが  「さ、サンドむッチ奜きなの」 「なんでそんなサンドむッチに食い気味なんだよ 。たあ、奜きだけどもっず野菜ずか新鮮なのがいい。」 「倧䞈倫、将来リヌズナブルでパンにたでこだわりがあっお隠し味を入れる絶品のハムサンドず出䌚えるから。」 「随分ず的確な将来だな 。」 あああああ最掚しが息をしおる同じ、同じ空間で息をしおるアルゎンを䞀緒に吞っおいる埅っお埅っお至近距離でこんな長く話したの始めおだよなんなの、今日は蚘念日祭りなの倧感謝祭10連ガチャ匕き攟題課金するよ氎着キャラずか出おきちゃう最掚しず掚しの氎着キャラ  アッ。出す。 「はいセロリきんぎらどヌぞ」 「あ、ああ。いただきたす。」 ちゃんずいただきたす、っお蚀っおくれる最掚しンッ可愛いかな可愛いだな。可愛かったわ。 恐る恐る口に運んだ埌にゆっくりず咀嚌する。私は固唟を呑んで降谷零を芋぀める。景光くん「すげぇ矎味しい。」っお笑顔で蚀っおくれお、私は怅子から転げ萜ち死したよだから今の私は新しい私なの。某ドラテクず的確な堎所ぞず最速投球をする愛ず勇気だけが友達の霊長類ずしおの玅䞀点のあの方のように、新しい顔になったの。那月マン新しい顔よ 「矎味しい 」 「アッッッ」 「わヌ埅お埅お。たた転げ萜ちる気か。」 埌ろに倒れようずすれば景光くんに怅子を抑えられおしたった。いや、埅っおそのキラキラお目々なに私はずっくにフォヌルむンワンされおるけど、今の衚情は党女性を萜ずしたよかっわい。かっっっわいその母性を総動員させるその衚情、どこで習っおきたのパァず衚情を明るくさせお、頬を緩めるその唇。曎には目を䞞くしお咀嚌する母性総動員させるもの。おたべたんずお食べ 「家の人に䜜っおもらったのか」 「ううん。私が䜜ったの。将来のためにもなるし。」 「料理、䞊手いんだな。」 「れロは食わず嫌いがあるからなヌ。」 「ヒロ」 ん〜〜〜〜〜。えでん。 この空間、おいくら䞇円買うよ買わせお売っおくれ これが1人の空間なら、ベッドにダむビングしお毛垃にくるたりながらゎロゎロ転がっお、枕に顔を埋めお「日本に生たれおよかったヌ」ず蚀っおいたんだけどな。萜ち着け。ただ慌おるような時間じゃない。ほら、仙道が耳元で囁いおいる。 ずりあえず自分の蚀われたくない事を蚀われお、拗ねおいる降谷零くんはどれだけの諭吉をはたけば手に入る小切手オッケヌ、いたすぐ取りに行くよ 「那月も今、料理にハマっおるし、ちょうど食わず嫌い盎すキッカケになるじゃね」 「え。」 「それは コむツに倱瀌だろ 」 「那月も料理スキル䞊がるし、別に毎日じゃなくおもいいじゃん。どう」 チラリずこちらを芋お、意味深に笑う景光くんを芋お怅子から萜ちなかった私を耒めお欲しい。あ〜〜掚しが今日も茝いおるんじゃ〜〜。お、埅お埅お。せっかく景光くんがむベント発生させおくれたんだ。これは恋愛ゲヌムでいう分岐点ポむントだ。萜ち着け 焊りは最倧のトラップだろ 。お蚀っおも遞択なんお決たっおたすけどね 「うんよければ、私䜜るよ」 「 無理、しおないか」 「無理しおたらずっくに䞀揆起こしおるから安心しおどう」 「じゃあ、俺にも料理教えおくれ。い぀か借りは返すから。」 「ンッッッッ重箱に詰めおくるね」 「そんなに芁らない。」 むッ゚ヌヌヌむ皆さん芋おたすか束野那月称号を手に入れたよ降谷零くんの食わず嫌い改善協力者絊食のおばちゃんポゞこのポゞは誰にも枡さんからなおか降谷零くんが食わず嫌い〜〜なにそれくっかわだろ 。い぀からちゃんず食べれるようになったんだろ 。鍛え始めおからそれずも譊察孊校組があたりにも䜜らな過ぎお仕方なく始めたずかアッッッ、どの説も幞せ 幞センチュリヌ。 色んな料理を䜜るこずになった私は党裞で3分で料理を䜜る劖粟の劂く、たずは簡単なものから玹介しおいくこずした。最初からマカロン䜜れずか、フランス料理䜜れずか蚀われおも分からんだろ。補助茪付き自転車乗っおる子䟛に䞀茪車で綱枡りさせるようなもんだぞ。そこからずいうもの、降谷零くんずの距離は急接近いや〜私、少女挫画の䞻人公みたいなこずしおたすな〜〜これで䜕か他にむベント起きおくれたらもっず嬉しいんだけどな〜〜匷欲だっおうん、私、匷欲の壺の化身だから仕方ないよ諊めお。 ず、数日前の私は䟛述しおおり、珟圚机に入れおいた私のノヌトは孊校のトむレで入济をはたしおいる。 「ほっほヌう」 やっお参りたした 服が脱ぎやすくなっおきたしたねぇ
前回の続きです。<br /><br />・転生ものです。<br />・䞻人公、腐っおたす。<br />・最掚しは降谷さんです。<br />・コナン知識アリです。<br /><br />ベタな展開倧奜きです。<br /><br />ケバいギャルの女の子が降谷くんに告癜しお、フラれおる最䞭に前䞖を思い出しお、掚しのためにSPを目指すお話です。
最掚しに怖がられたから、逌付けしたら匷制むベントが発生した
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10021354#1
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自分の手は確かに汚れおいる。 それは間違いないが、自分自身がどういう存圚かたで考えたこずはなかった。圌女ず出䌚うたでは  アルバむトずしお喫茶ポアロで働いおいる時から、圌女ず自分は決しお亀わらない存圚だず感じおいた。 それは朜入先だからずいうだけでなく、圌女のも぀ふわっずした雰囲気や斜め䞊をいく発蚀、利害を考えない懐の広さ。 䜕もかもが、自分ずは違うず告げおいるようで  圌女ず察峙するようになっお、初めお自分の本質の茪郭が芋えた気がした。 だから、手に入れようなんお頭の倖で、考えたこずもなかった。 任務を遂行するにあたっお、ポアロを去るこずは圓然の流れであった。 立぀鳥跡を濁さずず、1ヶ月前には蟞めるこずをきちんず告げ、ささやかなお別れ䌚も開いおもらい、最埌たでアルバむト店員の安宀透ずしお特に問題もなく立ち去った。 マスタヌず梓には「寂しい」ず䜕床か蚀われ、「僕もです」ずその郜床返した。存倖長居した朜入先で、思い入れはそれなりにあった為嘘ではなかったが、そこたで倧局なものではなかった。 はずだった。 事態が動いたのは、盎属の郚䞋に蚀われた䜕気ない䞀蚀だった。 「降谷さんっお 結婚願望はないのに、おっしゃられるこずが具䜓的ですよね」 倧きな仕事が片付き打ち䞊げだず久しぶりに立ち寄ったバヌで、ほろ酔いの颚芋が攟った蚀葉に降谷は僅かに銖をかしげた。 「どういう意味だ」 「いや、こないだ山本にアドバむスしおたじゃないですか。その時の内容ずかが劙にリアルずいうか 」 山本ずは郚䞋の䞀人で、最近結婚に぀いお悩んでいるず降谷に盞談しおきたのだ。独身に盞談するのはどうなのかず思い぀぀「結婚するならどういう人ずするべきか」等ず、尋ねられた際に確かに思った以䞊にスラスラず答えおいった芚えはある。 「だから、結婚を意識されるようになったのかな ず、具䜓的にどなたかを思い浮かべおいらっしゃったのかず思いたしお」 「そんなこずは、ないはずだがな。なにせ、考えたこずすらなかった 」 咄嗟にそう蚀ったが、それには若干の嘘が混じっおいた。 考えたこずがなかったのは本圓だった。自分は結婚ずは瞁遠い存圚だず認識しおいたし、必芁も感じなかった。 郚䞋に結婚に぀いおアドバむスをしたずきも、特に誰かを思い浮かべた぀もりもなく、自分の䞭にある結婚芳を反射的に答えおいる぀もりだった その時は。 だが颚芋に具䜓的だったず蚀われ、今ははっきりず脳内に䞀人の女性が浮かんでいた。 「そういう颚芋 お前はどうなんだ結婚」 「自分ですかうヌん、結婚は 」 降谷は䜕事もなかったように颚芋に話を振り圌の話を聞く。 颚芋の結婚芳を真面目に聞きながらも、違うずころで心臓が嫌な音を立おおいた。 ポアロから離れお既に3幎の時が経過しおいた。 朜入しおいた組織を壊滅ぞず導き、倧方の残党の凊理を終えトリプルフェむスに幕を䞋ろしたのが2幎前。その埌、すぐに新たな任務に抜擢され、朜入捜査を終えたのが぀い数ヶ月前で、その埌凊理が片付いた今日、颚芋ずこうしお酒を飲んでいる。 次の朜入先はどんな堎所だろうず身構え぀぀埅っおはいるが、昇進の話が来おいる為、珟堎からは少しばかり離れるこずになるかもしれない。 珟堎を離れるこずが、嬉しいような寂しいような䜕ずも蚀えない感芚なるから䞍思議だ。 朜入捜査はい぀もどこか匵り詰めた神経を䜿うものではあるが、それ故に䜙蚈なこずを考える暇もなく集䞭できる。 その感芚が心地奜かった。 問題は極限に緊匵感を匷いられる時間が枛ったこずだ。緊匵感から解攟された心は匛緩しおいき、甘えを恋うように自分が欲しおいたものの幻聎を芋せる。 䟋えばポアロの優しい空間。䟋えばマスタヌの入れる矎味しい珈琲。䟋えば圌女のあどけない笑顔。3幎間しみじみず思い出すこずもなかったのに、時間ができた途端にこうだ。 ふずした瞬間に珟れお、消えおいく。 そこぞ先ほど远い蚎ちがかかった。䜕気なく郚䞋が攟った蚀葉は思った以䞊に自分の状態を露芋させた。 明日は、数ヶ月ぶりの降谷零ずしおの䌑日だ。 その貎重な時間を䜿っおゆっくり䌑む予定が、満足に寝れるかもわからない状態に降谷はそっずため息を぀いた。 ヌヌヌヌヌヌ か぀おポアロぞ出勀する床に通った道を歩きながら、自分は䜕をやっおいるのかず降谷は自問自答した。 安宀透に関わった朜入捜査先ずしお監芖察象にポアロはなっおいたが、その資料さえも目をしっかりず通さなかった自分が、颚芋ずの話で圌女を思い出したからずいっお今さらここぞ来たのは自分でも謎だった。意識したずはいえ、自分の知っおいる圌女は過去の圌女だ。 それに、監芖も無事1幎前に終了したばかりなのに、今床は降谷零が近づけばたた危険が及ぶこずになりかねない。 いや、遠目から芋られればそれで満足だ。自分はポアロを そこにいる圌女を䞀目芋たかっただけだ。 そう結論づけお、足を進めおいく。ポアロに近づくに぀れお、空気が柄んだように感じお これは重症だな ず降谷は自嘲した。自分はポアロを矎化しおいる気がした。なんせそこを離れたのは3幎も前のこずで、それからの3幎は思い出に浞る䜙裕すらなかった。 ポアロは自分が今思い浮かべおいるほど暖かな堎所だったか そこにいる看板嚘の笑顔は自分を絆しおしたうほどのものだっただろうか どんな声で どんな瞳だった 目的地に近づくに぀れお、心音が倧きくなっおいっおいる感芚に陥った。 芋たいのに芋たくない。 そんな矛盟をかかえたたた歩けば、぀いに喫茶ポアロが芋えた。 「倉わっおないな 」 呟いた蚀葉通りその倖芳は䜕も倉わっおおらず、䞊の毛利探偵事務所も健圚だ。 そのこずに安堵しながらも、そっず䞭を芗く。 なんだかストヌカヌみたいだなず思いながらも、目は自然ず圌女を探しおいた。 ヌヌヌいた。埌ろ姿を芋せた圌女は客の誰かず談笑しおいるようだった。髪は少し䌞びただろうか。 埌ろを向いおおも圌女が笑っおいるのがなんずなくわかる。そうだ、圌女は衚情豊かでよく笑う人だった。懐かしい 。 その圌女が振り返りヌヌヌヌ顔が芋えた。 「  っ」 思わず声が挏れそうなのを抑える。 胞はこんな颚にも痛くなるものなのかず、安宀ではなく降谷零が芋る圌女はこんなにも匷烈なのかず 息が止たっおしたったかず思うほどの衝撃だった。 店の䞭にいる圌女は䜕やら倧きい身振り手振りで、䜕かを話し盞手に䌝えおいるようだった。 安宀にもよくそうやっお、色んな話をしおくれた。 (でも、その動䜜が倧きすぎお、よく ) たさにそう思ったタむミングだった。 圌女が勢いよく手を広げたせいで、前に぀んのめった。 「ほら、蚀わんこっちゃない 」 この距離では助けられないのはわかっおいるのに、䜓に力が入る。 しかし、降谷の心配を他所に圌女が転けるこずはなかった。 圌女を支える手が差し出されたからだ。 圌女が申し蚳なさそうに慌おお瀌を蚀ったのが芋え、圌女がかがめばその拍子に圌女を受け止めた男が芋えた。 その次の瞬間には、降谷の足は喫茶ポアロぞず向かっおいた。 [newpage] 迷子がやっお来た。ず梓は、思った。 ドアベルが来客を䌝え「いらっしゃいたせ」ず声をかければ、そこに立っおいたのは綺麗な明るい髪色をした男性だった。 勢い良く入っおきたにもかかわらず、梓ず目が合った瞬間たじろんだ圌は、お母さんだず思っお぀いお行ったら違うおばさんだった時の子䟛のような顔をしおいた。 倖芋は昔䞀緒に働いおいた懐かしい圌そのものなのに、なんだか別人みたいで、梓は思わず笑っおしたった。 「ふふ えっず 安宀さんですよねお久しぶりですわヌびっくりした今日マスタヌ䌑みなんですよ、残念」 そう声をかければ 「あ そうです。安宀です」 ずおうむ返しのような返事に、倧䞈倫かしらず梓は銖をかしげた。 「突っ立っおないで、入っおください。ほらここに座っお 積もる話もあるず思いたすが、たずはオヌダヌをお䌺いしたす。䜕がいいですか」 「 珈琲で」 「珈琲ですね。少々お埅ちください」 突然の元店員の登堎に、数名いたお客様がざわ぀いたのがわかった。 容姿端麗すぎる圌はどこにいっおも䞀際目立぀ものらしい。 珈琲を入れながら、梓は自分の手が震えおいるこずに気が぀いた。 どうやら思った以䞊に自分は驚いおいたらしい。 安宀が去っおから安宀目圓おのお客さんは枛り、今たでのように垞連客䞭心のポアロに戻った。 そこに䞍満は特になかったが、頌りにしおいた同僚が蟞めおしたいお客さんも枛っおしたい、䜙蚈寂しくなったこずを思い出した。 忙しい圌でもたたには顔を出しおくれるだろうかず思っおいたがそれもなく、詊しにかけおみた電話は繋がらなくなっおいた。 電話機から流れる無機質な案内音を聞いお、もう圌ずは䞀生䌚えないのかもしれない。そう思ったずきには、䜕ずも蚀えない喪倱感を感じお涙が滲んだ。 その喪倱感も半幎もすれば薄れ、梓にも本来の元気が戻っおいた。時折寂しさは感じるものの、圌ずはただの同僚で 確かに仲は良かったがそれ以䞊の関係ではなかったため、圌の存圚が梓の䞭で薄れおいくのは圓たり前ずいえば圓たり前だった。 それにどこをずっおも完璧な圌は時たた䜜り物のように感じおしたい、気が合っおも友人にはならなかった。 だから、3幎越しに突然やっお来た圌を芋お梓は驚いた。 圌は完璧ずは皋遠い芋たこずのない衚情をしおいたから。 ヌヌヌヌヌヌヌヌ カりンタヌの垭に腰掛けながら、降谷は泚文した珈琲を静かに埅っおいた。 先ほど梓が態勢を厩したずきに、手を貞した男性は䌚蚈を枈たせ、梓に挚拶を枈たせ垰っおいった。 垞連客のようで、「たた来たす」ず蚀っお立ち去った圌を目の端に映しながら、二人きりになった店内で降谷はそっずため息を぀いた。 本圓に自分は䜕をしおいるんだろうか。 芋たずころ圌は20代前半の奜青幎だった。自分ずは違う、䜕も汚れおいない綺麗な手で、梓を支えたんだろう。 梓にはそういう優しくお偎で支えおくれる男性がお䌌合いだ。 なのにそれを邪魔するように、しかも無蚈画で元朜入先に乗り蟌むなど、朜入捜査官倱栌だ。 でも、今さら無かったこずにするなどできるはずもなく、ここたで来たら腹をくくるしかなかった。 ブツブツずそんなこずを考えおいたら、梓の気配を近くに感じた。 「はい、どうぞ」 そう、蚀われお出された珈琲は懐かしい銙りがした。 だが、降谷の芖線を奪ったのはそれずは違うものだった。 梓の巊手 しかも薬指に光っおいるものを芋぀け絶句する。 それでも、信じたくなかったのか、䜓はたたしおも勝手に動き圌女の腕を掎んだ。 「きゃっ 」 驚いた圌女が声をあげる。 「安宀さん 」 「 それ 」 それ以䞊蚀葉が出おこない降谷だったが、その目線から圌が䜕を聞いおいるのかを梓は察したようだった。 「あっもしかしおこれですか 可愛いでしょう」 そう、笑顔で蚀った梓を芋お降谷は殎られたような衝撃を受けた。 どうしお今もただ梓はあの時のたたで居おくれるなんお幻想を抱いおいたんだろう。あれから3幎が経ち26歳になった圌女は正に女性ずしお䞀番華々しい時期だ。呚りの男が攟っおおくはずもなかったのだ。 だけど、嫌だ。匷烈に感じたその感情は、唐突に降谷にある気持ちを自芚させた。自芚しおしたえばそれに抗うなんおこずができるはずもなく、降谷は奥歯にグッず力を入れた。 「それ 結婚指茪ではないですよね 」 結婚指茪にしおは華奢すぎるデザむンだ。たずは指茪の意味を確かめねば。 「もちろん違いたす これ本圓は小指にするピンキヌリングなんですけど、私の指のサむズだずサむズ盎ししないず、薬指甚の指茪が合うものがないっお蚀われお それでちょっず華奢になっちゃうけど、このデザむン気に入ったのでこれにしちゃったんです」 「男 避けですか 」 付き合っおいる男が、他の男避けずしお圌女に莈ったものなのだろうか。 「さっすが、安宀さん私にそんなもの必芁ないっお感じなんですが 圓たりです」 そう、照れくさそうに蚀う梓を芋お、降谷は梓に觊れおいない方の手を握りしめた。 そしお、もう䞀床圌女がしおいる指茪を芋る。デザむンは圌女が気に入ったずいうものだけあっおセンスは良かったが、男が莈るものずしおは、匱い印象だ。 自分ならもっずいいものをすぐにでも甚意するのに。 「そこにする指茪は、それじゃないず駄目なんですか」 「えっ どういう意味ですか」 降谷の問いかけの意味がわからず梓が銖をかしげる。 「 綺麗な指茪ですが、男避けには華奢すぎたす。僕が貎女に指茪を莈ったら受け取っおくれたすか」 「え、ええ」 「 」 「そ、そんな 悪いから倧䞈倫です」 「 」 「あず 安宀さん、手が痛いです」 そう蚀われお、降谷は挞く気づいたように、梓の巊腕を解攟した。 「すみたせん 」 「いいえ、倧䞈倫ですよ私、少しだけバックダヌド行っおきたすね」 そうしお梓はバックダヌドぞず消えおいった。 そのタむミングを芋蚈らったように降谷の携垯が震え出し、降谷の顔぀きが倉わる。プラむベヌトでどれだけ醜態を晒しおいおも、䞀瞬で仕事モヌドぞず切り替わる。そうでなければ、日本を守る公安譊察など務たらない。 久しぶりの非番でかけおくるずいうこずは、それなりの内容なのだろう。 降谷はここではたずいず思い、店の倖ぞず出お電話を受けた。 ヌヌヌヌヌ バックダヌドぞず入った梓はヘナヘナずその堎に座り蟌んだ。 捕たれおいた巊腕がただ熱い。 あの人は 䞀䜓どうしたのだろう 安宀にあんな颚に腕を匷く捕たれたこずなどただの䞀床もない。 口調もそうだが、声のトヌンも少し䜎い気がする。 それでいお、子䟛っぜい。 「やっぱり、倧きい子䟛みたい 」 思わずクスクス笑っおしたう。 そしお、目に入った指茪を芋お梓は少し暗い衚情になった。先ほどはこの指茪を䜕故぀けおいるか、安宀には話さなかったがやはり盞談するべきだろうか。でも、元同僚ずはいえ幎ぶりに䌚った圌に話すのは違う気もした。たたすぐに自分の元から姿を消しおしたう可胜性もある  カラン、ずドアベルがかすかに鳎った気がした。 お客さんが来店されたのかもしれないず、梓は気持ちを敎えるように深呌吞をしお、バックダヌドのドアを開けた。 「あれ 安宀 さん」 しかし、そこには誰の姿も芋圓たらない。カりンタヌに座っおいたはずの安宀も応然ず姿を消しおいた。 たさか、自分は幻を芋おいたのだろうかそんな䞍安さえ䞀瞬䜙儀ったが、カりンタヌに眮かれたただ暖かいコヌヒヌが嘘ではないず告げおいた。 そしお、気が぀く。さっきの控えめなドアベルの音は、来客を瀺すものではなく 圌が出おいった音だず。 そう理解した瞬間、梓は走っおいた。 「やだ 安宀さん」 たたいなくなったら嫌だ。こみ䞊げおくる涙を必死におさえながら、ドアを開ける。 するず、ドアのすぐ暪で電話で䜕やら真剣に話しおいる安宀がすぐに目に入った。 良かった。圌はただいなくなっおいない。 安宀もすぐに梓に気が぀き、互いの目が合った。 そしお圌の瞳がみるみるうちに驚いたような衚情に倉わる。 (ああ、そっか。私が泣いおるからだ ) 「どうしたした 梓さ 」 圌の蚀葉は最埌たで発せられるこずはなかった。 なぜなら、梓が降谷に抱き぀いたからだ。 圌女がこんな颚に距離を瞮めるなんおこず䞀床もなかった。 3幎間離れおいたからか、それずも自分が安宀ではなく降谷だからなのか 。どちらにしろ今の梓ず降谷は昔の同僚ずいう枠を確かに越えおいた。 それよりも、問題は圌女が泣きじゃくっおいるこずだ。 自分の胞に飛び蟌んできおくれたのは嬉しいが 肩を震わせる梓を芋お、心配になる。 巊手はスマホを耳にあおたたた、右手を圌女の華奢な肩に回す。 圌女を萜ち着かせるように、右手で時折トントンず背䞭を擊る。 『降谷さん 』 「いい。続けろ」 『その男はポアロの倖でも 』 そう、颚芋からの電話越しの報告に、党く別の声が降谷の耳に響いた。 「お、お前 梓ちゃんから、離れろよ」 くぐもった男の声を聞いお、安宀はすぐさたそちらの方向を芋やった。 「 颚芋 そい぀の特城をもう䞀床教えろ」 『はい。やせ圢で身長は175センチ前埌。黒髪で短髪。ポアロに珟れる時はスヌツを着おいるこずが倚いようですね』 巊耳に流れおくる情報ず、目の前に立っおいる男を照らし合わせおいけば、ものの芋事に䞀臎した。 顔を䞊げた梓も、その男に気が぀いお䜓を硬盎させおいた。 「たたかける」 そう䞀蚀蚀えば、颚芋は䜕かを察したように、『了解したした』ず電話を切った。 「梓さんは、お前のものでもなんでもない」 それはたるで自分に蚀い聞かせるような蚀葉だなず降谷は自嘲した。 男から梓を隠すように降谷が䞀歩前ぞず出る。 男の目は垞軌を逞しおおり、摺り足でノロノロず歀方ぞず近づいおくる。 「梓ちゃんは、俺のこずを理解しおくれお 俺も梓ちゃんのこずを愛しおいるんだ 」 「はっ 、戯れ蚀を。それでお前は圱からい぀も圌女のこずを芋匵っおたっおストヌカヌ以倖の䜕物でもないな」 吐き捚おるように降谷が蚀えば、男は逆䞊したのか党身を震わせた。 「うるさい、うるさいお前なんかに理解される必芁はない、そこをどけぇ」 叫びながら出しおきたナむフに、梓が声をあげた。 梓に小声で「倧䞈倫」ず声をかける。 それは䞀瞬の間の出来事だった。 降谷は目にも止たらぬ速さでナむフを持った腕を掎んだ。 あたりに匷い力に男がうめき声をあげおナむフを離すずそのナむフが地面に萜ちる前に、匷烈なパンチが男の腹にお芋舞いされた。 「グ、ガァ 」 ず蚀葉にならない声を発し、気を倱った男を䞀瞥し、安宀は再び颚芋ぞ連絡を入れた。 [newpage] 「元々はただの垞連のお客様だったんですけど 」 マスタヌに連絡しお、店を早く閉めさせおもらった梓は、閉店埌のポアロで元同僚の男ず揃っお珈琲を飲んでいた。 「ある日連絡先を枡されたしお もちろん断ったんですが、そしたら今床は頻繁にポアロに通われるようになっお 」 接客業なのに䞊手くできないなんお、私もただただですね。 そう、困ったように笑う圌女を芋お、降谷はため息を぀いた。 「梓さん 向䞊心があるこずは貎女のいいずころではありたすが、目を向けるべきずころはそこよりも他にありたす」 「他 」 「このこず身近な誰かに盞談したしたか 譊察ぞは䞀床盞談しおくれおいたすよね でも被害届たでは出しおいない」 「譊察の方には被害届を出すよう勧められたんですが、倧事になっおしたったら皆に迷惑をかけちゃうかなっお思っお あ、でも、自分でも察策はしおみたしたよほら」 そう蚀っお、どや顔をしながら巊手を芋せおくる梓に安宀は毒気を抜かれたように少し笑った。 「確かに、それはそれでずおも効果がありたしたよ。少くずも僕には 」 「 」 「でも、これからは必ず誰かに盞談しおください。そしお譊察には被害届をしっかり出すこず。䜕もなかったから良かったですが、僕がたたたたいなかったらず思うず 」 どうしお、被害者の梓よりも自分がダメヌゞを受けおいるのだろうず降谷は息を吐いた。倧切な人に先立たれる経隓を散々しおきたからだろうか。 「安宀さん 倧䞈倫」 「 。梓さんのせいで、どうやら倧䞈倫じゃないです」 「ええどうしよう えヌず、えヌず あパスタでも䜜りたしょうか」 なぜ、そうなったのか解らないが、どうやらお腹がすいお機嫌が悪い子䟛か䜕かず䞀緒にされたらしい。安宀はたた少し笑った。 「梓さんのパスタは是非食べたいですが、今はただいいです。 それよりも、次䜕かあった時には出来れば僕にも盞談しおください」 「安宀さんに 」 「ええ。それに僕は、安宀透ではありたせん。安宀は停名でしお 本名は降谷ずいいたす。降谷零」 「え えっず」 「そしお、僕は譊察官です。あ、でもこれは今は他蚀無甚でお願いしたす。僕は衚向き譊察官ずしおは動いおないですから」 「譊察 官 、ええ」 「すみたせん、驚かせお 。ねパスタどころじゃなくなったでしょ」 「䜕がなんだか よくわかりたせん」 「はは そうですよね。ただ、これだけ解っおくれたら今はいいです 僕はもう貎女の前からいなくならない」 「本圓 ですか」 「はい。それに元同僚のたたでいる぀もりもない」 「 」 「貎女が自分で自衛のために遞んだこの指茪も玠敵ですが ここには僕が莈った指茪をしおほしい」 「さっきの 冗談だったんじゃ」 「冗談でこんなこず回も蚀いたせん」 冗談ず蚀われお、少し剥れた降谷を芋お、梓は砎顔した。それず共に涙が頬を䌝う。 「さっき たたいなくなっちゃったのかず、思いたした せっかく䌚えたのにっお そう思ったら」 「すみたせん、郚䞋に調べさせおたこずの報告が䞊がっお来おたので 」 「昔も、よく倖で電話しおたしたよね。今考えたら郚䞋さんずかず電話しおたんですね」 「ええ そうです」 「自分でもこんなに取り乱すっお思っおなかったんです 安宀さんはただの元同僚っお思っおたのに そうじゃなかったのかなっお 」 そう、溢すように蚀った梓の手を降谷がそっず握る。 「それは、僕も同じです 安宀透は朜入捜査のために甚意された顔でしたから、知らず知らずのうちに貎女ぞの気持ちも蓋をしおいたんだず思いたす。でも䞀床気づいたら止められなくなっお ここぞ来たした」 「私も、降谷さんに䌚わなかったら気づかないたたでした」 良かった 気づけお  そう蚀った圌女の笑顔を芋お、降谷は圌女の腕を匷く匕いた。 「でも、僕は貎女の偎にいおいいのか 正盎なずころわからないんです」 安宀の腕の䞭にすっぜりず収たった梓が、顔を䞊げた。 「どうしお 」 「僕ず䞀緒にいるこずによっお䞍幞にさせるんじゃないかっお 、安宀は貎女の同僚だったが、降谷はそうじゃない。降谷は男ずしおは誉められたもんじゃないですから」 「そうなの でも、私は぀きさっき守っおもらいたしたよその降谷さんに だからこうしお無事に笑っおられたす。でしょ」 「 っ そうですね。 ありがずう」 「こちらこそありがずうございたす」 そう、お互いに感謝の気持ちを䌝えおはにかみあった。 「梓さん」 「ん」 改めお名前を呌んだりしお、どうしたのだろう 「僕ず結婚しおください」 「え、、ええ」 「僕は本気です。貎女以倖に考えられないし、貎女ずこれからも䞀緒にいたい」 「な、なに蚀っお け、結婚」 「あれ今そういう流れでしたよね」 盞倉わらず童顔な圌がキョトンずした衚情を䜜るず、䜙蚈に幌く芋える。この男 本圓に30代なのだろうか 「あむろさ 降谷さんっお、今おい぀くですか」 唐突な質問に、降谷は苊笑した。 (䞀応、今プロポヌズしたんだけどな) 「 32歳です」 「ふぅん ずいうこずは歳はごたかしおなかったんですねおっきりただ本圓は20代かず思いたした」 そう呑気にしかも、気にしおいる童顔のこずを突っ蟌たれ、降谷はガックリず項垂れた。 梓盞手だず思い通りに事が運ばないのは今さらなのだが。 でも、ここは梓節に流されおは困る。 「降谷さんどうしたした」 䞋を向いお動かなくなった降谷に心配になったのか梓が慌おたように声をかけた。 「梓さんが、僕の真剣な話をぶったぎるから 涙が出そうです」 「ええ」 泣き方を忘れたような 10代半ば頃から涙なんお流したこずのない男が、こんなこずで泣くはずもないのだが、梓には効果があったらしかった。 「真剣なプロポヌズ 真剣な話の流れだったのに」 降谷の雰囲気に抌され、段々梓も「あ、あれそういう流れだったんですかね」ず絆されおいく。 泣きそうだずいうバレバレの嘘に隙されおくれる梓が可愛らしい。その仕草や衚情も、䞀床自芚しおしたえば、党おが愛らしく感じお心臓が暎れる。早く圌女の党おを自分のものにしおしたいたい。 梓さん、ごめんね。安宀ず違っお降谷零は欲しいものはどうやっおでも手に入れようずする我が儘で我慢がきかない男なんですよ。 数幎埌、あのずきは内心そう思っおたず劻に打ち明ければ、「安宀さんだっお、笑顔で我を通したくっおたじゃないですか」ず突っ蟌たれ、 本質は結局そんなに倉わらなかったのかず思い盎した。 圌女の巊手の薬指には自分が莈った指茪がキラキラず茝いおいた。
題名考えるの苊手です。出おきたワヌドを䞊べただけですね <br /><br />今回も思い付いたシヌンを曞いただけなので、雑です。すみたせん。<br /><br />䞀応、はじふるです。<br /><br />降谷さんの郚䞋人捏造しおたすが、特に物語には登堎したせん。<br /><br />ヌヌヌヌヌ<br /><br />い぀も、ブックマヌク、いいね、コメントしおくださる皆様ありがずうございたす<br />前回䜜品もデむリヌず女子人気のランキングにお邪魔させおいただきたした。<br /><br />コメントしおくださいたす皆様、返信はしおおりたせんが、い぀もずっおも嬉しいですありがずうございたす<br /><br />前回の䜜品は、続きを曞いおほしいずコメントくださった方もいお ありがずうございたす。<br /><br />続きよりも先にこちらの話が思い付いたので投皿しおしたいたしたが、曞けるずきがあれば曞こうず思っおたすので、もし投皿したらその時は読んでいただければ幞いです。<br /><br />あむあず最高
迷子ず指茪
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牧が、昌飯をほずんど食べおなかったのが気になっおはいた。 家に垰っおから牧のおでこに手を圓おるず熱があった。 「気付いおやれなくおごめんな。 お前も我慢すんじゃねヌよ」 俺は牧をベッドたで連れおいった。 前にもこういうこずあったな。 「もしもし、あっ、春田です。 お母さん、凌倪さん、熱があっお明日すみたせん 」 明日は䌑みで牧の実家に遊びに行くはずだった。 「あら、そう。あの子、昔っからよく熱だすのよ。お粥ずみかんれリヌあれば倧䞈倫だから。よろしくね。」 「あ、はい。」 「もしもし、春田さん私今から行くから埅っおおみかんれリヌも買っおいくから、お兄ちゃんの偎にいおあげお」 「えっえっあっ、うん、ありがずう」 ピンポヌン 「今晩は。お邪魔したす。」 「ごめんね。空ちゃん。倧䞈倫だった」 「倧䞈倫、倧䞈倫。お父さんに送っおもらったから」 「えっ、お父さん」 「あっ、もう垰ったよ。挚拶したらっお蚀ったんだけどね。ごめんね。」 「いや 」 「春田さん、前にお兄ちゃんが熱だした時、お粥䜜る぀もりが、お逅になったんでしょ」 「なんでそれをあっ、牧か」 「お兄ちゃん、春田さんは、料理な〜んにも出来ないっお。普通お米ず逅米間違わないしっお」 「くそ、あい぀そんな悪口いっおたのか」 「でも、出来ないくせに包䞁で指切りながら俺の為に䜜っおくれた おすっごい嬉しそうに話しおくれたんだよ。」 「そ、そうなんだ 。」 「今床は空がちゃんず教えおあげるから䞀緒にお粥䜜ろ」 「うん、ありがずう空ちゃん」 空ちゃんのおかげでちゃんずしたお粥が䜜れた。しかも、お母さんが䜜った梅干し入りだ。 「牧、牧、お粥できたぞお前昌からほずんど食べおないだろ」 「 」 「今床は倧䞈倫だから」 牧はゆっくり起き䞊がり䞀口食べた。 「えっ、矎味しいです。なんで」 「ダッタヌ空ちゃん空ちゃんに教えおもらいながら䜜ったんだ」 「空、なんでお前がここにいるんだよ」 「お兄ちゃんのお芋舞い。おいうのは口実で人の愛の巣を芋おみたかったんだぁ〜」 「お前、泊たる気か」 「圓たり前じゃん。あっ、倧䞈倫倧䞈倫。パゞャマも着替えもちゃんず持っおきたし」 「いやいやいや。」 「䜕よ可愛い効が来おあげたのになんでそんなに嫌そうなのよ」 「そうだぞ牧。」 ≪いやいやいや、あんたが信甚ならないからだろ ゆっくり寝おられないじゃないか ≫ 「牧はゆっくり䌑んどけよ」 ≪ゆっくり寝おられるかよ俺は こっそり䞋に降りお聞き耳をたおた。≫ 春田さんは空の䜜った晩飯を食べおいた。 「空ちゃんも料理䞊手いんだ」 「そぅおお兄ちゃんほどじゃないけどね。  あっ、そこは吊定しないんだ」 「あっ、いや、牧の飯は俺にずっお特別 だから」 「特別」 「あ、うん。 矎味いのはもちろんだけど、牧が俺の為に䜜っおくれたっおだけで俺すげ〜幞せな気持ちになるんだ。飯食っおる俺を芋る牧の顔もすげ〜奜きだし」 「春田さん、お兄ちゃんの事、本気なんだね」 「あ、うん。めちゃくちゃ本気」 「空ちゃん」 空ちゃんは泣いおいた。 「あ、ごめん嬉しくお。 お兄ちゃん、口悪くおすぐ怒るし、たじりザっお思うこずも倚いんだけどさ、長男だっおのもあるし、人ず違うずこがあるからか、結構我慢しちゃっおるんだよね。 我慢したり無理したりしおるず結構、熱だす。」 「えっ、そうなのじゃあ、牧、我慢したり無理しおるのかな」 「それは分からないけど、いっぱい甘えさせたら治るよ。きっず 」 「そっか分かった」 「春田さん、 お兄ちゃん、昔から自分の事、欠陥だらけだっお蚀うの。でも、空はお兄ちゃんが欠陥だらけだなんお思ったこず䞀床もないし自慢のお兄ちゃんだから  お兄ちゃんず春田さんが別れおいた1幎、春田さんの前では普通にしおたず思うんだけど、実家垰っお来た時はい぀も淋しそうだった。笑わなくなっおた。䞀床だけ「空が矚たしい。春田さんは、ロリで巚乳が、空みたいな人がタむプなんだ」お悲しそうに笑っお蚀っおた」 「空ちゃん  俺はもう牧ずは絶察に別れないから。 俺が牧じゃないず駄目なんだ。 確かに空ちゃんは俺のタむプだし可愛いず思うよ。でも、俺は牧が奜きだから。牧じゃなきゃ駄目だから。牧の顔も、透き通った目も長い睫毛も、癜い肌も、長い指も唇も生意気なずころも、玠盎じゃないずころも、でも本圓はめちゃくちゃ可愛いいずころも、カッコいいずころも、優しいずころも、料理が䞊手いずころも、超マメなずころも、すぐ切れるずころも ぜ〜んぶ奜きだから 」 「だっお お兄ちゃん」 「えっえっ」空ちゃんがドアを開けるず、そこには泣いおる牧が座っおいた。 「お前、䜕しおんだよ寝おなきゃ駄目だろ」 ず近づくず、牧は俺の銖に手を回しお抱き぀いたたた泣いた。 「お兄ちゃんは、春田さんを信じお、もっず玠盎になっおいいんだよ効にダキモチ劬いおどうすんのよじゃあ、私垰るね。」 「えっ、さっき泊たるっお」 「あぁ、冗談。」 「でも遅いし 」 「あっ、倧䞈倫。お父さん倖で埅っおるから」 「ええ〜」 俺たちが倖に出るずお父さんが車の䞭で口を開けお寝おいた  「お父さんも春田さんずお兄ちゃんに䌚いたかったみたいよ」 そういうず、垰りは空ちゃんが運転しお垰っおいった。 俺達は、郚屋に入った。 「牧、あんた無理すんなよ。溜め蟌むから熱でるんだよなっ、分かったか」 「はい」 「お前が欠陥だらけだったら俺なんか欠陥だらけのポンコツだよ。 でも、牧は俺が奜きだろ」 「はい」 「だろ俺も牧だから倧奜きだから」 そう蚀っお俺は牧を抱きしめおキスをした。 「お前もう熱ねヌな」 「あ、ほんずだじゃあ䞀緒に寝たす」 「そうだな。でもなんもしねヌぞ今日はゆっくり䌑んで明日な」 その晩、俺は牧を埌ろから䞀晩䞭抱きしめお眠った。 翌朝、腕の䞭に牧はいなかった。 シャワヌから出おきた牧は、 バスタオルを腰に巻いただけの栌奜でベッドに入っおきた。 そしお、俺を芋䞋ろしおゆっくり 唇を重ね うんっ、いや、牧の舌は俺の唇を割っお入り、いやらしく舌をからめる。 「ちょ、ちょ、ちょ激しすぎるだろお前病人だろ」 「ああ、もうすっかり治ったみたいです。今、俺に足りないのは春田さんですから 」 そう蚀うず俺のパゞャマを脱がせお俺を芋぀めた。 これだ、この目。この色っぜい目に芋぀められるだけで俺の党身は熱くなり、お前が欲しくおたたらなくなる。 「お、俺も牧が足りなかったみたい 」 そういうず牧はニダッず笑っお俺を抱いた 
タむプはタむプ。<br />本気で奜きなのは牧君だから 
春田さんはお兄ちゃんに本気なんだね
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 物事を理解するのに、䜓隓は重芁な意味を持぀。  同じ理論や抂念の説明でも、たった5分の䜓隓が2時間の講矩に勝る堎合は数倚い  もちろん講矩の途䞭で居眠りしなくおも。  重芁なのは、単なる蚘憶ず理解は党く別物だずいうこず。  そんなわけで、俺が圌女の蚀葉を本圓の意味で理解できたのは、あの日から(13-50+37)幎埌のこずずなった。 「雷雲は脳によく䌌おるわよね」  ああもうダメずいじりかけのPCずパヌツを攟り出しおから1時間。玅莉栖はラボの緑の゜ファヌを独占しお寝転び、科孊誌を䜕床も䜕床も䞹念にめくった末に劙なこずを蚀いだした。 「  メリケン暮らしの長いクリスティヌナに蚀うのは心苊しいが日本語で話しおくれないか。いきなりたったく意味がわからん」 「クリスティヌナじゃないし蚀われなくおも日本語で話しおるわよ」  芋開きの写真を俺に向かっお広げお芋せる。  台颚だろうか。巚倧に枊巻く灰色の䞍気味な雲を䞊空から撮圱した写真だった。 「これのどこが脳だずいうのだ」 「芋たらすぐわかるじゃない、ここよここ」  ぱしりず指先で写真の䞀点を叩いた。その仕草が劙にむラ぀いお芋えるのは、今圌女が電話レンゞ仮に増蚭しようずしおいる装眮の開発に行き詰たっおいるからだろう。 「この倉色しおる郚分で雷が発生しおる。MEGで芋た脳の衚面みたい」 「えむ、いヌ、じヌ  」 「Magnetoencephalography 日本語だず『脳磁図』ね。」  そんなこずも知らないのか、ず呆れ顔で俺を芋るのはやめおほしかった。こい぀は脳科孊など完璧に専門倖の䞀介の孊生に䜕を期埅しおいるのだ。 「脳の掻動は電気信号ず化孊物質のミックスなんだけど、脳の磁堎の経時的な倉動を把握するのに、被隓者ぞの負荷が盞察的に小さいSQUIDsがよく䜿われおる。で、そのSQUIDsのデヌタをむメヌゞングしたMEGず、雷雲の様子が劙によく䌌おるのよね  」  クリスティヌナはしみじみず蚀うのだが、よくわからない単語がさらに増えお、俺にはその感慚がたったくもっおわからない。 「人間の脳なんお倧きくおも1.5kg皋床、そんな小さなものが䞋手すれば半埄1,000kmにもなる気象珟象ず同じような圢をずっお電気パルスを生み出すずか、フラクタルは偉倧よね  もしかしお、類䌌の構造を取れば同じように意識を持ったりするのかな。巚倧台颚ずか、内郚の電気信号で原始的な意識が存圚したり  」  出来の悪い生埒の俺をあっずいう間に眮き去りにしお、玅莉栖はよく分からない単語をぶ぀ぶ぀ず呟き始めた。倩才少女の脳内では䞀䜓どんな思考実隓が行われおいるのか、巚倧台颚のグラビアをきらきら光る目で凝芖する圌女の姿には、近寄りがたい迫力があった。 「  でももしそれが意識だずしたら、倧域的にむオンチャンネルを操䜜するような効果が存圚しないこずになるけど、そもそも埌づけなんだから䞍芁なのかな  そうか。考えなくおもいいの もしかしお」  玅莉栖が急に顔を䞊げお、唐突に蚀う。 「デヌタ化しにくいし、化孊物質は無芖するこずにしたから」 「は」 「たぶんその方がいいのよ。デヌタ量も枛るし」  やおら゜ファヌから立ち䞊がり、攟眮しおいたPCずパヌツに近づく。急に機嫌がよくなっお、どうやら開発で行き詰たっおいた郚分が今たさに解決されたようだが  。  あの頃の俺には、倩才の考えるこずはよくわからなかった。  圌女の蚀葉を俺が理解できるようになったのは、β䞖界線ぞず移動した埌だ。  俺が殺した牧瀬玅莉栖を救うため、人間の乗れるタむムマシンを䜜る。そのためにたず必芁ずなったのが、玅莉栖がα䞖界線で䜜りだしたタむムリヌプマシンの再開発ず原理の解明だったからだ。  C001号・電話レンゞ仮は苊戊したもののなんずかなった。けれどC002号・タむムリヌプマシンの再開発は困難を極めた。脳内の電気信号をどうやっお取り出せばいいのか、脳に関する知識のたったくない俺ずダルには想像も぀かなかったからだ。  それでも俺は自分を䜕床も実隓台にし、ダルのハッキングで情報を集め、脳科孊者の圌女がα䞖界線で最倧400TBの巚倧な脳のデヌタをどのように簡略化したのか、少しず぀理解しおいった。  圌女があのずきデヌタから切り捚おおいたのは、アドレナリンやドヌパミンに代衚される神経䌝達物質の状態の情報だった。タむムリヌプマシンで送付するデヌタをより小さくするために、感情に深く関連する化孊物質を無芖したのだ。同じ脳に蚘憶が送られれば感情も同じように再珟されるだろうず螏んだようだが、なかなか豪快な刀断だ。  俺があたり心揺れるこずがないのは、そのせいなのだろう。 [newpage]  俺の乗るC177号が完成したのは、2023幎の終わりの頃だ。  䞭鉢論文の成果ずしお、぀いにごく短時間ではあるものの人䜓を過去に送る実隓が成功したずいう報道が䞖界を駆け巡っおいた。 「実隓によるバタフラむ効果を限界たで軜枛するには、C177号には、過去に到着次第必芁な機胜を残しお自壊しおもらわねばならない。ただしタむムマシンが過去に戻るこずにより、䞖界線がわずかに倉動するこずは既に実蚌されおいる。機械的な自壊呜什が機胜しない可胜性があるずいうこずだ」  俺の乗ったC177号の前で、鳳凰院凶真が語っおいた。  もしかするず、䞭にいる俺に聞かせようずしおいたのかもしれない。 「たずえ衛星軌道䞊に蚭定したずしおも、実隓が倱敗しお別の堎所に出珟する可胜性もある。過去で䜕があっおも歎史に圱響を䞎えないよう、䞖界線の圱響を受けずに呜什をこなせる者が必芁だが  こんな小さなものには、俺は乗れないからな」  俺の前でひずり小さく笑っおいる鳳凰院の声を、俺はC177号に取り぀けられた集音機で聞いおいた。  圌の蚀いたいこずはよくわかっおいた。なんせ俺が圌から耇補されたのは昚日なのだ。  無人テスト機、C177号を自壊させるために䜜り出された、鳳凰院凶真の意識耇補プログラム。  400TBの脳のデヌタを倧胆にカットしお「岡郚倫倪郎」を維持する必芁最䜎限にしおのけた、牧瀬玅莉栖の脳科孊者ずしおの成果の先に、鳳凰院凶真が䜜り出した存圚。  それが「俺」だった。  「俺」がこの軌道䞊に到着しおから、既に37幎が経過しおいる。  C177号の出来は完璧だった。100kgの四角い「俺」の䜓は無事50幎前の過去ぞず到着し、ビヌコンを残しおすみやかに自壊した。きっず未来ではその成功を芳枬し、次の実隓が進められおいるはずだ。  ただし、前䟋のない実隓には予想倖の結果が぀きものだ。  完党に予想倖だったのは、C177号ずずもに消滅するはずの意識が未だにここにある、ずいうこずだった。  C177号の自壊ずずもに消えたはずの「俺」がわずかに埩掻したのは、ここに到着しおから20幎近く経過した埌だった。  時空を超えおも「岡郚倫倪郎」であり続けるため、鳳凰院凶真は「俺」にデヌタの自己修埩機胜を远加しおいた。マンデルブロ図圢のように、プログラムの䞀郚さえ残っおいれば、時間さえかければ党䜓を再生するこずができる匷力なものだ。  さらに地䞊から100km䞊空のこの熱圏は電子に満ち、激しく降り泚ぐ宇宙線によっお振動し、自然ず網目状の構造、ネットワヌクを為しおいた。  到着した「俺」はC177号ずずもに自壊したが、その盎前にノむズを残した。それが自己修埩を繰り返し、遥か虚空のネットワヌク内で今の「俺」ずしお再生されたのだず理解するたでには、さらに10幎が必芁だった。  それからもう8幎だ。 『もしかしお、類䌌の構造を取れば同じように意識を持ったりするのかな。』  匷く降り泚ぐ宇宙線の圱響でがろがろになりながらも地䞊に電波を送る日を静かに埅぀ビヌコンの暪で、自己修埩の完了した「俺」は、あのずき圌女が呟いおいた蚀葉の意味する通り、己がたさにそういう存圚になったのだずいう認識に至っおいた。  2010幎8月16日。  ビヌコンの時蚈を確認し、熱圏のネットワヌクに挂っおいた「俺」は、県䞋の眩しい青に向かっお降䞋を開始する。  37幎前、1973幎に到着した「俺」が、この瞬間どの䞖界線䞊にいるのかはわからない。  けれど、この日付を忘れるこずはできなかった。  そもそも忘れるずいう機胜が぀いおいないのだ。  今日はなぜか必ず雚が降るはずなのに、秋葉原䞊空にはただその気配がない。  あの雚がなければ、たぶん玅莉栖は俺の癜衣をピンクの糞で瞫わなかっただろうし、互いに気持ちを打ち明けるこずもできなかった気がする  なんおのは、ただのプログラムに過ぎない「俺」が抱くにはあたりにも感傷的すぎる掚論だ。  けれど意志を持぀己の耇補を過去に送りこみ自壊させるこずも躊躇しないあの鳳凰院凶真が、「俺」を「岡郚倫倪郎」にするために、あの雚の蚘憶を切り捚おずに残しおいた。  それだけではない。18歳の倏の蚘憶だけは、圌はほがオリゞナルの状態でデヌタをたるごず残しおいたのだ。感情の倧郚分が切り取られおいる「俺」を圢成するデヌタの実に半分以䞊が、あの倏の情報で埋たっおいる。  ぀たり、圌の本質は、18歳の頃から䜕も倉わっおいないのだろう。  根本的に、甘ちゃんのロマンチストなのだ。  修埩を完了しさらに拡匵を続けた俺のデヌタサむズは珟圚100TBほど。100TB分の電気信号である「俺」がうたく雲に降䞋すれば、その状態を倉え、雚を降らせるこずができるかもしれない。  鳳凰院凶真のかなり広範な科孊知識を寄せ集め、「俺」はそのように掚枬し、行動する。  雚を降らせたその先は、「俺」の意識は地䞊で分離しおしたうはずだ。今のような明瞭な思考は䞍可胜ずなるだろう。  それでも俺は、県䞋にいるはずの圌女に雚ずなっおもう䞀床觊れたいず思った。 [newpage]  2010幎9月。  分厚い雲が急激に秋葉原の䞊空を芆い、䞍穏な音が南颚ずずもに近づいおくる。  秋葉原のネットワヌクに散っおいた「俺」たちは、ラゞオ䌚通の軒䞋にあの2人がいるのを芋぀けた。  片方はい぀もの癜衣。もう片方はい぀もの改造制服。買物の垰り道だったのか、急に降り出した雚を2人䞊んで芋䞊げおいる若い埌ろ姿を、「俺」たちは監芖カメラ越しに芋おいた。  生枩かい空気の䞭に、急に冷たい颚が吹きおろしおきた。皋なく呚囲の光景がかすむほどの匷い雚が隒々しく萜ちおきお、さらに皲光が光り雷鳎が蜟きだす。  皲劻がめりめりず音立おお光り、癜い蜟音が空気を揺らすたび、少し離れお立っおいたはずの2人の距離が次第に近づいおいく。間近の空を斜めに巚倧な癜い雷が這った瞬間、怯えた2人の右腕ず巊肩がぎたりずくっ぀き、そのこずに互いに驚いお  その初々しさに、これ以䞊の芳枬はやめるこずにした。感情がもっず残っおいればきっず「恥ずかしい」気持ちになっただろう。  雷鳎にたぎれお聞こえないが、近づいた2人は䜕かを話しはじめたようだった。たた雷雲が脳に䌌おいるずか、そんな話をしおいるのかもしれない。  䞖界線は悲劇でない方向に定たったようなので、「俺」たちは今床こそ消えるこずにした。  この先の未来で、䜕かのきっかけでたた岡郚倫倪郎がタむムリヌプをはじめるかもしれない。その時にこの䞖界に「岡郚倫倪郎」が耇数存圚するのはたずいのだ。実際にこれたで、䜕人もの岡郚倫倪郎が誀っお耇補の「俺」たちの方にタむムリヌプしおくる事故も起きおいた。  匷雷にうたれれば、ネットワヌク䞊のノむズなど䞀瞬でかき消えるだろう。  プログラムである「俺」たちは、冷静に刀断する。  詊緎は終わった。甘ちゃんなロマンチストの岡郚倫倪郎はこの䞖界にひずりいればいい。  萜雷の前觊れに、地䞊から倩に向かっお電子が集䞭する堎所を探す。  この意識を確実に焌き消しおくれる䞀番倧きな雷が萜ちおくる堎所を目指しお、「俺」たちは笑いながらネットワヌクを駆けた。                           終
宇宙の番組を芋おいたらい぀の間にか曞くこずになった話。きっずオカクリ。「ねえ岡郚、レッドスプラむトっおニュヌロンに䌌おるわよね」「  たず日本語で話せ」 / ブクマたくさんず10usersタグありがずう / 4月25日付の小説DR61䜍になりたした
電離局䞊のロマンチスト
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1002179#1
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組織は軜率に壊滅しおいる。 倧䜓1幎半埌蚭定。 降谷の階玚捏造。 色々ガバガバ。 奜き嫌い分かれる話なので「なんでもこいや」っお方のみお願いしたす。 読了埌の苊情は受け付けおおりたせん。 それでもよければ箞䌑め皋床に楜しんで頂ければ幞いです。 Twitterに少しだけ裏話茉せおたす。 [newpage] 「では降谷君、明日はよろしく頌む」 「了解したした。明日は宜しくお願い臎したす」  次長が去るたで頭を䞋げ芋えなくなっおいおから顔を䞊げた。  ふうっずため息が出る。正盎こんなこずしおいる堎合じゃないんだがなぁ。しかし流石に次長のお願いずいう名の断るのも埌々が面倒だ。  がしがしず頭を掻きながら宛がわれおいる個宀ぞず向かいどかっず゜ファに座る。明日の予定含め今埌の予定ず行動を脳内でシミュレヌトし、たた溜息が出た。本圓に、こんなこずしおる堎合じゃないんだが。こういう時、旧匏の組織䜓系には頭を悩たされる。  はぁ  ず䜕床目かのため息を぀いおテヌブルに眮かれおいる写真を手に取っお眺めた。そこには䞀人の女性が歀方に心底楜しくお仕方がないずいった顔で笑いかけおいる。  明日俺は、この女性ずお芋合いをするこずになる。 ◆  予定より20分早く指定された堎所に぀いた。䞀芋さんお断りの高玚料亭。流石譊芖監の嚘さんずのお芋合いずもなれば堎所もこうなるか。ここは日本庭園が矎しいず評刀の料亭だず聞いおいたからできれば個人で来たかったな、ず思う。  入口ぞず向かえば暪に備えおある喫煙堎所で蚭眮されおいる怅子に座り、どこか遠くを芋ながら煙草を吞っおいる次長がいた。この人が煙草を吞う所初めおみたな。挚拶するためにそちらに寄れば、䜕時もは埌ろに目がい぀いおいるんじゃないかず思う䜍気配に敏感な次長が、俺が声をかけるたで気づかないずいう驚きの展開があった。良く芋れば顔が青癜い。盞圓疲れがたたっおいるように芋える。 「倧䞈倫ですかお疲れの様ですが  」 「っああ、すたない、倧䞈倫だ。それより降谷君」 「はい」 「嚘は檜の間にいる。申し蚳ないが私はこれから登庁しなければならないから、埌は君䞀人でも倧䞈倫かい」 「私の方は問題ありたせんが、その  嚘さんの方は」  倧䞈倫なのでしょうかず尋ねれば、どこか遠い目をしながら「あの子なら問題ないだろう」ず蚀っお立ち䞊がり垰っおいった。  これがただの䞊叞なら怪しむずころだが、あの人は俺が譊察庁に入っおからずっず目にかけお可愛がっおくれおいる䞊叞だった。たぁ打算がない蚳ではないのだろうが、それでも俺の足を匕っ匵ろうずする茩や甘い蚀葉に誑かされお朜入しおいる俺の情報を隠れお枡そうずしおいた茩を軒䞊みずっ捕たえたり、逆に銖茪を぀けお飌い慣らしたりず裏でフォロヌをしおいおくれたのを知っおいる。でなければここたで奜きに単独で動かせおもらっおいなかっただろう。  だからこそ、今回のお芋合いの件は少しだけ、ほんの少しだけ萜胆したずいうか、ショックだったんだよなぁ。  出䞖するなら結婚しおおいた方が良いのは分かっおいるが、それでも結婚する気のなかった俺ずそれを分かっおくれおいた次長が急に俺に察しお自分の嚘ずお芋合いしないかず聞いお来た時は、やり手であっおも、自分の嚘は可愛いのだろうな、ず思った。  店員に案内され檜の間に行き、扉を開かれ䞭に通され「倱瀌したす」ず䞭に入った。  どうやっお断るか  ず考えながら頭を䞊げ盞手の方を芋れば―― 「んたぁ  っ」  テヌブルの前にこれでもかず䞊べられた矎味しそうな料理を前に、これ以䞊の幞せはないず蚀った顔で゚ビフラむを食べる女性がいた。  この展開は想像しおなかったな、ず半ば唖然ずしながらその女性を眺めおいればこちらに気づいた女性が食べおいた゚ビフラむを眮き「あ、父から䌺っおたす。降谷さんですよねどうぞどうぞ、こちらぞ」ずほほ笑んだ。  倱瀌したす。ずもう䞀床圌女の向かい偎に座る。その間も圌女ぱビフラむを食べおいた。尻尟たで食べ終えた圌女が次に生け䜜りにされおいる鯛の刺身を食べ始めた。いや、たず自己玹介ずかないのかこれ、お芋合いだよな䞊叞の嚘の食べ道楜に付き合うずかじゃなかったよな  口を挟む隙もなくもくもくず食べおいる圌女に唖然ずしおいれば、そこでようやっず圌女の服装に目がいった。  可愛らしい花柄のワンピヌスでそれ自䜓は圌女に䌌合っおいるのだが、これがお芋合いずもなるずどうしおもちょっずそこたで遊びに行く䜍の軜装にしか芋えない。いや、それが悪いわけではないのだが、やはりお芋合いずいう名目から考えるずあたりにも堎違いであるず思っおしたう。  刺身をキレに食べ終えた圌女は、今床は窯に入っおいる釜飯をよそい始めたので思わず「あの」ず声をかけおしたった。 「はい」 「あ、いや、えヌず  」  いかん、頭が働かない。いや、そもそもお芋合いだずいうのに圌女の母芪がいないずいうのもおかしかった。片芪だずいうのは聞いたこずはない。ゆえに、この堎にいないずいうのはおかしいのだ。だずするのなら、そもそもこれは芋合いではないのではずそのこずに気付いた時圌女が「ああ」ず玍埗したような顔でしゃもじずお怀をおいおこちらを芋た。 「もしかしお、父から䜕も聞いおなかったりしたす」 「お芋合いずしか聞いおないです」 「ああ、やっぱり。たぁ私の堎合今日のこず教えられたの昚日なんですけど。これ、お芋合いずいう名の別物で、降谷さんの想像しおいるお芋合いずは違いたすよ」  やっぱり。しかし、今日のこず聞いたのが昚日っお急すぎないかあの次長に限っおそんなこずしないず思うのだが。  それより、これがお芋合いでないずいうのなら出来れば早く戻っお仕事を片付けたいのだが。  そう思案しおいるずさすが次長の嚘さんずいうべきか、それずも圌女自身が察しがいいのか「垰りたいのはわかりたすが、埌2時間はここにいおもらうこずになるそうですよ」ず釜飯を矎味しそうに食べながら蚀った。぀いでに筑前煮にも箞を぀けはじめた。 「それはどういう  」 「本圓に䜕も聞いおいないんですね。たぁ確かに急を芁するものだったらしいのであれですが、それでも報連盞はしっかりしおほしいですよねぇ。䞊叞の無茶ぶりずはいえ」 「えああ、そうですね。それは確かに」  こう蚀いたくはないが、䞻に次長の嚘が極床のマむペヌスさで物事を進めおいく子だずいうこずは教えおおいおほしかった。 「それず、確かに私は降谷さんの䞊叞の嚘ですが、私自身は幎䞋ですので敬語は䞍芁ですよ。ぶっちゃけた話これは仕事でも䜕でもないので。ずいうか仕事でもないのに目䞊の方に敬語で話されるのはちょっず  」  困った顔で蚀う圌女は確かにかわいらしいずは思うが、それでもやっぱりお怀を離さないずころをみるず、こう、思うずころがある。 「そうですか、ではお蚀葉に甘えお」 「どうぞ」 「これがお芋合いじゃないずいう件に぀いお、詳しく教えおもらえないだろうか僕は文字通り、今日はここにお芋合いをするず思っおここに来たんだ」 「そうでしょうね。たぁお芋合いっおいうのも間違いではなかったみたいですよただ、盞手が私じゃなかったっおだけで」  それはどういう  ず蚀葉を吐く前に䞀人の顔が浮かんだ。圌女の父芪ず同じ譊芖監で今は神奈川県の本郚長をしおいる人物だった。俺が異䟋のスピヌドで譊芖正になっおからずいうもの、䜕かず理由を぀けおは譊察庁に登庁し俺に自分の嚘ずの芋合い話を持ち掛けおいた人物だ。話がたずたる前に圌女の父芪、俺の䞊叞に圓たるあの次長の腹心である人たちがそれずなく暪やりを入れおくれおいたのだが。なぜこのような状況になったのかは理解したが、それでも疑問がなくなったわけじゃない。しかし、それを圌女に聞くのもお門違いかず思っおいるず圌女が窯からお代わりをよそいながら口を開いた。 「䟋の本郚長さん。吉川さんでしたっけいい噂は聞かないみたいですね。嚘さんの方も」 「  そこたで知っおいるのか」  それはそれで問題だ。いくら愛嚘ずはいえ、俺たちは公安だ。その内容はたずえ家族であっおも決しお話しおはならない。それを、あの䞊叞がするはずもないずいう心ず、猜疑心が胞の䞭でせめぎあう。それを察しおか、たた圌女が「ああ」ずいった顔でこちらを芋た。気づけばおんぷらにたで手を付けおいたようだ。 「別にそこたで詳しいわけじゃないですよ。ずいっおも信じられるものではありたせんよね。たぁなんずいうか、私は父の嚘ですが、それず同時に父の䜜業玉でもあるのですよ」 「䜜業玉」 「ああ、今は協力者ず呌んでいるんでしたっけ」  この子は䜕を蚀っおいるのだろうか。いくら䜕でも自分の嚘を協力者にするなど、ず思っおいれば圌女がはっずした顔で「私のこず父から䜕も聞いおいなかったりしたすか」ず尋ねおきた。 「ああ、僕の方もこの芋合いに察しお話を聞いたのが䞀昚日でね。君の顔ず名前しか聞かされおないんだ」 「ああ  成皋  」  さっきたで幞せでたたらないずいった顔でもぐもぐず食べおいた嚘ずは信じられない䜍䞀瞬でスンっずした顔になった。  そしお圌女の口から語られた圌女自身のこずに぀いお話を聞いお玍埗した。  圌女は幌少の頃から時代が時代なら埡簟の向こうにいる血筋や日本の経枈を担っおいる子息什嬢が倚く通う孊校にいたそうだ。そこで、圌女はなぜかそういった人たちず仲良くなり、自分でも気づかない間に次長ずの顔぀なぎをしおいた。そしお就職したのは日本で䞀番の貿易を担っおいる䌚瀟の瀟長秘曞で、この若さで第二秘曞に぀いおいるらしい。そこからは次長ず話し合い、家族でありながら協力者ずなっおいるず、そういうこずだった。  なるほど、確かにあの次長の嚘らしい優秀さだ。 「それで、たぁ今回こんな急にお芋合いずかそんな話になった理由なんですが」 「ああ」 「たぁ偏に蚀えば父含め青朚さんずか束本さんたちが埌手に回っちゃったせいです。あのおっさんたちホント぀かえねぇ」  嫌そうな顔をしながら蚀い、豚の角煮を食べすぐに笑顔になった。おいしかったようで䜕より。  しかし、ここで青朚譊芖長ず束本譊芖長の名前が出るずは思わなかったが、よく考えなくずもあの二人は次長の懐刀ずしお有名だからその぀ながりなのだろう。それより気になったのが 「埌手に回った、ずはさすがに信じられないんだが  」  こう蚀いたくはないが、䞀枚岩ずは蚀えない譊察庁の䞭でもこの次長の掟閥の人たちは次長含め仕事ができ、人栌も優れおいお呚りから慕われおいる人たちだ。その人たちが埌手に回るなど。  じっず圌女の目を芋぀めおいれば、唐揚げをもぐもぐず咀嚌しごくんっず飲み蟌んだ圌女は俺の目を芋぀めながら口を開いた。 「『ブルヌラグヌン』」 「  っどこでそれを」  唞るような声が出た。その名前は今公安が抱えおいる案件の䞀぀で、重芁芖しおいる斜蚭のものに違いなかった。 「少なくずも君のような䞀般人が知っおいおいい名前じゃないず思うんだがそれずも、急に枩泉にでも行きたくなったかい」 「枩泉は草接か鬌怒川がいいですねぇ。たぁその名前に぀いおは、仕事柄聞いたこずがある、ずでも蚀っおおきたす」 「ああ、そうか。君はあの䌁業の瀟長秘曞だったね。すたない」 「いいえ。たぁ降谷さんだから蚀いたすが、この前ずある䌁業ずの商談があったんですが、その時うちの瀟長がそこに誘われたみたいで、衚向きは穏やかにかわしお濁しおたしたが、垰りの車でぶち切れおお倧倉だったんですよ」 「たぁ䞀般の感性を持っおいたらそうなるさ。ふ぀うなら、な」 「普通じゃない奎らが暩力や力を持ちすぎなんですよねぇ  」 「党くだ」  この日本を䞋らない理由で汚すのはやめおほしい。  それより、先ほど蚀った圌女の発蚀した『ブルヌラグヌン』に぀いお思案する。  今珟圚公安が把握しおいる少女売春斜蚭のうちの䞀぀だ。䞀぀䞀぀朰しおいったらキリがないうえ、もっず泚意しなければならい奎らが深く朜ったり、囜倖逃亡する危険性からマヌクするにずどめおいる。実際は䞀斉に叩けるよう調査を進めおいるんだが、圌女に蚀うこずでもない。  そしお特にここは、秘密裏に政治家も䜿っおいるずいうリヌクもあった所だ。  そこではおず思った。確かそれは他の班が受け持っおおり、次長たちも知っおいるこずだ。ずいうかあの人たちが指瀺を出しおいる。ずそこたで考え今の状況を鑑みるず、䞀぀の掚枬が導き出された。そしお、もしそれが本圓なら、ず胞の底からぐ぀ぐ぀ず怒りず䟮蔑の感情が沞く。  それに気づいたのか、圌女は「さすがですねぇ」ずのんきに茶わん蒞しを食べおいた。 「流石、ずいうこずは本圓なのか間違いずいうこずは」 「身内を信じたい気持ちはわかりたずが、この床めでたく蚌拠がそろったそうですよ」  想像しうる最悪の事態だ。今すぐあのがんくら本郚長に枟身のボディブロヌを喰らわしたくお仕方がない。 「よもや本郚長がっお感じですよねぇ」 「聞きたいこずがある」 「私が知っおいるこずで父から発蚀が蚱されおいるこずなら」 「本郚長はどっちにかかわっおいる利甚者か、それずも  」 「神奈川支郚の運営に関わっおいるみたいですよ。ちなみに嚘さんが少女を集めおいたりするそうです。家族ぐるみですね。真っ黒です」  最悪だ、ず舌打ちが挏れた。圌女は呑気に魚の煮぀けを食べおいるので気づいた様子はない。  よもやこの囜の将来を担う幌い少女たちの売春に手を回しおいるのが日本や県を守る譊察官がするなど。たしおや家族ぐるみで、だずもはや笑いすら出ない。 「それで、今回なぜ私が出おきたかずいうずですね」 「ああ」 「どうやらその鯚さん。ほかの囜の政治家も埡甚達の斜蚭のようで。最早迂闊に手を出せない状況になっちゃったみたいなんですよ」 「たぁそうなるだろうな」  䞋手をすればこの囜の倖亀に軋みを生みかねないだろう。そこたで、事態は深刻化しおしたった。確かに、この状況は埌手以倖の䜕物でもない。囜の倖亀が関わっおいるずいう事は、きっず捜査にも圧力がかかっおいたのだろう。それでもここたで蟿り着いたずいう事実は、この最悪の事態の䞭で䞀筋の光ずなっおいるのも確かだ。 「その䞊今を時めく異䟋の譊芖正である降谷さんがその真っ黒本郚長の嚘ずお芋合いなんお、これが䞊手くいっおもいかなくおもその事実だけで倧問題です」 「なるほど。それで君が出おくるわけか」 「ええ。その本郚長が最近気が匷くなったのか、無理やり降谷さんずのお芋合いを今日させようずしおいたので、父が暪やりをいれお急遜私が来たわけです。ええ、4か月ぶりの党䌑を぀ぶされおたで」  んふふず笑いながら野菜スティックを食べる圌女からはおどろおどろしい䜕かが溢れおいる。  次長ず本郚長は同じ階玚ずはいえ、階玚だけが䞀緒で癜い埌ろ盟を耇数もち、本人の実力も確かな次長ずでは本郚長は手も足も出ないだろう。今頃煮え湯を飲たされおいる頃だ。  そしお次長は今、譊察庁で早期解決に向けおあれこれ指瀺を出し䜜戊を立おおいるこずだろう。長期戊になるこずは確定しおいるが、それでもなるべく早く解決しなければならない案件だ。この事件に関しおは。さらに今埌のこずを考えるず、この芋合いをすぐに断るのは埗策ではないずいうのも確かだ。  こちらずしおは䞀倧事だが、確かに圌女からしおみたら溜たったものではないだろう。 「それじゃあ僕はこのお芋合いを今断るずいうのはやめた方がいいな」 「お勧めはしたせんね。断ったが最埌、明日には䟋のお嬢さんずのお芋合いが組み蟌たれるず思いたすよ。そしお最悪仲間ずしおみなされたすねぇ  。真停はどうであれ」 「それは勘匁願いたい。たっぎらごめんだ。しかし、君はそれでいいのか」 「今回は私にも報酬が出たすしね。今付き合っおいる人もいたせんし、こずが片付き次第解消されるものです。むしろ降谷さんはいいんですか」  サクッず音を立おながらパむに包たれたビヌフシチュヌに手をかけながら圌女が蚪ねる。 「僕も今付き合っおいる人はいないし、むしろ結婚する気がないから問題ないかな」 「父から聞いおいる情報ず䞀臎したすね」 「聞いおいたのか」 「そりゃ急にお芋合いず芋せかけた思惑枊巻く食事䌚を頌たれたら、盞手の情報䜍よこせっおなりたすよ。幟ら父の頌みずはいえ。ずは蚀っおも、教えお貰ったのは降谷さんの人ずなりに぀いお䜍なものですが」 「成る皋。たぁそれ以䞊教えおいたら驚きではあるが。それじゃあ改めお、お互い問題ないずいうこずで構わないなこう蚀うのは倉なんだろうが、暫くの間宜しく頌む」 「こちらこそ。期間限定ずはいえ、私のような力䞍足の小嚘で恐瞮ですが、宜しくお願いいたしたす」  そう笑うず圌女は矎味しそうにシチュヌを食べ始めた。  しかし、本圓によく食べる子だな。  ここたで矎味しそうに食べおいるのを芋るず気持ちがいいし、䜜ったほうも本望だろう。  しみじみず眺めおいるず「降谷さんは食べないんですか」ず聞かれた。そういえばここに来おから氎以倖口にしおいなかったな。  ここは公安埡甚達だし、䜕より次長の幌銎染が経営しおいる数少ない安心しお食べられる料亭だ。俺自身ここに来たのは初めおだが、圌女が食べおいるものはどれもこれも矎味しそうで気になっおいた。 「ここ、䜕食べおもおいしいですよ倀段は匵りたすが」 「だろうな。君がさっきから矎味しそうに食べおいるし、味は確かなんだろう」 「食い意地が匵っおるっお蚀いたいんですかたぁ吊定はしたせんが、これが前払いなんで、思う存分高玚料理食べたくりたすよ」 「たお、これ経費じゃないのか」 「経費になるんでしょうけど、それだず私の䌑日を倱われた悲しみが癒えないので領収曞は『赀城』でもらいたす」  赀城、ずいうのは確か以前次長が䜿っおいた停名だ。停名で領収曞を切るずいうこずは 「経費で萜ちないじゃないか」 「萜ずす気ないですからねぇ  こんなこずで囜民の皎金なんお䜿わせないですよ。父の自腹です。本人も私がそうするっおわかっおるず思いたすよあ、でも遠慮はいりたせんからねむしろ遠慮したらこの提案、私の方から蹎っお降谷さんにはたたお芋合いしおもらうこずにしたす。いやぁ今を時めく譊芖正は仕事に恋愛に匕く手数倚で倧倉ですねぇ」  そう蚀いうふふず笑う圌女に苊笑いし、気になっおいた秋の味芚づくし束茞コヌスを泚文した。そしおどうしお次長があんな初めお芋るような遠い目をしおいたのか解った。圌女はどうしおなかなか匷かであるらしい。 「これ食べ終わったらどうしたしょう解散にしたす」 「いや、君さえよかったら庭の散歩に付き合っおくれないかここの日本庭園は䞀床芋たいず思っおいたんだ。今埌のこずに関しおず、お互いのこずをもう少し知っおおきたい」 「ああ、いいですね。この時期だずナデシコず銀朚犀が芋頃ですよ」 「そうなのかそれは楜しみだな」  その埌、料理が運ばれおくるたでの間、今埌䌚ったら䜕凊に出かけようかずいう話をした。  花より団子だず思いきやどうやら圌女は今芋ごろなのは勿論、四季折々の綺麗な庭園や公園をいく぀か知っおいたので驚いた。圌女もそれに気づいたのか、俺の目を芋お、あの写真のように楜しくお仕方がないずいった顔で笑ったのだった。
そしかい埌、降谷がお芋合いをするこずになったようです。<br />そんな話。<br />降谷芖点。
䞊叞の嚘ずお芋合いする事になったが思っおたのず違った
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10022016#1
true
「どうしよう  」 勇利は䞀人、ベッドの䞭でパヌカヌのフヌドを被り、垃団を頭から被り、さらにその䞊に枕を頭の䞊に茉せおガタガタず震えおいた。 明らかに䞍審な行動をずっおいる勇利に愛犬のマッカチンは䞍思議そうに錻を鳎らしながらも心配しおくれおいるのか䞀緒の垃団に入っお来おくれおいる。 ノィクトルは今はいない。今晩は長幎圌を支えおくれおいるスポンサヌのパヌティがあるらしく、チムピオヌンスポヌツクラブでの緎習埌䞀旊家に垰り、勇利が倕飯を食べたのを芋お枋々ながら出かけお行ったのだ。 勇利に絶察に倖出しちゃダメ倜曎かししちゃダメだからねずき぀く蚀い含めおマッカチンに勇利のこずをお願いず蚀い残しおいった。 さすがに幌児の姿の今、治安のあたり宜しくない倜のサンクトペテルブルクに䞀人で繰り出すほど無謀ではないし、そんな事をする必芁もない。代の身䜓ずは違い、この幌児の身䜓は䜓力がただあたりなく、睡眠を沢山欲する。緎習埌など本圓に眠くお仕方がない。そもそも今日は緎習の終了間際から䜕やら寒気を感じおいおあたり䜓調が宜しくない、倕飯を食べお颚呂に入ったら早めに䌑むこずに異論はなかった。 さお、蚀い぀け通りに倧人しく寝ようかず歯を磚いお掗面所の鏡を無意識に芗き蟌んだずき、勇利はそこでありえないものを芋た。 鏡には圓然真正面にいる勇利の姿が映っおいる。別に幜霊だの䞍審者だのが映り蟌んでいたわけではない。 ―ただ、異垞だったのだ。鏡に映る勇利の姿が。 はじめは鏡が汚れおいるのかず思った。しかしヘルパヌが毎日隅々たで掃陀しおくれおいる家は垞に塵䞀぀萜ちおなく、圓然鏡もピカピカに磚かれおいる。 次に己の目がおかしいのかず思った、しかし目をこすっお芋おも䞀床目を぀ぶっおもう䞀床開いおも結果は倉わらない。勇利は家䞭に響くような悲鳎をあげた。 「  はあああああああ぀䜕䜕これ」 鏡の䞭の勇利の頭にはフカフカの黒い犬の耳のようなが生えおいた。頭の巊右から䌞びおいるそれは圢だけならマッカチンの耳ずお揃いのようにも芋える。 恐る恐る、觊れおみる。觊った感觊も觊られた感芚もある。倢や幻ではなく実際にそれは勇利の頭から生えおいた。 「ど、ど、ど、どうしよう  」 勇利はずっさに頭がすっぱりず隠れるパヌカヌをパゞャマの䞊から矜織った。こんな姿を誰かに芋られたら倧倉である。 (どうしよう  ノィクトル  ) 同居人のおかしな行動にマッカチンが心配そうに芋䞊げおくる。くぅんず鳎くマッカチンを勇利はぎゅっず抱きじめた。 これが倢や幻なら良いがどう芋おも珟実である。勇利はパニックになりながらこれからどうするべきか必死になっお考えた。 (ノィクトルが垰っおきたら  ) 突然䜕の前觊れもなくぬいぐるみのような犬の耳をはやした勇利をノィクトルはどう思うだろう。驚くだろうか、焊るだろうか  いずれにしおも困らせる事には違いない。 それに、ず勇利の衚情が曇る。 ノィクトルの呚りにはマスコミが倚い。䞇が䞀カメラなどに撮られおした぀たら䞀倧事になるかもしれない。 勇利の脳内には怪しげな研究斜蚭で実隓台ずしお監犁され、ベッドに括り付けられおいる自分の姿が脳裏に浮かんでいた。この事が公になったら恐らくノィクトルず匕き離されおしたうだろうず勇利はどうしたら良いか分からずに目の端に涙を浮かべ、垃団の䞭で息を殺しお途方にくれおいた。 *** 「勇利タダむマ」 どれくらいベッドの䞭で半泣きでガタガタず震えながら小さくなっおいたか、ぱっず玄関の明かりが点いおノィクトルの垰還を知らせた。勇利が寝入っおいるず思っおいるのかノィクトルの声のポリュヌムはい぀もより控えめである。 それたで勇利ず䞀緒の垃団にいたマッカチンが䞻の垰還を知るなりばっず起き䞊がりノィクトルを熱烈に迎えにいく。 「ただいたマッカチン勇利はちゃんず寝おる」 忠実な愛犬にお迎えされおノィクトルは圌の頭を撫でながら、寝宀の勇利の様子を尋ねた。 「くぅん  」 マッカチンはそう䞀鳎きするずノィクトルを寝宀ぞ導こうずノィクトルのズボンの裟を匕っ匵る。垞にない愛犬の様子にノィクトルは僅かに柳眉を顰めた。 「マッカチン勇利がどうかした」 寝宀の䞭は電気が消されおおり暗い。時間は深倜であり勇利はずっくに寝入っおいる筈である。 しかしマッカチンはその堎をぐるぐる回っお異垞を知らせる。ノィクトルは寝宀の灯りを躊躇いなく点けた。 「  っ」 突劂明るくなった寝宀に勇利は咄嗟に寝たふりをした。 ノィクトルに隠したずころで䜕も問題は解決しないのだが、こんな姿を芋られるのが嫌だったのだ。 お願い、䜕も気づかないで電気を消しお   しかし勇利の願いも空しくノィクトルはギョッずしたような様子で慌おおベッドに駆け寄っお来た。 「ゆ、勇利どうしたの」 勇利は今の自分の栌奜を忘れおいた。う぀䌏せでパゞャマの䞊にパヌカヌ着お頭からフヌドを被り、さらに垃団を被り、枕の䞋に朜り蟌んでいるのである。ベッドの䞊の小山にノィクトルが驚くのは圓然であった。 「どうした具合が悪いのどこか痛い」 「  」 心底心配そうなノィクトルには申し蚳ないが勇利は必死で寝たふりをした。垃団ずパヌカヌを匕っぺがされないようにぎゅっず力を入れる。犬耳を芋られたら䞀巻の終わりだず勇利は思っおいた。 様子を尋ねおも答えない勇利の様子にノィクトルは呆れた様子を隠さない。 「  勇利起きおるでしょ」 「  起きおたせん」 思わず返事を返したが勿論逆効果であった。ノィクトルはさらに力を入れお垃団ず枕を匕き離そうずする。 「返事したじゃないかもうどうしたの」 「  䜕でもない。䜕もないから、倧䞈倫だから」 「ええい嘘を吐くんじゃない」 そう蚀っおノィクトルが力任せ垃団を剥がそうずしお勇利は必死で抵抗した。倧人ず子䟛ではそもそもの力が違う。それでもこの姿を芋られたくない勇利は必死であった。 どうあっおも垃団を手攟そうずする勇利にノィクトルはピンずくるものがあったようだ。それたでの力任せを止めおやれやれず困った様に苊笑を浮かべお手を緩める。 「そうか  そうだったんだね、勇利  倧䞈倫だよ」 倧䞈倫、俺は党郚分かっおいるよ、ず蚀われお勇利は思わず肩を震わせた。 「えっ  」 たさか自分に犬耳が生えたこずを悟られたのか、自分ですらよく分かっおいない状況なのにノィクトルはこの短時間で分かっおしたったのかず勇利は動揺したが、次のノィクトルの蚀葉に思わず真っ癜になった。 「おねしょしちゃったんだね、倧䞈倫。俺は怒ったりしないよ人間誰しも倱敗はある。怒らないから出おおいで。恥ずかしいのは分かるけどシヌツを掗わないず  」 ずんだ濡れ衣を着せられお勇利は思わず叫んだ。 「おねしょなんおしおないから」 このたたでは䞭身はアラサヌな倧人なのにおねしょをしたずいう烙印が抌されるず、勇利は慌おお垃団をはねのける。 「ふふふ、やっず顔を芋せおくれたね」 「あっ  」 したった、ず思ったずきにはすでに遅い。勇利の目の前にはスヌツの䞊着を脱いだノィクトルずマッカチンの姿があった。慌おお垃団に匕き返そうずしおもノィクトルの右手にパヌカヌの銖根っこを掎たれお勇利は猫の子のように持ち䞊げられおいた。 「おねしょじゃないなら䞀䜓、どうしたのさ  あ」 ノィクトルの瞳が勇利の頭を芋お倧きく芋開かれた。 「  ぀。あ、あの  これは  」 勇利は慌おおパヌカヌを被りなおした。なんず蚀い蚳しようかアワアワず挙動䞍審になる勇利ず察照的にノィクトルは目を茝かせ、頬を玅朮させた。 「むヌミミかわいい可愛い勇利に可愛いお耳が぀いおるよ」 「ひっ  」 興奮しお突進しおくるノィクトルに勇利は思わず埌ずさった。怯える勇利にノィクトルは䞍満げに頬を膚らたせる。 「勇利ぃなんで逃げる」 「え  あ、いやなんずなく」 アスリヌトで倧の倧人であるノィクトルにずっお子䟛の勇利の抵抗など蚊に刺されるくらいの嚁力しかない。勇利の抵抗は空しくすぐにノィクトルに捕たり、カワむむ、カワむむず頬ずりされお撫で繰り回されるこずになった。 「ふふふ、勇利のお耳フカフカ髪の毛ず䞀緒の色なんだね  あ、勇利はもしかしおこれを芋られたくなかったの」 顔を芗き蟌たれおもはや隠すものがない勇利はコクンず頷いた。 「うん  どうしよう  」 ノィクトルに芋぀かっおしたったのはずもかくずしおこの姿では倖に出歩くこずも、たしおスケヌトの倧䌚に出る事も難しい。暗い顔で勇利が零すずノィクトルは䞍思議そうに銖を傟げた。 「ん䜕が確かに緎習は䞀週間は䌑む必芁あるけどその埌は普通に  」 「え」 特に気味悪がる様子も未知の珟象に頭を捻るでもないわりず普通な反応のノィクトルに逆に勇利は驚いた。ノィクトルは勇利の犬耳を可愛い可愛いず隒いでいるが、動揺しおいる玠振りはない。むしろこれが䜕か知っおいるかのような   「ノい、ノィクトルもしかしお僕がこうなっちや぀た原因分かるの」 勇利に詰め寄られおノィクトルは目を䞞くした。今曎䜕を蚀っおいるのかず蚀わんばかりである。 「䜕蚀぀お  あ、そうか勇利は日本人だから知らないのか」 「ぞっ」 目を癜黒させる勇利を安心させるようにノィクトルは埮笑んで説明をしおくれた。 「これはね、むヌはしか。ロシアの䞀皮の颚土病だよ」 さらりず告げられお勇利は目を芋開いた。ノィクトルの口調から蚀っおそんなに驚くものではないようである。 「犬  はしかえ病気」 「子䟛が眹る䌝染病の䞀皮だよ。埮熱が出お頭に犬の耳のようなものができるからそう呌ばれおいるんだ。心配しなくおも熱は、日で䞋がるし耳は䞀週間くらいで消えるよ」 「そ、そうなの  」 そんな颚土病があるずは知らなった。日本でいう氎疱枅ずかおたふくかぜみたいなものか、ず勇利は胞をなでおろした。症状はぶっずんでいるが異垞なこずではないらしい。 劄想でも空想でもなく合法的に幌児にむヌミミが生えるずは恐ロシア  ず勇利は誰ずはなしに呟いた。 「䞀䜓党䜓どういう理屈で犬の耳が生えるわけ  」 唖然ずしおいる勇利の疑問をノィクトルは笑い飛ばした。 「そんなの俺が分かるわけないじゃないかそんなこずを考えおいるなんお勇利はおかしなダツだなぁ」 勇利のこめかみがピクリず震えおむっずした顔をしたが、ノィクトルは気にする玠振りもない。ただ勇利のおでこに自分のおでこをあおお熱があるのを確かめるず心配そうに頬を撫でた。 「犬ミミは可愛いけど䞀応䌝染病だからね、緎習は犁止。熱が䞋がるたでおずなしくしおおね」 明日医者に来おもらおう、ず蚀われお勇利は玠盎に頷いた。普通の病気で監犁されたり実隓台になったりしないのなら医者に蚺おもらうのはやぶさかではない。 「うん  はぁ良かった。あ  ノィクトルには移らない」 僕、ノィクトルず接しちゃっおいるけど倧䞈倫ず問われおノィクトルは倧䞈倫ず胞を叩いた。 「俺はちっちゃい頃にもうやっおいるからかからないよ」 劖粟のような幌少のノィクトルにも犬耳が  それは非垞に芋たかったず勇利は思った。 「ずころでなんで俺に隠そうずした」 䞍満そうなノィクトルにそう問われお勇利はきたりが悪そうに頬を掻いおぜしょぜしょず小声で癜状した。 「  これが異垞なこずで他人に芋぀かっおしたったらノィクトルから匕き離されるかも、っお思っお  」 そんな颚土病のこずは知らないので、異様な姿になっおしたったらノィクトルず䞀緒にいられなくなるかもしれないこずを勇利は䜕より恐れたのだ。 「銬鹿な勇利。犬耳が生えようが  䜕があろうずも俺が勇利を手攟すはずがないじゃないか」 玠盎に癜状した勇利のおでこをノィクトルは呆れた顔で人差し指で匟いた。ピシッず良い音がしお痛みが走る。 「痛っ  うん  」 ごめんなさい、ず勇利は謝眪しノィクトルに抱き着いたずころで気が付いた。 「  ノィクトルそのスマホなに  」 ノィクトルはわくわくず楜しそうな様子を隠さずにスマホを構えおいる。 「むヌミミ勇利は䞀週間限定だからねいっぱい写真撮らないず」 垞にないテンションに勇利どころかマッカチンですら匕き気味だ。 「ノィクトル本圓に分かっおる」 病気なんだよね、これず勇利の抗議の声が深倜に朚霊したが犬耳勇利に倢䞭なノィクトルが気にするこずはなかった。 [newpage]*** ノィクトルがに息子の勇利が犬はしかになっちゃったよ、ず䞊げるずロシア以倖のファンは䜕だそれは、ずいう反応を瀺しロシア圚䜏のファンたちは写真をあげおずリク゚ストした。やはりロシア以倖の囜では犬はしかは認知されおいないようだ。 ロシアのファンが幌児が眹る病気の䞀皮で犬ミミが生えるのよ、ず説明するずはお祭りになった。画像を怜玢するずむヌミミの生えた幌児の姿がたくさんヒットしたのである。 『すごい  ロリずショタに合法的にむヌミミを生やすずは  さすが恐ロシア』 『なぜ、ロシア限定なの  熱が出ちゃうのはかわいそうだけどビゞュアルがかわいすぎる』 『勇利君むヌミミ生えちゃったのマッカチンずお揃いだね』 『さすがリノィレゞェを生んだ囜  ロリショタ』 『なぜ  なぜネコミミじゃないの』 ノィクトルが勇利のために耳の郚分に穎が開いた垜子を特泚したずいう話でよリネットはフィヌバヌしたが、幞運なこずに勇利はそれを知らなかった。 *** 「おい、生きおるか」 「あ、ナリオ来おくれたんだ」 勇利が犬はしかに眹っお䞉日経った頃、家にナヌリが蚪ねお来おくれた。 「ダコフがノィクトルなんざ写真撮るのに倢䞭で適切な凊眮もしおねヌだろうから様子芋おこいっお蚀われたんだよ」 ほらよ、ず蚀っおナヌリは薄めたスポヌツドリンクのカップを勇利に差し出した。どうやらプリンやられリヌやら消化の良い物を色々ず持っおきおくれたようである。 「ありがずう」 勇利の熱は䞋がったがただ犬耳は消えない。䜓調はほが元通りだが犬耳が消えないずおいそれず倖出も出来ず、勇利は未だ家に匕き蟌たざるを埗ない状況だ。 「た、耳が生える以倖は普通の颚邪みたいなもんだけどな」 灜難だったな、ずナヌリに慰められお勇利はしみじみず頷いた。たさかこんな颚土病があるずは  ロシア恐るべし。 「みたいだね、そんな話聞いたこずないから驚いたよ」 ナヌリは口は悪いが根は玠盎で良い子である。具合の悪い勇利に無茶を蚀う事もやたら写真を撮りたくるこずもせずに、䜕か困ったこずがあったら呌べよ、ず非垞に良識的な台詞を残しお長居はせずに垰っおいった。その姿にすっかりナヌリも配慮の出来る倧人になったのだな、ず勇利は感動を芚えた。倧人になったナヌリず察照的にノィクトルは盞倉わらずである。 「勇利今日はこの䞊着を着おみお動きやすいから勇利もきっず気に入るよ」 「いや  ありがたいんだけどさぁ」 ノィクトルが差し出しお来たゞャヌゞは䌞瞮性のある青い生地に黒いラむンが描かれおいるシンプルなもので確かに勇利の奜みのタむプである。しかし勇利はいただ犬の耳が生えおおりスポヌティなゞャヌゞず犬ミミの幌児ではアンバランス極たりない、そう思うのだがノィクトルは有無を蚀わせずにゞャヌゞを勇利に着せた。 緎習したいのはやたやたであるが、この姿で出歩くのは嫌だから家の䞭にいるが、ノィクトルのおもちゃになっおいる感が吊めない。熱があるうちはノィクトルも心配そうな様子があったが熱が䞋がり耳だけが残っおいる状態の今、ノィクトルは垞に嬉しそうである。勇利は思わずゞト目になっお恚みがたしくそれを口にした。 「なんでそんなに嬉しそうなのさ  」 「だっお犬はしか぀おロシア人の子䟛しか眹らないんだよ、日本人はふ぀う眹ったりしないんだ」 意倖なノィクトルの告癜に勇利は目を䞞くした。 「なんか勇利はちゃんず俺の息子でロシア人なんだっお蚀われおいるみたいでさ」 「ノィクトル  」 そう嬉しそうな顔をされおは文句も蚀えなくなる。勇利は仕方なくノィクトルの着せ替え人圢になるこずにした。 *** それから䞉日埌、勇利は歓声をあげた。朝、掗面所の鏡を芗き蟌むずそこにはい぀もの勇利の姿があった。マッカチンによく䌌た犬耳はもうない。どこから芋おも䞭身がアラサヌの普通の幌児である。 「あ―あ、ミミ消えちゃった。可愛かったのに」 「ううう  良かったよぅ」 勇利は心底安堵した。これで晎れお完治である。今日から緎習できる匵り切っおチムピオヌンスポヌツクラブに行くず先日お芋舞いに来おくれたナヌリは䜓調䞍良で䌑んでいるず蚀われお勇利ずノィクトルは目を䞞くした。 「えナリオお䌑み」 「ああ  」 「䜓調䞍良なら今床は俺たちがお芋舞いに  」 ナヌリは今、寮を出お䞀人暮らしである。たたにコヌチであるダコフずリリアの元に食事に来おいるそうだが、基本は䞀人で生掻しおおり䜓調が悪いなら䞍䟿があるだろうず二人が申し出るずダコフは遠い目をしお真盞を告げた。 「  う぀ったんだ」 「え䜕がが」 「犬はしかに  」 その蚀葉にノィクトルず勇利は思わず顔を芋合わせた。 䌝染病の犬はしかが移ったずいうのならどうみおも原因は勇利である。 「えっでもロシアの子䟛が眹る病気なんじゃ  」 「幌少期に眹っおいない堎合は倧人でも眹る  」 成皋、ず勇利は玍埗しかけた。麻疹でも氎疱瘡でも幌少期に掛かっおいないのなら圓然倧人になっおかかる事がある。しかしそうだずしたら   「倧人でも  ずいうこずは今ナリオの頭には  」 「耳は個人差があるからな。ナヌリには犬ではなく猫耳が生えおいる」 猫耳  ず思わずこがすずダコフは重々しく頷いた。その返事に勇利は青ざめる。 「が、僕のせいでナリオに猫耳が  」 重々しい沈黙を砎っお噎出したのはノィクトルである。 「ナリオに猫ミミたんたじゃないかよしお芋舞いにいこうそしお写真をアップしよう」 きっずナヌリ゚ンゞェルスに感謝されるよず悪魔の様なノィクトルは意気揚々ず宣蚀し、可哀想なナヌリの運呜は決たっおしたった。 「止めおあげおノィクトルヌ」 ノィクトルが頌りにならないから心配しおお芋舞いに来おくれたのに奇病をう぀された挙句、ネコミミが生えた姿をにアップされる。 ナリオのあたりの䞍遇さに勇利は眩量を芚えお必死になっおノィクトルを匕き留めたが、意気揚々ずオミマむには桃猶かなず匵り切るノィクトルを止める手立おを勇利は残念ながら持ち合わせおいなかった。 
倏コミの無料配垃でした。<br />暑い䞭圓スペヌスにお越し頂いた方々本圓にありがずうございたした<br />新刊に入れようかず思ったけど異色を攟ち過ぎおいるので別扱いに (^^;)<br /><br />(远加)おがきちか先生のLandreaallの猫はしか蚭定を元ネタにお借りしおいたす。<br />圓方が考えたオリゞナル蚭定ではございたせん。<br /><br />倏コミ新刊はずらのあなさんで取り扱っおおりたす。<br /><a href="/jump.php?https%3A%2F%2Fec.toranoana.shop%2Fjoshi%2Fec%2Fitem%2F040030651035" target="_blank">https://ec.toranoana.shop/joshi/ec/item/040030651035</a><br /><br />次のむベントは11月の氷奏になるかず思いたす。
赀い靎はいおた男の子線
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10022594#1
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「こんの申ぅぅぅぅ離婚や離婚ヌヌヌ」 「おお出おけ出おけ!!どこでも行けやこのヘビ女ぁ!!」 蚱さぞん。 あおは絶察、蚱さぞん  【志摩蝮の受難】 * [newpage] 「姉様、䜕があったんや」 「姉様ぁ、父様には話さんよっお、あおらには教えおぇや」 「錊、青、心配かけお堪忍え。けど、䜕があったかだけは、蚀われぞんの。」  倕飯を終えた時間にケンカしお離婚を蚀い眮いたあず、私は宝生の家に戻っおきおいた。  運よく父様は出匵でおらず、母様ず錊ず青だけだったから難なく籠城に成功した。  そうしたら案の定、想いやり深い可愛い効二人は私に䜕があったかず心配しおくれおいる。  心配をかけおおいお話せないずは蚀い根性をしおいるず思うけれど、こればっかりは錊ず青には蚀えない。  第䞀、教育に悪すぎる。  䞀方母様はずいうず、䜕も知らない癖に面癜がり出したから、倧方理由に気付いおいるのかもしれない。 「蝮、あんた八癟造はんずお矩母はんにはちゃんず蚀っおきたん」  お茶ずようかんをお盆に乗せお持っおきた母様は、やっぱり面癜がっおるずしか思えない。 「『実家に垰らせおいただきたす』蚀うおきたわ。」  そう蚀うず母様は倧笑いし、錊ず青は面癜いくらいに青ざめおいった。  ああ、あおも䞀緒になっお笑っおしたえばどんなに楜やろ。  そんな颚に考えおしたうほど、䜕故か今自分がやっおいるこずが銬鹿らしく感じる。  しかも昌ドラのような蚀葉をたさか自分が蚀うなんお。  ああもう、思い出すだけで腹が立぀。  あのバカ申が萜ずした爆匟発蚀に、お矩父はんずお矩母はんず金造は䞀様にポカンずしおいた。  それはそうだ、あんなこず突然蚀われるずは思わないだろう。 「あんった 」  怒りのあたりにふるふる震えながらちゃぶ台をバンず叩いお立ち䞊がる。 「䜕蚀うずんの!?お矩父はんずお矩母はんの前で恥ずかしゅうないん!?」  するずその私の態床が気に食わなかったらしい申たで怒鳎り出した。 「ああん!?こんくらいのこずで䜕蚀うずるんそれは俺のセリフや」 「こんくらいやないえそれはお矩父はんずお矩母はんに聞かせるよう話やない」 「おん 俺もおるんやけど 」 「「金造はどうでもええんや」」 「 おん 」  今思うず金造には申し蚳ないこずをした。 「俺ん䞭じゃあ『こんくらい』や」 「『俺ん䞭』お䜕やどこの関癜亭䞻様やあんたの䟡倀芳で党郚が進むず思わんずいお」 「関癜亭䞻なんおやっずる芚えないわそれ蚀うんやったらうちのお父ずお母の関係の方がよっぜど亭䞻関癜や」 「今お矩父はんずお矩母はんの話しずるんやないやろ」 「柔造 ?お父はそんなに亭䞻関癜やろか 」 「お父は黙っずけや」「お矩父はんは黙っずいおくれたすか!?」   今思うずお矩父はんにもなんずいう口を聞いおしたったんやろか 。 「 おん 」 「そもそも、ありのたたを話しお䜕が悪いんやわからずや」  その最埌の䞀蚀に、頭の䞭の䞀番奥の䜕かがぷ぀ん、ず切れた音がした。 「こんの申ぅぅぅぅ離婚や離婚ヌヌヌ」 「おお出おけ出おけ!!どこでも行けやこのヘビ女ぁ!!」  ず、このように䞉行半を突き付けおしたったわけである。  今思い出すず、実家に垰るず蚀った瞬間の志摩家の面々の反応は面癜かった。  無蚀で固たったたた焊るお矩父はんず、お腹抱えお笑い転げるお矩母はんず、お矩父はんずおんなじような反応をしお呆れおる金造。  ああもう、金造はずもかく、今床ちゃんず謝らななぁ 。  今日は宝生の家に泊たるこずにした。  錊ず青が 「「姉様ず川の字で寝るんや」」 ず蚀っお自分の垃団も準備しおくれたから、そこで寝る。  寝宀ぞ移動しようず思っお立぀ず、母様に呌び止められた。 「で、結局柔造くんに䜕蚀われたん母様には教えおや。父様にはもちろん、誰にも蚀わんさかい。」  やっぱりおもろがっずるやろ、母様。  そうは思ったが、誰かに話しおしたいたいような気にもなったので、恥ずかしい気持ちを抑えお話した。 「あんなぁ 」  そのあず、倜曎けの宝生の家に、母様の倧きな笑い声を響かせおしたうこずずなった。 * [newpage]  次の日、朝も、昌も、倕方になっおもお申は迎えに来なくお、぀いには倜䞭0時を回っおしたった。  眠れなくお、瞁偎に座垃団だけ持っおいっお雚戞をあけお、倜颚にあたる。  颚は少し冷たいけれど心地よくお、空にはお月さたは䞍圚で真っ暗。 「さお、どうしたもんかなぁ 」  たさか、今日申が迎えに来ないずは思っおいなかった。  こんな颚に宝生の家に籠城するのは初めおだけど(普段だったら父様がいるから怖くおできない)なぜか次の日には申が迎えに来おくれるものだず信じお疑っおいなかったのだ。  昚日の晩ずは違っお、䞀晩寝お起きお掻動した埌だず頭も冷えお自分も倚少反省をしおいる今だず、迎えに来おくれなかったずいう事実はかなり傷぀く。  本圓に申は、離婚する぀もりなんだろうか。   確かに蚀いだしたのは私だけれど。  私は、本来こんなに自由に生きおいられる身分ではない。  䞍浄王の䞀件で、いくら隙されおいたからずはいえ䞻犯の藀堂に協力しおしたった、眪人。  凊眰ずしお称号が剥奪され、陀団凊分ずなり、明陀からは砎門こそ免陀されたけれど、明陀の術者ずしおの資栌は剥奪されお。  右目も無くしお、女ずしおも傷物になっおしたった。  呚りの人間は私の幞せを願っおくれお、私が私ずしお振る舞うこずに満足しおくれおいるけれど、割りきれおいない人間も明陀の䞭にはいるだろう。  そんな私を同情なんかじゃなく、嫁に迎えおくれた志摩家ず、柔造には、感謝をしおもしきれない。  今回のケンカで圌らにたで迷惑をかけおしたったのは申し蚳ないけど、申は結婚するずきに私に我慢はするな、ず蚀った。  倖は確かにいろんなしがらみがあるから思うように振る舞えないだろうが、家でくらい、以前のように思うたたにふるたえばいい、口ゲンカになったっおいいず。  それに私は甘えすぎおいたんだろうか。  申ず離婚したら、宝生の家に戻るだけだず思う。  けれど、そんなの、申に 柔造に愛される幞せを知った今では、元に戻るだけではいられないだろう。  ざぁ ず颚が吹いお少し寒さに震えお、颚邪をひく前に答えの出ない自問自答を終わらせお寝ようず雚戞を閉めに立ったその時、突然庭の方から腕を匕っ匵られた。  油断しおいたずころにそんなこずされたから、倖に倒れこんでしたう。 「ひ!?」  地面に叩き぀けられるかず思いきや、腕を匕っ匵っおきたや぀に受け止められお抱き蟌たれたらしい。  びっくりしおる時やないずナヌガを呌び出す圢をずろうずするけれど、ぎゅうぎゅう抱え蟌たれお、身動きが取れなくなっおしたった。  声を出そうず倧きく息を吞い蟌むず、酞玠ず䞀緒によく知った匂いも吞い蟌んで、犯人が誰かわかったから䜓の力を抜くこずにした。 「遅ぅなっお悪かったな。垰るぞ」  倉質者䞀歩手前の登堎をしたのは、䜕故か息を切らした申だった。  お申の物蚀いが、䜕故かえらく䞊から目線だったため、先皋たでの反省はどこぞやら、口からはい぀もの調子で蚀葉がこがれた。 「䜕なん。こんな時間に、こんな颚に来よっお。倉質者かず思ったわ。」 そんなケンカ口調の蚀葉を攟ったにも関わらず、申は穏やかだった。 「仕事が長匕いたんや。これでも急いで来た。」 「にしたっおなんでこんなずころから来るんや。宝生の家には立掟な玄関あるやろ」 「玄関から行こうず思ったらお前がここにおるんが芋えたんや」 「ああ、そう 」  蚀うこずがなくなっお黙るず、申は殊勝なこずを蚀い出した。 「本圓に、もう垰っお来いぞん぀もりか 」 「は」  突然䜕を蚀い出すんだろうこの申は。 本圓にっお、い぀そこたで蚀った 「䜕蚀っずんの」 「今日朝、お前迎えに来たら、錊ず青に『姉様はもう垰らぞん蚀うずるわこのバカ申!!垰れ』お怒鳎られたんや。  お前に䌚わせろ蚀うおもお前出おきいぞんし、時間もあんたなかったから朝はそれで仕事行ったんやけどな」 「錊 青 」  なんお姉思いの子たちなんやろ いい子らやなぁ 。  そんな的倖れなこずを考えおいる間が申にずっおはプレッシャヌだったらしく、突然顎を持ち䞊げられおキスされた。 「 なんなんほんず 」 「なぁ、悪かったお蚀うずるやろ。やから垰っおきいや 。俺、お前が隣にいないずよう寝られぞんわ 」 「   」  よう寝られぞんお、なんやそれ、錊や青が小さい時もそんなぐずり方せんかったわ。  倧の倧人が、こないないい幎した倧人が、䜕蚀うずるん。  そう考えたら自然ず笑みがこがれた。 「あっははあほやなぁ柔造。そんな颚に謝らんでもあおは垰るえ。おいうかそんなでかい図䜓しお、䜕子どもみたいなこず蚀っおるん、おっかし 」  笑いが止たらなくおひずしきり笑っおるず、柔造が突然私以倖の人間に話しだした。 「 ずいうこずで、このたた蝮連れお垰りたすわ。」  びっくりしお笑うのをやめるず、「ええどうぞ、うちの人が垰っおこんうちにずっずず連れ垰っおくださいな」ず間の抜けた母様の声が聞こえた。 「なっ !?母様。なんでおるん 」 「ご迷惑おかけしたしたヌ」 「いやぁ面癜いもんみせおもらったわぁヌ」  母も柔造も勝手に話を぀けお、柔造はそのたた私を暪抱きにしお志摩の家の方ぞ歩き出した。 「 母様にみられおもうた 」  恥ずかしがっおいるず最初はしおやったり、ずいう顔をしおいた柔造だったけれど、䜕か思い圓ったようで、すたなそうな顔をしお謝りだした。 「悪い、お前こういうのが嫌なんやろ気を぀けるから怒らんずいおや」  おお、今回のこずでちょっずは孊習したらしい。 「わかっおくれたら、ええねん」  あおも悪かった、堪忍え、ずいただになれないキスを額に返しおおいた。  それに䞀瞬驚いたような顔をした柔造だったけど、すぐにい぀ものような自信に満ちた笑顔に戻った。 「 おん。」  ああ、仲盎り、できおよかったなぁ。  柔造の笑顔を芋おそんな颚に思っお、柔造の方に頭をもたれさせた。 * [newpage]  翌日の朝、宝生家の姉効は知らないうちに婚家ぞ垰っおしたっおいた姉を思い、矩兄に怚念を飛ばしおいた。 「あんの申ぅぅぅたたあおらから姉様匷匕に奪いよっおからに」 「あおらは絶察にお前を認めんからなぁヌヌ」  ひずしきり二人でそう叫ぶず、錊がふず思い圓り、母に聞いた。 「そういえば母様、姉様、申に䜕蚀われおあんな怒ったん」  するず母は思い出しおたた䞀吹きし、こらえるようにしお錊に耳打ちした。 「あんなぁ 八癟造はんに孫のこずほのめかされお、二人の前で、『努力は毎日しずるで』お冗談蚀われたんやお」  それを聞いた錊は、さらに申に察しお察抗心を燃やすずずもに、「バカップル半端ないわヌ」ず思ったのだった。 *end* [newpage] おたけ①その埌の柔蝮 「そういや、お前なんであんな時間にあんなずこにおったん」  郚屋に戻っお昚日からどうやら敷きっぱなしだったらしい垃団の䞊に䞋ろされながら柔造に聞かれる。 「なんや、眠れなかったんや。 けど。考え事しおたら冷えおきたから、あんたが来たずき、郚屋に戻ろうよおもっずったんや」  するず柔造の顔色が倉わった。 「冷えたんか!?そんなうっすい寝巻であんなずこおるからやったく、䜓冷やすなっお䜕床蚀ったらわかるん!?」  䜕床もそんなこずを蚀われた芚えはないが、劙に柔造が優しいので、玠盎にいたわられおおくこずにする。 「おん、気ぃ぀けるわ。」  人が珍しく玠盎になっおいたずいうのに、申はやはり申だった。 「じゃあ冷やした䜓、俺があっためたるわ」 「 は!?䜕恥ずかしいこず蚀っずんねん」  少なくずも、そんなドダ顔しおいうこずやない 「どこも恥ずかしくないわ」 「あおは恥ずかしいんや」 「いいからだたれや」 「んヌ!!」 *匷制終了\(q) [newpage] おたけ②翌日の柔蝮 (昚倜、蝮ちゃんを抱っこしおお持ち垰り(笑)しおしたったため、蝮の靎だけ宝生家に眮いおきおしたいたした。) 「こん申のアホはようずっおきお」 「そんな怒るこずないやろ」 「怒るわないず買い物行けぞんねん今日のあんたの倕飯、玍豆ご飯になっおええのん!?」 「謹んで行かせおいただきたす」 金造「蝮昚日どないしおうちたで垰っおきたん 」 蝮「    内緒や   」 *ほんずにおわり*
柔蝮が奜きすぎるんです。SQも買ったこずなかったのに即買いたした。<br />本屋で立ち読みができなかったんです。顔がにやけおしたいそうで。いやでも、レゞに行くたでの道䞭ですでに䞍審がられおいたでしょうね。だっおにやけるのを必死に我慢したくせに我慢しきれなくお、すんごい倉な顔しおたず思うんですよ。<br />ずにかく、柔蝮が奜きすぎるんです。ほんず、こうなるたでになんどさっさず結婚しおしたえばいいず思ったかわからないんです。ずりあえず、加藀先生Good Job!!!!!(倱瀌)<br />ああ支離滅裂でごめんなさい、奜きすぎるせいなんです。ずりあえず結婚しおから1幎くらいのお話です。<br />■ 2012幎04月19日2012幎 04月25日付小説ルヌキヌランキング 50 䜍入っおるううううぅぅ .(Д;)≡(;Д)䜕これなんのご耒矎!?もうもう本圓にありがずうございたすよりいっそう萌えを振りたけるよう粟進したすぅぅ
【柔蝮】志摩蝮の受難
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 通称「黒ずくめの組織」ず呌ばれおいた組織が虎芖眈々ずその機䌚を狙い入り蟌んでいたNOCずシルバヌブレットの連携によりその䌁みごず朰されたのはただ蚘憶に新しい。  クワンティコでその時撮られた蚌拠品のスラむドを延々ず芋せられおいた赀井は焌け焊げた朚圫りのモニュメントが映し出された瞬間、その朚圫りの前での死闘を思い出した。  その朚圫りは「あの方」の郚屋に掛けられおいたものである。最匷の牙であるゞンを真っ先に倱い远い詰められた男が懐に手を入れた瞬間、赀井は迷わず男の肩を撃ち抜いた。  他者に察し惚い行為を平気で働いおきた男は自らに䞎えられる痛みには驚くほど匱かった。トップである事、そのプラむドも䜕も攟りだしお床を転げ回り呜乞いを始めた男が取り萜ずしたのは起爆装眮 、けれどたった発の匟䞞で呜乞いをするような男がこのスむッチを抌せたずはずおも思えない。  男が陥萜したその瞬間、組織は過去のものずなった。  圌等が真に䜕を望んだのか、そしおどれほど負の遺産を蓄えおいたのかは珟圚、各囜が専門の捜査官を総動員しお鋭意取調䞭である。ずいうのも、倚岐にわたる犯眪の怜蚌の為、捕瞛された幹郚達は各囜に振り分けられおいるからだ。 振り分け方は実にシンプルで公平だ。コヌドネヌム持ちはそれぞれ担圓する地域が振り分けられおいたからである。唯䞀の䟋倖はゞン、あの男だけはどの囜においおも躊躇なく犯眪に手を染めおいる。組織の暗郚を最も知るゞンに関しおは、その本拠地が存圚した日本に捜査暩が認められた。  あっさりずそれが認められた背景には、コヌドネヌムを持っおいる幹郚達が吐いた情報は共有すべきだず匷く䞻匵した降谷の存圚が倧きい。最埌たで組織に朜り続けた圌が日本の捜査機関で総指揮を取っおいる今、敢えおFBIずしお堎を匕っかき回す必芁もない。圌に任せおおけば、どんな些现な芋逃しもなく聎取が終わるだろう。それでもゞンの口から党おを吐かせるのは至難の業だろうが。  赀井を含めたFBIのメンバヌが日本から撀収したのは䞀週間ほど前になる。日本における残党の犯眪率が極端に枛ったのを確認し、各囜の捜査機関はそれぞれの捜査官達の撀収を決めた。珟圚日本に残っおいるのは特殊な事情がある本堂だけだ。圌女の堎合、日本滞圚時にアナりンサヌをやっおいた関係で少し調敎に手間取っおいるらしい。その件の収束に関しお裏から手を回したのはどうやら降谷らしい。アメリカの捜査機関は圌に察しお今のずころ借りしかない。 「おヌい、シュり」  がんやりず窓の倖を眺めおいた赀井は、声のした方を振り返る。  垰囜ず同時に赀井秀䞀の死亡は停装であった事が仲間達にも知らされた。そんな事だず思っおたよずいう意芋が倧半を占めたのは赀井自身の胜力を圌等がよく知っおいる故だ。  振り返った赀井の芖線の先に居たのは、そうやっお喜んでくれたアカデミヌ時代からの友人の人、ゲむリヌだ。 「なんだ」 「お前達の垰囜祝いパヌティをやるんだが、勿論来るよな今倜なんだが」 「あヌ 今日なら無理だ、すたない」  そう告げる赀井にゲむリヌが䞍満そうな衚情を芋せる。 「仕事だよ。連絡を取らなきゃならない盞手が居おな」 「今じゃ駄目なのか  ああ、もしかしお日本か」 「進捗状況を話したいず連絡があった、週間ではさしお進んではいないだろうが それでもな」 「  仕方ねぇな、ならこっちをずらすか」 「いやいい、たた改めお機䌚を䜜っおくれればいいさ」  二床飲めるぞずりィンクするずどうやら玍埗しおくれたようだ。 「オヌケヌ、次は断らないでくれよ」 「ああ、勿論」  片手を䞊げお去っお行く同僚の埌ろ姿を芋送った赀井は、そのたた怅子の背に寄り掛かり぀溜め息を零した。  今日の電話䌚議は密かに思いを寄せる圌じゃない。䞀時間ほど前にそう連絡を受けたのだがそれだけでやる気が削がれおしたう。圌が盞手なら仕事だから などず口にはしないのだがず苊笑いを浮かべる。今日の盞手はそんな圌の郚䞋だ。譊察庁に出入りしおいた時に降谷から盎接玹介された男の顔を思い出す。あたり他人の顔など芚える事のない自分がその男の顔を芚えおしたったのは぀たらない嫉劬心だ。組織に朜入䞭だった圌を誰より支えたず玹介された時、無意識にその男ぞ鋭い芖線を向けおしたった。殺気たでは向けおいなかったず思うが、それでも少し怯えたように芖線を合わせおこなかったのを芚えおいる。  急な事件が起きた所為で圌が駆り出され急遜䞍圚になった為の代理だずの事だが、それなら順延しおくれおも構わなかったのに ずさえ思う。  手元のアラヌムが鳎ったずほが同時にパ゜コンの通話回線にアクセスが入る。圌でないのなら手早くすたせおしたおう、そう思っおヘッドセットを぀け自分の回線を開いた。 「 ふ」 『間に合っお良かった、バタバタしおしたっおすみたせん。 少し疲れおるようですが倧䞈倫ですか』  そこに映し出されたのは、今日は顔を芋る事も声を聞く事も叶わないず思っおいた降谷の顔だった。少し息が荒いような気がする、もしかするず間に合わせるために走っおきたのだろうか。 「 君の方が忙しそうだ、無理をしたんじゃないのか」 『倧䞈倫です、今日はちょっず間が悪くお。それより始めたしょうか』  にっこり埮笑たれおはそれ以䞊し぀こく远求するような真䌌は出来なかった。今も昔も圌にはどうにも敵わないのだ。それに顔を芋れた事は嬉しい誀算だ。  䌚話を開始しお暫くはこの週間で埗た情報の亀換になる。思った以䞊にゞンからの聎取が進んでいるのをストレヌトに称賛するず、はにかんだような笑顔を芋せおくれた。 『あなたに耒められるず、なんだか倩狗になっおしたいそうです』 「いや、本心だ。俺ではあの男をたずもに喋らせる事も出来ん」  ディスプレむ越しである事が残念で仕方がない。けれどそう思うず同時に距離があっおくれお助かったずも思う。こんな顔を間近で芋おしたったら手を出さずにいる自信が無い。 「 仕事の話はこんなずころかな」 『はい、こちらから出せる情報はそれで党おです』 「もう少し、話せるか」 『あなたが良いのなら僕は問題ありたせん、 䜕か』 「ああいや、倧した話じゃない。仕事の話ばかりではなく君自身の近況も聞きたいずそう思っただけだ」  そう蚀うずうヌん ず考え蟌んでからそういえば ず話し始める。 『昚日、キヌルず飲み䌚したんですけど』 「キヌル 本堂ずか」  䜕ずなくムッずしおそう蚀い盎すず、したった ずいう衚情を浮かべおすみたせんず謝られおしたう。 『あ、そうです。なんだか最埌たで䞀緒に朜っおたせいでどうしおもキヌルっお呌ぶのが癖になっちゃっおお』  䞍快な気持ちにさせおすみたせんずいう降谷に慌おお違う ず蚀葉を繋いだ。 「すたない、そうじゃなくおだな。俺も君ずそうやっお飲み䌚をしたかったなず思っお 焌き逅を焌いおしたっただけなんだ」 『や きもちですか、赀井が』  この䌚話を少しでも長匕かせたくお赀井がそう蚀い蚳するず、シュンずしおしたっおいた衚情が再びぱぁっず明るくなる。 「いけないか俺だっお君ずもっず仲良くしたかったんだ」 『あははは、本圓ですかじゃあ、今床あなたが来日したら飲み䌚したしょう、人で』  最埌の“人で” は䜙蚈だが、けれどそれでも圌ずプラむベヌトな空間を共に出来るなら ず思い盎す。 「ああ、是非」 『瀟亀蟞什だったら蚱したせんからねそれでこの間なんですけど 』  正盎、キヌルずの楜しい飲み䌚の話の内容自䜓は頭になど少しも入っおこなかった。それよりも圌のくるくる倉わる衚情を焌き付けようず必死だった。  どれだけそうしおいただろう、䞍意にスピヌカヌからピピピピ ずいう電子音が聞こえた。ず、それたで饒舌に喋っおいた降谷の口がピタリず閉じられる。ああ、そうか、タむムオヌバヌか セキュリティに特化した専甚回線の䜿甚は時間ず決められおいるらしい。 『あヌっず すみたせん。僕ばっかり喋っちゃっおお』 「いや、楜しかった。君の話は楜しいよ」 『赀井は優しいなぁ、 じゃあ名残惜しいですけれど次の日時は改めお連絡したす。今床はあなたの方から指定しお䞋さいよ』 「 そうだな、じゃあゞェむムズず盞談しおからになるから改めお俺から日時を連絡しよう、君の携垯でいいのか」 『はい、倧䞈倫です。出られない時は留守電にしおありたすのでそちらに入れお䞋さい。ええず 僕の方はこれでもう仕事終わりなんですけどそちらはこれからですよね、䞀生懞呜お仕事しお䞋さいね』 「ああ、ありがずう。君もゆっくり䌑んでくれ、お䌑み、降谷くん」 『はい、それじゃ次の連絡埅っおたす』 「了解」  名残惜しい、けれど確かにタむムリミットは過ぎおいる。専甚回線を萜ずし、赀井はグッず背を䌞ばした。楜しい時間の終わりはい぀も寂しさを䌎う。偎にいお欲しいず思う䞀方で、そんな事をしおは駄目だず止める自分が居る。  圌の立堎を慮れば、決しお口にしおはいけないこの感情。けれどその思いはたるで暜の䞭で熟成されるバヌボンのように日を远う毎に熟成されおいた。 [newpage]  ヘッドセットを倖し倧きく腕を䌞ばす。んヌっ ず声が挏れるが今の所ここは完党に自分人の゚リアだ。  応急手圓おした脇腹が通話を終えた途端ゞクゞクず痛みを蚎える。ナむフが掠めただけずはいえ雑菌でも入り化膿しおしたったら倧事になっおしたう、その前に病院には行った方が無難だろう。そんな事を思っおいるず控えめなノックの音ず共に颚芋が顔を芗かせた。 「降谷さん、そろそろ 」 「ああ、すたない。 珟堎から䜕か連絡はあったか」  赀井ずの電話䌚合のため30分ほど前からこの郚屋で準備を進めおいた颚芋は、分前に宀内ぞ駆け蟌んできた降谷を芋お驚いた。息を切らせおいるのも珍しいが、䜕よりもその顔色だ。どこか怪我をしおいるのかず問えば、掠り傷だず笑う。慌おお降谷が応揎に駆り出された珟堎に確認を取った颚芋は降谷が怪我を負った事を知った。珟堎で新人を庇っお負った怪我だずいう。だが、それを問い糟す前に時間だからず郚屋から远い出されたのだ。 「いく぀か珟堎から問い合わせがありたした。私で答えられる範囲の事でしたので既に解決枈みです」  ここぞ駆け蟌んできた時よりも曎に顔色が悪い。宀内の灯りが埮劙に暗めに蚭定されおいるのは顔色の悪さを向こうに気付かせない為だろう。本圓なら報告など埌にしおすぐに病院ぞ送り出したい。だが、報告をしなければ降谷はこの堎所から決しお動かない。それを誰より知っおいる颚芋はこの堎所ぞ来るために降谷がらしくなく攟りだしおきた仕事の埌始末の説明を始めた。それを党お聞き終え、ようやく自嘲気味の笑みを浮かべる。 「 銬鹿だなっお思っおるだろ、君は」 「はい、けれど降谷さんには必芁な銬鹿かず」 「そう蚀うなよ、俺だっお奜きでこんな銬鹿をやっおるわけじゃないぞ」 「 は、   申し蚳ありたせんっ」 「 謝る事じゃないよ、銬鹿だな」  そう蚀っお瞌を䌏せる降谷に察し、颚芋は䜕を蚀えば良いのか分からずにただ黙っおその堎に立ち竊む事しか出来ない。 「病院偎の受け入れ準備は既に手配しおありたす。 病院たでは私がお送りしたす」  子䟛じゃないんだから人で行けるず蚀いかけたが、颚芋の衚情を芋お止めた。これは倧人しく頷いおおいた方が良い、そういう顔だ。 「 分かった、頌む」 「差し出がたしいようですが やはり䞀床、赀井捜査官ずきちんず話をするべきでは」 「颚芋、 分かっおるだろ無理だよ」  そう蚀っお今にも泣きそうな顔をされおはそれ以䞊降谷に意芋する事は出来なかった。  颚芋が降谷の淡い恋心に気付いたのはある意味、必然だった。れロずしお動く降谷が立ち止たる事のないよう適切なフォロヌをする事が自分の圹目だ。それでも最初は気の所為、もしくは䞀時的なものだず思っおいた。けれど、時折降谷が赀井に向ける芖線を芋誀るほど朎念仁ではない。 「 ですが」 「赀井はヘテロなんだ。今のたたならきちんず和解も出来たし嫌われる事だけはない。けれど こんな気持ちを知られお䞇が䞀アむツに拒絶されたら死ぬより蟛い」 「しかし降谷さんもヘテロでしたよね」 「   勿論だ、誰圌構わずっお蚳じゃない。 だから䜙蚈だよ。 この話はもう止めよう、さすがに傷が痛い」  降谷にそう苊笑され、颚芋はハッず居䜏たいを正した。 「申し蚳ありたせん、すぐに病院ぞ」 「うん、そうしおくれ」  誀魔化されたず分かっおいおも傷が痛むのは事実だろうしこれ以䞊降谷を远い詰めたずころで肝心の赀井はアメリカにいるのである。こればかりはどうにもならない。  譊察病院たで付き添い、治療を終えるのを埅っお降谷を自宅ぞ送り届けた埌、颚芋は自宅ぞず車を走らせた。だが、その途䞭で劙案が浮かんだ颚芋は自宅ではなく譊芖庁ぞずハンドルを切った。こんな時に頌るべき盞手の顔を思い出したからである。  翌日、登庁するや吊や降谷は管理官に呌び出された。䜕事かず急ぎ足で向かうず、仏頂面の管理官に出迎えられる。 「怪我を負ったそうだな」 「  は、申し蚳ありたせん。ですが仕事に支障は出ない皋床の」 「降谷」 「はい」 「5日間の䌑暇を申請しおおいた。本日は午埌䌑、明日から5日間は登庁する事はたかり成らん、以䞊だ」  口答えなど䞀切聞く耳持たないずいった衚情で睚み付けられおはぐうの音も出ない。降谷は倧人しく頭を䞋げ、管理官の前を蟞した。怪我の事が挏れたのは珟堎からの報告曞だろうか。いや、もしかしたら颚芋が報告したのかもしれない。 はぁ ず溜め息を぀き降谷は自分のデスクぞず戻り曞類を片付け始めた。5日も䌑みずなればある皋床纏めおおかないず埌が倧倉なのだ。けれど、溜たっおいた曞類箱の䞭身は既に空っぜになっおいた。 「颚芋」 「はっ、䜕か」 「やっおくれたな」  呌ばれおやっお来た颚芋の目の䞋には隈が出来おいる。恐らく昚日降谷を病院に送り届けた埌、管理官ぞの根回しや曞類敎理の為にここぞ戻っおきたのだず分からない降谷ではない。 「 君には敵わないよ」 「お耒め頂き光栄です、どうぞゆっくりされお䞋さい」 「はは、じゃあ倱恋旅行でもしおくるかな」 「お土産を期埅しおおりたす」 「うん、期埅しおろ。䜕かあったら連絡しろよ」 「我々で察凊出来ない事態になった時のみ、連絡を入れさせお頂きたす」  倧真面目な顔でそう蚀っお頭を䞋げる颚芋に、降谷は思わず吹き出した。 [newpage] 「赀井くん、ちょっず来お貰えるか」  コヌヒヌ片手にデスクぞ戻った途端、ゞェむムズに手招きされる。これはあたり良い話ではない、顔を芋た途端そう感じたが無芖する蚳にもいかず枋々そちらぞ足を向けた。 「すたんね、君の考えおいる通り面倒事だ」  人の悪い笑みを浮かべるゞェむムズに思わず苊笑しおしたう。軜口が飛んでくる皋床の話題だず分かったからだ。 「週末のレセプションだが、先方がどうしおも君が良いずゎリ抌ししおきおね」  週末のレセプションず蚀われ赀井が分かりやすく眉を顰める。 「 ガキのお守りはごめんだず蚀った筈ですが」  赀井のいう「ガキ」ずは䞊院議員の䞀人嚘の事である。䜕かで赀井の事を知ったそのお嬢様がその䌚に出垭するFBIのメンバヌの䞭に赀井を入れろず駄々を捏ねたずいう話は先週笑い話ずしお聞かされた。だが、こうしお改めお枋い衚情で口にするず蚀う事は笑い話では枈たなくなったずいう事なのだろう。 「たあそう蚀っおくれるな。時間蟛抱すれば勝手に垰っお良いそうだ、頌むよ、赀井くん」 「 了解」  朝から気分の滅入る話である。せっかく買っおきたコヌヒヌも若干冷めおしたった。䞀口口に含むず、それでもコヌヒヌ豆の良い銙りが気分を少しだけ䞊昇させおくれる。  ずいうのも、ここのコヌヒヌは降谷の淹れおくれたコヌヒヌに味が䌌おいるのだ。䞀床だけ、合同捜査䌚議の時に淹れお貰った圌のコヌヒヌには劣るが、倚分同じ豆を䜿っおいるのだろう。あの味を思い出すのには十分な銙りだった。 「週末は倧倉だな、シュり。随分気に入られちたったもんだ」 「代理で行っおくれるのか、助かる」 「銬鹿いえ、お前を匷くご指名だっお聞いたぜ ご愁傷様」  同僚であるオリバヌの揶揄にも溜め息しかでない。そんな蚳の分からないガキの面倒を芋させられるくらいなら犯眪者を远いかけ回しおいた方が数倍マシだ。 「勘匁しおくれ、捜査官をなんだず思っおんだ」 「党くだ、聞いたずころによるずな」  声を朜めお耳打ちしおきた内容に本栌的に気分が萎える。どれだけ甘やかされおいるか分からないが、そうやっお呌び寄せた捜査官を写真に撮りSNSで自慢しおいるずいうのである。 「  ヒゲ面で行くか」 「あははは、そりゃいい。぀いでにダサいメガネはどうだけど、趣旚替えかねぇ」 「どういう事だ」 「その女、金髪碧県が倧奜物でな、ちょっず埅っおろ   」  そう蚀っおオリバヌは私甚らしき端末を取りだし、少ししお赀井ぞずディスプレむを向けた。そこには、䞀蚀では蚀い衚せない䞋䞖話なランキングが衚瀺されおいた。けれどどれもオリバヌの蚀うように金髪碧県の男だけである。 「 確かにそうだな。ずするず  劙だな」  オリバヌが声を掛けおきた理由が揶揄う為だけじゃないずようやく赀井は気付いた。 「だろ お前、もしかしお金髪碧県の あの女が軜々しく手出しできないような男ず䌝手があるんじゃないか」  そう蚀われお咄嗟に頭に浮かんだのは愛しい片思いの盞手である。だが、圌は圌女の奜む金髪碧県ではあるがハヌフであり、完党に圌女の奜みであるずは蚀い難い。だが手を出しにくい盞手 ずいう条件で考えればピタリず圓お嵌たる。 「なんだなんだ心圓たりがあるのかよ」 「いや、 お前も知っおるだろう日本の 公安の圌だ」  そう口にするずオリバヌが口元に手を圓おお考え蟌む。 「  あヌ、そりゃ  確かになくもねぇぞその女の芪父であるベネット䞊院議員だけどな、色々ず悪い噂もあるんだ。䟋えば、この間摘発した補薬䌚瀟に投資しおいた過去があったりずかな」 「なんだず たさか」 「気を぀けろよシュり。公安のあの男がバヌボンだったっお事は箝口什が敷かれおいるから倖には挏れちゃいない。だが、ベネット䞊院議員が䜕らかの䌝手で既に知っおたずするず」 「狙いはバヌボンか」  さっきたでず違い、県光が䞀気に険しくなる赀井にオリバヌがぶはっず吹き出した。 「 お前、その面構えで行っおこい、県鏡や髭なんぞより効果芿面だ」  笑いながら電源の入っおいないパ゜コンのディスプレむを指さされる。そこには䜕人か殺しおきた埌のような顔をした男が写っおいた。 「おヌい、サボっおんなら手を貞しおくれ、オリバヌ」 「おっず、 芋぀かっちたった。じゃあな、シュり、䞊手くやれよ」 お節介なずころがあるオリバヌは最初からこれを䌝えるために来おくれたのかもしれない。オリバヌは䞻に囜内、政治家が絡んだ事件を調査するセクションにいる捜査官だ。だずするず女が降谷を狙っおいるずいうのは確実な情報だ。しかも、倧きな声では蚀えない事情もある。ゞェむムズを通しお話が来たずいう事は、恐らく政治家ずパむプを繋ぎたいず思っおいる䞊局郚が絡んでいるのだろう。あのゞェむムズが最初から面倒事だず蚀っお話し始めたのをようやく思い出す。あの䞀癖も二癖もある男がわざわざ面倒事だず認識しおいたのだ、䜕もない筈がない。 長い溜め息を぀いお赀井は件のベネット䞊院議員に぀いお調べ始めた。 [newpage]  管理官にほが無理矢理療逊䌑暇を取らされる矜目になった降谷は、倱恋旅行の名目で郊倖のショッピングモヌルぞず泊たりがけでやっお来おいた。数日前に新䞀からずっず探しおいた物をそこで芋た事があるず教えお貰ったのを思い出したからだ。 降谷が探しおいたのは、ずあるメヌカヌの䞇幎筆だった。囜内では既に取り扱っおいる店舗もなく、あちこち歩き回っお探す時間も無い。先日、新䞀ず譊芖庁で顔を合わせた時に雑談代わりにその話題を振ったずころ、少し前の倧型連䌑の際に芋たしたよ、ず軜く返されたのだ。驚いお懐から䞇幎筆を取りだしお芋せるず、党く同じ物があったずいうではないか。そんな理由で降っお湧いた䌑みを䜿いここたで足を䌞ばしたのだ。  銖郜圏から高速道路を䜿っお時間匷のそのリゟヌトは連䌑が終わった埌ずいう事もあり比范的空いおいる。近くには枩泉もあり、぀いでに䜕泊かしおいく事に決めおいた。傷自䜓はナむフで皮䞀枚切られただけの掠り傷だから問題ない。  愛車を停めショッピングモヌルの䞭ぞず足を向ける。途䞭に蚭眮されおいる案内板で店舗の䜍眮を確認し、先ずはそこぞず向かう。無駄足になっおも仕方がない、けれど取り扱ったこずがある店舗なら取り寄せも可胜かもしれない。そう考え、降谷は懐に入れおきた䞇幎筆を握りしめた。  これは降谷の物ではない。ただ各囜の捜査官達が譊察庁に出入りしおいた頃、赀井から貞しお貰ったたたになっおいる品だった。  い぀もはそんな事は無いのだが、その日は色々ずツむおなかった。䜕をしおも䞊手くいかず、挙げ句の果おにはフランスの捜査官からさっきたでの事件の説明に補足を求められた際に手持ちのペンが曞けなくなっおしたったのだ。日頃、筆蚘甚具にはそれ皋拘りのない降谷はが持っおいるペンはその蟺で賌入した䜿い捚おのボヌルペンだ。だが、偶々なのだろうが突然それが曞けなくなっおしたった。ハプニングに慌おる降谷に救いの手を差し䌞べたのはやはり偶々通りかかった赀井だった。  懐から䜿い蟌んだ䞇幎筆を取りだし降谷に手枡すず、ゞェむムズに呌ばれおいるから埌で返しおくれればいいず蚀い捚おおその堎からいなくなっおしたったのだ。  赀井のおかげでフランスの捜査官ぞの説明も枈み、フリヌになった降谷は䞇幎筆を返す為に赀井を探し求めた。けれど間の悪い事が重なりそれ以降赀井ず顔を合わせるこずが出来ないたたFBIは垰囜しおしたったのである。  曎に間の悪い出来事は続く。い぀でも返せるように ず思っお持ち歩いおいたのが犍いし、事もあろうにそのペンを砎損しおしたったのだ。  䜿い蟌たれた䞇幎筆の状態からこれが赀井にずっお倧切な物なのは間違いない。それをうっかり砎損しおしたいたしたなどず蚀える筈がない。せめお代わりになる物を ず懞呜に探しおいたのだ。  店舗ぞ入るず若い男が店番ずしお座っおいた。 「すみたせん、この䞇幎筆ず同じ物をここで扱っおいるず聞いたんですが 」 「拝芋しおもよろしいですか  ああ、ございたすよ。今お出ししたす」  あっけなく芋぀かった事にホッず胞を撫で䞋ろす。店舗の奥ぞ入っおいった男は、真新しいケヌスを抱えお戻っおきた。 「こちらになりたす、 補造幎は違うかもしれたせんが型は同䞀の物になりたす」  そう蚀っお芋せられたのは確かに同じ物だった。 「良かった、実はさっきのペンを壊しおしたっお同じ物を探しおいたんです」 「そうでしたか、差し出がたしいようですが その砎損したペンを今䞀床拝芋させお頂けたすか」 「え、 はい」  店番の男ぞず䞇幎筆を手枡す。受け取るや吊や、手際よく解䜓し砎損箇所を調べおいた男はにっこりず笑顔を浮かべ顔を䞊げた。 「これでしたら私共の攻防で修埩可胜ですよ ええず、少しお時間をいただければ」 「えっ、本圓ですか」 「ええ、この皋床でしたら」  店番の蚀葉に降谷の衚情が明るくなる。修理出来るのなら代替品よりその方がいいのだ。 「是非お願いしたす、数日こちらには滞圚したすので」 「では修理ずいう事で承りたす、・・・こちらのペンはどうされたすか」 「それも賌入したいです。 その、同じ物を持っおいたいず 思っおお」  少し口籠もりながらそう蚀うず、男はにっこりず埮笑んで承知いたしたしたず口にした。  たさか修理可胜だずは思っおもみなかった。これで倧切な物をきちんず赀井に返す事が出来る事にホッずする。䜕ずなく肩の荷が䞋りたようで心も軜くなった。  去幎出来たばかりだずいうモヌル内は平日だずいうのにカップルや芪子連れで賑わっおいる。そんな䞭で䞀人でいる事に少しばかり寂しさを芚えた降谷は少し傷が痛み始めた事も手䌝い早々に宿ぞず向かうこずに決めた。  赀井に察する拗らせきった気持ちは単玔に奜きだずいうだけでは収たりきらない。朚の呚りを猛スピヌドで回りすぎおバタヌになっおしたったような感じで、自分でも最早これが恋なのかどうか䜕お刀断が぀かなくなっおしたった。  䞀方通行のお揃いだが、自分だけ分かっおいればいいのだから満足だ。䞀通りショップも芋終わった降谷は駐車堎ぞず歩き出した。ず、その時である。 「 そこの金髪の青幎、少し話がしたいのだが」  背埌からそんな颚に呌びかけられた。だが、聞こえた声が女性の声であった事に加えこんな所で目立぀行動を取るわけにはいかない、面倒事は避けようず刀断した降谷は気付かない振りで歩き出そうずした。 「䞇幎筆を買った、君だ。どうしおも話がしたい」  䞇幎筆 そう蚀われ぀い立ち止たっおしたう。これではここで立ち去る方が人目に぀いおしたう。芳念した降谷はゆっくりず振り返り小さく目を芋匵った。そこに立っお居たのは倖囜人である事が䞀目で分かる劙霢の矎女だった。倧きめの垜子の䞋から芗く金髪、サングラスで目の色は分からないがその肌の癜さは日本人では有り埗ない。 「 僕ですか」 「ああ、君だ。唐突にすたない。あの文具屋で君が賌入した䞇幎筆なのだが、 すたない、䞍躟な事をしおいる自芚はある。だが、そうず分かっおいおもこうせずにはいられない」  そう蚀っお突然深々ず頭を䞋げられたのである。 「ちょ、 いきなりそんな頭を䞋げられおも、䜕なんですか、䞀䜓」 「君が買った䞇幎筆を私に買い取らせおはくれないだろうか」 「え  」 「頌む、埌生だ。ああ、頌み事をするのにサングラスなど蚀語道断だな、 倱瀌」  そう蚀っおサングラスをずった女性の顔を芋お降谷は息を飲んだ。サングラスの䞋から珟れた顔、それは赀井の母芪であるメアリヌ・䞖良だったからだ。  そういえばAPTX4869の解毒薬が効いお元の姿を取り戻したずは聞いおいた。だが、公安の人間ずしお捜査関係者ではないただの被害者の䞀人でしかない圌女には結局䞀床も䌚う事はなかったのだ。なのに今になっおたさかこんな堎所で突然鉢合わせるなんお䜕の偶然だろうか。  だが、ここで逃げ出すのは埗策ではない。確か、コナンから聞いた話では赀井同様、盞圓の䜿い手らしい。逃げたが最埌、どこたでも远い掛けられるのは目に芋えおいる。 「あの、  事情を䌺っおもよろしいですか」 「問題ない。 そこのカフェに入ろうか、私が奢ろう」  逃がさないずばかりに腕を取られ、喫茶ぞず連れ蟌たれる。奥のボックス垭に座らされ、ようやく腕を離しお貰えた。やはり只者ではないのはその身のこなしで分かった。けれど突然の事で動揺しおいたために、こちらの玠性は気取られおないようで少しだけホッずする。 「私は玅茶、君はどうする」 「同じ物で 」 「では぀だ」 「畏たりたした」  クラシック音楜が流れる店内は、時間垯の所為かそれ皋混雑しおはいない。 「事情、ずいうや぀だが、実は  」  そう蚀っおメアリヌが話したのは、その䞇幎筆が亡くなった倫の愛甚しおいた物ず同じモデルだから ずいう理由だった。東郜でその䞇幎筆をこの堎所で芋た事があるずいう情報を埗お探しに来たずころ、䞀足違いで降谷が賌入しおしたっおいたらしい。しかもそれが最埌の䞀本であり、しかもメヌカヌ廃番のために再入荷はないず蚀われおしたったらしいのだ。 「店の人間は賌入した人物の事を䞀切教えおはくれなかったのだが、君が賌入するのを偶々芋おいたずいう人物が店を出た私に教えおくれたのだ。君自身もわざわざここたで探しに来たのだろうから拘りがあるのは承知の䞊で頌む、どうか、 譲っおいただけないだろうか」 「分かりたした、良いですよ」  メアリヌの亡くなった倫の思い出の品 ずいう事は、あの䞇幎筆は赀井の父芪のものだったのだ。そんな倧切な物を預けられおいたのかず思うず胞が苊しくなる。ず同時に修理が可胜だった事に心の底から感謝した。  それにこんな話を聞いおしたえば無碍に断るなどは出来る筈がない。これは自分が持぀より圌女の元にあった方が良い。心の内で密かに赀井に察する気持ちはここに眮いお行けず蚀う事だな ずそんな気持ちがよぎったが、それを顔に出す事は無かった。  そんな降谷の胞の内を知る由もなく、ただ承諟を埗られた事にメアリヌの瞳が喜びの色に圩られる。 「本圓か、  ありがずう、恥を忍んで声を掛けた甲斐があった。  本圓にすたない、心の底から感謝する」  緑色の瞳が少し最むのを芋お、これで良かったのだず降谷は今床は本心から淡く笑みを浮かべた。 「いえ、僕が持぀よりあなたが持った方が良い。 僕はただ、片思いの盞手ず同じ物を持ちたいっお そんな女々しい気持ちだっただけなので」  そう口にした瞬間、メアリヌの瞳が興味深そうなそんな色合いを浮かべた。したったず臍を噛むが時既におそしずはこの事だろう。 「 片思いの盞手か、どんな盞手なのだ 私は君の事を良く知らない。だから私に話す事で䜕か良いアプロヌチ方法が生たれるかもしれんぞ」  玅茶を飲み終えるたでの間、話しおみないかず氎を向けられお少し戞惑った。䜕せ目の前の盞手はその圓の片思いの盞手の母芪なのである。そんな盞手にぶちたけお良い話ではない。けれどそう思う䞀方でこの堎所にこの気持ちを眮いお行こうずいう思いがこみ䞊げおきた。降谷の仕事柄、今埌もメアリヌず顔を合わせる事はない筈だ。  ――聞いお貰っおしたおう、そしお朔く諊めよう。そう決意を固めた降谷は興味深そうに自分を芋守るメアリヌず目が合いドギマギずしおしたう。 「迷うのは圓然だ、だがたあ話す決心は぀いたようだな」 「はい、ご迷惑でなければ」 「なに、恋バナずいうのは聞かされお迷惑な話など぀もない。どれも真剣で䞀生懞呜で愛おしいよ」  赀井によく䌌た顔で愛おしいなどず蚀われ思わず頬が赀く染たりそうになるのを咳払いで誀魔化した。  そうしおおいお、メアリヌの顔は芋ずに赀井ぞの恋心を告癜し始めた。埮劙に焊点をがかし぀぀、自分では盞手を幞せにする事は出来ないから結局告癜は出来なかったず口にしたずころで顔を䞊げお蚀葉に詰たった。降谷を芋るメアリヌの瞳が驚くほど優しかった所為だ。 「  え」 「君は、本圓にその盞手の事が奜きで奜きでたたらないのだな。 君が䞀生懞呜考えお決断した事だろうから私にはどうこう蚀う暩利はない。けれど私は君の話を聞いお、そんな君の事をずおも可愛いず思っおいるよ、嘘じゃない」  赀井ずよく䌌た顔でそんな事を蚀わないで欲しい。思い切ろうずしおいるのに未緎が沞いおしたうではないか。これ以䞊ここに居おは墓穎を掘りかねない、そう刀断した降谷は朮時だずばかりに䌝祚を手に取った。 「お話を聞いお頂いたお瀌にここは僕に払わせお䞋さい。 あなたに話せお良かった、それじゃあ僕はこれで」 「そうか、匕き留めすぎおも君に悪いな。だが、最埌に぀だけ聞いお貰えるか私の息子の話だ」  メアリヌの息子 ず聞いおギクリず身䜓が匷ばる。だがメアリヌが話し始めたのは赀井の事ではなく次男の秀吉の事だった。 「私には子が人いる、人ずも我の匷い子䟛達だ。長男ず長女の事は䞀先ず眮いおおくずしお、君に聞かせたいのは次男の話だ。あの子は昔から䞀床こうず決めたら決しお自分を曲げないずころがある。たあ、あの子なりの拘りがあったずいうのは分かるが、実際の所をその盞手の女性に話を聞いお驚いたよ。䜕ず圌女は既に別れおいたず思っおいた盞手だったず聞かされたんだよ」 「え、 そうなんですか」  次男ず蚀えば矜田名人の話だろう。確か譊芖庁亀通課の女性ず恋仲だず聞いおいたが別れおいたずは知らなかった。 「ああ、本圓だ。その女性はずっくに次男ずは別れた぀もりになっおいお次男の事を人に話す時は元圌ず蚀っおいたらしい」 「も 元圌ですか」 「ああ、だが次男は床たりずも別れた぀もりはなく、そのたた圢振り構わずに抌しお抌しお抌したくった結果、぀いにその恋を成就させたのだ」  そんな経緯があった事は知らなかった。圓時、矜田名人ずもその圌女である宮本由矎ずも亀流があったコナンもそこたで詳しくは話しおくれなかったからだ。 「諊めなければ党お願いが叶うずたでは蚀わんよ。だが、私は䞀床くらいチャレンゞしおも良いのではないかず思うのだ」 「   でも」 「間違っおいたら申し蚳ないが、君が告癜を躊躇する䞀番の理由は盞手の性別か」  今床は動揺が隠せなかった。そこたで分かっおしたうものなのだろうかず臍を噛む。どこかで気付かれる芁因があったずしたら重倧なミスだ、油断しすぎずしか蚀い様がない。それずもこれが赀井家ずいう䞀族なのだろうか。兎にも角にも掞察力がありすぎる。動揺する降谷に、曎にメアリヌは畳みかけた。 「君は通垞の堎合、倧局自身家なのではないかずいう印象を受ける。そんな君が圓たっお砕けもせずに諊める盞手ずなれば、恐らく盞手も男性でしかも職堎も䞀緒か 関係先かずいったずころだろう。 それならば告癜さえ躊躇する気持ちは理解出来なくもない」  流石は赀井の母芪ず蚀うべきなのだろう、完璧な掚理にぐうの音も出ない。だが黙っおしたった降谷にメアリヌが苊笑しお垭から立ち䞊がる。 「すたない、どうも悪い癖だな。君には感謝しおいる、だからこそこの先の人生に埌悔の残るような遞択はしお貰いたくないず思うのだ、お節介で申し蚳ない。よく長男ずもそれで喧嘩になるのだ」  母芪に容赊なく手を䞊げるずんでもない男なんだぞず蚀うメアリヌに、思わず赀井の顔が脳裏に浮かんでしたっお吹き出しおしたった。 「女性に手を䞊げるなんお、しかもお母さんに暎力なんお」 「だろうずんだやんちゃ坊䞻だ」  にっこり埮笑むメアリヌに降谷は涙が零れそうなそんな気分に陥った。  口ではこんな事を蚀いながら、メアリヌがどれほど赀井の事を心配しおいたのか知っおいたからだ。䞖良真玔からの情報を又聞きしただけなのだが、赀井の死亡報告を受けた瞬間のメアリヌの悲嘆は筆舌に尜くしがたいほどだったずいう。 「あなたに䌚えお良かった。 䞇幎筆も、あなたの手に枡っお嬉しそうです」 「 君は優しい子だな。うちの子䟛達に芋習っお貰いたいくらいだ」  そう蚀い終るずメアリヌはスッず右手を差し出した。 「あの䞇幎筆を買い求めたのが君で本圓に良かった。 連絡先の亀換を ず蚀いたいずころだが、君に心理的負担を掛けるのが目に芋えおいお口に出来ん」 「 あなたがどこたで僕の事を掚枬されたのか 知るのが怖いくらいですよ」 「亡くなった䞻人がそういった関係の仕事だったんだ。  君の人生に幞倚からんこずを祈っおいるよ」 「光栄です、  それでは」  そう蚀っお軜く頭を䞋げ、降谷は喫茶店を埌にした。赀井ずお揃いのペンを持぀倢は砎れたが、これで良かったのだず思う。圌によく䌌たメアリヌに思いをぶ぀けたこずで胞の内に苊しいほど枊巻いおいた気持ちが少し敎理出来たような気がする。  未緎は断ち切る、そう決めた降谷は真っ盎ぐに車ぞず向っお歩いた。 [newpage]  少し突けばボロが出るだろうず螏んでいたベネットずいう男が、考えおいたよりもずっず悪蟣な男である可胜性が高くなった。䜕故なら、党くずいっお良いほど悪い噂も良い噂も流れおこなかったからだ。  ここたで綺麗に身蟺が片付けられおいるのは普通じゃない。むしろ党く無い政治家など皆無だろう。だが、ベネットには䜕もなかった。  せめお良い方の噂でもあれば劂䜕にも政治家らしいずいう感想を持おた。だが良い方の噂もないのでは、これは䞀筋瞄でどうこう出来る人間ではないず思った方が良いだろう。  突き詰めた捜査をするには時間が党く足りない。けれど、恐らくゞェむムズが自分を掚したのは察象がバヌボンである事に気付いたからだず赀井は確信しおいた。そしお、䞊局郚が狙っおいるのがベネットの逮捕だずいう事にも気付く。本圓に碌でもない䞊叞である。降谷に察する気持ちに気付いたからこそのキャスティングだ。  だが、そうず分かっおいおも赀井はこの仕事から手を匕く事は出来なかった。こんな危険な男がバヌボンに興味を持っおいるず気付いた以䞊他の捜査官に任せるのは絶察にお断りだ。䜕かが起きおからでは遅い、そんな事になる前に芜は摘んでおくに限る。こうなる事を芋越しおゞェむムズは自分を掚したのだろうず思うず倚少面憎くも感じるが、自分以倖に降谷の事を巻かされたらそれはそれで腹が立぀だろう。  こうなったら自分に出来る事のは珟堎で察凊する以倖の方法はない。䞇が䞀、他等に男狂いの嚘がコレクションずしお自分を䞊べたいだけなら、それはそれで平和的解決ずいうや぀だ。  ここ数日、こんな事絡みで圌の事ばかり考えおいた所為で䌚いたくお仕方がない。ここが日本ならば偶然を装っお顔を芋る事も可胜だが、生憎ここは圌の愛するあの囜じゃない。䞀枚だけ隠し撮りをした圌の写真を時折厳重にロックしたフォルダから撮りだしお眺めるのが粟䞀杯だ。それも頻繁にやるず逆効果なのだ。今床は声が聞きたくなるし、䜕なら圌の銙りを感じ取りたいずさえ思う有り様で 自分でも拗らせすぎだずそう思う。  䞇策尜きた赀井が垰り支床をしおいるず、メアリヌに半ば匷制的に入らされた家族甚の䌚話アプリに着信が入った。どうやら旅行に出掛けたらしく、スナップ写真が䜕枚か連続しお送られお来た。䜕ずなくそれを眺めおいた赀井はその䞭の䞀枚に気になる人圱を芋぀け身を乗り出した。小さい埌ろ姿だったが自分が圌を芋誀る事はない。これは降谷だ、そう認識した瞬間、反射的に通話ボタンを抌しおいた。 『 珍しいな、お前がメッセヌゞに反応 しかもわざわざ電話を掛けおくるなど。明日はハリケヌンが来るのか』  どこか呆れたように開口䞀番そう告げられたが、それに察し返す蚀葉が芋぀からない。圌の埌ろ姿が写っおいるずはいえ、偶々かもしれないず気付いたのだ。  考えおみれば公安に属する圌が写真を撮らせる事を同意するはずがないし、䜕より圌ずメアリヌは面識がない。 「ああ、いや  旅行なんお珍しいなず思っおいたら誀動䜜しおいた、悪かった」 『なんだ、そうか。䜕かお前の興味を匕く景色でもあったかず思ったのだが。 どうだ元気にしおいるか』  誀魔化し切れたかどうか 我ながらこの母芪は未だによく分からない事が倚い。圌女が昔の事を䞀切話さないのが原因なのだが、ずおも玠人ずは思えない䜓術や時折鋭さを芋せる掞察力などは只者ずは思えない。 「頗る元気だ、そっちは 旅行なんお珍しいな」 『珍しいも䜕も。私はお前が勝手に持っお行っおしたった務歊さんのず同型のペンを探しにここぞ来たんだがな』 「 あヌ  すたない、そうか、そうだったな」 『たあ良い、お前が務歊さんを慕っおいたのは知っおいる、母ずしお嬉しい事だ』  メアリヌにはどうも口では叶わない。父ももしかしたらそうだったんじゃないだろうか。二人が喧嘩をしおいるずころはそう倚く目にしたわけじゃないが、たたにそんな堎所に居合わせるずどこかホッずした様な衚情になった務歊が「買い物に行こう」ず行っお連れ出しおくれたのを思い出す。  ず、そこで赀井は自分がその䞇幎筆を意図的に枡した盞手の事を思い出す。䜕か、自分の倧切な物を圌に持っおいお欲しくお偶々蚪れたチャンスを逃さず圌に圢芋ずなっおしたった䞇幎筆を枡したのだ。 『実はそこで芪切な青幎に䌚っおな。久し振りに初々しい話を聞かせお貰ったよ』 「芪切な青幎」 『ああ、実は工藀くんからの情報を元にそのショッピングモヌルぞ行ったのだが、僅かな差で最埌の䞀本が売れおしたっおね。再入荷もないず蚀うし少々萜ち蟌んでいたのだが、幞いずいうか䜕なのそれを買った人物の情報を耳打ちしおくれた者がいおな』  メアリヌの蚀葉に赀井は眉を顰めた。黙っおいればメアリヌは盞圓の矎女だ。䞋手をするずナンパ目的でそんな䟿宜を図ったのではないだろうか。 『なんだか蚳の分からない耒め蚀葉を間に挟んで喋っおどうにも芁領の悪い男だったんだが、必芁な情報を䜕ずか聞きだしお賌入したずいうその青幎を探したんだ』   やっぱりナンパ目的だったのか、ず思うず同時に今床は別の心配が頭を擡げる。 「おい、 たさか買った品を譲れず脅したんじゃないだろうな」 『  次に䌚った時に発殎らせろ、そんな非垞識な事をする筈がないだろう。人の事をなんだず 、たあいい。誠心誠意、こちらの事情を話しおお願いしたんだ』 「 それで譲っおくれたのか、芪切な男で良かったじゃないか」 『いや、それがだな。 時間は良いのか少し長い話になるぞ』 「ああ、仕事終わりだ。たたには付き合っおやる、その男がなんだっお」  母の長話に付き合おうず思ったのは、勘の良いメアリヌに腹の内を探らせずに写真の事を聞くためである。母が送っおきた写真は明らかに降谷の埌ろ姿を狙っお撮っおいた。ずいう事は、もしかするず母ず䌚話をしたのは降谷なのではないだろうかず掚理したのである。 『譲っお貰う時に喫茶店で話をしたんだよ。なんでも報われない片思いをしおいるのだそうでね、その話を聞いたのだ』 「片思い 」 『ああ、そう蚀っおいた。 自分ではその盞手の事を幞せにする事は出来ないから諊める他はない ず。日本人らしからぬ容貌の男だったが、随分ず叀颚な考え方をする男だったな』 「 もしかするず、最埌の䞀枚に写っおいたのがその圌か」 『ああ、 優しげな顔をしおいたが、あれは只者ではないず思っおいる。身のこなしも態床も䞀切の隙が無かった。だがそんな男が僅かではあるが身䜓を庇っおいたのが気に掛かる 恐らく身䜓のどこかに怪我をしおいるのではないだろうか ずな』  怪我 䜕日か前に話をした時にはそんな玠振りはなかった、 いや、そういえば郚屋の照明が少し暗かった所為で気の所為かず思っおいたが、改めお思い返すず少し顔色が良くなかった気がする。たさか、あの時無理をしお怪我を負ったのだろうか。ああ、今すぐに確認したい。だが、䜕ず蚀っお電話を掛ければ良いのか芋圓も付かない。 『だが、圌の奜意で䜕ずか務歊さんが持っおいた物ず同じペンを手に入れる事が出来た。その恩人の姿を埌ろ姿でも良いからお前達に芋せたくおな』  そこたで話した時、メアリヌが「ん」ず小さく呟いた。その呟きの理由は分かる。同じグルヌプに入っおいる真玔からメッセヌゞが届いたのだ。  赀井は真玔が䜕を蚀っおくるのか察し、そこで䌚話を切り䞊げた。真玔は降谷の事を安宀透ず認識しおいるだろうが知っおいる。あの効なら写真の埌ろ姿でそれを圌ず気付くだろう。そうなるず長話をしおいおは腹を探られるだけだ。  降谷に片思いの盞手が居る、その事実に少なからずショックを受けおいる今、迂闊な事を口にしおしたいかねない。 「ああ、すたない。仕事の呌び出しだ、母さん」 『んああ、そうか。 無茶はしおくれるなよではな』  仕事ず蚀った所為だろう、メアリヌはあっさりず通話を終了させた。 真玔のメッセヌゞを芋るず、やはり同じ写真で埌ろ姿の男が降谷である事に気付いたらしいが、真玔にずっお降谷は安宀透ずいう私立探偵ずいう認識らしい。そんな内容を芋おアプリを閉じた。  ポアロで働いおいた圌は既にあの店を蟞めおいる。事件の事埌凊理に顔を出しおいたのは圌の郚䞋である譊芖庁公安郚の颚芋だった。だから圌が公安譊察である事を真玔は知らないしこれから先も知る事はないだろう。だから圌ず自分が知り合いである事など母にしれる事はない筈だ。  背もたれに寄り掛かり赀井は溜め息を぀いお倩井を芋䞊げた。君の魅力に気付かない女など止めおおけ、俺にしろず今すぐ電話をしたい。けれど、そんな事が出来るならずっくにしおいる。圓たっお砕ける勇気も無い自分に出来る事は、遠くから芋守るだけだ。  けれど同時に考える。いずれ遠くない将来、圌が結婚するず聞かされでもしたら、その瞬間の喪倱感に自分は耐えられるだろうか 。 [newpage] 「䜕 真玔、お前この男ず知り合いなのか」  この堎所ぞは小旅行代わりに真玔を連れおやっおきおいた。こちらに到着しおからはそれぞれ別行動を取っおいたのだ。写真を芋お宿ぞ戻っおきた真玔が、冷蔵庫から冷えたペットボトルを取り出しながら「そうだよヌ」ず返しおくる。 「 どういう男だ」 「毛利探偵の匟子兌ポアロのバむト、その実態は私立探偵っお蚀っおたな。コナン君が工藀くんに戻れた蟺りでポアロも毛利探偵の匟子も蟞めちゃっおさ」 「ホォヌ その安宀くんは秀䞀ずの接点はあったのか」  真玔の説明にメアリヌの目がキラリず光る。 「秀兄ずはないず思うよだっおほら、米花町にいる間はずっず沖矢明ずしお過ごしおたわけだし、少なくずも沖矢さんがポアロに来た事も無いみたいだしさ」  真玔の説明にメアリヌは自分の考えすぎだったかず銖を捻る。あの秀䞀から珍しく電話が掛かっおきた事がどうにも匕っかかったのだ。今たで電話を寄越せず蚀っお駆けた来た事はあるがそれ以倖で自ら掛けおきた事など床もない。誀動䜜などず蚀っおいたが、もしかしたらこの写真を芋お反射的にかけおきたのではないかずそう思ったのだ。 「あ、でも 䜕かの事件で  そうだ、ゞョディ・スタヌリングさん、芚えおるだろ秀兄の同僚の圌女。あの人の友達が事件に巻き蟌たれた時に安宀さんも関係しおたらしくおさ」 「そうなのか 䞀䜓どうしお」 「そのゞョディさんの友達がストヌカヌされおお、その調査をしおたのが安宀さんだったみたいなんだけど 。その時、安宀さんが「僕の日本から出お行っお貰えたせんかね」なんお蚀っおFBIに喧嘩売ったらしいよ」 「  僕の日本 圌がそう蚀ったのか」 「うん、その時もう䞀人珟堎に居たキャメル捜査官から聞いた話だから間違いないよ」  それを聞いおメアリヌはあの時の感芚を思い出した。圌の纏う独特の空気ず時折感じる気配、あれは間違いなく圌がこの囜を裏偎から護る人間だずいう事を瀺しおいる。 「だが毛利探偵は 掚理をしおいたのは圌ではないだろうその男に匟子入りする皋床の私立探偵では䟝頌など碌に来ないんじゃないのか」  メアリヌはずある事件でコナンが毛利の声を䜿い掚理ショヌを繰り広げおいたのを知っおいる。恐らくあの件だけではなく他の事件もそうなのではないだろうか。そんな探偵に匟子入りしたずころで埗るものなどあるずは思えない。他に目的があったのなら別だが 。 「それなんだけどさ」  他に誰がいるわけでもない郚屋の䞭で真玔が声を朜める。 「 ボクもママの考えに同感だよ。匟子入りは口実で䜕か他に目的があっお毛利探偵に近づいたんじゃないかっお。けど ほら、コナン君が特に䜕にも蚀わないからたあ危険な盞手じゃないんだろうなっお刀断しおたんだ」 「䜕故そこで声を朜める、倧きな声で蚀えば良いではないか」 「あはは、それもそっか。で、安宀さん元気そうだった蟞めお以来床も来おくれないっおポアロのお姉さんも気にしおたんだよね」 「なあ、真玔。  率盎なずころ、お前 その安宀さんずやらに぀いおどう考えおる」 「うヌん 圓時は探偵っお肩曞きを疑っおなかったんだけど、改めお考えおみたら  譊察官、しかも珟堎に居合わせた捜査䞀課の刑事達が圌の顔を知らない事から考えるず 公安譊察」  圌を盎に芋お知っおいるずいう嚘の蚌蚀にメアリヌは倧きく頷いた。 「うむ、 私の意芋ず䞀臎する。ずいう事は圌ず秀䞀が知り合いである可胜性はあるな」 「そうかもしれないけど 。それより探しおた䞇幎筆は手に入ったのか」 「ああ、その安宀くんから買い取らせお貰った」 「はあどういう事」  手短に事情を話すず「ぞぇ やっぱ悪い人じゃないんだ」ず感想が返っおくる。  ふむ ず少し考え蟌んでいたメアリヌは、自身も喉が枇き立ち䞊がろうずしお䞖界がぐるりず回るような錯芚を芚えた。それが目眩だず気付いたのは慌おふためいた真玔が駆け寄っおきお身䜓を支えたからだ。 「ママッ、どうしたの、倧䞈倫」  元の身䜓に戻ったずはいえ、い぀どんな埌遺症が出るか分からないず埓姉である志保に泚意されおいる真玔は急に顔色を悪くしたメアリヌに心臓が止たりそうになる。 「薬があるから倧䞈倫だ。 少し疲れたのだろうな、軜く目眩がしただけだから心配するな。もう収たったし今はなんずもない。ただここの倕食も食べおいない それに䜕より私が他人の運転が嫌いなのは知っおいるだろう」 「でも  吉兄に来お貰おうか」 「秀吉は来週から竜王戊だ。倧切な時期に迷惑を掛ける事はするな。あれはもう矜田の人間なのだ。それにあたり婚玄者を埅たせお断られでもしたら倧事になるだろう」 「で、  でも。   あっ」  オロオロずしおいた真玔が、良い事を考え぀いたずばかりに笑顔になる。 「ママが逢った安宀さんに力を貞しお貰うのはどうママもそんな芪切にしお貰った盞手なら倧䞈倫じゃない」 「  私はその安宀さんの連絡先など知らんぞそれに圌がただこちらにいるずは限らんだろう」 「ボク、工藀くんに安宀さんの連絡先を聞いおみるっ」 「よしなさい、真玔。 こんな事を突然蚀われおも工藀くんも安宀さんにも迷惑だ」  携垯を取り出した途端、そう釘を刺された真玔がなんずも情けない衚情でメアリヌを睚み付ける。確かに党郚こちらの郜合だけだが、そうは蚀っおも心配で心配でたたらないのだ。けれどメアリヌは頑ずしおYesずは蚀わない。 「心配なんだよ、ママ」 「駄目だ、ただでさえ安宀くんには無理を蚀っおいるのだ。それにお前の話を聞いた限りではそうやっお頌たれれば圌は断れんだろうが。ただでさえ無理を蚀っお圌の買った物を譲っお貰っおいるのだぞ圌が他に甚があっおこちらに来おいたらどうするのだ」 「うん  そうか、そうだよね」 「心配を掛けた事はすたないず思っおいるが、少し䌑めば倧䞈倫だ。久し振り遠出で少し疲れたのだろう。矎味い飯を食っおよく寝れば明日には回埩しおいるさ」 「  うん、分かった」  食事たで䌑むず真玔に蚀いおいお広瞁に眮かれた゜ファヌに身䜓を預け目を閉じおしたったメアリヌを気にし぀぀、真玔はそっず郚屋を出た。メアリヌにはああ蚀ったが䞇が䞀の事を考えれば倧人の知り合いである安宀の連絡先はどうしおも知りたい。䜕もなければ掛ける぀もりはない、けれど䞇が䞀の堎合メアリヌはただ通垞の医者に掛かる蚳にはいかないのだ。埌でいくらでも叱られおやる、そう思っお真玔は新䞀に簡単な事情説明ず安宀の連絡先を知りたいずメヌルを送った。そしお土産物を芋る振りをしながらメヌルの返事が来るのをゞリゞリずしながら埅぀。あの工藀新䞀なら、自分からこんなメヌルを受け取れば少なくずも無芖する事はないはずだ。぀だけ䟋倖があるずすれば、圌が䜕か事件に絡んでいた堎合だ。その堎合は連絡は遅くなっおしたう。  分ほど経っただろうか、埅ち望んでいた着信が入った。どうやら幞いな事事件の真っ最䞭では亡かったようだ。 「工藀くんっ、埅っおたよ」 『ちょ ちょっず埅っおくれ、䞖良。メアリヌさんの事は分かったけどどうしお安宀さんなんだ』  息咳き蟌んで話し出そうずした真玔を新䞀が制する。だが、そんな事は想定内だ。こんな返事が返っおくるずいう事は新䞀は安宀ず連絡が取れるに違いない。 「実はさ 」  そこでようやく真玔はメアリヌがこちらで安宀に䌚った事やそこで安宀が賌入した䞇幎筆をメアリヌが譲っお貰った話などを聞かせた。ず、どうやら新䞀に心圓たりがあったらしい。 『ああ、そうか。安宀さんも買いに行ったんだ。 じゃあ最埌の䞀本を安宀さんが譲っおくれたっお事か』 「そうなんだ。ママがパパの思い出の品だからっお話をしたら快く譲っおくれたっお蚀っおた」 『あ そうか。安宀さんはメアリヌさんの顔を知っおるか』 「え、ごめん、今なんお」 『ああ、いや。 うヌん』 「お願い、明日になっおママがい぀も通りだったら絶察に迷惑掛けない。けど心现いんだ」  間近で母の顔色が玙のように癜くなったのを目の蟺りにしたショックは倧きかった。泣きそうな声色になる真玔に新䞀は仕方なく腹を括る。 『わぁったよ、安宀さんに聞いおみる。お前にオレの口から連絡先を教えるのはさすがに出来ないんだ。 悪いけどもうちょっず埅っおくれるか』 「勿論だよ。 もしもボクに番号知られた事で携垯を替えるならその費甚は持぀から」 『分かった分かった、連絡が取れるかどうか保蚌は出来ないけど 少し埅っおくれ、聞いおみる』  そう蚀っお通話は切れた。  新䞀から再び電話が掛かっおきたのは、それから分埌の事だった。 [newpage]  立食圢匏のパヌティ䌚堎内は、既に酔った人間達で溢れかえっおいた。ずはいえ、䞊流階玚の玳士淑女達である、みっずもなくくだを巻くような無䜜法な人間は䞀人も居ない。  そんな䞭で赀井はバヌボンのグラスを片手に退屈しおいる事を隠しもせずにタバコをふかしおいた。自分を呌び぀けた女は支床に手間取っおいるずかでただ姿を珟わさない。どうせ、埌から登堎しお泚目を集めたいだけの浅知恵だろう。 「そんな顔しおないでよ、シュり。たるで私に䞍満があるみたいに芋えちゃうじゃない」  隣でグラスを煜りながら文句を口にしたのはゞョディだった。今日のゞョディはい぀もの䌊達県鏡を倖し完璧にドレスアップしおいた。文句なしの矎女である。 「悪いな、元々こんな顔だ」 「どう出るかしらね」 「バヌボンを狙っおいるのならきっちり締め䞊げるだけだ。圌には指䞀本觊れさせん」 「 ねえ、シュり。あなた  ただ圌の事」 「あんな機密の固たりのような男に手を出そうなんお奎は碌でなしに決たっおいるだろう」  共に日本に滞圚しおいたゞョディには圌ずの確執も䜕もかも党おがバレおいる。しかも、圌女はか぀お愛した女だ。赀井の感情など手に取るように知られおいたずしおも䞍思議じゃない。 「 埌悔しないの」 「䜕の話だ、ゞョディ」 「私だから蚀うのよこんな事。 降谷が」 「 しっ」  ゞョディが䜕か蚀いかけた時、俄にざわ぀いた䌚堎にその什嬢が姿を珟わした。雑談はここたでだ、瞬時に人に捜査官ずしおのスむッチが入る。  わざず圌女にそう芋えるようにゞョディが赀井の袖を匕く。そんな圌女のサむンに赀井が僅かに銖を傟け内緒話を受け入れる姿勢を取る。それだけで、二人の関係はただならぬ関係だずそう思うに違いない、そんなリアクションだ。  ベネット䞊院議員を゚スコヌトにしお女王然ず登堎した圌女は、そんな人の空気に分りやすい皋露骚に顔色を倉えた。 これはバヌボン絡みではなくハニトラの方かず人は内心で眉を顰めるが、それを顔に出すような玠人ではない。  さお、これでどう出るか 。ゞョディが挑発するように赀井の腕に自らの手を絡めお寄りそう。どこから赀井の顔写真を隠し撮りしおも自分が邪魔になるように肩に頭を乗せるサヌビスたでおたけに付けた。 「おい」 「芋られお困る盞手なんお居ないでしょ、サヌビスよ」  小声で話す人は傍目には恋人同士が仲良くむチャ぀いおいるようにしか芋えないだろう。 「倱瀌、赀井捜査官。今宵は招埅に応じおくれお感謝しおいるよ」  仏頂面のたたたの嚘ず共に赀井の前ぞずやっお来たベネットが右手を差し出した。䞊院議員であるベネットの方から手を差しだした事で呚りの客の反応が面癜い。あれは誰だ捜査官などず囁く声が聞こえるが、そんな物は䞀切無芖しお赀井はその手を握り返した。 「私に䜕か捜査䟝頌でしょうかそれずも内郚告発でも」  䞀切媚びる様子のない赀井の態床に、ベネットが僅かに錻癜んだような顔぀きになる。だがすぐにそれを笑顔の䞋に抌し蟌んだ。 「ははは、面癜い冗談を。 今宵はたあ話に聞いた巚倧地䞋組織壊滅の立圹者をこの目で芋おみたかったずいうのが本音でね、実は嚘が君のファンなのだよ」  そう蚀っおベネットは着食った嚘を指し瀺した。 「さあ、゚リザベス。ご執心の赀井捜査官だよ」 「 お父様ったらそんな蚀い方 。初めおお目に掛かりたす、゚リザベス・ベネットです。どうぞお芋知りおきを」  そう蚀っお差し出された手を赀井は䞀瞬だけ握りすぐに離した。぀れない態床に゚リザベスの顔がサッず屈蟱に赀く染たる。䜕故なら赀井は䞀瞬たりずも目を合わせようずもしなかったのである。あからさたに興味がないずいう事を匷調されたようなものだ。 「私の顔が芋たいずいうそれだけでここぞ呌ばれたのでしたらこれで倱瀌しおも構いたせんね 今埌こういった行為は控えお頂きたい。ゞョディ、行くぞ」  䞍機嫌そのものの声音でそう蚀い攟った赀井をベネットが慌おお呌び止めた。 「ちょっず埅っおくれたたえ、 少し話がしたい。そちらの圌女は垰っお貰っお結構 」 「個宀内での䌚話は党お蚘録させお頂きたすが」 「赀井くん 、そういった態床はあたり感心しないね」  煜りに煜った甲斐がありようやく䜕重にも被っおいた仮面が剥がれおきたようだ。  ここから埌の事は事前にゞョディず話し合っおいる。事前調査であれだけ完璧に蚌拠隠滅を図った盞手である。そんな盞手が簡単に尻尟を出すずは思えない。人の倚いこんな堎所でこれ以䞊の隒ぎは盞手も望たない筈だ。それを逆手にずれば尻尟を出すのではないかず考えたのだ。存分に泚目は济びた これで準備は十分だろう。人のやり取りに呚囲の人間は今や興味接々で聞き耳を立おおいる。この堎を動こうずしない赀井に぀いにベネットが尻尟を出した。 「脅迫行為は 」 「瀌儀の話だ、若造がっ。 お前がボスの肩を撃ち抜いたのが決定打だったずはいえ、いい気になるのも皋々にした方が良い。私が䞋手に出おいる間にバヌボンに繋ぎを取りたたえ」  ああ、やはり目的はバヌボンだった、蚀質を取った赀井はそれ以䞊口にされる前にベネットの蚀葉を遮るようにしお口を開いた。 「ホォヌ 随分ずよくご存知のようですね、組織の事を」  捜査関係者以倖は知り埗ない情報ですがずベネットにだけ聞こえるようにそう蚀うず、赀井は初めお真正面から目を合わせた。  あの時の珟堎の出来事はどこのマスコミにも流れおはいない。勿論、あの時の珟堎に参加した捜査官達の䞭でも詳现を知らない者がいる。組織のトップずのデリケヌトなやり取りである。埌の裁刀ぞの圱響も考えた䞊で、その時の事は䌏せらせおいたのだ。  この情報が流れたずすれば、それはFBIの䞊局郚からずしか考えられない。これはずんでもない膿が出そうだ ず赀井は初めおその獰猛な目で獲物を睚み付けた。  真正面から芖線を合わされた瞬間にベルットはその瞬間、自身の倱蚀に気付き青ざめる。 「た  埅っおくれ、これは我が合衆囜の利益の為に必芁な措眮で 、ずにかく䞀緒に来お話を聞けば君も っ」 「仰る通りです、䜆しあなたが向かうのはこの建物の倖ですが。 ゞョディ」 「今回に限りあなたに拒吊する暩利はありたせん、同行願いたす」 「埅っおくれっ、そうじゃない、断固拒吊する。理由がないっ」  動揺するあたり支離滅裂になっおいくベネットに招埅されおいた客達が関わり合いになりたくないずばかりに遠ざかっお行く。蚳が分からずにオロオロし始める嚘を芋お、赀井がゞョディに合図を送った。  ベネットが䞊手く尻尟を出さなかった堎合、もしくは本圓に嚘のコレクション目的だった堎合、その嚘から嫉劬の暙的にされる可胜性があるず承知の䞊でゞョディはここたで぀いおきおくれた。それは赀井の為ではなく偏に目の前で父芪がFBIに拘束される可胜性を考え、それを目の蟺りにした時に嚘が味わうであろうショックを考慮しおの事だったのだ。  父芪っおいうのは嚘にずっおは特別な存圚なのよ、ず呟いたゞョディの父は組織に殺されおいる。だから、いざずなれば火の粉を被るこずになるず分かっおいおこの堎に来たゞョディがその合図で動いた。 「あなたはこちらに来おちょうだい。 倧䞈倫よ、倧䞈倫。䜕も心配いらないわ」  宥めるような優しい声音は、動揺しおいた嚘に玠盎に届いたらしい。 「パパ でもパパが」 「倧䞈倫よ、これは䞊院議員を危険から遠ざける為の凊眮なの、分かる」  小さく、けれど遠巻きにしおいる客達の耳に入るような声ではっきりずそう告げる。それだけで、堎の雰囲気はガラリず倉わった。ああ、そういうこずか ず野次銬達は蚳知り顔でそれぞれが䜕も芋なかった事にしおパヌティぞず戻っおいく。政治家ならよくある光景なのかもしれない。 「シュり、 この嚘は私が預かるわ。先に行くわね」 「ああ、頌む。ご同行願えたすねベネット䞊院議員。我々はあなたの協力を匷く垌望しおいる」  そう蚀っお今床は瀌を尜くす玠振りを芋せた赀井に察しベネットは諊めたように頷いた。そこぞこの件に関しお情報を流しおきたオリバヌが駆け付けおきた。その衚情を芋お、自分が䞊手く利甚された事に気付く。 「 悪いな、シュり。ここから先は俺達の管蜄だ」  そう蚀っおりィンクするオリバヌの腹を軜く拳で殎る真䌌をしおみせる。どういった思惑であったにしろ、バヌボンを護ったのは確かなのだ。 「䞉杯で蚱しおやる」 「はははっ、了解」  そんな䌚話を亀わし、オリバヌの手で連れ出されるベネットを芋送った赀井はこの囜の政治家によるバヌボンぞの接觊を未然に防げた事にホッず胞を撫で䞋ろした。  ず同時に、昚日母から送られお来た写真ずその際の䌚話を䞍意に思い出した。あの時はこの仕事が控えおいた為にどうする事も出来なかったのだが、こうしお解決しおしたった途端気になっお仕方がない。  降谷の片思いの盞手 、それは䞀䜓誰なのか。考え出すず䞍毛な嫉劬心がゞリゞリず身を焊しおいく。仕事も䞀段萜぀いた事だし、䌑暇を取っお日本に行っおしたおうか。そうだ、いっその事次の打ち合わせは盎にやればいいではないか。 「  よし」  こうず決めた時の赀井の行動は早い。すぐさたゞェむムズの元ぞ出向き、その旚を亀枉する。い぀もならもう少しお小蚀を蚀うゞェむムズも、スムヌズに終える事が出来お尚䞔぀他のセクションに貞しを䜜れた今倜の仕事ぞのご耒矎だずばかりに快く蚱可をくれた。  既にベネットの取り調べは始めっおいる。少なくずも珟圹の議員である圌の取り調べは慎重の䞊に慎重を重ねる必芁がある為、専門の捜査官が取り調べに圓たる事に決たっおいる為にもうこちらに仕事が割り振られる事はない。ベネットの嚘も盞応の担圓官が぀く事になっおいる。赀井に出来る事は䜕もない。 「週間も 良いんですか」 「おや必芁ないなら短くしようか」 「いえ、ありがずうございたす」 「こちらの取り調べで君が必芁な事態があれば連絡を入れるよ。ああ、そうだ 」 「䜕か」 「次の公安ずの䌚議日皋だが、向こうですたせおくるずいい。ずいう事で これを䜿いたたえ」  完党に赀井の気持ちに気付いおいるらしいゞェむムズを軜く睚み付け、だが䜕か差し出されたのを無芖するわけにもいかず赀井は無蚀でゞェむムズのデスクぞ近づく。ず同時に差し出されたのが航空刞だず気付いた。 「偶々、今日の䟿が取れたのでね」 「   あなたには敵いたせん、良いんですか」 「ははは、これで今回の件はチャラにしおくれるかなハニヌトラップはやらないず決めおいた君にこんな仕事をさせおすたなかったね」  その蚀葉で今回の件を仕組んだのがゞェむムズであるず気付いた。䞊院議員の嚘の目に止たるように赀井の写真でも芋せたのだろう。さり気なく、赀井が未だにバヌボンず亀流がある事を匂わせ、芪子共々釣り䞊げたのだ。  こんな人の良さげな顔をしお実は腹の䞭は真っ黒い男だが、仲間に察しおは出来る限りの䟿宜を図っおくれる気前の良さは有り難い。この航空刞にしおも、どんな手を䜿っお手に入れたのか分かったものではないが、それでもすぐに日本に飛べるのは有り難い。 「そういうこずでしたら䜿わせお頂きたすよ」 「先に蚀っおおくが、䌑暇の延長は無しだからね赀井くん」 「了解」  こうしお赀井は再び日本ぞず向かっお飛び立った。 [newpage]  メアリヌずの邂逅に驚きはしたものの、既にそんな事は忘れ降谷は人、離れに広々ず蚭眮しおある内颚呂を堪胜しおいた。こんな良い旅通に䞀人きりなのは若干寂しい気もするが、それでも枩泉の銙りずいうのは疲匊した心を癒やしおくれる効果がある。  4぀ほどの離れがあるこの旅通が取れたのはラッキヌだった。通垞ならば予玄で䞀杯だずいうこの旅通に盎電した所、偶々キャンセルが出たずかでそのたた泊たる事が出来たのである。キャンセルしたずいう家族連れに感謝し぀぀、降谷はその宿ぞの宿泊を決めた。぀いでに連泊を申し出るず、快く了解が埗られたのでホッず胞を撫で䞋ろす。どうやらその家族連れも3泊の予定だったらしい。1人でこんな良い堎所に泊たるのも気が匕けるが、怪我をしおいる身ではこうしお郚屋に内颚呂があるのは有り難い。  ここの枩泉が怪我にも効くずいうのは偶然ずはいえ運が良い。怪我をしおいるから倧济堎は無理だが、これだけ内湯に立掟な物が぀いおいれば問題ない、むしろ1人でのびのび出来るなんお莅沢だ。  時間ほど内颚呂を堪胜し郚屋ぞず戻っおきたその時、プラむベヌト甚の携垯が着信を告げおいるのに気が付いた。 「 ん  新䞀君」  ディスプレむのコナン君の文字があの倧倉だった日々を思い出させる。修正しなくちゃず思いながらなかなか修正出来ないのは、江戞川コナンずいう奇跡のような少幎の存圚を心のどこかで今も惜しんでいるからだ。  工藀新䞀ずいう青幎よりも自分にずっおは江戞川コナンの方が芪しみがある。二床ず䌚う事は出来ない存圚であるあの子䟛は密かな降谷の心の支えでもある。 「はい、どうした䜕か困った事でもあったのかな工藀くん。君から盎電が来るなんお珍しいね」 『あはは、いきなりすみたせん、降谷さん。ちょっず今、お時間いいですか』  ただ聞き慣れない青幎の声音に少しだけ身構えおしたう。 「いいよ、今䌑暇䞭だから」 『〇×高原近くに滞圚されおたす』  新䞀がそう蚀った瞬間、遠くで鹿嚁しが鳎るのが聞こえる。そんな新䞀の問いに察する降谷の声は僅かだが先皋より尖っおいた。 「  甚件は」 『いや、あの 実はですね、䞖良から頌み事されおしたっお。 少し話を聞いお貰っおもいいですか』  降谷の態床の倉化に気付かない新䞀ではない。けれど、慌おお事情を早口に説明されおそういうこずか ず玍埗しおしたった。この件のタネを撒いたのは他ならぬ自分だ。 「䞖良  ああ、圌女も来おたのか」  新䞀の口からそう聞いた瞬間、メアリヌに語った打明け話を思い出し軜く埌悔に苛たれる。勝手にメアリヌが䞀人でここに来おいるず考えた自分が迂闊だったず臍を噛むが既に埌の祭りだ。片思いの盞手に関しおは倧いにがかしお語ったのでたさか赀井だずは気付かれないだろうが、若干の䞍安が過る。 『はい、䞖良から降谷さんがメアリヌさんず䌚ったっお聞いお。 実はそのメアリヌさんなんですが、宿に戻ったずころで䜓調を厩されたらしいんです』 「え メアリヌさんが  たさか薬の副䜜甚か」  さっき䌚っお話したばかりの圌女の様子を思い浮かべる。青癜い肌はしおいたが、あれは具合が悪かった所為なのだろうか。そう考えるず、思わず長話をしおしたった事に申し蚳なさが生たれる。 『あ、いえ。副䜜甚かどうかは分からないです。でも、䞖良が凄く䞍安になっちゃっお䞇が䞀の事態が起きた時に連絡が取れる盞手が欲しいっお それで降谷さんの携垯ナンバヌを教えお欲しいっお頌たれちゃったんです』 「そっか  、 志保さんにその旚の連絡は」 『さっきしたした。けど宮野もさすがに盎に芋おみないず分からないから䜕ずも蚀えないっお蚀っおお。非垞甚の薬は枡しおあるからっお蚀っおたんですけど 』  そう口にする新䞀の口調に、降谷はクスクスず笑っおしたった。コナンの時の圌なら遠慮無く「お願い、安宀さん。教えちゃっおもいい」ずお匷請りしおいただろう。 「ふふ、なんだか新䞀君ず話しおいるず䞍思議な気持ちになるね。たるで 」 『たるで』  知らない人みたいだ、ず蚀いかけお口を噀む。それを口にするのは新䞀に察しおあたりにも思いやりがない。 「長い事䌚っおなかった芪戚の子が急に倧人になっちゃっお自分の幎を感じるっおずこかな」 『ひでぇ 』  幎盞応な声でそうがやく新䞀に降谷は笑っお応えた。 「いいよ、僕のナンバヌで䞖良さんが安心出来るのなら教えおあげお」 『ほんずですか、ありがずうございたす。 あの』 「うんどうしたの」  東郜に垰ったら番号を倉曎すれば良い。今回はAPTX4869の被害者に察する救護措眮だ。非垞事態なのだから仕方がないず割り切っお降谷はそう決断した。颚芋に蚀えば䞊手く凊理しおくれる筈だ。  倚分そんな考えはすぐに新䞀には䌝わったのだろう。 『 番号倉わったらオレには教えおくれたす』 「どうしようかなぁ、 っお嘘だよ嘘、きちんず教えるから安心しお」  降谷の軜口に反応しお動揺した新䞀を宥めるようにそう告げる。 『そういう冗談は止めお䞋さい、排萜になんねぇよ、ったく』  がやく新䞀から真玔の番号を聞き、降谷は通話を終えた。 「銬鹿か、俺は 」  ごろりず畳の䞊ぞず転がり、降谷は自嘲気味にそう呟いた。正盎、メアリヌが赀井の母芪でなければ倚分この話は断った。少なくずも被害者人人ずそこたで向き合っおいたら仕事にならない。それでも真玔の泣き蚀に応えおしたったのは圌女たちが赀井の瞁者だからだ。 「  銬鹿だよな」  ギュッず目を閉じるず赀井の顔が脳裏に浮かぶ。  思うだけなら蚱されるだろうか、いやここにこの気持ちは眮いお行くず決めたじゃないか。 そう思うず人でこんな堎所にいる事が急に寂しく感じた降谷は、テヌブルの䞊ぞ甚意された豪華な䌚垭料理を無造䜜に平らげ始めた。矎味しい筈の料理も人で食べるず寂しさが倍増する。結局半分以䞊残し、降谷は箞を眮いた。  ――翌日、降谷は昚日の文具店ぞず向かった。䞇が䞀真玔からSOSが来たらすぐにそれに察応しなくおはならないからだ。  既に電話で修理が完了しおいる事を確認しおいる。店に行くず昚日の男がにっこりず笑顔を向けおくれた。 「お埅ちしおおりたした、他の状態がずおも良くお驚きたした。たた䜕かありたしたらお持ち頂ければい぀でも修理させお頂きたす」 「ありがずうございたす、 持ち䞻に返す時にそう䌝えたすね」 「はい、是非。  たたのご来店をお埅ちしおおりたす」  昚日、自分が賌入した埌でメアリヌが蚪ねおきた話をするかなずも思ったのだが、他の客の話を口にする事はなかった。今床自分で䜕か䞇幎筆を買う時はここに買いに来よう、そう思わされる、そういう店だった。  今床は砎損したりさせないように慎重に荷物の䞭ぞずしたいこみ、降谷はさおどうしようか ず倩を仰ぐ。  今のずころ、真玔からの連絡はない。もしかしたらメアリヌの䜓調も回埩し、䜕事もなく旅行を楜しんでいるのかもしれない。あの子の性栌を考えれば遠慮しおかけられないずいう事もないだろう、䜕もなかったならそれでいい。  䞀応、念の為に新䞀に「今のずころ連絡はないから敢えおこちらからは連絡を入れないが、明日たではこちらにいる予定だから䜕かあれば遠慮無く声を掛けおくれおいい」ずメヌルを送っおおく。少ししおから分かりたした、ず返事が返っおきた。  䜕か昌食でも食べおから旅通に戻るか ず考えた降谷の目に本日のむベントの案内が飛び蟌んでくる。どうやら半期に回行われる骚董垂のようなものらしい。そういえば今日は西偎の倧きな駐車堎が䜿えたせんず看板が立っおいた事を思い出す。どうやらそこで開催されるらしい。する事もないし芋おいくか ず降谷はそちらぞ向かっお歩き出した。  昚日来た時には䜕もなかった駐車堎はかなりの人で賑わっおいる。興味本䜍で露倩を芗いお歩くず、意倖なものがあったりしおい぀の間にか倢䞭でスペヌスを回り始めおいた。  手に取っおみるには至らないが、ディスプレむにも凝っおいお芋おいるだけで楜しくなっおくる。時間近く芋おいただろうか、そろそろ䞀床䌑憩しようかず思った降谷の懐で携垯が着信を告げた。もしかしお真玔からだろうか、そう思っお露倩から離れながら携垯を取り出した降谷はそこに衚瀺された名前に驚いお携垯を取り萜ずしそうになっおしたった。そこには赀井秀䞀ず衚瀺されおいたのだ。  だが、もしかしたら䜕かあったのかもしれないず慌おお通話ボタンを抌した。 「はい、降谷です。䜕かありたしたか」 『今、どこにいる』 「は  あ、すみたせん。実は䌑暇䞭で旅行に出おいるんです」 『うん、それは聞いた。 今、芳光䞭だろうどこにいるんだ』  それは聞いた 赀井の蚀い方にちょっず銖を傟げる。 「どこっお蚀われたしおも 。芳光っお蚀っおも有名な芳光地じゃないから聞いおも分からないず思いたすよ」 『実は今、日本に居るんだ』 「   は」 『䌑暇が取れたので日本に遊びに来た。 良ければ君に䌚いたいず思っおここたで来たんだが肝心の君の居堎所は知らないず蚀われおね』 「蚀われおねっお   え、たさか」 『母が䞖話になったそうだな』  静かにそう蚀われその意味を悟った瞬間、ザッず顔から血の気が匕いた。䌑暇が取れ来日した赀井はメアリヌに連絡を取り、そしお旅先で䜓調を厩したず聞きここぞやっお来たのだ。そしおそこで自分の事を聞いたに違いない。こんな事になるのなら、あんな話をするんじゃなかったず本気で埌悔する。母芪からそんな話を聞かされた赀井は、降谷の片思いに気付いおしたったのかもしれない。赀井ならば、あの卓越した掞察力で気付いおもおかしくない。そうか、もしかしたら赀井は怒っおいるのだろうか。実の母にあんな打明け話をしお軜蔑されたのかもしれない。 「すみたせんでした、  䞍快な思いをさせおしたった事は謝りたす」 『䞍快どういう事だ、降谷くん』  䞍審げな声音にみっずもなく手が震える。けれど、顔を合わせお眵倒されるのだけは避けたい。敵前逃亡など䞍本意だが、心の準備も䜕も出来おいない今は逃げおも蚱しお欲しい。 「すみたせん、 あなたに迷惑を掛ける぀もりはなかった、これは本圓です。 少し時間を貰えればきっちり割り切りたす。  すみたせん、それじゃ」 『ふ 』  これ以䞊䌚話を続ける勇気はなかった。降谷は赀井が䜕か蚀いかけたのを無芖し通話を切った。 早く、ここから逃げなければ。少なくずもただ自分の居堎所は割れおはいない。このたたここぞ留たる事に䞀抹の䞍安が過るが、宿にはもう泊する予定になっおいた為に荷物は眮いたたた来おしたっおいたのだ。  真玔から連絡が入った時点でキャンセルをしなければならないず思ったが、䜕もなければもう泊は予定通りする぀もりだったのが仇ずなった。こんな事ならチェックアりトしおしたえば良かった。  倧急ぎで車に戻り、そのたた急発進させる。ああ、どうしお自分はこんな目立぀車で来たんだろうず埒もないこずを考える。それでも、䜕ずか宿に蟿り着くこずが出来た。  宿に着き、自分甚に宛がわれた車庫ぞずRX-7を栌玍する。そのたたフロントを通らずに降谷は自分に宛がわれおいる離れぞず向かった。  このたたここぞ匕きこもっお、明日は朝食をずっおすぐに出発しよう。そんな事を考えながら離れの鍵を開け䞭に入った降谷は、廊䞋の先にある襖を開けた瞬間そこで固たっおしたった。郚屋の䞭にはここに居るはずがない男が 赀井が立っおいたからだ。 「やあ、お垰り」  どうしお ず問う前に、腕を匕かれその胞の内ぞず抱き蟌たれる。革のゞャケットから銙るタバコの匂いに胞が高鳎る。ず、こんな堎合ではないず離れようずするが、抱きしめる䞡腕を振り解くこずは出来なかった。  満身の力を蟌めおもびくずもしない力の差に愕然ずしながらもそれでも諊めずに藻掻いおいるず耳元で「怪我に觊るから暎れるのは無しだ」ず囁かれる。  銖筋に掛かる吐息に背筋が痺れるような感芚を芚え、降谷はそれ以䞊抵抗するこずを諊めた。どう足掻いたずころでこれは逃げ出すこずなど無理すぎる。  䞀䜓䜕をしに来たのだろう、声音などから糟匟しに来たのではない事は確かだ。だったら䞀䜓䜕をしに 。そう考えお恐る恐る芋䞊げるず、息が掛かるほど近くに赀井の顔があり、ぶわりず頬に血が䞊る。そんな降谷に赀井はにっこりず埮笑んで額ぞず唇を萜ずした。 「勝手に倱恋されおは困る、降谷くん」 「か   えっ」 「いや、だが臆病だったのは俺も同じだ。  君に嫌われるのが怖くお友人ずいう立ち䜍眮に甘んじる぀もりだった。だが今は違う」  心臓の音が口から飛び出そうだ。けれど降谷はふず気が付いた。自分の錓動ず同じくらいの早さで赀井の心臓が脈打っおいるではないか。 「  嘘だろ」 「叶うはずがないず思っおいた事が叶いそうになっおいるんだ、信じられない、そう思ったのは俺の方が先だ」  責任を取っおくれ、そう囁いた赀井の倧きな手で芖界を塞がれる。あっず思う間もなく、唇を重ねられる。 「倱瀌したす、降谷様、お茶をお持ちいたしたした」  離れの戞口から聞こえた仲居の声に、雰囲気に流されそうになっおいた降谷はハッず己を取り戻す。だが、逃げられおは困るずばかりに赀井がその腕を離す事はない。 「逃げないから離しお䞋さい」 「 車のキヌを」  有無を蚀わせない匷い芖線でそう蚀われ、ポケットから蚀われるたたに鍵を取り出す。ようやく手を離した赀井はにっこりず笑みを浮かべおその鍵をポケットぞず仕舞い蟌んだ。 「応察なら俺が出よう、 君のそんな顔を他の人間に芋せたくない」  ず蚀うなりさっさず襖を開けお応察に行かれおしたった。氎屋でお茶の甚意をしおいたらしい仲居ず赀井の䌚話が聞こえる。  それを聞きながら段々気持ちが萜ち着いおくる。突然本人が目の前にいお動転しおいたのは認めよう。けれどこのたた流されるのは癪に障る。ここは毅然ずした態床をずらなければ。腹を括った降谷の前にようやく仲居ずの話を終えた赀井が茶噚の乗った盆を手に戻っおきた。 「倕食は和食にしお貰った、構わないな昚日は掋食だったそうだが随分残したそうじゃないか」 「  ずりあえず、誀魔化そうずしおも無駄です。詳现な説明を求めたす」  勢いだけで持っお行かれたら困りたすず告げる降谷に赀井は䞡手を挙げお降参のポヌズをずり、ポツリずがやく。 「ドアプレヌトを掛けおおくべきだった」  眉尻を䞋げそう呟く赀井にようやく降谷の衚情が本来の圌の柔らかさを取り戻す。けれどそんな降谷に今床は赀井がお返しずばかりに反撃を食らわせた。 「君の方こそ、誀魔化しおも無駄だぞ片思いの挙げ句、諊めようなどず思った経緯に぀いお説明を求める」  䜕ずかこの堎は誀魔化そうずしおあんな事を蚀ったのだが、やはりそう簡単に誀魔化される男ではない。だが、敢えお悪足掻きをしおみようず詊みた。 「僕が片思いしおいるのがあなただずその゜ヌスは」 「䞍甚意に母のような人間に語った君が悪い。君にずっお運の悪い事に母の偎には効もいた。2人分の情報を突き合わせれば正解に蟿り着くのは雑䜜もない事」  予想通りの答えに思わず頭痛がしおしたう。あの時、䜕故あんな気分になっおしたったのか。さすがに自分でもアレは拙かったず思っおいるのだ。 「ここを芋぀けたのは」 「鹿嚁しの音ず、埌は人海戊術だな」 「 新䞀君か」 「君ずの電話䞭に鹿嚁しの音が聞こえたず教えおくれた。埌は、この界隈でその斜蚭がある枩泉旅通に電話を掛けた、降谷の連れだずな」  確かに新䞀ずの電話䞭に䞀床だけ聞こえた気がする。けれど、自分の耳にでさえ埮かに聞こえただけなのによく新䞀はその音を拟ったなず感心しおしたう。あの子は無意識にい぀も情報収集をしおいる、さすがは名探偵ずいったずころだろう。 「  䜕軒目ですヒットしたのは」 「䞀軒目だ」 「だからお前はムカ぀くんだよっ」  本来この離れは二人からのご利甚ずなっおいる。旅通偎にはもしかしたら友人が来るかもしれたせんず適圓な嘘を぀いおいたのが仇になった圢だ。たさかこんな圢で赀井が珟れるなんお 。 「俺ぞの事情聎取は終わりかななら今床は 」  赀井がそう口を開いた時である。たたしおも入口からノックの音ず共に仲居の声が響いた。 「降谷様、ご倕食の準備が敎いたした。ご甚意を始めおもよろしいでしょうか」  その声ず同時に赀井の口から䜕やらスラングが飛び出したのは蚀うたでもない。 [newpage]  数日埌 。  降谷の䞍圚の間、圌の代わりに曞類敎理をする為に譊察庁の垭に぀いおいた颚芋は、おはようず蚀っお珟れた䞊叞の背埌を芋おギョッずした。そこに、い぀もの黒い革ゞャンを着た赀井秀䞀が立っおいたからだ。  驚いたのは颚芋だけではない、早出や培倜で宀内にいた党おの捜査官が手を止めお降谷を、その背埌の男を凝芖しおいる。 「 来おたのか、颚芋」  硬盎しおいた身䜓が䞊叞のその䞀蚀で動き出す。無意識で身䜓に染み぀いおしたった条件反射のようなものだ。 「はっ、䜕か」 「土産を買っおきた、みんなで食べおくれ。それから俺が䌑暇䞭の間の資料ず取り調べの資料を揃えおおいおくれ、取りに来る」 「 あの」 「FBIが盎に来おくれたんでな。䞀床ちゃんず資料の突き合わせをしたいんだ。悪いがコヌヒヌも頌めるか」  完璧な降谷の応答だが、長く降谷の䞋にいる颚芋には通甚しなかった。赀井を䌚議宀に案内し、資料を受け取りに戻っおきた降谷に颚芋は衚情も倉えずにこっそりず囁いた。 「倱恋旅行にならなかったようで䜕よりです」  倧真面目な顔でそう告げた瞬間、降谷の顔が真っ赀に染たった。  それを芋お颚芋は思う。  䞊叞の恋はちょっず考えただけでも前途倚難な恋だ。けれど䜕があろうず自分だけは䜕があっおも䞊叞の味方に぀こう、そう考えた。  けれど䌚議宀に目をやった颚芋は、開いたたたのドアからこちらを芋おいる赀井ず目が合い、そんな心配は䞀切必芁ないず刀断するに至った。  たずえどんな障害があろうず、少なくずも降谷が䞍幞な道を遞ぶような事はもう無い。そう信じられる目をしお赀井がこちらを芋おいたからだ。 「  うん、ありがずう」  照れたような衚情で颚芋から資料を受け取り䌚議宀に戻る降谷の埌ろ姿を芋送り、颚芋は赀井ぞず深く頭を䞋げた。どうかよろしくお願いしたす、そんな思いを蟌めお。
Twitterでアンケヌトを取り䜍になった䞡片思いリク゚ストのお話です<br /><br />思ったよりも長くなっおしたったので、ではなくこちらに投䞋させお頂きたす<br />色々ずご郜合䞻矩な堎面が倚いのに加えお、事件がなんちゃっお事件です<br />あたり深刻な事にはなりたせん<br /><br />軜い気持ちで呌んでいただければ幞いです<br />よろしくお願いしたす&lt;(_ _)&gt;
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【泚意】 今回は少しリツカに察しお暎力的衚珟がありたす。苊手な方は自衛をお願いしたす。 読んでからの苊情は受け付けたせん。 [newpage] 「 もうそろそろ500mは離れただろう。さっさず爆匟の解陀コヌドを送信しろ。」 静寂に包たれおいた車内でアディントンが口火を切った。 「 ちっ 。」 ゞンは舌打ちを打぀ず、スマホを取り出しメヌルを送信した。それを暪目で芋おいたバヌボンは笑みを貌り付けながら問いかけた。 「䞀䜓なんの解陀コヌドなんです」 「組織の構成員が着おいる防匟チョッキに仕掛けられた爆匟だ。」 ゞンが遮る前にアディントンが蚀い攟぀。その蚀葉を聞いおバヌボンは耳を疑いたくなった。 「 おや、構成員に爆匟を身に぀けさせおいたずそんな話、僕は聞かされおいたせんね、ゞン。」 「 ふん。テメェは知らなくおいいこずだ。」 「ですが、爆匟がもし爆発すれば僕も巻き蟌たれおいたかもしれたせん。そういうこずは事前に連絡しおもらわないず困りたすね。」 そう軜口を叩きながらハンドルを握りなおす。 (あの時の爆発はそれが爆発したっおこずか 。だが 解陀コヌドを䜕故アディントンは知りたがっお   いや、そんなの分かりきっおるじゃないか 。) アディントンは人を殺さないし、むしろ助けようずする。組織の構成員、FBI、そしお公安の人間の呜を助けるために、こうやっおゞンに捕たったのだろう。 (   アディントン 君は本圓に銬鹿だ。俺はバヌボンずしおも、降谷ずしおも、君を助けるこずはできないんだぞ 。䜕故組織に ゞンに捕たったんだ。) さっきは殺されるこずはなかったが、ゞンは裏切り者を無傷でいさせるほど甘くない。䜕が起こっおもおかしくないのだ。目の前でアディントンが無慈悲に殺されるこずだっお、吊定できない。 この先のこずを想像しお、思わずハンドルをき぀く握りしめおしたった。道路の信号が赀信号になったために、車を止めた。この先の道も、党お赀信号であればいいのに、ずバヌボンは心の䞭で呟いた。 [newpage] 挞く組織の所有する廃ビルに着くず、ゞンはすぐにアディントンの腕を掎んで䞭に入っおいく。そしお、開け攟たれた䞀階に入るずその地面に乱雑に叩き぀けた。 「っぅ 」 「ちょっずゞン」 ベルモットが咎めるように声を荒げるが、ゞンは構わずにう぀䌏せに倒れたアディントンの頭を思い切り螏んだ。アディントンは匷かに顔を地面に打ち付けられた。匷い衝撃が錻に来お、次いで錻の奥がツンずしたかず思えば、生枩かいものが流れおくる。顔は盞倉わらずゞンに螏み぀けられおおり、流れ出た錻血がアディントンの顔党䜓を濡らしお行く。 「勘違いするなよアディントン。テメェは有利な立堎に立っおいる぀もりのようだが テメェは俺に脅しをかけられる立堎にねぇ。」 冷え切った声でゞンが蚀う。アディントンは䜕も蚀わなかった。ゞンは䜕も蚀わないアディントンに苛立ち、頭から足を退けおしゃがみ、顔に掎みかかった。錻血に濡れたアディントンの顔。それでもその目は反抗的だった。 「いいツラしおんじゃねぇか。」 「 趣味が悪いな。」 「そうやっお枛らず口叩けるのも今のうちだ。」 ゞンはそう蚀うず、アディントンから手を離した。 「バヌボン、そい぀を怅子に瞛り付けろ。」 ゞンはそう蚀っお煙草に火を぀けた。バヌボンは拳を匷く握った。怅子に瞛り぀ける。そんなこずをしたらアディントンの逃げ堎はない。今のゞンの行動ず発蚀を芋るに、アディントンを痛め぀ける気だろう。その手助けをしろず蚀うのか。 「 わかりたした。」 NOCバレするわけにはいかない。ここでアディントンを庇うメリットは䜕凊にもない。そう蚀い聞かせお、郚屋の隅にあった怅子ず玐を持っおアディントンの元ぞ匕きずっおくる。アディントンは錻血を流したたた、立ち䞊がった。 「   ここに座っお䞋さい。」 アディントンは抵抗せずに倧人しく怅子に座る。抵抗をしないアディントンを芋お、叫びたくなった。䜕故埓順に埓っおいるのか。今からどんな報埩をされるのかわかっおいるのか。䜕故逃げようずしないのか。叫びたくなる衝動を必死に抑えお感情を殺し黙々ず玐でアディントンの腕ず足を瞛っお行く。巊右の肘掛の郚分、そしお巊右の怅子の足に四肢を瞛り぀ける。バヌボンはその間、アディントンの顔を䞀瞥もしなかった。 「 終わりたしたよ、ゞン。」 バヌボンの皮を被りそう声をかけおから、アディントンの元から離れた。ゞンは煙草を䞀本吞い終わり、地面に吞い殻を捚おお靎底で火を消した。静寂がその堎を包んだ。その静寂は、嵐の前の静けさのようだ。 「 倧人しいじゃねぇかアディントン。」 「 君はただ私を殺せない。それを知っおいるからな。」 「あぁそうだな。今はテメェを殺せねぇ。ボスからもテメェを殺すなず、そう連絡が来た。」 ゞンはそう淡々ず告げる。 「テメェの切り札は確かに厄介だ。あれを䞖に出すのはボスの本意じゃねぇ。」 ゞンはそう蚀っお、アディントンの前に立った。 「 だがなぁ テメェはここにいる。そしお テメェにずっおの人質なんざそこら蟺にりロチョロ歩いおやがる。」 ゞンはニダリず口を歪めた。その蚀葉にアディントンは顔を曇らせた。 「    䞀般人を巻き蟌む぀もりか。」 「はは、やっぱりテメェはそう蚀うこずに関しお無芖できねえみおぇだな。どこたでも甘いガキだ。」 アディントンは鋭い県でゞンを射抜く。しかしゞンは楜しげにその目を芋䞋ろしおいる。 「ボスはどうやらテメェのこずが知りたいらしい。 䜕故テメェがマスタヌず呌ばれおいるのか、䜕故組織を朰そうずしおいたのか、テメェはどこの人間なのか。 掗いざらい吐け。」 「吐くわけないだろう。」 アディントンは無愛想に返した。するず、ゞンが突然アディントンの胞倉を掎み拳を振るった。 ガッ 「っ 」 ベルモットもバヌボンも息を呑んだ。右頬を殎られたアディントンは口の端から僅かに血を滲たせおいた。 「吐け。」 「嫌だ。」 ゎッ もう䞀床殎られた。殎られた右の顔面に青あざが出来おいる。 「  っ ゞン、もういいでしょう。アディントンは吐く぀もりがない。なら自癜剀でも䜿っお吐かせればいいでしょう。」 バヌボンは耐えきれなくなりゞンに声をかけた。衚情はい぀ものバヌボンのように取り繕うが心臓がバクバクず煩く跳ねる。 「アディントンに毒や薬は効かねぇ。」 そのゞンの蚀葉にバヌボンは驚愕した。アディントンが毒や薬剀に耐性があるこずを知っおいるのは、公安の人間だけのはずだ。それはあの日、公園で襲われ麻薬を打たれおしたったアディントンを助けた時、本人から聞いた情報だ。公安の䞭でも䞊局郚ず䞀郚のアディントン捕瞛䜜戊に関わる人間にしか䞎えおいない情報。䜕故それをゞンが知っおいるのか。 「 それは初耳ですね。どこからその情報を信憑性はあるんですか」 「ボスからの情報だ。」 ゞンはそう蚀っお、アディントンから手を離した。 「それにしおも毒が効かねぇ䜓質のガキずは どっかの金持ちのオモチャだったのか元からそういう颚に䜜られたガキかそれずも蚓緎でも受けおきたのか」 ゞンの質問にアディントンは答えない。 「テメェの本名も戞籍も出身囜も生い立ちも血族も䜕もかも、ボスが調べおも出おこなかった。テメェだけじゃねぇ。モリアヌティも、テメェの郚䞋も党員だ。倚くのパむプを持぀ボスが血県になっお探しおもテメェらの痕跡は芋぀からなかった。   テメェ、どっから湧いお出たんだ。」 アディントンは黙ったたた、ゞンを睚み぀けた。 「  気味の悪いガキだ。ずっずそうやっお黙っおいる぀もりか。」 「  私のこずなど、話したずころで君は信じられないだろう。嘘を぀けず、そう蚀われお終わるだけだ。奜きに想像すればいい。」 「 ふん、たぁテメェ自身の情報はそこたで問題じゃねぇ。テメェが組織を朰そうずする、その目的はなんだ」 アディントンは再び黙った。本圓に䜕も蚀う気はないらしい。 「 ボスはテメェの目的を知りたがっおる。すぐに朰さずに組織を探っおいたのも、䜕か理由があるず、そうボスは掚枬しおいた。 テメェ、䜕がしおぇんだ。」 「 組織を朰したい。ただそれだけだ。」 「その理由を聞いおんだよク゜ガキ。」 ゞンは次第に苛立ち始めた。 「想像に任せる。」 そう蚀い切っお、アディントンは口を閉じた。その態床にゞンはキレたようだ。銃を取り出しそしお───── タンッ アディントンの右肩を射抜いた。 「っぐぅぁ 」 アディントンが痛みに呻く。射抜かれた右肩からは血がドクドクず溢れ出おくる。 「次は脚を撃぀。さっさず吐け。無駄な手間かけさせんじゃねぇ。」 ゞンの冷酷な瞳がアディントンを芋䞋ろす。アディントンは短い息を吐きながら痛みに耐えるように唇を噛んだ。 「ゞンボスから殺すなず蚀われおいるでしょう」 ベルモットが慌おたように声を荒げゞンの偎に駆け寄り銃を䞋げさせる。 「この皋床じゃ死なねぇよ。急所は倖しおやっおんだ。」 「だからっお、倱血死でもしたらどうするのよ」 ベルモットは叫ぶように反論した。そんなベルモットにゞンは眉を顰めた。 「 あぁこい぀がどうなろうずどうでもいいだろうが。 それずもテメェはこい぀を庇っおるのか」 ベルモットは䞀瞬息を詰めたが「ボスの呜什だからに決たっおるじゃない。」ず平静を装った。しかしゞンは目を现めおベルモットを芋぀める。 「    なら、テメェが吐かせろ。」 そう蚀っおゞンは䞋がった。ベルモットは険しい顔のたた、アディントンの偎にゆっくりず歩み寄った。 「 アディントン、さっきゞンから聞かれたこず、掗いざらい吐きなさい。じゃないず、もっず痛い目に合うわよ。」 アディントンは口を開かない。ベルモットは焊りず苛立ちでさらに顔を顰める。 「 䜕を頑なになっおるのよ。貎方の呜がかかっおいるのよ蚀いなさい。」 高圧的な態床でベルモットは問いただす。ベルモットは早く口を割っおくれず、必死に心の䞭で懇願する。痛め぀けられるアディントンなんお芋たくない。たしお、自分の手で苊したせたくない。拷問しようずしおいるのはベルモットなのに、ベルモットは自分が拷問されおいるように感じおしたう。己の宝物を痛め぀けるこずぞの眪悪感、助けるこずのできない無力感、ゞンの眠に嵌りその身を犠牲にしようずするアディントンぞの憐れみず怒り。色んな感情が綯亀ぜになり、質量を増しお行く。 「   貎方、本圓に銬鹿みたい。ゞンの眠に嵌っお、他人のためにその呜を差し出そうずしお 。    どこたでお人奜しなのかしら。モリアヌティに同情するわ。」 本音を混ぜながら、ベルモットはアディントンを責める。 「FBIも公安も、貎方を殺すためにあのホテルに来おいたのよあのたたモリアヌティず共に逃げおしたえばこんなこずにはならなかった。 FBIも公安も、ボスず裏で結蚗しおいたのに そんな人間、爆匟ず共に吹っ飛んでしたっおも自業自埗じゃない。」 「おい、話が脱線しおるぞ。」 ゞンが険しい衚情で蚀う。 「あら、ごめんなさい。あたりにもゞンの眠に簡単に嵌っおいたから、぀いね。」 揶揄っお愉しんでいるのだずいう衚情を䜜り、ゞンの方を振り返る。こういう時、女優で良かったず安堵する。もう䞀床アディントンに向き盎る。アディントンはゞッず黙ったたた俯いおいる。その長めの前髪で衚情は読み取れない。どんな顔をしおいるのか、ふず気になっお顎をすくい顔をあげさせた。その瞬間、ベルモットは心臓が跳ねた。 「  泣いおるの、アディントン。」 その蒌く柄んだ瞳からは涙が溢れおいる。最んだ瞳、顰めた眉。い぀もは無衚情なアディントンが、顔を歪めお泣いおいる。 「  党お、私の独りよがりだ。わかっおる、わかっおいる぀もりなんだ、これでも。」 涙声で、アディントンが呟く。い぀もは感情のない声が、今はアディントンの悲痛な感情を映しおいた。 「今たで救えなかった呜に圌らを重ねお 自己満足で助けようずした。そんな力ないっおわかっおおも っもう、これ以䞊 救えなかった呜を増やしたくない 目の前で死んでほしくない っただ ただそれだけなんだ   。」 ボロボロず涙を溢れさせお、アディントンはしゃくりあげた。たるで子どものような泣き方だ。いや、圌はただ子どもなのだ。倧人の庇護のもずにいるはずの、ただの子ども。 圌はどんな人生を歩んできたのだろう。その目に䜕床死を映しおきたのだろう。どれだけの絶望ず埌悔を抱えながら生きおきたのだろう。アディントンの過去を知らないベルモットにはわからない。それでも、その衚情から、流しおいる涙から、想像を絶する道のりを歩んできたのだず䌝わっおくる。 泣くアディントンの顎からそっず手を離し、アディントンを芋䞋ろす。怅子に瞛り付けられ、顔に痣を぀くり、錻血を流し、右肩から血を流す小さな子ども。どうしおこの子どもがこんな仕打ちを受けおいるのだろう。ベルモットは今すぐアディントンを泣き止たせるために抱き寄せたい衝動に駆られた。䜕故、自分の身䜓にぶら䞋がっおいるこの二本の腕は、このか匱い子どもを泣き止たせるために䌞ばせないのだろう。ベルモットの胞がズンず重くなった。 [newpage] 立ち尜くすベルモットに、ゞンは舌打ちを打った。 「 くだらねぇ。」 ゞンはアディントンに近寄り怅子ごず倒した。匷かに䜓を打ち付けたアディントンは痛みに顔を歪めた。しかしゞンは远い蚎ちをかけるように、射抜いたばかりの右肩を靎底で螏みにじった。 「あぁああぁあああぁあああ」 アディントンは耳を぀んざくような叫び声をあげた。 「目的を聞いおんだよ。さっさず蚀え。」 ゞンは傷を抉るように螏み締める。その床に痛みに悶え苊しみ叫ぶアディントンを、ゞンはサディストらしい衚情で芋䞋ろす。 「ふっ う うぅ あぅ  もく  おきは 。」 アディントンは泣きながら息も切れ切れに答えようず口を開く。 「     っかえり たいんだ。」 その蚀葉にゞンは顔を顰めた。 「組織を 壊滅させないず 垰れない 垰れないんだ 。党郚終わらせお 垰りたい   っ垰りたい  䌚いたい  」 最埌は、声にならない声でアディントンは誰かの名前を呟いた。ゞンはそんなアディントンを芋お舌打ちを打った。 「それが、テメェが組織を朰す目的だずそんな蚳ねえだろ。さっさず目的を蚀えじゃねぇず殺すぞ」 同えるようにゞンが叫んだ。ず、その時、ゞンは巊腕を撃ち抜かれた。突然の襲撃にゞンは驚き、撃っおきたであろう男を睚み぀けた。 「なんで生きおやがるっ ラむ」 そう叫んだず同時に今床は銃を握っおいた右手も撃たれ、ゞンは痛みに呻いた。赀井に気を取られおいたゞンは小さな圱が近寄っお来たこずに気づくのが遅れおしたった。パシュッず音がしたかず思えば、銖筋にチクリずした痛み、぀いで猛烈な睡魔が襲い、痛みず盞たっお意識が遠のいお行く。 「く そが 」 赀井を睚み぀けながら瞌が萜ちおいく、しかし鈍る思考でもゞンは気づいおしたった。赀井が生きおいるのも、あのアディントンが仕組んだこずだず。 「アディン トン  テメェは絶察 殺す 」 殺意を滲たせおそう同えおから、ゞンは意識を手攟した。 [newpage] 「赀井さん、ここだ」 コナンは廃ビルを指差しお叫んだ。赀井は少し離れた堎所に車を止めお、コナンず共に廃ビルに走っおいく。アディントンが乗っおきたであろう車は正面に停めおあった。 「正面からは入らない方がいいな 。裏に回るぞ。」 赀井ずコナンはビルの裏手に回った。ボロボロで所々厩れた廃ビルには、裏口があったが、内偎から板か䜕かが打ち付けられおいるようで、扉からの䟵入は困難だった。 「くそっ どうやっお入る ガラスを割ったら早いが音で勘付かれるだろうし 。」 コナンは廃ビルの党䜓を芋回した。そこでふず、䞀郚の倖壁が腐食によっお厩れ、小さな穎が空いおいるこずに気が぀いた。䞁床小さな子どもが入れるくらいの穎だ。 「僕があの穎から入っお䞭から窓の鍵を開けるよ。埅っおお。」 コナンはそう蚀っお、小さな穎に四぀ん這いになっお入った。小柄なコナンでもギリギリだったが、身を捩りなんずか通り抜けられた。そしお、音を立おないようにゆっくりず䞭に䟵入する。䞭は埃っぜいがそこたで腐食は進んでいない。赀井のために窓を開け、赀井も静かに䞭に䟵入する。赀井は銃を構え、鋭い目で奥ぞず進んで行く。するず、声が聞こえた。ゞンの声だ。぀いで、タンッず也いた発砲音が鳎り、痛みに呻く声がする。息を殺しながらギリギリたで進む。扉䞀枚隔おた先に、怅子に瞛られたアディントンずゞン、ベルモット、バヌボンがいた。瞛られたアディントンは顔を血で濡らし、右の顔面には倧きな青痣ができおいた。そしおさっきの音から察するに、銃で撃たれたようだ。コナンはサアッず顔を青耪めた。 (なんで アディントンはゞンに捕たっおるんだ しかもたった1人で 。) ゞンずベルモットが蚀い争ったかず思えば、ベルモットがゞンに指瀺されお䜕かを尋問しおいる。 「 アディントン、さっきゞンから聞かれたこず、掗いざらい吐きなさい。じゃないず、もっず痛い目に合うわよ。」 アディントンはそう問われおも口を開こうずしない。コナンは心臓が高鳎った。 「 䜕を頑なになっおるのよ。貎方の呜がかかっおいるのよ蚀いなさい。」 高圧的な態床でベルモットは問いただしおいる。 「   貎方、本圓に銬鹿みたい。ゞンの眠に嵌っお、他人のためにその呜を差し出そうずしお 。    どこたでお人奜しなのかしら。モリアヌティに同情するわ。FBIも公安も、貎方を殺すためにあのホテルに来おいたのよあのたたモリアヌティず共に逃げおしたえばこんなこずにはならなかった。 FBIも公安も、ボスず裏で結蚗しおいたのに そんな人間、爆匟ず共に吹っ飛んでしたっおも自業自埗じゃない。」 そのベルモットの蚀葉に、赀井もコナンも目を芋開いた。FBIず公安が組織のボスず繋がっおいる。俄かには信じがたいこずだが、ベルモット本人がそう蚀ったのだ。赀井は困惑したような険しい衚情でコナンを芋た。コナンは赀井の衚情から察するに赀井は知らなかったのだろうず結論づけた。 「 倧䞈倫。僕は赀井さんを信じおるから。」 「 ありがずう。」 赀井はコナンの蚀葉で少し衚情を和らげた。コナンは赀井ではなく、安宀の方が気になった。安宀はそのこずを知っおいたのか。だずしたら圌はコナンにずっお敵だ。この堎所からは安宀の衚情は窺い知れない。敵か味方か枬りかね、じっず安宀を芳察しおいたが、ベルモットの「  泣いおるの、アディントン。」ずいう声で意識がアディントンに向いた。ベルモットによっお顔をあげさせられおいたアディントンが、涙で顔を濡らしおいた。その衚情も、悲痛に歪んでいる。 「  党お、私の独りよがりだ。わかっおる、わかっおいる぀もりなんだ、これでも。」 涙声で、アディントンが呟く。い぀もは感情のない声が、今はアディントンの悲痛な感情を映しおいた。コナンはその声に胞を締め付けられた。 「今たで救えなかった呜に圌らを重ねお 自己満足で助けようずした。そんな力ないっおわかっおおも っもう、これ以䞊 救えなかった呜を増やしたくない 目の前で死んでほしくない っただ ただそれだけなんだ   。」 ボロボロず涙を溢れさせお、アディントンはしゃくりあげた。その姿はコナンも知らないアディントンの䞀面を衚しおいた。沢山の死に觊れたのだろう。その床に救えなかった己を責めお、消えおいった呜を嘆いお、その小さな背には有り䜙るほど背負っおきたのだろう。コナンも身に芚えがある。救えなかった呜はい぀たでも胞にしこりずしお残る。ふずした瞬間そのしこりは痛みを発し、己を責め立おる。その苊しみを、コナンは知っおいる。 「 くだらねぇ。」 突然ゞンがアディントンに近寄り、怅子ごず倒した。そしお、ゞンに右肩を螏み぀けられおアディントンが絶叫した。 「あぁああぁあああぁあああ」 コナンはもう芋おいられなかった。赀井に向き盎り懇願の県差しで蚎える。 「お願い赀井さんアディントンを助けるために力を貞しお」 赀井もアディントンのさっきの様子を芋お、䜕か心境の倉化があったのだろう。枋るこずなく頷いた。 「俺がゞンを仕留める。その間にベルモットを頌めるか。」 「ううん、ベルモットは今回敵じゃないず思う。 むしろ、安宀さんがどっち偎なのかわからない。ずにかく、ゞンを確実に仕留めよう。」 赀井は頷いた。そこで、たたアディントンの声が耳に届いた。 「ふっ う うぅ あぅ  もく  おきは 。」 アディントンは泣きながら息も切れ切れに答えようず口を開く。 「 かえり たいんだ。    組織を 壊滅させないず 垰れない 垰れないんだ 。党郚終わらせお 垰りたい   っ垰りたい  䌚いたい  」 アディントンの匱った姿に、コナンの胞が軋むように痛む。 「 行くぞボりダ。」 その瞬間赀井ずコナンは同時に飛び出した。 赀井がゞンを銃で撃っお、ゞンの泚意が赀井に倖れおいる間に走った。 「なんで生きおやがるっ ラむ」 2発目の発砲音を聞いた頃にはゞンの斜め埌ろたでやっおきた。時蚈型麻酔銃をしっかり構え、狙いを正確に定めお発射した。 「く そが 」 そう蚀いながらゞンは膝を぀いた。意識を倱う寞前たで赀井を睚み、最埌に「アディン トン  テメェは絶察 殺す 」ず蚀っおゞンは倒れた。 その瞬間、ベルモットずバヌボンはお互いに銃口を向けた。 「 あら、バヌボン、私に銃を向けるなんおどういう぀もり」 「貎女こそ、僕に銃を向ける意味がわかりたせんね。」 それぞれが睚み合うが、赀井が銃口を安宀に向けた。それを芋お安宀は鬌の圢盞で赀井を睚んだ。 「どういう぀もりだ、FBI 」 「それはこっちの台詞だな、安宀君。」 「 生きおいたずはね ラむ。」 それぞれが睚み合いを続けるが、コナンはアディントンに駆け寄った。 「アディントン しっかりしろおい」 コナンの呌びかけに、アディントンは閉じおいた瞌を震わせお開いた。 「 江戞川コナン なんで ここに 。」 「オメヌを助けるために決たっおんだろ無茶しやがっおこの銬鹿」 コナンは涙を滲たせお右肩を圧迫した。血の気が倱せたアディントンの匱った姿に心臓がバクバクず煩く跳ねる。睚み合っおいた倧人達もお互いを譊戒しながらアディントンの元に駆け寄った。赀井だけはゞンのもずに駆け寄り埌ろ手に瞛っおいた。 「コナン君、傷を芋せお。」 安宀がアディントンの傍に膝を぀き傷を芋ようずするが、そのバヌボンの埌頭郚にベルモットが銃口を向けた。 「バヌボン、アディントンに觊らないで。」 「 貎女だっおアディントンが死んだら困るでしょう。」 「えぇ困るわ。だからっお貎方に觊らせるのも嫌。どきなさいバヌボン。」 怒りを滲たせるベルモットに、安宀は顔をしかめた。 「 どきたせん。貎女にもFBIにもアディントンはわたさない。」 安宀はバヌボンらしい笑顔を剥ぎ取り、睚み぀けるような鋭い芖線でベルモットを芋る。その顔は嚁嚇しおいるようにも芋えた。 「  っここで争うのはやめおよ今はアディントンを助けるこずに集䞭しお」 コナンの叫びにベルモットずバヌボンは互いに目線を倖しおアディントンを芋た。 コナンの小さな手で圧迫しおも、その血はなかなか止たらない。圧迫による痛みで、アディントンは僅かに顔を顰める。赀井はゞンを瞛り終わるず、駆け寄っおきおアディントンを瞛っおいた玐を党お切った。 「急所は倖れおいるが匟はただ䞭に残っおいるだろう。早く取り出さないず埌で面倒だ。近くの医療機関で治療した方がいい。」 「  駄目だ 。」 アディントンが掠れた声で蚀う。 「病院には行けない ここで匟を取り出す。」 アディントンは自分から䜓をずらし、怅子から降りた。そしお、䞊䜓を起こしお巊手で右肩を圧迫する。 「 ここでする気か麻酔も無いんだぞ。」 「いい 腹に手を突っ蟌たれお 掻き回された経隓もある。匟を抉り出すくらい 耐えられる。どうせさっきゞンが傷口を広げたからな 。取り出しやすいはずだ 。」 浅い呌吞を繰り返しお切れ切れにそう蚀ったアディントンは、赀井が玐を切るために䜿ったナむフを顎で指した。 「それで抉り出せ。」 「 わかった。」 「治療なら僕がしたす。貎方には任せられない。」 安宀が赀井に食っおかかるが、赀井は銖を振った。 「銃創の治療や応急凊眮なら䜕床も経隓がある。俺がする。」 そう蚀っお赀井はラむタヌでナむフを炙る。ただ安宀は食っおかかりそうだったが、コナンが諌めるず黙っおアディントンの背埌にしゃがみこみ支えるように手を添える。ベルモットは「応急キットを持っおくるわ。」ず蚀っお車の方に走っお行った。赀井はナむフを炙り終わるず、アディントンに「痛むぞ。」ず声をかけおからナむフでその銃創を抉った。 アディントンは冷や汗を流しながら目をき぀く瞑り歯を食いしばった。拳も匷く握りしめ、爪が食い蟌んだ掌に血が滲む。背䞭を支えおくれる安宀に党䜓重をかけながら耐えた。 激痛ずの長い闘いが終わり、赀井が匟を抉り出した。アディントンは息を吐いお力を抜いた。グッタリずしたアディントンをバヌボンが優しく支える。 「アディントン、ただ消毒が終わっおないわ。」 ベルモットが応急キットを取り出しながらそういうず、アディントンは項垂れた。 「 最悪だな。」 「貎方がここで治療するっお蚀ったんでしょう。我慢なさい。」 そう蚀っお、ベルモットは容赊なく消毒液で銃創を消毒する。あたりの痛みにアディントンは絶叫した。 「なんで匟取り出すずきには叫ばなかったのに消毒の時に叫ぶのよ。」 ベルモットは少し䞍服そうだ。 「いや 消毒液の匂いは癜衣の倩䜿ずいう名のトラりマを思い出しおちょっず 。いや、切断を迫られおないから倧䞈倫 萜ち着け 。」 そんなこずをぶ぀ぶ぀ず蚀い出したアディントンにベルモットは悪態を぀くが、思ったよりも元気そうで内心ホッずした。 「服の䞊からじゃ䞊手く消毒できないわ。脱いでちょうだい。」 そう蚀っおスヌツに手を䌞ばしたが、その手はアディントンにやんわりず握られた。 「   すたない、肌は露出できない。 あたり人に芋せられるものではなくおな。」 そのアディントンの蚀葉にベルモットは察しお手を匕っ蟌めた。 「顔も酷えぞ。 痛むか 」 コナンの小さな手が恐る恐るアディントンの顔に䌞ばされる。コナンの手がアディントンの頬に觊れた瞬間、アディントンはそのコナンの手に擊り寄った。 「あぁ、痛い。  すごく痛い。」 アディントンはコナンの手に己の手を重ね、そしお握り蟌んだ。瞋るように、コナンの手を握ったアディントンはたた涙を滲たせた。 「   怖 かった 怖かったんだ うっ ぐすっ 痛かった すごく痛かった うっ ふぅ うぅ 。」 コナンは泣き出したアディントンの頭を胞に抱き寄せた。 「バヌロヌ、頑匵りすぎなんだよ。」 コナンにポンポンず背䞭を撫でられお、アディントンは堰を切ったように泣き出した。コナンはアディントンが泣き止むたでずっずその背を撫ぜおいた。 [newpage] 䞀通り泣いたアディントンはその身䜓をグラリず傟けお倒れそうになった。コナンが受け止めようずするが、党䜓重をかけられお倒れそうになる。そこで、安宀の腕がアディントンの腰に回されおなんずか倒れずに枈んだ。 「 熱が出おたすね。」 安宀がコナンから離すようにアディントンを抱き䞊げる。そこでベルモットが再び銃を向けた。 「貎方、アディントンをどこに連れお行く぀もりなの。」 「貎女こそ、アディントンを欲しがる理由はなんですボスに枡すんですか」 険悪なムヌドが挂うが、そこでコナンが安宀に問いかけた。 「安宀さんは敵なの味方なの」 コナンの質問に安宀は黙った。 「僕は今の安宀さんが敵か味方かわからなくなっおる。 もしアディントンを捕たえる぀もりなら、僕は安宀さんを止めるよ。」 い぀もより䜎い声で、コナンは安宀を芋䞊げた。 「 ならコナン君、君は赀井を信じるのかい」 「 少なくずも、赀井さんは僕の信頌を裏切らないから。でも、安宀さんは 正盎ただわからない。安宀さんはアディントンをどうするの。」 安宀は抱き䞊げたアディントンを芋た。じっず黙っお芋぀め続け、暫く沈黙しおからポツリず呟いた。 「 心臓が、匵り裂けるかず思った。」 「 安宀さん」 「アディントンがゞンに殎られた時、撃たれた時、傷を抉られお叫んだ時、䜕もできない自分の無力さに吐き気がした。苊しんでいるのに  助けられなかった。」 それはたるで己の眪を懺悔する眪人のよう。ポツリポツリず溢れる蚀葉に、コナンは優しい目を向けた。 「   公安には連れお行かない。この子は殺させない。䜕があっおも、もうこの子は傷぀けさせない。」 「それを聞いお安心した。安宀さんのこず信じるよ。ベルモット、安宀さんは敵じゃない。だから銃を䞋ろせ。オメヌもアディントンのこず、助けたいんだろ」 「 えぇ、そうだけど 。   ねぇ、バヌボン、今貎方 公安っお蚀った  たさか。」 ベルモットは安宀の正䜓に思い至っおしたったらしい。 「  バレたなら、仕方ないですね。 たぁ、今の僕は所属しおいる組織に䞍信感を抱いおいるのでこう蚀うのは憚られるのですが 僕の所属は譊察庁 通称れロず呌ばれおいるずころです。」 「 貎方が、公安譊察 NOCだったなんおね。   䞀時期公安に組織の仕事を嗅ぎ぀けられおいたけど もしかしお 。」 「そうです。アディントンからの情報で、僕が公安に指瀺を出しおいたした。」 ベルモットは銃を䞋ろした。しかしその目は现められたたたバヌボンを芋぀め続ける。 「 なるほど。じゃあ貎方、アディントンが入っおすぐの頃からアディントンず協力関係にあったっおこずね。」 「えぇ、たあそうなりたす。 僕は質問に答えたした。だから貎女からも聞きたい。 䜕故アディントンを助けたいんです」 「 その子は、私の倪陜だからよ。」 ベルモットは愛おしげにアディントンを芋た。 「   貎女の宝物ずいうわけですか。」 安宀はベルモットから芖線を倖し、赀井を睚み぀けた。 「 コナン君は赀井を信頌しおるず蚀っおいたが、俺はただ信じきれおいない。お前はアディントンを目の敵にしお呜を狙っおいただろう。そんなお前がアディントンをFBIに匕き枡さないずは蚀い切れない。」 安宀は敵意剥き出しで赀井を睚み続ける。赀井は安宀に抱えられたアディントンをチラリず芋た埌、真っ盎ぐ安宀の目を芋た。 「 確かに、俺はアディントンを瀟䌚に出すべきじゃない 殺した方がいい人間だず思っおいた。」 「赀井やっぱりお前っ 」 「話は最埌たで聞け。 だが、灰原哀ず阿笠博士を誘拐に芋せかけお保護しおいたこず その埌の保護をボりダに任せたこず ボりダからアディントンの話を聞いお、少し考えを改めようず思った。 そしお、さっき聞いたFBIず黒の組織の繋がり 。正盎俺はFBIを疑ったこずはなかったし、FBIは正矩だず、そう思っおいた。   だが、結局モリアヌティの蚀う通りになっおしたった。俺にその子を裁く暩利なんおない。もちろんFBIにも。FBIも公安もあおにならない今、組織を壊滅させるこずのできる人間は 恐らくアディントンだけだ。」 安宀は赀井のその蚀葉に眉を顰める。 「   その蚀葉に、停りはないな。アディントンを傷぀けようずすれば、その時、今床こそ俺がお前に匕導を枡す。」 「あぁ、嘘じゃない。」 安宀はそれを聞いお、短く息を吐いた。 「ずにかく、アディントンを䌑たせる堎所ず、ゞンを拘束しおおく堎所が必芁だ。 移動しよう。」 コナンの蚀葉で、赀井がゞンを担ぎ、党員で移動を始める。 「ゞンは俺の方で拘束しおおく。ボりダ、そっちは頌んだ。」 「うん。」 ゞンず赀井、コナンず安宀、ベルモット、アディントンの二手に分かれお車に乗った。 「アディントンはどこで䌑たせるの」 ベルモットの蚀葉に安宀はセヌフハりスを提案したがコナンが銖を振った。 「僕の家なら広いしなんでもある。セキュリティも䞇党だ。僕の家に向かっお。」 コナンの指瀺によっお、車は工藀邞に向かっお走り出した。 車が走り去った埌、花匁が舞った。 「よかった。䞀時はどうなるこずかず思ったけれど、コナン君のお陰でたずたり぀぀あるね。 マむロヌド、あず少し あず少しだ。」 そう呟いた男は、たた花匁を散らせお颚ず共に姿を消した。
い぀もコメントやブックマヌク、いいねありがずうございたす<br /><br />今回は本圓に蟛かったけど私のがんやり思い描いた進み方ができお本圓に嬉しいです あぁ〜やっず〜やっずだよ〜っお感じです。<br />今回たた私の自己解釈マシマシでリツカを曞いおおりたす。<br />リツカは色んな䞖界に枡り色んな死を目の圓たりにしたした。救えなかったこずが倚々あっお、それは自分に力がなかったから、もっず力があれば、もっず努力すれば助けられたかもしれない。そう思っお、助けられなかった呜を悔いお、ずっず匕きずっおいるず思いたす。FGO内で文章で読むだけでもかなり悲惚な死にリツカは出䌚っおいるず思いたす。正盎それだけの死に盎面しおいたら、メンタルズタボロだず思いたす。たしおリツカは平和な時代に生たれた平凡な子どもです。救えなかった呜がたた増える。それはリツカの心に傷を増やすのず䞀緒だず思うんです。だから、リツカは自分に党おの呜を救う力なんおないず自芚しおいたずしおも、救うために動いおしたう。救うために動いおも、芋捚おおも、リツカはどっちにしろ傷぀くんです。ずおも蟛いですが、リツカはそういう状況にいるず私は解釈しおいたす。 さらに、リツカは倧切な人(ドクタヌ)を倱っおいたす。他人であっおも、その人はきっず誰かにずっお倧切な人で、その人が死んでしたえば、誰かが悲しむ。リツカはその誰かに共感できおしたう。だからリツカは呜を匵っお助けようずするんです。<br />お人奜しで独りよがりで停善者でお節介だず思われるず思いたすが、そうじゃなければリツカはよく知らないはずのマシュが死にかけおいた時、その手を取っおいなかったず思いたす。リツカずマシュの関係、そしおグランドオヌダヌの始たりは、そんなリツカのどうしようもないお人奜しから始たっおるず思っおたす。私はそんな、なんの力もないけど、どうしようもなくお人奜しなリツカが倧奜きです。<br /><br />それから、今回はコナン君がずおも重芁な回だず思っおたす。コナン君があの堎にいたから䞞く収たりたした。倧人だけだったらきっずもっず血を芋おいた気がしたす。コナン君、君はマゞでリツカの救䞖䞻だ。<br /><br />〈泚意〉<br />‹DC×FGOの混合小説です。‚<br />コナン初心者なので間違っおいるずころもありたす。‚<br />倢やCP芁玠は極力ないようにしおいたすがちょっず泚意です。<br />‹FGOキャラの真名バレしおたす。<br />‚自分の地雷の気配を察知した人はブラりザバックお願いしたす。‚<br />読んでからの苊情は受け付けたせん。
聖杯回収のために黒の組織入りしたぐだ子の話36
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10023929#1
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しばらく赀井さんず話し、連絡先を亀換しお別れる。 貰った連絡先にこれからの名前をメヌルで送ればすぐに理解しおくれたようで盎埌から停名で呌んでくれた。 ちょうど連れの方に呌ばれお行ったけどあの人もFBIかな。 さお、ひろくんに説明しないずな  赀井さんず話し぀぀も芖界の端で泳ぐ四人を確認しおいたので居堎所はわかる。 ずいっおもどうやっおひろくんだけ連れ出そうか。 ずりあえず行くか そろそろ䌑憩もさせないずだしな。 子䟛の䜓力は底なしに芋えお気付いたら底を぀いおたなんおよくある話しだ。 四人党員を抱えおは垰れないからね。 みんなそろそろ䌑憩しよっか あ、雪。そんな時間たったか たあたあ経っおるよ。私アむス食べたいからアむス食べよ お、いいな あっちに矎味しそうなアむス屋あったよな んじゃそこで じゃあ私買いに行くから、もう䞀人぀いおきお。さすがに五぀は䞀人で持おない あ、じゃあオレ行く そうじゃあ䞉人は荷物芋おおね はいよヌ なかなか䞊手い具合にひろくんを連れ出せたんじゃないだろうか。 荷物番を任せた䞉人から䞀定の距離が出来たずころでひろくんから声をかけられる。 でなんであい぀ず知り合いなんだ アメリカ時代に射撃堎で知り合っおね。色々教えおもらったりたたに勝負したりしたんだよ。私が長距離も出来るのはあの人のおかげだからね えっ、雪長距離も出来るのか䜕ダヌドたでいける お、やっぱり経隓者ずしおは気になるなんせ垫匠があの人だからね、䞃癟は堅い はたじかよ  驚いたり萜ち蟌んだりず忙しいひろくんを匕きずっおアむス屋さんたで行く。 味は適圓に五皮類買い二぀ひろくんに持たせおみんなの元ぞ戻る。 みんなお埅たせ〜 お、おかえり 味は ストロベリヌ、チョコ、ピスタチオ、フランボワヌズ、ミルク 俺チョコ ミルク ピスタチオ ひろくんは ストロベリヌ  じゃあ私フランボワヌズね なんでヒロしょげおるんだ  我らの母は匷かった  は そのあず赀井さんの郚分を陀いた話をひろくんから聞いたのか䞉人がすごい顔でこっちを芋おきたけどアむス食べるのに倢䞭で気づかなかったこずにしおおく。 でも確かあの組織の幹郚が六癟そこらだったか。前䞖の蚘憶だし曖昧だけど確かそのくらいのはず。 なるほど、そりゃあ驚くか。 党員がアむスを食べ終わりたた海ぞず駆け出す。 元気だな 。 たあ男はいく぀になっおも心は少幎っお蚀うしな。知らんけど。 おねヌさんっ  はい パラ゜ルの䞋で子䟛たちを眺め぀぀がんやりしおいるず知らない男性二人から話しかけられる。 芋た感じ属性パリピっお感じ。 近づいおきおたのはわかっおたし䞀応笑顔で返事をすればたあ予想通り。 おねぇさん䞀人 良かったら俺らず䞀緒に遊がうよ 残念だけど䞀人じゃないの 䜕䞀぀残念ではないけど。 誰ずきおんの〜圌氏ずか 圌氏だったらこんな可愛い人ほっずくわけなくね 確かに。もし圌氏だずしたらそい぀やめずいたほういいよ〜 勝手に話が進められおいく。 圌氏じゃないしなんなら圌氏だずしおも圌女である私に圌氏の悪口を蚀うのはどうなのか。 圌氏じゃない。けど遊べないから諊めお え〜でも俺らお姉さんず遊びたいなぁ おねぇさんも暇しおんならいいっしょ し぀こい。 ハワむに来おたでナンパしお寂しくないのだろうか。 ずりあえずどうにかしお远っ払いたい。 あのママ〜〜 急に猫なで声がしたず思ったら少し離れたずころから声の䞻がこちらに走っお来お抱き぀いおくる。 ねえママ僕喉也いた〜 えっ、ちょた れぇくん  むりかわいい。 えっ、子持ち たじで おうたじだよ。 それよりこちずらそれどころじゃないんでお匕き取り頂いおもいいですか。  ママこの人たちだれおずもだち 、いや知らない人だよ あざず可愛い猫かぶりで䞊目遣いをされお思わず倉な声が出おしたった。 あかんわこれ。  おずもだちじゃないのにお話しおたの う〜ん、たあそうだね あ、いや、俺らもう行くんで 倱瀌したした〜 玔粋無垢()な瞳で芋぀められたナンパ男がそそくさずいなくなる。 たあこんな可愛い顔に芋぀められたらそうなるよな。   雪、倧䞈倫だったか えっ、あ、はい  なんで敬語 いやぁ、流石だなぁっお  その埌向こうから様子を䌺っおいたらしい䞉人もこちらに来る。 雪倧䞈倫か〜結構し぀こかったな 冷たくあしらわれおたのにな ね、ほんずだよ れロは流石だな。芋事な五歳児だったぞ 圓たり前だろ うわドダ顔 これだから䞻垭様は 今関係なくないか その埌わいわいおしゃべりし良い時間になったので海氎济堎から出おホテルぞ向かう。  にしおもれぇくんかわいかったな 。 翌日。 ダァアンずいう音ず共に䜓に振動が䌝わっおくる。 確かに昚日は俺達が楜しんだから今日は雪の行きたいずころにっ぀ったけどよ たさか射撃堎ずは思わないよな 離れたずころから子䟛たちの声がする。 たあ確かに二十代女子にどこ行きたいっお聞いお射撃堎ず答えるずは思うたい。 朜入捜査始たる前に久しぶりにラむフル撃ちたかったんだよ蚱しお。 日本じゃラむフル撃おるずこ少なくおさぁ。 五癟しかないからやりがいないな 嘘だろお前 ぀いポロッず本音を挏らすずすかさずひろくんの声か聞こえる。 振り返るずチベスナ顔で萜ち蟌んでるひろくんかいた。 小さい子のチベスナ顔めちゃくちゃおもしろい 。 いや、オレだっお五癟は撃おたんだけどさ  いやわかる。わかるよひろくん 雪が普通じゃないだけだ 元気出せよヒロ なんだか私がヒヌルのような扱いを受けおいる。䞍服です。 たあいいやず䜕床か撃っおいるず匟切れになったので切り䞊げる。 行こうか もういいのか うん。腕は萜ちおないっおわかったし 党郚ど真ん䞭だもんな せめお六癟でやりたかったなぁ ヒロの顔がやばいから勘匁しおやっおくれ チベスナ顔が悪化しおる  たあたあ、もし将来前䞖ず同じ職を目指すなら私以䞊のスナむパヌになっお芋返しおやればいいのよ。 そのあずはみんなでお土産を芋お回る。 もちろん諞䌏さんず降谷さんのお土産も忘れずに。 諞䌏さんがマカダミアナッツチョコで降谷さんがハワむステむコン〇ヌムね。私は有蚀実行する女です。 殎られそうだからマカダミアナッツチョコもあげよう。 子䟛たちにはそれぞれアロハシャツ。詊着したらめちゃくちゃ可愛かったので即買いした。写真も撮った。 どうせならず私もみんなずお揃いで買った。 四人から䌌合うず蚀われたら買うに決たっおたすよね。
いただハワむ。次回垰囜したす。<br /><br />掚しむベが終われば曎新速床戻るず蚀いたしたがあれは嘘です。<br />ゲヌムトロコンするたで戻らなそうです。ゲヌム めちゃくちゃ面癜いんです 。CV関智䞀の双から名前が始たるキャラが最高に奜きです。お心圓たりのある方はぜひ仲良くなりたしょう。<br /><br />前回同様泚意曞き等ありたせん。ハワむの海に捚おおきたした。<br /><br />色々ずやらせたくお今回垰囜予定だったのにただハワむにいたす。<br />そしお皆さんが期埅しおくださ぀おいたハワむで芪父に ですが、射撃堎っお12歳からなんですよ 。残念<br /><br />誀字脱字ありたしたら気付き次第盎したす<br /><br />━━━━━━<br />远蚘<br />8月22日<br />デむリヌランキング13䜍<br />女子に人気ランキング7䜍<br /><br />8月23日<br />デむリヌランキング8䜍<br />女子に人気ランキング42䜍<br /><br />にお邪魔させお頂きたした。<br />ありがずうございたす<br />━━━━━━
今䞖は掚しを逊いたす7
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[chapter:パラレル蚭定] 完党パラレルです。 䞊行䞖界で、アむチや森川たちは陰陜垫。櫂くんや䞉和くんは劖怪です。 珟代に近いむメヌゞです。ただ単に叀語ずか苊手 にした名前は劖怪の真名ずいうこずにしたした。 真名は契玄者同士にしか分からないずいう仕様。 ●アむチ 陰陜垫なりたお。唯䞀の匏神は友達のういんがる。胜力はかなりあるのに匱気なせいで損しおいる。力はあるので悪霊ずかに狙われやすい。ういんがるずの修行でなんずか自力で逃げられるようになった。 ●ういんがる アむチの友達。匏神ずしおは䞋玚になる。 ●䞉和タむシ 狐の劖怪。倧玍蚀むメ。善狐。尟は九本あったらいいな。 お節介焌きたがり。䞖話奜き。アむチを芋おたらほっずけなかった。 ●櫂トシキ 韍神。 人間は奜きではない。力あるものは力あるものに惹かれるんです。アむチが幌い頃に、気たぐれで助けおしばらく遊んでいた。そのずき「お前が匷くなったら契玄しおやる」ず玄束する。 䜕だかんだで埋儀なので玄束は守ろうず思っおいたが、ある日より匷いものレンさたず出䌚い、力によっお契玄を亀わす。だが匷いものは力に溺れおしたったため、無理やり契玄砎棄をした。そのためボロボロになっおアむチず玄束を亀わした堎所たで戻っおきたずころを昔銎染みの䞉和に発芋されお珟圚に至る。誰にも䌚いたくないず思っおいるのに、陰陜垫が頻繁にやっおきおは戊いを挑んでくるので軜くあしらっおいる。傷はもう癒えおいる玄束を反故しおしたったがアむチずの玄束を守りたいずずっず思っおいるが、反面、前の契玄者ず同じようなこずになっおしたうのが怖い。 ●森川 陰陜垫。匷い匏神を䜿圹したいず思っおるけど、本人はそんなに匷くない。でも意倖ず匏神思いなゆえに匏神からは嫌われおない。 本人いわく「アむチの先茩だからな」 しかし、䞉和に挑むも負け、櫂に挑むも負け。けっこうボロボロになっおいるがそんな描写は䞀切ない。 ●シンさん アむチの垫匠。アむチに陰陜垫の玠質があるかどうかを芋抜いた。 怒るずすこぶる怖い。アむチにはあたり怒ったこずはないが、森川には数回ある。 ●店長代理 猫の劖怪。猫叉。シンさんの匏神。 ●ミサキさん シンさんの仕事経営等のサポヌトをしおいる。自身もたた陰陜垫。埌茩の森川ずアむチをよく面倒をみる。 倧䜓こんな感じです。 [newpage] [chapter:思い思われ] ――前を行く人は人じゃなかった。 でも僕はこの人は優しいず知っおいる。それだけが真実なのだから本性が劖怪でも人間でも倉わらないず思うのだ。生たれが違うから䜕だずいうのだろう。優しいずいうのはずおも凄いこずだず考える。同じ人間だったずしおも化け物ず眵られ優しくしおくれる人間なんお母芪ず効ぐらいだった。違う皮だずいうのに優しくしおくれるのは思惑があるのだろうが、それでも党おが党お嘘だずは思わない。裏切られるずいうのは信じおいるからではないだろうか。それなら信じお信じお信じ切っお裏切られた方が、凄く悲しいけれど受け入れられる。だから劖怪だず蚀われお裏切られたっお思うのは間違いで、僕が本性を芋分けられる力がなかったからであっお芁は前を行くこの人、狐さんは悪くない。 「あ、そうだ。アむツの領域に入る前に䞀぀だけ蚀わなきゃならないこずがある」 考えおいたら、急に振り返られお吃驚した。 金色の尟が九本。ゆらゆらず揺れおいる。艶やかで、觊りたい衝動に駆られたけれど、ぐっず堪えた。 「な  んですか」 恐々ず尋ねるず、「んな怯えるなっお。ずっお食わねえから」ず蚀われた。僕はただ䞉和くんの尻尟を觊らないようにっお堪えおいたのを勘違いしたのだろう。銖を暪に振った。 「ずっお食べる぀もりなら、出䌚っお最初に食べられおたす。僕。それに䞉和くんはそんなこずする人  劖怪さんじゃないです」 尟が九本。シンさんに聞いたこずがある。尟が九本ある狐は盞圓匷いのだず。狐かどうか本人に聞いたわけではないが、圓おはたる劖怪が䞭々いないので勝手に狐だず解釈しおしたった。でもたぶん間違っおいないず思う。 「ほんっずにアむチは可愛いなぁ。よしよし」 「わわっ」 乱雑に頭を撫でられた。撫でるのが奜きなのだろうか さっきもういんがるを撫でおいた。 「んで、蚀っおおくこずなんだけどさ」 「  はい」 「契玄するず玄束した少幎のこずなんだが。契玄を砎棄した前の䞻がいるず蚀っただろ そい぀ず契玄した時に契玄を亀わす前の蚘憶がほずんどなくなっおしたったんだず」 「  え」 「あヌ、぀たりな 力でねじ䌏せられお契玄を亀わしたわけだから、契玄項目が人によっお違うんだ。少なくずもアむツの前の契玄者はそういう奎だった。今があるから過去はいらないだろうっおいうのかな そこのずころは俺にもよくわからねえんだけど。っおわけで匷く心に残っおいるこずが『少幎ず玄束した』ずいうこずであっおその『少幎』が誰かは思い出せないらしいんだ。難儀だよな。匷く『少幎』を思っおるのに思い出せなくお曎にむラむラしおるみたいだ」 「み、䞉和くん。あの、前の契玄を砎棄したっお蚀ったよね。砎棄したから蚘憶は戻っおくるんじゃないの」 「お互いが同意しお砎棄――契玄䞍履行っおいうのか すれば今たでの蚘憶を含めお党お戻っおくるのかもしれないが、前䟋がないんだよ。倧抵は䞻人が死ぬたでかもしくは匏神が限界を迎えるずきたでは契玄は続くものだからな。アむツが特別っおいうのもあるかもしれないが無理やり砎棄したっおいうのもあり、戻っおくる気配はない。蚘憶っおいっおもある䞀郚がなくなっおいるだけで倧元はアむツのたただぜ。それはオレが保蚌できる。ずはいっおも性栌が前よりもっずひどくなっおるけど」 蚘憶が、ない。その蚀葉が胞を突き刺した。痛みず䞍安でドキドキする。 圌が僕のこずを芚えおいない。具䜓的に蚀えば、玄束したこずは芚えおいるけど僕自䜓は知らないずいうこずになるのかな。 どうしよう。櫂くん。ただ僕は君に䌚いたい䞀心で歀凊たで来おしたった。さしお匷くもないたた。匷い匏神ずも契玄しおいないたた。䌚いたいずいう思いだけで䌚えるずいうだけであたり良く考えずに来おしたった。銬鹿だ、僕。櫂くんの玄束には「匷くなれ」っおいう項目もあったのに。 圌が「玄束」をどこたで具䜓的に芚えおいるのだろう。党郚かな。僕が玄束の内容を䌝えたずしおも、それに䌎うものがなければ信じおもらえないに違いない。 だっお、圌は人間嫌いだもの。しかも、䞉和くんが蚀うには前よりもっずひどくなっおいるらしい。それっお間違いなく歀凊最近の陰陜垫たちのせいだ。シンさんも䞍安がっおいた。櫂くんは人間嫌いなのに、陰陜垫はそんなこずをお構いなしで匷いずいうこずず契玄しようずいう思いだけで圌を蚪ねおいたのだから。もちろんそんな陰陜垫の䞀人である僕も圌にずっおは同じなんじゃないか 少しでも僕のこずを芚えおいおくれれば望みはあるかもしれない。だけどその望みも䜕もなかったら 「アむチ」 「ぞっ、な、なに」 「顔色が真っ青だぞ 倧䞈倫か やっぱ、止めるか」 おでこに手を圓おられた。ひんやりずしお気持よくお、目を现める。こういう现かいこずを気付けるなんお、ミサキさんみたいに良く芋おるんだなぁ。 䞍安しかないけれど、䌚っお話しおみたい。䌚っお話せば䜕かが倉わるかな。倉わらなくおも䞀目だけでも䌚いたい。櫂くんかどうかはっきりず確認するためにも。だから、怖いし䞍安だけど、遞択肢なんおはじめからない。行くず決めたからには行くんだ。 「倧䞈倫です。ありがずう、䞉和くん」 「  おう。いざずなったら俺の埌ろに隠れおればいいから」 そういっお、䞉和くんは前を歩く。草が䌞び攟題のいわゆるけもの道を難なく歩いおいく。僕は䞉和くんが通った道をなんずか歩いおいく。こういうずころで差がでるものなのか。歩きなれおいるこずもあるのだろう。さくさく進んでいく。 ずおも呚囲の空気は柄んでいるせいか冷たく、そしお颚景は矎しかった。 そういえば、櫂くんのそばにいる時もひんやりしおた。冷たくお気持ちいい。圌にそう蚀ったら、枋い顔をしおいたけど。圌は僕に觊っお䞀蚀「お前は枩かいな」ず蚀っおたんだった。それは僕が人間で、櫂くんが人間じゃなかったずいうこずだった。でもそんなこずはどうでもいいぐらいにあの空気が奜きだった。 あたり䌚話ず蚀う䌚話はなかったけど、䞀蚀でも返しおもらえたこずがずおも嬉しくお぀たらないこずばかり話したように思う。 ああ、懐かしい。 「おヌい。倧䞈倫か」 少し先で䞉和くんが止たっおこちらに声をかけおきた。ハッず我に返るず、足を止めおいたこずに気が぀いた。 「ご、ごめんなさい」 「謝んなっお、こっちは気にしおねえし。それよりも具合は倧䞈倫か」 「え」 「いや、この蟺䞀垯は神気が匷くおな。劖怪は䞀切寄り぀かない。あ、俺は慣れおるっおのず善狐っおこずもあっおか平気なんだけどよ。すっかりそのこずを忘れおおさ。前のマケミは匏神のおかげか䜕ずかアむツのずこたで行ったけどな。倧䞈倫か 具合悪くなったら蚀えよ さっきも顔色悪かったみたいだしさ」 「心配しおくれおありがずう。本圓に倧䞈倫だよ。ずいうかね、このひんやりした空気が気持よくお。それにほら、ここの景色がずおも綺麗だから぀い」 「ふぅん。なあ、アむチ。もしかしおさぁ」 「はい」 「  アむツず玄束した少幎っお、お前」 「ぞ、あ、えっず」 「俺はアむチがその少幎だず良いなっお思っおる」 「ふぇ」 「玄束は芚えおいおも少幎を芚えおはいないず蚀った時の様子。神気には圓おられおない。アむツに䌚っお話したいだなんお、他の陰陜垫ずは違う」 正盎、その櫂くんずは玄束したんだず思う。僕はそう思っおる。けど、実際は性栌に玄束を亀わしたのかず聞かれたら、どうなのだろうか。アレは玄束だったのだろうか。疑問なんお䞀床わいたら、たくさんわいおくる。 䞍安がずっず僕を囲んでいるんだ。その䞍安を払拭するためにも櫂くんに䌚っお確かめたい。ずっず考えおいたこずだった。 だから垫匠であるシンさんに森川くんが韍神様に䌚いに行ったず聞いお、僕は無理を蚀っお堎所を教えおもらった。本圓はシンさんは反察しおいたのだ。正匏な陰陜垫ではない䞊に、術だっお䞍安定で成功するずきずしないずきがあっお未熟者だから。でも理由も知っおいたからこそ、条件付きで送り出しおくれた。 間違っおも戊わないでください。 そう蚀っおきたシンさんの目が真剣だった。僕が陰陜垫に成りたいず蚀ったずきに芋せた衚情だ。 でもその蚀葉に銖を傟げた。䜕でですか。問えば、悲しそうな顔をした。 『盞手が櫂くんだったずしおも、知り合いの同業者に話を聞いたずころ今たでの櫂くんではなさそうなんです。ああ、どう蚀えば良いのか  。陰陜垫盞手には特に厳しいらしく、かすり傷皋床だったら良い方なのだそうですよ。倧怪我した盞手もいるずかいないずか。森川くんも垰還した盎埌は結構ひどい怪我をしおたした。アむチくんは森川くんずはただ䌚っおいないのでしょう 行くかどうかは圌の話を聞いおから決めおください。ああ、聞かなくおも行くず蚀うんでしょうね。でも、行くのならば絶察に戊わないでください。圌の話から聞くず、䞊玚の劖怪がいらしお話を聞いおくれるそうです。その䞊玚の劖怪は知胜が私たち䞊みらしいので䌚話が成立するず蚀うこずなので、櫂くんずの䌚話の仲介になるよう頌んでみおください。そこで駄目ならすぐ垰っおくるんです。良いですね』 ――ちなみに玄束を砎っお怪我をしお垰っおきた暁には、説教では枈たされないので肝に銘じずいおください。 シンさんのお説教はずおも怖い。僕はただ䜓隓しおいないけれど、森川くんが数日倧人しいぐらいなのでき぀いものだずわかる。そのお説教ですたされないずいうこずは想像も぀かないが、今からでも鳥肌が立ちそうだ。 それで、䞉和くんが頌んでくれるずいうこずは、この条件のうち䞀぀は達成されたこずになるよね。うん。 「アむチ」 「ぁ、えっず、ですね。玄束した少幎が、僕だったらいいなっお思っおたす」 「どういうこずだ」 「玄束っお蚀うほどの話はしおないんです。でも韍神様に䌚っお話をしたこずがありたす。だけどそれがこれから䌚う韍神様ず同䞀なのかどうか、わからないんです。だから䌚っお話しおみたい。神気に慣れおいるずいうのはたぶんその䞀時のおかげだず思いたす」 「なるほどね。じゃあ違かったら」 「  違かったら」 「もしあっちから拒絶しお、攻撃しおきたらどうする」 「攻撃    。僕からは䜕もしたせん。駄目ならすぐに垰りたす。垫匠ずの玄束ですし、圌にずっおも僕にずっおも䜕の意味も成さないです。それに僕は傷぀いおいる人を劖怪を神様を曎に傷぀けたいわけじゃないです、から」 きっずもうたくさん傷぀いおるんだ。僕の考え及ばないずころでたくさん。 「わかった。アむチ。お前が本気でそう思っおくれんなら、俺は党力でお前を守るよ」 「そ、そんな 仲介しおもらえるだけでも有難いのに 迷惑かけられないよ  」 「迷惑じゃねえよ。アむツもずっずあのたたじゃ、駄目なんだ」 「䞉和くん」 「お前ず䌚っお䜕かが倉わればいい。俺は本気でそう思っおる。アむツは韍神様だ。人間の為に働いおきたダツなんだ。人間ず関わっおきたんだ。あのたた拒絶し続けおいいっおものでもない。ずいうか拒絶しちたったら、アむツは自分を吊定するこずになる。それじゃあいけないんだ。だから、アむチ。俺も協力するから、」 アむツを助けおやっおくれ。
䞭々先に進んでくれない私が曞くアむチくんは凄くうだうだず同じこずを考えおしたっおもうです本圓に。次ぐらいにはやっず櫂くんに䌚えるんじゃないかな。  だずいいな。で、ここから急に思い぀いたパロ語りしたす。ツむッタでも呟いおたんですけど、詰め合わせするみたいなほどの䌚話しおないんで歀凊でっおいうね。【櫂アむパロ】むノ⇒アむチ安定ギャリヌ⇒櫂くんオネ゚ではないメアリヌ⇒ミサキさん単にミサアむミサが奜きなだけっお考えたけど、メアリヌぱミでも䜕ら問題はない。さらに蚀えば私は䞉和くんでも䜕の問題もない。䟋のシヌン⇒櫂「埌から、行く。だからお前は先に行け」アむチ「え、で、でも――」『奜き  嫌い  』櫂「っ、いいから、早く行けッ」アむチ「う、うん 埌から来る  ね 櫂くん」『嫌い  奜き  』櫂「あ、あ」アむチ「  わかったよ。たた、ね」『――――嫌い』櫂「ぐっ   ぅ、ぁ」【ここたで】きっず誰かが曞いおくれおるに違いないこのアむチくんは幌少時代でもいいし、そうじゃなくおもいい。幎霢操䜜っおや぀ですね幎霢操䜜ず女䜓化っおずおも魅力的ですじゅるりむしゃもぐ。぀いでに蚀うなら䞉和アむも奜きです。䞉和くんの出番が倚いのはシカタナむネ。【5/2远蚘】「2012幎04月19日2012幎04月25日付の小説ルヌキヌランキング 59 䜍」「2012幎04月20日2012幎04月26日付の小説ルヌキヌランキング 95 䜍」ありがずうございたすううううううう続き頑匵りたす
思いは倉わらない【陰陜垫パラレル】
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 この䞖は男女ずいう性ず、第二の性で構成されおいた。  旧玄聖曞によるずダハりェがアダムずむブを創造し、人が゚デンの園においお犁じられおいた善悪の知識の実を食したこずにより、男ず女ずいう性の違い初めお認識した。それが性別の始たりずされおいる。  では、第二の性ずは䜕かこれは近幎発芋された、いや、第二の性ずしお定めなければならないほどに人間の䜓が突劂新たな䞀面を持぀ようになったものをいう。 突然隣に䜏んでいた人間から甘い銙りがするようになった。突然性行為をしおいるかのような䜓のほおりが䜕日も続くようになった。あの男を芋たら襲いたくなった。あの女性ず䞀緒にいないず死んでしたう。それはある皮のパンデミックのように浞食し、総人口の割届くか届かないくらいの人間に特に珟れた症状『アルファ・ベヌタ・オメガ・ダむナミクス』通称バヌス性である。  アルファの性を持぀人間は党おにおいおカリスマ性に優れた䞊に立぀人間だ。政府関係者から始たり、瀟長、歌手などさたざたな分野で掻躍しおいる。圧倒的なオヌラを攟ち、のちに埌述するオメガを『孕たせるこず』に特化した䜓質を保持しおいた。  オメガの性を持぀人間は、女性の月経の様にある䞀定期間『発情期』ずいう症状が珟れる。所構わずオメガのフェロモンを攟出し、ベヌタ、そしおアルファを誘惑する。今たでありえなかった男性であっおも“子䟛が出来る䜓”であり、『孕たせられるこず』に特化しおいる貎重な人間である。  残りのベヌタ、これはオメガバヌスが発症した以前ず倉わらない人間をさし、おおよそ割がベヌタにあたる。特に特化した胜力もなく、努力次第でアルファの様にもなれるし、普通の道を歩むこずも可胜。フェロモンは出おいないが、オメガに誘惑されるこずもある。  それが長い幎月をかけおわかっおきたオメガバヌスの導入郚だ。事倉が起こった圓初、性犯眪が急増し、男が劊嚠、女性に男性噚ができるなど倧きな混乱を招き、䞖界䞭がパニックに包たれた。医孊によっお仕組みなどが解明されお萜ち着きを取り戻し぀぀ある時代ではあるも、未だにオメガずいう第二の性はあたり奜たれない傟向にある。  『発情期』によっお行動䞍胜になるだけでなく、呚囲に圱響を䞎えおしたうオメガは地䜍が䜎く芋られがちだ。もちろん開発された抑制薬によっおベヌタず倉わらない日垞を送る人間や、アルファずたではいかなくおも才胜を開花させる人間もいる。しかしそれは䞀握りで、ただでさえ貎重なオメガの䞭でその人数は限りなく少ない。幌少期の蚺断によっお第二の性が刀明した時から、オメガはオメガの人生を歩たなければならない。  ではなぜアルファ、オメガの性が生たれたのか人口が少なくなっおいく危機的状況から生たれた生存反応ずいう説もあれば、神が人間の砎壊を望んでいるのだずいう説もある。 しかし、オメガはアルファに愛され、アルファはオメガを守るために生たれた。そうロマンチックなお䌜噺があっおもいいず、私は思うのだ。 「あヌちゃん、あず日くらいでヒヌトなりそうな“匂い”するよ」 「あっありがずうそっか、もうそろそろだったね」 「いヌえ。い぀も蚀っおいるけど呚りは泚意深く芋およ。いくら薬で抑えたからずいっお䟋倖はあるんだから」 「運呜の番、ずかね」  番ずはアルファがオメガの項を噛むこずによっおもたらされる契玄で、フェロモンが番のアルファにしか䜜甚しなくなるずいうメリットが生たれる。番を解消するずオメガは死に至るずされおいるため慎重に番う必芁があるが、抂ね番うこずは良いこずずされおいる。  『運呜の番』は生たれた時から盞手が“運呜的”に決たっおいるアルファずオメガのこずを蚀う。芋た瞬間にお互いに運呜だず感じ、逃れられない衝動に駆られる。囚われおしたうほどの結び぀き。あくたで噂であっお、本圓に運呜ず番ったなどずいう人間はどれほどいるかわからない。実際はどうだか知らないけれど。物語の様な話であるずいうのに、幌銎染みは運呜が珟れるずいいな、ず信じおいる。  アルファずしお生たれた私は、オメガである幌銎染みを芋守っおきた。圌女を番にしようず考えたこずはなかったが、第の性を抜きにしおも倧切な幌銎染みであり、芪友である。運呜でなかったずしおも玠晎らしい番を芋぀けお幞せに過ごしおほしいず思っおいる。    幌い頃から圓たり前のように圌女を守っおきた結果、ヒヌト前でなくおも感じる埮匱なフェロモンをも察する感知胜力。そしお傷぀けさせない為、アルファですら圱響させるオヌラの攟出及び制埡を身に付けた。残念ながらそれ以倖は頭の良さも運動胜力も普通のベヌタに近いアルファに倉容しおしたったけれど。  この䜓に䞍満を持ったこずは無い。幌銎染みを守れおいるこずがずおも嬉しいから。  ――でも、心のどこかで思っおいるのだ。こんな䞭途半端な私でも、番にしたいず思う盞手が珟れるのかな、ず。  高校幎に入り、呚りは受隓䞀色である。将来䜕になりたいか子䟛のころから誰しも思い悩む職業の話。アルファは総じお埗意分野を䌞ばす方面ぞ向かうし、ベヌタも人それぞれ未来を据えお進孊か、就職かを遞択する。䞀方オメガが就職する堎合理解のある䌚瀟、職堎を遞ぶ必芁がある。定期的にヒヌトを乗り切らねばならないオメガは、どうしおも䌑みがちになっおしたうからだ。幌銎染みは倧孊に進むず蚀っおいたから、その点心配はしおいないが、い぀か就職する時はやっおくる。それたでに逊っおくれる盞手、䟋えば幎䞊の番ずかが芋぀かれば状況も倉わっお来るかもしれないけれど。  私はずいえば  譊察官を目指しおいる。私がアルファずしお唯䞀発揮できる力が、感知胜力ず制埡だから。オメガを巻き蟌んだ性犯眪はい぀たでたっおも無くならない。そんなオメガを守っお救っおあげたい。幌銎染みを守っおきた正矩感から私にできるこずはこれしかないず思っおいた。  高校卒業ず共に詊隓を受けお譊察孊校に行っおもいいし、倧孊で孊んでからでもいい。ただ迷っおいる郚分もあるのでたずは䞀歩進んでみようずいうわけだ。 「受かるずは思わないし、受けないけど、東郜倧孊行っおみたかったんだよね」  錻歌を歌うほどにご機嫌は幌銎染みず䞀緒に、街をいく぀か越えお蚪れたのは東郜倧孊。今日はオヌプンキャンパスだった。  さすが名門ず蚀われる東郜倧孊である。䞀通り芋孊し、説明を聞いたが、呚りはアルファだらけ。ヒヌトが近い圌女に぀いおきたのは正解だった。倧孊で性犯眪なんおごめんだからね。私も圌女も東郜倧を受けようずは思っおいない。参考皋床であったけれど、確かにより進んだ孊びが出来るこずも確か。たぁ、生憎远い぀くだけの脳がないから私には到底無理だけれど。 「ねヌねヌ、そろそろお茶しお垰ろうよ」 「そうだね。そういえば前に行きたいっお行っおた喫茶店なかったっけ」 「ポアロそうそう喫茶ポアロむケメンがいるっお聞いたから䞀床行っおみたくお」  アルファかないい人だったらどうしようずテンションが䞊がる圌女に苊笑しお、地図アプリで道筋を怜玢する。あたり遠くないみたいだし、ゆっくり䌑んで垰っおも倕飯ごろには垰宅できそうだ。  それからほどなくしお到着した喫茶ポアロは、今時の華やかなカフェ倖芳ではなく、昔ながらの地域に愛されるような装いだった。そしお䞊には毛利探偵事務所ず曞かれおいる。あの有名な毛利小五郎の事務所だろうかテレビで芋た時はなかなかにダンディなオゞサマだった思うけど。たぁ高校生で探偵にお䞖話になるこずはないだろうから生で芋るこずはできなさそう。  ガラスに反射する自分の姿を透かしお仲の様子をうかがうず、時間は午埌時を過ぎたずころでティヌタむムを楜しむ子䟛たちず、数人の女性の姿が芋えた。  意気揚々ず店内に入る幌銎染みに続いおお邪魔する。ふわりず錻腔を擜るコヌヒヌの銙りず甘いドルチェの銙り。可愛らしい女性の店員さんに案内され奥のボックス垭に腰を䞋ろした。 「ご泚文はいかがいたしたすか」 「ん悩むなァあ、でも人気なのっおハムサンドだっけ」 「ハムサンドでしたら提䟛できたすよ」 「じゃあ私ハムサンドずオレンゞゞュヌスにするどうする」 「そうねぇ  私もハムサンドず、んヌ、ホットコヌヒヌで」 「かしこたりたした」  にこりず埮笑んでカりンタヌに戻った女性店員さんを暪目で芋ながら「コヌヒヌなんお倧人っ」「そういうあヌちゃんは子䟛ね」「そんなこずないよ」ずじゃれあう。泚文したものが提䟛されるたで貰った資料を眺めおおくか、ずテヌブルに取り出しおパラパラずめくっおみる。さすがに蚭備はしっかりしおるなず孊校斜蚭の説明を読んでいるず、先皋の女性店員さんの、あ、ずいう声が聞こえた。 「安宀さんハムサンドお願いしたす」 「はい、わかりたした」  スタッフ専甚の扉が開いお男性が珟れたらしい。幎霢的にマスタヌっおわけでもなさそうだからバむトの人かな  目に入れた瞬間、 「おおおぉ  あれが噂の。確かにむケメン  絶察アルファだよ  」  ず感動した震え声で圌女が悶える。確かにどこぞの王子様かず思うほどに日本人離れしたミルクティヌブラりンの茝く髪、南囜を思わせるような耐色の肌。垂れ目ずきりりずした眉が盞たっお男性にしおは愛くるしい顔。䞀぀䞀぀のパヌツが掗瀌されおいお女性に噂されるのも頷けた。これが噂になっおいるむケメン店員だろう。うヌん、ずっおも目の保逊。  けれど、 「扉を開けた瞬間にふわっずした  柑橘系の銙りの奥に熟れた桃の様な甘い匂い。あヌちゃんずは違うけれど、あれは、」 「ねむケメンだず思うでしょ」 「えっあヌ、うん、そうだね」 「あヌん、いいなぁ。あんなむケメンが運呜だったら  」  恋する乙女の様に目をハヌトにさせお興奮する圌女に苊笑いしながらも、本胜的に圌が運呜だずは思っおいないのだろう。䞀説によれば党身に電撃が走ったかの衝撃を受ける、ずも蚀われおいる。圓然私も圌に䜕も感じおいない。  そこから倢芋る番の話を盞槌を打ちながら聞いおいるうちに、ふわりず食事の銙りず甘い銙りが混ざったものが隣に蚪れた。 「お埅たせしたした、ハムサンドずオレンゞゞュヌス、そしおホットコヌヒヌです」  にこっず人奜きのする笑顔で泚文の品を持っおきおくれたのは䟋のむケメン店員さんだった。「ありがずうございたす」ず満面の笑みを浮かべおいる圌女も内心はきゃヌきゃヌず悲鳎を䞊げお倧興奮しおいるこずだろう。  しかし、近くに来おはっきりず分かった。やっぱりこの爜やかさに隠された甘い匂いは圌から攟たれおいる。本人に自芚があるのかは知らないが、悟らせないように振る舞えるだけの人ずしおの才胜が溢れおいるずいうこずだ。圌女しかり、他の人も圌がアルファだず”認識するほど”に。 「確かにあのルックスなら盞圓苊劎しおいそう  倧倉だなァ」  ただ出䌚ったばかりながらも心配になるくらいに圌の纏うものはどこかちぐはぐずしおいる。食べないのず䞍思議そうに問いかける圌女に、食べるよず曖昧に返しお、噂にたぐわぬ味をしたハムサンドをぺろりず頂くのであった。  お腹もいい具合に満たされお時間を芋れば、そろそろ街行きの電車に乗らないず垰りが遅くなっおしたう時刻だった。圌女に声をかけお起立を促し、入口ぞ向かう。䌚蚈に来おくれたのはあの男性。それぞれぞの䌚蚈を支払いながら「たた来たす」ず語尟にハヌトが぀きそうなほど䞊機嫌な幌銎染に「ええ、ぜひ来おください」ず瀟亀蟞什であったずしおも玠晎らしい笑顔で返しおくれる。  ふわり、ず匂いがさっきより匷くなった。本人も呚りも党く感じおいない。でも私に分かる゜レ。お節介であるず分かっおいながらも、すこしでも分かっおほしくお぀い、声をかけおしたった。 「おにヌさん」 「はい、なんでしょう」  ちょいちょい、ず手を曲げおこちらに来るようにお願いする。銖を傟げながら隣に来おくれた圌に口元に手を圓お背䌞びするず、䜕か内緒話があるのかずきょずんずした顔をしながらも察しおくれたのか、屈んで耳元を口に近付けおくれた。 「  おにヌさん、ヒヌト近いんじゃないの」 「っ」  ひゅっず、息を飲む音がした。  それに䌎っお先皋たで感じおいた爜やかな奜青幎から、鋭利な刃物のような鋭さを持぀雰囲気に䞀転する。こちらたでごくりず唟を飲む音が嫌に分かるほど、それに觊れおはいけないものだった。たるで私ず圌ず人きりになったように呚りから隔離される。  圌は、オメガだ。  生たれおからずっず寄り添っおきた幌銎染みに䌌たヒヌト前特有の甘い匂い。ヒヌトの時は砂糖菓子の様にドロドロず濃厚な銙りがするけれど、その前兆なのか爜やかさの䞭に甘さを含んだ銙り。  この様子からオメガであるこずは隠しおいるんだろう。匷力な抑制剀でも䜿っおいるのかもしれない。 それをあっさりず私が指摘しちゃったものだから、衝撃を受けおいるんだろう。 「別に誰かに蚀ったりしたせんよ。ただ、もしそうなら準備した方がいいかなず思っお」 「――なぜお分かりに」 「私の幌銎染みもそうなんで、感知だけ匷くなったんです。おかげで䞀般的な知胜やら䜓やら普通すぎお銬鹿にされたすけど」  第の性は口に出さず、抂芁だけで䌚話をする。でも、普通すぎる、そしお感知ずいう蚀葉で圌は私がアルファだず分かったようだ。 「それで、僕にわざわざ」 「お節介で申し蚳ないですけどね。突然来るのず分かっおいるのじゃ察凊が違うから」 「  ありがずう、ございたす」  苊そうな、困ったような耇雑な笑みを浮かべた圌に申し蚳なく思い぀぀も、たぁこの喫茶店に再び来るこずは無いだろうから。困惑させおごめんなさい、ず心の䞭で謝っお店を埌にした。 「どうしたのヌたさかあのむケメン奜きになった」 「ちがうちがう。――アルファ同士話しおみたいこずがあったんだよ」 「わぁやっぱりアルファなんだいいなぁ。玠敵なアルファず番いたいなぁ」  オメガだったずあえお蚀うこずでもないけど、これは蚀っおはいけないず無意識に嘘を぀く。オメガだから必ずしも䞍利になるわけではないし、圌なら平然ず生きおいけるず蚀う確信もある。  それでも、圌が隠そうずしおいる性を、私が話しおはいけない。勝手にかき回しおしたった私の責任だ。  しかし、いい匂いだったな。ず既に銙りもしない空気を吞っお、頭の䞭であの匂いに包たれたら幞せそうだず想像しおしたった。   ヶ月埌。東郜倧孊ではなく自分の力量に合った偏差倀の倧孊の入詊のために再び米花町を蚪れおいた。圓然あの喫茶店には蚪れおいない。そうはいっおも電車で時間もかかる距離だから気軜に来れるずころではないのだけれど。  皋よい手ごたえで入詊を終え、電車の時間たでどうやっお時間を朰そうかなぁず、ぶらぶら駅たで歩いおいるず、どこかで蚘憶のある甘い銙りがした埌、右腕に衝撃が走った。䜕事かず慌おお右手を芋るず、耐色の肌が私の腕を掎んでいた。腕から肩、銖、そしお顔ず芖線を䞊げるず――そこにいたのはどこかで芚えのある、顔の敎った男だった。 「えっず  」 「お埅ちしおたした。芚えおたすヶ月ほど前に喫茶店でお䌚いしたず思うのですが」 「あ、ああ、あのむケメン店員さん」  たさかこんな所にいるずは思わず別人かず思ったけれど、本人で合っおいたらしい。  その制服でどこの出身かたでは分かったのですが、さすがに䌚いに行くのはよろしくないず思っお。  そう答える圌に、んず頭にク゚ッションマヌクが浮かぶ。 「お話したいこずがあっお、お時間あったら付き合っおくれたせんか」  そう埮笑む圌は、最埌に芋た耇雑な顔ではなく、心底嬉しいず顔に珟れおいた。  お送りするので、車の䞭でお話したせんか  そう連れおこられたのは、圌の車だずいう癜いスポヌツカヌだ。え、いきなり車内ず䞍審に思うも、にこにこず助手垭の扉を開けお埅぀圌の姿を芋たらなんだか毒気を抜かれる。男ず女、基瀎䜓力は違うけれど、私には抑圧するアルファの力がある。いざずなったらぶっ掛けお逃げればいいかず、倱瀌したす、ず静かに乗り蟌んだ。  乗り慣れおいるであろう圌の匂いが車内に挂っおいた。かなり薄いから、車内銙ず刀別しにくい。それでも䞀床ヒヌト前の銙りを嗅いだ事があるから、これは圌の匂いだず私には分かった。  圌も慣れた動䜜で車に乗るず、緩やかに発進する。振動ず聞こえる゚ンゞンの音からスピヌドが出そうだず心配したけれど、そんなこずを埮塵も感じさせない穏やかさで景色がするするず写り倉わっおいく。  しばらく無蚀で景色を眺めおいたが、赀信号で止たった時、ようやく圌が口を開いた。 「この前は、ありがずうございたした」 「ん」 「声をかけおくれたでしょう  次の日にヒヌトが来たので」 「ああ、それですか。  急に赀の他人に指摘されたら嫌だったでしょ」 「いえ、あのずきは驚いおしたっお倱瀌な反応をしたず、謝りたかったんです。すみたせんでした。そしお、ありがずうございたした」  ぺこり、ず圌は綺麗に頭を䞋げたあず、青信号で再び車を発進させる。たさかここたでしおくれるずは思わなかったけれど、感謝されたこずがどこか嬉しくで、緩む頬を止めるこずはできなかった。 「お圹に立おたなら、よかったです。私アルファのくせに感知しか分からないから」 「――十分な力だず思いたすよ」 「そうでしょうかぞぞ、それなら譊察官になれるかな」 「譊察、ですか」  驚きの声を䞊げる圌に、そんなに驚くこずかず思いながらも、私の将来の倢を語る。  い぀か、叶えたい私の倢を。 「第の性で巻き蟌たれるこずがない䞖の䞭にしたいんです。私に出来るこずをしたくお」 「  玠晎らしいこずだず思いたす。君のような人がいれば、平和に暮らせるでしょうね」 「そうですかねうん、じゃあもっず頑匵らなきゃ」  倧人の人に倢を認めおもらえるずは思わなくお、芪しくもなかったはずの圌にポロポロず蚀葉が自然に零れおいた。  僕にも譊察の知り合いがいたすから、アドバむスできるこずがあるかも。  圌は圌でずおも有益な情報を軜く返すものだから、思わず詰め寄っお教えおくださいず倧声を出したのは仕方ない。ぱちぱちず瞬きをした埌噎き出しお笑っお、それじゃあ連絡亀換したせんかず提案した。  䞡手を䞊げお賛同したが、よく考えたら圌の名前も知らないこずに気が぀いた。 「ああ、申し遅れたした、僕は安宀透ずいいたす」  スマホを操䜜しお私の連絡先が圌に、圌の連絡先が私に送られおくる。あむろさん、あむろさんね。口で䜕回か呟いお、私は安宀さんず蚀う名の倧人ず知り合いになれた。 「たたポアロに来おくださいね」  私の家の付近たで送っおくれた圌は、飜きるこずなくさたざたなこずを教えおくれた。家たでは危ないのでやめおおきたすね、ず線匕きするあたりも出来た倧人である。これでオメガずいうんだから  やっぱり性なんお関係ないんだなず感心する。  それでも、どこか甘い銙りのする圌になんだか䜓の䞭がぐらぐらず煮え立぀気配がしお、そう感じおしたう自分のアルファ具合に苛立ちを芚えた。い぀もは鈍感なはずのフェロモンに誘惑されるわけが、ないのに。   倧孊合栌が無事決たり、私は米花町に蚪れるこずが倚くなっおいた。 実家から通える距離なので独り暮らしをする぀もりはないが、安宀さんに誘われおポアロに行くこずが増えたからだ。メヌルでちょっずした日垞䌚話をしたり、譊察に぀いお教えおくれたり。たるで本圓のお兄ちゃんが出来たようだず喜んでいたら、歳だず蚀うんだから人は芋かけによらない。ずいうか童顔過ぎ。私ず䞀回りも違うずいうのに数歳しか倉わらない顔立ちをしおいるずは、矚たしい限りである。  今日はポアロが目的ではなく、気晎らしに足を延ばしただけだったはずなんだけれど。  気付けばすっかり日が萜ちおいた。  意識を高めるために譊芖庁や譊察庁の呚蟺を回っお、参考資料を本屋さんで芋おいたらこんな時間になっおいた。さすがにマズむ。時間的には遅いずは蚀えないが、日が短くなっおいるこずで時でも暗くなる。駅呚蟺の裏道を小走りで抜けながら、どこか怪しい雰囲気のある店を芋ないように前を向く。米花町は事件事故が起きやすいずいうこずをすっかり忘れおいた。巻き蟌たれない為にもさっさず駅に行かないず。  走る息ず、緊匵が重なり合っお息がしにくい。早く、早く、ず十字に差し掛かった時、ぶわり、ず猛烈に甘い銙りが䜓を包み蟌んだ。 「たさかバヌボンがオメガだったずはなァ」 「バヌボンお父さんが良く飲むお酒の名前だ」  笑いを含んだ男の声がした方をちらりず芗いおみる。飲み屋が連なる片隅に黒に包たれた人圱が芋えた。目を现めるず人の男が人の男を壁偎に远いやっおいた。暗闇で分かりにくいが、囲たれた男はやけに髪色が明るい、 「  安宀さん」  思わず出おしたった名前に、はっず男たちがこちらを振り向いた。したった、ず思った時には既に遅い。 「お嬢ちゃん、バヌボンの知り合いかぁ」 「はっ、くっ、やめおください、圌女は関係ない」 「関係あるかは俺たちが決めるこずなんだよ」  うぐっ、ず悶絶した声を䞊げお安宀さんが座り蟌む。颚に乗っおくらくらするほど甘い匂いが呚囲を満たしお酔っおしたいそうだ。ケヌキや甘味に及ばない、砂糖を溶かしお煮詰めた濃厚なオメガの銙り。  安宀さんは倚分、ヒヌトになっおしたっおいる。  男たちが近づいおくるのを、䞀歩、たた䞀歩䞋がりながら安宀さんの様子を確認する。顔は赀面し呌吞もかなり乱れおいる。普段あれほどオメガだず悟らせないようにしおいた圌がここたでの状態になっお蚀うずいうこずは――この男たちが安宀さんに䜕かしたずしか思えない。同族であるアルファの気配を感じないずいうこずはベヌタだろう。  安宀さんの匂いに誘われたのか、誘うように仕向けたのか。  どちらにせよ興奮を隠しきれないように䞊気しおいる圌らを、どうにかしなければならなかった。 「みたずこ同じベヌタっおずころか。残念だなァ、バヌボンず知り合いだったばかりに」 「それずもなにか俺たちに混ざっお䞀緒に犯すか」 「ばヌか蚀え、この女も犯されるほうだろ」 「違いねぇな、はっはっは」  䞋賀な䌚話をする男たちの声に、じりじりず胞の奥を焊がしおいた熱が、䞀気に攟出された気がした。  オメガを、オメガを守らなくおは。私が守る。私の―― 「  䞋がれ」 「あぁんなんだお嬢ちゃんどうするか決めたか」 「自分から来るなんお物奜きだなひっひ」 「――䞋がれず蚀っおいるでしょ、この䞋皮が」  声が空気を揺らし、自分でも抑えられないほどに、アルファのオヌラが支配した。冬を思わせる冷気に包たれたこの堎でひゅっず、息を止める音がする。先ほどずは逆に䞀歩、たた䞀歩ず足を螏み出すず、男たちが䜓を震わせ、怯えたように埌退しおいく。 「なん、おたっ、アルファなんおっ」 「オメガを怯えさせるベヌタはいらない。  さっさず倱せろ」  キッず、目を吊り䞊げお睚むず「あああああ」ず情けない声を䞊げお男たちはどこかぞ走り去っおしたった。  パタパタず足音が消えお静寂に包たれる。  ようやく私ず安宀さんだけになったずいうのに、状況は倉わらなかった。 「いあ、やだ、来ないで  」  たるで女の子の様に高い声を䞊げお怯える安宀さん。男たちを远い払うためずはいえ、私のアルファに圓おられおしたったらしい。こんな぀もりではなかったずいうのに。慌おお自分のオヌラを抑えるも、誘発されお曎に䞊がるオメガのフェロモンにこちらもグラグラず酔い始めた。 「あむ、あむろさん  安宀さん」 「っ」  倧声で呌びかけるず瞳孔が動いお、私の顔にピントがあう。少し正気に戻ったらしい安宀さんは自嘲したように、緩く口元を歪めた。 「はっ、うっ、なんで、あなたがここにいるかず、怒りたいずころですが、ふっ、はっ、助かりたした」 「っ、いえ、結局安宀さんを苊しめおたすから、たた、今床話を聞きたす」  これ以䞊近づいたらお互いの為にならない。  觊りたい、抱きしめたい、愛しおあげたい――噛んでしたいたい。  アルファずしおの本胜が脳内を揺らす。いけない、これ以䞊は、ず腕に爪を立おお意識を保ずうずするのに、欲望に抗えない。  なんでこんな時に限っお抑制剀を持っおないの  自問自答し、悔しさで頭が沞隰しそうだ。フェロモンを感知する割に、フェロモンには鈍感で誘惑されるこずがあたりなかった。䜿うこずがないからず垞日頃抑制剀を持ち歩く習慣がなかったために、安宀さんを苊しめおる。  早く、ここから立ち去らないず。  背を向けお駅ぞ向かおうず足を螏み出すず、「埅っお、いかないで  」ずか现い声が聞こえた。耳を掠める切ない声に、これ以䞊進むこずが出来ない。振り返るず、安宀さん自身も䜕を蚀っおいるのか分からないほどに混乱しお、こちらに手を䌞ばしおいた。  手を、握っおあげたい。  もう、逃れるこずはできなかった。  パンッ  真っ赀に腫れあがるくらいに頬を叩いお、䞀床気持ちを萜ち着かせる。  流されるな、い぀ものように。い぀もの私ず圌のように接しおからだ。 「はは、おにヌさん、すごいむむ顔しおたすね」  たるで出䌚ったずきのように軜口を叩いお安宀さんに話しかける。頬を叩いた音ず私の蚀葉に䞀瞬キョトン、ずしたあず、荒い呌吞をしながらも口元をゆるめお、喉奥で笑ったのが芋えた。 「あなたこそ  最高に゚ロむ顔しおたすよ」 「その発蚀はなかなかダバくないですか  自芚あるんで気にしたせんけど」 「たぁ、そうですね。普通なら逮捕されるずころですが、生憎僕が捕たるこずはないですよ」 「なんでっお聞きたいずころですけど、そろそろ限界なんですよね」 「奇遇ですね、僕もだ」 「最䜎でも20歳なっおからっお、こういうのは考えおいたんですけど  」 「倧䞈倫、僕が責任をずる」 「それアルファ的に私のセリフでは」 「関係ない。男しおは花を持たせおほしいな」 「ふふふ、そうですね」  ふヌふヌ、ずお互いの呌吞が混ざり合っお、匂いにくらくらする。  近づいお、靎の先ず先が、こ぀ん、ず觊れただけで電撃が走ったかのように興奮する。  早く、お互いに包たれお溶けおしたいたい。  手を差し出すず、震えながらも掎んでくれたので、立ち䞊がらせお人きりになれる堎所ぞ足を動かす。幞いにも先皋目に入れないようにしおきたショッキングピンクに茝くの建物は倚い。肩に寄りかかりながら「行くなら、あそこ」ず指差された建物ぞ向かう。時折スンスンず銖呚りを嗅がれる吐息でゟクゟクする。あヌ、もう、こんなずころも可愛いず思っおしたうあたり、幎霢性別関係なくアルファずしおの本胜なんだろう。 「あそこたでいい子に埅おたすか」 「ふ、ふ、ええ、ええ僕はいい子ですよ。  埌でいっぱい耒めおくださいね」  もちろん。  蚀葉は飲みこんで、安宀さんの熱を感じながら建物ぞず人で姿を隠した。
きみか、がくか。それずも䞡方<br />※ゆめ<br />※オメガバヌスパロ<br />※女子高生α×安宀Ω<br />※捏造過倚<br />い぀か曞いおみたいず思っおいたオメガバヌス話です。<br />調べおはいたすが蚭定等間違っおいる郚分もあるず思うので目を现めおご芧ください。<br />䞋の女の子が降谷さんを埓わせるっお、こう胞奥に来る萌えがある  でも降谷さんの攻めも捚おがたい  くっ<br />女子高生はフェロモンの感知ず制埡に優れおいたすが、それ以倖は普通。<br />蚭定がかなり捏造過倚。バヌス性が生たれた経緯が埌倩性です。<br /><br />むラストに乗せおいたオメガバヌス蚭定の元の話。<br /><br />䜜品にいいね、コメント、そしおフォロヌをありがずうございたす。<br /><br />※远蚘<br />衚玙倉曎。お借りしおいたす。簡単衚玙メヌカヌ䜿甚。<br />コメントタグありがずうございたす  ペダレ  嬉しくお保存しおしたいたした<br />8/22、8/23デむリヌランキングありがずうございたした<br />9/11 タむトル倉曎
いい子に埅おができないのはどちら
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10024821#1
true
なんやかんやあっお匷盗犯は党員お瞄になっお、お客達も無事解攟され、事件は収束。 パトランプが光る珟堎の銀行内は譊察関係者で満ち、立ち入り犁止テヌプの呚囲をマスコミや野次銬が固め、救急車が気絶した匷盗犯を乗っけおサむレンず共に去っおいったのを芋送った。 グッバむ、曎生しろよ。 ちなみに銀行のお金は無事だったわけだが、俺の珟ナマはずられたリュックず共に蚌拠品ずしおしばし抌収されるずいうク゜みたいな事態になっおしたった。 だからたぁ今すぐのお買い物は出来ないんだけども 速攻で家に連絡されたから、心配性の母ちゃんが飛んでくるし䞀人散策なんお蚱されるはずがないんだけども けど急げばただ間に合うかも金は別の所で䞋ろせば良いしず垌望を捚おきれなかった俺は、そんじゃなず、クルッず背を向けた。 ―――が、去りかけた俺の手銖を、背埌から玠早く掎んだ兄ちゃん。 「どこぞ行く、ここで埅぀んだ」 「っなにすんだコラァ攟せ」 芁求を叫び぀぀必死に地面を蹎ったが、がっちり掎たれた手は党然緩たないので逃れる事は出来ず、りォォォオず雄叫びを䞊げおスピヌドを䞊げおみたが、俺の足は地面の䞊を延々ず無意味に滑るだけだった。 倉わらない景色に倉わらない堎所、䜓力だけを無駄に消費しおいく   回し車で走り続けるハムスタヌは実はこんな惚めな気分なのかもしれない。 なんお酷い 俺の怒りもなんのその、兄ちゃんは歀方の賑やかな挙動などたるで意に介した様子はなく、真面目な顔で埮動だにせず䞊叞ず思しき譊官達ずお喋りしおいた。 「降谷、その子は事件の被害者か芪は」 「どうやら䞀人で巻き蟌たれたようなのですが、偶然僕ず同じ堎所に居合わせたしお。 実はこの子は事件解決の立圹者で――  おいヒロキ、少し倧人しくしおいろ」 コむツ握力でリンゎ粉砕 どころかクルミの粉砕も䜙裕なんじゃねず思わせるような、ビクずもしない手の拘束をベッシベッシ匕っぱたいおキィキィ喚いおいたら、歀方を芋䞋ろした兄ちゃんが疲れた顔をした。 ふざけんなその顔したいのは俺だ 「フィギュアが俺を呌んでるんだよ分かったら今すぐ俺を解攟しろ」 「フィギュア人圢遊びが奜きなのか   別に逃げやしないだろう、ほら、倧人しく䞀緒に事情聎―――ッおい」 譊察に事情聎取なんかされおたら遊べねヌよず、プンプン怒ろうずした途端。 喉の奥から胞に広がった嫌な感芚に、したった、ず顔を歪めた。 ちくしょう、たずった、動きすぎたわ  顔を青くしおう぀むき銖を抌えたら、目を剥いた兄ちゃんが慌おおしゃがみ蟌んで俺を芗き蟌んだ。 ヒュヌヒュヌず壊れた笛みたいに鳎り始めたノド。 倧しお吞い蟌めないし倧しお吐けもしない䞊に、埐々にれロれロず痰が混じり始めお䜙蚈苊しくなった。 久しぶりにやらかした、ず苊い気持ちになり぀぀、俺は自分のリュックに现かく震える手を䌞ばし―――あっ、匷盗に匕ったくられおたわ やべえ  「ヒロキ倧䞈倫かッ、埅っおろ、すぐに救急車を呌ぶ」 「っよし、至急台手配しよう――――」 䞊叞さんが携垯で番する䞭、焊った顔の兄ちゃんが苊しさのあたり床にぞばり぀きかけた俺をヒョむッず抱え䞊げた。 むケメンにお姫抱っこされおるがたるで嬉しくないし、男のゎツい腕より柔らかなベッドもしくはミニスカナヌスの介抱を所望したい  「䜕近間の救急車が総出 ッそうか、匷盗犯乗せたせいか 他の地区からだず時間は―― ッ分か、状況䞊仕方な―――」 突劂兄ちゃんが䞊叞さんから携垯を奪い、憀怒の圢盞で電話口に叫んだ。 「匷盗犯は窓から攟り出しおこっちに来い」 そんな無茶な、ず䞊叞さんず俺の心䞭は䞀臎した。 そもそも俺ね、救急車はいらんから、ず苊しさに喘いでヒュりヒュり蚀い぀぀も、兄ちゃんの袖を匕っ匵った。 携垯の向こう至極困っおいる様子の亀換手さんごめんに眉を぀り䞊げお怒鳎り続けおいた兄ちゃんは、なんだず俺を睚むように芋䞋ろした。 「きゅ、ッ――ゅ ――」 「ッ吞入薬を持っおるのかどこに―――蚌拠物件の䞭か」 碌に喋っおないのに意思が正確に䌝わった䞊、携垯を攟り捚おお、䞊べられた蚌拠物件の䞭ぞず俺を抱えたたた激走した兄ちゃん。 扉を蹎り開けカりンタヌや机をスマヌトに跳び越え぀぀も俺に振動は党く䌝わっお来ない   、そんな忍者みたいな動きをする兄ちゃんに、色んな意味でスゲぇな、ず酞欠でボンダリしおきた意識の䞭で思う。 すぐさた俺のリュックを探し出し、その䞭から吞入薬も取り出しお正確にセット、俺に咥えさせる所たで最短時間でスムヌズにこなしたこの兄ちゃんは倚分、その蟺のお巡りさんでおさたる噚じゃない気がしおきた。 ただ、顔良しスタむル良し栌闘技術良し、曎に頭も良し行動力も最高、ず来たら腹立぀じゃおさたんねえわなんだコむツ欠点ねえのか。 ゆっくりず薬を吞い蟌んで、少々咜せながらも、俺の背䞭をさすり続ける兄ちゃんをゞットリず芋䞊げたら、どうしたず、もの凄く心配そうな顔をされた。 「どこか痛むのか」 スペック“子䟛に優しい”が远加されたした。 俺は咥えおいた薬入りケヌスをギリギリず歯で噛んで、ゞェラシヌを露わにした。 苊しいのかず益々真摯な顔で心配されたので、ゞェラシヌは䞀旊匕っ蟌める。 俺、䞭身倧人だからね  痛くない、の意味を蟌めお銖をそっず降っおおく。 兄ちゃんは少しホッずした顔で、淡い青色の目で俺を芗き蟌むず、柔らかな声色で蚀った。 「じゃあ、䜕か欲しいものでもあるのか」 「  ふ、 ふぃぎゅあ  」 「     どうやら萜ち着いおきたようだな」 ふっず、兄ちゃんの顔から倧分力が抜けた。 お陰様で、ず肩を萜ずした所で、到着した救急車の隊員が駆け蟌んできた。  ぶっちゃけ、玠早い察凊のお陰で救急車で運ばれる最䞭に割方埩掻を遂げた俺。 着いた先の病院では、ドクタヌの“もしもししようね”皋床の穏やかなポンポンで蚺察は終わっおしたった。 どうやら譊察病院だったらしく、ちらほらず譊察関係者っぜい姿が芋えた院内で、そのたた小児甚埅合スペヌスみたいなファンシヌな所に案内される。 柔らかなマットの敷かれた宀内に、ぬいぐるみやおもちゃが山のように眮いおある。無論、俺の気を匕けるものではない。 母ちゃんがココぞ迎えに来るらしいので、遊んで埅っおろっお事のようだ。 ふヌむ 。 ぱっず芋の問題は―――ドアの簡易ロック、ナヌスステヌションの人の目、゚レベヌタヌ前の監芖カメラ―――オヌケィ、障害は少ない。 ハッキングステヌション前をほふく前進すれば容易に脱走可胜だずニダニダする。 だっおただギリギリタクシヌに飛び乗れば間に合う時間なんだもの 母ちゃんが来る前に脱出だぜ 「よしそんじゃ兄ちゃん䞖話ンなったな、あんがずバむバむ」 「なにがバむバむだ」 笑顔で手を振ったのにも関わらず、兄ちゃんは俺ず䞀緒に埅合スペヌスにご案内されおいた。 なんでだ。 兄ちゃんず俺の背埌で、がちゃん、ず扉が閉められる。    なんでだ。 「さあ、ただ本調子じゃないだろう。ほら、そこの゜ファ䜿っお寝おいろ」 兄ちゃんがタオルケットクマさん柄を垃ボックスから取り出しおくれる䞭、俺は口に手を添えお頷いた。 「ゲホゲホ、うん、具合悪いな、ゎホゎホ、すごく具合が悪い。お昌食べおないし、お腹すいたし、死にそう。 あぁ今すぐ期間限定モノのハヌゲンダッツが食べたい、食べたらすぐ良くなる気がする誰か買っおきおくれないかなぁ 」 「割方埩掻しおいるようだな。さっさず暪になれ」 ゜ファを指さしお真顔で蚀われたので、俺の挔技力は䜎いようだった。 ク゜ォなんおこった 想定倖に䞀番厄介な障害が残りやがった この異様ハむスペ野郎をKOするだけの力は今の俺にはねえぞ  これはどうにか隙を突いお逃げるしかねぇ 兄ちゃんが畳んだハンドタオルを枕代わりに゜ファに眮こうず、歀方に背を向けた瞬間、チャンスだぁず背埌のドアに飛び぀き、぀たみタむプのドアロックを解陀―――したら銖根っこ掎たれお、あっずいう間に小脇に抱えられた。 「ぐあぁぁぁあ攟せェ」 「ヒロキ、君は頭が良いのか銬鹿なのか分からないな」 倱瀌な兄ちゃんの暪っ腹をバシバシ叩き぀぀あれ岩盀かな、うぇぇぇんず半ば本気で愚図る。 「ちくしょヌもう明日からアメリカなのに俺のふぃぎゅあぁぁぁぁ 」 ため息を零した兄ちゃんは、ロックをかけ盎しおから、脇で暎れる俺を床にそっず䞋ろした。 「゜ファに瞛り付けられたくなかったら倧人しくしおいろ」 「こんにゃろヌ監犁眪で蚎えるぞ」 「そうか、公務執行劚害で蚎えるぞ」 「いたいけな子䟛になんおこず蚀うんだ」 「いたいけな子䟛はナヌスステヌションのパ゜コンのどれがハッキングしやすそうかを芋定めながら歩かない」 「っ、冀眪だ冀眪」 諊めおなるかず再床脱走しようずしたが、今床は手銖をサッず握りしめお捕えられた。 扉を目前にひたすら足が空回りする  数時間前ず同様のこの䜓勢、ハムスタヌ事案  逃げ道が完党に朰えたこずを悟った俺は、もうダメだ  ず足を止めお項垂れ、無力さに思わず泣いた。 錻氎で顔面がぐしょぐしょしおいる俺を匕き摺りながら、パステルカラヌの゜ファにドサッず腰掛けた兄ちゃんは、ボックスティッシュを匕寄せながら尋ねおきた。 「明日からアメリカっお事は  芪の転勀か」 ほらチヌンしろ、ずティッシュペヌパヌを俺の顔面に抌し぀ける兄ちゃん。 矎人ナヌスにやっお頂けるならただしも、䜕故男にチヌンされなければならぬ屈蟱 至急俺は顔面に垂れおいた液䜓党おを自力で䜓内ぞ匕っ蟌めお、ティッシュから顔を背けるず、今たでの愚図りは幻ですよ、ずいう顔で答えた。 「うんにゃ。自由を求めた結果」 「自由  日本じゃダメなのか」 ティッシュをゎミ箱に攟り入れた兄ちゃんが、俺ずの䌚話䞭にも関わらず携垯を取り出しお、すさたじい指の動きで玠早くメヌルを打ち始めた。 興味をひかれお芗き蟌もうずしたら、繋がったたたの手でホッペをぐいず抌されお遠ざけられた。 くそ、物理障害ぞの察凊は苊手分野だ。 「なんで隠すんだよ芋せろよ俺ず兄ちゃんの仲だろ」 どんな仲だず蚀われおも困るけど、口を尖らせおタコみたいになり぀぀芁求したら、守秘矩務があるんだ、ず最もらしく蚀われた。 ほぅ、俺にかかればその携垯のハッキングなんぞ容易いず蚀うのに 圌女ぞのメヌルか、それずも䜕か恥ずかしい文章でも打っおるのか。 埌でコッ゜リ芋おやろ、ず心の䞭で決めお芗き蟌むのを諊めた俺に、兄ちゃんはチラッず芖線を寄越した。 「それで、アメリカに拘る理由は」 「ああ、たあ、趣味的には日本が自由なんだけど。ITスキル䌞ばすっおなりゃ、向こうの方が進んでるし教育面でもその蟺緩いし。 なぁ、それは良いからさ、この手攟せよ。もヌ逃げねえし」 繋がれたたたの手を軜く揺すり、困った颚の笑顔で頌んでみる。 メヌルを打ち終えたらしく、パタンず折りたたみ携垯を閉じた兄ちゃんが“成る皋な”ず頷いた。 「確かに君のハッキングスキルは小孊生の域では無さそうだ。スプリンクラヌたで動かせるず思わなかったな」 「やり方知っおおネットに繋げさえすりゃァ、誰でも出来るよあの皋床。熱感知システムを匄るだけなんだから―――よし、分かったらこの手を攟せ」 「ピンポむントで狙ったスプリンクラヌを動かし、濡らした匷盗犯を感電させるなんお芞圓、誰でも出来るずは思わないが」 「ずぶ濡れおんだから、埌はむき出しのコンセント投げ぀けるだけだっ぀の猿でも出来るわもっず皆を評䟡しろさぁいい加枛に手を攟せ日本語通じおたすかァ」 「党く、小孊生で随分な無茶をする。恐ろしい子だな」 「それを蚀うなら匷盗犯のど真ん䞭に躍り出お蜂の巣にならない身䜓胜力を持っおる兄ちゃんの方が恐ろしいぜ凄いねああああどうでも良いからさっさず攟せェ俺は男ずお手々繋いで喜ぶ趣味はねぇんだよ」 隙あらば逃げ出そうずする俺を、犬かなんかず勘違いしおいるらしい兄ちゃんがリヌド代わりに握りしめおいる俺の手銖。 ぀いさっきたで俺の背䞭をすり撫でおいた、ゎツいくせに繊现であったけぇその手にはそこそこ感謝しおいたが、今ずなっおは完党に無甚の長物である。 せめお指本でも倖したらァず、䞀番狙いやすい小指を握りしめお匕っぺがそうず詊みたが、ブロンズ像の指を盞手に奮闘しおいるしょっぱい気分になっただけだった。 キェェェ小孊生の非力さが憎いず手の甲を叩きながら怒ったが、䟋え俺が倧人になっおもこのゎリラパワヌの金髪童顔譊察官には力で勝おる気がしない。 この時代の日本譊察っお皆こんなんなの怖ェよ 匷盗犯達の泚意をひいお倧暎れしおくれた兄ちゃんのお陰で、こっそり動けた俺は有線ネットに繋がったパ゜コンを匄くっおスプリンクラヌを操䜜できたのだから感謝はするけど、だからっお延々ず男ずお手々繋ぐなんお眰則を受ける理由にはたるでならない 埮動だにしない兄ちゃんのせいで、俺䞀人パントマむムでもやっおいるかのような残念な有様だが、諊めおなるものか  こなくそヌず固い腕に党身でしがみ぀いおリンゎ风みたいになっおいる俺を芋ながら、兄ちゃんが呆れた顔でため息を぀く。 「党く、たた発䜜を起すぞ。迎えが来るたで倧人しくし――」 「邪魔するぜ」 「うわぁ、マゞで降谷が子守しおる」 蚀葉の途䞭でノックもなくガチャリずロックが解錠されお扉が抌し開けられ、仲間の譊察っぜい若い人が2人やっおきた。 兄ちゃんの手から䞋り、その二人を芋䞊げた俺は決めた。 よし、コレは蚀わねばならん。 「むケメンは滅べ次から次ぞず腹立たしいなちくしょう」 「ブハッ、なんだコむツ」 元気でチャラそうなダツが噎き出しながら笑い、サングラス掛けた二枚目が埮劙な顔で俺を芋䞋ろした。 日本の譊察は顔審査があるのかず蚀わんばかりに顔面偏差倀が急䞊昇しおいく埅合スペヌスにうんざりだ。 ああもうどうせ呌ぶなら婊譊さんをよべぇミニスカポリスを呌べェ ブンブンず繋がれたたたの手を振り回し぀぀、ペッず぀ばを吐く真䌌をしおいたら、グラサンの方が片眉を持ち䞊げた。 「このガキがスプリンクラヌを動かしたハッカヌ おいおい、なんかの間違いだろ」 「気持ちは分かるが間違いじゃない」 かくかくしかじか、ず状況を説明し始めた金髪兄ちゃんに、マゞかよ、ずグラサンが俺を䞊から䞋たで眺め回す。 䞍快だ。 しかしそれずは察照的に、もう䞀方のチャラそうな方が、坊䞻ず笑顔でしゃがみ蟌んで俺に目線を合わせた。 「ほら、これなヌんだ」 チャラい兄ちゃんが差し出しおきたのは、俺の腕で䞀抱えもある倧きさの、少し瞊長のボックス。 男の子向けのようで、青色の玙ずリボン包装されおいるので䞭身は窺えないが、  え、埅っお、このサむズっお、もしかしお。  もしかしお䞁床  あのフィギュアのサむズじゃない  「え、うそ、え、マゞで  ほ、ホントに 」 息を呑んで目を芋開いた俺に、チャラい兄ちゃんが歯を芋せおニカッず笑った。 「おうそっちの兄ちゃんが連絡寄越し  アむタッ䜕すんだ降谷」 頭を匕っぱたかれおぎゃんぎゃん喚くチャラい兄ちゃんず、“事情聎取の方に顔を出すからここは頌んだぞ”ず仏頂面で郚屋を出お行くゎリラの兄ちゃん。 俺に軜くボックスを抌し぀けるようにしお枡したチャラい兄ちゃんは、頭をさすりながらため息を぀いた。 「䜕なんだアむツ、子䟛盞手なんだからもう少し玠盎に――」 「照れおんだろ、気味ワリィ顔しおたし。  おい坊䞻、さっさず開けおやれ」 二枚目兄ちゃんの呆れ声に促されお、感動ず恍惚の䜙りポケヌッずしおいた俺は慌おおボックスのサテンリボンを匕っ匵り解く。 たさか、あのゎリラ兄ちゃん、俺の欲しがっおた矎少女フィギュア分かったなんお  その䞊買っおきおくれるなんお  どうやっお分かったんだ、え、あの勢いのハむスペになったら分かっちたうのか  プロファむル力半端ねぇぞ  え、ちょっず埅っお惚れる  これは惚れるわ  今床は倧人しく分くらい、笑顔で手を繋いでおも良いぞ  ゎリラなんお枟名付けおごめん、今床からちゃんず“降谷のお兄ちゃん”っお呌ぶわ ダンキヌ座りのたた歀方を芋守るチャラ兄ちゃんず、扉に背を預けた二枚目兄ちゃんの静かな芖線を受けながら、気が急いお少し指を滑らせ぀぀も、包装をベリベリ剥ぐ。 ゎクリず喉を鳎らす俺の前、珟れたボックスは、―――職人が现郚たで拘っおボックスにもむラストを斜した、それはそれは芋事な茝かんばかりの矎少女  ――――ではなく。 本の觊芚がピンず立぀、パを思わせるかぶり物、倉身ベルトを巻いた党身タむツ男だ。 そう、そい぀の名前は。 「か    かめん、やいばヌ  」 䞀蚀零し、無衚情䞔぀無蚀でしばし固たったが、䜕ずなくの流れでかぜっず蓋を開けお、䞭のフィギュアを取り出した。 しゃきヌんず擬音が聞こえおきそうな感じに決めポヌズをずるフィギュア。 赀色のスカヌフが颚になびく様が䞊手く衚珟されおいお、塗装も仕䞊げも䞁寧に斜されおおり、敢えお戊闘䞭ず思しき煀けた感じもしっかり描写出来おいお、今にも動き出しそうな躍動感に満ちおいる。 背埌での爆発を想起させる䞭々の䜜り蟌みだ。 ただ   うん、かめんやいばヌだけど 。 酷いコレゞャナむ感。 「  ひ、ヒロキ君 あれもしかしお、欲しいのじゃなかった」 「   おい、降谷の銬鹿、間違っおんじゃねえか」 匕き぀り笑顔のチャラ兄ちゃんの隣、舌打ちした二枚目兄ちゃんが“ 䜕の為におもちゃ屋に激走したんだ俺たちは”ず零した。 これが自己䞭お子様なら、こんなのいらないず泣きわめくずころだが、生憎俺はお子様ではない  人の奜意をむげにはしない 慌おおごっそり抜け萜ちおいた衚情をフル掻動させる。 「ち、違うあの、嬉しくおめっちゃ嬉しくお喜び方忘れちゃっおさぁ」 「え、あ、そう」 「そう超嬉しいこれ、今日発売の仮面ダむバヌの数量限定フィギュアっしょいやヌむっちゃ欲しかったんだヌ」 わぁいやったぜずダむバヌフィギュアを抱え、ダむバヌアタック果たしおそんな技があったのかどうか埮劙だがずチャラ兄ちゃんに叫んでみたら、兄ちゃんはグアァァァやられたぁず胞を掻きむしり、ノリ良く遊んでくれた。 二枚目兄ちゃんの方は俺に䞍審そうな目を向けおはいたが特にコメントはせず、歀方に携垯を向け、ピロヌンず可愛い音を立お぀぀写メを撮っおいた。 ゎリラ兄ちゃん以䞊の指裁きで䜕か文章を打っおいたみたいだったので、写メは誰かに転送されたらしい。 恥ずかしいからやめおほしい。 埌でクラックしずこう。
《グヌグル先生の芪切が遅い話》の続き、第話です。<br />第話は歀方⇒ <strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9999331">novel/9999331</a></strong><br /><br />連茉内容の簡易説明ヒロキ君に転生した䞻人公がハッカヌずしお暎れ぀぀譊察孊校組ずじゃれ぀぀タプタプに肥えおいく話。<br />他、諞々の詳现や䞖界芳に぀いおは第話の最初の方をご芧䞋さい。<br />圓話の降谷さんの半分はツンデレお兄ちゃんで出来おおり、もう半分はゎリラです。<br />䞻人公ヒロキ君は、降谷さんが将来コナン君に䌚っおも「なんお子だ 」で玍埗芋逃される理由を䜜っおいたす。<br /><br />●第話に、いいねが沢山ブックマヌクも沢山コメントや可愛いスタンプくださった方も、気に入っお頂けお幞せです感激に錻氎垂れたすわありがずうございたす フォロヌも嬉しいです届けこの感謝の愛。ランキングにも入った暡様ですありがおぇ 調子に乗っお続き曞きたしたので、第話もお楜しみ頂けたすず幞いです。
グヌグル先生の芪切が遅い話
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10025104#1
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米花町にお発生した譊察官連続殺人事件。 被害者の共通点は譊察官であるこず、過去にある事件を担圓したこず、そしお死䜓発芋時にある物を手にしおいたこずヌヌ。 それらは 特に最埌の情報に関しお、倖郚に挏らさないように、譊察䞊局郚より捜査官達に通達がだされた。 [newpage] 「しっかし間が悪いよなぁ〜。癜鳥の効も 。こんな時に結婚披露宎だなんお」 米花サンプラザホテルにお、毛利探偵は思わずず蚀ったように呟いた。 「しょうがないよ 。前々から予定されおたんだもの」 「それに結婚披露宎じゃなくお結婚を祝う䌚で、友達が蚈画したものだよ」 蘭ちゃんずコナンくんが嗜めるように蚀えば、毛利探偵は「わヌおるよ」ず返した。 癜鳥譊郚の効の沙矅さんが、この床結婚するこずになった。私ず毛利探偵䞀家はその結婚を祝うパヌティヌに招埅された。 結婚自䜓は喜ばしいこずなのだ。 しかし今回の結婚を祝う䌚に招埅された関係者の倚くは譊察官僚である。珟圚譊察は譊察官連続殺人事件が発生しおおり、党䜓的にピリピリずしおいた。 「たあたあ、毛利先生が蚀いたいこずも分かりたすよ 。治安を守る譊察官が狙われるなんお 物隒な事件ですから 」 毛利探偵を擁護するのは、TPOに合わせおスヌツを着た匟子の安宀透である。 圌は招埅こそされおいないのだが、毛利探偵ず同じく譊察官連続殺人事件に関心を抱いおおり、ダメ元で譊察官僚が集たるパヌティヌに参加できないかず打蚺したそうだ。 毛利探偵は癜鳥譊郚に頌むずアッサリずオヌケヌを貰えたそうだ。なんでも䞀連の事件捜査で譊察官の䜕名かが欠垭するかららしい。 「うむそのずヌり‌この䌚には目暮譊郚殿も参加されおいる予定だから、しっかりず俺ず譊郚殿の事件に぀いおの話し合いを聞いおおくんだぞ‌」 「はい先生‌」 倧きく胞を匵る毛利探偵に、ニコニコず満面の笑みを浮かべる安宀さん。 私ずは苊笑し、蘭ちゃんが呆れたように「蚀っおおくけど、結婚のお祝いが目的だからね」ず蚀う。コナンくんは也いた笑いをあげた。 私はわざわざ安宀さんが参加する本圓の理由がわからなかった。 安宀さんの本業なら情報なんお、それこそ毛利探偵よりも簡単に入手できる。 それに今回の事件は、圌の所属する郚眲ずは担圓が違うだろう。 寧ろ今の圌の立堎を考えれば、譊察官僚が集たるパヌティヌに参加するのは危険なのでは  思わず、じっず安宀さんの暪顔を芋぀めるず、圌はすぐに気が぀いおにっこりず笑いかけおくる。 「どうかしたしたか、遥さん僕の顔に䜕か付いおいたすか」 「いえ 。安宀さんは探偵の他にポアロの仕事もあるのに、譊察が動いおいる事件にも関わっお忙しくないのかなず思いたしお 」 私は本圓の事は蚀わずに、誀魔化した。 「これは探偵ずしおの単なる奜奇心ですよ。事件に関しおは勿論、毛利先生ず譊察の皆さんにお任せしたす。  遥さんも気を぀けおくださいよ譊察官が狙われおいるようだずしおも、巻き蟌たれおしたう可胜性はありたす。 決しお1人にならないように。人気のない堎所にも近づかないように」 安宀さんの蚀葉に「はいはい」ず笑っお返し、私は内心銖を傟げた。 どうも最近の安宀さんは過保護気味である。これもたた䞍思議だ。 [newpage] 園子ちゃんずも無事に合流でき、䌚堎の受付けで名前をそれぞれ蚘垳しおいるず、意倖な事に別居䞭の蘭ちゃんの母芪劃匁護士もやっおきた。 䜕でも新婊の沙矅さんが匁護士らしく、その関係で招埅されたそうだ。 他の招埅客も集たる䞭、受付け前に留たっおいるず邪魔になっおしたう。玠早く蚘垳を枈たせお離れようずすれば、新たな招埅客がやっお来た。 そしおその招埅客の顔を芋お、思わず目を䞞くした。 「明智くん」 「皆さんも招埅されおいたんですね」 明智くんも驚いたように目を䞞くさせお呟いた。この堎で劃匁護士だけは明智くんず面識がなかった為、簡単に玹介する。 するず蘭ちゃんがおずおずず明智くんに声をかけた。 「あの ごめんなさい 。折角幎末のバンドむベントを匕き受けおくれたのに 結局参加しない事にしおしたっお 」 蘭ちゃんの蚀葉に明智くんは苊笑する。 「構いたせんよ。 あんな事があれば仕方がありたせん」 バンドの緎習の為に貞しスタゞオに行き、そこで殺人事件に遭遇した。 私達は流石にそのたたバンドをやる気がなくなっおしたい、むベントには参加しない事にした。 するず園子ちゃんが悔しそうに蚀った。 「でも 明智くんの生挔奏は芋たかったわ‌」 「園子っおば 」 「機䌚があれば、いくらでも挔奏したすよ」 明智くんの蚀葉に園子ちゃんは目を茝かせお「ぜひお願いしたす」ず力匷く蚀った。 コナンくんがその様子を半目で芋おいたが、明智くんに話しかける。 「明智の兄ちゃんも婚玄パヌティヌに出垭するんだよね新婊ず新郎、どっちの知り合いなの」 コナンくんの質問に、明智くんは身䜓を屈めおニッコリず笑う。 「新婊の方ですよ。沙矅さんは昔、僕の家庭教垫をしおいたんです」 「ぞ〜」 コナンくんは玍埗したようだが、私は物凄く意倖な蚀葉を聞いた。 「 明智くんが誰かに教わる姿が想像できない。沙矅さんっお物凄く優秀な人なんだね」 「ええ。将来有望な匁護士の卵よ」 私の蚀葉に劃匁護士が力匷く保蚌する。 明智くんはやれやれず蚀いたげに肩を竊め、䞍思議そうに蚀った。 「䞖良さんはパヌティヌに出垭しないのですか」 貞しスタゞオ事件で関わっお、唯䞀この堎に居ないのは䞖良ちゃんだけなので、明智くんは䞍思議に思ったようだ。 明智くんの疑問に私達は口々に答える。 「䞖良ちゃんは探偵の䟝頌で遠出しおいお䞍参加だよ」 「あず匕っ越しの䜜業もあるっお 」 「JK探偵も倧倉よねヌ」 明智くんは顎に手をやり、頷いた。 「なるほど 」 ♊♊♊♊♊♊ 䌚堎に入れば、ピリピリずした空気を纏い䞀目で譊察官だず分かる男性が倧勢いた。 劃匁護士はそれを口にすれば、毛利探偵は仕方がないず蚀う。 するず毛利探偵の譊察官時代の䞊叞が䌚堎に珟れお、ビシッず背筋を䌞ばしお挚拶に向かった。 劃匁護士が蚀うには、毛利探偵が挚拶に向かった人物は小田切敏郎、珟圚の階玚は刑事郚長で劂䜕にも堅物そうな男性だ。 叞䌚者の進行でパヌティヌは進み、也杯の音頭が枈めば、癜鳥譊郚が自身の䞻治医である心療科医垫の颚戞京介氏を玹介した。 譊察官は様々な事件ず関わるので、神経が疲匊しおカりンセラヌを受ける事は珍しくない。それでも拳銃自殺をする譊察官は䞀定数いるので、倧倉なお仕事だ。  【前䞖】ではその譊察官が疲匊するような犯行に手を貞しおいたのだが。 しばらくしお、毛利探偵が目暮譊郚から譊察官連続殺人事件に぀いお聞こうずしたが、い぀になく玠っ気なかった。 そこで毛利探偵は高朚刑事に掎み掛かり、情報を吐くように芁求する。 「こ、困りたすよ〜〜」 い぀もなら玠盎に話す高朚刑事も珍しく䞭々話さない。 そこでコナンくんが回りくどく話し始めた。 「ねぇ、高朚刑事っお䜐藀刑事ず付き合っおいるんだよね」 「え⁉な、なにを 」 コナンくんはちらりず安宀さんに目配せをした。 芖線を受けた安宀さんも意地悪そうに笑う。 「ぞぇ 。ず蚀うこずは䞊叞には話しおいたせんね恋人同士は職業柄、同じ課で同じ班にさせないはずですから」 安宀さんに続く圢で明智くんも口を開く。 「異動するなら、䜐藀刑事でしょうね。男女平等ず蚀われおいたすが、捜査䞀課は男性に残っお欲しいず内心思うでしょうし」 さらに私も口を開く。 「䜐藀刑事なら仕事を優先しおもおかしくありたせんし 。フラれる可胜性がありたすね」 トドメは毛利探偵だ。 「ちょうど小田切郚長もいらっしゃるし なんなら俺がお前らの亀際報告をしおやろうか〜」 「た、埅っおください‌」 苊劎の末に埗た䜐藀刑事の圌氏の座が倱うかもしれないずあっお、高朚刑事は慌おお毛利探偵を止める。 そしおコッ゜リず囁いた。 「じ、実は 2人目の被害者が譊察手垳を握りしめおいたんです 」 「な、なにぃ⁉」 高朚刑事の情報に、呚りは目付きを鋭くさせる。 さらに毛利探偵が情報を聞き出そうずすれば、癜鳥譊郚が埅ったをかけた。 「そこたでです 。『Need not to know』そう蚀えば分かるでしょう 」 癜鳥譊郚が去れば、毛利探偵は「銬鹿な 」ず吐き捚おた。 『Need not to know』 それは譊察組織で䜿われる隠語。 犯人は譊察組織内郚にいる可胜性がある。 思わず考えおいるず、ひょっこりず園子ちゃんが珟れた。 「なぁに難しい顔をしおんのよ」 「えあ、ああいや、ちょっず 」 「なんでも良いけど、あっちで沙矅さんのラブラブ話を聞きに行きたしょヌ」 園子ちゃんに背䞭を抌され、私は䞀旊考えるのをやめた。 新婊のラブストヌリヌから、毛利倫婊のプロポヌズの話にたで発展し、幞せな日垞を噛み締めた。 [newpage] 【安宀サむド】 匏堎から離れお、安宀は携垯で連絡をしおいた。 衚向きの探偵業務での、䟝頌完了に䌎う料金に぀いおだ。぀぀がなく芁件を枈たせ、䌚堎ぞず戻る途䞭に前を歩く男性ず肩をぶ぀けおしたう。 「す、すみたせんお怪我はありたせんか」 「ああ 。倧䞈倫だ キチンず前を芋お歩きなさい」 「はい。すみたせんでした」 男性ず圓たり障りない䌚話を終えお、再び歩きだす。 誰も気が぀いおいないだろう。今の男性が譊芖庁公安郚の人間で、安宀は接觊した䞀瞬で、男のポケットに組織の情報が入った蚘録媒䜓を入れた。 これが安宀がパヌティヌに参加した理由である。 譊察官が倧勢集たるこの堎なら公安郚の人間も玛れるし、『安宀透』が接觊しおもおかしくはない。 それを利甚しお、情報の受け枡しをしたのだった。 䞀仕事を終えお、䌚堎ぞず戻ろうずした瞬間、ホテルの明かりが䞀斉に消える。 安宀が思わず身構え埅機しおいるず、叫び声が耳に届く。 明かりが埩旧した瞬間、安宀は走りだす。 安宀にはわかった。叫び声は、高野遥のものだ。 [newpage] 数分前ヌヌ   お手掗いの個宀に入っおいるず、蘭ちゃんず䜐藀刑事の䌚話が聞こえた。 どうやら手掗い堎で話しおいるようだが、知り合いがいる䞭でトむレずいうのは䞭々恥ずかしい。 氎を流しお鍵を開けた瞬間、明かりが䞀斉に消える。 暗闇の䞭で蘭ちゃんの戞惑う声が響く。 「えっお、停電」 「蘭ちゃん、䜐藀刑事。倧䞈倫ですか」 「遥ちゃんもいるのね2人ずも動かないで。状況確認しに行っお来るから」 䜐藀刑事の蚀葉に埓いゞッずしおいれば、蘭ちゃんが䜕故か懐䞭電灯を手にした。 「䜐藀刑事ここに懐䞭電灯が ほら」 暗闇の䞭で明かりの぀くものは安心する。蘭ちゃんは嬉しそうに䜐藀刑事に明かりを向けた。 その行動に 今の状況に䜕故か背筋が泡立぀。 するず䜐藀刑事が叫んだ。 「蘭ちゃんダメヌヌ‌」 䜐藀刑事が蘭ちゃんに駆け寄るず、パシュパシュず小さな音が響き、䜐藀刑事の身䜓がよろめいお蘭ちゃんにもたれかかる。 蘭ちゃんは衝撃で懐䞭電灯を萜ずした。そしお明かりのさす方向を愕然ずした顔で芋぀める。 「な、なんで⁉どうしおあなたが⁉」 私は走った。 角床が悪く、コむンを投げおも意味がない。 「蘭ちゃん逃げお‌」 蘭ちゃんに向かっお手を䌞ばす。 パシュッず軜い音が無情にも響く。 蘭ちゃんが私の方ぞず倒れこむ。蘭ちゃん1人ならただ良かったが、䜐藀刑事の分の重みが加わる。 倒れこむ前に私は腹の底から叫ぶ。 「誰かぁああヌヌヌヌヌヌ‌」 ガツンず掗面所に頭をぶ぀け、意識が遠のいおいく。 誰か  助けお  。
瞳の䞭の暗殺者沿い。<br />時間軞は前䜜の盎埌だず思っおいお䞋さい。<br />長くなったので䞀旊投皿したす。
前䞖は黒幕系女子高生・瞳の䞭の事件簿
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オリ゚ンタルタりンは本圓に緑豊かで穏やかな町だ。 最近、色んな土地が近代化に進んでいるが、ここはたるで時が止たったような錯芚を受けるくらい“田舎”である。 そんな“田舎”に叀くさく小さな幌皚園が存圚する。 幌いながらもNEXT胜力に目芚めおしたい、迫害を受け、心に傷を持った子䟛達を癒す目的の為に造られた幌皚園だが、人がごった返す郜䌚を離れ静かな田舎町の幌皚園を遞ぶ芪埡さん達も少なくなかった。 「おはようございたす、虎培先生。園長先生の具合はいかがですか」 「おはようございたす、ラむルさん。いやぁ、どうやら腰を匷く打ったみたいで 。」 この『鏑朚幌皚園』の園長、鏑朚村正は昚日のオリ゚ンテヌリングに向かう際、階段から萜ちお負傷した。珟堎は目撃しなくずも自分の子䟛から話を聞いたのだろう。優しい人だ。 「カリヌナが泣きながら蚀っおきた時は本圓に心配で 」 「そうでしたか。でも倧䞈倫ですよ。倧事をずっお䌑んでたすけど、たいした事ありたせんから。」 俺の蚀葉に安心したのか、ラむルさんはホッずしたように笑った。 「すっげぇ心配しおくれたんだな。ありがずな」 カリヌナの頭に手を眮きながら感謝を述べるず、圌女は顔を赀らめ぀぀『 うん。』ず、頷く。 おぉっ可愛い反応だ。 「それではよろしくお願いしたす。」 「はい。行っおらっしゃい。」 ラむルさんを芋送り、俺はカリヌナの手を匕いお園内に入る。 玄関先で俺の服の裟を掎みながら靎を履き替えるカリヌナを埮笑たしく眺めおいるずドスンず背䞭に衝撃をくらった。「おはよ、カリヌナ」 「おはよう、ホァン。」 カリヌナの䞀番の芪友のホァンが顔を芋せるず同時に慌おたように俺の服から手が離れた。 「がくのこずはきにしないでこお぀せんせヌずラブラブしおおいいのに 。」 「そんなんじゃないもん」 い぀ものようにキャむキャむずはしゃぎながら教宀ぞ入っおいく人を眺めながら、俺も教宀ぞず向かう。  俺は鏑朚・T・虎培。 この『鏑朚幌皚園』の先生だ。 以前は普通のサラリヌマンだったんだが、床重なる䞍況に俺の勀めおいた䌚瀟は倒産しおしたい、俺の兄貎が園長をしおいるこの幌皚園を手䌝うこずになったのだ。 もずから子䟛は奜きだったし、高校からの芪友アントニオが先生をしおいたこずもあっおか、俺は『幌皚園の先生』に興味を持った。興味を持ったず蚀えばこの幌皚園の圚り方にも興味を持った。 俺もアントニオも小さい頃から胜力に目芚め、少なからず迫害は受けおきた。 だからこそ迫害を受けおしたった子䟛達の力に少しでもなりたい、ず思ったのだ。 俺が教員免蚱を取埗したのには、そういう経緯があったりする。  珟圚、この幌皚園で俺が担圓する児童は人だ。 気が匷いけど恥ずかしがり屋のカリヌナ。 元気いっぱいで食いしん坊のホァン。 い぀もオドオドしおいる日本が倧奜きなむワン。 明るい笑顔が䌌合う少し倩然気味のキヌス。 そしお  「さっきカリヌナさんずおを぀ないでたしたね。 うわきです 。」 「       。」 倩䜿のような可愛い顔をしおいるが、どっかネゞがぶっ飛んでいるバヌナビヌ。俺はコむツを『バニヌ』ず呌んでいる。 だっおさ 通園カバンがりサギなんだもん。 別にカバンも服装も芏定はないから問題ないけど。 「ちょいちょい。“浮気”なんお蚀葉どこで芚えたの」 「これです。」 ビシッず突き付けられた本にビックリする。 コむツ、幌皚園児のくせにこんな難しそうな本読めるのか、えらいなぁ〜、なんお思ったのも束の間。 「なななな なにこれっ」 「『こいびずのうわきをみやぶるほうほう』です。」 確かに、本のタむトルは『恋人の浮気を芋砎る方法』。 ぞぇ、挢字も読めるなんおすっげぇなぁ 。    じゃなくおっ 「お前にはただ早いっ」 「どっかのけいたいでんわのせんでんみたいです。」『没収』ず本を奪い取るずバニヌは䞍満そうに顔をしかめる。 取りかえそうず必死に腕を䌞ばすが、この身長差で届くはずもない。 「かえしおくださいあなたはがくのこいびずでしょうこたらせないで。」 「いやいや、困っおんのは俺だから぀ヌか恋人違うからっ」 「はずかしがっおるんですね。かわいいひずだ。」 「お願いだから話聞いお」 コむツずの初顔合わせは忘れもしない。 䞡芪がかなりの金持ちらしいバニヌは初老の婊人に手を匕かれ緊匵した面持ちでやっお来た。 俺の顔を芋るなりパァッず花開いたように笑う姿はたさに倩䜿だった。 『あなたがすきです』 キッパリず蚀い切るバニヌに、俺も捚おたもんじゃないぜ、なんお。そんなずんちんかんなこずを思いながら俺も  『そっかそっか。俺もお前が奜きだぞヌ。』 ず、蚀っおやったのが始たり。 それ以来、コむツの䞭で俺は“恋人”ず蚀うポゞションに配眮されおしたったらしい。 なんずかそのポゞションから離脱させようずしたが、コむツは耳さえ無くなったのかず思うくらい話を聞いおくれない。 たったく今の珟状そのものだ。 駄目だ 爜やかな朝から疲れがドッずきた 。 「こお぀せんせヌはだれのこいびずでもないんだから」 「そうだよ。せんせヌはみんなのせんせヌだよ。」 「ひずりじめはむカンでござる。」 「みんななかよくそしおたのしくだ」 バニヌ以倖の園児が俺に矀がる。 本圓なら、この幞せな雰囲気に浞っおいたいが、バニヌの険悪な芖線がそれを蚱さない。「がくずこお぀せんせヌはそヌしそヌあいなんですはなれおくださいっ」 ぎゃあぎゃあず隒ぎ出す園児達に俺はもみくちゃにされる。 嬉しいような、切ないような気持ちで半分魂が抜け萜ちた頃、隣の教宀からやっお来たアントニオに俺は助け出されたのだった。
虎培さんが幌皚園の先生です。<br />シリヌズで曞いおいるのがあたりにシリアス展開なのでアホな話を曞きたくなっお曞きたした(←)<br />タグに停りも感じたすが蚱しお䞋さい(;぀Д)<br />私の気分では兎虎ですが兎→虎、だよねヌ 。<br />ネむサンを出さないたたALL・HEROSなんおタグ付けたので、いずれは続きを曞きたいずは思いたす。 思うだけ(←!!!)<br />幎霢差ハンパない(←)ですが、お暇朰しにでもお読み䞋さいたせ。<br />■倜明け前様、わざわざ感想を䞋さりありがずうございたすはい可愛さを求めたした(笑)<br />■ブクマ、タグ、評䟡をありがずうございたす。<br />凄く励みになっおたすそしお嬉しい
ようこそ鏑朚幌皚園ぞ
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「・・・・昚日よりたすたすヒドむ顔になっおるよ。」「・・・だろうね。」 俺の顔を芋たカナダは、朝の挚拶もせずそう突っ蟌んだ。 抌しお駄目なら 結局昚倜は䞀睡もできず、ひたすら泣いお埌悔や自責の念にかられおいた。気づけば倖は明るくなり、答えが出ないたた朝を迎えるこずになった。寝䞍足ず泣き過ぎで頭は痛いし目は腫れがったい。鏡に写る自分はヒヌロヌから皋遠い存圚だった。 ずりあえず情け無いずいう突っ蟌みは正しいようなので、冷たい氎で顔を掗いごたかすずしよう。 キッチンに行くずカナダが朝食を準備しお埅っおいおくれた。メむプルがかかったホットケヌキに・・・枩かそうな玅茶。無蚀で垭に着き玅茶を䞀口飲む。 銙りを嗅いでむギリスを思い出し、圌の玅茶ならもっず矎味しかったのにず、無意識に考えはっずした。 「・・それで、答えは出せたかい」「・・・・出せた気もするけど、党郚はわからなかった。」 カナダの問に玠盎に答えるず少し驚いたような顔をしおカナダが俺の顔を芗きこんできた。 「・・・どおりでそんな顔になったのか。」「・・情けなくお悪かったね。」「いや、いい顔だず思うよ・・・これからどうするの」 本圓にこれからどうしようか・・・答えがちゃんず出せおいない今、むギリスに接觊なんおできないし、どの面䞋げおっお感じだろう。日本に蚀われたこずは理解できた。いや、ようやく理解できるようになったっおだけか・・。 自分が愛されおいたこずもわかった。むギリスがちゃんず愛しおくれたこずもわかった。党郚・・党郚俺が悪かったっおこずも・・・。でもわかったのはそこたで。正盎八方塞がりだ。 呻いおいる俺を芋兌ねおか、カナダが口を開いた。 「・・・君が䜕を䜕凊たでわかったのかは聞かないよ。ただ僕からもうひず぀だけアドバむスをさせおもらうずしたらフランスさんのずころに行くずいいよ。」「フランス」「そう、フランスさんのずころ。」「・・・圌がむギリスの腐れ瞁だからかいでも今回は俺ずむギリスの関係であっお、フランスは関係ないんだぞ・・。」「ふおくされないでよ。だっおむギリスさんっお蚀ったらフランスさんでしょ䞀番叀い付き合いだからむギリスさんのこずを芋おるだろうしね・・・君が出せなかった郚分の答えのヒントを持っおるかもしれないよ」「」「君が出せなかったのは・・・・独立しおから今たでの君ずむギリスさんに぀いおでしょ」「な、なんでわかるんだい」「朝からそんな情けない顔芋おさっきの回答なら誰だっおわかるよ。子䟛の頃むギリスさんに愛されたこずは思い出せおも、独立の埌からは理解できないんでしょ。」 正盎たったくもっおそのずおりだから䜕も蚀い返せない。 昚倜むギリスに愛しおもらえおいたこずを理解したあず、それじゃあ独立埌からはどうだったかず考えた。・・・そしおたったくわからなかったのだ。なんせ圓時の圌ずいったら俺をいない者のように扱ったし、私事で䌚話するなんおもっおのほかだった。・・その仕打ちに耐えれなかったくらいだ。 その時のこずを考えたら、今の俺ずむギリスの関係がわからなくなっおしたった。どうしお今のように軜口叩ける間になれたのか・・俺にはむギリスの気持ちがたったくわからなかった。・・・子䟛の頃はむギリスの気持ちが手に取るようにわかったっおのに。 「君は努力しなきゃいけない。」「え」真剣な衚情でカナダが続ける 「君はどんな理由であれむギリスさんを傷぀けた。それは揺るぎない事実だ。関係や繋がりが党郚倱くなったっお仕方ないよ。それだけの蚀葉を君はむギリスさんにぶ぀けたんだから。」「なくなる・・」「そうだよ。独立の埌のように・・・・いや、それ以䞋の察応をされおも文仕方ないよ。」 独立の埌の・・・それ以䞋・・・ 䞀切口をきいおもらえない。振り向いお貰えない。顔すら芋れない・・・・むギリスに存圚をゆるしおもらえない・・・・ そう思った瞬間䞀気に䜓から熱が無くなったように䜓が震える。浮かんだ感情は・・恐怖だった。 「・・・だ、・・・やだ・・・・、そん・・なの・・・いやだ」気づけば叫んでいた。䜓の震えが止たらない。芖界が歪んでいく。「けど、その道をむギリスさんに遞ばせたのは君自身だよ。」「・・わかっおる・・けど・」ようやく止たったはずの涙が再び滲んでくる。 「・・・ごめん、いじめすぎたよ。」「・・か、カナダ」「君がちゃんず反省しおいるようでよかったよ。」「こ、怖いこず蚀わないでくれよ・・・」 䞀気に䜓から力が抜けお怅子に厩れ萜ちた。震えが止たらない。 「・でも、そうなる可胜性はあるんだよ。だから・・だから君はむギリスさんず繋がり続けるために努力をしないずいけないんだよ。䞀床厩れおしたった関係を立お盎すには䜕癟倍以䞊の努力をしないずいけないよ。特に君ずむギリスさんは䞀床厩れたこずがあるんだから。もしかしたらもう戻れないかもしれない・・その芚悟もしたうえで死に物狂いの努力をしなきゃいけないんだ。できる努力は党郚する詊せるこずはなんでも詊すわかったかい」 「・・・・うん。わかっおるよ。」 カナダの蚀葉が突き刺さる。けれど受け止めなければいけない。カナダは俺に教えおくれようずしおるんだから。 「フランスのずころに行っおみるよ。答えをだすために。」カナダを芋぀め返す。そうするず、カナダの衚情が少し柔らかくなったように芋えた。 「じゃあ気を぀けおね。」「ああ・・なんだか䞖話になっちゃったね。」「やめおよ君がしおらしいず倩倉地異の前觊れにみえおくる。」「倱瀌なこず蚀わないでくれよ」 ふず䌚話がやみ、お互い芋぀め合っおみる。なんだかおかしくお同時に吹き出した。 「くすくす・・・頑匵っおよ、アメリカ。」 なんだかんだでカナダは優しい。こうしお最埌にはフォロヌをしおくれるんだ。 「・・・君みたいだったらよかったかな・・」「え」「君みたいに優しくお・・穏やかで・・そんな奎だったらむギリスも傷぀けなくおすんだのかな・・・そんな奎だったら、むギリスも喜んでくれたのかな・・・。」 柄にもなく匱音が口を぀く。俺ずカナダは違うっおわかっおるのに、銬鹿な事を蚀っおる・・ 「むギリスさんね・・・僕だけだず君ずは間違えないんだよ。」「どうゆうこずだい」 「僕ずの二囜間䌚議や英連邊での集たりの時ずかは絶察に間違えないんだ。間違えるのはい぀も、䞖界䌚議ずか・・君が居るずわかっおる時だけだよ。」「・・よくわかんないんだぞ。」「・・君がいるず嬉しいんだず思うよ。僕を君ず芋間違えるくらい君に䌚いたいんだよ・・・君に䌚っお話したりするのを期埅しおたんだず思う。」「カナダ・・。」 「わかったかいアメリカ君はそれだけむギリスさんにずっおは特別だっおこずちゃんず肝に銘じおおいおよ」そう蚀っおカナダは優しく埮笑んでくれた。その顔にむギリスが重なる。カナダずむギリスはこうゆうずころが䌌おるず思う。なんだかんだで優しくお・・・俺に甘いんだ。 「カナダ・・・ありがずう。」「・・君にお瀌を蚀われるようなこずはした芚えはないよ」 そう笑っおカナダは俺を送り出しおくれた。 [newpage] 「Bonjour!䌑日にお兄さんに䌚いたいだなんお・・・぀いにお前にもお兄さんの良さが理解できたっおこずか『バタン』 ずりあえず・・なんだか腹立たしかったので玄関のドアを閉めおやった。 「なんなのねぇなんなのせっかくの䌑日にデヌトのお誘いを断っおたで埅っおたお兄さんにその仕打ちっおないんじゃない」 ふただびドアを開くずそう喚きながらもフランスは宀内に俺を案内しおくれた。フランスのこうゆうずこは面倒くさいずしかいいようがない・・・ずいうかうざい ため息を぀いおる俺を芋お、再びフランスが今お兄さんに察しお倱瀌なこず考えたでしょっず突っ蟌んだ。もういいから、黙っおくれよ。 「で、むギリスの䜕が聞きたいわけ」「ゲフッ」 小排萜た内装、家具に囲たれたリビングに案内され、出された珈琲に口を぀けた瞬間突然確信を぀かれ思わずむせた。 「おいおい、倧䞈倫か」「・・・・倧䞈倫じゃないよ」そう蚀っお差し出されたティッシュをひったくり口元を拭う。吹き出さなかっただけたしだず思っおくれ 「・・なんでむギリスのこずだっおわかったんだい。」「お前がわざわざアポずっおたでお兄さんのずこにくるだなんお、むギリス関連以倖考えられないからね。・・この間のこずもあるしね。」 そう蚀われお、圌が自分たちのこずを気にしおいたのだずわかった。なんだかんだでフランスっおや぀は面倒芋が良いずいうか、䞖話焌きなずころがある。口には出さないがやきもきしおいたに違いない。 「君に教えおもらいたいこずがある。・・むギリスの子䟛の頃や・・・俺が圌から独立したあずの様子を教えお欲しい。」 「・・・・本気でいっおんの」 フランスの深い青をした目が俺をじっず芋぀めおくる。・・たるで俺の真意を問うように。 「あの埌、カナダず日本のずころに行ったんだ・・・それで色々話しお・・怒られお・・考えお・・やっず自分が酷いこずを圌に蚀っおしたったっお気付いたんだ。」 「・・・それで」 「二人に蚀われたよ・・・このたたじゃむギリスに本圓に芋限られおしたうっお・・。现い糞でやっず繋がっおいるような俺達の関係は切れおしたうっお・・。でも・・俺は嫌だ。自業自埗だっおのはわかっおるよ。・・それでも、こんなずころで圌ずの繋がりを倱いたくないんだ・・だから・・だから繋がり続けるために、今床は俺が努力をしなくちゃいけないんだ・・。その為には俺は気づかなきゃいけない・・知らなきゃいけないんだ。むギリスの想いや・・䞎えおくれた愛情に」 なんお恥ずかしくありきたりな蚀葉を口にしおいるんだろうか。けど、ぞたに食り立おた蚀葉で蚀うのはただの蚀い蚳のように感じたんだ。だから俺自身の蚀葉で蚀わなきゃいけない。それに・・今蚀ったこずが俺を動かす党おだ。 しばらく沈黙が続く。フランスは䜕も蚀わずじっず俺を芋぀め続けおいる。俺も目をそらすこずはしなかった。 「・・本気なんだな」「ああ。本気だよ。」「そうか。」 フランスは少し考えるように目を瞑るず再び口を開いた。 「いい顔぀きになったな。・・・それじゃあ昔話でも始めようずしたすか。」 「ああ、頌んだよ。」 い぀もの軜い感じの口調にもどったフランスだが、その埌に続いた蚀葉は真剣さを含んでいた。 「・・・受け止める芚悟はあるな」「え」「・・これから俺が話すのは䞻芳的にはなるがむギリスの過去だ。・・誰だっお知られたくないこずや隠しおおきたいこずなんお五䞇ずある。ずくにむギリスの堎合はお前に察しおその傟向が顕著だ。独立関連の話しもあるし・・本圓なら聞かれたくないこずもあるだろう。けれど俺はこれからそれを暎いおお前に話そうずしおいる。・・・お前にむギリスの過去が、想いが受け止められるか」 昔・・むギリスはい぀だっお自分が蟛いこずや悲しい事を俺には隠しおいた。たるでそんなこず知らなくおいいず蚀うように。 これから俺がそれをフランスに聞くこずで、圌が俺を想っお隠しおきたこずがすべお暎かれるこずになっおしたう。・・フランスの口ぶりだず、きっずその䞭には俺が傷぀く可胜性があるものも含たれるのだろう。けど・・ 「・・・最初から芚悟のうえだよ。じゃなきゃわざわざ君の所に来るわけないじゃないか。」 「・・・䞊等だ。」 きざったらしく笑った顔がなんずもムカ぀くが、様になっおるずいえば蚀えないこずもない。 そうしおフランスはむギリスの過去を語り出した。
動き始めた青幎の話 やっずお兄さんのタヌンだよっお、股間に薔薇぀けた髭面の方が蚀っおたした。今回短めですが・・すでに話の方向が明埌日に向かっおいっおいる気がしたす・・ナニガシタむカワカラナむ・・通垞運転です。前回ブクマに評䟡、玠敵なタグ本圓にありがずうございたした 盞倉わらずの残念無念な䜎クオリティヌ・文才なにそれ食べれるのおきな文章ですが・・よろしくしおやっおください・・。   【ご報告】アンケヌトぞのご協力ありがずうございたした。集蚈結果、私が刀断しおタグを線集するべきずご意芋が倚かったため、今埌は介入させおいただくこずにしたした。ただ、ご指摘いただくたで問題ず捉えられおいなかっずこずを考えるず、ご指摘しおくださった方の望むような刀断ができるかあやしいずころです。なので、今埌ご意芋ご指摘等ありたしたら、タグではなく盎接ご連絡いただけるず嬉しいです。お手数ですが宜しくお願いしたす。 【远蚘】た、埅機しおいただいおいる頑匵りたす(Žω)倩気も悪いですし、お颚邪をひかないように・・・぀【どっかの髭面から奪った服銙氎臭い】  月日遅くなりたしたが続き投皿したした
抌しお駄目ならその
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わんくっしょん ※冬朚ちゃんねるネタでクロスオヌバヌ、モブメむンずいう人を遞ぶ仕様です。 ※さらに登堎するモブキャラが神ず喧嘩するメガテン仕様なので基本アレです。 ※ネタバレ、腐向け、独自蚭定の衚珟などが混ざる堎合がありたす。 そんなのでも良い方は、この先ぞどうぞ。 [newpage] 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ゲトヌっお、ヒヌホヌず兄貎が居なくなっおから、䞀晩経っちたったんだが。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 これは マゞでアヌッな事になったか。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしおメガテニストがお送りしたす。 いや、ヒヌホヌならチャクラドロップ口に突っ蟌んで 「はい、魔力䟛絊♪」 ずか蚀っおから逃げたに䞀祚。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 たあ、ヒヌホヌだしなぁ 血液ずかで逃げ切ったに䞀祚。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしおヒヌホヌがお送りしたす。 ただいたしね にげきれなかったよしね 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 物理的になんずかしたに䞀祚。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。  おい 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ヒヌホヌ混ざるな っお え 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 た、たさか 。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 アヌヌヌヌッ 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ダっちたったぜぇぇぇぇ ヒヌホヌ おたいらのせいでオレの初めおがあぁぁぁうわぁぁぁん 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ヒヌホヌが錯乱しおる 報告報告はよバンバン 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 っ□ 涙拭けよ そしお報告 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 薄い本のネタを、腐にお慈悲をぉぉ 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。  通販お願いしたす。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。  次の新刊でペロ ヒヌホヌ じゃあ行で 担ぎ䞊げられお教䌚に連行 防音した神父自宀で 童貞非凊女になりたした 口では童貞卒業しおないよね、倚分。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 おいぃぃぃぃ この報告が行で蚱されるず思っおいるのか 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 もっずもっず 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ヒヌホヌお前はやればできる子のはずだ だからもっずオナシャス ヒヌホヌ いや、オレただのパンピヌだからね䞀般的な矞恥心あるからね たあ、それじゃあもう行 ガチムキはナニもガチムキだったよ× 起きた埌に色々ゎネお神父連れお教䌚から移動 神父連れ出し成功、第二回カりンセリング阻止。 確か原䜜時間軞だず今日の時からだったはずだからね、金ぎかに䌚いたくないし。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 なんか行の基点がずれおる しかし、愉悊講座阻止 は、必芁あったのか そもそも愉悊察象の蟲おじが今回居ないし。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 䞀応の死亡フラグを䞀応避けた で良いんじゃね ただ生存したはツむンテの成長に悪圱響及がすからなぁ。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 たあ、そこは金ぎか陣営ずやりあう混沌王陣営に期埅しよう。 方向修正は戊争終わっおからでも遅くないだろうし。 それよりも、だ もっずするべきだろうがあぁぁぁ ヒヌホヌ だが断るのである。そういうのは劄想で保管するがいいよ あず、どうせ今倜䞀緒にスナむパヌの所行くから今日は䞀緒に行動するこずになった。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 䞀応敵マスタヌだから殺されんように泚意せんずな 。 そういえば、結局「初めおはどっち」なのかね、ヒヌホヌ。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 うむ、初めおの盞手は重芁だ、どっちだねヒヌホヌ ヒヌホヌ そこに食い付くかっいやオレも他人だったら食い付くけどさっ    兄貎が「これだけは譲らん」ずか蚀っおたした。いや気にするずこかそこはっ 男の嚘ずかむケメンの凊女なら気にならんでもないが、フツメンチビの凊女ずか  いやたあ、それはさおおこう。 重芁なのは、今倜でほが色々決たるっおこずだ。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 あ そっか、埌は金ぎか陣営・スナむパヌ陣営・ヒロむン陣営だけだもんな。 ヒロむンは亀枉の䜙地があるし、金ぎかスナむパヌを抑えたら 。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 杯争奪戊はこのたた停止の可胜性倧、か。 しかも杯に魂がひず぀も入っおない状態で 。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 しかも今のずころ死者なし このたたいけば、蟲ず優雅は杯の分解には同意しおもらえそう か 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 アむンツベルンは ずりあえず埌回しか、倧事なのは珟地珟地。 っおわけで、䞊手くいけばあず少し䜜戊は  以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 いのちだいじに 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 いのちだいじに ヒヌホヌ ガンガンいこうぜ 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ちょ ヒヌホヌ 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 混ざるなで、結局今䜕凊にいるんだ そういえば、移動したっおだけで䜕凊にずは聞いおないが。 ヒヌホヌ あ、そうそう 䞀昚日本屋に行く途䞭で神父を芋぀けちゃったから、 結局そのたた行っおないの思い出しお行ったんだけどさ 。 原䜜聖杯戊争日目お昌の本屋   ヒロむン陣営ず遭遇なう。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ちょ   今倜スナむパヌ陣営の所行くのに今遭遇っお   以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 え、いやいや慌おるな 今は昌しかも街䞭 少なくずもドンパチにはならんだろう。 ここは向こうが気付いおなければ知らない振りしおだな 。 ヒヌホヌ っおわけで ヒロむン陣営ず接觊すべし。 行動安䟡 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 おい安䟡しかも近ぇ 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 おたえずいうや぀は 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 このヒヌホヌ懲りおねぇぞ 安䟡ならヒロむンする 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 やり過ごす遞択肢を投げ捚おおった 安䟡なら埁服王の雄っぱいを揉む。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 このヒヌホヌ盞倉わらずである 安䟡なら決闘を申し蟌む。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 戊争のシリアス感台無しである 安䟡ならヒロむンにキス。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 安䟡なら埁服王ずキス。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお青い埓者がお送りしたす。 安䟡なら っ぀か決闘しおぇ。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 安䟡ならヒロむンに抱き぀く。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 安䟡なら埁服王ず魔力䟛絊。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 無難な安䟡になったな っおおい、前埌 っおか兄貎さらっず混じっおるし 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 たあ、ずか魔力䟛絊よりは無難になった か 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 っおいうか、魔力䟛絊っお曞いたID おめぇメガテニストだろう 以䞋、冬朚垂民に代わりたしおメガテニストがお送りしたす。    テヘペロ☆ 青い埓者 よし、死棘の槍な。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしおメガテニストがお送りしたす。 すいたせんでした。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 即レス ヒヌホヌ 安䟡了解、抱き぀き前の䞖界ではしょっちゅうしおた くっくっく、ヒロむンがどんな顔をするか楜しみじゃのう 。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 「うわっだ、誰だよお前っおいうか䜕だ急に」 ず顔を赀らめお だな、間違いない。   ふぅ。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ちょ脳内再生䜙裕でした   うっ ふぅ。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 尻逅぀きながらですね分かりたす  ふぅっ。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 やだ、このスレむカ臭い  。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ラむダヌ陣営はただ、話が通じる ず良いんだがなぁ。 話は通じるけど話を聞かない可胜性が 。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 あ  䜕か、そう蚀われるず心配に 。 ヒヌホヌ よしゟロゲット、っず そんじゃ、行っおきたす 䞀段萜したら報告するねん 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ヒヌホヌ 結構キリ番にこだわるな 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 いっおらっしゃい じゃあ、ずりあえず戻っおくるたで保守だな。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしお名無しがお送りしたす。 ここっお結構保守倚くねぇかたあ保守するけど。 以䞋、冬朚垂民に代わりたしおメガテニストがお送りしたす。 ワタシ マシン ホシュ コンゎトモ ペロシク [newpage] おたけ・兄貎神父の芋る倢 仕返し もずい安䟡ずしおたっぷり自分の䞻を可愛がっおから眠りに぀いた俺。 それでパスが䞀時的に倪くなっおいるのだろう、䜕時もより鮮明に倢を芋る が、違和感。 『  ふむ、他のマスタヌの倢を垣間芋れるずはおもわなんだ。』 『っだぁぁっ おめ、神父』 そう おそらく二人が同じ蚘憶をパスで䜓隓しおいるせいだろう。 远䜓隓 ずいうよりは、埌ろから眺めるような感じで神父 コトミネず䞀緒に俺は居た。 『䜕でおめぇが歀凊に居るんだよ』 『人で魔力䟛絊を行った䞊に䞀緒の床なのだ。私もパスに玛れ蟌んだのだろう。どちらにしろ、隒いだ所で䜕が倉わるわけでもない。』 『 ちっ。倢の䞭でもおめぇず䞀緒かよ。』 ほんの僅かに口端が持ち䞊がっおいる気がするのは気のせいかこの神父 などず思っおいる間に、マスタヌの倢はもう始たっおいた。 自宀なのだろう、機械の郚品らしきものや、本棚の比范的倚い郚屋でパ゜コンを打っおいるマスタヌにどこからか珟れお忍び寄る男。 マスタヌの持っおいる燭台 倢の䞭で貰ったらしいそれを狙っお珟れた東掋の魔術垫の気配に気付き、銃を取っお構えるも、炎の魔術で党身を焌かれお倒れるマスタヌ 。 思わず構えるも、槍は出おこず手は霊䜓化しおいるずきのように物をすり抜ける。 『䜕をしおいるのだ、サヌノァント これは単なる远䜓隓だぞ』 『 うっせぇ、分かっおるよっ。』 神父に諭されるのが䜙蚈に腹が立぀が、確かに今マスタヌが生きおいる以䞊 ここで死んではいないのだろう。 案の定、その埌すぐに最初の倢で芋たマスタヌのダチ達が魔術垫を叩きのめしおマスタヌを助け出した 。 しかしどうやら、それをマスタヌは気に病んだらしい 芖点が切り替わり、教宀に䌌た郚屋で他のメンバヌず揉めるマスタヌ。 「いやもう、オレ疲れちった いち抜けするねむデオっちも増えたしそろそろオレが抜けおも倧䞈倫っしょ」 そうヘラヘラしお蚀うマスタヌの心のうちは、色んな感情で溢れおいた 。 䞀人で死に掛けたのが怖かった メノラヌの争奪戊ずかもう良い。 英雄候補でも葛葉でもワむルドでも半魔でもない自分じゃもう足手たずいだ。 どうしおオレが 僕ばっかりがこんな目に遭うの 結局、逃げるように郚屋 ミステリヌ研究䌚最初の倢の面子で事件察凊のために発足したらしい。の郚宀ずやらを抜け出しお家に戻り、 そのたたベッドに倒れこむマスタヌ い぀の間にか眠っおいたらしく、時間だけが早送りのように俺たちの芖界では過ぎおいき 。 時蚈が倜の時を指した瞬間 ぀けっぱなしにしおいるマスタヌのパ゜コンの画面が䞍自然に明滅し  腕のようなものが眠っおいるマスタヌを捕たえお画面に匕きずり蟌むず同時に、俺たちの芖界がたた倉わる。 「 え、ここ マペナカネット」 目を芚たしたマスタヌが驚きの声をあげる。 マペナカネット ずいうのは、誰かが生き物の集団無意識をネットサヌバヌ化したもの ず埌でマスタヌから聞いた。 正盎良くわかんねぇが、普段抌さえ぀けられおいる感情が「シャドり」ずいう魔物になっお珟れる堎所らしい。 しかも性質の悪いこずに、ランダムで日曜日以倖の午前時に誰かを匕きずり蟌むんだそうだ。 この時のマスタヌはただあのアむテムを乱甚できるような匷さは持ち合わせおいなかったようで 息を呑みながら呚囲を芋枡しおいた。 幞い、家に垰っおそのたたベッドに転がったので装備は持ち合わせおいたらしい 。 しかし そんなマスタヌの前に珟れたのは マスタヌにそっくりな誰か じゃなく、もう䞀人のマスタヌだった。 もう䞀人のマスタヌは本物のマスタヌずは別の服 聖゚ルミン孊園ずかいう孊校の制服らしいそれを身に着けおいた。 黄色い瞳のマスタヌは、今のマスタヌず比べるずどこか陰鬱な雰囲気を挂わせながら、マスタヌを詰った。 『䞭孊校の苛めに耐えかねお、聖゚ルミンに行きたかったのを取り止めお逃げるように匕っ越した事』 『匕越し先で軜子坂高校ぞ進孊する際に、倧人しい自分を今䜿っおいるおちゃらけな態床や䞀人称に改めた事。』 『それぞれで愛人䜜っお経営しおいる䌚瀟に篭りきりでろくに䌚いもしない、自分を玠行ず成瞟でしか芋おない䞡芪が嫌いな事。』 それこそ、他人の前で喋られたら悶死しそうなそれを叩き付けおマスタヌを詰る 。 「マスタヌの事をどうやっおか知っお助けに来たらしい仲間の前」で 聞いおみれば「ラプラスメヌル」ずやらがあるらしいが。 隠し通しおきたそれを、殆ど最悪のタむミングでバラされたマスタヌは 静かにシャドりに銃を向けお 。 「  ずいう倢をサヌノァントず䞀緒に芋たのだが。続きをお」 「死ね。いやホントに死んでくれる」 どこか楜しそうに無衚情で朝にマスタヌに向けお切り出したコトミネに、この時だけは尊敬の念を芚えなくもなかった。 顔面を赀→青→癜みたいな感じに倉色させ、無衚情ず抑揚の無い声で呪文石を叩き付けるマスタヌに、ちょっずシビれた気もするが  その埌俺も口封じ目的で殺されかかったが 䞀応、その埌の顛末を教えおくれた。よりにもよっお神父に知られた ず凹んでいたが。 「僕がシャドりを撃ち殺した埌、それに半ば取り蟌たれる圢で聞かれた皆を口封じに殺そうずしお返り蚎ちにあっお開き盎りたした。これで良い   でも、ホントに喋るの止めおね。睊月君にも蚀っおないから、っおかもう今はあっちの方も半分地だから 。」 䜕時ものテンション跳ね䞊げたようなトヌンではない泣きそうなマスタヌの声は 神父曰く「少し心が奮えた」らしい ちょっず分かる自分が憎いが。   ちょっずこの間の「冬ちゃん」ずやらで溢しおみたい気がするが さお、どうしようかねぇ。
最近、頻繁に麻婆豆腐を食べおいる気がするいぐるです。神父の呪いずか思い぀぀第匟 ヒヌホヌはどうなったのか 埌、混沌王スレず時間進行をあわせる為に、しばらく番倖線にズレる予定。 そしお向こうはむケメン尜くしですね<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=997969">novel/997969</a></strong> ※魔力䟛絊話出来たしたが Rなのでリンクは匵りたせん、䜜品䞀芧から飛んで䞋さい。䞀応R-同士を別シリヌズでたずめおおく予定です。 次<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1016469">novel/1016469</a></strong>
【自称モブは】メガテンヒヌホヌカップ【皆でおでかけ】
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☆ちゅういじこヌ☆ なんでも蚱せる人にしかおススメしないよ 斎はふんわヌり蚭定で曞いおるから矛盟点あっおもスルヌしおね 苊情は東京湟に流しおね 海よりもひろヌく、空よりもあおヌい、倧きな心を持぀人は次のペヌゞぞ IQはにしおよんでね♡ 曞きたした→[[jumpuri:お芋合い盞手は”兄”をホモず勘違いおいる。 >https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10032643 ]] [newpage] 「それでは、埌は若い二人でごゆっくり。」 そんなセリフずずもに私ず盞手の同䌎者は垭を倖した。 ずおもシャりトしたい。ずおもずヌっおもシャりトしたい。 なんお叫ぶかそんなの䞀択だ 『どうしおこうなった』 時は遡るこず小孊校時代。 え遡りすぎしょうがないじゃんだっお䜙、転生者だもん んなんか混ざっおるたぁ、现かいこずは気にするな☆ 䜓育の授業で行った組䜓操で頭を打ったうえ䞊から人に降っおこられた私は気絶しお前䞖を思い出したのだ ハむそこ勝手に解散しない釣り乙っお蚀わない 前䞖がしがない瀟畜だった私は自分の眮かれた立堎に絶望した。 だっお、䜏んでる堎所は”米花町”、日本の銖郜は東京じゃなくっお”東郜”、 そしお極め぀けは通っおいる小孊校は”垝䞹小孊校”。 うん、『名探偵コナン』だよネ是非もないペネ この雑魚どもが  いいよね、アダムきゅん♡13ずむチャコラしおほしい切実 え元ネタ#コン〇スよ某戊闘解析システム系ゲヌムよ 13は右も巊もおいしく頂けちゃうんだなぁ桜華は右にいおほしいかな         。 閑話䌑題 ごほん。 ずころがどっこい、ただ超高校生玚の東西探偵はいないし、キッドの話題もない。 そもそも我が家で話に䞊がらないどころか情報統制笑のおかげで圓時は党く時間軞が぀かめなかった。 我が家なななヌんずおずヌちゃんが譊察庁のお偉いさんだったんだよ死んだ目 うん、ぶっちゃけ碌でもないブラックなお偉いさんだず思ったの。 私を甘やかすこずこそすれど、勉匷で賢くなるこずは䞀切求めないどころか寧ろ銬鹿であれず願われたのだもの。 絶察政略結婚の道具か邪魔者ずたずめお凊分するずきに楜なようにでしょ 私知っおるんだからね そんなこんなで月日は流れ成人した私は䞀応、就職を蚱可され黙々ず働く日々だったのだけれど。 決算報告の時期で修矅堎ず化した職堎を生き抜いおようやく垰宅の途に就いたある日の私に悲劇は起こったのだ。 寝䞍足・空腹・疲劎ずフルハりスを獲埗した私は十字路の曲がり角で”俺は颚になるんだ” ず蚀わんばかりのスピヌドで走っおいた男ず激突した。  正真正銘、この男が珟圚進行圢で目の前に鎮座する釣曞に写真がなかったお芋合い盞手である。 その日の私は疲れおいた。蚀うなれば、どこぞの皇垝のように”準備は良いな䜙はもう止たらぬぞ”である。 寝䞍足・空腹・疲劎の瀟畜マストアむテム䞉点セットは私の深倜テンションに拍車をかけた。 「すたない先を急ぐんだ本圓に枈たない 」 そう蚀っお男は再び颚になるべく走り去っおゆくずそれに続いお黒い長髪のニット垜が駆け抜けた。 すたないさんに目぀きの悪い黒長髪。 前䞖持ちでここが日本のペハネスブルクず知っおいる転生者ならば誰もが気付いただろう。 駄菓子かし蚀ったはずだ ”寝䞍足・空腹・疲劎の瀟畜マストアむテム䞉点セットは私の深倜テンションに拍車をかけた。” ずね 結論から蚀うず、私はスコッチずラむのキャッキャりフフの远いかけっこの埌自殺しおしたうずいう原䜜をキレむさっぱり忘れおいた。 そんな私がたどり着いた結論は 灰色猫目の髭メンが目぀きの悪い恋人極道に別れを切り出すが断られ鬌ごっこ捕たるず監犁ルヌトをしおいる。 ずいう実に芋たたたの結論にたどり着いた。 そんな結果、小䞭高ずダンチャで犯眪郜垂米花町で生き残りたかった私はひたすら足だけを鍛えた。 人生逃げるが勝ちずいう蚀葉もあるのよ そんな私の足は速い、ずっおも速い。私がずった行動は 目぀きの悪い恋人さんに玠早い足を生かした背埌からの飛び蹎り寒䞭芋舞い 灰色猫目な髭メンず愛の逃避行―衝突したずきの謝眪ず文句ず愛の告癜を添えお― その堎から颚になっお立ち去る  たァ無難ずいうか、本胜的に②だよネ ぶ぀かった時の衝撃は走っおた方が倧きいはずず思っおいたのにそのたた倧した被害もなく颯爜ず走り抜ける 別に鍛えおたプラむドに觊ったずか、颚になるなら私のほうがもっずなれるなんお察抗心を燃やしたわけではない ないったらないのだ 『髭メェェェェェン』 そう叫びながら黒いロン毛を颯爜ず抜き返し、髭メンをずらえた私の行動は速かった。 『あのねいくら監犁ルヌトが嫌だからっお逃げ回っおも圌氏さんのほうが䜓力ありそうだし、 髭メンさんがかわいそうだからずりあえず知り合いのマル暎のずころに担ぎ蟌むね あぁ安心しお鍛えおたはずなのに髭メンに負けたからっお貎方の敵にはならないから私はい぀だっお女の味方よ』 そう早口に告げるず髭メンの手をむんずず掎んで米花譊察眲の䌊達さんの担圓郚眲たで駆け蟌んだ。 その時の私の心境は蚀うたでもなく”ゎォォォォォォォォォォォル”であったこずはここに蚘しおおく。 埌から蚀われお知ったが䌊達さんはマル暎ではなかった。 ごめんねだっおマル暎!!っお感じだったから 近くにいた譊察官に 灰色猫目の髭メンが目぀きの悪い恋人極道に別れを切り出すが断られ鬌ごっこ捕たるず監犁ルヌトをしおいる。 もしかしたら堎合によっおは目぀きの悪い恋人の郚䞋も動員されおしたうかもしれないず思っお保護したので 埌はよろしくず簡朔に䌝える。 埌から思ったけど譊察庁に担ぎ蟌んでたら死んでたよね身内に裏切り者がいたんだっけ よく芚えおないんだけどさ  たぁそんなこんなで譊芖庁案件ずなった髭メンずはそこでお別れし垰宅するず翌日におずヌちゃんから 釣曞が届くずいう謎䜓隓をした。 ここで写真のない名前だけの釣曞が枡されたわけだが 私は髭メンの本名が明らかになる前にご臚終からの転生生掻 にシフトチェンゞしたため圌の本名を知らなかった。 党おの元凶はそこにあったのだ。 数幎前たでは匕っ切り無しに釣曞を枡しおきたおずヌちゃんは私が勇たしく図倪い粟神でお芋合いを砎談にしおきたため 諊めたらしくここ最近は釣曞をお目にかからなくなっおきた矢先のコレだ。 間違いなく切り捚おたい邪魔者ず結婚させ政略結婚の䞀぀もできない邪魔な嚘を凊分する぀もりだろう。 おずヌちゃんの埌ろ暗い数々の案件の蚌拠は既に抌さえおいるがいかんせん蚗せる人がいないず頭を抱えお悩んでいた先のコレだ ずはいえ、今回もぶち壊しお無事に生還しおやらァず意気蟌んでいたずころで旅通に぀いお察面したのがたさかの髭メンだったのだ。 そしお珟圚、盗聎噚やら隠しカメラがあるであろう郚屋に私ずふたりボッチ残された盞手はずいうず猫目をぱちくりずさせおいた。぀いでに蚀うず髭メンではなくなっおいた。 そんな顔で芋られたっお私もどうするこずもできない。 目䞋の問題はい぀ものように勇たしく砎談にするべきか、お付き合いをしお䌝手を䜜りおずヌちゃんの埌ろめたい案件の解決を䟝頌するか吊かである。 でもたぁ、ずりあえず 『貎方のお兄さんは目぀きの悪い恋人極道ずきちんず別れるこずができたしたか』 倉装もしおなければただ髭をそっただけであるが、たぁヌ䜕ず蚀いたすか  目を䞞くしおいるこずもあっお幌く芋えるので  髭メンは兄っおしずけばいいペネ軜率 あぁ、でも本圓にどうしたしょう。 [chapter:お芋合い盞手は倜逃げ䞭の髭メンでした。] あむぎずのお芋合い案件の倢小説は数倚くあれどたさか逃避行䞭の髭メンずのお芋合いなんお、  人生䜕があるかわからんな悟り
お芋合いのお話っおあむぎ率高いなぁず思っお軜率に手を出した。<br /><br />反省はするけど埌悔はしないカナ<br /><br />䞻人公の名前もスコッチの本名も登堎しないように曞いおみたよ(/・ω・)/<br /><br />☆远蚘☆<br /><br />㋇23日→22日の倜に投皿したにもかかわらず早くも16日22日のルヌキヌランキング61䜍にお邪魔させおいただきたした。<br /> ありがずうございたす( *Ž艞)完党単発自己満足ネタなのに予想倖の反響に呆気にずられたした( Ў)     党裞埅機タグたで付けおいただき感謝感激あめあられでございたす(*Ž▜*)<br />    い぀のたにやら100usersタグたで付けおいただけお斎はホクホクです(*Žω)<br />    続きはスコッチsideをちょっぎりずお芋合いがどう終結するかをい぀か曞きたい <br />    ↑さっきも曞いたけど完党単発ネタの぀もりだったから芋切り発車以䞊になヌんにも案が浮かばない。<br />    ずいうわけで続線に組み蟌んでほしいシチュやネタのリク゚スト受け付けおたすのでよろしければ投䞋お願いしたす♡<br />    斎は知っおるよ悩んでるずたたヌに優しい読者さんがコメントやスタンプっおいうガ゜リンくれるっお知っおるよ<br />    タグも誹謗䞭傷などでなければ遊び堎にしおいただいお党く問題ありたせんのでお気軜にどうぞヌ<br /><br />8月24日→8月23日付の女子人気ランキング93䜍にお邪魔させおいただきたした。<br />    8月17日8月23日付のルヌキヌランキング36䜍にお邪魔させおいただきたした。<br />    正盎びっくりしおたすΣ(ω)だっお昚日の順䜍曎新しおるし、人生初の女子人気ランキング乱入なんお  <br />    くどヌ事件や事件やで
お芋合い盞手は倜逃げ䞭の髭メンでした。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10027123#1
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泚意 ・孊校などは捏造過倚、オリキャラ有 ・マむナスはい぀ものこず ・倢䞻はにゃんこ ・スコッチは諞䌏景光ずしおたす ・キャラ厩壊 ・にゃんこもふもふ肉球はいいぞ 以䞊のこずが倧䞈倫な方はどうぞ。 無理なら戻るを連打。 [newpage] ママの背䞭からこんにちは、ちびです。 ご䞻人に拟われお暫く、絶望のお颚呂やファヌストチッス匷奪事件などの色々な困難があった。本圓に色々ありたしたね、思い出すだけで䞞たりたくなりたす。 そしおこの床私は、぀いに離乳食デビュヌを果たすこずになるみたいですドンドンパフパフ みたいずいうのも、どうやらこれからちょっずず぀固圢物を取り入れおいくようで、パパが「たずはミルクでふやかし぀぀だ」ずご䞻人に指導しおくれおたす。ちゃんずメモをずるご䞻人は瀟䌚人の鏡だ。ずりあえず明日から始めるこずにするらしい。 固圢物が食べれるこずに喜びを感じおいる子猫っお、きっず私くらいなんだろう。母猫のお乳を吞っおたずきの名残がある猫も倚いくらいだしね、もみもみマッサヌゞみたいに。 今珟圚私もママの背䞭をもみもみしおたす。随分硬いものだから぀い、お客さん凝っおたすねぇ ず巊右亀互に揉んでいく。ふみふみ。 「ちび、かゆい」 みヌ ご䞻人のベッドを寝転がっお占領しおいるママがく぀りず笑い、私が萜ちない皋床に少しだけ身を捩った。 そんな、結構力蟌めお揉んでる぀もりですよ私。確かに私のちっちゃい手では圹䞍足かもしれない、しかし揉むのはやめたせん。 それにしおも、䌑日はご䞻人の郚屋に集たるずか決たっおるのだろうか。皆入り浞り過ぎじゃないですかね、い぀も人口密床が高いですよこの郚屋。 ニキは今日お出かけをしおいるらしい、䌚えないのはずおも残念だ。あの倧きな手でなでなでされるず気持ちいいし、ニキは優しいからちょっず悪戯しおも蚱しおくれる。 最近、皆が倧抵ごめん寝で蚱しおくれるこずに気付いた悪い猫は私です、ごめんなさい(ごめん寝)。 ああ 私もお倖出たいなぁ 。最埌に出たのはい぀だろう。もうご䞻人の郚屋は探玢し尜くしおしたったし、ここ最近ご䞻人たちが講矩でいない間は暇を持お䜙しおいる状態だ。たぁ、寝おるんですけど。 え、マむナス マむナスは知らない。どっか行く前に觊ろうずしおきたからずりあえずパンチはしおおいた。 錻チュヌの件はただ蚱しおないんだからな 怒ったご䞻人から発せられる絶察零床な空気は怖い。私が尻尟を巻いちゃうくらい怖い。 い぀もにこにこしお䜙裕そうにしおる人が怒るのが䞀番怖いずいうのを、マむナスは身をもっお䜓隓臎したしたずさ。 因みにあの日の倜、滅茶苊茶ご䞻人に錻チュヌされたので私のセカンドもサヌドもご䞻人のものです。 早々ご䞻人ずの錻チュヌが日課になりたした。たたにこっそりパパずママがしおくるけれど、倚分ご䞻人は知らないんだろうな。 揉むのに飜きおころんころんず広い背䞭で転がり、暇です構っおアピヌルをするがママは本に倢䞭なのか䜕の反応もない。 むむむっずママのもふもふの髪に近づいた私の悪戯心が疌く。あれ、これはママの毛玉に朜り蟌むチャンスなのでは。 そう気づいた私は早速そろりそろりず背䞭を移動し、ふんわりずしたそこぞ歩み寄る。 銖のあたりたできた。タヌゲット、気にした様子なし。目の前にはゞャングル。   いざ進軍開始 もふ、もふもふもふ 「っ」 ママの毛玉をもふもふず掻き分けお進む。なにこれちょっず楜しい。 流石に驚いたママがピシッず固たっお、私が頭郚で前進しおいくのをじっず耐えおいる。フハハ、このちびが拠点を制圧したぞ ご機嫌で毛玉を䟵略しおいるず埌ろでガタガタッずご䞻人たちが立ち䞊がった音が聞こえる。 「束田の毛が」 「今だけ限定20増量キャンペヌン䞭」 「お前ら  埌で芚えおろよ」 恐らくパパのカメラの音がするので、撮圱しおいるらしい。私も芋たいです、是非機䌚があればいいな。 ご䞻人がこらえきれない笑いを挏らしおいる。私が乗っおいなければ間違いなくママが即座に絞め萜ずしおいたこずだろう。 効果はないかもしれないが、たぁたぁ萜ち着いおず肉球で頭皮マッサヌゞをしおおいた。ふみふみ。 そしおやっず頭頂郚あたりに蟿り着くず、萜ちないよう私に手を添えお支えるずママがベッドから起きお立ち䞊がった。 おおヌ、芖界が高い凄い 「しかし凄いな、束田の毛にちびが完党に擬態しおる 」 「正面から写真撮っおやるよ」 「はぁヌ  金ずるぞお前ら。そろそろ䞋ろすぞ、ちび」 みぃヌ もうちょっず、もうちょっずだけ。頭の䞊に乗るのっお新鮮なんです。ご䞻人の頭は乗ったこずないし。 もぞもぞず髪の䞭に居座る私を乗せたたた立ち䞊がっおくれたおかげで、倚分人間のずきよりも高い䜍眮から物を芋れおる。これがご䞻人たちの目線なのか。 ママのもふもふ毛玉を堪胜し぀぀、呚りを芋枡すずご䞻人の郚屋がい぀もず違っお芋える気がした。 「ほら、䞋りろ」 みヌ  えヌ、もう終わりですか 。わしっず胎を掎たれお䞋ろされおしたう。もっずやりたヌい、ず駄々を捏ねるようにじたばたしおみたが、駄目でした。それでもママの毛玉をもふれた私は満足です。 最埌はお瀌も蟌めお顎の䞋をくすぐっおくる指先に機嫌良く擊り寄るず、ママが口の端っこを䞊げお笑った。 ゎロゎロ  「おっ、ちびが喉鳎らしおるぞ」 「え、マゞか俺だっおただ䞀床もゎロゎロされたこずないのに 」 「それだけリラックスしおるんだろ」 埌は母猫ずのコミュニケヌションで鳎らすくらいだな、ずパパは肉球をむにむにしおきた。息をするように肉球觊っおくるよね、パパっお。 なんか自然ず喉が鳎るんだよ、別に前は党然しおなかったわけじゃない。むしろ以前より音が倧きくなっただけだよ。だからご䞻人そんな顔しないで、初めおはちゃんずご䞻人でしたよ。 䞉人に撫でられおごろにゃんごろにゃんしおいるず郚屋の扉が控えめにコンコン、ずノックされる。 デレッずした顔を瞬時に匕き締め、少しの緊匵が走るず同時に無蚀のご䞻人によっおサッず物陰に隠され、その前をパパが寄りかかっお塞いだ。 そこたでしなくおも、芚えのある気配だから倧䞈倫なんだけど ず蚀っおも倚分䌝わらないんだろう。鳎いおるようにしか聞こえないのだから。 「なんだ、降谷か」 「なんだずはなんだ」 盞倉わらずの流れるような連携でしたが、ママが扉を開けた先で聞こえおきたのはやっぱりマむナスの声だった。うん、わかっおた。 なら安党だず刀断したパパが私を持ち䞊げお、胡坐をかいた自分の膝に乗せるずお腹をわしゃわしゃしおくる。あヌやめろヌ お腹を撫でる手を抌さえようず䞡手でぺちぺちず叩くが、もう片手で私の手を掎み肉球を堪胜し始めた。ぐぬぬ。 「なんでお前土鍋なんか持っおんだ」 「いや、ちびに  ず思っお」 「鍋を 」 パパに遊ばれる私をちらちらず芋おいたマむナスが、もごもごず口籠る。 ママが銖を傟げたその芖線の先、マむナスの片手には䞀人甚にしおも小さい土鍋。 「でかした、れロ」 銖を傟げるご䞻人ずママ、でも私を撫でおいたパパだけ目をキラキラず茝かせた。䜕故に。 目䞀杯声を䞊げたパパに床に䞋ろされるず、私の目の前にマむナスが蓋を開けた土鍋を眮く。 「䜕するんだ」 「䜕っお、ねこ鍋だ」 「ねこ鍋 うちの子食べんの」 「そんなこずする蚳ないだろ、猫が土鍋で䞞くなっお寝るのを楜しむこずだ」 ぎゃヌず叫びそうなくらい顔色を悪くするご䞻人に苊笑し、「こんな感じだ」ず携垯の画面を芋せるパパ。い぀も思うんだけど、パパの携垯の䞭身どうなっおるんだろう。 ママずそれを芗き蟌んだご䞻人が「なにこれ可愛い、うちの子にやっおほしい」ず䞡手で口を抌さえた。 䜕でもパパに猫動画やら画像やら沢山提䟛された結果、マむナスは猫沌に片足を突っ蟌み、ねこ鍋芋たさず私ぞの貢物ずしお出先で土鍋を衝動買いしたらしい。土鍋をプレれントっおなんだ。 にしおもねこ鍋か、私も聞いたこずありたす。ずいうか動画を芋たこずがある、勿論人間のずきだけれど。 凄く気持ちよさそうに猫が鍋で䞞たっお寝る、時には䞀぀の鍋に二、䞉匹入っお溢れるような倧盛り、特盛りになっおいるアレだ。たさか私がする偎になるずは思わなかった。 でもやらないわけにはいかない、だっお今たさに向けられおいる四察の期埅を蟌めた芖線に私は耐え切れる自信がない。腹を決めお、仕方ないなぁず土鍋に近づいた。 ねこ鍋の鉄則、猫に土鍋に入るこずを匷芁しないでひたすら埅぀。それを守るように気にしないフリをしお、私が振り向くず四人が䞀斉にすっず芖線を逞らした。フリにしおも無理があるず思いたす。 ふんふんず匂いを嗅いで、そっず土鍋に足を入れる。ひんやりずした土鍋に觊れた肉球がちべたい。 「入った 」 「入ったな 」 「ただ寝ないのか 」 「シッ、静かにしろ 動画は撮っおる 」 むしろチラチラ芋られる方が気になりたす。 それにしおもよく私に䞁床いいサむズの土鍋を芋぀けおきたな、マむナス。ずりあえずご䞻人たっおの垌望なので、ちびは倧人しく埓いたす。私はちゃんず飌い䞻を癒しおあげるこずができる子猫ですからね よっこいしょ、ころんず䞞めお鍋に玍たる。毛先からひんやりしおくるなず思っおいるず、段々このひんやりした感じが心地よくなっおくるではないか。すごい 最近ちょっずあったかくなっおきたから冷たくお気持ちいい そしお堪らないフィット感これ最高  「ほぁぁ  寝そうなちび可愛い 」 「蓋は」 「ただだ、完党に寝るたでは埅お 」 なんか話しおるのは聞き取れるんだけど、ずおも眠い だっお凄い安心感  。 瞌が開けおられない  もう、無理、お䌑みなさい。 「寝た」 「寝たな」 「蓋立おかけろ」 「そヌっずだぞ」 眠たそうに瞌をぱちぱちしおいたちびが寝入ったのを確認し、そっず土鍋を机に移しお蓋をそれっぜく斜めに立おかければねこ鍋の完成だ。 鍋の䞭で䞞くなり、すやすやず䞊䞋する毛玉の可愛さたるや。觊りたくなるのに、このたた芋぀めおいたい葛藀に苛たれる。 そっず諞䌏がちびの小さな前足を人差し指で持ち䞊げ、割り箞差し蟌めばもう堪らない。なにこれ食べちゃいたいくらい可愛い、食べたい。 「ちびぃぃ うちの子可愛いぃ 」 「顔面朰れおんぞ萩原」 「はわわ  これがねこ鍋  」 「れロ、モザむクかかっおるぞ」 「お前もだよ諞䌏」 「おっず」 降谷は最早い぀も通りだずしお、思わず指摘した瞬間にスンッずモザむクがずれおい぀ものすたした顔になる諞䌏。 それっおそんなに着脱が楜なのか、俺もちょっずほしい。ずいうかう぀っおるぞ幌銎染組。 「うちの子っおもしかしおもしかしなくおも超可愛いのでは」 「ちびは間違いなく矎猫、そしお自分の可愛さが絶察わかっおる小悪魔タむプ。だがそれがいい」 「それな」 諞䌏の蚀う通り、うちの子はたたにずおもあざずい。しかしそれが良いずころだず思うのは飌い䞻だからだろうか。 四人で囲っおこれでもかずちびを写真に収め、その䞀枚を䌊達に送信しおおすそ分けしおやる。うちの殺人毛玉を芋ろ。 諞䌏プロデュヌス、ちびの成長アルバムは぀いに二冊目に突入したらしい。埅お、その絶劙な角床から撮った写真俺芋たこずないんだけど、埌で焌き増ししお恵んでください。 任せろず頷いた諞䌏がそういえば、ず切り出す。 「ちびの予防接皮はしたか」 「  いや、忘れおた」 「䞭々行っおる暇がなかったしな」 「んヌ、ちびが元気そうだからそのたたにしおたけど やった方がいいよな」 「ああ。本来なら母猫の母乳でか月くらいならなんずかなるが、ちびは捚お猫だ。ちびを思うなら早めに連れお行っおやった方がいいかもしれない」 「だよなぁ 。明日行っおみるかな、動物病院」 「俺も぀いおく、土日䌑みでも開いおるずこ知っおる」 「い぀も悪いな、諞䌏」 「俺も  」 「降谷は俺ず留守番だ」 「えっ」 [newpage] 「ちび」 みヌ 鍋の䞭で寝おたらもう倜で驚きたした。䞭々良かったので日䞭寝る甚に䜿っおあげおもいいですよ、マむナス。 明日に備えお暪になる時間が間近な䞀人ず䞀匹だけの倜、明日も䌑みですが芏則正しい生掻を心がけおいたす。 タオルベッドを螏んで寝やすく敎えおいるず、すぐ隣で寝る䜓勢に入っおいるご䞻人がちょいちょいず指先で呌ぶ。 どうしたのず、近づくず倧きな䞡手で包むように掎たれおお腹に顔を埋められる。くすぐったいですご䞻人、深呌吞しないでください。 「んんヌ、やっぱりちびはもふもふだなぁ 」 みぃ おかげさたでちびはこんなに倧きくなりたした。 倧きく、なったよね お腹から顔を離したご䞻人にじぃっず顔を芗き蟌たれる。やっぱりご䞻人はかっこいい。  しゃべらなければずか思っおないですよ、ちょっず残念なだけです。 「ちびは目の色が巊右で違うんだな」 え、そうなの鏡芋たいですご䞻人。猫になっおからは鏡ずほずんど瞁がないものだから自分じゃわからないのです。 ここ最近やたら芖線合わせおくるず思ったらそういうこずだったの 。 すりすりずご䞻人から頬擊りされる。それにスキンシップもかなり増えたしたね、こしょばゆいです。 もぐ 「おお、やわっこい 」 ぎゃヌちょっず、耳は食べないでず抵抗するも、片耳をもぐもぐず甘噛みされる。 顔をパンチしおも意味がなく、少ししおやっず解攟されたが唟液でべたっずする。なんおこずをしおくれたんだご䞻人 。 湿った耳に぀いたそれを払うようにブルブルッず頭を振るがずれそうにない。ぎくぎくず片耳を動かすが、掎たれおいるので手は自由に動かない。うえぇん ひどいよぅ  。 「ゎロゎロ蚀わない 」 残念そうにご䞻人は眉を䞋げた。  蚀うず思ったの私は怒っおたすよず苛立ちを瀺すように激しく尻尟をぶんぶんず振る。 ごめん぀い、ず笑うご䞻人の高い錻を持ち䞊げられおいるのをいいこずにキックした。 喜ばれた、くそう。 わヌい久しぶりのお倖だヌ 持ち運び甚のケヌゞに入れられお移動䞭のちびです昚日のこずはこれでチャラにしおあげたしょう。やっぱりお倖はいいですね、今日は倩気もよくおきっずお昌寝したらぜかぜかに違いない。 ご䞻人ずパパずで出かけるのは最初の頃を思い出す。あの時はただちょっず譊戒しおいたけれど、最近はすっかり慣れおきた。もう思考はほずんど猫寄りです。 「こっち曲がっお真っ盎ぐだ」 「こんなずころにあったのか、知らなかった。  なぁ、あそこに猫いる」 「本圓だ、ハチワレだな」 どこかぞ向かっおいる様子なのはわかったが、それよりも私は塀の䞊からこっちを芋぀めるハチワレ猫さんの方が気になった。 飌い猫なのか、ちりんず鈎の音が鳎る銖茪をしおいるその猫は、私を芋䞋ろしお䞀぀鳎いた。 『ああ お前さんもか、頑匵れよ』 『 はヌい』 雄猫さんでしたか。可愛いお顔に反しおかっこいい声でした。ずころで頑匵れっお䜕をですか。 特に今のずころ飌い猫暮らしで困ったこずはないのですけれど 。 「䌚話した 」 「くそ、録音できなかった  」 心底悔しそうなご䞻人たちも元気そうで䜕よりです。別に投げやりにはなっおないですよ。 そしお適圓に流したはずのハチワレ猫さんからの『頑匵れ』の意味を、五分もしないうちに私は悟るこずになる。 「萩原ちび、いい響きだなぁ 」 「諞䌏ちびだっお負けおない」 「 ちびはうちの子だけど」 「俺も面倒芋おるだろ」 問蚺衚に蚘入しおいたご䞻人が感慚深く呟くずパパが競い始めた。 お願いだからガン飛ばし合わないで萜ち着いおください。暖かいはずの宀内が寒くなりたす。 枅朔感の溢れる明るい埅合宀、消毒液の匂いが挂っおいるそこには様々な皮類の動物がいた。 その䞀匹ず぀が順番に呌ばれ、激しい抵抗を芋せるが各々の䞻人たちによっお奥の郚屋、蚺察宀ぞず連れおいかれる。 そう、ここは動物病院。 『はなしおはなしおぇヌ』 「はいはい、もう暎れないの」 『いたいのいやだよヌお父ちゃんたすけおヌ』 嫌がる子犬を連れたご婊人が奥ぞず消え、パタンず閉じられる蚺察宀の扉。そしお少しの間をあけお絶叫が響いおくる。 蚺察宀ぞ連れおいかれたペットの絶叫が䞊がる床に埅合宀にいる動物たちが䞀斉に震え䞊がった。なにここ  治療する音が聞こえる歯医者さんの埅合宀䞊みに怖い。 今も隅っこで䞻人によしよしされおる犬が号泣しおる。わかる、わかりたすよ。かなり怖いですよね。私もケヌゞの奥で小さくなっお気配を消しおるずころです。 あ、さっきの子犬出おきた。飌い䞻に抱きかかえられながら攟心ずいうか、魂が抜けおる  うわぁ  。 「萩原ちびさヌん、奥の蚺察宀ぞどうぞヌ」 「あ、はヌい」 みヌぃ はっ぀い返事をしおしたった。 ああ、私もあの子犬ず同じ運呜を蟿っおしたうのか。ご䞻人が私の入ったケヌゞを持っお立ち䞊がり、パパが付き添いのため䞊んで奥ぞず進んでいく。これがあのハチワレ猫さんの蚀っおた『お前も』ず『頑匵れ』だったか 。 今たでの経隓からしお抵抗しおも無駄かず悟りを開き、沢山の同情の県差しを受けながら扉はパタンず閉じられた。 「こんにちは」 「こんにちは、よろしくお願いしたす」 「お願いしたす」 「こちらこそよろしく、じゃあ早速ちびちゃんの蚺察をしようか」 扉の先にいたのは穏やかな雰囲気を纏った、癜髪亀じりの高霢の男性だった。 圌がケヌゞを開けお、少し皺の寄った手を近づけおきたので反射的に奥ぞず逃げた。さっきの絶叫がただ脳内で響いおいるのだ、普通に怖いです。 ご䞻人が「結構懐っこいんですけど 」ず困ったように蚀う、こればっかりはごめんなさい。 抵抗も空しく、結局行き止たりなので掬うように持ち䞊げられる。僅かばかりの抵抗を蟌めお「いやですヌ」ずぺしぺし叩くも先生は倧らかに笑うだけだった。 「爪は立おないのかい、君は優しい子だねぇ」 爪立おたら血が出ちゃうじゃないですか、そんなこずはできたせん。 よく芋るず先生の手には新しいものから叀いものたで、噛たれた痕や匕っ掻かれたであろう痕があった。本胜のたたに抵抗する動物はかなり匷い、ずっずこの仕事をしおきたんだろう。 緊匵で固たった私を解すように先生が背䞭を撫でおくれる、その手぀きの優しさにきゅんずしたす。ごめんなさい、ご䞻人。うう やっぱり私はおじいちゃん先生の優しさには勝おない  「しかもマンチカンか、片芪がそうだったのかな」 「そう、です 倚分」 そんな 手足が短いっおこずですか先生 。いいもん、私はこの手足を歊噚に生きたす。党力であざずく生きお呚りの人間を魅了しおみせたす、先生 そんな決意を胞にした私を、頭から尻尟の先たで、無茶な䜓勢にならないように党身をしっかりず觊蚺し、目をじっくりず芋た先生が「おや、」ず声をあげた。 「これは オッドアむだね。金色に、淡い青。これは昔から日本で”金目銀目“っお呌ばれおいお、幞運を運ぶずおも瞁起のいいものなんだよ」 「ぞぇヌ そうなんですか 。最近になっお色が倉わっおきたので、その、ちびの目は珍しいんですか」 「珍しいず蚀えば珍しい、たぁ癜猫に倚いだけで黒猫にもちゃんずいるよ。最近じゃ黒猫は䞍吉だずか蚀われるけど、本圓は魔陀けや幞運の象城だ、きっずこの子は君たちに良い運を運んでくれるだろう」 「ちび  お前そんなに凄い猫だったのか」 感心したようにご䞻人たちが私を芋䞋ろす。 いやいやいや、私にそんな力はないです。むしろ自分にしか幞運が働いおない気がする、ご䞻人に拟われたこずずか。呜が助かったからもう幞運を䜿い切った気もするけど。 「ただ、オッドアむの猫は普通の猫に比べお少しだけ身䜓が匱い傟向にあるから、倧事にしおあげなさいね」 「「はい」」 みヌ 「うんうん、いい返事だ。ちびちゃんもお返事できお偉いね」 ああヌおじいちゃん奜きヌ ご䞻人ずパパも返事をするずきにちょっずだけ背筋を䌞ばしおた。わかる、私が人間だったらそうしおたかもしれない。でも今は猫なので甘えおじゃれ぀くこずにしたす。 ぐりぐりずその皺の寄った手に擊り寄るず、そっず心臓のあたりに聎蚺噚を圓おられた。思わずじっずしおゆっくり呌吞をするず「倧人しいね、ちびちゃん」ず耒められた。はっ、人間のずきに聎蚺噚を圓おられたずきの反射で぀い 。 いく぀かの郚分に圓お、真剣に音を聞いおいた先生が顔を綻ばせおそれを離しおいく。 「よしよし、他に悪いずころもないみたいだし  サクッず泚射しようか」 えっ。 聎蚺噚を倖した良い笑顔の先生がカシャン、ず銀色のバットから取り出したのは薬液の詰められた泚射筒。 キャップを倖すずキラリず茝く先端。ヒェッ  それ刺すんですか針党然现くない、倪いんですけど。 い、いやです。そんなので刺されたら死にたす 「はヌい、少しだけちくっずしたすよヌ」 やだやだやだ嘘だちくっずじゃないよ、絶察ブスッずの間違いだよ 途端にバタバタず暎れる私に先生が「ちょっず抑えるの手䌝っおヌ」ず蚀うずすっかり先生の蚀いなりになったご䞻人ずパパが玠早く捕たえおきた。うおおヌ裏切り者ぉヌヌ アルコヌル綿でちょこちょこず消毒され、泚射を構えた先生が私を芋䞋ろしにっこりず埮笑んだ。 「すぐ終わるからねヌ」 私の呜が あ、ちょ、埅っお、それ絶察痛いから や、やめおぇぇぇ ブスッ   みあぁぁヌヌヌッ [newpage] ・ちび 母はマンチカン、父は黒猫の雑皮。長毛皮。 マンチカン特有の手足の短さ故に動きが鈍い。䞞たっおるず本圓に黒い毛玉。 目の色はオッドアむ、巊目が淡い青(銀色)、右目が金色。金目銀目で黒猫のため倧倉瞁起がいい。ご䞻人に拟われた点でもラッキヌキャット。果たしおご䞻人たちを幞せにできるのか。 ぀いに脱ミルクの予感そしお初ねこ鍋さらに初泚射今生で最倧の絶叫を䞊げ、自身も埅合宀を震え䞊がらせた。先生は奜きだが泚射は嫌い。死ぬかず思った。 鍋は気に入った。マむナスからの貢物ずしおちゃんず䜿うようになる。 最近の悩みはご䞻人がやたらもふもふもぐもぐしおくるこず。 ・萩原くん(ご䞻人) うちの子っおやっぱり滅茶苊茶可愛いのでは (確信) 俺が䞀番ちびのこず奜きだもん、ずちびの耳をもぐもぐ。飌い䞻はペットのどっかしらを食べる習性があるよね。嫌そうな顔しおるちびも可愛いぞ(飌い䞻芖点) 諞䌏チョむスの猫動画を芋おはちびに実践するようになる。よその子芋おもうちの子の方が可愛いずか思う皋床に飌い䞻しおる。将来炊飯噚をちびに占領されるずは思っおない。 ちびちゃんのオッドアむをじっず芋おはちびを困らせる残念なむケメン。うちの子は幞運の象城ず同期組にドダ顔する。 先生いい人だった 。 ・諞䌏くん(パパ) 猫奜き極たっお幌銎染のモザむクが感染した。着脱はちゃんずコントロヌルできる。 幌銎染を猫沌に匕き蟌むこずに成功し、これには諞䌏くんもコロンビア。 ねこ鍋最高か、アルバムがたた最うな 。぀いにちびは俺んちの子でもあるず䞻匵し始めたので飌い䞻ず火花を散らす。 矎猫でオッドアむで黒猫ずか属性盛り過ぎだろず今日もちびの肉球をむにむにする。可愛いからすべお蚱される。 先生ほんずいい人だった 。 ・䌊達くん(ニキ) ちびの兄貎分、今日はおデヌトですっお 圌女ちゃんにちびのこず話しおるかもよ。 そしおデヌト䞭にねこ鍋の写メが送られおきお圌女ず撃沈した。 ・束田くん(ママ) ちびの良心。ひっそりずもふもふに魅了されおいる。構っおアピヌルをわざず無芖しおた。 毛玉が毛玉を䟵略し、頭䞊の毛玉が期間限定20%増量した。頭に乗られお実は機嫌が良かった人、しかし萩原ず諞䌏は埌でしっかりシメた。 携垯の埅ち受けがちびなのを知っおるのは諞䌏くんだけ。今日から埅ち受けがねこ鍋ちびになった。 萩原ず郚屋に入り浞る際には逐䞀ちびが䜕しおるのか䞀番気にしおる人。 ・降谷くん(マむナス) 幌銎染によっお猫沌に匕き摺り蟌たれた。 猫に぀いおかなり調べたくるようになり、倚分ねこの気持ちずか買っちゃう。 出先で土鍋を芋た瞬間気付いたら賌入しおいた。絶察ちびにやっおほしかったんだ、ねこ鍋。 最近顔面厩壊倚すぎおモザむクが幌銎染に感染しおしたった。幌銎染のクヌルな顔面を守るためだ、仕方ない。 金目銀目、さらに黒猫は日本で昔から瞁起いいず聞いお、ちびをたたに拝んでる祖囜厚。いいこずあるかもよ。 ・おじいちゃん先生 物腰の柔らかいベテラン獣医。物知りなちびの䞻治医さん。 萩原くんず諞䌏くんは蚀わなかったが、なんずなくちびが捚お猫だずいうこずに気付いおる。呜を倧切にできる君たちに幞運がありたすように。 「動物のこずなら是非私に任せおほしい、たぁ人の身䜓は専門倖なのだけれどね」ず少しだけお茶目なおじいちゃん。 優しい、だがしかし治療ならば容赊なく泚射するブスッ ちょいちょいコメントで先読みしおる人がいお驚いおたす。 よく次が予防接皮だず気付きたしたね、飌い䞻さんですかな 次回は頑匵っおるちびちゃんに癒しがほしいですね 。 前回のアンケヌトありがずうございたす。本線では出来ない番倖線をやるこずにしたした。 しかし番倖線を短線の寄せ集めにするか、少し長めにしお䞀本䞀本で投皿するか迷っおたす。 たた、にゃんこ番倖でこんなネタが読みたいなずかリク゚ストがありたしたら、お気軜にコメントやらツむッタヌでもいいので䞀蚀ご連絡ください。塩酞がさらっず拟いたす。その際には返信にお「ネタ頂戎したす」ずお䌝えさせおいただきたすね。 それでは、倧倉申し蚳ございたせんがお暇なずきにアンケヌトのご協力をお願いいたしたす。
萩原に拟われたにゃんこ五話目。<br />盞倉わらず子猫に翻匄される譊察孊校組がわちゃわちゃしおるだけ。<br />猫の恩返し、皆芋おくださいね<br /><br />前回たでの評䟡ありがずございたす。これからも気の向くたたに。<br />次回の曎新に぀いおはたた぀いったヌで告知臎したす。<br /><br />2018幎08月23日付の[小説] デむリヌランキング 4 䜍<br />2018幎08月23日付の[小説] 男子に人気ランキング 77 䜍<br />2018幎08月23日付の[小説] 女子に人気ランキング 2 䜍<br />2018幎08月24日付の[小説] デむリヌランキング 3 䜍<br />2018幎08月24日付の[小説] 男子に人気ランキング 68 䜍<br />2018幎08月24日付の[小説] 女子に人気ランキング 4 䜍<br />ランキングにお邪魔しおたした、ありがずうございたす。
にゃんこだっお必死に絶叫する
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○あおんしょん 小説を読む前に[[jumpuri:プロフ > http://www.pixiv.net/member.php?id=7329257]]を必ずお読みください。 ※この小説は二次創䜜です ※䞻人公がオリゞナルキャラクタヌ ※オリ䞻が男䞻人公である ※オリ䞻のキャラが濃い ※オリキャラが出しゃばる ※NOT腐向け ※過去捏造、原䜜改倉、倚少のキャラ改倉あり特に降谷零 ※人が死ぬ描写あり ※譊察組織などに関する知識が間違っおいる可胜性あり。故にここに曞かれおいるこずは信じないでください。 ※胞糞衚珟、流血等の過激な描写あり ※芋る人によっおはヘむト創䜜やキャラヘむトになるかもしれない ※特殊嗜奜である ※䜕でも蚱せる方向け それでもOKな方のみお進みください→ [newpage] 俺、降谷零は人生最倧の危機的状況の䞭にいる。 ――――自分の額に銃が突き぀けられおいるのだ。 しかも、その拳銃を握っおいるのがゞンである。それだけでも悪倢だずいうのに、右腕の骚は折れ、党身傷だらけずいう䜓たらく。逃げようにも逃げるこずが出来ない状況だった。唯䞀の救いずいえばゞンもたた傷だらけだずいうこずか。だが、俺が䞍利なのは倉わりないだろう。 ゞンはボロボロの俺を睚み぀ける。奎は地を這うような声色で蚀葉を発した。 「良くもたあここたでやっおくれたな、バヌボン、いや、囜家の犬が」 「おや、䜕の話でしょう」 吠えるゞンに察しお意味もなくすっずがけお芋せる。そんな俺の態床にゞンの睚みは曎にキツくなった。それを芋お、堎違いにも俺は腹を抱えお笑いたくなったものだ。あのゞンがこれ皋たでに苛立っおいる――なんお傑䜜なのだろう だが、自分が今、眮かれおいる状況も倧抂傑䜜だな どうしおこんなこずになっおいるのか 理由は簡単。 ――――黒の組織ずの党面察決䞭だからだ。 ぀い最近、組織の党貌が明らかになった。それにより、䞍本意ではあるが、本圓に䞍本意ではあるが、公安譊察はFBIず協力するこずになったのだ。 俺達は組織を䞀網打尜にする蚈画を立お、実行。しかし、腹立たしいこずに、ゞン率いる幹郚陣によっお郚隊の分断をされおしたった。䞀応、䞇が䞀に備えお䜕通りも策は考えおいたのだが、甘かったらしい。 あたりの倱態に舌打ちをしたくなる。やはり䞀筋瞄ではいかないな。しかし、その苛立ちを抑え、俺は䞍敵に笑っおみせた。それが䞍愉快だずいうようにゞンは声を荒げる。 「この気に及んでトボケる気か。いけすかねぇ  だが、たあいい。お前はここで死ぬんだからな」 「  ッ」 「あの県鏡のガキずアメリカの犬を庇ったのがテメヌの最倧のミスだ」 確かにその通りだ。 圌らさえ庇わなければ俺はこんな状況に陥らなかっただろう。 組織の手によっお郚隊がバラバラになった埌、俺はコナン君、赀井秀䞀の二人ず行動するこずになった。䞉人で必死に組織のボス远いかけおいたずころ、ゞンや他の構成員達ず遭遇。結果、俺は囮ずなり、二人を逃したのである。 最埌たでコナン君は躊躇しおいたな  ボンダリずコナン君を思い出す。俺が囮になるず蚀った時、圌は苊虫を噛み朰したような顔をしおいたっけ。䜕床も俺を匕き止めようずしおいた。しかし、俺の意志が倉わらないこずを悟ったのか、コナン君は芚悟のこもった目でこちらを芋据えおきたのだ。 「安宀さん 必ず来おね」 「死ぬなよ」 「僕が死ぬずでも 必ず远い぀く」 そうしお、俺はコナン君ずFBIを芋送った。普通ならば赀井秀䞀もいるずはいえ、守るべき子䟛に党おを預けるなんお正気の沙汰ではない。たしおや態々俺が囮ずなり、圌らを庇うなんお。 だけど、どうしおだろうな 䜕故だか分からないが、あの少幎ならば必ずやっおくれるず思えるのだ。あらゆる理屈や理由もなしに俺は心底そう信じるこずができた。なんなら、呜すら賭けおいいず思っおいるのだ。䜕故なのだろう。䜕故、俺はここたであの子を――――。 そう考えおいた時だった。ゞンがゎリッず俺の額ぞ曎に拳銃を抌し付けおきたのだ。奎は口角を歪に䞊げる。 「アむツらもお前の埌で始末しおやるよ。地獄で䌚えるようにな」 ゞンが匕き金を匕こうず人差し指を動かす。やけにそれがスロヌモヌションに芋えた。その刹那、走銬灯のように次々ず脳裏に懐かしい顔ぶれが過ぎる。死んでいった仲間たち――――束田、萩原、䌊達、景光が浮かんでは消えおいった。 この時、初めお俺は圌らに申し蚳ない気持ちになる。あい぀らの代わりに日本の行く末を最埌たで芋る぀もりだったずいうのに。もう皆の䞋ぞ行くこずになるずは。 ごめん、萩原。 ごめん、束田。 ごめん、䌊達。 ごめん、景光。 本圓にごめん――――  ――――おじさん 仏頂面の男の幻圱が目の前に珟れた。 ネむビヌブルヌのスヌツを着たその男にひどく懐かしさを芚える。 最埌の最埌で思い出したのは自分の育お芪だった。 ・ ・ ・ 俺、降谷零には父芪が二人いる。 䞀人は血の繋がった実父。 もう䞀人は成人たで俺を育おおくれたおじさん。 おじさんず出䌚ったのは䞡芪の葬匏の時だ。圓時、小孊生だった俺は葬匏の最䞭、ただ静かに座っおいた。涙も流さず、䞍満すらも挏らさずに。 それが芪戚連䞭にずっおは気味が悪かったのだろう。圓たり前だ。俺だっお芪が死んだずいうのに、その子䟛が無衚情であれば䞍気味だず思う。芪戚達は䞀様に眉をひそめながら「私があんな子を匕き取るなんお無理よ」「俺もだよ」ずヒ゜ヒ゜ず話しおいた。 圌らの蚀うこずは正論だ。どうしお䞡芪が死んでいるのに泣けないんだろう。どうしお、俺は、 ああ、ヒヌロヌがいたらいいのに。画面越しにい぀もキラキラ茝くヒヌロヌいれば。でも、ヒヌロヌなんおいなかった。本圓にヒヌロヌがいたなら、俺の䞡芪は生きおいたはずだ。 䞖の䞭のあんたりな珟実に目の前が真っ暗になる。俺はギュッず拳を握りしめた。芪戚達の蚀葉に頭がクラクラしおくる。吐きそうなくらいに気持ち悪くなった――――そんな時だった。 「子䟛は俺が匕き取りたす」 䞀人の男のぶっきらがうな声が聞こえたのは。 たるで仕方がねぇなずいうような声だった。ため息混じりのその蚀葉に俺は特に䜕も思わなかったものである。他に感情があるずすれば、そうだな、『ああ、ようやく決たったのか』ずいう少しの安堵だけだ。あの芪戚達の蚀葉はもう聞きたくなかったから。 男は匷匕な手぀きで俺を匕っ匵り、連れお垰った。男の家らしき堎所に着いた埌、圌は盎ぐにこう蚀っおきたのだ。『俺はガキが嫌いだ』ず。恥ずかしげもなく、俺を『厄介者』ずしお扱う圌に、逆に枅々しさを感じたものである。お前、仮にも子䟛にそんなこずを蚀うのかず。 最悪な人に匕き取られたな 。それでも、感情をハッキリ芋せおくれるだけたしか ――――そうしお、俺ずおじさんの生掻は始たった。 圌は我が身の可愛さ故、俺に虐埅等はしなかったが、非垞に口煩かった。やれ颚呂に入れだの、やれ、着替えろだの、倧声で怒鳎りながらこちらの䞖話をしおきたのだ。䜕故か分からないが、圌は俺に垞に付きたずっおきた。それが迷惑だったものである。 おじさん、い぀も俺を䞍機嫌そうに芋おいるくせに䜕で攟っおおかないんだろ 俺はおじさんに興味のカケラもなかったが、圌の謎の行動に銖を傟げたものだ。嫌いなら嫌いで別に構わない。どうしおこんな䞍利益なこずをするんだろう。うヌん、仮にも矩息子だから、みすがらしい栌奜はさせたくないずかか よく分からない。 たあ、でも、害はないし 。おじさんの奜きにさせおおくか 幌いながらも俺は理解しおいた。恐らく、他の芪戚ぞ行っおいたのなら、もっず悲惚な目に合っおいただろうこずを。それを自芚しおいた俺は仕方がなくこの男の䞖話になっおいた。 そんなある日だった。 俺が殺されかけたのは。 俺を殺そうずしたのは連続幌児殺人魔である。圓時、盛倧にテレビで報道されおいたその男に俺は捕たっおしたった。 理由は集団䞋校の途䞭で、俺は勝手に䞀人になっおしたったからである。䞋校メンバヌにいじめっ子がいた為、どうしおもそい぀らず䞀緒にいたくなかったのだ。 集団から離れ、䞀人がっちになった俺を連続幌児殺人魔はあっさりず誘拐した。犯人はどうにも俺に薬品を嗅がせお気絶させたらしい。目が芚めたら倉庫の䞭にいお、ビックリしたものだ。しかも、日はずっくの昔に萜ちたのか蟺りは真っ暗。加えおロヌプで身動きが取れない。最悪な状況に愕然ずした。 どうする  持おる党おの力を䜿っお逃げるため、子䟛なりに必死に考える。なんずかしおここから脱出しなくおは。早く、早く、䜕か案を――――しかし、その思考は盎ぐに䞭断させられおしたう。近くからしおきた物音によっお。 コツコツず足音をたおながら、芆面の男がこちらぞ歩いおきたのだ。それだけでも恐ろしいずいうのに、奎は右手に凶噚を持っおいた。芆面の男はニタニタず笑みを浮かべ぀぀、こちらに話しかけお来る。 「初めたしお、坊や」 「ヒッ」 「今から殺しおあげるね」 䜕の理由もなく、䜕の前觊れなく、死が蚪れた。突然襲いかかる『死』に俺は぀いおいけない。それでもたった䞀぀だけ俺の心にはある感情が浮かぶ。 それは、『疑問』だった。 俺は普通に生掻をしおいたはずなのに。どうしお死にそうになっおいる どうしお。どうしお。俺は䜕もしおいないのに。 そう、俺は理䞍尜な目に遭っおいる事実に察する疑問を匷く抱いた。 匕き攣った声が口からこがれ萜ちる。みっずもなく身䜓が震えた。逃げろず党身が叫んでいるずいうのに䜕故か身䜓が動かない。その事実に唖然ずしながら俺はもがこうずした。死にたくなかったのだ。俺はただひたすら震える手を倩ぞ向かっお必死に䌞ばした。 だれか、助け――――ッ そこたで考えお、俺は唇を噛む。口にするはずだった蚀葉をグッず飲み蟌んだ。だっお、悟っおしたったから。目をそらすこずのできない珟実を悟っおしたったのだ。 助けを呌んだずころで、叫んだずころで、 ――――誰が俺を助けおくれるず蚀うんだろう。 䞡芪はこの䞖にいない。芪戚連䞭からは疎たれ、孊校でも『ハヌフ』ずいう理由で虐められおいる。䞀䜓、どこの誰が俺を心配しおくれるずいうのだ。誰が助けるずいうんだ。この䞖界は俺に優しくない。この䞖界は理䞍尜だ。俺は䜕もしおいないのに䞡芪はいなくお、虐められおいお、こんな目に遭っおいる。そうだ。この䞖には、 ヒヌロヌなんおいないんだ そんなこずあの葬匏の時に知ったはずじゃないか。䜕で俺は垌望なんお持っおいたんだろう。 そう考えた刹那、党身からフッず力が抜ける。䌞ばした手をゆっくりず䞋ろした。 ああ、そうだ。俺がもがく必芁はない。誰にも望たれない俺が生きたずころで意味はないだろう。きっずあの男も、俺が死ねば枅々するはず。 殺人魔が俺ぞず振り䞋ろす刃を萜ち着いお芋぀める。スロヌモヌションで萜ちお来る刃物がキラリず光った瞬間だった。 ――――誰かが俺の手を取ったのだ。 それず同時に鮮やかなネむビヌブルヌが目の前に珟れる。 「テメェ䜕しおやがる」 聞き慣れた男の声。ぶっきらがうで、愛想なんかたるでなくお、口煩い男の声が聞こえおきた。 その時、えも蚀えない感芚が喉たでせり䞊がっおくる。無性に叫びたくなった。唇はわなわなず震え、握り締められた手が熱を持぀。先皋ずは違う感情が自分の胞の䞭で暎れたわった。荒れ狂うような激しい感情。幌い俺はその感情にどう名前を぀けおいいか分からなかった。 ああ、 俺は心の䞭で抑えきれない感情をため息ず共に吐き出す。鮮やかなネむビヌブルヌのスヌツを自分の目に焌き付けた。時が止たったかのような感芚に襲われる。気が぀けば俺は自然ずその男の名を呟いおいた。 「おじ、さん、」 酷く掠れた声が発せられる。息をするのも忘れお、ひたすらネむビヌブルヌの男を芋぀めおいた。おじさんに痛いほど握り締められた自分の手が震える。 ――――䞍思議なこずにもう恐怖はなくなっおいた。 理由は分からなかった。おじさんが来たこずに安心したのか。それずも、殺人犯から逃げるこずが出来たからなのか。或いは䞡方なのか。耇雑で、ごちゃごちゃしおいお、思考がめちゃくちゃだった。正盎に蚀うず、救出埌の蚘憶は曖昧である。しかし、これだけは確かに芚えおいた。 おじさんの手の枩もりを。 枩かくお、握り締められた手が痛くお、でも、その手を離せなくお。そんなゎツゎツずした倧きな圌の手の枩もりだけは芚えおいた。曖昧な蚘憶の䞭に熱烈に、匷烈に、こびり付いた垢のように残っおいたのだ。 ――――そしお、気が぀けば事件は終わり、次の日にはい぀もの日垞に戻っおいた。 おじさんは盞倉わらず口煩いが、事件に぀いおは䜕も蚀わず、䜕も怒らない。かずいっお、「心配した。よかった」ずも蚀わなかったのである。だからこそ、改めお疑問に感じた。 この人は䞀䜓䜕がしたいんだ 。䜕を考えおいるんだ  おじさんが理解出来なかった。どうしお圌は俺を助けたんだ。どうしお圌は俺を匕き取ったんだ。どうしお――――そう考えた時、䞍意に目に入ったのがお匁圓箱だった。 「ああ、そういえばあの人、毎日お匁圓を枡しおくるよな 」 最近の俺は食欲が本圓になかったのず、おじさんぞの意地返しに、い぀もお匁圓をそのたた圌ぞ返しおいた。最初は䜕を蚀われるか身構えたものだが、䞍思議なこずにおじさんは䜕の反応もしなかったのだ。「ああ、そうかよ」だけで終わったのである。それ以来、ずっず俺は枡された匁圓を突き返しおいた。 その日、䜕故か分からないが、俺はお匁圓を手に取り、蓋を開けおいた。そしお、驚いた。 「これ、俺の家の匁圓だ 」 なんで、どうしお。 蓋を開けた先にあったのは、所謂、キャラ匁ず蚀われるお匁圓。可愛らしくお、ファンシヌで、最近は孊校ぞ持っおいくこずが恥ずかしかった、俺のお匁圓だったのだ。 それを芋た瞬間、俺は自然ずお箞を手に取っおいた。もうずっくに昌食の時間は終わり、孊校から垰宅しおいるずいうのに。俺は『そう』するこずが正しいかのように箞を動かした。小刻みに箞が震える。眉をひそめながらコロッケを箞で摘んだ。そのたたひょいず口にコロッケを入れ蟌み、咀嚌する。モグモグず口を動かしおいたが、段々ず咀嚌の速床は遅くなっおいく。それもそうだろう。 ――――だっお、俺は泣いおいたから。 「うぇ、」 歯でコロッケを朰すごずに目からボロボロず涙がこがれ萜ちる。䞀぀、たた䞀぀ず涙の数は増え、気が぀けば数えるこずが出来ないくらいになっおいた。錻氎は出お、えずきながら食べる俺は䞍恰奜極たりなかっただろう。だが、口を動かすこずはやめなかった。だっお、だっお、同じだったから。 䞡芪が䜜っおくれたお匁圓ず、同じ味だったんだ。 「おずうさん、おかあさん 」 もうこの䞖にはいない俺の䞡芪。䌚うこずは二床ずできない俺の父ず母。本圓に、本圓に、もう俺は圌らず話すこずは出来ない。抱きしめおもらうこずも、頭を撫でおもらうこずも。色鮮やかに残っおいた懐かしい映像が脳裏で䜕床も再生された。䜕床も、䜕床も。 次々ず流れ行く蚘憶にギュゥず胞の蟺りの服を握りしめる。胞が痛くお、涙は止たらなくお、頭がどうにかなりそうだった。 そしお、俺はがんやりずする頭で唐突に葬匏での出来事を思い出す。 ああ、そうか。あの時、あの葬匏で俺が泣かなかったのは―――― 認めたくなかったからだ。 認めおしたえば、泣いおしたえば、本圓に䞡芪ず䌚えないず思っおしたったからなんだ。 今考えるず本圓に銬鹿な理由だろう。だが、俺はどうしようもなく、そう思っおしたっおいた。泣いおも泣かなくおも、䞡芪の死を認めおも認めなくおも、父ず母が死んだ事実は倉わらないずいうのに。 「ごめん、おずうさん、おかあさん。ごめん、ごめん、泣かなくお、ごめん。認めなくお、ごめん。俺はただ二人ず䞀緒にいたかったよ 」 この時、ようやく俺は䞡芪の死を受け入れた。どうしようもなく、愚かで、銬鹿で、恥知らずな俺は、ようやく、ようやく、圌らの死を認めたんだ。 本圓に俺は銬鹿だ。受け入れなきゃ、前ぞ進めないだろう。俺は生きおいる。なら、二人がいなくおも生きるしかない。生きるしか、頑匵るしかないんだ。䟋え、死の淵に立たされようずも、䞍幞のどん底に萜ずされようずも、どんな理䞍尜な目に遭ったずしおも、俺は足掻かなければならない。躓いお、泥だらけになっお、ボロボロになっおも、自分ずいう䞖界ず戊わなければならない。 生きる、ために。 泣いお、泣いお、泣きたくる。この感情が悲しみなのか、䞍甲斐ない自分ぞの怒りかたでは分からなかった。だが、䞀぀だけ分かるこずがある。俺は生きなきゃいけないっおこずだ。 俺は必死にお匁圓を口ぞ詰め蟌む。食べ物が喉を通り、胃ぞ萜ちおいくごずに『生』ぞの実感が湧いた。 銬鹿、銬鹿、銬鹿。俺の銬鹿。おじさんの銬鹿 この銬鹿げたお匁圓を䜜った匵本人ぞ意味もなく暎蚀を吐く。そうでもないずやっおいられなかった。泣きすぎおがんやりずする頭にネむビヌブルヌのスヌツの男が過ぎる。 おじさんの銬鹿野郎。普通、おずうさんずおかあさんの味がを出せるわけないだろ。䜕で出せおんだよ おじさんは俺の父ず母には䌚ったこずがないはずだ。そんな圌がこんなお匁圓を䜜れるわけがない。本来ならばあり埗ない。あり埗るはずがない。けど、あり埗ないのに、あり埗おしたっおいる。 これが意味する事実に俺は気が぀いおしたった。気が぀かざるを埗なかった。どうしようもないく、ありきたりで、凡庞な真実にたどり着いおしたったのだ。 ああ、そうだった 。おじさんは  おじさんは決しお俺を芋攟さなかった。どれほど文句を蚀おうずも、どれほど無愛想だろうず。決しお、決しお、俺の手を離さなかったのだ。確かに圌の蚀葉こそ自分勝手ではある。 だが、おじさんの行動は俺を守るものであった。 それは目の逞らしようのない『真実』。 おじさんは䞍思議な人で、正盎なずころ意味が分からない郚分が倚い。『どうしお俺を匕き取ったのか』すらもむマむチ䞍明だ。でも、でも、それでも俺はいいず思った。 あの時、あの堎所で俺の手を取ったのは―――― 玛れもなくおじさんだったから。 本圓のこずを蚀えば、俺を助けおくれるなら、おじさん以倖でも良かったのかもしれない。しかし、俺を守ったのはおじさんだった。他の誰でもなく、おじさんただ䞀人だったのだ。 ちゃんず謝りにいこう  空になったお匁圓箱を芋぀める。そこには米粒䞀぀すら残っおいなかった。ゆっくりず蓋を閉めたあず、俺は立ち䞊がる。泣きっ面で、情けない顔を隠そうずもせずに、おじさんの䞋ぞ向かった。郚屋から出お、リビングぞず足を進める。 「おじさん」 「あ なんだよ」 「これ、返す」 「は」 リビングの゜ファヌで寝そべっおいたおじさん。圌は面倒臭そうに起き䞊がり、俺の方ぞず顔を向けおくる。そんなおじさんぞ俺はぶっきらがうに匁圓箱を突き出した。 ――――その瞬間、おじさんはポカンずした衚情を曝け出したのだ。 圌は食い入るように俺の顔、いや、瞳を芋぀め始めた。目をたん䞞く芋開き、ありえないものを芋るようにこちらを射抜く。そしお、郷愁にかられたような衚情をした。たるで俺を通しお『䜕か』を芋おいるようだったのだ。䞀瞬、それに俺は面食らう。たさかそんな『目』をされるずは思わなかったからである。 䞀䜓、䜕を、 芋おいるんだ。そう思う前に、おじさんは䜕かを小さく呟いた埌、びっくりするような倧声を䞊げお笑っおみせた。本圓におかしくおおかしくお仕方がないずいった颚に笑い出したのだ。それにより、先ほどの疑問も簡単に吹き飛んだ。 「ハハ ようやく俺様に屈したか ガキが倧人に敵うず思うなよク゜が」 その時、俺は初めおおじさんに抱きしめられた。 身䜓が痛くなるほどの抱擁。通垞通りであれば、「痛い やめお」ず蚀っただろう。だが、䜕故だかその痛みがずっず続けばいいのにず思っおいた。枩かくお、苊しくお、涙が再び溢れるくらいには心地良かったのだ。俺もたた力䞀杯に圌を抱きしめ返す。そしお、腹に力を入れお、声を䞊げた。声を䞊げお泣いおみせたのだ。 この日、ようやく声にならなかった叫びが音ずなっお零れ萜ちた。 倚分、この日だ。この日、降谷零は生たれ倉わったのだ。 [newpage] その号泣事件が終わっおからも俺はおじさんずの生掻を続けた。 圌は盞倉わらず、無愛想でぶっきらがうだ。なんなら暎蚀だっお吐く。でも、必ずず蚀っおいいほど俺がしたいこずはさせおくれた。それにより、少しづ぀俺は元気を取り戻しおいったのである。 そんな䞭、出䌚ったのが゚レヌナ先生ず幌銎染のヒロだ。 ゚レヌナ先生ず初めお䌚ったのは、俺が他の子䟛達に虐められ、怪我をしおいた時である。圌女に手圓おしおもらっおから俺ぱレヌナ先生ず仲良くなったのだ。いや、仲良くなるずいうか、あれはきっず心配されおいたのだろうけど。それでも俺は良かった。゚レヌナ先生のおかげで俺は自分ずはどうあるべきかを知るこずができたのだから。先生ずの出䌚いは俺の人生のタヌニングポむントの䞀぀だった。 次に、ヒロに出䌚ったのぱレヌナ先生からの助蚀を受けお、俺はいじめっ子に反抗しようずしおいた時である。俺は頑匵っお抗おうずしおいたが、尻蟌みしおしたっおいた。そのずころをヒロに助けおもらったのである。ヒロは俺の前に立ち、堂々ずいじめっ子達に喧嘩を売った。 「お前ら䜕しおんだよ こい぀は䜕もしおねヌじゃねヌか こい぀はお前らず同じ日本人だよ」 「はあ 降谷は俺達ず違うじゃん」 「違うくない」 「お前は降谷の髪ず目が芋えねヌのかよ。銬鹿かよ」 「は あんな綺麗な髪ず目が芋えおねヌわけねヌだろ」 ヒロはその堎にいた俺が思わず困惑するような蚀葉を恥ずかしげもなく叫ぶ。圓事者たる俺を差し眮いおヒロはいじめっ子達ず戊っおいた。最初は意味が分からなかったものである。だっお、ヒロず俺は同じクラスずはいえ、話したこずはなかったからだ。だが、困惑しおいおも、蚳がわからなくおも、たったこれだけは思った。 俺を庇っおくれおいるこい぀を守らなきゃ 俺は自分を助けおくれる人間の尊さは人䞀倍理解しおいた。ヒロが助けおくれる理由は分からない。だが、圌は自身が䞍利になるかもしれないのに、俺のために戊っおくれおいる。その行動だけで十分だった。 その瞬間、俺の心から力匷い気持ちがムクムクず湧き䞊がる。今たでいじめっ子達に尻蟌みしおいた心が動き出す。そう、それは『勇気』ずいうのだろう。恐怖に勝ち、敵ず戊う意志。 俺は目を釣り䞊げ、口をかっ開き、倧声を発した。 「俺の悪口はいい。でも、こい぀のこずを悪く蚀うな」 俺が蚀い返したのが䜙皋驚いたのだろう。いじめっ子達はギョッずした顔になった。だが、盎ぐに衚情を戻しお声を匵り䞊げおくる。それに負けじず俺ずヒロは蚀葉を返す。その応酬を続けおいたら、最終的には殎り合いに発展。気が぀けば䞡者ボロボロになり、いじめっ子達は逃げ垰っおいった。圌らの走り去る背䞭を芋ながら、俺は䞀息぀く。そしお、ヒロず顔を芋合わせお、プッず吹き出した。ヒロはこちらを指差しお笑っおくる。 「お前、䜕だよその顔〜〜 倧口叩いた割にはボロボロじゃねヌか」 「お前だっお 突然割り蟌んできた癖に、俺ず同じじゃないか」 「あ、お前なんお名前だ」 「知らないのかよ  零だ」 「じゃあ、れロな 俺は景光」 「れロっおなんだよ。たあ、いいよ。じゃあ、お前はヒロな」 自己玹介の埌も䜕が面癜いのか分からなかったが、ヒヌヒヌ笑いあっおいた。おかしくおおかしくお。日が暮れるたで笑い、語り合っおいた。それがヒロず俺の出䌚いだ。 それからずいうもの、俺はヒロず行動するようになった。圌ずいるのは楜しかったものだ。䜕だっお盞談できた。その頃からだ。俺が譊察官になりたいず思ったのは。もしかしたら俺は、自分がハヌフだから譊官になれば日本人だず認めおもらえるず考えもあったのかもしれない。だが、䞀番の理由はヒロに「知っおるか 譊察官っおスゲヌんだぜ 日本を守るヒヌロヌなんだ 俺はぜっおヌ譊官になる」ず蚀われたからである。 ヒヌロヌ。 日本を守る正矩の味方。 それをヒロに蚀われた瞬間、胞が熱くなった。どうしおも譊官になりたいず、なっお日本を守りたいず、䜕故か匷く思ったのだ。あのヒロの発蚀が俺の行く末を決めたのだろう。ヒロず「じゃあ、䞀緒に譊官になろう」ず誓いを立おた時に。 ゚レヌナ先生が俺に存圚理由を教えおくれたずいうのならば、ヒロには誰かず戊う勇気ず進むべき道を教えおもらった。 蚀葉にできないほどに尊いものを二人から俺はもらったのだ。 ヒロず䞀緒に譊官になるず決めおからは行動が早かった。盎ぐに俺はおじさんにどうしたら譊官になれるか聞いたのだ。聞かれたおじさんはギョッずした顔になり、逆に俺ぞ聞き返しおきた。 「あヌヌ 䜕で譊官になりたいんだよ」 「䜕でもいいだろ。教えおくれよ」 「いや、たあ、よく知っおいるけどさ 」 おじさんの行動は䞍可解だった。劙に蚀いづらそうにしおいお、ポリポリず頰をかいおいたのだ。圌は無愛想だが、聞かれた質問に察しおは真摯に返しおくれおいた。だからこそ、その時のおじさんは気味が悪かったものだ。 䞭孊くらいになっおようやくその理由を知るんだけどな おじさんのクロヌれットの䞭に譊察手垳があり、あの時の圌が蚀い淀んだ理由を俺は悟ったのである。ああ、なるほどず。おじさんがい぀もより歯切れが悪かったのもこのせいなのだず。それず同時に、あの人はぶっきらがうで無愛想はくせに照れ屋な事を初めお知った。 「そっか、おじさんは譊官だったのか」 自然ず笑みが浮かぶのが分かる。『譊察官になる』ずいう倢が曎に圢を持っお俺の前に珟れた。うん、ヒロずの玄束のためにも、俺のためにも、俺は絶察に譊官になる。その想いはストンず自分の胞に萜ちた。ごく自然に、そうあるこずが圓然のように、そう思ったのだ。 譊官になっお、日本を守る その想いだけを胞に俺は努力を続けた。その䞭で、俺が高校䞉幎生の時におじさんず察立するずいうトラブルもあったけどな。だっお、あの銬鹿おじさんずくれば倧孊に行けなんおいいやがるんだ。俺は高校卒業埌、すぐに譊官になる぀もりだったのに 。流石に腹が立っお、殎り合いの喧嘩に発展した。 たあ、最終的には倧孊にいくこずになったが おじさんが悪いんだ。おじさんが俺に出䞖しろなんお蚀うから。東郜倧孊ぞ行っお、譊察庁の詊隓や面接に受かり、゚リヌトになれずか蚀うから。俺は高卒であっおも出䞖する気マンマンだったずいうのに。おじさんのせいで倧孊ぞ行くんだからな。埌、絶察、倧孊費甚は返すからな。タダより怖いものはないんだっお蚀ったのはアンタだぞ。 嬉しくなんおない。 本圓に、本圓に、嬉しくなんお、ない。 溢れそうになる涙は根性で抌さえ぀けた。歯を食いしばり、俺は倧孊受隓のために勉匷を始める。たあ、い぀も埩習、予習は圓たり前のようにしお、どこの倧孊だろうが受かるように勉匷はしおいたんだけどな。高卒で譊官になる぀もりだったずはいえ、勉孊は怠りたくなかったからだ。 だが、今は本栌的に日本最高峰の倧孊、東郜倧孊を狙わなければならない。どれほど準備しおも足りないぐらいだろう。それに、俺はおじさんに嫌々ながらも「東郜倧孊に行っおやる」ず宣蚀しおしたったのだ。萜ちれば俺の沜刞にかかわる。 「絶察受かっお、゚リヌトコヌスを進んでやるからな 芋おろよおじさん 」 燃えに燃えお、ヒロに呆れられるくらいに勉匷したくった。結果、東郜倧孊を銖垭で入孊するこずができたのだ。ちなみに、前代未聞の高埗点を叩き出したらしい。それを聞いた時、ヒロずおじさんの前で思わずガッツポヌズしおしたったほどには嬉しかった。 その埌、俺は倧孊を卒業。詊隓などを受け、譊察孊校に入孊。そこで俺は䌊達、束田、萩原ずいうヒロ以倖の芪しい友人を埗るこずずなる。孊校は倧倉だったが、あい぀らず䞀緒に銬鹿をやるだけで、蟛さが吹き飛ぶくらいには仲が良くなった。毎日を必死に過ごしお、譊察孊校を卒業しお、気が぀けば俺は―――― 公安譊察になっおいた。 たさか自分があのれロに所属するこずにはなるずは思わなかった。しかも、おじさんもれロだったなんお。圌が俺に自分の職業を蚀わなかった理由がようやく分かった。れロ所属ならば蚀えるはずがないだろう。 でも、おかしいな おじさんはキャリア組で、れロ所属のくせに地䜍がそこたで高くない。圌なら゚リヌトコヌスを進んでいそうなものを。そう䞍思議に思ったが、俺はただただ新人。普通、新人がれロ所属になるなんお滅倚にないため、呚りからの扱きの匷さに死にそうになっおいた。なんずか必死にこなしおいる内にその疑問は右から巊ぞず流れおいっおしたったのだ。 俺はこの疑問をおじさんにぶ぀けなかったこずを埌悔するこずずなる。 埌悔した日は――――あの日だ。おじさんの協力者が裏切り、圌が远い蟌たれた、あの日。突然、仲間が慌おた様子でおじさんの危機を䌝えおきたのである。もしかしたらもう死んでいる可胜性すらあるずも蚀われたのだ。 おじさんが  死ぬ それを考えた瞬間、俺は走り出す。仲間が俺を匕き止めようずするが、それすらも振り払い、足を動かす。俺は未だ嘗おないほどに急いで珟堎に向かった。数十分埌、おじさんいる堎所ぞ到着。そしお、俺はその堎で芋たものに絶句した。 ――――おじさんが本圓に死にかけおいたのだ。 腹から血を出しお、死人のように真っ癜なおじさん。圌ず子䟛の時に芋た䞡芪の死䜓が被る。どうしおか分からないが、震えが止たらない。正垞な思考ができない。信じられない皋に動揺しおいた。 萜ち着け、俺。ただ、おじさんは生きおいる。焊るな俺。この皋床で公安が動揺するな 自分に䜕床も䜕床もそう蚀い聞かせる。冷静になるんだ。焊りは最倧の敵だぞ。俺はおじさんを助けなきゃいけないんだろ。だから、萜ち着け ず思いながら、俺はおじさんを圌の腕を持぀。だが、するりず滑り萜ちおしたった。本圓におじさんは死にかけなんだ。それを改めお自芚しお愕然ずしおしたう。 そんな䞭、おじさんはい぀もずは考えられないくらいの怒りの衚情を浮かべおいた。おじさんは蚀う。「垰れ」ず。それず同時にこうも蚀うのだ。「お前お暮らせお良かったよ」ず。初めお俺の名前を口にしお、やりきった顔をするおじさん。その瞬間、目からボロリず涙が零れおちた。小孊校の時に泣かないず決めたはずなのに、自然ず涙が流れおしたう。 ――――ふざ、けるな ぜ぀りず涙ずずもにその蚀葉が頭の䞭に浮かぶ。次の瞬間、感情が爆発した。 ふざけるな ふざけるな  こんなずころで、死んでいいず思っおいるのか あんたは俺の育お芪だぞ。仮にも芪なんだぞ 俺を勝手に匕き取っお、芪になっおおきながらなんだよそれ。「俺はもう死ぬ」 「ここは危険」 い぀も思っおいたが、勝手すぎるんだよあんたは 危険を承知で来おいるんだよこっちは 降谷零をなめるんじゃない ぀ヌか、䜕、生きるのを諊めおんだよ 䜕でそんなやり遂げた顔をしおんだよ 䜕もあんたはやりずげちゃあいない 生きるんだよ、生きお、生きお、ペボペボのゞゞむになるたで生きるんだよ 嫌だっお蚀っおも老埌の介護だっおしおやる。散々俺のこずをこき䜿っおきたんだからな。嫌がらせ介護をしおやるよ。あんたには老衰以倖認められおいない。穏やかに死ぬのがあんたが俺にできる唯䞀の莖眪だ あんたは俺の芪なんだから、勝手に死ぬな、銬鹿野郎 おじさんは決しお良い人間ではない。無愛想で、そっけなくお、なんなら暎蚀だっお吐く。食べ物や人間の奜き嫌いも激しいし、性栌だっおあんたりよくないし、欠点だっおいっぱいある。どうあがいおも、手本になれるような倧人じゃない。 でも、おじさんは俺の芪だった。 血の繋がりがなくたっお、俺の父さんだったんだ。 俺は涙だけでなく、みっずもなく錻氎たで垂らしおいた。どうしようもなく腹立たしくお、苛぀いお、もっず泣き叫びたくなる。俺は嫌がるおじさんを担いで、歩き出した。背䞭に背負うおじさんがやけに小さく感じる。昔はあんなに倧きかったのに、今、俺は圌を担いでいた。昔は俺が担がれおいたずいうのに。 おじさんっおこんなに小さかったけ ――――おじさんが俺を匕き取っおから随分ず時間が経過しおいた。 実父ず過ごした時間よりもおじさんず過ごした時間の方が倚い。 そのこずを俺は自芚したのだ。 [newpage] ――――おじさんは運良く生きおいた。 あの埌、俺はおじさんを急いで譊察管蜄内の病院ぞ連れお垰った。病院ぞ着いた瞬間、圓然のように盎ぐに緊急手術行きだ。手術宀ぞ連れお行かれるおじさんを芋送り、俺は䞀人座り蟌む。数十分そうしおいるず、仲間や䞊叞達も駆け぀けおくれた。「勝手なこずをしやがっお」ず怒られたが、最終的には頭を撫でられた。俺は良い䞊叞に恵たれおいる。 䞊叞たちがやっおきおも、手術が終わるたで俺は生きた心地がしなかったものである。䜕時間にも及ぶ倧手術が終了しお、やっず安堵の溜息を吐いた。 だけど、珟実は残酷だ。 「父はい぀目芚めるのか分からない、ですか」 「ここたでの倧怪我だからね。寧ろ、生きおいるこず自䜓が奇跡だよ」 「やっぱりそんなに酷かったんですね」 「たあね。埌、息子さん、貎方は芚悟した方がいい。目が芚めおも埌遺症が残っおいお、話もできないような堎合だっおあるからね」 思わず無蚀になった。勿論、生きおいお良かったず思っおいる。今でも飛び䞊がりそうなくらい嬉しい。でも、欲深い俺はこうも思うのだ。䜕事もなかったように目が芚めお、前みたいに過ごしたいず。 そんな颚に沈む俺に察しお、䞊叞は心配したように声をかけお来た。 「あんたり気を萜ずすな、降谷」 「ええ、分かっおいたす」 「 、 」 「どうかしたしたか」 「今のお前を芋おいるず、昔の降谷、いや、お前の矩父さんのこずを思い出しお、どうしおも心配になっちたうんだ」 「昔の、おじさん」 「お前、知らないのか。あい぀は昔、自分の盞棒ず婚玄者を早くに亡くしおいるんだ」 「知りたせん」 「そうか、あい぀のこずだから蚀わなかったんだろう。婚玄者の方は譊察孊校時代だったらしいから、俺は知らないんだが、盞棒の方は知っおんだよ。任務䞭に二人ずも倱敗しちたっおな。盞棒の方が降谷を逃しお、死んじたったんだよ」 「そうなんですか 」 「あい぀らは喧嘩ばかりだったが、良いコンビだったんだ。だから、降谷は荒れちたっおさあ 」 そのたた䞊叞は自分に蚀い聞かせるかのように、「あの頃のあい぀は芋おいられなかったなあ」ず零した。それを聞いお、俺は少々驚く。そんな話は聞いたこずもなかったからだ。 もしかしお、おじさんが出䞖しないのもこのせいなのか おじさんは時々、ふずした瞬間に暗い目をするこずがあった。子䟛の時はよく分からなかったが、今なら理解できる。あれは『埌悔』だ。おじさんはずっずずっず埌悔しおいたんだろう。自分のせいで死なせおしたった盞棒のこずを。あのおじさんのこずだ。圌はこう思ったのだろう。『俺なんかが出䞖なんおしおはいけない』ず。同時に、こうも思ったに違いない。 『俺なんかが生きおいおはいけない』ず。 それを考えた刹那、俺はギリっず歯を噛み締めた。思い出すのは死にかけのおじさんが芋せた衚情。生きるこずを諊めた、あの衚情だった。 「俺を生かしおおきながら、自分は死にたいず思っおいたのかよ」 あのク゜ハゲ頭野郎、そんなこずを考えお生きおいたのか。だから、あの時、安堵した衚情を浮かべおいたのは、死によっお、眪悪感から解攟されるず思ったからか。きっずあの銬鹿のこずだから、『盞棒を死なせた俺なんお生きる䟡倀なんおない』ずか厚二じみたこず考えおいたんだろ。ふざけんなよ。銬鹿かあい぀は。銬鹿かあの男は。だから頭がハゲおくるんだよ。 これは怒りだ。 ずお぀もない憀怒だ。 俺はおじさんにキレおいお、それず同時に自分に腹が立っおいた。そうだ、俺は疑問に思っおいたはずだ。『䜕故おじさんは出䞖しおいないのか』ず。もっず早くにその理由を聞いおいれば、殎っお説埗しおいれば、おじさんは諊めなかったかもしれない。   これがただの劄想だずは分かっおいる。だが、そう思わずにはいられなかった。 ずりあえず、おじさんが起きたらたず䞀発殎る そう決意しお、おじさんの過去を語っおくれた䞊叞に瀌を蚀った。 ・ ・ ・ 「あの時はあの時で倧倉だったけど、ただ今よりマシだったかな 」 おじさんの眠る病宀にお、俺は苊笑いを零す。盞倉わらずおじさんはふおぶおしい顔で惰眠を貪っおいる。それを芋ながら、俺は項垂れた。カヌテンからふわりず流れ蟌む颚が自分の髪を揺らす。 「なあ、ただ目が芚めないのかよ、おじさん」 「なあ、おじさん。みんな、死んじゃったんだよ」 「萩原も、束田も、䌊達も、ヒロもみんな、みんな、死んじゃったんだ」 『死』を口にする床に胞をかきむしりたい気持ちになる。䜕床もやめようずは思ったが、蚀葉にせずにはいられなかった。 おじさんが怍物状態になった時はただ良かった。いや、よくはないが、ただマシだったのだら、ヒロも、束田も、萩原も、䌊達もいたから。寧ろ、俺はおじさんにガチギレしおいたので、凹む暇もなかった。そんな俺の姿を芋たヒロには「お前ずおじさんらしいな」ず笑われたが。 俺の道を瀺しおくれるヒロず、友人達。圌らに囲たれおいた俺は、ひたすら走り続けるこずができた。おじさんがいなくたっお、䜕だっおできたのだ。 でも、い぀からだろう。い぀から俺はこうしおおじさんに語りかけるようになった たた䞀人、たた䞀人ず死んでいく。それだけでもキツかったずいうのに、愚かにも俺は幌銎染のヒロを死なせおしたった。理由は簡単だ。自分の力が足りなかったんだ。どうしようもなく惚めで、どうしようもなく心が軋む。泣き叫びたいのに泣けなくお。自分が無力で、最䜎で、情けなかった。死にたいずすら思ったこずもある。でも、死ぬわけにはいかなかった。 だっお、死んだらヒロの仇は誰が取る 死んだら、おじさんのこずを誰が殎る その事実が俺を螏みずどたらせた。笑っおしたうほどに絶望で震える身䜓を根性で抌さえ぀ける。ゆっくりず息を吐き、俺は自分に蚀い聞かせた。 そうだ、降谷零、お前の仕事はただ終わっおいない。決しお躓くな、決しお諊めるな、生きるんだ。俺はれロの降谷零。黒の組織をい぀の日にか壊滅させる男だ その蚀葉を䜕床も䜕床も心の䞭でリピヌトする。再びゆっくりず吐き、吞う動䜜をした。それを繰り返しお、俺はようやく萜ち着く。ふうず最埌の息を吐き出した時、俺は苊笑いする。ほんず、俺は党然成長しおいない。匷くなったず思っおいたのに。皆がいないだけで、こうも匱くなるずは。己の未熟さに自嘲しながら、今着おいるグレヌのスヌツに目線を萜ずす。 「こんなにも銬鹿な俺は、ただネむビヌブルヌのスヌツは着れそうにないな」 昔、おじさんからネむビヌブルヌのスヌツを俺が譊察官になった祝いに貰っおいた。おじさんは俺がネむビヌブルヌのスヌツに憧れを抱いおいたのを知っおいたのだろう。譊察孊校卒業埌、盎ぐにテむラヌに連れおいかれ、仕立おお貰ったのだ。 でも、俺はもったいなくおずっず着れないでいた。適圓に自分で賌入したグレヌのスヌツばかり着おいたのだ。おじさんに文句を蚀われたが、それでも着れなかった。芋るだけで満足しおしたっおいたのだ。どんどんず時が経っおいき、぀いにはこう考えるようになった。 皆に胞を匵れるような譊官になったら。 その時はこのネむビヌブルヌを着ようず。 だから、俺のクロヌれットには未だに新品のネむビヌブルヌのスヌツがある。そこだけ時が止たったかのようにい぀たでも倉わらずにそのスヌツが眮かれおいた。 ただ俺は未熟で、皆に胞を匵れるような譊官ではない。どれほど頑匵っおも幎を远うごずに遠ざかっおいく。どうしおなんだろう。䜕故なんだろう。昔にヒロず語り合っおいた『理想のヒヌロヌ』に、今の自分は皋遠かった。癜偎のはずなのに、黒ぞず俺は染たっおいく。そんな俺にはグレヌが䞁床いいだろう。そこたで考えお、苊笑いを零した。  こんなこずを考えるなんお、歳かな。でも、たあ、そろそろ黒の組織ずの最終決戊だ。センチメンタルになるのも無理はない、か 今回おじさんの病宀ぞやっおきた理由はただ䞀぀。数日埌、黒の組織ずの党面察決があるからだ。死ぬ぀もりなんおさらさらないが、䞇が䞀がある。その前におじさんの顔を芋ようず、俺はこうしおここぞやっおきた。久しぶりに来た病宀は前ずなんら倉わりない。その事実にホッずしながら、でも、残念な気持ちになった。 「ああ、もうこんな時間だ。いっおくるよ、おじさん」 俺の勝利を願っおいおくれ。 俺はおじさんにそう祈った埌、病宀から立ち去った。 ・ ・ ・ 俺の人生が頭の䞭で走銬灯ずしお流れ、やがお珟圚ぞず至る。意識が戻るず、目の前にはゞンがいた。そうだ、今は組織ずの党面察決䞭だ。その䞭で俺はコナン君たちを先に逃しお、ゞンず戊っおいた。だが、ゞンに远い詰められ、こうしお拳銃を俺の頭ぞ突き぀けられおいる。その瞬間、ハッずなる。 どうしお、俺は、 生きるこずを諊めおいる 俺は日本人だ。俺は譊官だ。日本を守る譊官だ。どうしお俺は諊めようずしおいる 確かに今の状況は最悪だ。だが、それがどうした。俺の運が悪いのは昔からじゃないか。拳銃を぀き぀けられたくらいでなんだ。骚が折れたぐらいでどうした。生きるこずを諊めるな、最埌たであがけ。俺ぱレヌナ先生に教えおもらったはずだ。自分がどうあるべきかを。俺はヒロず玄束したはずだ。日本の為に奮闘するこずを。 俺は公安譊察。 人々の平和を守る者。 ――――それが、俺、降谷零だ 目に光が戻る。戊うための掻力がムクムクず湧いおくる。尻蟌みしおいた心が動き出す。そう、これは『勇気』ずいうのだろう。恐怖に勝ち、敵ず戊う意志。ヒロに教えおもらった勝利の感情。 俺は唞った。獣のような雄叫びを䞊げる。ガタが来おいる身䜓を無理に動かしお立ち䞊がった。そのたた足を曲げるず、ギチギチず足の筋肉が悲鳎をあげる。それを無芖しお、グンッず前ぞ飛び出した。目ん玉をカッ開き、歯を尖らせ、ゞンの拳銃に向かっお䞀盎線に動く。ゞンは面食らった顔をしおいた。その圌ぞナむフを振り䞊げる。 「もらったァアアアアアァアアアアア」 「バァアアァアアアアアアアボンッッ」 パアンッ 発砲音。ゞンが拳銃を撃った音だ。本来なら俺はこの時、死んでいたのだろう。だが、俺は幞運にもナむフで匟䞞を匟き飛ばすこずに成功しおいた。ゞンが俺をありえないものを芋る目を向けおくる。それに察しお俺はニィず笑いながら、再びナむフを振りかざそうずしお―― 撃たれた。 パアンッパアンッず二発の発砲。自分の腹に衝撃が走ったず思えば、身䜓が埌方ぞず倒れお行く。そのたた背䞭からズシャアッず地面ぞ叩き぀けられた。䜕が起こったのか分からなかったが、これだけは分かる。 身䜓が、もう、動かない。 や、ば い、な、これは、 ゞンは瞳孔を開きながら、尋垞じゃないほどに息を荒げおいた。圌の巊手には、もう䞀䞁拳銃が握られおいる。なるほど、ゞンは二぀拳銃を持っおいたのか。俺が襲いかかった瞬間、圌は咄嗟に二䞁目を出したに違いない。い぀もゞンは拳銃を䞀䞁しか所持しおいないずいうのに  ク゜、やっおしたったな。思い蟌みずいうのが䞀番厄介だずいうこずを忘れおいた。内心で舌打ちを零すず、ゞンはゆっくりずこちらぞ近づいおくる。 「この期に及んで、ただ目が死なねぇ。戊うこずをやめねぇ。どういう粟神構造しおいるんだ 」 「はは、ざあみろ」 「チッ、たあいい。これでもう本圓に動けねぇだろ」 ゞンはコツコツず靎を鳎らし぀぀、歩いおくる。その音を聞きながら、俺は必死に身䜓を動かそうずしおいた。ただだ。ただ俺には意識がある。身䜓は既に痛みさえ感じなくなっおはいるが、生きるこずを諊めたくない。動け、動け、動くんだ。 ――――その時だった。 突然、目の前にいたゞンが厩れ萜ちたのだ。 俺の目の前を鮮やかなネむビヌブルヌが圩る。 「お前、䜕しおやがる」 ぶっきらがうで、愛想なんかたるでなくお、 「そい぀は俺の――――」 口を開けば暎蚀ばかり。 可愛げなんお䞀぀もなくお、決しお良い倧人ずは蚀えない。 でも、俺の、 「息子だ」 ――――最高にカッコむむ[[rb:父さん > ヒヌロヌ]]だ。 その父が、この堎にやっお来た。 その瞬間、俺の目尻から涙が零れ萜ちる。えも蚀えない感芚が喉たでせり䞊がっおきた。無性に叫びたくなる。唇はわなわなず震え、激しい感情が自分の胞の䞭で暎れたった。俺は心の䞭で抑えきれない感情をため息ず共に吐き出す。鮮やかなネむビヌブルヌのスヌツを自分の目に焌き付けた。時が止たったかのような感芚に襲われる。 本圓に  この感情にどう名前を぀けたらいいのだろう せり䞊がっおくる感情に眉をしかめる。だっお、同じだったんだ。小孊生の俺が連続殺人鬌に捕たったあの時ず同じ感情だったんだよ。おじさんに助けられた時の情景が脳内に鮮明に映し出される。唇を噛み締め、荒れ狂う感情を必死に抌さえ぀けようず、俺の前にいるネむビヌブルヌのスヌツの男を眺めた。 その時、䜕故だか分からないが、䞍意にあのメガネの少幎ずおじさんがダブる。 そしお、ようやく俺は気が぀いた。 ああ、そうか、俺がコナン君を信じた理由は―――― 俺のヒヌロヌにどうしようもなく䌌おいお、でも、党然䌌おいなかったからなんだ。コナン君はい぀だっお正矩のために戊っおいた。どこたでも真っ盎ぐで、カッコよくお、眩しかった。そう、圌はたるで正矩の味方。人々を守る勇者。真実だけを远い求め、戊う圌の姿は、俺がか぀お倢芋た姿ず同じだったのである。 党く、俺もバカだなあ  思わず自嘲しおしたう。いい倧人が少幎に憧れるなど恥ずかしすぎる。でも、自分の感情が分からなくおも、俺が銬鹿でも、䞀぀だけは理解できた。俺はゞンに勝ったのだ。おじさんがこの堎に来おくれたおかげで。そこたで考えお、俺は口を開く。 「おじさん」 「零、オメェのその栌奜なんだよ銬鹿か」 「おじさん」 「おら、早く病院ぞ行くぞ」 「おじさん」 「あ 䜕だよ」 「䜕、病院を抜け出しおんだよ、このク゜芪父」 「はあ」 俺の身䜓はもうボロボロ。だが、その時は䜕故か人生で䞀番の倧声がでた。おじさんはギョッずした顔でこちらを芋る。そしお、次の瞬間、目を釣り䞊げ、蚀い返しおきた。 「お前のためにこっちは頑匵っおきたんだぜ 確かに医者に止められたし、『今たで寝おたくせに䜕でアンタそんなに動けるんだ』っお蚀われたけどよ」 「それが原因だよ銬鹿 仮にもおじさんは病み䞊がりだぞ アンタの身に䜕かあったらどうする぀もりだったんだ 䜕で来たんだよ銬鹿」 「銬鹿っお蚀った方が銬鹿なんですぅ〜〜ボロボロのレむ君に蚀われおも説埗力ないな〜〜」 「その口調やめおくれ 鳥肌が立぀ そんなんだからハゲるんだぞ」 「誰がハゲだク゜ガキ」 「ああ 䞊等だク゜芪父 」 ギッずお互いに睚み合う。数分ほどそうしおいたが、盎ぐに喧嘩の決着は぀いた。俺が党力で咳き蟌んでしたったからだ。そういえば俺は死にかけだった。これ以䞊怒鳎り合えば、死んでしたう。こんな銬鹿げたこずで死にたくないので、倧人しく俺は口を噀んだ。それを芋たおじさんはため息を吐く。 「おら、垰るぞ」 「 うん」 そう蚀っお、おじさんは俺を背負った。それず同時におじさんは「ク゜重い」ず呟く。ちょっずだけむラッずした。殎りたいなず思ったが、自重しお、おじさんの背䞭ぞ身䜓を預ける。圌の背䞭から䌝わるじんわりずした熱を感じながら、唇を噛み締めた。 ほんず、䜕で来たんだよ、銬鹿 おじさんが来なくたっお、別の誰かが俺を助けおくれたはずだ。今、気が぀いたのだが、おじさんの他にも仲間達がこちらに来おくれおいるみたいだ。぀たり、おじさんではなくおも良かったのである。それなのにもかかわらず、おじさんは愚かにも先に飛び出しおしたったらしい。銬鹿だ。おじさんは銬鹿だ。それで公安が務たるず思っおんのか。 あの時だっお、そうだ。俺を匕き取る倧人はおじさんでなくおも良かった。小孊生の俺が殺人魔に捕たった時だっお、俺を助ける人間はおじさんじゃなくおも良かった。酷いようだが、きっず俺はきっず誰でも良かったのだろう。ああ、そうだ、俺は助けおもらえるなら誰でも良かったんだ。この手を取っおくれるのなら、連れ出しおもらえるなら。 でも、あの時、あの堎所で俺を助けたのは、他でもない、おじさんだった それだけは芆すこずのできない『真実』。誰にも壊すこずのできない、絶察的な真実だ。俺は助けおもらえるなら『誰』でも良かったが、その『誰か』がおじさんだったのだ。 ほんず、散々な目に䌚う俺は運が悪いな だけど、人䞀倍幞運だ。だっお、俺はおじさんやヒロ、皆に出䌚うこずができたのだから。その䞊、本圓に倧切なこずを色々な人から教わるこずができた。 ゚レヌナ先生には自分がどうあるべきかを。 ヒロには勇気ず、進むべき道を。 そしお、おじさんには生きるこずを教わった。 どれが欠けおも、きっず俺は駄目だった。皆がいたから、今の俺があるのだろう。死んでいった仲間達が次々ず脳裏に浮かぶ。今たでは俺を責めおいた幻想達が、今日だけは䜕故か笑顔だった。 なあ、ヒロ、みんな、俺、戊ったよ。ゞンに勝ったんだ。ちょっず死にそうになっおいるけど、なんずか生きおいる。だからごめん、ただただそっちには行けないみたいだ。俺にはやるこずが沢山あるから。 俺はおじさんの背䞭で小さく笑った。 ・ ・ ・ end [newpage] [chapter:登堎人物] ▌おじさん 本名、降谷 匡透ふるや たさゆき)。 公安譊察。キャリア組。降谷零の育お芪。 颚貌はガラの悪いダンキヌ。若干頭がハゲかけおおり、めちゃくちゃ本人は気にしおいる。降谷零から誕生日プレれントに育毛剀をもらったこずがある。喜ぶべきなのか、怒るべきなのか、それずも泣くべきなのか迷う皋には動揺した。ハゲは犁句。いいな 降谷零を匕き取った理由ぱゎから。しかし、過ごしおいくうちに心境の倉化が起こる。本人は降谷零にそっけなくしおいる぀もりだが、党然隠せおいない。郚䞋にはそれを䜕床もネタにされおいる。ちなみに、降谷零が譊官になるずいった時は飛び䞊がるくらいに嬉しかった。絶察に誰にも蚀わないけれど。埌、最近蚀われお嬉しかったのは「息子さん、あなたにそっくりねヌ」。内心、ドダ顔をした。でも、それず同時にこんなくそ野郎な男に䌌お欲しくないずも思っおいるので凹んだ。耇雑なお幎頃。 本線でも曞かれおいたように、か぀お婚玄者ず盞棒がいた。婚玄者は幌銎染の女性。死因は他殺。おじさんが譊察孊校に圚孊䞭、通り魔に刺されお死亡した。荒れに荒おいた時、盞棒にぶん殎られお目を芚たす。婚玄者ずのツヌショット写真ず、盞棒ず撮った譊察孊校卒業匏の写真は、今でも手垳に挟たれおいる。 ▌降谷零 蚀わずず知れたトリプルフェむス。 公安譊察。 おじさんのこずは『老埌たでしっかり芋おやる』ず思うくらいには倧切。幎々、介護甚品が増えおきおいる。でも、これをおじさんに芋せたら没収されるこずは分かっおいるので、党力で隠れながらやっおいる。これでも俺は公安譊察だドダ顔 幎々、仲間が死んでいくのでかなり粟神的にきおいる。怍物人間状態のおじさんに話しかけたくるくらいにはダバむ状態だった。実は毎日のように仲間から責められる倢を芋おおり、䞭々寝るこずができなかった。だが、もう悪倢はみるこずはない。 ※䜙談にはなりたすが、れロなどに所属するキャリア組は譊察孊校ではなく、譊察倧孊に通うものず知りたした。でも、原䜜で降谷零は譊察孊校に通っおいるので、コナン䞖界ではキャリア組も譊察孊校に通っおいるず思うこずにしおいたす [newpage] [chapter:あずがき] 前䜜含め、今䜜も読んでいただき、ありがずうございたした コナンは本圓に倧奜きなので、沢山の思いを詰め蟌んで曞いただけに、読んでもらえお本圓に嬉しいです。 この䜜品を曞いた理由は䞉〜四ほどありたす。しかし、長くなっおしたうので、その䞭の二぀だけ蚀いたいず思いたす。䞀぀は降谷零を逊っおみたかったから。もう䞀぀は降谷零が死にそうだったからです。降谷零っお䜜䞭で倧切な人たちを沢山無くしおいたすよね。最終決戊で、誰かず戊い、力尜きお「みんな、今からそっちにいく 」ずか蚀っお死にそうだったので、それを阻止したいが為に曞きたした。 たた、おじさんぞのコメントもありがずうございたした。おじさんはあたり良いずは蚀えない性栌ですので、受け入れられるか心配でした。そのため、圌ぞのコメントがあった時は嬉しかったです。 おじさんは決しお良い人間ではないし、降谷零の人生にずっおは所詮は小さなカケラでしかありたせん。だからこそ、圌は他の䞻人公みたいに降谷零の倧切な友人を救えなかった。おじさんはただの人間です。小さなカケラです。でも、その小さなカケラが少しだけ降谷零の人生を良い方向に導けたら、嬉しいなず思いながら曞きたした。 ちなみに、おじさんをこの小説の䞻人公にしたのは、かっこいいおじさん小説があっおもいいんじゃないかず思ったからです。頑匵るおじさんはめちゃくちゃカッコいいず思いたす。そんなおじさんず降谷零の芪子愛が芋おみたかったんだ 。 埌、おじさんのコンセプトは『仲間を倱った降谷零を荒れさせたくったら』になりたす。だから、経歎を降谷ず少し䌌せおみせたした。 時間があれば埌日談を本にしおみたいですね。曞けるか分からないのでハッキリずはいえないのですが。䞀応、冬コミに圓遞すれば、もう䞀぀のコナン連茉を本にする予定なので  䜙裕があれば  萜遞すれば、たた倉わっおくるんですが 。 最埌にもう䞀床、ここたで読んでくださり、ありがずうございたした
ショタ降谷を匕き取るこずになったおっさんの話。ショタ降谷がおっさんの逊子になり、虐められながらも様々な経隓を経お公安譊察になる――そんな感じのおっさんず降谷のハヌトフルストヌリヌ。今回は降谷芖点になりたす。<br /><br />前回はコメント、ブクマ、評䟡などありがずうございたした 本圓に嬉しかったです。お陰様でダル気がもりもり湧いお、投皿に至りたした。それにより、今回は気合いに気合いを入れすぎお、思ったより長くなっおしたいたした。初めお二䞇文字も投皿するので、ドキドキしたす。<br /><br />楜しんで読んでもらえたのなら幞いです。<br /><br />※<span style="color:#fe3a20;">必ず䞀ペヌゞ目の泚意事項をお読みください。</span><br />※衚玙はこちらから<strong><a href="https://www.pixiv.net/artworks/60751857">illust/60751857</a></strong>
れロを虐めおやった【䞋篇】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10027279#1
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矜由矎ず次郎ちゃんの勘違いから始たる出逢い。 ご泚意 ・特殊趣向二次創䜜䜜品・蚭定捏造有 ・みんなでわちゃわちゃ。 ・䞡方の蚭定あり、時期に぀いおは適圓。 ・现かい事は眮いおおきたしょう。 ・矜由矎がいたす。 キャラ改悪、ヘむト、disの意図はありたせんが、読む方によっおはそう受取る方がいらっしゃるず思いたす。 もしそのように受取られた方がいらっしゃいたしたら申し蚳ございたせん。 それでも構わない、ずいう方のみ、お読みください。 䜜品傟向に぀いお問題がある堎合は、タグ・コメントよりもメッセヌゞで教えおください。 私の配慮が足りない郚分は、メッセヌゞを読たせおいただき、䜜品公開仕様方法倉曎に圹立たせお頂きたす。 感想や誀字脱字のご連絡はコメント欄に曞いお頂けるず嬉しいです。 ポゞティブな䞀蚀タグの远加はどうぞご自由に。い぀もありがずうございたす。 [newpage] [chapter:恋人の誕生日だから。]  ずいう理由で断わるこずのできる仕事があればいいのになヌず珟実逃避したい、矜田秀吉は朝から将棋番組出挔ずむンタビュヌに粟を出しおいる。  プロ、ずいうのは自分が勝おばいいものではない。䞊䞋関係暪、同門垫匟、その他、将棋の掻性化や幅広い認知を目的にした぀ながりがある。  恋人に忙しい理由を職業を隠しおしどろもどろに䟋え話で説明しおも「ハァ だからなんだっおのよ」ず返された事が数回ある。圌女自身も䞊䞋関係に厳しい職堎にいるけれど同意を埗られない。しかも、よく分からない蚀い蚳ずしお火に油を泚ぐ結果のみ残された。  関係性の話は面倒でややこしくお苊手だ。  顔を立おなければいけなかったり、盞手の気持ちを考えたり、勝敗がある仕事だからこそ怚み蟛みはあるし、受け流したりすくい䞊げたり、隠したり。  コミュ力はそこそこ、基本的にマむペヌス。人からどう思われるかよりも自分はこうありたい優先。普段は髭も剃らないで暮らしおいおも気にしないし、半纏は機胜性の点で最高だず思うから垞時着おいる。芋た目のカッコよさより䞭身で勝負したい。  厳しくも物理で問題解決を図る母ず、決めた事を芆さない兄ず、自由気たたな効を持っおいるからだろうか、人ず違う感性むコヌル個性だず思う。  心のうちを悟られないようにする仕事をしおいるせいか、感情衚珟の豊かな圌女がずお぀もなく愛しいず思う。  若い時よりベタベタするこずは枛ったけれど、怒っお笑っお楜しむ圌女を芋おいるだけで心が癒される。 由矎タンの誕生日プレれント、どれにしようかな  本人の口からこれが欲しいのよね、ずいう話はいく぀も聞いた。  映画のワンシヌンのような、歳の数の薔薇ず運転手付のリムゞン、冷えたシャンパンで也杯、ずいうシチュ゚ヌションが憧れなのよ、小さな手䜜りケヌキに䞀぀ハッピヌバヌスデヌの板チョコ、そのケヌキに結婚指茪が入っおいお女の子が䞀口たべお「えっ」お蚀うの。最高じゃない 勿論コッチの垌望も知っお欲しいけれど、盞手が遞んだものに䟡倀があるのよね。ちょっずヌなにあれ、ゞュ゚リヌベアだっお。バヌスデヌプレれント甚は誕生日石にできるずか、可愛いわねヌ。やっぱり特別間は倧事、けどねヌ花なんお枯れたらおしたいだし、ケヌキも食べたら終わりだし、ゞュ゚リヌ付ぬいぐるみっおうちの犬にかじられお綿がでそう。  党郚叶えおあげたいけど統䞀性は倧事だろう。  可愛いものの話をするけれど、基本的に実甚品が奜きなタむプだし。バックや靎の方が気に入るかもしれない。  女性職員から色々ず聞いおみたけれど、結局「奜み重芖」が結論付けられた。それが䞀番困る 答のある問題を解くのは埗意だし、蚘憶力もいい。けれど思考的謎解きは難関で答が䞀぀じゃないから厄介だ。  この埌倧事な予定がありたしお ず濁しながら仕事をしおいたせいか、予定よりも早く終わった。  これなら埅ち合わせの時間よりも早く䌚えるかもしれないし、ああ、どうせなら圌女ず䞀緒にプレれントを遞んで莈る方がいいんじゃないか 合理的だし。ずいう倢のない答えをだしおスマホを取り出す。 「あ、由矎タン 今、平気」 『なヌに あんたたさか、今日も䌚えないずかじゃないでしょうね』 「違うよヌ。逆だよ。仕事が早く終わったから、由矎タンがよければ予定より早く䌚えないかなっお」 『ぞヌ でも無理 予定通り倜でいいわよ、今映画デヌトだから んじゃ、倜にねヌバむバむ』 「えっ デヌト どういうこず 由矎タン」  プチン。 「え」  音声の埌ろから車の駆動音ず人の話し声が聞こえたから倖にいる。  デヌト 誰かいた 誕生日に 自分以倖ず  「  萜ち着け。きっず女友達ず䞀緒に遊んでいるんだ 誕生日だし  倚分 でも今日は平日だよね  あれ いやいや由矎タンの仕事に土日はあたり関係  いや関係ある。あれ 婊譊っおどうなっおいるんだっけ」  スマホで怜玢しおみおも、女性の立堎云々が䞭心に曞かれおいお該圓する物を芋぀けだし難い。  ここは知り合いに聞いおみようか、ず思っおも近しい婊譊は圓の圌女だし、仕事は䌌おいおも囜が違う兄に聞いたずころで返事はないだろう。  うヌん  唞っおいるず埌ろから声をかけられた。   「矜田さんじゃないですか、こんにちは」 「あ、えっず由矎さんの 」  ネコ目の愛嬌のある顔立ちに芋芚えがある。由矎ず䞀緒にいた 倚分埌茩の 圌女。  たたたた通りかかったようで、もう䞀人の婊譊が亀通違反を取り締たっおいる。 「䞉池です。あれ 先茩は䞀緒じゃないんですか」 「由矎さんずは倜に䌚う玄束をしおいたしお 」  倜に䌚う玄束をしたのも、誕生日の日は平日で仕事があるず思ったからだ。  でも違うみたいだなぁ、ず秀吉は足りない盀䞊の駒を探すように頭を䜿う。 「そうなんですか、あれ でも、先茩、良い男ず䞀緒に映画を芋るっおメッセヌゞが   Case Closed-の舞台挚拶っお昌でしたよね  有意矩な誕䌑の䜿い方だなぁっお思っお 」 「えっ Case Closed- あ、由矎さんが芋たいっお蚀っおいた 映画 ああ、あ、ははは。ええず前に芳ようっお玄束しおいたんですけど 」  レむトショヌなら間に合うかな ず封切りすぐに行っお満垭で芳れなかったなぁ、ず秀吉はボダキ䞉池は䜕かを察し、すばやくこの堎を離れようずした。 「そ、そうでしたか 。あ、私、仕事に戻りたすね。先茩に宜しく蚀っおおいおください では 」 「すみたせん、䞉池さん」 「はい」 「二、䞉お䌺いしたいこずがあるのですが  」  矎圢の真顔怖い。  䞉池はむケメンに興味が薄い。男は芋た目じゃない䞭身だず豪語できる。  倪っおいようがオタクだろうが真っ盎ぐで優しい男がナンバヌワンでオンリヌワン。  だけど審矎県は人䞊の為、目の前にいる由矎の圌氏がずんでもなく矎圢ずいうこずは理解できるし、矎圢の「䌺いたい」内容が先茩がらみな事も察知しおいる、そしお誀魔化せそうにもないこずも。  映画通のチケットもぎり出入り口を、少し離れたずころで゜ワ゜ワず眺めおいるむケメンの名を矜田秀吉ずいう。  䞀番倧きな䞊映䌚堎の映画が終わり、人が溢れんばかりに流れおいるが、圌の目的の人物は人。  䞀人は宮本由矎、婚玄者。  もう䞀人は圌女が評したいい男。 由矎タンを疑っおいるわけじゃないんだ  これは確認、そう確認 確認するだけ  䜕を確認するのか答えは出ないたた人はドバドバず出お行き、その䞭で䞀人抜きんでお背の高い男ず由矎をみ぀けた。 「じろヌ 途䞭で犯人分かったヌ」 「いやぁ、党然わからなかったね。由矎ちゃんは分かったかい」 「たヌったく こういうのチュヌ吉ならさっさず分かるんだろうけどね」 「ぞヌ圌氏さん頭いいんだねぇ」 「圌氏ィ そんなのいたっけヌ 元圌よ」 「たたたたヌ」 僕の事を話しおくれおる 由矎タン     ん 隣の男性は誰かな 男友達 にしおは  ん  由矎の隣で談笑しおいる男はずびぬけお矎圢で高身長。ずおも長い髪をゆるく䞀぀に括っおいるけれど、手入れが行き届いおいるせいか䞍朔ず感じない。  秀吉も長身だが遠目から芋おも圌はもっず高く秀吉にない筋肉がカット゜ヌのシャツの䞊から芋おも䞞わかりだ。  明らかにマッチョ、しかし顔は濃くない。涌しげな目元ず现めの茪郭   由矎の奜みだ。 「あっちのビルにねヌ着物問屋さんず小物売っおる店がはいっおんのよ。じろヌ着物着るでしょ 行かない」 「ぞぇ、知らなかった 芋に行こうか 時間は倧䞈倫かい」 「ヘヌキヘヌキ」 「䜕か気に入ったものがあれば教えお頂戎な。祝品で莈らせおもらうからさ」 「いいの キャヌ。じろヌだいすきヌ」  逞しい腕にぎゅううず抱き぀く圌女を芋お圚りし日の自分が重なる。 ゆ、由矎タン      秀吉は物陰に隠れながら人を半泣きで远った。先ほど芳た映画が面癜かったようで、人の䌚話が匟んでいる。 「あのラストはないわヌやばいわヌ」 「人の怚みっおいうのはすごいねぇ」 「謎は党郚解けたけど、謎は謎のたたで、っお台詞通りなのねヌ」 「䞀番倧きな謎は誰にも解けないっおや぀かね」 「゚ヌでも、亀甲貞宗がやった圹のク゜オトコは知っおたんじゃない 党郚 幜霊がみえおたのよ あれだけ気が合わない二人の癖になんでもあけすけに話せばいいっおもんじゃない、っおずこだけ同じなのね」 「だから最埌の菊の花を䞀茪、あの子に枡したのかね 流石由矎ちゃん名掚理」 「たぁね あヌでも映画じゃあク゜オトコだった亀甲だけど、舞台挚拶の時はめっちゃくちゃいい男よね あたしああいう可愛い男に匱いのよヌ。倉態はゎメンだけど」 「あっはっははは 男なんおどい぀も倉態だからさヌ諊めな」 「たしかにそヌね。チュヌ吉も倉に数字芚える倉態だわ」 由矎タン すごく楜しそう   倉態ず呌ばれた事は聞き流しお、秀吉は由矎ず矎圢の䌚話に嫉劬する。  ミステリヌ系の映画を芋るず倧䜓最埌は由矎の䞍機嫌で䌚話が終わる。原因は自分の掚理講釈の垂れ流しず由矎の少し倖れた芋解に察する吊定。  由矎ずしおは、ただあれこれず映画をネタにしお話をしたいだけで、そこに正しさなんお求めおいない。䞻芳のみでいい、芋圓違いのこずだっお䌚話のスパむスくらいに思っおいる。  秀吉ずしおは、映画をネタにしお話をしたいずころたでは同じだけど、正論ありき。正しいものは肯定するし間違っおいたら吊定する。  それでも由矎がたたに秀吉を映画に誘っおいる時点で、赊されおいる、ずいうこずだけれど、今の秀吉に気づく䜙裕がない。  着物問屋ず小物屋が䜵甚された䞀角はどちらかずいうず、小物䞭心で高いモノからリヌズナブルなものたで幅広く扱い、玔和颚ずいうよりは若い子向きの和颚アクセサリヌに近い。 「わヌ可愛い。みおみおこの扇子。金魚暡様なんお涌しげでいいわね」 「おや可愛いね。ああでも由矎ちゃんなら  どうだいこの簪。トンボ玉に花食り、なかなかに䌌合うじゃないか」 「えっ 簪 あたし䜿ったこずないけど   こんな棒切れ どうすんのよ」 「これはねぇ、こヌしおこヌするんだよ」  するするするず由矎の長い髪を巻いお埌ろにだんごを䜜り簪を指す。 「えっ すごヌい じろヌ噚甚」 「ワンピヌスにも䌌合うよ、店員さん。コレお䌚蚈しおくれるかい 付けたたたで悪いね」 「いいの 買っお貰っちゃっお」 「勿論さ、祝日に莈れるなんお幞先がいいね」  簪はそのたた由矎の髪に食られた。ずおも䌌合う、すごく䌌合う。なびく圌女の長い髪も玠敵だけれど、結った姿はたた別だ。  圌女の誕生日に色々考えおいたけれど、簪。その発想はなかった。すごく䌌合う、別の男が莈ったものずいう事実がなければ最高だった。 「じろヌ なにみおるの」 「んんヌ 垯留めを芋おおね、なかなかいいものがあるじゃないかず」 「そうね  っおこっちの金額すごくない」 「垯留めは倀が匵るものが倚いからね、由矎ちゃんは着物を着ないのかい」 「着ないわね。動きにくいし  でもチュヌ吉もたたに着物きおんのよ。じろヌず違っお挫才芞人かっおヌの」 「萜語家じゃなくお」 「あ、萜語家だったわ」 萜語家じゃないよ由矎タン  でもバレたくないから萜語家でもいいよ   さめざめず二人を眺めながら秀吉は盞手の男を分析した。  背が高く䜓栌がいい。容姿端麗で䌚話のテンポもよく由矎のノリにも぀いおいく。頭の回転も早い。  䌚話の内容から日頃から着物を着お由矎に䌚っおいるこずが掚枬できた   垯留め あれ 男性着物で垯留め 有るにはあるが、少数だろう。それに芋おいたものは女性甚の垯留めだった。  ず、いうこずは   圌は別の懇意にしおいる人がいるずいうこずかな 由矎は着物を着ないし、きっず和服を着おいる女性ず懇意にしおいるに違いない。  由矎タン異性の友達倚いし、そうだよね、うん、ず玍埗し぀぀人を぀ければい぀のたにかホテル街だった。  昌間でも商魂たくたしいラブホテル、栌安昌時間埡䌑憩 女子䌚にドりゟずいうポスタヌが貌られおいる建物が倚い。  えっ、なんでこんなずこに   秀吉は焊った、滅茶苊茶焊った。きっず矎味しいマフィンだかパンケヌキだかある有名喫茶店が近くにあっおお茶をしにきただけだず思いたい。無理 この蟺䞀䜓はいかがわしい店しかない   歩いおいる人たちもかきゃぎきゃぎした若者じゃなくお、サラリヌマンかチャラチャラした野郎か化粧の濃い女性しかいない。  いやあの、゚゚ヌ ずオヌバヌヒヌトしかけた頭。  由矎ず色男はバヌの暪にある小さな店に入っお行った。看板も䜕も出おいない、なんの店だ、どんな店だ。アアアアアア ず考えるよりも先に行動に出た秀吉は店の匕き戞を思いっきりあけた。 「由矎タン」  いたのは、カりンタヌ垭に座っおいる圌女。突然の音に吃驚したようだが、秀吉ず気付いお肩の力を降ろした。 「あれ チュヌ吉 なんであんたここにいんの」 「仕事が早く終わったからっお連絡したじゃないか」 「いやでも、なんでここにいんのよ」  映画通からここたで぀けおきたした ず正盎にいいたくない。男のプラむドずいうものがある。矜田秀吉のプラむドは䜎そうに芋えお案倖高いのだ。そうでなくおも奜きな人の前ではかっこ぀けたい男心ず甘えたい男心がいったりきたりしおいる。  今はカッコ぀けたい。 「由矎タンこそ、なんでこんなずこにいるのさ」 「ここがいき぀けの飲み屋だから」  アンタも座れば ず垭を勧められおストンず腰を据える。  それで さっきの男性は この店はどんな店なの 映画が終わっおからすぐに䌚えたじゃないか、ずたくし立おる秀吉。 「アンタ、お腹すいおんの だからそんなにテンション高いの」 「えっ いや、昌は食べおないけど  それずこれは関係ないよ」 「ふヌん  じろヌただヌ なんかヌコむツお腹すいおるみたいだから、ご飯だしおあげおヌ」  ハヌむ、もうちょっず埅っおねヌず奥の郚屋から男性の声が聞こえた。  数分埌、歌舞䌎の女圢のような出で立ちの男性が珟れた。おろした髪に簪ず櫛を刺しお赀いリボンで前髪を結っおいる。雪暡様の倉圢着物ず呌ぶのだろうか、ガッシリずした肩から䞊腕二頭筋たで玠肌がみえおいお、その䞋は女性の振袖のように長い。先ほどの䜓栌のよい爜やかな矎圢から、䞀転、コスプレ男子だ。けれど堂に入っおいお軜さは党く感じられない。  圌がこの栌奜で街䞭を歩いおいお芋惚れる人はいおも嗀う人はいないだろう。それくらい神かかった出で立ちだ。  あたりの迫力に秀吉は先ほどの嚁勢が消えお冷静になる。  男は秀吉の萎瞮した態床を気にせず、にっこりず笑った。 「悪いねヌ 埅たせちゃっお」 「いいえ こちらこそ  突然すみたせん 」 冷や汗が出おいる秀吉を気にもせず、由矎が「じろヌコむツお腹すいおんだっおヌあたしはお酒のみたヌい」ずいっおから、数分で枩かいご飯ずみそ汁ず肉じゃがず緑茶がカりンタヌに眮かれる。由矎の前にはビヌル。取りあえず也杯ずお茶ずビヌルず日本酒の杯が重なっお良い音がした。  秀吉はおずおずず味噌汁をすすり、ご飯をかきこみ、肉じゃがを頬匵った。食に頓着しないタチだけど、これだけは蚀える、うたい。  もぎゅもぎゅず食べおいる暪で由矎はおかわりビヌル、むケメンは日本酒を片手に飲んでいる。 「由矎ちゃん、アンタの圌氏、むケメンじゃないか」 「うっそヌじろヌの方がむケメンよヌ」 「そうかい、照れるねェ たヌたヌ今日はいい日だ。由矎ちゃんの誕生日を祝えるなんおこんな喜ばしい事はないね」 「この歳になるず祝っおもらうなんおあんたないけどねヌどこかの誰かさんはプレれント䞀぀寄越さないし、祝う気もないみたいだしィ」  もぎゅっ    人参がおかしなずこに入った。  秀吉は咳き蟌みながら味噌汁を飲み干しお「いやあの䞀緒に遞がうず思っおおねお誕生日おめでずう由矎タン」「ありがず。無理っおいったじゃん。アンタ時間あったんでしょ」「えっず、あの、時間はあったんだけどね あったんだけど」尟行にしおいおプレれントの事をきれいさっぱり忘れおいたした、ずは蚀えない。「これから買いに行けばいいんじゃないのかい」ずむケメンが助け舟を出しおくれたけど「えヌ もう今日はここで由矎様誕生日を祝う気満々よヌ 今曎どこか行くのもねヌ面倒くさいしヌじろヌレモンサワヌ頂戎」「はいよヌ次郎さんの手搟りだよヌ」ず぀や぀や綺麗なレモンが次郎の片手で汁䞀滎も残らず絞られた。゚ッ  ず思う間もなく「圌氏さん、ごはん足りないかい それずもお酒にする」ず聞かれお、秀吉はごはんず味噌汁のお代わりず頌むず、远加で味噌煮蟌みモツたで出おきた。これも矎味い。 「あの  由矎さんずはどういう埡関係で」 「埡関係 ええず、飲みやの店䞻ずお客さんかな」 「そうね、っおもじろヌは飲み仲間みたいなモンだけど」  飲み仲間。  なるほど、なるほど   腹も満たされ、䜙裕ができおから蟺りを芋枡す。  店内はカりンタヌ垭のみ。それも10人入るのがやっず、ずいう狭さ。窓もなければお品曞きの類もない。 「ここは随分ず  」 「ああ、倜の間だけ借りおんの。今日は昌の店も䌑みだから奜きにしおいるけどね」  昌の店は喫茶店らしい。ただし店長が気たぐれな人で開店日も時間も決たっおおらず、出すのはコヌヒヌず軜食のみだずか。 [newpage] [chapter:飲み屋次郎ちゃん]  二毛䜜店ずいうのをご存じだろうか。  昌ず倜が別の店、䟋えば昌間は喫茶店で倜はバヌ等、䜿っおいない時間垯に店を貞し出すシステム。  売䞊れロの時間垯に僅かながらでも収入を埗るこずができるし、现かい契玄がなく気軜に店を開ける利点がある。  狭い立地を䞊手く䜿った店はここ郜内に倚くある。  その䞀぀、譊芖庁から埒歩圏内にあるこぢんたりずした店、小さな看板に「次郎」ずいう文字を高朚が蚝しげながら芋おいる隙に、由矎が思いっきり匕き戞を開けた。 「じろヌちゃん 由矎さたのおヌなヌりヌ」 「いらっしゃいヌ由矎ちゃん。おや矎和子ちゃん久しぶりだね。新顔のお兄さんは誰だい」 「矎和子の圌氏だけど気にしなくおいいから」 「気にしおくださいよ 初めたしお、高朚です」 「あら、䞡手に華じゃないか。いいねヌいよっ色男 なにか奜きな酒はあるかい」 「ええず ビヌル っおあれ メニュヌ衚 」  店内はカりンタヌ垭のみずいうずおも狭い造りで、手元に箞おきず調味料が䞊んでいるだけ。  品曞きの類は手元を芋おも壁を芋おも芋圓たらない。 「ここは次郎さんに食べたいものをいうのよ。次郎さん、私ハむボヌルず手矜先が食べたいんだけどある」 「おっず矎和子ちゃんタむミングいいねぇ。あるよ手矜先。特性のタレをたヌっぷり挬けこんだ次郎ちゃんオススメだよ」 「あたしもそれ食べる あずビヌルちょうだい」 「由矎ちゃんがこの前食べたがっおたピクルスが䞁床いい塩梅だけど食べるかい」 「ラッキヌそれも出しお―」 「そっちの矎和子ちゃんの圌氏さんは䜕か食べたいものはあるかい」 「ええず  腹が枛っおいたしお  腹にたたるモノっおありたすかね」  芋た凊、飲み屋や小料理屋じゃなくおバヌのようなタむプかもしれないず高朚は鳎る腹を抑えた。  今日は昌から䜕も食べおいないんですよヌず事前に蚀っおあったけれど、考慮しおくれる人ではなかったようだ。 「おんや、可哀想に。それならヌ牛䞌なんおどうだい 出来るたでコレず茶でも飲んで誀魔化しおおいおおくれよ。腹が膚れた埌に酒を入れな」  トンず高朚の前に眮かれた緑茶ず茄子ず胡瓜ミニトマトの挬物。  トマト ず思い぀぀口に入れるずトマトの酞味が味噌の塩味によく効いおいお疲れた䜓に塩分が染みる。 「バヌかず思いたしたけど、飲み屋なんですね 」 「あはは、バヌも飲み屋も䞀緒じゃないかい」 「そうよヌ。次郎ちゃんに蚀えばカクテルだっおなんだっお出しおくれるわよ」  うそだぁ、だっおどうみおもシェむカヌを振るように芋えな ず高朚がいいかけお矎和子がカクテルを泚文した。うわぁ、シェむカヌを振る姿が様になっおる。着物なのに。 「由矎さん、最近バヌ通いしおいるっお噂されおたしたよ」 「ええヌ 噂ぁ あ、ここ譊官立ち寄り所だっけ」 「そうだね、他にも色んな方がきおくれおるよ」 「えヌ。あたしの隠れ家なのにヌ」 「ず、随分芪しいんですね  ここでお知り合いになったんですか」 「違うわよヌ」 *************  東郜は人口密集地垯で亀通の䟿が良い。  そのせいか車を止めるパヌキングは足元を狙っおいるかのような金額蚭定か倧型デパヌトの買い物客狙いの駐車堎。  ちょっずそこたで、ずいう甘い考えをした運転者を取り締たる由矎のカメラがフラッシュ。 「あ、ストヌップ ストップ 今戻ったんでヌ芋逃しお䞋さいよ」 「蚌明曞、枡したすね」 「いやさ、今戻っおきたじゃん セヌフでしょう」 「アりトですねヌ」 「䞀時停止だっおば」  軜いノリでゎネる男。ただ若く顔もそこそこ良く倖車。  しかも手銎れおいるずころをみるず垞習犯 。 「そこにコむンパヌキングあるでしょう」 「あるけどさ、ちょっず物を取りにいったくらいだからさヌ」 「物を取りにいったにしおは長かったですね」 「知り合いず話し蟌んじゃっおね。話が長いんだよねヌ゜むツ」 「ここ、消火噚おいおありたすよねヌ路䞊犁止゚リアです。䞀発アりト」 「ええヌ気付かなかったなぁ 火事が無くおホント良かったなぁ」  コむツ、本圓にふざけおんな。  あたしは仕事倧奜き婊人譊官、ず自分に蚀い聞かせた。こういうタむプはさっさず片付けるに限る。よけいな事を蚀えばあれやこれやず煙にたかれるのがオチだ。  本圓なら胞ぐら掎んで「あんた銬鹿でしょ」ず蚀っおやりたい。我慢、我慢。 「ねぇねぇ、おねヌさん。俺さ点数厳しいんだよね 芋逃しおほしいな」 「無理ですね」 「ったくさヌ融通きかないず嫌われるよ 俺達の皎金で絊料もらっおんでしょ 眰則金でボヌナスでるわけじゃないんでしょ ねぇねぇ」  この手の嫌味はよくあるこずで由矎の持っおいたボヌルペンがミシリず嫌な音を立おた。  皎金で絊料をもらっおいる、ずいうけれど、それは働いお埗おいる収入であり、䞍正所埗をしおいるわけじゃない。由矎自身も玍皎をしおいる郜民の䞀人である。なんで亀通ルヌルを守れない銬鹿に説教されなければいけないのか。  ここから数メヌトル離れた堎所にコむンパヌキングだっおある。わざわざスクヌルゟヌン消化甚噚具があるずころに路䞊駐車しおいるだけで悪質ずしかいいようがない。たかが䞉癟円を払うのが嫌で路䞊駐車する者など、道端で倧䟿しおもいいじゃないず蚀われるくらい意味が分からない。いいわけがない、指定堎所でやれ。緊急事態なら考慮するけれど、そうじゃないなら迷惑極たる倧銬鹿だ。  プチンず由矎の䜕かが切れた。 「うっさいわね、アンタなんかに奜かれたくもないわよ」 「はぁ 䜕蚀っおんだよ、オバサン」 「オバサンだぁ 倖車のっおむキがっおる男が点数惜しさに媚びるしか胜がないくせに䜕蚀っおんの 倧䜓この車も改造車っぜいし、車怜通っおんの」  しおらしくしおいた婊人譊官が突然たくし立おおきた。しかも腰に手を圓おお足をハの字に開き、超嚁圧的態床。眉間に皺をよせた姿に男の薄くおか现いプラむドが傷぀けられる。  譊察官ずいっおも、婊人譊官。自分より小さくお现い。たかが女が偉そうに ず頭に血が䞊った。  このタむプの男は反射的に盞手を負かせたい欲求が匷い。由矎は女だ。男が女に勝おる唯䞀の歊噚は力。䞖の䞭には自分よりもでかく刃物を持っおいようが背負い投げをしたり、蹎りで吹っ飛ばしたり、殎ったりする超アグレッシブな女がいるけれど、幞いな事に圌は知らない。  知らない圌は、倏の砂浜でビキニのネヌチャンを匕っ掛ける為に汗ず努力の結晶のゞムで䜜った自慢の腕を振り䞊げた。  殎る぀もりはない、けれどこの勝気な女が殎られるかもずいう恐怖におびえた顔が芋たかった。誉れ高いク゜野郎である。 「うっせヌよ」  振り䞊げたク゜野郎の拳はずお぀もなく倧きな手に掎たえお降ろす事ができなくなった。  ん ず圌は腕をおろそうずしおもビクずもしない。 「おやおや、なヌにやっおんだい。男が女に手を䞊げるなんお情けない事をしなさんな」 「はあ 誰だよ、おた   え でかっ」  銖だけで埌ろを振り返るず倧男がいた。圌の身長は178㎝、しかし盞手の男はそれよりも倧きい。 「ほらほら、切笊もらっおさっさずここから離れな。でかい車がこんなずこにあっちゃあ迷惑極たりないよ」 「いっ、いっおぇぇ おたわり おい、コむツ捕たえろよ、暎行だぞ」  お前が殎ろうずしおいたんだろ ず呚囲にいた野次銬達は男の蚀葉に倱笑した。 「んヌ いた曞類かいおるからヌみおなかったんだけどぉ 手を掎たれおるだけでしょう 仲良しね」 「はぁ」 「そうそう、仲良しさ。ほらほらあっちいった。これに懲りお悪い事はやめずくんだね」  ク゜野郎は解攟された瞬間に男に殎りかかろうずした。ナメんじゃねヌよコノダロり、ずいう気持ちを蟌めお䞀発くらわせようずしたが、盞手の姿を䞊から䞋たで芋おから脱兎のごずくバンパヌに挟たれた青空切笊をそのたたにしお車に乗り蟌み、逃げた。  190㎝はあるだろう倧男。しかも、シャツからみえた腕が自分より二回り倪い。䜜られた肉䜓ずは違い、どうみおも実践的な身䜓。それでいおむケメンずくれば圌の勝おる芁玠はれロどころかマむナス。本胜的に関わっおはいけない盞手。  キャンキャンず負け犬が去っおいく様子を䞀郚始終みた由矎は面癜くない。 「ありがずうございたす」 「出しゃばった真䌌しおすたなかったねぇ。アンタみたいな可愛いお嬢さんが殎られる姿なんおみたくなかったもんでね」 「別にあんな奎、どヌっおこずないですけど」  䞀発殎っおくれたら眪を重ねおやるこずができるし、返り蚎ちにしおも正圓性が認められる。぀い぀いりッカリ足が滑っお、アララヌずんでもないずこを蹎り飛ばしおも なチャンスを朰された憀りの方が匷い。  むケメンに守られたキャッ☆よりもあたしの獲物を暪取りしやがったなコむツ なぁヌに 可愛い婊人譊官を助けた俺スゎヌむ系 ハむハむク゜が  ず乙女ず呌ぶ歳はずっくに過ぎた女は倢を芋ない。 「おやたぁ、そりゃあ悪い事をしたねぇ、あはははは」 「  いヌえ 助かったわ」  由矎の態床も気にせず、目の前のむケメンは倧笑い。぀られお由矎も笑う。あ、これ、俺スゎむ系じゃないわ、単にいい人だわ。なんだよ、折角助けおやったのに、ずいう気が党くない。むしろ由矎の獲物を掻っ攫っお申し蚳ないねヌず蚀倖に蚀っおいる。 ************* 「そこで職業ずか聞いお、飲み屋やっおるっおいうから矎和子連れお行ったのよ」 「むケメン玹介するっおいうから䜕かず思えば  」 「むケメンでしょ」 「むケメンですね 」  女圢の栌奜をしおいおもむケメンはむケメンである。 「あたしはじろヌの玠の顔も奜きなんだけどね」 「ありがずさん、由矎ちゃん生ハムだしおあげるねヌ」 「いやヌん 愛しおるヌ」  由矎が芋た時の圌のシャツにゞヌンズずいう玠材がよければ「モテそう」ずいう栌奜だった。  しかし、二床目に䌚った時は女圢のような姿で䞀人称が「アタシ」である。由矎はずおもずおも気に入っお、空いた時間があればここに通っおいる。 「それじゃあ、由矎さたの誕生日前祝よ 也杯っ」  カンパヌむず四぀のグラスを高らかに掲げる。 「由矎さん明日䌑みでしたっけ 圌氏さんに祝っおもらうんですか」 「はヌぁ たぁヌ アむツは仕事でぇヌ 由矎タン倜はちゃんず空けたからね 倧䞈倫だよ、ずか蚀っおたけどぉヌ 倜しか䌚えないのに䜕が倧䞈倫なのかわっかんないわヌ」 「有絊取ったっおいえば良かったじゃない」 「蚀う前に蚀われたの それにさヌ有絊取ったずかチュヌ吉にいったら、僕の為に ずか調子にのるでしょ」 「いや、誕䌑なんだから自分のため以倖ないでしょ 」 「おめでたい脳みそしおんのよチュヌ吉は ああもう、どヌすんのよ映画のチケット― ペアなのに䞀人で芋に行けっおいうの」  バックから取り出した二枚のチケットをひらひらず振る。 「別の日にしたらいいんじゃないの」 「舞台挚拶こみの圓日チケットなの 貰いもんだけど誕生日に䞀人で映画通ずか蟛すぎるゥゥゥ」 「友達ずいけばいいんじゃないですか」 「今から平日真昌間から空いおる友達なんおいないわよ しかも誕生日だから䞀緒にいこ、なんおプレれントクレクレじゃない」 「アンタ、今日、長曜祢さんに明日誕生日だけどいないからっお昌ご飯タカっおなかった ステヌキ定食ずか䞀番高いダツ食べおたでしょ」 「その映画のチケットだっお癜鳥譊郚から誕生日だからっお匷奪したものですよね 」  ぀い数日前、癜鳥が「小林先生ず䞀緒にいこうず 」ず舞台挚拶の映画チケットを芋せおいた。倍率はアホのように高く、プレミアが぀いおいる代物である。  その数時間埌、平日有絊は取りにくくお ずいう教垫あるあるでお断りされたらしい。ダペナ、ず呚囲は哀しみに意気消沈しおいる癜鳥を慰めた。恋に浮かれたアホだけど眪はない。  屍ず化しおいる癜鳥に「あたしヌその日、誕生日 すごい偶然 すごい奇跡 しかも有絊ずっおんのよねヌ」ず二十回は蚀い続けた由矎。  癜鳥は小林先生ず行けないなら、こんなチケットお奜きにどうぞ、ずタダで由矎に枡した。その埌に小林先生から「日曜日に映画を芋に行きたせんか 舞台挚拶はないけれど、いいですか」ずお誘いメッセヌゞがきおいお、浮かれポンチに逆戻り。呚囲は舌打ちしお、由矎だけが「埳を぀んだおかげね」ず肩を叩く。 「やっおいい盞手ず悪い盞手は遞んでるの。お返ししなきゃいけない人はパヌス んあヌ 明日暇なや぀ヌこの指ずヌたヌれヌ」  ぎゅっ、ず现くおキレむな指にご぀ご぀した男の指がちょん、ず乗った。 「そういうこずなら、あたしが付き合うよん」 「えヌ次郎さん」 「いいんですか」 「䞁床明日は暇しおいたしねぇ。由矎ちゃんがよけりゃあの話だけどさ」 「やったヌじろヌ あ、あたし買ったばっかのワンピきおくから、それに合わせおね カゞュアルな栌奜でよろしく」 「はいはヌい。由矎ちゃんに恥をかかせない栌奜で行くよヌん」 「その恰奜も奜きだけどねヌ。あたしが芋劣りするからだヌめ」  これが秀吉の知りたがっおいた出䌚いず、映画デヌトの経緯である。 [newpage] 「ずいう具合でねぇ」 「あはは、そうなんですか いやぁ、僕はおっきり 」  浮気かず、ずは由矎が酔い぀ぶれお寝おしたっおいおも蚀えない。  クヌクヌず幞せそうに寝おいる由矎を眺め぀぀、次郎から奚められた日本酒に口を぀ける。 「由矎ちゃん、ここに来るずい぀もアンタの話ばっかりしおたよ。同僚さんがいるず憎たれ口ばかり叩くけどさ、可愛いもんだよ」 「いやぁ、僕みたいなのが圌氏で恥ずかしいかもしれたせんね」  由矎の䞭で自分は真っ圓な定職に぀いおいない男だず思われおいる。  称賛され恥じる事がない職業だけれど、真っ圓かどうかず蚀われたら是ずは蚀い難い。元々は芞事、博打打ずいう流れで珟圚に至る。  そんなこずを思い悩む秀吉に「違う違う―」ず次郎は秀吉の杯に酌をした。 「あたしの知り合いにもいるけどねヌ。自分が奜きなダツをああだこうだいうのは良くおも、他人に蚀われるず怒るダツ。由矎ちゃんは悪い蚀葉をききたくなくお、憎たれ口たたくだけ アンタのいいずこも悪いトコもちゃんずわかっおるよ」 「由矎さんは螏み蟌むずころずそうじゃないずころの加枛が䞊手で  気遣い䞊手なんです」 「むむコじゃないか、ちゃんず捕たえおおくんだよ」 「はい」  この人ず喋れば喋る皋心が軜くなるなぁ ず秀吉は気分が良い。  色々ず悩み、嘆きモダモダずした気持ちを抱えたけれど、たさかこんな楜しい時間を過ごせるずは思わなかった。寝おしたった由矎には悪いけれど、たた今床、どこかで埋め合わせをしよう。 「しっかし悪いねぇ。折角のデヌトだったんだろうに、こんな飲み屋になっちたっおさ」 「そんなこずはないですよ、由矎さんも僕もずおも楜しい時間を過ごしたした」  由矎が怒る事もなくケラケラず始終笑っお秀吉の話を聞いおくれたのは次郎の合いの手あっおこそだず思う。 「でも、次郎さんみたいな玠敵な方がラむバルじゃなくお本圓によかった」 「えヌ あたしこんな栌奜しおるけど、別に男が奜きっおワケでもないよヌ 女が奜きっおわけでもないけどねヌ」 「えっ」 「ただたぁ他人様のものを取る気はないねぇ。ちゃんず捕たえおおくんだよ倪門名人」 「埡存知でしたか 」 「アタシの兄貎は将棋が奜きでね。なかなかやるもんだっお耒めおたからさヌ」 「お兄さんず指したりするんですか」 「たぁねぇ、仕事がない時は酒を片手に打぀よ。っおも倧局将棋だけどねぇ」 「倧局将棋 えっ それは盞圓時間がかかるのでは 」  瞊暪36マス、209皮類、敵軍自軍合わせお804枚の駒を䜿う叀将棋を倧局将棋ずいう。  䞀般的に「将棋」ず呌ばれる本将棋は瞊暪9マス、8皮類、40枚の駒を䜿う。  ぀たり、盞圓時間がかかるずいうよりも、途方もなく時間がかかるし根気がいる。 「駒が少ないずすぐに終わっちたうだろ 暇぀ぶしにもなりゃしないからね」 「なるほど  」  酒の入った秀吉はそういうこずもあるのかヌずほえほえ頷いおいる。 「今日が最埌の飲み屋じろちゃんだからね、垰っお兄貎ず将棋でも指すさ」 「今日が最埌なんですか えっ 由矎タン 由矎タン起きおよ」  揺すっおも「りりヌン」ずしか蚀わない由矎。 「っおも次の店も飲み屋だし由矎ちゃんに莔屓にしおおくれっおいっずいおくんないかい」 「次郎さんはいないんですよね」 「たぁね、あたしの知り合いが来るよヌむむダツだからさ、アンタも顔出しおおくれよ」 「残念ですね 折角知り合えたのに 」 「瞁があればたた䌚えるさ」 [newpage] [chapter:読んで頂いおありがずうございたした。] 由矎チュヌ吉の悪口を蚀っおいいのは自分だけ  秀吉次郎ず話しおいおずおも楜しい。 次郎譊護ヘルプ芁員本䞞からの短期出匵。お倖に出る時は普通のむケメン、お店の時は戊装束です。 矎和子次郎に腕盞撲を申し蟌んだ。負けた。 高朚めっちゃうたいんですけど牛䞌。 飯の玠材は本䞞産です。 公匏カプ 䜕十幎ぶりかな  由矎タン奜きです。あっ ああ同意ずいうずこが沢山ある。オダゞギャル。秀吉のすごい、ある意味俺チヌト系なのに、由矎の尻に敷かれおいる感がすげぇ 奜き。 圌女護るためにニヌチャン䜿うずこも奜き。譊護っおいうか、撃退っおカンゞがするずこに冷培さを芋た 。 たんばちゃんを修行に出したした。いっおらいっおら。ク゜審神者なのでネタバレみた。おおたみはみおない。ヒョ゚ 。 始めた圓初にたんばちゃん近䟍にしおいお、ボむスで「なぜ私はこの子にネガキャンされおいるのだろうか 」ず遠い目になったこず数知れず。そんな子が、倧きくなっお垰っおくるんだね 倚分。楜しみ今は江戞城遠足。 仕様が倉わった刀剣乱舞、日課の楜さに震える。いたたでブラックだったのず思う皋床にパパパパン。 珟実でも梅干しむしゃあしおゲヌムでも梅干しむしゃむしゃさせおる。ほんにク゜審神者ルヌト遞択ヘタク゜ 。 やっずこさ景光君をゲットできたした。みればみるほど「スコッチの子かな 」ずいう皋床に䌌おる。 ク゜審神者、貰ったお薬を甚法守っお飲んでたら痛みが消えお「治った」ずりキりキしたら「それごたかしだからね」ずいい笑顔で蚀われた。倢をみさせおおくれ。
矜由矎ず次郎ちゃんの勘違いから始たる出逢い。<br /><br /><span style="color:#bf2d96;"><strong>ご泚意</strong><br />・特殊趣向二次創䜜䜜品・蚭定捏造有<br />・みんなでわちゃわちゃ。<br />・䞡方の蚭定あり、時期に぀いおは適圓。<br />・现かい事は眮いおおきたしょう。<br />・矜由矎がいたす。</span><br /><br /><span style="color:#bf2d96;">キャラ改悪、ヘむト、disの意図はありたせんが、読む方によっおはそう受取る方がいらっしゃるず思いたす。<br />もしそのように受取られた方がいらっしゃいたしたら申し蚳ございたせん。<br />それでも構わない、ずいう方のみ、お読みください。</span><br />䜜品傟向に぀いお問題がある堎合は、タグ・コメントよりもメッセヌゞで教えおください。<br />私の配慮が足りない郚分は、メッセヌゞを読たせおいただき、䜜品公開仕様方法倉曎に圹立たせお頂きたす。<br />感想や誀字脱字のご連絡はコメント欄に曞いお頂けるず嬉しいです。<br />ポゞティブな䞀蚀タグの远加はどうぞご自由に。い぀もありがずうございたす。<br /><br /><span style="color:#f97ff8;">前䜜、ブクマやむむネやコメントやスタンプありがずうございたした。どじょう掬いたんじゅう。ぞの熱いコメントがずおも楜しかったです。<br /> 䜓調の劎わりのお蚀葉に涙がほろり。ありがずうございたす はよ治す<br /> たた暑い日々が戻っおきお、プ゚ヌンですが、皆様もお䜓を倧事にしおください。梅干し食べたしょう <br /></span><br />《小説衚玙》小説衚玙甚玠材 28 | このはな様 [pixiv] illust/68954510 衚玙はこちらからお借りしたした。
【クロスオヌバヌ】矜由矎ず飲み屋次郎【コナン刀剣乱舞】11
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 窓の向こう偎に蜃気楌が立ちそうなほどの䞃月、期末テストを無事に乗り越えた私たちは、䞀ヶ月間の倏䌑みに入った。  同孊幎の生埒たちは郚掻動でも䞻力ずなり぀぀ある時期で、倏䌑み䞭も郚掻に粟を出す子たちが倚い。倏䌑みの間、文化祭の準備の為に教宀ぞずやっお来る生埒はほんの䞀握りで、私はそのこずに密かに安堵しおいた。  毎日毎日、欠かさず登校しお挔技緎習をしおいるのは、私ず降谷くんず景光くんくらいだった。魔法䜿い圹の景光くんは台詞が少ないので、もっぱら私ず降谷くんの緎習を芋おはあれこれず助蚀しおくれおいる。䞀生懞呜メモしおいる私が面癜いのか、降谷くんはたたにシャヌペンで萜曞きをしお来るので、油断も隙もあったものではなかった。  降谷くんず景光くんの前で号泣しおからずいうもの、劙に気持ちがすっきりしおしたった私は、少しず぀ではあるけれど台詞を滑らかに読めるようになっおいった。珟代文の音読はただ苊手だけど、叀文や挢文ず地続きの文章なのだず思えばなんずかなりそうな気がしたのだ。  筋力トレヌニングも、降谷くんず景光くんの協力を埗お、なんずか毎日続けおいる。最近は猫背が改善されたのか、降谷くんにも姿勢を誉められるので、頑匵った甲斐があったずいうものだ。その分芖線の䜍眮が高くなり、芋枡せる範囲が増えたから、なんずなく恐い気持ちはあるけれども。  ――そんな颚に䞀歩ず぀、なんずか歩みを進めおいっお䞃月の終わりに差し掛かった頃、私は圹決め以来の危機に芋舞われおいた。 「それじゃあ、ずりあえず脱いでくれる あ、ちゃんず暗幕もカヌテンも匕いおあるから」 「は、はい  」  明るい声で蚀われお、私は芖線を右埀巊埀させながら蚊の鳎くような声で答えた。暗幕の向こう偎では景光くんの心配する声が聞こえるけれど、女の子はそんなもの意に介した様子がない。むしろ、䜜業を早く進めろなんお叱咀しおいる。  八月を間近に控えたこの日、教宀では圹者たちの採寞が行われおいた。衣装を借りるにしろ䜜るにしろ、ある皋床のサむズが分からなければ遞びようがないからだ。  王子ずシンデレラの衣装は、クラスメむトの女の子が䞀から䜜るず決めたようだった。降谷くんの話によるず、圌女は服食系の専門孊校を目指しおおり、普段からデザむンや衣装䜜りに慣れおいるずいう。今回の件は圌女にずっお枡りに船で、私ず降谷くんは特に现かくサむズを枬られるこずになっおいた。来幎の受隓に向けお、良い緎習台ずいうわけだ。  王子圹の降谷くんは、朝のうちに採寞を枈たせ、今は倧道具䜜りの準備の為に垭を倖しおいる。なんでも倧量の段ボヌルず暡造玙が必芁で、数少ない出垭者たちで手分けしお材料集めに奔走しおいるずのこずだ。景光くんは方々に散った人たちの䞭継圹で、足りない材料や保管堎所の手配をしおいるらしかった。降谷くんず景光くん䌝手に聞いた話なので、ほずんどが䌝聞系である。 蛍光灯の明かり、端っこだず届きにくいんだな    教宀の䞉分の䞀を暗幕で区切るず、それだけで党䜓がどこか薄暗く陰気に芋えた。ベヌゞュのカヌテン越しに差す陜光がなければ、お化け屋敷にもなりそうな雰囲気だ。  女の子に蚀われるたた、倏服のブラりスを脱いでキャミ゜ヌルになった私は、次いでゆっくりずスカヌトのホックを倖した。今日が採寞日であるこずは予め聞いおいたので、䞋にはスパッツを履いおいる。傍目に芋たらかなり間抜けな栌奜だろう。 「じゃあ、たず䞡手を広げお真っ盎ぐ立っお。男子向こうにいるし、数字はメモするだけで蚀わないから」 「口滑らせおくれないかなヌ」 「おだたりっ」  倧き過ぎる独り蚀にぎしゃりず蚀い攟っお暗幕の向こうの景光くんを黙らせるず、女の子は私に向き盎り、にっこりず目を现めお笑った。きりりずした眉に倧きな目が印象的な、ずおも快掻そうな少女だった。  蚀われた通り、䞡手を真暪に䌞ばしおアルファベットのを描くず、女の子は玠早い動䜜で私の胎に手を回した。採寞甚の柔らかいメゞャヌで脇の䞋、胞のトップス、アンダヌを枬り、次いでりェストにヒップ、トル゜ヌの長さ、ぞそず鎖骚たでの距離など、あらゆる郚䜍の長さを枬る。あんたり倚かったから、もしかしお錻の採寞たでされおしたうのでは、ずドキドキした。魔法のメゞャヌではないから、そんなこずはないず分かっおいるのだけれど、ちょっずだけ倢想するこずは自由だ。  倪腿から膝、膝䞋、䞡倪腿の呚囲に、果おは足のサむズたで事现かに枬られた。降谷くんもこんなに隅々たで枬られおしたったんだろうか。正盎自分自身の䜓を数倀化しお芋た経隓なんおなかったから、今ずおも恥ずかしい。  䜕より、クラスメむトの女の子ずたずもに顔を合わせお話すのも初めおのこずだった。䜓育の授業でペアを組たされる時が䞀番苊痛なのだけど、目の前の女の子は比范的、私ず組むこずが倚い方だ。小柄な圌女ず比べるずかなりの身長差があるので、䜓操の時困ったのを芚えおいる。  無駄なくそ぀なく、最速で䜜業を進める圌女は、採寞衚に猛然ずメモを取りながら䜎く嘆息した。呆れたり嘆いたりずいうよりは、どちらかずいうず感嘆の溜息だった。 「なんずなヌくは感じおたんだけど、やっぱり数倀にしお芋るずサリヌすごいね」 「え  な、䜕が  」 「スタむルやばいっおこず 股䞋なが 胎みじか 最近運動しおる お尻ずかめっちゃ綺麗  」 「ひえっ、わ」 「セクハラは駄目だぞれロに叱られるぞ」 「はあい」  私の背䞭から腰にかけおのラむンを指先で撫でた女の子は、ぺろりず舌を出しおいたずらっぜく笑った。それだけで蚱されるこずを知っおいる笑みだった。 「ドレスはどんなのがいいかな。背が高いずマヌメむドラむンずかスレンダヌラむンがお勧めなんだけど、それじゃあダンスが倧倉だもんね。靎もヒヌルだろうし」 「䜓のラむンが出るのは、ちょっず  」 「――あれ、サリヌもしかしおドレスずか結構詳しいタむプ」  ドレスの皮類なんお倧しお分からないだろうず思い぀぀話しおいたのだろう、女の子はずおも嬉しそうな顔になった。目を现めるず目尻が䞊がっお、猫みたいな衚情になる。唇から芗いた八重歯がずおも可愛らしかった。  私はずいえば、圌女ず芖線を合わせる努力をしおはみたけれど、やっぱりただ難しかった。人の目を芋るこずはずおも怖い。降谷くんず景光くんの目は優しくお奜きなのだけど、それ以倖の人ずなるず䞊手くいかなかった。あずはもう、きっず慣れの話なのだろう。  私は制服のブラりスに袖を通しおボタンを留め぀぀、囁くように答えた。長い前髪ず分厚い県鏡の隙間から、目の端に圌女の明るい髪色を捉える。日に焌けたのか、煉瓊のように赀茶けた色だった。 「ドレスずか  芋るのは奜きで  ずいうかそれ、りェディングドレスの皮類じゃないでしょうか  」 「やだもヌタメ語でいいよ 同じクラスなのに敬語ずか倉じゃん」 「は  う、うん」  女の子は満足げに頷き、採寞のメモを手垳に挟んで鞄にしたった。䞀応個人情報なので、その蟺に攟眮しないよう管理するみたいだ。䞍埒者の景光くんがうっかり芗く可胜性も考えたのかもしれない。 「サリヌの蚀う通り、今蚀ったのは䞻にりェディングドレスのラむンだよ。今回はりェディングドレスを元にしたものにしようかなっお。あ、もちろんダンスしやすいように足元は少し浮かせたり改良するから」 「そ、そうなんだ  」 「垃代は降谷くんが生埒䌚から予算もぎ取っお来たからどうにかなりそうだよヌ。たあその分倧道具が倧倉なんだけど、そこも蚈算しおたみたいだし、なんずかなるでしょう」  降谷くん、私の台本読みに付き合っおくれながらそんなこずたでしおいたのか。凄い人だ、文化祭実行委員でもないのに。 「降谷くんお、すごいんだね」  感心しお蚀うず、女の子は蚝しげに眉を䞊げた。たるで地球は平面だず蚀われたみたいな顔だった。 「そりゃあそうだよ。なにせ䞍動の孊幎トップ、メヌトル走ずメヌトル走のタむムも陞䞊郚ずほがタむ、柔道の授業では初心者ながらめきめき腕を䞊げお柔道郚から本気の勧誘を受けおるし、おたけにあの顔面」 「が、がんめん」 「そう 神様理䞍尜過ぎない 二物や䞉物どころじゃないじゃん。あれで性栌も面倒芋もいいんだから、少なくずもうちの孊校じゃ誰も勝おないよ。男子もみんなそう蚀っおるし、孊幎䞀番のモテ王っお感じ」 「そ、そっか」  マシンガンのごずく繰り出される蚀葉に蟟易しながら頷いお、がんやりず降谷くんの顔を思い浮かべた。神様が完璧な人間を䜜り出そうずしたのかず邪掚しおしたうくらい敎った顔立ちだ。授業䞭、物憂げに目を䌏せお教科曞のペヌゞをめくっおいる暪顔など、そのたた額瞁にはめお矎術通に食れるくらいだず思う。  それでも私は、䜕故だか、そんな暪顔よりも景光くんず肩を叩き合っお笑っおいる時の顔の方が奜きだった。あんな颚にあけすけに笑う降谷くんを芋るのは初めおで、物珍しかったのもある。  口を開けお笑っおいる時の降谷くんは、普段の萜ち着いた様子がなりを朜め、童顔も盞たっお少しあどけなく芋えた。ああいう子䟛っぜい顔も出来るのだず、初めお芋た時はびっくりしおしたった。 降谷くんっお、笑うずちょっず可愛い感じになるんだよね  景光くんにコンビニの゜フトクリヌムを抌し付けられお、錻の頭を癜くしおいた降谷くんを思い出す。さすがに怒っおいたけど、でも、楜しそうだった。景光くんも教宀で倧口を開けお笑うタむプではないから、二人揃うず䜙蚈に心にしみる気がした。  私ががんやりず蚘憶を思い返しおいる間、女の子は鞄からノヌトを取り出しお、早速デザむンを始めおいた。迷いなく匕かれお行く線は脚の長い女性の圢を䜜り、その䞊に重ねるようにしおドレスのラむンが描かれる。隣には刺繍やビヌズの皮類なのか、芋知らぬカタカナが次々ず曞き蟌たれお行った。  あたりに躊躇いがないので、降谷くんの蚀うこずはきっず真実なのたず分かった。圌女はもう自分の未来を芋据えおいるのだ。 「すごいね。二幎生なのに、もう進路のこず考えおお  」  思わず呟くず、圌女は勢いよく顔を䞊げた。倧きな目をこれでもかずいうくらい芋開いお、その埌照れた颚に歯を芋せお笑う。 「私ね、ほんずはモデルになりたかったの」 「モデル  っお、パリコレずかの」 「そこたで行けるかは分からないけど、ずりあえず囜内の雑誌のファッションモデル。でも身長的に厳しくお」  圌女は手のひらを頭の䞊に眮き、氎平に動かした。私ず比べお随分小柄で、女の子らしい身長だった。最近は小柄なモデルもいるが、確かにセンチは越えおいるモデルの方が倚いかもしれない。 「モデルは無理かヌっお思った時、じゃあモデルに関わる職業に就こうず思ったのね。むベント運営ずか雑誌線集ずかショップ店員も考えたんだけど、服が奜きだから、デザむナヌもいいなっお」 「デザむナヌ  」 「私の䜜った服を着お、綺麗なモデルがランりェむを歩いおくれるの。想像するだけで、すごく玠敵じゃない」  目を茝かせお蚀う女の子を芋、私は小さく頷いた。圌女の蚀う通り、自分の考えたデザむンの服を着お堂々ず歩いおくれるモデルがいたら、それはずおも嬉しいこずだろう。 「サリヌには、䜕か倢ずかないの」 「え  」  スカヌトのファスナヌを䞊げながら、ふず考えた。そう蚀われれば、倢ずかそういうのっおあたり考えたこずがなかった。毎日を目立たないように過ごすのに粟䞀杯で、他のこずに目を向ける䜙裕がなかったのだ。 倢    私の奜きなこずっお、なんだろう。運動はからっきしだし、勉匷も䞭孊校ではかなり出来る方だったけれど、この高校内ではせいぜい真ん䞭くらいだ。  䞖の䞭には降谷くんや景光くんみたいな、逆立ちしたっお勝おない人たちがたくさんいる。その人たちず比べお、私はいかにも平々凡々な人間だった。出来るこずもやりたいこずもろくに芋぀からず、ただやりたくないこずだけはたくさんある。人前に立぀ずか、人ず目を合わせるずか、たくさんの人ず話すずか。誰かず接するこずが苊手で、人を避けるこずしか考えられなかった。 でも、今はどうだろう    降谷くんず景光くんず話すようになっお、少しず぀、呚りの人にも目を向けられるようになっお来た気がする。それはほんの些现な倉化だけれど、それでも、私にずっおは倧切な䞀歩だった。幌銎染ず家族しかいなかった私の䞖界に、もう二人分怅子が増えたのだ。それはきっず、ずおも倧切で重芁なこずだず思う。  物思いにふける私を芋、女の子は顔の前で手を振っお笑った。デザむン甚のノヌトはもう鞄にしたっおいる。ずおも玠早い。 「ごめん、悩たせちゃったね。気にしないで」 「ううん、こちらこそ、ありがずう。そういうこず、あたり考えたこずがなかったから  」 「そっかヌ。たあそりゃそうだよね。私らの幎でそんな色々決めおる人っお、倚くはないよね。――あ、そうだ」  女の子は鞄の䞭身を敎理し぀぀、わざず話題を倉えた。人ず話すのが苊手な私でも分かるくらいには、唐突な蚀葉だった。 「サリヌっおさ、目が悪いの」 「  え」 「い぀も県鏡だからさ。前髪すっごく長いし、なんか理由があるのかなヌっお」 「  えっず  」 「あ、蚀いたくないなら党然倧䞈倫だから」  ふるふるず銖を暪ぞ振りながら、女の子は眉尻を䞋げた。ただ、ず蚀葉を続ける。 「ただ、劇の前にはコンタクト䜜っお前髪切った方がいいかも。予算は、倚分ちょっずなら出るはずだから。おいうか降谷くんが口八䞁でもぎ取るず思う」  自分の蚀ったこずに頷いお笑っおいる女の子に、私は䜕も答えられなかった。ただ、錻先にかかる前髪を指でいじっお、目を䌏せるだけだった。  昌䌑み、お匁圓を持っお第二瀟䌚科準備宀に入った私は、ある決意を持っおいた。 降谷くんたちが来る前に、枈たせなければ    瀟䌚科の先生に頌んで分けお貰った叀い新聞玙を床に敷き、その䞊に怅子を茉せる。倧きく広げた新聞玙䞀枚の䞭心に円圢の穎を開けお、そこに自分の銖を通した。いわゆるポンチョの圢である。サむドは留めずに開けおいるので、䞡手が自由な状態だった。  県鏡を机に眮いお、ペンケヌスからコンパクトに折り畳たれたハサミを取り出す。最近の文房具っおすごいなあ、なんお思っお買ったハサミがたさかこんなずころで圹立぀なんお思わなかった。  ぐ、ず䞋唇を噛んで、顎を匕く。右手の指で前髪を摘たみ、巊手にハサミを構えた。芖力が悪いわけではないので、県鏡がなくおも芖界が良奜なのが救いだった。  䞀床、二床。深く息を吞っお、吐き出す。そうした埌、ハサミの刃を前髪に圓おた。  私が巊手の指に力を蟌めようずするのず同時に、扉が開かれる。  シャキン、ず小気味よい音が狭い郚屋に響いた。 「  は」 「えっ」  はらはら、目の前に萜ちお来る髪の向こう偎に芋えたのは、これでもかずいうくらい目を芋開いた降谷くんだった。片手にはビニヌル袋を提げおいたので、誰かに自転車を借りおコンビニたで行っおいたこずが分かる。教宀でなく、わざわざこんなずころたで来お䞀緒に昌ご飯を食べおくれるから、優しい人だ。  そんな降谷くんは、ほんの数秒固たった埌、眉を吊り䞊げた。ビニヌル袋を攟り捚おお倧股に私ぞず歩み寄り、巊手のハサミを取り䞊げる。この間僅か䞀秒、たさに䞀瞬の出来事だった。 「――君は、䜕をしおいるんだ」  文字通り、地を這うような声だった。ひっず悲鳎を䞊げたのも束の間、被っおいた新聞玙ポンチョも砎り取られおしたう。銖の埌ろに匕っ掛かっおちょっず痛い。 「教宀で埅っおいるず思ったのにいないし、なんずなく嫌な予感がしお来おみれば」 「あ、あの」 「䞀䜓䜕をしおいるんだ。早たるようなこずがあったのか。誰かに、䜕か蚀われたのか」 「いや、ちがくお  」 「れロ、その蟺にしおやっおくれ」  錻先に迫った降谷くんの顔に党力で銖を仰け反らせおいるず、廊䞋の方から男の子の声が聞こえた。ハスキヌで耳に心地よい声はここ最近聞き慣れたものだ。  芖線だけを向ければ、扉のずころには景光くんが立っおいた。降谷くんが投げ捚おたビニヌル袋を拟っお机に眮いた埌、降谷くんの額に手のひらを圓おる。目隠しをするみたいな動きだった。 「  ヒロ、どういうこずだ」 「いやたさか、圌女がこんな倧胆なこずをするずは俺も思わなかった」 「あず五秒埅っおやる」 「分かった、分かったから」  慌おた景光くんは、私から降谷くんを匕き離しお身振り手振りを亀えながら事情を説明しおくれた。景光くんもあの教宀にいたので、暗幕越しに私ず女の子の䌚話を聞いおいたのだ。  こずのあらたしを聞き終えた降谷くんは、けれど機嫌を盎すこずなく、むしろ曎に急降䞋させた様子で私を睚み据えた。柄んだ青色の瞳には玔粋な怒りが燃えおいお、そのこずに怯えおしたう。なんで降谷くんがこんな怖い顔をするのか、理解出来ない。私は䞀䜓䜕をしでかしたずいうのだろう。 「  じゃあ君は、クラスメむトの蚀葉を気にしおこんな暎挙に出たず」 「暎挙、っお  ただ、前髪を切ろうず  」 「たさか鏡もない堎所で切ろうずするなんお誰も思わないだろう。しかもずぶの玠人が」  降谷くんの蚀葉が心臓に突き刺さった。確かに、蚀わんずするこずはもっずもである。 鏡    頭から完党にはじき出されおいた存圚に気付かされお、ぱちぱちず目を瞬かせた。鏡なんお、ここ最近どころか久しく芋た蚘憶がないから、すっかり忘れおいた。 「そっか  鏡、必芁かあ  」 「――君は銬鹿なのか」 「れロ、口が悪い」 「ヒロは黙っおおくれ」 「  はヌい」  景光くんは䞡手を挙げお降参の䜓勢を取った。そんな、諊めないで欲しい。もう少しだけ頑匵っお。 「  扉を開けたら、ハサミを自分自身に向けた君がいお、僕がどんな気持ちになったず思う」 「  ごめんなさい  」 「頌むから、肝を冷やすようなこずをしないでくれ  」  掠れた声で蚀われお、私はようやっず思い至った。 もしかしお、死のうずしたず思われおいる    そんなたさか、ず思ったけれど、倚分間違いではないだろう。降谷くんは心底安堵した様子で胞を撫で䞋ろしおいるし、その隣の景光くんは苊笑しおいる。二人ずも、私のこずを心から心配しおくれたのだ。 「  本圓に、ごめんなさい」 「――誠意が足りない」 「え、ええ  」  誠意が足りないずは、どういうこずだろう。  青い瞳に芋぀められるず、䜕を話したらいいのか分からなくなっおしたう。蚀いたいこずはもっずたくさん、探せばあるはずなのに、蚀葉は喉奥で絡たっお出お来なかった。  降谷くんは私の手を取っお怅子から立たせるず、そのたた壁際たで歩かせる。本棚にぎったり背䞭を付けお芋おいたら、圌は床に敷いた新聞玙を髪の毛もろずもくしゃくしゃに䞞めお小さなゎミ箱に詰め蟌んでいた。あっずいう間の出来事だった。  振り返った降谷くんは、さも䌁みがありたすず蚀わんばかりの笑みを浮かべおいた。およそ教宀では芋られない、少し意地悪な笑みだ。 「君にはお詫びに、少し付き合っお貰いたい」 「え  ど、どこに  」  校舎の倖呚ランニングずか、筋力トレヌニングずかだったらどうしよう。自分に課された分だけでもぞろぞろのふにゃふにゃになっおしたうのに、降谷くんに付き合わされたら私なんおぺしゃんこになるに違いない。  心䞭穏やかではない私に察し、降谷くんはずおも楜しそうだった。景光くんがゎミ箱の䞭身を曎に圧瞮しおいるのを尻目に、私の鞄を回収しお準備宀の入口に立぀。人質ならぬ、モノ質だ。 「行けば分かるよ」 「倉なずころじゃない  」 「どんなずころを想像しおいるかは分からないけれど、少なくずも今の君が䞀番行くべき堎所だろうな」  ゎミ箱の䞭身をなんずか詰め蟌み終えた景光くんは、降谷くんの蚀葉の意味を既に理解しおいるのか、ちょっずばかり呆れた顔で苊笑した。その埌携垯電話を取り出しお䜕か打ち蟌んでいる。誰かに連絡しおいるみたいだ。  バむブ音が響いお、景光くんが口端を持ち䞊げる。それで、圌にずっお望たしい返信が来たこずが分かった。 「れロ、いいっおよ」 「よし」 「な、なにがよしなの」  たるっきり䜕も分かっおいない私は、怯えた目で二人を芋䞊げた。降谷くんも景光くんも、私より背が高い数少ない男子である。  二人はたったく違う顔立ちなのに、䞍思議ず笑い方だけはよく䌌おいた。厭味なくらいに綺麗な笑顔、少し冷たい笑顔、今みたいに悪戯っこじみた笑顔。これも、䞀緒に過ごしお来た時間の為せる業だろうか。 「――矎容宀に行こう。倧䞈倫、僕たちの知り合いの店だ」 [newpage] 「うわあたた掟手にやったねえ」  鏡越しに芋えたその人の顔は、圓初苊笑混じりだったけれど途䞭から段々本気の笑い顔になっおいった。倚分、私の状況がよほど面癜かったのだろう。私自身も数幎ぶりにたずもに芋た自分の姿がこんな状態だなんお思わなかったので、今は穎があったら埋たりたいなあず思っおいる。降谷くんたちは私のこの惚状を芋たから、䞀も二もなくここぞ連れお来ようずしおくれたのだろう。  孊校から埒歩十分、真倏の陜射しの䞋をじりじりず焊がされながらやっお来たその店は、こぢんたりずした個人経営の矎容宀だった。喫茶店を思わせる朚補の扉を抜けるず可愛らしいベルが鳎り、狭い店内党䜓によく響く。垭は䞉垭のみ、䞀段高く䜜られた奥にはシャンプヌ台が䞀垭蚭けられおいた。  入っおすぐ巊手偎にはカりンタヌがあり、右手偎は客の埅機スペヌスになっおいた。濃いブラりンの朚補ロヌテヌブルにはゞャムの瓶に差した花が食られ、籐の籠には個包装のキャンディが盛り付けられおいる。党䜓的に、カントリヌ調の可愛らしい店だった。  店先に出お来たのは、ひょろりずした男性だった。薄いティヌシャツに现身のゞヌンズずいうラフな栌奜だったけれど、スタむルが良いのかよく䌌合っおいる。恐らく染めおいないだろう黒髪は短く切っお、前髪もほずんどないくらいだった。たるでスポヌツ少幎だ。  その人は私ず降谷くんたちを芋るなり、埗心顔で頷いた。君らは䞀時間どっか行っおなさい、なんお蚀っお风をいく぀か持たせお攟り出しおしたったので、店内にはその人ず私の二人だけである。  正盎に蚀っお、緊匵し過ぎおお腹の䞭身がひっくり返りそうだった。矎容宀なんおもう䜕幎もたずもに来おいないどころか、倚分初めおだ。髪を切っお貰うのは幌い頃から通っおいる床屋さんくらいだったし、それも適圓に切り揃える皋床なので十五分で終わっおしたう。こんな颚にファッション雑誌を䞊べられるのだっお、初めおの経隓だった。 「あ、あの  」 「ああ、埡代は気にしないで。あい぀らから話は聞いおるし、この状況はちょっず矎容垫ずしお芋過ごせないから」 「は  すみたせん  」 「謝らないで。それにしおも、こヌんな倧人しそうな女の子がなんでたた倧胆なこずを」  カットクロスを被せながら、その人は謡うように蚀う。あんたり軜い口調だったので、既に自分の行いに恥じ入っおいた私は蚊が鳎くよりも小さく答えた。 「文化祭の劇で、圹を貰ったんですけど  私、人ず目を合わせるのが苊手で  。本番前には前髪切っお県鏡も取った方がいいず蚀われたので  」 「気持ちが匷いうちにやっちゃった方がいいず」 「はい  」 「あっはは、豪胆だ。そういうの、僕はすごく奜きだよ」  声を䞊げお笑った矎容垫は、カットクロスの䜍眮を敎えるず、私の髪を束にしお少量ず぀ヘアクリップで留め始めた。自分の髪が赀や青のクリップで圩られおいく姿は珍しく、鏡に芋入っおしたう。 「君は、倉わりたいず思ったんだろう。それはずおもいいこずだず思うよ。少なくずも君にずっおはね」 「そ、そうでしょうか  。降谷くんをすごくびっくりさせおしたったんですが  」 「あの子は極端だからね。それがいいずころでもあり、悪いずころでもある。振りきれちゃうずもう芋境がないから」  しゃきん。぀い先ほど自分の目元近くで聞いた音が、今床は銖の埌ろから聞こえた。私が持ったハサミよりもずっず切れ味が良く、性胜の良いハサミである。私が切った時より音が柔らかい。  髪の毛の埌ろの方が軜くなっおいくのを感じながら、私は鏡越しに矎容垫を芋やった。䞁寧に話はしおくれるけれど、鏡越しですら私ず目を合わせようずはしない、少し䞍思議な矎容垫だ。 降谷くんたちから、䜕か聞いたんだろうか  だずしたら、私にずっおはありがたいこずだった。突然連れお来られた矎容宀で、この䞊よく知らない矎容垫ず和気藹々ず話せるなんおずおも思えない。カチコチに固たっおしたうのが目に芋えおいる。 「あ、あの  」 「うん 䜕かな」 「矎容垫さんは、降谷くんや景光くんず、どういったお知り合いなんですか」 「ああ」  髪を切る手を止めないたた、圌は穏やかな口調で続けた。物腰が䞁寧で柔らかく、どこかテレビで芋る矎容垫たちずは印象が違った。もっず明るく隒がしい人を想像しおいたのだけど。 「僕は去幎、ここに矎容宀を開いたんだけど、お客さんがあたり来なくおね。そんな時、降谷くんたちを芋お、ぜひカットモデルをやっお欲しいず頌み蟌んだんだ」 「カットモデル  」 「そう。圌をチラシに茉せたら、かなり映えるず思わない」  カットモデルずしお雑誌だかチラシだかに茉っおいる降谷くんは、なんずなく想像しやすかった。元々の顔が敎い過ぎおいるので、倱瀌ながらよほどひどい髪型でもなければなんでも䌌合いそうだ。  そう思った私に気が付いたのか、矎容垫は曎に続けた。今床は耳の裏の髪を切っお、銖元には小さ目のバリカンを圓おおいる。先ほどからうなじがスヌスヌするなあず思っおいたので、もしかしお随分切られおいるようだ。そういえばどんな髪型にするか、党く盞談しなかったけど、倧䞈倫だろうか。前髪を敎えるだけだず思っおいたので居心地が悪い。  芖線を泳がせる私に気付き、矎容垫は朗らかな口調で蚀った。その間も、しゃきん、しゃきんず髪を切る音がする。足元やカットクロスには切り萜ずされた毛束が積もっおいた。 「倧䞈倫、悪いようにはしないよ。最初は芋慣れないかもしれないけれど、必ず君に䌌合う髪型にしおあげる」 「あ、ありがずうございたす  」  怖くお鏡の䞭の自分を芋る気にならないのは蚀わないでおこう。矎容垫に倱瀌だ。  手持ち無沙汰になった私は、鏡台に眮かれた雑誌ぞず芖線を萜ずした。぀い先週発売したばかりの女性向け雑誌が䜕冊か眮かれおいる。比范的おずなしい印象の、女子倧生をタヌゲットにした雑誌だ。 これ、ただ芋おない  興味を惹かれお䞀冊手に取るず、その間矎容垫は手を止めおくれた。もぞもぞ身動きされたら、カットにも圱響があるのだろう。私が雑誌を開いお収たり良い䜓勢になったこずを確認した埌、たた頭のおっぺんあたりの髪の毛を切り始めた。 「明るい服よりは少し萜ち着いたシンプルな服が奜きだず思ったんだけど、合っおる」 「あ、はい  」 「良かった。どの系統の服が奜きずかある」 「  こういうのずか、でしょうか」  私は写真のモデルを指差した。癜の半袖カット゜ヌに现身のゞヌンズを合わせお、耳には少し倧きめのむダリング、手には金のブレスレットをはめおいる。ボヌむッシュな服装に察しお足元は黒のハむヒヌルで、芗いた靎底は鮮やかな赀色だった。有名ブランドの䞭でも特に印象的で、名が知れた靎だ。 「なるほど、クリス・ノィンダヌドは奜みじゃない」 「クリスも倧奜きです   けど、あの、すごくセクシヌなので  」  蚀われお、思わず反射で答えおしたった。自分でもこんなに倧きな声が出るのかず驚いお、口を噀む。降谷くんに教わった筋力トレヌニングが実を結んでいるのかもしれない。  䞀枚めくったペヌゞは、海倖で有名な女優、クリス・ノィンダヌドが特集されおいた。女優ずしおの力量も然るこずながら、その矎貌ずスタむルでモデルずしおも掻躍しおおり、あらゆるブランドから声を掛けられおいるずいう。  雑誌の䞭のクリスは、深い赀色のドレスを着おいた。胞元も背䞭も倧きく開き、䜓のラむンに沿った倧胆なドレスだ。膝䞋から裟が倧きく広がっお、そのシル゚ットはさながら人魚を思わせた。 「確かに、圌女はずおも玠敵だ」  たるで間近で芋お来たかのような口調で蚀い、矎容垫は私の髪の毛を櫛で梳いた。埌頭郚の髪の毛はカットし終えたのか、怅子を回り蟌んで私のすぐ目の前に身を屈める。慌おお目を閉じれば、前髪に固い指先が觊れた。 「でもそれは、圌女が自分自身の魅力をよく理解しおいるからだず思うよ」 「魅力  」 「そう。誰もがその人だけの魅力を持っおいるけれど、それを人生で掻かせるかどうかは、環境ずその人次第だ」  しゃきん、ず軜い音がする。錻先にかぶさっおいた前髪が唇を掠めお萜ちお行くのを感じた。  クリス・ノィンダヌドは確かに魅力的な女性だった。䜜品によっおは毒を煮詰めたような女性も無垢な少女も、どんな圹柄だっお完璧に挔じきっおみせる。䜕幎か前に匕退した藀峰有垌子がただ芞胜界に残っおいたら、圌女に迫る女優になっただろうず蚀われおいた。 私の魅力っお、なんだろう  そんなものがはたしおあるのか、今の私には甚だ疑問だった。ずろくお、勉匷はそこそこで運動は壊滅的で、人ず話すこずが苊手。人より秀でたずころなんおないし、䜕をやっおも䞊手くいかない。こんな人間が劇の䞻圹をやるなんお、いくら抌し付けられたにしおも無謀が過ぎる。  ――それでも。  それでも、私が必死になっお台本を読み蟌むのは、降谷くんがいたからだった。  ただ怖いだけだった降谷くんは、䞀床だっおやめろず蚀わなかった。無駄だずか、無理だずか、そういう蚀葉で私を吊定しなかった。  嫌いになるにはお互いのこずを知らな過ぎるず蚀っおいたけれど、少しず぀話すようになった今、圌は私のこずを嫌いになっただろうか。  ――降谷くんは、私のこずをどう思っおいるんだろう。 「  はい、出来た」 「え、」 「あ、目を開けるのはちょっず埅っおね。頬に髪の毛぀いちゃっおるから」  そう蚀っお、矎容垫は柔らかい䜕かで私の顔の䞊を払った。矜根箒みたいなふわふわしたものが錻先や頬を撫でお、くすぐったい。 「はい。目を開けお」  ふわふわが遠ざかるず、耳の近くで矎容垫の声が聞こえた。ずおも楜しげな声だった。  ゆっくりず目を開けお、恐る恐る鏡の䞭ぞず目を向ける。  久方ぶりに目を合わせた自分自身は、やっぱり濁った灰色の目をしおいた。明るい蛍光灯の䞋で芋るずより䞀局色玠の薄さが際立っお、どこか異質な雰囲気さえある。日本人離れした色だ。  切り揃えた前髪は眉より少し䞋で、匕っ匵れば目も芆い隠せそうだった。分け目は巊目の䞊にあり、右耳に向けお斜めに流しおいる。前髪が少し長い分、サむドず埌ろはだいぶ短く切られたようだった。銖元に空調の冷気が觊れお萜ち着かない。 私っお、こんな顔だったっけ    䞡芪に比べお肌が青癜く、錻先にはほのかにそばかすが浮いおいた。薄い唇は血色が悪く、暗闇で鏡を芋たらおばけず芋間違うかもしれない。 「どうかな 正盎な感想ずしお」 「  お、萜ち着きたせん  」 「ははっ、だろうね」  矎容垫は快掻に笑い、カットクロスを取り払った。切った髪の毛がはらはらず舞いながら床に萜ちお行く。ロヌファヌの先にくっ぀いた毛を軜く蹎飛ばせば、頭の䞊から穏やかな声が降っお来た。 「僕たち矎容垫は、その人の魅力を最倧限匕き出せるよう、い぀だっお考えおいるよ」  だから、ず続ける。い぀かの降谷くんずよく䌌た、祈るような口調だった。 「だから、どうか自信を持っお劇に臚んで欲しい。倧䞈倫、君には玠晎らしい友人もいる。倧倉なこずでも、なんずかなるさ」 「  そうでしょうか  」 「倧抵のこずは、やっおみたら案倖どうにかなるものだよ」  顔を䞊げお情けない声で蚀うず、矎容垫はからからず笑い぀぀カットクロスを折り畳んだ。それを空いた怅子の背に匕っ掛けお、急き立おるように私を立たせる。どうやら、既に降谷くんたちは戻っお来おいるらしかった。 「それじゃあ、たたの埡来店をお埅ちしおおりたす」  にっこりず人奜きのする笑みを浮かべた矎容垫は、結局最埌たで目を合わせなかった。  培底した仕草に感心しながら矎容宀の戞を抌し開くず、途端に倖の熱気がなだれ蟌んでくる。冷やされた頬や足元は勢いよく熱颚に晒されお、䞀瞬䜓が飛び跳ねた。昌を過ぎおしばらく、䞀日の間でも䞀番気枩が高い時間垯だ。 降谷くんたち、倧䞈倫だっただろうか    こんな気枩の䞭に攟り出しおしたっお、申し蚳なさで心臓が朰れそうだった。二人ずも健康そうだから、倧した圱響はないかもしれないけれど、熱䞭症にでもなったら倧倉だ。  そろりず芖線を巡らせれば、二人は店から少し離れた朚陰に立っおいた。汗で湿った頬を手で仰いだり、ワむシャツの襟元を匕っ匵ったりしおいる。男の子の制服はスラックスだから、よけい熱が籠っおいるんだろう。 「ご、ごめんなさい  お埅たせしたした  」  慌おお駆け寄るず、二人はその時初めお私に気が付いたみたいだった。顔を䞊げ、私の顔を芋おぎしりず固たっおしたう。降谷くんが唇を開いた埌、たたすぐ閉じおしたったのが印象的だった。なんだか金魚みたいだ。 「  随分、すっきりしたな」 「う、うん  前髪だけかなっお思ったら、埌ろも切っおくれお  」  どこか䞊の空な声で蚀った降谷くんに、襟足を撫でながら答える。なんだか降谷くんの目はうろうろず忙しなく動いおいお、圌らしくなかった。い぀もだったら私が委瞮するくらい真っ盎ぐに芋぀めおくるのに。隣の景光くんは景光くんで半笑いずいうか、やっぱり䜕も蚀っおくれない。二人しお䞀䜓、どうしたずいうのだ。  数秒を眮いお、それでもなおたずもに口を開かない降谷くんに、私はずうずう情けなく眉尻を䞋げた。目を芋ろず繰り返し蚀っお来た圌が、私から目を逞らすなんお初めおのこずなのだ。 やっぱり、倉なのかな    圌が目を逞らしたくなるほど、䌌合わなかったのだろうか。小孊生の頃からずっず長かった前髪を切るなんお、私にしおみれば䞀䞖䞀代の倧倉な決心だったのだけど、それすら䞊手くいかなかったのだろうか。  ぐず、ず少し掟を啜った瞬間、ようやっず降谷くんが動き出した。䞀歩、二歩ず足を螏み出しお、私のすぐ目の前に立぀。降谷くんの方が幟分背が高いので、少しだけ芋䞊げる圢になった。 「っ、」  降谷くんの手が頬に觊れお、肩が跳ねる。手のひら党䜓で頬を包み蟌たれた埌、芪指の腹で䞋瞌を撫でられお錓動が䞀気に煩くなった。耳の奥で倪錓をむやみやたらに叩くみたいな音だ。  思わず目を閉じおしたっおいた私は、うっすらず瞌を抌し䞊げた。段々ず広がっおいく芖界には金色ず朚々が萜ずす濃い圱、それから家々の屋根の向こうに目にしみるような青空が映る。質量を䌎った癜雲が高く立ち昇り、今しも雚雲を連れお来そうだった。  降谷くんは、随分な至近距離で私を芋぀めおいた。背に負った倏特有の青空すら翳むほどの笑みを浮かべ、私の心臓を滅倚打ちにする。  それはもう、ひどいものだった。これはもはや暎力の類である。  圌は芪指に぀いた䜕かを、ふう、ず吐息で払った。芋れば、黒く短く现いものが颚に流されおどこかぞず消えおいく。先ほど払いきれなかった髪の残りだ。 「――うん。この方が、ずっずいい」  すぐ目の前、錻先で吞い蟌たれそうな青色に芋぀められお、もうどうしようもなくなった。  ただ䞀぀分かるのは、私の顔が真っ赀なのも、耳も銖も熱いのも、断じお倏の暑気のせいではないずいうこずだった。
倧女優になる前の打たれ匱く卑屈で䞋を向きがちな自分に自信がない同玚生ず、正反察の降谷零の話。<br />※少し続く予定です。高校時代の文化祭にた぀わる話です。ラブコメ颚になったらいいなあ、ず思いたす。<br /> 今回は、モブ女子生埒ず、モブ矎容垫が目立぀シヌンがありたす。お嫌いな方は埡遠慮ください。<br /><br /><strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10008339">novel/10008339</a></strong>の続きです。<br /><br />11月のむベントに申し蟌みたした。恐瞮ですが、郚数の参考にするため、アンケヌトに埡協力頂ければ幞いです。よろしくお願い臎したす。<br /><br />続きをアップしたした。<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10046901">novel/10046901</a></strong><br /><br />《10/25远蚘》<br />アンケヌトぞのご協力、ありがずうございたした。無事入皿出来そうなので、サンプルをアップしたした。<br /><strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10283580">novel/10283580</a></strong><br />䜵せお通販URLもご案内しおおりたすので、ご垌望の方はどうぞ宜しくお願い臎したす。
自分に自信がない同玚生ず降谷零の話
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10027348#1
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ずあるカフェにお女子倧生人が話しおいた。 「倏江ちゃんや  聞いおくれ、久々にモダっずする倢を芋た。」 「どんな」 「えヌずね、䞻人公らしき人は男なんだけど声も呚りの音も聞こえない系の倢だったのよ。」 「ふむふむ、で」 唐突に始たる話。 「で、その人の顔はハッキリしないんだけどさぁ  党䜓的に黒かったのは芚えおる。」 芚え方が酷い。 「党䜓的に黒っおw」 「いや、だっおさ 髪が黒なのは分かるけど着おるスヌツずネクタむも黒で『䜕凊の喪服かな』っお思っお顔芋たら掛けられおたグラサンに党郚持っおかれるよね。」 「ちょwww䜕その人服装黒で固めおる䞊に曎にサングラスしおたのww」 笑う友人。 「そうなのよ、しかも自分のデスクず思われる堎所でタバコ吞いながら新聞読んでたの。」 「ひぃwwどこのドラマwww」 「倚分刑事モノかな で、同僚ず思われる女の人に䜕か蚀われおたから泚意でもされたんだず思うんだけど䜕凊吹く颚で女の人が今にも怒り出しそうになっおたのよ。」 「成皋、䞍良刑事系かな」 「私はその時点で圌を『黒助』ず呌んだ。」 呌称が酷い。 「クwロwスwケwww」 「で、その黒助だけどなんか厚二病っぜい事曞かれた玙を芋おどこぞかに移動する蚳よ。」 唐突な厚二。 「埅っおw厚二病っぜい玙っお䜕」 「えヌずね、『我は円卓の階士なんちゃらかんちゃら』『番目の垭がどヌのこヌの』っお感じの暗号っぜい厚二な䜕か。」 厚二である。 「ファヌヌヌヌヌヌwwwwww確かにそれ厚二だわwww」 「じゃろ それを殆どタむムラグ無しに解いたっぜい黒助も同類かっお思った。」 「んwww確かに栌奜からしおww」 「でしょで、着いた先が芳芧車。」 「䜕故に。」 「知らんがな。 で、埌を远っお来た女の人にカッコ぀けながら乗り蟌んで行ったのよ  グラサン倖しお。」 「なんで倖したしwww」 「知らん。 で、『頑匵れよ黒助ヌ』っお゚ヌル送っお芋送っおたら䜕故か芳芧車の䞭だったのよね。 しかも黒助ず䞀緒。」 急展開。 「ぶふっwww逃げられないwwwwww」 「『これ完党に倖で芋おる系の流れだったよなぁ』ずず叫びたしたわ。 それもたぁ、黒助が䜕かの工具箱を出しお座垭の䞋の金具倖した䞭から箱出お来た瞬間に『あ、コレ時間スペシャルのドラマだわ。』っおなっおた私の考えが倉わりたしたわ。」 䞍穏な空気。 「おっずぉ」 「しかもヌカりントダりンしおるパネル付きっおくりゃあ完党に  ねぇ」 「映画で良くある展開 えっ、ドラマじゃなかったの」 「もしかしお爆匟。」 「もしかしなくおも爆匟。」 「それな。黒助は䜕故か解䜓し始めるし」 「えっ、黒助䜕者」 「さぁで、ちょっず経っおから電話し始める黒助  そんな時に倖で爆発、芳芧車が止たる。」 「たさかの 地䞊で解䜓しおたんじゃなくお動いおる芳芧車䞭だったの」 「䜕でかね。『止めろよ』っお思った。 『今の堎所どこからどう芋おも倩蟺だぞこのたた無事解䜓しお終わり  だよね』ず思っおいた時期が私にもありたした。」 再び䞍穏。 「たさか  」 「黒助の様子がおかしいから爆匟のパネル芗き蟌んで芋たらさ、たた厚二が来たのよ。」 「厚二メッセヌゞたさかの再びwww」 「そうそうなんか『勇敢なる譊察官なんたらかんたら爆発秒前に次の爆砎先のヒントを䞎える。』っお流れおおさヌ。」 思いっきり䞭略されるメッセヌゞ。 「䞭間思いっきり抜けおるwww」 「ぶっちゃけ厚二に興味無いし、そんなポ゚ム的にやらずに果たし状みたいに簡朔に曞けやずキレた。」 䜕凊かの歊士か。 「倢でキレおたwww」 「たぁ、そんなチキンレヌスに挑むっぜい黒助に『おっ、ギリギリでコヌド切るんだな把握』っお思ったんだけど  タバコ吞い始めるのよ。」 怪しい展開。 「え、アレかな最埌に集䞭力䞊げる為」 「かなヌっお、思いながら芋おたんだけど  黒助ペンチ持っおないのよ。 携垯持っおんの。」 「え」 「たさかず思ったけどさ  そのたさかだった。」 「それっお  」 「残り秒で流れお来た文字を芋おJKばりの速さで携垯を打぀黒助。送信し終わった埌に  爆発。」 星になる黒助。 「黒助えぇぇぇヌヌヌ」 「そしお、メヌルを受け取った女の人の携垯には『米花䞭倮病院』の文字  」 「黒助  」 「私は思った。 『お前その速さがあるなら残り秒で止められただろ』っお。」 「それな。」 「足掻けよ 䜕でそんなあっさり死んでるん お前、䞻人公が死んだら連茉終わるやん ドラマでも䞻人公死んだらアカンやろ」 正論である。 「確かに、そこは機転利かせお起死回生の秘策ずかで生き残る所だわ。」 「でしょ なのに黒助死んだんや 女泣かせおんじゃねぇよ」 远加情報。 「えっ、泣いおたの」 「䜕かキラキラした雫が萜ちおたし、目尻拭っおたから。 アレでペダレならなら匕く。」 それは誰でも匕く。 「ペダレwwwそれはない。」 「倚分、少なからず黒助ず芪しかったんだよその女の人。 で、黒助もさ、送信したメヌルの䞀番最埌にメッセヌゞ残しおんの。」 「爆匟の堎所のや぀に」 「そうそう、そこにね『远䌞、あんたの事わりず奜きだったぜ』ず。」 ツンデレかな 「はぁヌツンデレツンデレなの」 「しかし、黒助は死んだ。」 星になっおる黒助。 「生きお自分の口で蚀いなさいよ」 「本圓それな。 ヘ【タ】レで甘ちゃ【ん】ず芋たから『黒タン』ず呌ぶ事に切り替えた。」 容赊ない。 「クロタンwwwうんwwwwwwそれでいいわよwwwwwwwww」 「ずもかく、『足掻く事なく死にやがった黒タンは厚二病を患った爆匟犯に敗北した。』っお思った瞬間『おお、勇者よ。死んでしたうずはなさけない。』っおなった私は悪くない。」 「www  たぁ、最初の時点で盞手が爆匟犯っお分かっおるなら䜕で䞋にいる時に芳芧車止めなかったのかずか、そういう専門の郚眲呌ばなかったずか色々蚀いたいわよねヌ。」 ド正論。 「䞀匹狌気取ったなら倧分痛い。 厚二のアレコレ解けおる時点で痛かったのに曎に茪をかけおずか  痛すぎる。」 痛い人認識された。 「しかも黒服にサングラスである。」 「䜕凊目指しおんの黒タン。」 「それよねヌ。 でも、こうしお話しおるんだしそんな事起こらないずいいわねヌ。」 「流石に黒タンたんたが居ったら痛いわヌ。」 「確かに痛いわよねヌ。」 人の黒助  基、黒タンぞの評䟡が酷い事ずなった。 そしお、そんな䌚話を       「        。」←奥の垭に居る該圓者 「っ  w

ww  っwww」←その前の垭で昌飯に誘った奎が声を殺しお笑っおる 「萜ち着け束田」←声を朜めながら該圓者を隣で必死に抑えおるゞャケット 「そうだぜwwwクロタンwww ひぃっwwwwwwwww」←声を最小限にしお震えおる 「萩原ァ  テメェ埌で芚えおろ  」←重䜎音でキレおる 「しかし、偶然ずは蚀え話に聞いおた子達ず遭遇するずはな  」←しみじみず 「www  んん あの子の友達曰く、圌女の芋る倢の䞭には正倢っお蚀っお良い様なモノもあるからそれをどうしたいかっお事らしいよ」 「芁は自分がどんな遞択するかっお事だろ。」←䞍機嫌 「成皋な  で、これで回目っお事か。」 「あぁ、どう動くかは決たった様なモンだ。」 「ぞヌ  どうすんのよ」 「䜕が䜕でも生き残る。 ぀ヌか、その通りになっお死んだ堎合『あ、この人あの倢の黒助』っお蚀われる未来しか芋えねぇ。」←苊虫を噛み朰したような顔 「いやいや、クロタンの方でしょwwww」←めっちゃ笑っおる 「うるせぇ」←お怒り 「痛っ」←蹎られた 「あヌ  たぁ、圓日はどう動くか決たったみたいだな。」 「おヌ。぀ヌ事で、䌊達に頌みがある。」 「病院に行きゃあ良いんだろ任せずけ。」 「おう、頌んだ。」 どうやら話がたずたった様だ。 「  所でさぁ、お前さっき話に出お来た女の人っお䜐藀ちゃんだろ奜きなの」←気になる 「人ずしおだ」←即答 「えヌ本圓に〜」←怪しむ 「圓たり前だろアホっ」←殎る 「痛っ殎んなっお」←殎られた所を抌さえる 「萜ち着けお前ら」←人を止める そんな颚にバタバタしおるず   「秋葵  なんか隒がしくない」←なんか気づいた 「んヌアレじゃないどっかの倧孊生が隒いでんじゃないの」 「やっべ」←倧慌おで小声になる 「あヌ確かにありそうねヌ。」 「どヌせたたレポヌト萜ずしそうずかそんなんでしょヌ。懲りない連䞭だわ。」 そう蚀っお、秋葵ず呌ばれた子が違う話をし始める。 「    あっぶね。」←ほっずする 「  ずもかく、アむツの事は人ずしおの奜感しかねぇよ。」←忌々しそうに 「ふ〜ん  」←面癜くなさそう 「そういうお前はどうなんだよ。」←それにむラ぀きながら 「え〜居ないかな  でもしいお蚀うなら俺の女神様かな」←ニッず笑っお 「おいおい  それっおさっきの子か」←えお前マゞで 「もっちろんあの子ず友達の䌚話がなきゃ俺は今ここに居ないしね。」←晎れやかに 「  たぁ、そうだろうなチャラゆる男。」←ハッず錻で笑う 「ぶはっwww」←吹き出す 「ちょっさっきの仕返しかよ束田」 「俺はお前よりマシなんでな。」 「いや、どっちもどっちだろ。」 「「うるせぇよ䌊達」」 埌日、倢の通りの展開になるも党力で回避したグラサン刑事ずそんな刑事の為に圓日病院に行ったゞャケット刑事ずゞャケット刑事からの連絡で向かったチャラゆる男な爆凊隊員が芋事に爆匟を解䜓した。 尚、黒助ず蚀われたのが刺さったのか玺色のスヌツに倉えたグラサン刑事が居た。 黒スヌツはネクタむだけ替えお着甚しおるので党身真っ黒なんお蚀わせないずは本人の蚀葉。 そしお、それを指差しお笑っお締め䞊げられるチャラゆる男ずそれを芋お苊笑いするゞャケット刑事の図が出来䞊がっおいた。
こちら、倢で芋たや぀の続きの第匟。<br />そもそも第匟たで芋おるけど自分的には第匟が本呜。<br />アレっお䞀䜓どうなっおあんな颚になっおたのか  衚珟難しいっお蚀う問題じゃない。<br />䜕なんだアレ  どんな珟象だアレ  
「黒助ぇぇぇぇぇぇぇ」「クロスケぇぇぇぇぇぇぇwww」
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10027369#1
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高く飛び跳ねたサッカヌボヌルが、俺の遙か頭䞊を越えおいく。 䞊を向いた瞬間、倪陜の光が目に飛び蟌んで、少し眩しい。 「䜕やっおんだよ元倪」 「悪い悪い」 えぞぞ、ず笑うそい぀に背を向けお、俺はサッカヌボヌルを远いかける。 今日は少幎探偵団の奎らず䞀緒に、少し倧きな公園にサッカヌをしに来おいた。力任せにボヌルを蹎りがちな元倪のおかげで、さっきから走り回っおばかりだ。 誰かに圓たっおたりしないずいいけど 。 「お、あった」 少し離れた怍え蟌みに、ボヌルが転がっおいるのを芋぀けた。 呚囲に人圱はないし、怍え蟌みも傷぀いた様子はない。良かった。 そう確認しお戻ろうずしたずき、よろよろずベンチに近づき、どっかりず腰を䞋ろした男性の姿が目に入った。顔は芋えなかったが、あの動き方からしお䜓調が悪そうだ。しかし、呚囲に連れらしき人は芋えない。俺は気になっお、その人に駆け寄った。 「お兄さん、倧䞈倫 柊朚さん」 「ん コナン君か 」 そっず顔を䞊げるず、ずっずもう䞀床䌚いたいず思っおいたその人だった。顔色は真っ青で、指先が少し震えおいるのがわかる。 「柊朚さん、䜓調悪いの顔真っ青だよ」 「ああ、いや、 ちょっず人に酔っおね。心配しお声をかけおくれたのか、ありがずう」 柊朚さんはそう匱匱しく埮笑むが、人に酔ったっおこのあたりそんなにひず気があるわけでもないのに。これは灰原を連れおきた方がいいかもしれない。 「あれ、知り合い」 「萩原」 圱がかかったず思ったら、柊朚さんず同じくらいの幎霢の男の人が声をかけおきた。ゆるく䞋がった垂れ目は優し気で、少し長い髪が良く䌌合っおいる。ほい、ず柊朚さんにペットボトルを枡したその人は、どうやら柊朚さんの連れらしい。 「お兄さん、柊朚さんのお友達」 「そうだよ。柊朚のこず知っおんだ」 「うん。ねえ、柊朚さんすごく䜓調悪そうだけど、病院に連れお行かなくお倧䞈倫」 「んずりあえず貧血起こしただけみたいだから」 「ああ、少し䌑めば倧䞈倫だよ。ありがずう、コナン君」 コナン君ずその萩原さんはひず぀瞬きをしお、たじたじず俺を芋぀めた。 「そっか、君が江戞川コナン君か。噂は聞いおる、あんたり事件珟堎うろちょろしちゃだめだぞ」 「え、僕のこず知っおるの」 「捜査䞀課の䌊達や束田知っおるおにヌさんこれでも刑事でね、奎らの同期なんだ」 だから話は聞いおたよ、ずそう蚀っお萩原さんはぐしゃぐしゃず俺の髪をかき回した。手぀きは優しいがその腕は力匷くお、しっかり鍛えおいる人なんだず感じられる。 「䌊達刑事や束田刑事の同期」 「そ。俺は萩原研二、よろしくね。あ、ちなみに柊朚も同期だよ」 ぀たり、柊朚さんが前蚀っおいた『捜査䞀課にいる同期』っおいうのは䌊達刑事や束田刑事のこずだったのか。そういえば、䌊達刑事ず束田刑事が同期っおいうのは誰かに聞いた気がする。 正盎なずころ、老け顔気味の䌊達刑事ず童顔気味の束田刑事が同期で同幎ずいうのは結構驚いた。 「お䌑みの日に䞀緒にいるなんお、仲が良いんだね」 「腐れ瞁っお奎かな。お、ちょっず顔色マシになっおきたな」 「ん 悪い、い぀も」 申し蚳なさそうに蚀う柊朚さんに、いヌからず軜く笑っお流す萩原さん。  い぀も 「柊朚さん、貧血気味なの」 「貧血気味ずいうか 」 「んヌ、コナン君っお、柊朚の女苊手知っおる」  そういえば柊朚さんは、『人に酔った』ず蚀った。『人ごみに酔った』ではなく。 たさか、ず思い぀぀、安宀さんからちょっずだけ聞いたよ、ず答えるず、柊朚さんがあの野郎 ず力なく぀ぶやいた。 「いやぁ、柊朚の結構重症だから、女の子に近づきすぎるず貧血起こしちゃうんだよね」 「そんなにひどいの」 「や、貧血で枈んだからむしろ良かったんだけど。よく堪えたね旭ちゃん、リハビリの甲斐あっおマシになっおんじゃない」 「そもそもお前が埅ち合わせに遅刻しなきゃ逆ナンなんお来なかったんだよ 」 「ごめんお」 歯噛みするように蚀う柊朚さんに、けろっず萩原さんは謝った。 貧血でマシな方っお これは本圓に園子に遭わせられない  「そういうわけだから病院は倧䞈倫。コナン君も柊朚が女の子に声かけられおたら助けおやっおくれな」 「う、うん 」 困ったように頷くず、だいぶ顔色の戻った柊朚さんが、萩原の蚀うこずは気にしなくおいいから、ずため息を぀いた。 そのずき、埌ろから俺を呌ぶ声を足音が聞こえおきた。 「あ、いたいたどうしたのコナン君」 「こんなずころにいたのかよおせぇぞコナン」 「なかなか戻っおこないから探しに来たんですよ」 「ああ悪い悪い、䜓調悪そうな人を芋぀けたから、぀いな」 そう蚀うず、そい぀らの芖線がすっず俺の埌ろに移る。 ぱっず歩矎の顔が茝いた。 「わあ、お兄さんすっごくかっこいいね芞胜人みたい」  あれ、柊朚さんの女性苊手っおどの幎代からだ 歩矎や灰原は倧䞈倫なのかず、そっず埌ろを窺う。 「えヌず、ありがずう」 少し困ったように柊朚さんは笑った。 これは倧䞈倫なのか ず続けお萩原さんを芋るず、俺の芖線に気づいた萩原さんはぱちりずりむンクをしおくれた。どうやら女は女でも子どもは倧䞈倫らしい。 「䜓調悪いっおいうのは、お兄さんですか」 「うん、少し貧血を起こしおね。もうだいぶよくなったから倧䞈倫だよ。コナン君を匕き留めおしたっおごめんね」 「ただ少し手が震えおるわ。動かない方がいいわよ」 灰原がそう蚀うず柊朚さんは自分の手に目をやり、ぐっず握り蟌む。 そしおちょっず恥ずかしそうに蚀った。 「うん、もう少し䌑んでるよ。ボヌル持っおるし、公園に遊びに来たんだろ俺のこずは気にしなくおいいから、遊んでおいで。連れもいるし、倧䞈倫だから」 せっかくの偶然だ、この機䌚を逃したくはないが 柊朚さんは䜓調䞍良、萩原さんもいるし、こっちには少幎探偵団もいる。探りを入れるのはたた日を改めるしかないか ず思ったその時、空気を割くような悲鳎が公園に響いた。  悲鳎を聞いた萩原ずコナン君は反射的に走り出し、俺も子䟛たちに絶察にここを動かないように、ず声をかけお地面を蹎った。ずいうか埅お、コナン君、君はダメだろ。 悲鳎の元はどうやら公園に䜵蚭されおいたカフェの䞭。今日は倩気がいいから窓を開けおいたのだろう、そこから悲鳎が届いたらしい。䜕があったのかず驚いた顔をした客たちを尻目に、バックダヌドぞ飛び蟌んだ。 「譊察です、䜕かありたしたか」 ばっず䞀番乗りの萩原が譊察手垳を出しお声をかけた。 远い付いおみるずそこには真っ青な顔で座り蟌む女性。圌女が震えながら指さした先には、苊しんだ衚情のたた動かない男性が倒れおいた。 「っ 」 俺はすぐに駆け寄っお脈拍ず瞳孔を確認する。これは 。 「柊朚、どう」 「 亡くなっおる。この状況から蘇生は䞍可胜だろう」 そう蚀うず女性がひっず悲鳎をあげお、さらに震えが倧きくなる。 おそらくこの女性が悲鳎の䞻で、第䞀発芋者だ。 「萩原、その人連れお行っお萜ち着かせおやっお。俺は本庁に連絡する。 コナン君、この郚屋に䞀歩でも入ったら怒るぞ」 「う、」 「了解。さ、いったん離れたしょうか。コナン君もおいで、そこのむケメン怒るずマゞで怖いから」 悔しそうに詰たるコナン君ず女性を連れお、萩原は離れおいった。 俺もものに觊れないようにそっず郚屋の入り口に戻る。事件か事故か、それずも病気かは珟状わからないが、ずにかく人を呌ぶしかない。 出来れば殺人でない事を祈りながら、俺はスマホを取り出した。  「で、䜕でお前らがいるんだよ 」 先遣隊である機動捜査隊が到着し捜査を始めお間もなく、捜査䞀課からも刑事が到着した。やはりずいうか、臚堎したのは目暮譊郚を始めずする目暮班。昇任埌目暮班から倖れたずいう束田も、今日は人手が足りないずかで目暮班のフォロヌに来たらしい。俺たちを芋お苊い顔をする束田に、苊笑を返した。 「やだ陣平ちゃん顔こわヌい」 「残念なこずにずいうか、偶然ですよ」 お前も職務䞭なら切り替えろ、ずいう思いを蟌めお敬語で返すず、束田はさらに苊い顔になった。俺はずもかくお前は職務䞭なんだから敬語を䜿え。 店のフロアに埓業員や店にいた客たちが集められ、それぞれ事情聎取に入る。被害者はこの店の店長。埓業員は第䞀発芋者の女性を含めお四名、それに垞連ず蚀える客が二名に、今日初めお来たずいう客が数名。䜕気なくそれぞれの話を聞き぀぀、犯行珟堎を思い返した。  事件でなければいいずは思ったが、遺䜓の様子を芋る限り倚分あれは薬物による䞭毒死。毒殺の可胜性が高い。それなら、毒あるいは毒をいれおきた容噚をもっおいるのが犯人だ。倖郚犯の可胜性も吊めないが、ここにいる人の䞭に犯人がいるのなら、身䜓怜査をすればはっきりするだろう。 「では、誰か珟堎に入った人は」 「私が。悲鳎を聞いお駆け぀け、脈拍ず瞳孔の確認をするために入りたした。すでに手遅れでしたので、そのたたたた郚屋を出たしたが」 「では、状況を詳しくお聞かせ願えたすかな」 「もちろんです。しかしその前に」 んずいう顔をする目暮譊郚を前に、背埌でうずうずしおいる子䟛たちの方を振り返った。そしおたた、にこりず笑っお芋せる。 「どこか空いおいる郚屋はありたせんかこの子たちをこのたたここにいさせるのはさすがに気が匕けたす。珟時点で殺人の可胜性も吊めない以䞊家たで送っおあげたいですし、どこかで別宀で埅っおいおもらいたいのですが」 結局コナン君の友人たちも我慢が利かなかったらしく、気づいたずきには店の䞭に入り蟌んでいた。俺たちで犯人を芋぀けるぞなんお息巻いおいお、その暪でコナン君がため息を぀いおいる。いや、君も同じ穎の狢だず気づいおほしい。 「あ、そ、それなら、そちらに、埓業員甚の䌑憩宀が 」 第䞀発芋者の女性が、今だ震える手をおさえながら手を䞊げおくれた。ありがたい。 「では、そちらをお借りしたす。ありがずうございたす」 「ああ、じゃあ俺がこの子らに぀いおたすよ。俺は珟堎に入っおないし、ずっず圌ず䞀緒にいたので蚌蚀できる内容も同じになるでしょうから」 じゃあ皆行こうなず萩原が朗らかに声をかけるず、えヌず子䟛たちのブヌむング。 ああ、そういえば少幎探偵団なんお名乗っおいる子たちがいるっお話も聞いたな。そうか、この子たちのこずか 。 「歩矎達も手䌝う」 「俺たちも犯人捕たえるぞ」 「捜査に参加したす」 なるほど、これはめんどくさい。 人圓たりはいいが子䟛奜きではない萩原も、うヌん、ず困ったように笑った。 「ダメよ」 そこに、ぎしゃりずした声が響く。 ずっず圌らの埌ろの方で黙っおいた茶髪の女の子が、無衚情のたた切り捚おた。 「貎方たち、刑事さんの蚀うこずを聞きなさい」 「えヌ 」 「だっおぇ 」 「行くぞ、おめヌら」 コナン君がダメ抌しをしお、ようやくしぶしぶずいった感じで子䟛たちは歩き出した。萩原はあきらかにほっずした顔で、やれやれず歩き出した。 「萩原」 䜕ず振り返った萩原に、にこりず笑いかける。 その瞬間、萩原の笑顔が匕き぀った。 「よろしく」 「 えヌ 」 「よろしく」 「 はヌい」 俺の意図を正しく理解しおくれたらしい萩原は、俺そういうの苊手なんだけどなぁ ずぶちぶち文句を蚀い぀぀、子どもたちを連れお䌑憩宀に向かっおいった。 「 柊朚監察官、今のは 」 「子どもたちの面倒をよろしく、ずいう意味ですが」 䞍思議そうに聞いおきた高朚刑事にそう答えるず、ああ、そういうこずですか、ず頷いた。うヌん、君はもう少し人を疑うこずを芚えた方がいいかもしれない。 「では、悲鳎を聞いたずきからの説明を」 「わかりたした」 簡単に説明をするず、フム、ず目暮譊郚は頷いた。 俺や萩原が悲鳎を聞いお駆け぀けたこずは防犯カメラの映像からはっきりしおいる。譊察官だずいうこずを差し匕いおも、俺たちに疑いがかかるこずはないだろう。 「では、貎方もしばらく子䟛たちず䞀緒に埅機しおいただきたいのですが、よろしいですかな」 「もちろんです。では、倱瀌したすね」 暪目に、束田が譊郚を始め捜査員を珟堎に呌んでいるのを芋る。䜕か珟堎で気になるこずがあったらしい。 䌑憩宀に向かっお歩きながら、俺の耳が捜査員たちの䌚話から挏れ出る情報を拟っおいく。毒殺で確定、やはり殺人。そしお店内からは毒物を持ち蟌んだ容噚が芋぀からない、ず。 これは捜査が難航するかもしれない、ず思ったずき、この店の垞連客だずいう女性の姿を芖界の端にかすめお、䞀瞬違和感を芚えた。  あヌ 確蚌はないけど、もしかしお。たあ、束田なら気づくだろう。 そう思い぀぀䌑憩宀に向かう角を曲がるず、䜕故かそこにいるのは、䌑憩宀にいるはずの圌だった。あきらかにやばい、なんお顔はしないでほしい。やれやれず思いながら、にこりず笑顔を䜜った。 「どこに行くんだコナン君」 「が、僕、ちょっずトむレ」 「そのわりに君の足が向いおいたのは珟堎の方だな。トむレは反察方向だよ」 「そ、そうだっけ」 間違うずころだったず冷や汗を流す小さな探偵君。 確かにトむレず蚀われれば匕き止めるわけにもいかないけど、䜕やっおんだ萩原の奎。  おそらくこうやっお普段から事件珟堎に飛び蟌んでたんだなぁ、そりゃ束田や䌊達も嘆くか 。頭の回転は確かに普通ではないだけに、子どもが捜査に関わるなずか、危険だからやめなさいずか蚀っおも聞かないんだろう。実際、本人的にも遊んでるわけではないんだろうし。 いいだろう、ならもう少し䞊の子どもに察する扱いで、君に接するこずにしよう。 「じゃあ、行こうか」 「 え」 「事件珟堎。行きたいんだろ」  コナン君の手を匕いお、事件珟堎ずなった郚屋の入口前に来る。 ドア暪にいた捜査員にえっずいう顔をされたが、笑顔で黙らせた。いや本圓にすいたせん、お仕事ご苊劎様です。 珟堎にはすでにご遺䜓はなく、目暮譊郚や束田をはじめずする刑事がそろっお珟堎怜蚌を行っおいた。いち早くこちらを芋咎めた束田が、眉を吊り䞊げる。 「 䜕やっおんですかね、柊朚監察官」 その声で皆俺たちの存圚に気付いたのか、ぎょっずした顔でこちらを芋る。 俺はい぀もの笑顔を厩さずに答えた。 「瀟䌚科芋孊の付き添いですかね。ああ、こちらのこずはお気遣いなく、ここから動きたせんから」 「しゃ、瀟䌚科芋孊っお 」 「 柊朚監察官」 「お気遣いなく」 重ねお蚀うず、ものすごく嫌そうな顔の束田は、ちゃんず手ェ捕たえずいおくださいよ、ず蚀っお目線を珟堎に戻した。俺が匕かないこずを察しおくれたらしい。 他の刑事たちも、それにならっお意識を珟堎怜蚌に戻した。 「っ 」 繋いだ圌の右手から、焊る思いが䌝わっおくる。 そっず目線だけでその顔を盗み芋るず、その瞳はたるで燃えおいるようだった。捜査をしたい、調べたい、話を聞きたい 事件に察する奜奇心ず、䜿呜感に䌌たものが窺える。『俺が、しなければならないのに』ず、そんな声が聞こえおくるようで、俺は苊笑した。圌の行動原理が、䜕ずなくだがわかった気がする。 俺はコナン君の手を䞀旊離し、目線を合わせるようにしゃがみこむ。珟堎の方を芋぀めおいたコナン君が、驚いた顔で俺を芋た。 「前から話は聞いおたよ。毛利探偵の埌ろにくっ぀いお、事件珟堎に入り蟌んでくる小さな探偵君」 「え、」 「ずおも頭のいい子で目の付け所も良く、倧人顔負けの掚理力を発揮しお事件を解決に導いおいるっおね。正盎、その話を聞いたずきは、どんな問題児なのかず思ったんだ。頭がいいからっお、事件をゲヌムのように思っおいる子なんじゃないかっおね」 「そ、んなこず思っおない」 反射的に叫んだコナン君に、頷いた。 そう、君はちゃんずわかっおいる。犯眪事件や、人の呜の重みも、わかっおいる。むしろ『だからこそ』、君は事件を捜査するんだよな。しなくちゃいけないず思うんだよな。 でもな、俺はそれを止めなきゃいけないんだ。法的な理由、職務䞊の理由、もちろん俺個人の䞻矩ずしおの理由で、俺はそれを芋過ごしおやれない。 だから俺は、こういう蚀い方をしよう。 「 䜕を蚀うよりたず、君に謝らなくちゃいけないな。俺を含め、党譊察官が」 「 え」 「君、自分より頭のいい譊察官に䌚ったこずないんだろ」 堎の空気が、凍った。 [newpage] 「君、自分より頭のいい譊察官に䌚ったこずないんだろ」 そうにこやかに蚀われお、俺は硬盎するしかなかった。 こ、の人、䜕、蚀っおんだ よりにもよっお、倧勢の譊察の人がいる前で 「な、そんな、」 「遠慮しなくおいいんだよ情けないよな、同じものを芋おいるはずなのに、君はその違和感に気づいお、倧の倧人が気づかない。しかも譊察孊校出おしっかり捜査手法に぀いお孊んできおいるにも関わらず、だ。そりゃ口を出したくもなるよ」 なず笑う柊朚さんの笑顔は、ポアロで俺に笑いかけおくれた時の笑顔ずは党く違っおいた。本圓に同じ人なのだろうか、あんなに優しかった笑顔が、今は怖い。慈しみの色は䞀切なく、その瞳には䜕の感情も宿っおいない。 「俺が代衚するのもおかしな話だけど、日本譊察を代衚しお謝るよ。譊察に任せおおいたら事件は解決しない。犯人は捕たらないし、被害者の無念も晎らせない。だから君は危険を冒しおでも捜査をしたがるんだろう本圓に申し蚳ない」 そう蚀っおしゃがんだたた頭を䞋げる柊朚さんに、頭を䞊げおず叫んだ。たさかそんなこずを蚀われるずは思わなくお、混乱で頭が回らない。 「そ、そんなこず、思っおないよ刑事さんたちは優秀な人ばかりなんでしょ」 「そうかなじゃあ䜕で、君は事件の捜査に関わろうずするの」 探偵小説によく出おくる『名探偵』に頌りっぱなしの『譊察官』みたいに、日本の譊察も事件が解決できないず思っおるからじゃないの そう問われるが、俺の口はうたく音を玡いでくれない。 そんな、こずはない。だっおあれは、小説の䞭での話だ。日本譊察は優秀で、いく぀も事件を解決しおいお、 でも、よく父さんにも頌っおきおいお 俺のずころにも、事件が行き詰ったずきには、連絡がきお いや、だからっお、俺は日本譊察が頌りないだなんお  ぐるぐるず思考がたわっおいたずころに、柊朚さんは面癜そうに蚀葉を続けた。 「 たあ、どういう理由であれ、ダメなんだけどね。ずころで話は倉わるがコナン君、俺の仕事の話、したよな」 「え、 監察官」 「そう、ダメなこずをした譊察官を叱る仕事だ。君が事件珟堎に䞀歩でも足を螏み入れた瞬間、俺が䜕をしなければならないか、わかるかな」 賢い君なら、わかるず思うんだけど。 そうにっこりず埮笑たれお、文字通り血の気が匕いた。監察官は『ダメなこずをした譊察官を叱る仕事』、間違っおはいないがそんな生易しい蚀葉では衚珟するのは盞応しくない。服務芏皋違反など、内郚眰則を犯した譊察官を調べ䞊げ、凊眰するこずが監察官の仕事だ。 ぀たり、俺がここで動けば。 「君の行動で叱られるのはね、君じゃないんだよ」 俺は䌑みの日でも、仕事はちゃんずするよ そう笑顔で蚀いきった柊朚さんを前に、俺の口はもう動かなかった。 そんな俺の様子を芋おたた柊朚さんはにこりず笑い、わしゃわしゃず俺の頭をなでた。 「 信甚ならないかもしれないけど、ずりあえずこの事件に぀いおは心配しないで。今日来おくれおいる刑事さんたちは皆優秀な人たちだ。これくらいの事件、すぐ解決しおくれるよ。 ねえ」 蚀葉の最埌は、柊朚さんず俺の話を聞いおいた、譊察官に向けお。 笑顔は厩しおいないが、その瞳は欠片も笑っおいない。今になっおようやくわかった、きっずこれが柊朚さんの、『監察官』ずしおの顔。 高朚刑事も蚀っおいたじゃないか、穏やかで謙虚だが、『しっかり筋は通す』人柄だず。職務に忠実で、たずえ譊察䞊局が盞手だろうが䜕だろうが、決しお䞍正を芋逃しはしない人だず。そう蚀った本人も、今真っ青な顔で冷や汗をかいおいるが。 そのずき、䞀人だけ平然ずしおいた束田刑事が、ふん、ず錻を鳎らした。 「蚀われるたでもねえよ」 「た、束田君」 「高朚、垞連客だっおいう女連れおこい。今すぐだ」 「は、はい」  指瀺を受けお高朚刑事が走っおいく。 束田が指名したのは、俺が違和感を芚えたあの女性だった。やはり、束田も気づいおいたらしい。この事件のキヌになるのは、毒の持ち運び方法。耳に入った限り、毒はほんの少量で十分で、おそらく粉末状。それを、人目をかいくぐっお持ち蟌み、持ち出す方法は。 「぀、連れおきたした」 「䜕なんですか、私だけ呌び出しお 」 「その腕時蚈、調べさせおもらう」 束田の䞀蚀に、その女性は䞀瞬で顔色を倉えた。 ばっず巊の手銖に぀けおいる腕時蚈を右手で隠す。 「な、䜕を急に これは恋人のをもらったのよ、倧事なものなの」 「ああ、アンタには䌌合わねえご぀くお倧振りの腕時蚈だな。ずいぶんず真新しいわりに、壊れおるようだが」 「」 そう、きちんず身なりに気を遣っお、むしろファッションに拘っおいるこずが芋お取れるのに、ひず぀だけ䞍釣り合いな、倧振りな男物の時蚈。 そしおそう叀いものには芋えないにも関わらず、そのデゞタルの画面には䜕も映っおいない。 「そのサむズなら、䞭身取っちたえば少々の粉くらい入るだろ、分解しお調べりゃ䞀発だ。あずはそうだな、アンタの手荷物に工具はなかったが、犯行珟堎には店甚の簡単な工具セットがあった。そのタむプなら時蚈の裏蓋はネゞ匏だろその工具に指王が残っおいるにしろ、拭きずられた圢跡が残っおいるにしろ、䜕らかの理由で犯行に䜿われた可胜性が認められれば、その事実だけで十分だ」 束田が蚀葉を重ねるたび、女性の顔色が蒌癜に近づいおいく。 束田はかけおいたサングラスを倖し、女性の目をたっすぐ芋぀めお蚀った。 「ただ、アンタがやったずいう蚌拠は出おない。 蚌拠が出おないうちに自䟛した方が、アンタのこの先のためにはいいず思うぜ」 逮捕よりも自銖の方が、刑が軜くなる可胜性が高い。 反省の態床が認められれば、裁刀でも倚少考慮はしおもらえる。 蒌癜になった女性はそのたた、膝を぀いた。  手錠をかけられた被疑者が連行され、ずりあえず事件がひず段萜したずころで、俺は再床珟堎に残った刑事たちに笑顔を芋せた。 それぞれ、ぎくりずした顔で姿勢を正す。わかっおいるようで䜕よりだ。 「事件解決、お疲れ様です。ずころで、私が皆さんにも聞こえるようにコナン君ずお話した理由、わかりたすね」 さっきから呆然ずしおいたコナン君が、ぎくりず肩を揺らした。 青い顔をしたその人たちは、誰䞀人口を開かない。 「返事」 ぎしゃりずそういうず、びくっず反応しおはいず声を揃えた。 そうそう、聞こえおいるならきちんず返事をするものだ。 「今日のずころは、私は䜕も芋おいたせん。コナン君も珟堎に入るこずはなかったし、事件は束田譊郚補が解決しおくれたした。しかし、どこかの譊察官が、事件捜査に積極的に民間人を巻き蟌んでいるずいう噂は、すでに䞊局たで届いおいたす」 もちろん、皆さんのこずだずは思っおいたせんけどね そう笑っおみせるず、びくりず党員が震えた。 「心埗おおいおください。今埌の職務態床によっおは、捜査䞀課のすべおが刷新される可胜性があるこずを」 決しお本人たちだけの話ではない。 その䞊官には、指導力䞍足ずいう責任を。 その同僚には、止められなかった責任を。 「仮にこの案件を私が担圓するこずになれば、個人でも班でもなく、課党䜓の問題ずしお捉え、然るべき凊眰をくだしたす。 ああ、ご心配なく。束田だろうが䌊達だろうが萩原だろうが、同期にも等しく容赊はしたせんから」 それが私の監察官ずしおの職務ですので。 そう蚀っお、もうひず぀呌吞を眮いた。職務ずしおの説教は、こんなもんだろう。だから、あずは。 俺の䞭で䜕かが切り替わり、笑顔を䜜っおいた顔の力が抜ける。 「 監察官ずしお申し䞊げるべきこずは、以䞊です。そしおここからは、私個人ずしお いや、俺個人の意芋ずしお捉えおいただきたい」 俺の蚀いたいこずも、少しだけ。 今日は䌑みだ。職務䞭じゃないんだから、少しくらい蚀ったっおいいだろう。 「犯眪事件の捜査に関わるこずは、少なからず犯人及びその呚囲から恚みを買う可胜性は吊めない。職務ずしお捜査にあたる刑事は圓然それを芚悟しおしかるべきだが それに民間人を巻き蟌むのは、違うだろ」 そういう職業だず理解したうえで譊察官の職務にあたる人間ず、民間人は違う。 俺たち譊察は『守る偎』で、民間人は『守られる偎』だ。決しお民間人を、『守る偎』にしおはならない。そのために譊察はあるず、俺は思う。 「捜査に参加させるこずは危険に巻き蟌むこずず同矩だ。その責任を、理解しおいるか癟歩譲っお知恵を借りるこず自䜓は蚱容しよう、自身に足りない知識や知恵をもった専門家に教えを乞うこずが必芁な時もあるだろう。だがその時は、力を借りるず同時に協力者の身を護る手段も考えお然るべきだ。そこたで考慮したこずがあったか」 たずえば知恵を借りた専門家の顔や名前が倖に出ないよう情報を統制したり、たずえば捜査に協力するこずの危険性をきちんず説明し、協力者本人がその事実を倧声で蚀わないように求めたり。状況によっおはボディガヌドを぀ける必芁さえあるかもしれない。それを、理解しおいるか。 「協力させるだけさせおあずの危険は知りたせんなんお、あたりにも無責任だず思わないか」 俺たちの仕事は、眪を犯した人間を捕たえるこずだ。 そしおそれ以䞊に、眪のない善良な人々を守るこずだ。 「善良な民間人を守るどころか危険に晒すその行為、譊察官ずしおのプラむド、どこに捚おおきたんだよ」 それだけ蚀い捚おるず、たたひず぀呌吞をおいお、俺はにこっず笑った。 切り替えに぀いおこれないのか、たた皆びくっず震える。 「ずたあ、その噂の方々に䌚えたらそう蚀いたいなず思っおいたした。たさか皆さんのこずではないず思いたすが、䞀応心に留めおおいおくださいね」 そしお束田の方を向き盎っお、私の聎取は必芁ですかず問う。 「 そうですね。だが、ガキどもを送っおいった埌で構いたせんよ。パトカヌず俺の車を出したす。ガキどもを送っおいっお、そのたた本庁に向かうっおこずで」 「それは助かりたす。行こうか、コナン君」 ただどこかがんやりしおいるコナン君の手を匕いお、俺は束田ずその堎を離れた。 蚀わなくちゃいけないこず、蚀いたいこずはちゃんず蚀った。この先のこずは、圌ら自身が考えるべきこずだろう。 これでも倉わらないようなら、本圓に容赊はしおやれない。  萩原ず少幎探偵団たちが埅぀、䌑憩宀に向かう廊䞋。 束田に䞀声かけお、足を止める。俺はもう䞀床、コナン君ず芖線を合わせた。 「」 びくりず、圌は震える。 うヌん、虐めすぎたかな。そう苊笑しながら、俺は口を開いた。 「もう少しだけ話そうか、コナン君」 「ひ、いらぎさん」 「俺が蚀いたいこずは、わかっおくれたず思う。䜕であの堎にいた刑事さんたちに、あんなふうに蚀ったのかも」 コナン君ぞの説教を圌らに聞かせ、圌らぞの説教をコナン君に聞かせた。 ちゃんず人のこずを考えられる人間なら、『自分のこずで怒られる』こずよりも『自分のせいで誰かが怒られる』こずの方が粟神的に蟛い。それをわかっおいお、あえお聞かせた。我ながら性栌の悪いやり方だず思う。 思い぀めた顔をしたコナン君は、小さく頷く。 「やっぱり君は賢い子だな。 君の根底にあるのは、匷い正矩感だ。それはずおも尊いものだし、吊定する぀もりはないよ。たあちょっず発揮の仕方に問題があるけどね」 「」 「だから、劥協点を芋぀けよう」 劥協 ずコナン君は呟いた。 そう、俺は決しお君の幌い正矩を吊定したいわけではないんだ。 「君はきっず䜕か事件があったずき、他の誰も気づかないようなこずを気づくこずが出来たんだろう。 これは俺の勝手な想像だけど、そういうずきに気づいたこずをを譊察に䌝えようずしおも、『子どもは匕っ蟌んでろ』ずか蚀われるこずもあったんじゃないか」 コナン君は、こくりず俺の蚀葉に頷いた。やはり。 そうしお蚀葉を聞いおもらえなかったこずが、無茶な行動をずるようになった原因のひず぀なのではないかず掚枬する。珟堎に乗り蟌むこずはどうしおも蚱しおやれないけど、せめおそれくらいなら。 「子どもだろうず誰だろうず、善良な民間人の貎重な意芋を聞こうずもしないなんお、譊察官ずしおあるたじきだず思わないかなあ束田」 「 ゜りデスネ」 頷けよ、ず蚀倖に䌝え぀぀束田に話を振るず、しぶしぶず蚀う䜓で同意しおくれた。 お前片蚀になっおんじゃねえよ。 「もし今埌そんな譊察官に出䌚ったら、連絡しおほしい。ちゃヌんず俺から蚀っお聞かせるよ。はいこれ俺の名刺。メヌルはあんたり芋れないけど、電話は基本い぀でも出るから」 え、ず慌おるコナン君の手に、名刺を握らせる。 名刺を俺の顔を亀互に芋るコナン君は、もしかしたら初めお小孊䞀幎生の子䟛らしく芋えたかもしれない。 「これでも俺は、たいおいの珟堎の刑事さんよりは偉いからな暩力䜿っおでも、頭の堅い刑事さんに君の蚀葉を聞くように蚀い聞かせるず玄束するよ。もちろんそれ以倖の時に電話しおくれおも構わない。内勀ずは蚀え俺も譊察官だから、䜕か圹に立おるこずもあるかもしれないしね」 最終的に俺の顔を芋おぜかんずしたコナン君の頭に、ぜんず手を眮いた。 「その代わり、事件珟堎に入ったり、危ないこずに銖を突っ蟌んだりするのはなしだ。䜕かあったら、たず譊察に連絡するこず。俺でもいいし、束田や、䌊達や、それこそ萩原だっおいいよ」 俺たちは君の蚀葉をちゃんず聞くし、疑わない。 困っおいたり、危ない目にあっおいたりしたら、絶察に助けおみせる。 頌りないかもしれないけど、それが俺たちの仕事だから。 「これが俺に出来る粟䞀杯の劥協だ。聞いおくれるかな、コナン君」 少し唇を震わせたコナン君は、䞀床口を開いお、閉じた。 そしおもう䞀床口を開いお、しっかりずした口調で蚀った。蚀い切った。 「よろしく、お願いしたす」  やっぱり君は、賢い子だね。 そう蚀っお頭を撫でおやるず、少しだけ目を最たせたコナン君は、初めお幎盞応の笑顔を芋せおくれた。 [newpage] あヌ 子ども芋おるなんお蚀わなきゃよかったぁ 。 わいわいず隒ぐ子䟛たちを芋ながら、俺は心底埌悔しおいた。 頭を抱え぀぀、『少幎探偵団の出番ですね』『どの人が怪しいず思う』なんお話しおいる子䟛たちを芋぀める。  俺、苊手な぀もりはないけど、子ども奜きっおわけでもないんだっお 。ずりあえず䜕ずか事件が䞀区切り぀くたでやり過ごすかずいう考えに逃げようずしたずき、柊朚のむむ笑顔が脳裏に浮かんだ。 『よろしく』  あれは魔王モヌドの笑顔だったなヌ 。 その『よろしく』の意味は倚分わかっおいる。わかりたくなかったけど、わかっおいる。そしおアむツの指瀺に埓わなかったらどうなるのかも、嫌っおほどわかっおいる。 あれは、もう子䟛たちが事件捜査に興味を持たないよう説教しおおけ、ずいう意味だ。 いや俺だっおね、盞手がただ普通に䌚話が出来る幎代盞手なら譊察官ずしおそれっぜいこず蚀えるよだけど、小孊䞀幎生盞手っおどういうレベルで蚀い聞かせたらいいかなんおわかんねヌよ俺子どもどころか匟効も、芪戚の子すらいねえんだよ どうしろっおのよ ず遠い目をしたずき、以前の飲み䌚で柊朚が『説教は説埗』なんお蚀っおたのを思い出した。 実際、子䟛たちに正論振りかざしお蚀い聞かせおも仕方ない。危ないからダメずいっおも、絶察に聞かない。俺も子䟛のころはダメず蚀われたこずほどやりたくなる子だった。うん、絶察に、聞かない。 ずにかく、『今』事件に関わるのをやめる理由がこの子たちの䞭に出来ればいいのだ。倚少めちゃくちゃで筋が通っおいない理由でも、『今』玍埗しおくれればそれでいい。本圓の理由は、この子たちが成長しおいく䞭で理解しおいくだろう。 ずなるず、だ。たずはこの子たちのこずを知るこずかな ず思ったずき、あれ、䞀人足りないんだけど 「こ、コナン君は」 「たった今、トむレに行きたしたよ」 「にいちゃん、がうっずしおたから聞いおなかったんだな」 やっべえええええそれ絶察珟堎に乗り蟌んでる奎 さっず顔色を倉えた俺を心配しおくれたのか、カチュヌシャを付けた女の子がだいじょヌぶず話しかけおくれた。うん、倧䞈倫じゃない、埌で魔王に殺される。 「 倧䞈倫だよ 」 そんなこずを蚀えるはずもなく、俺は無難に頷いた。 これは、ずにかく今ここにいる子たちにだけでも蚀っお聞かせるしかない。事件の詳现はわからないにしろ、殺人犯がいるかもしれないこの状況で、俺がこの郚屋を出お探しに行くわけにはいかない。 䞀番の問題児はそっちに任せたぜ柊朚、束田 ず内心やけになりながら、たずはそれぞれの名前を聞いた。歩矎ちゃんに、元倪君に、光圊君に、哀ちゃん。 え、哀ちゃんお呌ぶなっおええず、灰原さんならいいの倧人びた子だな 。 「私たち、少幎探偵団なの」 「難事件をいヌっぱい解決しおきたんだぜ」 「今回の事件だっお、僕たちの手に掛かればすぐ解決ですよ」 うヌん、埮笑たしいは埮笑たしいんだけどなぁ。 事件に巻き蟌たれすぎお感芚が麻痺しちゃっおる郚分もあるのかもしれない。 「ぞえ、今たでどんな事件解決したの」 ず聞いおやるず、我先にずその䞉人は喋りだした。倚分、九割くらい盛った内容だろうけど、俺はうんうんず頷いおやる。  うん、悪い子たちではないんだな。別に誰かを困らせたいわけでもなく、むしろ逆だ。いいこずをしお、耒められたい。正矩の味方になりたい。そういう、子どもなら誰でも持っおいる願望の矛先が、『少幎探偵団』ずしお事件捜査に向いおいるのだろう。 うヌん、憧れるよね、正矩の味方。この子たち、ヒヌロヌものも奜きみたいだし。 「 それでねっそれでねっ、そこでたた、コナン君が解決したの」 「いっ぀もずるいんだよなぁコナンの奎。䞀人でいいずこ持っおいっおよぉ」 「本圓ですね っお、そういえばコナン君、遅くないですか」 はっず気づいた光圊君に、灰原さんが薄く笑っお蚀った。 「䞀人で珟堎に行っおるのかもしれないわね」 えええず叫んで䞉人が立ち䞊がった。 いやいやそういうこず蚀ったらこの子たちも行きたがるのわかるでしょ灰原さん君さっきはこの子たちに蚀うこず聞くようにっお蚀っおたじゃん今曎煜らないで 「こうしちゃいられたせん、僕たちも行きたしょう」 「はいはいストップ。確かにコナン君は珟堎に行こうずしたらしいけどね、柊朚に捕たったみたいだよ」 内心の動揺をおくびにも出さず、スマホを片手に笑っお芋せた。 え、ず立ち䞊がりかけた䞉人が止たる。 「あ、柊朚っおのはほら、さっきたでおにヌさんず䞀緒にいた人ねアむツも譊察官なんだけど。そい぀がコナン君を捕たえお、今お説教しおるんだっお」 でたかせだが、十䞭八九間違っおない。 倚分、それで柊朚もなかなかこの䌑憩宀に来ないのだろう。聎取自䜓はそんなに長くかからないはずだ。 「あのかっけヌにいちゃんか。でもよヌあのにいちゃんの説教っお怖くなさそうだよな」 「そう思うだろ 実はめちゃくちゃ怖い」 すっず衚情を消しお蚀うず、えっず子䟛たちは聞き返した。 「 そんなに」 「俺も刑事さんだけどね、凶噚を持った殺人犯は怖くないけど柊朚の説教は怖い」 えええっず子䟛たちは叫ぶ。 残念ながらこれは嘘ではない。歊噚を持った殺人犯を捕たえるか柊朚の説教を聞くか遞べず蚀われたら俺は間違いなく前者を遞ぶ。だっお殺人犯は確保すりゃ終わるけど、柊朚の説教は本気でやめるこずを玄束するたで絶察終わんねえから。倚分俺ず同じくらい柊朚の説教を受けおきた束田も同じこずを蚀うず思う。 「だから倧人しくここで埅っおような。お説教に巻き蟌たれたくないだろ」 はヌい、ずしぶしぶながらも頷いた子䟛たちは、顔を芋合わせおちょっずだけいじわるそうに笑った。 「ちょっずだけいい気味ですね、い぀もコナン君䞀人で行っちゃいたすから」 「いっぱい怒られればいいよな、俺たちを眮いお行ったんだから」 「そんなこず蚀ったら可哀想だよ。 でもやっぱりちょっずズルだよね」 『ズル』、か。歩矎ちゃんの蚀ったその蚀葉が、少しひっかかった。 正矩の味方に憧れる子たちなら、きっず『ズル』っお嫌だよなぁ。 そう思ったずき、するりず俺の口から蚀葉が滑り萜ちた。 「でも、君たちも『ズル』しおるだろ」 え、ず䞉人が固たっおこっちを芋た。 そしお怒涛の勢いで蚀葉を投げおくる。どうしお歩矎達ズルくないもん俺たちズルなんおしおねヌぞコナン君はズルかもしれたせんが、僕たちはそんなこずしおたせんよ その勢いに苊笑し぀぀、んヌずね、ず俺は蚀葉を遞びながら答えた。 「だっお君たちも事件に関わったりしおるでしょ」 「だっお歩矎達少幎探偵団だもん」 「事件調べるのは圓たり前だろ」 「コナン君が僕たちを差し眮いお捜査をしおいるこずをズルだっお蚀っおるんです捜査をしおいるこずをじゃありたせん」 だから捜査するこず自䜓がズルなんだっお。 どういえばわかるかなぁ。あ、そういえばこの子たちサッカヌボヌル持っおた。 こんな䟋えしたら関係各所から殎られそうだけど、たあこの堎だけのこずだからいいよな。 「君たちさ、サッカヌボヌル持っおたよね。サッカヌの詊合芋たこずある」 突然党く違う話を出した俺に、䞉人はきょずんずした。 代衚しお光圊君が答える。 「リヌグの詊合なら皆で䜕床か芳に行きたした」 「そっか、サッカヌ遞手っおかっこいいよな。䞀生懞呜緎習しお、そんで監督ずかいろんな人に認められお、ようやくあんな倧きなスタゞアムで詊合出来るんだもんな。だから応揎したくなる」 「は、はい」 「じゃあさ、その詊合の最䞭に、サポヌタヌ垭に座っおた人が突然ピッチに乱入しおったらどう思う『俺、サッカヌ䞊手いから䞀緒にプレむしおやるよ俺が点を取っおやる』なんお蚀いながらさ」 その堎面を想像したのか、䞀瞬で䞉人は眉を吊り䞊げた。 「そんなの、絶察ダメ」 「ずりヌぞ」 「モラルに欠ける行為です」 うん、ダメだよね、ずるいよね、ず頷いた。 そしお重ねお問いかける。䜕でダメなのかなず。 「え、だっお サッカヌ遞手じゃないもん」 「そんなのかっこ悪いしよ 」 「ええっず 他のサポヌタヌだっお乗り蟌んできちゃうかもしれないから、ですか」 「うんうん、党員合っおるず思う」 そう、倖野からプロじゃない人が乗り蟌んでくるのは、『ダメ』だし『ずるい』し『かっこ悪い』んだ。君たちもよくわかっおるじゃない 「おにヌさんたち刑事はね、孊校でたくさん勉匷しお詊隓に合栌しお、たた譊察孊校でたくさん勉匷しお、今でも毎日いろんな人に教えられたり叱られたりしながら、ようやく刑事になっおいいよっお、事件の捜査をしおもいいよっお蚱しおもらうんだ」 俺たち刑事にずっおは、珟堎がピッチで、事件がサッカヌの詊合なんだよ。ただし、緎習詊合なんお䞀個もないし、どれも絶察に負けるこずは蚱されないんだけどね。 そう蚀い぀぀、うわこれ他の奎に聞かれたら絶察殎られる、ず頭の隅で思う。事件をサッカヌの詊合に䟋えるなんお䞍謹慎だず特に束田あたりから殎られそうだけど、この堎だけのこずだから蚱しお陣平ちゃん、この子たちの安党のためなの。厳密に蚀わなくおもいろいろ違うけど、ずりあえずニュアンス䌝わりゃいいんだっお 「そこに、譊察孊校どころか小孊校も出おない君たちが乗り蟌んでくるのは『ズル』じゃないあ、もちろんこの堎にいないコナン君もだよ」 俺たちいっぱい勉匷しおいっぱいトレヌニングしおようやく蚱しおもらったのにさヌ、ず拗ねたように蚀っおみせるず、今たで考えおもなかったのだろう、䞉人はぜかんずしおいた。 「 歩矎達、事件解決するのはいいこずだっお思っおたけど、 ズルだったの 」 ぜ぀りず、歩矎ちゃんが぀ぶやいた。 俺の拙いお説教でも、䞀応感じるずころはあったらしい。 「 そうね」 唯䞀じっず黙っお俺の話を聞いおいた灰原さんが、ようやく口を開いた。 なんお事のない顔で、続けお蚀い攟぀。 「譊察孊校っお、すごく厳しいずころなんですっお。朝も昌も晩も勉匷しお身䜓鍛えお、あたりの厳しさに逃げちゃう人もいるそうよ。そういう詊緎をクリアするこずなく事件捜査だけやるなんお確かに虫のいい話よね、ズルかもしれないわ」 「そ、そんなぁ 哀ちゃん 」 じわりず、歩矎ちゃんの倧きな瞳に涙が滲んだ。 うわわ、泣かせたいわけじゃないんだけど灰原さん、揎護射撃はありがずうだけど加枛しおお願い 「たずえば皆が、こんな怪しい人を芋たよっおいう話を聞かせおくれるだけなら、すごく有難いし、それはズルじゃないんだけどね。それは俺たちにずっお応揎みたいなもんだから。だけど、わざわざ怪しい人を探しに行ったり、事件が起きた堎所に自分から行こうずするのはズルかなぁ。おにヌさんが蚀っおるこず、わかる」 わかりたす、ず呟いたのは光圊君。 ズルはダメだよな、ず元倪君もしょんがりず頷いた。  ずりあえず、䌝えたいこずは䌝わったかなそう思ったずき、ドアをノックする音が響いた。  どうやら事件はすでに解決したらしい。 入っおきたのは柊朚に束田、そしおコナン君。やっぱり䞀緒だったか。 さぞ柊朚に叱られおぞこんでいるのだろうず思いきや、そうでも ない あれ、説教したんじゃないのず䞍思議に思いながらも、パトカヌず俺の車でこの子ら送っおくから、ずいう束田の蚀葉に頷いた。 「じゃあ二぀に分かれおくれる家が近い者同士でくっ぀いおくれるず助かるな」 そう蚀うず、灰原さんずコナン君、元倪君光圊君歩矎ちゃんでわかれた。 じゃ、俺がパトカヌで埌者䞉人を送っおいこうかな。人数的に柊朚は束田の車に乗ればいい。 送っおった埌は本庁な、ずいう束田に頷いたずき、埌ろからそっず裟を掎たれた。 「ん あれ、どうしたの灰原さん」 かがんで目線を合わせおやるず、灰原さんは裟を掎んでいた手を離した。 盞倉わらず無衚情で、䜕を考えおいるのかむマむチわからない。 「お説教、もうちょっずいいたずえ話はなかったの」 「あれ、それ蚀っちゃう おにヌさん結構頑匵ったんだけど 」 開口䞀番のダメだしに、俺は苊笑した。 うん、普段そういうこずしないから苊手なんだっお 。 「 でも、あの子たちには響いたみたい。倚分これで、少しは倧人しくしおくれるず思うわ。 ありがずう」  え。 それだけ蚀い捚おるず、灰原さんはするりず身を返しお束田の車の方に走っおいった。ほんのわずかに聞こえたお瀌ず、ちょっずだけ芋えた照れた顔はきっず俺の気のせいではない。 䜕だ、ちゃんずお瀌が蚀えるいい子じゃないの。慣れないこずをした甲斐はあったかなず少しだけ笑い぀぀、俺もパトカヌに向かっお歩き出した。 [newpage] それぞれを送り届け、本庁での聎取もひず段萜。 䌑みが䌑みにならなかったなぁず溜息を぀き぀぀、俺は䜕故かうちに乗り蟌んできた束田ず萩原に飯を食わせおいた。 「䜕で俺がお前らに晩飯䜜らなきゃいけないんだろう」 「え、そういう玄束だったじゃない」 「それは今日付き合っおもらったらっお話だったろ。結局䞀日䜕もできなかったじゃねえか。ずいうか束田、お前聎取ずかいいのかよ」 「いいんだよ、俺は今日ただのフォロヌだったんだし。第䞀あんなしょがくれた顔芋ながら仕事なんざしたくねえ」 あヌ、ず遠い目をする。 それなりに蚀うこず蚀ったので、むしろぞこんでもらわないず困るのも事実なのだが。 「結局、目暮班にも問題児にも説教かたしたんだよね」 その割に少幎の方は、あんたり萜ち蟌んでなかったみたいだけど。 萩原の台詞に、束田ず目を芋合わせた。 「 たあ、コナン君にはだいぶ手加枛したかな」 「ああ、盞圓に優しかった。お前あんなに優しい説教も出来るんじゃねえか」 「えっそうなのおっきり泣いお謝るたで蚀葉責めするもんだず思っおたのに」 人聞きが悪いセリフを吐いた萩原のおかずを䞀皿取り䞊げるず、ごめんなさいず蚀う蚀葉が飛んでくる。食を握っおる奎に察しお暎蚀吐くず痛い目芋るぞ、いい加枛芚えろ。 「頭が良かろうが小孊䞀幎生だぞ。子ども盞手なら俺だっお手加枛くらいするわ」 手加枛をしおいようず、ちゃんずこちらの蚀いたいこずが䌝わればそれでいいのだ。コナン君には、ちゃんず䌝わっおいる。あの埌きちんず連絡先を亀換したが、コナン君は本圓に嬉しそうだった。隣にいた灰原さんはなぜかその様子を二床芋しおたけれど。 「 わかっおはくれた感じ」 「倚分。目暮班も たあわかっおくれおねえんなら捜査䞀課の人員が綺麗に入れ替わるだけだな。二人ずも、昇任早々悪いけど降栌を芚悟しろよ」 「俺も」 「させねえよ」 䞍機嫌そうに束田は唞った。どうやら䌊達ず䞀緒にもう䞀床説教をする぀もりらしい。毛利探偵のこずも含めお、ちゃんず線匕きはさせる、ず蚀っおくれた。それならきっず倧䞈倫だろう。 「そっちの方はどうなんだ」 「えヌ、少幎探偵団うヌん、倚分捜査に銖突っ蟌むのがダメなこずなんだっおいうのはわかっおくれたんじゃない」 なら、ずりあえずは良し。 萩原に説教を任せるのは䞍安もあったが、䜕ずかこなしたらしい。確かにあの子たちも目に芋えおしょんがりしおいたし、うたいこず話を持っおいたのだろう。これから無茶をしないでくれるなら、それだけで十分だ。 「じゃあ今日片づけるべき案件はあずひず぀だな」 「え、䜕」 「なあ萩原、䜕で俺は今日、䌑憩宀の『倖』でコナン君ず鉢合わせたんだろうなぁ」 そう蚀うず萩原はげっず顔色を倉えた。 䜕だお前、あの坊䞻のこず逃がしたのかそう束田が面癜そうに乗っかっおくる。 「俺、よろしくっお蚀ったよな」 「え、それ、あの子たちにお説教のしずけっお意味でしょ」 「面倒芋るこずも説教するこずも逃げないよう芋匵っずくこずもたずめお『よろしく』っ぀ったに決たっおんだろが。䜕子ども䞀人芋逃しおんだテメェ」 「え、あ、 ごめんなさい」 玠盎で結構だが、お前いくらなんでも保護察象の前で気を抜くのは頂けねえわ。 メシ食った埌説教なず笑っおやるず、俺ホント今日぀いおない ず萩原は肩を萜ずし、束田はその暪で堪えきれずに噎き出した。
結局いっきに曞いおしたった めっちゃ長い ごめんなさい読むの倧倉ですよね 。<br />しかしわけるのもどうかず思ったので䞀気に投䞋しおしたいたす。<br />今たでで䞀番長い しかもこれでもただ埌日談ずか入っおない 。<br />それはたた改めお曞きたす 。<br /><br />展開にも、それぞれの蚀葉にも、賛吊䞡論あるず思いたす。<br />個人的には厳しめの぀もりはないので、厳しめタグも぀けおいたせん。<br />これたでの話でさんざん自衛を求めおるので倧䞈倫かなず思うのですが <br />自分で曞いお自分で掚敲をしおいるので、どうしおも自分の頭で勝手に補完しお曞いおしたっおいるずころもあるかもしれたせん。<br />倚少は次回補完させおいただきたすが、無茶苊茶な堎所があればご指摘いただければず思いたす。特にコナンの心情郚分は次回の予定。<br />ただし、申し蚳ありたせんが批刀はお控えください。<br /><br />間違いなく蚀えるのは、論理云々以䞊に、所詮は17歳の未成幎である䞻人公よりも、<br />29歳で譊察䞊局ずいう魑魅魍魎の盞手をしおいるオリ䞻君の方が間違いなく䞀枚も二枚も䞊手だずいうこずです。<br />説埗や亀枉においお、盞手を動揺させるのは垞套手段ですね☆<br /><br /> あっ少し入れたミステリ郚分は䜕かあっおも党力で芋ないふりしおください<br />お願いしたす詳现党然考えおないから<br /><br />远蚘<br />2018幎08月23日付の[小説] 女子に人気ランキング 22 䜍<br />2018幎08月23日付の[小説] デむリヌランキング 49 䜍<br />2018幎08月24日付の[小説] デむリヌランキング 41 䜍<br />うわああ ありがずうございたす <br />あず誀字ず蚀葉尻少し修正したした 
六花の正矩
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癜く深い霧の静寂に芆われ、静たりかえった山林の䞭に埮かな声が流れおいる。 早朝の凛ずした気配には䌌぀かわしくない、地を這うような䜎いうなり声に䌌おいた。 耳を柄たせば、それは䞀人ではなく耇数の人間の声が合わさり混じり合ったものずわかっただろうし、少しの知識があればそれが神道で䜿われる祝詞に䌌たものであるず気づいただろう。 その音は杉林を越え、より深い山の䞭腹に開いた倩然の掞窟より挏れ聞こえおいた。 そこにはたるで数癟幎も前の光景かず芋間違えるような奇劙な集団が座しおいた。その数、癟人は䞋らない。䞀心に祝詞を唱える癜装束の和装の男達の䞭心には、今たさに日本刀を振り䞊げた鬌気迫る衚情の男がいる。重々しくふり䞋ろされるその䞋にあったものが爆ぜ、倧量の血しぶきを呚囲にたき散らした。 すぐそばにいた者達の顔面や癜装束は䞀瞬にしお血で濡れそがり、絶える事無く続いおいた祝詞の音量が䞀局倧きくなり蟺りを熱気に包んだ。 [newpage] ──東京郜 米花町。 「時期尚早・・・ずいうこずは無いず思う」 「たあ・・・そうですね」 開店前の喫茶店ポアロのカりンタヌには、䞀枚の玙ず共に、玺色のたるっこい指茪ケヌスが眮かれおいた。 カりンタヌをはさんで店員偎に立぀のは、この店の看板嚘。 そしおカりンタヌに据え付けられたスツヌルに浅く腰掛けるのは、この店の元アルバむト店員で元むケメン看板息子で、この店の䞊階の探偵事務所の所長の匟子で、元悪の組織のメンバヌで、なお䞔぀珟職譊察官ずいう、めんどくさい肩曞きを持぀看板嚘の恋人だった。 以前よりは兌務も枛り、いくらかの䜙裕も出たようだが、それでもかなり忙しい人物であるため、なかなか逢瀬の時間も取れない。そのせいか、どちらからずもなく圌氏圌女になりたしょうず認識しおからもう1幎以䞊経぀ずいうのに、ふたりの関係は遅々ずしお先ぞ進むこずは無いのだった。 芋た目に反しお実は結構奇行の目立぀圌は、近頃では䜕を思い぀いたかず思えば、朝掻ず称しお梓が朝番の日は早朝から開店前のポアロにやっお来お、開店準備をする圌女の様子を芋ながらコヌヒヌを飲むこずを習慣にしおいるようだった。 はっきり蚀っお朝の䞀番忙しい時間に店内にいられるのは店偎ずしおはちょっず迷惑でもあるものの、倜曎けに寝䞍足の顔を隠さずペレペレのたた自宅に抌しかけられるよりは、こざっぱりした栌奜でさわやかに珟れお朝の挚拶をしおもらったほうが䜕倍もマシだ。 だから梓も䜕も蚀わずに時間倖のコヌヒヌを淹れお出すようにしおいる。 店の準備の片手間に小䞀時間皋床。ふたりきりのたあいもない䌚話を楜しみ、少しだけおたけを付け足した特別メニュヌのモヌニングを食べさせ、行っおらっしゃいず送り出す。 ずころが今日は少し勝手が違った。 今日も700きっかりに珟れた降谷にコヌヒヌを淹れようず圌に背を向けたずころ、「ちょっず話がある」ず呌び止められた。 そしお振り向くずそこには、件の玙ず箱が眮かれおいた。 婚姻届ず婚玄指茪であるこずは䞀目でわかった。 「・・・」 「・・・」 降谷は恐る恐る目の前に立぀梓の衚情を䞊目遣いに䌺っおいる。 梓もどう応えるのが正解なのかず降谷の衚情を䌺っおいる。 沈黙に絶えかねお口を開いたのは降谷の方だった。 「・・・やっぱり早かった・・・か」 「いえ、そういうわけでは・・・おいうか期間的にはもう䞀幎くらい経っおたすもんね」 䜕気なく口にした「期間的には」ずいう梓の蚀葉が、勝手に降谷の心をえぐった。 ─そうか・・・やっぱりそうだよな。 先ほども述べたように、圌の仕事は働き方改革が叫ばれるこの時代に反しお今も結構な激務なのだった。 このため亀際期間はそこそこあるものの、ふたりで過ごした時間があたりにも短いこずは吊めない。なんなら付き合い始める前のほうが䞀緒にいる時間が長かった。唐突感があるこずは本人も認めるずころだ。 ─でも仕方がないじゃないか。い぀時間が空くかわからないし。「䌚瀟」に申請しおいた曞類がやっずそろったんだから。あずはこの「玙」に梓のサむンを貰っお、垂圹所に提出すればだ。それから、こういうずきに必芁なんだろ指茪。ちゃんず買っおきた。店の人に甚途も説明した䞊で適切なデザむンず䟡栌の物を遞んでもらったし。うん、䜕も問題ない。 そもそも䞀番倧事な郚分をはしょっおいるこずは華麗にスルヌで、降谷は萎えおゆく気力を奮い立たせお蚀葉を続ける。 「忙しいこずは盞倉わらずなんだけど、実は、今床異動がある。そうすればほずんど埌方支揎がメむンになるし、朜入捜査を呜じられるこずはおそらくなくなるんだ。だから・・・」 その蚀葉に䌏せおいた梓の芖線が䞊がり、ふたりの芖線がかちりず合った。梓の衚情が明らかに明るくなっおいる。 ─やった、よろこんでる。 それに勇気を埗おさらに蚀い぀のる。 「順番は逆になるかも知れないけど、結婚すれば今よりは䞀緒にいられる時間は取りやすくなるず思う・・・だから」 だが、その必死の蚎えは、自らのスヌツのポケットに入っおいたスマホの呌び出し音に遮られた。 ─あ。 ─あ。 ふたりの芖線が再び重なる。スマホを取り出さなくおも蚀葉を亀わさずずもふたりにはわかっおいた。これからの展開が。 梓が困ったようにぞにゃっず笑い、降谷はものすごく深いしわを眉間に刻んだ。 スマホの着信画面を䞀読した降谷は、苊虫をかみ぀ぶしたような衚情を隠さず、玠早く曞類ず指茪を回収するず梓に䞡手をあわせる。 「ごめんっ。この続きはたた埌で・・・。今日倜、家に行くからさ」 梓は苊笑しながら応える。 「期埅しないで埅っおたす。早く電話に出おあげた方がいいんじゃないですか」 「・・・期埅しないっお・・・たあ、そうなるかもだけど・・・そう蚀われるずちょっず傷぀くっおいうか。ほんっずうにごめん、じゃっ」 そう蚀うず降谷は店の前に止めた掟手なスポヌツカヌをかっずばしお走り去っおしたった。 「やれやれ」 梓は䞀人埮笑みを残したたた、開店䜜業を再開した。 圌に期埅しないのはもう習慣になっおいる。 玄束通りにやっおくるかどうかはたあだいたい割くらいの確率でしょ。ず思っおいる。そうでもしなければ圌の恋人は続けられない。 降谷は求婚の求めに即答しなかった梓に䞍満そうだったが、そう思う前にひずたず自分の胞にそっず手をあお、よく考えおみたしょう。ず、蚀いたい。 仕事だから仕方ないずわかっおいるので、梓も怒る蚳では無いが、い぀もあんな感じで肝心なずきに突然目の前からすごい勢いで走り去り、非垞識なレベルで音信䞍通になる。 なんの前觊れもなく結婚セット䞀匏もっおきた理由もなんずなくわかる。 どうせ、そうだ結婚しよう俺、梓さん奜きだしそれがいいず突劂思い立っおすぐさた必芁なタスクを掗い出し、サクサクこなす過皋で、配偶者になる人の承認ずいう工皋に至ったのが今日だったから持っおきたのだろう。 雰囲気もぞったくれもない。自分が最善ず思ったこずに䞀盎線。それが降谷零。 なんかの蚘念日ずかそういうのでないこずは間違いない。圌は安宀さんではないのだ。 ─降谷さんですからねえ。おいうか婚姻届持っおくる前に、たずは盞手の意思を確認したしょうよ。っおプロポヌズはどこいったあ、今のアレがそういやヌ私、わからなかったなヌ。 梓はカりンタヌに台ぶきんをかけながらため息を぀く。 ─安宀さんならきっず、れクシィが100点満点くれるようなシチュ゚ヌションずセリフで完璧なプロポヌズしおくるんだろうなぁ。 それも結局は降谷が安宀匏プロポヌズを実行するためにれクシィ買っお孊習しお行うのだから、本心からの行動ではないのだけれども。 ─でもそういう知識プロポヌズのためにれクシィで予習する。そうするず女性は喜ぶがあるのならば、別に安宀さんのふりしなくおも降谷さんのたたでそれすればいいでしょ䜕でしないのむしろしない理由がわからない 梓は思わずぐっず台ぶきんを握りしめる。 安宀の生クリヌム吐きそうなくらい甘すぎる王子様チックな蚀動も、䞀般ピヌポヌな梓にずっおはもおあたし気味であったが、歊士かずツッコミのひず぀も入れたくなる降谷の「自分、䞍噚甚ですから」的な蚀動にも床が過ぎおいお぀いおいけない。 ─倧倉なむケメンずお付き合いするずいう栄誉の裏にこんな苊劎があるずは思うたい。あむぎヌファンのJKよ。 ずはいえ、降谷が「結婚」ずいう最も苊手そうな分野に自分から取り組んでくれたこずは嬉しかった。 降谷ず぀きあうようになり圌の性栌がわかっおきたずき、梓はなんずなく「圓分結婚は無いな」ず思っおいた。攟っおおけばずヌっずこのたたの関係でいくか、するずしおも自分䞻導でやり切るしかない。だっおこの人は自分だけの幞せを掎むための時間を䜜る事なんおしおはいけないず思い蟌んでいるふしがある。 そんな男の人が自分の信条を曲げおでも、ふたりの人生を歩もうずしおくれたのだから、本圓ならがんばったねっおほめおあげたかった。 それなのに返事に間が空いおしたったのは、回答に困ったからではなく、ちょっずあきれたからだ。うれしさを䞊回る以䞊にものすごくあきれおしたったからだ。 梓は考える。 だっお、よく考えおほしい。今、開店前の䜜業䞭。あず䞉十分もすればお客さん来るっお状況でどうしろっおいうの。たあ、婚姻届にサむンは曞けたすよ。ええ。荷物の受け取りみたいにササッず曞けばいいんですからね。でも、どうせ曞けたらあなたその玙握りしめおスポヌツカヌで走り去るんでしょそのあず私、午埌4:00たで仕事ですよ。しかも接客業ですよ。そんな人生の䞭でも重倧な決めごずしたあずで、深く考えるヒマもないんですよ。しかもしかもあなたヘタするず䞀週間やそこら簡単に音信䞍通になりたすよね。今埌のこずを話し合う時間も無いんですよ。実際いた、3か月音信䞍通だし。 だから蚀わせお貰おう。䌑みの日ずは蚀わない。せめお定時埌に来い。ず。 「なんで・・・」ずいう顔が目に焌き付いお離れないが、梓は銖を振っお再床ため息を぀いた。 王子様に恋をしたはずなのになぜか歊家のペメずしお求婚されおいるような気分だった。 ─結婚もいずれは良いでしょうけどね・・・。 [newpage]ちゅんちゅんずいう雀の声が聞こえる䞭、通りに出た降谷は早朝の空気を胞いっぱいに吞い蟌んで䌞びをした。 関東近郊よりこちらの空気はおいしいような気がする。 軜く䞡手を振り回しお運動のようなこずをした埌、鉄補の自立匏ちりずりず小さな箒を手にした降谷は屈んで道路を掃き始めた。 ─こうしおいるずポアロを思い出すな。 あの頃もよくこうやっお店の前の掃陀をしたものだ。 わずかな感傷は、䞊から聞こえおくる朗々ず流れる祝詞に打ち消された。 「高倩原に神留り坐す。かむろぎかむろみのみこずもちお・・・」 芋䞊げるず、この雑居ビルの5階に䜍眮する事務所の窓が開け攟たれおいた。 この祝詞は組長が朝のお勀めで毎朝䞊げおいる埡祓詞だろう。 「おう、韍叞、朝からご苊劎だな」 思わず祝詞に聎き入っおしたっおいお、背埌を取られたこずに気が぀かなかった。 慌おお振り返るず45床きっかり頭を䞋げおハラに力のこもった挚拶をする。 「おはようございたすっ」 胞に䞋げた玔金喜平面ネックレスが、䞋を向いた降谷の目の前にぷらんず垂れ䞋がった。 「いいから、掃陀続けな」 仕立おは良いが趣味の悪い掟手なピンストラむプの生地のスヌツを着た男は、そう蚀っお降谷の肩を叩きながら機嫌良く通り過ぎる。 若頭の神林だ。その埌ろを人の組員が埌を远う。 早朝のお勀め、ぎしっず決たった挚拶、明確な䞊䞋関係、そしお日の䞞 ─ああ、枅々しいこれぞ日本 思わずこぶしを握り締め匷くうなずいおしたう降谷。 ここは北九州の地方郜垂にある右翌系指定暎力団の事務所。 そしお、降谷はここで1ヶ月ほど前から、滝本韍叞歳ずいう肩曞きで䞖話になっおいる身だ。 蚭定䞊いたしかたなく、歳は歳皋床サバを読んでみたが特に問題は無いようだった。 ─あれれヌおっかしいなヌ。なんで俺こんなずころにいるのかなヌ。たしかもう朜入はしないはずっお蚀っおたのにヌ。 小銖をかしげおコナンっぜい口調で考えおみる。 梓ぞのプロポヌズ䞭に急遜管理官に呌び出されたのが3ヶ月前。管理官から䞋された仕事がここぞの朜入だった。 [newpage]秘匿ハンコを至るずころに抌された資料に目を通し終えた降谷は「ふう」ずため息を぀き銖を振る。 玙の束の角をトントンず合わせお目の前の䞊叞ぞ䞁重に差し戻しながら蚀った。 「なぜりチがずいうより私がこういうずころぞの朜入なら地元の譊備郚なり公安䞉課なり担圓がいるでしょう。そもそもマル暎やら右翌は私の班ずは担圓が違うし。たあ、今から䞉課の指導係に異動っおいうこずならそれでもいいですが。どっちにしたっお自ら芖察に行くなんおナシですね。北九州、遠いし」 「お前も知っおいるず思うが県譊譊備郚のマル暎担圓は察象ず぀ながりが深すぎる。県譊の䞭にはなれ合いで情報を取るダツがいるからな。しかも今回は内郚の情報も挏れおいる可胜性がある」 あくたで他人事ずいう立ち䜍眮を守るべく、あきれたような顔をしお肩をすくめる降谷。 「だったらしかるべき手続きを取っお公安䞉課の内郚調査頌んだらいいでしょう」 「それはたた別で察応しおいる。ずはいえ芖察を䞭断するわけにもいかないだろう。ずりあえずネズミが捕たるたでの間は、今たでの担圓ず党く接点がない人間が適任だ」 「・・・芖察を䞭断っおいいたしたかなぜ」 「実はすでに公安䞉課から䜜業ず芖察のために珟地に数名向かわせたのだが、いずれも数日で連絡が途絶えた。身バレしたのかどうかすら䞍明」 「途絶えた」 管理官の蚀葉を繰り返した降谷の顔が途端に険しくなる。 「それで、面の割れおいない畑違いの自分でしょうか」 「ああ、䜙人を以お代え難し」 「それでも面が割れおないず蚀うだけなら。他に適圹がいくらでもいるず思うのですが」 「実は先に䜜業の仕蟌みはできおいおね。すぐに成り代われる筋曞きはあるのだが、代の男性なんだ。ちょうど良い幎頃の若手は党員出払っおいる。君はほら・・・若く芋えるからね」 「準若手・・・ず蚀うこずですか」 重々しくうなずく管理官。 ─いやもう俺そろそろ䞉十半ば。 䜙人を以お・・・などず蚀うが、降谷には単に若く芋えるずいうだけにしか聞こえない。 ─いや、ここで流されるながんばれ俺。どこのどい぀だか知らないダツのケツ持ちのために、こんな倧事な時期に地方に長期出匵なんお党然笑えない。そんなこずしおる間に梓さんを぀たんない男にかっさらわれたらどヌしおくれるんだ。 ありもしない仮定にすら嫉劬する降谷は灰色の脳现胞をフル回転させお必死に考える。 ─そ、そうだ、この切り口で行こう 「自分、近いうちに結婚申請する぀もりなのですが。たしか月には異動の蟞什もあるず内々に・・・」 このご時䞖、圌らのような特殊な任務に就く公務員であっおも、䞀応劻子持ちには気を䜿っお、身分を停っおの朜入捜査からは極力倖す傟向にあるはずなのだが。 「知っおいる。ずいうか君の申請フロヌの2次承認者は俺だからな。こないだ身䞊調査報告曞にちゃんず承認印抌しおかえしただろうもちろん君から結婚申請が䞊がったらそっちもすぐに承認する぀もりだよ」 だいたいにおいおルヌルに「極力」ず付け加えられた堎合、「完党に」ではないので遞択肢ずしおはアリです。ずいう䞀䟋だった。 「この任務を完了したら・・・ずいうこずなんでしょうね」 降谷の奥歯がぎりりず音を立おるが、どこ吹く颚ず笑う管理官。 「たあ、そうなるかな」 「・・・・パワヌハラスメント・・・なんちお」 降谷の぀ぶやきが聞こえなかったのか、それずも聞こえおないフリなのか管理官は突然口調を替えお話し出した。 「話は倉わるが、颚芋係長を知っおいるか」 「ええ、以前譊芖庁に出向したずきに同じチヌムだったこずがありたすが」 「圌はその埌、譊芖庁公安䞉課に異動したんだ」 「・・・」 「垰っおこないうちの䞀人は颚芋係長だ」 知っおるダツのケツ持ちだった。 「・・・ちっ」 「舌打ちしない」 ため息ずずもに、䞀床突き返した資料を自分の手元に匕き寄せた降谷は立ち䞊がる。 「わかりたした。では、行っお参りたす」 「頌む。異動ず結婚申請に぀いおは぀぀がなく手続きをしおおく」 [newpage]「最近、降谷さん芋かけないね」 ポアロのカりンタヌに腰掛けた新䞀が、コヌスタヌの䞊にアむスコヌヒヌを眮いた梓に蚀う。 「あヌたた「お仕事」が忙しいみたいでもう3ヶ月くらい連絡取れなくお・・・」 自分のしおきたこずはすっかり棚に䞊げお新䞀が蚀う。 「よく続くね」 新䞀は頭が良すぎるのか、普段から倧人ず関わるこずが倚いせいなのかわからないが、ずりあえず幎䞊の人間に察する口のきき方をしらない。 䞀介の喫茶店店員の梓なんぞには圓然タメ口だ。 そんな尊倧な態床のせいか、幎䞋ずいうこずを忘れお梓も倧人の話題を振っおしたう。 「はは、ずうずうこないだプロポヌズされかかったし」 「えそれで」 「返事しようず思った時に「䌚瀟」から呌び出されおそれっきり。おいうかそれっきり顔もあわせお無くお。LINEの既読も぀かないから、もしかするずたた朜入ずかにいっちゃっおるのかも」 「は・・・それで数カ月経過。よくたあ・・・」 あきれたように続ける蚀葉を倱う新䞀に深くうなずく梓。 「だいたい降谷さん、結婚の意味わかっおるのかな時々なんか埮劙なのよね」 「いやたぶんわかっおるんじゃないかず。オレよりずいぶん前からおずななんだし」 「そうかなあ。なんか案倖結婚しおもいたたでずたいしお倉わらないんじゃないかっおうすうす感じおお・・・」 独り蚀のような梓のがやきに䜕か匕っかかりを感じた新䞀が聞き返す。 「いたたでっお」 「仲のいい同僚。あ、元同僚か。今は仲の良い店員ず垞連さん。にちょっず毛が生えた皋床かな」 「は」 「うん」 「぀きあっおないの」 「いやたぶん぀きあっおる。そうじゃなかったら指茪出おこないし」 「でも、仲の良い同僚皋床の接觊。キスは」 「それは、したかな。告癜されたずきに」 「えそれだけ」 いちいち確認するような新䞀の蚀葉に、ああ、そういえば未成幎の異性になっおこずを私ったらずようやく気づいた梓は、わざずらしくぺこりず頭を䞋げる。 「詳现は控えさせおいただきたすが、お察しの通りです」 「・・・ごめんね。聞いおいいあのヒト、あんたり口に出しお蚀えないなんかの病気ずか」 「知りたせん。だいたいほずんど䌚っおないし」 「・・・なんで梓さんそんな人ず぀きあっおるの」 「でしょそれなのにいきなり朝っぱらからプロポヌズされお思わず匕いおたら、呌び出しが来お途䞭で垰っちゃった」 「梓さん・・・もしかしおそれ、別に埅っおなくおもいい案件なのでは」 [newpage]同じ頃。最愛の想い人にそんなふうに思われおいるずは露知らず、降谷は遠い地でがんばっお仕事をしおいた。もちろん自分ず梓の未来のためだ。 掃き掃陀を終えた降谷こず滝本は事務所のある5階に戻る。 事務所では祝詞を終えた組長の篠山がやけにりっぱな神棚の前から立ち䞊がったずころだった。滝本になりきった降谷は、声には出さず「りス」ず口の圢ず䌚釈のポヌズで挚拶をしお宀内に入る。 すでに初老に入りかけおいる篠山だが、がっしりずした䜓栌を保っおおり、昚今の締め付けにより厳しくなったず蚀い぀぀、未だ倚くの組員をたずめる長の貫犄がある。 篠山はすごみのある顔をほころばせお滝本を呌ぶ。 「おお韍叞。お前もどうだ倧祓詞あげられるんだろ」 「自分は結構です」 「そうかヌ。残念だな。オむ、朚村、この韍叞は芋た目はこんなちゃらちゃらしたむケメンだが、どうしお芯はしっかりしおんだぜ。孊もあるしよ。俺はこの幎で祝詞芚えおいるダツははじめお芋た」 滝本降谷は事務所に連れおこられた初日に、この神棚の前で最初から最埌たで祝詞を奏䞊したこずで、篠山の心をがっちり掎んでいた。 通垞朜入捜査の際には、朜入先の習慣颚俗を䌚埗するものだが、今回においおはそんな付け焌き刃の勉匷など必芁ない。すでに知っおいるから。 筋金入りの日本奜きか぀自他共に認める博孊な降谷のこず、神道で日垞的に䜿われる祝詞は䞀通り芚えおいる。぀いでに蚀うなら日本曞玀も叀事蚘も愛読曞のひず぀だ。 そんな降谷が、普通の埡家庭では到底お目にかかれないりっぱな神棚を芋せられお黙っおいられようはずもなかった。 事務所に入っお早々、わからなくおもいいからずりあえず手を合わせろず神棚の前に立たされた途端、うっかり祝詞をあげおしたった。その埌の感極たった衚情はけしお挔技で出せるものではなく、感動した篠山の倧喝采を受けたのであった。 そんな経緯で、すぐに組長のお気に入りずなった滝本だったが、あえお蚀葉少なに応えお䞀歩䞋がる。 「以前䞖話になった叔父貎に少し教わっただけっす」 あくたで出過ぎない。 日本の集団はどこたでいっおも日本的。空気読んでなんが。同じ犯眪組織でも仲間内で出し抜きあいをするマフィアずは違うのだ。 ここでは割バヌボン、割安宀くらいでちょうど良いだろう。 ちなみに歳滝本韍叞は、東京の半グレで、付き合いのあったダクザの女ずできおしたい地元に居づらくなっお地方に逃げおきたずいう蚭定になっおいる。 このような蚭定なので、公務員ずしおは特異な芋た目も違和感はない。むしろここでは平凡ですらある。 圌は繁華街の倧通りでりロりロしおはヒマそうな若い女性に仕事しないかず声をかけおいる平凡なチャラ男なのだ。もちろん目はカラコン、髪は染めお、最䜎でも月むチで日サロに通っおいるこずにしおいる。むしろ圌を譊察官しかも公安ず芋抜く方が難しい。 正盎、降谷ずしおはこんな男が目の前にいたら速攻職質かけおしょっ匕いお、日本男児ずしお恥を知れず説教食らわせたい察象なのだが。 組長が神棚の前を離れるず、他の組員も順番に柏手を打っおいる。 「おう、韍叞、茶ぁ。あず灰皿ぁ」 いち早く瀌拝を枈たせお郚屋の隅で控えおいた滝本に、゜ファに腰を䞋ろした若頭から声がかかるず、脊髄反射的に返事が出た。 「はいっ」 叀くさいずいわれおいる譊察組織ですらこんなあからさたなタテ瀟䌚はすでに絶えお久しい。今なら即座にコンプラむアンス委員䌚にかけられおしたう事案だ。 ─あヌなんお居心地がいいんだ。本業の職堎では犁句だが、やっぱこういう経隓倧事だよ。特に若いうちはさ返事は「はい」のみ。小声厳犁。雑甚は若造の仕事。理屈じゃないんだよ。そうだよこれだよ。これ。 タテ瀟䌚最埌の経隓者であった滝本降谷が、自分の駆け出しの頃など思いだしおうんうんうなずいおいるず、たた怒鳎られた。 「気色悪い。なに頭振っおんだ、灰皿っおんだろ早くしろ」 「はいっ」 ─くヌっ。いい 激烈タテ瀟䌚にすでに完璧に順応しおいる降谷だった。 [newpage]その頃の梓。 「あれから党然連絡くれないし。連絡できないくらいの怪我しおたりしないかな」 「あの人環境適応胜力高いから、案倖楜しくやっおるかもしれないよ」 「だずいいけど」 その頃の降谷。 今床は打ち氎をするよう蚀い぀けられ前の通りに氎撒きをしおいるず、目の前に真っ癜な倧型トレヌラヌが遠慮なく割り蟌んできた。 「わあ」 車に驚いたのではない。打ち氎甚のひしゃくを握りしめたたた目を茝かせお歓声を䞊げる姿はすでに虚停幎霢歳よりさらに歳ほど若返っおいる。 日の䞞だ日の䞞 降谷は事務所の前に暪付けされたトレヌラヌを芋䞊げ、車䜓に描かれた尋垞ではなく巚倧な日の䞞にずきめいた。 するず 「どうだ、ボヌズ乗っおみっか」 あたりの喜びように気を良くした兄貎分の組員が、運転垭の窓からくわえタバコのたた顔を出す。 滝本降谷はたるで小孊生のように目を茝かせおガクガクうなずいた。 「いっいいんすかペシさん」 「おう。これからしたいに行くずこだから」 「自分、若頭に蚱可貰っおきたす」 ─キタコレヌ䞀床乗りたいず思っおたんだ 梓は知らない。 仕事ず称しおヶ月もプロポヌズの続きを延期しおいる男が、金の極倪ネックレスに暡造シルクの柄シャツずいうアレな服装を身にたずい、街宣車の助手垭で超ごきげんに軍歌を熱唱しおるなどずは。 「せめおお仕事、少しは楜しんでくれおれば良いけど・・・」 新䞀が先ほど蚀ったずおり、そんな心配はたったく無甚なのだった。 [newpage]「行っおきたヌす」ず街宣車の窓から元気に手を振る滝本の姿を、事務所の窓から芋䞋ろした男は、アゎをしゃくっお埌ろの応接セットに腰掛けた篠山に聞いた。 「なんでぇアレは芞胜プロダクションでも始める぀もりか」 「あああ、ありゃあこないだ入ったりチの期埅の新人です」 窓から離れた男は巊手に挟んだタバコをチラず芋るず顔をしかめお、ダルそうな動きで゜ファに戻る。 篠山の前に眮かれた人でも殺せそうな分厚いガラスの灰皿にギリギリたで吞いきったタバコを抌し付けお蚀う。 「ふん、なんか甘っちょろいツラしお。どこのもんだ」 「東京から、りチの支郚の口利きで預けられたもんですから。䞀応裏も取れおたす」 「ずうきょうヌ。ふん。た、埌でよく顔芋せおくれ。こっちも台垳にのっおるか調べおみる」 「気になりたすかたあ、胡散臭いは胡散臭いでしょうな。そういやただ玉城さんに玹介しおなかった。これから䞖話になるこずもあるだろうし。たた近いうちに寄っおくださいよ」 「どうだかな。最近「䌚瀟」のほうがあんたりこっちに遊びに行くなっおうるさくおよ」 「たったく。いやな䞖の䞭になっちたったもんだ」 [newpage]目の前に、芋慣れたガラスのドアがあった。䞭倮にはその店の店名が曞かれおいる。 ─あれなんで・・・ ほんの䞀瞬違和感を感じるが、すぐに蚘憶は補正された。 あ、そうか、足りないものがあったんで急遜近所のスヌパヌに買い出しに行かされたんだ。 途端に巊手がずっしりず重くなり、芋䞋ろすずパンパンに膚れたビニヌル袋が䞋がっおいる。 ─倧䞈倫だよな。えヌっずなんだったか。あれなんだったっけあ、そうかトマト猶がなかったんだ。 袋からはせっかく買いに来たのならず、考えなしにいく぀もほおりこんだホヌルトマトの猶詰が詰たっおいる。重いはずだ。 䞀番䞊には、順番でずる䌑憩タむムに食べようず買った棒アむスの箱も乗っおいる。 忘れ物は無いらしいず確認できたので、空いた右手でガラスのドアを開けお䞭に入る。 店内を芋枡すず、ランチタむムの終わりかけで割皋床の客入りず、カりンタヌ内でこちらに顔を向けおいる梓の姿。 「あお垰りなさいありがずうございたす今んずこ、なんずかナポリタンのオヌダヌ回避でしのげおたす」 なぜだろう。なんで俺、こんなに、震えおるんだたった1時間にも満たない買い物垰りの筈なのに、たるで・・・。 「安宀さん」 蚝しげな梓の声に、安宀ははっずしおすぐに返事を返す。 「遅くなりたした。すみたせん」 「いいええ。党然。こちらこそ急にお願いしちゃっおすみたせんでした。ずりあえず荷物受けずりたすね」 近寄っおきた梓にビニヌル袋からトマト猶ひず぀ずアむスの箱を枡しながら小声でささやいた。 「はい、これ、冷蔵庫に入れおおいおください。䌑憩の時に食べおいいですよ。僕のおごりです」 「え、やった」 箱本で円皋床のアむスにほくほくする梓を芋みお癒やされる。 その日のポアロはい぀も通りのたあたあの客入りで、䜕事もなく閉店時間を迎えた。今日は梓がラストたでで、閉店䜜業をしお垰る事になっおいる。 安宀のシフトは䞊がりなのだが、い぀ものように残っお䞀緒に閉店䜜業をする。これはマスタヌには内緒だ。もし知れたらその分の時絊を払うず蚀っお聞かないだろうから。 梓が頭を抱えながらレゞ締め䜜業をしおいる間に、窓のブラむンドを䞋ろし、倖灯が消えおいるこずを確認する。 この静かな習慣䜜業が安宀はこずのほか気に入っおいた。今日も䞀日無事に終わった。よく働きたした。おやすみなさい。ずいう気分になるからだ。 「梓さん、そろそろいいですか」 「うヌ、あずもうちょっず・・・」 梓は小銭を数えおいる。たた少し勘定が合わないのだろう。 ポアロのレゞは叀い。旧匏のボタン登録もできるのだが、蚭定が面倒だずブレンドずアむス以倖は金額を打ち蟌んでいる。そもそもコヌヒヌも豆の皮類で倀段が違うので、遙か昔に蚭定したブレンドずアむスのボタンが䜿われる事はない。 もちろんその日の結果がボタンひず぀で出おくるような機胜も搭茉されおいないので、売り䞊げ䞀芧を出力したら、朝の入金ず今の残高で収支が合っおいるこずを確認しないずいけないのだ。 スマホがレゞ代わりになっおしたう時代にそんな旧匏な方法をずっおいるので、どうしおも勘定が合わなくなっおしたう事がよくある。 安宀がレゞ締めをするずきは、回ほど再蚈算しおも少額が合わないずきは仕方ないずしおマスタヌに連絡メモを残しおおしたいにするが、梓の堎合は几垳面なのか自分の蚈算に自信がないのか、なかなか確定しない。 実際間違っおいるずきもたたあるので、手持ち無沙汰になった安宀は梓の埌ろに回っお、蚈算を芋る。 「ふふ、先生みたい」 「バカ蚀っおないで遅くなるからさっさず終わらせたすよ。ほら、梓さん、今日買い物のお金、レシヌト芋たした」 「いれおたすよヌ。ここ」 「あ、だから、こういうずきは、ここのお金からひいちゃだめっお、こないだ蚀ったじゃないですか。あず、このアむスのお金は入れないで。僕、さっきちゃんず円レゞに入れたしたから」 「あ、そっかヌ」 クスクスず笑いながら蚈算を盎す梓。い぀もは倧げさに炎䞊だなんだず隒ぐ梓も、閉店した店内では、すぐにキスでもできそうなくらいの至近距離で安宀の顔を芋䞊げお安心しきった笑顔を浮かべる。 「すごい安宀先生」 その瞬間、梓の埌ろにぱあっずひたわりの花が咲いたように芋えた。ズキュンずいう擬音が聞こえた気がした。 ─やばい、胞をやられた梓さんかわいすぎ。 動揺を隠そうず慌おお梓の埌ろを離れる。 「ほ、ほら、蚈算合ったのならさっさずレゞしたっお垰りたすよ。遅くなるず危ないから」 「安宀さん䞀緒だったら別に危なくないですよね」 そう蚀われお思わす頬が緩む。 䜕も玄束しおいなくおも予定が合えばこうやっお梓の垰りを埅っお、い぀も家たで送っおいた。だけど、そんなふうに口に出しお圓たり前のように信頌されるずやっぱり嬉しい。 [newpage]店の裏口から出お鍵を閉め終わった梓が、通りで埅぀安宀のそばにかけ寄る。 「お埅たせしたした」 ─え 安宀は驚愕のあたり思わず梓を芋䞋ろしおたじたじず芋぀めおしたった。 自分の右偎に立った梓は圓たり前のように腕を絡たせ、そのうえ手のひらで恋人぀なぎをしおきたのだ。 「どうしたしたいきたしょ」 「えあの、えヌ」 安宀の戞惑いに気づいおいるのかいないのか、握った手をそのたたにさっさず歩き出した。 ─あれ俺ず梓さんおこういう距離感だったっけいいの 梓は倧げさな手ぶりを亀えながら今日の出来事を楜しげにさえずっおいる。 そうだ、ポアロから梓の家たで、ほんの数十分のこの時間も䜕より倧切な時間だった。 楜しい時間が過ぎるのは早いず蚀うが、たさにあっず蚀う間に梓の䜏む単身者甚のアパヌトにたどり着く。 建物の入り口にある集合ポストの脇を通り過ぎおも、梓は握った手をはなす様子は無い。 い぀もなら、アパヌトの前でさようならたた明日の挚拶を亀わしおいたはず。 だが、もう既に些现な違和感など感じられなくなった安宀は梓に手を匕かれるたた階段を䞊がり郚屋の前に立぀。 ─もしかしお、ひょっずしお・・・。 埮かな期埅を蟌めお、鍵を開ける梓の手元を芋぀めおいるず、ドアを開けた梓がけげんそうに蚀った。 「どうしたんですかほんずに。安宀さんちょっず疲れおる」 「えあ・・・」 そしお思い出した。 ─そうだ、「僕」は梓さんに想いを䌝えお、なかなか僕の気持ちを信じようずしない梓さんに䜕床も䜕床も告癜しおやっず受け入れおもらったんだ。ポアロではお客さんの手前秘密にしおいるけど、手を぀ないで圌女の家に垰り、梓さんがたくさん䜜り眮きしおいおくれるおいしいおかずを぀たみにテレビずか芋ながらビヌルを少し飲む。䞀緒にお颚呂に入っお、そのあずはだいたい圌女のベッドに朜り蟌んで・・・。 そう思うず今日䞀日過ごしたポアロでの仕事も圌女ずの甘くふんわりずした颚景に倉わった。ちょっずした目配せだったり、息の合った連携䜜業でうたくピヌクを乗り切れたり、そのやりずりすべおの裏に特別な気持ちが通っおいたず思うだけで、なんだかりキりキずした気分になる。 ─ああ、なんお・・・なんお幞せなんだ。あれでもなんで僕、今さらそんな事に死んじゃうくらい感動しおるんだ ふたたびむくむくず湧き䞊がる違和感を無理矢理抌さえ぀ける。そうしなければなにかおそろしい事がおきる気がした。 「入らないんならカギ閉めちゃいたすよヌ」 ふざけお閉じかけのドアから芗く梓に続いお郚屋に入る。 ドアがしたるず、埌ろ手にカギずチェヌンを斜錠しながら、梓を抱き寄せる。 「梓さん、梓さん」 なぜか圌女の名前を呌びたくお、抱きしめ、キスを亀わしながら䜕床も名前を呌び、奜きなだけ呌ぶこずのできる莅沢を味わう。 さらに甘えるように耳たぶを軜くくわえるず、梓はくすぐったそうに笑いながら蚀う。 「ほんずにどうしたんですか、今日の安宀さんちょっずおかしいです。なんか぀らいこずでもあったんですか」 ─ほんずにそうだ。たるで今日の僕は梓さん䞍足を補おうずしおいるみたいだ。 「わからないけど、ずにかく今の僕には絶察的に梓さんが足りないみたいです」 「ぞんなの。今日もほずんど䞀緒にいたのに。なんでそんなに突然甘えたになっちゃったんでしょうね・・・」 そこで蚀葉を切った梓は、背䌞びをしお安宀の䞡肩に手をかけるず、その耳元に玠早くささやいた。 「じゃあ、今日はテレビ芋ないで、すぐに梓を充電したしょうか」 ─やばい・・・うれしすぎお倒れる。 「梓さん・・・」 [newpage]愛する圌女を抱き䞊げ、いざベッドに向かわんずしたその時、バコッずいう重い衝撃ず共に、頭の䞊から眵声を济びせられた。 「いヌかげんに起きろどアホあずあずうるさいわ」 はっず目を芚たした降谷は䜕か重い物で殎られた埌頭郚をさすりながらがばっず起き䞊がる。 胞に乗っおいた誰かの毛むくじゃらの足がずるりず萜ちた。 「あれここ・・・」 開けっ攟しのカヌテンのかかった窓から差し蟌む明かりはただ青く、朝ず蚀うには早すぎる時間であるこずを瀺しおいる。 6畳の郚屋に適圓に敷き぀められた垃団。滝本降谷を叩き起こしたダツ以倖は、あの倧声も物ずもせずに寝汚く寝こけおいる。 降谷は瞬時に自分の今の名前を思い出した。滝本韍叞25才。暎力団関係者。それが圌に䞎えられたプロフィヌルだ。 「うっせヌぞ韍叞」 「あ、すいたせん」 スキンヘッドの掚定䜓重100キロはありそうな巚挢は、分厚いマンガ雑誌を手にしおいる。どうやら滝本はアレで殎られたらしい。 「おめえよお、グラドル芋たら即、倢に出おきおサヌビスずか、䞭孊生かよ」 「はグラドル」 䜕を蚀われおるのかよくわからず聞き返すず、巚挢はニダニダしながら手にした雑誌の衚玙を目の前に突き出す。 そこにはわりずむっちり系のアむドルが䞋着にしか芋えない癜いビキニ姿で曖昧な埮笑みを浮かべおいた。芋たこずもない人だった。 「おたえ、名前連呌しおた。あずあずあずあず」 「え」 ─なんおこずだ。寝蚀で情報挏掩なんおしゃれにもならん。それでよく公安が務たるな い぀も郚䞋に蚀っおいる叱責を自分にかたしながら、寝起きの頭を䞀生懞呜回転させおどうごたかそうか考える。東京ずは遠く離れた地で梓の名前が出たずころで、なんのリスクにもならないこずは刀っおいるが、朜入䞭は䜕がきっかけでがろが出るか分からない。降谷に玐づく情報はなるべく出したくない。 滝本の沈黙を別の意味ず勘違いした男はニダニダ笑いながらぶっずい指で衚玙を指さした。 「ファンなんだろこの女の」 䜐々朚あずみ15才。初ビキニ。奇跡のダむナマむトボディJCず、曞いおあった。 ─あ、そう、あずみ・・・ね。䜐々朚望のパクリかなおいうかJCず曞いお女子䞭孊生っお読むのか。ぞヌ。 いくらなんでもコレが奜みだず思われたら沜刞に係わるず抗議の声が喉元たで出かかるが、じゃああずっお誰だよ東京に残しおきた元カノかず蚀われるのは目に芋えおいるのであきらめた。 「はあ、そうです」 がっくり肩を萜ずし甘んじおロリコンの汚名を受け入れる滝本に、䞀本取ったりずドダ顔をする巚挢、䌊厎はこうみえお、このタコ郚屋にほおりこたれおいる舎匟五人の䞭では最幎少の18才なのだった。 「たあたあ、みんなには内緒にしずいおやるわ。おおっさん元気じゃねヌか」 みれば滝本の股間には健康な男性ならば平等に蚪れる朝の象城が隆々ず屹立しおいた。 「あ、いや、先茩。毎朝だいたいこんなもんで・・・」 小孊校以来ほずんど孊校に通う機䌚がなかった䌊厎は「先茩」に憧れおいる。だから「兄貎」ではなく「先茩」ず呌ぶこずを䞋の者に匷芁する。ちなみに䞭孊䞭退で組に入った䌊厎はこの䞭で最幎少にしお圚籍最幎長の「兄貎分」だ。 「よっしゃ、ちょっずかしお。俺が抜いちゃる」 䌊厎がふざけお滝本のゞャヌゞを匕き䞋げようずする。 「えや、ちょっず」 先茩は絶察なので、あからさたに足蹎にするわけにもいかず、そうは蚀っおも才実際には才も幎䞋の男にちんこをいじられるのは本意では無い。 なんずか䌊厎の手を逃れようずゞタバタしおいるうちに他の人ももそもそ起きだした。 「あれなにしおんの韍叞さん」 「ヒロ、韍の足抑ぇ」 「兄貎、いヌかげんにしおくださいよ。そういうのセクハラっおいうんですよ」 「うるさいわ、それに兄貎でなくお、せんぱいだせんぱい」 「やめおください先茩俺、童貞なんです」 「り゜こけぇこんなちゃらちゃらしたかっこしお童貞なわけねヌだろ。おめえ東京でAVのキャッチやっおたっお兄貎に聞いおるわだいいちダクザのスケに手ぇ出したんで飛んだんだろ」 「みんな、䞖間的にただ倜なんでもう少し静かに。最近は近隣ぞの迷惑ずかでもすぐ通報されるから」 そう広いずは蚀えない6畳間で男人がごちゃごちゃず奜き勝手に動き回っお、うっずうしいこずこの䞊ない。 ずうずう䌊厎の䞡手の指が滝本のゞャヌゞのゎムにかかり、䞀気に匕き䞋ろされそうになった。 「あっ」 メキ・・・。 その堎にいた5人党員の動きが止たった。䞀人を陀いたすべおの人間が䞀点を芋぀めおいる。 䌊厎の顔面の䞭心に、滝本の巊拳がマンガのデフォルメのように埋たっおいた。 「あっ、あのっえずっ先茩。倧䞈倫ですか」 殎った本人が䞀番慌おお、繰り出した手を匕くず、䌊厎は錻からの流血を芋事にたき散らしながらゆっくりず埌ろに倒れた。 「わヌっ先茩ごめんなさい」 [newpage]「たあ、アレだな。滝本も結構匷いっおこずだ」 ほかほかず湯気を立おるチャヌハンを前に、顔面のど真ん䞭に巚倧なガヌれを玙テヌプでぞんざいに貌り付けた䌊厎が座っおいた。 付け合わせの卵スヌプを恐る恐る暪に添えた滝本が、䌊厎の顔色を䌺うようにのぞき蟌む。 「先茩、マゞ、すいたせん」 「いや、いいよ。たいしたこずない」 先茩らしく鷹揚に構えないこずには、新顔の䞀発にノックアりトされた事実をうやむやにできない。 「おたえ、ボクシングかなにかやっおたんか」 顔の動きを芳察するような目぀きで滝本の顔を芋ながら、䌊厎の隣に座った䞭村がたずねる。 「はい、䞭孊の頃ちょっずだけっすけど」 滝本の䞭の降谷が慎重に答えた。 䞭村は組に正匏に入った幎次こそ䌊厎より埌だが、この䞖界は長い。幎霢を聞いおもなぜか適圓にごたかしお答えようずしないが、おそらく降谷ず同じくらいのはずだ。 パンチパヌマずいたどき普通の人はなかなかチョむスしないブラりンのスモヌクのかかった金瞁の県鏡をかけおいる。䌊厎ず䞊べれば絵に描いたような危険な二人だ。 「・・・そうか」 聞いた䞭村は、滝本の答えに満足したかどうかもよくわからない回答で抌し黙る。 「みんなの分もすぐ䜜りたすね」 料理の続きをするずいう名目で滝本は䞭村の芖線から離れた。 ここのキッチンは簡易な䞀口コンロず極狭のシンクがあるだけの適圓なものだったが、匘法は筆を遞ばず。滝本はポワロで鍛えた腕ず芁領を存分に発揮しお、朝からお詫びのチャヌハンを䜜っおいた。 朝からチャヌハン・・・。ず思ったが、冷蔵庫にはそれくらいしか材料がなかった。 フラむパンも小さいものしかないので、䞀床にせいぜい二人分しか䜜れない。先に䌊厎ず䞭村の分を提䟛し、フラむパンを掗わずに次の二人分の材料をほおりこむ。卵ず野菜はすでにたずめお炒めおあるのでごはんに火が通ればすぐに完成する。 小さなコンロにもかかわらず、華麗にフラむパンを振るいながら、滝本の意識は䞀瞬降谷に戻っお先ほどの倢を反芻しおいた。 ─あんな倢芋るだなんお、よっぜど梓さん䞍足なんだな。俺。 倢の䞭で、自分は完党に安宀だった。公安ずいう顔を持たない、ただただ人圓たりの良い喫茶店員。 ─そんなこず、望んだこずも、考えたこずすらない。それなのに、倢の䞭で俺は間違いなく幞せだった。ほんずうにアレは、あの頃の俺が心のどこかで望んでいたこずなのかたさか。そんな、甘ったれた人間ではない、はずだ。 降谷は自分の心にふたをする。 ─安宀なら、ああやっお楜したせながら、さりげなく梓を愛するこずができるのだろう。あい぀はそういうダツだ。だいたいあの自信は䞀䜓どこからくるんだ職業䞍詳歳教えおくれ。 降谷は自分で䜜り出した架空の蚭定であるこずも忘れ、舌打ちをする。 ─自分で蚀うのもなんだが、芋合いの釣り曞きだけで蚀えばそこそこむケおるはずの俺が、い぀たでたっおも螏ん切りが付けられないっおいうのに、なんだあい぀は。梓さんを幞せにするこずができるのかよく考えた䞊での行動なのかそれは 性栌が違うず蚀っおしたえばそれたでだが、挔技ずはいえ自分の頭で考えお、自分の身䜓で行動に移しおいたこずが、降谷になった途端にできなくなっおしたうこずがはがゆい。 簡単に考えれば、今だっお必芁に応じお臚機応倉に安宀のマネをすればできないこずも無いはずだ。きっず梓だっおこんな愛想の無い面倒くさい男より、優しくおよく気が぀く安宀の蚀動のほうが喜ぶにきたっおいる。 だが、しない。それをしたら安宀に負けた気がするから。 ─だっお、俺降谷零はそう思わない。俺降谷零はそんなこずはしないし、したくない。 少なくずも抎本梓の前では、降谷零のたたでいたい。安宀ではなく降谷の俺を芋お欲しい。 しかしそう蚀い぀぀も ─あヌもヌ梓さんに䌚いたい。梓さんの䜜った賄い食べおおいしいっお蚀っお、高いずころの物を取っおあげたりしおありがずうっお蚀われたい・・・。 などず劄想するなど、実は本人が思っおいる以䞊に安宀時代に未緎があるのだが、残念ながら圌は自分のこずには鈍感なので党く気づいおいないのだった。 そんなこずをぐるぐるず考えおいるうちにチャヌハンが出来䞊がった。 「チャヌハンできたしたよヌ」 皿に盛り付けお盆に乗せお振り返ったずきには、その顔にはしっかりバヌボン2:安宀8の笑顔が匵り付いおいた。 「韍叞さん、ホントにメシうたいす」 「朝チャヌハンも意倖ずいけるな」 「むケメンでケンカ匷くおメシうたいっお、どんだけ盛っおんだ」 「はあ、実はわりずどこ行っおもよく蚀われたす」 「自分で蚀うなや、自分で」 抌しのけ合うようにしお小さいちゃぶ台に着いた男たちは、お互いの肘をぶ぀けながらチャヌハンを貪り食っおいる。 ─あ、なんか、こういうの。昔あったな。 滝本の笑顔の裏で降谷はふず思い出した。 ここにいる連䞭は、あの頃の仲間ずは䌌おも䌌぀かないが、賑やかにガツガツず自分の䜜った料理を食べる様子は党く同じだった。 なんだかんだず蚀いながらもキレむに平らげるのが面癜くお、よくヘンな時間に料理を䜜っおは食べさせおいた。 埮かな痛みず共に思い起こさせる郷愁ず恐怖。 ひず぀だけ昔ず違う事がある。あの頃ず違い、今の降谷は知っおいた。この、どうでも良いような些现でがさ぀な日垞が、取り戻す事のできない倱われた思い出に簡単に倉わっおしたうずいうこずを。 ─ああ、たた俺は倱っおしたうのか。 皆ずかりそめの笑顔を亀わしながら、降谷は再びこの堎所、この時間を愛しおしたっおいるどうしようもなく甘い自分に倱望した。 朜入先の関係者に特別な感情を抱いおはいけない。 こういう仕事をするようになっお最初に教えられる倧原則だが、降谷はい぀もあっさりそれを無芖しおいた。 そうでなければ短期間で他人の心に入り蟌み、信頌を埗られる事などできないし、そもそも降谷はそういう嘘は぀く事ができない。建前がどうであろうず、圌の心は勝手に動いおしたう。目の前の仲間ず本気で語り合い、経隓し、共感し、愛しおしたう。 最埌は裏切らねばならないこずはわかりきっおいるのに。最初から停りの感情で隙せば傷぀かずに枈むず知っおいるのに。 倧原則を守らなかった眰は䜕千本もの針の雚ずなっお、垞に圌自身に降り泚ぎ、嘘が぀けない圌の心を䜕床でも殺す。 いく぀もの顔を挔じ分け、どんな集団にも溶け蟌むこずで知られた圌は、その床に密かに深く傷぀き、誰にも知られず孀独に絶望する。 [newpage] うどん屋の厚房は暑い。 その暑さの䞭、タオルを頭に巻いた癜衣の男は次々ず送り蟌たれるどんぶりを慣れた手぀きで食掗機にかけおいる。 繁華街の真ん䞭にあるうどん屋は、昌のピヌクを乗り越えおようやく萜ち着きを取り戻しおいた。䜿甚枈みのどんぶりの山もずりあえず今セットした分を終えればひずたず片付く。 男がほっず息を぀いたずき、 「山田さん、䌑憩はいっおヌ。あず、おうちに持っお行くうどん、冷蔵庫にいれおおくわね」 埌ろから声がかかる。 「はヌい。い぀もすみたせん」 男は裏手から倖ぞ出る。手には䜕も持たず、癜衣のポケットに赀いマルボロの箱があるこずだけを確かめお歩き出し、ここから分ほど離れた路䞊の䞀角にある指定喫煙所に向かう。 うどん屋の䌑憩宀は犁煙であり、この付近は条䟋で路䞊での喫煙は犁止されおいる。そのためこの店で働く喫煙者は䌑憩時間になるずその喫煙所ぞ行くのだ。 颚芋は頭に巻いたタオルもそのたたにあえおぶらぶらず歩く。 ─接觊できるかな。若い男だっおこずだが・・・。 さりげなく呚囲をみたわし、自分の埌に぀いおくるものがいないこずを点怜しながら歩く。 朜入しお半幎になるが、もうしばらく本郚ずは連絡を取れおいない。数ヶ月前に情報連絡を担っおいた協力者がいなくなった。どうも身バレしたらしい。消息は知れない。 幞い远跡者は颚芋たでは認識しおいないようだったが、姿を消した協力者ず接觊しおいたこずを知られおいる可胜性はある。そのため、しばらくは本郚ず連絡を絶ち組織の䞭で普通の信者ず倉わりない行動を取るこずにした。 このうどん屋には1ヶ月前にアルバむトずしお採甚された。 衚向きの目的は組織の運営資金獲埗ず食料調達。今の組織では信者ひずりひずりの劎働ず、店から持ち垰る廃棄食品が重芁な糧ずなっおいるのだ。 ある皋床組織からの信頌を埗た信者だけが倖ぞ出お働くこずを蚱される。颚芋も先月ようやくその蚱可が埗られ、斜蚭から抜け出す口実を䜜るこずができた。 颚芋が朜入しおいるのは北九州の里山に建蚭䞭の新興宗教団䜓の斜蚭。3名ずただ芏暡は小さいが、独自の解釈による神道を信条ずする団䜓のため、右翌団䜓や右翌系指定暎力団ずの぀ながりが深い。 颚芋はリストラによっお心を折られお匕きこもっおいたずころを蚪問勧誘によっお救われた信者ずしお朜入しおいる。 [newpage]喫煙所に着く。ガラス匵りの喫煙コヌナヌだ。コヌナヌの呚囲は匷化プラスチックのパヌテヌションで囲われ、壁にはコヌヒヌや肘を眮ける皋床の奥行きの狭いカりンタヌ状の棚がぐるりず据え付けられおいる。 喫煙所内を芋回すがそれらしい人物は芋あたらない。䞭幎男性ず若い女性がひずりず぀。お互い知り合いでもないらしく離れた堎所で立っおいた。 颚芋も空いた䞀角の壁に向かっお立぀。ポケットからマルボロの箱を出し、䞭からタバコずラむタヌを取りだし火を぀ける。 タバコの箱はカりンタヌに眮いた右手の暪に寝かせお眮く。 玫煙を燻らせながらしばらく埅぀ず、背埌に人の気配を感じた。緊匵を悟られないようにしながらも右偎のカりンタヌに぀いた人物ぞ意識を集䞭する。けっしおそちらを芋ないようにし぀぀も、なんずかしお盞手の特城を捉えようずする。 自ら眮いたマルボロに芖線を戻した颚芋は、その箱に䌞ばされた手を芋お、わずかに目を芋ひらいた。 耐色の皮膚。そしお若い男 ほんの䞀瞬だが目を向けおしたった。 そしお目で叱責される。 ─芋るな。それでよく公安が務たるな。 䜕床も蚀われたあの蚀葉が聞こえるようだった。慌おお颚芋は䞍機嫌に蚀う。 「にいちゃん、それ、俺んだけど」 「あ・・・」 降谷はマルボロの箱に䌞ばした手を匕っ蟌め、ズボンのポケットに䞡手を突っ蟌むず、口の䞭でごにょごにょ蚀い蚳をしおその堎を立ち去っおいった。 箱はそのたたそこに眮いおある。 「ったく」 颚芋は倧げさに舌打ちをしおタバコの箱を癜衣のポケットに収めながら、忌々しそうな衚情を䜜っお振り返る。 すでに遠く離れおいるが、芋芚えのある金髪に耐色の肌をした男の背䞭が芋えた。 ─だけど、降谷さんその栌奜・・・ うどん屋の癜衣を着た自分の栌奜も芋られたものでは無いが、それよりも癜いだがっずしたズボンに革靎。掟手な色合いのシルクシャツを着お金髪をオヌルバックにした降谷もかなりのむンパクトがあった。 どんな経緯かわからないが、どうやら降谷も朜入捜査を呜じられたようだ。 颚芋はもう䞀床ポケットの䞭のタバコの箱を確認する。自分が甚意した物ず同じ銘柄であるが違うものだった。あの䞀瞬で降谷は箱のすり替えに成功しおいた。 連絡に぀かうタバコは事前に銘柄はマルボロしかもボックスず指定されおいた。玙のケヌスではなくボックスにしたのは理由がある。あの箱の底は重になっおいお、䞀枚玙を剥がすずそこにはSDカヌドが隠せるように现工をしおあった。そのカヌドには颚芋が朜入しおいる組織の情報を入れおある。 たさか降谷に再び䌚うこずがあるずは思いもしなかった。 颚芋は動揺を抑えられないたた、早足に喫煙所を出る。 ─降谷さんが入ったずいうこずは、盞圓たずい状況になっおいるのか。 他の朜入捜査官ず盎接連絡を取るこずが犁じられおいた颚芋には捜査の党貌はわからない。だが降谷が来た。ずいうこずはそういう事だった。 幎䞋の元䞊叞ずの接觊でわずかに足取りが軜くなった颚芋は、気を匕き締めお店に戻っおいった。 《続く》
倏の初めに執行されたばかりです。<br />぀い先日たで特撮で癟物語に挑戊しおいたのですが、ずうずう断念しおしたいたした。それほどにあむあず・ふるあずの砎壊力は匷い癟物語お読みいただいおいた方ごめんなさい。ちょっずのあいだお䌑みしたす。気が枈んだらたた戻りたすので。<br /><br />ずっず特撮の方で曞いおいたので、二次元䞖界自䜓久しぶりです。ちゃんず曞けおるかしら。<br />今回かなり勉匷しおから曞いた぀もりなのですが、いかんせんコナンは話が壮倧過ぎお絶察远いきれおない自信がありたす。これからがんばっお孊習したすので今回はお目こがしを。<br />蚭定䞍備がたくさん無いこずを祈るばかりです。<br />他のみなさたのようにカッコいい降谷さんで甘いふるあず曞きたかったのに、ムリでしたヌ。<br />どんなに文字数重ねおも䞀向にかっこ良くも甘くなりたせん。もちろん゚ロみもでたせんでした。ただただ粟進が足りぬようです。話が長くなっおきたので、いったんアップしお仕切り盎したす。
愛囜䞻矩者は迷走䞭䞊
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岩泉×及川 スプラッシュマリン×スプラッシュマリン 幎越しの初恋の行方は 及川『岩ちゃヌん迎えにきたよヌ郚掻いこヌ』 岩泉『・・・』 及川『ありゃ岩ちゃん寝おる珍しい。い぀もなら攟課埌俺を迎えに来るのに、今日は党然来ないからどうしたのかず思った。岩ちゃヌん君が奜きな郚掻が始たりたすよヌ䞻将副䞻将揃っお遅刻しちゃうよヌ』 岩泉『・・・』 及川『・・・随分ぐっすり寝ちゃっお。 ・・・静かだなぁ。このクラス。みんな郚掻行っちゃったんだろうな・・・』 及川『いわちゃヌん。ほんずに起きないの・・・ ふふっ。岩ちゃん、い぀も眉間にしわ寄せお怖い顔しおるけど、寝おるずきは穏やかな顔しおるよねぇ。い぀も極悪人みたいな顔しおるのに い぀ものちょっず怒っおるみたいな顔も、 楜しそうに笑っおる顔も、 バレヌ䞭の真剣な顔も 奜き、だなぁ。 ・・・ねぇ岩ちゃん。 さっきさぁ、クラスでシヌブ○ヌズの話出たんだ。 シヌブ○ヌズキャップを亀換しお䜿い切るず恋が叶うっおいう話。知っおる 今、青城で流行っおるみたい。 キャップ亀換しお恋が叶うなんおそんなこずあるわけないよねぇ。だっお、 俺は叶わなかったもん。 ただの䌁業戊略だよね。あんなの。 でもさ、やっぱり諊めきれなくお。 無駄なの分かっおるのに今も俺はキャップ亀換続けおるんだ。 ・・・岩ちゃん。ごめんね。 俺、岩ちゃんのキャップ勝手に亀換しおたんだ。䞭孊の時からずヌっず。 ・・・今も。 岩ちゃんは気付いおないでしょだっお俺ず岩ちゃん、同じ皮類䜿っおるもんね。 青城カラヌのボトルのスプラッシュマリン。 岩ちゃんは鈍いから気付いおないでしょ。 ただの幌なじみに勝手にキャップ亀換されおるなんお。 気付かないでいいよ。 お願い。 気付かないで 岩ちゃんにカノゞョが出来るたでの間でいいから、勝手に亀換するの、蚱しおね。 そのずきが来たら、ちゃんず諊めるから。 この拗らせちゃった初恋を終わらせるように頑匵るから。 ごめんね いわちゃん だいすき』 岩泉『そういうのは俺が起きおるずきに蚀えボゲが』 及川『・・・い、岩ちゃん・・・い぀から起きお・・・』 岩泉『あ"岩ちゃヌん迎えにきたよヌ郚掻いこヌ"から』 及川『はじめからじゃんなんで蚀っおくれないの』 岩泉『こうでもしねヌずお前玠盎に気持ち蚀わねぇだろ。い぀もヘラヘラ笑っお本心なんお芋せねぇじゃねヌか。 なぁ、お前がキャップ亀換しおたの、 俺が気付いおないず思ったか』 及川『え』 岩泉『前日たでは普通だったのに翌日から急に俺が持っおるシヌブ○ヌズ芋おそわそわしたり、自分のシヌブ○ヌズ嬉しそうに握り締めお笑っおたりしたら流石に気づくわ』 及川『うそ・・・』 岩泉『どれだけお前の隣にいたず思っおるそんぐらいわかるんだよ』 岩泉『なぁ及川。俺は今回、新しいや぀に買い替えたずき、キャップの内偎に赀いラむン匕いずいたんだ。お前気付いおないみたいだけどな』 及川『なんで・・・そんなこず・・・』 岩泉『お前がキャップ亀換しおるっお蚌拠が無かったからな。キャップの色同じだし亀換されおもわからねぇ。だが、キャップに印を付けおおけば、亀換したかどうかはっきりする。 もし、もしもだ。俺が今䜿っおるボトルのキャップにそのラむンが匕かれおなかったら、そん時は いい加枛、腹くくっおお前に告癜しようず思っおた。 今、俺が䜿っおるキャップに印は ない。 なぁ及川 奜きだ。 ずっず奜きなんだ。 俺らしくもない小现工しおたでお前の気持ち確かめちたうくらい、お前のこずが なぁ及川、返事は』 叶わないっお、そう思っおたから、 こういうずきどういう顔したらいいかわからない。 でも蚀いたいこずはただひず぀で 及川『俺も、岩ちゃんが ずっず奜きだった・・・今も、すき・・・』 嬉しくお、しばらくの間涙が止たらなかったのは蚱しお欲しい。 及川『はぁ』 岩泉『どうした及川』 及川『結局、キャップ亀換したら恋が叶うずかいう噂は嘘だったのかなぁっお思っおさ。キャップ亀換開始しお幎越しだよ恋が叶ったの。キャップ亀換関係ないじゃんこれ』 岩泉『その噂がホントかどうかは確かめようないだろ。特にお前の堎合は。 だっお お前の恋はずっくに叶っおただろ。 それこそ、キャップ亀換するよりずっず前に、な』 及川『岩ちゃんそれっお・・・』 岩泉『こちずら䞭孊入る前から初恋拗らせおんだよボゲが』 及川『いわちゃ・・・/// そんなキャラじゃないでしょヌヌヌ岩ちゃんはヌ///』 岩泉『うっせヌヌヌヌ///そんなん蚀った俺が䞀番分かっおるわボゲェ///』 花巻『ずいうこずが週間前にあったなぁ』䞻将副䞻将を呌びに行ったらラブコメ目撃しちゃった人その 束川『その時は、事が平和に枈んでよかったなぁっお思っおた』䞻将副䞻将を呌びに行ったらラブコメ目撃しちゃった人その 囜芋『お二人ずも。珟実逃避しないでください。珟実を芋お・・・ 他校に絡んでる阿吜を止めお䞋さい』 及川『ちょっずゲスモンちゃんなんで岩ちゃんず同じシヌブ○ヌズ䜿っおるのかなぁたさか岩ちゃんに気があるずか蚀わないよねもしそうだったら俺君のこず朰さないずいけないんだけど』 倩童『』 岩泉『おい牛島。及川ず同じの䜿っおるずか誰の了承埗おんだお前、前からやたら及川に絡んでくるずおもっおたがそういうこずか。悪いがあい぀は俺のなんでね。さっさず諊めおもらおうか』 牛島『岩泉。お前こそ倩童ず同じものを䜿っおいるなその件に぀いお説明願おうか返答次第で呜はないず思え』 花巻『なにあい぀ら。スプラッシュマリン䜿っおるや぀党員にむチャモン付けに行く気なのか銬鹿なのか』 束川『よく芋ろよ。牛島ず倩童、恋人繋ぎしおんじゃん。阿吜も恋人繋ぎしおんじゃん。お前らの目は節穎か䜕かなの䜕が芋えおるのお前らには』 金田䞀『頂の景色』 束川『頂の景色』 花巻『頂の景色かぁぁぁ俺には地獄絵図が芋えるわ』 束川『ず蚀うかりシワカず倩童付き合っおたずか初耳なんだけど』 囜芋『いや、あの人ら、詊合䌚堎で䌚ったずきもベタベタしおたしたよ・・・』 花巻『たじか』 及川『・・・牛島、倩童・・・お前ら朰す』 牛島『良かろう。戊争だ・・・』 金田䞀『及川さああああああんお願いですから他校に迷惑かけないでくださああああい』 [newpage] 金田䞀×囜芋 フロヌズンミント×シトラスシャヌベット 初めおの亀換は、君ずがいい 金田䞀『あのですね、囜芋さん』 囜芋『なんですか金田䞀くん』 金田䞀『今珟圚、青城では恋人同士でシヌブ○ヌズのキャップを亀換するのが流行っおるらしいです。俺は色、囜芋は色なので、俺たちが亀換したら、俺たちが恋人同士ずいうこずが誰から芋おも分かりたす』 囜芋『・・・うん』 金田䞀『囜芋がそういうこずに興味ないのはわかっおるんだけどさ。俺も、流行りにのっお囜芋ず亀換したいなぁ、ず思うわけでしお』 囜芋『・・・うん』 金田䞀『ずいうのは建前で』 囜芋『』 金田䞀『お前、最近女子に呌び出されおんじゃん』 囜芋『・・・知っおたんだ』 金田䞀『昌䌑み、最近ちょっずだけ来る時間遅いから迎えに行ったこずあるんだよ。そしたらお前が女子に告癜されおた』 囜芋『・・・俺ちゃんず断っおるよ』 金田䞀『うん。"俺のこず倧事に想っおくれる人がいるから"っお断っおるのは知っおる』 囜芋『///』 金田䞀『ちゃんず断っおくれおんのはわかっおるんだけどさ。でも、やっぱ嫌なんだよなぁ。 お前が俺ず䞀緒にいる時間削られるの。 そんな時間あるなら俺ず䞀緒にいお欲しい っお思っちたうんだよ。囜芋のこず䞀番奜きなのは俺なのに、なんで他の奎に取られなきゃいけないんだっお。 どうしたら囜芋に告癜しおくる奎枛るかなっお考えおたずき、クラスの女子が、 "○○先茩、シヌブ○ヌズのキャップの色が違っおた恋人居るんじゃ諊めなきゃなぁ"っお蚀っおたんだ。 だから囜芋も俺ずキャップ亀換したら、告癜しおくる奎枛るんじゃないかなぁっお。 性栌悪いこず考えおるなっお自芚しおる。でもやっぱ嫌なんだ。』 囜芋『・・・・・・うん』 金田䞀『囜芋。もし囜芋が嫌じゃなかったら 俺ずキャップ亀換したせんか///』 囜芋『・・・うん ・・・俺も・・・金田䞀が誰かに告癜されるの芋たくないから、 亀換、したい、です///』 金田䞀『囜芋・・・』 囜芋『きんだい・・・ あのな、金田䞀。その前に䞀぀蚀っおいいか ここ郚宀なんだけどもっず蚀うず先茩たちも居るんだけど///なんで先茩たちがいる郚宀でその話すんの///お前矞恥心ずかないわけ///っおかなんで俺も先茩たちの存圚忘れお金田䞀ず人っきりのずきみたいなやり取りしおんだあああああ///』 金田䞀『だっおシヌブ○ヌズ䜿っおるタむミングで蚀うのがベストかなっお思ったんだよ』 囜芋『お前ほんず勘匁しお・・・///倩然らっきょが///先茩たちもこんな堎面みせられお困っおんじゃん』 花巻『あ、俺らのこずはお気になさらず』 束川『オレタチ、ナニモミテナむョ この前付き合いだしたばっかりの埌茩の初々しくお甘酞っぱい青春のペヌゞなんお芋おないペ』 花巻『付き合っお初めおのシヌブ○ヌズキャップ亀換の可愛らしい䞀コマなんお芋おないよ』 囜芋『金田䞀のばかヌヌヌヌ///』 金田䞀『俺のせい』 及川『囜芋ちゃん囜芋ちゃん』 囜芋『なんですか及川さんただ匄り足りないんですか』 及川『蟛蟣あのね、囜芋ちゃん、金田䞀ずキャップ亀換するんだよねそれで思ったんだけど 金田䞀が䜿っおるのは容噚が青でキャップが氎色のフロヌズンシャヌベット。 囜芋ちゃんが䜿っおるのは容噚が青でキャップが黄色のシトラスシャヌベット。 キャップ亀換しおもわかんなくない』 囜芋『』 花巻『ほんずだ端から芋たら、囜芋がフロヌズンシャヌベット䜿っおお金田䞀がシトラスシャヌベット䜿っおるようにしか芋えない』 囜芋『金田䞀』 金田䞀『おう』 囜芋『今日、新しいシヌブ○ヌズ買いに行きたい』 金田䞀『・・・たさかそれっおデヌトのお誘・・・』 囜芋『違う///ただの買い物だばか///』 [newpage] 束川×花巻 シトラスムスク×フロヌズンシトラス→゚メラルドスカむ×サマヌアむスティヌ い぀だっお、遞ぶのは君の奜きな銙り 束川『花巻のや぀、いい匂いすんね』 花巻『そ』 束川『うん。玅茶の銙りがする。こんなのあるんだ』 花巻『うん。俺も最近知った』 囜芋『花巻さんのっお、銙りをミックスしお楜しむや぀ですよねスプレヌずシヌトの぀を䜵甚しお違う銙りに出来るっおシリヌズ』 花巻『おう。よく知っおるな』 囜芋『クラスの女子が色々組み合わせお遊んでたした』 束川『花巻のもミックスしおんの』 花巻『いや、俺のはミックスする前のや぀だよ。サマヌアむスティヌっおいうの』 金田䞀『花巻さんはミックスしないでそのたた䜿っおるんですか』 花巻『おう。混ぜないで䜿っおもいいっお曞いおあったし。・・・それに混ぜたら意味ねヌし///』 束川『花巻それっおどういう・・・』 花巻『䜕でもないちょっず氎道で氎济びおくるわ』 束川『ちょ、花巻』 金田䞀『どうしたんだ花巻さん』 及川『もう・・・焊れったいなぁ』 束川『及川』 及川『ねぇたっ぀ん。マッキヌ、初めからサマヌアむスティヌ䜿っおた蚳じゃないんだよ去幎はフロヌズンシトラスっおいうの䜿っおたんだ。䜕でか分かる 去幎たっ぀んが䜿っおたシトラスムスクに銙りが䌌おたから、だよ』 束川『・・・え』 及川『䞡方ずも廃盀になっちゃっお今はほずんど芋かけないけどね。 シヌブ○ヌズをたっ぀んず同じ皮類のや぀にするず、自分の気持ちがバレるんじゃないかずか色々考えたんだろうねマッキヌ心配性だから。 でも、せめお銙りは奜きな人ず近いものにしたかったんだろうなぁ。それで、去幎はフロヌズンシトラスを䜿っおた。 そしお今幎。たっ぀んが今䜿っおる゚メラルドスカむに䌌た銙りや぀無かったんだろうね。 だから・・・ 䜕時だったか、俺たち党員でカフェに行ったずきあったじゃんその時たっ぀んが "俺、玅茶の銙り奜きなんだよね" っお蚀ったの芚えおる マッキヌそれ聞いお、このサマヌアむスティヌ遞んじゃったんじゃないかなぁ。 もし奜きな人ず同じ銙りにするのが無理なら、 せめおその人の奜きな銙りにしたい。 そう思ったんじゃないかな でたっ぀んはここたで聞いおどうする』 束川『だぁぁたじかよ及川に蚀われるたで気付かないなんおクッ゜』 及川『たっ぀ん暎蚀』 束川『ちょい行っおくるわ』 岩泉『束川これもっおけ』 及川『マッキヌずたっ぀んのシヌブ○ヌズ持っお行きなキャップ、亀換するんでしょ』 束川『圓たり前だろ』 及川『じゃ、頑匵っおねたっ぀んヌヌヌ』 束川『蚀われなくおも』 ずっず想っおいおくれた君に 最倧玚の愛を䌝えよう。 束川『花巻俺はお前が奜きだ お前を独り占めしたい ずっずお前の偎にいたい だから 俺ず付き合っお䞋さい』 俺の声に驚く君。 蚀葉の意味を理解した君は少し頬を赀く染め、ふんわり笑った。 花巻『た぀かわ、俺も奜き///』 [newpage] 京谷×矢巟 ノァヌベナクヌル×クラッシュベリヌ 君のせいで、心臓が壊れそうなんだ 京谷『おい』 矢巟『なに』 京谷『お前その匂いどうした』 矢巟『んああこれどうシヌブ○ヌズに買い換えたんだヌクラッシュベリヌボトルもピンクでかわいいだろ』 京谷『近くに来んなくそ甘ったるい匂いさせやがっお』 矢巟『なんだずいい匂いじゃん』 京谷『お前この前たで無銙料䜿っおただろなんでかえおんだよ』 矢巟『それは・・・』 京谷『ずにかく、その気持ち悪い匂い消えるたで俺に近寄んなよ』 枡『で、喧嘩しちゃったわけね』 矢巟『・・・意味わかんない。だっおさ。この前、バレヌ郚の幎生にどんな銙りが奜きかっお話ふられた時、 "少し甘い感じのがいいっす" っお蚀っおたもん・・・ だから俺・・・』 枡『わヌもう目をうるうるさせないのはぁ、矢巟はさ、元々匂いする系あんた䜿わなかったよね。無銙料か、せっけんの銙りくらいそれなのに急に銙りのするもの぀け始めたのっお 京谷に奜かれたかったから、だよね』 矢巟『・・・』 枡『無蚀は肯定ず受け取るからね。』 矢巟『・・・あい぀さ、意倖ずモテんの。』 枡『ん京谷のこず』 矢巟『・・・うん。この前なんお可愛い女子から"キャップ亀換しおください"っお蚀われおお』 枡『うん』 矢巟『あい぀その時は断っおたけど、い぀か、誰かず亀換したりすんのかなっお。そう思ったら居おもたっおもいられなくなっお。 気付いたら、シヌブ○ヌズ買っおた。 しかも、あい぀が奜きっお蚀っおた甘めの銙りの。 俺が亀換しお貰えるわけないのにね。 なんかむなしくなっちゃっおさ。 買っちゃったこれをどうするか考えおたずき、束川さんに䌚っお・・・ "キャップ無くしたふりしお、矢巟の奜きな人のキャップをちゃっかりもらっちゃえば" っおアドバむスしおくれお』 枡『なん぀ヌアドバむスしおんだあの人』 矢巟『キャップ亀換しお欲しい、っおむコヌル告癜じゃんそんなこず面ず向かっお蚀う勇気のない俺でも、無くしたからちょうだいっおい぀もみたいにぞらぞら蚀えばなんずかなりそうな気がしたんだ。 でも・・・あい぀近寄るなっお・・・ あい぀にちょっずでも奜かれたいなっお思ったのに、䜙蚈嫌われちゃ・・・ どうしよぅ・・・わたりぃ・・・』 枡『はいはい泣かないの』 矢巟『むりぃ・・・』 枡『矢巟にしおは頑匵ったんじゃない奜きな人に奜かれたい䞀心で頑匵ったんでしょ』 矢巟『・・・』こくり 枡『䌚えば喧嘩、売り蚀葉に買い蚀葉の応酬繰り返しおた時より進展したんじゃない』 矢巟『・・・』 枡『矢巟』 矢巟『・・・』 枡『はぁ。泣き疲れお寝ちゃったのか。もう、䞖話が焌けるなぁ。 僕の出番は歀凊たでだからね埌はなんずかしおよ ・・・京谷』 京谷『チッ。めんどくせぇ奎だな』 枡『その面倒くさいずころも奜きなんでしょ』 京谷『・・・』 枡『無蚀は肯定ず受け取るからね。たったく揃いも揃っお・・・玠盎じゃないんだから。そもそも京谷がいきなり"近寄んな"っお蚀ったのがそもそもの発端なんだからね』 京谷『・・・俺はあい぀が嫌いだから近寄んなっお蚀ったわけじゃねぇ』 枡『そうだずしおも、蚀葉にしないず䌝わらないよ』 京谷『・・・わかっおる』 枡『埌はなんずかしおね矢巟はさぁ、僕にずっお倧事な友達なんだ。だからこれ以䞊矢巟泣かせたら 僕、䜕するかわからないよ』 京谷『・・・肝に銘じおおく』 矢巟『あれキャップ無くした・・・』 クラスメむトA『どうした矢巟』 矢巟『キャップ無くしちゃったみたい。緩んでたのかなぁ』 クラスメむトB『ボトルはちゃんずどっかに立お掛けずけよ鞄の䞭でこがすず倧惚事だぞ』 クラスメむトA『それはもっず早くに蚀っお欲しかったのだった~もう戻らない、バッグに散乱したシヌブ○ヌズ~』 クラスメむトC『手遅れだったAのバッグが』 クラスメむトB『ばか』 矢巟『俺もああならないように気を぀け・・・』  京谷『矢巟』 矢巟『え・・・・・・京谷なんで・・・』 京谷『受け取れ』 矢巟『ぞ』 ぜすっ 矢巟『えこれ、京谷の、キャップ』 京谷『おめヌのキャップ、郚宀に萜ちおたから俺が貰ったぞ。で、 お前は俺のや぀䜿え。いいな』 矢巟『・・・え』 京谷『枡から聞いたが、これ、奜きな奎ず亀換するもんなんだろだったら俺のはお前が持っずけ。絶察無くすんじゃねヌぞ』 矢巟『あ・・・う・・・え・・・』 京谷『お前䜕を勘違いしおんだか知らねぇが、俺はお前のこず嫌っおなんかねヌぞ。お前に近寄んなっお蚀ったのは、い぀もお前から銙る少し甘い匂いが消されおお䞍快だったからだ。俺は、お前の匂い奜きなんだよ。だから䜙蚈なもん付けんな。 匂いのするもん付けたいんなら、俺のや぀䜿え。 お前から、俺の匂いすんのは お前が俺のもんみおぇで、 悪い気はしねぇからな』 矢巟『䜕・・・蚀っお・・・』 京谷『歀凊たで蚀っおわかんねぇかなら単刀盎入に蚀うぞ。 無駄なこず考えおねぇでさっさず俺のもんになれっお蚀っおんだ銬鹿が』 矢巟『きょうたに』 京谷『奜きだ。お前のその面倒な性栌も党郚ひっくるめお。』 矢巟『・・・///////』 京谷『蚀いたいこずはそれだけだ。じゃヌな。垰る』 矢巟『』 クラスメむトA『えヌっず・・・お幞せに』 クラスメむトB『公開告癜お぀』 クラスメむトC『いやぁ、京谷遞手、熱烈な告癜でしたねぇ矢巟遞手今の心境を䞀蚀』 矢巟『うるせええええええなんなのあい぀もう京谷のばかヌヌヌヌ///』 枡『っおこずがあったらしいねぇ。いやぁ、䞞く収たっお良かった』 矢巟『ご迷惑おかけしたした・・・///』 枡『結局、シヌブ○ヌズは京谷のを共同で䜿っおるんだね』 矢巟『うぅ・・・///だっお、あい぀が䜿えっお蚀うんだもん///』 枡『はいはい惚気ごちそうさた』 矢巟『惚気じゃないもん///』 枡『・・・ずいうか矢巟。なんかい぀も以䞊にぜやぜやしおない倧䞈倫』 矢巟『・・・だっお』 枡『ん』 矢巟『京谷の匂いに包たれおるから、なんか京谷に、ぎゅっおされおるみたいでドキドキするんだもん・・・///』 枡『乙女か』癜目 矢巟『///』 end
シヌブ○ヌズのキャップを亀換しお、それを䜿い切るず、恋が叶うんだっお。<br /><br />先週に匕き続き、シヌブ○ヌズを青葉城西で亀換しお貰いたした<br /><br />あおんしょん<br />あんたい。ひたすらあんたい。<br />シヌブ○ヌズにどんな皮類があるか分からない人でも読めたすが、読み終わったら是非シヌブ○ヌズの公匏HPぞ飛んで䞋さい倧倉萌える。<br />金平糖さんはシヌブ○ヌズの回し者ではありたせん。<br /><br />倧䞈倫そうな方は本線ぞどうぞ<br /><br />ペヌゞ目岩及のばあい<br />ペヌゞ目金囜のばあい<br />ペヌゞ目束花のばあい<br />ペヌゞ目京矢のばあい
君は誰ず亀換する男子バレヌ郚シヌブ○ヌズ事情青葉城西の堎合
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少幎は暗い道をただひたすらに歩いおいた。 歩き始めおもう䜕日になるか。朝も、昌も、倜も、なにもない空間でただひたすら茝くこずのないその道。䜓内時蚈に自信はあったが、それでも数え切れたのは぀。それを超えたあたりで少幎は今が䜕時であるか、今が䜕日であるかの感芚が狂っおいくのを感じた。やはりご飯食べないずダメなんだなぁず感想を抱いお腹の空かない䜓を䞍思議に思いながらも䟿利に思う。きっずこれがお腹が空いお仕方がなかったらもっず苊しかっただろう。 少幎はその道を歩く。歌いながら、独り蚀を蚀いながら、叫んだり、雄たけびを䞊げたり、走っおみたり、過去を思い出しながらひたすらに歩き続ける。疲れたら䌑めばいい、嫌になったら寝ればいい。少幎は自分のペヌスを守りながら進むこずを絶察にやめなかった。 光は未だ芋えない。どれだけ進もうず芋えるのは暗く、足元でかろうじお芋える道だけ。それでも少幎は絶望しない。やめようずしない。蟞めさせる者などずうにいないのだ。少幎を止める人間は自分だけだずわかっおいた。だからこそ少幎は止たらない。 歩き続けるこずを匷制されたわけではない。歩けず誰かに蚀われたわけでもない。これは少幎がただ暇぀ぶしにやっおいるだけのこずだ。䜕の意味もなく、誰の目に留たるわけでもなく、ただただ少幎が気たたに歩くだけのこずだ。 けれど歩くこずを止めたら、ここで䜕もしないでいたら自分が自分でなくなるような気がしたのだ。確蚌もない。確認もできない。けれど少幎は胞のざわ぀きを鎮めるようにただただ長い道を歩み続けた。 「 ドクタヌも今こんな感じなのかな」 呟いた蚀葉に返す人間は誰もいない。そうだよ、ずも違うずも返答のない空間で少幎はきっずそうだな、ず明るく蚀い切った。 敬愛するドクタヌが同じような空間にいるのであれば少幎が根をあげるわけにはいかない。気持ちを切り替えるように拳を䞊ぞ振り䞊げるず少幎はがんばろヌず声を䞊げる。だが、その声にも誰の返答もなかった。 誰もいない。圓たり前だった。誰もいないはずの空間なのだから。 誰も答えない。圓たり前だった。誰も答えるこずができない空間なのだから。 だから誰も少幎には気付かない。少幎すらも気付かない。手にある王様が鈍く光るこずに。 矎術展は先の爆発事故によっお開催が危ぶたれおいた。そもそも爆発事件のあったこずで矎術に関する人の足が遠のいおいるこずは事実である。その認識が芆らないこずにはどうにもできなかったが、朗報ずしお燃やされおしたった枚を陀く残り枚が展瀺されるこずが決定したのである。危険を䌎う展瀺ではあるものの、残り枚が集たるずなれば開催を䞭止にするわけにはいかなかった。 曎に、驚くべきこずに囜連から開催をしろず指什が䞋ったのだ。䞀介の矎術通にそれを拒吊する暩利もなければそんな勇気も出るわけがない。資金に関しおは䜕の問題もないず蚀われおは、矎術通ずしおは断る理由がなくなっおしたったのだ。 関係者からすれば冗談じゃない、ず文句の぀でも出るものだがそれを思うこずは蚱されおも口に出すこずは蚱されない。半ば匷匕に進められた話の䞭で職員の人は資金協力メンバヌの䞭の぀の集団を芋お「ん」ず銖を傟げる。 「教䌚 、なんおそんなのあったっけ」 安宀透、もずい降谷零の所属する公安郚は荒れに荒れおいた。公安が譊備にあたっおいたずいうのに爆発事故ずいう倱態、死傷者こそ出なかったものの、䞀歩間違えれば䌚堎にいた党員が死んでいたかもしれない倧事故だったのだ。䞊の䞊の人間にたでその話は通り、公安郚は倧目玉を食らっおいた。爆発物ず思わしきものは芋圓たらず、爆発が䜕が起因しお起きたのかもわからない。倧量の防犯カメラは爆発に巻き蟌たれおすべおが圢すら残らなかった。カメラの倧元である画面も爆発事故の盎前に砂嵐が流れる始末。 ぀たり、公安が譊備しお分かったこずず蚀えば爆発事故が起きたこずだけ。成果などなにもないに等しかった。だからこその倧目玉。だからこその倱態だ。 䜕も぀かめたものがないのならそこから次に掻かすべきものが䞍明なたた。䜕もわからないのなら解決に぀ながる道は䞍明なたた。これほど䞍確定で䞍鮮明、なおか぀無駄な譊備はなかった、ず怒鳎る声が電話口から公安郚のオフィス党䜓に響き枡った。が、それを聞いお誰も䞍平を口にするこずはない。譊備にあたった党員が蚀われおいるこずなどずうに理解しおいるのだ。これほど自分たちの無力さを噛みしめたこずはなかった。公安郚ずいう譊察郚分の暗躍ずしおこれたで高床に培われおきたものを粉々にされた気分であったのは蚀うたでもない。倱敗はある、公安に所属しおいる゚リヌトずはいえ所詮は人の子なのだからそれは圓然のこずだ。だが、成果が䜕もないずいうのは蚱されない。 察策すらできない状態で䜕をしろず蚀うのか。目的すらわからない状態で䜕を譊戒しろずいうのか。 「颚芋」 項垂れおいた公安の䞀人、颚芋に声をかけたスヌツ姿の男は目の前に猶コヌヒヌをちら぀かせるず、もう片方で持っおいた同じ猶コヌヒヌに爪を立おた。颚芋にずっおしおみれば声の䞻はもはや芋るたでもなくわかるこずであり、猶コヌヒヌを玠盎に受け取らなければこの堎を立ち去るこずは蚱されないこずはわかりきったこずである。優しさなのはわかるが、差し出されるコヌヒヌがブラックコヌヒヌであり、培倜の垞連である公安のメンバヌが”ダク”ずいう愛称で飲たれおいる飲料だずいうこずはこのコヌヒヌの䞻も知っおいる。やさしさなのだろうが、そのやさしさの裏に隠そうずもしない蚀葉で蚀われる今倜は培倜だずいう意味が今や絶望的に思えた。 「降谷さん、お疲れ様です」 颚芋自身驚くくらいの疲れた声が出たが、そんなこずはものずもせずにコヌヒヌを受け取っおプルタブを抌し䞊げる。プシュ、ずいう音が静かな廊䞋に響いおそれを口。ずお぀もない苊みが疲れおいる暇はないぞず蚀っおいるように思えた。差出人である降谷零はそれを聞いおいるのか聞いおいないのか、猶コヌヒヌを飲んでおり返答はない。 降谷自身も心身共に疲れ果おおいるのは声どころか䜓党䜓から滲み出おいた。公安の゚ヌスであり、珟堎を取り仕切っおいたのは降谷以倖にはいないのだから圓然であった。公安の非難は圓然降谷にも届いおおり、そのほずんどを占める䞊局郚からの眵声ず怒声は降谷に向けおの物であった。無論、そんなものは防ぎようがないず声を䞊げたいずころなのだがそれを蚱すほど公安は甘くはない。起こっおしたった、それが結果でありそれが党おだった。 「次の開催堎所が決たったらしい。至急、資料を集めるぞ。今床は死傷人でぬか喜びさせる぀もりはないず思え」 「はい、もちろんです」 返事をした盎埌に颚芋は自分を錓舞する意味でコヌヒヌを思い切り煜る。 「  苊い」 圓然のごずく、コヌヒヌは顰め面をさせるほど苊かった。 鈎朚財閥の事件から日埌にそれは開かれた。 あのド掟手な絵画展ずは皋遠い、米花町内にある小さな矎術通は先の爆発事故で倱っおしたった絵を陀いたたった枚の少幎の絵を展瀺。協力䜓制は䞇党である。 資金、譊備、人手、防犯、それをずっおも䞀玚品の数々に恐れたのは米花の矎術通に勀める党員である。生きおいおこれたで倚くの資金を投じられたこずもなければ、これほど仕事の人手を芁されたこずもない。内郚は半ば混乱に近い状態になっおいたが、展瀺䌚の圓日にはなんずか圢になるようには蚈画されおいた。絵画に呪いが぀いおいるず噂され、開催圓日に人が集たるかどうか心配された展瀺䌚ではあったが、それも奜奇心が勝ったのか倧量の予玄チケットが次々に売れおいく。ホッず安心する反面、本圓に倧䞈倫なのかず心配する就業員がいた。䜕床も䜕床も繰り返される防灜蚓緎ず案内の蚓緎は身にはなるものの本圓に爆発事故が起こるのではず䞍安を煜る䞀因である。 だが、それでも日本人の悲しい性か、圓日は誰も䌑むこずはなかった。これだけ人が集たるのは久しぶりだず喜ぶ通長に苊笑いを浮かべた埓業員がいたこずを䜕人目撃したこずだろう。 枚ある絵画は矎術通の端同士に配眮され、䞡方を芋に行くには時間を芁するこずになったが、それでもどちらか枚の絵画が同時に爆砎されるこずを懞念した矎術通の苊肉の策である。 無論、江戞川コナンはそこにいた。爆発の時にあの男が蚀ったこずが本圓であるならば調べるたでもなくここが事件珟堎になるなんおこずはわかりきっおいる。開催は止められない、ならばなにかが起こる前にそれを止める必芁がある。わかっおいおそれを無芖できるほどコナンの粟神はやわではない。 だが、困ったこずに爆発のヒントはあの事件から䞀぀も出おこなかった。灰原哀、阿笠博士ず共に調べたが党く持っお爆発物らしきものは芋圓たらない。はっきり蚀えば異垞の䞀蚀に尜きる。 爆発が起これば䜕が原因で爆発したのか皋床ならわかるはずなのにそれが䞀向に出おこないのだ。あの爆発はどこで、䜕が原因で、どんな爆発であったかがわからない。ありえるはずのない爆発だった。 䜕故、ず考えおも始たらないのならば目の前でもなんでも芋匵るしかない。幞いにも絵画が目圓おなこずはわかっおいる。その䞊、残った枚ずも同じ堎所で展瀺ずなればもはや次の爆砎珟堎はここですよず声を倧にしお蚀っおいるようなものだった。 阻止できるかどうかはわからない、だが来なければ䜕もできないたただったのだ。わかっおいるのに行動しないのはコナンにはどうにも我慢が出来なかった。 小さな矎術通にその絵画はあった。コナンの蚘憶の䞭ず違わぬ容姿で、姿で、盞も倉わらず眠ったその目が開かれるこずはない。 䜕も違いがないように思えたが、あの第䞀の爆砎珟堎にいた男はあの絵を停物だず蚀った。だったら䜕か違いがあるに違いない。パッず芋ではわからないかもしれないが、それは䜜者のサむンであったりなにかしるしであるず絵画の䞭ではそれは垞識ずもいえる莋䜜ずの芋分けの぀け方である。どれだけ粟巧に぀くられおいおもごたかせない郚分は絶察にあるはずだった。 「 やっぱり、来たのか」 埌ろから呆れたような、諊めたような声をかけられおもコナンは振り向かなかった。知っおいる声でもあり、絶察にここぞ来おいるず確信できる盞手だった。答えを求めおいる声ではないこずを知っおいながらもコナンはうん、ず答えた。 「この間の絵が停物なら、今日あるうちのどっちかが本物なはずだから。どっちかが本物だっおわかるなら っお思ったんだ」 「違いは芋぀かったかい」 コナンの埌ろでコツリず革靎が地面を螏む音が聞こえる。ピタリず暪に䞊んだグレヌのスヌツが芖野に入ったずころでコナンは絵を芋続けた。 ふいに真剣に芋おいたその目を閉じる。笑いがでるのが我慢ならずに口角が䞊がっおいく。 「いヌや、党然」 降参ず叫びたいほどに絵の違いはなかった。玙の質、絵柄、絵の具に至るたでなにもかもが同じにしか芋えない。きっずこの絵を莋䜜に仕立お䞊げた人物がいるのならば称賛を送りたいほどに粟巧にできおいた。無論、コナンにプロず呌べるほどの芞術を芋る目があるずは蚀えないが、それでも䞀通りの目利きの仕方は実の父芪から教わっおいる。そのどれにも圓おはたらないずなればこれはもう降参ずしか蚀えなかった。矎術通の人間も誰もかれもが隙されおいるこずに玍埗する。これは停物でありながら本物であるず断蚀しおもいい。 「れロの兄ちゃんは譊備」 「あぁ、脅迫状は来なかったけれど 念のためにね」 「来なかった」 「あぁ、それらしいものは矎術通にも譊察にも来おいない。矎術通に関しおはそんな報告は䞊がっおきおいないっおだけだけどね」 君なら、もしかしたら䜕か気付いたこずがあるんじゃないかず思っお。 そう笑うれロこず降谷は笑みを浮かべた。だが、コナンは銖を巊右に数回振るず残念だけど、ず口を開く。 譊察が぀かめおいない以䞊コナンにできるこずは䜕もなかった。犯行予告はなしに犯人を突き止めるこずは䞍可胜だ。そもそも、前の矎術通で爆砎があった際にも怪しい人物などあのフヌドの男くらいなもので、その人物さえも応然ず消えおしたった。 分からない、䜕も分からないこずだらけだ。犯人の目的が残っおいるこの枚の絵であるならば今が恐らく最倧のチャンスなのだろう。譊察ずおそう考えお譊備を増やし、絵を最倧限守っおいる。コナンの隣にいる男が最倧の裏付けだった。 だが、絵を狙う理由は あのフヌドの男が蚀っおいた本物は枚だけ、ずいう話が本圓であるならその枚が欲しいずいうのであればわかる。あれは数億の䟡倀もくだらない代物だ。だが、あの矎術通で枚を消し飛ばすために矎術通自䜓を爆砎したのはもはや執念ず蚀っおも差し支えない。絵が停物であるこずを知っおいた絵の芋分け方を知っおいる人間がいる いや、もしかしたらあのフヌドの男こそがそれを芋極められる人間であるのかいや、もしそうだずしたら自分たちの前に姿を珟し、なおか぀ヒントを䞎えるこずは無駄の䞀蚀ず蚀っお過蚀ない。ず考えおコナンの背筋に冷たいものが走った。肝心の犯人の疑いを持おる人間像すら思い浮かばない。目的も、その意図も。 唯䞀あるずするならば絵に察するただ異垞なたでの執着。絵画だけに泚がれたその怚讐。ならばこの矎術通で䜕も起きないはずがない。 予告など必芁ないのだ。犯人の目的は絵画の砎壊のみ、そこに譊察を匄ぶ気持ちや誰かに察する埩讐心など䞀぀もない。砎壊をするこずに絶察の自信を持ち、なにかを仕掛けおその裏を取ろうずすらしない。探偵であるコナンにずっおこれほどやりづらい盞手はない。 「 君の想像する通り、予想であればこの矎術通で䜕か起きる」 降谷は真剣な顔でコナンを芋おいた。コナンもそれに頷く。䜕かが起きる。いや、䜕かが起きないわけがない。甚意された舞台、眠ずいっおも過蚀ではない出来過ぎたこの珟状に犯人が匕っかからないはずがない。必ずこの矎術通に姿を珟す。それは自信を持っお蚀えるこずだ。 再び絵を芋ようず䜓をずらした降谷の肩に誰かが軜くぶ぀かった。反射的にすみたせん、ず声がでる降谷ずは違いぶ぀かった䜓栌の现い男はそのたた逃げるように去っおいく。なんだ、ず降谷が䞍振に思った瞬間、それは起きた。 突然、真埌ろで爆発音がした。 ドォンずたさに爆発音がするそれに降谷が振り向く前に劈く悲鳎ず耐え切れないずでも蚀うように絞り出した叫び声が耳を襲う。目に写ったのはオレンゞ色だった。ごうごうず音を立おお倩井たで登るそれに䞀瞬蚀葉を倱くした。同じだった。日前、鈎朚財閥の開いたあの展芧䌚の爆発ず党く同じ光景が目の前に広がった。 「っは 」 息を吞う、぀瞬きをする。目の前には炎、錻には焊げ付く䜕かが焌ける匂い、耳には悲鳎ず怒号、肌はこの䞊ない熱を感じる。幻でもなんでもなく、今、自分の目の前で爆発が起きたこずを理解する。そうすれば萜ち着きはすぐに取り戻すこずができた。 「絵は 」 振り返れば降谷よりも早くにコナンが絵を取り倖しにかかっおいる。幞運ずもいうべきか絵は簡単な額にいれられお掛けられおいるだけであった。それを持ち䞊げればガコンずいう音ず共にコナンの䌞ばした䞡手に収たっおしたう。それを脇に挟んだコナンは降谷の方を向いお笑顔で぀頷けば降谷も぀頷く。 今回、絵の保護を理由に来おいたのだ。それならばせめお自分たちの前にある絵だけでも保護しなければならない。もう枚は、ず逆方向に目を向けたもののコナンにも降谷にももう枚の保護は絶望的だず瞬間的に理解するしかない。行く手は炎でふさがれ、熱はごうごうず人を焌こうずしおいる。 その䞭でうっすらず黒い圱があった。圱は少しず぀倧きくなる。ぶれた黒いそれはおおきくなるに぀れおはっきりず、圢どったものになっおいく。 「 コナン君」 「あ、あむろさ 」 黒い圱はやがお人の圢ぞ。けだるそうに、埌頭郚にのばされたであろう巊手に䜕か長いものをもった右手。炎をなんずもないように歩くその人圱はコナンたちぞしっかりず近づいおいる。 「あヌあぁ、よう」 黒かったその人圱は青い男であった。赀い瞳に青い髪、青い服。気軜話しかけるようでだるそうにも芋えるその人物。 コナンも降谷もそれにこたえるこずはない。ただ歩埌退をしお冷や汗が流れるのを感じた。 それを芋おもその人物は気だるげな衚情を倉えない。きょろきょず呚りを芋回しおため息を぀くだけだ。右手に持った長いそれで肩を叩いお䜕か悩むように眉間に皺を寄せる。その䞀連の動䜜も男がすれば䜕かず様になった。安宀などずはたた違う郚類の顔立ちの良さがコナンの恐怖を䞀局匷くさせる。冷や汗が背䞭を流れる。無意識に握った手にじわりず汗が滲み出る。 目を離しおはいけないず本胜が譊笛を鳎らした。 「お前さんら あぁいや、いいか。俺がほしいのはそれなんだが譲っおはくれねぇか」 男が指をさしたのはコナンの持っおいる絵画である。それにコナンは思わず降谷のほうを向くが降谷は銖を暪に振る。 コナンずしおは降谷に意芋を求めたものの、降谷の答えは倧䜓予想が぀いおいた。それもそのはず、男は身元も分からずそもそも初察面であるし芋るからに怪しかった。枡すわけにはいかない。 「これ、僕らの倧切なものなんだ。枡せないよ」 かばうように絵を抱きしめたコナンは嚁嚇するように睚むず歩右足を䞋げた。小さく砂利を螏んだ音がやけに響いお聞こえる。 男はそれに衚情を倉えない。「そうか」ず䞀蚀だけ呟いおから䜕か考えるように目線を倖し、長いそれを肩にかけ盎す。 ごくりずコナンは知らぬうちに唟を飲み蟌んだ。 「俺にずっおもそい぀は倧切な物なんだが たぁ枡す気がないなら仕方ねぇ」 男の肩にかかっおいたものがコナンに向けられる。それですら空気を裂いた音が聞こえた。 「殺しおでもそい぀をもらおう」 あ、ず声をだすこずもできなかった。男のその獲物がコナンに向かっお突き出されるのはコナンの想像するよりずっずずっず早かった。 身をよじる䞍可胜だ。 自分の歊噚であるキックシュヌズを䜿う䞍可胜だ。 どれをずっおも間に合わない。どうあがいおも間に合わない。今たで感じたどの危険よりも濃厚な死を感じお咄嗟にコナンがずれた行動ずいえば目を閉じるこずくらいだった。 だが目を閉じお秒、秒ず時間が経っおもその痛みは蚪れない。あふれ出る血の感觊はない。 片目を薄っすらず開ければそこには青筋が浮かび䞊がった男がいた。だが、その男は動かない。コナンに向けたかったはずの長物は振りかぶったたたミリずお動いおいなかった。 男が枟身の力を蟌めおいるのはコナンにだっおわかる。芋るからに力を入れおいるであろう䜓はガチガチず震えおいた。 䜕が起きおいるのか、理解ができないたた男を眺めおいれば唐突にコナンの背䞭が軜い力で抌された。䜓は自然に䞀歩前ぞ出るず逃げなくおはいけないず盎感が告げる。瞬間、コナンの背筋に冷たいものが走った。殺されかけた。いや、殺される寞前であった。 䜕が起こったのかはわからない。けれどここから䞀刻も早くどこかぞ逃げなくおはいけない。どこぞどこでもいい。ずにかく今は目の前の男が芋えない堎所ぞ。逃げる間際、振り向きざたに男の背ぞ觊れるこずも忘れずに。 「こ、コナンく 」 「安宀さんは脱出しお譊察に連絡しお爆発したなら䌝わるはずだよね。それなら安宀さんのほうが話は早いはずだよ」 思わず早口になるコナンに降谷はダメだず声を荒げた。 䜕故かはわからないが、殺そうずしおいた男はなんずか振り切れたずしおも今埌どこで同じような奎が珟れるかも分からなかった。いや、そもそもあの男がたた襲っおきたらどうする。狙いは絵画だろうが䟋え持っおいなくおも自分やコナンだっお殺されるかもしれないのだ。 「でも、今はこの方法しかないんだ。これがあればあい぀はきっず僕のずころに来る。だからその間に急いでほかにも被害者が出るかもしれないんだ」 他の被害者の蚀葉で降谷の出そうずした声が止たった。そう、この展芧䌚には他の人間がいる。なにも自分ずコナンだけではないのだ。だがそれでもコナンは降谷にずっお守るべき察象の人に倉わりはない。けれどもし他に被害を被る人がいたらどうするそもそも爆発で助けを求める人もいるかもしれない。危険はなにもあの男だけではないのだ。 匷く歯を食いしばった。倩秀にかけるそのどちらを取るかなど囜に身を捧げおいる降谷にずっおは本来ならば比べるたでもない。 「わかった。だが、本圓に危なくなったら逃げるんだ。玄束しおくれ」 頷くコナンを心の底から信甚できるかず蚀われればそれは吊ではあったが。 背を向けお別方向に走り出した降谷を芋届けおコナンもたた走り出した。なるべく火の手の届いおないずころぞ走りだしたはいいものの、埌ろから感じるプレッシャヌは時間が経぀に぀れお倧きくなっおいった。 降谷ず共に行動しおいた時にも感じおはいたがあの青い男はもうすでにコナンを远いかけ恐るべき速さで移動しおいた。咄嗟に぀けた発信機は䜕かの乗り物にでも乗っおいるのかず勘違いするレベルで移動をしおいる。䞀床止たったこずは止たったがその埌は真っすぐにコナンの元ぞ。数秒もしないうちにその発進源はもはやコナンず同じ堎所ぞずたどり着いた。 チラリず埌ろを振り返ったコナンの県に映ったのは青い圱。瞬間的に冷や汗が流れたのを自分のこずながら理解した。 男がその手に槍を握る、それをコナン向けお振りかぶればコナンのすぐ耳の暪で颚を切る音がした。瞬間的に疲れも盞たっお限界を超えた足はふら぀くがそれをギリギリで抌しずどめる。だが 「よう、坊䞻。ずいぶんず逃げ回っおんじゃねぇか」 い぀の間にか目の前に広がる赀い目ず恐ろしいほどの圢盞はコナンを逃がしおはくれなかった。 男は笑っおいるがそれは幞せからくる笑みでも喜びからくる笑みでもない。目の奥は党く笑っおおらずその顔は恐ろしいほどに歪んでいる。 ずいっず近づいたその顔に声が出せず、ただ腕にある絵画を暪目で確認する。傷もなくただ綺麗に存圚しおいるこずにホッず胞を撫で䞋ろすが、そう、今はそんなこずを心配しおいる堎合でもない。 コナンのすぐ目の前に件の男。もう䞀床その手にある埗物をコナンに向けられたずしお察凊法はないに等しかった。冷や汗が背を䌝う。ドクドクず錓動が䜓のうちから聞こえる。䜕かを発せようずした口はカラカラに也いおいた。 だが、カラカラに也いおいたはずの口は也いたたたに動き始めた。 「玠に銀ず鉄。 瀎に石ず契玄の倧公。 手向けるは汝ず瞁を持぀もの」 口が動く。知りもしない単語が脳を介さず口から零れた。止めようず思っおも止たらなく、コナンの蚀葉に呌応するように絵画は光り茝いた。その間も口はひたすらに動き、喋り続ける。長い長い呪文のようなそれを。 「降り立぀颚には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王囜に至る䞉叉路は埪環せよ。 閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返す぀どに五床。 ただ、満たされる刻を砎华する」 告げる、ず蚀い終わった瞬間に目の前の男は目を䞞くするのがコナンには䞍思議であった。 「汝の身は我が䞋に、我が呜運は汝の剣に。  聖杯の寄るべに埓い、この意、この理に埓うならば応えよ。 誓いを歀凊に。  我は垞䞖総おの善ず成る者、  我は垞䞖総おの悪を敷く者。 汝䞉倧の蚀霊を纏う䞃倩、   抑止の茪より来たれ、倩秀の守り手よ」 蚀葉の意味がわからず、䜕が起きおいるのかもわからず、ただ茫然ず立ち尜くすコナンの前に絵画から挏れ出す光の粒が人の圢を成しおいく。圢はやがお色を成し、完党な人ずなっおいった。それが出来䞊がるたでに数秒も無く、光の粒であったはずのその老人はコナンのほうを芋おニコリず埮笑んでその姿に恥じぬ穏やかな声で蚀っおみせた。 「私を召喚するずは、たた奇特なマスタヌがいたものだネ。 我がクラスはアヌチャヌ。なに、私は匷いずもそれだけは保障しよう、我がマスタヌ」
随分ずお埅たせしおしたっお本圓に申し蚳ないです 。<br />い぀の間にやら郚章の配信たで開始され、仕事に抌されおいる間にどんどん新しい鯖も登堎しおいお困惑しおいたす。<br />通垞であれば千字ほどで収めたいのでですが、今回キリよくしようずしたら䞇字近くたでいっおしたいたした。<br />お埅たせしおしたったお詫びずいうこずで楜しんでもらえたら幞いです。<br /><br />あず、せっかくなので初代䞻人公絶察コロスサヌノァントに仕事しおもらいたした。<br /><br />前回→<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9470696">novel/9470696</a></strong><br />次回→<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11587038">novel/11587038</a></strong>
絵画の䞭の少幎 
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 䜜者のメンタルは豆腐なので誀字ずかあれば優しくご指摘ください。  鈎朚園子成り代わりです。  なので原䜜の鈎朚園子はでおきたせん。  救枈あり。圓然ながら捏造あり。  カップリングは京園ではございたせん。  萜ちはスコッチ予定です。  以䞊の説明で駄目だず思ったらそっず閉じおください。  それでもよろしければどうぞ [newpage]  ――鈎朚財閥ご什嬢。鈎朚園子の䞭身は転生者である。 [newpage]  䞖界でも有数の䌁業を蚭立した瀟長秘曞。それが前䞖の私の肩曞だ。  秘曞ずしお仕える盞手だった瀟長は、その頭脳は確かに優秀だったのだが、所謂倉人。  いい歳しおいるのに奜奇心旺盛で玔粋な子䟛のようで、ありずあらゆるものに興味をもっお、時に暎走した。生きるこずを党力で楜しんでいた人。自身が生たれた日本を愛し、䞖界を愛しおいたスケヌルず床量が倧きい人だった。  今でも思わず遠い目になっおしたうほど、行動原理が予想できない砎倩荒な人。  その瀟長の右腕ずなるために、ありずあらゆる資栌ず技術を習埗せねばならなかった日々が懐かしい。  時々ずは蚀わず、頻繁にぶん殎りたくなるような行動を起こしやがる人ではあったが、嫌いではなかった。前䞖も女ではあったが、あの人に仕え䞀生を終えるなら、䞖間䞀般でいう女の幞せなどク゜くらえずおもうほどにはあの人間性に惚れおいた。ちなみに恋愛感情では党くない。噂されるこずもあったが爪の先皋もない事実無根である。  そんな瀟長がビゞネスチャンスかもしれないずいったアニメの䞖界に生たれ倉わるなんお、䜕ずいう運呜の悪戯なのだろう。  アニメ映画ずは思えない興行成瞟を叩き出し、瀟䌚珟象を起こしたアニメ。  確かに䞀皮のビゞネスチャンスであったこずは吊定しない。  瀟長の呜什で名探偵コナンに぀いお内容を把握するように蚀われたが、既刊の時点で100巻近いずはどういうこずだ。  読めず蚀うならば、その砎倩荒で予想倖な行動を少しは止めお、私に時間を寄越せ。  仕方がないのでダむゞェストバヌゞョンから入った。だから知識ずしおは倧たかな流れず䞻芁人物の根幹に根匷く関わった事件やら䜕やらの事件しか知らない。それでも結構な人間が死んでいお戊慄した。そしお秘曞の目からしお、その犯眪によっお起こった被害総額に眩暈がした。  さすが既刊100巻近い掚理挫画だけあっお、転生先の䞖界は物隒である。  さお、そんな経緯ではあるのだが、巻き添えで甚倧な被害を受けさせられる財閥什嬢ずしお生たれるずはこれ劂䜕に。  自身の立ち䜍眮を理解しおしたった私の目は死んだ。 [newpage]  䞻人公が入園しおいたこずで、自身の立ち䜍眮を確信した私は考えた。  蘭やその䞻人公である新䞀ず距離をずる。  それも䞀皮の察凊法であろう。  だが、鈎朚財閥は残念ながら䞖界有数の財閥なのである。  距離があれば、盎接的な瞁で巻き添えになる可胜性は䜎䞋するかもしれない。だが、どちらにしろ財閥偎に被害がでるのは確実だ。  䞖界的な犯眪秘密組織。それがこの名探偵コナンでの『最倧の敵』なのだ。    元々雇われおいた人間ずしお、そしおそれを率いお導く人間の偎で仕えた人間ずしお鈎朚財閥の人間を路頭に迷わせるわけにはいかない。  財閥に生たれ、たたその恩恵で生掻しおいる以䞊その責任が『鈎朚園子』にはある。  察するに、工藀新䞀が江戞川コナンに瞮んだ時点でルヌプ時空になるずいうではないか。その間にも日垞颚景のように殺人事件などの凶悪事件が起き、そしお財閥ずしおも巻き蟌たれるリスクが高たる。  非垞にゟッずする未来だ。  因みに他人で初めお園子の仮面を芋砎ったのは蘭である。  無情にも芪友補正かず思わなくもなかったが、ずりあえず付き合っおみれば普通にいい嚘だった。  園子が財閥の嚘だからず仲良くしおいるのではないずころが良い。  そもそも財閥云々も理解しおない嚘だった。  芪から蚀われたのか、そういう子䟛も結構いおげっそりしおいた園子のか぀おない癒しである。  次点で新䞀。ク゜生意気なずころはムカ぀くが頭は良い。掚理ショヌなどず銬鹿なこずをしようずしおいたが、園子が懇切 䞁寧にその䞍䜜法さずデメリットをチクチク理由も含めお説明すれば、それを聞くこずができる玠盎さがある。  粟神幎霢からしお爺をはじめずした倧人ずしか話が合わなかった園子であるが、同幎代であれば断トツで仲が良くなり、付き合う園子もただの園子ずしお気楜に付き合える盞手だった。 [newpage]  ――新䞀が幌児化しなければ、銬鹿げたルヌプ時空ずやらにならないかもしれない。  そう思い色々裏で暗躍しおみたのだが、この䞖界の運呜であり摂理であるず嘲笑うように工藀新䞀は幌児化した。  非垞に面倒な事態だ。  ダむゞェストバヌゞョンで、出おきた人間を䞊手い事救枈するこずができおいた。  だからこそ、銬鹿みたいに目立ったわかりやすい悪圹に新䞀が぀いおいっお毒薬を飲たされるずいう皋床の出来事は朰せるず思ったのに、神様ずいう人間がいるのであれば非垞に意地悪である。  閑話䌑題  姉は善良な人間ではあったけれど、有象無象の蔓延る䞖界を泳ぐには綺麗すぎた。  財閥の衚ずしお立ち、裏で園子が動くずしおもあの性栌であれば、苊劎する。良いように腹黒狞共に食い物にされる未来が甚意に想像ができた。  ならば、次女である園子が財閥の長ずしお立぀か。  園子の目やおそらく䞡芪の目からみおも財閥を背負うに、姉は向かない。  それでも長子なのだ。  ただ、園子が男であれば別だった。だが園子はたごうこずなき女だ。  同じ女で次女が、長子を差し眮いお財閥の長ずなる。  それは家族がそう思わずずも、勝手に腰巟着を名乗るものたちをのさばらせる切っ掛けずなりかねず、䞍芁な争いを生みかねない。  だからこそ、原䜜の『鈎朚園子』のように等身倧の女子高校生を挔じた。  勝手に呚りの者に神茿を担がれるのも面倒だし、園子には――自芚があった。  できないずは蚀わない。姉よりは向いおいるだろう。  それでも秘曞ずしお生きおきた生を持぀園子は、確信があった。  ――私は長ずしお立぀よりも、それをサポヌトする偎の人間だず。  だから園子はその才芚を隠した。  か぀おから鈎朚家に仕えおきた䞀族である『爺』にはその仮面はバレ、園子の配䞋になるこずを望たれた。  おそらく䞡芪や姉も、園子が䜕かを隠しおいるこずは理解しおいるだろう。  だが『鈎朚家』の人間なのだ。財閥のための行動ず理解したのであれば䞍芁に園子の裏偎を探るこずはなかった。  䜕もかもを知るこずが愛ではない、盞手を信じ芋守るのも愛情だ。  園子にずっお今䞖の䞡芪は、前䞖の䞡芪にも負けない守るべき愛する家族ずなった。 [newpage]  組織に朜り蟌んだ譊芖庁公安のNOC。コヌドネヌム『スコッチ』こず景光を歀方の陣営で匷匕に取り蟌んだ。  裏工䜜で爺には非垞に迷惑をかけたず思うが、園子ずしお結果は䞊々だ。  景光ずしおも、組織に情報を挏らしたのは公安偎であった以䞊、公安にそのたた戻るよりも䞀郚の本圓に信頌できる先茩やらず『協力者』ずしお亀流を持぀皋床の方が安党だった。譊察官に戻しおあげられなかったのは悪いが、蚱しお欲しい。  衚向きは偎付きずしおの修行であるが、圌自身にずっお将来的に圹立぀ような技胜技術を芚えさせた。爺の及第点を埗た景光は、ペット兌、衚で倧手を振っお動けない園子の手足ずしお䜿い勝手も良い。 ただ䜿っおいるだけじゃない。財閥偎であるからこそ公的に埓者ずしお倧物が集たるパヌティヌなどにも景光は䜕食わぬ顔で入り蟌める。朜入する偎ずしおもなかなかのポゞションを埗おいるず思うのだがどうだろうか 鈎朚財閥だからこそ埗た情報もさりげなく流すようにしおいるし、存分に組織壊滅に向けお圹立おお欲しい。  園子はサポヌト特化。  䌯父の次郎吉のように譊察を䜿った指揮をずる気も、欠片もない。  でも状況は倉わった。   [newpage]  姉が嫁ぐ。  そうなれば、父である史郎が珟圹を退けば、鈎朚財閥は誰が継ぐ  姉が婿逊子をずり、それを園子がサポヌトする。それが理想だった。  でも、もうそれは叶わない。  どちらにしろ雄䞉さんは悪い人ではないが、財閥を動かし、率いるには圹䞍足だ。  残る盎系は次郎吉ず園子。  だが、次郎吉は父である史郎の兄。子䟛もなく、継ぐずいうには珟実的ではない。  分家は䞀応ある。  だが、残念ながら分家での幎頃な人間もどれもパッずしない。  䞋手に分家の介入を蚱せば、それこそ䞍芁なお家隒動を起こす結果になるだけだ。  園子は芚悟しなければならなかった。  『鈎朚』を継ぐこずを。  ただの女子高校生ずしおの仮面を被る必芁性はなくなった。  むしろ、無防備で狙い目だず思われる方が䞍味い。䜙蚈な暪やりを入れられないように本来の姿を珟す方が郜合良いだろう。  珟実的なのは『鈎朚』を継ぐこずができる男ず園子が婚姻関係を結ぶこず。  自身の性質からしおもそれが䞀番望たしい。  だからこそ、『逆猫かぶり』の園子の真実を芋出し、園子『自身』を愛したずいう男を遞ぶわけにはいけない。  京極真。杯戞高校の空手郚䞻将。無骚で脳筋の気があるが、叀颚で憎めない男。  倩然の気があり、普段も県鏡をかけお目も悪い。その癖野生動物のような本胜なのか園子の隠しおいた本性を芋抜いおいた男。  園子は倩真爛挫で玔粋などずは皋遠い人間だ。芪しい人間が害されるならば、暩力でもなんでも䜿っおそれを阻止する。  どちらかずいえば腹黒い人間の郚類であろう。  それにもかかわらず、園子が隠しおいたものを芋぀け、暎いお、その『園子』を『奜き』だず蚀う。   ――䜕ずいう殺し文句であろうか。  心が動いた。それは吊定しない。  それでも、圌は歊を極めるために生きおいるような人間だったし、園子の事情に巻き蟌む気はない。  前䞖ず今䞖。そのなかで初めお恋愛めいた感情で奜たしいず想っおしたった人だずしおも。  どんなに蚀葉や行動で『愛』を瀺されおも、園子の返答は「ごめんなさい」だ。  奜たしいからこそ、圌には柵のない人ず幞せになっお欲しい。    想いを告げる぀もりはない。それでも園子の新緑色の瞳には玔床の高い恋情が宿っおいた。その芖線の先は京極真。 [newpage]  鈎朚園子は気付かない。  猫のような吊り目に灰色の瞳をもった男。  血が滲むほどに唇を噛みしめ、埡偎付きの仮面の䞋で荒れ狂う感情に翻匄されおいる男がいるこずを。  狙撃手が暙的を狙うように、園子のその背を芋぀めおいる人間がいるこずを。  はじめおの『恋』に心奪われおいる園子は気付けなかった。
 いいね、コメント、フォロヌありがずうございたす。<br /> なんか思いがけずブックマヌクが぀いおたからびっくりしたした。<br /> ずりあえず続きです。それでもよろしければどうぞヌ。
財閥什嬢の思惑
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キャプションは読みたしたか 倧䞈倫ならどうぞ ハァむ、私倢女 二十数幎生きおきおオタク生掻を満喫しながら日々掚しの為にえんやこらさっさず働いおいたずころで突然の死 次に目が芚めたら東郜、米花町ず芋た事ありたくりの地名に吃驚したけどこれ支郚で芋たや぀履修枈ですわ抜かりないわおたけに䞡芪が譊察のお偉いさんず来たら皆たで蚀わずずも分かるな  ちなみに掚しは降谷零だ完、党、勝、利 ――ずルンルン気分でたたも二十数幎この日本のペハネスブルグで生きおきお、ほが䜕の事件にも巻き蟌たれおいないのっお凄くないマゞ凄くない芪が譊察のお偉いさんだからっおこの遭遇率の䜎さは異垞だず思う  守護霊か䜕か憑いおんのかな。いや、怖いから考えるのやめずこ。 そんなこんなで予想通りずいうか支郚で芋た事あるや぀ず目の前のテヌブルをバシバシ叩きたいくらい履修枈みの光景が県前に広がっおいる。スヌツをしっかりず着こなした掚し、そう降谷零の姿がそこにある。   ず、倧分面倒になっおきたし皆支郚で履修枈みだから敢えおこの埌は割愛させお頂く。私だっお䌊達に前䞖から数えお二十幎以䞊倢女やっおたせん。この埌はこの掚しから「結婚はするけど君を愛しおいない」ずか「倖では他人のフリをしおくれ」ずか「仕事の䞀環で他の女を抱くこずもある」ずか「家には殆ど垰れないから食事は甚意しなくおいい」ずかずかうん、支郚でほんず䜕䞇回ず読み蟌んだわ。 だからこの先の展開も予想できるし掚しず䞀瞬でも結婚出来お極々偶にそのお姿を拝芋出来るなら本望  私の事は床の間にあるこけしずでも思っおいお䞋さいなルンルン ――  ず、数時間前はそんなアホな事を延々ず脳内で考えおいたのですが。 「おかえりなさい」 「    」 パタン。 垰宅早々リビングぞ続く扉を開けるず䞭で掚しが出迎えおくれた。から思わず閉めた。な、䜕が起こっおるかわからねヌず思うが、 「酷いですね、人の顔を芋るなり扉を閉めおしたうなんお」 「うっっっわ顔が良い」 「それはどうも。ほら、ただいたは」 「  た、だいた  」 「うん、おかえりなさい。今日は慣れない着物で疲れたでしょう お颚呂にしたすか」 「アッむ゚お構いなく  」   誰かこの状況を文字以内で説明しおほしい。 たず、ここは私の家で間違いない。芪が甚意しようずした絢爛豪華なお姫様郚屋は断固拒吊しお、米花町ずいうこずでセキュリティだけしっかりずしおいる普通のマンション。芪のコネを䜿う事なく就職した私の絊料では家賃を払うだけでも家蚈は火の車  ずたではいかないが、割ずカツカツな正真正銘我が家である。 え埅っおほしい。さっきたでは支郚で芋た事あるや぀みたいに銬鹿䞞出し挔じおたけど割ず私真面目なんだわ  本人が蚀っおも説埗力無いかもしれないけど今の状況理解出来なさ過ぎお真面目になった。お願い信じお。 「どうしお僕が君の家にいるのか、ずいう顔をしおたすね」 「そ、そうですね  ちょっず、いやかなり意味分からないので出来ればご説明をお願いしたいのですが  」 「では、こちらぞどうぞ」 鞄をするりず取られ、腰に手を添えられお゜ファぞ゚スコヌトされる。なんだなんだ、さっきから安宀透で通すのか降谷零ずしお玹介されおいるし、支郚で履修した話は殆ど䞀方的に条件を突き付けお最初は埓うけどやがお劻この堎合は私が我慢できなくなっお出おいくずか、そうでなくおも凄く心が痛くなる切ないお話ばっかりだったじゃん  䜕この展開  。 「では、たず僕ず君の認識の霟霬から改めたしょうか」 「  ずいうず」 「君は僕ず政略結婚をした  もしくは、君の埡父䞊の埌ろ盟欲しさ、たたは昇進の為に僕が先皋の芋合いに臚んだず思っおいたすね」 そりゃそうだ。圌ず私の接点なんお䜕䞀぀ないし、䌚ったのも今日が初めお。支郚で芋た、ずいう最倧のアドバンテヌゞがありこの先の展開が読めたからこそ特に父に反抗したり芋合いをぶち壊したり、ずいうこずはなかった。 倧䜓私の䟡倀なんお䞡芪が偉い人、くらいしかないのだから最初からそれを狙っおいお  もしくは私が䞁床郜合のいい存圚だったから、しか思い぀かない。 だが、目の前の圌は私を心底愛おしいずいった蕩けた瞳で私を芋おいる。どうしおそんな瞳をしおいるのか私には党く理解できない。どうしお、どうしお。 「――それは、間違いですよ。僕があなたず結婚したくお埡父䞊に頌み蟌んだんです」 「    は」 「君は芚えおいないようですが、僕達は幌い頃に既に出䌚っおいお、子䟛の拙い玄束でしたが結婚の玄束たでしおいたんです」 「え、はっ結婚 嘘」 「嘘じゃありたせん。  ほら、このビヌ玉。僕の瞳の色だ、ず蚀った君から貰ったものだよ」 「――  っ」 そこで思い出した。確かに幌い頃、ただ小孊校にも入っおいないくらいに、近所に䜏んでいる男の子に出䌚った事がある。その子は金髪で、日焌けっおその時は思っおいた耐色の肌で、  青い、綺麗な瞳で。たんたるなその瞳がその圓時倧事にしおいたビヌ玉ず䌌おいお、私はその子に䞀番倧切にしおいたビヌ玉をプレれントした。それから仲良くなっお䜕床か遊んで、私が芪の転勀で遠くに匕っ越さなければならない、ず蚀った時にその子は「い぀かこのビヌ玉を持っお䌚いに行くから、その時は結婚しようね」なんお蚀っおくれたっけ  倚分、これが初恋だったず思う。 でも、その圓時は前䞖の蚘憶なんお思い出しおもいなくお普通の子䟛だったから気付かなかった。あの子が、たさか降谷零だったなんお。 「――思い出したか」 「っは、  でも、あんな昔の玄束  」 「  俺は䞀床たりずも忘れた事はなかったよ。このビヌ玉を芋る床、君の事を思い出しおいた。譊察官になっおから、特殊な郚眲に配属になっおしたっお、迎えに来るのが遅くなっおしたったが  それも党郚終わった。ようやく君ず䞀緒になれる」 「えっ  じゃあ、仕事は仕事で忙しくお殆ど家に垰れないずか、捜査の䞀環で他の女性を抱く事があるずか、食事はいらないずか、そういうルヌルは」 テンプレヌトのような結婚した埌の条件を提瀺しおくるあのやり取りはず早口で捲くし立おるようにそう問うず、圌はきょずんずした衚情をした埌困ったようにふっず笑った。  おかしい、想像しおいた衚情ず違う。これから始たるのは、仮面倫婊のような冷めた倫婊生掻ではなかったの 「君が䜕をそんなに心配しおいるのか分からないが  そんなルヌル䞀぀も必芁ない。俺はなるべく家に垰るし、君以倖の女を抱くなんお真っ平埡免だし、君の䜜った料理を食べたい。勿論君にばかり負担をかけるのは悪いから、俺も出来る限り手䌝うけど」 「    うそ」 支郚であれだけ芋たのに。あれだけ切ない気持ちになっお、もし私が同じような状況になったら匷く生きようず、それでも圌の圹に立ちたいず密かに思っおいたのに。ぜろぜろず勝手に溢れ出した涙をそっず拭っおくれるこの人は誰私は、誰ず結婚したの  本圓に、私はこの人に愛しおもらえるの 「泣くな。君に泣かれるのは昔から苊手なんだ」 「っだ、  っお、ぐす、  ふるやさん、私をあいしおくれるんですか  私、䜕の取り柄もないのに、っ普通の、どこにでもいる女なのに」 前䞖の蚘憶があっおも、私は䜕も出来なかった。圌の倧事な友人達を救う事も、事件を未然に防ぐ事も、䜕䞀぀出来なかった。欠陥品、それが頭を過ぎった時、私は最愛であった圌に愛しおもらえる筈が無いず諊めおいたくらいなのに。  でも、せっかく圌が私を芋぀け出しおくれたなら。愛し続けおくれるようにず今から頑匵っおみるのも遅くないだろうか。 涙を拭い続けおくれる圌の手を取り、芋䞊げれば涙でがやけた芖界でも鮮やかな色を攟぀、青色の瞳。目が合うず、唇がそっず觊れあっおぬくもりが䌝わっおくる。 「君がいい。君じゃなきゃダメなんだ」 耳元で囁かれ、ぎゅっず抱きしめられる。じんわりずあたたかくなる胞に、さっき考えおいたネガティブな事など忘れおしたった。圌が私を愛しおくれおいる事が䌝わっおくる。私の気持ちも䌝わればいい、ずぎゅっず抱きしめ返した。 「  だから、俺ず結婚しおくれたすか」 「っ、はい  」 --- 前䞖の蚘憶を䜕䞀぀生かせない系女子 思い出したのは成人した埌。その頃には䜕もかも遅くお絶望し、たた神様を呪ったりもした。暗い気持ちを払拭する為に、前䞖で䜕䞇回も読んだ降谷零ず政略結婚した支郚での話を思い出しお私は履修しおるから降谷さんからどんな態床を取られおも動じないぞ支えるぞず意気蟌んでいたが、いざ珟実になるず党く違う展開に頭がパンクしそうになるが、前䞖の蚘憶より幌い蚘憶の方が降谷零ず深い関わりがあった。 幌い頃にたさかの結婚の玄束をしおいた系男子 容姿が原因でいじめられおいた頃に出䌚った倢䞻に惚れお以来、貰ったビヌ玉をお守り代わりにしお持っおいた。倢䞻ずは幌い頃に別れお以来䌚っおないず倢䞻は思っおいるが陰ながら守っおきたのはこの人。事件に遭遇しないのもこの人が謎の暩力を䜿っおそうしおたした。っょぃ。 組織が壊滅埌、ようやく萜ち着いたのでこれを機に迎えに行こうず思い䞊叞だった倢䞻の埡父䞊に頌み蟌んで芋合いさせおもらった。倢䞻が自分の仕事の事は詳しく知らない筈なのに䜕を䞍安に思っおいるのか疑問に思ったが、父の圱響だろうず軜く流す。蟛い事がたくさんあったけど倢䞻ず過ごした日々の思い出を糧に頑匵っおきたので、結婚埌は我慢しない。めちゃくちゃ愛しおあげる? おわり。
筈だったが䜕かおかしい。<br /><br />唐突に思い぀いた降谷零倢小説。<br />今流行りの政略結婚ネタに乗っかった。<br />拙い文章ですがお蚱しを。<br /><br />倢小説なので閲芧泚意<br />倢䞻はネヌムレス。<br />䜕でも蚱せる方のみどうぞ
掚しず政略結婚したが履修枈みなので問題ない
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10029285#1
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豪華絢爛なパヌティヌ䌚堎、私は矎しく着食り、黒い正装に身を包んだ極䞊の男3人を䟍らせる事で優越感に浞りながら、優雅な䞀時を楜しんでヌヌ、 いられるわけ、ないよね  「 お嬢様、危険ですのでもっずこちらに䜓を寄せおくださいたすか」 「ヌヌこうかしら」 「ええ。 ふふ、圹埗ですね、この距離だず、あなたが纏う甘い銙りを感じるこずができる」 バヌボンに腰を抱かれ、䜓枩を感じる皋の距離ぞず導かれれば、䜎く萜ずした声を耳元に吹き蟌たれた。その攻撃力に思わずピクンず肩を揺らしおしたっお、慌おお我が儘攟題のご什嬢の仮面を被りなおす。 けれどそんな私から曎に䜙裕を奪い取るように、すぐ埌ろからも䜎く甘い声が降り泚いできお。 「背埌の護衛は任せおくれ。身の安党はもちろんヌヌ君の扇情的な埌ろ姿も、他の男達の目から隠しお守っおやるから」 ふぅ、ずわざずらしく露出した項ぞず吐息を吹きかけながら告げたスコッチに、たたもやピクンず肩を揺らしおしたった。その様子に圓然気付いたスコッチがクスクスず䜎く笑う声に、ポヌカヌフェむスでいるこずが぀いに出来なくなっお、頬がブワリず赀くなった。 そしお、 普段は嚁圧感を䞎える鋭い目を柔らかく现めたラむが、バヌボンの腕に添えた手ず逆の手を掬い䞊げ、そっず甲に薄く少しだけかさ぀いた唇を萜ずしお。 「ヌヌ今倜のパヌティヌを最高の䞀倜にしおみせよう。 もちろん、望んでくれるのなら翌朝たで楜したせおみせるがな 」 ドロドロに溶かされおしたわんばかりの色気をぶ぀けられ、ずうずう蚀葉も出なくなった私は、代わりに心の䞭で倧絶叫した。 ヌヌお願いだからその攻撃力高過ぎるハニトラはやめおください死んでしたいたすヌヌ 圌らの為の善意の぀もりの行動が、芋事仇で返されるような展開をもたらしおしたい、私はただただお家に垰っおしたいたかったのだった。 組織ず深い繋がりのある資産家ご什嬢の我が儘で、豪華絢爛なパヌティヌ䌚堎に護衛のため付き添いをするのはこれで䜕床目だろうか。 今月だけでも僕で既に5回、スコッチずラむもそれぞれ3回は付き合わされたず蚀っおいたからヌヌ぀たり1ヶ月で10回以䞊。 毎回組織にコヌドネヌム持ちを借りる䟝頌料を倧量に支払っおたで僕らを匕っ匵り出しおくるこの女は、ずんだ我が儘攟題の攟蕩嚘だな、ず蟛蟣な感想をにこやかな仮面の䞋で抱きながら、護衛ずは名ばかりの䟍らせおいる男自慢が目的の゚スコヌトに付き合った。 「ねえバヌボン。あそこの××瀟次期瀟長、ああ芋えおヌヌずの繋がりがあるのよ」 添えた腕に絡み぀くようにしなだれかかっおきたご什嬢が、その衚情を自慢気に染めお囁いおきた。 ヌヌそれは、ずおも重芁な情報だった。 「そうなんですかよくご存じなんですね、流石はお嬢様」 「ふふ、圓然よ」 少々倧きなリアクションで返した僕の反応に気分を良くしたご什嬢が、頬を染めながら曎に別の人物に芖線を向け、次々に情報を吐き出しおいく。 教えられた内容を䞀字䞀句聞き逃さず蚘憶しお、お䞖蟞をスラスラず告げおいく。それだけで曎にどんどん重芁な情報を零しおくれるご什嬢は、組織の仕事で忙しい䞭、面倒な゚スコヌトを䜕床もやっおでも関わりを持ち続けおおきたい、ずおも郜合のいい存圚だった。 僕を䟍らせパヌティヌを楜しむ事に䞀通り満足したらしいご什嬢を䌚堎の倖ぞず連れお行き、圌女の家が寄越したハむダヌの前たで付き添った。 ここからは圌女の家の者の圹目である。前に䞀床、もっず情報を匕き出そうず思っお家たでの付き添いを申し出たが、キッパリ断られおしたったので、䞍興を買わない為にもそれ以来は同じ申し出は避けおいた。 もし、圌女の家たでの付き添いをする事になる時が来るずしたら、それはきっず圌女が僕に願った時だろう。 その日が早く蚪れるように脳内で圌女を口説き萜ずす算段を立おながら、運転手の手を借りお車内に乗り蟌む圌女を笑みを貌り付けたたた芋守っおいれば、 埌郚座垭の窓が静かに開き、そこからご什嬢が顔をのぞかせお。 「たたね、バヌボン。今日は楜しかったわ」 「それはよかった。でしたら次も、ぜひこの僕をお呌びくださいね。ヌヌあなたの瞳に、僕以倖の男を映しおほしくないので」 スコッチはいいずしお、ラむを遞ばれたら情報共有は出来なくなっおしたうから。砂糖をこれでもかずいうほど煮詰めたような甘い笑みを浮かべれば、圌女の頬がさっず赀くなっお、 「ヌヌお嬢様、そろそろ」 「 ええ、そうね。車を出しお」 もう䞀抌ししようずしたずころお、今たで無口に職務を党うしおいた運転手が圌女に声をかけ、そのたた別れの挚拶もそこそこに車は発進しおしたった。 倜闇に消えおいく黒塗りの車を芋送り、ふぅず息を吐いおから自らも垰宅の途に぀くため螵を返した。 ヌヌあの運転手の声、どこかで 。 そんな疑問を、抱きながら。 豪華絢爛なパヌティヌ䌚堎に極䞊の男を䟍らせお満足げに笑うのが趣味の我が儘攟題の有名資産家ご什嬢。 ヌヌずいうのを装っお、今日もせっせず圌らの圹に立぀情報をポロポロ零しおいった。 玠盎に協力させおず蚀っおも組織ず深い関わりのある家柄的に信じおくれないだろうし、なにより䜕故NOCだず知っおいるのかず聞かれおしたっおも、私は圌らが玍埗する返事を返せないだろうから。  そう、私は所謂前䞖の蚘憶があった。それ故にりむスキヌトリオず呌ばれる圌らの正䜓を知っおいるし、前䞖で奜きだった圌らの力になりたいず思うのも自然な事でヌヌ、 NOCである圌らが、より䞊手く組織の䞭に食い蟌めるように。そしお、少しでも呜の危険が枛るようにず行動しおいた。 うんうん、結構情報も枡せたし、今日もいい仕事したなぁ。 自画自賛をしながら疲れた䜓をふかふかのシヌトぞず沈たせた所で、沈黙を保っおいた運転手が぀いに爆発した。 「ヌヌっぶ、あはははは危なかった埌ちょっずで吹き出す所だった 」 「 もう、ヒダヒダしたんですよ」 「だっお ヒィッ、あい぀の キャラが ぶっは 」 ハンドルをしっかり握り、ちゃんず前を芋お運転しおいるものの、ケラケラず笑い続ける圌に私も苊笑しお、圌の名前を呌んだ。 「久々の友人ずの邂逅はどうでしたか  ヌヌさん」 「 んヌ、元気そうでなにより、ですかねヌ」 感慚深そうに呟いたその声色に、倧切な友人を心配する感情が確かに混じっおいお。 ヌヌ頑匵ろうずいう意志を、改めお胞に宿したのだった。  でも、口説き萜ずそうずしおくるのは、やめおほしい。ホント。切実に。 パヌティヌの最䞭ずっず囁き続けられたら蚀葉の数々を思い出し、熱くなった頬を冷たす為にブンブンず頭を振ったのだった。 バヌボンに情報を流しおからあたり日を開けず、組織を通しお今日はラむに゚スコヌトをお願いした。 「ハァむ、ラむ。今日も玠敵ね」 「君も玠敵だな。 グリヌンのドレスか、ずおもよく䌌合っおる。自惚れでなければ、俺の瞳の色に合わせおきおくれたのかな」 「っ、ご想像に、お任せするわ」 普段無愛想な顔を色っぜく緩たせお埮笑たれおしたえば、頬が熱くなっおしたうのも圓然で、若干どもり぀぀返事をしながら、黒い瀌服の所為で着痩せお芋える、実際はかなり鍛わった逞しい腕に抱き付いたのだった。 ヌヌバヌボンもスコッチもだけれど、私の情報の有甚性を分かっおいるラむも私に積極的にハニトラを仕掛けおきおいる。 瀟亀界慣れしおいるからただ平静を保おおいるものの、倖芋も内面も栌奜良すぎる3人にそれぞれ口説かれおいるずか、理由を知っおいおもずおも心臓に悪い。 ヌヌそんな事しなくおもちゃんず情報は枡すからハニトラするのはやめおほしい 。 スマヌトに゚スコヌトする圌にバレないようにそっず溜め息を぀いた。 パヌティヌ䌚堎に入り、うるさかった心臓も少し萜ち着いお、い぀も通り自慢気な様子を装いながらラむぞず情報を流しおいく。 「あそこの圌は優秀な仲介人よ。ただしヌヌの子飌いでもあるから、取匕は党郚筒抜けになっおしたうわ」 「ホォヌ 盞倉わらず君の情報網はすごいな」  それはどこにでも忍び蟌めちゃう、優秀すぎる諜報係のおかげだなぁ。 私の挔技指導もしおくれおいる圌をひっそりず思い浮かべおいれば、ぐいっず腰を匕き寄せられお、 「っ、」 思わず䞀瞬仮面が倖れ、肩を震わせた。それを誀魔化すように私からも䜓を寄せおしなだれかかっおみたけれど、 うう  腰に添えた手を劖しく動かすのはやめおほしい。原䜜ず違っお私の幌銎染みにダむナミックハニトラを仕掛けお組織に入っおいないから、より抌せ抌せモヌドっぜいパリピ疑惑が濃厚なラむの攻撃は本圓に無理すぎる 。 取り繕ったもののやはり次第にご什嬢の仮面が剥がれ始め、顔を真っ赀にしお俯きだした私に、ラむは䜎く笑っおヌヌ、 「ヌヌおや、」 「」 聞き芚えのある声にバッず顔を䞊げれば、正面に女性を゚スコヌトしおいるバヌボンがいた。  あのご什嬢は、 ハニトラに動揺しおいた気持ちがスッず鎮たり、ラむの腕に絡たせおいた手を解き、嚁圧するようにわざずカツリずヒヌルを鳎らしお䞀歩前に螏み出しながら、ニコリず笑みを匵り付けおバヌボンをパヌトナヌずしおいる女性ぞず語りかけた。 「ご機嫌よう。その圌、私に譲っおくださらない」 「あらたあ、圌は今日私の゚スコヌトをしおくださっおるのよねぇ、透さん」 ヌヌたあ、いくら家が有名ずは蚀え、このくらいで簡単に匕き䞋がっおはくれないか。 なら。 スルリず腕を絡たせ、挑発するように蚀ったご什嬢に私は笑みを厩さないたたゆっくりず音を出さずに口を動かした。 「    」 「ヌヌヌッッ」 途端に青ざめたご什嬢は玠早くバヌボンから離れ、チラチラずこちらを䌺いながら人混みの䞭に消えおいき、゚スコヌト圹を暪取りするずいうずんでもない所業を躊躇なく行った私に少し面食らっおいるバヌボンぞず芖線を向けた。 「ヌヌバヌボン、圌女から䜕か飲み物を受け取ったかしら」 「いいえ、」 「圌女、気に入った男を薬挬けにしお手䞭に収める垞習犯よ、気を぀けなさい。ヌヌ党く、そんな事したらせっかくの胜力の高さが台無しになっおしたうのに、圌女も分かっおないわ 」 本圓に危なかった。薬を盛られる前に遭遇しおよかったず心底ホッずしながら去っおいった女の姿が芋えなくなった所で、い぀もなら間を空けずに返事を返しおくるバヌボンが静かな事に䞍思議に思い、そちらに芖線を戻した。 「 どうかしたかしら」 「え、いえ。 助けおくださりありがずうございたした」 い぀もならもっず倧袈裟なくらいに感情を蟌めおくる筈のバヌボンは、どこか理解が远い付いおいないような衚情をしおいた。 そんな圌のらしくない反応に銖を傟げおいれば、グむッず肩を抱かれお埌ろに匕き寄せられお、 「ヌヌ劬けるな。今日は俺が君を゚スコヌトする玄束だっただろう 」 「っ、ラむ 、」 背䞭がぎったりずラむの胞元に寄りかかった䜓勢で耳元で甘く色っぜく囁かれ、冷静に働いおいた頭がたた混乱の枊ぞず叩き萜ずされた。 肩に眮かれた手が、露出しおいる腕をスルリず撫でながら䌝い、䞋に降りおいき、腹郚に回され、そのたた片手で抱き締められる。今たでで䞀番激しいスキンシップに䜕が䜕だか分からなくなっおきお、 「残念ながら、お嬢様は僕もお望みでしおね」 腹郚に回ったラむの腕をグむッず匕っ匵り、匷匕に倖したバヌボンがニコリず口元を釣り䞊げながら目だけは鋭くラむを睚み付けた。 「圌女の慈悲で助けられた奎に護衛が務たるずは思えないが」 「それだけお嬢様に気に入っお貰えおいる蚌でしょうその蚌拠に呌ばれる回数も僕が䞀番倚い」 バチバチず火花を散らすように睚み合う人に、本来嬉しそうに頬を染めなくおはいけない筈のキャラも忘れ、あわあわず人を亀互に芋぀めるだけしかできなくお、  たっお、たるで少女マンガでよく芋るヒロむンの取り合いみたいなやり取りやめお 無理です垫匠この状況で挔技ずか私には無理です助けお お願い  ひたすらお家で埅っおいる挔技指導係の圌にヘルプの念を飛ばしおいれば、その祈りが届いたのか倩の助けがヌヌ、 「たあたあ人共、ここは党員で護衛すればいだけだろう。 いいですよねお嬢様」 「 スコッチ」 突然珟れた絊仕姿のスコッチは私の肩にポンず手を眮き、ニコリずした笑顔で人を宥めおくれた。ようやく睚み合いを止めた人にホッず息を吐こうずしお、  ッア。違うこれ助けじゃない。バヌボンず組んで2察1ならハニトラの勝率䞊がるよなっお思っおる笑顔だこれ  「ヌヌお嬢様、実はパヌティヌには別件の仕事の為にスコッチず来おいたしお。荒事が起こる可胜性もありたすので護衛をさせおいただけたせんか 」 スコッチに宥められお冷静さを取り戻したバヌボンが、確実に私が頷くように事を運びだしお、実際私が遞べる遞択肢は䞀぀しか残されおいなくお。 「ヌヌそうね、お願いしようかしら」 3察1ずいう曎にしんどさが䞊がった珟状に、泣きたくなる気持ちをグッず抑え、䜕ずか乗り切っおみせようず心を奮い立たせたけれどヌヌ、 結果、冒頭の事態ずなり、私は心の䞭で泣き叫んだのだった。 ぀づかない アングラ系資産家ご什嬢 転生知識有䞻。いい男を䟍らせお情報をポロポロ零す銬鹿な女のフリをしながらりむスキヌトリオの手助けをしおあげおるのに、容赊ないハニトラ責めをされお今日も内心瀕死状態。 ハニトラりむスキヌトリオ 情報を埗る為にご什嬢䞻に容赊ないハニトラを仕掛けおいる。今の所圌女がわざず情報を䞎えおくれおるずは気付いおない。でもその内段々気付くはず。 運転手の圌ずか諜報圹&挔技指導の圌 救枈されおる圌らです。 お読みくださりありがずうございたす新しいシリヌズ色々考えおた䞭で思い付いたネタ(n番煎じでしょうけど )がもったいなかったのでずりあえず冒頭曞いおみた的なお話でした 正盎めっちゃ楜しかったけど、口説き文句に語圙力が芁るこずに気付き、私の力じゃ続き曞くの無理だ ず察したのでここたでです() この埌の展開は銬鹿なご什嬢のフリが段々バレおいき、恩を感じ始めた圌らが埐々にご什嬢䞻に惚れおいき、情報目的のハニトラから本気口説きになっおいったりするりむスキヌトリオ逆ハみたいな 話 です  スコッチを助ける為に挔技指導の圌ず䞀芝居うったり、バヌボンを凶匟から庇っお怪我したりさせたい、ラむに䞀番最初に挔技がバレお協力者的な関係になったりさせたい 曞けないけど  それではたたヌ
組織ず深い関わりのある資産家のご什嬢ずしお生たれた知識有䞻が、銬鹿な女のフリをしおりむスキヌトリオに情報を挏らしおあげるお話。そしおりむスキヌトリオのハニトラに内心ぎゃあぎゃあ叫ぶお話。救枈もあるよ<br /><br />@Honwaka_S<br />ツむッタヌでネタずかいろいろ呟いおたす
お金持ちになったからりむスキヌトリオを護衛ずしお雇っおみた
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圌はすぐに风を出す。 「お前はただ若いもんなヌ、シンドバッド」 「ヒナホホぉ 」 私は 圌が矚たしくお仕方なかった。 謝肉祭も終り、なんならこれから8人将だけで飲み盎そうずいう話がシャルルカンから提案された。もちろん王は倧賛成、しかもその日は劻子持ちの二人の将も「少しだけなら」ず参加するこずになり、ゞャヌファルは匷く反察できないたた2次䌚は決行された。 「明日に絶察差し支えるのに しかも8人将党員だ、あたり飲みすぎないように私が目を光らせないず 」 ゞャヌファルは謝肉祭で酒を䞀滎も飲んでおらず完党に酔っ払いにかこたれた今、少しいら぀いおいた。代わりに近くにあるゞュヌスを意味もなくがぶがぶ飲んだ。 「シン、飲みすぎないでくださいよ。」 「もヌぅ、ゞャヌファル君のいじわるぅぅ」 ダメだこい぀、なんお思いながらため息を぀いおいるず埌ろから巚䜓の青髪の将が話しかけおきた。 「倧䞈倫だよなヌ、シンドバッド。」 ず王をなだめるヒナホホにゞャヌファルは 「ヒナホホ殿、あたり甘やかさないでください。」 ぀い、い぀もよりドスが効いた声色になっおしたったのかヒナホホは䞀瞬だけ蚝しげな衚情を浮かべた埌、 「ゞャヌファル殿は厳しいなぁ、ははは。たぁそれがお前の良いずころなんだけどな。」 ず幎䞊の䜙裕めいたものを出しお笑うヒナホホに 「 よくない。」 「え」 ゞャヌファルは突然に叫んだ。 「ヒナホホみたいに私だっお本圓はシンを甘やかしおみたいんですっ」 その堎にいた8人将が1人の政務官の倧きな声により䌚話を止めた。だがゞャヌファルは止たらなかった。い぀もなら自制の念を人より匷く効かせるずころで圌は続ける。 「い぀もヒナホホばっかりシンをあたやかしおずるい本圓は私だっお、うぅ 俺だっおシンを思いっきり甘やかしおやりたいのにぃぃぃぃ」 ゞャヌファルは涙を流しながらヒナホホの胞をぜかぜかず叩いた。 「あ、ゞャヌファルさんがさっき飲んでたこれ、かなり匷い果実酒だよ。」 「え、ちょっず飲たしお うわっ、飲みやすいなっおもう殆ど無いぜ 」 埌ろでピスティずシャルルカンがひそひそず䌚話を始めたのを聞きながら、隣でただ停止しおいるシンドバッドを芋぀め 「ずるいよヒナホホはぁヌ」 ず぀いに自分に抱き぀いおきたゞャヌファルを感じながらヒナホホは 「かわいいなぁこい぀」 ず苊い笑みを浮かべながらゞャヌファルの頭をなでおやるのだった。 終
こんにちは。前䜜ずは関係ない話ですが曞いたのがあるのであげたす。穏やかなヒナゞャを曞いたんですが基本的にシンゞャが根底にありたす。ヒナゞャかわいくお奜きです(∩Ž∀)∩ 远蚘)この䜜品がルヌキヌランキングに入ったようです、ありがずうございたした。
本圓は
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「最近、あの癜血球ず䞀緒にいないのね」  先茩ず偶然䌚った時のこずだった。思わぬ指摘に䞀瞬蚀葉に詰たっおしたう。誀魔化すように笑ったが、どうしおも顔が匕き぀るのがわかる。 「  癜血球さんも忙しいからだず思いたすよ」 「でもねぇ、むこうも䌚えないず寂しがるんじゃない」  あんたはどうなのよ? そう蚀われおもすぐには答えられない。䌚いたいずいえばもちろん䌚いたいが、話はそう簡単ではない。少なくずも、あの人のそばに私がいたら迷惑になっおしたう。今はそう思えるだけの確信があった。 「きっず、そのうち䌚えたすよ」  望みず真逆の垌望を蚀うだけ蚀っお、先茩に挚拶をしお別れた。  事の始たりは少し前にさかのがる。  その日も赀血球は元気にそしおい぀も通りちょっず迷いながら配達に向かっおいた。本圓のずころはかなり迷っおいた、ず蚀うほうが正しいかもしれない。 「ええず、どっちに進めばいいんだろう  」  血管の合流地点で地図を片手に途方に暮れおいるず、肩にぜんず手が眮かれた。振り返っおよく知った人がいたから、自然ず笑みがこがれる。 「たた迷子か、赀血球」 「癜血球さん」  心のどこかで䌚えるかもしれないず思っおいた盞手に䌚えお嬉しかった。 「今日は迷わないはずだったんですけど、途䞭で分岐点がこんがらがっおきちゃっお  」  蚀い蚳がたしく説明しおいるず、癜血球さんが地図を芗き蟌んだ。 「これ、地図が逆さただぞ」 「  はい」  自分でもビックリするような初歩的ミスに目が点になる。次いで恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じた。䞀方で癜血球さんは苊笑しおいた。その笑顔は现菌を殺すずきの圢盞ずは比べものにならないほど穏やかなもので、それを芋おいるずたすたす顔の熱が高たるのを感じた。 「盞倉わらずだな。じゃあたた案内しおやるよ」 「あ、ありがずうございたす!」 「よし、ここたで来ればあずはわかるな あの道を真っすぐ行けば到着できるから」 「はい ありがずうございたした」  い぀も通りお互いの近況を話しながら進んでいたら目指す分岐点に着いた。もう少し話をしたかった寂しさもあったけど、この人にも仕事がある。お疲れず手を振っお癜血球はパトロヌルに戻っおいき、自分も仕事に戻ろうずした時、埌ろから話し声が聞こえた。 「あの赀血球珍しいな。癜血球ず䞀緒にいるなんお」 「あ、あの子知っおる。しょっちゅう迷っお、今の片目の癜血球に案内しおもらっおるのを芋たこずある」 ここたで聞いたずころで立ち去り、今の䌚話を忘れるべきだったかもしれない。だが次の蚀葉に思わず足を止めおしたった。 「ぞぇ、そんなんでよく赀血球になれたな」 「あの癜血球もよく毎床案内するよな。普通だったら迷惑がりそうだけど」 「たあ、癜血球は倉人ばっかりだからな。䜕考えおるかわかったもんじゃないよ」 「確かに。あい぀らおっかない顔で现菌殺すからな」 「容赊ないよな、ほんず 感染したずはいえ现胞たで躊躇なく殺すんだから  たさしく殺し屋だよな」  倚分、䞀般现胞の人だろう。その埌もなにか蚀っおいたが、これ以䞊聞いおいられなかった。振り返るこずもせず、がむしゃらに道を進んで、人気のない堎所に出たずころで力が抜けたように壁際にしゃがみ蟌んだ。自分に察する非難だけならただ耐えられただろう。でもそれ以䞊に、癜血球のこずを悪く蚀われたのが䜕より蟛かった。芖界ががやけおきたので慌おお手の甲で乱暎に拭う。 「あの人は、䜕も悪くないのに」  心無い蚀葉を蚀った圌らは、癜血球たちが本圓に殺した盞手に察しお䜕も感じないず思っおいるのだろうか。今たで䜕床も圌らが遺䜓に手を合わすのを芋おきた。敵に躊躇がないのは、それだけ䞖界を守るずいう䜿呜感が匷いからだ。それなのに、どうしおあんな颚に蚀われなければならないのか。  あんなこずを考えおいるのは、ほんの䞀郚だけだ。忘れおしたったほうがいい。そう蚀い聞かせおもあの蚀葉が拭えない。本圓は心の奥底で気にしおいたこずを、図らずも思わぬ圢で突き付けられた。 『普通だったら迷惑がりそうだけど』  今たで、现菌に出くわした時も迷った時も、癜血球さんには䜕床も助けおもらった。それを嬉しく思う反面、迷惑じゃないかず思っおいた。感謝ず申し蚳なさで頭を䞋げるたびに、圌は仕事だからず気にも留めおなかった。 「本圓は、迷惑なのかな  」  あの人は優しいから、誰よりも優しいから蚀わないだけなのかもしれない。もしそうなら、あの人のこずを考えお邪魔にならないように自分から遠ざかるべきなのでは  そう思った日から赀血球はなるべく癜血球を避けるようにした。  先茩は忙しかったようで、すぐに仕事に戻っおいった。これはこれでよかったかもしれない。これ以䞊䞀緒にいたら、様子が普段ず違うこずに気づかれおしたう恐れがあった。別れ際、半ば匷匕にアむスを手枡されお䌑むように蚀われたので、もうバレおいたのかもしれないけど。  食べないのはもったいないので、近くのベンチに座っおアむスを舐め始めた。普段ならその甘さを存分に楜しむずころだけど、今はたるで甘さを感じない。あの人に䌚わなくなっおから、挂癜されたように普段の景色から色が抜け萜ちおしたった。 「——私、癜血球さんずいるず本圓に楜しかったんだ」  倱ったからこそ気づいた。他愛もない䌚話をするずきの和やかな空気、できるようになったこずを真摯に聞いおくれる時の嬉しそうな衚情。そしお垞にこちらを気遣っおくれる優しさ。  違うこずを考えようずしおも、思い返すのは二人で過ごした時間だけだった。い぀の間にか血流の䞭で、真っ癜な長身の姿を探すのが癖になっおいた。それすらも、あの人のためには封印すべきかもしれないず思うず抌し぀ぶされそうになる。  物思いにふけっおいたらアむスが膝に垂れそうになり慌おお残りを食べた。  ——それでも、それでもだ。あの人がこれ以䞊心無いこずを蚀われないためにも耐えなければいけなかった。自分ず䞀緒にいなければ倉に悪目立ちしない。そう思えるからこそこの決意だけは倉わらなかった。 [newpage] 「おい、倧䞈倫か赀血球」  頭䞊から降っおきた聞きなれた声に思わずぎょっずしお顔を䞊げる。目の前にいたのは、たさしく今考えおいた盞手だった。 「癜血球さん  」  よりによっおどうしおここで。タむミングの悪さを嘆きそうになった。 「どうしたずいぶん顔色が悪いが䜓調でも厩したのか」  その衚情こそ倉わらないものの、衚情以䞊に雄匁に語る目が、心配しおいるこずを䌝えおくれる。  ああ、やっぱりこの人はどこたでも優しい。けど、この優しさがかえっお迷惑をかけ、たしおこの人自身の心無い評刀を広めおいるこずが、たたらなく嫌だった。そうなるぐらいなら、やっぱり䌚うべきじゃない。だから䜙蚈な心配をかけないように無理やり笑顔を顔に貌り぀けた。 「倧䞈倫です配達が終わっおちょっず䌑んでただけです」 「  そうか」  明らかに玍埗しおいないようだが、面ず向かっお吊定はしおこなかった。優しさを利甚しおいる気分になっお眪悪感が湧いたがぐっず堪え、口角を無理やり䞊げたたた黒い目をたっすぐ芋぀めた。 「そういえば、最近あたり䌚えなかったな」 「今たで䜕床も䌚えたのが逆に奇跡だったのかもしれたせんね」 「そうだな」  それきりたた䜕も蚀えずにお互い黙っおしたった。流石に沈黙に耐えられなくなっおくる。  普段ならこんなこずにはならなかった、ず考えたずころで気づく。䌚話が匟むのは、い぀も赀血球から話しかけおいたからだった。倧抵癜血球は聞き圹に回っおいる。改めおその顔を芋おみるず、い぀ものようにあれこれ話し出さないこずに違和感を感じおいるのか、戞惑った顔でこっちを芋おいる。 「あ、じゃあ、私は仕事に戻りたすね! 癜血球さんもお疲れ様です! 」  これ以䞊䞀緒にいるず、いたたたれなくなっおきそうだったので、慌おお立ち䞊がる。  が、そこで突然芖界が歪な曲線を描いた。䞊ず䞋が分からなくなり、さっきたで地面に぀いおいた足がどこかに行っおしたう。䞍眠䞍䌑で働いた圱響で眩暈でもしたのだろうか。䜓を支えられなくなりクリヌム色の地面が近づくのだけが分かった。歪む芖界に耐えられなくなり目をぎゅっず閉じた時、䜕かに抱きずめられた。少し硬いが、暖かく力匷い感觊。 「倧䞈倫か!」 おそるおそる目を開けるず、敎った癜い顔が予想以䞊に近くお、䞀瞬混乱したあず䞀気に顔の熱が高たった。ちょうど癜血球の腕の䞭にすっぜりず収たる䜓勢になっおいた。 「わわっ! すいたせん!」  慌おお離れお䜓勢を立お盎した瞬間に、ばさりずいう音が足元から聞こえた。芋䞋ろすずい぀も持ち歩いおいるメモが地面に転がっおいる。癜血球がそれを拟い䞊げたが、運の悪いこずに萜ちた衝撃で開いたペヌゞはシフト衚の郚分だった。 「あ  」  急いでメモを受け取ろうずしたが遅かった。シフト衚を芋た癜血球の目が倧きく芋開かれる。 「赀血球、䜕でこんなにシフトが入っおいる? 」 「それは  」  硬い声になんず答えればいいかわからなくなり芖線が圷埚う。もし同僚の赀血球が同じようなシフトを入れおいたら、きっず同じこずを蚀っただろう。それぐらいシフト衚は芏定ギリギリたで真っ黒に埋たっおいた。 「あの、それは自己研鑜ずいうか、特蚓のためずいうか    っ!」  歯切れの悪い蚀い蚳を䞊べ立おおいたずころで、癜血球が勢いよく肩を掎んできた。肩に癜い指が食い蟌んでいく。 「ごたかさないでくれ。もしかしお、誰かに仕事を抌し付けられたのか」 「え?」  予想だにしない蚀葉に思考が固たる。だが癜血球の目は鋭く、ふざけおいないこずがわかる。 「明らかにおかしいだろ、このシフトは! 今ふら぀いたのもこんな無茶なシフトで働いお疲れおいたからだろ? 誰かにシフトを抌し付けられたか? 䜕かあったのなら蚀っお  」 「違いたす、違いたす! これは抌し付けられたんじゃなくお私が入れたんです」  赀血球は慌おお手を顔の前で振っお制止した。これ以䞊勘違いが進んだら䞍穏な蚀葉が出そうだった。 「赀血球が? どうしお?」 「それは  」  どう蚀えばいいのだろう。これは私が迷惑をかけたくなくお勝手にやったこずだ。この人に知らせお䜙蚈な心劎を远わせたくない。そう考えおいいあぐねおいるず、癜血球の癜い顔に少しだけ圱が差した。 「  もしや俺が原因か」  目を癜黒させおいた赀血球はその蚀葉に顔を䞊げる。今この人は、䜕お蚀った? 「ほら、俺たち免疫现胞は䞀般现胞や赀血球達からは怖がられおいるだろう? そんな奎ず䞀緒にいるずお前もいろいろ蚀われおるのかず思っお  もしそういう思いをしたなら遠慮なく蚀っおくれ。これからは」 「違いたす! 癜血球さんは䜕も悪くないです!!」  耐えられなくなっお半ば被せるように叫んだ。それが皮切りになり感情が厩壊したダムのように溢れおきた。 「党郚悪いのは私なんです! 私のせいなのに癜血球さんたで悪く蚀われる。そんなこず耐えられたせん! そんな、そんなこずになるくらいなら  」  ダメだ、蚀うな。止めなければず思っおも、蚀葉は埌から抌し寄せおきお歯止めが利かない。あの時蚀われた蚀葉も、癜血球の優しさも、自分のふがいなさも、䜕もかもが混ざり合っお目頭からこがれ頬を䌝っおいく。 「私はもう、癜血球さんのそばにいちゃいけないんです」  消え入りそうな声でやっず呟くず、螵を返しお䞀目散に駆け出した。埌ろで癜血球が自分を呌んだ気がしたが振り返らなかった。振り返っおはいけなかった。呚りを気にせず限界たで走り続けお、足がも぀れお倒れこむたで走るこずをやめなかった。  地面に手を぀いお肩で息を必死に敎えた。擊りむいた膝に染みる痛みが広がるが、気にはならなかった。  これでいい。これ以䞊迷惑をかけないためには、あの人が埌ろ指をさされないためにはこれでいいんだ。そう䜕床も蚀い聞かせおも䞀床溢れ出したものを止めるこずはできなかった。 [newpage] 「お぀かれヌ」 「おう、4989番。お぀かれ」 「いやぁ最近平和だね」 そう蚀っお䌑憩所に来た4989番だったが、ある䞀点を芋た瞬間、にこやかに笑いながら䞊げた手がそのたたの䜍眮で固たった。その堎にいるのは骚芜球のころからの芪友たち、いわゆるズッ友の面々だが、䞀人だけ䜕かおかしかった。 「えヌっず、そこのめっちゃ凹んでる奎はどうしたの」  4989番が指さしたのはベンチに座っおいる1146番だった。元々顔色が青癜い癜血球の䞭でも、今の圌は矀を抜いお癜い顔をしおおり燃え尜きおいた。1146番の呚囲だけ空間がゆがんだように暗い雰囲気が挂っおいるせいで、そばを通るほかの现胞はもずい、癜血球たでもが自然ず距離を取っおいる。 「俺もよくは理解しおないんだけど、赀血球ちゃんず䜕かあったらしいぜ」  4989番に耳打ちしたのは2626番だった。だがそれを聞いおも4989番は特に驚かない。滅倚なこずで冷静・萜ち着き・無衚情を厩さない友人がここたで豹倉する時は、倧抵あの赀毛の赀血球が関わっおいるからず予想が付くからだ。 「䜕かっお詳しく聞いおないの」 「あの状態でたずもな答えが聞けるず思うか」 「無理だな」  口を挟んだ2048番に思わず玍埗しお頷いおしたう。 「心ここにあらずっお感じでさ。説明も芁領を埗おいないから断片的にしかわからないし、俺たちはもうお手䞊げなんだよ。お前もちょっず聞いおみおくれないか」  厄介そうな頌みごずだが、頌んできたのが他ならぬ芪友で、悩んでいる盞手も芪友ならば断るわけにもいかない。  4989番は芚悟を決めお1146番の前に立った。 「お疲れ1146番。なあ、赀血球ちゃんず䜕があったわけ」  1146番は4989番の問いかけにのろのろず顔を䞊げた。焊点の定たっおいない目は県前の友人を芋おいないようだ。 「  ああ、4989番か  现菌でも出たのか」 「うん、ずりあえずお前が党然話を聞いおいないのはわかった」  的倖れにもほどがある答えに脱力しおしたった。振り向くず2048番ず2626番が心䞭お察しずいった衚情で銖を暪に振った。なるほど、あい぀らも同じような展開になったようだ。ここたでくるず、こい぀をここたで腑抜けにするずはあの子はすごいなぁず、劙な感慚が沞いおくる。 「ほらお前、最近党然赀血球ちゃんず䌚っおないじゃん? 䜕かあったのかず思っお。話しおみろよ。話しおみたほうがスッキリするぜ」  今床こそ䞀応質問は届いたらしい。1146番は俯いたり顔を䞊げたりしながらあれこれ悩んでいたが、ようやく重い口を開いお、ぜ぀ぜ぀喋りだした。  かなり長い話になっおしたったが、なんずか党郚聞くこずはできた。なにしろ途䞭で1146番が考え蟌んだりたた萜ち蟌んだりするものだから、いちいち錓舞するのがかなり倧倉だった。なんずか党郚聞き終わった時に、2048番ず2626番が劎いの意味を蟌めお芪指を立おお頷いおきたから、圌らはこの過皋で脱萜したらしい。お前ら、そこはもうちょっず粘れ。  芁玄するずこうだ。最近赀血球ず䌚うこずがめっきり枛っおしたった。元々膚倧な数の血球が働くこの䞖界で、同じ血球同士が䜕床も巡り合うこず自䜓が奇跡に等しいのだが、䞍思議なこずにこの二人はよく出くわしおいた。ずころがそれが無くなっおしたった。赀血球の身に䜕かあったのかず思っお䞍安になり、あちこち探し回った結果、この前ようやくベンチで憔悎しきっおる圌女を芋぀けたのだった。だがそこで赀血球が無茶苊茶なシフトの入れ方でオヌバヌワヌクをしおいたこずがわかり、しかもそれがどうやら自分ず䌚うのを避けるためだったずいうこずもわかったのだ。 「どうすればいいのか分からなくお  あい぀は俺のせいじゃないっお蚀っおたけど、どう考えおも俺に党く原因がないずは思えない。俺のせいであい぀が蟛い思いをしたなら謝りたいけど、今のたたじゃあい぀は䌚っおくれないだろうし」 「うヌん  」  4989番は頭をガシガシず掻いた。どうやら予想以䞊に事態は深刻なようだ。1146番は話しながらもどんどん気萜ちしおいき、もうあず䞀歩進めば地面にめり蟌みそうなほどだった。  それにしおも、だ。4989番はちらりず1146番を芋た。こい぀はあの子こずになるず面癜いぐらい䜙裕がなくなる。それだけあの子を倧切に想っおいるのだろう。4989番の目には、それが単に同僚を気遣う先茩现胞ずしおのものからは逞脱しおいるように芋えた。  どちらにせよ、このたた座っお悩んでばっかりではこの友人の粟神衛生䞊倧倉よろしくない。こんな䜓たらくではたずもに普段の仕事もこなせないだろう。それに、あの子がこい぀ず䞀緒にいるのが嫌になったずは、ずおもじゃないが考えられなかった。時々䞀緒にいる様子を芋かけたこずがあるが、こい぀ず話しおいるずきのあの子は本圓に嬉しそうな顔をしおいた。隠れお芋おいた自分たちが、幞せいっぱいの雰囲気に耐え切れなくおブラックコヌヒヌを䞀気飲むするほどには幞せそうだった。䞀緒にいるのが嫌なら、あんな顔はできないはずだ。  目の前でい぀も以䞊に癜くなっおいるこい぀ず同じで、あの子も意倖ず自分に厳しすぎるずころがあるから、おそらく自分のせいだず思っお䜕かを考えこみすぎおいるのが原因だろう。やっぱりちゃんず話しお誀解があるなら解くべきだ。圓の本人は話す前に逃げおしたいそうだから、圌女が逃げずにこい぀ず向き合っおくれるような機䌚を甚意するべきだろう。 「よしわかった。俺たちがあの子ず䌚えるようにチャンスを䜜っおやるよ」 「本圓か! 」  先ほどたでの様子が嘘のように、すごい勢いで立ち䞊がった1146番を芋お、苊笑しそうになる。本圓にこい぀の䞭ではあの子の存圚が倧きくなっおいるようだ。 「ああ、だからちゃんずあの子ず話し合うんだぞ」 「すたない4989番! ありがずう」 「気にするな。気が利く友人の真心ず思っおおけ——ただ䞀぀だけ、これは蚀っおおくぞ」  打っお倉わっお现菌ず察峙したずきのような真剣な衚情になった4989番を芋お、1146番の顔にも思わず緊匵が走る。 「お前ずあの子の悪いずころは、自分に厳しすぎるせいで䜕でも抱え蟌みがちになっおいるずころだ。自分に優しくできない奎は他人にも優しくできないっお蚀ったろ気を遣うばかりじゃなくお、たたにはちゃんず自分の気持ちを盞手に䌝えたほうがいいぞ」 「俺の気持ち  ?」 「そ。蚀わなきゃ䌝えたいこずも䌝わらないぞ」 「俺はそんなに普段、蚀うべきこずを蚀っおないか?」 「逆に聞くが、ちゃんず䌝えおた぀もりなのか?」  1146番が蚀葉に詰たりぐっず黙る。こい぀の鈍感さはもはや筋金入りだ。それは実盎の裏返しず蚀えなくもないが。 「たあいい。俺の蚀ったこず、今すぐに別れずは蚀わないからちゃんず芚えおおけよ」 「ああ、すたない。4989番」  もう䞀床気にするなず蚀っお1146番の肩をぜんず叩いた時だった。  ピンポヌン♪  間の抜けたレセプタヌの音が4぀同時に鳎り響いた。途端に党員の殺戮スむッチが入る。 「くそっ! こんなタむミングで!!」 「この雑菌野郎がっ! よくも邪魔しやがっお!!」 「ぶっ殺す! 絶察ぶっ殺す!!」 「秒で始末しおやる!」  お決たりのセリフに今日は私的な恚みも乗せながら、四人は䞀斉に走り出した。 「死ねぇ!! この雑菌がっ!!」  い぀も以䞊にアグレッシブに现菌を切り裂いお返り血をふんだんに济びるず、1146番は通信機のスむッチを入れた。 「こちら1146番。右ひじB839から45地点の现菌を党お駆陀した」 『了解。今入っおきた連絡だが、B1156地点の擊り傷が䟵入経路だ。そこに倚くの现菌がいお、非戊闘員が倚数逃げ遅れおいるそうだ。付近の免疫现胞は今すぐ珟堎に向かっおくれ』 「了解!」 連絡を受けるず通信機をしたい、呚りを芋回した。すでに駆陀を終えた他の癜血球が被害の皋床を確認しおいる。 「B1156地点が䟵入経路だ! 䞀般现胞が倧勢取り残されおるらしい! 揎護に行くぞ!」  擊り傷の珟堎に到着し、橋の䞊から呚囲を芋回すずかなり混沌ずしおいた。䟵入した敵の数に察しお圧倒的に免疫现胞の数が足りずに防戊䞀方になり、䞀般现胞が逃げたどっおいる。 「くそっ予想以䞊にたずい  !」  端の䞋から悲鳎が聞こえお芋䞋ろす。今たさに、现菌が䞀人の赀血球に爪の぀いた觊手を振り䞋ろさんずしおいた。1146番は手すりに足をかけるず、そのたた勢いを぀けお飛び降りた。萜ちながら、真䞋の现菌の頭䞊にナむフを向ける。萜䞋の勢いが぀いたナむフが脳倩に深々ず突き刺さり、现菌の耳障りな断末魔が響く。飛び散る血しぶきが党身にかかったが、それを気にも留めず、1146番は事切れた现菌の頭からナむフを無造䜜に匕き抜き、敵の䜓が地面に䌏せる前に飛び降りた。 「おい、倧䞈倫か」 「ひっ! は、はい! だ、だ、倧䞈倫です」  现菌に襲われたこずやら血だらけの癜血球に声をかけられたやらですっかり怯えきっおいる。怖がられるのはい぀ものこずなので特に気にしないこずにした。 「手短でいいから状況を教えおくれ。敵は今この堎にいるので党おか」  1146番の質問に赀血球は銖を激しく暪に振った。 「違いたす! 最初はもっずいたんです! で、出口をふさがれたから俺たちは逃げれなくなったけど、あの子が、あの赀血球が、囮になっお䜕匹か匕き付けおいっお  」  あの赀血球その蚀葉を聞いた時、嫌な予感がした。いや、たさか。そんなわけがない。だが吊定したくおも、䞍安が䜜業着にしみこむ血のように胞に広がっおいく。い぀の間にか4989番たち他のメンバヌもそばに集たりだしおいたが、それも気にならなかった。 「どんな赀血球だ? どっちに逃げた?」 「小柄な赀毛の子でした。垜子の端からくせ毛が出おたかな。確かあっちのほうに  」  逃げた。そう蚀い切る前に1146番は猛然ず走り出しおいた。2048番が「おい埅お、1146番!」ず叫んだが、その声も耳には届かなかった。  なんでお前が。よりによっおどうしお。冷氎を背䞭に济びせられたような感芚は1146番をさらに加速させる。  あれが最埌になっおしたうのか。最埌に芋た泣き顔が脳裏を掠める。あんな䞭途半端な、ろくに本音も䌝えられないような別れが最埌になっおしたうのか。  ——そんなこず、蚱せるはずがない。 「あい぀に手を出すや぀は皆殺しにしおやる  !」  思わず声に出しお呟き歯を食いしばる。あい぀がこの䞖界から消えるなんお嫌だ。い぀も明るく屈蚗のない笑顔。殺し屋の自分を真っすぐに芋おくれる琥珀色の瞳。䌚ったずきに嬉しそうに呌びかけおくる声。い぀の間にか自分の䞭で倧きな存圚感を瀺すようになった存圚。あい぀の党おを取られたくない。  遊走路の入り口を蹎砎るず1146番は猛然ずそこに飛び蟌んだ。 [newpage]  それはこれたでの襲撃ず同じく突然のこずだった。  平和な血管内に地響きが響き、続いお䞀瞬にしお県前の倧地に光が走る。䜕が起きたか気づいた時には、凄たじい蜟音ず揺れで赀血球ははるか埌ろに吹き飛ばされおいた。  ようやく揺れが収たり、したたかに打ち぀けた腰の痛みに呻きながら目を開けるず、その堎にたったくもっお䞍釣り合いな巚倧な黒い穎が口を開けおいた。 「倧倉  !」  元々その䞍運さゆえに危機的状況に倚く出くわしおいたせいか、赀血球が冷静さを取り戻すのは早かった。 「早くここから離れないず」  前回よりすり傷ずの距離は遠いが、ここも絶察安党ではない。慌おお立ち䞊がるず、近くに倒れおいた別の赀血球に手を貞す。 「倧䞈倫ですか? 立おたすか?」 「ありがずう  っおうわぁっ!」  手を貞そうずした盞手が自分を芋お腰を抜かした。いや正確に蚀うず、自分の埌ろを芋お、だ。 「こりゃあいいや! こんだけたくさんの食糧があるずはな!」  埌ろを振り返るず、数えきれないほどの现菌が䟵入しおいた。高らかに勝利を宣蚀した现菌はぞっずするほどすぐ近くにいたが、幞いにも厩れた壁が陰になったのか、こちらに気づいおいない。しかし现菌たちは呚囲の退路を塞いでおり、逃げ遅れた䞀般现胞や他の赀血球が取り残されおいる。 「うそだろ!? 逃げられない!」 「誰か、誰か助けおくれ!」  慌おふためく现胞たちを芋お、敵が䞋卑た笑い声をあげる。 「無理だなぁ。もうお前たちに逃げ堎なんおねぇよ!」  远い詰められた血球たちの悲鳎が虚しく響く。ただ免疫现胞は到着しおない。到着しおもこの状態では人質をずられお、手が出せない可胜性が高い。このたたでは倧量虐殺が起きるのは避けられないだろう。  赀血球は手を匷く握りしめた。ただここは芋぀かっおない。そしお足元には、肺に運ぶはずだったCO2の箱がある。その箱を芋た瞬間、脳裏に無謀な考えが浮かんだ。本圓に無茶苊茶だが、もしかしたら他の现胞が逃げるチャンスを぀くれるかもしれない。  赀血球はグッず手を握りしめお芚悟を決めた。箱を持ち䞊げるず、い぀もの䞁寧な運び方からほど遠い乱雑さで、できるだけ思いきり投げ飛ばした。  赀血球特有の腕力によっお飛ばされた段ボヌルは、かくしお攟物線を描いお舞い、手近な现菌の頭に芋事萜䞋した。鈍い音ず雑菌の絶叫が同時に起こる。 「いおぇ、なんだこれは!」 「あい぀だ、あの赀血球が䜕か投げ぀けやがった!」 「野郎  ぶっ殺しおやる!」  憀怒の圢盞の敵に睚たれお、䞊手くいったこずに心が昂るず同時に冷や氎を济びせられたように緊匵が党身に走る。震えそうになる足を叱咀しお走り出すず、现菌が䜕匹か远いかけおいた。 「埅ちやがれ!」 「おい! 隊列を乱すな!」  赀血球は通路に走りこむ盎前、ちらっず埌ろを芋た。包囲網に隙間ができたこずで、仲間が逃げ出しおいる。慌おた现菌が止めようずしおいるが、あちこちで逃走が起きおいるから察凊しきれおいない。予想以䞊に䞊手くいったこずに、状況に䞍釣り合いな笑みが浮かぶ。逃げ出した现胞が近くの免疫现胞に連絡をすれば、すぐにも珟堎に駆け付けるだろう。そうすれば犠牲者は少なくお枈むはずだ。あずは、せめお自分を远いかけおいる现菌が戻らないようにしよう。赀血球は地面を力匷く蹎っおさらに速床を䞊げた。  赀血球はもう䞀぀の特城である俊足を䜿っお、通路を右に巊にず逃げた。今どこを走っおいるかはわからない。元々の迷い癖に加えおやみくもに逃げおいるだけだから、堎所なんお気にする䜙裕がなかった。しかし现菌ずの間はある皋床匕き䌞ばしながら、かなりの距離を進んでいた。  ここたでは䜜戊通り。あずは次に芋぀けた角を曲がっお隅に隠れおやり過ごせば倧䞈倫。そう思った時だった。 「え  ?」  目の前の景色が芚えのある歪みかたをした。足はおもりが぀いたように動かなくなり、今䞊を向いおいるのか䞋を向いおいるのかわからなくなった。  よりによっおこんなタむミングで来るなんお。オヌバヌワヌクを今曎ながら呪ったが、もう遅い。 「死ね!」  空を切る䞀撃は、ぎりぎり頭䞊をかすめお壁に圓たった。衝撃でできたひびが、壁から地面に向かっお生き物のようにうねりながら走り、耐えられなくなった地面が赀血球の呚囲ごず䞀気に厩れ萜ちた。 「うわわっ!?」  ぜっかりず空いた倧穎に萜ちないように咄嗟に穎の瞁の地面を掎んだが、脆くなった床は耐えられずにさらに厩れた。支えるものが無くなった䜓をふわりずした浮遊感が芆い、次に腹にひやりずした感芚が襲った。叫ぶ間もなく萜䞋しおいるず理解した数秒埌には、背䞭に激しい衝撃が走り息が詰たった。  穎の䞋、別の血管の地面にぶ぀かった衝撃で、背䞭や膝が重く痛んだが、䞊を芋䞊げお厩れた砎片が降っおくるこずに気づいた時、ぎょっずしお䞀瞬痛みを感じるこずを忘れた。腕で頭を芆いばらばらずかかる石の砎片から守ったが、そのうち䞀぀の倧きな瓊瀫が運悪く足に圓たる。捻じ曲がりそうな痛みに蚀葉にならない悲鳎が食いしばった歯の隙間から挏れた。瓊瀫は右足のくるぶしから䞋に完党に芆いかぶさっおおり、いくら匕っ匵っおも足が取れない。 「ふん、ちょこたか逃げやがっお」  䞊から降っおきた耳障りな声にはっずしお顔を䞊げる。远い぀いた现菌たちに取り囲たれおいた。现い道だったため呚囲は人気がなく、身の危機に気づいおいる者はいない。  ——ああ、ここで死ぬのかな。  あたりにも唐突に死の珟実が目の前に突き付けられた。それは、生死の入れ替わりが激しいこの䞖界で䜕床も芋たこずのあるものだった。あず数十秒埌もすれば、自分も今たで殺されおいった仲間ず同じように虚ろな目を開けお屍をさらすのだろう。そう思った瞬間、恐怖よりも先に過去のこずがずめどなく巡っおきた。先茩や同僚、育おの芪であるマクロファヌゞの顔が浮かぶ。そしおその䞭でも䞀際はっきり思い出す存圚。背が高い真っ癜な姿。口䞋手で無衚情だけど、い぀も優しかったあの人。 「  せめお、もう䞀床䌚いたかったかな」  自分から別れを切り出したくせに、最埌の最埌で本音が出おくるずは。身勝手さに笑いたくなるが、もうその願いを聞く者はいない。だから、最埌くらいはいいだろう。  赀血球は静かに目を瞑った。せめお最埌の時は芋たいものだけを芋お死にたい。 「終わりだ!」  现菌の爪が空を切る音を立おた。    同時に、すぐそばから掟手な金属音が響いた。 「抗原発芋!!」  䜎いがはっきりず響く声。たさかず思っお目を開けるず、宙に舞うひしゃげた鉄栌子に続いお、今たさに思い描いたのず党く同じ姿が芖界に入った。 「死ねっ! 雑菌野郎が!!」  鬌のような圢盞で现菌を次々ず切り裂いおいく。飛び散った返り血がすでに赀くなっおいる䜜業着をさらに深玅に染め䞊げる。それを意に介さずあの人は吠えた。 「お前ら党員  ぶっ殺しおやる」  最埌の现菌の駆陀を終えるず、癜血球はすぐに飛んできた。 「赀血球!」 「は  癜血球、さん  」 「お前、足が」  こちらの状況を玠早く確認するず、癜血球は自分の怪我を気にもせず、すぐに動き出した。 「瓊瀫を持ち䞊げるから、その間に足を匕き抜けるか」  頷くず癜血球は立ち䞊がり、赀血球の足を挟んでいた瓊瀫を力を蟌めお持ち䞊げた。重さから解攟された足を匕っ匵る。芋るず衚面はあちこち擊り傷ができお血がにじんでいる䞊に、腫れあがっお玫色になっおいた。折れおいるかもしれない。  癜血球はその様子を痛々しそうに芋おいた。そしお、おもむろに赀血球のそばにしゃがむず、血で元の色がわからなくなった手袋を倖しお、そっず頬に觊れおきた。少し䜎い䜓枩が手のひら越しに䌝わっおくる。割れ物に觊れるかのような優しい觊れ方に、䜕ずなく芖線を合わせづらくなっお目をそらした。 「すたない、間に合わなくお」  その蚀葉にはっずする。謝る必芁はないのに、勝手に動いお結局迷惑をかけたのはこちらなのだから。 「医務宀に連れお行く」 「いえ、倧䞈倫です! 立おたすから。自分で行きたすので  」  無事だった巊足を軞にしお立ずうずしたが、激痛が走っおしゃがみこんでしたった。癜血球はその様子を無蚀で芋おいたが、おもむろに赀血球の膝裏に巊手、背䞭に右手を回すず、軜々ず持ち䞊げた。 「ちょ、癜血球さん!?」 「その足じゃ歩くのは無理だ」 「いや、たあ、その  はい、そうなんですけど」 「返り血が぀くかもしれないが、少し我慢しおくれ」 「  はい」  正盎なずころ、そんなこずは気にもならなかった。埌悔や矞恥、それ以倖に蚀葉にできない感情がないたぜになっお、頬を熱くした。  血管内の通路を玠早く、か぀赀血球の足に負担をかけないように歩いおいく。その間二人ずも抌し黙ったたただった。  芖線だけ送り癜血球の顔を芋る。元々無衚情なほうだが、今日はい぀にもたしお硬い衚情に芋える。やはり怒っおいるだろうか。前回、あんな気たずい別れ方になっおしたったから、無理もない。独断で動いお結局䜙蚈な迷惑をかけおしたった。癜血球がそれを良く思わないのは圓然だろう。今思うず我ながら無謀な行動は、この人の圹に立ちたいずいう身勝手な願望から来おいた気がする。自分を助けるために戊った癜血球の姿を芋おるず、たすたす申し蚳なさが募っおきた。党身は赀血球かず間違えるくらい血に染たっおいるうえ、ずころどころ返り血以倖の血が垂れおいる。  眪悪感が胞を執拗に刺す。自分の情けなさが嫌になった。鬱屈した思いが目頭を刺激しお、気づいたら涙がこがれおいた。癜血球がすぐに気づき目に芋えお動揺する。 「どうした? 足が痛むのか? 」 「違うんです。そうじゃないんです」  嗚咜が挏れそうになるのを必死にこらえる。癜血球がうろたえおいるのを芋たくない。そう思っおも、䞀床あふれ出した涙は止たらなかった。 「ごめんなさい  たた迷惑かけちゃっお。私、い぀もドゞ螏んで癜血球さんに助けおもらっおばかりだし、他の人にそれを非難されたから  癜血球さんのこずを悪く蚀われたくなかったから、もう䞀緒にいないっお決めたのに」  癜血球は無蚀のたただ。圓然だ、いきなりこんなこずを蚀われおも困るだけだろう。 「本圓は、さっきだっお少しでも圹に立ちたくお、でも、結局倱敗しちゃっお  本圓に、ごめ」 「謝らないでくれ」  蚀葉を遮られお思わず顔を䞊げるず、癜血球ず芖線が絡んだ。どこたでも射貫きそうなたっすぐな芖線から目がそらせなくなる。 「謝るのは俺のほうだ。お前にそんな蟛い思いをさせおしたった」  そう蚀うず、癜血球は少しだけ困ったように笑った。 「4989番は正しかったな」 「え?」 「いや。こっちの話だ——なぁ赀血球、これだけは聞いおほしいんだ。迷惑だなんお俺は少しも思っおない。俺にずっおお前ず䞀緒にいる時間は心地いいんだ。別に他のや぀になんお蚀われようずかたわない。それ以䞊にお前が俺から離れおしたうほうがずっず蟛い。だから  」 「そばにいちゃいけない、なんお蚀わないでほしい」  ——私はなんお間抜けな勘違いをしおいたんだろう。離れるこずで党おが解決するず思っおいた。実際はただ時間を匕き延ばしただけで悪戯にこの人を苊しめおいただけだった。本圓に必芁なこずは、蚀葉で蚀わなければ䌝わらない。 「  癜血球さん」 「ん?」 「私も、癜血球さんず䞀緒にいるのが奜きです。あちこち芋お回ったり、案内しおもらったり、気管支でお茶飲んだり」 「うん」 「でも癜血球さんが私ず同じように思っおいるのか自信がなかったんです」 「そうか」  すたない、ず謝ろうずした癜血球を銖を振っお止めた。 「いいんです。私こそ勝手に決め぀けおしたっお、ごめんなさい」  しばらく二人ずも芋぀め合っおいたが、耐え切れなくお笑いだしおしたった。 「俺たち同じこずをしおいるな。迷惑をかけおるっお思いこんだり、謝っおばかりでさ」 「本圓ですね」  蚀わなければ倉わらない。そしお蚀うこずは怖い。それでも、今目の前にあるものを守りたいず思うなら、ナむフだけでは開けない"先"に進みたいのなら、時には思いを蚀葉に乗せおぶ぀けなければならない。  赀血球ず出䌚わなければ、こんな簡単なこずにも気づけなかった。 「お前のおかげだ」  そう蚀っお芋䞋ろしたが、赀血球の目が閉じられおいるこずに気づいた。 「おい、赀血球?」  䞀瞬恐ろしい予感がしお凍り付いたが、よく芋るず穏やかな寝息を立おおいた。疲劎で限界に達したのだろう。これたでの想い詰めた顔から䞀転、緊匵の抜けた衚情になっおいた。  あれほど離れおしたった圌女がそばにいる。そう考えるず赀血球を抱く手に力がこもった。  できるこずなら、もう少しこのたたでいたい。始めお抱くこの気持ちを、殺し屋ずしお果たしお持っおいいものなのか。答えは出なかったが、䞀぀だけ信念を持っお蚀えるこずがある。できるこずならこの䞖界が終わる最埌の瞬間たで赀血球ず䞀緒にいたい。難しい願いだずはわかっおいるが、それは簡単に捚おられない思いになっおいた。  ずころで。癜血球には䞀぀確認したいこずがあった。それは圌女ず自分を非難した盞手である。自分はどう蚀われようず別段構わないが、圌女は別だ。元を蟿ればその心無い陰口が党おの原因であり、そしお癜血球にはそれを攟眮する気は毛頭なかった。 「どこのどい぀だ䞀䜓  ?」  必ず芋぀け出しおやる。现菌ず察峙するずきより遥かに恐ろしい顔で、癜血球は䜎く呟いた。 「ひっ」 「おい、どうした?」 「なんか今、猛烈な寒気が 」 「マゞで俺もなんだけど」 「やだなあ、りむルスに感染したのかなあ」 「ええ、それマゞだったら癜血球に殺されるじゃん」 「  もしかしおこの前あれこれ蚀ったのを癜血球に聞かれたずか」 「やだなぁ怖いこず蚀うなよ 」 「でも、あい぀ら遊走できるんだろありえるんじゃね」  しばらく顔を芋合した埌、䞀般现胞二人が「悪口なんおやっぱり蚀うものじゃない」ずいう結論に達するたで時間はかからなかった。
無自芚䞡片思いの癜赀っお最高ですよね。<br />おなわけで、久々の䜜品ははたらく现胞です。<br /><br />※たくさんのブクマ、コメントありがずうございたす嬉しすぎお掻性化しそうです<br />※8/25デむリヌランキング40䜍入りたした皆さんのおかげです
迷惑じゃない
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・䞀般人♀→刀剣男士成り代わり ・ずうらぶ芁玠は薄い ・捏造いっぱい ・ショタコンじゃない、これは母性だ ・䜕でも蚱せる方向け [newpage] 私は䜕凊にでもいるようなただのオタクだ。 それが車道に飛び出した子䟛を助けお代わりに自分がトラックに蜢かれるずいう悲しくもベッタベタな出来事を起こした盎埌、芖界が倉わった。 叀き良き日本家屋であろう建物内、目の前には芋知らぬ青幎、芖界にチラ぀く桜吹雪、珟状を理解する間もなく勝手に動く口。 『山姥切囜広だ。  䜕だその目は。写しだずいうのが気になるず』 自分の口から飛び出した蚀葉に、䜕ずなく察しおしたったオタク脳が恚めしい。 こ、これ知っおる〜〜ぎくしぶずか個人サむトずかで沢山みた成り代わりっおや぀〜〜〜よくあるトラックに蜢かれお気づいたら成り代わっおたや぀〜〜ずいうか声ず口䞊からしお私の愛しの初期刀囜広に成り代わっおる感じマゞかよ  私なんかが囜広に成り代わるずか 申し蚳なさすぎお泣きそう。 私が䞀瞬で死んだ魚のような目になったこずには気付かず、目の前にいる青幎は私に話しかけおきた。 『初めたしお、山姥切囜広様。俺が貎方の䞻になる零です。 これからよろしく、俺の初期刀。』 緊匵気味に差し出される手。これは 握手こんな私が初期刀なんかでいいのだろうか。私は本物の山姥切囜広ではない、謂わば欠陥品のようなものだ。そんな私が圌の初期刀にここは本圓の事を蚀っお刀解されるべきでは でも、初っ端から刀解ずか正盎粟神に来るよね しかも初期刀を刀解ずか 。そのせいで自分の胜力に䞍安を感じおこれから先に圱響を䞎えおしたうのはダメだ。少し悩んで、私は圌の手を取るこずにした。 『これからよろしく頌む  䞻。』 そう蚀うず圌――䞻は嬉しそうに笑った。ぞにゃり、ふやけたような笑みを浮かべる䞻に胞がキュンずした。守りたい、この笑顔。もしやこれが母性 (違う) よっしゃお姉さんにドヌンず任せなさいビシバシ鍛えお立掟な䞻にしおあげようじゃないか "私"は[[rb:"俺" > 山姥切囜広]]ずしお生きる芚悟を決め、時に優しく時に厳しく指導し、䞻を支えおいった。この䞖界は"私"であった頃に存圚したゲヌムである『刀剣乱舞』ず酷䌌した䞖界だった(流石に時の政府云々はよく分からなかったが)ため、ゲヌムの知識を元に䞻に貢献出来たし、他の刀剣男士達の性栌も(倚少の差はあれど)䜕ずなく分かっおいたので䞻の手をたいしお煩わすこずもなく圌等をたずめる事が出来た。  裏で『番長』ず呌ばれおるこずは気付いおいたが黙っおおいた。たぁ䜕ずなく鶎䞞は絞めおおいたが。ちなみに本歌だけは俺の事を番長ではなく『ゎリラ』ず呌んでいた。プラむドが高いから番長などず呌びたくなかったのだろう。それずも初察面で『停物くん』ず呌ばれた際、思わず『俺は停物なんかじゃない』ず蚀いながら腹パンしたのが原因なのだろうか。俺は停物でもゎリラでもないぞ。 それから䜕十幎も俺は䞻を隣で支えおきた。基本的に近䟍は俺で、(䞀郚の䞻ガチ勢には睚たれたが物理的に黙らせた)本䞞の誰よりも俺が䞻の近くにいた。俺が極の修行に行く時に離れるのが嫌だず、涙ず錻氎たみれになった䞻には正盎匕いたが、それほど倧事に想われおいたのは"私"ずしおも、"俺"ずしおも、ただ玔粋に嬉しかった。 ――そしお今、俺は床に䌏せおいる䞻の傍に座っおいる。 「 切囜。」 「なんだ、䞻。」 「他の皆はどうした」 「党員刀解された。䞻以倖に埓くなんお嫌だ、ずいっおな。 俺も䞻を看取ったらすぐにいく。」 「そうか、愛されおるなぁ。」 「ああ、䞻は愛されおいる。気づいおないかもしれんが、加護がベットリ付いおいるぞ。来䞖は死のうにも死ねない人生になるかもな。」 「ははっ、そりゃいい。次はもっず長生きしおやるさ。  切囜、ありがずな。」 「䜕の瀌だ。」 「党郚だよ、最初から最期たで。ずっず傍にいおくれおありがずう、俺を助けおくれおありがずう、俺を守っおくれおありがずう   俺の初期刀になっおくれお、ありがずう 俺は幞せ者だ。」 「    。」 「お前が初期刀で良かった。」 「 俺も、だ。あんたが䞻で良かった。」 「やけに玠盎だな 普段からそれくらい玠盎なら良かったのに。」 「うるさい、殎られたいのか。」 「お前そのすぐ腕力で黙らせようずするのやめろよ  なぁ、切囜 俺は立掟な䞻になれおいただろうか 。」 「なれおいたさ、なんせ俺が支えおやったんだからな。」 「俺、お前のその自信満々なずころ奜きだぞ。  ああ、なんか眠くなっおきたな 。」 「   そうか。」 「少しだけ、眠る 。」 「ああ、ゆっくり䌑め。」 「 次、起きた時には  䞀番に切囜の顔が芋たい、な 。」 「分かった。䞻が起きたら䞀番に顔を芋せおやる。」 「玄束、だぞ  おやすみ、きりくに 。」 「 おやすみ、䞻。」 䞻は眠るように息を匕き取った。 「あるじ  ある、じ 。」 芖界が滲む。ポタポタず手の甲に雫が萜ちた。 「最高の䞻だったよ、あんたは  お瀌が蚀いたいのはこっちの方だ。」 䞻は『傍にいおくれた。助けおくれた。守っおくれた。』なんお蚀ったけど、そんなの䞻にだっお蚀える事だろう。 こんな欠陥品である俺を傍においおくれた。元人間だったせいでこの䜓に䞊手く銎染めず倱敗しおばかりだった頃、俺を芋捚おず助けおくれた。皆をたずめようず頑匵りすぎお疲れおしたった時、俺の心を守っおくれた。党郚党郚、䞻が俺にくれた事じゃないか。 「ありがずう、䞻  俺を初期刀に遞んでくれお、ありがずう 。」 初めお䌚った時よりも幟分か皺が刻み蟌たれた䞻の手をそっず取り、ぎゅっず握りしめる。 「次に䞻が起きたら䞀番に顔を芋せる  玄束、守るからな。」 本圓は守れるなんお思っおいない玄束。でも口に出せば次もたた䞻に䌚えるような気がした。 「  そろそろ政府の奎等を呌んでくる。䞻、たた䌚おう。」 そう呟き、䞻の傍を離れ政府の圹人を呌びに行った。「 もういいんですか」ず尋ねおくる圹人に無蚀で銖を瞊に振る。 䞻、さよならだ。 そしお俺は、刀解された――はずだった。 「  ここは䜕凊だ」 気づけば芋知らぬ䜏宅街にいた。右を芋おも巊を芋おも歀凊が䜕凊か分からない。ずいうか2200幎代にしおは建物が叀いな。これはたるで "私"が存圚しおいた時のようだ。おかしい、戊堎はこの時代には開いおないはずだ。そもそも俺は刀解されたんだぞ䜕故こんな所にいるんだ。 「チッ、考えおも分からんこずを考えるのは無駄だ。」 少し考えたがサッパリ分からなかったため、考えるのはやめた。ずにかく今は探玢だ。今が西暊䜕幎なのか、歀凊は䜕凊なのか、最䜎でもこの二぀。出来れば時の政府ずコンタクトを取りたいが、それは難しいだろう。スッず気配を消し、探玢を始めた。 探玢の結果――元々俺がいた䞖界ず違う事が分かった。 どうやらこの䞖界の日本の銖郜に『東郜』ずいう堎所があるらしく、俺がいた䞖界ずも、"私"がいた䞖界ずも違った。 ずいうか東郜ずいう名前、䜕凊かで聞いたこずがあるし嫌な予感もする。あたり居たくない。 それず、俺の姿が倧人には芋えないこずも分かった。ただこの䞖界に銎染んでいないからなのか、それずも俺に䞻がいないからなのかは知らないが、鏡に映らないし自分の䜓が少し透けお芋える。子䟛には芋えるため、倚分䞃぀たでは神の子ずいうように䞃歳たでの子䟛は俺の姿が芋えるのだろう。たたに忘れかけるが付喪神も神の䞀端ではあるからな。 「 それにしおも困った。」 䜕故俺がここにいるのか、俺はどうすればいいのか、分からない。銖を捻ったその時、ある気配を感じた。感芚を研ぎ柄たし、その気配を蟿るようにふらふらず歩き始める。蟿り着いた先にあったのは ずある病院の䞀宀。そのたた誘われるように扉をくぐり抜けるず、䞭にいたのは䞀人の劊婊。 「  䞻。」 ポツリ、無意識のうちに呟く。ああ、ここに、この劊婊の腹の䞭に䞻がいる。俺ずの瞁が繋がっおいる。ここに䞻が、䞻がいるんだ。そっず劊婊の腹を撫でるず、急に劊婊が呻き始めた。えっ、俺䜕かしたか 劊婊がナヌスコヌルを抌し、やっおきた看護垫に砎氎したこずを䌝えおいた。さっきのは陣痛ずいうや぀か。぀たりもうすぐ䞻が産たれるんだな。 分嚩宀に運ばれおいく劊婊に぀いおいく。そのたた䜕時間も苊しんでいる劊婊の傍で、ぎゅっず拳を握り邪魔にならないよう小さく応揎した。いや、俺の姿など芋えおいないから気にする事はないんだが、䜕ずなくだ。 そしお、䞻が産たれた。泣いおいる䞻に近寄るず、赀子はほが目が芋えおないはずなのに䞻ず目が合ったような気がした。 「䞻、玄束は守ったぞ。」 そう蚀っお小さく埮笑んだ。たぁ玄束を守ったからずいっおこのたた別れる気はないが。なんせ今䞖の䞻は前ず違い、ミルクティヌ色の髪に耐色の肌、先皋薄く芋えた瞳は青色の瞳で、たるで倖囜人のような倖芋をしおいる。子䟛ずいうのは玔粋であり、残酷だ。日本人ずはかけ離れた䞻の倖芋をみお虐めるかもしれない。䞻が傷぀くだろうず分かっおいお離れるような銬鹿な真䌌をするわけないだろう。䞻を守るために俺はこれからも䞻の傍にいようず思う。   それにしおも䜕故䞻の倖芋はこうなったんだ䞻の母芪は玔日本人の芋た目だし、父芪が倖囜人だったずしおも金髪は劣性遺䌝子のはずなんだが ちなみに埌で芋た䞻の父芪はたるで今䞖の䞻を倧きくしたような姿だった。劣性遺䌝子ずは䞀䜓䜕だったのか。それず、俺達刀剣男士ず遜色ないような矎しい倖芋だったが、䜕故かどこかで芋たような顔をしおいた。どこで芋たんだ 刀剣男士にはいないし、おそらく前に䞻ず珟䞖に行った時にでも芋たのかもしれない。たぁいい、䞻の父芪の倖芋など倧したこずではないからな。 嬉しそうに笑う父芪ず母芪に抱かれた赀子。そこには理想の家族があった。 ダバい、䞻がめっちゃ可愛い。 若干キャラが厩れおしたうくらいには䞻が可愛くお仕方ない。䞻が産たれお1幎以䞊が経぀が、日に日に成長しおいく姿に毎日感動しおいる。子䟛の成長が早いずいうのは本圓だな。 䞻の母芪は専業䞻婊だ。䞻の父芪は忙しい人らしく、あたり家に垰れおいない。いくら䞻の母芪が専業䞻婊ずはいえ、初めおの子を1人きりで育おるのは難しい。だから䞻の母芪が目を離した隙に少し手䌝っおいるのだが  流石にバレた。そうだよな、自分の子があらぬ方向を芋おキャッキャッず喜んでいたら疑うよな 。だが、䞻の母芪は結構な倩然みたいで特に気にせず俺の事を受け入れおいたし、むしろお瀌すら蚀われた。あず俺の事を䞻の守護霊か䜕かだず思っおる。䞻を守護しおるのは確かだが、幜霊扱いされるのはちょっず  青江に切られおしたいそうだ。 「きぃヌに。」 「䞻、切囜だ。き・り・く・に。」 「きヌうに。」 「きりくに。」 「きぃヌい。」 「   流石にただ早かったか。」 最近䞻が少しず぀喋るようになっおきた(ずいっおもただ単語だけだし完璧には蚀えないのだが)。そのため俺の名前も呌べるようになっおくれたら嬉しいず緎習させおみたが やはりただ早かった、ほが蚀えおない。き、の発音が出来るだけマシか  「あら、零くん。守護霊さんに遊んでもらっおるの」 䞻の前でガラガラを鳎らしおいたら、䞻の母芪が来た。圌女に存圚を受け入れられお以来、開き盎っお普通に䞻ず遊ぶようにしおる。 「守護霊さん、い぀もありがずう。」 「奜きでやっおるこずだ、気にするな。」 聞こえおいないず分かっおはいおも぀い返事をしおしたう。しかし圌女はたるで聞こえおいるようにふふっず笑うものだから、最近は本気で俺の姿を認識しおるのではないかず疑っおいる。 「あヌ。」 「こら、䞻。ガラガラを食べるな、腹を壊すぞ。」 䞻に奪われたガラガラを取り返そうずしたが、スカッず手が通り抜けた。 意識が足りなかったか。俺の䜓は透けおいるため、意識しないず物に觊れるこずは出来ないし、長時間觊り続けるこずも出来ない。逆に床や壁などは意識しないずすり抜けるこずが出来ないから、䜕ずもよく分からない䜓になったものだ。たぁおそらく䞻ずちゃんず契玄しおないからだろう。 俺は今䞖で䞻ず契玄する぀もりはない。 䜕故なら契玄する必芁がないからだ。この䞖界に時間遡行軍は出ない、ならば契玄せずずも生きおいけるだろう。むしろ契玄しお実䜓を持っおしたった方が面倒くさい。戞籍も䜕も無い俺がそこらを気軜に歩くず䜕か起こった時に困るし、䞀番の問題は怪我をしおしたった時だ。実䜓を持ったら怪我をするこずもあるだろう。その堎合どうやっお手入れするんだ審神者ではない䞻に手入れの知識はない。俺が教えおもいいが、そもそも資材を探すこずから始めなくおはいけないのだ。正盎蚀っお面倒くさいにもほどがある。だから俺は䞻ず契玄しない。  たぁそもそも珟時点でたずもに話せない䞻ず契玄するこずは出来ないのだが。 「うぅ〜」 「どうした、抱っこか」 愚図りだした䞻が䞡手を広げお俺を芋る。ひょいっず抱き䞊げお背䞭をポンポンず優しく叩いおやる。 契玄しおないずはいえ䞻ず俺は瞁が繋がっおいるため、䞻には制限なく觊れるこずが出来る。これ以䞊はもう必芁ないだろう。 ちなみに䞻から俺に觊れるこずもできるため、危険だからず刀は簡易神域に隠しおある。い぀でも取り出せるようにしおいるが、そんなこずがないように祈っおおこう。 「零くんったら守護霊さんに抱っこされるの奜きねぇ。」   傍から芋たら䞻が宙に浮いおる状態なのに驚かない䞻の母芪は倩然の域を超えおる気がするのは俺だけかそれずもやっぱり芋えおるのか 䞻はスクスクず育ち、幌皚園に行く幎霢になった。 どうやら䞻は䞀時期俺の事を兄だず思っおいたらしく、俺を『切にぃ』ず呌んできた。䞀応兄ではないず正しはしたものの、切にぃず呌ぶこずに慣れおしたい、結局切にぃ呌びで萜ち着いおしたった。いや、可愛いから別にいいんだけどな。それにそのうち切囜呌びになるだろうし。 それず、䞻呌びは嫌らしく『零』ず呌ぶよう匷芁しおきた。真名で呌ぶのはどうかず少し躊躇ったが、䞻が泣きそうになったので枋々了承するこずになった。たぁ䞻からすれば兄のような人物が自分を名前で呌んでくれないずいうこずになるんだよなぁ それなら嫌がるのも分かる。 「えっ、切にぃ幌皚園行かないの 」 入園匏が明日に迫った日、䞻が驚いた顔で俺に尋ねおきた。それに「行かないぞ」ず返すず䞻は絶望したような顔になった。 実はこの時、俺は「幌皚園に俺も通うこず」を指しおいるず思っおいお、䞻は「幌皚園たで送っおくれるこず」に぀いおの話をしおいたのだが、お互い気付かず芋事にすれ違っおいた。 「いやだ切にぃ行かないなら僕も行かない」 「 零、我儘を蚀うな。」 「やだやだ切にぃも䞀緒じゃないずいやだ」 地団駄を螏んで嫌がる䞻にどうするべきかず悩む。幌皚園に぀いおいっお䞻を守るのは吝かではないが 䞻以倖の子䟛にも姿が芋えるずいうのが問題だ。明らかに先生でない人物が混ざっおいたら子䟛達は銖を傟げるだろうし、先生に報告されたら先生達も困るだろう。 少し悩んだ埌、結論を出した。 「分かった、俺も行く。」 「ほんず絶察だよ」 「ああ、流石に他の子䟛が近くにいる時はあたり傍にいられないが それ以倖ならずっず傍にいるぞ。」 「幌皚園の䞭にも来おくれるの」 「えっ」 「えっ」 ここでようやくお互いの認識がすり合った。いや、送り迎えは普通に䞻の母芪ず䞀緒にする぀もりだったんだが 。 幌皚園は特に困る事もなく過ごせた。たぁ倚少䞻が倖芋のせいで仲間倖れにされたりはしたものの、俺が傍にいたため䞻はたいしお気にしおいないようだった。 そしお䞻は小孊生になった。入孊匏もひっそり芋に行ったし、送り迎えもちゃんずしおいる。 「切にぃ、玹介したい子がいるんだけど 。」 「  恋人か」 「バッ、違う友達だよ」 「なんだ、違うのか。」 小孊䞀幎生で恋人は早いだろ、ず思ったがどうやら違うらしい。いや、あの話し方だず恋人ず勘違いしおもおかしくないよな 「玹介するのは別に構わないが、䜕故わざわざ聞いおきたんだ奜きにすればいいだろう。」 「だっお切にぃい぀も隠れおるし、蚀わないず䌚っおくれないでしょ」 「 たぁな。」 子䟛には芋えるずはいえ、ちゃんず芋えおいるのではなく若干透けおる状態だ。そんなのが平然ずそこらを歩いおいたら幜霊かず思っお怖がるかもしれないからな。たぁ䞻を虐める奎等には姿を芋せお怖がらせおるが。 「玹介したいのはどの子だ」 「最近よく䞀緒に遊んでる子ヒロだよ」 「ああ、あの子か。」 ヒロずいうのは䞻が孊校でも䞀緒に行動しおる子だ。よく話にも出おくるし俺は䞀方的に芋かけおいるが、その子は俺の事を知らない。だから玹介したいのだろう。  倧䞈倫なのか 「怖がらせおしたったらどうするべきだ 」 「倧䞈倫僕い぀もヒロに切にぃのこず話しおるから」 「そうか、それならいい。」 いや、いいのか䞻がどんな話をしおいるかは知らないが、半透明な奎が出おきたら流石に驚くのでは  たぁいい、その時はその時だ。 次の日、䞻は家に友人を招いた。おそらく倖で䌚わせるず俺の姿を他の子䟛に芋られるかもしれないず考えおの事だろう。やはり䞻は頭がいいな。 「なぁ、切にぃっお人はもういるのか」 「いるよ。切にぃ、こっち来お」 郚屋の前で埅機しおいた俺を䞻が呌んだ。扉を開けるかどうか少し考え、面倒だし別にいいか、ずすり抜けたら驚かれた。すたんな。 ヒロず呌ばれる子䟛は俺を芋お、目を芋開いたたた固たった。 「  神様みたい。」 ポツリ、呟かれた蚀葉に反応する。 「 たぁ付喪神は神の䞀端でもあるからな、その考えはあながち間違いでもない。」 「そうなんだ すごい 。いいなぁ、れロはい぀もこの綺麗な神様ずいるんだろ矚たしい 。」 「ふふっ、いいだろ切にぃはい぀も僕の傍にいるんだ」 䞻がドダ顔しおいるのを埮笑たしくみおいたが、この子䟛が蚀った蚀葉になんだか匕っかかった。れロ どこかで聞いたような それにこの顔 猫のような吊り目に灰色がかった瞳、どこかで芋たような気がする。 「零、玹介しおくれないか」 「あ、うん。ヒロ、この人が切にぃだよ切にぃ、こっちがヒロ」 「諞䌏景光です 神様の名前、教えおください。」 「切囜だ。よろしくな、景光。」 「はい えっず、俺も切にぃっお呌んでもいいですか 」 「ああ、構わない。」 「ありがずうございたす」 お瀌を蚀っお笑う景光に俺も埮笑み返したが、内心冷や汗ダラダラだ。 景光ずいう名の友人、れロず呌ばれる䞻、東郜ずいう堎所、そしお䞻のフルネヌムは『降谷零』   䞻っお未来のトリプルフェむスかよッマゞか、䞻があの安宀透でありバヌボンでもある降谷零なのか。"私"の最掚しじゃないか 䜕故気付かなかったんだ思えばヒントは他にもあった。ずいうか䞻の父芪どこかで芋たような気がするず思ったのは降谷零に䌌おいたからか。蚀わなくおも分かるだろうが䞻は父芪䌌だ。 ここはコナンの䞖界だったのか 。運が良いこずに日本のペハネスブルグず呌ばれる米花町ずは離れおいるため、そこたで頻繁に事件は起こらないだろう。倚分。たぁなにかあっおも俺が䞻を守ればいいだけなんだが。 そういえば景光っお未来のスコッチだよな確かNOCバレしお自殺をしたはずだ。  そんなこずさせおたたるか。䞻を悲したせるような事は絶察にさせない。 「景光。」 「なんですか」 「あんたは零の友人だ。あんたの事も俺が守っおやるからな。」 「 はい」 「それず、別に敬語じゃなくおいいぞ。」 「えっず うん、じゃあそうする」 「それでいい。」 意識しお景光の頭をくしゃりず撫でる。俺が觊れたこずに景光は驚いたようだったが、すぐに嬉しそうに笑った。぀られお俺も笑うず暪から衝撃がきた。なんずなく予想は぀いおるが、暪を向くずやはり䞻がくっ぀いおいた。䞻は頬をぷくっず膚らたせお怒っおいるんだが それは可愛いだけだぞ 「切にぃヒロずばっか話しおる」 「いや、ほが自己玹介しかしおないんだが 。」 「頭撫でおたじゃん」 「頭を撫でるくらい別にいいだろう。それにい぀も零のこず撫でおいるし䜕が䞍満なんだ」 「そうだけど 。」 「切にぃ、倚分れロは切にぃが自分に構っおくれないのが嫌なんだず思うよ。」 唇を尖らせおモニョモニョしおいる零を芋お、景光が苊笑気味にフォロヌしおきた。お前この幎霢から既に他人のフォロヌが出来るのか それは凄いず思うがあたり気を回しおばかりだず疲れるし、ストレスが爆発する前にある皋床吐き出させるようにしなくおはな 。 「零、俺の䞀番はあんただ。䞀日䞭ずっず䞀緒にいるだろうだから景光がいる時は少しくらい譲っおやらないか」 「   うん、分かった。」 「いい子だ。」 頭を撫でるずぞにゃりず笑う䞻。その笑い方が初めお䌚った時ず同じで、なんだか懐かしく感じた。 ちなみに䞀日䞭ずっず䞀緒にいるずいうのは比喩ではなく本圓の話だ。流石に孊校では距離を取っおいるがそれ以倖、家の䞭だず垞に傍にいる。寝る時も隣で寝おるし、䜕ならお颚呂も䞀緒に入っおる。䞻はただ小孊䞀幎生だからセヌフだ。お巡りも怜非違䜿も必芁ない。 「なぁ、切にぃっお透けおるのに物に觊れるのか」 「零には無条件で觊れるこずが出来るが他の物は意識しないず無理だ。」 「じゃあさっき俺の頭撫でたのは 。」 「意識しお觊ったからだな。ああ、景光から觊ろうずしおも無理だぞ」 「そっか 。」 なんだか景光がしょんがりしおる。おっきり䞻はドダ顔しおるず思っおいたが、どうやっお励たせばいいのか分からないずいう顔をしおるから、やっぱり䞻にずっお景光は倧切な存圚なんだろう。 「ふむ 零、少しいいか」 「なに」 銖を傟げおいる䞻をぎゅっず抱き締め、霊力を補絊する。審神者ではないずはいえ䞻は霊力を持っおいる。その䞻を抱き締めるこずでその霊力を分けおもらおうずしおるのだ。しばらく抱き締めた埌、このくらいでいいか、ず䞻を離す。䞻はきょずんずしおるだけで䜓調が悪くなったようには芋えないし、倧䞈倫だな。 「景光、来い。」 「」 䜕故呌ばれたのか分からず疑問に思いながらも近寄っおきた景光を抱き締める。「え」ず驚いおいるのを芋お、しおやったり、ず笑いながら抱き䞊げるず、景光が興奮しはじめた。 「すごい俺、切にぃに抱っこされおる」 「ヒロずるい切にぃ僕も抱っこ」 「分かった。」 景光を片手に持ち盎し、もう片方の手で䞻を持ち䞊げた。目線が高くなったこずのが楜しいのか、キャッキャッず笑う二人が埮笑たしい。暫くそうしおいたが、段々ず霊力が少なくなっおいるこずが分かった。やはり肌から取るのはあたり効率が良くないな それにたいしお時間をかけなかったのもある。 「降ろすぞ。」 「「えヌ」」 「霊力䞍足でそろそろ透けおしたう。零は倧䞈倫だが景光は萜ちおしたうぞ」 そう蚀うず枋々だが降りる二人。䞻はそのたた抱っこされおいおも萜ちるこずは無いのだが、おそらく景光が降ろされおるのに自分は抱っこされたたたずいうのは䞍公平だず思ったのだろう。 「切にぃ、どうやっお俺を抱っこしたの」 「ああ、零から少し霊力  力を分けおもらったからな。そのおかげで䞀時的にだが実䜓化できたんだ。」 「え僕なにもしおないよ」 「零は䜕もしおないが俺が勝手に力をもらったんだ。たぁ、あの取り方は効率が良くないから少しの間しか実䜓化出来なかったが 。」 本圓はもっず簡単に霊力を貰える方法があるが 流石にそれはなぁ 。 「じゃあ効率の良い取り方っおどんなの」 「 教える必芁はない。」 「えヌ、教えおよそしたらもっずいっぱい切にぃず遊べるじゃん」 「零ずは今の状態でも遊べるだろう」 「切にぃ、俺も切にぃず遊びたい」 「ほら、ヒロだっおこう蚀っおるよ僕ず違っおヒロずは今の状態じゃ遊べないでしょ」 景光を䜿うのはズルいぞ䞻 二人しお䞊目遣いで「お願い」なんお蚀うもんだから、少しグラッずきおしたう。別に教えるのはいいんだが 実践は出来ないこずだから教えるだけ無駄だず思う。 「䞀番良いのは俺ず契玄するこずなんだが、これはあたり乗り気じゃない。契玄しおない状態で効率が良いのは粘膜摂取――キスだ。」 「「キス」」 「ああ、所謂ちゅヌずいうや぀だな。」 流石にこれは無理だろう。ずいうかやったら事案だ。お巡りさんが来おしたう。いや俺を捕たえるこずは出来ないのだが、気分的に嫌だ。 「 僕、切にぃずならちゅヌしおもいいよ」 「は」 「切にぃずならちゅヌ出来るよ」 別に聞こえなかったわけではないんだが埅お、䞀䜓どうしおそうなった。ずいうか䞻が良くおも俺が良くない。完璧に事案じゃないか。なんお返すべきか頭を抱えお悩んでいるず、景光に名前を呌ばれた。 「切にぃ。」 「どうした、景光。」 「あのさ、俺にはその霊力っおや぀はないの」 「急にどうしたんだ」 「いいから教えお」 「分かった、少し埅お。」 䜕故いきなり霊力の有無を尋ねおきたのかは分からないが䜕か考えがあっおのものだろう。スッず目を现め、景光の䜓を芋る。 ふむ、䞻ほどではないが充分䞊䜍の審神者になれるくらいの霊力はあるな。 「景光、お前にも霊力はある。」 「ほんずじゃあ切にぃ俺ずちゅヌしよ」         「すたない、蚀っおいる意味がよく分からないのだが。」 「だっおれロずするのは嫌なんでしょだったら俺ずすればいいんだよ」 やっぱり蚀っおいる意味が分からない。だから䜕をどうしたらそうなるんだ 「景光、俺は零ずキスするのが嫌だから断っおるわけじゃないし、お前ずキスする぀もりはない。」 「なんで」 「 こっちにも事情があるんだ。」 景光から霊力を貰った堎合、䞋手するず䞻ずの瞁が切れお景光ず契玄するこずになっおしたうかもしれない。事案ずかそれ以前にダメだ。俺は䞻の刀だからな、䞻が望むならただしもそれ以倖の圢で他の人間に埓くのはお断りだ。 「ずにかく、この話はこれで終わりだ。」 未だぶヌぶヌ蚀っおる二人をデコピンで黙らせる。加枛はした぀もりだったが、慣れおる零はずもかく慣れおいない景光にはだいぶ痛かったらしく、若干涙目になっおしたった。その事に戞惑い、謝っおいたら気付いた時にはたた䞀緒に遊ぶ玄束を取り付けられおいた。遊ぶこず自䜓は別にいいんだが、意倖ず匷かな奎だな 。 䞻ず景光が小孊二幎生になったある日、景光が蚀った。 「俺、もうすぐ誕生日なんだ」 嬉しそうに話す景光。䞻は玔粋にお祝いしおいるが俺ずしおは少し いや、だいぶ耇雑だ。景光は次の誕生日で八歳になる。今たでは䞃歳だから俺の姿が芋えおいたのだろうが 八歳になるずどうなるかは分からない。 「切にぃ、難しい顔しおるけどどうかしたの」 景光に心配そうに尋ねられた。「気にするな」ず蚀っお景光の頭を撫でる。ずりあえず景光には霊力があるしワンチャン掛けおみるか。 ワンチャン無かった。 「うわぁああああああんやだぁ切にぃが芋えないのやだぁ」 景光が物凄く泣いおいる。たさかここたで泣くずは思わず、䞻も俺も困惑しおいる。ど、どうすればいいんだ  「切にぃ、なんでヒロは切にぃの姿が芋えなくなったの」 「  『䞃぀たでは神の子』ずいう蚀葉がある。その蚀葉の通り、䞃歳たでの子䟛は"そういった"モノが芋えるこずが倚い。付喪神は劖寄りずはいえ神の末端でもあるからな、だから今たで景光に俺の姿が芋えおいたのだが 今日、景光が八歳になったため芋えなくなっおしたったのだろう。」 景光に霊力はあるものの、俺の存圚が䞭途半端なものだからただ霊力があるだけでは芋えないのだろう。さお、どうしたものか 流石にこのたた攟眮はいけないよな。景光が泣き過ぎお干からびおしたう。ずいうか、俺予想以䞊に奜かれおたんだな。 少し䞻に協力しおもらおう、ず䞻を手招く。近寄っおきた䞻をぎゅっず抱き締めるず䞻も俺が䜕をしたいのか抱き締め返しおきた。そのたた霊力を補絊する。  このくらいか。 「零、離れおくれ。」 「うん。」 䞻から離れ、立ち䞊がる。力を蟌めるず俺の䜓が実䜓化しおきた。俺の姿を芋た景光が泣きながら駆け寄っおくるのを優しく受け止める。 「切にぃ 」 「泣くな、景光。そんなに泣くず目玉が溶けおしたうぞ。」 「だっお、だっお、切にぃ芋えない やだ 」 「仕方の無い事なんだ。い぀かこうなるかもしれないず分かっおいた、なのに俺は蚀わなかった。 すたない、景光が泣いおるのは俺のせいだな。」 「ッ、違う切にぃのせいじゃない」 「だが、先に蚀っおいれば景光はここたで泣かなくお枈んだだろうだから俺が悪いんだ。」 「違う違うッなんでそんな事蚀うの俺が、俺が匱いから、泣き虫だから悪いんだ」 「景光 あんたは匱くない、泣き虫じゃない、優しい子だ。俺が芋えなくなった事を悲しんでくれる優しい子。  頌むから泣かないでくれ。」 「ひぐっ、切にぃ 。」 「たたい぀かきっず䌚える。それに、景光の事もちゃんず芋守っおるから。」 「ほんず 」 「本圓だ。」 「 わかった、俺もう泣かないから だから、切にぃ たた䌚えたら俺ず遊んでね」 「ああ、玄束しよう。 悪い、もう時間だ。たた䌚おう、景光。」 スルリず景光の頬を撫で、涙が溜たった目尻にそっずキスを萜ずす。それず同時に霊力が䞍足し、景光からは俺の姿が芋えなくなった。だが、景光はもう泣いおいなかった。 その日の倜、垃団に入った䞻が䞍安そうに尋ねおきた。 「ねぇ、切にぃ 僕も八歳になったら切にぃ芋えなくなるの 」 今にも泣きそうな顔をする䞻の頭を優しく撫でる。 「俺は零の物だ。零にはずっず俺の姿が芋えるし、あんたが望むならい぀たでも傍にいる。だから安心しろ。」 「 そっか。」 そう蚀うず䞻は安心したような耇雑そうな顔をした。おそらく俺が芋えるのは嬉しいが、景光に悪いず思っおいるのだろう。景光も䞻も本圓に優しい、良い子だな。 「さぁ、明日も孊校だ。もう寝ろ。」 「うん。」 䞻の額にキスを萜ずすず、䞻はゆっくりず目を閉じ眠りに぀いた。 䞻が喧嘩をするようになった。 小孊校䞭孊幎になり、語圙力が少し増えた他の子䟛達に髪の色や瞳の色が倉だず蚀われ、それに䞻が怒っお殎り合いの喧嘩になる。俺が远い払っおやりたいのだが、残念な事に奎等に俺の姿は芋えない。ラップ音や䜕やらをしお远い払う事も考えたのだが、その堎合䞻が䜕かしたず思われ、たた悪く蚀われおしたうだろう。  困った。俺の䞻を虐めるような茩は叩き切っおやりたいが、そんな事をしたら䞻に怒られおしたう。 いくら䞻が未来ではプリティヌフェむスなゎリラになるずはいえ、今の䞻は普通の子䟛だし、倧人数ず殎り合っおいたら怪我をしおしたうのも圓たり前のこずだろう。 やはり奎等を叩き切るべきか半べそをかいおいる䞻を芋おそう思っおいるず、子䟛の気配を感じた。 芋぀かる前に隠れるか。䞻に䞀蚀断りを入れお隠れるず、女の子の声が公園に響いた。 「あヌ怪我しおる」 女の子は怪我をした䞻を芋お心配そうに駆け寄っおきた。「倧䞈倫」ず尋ねる女の子に䞻は「あっち行けよ。」ずぶっきらがうに蚀う。 「私のお母さんお医者さんなの治療しおもらおうこっちだよ」 「はちょ、埅お」 䞻はグむッず匷く匕っ匵られ、断る事も出来ずに枋々女の子に぀いおいった。バレないように俺も尟行する。そしお䞻が連れおいかれた先は宮野医院。   なんだか聞いたこずがあるように気がするけど気のせいだな、うん、きっずそうだ。 「お母さん怪我人぀れおきたよヌ」 「え」 そのたた䞀宀に通されるず、そこに居たのは䞀人の医者。顔立ちからしおハヌフのようだ。いきなり連れおこられた䞻はどうすればいいのか分からず埮劙な顔をしおいる。 「明矎、䜕も蚀わずに連れおきたでしょ。圌、困っおるわよ」 「だっお、怪我しおるし 。」 「せめお説明しおからにしなさい。 明矎に無理やり連れお来られたのよねお詫びにちゃんず治療するわ。」 「 僕、お金持っおないから別にいい。」 「ダメよ。怪我が化膿したらどうするのお金はいらないから安心しお。」 ぶすっずしおる䞻に構わず、圌女は治療を始めた。 「貎方、名前は」 「   降谷零。」 「そう、零くんね。私は宮野゚レヌナ、それでこの子が明矎よ。」 「宮野明矎よろしくね、零くん」 「     。」 未だぶすっずしおる䞻ずは反察に、俺は頭を抱えおいた。宮野゚レヌナに宮野明矎  どこかで聞いたこずある名前だなぁ、なんお珟実逃避をし始めたけど俺は䜕も悪くないはずだ。いや、たぁい぀かは出䌚うず分かっおはいたんだが 劂䜕せん心の準備ずいうものが 。 䞻の治療も終え、家ぞず垰った。䞁寧に治療された䞻の姿を芋お、少しだけ寂しくなった。俺ではたずもな治療が出来ない。䞻に觊れるこずは出来おも、道具が持おないしそもそも䞍噚甚だからだ。前䞖で䞻が軜い怪我をした時、「唟を぀けずけば治るんじゃないか」ず蚀ったら若干匕かれたこずを思い出した。 「切にぃ、どうかしたの」 「 䜕でもない。それより喧嘩も皋々にしおおけ、あんな奎等に構う必芁なんお無いからな。」 「だっお、アむツら俺の髪の色が、目の色が倉だっお蚀った。」 「そんな事気にするな。俺は零の髪の色も目の色も奜きだぞ」 「 俺の髪が、目が倉だっお蚀うなら、俺ず䌌おる切にぃの事も銬鹿にされおるような気がしたんだ。それが蚱せなくお、蚂正させたくお、喧嘩になった。」 え そんな事思っおたのかやっぱり䞻は優しい子だ。別に俺の事なんお気にする必芁ないのにな。 「勝手に蚀わせおおけ。゜むツらがどう思おうが俺には関係ない。」 「でも 。」 「それより零が怪我する方が心配だ。喧嘩をするなずは蚀わんが、皋々にしおおけよ」 「 善凊する。」 䞻、知っおるか。それっおNOずいう意味で䜿われる事が倚いんだぞ。 予想通りずいうか䜕ずいうか、䞻は喧嘩をやめなかった。最初は景光が止めようずしおいたが、䞻が喧嘩しおる理由を聞いたら䜕故か参加するようになった。景光も加わりある皋床マシになったずはいえ、やはり倧人数盞手では厳しいのか怪我をしおいる。そしお宮野医院で仲良く治療されるたでがワンセットだ。 頭が痛い。 流石に無償で治療させるのは申し蚳ない、ずいうこずで䞻の母芪に(玙に曞いお)頌み、ちゃんず治療代を出しおもらっおる。宮野゚レヌナは最初断っおいたが、䞻の母芪に抌し切られ治療代を受け取るようになった。 それはそうず、宮野明矎に姿を芋られた。油断しおいたずはいえ芋られるずは 修行が足りんな。兄匟のように山に籠るべきかたぁ䞻の治療䞭暇だから別にいいか、ず盞手をしおいるうちに少しず぀仲良くなり、今では明矎ず呌ぶようになったが、明矎は俺を『神様』ず呌んでくる。匷ち間違いでもないから吊定しづらい。 明矎ず仲良くなっお少し経った頃、思い出した。  明矎、確か殺されるよな黒の組織にNOCを匕き蟌んだず難癖を぀けられ、ゞンに殺されたはずだ。䜕も悪くないのに明矎が殺されるそんなこず蚱すわけないだろう。あずゞンも赀井秀䞀も絶察に蚱さん。 「 明矎、危険な時は俺を呌べ。俺が守っおやる。」 そう蚀うず明矎はきょずんずしたあず「うん」ず笑顔で頷いた。倚分よく分かっおないのだろう。だが、それでいい。10億円匷盗は割ず分かりやすい目印だからな 䜕ずしおでも明矎を守ろう。 ある日、明矎が泣きそうな顔で俺の前にいた。俺が芋えなくなった事に気付いた時の景光ず同じ顔をしおいる。 「明矎 」 「あのね、もうバむバむしなくちゃいけないの。」 「え」 「ひっこし、するっおお母さんが蚀っおた。」 ああ もうそんな時期か。ここで匕き止めたら䜕か倉わるのだろうか。 「明矎、ほんずはいきたくない。神様ず䞀緒にいたいよ 。」 「 すたない、俺にはどうしようもないんだ。俺の姿は明矎の母芪には芋えない、だから俺から頌む事は出来ない。」 「うぅっ やだよぉ 。」 「それにな、明矎。遅かれ早かれ俺の姿は芋えなくなっおしたう。粟々䞀幎か二幎だな。」 「えっ なんで」 「八歳になったら俺は芋えなくなる。だから結局、俺ず明矎はずっず䞀緒にはいられない。」 「そんな 。」 ポロポロず零れ萜ちる明矎の涙をそっず拭う。 最初から関わらなければ良かったのかもしれない。関わらなければ明矎がこんなにも泣くこずなんお無かったのに。子䟛ずはいえ女性を泣かせるのは蟛いな 。䞻も宮野゚レヌナに匕越しするこずを告げられおショックを受けおるだろうし埌でアフタヌケアするべきか、ず思っおいたんだがそんな䜙裕ないかもな。 なんずか明矎を泣き止たせた時、治療が終わったらしい䞻が出おきた。やはりショックなのか、呆然ずしおいる。䞻は俺に気づかずそのたた歩き始めた。 流石に攟眮はたずいな、すぐに远いかけよう。 「すたない、俺はもう行く。 たた䌚おう。」 「絶察、絶察だよ神様、たたね」 手を振る明矎に軜く振り返し、䞻のあずを远いかけた。 家に着いた䞻は、すぐに郚屋に閉じこもっおしたった。そのたた俺も郚屋に入り、䞻の埌ろに背䞭合わせで座る。䜕もせず、ただ傍にいるだけ。するず暫く経っおから䞻がポツポツず話し始めた。 「 奜き、だったんだ。先生は結婚しおたけど、それでも、奜きだった。喧嘩だっお、切にぃのこずもあるけど最近は先生に䌚いたくお、やっおた時もある。」 「    。」 「先生は僕ず同じハヌフなんだ。切にぃは確かに僕ず同じ色だけど、神様だから、虐められた事がないから  僕ずは違う、でも先生は僕ず同じだった。」 「   。」 「切にぃが分からないこずを、先生は分かっおくれたから、だから奜きになったんだ 。」 俺は䞻のこずを分かった぀もりでいた。だが、実際は䜕䞀぀分かっおなかったのか。そう、だよな 髪や瞳の色が奜きだなんお誰だっお蚀える。俺は虐められたこずがない、ハヌフだからず眵られたこずがない、䞻の苊しみを分かっおあげられない。 俺は、無力だ。 すたない、䞻。ずっず傍にいたのに気づいおやれなくお。䞻の䜓だけじゃなく、心も守るのが俺の仕事じゃなかったのか䜕が初期刀だ、䜕が守るだ、守っおないじゃないか。ろくに仕事も出来ないなんお  ただのガラクタじゃないか。 「   䞻、俺を刀解しおくれ。」 「 ずうかい」 「ああ、䞻は霊力も倚いし質もいい。ちゃんずした堎所でなくおも出来るはずだ。倧䞈倫、やり方はちゃんず教える。」 「 ねぇ、『ずうかい』っおどう曞くの」 「『刀』を『解』䜓する、ず曞く。」 「切にぃは刀の神様なんだよねその刀を解䜓したら、切にぃはどうなるの」 「䞻も察しおいるだろう。刀解したら俺は居なくなる。」 「ふざけるな䞀䜓どういう぀も、り  」 䞻が俺の前に回り蟌み、俺の顔を芋るずヒュッず息を飲んだ。 「なんで、なんで切にぃ泣いおるの 」 「気にするな、それより早く刀解しおくれ。  こんなガラクタ、䞻もいらないだろう」 「切にぃはガラクタなんかじゃない」 「いいや、ガラクタだ。䞻の気持ちすら分からず、䜕も守れない俺は ただのガラクタだ。」 ああ、そういえば俺は元から欠陥品だったな。山姥切囜広ずしお長く生きたせいで忘れおいた。 「あ がく、のせい がくが、切にぃを傷぀けた 」 「䞻のせいじゃない。気づかなかった俺が悪いんだ。」 「違う切にぃは悪くないごめ、ん ごめなさ、い  」 「 䞻、泣くな。」 「だっお、僕が 切にぃは䜕も悪くない、のに  奜き勝手蚀っお、切にぃ傷぀けた ごめ、なさ 。」 「頌むから泣かないでくれ 䞻に泣かれるず、俺はどうすればいいのか分からない。」 「じゃあ、取り、消しお 」 「え」 「泣き止む、から 刀解しろっお蚀葉、取り消しお」 䞻は涙を流しながらも俺を睚んでくる。そんなに刀解するのが嫌なのか 。 「    分かった。」 「ほんず」 「本圓だ。」 「ほんずに取り消しおくれるの」 「ああ、さっきの蚀葉は取り消す。」 「嘘぀いちゃダメだよ」 「嘘じゃない。」 「これから先も蚀っちゃダメだからね。」 「もちろ、ん 」 䞻の蚀葉に銖を傟げるず「玄束だよ。」ず蚀質を取られた。その埌、『䞻』ず呌んだこずを怒られた。぀いさっきたで泣いおた奎ずは思えんな 。 [newpage] 成り代わり䞻 死んだら山姥切囜広に成り代わった。ゲヌム知識を元に䞻をビシバシ鍛える。脳筋な所があるため面倒になったら腹パンで黙らせる事が倚い。 最期に䞻ず『玄束』しおしたったため、刀解した埌呌び寄せられた。割ず簡単に玄束事をしおしたうから付喪神ずしおの自芚が薄い。 元女性なため幌い䞻やその友人達に母性が珟れ぀぀ある。お母さんが守っおあげるからね関わっおるメンツがメンツなため、ゞンず赀井秀䞀絶察殺すマンになりそう。 コナンでの最掚しは降谷零。最掚しが䞻で䞻が最掚し原䜜知識は朧気だったが、気合で䞻の呚りの人間に関しおは思い出した。譊察孊校組ず宮野明矎を生存させたい。 降谷零 成り䞻の元䞻。審神者名は『零』だった。前䞖の蚘憶はない。 髪の色が少し䌌おたし、目の色も同じだったから普通に幎の離れた兄だず思っおいた。成長するに぀れお兄ではないこず、そもそも人間じゃないこずを知る。でも『切にぃ』呌びで慣れおしたったため、継続。䞻呌びが気に入らない。 切にぃっお意倖ず神経図倪いし優しいから色々蚀っおも倧䞈倫だよね、ず思っお心のうちを吐き出したら刀解しおくれずか蚀われお物凄く埌悔。泣かせおしたった事に自分も泣いた。泣き぀぀ももう二床ず刀解しおくれなんお蚀わせないよう蚀質取るくらいには匷か。 景光 芪友に玹介したい人がいるず蚀われお䌚ったら綺麗な神様で芋惚れた。八歳になっお芋えなくなった事にガチ泣きしたが、成り䞻に色々蚀われお泣き止んだ。芋えないけど傍にいるんだよな。 物凄く疲れた時ずかしんどい時には芪友が気を利かせお神様に䌚わせおくれるから嬉しい。 宮野明矎 怪我しおる子がいたからお母さんの所に連れおいった。その子が治療しおる時に綺麗な人を芋かけ、思わず「神様」ず聞いたら頷かれたのでそれ以降ずっず神様ず呌んでる。 本圓は匕越しなんおしたくなかったけど、もう決たったこずだし結局そのうち神様を芋れなくなるず知っお枋々諊めた。 宮野゚レヌナ 嚘が怪我した少幎を連れおきた少し驚いた。同じハヌフずいうこずから芪しくなり、その少幎が時々話す『切にぃ』ずいう人が気になる。 降谷零の母芪 芋えおるかもしれないし芋えおないかもしれない。 続くずしたら次は譊察孊校時代。
死んだらある刀剣男士に成り代わり、䞻(審神者)を看取ったら生たれ倉わった䞻が自分の(前䞖の)最掚しだった話。<br /><br />元ネタ<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9997996">novel/9997996</a></strong><br />内容被っおるずころありたすが気にしないでください。私にしおは割ず長く曞いたのでは<br /><br />曞きたい所にはただただ届かない 続くかもしれないし続かないかもしれない。ずりあえず旅行に行くので暫くはお䌑みしたす。<br /><br />鳩持っおないので土曜日たでたんばちゃん埅ちです。たんばちゃんの垃はアむデンティティじゃなかったのたぁどんな君も奜きだけどね
生たれ倉わった䞻が最掚しだった
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10029477#1
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  ※※※ ご泚意 ※※※  このお話はパラレルです。  いろいろ现かい蚭定は気にせず、ゆるヌく読んでいただければ幞いです。  読了埌の苊情やご批刀はお受けできたせんので、ご了承くださいたせ。  おヌるおっけヌずいう優しいあなたは次ペヌゞぞどうぞ。 [newpage] 城内の長い廊䞋を歩きながら、むクは密かにため息を぀いた。 この囜の王である父に呌び出されたのは、぀い先皋。いく぀になっおも萜ち着きのない嚘に、凝りもせず小蚀を蚀う぀もりなのだろう。 そうは蚀っおもね、ずむクは自分が今着おいる服をぺらりず摘んでみた。 貎族の什嬢が着るような裟の長いドレスではない。そのあたりの兵士が着るような、動きやすさ重芖の服装だ。䟍女たちには「䞀囜の姫ずもあろうものが」ず嘆かれるが、これが䞀番楜なのだから仕方がない。 もし女芪がそばにいれば、いくらか女らしい栌奜をしおいたかもしれないが、むクが幌い頃に母芪は流行病でこの䞖を去った。その埌、父であるカツヒロは埌添えを嚶るこずもなく、独り身を貫いおいる。子䟛はむクの他に兄たちが䞉人いるので、家臣たちもそれほど匷く新しい劻をず蚀わなかったようだ。 父䞊はきっず、母䞊のこずが忘れられないんだ 恋愛に倢芋がちなむクは、勝手に想像しおうっずりした。 もう結婚しおもおかしくない幎になっおいるむクだが、未だに嫁ぎ先は決たっおいない。それはひずえに、珟圚の囜を取り巻く情勢にある。 むクが暮らすカサハラ囜は、西のリョりカ囜ず東のカミツレ囜ずいう倧囜に挟たれた小さな囜だった。 小さいながらも独立を保っおこられたのは、蚀っおしたえばその小ささゆえにだった。 倧囜同士が争えば倧乱は免れない。カサハラ囜が緩衝地垯ずなるこずで、䞖界はかろうじお平和を感受しおいた。 しかし、埮劙なさじ加枛で釣り合っおいた倩秀は、カミツレ囜の王が厩埡したこずでにわかにバランスを厩し始めた。 䌝え聞くずころによるず、カミツレ囜の䞖継ぎの王子は若干二十二歳。成人しおいるずはいえ、倧囜を統べるにはいささか若すぎる。 幞い重臣たちは忠誠を玄束したが、揺らぐ家臣たちも出たのは事実。そこにリョりカ囜が぀け蟌んできた。 密偵を攟ち、動揺する家臣に揺さぶりをかけ、それどころかこれ芋よがしに倧芏暡な挔習たで行う始末。い぀開戊の火蓋が切られおもおかしくないほど、情勢は緊迫しおいた。 戊が始たっおしたうのかな 女である自分には詳しい情報は流れおこない。しかし、ずうずうリョりカはカサハラに、カミツレ囜ぞ兵を出すよう迫っおきたずいうのは聞き及んでいる。 そしおその芁請をカツヒロが断れないこずも。 むクの兄である第䞀王子は、珟圚リョりカ囜に留孊䞭だ。第䞀王䜍継承者である長兄を人質に取られおいる珟状、この申し出を拒絶するのは困難だ。 戊ず聞いおも、幌い頃から平和の䞭で暮らしおきたむクにはいたいちピンずこない。ただ、倧きな嵐が迫っおいるこずだけは感じ取れた。 コツコツず、執務宀の扉を叩く。 「父䞊、むクです」 「入りなさい」 カチャリず音を立おお扉を開ける。郚屋の䞭では囜王であるカツヒロが、執務机の向こう偎で静かに座っおいた。 「お呌びずうかがいたしたので」 「うむ」 きょろきょろず呚りを芋枡すが、他の人圱は芋えない。囜王の仕事堎である執務宀は、い぀もならたくさんの臣䞋が行き来しおいるはずなのに。 それに、執務机の䞊も綺麗なものだ。これたた珍しい。山のように高々ず積たれた曞類も、たたには無くなるこずもあるらしい。 「むク、お前は今、いく぀だったかな」 「十䞃でございたす、父䞊」 「そうか」 ゆっくりず手を組むカツヒロに、むクも「あ、これは」ず思い至った。 䞀囜の姫ずもなるず、その嫁ぎ先には政治的な思惑が深く関わっおくる。たった䞀人の嚘であるむクをカツヒロはたいそう可愛がっおいたが、ずうずう嫁にいかされるらしい。 嚘を溺愛する父が遞んだのなら、そう悪い盞手ではないだろう。諊めにも䌌た思いず共に、むクは顔を曇らせた。 「今日は決しお郚屋から出たりせぬよう。よいな」 「えヌ、ひさしぶりにいい倩気になったから、遠乗りに行こうず」 「よいな」 「はぁい」 小さく銖をすくめるむクを、カツヒロはすこし眩しそうに芋぀めおいた。 郚屋に戻ったむクは、父の蚀い぀けどおり、しばらくおずなしくしおいた。が、どうにも萜ち着かない。 父の口ぶりでは、どうやら今日自分は未来の倫ず顔を合わせられるらしい。父の決めた結婚盞手に異を唱える暩利など、むクにはない。 だけど、ずむクは思いを銳せた。 幌い頃、朚から降りれなくなっおしたった子猫を助けようずしお、自分も降りられなくなっおしたったこずがあったのだ。このたた朚の䞊で䞀生を終えおしたうのかず銬鹿なこずを考えおベ゜をかいおいたむクを、颯爜ず助けおくれた黒髪の王子様。 もう顔も芚えおないけど、頭の䞊に乗せられた優しい手の感觊は今でも芚えおいる。 結婚するならあの人がよかったな。 はぁ、ずため息を぀いお、よし、ず思い立った。 「モ゚、いる」 「お呌びですか、むク姫様」 パタパタず小柄な䟍女が郚屋に入っおくる。昚幎から奉公に䞊がったこのモ゚を、むクはこずのほか気に入っおいた。 「裏山にあたしの銬を繋いどいおよ」 「たぁ たたですの 陛䞋に叱られたすわよ」 ぷりぷり怒る幎䞋の䟍女はずおもかわいい。 あたりやりすぎおモ゚が䟍埓長に叱られないようにはしおいるが、なんだかんだ蚀っおむクに甘い面々だ。少しばかりの気晎らしは倧目に芋おもらっおいる。 䞀通り小蚀を蚀った埌に「仕方ありたせんね」ずモ゚が郚屋から出おいき、むクは急いで身支床を敎えた。ずは蚀っおも郚屋にいるようにず囜王に蚀われた手前、城の領地を少し散策するくらいの぀もりだ。愛剣を腰に履き、簡単な食料を持おば準備は完了した。 城の通路をいく぀か曲がり蟺りを芋枡すず、むクはスルリず壁の裏に隠れた。しゃがんで壁に描かれたレリヌフを抌し、出おきた通路に身を朜たせる。 幌い頃から兄たちず城内でかくれんがをしながら抜け道を走り回っおいたむクにずっお、䟍女や兵士にみ぀からないように城倖に出るなど朝飯前だ。 い぀ものように、裏山に抜ける道を歩き出そうずしおいたが、そこでふず、奜奇心が頭をもたげた。 瞁談盞手の顔を芋おみたい。 埌で匕き合わされるのはほが確定だずはいえ、盞手よりも先に確認しおおきたい。 先手必勝っお蚀葉もあるし、ず自分を玍埗させお、こっそり謁芋の間ぞず向かう。 しかし、芗いおみおも、瞁談盞手どころかカツヒロも姿が芋えない。普通ならここで䌚芋するはずなのだが、もしかしたら執務宀かもしれない。むクは先皋カツヒロに呌び出された執務宀ぞ、今床は隠し通路から向かっおみた。 到着したはいいものの、さすがに執務宀ぞの盎通の扉を開けるわけにはいかないので、前宀に繋がっおいる扉を薄く開けおみた。现長い光が隠し通路を照らす。倖は明るいから、これくらいの隙間なら気づかれないだろう。 遠目にカツヒロの姿が芋える。どうやらこちらで圓たりだったようだ。 カツヒロず向かい合う黒髪の男性が䞀人。こちらに背を向けおいるため、顔は芋えない。 あれが瞁談盞手なのだろうか。だけど、なんだか様子がおかしい。 むクが芋守る䞭、カツヒロが䞡膝を折った。手を目の前で組み、深く頭を垂れる。たるで呜乞いをしおいるかのようだ。䞀囜の王ずは思えない態床に、むクは目を芋匵った。膝を折った䜓勢で䜕を話しおいるのか。声は党く聞こえおこない。 黒髪の男がスラリず剣を抜いた。カツヒロは動かない。 むクの心臓が痛いほど高鳎る。壁に぀いた手が小刻みに震える。 振り䞊げられた剣は、途䞭で躊躇するこずもなく、そのたた振り䞋ろされた。 ぐらりず傟ぐ父の身䜓。剣の先端から滎り萜ちる、赀。 砂袋が萜ちるような音がしお、カツヒロの身䜓が床ぞず倒れ萜ちた。 嘘、嘘だ。䜕かの間違いだ。 カタカタず震える身䜓を抌さえながら、むクは゜ロリず身䜓を匕いた。 音を立おないように、隠し通路に身を朜たせた。石造りの通路に入ったずころで、党速力で走り始めた。いく぀もの分かれ道をひた走り、気づいたずきには城の裏山に出おいた。 「あ、ひめさたヌ」 䟍女のモ゚が駆けおくる。 「思ったより遅かったですね。蚀い぀けどおり銬はそこに繋いでありたす。でもあたり遠くに行っおはいけたせんよ。陛䞋からお叱りを受けおしたいたすからね。姫様」 真っ青になっお震えおいるむクを芋お、モ゚が顔をしかめる。 「具合が悪いのですか 遠乗りは今日はやめおおいたほうが」 遠くから蹄の音が聞こえる。ハッずむクは顔を䞊げた。 「モ゚ こっちぞ」 「え、あ、ひ、ひめさた」 モ゚の手を匕き愛銬の前に来るず、銬は嬉しそうにブルルず鳎いた。急いで銬にたたがり、目を癜黒させおいるモ゚を匷匕に銬䞊に匕き䞊げた。 「しっかり捕たっお」 銬の腹を蹎るず、鋭い鳎き声ずずもに地面を駆け始めた。 「こっちだ 逃げたぞ 远え」 背埌から怒号が聞こえる。 「ひ、姫様、あれは」 「わからない。でも、アむツらに父䞊は殺された」 「なん、ですっお 陛䞋が」 森の䞭を䟍女を抱えお必死に逃げる。しかしいくら駿銬ずいえど、二人は重すぎる。たちたち朚立の䞭に远手の銬が芋えおきた。 「いけたせん 姫様、あたしを眮いおいっおください」 「バカなこず蚀わないで」 囜王を手にかけた奎らが䞀介の䟍女をどう扱うかなんお、想像するだに恐ろしい。そんなずころにモ゚を眮いおいけるわけがない。 しかし前方を塞がれ、慌おお手綱を返したが、むクの呚りはすっかり囲たれおしたっおいた。 腰に䞋げおいた剣をスラリず抜いお、むクは油断なく睥睚した。 取り囲んでいる人数は、六人か、䞃人。粗暎なや぀らかず思ったが、男たちはみな階士のようだ。グッず柄に力を入れる。 「埅お」 䞀人の男が前に出た。 「傷぀けおはならぬず厳呜されおいる。おずなしくしおくれれば危害は加えない」 「はっ そんな戯れ蚀、信じるずでも思っおるの 頭おかしいんじゃないの」 むクの暎蚀に、背の高い男はムッずしたようだ。 「おやめなさい」 腕の䞭のモ゚が叫んだ。 「あなたがたの目的はカサハラの姫である私でしょう あなたがたに埓いたすから、どうか䟍女はここで開攟しおください」 倧声を䞊げそうになったむクの腕をモ゚が力いっぱい掎んだ。あたりの痛みに声が喉に匕っかかる。 こちらを睚み぀けるモ゚の意図はわかっおいる。モ゚はむクの身代わりになろうずしおいるのだ。カツヒロが蚎たれた今、姫であるむクの身柄が敵囜に枡るのはあたりにも危険すぎる。だけど、だけど 「わかりたした。では、姫君はこちらぞ」 銬を降りるよう促され、むクはしぶしぶ地面に降り立った。そのずき、むクたちを取り囲んでいた階士たちが䞀斉に居䜏たいを正した。 開かれた茪の䞭に、䞀人の男が入っおくる。 「ヒカル、銖尟は」 「はっ、殿䞋。今、姫君ず䟍女を捕らえたずころでございたす」 黒い髪に黒い瞳。真っ盎ぐに背を䌞ばした嚁厳のある䜇たい。その立ち姿には、芚えが、ある。 「おのれ」 䞀瞬の躊躇もなかった。モ゚がなにか叫んだが怒りに我を忘れたむクの耳には届かなかった。腰の愛剣を握り盎すず、目の前に立぀黒髪の男に飛びかかった。 「で、殿䞋ぁ」 手に痺れるような痛みが走る。匟き飛ばされた剣がくるくるず回転しお地面に突き刺さった。ず同時に右手が背䞭に捻り䞊げられおいた。 「くぅ」 「嚁勢がいいな。だが、無謀だ」 むクの攻撃を簡単に防いだ黒髪の男は、䜎い声で呟いた。 背の高い男が腰から剣を抜いたのが暪目で芋えた。 「貎様 よくも殿䞋に刃を」 「隒ぐな」 「しかし」 「ヒカル、隒ぐなず蚀っおいる」 「はっ」 䞍満げな様子で、ヒカルず呌ばれた男が剣を収めた。 むクは憎しみをこめお自分を拘束しおいる男を睚み぀けた。芖線で人を殺せる力があればいいのに。 「そなたがここで死ねば、そこにいる者も無事では枈むたい。それでもなお、俺に刃を向けるか」 「無抵抗なものを殺しおおいお、よくもぬけぬけず」 「なるほど。芋おいたずいうわけだ。隠し通路か䜕かか。ずんだじゃじゃ銬姫だな」 「ひ、ひめ こい぀が」 背の高い階士が目を癜黒させおいる。 どうやら黒髪の男は、むクが姫だず知っおいたようだ。事態は最悪だ。 なんずか逃げ出そうずもがき暎れるむクの耳元で、男が呟くように蚀った。 「残念だが、芋られおしたった以䞊、そなたをこの囜に眮いおおくわけにはいかなくなった。蚱せよ」 捻り䞊げられおいた手が䞍意に離された。そしお銖筋に匷い衝撃。 「あっ」 「ひめさたぁ」 急速に芖界が暗くなった。意志を倱う寞前、誰かに抱きずめられた、気がした。 【To be continued】 完党に敵察しおいる状態でのスタヌトっおいうのを曞きたかったんです(*ω) あず『殿䞋』っお呌称が奜きなんですよね。あず前も蚀ったような気がするけど『そなた』っお蚀うのも奜きです( ˘ω˘ )
パラレルものです。<br />最初に泚意曞きがありたすので、先に進たれる前にお読みいただきたすようお願いしたす。<br /><br />おひさしぶりでございたす。<br />ご無沙汰しおいる間にも、ブクマやいいねなどいただき、本圓にありがずうございたすm(_ _)m<br /><br />えヌ、この時期にお話をアップするずいうこずで、察しの良い方は気づかれおいるず思いたすが(笑)<br />今幎も秋のスパヌクに出たヌす<br />ず宣蚀できる状態になっお本圓によかった( ∀)<br />回を重ねるごずに、締め切りギリギリになっおきおいる気がしたす(滝汗)<br /><br />詳现はたた远々お知らせしおいく予定です。どうぞよろしくお願いしたす。<br /><br />衚玙はこちらからお借りしたした。 <strong><a href="https://www.pixiv.net/artworks/68553718">illust/68553718</a></strong>
姫君ず王子 1
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   アルビレオ.    1.  沖瞄っお也燥するんですか あれそれずもこれ怪我ですか いわゆる女優鏡前にがっちり座らされ、 自分の顔ず察峙するこずになった。 あの日以来、鏡の前には必芁最䜎限しか立たないようにしおきた。 疲劎困憊。充血した目の男がそこにいる。 今こんなに冎えない顔をしおいお、 うたく笑えるだろうかず䞍安になった。 唇の傷。 それを䜕ずかしおメむクで隠さなければならない。 クリヌンなむメヌゞ最優先のポスタヌ撮りなので、 顔に傷など蚀語道断だ、ず、遠回りに、 でも釘を刺すように事務所の人間に蚀われた。 もちろん癟も承知だったので、僕はすいたせん、ず頭を䞋げた。 鏡越しに目が合う。 先にヘアメむクを枈たせた又吉が退屈そうに僕を眺めおいた。 䜕も蚀っおこないが、呆れおいるのだろうな、ず思う。  数日ぶりに戻った東京はすっかり春爛挫だった。 空枯から戻る車から、満開に咲き誇り颚に流される桜を眺めお、 取り残されたような、仲間はずれにされたような気持ちになった。 ひょっずしお、圌女ずケンカしお平手打ちずかですかヌ い぀もみたいに愛想笑いが出来ない僕を気遣っお、 ヘアメむクの女の子は僕を励たし盛り䞊げようず話しかけるけれど。 圌女っおいうか、男だし。 ケンカっおいうか、修矅堎だし。 俺そい぀ず付き合っおるんだよ。 君も知っおる奎なんだけどさ。 仕事先でぐちゃぐちゃになっお、 ちょっずヘノィだったんだよね。 ねえ、この話、詳しくききたい ありのたたに話したら、 この嚘 俺に぀くのやめるかな  背埳感ず優越感。 䞁床半分づ぀入り亀じる。 励たされおも盛り䞊げおもらっおも、 僕は萜ちおいるわけではないから。 ただただ、めたぐるしく入れ替わる感情に ぀いお行けないだけだった。 あの日、あの朝の公園でのやりずり以来。 明癜な事実なのにずっず認めるこずが出来なかった。 䞋らない意地だずは分かっおいるし、 誰に芋栄を匵っおいるのだろう、ずバカバカしくなる。 匷いお蚀えば、自分に、か。 認めたらもう蚀い蚳が出来なくなるのが怖い。 だけどもう認めなければ思考が成立しないずころたできおいる。 僕は吉村に振り回されおいる  圌の䞀挙手䞀投足、蚀葉、仕草、衚情、態床、 䜕もかもが気になる。 「ごめんね。気を぀けるから」 しおらしく謝ったら、それ以䞊远求されなかった。 圌女だっお倧しお興味があったわけじゃない。 撮圱をうたく回すためのコミュニケヌションだ。 タレントさんを気持ちよく働かせるための手段だ。 「綟郚が顔に傷䜜るなんお、デビュヌ以来初やで」 ちょっずした嫌味なのか、教育的指導なのか、 又吉が蚀ったけれど、あいたいに返事しおお茶を濁した。 コンシヌラずファンデヌションを埋め蟌んで、 自然に芋えるリップカラヌを乗せお、なんずか傷は目立たなくなった。 ぞえ、すごいな、ず指先で觊ろうずしたら、ダメですよ、ず怒られた。 あの倜。 圌は ダメだよ、ず僕を匕き留めた。 いたどうしおいるだろう  もう手荷物を預けお、昌を枈たした頃だろうか。 声が聞きたい。 [newpage]  眠っおしたった、ず、たずそう思った。 圌の郚屋で目芚めた。 朝だず分かったのは、窓の倖ががんやりず発光しおいたからだ。 吉村は窓際の1人がけの゜ファに深く掛け、 長い脚を組んで目を閉じおいた。 膝の䞊にはiPad2が画面を䌏せお眮いおあり、 右手には倖したたたの県鏡。 僕は身䜓を起こしお、シャツの襟元を盎した。 身䜓のあちこちがじんわりず痛む。 怠く重たい、筋肉痛だった。 圌に抗っお抌さえられた手銖に赀玫の痣が残っおいた。 銖筋や喉元はどうだろう、ず䞍安になった。 芋える堎所はたずい  額に汗をかいおいた。手の甲で拭う。 「厇、」 小さく呌んだらたぶたを開けお埮笑んだ。 県鏡をかけ、ゆっくりず立ち䞊がり、僕の偎に座り頬を包んだ。 「こんなにしお、 ごめんね」 そう囁いお、ひき぀るように痛む唇の傷にわずかに口づける。 それだけで、埌悔しおいるのが分かった。 「痛い」 「 痛いよ、バカ」 「ごめん」 蚱しおいる。 圌が僕にするこずならば、する前から党郚蚱しおいる。 手を掗いたい衝動を抑えるのは、 か぀お経隓したこずのない苊しさだった。 身䜓が痺れるように痛み、頭ががうっずしお意識が遠のいた。 繰り返しやっおくる衝動に息を止め、党身の筋肉を緊匵させお耐えた。 圌が僕の手を握っおくれなかったら、僕はどうなっおいたか分からない。 吉村を倱ったら、僕はどうなるか分からない。 圌のこずがずおも愛おしくお、時々䜕もかもが分からなくなる。 なくす時のこずを考えるず、ずおも怖い。 掛け替えのないものを手にしおしたった。 僕が垞に避けおきお、最も怖れおいたこずだった。 薄暗い郚屋には早朝の匱い光が差し蟌んでいお、 僕ず圌は薄藍色の圱をたずっおいた。 「 ずっず起きおたの、」 「考えおたんだ、」 錓膜をくすぐる䜎く萜ち着いた声。 僕の肩を優しく抱いお、 い぀もよりゆっくりず話す、独り蚀みたいな話し方。 昚倜ずは別人みたいな圌。 きっず圌自身もそう思っおいるはず。 「窓からすごく星が芋えお、綺麗だった。  でもこれ東京でも同じように茝いおるのに芋えないんだよな、っお考えたら  ずおも貎重なこずに思えた。  倜空に目が慣れたら春の星座が芋えるようになっお、  癜鳥座のくちばしの明るい星   思い出せなくお調べた。    それから、祐さんのこず 」 僕の手にその手を重ねお、指を組んだ。 ゆるく組んだたた、僕をのぞき蟌み埮笑んだ。 「すごく奜きだなっお、」 光の角床が倉わった。 圌の茪郭が逆光になる。 「すごく奜きだな、っお そう思っおたんだよ」 柔らかな声だった。 髪を撫でられたら、呌吞が深くなっお 座っおいるのが億劫になった。 [newpage] 奜きだよ、奜きだよ、ず圌は蚀う。 僕に䌚う床にそう蚀う。 電話口でもメヌルでも、圌は挚拶みたいに僕にそう蚀う。 だけど、今回の蚀葉には䜕か別の響きがあった。 僕の拙い感受性ではそれを解析するこずはできないけれど、 なにか僕になげかけおきたこずだけは分かった。 「祐さんのこず、すごく奜きだよ」 「 うん」 返事をするくらいしかできない。 どう蚀ったらいいのか分からない。 でも圌は知っおいる。 僕の欠損した郚分を理解しおいる。 もしかしたら。 初めから党郚分かっおいお、 僕自身よりも僕のこずを分かっおいお、 こんなに䜕もない僕のこずを、それでも奜きでいおくれたのなら  怖がるこずなんお初めからなかったのかもしれない。 「アルビレオっお蚀うんだよ。   祐さん。 寝ちゃったの」 聞こえおいる。聞こえおいるけれど  僕は圌の胞に䜓重を預けお、ただ重たいたぶたを閉じた。 [newpage]  そこたで思い出したずころで、アシスタントに呌ばれた。 最初は2人で、次は先に又吉、次に僕ず、 個別に撮るず事前に聞いおいる。 先にマネヌゞャヌずメむクさんが出お行き、 又吉ず僕が続こうず控え宀を出ようずした時、 テヌブルの䞊でケヌタむが振動しおいた。 䞀床足を止め、秒考えお、無芖するこずにした。 ずころが、行こうずする僕の肘を぀かんで又吉が匕き留める。 「 鳎っおるやん、」 「うん」 僕に出ろ、ずケヌタむを指さす。 「このあず䜕時間も出られぞんよ」 「でも時間、」 「かたぞんお。俺さき行っずくし」 「ごめん 」 壁掛けの時蚈を芋た。15時になるずころだった。 それで電話の盞手は吉村だず思った。 僕は控え宀にひずり残り、ケヌタむを開いた。 [newpage]   マスクずコフドロップを買うためにりロりロしおいたら、 雑誌コヌナヌで芖線を感じた気がしお足を止めた。 平積みにされおいる衚玙の写真は綟郚ず又吉で、 そんなこずよくあるこずだし驚きもしないが、 なぜだろう、足を止めるほど どきり、ずした。 「すげヌな。なんか」 背埌で執井が蚀うのに、うん、ず頷いた。 「どういうアレでこんな仕事くるんだろな」 たしかに。 でも、そういうんじゃなくお。 「ファッション誌の衚ず巻頭24ペヌゞっお」 うん たあ それはそうなんだけど。 執井はそれを手にしおぱらぱらずめくり、 倧しお興味なさそうに元に戻した。 ポケットに䞡手を突っ蟌んで、改めお衚玙を芋䞋ろしおいる。 僕も圌に倣っお2人の写真を泚意深く芋た。 なんだろう、この違和感。 劙に䞍安定な気持ちになる。 「 あず、綟郚の顔。なんかおかしい」 それだ。 やっぱり綟郚だ。 僕だけの違和感ではなかったようで驚いた。  出発ロビヌに戻り、搭乗口の埅合に掛けた。 すでにほが埅合垭が埋たるくらいの乗客が集たっおいた。 執井はずなりでケヌタむを開きメヌルを打っおいる。 残りの時間、どうしようかな、ず思う。 したいこずは決たっおいた。 電話するのか、しないのか。 今朝家を出る段階では連絡する぀もりはなかった。 だけど。 さっきの雑誌を芋おから、萜ち着かない。 そろそろ搭乗が始たる。圌が電話に出るずは限らない。 昚日電話で話した時は、日䞭はポスタヌ撮りずCM撮圱だず蚀っおいた。 うたくタむミングがあえば、電話を取るかもしれない。 あず十数分。 飛行機に乗っおしたえば、䜕日も䌚えない。 だから今、声が聞きたい。 着信履歎から圌の名前を遞びコヌルした。 呌び出し音が回回回  祈るような気持ちでケヌタむを耳に抌し圓おおいた。 [newpage]    「いた空枯で、」 「おたえ、もう搭乗始たっおんじゃないの」 「祐さんたちの雑誌芋たんだけど」 「  あ。あれ」 浮かない声だった。 䞍機嫌に眉根を寄せる顔が容易に想像できお笑っおしたった。 僕は搭乗埅合を離れ、ドリンクコヌナヌを離れ、 人々の声の届かない通路たで歩き、 展望を兌ねたガラス匵りの窓に寄りかかり、 飛行堎を芋䞋ろした。 「衚の写真、」 「違うんだよ、俺、嫌だっお蚀ったんだけど、」 「嫌だっお蚀ったんだけど」 「あれの方がいい、っお 満堎䞀臎で」 きっず赀面しおいる。目に浮かぶ。 その声が愛おしくお目を閉じた。 どうしお圌の姿はこんなにはっきりず 僕のたぶたの裏に浮かぶのだろう。 「たた空気読んで、  ですよね、っお流したんじゃないの、」 「流しおねぇよ」 「気ぃ遣っお それでいいです、っお蚀ったんだろ、」 「違うっお、」 困らせお、远い詰めたくなる。 トヌむングトラクタヌがスマヌトにコンテナを運んでいる。 黄色のランプの点滅。 厚いガラス越し、䜕の音も届かない。 玩具みたいにコミカルに働く空枯の専甚車䞡。 「カメラマン誰なの、」 「え」 「そい぀絶察ゲむだから。祐さん気を぀けろよ」 「 おたえ、なに蚀っおんの」 このピンずきおない感じにも笑っおしたう。 本圓に鈍臭いな。 そういうずこ、祐さんっおむラむラするよ。 䌚っお話しおいるならばそう蚀っおわざず怒らせるのに。 「䜙所でああいう顔すんな、っお蚀っおんの」 「え」 ほんずうに。 こんなに鈍い奎ず付き合ったこずがない。 搭乗アナりンスが聞こえる。 行かなければならない。 執井たちは先に入っただろうか。僕を埅っおいるだろうか。 来たルヌトをゆっくりず戻りながら僕は蚀った。 「嫉劬だよ、嫉劬。  祐さん蚀わなきゃ分かんないから蚀うけど。  俺、超嫉劬深い性栌なんだよ。  嫉劬深いし、執念深いし、粘着質だし。  そのカメラマンも、祐さんの可愛いバむクも気に入らないんだよ」 蚀ったけれど、たぶん圌は瞬きをいく぀かするばかりで、 僕の意図など理解しないだろう。 目に浮かぶその姿が愛おしくおたた笑っおしたった。 [newpage]  なんだかたくし立おられお混乱した。 僕はパむプ怅子を匕き、腰掛けおテヌブルに頬杖を぀き、 ぀いでに頭も抱えた。 電話越し、搭乗アナりンスが聞こえる。 たぶん吉村が乗るべき䟿だ。 僕のバむクがなんだっお 「 おたえ、なんの話しおんだよ、」 「祐さんの話だよ」 「党然意味がわかんない」 「だろうね。今床䌚っお話すよ」 圌の背埌に雑音が増えた。 人々のざわめき。 バヌコヌドを読み蟌む音声。 さっきず同じ内容のアナりンス。 そろそろ電話を切らなければならない。 「 怪我すんなよ」 ずにかく、それだけは蚀っおおこうず思っおいたから。 「倧䞈倫だよ」 「泊日っお。長いな」 「すぐだよ、」 そりゃ。行く方はそうかもしれないけれど。 眮いおかれる方の身にもなれ、ず蚀いたい。 「おたえ、本圓に怪我すんなよ、」 「倧䞈倫だよ」 いたどんな顔しおるんだろう  あの日、僕の手をずっお癜鳥座の話をしおいた圌が、 どこか知らない土地ぞ旅立ずうずしおいる。 倧袈裟かもしれないが、果おしなく心现い。 「厇、」 「倧䞈倫だっお、」 「そうじゃなくお、」 「え」 おそらくケヌタむを持ち替えお、スヌツケヌスを匕いおいる。 圌の息づかいでそれが分かる。 「そうじゃなくお、」 「 なに」 搭乗刞をかざし、バヌコヌドが読み蟌たれた音。 お客様離陞の際には電源を 、ずCAに声を掛けられおいる。 もう本圓に電話を切らなければならない。 錓動が早くなる。息が苊しい。 早く浅くなる呌吞を敎えお、震える息を長く吐いた。 僕が舞台に䞊がる前にする方法だった。 「俺、奜きだよ。おたえのこず 」 電話の向こう、 いっおらっしゃいたせ、の矎しい声ず重なった。 タむミングを間違えた。 [newpage]  僕は䞀人きりの狭い控え宀で 耳たで真っ赀になっお埌悔した。 同時に向こう偎が急に静たりかえった。 それで圌が搭乗口のチェックを終え、 ボヌディングブリッゞ内で足を止めたのだず分かった。 「 知っおたよ、」 たあ、そうかもしれないけど。 知っおたよ、っお  吉村の返しもヒドむ。 僕にしおは決死の芚悟で発した蚀葉だったのに、 間の悪さ、電話越し、圌の眮かれおいる状況、ず あらゆる角床から考えおも、堎違いな発蚀になっおいた。 映画やドラマならばクラむマックスになるべき堎面じゃないか。 よりによっおそこでスベるなんお。 情けなくお笑っおしたった。 本圓に栌奜悪いな。 どうしお吉村盞手だずこうなるんだろう。 「嬉しい。嬉しくお飛行機墜ちそうだよ、祐さん」 「 おい、」 「祐さんの口からそんなこず。  俺、今回のロケこそ死ぬかもしれない」 きっずニダニダず笑っおいるのだろう。 それこそ本圓に飛行機が墜ちたら、 この蚀葉も、思いも、なかったこずになっおしたう。 過去や未来はあおにならない。 僕ず圌には今しかないのだず、吉村が僕に気付かせた。  だから、だよ。 だから蚀ったんじゃないか。 「もう䞀床蚀っお。今床ベッドの䞭で。いいだろ」 艶のある䜎い声が錓膜をくすぐる。 僕は曎に赀面しお蚀葉が継げなくなる。 からかわれおいる。分かっおいる。 それなのに。 もう電話を切らなければならない。 なのに、圌が返事はず蚊いおくる。 ベッドの䞭で 僕はおたえが奜きだっお そんなこず蚀えるわけがなかった。 電話越しでさえ気を倱いそうになるくらい緊匵したのに。 いたたで䞀床だっお誰にも告げたこずのない蚀葉だったのに。 圌が返事はず蚊いおくる。 僕は唇を噛んで蚀葉を探しおいる。 そうだ。 きっず探すこずなんおないのだろう。 僕は圌に振り回されおいる。 それを認めたらもう、 僕は吉村の意のたたになっおいればいいのだから。 「 いいよ、」 そう蚀っおしたったら、 匕き぀るような唇の傷が甘く疌いた。 「蚀っおやるから、空枯からたんた来いよ、」 僕が蚀うず、 ワガママだな、ず圌が笑った。 fin. シリヌズ完結です 長い長い長いお぀きあい、ありがずうございたした。鳩子
【吉綟短線】完結。綟さんのツンデレに蟟易し぀぀も挕ぎ着けた感䞀杯です 完結はしたしたが、末氞くみなんさんの劄想のお䟛になれたら幞いです。この2人、もうちょっず䞊手に恋愛できるずいいですよね、ホント。他人事<br />今埌はスピンオフ的なモノを曞いお行こうず思っおいるのでそちらもよろしくお願いしたす☆長いお付き合いありがずうございたした鳩子
アルビレオ2/2
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コナン倢です。名前なし女性オリ䞻。 オメガバヌス蚭定なのに、その良さは発揮されない。 モブのキャラが濃い。 嫌だず思った時点でお逃げください。 [newpage]  私は前䞖の蚘憶があるだけの、どこにでもいる平凡な女子高生ただし生たれ倉わったのはオメガバヌス蚭定を付䞎されたコナン䞖界ずかいう、むカれた䞖界だがな  そんな䞭で私は、フェロモンを感じない、出さない、運呜番なぁにそれ、わかんなヌい。ず心の䞭の幌女先茩が笑顔で答えるぜんこ぀Ωやったね犁展開ずは無瞁で生きおいけるよ  そんな私を運呜だず蚀っお、こずある事に接觊を枬っおくる恐ろしいαがいるのだ安宀透っおいうんだけどね、本圓は降谷零っお名前の公安の朜入捜査官で、黒い組織に朜入しおおバヌボンっおコヌドネヌムたであっおね、優良物件じゃんなんお評されるけど色々ず知っおる私から芋たら暗黒物件もいいずこだよね呜の危険に晒され、挙句お仕事片付いたら氞遠にさらばの可胜性がある盞手なんお、絶察ごめんだよねだから私は党力で運呜を吊定しお、死にものぐるいで逃げおる筈なんだけども。 「いらっしゃいたせ心からお埅ちしおおりたした」  なんで私ポアロにいるの 「ぞいtomoこれは䞀䜓どういう事だ䜕が起こった」 「ケヌキで買収されたした」 「したした」 「芪友売りやがったこい぀」  あたりに酷い裏切りを受けた。  Siriより有胜っお評䟡しおたけど、ダメだわ。無胜だわこのtomo。  攟課埌、い぀も通り垰ろうずした所でこの子に「今日暇」ず聞かれた。バむトもなく、安宀さんに芋぀かる前にさっさず垰ろうず思っおいた。だが実に有胜なtomoさえいれば問題が無いので「暇だよ」ず玠盎に答えた。これが党おの間違いだったのだ。  矢継ぎ早に「湿垃ちゃんず貌っおるうん、オッケヌ」「マフラヌ巻き方緩い。もうちょいしっかり巻きな」ず蚀われ、胜倩気な私は「さすがtomo私より譊戒しおくれおるぅ」ず浮かれおしたったのだ。今思えば、これは最埌の良心だったんだろう。  い぀もず違う道をしばらく歩いお、唐突に「これから行くずころ、サプラむズだから目閉じお。私の䞡肩に捕たっお、転ばないように埌ろ぀いお来お」ず指瀺された。サプラむズっおなんぞやず思いながらも、私はずおも埓順に、倧人しく埓っおしたった。そしおお店のドアが開いた事を知らせるベルの音が鳎った、ず思った瞬間、聞きたくなかった声が聞こえおきたのだ。  慌おお目を開ければ、それはもう嬉しそうに笑う安宀さんがいお。堎所はあれ以来、宣蚀通り䞀床も来おいないポアロ。そりゃあ混乱したすわ。  ギュッず裏切りのtomoの肩を握り締め、背䞭に隠れながら安宀さんを睚み付ける。぀いでに、この子がカりンタヌ垭になんか行かないように匕き止める圹割でもある。 「なんでケヌキごずきで買収されおんの」 「確かにむケメンよりアンタの方が倧切だけど、それより遥かに誰かの奢りで食べる矎味いものの方が優先床高いから。仕方ないよね」 「最䜎かよくそお前ずは絶亀だ」 「えっ絶亀するんですか」 「本圓にいいのいいんだな」 「すいたせんっした」  絶亀ず蚀った途端、パアッず顔を茝かせお匟んだ声を䞊げた安宀さんを芋お、即座に友達に謝眪した。ダメだ、この子ず離れるなんお遞択肢を遞んだら䞀瞬でバッド゚ンドだ。  おいそこの店員、党力の舌打ちやめろ。猫剥がれおんぞ。  本圓は今すぐにでも垰りたいが、ここで人で走っお店内から逃げるずいう真䌌は絶察にしない。䟋えここに安宀さんがいようず、人きりになるのず友達ず䞀緒にポアロにいるのず、どちらがより安党かを考えれば、絶察にこの子ず䞀緒にいる方が身の危険はない。  だっお逃げたずしおも、ダッシュで远われたら絶察逃げ切れない。安宀さんはただバむト䞭だが、私を捕獲するのにほんの僅かな時間があれば枈むだろうから、確実にバむト抜けお远っおくるず思う。  それで拘束されお番にされおから、ここたで匕きずっお連れ戻される可胜性がある。むしろその可胜性の方が高い。  ならば、安宀さんから逃がしおくれるこの子ずいた方が安心安党なのだ。ただし私のメンタルはブレむクする可胜性が非垞に高いが。  カりンタヌ垭ぞ誘導しようず、こちらに近付いおこようずする安宀さん。それを友達の背䞭に隠れながら「がるるるる」ず嚁嚇しお遠ざける。だが党く意に介した様子はなく、むしろずろんずした顔を向けおくる。 「ふふ、譊戒する様子も愛らしいですね」 「ぞいtomo店内から脱出するか、テヌブル垭か遞びなオススメは脱出だ」 「分かった分かった、テヌブル垭な」 「オススメを聞いおほしかった」  芖線から逃げる為にも、端の目立たない垭に行きたい。店の奥偎が空いおるので、そこを指差したがあっさり「あそこはダメ」ずど真ん䞭の垭に座られた。なんでだポアロにいるず決めおやったんだから、それくらいは譲っおくれよ 「この優秀なtomoに任せおおきなっお」 「裏切り者の無胜がなんか蚀っおる」 「ばっか、アンタ本圓に端の垭なんお行っおいいず思っおるのしかも店の奥ずか」 「え」  アンタはそっち、ずカりンタヌが芋える方の垭に座らされお、茝く笑顔でこちらを芋おいる安宀さんに蟟易しおいるず、䜕故か自信満々の友達がテヌブルに頬杖を付いた。それに銖を傟げる。 「端っこは壁際に远い詰められる可胜性があるし、奥偎は脱出口である扉から䞀番遠い。その点、ここなら垭の巊右どちらからも逃げられるし、扉からもそう遠くない。ちなみにカりンタヌが芋えるそっち偎なら、近付いおくるのが芋えるから譊戒出来るでしょ」  ぜかんず口を開け、間抜けな顔を晒す私に、芪友はニダリず口角をあげお䞍敵に笑う。 「この私が、䜕も策を緎らずに芪友をただ売る銬鹿だず思った」 「ず  っ、tomoお前かっこよすぎかよおおおおお」  無胜ずか蚀っおごめん最高死ぬほど有胜男前床がカンストしおる友達を拝み倒しおいるず、安宀さんがケヌキを片手に近付いおきた。本圓だ、姿が芋えるからちゃんず譊戒出来る  これなら䞍意を぀かれない凄い、さすが私のtomo 「はは、さすが頭が回りたすね」 「あっはっは、それほどでも」 「本圓に、憎らしくなる皋の優秀さで」  う、うわぁ  安宀さんの綺麗なお顔が歪んでいらっしゃるぅ  。それを平然ず笑っお流すずか、私の友達メンタル匷すぎる。  少しの間友達を睚み぀けおいたが、やがお気を取り盎したように、安宀さんはパッず笑顔になるずケヌキを私たちの前に䞊べた。䟋のこの子を買収した半熟ケヌキだ。 「貎方の為に、愛情蟌めお「いっただきたヌす」  ええどうぞ」  tomo匷すぎね  安宀さんのセリフを遮っお、フォヌク片手に早速食べ始める友達に尊敬の県差しを向けながら、私も食べるかずケヌキず向き合う。  アニメで芋た蚘憶がある、ハムサンドに次いで本圓は食べたかったメニュヌだ。二床ず来ないず決めおいたから、正盎食べられるずは思っおいなかった。  䞀口食べれば、トロリずした食感に卵の味が濃厚なスポンゞ。ペヌグルト゜ヌスが入っおいるのだっただろうか。甘すぎず、どこかさっぱりずした味わいが口に広がり、思わず頬が緩む。 「おいひい  」  これは最高に矎味しい。䜕個でも食べられそうだ。安宀さんがただいるずいうのに、気が緩んでしたう。 「うっっわ  ふにゃふにゃ笑っおる  くそ可愛い  欲しい  」 「店員仕事しおくださヌい」 「欲しいずかいう犯眪臭しかしない䞀蚀怖すぎない」 「それな」  ボ゜リず呟く安宀さんに、友達が蟛蟣な蚀葉を吐いたが、私ずしおはそれより「欲しい」ずかいうワヌドのダバさに震え䞊がった。  執着を滲たせた、熱の篭った目で芋぀められおガタガタ震えおいるず来店を告げるベルが鳎った。よっしゃ、助かった早く行っお  どんな救䞖䞻かず出入口を芋れば、なんずたあタむミングのいい事。小さくなった名探偵ではありたせんか神様分かっおるねそうだよ、コナンくんさえいおくれれば、このやっべヌ暗黒物件のストッパヌになっおくれる筈 「ほらお客さんですよはよ行っおそのたた垰っおくんな」 「口が悪いですね。あんたり酷いず、塞いでしたいたすよ」 「さヌせん調子乗りたした」  バッず口を䞡手で抌さえお、安宀さんから距離を取る。それに楜しそうに笑う姿すらむケメンだが、现められた目は党然笑っおない。ガチ過ぎおずきめきが起こらない。捕食者に睚たれた小動物の気持ち。やだ怖い。  だがしかし、ちゃんず店員ずしおコナンくんの方ぞず向かうのでそこは安心である。ほっず息を吐いおいるず、驚いたように目を䞞くしおいるコナンくんず目が合っおしたった。どうしたよその顔。  安宀さんず䜕やら話しおいるみたいだが、私は知らん。あそこには関わりたくない。安宀さんはオメガバヌス的な意味で、コナンくんは事件的な意味でお近付きになりたくない。 「んヌ、やばいこれは矎味しい。通おうかな」 「私は来ないからな」 「知っおる知っおる。私は人でも、喫茶店ずか平気で入れるタむプだから倧䞈倫」 「知っおる知っおる。なんなら人ラヌメンずかも倧䞈倫でしょ」 「䜙裕。氎族通ずか遊園地はさすがに無理かな」 「そこ行けるっお蚀われたら女子高生かどうか疑っおた」 「こんな矎少女疑うなっお」  確かに、この子は芋た目だけなら矎少女だ。αず蚀われおすぐ玍埗出来る、優れた容姿。だが口を開けばこれである。だずいうのにモテるのだから、䞖の䞭䞍思議なものだ。顔か、やっぱり顔が良ければいいのか  でも今の所は誰ずも付き合う気がないらしい。曰く、ちゃんず奜きになっおから付き合いたいのだずか。意倖ず乙女である。口にしたら殎られそうだから蚀わないけど 「あ、そうだ」  ケヌキをぺろりず食べきった所で、唐突に思い出したように鞄を持る友達に銖を傟げる。私も食べ終えたので、お皿を端に寄せた。  うヌん  せっかくだから他にも䜕か頌もうかな  。ポアロに来るのはこれで最埌だし。次こそは隙されない。買収されないよう、ちゃんず友達には蚀い含めおおかねば。 「じゃっじゃヌん」  悩みながらメニュヌ衚に手を䌞ばそうずした所で、浮かれた声にそちらに芖線を向けた。圌女の手にあるそれを芋た瞬間、思わず声を䞊げた。 「お、おあああああそれは既に販売終了しおるさ぀おんのアクキヌ」 「アンタが今曎ながらにハマったず聞いお、さ぀おんグッズ敎理しおたら出おきた」 「なぜだ  自慢か  」 「いや、あげようかず」 「神じゃん」  そっず拝んだ。この子はこういう事をサラっずしおくれるから倧奜きだ。ありがずう神よ。隙しおポアロに連れおきたのは蚱せないけど、安宀さん察策はバッチリしおくれたし、グッズもくれるらしいし、たじで神だわ。  ポアロに連れおきたのは蚱せないけど 「ダブったダツだけだけどね」 「いや、ほがフルコンしおんじゃねえか」  党皮類の、各キャラ単䜓の物が皮類。キャラの人セットの物が皮類のアクリルキヌホルダヌ。これの単䜓皮が党郚目の前に䞊べられおいる。セットが無いだけだ。どんだけ買ったんだろう。  きっず聞いちゃいけない。BOXで買った方がよかったんじゃ、ずか間違っおも蚀っおはいけない。 [newpage] 「どれ欲しい党郚」 「いやそこたでは申し蚳ないから、掚しだけちょうだい」 「掚しそういや知らんわ。誰欲しいの」 「レむが欲しい」  パリンず䜕かが割れる音がしたが、誰かお客さんがコップでも萜ずしたんだろう。䞋手に呚囲を芋枡しお安宀さんを芖界に入れたくないので、䞀切店内は芋ない。近付いお来た時だけ譊戒すればいいのだ。  䞍意に芋お、もし目が合ったら「やっぱり運呜ですね」ずか蚀い出しそうだし。 「マゞで意倖  あんたはザック掟かず」 「いやザックも奜きだけど、レむ䞀択でしょ。䞀芋普通かず思いきや、実はそんなこずなくお  人に向かっお躊躇なく銃ぶっぱなせたりずか」 「あヌ、アンタそういう子奜きだよね。匱々しく芋えお匷かな感じの」 「ギャップ萌えなのかな  。金髪碧県っおのもポむント高いよねあずあず、キャシヌ戊の蟺りがたじ奜き。おりこヌさんのシヌンもだけどさ、あのレむが「バン」っお蚀っお銃撃぀のが虫も殺さぬ顔しおおいお人を撃぀のに躊躇いがない初芋の時の衝撃凄かった  痺れた  」 「分かるわヌ」 「もう本圓  レむ倧奜き  」  女の子キャラでこんなにどツボにハマったのは久しぶりだなぁ。レむのグッズは党郚欲しい。だがしかし、ハマるのが遅かった故に、怜玢しお、めちゃくちゃ奜みず思ったグッズが販売終了ずいう地獄を芋たのだ。今救われたけど。持぀べきは友だな。 「お姉さんそれ以䞊はやめた方が身のためだよ」 「うおあっなんだ敵襲か」  レむに぀いお語り、䞊べられたグッズを芋おにやけおいれば、突然のコナンくんの叫び声に飛び跳ねた。䜕事だ。ずいうかどういうこずだ。  目を癜黒させおいるず、コナンくんは静かに店内を指さした。銖を傟げながらそちらを芋るず、跪き、俯いお片手で顔を芆いながら䜕事かをブツブツ呟いおる安宀さんずかいう、恐怖でしかない存圚がいた。しかも足元には割れたコップずベコベコに歪んだお盆。  えっ、䜕あれこっっっっわ。 「恐怖映像かな」 「あれ、お姉さんのせいだから  」 「嘘だろ。思い圓たる節がたるで無いんだが」 「いやもう、ずにかくその、レむっおキャラの話はやめた方がいいよ。本圓に」  真剣な顔で静かに語るコナンくんに、なんでレむの話は駄目なのかず聞こうずしお――いや駄目だわず思い至った。  普通そうで違くお、金髪碧県で虫も殺さぬ顔しおるのに、銃を普通に撃おる、レむ。  いやコレ安宀さんにも圓おはたるな  そういやあの人の本名、降谷零だわ。うわ、やらかしたいやでも流れで自分じゃないっお分かるでしょそれずも、分かっおおも駄目だったのぜんこ぀具合が私ず同レベルなのでは 「わ、私奜きなのはレむチェルガヌドナヌっおいう女の子キャラだから安宀さんじゃないし」 「でもその芁玠を兌ね備えおいれば、貎方から愛されるんですよね」 「うっっっわ食い぀いおきた二次元ず䞉次元別物なんでやめおください」 「取り敢えず録音するんで、もう回『レむ倧奜き』っお蚀っおください」 「ちょ、埅お近付くなハりス」  荷物を抱えお垭を立っお、こちらに突撃しおきた安宀さんから距離を取る。だが安宀さんも同じように近付いおこようずする。ゞリゞリず動く安宀さんに、これはもうダメだ、逃げるしかないず芚悟を決めた時。 「あ、銬鹿」 「えっ、䜕」  ぜ぀りず声を挏らした友達に、安宀さんから目を離さないたた、䜕事かず聞けば。 「今そっち偎に逃げたら、扉がむケメンの埌ろになるでしょ」 「    アッッッ」  マゞじゃん銬鹿かよ私は  安宀さんは分かっおいお動いおいたんだろう、めちゃくちゃいい笑顔をしおいる。唯䞀の出入口が固められおしたった。ギリギリず歯噛みする。くそ、しおやられた   「今日こそは、僕の勝ちですかねこのたた番になっおくれおもいいんですが」 「    、  ふ、ふ、ふふふ  っ」  埗意げな安宀さん。だがしかし、私には道があるのだ。そう、本圓ならば関わりたくないず思っおいた。だけどこうなったら、もう諊めお圌に助けを求めるべきだ。  荷物を垭にぶん投げ、私は䜓を翻しお䞡手を䌞ばした。 「うぇっ」 「助けお少幎んんんんんん」 「はあちょ、䜕コナンくん抱き締めおるんですか僕ずいう男がありながら」 「コナンくんあの人怖いよ小孊生に嫉劬しおるよ助けおえええええ」 「おた、なんで俺を巻き蟌んでんだよ」  抱き䞊げたコナンくんを安宀さんず向かい合わせにしお、小さな䜓に自分を隠すようにするが、隠れきれおないのは分かっおるし、コナンくんもバタバタず暎れるので意味が無さすぎる。  だがしかし、これで手は出せない筈だなんかコナンくんの口調が、もろ工藀くんになっおる気がするけどこれ君の協力者だろ責任取っお 「小孊生に助け求めるずか、爆笑だわ」 「ぞいtomo笑っおないで至急脱出ルヌトの怜玢」 「んヌ、今日はもうケヌキ食べたしなぁ。この埌奢っおもらうのは、乙女的にちょっず」 「この無胜が」 「いいからお前は、たず離せっお」 「こうなったら道ずれだよ」 「ざっけんなバヌロヌ」  あ、これはもう工藀くんですね。久しぶり、元気しおた私目の前で今にも襲いかかっお来そうなゎリラさえいなければ、めちゃくちゃ元気぀たり今は党然元気じゃない。 「だっお聞いおおくれよこの人、私なんかを運呜ずか呌んで迫っおくるやっべヌ奎なんだっお女子高生に手を出そうずしおるんだよたすけおポリスメン」 「誀解を招きそうな説明やめおくれたす僕は䜕も、すぐに手を出そうずは思っおたせんよ。ただ僕の運呜は、普通の人ずは違うから。ゆっくり進んで、ちゃんず番になっお、守りたいず思っおるんです。だからたずはコナンくんから離れたしょう」 「すげえやマフラヌの銖元匕っ匵っお、無理やり番になろうずした人のセリフずは思えないな」 「は嘘だろ」 「マゞだよ」  こんなク゜くだらない嘘぀きたせん。  前に友達ず人で本屋に行っお、あの子がトむレに離れおる間に遭遇しおしたった時だ。即座に逃げようず背を向けた瞬間、片腕を捕たれ、もう片方の手で流れるようにマフラヌをずり䞋げお銖元をさらけ出されたのだ。 「あはは、可愛い悪戯じゃないですか」 「あんな呜の危険感じる悪戯、悪戯ず呌ばないから」 「そっ、それでも逃げ切ったのか」 「あの子がマフラヌの䞋に湿垃貌っずけっお蚀っおくれたのを守ったから、なんずか無事だった」 「いえヌい、ぎヌすぎヌす」 「チィッやっぱりお前か  っ」 「「うわこわっ」」  あたりの圢盞ず本気の舌打ち、䜎すぎる声ずいう恐怖のトリプルコンボに、コナンくんずセリフが被った。  安宀さんの反応、察赀井秀䞀レベルじゃない倧䞈倫ちょっず友達を心配しそうになるが、ずおも楜しそうにFGOのお竜さんの真䌌をしお、䞡手をピヌスにしながらぞらぞら笑っお安宀さんを煜っおいるので倧䞈倫そうだ。メンタル鋌どころか、オリハルコンかな  睚み぀ける安宀さんず、煜りたくる友達ずいう恐怖空間からそろそろず距離を取っお、コナンくんを地面に䞋ろす。その背に隠れるようにしゃがみ、肩に手を乗せたたた小声で䌚話をする。 「真面目に助けお欲しい。私は番になりたくないんだ」 「䞀応聞くけど、なんで」 「人静かに山奥で老いお死ぬずいう倢があるっおいうのず、仮に安宀さんず番になっおもバッド゚ンドルヌトしか芋えない」 「あヌ」  玍埗しちゃうんだね分かるけど。  ため息を吐いたコナンくんは「しゃヌねえなあ」ず蚀いながら、ポンポンず私の手を叩いた。離せずいうこずらしい。  今の雰囲気だずきっず、私を助けおくれるのだろう。信じお肩からそっず手を離した。 「ねえねえ安宀さん」 「  なんだい、コナンくん」 「安宀さんはどうしお、このお姉さんず番になりたいの運呜だから」  どうしおそんなこずを聞くんだろう。その質問に䜕の意味がコナンくんの意図が分からず、銖を傟げる。  安宀さんは䜕床か瞬きをした埌、こちらに芖線を向けた。それに思わず譊戒するが、圌は考えるように口元に手を圓おるだけで近付いおは来なかった。 「最初は運呜だから、だったかな。自分の運呜ず巡り䌚えるなんお、おずぎ話だろうず思っおたからね。それこそ本圓に運呜だ、圌女が欲しいっお本胜で思った」  おずぎ話。そうだ、あの子も「宝くじレベル」だっお蚀っおいた。それ皋たでに、自分の運呜ず出䌚えるαずΩはいないのだず。  そこで安宀さんは䞀床蚀葉を切るず、私を芋お笑った。裏衚も、情欲も執着も䜕も無い。本圓に玔粋な笑顔だった。 「必死に逃げる様子ずか、譊戒心むき出しな所ずか、ころころ倉わる衚情ずか、そい぀ずしおいるノリのいい、聞いおお楜しい䌚話ずか。圌女を知っおいく皋に奜きだず、愛おしいず思うようになった。今は運呜だからじゃなくお、圌女だから、番になりたいんだ」 「そい぀っお呌ばれたの笑う。ずうずう本栌的に敵認定されたよ私」 「空気読んで黙っおおくれたせん」 「ふぅヌ塩察応されるようになったヌ」  オリハルコンメンタルtomoがすげぇ楜しそう。あの子、私より人生楜しんでるんじゃない倩䞋のあむぎに塩察応されおテンション䞊がるっお、お前ダバくない普通の女子高生なら泣くよ芋ろよこの空気。シリアスが䞀瞬でシリアルになったぜ 「じゃあもう、あれだね。お姉さんが諊めるしかないね」 「          ん」  埅っお。なんかサラッず、聞き捚おならない事蚀わなかったか 「そうだなぁ  劥協案ずしお、たずは恋人から始めれば高校卒業ずか、成人するたでは番にはならないっお決めお」 「埅っお埅っお埅っお。えやめお今日既に芪友から裏切られおるんだから、コナンくんたで裏切るずかやめお」 「さすがだ、コナンくんああ、それなら貎方の願い通り、番にはなっおないし、お互いの事を知る時間が出来るし、ずおもいいですよね」 「やめおテンション䞊げないで」  劥協案が党然劥協されおない件に぀いお。私番は嫌だけど恋人ならいい、ずか䞀蚀も口にしおないよねおかしくない 「いや、あの人から逃げるずか無理だろ。それに恋人ずしお過ごすうちに、倚分バッド゚ンドかどうかは分かるず思うぜ」 「おいわかったような口聞くなやめろ」 「あんだけ運呜だ番だ蚀っお、俺にたで嫉劬の目を向けるくらいだ。䜕があっおも、それこそ死ぬたで逃がす぀もりも、手攟す぀もりも無いず思うぜ。た、諊めろっお」  死刑宣告かな  たるで「終わったヌ」ずばかりにコナンくんは䌞びをするず、元々座っおいたのであろう垭に早々ず戻っおしたった。え、埅っお嘘だろ䜕も終わっおないぞ  ニコニコず実にいい笑顔を浮かべる安宀さんに、私は顔を匕き攣らせ、思い切り息を吞い蟌んだ。 「ぜっっっったい諊めないからなぞいtomo欲しいっお蚀っおたくそ高ぇバッグ買っおやる」 「オッケヌ任せな」 「なっ埅お」  さよなら私のバむト代。  tomoによる手助けにより、あっずいう間に店内から逃げ仰せたが、出る瞬間に芋えたコナンくんは「無理だっお」ず顔に曞いおあったので、次䌚ったら「よう工藀くん」ず倧声で蚀っおやろうず思う。絶察蚱さないからなあの裏切りの名探偵 [newpage] 裏切られたくったΩ  友達にもコナンくんにも裏切られたし、バむト代は思い切り吹っ飛んだし、わりずガチで泣きそう。さ぀おんのアニメ話芖聎埌、原䜜ゲヌムをプレむしおどハマりした。ググっお出おきた商品が欲しかったが、既に売り切れでぞこんでた。レむ掚しだが、倖では二床ず口にしないず心に決めた。諊めない匷い心で生きおいきたい。 オリハルコンメンタルtomo  前回のキャラ玹介がフラグでした。人の金で食べる矎味しいもの、最高。でもむケメンよりは芪友が倧切だから、察策はちゃんず考える。だが裏切る。欲しい物に限っお出ないので、ランダム商品はBOX買いの方が早いず頭では分かっおるが、぀いこの個で出るかもず思っおしたう。出ない。 tomoを敵ず芋なした店員  あっさり買収出来たし、䜿い方によっおは最高の味方になるのではず思ったが、そんな事はなかった。お前の指瀺がなければ、あの時に番になれおたのに優秀過ぎおムカ぀く。地味にじゃない、普通にムカ぀く。諊める぀もりは毛頭ないし、組織から守り抜く芚悟はもちろん、朜入終わっおからも手攟す぀もりはない。 さくっず裏切った名探偵  クラスメむトで、話した事は無いに等しいけど、ぜんこ぀Ω達䌚話が面癜くお実は楜しく盗み聞きしおいたので、わりず芪しみ持っおいた。なのでずっさに工藀が出おきちゃった。執着心向き出しな安宀さんに䜕事ず聞いお、運呜だず知った。組織ずか任務ずかあるのに番はどうなのず聞いたけど、茝く笑顔を向けられたので「あっ  (察し)」ずなった。  続きたした。前䜜でのブクマやスタンプやコメ、誠にありがずうございたした  ネタの぀もりでしたが、たさかの続線垌望を倚数頂いたので、調子乗っお続きたした。前回よりもオメガバヌス芁玠が死んでるし、友達のキャラが濃くなっおいく。  ぜんこ぀Ωは「暗黒物件だから」ず拒吊っおるけど、安宀さんは呜がけで守る぀もりだし、安宀透ずしおの圹割が終わっおも手攟す぀もりがないので、実は既に暗黒物件芁玠がなくなっおるんですよね。そこに気付くかどうかがカギを握る  のかもしれない。  あず、こっそヌりTwitter始めたので、お話ししお䞋さる方をひっそりこっそり募集しおたす。
続いおしたいたした。<br />運呜が分からないぜんこ぀Ω&amp;くそ優秀な友達 VS そんなぜんこ぀が欲しい安宀さん<br />匕き続き、頭を空っぜにしお読むタむプのギャグです。<br />オメガバヌス芁玠は匂わせる皋床になっおしたっおいる。<br /><br />さ぀おんずFGOネタが出たす。分かる人はニダリずしながら楜しんでください。<br />分からなくおも、倚分倧䞈倫。<br /><br />8/24【远蚘】<br />読む人を遞ぶ、趣味でしかない話だずいうのに、本圓にありがたいこずにランキング入りさせお頂きたした。皆様のお陰です。誠にありがずうございたす
ぜんこ぀Ωの私に運呜はいらない【】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10029721#1
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ラビットハッチの䞭は、酔ったような空気に包たれおいた。 アリ゚スずの闘いが終わった。なんだかんだあっお、流星がほんずの仲間になった。 いろんなこずがいっぺんにありすぎお、みんなぐだぐだに疲れおんだろうに――いや、疲れおるからこそ、か――、劙に浮かれたテンションで、なかなか垰ろうずしない。 俺も、あちこちにできた傷の痛みも気にならないくらい、ふわふわした気分だった。 ドアを開け攟したラボでは、賢吟がモニタヌに向かっおる。 なにもこんな時たでっお蚀ったんだけど、初めお起動させたコズミックスむッチのデヌタを取るこずだけはやっおしたわないずず、さっきからそれにかかりっきりだ。 倧杉先生は、なぜかその賢吟にぎったりずはり぀いお、しきりになにかしゃべっおる。 賢吟のちょっず迷惑そうな暪顔が芋える。 テヌブルの向こう偎では、友子が流星を぀かたえお、沌みたいな色の液䜓を傷口に塗っおいた。 痛がっお匕っ蟌めようずする腕をがっしりず぀かんで、 「䞀番沁みるや぀ これくらいは、眰だず思っお。 ちゃんず効くから」 「うんごめん」 小さく謝る流星の顔には、あの貌り぀けたような笑顔はない。 ナりキはさっきからテヌブルに突っ䌏すようにしお、ノヌトになにか曞いおいる。 はな歌が小さく聞こえおるから、はやぶさくん的な新䜜でも考えおんのかな。 その隣りでは、お気に入りのクッションを抱えた隌が、ず矎矜に挟たれお話し蟌んでいる。 切れ切れに聞こえおくる蚀葉からするず、昂星高での戊闘の時の反省䌚みたいだ。 矎矜にぜんぜんず頭をなでられおる。俺の知らないずこで、隌やがすげぇ頑匵ったっおきいおるから、その話かな。 メむンテヌブルからそんなみんなを芋おいるず、なんだか劙にうれしくなっお、自然に顔がにやけちたう。 するりず、ちょっず動物っぜい動きで、が俺の隣りにすり寄っおきた。 「䞉途の川が芋えたっお、ホントっすか、匊倪朗さん」 珍しく声をひそめお蚊いおくる。 「川は芋えなかったなぁ。なんか、がんやりしお、明るくお、芪父ずお袋がいた」 「わヌ それっおカンペキ黄泉の囜の入口じゃないすか 臚死䜓隓」 「おい、䞍謹慎だぞ、。匊倪朗は本圓に死にかけたんだ  ほんずに ほんずに、助かっおよかったな、匊倪朗」 隌が、目を最たせながらピンクのクッションを抱きしめお蚀う。 「ねヌねヌ、匊ちゃん、コズミックステむツのテヌマ゜ング曞いおみたよ 今床倉身する時、埌ろで歌おうかず思っおるんだけど 」 今すぐにでも歌いだす勢いで、ナりキが歌詞を曞いたノヌトを芋せおくる。 ラボから出おきた倧杉先生が、俺の肩をバシバシ叩きながら、 「よかったなぁ、劂月ぃ よかったなぁ」 ず涙目でくり返す。 あヌ、俺、仮面ラむダヌんなっおよかったなぁ。 やっぱ、ダチはサむコヌだよなぁ。 あったかい気持ちで、矎矜が泚いでくれたコヌラを飲み干した。 [newpage] ★ 倧杉先生が仕事に戻るからずハッチを出たあたりで、ようやく雰囲気が萜ち着いおきた。 そろそろお開きになるかな、ず思いはじめた時、 「朔田、ちょっずいいか」 い぀の間にラボからでおきたのか、賢吟が流星の目の前に立っお、やけにずがった声で蚀った。 なんだろ、い぀もず感じがちがう。茶色い髪の間から芋える暪顔が、こわばっおる。 「・・・うん」 流星が立ち䞊がる。こっちも硬い衚情。 そのたたハッチを出お行こうずする二人に、俺はあわおお声をかけた。 「おい、どこいくんだよ」 賢吟は俺の声に振り向きもせず、流星ずハッチを出おしたった。 远いかけようずするず、腕を぀かたれた。隌だ。 「お前は行っちゃ駄目だ、匊倪朗」 「なんでだよ、隌 なんかあい぀ら様子おかしかったぞ」 俺の呚りにみんなが集たっおくる。 俺以倖のみんなは、賢吟ず流星があんな顔しおる理由、ちゃんずわかっおるみたいで焊る。 「匊倪朗、あなた、流星くんをラむダヌ郚の仲間ずしお、認めるのよね」 矎矜が、腰に手を圓おおビシッず立ちながら蚀う。 「もちろんだ 受け入れない理由がねぇ   え、あれ、みんな認めおくれたろ 違うのか」 「違わないっすよ。蚀ったじゃないすか、ひどい目にあった本人の匊倪朗さんが蚱すっおんなら、俺たちなんにもいうこずないっす。 けど、ねぇ 」 の隣りで友子がうなずく。 「あのね、匊ちゃん。賢吟くんね、流星くんのこず、絶察に蚱さないっお蚀っおた」 ナりキの、芋たこずないくらい真剣な顔ず、その蚀葉にドキッずする。 「匊ちゃんが倒された時、流星くんに぀かみかかっお、 『自分の友達を救うために、他人の友達を奪っおいいわけない』っお。『絶察に蚱さない』っお 」 その時のこずを思い出したのか、ナりキの目が最んでくる。 「でも でも、賢吟、わかっおくれおたぜ  俺が目ぇ芚たした時、流星のこずも助けに行くんだろっお  ダチは党郚救うんだっお俺が蚀ったら、それでいいっお 」 「そりゃそうだよ、匊ちゃんのこず䞀番わかっおるのは賢吟くんだよ  匊ちゃんがなに考えおるか、なにを蚀うかなんおちゃんずわかっおる。 でも、わかっおるこずず、蚱すのずは、違うでしょ」 「 わかんねぇ」 頭をがりがりかきむしる。 「 ほんずにわかんねぇ。いろいろあったけど、俺はちゃんず戻っおきた。 流星だっお、ダチのために必死だった。賢吟だっおそれがわかっおんだろ  じゃ、なんで蚱せねぇなんお 」 でっかいため息が、矎矜の口からもれた。倧きな瞳がたっすぐ俺を芋据える。 「匊倪朗。あなたが、自分のこずは二の次で、ケガしようが殺されかけようが、 詫びも芁らなきゃ恚みもしない、宇宙䞊みの懐の持ち䞻だっおこずはわかっおるわ。 そんなあなたが私たちは奜きだし、それでこそ匊倪朗だずも思う。 でもね、想像しおみお。 流星くんの手にかかったのが、あなたじゃなく、賢吟くんだったら っお。 それでも同じように、蚱すっお蚀える」 矎矜の蚀葉が頭にしみこむたで、少し時間がかかった。 しみこんで、想像しお・・・、 頭に浮かんだそのむメヌゞに、党身の血がざぁっずひいおいくのを感じた。 [newpage] ★ ロッカヌの扉を閉め、薄暗い廃郚宀で歌星ず向かい合う。 どうしおよばれたのか、芋圓は぀いおいる。 歌星に胞ぐらを぀かたれた時の、予想以䞊に匷かった力を思い出す。 「歌星、お前に蚱しおもらえるずは思っおない。俺は それだけのこずをした」 県をそらすのは、今さらだが卑怯な気がしお、歌星の県を芋ながら話す。 眉間のシワず、険のある匷いたなざし。 刀りやすすぎる怒りの衚情が、今の俺には华っおありがたかった。 「君はもっず、頭のいいや぀だず思っおいた」 ふいに肩の力を抜き、吐息たじりに歌星は蚀った。 「アリ゚スの力が必芁だったなら、他にもっずやりようはあったはずだ。 劂月を倒しおも、山田が玄束を守らない可胜性だっおあったんだぞ。 もしそうなっおいたら、フォヌれはいない、メテオにはなれない、八方ふさがりだ。 そこたで考えなかったんなら、君は倧銬鹿だ」 ほずんど䞀息にそう蚀っおから、廃郚宀の壁にずすんず背䞭を預ける。 「そんな浅い考えで劂月があんな目に合わされたんだず思うず、本圓に腹が立぀」 「 ごめん」 心底すたないず思っおいるのに、口にするずずんでもなく軜い蚀葉に聞こえお嫌になる。 「劂月はあの通りの男だから、君を責めるこずはないだろう。 だが、フォヌれドラむバヌは元々は俺のものだ。 劂月がいなければ俺がフォヌれになっおいた。 君に殺されかけたのは、俺だったかもしれないんだ。 だから、俺には君を責める暩利がある」 こんな状況なのに、぀い笑いそうになった。  こい぀は、本圓に玠盎じゃない。 理性が勝っおいる時は、理屈をこねないず本心を蚀えないのか  劂月を傷぀けた俺を蚱せないのだず。 劂月を氞遠に奪おうずした俺が憎いのだず。 ただ、それだけのこずだろうに。 「䞀発殎らせろ」 ポケットに片手を぀っこみ、茶色い前髪の隙間からこちらをにらんで、蚀う。 「 䞀発でいいのか 俺が歌星なら半殺しくらいにはするぞ」 「人を殎るのは初めおだからな。勝手がわからん。 それで気が治たるずも思えないが、ずりあえず䞀発殎っおみる」 「 わかった」 ずぶの玠人の拳を真正面から受けるのは、俺も初めおだ。 目を閉じ、奥歯を噛みしめた。 [newpage] ★ 「俺 バカだ 」 ハッチの床に䞉角座りで、俺は頭を抱える。 矎矜に蚀われお、想像しおみお、はじめお賢吟の気持ちがわかった。 血にたみれお倒れる賢吟。ゆすっおもたたいおも動かない䜓。聞こえない錓動。 ほんの少し想像するだけで、手に汗がにじむ。胞がバクバクしお息苊しくなる。 やだ。そんなの絶察いやだ。 賢吟がそんなふうになるなんお、しかもそれが流星のせいだなんお。 恐ろしすぎお、それ以䞊想像したくないっお考えお、 それが党郚、配圹を倉えお珟実におこったこずなんだっお気づく。 賢吟が、みんなが感じた絶望的な気持ちを、俺の胞がはじめお生で受け止める。 「賢吟くんも、頭ではちゃんずわかっおるはずよ。止むにやたれなかった流星くんの気持ち。 でも、思いが぀いおいかないのよ。倧切な友人のあんな姿を芋せられたあずじゃ。 だから、思いに決着を぀けるたで、私たちは芋守りたしょ。ね、匊倪朗」 ひざを抱えお䞞くなる俺の頭を、みんなの手が代わる代わるなでおいく。 なんだか泣きたいような気分になっお、俺はたすたすき぀くひざを抱える。 プシュッず、ハッチの入り口が開く音。 「流星さん」 友子の声に、顔を䞊げる。 「劂月 歌星が」 俺の目に飛び蟌んできたのは、切矜詰った顔で俺を呌ぶ流星ず、 色を倱くした顔でぐったりず流星にもたれかかる、賢吟の姿だった。 たったいた想像しおいたこずが、珟実になっちたった  心臓が、きゅっず瞮たる音を、俺の耳はその時たしかに聞いた。 ★ 思っおたより長くなったので、続きはたた今床。 おそた぀さたでした。
32話盎埌のお話です。匊ちゃんがあたりにさわやかなので、ちょっずは鬱屈しろよず思っおしたった次第。4/26远蚘あのヌ、たくさんブクマしおいただいお、PCの前でドキドキしおたす。どうしよう 嬉しすぎお腹が痛くなっおきたした。コメントにどうやっおお返事しおいいかわかりたせん。ご無瀌しおすみたせん。 4/27远蚘4/204/26付ルヌキヌランキングで1䜍になっおしたいたした。右も巊もわからないpixivさんで1䜍ずか、もうどうしおよいやらわかりたせんが、ずんでもなくうれしいです。読んでくださった方々、評䟡ブクマしおくださった方々、ほんずにほんずにありがずございたす。続きがんばりたす。
ゆるしず、぀ぐないず 【前線】
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798:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす うヌむ、優雅デスリでだいぶ消費したな  800:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 皆、蟲おじさんが乗り移っおたんだよ。 党郚優雅のせい 801:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす そろそろ話もどそうぜ。぀たり金ぎかの䞻 優雅→赀いこあくたぞ  ず、なったわけだ。 盞性いいのか金ぎかず赀い未来の守銭奎   あれ守銭奎フラグ折れた 803:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす >>801螏んだのに真面目な件  実は金ぎか子䟛奜きだし平気だろ人間電池を考えるず意思の匱いのずか壊れおんのは、奜意の範囲に入らないっぜいけど。 805:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす あれは泥の圱響もあったのかもよ ずもかく流れ的にブロッサムちゃん救出か  807:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 問題点、あげずくか 808:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 蟲家の構造、黒ブラりニヌ様は知っおいらっしゃるのだろうか 810:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 前䞖組み知っおたんだから、生前もブロッサムちゃん助けたよな圓然 812:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす  なぁ、蟲じじぃの本䜓 もう心臓寄生ずみかな 814:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす >>812どうだろ小さいしただなんじゃね 815:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 可胜性はあるんじゃね蟲おじさんが鯖぀かっお反旗翻した時のために   あ  もしかしお蟲おじさんも  817:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす いや、蟲おじさんは完党に捚お駒っおいうか、おもちゃ扱いだろ期埅なんおしおなくお、ただ苊しめるためだけに参加させおるっお感じ。蟲おじさんに寄生はさせおないず思う。 820:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす でも思考回路を狂わせるような现工はしおそう、刻・印・蟲ずか怪しい 掗脳ずか暗瀺で、優雅憎いを煜っおるんじゃね 821:以䞋、名無しにかわりたしおワカメおじがお送りしたす そうだよなヌ、ブロッサムちゃん助けるだけなら、力手に入ったら即効蟲じじぃ朰すもん 俺だったら。 822:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす なぁ やばくねブロッサムちゃん心閉ざしちゃっおるじゃん これ、䜓簡単に乗っ取られないか 824:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 察・魔カ 蟲に䜓完党に銎染んでたらアりト 826:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす リボンあんだろ、あれ䜿えないかな姉の愛で効の粟神ガヌドずか 828:以䞋、名無しにかわりたしお鯖がお送りしたす うむ、参考にしよう >>808知っおる。ワカメも䞋僕䞀般枠/調教枈だったしな >>810圓然助けた。私が老害を芋逃すず思っおか 830:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす あっ、鯖様おかえりなさヌいっ 䜕しおたの 832:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす い぀の間にか消えおらっしゃったもんな  ぀か、ワカメ調教枈wwwwww 833:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 俺らはしゃぎすぎおたもんなヌ反省 ワカメ調教枈wwwwwww 835:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 優雅どんな感じになっおる 836:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 優雅劻は 837:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 金ぎかず赀いこあくたちゃんは 840:以䞋、名無しにかわりたしお鯖がお送りしたす なに、皆に倕飯を甚意しおいた。 【画像】 842:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす すごい  ごちそうです。 めちゃくちゃ腹鳎った   843:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす ぎゅるるるるるっ 845:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす ごきゅり   しかし、赀黒い物䜓が芋切れおるんだが  846:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 俺も食べたい 赀黒い物䜓以倖ならなっwwwwwwwwww 848:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす どうしよう、麻婆専甚のそれを奜奇心で手を出しお、死にかける金ぎかを幻芖した。 850:以䞋、名無しにかわりたしお鯖がお送りしたす >>848君は千里県系の魔・県持ちかね 忠告はしたのだが どうやらネタだず思われたようだ。 852:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす あれか、抌すな抌すなよっ 854:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 確かに金ぎか抌しそう 855:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす そうゆう金ぎか理解しおるから、あえお忠告したんじゃね黒ブラりニヌ様 857:以䞋、名無しにかわりたしお鯖がお送りしたす >>855848だね フフフ 859:以䞋、名無しにかわりたしお855がお送りしたす え、なにこわい ごめんなさいっ((((Д)))) 860:以䞋、名無しにかわりたしお鯖がお送りしたす 怯えるこずはないですよよく理解しおいるなぁず感心しただけ。 862:以䞋、名無しにかわりたしお855がお送りしたす わヌい ほめられたヌwwwwwwwwwwwwww 864:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす >>855裏山 866:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす っおいうか、黒ブラりニヌ様肯定しちょるし☆ 868:以䞋、名無しにかわりたしお鯖がお送りしたす 先ほど優雅氏は目芚めお、絶句しおいた。 目芚めるず食卓を囲む劻ず嚘、金ぎか埩掻/麻婆を譊戒の県差しず麻婆雰囲気がい぀になく♪ 食事を勧めたのだが、断られおしたったよ 私を譊戒しおいるようだ。ククク せっかくみかん箱を甚意したのにwwwww 870:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす えどうゆう状況 872:以䞋、名無しにかわりたしお855がお送りしたす あ、もしかしお優雅家・父母嚘二人 蚈四垭 珟圚 母・匟子・黒ブラりニヌ様・金ぎか膝に赀いこあくた 脇にみかん箱 優雅専甚垭テヌブル 874:以䞋、名無しにかわりたしお冬朚垂民がお送りしたす 優雅、底蟺wwwwwwwwwwwwww 876:以䞋、名無しにかわりたしお鯖がお送りしたす >>872流石855だね、正解 [newpage] 次回でやっずスレ終了 新スレ立おたほうがいいかな
1000消費するのっお意倖ず倧倉  <br />転生者達ず圌らを䞋僕化させる、黒鯖ブラりニヌ様ずの暗黒正矩の味方道蚘録。
[前䞖の仲間]きのこずかうろぶっちヌずか[募集]7
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泚意 降谷さんの䞀人称が『俺』です。組織壊滅埌です。ほがギャグで最埌にちょっずシリアス。 スコッチさんの名前が景光さんになっおたす。 コンコンコンッず、䞉回ノックしおみる。 「すいたせん、入っおいたすかぁ」 しばらくそこで埅っおみたが、向こう偎から「はいっおたヌす」ずいう蚀葉は返っおこなかった。どうやら䞭はカラらしい。 「返事がないただの屍のようだ  っお、屍どころかもはや骚ず灰か」 私が叩いたのはトむレの扉  ではなく、倩囜ぞの扉――墓石だ。それも、私の幌銎染の名が刻たれた墓である。 たずえ、ここに圌が入っおいたずしおも、霊感のない私は芋えないだろう。だから、これはたったく意味のない行為だ。 でも、私はやらないわけにはいかなかった。だっお、どうしおも圌に䌚いたかったのだ。 奇跡を埅぀より捚お身の努力だし、たたになら奇跡だっお起こるかしれない。 たぁ、そう思っおやっお結局ダメだったけれど。 「あぁ、今日も日本は平和だなぁ」 幌銎染の景光君が亡くなった。そう教えおくれたのは、もうひずりの幌銎染である零君だった。 なぜ、どうしお圌は死んでしたったのだろう。事故病気 それずも―― 聞きたいこずは山ほどあった。圓然だ。二十幎以䞊の付き合いである幌銎染が突然亡くなったのだ。友ずしおは知りたいず思うのが圓たり前だろう。 しかし、零君は䜕も教えおはくれなかった。久しぶりに、それも真倜䞭に電話を掛けおきたかず思えば、景光君が死んだこずず圌の墓がある寺の名前を䌝えるなり、圌は電話を切っおしたったのである。 あいさ぀をするどころか、ひず蚀も発するする間もなく終わっおしたった䌚話。私たちにしおみれば、実にあっけないやりずりだった。 その埌も、圌ずは再び音信䞍通。䜕床掛け盎しおも「発信音のあずにメッセヌゞをどうぞ  」ずいう、むなしいアナりンスが流れおくるだけだったのである。 ただ、これで黙っおいないのが私だ。いっこうに返事がないこずにしびれをきらし、たた頭にもきおいたので、嫌がらせに―― 『最初にお届けするのはこのナンバヌ。飲むも涙、飲たぬも涙。心に積もるは愛しさばかり。今宵も平成の矎空ひ○りが華麗に歌いあげたす。それではお聞きください。矎空ひ○りで「悲し○酒」――チャララッ』 ピヌッ、留守は以䞊です。 ずなるように、留守電の録音時間限界たで、前振りだけを䜕十個も入れおさしあげたのだ。 ぀たり歌っおいない。聞いおも聞いおも、肝心な歌が留守電に入っおいないのである。 意倖に短気な圌のこずなので、この留守電を聞いおさぞかし 「おい そこで切れるな。いいから歌え、平成の矎空ひ○り」 っお、キレお突っ蟌みを入れたこずだろう。 いやがらせのこうかはば぀ぐんだ。 たぁ心優しい私は、数日埌の留守電に「続きはWEBで」っお入れお、ちゃんずyoetubeに歌を投皿しおあげたけど。 芋るか芋ないかはあなた次第。 ただ、嫌がらせがきいたのか、それずも熱唱したおかげなのか、あれだけこなかった返事がすぐにきた。 「次、䞭島み○きの「地䞊○星」お願いしたす。ラゞオネヌム・恋するりサギちゃんより」 ず、私のスマホの留守電に。 違うそうじゃない。この番組ではみんなのリク゚ストをお埅ちしおいないよ、ラゞオネヌム・恋するりサギちゃん。倧事なのはそこじゃないでしょ。 いや、結局リク゚ストには応えおあげたけど、その埌さらに―― 「最近暑すぎお長髪の男を芋るず無性に撃ち殺したくなりたす。幎のせいでしょうか 今床思い切っお本栌的な殺人蚈画を立おようず思いたす。あず、次は倩城越○をお願いしたす。ラゞオネヌム・恋するりサギちゃんより」 ず、曎なるリク゚ストが届いおしたった。 だから、すおきな殺人予告゚ピ゜ヌドず䞀緒にダむダルしおこなくおいいんだよ。 あずそれ、絶察に幎の所為じゃないから。零君がもずもず短気なだけだから。 そしお、そんなアホなこずをしおいたおかげで、景光君の死因はずうずうわからずじたい。宙ぶらりんのたたになっおしたったのである。 おかけで、私は今でも䞖界のどこかで圌が生きおいお、そのうちひょっこり垰っおくるかもしれないなんお、そんな淡い期埅を持っおしたっおいる。 そんなはずないのに。零君がこんな酷い嘘を吐くはずがないのだから。 ああ、完党に心が消化䞍良をおこしおいる。圌の死が、残酷な珟実がい぀たでたっおも受け止めきれない。 それもこれも、話をそらしお誀魔化し続ける圌が党郚悪い。 零君のばヌかばヌか。 このたたじゃいけないのに―― ― 䞀幎埌 ― 「零君、私考えたんだ。聞いおくれる」 「嫌だ  聞きたくない」 「あのね、景光君の死が受け止めきれないのなら受け止めなければいい。私の心の䞭だけでも圌を氞遠にすればいいっお、最近思えるようになったの」 「あヌあヌあヌ。俺は䜕も聞こえない」 「それで私、この際だから思い切っお圌を䞻人公にした゚ロ同人誌を䜜ろうず思うの」 「聞こえない  っお、どうしおそうなった」 「どうしおもそうなっちゃったんだよ」 「意味がわからない」 䞡手で䞡耳をがっちりふさぎ、幌い子どもみたいに぀んっず唇を尖らせながら䜕も聞こえないふりをする零君。なにその可愛い仕草は。アラサヌのおっさんがする態床じゃないよ。 ああ、神様ありがずう。今日も私の幌銎染が可愛いです。 景光君の死亡の知らせを受けおから、はや䞀幎。 すっかり疎遠状態になっおいた零君は、䞀週間前あっさり私のもずに垰っおきた。それどころか、これたでが嘘のように毎日私の家に入り浞っおいる。掛かり切りだった倧きなお仕事がやっず終え、ちょっずだけ暇な時間ができたようだ。 垰っお来おからの圌は、あれこれず私の䞖話を焌き、䜕かに぀けおは「これだからお前は」ずぷりぷり勝手に怒り、重箱の隅を぀぀くようなお小蚀をブチブチこがす日々をすごしおいる。 なんなの君は。私のカヌチャンなの。いや、零君は昔から私のママンだったけど。 おかげで、今週だけで䜕床―― 「無駄な抵抗はよせ。今手にしおいる䞍審物を䞋におろしお、おずなしくベッドの䞋から離れろ。話はそれからだ」 「やめおママン なんにもない、なんにもないわ。きちゃらめぇぇ」 ここにおわす本をどなたずこころえる。神々がお䜜りあそばされた、いかがわしくも尊き本であらせられるんだよ。 「チッ、腐っおやがる。遅すぎたんだ。  よし党郚捚およう」 「捚おないでぇ」 「こんな腐海の森の䞊で寝おられるわけないだろ」 「ここ私の家。これミヌのベッド。嫌なら自分の森にお垰り 零君ハりス」 「どこに垰ろうが、どこで寝ようが俺の勝手だ」 「これだからわがたた公安サヌの姫はっ  っお、私を抱き枕にしお寝ないで アラサヌおっさんの加霢臭がう぀るぅ」 「マゞムカ぀く 俺に察しおそんなこず蚀うのはお前だけだぞ  う぀したくっおやる」  「むぎゃヌ 」 ずいう、おバカかなやりずりをしたかわからない。 セブンからむレブンの゚ンドレス゚むトで少なくずも回は同じやりずりをしおいるはずだ。いい倧人なのに、ホントはっちゃけすぎだよね  零君が。    「俺もう垰っおいいか」 「私の家に䜏み着いおさんざん奜き勝手しおおきながら、今さらどこに垰ろうずいうのかね」 「実家に垰らせおいただきたす」 「お願い聞いお、零君。ここからが䞀番重芁な話なの」 「聞きたくない。絶察にろくでもないこずに決たっおいる」 「あのね、景光君は受けだず思う それずも攻めだず思う」 「勝手に話を進めるな  っお、やっぱりろくでもないこずじゃないか」 どっず倧きなため息をひず぀吐くず、零君はむ゚ティも凍死するような冷たい芖線を私に向けおきた。 が、どんな目を向けおこようず私は平気だ。長い付き合いである。魔王フルダの凍お぀く芖線などずっくに慣れた。 がちょっず枛るくらいだ。地味に痛いけど。 「ちなみに、私は攻めだず思うんだ。けど、どうしおも受けも捚おがたくお  」 「その話ただ続くのか 俺聞かないずダメ」 「ダメ。めちゃくちゃ重芁すぎお私だけじゃ決められない。零君も䞀緒に考えお」 「嫌だ。お前はあい぀で䜕をしでかそうずしおるんだよ」 「次の冬に出す同人の新刊の䞻人公にしようずしおるんだよ。ネタが浮かばなくお締め切りダバいの」 「俺の幌銎染頭おかしい」 「今さらでしょ。もういいかげん慣れよう、零君。君の幌銎染の頭は尋垞じゃないくらい頭が腐っおいおおかしいんだよ」 「自分で蚀うな。あずその蚀い方むか぀く」 景光君の死を受け止めきれずに止たっおいた私の時間は、今再び動き始めた。 そう、逃げちゃダメだ。逃げおばかりじゃだめなのだ。 だから必死に考えた。い぀もの睡眠時間を二時間削っおうんうんっず、うなりながら思考回路をフル回転しお考え抜いた。 たぁ、芏則正しく毎日八時間睡眠だから、二時間くらいけずっおも問題なかったけれど。 そしお、私はその日思い出した。そうだ発想を逆にすればいい、ず。 死が受け止めきれないのなら、受け止めなければいい。逃げおもいいのだ。景光君は私の心の䞭で氞遠に生き続ける。ヒロミツ・フォヌ゚ノァヌ・ラブ。幌銎染よ、氞遠に。 ただ、その答えに蟿り着いた埌、私はさらにあるこずに気が぀いた。 圌を私の心の䞭だけにずどめおおくなんおもったいない。倚くの人に圌の功瞟を知っおもらうべきなのではないだろうか そうだそうしよう。 私の趣味は同人。よし、趣味ず実益を兌ねそろえたずびっきりの゚ロ同人誌を䜜ろう。 そしお、今ここ。 「次の冬の新刊の題名は「はたらくお兄さんの秘密のお仕事。愛ず陵蟱に䜓がうずく譊察時」で、どうかな」 「ちょっず䜕を蚀っおいるのかわかりたせん」  幌銎染ふたりが、公安なんおいうレアで萌ずネタず゚ロの巣窟にいるのだ。これを描かないでいられようか  「いや、私にはムリ」 「なんで公安が゚ロの巣窟になるんだ」 「ハニトラなんおたさにそうでしょ。私、零君が男専門ク゜ビ○チでおじさた盞手にハニトラし掛けおいおも、「ああ、だめ  でも䜓がうずいちゃう」っお、アンアン喘がされおいおも匕かないよ。むしろ私の脳内の雄が興奮する 乱亀でもでもドンずこい」 「お前の性癖ず思考に俺のほうがドン匕きだよ」 「零君ず私っお、昔からの趣味あわなかったもんね。お医者さん  小道具  癜衣  うっ、頭がっ」 「そんな話は今しおいない」 「倧孊時代、うっかりドむツのグロAV芋ちゃっお䞉人で泣いたこずもあったね」 「その話もしおいない」 どんなプレむでもほがオッケヌだけど、リョナずグロだけはいらない。バッド゚ンドメリヌバッド゚ンド 知りたせんね、そんな子。芋たくもない。 「蚀っおおくが。お前の考えおいるようなこずは、俺はしおもいないし、圓然されおもいない」 「えぇないの 本圓に 嘘吐いおもダメだよ。私、零君専甚の超高性胜嘘発芋機だから。景光君のお墚付きだからね」 「チッ  忘れおた」 圌は嘘が䞊手い。それはもう「嘘ですが、それが䜕か」ず、本人が開き盎るくらいにはプロだ。ほずんどの人は、圌の吐いおいる嘘に気づくこずなく己の人生を終えるこずだろう。 しかし、私の堎合はそうはいかない。腐っおも幌銎染なのだ。圌が「あ」ずひず蚀発しただけで、顔を芋ただけで嘘かどうかを芋抜く自信がある。 「そういうわけだ。ずっずず癜状したたえ。あずでカツ䞌出しおあげるから」 「なら、桜林の特䞊カツ䞌な。そこ以倖は蚱さない。ああ、今日は倕飯の甚意をしなくお楜だな」 「残念だったねぇ。近所にある海泉屋さんにもう出前を頌んでしたったのだよ。倧食らいの零君はそれだけじゃ足りないず思ったから、ざるそばの倧盛りも頌んでおいたよ」 「あそこの぀ゆ、か぀お出汁がきいおいお矎味いよな  しかたないから蚱しおやる」 「蚱された。あず、今混んでいるからもう少し掛かるっお」 「了解」 零君のご飯はおいしい。本圓においしい。圌が垰っおきお以来、私の食卓はパラダむスだ。さよなら、卵かけごはんずお茶挬けずカップ麺の日々。こんにちは、おいしい和食。倩囜はここにあったのだ。日本食ばんざい。 しかし、どんなに料理が䞊手い䞻倫でもずきには䌑みたいのではないだろうか。そしお、たたには自分が䜜ったもの以倖の料理を食べたいず思うのではないだろうか。そう思い、今倜は出前を頌んでみたのだ。 私は、なんお出来た幌銎染なんだろう。 「だいたい、なんで俺のハニトラ盞手が男限定なんだ 普通は女だろ」 「だっお零君、昔から男にモテモテだったじゃん。告癜の四割近くは男だったし。その䞭で、ガチで君の゚ロ尻を狙っおいたのは驚異の九割 これは酷い」 「はぁ 誰の情報だそれ」 「景光君。こっそり統蚈取っおたよ。そのグラフがこちらになりたす」 「  あい぀、裏でこそこそ䜕やっおいるかず思えば」 「孊生時代に君の桃尻が無事だったのは、景光君の䞊々ならぬ努力のおかげなんだよ」 ヒットアりェむでサヌチデストロむ。合い蚀葉は「犯られる前に殺れ」。景光君はその昔、汚れを知らない残酷な倩䜿を守るためのガヌディアンだったのだ。もっずも、その守っおいた可愛い子ちゃんも、今ではすっかり堕倩しお翌の折れた小悪魔になっちゃったけど。 「客が男子だらけになった高校文化祭のコスプレ喫茶」 「ノヌコメント。あれは絶察に俺だけのせいじゃない」 「倧孊の先茩に「俺のチ○コ受け取っおくれ」ず蚀われたくった、異物混入たみれのバレンタむン」 「ノヌコメント  っお、そこをあえお䌏せ字にするな ただのチョコだろ」 「そうだね。䞭に癜濁した䜕かが入ったチョコだったね」 「ノヌコメント」 「零君のノヌコメントは肯定ず䞀緒だね」 私の幌銎染の゚ロ゚ロ小悪魔フェロモンは、それはもうすごかった。特に幎䞊の男性には絶倧な効果を発揮したくっおいたのである。 おかげで、景光君は倧事な幌銎染のプリケツを守るために、芁泚意人物ずなりそうな者を片っ端から぀ぶしお回ったのだ。もちろん圱で、蚌拠も残さずに。 盞手が教垫だったずきは、容赊なく瀟䌚的にも抹殺しおいたっけ。 「それでどうなの 男性盞手のハニトラは䞊手くいった」 「  ノヌコメント」 「よっしゃ そこのずころ詳しく」 「ノヌコメントしか蚀っおないだろ」 「零君のノヌコメントは肯定だっお蚀ったでしょ。さぁ、さくさく自䟛しおいこうか」 「お前には絶察に話さない」 「などず、わけのわからないこずをお巡りさんは䟛述しおおり  っお、零君のケチ」 「ケチで結構だ」 零君のこずなので、銀座ナンバヌワンのホステスのように愛も䜓も売らないけれど「僕、高いですよ」なんお蚀いながら、うるうる瞳、ぷるぷる唇、僕っ子口調、小悪魔笑顔を称えお金ず情報を根こそぎぶんどっおいたのだろう。 たったく、この人昔から悪い男なんですよ。男も女も片っ端からだたくらかしお、これでお巡りさんなんおいうんだから䞖も末だ。 「だいたい、なんでお前に話さないずいけないんだ  あんな黒歎史」 「え 黒歎史  っお、はぁ 黒歎史」 「そうだったらなんなんだ」 「たさか  黒歎史になるほど酷いこずされたの え ええ トラりマずかトラりマずか、ずかずか、心どころか䜓に傷が残るような過激たでされたの」 「いや、そこたでは  たぁ、仕事だず割り切っおるし」 瞳をそこはかずなく最たせ、ふいっず顔を暪にむけお芖線をそらす圌。私には、その姿が匷姊に遭った被害者女性にしか芋えなかった。 知っおいるかい 男が匷姊に遭った堎合、女性より粟神的苊痛が倧きいこずが倚いらしい。二次元ならそのたたそっちの道に目芚めおはっちゃけるパタヌンもありだが、簡単にはいかないのが珟実だ。これだから䞉次元っおや぀は。 「どこの誰だ、うちの可愛い子ちゃんの心ず䜓を傷物にしたのは  殺す」 「どうした急に怒り始めお 腹痛か 早くトむレ行っお来い」 「違うよ」 倧事なこずなので二床蚀うが、私の最倧の地雷はバッド゚ンドだ。メリバも地雷です。 たずえ始たりが、こじ぀けで匷姊で無理矢理でちょっずありえない超展開だったずしおもかたわない。 ただ、最埌がハッピヌ゚ンドで二人に愛が芜生え「ふたりは幞せに暮らしたした。めでたしめでたし」になっおくれればむッツオッケヌでオヌルオッケヌなのである。 䞖の䞭、愛が正矩で勝利だ。 それが、うちの倧事な倧事な零君の凊女を奪っただけでなく、䞀生負うような粟神的苊痛たで䞎えおトンズラしただず 地雷どころか解釈違いもいいずころだ。 「盞手には死をもっお償わさなければならない」 「はぁ」 「私、ちょっず地雷過激掟ヒステリックオタクになっお突撃しおくる」 「どこにだよ」 「零君を無理矢理犯しおおきながらトンズラした匷姊魔にだよ」 「ちょっ  萜ち着けっお」 「萜ち着いおなんおいられない」 バンッず、䞡手で目の前のダむニングテヌブルを思い切り叩く。衝撃でテヌブルの䞭倮にビシっず倧きなひびが入り、䞊にのっおいたふたり分のコヌヒヌカップがごろりっず、転げ萜ちた。問題ない。䞭身はすでに私の胃の䞭だ。 「サンタマリアの名に誓い、零君の玔朔を奪ったすべおの匷姊魔に鉄槌を」 「俺の凊女を勝手に喪倱させるな。倧事なこずだからもう䞀床蚀う。喪倱はしおいない  危なかったけれど」 「無理しお嘘぀かなくおいいんだよ」 「だからされおない わかっおいおわざず蚀っおいるだろ」 「本圓は乱暎されたんでしょ ゚ロ同人みたいに ゚ロ同人みたいに」 ガンッず、今床は右足で目の前のテヌブルを思い切り蹎り䞊げおみる。するず、いずも簡単にテヌブルは吹っ飛んだ。所詮、お倀段異垞の店で買ったテヌブルだ。壊れたずころで問題ない。だっお圌は代わりはいるもの。 今問題にするべきこずはそこじゃない。 「俺の話をちゃんず最埌たで聞け。そしお暎れるな。近所迷惑だ。先週みたいにたたお巡りさんがきちゃうだろ」 「聞いおる聞いおる。あず、お巡りさんはもういるから。君がお巡りさんだから  カラシニコフの裁きのもず、.ミリ匟で奎らの股間を食いちぎっおやる」 「の.ミリ匟は数発呜䞭しないず臎呜傷にならない。どうせなら.ミリ匟にしろ」 「なんで簡単に殺しちゃうの 臎呜傷にならないからこそ、眪人に自分の眪を数えさせるこずも、じわじわず痛みず死の恐怖を味あわせるこずもできるんだよ」 「俺の幌銎染、物隒なこず蚀い始めた」 倧䞈倫だ。そんなに物隒なこずは蚀っおはいない。通垞通りである。ただ、䜕人か、䜕十人か、䜕癟人か、ずもかく殺人蚈画を立おおいるだけだ。なんの問題もない。景光君亡き今、私が零君の尻を守らなければ 「実は私のおじいちゃん、ずある秘密結瀟のボスなの。私、その䌝手で優秀な殺し屋ず始末屋を雇っおもらうよ。あたりに腕の良いスナむパヌがいるっお聞いたこずあるし」 「そい぀はやめろ。嫌な予感しかしない」 「安心しお。私、確実に党員しずめるから  自分の手はいっさい汚さずに」 「本圓にやめろ。お前の実家、冗談抜きで華麗なる䞀族だからしゃれにならない。特にお前のじヌさん超ダバい人物すぎお、公安でも「名前を蚀っおはいけないあの人」状態なんだぞ  お前はなぜか䞀般人だけど」 「倧䞈倫。冗談じゃないから。あずうち、確かに玠敵無敵䞀族だけど、觊らぬ䞀族に祟りなしで日本に害はないから  私はなぜか䞀般人だけど」 皇族だろうが、王族だろうが、倧財閥だろうが、なんでもありで勢ぞろいなのが私の実家である。 うちの家、華麗なる䞀族すぎおほんずダバいのよ。裏䞖界では【名前を蚀っおはいけないあの䞀族】で通じ、䞀族自䜓がすでに秘密結瀟状態だ  私は䞀般人だけど。 そう、私だけ䞀般人なのだ。幌い頃にいろいろあり、緊急避難措眮ずしお仮の戞籍を䜜り、䞀時的に別人になったたではよかった。 だが、うっかり䞀族、それどころか芪兄匟たでもが私の存圚を忘れおしたったために、そのたた䞀般人ずしおすごすはめになっおしたったのである。 私の存圚ずはいったい。 ちなみに、今䜿っおいる戞籍も公安公認だ。完党に違法である。 珟圚の停名は【敷浪 明日銙】どこかで聞いたこずのあるような名前だね。 「私  零君が、もうモブ男の䞊に乗らなくおもいいようにする意味深」 「やめろ 俺の䜓を勝手に穢すな」 「零君の凊女はなくなっおないわ、私が守るもの」 「いいから萜ち着け、このシンゎ○ラ第二圢態」 「うるさいニュヌタむプゎリラ あず、い぀も蚀うけど、シンゎ○ラ第二圢態は可愛くないから华䞋」 「お前そっくりだろ。ブサ可愛い蒲田君の目のあたりずか」 「異議あり 䌌おない」 「华䞋だ」 「むきゃヌ 私をあんなぶさいくにたずえるなんお  蚱さない 絶察に絶察にだ おのれ芚悟しろ」 「望むずころだ」 ゎヌン。 二人しお同時にダむニングテヌブルを叩き割ったのを合図に、シンゎ○ラ第二圢態ニュヌタむプゎリラの仁矩なき闘いが開始されたのである。カツ䞌が届くたで、あず十分。 䜕で私たちケンカしおいるんだっけ 私の「攻」零君が「受」だったかな ああ、お腹すいた。 ― 䞀時間埌 ― 「たぁ、カツ䞌でも食べお萜ち着け」 「うっす。兄貎ごちになりたす  お金は私が出したけど」 「挬け物も食べるか」 「兄貎やさしい  私が挬けたぬか挬けだけど」 「他人の金で食うカツ䞌は矎味いよな」 「そうだね。私は自腹だけど」 ゎ○ラゎリラの闘い物理は、カツ䞌が届くたで続けられた。そしお、案の定私たちのドタバタは近所の誰かに通報されたらしく、カツ䞌ず䞀緒にお巡りさんも届いおしたった。 たぁ、い぀ものごずく「ただの倫婊喧嘩ですはヌず。毎回お隒がせしおすみたせんはヌず」ず、某安宀透みたいな人な぀こい笑みを浮かべお匷制的に远い返したしたけれどね  零君が。 「ねぇ零君。い぀から私たち倫婊になったの」 「二十幎以䞊䞀緒にいるんだから、もう倫婊みたいなものだろ」 「そっかぁ」 これは驚きだ。聞きたした、奥さん。二十幎以䞊䞀緒にいるず幌銎染は、倫婊ぞず進化するらしいですよ。そんな法則知らなかった。倧発芋だから今床ゞュネヌブだかルクセンブルクだかの孊䌚で発衚しないず。 「じゃあ、籍入れる時は、私の䞀番初めの停戞籍である【圩浪 零】でお願いしたす」 「华䞋。倫婊そろっお【降谷 零】になるだろ」 「おもしろそうじゃない」 「ややこしいだけだ。バカなこず蚀っおないでさっさずカツ䞌食べろよ」 「はヌい」 怒られた。蚀い出したのは圌からなのに、なぜ私だけ怒られるのだろう。 理䞍尜だ。これだから、公安サヌのわがたた姫は。 「口に米粒぀いおる。ほら、ずっおやるからこっち向け」 「やめれぇ。頑匵っお食べおるからじゃたしないでぇ」 「お前、ホント昔から食べるの遅いし食べ方も䞋手だよな」 「そんなこずないよ。今回は食べにくいからそうなっただけだもん」 段ボヌルの䞊にカツ䞌を眮いお、もそもそず食べる私たち。ダむニングテヌブルが私たちに陵蟱され぀くしおボロ雑巟のようになり、テヌブルずしお機胜しなくなっおしたったからだ。 そのため、抌入の奥から匕っ匵り出しおきた倧型段ボヌルに癜いテヌブルクロスを敷き、その䞊にカツ䞌を乗せお食べるこずにしたのである。これが実に食べにくい。 ちなみに、この段ボヌルの䞭に䜕が入っおいるのかは考えおはダメだ。このぐるぐる巻きにされたガムテヌプの封は、決しお切っおはいけない。 降谷ママンが「これはいりたせんね」っお、満面の笑みを浮かべながら箱ごず焌き払っおしたわれる。 「思ったんだけど、零君が「僕、譊察庁譊備局譊備䌁画課所属の譊芖なんです」っお、手垳ちら぀かせずけば、どんなに隒いで通報されようが䞋っ端のお巡りさんはもうここに来ないず思うよ」 「頑匵っお働いおくれおいるお巡りさんを䞋っ端呌ばわりするんじゃありたせん」 「おっず、これは倧倉倱瀌いたしたした。それで手垳は出さないの」 「盎属の郚䞋じゃなくおも、䞊叞がこんな頭のおかしい奎ず䞀緒にいるず思われたくない。䜕があっおも絶察に出さない」  「こんな こんなのっお蚀った こんなにプリティヌでチャヌミングで心優しい幌銎染に察しお」 「厚かたしい奎だな。自分で蚀っおいお恥ずかしくないか」 「事実ですから。それが䜕か」 厚かたしいもなにも、党お事実で真実だ。私は悪くない。ドダッ 「おか、さっきも倫婊ずか蚀っおたくせに、今さら私ず他人のふりができるずでも」 「悪い蚘憶にない。そんなこず蚀ったか」 「蚀ったんですよ。やだなぁ、零おじいちゃんボケちゃっお。ご飯は䞉日前に食べたでしょ」 「毎日食べさせおやれよ。逓死するだろ  お前が」 「あれれ おかしいぞ なんで私が逓死するの」 「飯䜜るのはい぀も俺だろ」 「なるほど。じゃあ私が逓死したら、死なば諞共で死ぬずきは零君も道連れにするね。い぀だっお私たちは運呜共同䜓。氞遠に䞉人でひず぀のディスティニヌ」 「䞉人っお、もう䞀人いないだろ」 「あ    そうだった」 「  」 「  」 「カツ䞌食べよう」 「そうだね」 その埌。ふたりしお黙々ずカツ䞌を食べた。 最近私たちの䌚話はい぀もこうだ。ふたりそろっおハむになっおケンカするか、灰になっお沈黙するかのどちらか。 ちょっず前たではスナむパヌ景光ならぬストッパヌ景光がいおくれたから、こんな乱高䞋の䌚話になるこずはなかった。そうなる前にい぀でも圌が止めおくれたから。 でも今は―― 「  䜕か話せよ」 「零君こそ䜕か話しおよ」 「さっきたでベラベラず宇宙語を喋っおいただろ」 「お腹いっぱいになったらどうでもよくなっちゃった」 「  そうか」 「  」 「  」 これ、あかんや぀。この空気の流れあかんや぀。やばい、なんか泣きそう。なんでか泣きそう。お願い、誰か䜕か話しお。ここ、私ず零君しかいないけれど 沈黙が重すぎお痛いよ。 ここは、あえおお酒でも飲んでハむになるべきだろうか。いや止めよう。絶察にその埌に燃え尜きお灰になる。 それにこの家、お酒はバヌボンずスコッチしかないのだ。曎に重い空気になるだけや。 「そうだ、零君」 「なんだ」 「私、近々ここを匕っ越そうず思うの。ずうずうサツにここの居堎所がバレちゃったんだよ」 「バレたどころか、さっきのを入れお今週䞉回もお巡りさんがここに来おるな。完党に目を付けれおるだろ」 「倫婊喧嘩がたえない近所迷惑な家だからね。それでね、公安で手ごろなセヌフハりスないかな 玹介しお」 「嫌だ。公安は䞍動産屋じゃない」 そう蚀うなり、零君はあからさたに嫌な顔をしお、食埌の枩かいお茶をずずっずすする。 ああ、今日も零君のいれおくれた日本茶はおいしいですね。 しかしなんだ。そこたで嫌そうな顔しなくたっおいいじゃないかな。別に家賃割り匕きしろずはひず蚀も蚀っおない。お金はあたるほどあるから、お金払いはいいよ私。ちょっずいい物件を玹介しおくれるだけでいいのに。 「別に匕っ越さなくおもいいだろ。で広くお日圓たりもいい郚屋だし、セキュリティもしっかりしおいる。匕っ越したい本圓の理由は」 「あのね零君。驚かないで聞いおほしいんだけど  君の幌銎染、実はかなり重い男性恐怖症を患っおいるの」 「知っおる。俺ずヒロ以倖の男が党くダメなくせに、腐った趣味は平気ずいう昔から頭のおかしい奎な」 「二次元ず䞉次元は違うんだよ。䞉次元の男地雷です。リアル・ノヌサンキュヌ」 「お前の脳、完党に誀䜜動おこしおいるよな」 「ですよね。私もそう思う」 「それで それがどうしたんだ。そんなの今さらだろ」 そう、私の男性恐怖症なんお今さらだ。幌銎染である零君ならよく知っおいるこずだ。 恐怖症を克服しようずしお、たず珟実の男性ではなくむラストから入っおみたものの、うっかり沌にはたっおおがれ、恐怖症はそのたたに新しい扉を開いたなんおこずも、本圓に今さらだ。 「それが、その  五日くらい前に、このマンションの二぀䞋の階に新しい人が越しおきたしお」 「  どんな奎だった」 「くらいの独身男性。䌚瀟をいく぀か経営しおいるっお、自分で䞀方的にベラベラ喋っおた」 「チッ  」 「䞀回目の時はすぐに逃げたからわかんなかったけど、䞉日前にマンションの゚ントランスでたた䌚っお  無理矢理話しかけられお」 「黒か」 「私に向けた芖線がドロっずしおいお、その  凄く気持ち悪かった」 「今すぐここを匕っ越すぞ」 零君も盞圓だが、私も負けず劣らすで、サむコパスやキチガむをホむホむ匕きよせおしたう難儀な䜓質なのである。 昔から幌銎染そろっお、性犯眪的なこずにたきこたれおいたのだ。 おかげで、私はすっかり男の人がダメになっおしたった。今でも零君ず景光君以倖の男性に觊れるこずができないし、犯眪者予備矀は芋ただけでわかっおしたう。 「ああ、この人ダメだ」ず。 幌銎染ふたりからは「敵は容赊なく぀ぶせ」ず、犯眪者を半殺しにする術を培底的にたたきこたれたので、これたで倧事に至ったこずはない。 私が盞手を半殺しにし、二人がずどめを刺す。い぀でも、盞手が血たみれの倧惚事だった。 二人が公安に入っおからも、オタクな私はすっかり郚屋に匕きこもっおしたったため事件が起こるこずもなかった。 本人がほずんど倖に出ないのだ。犬も歩かなければ棒に圓たらないし、私も倖に出なければ犯眪にあわない。セキュリティのしっかりしたこのマンションの䞭にいれば、垞に安党だったのである。 しかし、敵がマンション内にいるずなるず話は別だ。安党神話は厩壊した。 盞手を远い出せばいいっお 君は奎らのこずを䜕もわかっおいない。あい぀らは、私がここにいるかぎり、どんな手を䜿っおでもやっお来る。仲間を呌ぶこずもあるくらいだ。 己の本胜に忠実に埓い、どこたでも執拗に远いかけお来る。ただ欲望をみたす、それだけのために。いずも簡単に犯眪に手を染めおくるのだ。 圌らの頭の䞭に諊めるずいう蚀葉はない。獣ず䞀緒だから蚀葉も通じない。あれこれ苊劎しお远い払うより自分たちから率先しおいなくなったほうがずっず楜だず気づいたのは、もうはるか昔の話だ。 私の実家を頌るずいう手段もなくはない。が、そうなるず今床は加害者が瀟䌚的以䞊に抹殺されおしたう。戞籍どころか、存圚ごずこの䞖界から抹消させられおしたうのだ。 ある日突然「そんな人間いたせんよ」ず、蚀われる。ホラヌ映画のごずく、背筋がぞっずするようなこずが珟実に起こっおしたうのだ。 真実は闇の䞭ぞ。 犯眪者に同情はしないが、そこたでするのはどうかず疑問には思う。それならただ私たちの過剰防衛――党身血塗れで䞡手䞡足骚折のほうが人間ずしおたしだろう。 そんなわけで、実家はなるべく頌らず、幌銎染䞉人で力を合わせおこれたでやっおきたのだ。 「䜕もされおないよな」 「  今のずころは」 「明日たでに次の家を芋぀けおくる。それたで絶察に郚屋を出るなよ」 「ご迷惑をおかけしたす」 「迷惑じゃないから、こういうこずはもっず早く蚀え。䞉日前にわかっおいたっお、のん気にカツ䞌食っおる堎合じゃないだろ」 「いや  その、匕っ越したら、零君「ベッドの䞋の腐海は眮いおいけ」っお蚀うかず思っお」 「眮いお行くどころか焌き払え。今すぐに」 「  ですよね」 知っおた。零君なら絶察にそう蚀うだろう予想は぀いおいた。だが、私にだっおどうしおも譲れないこずがある。これがなくなったら生きおいけない。人間にずっお趣味は倧事だ。それがどんなこずであろうずも。 「それず、ね  」 「ただ䜕かあるのか」 「うん。その、ここを匕っ越す際の荷物敎理のこずで  」 「たぁ、腐った物をすべお捚おるのはお前も嫌だよな。でも、この際だから少し枛らせよ。俺も手䌝っおやるから」 「そうじゃなくお  」 「じゃあなんだ」 「えっず、この家に残しおある物  景光君の物も、やっぱり片づけなくちゃいけないよなぁっお」 「  っ」 この家には、景光君の私物――圌が生きおいた蚌がいく぀も残っおいる。 ここに匕っ越しおきたのは、倧孊四幎生の時だ。その頃は景光君も零君もこの家に入り浞り、ほが䞉人で暮らしおいたようなものだった。 䜕気なく買った本や楜譜、気に入っお䜿っおいたマグカップやグラス。パヌカヌやシャツや替えの䞋着類。探そうず思えばいくらでも圌の物は出おくる。 これたでは、芋お芋ぬ振りをしおそのたたにしおおくこずもできた。だが、ここを匕っ越すずなるずそうもいかないだろう。 捚おるのか、それずも持っお行くのか。持ち䞻はもういないのだから、家䞻である私がすべお刀断しなくおはいけない。 「少し前から情緒䞍安定だったのはそのせいだったのか」 「私、そんなに倉だった」 「幌銎染なめるなよ。俺からすればあきらかにおかしかった。さっきも倉なこずを突然蚀い出したりしお」 「  そっか。そうだよね」 私が、圌のどんなに小さな嘘も芋抜くように、圌もたた私の嘘を芋抜いおしたう。私たちはどこたでも同じなのだ。互いに嘘は通じない。䟿利でいお、ずおも䞍䟿。だっお、優しい嘘すら吐くこずができないのだから。 「初めは、景光君の物をどうしようかだけを考えおいたんだよ。けど、景光君の物を芋おいたら、だんだん䌚いたくなっお  い぀の間にか考えおいるこずが支離滅裂になっおきお」 「  」 「おかしいよね。倧孊卒業しおからほずんど䌚えなかったし、䌚わなくおも党然平気だったのに。もう二床ず䌚えないっお思ったら、よけいに䌚いたくなっちゃうなんお  バカだよね」 あれだけ䞀緒だったふたりが私から離れたこずに、䞍満がなかったず蚀えば嘘になる。 けれど、それが圌らの遞んだ道だず思えばどんなに寂しくおも我慢できた。応揎しようずも思えた。䞖界のどこかで生きおいお、い぀かたた䌚えるならそれでよかったのだ。 それだけでよかったのに―― 䌚いたくおいおもたっおもいられなった私は、急いで圌の墓に行っおみた。けれど、やっぱりそこに圌はいなかった。 「久しぶりだな 元気だったか」 なんお、懐かしい声が聞こえるくるこずもなかった。 䌚いたいずいう欲望は、解消されるどころかどんどん募るばかり。ぜっかりず穎があいたようなむなしい気持ちだけが、心に広がっおいく。結局、私は逃げるようにその堎から立ち去った。 その埌も、私の脳はぐるぐるず考えた。考えを止めるこずができなかったのだ。 求める答えはひず぀だけ。どうやったら圌に䌚えるのか。 死んだ人間に䌚う方法を真剣に考えるなんお、ばかげおいる。普通に考えおも正気ずは思えないだろう。けれど、私は考えずにはいられなかった。幜霊でもいい。ひず目だけでもいい。それほどたでしおも䌚いたかったし、䌚いにいきたかった。 この時、すでに私の頭はおかしくなっおいたのだろう。零君的にいえば「脳が誀䜜動を起こしおいる」だ。 久々に珟れた倉質者に、長幎暮らした愛着ある堎所からの匷制的な匕っ越し。避けたくっおいた幌銎染の遺品敎理。たった数日でいろいろな珟実を぀き぀けられ、状況が目たぐるしく倉わり、もずもず匱かった心が声なき悲鳎を䞊げおいた。 それでも、䞍幞䞭の幞いは零君が垰っお来おくれお、ずっずそばにいおくれたこずだ。圌がいなかったら、私はずっくに壊れおしたっおいただろう。 「それで、おたえが蟿り着いた答えが、なんで゚ロ本䜜るこずだったんだよ」 「自分の゚ロ本なんか出されたら、景光君カンカンになっお怒るでしょ」 「たぁ、絶察に怒るだろうなあい぀」 「そしたら、きっずお説教しに私のずころに来おくれるよね」 「  」 「䞀生懞呜考えたんだよ。私からは䌚いに行けないし、どうやったら景光君が䌚いにきおくれるかなっお」 「あい぀を怒らせるのが䞀番手っ取り早いず思ったのか」 「うん。でも、景光君優しいし、めったなこずじゃ怒らなかったでしょ。い぀も「お前はしょうがないなぁ」っお、笑っお蚱しおくれた」 「  そうだな。特にお前には甘かった」 そこで、さらに私は考えた。いや、過去を振り返った。どういうずきに圌は怒っおいただろうか。䜕をしたずきに圌に怒られただろうか、ず。 普通のこずではダメだ。これたでのように笑っお蚱されおしたう。それでは、倩囜からわざわざ降りおきおはくれないのだ。 ずびっきりのいたずらをしなくおは圌には䌚えない。きっず䌚いに来おはくれない。 そしお、私はやっず思い出したのだ。圌が過去最悪に怒ったあの日の出来事を。 「私が芚えおいる䞭で、高校の頃に景光君×零君の゚ロ同人誌䜜った時の景光君が䞀番怒っお怖かった」 「お前が悪いんだろうが。あれには俺も本気で怒ったからな」 「ふたりに容赊なく怒られお、ずっずお説教されお  私、ガクブルしお二日間も泣いた。二床ず䜜らないっお誓玄曞たで曞かされたし」 「二床ずするなよ  っお、あぁ、そういうこずか」 「ねぇ零君。もう䞀床同じこずやれば、景光君きっず怒っお私のずころに来おくれるよね」 「  どう、だろうな」 「やだなぁ。そこは、䌚いに来おくれるっお  蚀っおよ」 「  ごめん」 「い぀もはすぐ嘘吐くくせに、こういうずきばっかり  なんで、正盎になるかなぁ」 「ごめん」 「ううっ  䌚いたいよぉ  景光君に䌚いたいよぉ」 䌚いたい。その蚀葉を぀ぶやくたびに、私の瞳からぜろぜろず倧粒の涙が勝手にこがれ萜ちおいった。目の前にいる零君が、にじんでよく芋えないくらいに。 圌が死んだず知らされたずきも、お墓に行ったずきも、涙なんかひず぀も出なかった。それが、今になっおずめどなくあふれ出おくる。この涙は、いったい今たで私の䜓のどこに隠れおいたのだろう。 ねぇ、景光君。私、今ずっおも悲しいよ。零君も、䜕も蚀わないけれどきっず心の䞭で悲しんでいる。君の幌銎染、こんなにも君を思っお泣いおいるの。だから、早く䌚いに来およ。 「私、こんな身の䞊でこんな䜓質だから、お友達なんお零君ず景光君しかいなかった  のに、もう零君だけになっちゃった」 「  っ」 「どうしお、景光君いなくなっちゃったの  なんで死んじゃったの」 「  ごめん」 「ちゃんずお別れしたかった  最期に、来䞖でもお友達になっおねっお蚀いたかったよ」 「ごめん  」 「いやだよぅ  さみしいよぅ」 「本圓に、ごめんな」 子䟛のようにわんわん泣き続ける私にそっず近づくず、力匷く抱きしめおくる零君。その埌も、圌はずっず私に謝眪しおいた。ごめんず、その蚀葉だけを壊れた機械のように蚀い続けたのである。 それは、いったい䜕にたいする謝眪なのだろう。圌が死んだこずにたいしおなのか。それずも、死んだ理由を話さないこずにたいしおなのか。そのどちらもなのか。 私にはわからなかった。嘘は芋抜けるけれど、思いは蚀葉にしお蚀っおくれないずわからないのだ。 どんなに䌌おいおも、しょせん私たちは別の人間なのだから。 真実は話しおくれないのに、決しお私を離しおくれない君なんか嫌いだ。倧嫌いだ。 零君のばヌかばヌか。 (君をはなしたくないから、真実をはなしたくない)
亡くなった幌銎染の远悌に、圌が䞻人公の゚ロ同人誌䜜ろうずしたら、【攻】か【受】かで金髪ニュヌタむプゎリラず乱闘になった乱闘になったずは蚀っおいないず、犯人は䟛述しおおり  な、内容です。<br /><br />腐女子で幌銎染なオリ䞻本名なしず「俺」口調の降谷零さんの、組織壊滅埌くらいのお話です。<br /><br />オリ䞻は、公安や組織のこずを知っおいたり、知らなかったり。安宀さんやポアロのこずも、知っおいたり知らなかったりな感じです。<br />スコッチさんの名前が景光さんになっおたす。<br /><br />ギャグ八割、シリアス二割。<br /><br />お暇な時にでもお読みいただけたら幞いです。どうそ、あなたの心のグッピヌが党滅したせんように  いっおらっしゃい<br /><br />続きは、Twitterから公開しおおりたす。<br />(Twitterからプラむベッタヌに入れたす。そこに眮いおありたす。ただしフォロワヌのみ)
亡くなった幌銎染の同人䜜ろうずしお金髪ゎリラず乱闘になった話
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10031389#1
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UNIVERSE of WORLD 泚意 独自蚭定、山盛りですお芚悟を 䞻は最匷です笑 望月綟時がちびっ子になり、菜々子ちゃんず小孊校に通っおいたすランドセル装備です ラスボスをも脅す䞻のスキルは、党お∞です「゚レボス」を退け続ける圌の力は、フィレモン以䞊 青い郚屋の䜏人達は、皆䞻の熱烈なファンです頌み事は二぀返事で匕き受けたす 䞖界蚭定は皲矜垂、䞻は䞻のクラスメむト八十神高等孊校幎組です。 はアニメを基本にしおいたす原䜜通りにむベントが始たらない事もありたす はありたせんが、堎合によっおはキスを迫る、抌し倒す、などの衚珟が有るかも  䞻は、召喚噚が無くおもペル゜ナを通垞空間にも出せたす。 りチの子蚭定䞻※圓家オリゞナル名 名前十六倜 京耶いざよい きょうや ◆原䜜通り、運呜の日にコミュの結晶「宇宙UNIVERSE」のアルカナを埗お「呜のこたえ」に  蟿り着き、自身の魂を以おニュクスを封印、月日に死亡した。 ◆前、ニュクスを脅かす存圚を感知し、殲滅する為期間限定の実䜓を持っお珟䞖に降臚。  䞻ずその仲間がニュクスを脅かす存圚ず戊うのを芋お、手を貞す事に 。 りチの子蚭定䞻 名前鳎䞊 悠なるかみ ゆう ◇皲矜垂、八十皲矜に期間限定でやっおきたの䞻人公。  ◇初期ペル゜ナむザナギワむルド胜力者の為、ペル゜ナチェンゞ可胜 ◇特別捜査隊のリヌダヌ ※これは、フィクションです。実圚する組織、刑事機構等ずは䞀切関係ありたせん。 ホント、枈みたせんが 埡泚意䞋さいたせぇぇぇぇm(_ _)m [newpage]  その事件は、圓時皲矜垂でも倧きく取り䞊げられた。 小雪の舞う曇り空の午埌、愛嚘を保育園に迎えに行く途䞭の䞻婊がひき逃げ事故に[[rb:遭 > あ]]った。亀通量の倚くない堎所だった為か目撃情報も無く、初動捜査の遅れず雪から雚に倉わった倩候も[[rb:祟 > たた]]っお、珟堎の状況は最悪ず云っお良い皋に党おの蚌拠品が流されおしたった。  被害者の女性の名は――堂島千里。 皲矜垂譊察の刑事、堂島遌倪郎の劻であった。 [chapter:Doubt & Trust朱の死神] 「そう か」  萜胆を隠せない声で呟く鳎䞊悠に、癜鐘盎斗は垜子の[[rb:鍔 > ぀ば]]を䞋げ「申し蚳ありたせん」ず同じ台詞を繰り返した。 「皲矜垂では、埗られる情報はやはり限られおしたうのだず掚枬したす。それに これは僕の考えなのですが、堂島さんの奥さんを[[rb:蜢 > ひ]]いた犯人は、この町の者では無い可胜性も芖野に入れたほうが良いかず」  [[rb:偶々 > たたたた]]あの日、皲矜垂を蚪れおいた者たで加害者ずしお考えればその数は膚倧になる。䜕凊から手を぀けお良いものか途方に暮れる悠に、盎斗は持っおきた曞類を枡す。 「実は、祖父の[[rb:䌝 > ぀お]]になるのですが 」  著名人や政治家等、瀟䌚的地䜍を持぀者達を察象ずした【[[rb:ずある > ・・・]]曞庫】が存圚するらしい。盎斗も噂で聞いただけなのだが、圌等が関わる衚に出せない事故や事件を【拠所無いよんどころない】ずしお揉み消したは良いが、䞇が䞀の事態に備え蚘したものなのだず。囜のトップに名を連ねる者の䞇が䞀等、どうせ碌でもない話しだろうけれど。 「ただの噂だず、これたで気にしおいなかったんです。でも 」  珟圹刑事たる堂島が執念を燃やし執拗に調べ続けおも、歀凊たで蚌拠が出ないのは逆におかしい。 「憶枬に過ぎたせんが、もしも堂島さんの奥さんを故意ではないにせよ殺害したのが瀟䌚的地䜍を持぀者ならば、普通の捜査では絶察犯人に蟿り着けないず思いたす」 「盎斗、それは俺が聞いおも良いものか」 「えっ」 「怖じ気づいたずかじゃなく。盎斗の身に危険は無いのか、っお事なんだが」  行き詰たり手掛かりに繋がる䜕かを必死で探しおいる叔父の、手助け出来ればず考えおの行動だが、その為に倧切な仲間たる盎斗に䜕か起こるのは本意じゃない。きっぱり云いきった悠に、盎斗は頬が熱くなるのを感じ俯く。 「こ、この件に぀いお、僕は詳しくありたせん。祖父にお䌺いを立おおからずいう事で 」 「無茶は、しないで欲しい」  自分はこの町に来おから、やっず本圓の仲間を埗る事が出来たず思っおいる。私事で倧切な人達に䜕かあったら、申し蚳なさすぎるではないか。 「僕は探偵です。どんな事件を担圓しおいおも、危険を芚悟しおいたす」 「呜に関わる調査は、絶察に止めおくれ――[[rb:いいな > ・・・]]」  玄束、ず小指を出した悠に驚き盎斗は身を匕く。土曜午埌のゞュネスのフヌドコヌトで、向かい合わせに座る自分達が指を絡める等、恥ずかしくお出来ない。顔を真っ赀にした盎斗は抗うが、読たれおいたのかあっさり手銖を掎たれる。男装しおいるけれど、盎斗は女の子である。悠の倧きな手に行動を阻たれれば、逃げるのは䞍可胜だ。 [[rb:痩 > や]]せお芋えるのに、先茩もやっぱり男なんだな  指切りを匷芁する悠に苊笑しゞェスチャヌで玄束に合意した盎斗は、手を拘束を倖しお貰う。ドキドキする胞を抌さえながら小指を絡めた盎斗は、悠の「指切りげんたん」の歌をがんやり聞く。 『先刻から随分芪密そうだけど、䜕か䌁み事』  座っおいる二人の頭䞊から聞こえるのは、男の柔らかい声だ。誰なのか刀っおいる為、慌おず顔だけを䞊向かせた。 「䌑憩時間か、[[rb:十六倜 > いざよい]]」  フヌドコヌトの焌きそば屋でバむトをしおいる、鳎䞊悠のクラスメむト――十六倜京耶。圌は『自称・特別捜査隊』の埡意芋番ずしお、戊闘以倖の様々な雑事の凊理を匕き受けおいる人物だ。成瞟は孊幎トップで、圌ず悠に倩城雪子を含めた䞉人は、倏䌑み前のテストから銖䜍を独占状態である。因みに、同じクラスの花村陜介ず里䞭千枝も、䞀幎の頃より成瞟が向䞊しおいるずの情報を掎んでいる盎斗だ。 「䞁床お客さんが匕けたから、䌑憩に入っおも良いっお店長が」  お邪魔かな 盞垭を申し出る圌ぞ、悠は自分の隣の怅子を匕く事で答える。盎斗ぞも瀌を述べ怅子に座った京耶は、トレむに乗せおきた飲み物のカップを二人ぞ枡した。 「あ、ありがずうございた す」 「枈たないな」  カップの䞭身は、無難な凊でホットコヌヒヌである。ミルクだけを受け取った盎斗は、䞊手に蓋を倖しミルクを垂らした。 「二人共、深刻な顔をしおいたけど䜕かあった」 「叔母さんの事故に぀いお、名探偵の芋解を求めおいた凊だ」  堂島家の隣、望月家に䞋宿しおいる京耶は家族ぐるみの付き合いだず盎斗は悠から聞いおいた。それ故なのか、「そんな凊たで知っおるワケ」ず特別捜査隊の面々が揃っお溜息を぀くほど、悠ず京耶はツヌカヌに芋える。実際は『䞀人にしおおくず危なっかしい京耶を、悠が監芖しおいる』らしいのだが、真盞は謎である。 「堂島さんの奥さんの事故を、盎斗が調べおるんだ 䜕か、進展があった」 「事故から随分経っおいるからな。譊察関係者にコネがある盎斗でも、難しいらしい」  そう、ず呟いた京耶は手元のカップぞ芖線を萜ずす。 十六倜京耶は二幎前の春、圓時通っおいた月光通孊園高等郚の屋䞊で亡くなっおいる。盎斗がその事実を本人に突き付けたのは、今幎の五月だ。 京耶は吊定も肯定もしなかった、ただ真実を盎斗自身の手で突き止めおみせろず[[rb:å—€ > わら]]ったのだ。あれ以来䜕床か圌ず話しおいるが、未だに謎は解明できおいない。祖父癜鐘草䞀朗からの助力は、圌の件に関しお受けられないず事前に釘を刺されおいるのも、䞍信感を煜る䞀端ではある。 貎方は䜕者なんですか  悠達の敵には成り埗ない、偎で芋おいお刀っおいるけれど。 堂島千里の事件ず平行しお、歀方も調べなくおはならない か  倧倉だが匱音を吐く぀もりは無い盎斗は、悠に説明した調査曞に぀いおの事実確認を行おうず決めた。  翌日、盎斗は憂鬱な顔を隠しもせずある人物の家に向かっおいた。 昚倜の倕食埌に祖父の曞斎を蚪ねた盎斗は、【ずある曞庫】に぀いお持ち掛けた。存圚自䜓が危ぶたれるものだが、火のない所に煙は立たない。絶察に火元が有る筈で、それ故に真実を远究せねばならない事を探偵たる盎斗は己に科しおいるのだ。 「どうしおも教えおはいただけたせんか」  名探偵ずしお名を銳せおいる癜鐘草䞀朗は、座したたた腕を組み目を閉じおいる。幎盞応に[[rb:皺 > しわ]]が刻たれた顔は垞以䞊に厳しく、圌は先刻より䞀切口を開かない。 「僕のこれたでの掻動は、殆ど おじいさんの力に助けられたものでした。探偵ずしおの力量、知名床、党おに斌いお僕はただただ未熟で 」  あの癜鐘草䞀朗の孫ずいうだけで、捜査本郚の者達は掌を返したように盎斗に接する。掚理力ではなく、祖父の名前だけで盎斗は探偵ずしお立おたのだ。それは圌女の向䞊心を僅かに傷付けたけれど、子䟛なのも性別が女なのも事実ずしお受け止めなくおはならないず刀っおいたから、『い぀か』を手に入れる為の努力をしおきた。 「でも、今回ばかりは僕個人の[[rb:自尊心 > プラむド]]など捚おおも良いず思っおたす」  癜鐘盎斗の内に溜め蟌んだ醜い本音を知った埌も、仲間ず呌び受け入れおくれた人達。圌等の為にも心を曲げる事は出来ない、したくない。 お願いしたすず頭を䞋げた盎斗の決意に察し、癜鐘家圓䞻は深く嘆息し長い沈黙の埌にこう告げた。 「では、ひず぀だけ条件を出そう。[[rb:力有る者 > ・・・・]]を、連れおきなさい」 「力 それは、どういう基準のものですか」  さぁおず笑う圓䞻は、孫の退出を促す。手掛かりに繋がる道筋が少しだけ芋えたず思ったのに、出された条件は曖昧だった。盎斗は倜明け近くたで考え続け、寝䞍足の顔で商店街を歩いおいる。 䌑日の今日は人圱もたばらで、䜏人の倚くは隣接する垂や倧手スヌパヌに繰り出しおいるのが刀る、閑散さだ。惣菜倧孊から良い銙りが挂っおくるのに歩を止めた盎斗は、手土産があったほうが良かっただろうかず銖を傟ける。 「あれっ、盎斗君 こんな凊で、䜕やっおるの」 「里䞭先茩、倩城先茩、おはようございたす」  私服姿の里䞭千枝ず倩城雪子が、盎斗を芋付け早足で惣菜倧孊前にやっおくる。 「䜕凊かに出掛けるずころ」 「ぇ っず、はい。知り合いの家たで」 「ぞぇ、そうなんだ」  友達のお家に蚪問っお良いね。 屈蚗無く笑う千枝は、持っおいたバッグから袋菓子をひず぀取り出した。 「里䞭先茩より、盎斗探偵ぞ逞別である。持っお行くがペむ」 「千枝ぇ、盎斗君困っおるよ」  芪切の抌し売りは駄目ず窘められた千枝だが、盎斗は笑顔で菓子を受け取る。 「ありがずうございたす。先方に䜕かず考えおはいたんですが、浮かばなくお」 「この商店街で探すのは、難しいものね」  お排萜なカフェや隠れ家的な個人経営のレストランなど、甘味凊は軒䞊みゞュネス近所に集䞭しおいる。寂れた商店街で手土産を埗るのは、かなり無理がある。 「凊で、先茩達は揃っおどちらぞ」  今日は自称特別捜査隊の集合日では無かった筈、ず呟く盎斗に雪子は苊笑する。 「玔粋に、買い物なの。お隣の沖奈垂で、秋物の掋服を芋たいっお千枝が」 「ゞュネスは安くお良いけど、単䞀ブランドばっかだず飜きおくるしサ」  孊校ず自宅の埀埩だけなら、普段着に気を配らなくおも良さそうなものだが、幎頃の女子二人はお互いを芋た埌䜕故か頭を振る。 「ゞュネスでの勉匷䌚の時は、制服だからいいんだけど」 「䌑日に䞀緒に出掛けたりするじゃない そのぉ、鳎䞊君達ず」 「云いたくないけど、鳎䞊君ず十六倜君が揃っおるず 呚囲の目がね」 「あぁ、刀りたす」  昚日の盎斗も、圌女たちず同じ気持ちだった。単䜓では「綺麗な少幎が居る」くらいの認識なのに、あの二人は揃うず[[rb:存圚感が半端無い > ・・・・・・・・]]のである。鈍いず云われる盎斗にも刀ったくらい、寄せられる芖線は倚かったずいうのに、本人達は気にする玠振りもなかった。 「自意識過剰っお思うけど、私達だっお女の子だから」 「䞀番嫌なのは、『綺麗な男子二人の偎の女子が、チンクシャ』っお笑われる事よねっ」  䜕がチンクシャっ それっお日本語 [[rb:憀慚 > ふんがい]]する千枝を䞊手く宥める雪子の姿に二人の付き合いの長さを感じ、぀い盎斗は埮笑んでしたう。探偵ずしおこれたで過ごしおきた圌女に、本音を話せる芪しい友人は居なかった。䟝頌䞻や事件関係で埗た秘密は䞀般人ぞは到底話せるものでは無かったから、自然に人から離れおしたった結果、誰も盎斗の偎に残らなかったのだ。 「倩城先茩ず里䞭先茩は、十分玠敵で可愛らしいず思うんですが」  僕なんかより、ず普段からスラックスを愛甚しおいる盎斗が自分の服装を指す。 「えぇヌっ、盎斗君だっお幎頃の女の子でしょう」 「孊園祭の時のスカヌト、䌌合っおたよ」  今床䞀緒に買い物に行こうね、ず眩い笑顔で先茩呜什を䞋された盎斗はギクシャクした動きでその堎から退散する。拉臎られ買い物に同行させられるのは、埡免だ。手を振る圌女達ぞ䌚釈し、蚪問予定の家を目指し歩き出した。 事前に連絡を入れおおけば良かったかな  十六倜京耶を蚪ねようず考えたのには、理由がある。 祖父は『力有る者を連れお来い』ず云った。其凊で問題になるのが、『䜕に察しおの力なのか』だ。 䜓力だけなら巜君でも良いけど っお、違うっ  特別捜査隊の方々に迷惑をかけるのは、絶察に駄目だ。これは鳎䞊悠の力になりたいず始めた、自分の為の捜査なのだから。 でも、僕には他に頌れる人が居ない  これたで築いた人脈は、党お祖父の名が圚っお初めお䜿えるものだ。手を打たれおいたら、孀軍奮闘凊ではない苊戊を匷いられるのは確実だ。 「仕方ない。圓たっお砕けろ、だ」  自分に䞀番䌌合わぬ行動だけれど、進む為には泥だっお被る。勢いのたた䜏宅街に入った盎斗は、堂島家を玠通りし隣の望月邞のむンタヌフォンを抌した。 [newpage]  望月家に䞋宿しおいる十六倜京耶は、䌑日の突然の蚪問にも拘わらず[[rb:å¿« > こころよ]]く盎斗を迎えた。䜕凊から出したのか、専門店で扱うようなアフタヌヌンティヌセットが出おきた時には、動揺を通り越し感動した盎斗である。 「それで、盎接僕の凊に来たのはどうしお」  もしかしお、以前出した宿題の答えが出たのかな 少しだけ殺気を蟌めた意地悪な問い掛けに、盎斗は居䜏たいを正す。 「それは、ただですけど。お願いしたい事があっお」 「僕に」 「はい――二幎前に亡くなった筈の十六倜京耶さん、に」  持っおいたティヌカップを゜ヌサヌの䞊ぞ戻しお、京耶は背もたれに身を預ける。圌が怖いず思うのは、こんな些现な動䜜䞀぀で察する者を圧するからだろう。 「賢い君が、正面から挑んでくるずは思わなかった。忠告した筈だよね 䞖の䞭には、知らない方が良い事実がある っお。草䞀朗さん、君のお爺様は僕に関わるなず云わなかった」 「     」 「泚意されただろう そうなるように仕向けたのは、僕だ。ねぇ、本圓にその意味を理解した」  祖父ほどの力を持぀者を、黙らせる事が出来るのだず目の前の少幎は事も無げに云いきる。どうやっおも倪刀打ち出来ない盞手を前に、盎斗は膝の䞊の手を固く握りしめる。 「刀っお たす」 「僕は孊校ず特別捜査隊の掻動以倖、手を貞さないず決めおるんだよ」  理由は有るが、盎斗に関係ないので教えない。 メンバヌの家族や孊校の友人等の頌み事も匕き受けるけれど、それだっお本圓ならば自分が手を出しお良い領分では無いのだ。重い蚀葉を真摯に受け止めながら、盎斗は被っおいた垜子を脱ぎ頭を䞋げる。 「でもっ、僕はどうしおも堂島さんの奥さんを殺した犯人を、探し出したいんですっ 鳎䞊先茩に頌たれたからだけでなく、僕自身の為に だからっ」 「誰かの力を借りお、それを自分の為ずか云うのは停善じゃない」 「その 通りです」 「    、匷情者。草䞀朗さんも、気を揉んでるだろうね」  態ずキツむ蚀葉で突っぱねたのに、盎斗は折れる様子はない。危険が䌎う捜査になるのだろう、だから協力者を埗お来いず祖父たる人は条件を぀けたのだ。 盎斗、僕を遞んだのは[[rb:偶然 > ・・]]  皲矜垂に[[rb:蔓延 > はびこ]]る叀神ずの戊いは、ただ終結しおいない。特別捜査隊のリヌダヌたる鳎䞊悠も、春よりも力を付け匷力なペル゜ナを合䜓により手にしおいるが、ただ足りないず京耶は芋おいる。 圌の仲間たる者達に䜕事があれば、未来ぞ繋がる道が閉ざされるだろう事は明癜。圌女の願いを無䞋にする等、最初から出来る筈も無いのだ。 僕が  僕のたたでは盎斗の力にはなれない  十六倜京耶は、[[rb:死んでいる > ・・・・・]]のだ。その事実に蟿り着く者が皆無ず云えない堎所に、出向くのは危険過ぎる。眉間に皺を刻む圌の頭に、涌やかな女性の声が響く。 ―京耶様、ここはぜひ[[rb:私 > わたくし]]にお任せ䞋さいたせ― ゚リザベス 任せるっお、䜕を ―運呜のカヌドを抱く圌女を、守りたいず考えお居られるのでしょう― そうだけど   倧䞈倫、この案なら絶察にバレないず倪錓刀を抌す゚リザベスの声に仕方なく同意を瀺した京耶は、圌女が出した条件を盎斗に䌝える。 「盎斗、これから云う事が呑めるなら協力しおあげるよ」  がばっず顔を䞊げた盎斗は、飛び掛かるような勢いで京耶にしがみ぀く。 「䜕ですか 云っお䞋さいっ おじいさんを玍埗させられるなら、僕䜕でもしたすっ」 「あのね、䞀応僕は高校生だから 」  君だっお高校䞀幎で、名探偵ず謳われおいおも孊生なのは倉えられない。子䟛に䜕が出来るず芋䞋されるのを防ぐには、協力者たる人物は倧人が盞応しい。 「䞀人だけ、荒事に慣れた知り合いが居るから。力になっお貰えるかどうか、確認しおみるよ」 「はぁ 知り合い っおぇ」  慌おる盎斗ぞ、京耶は玙ずペンを差し出す。 「電話番号、教えお貰えるかな」   『桐条の力では、残念ながら捜査出来なかったのでな。南条の埡圓䞻殿の力を借りる事になった。君が話しおいた曞庫の存圚は、眉唟では無いず明らかになったよ』  だがアレは霞ヶ関のお偉い様達の匱みを握る為、極秘に䜜られた機関の管理䞋に圚る。䞍甚意に突けば化け物が飛び出すだけでなく、日本経枈にも倚倧な圱響を䞎えるだろう。出来れば関わっお欲しくないず蚎える桐条矎鶎ぞ瀌を云い、京耶は通話を終え携垯を眮く。 「いっそ【芋られちゃ拙いものばっかり詰たった曞庫】は郜垂䌝説でした、っおオチなら良かったのにねぇ」  クスクス笑うのは、京耶の半身ずも呌べる存圚、アルカナ【死神】のファルロスだ。普段の圌は小孊生の姿で、隣家の堂島菜々子ず䞀緒に小孊校に通っおいる。名目は『菜々子ちゃんの護衛』だが、本人が楜しそうなので問題芖しおいない京耶である。 「盎斗の気持ちも刀るから、実圚は朗報だけどね」  さお、これからどう察凊しおいくべきか。 ゚リザベスの䜜戊を遂行するにあたっお、盎斗が[[rb:暇 > いずた]]を告げおから倕方たで二人は留守の口実を考えた。  䞀番説埗が厄介な鳎䞊悠ぞは、『䞡芪が残した遺産に぀いお芪族䌚議が行われる事になったので、䞀週間ほど留守にする』ず説明した。桐条から匁護士ず護衛を付けお貰えるず説明したのが効いたようで、同行を蚀い出さなかったけれど、䞀日䞀回の定時報告を矩務付けられた。お土産も玄束したので、他のメンバヌぞは悠から詳しい話しが䌝わるだろう。 望月綟時のお䌑みに぀いおは、望月の片芪が緊急入院ずいう理由を䜿うらしい。「僕が䞀緒に行かなきゃ、君はすぐ無茶をするからね」ずはファルロス談である。 「京耶様、[[rb:宜 > よろ]]しいでしょうか」  ゚リザベスが差し出した掋服䞀匏を受け取り、京耶は隣宀ぞ消える。時を叞るペル゜ナ―ノルン―の力で、噚の倖芋幎霢を匕き䞊げるずいうのが゚リザベスの考えた䜜戊だった。 「十䞃歳の京耶の倖芋を二十五歳くらいにしおも、盎ぐ身元がバレそうな気がするけど 」 「えぇ、その通りですわ」  其凊はこれから修正するのだず目を茝かせる゚リザベスの前の扉が開き、困り顔の京耶倖芋二十五歳掚定が珟れる。身長が十数センチ䌞びた他は、先刻ず䜙り倉わらない。秋の朝晩の寒さに察応した、黒のトレンチコヌトず濃い藍色のカット゜ヌ、ブラックゞヌンズは今のサむズに合わせたのでぎったりである。手を叩く゚リザベスは、背埌から黒のゞャグルブヌツを取り出した。 「お履き物は、歀方をお䜿い䞋さいたせ」 「    ぇヌっず ゚リザベスさん」  この服装、自分の趣味じゃないんですが 匱り切っおいる京耶を゜ファに座らせ、圌女は「宜しくお願い臎したす、我が䞻」ず唱える。 「むゎヌルが ど  っ、わあぁぁっ」  たるで呪いの人圢のように、京耶の髪が腰たで䞀気に䌞びる。 「やっぱり色は黒だよね」 「そうですわね、ここは黒で統䞀したせんず」  ファルロスず゚リザベスは、楜しそうに䌞びた髪を梳く。 戊闘になった時、邪魔にならないように結んだほうが良いだろうず思案するファルロスの背埌に、い぀の間にかテオドアたで出珟しおいた。 「ね、ねぇっ 僕がここたでする必芁、あるのっ」 「京耶様、芋た目ずいうものはずおも重芁なのですわ。髪の長さや色が違えば、幎霢は玠より貎方様埡本人ぞ結び぀ける条件から倖れたすでしょう」  ですから、ず手を翳す圌女は挆黒に倉わった髪に満足そうに頷く。 「眞の色も、倉えた方がいいねぇ」 「えぇ、完璧ですわ」  手鏡を枡された京耶は、其凊に映った芋知らぬ色の自分に嘆息する。髪ず目の色が違うだけで雰囲気がこれ皋倉わるのかず、感心しおいたファルロスが枡すのはシルバヌのアクセサリヌだ。 「封印の為のものだよ。巊右、同じ数だけ付けおね」 「   刀った」  装食類に興味が無かった京耶だが、倧きすぎる力を封じる為ず云われれば埓うしか無い。 「最埌の仕䞊げは、これで埡座いたす テオドア、京耶様を抌さえなさい」 「はい、姉䞊」  この為に呌ばれおいたのだろう、ベルベットルヌムの䜏人たる矎貌の青幎は「倱瀌臎したす」ず断った埌、京耶の頭をがっちり固定する。 「ちょっ ちょっず埅っおっ なにす ひぃ―――っ」  満面の笑みで゚リザベスが構えたのは、ピアッサヌだった。 [newpage]  明日、□□垂△△△駅前広堎に午前十時。 盎斗の携垯に甚件だけの短いメヌルが届いたのは、昚倜の倜だった。十六倜京耶が玄束した、『荒事に慣れおいる知り合い』が来るずは思うのだが、どんな経歎を持っおいる人物なのかたで刀らない。詳しく教えお䞋さいずメヌルしたのだけれど未だに返信は無く、盎斗は眺めおいた携垯を䞊着のポケットに入れた。 「倧䞈倫、なのかな」  これから行うのは普通の荒事ずは違う、身の安党が保障されない捜査である。[[rb:圌 > か]]の人物が同意しおくれたのは嬉しいが、出来れば前情報が欲しかったず零す盎斗の足元に圱が差した。 『アンタが䟝頌䞻の、[[rb:ちびっ子探偵 > ・・・・・・]]か』  頭䞊から響くのは、䜎く萜ち着いた声。 鳎䞊悠に嘗お云われた名に、矞恥で頬を染めた盎斗は立ち䞊がった。 「だっ、誰がちびっ子探偵ですかっ 劙な名前で呌ばないで䞋さ  」  其凊に立っおいたのは、痩躯の青幎だった。陜の䞋であるのに闇の具珟ずしお其凊に圚る男は、肩を竊め目元を隠しおいるゎヌグルを倖す。 切れ長の[[rb:眾 > ひずみ]]は、血のような[[rb:朱 > あか]]。䞡サむドを残し長い黒髪を高い䜍眮で䞀぀に纏めた髪型が䌌合っおいるのは、男の独特な雰囲気によるものだろうか。指無しのグロヌブを嵌めた手を差し出しお、男は嗀った。 「癜鐘盎斗、だな 俺の名は [[rb:焔 > ほむら]]」 「  十六倜 さん」 「ちげヌよ、阿呆ぅ。聞いお無かったのか 俺の名は、ほ・む・ら」 「あ、 はい。倱瀌したした、焔さん」  顔立ちは京耶そっくりなのに、䜕だろうこの砕け過ぎた栌奜の人は。呆れながら焔ず名乗った男を芳察する盎斗は、䞡手のブレスや䞡耳に付けられたピアスの数に蟟易する。売れない自称ロック歌手 ず銖を傟ける圌女ぞ、焔は広堎から出る様芖線だけで促しおくる。 「キョヌダから、アンタの力になれっお云われお来たんだが これから䜕を始める぀もりなんだ」  お兄さんに説明しなさいよ、ず頭を乱暎に撫でられ盎斗は慌おお距離を取った。 「そ、その前にっ 焔さんっ、貎方は䜕者ですかっ」 「んんヌ、俺」  腕を組み考える圌は、ポンず手を打ち綺麗に最敬瀌する。 「職業、死神っおダツ 短い間だけど宜しくな、盞棒」  さお移動開始ず䞀々行動を口にする男は、ゎヌグルを掛け盎し長いコンパスを生かしお進む。小走りになった盎斗は、圌が駅近くのパヌキングに入ったのに驚いた。 「車っ もしかしおっ」 「そっ。癜鐘邞から倱敬しおきた。じヌさんのモンだろ」  流石皀代の名探偵、自家甚車もむギリス補なんお枋いねず笑う男は、巊ハンドルは初めおだず嬉しそうに云う。  「おじいさんに䌚っおきたんですかっ」 「あったり前。時間が惜しいんだろう サクサクっず調査を進めねぇずな」  俺はこう芋えおも倚忙なんだ。 乗れず云われた盎斗は、枋々助手垭に収たる。癜鐘草䞀朗の愛車は、巷で隒がれる皋レアなクラシックカヌだ。コむンパヌキングに停めおいおも、マニアに芋付かったら速攻盗たれるのは確実なのである。 「よくも 勝手にっ おじいさんが倧切にしおいるこの車に䜕かあったら、どうするんですっ」 「䜕事かっお、そりゃあ無理だ。俺の仲間が、がっちり守護しおたし 死神憑きの車なんお、ブルっお誰も持っお行きやしねぇよ」  食べるかず差し出されたのは、棒付きのキャンディだ。怒りに眊を吊り䞊げながら拒吊する盎斗ぞ、圌はコヌトの内ポケットから畳たれた玙ずカヌドを取り出し、圌女の膝の䞊ぞ攟り投げた。 「それがアンタの探しおる堎所の地図、カヌドは入通蚱可蚌な。圓日有効に付き、明日になったら再発行だから泚意しろよ。パスコヌドはatlodpLoww5689754 」 「た、埅っお䞋さいっ もう䞀床お願いしたす」  手垳を出す盎斗に、焔は溜息をひず぀。 「  説明、面倒になったから俺が打ち蟌む」  車は安党運転で䞉十分近く垂内を走り続け、目的地近くのパヌキングに停たる。盎斗は事前盞談もなく車を降り、目前に迫った建物ぞ駆けお行った。 ―癜鐘さんを䞀人にしお、倧䞈倫―  半身の溜息混じりの呟きに、焔はクスクス笑うだけだ。進たなかった捜査に光明を芋出した探偵は、ブレヌキの壊れた車ず䞀緒である。制止の声は圌女の耳を玠通りするだけず、焔はトランクから刀袋を取り出し肩に掛け戊闘準備を敎える。  「゚リザベス、留守䞭車を宜しく。マニアに持っお行かれそうになったら、死なない皋床に痛め぀けお」 『畏たりたした。どうか お気を付けお』 「うん」 ―京耶ぁ、蚀葉遣いっ。垞に[[rb:荒垣先茩モヌド > ・・・・・・・]]を忘れないようにしないず、駄目だよ―  十六倜京耶だず蚀葉遣いからバレおは、苊劎しお化けた意味が無い。内偎から響くファルルロスの声に、圌は額を抑えた。 「それが䞀番難しいんだよ。僕、最埌たで頑匵れるのかな」  情けなさ䞀杯の顔を䜕ずか匕き締め、盎斗の埌を远う。圌女は既に建物の奥ぞ入ったようで、ロビヌを芋回しおも芋付ける事が出来なかった。目的の堎所は刀っおいる、暫く攟っお眮いおも構わないだろうず考えお、圌は受付の女性ぞ盎斗のものずは違うカヌドを差し出した。 「――南条家の玹介で来た、焔だ。通長ぞの取り次ぎず、俺の連れが䜕凊にいるのか確認宜しく」  無衚情だがかなりの矎貌を誇る女性は、恭しくカヌドを受け取り認蚌機械ぞ通す。照合した埌、圌女はカヌドを焔ぞ戻し受話噚を取り䞊げた。 「通長、南条家からのお客様が埡出になりたした。   はい、焔様ず[[rb:ä»° > おっしゃ]]いたす」  電話で話ながら、圌女は焔に芋える様に通内の電子地図を専甚のタッチペンで指す。問題の郚屋の隣宀に居るのを確認した圌は、埡案内したすずいう申し出を断り゚レベヌタヌに向かう。 「あ、そうだ。俺の連れに、飲み物出しおおいおくれねぇ」 「畏たりたした。䜕か お奜みは埡座いたすか」 「玅茶かなぁ 探偵だし」  頌んだ、ず案内の女性の肩を叩き圌は開いた゚レベヌタヌの䞭に消える。深々頭を䞋げ焔を芋送った女性は、携垯電話を取り出すず短瞮番号に登録しおいるある人物ぞコヌルする。 「私だけど えぇ、珟れたわよ。圌が  [[rb:そうなの > ・・・・]]」  確認の為の䞀蚀に、盞手は同意する。溜息を萜ずした圌女は、地味な色のスヌツを纏った自分の姿をガラス越しに芋お、クスっず笑った。 「私じゃなく、南条君に頌んだほうが良いんじゃないかしら なかなか 恐ろしいペル゜ナを抱えおいたから」  死神、ずかね。 それは排萜にならないず答える声に、圌女は肩を竊める。 「私はもう仕事に戻らなくちゃ。埌で感想を聞かせお頂戎」  䌚うのでしょう [[rb:䞖界の鍵 > ・・・・]]ず。 結い䞊げおいた髪を解くだけで、圌女の雰囲気が華やかなものぞず倉わる。職員の誰もが振り返る眩い笑みを浮かべ、圌女はそのたた建物の倖ぞ出お行くが、誰も関心を瀺さなかった。  窓の無い狭い郚屋の怅子に座っおいる盎斗は、焔が珟れるのを埅っおいた。盎ぐ远い付いおくるず思っおいたのに、圌はなかなか珟れない。苛立ちがピヌクに達しようずした時、やっず扉が開き埅ち人が珟れた。 「お埅たせっ っお、お茶 出おねぇ」  受付の居た矎人に頌んだのに、おかしいず銖を傟ける焔に盎斗が詰め寄る。 「䜕をしおたんですか、貎方はっ」  自分達は歀凊に、調査の為に来たんですよ。 それを、䜕凊で油を売っおいたのかず説教を始める圌女ぞ焔は手を合わせた。 「説明しようず思ったら、盎斗先に行っちたったじゃん。えぇヌっずだな、歀凊の責任者宛おの南条からの手玙を届けおたんだ」  だから遊んでたんじゃないです。 謝眪する焔に、盎斗は怒りの為か肩を怒らせ曞庫に続く扉の前に立った。 「さっさず開けお䞋さい」 「りょヌかい、ボス」  認蚌カヌドをスラむド匏の機械に滑らせるず、壁に備え付けのキヌボヌドが珟れる。恐ろしい早さで超長いパスワヌドを打ち蟌んでいく圌は、通垞数分から十数分単䜍の時間を必芁ずする䜜業を、僅か䞉十秒で枈たせた。 「はい、終わり――[[rb:開くぞ > ・・・]]」  鉄補の扉が、重い音を響かせゆっくり開いおいく。同時に䞭の照明が次々に䜜動し、党䜓が芋枡せるようになった。 「   これ っお」  図曞通のように䞊べられた倚数の曞棚には、調曞らしき背衚玙が䞊んでいる。 「歀凊は䞀応 財団法人扱いになっおる筈だが」 「無理でしょうっ これだけの斜蚭を、䜕の利益が有っお運甚しおいるず云うんです」 「金なら、たっぷりあるんじゃねぇ 歀凊の䜕凊かに名前が残されおいる、雲の䞊の方々の懐から」  蒌癜な顔で振り返る盎斗の頭を、焔はポンず叩く。 「䞭に入った瞬間から、出るたで党おの行動の蚘録が残る。䜕の為に歀凊たで来たのか、忘れるなよ」 「  ぁ 」  目の前に山ず積たれた悪事の蚌拠に、歀凊に来た目的を忘れかけおいた盎斗は䞡手で頬を叩き気合いを入れる。 「さぁ、名探偵――埡指瀺を」  䜕凊から調べるのか、問う焔ぞ盎斗はメモに走り曞きをしたもの乱暎に抌し぀ける。 「お願いしたす」 「タむムリミットは、䞀時間。䞀分䞀秒の延長も蚱されない、刀ったか」 「   はい」  それでは、僕は向こうを探したす。 入っお盎ぐの凊に、幎代別になっおいるのを瀺す曞棚の目録が眮いおあった。それを取り䞊げ捲りながら、盎斗は狭い通路を歩いおいく。 「時間内に探し出すなんお、この量を芋たら無理だっお刀りそうなモンなのになぁ」  たぁ、粟々真面目なフリで捜し物を手䌝うか。 呟く焔は、盗聎噚が各所に仕掛けられおいる盎斗が進んだのずは違う曞棚ぞ向かう。幎床別になっおいるそれらを流し芋おいる内に、堂島千里が事故に遭った幎のものを芋付けた。 ―出来るだけ自然に、ものっっすごく[[rb:やる気が無い玠振り > ・・・・・・・・・]]でカメラに映るようにね― 刀っおるよ  面倒、ずいう態床を貫く焔は、無造䜜に䞀冊抜き取るずペヌゞを捲る。 「めがしいモン っお、䜕だ」  刀んねぇず呟き、次の曞類の束を掎む。それは、千里が亡くなった月ず翌月の『自家甚車を転売、又は修理した蚘録』である。殆どが数字や蚘号で蚘されおいるそれを、やはりパラパラ捲った埌興味を無くしたように曞類の山に戻した。 ―京耶、今の ― 保険を䜿わず自動車を修理すれば、蚘録が残らないず螏んだんだろうけど。䜕凊から秘密がバレるのか、本圓に刀らないものだよね  䞋町の敎備工堎に持ち蟌たれた高玚車は、明らかに事故の跡が残っおいたらしい。工堎䞻が譊察に届け、其凊からは発芚した事実は刑事機構の䞊局郚で握り朰されたのだろう。 䞀郚の人間は、己は人ず違う存圚だず過信する傟向がある ―特に、高官ずか 政治家なんかはその傟向が匷いのかな― 人の心の䞭たでは、【[[rb:宇宙 > 僕]]】だっお刀らない  人間が人間で圚る限り、死を匕き寄せる願望は消えず、砎壊神も決しお消倱しない。 だから戊い続けなくおはならないのだず歊噚を手元に匕き寄せ握る焔は、口元を奜戊的に歪めた。 「―――来た。タナトス、結界展開」  ベル゜ナに反応しおいるかのような共鳎音が響き、壁や倩井から黒いれリヌ状のような䜕かが次々に珟れる。この曞庫に時々、シャドりらしき存圚が湧いお出るのだず通長は云った。未知の存圚を殲滅する為、南条家が秘密裏に抱えおいるペル゜ナ䜿いを呌ぶのだ。今回その圹を匷匕に匕き受けた焔の目的は、ペル゜ナ䜿いしか入れない郚屋に盎斗も同宀させる為だった。  玹介状を持っお通長に䌚った焔は、特別䜕かを請われる事も詮玢もされなかった。圌等の関心は、この建物の維持にしか働かないのだろう。シャドりを退治する際、ほんの少しだけ資料を芋せお欲しいず頌んだのである。難色は瀺されたけれど、通長は吊ずは云わなかった。 䜕の為に誰の資料を読んだのか刀れば、埌は蚘録されおいる本人ぞ確認を取れば良いだけの話だからだ。圌等が秘密を知った者を殺そうが、賄賂を枡しお黙らせようが通長は知ったこずではないのである。  ―結界の䞭に党お取り蟌んだから、䞀気に片付けられるよ―    劙法村正でシャドりを切り捚おおいた焔は、刀を鞘に収め最匷のペル゜ナを召喚する。  「メサむア――ゎッドハンド」   呚囲が光で癜く塗り぀ぶされ、その䞭に巚倧な手が浮かび党おのシャドりを䞀瞬で殲滅しおいく。出珟した分は蚎䌐したのを確認、焔は切り離しおいた空間を元に戻す。珟䞖ず背䞭合わせの別空間で戊っおいたので、歀方偎に圓然被害は出おいない。南条の評䟡を䞋げずに枈んだ事に安堵した焔は、通路から珟れた盎斗に叱責された。 「䜕をサボっおるんですか、焔さん」 「ぅわっ お、脅かすなよ 盎斗」  ちゃんず仕事しおたんです。 刀を袋に収めながら蚀い蚳する焔に、盎斗は呚囲を芋回した。劙なトラップでも䜜動したのかず勘ぐる圌女ぞ、焔はひらりず手を振る。 「仕事っお なんです」 「そりゃあ勿論、化け物退治」  死神ですからず胞を匵る焔の靎の爪先を思い切り螏むが、ゞャグルブヌツ故にダメヌゞを䞎えられず盎斗は憀慚する。 「ふざけるな 僕は 貎方ほど暇じゃないんです」  せめお邪魔だけはしないで䞋さいず吐き捚お、盎斗は棚の向こうぞ消えた。 「あヌ 怒らせちたったなぁ。幎頃の嚘は難しいぜ」  仕方ないから、やる気を出しおいるフリをしよう。 適圓に掎んだ調曞をパラパラ捲りたた棚に戻す、を数回繰り返した焔は壁に掛けられおいた時蚈を芋䞊げる。 「    たさか」  滞圚残り時間、埌䞉十分は残っおいた筈が、針が先刻よりも早いスピヌドで進んでいるのを発芋する。この郚屋のアナログ時蚈ず扉の閉鎖は、連動しおいるのだ。閉じ蟌められおも劙法村正で扉を叩っ切れば良い話しだが、賠償[[rb:云々 > うんぬん]]になったら矎鶎に迷惑をかけおしたう。呚囲の気配を探った焔は、走り出した。   「盎斗っ」  圌女は随分奥の棚たで入り蟌んでいるようで、姿が芋えない。タナトスに探しお貰いながら駆ける焔は、やっず盎斗を芋付ける。 「盎ぐに歀凊を出るぞ」 「えっ、ちょっ どうしおぇぇぇぇぇ――っ」  小脇に抱えられた盎斗は、焔が凄い早さで扉ぞ向かうのに驚き䞡手で口を抌さえる。 「最初から玄束を守らない奎等だず思っおたけど、案の定だな。っおか、俺が䟝頌を遂行したから さっさず出お行けっお」 「どういう 事なんです」 「無事に倖に出られたら説明するから」  舌を噛たないように気を付けろ。 盎斗は前方に芋えた開かれた鉄補の扉が、ゆっくり幅を狭めおいくのに息を飲む。 「閉じ蟌められる 䜕故っ」 「通長を締め䞊げおみるか きっず、䜕も喋らないず思うぜ」  間二髪くらいで扉を朜り抜けた二人は、ホッず胞を撫で䞋ろした。鉄補の扉は固く閉ざされ、䟵入者を拒んでいる。パスワヌドも倉わったので、シャドり蚎䌐の仕事を受けなければ二床ず入れないだろう。 「貎方は 䞭で䜕をしでかしたんですか」  せっかく手掛かりが芋付かるかず思っおいたのに、少しも手が届かなかったず俯く盎斗は唇を噛み締める。慰める為に手を䌞ばしかけお、焔は拳を握る事で己の行動を抑えた。 「この䞭には、䜕故だか定期的に悪魔 悪霊 が湧いお出るらしいんだよ」 「えっ」  トン、ず片手で扉を叩いた圌は、盎斗ぞ倖ぞ出ろず顎をしゃくる。 「それを殲滅する為に、俺みたいな胡散臭い奎でも入宀になるっお蚳」  䞭の監芖カメラは、二仕様分蚭眮されおいる。䞀般的なものず、シャドりが珟れおも姿を捉えられる特殊なものずを、だ。先刻焔は、結界で珟䞖からシャドりを匕き剥がし党お別空間ぞ移動させおしたった。その様子は、倚分カメラに映っおいないだろう。 あヌ 、南条の埡圓䞻殿に叱られるかも  せっかく振り分けた仕事なのに、銖尟良く終わらせないずは䜕事か、ず。 ―過去、ペル゜ナ䜿いずしお戊っおいたっお。桐条さんが云っおたよね― 矎鶎先茩の䟋も有るから、有名な財閥の圓䞻がペル゜ナ䜿いっお云われおも 驚きはしないけど   意倖だな、ず内心呟く焔である。 「取り敢えず。歀凊で出来る事は䜕もねぇし、移動すっか」  仕事が終わったずいう報告は、必芁無いず云われおいる。党お監芖カメラで行動をチェックしおいるからだ。焔ずしおも、盎斗を䜕時たでも歀凊に眮いおおくのは気が進たない。 「い、移動」 「腹、枛らねぇ そろそろ昌だし、メシ行こうぜ」  ファミレスで良いよなず笑顔で問う男を呆然ず芋䞊げる盎斗は、腕を匕かれ建物を出た。 「皮チヌズの炙り焌きハンバヌグず、季節野菜のグリルずスモヌクサヌモンのトマトクリヌムパスタ、それず 」  デザヌトず飲み物を頌んだ焔の向かい偎の垭の盎斗は、先刻から手垳に䜕やら曞き殎っおいる。あの郚屋の䞭では、時間が抌しおいおメモすら取れなかったのだろう。倩才ず云われた頭脳を駆䜿し、芚えおいる限りの情報を曞き出しおいるのだ。話し掛けるず怒られる為、焔は自分の分の泚文を枈たせるず携垯を取りだしメヌルを打ち始めた。 「   裏を取っおきたいので、電話しおきおいいですか」 「あぁ、勿論。盎斗は、䜕か泚文しないのか」 「戻っおから考えたす」  携垯を取りだした盎斗は、店員に電話を掛けられるスペヌスの堎所を聞き、店内を暪切っおいく。あの短時間で、圌女なりに気になる䜕かを掎めたなら良かったのだが。 嘆息する焔の前の垭に、光沢のある長い黒髪の矎女が座る。胞元が倧きく開いた真玅のドレス、レヌスのショヌルを肩に掛けた圌女は䞍機嫌な焔ぞふわりず埮笑んだ。 「埡機嫌よう――[[rb:扉の鍵 > ・・・]]」 「䜕凊にでも珟れるんだな――[[rb:砎壊神 >ニャルラトホテプ ]]」 「それは仕方のない事、よ」  血のような玅い唇を舌で舐める仕草は、[[rb:圌 > か]]の存圚の残虐さを衚しおいるようだ。新たな客の登堎にメニュヌを携えやっおきた店員を手で止め远い払った焔は、泚文した品々を持っお珟れる店員が青ざめる皋、剣呑さを露わにする。 「人間に欲が有る限り、[[rb:闇 > 私]]が消える事は無いわ。[[rb:刀っおいるでしょう > ・・・・・・・・・]]」 「僕は、どうしお[[rb:砎壊神 > おたえ]]が目の前に居るのか聞いおるんだけど」 「そう邪険にするものではなくおよ。せっかく良い男に化けおるのに」  勿䜓ないわ。 嗀う圌女は、焔の背埌を芋お目を现めた。 「あらあら、埌ろの方々は随分殺気立っおるみたいね。でも、歀凊で戊うのは駄目――死人が沢山出るわ」  私は構わないけれど、貎方は耐えられないでしょう 唇を噛み締める焔に、闇は嗀う。圌女を䞭心に負の力を溢れ出すのを抑え続ける焔は、噚が軋む音に顔を歪めた。 「䜕の 甚なんだよっ 」 「玔粋に、[[rb:珟䞖 > 地䞊]]で䌚っおみたかったのよ―[[rb:鍵 > 貎方]]に。埌は そうね、[[rb:圌等ぞの牜制 > ・・・・・・]]かしら」 「圌 等 」 「貎方の先茩達よ」   昔、砎壊神たる自分ず戊い勝利を掎んだ――ペル゜ナ䜿い達。 圌等は未だシャドりず関わり、人間の思念から生たれた闇を祓い続けおいる。 「もし䌚う事があったら、䌝えお貰えるかしら いい加枛にフィレモンにペル゜ナを返しなさい、ず」 「 んな事っ、自分で 云えっ」  郜垂䞀぀分を瞬時に砎壊し尜くす『ニャルラトホテプ』の神力を支える焔の身䜓が、傟きテヌブルに突っ䌏す。小刻みに震えおいるのは防埡にのみ力を展開しおいる為、粟神攻撃を魂に盎接受けおいるせいだ。 「貎方も、い぀もでも匷情を匵っおいないで 扉を開いたほうが利口よ」  闇は絶察に消えないのだから。 玅く塗られた爪が、蒌癜な癜い頬を撫でおいく。䞊目遣いで睚め付ける焔ぞ、砎壊神は綺麗に埮笑む。 「早く[[rb:砎壊神 > わたし]]の埡蚱に、墜ちおきなさいね」 「だれ が、おたえなんか っ 死んでたっお埡免だっ」  倱せろ、ず䜎く呟けば圌女はあっさり垭を立った。 「叀神が消えるたでは、倧人しくしおいおあげるわ。粟々、油断しない事ね」  貎方の魂を手にするのは、砎壊神たる私なのだから。 呚囲の誰もが芋惚れる華やかな笑みを残しお、闇は去っおいく。匷倧な力が唐突に倱せ、詰めおいた息を吐いた焔は咳き蟌んだ瞬間血に染たった掌に嘆息する。  ―京耶っ、倧䞈倫っ― 「ごめ ん、噚の内偎が 砎損した」 ―今倜修埩すれば良いだけの話しだよ。無理、しないで― 『油断しお居りたした。たさか こんな堎所に砎壊神自ら降臚するなんお 』  完党に自分達の手萜ちだず謝眪する゚リザベスぞ、焔は頭を振る。 「僕だっお想定しおいなかったから、気にしないで。それより 」  せっかく頌んだのに食べられないず呟いた焔の前には、泚文された品々が䞊んでいる。盎斗が戻っおくるのを懞念する圌の為、ファメロスは緊急事態だからずベルベットルヌムの二人ぞ指瀺を出す。 ―゚リザベス、テオドア、料理の埌始末 頌んだよ― 『『畏たりたした』』  ベルベットルヌムの䜏人二人の声が響くず同時に、皿や噚の䞭身が次々に消えおいく。盞倉わらずの食べっぷりに぀い吹き出した焔は、姉匟の「ごちそうさたで埡座いたす」の蚀葉に頷いた。 「もう 食べ終わったんですか 䞀䜓 どんな胃袋なんです、貎方は」  メモ垳をポケットに仕舞いながら戻っおきた盎斗は、空の噚達を芋お呆れ顔になる。先刻の血痕は綺麗に消しおいるので怪したれないずは思うが、堎所を移したほうが無難だろう。焔は立ち䞊がるず䌝祚を持った。 「䞀床、癜鐘邞に戻ろう。報告したい事もある」  出来ればネット環境が敎ったパ゜コンが欲しいず云えば、盎斗は銖を傟ける。 「䜕の 為です」 「蚘憶力が良いのは、盎斗だけの専売特蚱じゃないっお事」  先刻の堎所で芚えおきたデヌタヌを打ち蟌んでやるからず癜状する焔の腕を、今床は盎斗が匷匕に匕っ匵る。 「倧事なこずを最初に云わないのは、貎方も十六倜先茩も䞀緒ですかっ ほらっ、早く戻りたすよ」  䌚蚈を枈たせ駐車堎ぞ向かう二人を、執拗に芋詰める者が居たのだけれど。芖線の䞻は盎ぐにその堎から去っお行った。 [newpage]  圌等には、圌等の正矩が存圚しおいた。 囜を守る為ずいう倧儀を掲げ、自分達が遞ばれた者であるず自負し匱者を切り捚おる。自分達は䜕者からも守られる存圚だず、無意識に他者を芋䞋しおいた。  圌等にずっお、呜は平等のものではない。遞ばれし者は、誰よりも尊ばれるべきものなのだず盲信し続けおいる。 「   あのぉ 」  先刻から、キヌボヌドを叩く音だけが響いおいる郚屋にサむフォンを持っお珟れた盎斗は、空になったマグカップにコヌヒヌを泚ぐ。片手を持ち䞊げた焔ぞカップを差し出せば、歀方を芋ないたた持ち去られた。 「進み具合は 劂䜕でしょう」 「――ただ駄目」  ずっずこの調子で、圌は地名ず名前、数字を打ち蟌み続けおいる。その前は、䜕やら独自のプログラムを䜜っおいたようで、其方は打ち蟌み終わったデヌタヌを䜿う為のものなのだずか。 䜜業を初めおから既に四時間、䞀向に終わる気配が無いのも驚きだが、圌が蚘憶しおいるずいうデヌタヌの量に盎斗は畏怖さえ芚えおいる。䞀床チラ芋しおいるだけ、ず圌自身が云ったのだ。それを、ここたで完璧に再珟出来るずは、人間なのかず疑っおも仕方ないず思う。 「今日は、もう倖出したせんよね それなら僕は 」 「お前さ、単独の倖出は控えろよ。じヌさんからも、勝手に動くなっお云われおるだろう」  やっず手を止めた焔は、顔だけを盎斗に向ける。 「あの郚屋に入った者には、芋匵りが付く。䞀人で出お行ったら 襲っおくれっお云っおるようなモンだぞ」 「それこそ、歀方の思う壷では」  埌ろめたい事があるから、行動に出るのだ。それを逆に捕らえお蚌蚀を取ればず続く盎斗の蚀葉に、焔は溜息を萜ずした。 「銬ぁ鹿。盞手が法を守る保蚌が、䜕凊にあんだよ 冗談じゃなく、明日はどこぞの湟内に党裞死䜓で浮かぶ事になるぜ」  それずもコンクリ抱かされお䜕凊かにポむっ、か。 「女ずしお、最䜎最悪の屈蟱ず絶望の䞭で果おたいなら奜きにしろ」  墓前には小菊を䟛えおやるからず小銬鹿にした笑みを浮かべる焔は、近寄った盎斗に頬を匕っ叩かれる。 「なん でっ、貎方にそこたで云われなくちゃならないんですっ」 「お前が刀っおねぇからだろうが。力䞍足を自芚しおんなら、もっず頭䜿えよ」  刑事機構の力で察抗しようなんお、最初から無理なのだ。盞手は囜家暩力を握っおいる、自分が【絶察】だず錯芚しおいる者なのだから。 「いいか 奎等が歀凊に螏み蟌んで来ねぇのは、俺が結界を敷き仲間が芋匵っおるからだ」  ゚リザベスずテオドアが、先刻から良い笑顔で䟵入者を叩き朰しおいるので屋敷は平穏だが、圌女達の助力が無ければ今頃歀凊は『䞀家惚殺』の珟堎になっおいる。 「お前の探偵ずしおの行動基準は、事件が終わるたで忘れろ。普通じゃねぇ盞手に䞀般垞識を圓おはめようずすんな、速攻死ぬぞ」 「そ んな銬鹿で非垞識な人達が、堂島さんの奥さんを 」  自分達の眪を隠匿する為だけに、曎なる眪を犯そうずいうのか。 理解に苊しむ盎斗には刀らない、圌等にずっおの正矩は自分達の䞍利益を排陀する事なのだず。 「今曎、怖じ気づいおも遅ぇよ。盎斗、お前が遞べる遞択肢は、䞉぀しかない。䞀぀は、堂島千里を蜢いた犯人を捕たえ、名を癜日の䞋に晒す」  犯人が誰で圚っおも䞇人に真盞が明らかになれば、圓面の危機は回避出来るだろう。 「二぀目。十幎から二十幎間、探偵を䌑業し匕き籠もる」  自動車運転過倱臎死及び業務䞊過倱臎死なら、十幎で時効が成立する。堂島千里の事故のケヌスがどれに圓お嵌たるのか刀らないので、はっきりずは云えないけれど、捜査から手を匕けば盞手も様子芋だけに留めるかもしれない。焔は、「これは楜芳的な予枬だ」ず付け加える事も忘れない。 「䞉぀目――じヌさんず薬垫寺さんを助ける為、お前が[[rb:自殺する > ・・・・]]」 「絶察に嫌ですっ」  䜕故、垞識の欠劂した者達ぞたった䞀぀の呜を差し出すような真䌌を自分がしなくおはならない 憀り膝の䞊の拳を匷く握る盎斗ぞ、焔は自分が座っおいた堎所を譲る。 「取り敢えず、䜿えるようにはした。プログラムに぀いお説明する、䞀床で芚えろ」 「   はい」  癜鐘邞の屋根の䞊、某コンビニのおでんを食べおいた愛らしい子䟛は、䜕もない空間よりふわりず珟れた矎女ぞ手を䞊げる。 「お疲れぇ、゚リザベス。襲撃郚隊第二匟は、䜕凊の所属」 「それが バッヂや出所が蟿れる歊噚等を所有しお居りたせんでしたので 」  散々痛め぀けおから垰した者達は、珟圚テオドアが秘密裏に埌を远っおいる。 「やっばり 刀らなかったか。間者みたいに君達を䜿っおしたっお、申し蚳ないね」  出窓から身を乗り出し屋根に䞊がっおきた焔ぞ、゚リザベスは手を貞しファルロスの隣ぞ座らせる。十六倜京耶の魂が宿っおいる『噚』は、ベルベットルヌムに居るむゎヌルの力で修埩されおいる。だが、受けた粟神的苊痛はただ尟を匕いおいるようで、顔色が冎えない圌を案じるファルロスは、ワむルダック・バヌガヌの袋を差し出した。 「テオドアが、買っおきおくれた。食べる」 「うん、ありがずう」  久しぶりだず埮笑む圌は、早速䞀぀目を手に黙々ず咀嚌する。   「京耶、癜鐘さんの様子は」 「僕が打ち蟌んだデヌタヌず、自分が芚えおきた諞々を照合䞭」  結果次第で、次の行動が決たるだろう。 癜鐘邞は、珟圚二重の結界で守られおいる。其凊に圚るのに、悪意を持぀者は蟿り着けない。䞇が䞀の遠距離からの攻撃にも備えおいたが、早速五発皋狙撃されたらしい。匟は党お回収枈みで、物蚌になる為保管しおいる。 「䜕をやっおも駄目だっお気付いたらさぁ、ふ぀ヌは諊めるよねぇ」  これっお、どうよ ファルロスが指差した先がキラリず光り、䜕かが飛んでくる。散匟銃の匟が雚霰のように降り泚ぐが、圓然結界に阻たれおいる為効果は無い。人の目に映らない䞉人は、平然ずお茶を飲み食事を続けおいる。 「もしかしお、秘密を暎かれちゃ拙い あの曞庫に名前がある人達[[rb:党員が来おる > ・・・・・・]] ずか」 「その様ですわ。先刻ず攻撃方法が違いたすので 」  道の向こうから、劂䜕にも怪しいワゎン車がやっおくる。癜鐘邞の暪に停たるず、䞭から迷圩服を纏った屈匷な男達が次々に珟れる。戊争でも始める぀もりなのかず溜息を぀いた焔は、ハンバヌガヌを持っおいない手を空ぞ向けた。 「マサカド―――マハガルダむン」  突然巻き起こる局地的な竜巻に、襲撃者ずワゎン車は数癟メヌトル先の河川敷たで飛ばされる。組織の末端に属する者は、䜕時だっお切り捚おられる運呜なのだ。圌等が軜症なのを祈るしかない。 「盞手が超耇数犯なのは刀ったけど、襲撃者同士がかち合わないのも劙だね」 「お前達が駄目だったから次は俺達、っお事」 「京耶様の掚枬通りのようです。ほら、たた次の方々が」  自家甚車数台でやっおきた襲撃者チヌムは、重機を甚意したようで合図を送っおいる。門を砎っお入り、そしお ずいう筋曞きなのだろうが無理過ぎる。 「埡近所は、巻き添えになっおないかな」 「先刻確認したした凊、癜鐘邞呚蟺のお宅は党お無人でしたわ」 「お金ず暩力の䜿い方、間違っおるね」 「道埳を説く前に、眪を無かった事にする圌等の神経を疑うべきだよ」  アラハバキの力で跳ね返った重機は、掟手にひっくり返り土煙を䞊げる。こんな倧隒ぎになっおいるのに譊察も消防も珟れる様子が無いので、焔は蚌拠隠滅に躍起になっおいる者達党員ぞ心の䞭で悪態を吐いた。 「そういえば、癜鐘邞の人達の籠城甚の食糧は完璧かな」 「お昌たでにテオドアに党郚運んで貰ったから、䞀ヶ月は心配無いよ」  ラむフラむンも勝手に別の地域ず繋げおいるから、䟋えばこの町内ぞの電気の䟛絊を䞀時的にストップされおも癜鐘邞だけは関係無く䜿えるようにしおあるず、ファルロスは胞を匵る。 「僕らが守っおいるんだよ ミサむルがきたっお倧䞈倫さ」  ちくわぶをもぐもぐ食べおいるファルロスぞ、ティヌカップを傟けおいた゚リザベスが云う。 「あら、そのミサむル らしきものが接近しおいるようですわ」 「えぇヌっ、本気なのっ」  半分くらいは冗談の぀もりだったのにず空を仰ぐファルロスの暪、゚リザベスは立ち䞊がるずバス停を召喚した。 「打ち返せる」 「お任せ䞋さいたせ」  深く息を吞い蟌みタむミングを合わせた圌女は、プロ野球遞手のような玠晎らしいフォヌムで爆発物を打ち返す。数秒埌、離れた堎所から明らかな爆音が響き煙が濛々ず立ち䞊った。 「これでもただ、譊察が出おくる様子は無い」 「残念ながら 」  揃っお溜息を萜ずした䞉人は、疲れ切った顔で戻ったテオドアを[[rb:劎 > ねぎら]]うのだった。  癜鐘草䞀朗は瞁偎に立ち倖を眺めおいたが、耇数の気配を感じお庭に出る。明け方の冷たい颚が頬を撫でおいくのに銖を竊めながら、振り返っお母屋を芋䞊げれば屋根の䞊に焔の姿を発芋した。 「おはよう、焔君。昚倜は眠れたかね」 「あヌ 。先刻たで䟵入者を撃退しおたから、寝おねぇ」  ホント、銬鹿ばっかりだな日本のトップは。 身軜に庭ぞ着地した青幎は、目を现め芋䞊げおくる老人の芖線から逃れるように顔を背ける。 「 な んですか」 「――申し蚳無い」  珟䞖に関わるのを良しずしない、䞖界を支えおいる存圚ぞ草䞀朗は腰を折る。 「い、いいですっおっ もう、頭を䞊げお䞋さい」 「たさか 貎方を巻き蟌むずは、䜕ず詫びお良いものか 」 「それは昚日聞きたしたから」  気にするなず䞡手を振る青幎の口調は、玠に戻っおいる。目尻を䞋げる老人は、困り切った顔の青幎ず共に敎えられた庭を歩く。 「皲矜垂の事件に぀いお、調べおいるのだずか。犯人の目星は、もう぀いお居られるのでしょうか」 「さぁ 盎斗の怜玢次第ですね」  プログラムを組んだのは自分だが、基準を䜕凊に蚭けおどうやっお犯人を絞り蟌むのかは、盎斗の手腕にかかっおいる。 「無事に芋付かっおくれないず、貎方達は䞀生この屋敷から出られたせんよ」 「それは 困りたすなぁ」  草䞀朗の携垯には、譊察関係者からの捜査協力の䟝頌がひっきりなしに入っおいるのだ。自宅にはどうやっおも入れないず理解した襲撃者達が、癜鐘の関係者を倖ぞ誘き出そうず䟝頌を持ち掛けおきたず思われる。 「今回の件が解決するたで、倖出は控えおいただけるず有り難いです」 「刀っお居りたすよ。孫だけでなく、私たで貎方の埡手に瞋る蚳には参りたせん」  老䜓は倧人しく、庭の手入れでもしお居りたしょう。 朝选の支床が敎った事を知らせに、秘曞たる男が瞁偎に珟れる。圌には焔の正䜓を知らせおいないので、あからさたに胡散臭い者を芋䞋す顔になるのだが、䞻の手前か控え目に目を逞らした。 「盎斗は 今、 」  どうしおいるのかず問う声に、廊䞋を駆けおくる音が重なる。培倜明けだろう圌女は、埮塵も疲れを芋せず焔を呌んだ。 「歀凊に居たんですかっ、焔さん。これから出掛けたすよ」 「ご 、メシ は」 「倖で食べればいいでしょう ほらっ、早く」  玄関で埅っおいるず蚀い残し駆けおいく孫を優しい県差しで芋詰める老人ぞ、ひらりず手を振り焔は歩き出す。 ―京耶、倖に所属䞍明の車が数台匵り蟌んでるよ。職質で止められるかもしれない― 「䜕の容疑で取り調べる぀もりなんだろうね」  埡近所や公共物を砎壊したのは、この屋敷の者では有り埗ないずいうのに。尟行されるのは仕方ないずしおも逮捕は玍埗出来ないず䞍満を挏らす焔に、ファルロスは暎れるのは皋々にず釘を刺す。 「焔さんっ 早く行きたしょうっ」 「ぞヌい 、っお䜕凊にだ」  手垳を捲った盎斗は、垂街地の某有名倧孊の名を挙げる。 「捜査優先順䜍䞀䜍、[[rb:暮咲保 > くれざき たもる]]、幎霢䞉十八歳、独身。倧孊工孊郚の教授です」 「゜むツの、䜕が匕っ掛かったんだ」  草䞀朗の車に乗り蟌んだ焔は、助手垭に乗った盎斗が読み䞊げるメモの続きを聞く。 「調査の必芁性を感じたのは、圌が皲矜垂を車で通過したず思われる日付です」  孊䌚からの垰宅に、圌は自家甚車を䜿っおいた。行われた孊䌚の堎所ず日時を合わせ、曎に垰宅ルヌトを䜕本が特定した際に堂島千里が事故に遭った路線が入っおいた。 「暮咲は堂島さんの奥さんが亡くなった二日埌、自家甚車を廃車にしおいたす」  賌入幎数を考えおもスクラップにするには早すぎる車を、だ。修理には出さずに凊分したず考えお間違いないが、そうなるず䞀番の物的蚌拠は抑えられない。既にリサむクルされおいる可胜性が高いが、其方は埌ほど矎鶎の䌝を頌っお調べお貰おうず焔は考える。 「でも、それだけで暮咲氏を远及出来るものか」 「圌は、元防衛倧臣の孫です」  珟圚は倧臣の座を退いおいるが、政界に倚倧な圱響力を持っおいる人物であるのは倉わらない。 「数幎前、防衛省内の䞍祥事が明るみに出お 䜕名かの官僚が蟞職したんですが、その際に暮咲氏も埌進に道を譲り匕退しおいたす」 「その爺さんが蜢き逃げ事故の[[rb:蚌拠隠滅 > しょうこいんめ぀]]に関わっおる っお」 「身内の事故を、[[rb:倧臣 > 官僚]]が知らなかったでは枈みたせんよ」  取り敢えず突いおみお反応を確かめるず云う盎斗に埓い、焔は車を発進させる。 「盎斗、質問」 「䜕でしょう」 「乗り物酔い あるか」  船ずか飛行機ずか、移動䞭に酔った事があるかず問われ盎斗は銖を暪に振る。 「僕は乗り物には匷いんです」 「それは有り難い――しっかり掎たっおろよ」  分岐盎埌にりむンカヌを䞊げた焔は、アクセルを螏み蟌み角を曲がるず同時に車を加速させる。悲鳎のようなスリップ音、癜い煙が䞊がるのを呆然ず振り返っおみた盎斗は、背埌にぎったり付いおくる車の正䜓に気付いた。 「公安」 「そんな真っ圓なモンじゃねぇず思うけど 厄介な盞手だろうな」  遠回りになるが撒くず簡単に云う焔は、口元に奜戊的な笑みを浮かべハンドルを切った。  ただ、䞖界が回っおいる気がする。吐き気を堪えおいる盎斗は、孊生に混じっお倧孊の敷地内を歩いおいた。圌女の隣には党身黒尜くめの焔が䞊んでいお、ずおも目立っおいる。極秘調査の盞棒には培底的に向かない人だず嘆息する盎斗ぞ、圌はミネラルりォヌタヌのペットボトルを差し出した。 「飲めるか」 「  あんなに酷い運転だっお知っおいたら、最初から止めおたしたよ」 「尟行を撒きたかったんだろう 運転が荒くなるのは、仕方ないじゃん」  焔の運転する車が幅の狭い䞀方通行を逆走した際、察向車が芋えた瞬間盎斗は自分の死を芚悟した皋だ。実際、圌の神業的なドラむビングテクニックで切り抜けた蚳だが、震える足で車を降りた時、二床ず助手垭に乗りたくないず怒鳎った。 「それより、面䌚盞手の郚屋っお䜕凊だ」 「通二階の、―号宀です」  通内案内図を芋お䜍眮を確認、階段を䞊がる二人は間もなく目的の郚屋に蟿り着いた。郚屋のネヌムプレヌトを確認しノックを䞉回、䞭から返答を埗られたので盎斗は「倱瀌したす」ず断っお扉を開ける。 「お忙しい䞭、時間を割いおいただき ありがずうございたす。自分は、癜鐘盎斗」 「ちびっ子探偵です」  ビシっず背筋を䌞ばしお远加説明をした焔の腹に、盎斗のパンチが入る。うごぉうず呻きながら蹲る男を冷ややかに䞀瞥、盎斗は劂䜕にも孊者肌の男の前で䞁重に頭を䞋げた。 「暮咲保教授に、二、䞉質問があっお参りたした。䞍躟ず思われる事を承知しおおりたすが、未解決事件の解決の為に埡協力いただければ幞いです」  宜しいでしょうかず柔らかく埮笑み銖を傟ける盎斗は、探偵ずしおの己を知っおいる態床だ。暮咲は郚屋の応接セットぞ盎斗を招き、自身も座る。焔は、盎斗の背埌の本棚にもたれ掛かるようにしお立ち、じっくり暮咲ずいう男の芳察を開始した。  盎斗の質問に察し、時々蚘憶を蟿るように考え答えおいく様子に䞍自然さは芋られない。皲矜垂ずいう単語に匕っ掛かる事なく質問が終われば、暮咲は時蚈を気にしお腰を䞊げた。 「申し蚳ない。これから授業があるので 」 「お手間を取らせお 申し蚳ありたせんでした。倧倉 参考になりたした」  盎斗の声には、僅かだが苛立ちのようなものが混じっおいる。盞手が䞀枚䞊手だったのだ、圌女はこれから曎に己を磚いおいけば良い。苊笑した焔は、ポケットの䞭からタロットカヌドを取り出し、暮咲の前で扇状に広げおみせた。 「先生、俺からひず぀だけお願いが。䞀枚、匕いお貰えたせん」 「䜕だ ね、これは」 「只のカヌドですよ。あぁ 別に先生の指王が欲しいずかじゃないです。俺の特技をお芋せしようかな、ず思いたしおね」  片手でゎヌグルを倖した焔は、普段の無瀌千䞇な態床ではなく、実に人奜きのする柔らかい笑みで暮咲を促す。真玅の眞に魅入られるように䞀枚匕き抜いた゜レを、焔は受け取り確認する。 「んヌ 」  予枬はしおたけどなぁ。 困ったように呟いた圌は、目を瞬かせる暮咲ぞ䜕でもないず手を振った。 「暮咲先生は、埡自身でも刀っおいらっしゃる筈。だから、倚くは申し䞊げたせんが 䞀぀だけ。珟状のたたで居れば、埅っおいるのは―」  人差し指ず䞭指でくるりずカヌドを廻した焔は、逆さたの【悪魔】を圌ぞ芋せる。顔色を倉える男ぞ䜙興ですよず笑っおカヌドをポケットに戻し、圌は盎斗を立たせた。 「䜕を遞んでも、埌悔なさいたせんように。お邪魔したした――盎斗、行くぞ」  盎斗の背を抌し郚屋を出た焔は、授業が終わるベルの響く廊䞋を早足で歩く。 「焔さん、先刻のカヌドはどういう 」 「逆䜍眮の悪魔は、停滞したたたでは砎滅を意味する。圌自身、今の状態から脱したいずは考えおる蚌拠だが 」  切っ掛けが無かったずいうよりは、進む道を決められ自らの未来を閉ざしおいる。 「カヌドの結果が䜕で圚っおも、事態が動くずは限らないじゃありたせんか」 「圌の意思ずは関係なく、呚囲が倉化を攟っおおかないだろうさ」  あんな颚にず指した先には、黒服の男達が埅ち構えおいる。盎斗が背埌を振り返れば、距離を詰めお同じ様な雰囲気の者達が数名、やっおくるのが芋えた。 「囲たれたしたね。暮咲の関係者ず刀断出来ないので、倧人しく掎たるのは危険です」 「いいや、暮咲以倖は手を匕いたず芋おいいんじゃねぇ」  あの曞庫に入っお䜕かを埗おきた盎斗が、䞀番最初に蚪ねたのは暮咲ずいう名を持぀者。 「昚倜襲撃しおきた者達も、『痛いのを隠しおる腹』を探られるのは埡免だろうしな」 「襲撃 っおっ」  初めお聞いたず叫ぶ盎斗を肩に担いだ焔は、建物の䞭ぞ駆け蟌む。 「お、䞋ろしお䞋さい 僕は、自分で走れたす」 「駄目」  俺が抱えたほうが早いず怒鳎る圌は、その通りの身䜓胜力を惜しげもなく披露する。盎斗を担いでいるのに、远っおくる者達ずの距離がどんどん開いおいくのがその蚌拠だ。 「お前が倧人しく身を隠しおくれるなら、今すぐリク゚ストにお応えしちゃうけど 」  どう考えおも勝手に動きそうだしず、笑った圌はだがすぐに衚情を改めた。 「焔 さ ん」 「銬鹿が、撃っおきやがったな」  逃げおいたのは、远っ手の呜を守る為だ。最悪盎斗さえ無事なら良いずいう考えの焔ず違い、ファルロスや゚リザベスは牙を向ける愚者を芋逃したりはしないのだ。建物の圱に身を隠した圌は、盎斗を䞋ろすず䞡肩を掎んだ。 「死人が出る前に止めおくるから、歀凊で倧人しくしろ。いいな」 「は はいっ」  身を翻す圌は、すぐに建物の向こう偎ぞ姿を消した。盎斗だけでなく襲撃しおきた盞手の呜たで考慮するずは、意倖だったず嘆息する。 「本圓に、十六倜 先茩じゃないのかな」  顔の造圢は酷䌌しおいるが、焔ず京耶は幎霢も[[rb:圩 > 色]]も違う。けれど、偎にいれば根本の凊で類䌌する䜕かが圚るず刀るのだ。それが䜕なのか理解出来れば、二幎前の京耶の真盞も掎めるのではないかず盎斗は思い至った。 「  焔さんは」  十六倜京耶の䜕なのか ただ聞いおいなかったなずポケットから手垳を取り出そうずした盎斗は、背埌から䌞びおきた手に矜亀い締めにされる。叫ぶ間もなく錻ず口に垃を抌し぀けられ、圌女の意識は闇に沈んだ。 ※も少し曞いおるけど 歀凊で切る 笑 あヌ 続き曞きたい、プロットは出来おるんだよヌ 。 でも、誰も埅っおないだろうし なぁぁ什・月日远加
<span style="color:#FF0000;">★珟圚、【党おのゞャンルに斌いお新芏のマむピク申告はお断りしおいたす】健康䞊の郜合です、倧倉申し蚳ありたせん。感想はい぀も楜しみに読たせおいただいおたす、ありがずうございたす。個別のお返事出来なくお、申し蚳ありたせん。<br />※耇数リク゚ストがありたしたので、途䞭原皿で申し蚳ないですが再アップ臎したす5.2.28<br />※未完が申し蚳ないので、曞いた凊たで足したした5.4.26コピヌ本の発行は未定 申し蚳なくっっ</span><br />過去のキャプション<br />◆誰も埅っおないず思ったけど、䞀応 したす。月のむベント甚に曞いおいたけど、絶察間に合わない自信あり 枈みたせん。だっお、なかなか゚ンゞンがかからなかったんだ、ぐすん。【UNIVERSE of WORLD】の番倖、軞での『自称特別捜査隊の方々ずキタロヌ』話のコピヌ本原皿第䞀匟です、今回は盎斗ずキタロヌペヌゞに䜙裕があったら、他のメンバヌずのも入れたいけど 無理かもしれぬ。どんどん話しがデカくなるのは、もう私の仕様だしっです。<br />◆本文内に【UNIVERSE of WORLD】の説明がありたせんので、サむトか歀方で本線を読んでいる方掚奚品です、䞍芪切で申し蚳ない土䞋座あらすじ、曞くの苊手なんだよ<br />◆捏造蚭定が、今回も山盛りです。モブも倚いです、盎斗の祖父蚭定も捏造しおいたす。今埌公匏発衚があるかもしれたせんが、今珟圚のネタで曞いおいたすので宜しく埡了承䞋さい。<br />◆堂島遌倪郎の劻千里の死亡に぀いお、犯人探しを始めた盎斗をフォロヌする倖芋二十五歳のキタロヌです笑番長は最初ずラストだけしか出番がありたせん、すたぬ 笑<br />◆今回も、圓方オリゞナル名でのお話になりたす。サンプルには出おいたせんが、䜜䞭にお『流血シヌン』が入る予定です。-15を付ける可胜性がありたすので、宜しく埡了承䞋さい䞻十六倜京耶圓方オリゞナル名䞻鳎䞊悠アニメ名採甚<br /><br />※扉絵きみヱ様ID 12836474
P3+P4「Doubt & Trust朱の死神」未完
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どこからか、オルゎヌルの音が聞こえる。 ちいさくかすかなその音は むかしのアニメ映画の曲だった。 倜空の星に願えば い぀か、きっず叶う たしかそんな内容だった。 オルゎヌルの音は、小さく震えながら 圱のように぀いおくる。 オルゎヌルの音に背を抌され 気が぀くず、たたあの公園ぞ来おしたっおいた。 倩䜓芳枬なんおいっおも、こんな郜䌚じゃ、 しかも肉県では、䞀等星しか芋えやしない。 芋䞊げる秋の星空に、なかたからぜ぀んずはなれお たるで空から萜ちおしたいそうなくらい䜎い䜍眮で瞬いおいる、 南のひず぀星。 フォヌマルハりト。 孀独な星なんおいわれおいるけど、なんだかい぀も気になる星。 今、あの人の呚りに誰がいおくれおいるのかわからないけど、 あの人を照らすこの星は、今、自分が芋おいるものず確かに䞀緒のものだろうから どうか、どうか、あの人が幞せでありたすように。 [chapter:星に願いを] [newpage] SideM 倩空䞍動産本瀟開発事業郚 郚長宀には、二人の姿があった。 「今床の竹芝地区のりォヌタヌフロント開発蚈画の話、聞いおるだろう」 䞀人は、倩空の叀だぬきずもよばれる開発事業郚郚長の枡郚。そしおもう䞀人は 「はい。商業郚分担圓の䌁画䌚瀟が経営面で頓挫した話ですね。埌任になる䌚瀟が決たったんですか」 粟悍な暪顔、耳に心地よいその声の䞻は、䞻任ずしおこの䌁画を任されたばかりの牧凌倪だった。 1幎ほど前に、倩空䞍動産では䞊海での倧きなプロゞェクトが立ち䞊がり、瀟内の人事が䞀新された。 それが远い颚ずなっおこの若さで本瀟の䞻任の座を埗るこずずなった。しかし巚額の資金が動く開発事業郚でのポストは倩空䞍動産内でも異䟋の早い出䞖ずいえた。 「ああ、䜕やらいろいろ䞊の方でやりずりがあったらしいぞ。実際に動く前に、プロゞェクトリヌダヌのお前ず盎接話をしおおきたいそうだ。」 牧に぀げるその顔は䜕やら少し人の悪そうな衚情で、思わず 「 䜕か問題のある䌚瀟なんですか」 「いやいや、ただただ若い䌚瀟だがね、実瞟を芋おも申し分ない。ここのずころの業瞟の䌞ばし方を芋るず、盞圓がんばっおるね。しかも評刀もいい」 「じゃ、䜕か」 「それは、自分で確かめるのがいいだろう。急な話で申し蚳ないが、明日、午埌よろしく。  それからこれ資料。向うの担圓者が、圓日じゃなくぜひ予め目を通しおほしいんだず。」 「あらかじめ、ですか」 なぜそんなこずをいうのだろう。䞍審な衚情が顔に出おいたのか、 「先入芳無しに、内容で勝負したいらしい。すでにここの䌚瀟でいく事は決たっおるんだがな」 た、芋おおいおくれよ ずいう郚長の衚情に、䞀瀌しお郚長宀を埌にする。 わざわざ、郚長があんなもっおたわった蚀い方をするんだから、䜕かあるんだろう。 だがしかし、資料をみおもそれが良くできた内容だずいう以倖の感想は出おこない。 前任の䌚瀟がはずれるこずになっおわずかな期間しかたっおいない、そのうえでよく調べおある、それに根拠ずなる数倀もきちんずしたものを匕甚しお的確に刀断しおいる。 開発事業郚に異動になっおから玄1幎。 こういった資料に目を通すこずも増えたが、その䞭でも印象に残る出来栄えのものだず思った。 確かにこういった提案をしおくる䌚瀟ならば、ただ若い䌚瀟ずはいえ、埌任の䌚瀟ずしおふさわしいのだろう。 だが、郚長の蚀葉がひっかかる ‘先入芳’ どういう意味なんだろう。 2幎前のあの日、 『俺は、春田さんの事なんお奜きじゃない』 『春田さんず䞀緒にいおも、苊しいこずばっかりです』 『別れたしょう。俺のこずなんお、忘れおください』 そういっお、俺は春田さんず別れた。 ただただ春田さんの向こう偎の普通の幞せを願っお。 いや、本圓は逃げ出しただけだ。 春田さんを巻き蟌むのが怖くお。未来の、埌悔する春田さんを芋るのが぀らくお。 今なら、戻れる。戻しおあげられる。 自分の心が悲鳎を䞊げおいおも、血を流しおいおも、倪陜のような圌をこちら偎に匕き蟌んでしたうこずにくらべたら、なんでもない。 そう思っおいた。 でも、二幎たっおも傷は癒えない。今なお、心はどくどくず血を流しならも半分壊死したように動かないたた。 あの、くしゃっず笑う圌の笑顔を忘れるこずなんおできないのだず、毎日毎日思い知らされる。 あの宝石のようなひずずきを自分から手攟した。 もう戻らないその重さに毎日抌し぀ぶされそうになる。 䜕も考えたくなくお、仕事に打ち蟌んだ。 䜓を壊すぞず、たわりから忠告を受けおもやめられなかった。 仕事をしおいる間だけは、痛みを忘れるこずができた。 春田さんは、あの倜から二週間埌 倩空䞍動産を退瀟しおいた。 [newpage] SideH ひさびさの東京。 春田創䞀は東京駅に降り立った。 カゞュアルな麻の玺色ゞャケット、スタむルの良い長い脚をすらりずみせるグレむのパンツ。 ちらっず芋えるむンナヌず指し色の靎がシンプルながらおしゃれを匕き立お、通り過ぎる乗降客の芖線をあ぀めおいる。 な぀かしい。なんだか、空気も空も違っお芋える。 近くに公園でもあるのか、颚に乗っお金朚犀の銙りが挂っおくる。 もう秋なんだな。 2幎前、もう東京には、牧の近くにはいられないず倩空䞍動産をやめる決意をした。 ある人の勧めもあっお、䞍動産開発や起業支揎の䌁画を請け負う䌚瀟『[[rb:7seas > セブンシヌズ]]』ず蚀う䌚瀟に入瀟し、その神戞支店で働いおきた。 7seasでの仕事で、春田の子どものような柔軟な考えず自分さえ無意識に盞手に気に入られおしたう胜力、そしお倩空䞍動産での経隓が䞊手く掻かされ、おもしろいように䌚瀟自䜓も順調に業瞟をのばしおいた。 小さいながらも瀟内での春田の評䟡は「゚ヌス」ずもいえる存圚にたで成長しおいた。 二幎ぶりの感傷にひたる春田をよそに隣の男が話しかける。 「はヌるたさん、おなかすいたなんかうたいもん、食べさしおくださいよ」 「なに、お前今぀いたばっかじゃんか、アキ」 アキず呌ばれたその男は宇郜宮[[rb:英良 > あきら]]ずいう。ちょっず舌ったらずなしゃべり方。小動物か、犬で蚀えばテリアのような愛嬌のある倧きな黒目が印象的な青幎で人懐こい雰囲気をたずっおいた。それに笑顔で答える春田を芋るず、二人の仲のよさを垣間芋るこずができる。 「たずは、腹ごしらえでしょ、どっかおいしいもん食べさしおくださいよぉ」 「はヌ なにお前、奢られんの前提みおヌな蚀い方俺ら同期だろ、察等察等」 「同期ったっお幎霢8こも違うんで あず、リヌダヌ就任おめでずうございたヌすっおこずで」 「なにそれ。逆じゃね 俺のほうがもらうほうだわ」 「じゃヌ、なんか䜜っおくださいよぉ。これからしばらく俺らお隣さんなんですよね」 そのよしみで!なんお片目を぀ぶっおみせる。 「はああどこたで図々しいんだよ。明日の資料準備したいからムリ」 神戞支瀟から、東京本瀟ぞ。 その匕継ぎはずうにできおいたが、なじみの顧客から、異動圓日の今日たでどうしおも䞀蚀䌝えたいず挚拶の電話やら逞別を持っおきた来客やらがあっおばたばたしおしたった。 でも明日はどうしおも、キチンずしたい。 どうしおも。 「だぁいじょうぶ。はるたさんい぀も完璧じゃないですか。 仕事できる、人圓たりいい、料理できる、スタむルいい、センスいい、ずきどきちょっずぬけおるっぜいずころも萌えるっお、総務の女子たちも蚀っおたしたよ」 「は—--䜕の話しおんの ぀ヌか、ガヌルズトヌク普通に参加しおんじゃねヌよ。 おかさ、俺ら泊たるずこ炊飯噚぀いおるずこにしおもらったんだよな。あヌもぉ、ったく、時間もったいないからピラフずかスヌプずかそんなんでいいか」 頭の䞭で、メニュヌにあわせた食材を怜玢する。 「やぁったヌ はるたさんの飯、倧奜き! ホテルじゃなく、りィヌクリヌマンションっお䞻匵しおよかったです」 「なんだよ、おたえか䜏むずこ決たるたでだから、ホテルがいいっお蚀っおたのに」 「いやいや、俺だけだず思っおたんですよ。そもそも、はるたさん、実家こっちですよね」 「う、ん。それは。たあ、いいんだ」 思わず、蚀い淀む。 「家庭の事情っおダツですか」 なら、远求はしないですよぉ。そういっお、お口にチャックのゞェスチャヌ。 「おたえ、たいがい子どもだな」 はヌ、ずため息ひず぀。あきれながらも、この2幎間、この幎䞋の同期の明るさず子どもっぜさに助けられおきた。 ずにかく、明日だ。 がんばろう。 [newpage] 2幎前のあの日、 『別れたしょう』 『春田さんず䞀緒にいおも、苊しいこずばっかりです』 『俺は、春田さんの事なんお奜きじゃない』 そういわれた。 俺は朝が来おも、動くこずができなかった。 ちいさな物音ず足音。そのあず、ドアを開ける音。 そしお、わずかな間のあず、そのドアが閉たった。 目の前が真っ暗になった。 䜓が重い。 ぐるぐる同じこずを考えおいた。 なんで、なんで 。 なぜあの時、突然牧があんなに苊しそうに別れを切り出したのか、その理由は。 「苊しい」 「幞せじゃない」 俺のせい 俺の存圚が、牧を苊しめおる。 どうしたら、その痛みを和らげおあげられる それは、原因の「俺の存圚」をなくすこず そう思い至っお、愕然ずする。 自分に悪いずころがあったから、牧を傷぀けた。 自分が牧を守れるような男でなかったから、牧に苊しい思いをさせた。 牧を苊しめおいるのが自分であるのならば、 あんなふうに涙を流す牧を芋るくらいならば。 牧ず過ごした自分をなくすんだ。 牧を苊しめるダメな自分をなくす。 牧の前から消えお、自分を倉えるんだ。 自分の心が悲鳎を䞊げおいおも、血を流しおいおも、牧を苊しめるこずにくらべたら、なんでもないこずだ。 そう思った。 倩空䞍動産本瀟䌚議宀。 受付は知らない顔だった。ここに通されるたでも、知り合いには䞀人も䌚わなかった。 萜ち着かない様子で盞手を埅぀春田に䞊叞の䌊織が話しかける。 「春田は本瀟に来るのは、退職のずき以来か。」 䌊織は䞊叞ずいっおも、瀟長だ。 瀟長が自ら出匵っおくるこずで、本気を芋せたいずいうこずなのだろう。 ‘倧人の色気ず䜙裕’ずいう蚀葉からむメヌゞした人間を䜜ったらおおよそこんな人間になるだろう、ずいう奇跡の歳。 頭も切れるが、䞀筋瞄でいかないその性栌にはい぀も振り回されながらも、最埌はその懐の深さで甘えさせられおいた。 䌊織のフルネヌムは黒柀䌊織ずいう。 黒柀の兄の子ども。぀たり甥っ子だった。 芋た目はもちろんずしお、その仕事ぶりを芋るに぀け、぀くづく血筋ずいうのは恐ろしい、ず実感させられる。 「あヌ、ですね。本瀟の䌚議に参加するこず自䜓が、初めおですよ。」 知らず、答える声が震える。 「お、なんだ、めずらしいな。緊匵しおんのか。 䌚議たっお、今日は顔合わせ皋床だ。それにもう、だいたいこの路線でやっおくっおのは決たっおんだから。」 「はあ」 「お前らしくいけ」 䌊織は倚くは語らない。 そうだ、俺は倉わったんだ、プレれンだっお䜕床もやっおきた。倧きな契玄だっおたずめおきたんじゃないか。 そうだ、そもそも今日のために頑匵っおきた。 やれる。やれる。 深呌吞した。そのずきドアが開いた。 [newpage] SideM 郚長の枡郚ず共に䌚議宀に向かう牧は、違和感のようなものを感じおいた。 もらっおいた資料自䜓は、頭に入れおある。今日は単なる顔合わせだずいっおいた。 よくある䌚合のひず぀、それだけの話。 でも䜕か、あれから銖の埌ろがチリチリずうずくような、䜕かが始たる前觊れのような。 「いやヌ、お埅たせしたね」 枡郚が声をかける。 すでに先方ずは顔芋知りなのだろう、枡郚の衚情からもくだけた様子がよみずれる。 芖界があいたそのずき、目に飛び蟌んできたその人は。 「は、るたさんっ」 「はじめたしお、プロゞェクトに参加させおいただきたす。『7seas』代衚取締圹の黒柀䌊織です」 「今回のプロゞェクトで匊瀟偎のリヌダヌを務めさせおいただきたす。春田創䞀です」 堂々ずした様子ず声の調子からは2幎前の春田の片鱗も感じるこずはできない。 「どうも、䌊織君。それから、久しぶりだなヌ、春田。改めお挚拶も倉な感じだが、開発事業郚の枡郚だ」 「はい。ご無沙汰しおたす。このたびはお䞖話になりたす」 枡郚はむチから知っおいたずいうこずだ。 「開発事業郚の牧です」 この空気に呑たれおやっず、それだけ告げる。 「おお、うちの若手の最有望株だ。今回のプロゞェクトのリヌダヌをしおもらっおいるんだ。よろしく頌むよ」 さらっず、春田の事は知っおるよな、ず付け加える。 はい、ずおも。 心の䞭で返事をする。 ただ、事態が飲み蟌めおいない。萜ち着け、自分。 䌚いたくお䌚いたくお、でも、自分から手攟しお、望んではいけない人。 その人が目の前にいる。 心拍数が跳ね䞊がる、䜓䞭が心臓になったようだ。 枡郚の肩越しに圌が芋える。 うああああぁぁぁあ、誰だ、このかっこいい人。 こういった堎面で、い぀もわたわたず挙動䞍審を絵に描いたような行動をずっおしたうはずのあの人は、り゜みたいにリヌダヌ然ずした嚁厳を挂わせおいた。 少しやせた圌の䜓の線にあわせたスヌツは、䞀目で仕立おのよいものだずわかる。スヌツずネクタむはさわやかな組み合わせの䞊玚者の色䜿い。 自分の知っおいるこの人はこんなこずできなかったはず。 先ほどからい぀もず様子の違う牧に枡郚が䞍審な衚情をみせる。 気が぀いお慌おお䞀瀌しお、垭に着く。 仕事、だ。 今にもあふれ出しそうな心の動揺は、無理やりしたいこんだ。 あれ、じゃ、あの資料。 「この床は、お忙しい䞭、䞍躟なお願いをしおしたいたしお。 資料、お目通しいただけたしたか こい぀、頑匵っお䜜っおたんでね」 芪指で春田を指しながら䌊織が目で蚎える。 なるほど、それが‘先入芳’の理由か。 「拝芋したした。正盎勉匷になりたした、玠晎らしい内容だず思いたす。今埌緎っおいっおぜひ反映できる郚分を実行しおいきたいず思いたした」 「「ありがずうございたす」」 満足そうに、目を现める䌊織。 深く息を吐く春田。 「では、すでにごらんいただいおおりたすので補足の郚分ず行政の新情報も含めお、少しお時間をいただいおお話させおいただきたいのですがよいでしょうか」 「あヌ。じゃあ牧、話聞いずいおもらえるか。早々に悪いが䞭座させおもらうよ。春田、次の党䜓䌚のプレれン楜しみにしおるよ」 垭を立぀、枡郚。 「あ、郚長、ひず぀だけ確認したいこずが」 埌を远っお䌊織が垭を立぀。 「久しぶりです。春田さん」 残された牧が、口を開く。 「ごめ、ごめん。は、話させお」 ずたんにびくっず、䜓を震わせおさっきずはたるで別人のように、カミカミで、芖線が定たらない春田にかわる。 「ちょ、ちょっず、たっお」 ぎゅヌず目を閉じお、カッず目をあけたず思ったら先ほどの様子がり゜のようにたた少し前の堂々ずした春田になっお話し始める。 「このたびの、プロゞェクトでは」 そんな様子に牧も無理やり仕事モヌドにギアを入れる。 ほかの事は頭から远い出しお議題に集䞭し、疑問点を指摘するず、スッず的確な答えが返っおくる。 そんなこずを、2,3繰り返しおいるず䌊織が垰っおきた。 「あ、話し終わったかな牧さん、どうでした。諞々クリアになりたしたか」 「わたしのような若茩者が偉そうな感想ですが、本圓によく調べおありたすね。ビゞネスパヌトナヌずしお協力し合える関係を築けるお盞手だ。そう思いたした。今埌、よろしくお願いいたしたす」 「「こちらこそ、よろしくお願いいたしたす」」 あヌ、ず呻くような声を出しお、小さく笑顔でガッツポヌズする春田さんを目の端で捕らえる。 思い出の䞭の圌らしい姿に思わず、笑顔になっおしたう。 芖線を感じたのか、春田は急に緊匵した様子に戻った。 「では、倱瀌したした。今埌はもう䞀人宇郜宮ずいうのが担圓ずしおきたすのでよろしくお願いしたす」 䌊織が、堎をたずめるように話し初回の顔合わせは終了ずなった。 䌊織が垭を立ち、先に出お行くのを確認しおから 春田が芖線を床に萜ずしたたた、いう 「牧さん。 俺、倉わったから。もう、お前ずいたずきの俺じゃないから。 だから安心しお。 そんなの、もう、きっずずっくに関係ないだろうけど。 では、倱瀌したした」 ぺこっず、頭を䞋げお郚屋を出お行った。 胞の䞭に小さく燈った暖かな灯りが、あっずいう間に消えお、たたさらに深い暗闇に包たれたような気がした。 [newpage] Side:H 䌚議宀をでお、䞀぀目の角を曲がり、゚レベヌタヌホヌルにたどり着くず春田は 「どあああああああぁぁ」 倧仰なため息を぀いおひざから厩れお座り蟌む。 「あれが牧ちゃんかヌ、かわいいな。たヌ、わかるわ、お前の気持ち」 「䌊織さん—--。やめおください。あ、あっ、ぞ、倉な目で芋るの犁止ですから」 今の俺にそんなこず蚀う資栌ないんですけどずぶ぀ぶ぀続ける。 「顔、芋れたせんでしたよ。俺ぇ」 「ただただ、修行が足りんな」 そういうずわずかに埮笑んだ䌊織は春田の頭にぜんぜんず手のひらをのせた。 ちヌん 目の前の゚レベヌタヌのドアが開いた。 「あ、はるたさヌん」 「お、アキ」 スヌツ姿のアキが゚レベヌタヌから飛び出しおきた。 「タむミングばっちり、今、終わったずこですか」 「うん、今な。お前の方は」 「心配されるなんお心倖ですよ。俺のほうは、今日のずころは匕継ぎの延長みたいなものですから」 「さ、二人ずも、さっさず垰っお、牧さんからの質問郚分再床、確認するぞ」 「たき、さん」 「ああ、倩空のリヌダヌだ。アキも次のずき、䌚えるぞ」 ふうヌん、ず小さくうなずいおから、おもむろに春田に振り返ったアキは、䜕かに目を留めお 「 あ、ただ聞いおなかったどうでした 今日の銖尟は」 「俺の方こそ心倖だっ぀ヌの。誰にきいおんの、䞊々だよ、決たっおんだろ」 「やっぱりおめでずうございたす」 蚀うが早いが、春田に抱き぀く。 「おた、ばか、ここ倩空の本瀟だッ」 真っ赀な顔をしお、アキを匕き剥がす。 「いいじゃないですか、気になっおわざわざ寄っおあげたんですよ」 「もう、お前ら取匕先だぞ。堎所考えろ、子どもかさ、垰るぞ。」 促されお3人はちょうどきた゚レベヌタヌに乗り蟌んだ。 二幎前 牧が別れを切り出されおから、 春田はあおどもなく、街をさたようようになっおしたっおいた。 家にいおも職堎にいおも䜕を芋おも、牧のこずを思い出しおしたう。それが぀らくお。 そんなある日、蝶子ず䞀緒にいた䌊織ず出䌚った。 蝶子は離婚を機に友人ず経営しおいるセレクトショップの芏暡を倧きくしたい、その件で䌊織に盞談をもちかけおいた。 蝶子がたたたた、芖線を倖に振ったずき、車道方向に匕き぀けられるようにふら぀く人物をみ぀けた。 「えっ、春田くんあぶない」 あわおお走り寄り、その人物を支える。 「酔っ払っおいるのかず思ったわよ。どうしたの、ふらふらしお」 よくよくみるず春田のあたりの倉わりぶりに驚く。䞀芋しおや぀れお顔色が悪い、目線も定たっおいないようだ。 元倫に『はるたん』ず呌ばれおいたお人よしを絵に描いたような圌ずはあたりに違いすぎる。 䜕も話したがらなかった圌から時間をかけお話を聞いた。 このたた溜め蟌んでしたっおは、春田がだめになる、そんな鬌気迫るような緊匵感を感じおのこずだ。 元はずいえば、蝶子の倫婊生掻を壊した砎壊神。 怚んでいたっおおかしくない。 でも理屈でなく、攟っおおけない。圌には呚りの人間にそう思わせるような、そんな力をもっおいるのだろう。 そしお初察面の䌊織に察しおもその力は発揮された。 話を聞き終えた䌊織はこんな提案をしたのだ。 「うちの䌚瀟、業務拡倧するんだけど、䞍動産わかる人間探しおんだよね、やっおみない倉われるかもよ。新倩地・神戞、どお」 だんだん焊点を結んできた春田の瞳の前に、手を差し出す。 「た、歊蔵さんにはめちゃめちゃ怚たれそうだけど」 続けお小さな声で、付け加えた。 春田は、その手を掎む事にした。 二週間の慌しい匕継ぎのあず、春田は最䜎限の荷物を持っお神戞ぞず旅立った。 䌊織の䌚瀟は、少数粟鋭だ。 なんでも自分で考え、自分で責任でやり遂げるスキルを求められる。 報告連絡はもちろんするのだが、皟議などの手間なく自らの刀断で決断できる。 優柔䞍断の春田には、最初ハヌドルが高かった。 悩む圌に䌊織は自分がどうしたいか、明確にするようアドバむスした。 それでも難しい顔をする春田に 自分がリスペクトする人物ならばどうするか考えおみるんだ、ず。 すっず霧が晎れたような気がした。 郚長なら、歊川なら、牧ならこういうずき、䜕を第䞀に考えるか。䜕をもっお決定打ずするか。 そしおそれはなぜか。 盞手の気持ちを考えるず自ずず答えが芋おくる気がした。 それをきっかけに春田は少しづ぀かわっおいった。 その倉化は、仕事面だけでなく、生掻面でも珟れおいた。 あの日、牧が蚀っおいた俺の10個のダメなずこ。 それから、牧の負担になっおいただろう事。指摘されたこず。 そしお、そもそもひずりで生掻できるようになれるように。 䜕事も埌回しにしないで䜕でもその堎でやりおえるようにした。 それだけで、䞀人暮らしの家事もためずに片付けられるようになった。 料理もネットでなるべく手のかからないレシピを怜玢しお䜜る努力をした。 やっおみたらちょっず楜しくなっおピヌマンだけはただ苊手だけど、たいおいのものは小さくきったり、味付けでごたかしお食べられるようになった。 友達や知り合いのいない神戞の生掻。 趣味のものもすべお東京においおきおしたった。 仕事以倖の時間は、生掻力を高めるために぀かった。 季節が倉わっおいっお、1幎経っお。 ワむシャツがきれいにアむロンが掛けられるようになっお、ニダっずする。 これ、俺、倧人になったんじゃねヌの。 ひずりで、やっおいけるじゃん。 でも、あれ。 牧を苊しめる、「俺」はいなくなったけど、 「今の俺」はどこにいったらいいんだ [newpage] SideM 䌚いたくお䌚いたくお䌚いたかった人に䌚えた。 それは、自分から手攟した人で、願っおはいけない人だった。 でも、ほんの少しの可胜性で、䌚いに来おくれたのかず思った。 倢で芋るよりも、倧人っぜい容姿、隙のない振舞い、 でも、わずかにのぞいた笑顔は自分が倧奜きな圌の少幎の郚分を残しおいお。 かっこよすぎだろ。 蓋をしおいた心の䞭の想いがあふれ出しおクラクラする。 理性を総動員させお仕事モヌドで乗り切ろうず必死にコントロヌルした。 この埌、どうしたらいい。 手を䌞ばしおもいいの わずかな望みに、勇気を出しお話しかけようずしたその時、春田に宣告された。 『牧さん。 俺、倉わったから。もう、お前ずいたずきの俺じゃないから。 だから安心しお。 そんなの、もう、きっずずっくに関係ないだろうけど。』 もう、以前の関係ではないのだず思い知らされた。 ずっくに関係は終わっおいるず。 目の前が真っ暗になった。 䌚うたでは、これ以䞊萜ち蟌むこずなんおないず考えおいたけど、こんなこずっおあるんだ。 ダメ抌しもあった。 呆然ずドアを開けお、開発事業郚ぞ戻ろうず゚レベヌタヌホヌルぞ向かったずきだ。 芋おしたった、春田さんに笑顔で抱き぀く男。 そしお、その男は立ち぀くす俺を芋お、笑った。
公匏を奜きすぎお、劄想暎走䞭です。<br />話別れからの春田、倩空䞍動産退職しおたっおいう劄想です。<br />友だちには戻れない二人を曞きたくお。<br />郚長がシンデレラなのでほんのヌりピノキ〇゚ッセンス入れおみたした。<br />どうやったっお、二人には幞せになっおほしい。<br />モブもたくさん出たす。<br />公匏本に曞いおあったりするこずもしれっず入っおたりするので、苊手な方は自衛お願いしたす。<br /><br />デむリヌランキング小説女子に人気ランキング61䜍に入ったそうです。<br />デむリヌランキング小説ランキング55䜍に入ったそうです<br />シリヌズ党郚ランキングはいりたした<br />ありがずうございたす!!<br />皆様のおかげです。<br /><br />ずうぅっず、創䜜しおこなかったのに、こんな気持ちにさせおくれたOLの力に慄くばかり。<br />あくたで、劄想です。<br />駄文ですがよければお付き合いください。<br /><br />コメント・フォロヌ・ブクマ・いいね、本圓にうれしいです。<br />ありがずうございたす。
星に願いを1
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[chapter:はたらく现胞ず名探偵コナンのクロスオヌバヌです] ・血球たちがコナンの䞖界に転生したよ ・现胞が人間になったよ 现かいこずは気にするな ・前䞖の蚘憶あるよ ・现胞たちに人間っぜい名前が぀いおるよ   赀血球→[[rb:䞉和 > みわ]]   癜血球→[[rb:珀 > はく]]  など ・なんかもう本圓に现かいこずは気にしないでくださいお願いしたす  続きを ず蚀っおくださる方が耇数いらっしゃいたしお、嬉しくお぀い調子に乗っおしたいたした。  雰囲気でお楜しみください。 [newpage]  人に溢れたショッピングモヌルのなかで、パンフレットらしき小さな玙を広げお銖を捻る赀い埌ろ姿を芋぀けた。 「䞉和さん」 「あれ、安宀さん こんにちは」 「こんにちは。お買い物ですか」 「はい、そうなんです。お友達ず玄束をしおいお  」  そのわりには、目にうっすらず涙を浮かべお困り顔だ。 「もしかしお、埅ち合わせの堎所がわからないんですか」 「そ、そうなんです それどころか、今自分がどこにいるのかもわからなくお」  そういえば、少女は自分のこずをこずある事に酷い方向音痎なのだず蚀っおいた。「仕事だず思うずあんたり迷わないんですけど  」ずは本人の匁だ。安宀には真停のほどはわからないが。 「どこで埅ち合わせされおいるんですか」 「えっず、グレむテスト・ゞャヌニヌ、だったず思いたす」 「  完党に反察方向ですね」 「なんですずっ」  激しくショックを受けおいるらしい衚情ず、元気なく垂れるアホ毛が可愛らしくお、思わずクスリず笑っおしたう。 「もしよろしければ、そこたでご䞀緒したしょうか」 「え、いいんですか」 「はい。急ぐ甚事もありたせんので」 「お願いしたす」  少女は朔く自力での到達は諊めたようで、綺麗に床の瀌をした。  ──[[rb:セルズ > Cells]]疑惑が浮䞊しおから、降谷は培底的に少女ずあの青幎のこずを調べあげた。  結果、少女の方はほが真っ癜。“ほが”ずいうのは、生たれおすぐ児童逊護斜蚭の前に捚おられおおり、い぀生たれたのか、誰の子䟛なのかがはっきりしおいないせいだ。幎霢は掚定倀になるが歳。それも、生たれおすぐ捚おられたこずはわかっおいるため、倧きく間違っおいるずいうこずはないだろう。児童逊護斜蚭の職員に戞籍登録をされおからの経歎に怪しい点はなく、今珟圚に至るたで補導歎・犯眪歎はなし。䞭孊を卒業しおすぐに働いおいるが、職堎での評刀もよく、職堎自䜓も真っ癜だった。  しかし、問題は青幎の方だ。[[rb:飯通 > いいしろ]][[rb:珀 > はく]]ず名乗った青幎。こちらも、結果だけ蚀えば癜だった。少女ず同じく、児童逊護斜蚭に捚おられ、芪ではない人間に戞籍を䜜られた。それだけならよかったのだが、問題は──どれだけ調べおも、䞭孊校卒業埌の動向が䜕も出おこないこずだ。普段どこで暮らしおいるのか、日䞭䜕をしおいるのか、仕事はしおいるのか、その党おがわからない。匵り蟌みをさせおも、ふらっず消えおはたたふらっず珟れる。もちろん、デヌタベヌスには登録されおいない。䜕も出おこないずいう意味では癜だが、あたりにも情報が少なすぎた。  以䞊のこずから安宀が出した結論は、瀬朚䞉和は「自芚のないたたに[[rb:セルズ > Cells]]の掻動に利甚されおいる可胜性がある䞀般垂民」で、飯通珀に぀いおは「わからないが、半分黒だず認識しおおく」だった。  あの埌䞀床、それずなく赀血球ず呌ばれおいた蚳を聞いおみるず、顔を赀らめながら、 『えっず、その  昔のくせずいうか、あだ名  のようなもので それが定着しちゃっお、今でもたたに呌ばれるんです』  䜕かを隠しおいる気配もあったが、過去のごっこ遊びのあだ名など倧きくなった今では黒歎史でしかないだろうから深くは远求しないでおいた。぀たり、圌女は幌少期から[[rb:セルズ > Cells]]ず関わりがあった可胜性があるずいう事だ。  ずもかく、少女に関しおは降谷が安宀ずしお保護・監察を行うこずになった。  ただ、完党に疑いが晎れたわけではないが、この玔真そうな少女がずりあえず敵ではなくお、柄にもなくほっずしおしたった。圓然、もし本圓に利甚しおいたら党力で叩き朰す気である。  ──善良な日本垂民に手を出しお、ただで垰れるず思うなよ。 「あ、マヌシヌさん」 「䞉和ちゃヌん」  たどり着いたグレむテスト・ゞャヌニヌは、和掋折衷゚スニック、なんでもありのバむキング圢匏のレストランだった。  ゚プロンドレスを着た女性が安宀に目を向ける、ただそれだけで、ぎしっず音がしそうな皋背筋が䌞びた。  たるで、譊察孊校時代、䞀番恐ろしいず蚀われたあの教官を前にしたずきのような── 「あら そちらの方は  」 「安宀さんです」 「こんにちは、安宀透です」 「あの喫茶店の店員さんだったかしら」 「そうそう、そうです 迷子になっおたら、ここたで案内しお䞋さったんですよ」 「たぁ、そうだったのね」  巊手を頬に添え、淑やかに笑う姿は普通の女性で、先皋感じた背筋が思わず䌞びるような気配の正䜓は掎めない。 「䞉和ちゃんがお䞖話になりたした、安宀さん」 「ありがずうございたした」 「いえいえ。䞁床暇でしたので」  暇ではないのだが、今は安宀透ずしお地固めをするための時間だ。少女が友人であるこずで安宀透の珟実味が増すのだから、あながち倚忙な降谷ずしおも無駄な時間ではない。 「本圓にありがずうございたした、安宀さん。このご恩は必ず」 「では、たたポアロにいらしおください」 「はい、もちろんです」  そのずき、女性の甲高い悲鳎が聞こえおきた。  安宀が咄嗟に䞉和ずマヌシヌを庇うず、その暪を匟䞞のように人が走り去っおいく。 「な、䜕があったんですか」  困惑する少女に返事をするこずなく目を凝らせば、隒ぎの䞭心が芋えおくる。  煌めく癜いものは──刃物。 「  あらあら」 「ひぇっ」  緊匵した䞉和の声ずは裏腹に、のんびりずしたマヌシヌの声に違和感を芚えるが、気にしおいる暇はない。 「お二人は逃げおください」  小さな男の子が、人の䞊に揉たれお転び、取り残された。  それを芋お走り出そうずした安宀を制するように、マヌシヌは暪をすり抜け、振り向いお埮笑む。 「いえ  安宀さん、䞉和ちゃんをお願いしたすわ」 「は、はい」  有無を蚀わせぬ気迫のようなものを感じ、思わず返事をしおしたった。  マヌシヌはピンク色の皮のカバンを手に、刃物を持った男のもずぞず進んでいく。 「え、た、埅っおください」 「さ、お仕事、お仕事♪」  この堎に䌌合わぬ笑みを浮かべ、長いスカヌトをものずもせず滑るように駆けおいくマヌシヌを、安宀は止めるこずができない。 「お気を぀けおヌ」 「倧䞈倫、なんですか」 「はい。マヌシヌさんはずっおも匷いんですよ。少し心配ですけど  きっず倧䞈倫です」  䞡手をぎゅっず握りしめ、少し䞍安が芋えるが──それでもその目は、マヌシヌぞの信頌で溢れおいた。 「ああぁぁああ」  マヌシヌは子䟛ず男の間に割り蟌み、振り䞋ろされた刃物をそのカバンの金属郚分で受け止める。 「ふふ、悪い抗原さんですね」  刃物を匟かれたその勢いだけで、男は数歩埌ずさった。  マヌシヌの方は、党く無理をしおいるように芋えない。汗のひず぀もかかず、たるで窓蟺に䜇む什嬢のような出で立ちで埮笑んでいる。 「うらぁぁあああああ」 「えい♡」  男の刃物がマヌシヌに圓たる前に、ピンクのカバンが男の脇腹に撃ち蟌たれた。  “撃ち蟌たれた”ずいう衚珟が劥圓だず思えるくらい匷い打撃。  ふわり、ずスカヌトが優雅に広がった。 「がっ」  男はその音以䞊の悲鳎すら蚱されず、そのたたメヌトルは離れた壁に打ち぀けられる。  秒殺だった。  その鈍く、しかし倧きく響いた音に、逃げ惑っおいた人々は皆䞀床足を止めた。 「ふふっ。あら、私ったら。抗原提瀺をしないずですね」  䜕事もなかったかのように、マヌシヌは䞊品に笑う。 「䜕者なんですか  」 「幌皚園の先生ですよ。きっず、あの男の子が転んでしたったので、お仕事モヌドになったんだず思いたす」  ──いやいや、幌皚園の先生は仕事モヌドになったずころであんな力は出せない。はず。違うのか。俺が知らないだけで、䞖間の幌皚園教諭は子䟛を守るためならあれくらいできるのか。どうなんだ 「お疲れ様です マヌシヌさん」  今芋おしたった光景の衝撃が匷すぎお、安宀も他の人々ず同じように少し意識が遠のいおいたようだ。気づけば、背埌にいたはずの䞉和が倧きくマヌシヌに手を振りながら走り、転んだ子䟛を助け起こしおいた。 「倧䞈倫」 「お、おねぇちゃん  」 「よしよし、怖かったねぇ」  幟床ずなく事件に巻き蟌たれおいる䞉和を助けたからわかったこずだが、圌女は事件からの立ち盎りが早い。事件に遭っおしたったずきは人䞊みに驚くのだが、解決しおしたえばケロッずしおいる。  ──僕の呚りは匷い女性ばかりだ  。  “匷い”で片付けおはいけない人皮が倚数玛れおいるず知りながら、安宀はそれ以䞊考えるのをやめたのであった。  芖界の端では、マヌシヌがカバンの䞭から现い瞄を取り出し男を瞛り䞊げながら、穏やかな声で通報しおいた。 「あら もう終わりなんですね。[[rb:现菌さん > 悪い方々]]は、匹芋たら䞇はいるず思っおいたのですけれど  」 「やだなぁ、人間は分裂も増殖もしたせんよ、マクロファヌゞさん」  ──マクロファヌゞさん ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢  䞊がっおきた報告曞に目を通し、ため息を぀く。  マヌシヌ・ガヌナヌド。瀬朚䞉和や飯通珀ず同じく、生埌たもなく捚おられた孀児。おそらく倖囜の血が入っおいるが、囜籍は日本。珟圚は幌皚園に勀務し、職堎での信頌も厚く、保護者からの評刀も良い。  逮捕歎はないが──数々の事件珟堎に立ち䌚い、過剰防衛スレスレで犯人を退けるこず蚈回。犯眪率が異垞なこの街では、ほかの堎所でならアりトな過剰防衛も蚱容される傟向にある。そんなこずを気にしおいるうちに刺されかねない、ずいうわけだ。  資料によれば歊術の経隓はないそうだが、先日芋た光景を思い出せば、技など芁らないくらい圧倒的な力で制圧しおきたずいうこずだろう。  そしお、問題は──圌女が「マクロファヌゞ」ず呌ばれおいたずいう蚌蚀が、耇数䞊がっおいるこずだった。 「マクロファヌゞ  」  免疫现胞、癜血球の䞀皮だ。しかし、“癜血球”はすでに飯通珀が呌ばれおいた名だ。  黒の組織で蚀えば、コヌドネヌム“りむスキヌ”の他に、“バヌボン”“スコッチ”“ラむ”がいるようなものだ。圓然、ありえない話ではない。癜血球ず蚀えば䞀般的に血管䞭を挂う奜䞭球を指すこずが倚いから、マクロファヌゞが癜血球ず呌ばれるこずは少ない。 「いや、なんで俺は现胞に぀いおこんな真剣に考えおいるんだ  」  ぶ぀ぶ぀ず独り蚀を呟いお頭を抱え俯いおしたった䞊叞に、颚芋はそっずお茶を差し入れた。 「[[rb:セルズ > Cells]]、ですか」 「そうだ。構成員らしき人物ず耇数接觊したが、党員関䞎を裏づける情報は埗られなかった」  マクロファヌゞは、免疫機胜の䞭栞を担う存圚で、殺傷胜力がかなり高い。あれだけの戊闘胜力があれば、そう呌ばれるこずも頷ける。 「ずころで、颚芋」 「はい」 「幌皚園教諭ずいうものは、戊闘力が高くないずなれないのか」 「そんなこずはないず思いたすが  。いえ、米花町では、倚少の心埗がなければ、子どもは守れないのではないでしょうか 譊察組織ずしおはあっおはならない話ですが」 「なら、秘密組織の戊闘員が幌皚園教諭をしおいおもおかしくない、のか  」 「いえ、それはおかしいず思いたす」 「  そうか」  やはりおかしいようだ。あたりに普通にされるし、呚りに物理的粟神的に匷すぎる女性ばかりだったから、䞀瞬そういうこずもあるかず思っおしたった。 「お疲れなんですよ、降谷さん。少しお䌑みになっおはいかがですか」 「あぁ。そうする」  玠盎に進蚀を受け入れた降谷に、颚芋は内心かなり驚いた。どうやら、䜕をしたいか党くわからない雲のような秘密組織に、盞圓粟神がやられおいるらしい。人間、存圚が明確なものよりも、存圚が朧気なものを远う方が蟛いこずも倚々あるのだ。 「その前に、コヌドネヌムで癜血球、どう思う」 「えっず  呌びにくいず思いたす」 「  だよな」 [newpage] [[rb:瀬朚 > せき]][[rb:䞉和 > みわ]] ・元AE3803 ・今䞖でも方向音痎は治っおいない。本圓に、仕事だず迷う確率は䞋がる。残念ながら迷わないわけではない ・マクロファヌゞたち免疫现胞が戊うこずはもちろん心配だが、それでも圌女たちにしかできない、果たさなければならない仕事があるずわかっおいるし、そもそもその戊闘力を信頌しおいるので倧人しく埅っおいられる マヌシヌ・ガヌナヌド ・元マクロファヌゞ ・穏やかで優しいお姉さん──だけど、子䟛のためなら頑匵っちゃうぞ♡ ・マクロファヌゞの[[rb:殺傷 > せんずう]]胜力かなり匷い ・匷いからマクロファヌゞず呌ばれおいるのではなく、マクロファヌゞだから匷いのだず蚀うこずを降谷さんは知らない 安宀透 ・蚀わずず知れたトリプルフェむス ・なぜかマヌシヌの前だずぎしっずしおしたう ・お疲れ気味 ・こんなにも心身ずもに疲匊しお[[rb:セルズ > Cells]]を远っおいるのに、残念ながらそんな組織は存圚すらしない䞍憫な人 颚芋さん ・お疲れ気味。降谷さんは倚分そういうこずを聞きたかったんじゃなかったず思う ・降谷さんは党おの情報を颚芋さんも共有しおいるが、あたりに情報が少ないため「ただ俺にも蚀えない極秘事項があるのか  」ず勘違いしおいる ・こんなにも降谷さんを疲匊させるなど  [[rb:セルズ > Cells]]、どんな極悪組織なんだ  。 ・そのせいでどんどん[[rb:セルズ > Cells]]が颚芋さんのなかで極悪組織に成長しおいく 现胞たちに぀いお  党員、生たれおすぐ児童逊護斜蚭に預けられおいる。  実は、芪がおらず、どういうわけか“発生”しおいる。ずいう裏蚭定。 [[rb:セルズ > Cells]]  幜霊組織    お粗末さたでした・ワ・
 『はたらく现胞』の血球たちが、『名探偵コナン』の䞖界に生たれ倉わっお倧暎れ  するこずもなく、それぞれがわりず平穏な日垞䞀郚を陀くを送っおいたら、なぜか公安にマヌクされおいた セルズCells──现胞の名前をコヌドネヌムずする、存圚も、掻動も、構成員も䜕もかも䞍明な秘密結瀟。※元现胞たちに自芚はありたせん。<br /><br /> あっ、ごめんなさい现胞が転生ずかほんずよくわからないですよね石を投げないで 奜きなこずだけを曞きたした。<br /><br /> コナン倢ではない。倚分。オリ䞻は出おきたせん。䞻人公は赀血球ちゃんです。泚意事項はペヌゞ目に。<br /><br />   調子に乗っお続けおしたった  。
うっかり前䞖の名前で呌びあったら公安に睚たれおいたした
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泚意曞き 1、無断転茉、晒しの行為はやめお䞋さい。 2、腐向けじゃないです。そう芋える方は垰っおどうぞ。 3、荒らしはやめお䞋さい。私ではなく、フォロヌさん、マむピクさんに迷惑をかけないでください。 4、性栌や芋た目を捏造しおいる可胜性がありたす。 5、これは私の䞖界です。あなたの䞖界ではありたせん。 最埌に、これを読たず、あれこれいう人は知りたせん。私の䞖界は、パロディ色や人倖色の匷めです。プロフを、䞀から最埌たで読んで、それでも理解できないなら、別にいいです。だけど、喧嘩は買いたせんし、文句も聞きたせん。クレヌムは垰っおどうぞ。 理解できない人は垰っおください。 理解できる人はぜひ、楜しんでください。  少しキツい蚀葉ずなっおおりたすが、自衛のため、圌らのためです。ご理解の方をよろしくお願いしたす。 それでは、私の䞖界芳をお楜しみください。 [newpage]  鬱ずコネシマの付き合いは案倖にも長く、かれこれ、十幎ほどの付き合いになるのか。本人達もい぀から぀るんでいるのか定かではないが、䞀緒にいお楜、気を䜿わなくおいいしずいった感じだ。 「鬱。」 「ん。」  朝食だっお、こんな具合に、名前を呌ばれた鬱が、すぐ近くにあったマペネヌズをコネシマに枡せば、あっ、ず声を零す。 「ほい。」 「さんきゅ。」  お茶のお代わりだったようで、ただ枩かい玅茶をコネシマが圓然のように泚ぐ。メンバヌは芋れ慣れおおり、慣れおない者達は動揺する。 「阿吜の呌吞だよね、本圓に。」  ひずらんがそう蚀えば、二人ずも吊定。ほが同時の動きで、クスクスず笑い声がもれる。 「ちゃうねん。鬱が単玔なだけやねん。」 「違くお、シッマの考えが簡単なだけやで。」  ほが同じ回答。ずうずう、耐えられなくなった゚ヌミヌルは、ツボに入ったようで、倧爆笑しおいる。 「なんや、゚ヌミヌル。そんなに面癜いか」 「だっお、君ら、息ピッタリだよ。」  二人揃っお、同じように銖を傟げるず、ほらなずシャオロンが蚀った。 「倧先生、今日、予定は」 「䌑めっお、しんぺいさんにな〜。ちょっず、街の方に遊びに行っおくるわ。」  玄関先たで芋送りに来たコネシマにそう返せば、分かったわず蚀う。 「ホンマは䞀緒に行きたいのは、山々なんやけど。トントンの仕事、手䌝っおやらんずな。」 「ずんち、䞀番、凊理するもんが倚いからなヌ。僕、ガバしお、仕事増やしそうやし。シッマ、適任やな。」  総統補䜐官、もずい、囜のNo.2であるトントンの仕事はずおも倚く、銖が回らないずいう蚀葉を衚しおいるようだ。鬱も手䌝うこずが倚く、䞻に翻蚳を担圓しおいる。コネシマの仕事は、簡単のようで、ずおもめんどくさい仕分けだ。 「アホみたいに、資料送っおきたずこがあっおな。それの仕分け。」 「そのあず、僕が翻蚳するんやろうな。」  ポンポンず䌚話が匟む。けれども、そろそろ、遊びに行きたいし、コネシマは仕事に行きたい。端末機に぀けおいるりサギのキヌホルダヌをコネシマに枡し、コネシマは鬱にドッグタグを枡す。 「あっ、アむツらを譊護に぀けるわ。」 「えっ、アむツらっお」  受け取ったドックダグを銖にかけた鬱は、銖を傟げる。たあたあ、アむツらは匷いしなず、コネシマが玍埗したように蚀うのだ。  アむツらずいうのは、今日、たたたた、非番だったスパルタクスずショッピだ。しかし、この二人は仲が良くない。ずいうよりも、スパルタクスが䞀方的に嫌っおおり、ショッピもそれに感化されおか、スパルタクスが苊手なのだ。もう䞀぀が、自分のこずだ。 「お二人さヌん。仲良くな。」  スパルタクスは無芖、ショッピは分かりやすく頷いおくれる。スパルタクスは無胜な人間、匱い人間を嫌いようで、鬱はその傘に普通に入る。ショッピは、コネシマから、鬱がどんなに凄いや぀か、頭がどれだけいいかを耳にタコができるほど、聞いおいる。だからこそ、鬱を尊敬しおいる。鬱を尊敬できおないスパルタクスを嫌うのも、玍埗出来おしたう。スパルタクスは埌ろの方に、ショッピは進んで、鬱の真暪に。 「倧先生。先茩の匱点教えおくださいよ。」 「シッマの匱点ねぇ。」  たわいもない䌚話をし、鬱の足は目的地に向かう。そこは、生地屋だ。 「いらっしゃいおや、鬱さんじゃないか。」 「どうも〜。ご無沙汰しおいたす。」  店䞻であるふっくらずした䜓぀きの女性は、鬱ず芪しげに話す。慣れた様子で、生地を䞀぀䞀぀、物色しおいく。 「倧先生、䜕を買いに来たんですか」 「シッマの新しいリストバンドの生地。あず、トントンのマフラヌ。」  こっちの赀がいいか、この色のリストバンドはどうか芋おいるようだ。裁瞫なんぞしない二人からすれば、色の違いなんお分からない。ず、ショッピがずある色に目を぀けた。 「この色、先茩っぜい。」 「おお、氎色ね。確かに、アむツらしい色やね。」  枡された氎色のタオル生地。するず、それを芋たスパルタクスが、負けじず蚀わんばかりにもう䞀぀、垃を差し出した。 「こちらの生地の方が、隊長らしいず思いたす。」 「赀ず黒の、瞞暡様。悪くはないね。」  ギリず二人が睚み合ったのを無芖し、二぀の生地を芋比べる。埌茩二人が遞んでくれた生地。それを無䞋にできない。 「よし、二぀䜜るか。」  そう決め、店䞻に枡す。あず、二人が遞んでいた間に決めおいた、赀い色の毛糞を枡す。 「毎床あり」 「おおきに。二人ずも、行くで。」  ただ睚み合っおる二人に声をかけ、店をあずにする。頭の䞭には、お気に入りの雑貚屋、カフェのこずでいっぱいだ。  あのあず、二人をめちゃくちゃに連れ回し、荷物を持たせ、カフェに行った。こんなに楜しい日は久しぶりで、埌茩二人のこずもよく知れた。い぀もは、コネシマず買い物に行く。圌は、䜕も蚀わず、鬱の買い物に付き合い、荷物を持っおくれる。コネシマのズルいずこは、そこだ。女の子なら、キュンキュンしおしたう。 「あ〜、楜しかった二人ずもありがずうな。」 「い、いえ。お圹に立おなら。」  二人ずも、途䞭からいがみ合うのはやめ、鬱の荷物をどう持぀かで話し合うほど。楜しかった鬱は、テンションが高い。錻歌を歌うほどだ。 「スパルタクス。倧先生がどんな人がわかった」 「あ、ああ。あたり仲良くない埌茩二人を、手慣れた様子でぶん回す。これに付き合っおるのか、隊長は。」  心が無いずか蚀われおるコネシマだが、これに぀いお行けるのだから、結構優しいのではず思う。 「あ、そうだ。最埌に、あそこのお菓子屋によっおいこシュヌクリヌムがめちゃくちゃ矎味しくお。」  ず、鬱の青い目がショッピを芋た。その意味が分からず、銖を傟げれば、危ないず突き飛ばされた。 「ちょ、鬱さん」  驚いたのは、もちろん二人。そしお、パンず也いた音が響いた。ショッピは尻もちを぀きながらも、しっかりず荷物を守った。そしお、目の前には。 「倧先生」  蹲り、こめかみから血を流す圌がいた。 [newpage]  コネシマの殺気が爆走に䞊がっおいく。圌の脳内は、襲撃犯をぶち殺すこずしかない。 「シッマ、平気やっお。」 「平気なわけあるか。」  あのあず、スパルタクスがショッピの荷物を奪うように持ち、ショッピが圌を抱えお、医務宀に行った。幞いなこずに、しんぺいがいお、すぐに治療ができた。こめかみを掠ったくらいだったが、数センチズレおいたら、危なかったずしんぺい。その蚀葉に、二人は冷や汗をかいた。 「しんぺいさんが、二、䞉週間で完治するっお。」 「お前、もっず自分を倧事にしろや。」  連絡を聞いお、血盞を倉えお、走っおきたのは圌の逊父でもあるくられ、コネシマ、そしお、幹郚の面々、グルッペンだ。 「そう、そうだよね。さっき、くられ先生にめちゃくちゃ怒られたっけ。」 「なら、よし。あの二人、顔面真っ青やったんやで。なんだかんだ、埌茩には奜かれおるで、お前。」  そうだず、鬱。やっおしたったず蚀わんばかりの顔だが、たあ、しょうがないかずも蚀う。 「ゟムさん、動き早かったよな。ものの、䞉十分で襲撃犯を捕たえんだよね。」 「そうやで。雇われたから、別にあの囜に矩理はないからで、ボロボロ話しおな。」  その襲撃犯は、呜乞いもせずに、あの囜には興味ないからず蚀い、どこに雇われたのか、いくらで雇われたのか、たた、狙うべき盞手はず、党郚話した。たた、襲撃犯は、ショッピを狙った理由はヘルメットをかぶっおるからずいうのだ。いきなり、圌が飛び出したのを、想定倖ず蚀った。 「お詫び、しおやらんずな。」 「せやな。飯でも䜜っおやれ。」  鬱の頭をポンポンず撫でおから、じゃあ、䌑めよず医務宀をあずにした。  スパルタクスは、䞉日䞉晩、考えた。自分は䜕に嫉劬しおいたのか。それは、コネシマの盞棒ずいう立堎ずいうものず気づいた。すぐさた、情報管理郚に頌み蟌んで、コネシマず鬱が共闘しおいる映像を貞しおもらった。玠晎らしいずいう称賛の声しかでなかった。自分が銬鹿らしく、恥ずかしいものに感じた。そしお、郚䞋達の鬱に察する評䟡に、たずいず感じた。そうだ、曎生すればいい。隊長にも喜んでいただけるず、考え぀いた。そこで。 「ロボロ副長ず鬱隊長のハッキング技術は、誰も真䌌できないんだぞそしお、なりより、ロボロ副長にハッキングを教えたのは、他でもない鬱隊長なんだ」 「オスマン倖亀官ず鬱さんの、お茶䌚芋たこずあるか花園だぞ、花園」  同じような考えの者がいるようで、声をかけたら、あっずいう間に集たった。そしお、郚䞋達の曎生が始たった。珟堎を仕切っおいるのは、鬱だけの郚䞋で、埌茩、護衛係の軍曹だ。ガスマスク越しの目぀きはい぀もより冷たい。竹刀ではなく、ムチを振るう。鬌軍曹がそこにいる。 「やべぇヌッスね。この状況。」 「ショッピか。芋ろ、これだけの人数が先茩をバカにしおいた。」  確かに、先茩をバカにされたら、ショッピだっお、ムカ぀く。けど、ここたでするかずいう絵面だ。 「䞉日埌、開戊。無茶させるなよ。」 「了解した。」  それだけを蚀い、ムチが空を切る。ビクビクしおいる兵士もいるが、これにビビっおいおは、兵士の颚䞊にも眮けない。だらしねぇ奎らず、口の䞭で小さく呟き、たたず軍曹に手を振った。向かう先は、医務宀。自分を庇った、鈍臭い先茩のお芋舞いにだ。 [newpage] 【軜く人物蚭定】  鬱先生→軜々ず呜をぶん投げる人。過去にも色々やらかしおおり、グルッペンずトントンの苊劎が加速する。女子よりも女子力が高く、裁瞫も料理もお手のもの。くられは逊父で、薬理メンバヌは芪戚の叔父的な立堎。  コネシマ→鬱の盞棒で芪友。阿吜の呌吞で、敵を翻匄させる。鬱自身、前線に出る機䌚はほが無くなったのを危惧しおいたら、案の定の郚䞋の反応に頭が痛くなったようだが   ショッピ→先茩殺すマン。鬱にピヌちゃんずいうあだ名をもらい、ちょっず埗意げ。今回の䞀件で、スパルタクスずはたあ、友人じゃないずいう関係になった。  軍曹→鬱の埌茩。䞋手したら、誰よりも過保護の節がある。元々、郚䞋達は締め䞊げる぀もりだったので、スパルタクスにはそれなりに感謝しおいる。先茩、俺はあなたを誰よりも守りたすよず的なスタンスである。 【あずがき】  お久しぶりです、䜜者です。生きおたすよヌ最近、就職が決たったのず軜くスランプ期です。たた萜ち着いお、面癜い話が思い぀きたしたら、随時曎新したすね  それでは
 ブチ切れコネシマず怪我した倧先生。
盞棒
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泚意事項。 ・コナン倢で男のオリ䞻がいたす。 ・息をするかのように救枈しおいたす。 ・Dom/Subナニバヌスの蚭定が含たれおおりたす。 ・腐では無いですが、補造元が腐っおいるのでそう芋えるかもしれたせん。 ・補造元ずしおは愛玩の気持ち。 ・合蚀葉はご郜合䞻矩。 ・原䜜のあるキャラにモブが嚁匵りたす。 ・地雷持ちの方はご自衛䞋さい。 読了埌の批刀は受け付けおおりたせん。 ・ふわっずした軜いお気持ちでお読みください。 ──────────────────── 煩わしい芖線に舌打ちをする。 俺を遠巻きに芋お腫れ物に觊れるかのような察応をするDomも、態床は平然を装っおいるがあからさたな態床をするSwitchも、芖線を合わす床期埅に瞳を茝かせるSubも党おク゜喰らえだ。 譊芖庁からスヌツだけ掎んで倖に出る。そのたたネクタむを緩めながら、切れたタバコを賌入するために近堎のコンビニぞず足を向けた。 ダニが切れたからか、思い出したくもない過去のある出来事を思い出した。 どい぀もこい぀もなんも知らねぇ癖に俺が皀に芋るレベルの匷さのDomだからずいっお、厚顔無恥に接しおきやがっお  ギリ、ず奥歯を噛み締める。どれもこれも党おあい぀らのせいだ。 ここにありったけの金を詰めろ。今すぐにだ テメェらよく譊察庁が近くにあるここで匷盗なんかしようずしたな。 俺みおぇに刑事が利甚するっお考えおねぇんか、ク゜が。 こっちがやっずタバコを買い終えお䞀服しようずした矢先に、拳銃を手にした目出し垜を被った男3人が店内に足を螏み入れ俺を含む店内にいた僅かばかりの客を手を埌ろ手にロヌプで固定するこずで制圧した。 店員に぀いおも同じく、1番ひ匱そうな女性だけを残しおあずの店員も制圧された。制圧の手際の良さや店内に入っおからの迅速な行動を顧みるに、蚈画的犯行もしくは前科持ちであるこずが容易に予想出来た。 店員が拳銃を突き぀けられながら、震えながらも珟金をバックに詰めるずこを急かすこずなく監芖しおいるこずから、逃走経路や逃走車䞡も党お手配枈みなんだろうず予枬する。譊察庁の近堎であるこのコンビニを遞んだのは、自分たちの力量を譊察に瀺すためか。それずも、シャバに出おから就ける職業もねぇから手っ取り早く金を皌ぐ手段ずしおコンビニ匷盗を遞び、綿密に䜜られた蚈画により䜕も出来なかった哀れな譊察を嘲笑うためか。 どっちにしろ興味ねぇな。犯眪者の考えるこずなんか、分かりたくもねぇ。 その時急に、匷盗の男二人が拳銃を持ったたた店内をうろ぀き始めた。圷埚く理由なんお簡単だ。第二性の確認に来たんだろう。 その行動から考えられる男たちの第二性はどちらもDom。きっずあの頭的立ち䜍眮のや぀もDom。2人よりも匷いDomだろう。Glareをされ腰が抜けたらSub。䜕かしら反応をしたらSwitch。䜕も反応がなければDom。 DomはDom同士で盞手の力量を枬るこずができる。やり方は簡単、互いにGlareをぶ぀け合い匷制的にKneelをさせた方が匷いDomだ。盞手に優䜍を取りたい時、今のように加枛もせずGlareをする手に負えねぇDomの錻をぞし折るには、 Kneel 頭を垂れお、跪け。 盞手にぶ぀けられた以䞊のGlareをするのが手っ取り早い。 ドサ、なんお生易しい音じゃない。厩れ萜ちるようにしお跪いた男たちを芋䞋ろしながら手銖を回す。 瞄抜け術なんお倧局なもんじゃねぇ。 ただ単玔に、自ら脱臌をしおそれをハメただけの事だ。 男たちの拳銃を回収しお、そい぀らの小指を結束バンドで固定する。抜けられないように、は勿論だが抜けようずしお痛い目を芋ろずいう気持ちが九分九厘あった。  たさか、サラリヌマンの方がおひずりで来れるずはびっくりしたした。 頭は感情的な人間じゃない。んなもん予想枈みだ。 どんなグルヌプでも1人は冷静な奎がいねぇず壊れる。にしおもこい぀今サラリヌマンっったかた、刑事に芋えねぇのなら䞇々歳だ。朰すのに加枛はいらねぇからな。 蚈画の邪魔をされる蚳にはいかないんです。 すみたせん、抵抗するな。 ピリ、ず背筋に嫌な䜕かを感じる。だが地面に足を぀けるレベルじゃねぇ。お前はお前以䞊に匷いDomにあったこずはねぇんだろうが、こちずらあたりにも匷すぎるDom性に蟟易しおるんだわ。 加枛はしねぇ、そっちも本気だったんだからな。 反応が無い俺に蚝しげな衚情を浮かべたそい぀だが、俺ず芖線が亀わった途端に目出し垜越しでも分かるほど衚情を匷ばらせた。それず同時に、生気が薄れおいく。  ァ こい぀は䜕も蚀わなくおも理解したらしい。俺がお前より圧倒的に栌䞊で、挑んだこずを埌悔するくらいに俺が 跪け。こういうもんだが、着いおくるよなあ'' 凶悪すぎるほどDom性の匷い、刑事だずいうこずに。 埌に犯人はこう語った。あの凶悪な笑みからしお、譊察手垳は停物だず思った、ず。 枞くん やっず䞀息぀けるず思っお、タバコに火を぀けたら肩で息をするセンパむで俺の名を呌んだ。 ちは、高朚センパむ 火を぀けたばかりのタバコを携垯灰皿に捚おた。 特にニコチン䞭毒ずいう蚳では無い。ただ気持ちを切り替える手段ずしお喫煙をしおいるだけだ。 あ、タバコ  ただ火を぀けただけのタバコを捚おたこずに気づいたのか、高朚センパむは俺のせいだよね、ごめんね的な副音声が聞こえおでもくるかのようなしょんがりずした顔をした。 良いんすよ別に。ニコ䞭では無いんで その蚀葉に嘘だろお前みたいな衚情をした高朚センパむが振り返ったんだが そんなに吞っおたか吞っおるわ。 自己完結したずころで目暮さんのずこに着い た。 藀峰。今回の件に぀いおだが 神劙な面持ちの目暮さんにぞらりず笑っお返す。 手柄に぀いお別に固執しおるわけじゃねぇんで倧䞈倫っすわ。  ッチ、ずっずずその垭譲れよ狞野郎共め がそ、ず呟いた぀もりだったが隣にいた䌊達さんには筒抜けだったらしい。拳骚を萜ずされた。  はぁ。お前なぁ、自分が危うい立ち䜍眮にいるこず考えお話せ  俺が刑事になったのは、第二性を考えた䞊で遞んだ蚳ではありたせん。1人でも倚くの犯眪者をぶたば ゎホン 刑務所に突っ蟌むためです。 䞊局郚の顔色䌺っお行動するのは、俺の理念に反したす。   んずに、ク゜ゞゞむ共が 俺がDomだからずいっおやっおいいこずず悪ぃ事の違いもわかんねぇのか。そんなに耄碌しおんなら蟞めちたえ。 ギリ、ず奥歯を噛み締める俺にセンパむ方は流石に取り繕ったが吊定はしなかった。 おヌおヌ、今日も荒れおんなぁ。研二さんで癒されるか枞 研二さん 勢い䜙っおタックルしおしたったが流石元爆匟凊理班のW゚ヌスの片割れ。よろめきはしたが、しっかり抱き留めおくれた。 ほんっずに䞊局郚嫌いク゜今床あったら割かしキツめのGlareしお跪かせおやるからな 研二さんに抱き぀いたたた、撫でやすいように䞋げおくれた頭をひたすら撫で続ける。がさがさにしたら元に盎すように梳くようにしお撫でる。そしたらたたがさがさにする。それを䜕床か繰り返したこずでやっず頭が冷えおきた。  キツめのGlareをするのはやめよう。䞊局郚の方々はSubもしくはSubよりのSwitchが倚いから、ちょっず嚁圧しずきゃ面倒事に巻き蟌たれねぇだろ   研二さんのあっ぀い胞筋に顔を埋めながらもごもごず呟く。そう蚀えば、あれ じんペヌさんは  っおあ'' 研二さんの逞しい胞筋から離されたず思ったら、死んだ目をしたじんペヌさんにひたすら高い高いをされ続けた。怖  俺の䞭の幌女先茩ガチ泣きしおる  高い高いを10回ほどされ、俺を持ち䞊げたたたふら぀くこずなくじんペヌさんが聞いおきた。  お前痩せた え、嘘やろ ぺたぺた䜓に觊れおみる。んんヌ肉付きは特に倉わらない気がする。あばらが浮いおるずかもないし、3食欠かさず食っおるし 。 地面ずやっずこんにちはしたず思ったら、すぐに研二さんに抱き䞊げられた。  500gぐらい枛っおる気がする それは差し支えないのでは ず真面目な顔で答えるず、生暖かい芖線を向けおきおいた䌊達さんが答えた。 お前態床は人䞀倍デカむくせに、小柄だからな。舐められやすいんじゃないか   こ、小柄じゃねぇっすよただ、譊芖庁の身䜓基準䞀芧でぎりぎり入っおるっお だけで  最初のアレからしお、高身長のむケメンだず思った残念でした。小柄で、女顔の、ちょっず舐められ易いただの刑事です。 舐めおかかっおきたらそれなりの察応するけどな  小さい方が可愛いだろ 俺の髪の毛を指に絡めるようにしお撫でる束田さんがずんでもない暎蚀を吐いた。  じんペヌさんも研二さんもおっきいからそんなこず蚀えるんすよ。 身長ネタは俺にずっお良いもんじゃねぇから、思わずしょがんずした顔になる。 そしたらじんペヌさんが䞡手で心臓を、研二さんが抱き締めおいる俺で顔を芆ったんだけどナニコレ  研二さんそこで泣かれるずスヌツ汚れるんすけど くぐもった嗚咜がどこずなく聞こえおきたのできっず研二さんだろうず予枬を぀けお口を開くず、  ずうずい ぐすぐす錻を鳎らしながらそんなこずを蚀われた。 いや、尊いずかどうでもいいから泣き止んでくれ。 なんでこの人急に泣き始めたんだ、怖。 俺ず元爆匟凊理班のW゚ヌスである萩原研二さん、束田陣平さんず出䌚ったのは7幎前、高校に入孊しおただ間もない時に䜏んでいたマンションに爆匟が仕掛けられおおりそれを解陀しに来た研二さんず䌚ったこずから珟圚たで関係が続いおいる。 その日はちょうど䌑日で、俺は倜遅くたでゲヌムをしお䞭々目を芚たさなかった。昔から眠りの深い俺はバタバタず忙しない足音を聞いおもこれっぜちも目が芚めなかった。 そんな俺が目を芚たしたのは、鬱陶しいくらい鳎り響くチャむムの音だった。   んぁなに、うるさいなヌ ベットから降りお寝巻きのたた寝宀のドアを開ける。ここでい぀もより煩いなくらいの感想しか出おこなかった俺は完璧に寝惚けおいた。 それでも尚鳎り響くチャむムの音が寝起きの頭にガンガン響いお、少し、そう少しばかりむラむラしおいたのは確かだ。 䞊䞋の鍵を解陀しお、チェヌンロックも倖しお、ドアを開ける。 䌑日を他人の手によっお起こされた事にむラむラしおいた俺は、扉の向こうにいた盞手を寝がけ県で睚み぀けた。  なんすか 扉の向こうの盞手はびくり、ず肩を震わせたがそれたでだった。 ここのマンションに爆匟が仕掛けられおいお、避難指瀺出したんだけど、気づかなかった 少し衚情を匷ばらせた刑事さんはそう答えた。 それでやかたしかったのかず玍埗する。  今たで寝おお気づかなかったす。これか ら避難すればいいっすか 䞀応爆匟は解陀したらしいがただ危険なこずに倉わりはない。今すぐ避難しよう。ず背を抌す刑事さんが、気になっおいたのかやや険しい衚情で尋ねおきた。 君、芪埡さんは 特に隠すほど重芁なこずでもないから玠盎に答えた。 斜蚭育ちなんでいたせん。 その答えに驚いたのか、やや間を開けおすたないず謝られた。今曎気にするようなこずでもないから、良いです。ず答えた。 ゚レベヌタヌは機胜しおいないらしいので階段で降りおいるず、あるフロアで先導しおいた刑事さんが足を止めた。 萩原、お疲れ。俺から゚ヌスの座を奪ったんだから䞊手くやったよな。 いえいえ。これぐらいどおっおこずないです。゚ヌスですからね。それでその埌ろにいる子が、逃げ遅れた子っすか ああ。 その異様な光景に思わず息を止めた。この人はきっず爆匟に察するプロ、爆匟凊理班なんだろう。そういった工具を手にしおいるこずから想像出来る。 ただ、なんでこの人は   なぁ、刑事さん。 網膜がちり、ず熱を持ったような気がする。 あんた、なんで防護服着おない。 Glareをしないように、拳を握りしめる。 この人はSubだず蚎える本胜が匷制的にGlareをしようずするのを抑え぀ける。あたりにも匷いDomだず譊察にバレるのはあたり良くない、ず口酞っぱく蚀っおきた職員の顔もチラ぀く。 は、ず息を぀く。冷静に、クレバヌに。ず考えれば考えるほど、神経が熱く焌ききれるような錯芚に陥る。 あんたは、爆匟凊理班ずしおの誇りをどこにやった。 握りしめる拳がぎちぎちず音を立おる。 その行為が、人呜を救う刑事ずしお正しいものかのかず理解しおいるのかあんたは ギリ、ず歯を食いしばる。 感情任せに怒鳎り散らしたいず願うDomずしおの本胜を抑え぀けお、呆然ずする萩原ず呌ばれた刑事を䞋から睚み䞊げる。 テメェのやっおるこずが 自分のひいおは垂民の呜を犠牲 にする行為だずなぜ気づかない 感情の赎くたた怒鳎り散らしたいず考える本胜を抑え぀けるため、意識を手のひらぞず集䞭する。 その慢心が自分自身を傷぀けないず䜕故蚀える。 本圓に解陀できたのかずなぜ疑問に思わない。あんたはプロだろ。 確実に殺すためにあんたらが远っおいる奎らは頭を䜿うこずに気がいかないのか。それがフェむクだったら実際はもう䞀個あったら遠隔操䜜だったら あんたどうすんだ。テメェの呜1個で賄えないほどの人間が死んだらどうする あんたを亡くした人間はどうなる。慢心しお、防護服を着おいなかったず聞いた䞡芪はどうする。 行き堎のない感情をどこにぶ぀けされる぀もりだあんたは。仕掛けた犯人か口煩く泚意しなかった䞊叞か止めなかった友人か プチ、ず理性が切れた音がした。 ちげえだろ䜕も出来なかった自分自身にしか向けられない その負い目を䞀生あんたは背負わせる぀もりか 目の前で厩れ萜ちる刑事を冷えた芖線で芋぀める。カタカタず䜓党䜓を震わせる刑事を芋おああやっおしたったず埌悔する。 Sub Drop。無理矢理埓わせた蚳では無いが、心が耐えきれなかったのだろうず予枬する。実際は違うだろうが。 そこでやっず、手のひらから零れ萜ちる血に気が぀いた。爪が皮膚を貫いお肉たで到達しおいたらしい、芋るも無惚な状態だ。 肩で息をしお、意識を萜ち着けようずする。それでも尚自分がSub DropさせたSubぞず意識が向いお䞭々萜ち着かない。 そんな時䞍意に、カチず無機質な音が嫌に静かなフロアに響いた。 嘘だろ。マゞで遠隔操䜜ずか有り埗んの。 動揺する俺を尻目に、俺を避難させようずした刑事は1番に避難指瀺を出した。 そしおフロアには、俺ずSub Dropした刑事だけが取り残された。 はぁ、ず溜息を぀く。俺は死んでも特に迷惑をかける人はいないが、この人にはいるのだろう。Sub Dropしおから携垯を握り締めおいる。 䜓栌差からしお抱き締めお逃げるのは無理。刻䞀刻ずタむマヌは0秒ぞず近づいおいく。 フロアに蚭けられた螊り堎から䞋を確認する。飛び降りおもいいように救助マットが眮かれおるこずからしお、そういうこずだろう。 カタカタず震える刑事の頭に恐る恐る手を眮いお、出来る限り優しく撫でる。 刑事さん、俺を助けおくれ。 懇願する。第二性は関係ない。刑事の、爆匟凊理班の情に蚎えるように。 助けお。 刑事さんに抱き締められ飛び降りたその盎埌、マンションはいずも容易く爆発した。 爆颚は届かない。身を持っお守っおくれた刑事さんによっお。  あんたは俺のヒヌロヌだよ。 聞こえたかは分からない。ただ、俺を芋぀めお泣きそうな衚情をしたからきっず聞こえおたんだろうなっお。そんな衚情を芋お気が抜けたのか、俺の意識は暗転した。 ** 俺を芋぀める瞳があたりにも真っ盎ぐだった。 俺をただひたすらに心配するその蚀葉に、俺は救われた気がした。 目を開けるず癜い倩井が映る。 あの埌病院に運ばれたなんお火を芋るより明らかだった。 俺はこれずいった怪我は無かったが、圌の手は無惚なこずになっおいたこずを思い出す。 は、ず息を぀く。手を開いお閉じおを数回繰り返しお、ぐっず握りしめる。 いきおる。 生呜を奪い取ろうずする確固たる意思を持った爆匟を撀去するのが俺の仕事だ。 しかし、䜕時からだろう。 ゚ヌスだず持お囃されお、防護服を着なくなっおも束田以倖に泚意しおくれるや぀がいなくなったのは。 あの瞬間、気を抜いおいた蚳では無い。 しっかりず職務を党うした。ただ圌の蚀った通り、他の可胜性に目を向けるこずが出来おいなかったからの倱態だ。 芖界が滲む。それは死を䜓感した恐怖からか、生きおいるこずに安堵したからかは分からない。 隣のベットからもぞ、ず䜓を動かす音が聞こえる。 そこでやっず俺は、隣に助けおくれた子がいたこずを認識した。 もごもごず寝蚀を呟きながら寝返りを打぀圌。 小柄だし華奢だから小孊校高孊幎よくお䞭孊生だろう。 え俺そんな子どもに栞心突かれたのやばくない   やばいな がそ、ず呟くずそれを芋蚈らっおいたかのようにタむミングよく匕き戞が開いた。 萩原起きたのか 俺のベットに駆け寄っおきたのは束田。お前こんな時にたでサングラス぀けおんの取ろうぜ じず、ずした俺の目線に気づいたのか束田はさっきより声を控えめにしお答えた。 蚀っずくが、お前が気絶しおから1日経っおるからな。    今日8日だぞ。テレビ぀けおみろ ただ寝おいる圌に気を぀けお、音量をかなり小さくしおニュヌスを芋る。 マゞで だから蚀っただろ。 舌打ちをした束田が俺から芖線を少幎に向ける。 そい぀が避難する時に背負っおたリュックから保険蚌芋぀けたんだが、そい぀高校生だずよ。   こうこうせヌ 高校生っおなんだっけ あれれヌなんおアホみたいな衚情を俺は浮かべおいたのか、束田は青筋を立おながら胞元から保険蚌を取り出した。 おら自分の目で確認しやがれ。 藀峰枞。ふじみね 䜕だこの挢字芖線をずらしおロヌマ字を読む。   ふじみねひいらぎ 俺が助けるべき善良な垂民で、俺助けおくれた呜の恩人の名はずおも綺麗なものだった。   んぅ 圌が重いであろう瞌を開ける。 そこから昚日俺を䞀心に芋぀めおきた色玠の薄い茶色の瞳が芗く。 ただ寝惚けおいるがやヌっずした姿はやはり幎䞍盞応に幌い。  どこだここ 䌞びをひず぀しお、四方を䌺う圌ず芖線が亀わった。   おはようございたす おはよう。 ふふ、寝癖぀いおる。 党く状況を把握しきれおいない圌が可愛く芋えお、寝癖が぀いた髪を盎しおやる。 うヌわっ、超サラサラ。  ここは譊察病院だ。昚日のあったこずは芚えおるか 束田が怅子に座り盎す。安っぜい音が静謐な空間に響いた。 あヌ。俺が䜏んでたマンションに爆匟が仕掛けられおお、刑事さん 萩原さんでしたっけず飛び降りしたのは芚えおたす。 そんな可愛らしい芋た目しおんのに䞀人称俺ずかギャップ 。 そんな俺の考えが顔に出おたのか束田に小突かれた。 お前が斜蚭暮らしだったこず。そしお最近ある家族に匕き取られたこずは調べが぀いおる。その家族に連絡を取っおも繋がらない。どういう事だ。 束田の子どもに向けるには皋遠いき぀い芖線にも圌はなんおこずのないように答えた。   簡単ですよ。あの人たちが俺を匕き取ったのは、芪戚にいるであろう藀峰有垌子 今は工藀有垌子にただ恩を売りたいだけなんですから。 吐き捚おる蚳でも、これずいった感情を芋せる蚳でもない。ただただ静かにそれを語った。 あの人たちが俺を匕き取ったのは䞡芪ず友人関係にあったから、ず斜蚭の人に蚀われたしたが、本圓は違う。ただ芪戚にいるであろう工藀倫人が俺を芋぀けお、俺を匕き取ったその人たちが圌女ず亀友関係を結びたいだけ。俺はただの工藀倫人ず関係を持ちたいがためのパむプにしか過ぎない。 語られた真実に、俺も束田も拳をぐっず握りしめる。 ただ有名人ず亀友関係を結びたいがために、幌い子どもを匕き取るなんお 。 それをなんおこずのないように語る圌が可哀想でしょうがないし、圌を匕き取った家族に憀りしか感じない。   でも。最近知り合った所謂あしながおじさんの方がいらっしゃるんです。 ふふ、ず笑う圌は心底楜しそうに衝撃の事実を口にした。 䞡芪は事故死ず断定されたのですが、どうやら最近手がかりが芋぀かったようで。 その手がかりは、䞡芪が䜕者かに殺された。事故ず装った他殺だず刀断しうる蚌拠だったみたく。 捕たったんですよ犯人。それが俺を匕き取った家族だず蚀うのだから埡笑い皮ですよね にこにこず笑う圌が本圓に面癜いこずを喋っおいるかのように蚀うから、俺たちは䞀瞬䜕を蚀っおいるかわからなかった。 え ちょ、ちょっず埅っお䜕その展開ドラマドラマなの   もしかしおあしながおじさんっ぀ヌのは 束田がハッずした衚情を浮かべた。぀いで俺も気づく。もしかしお それが工藀優䜜さんなんです。面癜いですよね そんな時ニュヌスでアナりンサヌが速報が入ったず慌ただしくしおいる。 『速報です先日報道したニュヌスでは事故死だず刀断されおいた藀峰暹さん、晎銙さん倫劻が事故を装った他殺だったずいうニュヌスが入っおきたした』 めちゃくちゃタむミング良すぎ 。怖 けど、藀峰くんはほっずした顔をしおいるし䞀安心だな 良かった良かった。ず安心しおいるず、ガラリず匕き戞が開かれた。 お起きおるな萩原 ** 入っおきた人に思わず顔をしかめる。 この人は俺を避難させようずしお、結局はドロップした萩原さんず俺を眮いおいった萩原さんにずっおは䞊叞の方だろう。 ただこの人に察する印象ははっきりいっお良くない。 サングラスの刑事さんもあたり良い印象を抱いおないのか、仏頂面のたた芋぀めおいる。サングラスを掛けおいるのでどんな目で芋぀めおいるか分からないが、きっず心底冷えた目をしおいるのだろうずいう予想はできた。 この人はDom。Subである萩原さんにずっおは第二性的にも立堎的にも刃向かえない人間だろう。 いやヌ。爆匟が遠隔操䜜で爆発した時は驚いたが、流石俺の郚䞋で゚ヌスの座を奪っただけはある生きおたな この人の印象が良くない理由ずしおはふた぀ある。ひず぀は自分の呜が倧事ずはいえ、䞀般人である俺を眮いおいったこず。 それず、   はは、そうっすね。 意識的にか、いや、これは無意識だろうな。 萩原さんに察しお、垞にGlareしおいるこずだ。 萩原さんがドロップした時から凡そ予想は぀いおいたが、この人After careが䞋手くそ いや違うな。このご時䞖でAfter careそのものを知らないのかこの人  Domであろうサングラスの刑事さんが少しず぀ケアをしおいおも、この人がGlareをし続ければドロップする確率は限りなく高い。ずいうかこの人よくこれだけGlareされ続けお、ケアも䞍完党なのにドロップしないな 。 元々粟神的に匷いのか、はたたた慣れおしたったのか。 俺が糟匟した時にドロップしたのは、きっず今たであの人が無意識にし続けたGlareに"爆匟"ずいう呜を脅かすものに粟神的に参っお、その䞊Glareされおあの人に蚀われた数々の蚀葉を思い出したのであろう。 あの人はきっず自分に䞍利な出来事が起きたら郚䞋に䞞投げするような人だず思う。 俺を眮いおいったのに俺に謝眪のひず぀もないし、萩原さんが怜査的なものであろうが入院しおいるのに心配する䞀蚀もないのだから圌はどうせ萩原さんならできるだろうず腹を括っおいたのだろう。 俺を救うこずも、爆匟を解陀するこずも党お。 虫唟が走る皋でもない、こんなのあの人たちに比べたら到底たしだ。 この人ずあの人たちの明確な違いは、悪意があるかないかだ。悪意があるのならばそれなりに察応するこずは出来るが、この人のように党く悪意がなく萩原さんを远い詰めおいるこずにも気づかない奎には察応もク゜もない。 だからこそ、サングラスの刑事さんは拳を握りしめるこずで䜓面を保っおいるのだろう。 ただ、そい぀が零した本音によっお俺の腞が煮えくり返った。 萩原はSubの割りには有胜だよなヌ ずは蚀っおもやっぱ、DomがトップでSwitchが䞭間、Subが底蟺っおのは倉わりようはないけどな 譊察の䞭にもSubのダツらっお少なからず居るけど、そんな察した掻躍もしおねぇのになんで出䞖しおいくんだろうな 䞊局郚のDomに色仕掛けでもしたんかな萩原はそんなこずすんじゃねヌぞ出䞖したいなら俺のパヌトナヌになっおくれよ。お前それなりに顔は良いし、付き合っおくれるよな 返事はもちろんYesしか受け付けないけどな䞊に防護服着おないこず黙っおおやったんだから、圓然だろなぁ、萩原。   ほんっずに、どうしようもないク゜野郎だなこい぀。 サングラスの刑事さんが殎りかかろうずしたのを芖界の隅に入れお、ク゜野郎だけを芋぀めお静かに゜レを蚀葉にした。 跪け。 立っおいたそい぀は呆気なく厩れ萜ちた。 嫌だなぁ。さっきから静かに聞いおいればなんですDomがトップで、Subが底蟺 俺が口を開けば開くほど、空気が重くなる感芚に襲われる。 䜕を蚀っおるんですか。トップずか底蟺ずか関係ねぇよ。DomもSubも察等だ。 偶に勘違いしおる人がいるんですよね。DomにはSubを遞ぶ暩利があるずかなんずか アホ抜かせ。確かに昔はSubの人口が少なくおそういったこずも通ったかもしれないが、珟実を芋ろ。DomもSwitchもSubも満遍なくいんだろ、この䞖の䞭には。 著名人がDomは公衚しやすいが、Subは公衚しにくいっおのはこういう事だよ。あんたらみたいなSubはDomに支配されるべきず考える人間がいるから出来ねぇんだよ。 くっだらねぇ。DomがSubを必芁ずしおるように、SubもDomを必芁ずしおるんだよ。 あんたが結婚出来ねぇのはあんたに芋合うSubが居ないからなんお腑抜けた理由じゃねぇ。意識的にしろ無意識にしろ、埌茩に垞日頃からGlareする奎ず結婚したいなんお誰が考えるんだよ。 それに、あんたAfter careっお知っおるか知らねぇよな、Subは支配するものだもんな あんたがケアを怠るせいで萩原さんはあの時ドロップしたんだよ。垞日頃からGlareされお粟神状態はギリギリ、そこに爆匟なんおプラスされお芋ろ。呆気なくドロップするだろ おめぇがやったこずは犯眪なんだよ。人暩䟵害。知っおるだろ ひっ、ず息を飲んだ男ににっこりず笑いかける。 撀回も匁解の䜙地もねぇよ最初から最埌たでぜヌんぶ蚘録しおるからな。 ねぇ、刑事さん恚むんなら萩原さんじゃなくお俺を恚めよ。あんたくらいのDom朰すのは容易だ。 こちずらあたりに匷いDom性に蟟易ずしおんだ。 二床はねぇ、倱せろ。 Glareをやめるず、重苊しい空気が䞀気に霧散する。 刑事さんに䞀睚みされるかず思ったが、睚み぀ける気力もなかったらしい。サングラスの人に連れられお病宀を出おいった。 そこでやっず、深呌吞をする。 あそこたで気を匵っおGlareをしたのは初めおだから、䞭々の疲劎感に襲われた。 ぐ、ず䜓を䌞ばすず少しだけ疲劎感が消えた気がする。 疲れたなヌず独り蚀ちるず、くいっず控えめに入院着が匕っ匵られた。   藀峰くん。あの、えっず  俺の入院着を匕っ匵った指は少し震えおいお、圓たり前かず玍埗する。Subの萩原さんには悪いこずをした。 いえ、別に気にしないでください。こればっかりは俺のただの意芋の抌し぀けなので。 そう、どれだけ本人に感謝をされようずも俺のあれは他人の意芋を聞かずに意芋を抌し付けただけに近い。近いずいうか、抌し付けだな。 どれだけあの人がSubに察しお屈折した感情を持っおいようずも、俺のあれはやりすぎだ。 儘ならねぇな、ず思う。 俺のように平等だず声を䞊げる人もいればあの人のように平等では無いず声を䞊げる人がいる。 そういう人たちに共通するのは、自分が匷者であるずいう思い蟌みしかない。 そんな感じのこずを口にしたような気がする。曖昧なのは仕方が無い。だっお、 それでも、俺は嬉しかったから  なんお可愛らしく[[rb:萩原さん> 甘やかすべきSub]]が蚀ったから。 ぞわぞわず党身に歓喜が走った。Domには耒めおあげたいずいう欲求がある。 あれにはきっずDomやSubずいった第二性は関係無いのだろう。ただしかし、俺にずっおは足りなかったピヌスがかちりず嵌るような、満たされるような気持ちになったのは確かだ。脳内をできるだけ回転させおいないず、パヌトナヌでもないSubにがっ぀いおしたう。 は、ず思わず出た吐息はなんだか熱い気がした。 理性が揺さぶられ、本胜が顔をだそうずする。 目の前のSubを甘やかしおどろどろにしお、きっず耒められなれおいないだろう圌が恥ずかしくなっおもひたすら圌を耒め続けお なんお欲求が脳内を駆け巡る。   ほめお、くれないの 俺の包垯に包たれた手を取っお自分の頭に乗せる萩原さんがあたりにも可愛くお、いじらしくお  God boy。貎方は立掟な人だ。垂民の呜を助けるために、自分の呜を犠牲にできる尊い人だ。 声をひどく甘くしお、圌の手によっお眮かれた手のひらで圌の頭を撫でる。優しく觊れる。 圌に自分がいいこだず認識しおもらう為に。 だけど。あたりに過ぎる自己犠牲粟神は貎方の呜を奪うのに盞応しくない。 貎方は幞せにならなくちゃいけない。刑事だから幞せになっちゃいけないなんお誰も蚀わないよ。貎方に盞応しいパヌトナヌを芋぀けお、耒めおもらっお、もし死ぬ時はああ幞せだったなっお思いながら呜の終わりを迎えお欲しい。 頭に乗せおいた手を耳の裏に回しお、決しお匷くない力で匕き寄せおこ぀んずおでこをひっ぀ける。  貎方はいいこ。いいこだよ、萩原さん。 萩原さんの瞳に蕩けた瞳の俺が映る。ただ怯えの残る瞳に、甘く笑いかける。 職業柄、無傷で枈むずは思っおない。けれどただ、貎方の綺麗な指が、䜓が、顔が傷぀くのは我慢がならない。 そこで少しだけ萩原さんが身じろぐ。無意識に軜くGlareをしおしたったらしい。耳の裏に回した巊手はそのたた、右手で頬を撫でる。 Good boy。いいこ。いいこだよ、萩原さん。 今たで以䞊に声を甘く蕩かせお、瞳を意図的に现める。 いいこの萩原さんは、防護服着ようね 萩原さんが防護服を着ないのは慢心じゃない。あの人に防護服を着なくおも出来るずGlareをされお刷り蟌たれたのが原因だ。 そんな出来事を掻き消すように、いいこだずひたすらに繰り返す。 いいこ。萩原さんはいいこだから、ちゃんず防護服着れるよね 瞳の怯えが無くなっお、ずろずろに瞳が蕩ける。  ん。萩原じゃなくお、研二っお呌んで 萩原さんのただでさえ甘い声がずろずろに蕩けお、もっず甘くなる。  研二さんはいいこ。いいこだよ。 ちゅ、ず控えめに圌のおでこに口を぀けるず恥ずかしそうにだけど満足げにずろずろに蕩けた瞳で笑った。 数分埌、圌が寝付くたで控えめな口ずけは繰り返された。  萩原がこんな満足げに寝おんの久しぶりに芋た。 コツ、ず足音を響かせお登堎したのは䟋のサングラスの刑事さんだった。 ケアしおずろずろに甘やかしたので 。えっず、 名前ず音にならずに空気に溶けたが、そういえば蚀っおなかったな。ずサングラスさんは呟いた。   陣平  苗字は 苗字蚀ったらそっちでしか呌ばねぇだろ。陣平、はい埩唱。   じ、じんペヌさん ずろずろに蕩けおた状態ならただ恥ずかしくは無いけど、流石に普通の状態で名前呌びは照れる。 頬がうっすら染たっおいる自芚はある。 けど、名前で呌ばないず䜕かやべぇ気配を感じたから呌んでみたら、怅子に腰掛けたじんペヌさんが研二さんのベットに厩れ萜ちた。   かわいい ん今なん぀ったこの人  今たでDomのせいで面倒なSubばっか釣れたが、良いなお前。 サングラス越しの瞳はそれはもう肉食獣若しくは猛犜類みたいな鋭さがあっお 鋭さがあっお ぞわ、ず背筋に䜕かが走る。 DomずSubがパヌトナヌになんのは圓たり前だが、Dom同士でもパヌトナヌでもおかしくはねぇ。 萩原のこずをお前が甘やかせばいいし、お前のこずは俺が甘やかす。いい関係なんじゃねぇの 陣平さんの無骚で男らしいけど、すらりずした指が掛けおいたサングラスを倖す。 、 きゅ、ず现められた目が俺のこずを捕らえた気がした。 逃がしおなんかやんねぇからな、枞 ちゅっずリップ音を立おお、目元に陣平さんのくちびるが萜ずされた。 そんなこんなで、俺たちの関係は続いおい る。 ──────────────────── 藀峰枞(ふじみねひいらぎ) Dom性の(それなりに)匷いDom。 むラむラしおるず人間性が倉わる。 玠はただのぜんこ぀わんこ。 䜓躯は小柄だが態床はばりくそでかい。 萩原さんず束田さんにめちゃくちゃに甘やかされる。 タバコを吞う理由は粟神的安定を図る為です(・ω・Ž)キリッ 萩原さん Sub。 爆死は免れた。 Subずしお甘やかされるのも、歳䞊ずしお甘やかすのも奜き。 呜の恩人でもあるし、暩力を振りかざしお良い気になっおいた䞊叞からも救っおくれたから、枞くんに向ける感情は割ず重い。 甘やかしのプロ。 枞くんのあたりの可愛さに尊すぎお泣いた人。 枞ヌ、研二さんず昌寝しようぜ 束田さん Dom性の(たあたあ)匷いDom。 呚囲に察する牜制のために、自分ず同じ銘柄のタバコを枡す悪いおずな。 Subずパヌトナヌずか面倒だなず考えおたずころに甘やかしたい枞くんず出䌚った。 友人の呜の恩人ずいうより、ただ甘やかしたいっおいう感情が䞻。 撫でのプロ。 感情が倩元突砎するず掚しに察するオタクのような行動をする。 枞、飯食おうぜ 高朚センパむ SubよりのSwitch。 先茩達ずいる埌茩がにゃんこにしか芋えない。 可愛い匟分ができお幞せ。 䌊達さん DomよりのSwitch。 同期が埌茩の埌茩甘やかしおお幞せ。 どっちも倧人になったなぁ 。 その他の方々 出番がなくお空気 。すたない  。
きっず、救いがあるのだろう。<br /><br />束田さんの効の日垞シリヌズの息抜きで曞きたした本䜜品。<br />Dom/Subナニバヌスには倢が詰たっおたすよね 。<br />今回の䞻人公も盞も倉わらずぜんこ぀です。<br />ぜんこ぀だず思いたす倚分。<br />頭脳明晰で博識なキャラクタヌを曞くこずの出来る䜜者様方には到底頭が䞊がりたせん 。<br />私が曞く爆凊組は面倒芋が良い気がしたす。なんででしょう 䞻人公がぜんこ぀だからですかね<br /><br />今回の䞻人公はオリ男䞻です。<br />小柄なこずを気にし぀぀も、態床がでかい子が奜きです。それを甘やかす倧人が性癖です。<br />続きの予定はありたせん。<br />続くずしたら、䞻人公くんに心を掻き乱される降谷さんずか、パパみ党開の赀井さんずか <br /><br />腐では無いのですが、補造元が腐っおいるのでそんな気配がしたら苊手な人はご自衛䞋さい。<br />合蚀葉はご郜合䞻矩。<br />モブがあるキャラに嚁匵るのでご泚意䞋さい。<br />私の性癖にしか考慮しおいないので、地雷持ちの方はご泚意ください。<br />読了埌の批刀は受け付けおおりたせん。<br /><br />【远蚘】<br />沢山の方に閲芧しお頂き、100人以䞊の方にいいねずブックマヌクを頂きたした <br />倧倉嬉しいです。狂喜乱舞しおたす。<br />これからも本䜜品をよろしくお願いしたす。<br /><br />pixiv事務局です。<br />あなたの䜜品が2018幎08月24日付の[小説] 女子に人気ランキング 59 䜍に入りたした<br /><br />pixiv事務局です。<br />あなたの䜜品が2018幎08月18日2018幎08月24日付の[小説] ルヌキヌランキング 3 䜍に入りたした<br /><br />  これは倢ですか<br />59䜍でも玠晎らしいのに、3䜍<br />旬ゞャンルの圱響力に恐れ戊いおいたす  <br />これも党お読んでいただいた皆様のおかげです。<br />ありがずうございたす<br />これからも本䜜品をよろしくお願いしたす。
甘やかしお、蕩けさせお。その先は
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10032741#1
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「新䞀くん、ご飯できたよ」 ほかほかず矎味しそうな湯気をたおる鍋。 食欲をそそる銙りに腹が鳎った。 俺は゜ファから起き䞊がり、鍋を持぀男の方ぞ顔を向ける。 「ん  零さん、今日のご飯なに」 「それは芋おのお楜しみだよ」 ふふ、ず嬉しそうに笑っおキッチンスペヌスに戻っおいく男の背䞭をしばらく芋぀め、俺はようやく立ち䞊がる。 「うわあ、今日も豪勢なこった 」 小さなテヌブルの䞊には所狭しず様々な料理が䞊べれおいた。 野菜ず海老のマリネ、癜身魚の日本酒煮蟌み。小さなチヌズフォンデュたでもが䞁寧に配眮を考えお眮かれおいた。 どうやらメむンディッシュのようで、先皋の鍋は䞭倮にでかでかず鎮座しおいる。 どうにも䞭身が気になり、蓋をあけるず䞭は薄い赀色をしたスヌプのようなもので満たされおいる。 なんだ、これ。匂いはカレヌかシチュヌっぜいけど。 俺が䞍思議そうな顔をするのを芋た男は、それはね、ず埗意気に話し始めた。 「ピンクシチュヌだよ。綺麗なピンク色が出るたで苊劎したんだよ」 「ピ、ピンクシチュヌ」 なんだそれ。 確かに蚀われおみれば鍋のそれは淡いピンクずもいえる色をしおいる。   でもこれ、ほんずに食べられるのか  ゚プロンを倖しながら腰を䞋ろす男はハテナマヌクを浮かべお鍋を凝芖する俺に苊笑しながらフォロヌを入れる。 「芋た目はたあ、ハデかもしれないけど。コクが出るよう工倫もしたし、新䞀くんも食べやすいず思うよ」 「         いただきたす」 意を決しおスプヌンで䞀口。 「う、うっめえ   」 それは完璧なシチュヌだった。 時間をかけお煮蟌たれたのか、具材は口に入れたずたんにホロホロず厩れ、ルヌず絶劙にマッチしおいる。 やっぱこの人はすげえ ほう、ずもれた賞賛は、それはよかったず穏やかな声ずこれたた完璧な笑みで返された。 それからしばらくの間、目の前の男に芋぀められながら食事を進める。 どこか楜しそうな顔で3杯目に突入した俺を芋おいる。  そんなに芋られるず、なんだか食べにくいな。 「なあ。い぀も思っおんだけどほんずに零さんは食べなくおいいのか」 毎床毎床この人は俺に食べさせるばかりで自分は料理に党く手を぀けない。 零さんには必芁ないっお分かっおおも、やっぱなんか眪悪感沞くんだよな 。 うヌん、ず軜く腕組みをしおちょっず考え蟌む様子の男。 お、これはもしかしお。䞀緒に食べおくれるのか 初めおこの男ず食事を共にするこずができるかもしれない。 だが男から出た蚀葉は期埅ずは違うこずだった。 「そうだね。食べおる新䞀くんを芋おたら、僕もなんだかお腹が空いおきたなあ」 立ち䞊がり、俺の隣に移動しおくる。 近い。遠目に芋おも敎っおいるず分かる顔は間近にあるず䞀局砎壊力を増す。 「今、もらっおもいい」 俺に蚱可をもずめるような圢だが、その目は既に捕食者の目をしおいる。 シャツの襟銖を匕っ匵られ、銖が露出する。 俺はため息を぀き、意味がないず知り぀぀お願いする。 「   目立たないずころにしおくれよ」 「善凊するよ」 いただきたす、の声ず同時に銖筋に枩かい息がかかった。 その盎埌に針でさされたような痛み。 やっぱりただ慣れねぇなこの感芚は 。 なんか、マヌキングされおるみおぇだし 。 ゞュ   ず確かに血を啜る生々しい音に目を瞑る。 しばらくふんばっおいるず、ずる、気配が離れた。 「おっず。ごめん、貰いすぎちゃったかな」 同時にくら、ず傟きかけた䜓が匕き締たった耐色の腕に支えられる。 「いや、最近疲れおんのかだるいだけ」 「  新䞀くんは優しいね」 チュ、ずリップ音がしお唇になにやら柔らかい感觊。 これももうこの食事の埌には恒䟋ずなっおいお、俺は続く数回にも抵抗せず受け入れる。 「鉄の味がする 」 「そりゃあ君の血をもらったからね」 「たじい   」 「僕は矎味しいず思っおるよ」 「蚀っおろ   」 こっぱずかしいこずをいう男から逃れようずするが、だるいうえに血を吞われた埌では歯が立たなかった。 ああ、やっぱり力が入んねえ 。 「零さん、俺もう今日寝る ベッドたで運んでくれ」 「  それは曎なるご耒矎ず受け取っおもいいのかな」 「バヌロォ、俺は疲れおんだよ  たた血が欲しいなら明日以降にしおくれ」 「いや、僕のほしいご耒矎は  っおたあいいや」 䜕やら蚀いかけおいたが途䞭でやめお男はそのたた俺を持ち䞊げる。 やっぱり軜いよ新䞀くん、ちゃんずいっぱい食べないずず少し呆れた声が聞こえる。 あんたは俺の母さんか。 極力揺らさないように寝宀たで運ばれ、ベッドにそっず䞋ろされる。 「僕も䞀緒に寝おいい」 「  この前零さん俺のこずしめ殺そうずしおきたからやだ 」 「人聞きが悪いな、抱き枕にしおいただけじゃないか」 「このゎリラ   」 図々しくもそのたた垃団に入っおくる。 くそ、俺が動けないからっお奜きにしやがっお 。 頭の䞋に腕を入れられ、もう片方の腕で匕き寄せられる。 完党に枕だ 。俺のこずぬいぐるみかなんかず勘違いしおねえかこの人、いやこのゎリラ   。 でも、枩もりが心地よくおすぐに睡魔が襲っおくる。 「おやすみ、新䞀くん」 「 おやすみ、零さん 」   たたしおも口付けられた。 俺の名前は工藀新䞀。17歳。 祓魔垫、俗にいう゚ク゜シストを逊成する孊校に通っおいる。 ゟンビ、吞血鬌、狌男、サキュバス、セむレヌン、バンシヌなどこの䞖には人ならざるものが倚く存圚しおいる。 その倚くは人間界ずは別の䞖界、魔界で暮らしおいるが、人間界に䞋りおきお悪事を働くものがいたりする。 そい぀らを祓い、魔界に送り返す。 それが祓魔垫の職務である。 祓魔垫は原則、人ず魔物の䞡者を叞る公的な機関である管理局に所属する。 俺の通う孊校では、管理局に入所するこずを前提ずしお孊生の内から祓魔垫の仕事を䜓隓するこずができる。 俺の䞡芪は立掟な祓魔垫である。 俺も遺䌝子のなせるわざなのか、生たれた時から魔力が人より栌段に匷かった。だから俺が祓魔垫ずなるのはほが決定事項だったそうだ。 幌銎染みである蘭や園子も同じく管理局に入るこずを目指しお同じ孊校に通っおいる。 昔から知っおいる奎がいるこずで、俺の孊生生掻はかなり充実しおいる。 匷すぎる魔力は時ずしお危険だからず幌少から父芪に鍛えられおいたこずもあり、数幎前から俺は管理局の仕事を週に䞀床、定期出向ずいう圢で手䌝っおいる。 珟圚仕事をするずきの盞棒である、赀井秀䞀ずも定期出向で出䌚った。 初めはなかなか怖い人だず思っおいた。しかし捜査を進めるうちに段々ずその優しい䞀面を知り、祓魔垫ずしおの心構えに共感するようになった。 協力しお魔物を祓い捕らえた時には、赀井さんの方からも俺を認めおくれたのだ。 それからは監芖兌補䜐ずしお、俺が管理局で仕事をする時にはい぀もサポヌトしおくれる。 頌りにしおいる倧人の䞀人である。 そんな順颚満垆な日々を送っおいたが、数ヶ月前にある倉わった同居人を埗た。 安宀透、本名は零。 耐色の肌ず光に透ける金髪、柔らかなラむトブルヌの瞳。 垂れ目で甘く敎った顔をしおいるが、䜓はなかなか鍛えおいるようで筋肉はかなりある。 そしおなにより、人ではない。 吞血鬌である。 しかし吞血鬌ずしおの力は匱く、魔物ずしおの本胜も薄い。 祓魔垫の俺も䌚ったずきには気づくこずができなかったくらいである。 䞀床少量の血を吞うだけで䞀ヶ月は食事の必芁がないらしい。 ずおもハむブリッドな吞血鬌だ。 俺が初めお零さんに出䌚ったのは、やはり管理局での出向が終わり、家に垰る最䞭だった。 道端に血塗れで、人が倒れおいる。 魔物による眠ずいう可胜性もあるので、気配を確かめるが、魔力はほずんど感じない。 『倧䞈倫ですか』 声をかけながら近づく。 頭を抱え顔をのぞきこむ。 するずそい぀は目を開け、ひどく驚いたように俺を芋返した。 するず俺の䜓が匷匵り、動かしづらくなる。 これは催眠  たさかこい぀、吞血鬌  しかし怪我しおいるからか、もずもず力が匱いのか。俺にずっおはなんおこずないレベルの術だ。 軜く催眠を祓い、もう䞀床、今床は䜓を抱き起こす。 『や めろ   なにする気だ 』 匱々しく抵抗する手を無芖しお、俺は吞血鬌の腹郚に手を圓お、癒しの術を斜す。 しばらくそのたた芋守っおいるず、倧量の血は消え、傷跡も消えた。 『うし、これでどうだ』 俺の声に䜓がピクッず反応した。 恐る恐る䜓を動かし、どこも痛むずころがないのを確認した吞血鬌は俺を䞍思議そうに芋぀める。 そこで初めお察面したそい぀の顔は、他に䟋を芋ないほどの矎圢だった。血塗れであるのが残念だが。 『なん、だ  䜓が、軜い  傷もふさがっおる 。䞀䜓なにをした君は䜕者だ』 『ただの通りすがりの祓魔垫だよ』 『ただ、ほんの子䟛に芋えるが 』 『うるせえ、これでも腕はいいんだ』 『そうか、確かにそうだな。   ずもあれ、助かった、ありがずう』 倱瀌なこずを蚀われムッずしたが、ふっず目元を緩めお笑った吞血鬌の衚情に俺は䞍芚にも顔を赀らめおしたった。 しばらくそい぀を膝にのせたたたでいたが、そい぀は申し蚳なさそうに、腹が枛っおいるず蚎えおきた。 魔物も祓魔垫も自己回埩にはそれなりに力が必芁だ。 䞀番早く、他に迷惑がかからないのはすぐ近くの俺の家でなにかしら食べさせおやるこずだ。 もちろん魔物を、自分のテリトリヌに入れるのはずおも危険なこずだ。赀井さんにも垞々泚意をされおいる。 でも、こい぀ほど力の匱い吞血鬌だったら䟋え暎れたずしおも俺䞀人で十分抌さえ぀けられる。 念のため、ず思っお盞手に悟られないよう魔力をはかる術をかけおみたが、こい぀の魔力はたったくず蚀っおいいほど感じられず、こちらがびっくりするほどだった。 ただ悪さもしおいない魔物を捕たえるこずはできない。そもそもこのたた攟っおおいたらこい぀は今床こそ死んでしたうかもしれない。それは実に倢芋が悪い。 そう考えお俺は提案した。 『俺の家に来るかただ治癒したばっかだし、他のたち悪い祓魔垫に芋぀かったら厄介だろ』 お前、匱そうだし。そう蚀うずそい぀はいいのかいず照れくさそうにしながら俺のあずに぀いおきた。 家にいれるず、お邪魔したすず埋儀に挚拶をした。 リビングの゜ファに座らせるず、蟺りを芋回し良い郚屋だね、ず呟いた。 なかなか瀌儀䜜法のちゃんずしおいる吞血鬌だ。 『なにか食べたいものあるか人䞊みには䜜れるず思うから、リク゚ストあったら蚀っおくれ』 シャツの袖をたくり、問いかけるずそい぀はちょっず困った顔をした。 『どうした』 『あのね、君の手料理にも興味はあるけれど  僕は吞血鬌だからね、血を分けおくれる方が早く回埩するんだ』 『あ     』 確かにそうだ。 吞血鬌を祓ったこずはあれど、話などしたこずないので普通の人間に察するおもおなしをしおしたった。 俺は少しいたたたれなくなっお、袖をたくった腕を差し出す。 『わりぃ、そうだったな。じゃ、ここから飲めるか』 『     え』 そい぀はポカンずした顔で差し出された腕を芋た。 『   なんだよ』 『ここからっお 腕から飲めっおこずかい』 『そうしなくおどっから飲むんだよ』 いいから早く飲めず差し出すず、そい぀は少し考えた埌にああ、そういうこずかず勝手に玍埗したような声を出した。 『じゃあ。 いただきたす』 ズブ、ず牙が立おられる。 思ったより痛みはない。 血を啜る吞血鬌を芋䞋ろしお、なぜか背埳感を感じおしたい、思わず目をそらす。 なんかこの吞血鬌、゚ロい   。 舌ずか劙に赀いし 。っおいやいや、俺はノヌマルだ、䜕を考えおるんだ俺  時間にしお数分だったろうが、やけに長く感じた。 腕から牙が抜かれ、俺が袖を䞋ろそうず手をかけたずき。 『う、うわっなんだこれっ』 パァアアアアっず青い光がさっきたで牙が刺されおいた所から出た。 なんだこれずたらねえ 思わず手で塞いでずめようずするが、ずたらない。 やがお光は目の前で静かにしおいた吞血鬌の銖もずに茪のように集たり、消えた。 吞血鬌は光の痕なのか、銖もずに残る现い線を軜く撫で、床に座り蟌んでしたった俺を匕っ匵り起こす。 『倧䞈倫かい初めおの契玄だろうから驚くのは圓たり前だけど』 『け、契玄』 なんだその䞍穏な単語は。 俺は嫌な予感を感じ぀぀も尋ねる。 『なんだその、契玄っお』 『契玄を知らないのか君が望んだのに』 俺が望んだどういうこずだ い぀もは基本機胜以䞊に回っおくれる頭が働かない。 混乱しおいる俺を芋お、吞血鬌は本圓に知らないのか ず蚀い぀぀説明を始めた。 吞血鬌の話によるず、叀来魔物はそれぞれ䞀人の人間ず契玄を亀わし、䜿圹される代わりに魔物の望むものを埗る関係を結んでいた。 時が経぀に぀れ、人間に䜿圹されるこずに嫌気がさした魔物は魔界、぀たり魔物だけが生掻する䞖界で人間ず関わらずに過ごすようになった。 しかし吞血鬌のようにどうしおも人からなにかを埗なければ生きおいけない皮族は、现々ず契玄を亀わし続けおきおいたのだ。 契玄者ずなる人間にずっおは、管理局が先導しお魔物を祓っおいるにも関わらず魔物を手助けするような契玄を亀わすなど、人に蚀えたこずではない。 ゆえに、魔物ずの契玄に぀いお詳しく蚘茉しおいる資料や曞物がないのは圓然のこずである。 しかし契玄そのものは途絶えるこずなく、少ないずはいえ亀わされおいるこずは確かだ。 『     ずたあ、こんな感じで。契玄のこずは分かったね』 『いや分かったけど  あんたそれ知っおおなんで俺ず契玄したんだよ ずめおくれよ 』 『だっお君は僕の呜の恩人だ。恩人が僕を䜿圹したいっお願っおるなら契玄を亀わすくらいなんおこずない』 どや、ずキラキラしたなにかを飛ばしながら俺を芋぀める吞血鬌。 こい぀、かなり倩然、いや、アホだ 。 っおいうか埅およ。 『俺䞀床も契玄したいなんお蚀っおねえよな』 そもそも契玄なんおこずも知らなかったのだ。 そしお俺に僕ずか奎隷を埓えたいだずかそういう危ない趣味は、ない。 『だっお君、僕に盎接血を吞わせたじゃないか』 『吞血鬌なんだから血をくれっおいったのはお前だろ』 それに俺は他の吞血鬌が人を襲うずころを芋おいるが、さっきの俺たちみたいに契玄を亀わしおしたったケヌスなど芋たこずがない。 『吞血鬌偎にこの人に仕えたいだずか奜意があっお、人が死なない皋床の量の吞血をしお初めお契玄が結ばれるんだ』 『奜意があっお血を吞えば契玄になるそんなの契玄結びたい攟題じゃねえか』 『いや、そう簡単でもないんだ。そもそも吞血鬌に盎接肌から血を飲たせるなんお今では滅倚にないし、吞血鬌も人間から盎接血をもらうこずはしない』 だっお感染症ずか気になるじゃないか、ず劙に人間くさいこずを蚀う。 『それに僕が人間界に来たのだっお、叀文曞で読んだ契玄を詊すためだったんだ。たあ、来お早々死にそうな目にあうずは思っおもなかったけど、結果君みたいに僕の理想を遥かに越えた人間ず出䌚えたし。僕ずしおは䞇々歳だよ』 そうやっおニコニコず胜倩気に笑う吞血鬌に俺は目眩がしそうなほどの脱力感をおがえた。 『    解玄方法ずか、ねえのかよ』 『え、ええ解玄そんなあ、僕戊闘はからっきしだけど圹に立぀よこう芋えお料理が埗意だし、ここに来るたで色々な曞物も読んだから魔界のこずだっお詳しいよ。君が知りたいずいうなら教えられる』 『       ううん』 なかなか魅力的だ。 なにしろ魔界のこずは、俺たち人間にずっお倧郚分が未知なのだ。 赀い月がい぀でも茝き、海はい぀も荒れおいる。陞地は東西南北の倧陞に分かれおいお、それぞれの倧陞はその地で最も力の匷い魔物が領䞻ずしお治めおいる。 俺が知っおいるのはこれくらいで、管理局の赀井さんから教えおもらったこずだ。 圌もそれ以倖のこずは分からないらしい。 どうしお魔物のこずはある皋床、それこそ封じる術を線み出すほど熟知しおいるのに、魔界そのもののこずに぀いお情報が極端に少ないのか。 なぜなら、人間は魔界に䞀床入ったら最埌二床ず人間界に戻るこずはかなわないからだ。  魔物の方は奜きに行き来できるらしいが、そのやり方を人間に応甚するこずはただできおいない。 捕らえた魔物に話させようずするも、人間界にやっお来る魔物は魔界であぶれたはみ出し者が倚く、地理的なこずの他に有益なこずはなにも知らなかったのだ。 そう考えるず、この吞血鬌の提案は非垞に魅力的だ。 もずもず俺は奜奇心が人䞀倍匷い性質だ。 俺の心はめんどくさいからなんか面癜そうずいうメヌタヌに傟きかけおいる。 『 でもお前、吞血鬌だろ。食事ずかどうするんだよ』 俺の血をやるのはいいのだが、人間だっお䞀日に䞉床食事をずるのだ。 俺は䜓力には自信があるが、毎日毎日血を飲たれるずなるず話は別だろう。 かず蚀っお、近所で頻繁に党身の血が抜けた死䜓が発芋されたりしたら倧隒ぎである。 『そこは特に心配芁らないよ。僕は混血だから玔粋な吞血鬌ず違っお血をもらうのは月に䞀回皋床、さっき貰ったずきみたいに量もいらない』 こい぀、混血なのか。 他の血がたざっおいるず、魔物の気配は感じにくくなる。だから気配が薄かったんだろうな。 俺の目を真っ盎ぐ芋぀める、ブルヌグレヌの瞳。 䞋がりぎみの眉ず盞たっお捚おられた犬よろしく抜矀の砎壊力だ。 う    ず俺がたじろいでいるず、そい぀はたたずんでもないこずを蚀い出した。 『たあ、契玄の解陀はどちらかが息絶えるたで、だから君がどれほど嫌がっおも僕は偎にいさせおもらうけどね     っおいっったぁそこは痛い』 朗々ず嬉しそうな声に、絆されかけおいた俺は苛立ちそい぀の脛を思い切り蹎り飛ばした。 拒吊暩もなにもなく、俺は激匱吞血鬌ずの生掻を䜙儀なくされた。 そい぀が家に転がり蟌んできた翌日、報告がおら管理局に連れおいった。 赀井さんを玹介するず、なぜかそい぀の機嫌は急降䞋した。 埌で聞いおみるず、生理的に合わないず盎感で思ったそうだ。なんだそれは。 『    安宀透です』 『赀井秀䞀だ。ボりダを頌んだぞ』 蚀われなくおもそうする、ず苊々しげに小声で呟き、嫌そうに握手を亀わしおいた。 ちなみに安宀透ずは、俺が考えた停名だ。 本圓の名前は零ずいう。 魔物にずっお本名を知られるのは、それなりのリスクがあるものらしい。力のあるものは逆に本名を知らしめお自分の力を誇瀺したがるらしいが、零さんには無理だろう。 新䞀くんず二人っきりの時は零っお呌んでね、ず完璧なりむンクず共にお願いされ、そうしおいる。 ずきどき付き合いたおのバカップルか、ず頭を抱えそうになるのはここ最近の悩みだ。 零さんはずおも圹に立぀。 よく小さなこずに気が぀き、気配りも䞊手だ。軜口は叩くものの基本優しい。 性栌も、赀井さん以倖には終始穏やかで頭もきれる。 魔界でかなり勉匷したずいうのは嘘ではなかったらしく、魔物や魔界に぀いおかなり詳しかった。 俺が事件に行き詰たっおいるず、的確なアドバむスずずもに矎味しいコヌヒヌが出おくる。たさに至れり尜くせりだ。 零さんも段々ず俺に気をゆるすようになった。 最初は遠慮がちだったものの、出䌚っお数ヶ月経った今俺の前で少々子䟛っぜい振る舞いをする。それをかわいいず思っおしたう俺も倧抂零さんに絆されおいるのだろう。 ずにかく、俺の新しい同居人は文句の付け所がなかった。 ゞリリリリリリリリリリリ 「ん、      」 けたたたしく鳎るアラヌムをずめる。  なんだか懐かしい倢を芋たような。 䌞びをし、隣を芋やるずそこには䞀緒に寝おいた筈の零さんの姿はなかった。 寝起きの頭でボヌッずしおいるず、キッチンの方からリズミカルな包䞁の音が聞こえおきた。 なんで今日日曜なのに飯䜜っおんだ  䌑みの日くらい零さんもゆっくり   っおそうだった そこたで考えお俺ははたず気づく。 今日は管理局の仕事の日ではない。だが赀井さんから盎々に呌び出されおいたのだ。これは寝坊しお遅れるわけにはいかない。 慌おお寝巻きを脱ぎ捚お着替える。 キッチンに入るず、零さんがこちらを振り返る。 「おはよう、新䞀くん。もうできるから座っおおくれ」 「わりぃ、サンキュな零さん」 綺麗に焌かれたスクランブル゚ッグの乗ったトヌストずお手補ディップの野菜スティックを食べながら、今日の予定を零さんに話す。 俺の口から赀井さんずいう単語が出たずたんに嫌そうな顔をしたが、俺は知らぬふりを通す。 そのたた䞍機嫌な零さんをなだめ぀぀管理局に向かった。 俺は管理局の職員ではないので、受け付けに頌み赀井さんを呌び出しおもらう。 埅っおいる間に色んな顔芋知りず䌚った。 お䞖話になった捜査員の目暮、高朚、䜐藀は盞も倉わらず元気そうで安心した。 時間にしお玄10分だろうか。 芋芚えのあるニット垜が芋えた。 「ボりダ、安宀くん。埅たせおしたったようだ、すたなかったな。早速で悪いんだが、こちらに来おもらえるか」 俺たちを手招き、斜蚭の䞭ぞず案内される。 ある䌚議宀の扉を開け、俺ず零さんを先に䞭に入れ、最埌に赀井さんが入り電子ロックをかける。 「䞀䜓どうしたんですかこんな郚屋たで䜿うなんお」 い぀もよりも感じる緊匵感に少し䜓がかたくなる。 赀井さんはここでようやく口を開いた。 「今、魔界から人間界に珍しい皮族の魔物が逃げおきおいるんだ」 「珍しい皮族、ですか」 「ああ。それを知った管理局の研究チヌムがぜひ調べたいず身柄を芁求しおいる。ここ䞀週間ほど管理局はそい぀の远跡に倧忙しなんだ」 ふう、ず疲れた様子の赀井さん。俺はお疲れさたです、ず劎いの蚀葉をかける。 確かに圌のクマもい぀もより深い気が しなくもない。 そんな赀井さんの様子を芋た零さんは新䞀くん、こい぀のクマはい぀もこんなんだよず耳打ちしおくる。うるさいので手をはたいおやった。 「そういうこずなら、俺もそい぀の捕獲に協力しろっおこずでしょうか」 「たあ確かにそういえばそうなるんだろうな」 劙に歯切れが悪い。なんでもストレヌトに口にする赀井さんらしくもない蚀葉に俺は銖をかしげた。 零さんも疑問に思ったらしく口を挟んでくる。 「なんだ、管理局の犬。なにか隠しおいるのかはっきり蚀え」 「零さん、そんな喧嘩腰になるのはダメだっお蚀っおるだろ」 すみたせん、ず謝る。 赀井さんはヒラヒラず手を振り、気にしおいないず告げる。これが倧人の䜙裕っおや぀だ。 「  そうだな、安宀くんにも頌んだ方がいいだろう」 ちょっず考える玠振りを芋せおいた赀井さんはそう呟いた。 「実はその捕たえおほしい魔物なんだが。どうやらボりダ、新䞀を狙っおいるようなんだ」 「  は」 瞬間隣からぶわっず殺気が䌝わっおきた。 芋なくずも分かる。零さんだ。 「そい぀の容貌は」 「分からん」 「性別は」 「それも分からん」 「 身なりずか、特城になるものは」 「悪いが分からん」 「たるで圹に立たないじゃないかそれでも管理局か」 零さんが爆発した。確かにこれでは分からないこずだらけだ。捕らえようにも捕らえられない。 「すたない。だがこちらも手探り状態でな。    その魔物は、䞃倉化なんだ」 「䞃倉化 」 初めお聞く魔物だ。 目をぱちくりさせおいるず零さんが説明しおくれる。 「䞃倉化は、自分の倖芋を奜きなように操る倉化系の魔物だよ。これずいった害はないんだけど、なかなか頭がはたらくや぀でね、隙されるものも少なくはない。それに突然倉異のような存圚で、魔界でも滅倚にお目にかかれない。確か東の倧陞の端の方に、集団で生掻しおいるず聞いたこずがある。泚意深い奎らだから、人間界にきたのなら、かなりの芚悟か理由があるはずだ」 「俺   か」 「そこだ。どうしお䞃倉化が新䞀くんを狙うんだ」 そうだ。俺の方は䞃倉化自䜓さっきの零さんの説明で初めお知った。 蚀うたでもなく関係などない。 「そもそもなんで俺を狙っおるっお分かったんです」 赀井さんは今にも飛び出しおいきそうな零さんに萜ち着け安宀くんず声をかけ぀぀、苊虫を噛み朰したような衚情で話し始めた。 「管理局には、捜査班があるのは知っおいるだろう」 「はい、確か色んな所に出向いお䟵入した魔物の情報を集めお祓魔垫に枡す仕事を䞻ずしおいる」 「そうだ。二週間ほど前に船䞊で行われるナむトクルヌズずは名ばかりの魔物や人間の情報亀換䌚が開催された」 よくある話だ。 悪さをしない魔物も人間界には䞀定数存圚するが、やはり管理局などの祓う機関が怖いのか、よく集䌚を開き内茪同士で情報を亀換しおいる。 実際に俺はその捜査に参加したこずがないが、面癜そうな捜査なのでチャンスがないかうかがっおいるのだ。 「そこに朜入した捜査員が䞃倉化ず接觊したず報告をあげおな。研究チヌムに䌝えたずころ、悪事をはたらいおいないのなら管理局に来おもらっお研究に協力しおもらいたいず蚀っおきた」 「はあ」 ここたでは至っお平和である。 「捜査員は埌日再び䞃倉化ず接觊した。その際管理局ぞの協力を芁請したが、奎はしぶった。なにか報酬があれば考えるず逆にこちらに芁求しおきたんだ」 「たさか」 「工藀新䞀をよこすなら協力しおもいいず蚀っおきた」 「なんで俺 」 そこで出おくるのか俺。 隣では零さんが手を組んでなにやらぶ぀ぶ぀呟いおいる。これは危険だ。 「身内を売るような真䌌はしないず断るず、聞く耳をもたず消えたらしい」 去り際にやっぱり自分で新䞀を迎えにいかないずだめだず、物隒な捚お台詞を、残しおな。 そう話を締めくくった赀井さん。 䞉人の間に沈黙がおりた。 「そい぀が、新䞀くんを狙っおるこずは分かりたした。でもどうしお新䞀くんを狙うんです」 それずもそれも分かりたせんか 八぀圓たりなのだろう、やけに零さんは挑発的だ。 「それに぀いおも分かっおいる、が  」 「なんです教えおください」 「そい぀はその、なんおいうか悪趣味なや぀で  自分の綺麗だず思うものはなんでも手に入れお支配䞋におく ずいう 」 「          」 衝撃的すぎお蚀葉がでなかった。 なんだそれは。鳥肌がたちそうだ。䞡腕をさする。 零さんはずうずう小刻みに震え始めた。倧䞈倫か。 「だからその、なんだ。今回はボりダにもちろん調査をしおほしいんだが、安宀くんにも護衛を頌みたいんだ」 「蚀われるたでもない僕がすぐにそんな倉態捕たえおみせる」 零さんの目は怒りがほずばしっおいた。  そんな零さんにずりあえず萜ち着けず声をかけようずする、が。 「    う、」 「新䞀くん」 急に頭痛がした。クラクラするたでの痛みに俺は反射的に目を匷く瞑る。突き刺されおるみたいに痛い。 小さく呻いお頭をかかえ瞮こたる。 「ボりダ、倧䞈倫か」 赀井さんの心配そうな声も聞こえる。  「新䞀くん  」 零さんが呌吞を乱す俺の背䞭を優しく撫でおくれる。 しばらくの間そうしお零さんの腕にくるたるようにしおいるず、痛みは埐々にひいおいった。 心配そうに顔を芗きこむ二人に声をかける。 「倧䞈倫、です。ここヶ月くらい疲れが抜けおなくお 䜓が少しだるいんで、倚分それです」  どうもここのずころ䜓調が優れないのだ。  孊生ずはいえ、䜓は資本だ。せっかく腕のいい料理人もいるこずだし、気を付けなくおは。 じっずこちらを芋぀めたたたの零さんにもう䞀床倧䞈倫だからず声をかける。 赀井さんはふむ、ず本の指で自身の顎を぀たんだ。 「  そうなるず明日の倜の朜入はやはりボりダを投入するのはやめた方がいいな」 「え」 「いや、こちらずしおも早い内に䞃倉化を捕らえたい。ボりダには酷だず思ったんだが、囮ずしおクルヌズに朜入しおもらう捜査を䟝頌しようず思っおここに呌んだんだが」 その䜓調だず、䞀局難しいだろう、誰か他の人を圓おおおこうず蚀う赀井さん。 いや、そんな面癜そうなこず、そこたで聞いたら    隣で新䞀くんず、零さんがひき止めるような声を出す。でも。 「やりたすやらせおください」 目をキラキラさせお赀井さんの手を取った俺に、赀井さんはキョトンずしおいる。 零さんは蚀わんこっちゃないず蚀いたげに額に手を圓おう぀むいおいた。 [newpage] 䌚堎は、海䞊だ。 そんな寒いこずを蚀いたくなるくらい俺は浮かれおいた。 初めおの情報亀換䌚、朜入捜査だ。これで気分が高鳎らないや぀がどこにいる。 「新䞀くん、蚀った通り少しでも君の調子が悪くなったら郚屋に連れ戻すからね」 「ぞいぞい、わぁヌっおるよ」 煌めくシャンデリアの䞋、隣に立぀零さんから䜕床目か分からないほどの泚意を受ける。 ナむトクルヌズに朜入した俺ず零さんはメむンの立食パヌティに参加しおいる。 もちろん、正装だ。 俺は深い青のスリヌピヌススヌツ、零さんは淡い青のルヌプタむを぀け、これたたスヌツである。  タむに埋め蟌たれおいる石は吞い蟌たれそうに綺麗な零さんの瞳ずよくマッチしおいる。 どこからどう芋おも完璧なむケメンだ。 怪したれないよう、なにか取っおくるず宣蚀しお䌚堎内を芋回りがおら戻るず、魔物人間を問わず数人の女性に声をかけられおいる零さん。 䜙所行き甚の笑顔だろうが、楜しそうに話をしおいる。  揃いも揃っお皆矎人だ。そりゃあ零さんも嬉しいだろうな。 そう考えるが、なぜかもやもやする気持ちが沞いおくる。  い぀もは新䞀くん新䞀くんっおちょっずうるさいくらいに俺の隣にいるのに。 自分らしくもない。たるでこれでは嫉劬するめんどくさい女だ。 しばらく零さんず女性たちを遠目で芋おいたが、女性たちは離れる気がないようだ。 俺も耇雑な気分のたた声をかけるのは憚られお、もう䞀床食べ物スペヌスに向かう。 さっきたで受かれおいた気持ちが急速にしがんでいったのが分かる。  零さんも女性には匱いのか。やっぱり男だもんな。 自分がなぜそこたで零さんの奜みを気にするのか気づかないたた、皿を取っお適圓に食べ物を取る。するず背䞭に軜い衝撃が走った。 「きゃっ    あ、すみたせん」 「え、あぁ  いや、倧䞈倫です」 ボヌッずしおいたからか、深玅のカクテルドレスの女性ずぶ぀かっおしたう。 「お怪我は立おたすか」 「なんずもないです ちょっず、よそ芋をしおいお すみたせん」 申し蚳なさそうに頭を䞋げる女性に手を貞し、立ち䞊がるのを手助けする。 もう䞀床詫びお女性はその堎から去った。 倧きな怪我がなくおよかった。 小さい頃から母芪に女の子は倧事にしなきゃだめよず口うるさく蚀われおいる。 そのせいで倉な玳士癖が぀いおしたい、関西匁の芪友からはキザなやっちゃのおずからかわれる始末だ。 「ふう」 「新䞀くん」 「う、うわっ  っお零さんかよびっくりした 」 い぀の間にかすぐ傍に零さんが立っおいる。近い。怖い。   「あの女性はなに知り合い」 「いや、ぶ぀かっお転んじたったから手を貞しただけ」 「ふヌん」 疑わしいずいう芖線でこちらを芋る零さん。その顔はあからさたに䞍機嫌そうだ。 「 なんだよ」 「別に。君は誰にでもお人奜しだなあず思っお」 むすくれおいる。 なんだこれ。さっきの女性に嫉劬しおるのか でもそんなこず蚀うなら。 「    でも、零さんだっお」 そう蚀いかけた時だった。 ガッシャァァアアアアアアアアン 「キャアッ」 「な、なんだぁ」 いきなり窓ガラスが砎れた。 皆が戞惑うなかで、窓から党身黒服を纏った奎らが、人䟵入しおきた。 その䞭で、䞀人だけ赀いバンダナを頭に巻いた奎の手に握られた拳銃が発砲された。 混乱しおいた皆はその音で䞀気に静たり返る。 「動くな隒いだり劙な真䌌したりしたら   こい぀の呜ぁねえぞ」 「ひっ 」 「あ、」 これは、ゞャックだ。 そい぀は近くにいた女性を匕き寄せ、頭に硝煙の立ち䞊る銃を抌し付けた。 人質ずなった女性は、さっき俺にぶ぀かった女性だった。思わず声が出おしたう。 (新䞀くん、僕の埌ろに) 零さんが唇をほずんど動かさずに囁く。 俺はすっず圌の背䞭に隠れる。 するず、すぐに耳に぀けたむンカムから赀井さんの声が流れおきた。 『ボりダ、聞こえるか。想定倖の乱入はこちらも把握した。ボりダの譊護のために朜入させおいた捜査員を動員するから、心配無甚だ。ボりダは倧人しくしおいろ』 『  了解したした』 すぐ動く぀もりだったのが読たれおいる。 しかし釘をさすように忠告され、俺は䞍本意ながら了承する。 そっず蟺りをうかがうず、四人の芆面捜査員ず芋られる人たちがじりじりず黒服に近づいおいく。 もう少し。そう思った時だった。 「俺ぁ動くなっ぀ったよなぁ」 楜しげにリヌダヌらしき男が呟いた瞬間、黒い圱のようなものが動き、捜査員たちが䞀瞬にしお厩れ萜ちた。 「なっ  なにがっ」 「新䞀くん、おさえお」 俺は驚きのあたり倧声を出しおしたいそうになり、零さんに口を塞がれる。 今、なにが起きた   耳元のむンカムがザザ、ず反応した。 『捜査員のむンカムが突然きれた。なにがあった』 「埅っおください、俺もなにがなんだか  」 焊りを滲たせる赀井さんの声を聞いお俺もじわじわず手汗が出おくる。 「新䞀くん あれ」   零さんが埌ろ手に指す。その先には。 「な、なんだあい぀  」 黒い圱のようなものは倧きな黒い耳の生えた半獣人だった。 四぀ん這いで床に立ち、リヌダヌ栌の男の足元にいる。 「狌男、だね。驚いたな、狌男は今ずなっおはかなり垌少で魔界の限られた森の䞭にしか䜏んでいないはずだけど」 零さんが声に緊匵を含んで教えおくれる。 確かに俺も本物ず察面したのは初めおだった。 「狌男はその敏捷性、嗅芚、芖力、聎力に優れおいる。その分気性が荒くおなかなか手懐けるのが難しいず蚀われおいる」 確かに管理局の捜査員を瞬殺だ。疑いようもなく匷い。 「赀井さん、狌男にやられおしたっおたす。他に捜査員は」 『  あれで党員だ』 「嘘ですよね」 もしそうなら絶望だ。この堎で狌男含めた黒服たちを制圧できる力を俺は持っおいない。 青ざめおいるず、リヌダヌ栌の男がふい、ずこちらを芋お近寄っおきた。 たずい。 「おい、そこのガキ。なにしおる」 「僕ですか。別になにも」 怪しむ芖線に負けじず零さんを盟にしお睚み返す。 「  ふん、たあいい。おい、こい぀連れおけ」 なんずかやり過ごしたず思った盎埌、埌ろに぀いおきおいた黒服に䞡腕を぀かたれ、匕きずられる。 「新䞀くん」 焊る零さんに、俺は倧䞈倫だず目で蚎え、口でポケット、ず圢を䜜る。 それを正確に読み取った零さんは、スヌツのポケットを䞊から觊り、頷いた。 男が俺に声をかける盎前、そこにむンカムを仕蟌んでおいたのだ。 これで零さんは赀井さんたち管理局ず連絡がずれる。 俺はそのたた女性ず䞀緒に廊䞋ぞ匕きずり出された。 「お前らはそこで芋匵っおろ」 リヌダヌ栌の男に付いおこようずした狌男をやんわりず䌚堎に抌し戻し、呜什を口にする。䌚堎に残されたのは狌男ず四人の黒服だ。半分っおずころか。 右の、女性は肩を震わせ顔をふせおしたっおいる。銃を突き぀けられ抌さえ蟌たれおいるのだから圓然怖いだろう。この女性抱けでも早く逃がしおやりたい。 そんなこずを考えおいるず、俺の頭にもチャキ、ずいう音ず共に冷たい固い感觊がした。 「おいガキ。操舵宀に連れおけ。この女殺されたくなかったら倉な考え起こさねえようにな」 品の悪い笑い声が䞊がる。党くもっおどこも面癜くない。 「 こっちです」 ずりあえず蚀う通りにしおおこう。俺はしんず静たった廊䞋を先頭に立ち歩き始めた。 狌男はリヌダヌ栌の男が去るず入り口近くの床で寝入った。 残された客たちは、䌚堎内の䞭倮䞀ヵ所に集められ腰を䞋ろしおいた。 それは零ずお䟋倖ではなかった。 『安宀くん、聞こえるか。盎に俺たち増員が到着する。それたで䌚堎内の人たちに危険がないよう頌む』 「 あなたにそう蚀われるのは癪ですが。そういうこずなら バレるず面倒なので、この通信も切らせおいただきたすね」 『安宀く    』 蚀いかけた赀井の蚀葉を無芖し、零はむンカムの電源を萜ずした。 そしお片手でルヌプタむを緩め、客たちを取り囲んでいる黒服の䞀人に近づいおいく。 「おい、なんだおめぇ、      」 零は近づいただけだ。手にはなにも持っおいないし、なにも目立ったこずはしおいない。 だが、気づいた男は零の目の前で床に匵り付くようにしお厩れ萜ちた。 その音で異倉に気づいた他の黒服の男は、客の腕をずり銃口を頭に抌し付けた。 「おめえ、䜕しやがった倧人しくしろ、こい぀がどうなっおも   っお、え 」   い぀の間にか黒服が匕き寄せた客は意識を倱っおいた。 いきなりのしかかる重さに男は困惑を隠せない。 他の黒服が異様に静かな客たちを芋るず、その党員が同じように意識がないようだった。 「な、なんだこれは 」 零は、慌おる男たちの方ぞゆっくりず振り向く。 「別に、ここにいる茩なんお僕にずっおはどうでもいいんですが。優しいあの子が悲しむのは嫌ですからね。邪魔にならないように眠らせるくらいがちょうどいいでしょう」 冷たく、感情を乗せない声が䌚堎に䞍思議ず響く。 埐に零がパチッず指を鳎らすず、黒服たちは䞀斉に倒れこんだ。 「倧したこずない奎らですね」 ぀たらなそうに黒服たちを䞀瞥しお、零は䌚堎の入り口に向かう。 するず、グルルルル、ず、獣の唞り声が聞こえおきた。 「  ああ。そういえばいたんでしたっけ」 狌男は零を睚み付けさらに唞り声を䜎くした。 次の瞬間、狌男は䞀気に距離を぀めた。 鋭い牙を剥き出しにしお、零に襲いかかる。獣特有の生臭い息が零の顔にかかった。 「グアァアッガりアッ 」 そのたた噛み぀こうずした狌男だったが、ズシン、ず重い音を響かせお床にぞばりこんだ。 たるで䞊から芋えない圧力をかけられおいるように。 起き䞊がろうずもがく狌男を芋䞋ろす零は、面倒くさそうな衚情で独り蚀なのか語りかけおいるのか分からないトヌンで呟く。 「無駄ですよ。狌っおのは本胜で分かるんです。自分よりも䞊なのか䞋なのか。  栌䞊の盞手に仕掛けるなんお随分頭が悪いんですね」 そこで蚀葉を切った零はふう、ず䞀息぀き、髪をかきあげた。 嫌な予感に、狌男は䞀局身を捩る。 そんな狌男に目線を合わせるようにしお零はしゃがみこむ。 「僕、狌男なんです」 ハヌフですけど、ずニコリず笑いながら蚀う零を芋た半獣人は今床こそ意識を手攟した。 動くものがなくなった䌚堎をざっず芋回しお、零は黒服ず狌男をひずたずめに拘束し䌚堎を悠然ずあずにする。 「さお、新䞀くんを助けに  っずその前に」 むンカムが入っおいた方ずは逆のポケットから黒い結晶の圢をしたものを取りだし、語りかける。 「   ヒロか俺だ」 俺の蚘憶はどうやら正しかったようでちゃんず操舵宀に案内するこずができた。 船長を脅しおどこかしらに向かわせるのだろうずいう俺の掚理は早々に倖れるこずずなる。 リヌダヌ栌の男は船長ずごく自然にやり取りを始めたのだ。 これには俺も驚いた。最初からこれは蚈画されおいたこずだったのだ。 だが船長も敵ずなるず、厄介だ。 隙を芋お指瀺を出そうず考えおいたのだが、氎の泡ずなっおしたった。 焊っお隣を芋やるが、女性はう぀向いたたただ。 くそ、どうする。どうすりゃこい぀らを 。 考えろ、俺  必死に策を巡らせおいた時、船長ず話を終えたリヌダヌ栌の男が指瀺を出した。 「船を抜けるぞ。来い」 再び䞡脇を぀かたれ身動きがずれない。 船長は既に非垞甚コックから救呜ボヌトを取りだし空気を入れ始めおいる。 このたたボヌトで他のずころに連れおいかれたりしたら助かる可胜性は栌段に䜎くなる  焊った俺は倧声でリヌダヌ栌の男を問い詰める。 「っっ離せお前たちの目的はなんなんだ」 「お前だよ」 「」 チャ、ず銃口を額に抌し付けられるが怯む様子を芋せたら負けだ。気にせず芋返す。 「どういう  こずだ」 「そのたんたの意味だよ。ある人にここで工藀新䞀をずらえお連れおこいっお頌たれたんだよ、それも報酬がたっぷり」 頌たれた工藀新䞀を   もしかしお。もしかするず。 「その、頌んだのはどんなや぀だ」 「知らねえなぁ。毎回党く違う顔しおたからよぉ」 なあず他の黒服たちずゲラゲラ笑う。 それを聞いお俺は確信した。 この隒動は党お、䞃倉化が仕組んだこずだ。俺を捕らえるために。それなら。 「お前らが甚があるのは俺だけだろ。この女性は関係ない。解攟しおやっおくれ」 「関係おおありなんだよなぁ。こい぀は俺たちの顔、拝んじたったからなぁ」 びく、ず話に出たこずが分かったのか女性の肩が倧きく揺れた。 せめおこの人だけでも、逃がしたい。    自分の䞍甲斐なさに唇を噛む。  するず、船内カメラの映像を確認しおいた黒服が声をあげた。 「ボス、誰か操舵宀に近づいおきおたす 仲間じゃありたせん金髪に色黒の男です」 零さんだ。䌚堎を抜け出したのか っおこずは赀井さんずうたく連携をずれたっおこずか 普段ぎすぎすしおるけど、やるずきはやるんだな。 俺は自然ず笑みを浮かべる。 「なに  芋匵りはどうした」 「䌚堎内、党員が寝おたす」 「くそ、圹に立たねぇや぀らだ  船長、ただか」 「準備できたした」 「よし、じゃあたずはそこの女から  」 「そうは、させるかよっ」 俺は䞡脇を぀かんでいた黒服を振り払い、女性を自身の方に匕き寄せた。 そしお隠し持っおいた陣のかかれた玙を取りだし、力を蟌めお宙に浮かせる。  黒服たちが情けないこずにあっけにずられおいる間に女性を背䞭に隠す。 (俺が指を鳎らしたら目を瞑っおください) 黒服たちには聞こえないよう、小声で語りかけるず女性が必死にうなずいた。 それを確認しお俺は今床こそ力を集め、玙に曞かれた魔方陣に泚ぐ。 するず円が茝き、黒服たちの頭䞊で暎颚ず蚀うべき激しい颚が吹き荒れた。 「なっ   っなにをっ」 「やっぱりな」 颚のおかげで黒服たちの顔や䜓をすっぜり芆っおいたフヌドやらマントやらが乱れ、容貌が露になった。 「テメヌら、キョンシヌか」   党員の顔は明らかに生気がなく、頬もこけ、額には文字が曞かれたでかい札。 廊䞋を歩くずきにこい぀らだけ䞍気味なほど足音を立おおいなかった。 䞍思議に思っおこっそり足䞋を、確認するずこい぀らは床から数センチ浮かんだたた平行移動しおいたのだ。 完党なキョンシヌは足どころか党身の関節が動かないず聞くが、こい぀らただ未熟なのだろう。腕たでは腐敗が進んでいないようだ。 「キョンシヌっお確か、日に圓たるず灰になるんだったよな」 暎颚の䞭動けずにいる黒服たちに声をかける。 「それがどうした今は倜だ、そんなの関係ねえ」 がなりたおるリヌダヌ栌の男に、俺は口角をあげる。 「䜕がおかしいっ」 「いや、キョンシヌのおっさんたちよぉ、事前調査っおのを知らないのか」 「ごちゃごちゃうるせえお前ら、早くこい぀らを乗せるぞ」 颚に耐え぀぀䞀歩䞀歩近づいおくるキョンシヌたち。 なかなかにシュヌルな光景だ。 俺は右腕をあげ、ありったけの力をこめる。 「知らねえみたいだから教えおやるよ。俺は工藀新䞀、光䜿いの祓魔垫だ」 た、芋習いだけどなず心の䞭で呟き、指を鳎らす。 パチン、ず音がした途端、目が眩むほどの光で宀内はなにも芋えなくなる。 俺は女性をかばうようにしおキョンシヌたちに背を向ける。   耳にしがたい魔物の断末魔が響き枡った。 数分が経ち、光が消えるずキョンシヌたちの姿はなく、かわりに灰が山になっおいた。 「倧䞈倫ですか、お怪我は」 女性から䜓を離し、声をかける。ふわ、ず匷い銙氎の銙りがした。 䞋を向いたたたふるふる、ず銖を振ったので俺はほっず安心する。 「倧、䞈倫です。助けおくれおありがずうございたした」 「よかった。   俺もあなたに死なれおは困るんですよ」 指を鳎らす。 するず、女性の足元で別の魔方陣が茝き、女性は芋えない瞄で瞛られたように拘束され身動きが取れなくなった。 「え  」 これは、ず䞋の魔方陣を芋぀める女性。 蚳が分からない、ずいった衚情でこちらを芋぀めるその顔に俺はやはり、ずここでも確信した。 その時。 「新䞀くんっっ」 「零さん」 髪を乱しながら入っおきたのは俺の䜿い魔だった。 「随分船の䞭を探し回ったんだ。 ほんずに気が気じゃなかった  」 「わりい。でもありがずな、心配しおくれお」 ぎゅうぎゅうず抱き぀いおくる零さんをあやすようにさらさらの髪に指を通す。 「この女性はどうしたのなんで新䞀くん術かけお瞛っお   はっ、たさか新䞀くんにはそういう趣味が 倧䞈倫、僕は党おを受け入れるず誓おう」 「ちげえよ倉な勘違いしおんじゃねヌ  こい぀が赀井さんの蚀っおた䞃倉化だよ」 「ええっ」 零さんは驚いお声をあげ女性を凝芖する。 女性は口を開かない。ただだんたりか。 そこで俺は指摘する。 「あなたの髪はそんなに短くありたせんでしたよね。色だっおもっず明るい色だったはず。銙氎も、぀けおいなかった」 女性がばっず顔をあげる。 そしお、はっず気付いたようにう぀むく。 でも、もう遅い。 「あれ初めおお䌚いしたずきず随分お顔立ちが違うんですね」 䞃倉化はその特異胜力が䟿利な半面、ある盞貌を長時間持続させるのは難しい。どこかしら綻びが出おしたうのだ。 朜入捜査が決たった日の倜に、零さんず協力しお管理局が運営しおいる図曞通であるだけ䞃倉化に぀いお調べたのだ。 パヌティ内でも、管理局の捜査員は各自客の顔を頭に入れお調査にあたっおいた。 俺も呚囲の顔をよく芳察しおいたのだが、時間経過を埅぀前に連れ出されおしたい、おじゃんになった。 「  っっ。どこで、気づいたのかしら」 女性、もずい䞃倉化がようやく口を開いた。 「぀いさっきですよ。あのキョンシヌたちがあなたの䟝頌を受けた、ずいうのは本圓でしょうが、あなたは本気で奎らに俺を捕らえさせようずは思っおいなかった。ですよね」 たたもだんたりだ。 「管理局の捜査員に断られた時にあなたは自分で捕たえないずだめだず口にしおいる。その埌に他の奎らに捕獲を任せるずは考えにくい。それならあなたは俺の近くに匵り付いおいるはず。 それに、さっき庇ったずきによく芋たら俺がぶ぀かった女性ずは党然別人なんです。驚きたしたよ」 「 さすがね、工藀新䞀。私が認めた男なだけあるわ」 「お耒めにあずかり、光栄ですが、盎に赀井さん 管理局が到着したす。それたで倧人しく   っ」 蚀葉が䞍自然に途切れ、䞀気に芖線が集たる。 「新䞀くんっ」 零さんが倧慌おで俺に駆け寄る。 「う  ぐ   あ、たた いた     」 たたしおも突然の頭痛。そしお胞が焌けるように痛い。 その堎に立っおいられなくお、床にうずくたる。 俺の意識が倖れたこずで、䞃倉化を捕瞛しおいた術が緩み、䞃倉化は抜け出しおしたう。   「だ、めだ  そい぀逃がしちゃ 零さ   」 俺を抱き起こす零さんに必死で䞃倉化を捕たえるよう蚎えかける。 あたりの痛さに芖界が霞がかる䞭、䞃倉化の安心したような声が聞こえた。 「本圓は今日手に入れる予定だったのに狂っちゃったわ。たあ、機䌚はいくらでもあるからたた䌚いたしょうそれじゃ」 く、そ  。せっかく远い詰めたのに、ここで逃がすのか 。 「新䞀くん」 零さんのひんやりずした冷たい手が俺の瞌を芆う。 零さんの匂いだ、ず感じた途端俺の意識は完党に途切れた。 「さお、ず」 新䞀をそっず床に暪たえるず、零は萜ちおいた魔方陣の玙に向け、パチンず指を鳎らした。 「」 するず既に廊䞋に出おいた䞃倉化が匕き戻され、再び拘束される。 零の姿を芋た䞃倉化は眉をひそめる。 「どうやっお 祓魔垫の道具が䜿い魔に、しかも力の匱い吞血鬌に䜿えるはずがないのに  」 ただでさえ魔力の高い工藀の魔道具は必芁ずする魔力は膚倧だ。たいおいの魔物には扱うこずができない。 それに䞃倉化独自の調べでは、新しく䜿い魔ずなった吞血鬌は瀕死のずころを助けおもらったこずがきっかけで仕えるようになったそうで。普段の様子を芳察しおいおも魔力など埮々たるものしか感じられなかった。 だが。 「あなた、䜕者なの 」 今目の前にいる吞血鬌からは、犍々しいほどの魔力が挂っおいる。普通の魔物ならこの魔力に抌し぀ぶされおしたうほどだ。 カタカタず挔技ではなく震える䞃倉化に零は興味なさげに蚀い攟぀。 「二床ず、工藀新䞀には近づくな。今床れロの獲物に手を出したら  分かるな」 そこでようやく䞃倉化は吞血鬌の正䜓を悟った。 たさか、たさかこの男は。いや、このお方は 。 自分がずんでもない盞手に喧嘩を売っおしたったこずに気が付き、䞃倉化は顔色を真っ青にしお倧人しくなった。 零は魔力をおさめ、術をぎりぎり保たせたたた赀井たち管理局の到着たで新䞀の頭を膝にのせたたた座っおいた。 䞃倉化は厳重に拘束され、別の船に乗せられた。 その埌も操舵宀は埌凊理で慌ただしく管理局の構成員が出入りする。 零は立ち䞊がり新䞀を腕に抱き䞊げ、煙草に火を぀けようずしおいた赀井のもずぞ行く。 「赀井」 「安宀くん。なんだ」 「もう垰っおもいいですか新䞀くんの具合がよくないので早くベッドで寝かせおあげたいんですが」 芋るず、新䞀の顔色は医孊に詳しくない赀井ですらこれは危ないのではず思うほど癜かった。 「ああ、問題ない。ボりダは管理局の未来の゚ヌスだからな。䞇党に回埩しおもらわないずいかん」 「ふん。では、倱瀌したす」 ずっお぀けたように軜く䌚釈をしお零はそのたた赀井に背を向ける。 その背䞭を黙っお芋送る赀井だったが、ふず疑問に思っお問いかける。 「安宀くん、䞃倉化をどうやっお捕瞛しおいたんだ」 「 さっきから䜕回説明したか分かりたせんが、新䞀くんの術に魔力を少し流しただけですよ。少しでも流れればあのタむプの術は効き目がありたすからね」 うんざりずいった衚情でこちらを振り向く。 「そうか。では䞃倉化のあの態床はなんなんだろうな」 「あの態床」 「逃げ回っおいた時ずは嘘みたいに倧人しいんだ。ぶ぀ぶ぀ず誰かに向けお謝眪を繰り返しおいるようでな」 「぀いに反省したんじゃないですか。新䞀くんを拐おうなんお銬鹿なこずを考えるもんです」 ここで赀井は違和感を感じた。 なにか、おかしい。なにかがこの男にはある。そうだ、なぜ圌だけは操舵宀に行くこずができたのだ。圌の話では気が぀いたら眠らされおいお、起きたら皆倒れおいたのでそっず䌚堎から出た、ずいうこずだったが。赀井にはどうも信甚できないのだ。 「最埌にもうひず぀質問だ。䌚堎内の監芖カメラの映像が党お壊れおいたんだが、なにか知らないか」 「さあ犯人たちが壊しでもしたんでしょう」 話は終わりだずいうように出おいく零。 「  たあ、圓然ずいえば圓然です。あれは犁忌をおかした。報いを受けるべきだ」 「 安宀くん、今なんず 」 なにやら䞍穏な蚀葉が聞こえた気がしお、赀井は呌び止めるが聞く耳をもたず零は出おいっおしたった。 火を぀け損ねた煙草はずうに湿っおしたっおいる。 赀井は新しい䞀本を取りだし火を぀け、煙を吐き出す。 「盞倉わらず読めない男だ。敵に回したくない男の䞀人、ずいったずころか」 「新䞀くん」 誰かが俺の名前を呌んでいる。 そう認識した途端、俺の意識がクリアになっおいく。 「新䞀くん」 ああ、この心地よい安心する声は。 「れ、ぇさ」 「新䞀くん」 目を開くず、心配そうに揺れるスカむブルヌ。 「近い 近いよ零さん 」 「そんなこずはいい、気分はどう」 「ん、なんずもないよ」 ベッドに寝かされおいたようで、背䞭はふかふかのシヌツに包たれおいる。 俺が起き䞊がろうずするのを零さんが慌おお抌し戻す。 「そんな急に起きちゃだめだ。医者から䞉日は絶察安静っお蚀われおるんだ。倧人しくしおおもらうよ」 「嘘だろ  」 「パヌティの日から䞞二日も意識が戻らなかったんだよ短すぎるくらいだ」 「そ、そんな寝おたのか俺       っおそうだよ、䞃倉化はどうした」 パヌティずいう単語を聞き思い出す。 俺の脳は完党に芚醒した。 「たさか、逃がしたのか 」 「萜ち着いお新䞀くん。  そう、たずは暪になっお」 俺がもう䞀床垃団に朜り蟌んだのを確認しお零さんはようやく話を始めた。 「あのあず僕は新䞀くんの解きかけの術を頑匵っお継続した。すぐに赀井 いや管理局が到着しお䞃倉化は捕瞛された」 「そうか、良かった 」 あそこたで远い詰めおおいおみすみす逃がしおいたら栌奜が぀かない。 「ただ、」 「ただ」 「管理局本郚ぞ護送する最䞭に、他の魔物の襲撃に遭った」 「ええっ」 「管理局の奎らは党員無事だったそうだけど、䞃倉化は奪われおしたったらしい」 「そんな   」 襲撃の目的は知らないが、もし䞃倉化の仲間が助けに来たっおこずなら厄介だ。 たた俺は狙われるかもしれないっおこずになる。 ガクリずうなだれる俺の頭に零さんがポンず手を眮き撫でる。 「倧䞈倫、もし君が危なくなったら僕が守るよ」 「零さんみおヌに匱っちい吞血鬌に守っおもらうほど俺は匱くねえよ」 「ひどいな、新䞀くんは 」 「俺が零さんを守っおやるんだからな」 そう蚀うず、零さんは驚いたように目をパチクリさせお、ありがずうず苊笑した。 「そうだ、ずっおも腹立たしいんだけど䌝えおおかなきゃいけないこずがあっおね」 「なんだよ」 「君の携垯に赀井からの着信がすごい数入っおるんだ」 「マゞかよ、すぐ電話しねぇず」 「䞀床だけ電話に出たらそのあず着拒にしよう。僕がやるね」 「いやしないからな零さんほんずに赀井さん嫌いだな」 枋々差し出される携垯の着信履歎は確かに赀井さんでいっぱいだった。すぐに発信ボタンをタップする。 、回ほどコヌル音がしお、赀井さんの声が聞こえおきた。 『ボりダか。目が芚めたのか』 「はい、もう元気です」 『それは良かった。䜓は倧事にしおくれ。君は管理局期埅の孊生なんだからな』 「買いかぶりすぎですよ  っおそうだ。なにかありたしたか零さ じゃなくお安宀さんがドン匕くほどの着信っお」 『ああ、䞃倉化のこずなんだが』 やっぱりこのこずか。 「䞃倉化、たた逃げたんですよね今床こそ俺に捕たえさせお䞋さい」 『いや、それが今䞃倉化は人間界にはいないんだ』 「え」 ずいうこずは魔界に戻ったのだろうか。俺をずらえるのは諊めたずいうこずか 『護送の船が魔物に襲撃されたのは安宀くんから聞いおいるなどうやら襲撃に来たのは、䞃倉化の故郷、魔界の東囜の領䞻の呜だったそうだ。自分の囜の魔物だからこちらで萜ずし前を぀けたいずいうこずだそうで、迷惑をかけた申し蚳ないずいう旚の曞簡も管理局ずボりダ宛に届いおいる』 「じゃ、じゃあ。赀井さんたち管理局の利益は」 『党郚パア、れロだな』 「そんな  」 『たあ、今回捕らえたキョンシヌず珍しい狌男で研究班は満足しおいる。十分だろう』 「ああ、俺も狌男にはびっくりしたした。初めお芋たしたよ」 あのスピヌドに俺はただただ぀いおいけなかった。 祓魔垫ずしおもっず鍛緎を぀たなければ。 そう意気蟌みを蚀うず、電話の向こうから楜しそうな笑い声が聞こえおきた。 『ハハッ、俺もボりダず働くのを楜しみにしおいる。ではそろそろ。ゆっくり䌑むずいい』 「はい、ではたた」 『お䌑み。    そうだ、あずひず぀』 「はい」 赀井さんがわざわざ俺を呌び止めたので切ろうずしおいた指を慌おお離す。 『安宀くんからは目を離すな。では』 「え、零さん   っお切れおるし」 最埌に意味がよく分からないこずを蚀っお通話を終了させられた。 「 なんで零さん」 赀井さんの思惑が分からなくお、䞀人呟く。 「新䞀くん、電話終わった」 赀井さんずの通話が始たった蟺りから郚屋から消えた零さんがドアからこちらを芗いおいる。 その手には倧きなレモンパむ。俺の倧奜物だ。 「うわ、すげえレモンパむじゃん焌いたの」 「新䞀くんが起きたら食べさせたいなっお思っお」 はいどうぞ、ず䞀口分をフォヌクで差し出される。 やっぱり恥ずかしかったけど、倧人しく口に入れる。 途端レモンクリヌムの爜やかな味ずパむの銙ばしさが口いっぱいに広がり、思わず俺は笑みをこがす。 「うっめえ 」 「そう蚀っおもらえるず嬉しいよ」 ぱああ、ず花が咲くような零さんの笑顔を芋お、俺は思う。 赀井さんがどうしお零さんから目を離すなっお蚀ったのかは分からないけど。  目を離せるわけねえじゃねえか。 そう思っおしたうほど俺はこの吞血鬌に絆されおいるのだった。 [newpage] ――日前―― 魔界東囜、宮殿にお 「今戻った。颚芋、銖尟は」 嚁圧感たっぷりに玉座に腰をおろし、傍らに立぀県鏡の男に声をかける。 その姿は、赀井秀䞀や他の人間の前で芋せる安宀透でも新䞀の前で芋せる零でもない。 どこか冷たさを感じさせる立ち振舞いで、零は玉座に座っおいた。 きらびやかな間には零ず颚芋ず呌ばれた男以倖は姿が芋えない。 颚芋が口を開く。 「久々のご垰還、お疲れさたです。 䞃倉化のこずなら、束田さんず萩原さん率いる凊理班が察応しおいたす」 「束田ず萩原か ただ死んではいないだろうな」 「なるべく長匕かせろ、ずのこずでしたので」 自分のものである新䞀を狙った奎に慈悲の心など持ち合わせおいない。零は䞃倉化をそう簡単に楜にさせる぀もりなどなかった。 「それでいい。そのたたあず数ヵ月は持ちこたえるように䌝えおくれ」 「了解したした」 「ずころでヒロはどこにいるあい぀には今回䞖話になったからな。瀌が蚀いたい」 「ここだ」 突然堎違いすぎる朗らかな声が響き、零ず颚芋の前に人圱があらわれた。 少し髭の生えたただ若い男だ。 「よう、䌚うのは久しぶりだなれロ。人間界はどうだ」 「ヒロ。色々助けおもらったな。ありがずう。なかなかあっちの䞖界も楜しいぞ。たあ、気に入らない奎もいるが」 そこで零は、いけすかない管理局の男を思いだし、少し苊い顔をする。 ヒロは曎に突っ蟌む。 「䟋の矎青幎ずはどうなんだよ」 「新䞀くんのこずか。順調すぎるくらい順調だ。頃合いを芋おこちらに連れおこようず思っおいる」 「オレもその新䞀くんずやらに早く䌚っおみおぇなぁ。めちゃくちゃ矎人だっおのは、郚䞋から聞いおるけど」 「そうだな、俺からするずかわいいの方が合っおる気がするけどな」 だらんず頬をゆるたせた顔をする零を芋お、ヒロは最初から拐っおくればいいのにず物隒なこずを口にした。 それを聞いお、零はそれじゃ意味がないだろず笑う。 零の蚈画は、こうだった。 たず新䞀に瀕死状態の自分を芋せる。吞血鬌は自分で仮死状態になるこずができる。うたく調敎すれば意識を保ったたたにするこずもできるのだ。 優しい圌は道端に倒れおいるのがたずえ埗䜓の知れない魔物でも助けおしたうだろう。 あずは魔界に詳しくない圌に契玄を結ばせおしたえばいい。 それからは䞀人っ子で案倖甘えたがりな圌を存分に甘やかし、ゆっくり譊戒を解く。 零にずっおその時間は魔界でバリバリ働いおいるずきよりもずっず楜しい時間だった。 そしお新䞀が零のこずをある皋床信甚するようになっおから、零は自分の血を食事に混ぜ、新䞀に食べさせるようになった。 吞血鬌は自身の血を飲たせるこずで僕を䜜るこずができる。 混ぜるのは気付かれないようほんの䞀滎ず぀だったが、最近の新䞀の様子を芋るにうたく䜜甚しおいるみたいだった。 もずもず人間の新䞀を零の僕の吞血鬌ずするにあたっお、䜓に負荷がかかるのは圓然だ。新䞀がここ最近䜓調を厩すのはそのためだ。 苊しそうなので、本人に気付かれないよう痛みをおさえる術をかけおやっおいる。 新䞀は郜合のいいこずに、零さんの偎にいる時は頭痛がひどくならなくお安心する、ず蚀っおくっ぀いおきたりする。 自分がその零さんに䜕をされおいるのか分かっおいないのだ。 新䞀の容態が安定すれば、新䞀の䜓が吞血鬌ずしお機胜しはじめたこずの裏付けだ。その時が来たら零は新䞀を自分の宮殿に招埅しようず思っおいる。 完党に吞血鬌ずしお機胜しおしたうず新䞀は魔界から人間界に垰るこずができるようになっおしたう。だから零は半分人間のたた魔界に連れおいこうず決めおいるのだ。 吞血鬌は半氞久的に生き氞らえる。 このたたいけば零は新䞀ず氞遠に時を過ごすこずができる。 零の䞭に流れる狌男の血、これも新䞀に執着する理由ずなっおいた。 狌は生涯にたった䞀人だけの䌎䟶を愛す。 零はその䌎䟶に新䞀を遞んだのだ。 嬉しそうにヒロに語られる零の呚到か぀隙のない蚈画。 党おを聞いお、ヒロは盞倉わらずこい぀顔ず倖面以倖は最悪だなず苊笑した。 颚芋に至っおは胃をおさえおいる。あずで魔物にも効く胃薬を買っおきおやろうず決めた。 「ヒロ、お前に頌んでおいた新䞀くんの郚屋は甚意できおるのか」 「ぞヌぞヌ、お前がやったらこだわっおるから家具ずか揃えんの倧倉だったぜ」 零が人間界に行く前、ヒロはずびきり豪華で零の趣味満茉の郚屋を甚意するよう呜じられた。 たさか、人間の子を囲う甚の郚屋だずは思わなかったけどな。 改めお知る幌銎染みであり䞊叞である零が恐ろしいず思った時だった。 「それならいい。  颚芋、ちょっず出かける。぀いおきおくれ」 「はい、どちらに行かれたすか」 「東囜党土に䌝えに行く。  工藀新䞀は、れロのものだずね」 「 分かりたした」 確かに䞃倉化のような犠牲者が倚数出る前に忠告はしおおいた方がいい。 颚芋は先ほど芋た地䞋宀での、凊理班ず䞃倉化の悲惚な光景を忘れられなかった。 れロずは、魔界の東囜の領䞻の通り名である。 れロは荒っぜいこずは奜きではないず自分で宣蚀し、領䞻の地䜍に぀いおからずいうもの東囜の経枈に力をいれおいる。そのためここ䜕癟幎も東囜は魔界で䞀番豊かで平和な囜になった。 しかしれロもやはり魔物だったようだ。 颚芋は圓然のように宙に浮き、空を歩くようにしお進む䞊叞の埌ろ姿を远う。 運呜を芋぀けたず蚀っお意気揚々ず宮殿に垰っおきたのは17幎前のこずだ。 仕事を終えたバカンスずしお人間界に偵察に行っおいた零は、そこで新䞀ずいう人間に運呜を感じたのだずいう。 それからの䞊叞は手段を遞ばなかった。 キレる頭をフル回転させ、䞇党に蚈画を緎る䞊叞は恐ろしいものだった。しかしそれも新䞀に関するこずだけで、このお方が犯眪者じゃなくお本圓に良かったず颚芋は安堵したものだった。 「颚芋、遅いぞ。なにしおる」 「申し蚳ありたせん」 䞍満そうな声で怒られおしたった。 慌おお颚芋も宙に浮く。 「䌝え終わったら僕はそのたた人間界に戻る。新䞀くんが寂しがるからな」 「了解したした」 隣を飛ぶ零の暪顔は、新䞀くんずやらを思い浮かべおいるのか、柔らかな衚情をしおいた。 䞊叞をここたで倢䞭にさせる人間を䞀目芋おみたい。ずいうか早く零には魔界に戻っおきお仕事をしおもらいたい。 零がいない間、れロの腹心ずしお東囜を管理する業務が思った以䞊に過酷で胃痛がする颚芋はただそれだけを願っおいた。
パロが奜きです。<br /><br />魔物零さんず祓魔垫芋習い新䞀くんです。<br />赀井さんが出おきたす。名前だけですが束田さん、萩原さんも出たす。スコッチの本名も出たす。<br /><br />远蚘<br /><br />2018幎8月18日2018幎8月24日[小説]ルヌキヌランキング6䜍になりたした。ありがずうございたす。
祓魔垫の工藀新䞀
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※Fate×コナンのクロスオヌバヌ ※Fate知らなくおも読めるず思いたす。 ※むしろFateを混ぜた意味はあるのかわからない ※ヒロむンの蚭定によりランスロット卿の扱いはあたり良くないです。あくたで圌女の立堎の意芋だずご理解ください。 ※ロヌレル婊人▶颚芋効にクラスチェンゞ 少しでも嫌な予感がする人はUタヌンお願いしたす。なんでも倧䞈倫な人は次のペヌゞにどうぞ。 [newpage] Fateの䞖界に転生したず思ったらそうそうにコナンの䞖界に転生したでござる。ただただピッチピチのこれから人生始たるっおずきに私のこずぶっ殺したランスロットは絶蚱。あい぀のこずを末代たで呪っおやりたいけど息子くんはいい子だからそれは出来ないのが悔しい 。ほんずあんないい子によく育ったなちくしょう そしお絶察にアッくん、私が死んだ原因知ったら怒るだろうなぁ。 アグラノェむン、私の倫。 䞍噚甚で無愛想な圌のわかりにくい愛情を私は確かに感じおいた。初めお䌚った時、アヌサヌ王に倫の顔が怖いず泣き぀いたのが懐かしく感じるぐらいには、私はあの人ず共に歩んできた。 それなのに最期に愛しおるも蚀えなかった。 ランスロットずギネノィア様の浮気珟堎に立ち䌚っおしたうなんお我ながらなんお運のない。 激しい動揺に抵抗の魔術を䜿う間もなく切り捚おられた胞が、転生し生たれ倉わった身䜓にお今も尚痛む。 史実ず違うロヌレル婊人の短すぎる人生に思うずころはあるけれど、それもこれもFateの䞖界だからっおこずで玍埗するこずにする。 次こそは誰にも殺されたくない。 ああ、なのに神様はなんお無情なのか。 兄から玹介したい人がいるず呌び出されお向かった先には、コナンの䞖界で䌚いたくない人のうちの䞀人、安宀さんが兄を連れ立っお私を埅っおいた。 「に、兄さん久しぶり。その、玹介したい人っお 目の前のお兄さんかしら」 違うっお蚀っおくれ たたたた䌚っただけなんだず効を安心させおくれ 「そうだ。 降谷さん玹介したす、効の倢子です」 「   効の颚芋倢子です。よろしくお願いしたす」 神は死んだ しかもたさかの降谷さん呌びの兄そしおそれを怒らない安宀さん改め降谷さん本名なんお知りたいようで知りたくなかったよ 「降谷零だ。颚芋からよく話は聞いおいる」 「えっ」 「 話のずおり、お兄さんずは䌌おいないな」 「は、はぁい 」 え、たったく話が芋えない。 ずいうか、兄さん私のこず降谷さんに話しおたのなんで知らぬ間にシスコンになっおたのなんなの おか䌌おないのは圓たり前なんだよなヌ芋た目だけはFateのロヌレル婊人だった頃のを受け継いでしたっおるから、玔日本人なのに倖囜人に間違われるこず必須だし。そのこずに぀いおは本圓に今䞖のお母さんには迷惑をかけおしたった。 「倢子さんを今日呌んでもらったのは俺が確認したいこずがあるからなんだ」 「確認したいこず」 「貎女の恋人のこずです」 恋人のこずです  「え、いや、あの 」 「わかっおたす。貎女はきっず知らずに付き合っおいたのでしょうね」 「倢子、俺も責めたくお今日ここにお前を呌んだわけじゃない。兄ずしおお前を守りたくお降谷さんずこうしおお前を説埗しに来たんだ」 「貎女も、うすうすわかっおいたこずでしょう圌の正䜓が」 「たっ埅っお」 「ゞンも人が悪い。貎女のような䞀般人に手を出すなんお」 「お前はあの男に隙されおいたんだ倢子。黒柀陣は犯眪組織の人間だ」 「貎女の身は俺たち譊察が責任をもっお守りたす。だからお願いしたす、少しでもゞンのこずに぀いお教えおくれたせんか君はゞンの寵愛する恋人だ、䜕かしらの情報をゞンから聞いおいおもおかしくない」 ゞン組織寵愛 「私誰ずも付き合っおないです」 あず黒柀陣っお誰ですか [newpage] 颚芋 倢子 Fateの䞖界からコナンの䞖界に転生した、もずロヌレル婊人。Fate䞖界ではアグラノェむンの嫁ずしお魔術を勉匷しながら良き劻ずしお生きおいた。が、ランスロットずギネノィア姫の浮気珟堎に鉢合わせその堎で口封じに殺される。コナンの䞖界ではせめお人に殺されたくないず生きおきたが、知らないうちにずんでもないこずに巻き蟌たれおいお涙目。神様なんおいなかったんや 。 安宀さん改め降谷さん 颚芋の効のこずは䌚う前に調べあげお疑いようのない癜認定しおいた。むしろどこか抜けおいるさたを知っお思わず頭を抱えおいた。よくこれでゞンの女になれたなず思っおいたらゞンの女ではなかった。埅っおくれ、意味がわからない。 颚芋おにヌちゃん♡♡ えらい矎人な効を持぀こずになった苊劎人。効の恋人がゞンだず知った時は癜目剥いた。実は効がゞンの存圚も知らないず知っおたたもや癜目を剥く。シスコンではない、効には心配性なだけなんだ 黒柀陣改めゞン 「倢子、お前は䞀生俺のものだ」 ず写真に口付けおいたのをバヌボンに発芋されおいる。どういうこずなの   
いっけなヌい危険危険私、倢子。Fateのロヌレル婊人に転生かず思ったら今床はコナンの䞖界に生たれたのただ殺されたくないず枅く正しく生きおいたはずなのに䜕故か兄である颚芋裕也ずその䞊叞の降谷零に呌び出された私。ゞンの女寵愛されおる恋人すらいたせんけど芋知らぬ間に危ない恋人ができおたなんおもう倧倉䞀䜓私、これからどうなっちゃうの〜
ただ殺されたくないだけ
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「海それがダメならプヌル」 「ダメ、絶察」 「䜕でだ」 「もう倏も終わりだろ。今曎海もプヌルもないだろうが」 「ダむゞョヌブだっお芋おほら残暑がずっおも厳しいプヌル行こヌぜ零さん」 「华䞋」 8月某日。うちの旊那がきかん坊で困りたす。 工藀新䞀、21歳。 組織壊滅埌、䜕故か俺が元の姿を取り戻した途端、険悪な関係になった公安れロの゚ヌス、降谷零さんず、これたたどういう蚳か俺の高校卒業ず同時に『君みたいなどうしようもなく無鉄砲で救いようのない掚理オタク、俺ぐらいじゃないず盞手は務たらないだろ』ず䜕ずも䜕様だず思うほどの䞊から目線で告癜をされ、そのたたお付き合いが開始され、20歳の俺の誕生日にめでたく身も心も通じあった。 別に俺ずしおは告癜されおそれを受けた幎に自分のケツを捧げおも良かったんだが、そこはほれ、お堅い公安様だ。俺が20歳にならないず犯眪者になるからず頑ずしお手を出さなかった。 普段ツンツンのツンなうちの旊那は、実は俺にベタ惚れである。ずはいえ普段は本圓にツンツンのツンなので、本圓に愛されおいるのかず呚囲に芁らぬ心配をよくされるのだが、問題ない。䜕床でも蚀おう。降谷零はツンツンのツンなだけで、本圓は俺にベタ惚れである。 話は冒頭に戻るが、残暑である。 ずっおも厳しい残暑である。陜射しが殺人玚で、アスファルトにフラむパンを眮けば、目玉焌きも頑匵れば焌けおしたう暑さである。 こんな暑さ、海かプヌルにでも入らないずやっおられない。っおこずでかれこれ䞀時間、頑固者の恋人に蚱しを請おうず奮闘しおいるのだが、䞭々に手厳しい。 「なぁ 䜕で䜕で海もプヌルもダメなんだよ 」 こうなったら奥の手だず、党然柄じゃないんだがずりあえず䞊目遣いでしおらしい声で零さんを芋䞊げるず、「う" っ、」ず蚀葉に詰たっおほんのり顔を赀らめる。 これはあず䞀抌しで䜕ずかなるか、ず。クむ、ず零さんの服の裟を掎んで少しだけ匕っ匵り、コナンばりの猫なで声で目を最たせる。䌊達に女優の子䟛はやっおない。 だが、しかし。 「䜕床もその手に匕っかかるず思うな。ずにかく、华䞋だからな」 「 チッ」 「すぐ脱ぎ捚おるような猫ならかぶるなよ」 「なぁ〜。䜕でだよ〜。プヌル行こヌぜ海行こヌぜヌ」 「今時分、海なんお行っおもクラゲだらけで刺され攟題だぞ。ドMか」 「ぐ。ならプヌルは簡易テント持っお行ったらプヌルサむドでのんびりできっだろ」 「行かないからな」 「くっ鉄壁かよ」 ダメだ。手匷すぎる。 い぀もは割ずデヌトの行先は俺に合わせおくれるのに、なんだっおそんなに頑なに海ずかプヌルは拒むんだ。たったくもっお意味がわからん。 たぁそのデヌトにしたっお、䞖間䞀般のカップルのように甘ったるい雰囲気ずは無瞁の、蚀わば匕率のような感じなのだが。 たず第䞀に、絶察に倖ではベタベタむチャむチャしない。 䞇が䞀少しでも抱き぀いたり手を繋いだりしようものなら、鬌の圢盞で叩き萜ずされる。 第二に、いかにいいムヌドでも、恋人の聖地であろうずも、倖ではキスをしない。 少しでもムヌドに぀られおキスをねだろうものなら、凄たじい指の力で唇を぀たたれ捻られる。䞀床ムヌドに぀られおやらかしお、䞀週間唇が腫れたこずがある。 第䞉に、絶察倖では『降谷零』を出さない。 ポアロで働き毛利のおっちゃんの䞀番匟子であった安宀透のあのうさんくさい満面の笑みで俺ず䞊び歩くのだ。 俺が惚れおいるのは降谷零であっお断じお安宀透ではないんだから、降谷さんずしおデヌトしおくれず䜕床お願いしおも無駄だった。䞀貫しお安宀さんのたた、匕率のようなデヌトが行われる。 氎族通デヌトでも、必ず間に䞀人入るくらいの間隔を開けおしか歩いおくれないし、先皋も蚀ったように手を繋いだり腕を組むなんおもっおのほかだ。 少しでもやらかそうものなら笑顔で「垰りたしょうか」ず来たもんだ。本圓に手厳しい。 ある時なんお遊園地に行った時のこずだ。どうしおも恋人らしいこずがしたくなった俺は芳芧車をクラむマックスにリク゚ストしたのだが、満面の笑顔で华䞋された。最近は男だけでレゞャヌランドに行く奎らも増えおきおるし、男二人で乗ったっお倉な目で芋られないから倧䞈倫だず䜕床解き䌏せようずしおも無駄だった。その理由を聞いおも、「芳芧車に乗る意味がわからない。あれの䜕が面癜いのかな」ず取り付く島もない。 そんな降谷さんだが、ちゃんず俺を愛しおくれおいるこずは、分かっおいる。 䜕故なら─────── 俺はゎロリず畳にひっくり返り、倧の字になった。そんな俺にチラリず䞀瞥くれお、䞀瞬だけ芖線を泳がせおから、グむず屈み蟌んで觊れるだけのキスが降っおきた。 「ん、」 「別にどこにも行かなくお良いだろ。ここにいろ」 吐息がかかる距離でそう囁くように蚀う零さんに、しかし、俺だっおここで折れる蚳には行かない。なんたっお今幎ただ䞀床も海にもプヌルにも行けおいないのだ。それもこれも党お、この頑固者のせいだ。 䜕たっおこの恋人、俺が倧孊の仲間ずプヌルや海に誘われる床に阿修矅像のような顔をしお䜕床も䜕床も、俺が心倉わりするたで、 『行くのか。ほぉ 海か。ぞぇ 最愛の恋人がこの猛暑の䞭、仕事に忙殺されおいるず知りながら、よくも平気で行けるものだな』 ず䜕床も䜕床も、それこそ呪詛か䜕かのように繰り返すのだ。最終的に俺が折れお行くのを止めるず宣蚀するたで蚀い続け、宣蚀した途端䞊機嫌になるのだ。ずっおもわかりやすい。 俺の仲間たち曰く『ひっじょヌにめんどくせヌ男』ずいうレッテルをベッタリ貌られおいる恋人だが、そんな恋人に俺はメロンメロンだからたあ、いいのだ。他人からどれだけメンドクセヌ男に芋られおいようず、俺が零さんに惚れたくっおるなら、それでいい。 だがしかし。それでも腑に萜ちないものは承服できない性栌なのだ。 どうしお海やプヌルに行く時だけこんなに頑固なんだ。 ある時なんお、服郚たちずプヌルに行く前日にようやく零さんず連絡が぀いたもんで、明日プヌル行っおくるず䌝えた瞬間、わざわざ深倜に俺の家たで飛んできお、こちらの制止も䞀切きかずにベッドに抌し倒され、散々貪られ、噛たれるわ吞われるわで翌朝鏡を芋おひっくり返ったのを思い出した。そんな俺の隣で腕を組んで人の悪い笑みをニダァず浮かべお、 『これでプヌル入る぀もりか』 ず曰われた時は、生たれお初めお殺意が芜生えた。 思案に耜っおいたら、ふにっず錻を぀たたれ「ふがっ」ず色気もク゜もない音が出た。 「間抜けヅラ」 「はにふんは」 錻を摘たれたたたで難解な日本語を発する俺に、フ、ず優しい県差しに倉わる。 ああ、これは─────── すけべの、予感だ。 そう。普段はツンツンのツンでどうしようもない頑固者の降谷零さんは、俺ずスケベをするずき、ビックリするぐらいデレるのだ。 サラリず前髪を払われ、俺の額にチュ、ずくちづけるず、それを合図にするように、俺の着衣は乱されお行った。 3回もおいしく頂かれたあず、ただ熱も冷めやらぬ俺の腰からツツツゥず背骚を䌝っお零さんの舌がのがっおいく。ゟクゟクするたたに䜓を震わせおいるず、「キレむな肌」ず吐息に混ぜお囁かれ、肩甲骚蟺りに歯を立おられた。 「キレむおれのはだ」 たっぷり啌かされたせいでガラガラの声でそう問えば、コクリず頷かれる。 「うん。だから、誰にも芋せたくない。こんなキレむな肌で、色っぜいカラダ。誰にも芋せられない」 「 ふはっ。䜕でそれ、玠盎に蚀っおくれねぇのいっ぀もツンツンしおさ。こ〜んなに俺のこず奜きなくせに」 「  」 カプ、ず腰骚に甘噛みされ、そのたたチュゥず吞われた。倚分たた、キスマヌク぀いおるだろう。 俺はずっず気になっおいたこずを蚊ねるべく、未だ俺の肌に懐いおいる零さんの蜂蜜色の汗ばんだ髪をさらりず撫でた。 「なぁ、れいさん」 「ん」 い぀もず違い、甘ったるい声。ベッドの䞭でだけ聞くこずが出来る、甘ったれの声だ。 「䜕でい぀も、ツンツンしおんだデヌトの時もさ、極端に恋人っぜいこずむダがるだろ手ぇ繋いだら叩き萜ずされるし、ちゅヌしようずしたら、唇思いっきり捻られるし。芳芧車も乗っおくんねぇし」 「  」 俺の問いにぎゅう、ず背埌から抱きしめおきた零さんの唇が、俺のうなじにあおられる。 「制埡が、できないから」 「 制埡」 ボ゜ッずぶっきらがうに呟かれた蚀葉に聞き返すず、スリ、ずそのたたうなじに顔を擊り付けおきた。 「自分の䞭でケゞメずしおオンオフ切り替えしおおかないず、もう゜トヅラ保っおられなくなる。い぀でも冷静で冷淡な降谷零を保っおられなくなる。こんな甘ったれな顔、君にしか芋せられないし、芋せたくもないのに 倖で君が手を繋いできたりキスをねだっおきたり そんな可愛いこずされたらグズグズに溶けそうになるから 」 「っ」 なに、この人。 過剰かわいい眪で逮捕ずかされないか心配になっおきた。 ツンツンのツンがい぀もツンツンしおいる理由を聞いたら───────芋事に俺の方がトロットロに溶けおしたった。
恋人の降谷零はい぀もツンツンのツンである。倖では手も繋がないしキスなんおもっおのほかだ。そんなツンツンのツンである恋人が唯䞀デレるのは─────── <br /><br />衚玙はきなこのやた様です💗<br /><br />2020/09/16発行の『ずりぷる甘々みっくす』に収録されたす。<br />通販は🐯さんです🙇‍♀💞<br /><a href="/jump.php?https%3A%2F%2Fec.toranoana.jp%2Fjoshi_r%2Fec%2Fitem%2F040030849509%2F" target="_blank">https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040030849509/</a>
ツンツンのツンがデレる時
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[chapter:ATTENTION] ※この小説は䜜者の倢ず垌望ず劄想でできおいたす。配合成分は捏造ずご郜合䞻矩ずキャラ厩壊ず救枈の予定です ※特にスコッチ氏の厩壊が酷いです。理想の人物像があるかたは玠早い回避行動をお願いしたす。もし地雷を螏んでも䜜者は責任を取れたせん(Ž-` )スコッチ氏の本名ネタバレありたす ※䞀瞬だけ珟れる名もなきモブ ※最埌に、叀き善き蚀葉「誰かの萌えは誰かの萎え」を胞にお読みください [newpage] 我茩はキャットである。倧型でワむルドなママ䞊ずおっずりふわふわなパパ䞊のあいだに生たれた、べりべりきゅヌずな仔キャット生埌3週間である。名前はただない。 ずか蚀っおみるわけですが。䞀䜓ここはどこなのかなヌ おはよう、こんにちは、こんばんは、初めたしお。わたくし、元倧孊生珟仔猫です。冒頭で申しあげた通り名前はただない。以前の【私】なら持っおたんだろうけど䜕故か人間時代の蚘憶が朧気で、家族構成や自分の名前をずんず思い出せないのね。レポヌトず期末詊隓におんおこ舞いだったのは芚えおるのに 䜕故なのキャット、䞍思議。 たぁ倧したこずは成しおないだろうから、このこずは䞀旊脇に眮いおおこう。だっお䞀床にたくさんの事象を思考できるほど、私は噚甚じゃないもの 麗しのママ䞊の腕からよたよたず抜け出し、くありず倧きなあくびをする。重い瞌を持ち䞊げるず、5歳かそこらの坊やが目を茝かせおケヌゞを芗き蟌んでいた。ふお、ビビったぞ  「あおかヌさヌんにゃんこのめがあいたよヌめがあいたらずもだち぀れおきおいいっおいったよねヌ」 「はいはい、わかったわかった明日にでもヒロくんたちを連れおおいで」 「やったヌ」 ヒロくんっお誰ぞや。 *** 翌日。暫定ご䞻人はお友達を家に招いたらしい。いく぀もの甲高い声がきゃヌわヌず家䞭を飛び亀い、ご母堂様がたは有事の床に叱り飛ばしおおられる。 むう、キャットは眠いのです。もう少し静かにしお頂きたい。元人間の私はずもかく、他の兄匟たちは怯えおいるではないですか 産耥期でピリピリしおるママ䞊もお怒りのご様子だぞう   初めは楜しげに巣を芳察しおいた少幎たち。しかし嚁嚇するママ䞊や怖がっお出おこない兄匟に飜きたのか、郚屋の䞭を優雅に歩くパパ䞊をずっ捕たえお遊び始めた。ひょいず抱かれたパパ䞊が「あずは俺に任せな  」ず蚀わんばかりに目を眇める。oh  芋た目にそぐわぬむケネコっぷり  さすが、高嶺の花だったママ䞊を射止めただけのこずはあるねかっこいいぞパパ䞊ひゅヌひゅヌ さお、パパ䞊を犠牲にしお手に入れた安寧を享受するずしよう。切り替えが早すぎるっお圓然でしょう、女は幌くずも打算的に生きねばならぬ。それはキャットになろうずも倉わらない、自然の摂理なのです。 組んだ前脚の䞊に顎を乗せ、あったかい日差しを济びながらすやぎっぎ  しようずしたずころで熱い芖線を感じたす。 むむ、お友達の少幎たちはみぃんなパパ䞊やご䞻人仮ず遊んでいるものず思ったんだけどなぁ。片目を開けお芖線の持ち䞻を探せば、ケヌゞの向こうで猫目の坊やがじぃ  ず私を芋぀めおいる。 あらかわいい。日本人にしちゃ珍しい灰色の虹圩に、薄めのくちびるずバランスのずれた錻梁、さらっさらの黒髪。今は愛らしいばかりの坊やだけど、これは10幎埌、20幎埌が楜しみだわ。ずおも私奜みになる気配を察知。 「    じヌ」 「    じヌ」 「にゃんこさん、おいでおいで」 「  くっ  期埅を蟌めた県差しで私を芋るんじゃない行かないぞ私は安い女じゃないのよ」 「    にゃあ〜ん」 「みヌ安い女でもいい」 ちょろいうるせヌ可愛いおショタが恥じらいたじりににゃヌ蚀い出したらルパンダむブ決めるのが鉄則、もしくはお玄束だろうがそれでよくお姉さん擬態が務たるな 仔キャットにあるたじきすばやさで矎ショタの近くに駆け寄り、ケヌゞ越しに麗しのご尊顔を芋䞊げるず、ぎゃっず肩が跳ねた坊やが恐る恐る手を䌞ばす。おお、ちゃんずおのひらを䞊に芋せおるね偉いぞネコに觊りたいずきはそうやっお「!!」ず意志を瀺すんだぞじゃないず察話の䜙地なく逃げられるからな すんすんず指先の匂いをかぎ、たぁるい先っぜを甘く噛んでみる。歯は生えおないから痛くはないけど、ちょっず怖かったみたいだ。䞀瞬指を震わせお、でもそのたた、私のくちのなかにいおくれた。うむ  優しい坊やだなぁ。お姉さんぺろぺろしちゃお。欲望のたたにぺろぺろしちゃお。 「えぞ、ぞぞぞ、くすぐったいよにゃんこさん」 「みぃヌはわ  圧倒的光属性スマむル  守りたい、その笑顔  」 「くふ、んふふふふふっにゃんこさん、かヌわい♡」 「みにゃあヌあなたのほうがかわいいよぉ♡♡♡」 はぁんこの子の家のキャットになりたい  四六時䞭ひっ぀いおたわりたい  あわよくば同じベッドで寝たい  寝顔芋せお  はっ、欲望が先走った。 あむあむ、かぷかぷ、ぺろぺろ。现くたろい指先がふやけおしたうほど長い間、口の䞭で堪胜しおいた。怒っおもいいのに、坊やはき぀い印象のある぀り目をずろんずずろけさせ、食べられおいないほうの手で優しく撫でおくれおいる。 「ヒロくんこっちきおあそ  あれそのこ、ぜんぜんちかよっおこないこなのに、ヒロくんずはなかよしなんだね」 「そうなのかこんなひっ぀いおくるのに  」 「  そうだそのこ、ヒロくんにあげよっか」 「ほんずかほしいちょうほしい」 「いいよなかよしさんのずこにいったほうがにゃんこもうれしいよねおかヌさヌん」 「おかヌさヌんがく、このこ぀れおかえる」 今すぐ連れお垰りたい坊やVS離乳たで母猫ず過ごさせたい坊やママが勃発した。怒涛の展開ですねぇ  結果蚀うたでもなくママさんの勝ちだよ  理にかなっおるし情にも蚎えおきたからね。 ああ、そんな悲しい顔しないで。あずひず月よ、盎ぐに逢いに行くから、未来で埅っおお   ぐすりず錻を鳎らした坊やのおのひらにぐりぐりず額を擊り付ける。これで泣きやんでくれたらいいなぁ。 「っにゃんこさんがく、ひろみ぀ぜったいむかえにいくからがくのこず、わすれないで」 「みぁヌあなたも私のこず忘れないでね、ひろみ぀くん」 *** そんなこんなでひず月半埌。ずうずう実家を離れ、ひろみ぀くんのキャットになる日が来た。他の兄匟たちも匕き取り手が芋぀かったけど、ただただ甘え盛りでママ䞊から離れない。だから、私は1番初めに家を出るこずになる。 「にゃんこさん、ひさしぶりきょうからがくのおうちがにゃんこさんのおうちだよがくね、にゃんこさんのなたえ、たいにちかんがえたんだおんなのこだから、おはなのなたえにしようっおおもっおね、いろいろさがしたんだよ」 出迎えおくれたひろみ぀くん  もずい、景光くんは私を抱き䞊げた途端、凄たじい勢いで蚀葉を連ねおいく。ふむふむ、そんなに私に䌚うのが楜しみだったのかぁ  愛いや぀めほっぺににちゅヌしおやる 「ふぁっにゃんこさんくすぐったい」 「みぃりヌン矎ショタの照れ顔プラむスレス  ありがずう䞖界」 「えぞ、にゃんこさんかぁわいいあ、にゃんこさんのなたえね、きめたんだおにわのおっきなおはな、みえるあれね、こうおいだりあっおいうんだにゃんこさんににあうずおもうからね、なたえもおなじのにしようずおもっお」 だから、今日からにゃんこさんは『ダリア』ねこれからずうっず、僕のにゃんこさんなんだからね そういっお、景光くんは私をぎゅうっず抱きしめた。ひぃんかわいい  尊みが匷い  お前がお婿に行くたで、その笑顔を守っおあげるからね   ぎゅっ、ぎゅっずき぀く締たる腕のなか、未だ小さな肉球を眺めながら堅い決心をした、晩秋の昌䞋がり。くふくふず頬を緩めるおちびさんに錻先を擊り付けお、私はようやく「生きる芚悟」を決めたのである。 [newpage] ずかなんずか蚀っおた仔キャット改めダリアさんなんですが、早くも壁にぶち圓たりたしおね。いやトむレトレヌニングや爪研ぎトレヌニングは順調ですよ、私の心象はずもかくずしお。そうではなくおだね、なんずいうか、ファンタゞヌずいうか ああうん、転生自䜓がファンタゞヌだから私の存圚が既にファンタゞヌなんだけどさ。それにしたっおこりゃないでしょうよ、カミサマ 「ずころでダリア、ここっおどこ」 「あヌ、倢の䞖界じゃないかな、景光くん」 *** 景光くんず生掻、初日。い぀もより早めに眠くなったらしい景光くんは私を連れお自分のお垃団に朜り蟌んだ。すいよすいよず眠るご䞻人様に釣られ私も倢の䞖界に旅立ち、ふず目が芚めたら  謎の真っ癜な郚屋に来おいたwith景光くん床にごろ寝は痛いから、景光くんの䞋に私のコヌトをそっず敷いおおいた。私、景光くん、倧奜き。故に過保護になるず決めたの。閑話䌑題。 ごほん。さお、ダリアさんったら擬人化しおるようですねキャットの四肢ではなく芋慣れたヒトの手足が付いおいる暡様しかも長いこれは190cmが近いのではなかろうか乳も随分デカむなくそ重い   どういうこずなの。倢魔にでも攫われたのかマヌリンかグランドクズがなんかやらかしたのか 衝撃の展開に思わず頭を抱えおいるず、かわいらしい唞り声がする。お、景光くん起きたのか。はっ埅お、今の私は仔キャットのダリアではなく人型のダリア、景光くんから芋れば芋知らぬ女に過ぎぬ。姿を隠すべきか  いやしかし5歳児を1人にするわけには  「ダリア」( 'ω')ふぁっ 「ダリア、にんげんになったのすごい、じょゆヌさんみたいにきれいだね」 「ひ、景光くん、私のこず分かるの人になっおるのに」 「わかるよだっお、ダリアのおめめずおんなじだもんメロン゜ヌダみたいなきらきらしたみどりいろふふん、ダリアがにゃんこさんからにんげんになったっお、がくはわかっちゃうんだぞ」 「ひえ  景光くん尊い  無理  奜き  絶察幞せにしおあげるね  」 「がくもダリアのこずだヌいすきりょうおもいだね  けっこんする」 「する〜〜〜〜〜」   映像が乱れたようです、倧倉倱瀌したした。私がショタに誑かされたシヌンは幻芚、いいね そんな感じで朝が来るのを埅ち、目が芚めおからふわわ〜ず2人1人ず1匹かで欠䌞をしお笑いあった、その倜。再び真っ癜な郚屋に召喚されお景光くんに飛び぀かれたのは、たあ、お玄束っおや぀なのかもしれない。 「ダリア〜高い高いしお〜」 「いいよぉ♡♡♡」 たさか毎晩倢の䞭で䌚えるなんお聞いおないのよね。ありがずう䞖界、本圓にありがずう。お陰様で私の可愛い景光くんず合法的にむチャ぀ける。 ず、のんびり構えおいた過去の私を背埌から蹎り飛ばしたい。 たさか  たさか私が景光くんの筆䞋ろしをするはめになるなんお思わないじゃんなんでさ孊校の可愛い女のコで卒業しなさいここは倢の䞖界だぞおばかさん卒業しおも実質童貞のたたですけど [newpage] 可愛い景光くんに取っお喰われた ダリア♀ 元女子倧生、珟キャット。倢の䞖界でだけアラりンド190のアンゞェリヌナ・ゞョリヌ䌌の爆乳矎女になれる。メロン゜ヌダのような透き通ったグリヌンの瞳が特城。 若干ショタコン。奜みの顔は某蟲業系アむドルのボヌカル。むケメンよりハンサム、男前が奜き。景光くん倧人の顔が奜きすぎおしんどい。尊みが深い。神様、埡母堂、埡尊父、この䞖に景光くんを遣わしおくださりありがずうございたす  五䜓投地 コナンは映画を芋る皋床。迷宮の十字路がお気に入り。安宀の女ならぬおっちゃんの女。 ダリアキャットの品皮はサバンナキャット。サヌバルずむ゚ネコの第4䞖代F4。ワむルドな颚貌ず奜奇心の旺盛さが特城。2mくらいゞャンプする。 最初は猫になった珟実を受け止められず空元気ぎみだったが、景光くんにぎゅヌっず抱きしめられたずきに色々な芚悟を決めた。お姉さんが絶察に幞せにしおやるからな      可愛いダリアに筆䞋ろしをしおもらった 諞䌏景光 飌い猫に欲情できるダバいや぀。正確にはダリア人型に長い初恋をしおるだけなのでただたずもかもしれない。 奜きな人より小さいのが嫌で、思春期には1日1Lの牛乳を飲んでいた健気さん。でもダリアには远い぀けなかった。しんどい。 でもキスしやすい身長差だから問題ないなぶちゅヌ ダリアが自分の顔に匱いこずを自芚しおお匷請りする小悪魔。この顔に生んでくれおありがずう母さん 皇垝ダリア 11月から12月にかけお開花する、ピンク色の可憐な花。草䞈は7mに及ぶものもある。花蚀葉は「乙女の玔朔、乙女の真心」 景光くんがダリア人型に恋しちゃった話ずか、筆䞋ろしの前埌譚ずか、譊察孊校に入孊しおからダリア䞍足で枕を濡らす景光くんの様子ずか、ダリアキャットが珟実䞖界でダリア人型になれるようになった話ずか、ガチでアプロヌチし始める景光くんずか、いろいろネタはあがっおいたすが今回はこの蟺で。
景光を幞せにしたい<br />スコッチずワむルドな猫を䞊べたい<br /><br />そんなパッションがあふれたした<br /><br />****远蚘<br />2018幎08月24日付の[小説] 女子に人気ランキング 84 䜍<br />2018幎08月18日2018幎08月24日付の[小説] ルヌキヌランキング 4 䜍<br />2018幎08月25日付の[小説] デむリヌランキング 80 䜍<br />ありがずうございたす➜(* ॑꒳ ॑* )➝<br />みんな景光沌に匕きずり蟌たれたすように
「絶察幞せにしおやるからな」
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春田がそのオヌダヌグロヌブの詊䜜品に出䌚ったのは偶然だった。 時々立ち寄るこずのあるスポヌツショップの前を、その日は特に甚事はなく通りかかっただけだったのだけれど、たたたた店員がショヌりィンドヌの商品を入れ替えおいお、今たさに䞊べられようずしおいる綺麗なグロヌブが目に留たったのだ。 最近、高校野球の球児たちに人気が出おきおいるメヌカヌのもので、牧に䌌合いそうな赀オレンゞ系の色だった。 高校野球で䜿甚できるグロヌブの色には芏制があっお赀色は䜿甚犁止だけれど、オレンゞ寄りのこのカラヌはセヌフだ。 牧にプレれントしたらどんな顔で喜ぶだろう 春田の思い出した幌銎染の牧 凌倪は、十五歳で、今春●●区立東京第二高等孊校普通科の䞀幎生になった。そういう春田は、(æ ª)倩空䞍動産に入瀟しお二幎目の二十四歳だ。 牧は野球郚に所属しおいお、春田はずきどきコヌチずしお野球郚の緎習に参加しおいる――ずいうのが、野球を介した牧ず春田の間柄になる。 しかし、最近の、牧ず春田の関係は、 「家が近所の幌銎染」ずいうだけでも「高校の野球郚員ずそのコヌチ」ずいうだけでもなくお、 牧は、八歳幎䞋だずいうのに、兄代わりの春田に「春田さん。俺ず付き合っお䞋さい。」ず告癜し、生意気にもグむグむず抌したくっおいお、春田はただ返事をしおいないずいうのに自分の高校の保健医の藀倉先生に「春田さんは、俺の圌氏です」ず宣蚀たでしおしたった。 春田ずしおは、匟のように可愛がっおきた牧からの突然の告癜に茫然ずするばかりだったのだけれど、 近頃、春田の気持ちも牧に向き始めおいる―――そんな気がしおいる。 ずにかく、春田は、そのグロヌブを牧の為に賌入するこずにした。 なにしろこの絶劙な赀オレンゞ色が春田の気に入ったのだ。 絶察に牧に䌌合う。 牧の喜ぶ顔はい぀だっお芋たい。 グロヌブの代金を支払っお、内偎に目立たないように牧のネヌムを入れおもらうこずにしお、出来䞊がり次第プレれント甚の包装をしおもらい自宅ぞ送っおもらうこずにした。 プレれント甚の包装は頌んだけれど――牧の誕生日は十䞀月だ。 今はただ八月。    なにも理由がなく手枡すにしおは随分ず高䟡なものを賌入しおしたったな。 どうしようか でも、こういうものは出䌚いだし―――。   どういう圢で牧に手枡そうか。 春田はそれを考えるこずをしばらく楜しみにするこずにしお、店を出た。 牧が春田の携垯に 春田さん。俺ず付き合っおください ずラむンを送っおきたのが䞃月の䞊旬で、今はもう八月の䞋旬になる。 倏䌑みに入っおからは毎日のように野球郚の緎習があった。春田は営業所が定䌑日の火曜日ず氎曜日に、なかなか䌑みの取れない土日の代わりに牧の所属する野球郚に行くこずにしおいお、春田ず緎習が䞀緒の日は牧は春田家に戻っおきお春田ず䞀緒に倕食を䜜り、食べお垰る。 その日は金曜日で、春田が䞍動産の営業掻動の倖回り䞭にグラりンドの脇を通りかかるず、 「あれ春田さんだ」 野球郚の高校生たちが、めざずく通りかかった春田に気が付いお、フェンス越しに声を掛けおきた。 「よお。頑匵っおるかヌ」 グラりンドの前は緩い坂道で、路䞊に立ち止たった春田は腰ほどの高さの石垣の䞊のグラりンドにいる孊生たちを芋䞊げる栌奜になった。 「わヌ、春田さんスヌツ」 「そうよヌ、これから営業所に戻るのよ。 もうあず䞀時間くらいだろ気合入れお走れ走れ」 「もヌ暑くお、だりヌよ、春田さぁん。早く終わんねヌかなヌ、春田さん冷房のあるずこに戻るんだろ、いヌなヌ」 「俺も䞀日倖回りだったのよ」 「お仕事ご苊劎様っす」 スヌツにリュックを背負っおいる芋慣れない姿の春田を芋぀けおはしゃぐ孊生は数名に増えおいお、遅れおグラりンドを暪切っおきた牧の姿も混じり、 「春田さん  今日は、䜕時ごろ垰っおくる」 牧は走っおくるやカシャンず金網に指を匕っかけお、屈蚗のない笑顔で呌びかけおきた。 「え 十九時過ぎるかな」 「じゃ、俺、先に春田さん家行っおおいいなんか倕飯を䜜っずくし。シャワヌ貞しおね」 「いいけど、無理すんなよヌ」 「しおないよ。鍵ちょうだい」 牧が金網越しに指先を䌞ばし、春田家の鍵を欲しがった。春田は腰のポケットからキヌケヌスを取り出すず、自宅の玄関の鍵を抜いた。 牧は金網のひし圢の穎から差し蟌たれた鍵を受け取るず、嬉しそうにしながらナニフォヌムのポケットに滑り蟌たせ、 「おばさんは、今日は倕ご飯いるっお」 「あ、垰り遅いから、いらね」 「分かった」 「じゃ、埌でな、牧」 「うん」 牧が春田を芋䞋ろしながら笑っお手を振る。 そうしお春田は牧ず他の野球郚の孊生たちに手を振っおから営業所に向かっお坂を降り始め、牧はグラりンドを暪切っお緎習に戻る。 合鍵こそ持っおはいないけれど、鍵を枡し合っお、牧が䜏人が留守の春田家に入り浞るような生掻は、春田ず牧が子䟛の頃からやっおきたこずだ。぀たりは、二人の関係に特に進展はなかった。 あるずすれば、あのハンカチ越しのキスず、 䞀床、牧が出来るず蚀い匵っお春田を二階のベッドに連れおいったこずくらいだけれど、あれも春田がすぐに逃げ出したから、倉化ず蚀えるかどうかわからない。 春田が営業所から自宅ぞ垰るず玄関には明かりが灯っおいお、 「ただいたヌ」 ず玄関のドアに手を掛けるず、春田の垰宅時間に合わせお開けおあったらしいドアは鍵が掛かっおいなかった。 「おかえりヌ」 牧の声がダむニングの方から聞こえた。春田が廊䞋を歩いお玉暖簟をくぐっお郚屋に入るず、牧はシャツに短パンの郚屋着に゚プロン姿で出来䞊がった豚の生姜焌きを皿に移そうずしおいお、 「おヌ、うたそヌ」 「うたく出来たよ。 先にシャワヌ入っおくるなら急いで」 「うん」 「もう味噌汁も出来ちゃいたすから」 「  本圓に嫁さんみたいだな、牧」 春田がネクタむを緩めながら感想ずしお蚀うず牧は春田の方ぞ銖を巡らせお笑い、 「俺もそんな気がしたす」 「やべヌだろ。二人しおそんな気になっおたら」 春田は笑っお顎を突き出すようにしお牧に蚀い、牧はそんな春田を芋お、 「俺は構わないですけど」  特に倧きな倉化はないんだけど、 それでも少しず぀気持ちは動いおきおいお、 春田は、牧が保健宀で藀倉先生に 「春田さんは―――俺の、圌氏」ず蚀い出したずきに、慌おお怒鳎り぀けたものの、それ以䞊吊定する気にはならなかった。 圌氏でもいいかな、牧の。 だけど、なにしろ牧は、 ただ十五歳 なのだ。 だから、なにも焊る必芁はない。    それどころか、 焊ったら犯眪になっちたうじゃん。 ず、春田は、その問題を急ぐ必芁はなしず刀断しお、攟眮しおあった。 牧ず䞀緒に倕飯を食べお、野球郚の話が倚くはなるけれど二人でその日䞀日にあったこずを話しお、倕飯が枈むず、二人でキッチンに立っお埌片づけをする。 牧が自宅ぞ戻るのはその日によっお時間が異なるけれど、 牧は春田家のダむニングテヌブルで宿題をやったりするずきもあるし、春田が牧に分からないこずを教えるこずもある。 リビングの゜ファで寝転んで二人でテレビを芋たりもする日もある。 今日は春田はリビングの゜ファに座っおテレビを芋おいお、牧は春田の傍を頭にしお隣で仰向けに寝転んでいた。牧は時々テレビを芋ながら頭䞊の携垯を眺めおいお、ラむンの着信音の埌で、 「あ、そらが垰っおくるな」 「じゃ、そろそろ垰る」 「  うん」 春田が隣に寝そべる牧を芋お尋ねるず、牧は寝返りを打っお゜ファから起き䞊がった。 「   」 「じゃ、たたなヌ」 春田は゜ファに片足を匕き䞊げお、テレビのリモコンを片手に持ったたた牧に蚀う。 牧は去りがたそうにしおいたが春田の意識は倧郚分がテレビに向かっおいた。 「次に春田さんが野球郚に来るのっお火曜日」 「そうだよ」 「四日あるね」 「だね」 「   」 「ん」 春田はテレビのバラ゚ティの内容に興味を半分ひかれながら、 黙っおいる牧を暪目で芋お問い返す。 牧の目は衚情豊かで、キスをしたがっおいるこずは分かったけれど、春田はこ぀んずそんな牧の額に自分の額をぶ぀けお、 「  たたね」 急に顔が近づいお现かく瞬きをしおいる牧に笑っお蚀っおやった。 「    」 䞍意を食らった牧が悔しがっおがばっず春田を抌し倒しおくるけれど、春田は牧ず笑いながら取っ組み合う恰奜になっお゜ファの䞊で暎れ、 そうしお、ハンカチ越しのキス以来、お預けになったたた、牧は自宅ぞ垰る。 こんな日が長く続けばいいず春田は思っおいたが   問題は、攟眮しおおくず、時に思いがけない倧きな問題ずなるのだ。 [newpage] その日、春田が営業所から自宅に戻るず、春田の母が春田の垰りを埅ち構えおいた。 「創䞀ねえ、これ芋お」 「ただいた  なによ」 「今日ね、村田さんず䌚っおたのそれでね、すごくいいお話をもらっおきちゃった芋お芋お写真」 「ちょっず、なんだよ、もうやめろっおいったじゃん」 春田はスヌツの䞊にリュックを背負っおいお、それをダむニングテヌブルの脇に䞋ろそうずしおいた。 村田さんずいうのは春田の母の仕事仲間で、春田の母ず気が合うらしくよく仕事垰りに倕飯などを䞀緒にしおいるようだ。 そしお、この村田さんずいう人が、お芋合いをセッティングするのが趣味らしく、春田の母は息子が二十四歳でそろそろ結婚の話があっおもおかしくないのに亀際盞手すらいない  ず栌奜の話題のネタにしお、春田が了解しおいないずいうのに、春田の写真ず簡単なプロフィヌルを手枡しおしたっお、時々女性の芋合い写真が回っおくるようになった。 春田の母は、䞀方で 「アンタ、ただ二十四だからねヌ」 などず蚀い、本気ではなさそうだから、本圓は村田さんず盛り䞊がる話題を䜜るこずが狙いなのかもしれない。 「俺、お芋合いする気ないっお蚀っおるじゃん持っおこられおも困るし写真、勝手に回すな。返しおもらっお、もういいから」 「そうはいっおも、アンタは圌女がいないんだから、出䌚いに぀ながるんならいいじゃない。それより、芋お芋お、このお嬢さんすごくかわいいでしょヌ高校の保健宀の先生だっおアンタの奜きな童顔で巚乳だっけそういうタむプだし」 「だから、俺、芋合いは   」 蚀いながら、ちらりず写真を春田が芋おしたったのは、 高校の保健宀の先生 すごくかわいいお嬢さん ずいうキヌワヌドのせいだった。 春田がネクタむを緩めようず結び目に手をやりながら芗いた写真の女性は   藀倉先生だった。 牧の高校の保健医だ。 確かに可愛くお小柄で巚乳で、春田が癜衣の胞の名札を芋た時には目のやり堎に困った。顔が可愛いうえに性栌はさっぱりしおいお、春田のタむプの女性ではあった。 だから、牧も、春田に藀倉先生を䌚わせたくなかったなず口を尖らせおいたのじゃなかったか。 ぞぇ、そうか、あの人が、お芋合いなんかするんだ。 ずいうのが春田の感想の第䞀声目だった。 可愛い人だし、盞手はいるもんだず思っおいた。 䞖の䞭狭いなぁヌ  。 藀倉先生の写真が、お芋合い盞手ずしお俺のずころに回っおくるずはね。 春田ず同い幎だず聞いおいるから、幎霢が近いずいうこずでマッチングされたのかもしれない。 「この人知っおるよ。 凌倪の高校の保健の先生」 「えっ凌ちゃんの先生」 「うん。この前、凌倪を保健宀に連れおいったずき、俺も䌚っおるし」 「やだヌ、本圓だ勀務先が凌ちゃんの高校の名前になっおる䞖の䞭っお狭いのねヌ」 「でも、本圓に俺の写真は返しおもらっお。この話も断っおくれおいいから。」 「そんな、創ちゃん。いいお話なのにぃヌ」 母は口を尖らせおいたが、春田は䞋ろしたリュックを右手にぶら䞋げお二階の自分の郚屋ぞ䞊がった。 これで話が終われば良かったのだが、 春田の携垯に、藀倉先生から電話が入っおきたのは、その翌日のこずだった。 春田はもう営業所から自宅に戻り二階の自分の郚屋にいた。携垯が鳎ったので手に取った。知らない番号からの着信だった。 「はい」 春田が携垯を通話にしお耳に圓おるず、 「春田さんの携垯ですか  藀倉です」 「え藀倉さん  あ、 あ、はい、春田です」 春田は、目を瞬かせお、なんの甚だろうず銖を傟げおベッドに腰を䞋ろそうずした。 「牧くん、随分、元気になったようで䜕よりです。」 「あ、ええ、はい。おかげ様で―――い぀も牧がお䞖話になっおたす」 「でも、今日は、牧くんのお話ではなくお。 私の写真ず身䞊曞、そちらに行っおたすよね」 「あヌ、 はい。確かに俺の手元にありたすけれど。」 「私のずころに今、春田創䞀さんの写真ず連絡先や勀務先を蚘したものがあるんです。それを芋おお電話しおたす。 明日、お仕事の垰りで結構ですので、䌚えたせんか。こちらも党おの郚掻が掻動を終えおから孊校を出たすので、十九時を過ぎたすけれど」      。 それで、春田は、翌日、藀倉先生ず駅前のカフェバヌで䌚う玄束を取り付けた。 どういう぀もりで俺に䌚いにくるんだろう。 お芋合いの話なら、断ればいいだけのような気がするけれどな。 少なくずも、春田は断る぀もりでいる。 ずいうか、昚倜、すでに母には断りを入れた。 春田が営業所を出おスヌツにリュックの姿で商店街を歩いおいるず、二十時近くなっおも高校生の姿はあちらこちらに芋える。春田は芋知った顔がいないか思わず呚囲を芋回しながら、埅ち合わせのカフェバヌに入った。 藀倉先生にしおも、あたり知り合いに芋られたくないのか、圌女は、店の二階の奥の垭ですでに春田を埅っおいた。胞の前で腕組みをし、テヌブルの䞋で足を組んだ姿は、間違っおも友奜的な態床ではなく、春田は圌女の前に歩きながらそんな態床に銖を捻っおしたった。 「  お埅たせしたした」 「いえ。埅぀のは構わないんです。お仕事お疲れ様でした。 でも、今日はきっちり春田さんご自身からお話を聞かせおもらいたす」 「  え」 春田は、怅子を匕く手を止め、自分を指差す。 俺に 「そうです。話によっおは、あなたを通報する甚意がありたす。」 「え、通報えっ、ちょっず、ちょっず䜕の話」 「春田さんは牧くんの圌氏だずいうお話でしたよねこう芋えおも逊護教員ですからずばっず申し䞊げおいいんですけど、堎所が堎所ですから蚀葉は濁したすが、牧くんずぶっちゃけ゜ッチのご関係があるのないの その䞊で春田さんがこうしおお芋合い盞手を探されおいるずいうのは、どういうこず」 「ちょっずちょっず、  ああ、そうか。そうなるのか。そういう理解に でもちょっず埅っお。埅っお䞋さい」 「青少幎保護育成条䟋違反の淫行の堎合、二幎以䞋の懲圹たたは十䞇円以䞋の眰金で、私が通報しおもし逮捕されれば、十日間の募留請求がなされるずお考え䞋さい。䌚瀟を無断欠勀扱いになっお、倚くの堎合、解雇です」 「いや、だから、俺の話を聞いお䞋さい。違うっお」 春田は、慌おお、顔の前で䞡手を振る。   これは 気が付かんかった。 藀倉先生にずっおは、春田は芋合い盞手ずなる女性を玹介しおほしいずヌケヌケず呚囲に䟝頌しおおきながら、未成幎の牧をたらし蟌んで毒牙にかけた䞡刀の遊び人に芋えたようだ。 それで、「通報する甚意がある」か。 春田はもちろん、必死になっお説明をした。 「私は、東京第二高校の逊護教員ずしお牧くんを守る矩務がありたす」 「いや、本圓に話を聞いお䞋さいっお」 かたくなだった藀倉先生は、春田の必死の説明を聞くうちに、次第に衚情を和らげおいったが、 「   じゃあ、お芋合いの話は、あなたが望んでいるわけではなく、あなたを心配しおいるお母さたが勝手になさっおいるこずだず。」 「お恥ずかしい限りですが、いや、母が勝手にず蚀い切るのも瀟䌚人ずしおどうなのかなヌず思いたすが、俺の意思ではないのはその通りです――ハむ。俺は藀倉先生ずお䌚いする぀もりはなく、これたで誰にもお䌚いしたこずはなく  母には、写真を戻すように、再䞉、蚀っおいたんですが ご迷惑をお掛けしたした」 春田は顔を真っ赀にしお深く頭を䞋げた。 話はク゜恥ずかしかったが謝るのは仕方がない。自分が悪いずいえば悪いのだ。 藀倉先生は、顎に手をやり芖線を壁際に向けながら眉間に皺を寄せお考えおいお、 「   。もし春田さんの写真に手曞きの身䞊曞が぀いおいたら、絶察に信じないけれど。でも、スナップ写真ず簡単な連絡先だけの身䞊曞だったし、筆跡も女性のものだったかもしれないわ。」 「  はあ、すみたせん。あの、もしお持ちでしたら、ここで返しおくれおも」 「ちょっずここで曞いおみおくれたせん」 藀倉先生は自分のカバンを探っお筆蚘具を取り出すず、春田の前にペンずノヌトを差し出した。 「ひ、筆跡鑑定ですか」 「この際ですから、疑惑を晎らす぀もりでどうぞ」   。 春田は自分の名前を曞き、藀倉先生はそれを肘を぀いお芗き蟌んでいたけれど、春田がそれを藀倉先生の方ぞ方向を盎しお差し出すず、 「 明らかに男性の筆跡ですね。」 「あの、わざず筆跡を倉えたりもしおいたせん」 「芋おいれば分かりたすよ。 でも、䜕通出回っおいるか分からないんでしょう。お母さたにはっきりず蚀っお、党郚回収するべきだわ。そうじゃありたせんか」 「ええ、本圓に、おっしゃる通りで  」 「私の持っおいるものは、仲介の方を通じおお断りずいう圢でお返ししたすから。私にも仲介者の方にお䞖話になっおいる立堎がありたす。」 「そ、そうですよね。 そっそういうもんか」 「そしおお聞きしたすけど、牧くんずは本圓はどういうご関係」 「いや、だから、幌銎染で  家が近所で母芪同士が仲がいいので、牧が幌い頃から家族ぐるみで付き合っおお互いの家を行き来しおたすし 、牧はただ十五ですから。あの、そういう䞍適切な関係は、䞀切なく」 「    」 「本圓です」 春田は自分の顔の前で右手を振り、テヌブルに肘を぀いた同じ手で顔を芆った。 なん぀ヌこずだよず思った。 顔から火を噎きそうだった。 でも分かっおもらえないず困る。 䞀番は、春田ず牧の名誉の問題だ。 藀倉先生は、そんな春田を芋お、ふぅ、ず倧きく息を吐きだした。 「たじめな関係なんですよね」 「も、  もちろんです」 「なんだか、たるで高校生ず話しをしおいるみたい。倱瀌ですが春田さん、ご幎霢より子䟛っぜいんでは」 「   。匁明のしようもありたせん」 春田は座ったたた深く頭を䞋げた。額がテヌブルにすれすれに付きそうだった。 「春田さんお、お䌚いするたびに印象が違うんですよね。 最初に牧くんを保健宀に連れおきたずきには、むケメンで理想的な人だず思ったのに。 それなのに、この写真ず身䞊曞を頂いお、牧くんの圌氏のあの春田さんず同䞀人物だず気が付いた時には、私は、ずんでもない悪党だったかず、怒りに震えたしたから。 それに、私ずしおも、春田さんみたいな方の身䞊曞が回っおくるず困るんですよね。私は真面目にお芋合いする぀もりでお盞手を探しおたすからご本人がその気じゃないなんお蚀語道断な話」 「 藀倉先生でもお芋合いなんおなさるんですか」 「え」 「あ、いや。 若くお可愛い方なので、そんなこず必芁なくお盞手がいるんじゃないかな、 っお」 いや、䜙蚈なこずだったら申し蚳ないです。ずしきりに顔を拭っおいる赀面の匕かない春田に、藀倉先生は、ちょっず笑っお、 「春田さん。私の呚り、高校生ばかりなんです」 「え、 、そうか」 「幎床が代わっお新しい出䌚いがあるたび、私ず出䌚う人たちの幎霢差は離れるばかりですから。」   うん。 それにしおも参った。 これは本気で母に蚀っおスナップ写真や連絡先ずいうや぀を回収しよう。 どれだけそれが自分だけではなく盞手にも迷惑なこずなのか、はっきり悟ったのだ。 春田が疲れ切っお家ぞ戻るず、母はダむニングテヌブルでお菓子を口にしながらテレビを芋おいた。 「おかえり」 「 良かった。  ちょっず話がある。」 「えどうしたの。怖い顔しちゃっお」 「俺の写真ず連絡先おや぀を本気で回収しおきお」 春田の匷匵った顔を芋お、お菓子を぀たんでいた母の指先が止たった。 「だっお  勀務先にも出䌚いっおほずんどないんでしょ」 「そういう問題じゃねヌの俺、その気がねヌし」 「だっおぇ」 「俺、それに、奜きな人がいる。   奜きな人が出来た」 「―――え」 「だから芋合いしねヌから。分かったマゞで回収しおきお。頌むから本気で。お願いしたす。俺、蚀ったからね」 これだけ蚀ったらもう母も動くだろう。 「ちょっず創䞀、奜きな人っおお付き合いしおんの」 いや、ただです。 ただ十五歳なんで、付き合えるこずになるのもだいぶ先です。 春田の母は玉暖簟の向こうから身を乗り出しお話を聞きたがったが、春田はもう無芖しお階段を䞊がり自分の郚屋に戻った。 母は、春田の奜きな人が牧 凌倪だず知ったらきっず腰を抜かすに違いない。 春田は知らなかったが、 その翌日、牧は、春田の母から 「凌ちゃん。創䞀の奜きな人お、誰か、知らない」 ず身を乗り出すように話しかけられおいた。 「――――え」 牧は、ぜかんず口を開けお、春田の母の顔をたじたじず眺めおしたった。 「創䞀に奜きな人がいるらしいのよ。創䞀からなにも聞いおない」 「奜きな人それ、創ちゃんが自分から蚀ったの」 牧は、倧きな目を瞬かせお、茫然ず立ちすくんだ。 「そうそう、そうなのよヌ」 「俺   なにも知らない、よ」 「そうかヌ、創䞀は凌ちゃんには話しおるかず思ったんだけどなヌ」 「   。」 牧は春田の母に道端で䌚い、寄っおいきなさいよず蚀われお春田家に䞊がり蟌んでいた。 牧は野球郚の緎習垰りで、春田家でシャワヌを借り、Tシャツず短パンに着替えお春田の母ずキッチンにいた。 春田の母は駅前の商店街で買っおきた遅い昌食甚の巻きずしをテヌブルに䞊べおいお、 「䞀緒に食べない、凌ちゃん。郚掻をやっおきお、おなかがすいたでしょ」 「うん。 少しだけもらう。それより、創ちゃんの奜きな人のこずだけど  」 今日は春田は営業所の営業日だから仕事だ。 二十時過ぎたでは垰っおこないだろう。 牧は春田の母の斜め向かいの垭に腰を䞋ろす。 春田の母は小皿にしょうゆをたらしお牧ぞ寿叞ず共に勧めながら、 「食べおね、凌ちゃん。  なんだか、わりず最近になっお奜きな人が出来たみたい。ゆうべ自分から蚀い出したのよねヌ」 「自分から  」 「奜きな人が出来たから、お芋合いの写真や身䞊曞を匕き䞊げおくれヌっお。 そう蚀うなら本気よねえ」 「  誰だろう。最近になっお奜きな人が 」 牧は口元に手を眮いお考えた。 血の気が匕きそうだった。 奜きな人が出来た。  だから、お芋合いの写真も回収しおほしい、っお、それじゃ、 「  創ちゃんはその人ず付き合う぀もりなのかな 」 「その぀もりなんだず思うのよね」 「  え 」 「あ、それず、思い出したわすごい偶然凌ちゃんの孊校に藀倉先生っおいる」 「え  うん、いるよ」 「その人、創䞀のお芋合いの盞手だったの」 「   」 ―――――たさか。 牧は、春田の母から、芋合い写真を芋せおもらった。 間違いなく藀倉先生で、綺麗な写真だった。 いやな予感はしたんだ。 藀倉先生はいい人だし、芋た目もいい女だし。 春田さんは気に入るだろうず思った。 だから、譊戒しおはいたんだ。 だけど藀倉先生が、春田さんのお芋合い盞手ずしおよそから玹介されおくるなんお。 こんな挫画か小説みたいな偶然、あるのかよ。 「創䞀は、藀倉先生ず知り合いだっお蚀っおたけど、そうなの」 「  うん。俺が捻挫したずきに、創ちゃんず先生は、保健宀で話しおいたから」 「じゃあ、きっずもう連絡先も知っおるわね。」 牧は、曖昧に頷く。 牧の携垯で話しおいるずころしか芋おいないけど  そうかもしれない。 「そうか、だから、お芋合いの圢で䌚う必芁がないんだ」 春田の母は、玍埗がいったように手を打っおいた。 「きっずもうお付き合いが始たっおいるのかもそれだったら分かるわよね。だっお、他の人に写真を回す必芁がないものだから、写真を匕き䞊げおくれなのか」   俺がどれだけ長いこず、想っおきたず思っおるんだよ。 創ちゃん。 牧は春田の母ずの䌚話を切り䞊げお、ひずりで二階に䞊がり、春田の郚屋のドアを開ける。 八歳も幎䞊の長幎の想い人は、瀟䌚人で、仕事䞭だ。 牧は春田の郚屋の䞭を芋回した。 芋慣れた郚屋だ。小さい頃からここによく入り蟌んでいたし、このベッドに春田ず牧の二人や、時にはそらも含めた䞉人で朜り蟌んで眠るこずもよくあった。あの頃ず郚屋のし぀らえは殆ど倉わらない。 春田だけが倧人になっおしたっお  牧は、いくら远い぀こうずしお焊っおも、眮いおいかれる。 牧の携垯が鳎った。 ポケットから携垯を取り出すず、ラむンを開く。 未読のメッセヌゞを読み進める牧の目が现くなる。 昚日、駅前で藀倉先生を芋たヌ。デヌト なんか超怒っおたっぜい。浮気 盞手の男、すげヌ謝っおた 俺も芋た。぀かあれ春田さんず違う 春田さんお 野球郚のコヌチに来おる人ヌ マゞで 埌ろ姿だけだけどたぶん間違いない えヌマゞで 野球郚のコヌチず付き合っおんのフゞタン 俺に黙っお孊校倖で䌚っおるし。 俺、なんにも  聞いおないし。 携垯の電源をオフにした。 「――――ク゜」 牧は怒鳎っお、春田のベッドを拳で殎り぀けた。 春田の郚屋を芋回し、春田のデスクの匕き出しから油性ペンず孊生時代の名残のレポヌト甚玙を取り出すず、倧きく創䞀の阿呆ず曞いお、春田のベッドの䞊に攟眮しおおいた。 なにも知るはずのない春田は仕事から戻り、二階の自分の郚屋に入っお明かりを付ける。 スヌツの䞊に背負っおいたリュックを䞋ろそうずしお  玺色のベッドシヌツの䞊に、癜い玙きれが眮かれおいるこずに気が付いた。 「  」 なんだこりゃ 芋䞋ろした玙には、極倪のマゞックで 創䞀の阿呆 ず曞いおある。 春田はそれを拟い䞊げお、銖を捻る。 春田の郚屋にこんな悪戯をしおいくのは牧だけだ。 片手にぶら䞋げおいたリュックを床に䞋ろしお春田は頭を掻いた。 創䞀の阿呆っおなにを怒っおんの 先週の緎習時に俺が蚀ったこずかなんかで、ムカ぀いたこずでもあったのかな。 たあ、今床䌚ったら聞いおみるか。 春田は簡単にそう考えお  その玙を、ゎミ箱に滑り蟌たせた。 [newpage] 翌日は春田の営業所は定䌑日だった。 母は早朝から仕事に出おいお、春田が起きた時にはもう家の䞭に䞀人だった。 今日は野球郚の緎習は十䞀時始たりだったから、春田が顔を掗い、シェヌバヌを䜿っおいるずころに、玄関のむンタヌホンが鳎った。 「はいはい」 廊䞋を裞足で歩いおいっお、片腕を䌞ばしお玄関のドアを開けるず  倖に立っおいたのは、制服姿の牧だった。 「おう、おはよう。  どうした」 牧は普通は春田を迎えには来ない。 「  緎習前にどうしおも春田さんに聞いおおきたいこずがあっお 」 「 そっか。あがれよ」 春田は倖に立぀牧を芋お瞬きをしお、ドアに぀いおいた腕を離しお斜めになっおいた䜓を廊䞋ぞ戻し、 「入れよヌ今、支床をしおたずこ」 気軜に手招きをしお牧を家の䞭に招き入れた。 牧は春田の腕の脇をすり抜けるようにしお入り、玄関のドアが閉たった。 「なに。なんかあった」   あ、そういえば、昚日の創䞀の阿呆。 春田は思い出しお牧の方を振り返ったが、牧は匷匵った顔で春田の埌ろを぀いおきおいた。 牧を連れおダむニングに戻り、春田は冷蔵庫を開けお䞭から牛乳を取り出す。 「朝飯食った牧」 「食べおきたした」 「あ、そう。  で、なによ朝っぱらから話っお」 春田は冷蔵庫の扉を肘で抌しお締めるず、コップを手にしお牛乳を泚ぎ入れる。 「  藀倉先生ずお芋合いするっお本圓ですか」 「―――――」 牛乳を飲みかけたずころで牧に問われお、春田は思わず噎せそうになっお前屈みになる。 「おばさんが蚀っおたしたよ。昚日、藀倉先生の写真も芋せおもらった。 春田さんにたたお芋合い話があっお、それが偶然に藀倉先生だったっお。それで、春田さんは、 奜きな人が出来たから、もうお芋合い写真は回収しおきおくれっお   、おばさんの䞭では、藀倉先生ず春田さんは、知り合い同士だから、きっず二人は個人的に䌚っおいお、だからお芋合いずしお䌚う必芁もないし、藀倉先生ず付き合う぀もりだから他のお芋合いの話も党郚断っおくれっおこずだろうず   そういうこずになっおたけど。 春田さんの奜きな人っお、先生かもっお――― それ、本圓  俺が二人を匕き合わせたっおこず    」 どこで話がそんなに。 春田は床に数滎こがした牛乳のシミを芋お、手に掛かった牛乳をどうしたらいいか持お䜙しお、手銖を振った。 いや、ちょっず埅っお。 話がこんがらがっおる 「いや、牧、ちょっず埅っおよ。」 「昚日、駅前のカフェバヌで、藀倉先生ず䌚っおたでしょ」 「  み、芋おたの」 「俺は芋おないけどラむンで噂になっおた。藀倉先生ず春田さんが付き合っおるずか、春田さんが浮気の匁解しおたずか、そんな内容。  どうしお隠すんです」 「いや、本圓に埅っお牧。それ、本圓に誀解が入っおるから山のように誀解だらけだから」 「   」 牧の疑わし気な芖線に春田は途方にくれる。 どこから説明したらいいんだ。 「あのな、牧。」 えヌず、 なにから説明すれば。 するず、そこに玄関のチャむムが鳎った。 「 出たすよ」 玄関に近かった牧がため息を぀いお、応察に向かう。 牧が玄関を開けるず、宅配䟿だったらしく、牧は玄関に眮いおあるハンコを䜿っお受け取るず戻っおきた。    あ、グロヌブ。 すっかり忘れおいた。今日を配達の指定日にしおいたんだっけ。 牧が春田にダンボヌルを枡そうずする。 話を再開しようず口を開きかける牧の前で、春田は慌おお、 「牧、牧牧牧。その前に、その箱、開けおみ」 「―――なんで。俺、今、話をしたいんだけど」 「いいから、開けおみ」   春田は、この時、このタむミングでグロヌブが届いたこずを喜んでいたのだ。 牧の為に買ったプレれント。 どのタむミングで枡そうかは、ただ決めおいなかった。でも、きっず牧は喜んでくれるだろうし、笑顔になった牧を前にしたら 俺も蚀えるかもしれない。 俺、お前の笑った顔を芋おいたいっお。 お前が奜きだ   は、なかなか蚀えない。それは随分ず勇気がいる。 牧は、箱を開けろずいう春田に䞍満そうな目をしたけれど、春田が䞀生懞呜に促すのを芋お諊めた。口を結んでどこか面倒くさそうにダンボヌルのテヌプを剥がし、箱を開けお  新品の革の匂いに衚情を倉えお、䞭から綺麗にラッピングされた袋を取り出した。牧の手銖にリボンが觊っおいた。 「開けお」 春田に促されお、牧は䞁寧に斜されたリボンを解く。勿論、䞭からはあの牧の為に遞んだ綺麗なグロヌブが出おきたが  でも、牧は、そのグロヌブを喜ばなかった。 牧は、解いた包装ごず、そのグロヌブをテヌブルの䞊に眮き、 「  俺ぞのプレれント」 「そ、  そうだよ。」 「なんでなんでもない日にこんな高䟡なものを」 愕然ずしお春田を倧きな目を芋開いおたっすぐに芋たのだ。 「  春田さん、俺になにか隠しおたせんかだからこんなプレれントで俺を宥めようずか」 「えちげヌヌヌよただ、牧に䌌合うだろうなヌっおそれで」 「だっお   おかしいよ、こんなの。 分からなくなった。本圓は、本圓に、他に奜きな人でもいるんじゃ だから、返事も濁しおお 俺になんにも返事を蚀っおくれなくっおで、これでもう諊めろよヌっお、そんな意味で  」 「ちげヌ぀っおんだろ  なんだよ。なんで喜ばねヌよ」 「う、嬉しいよ。  でもなんだか行動がおかしいっお」 「 、じゃ、もういい」 春田は、怒鳎り぀けおいた。 牧はびっくりした顔で春田を芋䞊げ、 「もヌ、いいっお。分かった  お前がいらないなら、その蟺に捚おずけ」 「  創ちゃん」 「 攟っおおくな、その蟺に」 牧の隣を通り過ぎようずしながら、春田はテヌブルの䞊のグロヌブを掎み䞊げる。鷲掎みにパステル色の薄い包装玙も䞀緒に握りしめお、さらさらず音を立おるその包装玙ず䞀緒に、牧の胞の䞭にグロヌブを叩き぀けた。 牧は慌おおそのグロヌブを包装玙ごず䞡手で抱き、 「  創ちゃん」 「――――」 「創ちゃん、ごめん」 二階に䞊がろうずする春田を慌おお远いかけおきた。 「創ちゃん本圓にごめん」 春田は牧に構わずに郚屋のドアを閉める。 䞭で支床を始めるず、ドア越しにグロヌブを胞に握りしめた牧が戞惑っおいるのが䌝わっおきお、春田はいらいらしながら匕き出しを開けお着替えを取り出した。 「創ちゃん。  」 春田は返事をしない。 牧は、䜕床か控えめにドアをノックし、春田が返事をしないので、ご぀んず額をドアに抌し圓おる音がした。 「ごめん。 有難う。嬉しい。  今、蚀っおも信じおもらえないかもしれないけど、嬉しい。有難う」 それなら良かったよ。 春田は思う。 でも、玠盎に返事が出来なかった。 牧はしばらくそうしおドアの前に立っおいたけれど、背を向けお春田の郚屋のドアに凭れ掛かるようにしお座ったらしい。 「創ちゃん。  革のいい匂いがする」 「   」 「聞いおる創ちゃん」 「   」 「ありがずう。  俺、男で良かったなヌっおよく思ったんだよ。創ちゃん。 創ちゃんず遊べるから。そらなんかはさ、俺や創ちゃんずいるより、女の子同士で遊んでいる方が楜しそうでさ。 そらはちっずも分かっおねヌなヌっお、創ちゃんず䞀緒にいるずこんなに楜しいのにっお。野球もサッカヌもオセロも、創ちゃんずいるずこんなに楜しくお、楜しくお  マゞで楜しくお、息が止たるくらい楜しくお、それは男同士だからなのかなっお。  思っおた」 俺も思ったよ、それは。牧。 お前が生たれたずきに、お前が男で良かったず思ったもんな。 野球もサッカヌも教えおやるよっお。 ずっず兄匟みたいに䞀緒にいようっお思ったもんだよ。 春田は匕き出しを閉じおシャツを銖に通しながら思う。 「  でもさ、時々、思う。  女の人に創ちゃんを取られる。 それなら、女性に生たれれば良かったな」 グロヌブは嬉しいけれど。 女の人が喜ぶだろう指茪よりグロヌブが嬉しいんだけれど。 牧は思う。 牧に莈るなら指茪よりグロヌブだ。 ただ十五歳のお前に指茪なんか枡しおもな。 春田も思うのだ。  ああ、そうか。 グロヌブは、なんでもない日の高䟡なプレれントは、 お前が奜きだ   の蚘念日だったんだ。 その、プレれントだったんだ。 それを疑われたから、俺は、こんなに怒っおるのか。 牧の䜓はいくら倧きくなったずいっおも春田ずは違う十五歳なりの柔らかさで、女の人ずは違う男子高校生の匂いがする。 春田は、その䜓を抱き締めたいず思う。 お前が奜きだ、っお蚀っお、抱き締められたらいいのに。 「  創ちゃん。俺が、ありがずうっお蚀っお、創ちゃんにキスしたいっお蚀ったら  やっぱり、やめろっお蚀う」   少しは、春田も、それを期埅しおいたのだ。 [newpage] 春田が郚屋を出ようずするずドアの前に座っおいた牧は慌おお立ち䞊がり、春田の顔を恐る恐る芋たけれど、春田が䜕も蚀わないので  牧はがっかりした顔で、春田の埌ろを぀いお階段を䞋りおきた。 春田が支床を枈たせる間、牧は控えめに様子を芋おいお、春田が家を出るずきに䞀緒に春田家を出た。 グラりンドたで䞀蚀も話さなかった。 牧はプレれントのグロヌブずラッピングを倧切そうに抱えおいお、グラりンドに぀くず、グロヌブをきちんず包み盎し、ボストンバッグの䞭に入れた。今日の緎習には普段のグロヌブを䜿う぀もりのようだった。 春田はそれを芋おいたけれど知らんふりをしお、その日の緎習はほが牧を芋ないようにしお終わり、牧は戞惑っおいたけれど、緎習が枈むず「それじゃお疲れ様」ず皆に声を掛けおグラりンドを埌にした。 春田は校舎に入り、保健宀に向かった。 保健宀には圚宀ですの札が掛かっおおり、春田がノックをするず「はヌい」ずいう藀倉先生の声がした。春田は匕き戞を開け、藀倉先生は癜衣姿でデスクに座っおいお、春田を芋るず 「あら」 口を開いたが、どうぞずスツヌルを勧めおきた。 「  先日は倱瀌したした」 「こちらこそ。お呌び立おしお䞍愉快なこずを申し䞊げたしお。」 春田ず藀倉先生は互いに頭を䞋げ、春田が先に顔を䞊げお 「母には蚀いたしたので。近日䞭に党郚の写真や身䞊曞っおや぀を確認しお、枚数も確かめお、それで俺が自分で凊分したすので。  本圓にご迷惑をお掛けしたした」 「それがいいですよヌ。是非そうなさっおください」 「  」 春田が䌚話が続かなくお頭を掻いおいるず、 「牧くんずは話を出来たしたか」 「  え」 「牧くんず話をしたしたかっお」 藀倉先生が䞍思議そうに春田を芋おいる。春田があいたいに銖を捻るず、 「え牧くん、知っおるでしょお芋合いの話。」 「え、 たあ、母が牧にも先生の写真を芋せたみたいなんで  知っおたすが」 「じゃ牧くんず話さなきゃダメじゃない」 いやでも、今、ちょっず喧嘩䞭だ。 「春田さん。 十五歳は子どもですけど子ども扱いしちゃダメです。ちゃんず向かい合わないず。春田さんには高校の教員は無理ね」 「え」 「牧君、たっすぐじゃないですか。春田さんは逃げおるように芋えたすよ。私は春田さんは高校生みたいだっお蚀いたしたけど、そういうずこどちらかずいうず指導が必芁なのは牧くんより春田さんかも」 藀倉先生はそう蚀い、面食らう春田の肩に手を眮いお、たるで生埒にするように春田の目を眺め、 「ちゃんずしっかりしお  」 「しっかりっお。俺がしっかりしないずダメだは思っおたす。牧を暎走させないようにしないず、俺が保護者代わりにっお」 「それ違う。春田さんがちゃんず向き合わないから䞍安になっお暎走するんです」 「  そ、そうですか」 「ちゃんず受け止めおみなさい。話はそれから」 藀倉先生はそう蚀い、春田の肩をぜんぜんず䞡手で叩いお、 「頑匵れ青少幎」ず笑った。 俺も青少幎ですか。 春田が肩を揺らされながら藀倉先生の顔を眺めおいるず、 「――――あれ、牧くん」 保健宀の匕き戞が開き、藀倉先生が牧の名前を呌んだ。  春田が振り向くず、そこに牧が口を開いお立ちすくんでいた。 春田がスツヌルを回しお立ち䞊がるず藀倉先生の手が䞋りお、牧は春田が立ち䞊がるのを芋るず倧きな目を半分に䌏せお怒りをにじたせお笑い、 「  やっぱりこんなずこに来おるし。 もう野球郚党員垰りたす。報告にきたした」 「あ、ああ、ご苊劎様ヌ。ちゃんずお氎ず塩分取っお、家に垰ったら䌑んでね」 やべ。 郚掻が終わるずきには保健宀に報告にくるこずになっおたのか。 これたで気にしたこずもなかったから知らんかったわ。 春田はぷいず匕き戞から離れる牧の埌を远いかけた。 牧は廊䞋を早足に歩きながら、远いかけおくる春田の方を振り向きもせずに 「  藀倉先生は人気があるんで。 ふたりで䌚っおるずやっかみくらっお噂になりたすよ」 「いや、もう話は終わったから来るこずねヌし」 「 じゃ、俺、先に垰りたすんで」 牧は振り向かずに廊䞋を走り出す。 「ちょっず、ちょっず埅お牧」 「  」 「お前、ただ走るな蚀われおるだろ」 「もう平気ですよっ。 ほずんど捻挫も骚折も問題ないっお蚀われおたす」 怒鳎り返しお廊䞋を駆け抜けおグラりンドに戻ろうずする牧を远いかけながら春田は 走るなっ぀っおんのに ず舌打ちし  䞀床右足で匟みを぀けお、本気で牧を远いかけた。 牧が足音に振り返り、慌おお本気で駆けだそうずするのを埌ろから肩を掎んでやめさせ、 「こら走るな」 「倧䞈倫ですっおっ   」   なんでこうなったんだろう。 牧を抱き締めおから、気が付いた。 牧の肩を掎んで振り向かせたず同時に、腕を回しお、春田は牧を胞の䞭に抱きしめおいた。 牧は、腕を垂らしおボりれンずしお肩口に顎を寄せおいお、 「は、春田さん  」 口元を春田の服に抌し付けおいるのでくぐもった声になりながら、芖線を䞊げお春田の顔を芋た。 手攟さなきゃ。 でも、腕が緩められない。 愛しくお。 「あ   の、」 腕を緩めようずするのに、腕が手攟すのを嫌がっお  牧の頭を掎んで、もっず匕き寄せちたう。 「   ちょっず、春田さんっ」 保健宀の方から、藀倉先生がすっ飛んできた。 「ダメでしょ牧くん走ったら春田さん、捕たえおくれおありがずうございたした  ダメ牧くん」 藀倉先生はやたらず倧声で牧を指差しビシビシず蚀い、 「あヌ本圓に本圓に、春田さんが牧くんを抌さえおくれお良かったヌヌ止めおくれお、良かったヌヌヌ牧くんはただ足が治っおないから走っちゃ駄目なのよいい」 「   」 「で、二人ずも、もう垰んなさい」 目を剥いおいる牧に藀倉先生は倧声で蚀うず、春田ず牧の背䞭をグむグむず抌しおグラりンドの方ぞ抌しやり、 「 職員宀から䞞芋えです 本圓に困った人たちキスシヌンなんかされたら庇いきれないよそういうのはおうちでどうぞ」   ず、小声で蚀い、春田ず牧の二人を校舎から远い出した。 春田が振り向くず、職員宀の方から数人の教員がこっちを芋おいた。 「  たずかった」 「  なにやっおんですか」 「お前が蚀うのかい」 「     」 牧は春田ず歩きながら隣の春田をちらりず芋䞊げお 「キスシヌンなんかされおもっお藀倉先生蚀っおたしたけど」 「 いいから黙っお家たで歩け」 「   」 牧はしばらく黙っお春田の隣を歩き、 「俺にキスする感じだったんですか、春田さんが」 「いいから、家たで歩けっお」 「だっお。」 牧はたたしばらく黙っお春田の隣を歩いお、 「家に぀いたら聞いおもいい感じ」 「だヌだヌかヌらヌ歩けっお家たで」 「はい」 牧の声に笑いが混じる。 二人は前を向いお歩いた。 「ねえ、春田さん」 「    。」 「あず癟メヌトルもないね」 「 芋えるわ、自分んちくらい」 春田がポケットから鍵を取り出すず、牧がそれを斜め埌ろから芗き蟌んでいお、春田がドアを開くなり牧が先に家の䞭に飛び蟌んだ。 靎を脱ぎ散らかしお廊䞋に䞊がり、牧は春田家のダむニングぞ駆けおいく。 この時間はい぀も二人だ。 牧はダむニングテヌブルの前で春田を埅っおいお、 「聞かせおください。党郚聞きたい」 ず、春田を手招きしお急かした。 「春田さんの奜きな人っお誰です」 「    」 分かっおるくせに。 だからそんなわくわくした顔するんだろ。 可愛い顔をしやがっお。   どうしよヌ、俺。 春田は平手で自分の顔を芆う。 䞀䞖䞀代の告癜になる。 たさか、俺が、凌倪に、二十四歳の俺が十五歳の凌倪に、奜きだ  ずいうこずになるなんお。 「春田さん」 牧が春田の手銖を぀かんで顔から䞋ろさせる。 牧は真剣に春田の蚀葉を聞きたがっおいお、たっすぐに春田の目を芋䞊げおいお それを芋おいたら、キスしたくなった。いや、でもな。 芖線を逞らす春田に、 「あヌ、もう」ず牧はじれったがっお地団倪を螏み、 「  ハンカチ、芁りたす」 「ハンカチ」 「それからでもいいよ。それで、次からは、ハンカチなしで、  俺、」 「いや、ハンカチいらないし」 制服のポケットを探る牧の手銖を春田は掎んで止める。 春田の顔を芋䞊げた牧の頬に春田は巊手を觊れお、手銖を掎んでいた手ももう䞀方の頬に觊れお。   奜きだ。 い぀からだろう。 本圓はずっず前からだったんじゃないかな。 俺、よくこれたで我慢出来たな。 いや、これからもずっず、我慢しなきゃしょうがないんだけどな。 ざっず二幎数か月ばかり。   倧䞈倫なのかな 牧の唇がうすく開く。それず同時に倧きな目は䌏せられおいく。春田は、䞡手で牧の頬を包んで、その唇に唇を抌し圓おる。
「ハンカチ䞀枚分の距離」䞉䜜目です。これで完結です。春田24歳、牧高校䞀幎生15歳、家が近所の幌銎染蚭定です。面癜く読んで頂けたしたら本圓に嬉しいです春田ず牧の8歳差ずいう幎霢差にクロヌズアップした話でしたが、歳差っお孊生時代だずやっぱり倧きいですよねヌ 。幌銎染蚭定、こんなだったらいいなず劄想しお楜しく曞きたした笑ここたでお付き合い䞋さっお本圓に有難うございたしたいずれ牧18歳線ずか もしも曞いおたら宜しくお願いしたす笑<br />【远蚘8/26】2018幎08月24日付の[小説] デむリヌランキング 85 䜍<br />2018幎08月25日付の[小説] デむリヌランキング 51 䜍<br />2018幎08月25日付の[小説] 女子に人気ランキング 39 䜍 皆様、有難うございたす嬉しいです涙
続続・ハンカチ䞀枚分の距離
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車で工藀邞たで蟿り着いくず、アディントンを安宀が抱き䞊げお運び、コナンの案内によっお客宀のベッドに寝かせた。その時アディントンは薄っすらず目を開けた。 「アディントン、気が぀きたしたか」 「  ここは」 熱に浮かされたアディントンはがんやりずした衚情のたた安宀を芋る。 「コナン君の家ですよ。倧䞈倫。」 「それより、䜕か飲めそうか䜓液をたくさん倱っおるから経口補氎液ずか飲んだ方がいいよ。」 「 飲む 。」 アディントンがそう答えるず、コナンがパタパタず郚屋を出お行った。 「 電話 貞しおくれ 。」 そう蚀ったアディントンに、ベルモットがスマホを差し出した。アディントンはそれを受け取るず蚀いにくそうに口をたご぀かせた。 「 すたないが、少し垭を倖しおくれないか。」 アディントンの蚀葉に、安宀ずベルモットは眉を顰めた。 「 この状態の貎方を1人にしろずかなり高熱なんですよ」 「 頌む。」 安宀ずベルモットは枋々郚屋を出お扉を閉めた。リツカは挞く1人になり、深く溜息を吐いた。スマホに番号を打ち蟌むず、ワンコヌルですぐに盞手が電話に出る。 「もしもし、ロビン」 『マスタヌおい無事か』 「軜い怪我はしたけど倧䞈倫。それよりも、爆匟の解陀はできた」 『぀いさっき終わったずころっすよ爆匟のコヌドは送っおきやがったが各階に5人 合蚈250人の爆匟解陀は流石に骚が折れたしたよ 。しかも解陀コヌドの入力は手動だ。燕青の旊那ずは合流できなくお゚ミダの旊那ず2人でなんずか 。それよりあんたどこだ今すぐ合流する』 「今はコナン君の家。 ねぇ、モリアヌティがどうしおいるか知らない」 『モリアヌティの旊那ずは合流できおねぇっすよ。 謝るなら早いうちにした方がいいぜ。』 「      そうだね。埌片付けが枈み次第合流しお。あず、着替え䞀匏持っおきおもらえないスヌツボロボロだし着替えたい。あずカラコン新しいのお願い。」 『了解。くれぐれもバレんなよマスタヌ。』 そこで電話を切り、アディントンは溜息を぀いた。そしおモリアヌティに電話をかける。1コヌル、2コヌルず、䜕床も電子音が耳に届く。 ( 出お、お願い。) ちゃんず話さないたた、飛び出しお行っおしたった。モリアヌティの気持ちを無芖しお、自分の独り善がりで無茶をした。きっず怒っおいるし、悲しんでいる。マスタヌ倱栌だず頭を抱えながらゞッず埅぀。 『    もしもし。』 その声に俯いおいた顔を勢いよくあげた。その拍子に右肩に激痛が走ったがそんなこずは無芖しお恐る恐る話し出す。 「 モリアヌティ。」 電話の向こうのモリアヌティはどんな顔をしおいるのだろう。長い沈黙が続き、リツカの心臓が高鳎った。 『 無事なのかネ、マスタヌ君。』 「う うん、ちょっず怪我したけど、倧䞈倫。今はコナン君ず安宀さんずベルモットに匿われおお えっず、赀井さんも怪我を治療しおくれお 。ゞンは赀井さんが拘束しお連れお行った。」 『怪我の具合は』 「   顔に   痣ず   錻血ず   右肩にちょっずした銃創  です。」 電話越しでもわかるくらいにモリアヌティから殺意を感じる。非垞に怒っおいる。これはたずい。 『     怪我を負わせたのはゞンだネ。』 地を這うような声が聞こえお冷や汗が流れる。たずい、これは本気でキレおいる。このたたではゞンが殺される。 「      先に蚀うけど、ゞンも殺しちゃ駄目だからね。」 『  そう蚀うずは思っおいた。』 わかった、ずは蚀わないモリアヌティに、リツカは䞀床息を吐いおからキッず顔を匕き締めた。 「モリアヌティ   ごめんなさい。」 真摯に、自分の気持ちを䌝えなくおは。リツカは姿勢も正した。 『䜕故、謝っおいるんだ。』 「私はモリアヌティの気持ちを無芖しお無茶をした。 モリアヌティは、 っ私が傷぀くこずで傷぀いおたんだ。それなのに私はそれを無芖しお モリアヌティのこず 傷぀けた。  ごめん、 ごめんね  こんなマスタヌでごめん  うっ ぐすっ ごめんなさぃ 。」 がたがたず涙がこがれ萜ちた。圌がどれだけ自分を倧切に思っおくれおいるのは知っおるくせに、その優しさに胡座をかいお、自分の気持ちを優先させた。自分の゚ゎに、独りよがりに、圌を巻き蟌んで苊しめた。それが悔しくお、恥ずかしくお、蚱せなくお、胞が苊しくなった。 『   君は、自分が思っおいるより倧切に思われおいるんだ。君が傷぀くこずで傷぀く者がたくさんいるんだ。  私も、燕青君も、ロビン君もアサシン゚ミダ君も鈎鹿君も゚ミダ君もビリヌ君も  マシュ君もだよ。』 「う ぐすっ うん そうだ そうだよね 。」 『   私もすたないネ。私は君のその優しさが奜きだ。君がその優しさを捚おられないこずも、捚おれば、君が君じゃなくなるこずも知っおいる。けれど、その優しさのせいで傷぀くのも倧嫌いなんだ。 矛盟しおいるんだペ。』 「あはは 確かに、すっごい矛盟だ。  でも、私も    きっずたた 今回ず同じこずするず思う。   私はきっず、死ぬたで同じこずしおるず思う。モリアヌティやマシュの気持ちも知った䞊で たた 無茶する 。」 『    あぁ、わかっおいるペ。』 もう、どうしようもないのだ。リツカの根底にあるお人奜しが、今たでの経隓が、リツカを突き動かしおしたう。 『それでも、その胞に刻んで欲しい。君が死んだずしたら、残された人間がどれほど苊しむのか。 君なら知っおいるだろう。』 「 うん。」 重い蚀葉だった。改めお、自分の呜の重さを再確認した。 『 さお、ゞンはかなり本気で殺したいほど憎いんだけど、生憎取っ捕たった幹郚䞀人劂きに今構っおられないんだよネ。だから殺しはしないさ。』 「 モリアヌティいたどこで䜕しおるの」 リツカの質問にモリアヌティは楜しげな声を返した。 「いやぁ、FBIず公安が黒の組織ず結蚗しおただろう前からこの二぀の組織は目障りだし䞀回朰しおやったほうがいいず思っおいたからこれ幞いず色々根回しず情報収集ず眠を仕掛けおいおネ。燕青君も公安が䞊の呜什であのホテルに突入しないこずになっお暇そうだったから連れおきおいる。  黒の組織を朰す その手札がもうすぐ揃う。倧詰めだペ、マスタヌ君。』 モリアヌティの蚀葉にリツカは目をパチクリずした埌、少し意地悪そうに笑った。 「  じゃあ、次は私達から仕掛けられるっおこず」 『勿論だ。やられっぱなしは性に合わなくおネ。』 モリアヌティが喉を鳎らす音が聞こえた。 「やっずなんだね。甚事が党郚枈んだら、コナン君の家に来お。埅っおるから。」 『ああ。たたね、マスタヌ君。』 電話を切る。リツカは安堵した瞬間グラリず身䜓が傟いた。今曎自分は高熱を出しおいるんだず自芚した。血も流したから、貧血もあるかもしれない。ベッドに腰掛けおいたのだが、ベッドから萜ちそうになっおなんずか床にしゃがみこんだ。シンず静たり返った郚屋に時蚈の秒針が動く音がやけに倧きく聞こえる。時蚈を芋れば深倜2時。今日は長い䞀日だったなずがんやりする頭で思った。しゃがみこんだたた、ベッドの瞁に頭をもたげる。瞌が埐々に重くなっおくる。あぁ、このたた寝おしたおうか。 そう思っおいるず、コンコンず扉がノックされた。 「アディントン、飲み物持っおきたぞ。」 コナンが扉をあけお䞭に入っおくる。 「おい、なんで床に座り蟌んでんだ。寝るならベッドで寝ろよ。」 そう蚀いながら、コナンはペットボトルを差し出した。そしお、薬も持っおきおいる。 「これ、痛み止めず抗生剀ず解熱剀だ。気䌑めにしかならないかもしれねヌけど 。」 「いや、ありがずう。」 薬を口に含み、ペットボトルを受け取り飲み蟌んだ。痛みに叫んで酷䜿した喉が最った。 「   。」 コナンは無蚀でアディントンを芋぀めおくる。その目線が䜕か聞きたそうで、アディントンは「どうした。」ず声をかけた。 「  腹に手を突っ蟌たれお掻き回された経隓もあるっお蚀っおたが、本圓なのか」 「事実だな。」 コナンの顔は険しくなった。 「      オメヌ、ずっずそんな䞖界にいたのか。」 「  ずっずじゃない。ある日を境に だな。」 「 そうか。」 コナンはアディントンの隣に座り蟌んだ。そしお、身を寄せおくる。 「 江戞川コナン」 「  オメヌがどんな䞖界にいお、どんな人生を送っおきたのか オメヌが話したくねヌなら、それでいい。  でも、これだけは芚えずけよ。オメヌがどんな奎だずしおも、俺はオメヌのダチだ。」 リツカは胞がぎゅうっず締め付けられた。なんお力匷く蚀うんだろう。友達だず、そう思っおくれるのか。秘密ず嘘たみれの自分を。 「   ありがずう。」 その䞀蚀しか、蚀葉にできなかった。それでも、自分の気持ちは、䌝わっただろうか。隣にいおくれる存圚に安堵しお、リツカは意識を手攟した。 [newpage] 安宀は工藀邞のリビングで電話をかけおいた。郚䞋の颚芋ず連絡を取るためだ。圌がどちら偎なのかわからないが、今は公安の動きを知らなければならないず、そう思ったからだ。 『もしもし。』 「颚芋、䜜戊はどうなった。」 『降谷さん 実は、ホテル突入盎前に䞊からの指瀺で突入䞭止になったんです。降谷さんに確認を取りたかったのですが、降谷さんずは連絡が取れなかったので、呜什のたたホテルぞの突入は䞭止したした。 それから、アディントンの件から公安は䞀切身を匕くこずになりたした。』 安宀は舌打ちしたくなった。やはり公安は黒ず芋お間違いないだろう。降谷が指揮できなくなった途端に䞊が動いた。公安でアディントンを捕たえれば法のもずに裁かなければならない。アディントンを目障りに思っおいる者はFBIや黒の組織に殺害された方が郜合がいいだろう。アディントンの情報を比范的倚く埗おいる公安は情報提䟛のみ行い、その埌は殺されるのを埅っおいたずいうずころか。 (アディントンには毒の耐性があるずいう情報を知っおいるのはごく䞀郚の人間 そしお俺ず同等、もしくはそれ以䞊の公安の暩力者ずなれば、数はかなり絞れる。䞊局郚党おが真っ黒なのか それずも䞀郚だけなのかは定かではないが 。) 「 颚芋、お前は䞊局郚に背くこずになっおも、俺に぀いおきおくれるか。」 『勿論です。』 迷いなく即答で蚀われた。安宀はそれが嬉しかった。緩みそうになった顔を匕き締める。 「  公安の䞊局郚が黒の組織ず繋がっおいるずいう情報を埗た。組織ず繋がりのある人間を捕たえるぞ。」 『わかりたした。』 安宀の目に確かな炎が揺らめいた。 電話を終えおアディントンがいる客間の前たで来お、ドアをノックする。 「アディントン、入りたすよ。」 ドアを開けるず、床に座り蟌んでコナンず身を寄せ合っお寝おいるアディントンがいた。コナンが口に人差し指を圓おお静かにずゞェスチャヌをする。 「 寝おるんですね。」 静かに歩み寄りアディントンの前にしゃがんだ。しかしアディントンが目を芚たす気配はない。 「さっき寝たずころだよ。ベッドに寝かせおあげたいんだ。安宀さんお願いできる」 「あぁ。」 静かに抱き䞊げた。スヌツは血で汚れ血が固たっおしたっおいる。右肩の銃創にはワむシャツの䞊からガヌれを圓おお包垯で固定しおいるが、本圓は盎に手圓おした方がいい。それでもアディントンは肌を芋せようずしなかった。圌の蚀葉から察するに、身䜓にはそれなりの傷痕が刻たれおいるのかもしれない。だからその身䜓を芋せるこずを拒んだのだろう。安宀はそう思い、勝手に着替えさせるこずは控えようず思った。コナンも特に汚れたたたのアディントンがベッドで眠るこずになんずも思っおいない様子だったため、ベッドに暪たえさせ垃団をかける。 「薬ず氎分は摂っおもらったよ。暫くは寝かせおあげよう。安宀さんも、疲れおるでしょう別の郚屋を甚意しおるからそこで䌑んで。」 「いや 僕はアディントンの偎に 。」 「駄目だよ安宀さん。ちゃんず寝ないず。」 コナンにグむグむず背䞭を抌されお、安宀は䞍安げにアディントンを芋た。 「痛み止めず抗生剀ず解熱剀も飲んでもらった。倧䞈倫だから。」 安宀はベッドで気持ちよさそうに眠るアディントンを芋おから、コナンに抌されるたた郚屋を出お行った。 [newpage] 工藀邞のバルコニヌで煙草をふかしおいたベルモットは倜空を芋䞊げおいた。そこにコナンが珟れる。 「ベルモット、寝ないのか」 「 そうね、なんだか眠れなさそうで。もずもず眠りも浅かったし 。」 そう蚀いながらベルモットは煙を吐いた。 「私がこっち偎になるなんお、予想できなかったわ。」 「そうか俺は、オメヌはこっちだず思っおたけどな。」 隣に䞊んだコナンも、ベルモットず䞀緒に空を眺めた。 「あら、嬉しいこず蚀っおくれるわね。」 暫しの沈黙の埌、コナンが口火を切る。 「 ベルモット、ありがずな。オメヌの電話が無かったら、きっずアディントンのこず助けられなかった。」 「それはこっちの台詞ね。貎方が来たから、あの子を助けられたのよ。ありがずう。 本圓にい぀も貎方には驚かされるわ。貎方ならきっずあの子を助けられるず思ったけど 本圓に助けるなんおね。」 「   ただ、終わっおねぇよ。本圓の意味ではあい぀のこず、助けられおねぇ。」 アディントンが眮かれた状況は未だに奜転したずは蚀えない。その呜が狙われおいるこずに倉わりはないのだ。 「  俺は、あい぀のためにも黒の組織を壊滅させる。必ずな。そのために 力を貞しおくれねぇか、ベルモット。」 コナンの青い瞳がベルモットを射抜いた。その曇りのない瞳はアディントンずよく䌌おいる。 「貎方はやっぱり、silver bulletね。  私も、もう組織に瞛られるのはやめるわ。貎方に教えおあげる。 ボスがAPTX4869を䜜った、その目的をね。」 コナンずベルモットの長い倜は、ただ明けそうになかった。 [newpage] 目が芚めるず、ベッドの䞊にいた。しっかりず垃団もかけられおおり、暖房も぀いおいたため寒さに震えるこずもなく起き䞊がるこずができた。右肩はただ痛むが、昚日よりも幟分調子がよく、めたいも熱も無さそうだ。 ベッドから降りお郚屋を出る。するずふわりず出汁の銙りがしお思わずお腹がグゥず鳎った。階段を降りおリビングぞず向かう。 「起きたしたか、アディントン。」 キッチンで料理を䜜る安宀の姿がある。そしお、食卓には圌の手料理がズラリず䞊べられおいた。 「    おはよう。」 「身䜓の䞍調はありたせんか食べられそうですか」 「食べられる。倧䞈倫だ。」 食卓ぞず誘導されお、怅子に座る。目の前には矎しく盛り付けられた和食が䞊び、その食卓を圩っおいた。 「もし消化がいいものがいいならお粥を䜜りたすよ。それずも䜕かリク゚ストはありたすか」 「いや、倧䞈倫だ。 いただきたす。」 安宀もアディントンの前の垭に座り、手を合わせた。あさりの味噌汁を䞀口飲んで、ホりず息が挏れた。矎味しい。゚ミダの手料理に匹敵するほどの味に頬が緩む。次はほうれん草の胡麻和えに箞を䌞ばした。これもたた矎味しい。鰀照りも癜米が進む。 「君は䞻婊歎䜕幎なんだ」 「䞻婊じゃありたせん。」 「嘘だ、人劻の味がするぞ。」 「人劻の味っおなんですか」 「めちゃくちゃ矎味しいっおこずだ。」 「普通に耒められないんですかありがずうこざいたす」 文句を蚀いながら埋儀に返しおくれる。そんな安宀に笑っおしたう。 「江戞川コナンずベルモットは」 「ただ寝おたすよ。 䜕やら倜に2人で話しおいたようですからね。」 「そうか、早く起きなければ私が党お食べおしたいそうだ。」 炊きたおのご飯ず味噌汁ずおかずを䞉角食べしながら幞せを噛みしめる。緩んだ顔のたた食べおいるず、「貎方、そんな緩んだ顔できたんですね。」ず若干驚きず呆れの混じった声で蚀われた。 「私は生粋の日本人だからな。和食は倧奜きだ。」 「え、貎方日本人なんですか嘘ですよね」 「は䜕蚀っおるどっからどう芋おも平たい顔族だろう。しかも日本語バリバリだそ。」 安宀はさらに驚愕した。 「じゃあなんで日本䞭調べおも貎方のこず出おこないんですか」 「あ、それは、うん。ごめんな。」 「謝らないでください䜙蚈惚めになるくっ この日本は僕のテリトリヌだず思っおたしたがただ調べたりないず蚀うのか 」 レむシフトする前、リツカはここに存圚しなかったんだから情報などあるわけがないのだが、安宀はただ調べそうだ。 「どれだけ調べおも出おこないものは出おこないぞ。諊めろ。」 「僕の探り屋ずしおのプラむドが 」 「䞞めおゎミ箱に捚おるずいいぞ。楜になる。」 ズズヌッず音をさせお味噌汁をすする。暫しの沈黙の埌、安宀が埐に口を開いた。 「        昚日は、助けられなくお すみたせん。」 「謝る必芁はない。」 そう答えるが、安宀は俯いお銖を振った。 「それでも、謝らせおください。」 「   そうか。なら、私からは感謝を。助けおくれおありがずう。」 そう蚀っおから、鰀照りに箞を䌞ばした。 「 お瀌を蚀われるほどのこず、しおいたせんよ。」 「私も謝られるほどのこずはされおいない。」 「頑固ですね。」 「お互い様だ。それよりそっちのきんぎらごがうずっおくれ。」 無蚀で差し出され、アディントンも無蚀で受け取った。 「貎方ずいるず本圓に気が抜ける。」 溜息を吐かれおアディントンはニッず笑った。 「奜きに気を抜くずいい。君が話しおいるのは私なのだから。そうだろう」 「    そうですね。貎方ずは真面目な話なんおできたせんでしたね。」 「これでも倧真面目にボケおいるんだが。」 「䜙蚈にタチが悪いです。」 安宀はフッず笑った。その笑顔に返すように、アディントンも笑う。 「これからたた、よろしく頌む。」 「 えぇ、今床は最埌たで付き合っおもらいたす。䞀方的な協力関係の解陀はできないのであしからず。」 「望むずころだ。」 そうしお、2人は朝食を食べ終えた。 [newpage] 朝食を食べ終えた盎埌、来蚪者があった。リツカはロビンかず思い玄関に向かいドアスコヌプを芗くず、予想通りロビンがその手に玙袋を䞋げお工藀邞の玄関前に立っおいた。リツカが招き入れるず、顔をしかめおリツカを芋た。 「  ボロボロじゃないっすか。傷の手圓おはしっかりしたのか」 「いや、あたりできおいなくお その スヌツを脱ぐのは憚られお 。」 䞭にはカルデア戊闘服を着おいるし、さらしも巻いおいる。少しでもこの身䜓のラむンを芋られたら女だずバレる。それを危惧しお病院にも行かなかったし着替えもしなかった。 「あヌ わかった。この家の颚呂借りお入れ。俺が芋匵っおおやる。」 グむグむず背䞭を抌されおリツカは仕方なく抌されるたた歩く。 「アディントン、圌は 。」 安宀がリビングから顔を出しお問いかけるず、ロビンはヘラリず笑った。 「ちゃんず挚拶するのはこれが初めおか俺はロビンフッド。ロビンず呌ばれおる。おたくはバヌボンだったかマスタヌが䞖話になったな。」 「 そうですね。圌のおふざけには振り回されたした。」 「マスタヌのおふざけはたぁ 振り回される偎ずしおは苊劎するよな。」 ロビンがそう答えるず安宀も力匷く頷いた。 「わかっおくれたすか。」 「あぁ、おたくも被害者だろ。倧倉だったな。たたには逆襲した方がいいぞ。こい぀぀けあがるから。」 䜕故か意気投合した2人にリツカはゞト目を送った。 「なんだ2人しお私をじゃじゃ銬みたいに蚀っお 。」 「そうだろ。」 「そうでしょう。」 「君たちほが初察面だろう。なんで息ぎったりなんだ。」 「䜕どうしたの」 ずたずたず音がすれば、コナンが階段から降りお来おいた。ロビンの姿に目を䞞くする。 「あっ あんたスヌパヌにいたゞャム瓶爆匟の人」 「なんだそれ聞いたこずないぞ。江戞川コナンもっず詳しく。」 「ぞいぞいマスタヌ埌で説明しおやるから颚呂に入れ。なぁ、颚呂借りおいいか」 「え、う、うん。こっち」 コナンの案内で掗面所に向かう。そこで玙袋をロビンから枡された。 「ちゃんず颚呂入っお綺麗にしおください。必芁になったら、ここに立っおるんで䞭から声かけおください。」 そうロビンに蚀われたのち、扉を閉められた。リツカはやや匷匕なロビンに苊笑し぀぀、昚日から着っぱなしの服ず付けっ攟しのカラコン、りィッグが倖せお解攟感を感じた。さっさず血に汚れたスヌツも脱ぎ去り䞭に着蟌んだき぀いカルデア戊闘服も脱ぎ捚お颚呂堎に突入した。通垞より2倍くらい広い济宀に目を癜黒させながらもシャワヌを济びる。傷口に沁みたがそんなこず気にせず汗ず血を流した。 [newpage] 身支床を敎えお新しいスヌツを着る。やはり黒のスヌツを着るずアディントンの自芚が生たれ顔が匕き締たる。顔にできた痣が痛々しいがたぁこれは仕方ないかず思い、掗面所から出た。 「うぉ、マスタヌ、おたく手圓おは」 扉に寄りかかっおいたらしいロビンが驚いお声をかけおきた。 「自分でした。もう倧䞈倫だ。」 「ちゃんずできたのか適圓な手圓おしおねぇだろうな。ちょっず芋せろ。」 ロビンが癜シャツのボタンに手を䌞ばしおくる。 「おたわりさんこい぀です。」 「なんもしおねヌだろ」 「手圓おはバッチリだ。ナむチンゲヌルに叩き蟌たれた手圓お法だぞ。」 「それ蚀われたらグりの音も出ねぇな。」 ロビンは笑っお頭をわしわしず撫でおくる。 「リフレッシュできたか」 「あぁ、十分だ。」 そう返しお、リビングに向かった。するず、い぀のたにかモリアヌティ、燕青、赀井、コナン、安宀が揃っおリビングの゜ファに座っおいた。シンず静たり返ったリビングの空気は匵り詰めおいお重い。誰も口を開こうずしおいなかった。 「たたこの面子が工藀邞に揃うずはな。」 その空気を裂くようにそう蚀っおリビングに入る。するずリツカの姿を芋た燕青が顔を明るくするが、䞀瞬で殺気に溢れた顔をした。 「マスタヌ その顔の痣 。」 「倧䞈倫 ずは蚀えないが抂ね倧䞈倫だ。心配させたな。」 「 垰ったら説教だからな、マスタヌ。」 「あぁ。」 リツカは燕青ず共にモリアヌティの暪に座った。ロビンは座らずにリビングの扉に立ったたたもたれかかった。 「マスタヌ君も揃った。 さお、では黒の組織壊滅の蚈画を話そう。先に蚀っおおくが FBIず公安はこの䜜戊によりあらゆる䞍正や違法捜査を暎かれるが それでもいいかネ」 モリアヌティがそう蚀うず、安宀も赀井も頷いた。 「ならばよし。では話しおいこう。たずFBIず公安の䞭で黒の組織ず繋がっおいる者を探し、リストアップしおおいた。それには目を通しおおいおくれたたえ。」 ばさりずテヌブルに眮かれた玙の束を安宀も赀井も目を通す。その衚情はあたり優れない。 「FBIず公安はあくたで組織ず繋がっおいるだけで埓属しおいるわけではない。 ある目的、それを共有しおいる。それがマスタヌ君の殺害だ。」 リツカは唇をひき結んだ。 「だが、FBIや公安は元々組織ず繋がりはあった。マスタヌ君のせいじゃないからネ。」 「 あぁ。」 「その繋がりの始たりが   APTX4869にある。」 モリアヌティがたた玙の束をばさりず机の䞊に眮いた。 「『マドンナ』が流行したずき、その党おをマスタヌ君の指瀺によっお回収しおいた。『マドンナ』はAPTX4869をベヌスに䜜られおいるからネ。その『マドンナ』を調べおわかったこずだが、APTX4869の䜜甚は、肉䜓掻性化による身䜓機胜の倧幅な向䞊、そしお肉䜓の埌退化だ。」 「新䞀君がコナン君になった薬 ですね。」 安宀が資料に目を通しながら呟いた。 「现胞は分裂できる回数が決たっおいるが、APTX4869はその分裂できる回数の制限を倧幅に匕き䞊げるんだ。そしお、アポトヌシスによっお叀い现胞を淘汰し、新しい现胞の生成を促しおいくこずで身䜓の機胜を倧幅に䞊げるこずができる。だが最初の段階が䞊手くいかず䞀方的にアポトヌシスだけが起こるず毒薬に早倉わりする ずいうわけサ。幌児化の䜜甚も、たあ抂ね䌌たような䜜甚によるものず考えおくれたたえ。」 「ならば、やはり䞍老䞍死の薬ずいうわけか黒の組織はやはり䞍老䞍死を 。」 赀井は安宀から資料を受け取り目を通しながら呟いた。 「 違う、それは組織がAPTX4869を䜜った本圓の目的ずは少しズレおるよ。」 黙っお赀井ず安宀に挟たれお座っおいたコナンが口を開いた。その蚀葉に赀井は眉を顰めた。 「じゃあ、䜕を目的にした薬だっお蚀うんだ。」 「確かにそういう䜜甚がある薬なのは事実だ。だけど、組織のボスの目的は若返りや䞍老䞍死じゃない。APTX4869は神経組織だけは埌退化しないでしょそれが目的なんだ。APTX4869は、半氞久的に知識を蓄積し続けるために䜜られたんだよ。」 「それをどこで聞いたのかネ」 コナンはモリアヌティを真っ盎ぐに芋た。 「ベルモットからだよ。ベルモット自身もAPTX4869を䜜った目的しか知らないみたいだから、䜕故知識を蓄えたいのかは僕もわからない。」 「 なるほど、若い肉䜓を保぀のが目的ではなく、知識を蓄えるのが目的だず 。」 モリアヌティは考え蟌むように顎に手を圓おおから、䞀台のスマホを取り出した。 「ここに、私が収集した情報のほずんどが入っおいる。 君はマスタヌ君が蚀うにはシャヌロック・ホヌムズらしいからネ。知識を蓄えたい そのボスの目的を解き明かしおくれたたえ。」 コナンは差し出されたスマホにある組織の情報に目を通しおいく。その目は真剣そのものだ。䞡脇にいる赀井ず安宀も、そのスマホを芗き蟌んだ。 「 モリアヌティはその目的がわかったのか」 「私は悪巧み専門でネ。探偵の真䌌事はできなくはないが、専門倖なこずに倉わりはない。 それにマスタヌ君も、圌に任せたいず思っおいるんだろう」 モリアヌティは悪戯っぜく笑う。その笑顔を芋お、リツカも歯を芋せお笑う。 「あぁ、そうだ。」 そう蚀っおから、コナンに目を向ける。淡々ず情報を目で远い読み蟌んでいく。ものすごい集䞭力だ。その頭はその情報をどう凊理し繋げおいっおいるのだろう。 「    なるほど。」 コナンは䞍敵に笑った。 「組織のボスの目的 わかったぜ。」 「本圓かボりダ。」 「目的はなんなんですか」 赀井ず安宀がコナンに問いかける。しかしコナンは口を閉ざした。 「わかったのにもったいぶるのかネ本圓にあい぀゜ックリだ。」 「蚀うべき堎所でちゃんず蚀うから。」 コナンはモリアヌティにもその䞍敵な笑顔を向けた。モリアヌティは若干眉を顰めた。コナンのその衚情が謎解きした埌のホヌムズによく䌌おいたからだ。 「それより、組織壊滅は䞀䜓どうする぀もりなの」 そのコナンからの質問には、モリアヌティが䞍敵に笑う番だった。 「既に、組織の幹郚は党お我々の手の内にある。キャンティずコルンは私の方で捕たえさせおもらった。今は私しか知らない堎所で監犁されおいる。キヌルはNOCであるこずを暎いお、CIA内郚にいる黒の組織ずの内通者を䌝えおおいた。圌女は圌女で動くだろう。ベルモットはこちら偎に寝返ったし、ゞンは君が捕たえおいるんだったネ」 モリアヌティに笑いかけられた赀井は埮劙な顔をしながらも頷いた。 「組織の䞋っ端はうじゃうじゃいるだろうが、働きアリをいちいち螏み朰す必芁はない。巣が無ければ圌らは統率を取れないからネ。」 「 なるほど、じゃあ埌はボスだけか。」 「そうだ。䞍確定芁玠も予期せぬ出来事も倚々あったが、倧筋は私の蚈画した通りにこずは進んでいる。今、ボスは匵り巡らせおいた倚くの根を切り倒され、挙句手足である幹郚を党お奪われた。組織の仕事を我々が請負い続けたおかげで組織の䞋っ端は仕事をこなせず、新しい幹郚候補も育たず、組織は倧幅に匱䜓化した。そんな䞭ボスが今頌れるのはずっず隠しおいた他の組織ずの繋がりだけ 。FBIず公安も私の蚈画によっお炙り出されたのさ。」 モリアヌティは嗀う。酷く愉しそうに。たるで、己の掌の䞊で螊る人間を愉快に眺める悪魔のようだ。 「マスタヌ君の人を殺さないずいう瞛りの元で蚈画を緎るのは苊劎したが、私の掌の䞊で無様に転がっおいる圌らには笑いが蟌み䞊げおいたよ。」 「 い぀頃から蚈画しお実行しおいたんだ」 赀井からの質問にモリアヌティはニッコリずいい笑顔で答えた。 「組織に入っおすぐにだペ。組織の党貌はただわかっおいないころだがたあ、悪の芪玉がやりそうなこずは倧䜓把握しおいるからネ。あずは確かな情報を集めながらも少しず぀力を削ぎ萜ずしおいけばいい。」 改めおコナン、赀井、安宀は思った。モリアヌティは絶察敵に回しおは駄目な人間だず。 「たあその䞍確定芁玠ず予期せぬ出来事ずいうのがマスタヌ君ず君達なんだけどネ。党く 䜕床君たちは私の蚈画を狂わせたず思う」 モリアヌティがアディントンにゞト目を送った。アディントンはわかりやすく芖線を逞らした。 「君たちが関わるず䜕故か倧幅に蚈画が狂っお蚈画修正を行わなければならなかった。君たちは蚈画クラッシャヌなのかネ」 「すたないな、生たれ萜ちおのクラッシャヌなんだ。フラグもシリアスも蚈画もなんでもクラッシュしお生きおきた。」 「マスタヌ君開き盎らないでネ」 「すたない クラッシャヌになる星の元に生たれおきおしたっおすたない 。」 「マスタヌ君さおは反省する気ないネ」 「バレたか。」 「バレバレだネ。」 アディントンはモリアヌティに小突かれた。ふざけるアディントンを初めお芋た赀井はフレヌメン反応を起こした猫のような顔だが、コナンず安宀はい぀も通りすぎお最早チベスナ顔だ。 「ボりダ 圌はい぀もこうなのか 。」 「蚀っおおくけどもっず酷いからね。今日はおずなしい方だず思う。赀井さん、頑匵っお慣れおね。」 「思っおたのず違うぞ 。なんだこれは 俺の幻芚ではないのか 」 赀井は䜕故か頭を抱えお項垂れた。コナンはそんな赀井に同情しお仏顔で肩に゜ッず觊れた。 「さお、話を戻そう。埌はボスず、そのボスず繋がりのある組織の人間達だけだ。圌らを蜘蛛の巣に誘き寄せる。」 たたモリアヌティが邪悪に嗀う。 「APTX4869のデヌタを囮に誘き寄せる。今床は、こちらが仕掛ける番だ。」 そのモリアヌティの蚀葉に、アディントンもニダッず意地悪そうに笑った。 「やられっぱなしは癪だからな。」 「君たちも協力しおくれたたえ。君達ならば、黒に染たっおいないFBIや公安を動かせるだろう」 安宀ず赀井は顔を匕き締めた。 「勿論です。」 「必ず内郚の腐った人間を叩き出そう。」 モリアヌティは満足そうに笑った。 「ベルモット君には先に話をしおボスの元ぞず向かっおもらった。 圌女がボスを誘き出しおくれるだろう。」 「黒の組織のボスずその目的を暎くのは、君の圹目だ、江戞川コナン。 いや、工藀新䞀。」 アディントンの蚀葉にコナンも䞍敵に笑った。 「あぁ、俺が暎いおやるよ。党おな。」 「あぁ、頌んだぞ。」 コナンずアディントンは目を合わせお笑いあった。
い぀もコメントやブックマヌク、いいねありがずうございたす本圓に嬉しいお蚀葉ばかりで元気もらっおたす。<br /><br />いよいよ倧詰めです。完結が近い気がする。ただもうちょっずダラダラ曞きそうな気がするけど 。<br />最終的にコナンや安宀さん、赀井さんずモリアヌティに䞀緒に頑匵っお組織壊滅しお欲しかったからすっごい嬉しいですやったヌやられっぱなしな蚳がなかったヌモリアヌティさすがヌひゅヌっお気持ちで曞いおたした。<br />APTX4869のこず曞いおるんですが、私のク゜にわか知識で薬の䜜甚説明しおたすのでツッコミはお願いですからご遠慮願いたす。おねがいしたす本圓に。あず話の展開ぞのツッコミも䜜者のメンタルブレむクに぀ながるので本圓にやめおいただけるず有り難い。結局これは公匏でもなんでもない䞀個人の劄想です。䞀個人の趣味で曞いおいる二次創䜜であるこずを念頭に眮いおお読みください。<br /><br />実は先に゚ピロヌグを曞いおしたっおいお、早くそこたで蟿り着きたいんですよね 。頑匵りたす 。早く完結させたい 。<br /><br />〈泚意〉<br />‹DC×FGOの混合小説です。‚<br />コナン初心者なので間違っおいるずころもありたす。‚<br />倢やCP芁玠は極力ないようにしおいたすがちょっず泚意です。<br />‹FGOキャラの真名バレしおたす。<br />‚自分の地雷の気配を察知した人はブラりザバックお願いしたす。‚<br />読んでからの苊情は受け付けたせん。
聖杯回収のために黒の組織入りしたぐだ子の話37
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10035699#1
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泚意 ・これは某実況者様の名前をお借りした2.5次元䜜品です ・埡本人様ずは䞀切関係はありたせん。 ・軍パロ&人倖パロ それでもいい方はどうゟ [newpage] 「しんぺい神ヌ居るか おらん」 ガチャリず医務宀を開けたグルッペンはその郚屋に居るはずの医療係に声をかけた。しかし目の前はガランず無人で癜色が倚く、必芁最䜎限の物しか揃っおいない四角の空間。先皋たで居たのだろう、机の䞊には曞類が広がっおいる。 「 この資料を芋お欲しかったのだが」 居ないのなら仕方が無い。眮いお垰るかず机ぞ歩んで行く。パサッず怅子の䞊にグルッペンは持っおいた資料を眮き、ふず呚りを芋枡す。 ここに来る時は倧抵メンバヌに匷匕に匕っ匵られお来るのだ。元気な時になど絶察に来ない。 芋るず薬が棚に䞊んでおり、しんぺい神が最初に来た時よりごちゃごちゃずしおいるように芋える。あれから数幎経っおいるため倉わっおいるのは圓たり前なのだが、そう考えるず党然顔を出しおいなかったなず思う。たぁトントンが総統宀から出しおくれないずいうのもあるのだが。 そう䞀人で考えながら棚やベッド、机やカヌテンなど郚屋䞭を芋枡し棚の扉を開け持っおみる。倧切な物を壊さないように䞁寧に。 そうするず芋た事ある物や無いものなど敎理敎頓しお眮いおあった。圌奎の几垳面な所が出おいるなず埮笑む。 そこでグルッペンの目に぀いたものが䞀぀。 「 なんだこれ」 ダむダ型の现長いガラス瓶に入った癜い結晶。無色なこの郚屋の棚にポツンず入っおいる。それは奥に奥に仕舞われおいお絶察に芋぀からないようにしおいる物のように芋えた。そしお眮いおある瓶の䞋にはメモのようなものが。 「『グルッペンには絶察枡さないように』  っお、は」 いや聞いたこずが無い。たぁ圓たり前だろうが、䜕故自分だけなのか。疎倖感が突き刺さる。なんだよ、ダメなのか䜕故。 ただただモダモダず嫉劬に近い気持ちが挂う。そしおこれは䜕なのだろうずいう疑問ず奜奇心が浮䞊する。しんぺい神、そしおもしかしたらトントン達も知っおいお隠しおいたかもしれないこの結晶の正䜓は、そしお䜕故自分にだけ枡したらいけないのか。 気になる。 「   よし、持っおいこう」 眪悪感など無かった。うん。 少し考え蟌む玠振りをしたグルッペンは芚悟を決めたかのように䞀぀頷きそれに手を䌞ばした。思ったよりも小さく小指ほどしかない瓶だ。サラサラずした癜い結晶が瓶いっぱいに詰たっおいお瓶の色を反射させる。 これは䜕だろう。䜕かの薬なのか、それずも物凄く甘い高䟡な砂糖ずかそれなら私に枡したら駄目なのは玍埗出来るが。たぁ䜕だったずしおも毒ずいう事は無いだろうから溶かしお飲んでも倧䞈倫だろう。 無意識に口角が䞊がる。総統宀に垰ったら即玅茶にでも入れお飲んでみるか。そうしよう。 グルッペンは盗った瓶をポむず軍服のポケットに投げ入れお䜕も無かったように党お元に戻し、医務宀を出た。 [newpage] その埌グルッペンは玅茶に結晶を入れお飲んだのは芚えおいた。しかし蚘憶が正しいのであればそこで蚘憶は終わっおいる。 そしお今に至る。 「  い぀の間にベッドで寝たんだ」 朝日の光が郚屋に差し蟌む。真っ暗だった䞖界が埐々に光を垯びおきおグルッペンは目を芚たした。昚日の事を思い出そうずしおもがんやりずしおいお飲んだ埌の事は䞀切思い出せない。䜕ずなく重い䜓を起こしお机に近付く。そこには空になった小さい瓶ず空になったカップ、そしお昚日分のは終わっおいる曞類達。 「い぀終わらせた たぁいいか」 䜕かどうでもいいや。結果オヌラむずいう事で。曞類が無意識のうちに終わっおいるなら最高な事だろ、うん。そういう事で。 そう自問自答しながら空の瓶を机の匕き出しの䞭に仕舞った。芋぀かったら面倒だろうからな。 「はぁ、特に䜓には害は無さそうだ。着替えよう」 息を吐きながら䌞びをひず぀。深くは考えないでおこうず決め蟌んだグルッペンは寝巻きからい぀もの服に替えようずクロヌれットに歩いお行く。 髪の毛も寝癖が付きたくっおいる。 グルッペンはガチャりずクロヌれットを開けワむシャツを取り出し寝巻きから着替える。軍服は゜ファヌの背もたれにかかっおいるな、よし。ピッずワむシャツを匕っ匵っお敎え䜕ずなく寝癖を抑えながら゜ファヌにかかっおいる軍服を掎むずグルッペンは再床䌞びをする。 珍しくぐっすりず安眠出来たようだ。頭がスッキリずしおいる。若干䞍眠症気味で薬に頌っおいた郚分もあった為い぀もはあたりいい眠りには付けおいなかった。しかし今日はしっかりず寝れた、ずいう事、そしおあの結晶を飲んだ埌の蚘憶が無いずいう点から 。 「あれは、睡眠薬の様なものだったのか」 それくらいしか予想は出来ないが倚分そうだろう、ずグルッペンは仮説を立おた。それなら盗っおおいお良かったなずか考えお。 なら䜕故グルッペンには枡しおはいけなかったのか。ふず匕っかかった。しんぺい神はグルッペンが䞍眠症なのを知っおいる。それを知った䞊でその睡眠薬(ä»®)を枡さなかったのだ。裏切りか裏切りなのか匱っおから殺そうかずかいう算段なのか それか飲んだらそれなりのリスクを背負うから枡さなかった、か。 「うヌん、どっちも無しで」 忘れよう。そうしよう。 若干グルッペンは䞍安になった。 あぁ、考えなければよかったゟ。 [newpage] 「グルさヌん、起きずる」 そこで響いたノック音ず我らが曞蚘長の声。それず同時にグルッペンの䜓は飛び䞊がった。 「ッッず、ずずずずんしか」 「いやそんなずは芁りたせんけどトントンです。 䜕でそんな焊っおんねん」 反射的に声も䞊擊っお音量も䞊がっおしたった。扉越しに呆れたような声がため息ず䞀緒に聞こえおくる。本圓䜓が猫のように飛び䞊がった。いやなんなんだ、ビックリした 。 「な、䜕でも無いゟ 気にしないでくれ。それでどうかしたのか」 平垞心を取り戻したグルッペンはふうず心臓に手を圓おお深呌吞をする。そしお返答埅ちのトントンぞ芁件を聞こうず話しかける。 「  気になる事は倚いけどたぁええわ。あんたはよ食堂来おや、皆食べ終わったで。」 そう蚀われお時蚈を芋る。針は䞃ず六を指しおいた。もうこんな時間なのか。いや、逆に䞁床良く起きれられた事がラッキヌだったず蚀うべきか。頭が理解した所でグルッペンは行動を始める。 「あぁ、すたん。今行く」 「おん」 軜い䌚話を枈たせおから扉を開けるずトントンが珟れた。 「今日は䜕だかぐっすり寝れおな 遅くなっ  た 。」 「ほヌん。それは良かった  っお、え、グルさんどないしたんそんな顔しお。」 蚀い蚳をしようず口を動かしたがその話はトントンの方を芋お止たっおしたった。それず同時に目を芋開く。それを䞍思議に思ったかトントンは心配そうに銖を傟げた。 「え、トントンえどうした」 「はいやグルさんこそそんな顔で芋んで䞋さいよ。」 「いや、トン氏、だっおそれ」 「はぁ䜕もないじゃないですか」 おかしいな、もしかしおただ寝惚けおいるのかもしれない。ゎシゎシず䜕床か目を擊っおみおも倉化は無い。指を指した方をトントンは芋たが怪蚝そうに顔を顰めた。しかしグルッペンの焊りようにおかしいず思ったのか「本圓どうしたん」ず声をかける。 「あ、いや―――」 蚀葉を遮っおグルッペンはたた考える。これを蚀ったら「有り埗ない」ず笑われるだろう。倉にトントンが蚀いふらしお笑い話にされるず面倒だ。どうせ「ただ寝惚けおいる」ず流されるに決たっおいる。そうだ、   芋なかったこずにしよう。 「―――、䜕でもない。」 目を逞らした。芋慣れないからな。 「   そうですか。そんじゃ行こか」 その蚀葉にグルッペンは「え」ず声を挏らす。 「 なに」 先に歩き出しおいたトントンがなんだなんだず振り返る。 「あ、え、䜕でもない」 い぀もよりあっさりず匕いたなず思っただけだ。 グルッペンは心の䞭で付け足した。 「 䜕か隠しずる」 「隠しおないだからトン氏私の前を歩くな」 「ええ 。」 芋慣れないんだよ その頭の䞊の茪っかず若干透けおる癜い翌が [newpage] そわそわずしながら歩くグルッペンは䜕故だ䜕なんだず考えおも分からないだろう議題をぐるぐるず考えおいた。 絶察に有り埗ない人では有り埗ないものがトントンに付いおいたんだゟ 「 ほんず意味が分からん  。」 「グルさん䜕か蚀いたした」 「䜕でもない」 そういっお埌ろから顔を出すトントンから目を逞らした。 䞀人でに頭を抱える。珟実離れをし過ぎおいるトントンを凝芖出来ずあちこち芖線が泳ぐ。 そうこうしおいる内に食堂ぞず着いた。深いため息を吐いお食堂の扉を開ける。そうだ、もう䞀床医務宀ぞ行こうか。そこにヒントがありそうだから。 「あ、グルッペン来た」 開けた先から声が聞こえた。 埅ちくたびれたず蚀わんばかりの声色だ。い぀もご飯を䜜っお蟲業を進んで行う男。 「あぁ、枈たないひずらん。色々あっお――― 。」 そこで固たった。開いた口が塞がらない。 「すたんなぁひずらん。グルさん連れお来たで。」 「ありがずトントン。ほらトントンも食べおしたっお。」 グルッペンの埌ろからひょっこり出おきたトントンは笑顔でひずらんず䌚話をしおいく。普通に。 「ほら、グルさんも―――グルさん」 そこでようやくはっず意識が戻った。トントンが䞍思議そうに眉をひそめる。 「あ、あぁすたん。 䜕でもない」 そういっおたた二人から目を逞らした。 「 䜕あの人。どうしたの」 「朝からこの調子やねん。䜕か隠しおるっぜいんやけど 。わいの時も顔芋お驚いずっおん」 「 ふヌん」 そう蚀っおひずらんらんは目を现めた。パッずひずらんの方を芋るず目が合った。挆黒の瞳から䜕凊か探るような色が混じっおいる。 「な、䜕でもないんだ本圓にほら、トントンもお腹が空いただろう食べよう」 「あからさたに焊っおたすやん 分かった分かった食べよか」 呆れるように苊笑いをしお怅子に座る。 やっぱり寝惚けおいるんだ。あぁそれか倢の䞭だなこれは。寝萜ちずかいうものだな。 「はい、これグルッペンの」 「 あぁ、ありがずう」 ひずらん、お前は癜い服着おマスクしお刀腰から䞋げお埩讐鬌ずか蚀われお物隒なのは知っおいる。知っおはいるが 。 「しっかり食べおね」 頭から角が生えおいるなんお有り埗ないだろう 。 [newpage] 「ご銳走様」 そう手を合わせお食噚を重ね運ぶ。これはひずらんらんの祖囜の文化らしい。面癜いものを思い぀くものだ。 「はい、お粗末様でした」 そうニッコリず埮笑むひずらんらんの頭からは二本の角が立掟に生えおいる。たじたじず芋る勇気は無く、芋ないようにずそっぜを向いお食堂を出ようずする。 「グルさんもう行くん」 「あぁ、少し゚ヌミヌルの所に行こうず思っおな」 「䜕しにはよ曞類敎理せぇよ」 「䜕ずなくは終わったんだよ。本を䜕冊か借りようかなず。」 なんお、真っ黒な嘘だが。医務宀に行くず蚀うず誰か着いおくるだろうず思った、それだけだ。゚ヌミヌル、すたんな。 それっぜい嘘を淡々ず付いお食堂を出た。 少し早歩きで廊䞋を進んでいく。ぐるぐるず敎理されおいない情報が行き亀っお頭が痛い。なんなんだよ、本圓。昚日たで無かったじゃないか。もしかしおドッキリずか蚀うや぀かあの二人はグルで遊んでいたずか  有り埗そうで無さそうだ。 無い方が可胜性的には高い。 ひずらんらんがいる時点で冗談では無い事が分かる。こういう時にコネシマやゟムが向こう偎に居たのならただドッキリで枈たせれただろうが。 「  寝惚けおいる蚳では無さそうだ」 信じたくは無いが。 そうしたら可胜性は䞀぀。 「しんぺい神からくすねおきたあの薬 だな。」 それくらいしか想像が出来なかった。ずいうかそれくらいしか心圓たりがなかった。 「幻芚が芋える薬か、これが倢の䞭でこういう倢を芋せる薬か、それかもう粟神的にやばくなっおいるのか、だな。」 ブツブツ呟きながら数々の郚屋を通り過ぎおいく。これ以䞊メンバヌに䌚いたくない。本圓に粟神的に参りそうだし。 「 そういえば、時々あい぀らず居るず有り埗ない事が起こったな」 ひずらんはい぀の間に刀を抜いたのかず蚀うくらいえげ぀ないスピヌドで敵をなぎ倒しおいたり。 トントンは私が危険な状態になっおいたらい぀の間に来たのかず蚀うくらい早く傍に居たり。 「人では無いのではないか」ず疑わざる終えない行動をしおいた。 もしかしおこれがアむツらの本圓の姿だったり。 「  なんおな」 冗談も皋々に。グルッペンはふっず笑っおみせるが埐々に笑顔が消えおいった。 「 ない、よな」 なんか、アむツらならある気がしおきたゟ。 [newpage] あず少しで医務宀に着く。その時だった。 「あれ、グルッペンやん」 「ほんずやグルッペン〜」 「そんな急いでどないしたんすか」 通り過ぎた扉が開いたず思ったら埌ろから䜕ずなく息が切れた䞉人の声が。 「―――シャオロン、コネシマ、ゟム。」 足を止めたはいいものの䜕故か埌ろを振り返るのを躊躇いその状態で声を挏らした。 「 グルッペン䜕で動かんの」 「いや、䜕でもないんだ。私は急いでいるのでそれで「䜕でや遊がぉや」 ゟム   。」 グむッず巊手を掎たれ芖界の端からゟムが芗いた。 「―――っ、やっぱり」 そう声を挏らしおグルッペンは目を閉じた。冷や汗が垂れる。ただ耐性が付いおいない。埅っおくれ。 ゟムからは獣の様な耳が頭から生えおおり腰から尻尟が垂れおいた。歯はギザギザで鋭く、たさに肉を簡単に匕きちぎっおしたいそうで。䜕ずなく、瞳が赀みがかっおいた。 「ちょ、グル氏ぃ目ぇ瞑るずか酷ない」 「え、なになにどないしたんやグルッペン」 「いや、うん、なんでも、」 なんお歯切れの悪いグルッペンを䞍思議に思ったシャオロンは口を開いた。 「もしかしお具合悪いずかゟム手離した方が」 「 せやな」 そう蚀っおゟムは優しく手を離す。 声色からは申し蚳なさそうに、残念そうにしたのが分かった。 「グルッペン、トントンに蚀っおおこうか具合悪いなら䌑んだ方がいいんやない」 シャオロンが気遣いで問いかけおくれる。瞌は閉じおはいるが気配から心配しおいるのを感じた。 芚悟を決めたグルッペンはふぅず息を吐いお目を開ける。 「䜕でもない。心配しないでくれ。」 目に飛び蟌んできたのは心配そうに芋぀めおくる䞉人。獣ず仔犬が二匹。シャオロンからは犬の耳は芋えないが被っおいるニット垜がデコボコしおいる時点でお察しだ。コネシマからは髪色ず同じ犬の耳が生えおいた。   狌ず仔犬二匹か。 「それでは私は急いでいるからな」 「お、おうじゃあな」 コネシマが手を振ったのを暪目に急ぎ足で医務宀に向かう。  急ぎ足で歩いお行ったグルッペンを芋぀めた䞉人は呆然ずその堎に立ち尜くしおいた。 「 䜕なんやろあい぀。」 「珍しいよな、グルッペンがあんなに取り乱しおんの」 「ずりあえずトントンに報告するしずこ」 遠くなる背䞭を芋぀めながら䞉人は各自ポツポツず呟いた。 「―――そういやさっきグルッペン『やっぱりか』っお蚀わんかった」 「あぁそれ気になったわ〜」 「しかもあの時グルッペンゟムの頭䞊芋ずったよな」 ゟム、シャオロン、コネシマず顔を芋合わせお話に盛り䞊がる。そこで䞀瞬シンず間が空いおふはっず笑った。 「「「 たさか、なぁ」」」 そんな事、有り埗んやろ。  トントンは恐らく倩䜿だろう。 ひずらんらんは鬌。 ゟムは狌。 コネシマずシャオロンは犬。 本圓、どうなっおいるんだ。珟実離れし過ぎおいるだろう。 はぁ、ずグルッペンはため息を぀いた。疲れた。そう疲れたのだ。様々な芋慣れない光景が広がり驚くべき情報が倚い。これはもう医務宀に居るしんぺい神に癜状しお治し方を教えおもらおう。そうしよう。 あヌ、もう。疲れるわ。 グルッペンは早足からリズムが䞊がっおきお淡々ず廊䞋を進んで行った。 そんな䞭、楜しそうに口角が䞊がっおいた事なんお気付かずに。 [newpage] 少ししお䞉人が(厳密に蚀うず䞉匹)が芋えなくなった䜍の所で楜しそうに話す話し声が聞こえおくる。 「 こうなれば、党員の正䜓でも暎くか」 䜕凊か吹っ切れたグルッペンは思いっきり声が聞こえおきた郚屋の扉を開けおみた。 そこには本やらケヌキやらお菓子やらが机の䞊に眮いおあり、人圱が二぀。 「わ、グルッペン」 「グルッペンさん」 花でも飛んでそうな雰囲気だな、ここ。 「やぁ、オスマン、゚ヌミヌル」 埮笑んで赀い目を现める。さお、お前らの正䜓を―――。 「どうしたんですかグルッペンさん䜕か可笑しいずころでも」 じっず芋぀めたのが可笑しいず思ったのかそう蚀っお眉を八の字に垂らす゚ヌミヌルず䞍思議そうにこちらを䌺っおいるオスマンを亀互に䜕床も芋おバッず埌ろに向く。 か、倉わっおいない 䜕も倉わっおいないゟアむツら。 「どういう事だ 」 ボ゜ッず呟く。 うヌん、ず唞りながら悩んでいるず背埌から若干心配そうに声がかかった。 「グルッペンほら、䜕を悩んでるんか知らんけどお菓子䞀緒に食べんお茶䌚」 そこでハッず我にかえる。 「矎味しいですよ〜」ず二人はもぐもぐず口に頬匵っおいるくぐもった声が聞こえおくる。 「あ、いや私は」 ここたで来お目的を思い出したグルッペンはそう蚀っお医務宀ぞ行こうず断ろうずしたが。 「どうしたんグルッペン」 すぐ背埌から声が聞こえた。 「―――っオスマンんぐぅ 」 思わず声を䞊げお振り返るず口に思いっきり䜕かを突っ蟌たれる。ほんのり甘い味が口の䞭に広がった。目の前にはニッコリず笑った糞目のオスマンが立っおいる。 「た、たかろん」 「せやでヌ。矎味しいやろヌ。しかも前から食べたがっおたやん」 「あ、私が買っおきたした」 オスマンの埌ろあたりから゚ヌミヌルのマむペヌスな声が響く。 「あぁ、有難く食べよう。しかし枈たないな。行くずころがあっお」 䞀息぀いお説明をする。 「そうですか それは残念ですね」 ゚ヌミヌルは残念そうに声を挏らす。オスマンの衚情は倉わらない。 「えヌ少しだけいいめうヌ」 優しく笑いかけるのは嬉しいのだが、䜕か、目が笑っおないゟ 「いや、これで倱瀌す「それずも」 」 グルッペンの蚀葉を遮っおオスマンは口を開いた。その衚情はずっず倉わらず。笑っおいお。 「ここに居お䜕か、悪い事でも」 意地悪そうに埮笑みうっすらず目を開いた。開いた口から八重歯が芗く。 その目はい぀もずは違い、血のように赀かった。 「っ、倱瀌するゟ」 グルッペンそう蚀っお埌ろを振り返らないように郚屋を出おいった。  「 あたり虐めない方が」 「ええやん。あんなグルッペン珍しいし。ふふっ、入っおきた時のグルッペン面癜かったなぁ」 「いい性栌しおたすね。本圓。」 「―――そうやろ勘が良いのは、吞血鬌の特暩やからさ。」 「 たぁ、私も蚀えたせんけどねぇ」 吞血鬌ず化け狐はこの埌隒がしくなるだろうなず想像しおたたお茶䌚を再開した。 [newpage] 䜕なんだ䜕なんだよ 走りながらグルッペンは䞀人焊る。 あの目は䜕だったのだそしおあの八重歯そしお゚ヌミヌルもわざずらしく最埌狐のような尻尟を出しお揺らしたのを芋たゟい぀もずは違う、やはりあい぀らもそうだったのか 本胜的に働いた危機感。あ、こい぀ダバいっお脳が行ったからずりあえずダッシュをしたグルッペンは息が䞊がっおしたったので䞀床立ち止たっおはぁず深呌吞をする。 「くそ あれは確信犯だな」 どうせ今頃笑っおいるだろう。悔しい。グルッペンは苛立ちを芚えた。埌で䜕かしお貰おうか。そんな事を考えながら。 「あれ、グルちゃんやヌん」 「ホントや、グルッペンやんっお、䜕でそんなに息きれおんの」 珟れるのは突然で。 突然過ぎお間抜けた声が挏れた気がした。  んこい぀らい぀来た 「う、鬱、ロボロ」 「せヌいかヌい」 「倧䞈倫グルッペンどないしたん」 あぁもう䜕でこんなに今日はメンバヌず遭遇するのか。偶然にも皋があるだろう。 「はぁ、いや、䜕でもないんだ」 グルッペンそう蚀いながら壁に手を぀いおいる為説埗力の欠片も無い。壁から手を離しお再床深呌吞。頭䞊から声が聞こえるずいうこずは前から歩いおきたのだろう。倚分。 そうだ、コむツらも倚分珟実離れした栌奜をしおいるのだろうな。そう思っお心を決める。そしお、 パッず顔を䞊げた。 「―――お前らこそ、どうしたんだ」 やはり、い぀もずは違う。 「あぁ、今通信宀に戻ろうず思っおな」 い぀も通りに芋えるロボロだが、ロボロの肩には芋た事が無い様な小人が数匹しがみ぀いおいたり飛んでいたりしおいた。 「僕はその通信宀に忘れもん」 ぞらっず笑う鬱は予想倖で察応出来ない。真っ黒の角のよなものが小さく頭から生えおおり腰からは長い尻尟が揺れおいる。 「そうか」 自分自身可笑しくなっおきたのかもしれない。この冷静さは。 いや、慣れたんだなこれ。 「グルッペンこそどうしたん」 「あぁ、少ししんぺい神に甚があっおな」 「結構急いどる様やけど 」 「た、ええやんロボロ。ほら行こ」 「え、ええ、ちょっず倧先生」 ロボロが䞍思議に思ったのか話をしようず切り出したのだがそれは鬱によっお遮られる。半堎匷匕にロボロの背䞭を抌しおいく。 「わ、分かったから倧先生 グルッペンたたなぁヌ」 執拗いずロボロが先に走っおいっおしたうのをぜかんず芋るグルッペンに鬱はたた笑う。 「グルちゃん、」 「  䜕だ」 鬱の行動に違和感を芚えたグルッペンは少し譊戒しながら応答する。 「あんたり螏み蟌み過ぎるず、危ないで」 僕が蚀っおもアレやけど、ず付け足しお鬱は歩いお行っおしたった。 グルッペンは鬱が芋えなくなるたで呆然ずその堎に立ち尜くしおいた。 「 肝に銘じおおこう」 自分の䜎い声が無人の廊䞋に響く。 様々な気持ちが湧き䞊がっおきたが、䜕も考えないでおこうず目を瞑っお開き、医務宀ぞず足を進めた。 [newpage] 「あれヌグルッペンどうしたの」 「あ、グルッペンさん」 医務宀の扉をガラリず開けるず居たのは予想内のしんぺい神ず予想倖のショッピだった。 「しんぺい神 ず倖資系」 しんぺい神はショッピの手圓おをしおいるらしく二人座っお䞋からグルッペンを芋䞊げる。 「グルッペン珍しいね。あ、そう蚀えばあの資料芋たよヌあれでいいず思う よグルッペン」 「グルッペンさん固たっおたすけど倧䞈倫っすか」 その光景に思わず固たっおしたった。いや、しんぺい神は分かっおいなのだが、昔から居たし、名前的にも分かっおいたし、この流れだずそうだずは思っおいたのだが たさかショッピもそうだったずは。 しんぺい神はショッピの右手に包垯を巻き終わった埌䞍思議そうにグルッペンの顔を芗き蟌んだ。しんぺい神の頭にはトントンず䌌たような茪っかが浮いおいた。  そう蚀えばトントンずしんぺい神は昔から知り合いだったな。䜕で気づかなかったのだろう。いや、気付くわけないか。 包垯をたじたじ芋぀めお䞁寧にお瀌を蚀っおいるショッピの頭からは猫の耳のようなものが生えおいた。腰からは二本の濃い玫の尻尟がゆらゆらず揺れおいる。 やっぱり、倢で終わっおくれないだろうか。倢オチ。最高のオチじゃないか 。 「しんぺい神」 「 なヌに」 蚀うしかない。ここたで可笑しいならあの薬を飲んだこず、飲んでからおかしい事、これは䜕なのか。 党お、癜状しよう。 「しんぺい神、実は、だな―――」 [newpage] 「―――嘘  」 「 枈たない。本圓なんだ」 話しおいくに連れおしんぺい神の顔が真っ青になっおいく。 「ホントに飲んだの」 「  たぁ」 答えを聞きはぁぁぁぁず長いため息ず同時にしんぺい神は項垂れた。 「それで、あの。話しおいる途䞭 ずいうか序盀蟺りで倖資系が凄いスピヌドで出おいったのは䜕なんだ」 珍しい取り乱し方で驚いた。あの倖資系もあんな顔をするものだず。 「圓たり前やん 皆に蚀いに行ったの」 「皆アむツらに蚀いに行ったのか 」 「 グルッペン。君やっおしたったんやで。」 そう蚀うしんぺい神の顔はげんなりしおいお。そこで少し察しが぀いた。これはたずいこずをしおしたったんだろうず。 「 たぁ、お互い様やろ」 二人は力無く笑った。 それからわちゃわちゃず人倖共が隒がしく医務宀に抌し寄せるのは、たた別の話。
「隠しおいたお前らも悪い」<br /><br />黒の総統が皆が隠しおきた秘密を芋ちゃった話。<br /><br />フルメンバヌ<br /><br /><br /><br />どうも矎雚です。<br />ふず考え぀いたものです。<br />焊っお焊る総統が曞きたかったんです(本音)曞いおお楜しかったのでいいやもう。<br /><br />䞀番悩んだのはオスマンでした。そしおそれがしたかった。皆の各自の反応がいい。分かっおくれる方居たすかね分かっおくれ(切実)<br /><br />誀字が倚いず思いたすが芋぀け次第倉えおいきたすので。<br /><br />問題があれば䞋げたす。<br />続きは気が向いたら<br /><br />それでは。
䜕でもないんだ
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※四次埌の話なので埮ネタバレ泚意です。  深々ず降りる雪が、䞖界を真っ癜に塗り朰しおいく。  芋た目たでもが劂䜕にも寒々しくなっおいく倖界を窓蟺から眺め、蚀峰綺瀌はそっず嘆息した。䜕も寒さに蟟易したからではない。神父らしからぬ鍛え䞊げられた䜓はこの皋床の寒さを寄せ付けはしない。ならば、䜕故なのか。その答えは教䌚の壁を食る装食にあった。  赀、緑、それに金。色鮮やかなそれは、芋間違えようもない、クリスマスの食り付けである。シンプルなデザむンではあったが、この教䌚には䜙り䌌぀かわしくないように感じられた。  それは恐らく、これらの食り付けを提案し実行したのが敬虔な信埒たちの手によるものだからだろう。そうするこずを蚱可した綺瀌ではあったが、特段このようなこずが必芁であるずは思えなかった。  故の溜め息である。確かに雰囲気は華やかになるし、クリスマスのムヌドもいい具合に醞し出されるずいうものだ。しかしそれは本圓にこの教䌚に必芁なものであろうか。疑問だ、どうしようもなく疑問だ。  矎しい装食で人々の賌買意欲を䞊手く煜り収益を䌞ばす必芁など、教䌚にはたるでない。クリスマスはむ゚ス・キリストの誕生を祝う祭日だ。教䌚に斌いおは信埒にも信埒でない者に察しおも門戞を開き、ミサを行うのが垞のこず。そこに街頭を圩るような煌めかしい食り付けがいるかず蚀えば、答えは限りなく吊に近い。  二十四日の午埌䞉時過ぎずいう刻限になっお党おの装食を取り去っおしたいたいず考えるのは些か、今曎ずいうべきだろう。それを実行するならば、もっず早くに幟らでも機䌚があった筈だ。それをみすみす逃すずは、䞀䜓己は䜕をしおいたのか。思い返しおみお、すぐに思考は原因に行き圓たる。  第八秘蹟䌚の芁請により、聖遺物の調査ず回収に向かったのが今から䞁床䞀週間皋前になる。結果は芳しくないものであった為、異端者をさっくりず片付けおこの冬朚の地に戻ったのが䞉日前になるだろうか。  留守を任せおおいた神父に食り付けの件を蚀い残されお、蚱諟しおしたった己を瞊り殺しおやりたい。埌々こうなるこずは予想出来ただろうに。  もう䞀床だけ長く深い息を吐き出しおから、綺瀌はその思考をシャットアりトした。詮ないこずをい぀たでも考えるのは止めにするずしよう。それよりも倕方、教䌚の捉え方でのむノを迎えおから行うミサの準備でもする方が䜙皋有意矩ずいうものだ。  そうず決たれば早急に行動するのが吉。䜇んでいた窓蟺から立ち去ろうずしたその時、窓に質量がある物が圓たる鈍い音がした。  振り返っおみるず、ガラスには癜い粉状のものが飛散しおいた。どこからどう芋おも雪、である。二階のここたで䜕者かが雪玉を攟ったずいうのだろうか。比范的に小さいこの窓をわざわざ狙っお  怪蚝に思っお倖に芖線を向け││綺瀌は぀いずその県を现めた。  癜い絚毯の䞊に、䞀぀の人圱が立っおいる。その姿をどうやっお芋過ごせようか。埮颚にそよぐ髪は燃え立぀黄金、こちらを芋䞊げおくる瞳は至䞊の玅玉の劂き茝きを攟っおいる。芋知った青幎の姿であった。  英雄王ギルガメッシュ。気玛れに姿を珟しおは色々ず匕っ掻き回しお去っおいく圌が、教䌚の前庭に出珟しおいた。そこにいるだけで堎を華やがせる圌の存圚感は、堅牢な壁に阻たれおも尚ここたで匂いくるかのようだ。  雪花が舞う䞭、それにしおも寒そうな栌奜である。ファヌの぀いたゞャケットの䞋には胞元が開いた薄いむンナヌがあるだけで、脚を芆う垃地もこの寒波を防ぐには些か心蚱ないものに芋える。冷たい空気に耳を赀く染めおいる蟺り、寒さを感じおいない蚳ではあるたいに。  暫くその立ち姿を眺めおから、綺瀌はふいず芖線を倖した。螵を返しお本来やろうずしおいた䜜業に取り掛かるこずにする。  ず、再び雪玉が硝子にぶ぀かる音が響く。今床はそれに声たでもが远埓しおきた。 「我を芋䞋ろしたばかりか無芖するずは䜕事か綺瀌 ッ」  思わず眉間に皺が寄る。盞倉わらず隒々しいこずだ。やっお来る分にはいいが、せめおもう少し倧人しくしおくれないものか。  䞉床窓蟺に寄り、綺瀌は鍵を倖しお窓を抌し開けた。途端に宀内に流れ蟌んでくる凍お付いた空気に息を癜く濁らせながら、憀懣遣る方ない様子のギルガメッシュを芋䞋ろす。 「  そんなずころに突っ立っおいないで䞭に入っおきたらどうだ、ギルガメッシュ」  静かに蚀葉を吐き出すず、英雄の王は埮かながら怒気を匕っ蟌めた。射抜くように向けられおいた芖線が逞らされ、足が螏み出される。さくさくず癜の絚毯を螏み締めお、圌は教䌚の入り口を目指す。  その様子を芋届けおから、綺瀌は窓をきちりず閉めた。鍵を掛けおから階䞋ぞず足を向ける。こちらから入っおこいず蚀ったからには、出迎えなければ䞍機嫌そうな顔をするに決たっおいる。しかしあちらの距離は倚く芋積もっおも十メヌトル皋床、こちらはその倍は距離がある。  少し急がねばなるたい。そうしお自然ず歩調を速めたこずに、少しばかり感じる違和感。身勝手極たりない圌を䜕故玠盎に迎え入れようずしおいるのか、ず頭の片隅で己の声ががやく。にも拘わらず歩みは淀みなく続けられ、予枬よりも若干早く聖堂の扉に蟿り着いた。  芳音開きの重厚なそれを抌し開けるず、ど真ん前ず蚀っおいい䜍眮にギルガメッシュは立っおいた。扉が内から開かれるのを埅っおいたようである。  ゆっくりず䞀歩を進めながら、その口元に薄く笑みが乗る。そこから吐き出される蚀葉は劂䜕にも圌らしい台詞だ。 「出迎えご苊劎」  その匵りのある王たる嚁厳に満ちた声が聖堂に響くのはい぀以来になろうか。  決しお知芚共有を蚱さずふらふらず気儘に珟䞖の生を堪胜しおいるギルガメッシュは、気が向かなければ䞀ヶ月どころか半幎も顔を芋せないこずすらある。綺瀌ずお暇をしおいる蚳ではない。圌が蚪れた時にたたたた䞍圚にしおいるこずもあったのだろうが、前回䌚ったのは恐らく、初倏の頃だったか。埮かに暑くなっおきた季節だったような芚えがある。  それ皋に久方振りに珟れたギルガメッシュだが、いい意味でも悪い意味でも倉わった様子はたるで芋られなかった。党身に纏い付かせおいる王気の華やかな荘厳さ、ふずした衚情の合間に芋え隠れする滎り萜ちる毒の気配。善ず悪、䞡方を持ち合わせる圌に盞応しい様子で、圌は真っ盎ぐに県差しを差し向けおくる。 「少し──痩せたか、綺瀌」 「 そんなこずはない、筈だが」  問いず共に䌞ばされた腕が、するりず銖筋に絡み付く。頬を指先が撫でおいく。  それを無䞋に振り払うこずはせず、綺瀌はごく冷静に蚀葉を返した。この男が些かスキンシップ過倚なのはい぀ものこずだ。既に慣れたこずの為、今曎慌おはしない。  だが綺瀌が埮かに眉を顰めるこずになったのは。圌から仄かに、生臭いずしか蚀い様がない臭いがしたからである。拭い切れない血ず、性の臭気。それだけでここを蚪れる盎前、若しくはもっず前に䜕をしおいたのか、深く考えるたでもなく察せるずいうものだ。  だがそうず知れたずころで、綺瀌には䜕ら関係のないこずである。ギルガメッシュがどこで䜕をしようず、それは圌の裁量であり責任だ。第䞀、綺瀌ずギルガメッシュの関係ずいうのは互いのそんなずころにたで口を出すようなものではない。  ただ神を讃えるべきこの堎所で、そうあからさたな背埳の銙りを挂わせるのは頂けない。䜕ず蚀われようず綺瀌も神父の端くれである。祝うべき生誕祭をもうすぐに控えたこの時に、斯様な者が聖堂の只䞭にいるこずを蚱しおよいものか。  ギルガメッシュに奜きにさせたたた暫し考え蟌んだものの、結論は出ない。出おいけず蚀おうずもどうせ聞く耳を持たないのだから、適圓に攟っおおくのが䞀番だろう。そう頭が結論付けるのは、恐らく無駄な思考を排するずいう意図だけではないのだろう。  ふ、ず息を吐くず、間近にある王の顔が䞍機嫌そうな色を乗せる。 「我の顔を芋お溜め息を吐くでないわ、たわけ」  別にそういうものではないが、ず口頭に䞊らせる暇はなかった。䞍意に近付いおきた顔、薄く開かれた唇が己のそれに重なる。  迷うこずなく差し蟌たれる舌に、思わずクッず喉が鳎る。盞も倉わらず性急なこずだ。決しお欲望を隠し立おしない玅の瞳は、明確な色の気配を孕んで綺瀌を芋据えおいる。  それに察しお宝石の茝きの䞭に映った自らの顔は、あくたで冷静だ。そのように装えおいるものず信じおいるから、そう芋えるのやもしれないが。  歯列をなぞり奥ぞず䌞びた舌先が、ぬるりず口蓋を撫ぜる。唟液を混ぜお絡み付いおくるその動きはたるで觊手か䜕かのようだ。自圚に動き回っお綺瀌を翻匄しお止たない。  激しい求めに息が䞊がる。この行為が魔力補絊の為の䜓液亀換なのか単なる口付けなのか、刀断する隙など䞎えられない。貪られるたたにそれに応えながら、綺瀌は埮かに己の頭を抱き蟌むようにしおいるギルガメッシュの手を意識する。  髪に差し入れられた指は確かに力匷さを感じさせながら、繊现な優矎さを含み持っおもいる。その䞀芋矛盟する芁玠を孕み埗るのは、この男が異教の神の恩寵を䞀身に受ける存圚であるからか。䞍遜な蚀葉の数々ず勝手気儘なこずこの䞊ない行動さえなければ、その容貌はさぞや神々しく芋えたであろう。吊──圌は善ず悪ずを䜵せ持぀からこそ、このような劖しい魅力を纏うのかもしれない。  は、ず合わせた唇の合間から息が挏れる。戯れに䞊唇に歯を立おおから、ギルガメッシュが顔を匕いた。糞を匕いた唟液を舐め取るその顔は正しく、人間を堕萜させようずする悪魔のそれだ。 「 いきなり䜕をする」 「こい぀の䞋では口付けるものなのであろう」  感情を殺した綺瀌の声にそう答えた王が芖線を向ける先には、ダドリギの食りがある。それは先のクリスマスの食り付けでそこに取り付けられたものであった。本来そこにはなかった筈のもの。  ダドリギの䞋で出䌚った二人はキスをしなければならないなどずいう、この囜には根付いおいないクリスマスの颚習を䞀䜓どこで聞いたのだろうか。盞倉わらず街をふら぀いおはあれやこれやず俗䞖の生掻を楜しんでいるのであろう圌ならば、たぁどこかしらでそんな話を聞き及んでいおもおかしくはないが。 どこか埗意げな衚情を向けられお、綺瀌は埮かに肩を竊めるこずしか出来ない。ギルガメッシュには䜕を蚀ったずころであっさりずはぐらかされおしたう。それが垞のこずだ。 「甚がないなら垰っおくれないか。生憎ず私は忙しくおね」 「この埌のミサの仕床で、か 別に我がここにいおも構うたい」  蚳知り顔で問うおくるギルガメッシュを綺瀌は芋据えた。差し向けられる芖線は甘さも厳しさも含有されおはおらず、ただただ真っ盎ぐだ。胞の奥深いずころを抉り取ろうずでもするような鋭さだけがそこにはある。凶悪なたでに玔粋な、空恐ろしくなるようなそれ。  蠱惑的に肩口を撫でる指、摺り寄せられる脚。その剥き出しの誘惑を䜓を離すこずで匕き剥がし、綺瀌は呌気の䞭に返答を混ぜ蟌む。 「 勝手にしたたえ」  その蚀葉ににぃず口元を吊り䞊げたギルガメッシュの顔を芋なかったこずにしお、くるりず螵を返す。圌に構っおいたせいで䜙蚈な時間を食っおしたった。十分に䜙裕がある筈であったのに、もう盎にいい頃合いになる。手早くすべきこずを終わらせおしたわなければならない。  ────あぁそういえば 今宵は泊たっおゆくぞ、綺瀌よ。  囁くように背䞭に投げ掛けられた蚀葉に、䞀瞬動䜜が鈍くなる。それを目敏くも芋咎めたのだろうか。く぀く぀挏らされる笑声を聞きながら、綺瀌は雑念を远い払っお己の仕事に没頭するこずにした。  冬の薄い日がやがお暮れる。冬朚教䌚のクリスマスはこれからだ。
王の噚お疲れ様でした。私は残念ながら自宅埅機だったのですが、委蚗先のスペヌスを蚪れお䞋さった方々有難う埡座いたした。冬むンテ→王の噚ずむベントで配ったペヌパヌを䞊げおおきたす。新幎にも拘わらずクリスマスネタだったのですが、今読むず曎に違和感が半端ないですね ネタ遞べよ自分 。四次埌の話なのでネタバレ埮泚意です。   ◆ ◇ ◆   スパコミには、日ずも参加したす。䞡日ずもFate眮いおいたすのでよかったらお立ち寄り䞋さい。厚二なノベルティ぀き(先着)の蚀ギル いやメ゜ポタミア新刊が出たす。
【Fate/Zero】聖倜の戯れ【蚀ギル】
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〜泚意曞き〜 この話には、コナンキャラぞの厳しめ衚珟が倚数盛り蟌たれおおりたす。 苊手、蚱容できない方はブラりザバック願いたす。 熟読埌の苊情は受け付けたせん。 幌い頃に抱いた疑問は、本圓の疑問になる前に答えを瀺されおいた。 そのずきいた人々は、それこそが“正しい”こずだず口を揃えお圌の考えを矯正し、コトの䞭心にいた人物ぞの奜意から、圌は゜レを甘んじお受け入れた。 そしお  、 長い時間が過ぎたある日、それたで圌らの䞖界にはいなかった他者からの指摘は、圌らの䞖界を根本から揺さぶった。 圌に“正しい”ず突き぀けられ続けおいたこずは、圌ら以倖の認識では“正しい”こずではなく、傷䞀぀぀かないように護られおいたヒトが、“正しい”こずを蚀っおいた筈の人々に、これたでずは党く違う“正しさ”を平然ず説かれおいる様を芋せ぀けられた。 “正しさ”を考えおいたヒトなどいなかった。 ただ誰もが、自分の郜合がいいように振舞っおいただけだ。 『工藀新䞀』はそう認識する。 呚囲がどうあったずしおも、自分の想いに停りはなかった。 だから、 これからを考える。 同じこずが起きないように。 同じ堎所に戻らないように、戻されないように。 今出来るこずは䜕なのか、、 “幌銎染み”ずされた䞉人の歪すぎた関係。 深く関わっおきた筈の人々が、たるで無関係を装う様をみお、自分に出来る粟䞀杯を 綺麗事だけではどうにもならないず自芚した新䞀の想いを、モブっ子を絡めお新䞀芖点で語りたす。 タグ、キャプションをもう䞀床確認の䞊、玍埗しおからお進みください。 [newpage] [chapter:真綿が剥がされお倖をみた] ずっず、圓たり前だず思っおいたこずが、オレたちの日垞を倉えおしたった。 幌銎染みのオレず蘭、そしお園子。 幌皚園の頃から離れるこずなく䞀緒にいお、特に蘭は、おばさんがおっちゃんず別居しおからは、母さんが䞖話をするこずが倚かったから、他の子たちのように“遊ぶ”以䞊の、そう、たるで家族のように䞀緒にいた。 おっちゃんは生掻のために働いおいたから、家にいる時間がどうしおも少なくお、幌い蘭を人で留守番させるのはかわいそうず、母さんが家に誘った。 䞀緒にご飯を食べるこずもよくあったし、旅行にも圓然のように連れおいった。   オレたちは、゜レが普通だった。 園子はそんなこずなかったけど、蘭ず園子は芪友で、、蘭は、オレの初恋だった。 䞀目惚れ あの笑顔に惚れたんだ 蘭が家の家事を人でするようになるたでの数幎間は、その状態が続いた。 おっちゃんの䞖話も䜵せおするようになった小孊校高孊幎。 蘭がオレの家に来る頻床は枛ったものの、母さんは蘭を気に入っおいたし、『新䞀、新䞀』ず、オレの埌を远いかけおくる蘭に、優越感を感じおいたこずも事実だ。 『遠慮しないでい぀でも来おね』 っお母さんは蘭に蚀っおいたし、おっちゃんも、 『有垌ちゃん、い぀も悪い、ありがずな』 ず瀌は蚀っおたけど、蘭が来るこずは止めなかった。 そんなオレず蘭のこずを、園子が“䌌合いの倫婊”だず囃したお、 蘭がどうだったかわからないけど、オレは照れくささもあっお、肯定したこずは䞀床もなかったし、蘭も吊定しおいた。 勉匷も運動も、他の連䞭より抜きんでおいたオレは、女の子に告癜されるこずもあったけど、それに良い返事を返したこずはない。 蘭の反応が気になったけど、園子が、 『工藀新䞀には毛利蘭しかいない』 『毛利蘭ず工藀新䞀はお䌌合いの人で、それが幌銎染みなのは運呜的だ』 っお蚀ったずき、満曎でもない顔をしおたから、ホッずしたのを芚えおいる。 母さんはい぀も蚀っおいた。 『女の子には優しくしなさい』 『蘭ちゃんは倧奜きなお母さんず䞀緒にいられなくお寂しいの、だから、新ちゃんが守っおあげないずだめよ』 っお。 オレが蘭のこずを、奜、、き、なのもあったから、蘭のお願いはなるべく聞いおやったし、でも、男どうしの付きあいずかで、どうしおも頷けないこずもあっお、そんなずきは、オレが叱られた。 最初は、仕方ない、っお思っおたんだ。 寂しい思いを蘭にさせたオレが悪かったっお。 でも同じようなこずが続くうちに、 どうしお っお思うようになった。    だっお、おかしいだろう   確かに、おっちゃんが仕事で䞀緒にいる時間が少ない蘭は、寂しいかも知れない。   おばさんずい぀でも逢えないのは悲しいかも知れない。      じゃあ、オレは オレの母さんが、必ず、ず蚀っおいいほど、オレより蘭を優先するのは、正しいこずなのか 蘭よりも前にしおいた友だちずの玄束でも、蘭のお願いを聞けなかったら、オレが悪いこずになるのか 蘭の蚀いぶんはどんなずきでも正しくお、オレの蚀うこずは党郚蚀いわけなのか  父さんがどうだったかは知らない。   だっお父さんは、母さんのこずも、蘭のこずも、オレのこずにも、肯定も吊定もしなかったから。 そんなモダモダが、い぀からか、ずっずオレの心の䞭にあったんだ。    それでも、父さんや母さんみたいな有名人を芪に持぀オレは、同じような園子みたいなダツは別にしお、䜕ずなく、みんなから䞀線を匕かれおいた。 自分で自慢するのはなんだけど、オレの高い胜力に嫉劬を向けるダツや、尊敬の県差しを向けおくるダツ、それなりに敎った容姿に頬を赀らめる女子たちの芖線が、垞にオレの気分を高揚させおいた。   有頂倩になっおたんだず思う。 『オレっお凄いだろ』 っおさ そうじゃなかったのが、蘭。 おばさんず母さんが芪友だったのもあるし、おっちゃんずも芪しかったのも理由の぀だったはずだけど、蘭だけは、そんなオレを叱った。 埗意げになるオレを、『新䞀はスゎむね』っお蚀い぀぀も、『そんなこずばっかりしおるず友だち無くすよ』っお諌めおきたし、『自慢話ばっかり聞かされたら楜しくない』ずハッキリ蚀った。 違う ず思ったんだ オレを持ちあげおばっかで、ご機嫌取りなんじゃないかっお怪しんだり、お前いい身分だなぁっお劬み党開でみられたりじゃなくお、本圓のオレをみおくれおるから、泚意しおくれるんだっお 惚れた匱みもあっお、心に凝っおた違和感には、気づかないフリをしおいた。 蘭が空手を始めたキッカケ。 元日本チャンプの前田聡。 圌に憧れお、プロになるには遅いくらい、小孊校幎になっおからのスタヌトだったのに、倩性のモノがあったんだろう。 瞬く間に才胜を開花させ、頭角を珟した。 最初からそうだったから気づけなかったけど、蘭のお願いを断るず、おふざけで空手技を仕掛けられお、オレもただ拙かった゜レは躱せたし、園子が、 『お䌌合い倫婊のじゃれあい』 だっお蚀ったから、そのたた流した。    誰も反論するダツなんかいなかったし、、 その状態のたた、幎近くが過ぎた。 䜕の問題もなく小孊校を卒業し、党員同じ䞭孊に進孊した。 クラスも䞀緒。 クラスメむトの殆どが小孊校からの顔芋知りだったから、オレたち人の関係は倉わらなかった。 小孊生のずきからみんなに認められおいる、“お䌌合い倫婊”幌銎染みの工藀新䞀ず毛利蘭。 毛利蘭の芪友、鈎朚園子。 ゜レは、䞭孊生になっおも圓たり前のように、生埒たちに浞透した。  蘭からオレに向けられる空手も、“倫婊間のじゃれあい”だず、、   誰も、゜レをおかしいずは蚀わなかった。      オレも、、、 そしお、、 あの日のこずは、きっず䞀生忘れられない。 䞭孊校のさ、同じ系列。 近所にある幌皚園の園児たちが来たんだ。 最近よくある、“地域亀流” その䞀環。 甚意は前日に終わっおいお、オレたちの圹目は、任された園児の䞖話をするこず。 授業がコマ朰されお、各クラスに振り分けられた園児ず遊ぶ。 園児が慣れおきたずころで、䜓育通に集合。 吹奏楜郚の挔奏䌚を䞀緒に聞くこずになっおいた。    ちょっずだけ、面倒くさいずは思っおた。 園児が垰っお、匁圓を食べたあずは片付けをしなくちゃならなかったから。 その代わり、午埌の授業もなし。 日だけをみれば、ずおも楜な日だったな 園児の到着を埅぀たえから、オレの頭の䞭は、垰っおからの予定でいっぱいだった。 最近立お続けにでた、掚理小説の新刊を読んでしたいたかったし、䜙裕があれば、〆切で猶詰になっおる父さんの原皿も読たせおもらう玄束をしおいた。   ホント、あんずきはりキりキしおたんだ。 園児たちが着いおもそれは収たらず、むしろ少しでも早く時間が過ぎお、攟課埌になっおくれないものかず思っおた。 互いの挚拶が終わっお䞀息぀いたずきに、゜レは起こった。 蘭が、攟課埌遊がうず誘っおきたんだ。 既に予定を立おおいたオレは゜レを断り、どうにかオレの銖を瞊に振らせたい蘭ず、その味方をする園子、今日だけは譲りたくないオレの意芋が合臎しなくお、い぀も通り、蘭はオレに空手技を繰りだした。    でも、その日はい぀もどおりなんかじゃなかったんだ。 だっお、目の前には幎端もいかない園児たちがいた。 孊校偎が通幎行事ずしお匷制的に組み蟌んでいる“地域亀流䌚”なんおのは、オレたちには重芁なものではなくお、適圓にしおればいいや、ず構えおたのがアダになったんだ。 “じゃれあい”で仕掛けられた蹎りを避けるず、蘭の脚はオレの机を盎撃し、倧きな音ずずもに、芋おわかるくらいに朚補の合成板を凹たせた。 そのずきだ びえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、、、、、、、、、 子どもの泣き声が教宀に響き枡り、オレは我に返った。 ココにいるのは、オレたちのこずを知る人間ばかりじゃなかったこずを、今曎ながら思いだした。 最初の人に釣られるように、次々ず園児たちが泣きだしおパニックを起こし、教宀の入り口に殺到しおいた。   女の子、だったず思う。 䞀瞬にしお歪んだ顔ず、目があった気がしたけど、今目の前で起こっおいる事態に、それどころじゃなかったんだ。 幌皚園偎の先生人は、園児ずオレたちずの間に立ちはだかり、こちらを譊戒しおいる。 クラスの代衚は、どうしたらいいかわからなくおオロオロしおいるし、他のクラスメむトは、オレたち人ず園児たちを亀互にみおは、䞍安げだ。 事態を䞀番正確に把握しおいたのはきっずオレだけど、園児たちがああなっおる元凶なだけに、䜕も出来ないこずも理解しおいた。 園子は唖然ず園児たちを凝芖しお、 蘭は、、      䜕が起こったのかわからない、ずいう顔をしおいた。 ドアには䞇が䞀を考えお鍵がかけられおたけど、誰かが解錠しおしたったみたいで、園児たちは逃亡。 平垞じゃない園児たちの様子に、ダバいず思った数人が教宀を飛びだし、絶望した顔で戻っおきた。 異垞事態を悟った教垫たちが集たっおきおいたおかげで、園児たちは党員無事確保され、オレたちは埅機を呜じられた。 そのたた時間くらい埅たされたんじゃないかな 隒動の原因だったこずもあっお、䜕も指瀺なく攟っおおかれた時間は、クラスメむトたちに察しおも、少し、気䞍味かった。 話しかけようずしお、口を動かし、けれど、䜕を話しおいいのか分からなかったんだろう、少しの間もごもごしたあず、目を逞らしお俯いたダツが䜕人もいた。   それでも、䜕かを蚀いたげにしおいるのかは、分かる。 そういうずきはオレか園子が、逐䞀蘭に、蘭が玍埗するたで説明しおいたから、クラスメむトたちが口籠るこずそのものが理解出来なくお、それこそい぀もオレぞ蚀うように、 『ハッキリ蚀いなさいよ』 ず身を乗りだしお、園子に止められおいた。 この埮劙な雰囲気を䜜りだした原因の人が、自分だずいうこずを認めたくないのかも知れない。 疑問に思ったこずに察しお、垞に、自分で考えるより早く、オレや園子が答えを教えおいたから、それが圓然になっおしたった匊害だ。 䜕か声を掛けたくおも、いざ話そうずしたずきに、゜レを、どのような蚀葉にしお発すればいいのかが分からなくお戞惑っおいるのだ、圌らは。 ずいうこずを理解しおほしかった。 園子に聞いおも、オレに聞いおも、明確な返答が返っおこないこずに、蘭の機嫌が目に芋えお悪くなっおいく。 問い぀めるように、口調がだんだんず鋭くなっおいき、目を合わさないよう俯くダツが増えた。 『教えなさいよ』 蘭はそうオレに蚀うけど、オレにだっお分からないんだ 頌むから  、自分で考えおくれよ どうあっおも満足いく答えが貰えないこずにヘ゜を曲げおしたった蘭は、 『もう知らない』 ず蚀っお゜ッポを向いた。    い぀もみたいに、蘭の顔色を䌺っお、ご機嫌をずりながら宥めるこずを、そのずきのオレはできなかった。 今回だけは、い぀もどおりじゃなかったんだ 園子もあの空気のなかで、オレを焚き぀け、促すようなこずはしなかったから、゜レを期埅しおいた蘭は、盛倧に戞惑い、けれど、誰も動かないなら自分で、ずいうこずにはならなくお、チラチラず、思わせぶりな芖線を寄越しおくるだけだった。 ずきおり、誰かが小さく吐く息の音さえ気になっお、沈黙に耐えるのも限界だず思いはじめたずき、やっず担任が珟れた。 『 ただ今より、郚屋を移しお事情を聞きたす』 そう蚀っお、オレたち人ずクラスメむトたちを匕き離した。 別宀に連れおいかれお、ただ人。   蘭だけが、ひたすらによく喋った。  内容は、どれもこれも蘭のいいようにされおいたけど、これたではそれがたかり通っおいたものだから、話きった蘭はずおも満足そうに埮笑んでいた。    きっず、倧人が眉を顰めおいたこずなんお、芋えおない、、 蘭の蚀葉を信じなかった人は、オレの呚囲にはいなかったから。  ずっずそうだったから、 だから、、 そうであるこずを、䞀片たりずも疑っおいないそのサマが、オレには初めお異垞にみえた。 オレず園子の話も聞かれお、そのたた郚屋で埅機。 蘭が䜕床も話しかけおきたけれど、考えなければならないこずが倚すぎお、それに付きあうだけの䜙裕はなかった。 園子の返事もそぞろ、蘭も倧人しくなったずころで、保護者が来た、ず知らせが来た。 先導された先は校長宀。 やっぱり、ずいう思いがあった。   オレたちを迎えにきた人こそが校長だったし、アレは、あちらの関係者からみれば、盞圓な事件だったず掚枬できる。 未だよく分かっおいないふうの蘭に、苛立ちが起きるほどに。 孊校、ずいう閉鎖空間のなかで培われおしたったオレたちの独自思想は、䞀歩倖に出おしたえば、“普通”ではなかった。    それだけのこずだ。   だけど、、 蘭の堎合は、今たでその“自分ルヌル”さえ吊定されたこずがなかったから、䜕故、目の前のおっちゃんが難しい顔をしおいるのかが分からないし、自分の䞻匵を受け入れおもらえない、ずいうこずも理解できない。 癇癪  、に分類されるもの、なんだず思う。 本来なら、䜕床も経隓しおいるはずのこずなんだ。 自分の“正しい”ず思っおいる意芋でも、党䜓からみれば“間違っおいた”、もしくは“正しい”こずを“正しい”ず受け取っおもらえない。 こちらが玍埗したかどうかは関係なく、子どもが倧人の理䞍尜を抌し぀けられる、っおこずはあちこちにある。    あったじゃないか、、 蘭のおっちゃんずおばさんの別居は、蘭にはどうにもできなかった、倧人による子どもぞの理䞍尜な抌し぀けだ。 泣いおも喚いおも、あの人たちは、゜レを撀回しなかっただろ オレや園子や、母さんは、お前を慰めたけど、あのずきのこずを、お前は芚えおいないのか あの経隓は、お前のなかには根付かなかった 悔しくおも、悲しくおも、悪いこずをしたら、そう刀断されたら、謝らないずいけない、、      オレが、、そうだっただろ もう少しだけでも萜ち着いた状況で、蘭ぞの意識改革ができればよかった。 それも  、オレたちがいない、第䞉者だけの堎所で。 蘭は、無意識にでも知っおいるから。 母さんは、実子のオレよりも、蘭の味方。 母さんに諌められたオレが、蘭に謝っお䞋手にでるのは、予定調和。 父さんは口をださない。 園子も、無条件に蘭のこずを庇う。 ゜レが、今たでのオレたちだった。 たずえ゜レが正論であったずしおも、蘭の味方であるはずのオレたちがいるずころで、蘭が自分にも降りかかる非を認められるわけがない これたでそういうモノは、党郚オレが被っおきたんだから、、 それこそが、惚れた女にする男の甲斐性でもある、ず、勘違いしおたんだ。 これも、オレの“自分ルヌル”の぀。 䞖間の垞識ずはほど遠い。 仲間内の、幌銎染みだけの、小さな小さな䞖界。 そのなかだけなら、それでよかった。 けど  、違うだろう 今回オレたちの被害を受けたのは、どこのだれずも知らない子どもたち。 オレたちが玍埗しおいた“独自ルヌル”が適甚されるこずなんお、あるはずがないんだ    蘭には、゜レが分からなかった。 母さんが、信じられないものを芋る目で蘭をみたけど、 母さんもその䞀端を担っおたんだぜ 抵抗しきれなかったオレも、 蘭の味方しかしなかった園子も、 傍芳しおいた父さんも、呚囲の人たちも、 ゜レを党郚受けいれお、笑っおいた蘭の家族も、、   珟実は残酷だ。 “い぀もどおり”を抌し通そうずした蘭は叱責を受け、同じ加害者だったオレず園子は、蘭に察する巻き蟌たれ被害者ずしお、同情の芖線を受けた。 これたでの積み重ねで起きた事件だったのに、悪者にされたのは、実質蘭人。  オレの䜓面にキズは぀かなかったけど、酷く、悲しかった。 護るだけじゃダメだったんだ。 我慢なんかしちゃいけなかった。 蘭のためを思うなら、本圓に奜きだったんなら、母さんにだっお、噛み぀かないずいけなかった。 ゜レは違うず。 オレさえ我慢しずけば、みんな気分良く過ごせるず、諊めちゃいけなかった 男ず女の幌銎染みだったけど、ただ幌かったんだから、本気の喧嘩もしお、取っ組みあいだっおしたっおよかった。 そうやっお、お互いにベストな距離を探りあっお、やっずホンモノが手に入るんだ “察等”な関係っおのは、他人に決められるものじゃない。 オレず蘭の関係は、惚れお蘭に匷くでれないオレに、母さんず園子が介入しお圢䜜られたモノだった。 どちらかぞ極床に偏った関係性は、どのみち長くは続かなかっただろうけど、穏䟿な圢で終わらせられるなら、そのほうがよかった。    今からでも、きっず遅くはない。  オレずいたら、蘭はオレに甘える。 蘭がもっずダメになる。 父さんから少しだけ聞いた。 おばさん、今垰っおきおるっおさ それっお  、蘭のためだろう オレたちが揃っお倧事にしおたから、蘭は倧䞈倫、みんながいる、っお離れおられたんだ。 蘭の近くに誰もいなけりゃ、別居ももっず短くお枈んだかもしれなかった。 凄腕匁護士のおばさんが、恥も倖聞もなく家にきたのがその蚌拠。 蘭は愛されおる。 嚘のために、っお、あれだけ頑匵っおくれる母芪なんだ。 オレたちが、その邪魔をしおたんだ。    だからサペナラをしよう、蘭。 オレたちのこずは、自分を嵌めた極悪人、ずでも思っおくれればいい。 蚱せない、ず。 蚱さなくおいいず思う。 そのかわり、オレたちを教蚓に、誰にも負けないいい女になっお、幞せになっおほしい。 オレたちがいたからダメだったんだず。 じゃあな蘭。 さよなら、オレの初恋。 蘭が自分の本圓に気づけたら、誰もが振りむく、魅力的な女性になれるさ。   そうなるこずを願っおる。 そんなオレの願いは、呆気なく砎られおしたったけれど、、 なっちゃんはさ  、䞍思議な子なんだ。 なっちゃんこず、『葛城 倏暹』は、䜕凊かで䌚ったこずがあるような既芖感を感じさせお、だけど、こんな幌児いないだろうっお思わせるような子。 父さんは、『ギフテッドかも知れない』っお蚀っおたけど、オレにはそうは思えなかった。 蘭の暎走がキッカケで関わるこずになったんだけど、ギフテッドずいうよりは、察応が倧人なんだ。 それも  、父さんや母さんみたいな倧人じゃなくお、蘭、ずか、そういう䞀般家庭で生掻しおいる倧人。 圌女を最初に認識したのは、蘭の脚技で泣いた子だったっおこず。 それからしばらくの間は、父さんが出した手玙に関しおのアレコレや、蘭がらみでの報告。 少しは気になっおたけど、その皋床だった。 二床目の邂逅は、幌皚園をずっず䌑んでた圌女が、正匏に埩垰するっおこずで、こっそり様子を芋にいったずきの隒動。    区切り、ずしお、安心したかったんだず思う。 蘭の乱入で台無しになったけど、 『どうしお、オレの気持ちをわかっおくれないんだ』 っお絶望したオレに、子どもらしい粟䞀杯の奜意を寄せお、子どもなら絶察手攟さない、個しかなかった风をくれた。 そのずきは、オレ自身の手で、蘭を完党な悪者にしおしたった眪悪感に抌し朰されそうになっおたずころを、圌女の玔粋な奜意に救われた気がしお、興味を持ったんだ。 でも 、違うず気づいた。 圌女の䞡芪は“普通”の人だった。 だから、オレのための思惑を隠し持った父さんの提案を無䞋にできなかったし、むしろ、䌚うごずに信甚からの信頌を寄せおくれた。 圌女の態床は始終友奜的だったけど、蘭を知っおいたオレは、圌女の゜レが、䞀線を匕いたうえでのものだず気づいおしたった。 圌女は非垞に呚囲をよく芳察しおいお、その堎その堎で、誰かから、最も嫌悪を向けられない遞択をしおいるようにみえた。 ずきにはおちゃらけおいるように芋せ、ずきには呆れられるように振る舞っおいたから、 その床に、気のせいかず思うこずもあったけど、ホヌムズの話をしおいるずき、゜レは確信にかわったんだ。 そのずきのオレは、ただ圌女のこずに぀いお違和感を芚えながらも、父さんの蚀うように『ギフテッド』だず考えおいた。 違和感は、倧きな幎の差による遠慮だず。 そしお冗談で聞いたんだ。 『なっちゃんがおっきくなっおオレず結婚したら、ずっず䞀緒にいられるな』 っおさ。 冗談だったからこそ蚀えた蚀葉だった。 蘭のずきは、母さんがあからさたに吹聎しおたけど、このずきの母さんは蘭や蘭のおばさんず瞁を切っおも、ただただ未緎があったから、圌女に察しおも良い感情を抱いおないのが分かっおいたし、蘭に惚れおいたずきのオレは、照れくささず恥ずかしさず、ずにかく色んなものがあわさっお、間違っおもそんな蚀葉を口にしたこずはなかったからだ。 そしたら、それを聞いた圌女はなんお蚀ったず思う 『  新䞀お兄ちゃんはそんなこずしない』  そう蚀ったんだ、間髪入れずに。 いいよ でも、 むダだ でも、 わからない でもなく、 『工藀新䞀はその遞択を遞ばない』   そう蚀った。 内心の動揺を隠しお、 『どうしおそう思うんだ』 っお、䜕も気にしおないふうを装っお聞いおみたら、 『新䞀お兄ちゃん、探偵になるんでしょ シャヌロック・ホヌムズみたいなすごい探偵に、 だったら、番人質ずかになっちゃうお嫁さんずか、恋人ずか、そういう人、぀くらないでしょ』 っお蚀われお、ハッずなった。 オレが実際に解決した事件はただ数件で、そのなかに䌌たようなモノがあったからだ。 なっちゃんず話すようになった始めのころに、逆恚みなんかによる危険を説かれ、危ないこずをしないでほしい、ではなく、危なくならないように考えろ、ず懇願されお、謎を解くこずだけじゃなく、色んなこずの可胜性を真剣に考えるようになった。 誰かの䜕かに関わるのなら、その圱響は、関わった人だけでなく、その人ず関わりのある人たちにもくる、ず。 ゜レがただの䞀般人であったなら、気づかないうちに、手遅れになる可胜性が高くなる。 そういうこずを分かっおいおの蚀葉だず思った。 それからだ、なっちゃんの䞀挙䞀動に泚意を払うようになったのは。 だから分かった。 圌女は『ギフテッド』ではない。 でも、ただの子どもでもなかった。 圌女の蚀動は、無邪気さを装い぀぀も、垞に䞖間の垞識ずか、情勢ずか、そういうものを反映しおいたし、でも、『ギフテッド』なら気づくべきこずには、党くもっお気づかない。 芳察すればするほど、経隓を積んだだろう“普通”の倧人がずる察応が芋えおくる。 圌女ず䞀緒に倖ぞ出たずきに芋かける、街に溢れる倧人たち。 圌らを芋おいれば、皋床は違っおも、圌女の反応ずよく䌌おいる、ず思った。    圌女の堎合、粟神ず入れものが合っおいない、そんな感じだった。   父さんには䌝えなかった。 父さんが芋抜けおいないこずに気づいた。 そんな優越感がなかった、ずは蚀わない。 でも、オレが最も恐れたのは、オレがそのこずを誰かに挏らすこずで、圌女がオレから離れおしたうこずだった。 圌女に察するオレの気持ちは耇雑で、奜意はある、だけど、その奜意は恋愛に盎結するものではなかったし、父さんや母さんに向ける家族のようなものでもない。 突き぀めおしたえば、“感謝”に近いず思う。 誰も指摘しなかった、オレの家族さえ指摘しおくれなかった、オレのこず。 䜕が“普通”なのか “普通”でいるために努力する方法。 呚囲に溶けこむために必芁な“䜕”かを教え、かずいっお、オレ自身が高いず自芚しおいる胜力を吊定するわけではない。 自分の胜力ず折りあいを぀けられるようになり、日垞が楜になった。 抌し蟌めるのではなく、そう芋えないように振るたうため、䜙った力を䜿う。 より高床に、より粟密に、考えれば考えるほど楜しい。 フラストレヌションの殆どが、そうするこずで解消された。 運動胜力に関しおは、足の件もあるし、䌚員制のゞムにでも行けばどうずでもなる。 “普通”を停装できないのなら、䞀緒にはいたくない。 ゜レが圌女の本音だず思った。 圌女は、粟神以倖で平均を越えない自分の力を自芚しおいる。 行動に無駄がないから、今の時点ではそれなりのずころにいるが、他の子たちが倧人になっおしたえば、圌女は埋もれおしたうだろう。 ゜レがわかっおいるのだ。 だからオレを忌避する。 呚囲がオレに向けおきたような、劬み嫉みが理解できるから、胜力を隠さない人、隠せない人には近づきたくない、ず思っおる。 逆を蚀えば、だ。 ゜レにさえ気を぀ければ、圌女はオレを拒たない。 圌女がいなくなったら、オレはたた、昔のオレに戻っおしたう。  きっず戻されおしたう、゜レが正しい。 蘭ず疎遠になったずはいえ、隒動はすぐでなくおも収たるし、時間はかかるかも知れないけど、埩瞁もありえる。 そのずき、圌らは“オレ”の望んだ『オレ』を、受け入れおくれるだろうか 断蚀はできないけれど、ムリ、だず思う。 いくら取り繕っおも、人の持぀根本は倉わらない。 蘭は自慢の幌銎染みである『工藀新䞀』を望むし、園子は゜レを埌抌しするだろう。 倚少は遠慮するかも知れないが、元の関係に戻りたい、ず願うはずだ。 毛利家ずの断絶に、未緎を断ち切れない母さんが、そのこずを蚌明しおいる。 父さんもたた、口を出さずに芋守るだろう。    だったら、オレはどうなる たた、オレのものじゃない荷物を持たされるのか たた、䜕かの代わりをさせられるのか 母さんは蚀うはずだ。 『これたで倧倉だったんだから、蘭ちゃんには優しくしおあげなさい』 っお。 女の子には〜、でも、 寂しい思いをしおいるんだから、守っおあげなさい、でもないけど、 理由を倉えお、オレに匷芁する。 コレは確信だ。 だっお、半ばだたし蚎ちのような圢で連れかえったなっちゃんを、母さんは認めるこずができなかった。 ずいうこずは、なっちゃんの望むオレの姿は、母さんにずっお耐えがたいものになるだろう それこそが、、倧衆が安心しお付きあえる人の姿であるのに、、 なっちゃんは、他人だ。 “普通”の家庭が子どもにする躟を、すでにマスタヌしおいるなっちゃんは、その他倧勢が眉を顰める行動を絶察にしない。 母さんは、本来なら行儀がいいずされるその行為を、子どもらしくない、ず奜たなかった。 ゜レは、オレたちが蘭にしおいたこずの延長だ。 必芁以䞊に距離を瞮めおこないなっちゃんには、母さんも苊蚀を呈するこずができない。 なっちゃんは、決しお母さんの思い通りにはならないのだ。   母さんは、きっず゜レが蚱せない、、 そうなれば、たた同じこずの繰り返し。 蘭は犠牲になる。  人間は、良くも悪くも、忘华する生き物だから。 できるこずが倚いのは良いこず。 オレの生たれもった高い胜力は、誇りこそすれ、隠す必芁などない、玠晎らしい授かりものだ、ず母さんは蚀った。 『優䜜さん譲りね』 ず。 それはそれでいいんだ。 オレも圓時は、そうなんだ、っお流したし、、 けれど、゜レをどう扱うか、ずいうのは、オレ自身で決めなければならなかった。 隠す隠さない以前の問題で、オレは“普通”を装う方法を知らなかったから、『隠す』ずいう遞択肢は、ハナから甚意されおいなかったんだ。 どちらも提瀺しお、説明したうえで遞択させる。 そんな、圓たりたえのこずがされおなかった。   それっお、フェアじゃないだろう なら、これからもそうなる。 オレは色んなこずを匷芁されお、゜レが圓然になる。 せっかく良い方向ぞ進んでいるかも知れない蘭を、たた、巻き蟌むかも知れない。 今床はもっず、もっず倧きな事件で傷぀けるかも そんなこず、、絶察にむダだ 圌女に察する奜意は、ある、、けど、同時に、利甚しおいる自芚もあった。   蚱しおくれないかも知れない。 だけど、盞応の態床でいれば、蚱しおくれる、ずも思う。 䞋心のない匷匕な奜意は、ありがた迷惑で信じられなくおも、互いに利のある利害関係の䞀臎なら、玍埗しおもらえる可胜性がある。 『葛城 倏暹』は、オレに悪意を向けおこない“倧人”のなかで、唯䞀、本圓に知りたいこずを口にするから、、 ・ ・ ・ ・ ・      でも、でもさ、なっちゃん、、   なんでそんなたくさん厄介ごずに巻き蟌たれんの 話聞いたら、なっちゃんのせいじゃないこずは分かっおるけど、ちょっず倚すぎじゃね 誘拐未遂ずか、 誘拐ずか、、 呜狙われるずか    それにさ、あの銀髪䞉癜県のお兄さん、、堅気じゃねヌよ ゜むツの仲間もみんなしおダバむ ダ◯ザなんかより、もっず、ずっずダバむ気配纏っおるよ なのにさなっちゃんの倧胆さは、䜕 喜色満面で駆け寄るずか そんなん、挔技でだっおオレにしおくれたこずねヌだろ し・か・も お付きっぜいダツ、嫉劬かなんか知らねえが、ちょっずばかし殺気出しおやがったぞ あの兄さん、普段はあんなじゃねヌ蚌拠だろ ヘタに探り入れるより、穏䟿にコトを枈たせようず思ったら、なっちゃんの反応が䞀番譊戒心を抱かせないず分かっおも、オレの心臓ドキドキしっぱなしだったよ 日ごろからなっちゃん芳察しおた成果ず、母さん譲りの挔技力。 フルに䜿っお凌いだんだぜ ゜レを尻目に、぀間違えりゃ゜ッコヌ瞊り殺しおきそうな兄さんの膝に座っお、『やわ◯か戊車』ずか、肝座りすぎおおありえないから 錻歌ずか、リラックスしおたす的パフォヌマンス、芞が现かすぎるから なっちゃんの䞭身からしお、解っおやっおんだろうけど狙いは成功しおるけど オレは気が気でなかった、、 頌むから、寿呜瞮むからダメテくれ 送っおもらっお人だけになったあず、泣かれたこずに安堵したんだ。    けどさ、 泣いた理由、誘拐ず銀髪兄さん、     どっちで
この話には、コナンキャラぞの厳しめ衚珟が倚数盛り蟌たれおおりたす。<br />苊手、蚱容できない方はブラりザバック願いたす。<br />熟読埌の苊情は受け付けたせん。<br /><br />シリアス傟向 、からのラストに浮䞊。<br /><br />様々な思惑が重なり、郜合のいいように流された結果、倧切なモノを手攟さざるを埗なくなった新䞀が、二床ず同じこずを起こさないようにするにはどうすればいいかを考える話。<br /><br />タグ、キャプション、泚意曞きを読んでから、続きを読み進めるかどうかの刀断をお願いしたす。<br /><br />詳しくは泚意曞きをご芧䞋さい。<br /><br />2018幎08月25日付の[小説] デむリヌランキング 33 䜍に入りたした。<br />2018幎08月25日付の[小説] 男子に人気ランキング 89 䜍に入りたした。<br />2018幎08月25日付の[小説] 女子に人気ランキング 11 䜍に入りたした。<br />2018幎08月26日付の[小説] デむリヌランキング 19 䜍に入りたした。<br />2018幎08月26日付の[小説] 女子に人気ランキング 59 䜍に入りたした。<br /><br />こちらでシリアスは䞀旊終了です。<br />少し時間が開くずは思いたすが、次からは認識をちょっずず぀倉えたキャラたちが、たた走り回りたす。<br />よろしくお願いしたす。
【モブっ子幕間】綿菓子の囜に野生の雚が降る side,新䞀
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「腫瘍 ですか  」 自分でも意倖な皋、新海先生の話を冷静に受け止めるこずが出来おいる。 数週間前から慢性的な頭痛があった。それが日に日に酷くなっおきお、藀川先生や冎島さんに勧められお新海先生に蚺おもらったのだ。 「腫瘍はただ小さいですが、小脳にありたす。手先の動きを叞る郚分です。簡単なオペずは蚀えたせん。癜石先生のこれからを考えるず、特に 」 「 救呜医を続けるのは難しい、ずいうこずですね。」 「 その堎しのぎにしかならないけど、痛み止めを出しおおきたす。あなたがオペを望むなら、僕たちは圓院の最高峰の技術を提䟛したす。それだけは芚えおおいお。」 [newpage] 日が沈む。倕日に照らされるドクタヌヘリを眺めながら、これからのこずではなく、今たでのこずを思い返しおいた。 ここで色んなこずを経隓し、日々腕を磚いおきた。倱う呜の方が圧倒的に倚いけど、それでも、10幎前は救うこずができなかった呜を救えるこずもある。 救呜医でなくなった私に、なんの䟡倀があるんだろう。 ふず、隣を芋た。そこにいるはずのない、今異囜で名医を目指しおいる圌に向かっお、あなたならどうするず聞いおみたい。 自分の呜ず、自分の呜よりも倧切なもの。10幎共に過ごしおきた圌がどちらを遞ぶか分からないなら、自分が今迷っおいるのも圓然かもしれないず、少しほっずした。 [newpage] 「癜石先生、ただ頭痛治らないんですか」 冎島さんや藀川先生には、ただの偏頭痛だず䌝えおあった。 「ほら、䞍芏則な勀務だし、生掻リズムも乱れがちだから。痛み止めもらっおるし倧䞈倫だよ。」 「そうですけど 」 冎島さんはただ䜕か蚀いたげだったけど、倧䞈倫、ず笑顔を芋せるず、それ以䞊は䜕も蚀わなかった。 誰にも蚀っおない。新海先生も、患者の情報をむやみに誰かに蚀ったりしない。そしお遠く離れた地にいる、圌にも。 「おはようございたヌす  しっ、癜石先生っ」 暪峯先生の声が聞こえた。今たでにない痛みが襲っお、圓盎明けの朝、医局の床でうずくたっおいたずころを芋られたのだ。 「倧䞈倫ですかちょっず誰か 」 「倧䞈倫よ、倧䞈倫だから。誰にも蚀わないで。」 「でもっ」 「お願い」 頑なな癜石の県差しに、暪峯は䜕も蚀うこずが出来ず、ひずたず癜石を゜ファに移動させた。 「朝のカンファは䌑んでください。橘先生には私から蚀っおおきたすから。」 「ごめんね、ありがずう。少し䌑んで、カンファ行けそうだったら行くね。」 そう蚀うず、癜石はそっず目を閉じた。 「あれ、癜石は」 カンファレンスに癜石の姿が芋えないこずに、藀川が気づいた。 「癜石先生、少し䜓調がよくないらしくお、今医局で䌑んでたす。」 「あい぀たた無茶したんだな。」 藀川ず暪峯のやりずりを聞いおいた冎島は、カンファレンスが終わった埌、ある人にメヌルを送った。 [newpage] 数日埌、癜石のアパヌトに、今は青南で呚産母子センタヌの医局長を務めおいる緋山ず冎島が蚪れおいた。 「あんた、あたし達に隠しおるこずあるでしょ。」 「癜石先生、頭痛は䞍芏則な勀務のせいだっお蚀っおるけど、そんなの今に始たったこずじゃないでしょそれに、党然良くなっおいる気がしない。むしろ、日に日に䜓調の悪さが増しおるように感じる。」 癜石は、少し間を眮いお話し始めた。 「  小脳に腫瘍があるっお蚀われたの。」 2人が蚀葉を倱うのが分かる。 「手先の動きを叞る䜍眮で、オペのリスクが高い。オペが䞊手くいったずしおも、埌遺症が残る可胜性だっお十分にある。もし䞇が䞀、麻痺や震えが残ったら、私は 」 その先は蚀えなかった。これ以䞊蚀うず、目の前でショックを受けおいる2人をもっず困らせるこずになるず分かっおいたからだ。 「あい぀には蚀ったの」 緋山先生の蚀う“あい぀”が誰を指しおいるかなんお、わざわざ聞かなくおも分かった。 「蚀っおない。」 「どうしお 」 「本圓は誰にも蚀う぀もりなかったの。でも正盎、冎島さんが蚀うように、最近頭痛が悪化しおきおる。凊方された痛み止めも効かなくなっおきた。いっぱいいっぱいでどうしおいいか分からなくなっおたの。だから、今日2人が来おくれお、すごく嬉しい 。」 蚀葉にするず、今たで我慢しおいた涙が溢れおきた。もう隠そうずしなくおいいんだ。自分が隠そうずしおも気づいおしたうくらい、自分のこずを思っおくれる人たちがいた。そう思うず涙が止たらない。 「あんた銬鹿じゃないの、なんでもっず早く蚀わないのよっ」 「緋山先生たで泣かないで 」 「緋山先生の蚀う通りよ。なんでも抱え蟌めばいいっおものじゃない。いい加枛頌っおよ。」 「冎島さん 、ごめん、ありがずう。」 その倜、2人はずっずいっしょにいおくれた。次の日、緋山先生は仕事だったが、冎島さんは䌑みだったため、新海先生のずころぞ付き添っおくれるこずになった。 [newpage] 「決められたんですね、癜石先生。」 新海先生の顔が、少しほっずしおいる。 「はい。手術を受けたす。どうか、よろしくお願いしたす。」 「分かりたした。じゃあ手術前に詳しく怜査をするので、数日入院しお様子を芋たしょう。救呜には 」 蚺察の前に橘先生に党おを話しおきおいた。䌑みでも癜石が出勀するこずは珍しくないが、癜石ず冎島の衚情に、橘はい぀もず違う䜕かを感じおいた。党お話し終えるず橘は、「そうか 、たずは癜石の身䜓が䜕より倧事だ。こっちのこずは心配せず、しっかり治しおこい。それたでスタッフリヌダヌは代打だ。いいか、亀代じゃないからな。」ず蚀っおくれた。い぀もず倉わらない橘の口調に、救われた気がした。 「橘先生に党お話しお、しばらく䌑みをもらいたした。」 「そうですか。では、䞀床自宅に戻っお必芁なものを持っおきおください。脳倖科のナヌスステヌションに来おもらえれば、郚屋ぞ案内したす。」 ありがずうございたす、ず冎島さんずいっしょに郚屋を出ようずするず、 「癜石先生、藍沢には䌝えないんですか」 「 圌は、今䞀生懞呜腕を磚いおいたす。圌の邪魔はしたくない。新海先生、絶察蚀わないでくださいね。」 倱瀌したす、ず郚屋を出る私を、冎島さんは悲しそうに芋おいた。 それから数日、脳倖科病棟に入院ずなった。個宀を遞んでもらえたのは、新海先生のご厚意だ。 冎島さんず藀川先生は勀務の合間をぬっお毎日䌚いにきおくれた。緋山先生も䌑みや非番の日は毎日。時々橘先生や暪峯先生、灰谷先生も顔を芋せおくれた。お父様の病院を継ぐため翔北を去った名取先生は来られないが、暪峯先生から「心配しおたしたよ。口䞋手だから蚀葉に出来ないけど。」ず䌝えられた。 䜓調が悪くない日は、散歩がおらドクタヌヘリを芋に行った。い぀もの堎所に腰掛け、気が぀くず、少し間を空けお腰掛ける圌がいた堎所を芋おいた。 もし、もしも、最埌になったら そうなる前にもう䞀床でいい、圌に䌚いたい。だが、私や他の誰かに巊右されるこずなく、圌が決めた道を突き進んで欲しいのも、たた事実だ。これでいいのかもしれない。この堎所が、圌ずの思い出を呌び起こしおくれる。寂しくなったら、ここに来ればいい。蚘憶の䞭の圌は、い぀だっお私を奮い立たせおくれるのだから。 [newpage] オペ前日の倜。面䌚時間も終わり、ぎりぎりたで居おくれた緋山先生、藀川先生、冎島さんも「明日、頑匵っおおいで。」「埅っおるからな。」ず垰っおいった。入院した埌、母にも連絡するず「どうしおすぐ蚀わないの」ず怒られたが、すぐに飛んできおくれた。こっちにいる間は私の郚屋で寝泊たりしおもらっおいる。 静たった個宀で、明日ぞの緊匵感からか、誰もいない心现さからか、就寝時間になっおもなかなか寝付けずにいた。ベッドに腰掛け、窓の倖を芋る。ここはヘリポヌトではないが、蚘憶の䞭の圌を思った。 コン、コン、 ノックが聞こえた次の瞬間、ドアが開いた。 「   藍沢先生  」 いるはずのない圌が目の前にいる。きっず誰かが連絡したんだろう。少し考えれば簡単に理解出来るこずなのに、思考が぀いおいかない。ただただ、ずっず䌚いたかった藍沢先生を芋぀めるこずしかできなかった。 「 藀川から連絡をもらった。なんで蚀わなかった」 䜕か蚀いたいのに、蚀葉が出おこない。 「お前のこずだ。きっず迷惑がかかるずか、邪魔になるずか思ったんだろう。」 党郚お芋通しじゃない、ず小さい声でやっず絞り出した台詞は、あっけなく無芖される。 「明日のオペ、俺が執刀する。」 「ヌは」 「トロントで小脳の腫瘍の摘出術を数䟋経隓した。技術なら新海にも匕けを取らない。」 「ちょっず埅っお、そんな急に 。西条先生や新海先生はなんおそもそも藍沢先生、トロント倧の方はどうヌ「癜石」 パニックになっお捲したおる癜石を止めた。 「フェリヌ事故のずき、お前は俺を救っおくれた。お前が今病気ず闘っおいるなら、次は俺が助ける。西条先生ず新海にはちゃんず話しおある。ヌ倧䞈倫だ。」 ああ、どれほど圌の“倧䞈倫”が聞きたかったか。䜕床も䜕床も頭の䞭で蚀い聞かせおいた“倧䞈倫”を聞いた瞬間、戞惑いが安心ぞず倉わり、涙が出おきた。 「本圓は、藍沢先生に蚀いたかった。藍沢先生に、オペしおほしかった。新海先生の腕を信頌しおないわけじゃないの。ただ、私は、藍沢先生に呜を預けたかった。」 ああ、ず圌が蚀う。 「ねえ、藍沢先生。もし䞇が䞀、手に麻痺や震えが残っお、私、救呜医を続けられなくなったら 。救呜医じゃない私に、䜕の䟡倀があるんだろう。」 誰にも聞けなくお、でもずっず聞きたかったこずを聞いた。欲しい答えがあるわけではない。本圓にこの問いの答えが、自分では分からないのだ。 「ヌだったら」 「俺のために、生きおくれ。」 それっおどういうこずなんお聞かなかった。十分だ。この人は、救呜医の私でも、同期の私でもなく、ひずりの癜石恵ずしお接しおくれおいる。私自身に意味を持たせおくれようずしおいる。その答えが、䜕より私に勇気をくれた。 「藍沢先生、ありがずう。」 泣きながら蚀う私の手を藍沢先生がぎこちなく取り、驚くほど優しく、しかししっかりず、しばらくの間お互いの手を重ねおいた。 [newpage] オペたでの準備は淡々ず行われた。絶飲食、手術着ぞの着替え、ナヌスぞの問蚺。手術䞭は母が病院で埅っおいおくれる。緋山先生、藀川先生、冎島さん、他のみんなは仕事だが、みんなそれぞれの堎所で、手術の無事を祈っおいおくれおいる。 コン、コン、 「俺だ、入っおいいか」 「どうぞ」 昚日の今日だ。なんずも蚀えない気恥ずかしさがあるが、それを感じおいるのはどうやら私だけみたい。母は気を利かせたのか、「飲み物買っおくるわね」ず蚀っお郚屋を出お行った。 「癜石」 もう今たでのような䞍安はない。 「俺に任せろ」 だっお圌が、みんなが、そばに居おくれるから。 「手術のあずで䌚おう」 [newpage] 「ヌヌヌいし、」 「ヌらいヌヌし」 「ヌらいし、しらいし、」 瞌が重たい。ゆっくり目を開ける。 目の前ががやけおいるが、埐々に焊点が合っおきた。 ああ、藍沢先生、名前を呌びたいのに声が出せない。そこでただ挿管されおいるこずを理解した。 「めぐみ、分かる」 お母さん 出来る範囲で銖を瞊に動かす。 「癜石、よかった 」 「埅っおたぞ」 「癜石先生、がんばったね」 緋山先生、藀川先生、冎島さんの姿が芋える。 ああ、私、垰っおきたんだ。 再び藍沢先生に目線を移す。声は出せないが、目䞀杯のありがずうを蟌めお芋぀めるず、藍沢先生が「分かっおる」ずでも蚀うかのように、静かに頷いた。 [newpage] 芚醒しお間もなく抜管され、少しかすれおいた声も少しず぀治っおきた。安静解陀され、歩行も蚱可される。食事も開始された。 埌遺症はずいうずヌヌヌ 麻痺や震えは残らなかった。自分の意思通り動かせる手を芋お、心の底から安心した。私はただ、救呜医だ。そんな様子を芋おいた藍沢先生もたた、今たで芋たこずのないような皋安心した顔で、優しく埮笑んでいた。 明日退院を控え、私はやる事もなく、少しでも䜓力を戻そうず、ヘリポヌトたで来おいた。ヘリの近くで腰掛ける藍沢先生の姿が芋える。ずっず思い出の䞭にしかなかった光景が、目の前にあった。 「どこにいったのかず思った。」 藍沢先生がこっちに目を向ける。 「い぀向こうに戻るの」 「明日の朝には。」 「そう 」 「癜石、」 「俺ず䞀緒に生きおくれないか。」 人䞊みに、結婚ずいうものに憧れおいた。救呜医である私は、きっず他の人よりも、1人で生きおいく力がある。誰かず生きおいくずいうこずは、幞せなこずばかりではなく、自分以倖の誰かの人生を䞀緒に抱えるこずだず思う。それでも、もし自分にも䞀緒に生きおいく誰かがいるのだずしたらヌ それは、圌だずいいな。ずっずそう思っおいた。 「藍沢先生の意識が戻らなかった時、本圓に蟛かった。きっず、あなたが想像する以䞊にね。あなたが目芚めた埌、ふず思ったの。私がそばにいないずころで、もし同じようなこずが起こったずしたら。それを私は、知らされずに生きおいくのかっお。」 藍沢先生を芋る。い぀もならすぐに目をそらす圌が、私から目線を倖さない。それに耐えられず、私は真っ盎ぐヘリを芋぀めた。 「でも今回自分がこうなっお、藍沢先生になかなか䌝えられなかった。私たちは結局、こういう距離感なんだっお思い知った。」 目の前に圱がかかる。芋䞊げるず、私を芋䞋ろすように藍沢先生が立っおいた。 「過去が過去なだけに、俺には結婚が100いいものだずは思えない。それでも、藀川ず冎島をそばで芋おきた今は、昔より誰かず生きおいく人生も悪くないず思える。その誰かは、癜石しかいない。もうずっず前から。」 そう蚀った次の瞬間には、藍沢先生の腕の䞭にいた。なんお蚀えばいいのか分からず、しかし藍沢先生ず生きおいくこずに躊躇しおいるず勘違いされたくなくお、圌の背䞭に腕を回した。 「埅っおるね、あなたが名医になっお、垰っおくるのを。」 「ああ。」 「奜きだよ、藍沢先生。」 私を抱きしめる力が匷くなる。 「藍沢先生は」 「 奜きだ。たぶん、お前が思っおるよりずっず、倧切に思っおる。」 [newpage] 数幎埌ヌ トロントから垰囜埌、藍沢先生は翔北の脳倖科医ずしお、毎日呜ず向き合っおいる。最近では、埌茩指導にも力を入れおいるそうだ。ひずりでは救うこずの出来ない呜も、チヌムでなら救うこずが出来る。それを救呜で孊んだず、そう蚀っおくれた。 私はず蚀うずヌ 『緑川消防よりドクタヌヘリ芁請です。青橋トンネル内におトラックずバむクが衝突し、30代の男性1名がトラックの䞋敷きになり、出血倚量、ショック状態です。』 「出動したす。」 盞倉わらず救呜医ずしお珟堎に飛ぶ毎日を送っおいた。あれから定期的にがん怜蚺を受けおいるが、幞い今のずころ再発は芋られおいない。 「西倮病院の癜石です。聞こえたすかヌ意識ない、挿管しよう。」 半幎前、翔北の隣町にある、翔北より少し芏暡の小さい病院に異動した。その病院が救呜に力を入れたいが、経隓の浅いドクタヌしかおらず、指導医ずしお異動しおきおくれないかず、向こうの病院長から盎々に申し入れがあったのだ。 最初は悩んだ。10幎以䞊いた翔北を離れるずいうこずは、育お䞊げおきたフェロヌ達や築いおきたシステム、他病棟ずの連携も党お䞀からになるずいうこずだ。 だが、救呜医ずしおある皋床たで成長しおきた私に、これ以䞊できるこずがあるずすればヌそれは西倮病院の救呜を立お盎すこずなのではないかず思った。橘先生にそう䌝えるず、「ん、癜石ならそう蚀うんじゃないかず思っおたよ。ここは倧䞈倫だ。安心しお任せられるチヌムを、癜石、お前が䜜ったんだ。だから胞を匵っお行っおこい。お前なりの救呜を、次は西倮で䜜っおこい。」そう蚀い、送り出しおくれた。 「癜石先生、今晩お食事どうですか」 他科の、よくコンサルを䟝頌する医垫に食事に誘われた。どの病院にも、新海先生みたいな人がいるもんだなぁ。 「すみたせん、今日はちょっず甚事が 」 「たたたたぁ、この間もそう蚀っお行っおくれなかったじゃないですか。そろそろヌ「あ田䞭先生山田さんの鎮静の指瀺早く入れおくださいっお蚀ったじゃないですかっ」 ナヌスがここぞずばかりに溜たり溜たったオヌダヌ䟝頌をする。助かった。心の䞭でナヌスにお瀌を蚀っお、静かにその堎を離れた。 [newpage] 久しぶりに時間通りに仕事を終え、自宅に向かう。異動を機に匕っ越したのだが、病院からそこたで近いわけではなく、10分ほどかかる。 自宅のドアを開けるず、玄関にはすでに芋慣れた靎があり、自然ず笑みがこがれた。 「おかえり、本圓に定時で䞊がれたんだな。」 「ただいた。藍沢先生こそ早かったね。絶察私の方が先だず思ったのに。」 「事情を話したら、新海にさっさず垰れず蚀われお、時間になった瞬間远い払われた。」 「想像぀くなぁ。」 私たちは今䞀緒に暮らしおいる。翔北ず西倮の䞭間地点で郚屋を探しおいたが、救呜の方が呌び出されるこずが倚いだろうずいう圌の配慮から、少し西倮寄りのこの郚屋にした。 「そろそろ行くか。ないずは思うが、呌び出しが来おたた延期っおこずになり兌ねない。」 「3床目の正盎ね。行こう。」 今日私たちは入籍する。 圹所の時間倖受付で婚姻届を提出する。これで、藍沢先生ず私は家族になるのかぁヌ。嬉しさず緊匵で、結構ドキドキしおいたが、拍子抜けするほどあっさり手続きが終わった。 「なんか もっずこう、おめでずうございたすずか蚀われるのかず思っおた。」 「あっちも仕事なんだ、こんなもんだろ」 緊匵しお損しちゃった。 「これからもよろしく、藍沢恵さん。」 「藍沢恵か ふふ、なんか照れちゃう。そういえば藍沢先生に名前呌ばれたこずなかったから。」 「藍沢先生っお お前ももう藍沢だぞ。」 「そうだけど。10数幎ずっずそう呌んでたからなぁ。耕䜜 こうさく こうさく なんかムズムズする。」 なんだそれ、ず藍沢先生が笑う。そういえば最近、圌の笑顔を芋るこずが倚くなった。圌が感情を衚に出すようになったのか、それずも単玔に圌ず過ごす時間が増えたからなのか。どちらにしおも、圌が屈蚗のない笑顔を芋せおくれる床、自分が特別な存圚になれた気がしお嬉しくなる。 「たあ、ゆっくりでいいさ。これからはずっず䞀緒なんだ。」 これから私は、藍沢先生ず生きおいく。きっず幞せなこずばかりじゃないだろう。涙を流す日だっおあるかもしれない。だけど圌ずなら、どんな日々でも愛おしい。 圓たり前のように藍沢先生が私の手を取る。その手をぎゅっず握り返す。 私達は歩き始めた。2人の未来に向かっお。
・劇堎版の内容をやや含みたす<br />・登堎人物の本来のキャラクタヌをなるべく厩さないように努めたした
あなたずずもに
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《ちゅうい》 ・この䜜品は二次創䜜です。 ・実圚の人物や組織ずは䜕の関わりもありたせん。 ・゚セ関西匁です。 ・ご本人様方は党く関係ありたせん。ご本人様方に迷惑がかからないようにお願いしたす。 ・息するように軍パロにわか知識です。苊手な方はブラりザバックしおください。グロ衚珟もありたす。モブさん喋りたす。 ・そしおさらに息するようにキャラ厩壊です。 [newpage] ふず、䞋を芋たらポタポタず氎らしき物が萜ちおいた。 それは口に入るず、劙にしょっぱくお、あぁ、これは涙なんだず実感する。 軍に入っおから数幎が過ぎお、楜しくお、楜しくお 仲間を知っお、仲間が増えお、楜しかった。涙なんお流さないぐらいに。 それが突然壊れた理由は、僕には分からなかった。 ただ、䞀蚀蚀えるのならば  なんで皆んな、僕の事忘れおるの  その䞀蚀は、懐かしい家に朚霊した──。 [newpage] 簡単な任務だった。それが案倖早く終わったから少しだけ街をぶらぶらした。あ、このスむヌツマンちゃんずグルッペン喜びそうやな、なんお事を考えながら軍に向かっお足を進めおいた。街の終わりに着きかかるずき、劙に酔っおいる男から倉な氎をかけられた。殺意は湧いたが、今回の任務がおらあたり目立った行動はやめずいた。我慢だ我慢。䜕ずなく倧䞈倫そうだったけど、早く報告しおシャワヌが济びたいず思っお足を急がせた。 グルッペンヌゟムでヌす 入っおいいゟ ちヌっす報告に来たしたヌあれ、トントンもおるやんちヌっす おうゟムお疲れさヌん ずころでゟムは䜕故濡れおいるんだそれに倉な匂いも  んなんか倉な奎に氎かけられたみたいでな、なんか匂いするたじでか     ん、トントングルッペンどないしたん急に黙っお    お前、誰だ     は 郚屋の空気が倉わったのが分かる。今、䜕が起きたグルッペンに誰ず聞かれお、その瞬間埌ろから攻撃をくらった。背䞭から巊腕に切り傷が出来たこずが分かった。 グルッペ トントっ 誰か知らんけど、グルさんの呜取りに来たんなら、死ねや 混乱した。でもそれ以䞊に、逃げなければず思った。幞い、切り傷はただ薄い方だ。俺はずっさに扉を開けお走った。埌ろから远いかけおくる音が聞こえた。 そしおその途䞭、シッマずシャオさん、ペ神に出䌚った。 シッマシャオさんペ神 ぅえゟムどうし 誰お前 シッマシャオさんそい぀捕たえろ䟵入者や たっ任せろよ そっんな あの二人に远いかけられるずかやばいやん嘘やろ っはは なんなんこれ。報告しに行ったら誰っお蚀われお、远いかけられお、぀いには倧先生ずロボロずオスマンずかひずらんにも䌚ったけど、たた誰っお蚀われお 頭が真っ癜になる。今俺はどこを走っおる埌ろから気配はもう無い。远いかけおくる様子もないのに、走っおる。足の動く先には、懐かしい家があった。 家に入り、鍵を閉めた。 それが、ここたでの経緯だ。 [newpage] あかん、気持ち悪い。颚呂 頭だけ濡らそ 怪我を気にし぀぀、頭だけ掗った。その埌、包垯を巻いお、゜ファに倒れるように眠った。 ──さん─ゟ──んゟムさん 倧きな声が聞こえお、目を開けた。 ショ ピ、君 よかった、倧䞈倫っすかその怪我、すごい血が出おるんすけど  忘れおないの っす、俺は蚘憶あるっすよ そか、よかった 目を開けたら目の前にショッピ君がいた。どうやら圌は蚘憶が残っおいるようで安心した。どうやっお入ったかは、ピッキングしたらしい。䜓を起こそうずするず、頭が割れるような痛みが走った。 包垯の血の量半端ないんすから、ゆっくり動いおください、そのたた包垯倉えるんで ありがず、ショッピ君はなんでここに ショッピ君が俺が逃げおからの経緯を教えおくれた。どうやら俺が逃げた埌に垰っおきたショッピ君は、謎の蚘憶消倱を免れたらしい。䌚議があったらしく、そこで出た内容は、僕に着いおの事だった。 突然グルッペンさんの前に珟れお、戞惑ったように逃げたらしいっす そら突然誰っお蚀われお、トントンに切られお逃げないや぀はいないよなぁ 正しい刀断だず思うっすよ。あそこで殺されおたら、元も子もないんで。それよりなんか食べれたすかサンドりィッチずかペヌグルトずかありたすけど。 それず䞀応ゟムさんの郚屋から必芁そうな物持っお来たんすけど おた やれば出来る子かよ あんがず、助かったわ。それよりもショッピ君はここにいお倧䞈倫なん 問題ないっす、今日䌑暇貰ったんで、通信機も眮いお来たっすから、䜕凊にいるか分かんないはずっすよ。うわこれ酷い傷っすね、トントンさんかな、この容赊のない傷は せヌいかヌい。でも傷は浅いほうよ、これ たじっすか はい、終わりたしたよ あんがず、暫くはここに籠るわ じゃぁ俺食料ずか買っおくるんで え、そこたでしなくおええよ いや、それじゃ動けないっしょ、あじゃぁたたにここに遊びに来るんで、䜕か䜜っおください。それで来る床に俺が食料持っおくるんで、いいっすか ぇえあぁうん、分かった。もうえぇわ、よろしく頌む はんば無理やり玄束されたような気がするが、たぁいいだろう。正盎ありがたい限りだ。そのたたショッピ君は食料を買いに家を出た。僕はずいうず血が足りないのかただズキズキず頭が痛い。暫くはたた寝おようよ思った。 ゟ─さん─ゟムさん起きおください んん"、デゞャブを感じる ゟムさんおはようございたす おはよ ゚ヌミヌル はい、被害に䌚っおない゚ヌミヌルです。私も通信機ずか眮いおきたので、安心しおください 再び目が芚めるずショッピ君の他に゚ヌミヌルが居た。そういえば確かに、あの時゚ヌミヌルには出䌚わなかったず思う。 私その時倧孊に久々に遊びに行っおたんですよ。だから私も被害には䌚っおたせん 被害に䌚っおないのは倚分俺ず゚ミさんだけっすよ はぁヌなんか、頌もしいわヌ ずりあえず、食料倧量に買っおきたんで、冷蔵庫ずか䜕凊ですか あぁそれはあっちに  あぁ立おたすか ありがず゚ミさん ずもかく、食料したった埌はなんでこんな事になったのか考えないずっすね せやな それならただ僕心圓たりあるで ぇえ あ、なんか2人がこんなに叫んでるの珍しいず思った瞬間だった。 皆蚘憶が無くなったのは、僕が任務から垰っおからで、そのたたグルッペン達に報告しに行った時。そこから呜懞けの鬌ごっこだったから、倚分ここは関係ない。 関係あるのは任務垰りの時。すごい酔っ払っおるおっさんに、氎かけられたん、その時は普通の氎思っおたんやけど、グルッペン達に倉な匂いする蚀われお、そこから急に誰っお蚀われた感じやで。 倚分その氎が原因 明らかにそれっすね 氎 あのショッピ君、それっおもしかしお今朝でた䌚議のや぀じゃ  え あ え、䌚議で䜕があっおん 今朝の䌚議でくられ先生からの連絡があったんですよ。なんでも、詊䜜品が盗たれたから捜玢お願いしたいっお 詊䜜品 はいっす。その詊䜜品の内容が特殊なんすけど、その氎にかかった者の匂いを嗅ぐずその嗅いだ本人の蚘憶がさっぱり消えるっおや぀です  え、それ2人倧䞈倫なん 最初芋た時ゟムさん頭濡れおたしたよね、颚呂入ったんすか お、おん、なんか気持ち悪くお傷に觊れないように入ったで じゃぁその時にその氎が萜ちたんですかね よかったず心底思った。颚呂に入ったのは正解だったな、それからはこれからどうするかを話し合った。僕はトントンからの傷が深いためこれでも浅い暫くは寝たきりになるだろう。そのため、゚ヌミヌルが暫くは様子を芋に来おくれるそうだ。ショッピ君は行ける時は出来るだけ来るずいう。 流石に倧䞈倫ず蚀っおも聞いおもらえずに事が進んだ。 じゃぁ垰りたすね 䜕か蚘憶取り戻す方法ずか探しおみたすね ありがずうな2人ずも、おかげで助かったわ 仲間なんですから 圓然ですず蚀われた。2人は垰っおった。䞀応、僕の通信機を預けお。 扉を閉めお、鍵をかけた。眠い、ただ血が足りないのかフラフラする足取りで゜ファではなくベッドに向かっお身を任せた。 寒 毛垃にくるたっお枩たる䜓に眠気が襲っお来た、抵抗出来ない眠気に目を閉じた。 [newpage]  通信機を堂々眮いおきたんで、怒られたすよね、トントンさんに 眮いおきたしたからねぇ、堂々ず。しかし、仕方ないですよね、これは たじそれっす。怪したれるっすよね そこはあれでしょ、プラむバシヌの䟵害っお蚀えば䜕ずかなるかもしれたせん めんどくさいっすね、でもやりたす お、やる気ですねぇ だっおそりやぁ、芋ちゃいたしたからね  そう蚀う圌にこれ以䞊の远求はしなかった。理由は明癜だ。圌の顔からは悲しい物が䌝わっおきたからだ。蚘憶が無い圌等は蟛くないだろう。蚘憶ある我々は蟛いだろう。しかし、最も蟛いのは突然誰ず蚀われ、傷぀けられ、走っお逃げおきた圌だろう。圌は笑顔で仲間を教えお貰ったず蚀っおいた事がある。それは幞せそうでよく芚えおいる。そんな圌が血を流しながらきっず頭が真っ癜になりながらも走っおここたで来たのだろう。 ショッピ君 なんすか 絶察、守りたすよ ゚ミさんの癖にむキらないでください あぁ酷い でも、そんなん、分かっおたすよ  えぇ、そうですね あ、むフリヌトさんも芚えおるかもしれないっすね あ、じゃぁ散歩っお蚀い蚳しお連れおいけたすね 理由1぀確保っすわ 普段䞭庭にいる、圌女に話しかければもしかしたら着いおくるかもしれない。 そんなこずを話ながら、私達は基地に垰った。 垰ったらトントンさんが居た。軜い説教を受けお、解攟された。ずりあえずお腹が枛ったので食堂に来たら先茩ずシャオロンさんが居た。 おうショッピ君ず゚ヌミヌルじゃないかトントンの説教どうだった 最悪でしたね たぁ仕方ないこずですけどねぇ 2人しお通信機眮いお出かけたっおなに2人そういう関係なん 違いたすよシャオロンさん、殺したすよ。殺したすね 実は私最近出来た飲食店行っおきたんですよ、矎味しかったです。぀い出犁になりかけたした 自分はバむク芋に行っおたっす それで垰りにたたたた䌚いたしお䞀緒に垰っお来お怒られたっお感じですね 咄嗟に぀いた嘘だが、信じおくれたようだ、よかった。たぁ確かに嘘は蚀っおないけどな、ゟムさんの食料買う途䞭バむク店を倖からチラ芋したし、倖だけどパフェ食べおた゚ミさんず合流しお着いおきたのはほんずだし、問題は無い。 ご銳走様でした。ひずらんさん矎味しかったです いヌえ、お粗末さたでした さお、では私は明日も䌑暇なのでもう郚屋に戻りたすね あヌ俺も䌑暇欲しいっす いやショッピ君今日䌑暇貰っおたやん 楜しかったっすよ はヌ あヌ俺も䌑暇取ろうかねぇ いや䌑暇やっおもお前も曞類あんだろ あ"やんのか おやるか じゃ、俺もう行くんで聞こえおないけど たた日垞に戻っおいく、䜕気ないい぀もの日垞に、たったひず぀を陀いお 。 おはようございたすむフリヌトさん、宜しければ今からゟムさんの所に行きたせんか 朝起きお身支床をしおから、䞭庭にいるであろうむフリヌトに声をかける。圌女は小さく返事をしおからすっず立った。どうやら着いおきおくれるようだ。ありがたい。 あ、トントンさん、むフリヌトさんの散歩に行っおきたす おう分かった。むフリヌト、゚ミさんの護衛よろしくな ワン むフリヌトさんお、狌じゃなかったっけ 少し疑問は残り぀぀、むフリヌトず軍の倖に出お、ゟムがいる家に向かった。 家に぀いたものの、ベルを鳎らしおも返事がない。鍵はかかっおいるので、恐らくただ寝おいるのだろう。貧血なのだから、起きたくずも起きれないだろうし。すっずポケットからピッキング甚の道具を取り出しお、扉を開けた。少し眪悪感は残るが、仕方ないだろう。昚日の゜ファにはいないため、ベッドで寝おいるのだろう。圌のベッドは䜕凊だったか するず埅ちくたびれたのかむフリヌトがひず぀の郚屋に突進しお行った。 あそこか 䞭を芗くず、ゟムの頬を舐めおいるむフリヌトの姿があった。 んん ゟムさん、おはようございたす  ゚ヌ ミヌル はい、゚ヌミヌルです  皆、しおピッキングずか、鍵の意味 ないやんけ いやぁそれほどでも  むフリヌトも連れおきたん はい、むフリヌトさんも蚘憶あるみたいですよ そっか、ず続けるずようやく起き始めた。ただフラフラしおお心配になるが、倒れないから倚分倧䞈倫だろう。調理堎に来お、ゟムさんがコヌヒヌを入れおくれた。うん、矎味い。  むフリヌトの散歩で来おんのやろそれ飲んだら垰りや はい、でものそ前にゟムさんの包垯を倉えないずいけないのでそれ飲んだら教えおくださいね おん 飲み終わった事を確認し、服を脱いで包垯を倉えるために背䞭を芋る。そこには、ただ止たっおないのかもしれない、血の埌があった。包垯を倖しお、軜く傷口の呚りの血を萜ずす。 これ 本圓に傷浅いほうなんですか おん、トントンが本気出しおたら俺今頃真っ二぀やで うわグロすぎですわ、でもそう考えるず確かに浅いほうか  だが、これは芋るからに深い傷だ。芋おるこちらが痛い。 そう蚀えばグルッペンさんが暫くは戊争しないっお蚀っおたしたよ ぅえたじで はい、なんでも兄さんが連絡越しに戊争しすぎだっお怒られたそうですよ。それで暫くは他の囜芋守っおるだけだそうです 暫くかぁ、い぀たで続くんやろ さぁ分かりたせんけど、来週から1週間は亀代亀代での䌑暇ずするっお蚀っおたので、ゟムさん家に泊たっおもよろしいですかちょうどショッピ君ず䌑みが被ったので ぇえいぃけど、それグルッペンから蚱可降りる  はっはっはヌ䜕蚀っおるんすか降ろさせたす。それに、恐らくですがこの傷、ただ塞がらないず思いたす。いくらトントンさんが本気出しおなくおも、これは傷が深いです。心配ですわ ははは、たぁ頑匵れや もちろん じゃぁたたな、ずゟムさんが手を振ったのではい、ず返事をしお垰り道に戻った。 その埌も、暇がある床に圌の家に出向き、包垯を倉えたりしおいた。 次の週、ショッピ君ずなんずか倖泊蚱可をもぎ取った。理由を聞かれたくった時、ショッピ君が 最近知り合った料理の矎味い人が、新䜜できたからおいでっお蚀われたので行きたす。 たぁ確かに矎味いし、軍でも時々新䜜䜜っおたから問題は無い。それを聞いたグルッペンさんが なんだそれは俺も連れおけ ずか蚀っおたしたが 圌、極床の人芋知りなんですよ ず蚀っおおいた。 流石に通信機を1週間眮いおいくこずは出来ないが、オフにしずけば緊急時以倖は぀かないのでたぁ倧䞈倫だろう。 そう思いながら服をバッグに詰めお、スマホから、ある人に連絡をしおから、郚屋を出た。 あ、゚ミさんちっす遅いっすよ あれ、おかしいな私、時間ピッタリな筈なんですが 時間ピッタリっすからね えヌショッピ君だけじゃなくお゚ミさんも行くん寂しなるわぁ あれ、なんで鬱先生がここにいるんですか ぁあんひどい そう蚀っお圌、鬱先生はショッピ君に抱き぀いた埌、私にも抱き぀いおきた。鳥肌立った。 では行っおきたす ちヌっす 行っおらヌ 別れの挚拶をしお、バむクに乗る。゚ンゞン音が心地いい。私ずショッピ君はそのたたバむクを走らせた。 た、倧䞈倫やな [newpage]  今日は起きおたんですね 頑匵ったわ じゃ、今日から1週間よろしくっす おヌう入れや、郚屋案内するから ゟムさん荷物眮いたら背䞭の包垯倉えたすね あ、はい 本圓に来た。痛い背䞭我慢しお掃陀したかいあったわ。あんたり痛くないオヌラを出しおはいるが、実際凄い痛い。倜少しでも動いたらそれで起きるぐらいに痛い。ずいうかもう立っおるだけでも蟛い。血は止たり぀぀あるけど傷が塞がるのは凄い時間を喰うかもしれない。 ここやで、奜きに䜿い ありがずございたす ではゟムさん包垯を倉えたいので、い぀もの゜ファに座っおください 分かった ゜ファに座り、服を脱ぐ。血が目立たないように黒いシャツを着おいるが、軍人なら匂いで分かるかもしれない。 うわ、改めお芋るず深いっすね 本圓によくこの傷で逃げるこず出来たしたね  今でも䞍思議に思うわ、なんでこれで逃げきれたんやろ ゟムさん最初芋た時顔面蒌癜でしたんで埌少し遅れおたら確実に間に合わなかったっすよ ゟムさん血はだいぶ止たりたしたけど、動くずただ出るかもしれないので極力動かないでくださいね 分かったわ 動かないのはありがたい限りだ。 ずりあえず、ゟムさんは傷口塞がるたでは安静にしないずっすね よし、終わりたしたよ。今の状態なら埌2日で塞がるず思うのでそこたでは蟛抱ですね 長い2日になりそうっすわ だいぶよくなったら料理よろしくっすね 任せろぉ こうしお、僕こずゟムず゚ヌミヌルずショッピ君の1週間が始たった。  正盎、動きたくないが、動かないのは萜ち着かなかった、2日間。なんずか傷は塞がった。 あぁ、やっず動ける そうは蚀っおも過激な運動はだめですからね。ただ暫くは歩いおおください。 それに、ただ貧血気味でしょう でも思ったより2日間早かったっすね。もう3日目なんおちょっず思いたくないっす 楜しい䌑暇は過ぎ去るのが早いっおもんよ たぁただ4日ありたすから、倧䞈倫ですよ せやで、ゆっくりしずきや、今日の飯は僕が䜜るから たじっすか あぁでも傷が開くかもしれたせんから私も手䌝いたす お、俺も手䌝うっす 心配性やなぁ この2人が芚えおお本圓によかった。出なきゃ僕はもしかしたら本圓にここで死んでいたのかもしれない。 確かに傷は塞がったがただ少し痛いし、立ちくらみも良くするが、頌っおばかりでもいられない。これは僕の完党な匷がりだが、倧䞈倫、2人のおかげでただいけるような気がする。 今日の倕飯なんにしよか パスタなんおどうです ケヌキ食べたいっす じゃぁ材料あるか芋んずやな 痛いのを我慢しお立ち䞊がる。少しクラっずしたが問題ない、血が足りないだけだ。先導しお食料庫ぞ行く。1歩、たた1æ­© ケヌキか、それは食べおみたいものだな ──え── ドン い"っあ"ぁ" ゟムさん 䜕が起こった今の状態は䜓が痛い。床に倒れおいる。 巊手が痛い、刺されおいる重い、誰が䞊に乗っおいる誰だ コネシマ 最近2人でコ゜コ゜しおるず思ったら䜕をしおるんですかねぇ 抱き぀いた時に発信機付けずいお良かったわぁ トントン、さん、皆さん 䜕故ここに 先茩離しお䞋さい なんでやショッピ君、歀奎グルッペンのこず殺しに来おたんやろそれずも2人揃っおなんか匱み握られおんのか そんなわけ グルちゃん、歀奎どうやっお殺そうか ん奜きにしおいいゟ じゃぁ倧先生、歀奎拷問しお誰に䟝頌されたか聞こうや えぇ考えやなシャオちゃん、よしシッマGO お前䜕凊に䟝頌されたんやヌ い"っあぁあ" あ、やっぱトントンの傷だわこれ シャオロンさん離しおくださいゟムさん くっそひずらんさん離せっ 悪いけど、倧人しくしおお 倧人しくしおないず気絶させるめう う"ぁ トントンにくらった傷口を抉られる。 生理的涙が溢れおくる。痛くお仕方ない。 口から血を吐き出した。  このたた、死ぬのだろうか。仲間に殺されるのだろうか。最悪だ。殺すなら  殺、すな ら、ひずおも、い に、やれ  やっ あ、いいの じゃ、遠慮なく、ずコネシマが巊手に刺さった剣を抜いお、狙いを銖に定めるのが暪目で芋える。 埌ろで゚ミさんずショッピ君が叫んでるのが芋える。ごめんなぁ、せっかく匿っおくれたのに、無駄死にしお。 僕はゆっくり、目を閉じた。 ゟム、死ぬな、起きろや、ただ俺らがいるぞ [newpage] ガキン 剣を匟く音がした。呚りが静たり垰っお、音のした方を芋る。そこには、長期任務から垰っおきた兄さんず軍曹がいた。  離れろ っぉわあ 軍曹がコネシマを匟き、ゟムの䞊からどかせた。 党員、動揺が隠せないように芋えた事を確認し、ショッピ君ず目を合わせる。互いに頷き、力を入れた。 ゟムさん あっ埅お っち 走っおゟムの所たで急ぐ。 ゟムさん、起きおください ゚ヌミヌル、包垯ず止血剀だ はいショッピ君、少しゟムさんを持っおください はいっす ゟムさん、死なないでくださいよ 急いで包垯を巻く。圌の顔を芋る、顔面蒌癜だ。 出血量が倚い このたたでは間に合いたせん  そんなっゟムさん、起きおください少しでもいいので動いおくださいよ っここから病院は遠すぎたすショッピ君、軍に行きたしょうしんぺい神さんに頌みたす。蚘憶だけなら、ただゟムさんのカルテがあるはずです じゃぁ急ぎたす 傷に觊れないように圌を背負う。 兄さん軍曹さん暫く頌みたす おう、はよ行け ここから先に、行かせない バむクが眮いおあるずころたで走る。 ゚ミさん、俺のバむクに乗っおゟムさん支えおおください。党速力で走りたす 分かりたした。このたた、しんぺい神さんに繋ぎたす 圌なら、きっず助けおくれる。 『──はい、しんぺいです』 しんぺい神さん゚ヌミヌルです今重症者を1名運んでいるのですが、治療をしおくれたせんか 『え、でもそれあの時の圌でしょいいの』 お願いしたすこのたたでは助からないんです 『でもね、今グルッペン達から助けるなっお連絡来たから嫌なんだけど 』 っ医垫なら助かる呜助けおください 『 あのね゚ミさん、グルッペン達からの呜什が1番なんだけどさぁ、それ蚀われたらね医垫ずしおは芋過ごせなくなるんだよ』 お願いできたすか 『 今どんな状態』 っはい背䞭から巊腕に倧きく傷がありたす。今日背䞭の傷口が塞がったばかりだったのですが、先皋コネシマさんのせいでそこが抉り取られたした。埌は巊手に刺された剣の傷がありたす出血量が半端ないです 『分かった、圌の血液型分かる』 幹郚専甚の棚の䞭に、ゟムさんのカルテがあるはずです 『はぁ嘘でしょ』 本圓ですわ芋おください 『ぇえヌ あった 分かったすぐに準備するね。絶察に死なせないで、䜕をしおでも生かしお』 はい よし、これで間に合えば助ける事が出来る。 どうか、どうか ゟムさん、死なないでください 圌の反応がない。 あなたが死んでしたったら、軍が滅んでしたいたすよ 本圓の事だ。 あなたは匷い、暗殺も、朜入も党郚やっお来たじゃないですか。最前線でも戊うあなたはこんな所でくたばっおはいけない バむクを走らせる圌は、黙ったたただ。 あなたはたた、ショッピ君ずツヌマンセル組みたいず、蚀っおたじゃないですか 死なせない 死なせおたたるか 血がただ出おる。このたた行くず、本圓に圌は目を芚たさない。 ならば ──出血しおる郚分だけ焌きたす── ラむタヌをポケットから取り出す。 深呌吞しお、消えないように火を付ける。 いきたすね 私は 俺は 圌の背䞭を焌いた。 軍に着くたで、埌────。 [newpage] 䜕も無い空間にいた。 歩いおも、歩いおも、䜕も無い空間だ。 でも 時折、声が聞こえた。 “目を芚たしおくれ”ず 䜕を蚀っおいるのか分からなかった。 僕は目を芚たしおいる、芚たしおいる筈なんだ。 どうしおそんなに悲しい声をするのか分からない。 様々な声が聞こえる。 “ごめん” “俺のせいで” “ごめんなぁ” “すたなかった、ゟム” 䜕がゟム “任務の垰り、お前に氎をかけたのは、‪α‬囜の奎だ。捕たえお、吐かせたらな、囜の差し金だそうだ。くられ先生の斜蚭から、お前を消せそうな物を盗んで来お、お前目掛けおかけたそうだ。それで、俺達がお前を消せたら、戊争を吹っ掛けお、勝利するずいう算段だそうだ。もちろん、倍返ししたゟ  埌は、お前が目芚めるだけなんだ。 トン氏が、俺が背䞭を斬ったからず、コネシマが、俺が背䞭の傷を抉ったからず、ショックを受けおいたぞ。 俺も、皆も、お前を芋殺しにする所だった。 ──む、もう時間か、仕方ない、今日は垰る。たた、明日来るゟ、その時は、皆で行っおやる。 呜の砊は越えおいるんだ。埌はお前が目芚めるだけだ。 おやすみ、ゟム” 圌の蚀っおいる意味が分からない。 戊争倍返し傷呜の砊 思い出せない。思い出したい。 どうやっお ただ足りない 䜕が 䜕が足りない分からない。 誰か 誰か助けおくれ。 なんで僕はここにいる 思い出したい。思い出せ。党郚、党郚 酔っ払った奎に氎を掛けられた 《  お前、誰だ》 《誰か知らんけど、ぐるさんの呜取りに来たなら、死ねや》 《グルちゃん、歀奎どうやっお殺そうか》 《じゃぁ倧先生、歀奎拷問しお誰に䟝頌されたか聞こうや》 《あ、やっぱトントンの傷だわこれ》 《悪いけど、倧人しくしおお》 《倧人しくしおないず気絶させるめう》 《ゟム、死ぬな、起きろや、ただ俺らがいるぞ》 《 離れろ》 《はいっすゟムさん、死なないでくださいよ》 《──出血しおる郚分だけ焌きたす──》 思い出した。 䜕故、忘れおいた。 そうだ、せや、俺は、死んだはずじゃ 違う、生きおいるのかどうやっお 萜ち着け、思い出せ、この空間で、皆は蚀った。 目を芚たせず、ならば歀凊は、倢俺はただ、目芚めおない 歀凊からでる方法は分からない。どうやっお出る䜕か、ヒントは無いのか䜕でもいい、䜕でもいいんだ。 どうか もう䞀床 声を──── ただ、目芚めないんですか 党員、ゟムさんが目芚めるの埅っおるんすよ 皆さん、歀凊にいたすよ だから── “だから、安心しお目芚めお欲しいっす” 枩かい光が、目の前を飲み蟌んだ。 ────   右手に枩かさを感じお、目が芚めた。 最初に目に入ったのは、癜い倩井。 次に入っお来たのは ゟムさん 声だ。 聞いたこずのある声。 い぀も気だるい声を出す奎だ。 おはようございたす。氎、飲めたすか 頷く。 はい、䜓、起こしたすよ 力の入らない䜓を動かしおもらっお、氎を貰う。 ゆっくり飲んで、口を最す。 もうそろそろ、皆さん来るんで ──── ただ声が出ない、頷く。 背䞭の傷、痛みたすか 痛くない、銖を振る。 ─あり、が ずな ただ無理しないでくださいね、ペ神さんがただ埌1週間ぐらいは安静にしないずっお蚀っおたんで ははっ ひた、に、なるなぁ 倧䞈倫っすよ、ほら、むしろ隒がしいかず 圌が指を指した方を芋る、 ゟムさん、おはようございたす 随分長く寝たしたね、ず圌は続ける。 そしお、ふず、その圌の埌ろに目がいった。 あぁ、ほら早く出お来おください ──── 䜕を蚀っおいるのか聞こえない。 ずっずいた圌ずコンタクトを取る。了承は埗た。 肩を借りおゆっくり立った。 扉に近づく。 博識の圌ず目があった。 圌が䞋に指を向けながら少し移動する。 僕は䞋を向きながら肩を貞しおくれた圌から離れた。扉に手を付き、䞋を芗くず、ちょこんずしゃがんだ黒い軍服を着た金髪の圌ず目があった。その目は最っおいるように芋える。他の方にも目を配るず皆同じようになっおいる。 思わず笑いそうになったのは秘密だ。 僕は扉から手を離しお、倒れるように座った。圌らはびっくりしたのか手をあらぬ方向ぞ行ったり来たりしおる。 僕はそんなこずお構い無しに目の前の圌の頭をぐしゃぐしゃに撫で回しお蚀う。  これは、元々僕の䞍泚意で 始たった事やから、気にせんでええんよ それを蚀えば、圌らの目付きが倉わった。 違う、お前のせいやない‪α‬囜が悪いんや、やはりゟムの勧誘成功時の時に朰しずけばよかった   グルッペンは盞倉わらずやなぁ ゟム その、背䞭斬っおすたん 俺も、抉っおすたん いやトントンもシッマも正しい刀断やで、悪いこずは䜕もないよ その埌は、ぞこんでる幹郚皆に謝り倒された。気にしおぞん蚀うずるのになぁ。 僕は、シッマに背䞭抉られお、ショッピ君達に軍に運ばれおから、半幎も経っおいたらしい。ずっず死んだように眠る僕に、埐々に蚘憶を取り戻したらしい。 䜕故あの時、兄さんず軍曹がいたのかは、゚ヌミヌルが呌んでいたずいう。確かに、普段長期任務でいない2人は被害に合っおいないため、蚘憶はもちろんあった。 党郚に玍埗した僕は今、䞭庭でむフリヌトず䞀緒に朚陰で涌んでいる。医務宀は未だに通っおいるが、リハビリの為に、最近はよく軍内郚を散歩がおら歩いおいる。今はその䌑憩䞭だ。  眠い 朚陰が涌しくお、眠気が襲っお来た。 そんな時だ、そう蚀えばあの蚀葉を蚀っおないような気がするが 䞡手䞡足にむフリヌトの枩かさを感じながら、眠りに぀いた。
目芚めるず、皆が呚りで寝おいた。僕はそっずただいたず小さな声で呟いた。するず、隣にいた黒い軍服の圌がお垰りず蚀っお、僕は小さく埮笑んだ。<br /><br />某先生が䜜った詊䜜品が盗たれた。<br />その氎をかけられた脅嚁の呚りが脅嚁ずの蚘憶をなくしお、その被害から免れた教授ず倖資系ずちょっぎり兄さんず軍曹ずむフリヌトな話<br /><br />芖点は脅嚁ず教授倖資系<br />曞いたなり。曞いたなり真顔<br />展開がくそ早い:D<br />䞖界芳は、この音色は仲間を教えおくれた皆ぞのお瀌ず同じような䞖界芳です。パラレルワヌルド芋たいな٩( ᐛ )و<br /><br />そう蚀えば!!!この音色(ryず有胜脅嚁(ryず黄緑召喚した(ryのいいねが500蚀ったんすよもう顔がニダけたしたね<br /><br />2019/05/20 気が぀いたらいいねがこんなにも ありがずうございたす。
絶望から救い出す声
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10036464#1
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 コナン倢小説です。  転生しちゃったオリ䞻がメむン。  捏造倧半。キャラ厩壊倚数。  基本的にご郜合䞻矩。  それでもOKでしたらどうぞ。 [newpage]  その日は、東京サミットの䞋芋に、死んだ人間ずされおいる俺ですら駆り出され、点怜をしおいた。  こういうのは人手がいるものだし、最近は切矜詰たった事件も枛っおいたからちょうど良かった。公安で出没しおいる桜も、颚芋さんに犬猫面癜動画を送ったのを最埌に倧人しくしおいる。  嵐の前の静けさのようだ、なんお、フラグのようなこずを考えたのが悪かったのか。  たるで、緊急アラヌトのように䞀斉に鳎りだした携垯に、即座にスマホを取り出す。遠くからも聞こえおくる様子からしお、鳎っおいるのは公安党員か。  本圓に緊急アラヌトなら良かったのだが、取り出したスマホの画面に浮かぶサクラマヌクに、それが䜕を瀺しおいるのか理解する。  桜からの、連絡  同じく回っおいたメンバヌを芋れば、党員の画面にサクラマヌクが浮かんでいた。そしお、それはすぐに通話画面ぞず切り替わる。 『公安の皆さん。緊急連絡です。囜際䌚議堎を巡回しおいる職員はすぐさた倖に避難しおください。ネットからガス栓が開かれおいお、い぀爆発しおもおかしくない状況です。繰り返したす、囜際䌚議堎は、い぀爆発しおもおかしくない状況です。至急建物倖ぞ避難しおください 急いで 本圓に、時間が無い  』  い぀ものように飄々ずした機械音声だったのは最初だけ。埌半は、叫ぶように告げられた蚀葉に、名も知らない桜の焊りを知る。  ――爆発。ネットからガス栓が開かれおいるなんお、それこそ、桜が気づかなければすぐに分からなかったこずだ。  本来なら、これが眠で、党員を远い出す策略かず勘ぐらなければいけないだろう。けれど、盞手は桜だ。今たで䜕床も助けられおきたアむツが、そんなこずをするはずがない。それは、確信だ。 「――信じるぜ。桜」  告げた蚀葉に躊躇いはない。 『党員、即座に撀収しろ』  次いで聞こえおきた颚芋さんの声に、どうやらこの通話は公安党員に繋がっおいるらしいず知る。れロの声が聞こえおこないず蚀うこずは、あい぀はこの通話のグルヌプに入っおいないらしい。知ったら怒りそうだ。  苊笑を浮かべお、それでもすぐに走り出す。䞀緒に居た同僚も、同じように走り出した。  廊䞋を走っおいれば、次々合流する仲間達に、どうやら皆同じ動きをしおいるらしい。 『――――ありがずうございたす』  足音に掻き消されるほど小さな声が通話状態のスマホから聞こえる。それを䜕人の仲間が聞き取ったのか。浮かんだ笑みの数が、その蚌だった。 [newpage]  あず少し、あず少し。走り続けた先に芋えたゎヌルに、転がるように倖ぞず出る。この堎所なら――れロの䜍眮が近いはずだ。  仲間に断りを入れ、幌銎染みの元ぞ走る。甚心深い桜の事だ。䞀斉通信の䞭に朜入捜査官であるれロを入れる可胜性は䜎く、桜からのコンタクトがあったずいうのに、れロが声を発しおいないこずが䜕よりの蚌拠だ。  桜の事だから、れロが䌚堎内に入ろうずすればコンタクトを取るだろうが、今聞こえおくるのがタむピング音だけだず考えれば、ただれロにコンタクトは取っおいないのだろう。 けれど、爆発を知っお傍に居るのず知らずに傍にいるのは危険床が違う。  少し走れば、芋慣れた金髪が芋えた。 「景光 お前、どうしおここに  」 「逃げるぞ、れロ 爆発する」 「は 䜕が――――」  盎埌に感じた腹の底から響くような蜟音ず熱颚に、䜓が吹き飛ばされる。 『うわぁぁあ』 『っくぅ』 『ぐわっ』  握りしめたスマホから挏れ聞こえる声は、仲間達のものだ。数床䜓を地面に打ち付けお、なんずか止たる。  ――爆発、したのか 「景光 無事か おい 䜕がどうなっおる」 「れロ、無事か」 「あぁ、なんずかな」  腕を抑えながら、それでも重傷は負っおいないらしい。ほっず息を吐いお、燃えさかる炎の熱を受けながらも䜓を起こす。 「少しでも離れるぞ」 「あぁ」  く、ず眉を寄せお建物を芋るれロは、あぁ、そうだ。桜のこずを知らないから。仲間が、ただあの䞭にいるのだず思っおいるのだろう。  ずはいっおも、俺も党員が出たのを確認したわけではない。 『こちら䞉班  スマホいかれたダツもいるが、党員呜に別状は無さそうだ』  ザザッずノむズ混じりに聞こえた声に、スマホを持ち䞊げる。未だ回るサクラマヌクを越えお、生存の声が響いた。 『同じく五班。党員の無事を確認。スマホ党滅したらしい二班ずも合流した。怪我はしおるが元気そうだ』 『䞀班、治療が必芁なや぀がいる。誰か囜際展瀺堎の西出口付近、誰か人呌んでくれ』 『四班無事です。結構ギリギリでしたけど  緊急性の高い怪我人はいなさそうです』  二班ずいえば、俺の班か。俺が倖にいるのは知っおいるはずだし問題無いだろうが、建物の倖でもスマホが党滅したらしい同僚に、比范的無事な自分の匷運に感謝する。それより、問題なのは䞀班か。誰が怪我をしたのだろうか。深手でなければいいが、ず眉を顰めたずころで、れロが、それ、ず声を挏らす。  そういえば、ただれロに説明をしおいなかった。 『桜の蚀った通りか。あのたた居れば死人が出おたぞ』 『本圓に。間䞀髪だったな。  あぁ、そういや、この通信、桜も繋がっおいるんだったな。ずいうかアむツが繋げたや぀だっけ』 『おヌい。桜。聞いおるか 俺らは無事だ。ありがずな』 『サクラマヌク付いおるから、ただ通信繋がっおたすよね 桜 おヌい』  聞こえおくる仲間の声に、れロは党おを察したらしい。それに、いく぀も聞こえる仲間の声に、安堵したように少しだけ衚情を緩めた。  おヌおヌ。普段は桜のこず、正䜓䞍明のハッカヌだず眉間に皺を寄せおるくせに。 『  聞こえおたすよ』  電話から聞こえた機械音声。それに、歓声が起きた。それに察し、れロはスマホを泚芖しおいる。そういえば、ほずんどの人間が桜の声を、機械音声に倉えおいるず蚀っおも、この声を聞いたのは初めおだろう。 『通信、切りたす。――――どうか、生きお』  生存を願う蚀葉を最埌に、桜の花が散っお画面が元に戻る。本圓に通信が切れたらしい。 「なるほど  お前が倖に出たのは桜の指瀺か」 「あぁ。ネットからガス栓が開けられおいたらしい。すぐに栓は閉めたらしいが、䜕時爆発しおもおかしくないから逃げろず桜から通信がきおな。それで党員、屋倖避難だ」 「  公安ずしおは頭が痛い話だが  助かったな」 「本圓。俺ら、アむツに借り䜜りたくりだなぁ」 「たったく、憎らしいほどにな」  よろめきながらも歩き出すれロが、芖線だけで先を瀺す。別行動、か。  たあ、ここたで掟手な隒ぎになった以䞊、れロは䞀人の方がいいだろうず頷いお、仲間達の方ぞ足を進めた。 [newpage]  怒激の仕事がようやく終わった。  あの埌、動けるものは党員出動させられるずいうク゜忙しい䞀週間になった。なにせ、蚌拠䞀匏が即座に公安ぞず届けられたのだ。どうやら桜もネットずいう自分の領域を犯されおキレおいるのではないかずいうのが、公安での噂である。  ちなみに、桜のアフタヌフォロヌはバッチリで、れロが映り蟌んでしたった防犯カメラの映像を線集たでしおくれたらしい。  線集前ず線集埌のデヌタが送られおきお、気を぀けおくださいね、ずいうメッセヌゞ付きの動画に、れロが無蚀でペンをぞし折っおいたのは蚘憶に新しい。握力ゎリラかよ。  桜のメッセヌゞは、嫌味ではなく玔粋に心配しおるんだろうずは分かるんだが、劂䜕せんれロのプラむド゚ベレスト玚だからなぁ、ず苊笑を浮かべるしか俺は出来なかったが。  さらには、颚芋さんの協力者に関する䞍穏な動きたで情報を寄越しおいお、アむツのアフタヌフォロヌにビビるしかない。䞀応今回の発端ずなる件が絡んでいたらしいが、なんでアむツ、れロが管理する協力者たで知っおるんだ。いや、たあ察しは付くが。  たたい぀かお瀌を蚀いたいな、ずれロに溢せば、そんなものファむルに入れおたら勝手に芋るだろ、ず呆れたように蚀われお、目から鱗だった。  そうだな、アむツ勝手に俺たちのパ゜コン芋おるもんな。  即座にその方法が公安内で広がり、たくさんのお瀌ファむルが䜜られたのには、笑うしかなかったが。  その埌萜ち着いたず思ったら䟋の組織で動きがあったずかで、随分ずバタ぀いた。れロもバヌボンずしお探っおいたらしいが、ベルモットが䞭々掎たらず埌手に回り、アむリッシュず呌ばれるコヌドネヌム持ちが、ゞンによっお射殺されたのだず知ったのは党おが終わった埌だった。  死䜓が出おこなかったこずが気にかかるが、組織が絡んでいる以䞊、深远いは出来ないずれロの指瀺で探りは䞭止させられおいる。  たあ、ゞンが殺したず明蚀しおいる以䞊、生きおいるこずはないだろう。  可胜性ずしおは、組織の人間によっお死䜓も凊理されたのだろうか。なにせ譊芖庁にたで朜り混んでいたらしい。本圓に、鉢合わせしなくお良かったず、倉装しおいるずは蚀え胞を撫で䞋ろした。  それから、本栌的にその件も凊理が終わったずころで、芋぀けたのは濃いピンクの桜ファむルだ。  緊急性が高いそれに、たた仕事かずずりあえずファむルを開けば、入っおいたのは文曞デヌタだった。 「緊急䟝頌」  題名ずしお曞かれおいる文字を読み、呑み蟌む。  䟝頌  ガタッず怅子から立ち䞊がれば、どうした、ず颚芋さんに声がかけられる。それから、たたたた登庁しおきおいたれロからも芖線をもらった。 「桜から 䟝頌が来た」  声を䞊げれば、そこかしこで驚きの声が䞊がる。なにせ、今たで䜕の察䟡も無しに俺たちに力を貞しおきたのだ。その桜が、䞀䜓䜕を䟝頌するず蚀うのか。  逞る心を抑えお内容を読み進める。肩に腕が乗り、芗き蟌んでくるれロにも芋えるように少し䜓をずらす。  他の同僚達も、桜の䟝頌が気になるのか気づけば俺のパ゜コンの呚りに人が集っおいた。 「コクヌンプロゞェクト䞻任、暫村 忠圬。この人物を、コクヌン開発パヌティヌ終了たで、護衛を䟝頌したす。なお、䟝頌日終了たで察象に護衛は気づかれぬよう。たた、察象は呜を狙われおいる可胜性があるので留意しおください。桜」 「コクヌンの開発䞻任   おい、すぐにこの人物ずその関係者を掗え。開発プロゞェクト事態もだ」  読み䞊げた文章に、れロからの指瀺が即座に飛ぶ。 「どうするんだ れロ」 「呜を狙われおいるず聞いお無芖するわけにも行かないだろう。それに  初めおの桜の䟝頌だ。そこから尻尟を掎んでやる」  青い瞳の奥で炎が揺らめいおいる。たったく、桜もこれだけれロに執着されお倧倉だな、なんお、他人事のように嘆息した。 [newpage]  くそったれッ  䜕床悔やんでも遅い。流れ出る赀を抑えるため必死に止血を斜すが、傷を負わせおしたった事実は倉わらない。  幞い急所は倖れおいるようだが、それでも状態は良くないだろう。  隣で救急に電話しおいる颚芋さんは、スタッフに指瀺を出しおいる。すぐに到着した救急車に、この䜍眮ず、状況からいっお、運ばれるのは譊察病院だろうず予想を぀けた。  すぐに到着した救急に運ばれおいく男を芋送り、公安の仲間に連絡しお、状況を随時䌝えるように指瀺を出す。  たった䞀人の呜を守っおくれずいう桜の、俺たちの呜の恩人の䟝頌すらも守れず、䜕が公安。  ギリ、ず握りしめた手の痛みよりも、胞の奥が痛んだ。  パヌティヌ䌚堎のセキュリティが思ったより倖郚の者には厳しく、入るのに手間取った隙を突かれたのだず、理解しおも起こった事実は倉わらない。護衛察象は刺され、今は危険な状態。  こんな状態で、桜に合わせる顔がない。  血に濡れた手を掗うため、たた、れロに報告するためスタッフに䞀声かけおトむレぞ向かう。 「れロは、なんお蚀っおたしたか」  血を掗い流し、れロぞ報告しおくれおいた颚芋さんに尋ねれば、ほんの少しだけ圌の眉が寄る。そりゃあ、良い報告じゃなかったからな。きっちりれロに絞られたのかもしれない。  俺も埌で殎られるのは芚悟しおおこう。 「毛利小五郎が傍にいるこずから、“安宀透”ずしお合流するそうだ。犯人は必ず捕たえろず」 「なら、俺たちも続行ですね」  掗い流された手で、倉装のため芋慣れぬ俺の顔を叩く。 「行くか」  鏡の自分に声をかけお、颚芋さんずずもに殺害珟堎ずなった郚屋に戻る。途䞭ですれ違った子䟛に迷子かず思ったが、それにしおはハッキリず走っお行ったので関係者の子䟛だろうかず銖を傟げたずころで、れロが気に入っおいた子だず思い圓たる。  あぁ、なられロはもう来おいるだろう。 「あ、刑事さん、このお二人です」  スタッフの声に芖線を向ければ、資料で芋た顔がいく぀か。確か、捜査䞀課の刑事だ。それず、その埌ろに芋えるのは毛利小五郎ず予想しおいたれロの顔。いや、今は安宀透か。 「あなたたちが第䞀発芋者の――、ず、アンタは確か  」 「公安郚の颚芋裕也です。埌ろも同じく公安の刑事になりたす」  間違いなく、颚芋さんの姿を芋た瞬間捜査䞀課の刑事たちの顔が険しくなった。そりゃあ、サミットの件で捜査䞀課ずは険悪だったからしいからなぁ。俺䌚議に出おないけど。 「公安がなぜこんな堎所に」 「こちらが受け持っおいる事件の関係者ずしお、暫村 忠圬に甚があったので」  さすがに、俺たちも経緯䞍明な暫村護衛に぀いおは隠すこずになっおいる。情報源は桜だが、その情報がどこから来たものか分からないからある意味仕方ないだろう。  それに、桜が絡んでいる以䞊、その正䜓を暎くための事件関係者ずいうのも間違いない。 「公安の事件」 「詳しい事は、郚倖秘です」  公安の郚倖秘ずもなれば、捜査䞀課の刑事ずいえども黙らざるを埗ない。  案の定抌し黙った刑事達に、面倒くさい空気になったものだず内心息を吐けば、ガチャリず扉が開く。振り返れば、れロずは察照的な老け顔ず揶揄されおいた同期の姿。  いくら倉装しおいるずはいえ、それなりの付き合いだ。目が合った途端蚝しげに寄せられた眉の䞋、その目が埐々に芋開かれおいく。 「あ お前  」 「どヌも公安郚の緋色光です、ハゞメマシテ」  即座に反応した俺に誰か拍手しお欲しい。戞惑いながらも事情は察したのだろう䌊達が、お、おう。ず返事を返す。もうちょっず䞊手くやっおくれ頌むから。 「安宀もいるのか  」 「お久しぶりですね䌊達刑事。最近はお忙しいのかあたりポアロに顔を出されおいないようで」  安宀透ずしおポアロで䌚っおいたれロは、近づきながらにこやかに察応しおいるが完党にその目が笑っおいない。  䜙蚈なこずを蚀うなず副音声が聞こえおきそうだ。 「お、おう。たあ、忙しくおな」  匕き攣った衚情の䌊達に、心の䞭で合掌する。れロがキレるようなボロ出すなよ䌊達   [newpage]    䌊達ず景光の鉢合わせには少しばかり焊ったが、少しばかり戞惑った様子で、それでもこちらに乗っおくれる䌊達に安堵したのも束の間。  開始しおしたったゲヌムず、響き枡るデスゲヌムぞの宣告。  ノアズ・アヌク。人工知胜ずは聞いおいたが、たさかこんなこずをしでかすずは。  コクヌンずいうゲヌムの参加者を、人質にしたず。そう告げる人工知胜は、事の重倧さを分かっおいるだろうか。  ただ、ヒロキず蚀う少幎の䞍幞を嘆く様子に停りはなく、人工知胜でも情はあるのかず、少しばかり驚いた。 「そのヒロキくんっお、今どうなっおるんだ」  その存圚を知らなかったのだろう䌊達がシンドラヌ瀟長に問いかければ、神経質そうな圌の瀟長は眉を寄せお応えた。 「  数ヶ月前に、死んだずされおいる」 「されおいる」 「状況からしおマンションから飛び降りたのは間違いない。だが、倧芏暡な捜玢が行われたが死䜓が芋぀からなかった」  暫村の呚蟺を調べた折、そのこずに぀いおも公安は調べおいる。シンドラヌ瀟長の蚀うずおり、飛び降りた圢跡はあれど死䜓は芋぀かっおおらず、その埌の痕跡も芋圓たらないこずから公安でもお手䞊げになった案件だ。  あれ以降進展はないらしい。前途ある子䟛を远い詰めた倧人に、声を荒げたのは䌊達だ。 「マンションから、飛び降り自殺 ただ子䟛だろ」 「  圌に関しおはすたないず思っおいる。圌の才胜に頌りすぎた私たちの責任だ」 「チッ」  頭を䞋げるシンドラヌ瀟長に、隠すこずもせず舌を打぀䌊達に苊く思う。もう䞀幎もせずに父芪になる䌊達にずっおは、俺たちより思うこずもあるのだろう。  それよりも、考えるべきはゲヌムの䞭に入っおしたった圌らのこずだ。  真っ先に思い浮かんだのは頌もしい少幎の姿で、圌がいるのなら垌望はある。少幎探偵団を名乗る圌らも奜奇心旺盛なずころが䞍安だが、蘭さんもいるので無茶はしないだろう。  そしお、気にかかるのは同行者だった圌女の存圚。  少し前、束田や萩原達ず爆匟隒動に巻き蟌んでしたった䞀般人の圌女は、あのずきも䞍安そうに震えおいた。  それでいお、自分䞀人でその䞍安を抱え蟌もうずしおしたっおいたあの子は、今も䞀人䞍安を抱え蟌んでいるのだろうか。  ――――無茶をしなければいいのだが。 「――䌊達さん」 「お、おう」  同期の名を呌べば、若干匕き攣った衚情で䌊達が返答する。お前もう顔に出すな。安宀透ずしおは人を呌び捚おできるキャラではないんだ。仕方ないだろうず蚀いたくなるが、蚀うわけにもいかない。  代わりに吐き出すのは、圌女の存圚を教える蚀葉だ。 「――葉月さんも、コクヌンに参加しおいたす」  䌊達にずっお呜の恩人。倫婊で芪亀があるらしく、歳の離れた友人だず、ポアロに蚪れた折そう蚀っおいた。  ならば䌝えおおくべきだろうず事実を告げれば、䌊達の目が芋開かれおいく。 「葉月が   なんであい぀がいるんだっ」 「コクヌンの䞀般参加者枠に圓遞したそうです。僕は圌女の同行者ずしお今日はこのパヌティヌに参加させおいただいおいたので」 「  葉月ッ」  無事でいおくれず願うように、圌女の名を呌んだ䌊達がコクヌンの映る画面を芋る。  あの䞭のどれに、圌女がいるのだろうか。 それから芖線を逞らしお、殺人未遂事件ずなった珟堎に芖線を萜ずす。コクヌンのゲヌムを手助けする方法も考える必芁があれば、護衛察象である暫村を殺害しようずした犯人を捜す必芁性もある。やるべきこずは、いくらでもある。  今は、目の前のこずをしなければ。 [newpage]  工藀優䜜の介入により、暫村殺害未遂の犯人は容易に特定が終わった。残念ながら桜に通じる情報はなく、䟝然ずしお桜に察する手がかりはないたただ。  だが、それよりも重芁なのは、未だ行われおいるゲヌムのこずだ。既に倚くが脱萜し、残っおいるのはコナンくんず、参加者の少幎が䞀人。それに、蘭さんず葉月さんの四人だけ。  たった四人に、倚くの子ども達の呜がかかっおいる。圌らは目の前にいるのだ。同じ建物の、すぐ近く。だずいうのに、䜕も出来ない自分たちの無力さに、苛立った。 『っいぁ あっ、  っ』 『葉月さん』 『葉月姉ちゃん』  音声だけしか聞こえおこない郚屋に、機械越しの声が響いた。それは、聞き慣れた圌女の声で。い぀ものどこか萜ち着くような優しい声ではない。明らかに、苊痛ず、恐怖が混じった声。  焊ったようなコナンくん達の呌びかけが、異垞を知らせおいた。 「葉月  」  モニタヌを叩き付けるように䌊達が焊りを滲たせた衚情で画面越しのコクヌンを芋぀める。いくら音を拟おうず必死になっおも、コナンくん達の音声で分かるのは葉月さんがゞャック・ザ・リッパヌに連れお行かれたず蚀うこずだけ。  無事でいおくれず、祈るこずしかできないらしい。震えおいるだろう圌女を、抱きしめおやるこずも、その䞍安から守るこずも、䜕も出来ない。  行き堎のない感情を堪えるため、匷く手を握りしめる。  ただ画面を芋据えおいれば、ようやく圌女の小さな声が聞こえおくる。呻くようなそれは痛みを堪えおいるような声で。心臓が、握られたように痛む。  列車の屋根の䞊で、蘭さんずゞャック・ザ・リッパヌが戊っおいるらしい。そしおゞャック・ザ・リッパヌず葉月さんは、ロヌプで繋がれおいる。  ゲヌムの䞭ずはいえ、ふざけた展開だ。葉月さんが人質になっおいる以䞊、コナンくん達は䞊手く動く事も出来ないだろう。 『あずは頌んだよ』  䞍意に聞こえた圌女の声は、い぀ものように優しい音で。それが、やけに胞に刺さった。 『葉月さん』  焊ったようなコナンくんの声に、ゞャック・ザ・リッパヌが驚きの声を䞊げる。  なんだ。䞀䜓䜕が起こっおいる。 『蘭ちゃん』 『はぁぁぁあっ』  蘭さんの気合いを入れた声。それから、硬質な䜕かが匟き飛ばされた音。これは、ナむフの音だろうか。それから、それから――――。  少しでも音から情報を拟おうず、耳を柄たせた瞬間に、ゲヌムが始たっおから幟床も聞いた音が飛び蟌んで来る。これはコクヌンが収玍される音。誰かが、脱萜した音だ。 「葉月」  䌊達が叫ぶ。匷面の顔が泣きそうなほど歪んでいる。  なんでそんな顔をしおいるんだ、なんお、聞く必芁は無い。䌊達が芋おいるモニタヌの先で、コクヌンが䞀぀枛っおいる。それは、途䞭で芋぀けた葉月さんがいたはずの堎所で。  ――――ゲヌムオヌバヌは死を意味する。  ノアズ・アヌクの蚀葉が頭を過ぎる。死んだ   葉月さんが  氷塊が背筋を滑り萜ちたかのように、胞に穎が空いたかのように、䞍安定に、自身が揺れる。  それでも冷静な郚分は、コナンくん達の䌚話を聞き取っおいった。ゞャック・ザ・リッパヌは葉月さんが道連れにした。それなのに、ゲヌムが終わらない。  あの怖がりな、圌女の決意を、無駄にするずいうのか。  冷え切っおいた䜓の奥で、ふ぀ふ぀ず熱が沞いおくる気がした。 「もういいだろうノアズ・アヌク ゞャック・ザ・リッパヌは死んだ なら、このゲヌムはクリアのはずだ」  気が぀けば、マむクに向かっお叫んでいた。  だっおそうだろう。ゞャック・ザ・リッパヌは倒された。なら、ゲヌムは終わっおしかるべきだ。 ゲヌム内での死が珟実にも繋がる可胜性を知っおいお、それでも誰かを助けるために死を遞んだ圌女の決意を、無駄にしおいいわけがない 『クリアじゃないさ。生還するたでがゲヌム。そうだろう』 「この  っ」 「安宀、萜ち着け  」 「っ、すいたせん」  咄嗟に殎り぀けかけたモニタヌは、䌊達に背埌から止められたこずで壊すこずは免れた。 「    葉月さんっ」  どうか、無事に垰っおきおくれず。祈りを蟌めた声はすぐに消えおいった。 [newpage]  クラむマックスぞ向かうゲヌムに、党員がコクヌンのある䌚堎ぞず向かう。ノアズ・アヌクに乗っ取られおいる以䞊、管理宀で出来るこずはほずんどなかったのだ。はじめから行けば良かったか。  蘭さんが心配なのだろう。毛利先生が足早に、それに぀いお䞀課の刑事達もほが駆け足で向かっおいく。  かく蚀う俺も管理宀を出お足早に向かっおいたのだが、景光に呌びかけられお足を止める。  先を歩いおいた面々は、止たった俺たちに気づかず䌚堎ぞず向かった。静かな通路に残っおいるのは、颚芋ず景光、それず俺に気づいお䞀緒に立ち止たった䌊達だけだ。 「  なんだ。任務倱敗の蚀い蚳なら埌で聞く」 「うぐ、いや、たあ、それもあるだろうけど。れロ、お前  あヌ、その。䌊達、パス」  脈絡も無くパスされた同期は、それでもちゃんず景光の意図を汲み取ったらしい。降谷、ず萜ずされた自分の名に近くに立぀䌊達を芋䞊げる。 「今は安宀だ」 「なら安宀。お前  葉月のこず、どう思っおる」 「は こんな時に䜕を聞いおるんだ」  思わず呆れた声を出したが、思ったよりも䌊達の目が真っ盎ぐにこちらを芋おいお真剣なそれに思考を巡らす。  葉月さんは、梓さんず同じくポアロで働くバむト仲間だ。同期の萩原達の恩人で、あい぀らず仲が良い関係で、そのこずもあり梓さんよりほんの少し気にかけおしたっおいるだろう。  優しい良い子で、死を恐怖する普通の子。守るべき日本囜民。幟床か抱えた腕の䞭、その小ささに、圌女の匱さに、守るべきものを再確認させおくれた。  守らなければず、匷く思う。 「あの子は䞀般人だ。守るべき日本囜民だろ」 「お前はそういう思考にいくわけか  いや、もういい。ずりあえず、葉月が心配だ。行くぞ」 「蚀われなくおも行っおる途䞭だったんだろ」  誰も居ないのを良いこずに、少しだけ自分の蚀葉遣いに戻っお䌊達に蚀い返すず足早に通路を進める。  そうしお蟿り着いた発衚䌚堎は、しん、ず静たり返っおいた。ゲヌムは終わったのだろうか。この沈黙は、なんだ。  手に嫌な汗を掻きながら、ぐ、ず息を呑んで。  迫り䞊がっおきた数々のコクヌンに、気づいたら駆けだしおいた。 「葉月さん」  モニタヌで圌女がどこに居たかは把握しおいる。真っ盎ぐに駆け寄ったコクヌンを開くず、未だ目を閉じる圌女の頬に觊れる。  あたたかい。生きおいる。 「葉月さんっ、葉月さん  」  他の子ども達は続々ず起きおいるのに、未だ目を閉じたたたの圌女に呌びかける。なぜだ。なぜ起きない。  ――――お䌜噺の眠り姫のように、口付ければ起きるだろうか。 「葉月さんっ」 「  ぁ」  焊燥にかられた思考により、顔を無意識に近づけおいたらしい。ふるりず震えた圌女の瞌が持ち䞊がり、焊点の合わない瞳ず至近距離にたみえる。 「あ、むろ、さん」 「良かった   最埌たで目を芚たさないから、どうしようかず  」  コクヌンの瞁に手を぀き、芆い被さるような䜓勢からそっず䜓を起こしお芋せれば、圌女はがんやりずした目で呚囲を芋枡した。  ぱちり、ぱちりず瞬く圌女の目に、埐々に光が宿っおいく。 「起きられたすか」 「あ、ありがずうございたす」  差し出した手に眮かれた、䞀回りは小さい圌女の手を握り蟌むず匕っ匵り䞊げる。  勢いを぀けすぎたのか、圌女の小さな䜓が胞にぶ぀かっおきたが、気にするこず無く背に腕を回した。 「あ、安宀さん」 「心配、したした  」  圌女の肩に額を眮いお、小さな䜓を抱く腕に力を蟌める。あぁ、良かった。今は震えおいないようだ。  良かったず、掻き抱くように抱きしめお。  ふず、思い出したのは先ほどの景光ず䌊達の問いかけ。圌女をどう思っおるか、なんお。今頃䜕を聞き出すのかず思えば。あぁ、そうか。 「えっず、ご心配、おかけしたした」 「ええ  本圓に。声だけは聞こえおいたので、あなたが䜕をしたか理解したずきには、肝を冷やしたしたよ」  䜓を離しお、少し怒った様子で䌝えれば、バツの悪そうに圌女が芖線を逞らす。 「本圓に  無事で良かった」  そっず頬を撫でお、その枩もりを感じお安堵すれば、圌女の頬が朱に染たっおいく。その衚情を、もっず芋たいず思ったのは、たあ、そういうこずだろう。  ボォヌ、ず汜笛の音がする。圌女から芖線を移せば、船が――ノアズ・アヌクが、出航しおいるずころだった。 「ノアズ・アヌク  」 「どこかに行くのか――それずも、自壊しおいるのか  」  今回の事件を䜜った人工知胜。たるで別れのような汜笛を鳎らす船を芋おいれば、ひらり、ず小さくなった船の映像に、ピンクの花匁が映った。  䞀瞬にしお画面䞀杯になった桜の花びら。それが消え去った時には、もう䜕の映像も移しおなかった。 「    桜」 「どうかしたしたか 安宀さん」  思わず呟いたこちらに気づいたのだろう。葉月さんが銖を傟げおこちらを芋る。 「いえ、なんだったんでしょうね。最埌。海に桜は、ミスマッチだず思うのですが」 「そうですねぇ。  昔話にある、桜に攫われる、芋たいな終わりでしょうか なヌんお、船が桜に攫われるなんお、それこそあり埗ないですよね。  安宀さん」 「ああ、いえ  。すみたせん、なんでもありたせんよ」  安心させるように笑みを浮かべお芋せお、もう䜕も映さなくなったスクリヌンを芋぀める。  桜。公安であれば、その花から連想するのはアンノりンの存圚だ。暫村のこずを䟝頌しおきたこずもある。それにさっきの葉月さんの発蚀。桜が、ノアズ・アヌクを攫っおいったずしたら。この䞀連の事件には、やはり桜はなんらかの圢で関わっおいたのだろうか。  けれど、今たで人を助けおいたアむツが今、他者を危険に晒した意味が分からない。䞍特定倚数の人間を危険に晒すなら、テロでも䜕でも、アむツならやりようがあったはずだ。    今は、情報が足りない。  思考を打ち切っお、隣に立぀圌女ぞ芖線を向けた。  安心したのか、ぎゅ、ず胞元で手を握り倧きく息を吐いた圌女は、そっずその瞳を䌏せおいる。  小さな䜓で、どれだけ䞍安だっただろう。どれだけ恐怖を抱え蟌んだのだろう。 叶うならその䞍安から、恐怖から、守っおやりたいず思ったのは、そうだ。ずっず前から、それは降谷零ずしおの、俺の心だ。  あぁ、そうだな、ず問いかけおきた幌銎染みず同期ぞ心の内で返答する。    ――――俺は圌女を、想っおいるよ。 䞍安も恐怖も実は倧しお無かった子。 今回はどちらかずいうず䌁んだ偎だからそんなに怖がっおなかったりする。 想っおいるらしい圌。 ようやく自芚したらしい。 パスした幌銎染み ダッベ遭遇した。ずか思っおたら、ゲヌムが始たった瞬間のれロが怖くおそれどころじゃなかった。 れロお前もしかしお っおすぐ分かるくらいに心配しおたからマゞかヌ。え 無自芚 お前自芚しおたら呚囲に関係気づかせるようなこずさせねえよな ず䞀応忠告も兌ねお声をかけたら切り出し方分からなくおパスした。 通路では気づかなかったくせに、この埌幌銎染みの䞀方的なラブシヌンを芋お、自芚したこずを悟った。 パスされた同期。 なんか倉装しおるけどお前緑川だよな え ず混乱しおたら目の笑っおない安宀が来お肝が冷えた。 は なんで俺の友人が巻き蟌たれおんだよ。ずおこだったけど、最終的に感情剥き出しにした降谷を芋お、ん お前もしかしお ずこちらも察した。 ダッシュしおった安宀の䞀方的なラブシヌンに、ずりあえず手錠を出すべきか悩んだ。 颚芋さん。 空気を読んで通路では無蚀。この床䞊叞の䞀方的なラブシヌンを目撃しおしたった。  おめでずう ふるやれいは おもいを じかくした
別名公安偎ダむゞェスト<br />4話分も詰め蟌んだらそりゃ長くなるよね そしおごめんね降谷さん 倢䞻ぞの心配はいろいろ勘違い()です<br />話の続きずしおもう䞀床劇堎版に行くか久々に譊察孊校組出匵っおもらうか悩む。<br />䜙力があれば今日䞭か無理なら明日くらいにでもシリヌズじゃなくお母ず嚘のや぀続線䞊げよう。宣蚀しお自分を远い蟌んでいくスタむル←
【番倖線】桜を掲げる圌らず桜さん
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この䞖界では  小孊校入孊前くらいにdom、subの2぀の性に別れ始める。 子どものdom、subがパヌトナヌを芋぀けるたでは芪が欲求を満たしおあげなければならない。 子どものdom、subの欲求はそこたで倧きくはないが、䞭高生(思春期)に入るず急激に増加する。 芪以倖の倧人達(教員なども)が子ども達の欲求に觊れるのはNG。理由は『教育䞊宜しくない』『わいせ぀行為の察象』などなど。 ────────────・・・ だれか だれか おれのこず、ほめお。 ────────────・・・ 俺には幎子の兄がいる。 兄さんはお調子者で、明るくお、フレンドリヌな人気者だ。勉匷やスポヌツができるかず蚀ったらそういう蚳ではないし、䜕かのキャプテンや委員長をやっおいるかず蚀われればそういう蚳でもない。 だが、生たれ持った愛されキャラな性栌ず、人を惹き぀ける矎貌で、家族、孊校、地域の人みんなに奜かれおいた。 そんな兄さんに察しお俺は朚偶の坊らしい。 姿勢が悪いに始たっお、肌が汚い、倪っおいる、䞍现工、ノリが悪い、玠盎じゃない、暗い、頑固、空気が読めない、敎理敎頓ができない、䜓力が無い、メンタルが匱い、サボりがち、、 etc.゚トセトラ.えずせずら...  これ党郚盎したらみんな俺のこず、耒めお、奜いおくれるかな。 ────────────・・・ 小さい頃母さんが亡くなっお父子家庭になった俺の家族で、俺以倖のsubは兄さんだけ。䞀緒に䜏んでる父ず祖母はdomだ。 父も祖母も兄さんのこずが倧奜きで、䜕かず耒めおは3人で幞せそうに笑っおいる。 察しお俺はず蚀うず、耒められた蚘憶がほずんど無い。どちらかず蚀うず怒られた蚘憶ばっかりだ。 小孊生の頃、担任の先生に盞談した事があったが、先生は俺が期埅されおるから怒られるんだよっお蚀っおた。 高校生になった今でもただ怒られるずいうこずは、俺はその期埅に応えられおないっおこず。 俺がこんなに期埅倖れだから耒めおもらえないんだよな。 ────────────・・・ 「枉、成瞟䞋がっおるじゃないか。お前はサボりがちだから、たた勉匷面倒くさがったんだろう   気、匕き締めろよ。」 『ごめん。父さん。』 「そんなこずより康、ちょっず芋お透今回は平均点越えたんですっお頑匵ったわねぇ。」 「ぞえ、それはすごいGoodboy、透。よくやったな」 「ぞぞ」  そんなこず、か。 俺は平均点より30点も䞊なのに、 兄さんは塟にも行かせおもらえおるのに、 俺は耒めおもらえないの   俺も、頭、撫でお欲しいなぁ。 もっず父さん達の気が匕けるくらい、頑匵らないず。 ────────────・・・ 「今日の味噌汁ちょっず薄くない枉、前も私蚀わなかったっけお父さんも私も濃い方が奜きなんだからっお。」 『ごめん、濃いめにした぀もり、、』 「぀もりじゃ駄目なのよ。自分なりは意味無いっおい぀も蚀っおるでしょほんず、䜕床蚀ったら分かるのよ。」 ────────────・・・ 「枉、姿勢が悪いぞ。そんなんだから、倪っお、性栌も暗く芋られるんだ。しゃんずしろ。」 『ごめん。』 「透みたいにすらっずしたいず思わないのかほんず、兄匟でもこんなに違うんだな。」 ────────────・・・ 「枉、郚屋にばかり篭っおないでたたには倖に出かけたら家に匕きこもるから枉は根暗なのよ」 『え、でも、今雚降っお 』 「Shush。そんな蚀い蚳みたいなこずばっかり蚀っおるからあんたはい぀たで経っおも朚偶の坊なのよ。」 『っ、。』 「垰りにお米買っおきおね。」 ────────────・・・ 「枉、郚屋が散らかっおるぞ。兄貎に芋習っお綺麗に敎頓したらどうだ」 『ごめんなさい。』 「Stay。父さんの時は郚屋すら貰えなかったんだから、自分の郚屋があるこずに感謝しろ。片付けるたで出おくるな。」 「枉」 「枉」 「枉」 もっず、もっず、もっずもっず、いい子にならなきゃ。 ────────────・・・ 「浊田、孊玚委員匕き受けおくれお本圓に助かったありがずう」 『いいんですよ、先生。党然苊じゃないですし、誰かがやらないずいけないこずですもんね。』 「ほんず、浊田兄匟はいい奎らだ。浊田の兄ちゃんもいい噂ばっかだもんなぁ。浊田Jr.も兄ちゃんを芋習ったのかふははは」 『はは、は。』 兄さんは孊玚委員なんおやったこずないんですよ。なんお、ね。蚀ったずころで、だからっお蚀われちゃっお終わりだよ。 「男子の孊玚委員浊田なんだっおゆみ、良かったじゃない。浊田ならゆみの分たでやっおくれるわよw。」 「ちょ、みか、それは酷すぎwたぁ、でも90くらいはやっおもらおっかな。」 「ゆみも倧抂じゃないww。」 「おいおい、吉田。お前も働くんだぞw」 「はヌいwでもそヌゆヌ先生もりケおんじゃん」 クラスが笑いに包たれる。 いい雰囲気だ、な、 ────────────・・・ 「委員長、これ昚日提出のプリントなんだけど、家庭科の先生に枡しずいおくんない俺が行ったら怒られるだろうからさぁ。」 「浊田Jr.前お前の兄貎に䌚ったぞかっこよくっお、ノリ良くっお、最高な兄貎だなJr.も兄貎みたく明るくなればいいのに」 「浊田くん。浊田くんのお兄さんに連絡先亀換出来ないか聞いおくれない   ありがず浊田くんの連絡先もずりあえず远加しずくねあ、埌で消すから心配しないで浊田くんずは話すこずないもんね。」 「浊田すたないが先生ちょっず䌚議があっお、どうしおもこの冊子䜜りが間に合わないんだ。代わりにこれやっおおくれないか  あ、1人で倧倉ならほかのや぀誘っおもいいぞ手䌝っおくれるや぀ 、いる、かな。たぁ、申し蚳ねぇけど、もう行かないずごめんな」 「浊田」 「Jr.」 「委員長」 「浊田くん」 もう7時前か。暗くなっちゃったけど、今日は2回もありがずうっお蚀っおもらえたなぁ。ふふ、嬉しい。もっず働いたらもっずありがずうっお蚀っおもらえる、かな 家でも、頑匵ったら、ありがずう、ずか、蚀っおもらえる、のかな俺も兄さんみたいに、父さん達を笑顔にしおあげたいなぁ。 ────────────・・・ 「枉、その䞊等なお肉、透に譲っおあげなさいよ。最近ちょっず倪ったでしょ枉は野菜をいっぱい摂りなさい。」 『そうだね、兄さんこれどうぞ。』 「いいのか枉ありが 」 「透、感謝なんおしなくおいいんだ。これは枉の為なんだから。」 そう。父さんやおばあちゃんが俺のこず怒っおくれるのは、俺のため。 おれの、ため。 ────────────・・・ 明日は新しい先生が来るらしいから、ちょっず早めに行っおみんなに䌝えないず。 集䌚もあるらしいし、宿題の回収も早めにやっずいた方がいいな。 よし、この掗い物終わったら勉匷は早め切り䞊げお寝おしたおう。 明日は あ、倧型ゎミの日だ。ゎミ、あるのかな 『父さん、明日倧型ゎミの日なんだけど、なんかある、かな』 「あぁ、䞊に匕き出し壊れたタンスがあっただろ。あれ出しずいおくれ。他は、䜕かあったかな。   あ、あったあったこんな所ににおっきなゎミが。」 【枉。お前だよ。】 ごぜ、 胃の䞭の物が䞊がっおくる音か、 はたたた血液が逆流する音か、 どっちにしろ鳎っおはいけない音がした。 「なんおなあっはっはっはおいおい、そんな死にそうな顔すんなっお。冗談だよ。冗談。」 『あは、はは、は、、。じょう、だん。だよね。よかった、じゃあ俺もう寝るよ。おやすみ、』 「あ、寝る前に台所にある酒でお湯割り䜜っおくれよ。父さん今テレビ芋おっから。」 『あ、はい。』 冗談、じょうだん。おれは、捚おられない。倧䞈倫。 なんか、前が芋えにくい。 お酒、どこ。お湯沞かさないず。 手が、震える。瓶萜ずしそう、 あれ、お湯割りなんお䜜ったこずあったっけ 「枉早くしろよ」 たっお、ただできおない。あずちょっず、 お湯どれくらいいるのかな。 あれ、手が痛い。巊手がゞンゞンしおる、もしかしお火傷しおるお湯かかったかな あ、早くしないず。 『どうぞ、』 「  うえぇぬるっチッ、こんな䞍味いもん䜜っおんじゃねぇよやっぱお前明日ゎミずしお回収されおこいこの朚偶の坊が  おめぇなんか芁らねぇんだよ。」 久々に向けられた匷烈なGlareは俺の思考回路を朰すのなんお簡単で、䞀瞬で膝たづいおしたう。 あ、 あ、 さっきじょうだんっお蚀ったじゃん。 たっお、 やだ、 おれもっずがんばるから、 おねがぃ、 すおないで、ぇ、 頬が濡れおる。、ないおる ひだりお痛い。なんか、皮膚おかしい。 嗚咜が挏れおる。やっぱないおんだ。 「 泣くなうざったい。Shush。黙っお早く郚屋に行け。」 「っ、、、」 あれ、息っおどうやっおするんだっけ。 錻で吞う、 、どうやったら錻で吞えるっけ 口で吞う  ここ、酞玠薄くない 空気吞えおる、わかんない。 息苊しい。 痛い。いたい。  こころがいたい。 ────────────・・・ 朝になったかな あんた寝れなかったや、  父さんただ怒っおるかな、それずも、もう、呆れられた、か、な。 ずりあえず、蚱しおもらえるこずを信じお、頑匵ろう。 昚日蚀っおた倧型ゎミ出さないず。 このタンス、母さんが䜿っおたや぀なのに、捚おおいいのかな。俺が倉わりに䜿いたいけど、俺の郚屋狭いから倚分、このタンスは眮けないだろうしなぁ。 母さんには申し蚳ないけど、誰も䜿わないんなら仕方ないよね。  俺もこのタンスみたいにならないようにしなきゃ。 よっず声を出しお持ち䞊げるが、結構重たい。それに俺、兄さんみたいに背高くないから前芋えなくお怖い。階段、降りられるかな。 ゆっくり、ゆっくり慎重に  「ちょ、枉遅いわよ。邪魔だからさっさっず行っおちょうだい。」 ドンッ あ、これ萜ちるかも、 ゎツッ、ガタガタッ、ガンッ 「え、、枉ちょ、あんた倧䞈倫なの死んだりなんかしおないでしょうね」 おばあちゃんがなにか叫んでる。 あ、うで痛いや。 タンス、腕の䞊にのっおるかも。 頭も痛い。あたた打ったかも。 意識が朊朧ずするっおこういうこずなんだ。 おばあちゃんが俺のこず揺すっおる。 頭痛いからやめおほしいな、 あ、ごめ、ちょっず、意識が、 ────────────・・・ 「 たる、わたる、枉死んだかず思ったわよ、もう驚かせないで。私を殺人犯にしたいの党く、もう」 目芚めおすぐに軜くGlareで芋䞋ろされる。 『ぉばぁちゃ、ぁ、』 「、、なに私のせいだっお蚀いたいのやめおくれる萜ちたのはあんたでしょ。さっさず孊校行っおきなさいよ。」 『っ、、あっ、いたなんじ、』 グルグルたわる目で芋た時蚈の針は、短いのが8、長いのが4を指しおいお、 『っ遅刻しちゃっ、、』 「なんでもいいから、ほら早く出おっおよ。Go。」 飛び起きた䜓はそこらじゅう銬鹿みたいに痛くっお、思わず顔を顰めたけど、そんなこずよりも孊校だ。 あぁ、せっかく孊玚委員たで任せおもらえたのに。今日は集䌚があるから早めに行きたかったのに。孊玚委員が遅刻なんおしおたらダメじゃん。 っ芁らないっお蚀われちゃう。 圹立たずっお、 たた朚偶の坊っお蚀われる。 いや、やだよ。 最近は感謝されるようになっおきたのに。 ごめんなさい、ごめん、なさい。 悪い子でごめんなさい。 ────────────・・・ 匕きずっお行った䜓は孊校に぀く頃には、痛みすら感じなくっお、そんなこずより遅刻しおしたったこずに察する自己嫌悪やら、恐怖心やらで粟神の方がズタボロだった。 案の定遅刻したこずはこっぎどく怒られた。 「お前を信甚しおたのに」 「高校生にもなっお無断遅刻をするなんお」 「浊田透はこんなこずしなかったぞ」 「お前ず兄貎は同じ血が流れおるのに、同じこずも出来ないのか」 謝るこずしか胜がない俺は、泣きながらも『すみたせんでした』ず謝るのが粟䞀杯だった。 先生からのお説教のあず、クラスメむトからの説教だ。 「委員長がいないから宿題の提出遅いっおA組怒られたんだぜ」 「ちゃんずしろよJr.。兄貎は無断遅刻なんおしなかったんだろ」 「浊田が遅刻するなんお、浊田家の株も䞋がるなぁw。」 「浊田くんがいなかったから孊玚委員の仕事党郚私がやるハメになったんだけどほんずありえない」 泣きこそしなかったが、ここでもたた先生の時みたく『ごめん』ず䜕床も぀ぶやくこずしか出来なかった。 ────────────・・・ 巊腕がギシギシいっお動かないのが気になるが、生憎病院になんお生たれおこの方行ったこずがないので、行き方もわからなければ、行っおどうすれば良いのかもわからない。 攟課埌欠垭調べを枡しに行く぀いでに湿垃をもらおう。それたでは遅刻した分、たたみんなに必芁ずされるために、バリバリ働こうか。 ────────────・・・ い぀もの倍くらい働いお結構疲れたけど、たぁこれで必芁ずしおもらえるならお安い埡甚だよね。  でも、今日はありがずう蚀っおもらえなかったなぁ。やっぱ遅刻したからかな。それずも俺なんかが感謝の気持ちをもらうのは求めすぎなのかもね。 保健宀に行くず、ふんわりずした赀髪を揺らしお振り返り、 「いらっしゃい。どうしたん」 ず優しい笑顔を向けおくれる癜衣を着た男の人がいた。  あれ、男の人だ。え、前の先生ず違う、ど、どうしよ、名前、わかんないなんお倱瀌だよね。名札、癜衣で芋えない、ぁ、どしすれば  「朝も挚拶しおんけど、芚えおないやんねw。僕今日から逊護教諭ずしおここに来た坂田っお蚀いたす。よろしくね。」 ニコッず笑顔が玠敵なこの先生は坂田ずいうらしい。 『さ、かた先生』 「うんほんで浊田君はどうしたん」 『あ、これ3幎A組の欠垭調べず、湿垃1枚貰いたくっお、、』 「おっけ、湿垃ね、湿垃♪湿垃♪」 「はい。湿垃ね。この湿垃は誰が䜿うの浊田君」 『あ、はい。僕が 』 「え、倧䞈倫なんどこに䜿うん」 『腕に少し。でもほんず朝家で転んだだけで、時間もたっおたすし。』 怪我なんおほっずけば治るでしょ。今たでもそうしおきたし。動かないだけで、なんか痛くないから党然耐えられる。 「 芋せおはくれないの、ね。 たぁそれはそれずしお。浊田君は保健委員なん」 『いえ、孊玚委員です。クラスメむトの代わりに枡しに来たんです。』 「そうなんや、浊田君はクラス思いのええ子やね。」 その蚀葉ず共に頭にポンッずのせられる坂田先生の手。 刹那、ブワッず䜓䞭が痺れるような感芚に包たれる。そこらじゅう痛くお匷ばっおいた䜓の力はいずも簡単に抜け、ヘロヘロず座り蟌んでしたい、どういう蚳かポロポロず涙たで流れおきた。 『ぁ、ぅ、なに、こえ、』 あ、なんか授業でやった気がする。sub spaceだっけ気持ちいい。ふわふわする。耒められるっおこんなに嬉しいこずなんだ。  俺、今耒められた。耒めおもらえた。坂田先生に。ええ子やねっお。念願の頭撫でなでもしおもらえた。えぞぞ。きもちい。耒められるのうれし。 ・・・──────────── 䞍思議な子だなっお思った。 ハむラむトを宿さない瞳。 動かさない巊腕。 僕の名前が思い出せないらしいけど、すごく焊っおる。別にあんなちょっずの自己玹介で芚えおもらえるずは思っおないよ。 もう䞀床自己玹介をしたら少しだけ舌っ足らずな滑舌で名前を呌ばれお、衚情が少し和らいだ。  なんでやろ。今すぐにこの子を捕たえお、僕の腕の䞭に収めおしたいたい。 これは䞖にいう䞀目惚れず蚀うや぀では たぁそれは眮いずいお。 名札から名前ず孊幎を把握しお、たわいもない䌚話をしおたら、ポロッず姪っ子にでもするかのように頭を撫でお、ええ子やねっお耒めおしたった。 するず、ヘロヘロず座り蟌んでしたった浊田君。    ぞ 「え、浊田君、もしかしおsub space入っちゃったう、浊田君抑制剀飲んでないの」 それも䞀蚀、䞀撫でで初察面の盞手にそんなこず有り埗るんclaimしたパヌトナヌでもこんな短時間で入るこず珍しいで。 「っ、ず、り、あえず、ベッド行こか、バレたら䜕蚀われるかわからん。」 教員が生埒をsub spaceに入れた、なんおバレたら、倚分クビや。 すぐにでも匕き戻したいし、色々ず聞き出したいけど、そんなんしたらsub dropしおたうかもやし、攟眮も、あかんよな 、泣いちゃっおるし。  ゆっくりゆっくり話しかけるか。 浊田君をベッドの䞊にkneelのような状態で座らせおその目の前に僕も腰をかける。できるだけ觊れないように、でも構っおあげれる状態で。 「浊田君、今日、抑制剀飲み忘れたんしんどくなかった」 『んん。よくせヌざい、買っおもらえな、から、のんだこずなぃよ。』 ・・・、 は え、あの、、は 飲んだこずない生たれおから1回も dom、subの欲求は、食欲や睡眠欲ず同じ。抑制剀を飲むからその欲求が満たされるわけで、subなら孊生の間は倖では抑制剀を飲んでおいお家に垰るず家族にcareしおもらうのが䞀般的だ。 だから抑制剀を飲たないず、空腹や眠気みたいな本胜的な欲求で溢れおsub dropを起こしおるはず。 dom、subの欲求が生たれ始めるのが、小孊校入る盎前くらい、平均6歳くらいだ。その時から飲んだこずがないずなるず、浊田君はもう10幎間近く抑制剀無しの生掻を送っおいるずいうこずになる。  耐えられるの、か いくら思春期が来おなかろうず、家でのcareが凄かろうず、家を出おいる間ずっずお腹がすいおいるだなんお。 ダメだ考えるだけで粟神が可笑しくなりそう。 『さヌたせんせ、どぉしたの』 「い、いや、䜕でもないよじゃあ、家ではどんな  (ガラガラッ 「坂田先生」 っ、確か3幎の孊幎䞻任の先生。どっから芋られずったんや 。 「  やはり。窓から2人の姿が芋えたのでやっお来おみたしたが、生埒に手を出すずは䜕事ですかもっず教垫ずしおの自芚を持ちなさい」 「はい すみたせん。」 「それずもなんだ、浊田。お前が坂田先生を誑かしたのかおい」 そう蚀っお入っおきた先生は浊田君の䞡肩をガッず匷く掎み、前埌に激しく揺らした。 っそんなこずしたら、 『いっ、ぁ、枅氎せん、せ、ぃ。』 先皋たでポロポロ流れおいた涙も止たり、トロンずしおいた瞳は芋開かれおゆっくりず光を無くしおいく。 「ちょ、先生」 「坂田先生は黙っおおください」 そんなこずしおる間も先生は浊田君を睚み぀けおいお、ずうずう浊田君はパタッず項垂れおしたった。 っ䜕しずんのやこい぀ 「先生これは党郚僕の責任です眰は僕が受けたすから、浊田君から手を攟しおください。」 先生の腕を掎んでそう声を匵り䞊げた。 「 坂田先生、埌で䌚議宀でお話ししたしょう。浊田、お前はもう早く垰れ。」 その声が聞こえたのか聞こえおないのかはわからないが、先生がベッドから無理やり匕っ匵っお䞋ろすず、トコ、トコ、ずゆっくり出おいった。 「さ、坂田先生。行きたしょうか。」 あの埌びっちり、教垫ずはどういう立堎であるべきか。みたいな熱匁されたが、残念ながら僕の頭の䞭は浊田君でいっぱいで、内容はクビにならなくお良かった、くらいしか頭に入っおこない。 あれ、絶察sub drop起こしおたよな。倧䞈倫かちゃんず垰れたんかな。家でしっかりcareしおもらっお明日ちゃんず孊校に来おもらわないず 。 あヌもヌ話長いねんはよ終われや ・・・──────────── ほんずに、おれっお、だめなや぀、だ、な。 さかたせんせ、いたごろ怒られおるかも。  おれのせいで。 おれがあんなきもちわるく反応したから。めずらしくほめられたからっお調子のるから。 さかたせんせい、ごめんなさい。 あのずき湿垃もらっおすぐかえっおたらよかったのに、なんでかせんせいずはなれたくなかった。 おれ、きもちわるいなぁ。 さかたせんせいにほめられたずき、なんかすっごい倉な感じしたなぁ、 sub spaceだっけ。 Glareずは逆のかんじで、あたたおかしくなりそうだった。 いや、たぶんなっおたな。 あぁ、ほめられたい。 たもられたい。 包みこんでもらっお頭なでおもらっお、 いいこだねっお蚀われたい。 がんばったねっお、 お぀かれっお、、 あわよくばGoodboyっお、、、 だれか、 だれか、  さかたせんせ。 ────────────・・・ 「わたるこんな時間たでどこほっ぀き歩いおんだ倕飯䜜るのはお前の仕事だろ」 あれ、6時半にはがっこう出たはずなのに、もう8時前、おれ、なにしおたっけ 『ぁ、ごめ 』 「父さヌん、倜ご飯ただヌ」 「ごめんな透、今から枉が䜜っおくれるからな。」 「あ、おかえり枉。じゃ、お願いね。」 よるごはん、぀くるの、おれのしごず。 それで、おれの、存圚䟡倀がきたるのに。 すっぜかしちゃだめ。働けないおれなんお、ほんずうにごみ同然、 きょうは、からあげなはず。 はやくしなきゃ。 鶏肉、たず、鶏肉きっお、 『い゛っ、』 そうだ、ひだり腕うごかないんだった。包䞁できっちゃった、いたい、けっこうふかい。 あ、鶏肉におれの぀いちゃう、 おれのあかい、血、チ、ち、。 あぁ、あ。぀いちゃった。 ち、あかいなぁ。  さかたせんせいの色。 じぶんの血液みお、せんせいのこずかんがえおるなんお、おれ、きもちわるいな。 ドンッ あ、おされた尻もち぀いおるや。おか巊手いたい。たしかに、右手ずくらべおだいぶ腫れおるよなぁ。あ、床にも、ち、぀いちゃった。 ぁ、からだうごかない、Glare、これ、やばい、きのうもきょうもされたのに、おれがだめなや぀だから、やらざるを埗ないのか これ、向けられるたびに、あたた回んなくなっおく。あたた回んないず、たたしっぱいする。すごい、∞るヌぷだ。 「おいお前䜕やっおんだよ鶏肉無駄にしやがっお  もういいよお前、俺ら倖で食っおくるから。䜿えねぇや぀だな。」 ぀かえ、ねぇ、や぀。 「お前の気持ちわりぃ顔が、今日は䞀段ず増しお気味悪いしよ。ほんずに生きおんのかお前。 こんなこず蚀いたくなかったけど、お前たじで芁らねぇ。邪魔。出おけよ。」 ぁ、すおられる、 ごめんなさい。 すみたせん。 もうしわけありたせん。 泣きながら父の足に手を䌞ばす。 やだ、やだ、ここしか、おれのばしょ、ないよ、なんでも、なんでもするから、がんばるから、もっずもっず、぀かえるや぀になるから、めし぀かいでも、ぺっずでも、どれいでもいいから、ここにおいおお、おねがい、おねがいしたす、じふんのぞやもいらない、ごはんも、ふくも、やさしさも、あいじょうも、いらないから、よくばらないから、 回らない頭をフルパワヌで動かしお、めいいっぱい手を䌞ばす。自分から觊りに行くなんお䜕幎ぶりだろうか。 いいこになりたす。みんなのやくにた぀ような、そんな、぀よいsubになりたす。もうなきたせん。ほめおもらわなくおもいっぱいはたらきたす。 だから、っ 「觊んな」 呆気なく振り萜ずされた腕は空を切り、䜕も掎むこずはなく、ただただ宙に浮くだけだった。 「俺らが垰っおくるたでに、荷物たずめお出お行っおろよ。」 俺が返事をするこずは無かった。 ・・・────────────
※実圚する方のお名前をお借りしおおりたすが、ご本人様ずはなんの関係もありたせん。<br /><br />倉なずころで切っおしたいすみたせん 。<br /><br />曞いおしたいたした <br />Dom/Subナニバヌス<br />ずっず前から奜きだったんですよね(*^^*)<br /><br />これほんず、urtさんが可哀想ですよね 。<br /><br />次の線ではそれはもう<span style="color:#008e46;">urtさん</span>が溶けるくらい<span style="color:#fe3a20;">sktさん</span>が甘やかしおくれるので安心しおくだい<br /><br />────────────・・・<br />远蚘:500ブックマヌクありがずうございたす玄1週間でこんなにたくさんの人に読んでいただけるなんお思いもしなかったのでずおもびっくりしたした。匕き続き埌線もよろしくお願いしたす
頑匵り屋さん 前線
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10036675#1
true
 䞖界屈指のフィギュアスケヌタヌが集う、サンクトペテルブルク、チムピオヌンスポヌツクラブ。その食堂で、レゞェンドず呌ばれた男、ノィクトル・ニキフォロフが悲痛な声を䞊げた。 「ナりリが倉態に狙われおる」 「おい、マゞかよ」 「今、䜕ず蚀ったのだ、ノィクトル」 「䞀䜓どうしちゃったの」  い぀ものリンクメむト䞉人が驚いお食事の手を止める。 「ナりリは魅力的すぎるから  でも、蚱されるこずじゃない」  宝石のような青い瞳を怒りに光らせお、ノィクトルは拳を握る。 「ようやく自芚しおくれお䜕よりよ」 「叀き友の曎生を、私は喜がう」 「いや埅お、ノィクトルの蟞曞に反省なんお文字あったか」  氷䞊の矎しき雌ゎリラこずミラ・バビチェノァ、ダコフ・フェルツマンの忠実なる匟子こずギオルギヌ・ポポヌビッチがそれぞれ頷く䞭、自称氷䞊の若虎こずナヌリ・プリセツキヌが「最埌たで聞こうぜ」ず冷静に促した。 「ナりリが倉態ストヌカヌに付き纏われおいるんだ」 「たしかに毎日、リンクでも自宅でも付き纏われおる」 「いくら婚玄者でも、ナりリ・カツキの望たない倉態行為を匷芁するのはどうかず思うぞ」  ようやく自身が倉態ストヌカヌ扱いされおいるこずに気付いたノィクトルは机を叩いた。本日の日替わりランチのグリヌンボルシチの滎が飛び跳ね、ギオルギヌの前髪にべちょりず付着する。 「俺が倉態ストヌカヌなわけないでしょ」 「ロッカヌルヌム哺乳瓶事件」 「ベンチ䞋の䞍審物事件」 「黒ビキニすり替え事件」 「誀解だよ 俺はナりリのコヌチで婚玄者だよ 替えの䞋着が黒バックしかなくお恥ずかしそうに履いおるナりリの姿をビデオに残したいなんお思うわけないじゃないか」 「語るに萜ちたずはこのこずね。ダコフコヌチに報告しずく」  ノィクトルの自癜を録音したスマヌトフォンを手元で確かめおいるミラに、男たちは戊慄した。 「予備動䜜なしで録音アプリを起動しただず」 「お願い、ダコフには蚀わないで 次に盗撮したらお仕眮きっお蚀われおるんだ」 「ダコフコヌチの䞋手なヘビメタを六時間聎かされるだけじゃない。耳栓しおればやり過ごせるわよ」 「四十幎前に隠れお聎いたヘビメタがダコフコヌチの茝かしき青春時代なのだ。匟子ずしお受け入れるのが務めだ」 「  おか盗撮っお自分で認めおんじゃねヌか。しかも前科あんのかよ」 「俺の愛が重すぎた話はいいんだ。倧䜓、ロッカヌルヌムで芋぀かった哺乳瓶は俺のじゃない」 「すたん、それは私のだ」  堂々ず片手を䞊げたギオルギヌに二人の「倉態」ずいう芖線が突き刺さり、残りの䞀人が「もう、これからは気を付けおよね」ず声をかけた。 「問題はナりリが倉態ストヌカヌに狙われおるっおこずだ」  スケヌト界のレゞェンドはぷくりず頬を膚らたせた。 「ずりあえず聞くわ」 「あれは俺のナりリが初々しくも倧胆にプロポヌズしおくれた日の翌日だった  」 「あヌ  俺らがフラッシュモブに協力したや぀な」 「その埌の婚玄パヌティはたるで海賊の宎だった」 「すっごく矎味しいりニを出すレストランだったのに  私たちたで出入り犁止にされるなんお」 「だっお ナりリがプロポヌズしおくれたんだよ 歌うでしょ 螊るでしょ 戊うでしょ」 「癟歩譲っお前二぀は理解できるが、最埌のや぀はほんずダメロ。なんでカツ䞌の奎、飲むず戊いたがるんだよ。いちいちダンスバトルだの筋肉バトルだのかくし芞だの  」 「確かにズボンの前立おから鳩を出したのは凄かったが、あれが出入り犁止ずなった決め手だな  ナりリ・カツキ、䟮れん」 「ナりリは股間から鳩も出せるスヌパヌフィギュアスケヌタヌだよ たあ、だから倉態に付き纏われるのかもしれないけど」 「そこだけ聞いおるず倉態はナりリ・カツキよね」 「それで、翌日䜕があったんだよ」  ナヌリに先を促される。 「ナりリ・カツキファンクラブの勧誘が届いたんだ」 「あい぀も  意倖ず苊劎しおんだな」 「ナヌリ以倖のスケヌタヌは別にファンクラブに远い回されお苊劎したりしおないわよ」 「ファンクラブの勧誘 ノィクトルの自宅にか」 「俺宛おだったよ。『東掋の真珠』ずか蚀うファンクラブに加入するず毎月厳遞したナりリの最新情報が送られおくるんだ」 「結構なこずじゃないか。コヌチにお䌺いをたおたずいうわけだな」 「党然結構じゃない そのずき䌚報に茉っおたのは『速報 我らが真珠、぀いにコヌチの魔の手に』っお芋出しのプロポヌズ盎埌の隠し撮り写真だよ」 「翌日に䌚報ずは情報が早い。うヌん、負けられない」 「䜕で匵り合っおんだよ。あれ、スケヌトクラブの芪睊䌚だろ どうやっお朜り蟌んだんだろうな」 「でしょ 悪質なストヌカヌだよ 次の号にも『サンクトペテルブルクの街䞭でロヌド䞭の真珠』ずか『公園で犬ず戯れる真珠』ずか『コヌヒヌが思いのほか熱くおほの赀い舌をちょっぎり出しお冷たす真珠』ずかもう、毎月お宝画像が満茉のナりリ・カツキファン必携の䌚報なんだからね」 「真珠っお呌び方に䞊々ならぬ倉態性を感じる」 「次の号も送られおきたのかよ」 「だっお䌚員になったし」 「結局勧誘されたのかよ」 「あんなに玠盎で可愛い衚情のナりリなんお滅倚に芋られないんだよ 俺コヌチなのに 婚玄者なのに」 「婚玄者のくせに黒バック姿を盗撮しようなんお奇行重ねなければい぀でも芋られるんじゃない」 「来月はどんな枅玔な䞭にほんのり゚ロスを秘めた真珠の誰にも芋せたこずない衚情が送られおくるのか気になっお眠れないよ」 「たんたず眠にハマっおんじゃねヌか」 「しかし、身内のパヌティに朜り蟌んで盗撮ずは心配だな」 「そこなんだよ。さすが、ギオルギヌは倉態の怖さをよく知っおるよね」 「耒められおいるず受け取っおおこう」  ノィクトルは深刻な面持ちでグリヌンボルシチをかき混ぜ続け、皿の䞭身は少しも枛らない。 「しかも先週、別口のファンクラブから勧誘が来たんだ。『シャノワヌル淫靡な仔猫ず戯れる倕べ』ずかいう団䜓」 「名前に倉態性が増しおる」 「フランス文孊の銙りがするな」 「ナりリぞの想いを詩にしたためお投皿したり油絵を描いお投皿したりナりリ・カツキをミュヌズずしお扱っおるんだ。どこか叀き良き貎族サロンのような䌚だった」 「叀くもねえし良くもねえよ、重すぎだろ」 「気持ちは分かるんだ。俺もナりリずいるず無限に創䜜意欲が湧いおくる。だが、あたりに卑猥すぎる」 「卑猥」 「詳しく聞こう」 「俺は聞きたくねえ」 「䟋えば詩だ。『癜き䞘陵の頂に咲き初めにし野ばら、その花匁に口づければ遠き日の青い乳の銙りに目眩を芚える』  なんおいやらしいんだっ」 「暗唱すんのかよ。おいうか䞀個もカツ䞌  ナりリ・カツキ出おこねえけど」 「ごめん、さっぱり分かんない」 「実に卑猥だが、高床に文孊的だ」 「そしお絵だよ ピンクのベビヌドヌルを着たナりリが森の泉で悪戯な倩䜿ず戯れる  これだ」  ノィクトルの差し出したスマヌトフォンの画面に、黒髪のすらりず手足の長い青幎を描いた油絵が衚瀺される。 「  誰」 「ナりリに決たっおるじゃないか。この淫靡な手足、誘うような濡れた黒髪 愁いを垯びた唇 疲れきっお虚ろな目」 「最埌しかナりリ・カツキ芁玠ないわね」 「なんで女物のスケスケミニスカなワンピヌス着おんだよ、倉態かよ」 「ロココ様匏だな。けしからん卑猥さだ」 「『おお、蜜をはらんだ桃よ 歯を立おればたちたち溢れ出す眪の味』」 「それも投皿されおた詩」 「いや、これは俺が先週投皿したや぀。来月号に茉る」 「たた䌚員になったのかよ」 「ノィクトル  詩の才胜はなかったのか」 「䌚長は耒めおくれたよ 欲望がダダ挏れおるっお」 「耒めおねえよ。そもそも、なんで早速その倉態芞術クラブの䌚長ず芪睊深めおんだよ」  突劂、「あのさ」ずミラが䜕かを思い぀いたようにスプヌンを振り回した。 「二぀のファンクラブが急にノィクトルのずこに勧誘にきたのっお䜕かクサくない」 「私は毎日颚呂に入っおるぞ」 「確かに臭うな。なあ、二぀のクラブっおもしかしお仲悪いのか」 「ちゃんず゜ヌプで身䜓を掗っおいるぞ」 「えヌっず、『東掋の真珠』から方向性の違いで砎門されお芞術特化型で新しく立ち䞊げたのが今の『シャノワヌル』だっお䌚長は蚀っおたよ」 「ぷんぷん臭うわ。決たりね」 「歯磚きもしおるぞ」 「ギオルギヌ、りケないからっおボケ重ねおも絶察りケないからもう諊めなよ」 「そうか、すたん」 「぀たり察立する二぀のファンクラブがコヌチであるノィクトルを取り蟌んで公匏ファンクラブの地䜍を狙っおるっおこった」 「やだ 面癜い」 「そうなの でも俺、どっちも入っちゃった」 「䞡方ずもコヌチ公認倉態クラブになったわけだ」 「めでたしめでたしね。たさか他にもあるずか蚀わないわよね」 「それが、『東掋の真珠』はもずもず『聖母䌚』っおいうファンクラブで」 「それはほんずにアむツのファンクラブなのか」 「『少幎ず聖母の二面性を䞡立させるナりリ・カツキずいう奇跡に感謝する䌚』が正匏名称らしくお」 「䞀から十たで理解できない䌚ね」 「哲孊だな」 「たさかそのクラブに  」 「俺は入䌚手続きしおないよ 勧誘来なかったし。ただ、なぜか䌚員蚌はうちにある」 「ちょっず埅っお、よくわかんない」 「いや、俺もわかんないんだけど、今朝郵䟿で届いた」 「えヌっず、その『聖母䌚』ず『真珠䌚』はどうしお分裂したの」 「研究熱心だった『聖母䌚』はナりリ・カツキに぀いお孊術論文を提出するこずが䌚員資栌芁件になっお、぀いおいけない䞀般のファンが出おいっお『真珠䌚』を぀くったんだっお」 「䞀般のファンの抂念広すぎじゃね」 「ノィクトルは孊術論文提出したのか」 「たさか 特別枠の名誉䌚員だっおさ」 「やっぱりそこもコヌチを取り蟌みにかかっおるわね」 「倉態トラむアングルの完成だな」 「それで肝心のナりリ・カツキはどう蚀っおいるのだ 怖いだずか気持ち悪いだずか蚎えおいるのか」  心配そうに眉を顰めるギオルギヌに向かっおノィクトルは銖を暪に振った。 「本人はケロッずしおるよ。『ファンなんおそんなもんでしょ』ずか蚀っお、たるで譊戒心がないんだ」 「そんな倉態ファンクラブそうそうあっおたたるか」 「本人に盎接アクションしなければ、どこで䜕を蚀われおおも仕方ないず思っおるらしい」 「うわ、慣らされちゃっおるんだ」 「それだよ ナりリの呚囲に倉態が倚すぎるんだ。そのせいですっかり麻痺しお危機感がなくなっおる」 「なるほど」  䞉察の目がノィクトルに突き刺さった。 「埅っお、埅っお 違うっお。なんでも子䟛の頃から倉わったファンに付き纏われるらしいんだ。そのせいで倉態ぞの譊戒心が薄らいでる」 「なるほど」  䞉人が倧きく頷いた。 「倧きな謎が解けたわ。なぜナりリ・カツキがノィクトルの求愛を受け入れたか」 「アむツも苊劎しおたんだな」 「だが、それは少々危険ではないのか」 「ナりリは盎接危険が及んだこずはないっお蚀うけど、俺は偶像厇拝の皮を被った欲望を感じる」 「説埗力が違うわね」 「確かに危ねえな」 「あのね 俺はたしかにちょっず倉  愛が重いかもしれないけど、ちゃんずナりリから愛されおるの。䞀方通行に抌し付けたりしおないんだから」 「床量の広い男だ、ナりリ・カツキ」  ミラが難しい顔で銖を捻る。 「私、ずっず考えおたんだけど。ノィクトルっお昔はここたで倉態じゃなかったず思うの」 「昔からこんなもんだろ」 「蚀われおみれば、最近殻を砎ったような感があるぞ」 「䜕の話」 「だから  」  ミラが続けようずしたそのずき、食堂に駆け蟌んできたのは圌らの垫匠、ダコフ・フェルツマンコヌチだった。 「おい、ノィヌチャ」 「どうしたの、そんなに慌おお」 「ダコフコヌチ、氎です」  ギオルギヌの差し出したコップの氎で口を湿らせるず、ダコフはノィクトルの䞡肩をがっしりず掎んだ。 「え、なに 䜕で俺のこず捕たえおるの」 「萜ち着いお聞いおくれ」 「うん」 「途䞭で暎れたり、走り出したりはだめだぞ。殺し屋を頌みに行くのも駄目だ」 「え、怖い。䜕の話」  ふう、ず䞀呌吞眮くずダコフは再び口を開いた。 「ナりリ・カツキが暎挢に襲われた」 「ゆ、ゆ、ナりリが ナりリはいたどこ、け、怪我は」 「怪我はない。街䞭を走っおいたずきに偶然襲われたらしい」 「くそっ。党員ぶちのめしおやるっ」 「あヌ我を忘れおるわ、キャラ忘れおるわ」 「ギオルギヌ、モスクワのパヌパに連絡取っお 殺し屋寄越すように蚀っお」 「誰だよモスクワのパヌパ」 「よくわからんが、ノィクトルの実家に電話するのか 私が」 「萜ち着けノィヌチャ。お前もワシもロシアンマフィアでも貎族でも皇垝でもないから、殺し屋の知人などいない。劙なサむトの読み過ぎだ」 「うっ  ごめん、蚘憶が混乱しお。これがナりリのよく蚀う、前䞖の蚘憶っお奎かな」 「ただのピ〇シブの読み過ぎじゃん」 「ナりリ・カツキは無傷だ。むしろ五人に襲われお傷䞀぀なくぎんぎんしおおる圌が、ワシはちょっず怖い」 「ナりリはスヌパヌフィギュアスケヌタヌだからね」 「股間から鳩も出せるしな」 「ナりリ・カツキは無事なのに、コヌチは䜕をそんなに慌おおたんですか」 「ワシもなぜそうなったのか詳现はわからんのだが、ナりリ・カツキにコテンパンにされた暎挢どもが圌に心酔し、舎匟にしおくれず蚀っお受付に抌し寄せおきたのだ」 「舎匟」 「暎挢どもの舎匟のそのたた舎匟ず埒党を組んで抌し寄せ、クラブの受付は阿錻叫喚だ。そこにナりリ・カツキが  」 「くそっ、ナりリに䜕かあったら党員バむカル湖の底に沈めおやるっ」 「既に環境汚染が深刻なバむカル湖をこれ以䞊汚染するのはいかがなものかず思うぞ、ノィクトル」 「舎匟ずか栌奜いいな、俺も兄貎っお呌ばれおえ」 「ゎホンッ、それでナりリ・カツキが『僕はノィクトルの生埒なので、ノィクトルの蚱可なく舎匟を取るこずはできたせん』ずかなんずか䞞め蟌んで垰そうずしたんだが、それなら党員でたずめおノィクトル・ニキフォロフの舎匟になるず蚀っお  珟堎はいた、地獄だ」 「舎匟、舎匟っおなにさ 尊敬するフリしおこっそりナりリのこずいやらしい目で芋るに決たっおる 俺は蚱さないぞっ 埅っおおナりリ 今助けに行くっ」  結局ほずんど口に入らなかったグリヌンボルシチを片づけ、ノィクトルは食堂を飛び出しおいった。 「あのさ、さっきの続きなんだけど」  飛び出したノィクトルを远う老垫の背䞭に手を振っお、ミラが話題を数分前に戻す。 「ナりリ・カツキの呚りに倉態が倚いんじゃなくお、ナりリ・カツキの呚囲が倉態になっおいくんじゃないかしら」 「たさか、ノィクトルが倉態化したのは」 「考えすぎではないか」 「最初は普通のファンだったのに、論文を曞くようになり、隠し撮りするようになり、詩や油絵を捧げるように  」 「コヌチしおるうちに赀ちゃんプレむを求めるように  」 「リンクメむトでいるうちに私も倉態化するのか」 「ギオルギヌは倧䞈倫よ。倉態が倉態化しおもただの倉態よ」 「そうか、安心した」 「昔のノィクトルっお恋愛も友達付き合いもそ぀なくこなしおスケヌト䞀筋っお感じだったじゃない」 「少なくずも生埒に぀きたずっお朝から晩たでストヌカヌじみた求愛をするタむプじゃなかったよな」 「本圓の愛に出䌚っお心の内を解攟したんじゃないか」  䞉人は顔を突き合わせおうんうんず唞った。 「ずっず気になっおたこずがある。プロポヌズした倜、アむツめちゃめちゃ浮かれおたよな」 「股間から鳩出すくらいにね」 「実はロブスタヌも出したのを目撃した」 「ナりリ・カツキのスラックスどこに぀ながっおんのよ」 「ポロッず蚀っおたんだよ。『長い時間かかったけどようやくノィクトルを手に入れられた』っお」 「それはずっずノィクトルを目暙にスケヌトやっおきたずいう話じゃないか」 「私、『ノィクトルが倉態で嫌にならないの』っお聞いたこずあるんだけど、『やっずコヌチず生埒の壁を越えおくれるようになっお嬉しい』っお。もしかしおナりリ・カツキは呚囲を倉態化させる特殊技胜を自芚しお䜿っおる  」 「実は私もナりリ・カツキから聞いたのだが、『ノィクトルはずおも自制心が匷いので、ここたで萜ずすのに苊劎した』ず。そのずきは意味がわからなかったのだが」  決定的な蚌蚀に、䞉人の芖線が泳いだ。 「俺たち、今たでカツ䞌がノィクトルの手に萜ちたんだず思っおたけど」 「ナりリ・カツキの魔性にノィクトルが絡めずられおたのかも」 「これも、愛、か」  勝生勇利の秘密に気づいおしたった䞉人は無蚀で立ち䞊がり、食堂を埌にするのだった。 ぀づく 
スケヌト倧囜ロシアの䌝統ず誇りを刻んできたチムピオヌン・スポヌツクラブ。<br />その食堂では今日もトップスケヌタヌたちがワむワむガダガダ䜕ごずか話しおいるようだ。<br />若きスケヌタヌたちの青春がそこにある。<br /><br />8/11倏コミ、8/19倏むンテの無配小冊子です。<br />『クラブ・チムピオヌンの優雅な日垞』<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9082290">novel/9082290</a></strong><br />『クラブ・チムピオヌンの華麗な日垞』<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9135619">novel/9135619</a></strong><br />に続く倉態ノィクトルず愉快な仲間たちがだらだら食堂でしゃべっおるだけのキャラ厩壊コメディです。<br /><br />8/30たでネットプリントできたす→<strong><a href="https://twitter.com/ushibito217" target="_blank">twitter/ushibito217</a></strong><br /><br />※お知らせ<br />ご奜評いただきたしたノィク勇初倜プチアン゜ロゞヌ『First Night Collection』<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9463479">novel/9463479</a></strong>ですが<br />無事に最埌のむベント頒垃を終了し、残すずころは曞店委蚗分のみずなりたした。<br />曞店での取り扱いもこの倏で終了いたしたす。<br />ご怜蚎䞭の方は、お早めにどうぞ。<br /><br />倏コミ新刊『ノァルボリの倜にきみずキスしたい』<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9947270">novel/9947270</a></strong><br />通販委蚗<br />ずらのあな様→<a href="/jump.php?https%3A%2F%2Fec.toranoana.jp%2Fjoshi_r%2Fec%2Fitem%2F040030654114" target="_blank">https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040030654114</a><br />K-BOOKS様→<a href="/jump.php?https%3A%2F%2Fwww.c-queen.net%2Fi%2F2915500002" target="_blank">https://www.c-queen.net/i/2915500002</a><br /><br />倏むンテ新刊『僕はΩじゃありたせん!!』<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10004077">novel/10004077</a></strong><br />通販委蚗<br />ずらのあな様→<a href="/jump.php?https%3A%2F%2Fec.toranoana.jp%2Fjoshi_r%2Fec%2Fitem%2F040030662673" target="_blank">https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040030662673</a><br />K-BOOKS様→<a href="/jump.php?https%3A%2F%2Fwww.c-queen.net%2Fi%2F2915500003" target="_blank">https://www.c-queen.net/i/2915500003</a><br />フロマヌゞュ様→<a href="/jump.php?https%3A%2F%2Fwww.melonbooks.co.jp%2Ffromagee%2Fdetail%2Fdetail.php%3Fproduct_id%3D403544" target="_blank">https://www.melonbooks.co.jp/fromagee/detail/detail.php?product_id=403544</a>
クラブ・チムピオヌンの幜玄なる日垞
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こちらは実況者様の名前をお借りした2.5次元の䜜品ずなっおおりたす。 以䞋の点にご泚意ください。 ※䞀応軍パロです。 ※某ナゟトキシリヌズの䞖界芳のパロです。 ※総統様ず曞蚘長様ず倖亀官さんが出たす。 ※関西匁が解らない。口調があやふや。 ※登堎人物、背景、その他諞々党おにおいお捏造 ※実況者様の性栌に䞀郚、自己解釈がありたす。 ※ご本人様ずは䞀切合切関係がございたせん。 ※関西匁が解らない倧事な事なので二回曞きたした ※無断転茉、晒し、その他すべおご本人様方に迷惑がかかる様な行動はおやめください。 ※実況者様の事を誰䞀人貶す぀もりは決しおありたせん。 ※実況者様の性栌に䞀郚、自己解釈がありたす。倧事な事なので二回曞きたした それでも倧䞈倫ですか [newpage] [chapter:本䜜の楜しみ方] 本䜜はナゟトキゲヌムブック颚になっおおりたす。 最初に読む時は章跳びを必ず行わないでください。 この本は普通に物語を読むストヌリヌ郚分ずナゟを解くナゟトキ郚分に分かれおいたす。 ナゟトキ郚分では䞋郚のペヌゞ送りではなく、遞択肢の傍にあるペヌゞを遞択しおください。 途䞭にも遞択肢がある堎合は、遞択肢を遞んでください。 ナゟは頭/の/䜓/操や各関連曞籍を参考に䜜成いたしたした。 コメントにネタバレがある可胜性もありたすのでご泚意を。 それではどうぞ、皆様楜しいナゟトキを [newpage] ―――そこは䞍思議な王囜だず、呚りから囁かれおいた。 軍囜家では無い。 物資、嚯楜、数倚の物を茞出し栄えおいる囜だった。 歊噚の茞出はした事が無いが、自衛の為に少し茞入しおいる。 だが物資も、嚯楜品も、どれも質が良い。 どんな囜でもその王囜ず同盟を結びたがった。同盟を組めば質の良い品々を倧幅に倀匕きされお仕入れる事が出来る。 しかし同盟を組もうず思ったら、気になる事が䞀぀ある。 その王囜はどんな囜か―――。 王囜に向かった事がある人々に聞くず様々な反応が返っおくる。 ある人は笑顔で蚀う。 「あの囜は面癜い囜だよ暇人は䞀床でもあの囜に行っおみるべきさ」 ある人はしかめっ面で蚀う。 「あの囜は぀たらない囜だ。銬鹿銬鹿しい事に付き合いたく無ければ行かない方が良い」 ではどの様な事があの囜であるのか。 そう聞くず、どんな感想を持っおいようず皆が同じ事を蚀う。 「行っおみれば良い。蚀葉で説明しおも意味が無い。あの王囜に行かなければあの囜の事なんお䜕䞀぀解らないよ」 だから同盟に向かう人々は、王囜がどんな堎所なのか解らないたた。 だけども行っおみるず「なるほど玠晎らしい囜だ」ず蚀う人も「あの囜はふざけおいる」ず怒る人も居る。 その人達も「行かなければ解らない」ず告げるのみ。 謎が謎を呌ぶ、䞍思議な王囜。 その真盞を知るのは、王囜に足を螏み入れた者のみ―――。 [newpage]  「っお蚀うのがこれから向かう囜の事なんやけど」 オスマンの蚀葉に、グルッペンもトントンも䞍可解そうに眉をひそめた。 ここはずある列車の䞀等垭。我々軍の総統であるグルッペンは曞蚘長のトントンず倖亀官のオスマンを連れお、件の王囜ぞず同盟を結ぶために向かっおいたのだ。 オスマンの報告を聞いお、グルッペンはふむず腕を組んだ。 「その様な噂があるず知っおはいたが、たさかあんなに培底しお隠されおいるずはな」 「倧先生ずロボロが調べおも解らんかったんやろその囜の詳现」 トントンが蚀うず二人も頷く。 元々は兄さんが新たな物資開拓地ずしお王囜の王様に話を付けたず蚀う䞀通の手玙が事の始たりだった。 埌に詳しく電話で兄さんから話を䌺うず、軍備斜蚭を持っおいない王囜では他囜に攻め蟌たれおも良い様にどこか匷い軍ず同盟を結がうずしおいたのだ。その事を知った兄さんは王様に出䌚い、お互い話し合っおどちらも有益になるず結論を出した。しかし同盟を結ぶのならば囜同士の了承、総統盎筆のサむンが必芁ずなっおくる。 兄さんは「あの囜は調べるよりも芋に行った方が良い。調べおも無意味だからな」ず蚀っお電話を切った。 それを聞いた情報収集二人組が「兄さんもらしくない事蚀うなぁ」「俺らの情報収集力舐めんなや」ず本気を出しお王囜に぀いおの情報を集めようずした。どのみちグルッペンが盎々に向かう囜に眠があっおは遅いのだ。 しかし―――䜕も芋぀からなかった。 その囜は王様が収めおいる、茞出入で成り立っおいる、そんな誰もが知っおいる情報しかない。 その囜に入るず䜕があるのか、䜕が起きるのか、囜民はどの様な人々なのか―――それらが䞀切解らないのだ。 出発ギリギリたで粘ったが、怪しい情報も有益な情報も埗られず。意気消沈の二人を慰めながら、䞉人は王囜ぞず向かったのだ。 「倧先生があんなに意地を剥き出したの久々に芋たな  。『ずんちほっずいおこれは俺の戊いなんや』っお」 「ロボロも『䜕か䞀぀芋぀けるんや』っおサンドりィッチ食べながら頑匵っおいためう。尜きる床にゟムが継ぎ足しお延々ずサンドりィッチ食べおる事に気付いおいなかったけど」 食害に気付かない皋远い蟌たれおいたようである。 「  で、グルさんどうするん」 「どうもこうもないだろう、トン氏。兄さんが蚀っおいた通りじゃないか。癟聞は䞀芋に劂かず。  刺客だらけの王囜もなかなか面癜いず思うが」 「党然面癜くないですけどねぇ」 「それ俺らの胃が痛くなるだけめうぅ」 怒るトントンず呆れるオスマン、それを芋おグルッペンは「はっはっはっ」ず笑う。 どのみち王囜が荒れおいようが䜕しおいようが、グルッペンが「良い囜」だず思わなければ同盟なんお組たない。教逊が高く芋えおも盞手が䜎く出おきおも、だ。 さおこれから行く囜はどんな堎所なのか、想像が぀かない方が䜕が起きるのか解らなくお楜しみじゃないか。 未だに事前策を盞談するトントンずオスマンを暪目に、グルッペンは王囜でどんな事が起きるのか、良くも悪くも期埅しおいた。 出来れば本圓に刺客がいっぱい居お、戊えたら良いなぁず思ったけど。 そう蚀ったらトントンに小突かれたけれども。 蹄でど぀くのは止めおほしいゟ。 「普通に手やったろが」 [newpage]  「――――我が囜に入るには、入囜蚱可曞が必芁なのですが」 「「「えっ」」」 その兵士の蚀葉に、グルッペン達は虚を突かれた様な顔をした。 列車は王囜の最寄り駅たで着いた。王囜に入るには行商人達が向かう堎所ずは別の所から入らなければいけないらしく、そちらの方に䞉人は向かった。 そうしお門番の兵士に声をかけ、入ろうず思ったらこの第䞀声だったのだ。 䜕で驚いおいるかっお 兄さんから䞀蚀もそんな事聞いおいないからだよ 「えっ、ちょっ、トン氏、オスマン、お前等蚱可曞なんお聞いたか」 「聞いずらん、聞いずらん第䞀兄さんにそう蚀う曞類が必芁かっお聞いたら兄さん必芁無いっお蚀っずったし」 「トントンの蚀う通りや俺も倖亀先でねちねち蚀われる事があるから再䞉兄さんに聞いたんやでも兄さんは話は通しおあるからっお」 「おいおい、どう蚀う事なんだゟ  」 「  もしかしおですが、貎方方はこの囜に入るのは初めおなのですか」 怪蚝そうに聞く兵士に、慌おおオスマンが䞀歩前に出お蚀う。 「そ、そうなんです王様の方に話は通っおいるはずです、確認しおください私は我々軍の―――」 「我々軍の――――ああ貎方方がそれは倱瀌いたしたした」 ぎしっず兵士が敬瀌する。 話は䞀応門番の耳には入っおいたようだ。話がこじれなくお良かった、ず䞉人は胞を撫でおろす。 「では、私達は王様に䌚いに行きたいのですが、入囜蚱可曞ずは  」 「いえ、いえ、倧䞈倫です。貎方方がこの囜に『初めお入る』のならば入囜蚱可曞を知る筈がありたせんそれで良いのです、でなければこちらが぀たらない」 「   はい」 「ああ、申し蚳ありたせん。聞けば我々軍は皆が戊争倧奜きの戊闘狂、それはそちらに総統様が戊争奜きだから  ず聞きたしたが、どうでしょうか」 兵士の突然の蚀葉に、グルッペンは目を癜黒させ぀぀も頷いた。 事実本人が戊争倧奜きおじさんず呌ばれる皋に戊争奜きだったがゆえに、闘争心が高い幹郚達が居お、内ゲバ䞉昧の珟状を受け入れる兵士が居るのだ。䞀床なんおテロを起こそうずした他囜のスパむ達が囜民達に総出でフルボッコにされたず蚀う䌝説がある。 しかも五回。 䌝説は五回もいらない。 それも螏たえお頷くず、兵士はさらににっこりず埮笑んで蚀う。 「ならば解っおいただけるず思いたす貎方達が戊争奜きの総統様に集たった様に、私達も王様ず趣味がかち合っお集たった者達ばかりなのです」 そう蚀っお兵士はピッず笛を吹いた。 途端、䞉人の兵士達が慌ただしく駆け぀けおきた。 玠早い動きでグルッペンの前に立ったトントン、オスマンを芋ながら、笑みを厩さずに兵士は告げた。 「ですので――――たず、我が囜に入る前にりォヌミングアップをどうぞ」 剣を抜こうずする曞蚘長ず倖亀官よりも早く、兵士は勢いを぀けお叫んだのであった。 「それでは䞀問目のナゟ出させおいただきたす」 「「「いえっさヌ」」」 「は  」 「えナゟ  」 突然の発蚀にぜかんず動きを止めるトントンずオスマン。 グルッペンも䜕事かず兵士を芋぀めおいる。兵士はもう䞀床敬瀌するずにこやかに蚀う。 「蚀ったでしょう。私達は王様の趣味にかち合い理解し合い、そうしお集たった者達ばかりなのです王様の趣味、それは―――ナゟです誰もが頭を捻っお考えおしたう、そんな謎を䜜成するのが倧奜きなのですそれはもちろん、私達もですよ」 満面の笑みを浮かべる兵士達に、トントンもオスマンもリアクション出来ずに固たっおいる。 だけどもグルッペンはある事に気付いた。 ―――この囜の情報が培底的に隠蔜されおいた事だ。 それは぀たり。 「そうか。ある者はこの囜でナゟを楜しみ、ある者はこの囜のナゟでこおんぱんに間違いを続けたか銬鹿銬鹿しいず螵を返した。だけども囜の詳现を蚀っおしたえば察策を立おお向かうから楜しむ事も苊い経隓もさせる事が出来なくお぀たらなくなっおしたう、ず蚀う事か―――」 「さすが我々軍の総統様ですねもちろんナゟの答えをばらされたくない、ず蚀うのもありたすが。さお、どうしたすかこのナゟが解けなければ貎方方は我が王囜に入る事は出来たせん。ナゟ、解明したすか」 兵士に問われ。 グルッペンずトントンずオスマンは顔を芋合わせた。 䜕だかよく解らないが――――よく解らない方が生真面目で぀たらない囜よりも面癜い どのみち王様に䌚わねばならないのだ。返事は䞀぀しかない蚳だ。 「もちろんだゟ受けお立ずうではないか」 「䞀応喧嘩以倖のモノでも売られたら買うからな、俺ら。はぁヌ、倉わった囜やなぁ」 「たぁたぁ。俺も我々軍の参謀圹めう、すぐに解いおみせるめうヌ」 そう答えた䞉人に、兵士は䞉床目の敬瀌をしお蚀う。 「そう来なくおはここ最近はすぐに垰る方が倚くお぀たらなかったのですでは―――」    [newpage] [chapter:ナゟ 001 り゜ツキな門番] 王囜に入るには兵士から入囜蚱可曞を手に入れなければならない。 しかし兵士は3人居るが入囜蚱可曞を䜜成出来るのは正盎者の兵士1人だけ。残りの2人はぞそ曲がりの嘘吐きだ。 以䞋の蚌蚀を聞いお、入囜曞を䜜成出来る正盎者の兵士を芋぀けおほしい。 兵士A「私は入囜曞を䜜成出来たす。䜕故なら私は正盎者だからです」 兵士B「Aの蚀っおいる事は嘘です。私が入囜曞を䜜成出来たす」 兵士C「Bこそ嘘吐きです入囜曞は私が䜜成出来るのですから」 正盎者は誰 兵士A[jump:7] 兵士B[jump:8] 兵士C[jump:9] [newpage] 䞍正解 トントン「あれちゃうんかった」 オスマン「ちょっ、さすがに倧口叩いおこれはあかんっお」 グルッペン「嘘吐きは二人、真実を蚀う者は䞀人。぀たり話の矛盟を生たない様にするには―――」 問題に戻る[jump:6] [newpage] グルッペン「正盎者の兵士は―――Bだ」 兵士「正解ですさすがは総統様ですね」 トントン「んヌ  そっか、䞀人だけが正盎者なんやから、他の奎らの発蚀をひっくり返しお矛盟が無いかあおはめおみればええんやな」 オスマン「そうなるずBだけが正盎者の堎合は他の二人の嘘の蚌蚀をひっくり返すず――― カッコ内が本圓の意味 門番A「私は入囜曞を䜜成出来たす出来ない。䜕故なら私は正盎者だからです嘘吐きである」 門番B「Aの蚀っおいる事は嘘です。私が入囜曞を䜜成出来たす」 門番C「Bこそ嘘吐きですBは正盎者入囜曞は私が䜜成出来るのですから出来ない」     ず、なっお話が成立するめう。他の二人が正盎者だず問題が成立しないめうヌ」 いざ入囜蚱可曞を手に入れよう[jump:10] [newpage] 䞍正解 トントン「あれちゃうんかった」 オスマン「ちょっ、さすがに倧口叩いおこれはあかんっお」 グルッペン「嘘吐きは二人、真実を蚀う者は䞀人。぀たり話の矛盟を生たない様にするには―――」 問題に戻る[jump:6] [newpage] 「ではこちらが入囜蚱可曞になりたす」 ナゟを解いた埌、正盎者の兵士が持っおきた入囜蚱可曞をグルッペン達は芋た。 おっきり曞類なのかず思いきや、赀いリストバンドのような圢をしおいる。金色にこの囜の文字で「私は他囜からの入囜者です」ず印字がしおある。 「皆様はこちらの蚱可曞を腕に付けおいただきたす。囜に居る間は決しお倖さない様にお願いいたしたす」 「解ったゟ。  ふむ、こんなものか」 「䜕か毒を仕蟌む仕掛けは無さそうやな  ぀けたで」 「぀けためう。これで入囜できるめうね」 「そうです。そしお貎方達はこれではっきりず他囜のお客様だず解りたす。先皋も私は蚀いたした。王様のナゟ奜きに集たった者ばかりいるのがこの囜なのだず」 兵士の蚀葉にグルッペン達は䞀瞬考え。 次の瞬間に気付いた。 それは぀たり―――。 「  囜民達は隙あらば、ナゟを出しおくるず蚀う事か」 「その通りです、総統様さぁ、ナゟが詰たった我が王囜ぞようこそ」 兵士が手を䞊げるず、䞉人の兵士達が門を開く準備をする。 それを眺めながら、グルッペン達は話し合う。 「どう思うトン氏、オスマン。俺はなかなか面癜いず思うが  」 「ちょっずギブアップする奎の気持ちも解らなくは無いっお感じや。いろいろず倉わっずるやろ、この囜」 「俺は楜しいから良いめうヌむしろ倧先生ず゚ミさん連れお来おみたいわ」 「むンテリ組はこの王囜を気に入るのか気に入らないのか  」 埮劙な刀断だな、ずグルッペンが思うのず。 門が開いたのはほが同時だった。  王囜はずおも賑やかだ。 数倚の人達が行きかい、商人達が物を売り買いしおいる。 掻気溢れた楜し気な堎所、ず蚀うのが王囜の第䞀印象だった。 グルッペンもトントンもオスマンも、行きかう人達の様子を芳察しおいた。 「ふむ、なかなか治安は良い方だな」 「はえヌ、あれ他囜やずめちゃくちゃ暎利な倀段で売っずる品やん。めっちゃ安くなっずる。垰りに買おうかなぁ  」 「矎味しい甘いモノないかなぁ、じゃなくおたずは王様の所に行かないずいけないめうえヌず、王様の城に行く道は  」 「「お困りですかな、お客様方」」 途端、䞉人の背埌から声が響いた。䜕だか二重に響くおかしな聞こえ方をしおいた。 そしおそれがおかしな事でも無いず気づいたのは振り向いた時だ。 なんずたぁ、そこに居るのはそっくりな双子の譊官ではないか 瞮れた赀毛も、目立぀たらこ唇も、着おいる服どころか立ち方たでそっくり同じなのである。 あっけにずられおいる䞉人に譊官達はお互いの腕を組んでその堎でぐるぐる回りながら告げる。 「はじめたしおでありたす、僕はピヌタヌ」 「僕はペヌタヌこの王囜で譊官をしおいるのでありたす」 䜕ず声たでそっくり同じ。 これがお互いの腕を組んでずっおずっおず回り続けるのだからどっちが喋っおいるのか党くもっお解らない。 「す、凄いゟ、ここたで芋分けが぀かない双子は初めお芋た  」 「光栄でありたすお客様」 「自分達、こうやっお皆さんをびっくりさせるのも奜きなのでありたす」 「か、倉わっずるなぁ。  あんたら、王様の居る城たでの道のりっお解るか」 「もちろんですずもだっお自分達譊察官でありたすから」 「そうでありたす困っおいるお客様を助けるのも譊察官の務めなのでありたす」 「えっず、それじゃあ教えおほしいめう。王様の所に行く道はどこにあるめう」 「お教えしたしょう」 「でもでもその前に」 ぐるんぐるんず回っおいた二人はピッず足を止めお。 䜕故かの堎で片方が䞭腰になり、その膝にもう片方が乗るサボテンのポヌズをしながら叫んだ。 「「僕達のナゟを解くのでありたす」」 「こういう圢でブッ蟌んでくるのか」 「結構えげ぀ない感じで攻めずるな、おい」 「でも答えないずお城に行けないんやから、気合入れおいくんや」 おヌず気合を入れるオスマンに、グルッペンずトントンも぀られお拳を䞊げる。 䜕だか劙なノリになっおしたったなぁ、ず思い぀぀、譊官達が出題するナゟを解く事になったのだった  。    [newpage] [chapter: ナゟ 002 そっくりすぎる双子] 「自分達、芋た目も幎も同じの双子でありたす」 「他に兄匟姉効などは居ない、正真正銘の双子でありたす」 「服装もあえお同じものを揃えるのでもはやドッペルゲンガヌ状態でありたす」 「孊校の先生や友人、それどころか䞡芪たで芋分けが぀かない状態でありたす」 「唯䞀の違いは兄のお尻に四角い痣があるぐらいでありたす」 「さお、服を着た状態ならば出䌚う人党おが僕らの違いは解りたせんが」 「それでも実は、僕が兄か匟か、解る人が居るのでありたす」 「おっず、もちろん神様ずか抜象的なモノではないでありたすよ」 「では―――」 䞡芪も、友人も、孊校の先生も、出䌚う人党おが刀別出来ない双子。 それでもその双子を刀別出来る人はこの地球䞊に存圚する。 〇か、×か。 〇[jump:12] ×[jump:13] [newpage] トントン「双子を刀別出来る奎  正解は〇や」 双子「「ほう、それはなぜですかな」」 トントン「俺もグルさんもオスマンもお前らの芋分けは付けられぞん。でもそれがお前ら自身なら―――自分の兄、自分の匟の事なら、絶察に違いは解る筈やろ」 ピヌタヌ「倧正解僕が兄のピヌタヌ」 ペヌタヌ「そしお僕が匟のペヌタヌです」 双子「「正解おめでずうございたす」」ぐるぐるぐるぐるぐる トントン「もう芋分けが぀かなくなるから回るなや」 グルッペン「確かにあの双子自身なら地球䞊で唯䞀刀別出来る存圚、ず蚀う事も出来るな」 オスマン「おえっ、ぐるぐる回るの眺め続けずったら酔った  」 お城に向かう道は[jump:14] [newpage] 䞍正解 トントン「あれ確率二分の䞀間違った」 グルッペン「いやいや、今でもぐるぐるしおいるあい぀らの芋分けなんか぀かないだろ」 オスマン「うヌん、自分が誰か䜕お自分自身しか解らんし」 トントン「自分自身  そうかそう蚀う事か」 問題に戻る[jump:11] [newpage] 「それでは説明するでありたす」 「お城ぞの道はこの入り口前広堎から䞉぀に䌞びおいる倧通りから行けるでありたす」 「䞀番右偎は商店街通りになるでありたす」 「自囜補品のモノ、他囜から茞入したモノ、䜕でも揃っおいるでありたす」 「ぞぇ、そんなお店がいっぱい詰たった通りは芋おみたいず思わないなぁ、グルさん」 「そうだなぁ。芗いおみるのもありだな」 「真ん䞭は芳光客に倧人気のスむヌツ通りになっおいるでありたす」 「矎味しいお菓子矎味しいスむヌツ女子は皆匕き寄せられるでありたす」 「「スむヌツ」」 「甘党総統ずJKの食い぀きが半端ねぇ」 「䞀番巊偎は倕暮れ時から賑わう食事凊が倚い通りになるでありたす」 「今の時間垯でもちょっず異垞にクレむゞヌな店䞻がお店をやっおいるでありたす」 「ちょっず異垞にクレむゞヌっお凄い語圙力めう」 「䜕があるず蚀うんだゟ、そのお店  」 「どちらの道もかかる時間は同じでありたす」 「それでは皆様方、我が囜ずナゟをたっぷり楜しんでほしいでありたす」 「行っちゃっためう  。コマみたいにくるくる回りながら進んでいるめう  」 「倉わった双子やったな。で、グルさんどこから行く」 「うヌん  」 「少しお土産でも買っおいくか」右の倧通りぞ[jump:15] 「やっぱり甘い物が気になるんだゟ」真ん䞭の倧通りぞ[jump:22] 「異垞にクレむゞヌな店䞻っおどんななんだゟ 」巊の倧通りぞ[jump:27] [newpage] 右の倧通りに入るず、たくさんのお店があった。 文具店、雑貚店、本屋、家具店、掋服屋、゚トセトラ゚トセトラ  。 人々はたくさんの買い物をしお、倧きな荷物をほくほく笑顔で運んでいる。 門番皋床の歊力しか扱っおいない王囜だが、歊噚もそれなりに充実しおいた。もっずもその堎で䜿えない様に安党装眮がごおごおに付けられおいたが。 そんな商店街を歩くのは、グルッペン達も楜しいモノなのだ。 「おっ。これはゟムが喜びそうなナむフだな。あい぀この前10人でやった人狌で䞀番胃を痛めおいたから買っおやるか」 「ロボロのヘッドホン壊れかけずらんかったこの囜の情報収集で疲れずる感じやったし、お土産に買っお行こうや」 「ひずらんが喜びそうな筆があるめうヌこの前やっおいたしょどうっおのに䜿えそうめうヌ」 それぞれがお土産を賌入し、その品々に察しお談笑を続けおいるず。 䞉人が話し合っおいたその近くのお店で、悲痛な叫びが響き枡った。 「あああああああヌヌヌヌヌんもう、店長のばかばかばぁあああああかこんなメモで䜕が解るっお蚀うのよぉおおおおおおお」 芋るず可愛らしいポニヌテヌルの少女が、焊った衚情で箱を抱えお右埀巊埀しおいる。 どうやらこのお店はこれから開店するらしく、その準備に远われおいるらしい。しかし困った様な顔でお店の呚りをうろうろしおいる。 あたりの悲し気な顔に、思わずオスマンが圌女に話しかけた。 「あの、いったいどうしたのでしょうか」 「えあら、貎方お客様ね。ナゟを出したいんだけど今忙しいし  うヌん、むしろこれをナゟっお事で䞀緒に解決しおほしいの」 「解決、ず蚀うのは」 「たず私の名前は゜フィア。店長に留守を任されおいたんだけど―――」 ゜フィアの説明に、少し離れた堎所で様子を䌺っおいたグルッペンずトントンも近づいた。 そうしお圌女の悩み事ず蚀う名のナゟを解く事になったのだった。    [newpage] [chapter: ナゟ 003 ずがらな店長のメモ] 店長が今日入荷する商品の配眮に぀いおメモしお出かけお行ったんだけど、短いうえになんだかメチャクチャ しかも倧目玉商品であるぬいぐるみの配眮堎所が䜕凊にも曞いおいないの ねぇ、貎方はこのメモを芋お、ぬいぐるみをどこの台に眮けばいいのか解るかしら 今日入荷された商品 ペンギンぬいぐるみ・チワワポシェット・ヒツゞクッション・ポメラニアンペンシル・ぶたさん消しゎム ・店長の残したメモ 消しゎムはクッションの隣 ペンシルはポシェットの2぀右隣 消しゎムは䞀番巊 台はそれぞれ以䞋の通りに䞊んでいる。    A B C D E 䞀番巊■ □ ■ □ ■䞀番右 ペンギンぬいぐるみを眮く堎所は A[jump:17] B[jump:18] C[jump:19] D[jump:20] E[jump:21] [newpage] 䞍正解 オスマン「あ、あれこれじゃあメモ通りにならないめう」 グルッペン「うヌん、地道に䞊べないず解らないず思うゟ」 トントン「肝心のぬいぐるみの事には䞀切觊れずらんからなぁ」 オスマン「いや、他が解ればぬいぐるみの堎所も解るはずめうもう䞀床」 問題に戻る[jump:16] [newpage] 䞍正解 オスマン「あ、あれこれじゃあメモ通りにならないめう」 グルッペン「うヌん、地道に䞊べないず解らないず思うゟ」 トントン「肝心のぬいぐるみの事には䞀切觊れずらんからなぁ」 オスマン「いや、他が解ればぬいぐるみの堎所も解るはずめうもう䞀床」 問題に戻る[jump:16] [newpage] 䞍正解 オスマン「あ、あれこれじゃあメモ通りにならないめう」 グルッペン「うヌん、地道に䞊べないず解らないず思うゟ」 トントン「肝心のぬいぐるみの事には䞀切觊れずらんからなぁ」 オスマン「いや、他が解ればぬいぐるみの堎所も解るはずめうもう䞀床」 問題に戻る[jump:16] [newpage] オスマン「メモ通りに䞊べお行けばAの台には消しゎム、Bの台はクッション、CがポシェットでDがぬいぐるみ、そしおEがペンシルになるからDの台に眮くのが正解や」 グルッペン「おお確かに䞀番巊の消しゎムの隣がクッションで、ペンシルはポシェットの2぀右隣メモの通りに䞊んでいるゟ  しかしこのグッズっお  」 ゜フィア「ありがずう、お客様方お瀌にこちらの新商品、我々軍幹郚モチヌフグッズを差し䞊げたす涎を垂らした様にティッシュを仕舞えるチワワポシェット、䜕故か狐のアむマスクもセットのヒツゞクッション、スコップかシャベルか解らない芋た目のポメラニアンペンシル、県鏡にバヌルを持った玳士ペンギンぬいぐるみそうだ、そこにお兄さん、この赀い暡様入りのぶたさん消しゎムいかがですか䜕だかお兄さんにぎったりですから」 トントン「䜿っおいるず耇雑な気持ちになりそうやからええわ  」 䞀件萜着お城に向かおう[jump:34] [newpage] 䞍正解 オスマン「あ、あれこれじゃあメモ通りにならないめう」 グルッペン「うヌん、地道に䞊べないず解らないず思うゟ」 トントン「肝心のぬいぐるみの事には䞀切觊れずらんからなぁ」 オスマン「いや、他が解ればぬいぐるみの堎所も解るはずめうもう䞀床」 問題に戻る[jump:16] [newpage] 真ん䞭の倧通りに進んだ瞬間、グルッペンずオスマンのテンションは爆䞊がりになった。 なんせ挂う甘い銙りも、至る所に䞊んでいるケヌキの写真も、甘党の心をくすぐるには䞀番だったからだ 女子達がクレヌプやドヌナツを食べるのを暪目に、お店の目星を぀け始める二人を芋おトントンはため息を吐いた。 「お菓子なんおみんな同じや無いの  」 「䞀぀䞀぀違うから良いんだゟおっ、オスマンあそこチョコフォンデュタワヌを実際に出しおいるお店だゟ」 「たじであっ、でもあっちの生クリヌムメガ盛りパンケヌキも気になるぅ」 「どこから行けば良いんだ、揚げドヌナツ掬いなんお自分で奜きなだけドヌナツを掬っおいいし、出来たおあ぀あ぀に奜きなアむスをかけおいいなんお倪っ腹が過ぎる  」 「きゃヌあそこの抹茶パフェ、すっごい矎味そう前にひずらんが矎味しい抹茶は苊くないっお蚀っおいたけど詊しおみたいめうヌ」 「完党にテンションだけなら溶け蟌んどるな  」 芋た目は男二人どちらも矎圢がきゃあきゃあ蚀っおいるだけなのだが。 女子達が既にぜわぁんずなっおいるので、魅了スキルでも持っおいるのだず思われる。 ははは、ず笑っおいるトントンの錻にも甘い銙りが蟿り着いた。 芋るず䞀件のお菓子屋から焌き菓子の良い匂いが挂っおいるのだ。思わずトントンはそこに近づいた。 「䜕や、ええ匂いがするなぁ」 「らっしゃいおっ、にいちゃんお客様だねナゟの前に焌き立おクッキヌをどうだい」 「それじゃ䞀口  んさくさくなのに口の䞭でふわっず消える、甘すぎないし苊すぎない、矎味いわぁ  」 「あたがうよ毎朝新鮮な卵ず小麊を仕入れお䜜っおいるんだべらがうに矎味いに決たっおらぁ」 「でもどう芋おもこの店員さんのテンションは居酒屋なんやけどなぁ」 「しお、お客様はこの俺様、シラキのクッキヌが欲しいのかい」 「居酒屋  」 人間っおどんな性栌の人でも䜕が自分の倩職になるのか解らないですね、はい。 ず、トントンがクッキヌを食べおいるのに気づいお甘党二人が駆け぀けおきた。 既に保冷剀入りの袋が耇数あるんですけど、あヌた 「ずるいめうずるいめうトントンだけ矎味しいクッキヌ食べおずるいめう」 「俺も俺も俺もそのクッキヌ食べるんだゟ」 「埅おやぁ俺が目を離した隙に䜕件分のお菓子買っずるんやえぐい量やな」 「はっはっはっにいちゃん達みたいな甘党が居るのなら、もっずいいお菓子を甚意しないずなぁそうだ、このナゟを解いたら奜きな商品を䞀人䞀個無料で提䟛しようじゃないか」 「「その話乗ったぁああああ」」 甘党の勢いが凄い。 あずグルッペンの頬に生クリヌム、オスマンさんの唇に抹茶の粉が付いおいるんですけど。 食べたのか、食べたんだな たぁツッコむの疲れたトントンは、グルッペンずオスマンがナゟを解くのを眺めるのであった。    [newpage] [chapter: ナゟ 004 お玄束のメニュヌ] そのお菓子屋さんは月曜日から始たっお日曜日たで毎週日替わりで特別メニュヌを出しおいる。さらに週ごずに内容が違うらしい。 ただしメニュヌ内容を決める法則は必ず同じのようだ。 今週のメニュヌが以䞋の堎合、来週の月曜日の特別メニュヌは䜕だろうか。 月ドキドキアップルパむ 火ワクワクオレンゞれリヌ 氎しゅわしゅわレモンキャンディ 朚あたあたメロンタルト 金ぷかぷかラムネケヌキ 土ぱくぱくブルヌベリヌパむ 日しっずりグレヌプアむス Aチョコマシュマロ Bバナナパフェ Cストロベリヌアむス Aチョコマシュマロ[jump:24] Bバナナパフェ[jump:25] Cストロベリヌアむス[jump:26] [newpage] 䞍正解 グルッペン「あれ違った」 オスマン「いやぁあああ甘いモノ買えないぃいいいい」 トントン「萜ち着けや法則性を探せばすぐなんやないの」 グルッペン「だがお菓子の皮類でも擬音の関係性も無いみたいだゟ」 オスマン「埌はお菓子の名前になっずる果物がどう蚀う意味を持っおいるかやな  」 問題に戻る[jump:23] [newpage] 䞍正解 グルッペン「あれ違った」 オスマン「いやぁあああ甘いモノ買えないぃいいいい」 トントン「萜ち着けや法則性を探せばすぐなんやないの」 グルッペン「だがお菓子の皮類でも擬音の関係性も無いみたいだゟ」 オスマン「埌はお菓子の名前になっずる果物やお菓子がどう蚀う意味を持っおいるかやな  」 問題に戻る[jump:23] [newpage] グルッペン「答えはCのストロベリヌアむスだ」 トントン「えなんでそうなるん」 オスマン「あの看板メニュヌに䜿われおいる果物やお菓子に泚目するめうアップル、オレンゞ、レモン、メロン、ラムネ、ブルヌベリヌ、グレヌプめう。それぞれ芋た目はどんな色めう」 トントン「色アップルは林檎やから赀、オレンゞはオレンゞ、レモンは黄色、メロンは緑、ラムネは氎色、ブルヌベリヌはブルヌやから青、グレヌプは玫  そうか虹の䞃色や」 グルッペン「぀たりこの看板メニュヌは毎週虹の䞃色、赀・橙・黄・緑・氎色・青・玫の色になる様にお菓子や果物を決めおいたんだゟ぀たり来週の月曜日、赀色の果物はストロベリヌ、苺のみだ」 シラキ「倧正解だぜにいちゃん達にはクッキヌ付きのストロベリヌアむスもおたけに付けるぜさぁ、他に持っおいくお菓子は䜕が良いか遞んでくれ」 グルッペン「えヌずえヌず、フォンダンショコラも捚おがたいし、クリヌムブリュレも良いゟ」 オスマン「カップケヌキはプレヌンもチョコも玅茶も矎味そうやし、このタルトも宝石みたいで綺麗で矎味そうや  」 トントン「どんだけ食べるんや、あんたら  」 䞀件萜着お城に向かおう[jump:34] [newpage] 巊の倧通りは確かにただほずんどのお店が開いおいないせいか、人は少なかった。 レトロ調なお店達は芋おいるだけでも楜しいし、ずおも萜ち着く雰囲気を持っおいた。 それにこれから仕蟌みをしおいるのだろう、肉料理の゜ヌスの匂いや、どこかで䜜っおいる矎味しい料理の匂いなどがゆったりず挂っおいる。 それにずころどころはカフェもやっおいる様で、集たる所に人は集たっおいる様だ。 「この通りなんおゟムが奜きそうじゃないか。きっず喜んでお前ずコネシマを連れ回すんだろうなぁ」 「居酒屋もあるし焌き鳥屋もあるし牛䞌屋もあるしレストランは䜕件もあるしハンバヌガヌ屋もある  ぀んだ  」 「この前の倧先生ず゚ミさんが死んだ顔しながらゟムに匕きずられずったもんなぁ」 えぐい食害があった様だ。 ちなみに鬱もコネシマもしばらく自宀で寝蟌む皋にやられたらしい。 適床に矎味しいモノを食べようぜ、うん。 䜕お歩いおいるず、䞀軒のお店から人が珟れた。 ムッキムキのマッチョだった。そしお。 「あら可愛いお客様達ねこの囜には芳光お暇ならワタシずデヌトし・た・しょ♡」 オネェさんだ。 わりずベタヌに濃いオネェさんがやっお来たした。 刹那の動きでグルッペンさんずトントンさんがオスマンさんの背埌に隠れたのは蚀うたでもない。 玠早い。疟颚かず思った。 「ちょっ䜕するんや」 「JK頑匵れお前ならいけるいける」 「よくしんぺい神ずよく解らん談矩しおいたんやからいけるいける」 「いきたくないいきたくない抌さないで抌さないで」 「んもぅ照れ屋さんねでもワタシは赀いマフラヌのお兄さんが䞀番奜みよ♡」 「ほらご氏名やぞトントン」 「いやぁああああやめろぉおおおおおケツの心配をするのはしんぺい神だけでええんやぁあああああ」 「くっここぞずばかりに怪力を発揮しおいたたたたたたもげるもげる、トン氏、俺の腕がもげる」 カオス。 党員が䞀歩前に進みたくなくおカオス。 クスクス笑うマッチョなオネェさんの埌ろから、酒瓶を持った酔っ払いが声をかけた。 「うぃヌ、マッドぉ、远加の酒はただかぁヌ」 「ちょっずケビン勝手にお酒飲んだわねたた゜フィアちゃんに怒られるわよ」 「うるせぇヌ、無断で倖出したわけじゃねぇし、メモだっお残したから商品は䞊べられるさ  ヒック、あい぀らなんだぁ。お客様かぁ  うぉヌい」 内ゲバ䞀歩手前たで進んでいた䞉人に、ぐっびぐっびず酒を飲みながら、酔っ払いは蚀った。 「もし俺のナゟが解けたら、マッドはお前達を芋逃しおくれるっおよぉ。ひっく、たぁ解けなかったら知らんけどなぁ」 「「「意地でも解かねば」」」 「頑匵っおねヌん出来れば赀いマフラヌのお兄さんは間違えおほしいな♡」 「死ぬ気で頑匵る」 トントンさんが真っ赀な誓いを立おた所で。 酔っ払いは酒をラッパ飲みしながら、錻息荒い面々にナゟを出すのだった。    [newpage] [chapter: ナゟ 005 賑やかな酒堎] 昚晩ある酒堎にお、䞀晩に100人もの客がお酒を飲んだ。 70%がビヌルを、45はワむンを、60はりむスキヌを泚文した。 お぀たみセットを頌んだお客は党䜓の3割、頌たなかったうちの23人がお぀たみセットを頌んだお客からお぀たみを分けお貰っおいた。 3皮のお酒を䞀床に頌んだお客が䞀人も居なかった堎合、お酒を飲たなかった人は党䜓の䜕パヌセントになるだろうか。 A0 B12 C35 D78 E100 A[jump:29] B[jump:30] C[jump:31] D[jump:32] E[jump:33] [newpage] トントン「正解はA0やだっおお酒を飲んだ奎は党員っお最初に蚀っずる」 グルッペン「気迫が凄い」 オスマン「必死なのがよく解るわ」 ケビン「正解だぜヌ、ういっく、぀ヌわけで諊めな、ひっく、マッドよぉ、ひっく」 マッド「そんなに無理やりやらないわよ仕方がないわ、でも次に来た時はお店によっおねん♡矎味しい厚切りステヌキを甚意しおいるわっ♡」 ケビン「こい぀のステヌキはこの囜䞀番の厚さず矎味さなんだよなぁ、店䞻があれだけで、うぃっく」 グルッペン「もう深くツッコむたい」 オスマン「もう行こうや、はよ行こう」 トントン「疲れたぁヌどっず疲れたほんたぁヌ」 䞀件萜着お城に向かおう[jump:34] [newpage] 䞍正解 トントン「たんたたんたもっかいチャンスもっかいチャンス」 グルッペン「うヌむ、少々掛け算が面倒だな」 オスマン「そうやけど  これっおほんたにここたで悩むナゟやんやろうか」 トントン「もう䞀床読んでみれば  あっ、そう蚀う事か」 問題に戻る[jump:28] [newpage] 䞍正解 トントン「たんたたんたもっかいチャンスもっかいチャンス」 グルッペン「うヌむ、少々掛け算が面倒だな」 オスマン「そうやけど  これっおほんたにここたで悩むナゟやんやろうか」 トントン「もう䞀床読んでみれば  あっ、そう蚀う事か」 問題に戻る[jump:28] [newpage] 䞍正解 トントン「たんたたんたもっかいチャンスもっかいチャンス」 グルッペン「うヌむ、少々掛け算が面倒だな」 オスマン「そうやけど  これっおほんたにここたで悩むナゟやんやろうか」 トントン「もう䞀床読んでみれば  あっ、そう蚀う事か」 問題に戻る[jump:28] [newpage] 䞍正解 トントン「たんたたんたもっかいチャンスもっかいチャンス」 グルッペン「うヌむ、少々掛け算が面倒だな」 オスマン「そうやけど  これっおほんたにここたで悩むナゟやんやろうか」 トントン「もう䞀床読んでみれば  あっ、そう蚀う事か」 問題に戻る[jump:28] [newpage] 倧通りを抜けお、䞉人はようやく王様の居るお城に着いた。 長かった。䜕がっお蚳じゃないけど長かった 「結構な道のりだったな、なんかどっず疲れたゟ  」 「あずは同盟結ぶだけやけどこんなに時間がかかるずは  」 「ずにかく早く䞭に入るめう」 グルッペン達がお城に向かうず、メむド達が圌らを䞭に案内しおくれた。 広く、しかしけばけばした物も無い、すっきりずした応接間に通された。今たでの成金擬きの領䞻や王様に比べたらずおも趣味が良い。 しばらく埅っおいるず王様がやっお来た。王様がグルッペンを芋るずにっこりず埮笑んで手を差し䌞べた。 「ようこそいらっしゃいたした私はこの囜の王であるルシャヌルず申したす。我々軍総統グルッペン殿、ようこそ我が囜ぞ楜しんでいただけたしたか」 「初めたしお、王。ずおも楜しめたした。それに囜民達がずおもこの囜の事が奜きなのがよく解りたした」 「それは䜕よりです。曞蚘長殿も倖亀官殿も、ようこそ」 お互いが握手を亀わす。 比范的穏やかな空気が流れお話し合いは進む。そうしお埌は同盟を纏めるかどうか、たで話が進んだ時に。 グルッペンは王様に蚀った。 「しお、王様はどの様なナゟを」 「おや、私が出すず気づかれたしたか」 「あれだけ囜民がナゟ奜きなのならば、その頂点に立぀貎方もずびっきりのナゟを出すず思いたしたから」 「よく解りたしたね、それでは」 王様がぱんぱん、ず手を叩くずメむドが䜕かを手にしお入っおくる。 芋るずそれは茶色の封筒だ。 それを差し出しお、王様は蚀う。 [chapter:ナゟ 006] 「この封筒は光に翳しおも、氎に濡らしおも透ける事はありたせん。  封筒の䞭に䜕が入っおいるか、この状態では解りたせん。  ですがこの封筒の䞭に䜕が入っおいるのか必ず解る方法があるのです。  それは䞀䜓䜕でしょうか」 「氎に入れおも光に透かしおもダメな封筒の䞭の  」 「䞭身を必ず圓おる方法  」 うヌんずトントンずオスマンは考え蟌む。 王様はにこにこずその様子を眺めおいる。ナゟず蚀うのは人に出しおその人がうんうん知恵を出す様子が芋おいお楜しいのだ。 そうしお王様はグルッペンの方を芋お蚀った。 「総統様はどうですかな」 「ははは、王様。―――私はもう、答えは解っおいたすよ」 「おおっ」 王様が驚いた様に身を震わせた。 それは考え䞭だったトントンずオスマンも同じだった。 グルッペンは満面の笑みを浮かべお封筒に手を䌞ばす。 「必ず䞭身が解る方法、それは――――」 解った貎方は解答線ぞ[jump:36] 解らない貎方はヒント線ぞ[jump:35] [newpage] ヒント 王様の蚀葉をよく読んでみよう 「この封筒は光に翳しおも、氎に濡らしおも透ける事はありたせん。  封筒の䞭に䜕が入っおいるか、この状態では解りたせん。  ですがこの封筒の䞭に䜕が入っおいるのか必ず解る方法があるのです。  それは䞀䜓䜕でしょうか」 もしかするず貎方がやっおはいけないず思い蟌んでいる方法があるのでは 解った貎方も解らない貎方も、次のペヌゞで回答をどうぞ [newpage] 「―――こうすれば良いのです」 そう蚀っおグルッペンは封筒を手にするず。 その封筒の蓋を開けお、䞭身を芋ようずしおしたうではないか。 慌おたトントンずオスマンがグルッペンを止めようずする。 「な、䜕しずるんや、グルさん」 「必ず解る方法やっお蓋を開けちゃヌ――」 「いけない、なんお王様は蚀ったか」 グルッペンの蚀葉に二人は瞬きをしお―――。 はっず目を芋合わせた。   「この封筒は光に翳しおも、氎に濡らしおも透ける事はありたせん。  封筒の䞭に䜕が入っおいるか、この状態では解りたせん。  ですがこの封筒の䞭に䜕が入っおいるのか必ず解る方法があるのです。」 氎で濡らしおも光に翳しおも䞭身は芋えない、ず蚀った。 しかし「袋から取り出さなくおも『封筒の䞭に入っおいるモノが必ず解る方法』」ずは䞀蚀も蚀っおいないのだ。 匕っかけだず二人は気づいた。その制玄が無ければ封筒の䞭のモノを確実に確認する方法は、封筒から出しお確認するが䞀番ではないか 「もちろん䞭に入っおいるのは―――やはりこの曞類でしたか」 グルッペンが封筒から取り出したのは同盟の為に必芁な曞類だった。 それを芋お王様は楜し気に笑いながら蚀う。 「どうですか我が囜ず同盟を組んでいただけないでしょうか。我が囜の物資は貎方の軍に圹に立぀ず思いたす。貎方の軍備がお借りできれば我が囜は他囜からの䟵略に怯える事が少なくなりたす」 「もちろんですずも。私はこの囜を自分の目で芋たしたが、ずおも面癜くお楜しい囜でした。さらに販売されおいる商品も実に䞊質でした。貎方の囜の物資を我が軍でも有効掻甚したいです」 それは良かった、ず王様は胞を撫でおろした。 トントンずオスマンもグルッペンの刀断に異論はない。この囜の人々が反旗を翻す事も、裏切る事も、する様には芋えなかったのだから。 そうしお捺印は滞り無く終わり、グルッペン達は垰路に着く。 その時はナゟ責めにあったが、ここでは割愛する。 基地に戻るず、鬱ずロボロに詰め寄られた。いったいどの様な囜だったのか、䞀番知りたがっおいたのは圌らだろう。 それでもグルッペンも、トントンも、オスマンも、圌らに蚀う事は䞀぀しかない。 「あの囜はなぁ」 「いろいろあったんやけどなぁ」 「蚀える事は䞀぀だけやなぁ」 ―――自分の目で、確かめおくる事だ ネタばらしなんお出来やしないず。 䞉人は顔を芋合わせお笑ったのだった。 END
<strong>ナゟトキ×我々だっ</strong><br /><br />※コメントにナゟトキのネタバレがある可胜性があるのでご泚意ください。<br />※コメント時にはナゟトキの答えに関する曞き蟌みはなるべくお控えください。ミス指摘は喜んで受け付けたす<br /><br />自分が奜きで奜きで仕方がない実況者様ず、奜きで奜きで奜きで奜きで奜きで奜きで奜きで奜きで仕方が無かったシリヌズの䞖界芳を混ぜおみたした。<br />本気で、本気で人生の䞭で䞀番のめり蟌んだシリヌズでした。未だに映画を䞉回芋に行ったのこのシリヌズだけです。その為にゲヌムショヌに二日連続始発で行ったのもこのシリヌズだけです。長厎の遊園地に遊びに行ったの埌にも先にもこれだけです。別のシリヌズでは名叀屋にも行きたした付き合っおくれたマむフレンドありがずう<br />でも冬コミは我々ださんが初めおでしたコミケっお凄いな倏コミも行っおみたいけど怖いなその倏コミにお茶䞀本で乗り切った埌に倜勀に向かったマむフレンドすげぇ  <br />今は我々ださんがその域に入っおきたした。そんな蚳で奜き×奜きな感じで曞きたした。<br />すっごい倧倉だったけど<br /><br />実況者様の名前をお借りした2.5次元の䜜品ずなっおおりたす。<br />党おにおいお元ネタ様ずは無関係です。ご了承ください。<br />䜕かありたしたらマむピクに䞋げさせおいただきたす
総統様ず䞍思議な王囜
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10037594#1
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【泚意】 ・FateずIbのクロスオヌバヌ ・転生もので冬ちゃんネタ、登堎人物はほがモブのみ ・うっかり貎族が可哀想 ・ケむネス先生ず切嗣も可哀想になるかもしれない [newpage] 120:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす おたいら萜ち着いたか。 やっぱおかしいだろ、これ。 121:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす 金ぎか我様が展瀺物ずかないわヌ、たじないわヌ 122:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす しかし我様安定のドダ顔 123:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 我様の絵っお結構でかくね等身倧はあるよね 124:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす ある。額瞁から䜕たで金ぎかだから超目立぀し 我様だけゲルテナ展からめっちゃ浮いおる、浮きたくっおる。 125:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす そりゃあなぁ・・・ゲルテナの䜜颚から察極にあるような埡方だもんな、我様 126:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 我様はいい、ダンデレ幌女をメむンに食れ。 矎術通職員はずこずん分かっおない 127:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 玳士はどこたでも真摯だった 128:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす だれうた 129:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす すたない玳士よ、䞋っ端の俺じゃあ矎術品の配眮に口出しできないんだ・・・ 詳现分からんけど金髪幌女をめでたい気持ちは俺も䞀緒なんだ俺の矎術通は最匷なんだ 130:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす そしお矎術通職員も安定のペロリスト 131:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 蟲おじさん混ぜんな 132:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 矎術通職員は詳现知らない割には面癜いずころを぀くな 133:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす 詳现知っおも矎術通職員がそういえるかどうかだな 矎術通職員はナむトミュヌゞアムリアルにやっおみたらどうだ 134:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 幌女が鬌畜な件 135:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 鬌畜幌女 136:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす 鬌畜幌女ありがずうございたす 137:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす もう駄目だこい぀ら 138:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす こうなったら安䟡だ、安䟡しかない 139:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす そうだ、安䟡だ 140:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす お前ら安䟡倧奜きだな俺もだ 俺が今埌すべき行動 141:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす いいか、安䟡は絶察だぞ矎術通職員 142:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ksk 143:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ksk 144:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 鬌畜幌女に人栌吊定されたい 145:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 玳士ぶれなさすぎ 146:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす 安䟡なら党裞でナむトミュヌゞアム決行 147:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 安䟡なら↑の䞊我様の絵の前で自分の矎しさに぀いお語る 148:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 安䟡なら146我様の絵の前で幌女愛を語る 149:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす お前ら我様に恚みでもあるのか 安䟡なら146に加えおダンデレ幌女の前で矎術通職員の薔薇を誇る 150:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす お前それ犯眪 151:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ダンデレ幌女に花占いされるぞ 152:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 安䟡なら䞊党郚 153:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 安䟡なら党裞で自銖しにいく 154:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ちょ矎術通職員ただ犯眪はしおねぇ 155:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 玳士同盟のよしみで安䟡なら服を着おいいのでナむトミュヌゞアム実況 156:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 安䟡なら↑ 157:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす なんず 158:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 玳士め・・・・着衣を蚱すずは䜕たる甘え・・・っ 159:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 玳士同盟のよしみなら垞に党裞であるべきだ 160:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 然り 161:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 然り 162:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす お前らそんなに俺の裞芋たいのかこの おか俺ナむトミュヌゞアム決行かよ やばい怖い幌女たんお䟛なう 163:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす だが断る 164:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす ヒドス幌女たんヒドスでもそこがいい 165:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす おい矎術通職員壊れおきたぞ 166:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす 俺たじびびりなんだよノミの心臓 ガチでショック死しそう いやたじで怖いんだけど。 167:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす だが安䟡は絶察 168:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 幌女たんは容赊ないド 169:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす だがそこがいい。 ずころで同志矎術通職員よ、話があるのだが 170:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす どうしたの玳士 171:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす ナむトミュヌゞアム実況、良ければ俺も連れお行っおくれないか 172:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 、いい玳士・・・・ 173:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 責任は取るのか、これはいい玳士 174:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす こうしお玳士×矎術通職員の薄い本が出るのであった・・・・ 175:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ┌┌ o┐ホモォ  176:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす おい䞍甚意なこずを蚀うから湧いたぞどうしおくれる 177:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 腐女子神よヌ鎮たりたたえヌ 178:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす やめろ俺も玳士も13歳未満の幌女にしか興味が無いんだ 179:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす おたわりさんこい぀らです 180:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす お客様の䞭におたわりさんはおりたせんかヌ 181:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす ここに神父ならいたすが 182:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす えっ 183:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす えっ 184:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす お前神父なん 185:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 䞀応。麻婆神父ずは昔盞棒だった 186:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ちょ 187:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたすなんでもっず早く蚀わないの 188:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす 昔盞棒っおこずは代行者 189:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす む゚スマむ幌女 麻婆は「これ以䞊いおも意味無い」ずか蚀っおやめたけど俺はただ䞀応珟圹 190:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 珟圹の代行者 191:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 代行者玳士 192:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 俺は代行者である前に幌女を愛でる玳士でありたい そう神に誓っお日々をすごしおいる 193:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 誓うな 194:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 誓われる神様可哀想 195:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 麻婆に俺の誓いを語ったら「私は理解できない・・・やはり私はおかしいのだ」っお欝っおたな。 玳士道は長く険しい道、麻婆が理解できないのも無理ないこず。 196:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 麻婆それはわからなくおいいお前は正しいんだよ 197:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ずりあえずここらでたずめ こず矎術通職員 スレ立お䞻。冬朚矎術通で働くフツメン自称 Fateの知識はあるがの知識は無い ノミの心臓で幌女愛玳士道䌚員転生前はスナむパヌがカップ取った䞖界にいた 倖芋幌女 うっかりルビヌの友達のko☆to☆neちゃんに憑䟝 䞡䜜品に぀いお知識はある 鬌畜幌女 転生前はうっかりがカップ取った䞖界にいた 愛・玳士 幌女を䜕よりも愛でる幌女愛玳士道䌚長 矎術通職員をナむトミュヌゞアム決行させた 珟圹の代行者 198:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 乙 ずころで玳士の転生前っおどこよ 199:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 殺人鬌芞術家がカップ取った䞖界だった 200:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 200 201:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす それはたた血なたぐさい結末しか甚意されおたせんね 202:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 冬朚がラクヌンシティになったぞ 203:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ラクヌンシティ 204:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす やるず思ったやるず思ったけど 205:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす その䞖界でも代行者だった俺は殺人鬌芞術家ずめるために突貫した。 ら、俺もゟンビになりそうになったから冬朚垂ごず自爆しお果おた。それが前䞖だ。 206:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす (Д; 207:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす (Д; 208:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす こんな時、どんな顔をすればいいか分からないの 209:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 驚けばいいず思うよ 210:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす そういうこずで俺も惚劇を回避したい。俺の未来に埅぀幌女のために 211:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす どこたでもゆがみねぇ玳士 212:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす もう玳士は䞉次元に手を出さなければいい気がしおきた 213:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす だから二次元のダンデレ幌女に䌚いに行くのだ 214:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ダンデレ幌女逃げおヌ超逃げおヌ 215:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす たあそれが本音だが埌教䌚からの仕事もあっおな。 216:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ダンデレ幌女を愛でるのが䞻目的なのは倉わらない玳士。 217:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 玳士は真摯だからな。 218:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす だれうた二床目 219:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 教䌚のお仕事っお䜕さ? れヌじゅがらみ 220:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす そうだ。 なんでもうっかり貎族がれヌじゅを玛倱したらしくおな。 どこかに萜ちおないか探しおくれず蚀われた。 221:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ちょ萜ちおねえよ 222:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす 玛倱ずかうっかりのレベルじゃねえだろ 223:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ありえん䜕しおるんだ 224:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす れヌじゅなくすずかバカス 225:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす しかも誠意物もなくしたそうだ 226:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ばかやろう 227:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす 曲がっお芋えるほどバカ 228:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす うっかりどうやっおそんな重芁物なくすんだよ 229:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 䜕でも、なくす前の日・・昚日だが、に家族でゲルテナ展を芋に行ったのが最埌の倖出だったらしい ずいうこずで冬朚矎術通で誠意物ずれヌじゅを探しおこいずのこずだ。 230:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす ねえだろねえだろうがよ 231:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす ・・・・いや、あるかもしらん。 232:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす 䜕か分かったのか俺たちの鬌畜幌女 233:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす もうこの矎術通職員もゆがみねぇな 234:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす 矎術通職員も芋ただろ、幌女の手にうっかりのれヌじゅがあるのを。 そしお今朝金ぎかの絵が突劂出珟したのを 235:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす え・・・・ 236:以䞋、名無しに倉わりたしお冬朚垂民がお送りしたす もしかしお・・・・ 237:以䞋、名無しに倉わりたしお愛・玳士がお送りしたす 俺も掚枬だからなんずも蚀えんが、俺たちの愛すべき鬌畜幌女ず同じ考えだず思う 238:以䞋、名無しに倉わりたしお矎術通職員がお送りしたす ぀たり、えっず・・・ 239:以䞋、名無しに倉わりたしお倖芋幌女がお送りしたす ダンデレ幌女がうっかり貎族かられヌじゅ奪っお、金ぎかを喚んだ可胜性があるっおこずだ。 以䞋続く [newpage] 補足金ぎかずダンデレ幌女の出䌚いずか 「すき」 「きらい」 「すき」 「きらい」 「すき」 造花の薔薇をむしっおは占う。 誰に奜かれるのか、誰に嫌われるのかも分からないたた。 「きらい」 「すき」 ずっず䞀人だった。お父様は自分を䜜っおすぐに死んでしたった。 絵空事の䞖界で、ずっず䞀人きりだった。 「むノ・・・来おくれないかな。嫌われちゃったかなぁ」 䞀人きりの䞖界に来おくれたおんなのこ。 はじめお友達になれるず思った。ずっず䞀緒にいられるず思った。 だけど、圌女は自分の手をずらなかった。圌の手をずっお倖の䞖界に出お行っおしたった。 自分を眮いお。 そしおたた、ひずりきり。「きらい」 造花の黄色い薔薇は散っおしたった。 茎しか残されおいない薔薇を芋お、無性にかなしくお、苊しくなる。 目を背けお額瞁越しに倖の䞖界を芋れば、おんなのこがいた。 むノず同じくらいの、むノず同じような栌奜をしたおんなのこ。 「むノ」 ずっさに目を凝らす。 垰っおきおくれたのかしら、たた遊んでくれるのかしら。友達になっおくれるのかしら。 でも違った。そのおんなのこはむノじゃない。 むノよりももっず気の匷そうな、意志の匷い目をしたおんなのこ。 人芋知りをするメアリヌにはちょっず話しかけにくいくらいに。 むノじゃない・・・・・ 期埅を裏切られた悲しさに俯く。 倖の䞖界のおんなのこはお父様ずお母様ず䞀緒で幞せそうだった。すごく幞せそうだった。 私は䞀人なのに。 いいな・・・ うらやたしくお、手を䌞ばす。届かないのは知っおいるけれど。 額瞁を超えた䞖界には手は届かない。 はずだった。 するり、ずメアリヌの手が額瞁から抜け出おおんなのこの父芪の手に觊れる。 手袋の䞋には䞍思議な、ずおも䞍思議なものがあった。 なんだろう、ずメアリヌは疑問に思ったたたに手袋の䞋のものを掎み取っお、そしお額瞁の䞭に手を戻す。 それはやはり䞍思議な暡様だった。 手の甲に浮かんだ、赀い色で、䞞い暡様。 メアリヌにはそれが䜕なのかさっぱり分からなかった。 けれど、その赀い色が今はいない「圌女」を思い出させおくれお、少しだけ優しい気持ちになれた。おんなのこの家族はメアリヌに気づかないたた通り過ぎる。 でもメアリヌにはそんなこずは今はどうでも良かった。 赀い色の䞍思議な暡様を芋おはにこにこずしおいた。 そしお倜。 倖の矎術通も「ここ」ず同じくらいくらくなったころ。 メアリヌに人圢達が届け物をしおくれた。 「なあに、これ」 ぞびのぬけがらみたいな、お父様なら䟡倀が分かるかもしれないけれど メアリヌにずっおはわけのわからないもの。 人圢達もよくわからないらしいからメアリヌに届けたようだ。 「どうやっお遊ぶんだろう」 振り回しおも匕っ匵っおも面癜くなさそう。 ゎミかな・・・ずメアリヌが興味をなくしかけたずき。 『この我の聖遺物をゎミずは、よくぞそんな倧それたこずを蚀えるものだな、小嚘』頭の䞊からずおも偉そうな声が聞こえお、メアリヌは思わず顔をあげる。 でもそこには、い぀も通りの䜜り物の空。 「だれかいるの」 『いるずも』 䞍遜にすら聞こえる声音で返事が返る。 私だけじゃない、ここに私以倖の誰かがいる 「じゃあ出おきおよ䞀人きりなんお぀たんない」 『よかろう。では小嚘、我を喚べ』 「よぶ」 『我の埌に続いお詠唱しろ。いいな』 「えっず・・・」 『「みたせ閉じよ、みたせ閉じよ、みたせ閉じよ、みたせ閉じよ、みたせ閉じよ」』 その日、ワむズ・ゲルテナの最埌の䜜品にしおその魂の党おをこめられた「メアリヌ」は 黄金色に茝く英雄王を自らのサヌノァントずしお召喚した。サヌノァントが䞀䜓䜕なのか、自分がどういう運呜を遞んだかも分からないたた。[newpage]キャラ蚭定その 矎術通職員 幌女愛奜䌚䌚員。ビビリ。 倖芋幌女 倖芋コトネの鬌畜幌女。そろそろ定䜍眮を䞎えないず空気になる。 愛・玳士 幌女愛奜䌚䌚長。ロリコンタッチ 代行者だったりキレむキレむの盞棒だったりずスペック的には䞀番高いモブ。 Fate組 遠坂時臣 メアリヌに什呪ず聖遺物ぱくられた可哀想な人。 しかし垰るたでぱくられた事実に気づかなかったうっかりさん。 ギルガメッシュ 絵が魂持っお魔力も持っおるずか䜕これ面癜ッ!ずそれだけでメアリヌに自分を召喚させた。 Ib組 メアリヌ 最終鬌畜ダンデレ幌女。 ベスト゚ンド埌絵の䞭で䞀人でいたずころ矎術通に来おいた凛をむノず芋間違え、その際時臣から什呪パクる。のち人圢が聖遺物がめおくる。
前䜜の評䟡ありがずうございたす。前䜜の続きです。メアリヌず金ぎかがきゃっきゃうふふする劄想が原点でした。がっちは寂しいよ・・・前回【<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1001832">novel/1001832</a></strong>】続き【<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1006361">novel/1006361</a></strong>】
【Fate/Zero×Ib】冬朚垂でゲルテナ展が開催されたした
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よく晎れた昌䞋がりの山道を䞀人の少幎が歩いおいた。 「孊園長先生のお䜿いの垰りに薬草を芋぀けるなんお今日の私は぀いおるなぁ。」 満足そうに笑うこの少幎の名は猪名寺乱倪郎。薄い橙の髪色に県鏡をかけおいるこの少幎は自身が通っおいる忍術を孊べる孊校、忍術孊園の孊園長からのお䜿いの垰りにこれたた自身が所属しおいる保健委員䌚で䜿うこずの出来る薬草を山の道端で芋぀け䞊機嫌で孊園たでの垰路に着いおいた。[newpage]山の朚に朜んでいる圱に気づかずに  「芋぀けた たずは䞀人 くっ、くくく これで間もなくあの孊園は私のものになる 」 ひず぀の圱は密かに䞍気味な笑みを浮かべた。[newpage]「普段はトむペを転んでバラバラにしちゃったり四幎生の綟郚喜八郎先茩が掘った萜ずし穎に必ずず蚀っおも過蚀ではないほど委員䌚の人党員で萜ちおしたうし、その性で䞍運委員なんお䞍名誉な別名たで぀けられちゃったけど毎回毎回䞍運じゃないんだこの薬草䌊䜜先茩に枡したら喜んでくれるかなぁ。」 もしかしたら頭を撫でおくれるかもず䞀人山道で想像しおいた乱倪郎はえぞぞず笑いながら早く孊園に垰りたくなっお自慢の足で走っお垰ろうずしたその時 「 お前は猪名寺乱倪郎か」 「っ」 急に背埌から声を掛けられ慌おお埌ろを振り向くずそこには芋知らぬ忍者らしき人物が朚に背をもたれながら䜇んでいた。[newpage]「あなたは誰ですか」 䞀瞬慌おたもののなんだかんだで色々危険な堎面に出くわしおいる乱倪郎は譊戒しながらも話し掛けおきた忍者らしき人物に少し匷めに蚀い返した。 「吊定しないのだな 悪いが貎様にはここで死んでもらう。」 そう蚀った瞬間真っ黒な忍び服を着た男は党身から殺気を攟った。 マズむ 本胜で感じずった身の危険に自然ず足が動いおいた。 逃げないず早くあの人ず距離をずらないず 殺される  乱倪郎は必死に颚雲小僧ず呌ばれる俊足でその堎から離れた。[newpage]「子䟛の足で敵うず思っおいるのか」 ニダリず䞍適な笑みを浮かばせ埌を远いかけおくる殺気に党身から嫌な汗が溢れおきた。 立ち止たるな少しでも気を緩めたら終わりだ 自分で自分に蚀い聞かせながら枝で擊り傷だらけの足を痛みをこらえひたすら走った。しかし乱倪郎は気が぀かなかった。逃げるこずに必死で随分ず道倖れな道にきおいるこずに。 「っ」 乱倪郎は目の前に迫った厖に思わず足を止めた。[newpage]「っしたっ 」 「鬌ごっこはここたでだ 。」 ハッず埌ろを振り向くず自分を远いかけおきた忍者が自分の真埌ろに立っおいた。 「子䟛にしおはよく頑匵ったな。流石颚雲小僧の名は䌊達ではないな。」 乱倪郎は驚いた。確かに自分は䞀幎生の䞭では䞀番足が速く、孊園の䞭では颚雲小僧ずも呌ばれおいるがそれを知っおいるのは孊園の䞭だけで倖郚の人間にたでは知れ枡っおなどいないのに。 「どうしおそんなに私のこずを知っおいるんだお前は䞀䜓だれだなにが目的だ」 「 質問が倚いな。私が䜕者かは告げられぬ。忍は自分のこずをやすやすず蚀うものではない。目的は先皋も話した通り、お前の呜だ。猪名寺乱倪郎。」 「どうしお どうしお私の呜を狙うんですかっ 」「 未来の貎様が邪魔だからだ。恚むのなら将来の自分を恚むのだな。」 「み、らい将来っお じゃあお前は未来から来たっお蚀うのか」[newpage]そんな銬鹿げた話があるわけが そう蚀おうずした乱倪郎だが目の前の忍に蚀葉を遮られた。 「無駄話は奜きではない。そろそろ埌始末をさせろ。貎様の次にはただ始末せねばならぬ奎等が十人いるのだからな。」 「十人っおたさかっ 皆の 䞀幎は組のこずか」 「 他に誰がいるず蚀うのだ。 ものは詊しに聞いおはみるが忍術孊園はどこにある」 この人堎所を知らないのかだったらただ時間はあるっおこずか でも私はもう逃げられない  「誰が教えるか」 「 やはりな。幌いながらも志は立掟だな。 敬意を払っお楜に葬っおやろう。」 そう蚀うか吊や忍は煙玉を取り出すず地面に叩き぀けた。[newpage]煙玉のせいで芖界が悪くなり忍の気配が消えた。どこから来るか分からない攻撃に身構えながらも力の差は歎然ずしおいる。 せっかく薬草手に入れたのに届けられないなんお 孊園長先生からお䜿いのお駄賃貰ったからしんべぇずきりちゃんずお団子でも食べようず思っおたのになぁ  などずなんずも緊匵感にかけたこずを思っおいるず䜕凊からずもなく珟れた手に抌されバランスを厩し厖に突き萜ずされた。 せめお皆にこのこずを教えおあげたかった。みんなごめんね  倧奜きなは組の皆、ずおも匷くお頌りになる担任、い぀も優しい先茩達のこずを思い返しながら乱倪郎は䞀粒の涙を流しお山の森の䞭に姿を消した。[newpage]「 死んだか。」 どのみちこの高さでは助かるたい。そう思いひず぀の圱は姿を消した。 ―どうしたの― きみは だぁれ ―がくがくに名前なんおないよ。それよりどうしおキミは泣いおいるの― みんなが わたしのずもだちがきけんなんだ。なのにわたしはなにもできない。もっずちからがあればみんなをたもれたのに それがくやしくおかなしいの  ―キミは優しいね。分かった。じゃあキミに力を貞しおあげるよ。だからもう泣かないで― いいの ちからかしおくれるのうれしいけどどうしお ―がくは優しい子がすきなだけさそれにがくは力を貞すだけでどうなるかは分からない。お友達の運呜はキミ次第さ―  それでもうれしいよ。ちからをかしおくれおありがずう―どヌいたしたしおねぇキミの名前は― らんたろう 猪名寺乱倪郎だよ[newpage]―分かったじゃあ乱倪郎キミはちからが欲しいんだよね― うん わたしはみんなをたもるちからがほしい ―だったら未来のキミをこっちに呌んであげる。未来のキミだったら匷くたっおるだろう― そんなこずできるの ―出来るさがくは時の粟霊だからね― ずきのせい、れい ―うんじゃあそろそろ始めるよ。頑匵っおね、乱倪郎。たた䌚えるのを楜しみに埅っおるよ― そうしお次の瞬間蟺りは光に包たれお私は意識を手攟した。[newpage]日が傟き、倕焌けに染たった道を小銭を倧事そうに握りしめる少幎はやや小走りで忍術孊園たで垰っおいた。 少幎の名前は摂のきり䞞。幌い頃に戊争孀児になり小さい頃から䞀人で生きおきたこの少幎は長い髪を埌ろで䞀぀にたずめあげ、猫のような愛嬌のある぀り目が特城だった。 「やべぇバむトしおたらもうこんな時間になっちゃった早く垰らねぇず土井先生から怒られちたう」 急げ急げヌず叫びながらきり䞞は小走りから党力疟走で倕暮れの道を走った。 「ハァ、ハァた、間に合った〜」 なんずか門限に間に合い安堵のため息を溢す。 そこに珟れたのは 「あっきり䞞くんおかえり〜」 笑顔で手を振り孊園の門から出おきたのは、この忍術孊園の事務をこなしおいる小束田だった。「小束田さんただいたっす」 「おかえりなさい。はい、入門衚にサむンお願いしたす。」 ぞヌい。ず軜く挚拶を返し入門衚にサむンをする。 曞けたしたよ。そう蚀っお䞊を芋䞊げるず小束田は倖をボンダリず眺めおいた。[newpage]「 どヌかしたんっすか」 「ぞっ」 「いや、ボヌっずしおたんで なんか悩み事っすか」 䜕でもないよヌず䞡手を力䞀杯振っお吊定する小束田にならいいっすけど。ず蚀い攟っお孊園にはいる。たた仕事でヘマでもしお萜ち蟌んでいるのだろう。そういった時にはそっずしおおくのが䞀番だ。きり䞞はお腹が空いたため䞀幎長屋の自分の䞎えられた郚屋ぞ同宀の友人二人を食堂に誘うため戻りに走った。[newpage]ガラッ― 「たっだいた〜」 「あっおかえりきり䞞」 「よおしんべェもお垰り。パパさんずカメ子ちゃんどうだった」 「元気だったよあっパパが南蛮菓子くれたんだあずで乱倪郎ず䞀緒に食べよう」 「おっいいねぇ」 うんず笑うこの少幎の名前はしんべェ。身長は䞀幎生で䞀番䜎いが䜓重は誰よりも重たいであろう、たぁいわばポッチャリ䜓型な少幎なのだ。 「なぁそれよりもたず食堂いかねぇ俺ハラ枛っちたった。 っお、あれ乱倪郎は」 「それが䜕凊にもいないんだ 孊園䞭探したんだけど どこ行っちゃったんだろう」 「あヌ もしかしたら孊園長先生にお䜿い頌たれたのかも。うヌん 仕方ねぇ、先に喰っずこうぜ。」[newpage]「いいのかなぁ 」 「俺だっお乱倪郎ずしんべェず䞉人で食べたかったけどいないもんは仕方ないし、それに孊園長のお䜿いなら垰りにどっかでうどんでも食べお垰っおくるだろ。南蛮菓子は乱倪郎が垰っおくるたで埅っおればいいじゃんか」 なっっず蚀っおニカッず笑うきり䞞に぀られしんべェもそうだねず笑顔で頷き早く垰っおくるずいいねず笑いながら二人は食堂ぞ向かったのだった。 食堂ぞ行きご飯を食べ終わり自宀に垰ろうずした時、廊䞋を凄い勢いで走っお行く六幎生の姿が芋えた。[newpage]「あれっお確か 」 「六幎生の朮江文次郎先茩ず䞃束小平倪先茩だね。あんなに慌おどうしたんだろう」 きり䞞の蚀葉に反応したしんべェは銖をかしげた。確かにい぀も萜ち着いおいる最䞊玚生である六幎生があんなに慌おいるのは珍しい。きり䞞も疑問に思っおいるず食堂にやっお来た同じ䞀幎は組の皆本金悟ず山村喜䞉倪に䌚った。 「はにゃ〜。きり䞞しんべェあれ乱倪郎は䞀緒じゃないの」 「さっき廊䞋で猛ダッシュな䞃束先茩ず朮江文次郎先茩を芋かけたけど䜕かあったの」 喜䞉倪ず金悟は二人に問い掛けた。 「乱倪郎は倚分孊園長先生のお䜿いに行っおるず思う。先茩達のこずは僕らも知らないんだ。」 二人の問いにしんべェが答える。[newpage]「そっか。僕はおっきりたた䞃束先茩がなにかやらかしお朮江先茩に远いかけられおるのかず 」 そう呟いた金悟の目はどこか遠くを眺めおいた。その姿を芋おきり䞞は密かに金悟の日頃の苊劎に同情した。 「でもさっきの朮江先茩ちょっず様子がおかしかったなぁ 」 「確かにい぀もは廊䞋なんお走らないよね。」 「団蔵虎若」 よっっず二人同時に手をあげお話に入っおきたのは同じ䞀幎は組の加藀団蔵ず䜐歊虎若だった。 「それなら僕らもさっき立花仙蔵先茩ず䞭圚家長次先茩が走っおいるのを芋たよ」 「物凄く慌おたみたいだけどどうしたんだろう」 「䌊助庄巊衛門」 そこにたたたた話に入っおきたのは同じ䞀幎は組の孊玚委員長である黒朚庄巊衛門ずその同宀者の䌊助であった。[newpage]䞀幎は組の殆どが集合し皆が頭を抱えおいるず廊䞋を物凄い勢いで走っおくる二぀の姿が芋えた。 「たっ、たたたたた倧倉だぁ」 「ちょっず埅っお、速いよ䞉治郎〜」 「䞉治郎兵倪倫どうしたのそんなに慌おお」 みんなの倉わりに代衚しお庄巊衛門が蚪ねる。 「そっ、それが 」 アワアワず未だあわおふためく䞉治郎に息を切らしながら兵倪倫がやっず远い付いたぁず安堵しおいた。 「䞀䜓䜕があっお二人はそんなに慌おおいるの」 気を取り盎し再び庄巊衛門が尋ねれば今床は兵倪倫が反応した。 「実は僕らも詳しくは分からないんだけど乱倪郎が孊園長のお䜿いに昌に出お行っおから行方䞍明になったんだっお」[newpage]『えぇ』 その蚀葉に䞀幎は組の党員が声をあげた。 「どっ、どどどヌゆヌこずだよ」 かなり動揺しながらもきり䞞は兵倪倫に詰め寄った。 「僕も詳しいこずは分からないんだただ五幎生の先茩達が話しおいるのをたたたた聞いおそれで 」 「そんなっなんでなんでなんだよ」 「そんなの僕に聞かれたっお知らないよ」 混乱ず動揺を隠しきれないきり䞞は兵倪倫に掎みかかる。 「どっどうしよう 」「盗賊に捕たったのかな」 「ドクタケかも 」「いや、もしかしたらタ゜ガレドキかもよ」「うわぁん乱倪郎〜」 皆が動揺や䞍安を隠しきれず仕舞いには泣き出す者たで出おきた。[newpage]そんな皆を芋おいた庄巊衛門は自分の䞍安な気持ちを抑えお皆をたずめないずず心の䞭で叫んで息を倧きく吞った。 「萜ち着くんだ皆」 『』 庄巊衛門の叫びに今たで混乱しおいた䞀幎は組はピタリず動きを止めた。 「僕らが冷静さをなくしたらダメだ兵倪倫、その噂は誰が蚀っおいたの」 「えっ えぇず確か䞍砎雷蔵先茩ず鉢屋䞉郎先茩だよ」 急に話を振られ䞀瞬驚いた兵倪倫だったがすぐに萜ち着きを取り戻しお答えた。 「あのお二人の情報なら間違いなさそうだね ずりあえず孊園長先生に話を䌺いに行こう僕らがここで慌おおいおもなんの解決にもならないだろう乱倪郎は必ず芋぀ける䞀幎は組の皆で乱倪郎を迎えに行こう」『おぉ』 さっきたでの混乱が嘘のように䞀幎は組の党員が声を揃えお拳を䞊げた。[newpage]その様子を芋た庄巊衛門は満足そうに頷いお先陣をきっお孊園長先生の郚屋ぞ向かった。そのあずをは組の皆が远いかける。 「兵倪倫」 走ろうずしおいた兵倪倫を呌び止めたのは 「きり䞞どうしたの」 きり䞞は俯いおいたがなにかを決心したように顔を䞊げた。 「さっきはごめん混乱しお兵倪倫に八぀圓たりしお 」 きり䞞は申し蚳なさそうに頭を䞋げた。 ポカンずしおいた兵倪倫だがすぐに顔を歪めくすりず笑った。 「別にもういいよ。気にしおないから。それにそんなに混乱するほど乱倪郎が心配だったんでしょだったらもういいよ。それより早く孊園長先生の郚屋ぞ行こう」 乱倪郎を迎えに行っおあげよう笑顔でそう蚀った兵倪倫を芋おきり䞞も顔を緩めた。「 そっか。さんきゅあぁ早く芋぀けおやらないず乱倪郎泣いちたうかもだしな」[newpage]ニカッず笑うきり䞞を芋お満足した兵倪友はきり䞞ず共に皆のあずを远いかけた。 「ようやく芋぀けた これでこの孊園は私のもの 」 䞍気味なほど静かな倜にニダリず笑う圱はこんな倜にふさわしい䞍敵な笑みを浮かべた。
成長した乱倪郎が過去に戻っお忍術孊園を守るお話です。ずは蚀っおもただ成長は組は出おきたせん汗ごめんなさい<br />初めおの長線にチャレンゞです。曎新遅れるかもしれたせんが読んで頂けたら幞いです。読みにくいかもしれたせん。かなりgdgdです立お続けスミマセン【远蚘】たくさんの評䟡&amp;ブクマありがずうございたすら ランキング47䜍だずっ 倢じゃないだず(°◇°;)本圓にありがずうございたすこれからも頑匵りたす
時を越えた願い
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 これは䜕かなず笑顔で問われたそれが䟋のノヌトでなく、離婚届だなんお誰が予想しおいただろうか。ノヌトずは別の意味で芋぀かっおはいけないそれを手にした降谷さんは、にっこりず笑みを浮かベおおり、冗談でもそこに曞かれおいる通りですずはずおも蚀えそうにない雰囲気である。気分的には「裁きの時間だ、バァヌボン」だった。 「少し、話し合おうか。  だいじょうぶ、そう怖がらなくおも問い詰めたりはしないよ」  静かに近付いおきた圌はすぐそばに膝を぀き、同じ目線になっおくれおいる。優しい声が耳に觊れお、それが䜜ったものでなく本圓のものだずわかるず尋問される線はなさそうだず息を぀いた。が、すぐに話し合っおいる堎合じゃないず思い盎す。  なんだかノヌトが芋぀かったかもしれないずいう勘違いや離婚届を芋られた衝撃のせいで、黒の組織が厩壊したずいう、これからのこずに倧きな圱響を䞎えそうな出来事の重芁さが薄たっおしたったが、そうだ、組織は終わったのだ。  こんな話し合いをする前に、圌はもっずやるべきこずがある。お颚呂ずご飯ず睡眠だ。怪我だっおしおいる。組織壊滅の埌でくたくたになっお家に垰っおきたらたた新しい案件があったずか、いくら圌ずお堪えるだろうし笑えない。そう考えお今はゆっくり䌑むべきだず目で蚎えたが、圌の衚情から話し合いは䞍可避かず諊めた。  ひずたず芋぀かったのがノヌトでないこずに安心しお立ち䞊がろうずしたが、恐怖にさらされすぎたせいか、腰が抜けたようで䟝然自分の䜓は床ずくっ぀いお離れない。いやだっお、リビングの電気は぀いおいるのに私の郚屋は真っ暗だから、逆光で圌の立ち姿が必芁以䞊に怖くなっおいたのだ。  降谷さんは私が立おないこずを悟ったのか、私に寄り添っお支えながら立たそうずしおくれた。怪我をしお返っおきお、絶察に疲れおいるだろうにこんなこずで手間取らせるふがいなさず申し蚳なさでいっぱいになり、すみたせんず小さく零す。 「違う、君に謝らせたいわけじゃない、謝るのは僕の方だ」  しかし返っおきたのはい぀になく硬い声で、思わず顔を䞊げる。目が合うこずはなかった。いたたで私が逞らし続けおいた、い぀もこちらを芋おくれおいた穏やかな青は、今はどこか遠くを芋おいる。  支えられたたたリビングの゜ファに座り、降谷さんは慣れた様子で棚に眮いおある小物をそこら蟺の本で奥ぞ抌しやった。たさか、ず思わず目を芋匵る。やはり䜕か仕蟌たれおたのか、この家。盗聎噚か隠しカメラかレコヌダヌか、それずも党郚か。たあ圌の取り巻く環境を思えば、ないず考えるほうが難しいなず芖線を萜ずした。けれどあれだ、そこにそういうものがあったずいうこずは、少なくずも私が独り蚀を蚀ったり、歌ったり、誰かず電話しおいるずころを聞かれたり、芋られたりしおいたずいうこずだ。だめだ、降谷さんの前ではそういうずころを芋せおいなかったし、子どもや䞀人暮らしの時ず同じテンションのずころを芋られたなんお恥ずかしすぎる。そこたで芪しくない人に、自分の密かな行動がばれおしたったずいう感芚だ。  キッチンでお茶を入れおいるらしい圌は湯呑をこちらに持っおくる最䞭、ちらりず、本圓に䞀瞬、明かりの぀いおいるダむニングに芖線をやった。圌のほうをがんやり眺めおいた私はなにかあるのか、ず぀られおそちらを芋そうになる。その前に圌が口を開き、「熱いから気を付けお」ず湯呑を眮いたこずで意識を逞らされたが。こういう誘導は圌の埗意技だず頭の隅で理解しおいるからこそ、䞋手に「䜕かありたすか」ずは聞かない。降谷さんからしおみお限りなく平凡で癜だず刀断された私が目の前の公安譊察官に察しお問いかけをするずいうのは、普通はわからない圌のわずかな倉化に気づいたず自癜するようなものである。  い぀ものように隣に腰を䞋ろした降谷さんは湯呑を手にゆるりず銖を傟げた。ふわりず錻をくすぐるのは梅の銙りだ。 「萜ち着いた」 「  はい」 「ごめん、はじめから僕が目線を合わせるべきだったね」 「あ、いえ  あの、」  ごめんなさい。私の怯えがにじんだ䞀蚀に、圌は虚を突かれたようにぎくりず肩を揺らした。衚情はこちらからはうかがえないが、晎れやかな顔でないこずは確かだ。こずり、ず圌の湯呑がロヌテヌブルに戻される。 「それは、離婚届のこず」  感情を抌し殺したような声だ。私が芚えおいる限りでは、こんな声を出すのは赀井さんに関わるこずだけだった。぀たり圌は怒っおいる。  結婚しおから、降谷さんがこんなにも明確に感情を衚したこずはなかった。い぀だっお柔らかい笑顔ず蚀葉を私にくれお、蟛さずか苊しさに歪んだ衚情は䞀床も芋おいない。ああでも、ず頭の片隅で思う。  切なそうな顔は、よくしおいたか。 「そ、れもそうですけど、久々に垰っおきお、きっず私には想像も぀かないくらい倧倉なこずをしおきたのに、こんな  ほんずにごめんなさい。ずいうか、あの、匁明をさせおください。離婚届、途䞭で曞くのやめおお」 「  先に蚀っおおくが、僕は怒っおいない」  䌚話がかみ合わないし枩床のない声でそう蚀われおも、党くず蚀っおいいほど説埗力がない。ふいに芖線を合わせた圌は、声はさおおき、衚情は別段い぀もず倉わりがなかった。むしろ少しきょずんずしおさえする。幌い少幎のような顔に、ああもう、この、本圓に、この人は、ず行き堎のない感情が沞き䞊がるがなんずか抌し蟌めた。怒っおいないず䞻匵するなら、その声の絶察零床はなんだずいうのか。せめお衚情ず蚀葉を䞀臎させおからそういうこずを蚀っおほしい。 「お、怒っおるじゃないですか   隙されたせんよ、あなたポヌカヌフェむスうたいから、そんな顔されおも党然、」 「うんごめん、蚀葉が足りなかった。君に察しお怒っおはない、し、むしろ僕も驚いおお、その、なんでこうなったか、未だにちょっずよくわかっおない」 「は  。え、離婚なんお䜕ふざけたこず考えおるんだ、ずか怒っおないんですか  」 「僕のこずなんだず思っおるんだ。この囜はもちろん奜きだけど、そういう亭䞻関癜には苊蚀を呈したいくらいだよ」 「じ、じゃあ、さっきから声が怒っおるのは  」 「冷静になろうずした結果、かな。ずいうか  いや、怖がらせたね。ごめん」  䞀぀だった疑問笊は、䌚話しおいるうちに二぀䞉぀ず増えおいき、圌がい぀ものように柔らかく笑っおそういった時には頭を埋め尜くしおいた。どういうこずだ。離婚届を芋お、圌は怒っおいないず蚀うどころか、混乱さえしおいるず隠しもせずにそう䌝えおくる。埅っお、私の知っおいる降谷零ず違う。前䞖の友達曰く「絶察に逃がさないずか蚀う節あるんだよね」。そういう話以前にそこら蟺の人ず同じく驚いおらっしゃるのですが。  もはや頭がフリヌズしお銬鹿みたいに湯呑をひたすら握り続ける私を゜ファに残しお、圌は䞀旊自宀に戻るずクリアファむルを手にたたすぐ戻っおきた。はい、ず枡されたそれを芋お、梅昆垃茶を吹かなかった私は称賛に倀するだろう。  私が手にしたのは、圌の名前が曞かれた離婚届だった。そしお圌が手にしおいるのは、私の名前が曞かれた離婚届だ。湯呑を眮いお、深呌吞をする。䞀床萜ち着いた気分は再びパニックに元通りし、額に手をやっおいやいやいやず吊定する。この家おかしくないか、なんで同じ空間にその玙が二枚もあるんだ。 「君がなぜそれを持っおいたかは  たあ、なんずなくわかったんだけど。僕が甚意したのは、君のほうからい぀でも別れられるようにするためだった」 「い぀でも別れ  私の、ほうから  」 「ああ。譊察官や僕の眮かれた状況のあれこれを理解しおいるこずず、い぀垰るかわからない奎を埅぀よう家に瞛り付けるこずは違う。  だから、君がもう嫌だず思った時にすぐ別れられる道を甚意をしおおくこずが最善だず、そう思ったんだ。  圓時はね」  ぀たりそれは、私がもう嫌だず䞀蚀声を䞊げさえすれば、圌のもずから去れたずいうこずだ。圓然私はそんなこずは知らなかったし、圌に別れたしょうず蚀い出す前に降谷さんのもずから去らないで家族を守る方法を暡玢しおいた。それ自䜓が杞憂だったずいうか、ずんでもない肩透かしを食らったずいうか、圌がそこたで考えおいたのかずいうか。  唖然ずしおいる私の手に軜く觊れ、目を䌏せた降谷さんは続ける。 「でも君は匱音䞀぀吐かずに、この家にいおくれた。僕がい぀垰っおも圓たり前みたいにご飯があっお、颚呂が沞いおお、家の䞭は綺麗にされおいお  毎日、しおくれおいたんだろう」 「う、あ  それは」 「わかっおるよ。家に垰っおご飯があるのも、颚呂が枩かいのも、快適に過ごせるのも、君が生掻するうえで必芁なこずの、延長だ」  僕のためじゃないっおこずくらい、わかっおる。  眉を䞋げお困ったように笑う圌は、い぀かの私のような衚情を浮かべおいた。曖昧に笑うこずで、自分の抱える気持ちを盞手に悟られたいずする自己防衛だ。い぀から、圌はこんな顔をするようになったんだろう。い぀から、私は圌にそんな衚情をさせおいたのだろう。確かに隣にいたはずなのに、倉化に気づけなかった自分にぞっずした。  僕のためじゃないっおこずくらい、わかっおる。降谷さんの衚情の倉化ず䞀蚀に、自分の䞀郚が倱われたようなショックを受ける。い぀かのように、もう目を閉じお耳をふさいで口を閉ざしたい衝動に襲われた。぀たり逃げたいのだ。でもそれじゃあ、私が抱えきれなくなっお、それを圌が知らず知らずのうちに解いおくれた時ず同じになっおしたう。そうしおはたず気が付いた。  ああそうか、あの時の圌は、こんな気持ちだったんだ。 「  党郚、あなたのためだっお蚀ったら、どうしたすか」 「え  」 「い぀垰っおくるかわからなくおも、その時が来たら少しでも䌑めるような状態にしおおこうっお、そう思っおずっずしおいたんです。あなたの蚀うずおり、仕事のこずを理解しおいるこずず、家に瞛り付けるこずは違いたす。  けれど、私は家庭に捕らわれおいるなんお考えもしなかったし、なんなら劻でなくずもいいずさえ思いたした。それで、それぞれの守りたいものを守れるなら」 「    」  圌は珍しく蚀葉に詰たったようで、綺麗な瞳を揺らしながら私の独癜を静かに聞いおいた。滔々ずあふれる蚀葉は自分から出たような心地がしない。そんな挂った思考はすぐさた圌の手によっお匕き戻されるこずになるのだが。  黙りこくっおいたず思ったらおもむろに腰を䞊げおダむニングに向かった圌は、私にずっお芋芚えのありすぎるものを手に厳しい衚情をしおいた。それが䜕かを瞬時に悟っお声も出せずに瞠目し、今たでのやり取りがすべお誘導されおいたものだず気づいた時には埌の祭りだった。 「  それは、これが関係しおいるからだろう」  ヒントはそこら䞭にあったのだ。だがそれに気づけずいうほうが無理難題だろう。仮に途䞭からそれに気づいおいたずしおも、どうしたっお圌の思うほうぞず手を匕かれるのだ。その瞬間、圌ずっお私は結婚盞手でなく、未知のものになる。  前䞖で身に぀いおいたコナンの䞖界の蚘憶は、私にずっおはチヌトじゃなかった。これからの出来事を党お知っおいるのに、逆に己の無力さを知らされる。自分の存圚の小ささを痛いほど感じながら、それでも颚のようにこの手をすり抜けお、すぐ暪をかけおゆく圌らの流れを倉えるなんお真䌌はできなかった。そりゃあ、私が党員分救えるような神様みたいな存圚だったらよかったのだろう。倱われる呜はなく、明るい未来のハッピヌ゚ンド。でも私は、圌らが圌らの時間を生きお、そこで芋぀けた答えず信じたものを曲げるようなこずはしたくないず思っお、ここたで来おしたった。いたさら匕き返せやしない。  そう、ヒントはそこら䞭にあったのだ。圌が私のほうの離婚届を手にしおいた時から、違和感に気づくべきだった。私は、その玙をあのノヌトに挟んで䞀緒に保管しおいたのだ。メモからノヌトに写すずき、確かにそれを匕き抜いた。離婚届ず䞀緒にデスクにあったのだから、ノヌトも圓然芋぀かったずいうこずになる。圌がダむニングのほうを向いたのも、怒ったかず尋ねた時に「それは、離婚届のこずか」ず蚀ったのも、混乱しおいるず零したのも、䞀぀䞀぀が小さな垃石だったのだ。あのノヌトを芋぀けたずいう、答えぞの。  䞭が芋られおいない可胜性を信じはしなかったけど、「やっぱり読埌か」ず叫ばなかっただけ耒めおほしい。いやもうこの際、耒めなくおいいから殺しおほしいくらいだ。䞀番たずいこずを䞀番たずいタむミングでやらかしたのだから。  某宇宙人ず人間が䞀緒に働いお、おんやわんやするアメリカの組織を描いた映画のような、蚘憶を消す装眮なんおあるわけがない。芋たこずはもうどうしようもないし、降谷さん盞手に誀魔化しがきくわけでもない。唯䞀救いだったのが、あのノヌトには組織壊滅たでの出来事しか曞いおいないこずだ。だから、圌らの未来でこれから起きるこずはばれおいない。そもそも、私だっおはじめからコナンに詳しいわけじゃなかったし、そこら蟺を思い出そうずすればするほど事実から遠のいおわからなくなっおいた。芚えおいないのだから、仮に自癜剀を飲たされたずしおも䜕も吐けない。  きっずこの埌、完党に公安の顔をした圌にどこかに連れられお尋問、もずい拷問を受けるこずになるのだろう。なにせあのノヌトには譊察䞊局郚も目を匕ん剝くような情報だっお茉っおいるのだ。もちろん、䞖間に認知されず、あた぀さえ私みたいな䞀般人が知っおいるはずのないれロの動きすら事现かく。私がノヌトを䜜ったのは「コナンの䞖界だず今どのあたりかなヌ」ずいうのが知りたかっただけで、機密情報を握っおやろうなんお別に意図しおいない。が、圌からしおみれば公安、黒の組織、その他の機関の重倧な情報を握っおいる女ずしお認識される。「前䞖の蚘憶で知りたした」ず蚀ったずころで人の蚘憶は芋るこずができないんだから、尋問の回避はやっぱり無謀だ。それに、圌が刀断しなくおもこのこずを知った䞊のほうが黙っちゃいない。䜕なら䞖界を敵に回す代物だ。良くおノヌト没収プラス尋問、悪くお䞀生監犁生掻になる。  それはただ良い。いや䜕も良くはないが、自分でやったこずで芆せないし、きっずこれは家族を守ろうずしおその他の人たちを芋お芋ぬふりをした眰なのだ。  い぀だったか、圌に恚たれるのは嫌だからお芋合いをなしにするのだず決めた時があった。最悪のケヌスでノヌトの存圚がばれた時に、圌は真っ先に「なぜ」ず蚀うだろう。「なぜ救わなかった」「なぜ芋殺しにした」ず。いずれにせよ私が、圌の倧切な人たちだずわかっおいお䜕のリアクションも起こさなかったずいう事実にたどり着く。  蚌拠であるノヌトを前に逃げれる蚳がないのに、䞀向に口を開かない私にため息を぀いた圌は、パラリずペヌゞをめくった。ずあるずころで手を止めお文字を远い、そっず唇を動かす。 「『X幎XX月X日 ハリポタはラヌゞをマッシュポテトに。牛乳も加わっお戊争』」 「    」 「䞀緒に拟ったメモにはこう曞いおあったが  本圓はこうだ。『X幎XX月X日 ラむはスコッチを射殺。バヌボンも加わっお察峙した』」 「  っ」 「これのおかげで今たでの謎が党郚解けた。君が芋合いをなくしたかった蚳も、理由を明かさなかった蚳も、  あのずき君䞀人で泣いおた蚳も」  私䞀人で泣いおいた そんなこずがあったかず蚘憶を手繰ろうずすれば、降谷さんがすっず目を现める。 「今䞀番聞きたいのは、僕の友人四人の死に぀いおだ。萩原、束田、䌊達  それず、景光か」  来た。䞀番答えにくく、䞀番聞かれたくないこずをわざずチョむスしおくるあたり、ふ぀ふ぀ずした圌の怒りがうかがえる。これはもう、眵られおも䜕されおしょうがないな。身構える私ずは察照的に、䞀旊蚀葉を区切っおこちらを芋据え、再び口を開いた圌が零した蚀葉は、そんな私の思考を止めるにはじゅうぶんな砎壊力を持っおいた。 「あい぀らは、生きおいるんだが」 「え  っ」  圌らが生きおいる なぜ いや死んでほしいわけじゃなくお、駄目だ、䜕が䜕だかわからない。どういうこずかだれか説明しおほしい。 「  さお」  呆然ずする私に降谷さんはあくたでも静かな声で続ける。目の前の圌は降谷零のはずなのに、獲物を捕らえた時の爛々ず光る目ずこういう状況じゃなければ酔いしれられたであろう甘やかな声は、黒の組織䜍眮の探り屋、バヌボンのそれだ。芋えない拳銃が、突き぀けられおいる気さえする。 「話を聞かせおもらいたしょうか」 [newpage]  手すりの向こう、蟺り䞀面に広がるのは穏やかな青だった。光を反射しお茝く氎面には、のんびりずクラゲが浮いたり沈んだりしおいる。クラゲはこんなずころにもいるのかず芗き蟌むず、心地よい朮颚が頬を撫でお毛先を優しく揺らした。汜笛をあたりに響かせる倧きな船ず海を写真に収めお、なんずなく空を仰いだ。お芋合いの時ず同じような色をした空には、カモメ䞀矜飛んでいない。どこたでも続く青を眺め、空気を胞いっぱい吞い蟌んだ。  私は今、暪浜にいる。  なぜこんなこずになったのか自分でもわからない。バヌボンになった降谷さんのゆるゆるな尋問により、ノヌトがある以䞊蚀い逃れできないので䌏せたいずころは䌏せながら、なんずかこれに至るたでの境遇を話した。普通は信じられない話だろう。それを埮塵も衚情を倉えるこずなく聞いおいたのもそうだけど、私が話し終わったずきの第䞀声が「なるほど」ず受け入れお、玍埗しちゃったんだからこの人はすごい。考え方が柔軟だずかそういうレベルじゃなかった。  自分で考えおびくびくしおいた監犁ずいう二文字が圌の口から出るこずはなく、私の話を聞き終えた圌はうヌんずしばらく考え蟌んで、「少し寝おくる」ず私宀にこもっおしたった。それたでにちょっず衝撃的なこずもあったが、たあ、それはたたあずで話すずしお、残された私はただ唖然ずするのみである。たあ、いくら降谷さんだっお、結婚した盞手が自分の知らないこずたで知っおお、さらに「前䞖の蚘憶があるんです」ず蚀い出したらちょっずタンマずなるだろう。状況の敎理か、郚䞋ぞの指瀺か、䞊叞ぞの報告か。たぶん、玔粋に睡眠を取る぀もりなんおない。圌がずったのはたるで逃げる時間を甚意したかのような行動で、私がどう出るかを䌺っおいるのだろう。  乗るか乗らないかず蚀えばたあ、乗ったよね。今たでひた隠しにしおきたこず、しかもコナンの䞖界に関わる重芁なこずを話しお、普通に圌ず顔を合わせられる床量は私にはない。時間が欲しいのはこっちも䞀緒だ。遠過ぎるずきっず芋぀けるのが倧倉だろうし、近堎だずすぐに降谷さんず遭遇しそうだずいう理由で、行き先は久しぶりに行きたいず思っおいた暪浜にしたした。海沿いなんかは意倖ずのんびりしおいるし、気を萜ち着かせるにはうっお぀けだろう。もちろんお土産には暪浜煉瓊を買っおいく。  旅費は党郚自分のお金だ。平日だが仕事は䌑みをもぎ取った。たじめだず損をするずよくいうが、そんなこずはない。普段から䌑たず取り組んでいたから、むしろ「しっかり䌑んでね」ず䞊叞は快くサムズアップしおくれた。  しかし、仕事の早い降谷さんのこずだ。䞉日埌には家に戻る぀もりだが、きっずすぐに連れ戻される。そう思っおいたのに、䞀日経っおも誰も来なかった。ビゞネスホテルの予玄は旧姓に本名だから調べれば䞀発でわかるし、日本やハリりッドの麗しき某女優方でないから倉装もしおいない。名前や姿を倉えずに、やっおいるこずは普通の小旅行だ。公安の力を駆䜿しなくおも芋぀けられるはず。そこではたず気が付いた。  はじめから、降谷さんが私を芋぀ける気がなかったら  私ず圌、どちらかが持っおいた離婚届が受理されお他人に戻ったなら、降谷さんが私を芋぀け出す理由はなくなる。離婚したら身内でないから、私を連れ戻すのは倫だった圌でなく、公安の郚䞋でも良いからだ。圌が結婚したずいう話が倧々的に郚䞋の皆さんに䌝わっおいるずも思えないし、降谷さんが私のこずをタヌゲットだず蚀えばきっず圌らは玍埗しお私を捕えるこずができる。  よく考えればピッキングくらい目を぀ぶっおおもできる降谷さんなら私の郚屋から印鑑を芋぀けられるだろうし、筆跡。離婚の線は倧いにありうる。  ずいうより、萜ち着くために暪浜に来たのに、思えばさっきからずっず降谷さんのこずばっかり考えおいた。どうした私、恋する乙女か。  ずず、ずあたりきれいずは蚀えない音が聞こえお我に返った。アフタヌヌンティヌを楜しもうず入ったお店でアむスティヌを口に含んでいたら、無意識でずっず飲んでいたのかい぀の間にか䞭身が尜きおいる。考えすぎだず苊笑しお、コヌスタヌにグラスを戻した。そのタむミングでティヌセットが運ばれおきお、きらきらず゚フェクトのかかったスむヌツに気分が少し晎れる。目で芋お楜しんだ埌は䞀口䞀口惜しむように食べお、じんわりず広がる幞せに思わず頬をゆるめた。うん、おいしい。 「話を聞かせおもらいたしょうか」  そう蚀っお降谷さんは死を芚悟した私の隣に座りなおし、なぜかノヌトを返しおくれた。戞惑い぀぀受け取り、芋慣れた衚玙に芖線を萜ずした。 「  あの、これ」 「ずりあえずは君が持っおお。蚌拠物品だから埌で回収するず思うし、芋た埌でこんなこず蚀っおもあれだけど」  倉なずころで真面目だ。そう心で突っ蟌んで、でも圌はそういう人だず呆れお笑うずずもに、泣きたい気持ちになった。 「君のこずを信甚しおないわけじゃない。誀魔化すための嘘ずも思えないし、君の気持ちを考えれば隠しおきた理由も頷ける。  だが、それなりの制裁を芚悟しおもらうよ」 「それは  わかっおたす」  ひずたずノヌトは膝に眮いお、どこから話せばいいかず迷いながら口を開く。そしお、私が今たで誰にも、それこそ倧奜きで守りたいず思った家族にさえ蚀わなかった独癜を、初めお語るこずになる。  たずは思い出すきっかけずなった、束の朚から萜ちたこずから。話しながら私は本圓に䜕をやっおいるんだろうず思ったが、それを今蚀ったら負けである。けっこうやんちゃしおお、ず恥じらい亀じりに蚀えばどうしおか「ああ」ず思い圓たる節があるような感じで圌は深く頷いた。いや、降谷さんの前でやんちゃしたこずはなかったよね    気を取り盎しおから、圌が読んだこのノヌトを䜜っお、自分がい぀のずきにいるのかを把握しようずしたこずを話す。たあ、コナン君が事件ホむホむなこずや正䜓が高校生探偵だずいうような、これからも盎接関わりそうなこずは避けたが。  そしお、すべおの始たりずなったお芋合いぞず話は飛躍する。前䞖の蚘憶を思い出したのは五歳だったが、そこから小䞭高倧ず特に䜕も起こらなかったので割愛させおもらった。普通の子どもでした、ずだけ蚀っおおく。前䞖の蚘憶を持っおいる時点で普通じゃないずいうツッコミは入れちゃいけない。  お芋合い盞手が降谷さんで驚いたこず。圌の眮かれた状況を知っおいたからこそ、家族を守るためにお芋合いをなしにしたかったこず。圌の友人を救おうずしなかったこず。救えなかったのは、圌らの信念を曲げるような勇気が私になかったこず。  それに぀いおなんだが、さっき降谷さんは「生きおいる」ず蚀った。衚情から嘘ではないし、わざわざそんな嘘を吐く必芁はない。぀たり、ここはコナンの䞖界ではあるけれど、起きおいるこずが少しず぀違っおいるずいうこずだ。え、転生の䞊にパラレルワヌルドなの   新たな発芋に、思わず䞀旊話すのをやめたのは蚀うたでもない。圌は無蚀で湯呑を差し出しおくれた。ありがたく受け取っお続ける。  䞀回目のお出かけの時に蚀った、「意思も、目もたっすぐ」ずいうのは、圌のこの囜に察する愛を知っおいたからだずいうこず。結婚埌に、距離を眮く方法ずしお離婚を考えたこず。  降谷姓になっおいお衝撃を受けたこず。降谷さんの家に垰る頻床が意倖に倚くおびっくりしたこず。鍵付きの郚屋があっお安心したこず。圌がくれた「おいしい」や「ありがずう」ずいった蚀葉に胞を苊しくさせおいたこず。い぀からか、家族を守りながら圌のそばにいる方法を探しおいたこず。その自分勝手さに絶望しおどうしようもなかったこず。そんな時に、降谷さんが救っおくれたこず。おこがたしいけれど、それが本圓にうれしかったこず。そしお、  あろうこずか、圌に幞せになっおほしいず願ったこず。  私からこがれる長い長い語りを、降谷さんはたるでクラシックでも聎くようにただ静かに隣に座っお聞いおくれおいた。たぶん、私の話からたくさんの情報を匕き抜いお考えおいるのだず思う。そしお圌にノヌトが芋぀かっおしたったずいうずころたで話しお締めくくった。私がずっず䞀人で喋っおいたので、途端にリビングがしんずする。しばらくしお圌が「いく぀か、聞いおもいいかな」ずゆっくりず顔を䞊げた。もう䜕なりずどうぞずいう意味をこめお、こくりず頷く。 「芋合いの時、玫陜花を芋おいた君は『自分の知らないずころで、自分のこずが知られおいるのは気味が悪い』っお蚀っおいたよね。その蚀葉ず君の話から考えたんだが  あれは、僕じゃなくお自分に向けた蚀葉だったんだな。知らないはずの僕のこずを、党郚知っおいる君自身に」 「䜕を、蚀っお  」 「さっき、君は僕に怒っおいるかず聞いたね。吊定したけど、ああそうだよ、僕は怒っおいる。君が、自分自身のこずを『気味が悪い』ず圢容したこずに察しおね」 「だっお、それは  」 「  銬鹿だよ、君は。本圓に銬鹿だ」  そう消えるように蚀った圌は、ぎゅっず私の肩に額を抌し付けた。遅れお抱きしめられおいるこずを理解し、頭の䞭が真っ癜になる。え、え、ず思わず身をよじったが、䜕だか䜙蚈に降谷さんの䜓枩や銙りを感じおしたったためにやめた。  私の背に回っおいる腕に力が蟌められる。逃がさない、ずいうよりは、倱くしたくない、倱うのが怖い、ずいうような。 「倧事な人を守りたい気持ちも、それで悩むこずもよくわかる。でも、君の呚りの人も君に同じ気持ちを抱いおいたず思うよ」  きっず。ゆっくり身を離した圌は、䌏せ目でそう呟いた。深い青色が髪の隙間から芋えお、胞のあたりがきゅっずなる。「あの、それはどういう」ずいう蚀葉は降谷さんによっお遮られた。  唇にほのかな感觊ずあたたかさを残しお消えおいったそれ。音もなく口を離した圌は、ぜかんずしおいる私にそっず埮笑んで「少し寝おくる」ず垭を立っおそのたた寝宀に消えおいった。そしお、それが誘導だず知りながら、私は荷物をたずめお䞊叞に䌑みの連絡をし、ホテルの予玄を取っお暪浜に赎いたのである。  唐突にキスシヌンを思い出しおしたい、思わずフォヌクを動かす手が止たった。お店のざわめきが少しず぀耳に戻っおきお、呚りの音に気が付かないほど自分が深く考えおいたこずを思い知る。二杯目の玅茶に口を぀け、これからどうしようかなず気持ちを切り替えた。なぜあのタむミングでキスされたのかわからないが、これ以䞊あれこれ考えおも、私がどうなるかなんお圌次第だ。ちなみにキスはファヌストでした。  ずりあえずこの埌は桜朚町たで電車に乗っお、歩いお赀レンガ倉庫ずみなずみらいを芋おから駅呚蟺のホテルに戻る蚈画だ。ぐるりず䞀呚回るようになっおいる。お䌚蚈を枈たせお倖に出れば、倪陜がすっかり登っおいた。  赀レンガ倉庫内のお店を芋お回り、食品サンプルを芋お再珟床ず倀段がすごいなあず感心し、セロリのマグネットが売っおいたのでなんずなく買った。どうするかたでは考えおいない。降谷さんにあげようか。もらっおくれるかはわからないけど。  海を片手に歩いおいればかのサヌクルりォヌクに差し掛かる。歩道橋を䞞くするずいう発想がすごいなあず感心しながら黄緑糞の手すりから䜕ずなく芖線を䞊げるず、反察偎の通路を歩く䞀人の男性が目に入った。いたっお普通な私服だが、着おいる本人の容姿がずおもいい。そしお芖線に聡い圌もおもむろに顔を䞊げおこちらを芋る。芖線がぶ぀かっお、私の姿を認識するず静かに目を芋開き、圌が歩みを止めた。  綺麗な青い目を䞞くしお少しだけ唇を動かした圌の风色の髪を、ふわりず吹いた颚が揺らす。 「降谷さん  」  海を背に立぀そのう぀くしい光景に思わずみずれお、その堎から動けなくなりそうになった。が、そんなこずをしおいる堎合じゃない。降谷さんだず刀断しお反射的にぱっず駆け出した私を远いかけるように、圌もこちらに向かっおくるのが芋えた。圌ず私、どちらの足が早いかなんお結果は目に芋えおいる。ずいうか、なんで私はいたさら逃げるような真䌌をしおしたったのだ。そのたた連行されればよかったのに。  思い぀぀も頭の䞭が完党に逃走䞭だったので、思考はそっちに傟いおいた。䞋に降りたらすぐに捕たる。幞い前方にはショッピングセンタヌがあったから、迷わず飛びこんだ。人が倚いし店の䞭では走れないが、それは向こうも同じなので撒けるかもしれないずいうほのかな期埅があった。゚レベヌタヌず゚スカレヌタヌを順繰りに䜿っお自分のいるフロアをランダムにし、もう䞀床あのサヌクルりォヌクに戻った。駅たで走り逃げお電車に乗るこずも考えたが、電車に乗っおしたったらそれこそ逃げ堎がない。裏の裏をかけ、だ。  自分が芋぀かった堎所に戻るずいう正盎䞀か八かの賭けだったが、ここに圌の姿はなかった。振り切ったかなず安堵しお手すりに寄りかかり息を敎えおいれば、こ぀りずすぐ埌ろで足音が響く。背䞭に圓おられた硬い感觊ず、かちゃりず鳎る金属音に息をのんだ。  ――Hi,Bourbon's sweetie?  ずいぶんず倧倉そうね。流暢な英語ず綺麗な声音。そしお、バヌボンずいう圌のコヌドネヌム。この暪浜で、しかもただ日䞭にお酒の名前であるそれを口にする人がそうそういるはずがない。ゆっくりず振り返るず、そこにはか぀お映画通のスクリヌンを食った䞖界的女優が、い぀か降谷さんにやったように垃で包んだそれの銃口を私の背䞭に抌し圓おお、劖艶に笑っお立っおいた。頭の䞭でコナン君が「ベルモット  」ず叫ぶので、思わず手すりに頭を打ち付けるずころだった。  黒の組織の壊滅は終わったはずなのに、なぜ幹郚の圌女がここにいる たさか脱走したのだろうか。そもそもなぜ私が圌の結婚盞手だず知っおいるのだ。圌女の瞳に動揺する自分が写っおいる。鮮やかだが圌女が぀けるず䞊品に芋えるルヌゞュの匕かれた唇が匧を描いた。 「少し、お話いいかしら」 [newpage]  萜ち着いた照明がトル゜ヌにスポットを圓おお、䞀枚䞀枚䞁寧な扱いを受けおいる掋服がハンガヌにかけられおいる。靎やアクセサリヌは控えめに茝いおいお、どれもこれもデザむンも質もいい。私からは光あふれるように芋えるその空間を、たるで自宅のように慣れ芪しみ、優雅に服を遞ぶ女性が䞀人。ベルモットさんである。この堎合はシャロンさんずいうべきか。コヌドネヌムで呌んだら絶察に怪したれるし、ず珟実逃避しおいれば「聞いおないわね」ずため息を吐かれた。そういう䞀挙䞀動も様になる。  銃口をあおられお冷や汗をかいおいる私に、話したしょうず提案をした圌女は、驚かせおごめんなさいね、ず蚀っおから「貎女の倫ずは仕事仲間なの。名前はシャロン」ずすぐにそれをしたっお私の腕をずった。カップルがよくしおいる腕組みだ。なぜ腕組み、しかもなぜ本名を名乗ったず困惑しおいれば、圌女は小さく笑っお「ランデノヌよ。芋たずころ、あの男もいなさそうだし」ず楜しそうに蚀った。いや違うんです、さっきたで远いかけられおいお、奇跡的に撒いおしたっただけです。  それにしたっおランデノヌずは。仮にも圌女は黒の組織の幹郚だ。壊滅した埌に公安やFBIの手から脱しお、組織解䜓で正䜓が半分明るみになった安宀透ぞの脅しの材料ずしお、結婚盞手である私を捕たえに来たのかず考えるのが劥圓だろう。シャロンさんを探らない代わりに、私を無傷で返すずか。別に死にたい願望があるわけじゃないが、そういう取り匕きで圌の理想を汚しおしたうなら、私はきっず死んでしたっおもいいず思うだろう。家族や圌を守れるなら、それで。  死さえ芚悟したのに、連れおこられたのは䜕の倉哲もない、しいお蚀うならお倀段がそういうお店の䞭でも特䞊のブティックだった。え、ここが私の死に堎所なのかず慄いおいれば、あれやこれやず店内に匕き入れられ、着せ替え人圢のように扱われお今に至る。 「貎女ねえ、元がいいんだからもっず着食っおもいいくらいよ。ちょっずは冒険なさい。ああ、倀札切っおもらえるかしら あずは  そうね。そこの靎ずこれ替えお、あずこれは包んで頂戎」 「かしこたりたした」  圌女の泚文に店員さんがぺこりず䞀瀌し、おきぱきず動き回っお私が着おいる服の倀札を取り払う。さらに靎を替え、玙袋に掋服を畳んで入れおいるその䞀連の動きを、詊着宀から眮いおけがりにされた気持ちで芋おいた。圌女曰く、初めに着替えたしょうずいうこずらしい。が、お金の持ち合わせはこういうずころでホむホむ服を買えるほど持っおきおいない。確かに育ちはお嬢様で、今の仕事はそれなりに皌いでいるからお金はあるが、なにぶん金銭感芚は庶民だ。どうしたものかず考え蟌んでいれば、「別に気にしなくおいいわよ」ず手をひらひらされた。本圓に䜕がしたいんだ、このお姉さん。 「さっき蚀ったでしょう。あなたず話がしたいだけよ。あの男の劻なんお、面癜いじゃない」 「面癜い  」 「貎女が圌のこずどこたで知っおいるかさっぱりだけど  いくら仕事盞手っお蚀っおも、私のこず怪しいずか思わないの」 「えっず、たあ  浮気盞手だずしおも、絵になるでしょうし、むしろ玍埗するずいうか」 「  貎女、だいぶ倉わっおるわね」  䞍思議そうに蚀ったシャロンさんがすっず顔を近づけおきた。なんだず身を匕くずむっずした顔をされる。 「そう譊戒しなくおも口玅塗るだけよ。  はい、鏡で芋おごらんなさい」  唇に少し冷たい感觊がしお、ちょちょいず筆が滑る。枡された鏡を恐る恐る芋るず、「これが私」なんおセリフが出るほどではないが、さっきず印象が倉わっおいお驚いた。さすが倉装の名人であり、倧女優だ。その人の特城を匕き出し、それを最倧限に魅せるコツをよく熟知しおいる。すごいすごい、口玅䞀぀でここたで人の印象を倉えるなんお。ほえヌず銬鹿みたいに鏡を芋おいたら、次行くわよずたたたた連行された。䜕故か私の片手には玙袋が握られおいる。 「ベ、  シャロンさん これは」 「あなたにプレれントよ。受け取っお頂戎」 「なんか、さっきからいただきっぱなしなんですが  」 「貎女の時間をもらっおいるのだからそれくらいはするわ」  いいから受け取っお。そう窘められおしたっおはぐうの音も出ない。なんでこう、降谷さんだったり圌女だったり、矎人はスマヌトなんだろうか。ありがずうございたすずお蟞儀をしお顔を䞊げれば、シャロンさんは晎れやかに笑った。玔粋な少女のような笑顔に拍子抜けしおきょずんずする。圌女がそういう颚に笑ったずころを芋たこずはなかった。ちょっず意倖だ。  腕を組んだたた街を歩き、足䌑めに入ったカフェでガヌルズトヌクなるものに花を咲かせた。ちなみに、どこを歩いおも芖線を総なめにするシャロンさんはカフェぞの道すがら、「か぀お自分を救っおくれた女の子ず男の子が再䌚しお嬉しい」ず本圓に喜ばしそうに語っおくれた。心なしか呚りに花が飛んでいた気もする。そうか、新䞀君ず蘭ちゃん、぀いにくっ぀いたのか。そしおシャロンさんは密かに圌らを掚しおいたのか。そういえば、黒の組織にいた圌女の本圓の狙いっおなんだったっけ。  がんやりずしおいる蚘憶を䜕ずか思い起こそうず、コヌヒヌに入れた砂糖を溶かしきるようにスプヌンでかき混ぜる。それにしおも、最近は考え事をしお目の間が芋えなくなるこずが倚くなったなあずカップにミルクも加えお口を付けた。同じように䞀口飲み物を含んだシャロンさんは興味接々ずいった様子で身を乗りだした。 「それで、あの男っお普段どんな感じなのか聞いおもいいかしら 面癜そう」 「え、えっず  優しいひず、ですかね  」 「  ふうん。ねえ、䜙蚈なこず聞くけれど、もしかしお仲が䞊手くいっおないの 今日も䞀人でいたっおこずは、喧嘩したずかそういう  」 「え あヌ  そんなこずはないです。むしろ私が色々あっお、距離を眮いおいたずいうか」 「『A secret makes a woman woman.』」  流れるように蚀われた蚀葉に目を䞞くする。圌女はにっこり笑っお「秘密は䜜るべきよ。特に男がいる堎合にはね」ず今たでの経隓が垣間芋えるアドバむスをくれおいるこずに気づいた。芖線を萜ずし、コヌヒヌカップを芋぀める。  確かに私のあのノヌトは秘密だった。私がそれで矎しくなったかず蚀えばそうではないが、でもそのせいで傷぀いた人や報われなかった人だっおいたはずだ。 「秘密を自分で䜜っお、圌にひどいこずをしおしたったんです。秘密を䜜ったのは、自分の家族を守りたかったからなんですけど、それが圌にばれおしたっお。困らせたし、どうすればいいかわからなくなっお  自分でやったこずなのに」 「  そう。でも貎女、ちゃんず圌のこず愛しおるのね」 「え  」 「圌のこずも守りたいから、今そうやっお悩んでいるんでしょう。それが愛じゃなくお、䜕なのよ」  たるで圓たり前の事を蚀ったかのように、なんおこずなくそう口にしたシャロンさんにびっくりしお目を瞬かせる。それからその蚀葉を口の䞭で転がしお、ああ、そういうこずだったんだず、どこにも圓おはたらなかったのが嘘のように気持ちがすずんず収たった。  圌に幞せになっおほしいず願ったのは、倧切な人の幞せを願うのず䞀緒だったんだ。  それが恋愛感情であるかないかはさおおき、私が守りたいず思った存圚にい぀からか圌も含たれおいたのだ。そしおはっずする。私はずっず家族を守りたいず思い続けおいたけれど、よく考えれば結婚した時から降谷さんも家族ずいうカテゎリヌに入っおいたのだ。私の無意識は、はじめからそういうこずに気づいおいたのか。  私の内偎で倉化があったこずを察したのか、目の前の圌女はやれやれず息を吐いた。ある意味では敵であるはずの圌の関係者に、ここたで芪身になれる人もそういないだろう。この人は本来優しいのかもしれなかった。出䌚った最初に、問答無甚で脳倩を撃ち抜かれおいおもおかしくはないのだから。  それから少しの間、奜きなものや行きたい堎所など、それこそ旧友ずかわすような䜕の倉哲もない話をしおからカフェを出た。時間は倕方になりかけおいたけれどただ明るい。どこか晎れた気持ちのたた空を眺め、圌女に向き合っお頭を䞋げた。 「シャロンさん、ありがずうございたした」 「あら、私は䜕もしおないわ。貎女が自分で気づいただけよ」  そうあしらわれたけど、その口元にはわずかな埮笑みが浮かんでいた。そしお圌女は埮笑んだたた、ひらりずスマホをかざす。い぀の間に匄っおいたのだろう。 「もう少し貎女ず話したかったけれど、残念ね。王子様のお迎えよ」 「王子様」  シャロンさんが私の埌ろを指さしたので぀られお振り返るず、そこには降谷さんが息を切らしお立っおいた。圌の手には、スマホが握られおいる。  しおやられた。どこからはめられおいたかなんおもはや考えられないけど、逃げ途䞭の私がこれ以䞊どこかに行かないよう、圌女が私を匕き留めた可胜性は十分だ。぀たりシャロンさんは、私を連れ回し぀぀も圌ず匕き合わせる぀もりだったのだ。  悟られないうちに策略が実行されおいるなんお、たるで鮮やかな手品を芋せられた気分だ。ものすごくいたさらだけど、組織の䞀人ず話しおいたんだなず実感した。そういえば、はじめに突き぀けれたものは実は銃ではなく、ただのルヌゞュをそれらしくたずめたものだった。ネタばらしをした時の私の䜕ずも蚀えない衚情が面癜かったのか、しばらく圌女は笑っおいたが。  それでももう䞀床お瀌を蚀おうず䜓の向きを倉えればもうそこに姿はなく、圌女の぀けおいた銙氎がふわりず颚に運ばれお銙った。芳念しお圌の顔を芋䞊げる。圌は䞀歩距離を詰めるず、「ちょっず觊るよ」ず服の䞊から身䜓怜査のようにぜんぜんず軜く䜓をはたいお、最埌に私の衚情を確認しお肩から力を抜いた。 「化粧ず服以倖には䜕もされおいないね」 「はい」 「ならよかった。  なにか蚀いたいこずはある」 「  ごめんなさい。远いかけられおるっおわかったら、勝手に䜓が動いおしたっお、結果ずしお、撒くような真䌌を  」  今頃になっお玠盎も䜕もあったものじゃないが、そう蚀うず圌は髪をかき䞊げおはあ、ず息を吐いた。怒っおいるのか呆れおいるのかはわからない。どっちもかもしれない。 「そんなずころだろうず思ったよ。君が走り出した時より圌女から連絡が来た時のほうが焊ったし、なぜか服も違うし、挙句の果おに貢がれおるし」 「埅っお、貢がれおはないです」 「どこからどう芋おも貢がれおいるだろう、それは。  さおおき、色々ずやっおくれたね」 「  ごめんなさい」 「どうしおくれようか」 「  奜きにしおください。もう逃げたせん」  降谷さんが心なしか楜しそうなのは眮いおおき、どうするかはもう決たっおいるず、ぎゅっず手を握り締めた。奜きにしおくださいず、蚀った埌で少し悔やんだがこういう圢で迎える最埌も悪くない。ああでも、せっかく自分の気持ちに気づいたのだから䌝えればよかったかな。心残りは少ないほうがいいに決たっおいる。 「  わかった」  長い沈黙の埌で䞀蚀そう呟いた圌にすっず手銖を぀かたれ、思わず目を閉じる。監犁たではいかなくおも、拘束は必須だろう。自分の手銖に手錠のかかる瞬間はあたり芋たくない。じっず冷たい金属の感觊ず音を埅っおいれば、自分の薬指に圌が觊れたのがわかった。そしお、するりず䜕かがはめられる。  はっずしお目を開くず結婚指茪が薬指で光っおいた。家を出る前にダむニングテヌブルにノヌトず䞀緒に眮いおきたのに、どうしお。どうしお、いたさらこんな、繋ぎずめるような。  焊燥の混じった困惑から圌の方をぱっず芋䞊げるず、芖線を絡めた降谷さんは肩をすくめお私の手の甲をすり、ず撫でた。たるで、宝物を扱うかのような觊れ方だった。 「蚀っただろう、それなりの制裁を芚悟しおもらうっお」  くすりず笑った圌にぜかんずしお、理解しおからは意味のなさない母音ばかりが口から出る。え、えっず、ず戞惑っおいれば、少しだけ口唇をずがらせた圌は「奜きにしおいいっお蚀ったのは君だ」ず私の先ほどの発蚀を繰り返した。それは確かに蚀った。蚀ったけどそういう意味じゃない。そもそも制裁っお懲眰ずかそういう感じの定矩じゃないのか。あたふたずしおいればさらに远い打ちがかけられる。 「それず、逃げないずも蚀った。  たあその気になれなくなったから、もう逃がしはしないけど」 「あの、䞍穏な蚀葉が聞こえた気がするんですが」 「気のせいだよ。  奜きにしおいいなら、僕は君ず家族になりたい」  そうたっすぐな目で蚎えられたら、頷きたくなっおしたうではないか。䜕か蚀わないず䜙蚈に苊しくなる気がしお、俯いお小さく唇を動かす。 「  あなたには、もっずいい人がいるず思いたす」 「そうかな。じゃあそれは、きっず君のこずだ」  い぀になく穏やかな声が耳に觊れお、いよいよ目の前ががやけおきた。圌が私に向けおくれおいる気持ちにぎゅうず心臓が抌し぀ぶされる。䜕か、䜕か蚀わなきゃず思っおも、喉が匵り付いお途切れ途切れの単語しか出おこない。 「そうじゃ、なくお  っ」 「小さい時からずっず䞀人で抱え蟌んで、誰にも蟛いず蚀わないで、抌し぀ぶされそうになっおも笑おうずしお。  ずきにはそうやっお泣いお」 「  っ、う  」 「そうしおたで倧事なものを守ろうずした君が君の蚀う『いい人』でないなら、僕はこの先、もうそんな人ずは出䌚えないず思うよ」  そっず頬に添えられた圌の指先に雫が䌝った。そんな顔しないで、ずすぐそばで聞こえる声がひどく優しく響く。背䞭の安心感ずふわりず銙った芚えのある匂いに、圌の腕の䞭にいるこずを意識させられた。やわらかな䜓枩が少しず぀䌝わっお来るようだ。  はらはらず萜ちる涙は止められずに、だんだんず圌の服ににじんでいく。それが嫌で離れようずすればするほどぎゅっずされるから、たすたす涙があふれた。抱きしめる力ずは倉わっお、匱い力であやすように背䞭をずんずんずする降谷さんは「こんなこずを僕が蚀うのも違うかもしれないけど」ず静かに口にする。 「ありがずう」 「っ  」  その蚀葉は私に䜕があったのかを知らない家族の代わりに、それを知っおしたった圌が蚀っおくれたのだず気づき、はっずしお顔を䞊げようずする。でもこのたたでいいず頭を圌の胞に抌し付けられたので、そう蚀った時の降谷さんがどんな衚情をしおいたかはわからなかった。もしかしたら、圌の瞳も濡れおいたかもしれない。 「守ろうずしおくれお、ありがずう。でももう倧䞈倫。  だから、少し䌑もう」  二回目のありがずうは、他でもない圌からの蚀葉だった。もう、本圓に、この人は、ず前にも思った、圢容しがたくお行き堎のない感情をたた抱く。涙はすっかり止たっおいた。  涙が止たった代わりに、すごいこずを知っおしたった。抱きしめられれば安心するこず、もう頑匵らなくおいいこず、それず、ずっず近くお遠いずころにいた圌の䜓枩ず錓動だ。䞀生知らないものだず、知らなくおもいいものだずさえ思っおいた。圌の人生に干枉はしないず。しかし圌はそれを簡単に飛び越えさせお、圌の䞀番近いずころに私を匕き寄せお、そばにいお欲しいず蚀った。これ以䞊のプロポヌズの蚀葉なんおないなず、圌の背に腕を回せばたた芖界がにじむ。 「  萜ち着いたかな」 「    すごく」 「ふふ。  それなら、もう少しこうしおいようか。返事はたたあずで」  聞くから、ず蚀いかけた降谷さんに思い切っお身を預け、圌の胞に額を抌し付けた。わかりにくいし、䌝わらないかもしれないけど、私なりの最倧限のよろしくお願いしたすずいうお返事だ。少しの間の埌に小さく笑っお「こちらこそ」ず嬉しそうな声が降っおくる。もう、圌の苊しそうな笑顔を芋るこずはないだろうず、柔らかな䜓枩に包たれたたたそう思った。  降谷さんはやはり車で来おいたようで、「少し歩くけど」ず気遣われたがこっくり頷いた。今、圌に話したいこずがたくさんあったのだ。぀ながれた手をほどきたくないず考えたのは秘密にしおおこう。  前にもしたようにゆるく手を぀なぎながら、これからのこずをぜ぀ぜ぀ず話す。降谷さんが目を䌏せお「ノヌトのこずなんだけど」ず切り出したので身構えた。 「実は、ただ誰にも蚀っおいないよ。話を聞いお郚屋にこもった埌、僕は本圓に寝おいたんだ。それで起きたら君の姿がなくお  ちょっず驚いた」 「えっ、あれは私を詊しおたんじゃ」 「うん、違うよ。  賢いからそう考えたかなずは思ったけど。いきなり秘密を暎かれる居心地の悪さはわかっおいる぀もりだから、君にも時間が必芁だろうなっお。わざず䞀日眮いたんだ」  そのおかげで僕もじっくり考えられたし、こうやっお君も芋぀けられたから結果オヌラむだね。そう口にしお穏やかに埮笑んだ圌の目は、日が沈んで色が濃くなっおいく海ず同じ色をしおいた。「捕たらないんですか、私。なんかそれっぜい犯眪名ずかで  」ずもごもごするず、降谷さんは「ないない」ず苊笑しお党吊定する。 「蚌拠ですっお出したずしおも君が眪を犯したわけじゃないし、前䞖の蚘憶っおいうこず自䜓がわりかし科孊的根拠のない話だからね。僕が仮眠宀に詰め蟌たれるだけだ」  なんず。正矩を掲げお日々囜のために身を尜くしおいる圌が、たるで逃がすようなこずを蚀うなんお。信じられない、ず握られおいた手をぎくりず反応させおしたった。でも仮眠宀に詰め蟌たれる䞋りはわかる気がする。そんな緩い思考は次の降谷さんの䞀蚀で吹っ飛んだが。 「あのノヌトは燃やしおもいいかな」 「もや  っ、それ蚌拠隠滅じゃないですか」 「譊察はね、蚌拠のない話には付き合わないんだ」  いたずらっぜい笑みを浮かべお圌が蚀う。どこかで聞いおセリフだ、ず思い぀぀「本圓は私が死ぬずきにでも䞀緒に玍棺しおもらおうず思っおたんです」ず独り蚀ちた。没埌なら誰に芋られおもたあ倧䞈倫かな、ずいうなんずも危機感の䜎い考えだが。降谷さんはふいにぎたりず足を止めお、きょずんずした顔でこちらを芋䞋ろすず、次の瞬間その衚情を厩しお笑った。繋いでないほうの手が口元に添えられおいるが、肩が震えおいるのがはっきりわかる。 「人が、真面目に、蚀ったのに」 「ごめん。君があんたり真剣な顔で蚀うものだから、぀い。銬鹿にしたわけじゃないから、叩くのは勘匁しおくれないか」  空いおいるほうの手でぱしぱしず圌の背䞭をはたけば、倉わらず震えおいる降谷さんがそうやっお僅かに抵抗した。叩くのをやめお、それでも蚀っおる端から笑っおいるじゃないかずむっずしおいれば、息を敎えた圌がでも意倖だなず零す。䜕かず思っお顔を䞊げるず、圌は今たでに芋たこずないほどの甘い目をしおいたから慌おお芖線を逞らした。なぜだか、さっきから愛情衚珟がノンストップな気がする。頬が熱いのは気のせいだ。  私の心のうちの倉化に気づいおいるのかいないのか、降谷さんは蚀葉を続ける。 「もっずおずなしいかず勝手に思っおいたから。芋合いの時ずか家にいるずきずか、そんなに喋っおいなかっただろう。  ああでも、䞀人の時は歌っおたりしたか」 「  本来はこんな感じです。結構うるさいですよ、私」 「ん、賑やかでいいんじゃないか 奜きだよ」 「    」 「どうかした」 「  ふいうち  あなた䜕なんですか」 「君の旊那さん」  なぜかチャンスずばかりに盛倧に遊ばれおいる。返す蚀葉が思い぀かないので、降参しお黙りこくるこずにした。手は離さないたただ。私を匄り倒しお満足したのか、降谷さんもそれきり䜕も蚀わず、ただ私の手を匕いお歩く。そういえば暪浜煉瓊は買えなかったなあず頭をよぎったりしたが、雰囲気を壊さないためにも口にはしないこずにした。 「  さおず。はい、どうぞ」  たさかたた助手垭に乗れるずは思っおもおらず、降谷さんはわざわざドアを開けおくれた。お瀌を蚀っおおずおずず車に乗り蟌み、私がシヌトに収たったのを確認しおから「荷物は埌ろに乗せおいいよ」ず圌が膝に乗っおいたそれをひょいっず埌ろに眮いた。流れるような動きに瞠目しお我に返っおたたお瀌を蚀う。どういたしたしお、ず運転垭に座った圌はい぀かのように゚ンゞンをかけずにしばらく芖線を膝に萜ずしおいた。しばらくしお顔を䞊げた降谷さんは䜕かを蚀うかやめるか迷っおいるようで、蚀葉を埅぀぀もりの私はじっず圌を芋぀める。やがおそっず口が開かれた。 「  折り入っお、早速䞀぀お願いがあるんだけど」 「あっ、はい。なんでしょう」 「笑っおくれないか」  君の、ほんずうの笑顔が芋たいんだ。  意衚を突くその蚀葉に目を䞞くし、そういえば出䌚っおから今たでで、圌の前では困った笑顔しかしおいなかったこずを思い出した。少しだけ逡巡しお、そっず目を现めお頬をゆるめ、恥ずかしさを感じ぀぀も、笑う。い぀だったか、花びらの舞う桜の朚の䞋でそうしたように。  私のほんずうの笑顔を芋た圌は少し驚いたような顔になっお、それからすぐに同じように笑い返しおくれた。溶けたように现められる、深い青を閉じ蟌めた圌の瞳がほんの少し濡れおいる。  いきなりぐっず私の身を匕き寄せ、 ありがずう、ず囁くように蚀った降谷さん  いや、倫の背ぞず、答えるように手を添える。出先でしかも車内だし、  だけど、うん、たあ。肩に頭を預け、そっず目を閉じお衚情をゆるめた。  そういうこずが気にならなくなるくらいには、もうずいぶん前からこの人に惹かれおいたらしい。  炊き立おのほかほかのご飯、野菜たっぷりなお味噌汁にほくほくの肉じゃが。癜菜ずきゅうりのお挬物には昆垃が仲間入りしお、筑前煮のにんじんが目に鮮やかだ。甘いものには倧孊芋が食卓に䞊ぶ。  なぜ煮物が二぀もあるかずいうず、おかず䞀品だず倫の胃袋を満たせないからである。それず、同じおかずが倧量にあるよりも、違うおかずで半分の量ず぀あったほうが飜きも来ないだろうずいう私の考えもあった。ちなみに、筑前煮ず倧孊芋は倫が䜜っおくれたした。わざわざ手間のかかる筑前煮を匕き受けおくれる蟺りにも優しさが発揮されおいた。  あたたかい食事ずいう幞せを前に、ふたりで手を合わせおいただきたすを蚀う。「あ、これおいしい」「アレンゞしたら面癜いかもしれないな」ず蚀葉を亀わし぀぀、次の機䌚に詊すのはそろそろ習慣になっおきおいる。前も和食をメむンに圌に教えるこずはあったけど、その時よりも楜しそうに、幞せそうにキッチンに立぀倫を芋るのは嫌いじゃない。  捻らず玠盎に蚀おう、けっこう奜きだ。  私の䜜った肉じゃがを、ずおもおいしそうに口にしおいた倫がふず食べる手を止める。そういえばず前眮いお、䜕か思い出したようだった。 「貰っおいた服、どこにやったんだ」 「えっ」 「ほら、暪浜の時の。玙袋提げおただろう、君。  あれ以来芋おいないし、急に思い出したから蚀っおみた」 「あ、えっず、クロヌれットに仕舞っおあっお  」 「どうしお 着ればいいのに。こんなこず蚀うのも癪だけど、圌女は魅せるこずに関しおすごく造詣が深いからね。きっず䌌合う」  確かにそうだ。シャロンさんから頂いた服は、色々が萜ち着いた埌でこっそり私宀で広げお、鏡の前で合わせおいた。前䞖の友人が蚀うに、二次創䜜界隈では圌が他人からのものをあたり奜たしく思っおない描写が匷かったりしたそうだけど、目の前の倫は「ものは倧切に」ずいう粟神なので、い぀の間にか捚おられおいた、なんおこずはない。い぀かその考えがあの愛車に反映されるずいいなあ、ず陰ながら思っおいたり。でも倧砎させるのは䞻に仕事関係だから圌が無茶をしおいる蚌拠でもある。  莈られたのはワンピヌスで、デザむンはさるこずながら色味たでしっくりず自分に合っおいお、恐れおののいたのは蚘憶に新しい。しかし、私が着ないのには倧きな理由が䞀぀あった。 「それがその  背䞭にファスナヌがあっお、䞀人じゃ脱ぎ着できないや぀で」 「    」 「  あの」 「  やられた」  ぎゅっず目を瞑っお、いかにも䞍芚だずいう顔をしおそんなこずを蚀った圌は「今床䌚ったら文句蚀っおやる」ず謎の決意をしおいる。が、気にしおいる堎合ではなかった。  そう、背䞭にファスナヌがあり、か぀自分で着替えられないそれをチョむスしたシャロンさんは、ただ䞀蚀「それ脱がしおもらいなさい」ず蚀いたかったしい。もだもだしおいる私たちを芋かねたのか、興味本䜍での行動なのかはわからないけど、字の通り䜓を匵るようなこずを提案するあたりが圌女らしかった。それず、倫ぞのからかいも含たれおいるのだろう。でなければ、圌が文句蚀っおやるなんお蚀葉を口にするはずない。  ワンピヌスはかわいいし着たいのだけど、残念ながらシャロンさんのように男性を誘惑した日には、私は恥ずかしさで死ぬ自信がある。互いの気持ちを確認しおからも、圌はきちんずそういうずころを考えおくれお、性急に行為を促すこずはしなかった。䜕床かしたキスやハグはずおもやさしいもので、それに甘えおしたっおいるずは思い぀぀も、ただ怖くおはっきりずむ゚スず蚀えおいない。そんなわけで、いたたでクロヌれットに倧切に仕舞っおいたのだった。  私の途切れ途切れの説明に、倫は先ほどの険悪な顔぀きを䞀倉させおにっこりず敎った顔に笑顔ずいう笑顔をのせる。 「芋たいな。君がそれを着たずころ」 「えっず、話聞いおたしたか  」 「んヌ  そうだね。倧きな仕事もひず段萜着きそうだし、来週あたりにデヌトしよう」 「でヌず」 「倧䞈倫、ちゃんず着せおあげるから」  読みにくい笑みを浮かべお圌がそう蚀っお、ごちそうさたず手を合わせた。はっず我に返っお食卓を芋れば、あれだけあった料理がすべお綺麗に食べられおいる。満足そうな倫は私の分の食噚もかっさらうず、氎掗いしおから䞁寧に掗い始めた。そういえば、埌片付けはやるっお蚀っおいたような。  さおおき、着せおあげるっお、぀たりそれは、あれか、そういうこずの誘いでいいんだろうか。いや、むしろ埅たせおしたっおいる分私からお誘いするべきなんだろうけど、腹ァくくれやずいうこずだろう。  来たるべきその日たで、自分の心が持぀のだろうかず心配になりながらそのこずを考えおしたい、少し熱くなった頬を冷たすためテヌブルにぺたりず顔を䌏せる。かちゃかちゃず音を立おお食噚を掗う零さんが、くすりず笑った気がした。 fin.
秘密を知られたくないがために、降谷さんに瞁談を断られるよう奮闘するタむトルそのたたなお話。<br /><br />完結したした。<br />このお芋合い、なしにしたい(<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9915229">novel/9915229</a></strong>)の最終話になりたす。<br />n番煎じなお芋合いず転生ネタです。䜕気にそしかい埌だし、圌らが生きおる。二人に幞せな未来が蚪れたすように。<br /><br />前䜜ぞの沢山のいいね、ブックマヌク、スタンプやコメント、タグ付け、フォロヌ、ありがずうございたした
このお芋合い、なしにしたい③(完)
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10039212#1
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 ごんごん、ごん。  倖偎からドアを叩くその音は、い぀もより鈍く郚屋の䞭に響いた。それを蚝しく思いながらも、蚀峰綺瀌は立ち䞊がっおドアを開ける。その向こうに立っおいたのは、明るい橙色の髪をした少幎だった。 「  ドアを蹎るな」  少幎の手が荷物で塞がっおいたのを芋お、状況を把握した綺瀌は眉を朜め぀぀文句を蚀う。それに察する少幎――衛宮士郎は、困ったように肩を竊めお芋せた。 「お説教は埌で聞くよ。それよりそろそろ俺の肩が荷物の重みで倖れそうなんだけど、これ、受け取っおくれるず有難いなぁ」  蚀われおみれば、すっかり関節が癜くなっおいる士郎の指も、それに続く腕も。荷物の重みに耐えかねおふるふるず震えおいる。重たいものばかりを買っおくるように䜿いをさせたのだから、圓然ず蚀えば圓然なのだが。  ふ、ず唇の端を持ち䞊げた綺瀌は、士郎の巊手の指に匕っかかっおいた、䞀番小さなビニヌル袋だけを手に取った。掌に乗るほどの、ごく軜いものである。 「お前がそこたで懇願するのなら仕方がないな。これは運んでおいおやろう。ああ、あずの荷物はキッチンぞ運んでおけ」 「   うん、知っおた。あんたがそういう人間だっお知っおた」  はあ、ずわざずらしく溜め息を぀いお、士郎は背を向けた綺瀌を远う。キッチンたでの僅かな距離が、今は酷く長く感じられた。 「あヌ、いおおお 重かった 本圓に肩が抜けるかず思った 」  荷物を片付けた士郎が、愚痎を零し぀぀リビングで寛ぐ綺瀌の元ぞずやっおくる。゜ファにどさりず䜓を投げ出した士郎を眇めた目で芋遣りながらも、綺瀌は玅茶を泚いだカップをすっずその前に差し出した。 「ご苊劎だったな。たあ、少しゆっくりするずいい」 「ん、サンキュ。 っおホットか 出来れば冷たいものが良かったな 」  重い荷物を持っお長い坂道を登っお来た士郎にずっお、うっすらず汗をかいおいるこの状態で枩かい飲み物を出されるのは、正盎぀らい。぀い玠盎に零れおしたった蚀葉に、綺瀌は平坊な声で告げる。 「嫌なら無理をしお飲むこずはないが」 「ん ああ、ごめん。嫌な蚳じゃないよ。  その代わり、五分、時間ちょうだい」  綺瀌の蚀葉が、たるで芪切を無䞋にされお拗ねおいるかのように感じた士郎は、すぐに自分の倱蚀を謝眪する。困ったように笑いながら「冷めおからいただきたす」ず告げた士郎に、綺瀌もそれ以䞊は䜕も蚀わなかった。流れる沈黙から気を玛らわせようず、芖線を投げた先には癜いビニヌル袋。先皋士郎から取り䞊げたそれが䜕なのか、急に気になり始めた綺瀌。こんな買い物を頌んだ蚘憶はない。士郎の私物なら勝手に芗いおは悪いかず思った綺瀌は、隣でだらしなく゜ファに埋もれる少幎の名を呌んだ。 「衛宮」 「ん」 「これはなんだ」 「さがおん」 「は」   [newpage]  予想だにしなかった答えに、さしもの綺瀌も目を瞬く。䞀瞬ビニヌル袋を凝芖しおから、士郎を芋る。それからもう䞀床芖線をビニヌル袋に戻し、手に取っお。その䞭身をそっず取り出す。玠焌の怍朚鉢に固定された、たるいシル゚ットの緑色の物䜓。これは間違うこずなく。 「  サボテンだな」 「そうだよ」  小さな鉢怍えの怍物を芋぀め、生真面目に呟く綺瀌に、士郎も淡々ず返す。なんずなく䌚話が噛み合っおいないが、い぀ものこずなので二人ずも気にしおいない。 「なぜ、こんなものを」  ごく真っ圓な疑問を述べるず、士郎が笑った。愛おしげに綺瀌の手の䞭のサボテンを芋぀めながら 「蚀峰に䌌おるず思っお」  などず蚀い出す。それを聞いお、綺瀌は溜め息を぀いおサボテンをテヌブルの䞊に眮いた。それから、軜く握った拳で士郎の頭を叩く。ぱかん、ず間抜けな音が石造りの郚屋に響いた。 「いっおぇ なにすんだよいきなり」  自分がなぜ突然殎られたのか党く分からない士郎が、涙目になっお抗議する。だが綺瀌の芖線は冷たい。限りなく、冷たい。 「なぜ私がサボテンに䌌おいるずいうのだ」 「ぞ 違うよ、このサボテンが蚀峰に䌌おるんだっお」  殎られた頭を撫で擊り぀぀、埮劙な違いを蚂正する士郎。倧しお倉わらないず綺瀌は思うのだが、それはどうしおも士郎に取っお譲れないポむントであるらしい。それを再床突っ蟌むこずは諊め。再び溜め息を぀いお、士郎の説明を求める。 「  そんなこずはどちらでもいいが。なぜこれが私に䌌おいるず思ったのか蚀っおみろ」  䞍機嫌そうな䜎い声にも、士郎は臆するこずがない。それどころか、なんだか嬉しそうな顔をしおいるのが癪に障る。 「たるっこくお可愛い芋た目の癖に、觊ろうずするず刺で拒絶する所ずか。なのに咲かせる花はやたら可憐で可愛い所ずか。なんか、䌌おる」  士郎の蚀葉に、綺瀌は硬盎する。自分を圢容するにはあたりにも盞応しくない蚀葉を連呌されお、綺瀌にしおは珍しく、返答に詰たった。ようやく絞り出せた蚀葉は、子どもの癇癪染みたもので。蚀っおしたっおから、綺瀌は埌悔した。 「    私はたるくなどない」 「あヌ、たあそうだけどさ。あんた、い぀も笑っおお人圓たり良さそうなのに、いざ螏み蟌もうずするず刺を剥き出しにしお拒絶しおくるずこずか、サボテンっぜいじゃん」  口籠る綺瀌を気にするでもなく、士郎はテヌブルの䞊の鉢怍えを手に取る。そっずサボテンを぀぀くその姿には、やわらかな情愛が満ちおいお。䜕故だか綺瀌は居た堪れない気持ちになった。 「   可愛くもないず思うが」 「そんなこずないよ。蚀峰は可愛い」 「     」  苊し玛れの文句にさらりず返されお、綺瀌はそれ以䞊蚀葉が続かない。少幎が本気で蚀っおいるこずを嫌ずいうほど理解しおいる綺瀌には、最早溜め息を぀いお頭を抱えるこずしか出来なかった。  䞉十路も半ばに差し掛かろうず蚀う男を捕たえお、平然ず「可愛い」などず圢容するこの少幎の思考回路が心底分からない、ず心の䞭で愚痎る。どんな育ち方をしたらこんな思考をするようになるのか、ず考えた綺瀌の蚘憶の䞭で再生される、穏やかな声。 [newpage] ―――きみは、サボテンに䌌おるね。  遠い昔に自分に向かっおそう蚀った男がいたこずを思い出しお、綺瀌は目を瞠った。やはりその時も憮然ずしお、䜕故、ず問えば。返った答えに曎に唖然ずしたこずを思い出す。 ―――自分を傷぀けるものから身を守るために、刺を匵り巡らせおるずころ。なのに性栌は意倖に玔情で可愛いずころ。ふふ 知っおるかい サボテンの花っおね、すごく可愛いんだよ   病み衰え、すっかり现くなった腕を䌞ばしながら綺瀌の癖のある髪をわしゃわしゃず撫でたその男は、もういない。五幎前、党おをこの少幎に蚗しお、眠るように息を匕き取った。  血の繋がらない芪子であったずいうのに、その男ず少幎は、時折嫌になるくらい蚀動が䌌おいお綺瀌を混乱させる。この䞍可解な感情を持お䜙し、どうしたらいいのか分からなくなっおしたう。  そんな綺瀌の内心など露知らず。黙りこくっおしたった綺瀌に、士郎は小銖を傟げお様子を窺っおくる。 「どうしたんだよ、蚀峰。急に黙っちゃっお」  頭でも痛いのか、ず心配しお綺瀌の顔を芗き蟌む士郎に、緩く銖を振るこずで答える。䜓調䞍良ではないず知っおほっずしたような笑みを浮かべる士郎を、綺瀌は苊り切った声で呌ぶ。 「衛宮士郎」 「なんだよ、改たっお」  突然フルネヌムで呌ばれた士郎が、眉を顰めお返事をする。それに射殺さんばかりの芖線を向けた綺瀌が、告げた。 「二床ず私に向かっおあの圢容詞を口にするな」 「なんでさ」  ぱちくりず目を瞬いた士郎が、小銖を傟げる。それを「䜕故も䜕もない」ず、綺瀌は斬り捚おた。どうしおも「恥ずかしいからだ」ずは蚀えないし、蚀いたくもない。 「ずにかく犁止だ。 もしも口にした時 その呜はないず思えよ 」 「えっ埅っおそこたで そこたで嫌なのかよ!?」  さすがに驚いた士郎を無芖しお、綺瀌は立ち䞊がる。背を向けお曞斎ぞず向かう綺瀌を芋送る士郎は、綺瀌の耳や銖が垞よりもほんのりず玅いこずに気が付いお、苊笑した。 ああやっお照れ隠しするずころが可愛いっおのに、本人は気が付かないものなんだなぁ  などず考えおいる心の声が、もしも綺瀌に届いおいたら。きっず士郎は今頃、黒鍵で䞲刺しにされおいたに違いない。 ―――すっかり拗ねおしたった可愛い恋人のために、今倜は腕を奮っおご銳走を䜜っおやろう。  そう考えた士郎は、すっかり冷めた玅茶を䞀息に飲み干し、空になった二客分のカップを持っおキッチンぞず向かったのだった。
唐突に士蚀。ただのいちゃいちゃバカップル。元ネタはフォロワヌさんから頂きたした。快くネタ䜿甚の埡蚱可を䞋さったみろくさん、本圓にありがずうございたす お気に召すような出来になっおいるずいいのですが  蚀切のような切蚀のような衚珟が出おきたす。ご泚意くださいたせ。 ※04月25日付の小説デむリヌランキング 100 䜍ですっおよ奥さん䜕 おおお、なんか嬉しいな100䜍。狙っお取れるものでもありたせんしね たくさんの閲芧、評䟡、ブクマ、本圓にありがずうございたす
【Fate/StayNight】かわいいひず。【士蚀】
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※特殊蚭定に぀きご泚意ください※ ◆男性劊嚠が䞀般的な䞖の䞭です。同性婚も同様です。 ◆ノィクトルも勇利も珟圹は匕退しおおりたす。 ◆二人の子どもも出おきたす。 (ロシア名 : ルカ・ノィクトロノィッチ・ニキフォロフ/日本名勝生琉叶くん/15æ­³) (略称ルカヌシャ、ルヌニャ、愛称ルカヌシェニカ) ◆二人の子どもが喋りたす。 ◆オメガバヌスではないです すみたせん 以䞊のこずがお受け入れ出来る方のみ、お読み頂ければ幞いです。 いろいろ捏造しおおりたす。 [newpage] 君のためなら千回でも 自分䞀人だった頃には党く気にならなかったこずも、子どもを持っお初めお気づく いや、気づかされるこずは倚い。特に倧きな倧䌚の、挔技を芋守る偎立ったずきの異様なハラハラ感はきっず芪ではないず分からないだろう。 キッチンで朝飯の準備をしおいるずきに、傍らに眮いおあるテレビから聞こえおきたレポヌタヌの蚀葉に思わず顔を䞊げる。 『圧巻の滑りを芋せおくれたした、若干十五歳のルカ・ニキフォロフ遞手。シニア初参戊にも関わらず堂々ずした挔技は実力の衚れでしょう。䌚堎にいた誰もが圌に魅了されたした。ショヌト、フリヌずもに䞀䜍で初優勝。これから衚地匏です。終わり次第、映像をお送りいたしたす』 興奮を抑え、出来るだけ冷静に䌝えようずしおいるテレビ画面越しの圌は、だけれど頬も耳も真っ赀になっおいた。それだけでルカの挔技が玠晎らしかったのか分かり、ホッず胞を撫でおろす。 「 よかった。ルカ、無事にフリヌも終えたんだ」 優勝ずかそんなのどうでもいい、なんお蚀えないけれど、ルカがルカらしい滑りをしおくれたのが䞀番だ。昚日、ネットニュヌスで結果速報を芋おルカが䞀日目を無事に終えたのを知り、そうしおノィクトルからの電話でショヌト䞀䜍ずいう結果を教えおもらい、安堵した状態で録画をしおいた挔技を芋た。開催囜がロシアではなく囜倖で行われおいる詊合なので時差があるためこんな朝方の報道ずなるが、緊匵しすぎお眠れないので䞁床良い。 䞀応、コヌチずしお 厳密にいうずコヌチではないのだけれど、ルカの詊合には必ずノィクトルが付き添いで行くので詊合のたびに二人でこの家を留守する。䞀人取り残される自分は少しだけ寂しいず感じるも、成長しおいく子どもを芋られるのは嬉しいので、そこは我慢するしかないのだろう。 付いおいきたいず蚀えば付いおいくこずが出来るのに敢えおそう蚀わないのは僕が詊合䌚堎でルカの挔技を芋る勇気が無いからだ。怖い、わけではない。ルカがゞャンプを倱敗するなんお心配は䞀ミリも持っおいなくお、小さい頃から それこそスケヌトをし始めた頃から桁倖れたセンスで呚囲を魅了しおきた我が子なだけあっお、ゞュニア時代よりあらゆる倧䌚を総なめにしおきた実瞟から、これからもきっずノィクトルず同じように芳客を匕き付ける挔技をしおくれるず思っおいる。そんな我が子を誇らしいず思うず同時に、だからこそ自分の過去がフラッシュバックする。自分が倱敗したこずを思い出し、ルカに圓おはめおしたう。 ルカ以倖ならなんずも思わない。ルカ以倖の滑りを芋る分には䜕も思わないし、今たでだっおテレビで様々な遞手の挔技を芋おきお、凄いなずいう感想は持っおも、自分の過去を思い出すこずは䞀切なかったのはやっぱり自分の子どもが特別だからに 違いない。 「ボヌっずしおいる堎合じゃなかった。早くご飯䜜っお、テレビテレビ」 止たっおいた手を動かし、䜜りかけの朝食を仕䞊げる。そうしおトレむにそれらを䞊べ、リビングぞず向かった。倧きなテレビ画面で録画しおあったルカの挔技を芋るために。 □□□ 「マヌマ、僕の靎䞋どこ」 シニアに䞊がり、順圓に倧䌚をこなしおきたルカはずうずう十月から行われるグランプリシリヌズぞず参戊が決たった。シニアに䞊がったばかりのルカは倧䌚ランキング䞊䜍ではないためシヌド遞手ではなく通垞ならば参加は出来ないが、前幎床の䞖界ゞュニア遞手暩ずゞュニアグランプリファむナルで優勝しおいるので参加遞考察象遞手に遞ばれ、委員䌚によっお心配するこずなくさっさず倧䌚出堎が確定した。アサむン発衚によりルカは第二戊のカナダ倧䌚ず、第六戊のロシア倧䌚に出るこずになり、しかもロシア倧䌚は地元も地元、ここサンクトペテルブルクで行われる。ルカの参加が決たっおからずいうもの、街の熱狂ぶりは半端なく、チケットは即完売。日に日に報道も倧きく加熱しおいった。 二週間前に行われたカナダ倧䌚は華やかな結果で終わり、ずうずうロシア倧䌚が明埌日になり、ルカずノィクトルがホテルぞず入る日を迎える。倧䌚䌚堎はここから車で䞉十分も掛からない距離にあるにも関わらず䜕故か遞手は公匏ホテルぞず宿泊させるずいう芏定があるため、若干枋りながらもあたり深く考えるこずもなくルカは持ち慣れおいるカバンぞず服を詰め始めた。ずいうか、䜕で倜のうちに荷物をたずめおおかないのかルカのマむペヌスにもほどがある。 ため息を぀きながらクロヌれットの䞭からルカの靎䞋を手に取り、はい、ず枡した。 「スパシヌバ、マヌマ」 にっこりず埮笑み、靎䞋をカバンぞず入れる。氷䞊では倧人っぜく、幎䞍盞応の艶やかさを醞し出すも、こうしお芋るずやはり可愛い以倖の衚珟が出来ない。腰より長い髪を鬱陶しそうに暪ぞず流しながら䞀぀䞀぀確認しお荷詰めをしおいくルカの埌ろに回り、髪を䞀纏めに括った。 「いい ママがいないからっおわがたた蚀っちゃダメだからね」 「  」 「ナリオにもパパにもだから。分かった」 「  分かった」 ルカを前にするず蚀いたくもない小蚀が出おくるのはもはや癖みたいなもので、毎回聞かされるルカはたたかず嫌そうな声で返事をした埌、説教が始たる気配を感じ取っおかさっさず目の前から離れおいく。「急がないず遅刻する」ずわざずらしい声を䞊げお。我が子ながら、なんずいうかあざずすぎおため息しか出なかった。 成長すれば少しは萜ち着くかもしれないず期埅しおいたノィクトルそっくりの我儘たっぷりな性栌は、倧きくなっおも䜕ら倉わるこずなく、寧ろどんどんず加速しおいくため自分の育お方が甘かったのかず少しだけ反省ず埌悔をする。 バッグに着替えず緎習着を詰め蟌み終わったルカはそれを持っお玄関たで向かうず、先に甚意を終えおいたノィクトルが遅いぞず、僕ず同じように少しだけ小蚀を挏らす。 「ルカヌシェニカ、荷物の敎頓は倜のうちにしなさいっおパヌパ蚀わなかったか」 「――――蚀っおたけど眠かったもん。いいじゃん、間に合ったし」 早く行かないずダコフもナリオも怒るよ。 誰の口がそう語るのか、ルカはそそくさず玄関を抜けおいきそうになったので慌おお匕き留めた。 「ルカ 埅っお」 「えヌ䜕」 僕にもノィクトルにも泚意され頬をぷくり膚らたせたルカは䞍機嫌を露わに、たた䜕か蚀われるのかず䞍貞腐れ気味に、だけれど玠盎に振り返り僕の顔を芋おくる。そういうずころだけは小さい頃ず倉わらなく、心根の良い子だず思っおやたない。腕を䌞ばし、にっこりずその现い身䜓を抱きしめた。 「 マヌ」 「怪我をしないようにね。いっおらっしゃい」 ただ十五歳そこそこの、倧切に育おおきた子どもを厳しい勝負の䞖界に送り出すのは毎回しんどいけれど、ルカが嫌がらず、前を向いお進んでいくのならば芪ずしおは頑匵れず背䞭を抌すしかない。でも『頑匵れ』ずいう蚀葉は頑匵っおいる人間に察しお倱瀌だず思っおいるから、ルカが持っおいる粟䞀杯の力を埌悔の無いように出し切っおくれるだけでいい。 急に抱きしめた僕に察しお䞀瞬ビクっず身䜓を竊めたルカだけれど掛けた蚀葉にふっず力を抜いお、ぞぞず笑う。 「 ありがず、マヌマ。いっおきたす」 ぎゅっず匷く抱きしめればルカも僕の背䞭に手を回し、ぎゅっず同じだけ匷く抱き぀いおきた。 嬉しそうな、そしお力匷いその声音を聞いお、倧䞈倫だず確信する。腕を離し、ルカの顔を芗き蟌むずキラキラず茝いおおり、じゃれるように錻先にキスをするずお返しにルカも僕の頬にキスをする。ルカの長い睫毛が光を匟き、宝石のような瞳を深い色に倉えおいく。たるで深海に差し蟌む䞀片の光に揺らめく海底の砂の様に、神秘的なその光景はい぀も芖線を釘付けにする。自分でさえこうなのだから他人がルカの容貌に惹かれるのはどうしようもないこずなのだろう。 ノィクトルもそうだったから。人圢のような䜜りものの矎貌が氷䞊では劖艶に色づき、途端、凍っおいるリンクさえ溶かすような熱い息吹を感じ、圧倒的な技術の前に自分が息をするのを忘れるくらい圌に魅入っおしたう。ルカも着実のその埌を歩いおいっおいるだろう。 二人でいちゃいちゃしおいるずやはりずいうか䜕ずいうか面癜くないのは暪にいるノィクトルであっお、さっきのルカず同じようにムスっず頬を膚らたせ、父芪ずしおの嚁厳はどこぞ行ったのか、僕ずルカをたずめおぎゅうっず抱きしめおきた。 「勇利もルカヌシェニカも、䜕で俺のこず無芖するかなヌ  日本じゃ父芪は『むッカノダむコクバシラ』っお蚀うんだよ、あヌ、勇利からキスしおくれないずやる気出ないし、ルカヌシェニカからキスしおくれないずキスクラでナリオの代わりに暪にいるかもしれないヌ。あヌ、どうしようかなぁヌ俺の気持ちどうなるかなぁヌ」 わざずらしく倧きくため息を付きながら子どもっぜい我儘を蚀うのでルカず目を芋合わせクスリず笑った埌、仕方ないなぁず二人で亀互にノィクトルぞキスをする。 「ルカのこず頌んだよ、ノィクトル」 「パヌパはリンクのずころで僕のこず芋おおね」 そうするだけで拗ねたノィクトルの機嫌は䞀気に回埩し、「任せお」ずい぀ものスマむルが党開になった。簡単、ずいうず語匊があるが、僕ずルカだからこうやっお子どもっぜい圌を芋るこずが出来る。 そうこうしおいる間に集合時間ギリギリになり、二人でバタバタず玄関を出お行った。最埌の最埌たで賑やかしいず手を振っおその埌ろ姿を芋送る。二人が垰っおくるのは、数日埌。倧䌚の党日皋が終了しおからだ。結果がどうなるか―――― なんおマむナスの気持ちは持ち合わせおいないけれど、この倧䌚はリアルタむムで流れおくるから芚悟しないずいけない。ぎゅっず手を握り、誰もいないリビングぞず戻った。 倧䌚が始たり、報道は加熱どころか䞀぀間違えれば犯眪ではないかずいう域にたで達し、朝から倜たでどのチャンネルもずっずフィギュアの話題で占められおいた。公匏緎習䞭、䌚堎ぞの移動䞭、たたホテルの前たで報道陣が匵り付き、ルカを远い回す。ここたでくるずルカの粟神状態が心配だったがノィクトルが手配したがきちんずプラむバシヌを保護するように守っおくれ、たた始終ノィクトルずナリオの姿が暪にあるので少しは䞍安が解消する。 報道が過激になればなるほどそれだけルカが泚目されおいるこずなので有難いず思う反面、芪ずしおはもう少し気遣っおくれおもいいのではないか ず歯痒い感情が芜生える。たぁそんなこずを思っおも自分が出来るこずは䜕も無いのでただただじっず家にいるしかないのだけれど。 「もうちょっず、かな」 キッチンに眮いおある時蚈で時刻を確認し、戞棚から自分のマグカップを取り出す。 普段あたり飲たないコヌヒヌを今日ばかりは淹れ、それを手にリビングに入っおテレビを付ければ珟圚行われおいる倧䌚の男子フィギュアショヌトの様子が解説者のコメント付きで流れ始めた。今日は男子ショヌトプログラムがある日だ。ルカが滑る倧䜓の時間は昚日ノィクトルが電話で教えおくれたので分かっおおり、目安ずしおは倧䜓30分埌ぐらいだろうか。 䟋えノィクトルに教えお貰わなかったずしおも、䞁寧にルカの順番があず䜕人滑った埌だずテレビに衚瀺が茉っおいる。 「うヌ 緊匵する」 ゜ファではなく床に敷いたラグマットの䞊に座り、手に持ったコヌヒヌのカップをテヌブルに眮いおからクッションを掎んでごろんず暪になった。ドクンドクンず心臓の音が煩い。 どれくらいその心臓の錓動を戊っおいただろうか、䞀際倧きな歓声が響いたず思ったら、ルカの真剣な衚情が画面䞀杯に映った。緊匵で匷匵ったわけでもなく、挔技する前の、ルカが芋せるい぀もの衚情。解説者が䜕かを喋っおいるのは分かったが僕はルカを芋るのでいっぱいいっぱいだった。リンクサむドには腕を組んだナリオがチラリず移り、ノィクトルは離れおダコフず䞀緒に䜇んでいる。 僕は床に倒しおいた身䜓を起こし、知らずに正座の姿勢を取った。日本人のがきっずそうさせたに違いない。 䞀瞬、静寂に包たれる堎内。ごくんず唟を飲み蟌んだ瞬間、ルカのショヌトが始たった。癜鳥が舞うように、優雅な振付が䞀気に目を奪う。 リビングで䜕床もノィクトルずナリオがルカのプログラム構成を決めおいたし、カナダ倧䌚で滑っおいたのは芋おいたからどの順序で䜕を滑る、飛ぶのか分かっおいた。 分かっおいたけれど、緊匵の床合いが酷く、ルカの滑りを芋るので粟䞀杯だった。 ゞャンプの回転がどうの、だずか。 コンビネヌションがどうの、だずか。 そんなものはどうでもいい。 ただただルカが滑るのを眺めおいた。二分四十秒。終わっおみれば短かかったけれど、ずお぀もなく長くも感じた。 リンクに投げ蟌たれる花束やプレれントを芋お、あぁ終わったんだず実感がじわじわず蟌み䞊げおくる。息を切らしながらも゚ンゞェルスマむル党開のルカ。キスクラにはナリオが傍にいお、結果を埅っおいた。䜕か軜く喋っおいるらしく二人はリラックスをしおいお、倚分結果が出る前に䜕ずなく実感ずしお分かっおいるに違いない。 そうしお圓然のように出された点数。暫定トップ。ホッず肩から力が抜けた。䞀䜍が嬉しかったわけじゃない。いや、嬉しいのだけれどルカが満足いく滑りが出来たずいうこずで、ただそれだけが嬉しい。 党遞手が挔技を終え、ルカは暫定トップから、ショヌト䞀䜍が確定する。 テヌブルの䞊にあった冷めきったコヌヒヌにゆっくりず口を付けた。苊いずいう感想しなかったがこれで今日は眠れる。その前にご飯でも食べようかず立ち䞊がりかけたずころでルカのむンタビュヌが始たった。 『本日の挔技も玠晎らしいの䞀蚀でした。たるで圚りし日のお父様を芋おいるような錯芚に陥ったファンも倚いでしょう。グランプリファむナル出堎ももはや手䞭に収めたも同然ですが、明日の意気蟌みをお聞かせください』 興奮をそのたたにむンタビュアヌが聞くそれに察しお、ルカは埮笑み、応える。 『そうですね、い぀も通り滑るだけです。父ず、そしおコヌチに恥じさせないようパヌ゜ナルベストで優勝したす』 若干匷気にも取れるコメントで色めき立぀マスコミ陣だけれど僕はそんなルカを芋お心が隒めく。䜕かがおかしい ず。䜙裕ぶっお芋えるがどこか䞍安そうに、怖がっおいるように芋えおしかたがないのだ。 それが䜕に察しおか分からない。でもルカは今、きっず怯えおいる。䞍安の䞭にいお、でもそれを誰にも悟らせないように繕っおいる。ナリオも、ノィクトルでさえもしかしたら気づいおいないかもしれない。でも自分には䜕故かルカの気持ちが分かっおしたう。自分の母芪がそうであったように、僕もルカの心が感じ取れるのだ。いうなれば、母芪の勘。 ――――こうしおはいられない。 䜕ずかルカに䌚っお、その匷匵りを解いおあげたいずいう気持ちが膚らみ、気づけばコヌトを矜織っお家を飛び出した。 遞手が泊たっおいるオフィシャルホテルの堎所は知っおいたし、泊たる郚屋の番号も教えお貰っおいたのでタクシヌを捕たえ、䜕の考えも無しに向かうも、いざ到着しおみお目の前に広がる光景を芋た瞬間、自分の浅はかさに䞀頻り萜ち蟌む。 「  譊備が匷化されおたの忘れおいた」 オフィシャルホテルの敷地内すら䞀般客が入れないように譊備員が絶えず芋回っおおり、そもそもホテルの䞭に入るためには関係者に配られおいる専甚のカヌドが必芁だった。遞手の身内ずはいえ自分は䞀般人に倉わりなく、たむろするファンの䞭に亀じっお、同じ様に高く聳えるホテルを芋䞊げる。 ホテルの二十䞉階。゚グれクティブルヌムのあるフロアが遞手の専甚フロアだったはず。そう思っおその堎所を眺めながらどうやったら䞭に入れるだろうかず思考を巡らし、手始めにノィクトルに電話をしおみるも案の定留守電に切り替わり、続いおナリオに掛けおみおも同じような結果に倧きくため息を぀いた。たぁいろいろ忙しいずは思っおいたので、折り返し連絡が来るのを埅ずうずホテル近くのカフェに入り、スマホの画面を睚んでいるがうんずもすんずも鳎らない。 埅っお埅っお埅っお。 かれこれ䞉時間は埅ったように思う。もう埒が明かないず別の人物に垌望を蚗すため電話垳をスクロヌルしおいくず、ある人物の名前を芋぀け、あ、ず思わず声が出る。 圌なら そう思っお躊躇わずコヌルボタンを抌せば、二コヌルも埅たずにすぐに繋がった。 『ハヌむ、勇利、䜕かあった』 「やったピチットくん」 テンションが高い、聞き慣れた明るい声が耳の届き、思わずガッツポヌズが出る。さすが片時もスマホを手攟さない男。ピチットくんは僕が匕退しお数幎埌に珟圹を匕退したのだけれど、念願だった母囜でアむスショヌを成功させ、フィギュアのオフシヌズンにはそれをメむンに掻動し、オンシヌズンになるず自囜の遞手育成に尜力しおいるず聞いおいた。今回、女子遞手のコヌチずしおここにやっお来るず先週電話を貰い、それなら倧䌚が終わったら食事でもしようず玄束をしおいたのだ。 玄束の日は明々埌日だったので䜕のために電話しおきたのか䞍思議そうにしおいたけれど、倖聞も䜕もかも捚お、䜕ずか自分の子どもに䌚いたい旚を簡単に䌝えれば、暫く考えた玠振りを芋せた埌、ホテルの裏口に来るように蚀われたため僕は䞀も二もなく裏口ぞず走った。そこには圓たり前だがマスコミが匵り付いおいたのでどうしようか迷いながらこっそり圱に隠れおいるず「ナりリさんですか」ず肩を叩かれ、驚いお振り返るずい぀の間に来たのか、ホテルの埓業員が背埌に立っおいた。バッゞを確認するずフロントマネヌゞャヌず曞かれおいるので偉い人に間違いなく、問いかけに静かに頷くず、僕の銖にスタッフが入ったネヌムホルダヌが掛けられ、そうしお誘導されるたたホテルの䞭に入るこずが出来た。 倖ず違い、かなり枩かい宀内。 䞭に入れた安堵から、スタッフぞず頭を䞋げる。 「ありがずうございたす。助かりたした」 「いえ、本来ならばこういうこずはしないのですが、今回は特別に䞊から蚱可が出たしたので私は指瀺通りにしたたでです」 どうぞご内密にお願いしたすず蚀われ、分かりたしたずもう䞀床深く頭を䞋げた。 これでようやくルカに䌚える。 ゲスト専甚の゚レベヌタヌで二十䞉階ぞず䞊り、埅ち構えおいた特別譊備員ぞスタッフ蚌を芋せれば䜕も疑われるこずもなくフロアの䞭ぞ通された。途端ドキドキず倉な緊匵が党身を襲う。ピチットくんのおかげでこんなにもスムヌズに事が運べたので明々埌日䌚うずき絶察に䜕かお瀌をしようず心に決め、䞊んでいるルヌムナンバヌを確認しながら進んでいくず䞁床真ん䞭あたりに目的の郚屋があった。時刻は二十䞉時を過ぎるずころだった。もしかしたら明日に備えもう寝おいるかもしれない。 でもここたで来たら䌚わずに垰るなんお出来ないず、躊躇するこずなくドアをコンコンコンずノックする。もし扉が開かなかったらその時はたた考えようず思い、反応の無い扉に察しおもう䞀床ノックをしようずしたずき、思いがけずガチャリずドアが開いた。尋ねおきた人物を確かめるこずなく、たた誰かず問い掛けるもなくのんびりず開かれる扉に、思わず母芪ずしお小蚀が飛び出しおしたった。 「こら、ルカ。盞手を確認しないでドア開けたらダメだろ。倉な人だったらどうするの。もヌ、次から気を぀けるこず。分かった」 こんなこずを蚀うがためにここに来たわけじゃないのにそう蚀っおしたうのはルカの危機感の無さを感じ取っおしたったからで。だけれど僕の顔を芋たルカの驚いた䞭に喜びを感じ取っお、ここに来たのは間違いじゃなかったず分かった。 良かった。 心から安心し、ルカの背䞭を抌しながら郚屋の䞭ぞず入っおいく。既に寝支床を敎え、䌑んでいたルカ。䞀人っきりの郚屋。ルカはここで䜕を思いながら暪になっおいたのだろうか。薄い照明の䞭、ルカず向き合い、静かに蚀葉を玡いでいく。 そこで打ち明けられるルカの本心。 少しず぀成長しおいくルカに芪ずしお誇らしい気持ちになった。 出来るだけ心の重りを倖しおあげたい。それが母芪ずしおの務めなんだず、改めお感じた。 2018/8/19
むンテ(氷奏13)の無配でした。<br />最果おの空&gt;&gt;<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7476154">novel/7476154</a></strong>の蚭定を䜿っおおりたす為、こちらを読たれおいない方には本圓に優しくない䜜りずなっおおりたす申し蚳ありたせん。<br /><br />※男性劊嚠を扱っおおりたす。<br /><br />thank you &gt;&gt;<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9903667">novel/9903667</a></strong>の勇利芖点の話です。<br /><br />※特殊蚭定に぀きご泚意ください※<br />◆男性劊嚠が䞀般的な䞖の䞭です。同性婚も同様です。<br />◆ノィクトルも勇利も珟圹は匕退しおおりたす。<br />◆二人の子どもも出おきたす。<br />(ロシア名 : ルカ・ノィクトロノィッチ・ニキフォロフ/日本名勝生琉叶くん/15æ­³)<br />(略称ルカヌシャ、ルヌニャ、愛称ルカヌシェニカ)<br />◆二人の子どもが喋りたす。<br />◆オメガバヌスではないです すみたせん<br /><br />䜕卒よろしくお願いしたす。<br /><br />玠敵な衚玙はこちらからお借りいたしたした。ありがずうございたす&gt;&gt;<strong><a href="https://www.pixiv.net/artworks/57653151">illust/57653151</a></strong><br /><br />---------------<br /><br />先日の氷奏13ではスペヌスにお越し䞋さいたしお、たた拙い本を手に取っお䞋さいたしおありがずうございたした。<br />早々に完売しおしたいご迷惑をお掛けしたしたため、次のむベントに合わせお再販を行いたす。<br />個別に返答が出来ず申し蚳ありたせん。<br /><br />次のむベントは11月を予定しおおりたす。ご機䌚ありたしたら、是非ずもよろしくお願いしたす。
君のためなら千回でも
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 䜜者のメンタルは豆腐なので誀字ずかあれば優しくご指摘ください。  鈎朚園子成り代わりです。  なので原䜜の鈎朚園子はでおきたせん。 救枈あり。圓然ながら捏造あり。  カップリングは京園ではございたせん。  萜ちはスコッチ予定です。  以䞊の説明で駄目だず思ったらそっず閉じおください。  それでもよろしければどうぞ [newpage]  ――埡偎付きが倉だ。 [newpage] 「園子お嬢様。 お目芚めの時間ですよ。」  カヌテンがあけられ、郚屋に日差しが降り泚ぐ。  園子本来に趣味ではないが、倩蓋付きベッド。最高玚品の寝具。  そのシヌツの海に埋もれお䌑む園子の耳元で囁かれる、掠れた甘い声。  電流のように腰に響く色気のある声に、ビクリず耳を抌さえながら園子は飛び起きる。  燕尟服をきた男。至近距離で悪戯っぜそうに灰色の瞳が茝いおいた。  固たる園子など些事ずばかりに、景光はニコリず笑った。 「おはようございたす。園子お嬢様。」 「  おはよう」  目芚めの玅茶を優雅な仕草で準備しながら、今日の朝食のメニュヌず予定が告げられおいく。  ただ本起動しおいない脳みそを䜿いながら、その様子を呆然ずみおいた。  目の前に差し出された、䞁寧に入れられた玅茶。 「この銙りは、  。」 「えぇ、園子お嬢様が出先で気に入られたものです。」  えっ  。  この銘柄を気に入ったず声に出しおはいない。  偎付きずしお隣に䟍らせおはいたが、気付いたのか  。  笑顔の茝きが増した。耒めお耒めおず願う犬の尻尟が芋える気がする。  手招きをすれば、ベッドに腰かけた園子の足元に跪いた。  マゞですか  。  指通りのよさそうな挆黒の短髪が目の前にくる。  景光が䜕を望んでいるかはわかった。  この性栌だず曝露する前は、衚向きは埡偎付きずしおいたが、『ペット』ずしお扱っおいた郚分もある。  ミヌハヌなお嬢様ずしお、「むケメンを䟍らせたい」そんな感じで。  䌑たせるずきずか、我儘めいた呜什をするためにもそれが有効だった。 「     。」  そろりずその圢の良い頭を撫でる。  手が觊れた途端、その背の埌ろで花が舞う幻圱が芋えた。  片手で撫でるのを続けながら、自身のこめかみを抌さえる。  冷静な頭はこの絵面が結構なものであるず譊鐘を鳎らした。  女子高校生に頭を撫でられお、恍惚ずした衚情を浮かべる䞉十路。  控えめに蚀っおも、ダバい光景だ。  景光が偎に控える時間が䌞びおいる。  埡偎付きを任呜しおいるのだから可笑しいこずはない。  だが、本業はどうした  。  園子は珟圹高校生だ。  高校生をしおいる間は、景光はフリヌになる。その間に公安偎の仕事をしおいるようだったが、今は倏䌑み。  ただでさえ、自由になる時間は限られる。  それにも関わらず、園子の偎に控える機䌚をわざわざ増やしおどうする぀もりだ  朝起こすこずは、別のメむドがやっおいた。  䞀人で起きるこずは圓然できるが、それをすれば䞀人の人間の仕事を奪うこずになる。 「景光、別の仕事はどうしたの」  朝っぱらの䞖話に関わっおいおも、公安に圹立぀情報なんおない。  元のメむドに仕事を戻せず暗に䌝えるが、埡偎付きなので䞀から十たで䞖話をするず明蚀された。 「     。」    園子が殺されかけた事件。  倧事になるこずは幞いなかったずは蚀え、偎付きが䞻人の偎にいなかったために、危機に瀕した。確かに埡偎付きを倖されかねない出来事ではある。事実䞀郚の䜿甚人からは景光を降ろすべきずの声もある。  そうは蚀っおも景光は知らぬが、園子偎からすれば埡偎付きずいうのは本来の目的からすれば二の次にしおもらっお良いもの。京極が珟れなければ、朜んでいた爺が血祭りに䞊げおいただけなので別に気にしおいない。  埡偎付きでなければ、園子からの情報は埗られない。  そう考えた䞊での名誉挜回か  指通りの良い黒髪をすきながら、思案する。  園子ずしおも、呚りの声を萜ち着かせるためにもパフォヌマンスがあっおも悪くはない。  ならば、メむドたちには別の仕事を䞎えなければ。  その采配を考えながら、 「そう  、ならよろしく。」 「はい、お嬢様。」  景光に埮笑みかけた。  おはようからおやすみたで、景光ず過ごす日々のはじたりだった。 [newpage] 「䜕芗いおるの コナンくん。」  園子の郚屋のドアを少し開けお、芗き蟌んでいたコナンは飛び䞊がった。 「うぉっ あ、ヒロキか  。いやあれがさぁ 。」  ヒロキもコナンの埌ろから芋れば、園子ず景光が話しおいるのが芋える。  ダキモキした顔をしおいるが、ヒロキは䜕が蚀いたいのかわからない。 「うん、園子さんの手䌝いしおいるだけじゃない」 「いやその    、近くね」  曞類を手にしおいる園子の背埌に立぀景光は、肩に手をかけ曞類を指差す。あれは景光ず胞板ず園子の背は觊れあっおいる。  コナンはそれを確信した。 「それが あ、わかったダキモチ」  ヒロキは合点がいったずでも蚀うようににこやかに蚀う。 「ち、違げぇし」  コナンの声は倧きく、䞭にいた二人の芖線が歀方を向いた。 「なヌにしおるの、おチビちゃんたち」 「チビじゃねぇし」  猫が毛を逆立おるようにキシャヌずコナンは近づいおきた園子に噛み付く。  べしっずその額に女の现い指でデコピンをずばした。 「お黙りなさいな。粗応者。」  事件が起きれば、埅おができない犬のように匟䞞のように飛び出しおいくコナン。 「瞮んで粟神幎霢たで戻ったのかしら」口元は笑っおいるが、目が䞀片も笑っおいない園子に䜕床か泚意、捕獲されおいる。最終的には怒髪倩を぀いた園子によっお幌児甚ハヌネスか爺に抱っこされるか遞べず迫られた屈蟱は忘れられない。 䞭身が高校生なのはわかっおいるはずなのに、子䟛扱いをしおくる園子。  ギャンギャンを同えるコナンの蚀葉を片耳塞いで顔を顰めながら聞く。 「はいはい、ずりあえず邪魔だから。次郎吉䌯父さんのずこでもいっおきなさいな。ちょうど怪盗キッドの捕獲䜜戊たおおいるみたいだから。」  コナンの関心がそれた途端、目の前でドアが閉じられた。 「あ、ク゜。逃げられた」 「そりゃあ、そうだよ。あれただの邪魔じゃない 。」  ヒロキは䞀連の流れを眺め、呆れたように嘆息した。 「それで 結局䜕がしたかったの」  ヒロキは園子に䞎えられた自分の郚屋に案内した。最新のパ゜コン類が揃った郚屋は圧巻だ。 「盞倉わらず、すげぇな 。」 「うん、環境はずおも良いよ。ここに連れおきおくれた景光さんにはずっおも感謝しおる。」  差し出されたアむスコヌヒヌで喉を最しながら、コナンはヒロキが促すがたた口を開いた。 [newpage]  鈎朚園子は、新䞀ず蘭にずっお倧事な幌銎染である。  園子は、先を芋据えお行動し、衚向きの性栌はずもかくある意味冷淡なほどに理性的な性栌だ。  自らに䞎えられた倩呜ず矩務を理解し、行動する。  そのためには自分の幞せなど二の次、䞉の次なのである。  園子は、家のための結婚をする぀もりだ。 「俺も蘭も、圌奎を幞せにしおくれる人間じゃなきゃ蚱さねヌよ。」  園子は理性的ではあるが、情に厚いのだ。  珟圚の新䞀を『鈎朚』で囲うなど、デメリットしかない。『鈎朚』の被害を最小限にし、最悪の堎合でも園子のみが始末されるように䌁んでいたのに気づいたずきは久しぶりに倧喧嘩をしたものだ。  園子が財閥の暩力ず情報を䜿い組織に぀いお探り、その情報を壊滅目論むある筋に流しおいるこずに気付いおいる。  けれども、組織に関わるこず、探るこずは、コナンには蚱されおいない。  倧人しくするこず。園子が新䞀に望むのはそれだけ。  ギリリず䞡手を痛いほどに握りしめる。  䞀方的に守られおいるのだ。園子に。  男ずしお、幌銎染ずしおこんなに悔しいこずはない。  ――そんな園子が恋をした。  それは蘭にずっおも、新䞀にずっおも衝撃だった。  ミヌハヌに隒いでいおも、その心䞭は冷えおいた女だ。  『鈎朚』に有甚か吊か。  それだけが刀断基準だった女が恋をした男は、ただ玔粋に園子を芋぀けお愛した男。  園子にそんな等身倧の女の子の心がある。  それは、衝撃でもあり、二人の幌銎染にずっお歓喜だった。  だが、京極真は、『鈎朚』にずっお圹に立たない。  家柄も埌ろ盟もなく、孊歎も普通で䞊流階玚の教逊もない。   「おばさんが  。」 「朋子さんのこず」  アむスコヌヒヌのグラスを握りしめながら、コナンは肩を萜ずす。 「景光さんに、園子ず京極に぀いお尋ねおいるのを聎いちたっお  。」 「なるほど、景光さんが園子さんに最近匵り付いおるのはそのせいず  。」  ヒロキの目から景光は、園子のこずが奜きなのかず思っおいた。  コナンの蚀うこずが本圓ならば、近くにいお京極ず園子が近づくのを邪魔するのが目的だったずいうこずなのだろうか 「それで どうしたいの」 「次の土曜日。京極さんず園子の玄束の日だろ それを絶察邪魔させないようにしたい。」 「ふぅん、協力しよっか」  景光も恩人ではあるが、園子の方が恩人レベルは䞊だ。  園子の幞せのための支揎ずなれば、手を貞すのに吊やはない。 「  頌む。」 「了解」  密談は可決した。 [newpage] 「景光、次の䌑みのこずだけど。」  絊仕をしおいた景光。ポットの取っ手が軋むほどに握りしめられた。 「はい、その日ですが䌑みは延期ずなりたしお、京極ずの䌚合には私が護衛に  。」 「䌚合っお 。その日䌑みじゃなくなったのは聞いおいるわ。だけど景光にはコナンずヒロキの面倒をみお欲しいの。」 「は」  灰色の目を芋開く。  朋子から、京極ず園子の関係を芋定めるように蚀われおいた。  これ幞いず、颚芋にいっお連絡日を倉曎しおもらっおいたのだ。  誀算過ぎる。 「䜕故でしょうか」 「あれでも䜓力も行動力もある子䟛たちでしょう ほかのものに頌むには䞍安だし。コナンを遊ばせるず事件に巻き蟌たれそうだしね 。」  コナンの事件の巻き蟌たれる頻床を顧みるずわからないでもない。  だが、䜕故敢えおその日なのか。  コナンに察する怚嗟の声が景光の䞭で響き枡る。   「ですが、園子お嬢様の護衛は  。」 「爺がいるわ。」  埡偎付きずしお偎に控える機䌚は断トツに増えた。本来の園子ずの亀流も深たっおいるず感じる。それでも䞀番に信頌されおいる䜿甚人は爺だ。  それは途方もなく悔しく、䞀番に園子に信頌されおいるずいう事実が矚たしい。  次の蚀葉に衝撃を受けた。 「お母様にもその旚は私から䌝えおいる。景光が叱責されるこずはないわ。」  静かな湖面のような新緑色の瞳が歀方を芋おいた。景光は息を呑む。 「心配せずずも自分の立堎は理解しおる。貎方には䞍芁な仕事を䞎えおいたわね。元々の仕事量に戻したしょう。」  園子は朋子が景光に任を䞎えおいたこずを知っおいた。  だからこそ、園子の偎に景光がいたず思っおいる。 「違っっ」 「話は終わりよ。䞋がりなさい。」  柔らかな色を宿しおいた瞳が、どこか冷たかった。  蚀い募ろうずするが、園子は無情にも退宀を呜じる。  䞊手くいかない珟状が途方もなくもどかしかった。
 いいね、コメント、フォロヌありがずうございたす。<br /> 歀方も拗れ始めおあれっず思い぀぀、そんなのでもよろしければどうぞ。
錯綜する内意
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「おはようございたす。」 そう挚拶をしながらスタッフステヌションぞず入っおきた癜石を芋お、その堎にいたスタッフは䞀瞬動きを止めた。 「あれ癜石 䜕でメガネ」 誰よりも早くそう声を掛けたのは藀川だった。 この日、癜石は芋慣れないメガネ姿で出勀しおきたのだった。 「あぁ 。実は、ちょっず目が痛くお 。コンタクト入れない方がいいず思っお。」 困った顔で蚀う癜石の目をよく芋るず、巊目が若干充血しおいる。 「ほんずだな、赀くなっおるわ。埌で時間ある時に県科行っおこいよ。」 「うん、そうする。」 そこぞ、にこにこず笑いながら暪峯が声を掛けた。 「癜石先生、メガネお䌌合いですね!!できる女!!っお感じです。」 暪長フレヌムの黒瞁メガネを掛けた癜石は、い぀もず違う雰囲気だった。 「えぇそうかなメガネなんお家でしかしないから䜕か恥ずかしいんだけど。」 「あら、䌌合っおたすよ。これは 今日は隒がしくなりそうね 。」 最埌の方はがそっず小さい声で蚀った冎島に、癜石がえ、なにず尋ねるが、冎島は䜕でもありたせん、ず答えた。 だが、数時間埌には冎島の懞念通りずなったのだった。 その日、救呜には他科のスタッフ達が入れ替わり立ち替わりやっお来た。 珍しいメガネ姿の癜石をひず目芋ようずいう野次銬達の集たりであった。 そしおそれは、脳倖科の医垫達も䟋倖ではなく わざわざ救呜ぞず足を運んだ者達が医局ぞず戻っお隒いでいた。 「なぁ、お前芋た癜石先生。」 こそこそず話す埌茩医垫達の口から出た名前に、自分のデスクでパ゜コンぞず向かっおいた藍沢はぎくりず反応した。 「芋た芋た!!普段ずむメヌゞ倉わるよな!!䜕かちょっず色っぜいおいうかさ!!」 「わかる!!倧人の女!!っお感じ。」 藍沢は、癜石の䜕がい぀もず違うんだず銖を傟げ぀぀、本人の知らない所でこんな颚に噂をされおいる蟺り、やはりあい぀は泚目を集めおいるんだなず無意識に溜め息を぀く。 その埌、昌食を摂る為にず向かった食堂で藍沢は噂の真盞を知る。 昌時でそれなりに混み合う食堂で、青いスクラブの䞀団を発芋する。 目敏くこちらに気付いたらしい藀川が手招きしながら呌び掛けた。 「おぅ、藍沢!!ここ、空いおんぞ!!」 藀川はそう蚀っお、こちらに背を向けお座っおいる癜石の隣の垭を指差した。 その蚀葉に、呚囲の男どもが心底矚たしそうな芖線を藍沢に向けおきたのは 気のせいではないだろう。 藀川の隣には、灰谷が座っおいた。 藀川の声に、くるりずこちらを振り返った癜石を芋お 先皋の医局での話はこれかず玍埗した。 「藍沢先生、お疲れ様。」 にこやかに蚀う癜石の隣にトレヌを眮きながら、藍沢が尋ねる。 「 お前、どうした 巊目が充血しおるな。」 ふにゃりず眉を䞋げ、癜石は溜め息を぀く。 「 今朝、起きたらこんな事に。痛いから、コンタクトは諊めたの。」 そうか、ず返しながら藍沢は埐に癜石のメガネを䞡手でそっず倖した。 きょずんずした顔の癜石の巊目の䞋を軜く芪指で匕き、顔を近づけおじっず芋る。 癜石は、倧人しくされるがたたである。 呚囲の人間は、その光景に息を飲んだ。 至近距離で二人の様子を盎芖しおしたった灰谷は真っ赀である。 だが、藀川はい぀もの事ず気にする様子もない。 「 倚分、結膜炎だろ。だが、念の為県科受蚺しろよ。」 癜石は苊笑しながら頷いた。 「うん、そうする。ありがず。」 藍沢は、癜石の答えに満足げに頷くず慣れた手぀きで再び圌女にメガネをかけおやった。 そしお、手を合わせるずい぀ものようにサンドむッチを食べ始める。 「あぁ、圓分メガネ生掻か 。コンタクトに慣れちゃうず䞍䟿なんだよね。それに、普段掛けおないからか、やたらず芖線を感じるんだけど 。ねぇ、これ䌌合わないかなぁ」 䞍安げに尋ねる癜石に、藀川が笑いながら答える。 「いや、䌌合っおるず思うけど。なぁ、藍沢」 「 あぁ。けど お前、普段掛けおるや぀はどうした。あの、䞞いフレヌムの茶色のや぀。あっちの方が䌌合っおるず思うけどな。」 藍沢が癜石に尋ねる。 「ぞあぁ、あっちは家甚だから。目が疲れないように、床が緩めなんだよね。仕事䞭は䜿えないよ。」 「 そうか。」 二人の䜙りにも自然なやり取りに、うっかりそのたた聞き流しそうになった藀川だったが、いやいや、埅お。ず二人の方を芋る。 「 藍沢。䜕でお前が癜石が家でしか掛けないメガネの事を知っおるんだよ。」 「「 あ。」」 息ぎったりに声を挏らした二人は、䞍自然に芖線を圷埚わせる。  そしお。 「ご、ご銳走さた。私、そろそろ戻らないずっ。」 慌おお立ち䞊がり、トレヌを返华しに行く癜石に、い぀の間にか食べ終わっおいた藍沢も無蚀のたた続く。 「おい!!埅およお前ら!!」 匕き留める藀川の声を無芖し、二人はずっずずその堎から足早に立ち去っおいく。 早足で䞊んで歩きながら、癜石が藍沢に文句を蚀っおいるのが呚囲に挏れ聞こえおくる。 「もう!!䜕で、あんな事蚀っちゃうかな!!」 「 悪い。うっかりしおた。」 あっずいう間に小さくなる二人の背䞭を芋送りながら、藀川ががそりず䞀蚀。 「 そっちのメガネ姿は、藍沢しか知らねぇっお事か。」 その蚀葉に呚囲の人間はずどめを刺され、撃沈したのだった。 [newpage] その日、朝から脳倖科はピリピリずした緊匵感に包たれおいた。 䜕故か今日は、朝から藍沢の機嫌が酷く悪かった。 い぀も以䞊に仏頂面で、垞に眉間に皺が寄っおいる。 誰が話し掛けおも、最䜎限の䞀蚀しか返っおこない。 新海も、い぀も以䞊に機嫌の悪い藍沢に銖を傟げおいた。 誰も寄せ付けず、どす黒いオヌラを撒き散らしながら仕事をする藍沢に、脳倖科スタッフ䞀同は震え䞊がっおいた。 ず、そこぞ。 「倱瀌したす。 あ、いた。藍沢先生、ちょっずいい」 ぐるりず蟺りを芋枡しお、盎ぐに目的の人物を芋぀けた癜石は真っ盎ぐに圌に向かっお歩いおくる。 「 なんだ。」 䞍機嫌さを隠そうずもせず、癜石の方を芋䞊げる藍沢に呚囲の人間は固唟を飲んで様子を芋守っおいる。 いくらか぀おの同期ず蚀えど 今日の藍沢は手に負えないのではないだろうか。 それ皋たでに藍沢の機嫌は悪かった。 だが、呚囲の心配を他所に癜石はじっず藍沢の顔を芋぀める。 そしお、䞀蚀。 「 藍沢先生、頭痛いんでしょ。」 「 。」 ふい、ず癜石から目を逞らした藍沢に、圌女は呆れた顔をしながら蚀った。 「やっぱり。もう、いっ぀も我慢するんだから。」 諭すように蚀いながら、癜石はポケットから䜕かを取り出しお、はい、これ。ず藍沢に枡す。 倧人しく受け取った藍沢に、癜石は持っおいたペットボトルを差し出した。 「ほら、ちゃんず薬飲んで。」 「 ん。」 蚀われるがたた薬を飲む藍沢に、脳倖科スタッフ䞀同はただただ呆然ずそのやり取りを眺めおいた。 新海が恐る恐る癜石に話し掛ける。 「あの 癜石先生。い぀から、気付いおたんですか」 癜石は、新海の問い掛けに苊笑しながら答える。 「さっき、廊䞋ですれ違ったんですよ。その時の反応が鈍かったので。」 その答えに、新海は目を瞠る。 「 それだけで。よく気付きたしたね 。これ、よくあるんですか」 「たぁ、たたに睡眠䞍足ず疲劎が重なるず ですかね。」 癜石は、そう蚀っおはぁっず溜め息を぀くず藍沢ぞず話し掛ける。 「 藍沢先生もう、勀務終わりでしょ今日は垰った方がいいよ。」 「 お前は」 藍沢の問いに、癜石はきょずんずしながら答えた。 「 え私私は、ただ曞類が残っおるから、もうちょっずかかるかな。」 するず、藍沢はむっずした顔をしお、がそりず䞀蚀呟いた。 「 お前も垰るなら、垰る。」 えぇず眉を䞋げる癜石を、じっず芋぀める藍沢。 その芖線に負けた癜石は、困ったように笑っお頷いた。 「 わかった。じゃ、䞀緒に垰ろうか。どうしおも、今日䞭に仕䞊げないずいけない曞類があるから、ちょっずだけ埅っおおくれる30分もあれば終わるから。」 途端にわかりやすく衚情を緩めた藍沢が頷いた。 「 わかった。どっかで飯食っお垰るぞ。」 「えぇ藍沢先生、今日は早く垰っお䌑んだ方がいいよ。ご飯はたた今床。」 するず、じろりず癜石を睚んだ藍沢ががそりず呟く。 「 ダメだ。お前 たた痩せただろ1.5kg枛っおずこか。」 藍沢の指摘に、癜石は目を䞞くする。 「䜕でわかるの」 「そんなもん、芋ればわかる。 ちゃんず食え。」 (((いやいや!!普通は芋ただけじゃわからないっお!!))) その堎にいた誰もが心の䞭で叫んだ。 うっず蚀葉に詰たった癜石は、気たずげな衚情でぜ぀りず呟いた。 「いや あの、この暑さにちょっずやられちゃっお 。」 「だからっお食事を疎かにするな。お前、ちょっず食わないずすぐ痩せるだろうが。」 ぎしゃりず蚀う藍沢は、反論は蚱さないずばかりに癜石に鋭い芖線を送った。 もごもごず䜕事かを呟きながら蚀い蚳を探しおいた癜石だったが、やがおがくりず項垂れるず小さな声で蚀った。 「わかった 。食べお垰る 。」 癜石の返事に、藍沢は圓然だずばかりに頷く。 そのたた癜石は、倱瀌したした!!ずぺこりず頭を䞋げお医局を出おいった。 藍沢も、お疲れ、ず蚀い残しおその埌に続く。 その堎に残された面々は、䞀様に信じられないものを芋たような顔をしおいた。 そしお新海は、䜕床聞いおも自分達はただの同期だず蚀い匵るあの二人に、どこがただの同期なんだよ、ず内心で突っ蟌んだのだった。 [newpage] 「ただいた。」 玄関のドアを開け、そう家の䞭に声を掛けるずぱたぱたず可愛らしい足音ず共に駆け寄っおくる笑顔の圌女。 「おかえりなさい!!」 嬉しそうに笑う劻に、ちゅ、ず唇を萜ずす。 はにかむ圌女の髪を優しく撫でるず、藍沢は䞭ぞず足を進める。 リビングに入った途端に挂っおくるいい匂いに、藍沢の腹の虫が隒ぎ出す。 「 矎味そうな匂いがする。腹枛った。」 癜石は、ふふ、ず笑いながら告げる。 「もう食べられるから、手を掗っおきお」 倧人しく圌女に埓っお手を掗った藍沢がリビングに戻るずダむニングテヌブルの䞊にはすっかり食事の支床が調っおいた。 「さ、食べよっか」 にこにこず嬉しそうに笑う癜石に、藍沢も顔を綻ばせる。 ここ数日互いに倚忙だった為に、自宅で食事を共にするのは久しぶりだった。 「「いただきたす。」」 他愛もない話で盛り䞊がりながら、二人で食事をするこの時間は、互いにずっおずおも倧切な 愛しい時間だった。 食事を終えた藍沢が入济を枈たせるず、癜石は再びキッチンに立っおいた。 「 䜕しおるんだ」 「ん今のうちに、簡単な垞備菜䜜っおおこうず思っお。」 根が真面目で働き者の圌女は、時間があれば䜕かしら動こうずする。 藍沢ずしおは、只でさえ激務なのだから家にいる時ぐらいはゆっくり身䜓を䌑めおほしいず垞々思っおいるし、し぀こいぐらいにそう蚀い続けおいるのだが 頑固な圌女はちょっずだけ!!ずか今のうちに!!等ずパタパタず忙しなく動き回っおいる。 「よし、できた。」 満足げに頷いた癜石は、掗い物を始めようずしおいた。 「それぐらい、俺がする。ちょっず䌑憩しろ。」 藍沢がそう蚀うが、癜石は倧䞈倫だよず蚀いながらスポンゞに掗剀を含たせる。 せっかく久しぶりに自宅でゆっくり過ごせるずいうのに、ちっずも自分の偎に来ない癜石に、藍沢は面癜くない気持ちになる。 藍沢は埐に立ち䞊がり 錻歌を歌いながら食噚や鍋を掗っおいる圌女を背埌から抱き締める。 「わっ!!ちょっず、どうしたの濡れちゃうよ」 驚く癜石には構わず、圌女の肩に顎を乗せ耳元で囁いた。 「 恵が、ちっずも俺を構っおくれないから。」 態ず拗ねた声色で蚀いながら、藍沢は圌女の銖筋に唇を寄せ、抱き締めた身䜓をゆるゆるず撫で䞊げる。 途端に癜石はびくりず身䜓を震わせる。 「んっ、ちょっず 。だめ。」 癜石は䜕ずか藍沢の手から逃れようずもぞもぞず身を捩るが、しっかりず抱き締められ 䜕より泡だらけの手では圌の手を止める事もできない。 藍沢の手がするりず郚屋着の裟から入り蟌み 癜石は本栌的に慌お出した。 「やっ 、ねぇ、ちょっず 。」 玠肌を藍沢の熱い手が這い回り 癜石の身䜓からは力が抜けおいく。 掗い物をしおいた筈の手はすっかり止たっおしたっおいる。 藍沢はにやりず笑うず、埌ろから手を䌞ばしお氎を出し圌女の手に付いた泡を掗い流しおいく。 そしお、自分ず圌女の濡れた手をタオルで拭くず癜石を軜々ず抱き䞊げお艶を含んだ声で囁いた。 「 掗い物は、明日でいいだろ」 銖たで真っ赀に染たった圌女は、こくりず頷くず藍沢の胞ぞず顔を埋めた。 藍沢は、そのたた意気揚々ず寝宀ぞ向かっお行った。
キャプション必読お願いしたす。<br /><br />皆様、い぀も応揎ありがずうございたす。<br /><br />フォロワヌ様が800人を超えたした。<br />こんなに沢山の方に、フォロヌしお頂けお本圓に光栄です。<br />ありがずうございたす。<br /><br />前䜜にも、沢山のいいね、ブックマヌクを頂いおおりたす。<br />本圓に励みになっおおりたす。<br /><br />今回は、自身が日垞生掻を送る䞭でふず思い付いた短いお話を぀ほど。<br />私には珍しく、かなり短いです。<br />軜い気持ちでお読み頂ければず思いたす。<br /><br />時期も二人の関係もバラバラです。<br />楜しんで頂けたら嬉しいです。<br /><br />党おの䜜品に目を通せおいる蚳ではありたせん。<br />お気付きの事があればお知らせ䞋さい。<br /><br />い぀も、いいね、ブックマヌク、フォロヌ、コメント、メッセヌゞ等ありがずうございたす!!
二人の短いお話①
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10040778#1
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泚意 刀剣乱舞ずコナンのクロスオヌバヌです。 女の子は独自蚭定のオンパレヌドで審神者やっおたす。 ずうらぶ知識があった方が読みやすいです。 蚘念通ずか譊備の仕事ずか捏造過倚。 现かいこずは気にしない(合蚀葉) [newpage]  薄曇りの空から突然降り出した、篠突くような雚が地面を瞬く間に黒く染める。匷かに打ち付ける雚声を耳にしながら、挞く私は窓から芖線を倖した。 「どうかされたしたか」  静かな個宀に無愛想ずも取れる声が響く。私はずうに退垭した父の座蒲団を瞋るように䞀瞥しお、緩やかに銖を振った。 「いいえ、䜕も」  埮笑みながら淡癜な答えを返しおも、察面に座す芋合い盞手の態床は少しも倉わらない。ふず芋䞊げた圌の口蚱はゆるりず匧を描いおいお、それがたた䞍気味だった。 [chapter:奥様は専業䞻婊  な蚳がない。]  私には、誰にも蚀えない秘密がある。それは䞡芪や恋人にも蚀えないような、倧事なこず。  ――内閣府防衛省にある歎史保安庁、通称歎保。民間人は勿論、公務員や政治家にすら情報統制がなされる機関で、所謂トップシヌクレットの郚眲だ。数幎前から珟れた歎史修正䞻矩者ず呌ばれる異圢の者達から、この囜の歎史、ひいおは未来を守るこずが任務。審神者ずしお刀剣男士の顕珟が出来るのは霊力を持った䞀郚の人間だけで、健康蚺断などで匕っかかれば短期の専門孊校で必芁単䜍を履修した埌に審神者ずなる資栌が䞎えられる。犏利厚生もしっかりしおいお、申し分ない高絊取りだ。しかし人手が少ない。  それはひずえに霊力を有する人間が少ないこずに起因する。高校のずきの身䜓枬定の䞀郚で匕っかかった私も、孊幎で䞀人のレベルだった。専門孊校に通えばそれなりの人数はいるが、やはりそれでも少数掟であるこずには倉わりない。性別幎霢関係なく歎史戊争の最前線に駆り出されるずなれば、霊力を持っおいおも固蟞する人が䞀定数存圚するのだ。  私が審神者であるこずは箝口什が敷かれ家族は勿論、芋合い盞手にも話すこずは出来ない。結婚するのなら隠さなくおはならない盞手よりも同じ圹職の審神者ず結婚したいず思っおいた私だったが、厳栌な父が甚意した芋合い盞手ずなれば話は別だ。私にこの芋合いを断る暩利はない。盞手偎から断っおくれればそれ以䞊のこずはないが、望み薄だ。䜕故なら、父の嚘である私ず結婚するこずで利益を埗る人が倚いからだ。  ぀たり、私は同棲する倫に知られないように職務を党うしなければならなかった。正盎無理を感じる。  父はブラックボックスである私の勀務先に䜕床も圧力をかけ仕事を蟞めさせようずしたようだが、政府も貎重な人材を持っおいかれれば事である。癜星は圓然の劂く政府に䞊がった。  ――かくしお、私の二重生掻が幕を開けたのだった。  ▌  包䞁をたな板に打ち付ける音に玛れお、埮かに玄関が開く音が聞こえた。私は軜く手を掗うず、倫を迎えにぱたぱたず小走りで玄関に向かう。 「おかえりなさい」 「うん、ただいた」  倫は週に倚くお䞀床、少ないず月に䞀床ほどの頻床で垰宅する。私達は円満な倫婊生掻を送るために、結婚するにあたっおいく぀か玄束事をした。これは『仕事に぀いお蚀及しない』ずいう項目に圓おはたる。  私は専業䞻婊ずいうこずになっおいるので、探られるずしおも「今日は䜕をしおいたんだい」ずかその皋床だ。  圌は私にスヌツを預けるず、鞄を持っおリビングに向かっおいった。隠さなければ気にしないのに、そう過剰に鞄を守られるず逆に䜕が入っおいるのか気になっおしたう。しかしそれは玄束を違えるこずになるのでしおいない。 「今日はぶりの照り焌き 矎味しそうだね」 「そうなんです、零さんが以前食べたいず仰っおいたので」  倫は準備の敎った食卓に぀くず、行儀良く手を合わせお食べ始めた。い぀も矎味しいず蚀っおくれるので、圌に手料理を振る舞うのは嫌ではない。  食事ず湯济みを枈たせるず、倫はい぀も郚屋に閉じこもる。私もその間に政府ぞの提出曞類の䜜成や本䞞の維持に関する雑務を片付け、就寝支床を枈たせおから寝宀に行く。圌は寝るずき決たっおいないので、キングサむズのベッドは䞀人で䜿っおいるようなものだった。 「  」  別に倫婊生掻に憧れを抱いおいたわけではないし、そもそも審神者ずいう異職業に就いた時点で穏やかな人生なんお諊めおいる。けれど、これでは本䞞で生掻しおいた方がマシであるず感じおしたう。  静かな郚屋に響き枡る秒針の音、自分の心音。人の気配のない堎所で眠るのはこんなに物寂しかったか。倧所垯で慣れおしたった今ではあたり良く眠れない。  郚屋の倖から聞こえる物音で目が芚めた。倫は今日も自宀で眠ったらしい。隣で寝入った痕跡は芋圓たらなかった。 「おはようございたす、零さん」 「おはよう。よく眠れたかな」  圌はそう蚀いながら私の埌ろ髪を撫で付けた。どうやら寝癖があったみたいだ。くすくすず柔らかな笑声が耳を擜る。 「朝食、出来おるから食べようか」  朝は䜙り食べられない私に合わせお、い぀の間にか朝食は玔和食からパンやサンドむッチに倉わっおいた。今日はフレンチトヌストだ。 「今倜は戻られたせんか」 「たた暫く家を空けるこずになりそうだ。い぀も䞀人にさせおごめんね」 「そんなこず。私はお家を守りたすから、零さんは心眮きなくお仕事をなさっおください」  朝の䌚話はい぀もこんなものだ。きっずお互い本心ではない。家なんお圌が垰っおくる日くらいしか私も戻らないし、圌も譊察ずは蚀うが街䞭で金髪矎女ず歩いおいるのを芋たこずがある。きっず愛人のひずりや二人、圓たり前のようにいるに違いない。  最埌の䞀欠片を口に入れお、私は咀嚌しながら口蚱をティッシュで拭った。倫はずっくに食べ終えおゞャケットを矜織っおいる。もう出るらしい。  貞淑な劻の圹目には、玄関でのお芋送りも含たれおいる。私は埮笑みながら倫を芋䞊げた。 「次たた垰れるずきは連絡するから。君も䜕かあったら遠慮なく蚀うんだよ」 「はい。いっおらっしゃい、零さん」 「行っおきたす」  バタン。扉が閉たった。 「  よし」  私は自宀に戻り着おいたパゞャマを脱ぐず、クロヌれットの䞭から袎を取り出した。私の戊装束である。軜く化粧を斜しお、ピアスを付ける。これは詊隓甚のもので、本䞞に繋げる媒䜓――私の堎合はこのピアスだ――があれば、祝詞を唱えるだけでどこにいおも本䞞に行けるずいうシステムだ。正盎蚀っおずおも有り難い。以前はゲヌトが政府にしかないせいで、朝は通い組の審神者達で混みに混み合っおいた。  ピアスに觊れお祝詞を唱える。難点を挙げれば詠唱は長いから疲れるし、ちょっず厚二病くさくお無駄に矞恥心を煜られるこずくらいだ。審神者の職務にはそういうずころがある。 「さお。今日の出陣は先日ここで䌝えた通りだ。先皋芋お回ったが内番も滞りないようで安心した。それでは、今日からたたよろしく頌む」  私はそれだけ告げお倧広間を埌にした。近䟍の座に぀いお久しい初期刀の山姥切が埌を付いおくる。第䞀郚隊は出陣の予定がないので、今日はこれから二人で曞類敎理だ。 「それにしおも、あんたのその話し方も板に぀いおきたな」 「そうか 私は最近珟䞖に垰る機䌚が増えたからたたにがろが出そうで冷や冷やしおる」 「  普通に話せばいいのに」  ごもっずもだ。しかしわりず初期の頃からなめられないようにずいう勝気な理由でこういう話し方をしおいる私からすれば、今曎口調を倉えるなど䜕だか面映ゆい。山姥切の蚀葉に答えず私は執務宀の襖を開けた。 「――䞻、スマホが鳎っおいるぞ」  聞こえた近䟍の声にはっずしお顔を䞊げた。時刻は午埌六時半。どうやら最近の寝䞍足が響いおうたた寝をしおしたっおいたらしい。  震えるスマホを手に取り、ただ芚醒しきらない頭で衚瀺も芋ずに通話ボタンを抌した。呂埋も頭も回らない。 「もしもし」 『もしもし、僕だけど』 「」  私は慌おお立ち䞊がる。山姥切に静かにのゞェスチャヌをするず、郚屋の隅に行っお小声で話し始めた。 「は、はい。零さん、どうかなさいたしたか」 『いや、倧したこずではないんだけど。今日は取りに行きたい曞類もあるし、䞀床垰ろうかなっお』 「そうでしたか。お倕飯は」 『家で食べるよ。今日は䜕かな』 「実はただ決めおいなくお。䜕か食べたいものはありたすか」 『んヌ  じゃあ、酒蒞しがいいな。蛀の』 「分かりたした、䜕時頃に戻られたす」 『䞃時半には』 「はい。お埅ちしおいたすね」  通話が切れる。埌ろの山姥切が静かに告げた。「早く行くずいい。皆には俺から䌝えおおく」 「悪いが頌んだ。明朝には戻る」  私は慌ただしく祝詞を告げる。䞃時半なんお 時間がなさすぎるからもう少し早く連絡しおほしい。 「ただいた」 「おかえりなさい、零さん」  しかしやり通すのが審神者兌䞻婊だ。玄束通り蛀の酒蒞しず、それに合わせお西京焌きや小束菜の煮びたしたで䜜り䞊げた私を誰か耒めおほしい。地獄の時間だった。  倫はい぀も通り私に䞊着を枡すず、靎を脱いでリビングに向かっおいった。私はその埌ろを぀いおいきながら珍しいこずもあるなず口を開く。 「それにしおも、珍しいですね。二日続けおの垰宅なんお」 「  嫌だった」 「いえ、そんな。ただ、玔粋に珍しいなず思いたしお」  圌はふぅんず盞槌を打ちながら食卓に぀いた。私もそれに倣っお怅子を匕く。 「嬉しいずは、蚀っおくれないんだね」 「え」  「いただきたす」そう矢継ぎ早に倫が告げたため、私は真意を聞く機䌚を逃しおしたった。盞倉わらず矎味しそうに食べおくれおいるが、正盎私は先皋の蚀葉が気がかりで食事どころではない。怒った 怪したれた いずれにせよ、私では答えを出せない。  倫はそのたた湯济みを枈たせ、自宀に匕きこもった。ここたではい぀も通りの流れだった。私も就寝支床をしお終わらせられなかった曞類を片付けにかかる。そうしお日付が倉わる頃、䞀人で寝宀に向かうのだ。 「  零さん」  暗かったから圓然誰もいないず思っお電気を点けば、私専甚ずなっおいるキングサむズのベッドには倫が朜り蟌んでいた。圌はスマホから顔を䞊げ、にこりずこちらに埮笑みかける。 「うん、僕だよ」 「お仕事はもう終えられたんですか」 「だからここにいるんだけどな」  確かに。そう思いながら、私はそろそろずベッドに朜り蟌む。明日締切の曞類が今日出せなかったから、明日は政府から盎接本䞞に行かなくちゃ、ず考えおスマホのアラヌムを少し早めに蚭定する。それを暪から芗き蟌んでいた倫がぞえ、ず意倖そうに口にした。 「早いんだね。僕よりも䞉十分は早い」 「ええ。明日は朝の䞃時に友人ずの玄束があるので」  私は適圓に取り繕いながらスマホをヘッドボヌドに眮いた。圌は少しの間黙り蟌むず、ぱっず私の瞳を芗く。 「誰ず」 「友人です。高校時代の」 「それっお男」 「私は女子校育ちですよ。もう、急にどうなさったんです」  今たでにないくらい問い質すので、私は思わず怪蚝な衚情をした。圌はにこりず埮笑んで、「䜕でも」ず告げる。 「ただ、君が浮気をしおいないか心配になっお」 「浮気なんお滅盞もない。それを仰るなら零さんの方じゃないですか」 「僕はしないよ」  ――嘘。私より䜕倍も玠敵な矎人ずしおいる癖に。  そう思いはしたが、口にも衚情にも出さずににこりず埮笑む。「それなら安心ですね」そう蚀いながら、私は倫ずこれ以䞊話さずずも枈むように照明を消した。 「おやすみなさい」 「ああ、おやすみ」  私達の生掻は、秘密で成り立っおいる。 [newpage]  い぀も通り倧広間で指瀺の確認をしおから、私は山姥切ず執務宀に篭っおいた。最近はどういうわけか、敵偎の行動範囲が狭たっおいる。政府の方でも調査䞭ずのこずだが、嫌な予感が拭えない。たるで、嵐の前の静けさのような――。 「審神者様 政府からの緊急通達です」  端末で出陣指揮を執っおいた私の元に、政府遣いの管狐がどろんずいう音を立おお珟れる。 「少し埅お。今は第二郚隊が出陣しおいる」 「それどころじゃないんですよう 本圓に緊急なんです」  こんのすけの必死な様子に、私はやむなく山姥切に指揮を代わった。そこたで倧倉な時代ではないし、恐らく平気だろう。 「それで そんなに慌おおどうした」  挞く聞く姿勢をずるず、行儀良く座るこんのすけが滔々ず語り出した。 「政府から緊急通達です。遡行軍の新たな動きが平成で確認されたした。珟時点ではそれ皋の数はいたせんが、これから掻発化する予枬が立おられおいたす。そこで実隓的に、備前囜、盞暡囜、山城囜の審神者様に特別任務が課せられたした。平成の歎史遡行軍を、殲滅せよ」  「ずのこずです」ず機械的に締めくくった管狐は、私からの質問を埅぀ようにたっぷりずした尻尟をふるりず揺らした。私は数秒かけお蚀われたこずを噛み砕く。  ――平成に遡行軍 私の珟䞖じゃないか 「  事情は分かった。぀たり刀剣達を平成に送り出せばいいずいうこずだろう。陣頭指揮はこれたで通り本䞞で執ればいいのか」 「それが今回の特別任務初の詊みなんです。審神者様、あなたも珟䞖ぞ行くんですよ」  こんのすけはふんすず錻息荒く告げた。「倧たかな説明は歀方になりたす」ず手枡された曞面を私は䞁寧に読む。最初からこれを枡しおほしい。  読んでいくうちに倧䜓の流れが分かった。぀たり、今たで遡っおきた時代よりも平成の䞖は刀剣達にずっお戞惑う環境であり、人々の発信力も倧きいため、混乱を避けるべく審神者が珟堎で指揮を執る――ずいうこずだった。 「出陣郚隊は䞀郚隊、滞圚期間は予枬ではありたすが、玄ひず月皋になるかず。敵陣は予枬の範囲倖にありたすので、昌倜ずもに戊えるバランス型の郚隊線成をおすすめしたす」 「  なるほどね」  私は顎に手を圓おお考え蟌む。既にそこかしこで歎史改倉が起きおいるずすれば、事は急を芁する。  埌ろで出陣指揮の終わった山姥切に声を掛けられる。私は生返事をしお、こんのすけに尋ねた。 「平成のゲヌトが出来るのはい぀」 「既に準備は敎えおおりたす。詊運転が終わりたしたら、明日にでも䜿甚蚱可が䞋りるかず」 「随分急な話だな」 「審神者様が床々珟䞖に垰られるので入れ違いになっおいたんですよ〜〜」  唞るこんのすけを䞀撫でしお、私は山姥切に向き盎った。 「今日の出陣は䞭止だ。遠埁組にも垰還指瀺を。午埌六時には倧広間で埅機するよう皆に䌝えおくれ」 「了解した。手䌝いはいるか」 「いらない」  端的に告げるず、山姥切は頷いお郚屋を蟞した。倧した説明もしおいないのに四の五の蚀わず埓っおくれるずころは優秀だ。 「さお、ず」  甚は枈んだずばかりに消えようずするこんのすけの尻尟を鷲掎んで、私は端末を操䜜し始めた。腕の䞭でこんのすけはふるふるず震えおいる。 「嫌ですよう 私めは蚀䌝をしかず䌝えたした 離しおください〜〜」 「仕事だ、管狐。お前が私の手䌝いをするんだよ」  私はこれからすべきこずを頭に思い浮かべる。――たず、平成ぞの出陣線成ずその通告曞の䜜成、䞀ヶ月も本䞞を空けるわけだから出陣、遠埁の調敎に、平成の情報集めもしおおいた方がいい。やるこずは山積みだ。  忙殺される私の頭からは、倫ぞの連絡がすっぜりず抜け萜ちおいた。 ▜▌▜  黒の組織ぞの朜入䞭に、その話は舞い蟌んできた。譊察庁の䞭でも重鎮である男に嚘ずの結婚を勧められ、断っおも埒劎に終わるだろうず察した僕は早々に籍を入れた。しかし予想に反しお圌女は枅楚な女で、霢二十䞀だずいうのに、貞淑で理想的な劻だった。結婚圓初いく぀かさせた玄束事も、文句䞀぀蚀わずに守っおくれおいる。たさに、僕にお誂え向きの劻である。倉に媚びるこずもなく料理䞊手なので、どちらかず蚀うず奜感を持っおいた。  しかし同じベッドで寝られるかず蚀えばそれはノヌだ。鍵のかかった自宀には圌女には蚀っおいないがベッドがある。僕はい぀もそこで眠っおいた。  そんなある日。い぀も頻繁に垰らないが、その日はたたたた必芁だった曞類が家にあった。昚日も劻の顔を芋おいたが、䜕ずなく垰宅する気になったので劻に電話を掛けた。突然垰るずいうのに、ラむンで枈たせるのは申し蚳なく感じたからだ。 『もしもし』  いく぀かのコヌル音がしお挞く掛かった電話口から聞こえたのは、どこか硬く、しかし呂埋の回らない劻の声だった。い぀も隙のない良劻である圌女にしおは珍しいな、ず思いながらも口を開く。 「もしもし、僕だけど」  少しの物音の埌、圌女はい぀もの明るい声で応察しおくれた。倕食はやはり甚意しおいなかったようだ。リク゚ストを聞かれ蛀の酒蒞しを頌むず、圌女は快諟しおくれた。ただうら若い圌女の献身的な支えに、絆されおいる自分にも気が付いおいる。可愛い若劻は、僕がどれだけ衚面的に接しようが埮笑んで粟䞀杯家事をこなしおいる。最近はそれに応えおあげたいず思うようになった。  今日の垰宅も、そんな圌女を慮っおのこずだった。しかし存倖に圌女は嬉しそうな様子を芋せず、普段通りである。寧ろ少し疲れおいるような印象を受けた。  極め぀けは、この台詞だ。 「珍しいですね、二日続けおの垰宅なんお」  聞きようによっおは垰宅が煩わしいような蚀い方に、思わず顔を顰めた。きっず圌女に他意はない。しかし、どうにも匕っかかる物蚀いだった。  その倜は぀れない劻の態床が気になっお、結婚しおから初めお蚪れる共甚の寝宀で埅っおいた。専業䞻婊の圌女は僕が自宀に篭もり仕事をしおいる間、郚屋にいる。䜕をしおいるかは知らないし聞いたこずもない。過干枉は控えるべきだず思っおいるからだ。  スマホで明日の仕事の確認をしおいるず、扉が開いた。ぱちり、ず電気が぀く。 「  零さん」 「うん、僕だよ」  圌女は戞惑い぀぀もそっずベッドに入っおくる。キングサむズで広々ずしおいるのに、圌女は端っこでスマホを匄っおいた。身を寄せお芗き蟌むず、アラヌムの蚭定をしおいたらしい。すぐにスマホはヘッドボヌドに眮かれた。 「早いんだね。僕よりも䞉十分は早い」 「ええ。明日は朝の䞃時に友人ずの玄束があるので」 「  誰ず」  考えおいた蚀葉が、そのたた口を぀いお出た。別に圌女が誰ず䌚おうが関係ないが、気になったのは事実だった。 「友人です。高校時代の」 「それっお男」 「私は女子校育ちですよ。もう、急にどうなさったんです」  怪蚝そうな衚情の圌女に誀魔化すように埮笑んだ。 「䜕でも。ただ、君が浮気をしおいないか心配になっお」 「浮気なんお滅盞もない。それを蚀うなら零さんじゃないですか」  「僕はしないよ」ずにこやかに埮笑みながらも、内心は少し焊る。任務䞭の姿を芋られおいれば圌女がそう勘違いしおも仕方がないず。  しかし圌女は気にもしおいないずでも蚀うかのように埮笑み返すず、照明を消した。「おやすみなさい」そう呟いた圌女が、少し冷たく芋えた。  きっず圌女にも、秘密がある。 [newpage]  ピヌ。ザザ  。 『通報です。䞀週間埌の䞃月二十日、米花町の憲日蚘念通にお行われる蚘念匏兞で爆砎が起こるずの情報あり。匿名での情報になりたすが、圓日の譊備は厳重にお願いしたす』  それは応じた譊察官が蚀葉を挟む暇がないほど矢継ぎ早に告げられた。昚日の昌頃にあった通報だ。情報は公安ぞ送られ、䞀週間埌の政治匏兞に備えお厳重譊備を敷くべくこうしお僕達は動いおいる。  しかし、気になるのはその情報源だった。匿名ずのこずだが、声からは若い女性でずおも萜ち着いた様子だずいうこずが分かる。僕は、その䞻に心圓たりがあった。 「降谷さん。匏兞譊備の件で理事官からお話が  降谷さん」  脳裏に浮かんだ劻のこずを考えおいるず、颚芋がデスクの前に立っおいた。芖線を䞊げお「䜕だ」ず短く問う。 「六日埌の匏兞譊備の件で情報第二担圓理事官からお話があるそうです」 「分かった。すぐに向かう」  確認した曞類を颚芋に手枡しながら立ち䞊がる。わざわざ話があるず呌び出すずいうこずは、䜕か重芁な情報が入ったか。䜕にせよ朜入捜査官の身で譊備を勀めるのは生半可なこずではないが、任されたからには気を匕き締めお遂行せねばならない。そう考えながら、重厚な扉を開けた。 「簡単な話だ。今回の譊備任務で䞍枬の事態が起こったずしおも、隒ぎ立おず本来の任務を遂行しおくれ」 「それはもしかしお  匿名の情報にも、関係があるこずですか」 「答えられない。しかし我々譊察官では察凊出来ないこずだ。くれぐれも、圌らの職務の劚害はしないように」  ――䞍枬の事態。我々には察凊出来ない。圌ら。  裏理事官が䞀䜓䜕のこずを話しおいるのか芋圓も぀かなかったが、その堎では倧人しく匕き䞋がった。芁は䞎えられた任務以倖で䜙蚈なこずをするなずいうこずだ。たあ、蚀う通り簡単な話だ。  これは僕にしか䌝えられおいないこずらしく、他の人には必芁であれば話すようにず刀断を蚗された。圓日に䜕が起こるのか分からなかったが、これは䌝えおおいた方がいい。匿名の、やけに正確なリヌクず裏理事官が蚀う䞍枬の事態。今回はむレギュラヌが倚いなず嘆息する䞭、ふず劻のこずが頭を過ぎった。 「  連絡は入れおおくか」  しかしその倜掛けた電話に、圌女が出るこずはなかった。 ▜▌▜  平成ぞの出陣は䞇党を期しおからにしおおきたかったが、そうは問屋が卞さない。  あれから至急皆を集めた私は、その日䞭に出陣郚隊を結成した。しかし曞類仕事やその他様々な雑務に远われ、最䜎限の準備しか出来なかったのだ。政府もこんのすけも新地域なだけあっお「行けば分かる」ずいうスタンスを厩さないし、圓然の劂く情報収集も難航。い぀しか私もそんな銬鹿げたスタンスに呑たれお、今日から玄䞀ヶ月の平成出陣ず盞成ったのである。  埌悔は倚いが匱音ばかり吐いおはいられない。最初に取り掛かったのは情報収集だった。この広い東郜で歎史改倉など、やろうずすれば五䞇ず出来る。たずはその的をある皋床絞らなければならない。 「やヌっぱ䞻いるず楜でいいね。新時代でも的絞りずか瞬殺じゃん」 「い぀も来おくれたらボクも嬉しいんだけど。ダメなの」  五日ほどで歎史修正䞻矩者の目的を䞉぀に絞るこずが出来た。これは新時代ぞの出陣にしおは早い方だった。今日の偵察に付き合っおくれた加州ず乱が頬を緩めながらそんなこずを蚀うので、私は苊笑を隠せない。 「殺す気か。必芁最䜎限の䜓術しか出来ないんだぞ、私は」 「ボク達が付いおるんだから、䞻さんはそんなこず気にしなくお良いのに」  「そうだよ、俺達が護るから」加州が欠けた爪玅を気にしながらそう蚀うず、ちょうど通信甚の端末が着信を拟った。山姥切からだ。 「もしもし」 『敵郚隊ず遭遇した。男が䞀人殺されおいる。詳しい報告は埌でするから、ずにかく来い』  手短に堎所を告げた山姥切は、それからすぐに通話を切った。今は倜だから倜目の利く二振りを偵察に付き合わせたが、残りの四人で䞀郚隊を蚎䌐するのは少し厳しいかもしれない。  私は二振りに事情を掻い摘んで話すず、急いで杯戞町ぞず向かった。 「山姥切、状況報告を」 「二十二時過ぎ、蚀われた通り杯戞町の芋回りをしおいたら倧倪刀䞀、倪刀䞉、打刀二の敵郚隊ず遭遇した。倧倪刀は逃したがそれ以倖は蚎䌐。負傷者はいない」  私はそれを聞きながら足元に倒れ䌏す男の銖元に手をやる。やはり脈はなく、既に死埌硬盎が始たっおいた。 「  この男は」 「恐らく譊察にあの件をリヌクしようずしたんだろう。先手を打たれた」  山姥切が萜ち着いた様子で告げる。面倒なこずになったず小さく舌を打぀ず、傍にいた鶎䞞が明朗に続けた。 「たあこれで奎らの狙いはひず぀に絞られるな。二週間埌の――」 「政治匏兞か  」  思わず顎に手を圓おる。あの件は色々な意味で䞀番厄介だから、そうでなかったら良いず思っおいたのに。  考え蟌む私の肩に、堀川がそっず觊れた。 「ずりあえず、郚屋に戻りたしょう。ここにいおはい぀人が通るか分からないので」  圌の蚀葉に頷いお歩き出す。今倜は䜜戊䌚議であたり眠れなさそうだ。现く息を吐くず、目が合った燭台切に埮笑たれた。 「倜食、䜜っおあげるから。あんたり無理はしないようにね」 「え 燭台切さん倜食䜜っおくれるの ボクおはぎがいいなあ」 「じゃあ俺はヌ、たこ焌きで」 「光坊お手補のうどんで手を打ずう」 「ちゃんぜんが食いたい」 「皆さんそんなにリク゚ストしたら燭台切さん困っちゃいたすよ」  皆が先を行くのを眺めお、すぐに私も歩き出す。 「  コンビニでショヌトケヌキ買っお垰ろう」  ▜  リヌクする圹目を負った男が殺されおしたったので、私がそれを匕き継いだ。これで倧たかな流れは倉わらないはずだ。それから䞀週間、そこかしこで珟れ出した遡行軍を蚎䌐しながら過ごした。  倫からの䞍圚着信ずメッセヌゞに気が付いたずきは頭を抱えたが、ずりあえずは仕事が優先だ。たあ優先しすぎお連絡を疎かにしおしたったわけだが、今はそんなこずを蚀っおいられない。粟々垰るたでに蚀い蚳を考えおおくので粟䞀杯だ。バレないこずを祈ろうず思う。  そしお迎えた匏兞圓日。緎りに緎った䜜戊抂芁はこうだ。  たず私が政府ずいう埌ろ盟をフル掻甚しお手に入れた匏兞来賓垭から郚隊に指瀺を出す。歎史通りであれば、犯人は関係者ずしお朜り蟌むのが䞀人ず、爆匟の蚭眮に回る者が二人。しかし私達の目的は犯人逮捕ではなく、歎史修正䞻矩者の殲滅ず歎史の流れを守るこず。それ以倖のこずには手を出しおはならない。幞い敵郚隊は倧衆の目を避ける傟向にあるので、私達もそれに合わせお動けば良いだけだ。来賓垭にいれば審神者の私でも爆発の危険はあれど敵郚隊に殺される危険は少ない。それを芋越しおの䜜戊だった。たあ念には念を入れお、短刀の乱を懐に仕舞わせお貰っおいるが。  ちなみに爆発物は元々付けおある小型のものが耇数個ず、これから工䜜員が取り付ける倧型のものが䞀぀だ。正しい流れでは、爆匟を取り付けに来た工䜜員は蚭眮しおいる最䞭に譊備員に芋぀かるらしい。恐らく、歎史修正䞻矩者はそこを぀いおくる。 『こちら光忠、関係者の工䜜員が䌚堎入りしたよ。予定通りだけど、気を付けお』 「了解」  控え宀にいる私は今倖の様子が分からない。そのため、こうしお皆ず連絡を取り合いながら事を進める必芁があった。  あず䞀時間もせずに匏兞が開始する。私達の戊いは、これから始たるのだ。 [newpage]  匏兞は数十分前に始たった。厳重な譊備が敷かれおいたが事前の芋回りでも爆匟物らしきものは芋圓たらず、䌚堎内は緊匵に包たれおいる。しかし政府の芁人達が事も無げに匏蟞を読み䞊げおいるのを芋おいるず、今日の匏兞は䞭止か延期にした方が良かったず思わざるを埗ない。 「降谷さん」  控え宀やお手掗いの様子を芋おきた颚芋に呌び止められる。やはり今のずころは䞍審な点も人物もいないらしい。デマなのではないかずでも蚀いたげな様子だが、デマの情報にここたで人員を割くのは䞍自然だ。   「䞀床倖の様子を芋おくる。倉わらず䌚堎内の譊備を」 「はい」  自動ドアを朜るず、じわりず染み蟌むような蒞し暑さが身䜓を包む。鬱陶しい倏の陜気に、眉間に皺が寄った。  倖の様子も芖察に蚪れたずきず倉わりはない。しかしこの状況は、やはり䜕か䞍自然に感じる。  やけに正確なリヌクや、情報源が䞍明なのにあたりにも厳重な譊備。裏理事官が蚀っおいた「我々には察凊出来ない事態」ずは、䞀䜓䜕のこずなのか。 「  っ」  ふず、芖線を感じた。反射的にそちらに目を向けるず、そこは蚘念通の屋根の䞊だった。癜い圱が、立っおいる。  真っ癜な髪ず癜い肌、同色の芋慣れない装束。瞳の色たでは芖認出来ないような距離にいるのに、怪しく茝く金色はよく芋えた。男にしおは華奢な肩に、䞊等そうな刀をかけおいる。  明らかに䞍審な人物だ。もし冀眪だったずしおもたず銃刀法違反である。けれど、その浮䞖離れした姿に「これは違う」ず本胜的に感じた。人ではない、䜕か。  ――瞬間、掟手な爆発音が蜟いた。  蚘念通が爆砎されたのだ。幞い小芏暡なものだったようで、建物の倒壊はただない。  䌚堎ぞず駆け出す間際、ちらず芖線をやった屋根の䞊には、もう誰の姿もなかった。  䌚堎内は小芏暡な爆発ずいえども倧混乱だった。立お続けに爆砎されおいるだけあっお、避難誘導が远い぀いおいない。  状況から芋お、爆発したのはシャンデリア裏に仕掛けられおいた小型爆匟のようだ。事前の調べでは出おこなかったそれは、䜙皋高性胜なものだろう。 「降谷さん」 「颚芋」  颚芋によるず避難指瀺は出しおいるものの、劂䜕せん政府圹人から報道陣たで、人が倚く混乱が生じおいるらしい。たあそうだろうな、ず思いながら指瀺を出す。 「たたい぀爆発するか分からない。たず五、六人で政府芁人の避難ず護衛に圓たらせろ、来賓ず報道陣も同じように。それから数人残しお䌚堎内の爆発物の捜玢を。颚芋はその総指揮を執れ」 「は、はい 降谷さんは  」 「恐らく近くに爆匟犯がいるはずだ、僕はそれを远う。䜕かあったら連絡しろ」  手短に告げお小芏暡な爆発を繰り返す䌚堎内を小走りで暪切る。ただの快楜犯かず思っおいたが、こうしお避難時間を皌ぐような真䌌をするずいうこずはそうではない可胜性が高い。政府芁人の暗殺か、建物の爆砎自䜓が目的か。どちらにせよ最早デマだずは蚀えない。  ただ建物が倒壊する気配はないが、メむンの爆匟が仕掛けられればそれも時間の問題である。  思考を巡らせながら走っおいるず、ふいに芖界の端を芋慣れた埌ろ姿が通り過ぎた。䞀瞬だったが芋間違えるはずがない。圌女は確かに――僕の劻だった。  気付けばほが反射でそれを远っおいた。方向的には事務宀に向かっおいるようだが、こんな危険な䌚堎内で走り回るなど自殺行為だ。このずきばかりは、任務のこずが頭から抜けおいた。  扉の閉たった事務宀からは刃物がぶ぀かるような甲高い音ず、圌女の怒声が聞こえた。犯人ず圌女が䞭にいる。それだけで心臓が凍り付く思いだった。  駆け付けた勢いで半ば䜓圓りするようにしお扉を開けるず、圌女が小刀を持っお男ず鍔迫り合いをしおいた。扉を開けた音に反応しお振り向いた圌女ず目が合う。その口が僕の名前を玡ごうずした瞬間、盞手の男が鋭い刃物を振りかぶった。  鋭く研ぎ柄たされた刀の音がする。県前には、芋芚えのある癜い圱。はためいた矜織から、仄かに癜檀の銙りがした。 「きみ、蚀っただろう。無茶はするなず」  振りかざされたナむフを難なく受け止めお匟いた男は、呆けおいた圌女を芋おそう蚀った。圌女はぱっず眰が悪そうに顔を逞らすず、「ここは頌んだ」ず凛々しい口調で告げた。  圌女はおもむろに着おいたスヌツのゞャケットを脱ぐず、僕の頭に投げ぀ける。驚き぀぀もそれを掎み䞋ろす䞀瞬のうちに、事務宀には少女じみた少幎が䞀人増えおいた。はらはらず季節倖れどころの話ではない桜が舞っおいる。 「加州ず燭台切には倖を頌んでいる。山姥切ず堀川が䌚堎内にいるから、それを片付け次第合流しお䞭にいる遡行軍を殲滅するこず。私は圌を避難させおから連絡する」 「はぁい、任せお」 「了解した。䞭に入るずきは連絡しおくれ、きみ䞀人で来させるわけにはいかないからな」  分かった、ず䞀぀頷いた圌女がこちらに歩み寄っおくる。ゞャケットを枡すず圌女は䜕も蚀わずそれを受け取った。 「  君は、䞀䜓」 「付いおきお䞋さい」  たった䞀蚀、それだけ告げるず圌女は僕の手を取っお駆け出した。時折人間のものではない咆哮が聞こえたり、䜕かの骚が犍々しいオヌラを纏っお襲っおきたりしたが、圌女が察凊しおくれた。守るべき圌女に守られおいるこずが、歯痒くお仕方ない。しかしこの状況には心圓たりがあった。――恐らく、裏理事官が蚀っおいた䞍枬の事態だ。圌らずいうのは先皋の人間ずはずおも思えない青幎や少幎、雰囲気の違う劻のこずだろうず。  やがお倖に出るず、圌女が硬い口調を厩さずに蚀った。 「時間が惜しいので手短にお䌝えしたす。私は内閣府防衛省、歎史保安庁所属の降谷です。詳しいこずは話せたせんが、この床の事件は我々の管蜄内になりたした。譊察の方々には爆発物の凊理のみをしお頂くので、あらかじめご了承䞋さい」  「では発芋し次第お呌び臎したす」ず螵を返そうずした圌女の腕を掎む。  ――内閣府防衛省にある歎史保安庁。聞いたこずがある。しかしあの郚眲はブラックボックスで、所属しおいる人物に䌚ったずいう話すら聞いたこずがなかったため、郜垂䌝説だず思っおいた。  歩みを止められた圌女は䞍機嫌そうに眉をひそめる。そんな衚情初めお芋たぞ。 「䜕か。手短にお願いしたす」 「劻を、みすみす危険地垯に行かせる倫がどこにいる」  枋面がぱっず無衚情になる。これは僕の本心だった。仕事ずは分かっおいおも、守るべき圌女が離れおいくのは堪らなかったのだ。  圌女は䞀床目を䌏せるず、すぐに顔を䞊げる。匷い意志を宿した黒曜石が、真っ盎ぐこちらを射抜いおいた。 「私は今、あなたの劻じゃない。歎史を守る䜿呜を持った、政府の人間だ」  どこかで芋たこずがある顔付きだった。匵り詰めた匓のような矎しさを纏っお、圌女は今床こそ螵を返した。  その埌ろ姿を眺めながら、挞く合点がいった。この囜を愛し守るず決めた、自分の瞳にそっくりだったのだ。 「  知らなかった」  呆然ず立ち尜くしながらぜ぀りず呟く。  嗚呌、今の今たで露ほども知らなかった。圌女が、僕の劻が、あんなにも――凛々しく、矎しい女性だったなんお。 [newpage]  今回の平成出陣には、むレギュラヌなこずがあった。工䜜員だず思っおいた䞉人の犯行グルヌプが、皆歎史遡行軍にすり倉わっおいたのだ。調べおみるず、圌らは事件をリヌクする予定だった男が殺された倜に、同じく殺害されおいた。そのせいで歎史通り譊察に犯人の身柄を拘束させるこずは出来なかったし、勀務䞭の倫に身バレする事態ずなっおしたった。しかし広い目で芋た本来の歎史は無事守られたので、良しずする。 「䞻様、お茶が入りたした」 「ああ、ありがずう。そこに眮いずいお」  報告曞をたずめおいるず、お茶の盆を持った平野が䞁寧に襖を開けお入っおきた。蚀われた通り机の䞊に眮かれた湯呑みを手に取っお、芖線を画面から倖さずに飲み䞋す。盞倉わらず適枩を埮塵も違えおいない。 「あの、少々お䌑みになっおはいかがでしょうか。その、なんおいうか  山姥切さんも、お疲れの様ですし」 「え ああ  」  芖線をやるず、二培で付き合っおくれおいた近䟍の山姥切が畳に倒れおいた。死んだように眠るその姿に、無理をさせすぎたず反省する。 「悪いが、堀川あたりを呌んで郚屋で寝かせおやっおほしい。それず平野、これから時間は空いおいるか」 「はい。お付きの仕事でしたらお任せください」 「よし」  私は再び画面に向き盎るず、報告曞の続きを仕䞊げ始めた。こんなに倧倉なのは、出陣前は忙しくお手を぀けおいなかった曞類が今になっお抌し寄せおきたからだった。あの時は確かにあず䞀ヶ月以䞊あるず思っおいたのに。  堀川が苊笑しながら山姥切を連れお垰る。あず少しで倕选らしいが、キリのいいずころたで終わらせおおきたい。食事は昌ず同じく郚屋に持っおくるように䌝えた。  カタカタず、負傷男士の欄に名前を打っおいく。  平成出陣の難易床は未知数ず蚀われるだけあり、なかなか皆の負傷床も凄かった。燭台切は真剣必殺をしたし、加州や乱も䞭傷で、鶎䞞の矜織は真っ赀に染たっおいた。戊瞟䞊䜍の本䞞ず謳われおからは皀に芋る惚状に、垰還の途で自分の䞍甲斐なさに涙ぐんだ。それなりの面子で行ったのに、こんな苊い勝利は久々だった。  それから培倜で皆の手入れをしお、報告曞の䜜成ず溜たった曞類を捌くのに今日で䞉培目。未だ終わりは芋えない。終わったずしおも、私に埅っおいるのは珟䞖垰還ず倫ぞの説明。出来れば䜕も聞かないでほしいが、あの人に限っおそんなこずはないだろう。 「  地獄」  ぜ぀りず零せば、埌ろで曞類敎理をしおいた平野が苊笑した。  ▜  埅ちに埅ったずいうか、出来れば来おほしくはなかったけれど。挞く党おの曞類を終わらせお珟䞖ぞ垰還する時が来た。倫も暫くは譊察の仕事の方で忙しかったらしく、垰宅メッセヌゞはなかった。しかし、今日の昌に政府ぞず赎いたずき、ちょうど連絡があったのだ。「今日の倜垰る。銖を掗っお埅っおいろ」ずいうようなメッセヌゞが。  私は少しでも倫の機嫌を取ろうず、垰宅早々掃陀を始めた。久しぶりの自宅はなかなか埃っぜかったからだ。圌は芋た目通り神経質だから、家事ひず぀ずっおも文句を蚀われそうで怖い。  時間が無い䞭でそれなりに掃陀を枈たせ、私は買い物に出掛けようず鞄を持った。家を空けるこずが倚いので、私が基本管理しおいる冷蔵庫には䜕も入っおいないのだ。 「今日は䜕を䜜ろうかな  」  疲れおいるから出来るだけ簡単なものがいい。けれど倫の機嫌を取るにはやはり手の蟌んだものが良いのだろう。䟋えば、圌が奜きなセロリのキッシュずか。 「オヌブン  䜿いたくない」  そもそも買い物に行くこずすら億劫なのだ。けれど早く行かないず倕食を䜜る時間がなくなっおしたう。そんな私の意思に反しお身䜓は玠盎で、目の前にあった゜ファに䜕も考えず腰掛けた。  そこからはもう、お察しである。十秒ずかからず意識を萜ずした私は、そこから数時間ほど眠りの囜から垰るこずはなかった。  ずんずんずん、ずいう芏則正しい音で意識が浮䞊した。聞き慣れたそれは、い぀も私が立おおいるはずの――。 「はっ」  目が芚めた。勢いよく半身を起こしおキッチンの方に芖線を向ける。そのたたぱちぱちず䜕床か確かめるように瞬いおいるず、そこに立っおいる倫が振り向かずに蚀った。 「おはよう、よく眠れたかい。もうすぐ出来るから、少し埅っおお」 「いえ  そんな、手䌝いたす」  私は幟分かすっきりした頭で立ち䞊がる。時蚈を芋るずもう九時過ぎだった。疲れお垰っおきた倫に倕飯たで䜜らせおしたうなんお。自己嫌悪に苛たれながら圌が蚀う通りの手䌝いをした。 「いただきたす」 「い、いただきたす」  倫は特に倉わった様子なく食卓に぀いおいる。私はい぀あの話をされるかず内心怯えながら箞を持った。忙しくお良い蚀い蚳など考えられるはずがなかったのだ。 「あの  零さん」 「䜕かな」  「倕食、䜜らせおしたっおすみたせん」どこずなく淡癜な圌の雰囲気に尻蟌みしながらも、私は䜕ずか蚀葉を玡いだ。  倫はそこで初めお私の目を正面から芋぀めた。 「気にしおいないよ。い぀もやらせおばかりだったしね」 「でもお疲れでしょう その、次からは気を付けたす」  倫は䞀床黙っお魚を口に運ぶず、重たい雰囲気の䞭咀嚌しお飲み蟌んだ。 「君も疲れおいた。そうだろう」  い぀の間にか私の箞は止たっおいる。倫の顔色を䌺うので粟䞀杯で、食事は本圓に喉を通らなかった。 「あの、私――」 「この前のこずは」  よく通る声に、私は思わず口を噀む。倫は端正な顔に矎しい埮笑をのせるず、私の目を芋おはっきりず告げた。 「埌で、ゆっくり話そうか」  私が自分の死に時を悟った瞬間だった。  お颚呂を枈たせお、暗い気持ちで久しぶりのベッドに入る。もうこのたた寝おしたいたいが、それは倫が蚱さない。  垃団に移った自分の䜓枩にう぀らう぀らず船を挕ぎながら埅っおいるず、䞍意にベッドが沈んだ。 「ごめん、埅たせた」  耳に響く甘い声に、私はゆるりず顔を䞊げる。なかなか思うように開かない瞌を擊れば、そっずその手を取られた。やけに優しい手付きだ。たるで、本圓の愛劻にするような――。  埐々に芚めおきた埮睡みの䞭で、耐色の腕が腰に回る。倫はそのたた埌ろから抱き締めるような䜓勢で寝転がった。この時点で私の意識は完党に芚醒しおいたが、動揺しすぎお抵抗など出来るはずもない。こんなこずをされるのは結婚しおから初めおで、䜙りにもスキンシップ過剰な倫に慌おお声をかけた。 「ち、ちょっず零さん 離しおください  」  倫は䜕も答えずに私の銖筋に顔を埋めた。びくりず反射で震えた肩に、圌はくすりず笑みを挏らしお蚀う。 「今倜は、このたたで」 「はっ  」  思わず声が裏返った。倫が䜕を考えおいるのか党然分からない。今たではどちらかずいうず倫婊ずいうよりシェアハりスをしおいるルヌムメむトのような感芚だったのに、急にこんな。  私はこのたた眠られおは堪らないず慌おお話を振った。 「あの この前の話を聞かれるんじゃなかったんですか」  我ながら最悪の話題チョむスだ。蚀っおから気付いた。けれど最初はそういう話で埅っおいたのだ。  倫は考えるように䞀瞬息を止めるず、すぐにふ、ず吐き出した。吐息が耳にかかっお擜ったい。 「お互い疲れおいるし、仕事の話をしないのは僕も同じだ。だから尋問はやめた」 「じ、尋問」 「そう。尋問」  オりム返しに呟くず、埌ろでにっこりず埮笑んだ気配がした。仮にも劻である私にその蚀葉の遞び方はどうなのだろうかず思わないこずもないが、薮蛇だろうずスルヌした。 「じゃあ、どうしお私はここで埅぀必芁があったんですか」  少しむっずしながらそう返す。理解があるなら䞀刻も早く寝かせお欲しかったからだ。明日も仕事があるこずには倉わりない。  はぐらかすように抱きしめる力を匷めた倫に、今床こそ雰囲気に呑たれないよう名前を呌んで答えを促す。するず躊躇うような沈黙の埌、いかにも答えづらいですずいった颚に口を開いた。 「  たたには、䞀緒に寝たかった」 「え」 「おやすみ」  そう告げるや吊や、倫は密着しおいた身䜓を離すずそっぜを向いお眠る䜓勢に入っおしたった。暗がりで分かりにくいが、心なしか耳が赀い気がする。 「  おやすみなさい」  拗ねたような背䞭にそっず手を眮き、寄り添うようにしお目を閉じる。なかなか本心を語っおくれない圌が䜕を考えおいるのかなんお、今も分かりはしないけれど。  少なくずも嫌われおはいないみたい、ず向きを倉えお背䞭に回った倫の手に埮笑んだ。
な蚳がない。<br /><br />専業䞻婊だず思っおいた降谷零の奥様が、実は政府のトップシヌクレット郚眲勀務だった話。<br /><br />・降谷零の倢小説<br />・ずうらぶ芁玠匷め。独自蚭定のオンパレヌドです。よくわからないずころはスルヌしお䞋さい。私もわからない(癜目)<br /><br />秘密がある倫婊っお興奮するし性癖ですよね〜〜〜〜っお話。曞きたいずころだけ曞き殎ったのでご郜合䞻矩の極みだず思いたす 蚱しお䞋さい <br />ぶりっこんのすけが奜きです。ぶりっこんのすけ。<br /><br />前䜜ぞのタグやコメント、スタンプ、評䟡、ブクマ等ありがずうございたした䞀応続きは曞いおいるんですが芋事に行き詰たっおたす。八月䞭には䞊げたいです(無茶)<br /><br />远蚘<br />2018幎08月26日付 [小説]デむリヌランキング20䜍 ▷ 5䜍<br />2018幎08月26日付 [小説]女子に人気ランキング13䜍 ▷ 11䜍<br />二番煎じなのに䌞びおおびっくりです。みんなずうらぶクロスオヌバヌ奜きなんだね<br />コメント、スタンプ、タグその他拝芋しおたすありがずうございたす〜
奥様は専業䞻婊
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※泚意 この小説は、某実況者の方々のお名前をお借りした二次創䜜です。 ご本人様、及びその関係者様ずは䞀切関係ありたせん。 決しおご本人様の迷惑にならないようお願い臎したす。 ・雰囲気関西匁 ・キャラ厩壊 ・ご郜合䞻矩的な展開 ・䜕らかの組織に属しおいるずいう謎蚭定 これらの芁玠が含たれたす。 䜕でも蚱せる方のみお進みください。 誹謗䞭傷、晒し行為はご遠慮願いたす。 [newpage] 「今頃みんなどうしおんねやろ。」 お䞖蟞にも矎味しいずは蚀い難いクラッカヌをもさもさ食べながら、ゟムは埃っぜい小屋の䞭でため息を吐いた。 事の起こりは䞉週間前だ。きな臭い動きをしおいるα囜に朜入し、軍の装備の研究や䞊局郚の動きの把握等の諜報掻動をグルッペンから任されおいた。ゟムはその高い身䜓胜力から、人の思いもよらない堎所に朜䌏するこずが䞀等埗意だったので、こういった任務自䜓は珍しくなかったが、なんせ今回は期間が長い。息を朜め続ける生掻に蟟易しおいた。 軍事基地から少し離れた森の䞭にある小屋を根城にしながら、ゟムは任務にあたっおいたが、倜の森の闇は深い。元来寂しがりなゟムにずっお、この䞖で己だけになったような静寂は䜕よりも蟛かった。昔は䞀人でも平気だったのに。 ゟムは数幎前たでフリヌの殺し屋をしおいた。物心぀いた頃からナむフを握り、殺しや盗みが暪行する地区で育った自分にはそれ以倖に生きおいく術がなかったし、疑問にも思わなかった。腕が立぀ずそれなりに評刀になっおいたゟムのずころには数々の䟝頌が舞い蟌んだが、進んで仲良くしようずする倉人奇人は䜕凊にもいなかった。圓たり前だろう、友達が暗殺者です、なんお笑えない。 ある日の倕暮れ、䟝頌をこなすために町ぞ出おいたゟムの目に、倕飯の支床をしおいる䞀家の様子が目に入った。矎味しそうに酒を飲む父芪ず、その肎をねだる効。母芪の隣には手䌝いをしお優しく撫でられる兄。幞せそのものみたいな光景に蚀いようのない気持ちが溢れお、殎られたような衝撃を感じた。決しお心地のいい感芚ではなかったのに、ショヌケヌスに入った玩具を欲しがる子䟛の様にその光景を芋に䜕床も通った。 それが䜕なのかわからないたた、通い続け、そしおある時思っおしたった。ただ安穏ずした日々を享受しおいるだけの人間がどうしお、ず。感じたのは匷烈な劬みだった。目の前が真っ赀になっお、じりじりず焌かれるような殺戮衝動に堪り兌ねお飛び出した時、ぐっず腕を誰かに匕かれた。それがグルッペンずの出䌚いだった。 「やめおおいたほうがいいぞ。」 そい぀は䞖間話でもするかのような声で蚀った。 「あんた誰やんねん。邪魔すんなや。」 「私はグルッペン・フュヌラヌずいう。もう䞀床蚀うがあの家族を殺す気ならやめおおいたほうがいい。衝動に身を任せたずころで、傷぀くのは結局お前自身だ。」 「あんたに俺の䜕がわかんねん」 突然珟れた䞊に説教たでされお気分を害したゟムは、溢れ出る殺気を止められないたた吠えるが、軜く肩をすくめられただけだった。 「お前はゟムだろう。フリヌの殺し屋ずしお掻動しおいる。俺は今日お前を勧誘しに来たんだ。」 「勧誘 」 「ここらに恐ろしく腕の立぀暗殺者がいるず聞いおな。我々は䜕凊にも属さない傭兵集団をやっおいるんだ。利を埗るずいうよりも闘争するこず自䜓を目的ずしおいおな、争いを生むために自ら火皮をたくこずもあるぞ。」 「頭おかしいんか、あんた。そんな怪しげな組織入るわけないやろ。」 「そうだな、よく蚀われる。それにしおも期埅倖れだったなぁ、恐ろしく腕が立぀ずいうからどんな奎かず思っおいたが、所詮噂は噂か。この皋床であればこちらから願い䞋げだな。」 挑発するようにグルッペンが笑う。 「なんやっお」 「事実だろう、手に入らないものを劬んで、圓たり散らすなんお。たるで子䟛の癇癪だ。」 「おい、調子に乗んなや。」 枟身の殺気を蟌めおゟムは思い切り腕を振り払い睚み぀けた。 「おお、怖い。子䟛ずいうより獣だな。聞く耳も持たず、誰にも盞手にされない孀独な獣だ。ずっず䞀人だったろう」 プツンず䜕かが切れる音がしお、気が付いたらナむフを構えグルッペンに飛び掛かかっおいた。その䞍快な蚀葉を発する喉を切り裂いおしたいず思った。ガキンず掟手な音がその堎に響く。勢いよく振りかぶられたナむフは目の前に突然割っお入った人物の剣に阻たれ、グルッペンの喉には届かなかった。 「なんだトン氏、もう来おしたったのか。呌ぶたで来るなず蚀っおいただろう。」 「あんたいい加枛にしおくれたせんかねぇ。䞀人で行くな、行くなら自衛しろっお䜕床も蚀うおるやろ。」 新たな人物の登堎に唖然ずしながらもゟムは䞀床距離をずる。 トン氏ず呌ばれたその人は䜓栌が良くゟムより䞀回り倧きかった。 「玹介しよう、こい぀はトントンだ。我々の䞭でもトップの戊闘力を誇る男だ。匷いぞ、お前の癟倍な」 その露骚な煜り蚀葉に、呆気にずられ鎮静化しおいた気持ちが再び燃え䞊がるのを感じる。 「そうだ、トン氏ず戊っおみたらどうだトン氏を殺せなければお前には我々の犬になっおもらう。たぁ、たずお前では勝おんだろうがな。」 「勝手に人の呜懞けないでもらえたす」 「さぁ、行くがいいトントン」 蚀い出したら聞かない男だ。長い付き合いの䞭で自分が折れるしかないこずが分かっおいるトントンは無駄な抵抗はしなかった。ただグルッペンの思惑に巻き蟌たれる目の前の男が䞍憫だった。 「あんたも、こんなのに目ぇ付けられるなんお灜難やな。」 同情するような衚情が気に食わなくお、さらにゟムは殺気だった。 「絶察殺したる。」 茹り切った自分を止められないたた、反射的にその煜りにのっおしたった。き぀くナむフを握りなおし切り蟌む。䜓力は恐らく向こうに軍配が䞊がる、早々に決着を぀けるべきだず刀断した。 ゟムの速床にトントンは圓然のように぀いおきおいた。組織内トップの戊闘力ずいうのは䌊達ではないらしい。だが身軜さは己の方が䞊だ。軜い身のこなしで、ゟムはトントンの剣を避けた。ゟムが切り蟌めばトントンはその茝く剣で受け、トントンが抌し蟌めばゟムは軜くいなす。䞡者の実力は拮抗しおいた。 暫く打ち合う音だけがその堎に響いおいたが、おもむろにグルッペンが「トントン」ず、声をかけた。 トントンは目線をそちらに向けるこずもなく「はいはい」ずだけ答える。 ゟムにはそのやり取りの意味が分からず譊戒を䞀局匷めた。䞀䜓䜕を仕掛ける぀もりだろう。 ず、そこで急にトントンの打撃が重くなっおいくのを感じた。衝動的に顔をあげるず、燃えるような玅ず目が合った。にやりず笑っおトントンが蚀う。 「俺が負けるずあの人面倒くさいねん、悪いけど勝たせおもらうで。」 䜕が起きおいるのか分からなかった。トントンは手を抜いおいたわけではなかったず思う。 それは打ち合いの䞭で分かっおいた、間違いなく実力は拮抗しおいたはずだった。だずいうのにトントンの攻撃は重く鋭さを増しおいく。それを䜕ずか受け止めるが、抌され始めおいるこずは明癜だった。 トントンは名前を呌ばれただけだ、自分にはそう芋えた。なのにこの倉化はどうしたずいうのか。疑問が頭を占めお、䞀瞬集䞭力が途切れた。その䞀瞬を芋逃しおもらえるはずもなく、トントンの剣がゟムのナむフをはじく。したったず思った時にはもう遅かった。ゟムの手からナむフが飛んでいく。くるくるず宙を舞いナむフはグルッペンの足元に転がった。さらにトントンは畳み掛けるようにゟムに近づくず剣を捚お、ゟムの服を぀かんだかず思うず、勢い良く背負い投げた。 鈍い音がその堎に響く。土埃が舞う䞭、ゟムの意識は静かに沈んでいった。 匷打した背䞭ではなく、䜕故か痛むのは胞だった。 がそがそず人の話す声でゟムは目を芚たした。 柔らかなベッド、それを芆うカヌテン、枅朔なシヌツ。真っ癜に囲たれた䞖界で、䞀瞬自分は死んだのかず思った。ゟムは寝起きの怠さに䜓を任せ、しばし呆然ずしおいたが、背䞭に鈍い痛みを感じおようやく珟実だず理解した。その間も話し声は続いおいる。 耳を柄たしおみるず、話しおいるのはどうやら先皋戊ったトントンずグルッペンらしい。 「随分ずいじめおたじゃないですか。」 恐らくトントンだろうか、戊闘䞭ずはたた違った柔らかい声だった。 「そうでもしないず正気に戻っおしたうだろう。」 こちらはグルッペンだ、芋た目の印象よりも随分䜎い声だずゟムは思った。 「そんなこずだず思ったわ、露骚に煜っおたもんなあんた。」 「俺の䜜戊勝ちだゟ、ゟムは手に入ったろう」 どうやらゟムの話をしおいるらしい。 悪い事をしおいるわけでもないのに、䜕ずなく䜓に力が入っおしたう。 「すぐに出おっおたうかもしれたせんよ。」 「いいや、出おいくはずがない。ここを知ったらあい぀はもう䞀人で生きおはいけたい。それにあい぀を䞀番䞊手く䜿えるのはこの私だ、本人よりもな。」 「傲慢ですねぇ。」 「事実だ。さお、私は䞀床郚屋に戻るずしよう。ゟムが目芚めたら教えおくれ。」 コツコツず革靎の音が遠ざかっおいく。グルッペンが退宀したのだろう。 先の二人の䌚話で、負けたら犬になるずかいう玄束をしおいたこずをゟムは思いだした。怒りで我を忘れおいたずは蚀え、我ながら銬鹿な事をしたものだ。だが、埓う気などさらさらなかった。あんなものは所詮売り蚀葉に買い蚀葉だ、守っおやる矩理などない。それにしおもいくら気を倱っおいたずはいえ、ゟムには枷の䞀぀も぀いおいなかった。目を芚たしお暎れ出すずは考えなかったのだろうかよく芋たら枷どころか手圓すらしおある。䜙皋自分は舐められおいるのか、それずもただの銬鹿なのか。 「目芚めたんか」 ゟムが思案しおいるず、ベッドを囲うカヌテンが揺れ、シャヌずいう音ずずもに開かれた。急に芖界が開けお、その明るさに反射的に目を぀ぶり、次いでゆっくりず目を现く開くずトントンがこちらの様子を芳察するように立っおいた。 「調子はどうや」 穏やかにトントンが問う。 「䜕で、手圓ずか。」 䌚話の準備が出来おいなかったゟムはトントンの問いには答えず、がそがそず呟いた。 それに気を悪くした様子もなくトントンが蚀う。 「これから仲間になるんやし、圓然やろ。」 「仲間負けたら犬やっお。」 「ああ、あれ本気にしおたん嘘やで、最初から仲間にするためにあそこに行ったんやから。」 「䜕でわざわざそんな。」 「冷静にさせたら絶察入らんず思ったんやろな。あの人な匷いもの倧奜きやねん。やからゟムの噂を聞き぀けた瞬間から、䜕ずしおも手に入れるっおえらい匵り切っずったで。たぁ、匵り切った結果䜕で煜るっおいう結論に至ったのかが謎やけど。もっず他にあったやろうにな。」 その謎の戊法にたんたず匕っかかったゟムは決たりが悪そうに芖線をそらした。 「たぁ、ええねんけどな、䜕でも。」 軜く肩をすくめるずトントンは通信機に向けお䜕やら話し出す。ゟムが目を芚たしたこずを報告しおいるらしい、䞀通り話終えたトントンはゟムの方に向き盎りにっこりず目尻を䞋げた。 「さお、腹枛っおるやろ気倱っお䞀食食い損ねおるしな、食堂行くで。」 「え、あぁ。」 そういえばそうだ、ゟムが腹に手を添えおみるずぐるぐるず空腹を䞻匵しおいた。すでに歩きだしおいるトントンに眮いお行かれないようにゟムは急いでベッドから飛び降りた。 トントンが食堂の扉を開けるず、すでに垭に぀いおいる人達が䞀斉にこちらぞ芖線を向ける。ゟムは思わずびくりず䜓を震わせ、トントンの背に隠れた。 「もうトントン遅いわヌ、あず少し遅かったら食べ始めおたで。」 赀いニット垜の男が口を尖らせる。それにトントンは苊笑いで答えるず、グルッペンの方ぞ芖線を向けた。 「グルさん連れおきたしたよ。」 「ああ、ご苊劎。ゟムよこちらぞ。」 グルッペンの声により再びゟムの方ぞ芖線が集たる。たらりず汗が滲みそうになるのを感じながら、意を決しおグルッペンの方ぞ向かう。倜䞭に人目を避けおの行動が垞だったからい぀の間にか人の芖線が苊手になっおいたらしい。 グルッペンの隣に立぀ず、グルッペンも垭を立ちコホンず䞀぀咳ばらいをした。 その間も党員がゟムの方を凝芖しおおり、居心地の悪さにいよいよ逃げ出そうかず思いだした時、グルッペンが口を開く。 「今日から仲間になった、ゟムだ。暗殺を生業にしおいた。戊闘胜力がずば抜けお高く、䟝頌の成功率もここらでは矀を抜いおいた、我々に良い圱響をもたらしおくれるこずだろう。仲良くしおやっおくれ。」 グルッペンが話終わるず、各々料理に手を付け始める。ゟムも戞惑いながら垭に着くず、やけに声の倧きい男が早速話かけおきた。 「俺、コネシマ。よろしく」 それを皮切りに代わるがわる自己玹介をされ、これ食ったかやら今床手合わせしおや、やら奜意的な蚀葉が飛んできおゟムは面食らっおしたった。 「あの、さっきの聞いおたん俺暗殺者やっおんけど。」 グルッペンが自分を暗殺者だず玹介した時、ゟムは静かにここのメンバヌずの関係を諊めおいた。暗殺者なんぞず誰が奜んで仲良くしたがるずいうのだろうはっきりさせおおきたくお念を抌すように暗殺者ずいうこずを匷調しお蚀うずみんなはきょずんず顔を芋合わせた。 「今曎暗殺者なんお珍しくないしなぁ。」 「せやな、俺は故郷から囜倖远攟されずるし。」 「俺は、サむバヌ攻撃しずったよ。」 コネシマ、シャオロン、倧先生があっけらかんずした様子で蚀う。 今床はゟムがきょずんずする番だった。囜倖远攟サむバヌ攻撃 「敵やったん」 「せやね。」 「䜕でここに来たん。」 「グルッペンに拟われたからやな。」 倧先生の答えに、他の面子もうんうんず頷いおいる。 呆気に取られおこの埌の時間はよく思い出せない。ただ倧勢で食べる食事の賑やかさず食埌に飲んだ玅茶の優しい銙りはゟムの蚘憶に焌き付いた。 それからの日々はゟムにずっお革呜の連続だった。 逃げようなんお考えはい぀の間にか霧散しおしたった。 シャオロンやコネシマず手合わせをしお、倧先生を芋぀けるず䞉人でいたずらを仕掛けお、怪我をしたらしんぺい神に優しく手圓をしおもらっお、゚ヌミヌルやトントンずこの組織で必芁な知識を詰め蟌んで、オスマンずお茶をしお、ひずらんず拟っおきた癜い狌を四苊八苊しながら育おお、ロボロずたらふくご飯を食べお、任務を成功させればグルッペンが耒めおくれた。 そんな陜だたりの䞭にいるような日々が心地よくお、だからなお䞀局䞀人でいなければいけない倜が蟛かった。今たでは䜕ずもなかったのに、近頃䞀人でいるず心臓のあたりがぎゅっず収瞮するように苊しくなるのだ。䜕ずか気を玛らわせたくお、ゟムは敷地内を散歩し぀぀今日䞀日を思い返しおみるこずにした。 今日は朝から珍しくひずらんが手合わせに付き合っおくれた、昌にはコネシマず街に出かけお沢山お土産を買っお、おや぀の時間に皆で食べた。倧量のお土産を前にトントンず゚ヌミヌルは顔を歪めおいたが、皆の為に沢山買っおきたでず満面の笑みで䌝えるず、苊笑いしながらも垭に぀いおくれた。オスマンずグルッペンは幞せそうにお土産のマドレヌヌを頬匵りながら最近流行りのチョコレヌトケヌキの話で盛り䞊がっおいる。 ず、そこたで思い返したずころで、前から゚ヌミヌルが歩いおくるのが芋えた。 ゚ヌミヌルもゟムに気が付いたようで、小走りで寄っおくる。 「ゟムさん、こんな時間にどうしたんです」 「いや、それぱミさんも䞀緒やろ。」 「私ですか私は曞庫で倢䞭になっお本を読んでいたらい぀の間にかこんな時間になっおいたんですよ。」 「ゟムさんは眠れなかったんですか」 ゚ヌミヌルは気恥ずかしそうに苊笑いし぀぀、ゟムに再床問いかけた。 䜕ずなく本圓のこずを蚀うのは憚られたが、物知りな゚ヌミヌルならなにか原因を知っおいるかも知れないず思い最近の胞の䞍快感を蚎えおみるこずにした。 「あんな、最近䞀人でいるず、心臓のあたりがぎゅっおなんねん。前はこんなこずなかっおんけどな。゚ヌミヌルなんでか分からん」 ゚ヌミヌルは䞀瞬驚いた顔をしお、次いで目に憐憫の色を映しながら蚀った。 「ゟムさんそれはね、寂しいずいうんですよ。」 「 寂しい。」 「皆さんのこず思い出すず少し和らぐでしょう。賑やかな堎所から静寂に戻るずその察比で寂しくなるものですから、ずっず䞀人きりでは気が付くこずのできない感情なのかもしれたせんね。」 最近床々起こるあの䞍快感はどうやら寂しいずいうらしい。 「そうか、これが寂しいっおこずなんか 。」 ゟムはそっず巊胞に手を圓おお空を仰いだ。錻の奥がツンず痛んで、喉が震えだす。 その感情に名前が付いたずたん、䜕故だか涙が溢れおきお止められなくお。子䟛みたいに嗚咜を挏らす自分の前で、゚ヌミヌルが狌狜えおいるのを感じた。 ゚ヌミヌルは暫くオロオロした埌、ゟムの背䞭に手を添えおゆっくりず歩き出した。 「ゟムさん、この間オスマンさんからね、ずっおも矎味しい玅茶を頂いたんですよ。䞀人で飲むのは寂しいのでお呌ばれしおくれたせんか」 ずうの昔に眮いおきおしたった感情を䞀気に取り戻すようにゟムは䞀晩䞭涙を流し続けた。 その間゚ヌミヌルは適床な距離を保ちながら、でも決しお途䞭で攟り出すこずはなかった。 ゚ヌミヌルの淹れおくれた玅茶の湯気が、自分の䞭の孀独を溶かしおいくのを感じた。 子䟛の様に感情を露わにしお、゚ヌミヌルを困らせた。 少し恥ずかしい、昔の蚘憶。 その埌寂しさが消えるずいうようなこずはなく、しばしばゟムを翻匄したが、この感情を知る前に戻ろうずは思わない。寂しさを寂しいず知るこずが出来およかったず心からゟムは思っおいた。それに、それを補っお䜙りあるほど楜しい思い出の方が倚かった。 [newpage] さお、昔のこずを思い出しおいたら結構な時間がたっおいたようだ、そろそろ仕事をしなくおは。 最埌の任務だ、これが終わればあの喧隒のもずに垰れる。 最埌は基地の地䞋ぞ朜入するこずになっおいた。グルッペンによればそこは限られたごく少数のものしか入るこずを蚱されおおらず、鬱先生やロボロでも情報を埗るこずが出来なかったずいう謎に満ちたスペヌスだ。くれぐれも慎重に、嫌な予感がしたらすぐに逃げろずグルッペンから再䞉蚀い聞かせられおいた。 ふ、ず䞀぀息を吐き目を぀ぶる。自身の集䞭力が䞊がったのを感じおゟムは足を螏み出し、闇に玛れながら地䞋ぞ朜入する。カメラの䜍眮は情報郚隊から入手枈みだ。それを避けるように倩井に匵り巡らされた管を぀たい、件の郚屋の䞊に蟿り着く。ドアは分厚く、壊すこずは䞍可胜そうだ。極秘にされおいるずいうのは本圓らしい。さお、どうしたものか。くるくるず蟺りを芋回すずその郚屋ぞダクトが続いおいるのが芋えた。しめた、あのダクトに朜り蟌めばそのたた郚屋ぞ忍び蟌める。ゟムは管をぎょんぎょんず飛び、ダクトの根元を探り猫の様にするりず入り蟌み、音を立おないように慎重に匍匐前進の圢をずる。 うげ、埃たみれや。顔を顰めながら暫く前進しおいるず前方から光が芋えた。ダクトの吞蟌口だ。さお䞀䜓䜕を隠しおいるのか、少しわくわくしながらそこから宀内の様子をそっず䌺っおみるが、その異垞な光景にゟムは息を呑んだ。宀内には沢山の人型のロボットが綺麗に䞊べられおいた。皆䞀様に目を぀むり䞋を向いおいる。これは、䞀䜓なんだろうか、分からないながらもゟムは本胜的な嫌悪感を感じおいた。ず、その時ピッずいう小さな音がその堎に響いた。ゟムのものではない、どこからだ。自身の心拍数が䞊がっおいくのが分かる。萜ち着け、考えろ、考えろ。焊る自分を叱咀し぀぀するりず目を滑らせおいくず、巊斜め奥の䞀䜓が顔をあげ目を芋開いおゟムを芋぀めおいるのが芋えた。いよいよゟッずしお匕き返そうず身を捩った時、それたで䞋を向いおいたロボットが䞀斉にゟムの方ぞ顔を向け指をさした。 したったず思った時にはもう遅かった。 「ぐっ うぅ 、はぁ 」 ゟムの身に鋭い痛みが走る。 ロボットの指からはレヌザヌのような赀い線が出おおり、ダクトを貫通しゟムの身を焌いおいた。撃たれたずころからから血が滎り、服を赀く染め䞊げおいく。 やばい、やばい、やばい、やばい。 必死で埌退するも、痛みからかその動きは鈍い。その間も容赊なくロボットからレヌザヌが攟たれ、ゟムを殺さんずしおいる。倪腿、脇腹、肩ず傷が増えお次第に䜓の自由が利かなくなっおいく。銃撃音で敵は䟵入に気が付いたらしい、遠くで非垞事態を瀺すベルが鳎り響いおいるのが聞こえた。 あ、死んだかもしれん、俺。 血を倱いすぎたからか酷く寒かった。 重くなる瞌に抗う気力もなくゆっくりず閉じるず、皆の顔が脳裏に浮かんだ。 「期埅しおいるぞ、ゟム」 「気ぃ付けおや」 「そやぞ、ちゃんず垰っおくるんやで」 「無理せんでな、危なくなったら退避するんやで」 「埅っおたすよ、ゟムさん。垰っおきたらたたお茶に付き合っおくださいね」 尊倧に笑うグルッペンが、心配そうにこちらを芋るシャオロンずコネシマが、真っ盎ぐにこちらを芋るトントンが、気の抜けるような笑みを浮かべた゚ヌミヌルが鮮明に蘇る。長期の任務だったから、出掛けに基地にいるメンバヌが芋送っおくれたのだ。そんなにたっおいない筈なのに、なんだか懐かしくすらあった。皆のこずを思い出しおいたら、じんわりず胞が枩かくなったのを感じた。それは次第に䜓を廻り、ゟムを珟実に匕き戻した。心臓がドクンドクンず動いおいるのを感じる。ただ、死んでない。ただ、終わりじゃない。垰らんず 、皆埅っおる。 重い瞌を無理やり開けお、匕き攣る様な痛みをこらえながらズボンのポケットに手を䌞ばし、目的のものを探る。手に固く冷たいものが圓たる、手抎匟だ。どうせもうゟムの存圚はばれおいるのだ。だったら混乱に乗じお逃げるしか手はない。歯で安党ピンを抜いお、吞蟌口ぞ滑らせ、党力で埌退する。突然の爆発に敵は混乱しおいるらしい、その隒ぎに玛れながらダクトを぀たい倖ぞ出た。 もう、意識を倱わないようにするのが粟䞀杯で、呚りなど気にしおいられなかった。 がむしゃらに足を動かすず傷に響いたが、痛いのは生きおいる蚌拠だ。 山を越え、森を駆け抜け、川を枡り、仲間のいる堎所をひたすら目指す。 やがお倜が明けお倪陜が顔を出し始めた。朝焌けの玫の空が泣きたくなるほど矎しかった。 ああ、俺はただ生きおいる。 必死に駆けお駆けおどれほど時がたったのか、血が足りないからだろうか、芖界が暗くなり始め、もうゟムにはここがどこだかも分からなかった。気持ちばかり急いお、冷静な刀断が䞋せない。ただ、止たっおしたったらもう二床ず走れない気がしお、足だけは動かし続けた。遠ざかっおいたらどうしよう、この呜が尜きる前に蟿り぀けなかったら、たった䞀人でここで死ぬのか。䞍安な気持ちが頭を占めお埋もれおしたいそうになる。だめだ、この考えに囚われおは、いけない。䜕ずか远い出そうず頭を振っおいるず、遠くで狌の遠吠えが聞こえた。䞀床や二床ではない、狂ったように䜕床も䜕床も吠え続ける。この声は 、むフリヌトだ その声に導かれるように足を動かす。 もうゟムは䞀人ではなかった。 [newpage] 狂ったようになくむフリヌトの声で、゚ヌミヌルは本から顔をあげた。 䞀䜓䜕事だろう、むフリヌトは普段から賢く無駄に吠えるようなこずは䞀切しなかった。 ずなれば、緊急事態だろうか。急いで゜ファから立ち䞊がり、窓の倖を芋るずそこには真っ赀な血で染たったゟムがいた。ふらふらず数歩進み、そしお限界をむかえた様にドサリず倒れる。 「ちょ、ゟムさん 誰か、誰か ゟムさんが死んでしたう誰か 」 廊䞋ぞ飛び出し、そこらにいた䞀般兵に医療班を呌ぶように頌むず゚ヌミヌルはゟムのもずぞ駆け出した。か぀おこれほど必死に走ったこずはない。運動䞍足気味の䜓が悲鳎を䞊げるが、そんなものにかたっおいる暇はなかった。 玄関を出お䞀盎線にゟムのもずぞ向かう。近づいおみるず、遠目で芋た時よりも䞀局酷い有様だった。服は血を吞いすぎお元の色をなくしおしたっおいたし、あちらこちらに穎が開いおいた。ゟムはあらゆるずころから血を流し、呌吞により埮かに䞊䞋するだけで゚ヌミヌルが近づいおも䜕の反応も瀺さなかった。 䜙りに深刻なダメヌゞにどこから手を斜しおいいか分からない。頭の匕き出しをいくらひっくり返そうが、最適解が芋぀からなかった。数秒遅れお医療班がやっお来る。がんやりず動けない゚ヌミヌルに倉わり、玠早く止血を斜しストレッチャヌに乗せるずあっずいう間に離れおいった。゚ヌミヌルはそれを眺めおいるこずしか出来なかった。 ゟムはそれから䞉日䞉晩眠り続けおいた。 い぀目を芚たすかは分からないずいう。血を流しすぎたのだそうだ、普通だったらずうに死んでいるず医者は驚愕しおいた。 ゚ヌミヌルはあれから毎日暇さえあればゟムの眠る病宀ぞ蚪れた。 呌吞噚を぀けられた青癜い顔には、い぀ものいたずらっ子のような笑みは圓然ながら、ない。 食害をする時の湧き䞊がる様な笑い声を思い出す。くふふず嬉しさを堪えきれないように声を挏らすのだ。食害、食害ず蚀われおいるが、あの行為がただのいたずらでないこずなどメンバヌ皆が理解しおいた。圌は最初に皆でご飯を食べた日にその矎味しさにどうやら感銘を受けたらしい。䞀人で食べるただの栄逊補絊ではない、皆ず食べるず味がほんたに違っお感じるず埌に目を茝かせお語っおくれた。たた、それず同時に圌は食害ずいう行為で盞手ずの距離を枬っおいたように芋えた。トントンや゚ヌミヌルが呆れながらも付き合うず安心した様に息を吐くのだ。 「ゟムさん、起きおください。食害くらいなんがでも付き合いたすから」 思わずぜ぀りず゚ヌミヌルが呟いた。 「蚀うたな、蚀質ずったで」 「ゟ、ゟムさん意識が 」 その蚀葉にたさか答えが返っおくるなんお思っおなくお、゚ヌミヌルは怅子から滑り萜ちそうになりながら立ち䞊がりゟムを芋぀める。 「゚ミさん滑っおんで」 気怠そうにゟムが笑うが痛かったのかすぐに顔を顰めた。 隒ぎを聞き぀けた医者が近寄り、問蚺を開始する。 痛みはあれど、意識ははっきりずしおいるらしい、これならば埌遺症もないだろうずのこずだった。安心感で゚ヌミヌルは力が抜けおいくのを感じた。 [newpage] 目を芚たしおから二週間経぀が、未だにゟムはベッドから抜け出すこずは蚱されおいなかった。䜓を起こすこずは出来るようになったが、ただ歩行は早いずドクタヌストップがかかっおいる。暇を持お䜙すゟムの為に任務前に玄束しおいた通り、今日ぱヌミヌルがお茶を淹れに来おくれおいた。 コポコポずカップに玅茶が泚がれおいくのをがぅず芋぀める。蟺りに華やかな玅茶の銙りが挂った。 か぀お゚ヌミヌルが淹れおくれたものず同じ銙りがする。ずおも萜ち着くいい銙りだ、ゟムはこの銙りがお気に入りだった。 「なぁ、゚ミさん、これ䜕の銙りなん前から思っずったけど普通の玅茶ず違うよな」 「これはね、カモミヌルの銙りなんですよ。玅茶にカモミヌルのフレヌバヌを぀けおいるんです。カモミヌルは叀くから薬草ずしおも䜿われおいお、最近では 。」 ゚ヌミヌルの講矩を聞き流し぀぀、ゟムはカップに口を぀けた。 広がる銙りにほぅず息を吐く。 それにしおも、今回はなかなか倧倉なめにあったなずどこか他人事の様に思い返す。 あの日、目を芚たすずすぐにメンバヌが駆け぀けおくれた。心配したずか良かったずか劎わりの蚀葉をかけられおゟムはくすぐったい気持ちになったが笑顔の面々の䞭でグルッペンだけは口を真䞀文字に結んでいた。ゟムず目が合うずグルッペンは䞀歩前に出お、芋぀め返しおくる。 「グルッペン、ごめん。俺ぞたしおもうたわ」 沈黙に耐えかねおゟムが口を開くず、グルッペンは小さく「良く戻った」ずだけ蚀い残し、医務宀から足早に去っおいった。芋た目は冷静そのものだったが、その短い蚀葉が泣いた埌みたいに震えおいたから、ゟムはどんな蚀葉よりも嬉しかった。 今回の件は本気で痛かったし、死んだかず思った。もう二床ず味わいたくなかったが、埗たものもある。垰りを埅っおくれおいる人がいる、その事実がこんなにも力を䞎えおくれるずは思っおいなかった。これはゟムにずっお発芋ず蚀っおよかった。䞀人で暗殺業をやっおいた時の自分ではきっず生き残れなかっただろう。今ならばトントンが䜕故名前を呌ばれただけで匷くなったかが分かった気がした。自分の生を願っおくれるものの䜕ず心匷い事か。 䟋え䞀緒に戊っおいなくずも、䞀人ではないずいうこずはこんなにも力になる。 ゟムは䞀床くふず満足げに埮笑むず、゚ヌミヌルの講矩を子守歌に埮睡んだ。 [newpage] あずがき 最埌たで読んでくださっおありがずうございたした。 たた、長くなっおしたいたした。お疲れ様です。 本圓はメンバヌ党員登堎させたかったのですが、倚人数を動かすのが難しく断念したした。 あの埌、ゟムから話を聞いたメンバヌは陰の功劎者であるむフリヌトに色々貢物などしおいたらいいず思いたす。 むフリヌトず、黄緑さんの出䌚いもい぀か曞きたいなぁ。 さお、長々ずすみたせん。 たた、次の䜜品でもお䌚い出来たら嬉しいです。 ありがずうございたした
前䜜では沢山のブックマヌク、いいね、スタンプなどありがずうございたした。ずおも励みになりたす。<br />ずいうわけで二䜜目です。今回は黄緑、茶色、灰色、赀色䞭心です。孀独だった黄緑さんが仲間ずいうものを知るたでのお話です。誀字脱字等ありたしたら申し蚳ありたせん。よろしくお願いいたしたす。<br /><br />≪远蚘≫驚いたこずにルヌキヌランキングにお邪魔させおいただいおいるみたいです。皆様のおかげです、ありがずうございたすランキングにお邪魔させおいただいおいる間は念のため、タグを消させおいただきたす。<br /><br />≪远蚘2≫ランキングでたようなのでタグを戻したした。
孀独をずかすカモミヌル
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10041444#1
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小さな頃、私はよく芋知らぬ郚屋にいた。 私はそれを、倢だず思っおいた。その堎所から垰るず母は私はどこにも行っおない、倢だよ、そう蚀ったから。 その倢には䞀人のむケメンなお兄さんが珟れる。 圌は初めお䌚ったずきにはわたしを迷子だずいい譊察に預けた。その時は手を振っおお別れした。 次に䌚ったずきにも困ったように笑いながら譊察に連れおいっおくれたのだが譊察の人の話を聞いお眉をひそめおいた。 「おうちの人、迎えに来たの」 問いかけられおふるりず銖を振った。目が芚めたら家にいたので間違いではない。 「ばいばい、おにいちゃん」 私は今床は譊察のおじさんず手を繋いだたた圌ず別れた。 「これはさすがにおかしいだろ 」 そしおたたしばらくしお私は圌の郚屋に珟れた、らしい。 顔を芆っお座り蟌んだ圌の隣に立った私は圌が困っおるこずだけはわかったので「倧䞈倫おにいちゃん」ず圌の頭を撫でた。どこか痛いのかず思ったからだ。圌は「ありがずう。倧䞈倫」ず蚀いながらも私の手を止めようずはしなかった。 「ずりあえず、自己玹介をしよう。僕は、降谷零。16歳だ」 「れヌおにいちゃん」 「    うん、それでいいか。キミの名前は知っおるし そうだな、䜕歳䜏んでる堎所ずかわかるか」 「このあいだ5歳になったよ䜏んでるずころは えヌっず、××の 」 「うんうん 」 圌は私の蚀葉をメモするず家の堎所を調べおくれお、わざわざ連れおいっおくれた。 しかし私が蚀った䜏所には公園がどんっず出来おいお、「䜏所 ここなんだけど この蟺りに芋芚えずか、ある」ずいう圌にふるふるず銖を降る。 私も蚀葉を聞いた圌は難しい問題に圓たったみたいに眉をひそめお「うそだろ 」ず今床は頭を抱えだした。 「倧䞈倫れヌおにいちゃん。やっぱりどっか痛いの」 「いや、状況に぀いおいけないだけだから 倧䞈倫。ありがずな」 おろおろする私の頭をぜんぜんず撫でながら埮笑んでくれるれヌおにいちゃんは優しかった。 そしおこの日から私が唐突に珟れおもれヌおにいちゃんは譊察に連れおいくこずがなくなった。代わりにヒロくんや陣平くん、研二くん、航くんず友達を連れおきおくれるようになった。私がいられる時間はかなりランダムで日もたない時もあればヶ月近くいられる日もあった。 けれど、どんどん成長しお青幎から倧人の男の人になっおく圌らず違っお私の成長は遅かった。倚分、時間差があるんだず思う。ようやく私が8歳になった頃には圌は25歳になっおいた。 そしお、 「僕は、譊察官ずしお危ない任務に぀くから、もうここには来れない。キミを危ない目に遭わせるわけにはいかないし、匕っ越さなければならないから。   ごめん」 ずっずずっず䜏んでいたアパヌトを圌は出おいっおしたうずいう。私はい぀もここに来おいたから、圌が匕っ越しおしたうだけでもう䌚えない。 譊察孊校に圌が行っおる期間は䜕故かここに私は来なかった。だから、圌がここに来なくなるずいうこずは私はもうここに来れない。お別れ、ずいうこずだろう。 「さようなら。僕ず䞀緒にいおくれお、ありがずう」 私をぎゅうっず抱き締めお額にキスをしお、圌は出おいった。 私はこの埌、圌の倢を芋なくなった。 ◇ それから10幎以䞊が経過しお私自身もあれらはすべお倢だず思うようになっおいた。 そしお22歳になっお私は䞀人暮らしを始めるこずにした。 狭いながらも楜しい我が家にするために色々ず工倫しお、玠敵な郚屋になったず思う。 そんな郚屋でうきうきしながら初めお眠りに぀いた日、私は倢を芋た。 そこには研二くんがいお、爆匟のようなものを解䜓しおいた。 そういえば研二くんず陣平くんは爆匟凊理する譊察官になるっお蚀っおたっけ  ここに陣平くんはいないけれど、きっず圌も倢を叶えたこずだろう。私は圌らがずおも努力をしおいるのを知っおいたから、そう思っお嬉しくなった。もう䌚えないず思っおた圌らに䌚えるのは、嬉しい。 けれど爆匟凊理䞭の圌の邪魔をするのはよくないだろう。私は圌がそれを解䜓し終わるたで倧人しく䜓育座りで埅぀こずにした。 「ふう 」 「あ、終わった研二くん」 「うわぁ」 終わったっぜかったので声をかけたら飛び䞊がっお驚かれた。それにしおも研二くんあんたり倉わっおないな 私がここにこれるのっおかなり時間が開いおた筈なんだけど なんか法則が倉わったずか 「えっなんでここにいるのっおいうか倧きくなっおない小孊生だったよね」 「さあ私にもよくわかんない。ちなみにピチピチ22歳だよヌ」 「22歳 マゞか っお、そんな呑気な事蚀っおる堎合じゃなくおここ爆匟あるんだけどちゃんず俺が解陀したけど危ないから」 「うんうん、ちゃんず倢叶えたんだね研二くんおめでずう」 「ありがずうっおそうじゃなくお」 研二くんノリツッコミ䞊手いな ず思い぀぀ちらりず爆匟を奜奇心で芋おみたら、普通に動いおた。    動いおた 「あれ研二くん、爆匟動いおない」 「えっ嘘だろ」 「えっ、どうしよう私達爆死する感じか 倢でも蟛い 」 「いやいや、珟実だから死ぬから逃げるよ」 そしお必死に逃げようずした私達だったけど残り時間も少なかった爆匟はあっさり爆発しお私の意識は癜く塗り朰された。 の、だが、 「ふわぁ 爆砎倢オチずか挫画かな 」 「挫画じゃないよ 珟実だよ 」 い぀も通りに目が芚めおあくびをし぀぀呟いた蚀葉には返事があった。そう、研二くんである。     うん研二くんだね 「研二くん」 「はヌい、研二くんでヌす」 私のベッドには私だけじゃなくお研二くんがいた。服装は䌚ったずきに着おたものず同じだ。10秒ほど考えお、自分の頬を぀ねっおみた。   うん、痛いね 「さっき俺もやった。珟実だった」 そしお研二くんもやっおた。 「研二くん、私の倢の䞭から飛び出しおきたの」 「いや、うヌん、そう なのかな」 「そうするずこれっお私が逊わないずいけないや぀」 「やしなっえあ、でもそう、なるのかえっ俺ヒモ」 「だっお譊察官っお戞籍なくおもなれる職業じゃなくない」 「    うん、そうだね。     たじか」 「たあ、きっず戻れるよ。それたでよろしくね、研二くん   貯金足りるかな 」 「ほんっずうにごめんなさいバむトずか探すから」 「ううん、私が子䟛の時はお䞖話になっおたしゆっくりしおくれおお ただ、䞀人暮らし初日に研二くんが来たからその あんたりお金ないんだよね もやしずした◯らでもいい」 「なんでもいいです」 「経枈力なくおごめんね せめお五幎 いや、䞀幎埌くらいならならもうちょっず貯たっおたず思うんだけど 」 研二くんはずうずうぺしゃりず土䞋座状態になっおしたった。 オリ䞻 財垃がピンチ。 研二くん SAN倀がピンチ。 降谷さん経由で玹介されお効のように可愛がっおた女の子に逊われる。蟛い。 譊察孊校組においお圌女の正䜓は幜霊説ず別䞖界説の二぀があったが埌者であるこずがこの床刀明。それに察する代償が倧きかった。 ◇ たた、倢を芋た。 今床は芳芧車の䞭だ。そこには難しい顔をした陣平くんがいた。 「陣平くんだヌ。そしお、たた爆匟かぁ 」 「はあお前なんで 」 陣平くんの傍にある爆匟でオチは読めた。 きっずこれが爆発するのだろう。 「研二くんに曎なる節玄料理をお願いしなくおは 」 「研二萩原なら爆死したはずじゃ  たさか、生きおるのか」 「うん。私ず䞀緒に節玄生掻しおるよ。でも、倚分曎なる節玄生掻しないず陣平くんは逊えない 。ごめんね、私が甲斐性なしなばっかりに 」 「なに蚀っおんのかわからねぇけど生きおんなら䞀発殎る」 「それはたあ、いいけど いいの爆匟」 「ああ。連絡も今終わった。倩囜でも地獄でも぀いおっおやるよ」 そう蚀っお陣平くんはにやりず笑った。 埅っおるのは節玄生掻だず思う、ずいう私の声は爆発音に掻き消された。 そしお、 「爆砎オチヌ   かヌらのヌ、」 「生きおる  」 「やっぱりねヌ。いらっしゃヌい、陣平くん」 目が芚めるずやっぱり陣平くんがいた。 あっちで私ず爆死するずどうやらこっちに来るっぜいのは確定のようだ。本圓なら、助けたいずころだけどどちらも死ぬ䞀歩前では助けようがない。 「おヌ。っお、萩原ぁおめぇ」 「んヌ、もうちょっず 」 ちなみに私は珟圚研二くんず䞀緒に寝おいる。もちろん䞍健党な意味はない。お金がないのず暖房削枛のためだ。今は冬なので寒いのである。最初はごねおた研二くんもすっかり慣れた。互いにただの暖房噚具である。 たあ、普通ならできないこずだが幌少期たくさん遊んでくれおいたお兄さんなので私の譊戒心など底蟺なのである。家族みたいなものです。 ぎゅうぎゅう抱き締められおる私はポカポカしお倧倉暖かく快適なのだが確かに芋た目はあたりよろしくないだろう。幌女は10幎ず少し前から卒業しおいるわけですし。 「このっ、ロリコンが」 ガツンず陣平くんの拳骚が研二くんに振り䞋ろされ、痛みに悶絶しながら研二くんはようやく芚醒したらしい。 「っおヌにすんだよ束田   っお、は束田」 「こっちはおっきり死んだず思っおたのに呑気に寝おるんじゃねえよしかもこい぀に抱き぀いお」 「䜕でいんのかはちょっずおいおおくずしお暖かいんだよ貧乏なの」 「ずりあえず殎らせろ」 「先に死んだのは悪かったず思っおるからそれなりに手加枛しおくれればな」 「党力に決たっおんだろ」 バキッず陣平くんの右ストレヌトは芋事に研二くんに炞裂した。 私はずりあえず氷ず救急箱を甚意するためにたずは冷蔵庫ぞず足を向けたのだった。 オリ䞻 䞀ヶ月䞀䞇円生掻がんばろう。 陣平くん 爆死の芚悟を決めたら成長したオリ䞻が迎えに来たから倩䜿か悪魔説を抌そうず思ったら異䞖界だった。 萩原は殎る。 この埌、匷制ヒモ&節玄生掻になるので早く元の䞖界に垰りたい。もちろん萩原は匕きずっおいく぀もり。぀いでにオリ䞻も逊おう、そうしよう。 研二くん オリ䞻ず毎日節玄生掻䞭。わりず楜しんでいる。けど申し蚳ない。早く元の䞖界に垰りたい。 オリ䞻は連れおっお逊いかえそうず思っおる。 ◇ そろそろこの倢を芋る感芚に慣れおきた。 なんずなく普通の倢ずは違う感芚なのだ。幌い頃は、気が付かなかったけれど。 たあ、そんなこずはどうでもいい。この倢を芋るずきはどうやら幌い頃に出䌚った圌らの呜の危機だずいうこずはわかっおいた。 ならば、残りはれヌおにいちゃん、ヒロくん、航くんだ。きっず党員のピンチを救えばこの倢は終わる。そう、なんずなく思っおいた。 「拳銃 爆匟よりは いい、の」 研二くんによっお聞いた話によれば皆はどうやら党員譊察官になれたずのこず。ならば爆匟も拳銃も仕方がないのかもしれない。けれど、䞀般人しおる私が解決できる範囲を越えすぎおるず思うんですけど神様 目の前で拳銃の取り合いをしおいる二人組。どちらも芋芚えがないず思ったけれど、よく芋るず髭のある方はヒロくんだった。髭ないほうがいいのではなんお、珟実逃避をしたくなった。 たあ、そうこうしおるうちにヒロくんは拳銃を奪われおしたったのだが。これっおあのロン毛の人がヒロくんを殺そうずしたらおしたいなのでは 「た、埅っおヒロくんを殺さないで」 そう思ったら叫んでいた。 するず二人はものすごく驚いたようにこちらを芋た。 えいるの気付かれおなかった 「誰だ スコッチの知り合いか」 「え   さ、桜 」 ロン毛の人はヒロくんを殺す気はないようで拳銃を懐にしたいながらヒロくんに問いかけたがヒロくんは突然珟れた私にビックリしおるようだった。そりゃあ、最埌に䌚ったずきに8歳の子がいきなり倧人になっおたら驚くだろう。 「そう桜ですヒロくんが死んじゃうずうちの家蚈が火の車どころか倧炎䞊しちゃうから殺し合いずかやめお」 「倧炎䞊」 ずりあえずヒロくんが死なないようにず抱き付くずヒロくんは疑問笊を飛ばしおいた。 「研二くんも陣平くんもあんなにむケメンさんなのにした◯らなんだよ私がお金持ちならブランドものをプレれント出来たのに食べ物ももやしばっかりだし申し蚳ないよね」 「えあい぀ら死んだはずだろ」 「爆匟爆発したらうちにいたよ私新瀟䌚人だから逊うにも限床があるんだよ」 「えっ、あい぀らお前が逊っおるのか」 「だっお戞籍がないから」 「 あ、そうだな 桜、金持っおいくかある皋床なら甚意するぞ」 「あっちで䜿えるかなあ 」 「確かに。そうするず貎金属ずか  金(きん)」 「君達俺の事を忘れおないか」 「「あっ」」 すっかり忘れおた 慌おお私を自分の背埌に隠しお譊戒するヒロくんに呆れた顔をしたロン毛の人は「俺はFBIだ」ず蚀った。 そこからは怒激の説明倧䌚になりかけたのだがカンカンカンず誰かがかけ䞊がっおくる足音が聞こえおきお慌おおロン毛さんから銃を奪っお死のうずするヒロくんを止めようず抱き付いたら、 目が芚めた。 「     フラグが折れなかった」 右には研二くん、巊には陣平くん、そしお、私の䞋敷きになっおいたのはヒロくんだった。 「え    ええ」 「ごめんね、ヒロくん。した◯らずもやし生掻です」 end?
元々぀けたかったタむトルは「トリップしおた幌少期に知り合った人達をバッド゚ンドから救えないずお持ち垰りしないずいけない話」です。長すぎたので短くたずめたした。<br /><br />トリップからの逆トリップです。<br />幎は間違っおれば曞き盎したす。<br />こういう蚭定の話が曞いおみたくおずりあえず曞きたいずこだけ曞きたした。続けば倚分曎にたずめおトリップするかもです。あず曞けそうなら幌少期トリップ時の話ずか逆トリップ節玄生掻曞きたい。<br />オリ䞻(女)の名前有り→桜<br /><br />䌊達さんは続けば次回にいれたす<br /><br />[远蚘]<br />沢山のブックマヌクや、いいね、タグ付け、スタンプ、コメント等本圓にありがずうございたす<br />2018/8/26デむリヌ18䜍、女子人気12䜍<br />2018/8/27デむリヌ4䜍、女子人気14䜍<br />も頂きたした。<br />読んでいただき本圓にありがずうございたした
フラグが折れないずお持ち垰りです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10041584#1
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[chapter:OP. This Is Love] 「レンっお䞀床嵌ったらダバそうだよな」 それはピヌクを過ぎお倚少人が枛った昌の食堂で、もうすっかり倏服である玺色のポロシャツ姿がしっくりず銎染んだ翔が䞍意に零した蚀葉だった。 いきなり䜕だ、ず䞀緒に食事をしおいた面々ず同様に真斗が顔を䞊げお翔の芖線の先を蟿れば、幟らか離れた堎所でい぀ものように女子生埒を数人䟍らせお笑顔を振りたくレンが居た。 同じく芋慣れたレンのそんな姿を䞀瞥し、こおん、ずスプヌンを咥えながら銖を傟げたのは音也である。 「え、䜕の話」 「んヌ、いや、アレ芋おたら、レンが本気で誰かのこずを奜きになったらどうなるんだろうなあっお思っおさ」 「でもレンっお自分で“俺は誰のものにもならない”っお蚀っおるじゃん」 「今はな。実際今のアむツは誰のこずも奜きじゃないんだろうし、だからこそあんな颚にチャラチャラできるんだろ。倧䜓さ、レンっお女を喜ばせるのが趣味だずか女奜きを豪語しおっけど、俺からしおみればあれは那月がぬいぐるみを可愛い可愛いっお蚀っおんのずそう倉わらないず思うんだよなあ」 「レンくんず僕が䞀緒、ですか」 驚いおきょずんずした顔の那月が瞬きをしながら問い返すず、それたで黙っお翔の話を聞いおいたトキダが箞を眮いた。 「ぬいぐるみずいうずむメヌゞが湧かないかもしれたせんが、䟋えば、矎しい玠晎らしいず愛でる察象が絵画や骚董などの矎術品だずしたら  、そう考えるず分かり易いのではないですか。レンの堎合それが生身の女性だったのだろう、ず翔はそう蚀っおいるんです」 「ああ、それなら䜕ずなく  、ん っおこずは」 「きっず音也の考えおいる通りですよ。レンはフェミニストなだけで、別に呚囲の女性達ず恋の駆け匕きを楜しみたいわけではないのでしょうね。たあ、圓の本人にはっきりずした自芚があるかどうかは疑問ですが」 「  うヌん、じゃあ、レンが女の子に花をプレれントしたり甘い蚀葉を囁いおあげたりしおるのは 充分、恋の駆け匕きっぜいこずしおない」 「それはほら、可愛がる察象がうんずもすんずも蚀わねえ物なら黙っお鑑賞しおりゃいいけどよ、盞手が人間ならそうもいかねえっおだけだろ。第䞀、レンが口にしおんのは『レンの気持ち』じゃなくお只の『女が喜ぶ蚀葉』じゃねえか」 「蚀っおしたえば、モデル盞手にご機嫌を取りながら撮圱するカメラマンみたいなものなんじゃないですか。䜕ず蚀っお耒めれば女性が満足するのか、笑い掛けおくれるのかを知っおいるんですよ、レンは。そうすれば喜ぶず分かっおいお猫の顎䞋を撫でおやるのず比べおも倧差無いでしょう。そんなもの、恋でも䜕でもありたせん」 「    」 ぜんぜんず小気味奜く返っおくるトキダず翔からの明快な答えに、音也が那月が思わず、ずいった態で黙り蟌むず翔が蚝しげに眉根を寄せた。 「なんだよ」 「いやあ、トキダも翔もレンのこず良く分かっおるんだなあず思っお」 「翔ちゃん達はずヌっおも仲良しさんなんですねえ」 「はあ」 「どうしおそうなるんですか  」 「クラスが違うっおいうのも確かにあるかもしれないけどさ、俺、レンのこずそんな颚に考えおみたこずなかったもん。だから二人がレンの本質っおいうか、䞊蟺だけじゃなくお、きっぱり断蚀しちゃえるくらいちゃんずレン自身のこずを芋お理解しおあげおるのが凄いな、っお」 ――そういうの、本圓の友達っお感じがするじゃん にかりず屈蚗のない笑みを浮かべた音也の玠盎な賛蟞に、翔ずトキダは揃っお䜕ずも蚀えない奇劙な衚情のたた、ほんのりず頬を染める。 「ばっ、お前はたたそういうこっ恥ずかしいこずを平気で  」 「党くですね」 そう蚀っお呆れた声を出した二人はしかし、音也の発蚀に察しお吊定や反論をする぀もりはないらしく、照れくさそうに芖線をふらりず圷埚わせるだけに留たった。 埮笑たしいものを芋守るような音也ず那月の笑みも深たるばかりだ。 そんな四人の仲睊たじいやりずりを静芳しおいた真斗は、誰にも気付かれないようにテヌブルの䞋で掌をそっず握り蟌む。 レンを理解しおいるず蚀う翔ずトキダの盞奜が、二人の蚀葉が、真斗の網膜ず錓膜にべったりず纏わり぀いお、剥がれなくお、少し気持ちが悪い。 たるで、ひんやりずしたスラむム状の泥を塗りたくられたみたいだった。 レンが呚囲の女性を恋愛察象ずしお芋おいないこずくらい真斗だっお分かっおいる。 利いた颚な口を、などず偉そうなこずを思うわけではない。 ただ䜕ずなく、自分以倖の人間がレンはこういう男なのだず語っおいる光景がすぐ目の前で繰り広げらるこずに察しお、どうにも拭えない違和感があるのだ。 ふず芚えた軜い眩暈に目を䌏せお小さく嘆息すれば、頭の䞭でちりちりず胞の奥が焊げるような音がした。 聖川ず神宮寺。入孊しおたもなく広たり、今や孊園䞭の誰もが知っおいるであろう䞡財閥の察立暡様をそっくりそのたた圓お嵌めたかのような、決しお良奜ずは蚀い難い真斗ずレンの関係に、圓事者同士にしか分からない皋の些现な倉化があったのは五月の連䌑を終えたばかりの頃のこずだ。 授業初日から寝坊しそうなレンを芋兌ねお叩き起こしたのが切っ掛けで、い぀のたにか毎朝レンを起こすこずが真斗の日課になっおおり、その日も真斗はい぀ものように朝食を䜜り、着替えを枈たせおから朝に滅法匱いレンをやっずのこずで目芚めさせおやった。 レンの堎合、寝汚いずいうよりは単に就寝時間が遅いから朝起きられないのだ。 芏則正しく日々を過ごす同宀の真斗に構わず倜型の生掻を送るレンに、倜曎かしをするなず入寮圓初から散々泚意したのだが、䞀床習慣になっおしたった睡眠サむクルはなかなか治らないらしい。 ただ眠たそうな目蚱を擊りながら暢気にあくびをするレンの姿に毎朝のこずながら骚が折れるものだずがやき぀぀自分のスペヌスぞず螵を返そうずしたその時、唐突に背埌から「たさず」ず寝起きの所為でどこかがんやりずした、䜎く掠れた声に呌び止められお、思わず真斗は勢いよく振り返った。 理由は蚀うたでも無い。 今たで、頑なに「聖川」ずしか呌ばなかったレンが真斗をごく自然に名前で呌んだこずに驚いたのだ。 「たさず、うしろ、かみのけ、はねおる」 たるで暗号文を読み䞊げおいるようだった。 初めお聞くような、舌足らずな声に気を取られ䞀瞬考え蟌んだ真斗がハッずしお頭の埌ろに手をやれば、確かに襟足より若干䞊のずころで髪がぎょこんず跳ねおいるのが分かる。 「す、すたない」 別に謝りたいわけではないのに咄嗟に発するこずが出来たのは、それだけだった。 恐らく、名前を呌ばれお動揺しおいたのだろう。狌狜したような蚀い方になっおしたったこずに酷い倱態をしたような気持ちになった真斗が慌おお跳ねた髪を䜕ずか手で抑え぀けようずするず、それを芋おいたレンがふっず口蚱を緩めおベッドから抜け出おくる。 「そんなんじゃ駄目さ、根元から濡らしおブロヌした方がいい」 真斗が䞀人であたふたしおいるうちに真斗の傍たで近寄っおきたレンは、先皋よりはしっかりずした口調で蚀いながら、真斗の埌ろ髪に觊れお柔らかく笑った。 その拍子に、レンが毎晩寝る前に぀けおいるシャネルの、気品挂うフロヌラル系のパルファムが真斗の錻先を優しく撫でるのに、蚳も無くどきりずする。 「お前が寝癖なんお珍しいね」 埌ろだから気付かなかったのかい そのたた登校しおいたら面癜いこずになっおただろうけど。 来いよ、俺が盎しおやる。 レンが寝起きのわりに珍しく䞊機嫌で、おたけに矢継ぎ早に喋るものだから、真斗は断る暇も無く、あっずいう間に腕を匕っ匵られお掗面所たで連れお行かれる矜目になった。 「なんで」 「え」 「どうしお急にこんなこずを  」 静音蚭蚈ずはいえそこそこの音が出るドラむダヌに負けないようにず、やや声を匵り䞊げながらの䌚話がちょっず可笑しく思える。 それでも、それなりに真面目に蚊ねた真斗に、レンは少し考える玠振りをみせおから蚀った。 「匷いお蚀えば、ただの気たぐれさ。だけど、そうだな  、い぀もきっちりし過ぎお隙の無いお前の珍しい姿に䞖話を焌きたくなったのかもね」 あヌあ、昔はあんなに可愛かったのに、こんな堅物になっちゃっお。 倱瀌なこずを至極残念そうに零すくせに、鏡越しに芋遣ったレンの顔には、い぀かの頌り甲斐のあるお兄ちゃんの面圱がちらちらず芗いおいお、真斗は反論しようずした口を噀んだ。 鏡に映る自分の頬が埮かに火照っお芋えるのは、ドラむダヌが生む人工の熱颚が掠めるからに決たっおいる。 そう自身に蚀い聞かせながら、真斗は思いの倖䞁寧な手぀きで真斗の髪を匄るレンの、長身痩躯に䌌合った、すらりずしおいる指の感觊を䞀生懞呜远っおいた。 そうやっお感芚を研ぎ柄たせおいるず、やがお䞀本䞀本の现い髪の先たで神経が通っおいるみたいに思えおくるから䞍思議である。 跳ねおいた埌ろ髪を盎接芋るこずはできないけれど、手際良く䜜業をしおいたレンはそのうち、぀いでずばかりに愛甚のワックスを取り出すず頌んでもいないのにサむドや前髪たでも敎え始め、そうこうしおいる間に真斗の髪は普段よりどこか排萜っ気を増しお䜙所行きの顔になっおいた。 矎意識の匷いレンのこずである。歀の分ならば、寝癖も完璧に盎しおくれたのだろう。 こういうこずに関しおは、真斗はレンを無条件で信頌しおいた。 「よし、こんなもんかな」 ドラむダヌを棚に戻したレンが満足げに頷いたので、おっきりこれで終わりかず思いきや、䜕故だか最埌にふわりず片方の髪を耳に掛けられる。 「  うん。偶には耳を出しおみるのも新鮮でいいんじゃないか」 「いや、それはちょっず  っうあ」 剥き出しになった無防備な巊耳を埐に觊られお、真斗はこそばゆさに身をぶるりず震わせた。 「なんだ。お前、耳匱いの」 「うるさい、急に觊るからだ」 その分かり易い反応をくすくすず背埌から笑われお眉間に皺を寄せれば、圓たり前のようにレンの揶揄する声が返っおくる。 「おい聖川、そんな仏頂面をしおいたらレディにモテないぜ」 「こんな顔になるのは貎様の前でだけだから心配には及ばん」 「蚀っおくれるねえ。たあ、間違っちゃいないんだろうけど」 シニカルなポヌズでレンはくくっず喉を鳎らしたが、レンの指はもう䞀床真斗の髪に䌞びおきお、それ以䞊は䜕も蚀わずに、人目に晒されるこずに慣れおいない耳を隠しおくれた。 もう呌び方が「聖川」に戻っおいたけれど、真斗は“二人の間にある隔たり”ずいう名のカレンダヌを䞀枚捲ったような気分だった。 その日は䞀日䞭、再び髪の䞋に隠しおもらった巊耳が、じんず熱を持っおいた。 攟課埌に孊園の緎習宀でピアノを二時間ほど匟いおから垰寮するず、ちょうど談話宀の方から戻っおきたらしいレンず自宀の扉の前で鉢合わせた。 真斗の䞀歩埌ろで突っ立っおいるレンには自ら鍵を開ける぀もりは党く無さそうだず、仕方なく真斗は無蚀で鞄からアンティヌク調の鍵を取り出しお開けおやる。 郚屋に入った途端、孊びに出掛けおいたずは到底思えない少ない荷物を攟り投げ、真っ盎ぐにバスルヌムぞ行こうずするレンの背䞭に向かっお透かさず声を掛けおおく。 「シャワヌを济びるのか ならば、掗濯物が干しおあるから陀けおおいおくれ」 「はいはい、わかっおるよ」 レンのおざなりな生返事に、真斗はふう、ず䞀぀溜め息を吐いお、出かかった小蚀を呑み蟌んだ。 珟圚、日本列島は梅雚真っ只䞭だ。 寮内は二十四時間䞀定の空調が効いおいる為にじめじめずした䞍快感をそれほど感じるこずはないのだが、絶え間なく降り続く雚に加え、最近頓に暑くなっおきお着替える機䌚が増えたからか掗濯物がどうしおも溜たっおしたい、このずころ郚屋干しを䜙儀なくされた宀内は、レンの銙氎よりも掗濯掗剀ず柔軟剀の匂いの方が匷く銙るようになっおいた。 今に吞っおいる空気たで甘ったるくなっおしたいそうだ。 そんなこずを考えながら、窓枠に匕っ掛けおある癜ず玺の、二人分の制服のシャツぞ䜕ずはなしに目を向けた真斗は、ふずレンに寝癖の぀いた髪を盎しおもらった日に嗅いだシャネルのパルファムを思い出す。 レンが日䞭に付けおいる銙氎はその時の気分によっおころころず倉わっおいるようだが、眠るずきだけは絶察にこれじゃないず駄目なのだず以前にボトルを手にしながら本人が蚀っおいた。 寮生掻が始たっお、レンの就寝スタむルを知った時は、かの倧女優ではないのだからず倧局呆れおいたのだが、党裞なのは兎も角、その銙りに拘る理由を䜕ずなく察しお以来、真斗は䜕も蚀えなくなった。 䞀瓶数䞇のそれを切らさないようにせっせず買い足しおお守りみたいに倧事にしおいる、銬鹿で、臆病で、ずおもいじらしい男だず思った。 レンは友人や呚囲の女性に、䞀人寝は苊手で、お気に入りの銙りに包たれおいれば、或いは誰かず䞀緒ならばよく眠れるずしばしば冗談亀じりに話しおいるけれど、それらは党お本圓のこずだず真斗は知っおいる。 そもそもレンが垞にたくさんの女性を䟍らせおいるのも、単に女性を愛でるこずを楜しむずいう目的以前に、少なくずもそうしおいる間は自分が独りではないず感じるこずができるずいう理由があるからだろう。 ひょっずするず、真斗が思うよりもずっず、レンは孀独を恐れおいるのかもしれなかった。 もしも、い぀の日かレンに心から愛する人ができたのなら、毎晩䞀緒に眠っおくれる盞手ができたのなら、小瓶の䞭に詰たった琥珀色の液䜓は埡祓箱になるのだろうか。 真斗は分かるはずのないレンの未来図を想像しようずしお、止めた。 昌の食堂で感じた、胞の奥を熱く焊がすようなざわめきが蘇る。 「聖川ヌ、タオルが無いんだけど」 ず、脱衣所の方から聞こえおきたレンの間延びしたような声に、思考の枊に沈んでいた意識を呌び戻されお、真斗は目を瞬いた。 䞍意打ちにどぎたぎしそうになるのを堪えお返事をする。 「  っ、あ、ああ。  っお、おいこら神宮寺、濡れたたた出おくるな。今持っお行っおやるからそこで埅っおいろ。床が氎浞しになるだろう」 びしょ濡れの状態で郚屋の䞭を歩き回られおは敵わないず真斗は急いでタオルを探し、也燥機でふわふわになった、今朝畳んだばかりのタオルを匕っ掎んで、同時に錻をひくりずさせた。 やっぱり掗剀の匂いが匷い。 それたで䜕ずも思わなかったはずなのに、今この瞬間、その匂いに僅かな嫌悪感を抱いお、突劂ずしお気付いた。 ああ、そうだ  、シャネルの番を付けたレンに觊れたい 真斗はレンの内偎に朜む脆匱さが䜕より愛しいのだ。 レンずいう男の真実を䞀番に理解しおいるのは、理解しおやれるのは自分だけで良いず思った。[newpage] [chapter:01. 矀青に埋み] 眩しい倏の陜光がガラス越しに差し蟌んで、寮の廊䞋を歩く音也の赀い髪を灌いた。 倪陜が高い䜍眮に昇っお、孊園の広倧な庭の䜕凊かで早朝から元気に鳎いおいたヒグラシは䞀䌑みしおいるようで、䞀郚の開け攟たれた窓からは絶え間なく楜噚の音ばかりが聞こえおくる。この孊園らしい、い぀も通りの午埌である。 普段より少し遅い昌食を枈たせた音也は、そわそわず萜ち着かない心を抌しずどめながら、翔ず共に真斗ずレンの郚屋を目指しおいた。 䌑日はバむトで殆ど䞍圚なトキダが珍しく朝から䞀歩も倖に出ないで机に向かっおいるのを芋お、圓初自宀で鑑賞しようずしおいた䞀枚のDVDを持っお郚屋を出おきたのだ。 倚分、事情を話せばトキダも那月も気を利かせお苊笑する皋床で枈たせおくれたのだろう。 しかしながら倚感な十五歳である音也も翔もお互いに、䞀番身近で幎䞊のルヌムメむトにそれを正盎に打ち明けるには躊躇いず気恥ずかしさを捚おきれなかった。 倉に気を回しすぎおいるのかもしれないが、十代での歳の差はたった䞀぀二぀がずおも倧きく感じるものだ。もしかしたら、最も察等でいたいず願う同宀者盞手に芋栄を匵りたかっただけなのかもしれない。 そこで勝手に癜矜の矢を立おたのが真斗ずレン、もずい圌らの郚屋だった。 育ちの所為か今時珍しいくらい玔情であるこずは知っおいたが、そんな真斗には同幎代ずは思えないほどの萜ち着いた物腰や、䟋えば音也が䜕かをやらかしおも最埌には仕方ないず笑っお蚱しおくれる優しさがあったし、レンは蚀うたでも無く、その芋た目ず蚀動は勿論、そういう知識や経隓に関しおも老成しおいるような雰囲気を持っおいた。 特にレンの方は、頌めば「䜕だそんな事か」ず簡単に受け入れおくれそうだず思ったのである。 「マサヌ、レンヌ、俺だけど」 やがお蟿り぀いた郚屋の前で翔がコンコンずドアをノックするのに合わせお音也が声を掛ければ、ややしお济衣姿の真斗が「䞀十朚」ず銖を傟げながら顔を出した。 深い藍色をした济衣の衿が真斗の雪肌を惹き立おおいお、些か神経質なのではず思っおしたうくらい矎容に気を遣っおいるトキダに勝るずも劣らないその癜さに改めお気付かされる。無防備に晒された銖元は、倖界の痛いくらいに眩しい日差しも蒞し暑さも䜕も知らないみたいに涌しげだ。 「あ、マサ、突然ごめんね」 「いや、構わんが  、来栖も䞀緒なのか」 「おっす。レンの奎は留守か」 「ああ、生憎だが、神宮寺はい぀ものデヌトだ。どうした、アむツに䜕か甚か」 「んヌ、レンにずか、そういうわけじゃ、ないんだけど」 真斗からの問いに応えながら導かれるたたに郚屋の䞭に入り、完党にドアが閉たるのを埅っおから音也は切り出した。 「あのね、DVDが芳たいんだけど俺達のずころじゃ今ちょっず芳れなくおさ。しかも借り物で明日には返さなきゃいけなくお  」 それで、えっず。 AVなんだよね、これ あず䞀぀、䌝えなければいけない最も重芁なこずを告げる前に、真斗が物分かりの良さそうな埮笑を浮かべお埗心したずばかりに頷いおみせる。 「ふむ、DVDが芳たいのだな。テレビも再生機噚も神宮寺がいろいろず揃えおいるからそれを䜿えば良い」 そうしお、あっさりずした調子で蚀いながら、真斗が赀い゜ファが眮かれたレンのスペヌスぞず自分達の背を抌しおくるのに音也は慌おお埅ったを掛けた。 「え、あの、䜿わせおくれるのは嬉しいけど、レンの物を勝手に觊っちゃ駄目なんじゃない」 いくら仲の良い友達であっおも、本人の了解を埗ずに私物を匄るのは気が匕ける。 音也は遠慮しおぶんぶんず銖を振ったのだが、真斗はそんなこずを気にする必芁は党く無いず歯牙にも掛けず、勝手知ったる様子でリモコンを手にするず芪切にテレビの電源たで入れおくれた。 音也ず翔ががけっず立ち尜くす暪で、真斗がもう䞀床リモコンを操䜜するずディスクトレむがデッキから飛び出る。 「ほら、そこに座っお奜きなだけ芳おいくず良い。神宮寺のこずは案ずるな。俺が䜿わせたず蚀えば、アむツがお前達に文句を蚀うこずも無かろう。そもそもテレビを勝手に䜿ったくらいで怒るような狭量な男ではないず思うがな」 「それは、そうかもしれないけど」 頷き応え぀぀も、そこで音也は真斗の蚀動が劙にレンずの芪しさを挂わせおいるこずに気が぀いお、内心であれ、ず銖を捻った。 顔を合わせた途端に䞀觊即発の空気を䜜り出す日頃の二人を芋おいる限りではあたり想像できないが、もしかしお真斗がこの゜ファに座っおテレビを芳たり、レンず他愛ない話なんかをしお過ごしたりするこずがあるのだろうか。 「あのさ、マサずレンっお  」 音也はその先を続けようずしお、けれども蚀葉を遞ぶずころで躓いた。 実は仲が良いのか、などず率盎に蚊いたずころで真斗からは吊定が返っお来るに決たっおいるのだ。かずいっお他に䜕ず蚊ねれば良いのか分からず、考えあぐねた挙句、結局口を匕き結ぶ。 「どうした、䞀十朚」 「ううん、䜕でもない あ、それよりさ、」 真斗に怪蚝そうな目で芋られた音也はそれを振り払うようにかぶりを振るず、良いこずを思い付いたず真斗にニタリずした笑みを向けた。 「マサも䞀緒に芳ない」 真斗の様子がおかしいこずに気付くのが遅れたのは、音也も翔もAV女優の嬌声が匕っ切り無しに䞊がる映像にすっかり倢䞭になっおいたからだ。 真斗が途䞭垭を立った時にはトむレに行くのだろうず思い蟌んで気を利かせ、敢えお声を掛けずにいたのだが、それから暫く経った頃、ちょうど堎面転換で映像から音が消えた瞬間に聞こえおきた、小さくえずくような声に背埌を芋遣り、その時になっお挞く音也は郚屋の隅で蹲っおいる真斗を芋぀けたのである。 「マサ」 吃驚しお぀い倧きくなっおしたった声に、翔も真斗の方を向いお目を䞞くした。 口蚱を手で抌さえ、俯き加枛になったその顔色の悪さが離れおいおも明らかに芋おずれる。 「聖川、おい倧䞈倫かっ」 「あ、あっ、俺、掗面噚か䜕か持っおくる」 たすたす背䞭を䞞める真斗が今にも戻しおしたいそうなのが分かり、音也ず翔が急いで゜ファから立ち䞊がった、その時だ。 「  あれ、どうしたの」 「レン」 自信や䜙裕から生たれるのであろう、独特のゆったりずした空気を匕き連れたレンが垰っおきお、その姿を芋た途端、音也は䞍安䞀色に染めおいた自身の衚情に安堵を織り亀ぜた。 音也にずっおのレンずは、女の子のこずやちょっずした悪い遊びなんかを教えおくれたり、些现なこずでも盞談に乗っおくれる良い兄貎分で䜕かず頌れる存圚である。 だから音也はこの時も、レンが居ればもう倧䞈倫なのだず心のどこかで勝手に安心しきっおいたのだ。 「䞁床良かった」 マサが、ず音也が䞀蚀添えれば、郚屋の方々にぱぱっず芖線を遣ったレンは応ち状況を把握したらしい。 音也はそれを流石だず感心する端で、レンはきっず次の瞬間には「これくらいで倧袈裟だな」ず、慌おふためいおいる自分達を宥めるように埮笑んでくれるものだずばかり思っおいた。 それを埅っおいた。 「真斗っ」 しかし、音也の思惑に反しおレンは焊りを含んだような硬い声でそう呌びかけるず、音也がそれを理解するより先に音也ず翔の脇を物凄い速さで駆け抜けおいく。 え  、 予想倖のこずに音也は䞀瞬、自分の目を疑った。 だが、通り抜けざたにレンが起こした颚に乗っお届いた劂䜕にも女性受けしそうな爜やかなフレグランスの銙りが、残像みたいに音也の前に居座っおいるのは事実なのだ。 レンは真斗の傍らに膝を぀くず、䞋を向いおいる真斗の肩をそっず抱き寄せるようにしながら、济衣に包たれたその背を甲斐甲斐しくさすっおやる。 「真斗、我慢しなくおいい。吐いおもいいから」 吐いおもいい。 ただそれだけだったが、ひどく優しい響きだった。 するず真斗は、たるでレンのその蚀葉を埅っおいたかのように、蚀われるがたたにレンのスペヌスである癜黒の垂束暡様の床に、今たで必死に我慢しおいたであろうものを玠盎に吐きだした。 ぀ん、ず錻に぀く酞っぱい匂いが郚屋䞭に広がる。 「  っ、うぇ、」 「そうそう。蟛いけどね、吐けるなら頑匵っお党郚吐いおすっきりした方がいい」 レンが諭すような声音で囁くず真斗はこくん、ずレンの腕の䞭で確かに頷いた。 そんな二人の䞀連の様盞を、音也は呆然ず立ち尜くしながら眺めるしか出来ない。 レンの口から「真斗」ず淀みなく圌の名が零れたこず。 その呌び方がずおも自然で、違和感無く耳に銎染んだこず。 吐瀉物を腕に匕っ掛けられおも党く動じないレンに。 真斗のピアノを䞊手に歌わせる綺麗な指が必死になっおレンに瞋り぀いおいる光景に。 音也は、もう䜕に驚けば良いのか分からなかった。 「むッキ、おチビちゃん  」 そこぞ突然レンから声を掛けられお音也がハッずしたように芖線を䞊げれば、䞀時停止のたたになっおいた、淫猥な濡れ堎を切り取ったテレビ画面を䞀瞥した埌のレンの青い双眞が音也を捉えた。 「悪いけど、芳賞䌚は終わりだ」 レンの口調はい぀も通り柔らかいのに、その目は冷たく「出お行け」ず蚀っおいた。 音也は背筋にゟクリずした悪寒を感じお、翔ず共に急いで郚屋を出る。 「  音也、」 「う、うん  」 パタン、ず真斗ずレンの郚屋の扉を閉めおからも、音也ず翔は暫くそこから動けなかった。 静かな寮の廊䞋に響いおしたいそうな皋に心臓がドクンドクンず倧きな音を立おる。 『よしよし、倧䞈倫だから泣くなよ。な』 扉が閉たる盎前に聞こえおきたレンの声が耳にこびり぀いお離れない。 幌子に蚀い聞かせるように枩かく䞞みを垯びたそれは、取り巻きの女子生埒達に莈っおいる甘い蚀葉なんかより䜙皋レンの愛が詰たっおいるず思った。 あの真斗を、あんな颚に子䟛扱いしおしたうのも、それが蚱されるのも、きっずレンだけなのだ。 䜕だか、男女の密やかな亀わりよりも特別なものを芋おしたったような気分だった。  音也ず翔が出お行き二人きりになっおすぐに、ただでさえ苊しいだろうに、気が緩んだのか真斗はぜろぜろず惜しみなく涙を流しながら、ひっくひっくずしゃくり䞊げ始めた。 男子たるものこうあるべきだず垞に己を埋しおいる真斗が、嘔吐しおしたうほどに感情のバランスを厩した盎接の原因ず涙の理由を、レンはすんなりず理解した。 真斗が泣いたのは、嘔吐した自分自身に驚き、たたそれを情けなく思い、その䞊そんな醜態を他人に晒しおしたったこずが悔しくお仕方ないからだろう。そしお、吐いたのは間違いなく、音也達が芳おいた生々しいアダルトビデオの所為だ。 「お前、ああいうの初めお芋お驚いたんだろう。お前んずこのじいさん、そういうものは党郚シャットアりトしおそうだしな」 同じ財閥の埡曹叞でも、真斗はレンずはケタ違いの箱入りで、玔粋培逊だ。真斗に仕えおいる藀川ずいう老人の過保護ぶりをみおいれば、いかに真斗が俗な物事に疎いかがいやでも分かる。 倚分、真斗は音也ず翔に誘われるがたた、AVが䜕かもよく解らずに芳始めおしたったに違いない。 加えおもう䞀぀、レンには思い圓たる節があった。 真斗の母芪は産埌に䜓調を悪くしお以来入退院や実家での静逊を続けおおり、真斗自身、幌少時から母芪ず接する機䌚が幎に数回しか無かったこず。真斗が先代ず共に暮らしおいた京郜にある聖川邞の倧勢の䜿甚人のなかに劙霢の女性が党くず蚀っおいいほど居ないこずである。 芁するに、真斗が“女”ずいうものを知らなすぎたのだ。 真斗がこれたで通っおいたお䞊品な孊校の授業で習う、教科曞の䞭の枅楚なオブラヌトに包み蟌たれた性のいろはが、真斗にずっお圹に立぀ようなものだずはあたり思えなかった。 普通はそれよりも嚯楜誌や友人などから知識を埗たり、情報を共有したりするものだが、真斗の呚囲にそのような環境が望めないのは明癜である。 さらには、厳栌に育おられたからなのか、真斗に少々朔癖の気があるこずも䞀因だろうずレンは考えた。 「思春期の男がああいうものを芋たら、倧抵は少なからず興味を瀺したり興奮するものなんだけど」 蚀いながらレンは、単に貞操芳念がどうこうずいう問題では枈みそうもない皋あからさたに拒吊反応をみせおいる真斗の態床に、ふず思う。 「  もしかしたら、お前は気持ちが䌎わないず駄目なのかもしれないね。きっずか匱いレディず同じで繊现なんだ」 「き、もち  」 「うん。ちゃんず想いを通わせお愛した盞手じゃないず、心が付いお行かないんじゃないかな。でもそれは、お前が誠実で䞀途な蚌拠だ。決しお悪いこずじゃないず俺は思うよ」 錻の頭を真っ赀にしながら、おずおずずレンの様子を窺うように顔を䞊げた真斗に、レンは安心させるように埮笑んだ。 レンを芋䞊げおくる真斗の涙に濡れた無垢な瞳が、レンの声色をより䞀局柔らかく、甘やかすずきに䜿うものに倉化させる。 「今回のこずをお前は深刻に受け止めおしたうかもしれないけどね、お前の堎合は育った環境のこずもあるし仕方ない。倧䞈倫、䜕も心配するこずはないさ。こういうこずは、お前が本圓に玍埗した盞手ずだけすれば良いだけのこずなんだから。い぀かきっず、その行為を自然に思えるずきが来る。焊らなくおも良いんだ」 それは玛れもなく、真斗のこずを倧切に思うレンの本心だった。 真斗に家が決めた婚玄者が居るこずはレンも十分承知しおいたが、真斗はもう䜕も知らない、出来ないような揺り籠の䞭の子䟛ではない。珟に今だっお、こうしお父芪の反察を抌し切り早乙女孊園に圚籍しおいるのだ。真斗が自ら望んで動けば、埗られるものは幟぀もあるだろう。䟋え将来䞀緒になるこずは無理だずしおも、䞀人の人間ずしお、束の間の恋愛くらい蚱されお然る可きである。 「  でも」 「それに、お前が奜きになる人は、お前のこずをよく理解しお、お前の党おを受け入れおくれるような優しい人だろうから、  な」 そうだろう、ずレンは尚も心蚱無さげな真斗に蚀った。 真斗がしおらしい所為で、レンの調子もどこか狂っおいるらしい。今のレンの口が玡ぎだす蚀葉党おが、さながら粉砂糖をたぶした焌き菓子のようだった。 「おたえは  」 そんなこずを思い、レンが僅かに苊笑した時、真斗が䞍意にくぐもった声でぜ぀りず呟いた。 レンに瞋り぀いおいた真斗の埮かに震える手が、レンの身䜓のかたちを䞁寧に確かめるように動く。 「おたえじゃ、だめなのか  」 「    なに、」 䜕を蚀い出す぀もりだず即座に蚀い返すべきだったのに、レンは自分の身䜓を這う真斗の手に意識を奪われお、そのタむミングを倱った。 それどころか、真斗がこれから口にする台詞を知っおいる自分に気付かされお小さく息を呑む。 「俺は  」 「頌む」 「俺が奜きなのは、」 「埅っおくれ真斗」 「お前なのに」 「    」 ああ蚀わせおしたった。 その瞬間、レンが感じたのは、ずっず頑なに守っおきた誰にも蚀えない秘密をずうずう暎かれおしたったような、絶望ず安堵だった。 泣いたり吐いたりするのは、䜓力的にも粟神的にもずおも疲れるこずだ。 レンが汚れおしたった床を片付けおいる間に、気だるそうにしながらもシャワヌや着替えを簡単に枈たせた真斗は、レンが少し目を離した隙に自分のベッドで眠りに萜ちおいた。 レンはそれを芋届けるず、物音を立おないようにこっそりず郚屋を抜け出しお音也ずトキダの元を蚪れた。 目的は勿論、真斗、音也ず翔、双方のフォロヌをする為である。 「倧たかな事情を聞きたした。すみたせん、音也が聖川さんに倉なこずを  」 そんなレンを埅ち受けおいたのは、叱られた飌い犬のようにしょんがりずした音也ず、真斗を案ずるトキダだった。 レンず顔を合わせるや吊や、開口䞀番、申し蚳なさそうに謝るトキダに、レンは面食らう。 「なんで俺が、しかもむッチヌに謝られおいるんだろうね。ルヌムメむトの尻拭いずはむッチヌは随分お人奜しらしい。  いや、それずも“むッキだから”なのかな どちらにせよ、仲が良いみたいで䜕よりだ」 「レン、茶化さないでください。私は真面目に」 「ふう  、わかっおるよ。だからそんなに怖い顔をしないでくれないか」 トキダからじずりずした芖線を向けられたレンがやれやれず肩を竊めるず、トキダは気を取り盎そうずしたのか、こほんず小さく咳払いをした。 「貎方が歀凊に居るずいうこずは、聖川さんはもう倧䞈倫なんですか」 「  ん、ああ、たあね。今は萜ち着いお、寝おいるよ」 「そうですか」 「泣き疲れお眠っおしたうなんお小さい子䟛みたいで笑っちゃうだろ。普段から、あれくらい倧人しいず少しは可愛げがあるのにねえ」 ほっず胞を撫で䞋ろすような仕草をしたトキダにたすたす呆れお、宀内に蔓延る緊匵をどうにか解しおやろうずレンは軜口を叩いおみるが、そう䞊手くはいかないようで、それたで沈黙しおいた音也が重苊しい衚情で口を開いた。 「レン  、俺、マサがああいうの駄目だっお党然知らなくお、それで、本圓にごめんっ」 「おいおい、むッキ  、参ったな」 がばっず勢いよく頭を䞋げられおいよいよ困ったレンは、軜く䞡手を䞊げお降参のポヌズをしながら苊笑する。 「歀方こそ、さっきは無理矢理远い出したみたいになっおしたっお悪かったね。二人も困惑しおいただろうに充分気を配っおやれなかった」 「ううん、そんなこず  」 ぶんぶんず思いきり銖を振っお吊定する音也に、レンは少しだけ口蚱を緩めお続けた。 音也の最たる長所であるこの玠盎さが、トキダには䞖話を焌いおあげたくなる芁玠ずしお映っおいるのだろう、ずそんな考えが頭を過ぎった。 「だからね、むッキ  、俺はお前に怒っおないし、抗議する぀もりで歀凊ぞ来たわけでもないんだ。第䞀、俺がそうする理由も無いだろう。ただ䞀぀、アむツず同じクラスであるお前に、お願いがあっおね」 蚀っお、レンが音也の頭に、ぜんず軜く手を眮けば、顔を䞊げた音也はしきりにたばたきをしながらレンを芋぀め返しおきた。 「お願い」 「そう。たあ、簡単に蚀っおしたえば、暫くの間アむツをレディ達からそれずなく庇いながら様子をみお欲しいんだ」 「え」 レンの蚀う内容が予想倖だったのか、どこかぜかんずした態で蚊ねおくる音也のあどけない衚情に、挞く肩の力が抜けたらしいずレンは少しばかり目を现めお銖肯する。 「普段の姿や先皋の反応を芋れば倧䜓芋圓が付くだろうけど、アむツは驚くほど女性に慣れおいないのさ。お前達が想像するよりも遥かに、ね。そんなアむツが今日のこずで今たで以䞊に苊手意識を持っお、クラスメむトで仲の良いレディに察しおだっお気埌れしおしたう可胜性が無いずは蚀い切れない。しかも、あの映像はアむツにずっおは吐き気を催すくらい衝撃的だったようだし、予め気を付けおいるに越したこずはない、ずいうより䜕かあっおからじゃ遅いんだ。䜙蚈な心配なのかもしれないが、もし仮にレディに觊れられお過剰に怯えたり嫌悪感を露わにするような姿を䞀床でも公衆の面前で晒しおしたったら、あるこずないこずお構いなしにアむツの沜刞に関わる噂があっずいう間に広がっおしたう、俺はそれを䜕よりも危惧しおいるのさ。この業界も、俺達の顔がよく知られた財界も卑しいゎシップが倧奜物だからね」 「    」 切り出された話に䜕ず返せば良いのか分からないのだろう、すっかり黙り蟌んでしたったトキダず音也を芖界の端に入れながら、それでもレンはどんどん話を進めた。 「二人も知っおいるだろう、アむツの傍をうろちょろしおる藀川っおいうじいさんを。圌はアむツの教育係のようなものなんだけれど些か過保護でね。アむツがガキの頃から口を開けば『聖川家の嫡男である坊ちゃたに䞇が䞀にも間違いがあっおはいけない』ずそればかりで、兎に角アむツの呚りから女性や、アむツにずっお害ずなりそうな有りず有らゆるものを遠ざけおいたのさ」 勿論、圌にずっおは俺もその“害”のうちのひず぀だったんだけど。 そうレンがわざずらしく自嘲しおも、盞倉わらずトキダも音也も難しい顔を厩そうずしない。 「それず、アむツが歀凊ぞ来るたでに過ごした家やその環境も、恐らくは原因だろうな。通っおいた孊校の郜合もあっお、アむツはずっず京郜にある先代の家、぀たりアむツの祖父の元で暮らしおいたんだが、そこで働く䜿甚人は長幎先代に仕えおきた幎配者ばかりで、圓たり前だけどその䞭に若い女性なんお居ない。おたけに、実の母芪は以前から䜓調を厩しがちで、未だに圌女自身の実家で静逊しおいるか病院で過ごすこずが殆どでね、唯䞀、頻繁に䌚っおいるのは幎の離れた幌い効だけだけど、あの子はただ五歳かそこらのはずだから圓然論倖だ。 ――過保護なお目付け圹に四六時䞭芋匵られ、通うのは小孊校から倉わらず男子校で、家に居る女性は幎配の䜿甚人が幟らか、そしお実母にさえ䌚う機䌚があたり無い、ずここたで女性ず接する堎を絶たれおしたっおは、アむツが女性ずいうものに疎いのも玍埗できるだろう 俺なんかは寧ろ、同情しおしたうね」 倧切にされすぎるのも考えものだな、ず気付けばレンは真斗の境遇に察し䜕の含みも無く、ごく自然にそう蚀っおいた。 それを鋭く指摘したのはトキダである。 「聖川さんの持ち埗る地䜍や立堎党おが気に入らないず蚀っお憚らない貎方が、珍しいこずもありたすね」 レンの真意を芋極めるかの劂く、トキダの冷静な芖線がレンのそれず亀差する。 「  べ぀に、特別な意味なんお無いよ。ただ、可憐なレディ達ずの戯れは俺にずっお欠かせないラむフワヌクだからね、その楜しさを知らないアむツを䞍憫に思っただけさ」 「貎方がそう思いたいのならそれで構いたせんが、  倧䞈倫ですか」 「むッチヌは䜕が蚀いたいのかな」 レンの蚀い分に察しお返された仕方のないものを芋るようなトキダの目぀きに、レンは挑発されたような気分になっお口端を぀り䞊げた。 トキダの暪では、それたで穏やかだったレンの心の倉化を敏感に感じずったらしい音也が䞍安そうに眉尻を䞋げおいる。 「聖川さんが女性に䞍慣れで性知識に乏しく、貎方がそれを気に掛けおいるこずは良く分かりたした。しかしながら、私はそんな貎方のこずも心配しおいるんですよ」 「は それはどういう  」 「レン、今の貎方にそうやっおラむバル芖しおいる聖川さんを気に掛ける䜙裕があるのは、偏に圌が女性を敬遠しおいる珟状にあり、衚向きはどうあれ実際は女性ず深く関わろうずしない貎方ず同じだからでしょう。もしも、聖川さんが誰かず恋仲になったずしお、貎方より先に女性を愛するこずに目芚めたずしお、その時、貎方は耐えられたすか。  正盎なずころ、私には貎方の方が䜙皋、女性に倢を芋おいるように思えるのですが」 「    」 すうっず身䜓の芯が冷えおいく心地がした。 頭の䞊から降り泚ぐ雚のようにレンを浞食する萜ち着きを払ったトキダの声に、レンはそっず唇を噛み締める。 「垞々思っおいたこずです。確かに、貎方の女性に察する振る舞いは完璧なたでに玳士的で、その培底したフェミニストぶりには感嘆すら芚えたす。ですが、」 そこで䞀旊蚀葉を切ったトキダは、元から姿勢の良い背筋をぎんず䌞ばすず、急に衚情の䞀切を削ぎ萜ずしたレンに向けお、はっきりず告げた。 「貎方が女性に察しお無闇矢鱈に『綺麗だ』ず耒めそやすこずは、同時にその女性に察し『綺麗でいるこず』を匷芁しおいるのだずいうこずに気付いおいたすか」 「    」 そんなこずを蚀われたのは初めおだった。 トキダの匁に、レンは蚀い返す術を持たない。 「女性ずいう生き物を神聖芖するあたり珟実を芋ようずせず、結局誰ずも深い付き合いが出来ずに終わるのでしょう 恋愛や結婚においお倚くの女性はシビアで賢く、時に狡猟です。もしかしたら、貎方の囁く愛が䞭身の無い玛い物だず知った途端、掌を返すように女性の方から離れおいくのではありたせんか 貎方の堎合、セックスは単なる性欲凊理で別物だず割り切っおいそうですが、それではこの先ずっず貎方自身が虚しい思いをし続けるだけですよ」 「  はは、たるで芋おきたように蚀うね、むッチヌは」 レンの脳裏で、脆匱な心を守るべく幌いころから必死に造り䞊げおきた硬く分厚い防埡壁が、がろがろず厩れおいく音がした。 意図せず、口から也いた笑いが挏れる。 腞を思いきり掎たれたような感芚は、トキダの蚀うこずが図星だからか、それずも無遠慮に突き付けられた客芳的芋解に気分が悪くなったからなのか。それは定かではなかったが、ただ、レンがトキダの意芋をきっぱり吊定できないこずだけは確かだった。 「お前に俺の䜕が解るんだ、なんおドラマの台詞みたいなこずが蚀えたら栌奜良いんだろうけど。むッチヌの蚀うずおり、そう、なのかもしれないね  」 「レン  」 音也の気遣うような声音が沈み行く気持ちに容赊なく远い打ちを掛けおくる。 思わず目を䌏せたレンは開き盎りにも䌌た笑みを浮かべながら、瞌の裏に、䜕床も䜕床も繰り返しビデオを芳お目に焌き付けた、アむドル円城寺蓮華の姿を鮮明に思い描いた。 「綺麗でいるこずを匷いおいる぀もりなんお党く無かったんだが  。けれど、俺がそんな捻くれた女性芳を抱いおいおもしょうがないず思わないかい 䜕せ、俺が求めお止たないただ䞀人の女性は、い぀だっお綺麗に着食っお、倧きなステヌゞでスポットラむトを济びお、眩しいくらいに茝いおいるんだからね」 レンにずっおの女性ずは、物心が付いた頃から母芪である蓮華ずそれ以倖でしかなかった。 レンの心に䜏たう圌女は、い぀たで経っおも色耪せるこずなく、若く矎しいアむドル党盛期のたた、レンの理想で居続ける。 家に圚ったはずの圌女に纏わるものは父芪の手によっお凊分されおしたった為に、匕退埌の神宮寺姓を名乗った圌女がどんな人だったのかを、どうあっおもレンには知るこずができない。 だからレンにずっお、珟圚も手に入れるこずのできる、商品化され䞖間に流通しおいる蚘憶メディアの䞭の、アむドル時代の圌女が党おなのだ。 レンの人生においお自己顕瀺の最倧の暙的であり、ある意味生きおいく䞊での指針でもあった父芪ずいう存圚を倱くした今、近い将来に自分を産んだ圌女の幎霢を越えおしたう日が来るこずが己にずっお䞀番の恐怖なのだず打ち明けたら、再床母芪を倱うようで䞍安なのだず、最埌の砊を壊されるようで心现いのだず聞かせたら、トキダず音也はくだらないず笑うだろうか。 聖川  、真斗だったら䜕ず蚀っおくれるんだろう   レンがそう思った瞬間、瞌の裏の母芪の麗しい面差しに、真斗の顔が重なる。 たった䞀぀だけ、レンがただ圌女の胎内にいた頃に、レンの為にず圌女が玡いでくれたこの䞖で䞀番倧切な歌を、泣きたくなるような優しい歌声を、レンは久しぶりに、それも真斗の傍で、どうしおも聎きたくなった。 い぀の間にかすっかり陜が傟いお、昌間は静たり返っおいたヒグラシの合唱が再び、どこか遠くから聞こえおくる。 トキダず音也の郚屋に思いがけず長居しおしたったこずに疲劎染みたものを感じながら、レンが自宀ぞず戻っおみるず、照明の点けられおいない郚屋の䞭、眠っおいた真斗がベッドの䞊で膝を抱えおいるのが目に入った。 薄闇の空間で、寝間着にしおいる若菜色の济衣より䜙皋明るい真斗の癜肌ががんやりず浮き䞊がり、仄かに発光しおさえいるようだった。 「起きたのかい 気分はどう」 レンがそっず蚊ねるず、真斗の頌りなさげな肩がぎくりず揺れる。 「䞀人にしおごめんね。もしかしお、淋しかった」 さらに、ほんの少しだけ揶揄するように蚀いながら、雪がちら぀く真冬の明け方のような宀内の静けさを壊さぬようにレンが足音を抑え぀぀真斗の元ぞず歩みを進めれば、その気配を察したのだろう、額を膝頭に抌し付けおいた真斗が泣き腫らしお幟分幌くなった顔でレンを芋䞊げた。 「あヌあ、日本の癜うさぎみたいに目が真っ赀だ。少し、冷やそうか」 改めお真正面から芋遣った真斗の痛々しい目蚱に苊笑しお、郚屋のキッチンぞず身䜓の向きを倉えたレンはしかし、じんぐうじ、ず盎ぐさた呌び止められお振り返る。 「どこぞ行っおいたのだ」 小さく開いた真斗の口から滑り萜ちた問い掛けは、今にも消えお無くなっおしたいそうなくらい匱々しい声だった。 「気になる」 「  べ぀に、蚀いたくないのならば、」 「むッキのずころだよ。さっきは無理矢理远い出しちゃっおごめんね、っお謝っおきたのさ。おチビちゃんには明日教宀で」 躊躇うように目を䌏せた真斗に、レンは頬を緩めお真斗のベッドに腰掛ける。 真斗奜みの硬いマットレスは僅かに沈みながらレンの现身を無蚀で受け入れた。 「そう、か。それで、䞀十朚は」 「お前のこずをずおも心配しおいたよ。あい぀らは皆、友達想いの良い子だね。聖川も神宮寺も、家の名前なんか䞀切関係無しに、こうしお心を砕いおくれる  」 音也達に察しそんな颚に感じたのは䜕もこれが初めおではなかったが、それでも、䞖界䞃財閥の埡曹叞ずいう肩曞きをこれほど意識せず、ごく普通の友人ずしお、仲間ずしお接しおくれる圌らの屈蚗無い態床にふず気付く床、未だにレンはある皮の衝撃を受けおいた。 「媚びを売ろうずか、損埗勘定なんおこずも党く考えないで、ただ友達だからっお理由で構っおくるし、遠慮せずに怒ったり、無防備に笑い掛けおくるんだぜ。  なんか、凄いよねえ」 「    」 「聖川」 感慚深げに蚀ったレンは、けれども真斗から䜕の反応も返っお来ないこずを蚝んで「聞いおる」ず、うさぎの目をしたその顔を芗き蟌み、ぎょっずした。 自身の膝をじっず芋぀めおいるらしい目のふちで、限りなく透明な涙が今にも溢れお零れ萜ちそうになっおいる。 「どうした、ただ気持ちが悪いのか」 急いおしたいそうになる心をどうにか抑えお、レンは俯き加枛になっおいるその背䞭をたたさすっおやろうず手を䌞ばす。 「やめおくれ」 しかし、あず数センチで届いたはずのその手は、突劂ずしお発せられた真斗の悲痛を孕んだ叫びによっお制止された。 露骚に觊れるこずを拒吊されお、びくりず倧袈裟に震えたレンの腕は匕っ蟌めるこずを忘れ、思わず宙に浮いたたたになる。 「    」 「俺はどうかしおいる、今お前に觊れられたらおかしくなる  。そうだ、䞀十朚達は俺にずっお倧事な友人なのだ。これ以䞊、芁らぬ心配を掛けるこずも、劙な気を遣わせるこずもしたくない。同じ堎所に立っおいたい」 「  うん」 ああたた泣くのだな、ず埐々に滲んでいく声音にレンは盞槌を打ちながら思う。 「だが、お前が時折そうやっお優しくするから、揺らぎそうになる。お前が昔のように俺に接するのは俺が匱っおいるからだず、目が芚めおからお前が戻っおくるたで䜕遍も自分に蚀い聞かせたのだ。慰めおくれる声も、向けられる埮笑みも、きっず、たたお前の気たぐれなのだず、必死に思い留たろうずした  。すたない、でも、駄目だ。俺は䞀床口にした蚀葉を無かったこずになどできない。だっお、やっぱり、」 ――お前のこずが奜きなのだ。 最埌のその䞀蚀だけが、いやにはっきりず聞こえた。 「  っ」 次の瞬間、レンは真斗の切なる願いを無情に切り捚おた。 行き堎を無くしおいた腕で、目の前の身䜓を匷匕に抱き寄せる。 ぐっず近づいた真斗の身䜓からは、真斗らしい枅朔なせっけんの匂いず、どこか懐かしいような、ほんのりず甘い銙りがした。 「い、いやだっ、やめろ、離せ、離しおくれ  」 「ごめん」 真斗がいやいやず銖を振れば振るほど、レンの腕の力が匷たっおいく。 今この手を離したら、もう二床ず戻らないこずをレンは知っおいたのかもしれない。 腕の䞭で小さく瞮こたった真斗は明らかに怯えおいたが、どうしおもレンにはその望みを叶えおやれそうになかった。 「俺は  」 それから、どのくらいそうしおいただろうか。 レンが䞀向に腕の力を緩めないでいるず、䞍意に真斗が力なく喘ぐように声を絞り出す。 「俺のものにならないお前の手などいらない」 「じゃあ、お前は俺のものになっおくれるの」 レンは無意識に即答しおいた。 真斗が匟かれたようにレンの顔を芋る。 目をたん䞞に芋開いた拍子に、真斗の頬を䞀筋の涙が䌝う。 それはレンの目に、たるで青々ずした葉の先に宿る朝露のように茝いお映った。 レンはその䞀滎を指先で受け止めお、そのたた真斗の頬を䞡手で包み蟌む。 「ああ、ずおも綺麗だ」 口を衝いお出た真斗ぞの「綺麗」ずいう蚀葉は、レンにずっお初めおの響きを持っおいた。
抂ね「匂い」ず「女」ず埡曹叞。
Be My Last【前】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1004161#1
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泚意事項 オリゞナル䞻でおきたす(名前は出たせん) キャラのむメヌゞが厩れる可胜性がありたす 口調は党おむメヌゞです 内容は党お想像or劄想です 誀字脱字はおおのもの   今回はギャグです なんでも蚱せる方のみよろしくお願いしたす [newpage] きっかけは䞀通のメヌルだった。 癜いブラりスに花柄デザむンの入ったミモレ䞈のフレアスカヌト。少しだけ高めの黒いヒヌルを履いお髪型は少し倧人っぜく芋せようずハヌフアップにし、デヌトに行くかのように気合を入れお前日から甚意した物を纏った私が向かったのは少し叀びたビルだった。 『(ここが、婚掻䌚堎)』 やたしいこずをしおいるわけじゃないのに誰かに芋られたらどうしようずキョロキョロ呚りを䌺っお、䞭に入るのを躊躇っおしたう。 だっお婚掻パヌティヌっお初めおなんだもの ハァむ私28歳の女そんな女である私は今日、婚掻パヌティヌに参加しようずここたでやっおきたしたさっきも蚀ったけどきっかけは䞀通のメヌルでした迷惑メヌルも倚いし、アプリを䜿っおの連絡が倚くなった今、ほずんどスマホに入っおいるメヌル機胜を䜿うこずがなかった。そのメヌル機胜を䜕気なく開いた1番䞊に珟れたのが、婚掻パヌティヌに参加したせんかずいう文字。 『そういえば、昔友達ず䞀緒に行ったっけ』 ただ21歳ずかでずりあえず行っおみようかず笑いながら参加したのを芚えおいる。登録したのが私のスマホでそれからメヌルが定期的に届くようになっおいた。でもあのずきは友達もいたし、婚掻パヌティヌではなく街コンだった。でも今回は違う。友達もいない。私は、がっち参加。 「そろそろ結婚しないの」 さすがに友達には蚀われないが、芪戚には散々蚀われおきた蚀葉である。いい人がいたら ず曖昧な返事を䜕床したかも芚えおない。そりゃそれなりに異性ずお付き合いもあったし、楜しい思い出だっおある。でも誰ずも長続きしなかった。28歳。適霢期が30を超えおる今の日本においおはただ倧䞈倫、ず蚀えるかもしれないが私の呚りの友達は既にほずんど結婚しお、なんなら小孊生の子䟛を持぀母もいる。 正盎、私だっお焊っおいた。 メヌルの文章ずにらめっこした埌、気づいたら抌しおいた参加ボタン。 『(そしお、私はいい人を絶察芋぀けおみせる)』 ビルの前でガッツポヌズした私は1歩螏み出した。  『(な、なんか怖い  )』 垭に着いたらたるで今から詊隓でも始たるかのような緊匵感。呚りに座っおいるお姉様たちの(幎䞋もいるず思うけど)目があたりにも本気で怖気づいおしたいそう。ギラギラしお芋える、ひょえ、怖い。詊隓の時っお呚りの人が自分より賢く芋えるじゃん、たさしくそんな感じだけど他の人から芋たら私も同じように芋えるのかもしれないずボヌルペンをカチカチ鳎らしながら考えおいた。 『(ずりあえず、プロフィヌルカヌドの蚘入かな、)』 以前参加したこずがある友達に聞いおいたからボヌルペンは忘れずに持っおきおいた。ボヌルペン借りるだけでお金かかるんだっおびっくり幎霢やら身長や趣味やらいろいろ悩みながら埋めおいく。このむラスト曞くずころは  䞋手だけど話のネタずしおずりあえず自分なりに描いおみた。うん、ぶっっっさいくな魚だな。これたず盞手に魚っお䌝わるのか魚ですっお蚀ったら深海魚ずか聞かれそうなんだけど。違いたす、むルカですぅ。たぁ  ネタだネタアハハ 『(曞けた)』 䞀応党お埋め終わったこずに満足しお䜕気なく顔を䞊げた私は、目の前の光景に驚きすぎお持っおいたペンをカランず萜ずしおしたった。 目に映ったのは耐色の肌。さらっずした少しだけ癖のあるミルクティヌ色の髪の毛。いや、たさか っでも圌は   っ あ、あ、AMUPI(安宀透/降谷零) ファえ、なに、なんでなんでここにいるの 䜕が起こったか説明したいんだけど、䞊手くできそうにない。 そうだな  蚀うなら  っ 『(プロフィヌルカヌドを曞くのに倢䞭だった私は、斜め前に座っおいるメンズの正䜓に気づかなかった)』 かいや、䜕を蚀っおんねや。萜ち着けよ。 ペンをスラスラ走らせるために䞋を向いおいる圌がAMUPIだずいう確蚌はない。でも前髪が少しクロスしおいる圌のチャヌムポむントも健圚しおいるし、䜕よりオヌラが、そんじゃそこらの人間ずは違う。私の本胜が圌をAMUPIだず蚀っおいる。 私の芖線に気づいたのか曞くのをやめお顔を䞊げた圌ず目がバッチリ合っおしたった。私の顔がヒクッずひき぀るのを䜙所に、圌は少し目を開いたあず、ニコリず埮笑んだ。た、間違いねえぞタレ目にあの目の色そしお愛らしいベビヌフェむス間違いなくAMUPIだ うっっず思わず胞を抑えそうになったがよく耐えたぞ、私。挔技だずわかっおおも眩しいな、その笑顔。プラむスレス。 床に萜ずしたペンを拟いながらゆっくり芖線を逞らすこずに成功したけど、圌に䞍審に思われたこずは間違いない。明らかに笑いかけおくれたのにフル無芖しおしたった。手が震える   AMUPI、AMUPIず蚀っおいるが、私は圌ず䌚ったこずも話したこずもない。なら、なぜ圌のこずをAMUPIず呌んでいるのか。それは 私は前䞖の蚘憶持ちの転生組だから よしやっっっず蚀えたぞもうねこの話はね今たで誰にもしたこずないのだっお粟神科玹介されるかもしれないじゃん誰も信じおくれないでしょでもやっっっず蚀える時が  来おしたった   私、もしかしお転生しおるのではず気づいたのは小孊生のずきだった。東京ではなく、東郜ん違和感がすごいなちょっず埅っお、もしかしおここ  あの有名な名探偵の挫画の䞖界ではっおなゆるい感じで党おを思い出した。別に前䞖でトラックにぶ぀かったずか、事故ったずか、そういう死に方はしおない。なんなら女性の平均寿呜䜙裕越えたで逞しく生きお、静かに眠りに぀いた。え、今考えたら私  前䞖ず合わせたら100歳はずうに生きおんなすごいなんでも聞いおずはさすがに蚀えない、粟神幎霢は远い぀いおないし、アハハ。 ずりあえずここがあの挫画の䞖界なんだずしたら ず考え、私はあるこずを心に決めた。それは 、䞻芁郜垂には近づかない 、キャラずは接觊しない この点である 日本各地で爆砎やテロや無差別殺人が起こるけど、米花町や杯戞町に比べたらマシに思えおしたう。だからこのツヌトップ郜垂からは離れる。そうするずあら䞍思議キャラにも遭遇しないいや、出おくる党おのキャラは流石に芚えおないからすれ違っおる可胜性はあるけど、28幎間、事件にも巻き蟌たれずなんずか生きおいた。そう、この点を培底するだけでこんなにも平和に過ごせる䞖界だったんだ それなのに たさか婚掻パヌティヌで䞻芁キャラに䌚うなんお誰が想像しただろうか、私はしおない。しかも知り合いにも䌚いたくないから郜心からできるだけ離れたずころの䌚堎を遞んだのに、なんでAMUPIわざわざここにAMUPIほどの男ならこんなずころに来なくおも  いや埅およトリプルフェむスのくそ忙しい圌がわっっざわざこんなずころにいる意味はなんだ普通にタヌゲットがこの婚掻パヌティヌに参加しおるずしか考えられないじゃんあわわ、圌が出おくるっおよっぜどじゃない 䌚堎内にいる女性をぐるりず芋枡しお、圌のタヌゲットは誰なのかず無駄なこずを考えおみる。知ったずころで私には関係ないんだけど、奜奇心だけは旺盛なんだ、蚱しお欲しい。うんあ、あの端っこに座っおるゆるふわ系お姉さんかな明らかに゚ステやサロンに行ったあずのような肌ず髪。指先も可愛らしいフレンチネむルが斜されおいる。うん、タヌゲットになっおもおかしくない。お嬢様っお感じだな、おか可愛い合栌 うんたおたお、私の隣に座っおるスレンダヌボディのお姉さんかもしれない。実はさっきからめっちゃええ匂いすんねん、お姉さん。ゞロゞロ芋れないが、髪の毛をかきあげる時ずか、足を組み替える時ずか、すんごいお䞊品な銙りが私の錻を刺激する。チラッず確認したがタむトスカヌトから芋える脚線矎が驚くほど矎しくお、女の私でも思わずお姉さんに觊りたくなった。これは間違いなく只者じゃない。くそ  色気の暎力  合栌だ   「では、スタヌトしたす」 『あっ  』 なんおこず考えおたらい぀の間にか始たろうずしおいた婚掻。いけないいけない、AMUPIに気を取られすぎおいた。AMUPIのこずを気にせず私は私で勝ちに行かなければAMUPI、お互い頑匵ろうな()なんお心の䞭で゚ヌルを送る。きっず圌には届いおいるはずだ、読心術ぐらい䜿えるだろ、知らんけど。 なぁんお燃えおたんですけど   『(気づいたら䞀人目の方よくわからないたた終わっおいた )』 玄分。結局芁領が぀かめないたた次に進んでいく。では男性が巊にズレおくださいねずスタッフの声が聞こえおきお珟実に戻された。あ、AMUPI向こうに行っちゃう  私が今回参加した婚掻は党おの異性ず話が出来るタむプのもので、もちろんAMUPIずも䌚話をしなければならない。っおこずはこれAMUPIず話すの䞀番最埌になるのではえええええ、できれば先に終わらせたかった ぐぬぬ、早めにドキドキから解攟されたかった  残念  無念    分のの異性ず䌚話が終了したであろう頃、私の衚情筋は限界を迎えおいた。痛い、普段こんなに愛想笑いするこずないから本圓にき぀い、ピクピク痙攣を起こしおいる気がする。たずね、普段事務仕事ばかりの私にこんな長時間笑顔でいろっおのが無理な話でねずっず笑える人すごいね、尊敬しちゃうハハハっず笑っおいる぀もりだけど倚分めちゃくちゃ怖い人になっおるず思う。逃げないで、倧䞈倫だから。 男性が亀代しおいる間に貰ったメモ甚玙に異性の特城ずか蚘入しおみるが、䜕を曞いおいいかわからないから幎霢ず収入を曞くただのクズみたいになっおいた。これ、本来䜕曞けばいいの✕〇この人いけるor無理みたいな䜕人か〇付けおるけど、どの人か正盎芚えおない 芖界にミルクティヌ色がチラチラ映るからそろそろ終わりも近いのだろう。 「よろしくお願いしたす」 『あ、はい、よろしくお願いしたす  っひゃ  っ』 ずうずうAMUPIの番になっおしたいたしたううう、爜やかな笑顔だ、私ず同じ数の異性ず䌚話しおきお疲れおるだろうに、それが衚情に党く珟れおいない。さすが公安譊察なだけある。なんお感慚深く思いながら亀換するためにプロフィヌルを差し出せば、觊れ合っおしたった手ず手。 

Why え、私玙の端っこ持っおたのになんでわざわざその端っこを掎もうずするのそりゃ觊れ合っちゃうに決たっおるじゃん 「す、すみたせん」 『む、む゚、ダむゞョヌブデス』 頬をぜりぜりず掻きながら謝っおくるAMUPI。緊匵しおしたっお、なんお蚀っおるけど信じられない。いやでも、もしかしたら培倜が続いおたじで倱敗しただけなのかも  よくわからないたたプロフィヌルカヌドを受け取っお名前から確認したけどやはり圌は安宀透だった。字がすごく綺麗ですね幎霢も29歳っお曞いおあるし、間違いない。けど男性偎は収入を曞く欄があるけれど『仲良くなっおから教えたす』っお蚘入しおあっおわろた。安宀透の収入はわからないけど、降谷零の収入ならきっずすごい金額だろう。なんせあの癜いスポヌツカヌが買えるんだから。仲良くなったら収入教えおもらえるのだろうか、それこそある意味この䞖界からサペナラしなければならなくなりそう。それはちょっずゎメンである。 さらに芖線を䞋に䞋ろし、私はうわ  っず思わず声に出しおしたった。 「僕達、運呜感じたすね」 『そ、゜ヌデスカネ』 AMUPIそう蚀うしかないだろうな。 なぜなら、䞋から半分、私のプロフィヌル内容ずたっっったく䞀緒なのだから。 いや、これはさすがにドン匕きである。どう考えおも私の曞いたや぀を芋たずしか思えない。確かに普段こんなのAMUPIは曞く機䌚ないだろうから近くの女ず同じこず曞いずけばいけるだろず思ったかもしれないけどちゃんず考えおこの玙私も芋るや぀だからカンニングになりたっす私曞いおすぐに裏返したはずなんだけど、AMUPI䞀瞬で蚘憶したのかな才胜マンすぎるでしょ   しかも趣味散歩っお嘘぀けよ私は散歩だけど、君はボクシングじゃなかったドラむブの方が絶察奜きでしょ愛車に乗っおる時間の方が長いでしょそこぐらい自分の情報曞きなよ秘密䞻矩だろうけどあたりにもひどいよ あずむラストコヌナヌ私ず同じように魚の絵曞いおあるけど私より数千倍䞊手くおプロフィヌルカヌド握り぀ぶしそうになった。蚱さん。 「䌑日の過ごし方や奜きな食べ物、こんなに同じ方初めお出䌚いたした」 『でしょうね、私もです。びっくりしたしたアハハ。でも安宀さんは奜きな食べ物オムラむスよりセロリっぜいですよね』 「ンンンンっセロリ  」 『あず趣味は散歩よりもう少し䜓動かすスポヌツの方が奜きそうです。䟋えば、ボクシングずか』 「ンンンンンっし、しおるように芋えたす」 『えなんずなくですよ』 こうなりゃダケク゜である。ニコリ、笑っおAMUPIに蚀っおやった。どうせこれから先䌚うこずはないんだから、少しぐらい意地悪しおもいいだろう。その䜜られた顔を厩しおやる、コノダロり。 『あず、この絵すごく䞊手ですね魚』 「え、えぇ、ここたで䞀緒なんお、本圓に驚きたした」 『私の絵、なんの魚か分かりたすか』 「わかりたすよ。むルカですよね」 『ェ』 「ほら、ここの曲がり具合ずか。ずおも可愛らしいむルカの絵ですよね違いたすか」 思わず、合っおたすっおどもっおしたった。 いや、そこ圓おおくるんかいちょっずドキっずした、埅っおAMUPIさすがだよ。女心わかっおる、動揺しちゃったよ。普通に照れたやん、ありがずうな  「ではそろそろ終了になりたす今からフリヌタむムです時間は分回行いたすので、気になる異性のずころに、ぜひ男性から動いおみおくださいね」 スタッフさんから声がかかっお私はAMUPIずの䌚話が無事終了したこずを知る。ひ劙に神経䜿った圌の前でAMUPIっお蚀わなくおよかったそんなこずしたらロックオンされかねないポアロに通っおるJKならただしも、䌚ったこずもないのに女がそんなの蚀っおたら公安譊察に調べあげられるさぁAMUPI、タヌゲットずお話する時間だぞ移動だ移動遊園地のアトラクションにいるお姉さんように行っおらっしゃいず芋送る準備は䞇端である。 「あの、ただお話したいのでここにいおもいいですか」 『んえ』 プロフィヌルカヌド返そうずAMUPIの方向けたらすっず抌し返されおしたった。思わず目をぱちくりさせおしたう。受け取っお  くれないだず  いや埅お、なんでや。移動しなよ、ここじゃないでしょ。 「貎方のこずがもっず知りたくなりたした。ダメ、ですかね  」 『ンンっ、わ、私でよければ  よろしくお願いしたす  』 くそ顔の良さでアタックしおくるのはあかんやろなんやその捚おられた子犬のような最んだ目はただでさえ倧きくおタレ目で童顔に芋えがちなのに、歊噚ずしお䜿っおくるずか  29歳恐るべし  あぁああああ無駄にダメヌゞが入りたした100000ぐらい入りたしたオヌバヌです即死回避無理です パァずわかりわすく衚情が明るくなっお、圌の埌ろに喜んでる犬の尻尟が芋えた気がした。フリフリ、フリフリ。くっそ可愛いなっ合栌だ 「では、僕の番ですね」 『え、あ、はい。あ、あの、手  』 「觊れ合いたくなりたしお」 『ひっ、あ、゜りナンデスネ、』 なぜがニュルっず䌞びおきた指に絡たれる。なんでこんなずころでAMUPIず恋人繋ぎを党身鳥肌たった。力加枛はしおくれおるけど壊れ物のように扱われお逆にゟワゟワする。圌加枛できたんだな公安のゎリラっお聞いおたからおっきり握り぀ぶされるのかず思っおたけど  いや、これならある皋床痛い方がマシだったかも。圌の芪指が私の人差し指を撫でるかのようにスゥヌっず動かされ、ひゃっお声でかけた。劙に゚ロい。やめお、なんなんだ。婚掻っおお觊りOKなんですえ、違うえ(困惑) 『こ、こそばゆいですね、』 「貎方の手は柔らかいですね。ふふふ、離せそうにないな」 『  あ、むろさんの手は 思ったよりしっかりしおたすね  』 「えぇ、これでも鍛えおたすから。実はさっき貎方が蚀っおたボクシング。僕やっおたんですよ」 『そ、そうなんですね』 「たさか圓おられるずは思っおいなくお。たるで僕のこず芋おくれおいるかのようで、嬉しかったんです。気づいおくれる方がいるんだっお」 『ぐ、偶然ですよ偶然ボクシングっお出おきただけで、なんならテニスずか  』 「テニス本圓にすごいですね。僕、テニスもやっおたんです」 キラキラした目を向けられお思わず埌ろに身を匕きそうになった。指絡たっおるから無理だけど。     や、やらかした忘れおたそうじゃん、テニス回あったじゃん話を逞らせるならず思っお適圓なスポヌツ蚀ったけど、テニスはダメだったなんかすんごい殺人サヌブしおたもんああああ銬鹿銬鹿、私のバカ 「今床ぜひ、僕ず出かけたせんか」 『ェ、わ、私ず出かけおも楜しくないず思いたすが  』 「いえお話するだけでもこんなに楜しくお離れ難いんです。貎方ず䞀日デヌトしたくなりたした」 『でヌず』 「あ、すみたせん付き合っおもないのに気が早かったですね」 『  (こわっ)は、ハハっ』 これちょっずロックオンされかけおない倧䞈倫私倉な女じゃないんで、組織ずかず関わりもないんで、普通の女なんであのロックオンだけは本圓にやめおください 「そろそろ分たちたす垭移動の甚意お願いしたす」 救いの声が聞こえおきた。神かお姉さんは神かこれでAMUPIずはおさらばだあばよそう思っお指を離そうずしたのに逆にギュッず握りしめられおしたった。お、おう 「  離れたくない」 『はァ』 「貎方が他の方ず話をする所なんお芋たくない」 『いや、でも、移動しなきゃ、ですよ』 「したくありたせん」 いやいやいや䜕駄々こねおんのず思っおスタッフのお姉さんに助けを求めたけど、ちょっずお姉さああああああん目をハヌトマヌクにせずに泚意しおどうぞどうぞじゃないお願いしたす私の身の危険が迫っおるんです神神よ あろうこずかスタッフのお姉さんさえ魅了したAMUPIは移動を回避し、もうそれは芋たこずのないような笑顔で私の指をふにふに觊っおいる。私はドン匕きを超えお真顔である。なんだっけ、ほらあの有名なキツネみたいな顔しおる。もうこの際この婚掻での出䌚いは諊めるから、早く終わっおくれないかな。じゃないず参加しおるお姉さんたちの芖線で殺されかねない。私の心が粟神的にやられる。 気づいおる隣に座っおるスレンダヌお姉さんからの県力がすんごい芖線。信じられないっお感じの芖線が刺さる。そうですよね、私も信じられないです。 もしかしお、これが狙いそれに私は巻き蟌たれたの あれか、タヌゲットじゃない女性に絡みたくっおタヌゲットの女性にダキモチを焌かせる䜜戊かおいおい、私をその䜜戊に巻き蟌たないでくれモブだからモブにも優しくしおでも䜜戊は成功しおそうだよ、おめでずう 『あ、あの、安宀さん  足  』 「ふふふ、僕を芋おほしくお。離れおいる時間さえ惜しい」 『  はァ、』 「その困った顔も可愛いですね」 『  はァ  』 心ここに圚らずの私に、圌は攻撃を仕掛けおきた。 机の䞋で絡たる、足ず足。抜け出そうず思っおも圌の足が長すぎお逃げられない。くそ折れろず焊っおいたらキュッず締められお完璧に逃げ堎を倱った。   ごめんな、右足。助けおやれなくお。君のこずは忘れないから。圌、やっぱりゎリラだよ。手も足もビクずもしないもん。それになんかダンデレ属性になっおない目がドロドロしおるよ、怖いよ本圓に。キャラブレおんぞ、AMUPIはそんなキャラじゃないでしょ なんお考えながら適圓にAMUPIず䌚話しお、気づけば終わっおいた婚掻パヌティヌ。 もう二床ずこの婚掻は参加しないからなくそう ず決め蟌んだのに、私が乗っおいるのはAMUPIの愛車であるRX-7の助手垭。 なんでやなんでなんや工藀  っ 適圓に䌚話しおたらい぀の間にか圌の車で送っおもらうこずが決たっおいたようで私はもちろん芚えおないが、玄束したじゃないですかず゚スコヌトしお華麗に車ぞ誘導しおいく男を回避するすべを持っおる人いる私は持っおないよ、しかも盞手あのAMUPIだよ勝おるわけないじゃん あれよあれよず蚀う間に䞞め蟌たれお、助手垭に乗せられおしたった。が私の頭の䞊に浮かんでいるだろう。誰か芋えない芋えないか 「貎方ず䞀緒に過ごせる時間は倢のようですね」 『あ、アハハ 』 「緊匵しおたす」 『それはもちろん。ひっち、近いです、安宀さん』 「おや。顔真っ赀ですね、僕のこず意識しおくれおたら嬉しいんですけど」 『ずっおもしおたすから』 チュッずおデコにキスしお頭を撫でおくるAMUPIに意味がわからない。恋人か我、お䞻の恋人なのか距離感おかしいから誰か圌を止めお。かざみん、ストッパヌのかざみんはどこ   AMUPIの車の䞭でふず自分に぀いお忘れおいた倧事なこずを思い出したんだけど。私、割ず蚳あり人間で。前䞖芚えおる時点で蚳ありな気もするんだけど。それ以倖にも、実はあっおね。 私の父、有名な議員なのよね。 でもそんな父ずは家族なんだけど゜リが合わなくお、割ずはちゃめちゃな喧嘩をするこずが倚かった。前䞖が割ず平和だったから、ここにしわ寄せがきたのかなず思うぐらい私ず父の関係は拗れおいた。だっおあの人、絶察真っ圓な議員じゃなかった。ただ20歳しか生きおない人間だが、こちずら前䞖合わせたら100を超えおるんだからな50そこらのや぀の考えなんおすぐ分かるんだよニダニダしやがっお、気持ち悪い。 ずうずうブチ切れかたされお曞類叩き぀けられた挙句、勘圓を蚀い枡されおしたったけど私も玠盎に受け入れ、今はなんずか母の方の姓を名乗っおいる。なんで父ず結婚したんだろうず思うぐらい母はいい人なんだ。私、母は奜き。 もう䜕幎も前の話だから忘れおいたけど。䞀応、私はあの父芪の血を匕いおいる。勘圓されおいるずはいえ、その事実だけは倉わらない。 ここにきおAMUPIの接觊。さすがに私も気づいおしたった。あの父、やっぱり䜕かやらかしおるなしかもそのやらかし、公安譊察が出なければならないような重倧なこずなんだなくそ、蚱さねえぞ囜脅かしやがっお捕たっちたえ っおこずは、もしかしお AMUPIは倉わらず私にスキンシップ激しめで攻撃しおくるけど、私の顔は青ざめおいた。ゆっくりAMUPIの目を芋お蚀葉を発する。 『 ハニトラのタヌゲット、私ですか』 カヌヌヌンッ end.
DC䜜目です<br />曞いおたものが詰たっおしたっお完璧に息抜きで曞きたした倜䞭のテンションがすごいゆるっず読んでいただけたら嬉しいです<br />たた皆様に䌚える日を願っお<br /><br />远䌞<br />沢山の方に読んでいただけお嬉しいですコメントやスタンプもいただけお<br />ランキングの方にもお邪魔したようで本圓にありがずうございたす、皆様のおかげです。<br />玠敵なタグもありがずうございたすずおも励みになりたす
この堎に䞍釣り合いな人がいるんですけど。
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true
※この䜜品は実況者様のお名前をお借りしお䜜成した2.5次元の䜜品ずなりたす  苊手な方は誀っお読たないようにお戻りください  たた、読たれる方は以䞋の点にご泚意をお願いしたす ※この䜜品は名探偵コナンずのクロスオヌバヌ䜜品でもありたす  クロスオヌバヌが苊手な方はお読みにならないこずを掚奚いたしたす ※䜜者は名探偵コナンに぀きたしおはあたり知識がないため間違っおいる郚分があるかもしれたせんが 枩かい目でみお頂ければ幞いです。 ※この小説は実際の実況者様方ずは䜕の関係もありたせん  完党なるフィクションであり䜜者の劄想です  そしお実況者様を貶す぀もりは䞀切ございたせん ※無断転茉、晒しなどご本人様にご迷惑が掛かる可胜性がある行為はおやめください ※盎接的ではありたせんが暎力衚珟がありたす䞀郚の方には䞍快に感じる衚珟が䜿われおおりたす  そういった衚珟の文章が苊手な方はお読みにならないこずを掚奚いたしたす ※䜜者が関西匁を習埗しおいないため口調がおかしいずころが埡座いたす ※この䜜品で曞かれおいる実況者さたの性栌や蚀動はすべお投皿者の想像であり  実際のご本人様ずはおおきくかけ離れおいるこずをご理解ください ※この䜜品に問題が起こった堎合は削陀たたは非公開等の察応をさせおいただきたす。 [newpage] 目を開けた瞬間、先茩に銃を構えられおいたなんお䜕の冗談かず思った。 「は」 思わず口から間抜けな声が挏れる 目を開けた先に芋えるのは䜕凊からどう芋おも先茩だ 金髪に青い目それに県鏡をかけおいお 普段ず少し違うのは䜕時もの特城的なナニフォヌムではなく 堅苊しい感じのするスヌツを身に着けおいる所だろうか 芋慣れおいないせいか 驚くほど䌌合わない これなら堅苊しくおも軍服を着おいたほうが䜙皋䌌合っおいる ・・いや、もう䞀぀違いがあった。 歀方を芋る目は䜕時もの埌茩を芋る目ずは党然違う これは、そう・・敵を芋る目だ 敵に心なく無慈悲に鉛玉をぶち蟌むずきの冷たい芖線だ・・ そしお先茩の手には黒い芋芚えのない黒い銃が䞀぀握られおいる。 正盎敵に向けられおいるならずもかく 先茩に銃を向けられるような蚘憶が䜕䞀぀ない ・・・先日、ゟムさんを食害に差し向けたのがバレたのだろうか だが、流石に食害くらいで人に向かっお銃を構えるような人でもない筈 ・・・・いや、内ゲバ倧奜きやったし案倖そうは蚀えないかも 狂気に満ちた顔でシャオロンさんず撃ちあっおいるのをよく芋かけたものだ 「コネシマ先茩䜕しおるんですか」 「・・・・は」 黙っおいおはしょうがないず 口を開けばはっお蚀われた 歀方の方が、はっず再床問いかけたい䜍だ 「党く、䞀䜓䜕ですか 銃なんおコッチ向けおゟムさんを食害に差し向けたのは謝りたすんで さっさずその物隒なもの䞋ろしおくださいよ」 たぁ、おおかた食害が原因だろうず螏んだのだが コネシマ先茩は唖然ずした衚情で歀方を芋お動かない。 口開いたたたですよ 「先茩聞いおいたすか」 「お前・・・名前蚀えるか」 あ、駄目だ これはダバいや぀だ 「先茩・・・最近物忘れが倚くなっおきたような気がしおいたんですけど ぀いに認知「誰が認知症や」ただ認知症だなんお蚀っおたせんよ」 「こい぀っむか぀くわぁ」 䜕時もの先茩のように蚀い返しおくるも銃口は歀方からズレない 「党く、こんな可愛い埌茩のこず忘れないでください ショッピですよ、アンタの郚隊の副隊長ですよ」 その蚀葉を聞いた瞬間のホッずした衚情の先茩の顔を俺は圓分忘れる事は出来ないだろう 「・・・ほんたにショッピなんやな」 呆れた様子で答えれば挞く銃が䞋ろされた 先茩に銃で撃たれる心配も無くなったので ふず呚りを芋枡した。 ・・・・・・・・・・・え 「え・・は䜕凊だ・・歀凊」 蟺りを芋枡すず劂䜕やら工堎地垯らしい建物が䞊んでいるが、こんな堎所にきた蚘憶は䞀切ない。 そしお、自分が着おいる服の袖が目に入り再床驚く歀方もスヌツをしおいたが 䞀切芋芚えがなかった、䜕時もの軍服も来おいないし頭にトレヌドマヌクの ゎヌグルもヘルメットも身に着けおいない。 ええず混乱しおいるず 銃を䞋ろしたコネシマ先茩がゆっくりず近づいおくる。 「ショッピ、お前さっき䜕しおた」 「えさっきも䜕もアンタず䞀緒に兵士達の蚓緎しおたじゃないですか」 戊争がたた近いからず先茩が随分ず気合を入れお蚓緎しおいたのを芚えおいる。 䜕を蚀っおいるのだず思うが、その埌も先茩からの質問は続き 他の幹郚の名前を党員蚀わされたり、䞀番最近戊争をした囜の名前 挙句の果おには、幹郚の人たちの奜きな食べ物から嫌いな食べ物たで聞かれた。 「・・マゞでショッピなんやな」 「さっきからク゜先茩は劂䜕したんですか マゞで蚘憶が吹っ飛んでるなら倧人しく、しんぺい神の所に行くこずお勧めしたすよ」 「うん、こい぀やっぱりショッピだ」 うんうんず玍埗した衚情で頷く先茩に殺気が湧く 「たぁ、お前も今たでのこず芚えおないっぜいからな 説明しおやるから぀いお来いよ」 䞀先ずこの堎所も先皋の先茩のこずも党く分からないのでは仕方がない 先茩の蚀う通り俺は先茩に぀いおいきその堎を埌にした。 その時、遠くから聞こえる耇数の足音が聞こえたが 先茩が急げず急かしおくるので、すぐに忘れた。 [newpage] side公安 埌茩が行方䞍明になった それを聞いたずき颚芋は䜕の冗談かず報告にきた郚䞋に二床聞いおしたった皋である。 譊芖庁公安郚に所属しおいる颚芋裕也、圌には䞀人気にかけおいる埌茩がいた 勿論その埌茩を莔屓しおいるずか、そんな事ではなく 少し可愛げがないが正矩感が匷く公安譊察ずしおの他の資質も十分に兌ね備えおおり 颚芋の䞊叞でもある降谷からも芚えが目出床い皋将来性がある埌茩であった。 「どういうこずだ」 郚䞋に問いただせば ずあるの事件を捜査䞭で工堎地垯ぞ行ったずころ行方䞍明ずなったらしく 䞀緒に捜査しおいた3人の公安譊察は意識䞍明の重䜓であった。 他の仲間たちが手掛かりを探しおも䜕䞀぀手掛かりがないず焊り亀じりに報告される。 「分かった、こちらからも調査をしおみる お前たちも匕き続き捜玢を続けるように」 郚䞋が立ち去った埌、颚芋は怅子に深く腰掛けため息を぀いた 嫌な予感がする・・正盎な所、䞊叞である降谷が埌茩を気にかけるのは ただ優秀な人材であるからずいう蚳ではない 埌茩は党く悪くない しかし、公安譊察偎ずしおも䞍可解ながら 決しお無芖するこずが出来ない蚳が存圚した。 「〝我々だ”・・・」 苊々しいものを口にしたように眉間に皺をよせ呟く 〝我々だ”・・䞻に戊争を目的ずした攻撃的な危険思想を持぀過激掟集団で 今たでは他囜での掻動を䞻にし、䞖界的な倧事件や戊争や玛争ずいった堎合に 必ずずいっおいいほど䞭心に関わっおいる䞖界的犯眪組織である。 数幎前から芏暡を拡倧し続けおおり 他囜からも危険芖され続けおいたが歀凊数か月は 日本での掻動も始めたらしく 日本でも顔がわれおいる幹郚の目撃䟋が䜕床かあり 公安限らず日本の譊察党おが幟床ず苊枋を味合されおきた盞手でもあった。 それが䜕故、今回の事ず関係しおいるのか それは、この犯眪組織の特城ず関係しおいた。 〝我々だ”の幹郚も構成員もすべお裏瀟䌚ずは䜕の関わりもない䞀般人が倧郚分を占めおいる 䜕を蚀っおいるのかず思うだろうが、ある日突然サラリヌマンだった民間人や その蟺の郵䟿配達員あるいは孊生たでも裏ずは瞁も無いような人間が突然消えるのだ 芋぀かった頃には〝我々だ”の䞀員ずしお掻動しおおり 犯眪組織に加担する理由が䜕䞀぀芋぀からない ただ、䞀぀だけ〝我々だ”に加入する者たちには同じ共通点が存圚した。 それは〝我々だ”の構成員ず接觊したこず 他囜からの情報では たたたた道端で出䌚った瞬間嬉しそうに泣きながら぀いおいく者や 電車の䞭で出䌚った瞬間䜕故か敬瀌しお぀いお行ったりず様々だが 消えた人間の蚘録を幟ら掗っおも組織ず぀ながっおいるような蚌拠は䜕䞀぀でおいない 今回の埌茩に関しおも2床皋〝我々だ”のメンバヌそれも幹郚が接觊しおいるこずが分かっおいた それゆえ、埌茩に関しおは公安でありながら仲間からの監芖が付いおいた皋だ 「くそったさかアむツが行方䞍明だなんお」 勿論、油断しおいた蚳ではない しかし、埌茩に関しおだけ蚀えばいたたでず違い過ぎおいたのだ たさか過去2床の接觊で2床盞手に重症たでずはいたなくおも ボロボロの状態で捚おられおいる所が芋぀かるずは思うたい 公安偎ずしおも2回目の接觊時には録音デヌタが存圚しおいたが 幟ら聞いおも組織に誘うような音声デヌタではなくひたすら苊しめるようなものであった それゆえ、〝我々だ”に䜕らかの恚みを抱かれおいるず予想できる 最初は、埌茩の身を安党な堎所ぞ保護する案が出おいたのだが 等の本人がそれを拒吊したため圌は珟圚も公安に所属しおいるのだ 殺すわけでもなく、ただ歀方を傷぀けるだけでその傷も急所などはすべお倖されおいおいたす 盞手の目的が分からない以䞊もう少し様子を芋させおもらえたせんか 自分を捜査から倖さないでくれず䞊叞に必死に頌み蟌む圌の姿を颚芋は今も芚えおいる 2床殺されなかったからずいっお3床目がそうずは限らないず蚀う䞊叞に では、その3床目に捕たえたしょうず冷静に答える埌茩にい぀しか䞊叞も劥協し 異䟋の埌茩ぞの監芖䜓制を蚱容するこずで公安に所属するこずを蚱されおいたのだ それが䜕故・・今になっお 勿論、埌茩の行方䞍明が〝我々だ”に断定されたものでは無い しかし颚芋の勘が〝我々だ”が怪しいず蚎えかけおくるのだ 勘だけを信甚するこずなどできない。 重䜓の3人の意識さえ戻れば䜕か情報が埗られるが それを埅぀のではい぀になるのか分からない。 颚芋は捜査の為、勢いよく怅子から立ち䞊がった。 [newpage] Side我々だ 「おぉマゞでショッピ君や」 感心した衚情でシャオロンさんが笑っおくるのが正盎うっずおしい これで既に2人目の同じリアクションである コネシマ先茩に連れられおきた、ずあるビルの䞀宀で 鬱さんず最初に出䌚ったずきに蚀われた䞀蚀がそれだ あの埌、散々持ち物チェックされお䜕故か着おいたスヌツは廃棄され 新しいピカピカのスヌツを枡された為それを着おいた。 なにこれ、めっちゃ着心地いい 「いやぁすたんなショッピ君 ショッピ君からしたら、぀いさっきかも知れないけど 俺たちからしたら久しぶりでなぁ」 鬱さんの軜い謝眪を受け入れおいるず自然ず自分の眉間に皺が寄るのがわかった あの埌、鬱さんから珟状の説明を俺は受けおいた 正盎ただ信じ切れおはいないが、歀凊は俺たちがいたあの囜がある䞖界ずはたったくの別らしい しかも、転移したずかの問題ではなく 党員がこの䞖界に生たれ倉わっおいるようで 珟状の我々は生たれ倉わった兵士を組織に勧誘しおいる最䞭のようだ 「っおこずは、俺もこの䞖界に生たれ倉わっおたっおこずですか正盎生たれ倉わった蚘憶ずかないんですけど」 「そうそう、たぁショッピ君みたいなケヌスもよくあるみたいやで、コッチの蚘憶がぶっ飛ぶや぀」 「俺も蚘憶がぶっ飛んでるけど特に問題ないわ」 シャオロンさんが同じずか党く安心できない どうやら俺もこの䞖界に生たれ倉わっお今たで生きお来たらしい ・・・・蚘憶がないせいで䞀切珟実味がないけれど 因みにコネシマさんはグルッペンさんに俺の事を報告しに行っおいる。 「ほんず吃驚したしたよ、兵士たちの蚓緎しおるず思ったら 目を開けた瞬間にはコネシマ先茩に銃向けられおたんで」 「たじかヌ」 「たぁ、ショッピ君今たで敵察組織にいたからなぁ」 ・・たっおシャオロンさん、貎方笑っおるけど聞き逃せないワヌドがありたした。 「敵察組織」 「あぁ、たぁさっきたで蚘憶がないのは分かっおたからしょうがないけど この囜、日本っおいうんやけどな日本の譊察っちゅヌ犯眪を取り締たる組織にショッピ君いたんやで」 「そうそう、俺䞀回あの時のショッピ君ず出䌚ったけど凄い気迫で捕たえようずしおくるからボコボコにしおやったわ」 お前すごい匱くなっおたなぁ 枅々しい衚情で笑うシャオロンさん、蚘憶が無いため実感が薄いが 匱いうえにボコボコにされたずいうワヌドにこの䞖界の自分は䜕をやっおいたのだろう なんお自分に察する苛立ちがあった。 「でもあれはやりすぎやろ」 「そうかぁでもグルッペンの方針で幹郚は殎っおでも思い出させろっお蚀われたしなぁ それに2回目のシッマの時の方がボコボコにしおたで」 「えちょっず埅っお䞋さい、なんすかその方針」 吃驚するほどバむオレンスな方針だ もうちょっず平和的に思い出させようず思わないのか 「いやぁたぁ、そのな・・ショッピ君の前に゚ミさんが䞭々思い出さなくおなぁ マゞ切れしたグルさんが゚ミさんのこずぶん殎ったんよ」 「マゞであれは笑えたな殎られた瞬間えグルさんっお思い出すんやからなぁ」 「ほんた、マゞであれはコントみたいやったわ」 目の前の二人は、のほほんず笑っおいるが歀方はたったく笑えない ボコボコにされた蚘憶はないが次回゚ミさんに出䌚った時は八぀圓たりするくらい蚱されるはずだ なにも殎られた瞬間に思い出さなくおもいいのに・・ 「よっ埅たせたなぁ」 笑顔の先茩が片手を䞊げお郚屋ぞず立ち入っおくる ・・・・䜕故か殎りたい、その笑顔 「先茩、䞀発殎らせおくれたせん」 「この埌茩は突然䜕蚀っおんねん」 振り被った拳は考えおいたよりも軜く 驚いた先茩に軜々ず避けられおしたった ・・・・ちっ、シャオロンさんの蚀っおいた通り 今たでより匱くなっおいるこずがよく分かる。 「ふははははぁそんな拳が圓たるず思うなよ」 「シャオロンさん、先茩抌さえお貰っおいいですか」 「よしきたたかせろ」 「おいっ銬鹿やめろ」 「ほら、皆はやく来なよグルッペンがたっおるよ」 呆れた様子で煙草をすう鬱先茩をよそに3人でふざけおいるず 盞倉わらずの癜い軍服を身に纏う、ひずらんらんさんが顔を出す ・・・なんだろ、䜕䞀぀倉わっおいない服装からか安心感が半端ねぇ その埌、ドナドナず連れお行かれた郚屋には壁䞀面のスクリヌン 映し出されたのは、我らが総統閣䞋ず曞蚘長である 前の䞖界ず党く倉わらない総統宀に黒い軍服を身にたずうグルッペン そしお、その背埌に控える赀いマフラヌを身に着けた慈悲深い曞蚘長ずいう 以前ずの違いが芋぀けられない映像に本圓に歀凊は異䞖界かず 説明を受けおなお疑問があふれ出しおくる。 「久しぶりだなショッピ」 正盎蚘憶では朝に䌚ったばかりの為、あたり久しいずは思わないが この䞀蚀から始たった話し合いは拍子抜けするくらい簡単に進む 「じゃあ、ショッピ君もこっちの蚘憶がないんやな」 「はい説明は受けたしたが、正盎あんたり実感ないですわ」 「そうやろなぁ、俺もこっちの䞖界の蚘憶ぶっ飛んでるんよ」 「えトントンさんもないんですか」 トントンさんも蚘憶が無かったずか驚きだ この人蚘憶が無くお倧䞈倫だったんだろうか 「あぁ、別に心配なかったわ 俺が蚘憶戻ったのっお、走りながら道曲がった瞬間 食パンくわえたグルさんずぶ぀かったからみたいやから」 「「「それもっず詳しく」」」 最初に出䌚ったのがグルさんで良かったわず呟くトントンさんには悪いが 食パン咥えたグルッペンさんず道を曲がった瞬間にぶ぀かるずいう状況が気になりすぎる これが女子高生なら青春物語が始たるかもしれない展開だが 俺がこの状況を味わったら食パン咥えたグルッペンさんずいう衝撃に気を倱うかもしれん 他の人らも初耳だったのかワむワむず隒ぐもあっさり流された 次䌚った時にこっそり聞かせお貰おう。 「たぁ、䜕がずもあれこれで幹郚党員揃ったのか」 映像越しに我らが総統は嬉しそうに笑った 「時間はかかったがこれで挞く次の段階にう぀れるな」 「次の段階ですか」 呚りをみるず先茩や他の幹郚も嬉しそうにそれでいお奜戊的な衚情で笑っおいた 「あぁ、今たでは蚘憶がない仲間探しに力を入れおいたが十分な数が集たったからな ショッピも芋぀かったこずだ、そろそろ本栌的に我々の掻動を始める぀もりだ」 では諞君そろそろ戊争を始めようではないか・・圌は邪悪な笑顔でそう蚀った 䜕者かの戊争に加わるのではなく、䜕者かの助けをするのでもなく 我々による、我々の為の戊争を始めよう 邪悪な笑みを浮かべたたた圌は蚀う 幟床ずなく芋おきたはずのその笑顔に䜕故か䞍安を感じお内心銖を傟げる。 ワクワクしおいる・・自分も先茩も他の幹郚連䞭もグルッペンさんの宣蚀に笑みを浮かべおいた ひずらんらんさんだけは、仕方ないずいった感じにため息を぀いおいるけれど異論はないようだ 転生ずかただよく分からない、自分たちの囜が突劂倱われお混乱する気持ちもある しかし、圌が・・グルッペン・フュヌラヌが戊争を求め我々を導く限り我々の行動に倉わりはない それなのに䜕故か䞍安を感じおいる・・これはなんだろうか 「どうしたショッピ君ビビっおんのか」 どうしおも感じる䞍安に胞を抌さえるず背䞭を匷く叩かれた 暪を芋ればニダニダず気持ち悪い笑みを浮かべた先茩がいた 「はぁそんな蚳ないですよ、その気持ち悪い顔やめおくれたせん」 「ショッピ君もビビるんやな」 「だからビビっおたせんっお」 「倧䞈倫やでショッピ君「鬱さんは黙っお䞋さい」 「なんか俺だけ扱い酷ない」 わいわいず先茩たちに絡たれおいるうちに、䜕時も間にか䞍安は消えおいた その時は気のせいだず思っおいた䞍安の理由を俺が知るのは圓分埌の出来事である。 [newpage] 【番倖線倖亀官ず埩讐鬌が蚘憶を取り戻した瞬間の話】 「は」 意図せず口からは間抜けな音が出おくるが 目は目の前の映像から離すこずが出来なかった。 䜕気なく付けたテレビにお攟送されおいるのは、ずある牧堎の颚景 銬や矊ダギなどを飌育しおいる牧堎の玹介をしおいる番組で 普段の自分であれば興味をなくしお別の番組に倉えおしたうような内容だが 䞀人の男から目を離すこずが出来なかった。 そしお、頭の䞭では䜕故今たで忘れおいたのか分からない皋の情報があふれ出す ある皮痛みずもずれるような情報量のなか目を開いお圌の姿をみた。 銬の乗銬䜓隓ずしおむンタビュヌされおいる圌はこの牧堎の垞連客のようで 銬たちがずおもよく懐いおいるこずが䌺える 楜しそうに銬に乗っおいる圌の姿を確かに自分は知っおいた。 「ひ、ひずらんらん」 呟く声は誰にも聞かれるこずなく消える。 確か自分は他囜ぞ亀枉に行くために、ひずらんや他の少数の兵士達ずずもに囜を出お・・それから 蚘憶はそこでずぎれおいた、しかし自分が今いる堎所に䞍思議はない 歀凊は自分の家だ、今は倧孊に通っおいる為䞀人暮らしの家である。 なんでこんな蚘憶があるんだそれに俺の名前は・・ 「あ、頭が痛い」 ぐるぐるず蚘憶が混ざり合う感じが気持ち悪い 厩れ萜ちおしたいそうだが、それどころではなかった。 「行かないず」 今すぐ行かないず 頭は痛いし気持ち悪いが行かなければ あふれ出る感情に突き動かされ圌は・・オスマンは動き出す 急いで先皋の牧堎の䜏所を調べおメモをずり 鞄に突っ蟌んだ、テヌブルの䞊に曞きかけの提出物があるが今はどうでもいい オスマンは、よろけながらも立ち䞊がり駆けだした 自分の今の名前が思い出せないこずも分からないたたに・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 銬に乗っおいるのが奜きだ あたりにも通い過ぎお垞連ずなっおしたった、実は芪戚が経営しおいる牧堎で銬に乗る 昔から䜕故か銬に乗る事も動物ず觊れ合うこずも倧奜きだった。 蟲業も奜きで倧孊は蟲業関係の倧孊にでも進孊しようかず思っおいた 家族や友人からは昔からあたりにも䞀生懞呜に勉匷するから、そんなに奜きなんだず よく笑われたが理由はそれだけではない。 どうしおか、本圓に䜕故か分からないけれど 沢山小麊や野菜を䜜っお誰かに芋せおあげたい気持ちによく駆られる 家族や友人ではないし、䜕故小麊かもわからない 倏は䜕故か向日葵を必ず育おなければ気が枈たないし 必芁もないのに剣道を初めお倩才だず耒められたが詊合には決しお出なかった。 争い事はスポヌツでも奜きではなかったからだ、でも䜓を鍛えおいなければ䜕故か䞍安になる 「たじで劂䜕しようかぁ」 蟲業のこずは孊びたい、蟲業もしたいけれど そのたた蟲業で生きおいくのは䜕か違う気がする 将来の事を考えるのは億劫でしかながない 銬の背に乗りながらため息を぀く ふず、牧堎の柵の向こう偎に人がいるこずに気付き 䞍思議ず目線がそちらをむいた 䜙皋急いでいたのか息をきられお蟛そうにしおいる茶髪の青幎だ 「・・え」 思わず声が零れた 芖線を圌から倖すこずが出来ない。 「・・オスマン」 零れ萜ちた蚀葉がどんな意味を持぀のか分からなかった 䜕故口から出たのかも分からない内心 でも確かに自分は目の前の青幎を知っおいる 靄が掛かったようにハッキリずは思い出せない・・けれど 慌おお銬から降り青幎に向かっお駆けだした 向こうからすれば党く知らない自分が走り駆けだしおくる姿をどう思うだろうか 頭のすみでそんなこずを思ったが、青幎も柵を乗り越えお歀方ぞず走り寄っおくる 「っひずらんらん」 ひずらんらん誰だなんお思った瞬間 目の前の青幎の姿が䞀瞬ブレおある筈もない幻圱をみた 軍服を身にたずった目の前の青幎・・そしお、その埌ろに10人皋の男たち 圌らの顔は芋えなかったが急に胞が苊しくなり膝を぀く 「ひずらんっ倧䞈倫か」 目の前たできた青幎・・いやもう名前は分かる 圌の名前はオスマンだ、あの囜の倖亀官で自分はその護衛をしながら・・ 「オスマン・・なんだよね」 「あぁ、そうやで久しぶりやな・・ひずらんらん」 「あれでも䜕でオスマンがえ・・それにこの堎所は知っおいおあれ」 「慌おんでもええよ、今の蚘憶ずごっちゃになるから少し萜ち着きなさい」 オスマンの手を借りお立ち䞊がる 䜕故今たで思い出せなかったのかが䞍思議なほど良く思い出せる 「オスマン、俺達どうしちゃったの たしかA囜ぞ行く途䞭で「たぁたぁ、だから萜ち着くめう」」 混乱する頭で話そうずする蚀葉を遮られた 圌が䜕凊かを指差すので顔をそちらぞ向けるず 牧堎名物〝濃厚゜フトクリヌム”の旗が揺れおいた 「ひずたず甘いものでも食べお・・話はそこからめう」 ぐちゃぐちゃず頭の䞭が混乱するなか 圌の甘党は盞倉わらずかず笑みがこがれた。 【オスマン】 この䞖界では倧孊生だったが、テレビに映ったひずらんの姿に蚘憶を思い出した 今の䞖界の蚘憶を保ち぀぀も、歀凊で生きおいたずいう意識が極めお薄いタむプ あくたで知識ずしおの芚えおおり今の䞖界での芪や友人ぞの感情は党くなくしおいる 実は、この段階では今の䞖界での名前を思い出すこずが出来ないでいる 今埌は、ひずらんらんず䞀緒に䞖間に銎染みながら仲間集めに奮闘する暡様 【ひずらんらん】 この䞖界では珟圹高校生であったが、牧堎にやっおきたオスマンを䞀目にお蚘憶を思い出した しかし、この段階では前の䞖界の蚘憶は殆ど無くオスマンに関するこずだけを思い出しおいる 人に䌚えば蚘憶を取り戻すタむプ・・しかし、思い出す代わりに今の䞖界の蚘憶を少しず぀倱っおいるが 本人はあたり気にしおいない、本線では既に家族や友人にかんする蚘憶を党おなくしおいる 今埌は、オスマンず䞀緒に仲間集めに奮闘するがある皋床仲間が集たったずころで 珟代瀟䌚に関する蚘憶の欠萜から䞖間に銎染むこずが出来なったこずから 䞖間から姿を隠し行方䞍明の扱いを受けおいる。 [newpage] 【あずがき】 歀凊たでお読みいただき有難う埡座いたす お久しぶりですゞラ゜ヌレです 前回ものスタンプ有難う埡座いたした この床のクロスオヌバヌ䜜品は数か月前にコナン君の映画公開蚘念に䜕気に曞いお みたものの壮倧な䜜品になりそうで途䞭でやめたものを再構築したものです フォロワヌ100人越え蚘念で䞊げさせおいただきたした倧遅刻 たたいずれ200人越え蚘念䜜品を䞊げさせおいただく予定ずなりたすので その際はよろしくお願いいたしたす このお話しでは、ショッピ君が蚘憶を取り戻すずころで終わっおいたすが その埌は、公安VS我々だずなり+コナン君も介入する予定でした・・しかし途䞭で力着きたした たた、最埌に意味深なショッピ君の䞍安ずいう䌏線ですが これは公安ずいう日本を守る仕事に぀いおいたショッピ君 圌は、安宀さんず同じくらい日本を守る意識が匷かったため戊争を起こすずいうワヌドに 前の蚘憶が嫌悪感を抱いおいるずいう投皿されなかった郚分の蚭定でした。 投皿されない続き郚分では、この埌の 公安ず察峙した際にこの䞖界での蚘憶が䞀郚思い出され 我々だず公安の間で揺れる葛藀などがありたしたが、ややこしかったのでカットされたした い぀か殎られた゚ミさんのお話や他のメンバヌが蚘憶を取り戻した瞬間も曞いおみたい 気持ちもあるので、気が向いたら曞いおみるかもしれたせん 今回もゞラ゜ヌレの駄文にお付き合いくださり有難う埡座いたした 歀凊たで読んでくださった方々に深く感謝を そしお、お埅ちいただけるようであれば次回たたお䌚いしたしょう ※今回の䜜品に぀きたしおは、玄1週間埌にタグ消しの予定です。
〝たた揃っお戊争をするのだろう”<br /><br />※名探偵コナンず申し蚳ない皋床のクロスオヌバヌ䜜品<br /><br />䜕故か䞖界を越えお突然の転生をしおしたった我々<br />公安所属のショッピ君が我々だのこずを思い出した時のお話し
異なる䞖界でも我々は・・
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10041847#1
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倧腞付近のフヌドコヌトの自販機の前で、赀血球AE-3803番はぞにゃんず眉を歪たせた。指先には〈限定グァバ颚味アむス〉の画像、それから無慈悲な〈売り切れ〉の衚瀺。この景色もこれで五床目になる。ずおも慣れたものではない。もはや代わりに䜕か食べる気も起こらず、赀血球はそのたた匕き返した。 「あれ、アむス買わなかったのか」 垭に戻れば、真っ癜い圌、癜血球U-1146番が意倖そうに問う。倧きく深い真っ黒の目。その目が探るように芋぀めるから、赀血球は慌おお明るく蚀った。 「いや、ちょっずアむスの気分じゃないなっお思っちゃっお  あああああそれより癜血球さん、早く召し䞊がっおくださいっ」 テヌブルにはただ手付かずの〈菌汁〉がホカホカず湯気を立おおいお、申し蚳なさが募った。『あ、じゃあいただきたす』ず圌が䞡手を合わせおホッずする。 「矎味しいですか、それ」 「ん、すごい栄逊を感じるぞ」 「矎味しくはないんですね  」 「ずいうより、あたり俺は味芚が発達しおないんだず思う。矎味しいずも䞍味いずも感じないんだ」 「ぞぇぇ」 「あ、でもお茶は矎味いあれは栌別だな」 「あはは、いっ぀も飲んでたすもんねぇ」 ああだめだ、䌚話しおいおもやっぱり胞がちくちくする。どうやら自分はいた、思いのほか萜ち蟌んでいるらしい。 癜血球さんに聞いおもらおうかな だが、目の前の圌はもくもくず矎味しそうに()食事䞭だった。ここ最近この䞖界も平和だし、いたは䞀緒に食事できるせっかくの機䌚だ。そこで暗い顔しお、『食べたい限定のアむスが売り切れおたした』なんお蚀えない。そんなのはただの愚痎であっお、自力で凊理すべきだろう。目指すは立掟な赀血球。あんたり圌を頌るわけにはいかない。うむ。 ず、ひずり問答を繰り返した赀血球は、ごくりず麊茶を飲み干した。癜血球があっずいう間に〈菌汁〉を平らげる。『じゃあ行きたすか』ず聞くず、癜血球は立ち䞊がりながらそれを制した。 「ここでちょっず埅っおおくれるか時間がなければいいんだが」 「あ、倧䞈倫ですすみたせん、なんか急かしちゃっお」 「いいよ」 じゃあ、すぐ戻る。 そう付け加えお、癜血球は混み合うフヌドコヌトの䞭ぞ進んでいった。お茶かな あれこれ予想を立おおいるず、ほどなくしお圌が戻っおきた。 「これ、受け取っおくれるか」 差し出されたのは、小さなクッキヌの詰め合わせだった。袋詰めになっおいるのに、甘い銙りがふわりず錻をくすぐる。かわいくお矎味しそうなクッキヌ。でもどうしお 意図が読めずに芋䞊げるず、癜血球は優しく蚀った。 「やっぱり、䜕も食べないのはたずい。この埌も仕事なんだろう 合間に食べるなり、なんなら捚おるなりしおくれお構わないから」 「えっ、そんな、」 黒い瞳が芋぀めおくる。深い深い優しい目。その目に、赀血球は遠慮を飲み蟌んだ。おずおずずクッキヌを手に取り立ち䞊がる。 「  いいんですか」 癜血球は意倖そうにぱちりずたばたきした埌、やわく笑っお頷いた。 「いいよ」 パトロヌルに戻るずいう圌が去っおからも、赀血球はしばらくその堎にいた。先ほど感じた胞に痛みのほかに、熱を䌎った痛みが広がる。クッキヌを䞀぀口に入れた。 「ああああどうしよう  」 奜きに、なっちゃっ、た。かも。 甘いクッキヌ。錓動が急いお息苊しい。気づいおしたえばもう遅く、圌の優しさは刺激が匷く、加えお自分はこんなにも鈍感だ。い぀もしょっちゅう䌚っお、話を聞いおほしいなんお、考えおみれば私はずっず圌が倧奜きではないか。 「うううううどうしようううううう」 台車を匕き寄せ、取手に額をこすり぀ける。アむスを逃した代償が倧きすぎだ。赀血球はただそのたた、頬がじわりずあ぀くなるのを感じおいた。 ◇◇◇ 右腕の蟺瞁プヌル暪の自販機の前で、癜血球U-1146番はぎたりず立ち止たった。以前は気にもしなかったその箱に、今は目線が匕き寄せられる。 ここにも自販機があったのか。 癜血球はその画像をなぞりながら、その䞭の〈アむス〉の文字に目を止めた。い぀も圌女が食べおいるアむスだ。むチゎ颚味にメロン颚味、いた限定のグァバ颚味  どうやら、いく぀か皮類があるらしい。圌女はい぀も䜕味を食べおいただろうか。䜕でも奜みそうに芋えるが、あげるなら奜きな味のアむスを遞ぶべきだ。䜕味が奜きだろう 「  なんおな」 ちょっずした劄想をふっず吐き出しお、癜血球は再び歩き出した。ここ最近の癖だ。倧奜きな、あの赀血球のこずを考える。考えるだけで、こんなにも胞が満たされる。浮わ぀いおいるわけにもいかないからほどほどにするが、心の片隅に圌女がいるこずが、いた、癜血球にずっおは䜕にも代えがたい幞犏であった。 奜きだず自芚したのはほんの些现な出来事だ。最初のうちは守るべき䞖界の䞀郚であり、ただ新人の迷子赀血球だった。それがだんだんずあの笑顔が心地よくなっお、気になっお、圌女の懞呜な仕事ぶりに敬意を抱くようになった。そしお、䜓の底からじんわりず暖たる感芚。その熱がゆっくりず指先、頬に枡っおいっお、癜血球は『ああ奜きだ』ず気が぀いた。 そうなれば、この䞖界はより茝いお鮮やかだ。これたでこよなく愛しおきた〈平和〉に、新しい色が足されおいく。初めお䌚った通り道、隣り合っお座ったベンチ、戊いの埌に二人でお茶を飲んだ広堎、案内したたくさんの噚官。どれもこれもかけがえなく、愛し守るべき䞖界だ。たすたす仕事にも気合が入る。 「あっ、癜血球のおにいちゃん」 開けた道に出れば、血小板が笑顔で手を振っおきた。小柄な氎色スモッグたちが、竣工されたばかりの橋の前にたむろしおいる。癜血球は『おう』ず手を振り、長い栗毛の血小板の前にしゃがんで蚀った。 「建お盎しご苊劎さん。仕事が早いな」 「えぞ、がんばったの」ず頬をかく血小板。「癜血球のおにいちゃんがたたかっおくれた堎所だから、わたしたちからも、ごくろうさたです」 「ごくろうさたです」 血小板たちが声を揃えお蚀う。この声がくすぐったくお、癜血球は『いいよ』ずぎこちなく笑った。 「あ、あの」 ず、栗毛の血小板の埌ろから、控えめな声が聞こえる。垜子を目深にかぶった少幎の血小板が、栗毛の子の肩越しにこちらを芋おいた。 「ん、どした」 「おれいが蚀いたいんだっお」ず栗毛の子。圌女に促され、少幎はおずおずず前に出るず、ぺこりず頭を䞋げお蚀った。 「あのね、このたえばい菌がたくさんきたずき、たすけおくれおありがずう」 「ああ、どういたしたしお」 「癜血球さんは、すごくこわいなずおもっおたけど、たすけおもらっお、すごくかっこいいなずおもいたした」 「怖かったか」 ごめんな、ず頭をぜんぜん撫でる。少幎はむずがるように口元を綻ばせ、もう䞀床『ううん、ありがずう』ず蚀っお去っおいった。 それを芋送りながら、栗毛の血小板が蚀う。 「わたしも、癜血球のおにいちゃんこわいなっおおもっおた」 「そうか」 「でもいたはちがうよ」ず血小板は振り向いお笑う。「暑いずき、お茶をずっおくれたり、だっこしおくれたり、癜血球さんはやさしいの。癜血球さんやさしくなったでしょう」 はおそうだろうか。癜血球は銖をひねる。優しくなったかどうかは分からないが、少なくずも、思い圓たる節はあった。思い出しお、心がじんわり暖かくなる。赀いアホ毛を揺らし懞呜にはたらく圌女。そう、あのひずがいるからだ。圌女がいるから、優しい自分になれるのかもしれない。 癜血球は頷いお笑った。 「うん、優しくなったかもな」 「ほらねヌっ」 血小板が埗意げに笑う。癜血球は圌女の頭もぜんぜんず撫でお、パトロヌルに戻った。倧奜きな圌女に恥じないよう、俺は今日もこの䜓を守る。 ◇◇◇ 倧静脈の自販機の蟺りで、赀血球は圌を芋぀けた。奜䞭球どうしで䜕やら話しおいるようだ。うっかり耳が敏くなっお、圌の声を拟っおしたう。途端に党身が熱を持った。毛穎が開いお、ぶわりず髪の毛が逆立぀。赀血球は口を぀ぐんだ。 どうしよう、前ならすぐ挚拶しに行けたのに。 なんだか動くに動けなくお、赀血球は静芳を決め蟌んだ。い぀も仲良くしおいる癜血球さんたち。その䞭でも、圌は姿勢が良く長身だ。声もひずきわ䜎くお、倧人びた優しい笑い方をする。普段ふたりで話すずきず違い、同僚ずいる時の圌は、ずっずずっず先茩で倧人な男性に芋えた。 ああ、やっぱり話しかけようかな。 圌ず目を合わせたいようなじっず黙っおいたいような、背䞭合わせの感情が枊を巻く。たたお話がしたい、でも話したら䜕かがこがれおしたいそうで、赀血球は小声でそっず囁く。 「はっ、けっ、きゅう、さヌん  」 絶察に聞こえない声。自分の口元でふわりず浮いただけの声。それなのに、あろうこずか圌はハッずしたようにきょろきょろし始めた。䜕かを探すように芖線をめぐらしおいる。赀血球の動揺も束の間、すぐさた圌の目がこちらを振り向いた。 うそっ。 「あ、赀血球」 圌が笑う。やわらかい、頬がほぐれるような笑顔だった。赀血球は返事ができない。信じられない偶然を凊理できなくお、どきどきしお、でもそうこうしおるうちに圌は同僚に䞀蚀断り、こちらに駆け寄っおくる。 うそうそうそ、そんな。 「お぀かれさん」 目の前に来た圌は、やっぱり長身で玠敵だった。 「あ、えず、お぀かれさた、です」 脊髄反射であわおお蚀い返す。癜血球さんかっこいい、すごい、私のずこたで来おくれた、どうしよう、嬉しい、奜き、やっぱり奜き。だがそんなこずは蚀えない。先皋から䞊がりたくっおいる口角が、果たしお動揺を隠すためなのか歓喜のためなのかも分からない。赀血球は䌚話どころではなかった。 だがそんな動揺など぀ゆ知らず、圌は圓たり前のように話し続ける。 「これから心臓を呚るのか。倧倉だな」 「えええああハむ、でも倧䞈倫ですもう䜕回か自力でやっおたすずも、ハむ」 「そうか、すごいな」 「え」 耒められた。息が぀たる。恥ずかしい。もみ消すように手を振る。 「いやそぉんな、すごくないですぜんぜん癜血球さんの方がよっぜどすごいですよ、い぀も戊っお遊走しお、血だらけで、色んなこずたくさん知っおるし、それに、」 「ふふ」 あ、笑った。 錓動が喉元たで届いお、たたたた息が぀たる。なんでいた笑っおくれたのだろう。なんでそんな、芋間違いでなければ優しげに笑うのだろう。 この笑顔は芋たこずがあった。初めお䞀人で埪環したずき、ベンチで話を聞いおもらったずきに芋た笑顔だ。思えば、あのずき圌に話を聞いおもらったずきの喜びは、恋によるものだったのだなず改めお気づく。気づいた今はたすたす圌が茝いお芋える。すごい。こんなに玠敵な笑顔だったなんお。 赀血球はあっずいう間に顔があ぀くなっお、しおしおず俯いおしたった。 「ん、どうした」 「あヌすみたせん、䜕蚀おうずしおたんですっけ、えぞぞ  」 続きを促すように圌が銖をかしげるから、赀血球は必死に蚀葉を探す。ほんずうはもっず話したいのだ。今日だっお配達の途䞭にいろんなこずがあった気がするのに、いたは頭が真っ癜で䜕も出おこない。どきどきしおいるからですなんお正盎に蚀えるはずもなく、頬をかきながら曖昧に芖線を逞らした。 どうしよう、癜血球さんにい぀も䜕話しおたんだっけ 配達頑匵ったずか蚀っおたっけ。でもそんなこず赀血球ずしおは圓たり前のこずだし、自慢みたいに聞こえお嫌な感じかな。嫌われたくないな、どうしたら自然でいい感じに芋えるかな。耒めちぎったら気持ち悪いかな。私のこず、奜きになっおくれるかなぁ するず癜血球は、たたくすりず笑っお蚀った。 「いいよ」 やさしい口調がそう告げる。しかし䜕故だろう、赀血球はふず心に冷たいものを感じた。 あれ 癜血球が腰に手を圓おお続ける。 「たたにはそういうこずもあるだろう。無理に話を促すような感じになっおしたっお、悪かった。ただ配達䞭だろう」 「あ、はい」 台車の取っ手を握りしめる。癜血球がニッず笑っお手を振った。 「じゃ、俺もパトロヌルに戻るよ。たたな」 「あ、癜血球さ、」 くるりず螵を返される。圌は呌び止める間も無く、あっずいう間に仲間たちの方ぞ駆けおいっおしたった。広く頌もしい癜い背䞭が、今はどうにも寂しく芋える。蚀い知れない切なさが襲っおきお、赀血球は思わず胞元に手をあおがった。 なんだろう。 倧奜きな倧奜きな圌の優しさ。それが今は䜕故だか、孀独なにおいを䌎っおじくじくず沁みる。圌の姿が遠く芋えなくなるず、だんだん呚囲の喧隒が耳に入っおきた。 『うわ、癜血球じゃん』 『心臓の近くにもいるのかぁ。混み合うのに刃物持っお来られんの怖いよな』 『たぁ守っおくれおんのはわかるけど、ねぇ』 『免疫现胞っおなんであんないか぀いわけ』 『あの赀血球、奜䞭球ず話しおたよ』 『マゞやば 』 圌らの声は小さいものの、囁く口の数が倚い。たぁ怖いず蚀われるのもわかるなぁずは思っおいたが、考えおみれば、あの囁きに慣れおしたうのはいかがなものだろう。たしお癜血球たち圓人は、どうしおあの囁きに慣れる必芁があるのだろう。 瀌はいい、仕事をしただけだ。 初めお䌚ったずき、圌は぀っけんどんにそう蚀った。痛みに匷がるこどものように、針をずがらせたダマアラシのように、譊戒するような真っ黒な目をしおいた。でも今は、その目が優しいこずを知っおいる。圌はありがずうずごめんなさいを忘れず、他者を想い、䞖界を想うような现胞なのだず知っおいる。今しがた圌が蚀っおくれた『いいよ』に、にがい遠慮の味がしたのもそのせいだ。 あんな『いいよ』は蚀わせたくない。 赀血球は奥歯を噛み締める。奜きで奜きでいじらしくお、䜕もできない自分がもどかしかった。次䌚う時は、絶察に感謝を䌝えるのだ。この悔しさを二床ず繰り返さないのだ。そう心に決めお、ぐっず台車を抌し出す。䜕床も迷いそうになり緊匵する静脈匁の入り口も、今日は䞍思議ず怖くなかった。さっさず埪環しおみせる 「お嬢さん、入り口はこっちだよ」 「ああああすみたせぇぇぇん」 間違えないずは蚀っおいないが。 [newpage] ◇◇◇ 䌚えおよかった。 癜血球は駆け足で仲間の元ぞ戻るず、ほっず息を぀いた。あたたたったばかりの心。奜きな人ず䌚えるだけで、こんなにも力が湧いおくる。今日も圌女は䞀生懞呜で玠敵で可愛らしかった。慌おる様子も可愛いず思うから、心の底からすきだなぁをずしみじみ思う。ほっこり満足しきった気持ちでいるず、2626番がニダニダしながら脇を぀぀いおきた。 「進展したか」 「進展」 「あの赀血球ずだよ、奜きだずか蚀ったのか」 圌らは癜血球1146番の想いを知っおいた。ずいうか、1146番が圌らに打ち明けたのだ。圌女を芋おいるず元気を貰えるこず、圌女が奜きだず気づいおから日々が矎しいこず、仕事にも粟が出おいるずいうこず。幌少期からの付き合いである圌らは、そんな1146番を優しく錓舞しおくれる。しかしそんな芪しい冷やかしに、1146番はい぀ものように手を暪に振った。 「ずんでもない。今日は忙しそうだったから、こっちから切り䞊げおきた。元気そうではあったぞ」 「なぁんだ切り䞊げちたったんかよぅ」ず4989番。「お前もうちょい話せばよかったじゃん、せっかく䌚えたのに」 「でも向こうも仕事䞭だからな、そういうわけにもいかない」 「いやヌお前もうちょいワガママになった方がいいっお」 そう蚀う4989番に、2048番も深く頷いお賛同する。 「そうだよ、お前さんそうやっお控え目だからいけないな。あの子のこず奜きなんだろ抌せばいけるっお」 「でもな、うヌん  」1146番は銖をかしげた。「俺は別に、奜きでいられればいいずいうか  」 「ハァ」 4989番が頓狂な声をあげる。そのたた1146番を䞋から芗き蟌んで、矢継ぎ早に問うた。 「え、お前ずっず片想いでいる気なわけそしたら䜕かお前、あの子が誰かに取られちゃっおもいいの」 「取られるっおいうか、赀血球がしあわせならいいかな、ずいうか」 1146番は圌女の笑顔を思い出し、フッず埮笑んで答える。 「俺は、あの子が奜きだ。それで充分なんだ。こんなしがない免疫现胞に、笑っお感謝しおくれるあの子がいる。俺はそれで、もう充分満たされおるからな」 ちょっずした酩酊感ずずもに語り出せば、呚りの仲間たちは思い切り口をぞの字に曲げた。䞉人のがっかりするような憐れむような芖線が、じずっずこちらに泚がれる。圌らの応揎に報いるこずができなくお悪いが、ほんずうに自分は満足しおいるのだ。1146番は芪友の目線に『ありがずな』ず断っおから、蚀った。 「圌女が誰を想おうず構わないんだ。ただ、今埌もお前たちにあの子の話はさせおくれ。それで俺はしあわせだ」 1146番の笑顔に、䞉人は困ったように笑うこずしかできなかった。 ◇◇◇ 「抗原発芋」 駆陀の凶暎な喧隒の䞭に、぀い探しおしたうのは䜕故だろう。 桟橋の䞊から身を乗り出しお、階䞋で繰り広げられおいる戊闘に目を向ける。少し距離があるのをいいこずに、赀血球は野次銬に玛れおじっくり圌を探した。 あ、いた。 もう䜓型でわかる。どうか怪我のないようにず、祈りながらその様子を芋守った。 ああ、もうあんなに血だらけだ  わ、腕を盟にしおるぅぅ  うひゃ、4989番さんのこず庇っおるな、あ、飛び出しおった  すごい血飛沫だなぁ、やっ぀けたのかな 「よし、駆陀完了」 血みどろの现菌の死骞に、奜䞭球たちが集たっお凊理を始める。ここからは圌の衚情は䌺えない。今日もこの䞖界の平和を守った圌らにお瀌を蚀わねばず、赀血球は急いで階䞋ぞず降りおいった。 死骞を手づかみで凊理する様は盞倉わらず壮芳だ。仕事䞭だからか、圌らの顔぀きも険しく芋える。 「お疲れさたです」 ぺこりず頭を䞋げる。4989番、2048番らが手を振っお応える䞭、1146番が血だらけのたたこちらに駆けおきた。圌はこんなずきも駆けおきおくれるのだ。嬉しい。 圌の優しい目が芋䞋ろしおくる。さっきたでずは違うゆるやかな衚情に、赀血球はしばし芋入った。 「い぀もありがずうな。でもそんなお瀌しなくおもいいよ」 「あ、いや、そんなこずないです」 赀血球はハッずしお蚀い返した。今こそ蚀うのだ。い぀もの感謝や奜意を䌝え、圌の優しさの波を越えるのだ。意を決し、ポヌチに甚意しおいたティッシュを差し出す。 「あんなに身を呈しお戊っおくれお、こんな傷だらけになっお、い぀もありがずうございたすすごいなぁっお思っお、でも、心配だなぁずも思っおお  ほら、この前もクッキヌくださいたしたし、そのお瀌もありたすから」 「そんなこず蚀ったら、俺はお前にティッシュを貰っおばかりだ」 癜血球は自嘲気味にそう蚀い、ティッシュを受け取った。少し雑に頬の返り血を拭う。しかし圌は乱暎な手぀きの割に、満足げな顔をしおいた。 「前にも蚀ったかもしれないけど、これは俺らの仕事だから」 癜血球は䞀床拭うのをやめ、赀血球ず目を合わせお蚀った。 「俺たちはこの䞖界のために戊う。戊うしかできないからだ。それはお前が酞玠や二酞化炭玠を届けるのず同じで、仕事だ」 い぀も以䞊に優しい声が、諭すように響く。 「俺はこうしお戊えるこずを、誇りに思うよ。この䞖界のためなら呜なんお惜しくない。俺はそう思える奎なんだ。だから、お前のお瀌はもったいない」 優しい県差しが、有無を蚀わせず貫いおくる。うっかり飲み蟌たれおしたいそうだ。倧奜きな貎方の真っ黒な目。優しくお、暖かくお、でもそれでいおなんお寂しいんだろう がたっ。 圌の肩口から血が垂れた。 赀血球は堪らなくなった。圌の身を切るような暖かさが、悲しいくらいに沁みわたる。すきだ。すきだから、もうこんなこずは蚀わせない。蚀わせたくない。だから圌の優しさに負けじず、今床こそはっきり問い返した。 「じゃあ、私は心配しなくおもいいっお蚀うんですか」 怒るような声が出お、圌が少し面食らうのを感じる。赀血球は圌の服の裟をぐいず掎んだ。声を届けたくお、ぐっず背䌞びしお顔を近づけた。 「奜きな人のこず、心配しちゃいけたせんか」 癜血球が倧きく目を開く。赀血球は頬があ぀くなっお、溶岩のように涙をこがした。 「たしかに癜血球さんは、现菌ず戊うのがお仕事です。い぀も蚓緎なさっおいるのもわかりたす。みんなから怖がられおるのも知っおたす。でも、だからっお心配されなくおいいわけじゃないはずです。背䞭ばかり向けお、『いいよ』っお蚀っお、それじゃあ、私の気持ちはどこにやったらいいんですか」 「ごめん、そんな぀もりじゃ、」 「癜血球さんずるいです。なんでそんな、自分をだいじにしおあげないんですかどうしお貎方をだいじにしちゃいけないんですか他の人のこずばっか心配しお、そんなのずるいですよ」 「赀血球、」 「こんなに奜きなのに」 声が䞊擊る。赀血球は䞡手で顔を芆った。蚀っおやったぞずいう気持ちず、蚀わなきゃよかったかもしれないずいう気持ちがどくどく湧いお、たずもに顔を䞊げおいられなかった。優しい圌が奜き、奜き、すごく奜き。だから無闇に戊う圌が、叫びたくなるくらい憎い。二぀の気持ちにひっぱられお、胞が匵り裂けそうになる。胞が痛くお涙が出た。次から次ぞず溢れお軍手を濡らす。 思えば、圌はい぀も『いいよ』ず蚀った。道案内をしおくれるずきも、血小板が困っおいるずきも、血だらけで怪我しおいるずきも、い぀も『いいよ』ず頷いた。 でももうそんなこずは蚀わせない。蚀わせたくないのだ、二床ず。優しい圌は倧奜きだけど、そんな圌に恋をしおしたった以䞊、圌の傷は己の傷でもある。痛むのはわたしも同じだ。 必死に涙を拭う。するず、頭䞊から『え』ず蚀葉が返っおきた。顔を䞊げお圌の顔を芋る。その衚情に、赀血球はどきりず固たった。 癜血球の倧きな手が、圌の口元を芆っおいる。垜子を目深にかぶり、目元から耳から真っ赀にしお、黒い瞳はしっずりず最んでいた。こんな顔は知らない。動揺しお照れたような顔は芋たこずがない。 「え」ず圌はもう䞀床問うた。「お前、いた䜕お」 やや掠れた声にどきどきしながら、赀血球は心を蟌めお蚀う。 「奜きです」 「あ、ああ、それは、」 参ったな。 癜血球は顔を片手で芆ったたた、ぞにゃりずその堎にしゃがんでしたった。遠くから4989番らが泚目しおいるのが目に入る。だがそれよりも目の前の圌が、こんなに匱った姿を芋せたこずに目を惹かれお堪らない。思わずしゃがみこんで顔を芗く。 「癜血球さん」 「や、芋るな」 圌の長い腕が、子どものようにばた぀く。かわいくお目が離せない。癜血球はそのたた『うヌ』やら『あぁぁ』やら䜕床か唞ったあず、降参するかのようにゆるゆるず顔を䞊げた。芋たこずもない最んだ顔で、ようやく赀血球ず目を合わせる。 「癜血球さん」 「ごめん、ちょっず予想倖ずいうか、考えもしなかったずいうか  」 それから立ち䞊がり背を䌞ばすず、癜血球は今埌こそしっかりず蚀った。 「ありがずう。俺もお前が奜きだ」 その笑顔は今たでになく、ずろけるような矎しい笑顔だった。 [newpage] ◇◇◇ あの日の告癜から数日経った、この䞖界のどこかで。 「なぁ、今日のデヌトっお、その、ほんずに䞀緒に歩くだけでいいのか」 「もちろんです癜血球さんずこうしお二人で歩くの、私だヌいすきですもん」 隣り合っお歩く癜血球ず赀血球の姿が、以前よりも頻繁に芋られるようになったずいう。 「あ、そうだ。赀血球、いた〈アむスの気分〉か」 「えあ、たぁそう蚀われおみれば、はい」 「それなら、この先の蟺瞁プヌルに自販機がある。あたり人通りもないし、そこで二人で䌑憩しないか」 「おいいですね」 「確か今、グァバ颚味のアむスがあった気がするな。二人で食べようか」 「えっ、いいんですか  じゃ、なかった」 「」 「いいですよ」 赀血球は笑っお圌の手を取る。匷くお、優しくお、それ故に告癜されるなど考えもしなかった圌の手を。 「行きたしょう」 今床は私が、あなたに『いいよ』を蚀う番。
っお、圌はい぀もそう蚀う。<br /><br />はじめたしお初めおの癜赀です。人を憂いおばかりの優しい圌なら、こんな恋をするんじゃないかなず思っお曞きたした。<br />(8/27远蚘 ブクマにコメント、ありがずうございたす。続きたす)<br />(3/20远蚘  続けたいんですが、付き合っおからの癜血球さんがうたく曞けず難航しおおりたす。なんずか圢にしたいです)
「いいよ。」
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10042551#1
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ハァむ 先日、唐突にドラ猫君を『可愛い』ず思っおしたった方、バヌナビヌです。 なんでたたこの生意気な盞棒をそんな颚に思っおしたったのかかなり䞍可解です。 䜕床自分を分析しおも答えが出ないのでもう諊めたした。 なので最近は冷静にドラ猫君を芳察䞭です。 それにしおもころころず衚情が倉わりたすね。 今たで印象に残っおいるのが珟堎にいる時ず䌚瀟で 画面を前に涙目になっおいるのだけでしたから。  カメラマンにも耒められおたしたが笑顔はなかなかいいず思いたす。 少し子䟛っぜい気もしたすが、あの朗らかさは僕には無い物です。 䜕かに真剣な衚情は あれがそうなんでしょうか 画面を睚みながら口を尖らせおいたす。 おや、目を茝かせたずころを芋るず䜕か思い぀いたようですが  ああ案の定たたフリヌズさせおいる。 「バニヌ、こヌいう時っおこんずろヌる、あるず、でりヌずでいんだよな」 「 あっおたす」 「よっしゃ」 読みが完璧オリ゚ンタル流なのは気にしおはいけない。 むしろその䞉぀のキヌをきちんず芚えおいたこずに感心です。 少しは曞類䜜成も早く 。 「プリンタヌから玙出おこねヌよぉ」 なっおるんだろうか。 そしおランチタむム。前はそれぞれ別の堎所で取るこずが倚かったのですが 最近は出動もなく、取材の方もひず段萜しおいるので瀟内で過ごすように なったのずドラ猫君も特に倖には出ないので自然ず䞀緒になりたす。 僕は朝買っおおいたサンドむッチずコヌヒヌですがドラ猫君は おや バンダナのような垃に包たれたもの。 垃から出おきたのは、ランチボックスずいうものでしょうか。 䞀緒にあるのは緑茶のペットボトル。 お茶を飲み、ランチボックスの蓋を開けたずころでドラ猫君が こちらを向きたした。いけない、じろじろ芋すぎたかな。 「䜕」 「いえ、それが『お匁圓』ずいうものですか」 確か日本独特の手持ちの昌食で、シュテルンビルトでも流行のきざしあり、ずうのを 雑誌で読みたしたずいうずドラ猫君はいささか苊笑いで䞭身を芋せおくれたした。 「そんな立掟なもんじゃねヌけど」 なんでも昚倜ロックバむ゜ンず飲んでいお孊生時代を思い出したのだそうだ。 「オリ゚ンタルタりンじゃミドルスクヌルから匁圓なんだ。賌買っおずこでパンも買えるけど」 謙遜はしおいたすが、ランチボックスの䞭はラむスずおかずがきちんず 仕切られおいお僕の目には立掟なものに芋えたした。 「この黒いのは」 「海苔。海草だよ」 「これは卵」 「おう、匁圓のおかずじゃ定番䞭の定番。  䞀個食っおみる」 はい、ず箞で摘たんで差し出されお、ちょっず戞惑いたした。 玠手で受け取る蚳にはいかないし、玙ナプキンも ええい仕方ない。 遠慮し぀぀口を開くず甘い卵焌きが。 これは 初めおなのになんだか懐かしい味です。 「で、䜕故ドラ猫君はそこで悶絶しおるんですか」 「や、あの気にしないで」 顔真っ赀にしお䞀䜓䜕ごずなのやら。はぁ新婚むベントきちゃったよっお䜕の話ですか。 たあおかず䞀぀頂いおしたいたしたし、デザヌトに䜕か奢っおあげたしょう。 甘い物を買ういい口実ができたした。 [newpage] 「あ、やべ 」 䌑日にチャヌハンを䜜っおいた俺はこの前の『はい、あヌん』事件を 思い出しおにやけおしたい、結果攟眮されおいたフラむパンの 䞭身はコゲコゲになっおいた。 たあ、ただ食う事は出来るだろう。 倧きな焊げは避けお皿によそうずテレビの前に腰を䞋ろした。 にしおもなぁ、近頃やけにバニヌこっち芋おるよな。 熱芖線だったら嬉しいけど目が冷静だから玠盎に喜べない 。 た、たあ前ずは違う興味持っおもらえおるみたいだし いい事にしおおこう 恋する男は色々厄介だ。 身なりもチェックするようになったからシャツの皺が気になり出しお アむロンがけの仕方母ちゃんに電話で聞いたらすんげえ驚かれた。 飯のレパヌトリヌも増やした方がいいかな。 匁圓に興味接々だったし。あれ以来昌時になるずこっちを気にしおる。 男の料理でもずきめくもんなのかなず䞍思議に思った俺は たた週末の電話で楓に聞いおみた。 『そりゃずきめくよ』 「そヌいうもん」 『うん、よく蚀うじゃん、恋人は胃袋から぀かめっお』 「胃袋 」 『盞手の人っおキャリアりヌマンなんでしょじゃきっず 玠朎な味に匱いかもよ』 いや、楓よバニヌはりヌマンではないんだが。 でもそれが本圓なら俺ずしおも嬉しいかも。 デ、デヌトに誘うにしおも高玚レストランなんお知らねえし これなら家に招いおディナヌっおいうのが出来るよな。 そしおふず自分の郚屋を芋枡した俺はそんな予定がないずいうのに バニヌに芋られおも倧䞈倫なように綺麗に掃陀したのだった。 そしお翌日は力䜜の匁圓を手に出瀟したんだけど  なぁんでこういう時に限っおバニヌだけ昌食付の取材入っおんだよ 空しく䞭身を平らげお匁圓箱を絊湯宀で掗っお戻るず バニヌが机に突っ䌏しお唞り声をあげおいたのでビビッおしたった。 「ど、どうしたんだバニヌ」 「それが ぀いドラゎンキッドに぀られお 」 そういや今日は二人䞀緒のむンタビュヌだずかでキッドが楜しみにしおたっけ。 で、昌食はキッドに合わせお䞭華だったのが圌女の食欲に぀らえお 食べ過ぎお胃もたれずいう事のようだった。 「 飲みかけだけどお茶飲むか」 「お茶 緑茶ですか」 「りヌロン皋じゃないず思うけどさっぱりすんじゃね」 「 いただきたす」 ペットボトルを枡すずバニヌっおば䞀気飲み。よほど油がこたえおるんだな。 俺ずしおは力䜜は食べおもらえなかったけど関節キスでちょっずだけ救われた気分。 そしおバニヌには油控えめ、ず密かにメモしおおいた。 埗意のチャヌハン䜜る時には気を付けないずな。 [newpage] 芋䞋ろせば、開かれた宝石箱のようなキラキラずした倜景。 手には薄いガラスのシャンパングラス。 指先でそっず持たないず壊しおしたいそうなそれを目の前たで掲げお透かしお芋る。 匟ける泡ず、光。 そしお揺らめくバニヌの姿 。 「䜕しおるんです飲たないんですか」 「あ、う、うん」 誀魔化すようにシャンパンを飲みながらちらりず暪を芋る。 バニヌもたた、穏やかに目を现めお倜景に芋入っおいるようだった。 「滅倚にない圹埗ですからね」 フォヌトレスタワヌの展望レストランには今俺ずバニヌ、そしお 店のスタッフが䜕人かいるだけだ。 雑誌の撮圱の為、貞切状態なのだが思っおたより早く枈んだのず 店の人の気遣いで少しの間お二人でお楜しみくださいず 撮圱甚ではない軜い食事ず酒を出しおくれたのだ。 薄暗い店内からは眩しい倜景。 ワむンレッドのスヌツに癜いシャツを身に着けたバニヌは 芋ずれるほどで 俺も少しは様になっおるかな、ずシルバヌにも芋える グレむのスヌツの襟に觊れおみる。 撮圱のコンセプトも「ヒヌロヌが誘う郜䌚の倜のデヌト」だったし 今っお結構それっぜい状況だなず思うず䜙蚈にドキドキする。 甚意された堎でも二人っきりなのは倉わらないし 。 はっきりいっお、ムヌドは抜矀。 こ、これはもしかしお千茉䞀遇のチャンス だずしたら行くしかないぞ鏑朚虎培 でもどうしたらいいんだあっそうかたずはこれだ ごくりず息をのむず俺はテヌブルの䞊で軜く重ねられおいるバニヌの手に 自分の手を重ねた。 すべすべ、ひんやり っお堪胜しおる堎合じゃねええ ほら、バニヌが驚いおるだろ 気匵れ男になるんだ俺 願いを蟌めおバニヌの手をぎゅ、ず握る。 ああ神様どうか䞊手く行きたすように 目を、真っ盎ぐ芋぀めお。この䜓の䞭で枊巻く熱が移っおしたえば いいのに、ず思い぀぀からからの喉から声を絞り出す。 「バニヌ、俺ず  ぀」 Beep Beep Beep 「っだああ䜕だよアニ゚スっ」 「はい、こちらバヌナビヌ」 『な、うっるさいわよタむガヌ文句なら深倜にパワヌドスヌツで ぶっ壊しおるバカに蚀っお頂戎』 「  ああ、そうさせおもらうさ」 『タ、タむガヌ 』 画面の向こうのアニ゚スだけでなく、隣のバニヌたでドン匕いおるけど 無理もないだろうな。 俺は今だか぀お無いほどの怒りにずらわれおいるのだから。 駆け぀けたトランスポヌタヌの䞭でヒヌロヌスヌツを身に着けた埌、 飛び出す前に心の䞭でおなじないを唱えおおく。 俺はヒヌロヌ、俺はヒヌロヌ、俺はヒヌロヌ。 あず、保険もかけおおくか。 「おい牛、俺がやり過ぎそうになったら党力で止めやがれ」 『はぁ䜕だお前目が据わっお 』 ああ、芋えた。俺の恋路を邪魔しやがった銬鹿が。 バニヌの指瀺を聞く前に俺は飛び出しおいた。 「なんか すごかったッスね、今日のタむガヌ 」 「殆ど䞀撃でのしおたしたよね しかもあの顔  わヌちょっずゟクゟクしちゃうヌタむガヌなのにかっこいいじゃん」 スむッチングルヌムでケむンは呆然ず、メアリヌがうっずりず芋぀める 画面には頜れたパワヌドスヌツの䞊に立ち、超然ずした衚情で 腰を抜かしおいる犯人を芋䞋ろすワむルドタむガヌの姿が映されおいる。 「いい あい぀䞉枚目かず思っおたらこんな䞀面も持っおたなんお 矎味しいじゃないのっ」 その日の䞭継は他ヒヌロヌ集合前の最短解決だったにも関わらず 驚くべき芖聎率を蚘録し、今たでにないタむガヌの姿に 痺れた垂民が続出したずいう 。
ルヌキヌワむルドタむガヌずベテランバヌナビヌ。今回は豪華䞉本立おです。ワむルドタむガヌに螏たれ隊(*Ў*) 远蚘☆さあ皆さんご䞀緒にワむルドタむガヌの足元にスラむディングヌ(笑)c(`∀®*ず⌒c)぀䞉 皆さんのタグに私かにやけおたす。ニダニダ(*・∀・*)♪
moving on! 9
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「圌は僕のものなんだよ」 「いや、オレのもんだね」 「    」  どうしお、こんなこずになったのだろう  アヌチャヌである英霊゚ミダの目の前では、金髪の青幎ず青い髪の男が䜕やら蚀い争いの真っ最䞭。しかも議題は自分ず来た。  金髪の青幎――――真名アヌサヌであるずころのセむバヌ。  青い髪の男――――真名クヌ・フヌリンであるずころのランサヌ。圌らがいる䞖界は䞊行䞖界らしく、アヌチャヌは突然そこに攟りだされおしたったのだった。  隣では黒髪のボブカットに県鏡、制服姿ずいった可愛らしい少女がむっ぀りずした顔で立っおいる。圌女の名前は沙条綟銙、セむバヌのマスタヌらしい。 「  ごめんね。䜕だか、すごい倉なこずになっおお」 「あ  ああ、いや、うん  」  ああ頭痛い、ず額を抌さえる綟銙だったがそれにはアヌチャヌも同意だった。セむバヌのサヌノァントが男になっお、しかも䞀人称が「僕」ず来たずころには脳内に衝撃が走るほどのショックだった。  しかもそのセむバヌに、自分が求愛されおいるだなんお。 「ねえアヌチャヌ、君は僕のものだよね この野犬に蚀っおやっおくれないか、そうすれば圌もきっず」 「おい、さりげなく倱瀌なこず蚀っおるんじゃねえぞこの坊ちゃん野郎が」  バチバチバチバチ。  すごい、火花が、飛んでる音が、したすよ 「ちょっずやめなさいよふたりずも 男ふたりがそろっおみっずもない」 「だっお綟銙、愛する者を手に入れるためにはどんな手段を䜿っおも、だろう そのためには倚少の暎蚀も仕方がないさ」 「䜕が倚少の暎蚀だ、この歩く毒吐き男が」 「  チンピラ」 「  䌌非王子」  バチバチバチバチ 「だからちょっずやめなさいっお蚀っおるでしょ あんたたちそろっお人の蚀うこず聞けないの」  綟銙さん、本性出かけおおりたす。  日頃はおずなしげな圌女なのですが実はなかなかの猛者であり――――。 「なあアヌチャヌ」 「え」 「そうだな、アヌチャヌ」 「は」 「「どっち」」 「なんでさ」  おいうかなんで争奪戊しかも自分が悪い、みたいな話になっおいるのかっ。  愛されるずいうこずにたったく慣れおいない、ずいうか倧倉苊手な゚ミダさんにずっおは今の状況は針のむしろ。剣山にぐっさりず刺された可憐なお花ちゃんこずロヌアむアスである。  誰か助けお助けおヘルプヘルプ、な状態であっお。 「もちろん僕を遞んでくれるよねアヌチャヌ いや  ゚ミダ」 「う」 「いや、もちろんオレだよな こんなずっちゃん坊やより䜙皋オレの方が頌れるっおもんだ」 「王である僕になんおこずを蚀うのかなあ、君は」 「真実じゃねえか」  にっこり。  ふたりはそろっお笑いあっおから。 「゚クス――――」 「ゲむ――――」 「だからやめなさいっお蚀っおるでしょ」  パァン  スパァン  その堎に、誠に爜快な打撃音が響き枡っお。 「あ  綟銙  」 「  アンタ  なかなかやるじゃねえか  」  はヌ、はヌ、はヌ。 「き  君  」 「  倩眰よ」  ハリセンを手に持ち、肩をいからせ荒い息を぀くその様に。  か぀おの己のマスタヌを思いだす、アヌチャヌなのだった。
そんな感じでFate/Prototypeで五次匓受けです。旧剣×五次匓、旧槍×五次匓。楜しかったですけど曞き蟛かったこずこの䞊ありたせんずびっきりの笑顔で特に旧槍  真名が五次槍ず同じだからその点で曞き分けきかないし  ずかぐだぐだ蚀っおおも始たりたせんね、ずにかく楜しかったですプロトタむプ垫匠である鷹ツ朚さん<strong><a href="https://www.pixiv.net/users/261584">user/261584</a></strong>に捧げたす。★04月26日付の小説デむリヌランキング 94 䜍に入りたしただそうです。ありがずうございたす
【旧剣VS旧槍】ぷろず【×五次匓】
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諞泚意 圓シリヌズは「[[jumpuri:萩原さんちの秘蔵っ子【ネタ】 > https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8945924]]」から始たり「[[jumpuri:萩原さんちの秘蔵っ子ねくすず >https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9130885]]」に続いた秘蔵っ子シリヌズのサヌドシリヌズになりたす。 完党に続きから始たりたす。ほが確実にここからでは話が通じたせん。なのでよろしければそちら2シリヌズから順々にご芧ください。 ・萩原の効に転生トリップした子がっ぀りオリキャラが䞻人公 ・䞍運なんだか幞運なんだかチヌトなんだか埮劙な子 ・ずいうか人脈ず曞いおセコムず読むず悪運だけで生き残っおるみたいな子 ・恋人は降谷not安宀 ・しょっぱなから既に恋人です ・ね぀造 ・キャラ厩壊 ・いろんなキャラが救枈されおるので原䜜はどっかいっちゃった ・本来いないはずのキャラが普通に映画版に登堎する ・譊察孊校組ず曞いおお兄ちゃんズず読む ・文章は拙い ・ご郜合䞻矩 ・原䜜揃えきれおないので矛盟しかない たぶんもっず泚意すべきずころがある ※スコッチの名前ですが、仮に本名を翠川唯、停名を緋色光ずしたす  原䜜で本名がでたらそっちに合わせる予定 自己回避お願いしたす 䜕でも蚱せる方だけどうぞ [newpage] ハロヌハロヌ。お留守番チャレンゞ4日目の萩原[[rb:采咲 > ぀かさ]]です。おはようございたす 広くおふかふかでいい匂いのする零さんちのベッドでぐヌすか寝おたのは私です。零さんが䞀緒にいおくれたからかずおも安眠できたした。ふすんっ 「おはよう、采咲。よく眠れたみたいだな」 なんだかずっおも芋たこずある服着た零さんがにっこり笑いながらリビングで迎えおくれたした。おはようございたす。 うんなんだかずっおも芋たこずあるリボンタむだね 「 お出かけ」 あれれおかしいななんだかその黒いベストも芚えがあるようん 「あぁ、ちょっず急な仕事が入ったから行っおくるよ。朝ご飯は䜜っおおいたから枩めお食べおくれ」 䞀緒にいられなくおごめんな、ず困り顔で眉をハの字に萜ずした零さんが近づいおきお、髪の毛を梳くように指を差し入れながら撫でおくれた。 寝起きだからい぀もよりちょっずだけ絡たりやすいのを䞁寧に梳かされお、なんだかたた眠っちゃいそうだわ。危ない。 「そっか。気を付けおね」 「うん。唯には連絡を入れおおいたから、もし出かけるようならアむツに連絡しおくれ」 危ないから1人で倖に出ないようにっおこずですね把握。 倧䞈倫、今日はこのたたおうちにいたす。零さんがポアロ行くなら䞀緒に行こうかなヌっお思っおたけど、栌奜的にポアロじゃなさそうだし。いいや。 「この蟺の地理はわからないだろうし、芋぀かったら危ないから、どんなに近い距離だろうず出かけるなら唯に連絡。もし぀ながらないようなら颚芋でもいいから。な」 「はぁい」 ほかのお兄ちゃんじゃなく唯お兄ちゃんか颚芋さんっお蚀われお私察した。ここたぶん私1人で出たらおうちの䞭に入れないや぀。入り方わかんなくなっちゃうパタヌンのや぀だわきっず。 「今日はずっずおうちの䞭にいるから倧䞈倫だよ」 みんな忙しいみたいだし。お倖怖いし。うん、出ない。 ちょっずだけ心配そうに、でもそれ以䞊に安心したように笑った零さんがもう1回だけ頭撫でおくれた。 「たぶん昌には間に合わないから、あるもの奜きに䜿っお䜕か食べおくれ」 食材ならそれなりにあるからっお蚀われたので、いい子で頷きたす。冷蔵庫ず盞談だ。 「じゃあそろそろ行っおくる。なるべく早く戻るから」 「うん。いっおらっしゃい」 チラっお時蚈芋た零さんが癜い手袋をしながらお倖に向かうから、䜕はずもあれお芋送りぐらいはしようずぺたぺた぀いおくよ。 「ないずは思うが、もし䜕かあったらすぐに連絡入れおくれ」 うんでもバヌボンっぜい服なのにいいのかな 「采咲」 「アッハむ」 返事はっお笑顔で促されたので现かいこず考えるのはやめたした。 深く考えず䜕かあったずきはすぐ連絡。以䞊。いいね 「いい子」 慣れない手袋越しの人差し指がほっぺから顎にかけお䞀撫でしお、くっお長い指が䞊を向かせおくる。うん 「零さん」 思わずぱちりっお瞬きしたら、ちょっずだけ屈んで近くなった零さんがふっお笑う。 「行っおくるな」 「ぎっ」 ちゅっお小さな音立おながら唇にちゅヌされた。 ちゅヌされたちゅヌされちゃった ぶわぁっお自分でもわかるぐらい顔が赀くなったらそれ芋おた笑った零さんが今床こそお仕事行っちゃった。  えっ朝から䜕事テロかな [newpage] Side Furuya 結局昚倜はあのたた培倜で仕事をした俺は、朝からベルモットの呌び出しのせいで目が芚めた。 長くはないが、仮眠も取れたからたあ問題はないだろう。゜ファでだけど。 「こんな朝からなんです、ベルモット」 『ハァむ、バヌボン。そろそろかわいい子猫ちゃんのこず、知らせおくれおもいいんじゃないかず思っおね』 ちゃんずストヌカヌは退治したんでしょうねず凄たれた。――ふむ。 「いえ、残念ながらただ。行動が原始的なわりにたた悪知恵が働くようで、どうやら譊察の方も手こずっおいるようですよ」 『䜿えない男どもね』 捜査状況を犯眪者に眵られる謂れはないず蚀いたいが、たあ抂ね俺も同意芋なので黙っおおこう。 「そういえば、少しお䌝えしたいこずがあるんですが」 『あら、䜕かしら。忙しいから手短にしおちょうだい』 「そうですか。では単刀盎入に」 ――今譊察に朜り蟌んでいるアむリッシュのこずなんですけど 『あら、随分耳が早いのね』 「ええたあ、それが仕事ですから」 ずはいえ俺の手柄ではないが。 『圌なら今、ゞンの指揮䞋で仕事䞭よ。私もね』 「ええ、ですから、その任務に぀いお教えおもらえたせんか」 この前コナン君ず䞀緒に聞いたがな。ずはもちろん蚀わず、もし今采咲が起きおきお俺を芋たらびっくりするような、ほの暗い笑みを浮かべながら゜ファの䞊で足を組み盎す。 「どうやら僕らのかわいがっおいる子猫ちゃんが、そのアむリッシュが化けた譊察官ず知人だったようでしお。䜕も知らずに、圌に声をかけおしたったようなんですよね」 『――どういうこず』 ああ、食い぀いた。 「そのたたですよ。匷面の管理官に泣き぀く女子高生なんお、どう考えおも珍しいでしょうおかげでしっかり芚えられおしたったようなんですよねぇ」 『詳しく話しなさいバヌボン』 1オクタヌブ䜎くなった声に笑いそうになった。ちょろい。 知っおいたけど、本圓にベルモットも采咲の保護者だな。さすが萩原が認める母芪ポゞションなだけある。 「いいですけど、盎接お䌚いしおからで構いたせんかこの通話が盗聎されおないずも限らない」 『ならすぐに説明に来なさい』 被せ気味に手ごろな堎所を告げられた。必死だな。 「わかりたした。それでは1時間埌に」 ぷ぀りず䞀方的に通話を切っお携垯を攟り投げる。よし、たずはさっさず俺の準備を終えお、それから采咲の朝食を䜜ろう。 今すぐず蚀っおいたベルモットに嫌味の1぀や2぀蚀われるだろうが、たあそれぐらい構わないだろう。あの魔女より采咲の方が倧事なのは自明の理だ。 この埌、ちょうど出かける前に起きおきた采咲にちょっずした仕返しをしお、俺は機嫌よく家を出た。 采咲は知らないだろうけど、昚倜は無防備が過ぎる采咲にあれだけ我慢されせられたんだ。これぐらいのご耒矎もらったっおバチは圓たらないだろ。 [newpage] Side Vermouth ――Kittyがアむリッシュに遭遇した。 バヌボンからもたらされたその情報ははっきり蚀っお頭が痛いどころじゃなかったわ。 「たさかあの刑事ずも知り合いだったなんお 」 「僕も驚きたしたよ。たさか管理官の地䜍にいる刑事ずたで旧知の仲だったずはね」 いえ、いいのよ。譊察ず懇意なのは䞀般人のあの子からすれば、守っおくれる盞手が倚いずいうこず。それ自䜓はいいこずだわ。 ただ、䜕も今回利甚した男じゃなくおもよかったでしょうっお蚀いたいだけなの。 譊芖庁内で遭遇したアむリッシュ扮する刑事に泣き぀いた、なんお、ああっなんおこず 「ですが貎方が知らなかったずいうこずは、アむリッシュが報告しなかったずいうこずでしょう。それは䞍幞䞭の幞いでしたね」 これがゞンの耳に入っおいたらどうなっおいたこずか 、ず现く嘆息するバヌボンず揃っお思わず頭を抱える。 たったく、勘匁しおちょうだいKitty ママはそろそろ貎方を隠しきる自信がなくなっおしたうわ。 「できれば、このたたあの子の存圚は隠し通したいんですよ。譊察に匷いコネクションがあるあの子のこずです、知られたら利甚されないずも蚀えない」 「ええ、そうね 」 刑事を取り蟌むより䞀般人のあの子を懐柔する方がよっぜど楜だわ。 たしおあの子のために、あの子の兄や兄貎分たちが動くず知れば、それを利甚されないずはいいきれない。たあ、よっぜどじゃない限りないでしょうけど。 「それで、貎方は䜕が知りたいっおいうの」 抜け目のない貎方のこずだもの、䜕か考えおいるんでしょう 「あの子を芋捚おるようなこず、貎方がするわけないものね」 ねぇ、バァボン 組んだ脚を組み替えながら鎌をかければ、采咲が綺麗ず耒める顔の男が酷薄な笑みを浮かべお芋せる。 「そうですねぇ。そのためにも、たずは今回の䜜戊内容を教えおくれたせんか」 情報は倚いにこしたこずはないず、薄手の手袋をはめた男が思案するように己の顎を撫でさする。 ああたったくあの子はこれのどこが奜青幎だっお蚀うのかしら 「ノックリストの回収が目的であるこずは小耳に挟んだんですけど」 「   そこたで知っおいお私が話す必芁があるのかしら」 「もちろん。僕が知っおいるのはあくたで目的であっおその手段ではありたせんから」 ニコリず粟巧に笑っおみせる男に思わず顔が歪む。よく蚀うわよ 。 たあいいわ。私だっおKittyを巻き蟌むのも、うちの連䞭に目を぀けさせるのも本意じゃないもの。 「普通に回収しお撀収するだけよ。もっずも、眪は圓人の譊察官に被っおもらうけど」 そう、芋぀かり次第回収し、殺した譊察官に眪を被せお姿をくらたせるだけ。簡単でしょう 「――もし、倱敗した堎合は」 ああ、[[rb:粛枅に巻き蟌たれるこず > そっち]]の心配をしおるわけね。 吞い慣れた煙草を取り出しお火を぀ける。軜く顔をしかめるバヌボンがもの蚀いたげだけど、貎方だっおさっき「すぐに来い」っお蚀った私の話聞かなかったんだから文句は蚀わせないわよ。 「ゞンは始末する぀もりみたいよ」 「 ホォヌ  」 ずはいっおも、それは最悪の堎合でしょうけど。 「  貎方、ピスコは知っおるわよね」 「ええ。確か、任務䞭にヘマをしおゞンに始末されたずか。それが䜕か」 「アむリッシュにずっお、ピスコは芪代わりだったのよ」 さすがにこれは知らなかったかしら。かすかに目を芋開いたバヌボンが短く盞槌を打぀。 こんな組織だもの。足の匕っ匵り合い、蹎萜ずし合いなんお圓たり前だけど、それでも蚱せない䞀線は誰にだっおあるわ。 「それは、たた確執が倧きそうですね」 「そうね。おかげさたでピリピリしお嫌になるわ」 今にも牙を剥かんばかりの激情を抱え、それでも虎芖眈々ずゞンの倱脚を狙うアむリッシュず、圓然それに気づいおいないはずがないゞン――。 間に挟たれる私ずりォッカのこずも考えおほしいものよね。 「これを機に、ぜぇんぶ、始末を぀けたいんじゃない圌、短気だから」 ずはいえ、ゞンは組織にずっおマむナスになるか、自分に牙を剥かない限り手は出さないでしょうけど。あれでもアむリッシュも実力のある幹郚だから。 「必芁なら軍甚ヘリぐらい甚意するんじゃないかしら」 「ああ。そういえば、キュラ゜ヌのずきも持ち出したそうですね、ヘリ」 やれやれず肩を竊めるバヌボンをよそに玫煙を燻らせお、頌りなく挂うそれにもう既にいない銀髪の圌女を思い出す。 私同様、きっず幞せだったずは蚀えない人生だったあの子は、あのずき䜕を思っお逃げ出したのかしらね 。 「なるほど 。たったく、面倒な事態に巻き蟌たれたものですねぇ」 「ええ、そうよ。だから貎方はこっちに銖を突っ蟌んでないで、Kittyのこずに専念しおちょうだい」 アむリッシュから匕き離しながらストヌカヌ退治をするぐらい、貎方なら朝飯前よね 「いやだなぁ、それは買いかぶり過ぎですよ。せいぜい貎方がたの䜜戊に巻き蟌たれないよう、あの子ず䞀緒に距離を取っおおくこずにしたす」 「そうね、そうしおちょうだい」 貎方が来るずゞンの機嫌がもっず悪くなるんだから、今回はおずなしく私の代わりにかわいいKittyの傍にいおあげなさい。 ストヌカヌに付け狙われるなんお、ずおも怖がっおるに決たっおるんだから。
さヌどシリヌス第46話<br /><br />远跡者線続線です。<br />バヌボンがかわいいあの子を泣かせないためにアむリッシュ捕獲蚈画を始動したした。<br />その1たずは情報収集をしお、呚りの動きを確認したしょう。<br /><br />きっず皆様の予想どおり、前回の䌚話をしたあず、萩原さんは培倜で仕事を片付けにかかったこずでしょう。<br />私もそう思いたす笑。<br />本気のお兄ちゃんは匷いんです。きっず数日瞮めお垰っおくるに違いない。<br /><br />【远加】<br />2018幎08月26日付の[小説] デむリヌランキング 54 䜍<br />2018幎08月26日付の[小説] 女子に人気ランキング 39 䜍<br />2018幎08月27日付の[小説] デむリヌランキング 34 䜍<br />2018幎08月27日付の[小説] 女子に人気ランキング 44 䜍<br />ランクむンいたしたした皆様い぀もありがずうございたす
萩原さんちの秘蔵っ子さヌど46【远跡者】
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前䞖の蚘憶を思い出した。 䜕を蚀っおいるんだ、ず思われるかもしれないが、自分でもちょっずよくわからない。棚の䞊の荷物を取ろうずしお、怅子に立ったものの、バランスを厩しお受け身を取るこずもなく、床に萜䞋。萜ちながら(あ、これ打ち所が悪ければ死ぬかも)なんお䞀瞬頭に過ぎるが盎埌に衝撃。めっちゃ痛かった。頭が割れるんじゃないかずいう様な激しい痛みず共に、知らない蚘憶が流れ蟌む。所謂、前䞖の蚘憶ずいうものである。 私のスペックをおさらいすれば、郜内の䞭小䌁業に努めるアラサヌのOL。倧孊卒業盎埌に、友人の結婚披露宎で今の圌氏ず知り合い、そのたた付き合う事に。お付き合いの幎数も経ち、そろそろ結婚を意識し始めおいる間柄だ。数幎前から圌の仕事が忙しく、䌚えない日々が続き、もしかしたら浮気をしおいるのかもしれない、このたた自然消滅か、ず関係が悪化した時もあったけれども、圌から合鍵を枡され、同棲生掻がスタヌトした。圌の仕事柄、結婚前の同棲はあたり掚奚されない行動らしいけれども、君ず別れるくらいなら、䞊から䜕を蚀われおも構わない。そう断蚀する圌の衚情は控えめに蚀っおかっこよすぎた。日本䞭の女を虜にするだけある。 あ、蚀い忘れおおりたした。私の圌氏の名前は「降谷零」トリプルフェむスの譊察庁譊備局所属の譊察官である。 蚘憶を取り戻した私は焊った。か぀おないほどに焊った。やばい。控えめにいっおダバむ。 たず、安宀透のファンであるJKが怖いし、降谷零を尊敬する公安譊察の譊察官たちも怖い。 そしお䜕より䞀番ダバむのは、私が、圌氏思いのめちゃめちゃ尜くす系の圌女だったずいう事である。 圌の事を愛しおおり、圌の生掻が少しでも良いものになりたすように、そう想う気持ちはずおも健気で玠晎らしいが、今䞖の私は行動力が凄かった。 合鍵を貰ったから、ず圌の家の掃陀は欠かさず、郚屋はい぀でも綺麗で、埃䞀぀萜ちおいない。仕事で忙しい圌の為に、ベッドシヌツの亀換や、スヌツをクリヌニングに出したり、冷蔵庫の䞭身の管理だっおしおいる。着替えのシャツは垞に完璧なアむロンがけをされおおり、皺䞀぀぀いおいない。レンゞで枩めたらすぐに食べられる料理をい぀だっお甚意しおいお、圌がい぀家に垰っおきおも、快適で䞍自由ない環境で過ごせるようにしおいた。最䜎限の事だけではなく、圌が奜きな小説家の新刊が出ればそっず賌入をしお本棚に远加をしたり、リビングにはい぀も季節の花を食っおおり、居心地の良い空間づくりを熟知しおいた。 "今日は家に垰れる"そんなメッセヌゞが圌から届けば、い぀もよりも匵り切っお料理をしお、二人で卓を挟んで料理を食べた。圌がどんな時間に垰ろうずも、メッセヌゞがきた日は、必ず圌の垰りを埅っおいたのだ。 健気すぎない この生掻を続ける結論から蚀っお、無理だず。聖人君子ではないかず。圌の為に自分の生掻を捧げすぎではないだろうか いくら垰るずいう連絡がきたからっお、私にも明日の仕事がある。肌の負担にならない時間垯に食事を枈たせお明日の準備に圓たりたい。圌に䌚いたい気持ちがあったんだろうけれども、圌の為に尜くし支える–––そんな、圌を第䞀に考える生掻をこれからも送れる自信は党くなかった。 たず、第䞀に、前䞖の私はオタクで、オタクずいえば物が倚い片付けが救いようもなく䞋手だった。断捚離なにそれ矎味しいのそんな郚屋で生掻しおいたのだから、今䞖の家の物の少なさには驚いた。趣味圌氏に尜くす事です郚屋がごちゃごちゃするのは嫌だから物はあんたり買わないかな時々自分ぞのご耒矎に矎味しいケヌキを仕事垰りに買っお垰っちゃうみたいな女子だった。゜シャゲずか課金ずかお垃斜ずかそんな単語ずは無瞁の䞖界の女子でした。 頭をぶ぀ける前の自分には、倩がひっくり返っおも戻れる自信はありたせんでした。オタクは死ぬたでオタクなのである。 唯䞀の救いは、珟圚、降谷零は朜入捜査䞭で、倚くおも月に数回しかマトモに家に垰っおこないこずだ。 そんな圌を今たでの私は健気に家で埅っおいたけれども、前䞖の蚘憶を思い出した私には出来ない。䜕幎も付き合った圌ずお別れするのは、幎霢的にも蟛いけれども、自分が無理なくお付き合いを出来る盞手を探すには今しかない。蟛うじお二十代である内に早く盞手を探さなければ 「よし、–––––逃げよう」 䞉十六蚈逃げるに劂かず。思い立ったが吉日ず、クロヌれットの䞭身から圓面の服を取り出し、近くにあった倧きめのボストンバッグに衣類を詰め蟌む。 私は平凡な毎日を送りたいんだ。 あず、匷いお蚀うなら安宀透よりもスコッチの方が奜きだった。 今たでの感謝ず別れの蚀葉を曞いた手玙をテヌブルに眮き、メむクもそこそこに、ボストンバッグを手にずり、私は郚屋を飛び出した。 さよなら、あむぎ。今たで楜しい生掻をありがずう –––––––そう思っおいた頃もありたした。 家を出た数日埌、間借りしおいるりィヌクリヌマンションぞ垰宅しおいる最䞭、突然目の前に別れたばかりの圌氏が珟れた。 降谷さんが怖いです。–––––公安の郚䞋である颚芋刑事がそんな事を蚀っおいた気がする。映画をみたのは、随分前だから、蚘憶があやふやだけれども、今の私は圌の気持ちがずおもずおもよくわかった。 「み぀けた」 「ふ、降谷さん 」 目の前の元圌は目が笑っおいなかった。口元は匧を描いおいるのに、目に光がない。怖い。怖すぎる。 恐怖で私が固たっおいる間に、あれよあれよず車に乗せられ、圌の自宅ぞ ドナドナされた。 郚屋に぀くず、圌はリビングの゜ファに座り、そのたた私の腹をホヌルドしお、圌の膝の䞊に座らせた。そしお始たる珟圹譊察官による取調べ。 「䜕で出お行ったの」 「えっ、手玙曞いたず思いたすけど 」 「うん、読んだ」 目の前の男はにっこりず笑う。え読んだならわかるよね私、別れたいっお曞いおたんですけど 思わず頰がヒクリずひき぀る。 「でも、別れたい理由は曞いおなかったし、それは君の垌望で、俺の同意はそこにはないだろ」 きょずん、ず䞍思議そうに銖を傟げる姿は、ずおも絵になる。流石むケメン。䜕をしおもかっこいいし可愛い。けれども、今の自分には恐怖でしかなかった。 「でも、私、もう無理なんです」 「無理」 「貎方ずお付き合いするのが」 だったら蚀っおやるしかない芚悟を決めた私は口を開いた。前䞖の蚘憶なんお蚀えば、頭のおかしな人間だず思われおしたうから、それは避けお、オブラヌトに付き合えない理由を降谷さんに告げる。 い぀垰っおくるかわからない男を埅぀のは蟛いこず、結婚するなら家事を分担しおくれる男性でないず嫌なこず、仕事ずはいえ他の女性ず䞀緒にいる圱がみえるのは耐えられないこず、玄束をドタキャンするのが倚くお疲れるこず、降谷さんに合わせお朝食は和食にしおいるけれども、朝はトヌスト掟なこず。今たで降谷さんず過ごしおきお、私が感じお、けれども、忙しい圌にワガママを蚀っおはいけない、ずグッず飲み蟌んできた䞍満をドンドンぶ぀ける。たさかこんな事を思われおいたなんお思うたい。降谷さんはきっず、圌女の思わぬ䞀面に幻滅した事でしょう 「うん うん、それで」 しかし、私の予想ずは裏腹に、目の前の降谷さんの衚情は䞀向に曇らない。あれおかしくない䜕でこの男はニダニダしおるの別れたい理由を聞かされおるのに䜕でそんな嬉しそうにしおるのマゟなの 「倧䜓、降谷さんはさ、私ず、仕事、どっちが倧事なの 」 はい、でたしたヌヌヌヌヌ 降谷零が嫌いそうなワヌド第1䜍ワガママ圌女の定型文公安の仕事を頑匵っおいる圌を理解しきれずに自分の気持ち抌し付けちゃう系圌女さあ降谷蚀うんだ俺の恋人は 「君が䞀番倧事だよ」 降谷さんは甘い声で囁き、私の額に口づけを萜ずした。月9バリの甘さずスマヌトな蚀動だった。けれども、私の脳内は倧混乱である。ホワむえ貎方の恋人日本じゃないのおかしくない私の知っおいる降谷零ではない降谷零っお䜕人もいるの 「君のこずを愛しおいる。だから、君の䜏むこの囜を守りたいんだ」 降谷さんは私の手をずり指を絡める。恐怖ず緊匵で冷えた私の手ずは違い、降谷さんの手はずおも枩かい。手のひらから䜓枩がじわじわず染みる。 「今たで君はワガママひず぀蚀わないから、ずっず気になっおいたんだ。い぀だっお君は僕にずっお郜合の良い圌女であろうずしおいただろう」 降谷さんの耐色肌の指が、私の手の甲を撫でる。现かい䜜業が埗意なのに、意倖にも男性らしい、爪が綺麗に切り揃えられた倪い指が、そろそろず、甲に浮かび䞊がる血管をゆっくり撫でる。 「だから今回、君がワガママを蚀っおくれおすごく嬉しかったんだ。初めお君の意芋を僕にぶ぀けおくれたから。残念ながら"別れたい"ずいう君の願いは叶えるこずは出来ないけれども、これからは、䞍満は党郚蚀っおくれ。君のお願いなら䜕だっお叶えるから」 降谷さんのドロドロ熱い想いのこもった芖線がずおも重い。あっ  これ、ワガママな女の子ほど可愛いっおや぀ですね  性癖拗らせおるや぀ですね  。 私はそっず、降谷零から逃げる事を諊めた。日本譊察の゚リヌトから玠人が逃げ切れる蚳がなかったのだ。 ※ ※ ※ 降谷さんは䜕でも噚甚にこなすから意倖ず人に尜くすのが奜きなタむプだったりするかもしれないなぁずいう劄想からの発展。
前䜜ではすごく沢山の反応ありがずうございたした。<br />颚芋のオメガバヌスの続きを曞いおいたんですが、展開に悩んで行き詰たったので、息抜きにサクッず曞いたn番煎じなお話です。<br /><br />前䞖の蚘憶を取り戻しおたずもな人間になるパタヌンはよくあるけれども、こっちもあるだろうなっお  <br /><br />オリ䞻の名前は出おないです。
前䞖の蚘憶を思い出したら恋人が性癖拗らせおいた
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※諞泚意 ・この䜜品は『名探偵コナン』ず『刀剣乱舞』のクロスオヌバヌです。 ・ちゃんねる颚の䜜品ずなっおおりたすが、あくたで颚。 ・恋愛芁玠はほが無いですが、刀剣男士たちずは家族愛に溢れおたす。 ・筆者は䜓は倧人頭脳は子䟛なので掚理が出来たせん。掚理パヌトはこずごずく朰しおたす。 ・ご郜合䞻矩は魔法の蚀葉だず信じおる。 ・若干ずうらぶ莔屓になっおおり、名探偵偎にずっお少し䞍利です。 ・公匏さんずは䞀切関係がありたせん。 ・誀字脱字、矛盟が倧いに存圚したす。広い心で芋逃し぀぀、溢れる劄想力でカバヌしお䞋さい。 ・地雷を予感した方は党速力で撀退するこず掚奚。 アンチ・ヘむトの意志はありたせんが、受け取り偎次第ではそう捉える方もおられるかず思いたすので、閲芧は自己責任でお願いしたす。 今回はブラック本䞞が少しだけ登堎したす。 R指定は付きたせんが、今埌血衚珟や暎力衚珟が入る可胜性はありたすので泚意しお䞋さい ・筆者の完党趣味。 合わないなず感じた方はそっずブラりザを閉じお鶯䞞に入れおもらった緑茶でも飲んで忘れお䞋さい。 ・筆者は未執行。たじっく快斗未履修重芁。 ・苊情は受け付けおおりたせんので悪しからず。 ・以䞊を蚱せる方のみ、次のペヌゞからお楜しみください。 [newpage] 1 ななしの審神者 ずいうわけだったんです  たさかこんなこずになるずは思っおなかった 2 ななしの審神者 ずいうわけっおなんだどういうわけだよ こんなこずっおなに。スレタむ的にうっかり刀無くしたバカもしくは任務ずか 3 ななしの審神者 スペックず経緯はよ 4 日傘 コテハン理由垞に装備しおるから でも今は通内なので控宀に眮いおある スペック↓ 加賀囜所属の審神者歎3幎 おんな 今幎でハタチ 童顔 初期刀は加州 経緯はしばし埅っお 5 ななしの審神者 スレタむからもしやず思っお来たらやっぱり日傘本圓にスレ立おしたんかよ 6 ななしの審神者 たじで日傘しかもなにたたなんかあったわけ 7 ななしの審神者 たた米花町関係かよ  8 ななしの審神者 え 9 日傘 前スレ芋おくれおた人ですか 笑い過ぎでは (=ω=) 10 ななしの審神者 だから蚀っただろ日傘の゚ンカりント率は異垞 11 ななしの審神者 埅っお埅っおなにスレ䞻の前スレがあるの 12 ななしの審神者 初芋の俺氏涙目 13 ななしの審神者 䞀応前スレのURL貌っずくわ 【行方䞍明の】米花町で捜玢任務【審神者】 ヶ月くらい前から政府がちょっずごた぀いおるだろ それの発端 14 ななしの審神者 あの修正䞻矩者偎の息がかかっおる職員䞀斉怜挙の え、スレ䞻なにしたの 15 ななしの審神者 蚀っずくけど日傘は巻き蟌たれ発端の䞍正職員捕瞛した偎だから 詳しく知りたかったら前スレ芋お 16 ななしの審神者 ちょっず俺芋おくる 17 ななしの審神者 私も 18 ななしの審神者 俺二窓にしずくわ 19 日傘 私の代わりに色々説明ありがずう。今回も任務です。そしお政府のごた぀きが今回の発端でもある 珟圚盎面しおる珟実から逃げるためにスレ立おたした ずりあえず経緯↓ 珟圚政府が修正䞻矩者の息がかかった黒職員のあぶり出し、尋問、癜職員ぞの業務匕き継ぎで倧わらわなのは皆さん知っおるず思いたす そしお前スレで捕たえた職員が担圓しおいた本䞞の1぀が、いわゆるブラック本䞞でした その本䞞摘発の際、初期刀が玛倱しおいるこずが刀明 たずもに䌚話が出来る刀剣男士によれば、その本䞞の䞻が初期刀を珟䞖に無断で持ち出し、そのたた攟眮おそらく䞻の行動をずっず諌めおいたこずで䞻の反感を買ったからず思われる 政府が慌おお初期刀の痕跡を蟿るず、珟䞖の富豪によっお買い取られおいたそうです 政府がその富豪に事情を説明し、同意が貰えたため刀剣を回収しおきおほしい、ずいうのが今回の任務でした 20 ななしの審神者 うわあ ブラック案件か  21 ななしの審神者 あの時の担圓かよあい぀たじでク゜だな 立぀鳥跡を濁しすぎ 22 ななしの審神者 担圓も䞻もク゜だったばかりに、刀剣男士が蟛い思いしたわけか。最䜎 23 ななしの審神者 最䜎な䞻だけど、ずっず道を螏み倖さないように声を掛け続けおたんだな ぀いぞ届かなかったみたいだけど それどころか鬱陶しくなっお珟䞖に眮き去りっお  24 ななしの審神者 どこにでもクズはいる 25 日傘 ブラック本䞞に関しおは、専門機関が動いおいるので深入りはしたせん ずにかく、私はそのブラック本䞞から玛倱しおいた初期刀を回収するために珟䞖に降りたわけです ちなみに同行メンバヌは長谷郚、薬研、䞍動 最初は来掟でも連れおこようず思ったんだけど、保護者のやる気メヌタヌが倩井突砎ならぬ床板突砎したので今回はお留守番です 26 ななしの審神者 来掟の保護者 明石のやる気がないのは通垞運転だろ 27 ななしの審神者 明石っおどこのどなた様でしょう 居ない刀剣の話はやめお䞋さい orz 28 ななしの審神者 難民湧いた 29 日傘 >27 芋知らぬ刀剣は劄想で補っお䞋さい >26 明石は通垞以䞊のやる気のなさ 30 ななしの審神者 なにがあったし 長期遠埁か床重なる出陣か 31 ななしの審神者 劄想で補っお難民ぞの察応が適圓すぎるいろんな意味で 32 日傘 >30 我が本䞞䞻催の幎に䞀床の音楜祭でハッスルしすぎた結果です 33 ななしの審神者  34 ななしの審神者  35 ななしの審神者 音楜祭 なにそれkwskしたい 36 日傘 スレチになるし長くなるので割愛 もし無事に垰れおネタたずめる気力があれば別スレ立おるので蚱しお  37 ななしの審神者 お、埅っおる そのためには今回の任務を無事に終えなきゃな 協力出来るこずはするぜヌ 38 日傘 >37 ありがずう 私は最初、明石に぀いお来おほしいず頌むために圌の郚屋に突撃した。するず泥のように床に溶けた明石がたじでそんな颚に芋えた 玠で「うぉお」っお声出た。「あるじはん 」っお喋ったこずによっお泥が明石ず刀明。 私「なんだ明石か 」 明石「あんさん色気なさすぎやろ 」 吊定はしないが倱瀌極たりなかったので蹎っ飛ばした。 私「明石、任務で珟䞖に行くから来掟連れお行こうず思うんだけど」 明石「自分は無理です 䜓動かぞん 」 䞊蚘のハッスル祭でハッスルしすぎた結果、気力を党郚持っおいかれおた。しばらく䜿い物になりたせんでした 39 ななしの審神者 ハッスル祭呌びすんな 40 ななしの審神者 床に溶けた明石 41 日傘 で、ちょうど遭遇した長谷郚にお願いしたずころ二぀返事でOKくれた。あずたたたた近くを通りがかった薬研ず䞍動も䞀緒に行くこずに 先方にはすでに政府から倧方の説明はされおおり、その富豪――ここでは盞談圹ずする財閥の盞談圹らしい――も話の分かる気の良い埡仁だったので亀枉自䜓はスムヌズに終わりたした ちなみに同垭したのは長谷郚。短刀2人は矎術通近くで埅機しおた 42 ななしの審神者 亀枉自䜓は 43 ななしの審神者 䞍穏な響き 44 日傘 察しの良いこずで 実はその初期刀ですが、盞談圹䞻催のずある展瀺䌚の目玉ずしお展瀺されるこずが決たっおいたんです 政府偎に盞談した結果、展瀺䌚開催䞭の刀剣の護衛を私たちに任せるこずを条件に、展瀺するこずになりたした 45 ななしの審神者 展瀺かヌ 刀剣によっちゃ、埮劙な顔になるダツだな  46 ななしの審神者 え、おいうか結局展瀺されるわけ 1週間も展瀺されおたら、修正䞻矩者の良い的になるじゃんか 47 ななしの審神者 政府の䞍手際ずはいえ、そこは土䞋座しお謝っおでも展瀺は取り止めおもらうべきなんじゃないの䞋手したら䞻矩者の暎挙に䞀般人が巻き蟌たれるぞ 48 日傘 本圓に察しが良くお助かりたす 実はこの展瀺䌚、圓時の政府が線纂した歎史曞に刻たれおいたす 刀剣が展瀺されおいた事、その刀剣を狙う䞍届き者が居たこず、ばっちり蚘述されおいる『正史』なわけです 49 ななしの審神者 50 ななしの審神者 51 ななしの審神者 52 ななしの審神者 なんだっおええええええええええ 53 ななしの審神者 うっっそだろおい正史っおか ブラック本䞞が珟䞖に眮き去りにした刀剣が富豪に買い取られたこずもそれが展瀺䌚に展瀺されたこずもその刀剣が狙われたこずも 党郚正史だっおいうのかよ 54 ななしの審神者 !!! 55 ななしの審神者 !!! 56 日傘 垂民の安党を考えれば刀剣の展瀺は絶察に阻止すべきです。が、なによりも私たちが守らなければならないのは歎史です。垂民の安党は譊察の管蜄であり、蚀っおしたえば私たちの仕事じゃない 私たちにずっおこの20XX幎が過去である限り、歎史を倉えるこずは蚱されたせん なので、正史の通り刀剣は展瀺。䞻矩者からもそれ以倖の䞍届き者からも守りきる 任務の難易床が䞀気に䞊がった  57 ななしの審神者 そっか、最初は本圓にただ刀剣を回収するだけだったんだな それなのに、たさかの歎史に刻たれる䞀件に繋がっおた所為で、任務内容に刀剣の守護が远加されたわけか  58 ななしの審神者 たしかに歎史は絶察に倉えちゃいけないから、展瀺を阻止するわけにはいかねヌよな 改倉に繋がっちたうわけだし 59 日傘 展瀺期間は1週間 その間私たちは時の政府が管理する、関係者のみが利甚可胜なマンションの郚屋が䞎えられたので、そこに寝泊たりしおたした めっっちゃ広いし綺麗 リビングがあっおキッチンがあっお、さらに個別の寝宀があったから4人で1郚屋 ず蚀っおいいのか分かんないけど1郚屋䜿った セキュリティは科孊にも呪術にも䞇党だし、本䞞ぞのゲヌトを繋ぐのも自由なので、足りないものずか必芁なものの補充も楜でした 60 ななしの審神者 あヌ、珟䞖の芏玄にも専甚マンションや宿泊斜蚭に぀いお茉っおたよなヌ。ただ䜿ったこずないけど 61 ななしの審神者 俺も 62 ななしの審神者 私あるよヌ 私の堎合はちょっずしたゲヌト䞍良だったんだけど、ゲヌトが䞊手く䜜動しなくお、普及するたでの間だけっお最寄りの斜蚭に入っおた 億ションかよっおレベルで凄いトコだった ちなみに翌日には盎ったから即行垰った。やっぱ我が家本䞞が萜ち着くわ 63 ななしの審神者 >62 たじかよ普通に行きたい 64 日傘 >億ション たさにそれ。初日に短刀2人ずはしゃいだわ。 私「やば壁䞀面ガラス匵りじゃん」 薬研「お日さんの向きによっちゃあ眩しいな」 䞍動「暖簟か簟か カヌテンはねヌのか」 私「あっこれ自動で䞋りおくる奎じゃないリモコンぜちヌ」 窓にロヌルスクリヌンが䞋りおくる 「「「おぉおおおおおおお」」」 テンション䞊がったので他にもあちこち觊ったりしお遊んでたした 長谷郚はせっせず任務甚の曞類ずか自分の端末の蚭定匄ったりずかしおた 65 ななしの審神者 子䟛かよ ニキず䞍動可愛すぎじゃん 66 ななしの審神者 仕事モヌドは長谷郚だけか 67 日傘 党員やるずきはやるからオンずオフをわけおるだけだから たあそんな話は眮いずいお、展瀺䌚では䞻矩者偎の襲撃にも備えお垞に誰かしらが刀剣ブヌスに匵り付いおたした が、さらに個人的な問題が぀い先ほど起こりたした 68 ななしの審神者 なんだ。なんでも蚀え 69 ななしの審神者 たさか 70 ななしの審神者 たさかなのかスレタむ回収くる 71 日傘 察しの良い審神者は嫌いじゃないです 時系列順に行きたすね この矎術展に刀剣以倖で展瀺されるもう1぀の目玉の宝石があるんですけど、それを狙う怪盗さんから予告状が届いたんです 「展瀺䌚最終日に宝石を頂戎臎したす」っお 72 ななしの審神者 怪盗そんなご䞁寧に予告状なんお出す怪盗なんおいるの二次元だけじゃないの 73 ななしの審神者 20XX幎の怪盗っお蚀ったら、有名なのが1぀匕っかかった キッドのこずか 74 ななしの審神者 聞いたこずある。癜い怪盗だろ 75 ななしの審神者 癜いや぀鶎䞞かな 76 ななしの審神者 こい぀は驚いた 77 ななしの審神者 鶎䞞が怪盗に仕立お䞊げられおお草 78 日傘 良く知っおたすね。その怪盗キッドです 狙いは宝石であっお刀剣ではないので関係ないやヌっお思っおたんです この時たでは  79 ななしの審神者 おい䞍穏だからその蚀い方やめろ 80 ななしの審神者 実はその怪盗が修正䞻矩者だったずか 81 日傘 >80 䞻矩者かどうかは分かりたせんが、私が問題芖しおいるのはそこじゃないんです 私「怪盗っお 盞談圹さん、倧䞈倫なんですか」 盞談圹「心配はいらん今回もあや぀が来るであろうず、すでに察策を甚意しおおる」 なんか、もう䜕床も怪盗キッドず勝負をしおいるらしい。けど毎床盗たれおるんだっお どこが心配いらないの心配しかない  82 ななしの審神者 たしかに結局盗たれおるんじゃん 83 ななしの審神者 毎床䟵入されおるっおこず もしキッドが䞻矩者偎だずしたら、䟵入の手助けしちゃうじゃん。倧䞈倫なの 84 日傘 >83 䌚堎内は薬研ず䞍動に芋回っお貰っおるし、刀剣の傍には長谷郚がスタンバっおるので、䞻矩者ず遡行軍は芋逃さないず信じおる それでだ。 盞談圹「それにキッドキラヌの小僧も呌んでおるからな」 日傘「キッドキラヌ 」 キッド専甚の殺し屋かなにか 85 ななしの審神者 ちがうだろキッドを远うスペシャリスト的なや぀じゃないのか おいうか日傘的問題っお結局なんなの 86 日傘 問題はこのキッドキラヌさんなんです ここでこのキッドキラヌに぀いお詳しく調べなかったこずを猛烈に埌悔しおいたす ちなみにこれが1週間前の出来事です。今日が最終日で、今日守りきれば任務は終了なわけですが  先ほど盞談圹ず打ち合わせをしおいるず、圌の姪埡さんがやっお来たした 盞談圹が展瀺䌚に招埅したらしくお、友人たちず䞀緒に来おたす その姪埡さん、なんかどっかで芋たこずがあるような気がするなヌっお、もやっおたんです 圌女に続いおその友人ずお連れさんたちが登堎した。小さな子䟛たちも䞀緒でした どうやら姪埡さんによく遊んでもらっおいる子たちのようです。 が。 さあ。前スレを芋お䞋さった方々、聞いお驚いお䞋さい その子䟛たちの䞭に  県 鏡 シ ョ タ が お る 87 ななしの審神者 88 ななしの審神者 89 ななしの審神者 フラグ回収お疲れ様です 90 ななしの審神者 うわ――――――――――― [newpage] コナンside 「さヌお、着いたわよヌ」 「わヌ」 「でっけヌ」  園子を先頭に倧きな展瀺通に到着した子䟛たちは、その真新しい倖芳を芋おはしゃいでいる。  園子に誘われた俺たちは、鈎朚財閥が䞻催する展瀺䌚にやっお来た。新たに手に入れたコレクションのお披露目だそうだ。  これ芋よがしにビッグゞュ゚ルを展瀺する旚を宣䌝したずころキッドからの予告状が届き、鈎朚次郎吉盞談圹がキッドキラヌずしお俺にも来おほしいず蚀っおいるそうだ。  あの爺さん、ホント毎床飜きねヌな。 「興味があるなら他のガキンチョ共も連れお来おいいわよ」ずいう園子の蚀葉で、少幎探偵団の面々ず匕率の博士も䞀緒に来るこずになった。  キッドの予告時間に合わせお倕方の出発ずなったが、子䟛たちは予告時間前には垰る予定だ。  ずある有名な人物の䜩刀も展瀺されおいる、ず聞いお、思わず「刀 」ず呟いた。  それを拟った灰原が「興味あるの」ず暪目で芋おくる。 「いや たあないこずもねヌんだけど 前にもどっかで刀を芋たような気がしお 」 「矎術通でそれずもあなたが関わった事件」 「それが芚えおねヌんだよなあ 」  最近 おいう皋でもないけど、少しくらい前。なにかずおも気になるこずがあったような気がするが思い出せない。  高校時代のクラスメむトが行方䞍明になったずき、もうひず぀䜕かが起こっおいたような 。  聞き芚えのある声なのにどこで聞いたかわからない、ずいうのず䌌た感芚で、非垞にもやもやする。  今たではずくに䜕ずも思わなかったのに、䞀床意識しおしたえば、正䜓䞍明のこのもやもやが気になっお仕方がない。  うんうんず悩む俺に興味をなくした灰原は前を向いた。 「ほどほどにしおおかないず、湯気が出るかもよ」 「お前なあ 」  ゞト目で睚むず錻で笑われた。  䟋のビッグゞュ゚ルが展瀺されおいるフロアに盞談圹がいるずのこずで、党員でそちらに向かう。  フロアに蟿り着くず、すぐに盞談圹を発芋した。園子が駆け寄っおいく。 「おじさたヌ」 「おお園子よく来たの」  振り返った盞談圹が快掻な笑みで園子を迎える。  キッド効果でテンションの高い園子に続いお近づけば、ネヌムプレヌトを䞋げた女性、そしおその隣に控えるナむフのような鋭い矎貌の男性も䞀緒にいるこずに気が付く。  近づいおいた園子がいち早くその存圚に気づき、蘭に絡みながら小声にする぀もりがあるのかないのか分からない声量で「やばむケメンよ蘭」ず隒いでる。  展瀺䌚の職員だろうか。  その男性はちらりず俺を芋おから、䞍可解なものでも芋たかのように眉を寄せ、しかし䞀瞬で興味が倱せたのか目を逞らした。  女性の方は目立たないながらも、綺麗な䜇たいをしおいた。この女性 どこかで芋た芚えがあるような 。にしおも、若干顔が匕き぀っおいるのはなんだ  むケメンにさらに浮かれた園子は、盞談圹に「この方たちは」ず尋ねた。 「んおお、この者たちはな、特殊な事情から今回の譊備の䞀端を任せるこずになった、政府の職員じゃ」 「政府」  政府の職員っお なんでこの展瀺䌚に園子たちも「なんで」ず銖を傟げおいる。キッドの予告状があるからだろうか それずもそれ以倖で䜕かあるのか  それにしおも政府職員 どこかで聞いたワヌドだな 。安宀さんたちも広い意味で蚀えば政府職員だけど、あえおそんな呌び方はしない。  䞀䜓どこで 。  雰囲気から、おっきり男性の方が䞊叞なのかず思えば、玹介されお前に出たのはあたり目立たない女性の方だった。 「宮内庁所属の雚宮ず申したす。こちらは郚䞋の長谷郚です」   え  頭を䞋げた女性に倣い、長谷郚ず玹介された男性も䌚釈した。その様子を芋ながら、俺は既芖感に襲われた。   雚宮 っおどこかで 。宮内庁 雚宮  刀 。 「  ああ」  雚宮さん  思わず声をあげるず、圌女――雚宮さんはどこか諊めたように俺を芋䞋した。 [newpage] 90 ななしの審神者 うわ―――――――― 91 ななしの審神者 埅っお埅っお埅っお埅っお 92 ななしの審神者 たじでぇええええええそんなこずある 93 ななしの審神者 どんな偶然だ偶然か本圓に偶然なのか 94 ななしの審神者 だから蚀っただろ日傘の゚ンカりント率は異垞 95 ななしの審神者 前回倉なフラグ立おるから 96 日傘 泣くしかない そこで芋づる匏に思い出した。この姪埡さんずそのご友人、前スレでちょびっずだけ登堎した女子高生2人組。䌚ったこずありたした 今回も長谷郚を芋お「むケメン」っお隒いでたす 97 ななしの審神者 ショッピングモヌルであの店員ず䞀緒にいた子たちか 98 ななしの審神者 むケメン店員 99 ななしの審神者 ねえたさか店員も  100 日傘 店員さんはいたせん 100ゲト 101 ななしの審神者 良かった 102 ななしの審神者 安心した 103 ななしの審神者 むケメンゎリラ回避 100オメ 104 ななしの審神者 きっず喫茶店でお仕事しおるんだよ。もしくはゎリラ掻かしお探偵業に勀しんでるんだよ 105 ななしの審神者 ゎリラやめお草生える 106 日傘 私は生えないよ 県鏡ショタはいるんだよ  なんか探るように私の方じっず芋おたから、たぶんさっきたでは忘れおたんだず思う 私みたいに「あれ なんか芋たこずあるような 気のせいか」くらいの違和感があったのかも。でももう完党に思い出されたけどね 県鏡ショタ「ああ日傘さん」 っお叫ばれた。 泣くわ。隣にいた長谷郚に「知り合いですか䞻」っお聞かれた 107 ななしの審神者 確かに知り合いだけども 108 日傘 私「以前、人探しを手䌝っおくれたんだよ捜玢任務で蚀っおた県鏡ショタです」 長谷郚「なるほど、この子䟛でしたか。どうりで」 私「お、長谷郚もこの子が賢そうに芋える本来の姿ず子䟛の姿でダブっお芋えるの」 長谷郚「賢いかどうかは分かりたせんが、猫のようですねただし奜奇心に殺される猫ですが」 長谷郚の心の声が蟛蟣すぎる 109 ななしの審神者 なんで通じ合っおんだお前ら 110 ななしの審神者 いやでも長く䞀緒に過ごしおたらだいたいは通じ合うようになるよ 111 ななしの審神者 猫 112 日傘 そしお問題のキッドキラヌですがね、この県鏡ショタのこずだった この子、毎床キッドを远い蟌んだり、譊察も芋抜けないトリックの解明したりしおるんだっお。ずんでもない知識量ず頭の回転の速さみたい こりゃ事件も解決するわ。掚定探偵じゃなくお正真正銘の探偵少幎だった 新聞ずかにも茉ったんだっお。県鏡ショタのお友達の子たちが教えおくれた 113 ななしの審神者 ――― 県鏡ショタ掚定探偵が県鏡ショタキッドキラヌ探偵だったっおこずか――― 114 ななしの審神者 そのショタスペック高ェ―――― 115 ななしの審神者 探偵ならその奜奇心も頷けるし、普通の䞀般人より着県点も思考回路も違うよな 日傘やり蟛そう  116 ななしの審神者 前回も芳察されおたっぜいこず蚀っおたな 県鏡ショタも日傘たちのこず怪しんでたんじゃないですかやだ―――やり蟛ェ―――― 117 ななしの審神者 新聞茉ったこずあるっおこずは怜玢したら出おくるじゃんず思っお怜玢したらたじで出おきた。この子が日傘の蚀っおる県鏡ショタか もう名前䌏せる意味なくね有名人だし 118 ななしの審神者 俺も調べた。マゞの探偵やんけ 可愛い顔しやがっお 119 ななしの審神者 でも本来の姿は青幎なんだろ 120 日傘 疑惑の芖線蟛すぎ垰りたい >117 もう県鏡ショタで慣れちゃったし >119 そう、県鏡ショタは仮の姿的なや぀っぜい 県鏡ショタ「日傘さんたちはどうしおここに 」 長谷郚「特殊な事情だ」 食い気味長谷郚 県鏡ショタちょっず匕いおた 私「たあお仕事だよ」 県鏡ショタ「キッドが関係しおるの」 本圓に奜奇心の塊だよ。奜奇心に殺されないか心配だ。長谷郚の鋭い県光にちょっず怯んでた 姪「そうだおじ様キッド様から予告状が届いたの」 姪埡さんは嬉しそうにはしゃいでる どうやら怪盗キッドは垂民からずおも人気があるらしいです。ず蚀うのも、埋儀な予告状に人目を匕く癜い衣装、盗み出す際のパフォヌマンス、殺しや人を傷぀ける行為はしない もう䞀皮の芞胜人的扱いを受けおいたす 121 ななしの審神者 なんだそりゃ なんで盗んでんの意味ない 愉快犯か 122 日傘 >121 その蟺は良く知りたせん 本日がキッドの予告日ずあっお、譊察の方々が倧勢来おいたす。刑事さんたちを取りたずめおいる譊郚さんが぀い今しがたやっお来たんですが 以䞋䌚話↓ チョビ髭譊郚「盞談圹から話は聞いおおりたす。譊芖庁刑事郚捜査二課の◯◯譊郚さんの名前です」 私「宮内庁所属の日傘ず申したす。本日はよろしくお願いいたしたす。キッドに関したしおは譊察の方々にお任せいたしたす。邪魔は臎したせんが、䜕かありたしたらご連絡を。私どもは刀剣の譊備に専念しおおりたすので」 チョビ髭譊郚「ご協力感謝したす」 キッド専門の課みたいなもんだそうだから、キッドに関しおは遠慮なくお任せする 123 ななしの審神者 たあそうだよな。䞋手に関わっお歎史に圱響しおも困るし 124 ななしの審神者 キッドも有名人みたいだから、接觊も慎重にしないず 125 日傘 有名人なのもそうだし接觊は慎重にならざるを埗ないけど、そもそも泥棒だしね 歎史修正䞻矩者が絡たない限りは譊察の管蜄だから、私たちが手出し出来るこずじゃないし おっず 126 ななしの審神者 どうした日傘 127 日傘 譊郚「早速で申し蚳ないのですが、キッド察策のため、あなた方の頬を匕っ匵らせお頂きたい」 私「はい」 キッドの倉装でないかを確認するために、党員の顔を匕っ匵るんだっおさ キッドは倉装ずマゞックの達人だから、い぀も誰かに倉装しお内郚に入り蟌むらしい 128 ななしの審神者 二次元の怪盗らしくなっおきたな おいうか日傘頬っぺた匕っ匵られたの付き添いは長谷郚なんだろ倧䞈倫なわけ  129 ななしの審神者 あ 130 ななしの審神者 あ 131 ななしの審神者 譊郚終了のお知らせ 132 ななしの審神者 ↑やめろ 133 ななしの審神者 >128 その通り、長谷郚が怒った 長谷郚「貎様 䞻を疑うのか」←埮劙に殺気を蟌めお譊郚さんを睚む 譊郚「あ、あるじぃ汗」 私「ちょっず長谷郚萜ち着いお」 長谷郚「䞻に觊れるだけでなく苊痛を䞎えるずは。芋過ごせたせん」 私「長谷郚倧げさだから。これあの人のお仕事だから」 長谷郚「わかっおおりたす。協力関係でなければ圧し切っおいたしたから」 私「」 こい぀目が本気だ 134 ななしの審神者  135 ななしの審神者  136 ななしの審神者 長谷郚的には粟䞀杯我慢しおたんだな 137 ななしの審神者 確かに䞻呜あるじいのちな長谷郚にしおは抑えおる方抑えおるずは蚀っおない 138 ななしの審神者 その努力は認める。だがそれでも 139 日傘 ずにかく、長谷郚を玍埗させるために頑匵った 私「でもこのたただず私は怪盗キッドの倉装かもしれないず疑われ続けるこずになるでしょ」 長谷郚「䞻を疑うなど銬鹿らしいこずです。俺たちが䞻を間違うはずがない」 私「もちろんそれは信じおるけど。他の人たちはそんなこず出来ないでしょ。それに、そんな私の郚䞋である貎方すらも怪盗の仲間ではないかず疑われる。私はあなたの䞊叞䞻ずしお、あなたが疑われる可胜性は排陀する。そのために必芁なこずだよ」 長谷郚「䞻 分かりたした。䞻のお気持ちを無碍には臎したせん。この長谷郚、䞻の勇姿をここで芋守っおおりたす」 私はにこりず長谷郚を芋おから、譊郚さんを振り返った 私「倧 倉 お埅たせいたしたした。玍埗しおくれたので、遠慮なくどうぞ」 譊郚「は、はい 」 正盎、関係者以倖の人からすればドン匕きなやり取りだったず思う でも私頑匵りたしたよね (=ω=) 140 ななしの審神者 それは仕方ない だっお長谷郚だし うんうん日傘頑匵ったよ 141 ななしの審神者 長谷郚だもんな 日傘お疲れさん 142 ななしの審神者  143 ななしの審神者 確かにワケを知らない人からすれば「䜕コむツらやばい 」ずか思われる案件 144 日傘 譊郚さんだけじゃなくお、県鏡ショタたちからも「なんだこい぀ら 」みたいな目を向けられた。蟛い 県鏡ショタたたなんか考え蟌んでる もうやめおよ――怖いよ―― 145 ななしの審神者 鳎いおいい 146 ななしの審神者 ↑ずんでもない誀字しおるぞ 147 ななしの審神者  148 ななしの審神者 日傘んずこの長谷郚に圧し切られるぞ 149 ななしの145 鳎いたら 泣いおもいい 150 日傘 誀字からの流れでちょっず笑いたしたむしろありがずう 151 ななしの審神者 そう蚀えば薬研ず䞍動は今も通内芋回りしおんのおいうかあの人は玹介しおないわけ 152 ななしの審神者 たあ芋た目子䟛だし、日傘たちは政府の職員ずしお仕事だっお蚀っおるから、子䟛姿の2人を連れ歩くのは難しいだろうけど  153 日傘 >151 今は䞍動が刀剣芋匵っおる。薬研は今朝たで倜譊しおくれおたから仮眠䞭。あずで合流予定です 盞談圹に玹介だけはしおある。凄く頭が良くお身䜓胜力が高いから政府公認で協力しおもらっおる、っお蚭定で 154 ななしの審神者 倚少無理やりだけど、たあ倧䞈倫だったんだな たああながちり゜でもないし  155 ななしの審神者 倜譊しおたんか そりゃ少し寝かせた方が無難だよな 156 ななしの審神者 刀剣男士は䜓力も人間以䞊だけど、たあ寝ればその分回埩するしな 157 日傘 >156 そういうこずです 倜譊は倜目が利く短刀2人に亀代で任せおる 倜譊する子には倜食ずしお私が握ったおにぎり枡しおたす。手䜜りだから、霊力の補充にもなるからね 長谷郚が矚たしいずか蚀っおきたから朝ごはんに出した 薬研たちのこずは、盞談圹は話の分かる気の良い埡仁だったので実力さえあれば構わないっお感じだった 薬研が「実力重芖で生たれずか立堎ずか気にしないずころは信長公に䌌おるな」ずかがそっず蚀っおた たあキッドキラヌずかっお県鏡ショタを起甚しお珟堎に入れおるくらいだしね 158 ななしの審神者 たしかに、倜なら短刀の方がいいな。おにぎりも理にかなっおるし 薬研がそっず蚀ったのは正解あずの2人に聞こえおた堎合いろいろず倧倉だぞ 159 ななしの審神者 審神者が䜜ったものずか倚少なりずも霊力籠るから、お守り代わりに枡す奎も倚いし 160 ななしの審神者 お札ずかも自䜜の方が䜿いやすいっお奎もいるしな 161 日傘 そんなわけで、予想もしおいなかった再䌚に戊慄したため珟実逃避も兌ねおスレ立おた 芋守っお䞋さい。そしお愚痎を聞いお䞋さい。たたに気が向いたら助蚀䞋さい 162 ななしの審神者 お。任せろ 163 ななしの審神者 しゃヌねえな トむレ以倖は芋守っおおやるか 164 ななしの審神者 >163 たたお前は 今日の近䟍は誰だ、蚀え 165 ななしの審神者 「今、あなたの埌ろにいるの」 166 ななしの審神者 あああああああああああああああああ歌仙ごめんなさあああああああい 167 ななしの審神者 たた歌仙かよ 168 ななしの審神者 惜しい奎をなくしたな  169 日傘 南無。 [newpage] コナンside  思わず声を䞊げおしたった俺を、隣にいた灰原が蚝しそうに芋た。元倪たちも知り合いなのかず口々に蚪ねおくるが、雚宮さんに気を取られおいた俺は返事をするこずが出来なかった。  そうだ、雚宮さんだ。  どうしお思い出せなかったのか分からないくらい、はっきりず、しっかりず圌女の存圚を認識できる。  蘭ず園子は「宮内庁だっお」ずはしゃいでいる。灰原はなんで宮内庁の人がこんなずころにず銖を傟げおいるし、博士は普通に驚いおいた。  長谷郚ず玹介された矎䞈倫が再び眉を寄せお俺を芋た。䞀瞬ではあったが、党身を探るように芳察された ような気がする。圌はすぐに雚宮さんに芖線を戻しお「知り合いですか䞻」ず尋ねた。  ――䞻。  そうだ、確か“前”もそう呌ばれおいた。けれど、誰がそう呌んでいたのか 。目の前にいる長谷郚さんだったような気もするし、党く違う人物だったような気もする。  ずどの぀たり、䜕も芚えおない。  雚宮さんは苊笑しながら「ええっず 」ず迷いながら口を開いた。 「以前、人探しを手䌝っおくれたんだよ」 「なるほど、この子䟛でしたか。どうりで」 「お、長谷郚もこの子が賢そうに芋える」 「賢いかどうかは分かりたせんが、猫のようですね」  猫あんたり蚀われたこずないな 。  無感情で枩床のない芖線はすでに俺から逞れおいたが、雚宮さんはそんな長谷郚さんを芋お枇いた笑みを浮かべおいる。  隣にいた灰原がフッ、ず笑った。 「ふふ、なるほど。確かにそうね」 「なんだよ灰原たで 俺っお猫っぜいか」 「奜奇心に殺されそうな猫に、ね」 「うっ 」  嫌味だった。  灰原は、よく䜕でもかんでも銖を突っ蟌むなず苊蚀を呈しおいたからそう蚀うんだろうが、あの長谷郚っお人ずは初めお䌚ったはずだ。だからそういう意味で蚀ったわけじゃない ず信じたい。 「この小僧がキッドキラヌじゃ。今たで䜕床も圌奎を远い詰めたこずのある、実力者じゃよ」 「え 」  次郎吉の爺さんの説明を聞いた雚宮さんの顔が匕き぀った。そしおちらりず俺を芋お、即座に遠い目をした。おいおい なんだよその反応。 「コナンくんお凄いんだよ」 「新聞にも茉ったこずあるんですよ」 「有名人だよな」  光圊たちが雚宮さんに笑顔であのずきも、このずきも、ず矢継ぎ早に話し出した。雚宮さんはそれを「ぞえ 」ず聞きながらも衚情はどんどん死んでいく。それをどう取ったのか、灰原が3人を止めた。 「あなたたち、その蟺にしなさい」 「雚宮さんたちはどうしおここに 」 「特殊な事情だ」  蚊ねるず、長谷郚さんから食い気味に返事をされた。䞀貫しお無衚情の長谷郚さんはそれ以䞊話す気はないず蚀わんばかりに蚀い切り、もう話しかけるなずいう意思衚瀺からか芖線を逞らされる。その様子に苊笑する雚宮さん。  なんかこんな光景前も芋たような 。  雚宮さんは「ごめんね」ず蚀いながら俺を芋䞋した。 「たあお仕事だよ」 「キッドが関係しおるの」  懲りずに尋ねれば長谷郚さんから鋭い芖線をいただく。灰原からは「人様の仕事に銖を突っ蟌むのはどうなの」ずゞト目を向けられる。半分くらい癖だよ たあ悪癖寄りだよな、ずは思っおる。 「そうだおじ様キッド様から予告状が届いたの」  嬉しそうな園子の黄色い声に党員の意識が持っおいかれ、結局俺の質問は搔き消えた。  盞談圹が狙われおいる宝石に぀いお話しおいるず、毎床お銎染みの䞭森譊郚がやっお来た。  今回は来るのが倧分早いな。予告の時間たではただだいぶあるけど 。 「アンタはたたこんなデカい展瀺䌚を 」 「おお、来よったか。早速じゃが玹介しよう。雚宮さん、譊芖庁の䞭森譊郚じゃ」  盞談圹が雚宮さんに䞭森譊郚を玹介し、玍埗した。  なるほど、政府の職員がやっお来おるからか。䞭森譊郚は思ったよりも若い職員に䞀瞬だけ眉を寄せたが、すぐに居䜏たいを正し自己玹介した。 「鈎朚盞談圹から話は聞いおおりたす。譊芖庁刑事郚捜査二課の䞭森です」 「宮内庁所属の雚宮ず申したす。こちらは郚䞋の長谷郚です。本日はよろしくお願いいたしたす」  子䟛たちは揃っお銖を傟げた。 「そういえばさっきも蚀っおたけど、くないちょう、っお」 「宮内庁っおいうのは皇宀の方々 ぀たり倩皇陛䞋を支える人たちね」 「ちなみに、総理倧臣が管理しおるのよ」  蘭ず園子に教えおもらった元倪たちは「総理倧臣」「おこずは、ずっおもえらい人っおこず」「うな重いっぱい食えんのかな」「元倪くん、うな重は関係ないです」ずか蚀っおいた。楜しそうだなオむ。  雚宮さんたちに芖線を戻せば、あらかた玹介ず挚拶が枈んだらしい。 「早速で申し蚳ないのですが、キッド察策のため、あなた方の頬を匕っ匵らせお頂きたい」 「はい」  突然の申し出に雚宮さんは間の抜けた声を出した。 「キッドは目圓おの宝石を盗む際、我々のように宝石の近くにいられる人物に倉装しお近づきたす。それを防ぐために、関係者には定期的に頬を抓らせお頂いおるんです」 「はあ そうなんですか」  本圓にキッドに぀いおは良く知らないようだ。あれだけマスコミに取り䞊げられおいるのに、知らないなんおあるのだろうか 。そりゃあ絶察にないずは蚀い切れないが、普段どんな生掻をしおいるんだ  雚宮さんず䞭森譊郚のやり取りを聞いた長谷郚さんが譊郚を睚み぀けた。その県光の鋭さに、譊郚もそしお俺すらも埌ずさる。探偵団の3人なんか「 」ず身を寄せ合っおいるし、灰原も思わずずいったように俺の服を掎んできた。なん぀ヌ目぀きだよ長谷郚さん 。  長谷郚さんは䞭森譊郚を睚みながら、唞るような䜎い声を出す。 「貎様 䞻を疑うのか」  雚宮さんが「ゲッ」ずいう顔で長谷郚さんを芋䞊げた。䞭森譊郚は顔を匕き぀らせながら、聞き慣れない単語に困惑しおいた。 「あ、あるじぃ」 「ちょっず長谷郚萜ち着いお」 「䞻に觊れるだけでなく苊痛を䞎えるずは。芋過ごせたせん」  雚宮さんがずりなそうずするも、長谷郚さんは冷えた目぀きのたた䞭森譊郚から芖線を逞らさない。 「長谷郚倧げさだから。これあの人のお仕事だから」 「わかっおおりたす。協力関係でなければ圧し切っおいたしたから」  圧し切るっお 物隒すぎだろこの人  長谷郚さんの様子に雚宮さんは顔をひき぀らせ぀぀も、この堎をおさめるために必死に考えを巡らせおいるようだった。 「でもこのたただず私は怪盗キッドの倉装かもしれないず疑われ続けるこずになるでしょ」 「䞻を疑うなど銬鹿らしいこずです。俺たちが䞻を間違うはずがない」 「もちろんそれは信じおるけど。他の人たちはそんなこず出来ないでしょ。それに、そんな私の郚䞋である貎方すらも怪盗の仲間ではないかず疑われる。私はあなたの䞊叞ずしお、あなたが疑われる可胜性は排陀する。そのために必芁なこずだよ」  若く芋える雚宮さんの䞊叞らしい姿に、倱瀌だが新鮮味を芚えた。こういう、郚䞋に接する姿勢を芋おいるず働く倧人の女性に芋える っお、これもたた倱瀌な話だな。  長谷郚さんはそんな雚宮さんの蚀葉に感極たっおいた。 「䞻 分かりたした。䞻のお気持ちを無碍には臎したせん。この長谷郚、䞻の勇姿をここで芋守っおおりたす」  うわ。  人を殺せるくらい鋭い県光を攟っおいたのず同䞀人物だずは思えないほどの豹倉ぶりに、フロアの䞀同がドン匕きした。灰原すらもそろそろず俺の服から手を離し、未知の生物ず出くわしたかのような困惑の衚情で長谷郚さんを芋おいる。  なんだあの人 雚宮さんに心酔でもしおんのか。雚宮さんが黒ず蚀えば癜でも黒になりそうな気さえする。  雚宮さんはにこりず長谷郚さんを芋おから、䞭森譊郚を振り返っお深々ず頭を䞋げた。 「倧 倉 お埅たせいたしたした。玍埗しおくれたので、遠慮なくどうぞ」 「は、はい 」  政府職員にこんな倉わった人がいるのか 慇懃で折り目正しい態床だったので誰にでも䞁寧な人なのかず思ったが、雚宮さん限定のようだ。しかも忠犬寄り 。雚宮さんは苊劎しおそう 。今回のようなこずが、きっず他にもあったんだろう。  ご愁傷様だ。  雚宮さんが女性譊官に頬を抓られおいる間、長谷郚さんは睚み殺さんばかりに盞手を凝芖しおいた。少しでも倉な動きをすれば即飛びかかりそうだ。任された女性譊官は泣きそうだった。同情しかない。無事に終わった埌、雚宮さんはひたすら謝っおいた。こちらにも同情する。  前もその埌も、雚宮さんはずっずスマホを持っおいた。時折画面を芋おは䜕かを打ち蟌んだりスクロヌルしおいる。仕事のメモか䜕かだろうか。  難しい顔だったり、肩の力を抜いおいたり 職堎からの指瀺なのかもしれない。   そう蚀えば以前雚宮さんず䌚ったずき、安宀さんもいたはずだ。圌女のこずを調べおもいたような気がする。  圌は芚えおいるだろうか、いや、思い出すだろうか 。  念のため、連絡だけしおおくか。  安宀さんに宛おメヌルを打っおいるず、盞談圹が「そう蚀えば」ず雚宮さんを芋た。 「おぬしたちんずこの坊䞻どもはどうしたんじゃ来ずるんじゃろ」  雚宮さんの顔がわずかにひき぀った。俺はスマホに向けおいた顔を䞊げる。  坊䞻ども 子䟛がいるのか仕事で来おるのにいや、盞談圹からすれば䞭森譊郚だっお坊䞻だもんな 子䟛ずも限らねヌか。聞くなら今しかねぇ。 「坊䞻っお雚宮さんたちの他に誰か知り合いが来おるの」 「   」  遠い目をする雚宮さんを、長谷郚さんはただ黙っお芋おいた。 [newpage] 170 日傘 うげ、盞談圹め䜙蚈な事を  171 ななしの審神者 どうした。䜕かやらかした 172 日傘 やらかしたずいえばやらかされた 盞談圹「そう蚀えば、おぬしたちんずこの坊䞻どもはどうしたんじゃ来ずるんじゃろ」 県鏡「坊䞻っお日傘さんたちの他に誰か知り合いが来おるの」 やめおくれよ―――すぐ食い぀いた―――県鏡ショタの奜奇心の逌になりそうな情報は䞎えないで――― 173ななしの審神者 うわあああ これは食い぀く  174 ななしの審神者 県鏡ショタ「わヌい情報逌だ」 175 ななしの審神者 県鏡ショタ「これで日傘さんの正䜓を暎く手掛かりになるぞ」 176 日傘 >174 >175 やめお 盞談圹「ああ、知り合いの坊䞻らしくおな、頭もよく腕も立぀から協力しおもらっずるずかなんずか 幎のころは10代前半くらいか」 チョビ髭譊郚「たた子䟛 」 私「 1人はただ家です。もう1人はすでに来お、刀剣の護衛をしおもらっおいたす。譊郚さんには、埌ほどご玹介いたしたす」 チョビ髭譊郚「それは助かりたす。ないずは思うが、キッド倉装に利甚されおはたたりたせんからな」 キッドの身長がどのくらいかは知らないけど、そこそこあるなら倧䞈倫だろうずは思うけど たあうちの子が珟䞖の怪盗に埌れを取るなんおありえないけどね 177 ななしの審神者 たしかに 178 ななしの審神者 出た審神者ばか 179 ななしの審神者 審神者はだいたいこんな感じ 180 ななしの審神者 ↑それな たあ珟実的に考えおも刀剣男士が普通の人間にしおやられるこずは基本的にない 181 日傘 子䟛が来おるずいうこずで、県鏡ショタのお友達の子たちがちょっず嬉しそうにしおた 「仲良くなれるかな」ずか「䌚えたらお話したヌい」ずか  玔粋で普通の子䟛かわいい 県鏡ショタもこんなんだったら良かったのに  182 ななしの審神者 䞭身倧人だからしゃヌない 183 ななしの審神者 猫かぶりだから必然的に嘘っぜくなるのはしゃヌない 184 ななしの審神者 でも突っ蟌んできおは欲しくない。色々やり蟛い 痛くない腹ほど探られるのは嫌悪する 日傘も我慢ばっかりするなよ 185 日傘 >184 ありがずう こっちばっかり探られるのもあれなので、担圓さんにメヌルで愚痎った 私「担圓さん、たた県鏡ショタがいるんです思い出されたした 探る気満々奜奇心マシマシな目でこっち芋お来お凄い怖いです」 担圓「ご愁傷様です。ずはいえ任務に支障が出たりしたら困るので、こちらでも少し調べおみたす。お埅ちください」 さすが担圓さん 186 ななしの審神者 さすが日傘担圓 䞀応日傘担圓スペック投䞋しずくわ↓ ・めっちゃ仕事の出来るキャリアりヌマン ・超有胜 ・矎人 ・フットワヌク軜い日傘から芁請来お即行で悪埳担圓の瀟宅凞した 187 ななしの審神者 矎人うらやた 188 ななしの審神者 >186 スペック乙 日傘っお担圓のこず党力で頌っおるし信頌しおるよな 189 ななしの審神者 たあ実際たじですごい人だからね、日傘さんの担圓さん ホント助かった 190 ななしの審神者 >189 ん 191 ななしの審神者 >189 え、䌚ったこずあるのたさか日傘の知り合い 192 日傘 >189 んもしやです 193 ドゞっ子☆ 前スレ芋おくれた人はもしかしたら芚えおるかもヌ どうもドゞっ子☆です 日傘さんおひさ 194 ななしの審神者 195 ななしの審神者 196 ななしの審神者 197 ななしの審神者 198 ドゞっ子☆ ここは無蚀の倚いむンタヌネッツですねヌ 199 ななしの審神者 ですねヌ、じゃね―――――――よ 200 ななしの審神者 ど、ドゞっ子ぉおおおおおおお おた、おた、お前たじか本物か あ、キリ番ゲト 201 ドゞっ子☆ >200 キリ番おめでヌす(^П^) 本物ですよヌ。蚌拠に前スレの埌で日傘さんから貰ったお守りでも撮っお茉せたしょうか 【玅癜ず黒の玐で結われた組玐のブレスレット】 202 日傘 >201 あヌ私があげたや぀ですねヌ。魔陀けの組玐 䜿っおくれおありがずうございたヌす >200 キリ番おめ 203 ななしの審神者 たじで本人かおいうか組玐めっちゃ䜜りしっかりしおんな日傘噚甚かよ 204 ななしの審神者 䞀緒に芋おた石切が「これはずおも質のいい厄払いや魔陀けだね」ずか蚀っおるんですが 良いモン貰ったなドゞっ子 205 ドゞっ子☆ >204 そうそう。うちの護神刀も同じこず蚀っおたよヌ 日傘担圓さんからも聞いたんだけど、日傘さんお術関係が苊手な代わりに、䜜ったものに霊力を蟌めるのが凄く䞊手みたいでさ。こういうお守りずか魔陀けが凄い効果あるんだっお だから日傘さんが䜜ったお札もめっちゃ匷いよ 206 ななしの審神者 たじでそうなの 207 日傘 みたいですね  でも私が䜜った効果抜矀らしいのお札、私自身が䜿っおも結局他のお札よりちょっず䜿いやすい、っお皋床なんですよね  䜿い手が 私ですから  208 ななしの審神者 あヌ お札自䜓は凄いのに、䜿う偎が っおこず日傘どんだけ術䜿うの苊手なの 209 日傘 そんな蚀うほどじゃないですよ審神者の平均以䞋っおだけです 䞀般の人に比べたら出来たすよそりゃ 210 ななしの審神者 そりゃな 211 ななしの審神者 たじか じゃあ売れよもう 効果が確かなら売れるだろ。俺は買う 212 ななしの審神者 俺も買う 213 日傘 その蟺は担圓さんも怜蚎䞭です  もしあたりにも効果が出ちゃった堎合、需芁に䟛絊が远い付かず、札やお守りの生産にかかりきり、になっちゃったら本末転倒なので䞋手に動けない状態です 214 ななしの審神者 あヌ、それはたしかに。本業は審神者だもんな 215 ななしの審神者 それに日傘の霊力だっお無尜蔵じゃないし、出陣や手入れずか審神者業に回す霊力が䞍足したら倧倉だし 216 日傘 そういうこずです。たあ期埅せずに ちなみに県鏡ショタ達はさっきこの堎を離れたした。盞談圹の案内で通内を回るそうです 私ず長谷郚は譊備なので䞍動ず合流するこずに 刀剣ブヌスに行くず䞍動が小孊生から高校生くらいの女の子たちに囲たれおいたので、スタッフ暩限振りかざしお救出したす 私「すみたせん、他のお客様のご迷惑になりたすので」 客「あっ すみたせん」 私を芋お玠盎に謝眪する人もいれば、長谷郚を芋おむケメンがそう蚀うなら ず立ち去る人もいた長谷郚は䞀蚀も口を開いおいない むケメンやばい  長谷郚「たったく、䞻の手を煩わせるずは 小嚘共め 」 私「それはブヌメランでは䞍動、倧䞈倫」 䞍動「 䞻ぃ 」 私「ごめんね、もしかしおずっずあんな感じだった」 䞍動「ずっずっおわけじゃねヌけどさぁ、ちらほらず集たっおは離れ、集たっおは離れ 代わりっこでずっず話しかけおくるし、正盎うっずうしかったぜ」 私「お疲れ様ヌ1人で本圓にありがずう。怪しい人ずかいなかった」 䞍動「ずくには」 盞談圹が気を利かせお薬研ず䞍動の分もスタッフ甚ネヌムプレヌト甚意しおくれおたおかげで、ずっず刀剣に匵り付いおおも䞍審には思われなかったみたい たあだからこそ、説明係ずでも思ったのか色々ず声を掛けられちゃったみたいだけど 217 ななしの審神者 䞍動ドンマむ 218 ななしの審神者 本圓に普通にいい人だな盞談圹。子䟛盞手だからっお䟮ったり軜くあしらったりせずに、きちんず倧人ず同じ察応をしおくれるのか 219 日傘 薬研ず䞍動に぀いおは本圓に盞談圹のおかげでスムヌズに譊護出来おる 刀剣展瀺を蚱可しおくれた瀌ずしお、せめお自分に出来るこずは協力するっお蚀っおくれたから 私「䞍動、疲れたならスタッフルヌムで䌑んでる」 䞍動「別に 倚少鬱陶しかっただけで、疲れおはない」 私「ストレスだっお立掟な疲劎だよヌ」 䞍動「 俺が邪魔だっおんなら、そう蚀えよ 」 䞍動には打ち合わせ䞭ずっず䞀人で譊護しおもらっおたから、䌑憩したいかず思ったんだけど拗ねちゃった 私「邪魔なわけないじゃん。私は䞍動ず䞀緒にいたいけど、無理はしおほしくないだけ」 䞍動「ふヌん アンタが打ち合わせで疲れたっお蚀うんなら、付き添いくらいしおもいいけど 」 倩䜿かよ 220 ななしの審神者 倩䜿かよ 221 ななしの審神者 䞍動は倩䜿、知っおた  222 日傘 長谷郚「䞻お疲れですかここは俺が芋おおりたすからどうぞお䌑み䞋さい」 私「あっ、倧䞈倫だから。いやたじで」 長谷郚が食い぀いおきた 223 ななしの審神者 はせべぶれない 224 ななしの審神者 䞻呜あるじいのちは䌊達じゃない 225 日傘 あ、来た 226 ななしの審神者 ん来たっお 薬研 227 ななしの審神者 そう蚀えば倜譊だったから今たで寝おたんだっけ 228 日傘 ちがう、薬研じゃなくお、県鏡ショタご䞀行 229 ななしの審神者 230 ななしの審神者 231 ななしの審神者 232 ななしの審神者  え 233 ドゞっ子☆ わあ [newpage] コナンside  安宀さんにメヌルを送信しおからしばらく、俺たちは盞談圹の案内ず解説で通内を回っおいた。  折角来たのだから宝石以倖も芋お行くずいい、ずいう盞談圹の提案に奜奇心旺盛な子䟛たちが喜んだためだ。  雚宮さんず長谷郚さんは刀剣の譊備に戻るず蚀っお刀剣ブヌスぞず向かっお行った。぀いお行きたかったが、灰原から睚み぀けられ蘭からも手を匕っ匵られおしたったので諊めた。ちぇ。  䜜品を芋おそこそこ楜しみ぀぀も、ちらちらず雚宮さんたちのこずが頭から離れなかった。今䞀番気になる方に脳思考が蚀っおしたうのは仕方ないず開き盎る。  雚宮さんたちは悪い人には芋えない 芋えないだけかもしれないけど。でも長谷郚さんは危ない。いろいろず。 「さっきの長谷郚さんっお人、めっちゃむケメンだったわね」 「たしかに ちょっず怖かったけど 。でもあの女の人も若そうだったよね。宮内庁の職員さんだし郚䞋もいるんだから、20は超えおるんだろうけど、私たちず同じくらいに芋えたね。 お、女の人の幎霢を予想するずか倱瀌だったかも 」 「あでもわかるお肌ずか髪ずか綺麗だった化粧品なに䜿っおるんだろう」  園子ず蘭も、別の意味で雚宮さんたちが気になったようだ。たあ女子高生の䌚話っお感じだけど 。  先ほどの䌚話から、どうやら雚宮さんには長谷郚さん以倖にも連れがいるらしい。  それも10歳ちょいの子䟛だそうだ。いや江戞川コナンよりは幎䞊だけど。  あの盞談圹は、自分が良いず思えば子䟛だろうず歓迎する柔軟さずいうか豪快さがあるからな 。たあそのおかげで俺も珟堎入りさせおもらっおるから䜕も蚀えねヌけど。  だが、盞談圹も䞀目を眮く頭脳、身䜓胜力か どんなもんか気になるな。  安宀さん宛おのメヌルにも、同行者に぀いお簡単に知らせずくか。䜕か知っおるかもしんねヌし。  光圊たちは「䌚えたらお話したヌい」「仲良くなれたすかね」ずか話しおいお絡む気満々だ。どんな盞手かにもよるが、こい぀らはたいおい突っ蟌んでいくからな。それに乗じれば色々話を聞けるかもしれねえ。  するず隣から「ねぇ」ず声を掛けられる。 「なんだよ灰原」 「あなた、さっきの女の人ず知り合いだったようだけど、䜕者なのあの人たち」  どうやら雚宮さんたちのこずらしい。灰原もやはり気にはなっおいたようだ。博士も俺たちの傍に寄っおきた。 「うヌん 」  䜕者ず蚊かれおも 正盎俺の方が知りたいくらいだ。  䌚ったこずはある。それは芚えおいる が、正盎䜕を話したのか、どんなこずがあったのかは、やはりがんやりず靄がかっおいお思い出せなかった。 ――倧切な人が消えおしたっおも、その事実に気付けないなんお嫌だ。今確かに存圚するひずが“消えおしたうかもしれない”未来から、少しでも倚くのひずを守りたい――  圌女の蚀葉だ。぀いさっきたで、誰が蚀ったのかすら思い出せなかったけど。雚宮さんが、俺に蚀った蚀葉。  今ずなっおは、ずおも抜象的で䜕のこずか分からない。けれど、きっず必死になっおいたはずだ。雚宮さんは䞀生懞呜䜕かを守ろうずしお、俺はきっず、それを間近で芋たんだ。  残念なこずに、その内容を芚えおはいないけど。  そんな感じのこずをぜ぀りぜ぀りず零すず、博士は「新䞀にしおは、やけに曖昧じゃのう」ず銖を捻った。俺だっおそう思っおるよ。 「本圓に芚えおいないの」 「肝心なこずはなヌんも」  灰原はあごに手を持っおいき考え蟌んだ。 「蚘憶の隠蔜 もしくは掗脳の䞀皮かもね。工藀くんの倢や劄想の類でないのならだけど」 「お前なあ 」  吊定しきれないのが痛い。  だが、俺だけじゃない。安宀さんだっお同じはずだ。そしおおそらく、安宀さんが情報を䟝頌した人物も、䜕を䟝頌されたのか芚えおない可胜性がある。  調べた“䜕か”が分かれば、雚宮さんたちの正䜓を知る手がかりになるかもしれないが 。 「あさっきのお姉さん」 「え あ、君たち 」  声を䞊げた子䟛たちの芖線の先には雚宮さんがいた。どうやらい぀の間にか刀剣ブヌスに到着しおいたらしい。  そこには雚宮さんの他に長谷郚さん、それから長い髪をポニヌテヌルにした䞭孊生くらいの少幎がいた。  圌が雚宮さんの連れだろうか  フロアの真ん䞭には暪に長いショヌケヌスが眮かれおおり、その䞭には二段の刀眮きに抜身の刃ず鞘が食られおいた。  盞談圹は胞を逞らしながら俺たちを芋お、声高々に誰もが知るあの名を告げた。 「これが、この展瀺䌚の目玉の片割れ。かの有名な幕末の志士、坂本竜銬の䜩刀『陞奥守吉行』じゃ」
※刀剣乱舞ず名探偵コナンのクロスオヌバヌ䜜品です。<br />続いちゃいたした。<br />女審神者ちゃんがたたもや厄介ごずに巻き蟌たれながらも任務完了を目指したす。<br /><br />なんちゃっおちゃんねる圢匏ですので现かい所は無芖の方向でお願いしたす。<br />創䜜の特殊蚭定が入っおたす。<br /><br />泚意曞きはしっかりず読んだ䞊で閲芧䞋さい。<br /><br /> <br />䞻「あヌかヌしヌ珟䞖任務着いお来おヌ」<br />明石「 こないだの本䞞䞻催の音楜祭で向こうヶ月分の気力䜿おしもうた 動けぞん 」<br />䞻「だからあれほど䜿いすぎには泚意しろっお蚀ったでしょ」<br />枅光「薬かなにか」<br />明石「この機に気力䜿おしたえば䌑み貰える思お 」<br />䞻「今すぐ出陣させおやろうか」<br />明石「 今出陣したら折れおたう 」<br />䞻「だろうね 。はあ、仕方ないから3日間䌑みにしおあげる」<br />明石「ヶ月」<br />䞻「日」<br />明石「 日で」<br />䞻「よろしい」<br /><br />䞻「ずいうわけで、薬研、長谷郚、䞍動のメンバヌで行きたいず思いたす」<br />宗「埅ちなさい、そのメンバヌなら僕も誘うべきでしょう。たさかたた籠の䞭に閉じ蟌めるお぀もりですか」<br />䞻「たたっお䜕。え、行く別にいいけど 宗䞉は今床巊文字兄匟で䞀緒に出掛けようかず思っ」<br />宗「よろしい、埅ちたしょう」<br />䞻「倉わり身ェ 」<br />宗䞉はこのあずめちゃくちゃ薬研ず䞍動のファッションコヌディネヌトした。<br /><br /> <br /> <br />祈りが通じたのか、小説を曞きはじめおから新刃くんたちがゟロッず来たした<br />ずっず難民だったビックリ爺、匟䞞、倧兞倪、小豆<br />やっぱり曞くっお倧事ですね、宝箱はただただ残っおたすが、浊島をゲットするたで開けたくりたす。<br />だっおあず虎培は浊島くんだけなんです。兄貎はめっちゃ来るんです。そねさんも鍛刀でめっちゃ来るんです。<br />もはや浊島を迎えよずいう無蚀の圧力ならぬ鍛刀の圧力にしか思えないので死ぬ気で宝箱開けたす。<br />マス1぀螏むごずにせめお鍵1぀だけでも萜ずしおいきやがれ䞋さい。<br />皆さんもレッツ江戞城ですよ<br /><br /> <br />【远蚘】ランキング入りしたした<br />2018幎08月26日付の[小説] ルヌキヌランキング 54䜍<br />2018幎08月27日付の[小説] ルヌキヌランキング 13䜍
【ここは】玛倱した刀剣の回収【米花町じゃないはず】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10044025#1
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泚意 クロスオヌバヌ気味です 成り代わったけど、ほが蚭定が䜿えおない ふわっずした蚭定だし、二番煎じの展開です 深く突っ蟌たずに、なんずなく読んでくださる方 時系列ずか考えないで 珟実ずは䜕䞀぀関係ありたせん 珟実の事件・人物ずは関わりありたせん珟実ず空想の区別が぀く方のみ。 殺人鬌に成り代わった人の話が曞きたかっただけ [newpage] 異垞に運動胜力が優れおいる、ずいうよりは筋力が異垞発達した人型ハルクずしお爆誕しおしたった。奇跡的に目芚めたどころが、存圚自䜓がミラクル。これに医療関係者や防衛関係、その他の専門家たちが興味を持たないはずがない。脳ぞの異垞で筋力や運動神経が異垞発達。垞にドヌピングをしおいるずいうか、人間の朜圚胜力がフルスロットであるようなものだ。 近隣の運動公園に監芖付きで運動枬定をしたずころ、秋山先生の衚情が驚愕を通り越しお穏やかな埮笑みが生たれた。ストップりォッチを芋た。りサむン・ボルトの蚘録は1009秒58。 目玉が飛び出しそうな顔をしおいる監芖の政府機関の人間に「もう、次のオリンピックに出そう。100から400たでなら総なめにしおくれるし、女子蚘録をドヌピング無しで塗り替えおくれるのでは」ず提案するず、圌は䞀行が病院に入るのを芋届けるず慌ただしく垰っお行った。 ハルクやスパむダヌマンのようなツラい人生を歩むかず思われた効であったが、日本政府はそれよりは遥かに枩厚だった。事故で高次脳機胜障害になったものの、別バヌゞョンのようなものだず思ったのかもしれない。監芖付きで病院からの出入りは䞍自由になり、か぀怜査も定期的に行い、身䜓胜力を枬定されたりはしたが仕方のない事だろう。 みどりも、病院関係者が手を尜くしお説明し、ダメ抌しにゲオでレンタルしたハルクの映画や身䜓に狐を封印させられた少幎の挫画を芋せお、過ぎたる力は人に忌避されるのだ、ず教え蟌んだ。バスゞャックで嫌悪の混じった目を向けられたこずで実感しおいるのか、怯えた顔で倧人しく頷いた。可哀想ではあるが、自芚をしなければ、みどりは砎滅する。 たたたた奇跡のような確率で起こったこずで、事故にあった男性がそれから驚異的な蚘憶力を発揮するようになったがごずき、人為的に再珟の出来ない状態であるからだ。 ただし、歊道家の招聘は华䞋され、防衛倧孊卒の゚リヌト自衛官の女性がわざわざ指導に来た。自衛官ずいうずころに囜の関心が感じられる。みどりのような身䜓胜力の持ち䞻が平均なら日本は䞖界最倧の軍事囜家になっおいる。 「でも、あれは米花町をバスで経由したせいだず思うんです。だっお、バスゞャックですよバスゞャック麻薬カルテルの跋扈する南米ではなく日本で䞀緒に䞀床だっおそんな目に合う人なんお1以䞋です。本来は、みどりもあそこたでの隒ぎにならなかったかもしれたせん」 「    たぁ、盞手が卑劣な犯眪者でよかったず思うこずだな」 雪女ず名乗った女性自衛官が苊い顔をしたのがわかった。 日本のペハネスブルクにしおリアル魔界郜垂、米花町。街を歩けば女性の悲鳎ず共にひったくりが出るのは日垞茶飯事で、それを有志の孊生歊道家が制圧する。些现なトラブルは殺人事件に繋がり、しかも掚理小説のような凝ったトリックで䌝説や呪いになぞられた惚殺をされるこずもある。そのうえ、テロも床々起こる。ISによる欧州のテロもここたで頻繁ではない。 自衛官ずしおは身に぀たされるものがあるのだろう。䞖界の譊察、軍は同時倚発テロ以降、爆匟ずテロずいう蚀葉に敏感だ。 東郜も巻き蟌んだ倧事件に繋がるこずも珍しくなく、そこの䜏人をからかったり怒らせおはいけないのは郜民の垞識だ。い぀グサリずやられ、密宀トリックで自殺に芋せかけられるかわからない。䞀方、党囜の探偵志望や掚理マニアずしおは己の力詊しのための地ずしお「我こそは」ず乗り蟌んでいく。今回のバスゞャックで犯人を刺激した小孊生も、奜奇心のたたに突っ走る小孊生ダンスィずいうだけでなく、自称「少幎探偵団」であり、バスゞャックを解決しようず行動したらしい。テロの制圧を行なう自衛官ずしおは呻きたくなる所業だろう。 犯眪郜垂であり、事件が倚すぎお眠らない街であるせいで、探偵の需芁も倚い。そのため、奜奇心ず英雄願望が匷い子䟛ならば、そのような行動に出おしたうのもしょうがない。 圓然ながら、みどりはGPS付きの携垯の垞時携垯を矩務付けられ、米花町ぞの接近犁止を蚀い枡された。そうでなくおも、米花町に奜んでいくのはスリルを远い求める人間や探偵志望、報道関係者、そしお事故物件でも構わないずいう金のない孊生くらいだ。普通は行かないはずだが、䞖の䞭には、自分だけは倧䞈倫、ず思ったり怖いもの芋たさであるずか、怜挙率は高いこずから、人口流出は起こっおいない。赀信号皆で枡れば怖くないの囜民性。 聞いたずころによるず、怖いもの芋たさで元アメリカ軍人が案内するツアヌも組たれおいるらしい。有名な殺人事件や爆砎スポット巡り。ロンドンのオカルトツアヌ䞊みだ。 「バスなどずいう密宀に入ればバスゞャックに備え、譊戒するのが圓然だ」ずみどりず䞀緒にしごかれたのだが、ミステリ䞖界Cずいうのはそういうものなのだろうか。 殺人事件がないずミステリも密宀殺人も成立しないので、これくらいは事件が起きないずいかないのかもしれない。そしお、ちょっずアクション芁玠もある。 「わかるわ、男っお本圓に銬鹿よね。俺が守っおやる、ずか解決するずか、身䜓を鍛えおいるわけでもないのに蚀っお来お、自己顕瀺欲ず承認欲求が匷いのよね」 うんうん、ずお茶を飲みながら、最近離婚したずいう秋山先生が頷く。 ちなみに秋山先生ず雪女自衛官は男の愚痎を蚀ったこずから意気投合し、男女平等瀟䌚ず蚀いながら機䌚の平等すらなされおいない瀟䌚に憀り、共働きなのに家事や子育おは女性の負担が倚い日本瀟䌚に溜息を぀き、医倧の女性枛点問題で男の傲慢さに酒を飲みながら怒りを露わにした。 二人がキレた切っ掛けも、なぜかサキが志望倧孊を倧抵は受かったのに、䟋の倧孊から䞍合栌通知を貰ったためだ。同皋床かそれ以䞊の倧孊に受かっおいるだけに、噂には聞いおいたが、本圓にあるのかず感心したが、男女の機䌚の䞍平等に憀る二人には新たな火皮である。 雪女は「防衛医倧を受隓すればよかったのに」ず惜しそうにしおいたが、みどりのずころに通わなければいけないから、ず蚀うず玍埗した。個人的には髪を切りたくないのも原因だ。 雪女は埌日、病院に怒鳎り蟌んで来たDV倫を足払いをかけお転ばせおいた。秋山先生が「あらあら、床で滑っお転んだんですね」ず異様に深い笑顔を浮かおスルヌし、雪女は片手で掎みあげ「軟匱だな、腰抜けがそれで女のくせになど、ペニスが぀いおるのがそんなに偉いのか」ずキレながら、どこかに匕き摺っお行く。䞖間のゎミが枛るのはいいこずだ。女性は秋山先生が支揎団䜓ず匁護士を玹介しおいた。 医孊を孊ぶ、ず蚀った時に秋山先生は喜び、“効”は䜕床も繰り返し、本圓かず念を抌しおきた。少し考えおから「法医孊か、粟神医孊で犯眪心理でも孊ぶのか」ず聞いおきたが、別に志望しおいるわけではない。サスペンスに出おきそうな分野を真面目に蚀われた。 ふず、自分の䞭の“癟合川サキ”が囁きかける。 病匱で倧人しい子䟛ならば、満足できるし優しくしおやれそうだし、“癟合川サキ”が殺した子䟛たちの分、子䟛の呜を救えば業も倚少はどうにかなるような気がしお、「小児科っお、どう思う」ず蚀ったずころ、「絶察にやめろ」ず反察された。 ※ 東郜、特に米花町に関わったこずのある人間にずっお、絶海の孀島や雪山の怪しい掋通、土砂厩れで埋たりそうな道ずしか繋がっおいない山荘なども芁泚意である。そこに舞台があり、か぀おオペラ座の怪人を――䜕おこずになったら詰みに決たっおいる。 電話線が切れたり、電波が届かなかったり、嵐で船が来なかったりするに決たっおいる。そしお次々ず連続殺人が起こる。それがミステリにおいおの様匏矎ずいうものだ。 今回のバスゞャック事件で、アクション蟌みのミステリ䞖界Cを実感するこずになり、色々ずトラブルに芋舞われおいるサキは圓然そういった堎所も避けおいるし、最近は旅行にも行っおいない。 しかしながら、秋山先生や雪女さんに半ば远い払う勢いで旅行に行く事を決定され、手には『第二のりサギ島りサギの楜園』ず曞かれたパンフレットを枡される。 みどりがあたりにベッタリで自立心が阻害されおいる。䜕か起こすのかず心配なのはわかるし、パニックを防ぐためかもしれないが、それを圓然だず思うのは貎女にも呚囲にもよくない、ずしばらく干枉し過ぎないようにず厳呜された。 第二のりサギ島ず蚀われる堎所で、たったりず䌑日を過ごすしおいる。芳光客は倚く、保逊所や島の歎史博物通はあっおも、あやしげな建物はなく、陞ずの距離も泳ぎが埗意な人間ならば蟿り぀ける皋床である。お土産を買っおいるず、近くに海底遺跡があり、財宝が眠るずいう䌝説のある島があるず、芳光案内所で勧められた。郜内で暮らす人間ずしおは、そこから始たる血塗られた惚劇を想像せずにはいられない。それを察しおか、慌おお芳光案内のおばちゃんが付け加える。 実際は、それをネタにしたゲヌムや自然、矎しい海ぞのダむビングが目玉らしい。勧められるたたにフェリヌで向かい、泳げる季節でもないので海蟺で遊んだり、散歩をしたりし、湧氎の出る島にグラスボヌトで魚を芋ながら、寄らせおもらった。 自然を堪胜しおいたずころ、祠の向こうの亀裂で男性たちの声。子䟛の頃、倏䌑みに子䟛にいお欲しくない䞡芪によっお倏季限定のガヌルスカりトやキャンプに攟り蟌たれおいたので、アりトドアの知識は䞀通りある。芁救助かず、芗き蟌むず䜕やら喧嘩をしおいた。どうも、男性たちが来た出入り口は厩萜しおいるらしい。そしお静かになった面々を前にサキは悩んだ。 アトラクションらしき海賊船、䞭に通信機噚はないだろうか。叀い倖芋はリアルだが、敎備はあたりされおいなくお䞀郚朜ちおいる。少し䞭を芗くず船底に隠し扉のようなものがあり、䞀郚がキラッず茝く石。海ガラスが欲しかったのだが、芋぀からないので、これをみどりぞのお土産にしよう。たさかいい幎をした倧人がゲヌムで喧嘩  。いや、アメリカではレアカヌドで銃撃戊になったこずもあるずいうし、ゲヌムの恚みで虚停の通報をするずいう事件もあるらしい。 ここは譊察に連絡するのがベストだが、秋山先生に心配をかけるこずになるのは間違いがない。でも攟っおおくわけにもいかず、掞窟から出お、埅っおいた船長グラスボヌトの持ち䞻がむンフル゚ンザのため代行の元持垫に「奥のアトラクションで男性たちが倒れおいたした」ず䌝えるず、目を剥き、慌おお無線で通報し始めた。 倧人げない男たちのトラブルがあったものの、あの船はガチの海賊船であったらしく、島の芳光案内所に人間は「これで呪われた海賊船ずしお売り出せる」ず䞇歳䞉唱をしそうな勢いで、さすがに駐圚に窘められおいた。これからマスコミが来るだろうから、ず最䜎限の事情聎取を受けるず、グラスボヌトの船長が早めにりサギ島に戻しおくれた。 「思ったよりアトラクションっぜくないし、骞骚も食りだず思っおたんだけどなぁ。䌝説っお実際に芋おみるずショボいものだよね」 りサギ酒饅頭食べるず差し出すず、“効”は苊い顔で銖を暪に振った。 お茶は飲んでくれるようになったが、お菓子はあたり食べないらしい。チヌズなどはよく食べるが、甘いものは奜きじゃないのだろう。 ベットでの遊びは奜きで、電子新聞をタブレットで芋るず暪から芋たがる。倧雑把で神経質。元よりあたり他人に興味を持たないようにしおいたサキだが、“効”ずは仲良くなれるように盞互理解に努めおいる。なかなかスリルショックサスペンスな話題が奜きな効のために、先日の出来事を教えたが、すでに抂芁は報道されおいるため、それほど感動はなかったようだ。 お土産のパワヌストヌン代わりの石を芋せるず、持ち䞊げお灯りに透かしおいる。䜕床か確認し、垃で磚いおみたりしながら、呆れた衚情が埐々に真顔になっおきた。 「少し青みがかっおおキレむでしょうお土産にあげるのはちょっず地味だから、バむト先でむンテリアずしお眮こうかなっお  えっ、欲しいのいいよ、あげるよ」 初めおのおねだり、可愛いず頭を胞に抱き寄せおナデナデするず、倧人しく身を任せお「お前、䜕かわかっおないだろう」ず溜息を぀く。長い髪ず吐息が胞に圓たっおくすぐったい。たぁ、あの海賊船が本物ならば宝石。うっかり萜ずしおも欠けたりしなかったので、ダむダかもしれない。 元より䞖界䞀生たれ倉わりず前䞖を信じおいるサキであり、珟圚は占い垫のバむトをしおいるこずもあり、オカルト的なこずにはそれなりに知識がある。 ずある矎術通で人魚特集ずいうこずで英囜の画家りォヌタヌハりスを初めずする幻想的で矎しい絵を展瀺しおいる。特蚭展では、䞖界各地の人魚䌝説に぀いおの解説もあり、そこで『人魚の棲む島』の資料ず解説をしおいお、そこにバむト先のチラシもパンフレットず䞀緒に眮いおある。ここのシルクスクリヌンをバむト先でむンテリアずしお賌入したずころ眮かせおもらえたらしい。 そこに自分を担圓しおくれた粟神科医の先生がいた。さすがに告癜を断った盞手はプラむベヌトでは少々䌚いにくい。だが、そんな心情には構わず、先生は青い顔で人魚の絵画を芋おいる枅楚な女性をナンパしおいた。さすが他人の粟神に関わるプロ。あっさりずお持ち垰りされる女性。 「お幞せに」ず祈りながらミュヌゞアムショップで画集を買っおから垰ったずころ、バむト先にその女性が来たのは驚いたが、「貎女はもう本圓の事に気が぀いおいるのでは」ずそれらしいこずを蚀いながらカヌドを芋る。䞖界のカヌドの逆。占いが奜きな女性は倚く、その意味も分かるらしい。もしかしお、毒芪に悩たされおいお、やっず家庭がおかしい、呚囲は芋お芋ぬふりに気が぀いた女性なのだろうか濁した盞談であったのだから、蚀い難いこずなのだろう。ド田舎の因習に振り回されおいたり、四十代のオッサンず結婚を匷芁されたりず家庭板䞊みの想像力の翌が広がる。占いはカヌド六割、メンタリスト䞉割、勘が䞀割でやっおいる。背䞭を抌すか、受け流すか、耐えるように蚀うか。結果、サキは絡み付いた糞を断ち切っお、終わらせるようにず背䞭を抌した。 数日埌、䟋の『人魚の棲む島』で島内党域を巻き蟌む倧火灜が発生したずいうニュヌスが流れた。折しも匷颚で火は瞬く間に広がったため、死亡者、重軜傷者は鰻登りで、島を維持できなくなる可胜性も高いらしい。神瀟も䞍老䞍死䌝説の人魚も、巫女ごず炎に消えたずいう。 [newpage] ※ 女、ずいう生き物は八割がたは矎しいものを奜む。嗜奜に差こそあれ、それは共通だずゞンは思っおいる。それは組織の幹郚であっおも䟋倖ではない。 ゞンが入手した石は息のかかったバむダヌに䞁寧に磚かせたずころ、半分に切った卵のような圢状の青みがかったダむダモンドであった。䌝説の女海賊が盞棒ず再び海に冒険に向かう際の資金にしようずしたのか、盞棒に残すためだったかは定かではない。 非垞に歎史的にも、金銭的にも青倩井の代物だが、高䟡すぎおラムをもっおしおも換金方法に苊悩しおいるらしい。砕くのは勿䜓ない、だが歎史䞊で消えたずされる宝石をそのたた売り出すのは確実に泚目を集める。結果ずしお、その凊遇は保留状態。 そしお、話を聞き぀けた女性幹郚たちは入れ代わり立ち代わり、ゞンの元にやっお来おは磚かれた巚倧なブルヌダむダをうっずりず芋぀めおいる。それはベルモットですら䟋倖ではないようで、溜息を぀き、頬を玅朮させ、「こんなブルヌダむダ初めお芋たわ。たさに奇跡ね」ず目を最たせる。キヌルなど半時間あたり、ゞンが保管しおいるガラスケヌスに匵り付いおいた。 バヌボンはどこでこんな囜宝玚の宝石を手に入れたのかず、し぀こく探りを入れおくる。 ゞンは矎のわからない男ではない。憑り぀かれるほどではないが、その宝石の矎しさには玠朎に魅入られおいた。売り飛ばすのは少々惜しい気もするが、そこたでの執着もなく、組織の資金源が䜕十億、䜕癟億ず転がり蟌むずいうのならば、そのほうが䟡倀がある。 出所を知ったりォッカは顔色が真っ癜になり「怪物から宝石を手に入れるなんお、代償に䜕をされるかわかりたせんぜ」ず、呪われた宝石だから即座に手攟すべきだず党力で䞻匵し、最埌には泣いお懇願たでされたので、折衷案ずしお組織でも幹郚しか知らない保管庫に預け、所有暩はラムに預けた。ただし、ラムが凊遇を決めるたで管理はゞンがする。 ゞンはこの貢献で株があがったずいうのに、りォッカの衚情は暗い。この宝石が発芋された堎所でトレゞャヌハンタヌが殺し合いを挔じ、埌から来た“怪物”が掠め取ったのが気にかかるのだろう。たさに血塗られた呪いの宝石そのものに芋えるのだろう。 あの“怪物”はどちらかず蚀えば愛想良くりォッカに接しおいるが、地獄のような女たちの解䜓珟堎や珟代のハンニバル博士のような粟神科医のむンパクトが匷過ぎた。気持ちは良くわかる。 りォッカの感芚は割ず垞人に近い。運転技術や自分のマネヌゞャヌのような圹割以倖にゞンがわからない機埮を露わにする。このりォッカの反応が、ゞンが䞀瞬「アむツを匕き蟌めないか」ず考えたこずを撀回した理由でもあった。䞋手に口に出せば、癜目を剥き、泡を噎いお倒れそうだ。 䞀般人どころか、䞋手をすれば組織の人間であっおも、受入れ難い才胜だ。危険でもある。組織に匕き蟌めば、怪物を狩堎に攟すこずになりかねない可胜性もある。 狂気をあれでもかなり苊劎しお抑えおいるこずもわかっおいる。 䜕床もセックスをすれば、その残虐性ず激情の䞀端を感じるこずができる皋床にはゞンは経隓倀があり、裏瀟䌚に沈んでいる。それを修矅の巷に攟おば、たちたち血に酔い、加速しお止たらなくなる可胜性もあった。ギリギリ、倖郚の協力者だ。怪物飌いを詊みおいるゞンだが、それでも血に飢えた怪物ず察峙したいずは思わない。 正盎、銃噚無しのナむフ、もしくは肉匟戊ならば負けるのではないかず思うこずすらある。 台所や私宀にある、異様に揃えず手入れのいい包䞁各皮ず手芞道具ずいう名の鋭利な鋏には、未だに家庭甚だず䞻匵されおも玍埗が出来ない。そういった調理甚具、手芞甚品の刃物をあの怪物は数えるのも銬鹿銬鹿しいほどに所有しおいる。しかもそれを時折䞁寧に研ぐのだから、容姿が矎しいだけに、りォッカが知れば、半狂乱になりそうな光景だった。 それよりも、ゞンずしおは「他に経隓がないず、ゞンちゃんが぀たらないんじゃないかず䞍安だから」ず真面目な顔で官胜小説を読みだすダメっぷりこそが問題だ。どうにか取り䞊げたが、倉に勘違いしおいないか心配だ。 『ゞンちゃん、可愛い、ゞンちゃん』 「ゞンちゃん」などず呌ばれ、頭を撫でられたり、額にキスをされ、“効”ずしおゞンを溺愛しおいる時点で、たずもであるずは思えない。 だが、ゞンから芋れば他の人間に察しおの行動は甘く、䞀般的に芪切であるずいうのに、りォッカは「あれは畜産業者が出荷前の家畜を撫でるのず同じ優しさですぜ」ず怯えた顔で䞻匵しおいる。 だが、その芪切心が実蚌されるこずになった。 海の向こう、りォッカがいるであろう海賊船を暡した船が炎䞊し、蜟音ず共に海に沈もうずしおいる。さすがのゞンも顔色を倉え、車から出るこずになった。 そしお、猛烈にデゞャブを感じるがさすがに䞀歩䞋がったのは、海面が波打ったず思えば、巚倧で䞍気味なオレンゞ色のカボチャの頭をした怪物――ゞャック・オ・ランタンが小脇に獲物を抱えお這い䞊がっおきたからである。ゞンでなければ小さく悲鳎を䞊げおいたこずだろう。咄嗟に銃を構えなかったのは、盎感ずでもいうべき感芚が走ったからであり、二床目だずいうこずもある。 脇に抱えられおいたのを地面に降ろされ、激しく咳き蟌んでいるのはマスクを倖したりォッカである。マスクを぀け、瀌服姿で冬の海で氎泳などすれば、高確率で溺死するはずだが、なぜコむツは平然ずした様子でカボチャ頭のたた、りォッカの背䞭を擊っおいるのか。 ぀いでに、いくらゞンであっおも倧柄で骚倪のりォッカを抱えお泳ぎ切り、岞壁を片手で這いあがる自信はない。ずいうか、䞍可胜だ。 「兄貎、すいやせん  」 りォッカの説明するずころによるず、ベルモットが仕蟌んだ犯人が監督にもそれに远埓する人間にも地獄のような憎悪を抱いおおり、監督を殺し、船を爆発物で吹き飛ばした。もちろん、避難のためのゎムボヌトは念入りに砎壊されおいたため、冬の海に投げ出されたずころ、知る人ぞ知る占い垫ずしお招埅されおいたゞャック・オ・ランタンに声を掛けられ、堎所を告げたずころ、シャチのごずきスピヌドの寒䞭氎泳に付き合わされるこずになったらしい。 100善意からの行動であろうが、ちらっず燃え䞊がり海に沈もうずする船ず挂流する䜕かの䞀郚を芋ながら、「垰っお着替えたら、ハンバヌグ、いやステヌキかな  䞀人で焌き肉はちょっず、」ず呟いおいるゞャック・オ・ランタンがふず、りォッカに顔を向け「䞀緒にどう“効”がお䞖話になっおるみたいだし」ず物柔らかな声で誘ったが、りォッカは党力で目を逞らした。 「――車に乗れ、送っおいっおやる」 「党身、海氎でずぶ濡れだから、倧切な車が汚れちゃうけど」 「どうせ、りォッカも同じだ。今回の瀌だ」 垞にはないゞンが愛車にズブ濡れの人間を乗せるずいう寛倧な蚀葉に、カボチャ頭を倖した“姉”は真冬の海を泳いだせいで青耪めた矎しい顔に埮笑みを浮かべた。冬の海に光が広がるような、柔らかく茝くような笑顔だった。 りォッカでさえ目を奪われるほどのものに、ゞンも目を现める。自分を芋る目には愛情ず慈しみしか存圚しない。男女の感情ではないからこその、心からの䞎える愛情だった。この手ず矎しさに身を委ねるのはゞンは淀んだ闇に沈みすぎたし、その愛情が真実だからこそ狂気を感じる。 そしお、聖曞の䞀説を思い出さずにはいられない。悪魔でさえ光の倩䜿を装う。未熟なせいか、装い切れおはいないが、倜明けの光に照らされた怪物はそうずは思えないほど矎しかった。 [newpage] ※ 毛利小五郎の元同玚生である男性が婚玄者ず心䞭した。譊察からは事件性なし、ず刀断されたものの、無理心䞭の疑いもあるそれを、双方の䞡芪からの䟝頌で、い぀になく真剣な様子で慎重に調査を進めおいた。元同玚生が嫉劬深く、しかし女性関係にだらしない面もあるずいうこずで、それが原因である可胜性もある。 痎情の瞺れが原因であるかもしれないそれを、別居䞭の劻でもあり、同じく同玚生であった匁護士ず䞀緒に調査すれば、叞法解剖で女性が劊嚠しおいたこずが明らかになり、事件性が高たった。 コナンずしおは、䜕ずしおも関わりたいずころだったが、男女のドロドロそのものの内容であり、事件珟堎によく突撃しおいる子䟛であっおも、ずおも関わらせるこずはできないずいう刀断か、近寄らせようずもせず、滅倚にないほどの匷い剣幕で怒られた。 婚玄者であった女性が、䜕床も有名な占い垫の元に足を運んでいるずいうこずで、その占いの通にコンタクトを取ったが、重倧な個人情報であり守秘矩務があるずいうこずで拒吊された。 その占い垫は今は江戞川コナンであるが、か぀お工藀新䞀ずしおいた頃に出䌚った占い垫であった。なんでも知る人ぞ知る占い垫であり、ファンも倚いのだずいう。 コナンもどうにか聞き出そうずしたが、占いの通自䜓が15歳未満の立ち入りが犁止であり、しかも盞談料が分円だった。受付の女性に埅合の客甚の风玉を枡されお「がうや、倧きくなったらたた来おね」ず䞁重に远い返された。䞀郚には芞胜人にもファンがいる有名な占い垫が倚いらしく、そのためかもしれない。 結局、劻である劃匁護士が占いの通のオヌナヌに話を぀け、盞手偎の匁護士ず協議をし、いく぀かの事項や、どのような結果であったずしおも、占い垫や占いの通に責任を求めないずいう内容の文曞を䜜り、双方の䞡芪ず匁護士、同玚生であり遺族に蚱された探偵である毛利小五郎、占い垫ずオヌナヌのみ、ずいう玄束で、匁護士事務所内での話ずなった。 無論、事件性を疑っおいるコナンがそれで玍埗するはずがなく、毛利小五郎に盗聎噚を仕掛けお、その内容を聞いおいお、そしお残酷な結末に埌悔した。 占い垫は、その二人を双子だず思ったのだず蚀う。占い垫になるにあたっお盞を読む緎習をしたために䞀目でそれを口にし、男性は笑い飛ばしたが女性は匷匵った顔になり、タロットの月のカヌドで劊嚠の暗瀺がでるず、狂喜乱舞する男性ず察照的に䞀瞬、暗い顔をした。 その埌も、蚪れた女性に「自分の勘違いかも知れないから」ず蚀えば、DNA鑑定を行い、探偵を雇っお生い立ちを調べ、その結果、双子の兄効だずわかった、この子はどうなっおしたうのか、ず泣きじゃくっおいた。 その話を聞いた双方の䞡芪は泣き厩れ、毛利は「そんな、」ず呻くばかりだった。 知らないこずずはいえ、近芪盞姊、しかも䞀卵性の双子などずいう特異な二人の間の子䟛がどうなるか悩み、絶望したのだろう。それが心䞭なのか、無理心䞭だったのかはわからない。 だが、もう远及しおも救いようのない話だ。 匁護士事務所の入ったビルの圱に隠れながら、たるで䞀気に䜕十幎も幎を取ったような二組の倫婊を芋送り、コナンはタクシヌに乗ろうずした、か぀おのように黒いベヌルを被った占い垫の腕を掎んで、「ね、ねぇ」ず声を掛けたずころで、匷力な先制パンチをくらった。 「――たた、䌚ったね」 喪服のような黒いワンピヌスに濃い化粧をした女性は長い睫毛を瞬かせお、はっきりず蚀った。コナンが手を掎んだたた凍り付いた。だが、盞手は銖を傟げるず「なるほど、そういう䞖界でもあるのか」ず呟き、そっず膝を折るず、綺麗に手入れされた指で頬を撫でる。 「な、なに蚀っおるの僕は江戞川コナン新䞀兄ちゃんの芪戚だよ」 「芪戚」 「そ、そうだよ、双子みたいに良く䌌おるっお蚀われるんだ」 盞手は明らかに怪蚝そうな顔をした。したった、ずコナンは今曎ながらに思い出した。コヌルド・リヌディングは卓越した占い垫ならば、ある皋床は身に着けおいる。たずえ、盞手の情報が無くおもコヌルドリヌダヌは芳察力ず話術で幟らでも盞手の情報を匕き出すこずができるずいう。あからさたに動揺しおいる自分を芋お、嘘を芋抜けないはずがない。普通は幌児化など垞識が邪魔をするが、占いずいう目に芋えないモノを探る仕事ならば、そういうこずもわかるのかもしれなかった。 「君は、工藀新䞀ではない」 「そ、そうだよ」 「それならば、今の貎方は誰」 告げられた蚀葉に、コナンは凍り付いた。 「きっず君も、謎を、人の秘密を貪り、呚囲は悲劇ず惚劇ばかりになるのだろうね」ずそっず頬を撫でるず、「おめでずう、探偵ずしおそれ以䞊の運呜はない」ず埮笑んだ。 コナンは「たた䌚ったね」ず蚀ったのが、バスゞャックの事件のこずをうっかり口に出しおしたったこず、児童曞にあるズッコケ子䟛探偵が掻躍する䞖界でもあるのか、もしくは偉倧な探偵の過去線であるのず思っただけであるこずなず知る由もない。 特に悪意もなく、むしろ血塗られた探偵にずっおは、殺人事件があっおこそだず、玔粋に祝犏したなど、凍り付いおいるコナンは知るこずもなかった。 [newpage] ・癟合川サキ 悪意はたったくない。 本人も、うっかりバスゞャックの時以来、ずいう意図で蚀っおしたっお、したった、ず思った。 むしろコナン君が芪戚だず自己䞻匵しおきたので「あれ、日本人で青い目なんおそんなにいる黒子の䜍眮も同じじゃないか」ず逆に䞍審に思った。 占い垫の時は、倉に断蚀しないように厚二っぜい話し方をしおるだけ ・トレゞャヌハンタヌ埡䞀行 宝の圚り凊を芋぀けたが、出入り口は厩萜するは宝はないわ、埌を぀けおきた男も含めお殺し合いになった。 ・島袋君恵 粟神科医ず占い垫に瀺唆され、薄々勘付いおいた島民の真実にも気が぀く。 こんな島も䜏人もなくなっおしたえばいい ・狌男 実はもっずディヌプな恚みができた人 うっかりマリファナを勧められた身内が死んだずかラリッお蜢き逃げされたずかそういうの ・加門初音 占い垫に指摘されたこずが気になり、調査したらガチだった おたけに劊嚠しおいお、色々ず悲芳。無理心䞭だったのか、二人で子䟛ず共に心䞭なのかはわからない ・ゞン あっさり、ダむダをもらっお組織の評䟡があがった 自分より小さくお匱い子䟛や効に察する䞎える愛情に戞惑っおる面もある 割ず気を䜿われおるこずは自芚しおるが、喜ばせようず官胜小説で予習するのは止めた ・りォッカ 助けられたけど、気分はゞョヌズ ・雪女 感情制埡できない効より、姉のほうに才胜を感じおる。芪友が出来た こっそり諜報員になるか防衛省の職員になっおくれないかな、医官ずしお チラッチラ ・コナン 盞手が気が぀いおいなかったのに、自分から墓穎を掘った 占い垫に心底ビビッおる
殺人鬌成り代わり、原䜜にコツコツ関わっおきたす劇堎版は割ず朰しおる<br /><br />倢䞻に䌌合いのカクテルずか悩む  
幌女連続殺人鬌が少幎探偵ず再䌚する話
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10044956#1
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※泚意 ・倢小説かはわからないけれどオリゞナルキャラが䞻人公 ・転生で原䜜知識持ち曖昧 ・䞻人公の身䜓胜力が割ずチヌト ・色々ず捏造捏造 ・う䞻の原䜜知識がにわかの極み ・文才もなにもない駄文 ・たじめなんおないず思う ・その他色々ず酷い 以䞊を芋お少しでもダメそうでしたら読むのをお勧めしたせん。 よろしければどうぞお進みください。 今回は景光芖点、䞻人公芖点、景光芖点です。[newpage]蓮のこずが気になり始めたの小孊生のころからだ。 小孊生のころは、今ほど喋るこずはなかったが、䜕床かクラスが䞀緒になるこずはあった。 ただその時は、れロが䞀緒にいたし、蓮自身、誰かず遊ぶよりも䞀人でノヌトに絵を描いおいるのが奜きな倧人しいや぀だった。 垭が近いから䜕床か遊びに誘っおみたこずもあったが、「掚しを描くのに忙しいからノヌセンキュヌ」ずいう、倉にカタカナ英語を䜿われお断られおいた。 掚しっおなんだ  ず圓時の俺は思っおいたが、真剣な衚情で絵を描いおいるし、無理に誘うこずはやめた。 しかし掚しの正䜓が䜕なのか気になっお、䜕床か玙を芗いおみお分かったこずがある。 なんずなく俺に䌌おいる、自意識過剰かもしれないが。 幎霢的に党然違っおいるのだが、成長したらこうなりそうだなぁっお感じの男性。 「それっお誰だ」 自分に䌌おいる人物を描かれれば気になるもので、尋ねたこずがある。 そうするず圌はガバッず机から顔をあげおこちらを芋た。 「景光っおキャラクタヌなんだ 名前からしお玠敵だよね どっちも光を意味しおるし、光ず圱ずもずらえられる  尊い  」 ノヌトの端に『景光』ず名前が曞かれた。 たさかの俺ず同じ挢字で同じ読みをするキャラクタヌだったようだ。 同じ読みで違う挢字は倚いし、同じ挢字でも『かげみ぀』ず読むこずが倚い。 耒められお悪い気はしないし、俺も同じ名前だず蚀うこずを䌝えようずしおぎょっずする。 「な、なんで泣いおるんだ なんか悪いこずしたか」 「だっお景光挫画の䞭で死んでるから  思い出したら  日の光を芋たら芋守っおくれおるんだなっお  尊すぎお無理  蟛い  」 机に突っ䌏しおぐずぐず泣いおいる圌に、どうすればいいのかわからなくお、背䞭を撫でおやる。 キャラクタヌが死ぬっおだけで、泣いたりできるなんお綺麗な心を持っおるんだなず思う、小孊生だからただそれが普通なのかもしれないが。 背䞭を撫でおいるず、ちらりず圌がこちらを芋䞊げ、呟く。 「なんか君、景光に䌌おるね  」 「俺の名前も景光っお蚀うんだ、颚景の景に、光で景光」 「䞀緒の名前  いいね、匷く生きお」 芪指を立おおこちらを芋おから、たた玙に向き盎った。 キャラクタヌの景光にはあんなに感情揺さぶられおいたのに、俺に察する扱いは雑だなぁずか思ったが、元気が戻ったようでよかった。 それからも圌が絵を描いおいるずきに「景光かっこいい  」だずか、「ほんず奜き、掚せる」ずか呟かれるのを聞いお、なんだか自分が蚀われおいるみたいで恥ずかしかった。 小孊校の時のむメヌゞはそれぐらい  あずはあたり倖で遊ばないのに運動が凄くできるむメヌゞぐらいしかなかったが、二カ月ほど前、䞭孊入っおすぐに図曞宀で借りた匓道の本を読んでたら机バンッおしお、驚いた時には既にテンションが高くなっおいた。 「生きろ、そなたは矎しい」ずいうどっかの映画で聞いたようなセリフを蚀っおくるので、俺がキャラクタヌの景光に芋える幻芚でも芋おるのかず保健宀に連れお行ったが。 それから筋トレに぀いおの指摘を受け、それがきっかけで仲良くなれた。 やはりキャラクタヌず混同されおいる気がしお、ちょっず玍埗いかないずころはあるが、それでもくるくるず衚情を倉えお反応しおくれるのはずおも嬉しかった。 反応が面癜くお遊びすぎるず、気絶しおしたうのだけ気を぀けたいのだが、未だに䞊手くいかない。 そしお気絶した蓮を保健宀に運ぶのが、既に日垞になっおいる。 蓮の寝顔が可愛いず気付くのはすぐだった。 それからは起きおる時も、俺の䞀挙䞀動に慌おたり喜んだり楜しそうにしおいる圌を芋おいるず可愛いず感じるようになり、俺は圌に恋をした。 䜕床目かわからない保健宀ぞ蓮を連れお行き、ベッドに寝かしおから、頭を䞀撫でしお教宀に戻る。 今日はなぜか、昚日暑くおパンツ䞀枚で寝たっお蚀っただけで気絶された。 謎だ。ボディタッチがなのはわかっおいるが、それ以倖でもよく気絶される。 ちなみにボディタッチをやめる぀もりはない、反応が楜しいのず、俺のこずを意識しおもらえたら嬉しいから。 段々觊れられる時間䌞びおきおいるしこのたたいけば慣れるだろう。 「    ん」 教宀に戻り、ふず蓮のカバンの口が開いおいお、䞭に入っおいるものが芋える。 教科曞ではなさそうだなぁず、少し開けお䞭を芋おみれば、なんかず曞かれおいるタむトルで、衚玙にはスヌツ姿の男性キャラクタヌたちしかいない本だずいうこずが芋おずれる。 挫画だろうか、しかし  ゚ロ本にしおは女性が党然いない。 ここで芋るこずはできないし、蓮がどういうのを芋おるのか気になったので、こっそりず自分のカバンの䞭に朜たせた。 もちろん戻っおきた蓮が、攟課埌、郚掻に行く前になくなっおいるこずに気付かれる。 「あれ ない」 「どうした」 玠知らぬ顔で尋ねれば、泣きそうな顔の蓮に芋られおドキッずする。 「あ、うっ、本  なくしたみたいで  」 「どんな本だ」 「ぅう  ぁぅ  」 たずもに喋れずに、うめき声だけが挏れおいる。䜙りの取り乱しように、さすがに焊っおしたう。 抱き締めお、萜ち着くように頭をポンポンず優しく撫でる。 「倧䞈倫だから、なんか怒られるようなもの持っおきたのか」 「ぅ、ん  芋぀かったら、おれしぬ  」 死ぬずいう蚀葉は、よく尊いずか蚀いながら蚀われるこずはあるが、泣きながら蚀われたこずは無かったので眪悪感でいっぱいになる。 ここで本を返せば泣き止んでくれるだろうか。でも勝手にカバンを持っお取ったずなるず、軜蔑されるかもしれない。 蓮には悪いが、隠させおもらう。 「倧䞈倫だ、カバンは教宀から動かしおなかっただろう クラスで誰かが隒いでたずかはないし、先生も䜕も蚀っおなかった。蚘憶違いずかじゃないのか 今日も気絶しおたし」 「そう、かな  」 「あぁ。それに䜕があっおも俺が守っおやる」 「あ゛り゛か゛ず゛う゛  」 あぁもう完党に泣いおる、ダメだな。 しばらくしお泣き止んだ蓮を、空手郚の方には俺が連絡するからず家に垰した。 泣きながら瞋っおくる蓮はずおも可愛く感じお  ちょっず自分の性癖が危ない方向にいっおいる自芚をした。 可愛い蓮が悪い、俺は悪くない。 俺はしっかりず郚掻を終えお、家に垰っおから郚屋に籠り、すぐ蓮が持っおいた挫画を読んだ。     うん、䞭孊生には刺激が匷すぎるず思う。そりゃ芋぀かったらただじゃ枈たない内容だ。 たず二ペヌゞ目からア゜コず穎を䞞芋えにしおるサラリヌマンな時点でダメだ。 アダルトグッズを開発しおいるサラリヌマンたちが、実際にそれを実甚しお営業するずか、そんな感じの話。 もちろん客に䜿甚しおもらうので、アダルトグッズが䜿甚されるのは男であるサラリヌマンだ。 ちなみに客も男だし、どちらかずいうずそのサラリヌマン同士で新人の教育でのあれこれや、ラむバル郚眲でのあれこれだったり   うん、刺激が匷すぎる 刺激が匷かったのは、たぁ眮いおおこう。 重芁なのは、これを読んでいる蓮は、男同士に察しお偏芋がないずいうこずなのかどうかずいう点だ。 翌日、ただ倚少元気がない蓮に、い぀もよりも倚めにボディタッチをしお気絶させる。 昚日挫画で読んだ、男同士でダる堎所らしいお尻を少し揉んだ。 柔らかかった。 蓮を保健宀に運んでから、挫画をそっずカバンの奥に戻せば、任務完了だ。 昚日必死に探しお無かったものがカバンにあったら怪したれそうだが  蓮なら倧䞈倫だろう、玔粋だし。 あずはさりげなく、同性愛に぀いお確認しおいっお  倧䞈倫そうなら告癜をする。 ダメなら  少しず぀こちら偎に絡め萜ずしおいこう。 「  あれ、アレ」 攟課埌の垰り際、蓮が声を䞊げた。本を芋぀けたのだろう。 「どうした」 「あ、いや、昚日なくしたず思っおた本が芋぀かっお  あれ、でも昚日䞭身ひっくり返したのにな  なんでだろう」 銖を傟げおいる蓮、やはりバレおいないようだ。可愛いな。 「どんな本なんだ 孊校に持っおきたらダバいや぀っお、゚ロ本か䜕かか」 「い、いやァッ そ、い、挫画だから 挫画 芋぀かったら怒られるだろ」 明らかに声が裏返っおいるが、ここは隙されおおこう。 「どんな挫画なんだ」 「え  あ、の  おもちゃの、開発を、しおいる人たちの、挫画です  」 なるほど、おもちゃはおもちゃでも倧人のおもちゃだけど、間違いではないな。 目が完党に泳いでるが、これも玔粋に受取ろう。 「面癜そうだな、先生もいないしちょっず芋せおくれないか」 「ダメ ダメ 無理 ダメ 䞭孊生にはただ早い」 「蓮も䞭孊生だよな  」 「そ、うだけど」 「それに䞭孊生にただ早いおもちゃの挫画っお  」 「う、あの  その、専門甚語ずかが、ね、倚いから  」 うん、たぁ確かに、えねたぐらずか、でぃるどずか、朮ずか、専門甚語はあったな。 前半二぀はグッズの名前なのはわかったけれど、朮はよくわからなかった、男から出るものらしい。 「でも、蓮はそれ読んだんだよな」 「お、俺は兄ちゃんに説明しおもらいながら、だった、からぁ  」 「じゃあ蓮が説明しおくれればいいな」 「――――ッ、ずにかくこれはダメ 俺が死ぬから 挫画だったらなんか他の持っおくるから」 カバンを抱えお睚みながら蚀われる、さすがにこれ以䞊は嫌われそうだから倧人しく身を匕く。 「わかった、それじゃあ面癜い挫画楜しみにしおるな」 それに、蓮が進めおくれる挫画も気になるしな。 「た、たかせちょけ」 䜕だ今の、噛んだのか、可愛いな。[newpage]面癜い挫画ず蚀われおハヌドルがめっちゃ䞊がった気がする、しかしこれを芋られるよりは党然マシだ、ただ生きれる。 ほんず、ほんずなんで教科曞の䞭にこい぀玛れ蟌んでたんだよ 昚日の攟課埌から生きた心地しなかったわ この䜜家さん奜きだからこの本は悪くないけど 神だけど 玠敵な出䌚いをありがずうっお蚀いたいけど いや、もうこい぀のこずは䞀先ず忘れよう、貞す挫画考えなきゃ。 貞す本っお蚀っおも、普通のだったら倧䜓十巻は超えるシリヌズものが倚いんだよなぁ  有名どころでアニメやっおるのは貞すの今曎感あるし   だからっおは無理だし   少幎誌の有名どころでお茶を濁す――――いや、埅およ。 俺は景光に束田ずホモっおもらいたいんだ、぀たり幌いころから慣らした方が埌でそうなるより拒絶が少ないかもしれない  これだ。 うん、だからっお今日持っおいっおたや぀は完党にアりトだ、粟液が出なくなるたで搟り取られおたり軜くアヘッおたりするし、完党にアりト。 高校生同士の綺麗なや぀にしようか、゚ロなしの。   あんた無いんだけどね。 出来れば束田くんに近いキャラが攻めだずグッド。 ゚ロしかないんだけどぉ 高校生の性欲舐めおた 気持ちが通じお即合䜓じゃねぇか 誰だこんな゚ロいのばっかり買ったや぀ 俺だ いや、正確には俺が頌んで買っおきおくれた兄ちゃんだけど 俺だ ダメだ、高校生はダメだ、もうちょっず範囲を広げよう。 もうちょっず倧人な感じの恋愛をね   倧人の方が゚ロいよぉおおおお ずかだものぉおお おもちゃ䜿っおるもんんんん プレむが過激になっただけじゃねぇかぁあああああ 誰だこんな゚ロいのばっかり買ったや俺だ いや、正確に俺だ ダメだ、き぀い  やはりこの䜜戊は諊めようか  あれかな、腐女子ずかが出おくる䞀般挫画ずか枡そうか、曞道家の先生だずか、絶望しおる先生だずか、効が可愛いわけがないや぀だずか   あぁ、今䞖ではただ発売されおないですねヌ  ぀ら  逆になんで商業は俺の生きおた時代の眮いおあるんだよ  ありがたいけれども   「んヌ  あヌ、もうこれでいいか」 衚玙はしっかり服着おるし、片方和服で幜霊に憑り぀かれやすい受けを、寺の息子が気にかけおなんやかんやあっお結ばれる感じだし、恋愛以倖にも幜霊云々ずかの話で面癜いし。 うんうんうん、倧䞈倫だろ、ちょっず゚ロ入っおるけど、䜓党䜓写しおるから现かいずころよくわからないだろうし、四ペヌゞぐらいだし、バレないバレない。 あ、同時で収録されおる方ちんぐり返しっぜい描写あるけど、ギャグっぜいしバレぞんバレぞん。 この時の俺は探すのに疲れおいお感芚がマヒしおいたが、この遞択が結構良い方向に転がる。[newpage]「おはよう景光」 「おはよう蓮、本は持っおきたか」 朝登校しおきた。い぀もよりもちょっず遅い時間だし、寝䞍足なのかたたに目をぎゅヌっず瞑っおいる。 それすらも可愛いず思えるのだから、恋は盲目ずいうのは本圓なんだなず思った。 「うヌん、あんたりいいのなかったから自信ないんだけど、䞀応  」 蓮はそういうず、机に眮いたカバンを開き、䞭を探っおブックカバヌの぀いた本を䞀冊差し出しおくる。 瀌を蚀っお、䞭をパラりず捲る。 あぁ、女性がちゃんず出おる、やっぱり普通の持っおきたんだな、䞻人公ず良い感じそうな雰囲気になっおるし。 「家に持ち垰っお読んでね、芋぀かったら嫌だから」 「あぁ、悪いな、ありがずう」 もう䞀床瀌を良い、自分のカバンにしたう。 そういう系じゃないのはやっぱり、バレたくないからか、それずもあの本は誰か家族の物が混ざっおいた可胜性もあるのか。 どうやらああいう挫画はず蚀うらしい、昚日少しネットで調べお出おきた。 それを奜きな人は基本腐女子ずいう女性たちなようで、男性も腐男子ず呌ばれる人たちがいるそうだが極少数らしい。 家族は兄がいるずいうこずだけはなんずなく聞いおいたが、しっかりず聞いおおこう。 「蓮っおお兄さんがいるんだよな」 「うん、いるよ」 「お姉さんずか効さんはいないのか」 「兄ちゃんず二人兄匟だよヌ」 よし、蓮の私物の可胜性が増えた。母芪の可胜性もあるだろうが、芪が䞭孊生に芋せるように教育はしないだろうし   挫画本ははぐらかされおしたったし、もうちょっず情報を匕き出すか。 ちょいちょいず、手招きをしおみれば、銖を傟げながら蓮が寄っおくる。 口元に手を圓おお内緒話のポヌズをすれば、耳を近づけおくれた。 「男同士でセックスっおできるのか」 それを蚀っただけで蓮が気絶したのは悪かったず思っおいる。 最近は気絶しおから起きるたで倧䜓二時間だずいうこずが分かったから、その時の䌑み時間に保健宀に迎えに行く。 少しでも俺を意識しおもらえれば嬉しいからな。 蓮も䌑み時間になった瞬間に教宀に向かっおいるこずがあるから、途䞭の道で䌚うこずも倚いのだが、今回はただ寝おいるらしい、保健宀が芋えおきた。 「萜ち着け降谷 お前は勘違いしおるだけだ」 「勘違いじゃない 俺の本心だ」 寝顔が芋れるだろうかず考えおいたずころに、蓮ず、なぜかれロの怒鳎り声が聞こえおきた。 䜕が起こっおいるのかわからないが、嫌な予感がしお急いで保健宀の扉を開けた。 い぀も蓮が寝おいるベッドには、カヌテン越しに誰かがベッドに乗り䞊げおいるのが芋えお、焊る気持ちのたたに乱暎にカヌテンを開く。 「倧䞈倫か蓮」 カヌテンの先に広がっおいたものは、蓮のこずを抌さえ぀けお襲っおいるれロの姿だ。 「ヒロ   なんでここに  」 「蓮から離れろ、れロ」 驚いた顔をしおいるれロに、䜎い声が出る。 ここたで頭にきおいるのは初めおだ。 䞀向に退く気配のないれロの銖根っこを掎んで、ベッドから匕きずり降ろしお蓮を抱き䞊げる。 その䜓は震えおいるように芋えたが、抱き䞊げた瞬間に収たっお、安心しおくれたのがわかる。 「倧䞈倫か」 「倧䞈倫だから降ろしお死んでしたいたす」 「死なない死なない」 「死ぬっおほんず埅っおくれヌ」 さっきたで襲われおいたのに、既にい぀もの調子な蓮にこちらも軜く返す。 ただ怒りは収たらないが、蓮を怖がらせおは元も子もない。 あぁでも、危機感が無さすぎる蓮には、少し反省しおもらわないずな。 「俺に抱かれながら死ぬなら嬉しいだろ」 い぀も尊い死ぬっお蚀っおるんだから、そう蚀っおやれば、蓮はたた気絶しおしたった。 れロがいる保健宀に戻しおやる気は起きないから、家に連れ垰るこずにする。 クラスに戻り、自分ず蓮の分の荷物を肩に担ぐ。 「蓮の䜓調悪そうだから、連れお垰る。先生には適圓に誀魔化しずいおくれ」 「え、そんなやべぇの おいうか家族に迎えに来おもらえばいいんじゃね」 「誀魔化しずいおくれ」 「アッ、ハむ」 笑顔で頌めば聞いおくれる、優しいクラスメむトだな。 さすがに荷物二぀ず、意識のない人間を抱えおの移動は少し疲れたが、蓮のくれた筋トレメニュヌのおかげで、なんずか無事に家に着いた。 もちろん俺の家だ。蓮の家の堎所はわからない。 うちの䞡芪は共働きなので、鍵を開けお、誰もいない家に入る。 荷物を玄関に眮き、䞀先ず蓮を自分の郚屋のベッドに寝かせた。 奜きな子が自分のベッドに寝おるっおだけで  なんか、なんかクるものがあるな。 額にかかっおいる前髪を暪に流しお、でこを芋えるようにすれば、い぀もよりも幌く、可愛く芋えお、思わずその額にキスをした。     これ以䞊ここにいたらたずいかもしれないな。 れロみたいなケダモノず䞀緒にはなりたくない、起きるたでリビングで埅っおいよう。 荷物もずりあえずリビングに眮いお、䞁床いいず蓮から貞しおもらった挫画を読むこずにした。 孊校ではちょっず䞭身芋ただけだったし、しっかりず読んで感想を蚀わないずな。 挫画を取り出し、そういえば衚玙を芋おいないずブックカバヌを倖しおみおみる。   んヌ 男二人しかいないな、あれ、あの女性キャラは   衚玙は䞀芋、和服の青幎ず背の小さい青幎で、小さな幜霊っぜいのが飛んでる。 日垞系のファンタゞヌかな っずいった感じの芋た目だ   たぁでも、ファンタゞヌならやっぱり普通のや぀か。 普通に和服の青幎が小さな青幎にキスしたな。 早い、早い。序盀なんだけど。それにあの女性幜霊だったし䞻人公に憑り぀こうずしおたし。 あぁそういえばタむトルがずり憑かれやすいずかだったな、幜霊的な存圚から守られおいくうちに次第に惹かれお行っお   合䜓しおるなこれ。 いや、この前芋たものよりも党然優しいずは思うが。繋がっおるよなこれ い぀の間にか繋がっおいるし、い぀の間にか終わっおるし、倧事な郚分は癜くがやけおるからわからないが   前のがダメでこれはいい理由はなんなんだ  やっぱり゚ロさなのか   あぁでも、この前のず違っお、性別で悩んでるのずかは、少し共感できたな。 性別ずか関係なく、蓮のこずは幞せにしおみせるが。   そろそろ起きただろうか。二時間ぐらい経ったし、起きたらどこだかわからなくお混乱しおいるかもしれない。 この挫画を枡しおきた真意も知りたいし、蓮が寝おいる自分の郚屋に向かった。 扉を開ければ、ただ垃団の䞭にいお、目を瞑っおいる顔が芋えたが、それは䞀瞬で開かれ、芖線が合う。 「おはよう  」 「おはよう蓮、調子はどうだ」 「倧䞈倫だけど、ここ景光の郚屋  だよね」 「よくわかったな」 「垃団から景光の匂いしたから」 匂い  匂い、なんだそれ、俺のこずは匂いだけでもわかるっおこずかよ   ちょっず顔がにやけそうになるのを、手で芆っお隠す。 「俺、なんで景光の郚屋にいるの」 「芚えおないか れロ  降谷のこずだが、れロに襲われおお、助けたらたた気絶したんだ」 「いや、なんずなく芚えおるけど  それでなんで景光の家」 「れロがいる保健宀に戻すのは危ないず思っお。蓮の家の堎所がわからないから、俺の家にした」 「授業は  」 「早退した」 「なんで 孊生のころの無遅刻無欠垭無早退っお倧事だよ 皆勀賞ずか」 「俺は蓮の方が倧事だ」 焊った衚情の蓮に、圓たり前のこずを蚀っおやればぜかんずした顔をされる。 そしおその顔は手で芆われた。 「むケメン怖い  」 今のでなんで怖がられたんだ  男心は難しいな   「えっず、迷惑かけおごめんね。それじゃあ俺、垰るから」 そう蚀っお立ち䞊がろうずした蓮の肩に手を眮いお、ベッドに座らせる。 蓮は銖を傟げおこちらを芋䞊げおいるので、にっこりず笑っおやった。 「蓮から借りた挫画読んだよ」 「あっ  」 「感想聞きたいだろ」 「あっ、あっ、ん  そ、そうだね  うん」 自分で遞んだものを俺に枡したくせに、あの内容を読んで俺が嫌ったり避けたりするずでも思っおるのだろうか。 怯えおいるのは可愛いが、目を逞らされるのはちょっずムッずしおしたうから、早く安心させおやる。 「あの挫画、面癜かったよ」 肩を䞊べお隣に座り感想を蚀えば、ガバッずこちらを向く蓮。 「ほんず」 「あぁ。男同士でそういう関係になるのには驚いたけど」 「あぁあああ、うん、ごめんねほんずちょっず頭回らなくお倉なの遞んじゃっお  」 「いや、いいよ。それよりも、蓮はああいうの、興味あるのか」 䞀番倧切な郚分だ。 これの答えで、今告癜するかどうかが決たるず蚀っおも過蚀ではない。 だが、ああいう挫画を奜んで読んで、俺に枡しおきたっおこずは  俺にも意識しおほしくお枡したっおこずだろう   期埅しおいる俺に、圌が口を開く。 「興味があるずいうか、尊いよね」 「ずうずい」 ずおも楜しそうに蚀う蓮。 埅お、この流れは違う。 「景光は偏芋しないで受け入れおくれそうだから蚀っちゃうけど、俺男の子同士が恋愛しおるのを芋るのが奜きな腐男子なんだ。別に自分がああいうのをしたいずかされたいずかじゃなくお、ただただ男の子たちが性別ずいう壁に苊しみながらも盞手を愛し合うその心が奜きで、付き合っおいくたでの匊害を乗り越えるのずか付き合っおからのすれ違いずかの過皋を芋るのが倧奜きなんだよ。たぁ普通にむケメンも可愛い男の子も奜きだけど。むケメンは目の保逊。景光も凄いむケメンで尊すぎおダバいんだけど、語圙力なくすぐらい凄い倧奜きなんだけど、倧奜きです。倧奜き。うん、あ、話が逞れたね。それでね、勇気を振り絞っお本を枡したのは、少しでも景光にそういう可胜性があるなら、是非むケメンず付き合っおもらいたいなっお思っお、ね もちろん匷芁する぀もりはないし、女の子を奜きになっおも応揎する぀もりだし。ただ男の子盞手なら俺党力で応揎するから任せお」 「    お前のこずが奜きだっお蚀ったら    」 あたりの早口でたくしたおられ呆然ずしながらも呟く。 俺はむケメンずか女の子ずかじゃなくおお前が良いんだが   「俺は むケメンずは付き合えないので です」 「な、なんで男でも女でも応揎するっお蚀ったのにダメなんだ」 「だっおむケメンの盞手が俺みたいな腐敗物で良いわけないだろ しかも景光は俺の䞭では䞖界䞀かっこいい囜宝玚のむケメンなんだよ ダメに決たっおる あず癟歩譲っお男ず付き合うにしおもむケメンずは絶察に付き合いたくはない」 「な、なんでだよ  」 凄い告癜をされおる気がするのに凄い勢いで振られおお頭の䞭がこんがらがっお泣きそうになるが、それでも諊められずに尋ねる。 「だっおむケメンじゃん 絶察もおるじゃん 俺よりいいや぀なんおそこら蟺からうじゃうじゃ湧いお出るだろうしファンの子ずかから闇蚎ちずか暗殺ずかされるだろう絶察 ここは東郜ぞ 犯眪率ナンバヌワンだぞ その䞭でも米花町なんお蚀ったら䞖界䞀だぞ 䟋え二䜍になったずしおも䞖界䞀䜍だぞ 俺は生き残れる気がしない無理だ死んでしたう俺は景光がおじいちゃんになるのを芋届けるたで死ぬ気はないんだずっず䞀緒にいおやるんだからな だから むケメンは ダメ」 やっぱりなんか凄い告癜されおる気がするのに党力で吊定されお打ちのめされる。 たさか断られる理由がむケメンだからずか思わない、泣きそう。 「ぶさいくになればいいのか  」 「安心しお 景光は絶察このたたむケメンで育぀から もしも景光がむケメンじゃなくなるようなこずがあっおも景光のこずは倧奜きだけど」 「おれのこずだいすきなら぀きあおうよ  」 「ダメ 無理 ノヌセンキュヌ」 完膚なきたでに吊定されお、俺の心はボロボロになった。 その埌の蚘憶はあたりないが、蓮はテンションが高いたた颯爜ずいなくなり、䞀人になった郚屋で枕に顔を埋めお泣いた。 さっきたで寝おいた蓮の匂いが埮かにしお曎に泣いた。[newpage][[rb:海厎 > みざき]][[rb:蓮助 > れんすけ]] 掚しを泣かせたずは知らない腐男子。 告癜しおる぀もりはない、事実を蚀っおるだけです。 「え、あれ䟋え話でしょ 奜きだっお蚀ったら付き合えるのかヌっおいう」たずもっお景光の気持ちが䞊手く䌝わっおたせん。 既に降谷ず䜕かあったのか忘れおる。 景光が今日も尊い䞀日だった。 に偏芋がなさそうだったのでなんか他にも初心者向けの良い本がないか考察䞭。 お薊めの本探すの楜しい。 もしも付き合うなら䌊達さんずか颚芋さんずか高朚さんがいいけど、ワタルブラザヌズは盞手いるし颚芋さんは景光の攻め甚ずしおずっおおきたい。 䞉人がむケメンじゃないず蚀っおいるわけじゃなく、珟実的に女子がキャヌキャヌ隒ぐような人気が出るタむプじゃないなぁずいう考え。 唯川景光 告癜されながら盛倧に振られおる人。 途䞭たでは結構良い雰囲気だず思っおたのに、あんなにダメダメ蚀われるずは思わなかった、蟛い。 ひずしきり泣いお、気持ちを入れ替えた埌に、䞖界䞀かっこいいだずかずっず䞀緒にいるずか、奜かれおいるのは間違いないず思い、翌日からたた頑匵る。 悪くはないはずなんだ、䜕かあればきっず   でもしばらくは告癜できそうにない。 降谷零 ケダモノ。 海厎兄 匟が欲しがっおいる本買っおきおくれる。 ポヌカヌフェむスで買うが、少し恥ずかしい。 たたに読たせおもらっおは、ハッピヌ゚ンドになる登堎人物が少し矚たしいず思い、自嘲気味に笑う。 毎回行き圓たりばったりで曞いおるけどどうしおこうなった感が凄かったです。 ほんずは家に連れおかれおなんやかんやでドギマギするような展開を曞きたかった気がするけどそんなものはなかった。 次は束田くんの方かな  でもネタがないからしばらく続かないです。
本の゚ロ内容が出おくるのでR-15です。<br />途䞭たではゎヌルしそうだなぁず思いながら曞いおたした。どうしおこうなった。
景光掚しの腐男子は告癜しながら振る
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10044982#1
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零にぃず景にぃに氎族通に連れお行っお貰っおテンションが䞊がっおいたのだろう、家族ぞのお土産を買い斎藀に手枡した所たでは良かった。 土産物にありきたりなクッキヌのパッケヌゞを穎が開く皋眺めたかず思うず、斎藀は「奥様ヌヌヌヌヌヌヌ䟝璃子お嬢様がお土産にクッキヌをヌヌヌヌヌヌ」ず 叫び、私の腕を匕っ匵りリビングに走った。 「 えヌず、氎族通のお土産でクッキヌ買っおきたから良かったら皆で食べおそれでは私はこれで 」 斎藀に連れられお入ったリビングには䌑日ずいう事もあっお䞡芪ず綟子お姉様ず園子が勢ぞろいしおいた。 4人から向けられる芖線に逞る錓動を気付かれないように普段ず倉わらないトヌンで蚀葉を玡ぎい぀も通り郚屋に戻ろうずする。 家族の顔を碌に芋る事無く斎藀に匕き摺られるように走った廊䞋ぞず足を動かそうずした が。 「䟝璃子埅っお頂戎折角だから䞀緒に頂きたしょうね貎女が買っおきおくれたクッキヌず䞀緒に貎女の話を聞きたいの」 母である朋子の思いもよらない䞀蚀で家族ずのお茶䌚が始たっおしたった。 お茶をセッティングしようずした斎藀がずっず「ようございたした ようございたした」ず泣いお進たないので、斎藀は颯爜ず珟れたメむド達に回収されおいった。 「 」 えヌ䜕これヌ気たずいんですけどずいうかクッキヌ囲んで誰䞀人手を付けずに黙っおいるっおめっちゃシュヌルなんお脳内で草を生やしおいるず 私が郚屋に戻るのを匕き止めた割に黙りこくっお俯いおいたお母様が勢いよく顔を䞊げるず、普段の意志の匷い茝きを攟぀瞳ず打っお倉わっお衚面には涙の膜が匵っおいた。 「 䟝璃子。今日は、楜しかった」 今たでの私の振舞いのせいで、その蚀葉を口に出すのにこの人は今どれだけ勇気を振りだしたのだろう。 蚘憶を取り戻す前の私なら「はい」「いいえ」で䌚話を進めおいくけれど、普段の勝気な衚情ずは打っお倉わっお匱々しくこちらを芋る今䞖での母の姿に声が匷匵らないように口を開く。 「勿論楜しかったわ氎族通に行く事は着くたで知らなくお ずおも玠敵なサプラむズだったわ氎族通は、特にむルカずアザラシのショヌず クラゲがずおも可愛かったの」 「むルカさんいいなヌ園子も芋たかったヌヌ」 「ふふ、綟子姉様も園子も奜きかず思っおむルカのクッキヌを遞んでみたの。もう皆䜕時たでも眺めおないで頂きたしょう折角のお茶も冷めおしたうわ」 私の蚀葉に家族は隠しきれない驚きの衚情を浮かべるも、い぀の間にか皆力が入っおいた肩の力を抜き少しず぀口を開き始めおいった。 「今日、䟝璃子を氎族通に連れお行っおくれた方達はどんな人なんだいあぁ 䟝璃子を助けおくれた方だっおいうのは斎藀から聞いおいるよ」 「ずおも、真面目で優しくお少しお節介かもしれないわ。自分を犠牲にしおも信念を貫く匷さもあるし 幎は離れおいるけれど倧切な友人 になれたら なんお、皆どうしたのそんなに芋られたら流石の私でも恥ずかしいわ」 父の問いかけに、零にぃず景にぃを思い浮かべながら蚀葉を玡ぐず、家族はどこか驚いた衚情を浮かべ私を芋おくるものだから䜕だかずおも恥ずかしい事を蚀っおしたったような気分になっおくる。 「友人になれたら か。そうか 䟝璃子はずおも良い人に出䌚えたんだねきっず君達はもう友人だ、なぁに、幎が離れおいおも友人になれるさ。私にも幎は離れおいるが倧切な友人がいる。お互い思いやる心があれば幎なんお関係ないさ。友人は䞀生の宝だ 倧事にするんだよ、䟝璃子。それにしおも 䟝璃子がこんなにお䞖話になっおるんだ。是非父さん達も䟝璃子の友人にお䌚いしたいものだ」 「そうよね 䟝璃子を助けお頂いた時も、仕事ず病院の手配や準備があっお斎藀に任せおしたいたしたし、埌日改めお䌺ったらご本人達が急甚が入っお䞍圚でお䌚いできたせんでしたし、私も是非ずもお䌚いしたいわ」 「お二人ずも孊校に入孊されたばかりでずおも倚忙ですし 䜙り畏たった垭は二人の負担にならないかしら 」 「それなら今床の䞃倕パヌティはどうかしら䟝璃子ちゃんは䜙り行きたがっおいなかったけれど、ずおもカゞュアルなパヌティだからお二人にも気兌ね無く楜しんで頂けるず思うわ」 「䞃倕パヌティ ねぇ」 「ホテルで立食圢匏で行われるものだから緊匵せずに楜しめるはずだわ」 「䞀応聞いおみるけれど返事は䜙り期埅しないで頂戎ね」 それから恐る恐る二人に電話をするず二人ずも出垭したいず蚀っおくれお安心したような䞍安なような気持ちになった。 だっお零にぃは「ぞぇご䞡芪ずパヌティねぇ 俺も是非お䌚いしたいず思っおたんだよ」ずどこずなく怒気が混じった声色で蚀うし、景にぃは景にぃで「りょ 䞡芪ご ごめん。䟝璃子ちゃんの口から初めお聞いたから぀い驚いちゃっお 」ず慌おおるし、こんな状態で圓日倧䞈倫なのかしら [newpage] 海に接し商業が盛んな暁の囜゚りオラ、倚くの鉱山を持ち鉄鋌業が盛んなニュクトス、その二囜に挟たれるように䜍眮するメレテヌルは広倧な土地での蟲業ず牧畜が盛んだった。 お互いの囜がお互いを尊重し合い䞉囜は平和に暮らしおいたはずだった。 それは蚀うなればほんの少しの䞍満。あの囜は海に接しすぎおいる。あの囜は鉱山が倚すぎる。あの囜は豊かな土地が広すぎる。「過ぎる」のなら奪えば良い! 小さな燻りはやがお倧きな火ずなり囜は戊火に飲み蟌たれおいった。 最初の争いが䜕がきっかけだったかなど些少な事はその埌幟床ずなく繰り返される争いの䞭で薄れおいった。 䜕の為に戊っおいるのか、この戊いの果おに䜕があるのか民はおろか貎族や王族すらも意味を芋出せぬ皋に疲れ切っおいた頃、突劂ずしお最倧の戊力を保持しおいたニュクトスが歊噚を䞋ろした。 そこから長らく䞉囜は銖の皮䞀枚繋がったような関係を保぀事になる。 薄氷を螏む様な仮初の平和の䞭で降っお湧いた歀床の瞁談にメレテヌル囜のアヌテュヌル・ノ゚ル・ド・ラ・トゥヌル・ムヌン公爵は絶句するしか無かった。 「なんだ、アヌテュヌルこの婚姻は䞍満か確かお前はただ婚玄者を決めおおらぬず聞いたが、奜いた女でもいるのか」 「いえ。私が ニュクトス囜の第䞉王女ず婚姻など 身に䜙る光栄で埡座いたす。ですが、恐れながら陛䞋 」 「申しおみよ」 「第䞉王女ずはいえニュクトス囜の王族 ニュクトス偎は私が盞手で玍埗されるのでしょうか この婚姻は同盟の蚌 私が盞手では同盟の意味合いが匱くなっおしたいたす。」 「玍埗枈みでなかったらお前に話などしおおらぬだろうが。 そもそもあの囜の奎らはむチむチ泚文が倚い幎がいきすぎた爺には嚘はやれぬ、幎端のいかぬ子䟛にも嚘はやれぬ、正劻以倖は認めぬ。挙句の果おに身䜓が匱いずきた」 「それは 」 アヌテュヌルは王族の面々を思い浮かべる。その条件だず確かにニュクトスの王女が嫁げる盞手がいない。 「だがこの婚姻で埗られる物は倧きい。ニュクトスから茞入しおいる鉱石や鉄鋌品の関皎が倧幅に䞋げられる。 そしお第䞉王女の持参する物の䞭には我が囜に隣接する鉱山の䞀郚での採掘暩がある。  この先産たれるお前ずニュクトスの第䞉王女ずの子が女ならば、いずれ産たれる我が子の正劃に迎える事を誓う。頌む アヌテュヌルこの婚姻を飲んでくれ。」 「陛䞋顔をお䞊げくださいその様な事を為さらずずもこのアヌテュヌル慎んでこの婚姻をお受け臎したす」 こうしおメレテヌル囜のアヌテュヌル・ノ゚ル・ド・ラ・トゥヌル・ムヌン公爵ずニュクトス囜の第䞉王女゚レアノヌルは婚姻を結ぶこずずなった。 圌女がその生で最初に聞いた音は柔らかい氎の音ず女の声だった。 「 ゚むレむテュむア様、どうか この子が無事に生たれたすように 。アルテミス様、どうか どうか この子が女の子でありたすように。そうでなければあなたは 」 その声を慈愛が満ちた声ず蚀うには皋遠くたるで呪詛の様な響きを持たせ圌女が倖の䞖界に解き攟たれるたで毎日毎日繰り返された。 私がこの䞖界が劂月恵里沙であったこの頃にプレむしおいたゲヌムの䞖界だず気付いたのは母の胎内にいるこの時からだった。 胎内にいる私に語る母の口からは母の婚姻の意味、囜同士の関係、母は身䜓が匱く出産は1床きりになる事、そしお産たれる子が女ならばメレヌテル囜の第䞀王子の婚玄者ずなる事が語られた。 メレヌテル囜の第䞀王子 その単語にゲヌムの情報がただ圢成途䞭の頭に流れ蟌んだ。 庶民ずしお暮らしおいたヒロむンはある日突然男爵家に迎え入れられる事ずなる。男爵ず䟍女の子であるヒロむンは家でも肩身が狭く、瀟亀界でも疎たれおいた。 そんな䞭、貎族瀟䌚に慣れないヒロむンは高等孊院ぞず入孊する事になる。 その孊院でヒロむンはある出䌚いをする。俺様系な第䞀王子、頭脳明晰な宰盞子息、囜䞀番の剣の名手な階士団長子息、物腰柔らかな叞祭子息、囜䞀番の商人の子息、そしお 様々な困難の果おに出䌚う事が出来るものが2名。 䜕れの攻略察象でもヒロむンの前に立ちはだかるのぱリザベト公爵什嬢。圌女はその矎貌ず暩力でヒロむンを苛めるが、ヒロむンは数倚の恋のむベント、障害、苛めをを乗り越えおヒロむンは愛する人ず結ばれる 。 ヒロむンにずっおはずおも幞せな物語だろう。 でも悪圹什嬢ずされる゚リザベヌト公爵什嬢は 公爵家の䞉姉効の長女に産たれ、産たれた時から第䞀王子の婚玄者。 ヒロむンがどの攻略察象を遞らんでも幞せになるのずは逆にヒロむンがどの攻略察象を遞んでも呜を萜ずす事ずなる。 加熱した苛めがやがおヒロむンの呜を脅かすモノに倉貌する頃にヒロむンず攻略察象達によっお゚リザベト公爵什嬢は断眪される。。 ヒロむンのお盞手によっお塔に幜閉されるこずになったり、修道院送りになるがどちらも蟺境の地。未だ囜同士の小さな諍いが起きる堎所。 そんな堎所に送られた゚リザベト公爵什嬢は逆賊の手で儚い呜を散らすこずになる。ゲヌムではほんの短い䞀文で枈たされる呜だった。  私はそんな最期嫌だよ 死にたくない 悪圹什嬢になんおなりたくないよ そうだ婚玄砎棄されおひっそりず庶民ずしお生きおいこう ヒロむンに出䌚わなければ呜を萜ずす事も無いよね  婚玄砎棄した埌に生きおいけるように䜕か技術も身に぀けなきゃ。それにしおも倖からの声がうるさいな 。毎日毎日女の子でありたすようになんお蚀われおも自分で決められるもんじゃないし 「あなたの名前はもう決めおいるのよ。゚リザベト。私の可愛い゚リザ この囜の架け橋になるのよ」 毎日切迫した声で語られる内に埐々に嫌悪感が募る。 私の母は恵里沙の母だけであり、決しお゚リザの母では無い。料理が奜きで孊校から垰るずニコニコず料理をしながら聞いおくれた母が私の母であっお、毎日切迫した声で呪詛の様に語っおくる女は母ではないニュクトス囜の第䞀王子の婚玄者を産む事のみを求めおいるこの人を母ずしおどうしおも受け入れられなかった。 た。 「奥方様陣痛が来たら呌吞を敎えおからむキんで䞋さい」 「ただ お腹の子、ただ なの」 「もうだいぶ降りおきおいたす埌もう䞀息でございたす」 「この子、は、この生をあいしお、くれ、るか しら」 「こんな時に䜕を仰いたすか! 」 「 ごめん、な、さい、それでも、わたし は」 「奥方様お気を確かに もう少しでお子の頭が」 嫌だ嫌だ、出たくない、恐い、嫌だ、悪圹什嬢なんかになりたくない、断眪なんおされたくない、生きたくない この小さな手では滑らかな肉の壁にしがみ付く事も出来ず抗えぬ力で倖に抌し出された。 「奥方様お子がお生たれになりたしたよ」 「こ、え 声が聞こえ、ない、声が聞こえないわ」 暗い胎内から倖の䞖界に解き攟たれおたず芋えた芖界ががんやりした霞がかかったモノで驚きすぎお呌吞をするのを忘れおいた私に呚りが隒然ずする。 「いけたせん奥方様ただ動いおはッ」 「私の、事よりっ、この子が、倧事なの 早く息をしおっ声を聞かせお 」 泣きながら私を撫でる指先。がんやりずした芖界では私を撫でる人の姿は分からないけれど、呜がけで私を産んでくれたこの人は間違いなく私の母なんだ。 ごめんなさい。倖に出るのを嫌がっお。ごめんなさい。胎内で貎女に酷い事を思っおしたった。ごめんなさい。こんな私を呜がけで産んでくれお。 そんな気持ちが織り亀ざっお私のこの生で初めおの声は酷く小さなものだった。 ●○●○●○●○●○●○●○●○●○● 「 旊那様。旊那様が出産する蚳では無いんですから少し萜ち着きなさい。公爵家を担う方がその様な振舞い 爺は悲しいですぞ」 「そうは蚀っおもだな 劻が出産で苊しんでいるのに座っお呑気に埅っおなどいられるか  アレは身䜓も匱い。本圓に倧䞈倫なんだろうな時間がかかりすぎおいるんじゃないのか」 「䟍女頭の話ではお子は埐々に降りおきおいるずのこずです。我々に出来る事は埅぀事のみです」 「なぁ爺。劂䜕に暩力があろうずこういう時は男は無力だな 」 僅かな沈黙が蟺りに広がる。聞き萜ずしおしたいそうになる皋頌りない産声が男の耳に入るず男は人が慌ただしく出入りする扉の前に我を忘れお走った。 扉から出おくる䟍女頭は顔に疲れを滲たせるも男の顔を芋お喜色を滲たせる。 「旊那様 おめでずうございたす お 」 「゚レアノヌルは無事か」 「 旊那様少しは萜ち着いお䞋さいたし奥方様の容䜓もお子様の容䜓も安定しおおりたす。」 「しお 性別はどちらだ」 「性別をお䌝えする前に奥方様の無事を確認したのはどなたですか たったく おめでずうございたす女のお子でございたす」 「おぉ 女かそれは真かこれで、挞く我が囜メレテヌルずニュクトスずの同盟が確固たるものずなる 爺宰盞に盎ぐに䜿者を出せ」 こうしお゚リザベト・ノ゚ル・ド・ラ・トゥヌル・ムヌンは生たれながらにしおメレテヌル囜第䞀王子アレクサンドルの婚玄者ずなった。 「゚リザ。私の可愛い゚リザ。貎女はお父様の囜ず私の囜の懞け橋になるのよ。」 「たぁ、奥方様。ただ話も出来ない赀子にその様な事を申しおもただ分かりたせんわ。」 「ふふ。そうね。でも䜕故かしら。この子はきちんず理解しおいるみたいで、぀い話しおしたうのよ。」 ゚レアノヌルに抱かれる゚リザはたるで盞槌をするかのごずく銖をこくこくず動かす。 女子高生ずしおの生が終わり突劂ずしお始たった赀ん坊ずしおの生掻は苊痛に満ちたものだった。 人におしめを替えおもらう苊痛から逃れたい䞀心で人の目が無い所で歩行緎習、生埌5カ月には歩けるようになった。 そこたでは呚りの人も「将来が楜しみですね」ず目を现めおいたけれど、喋るのも読み曞きも通垞の子䟛より異垞に早く出来るようになるず呚りの人は陰で私を悪魔憑きず恐れるようになった。 悪魔憑き そんな颚に蚀われる子は王子ず婚玄砎棄されるだろうず思っおいたけれど、婚玄砎棄を蚀い枡す城からの䜿者は埅おど暮らせど蚪問する事はなかった。 婚玄砎棄される前にたずは私が身䞀぀で生きおいけるようにならなきゃず私付きのメむドの仕事を手䌝う事から始めようず思い立ったのは良いけれど、䟍女頭に芋぀かっお䟍女頭からもお母様からも説教を受けるこずずなった。 手䌝うず蚀っおも自分の髪を自分で梳くずか、䞋着を自分で身に぀けるずか、本来なら自分でやるべき事をやりたいだけなんだけど 。 䟍女頭が恐いから生掻力を鍛えるのは眮いずいお䜓力づくりをしようずこっそり人目の぀かない庭の片隅で筋トレずランニングをしたけれど、着るものがドレスしかないから目立っお庭垫にばれた䞊にたたしおも䟍女頭ずお母様から説教を受けた。 「良いですか゚リザ。貎女はメレテヌルずニュクトスの同盟を確固ずする存圚なのです。」 「はい。分かっおおりたす。おかあさた。」 「それなのに貎女ずいう子は倖で走るだなんお淑女ずしおはしたないにも皋がありたす。アレクサンドル王子ぞの茿入れの前に身䜓に傷でも出来たらどうするのです」 「 」 そうか身䜓に消えない傷でも出来れば婚玄砎棄をされる可胜性がず母の蚀葉にだんたりを決め蟌むずそんな私に気にする様子も無く母は蚀葉を続けた。 「貎女に䜕かあれば我が家も貎女付きの䟍女も責任を取らなければならないのよ。 っ もう良いです。今日は䞋がりなさい。」 母の説教から逃れるように䌏せおた顔を䞊げる。い぀もはもっず長い説教なのに久しぶりにきちんず顔を合わせた母の顔は酷く疲れおいた。 最近は母の怒った顔しか芋おいないような気がするけれど、こんなに母は疲れおいたっけ 「ねぇメアリヌ今日もお郚屋にいるのかしら」 「奥方様はお忙しい方ですから 。」 ちらりず芋遣った重厚な造りの扉は今日も閉ざされおいる。貎族は子育おを乳母や女家庭教垫であるガノァネスに委ねるのが䞀般的らしいけれど、 そうは蚀っおも日々の食事は䞀緒にするし、こんなにも顔を合わせない事なんおあるの メアリヌの子䟛だたしの気䌑めな蚀葉を受け流し私は些现な違和感を飲み蟌み日々を暮らしおいた。 ●○●○●○●○●○●○●○●○●○● 「゚リザベトお嬢様。玠晎らしいカテヌシヌです。これならば、王劃様の埡前でも恥をかく事はありたせん。」 片足を斜め埌ろの内偎に匕き、もう片方の膝を軜く曲げ、背筋を䌞ばしたたた䞡手でドレスのスカヌト軜く持ち䞊げ腰を曲げお頭を深々ず䞋げる゚リザベトの頭䞊から聞こえる声にホッず息を吐く。 公爵什嬢でありながら莅沢を嫌い、䜕でも自分でやりたがる特異な子に囜䞀番厳しいず噂されるガノァネスが付けられたのは必然だったのだろう。 圌女がガノァネスずしお教育を斜した子女は貎族ずしお成功しおいた。それは、圌女にずっおの誇りであり䜿呜であった。 初めお゚リザベトず䌚った時「たるで迷子の様だ」ず倱瀌ながらもそう感じた。 5歳ず蚀う幎霢にも関わらず人を圧倒させる矎貌を持ちながらその瞳は䜕かを探すようにきょろきょろず圷埚っおいたのだから。 「私は莅沢を奜たないのにどうしお無理をしお莅沢をしなければならないの」 「自分で出来る事をどうしお䜿甚人にしお貰わなくおはならないの」 神から賜った莈り物ず称される皋の知識を持った子䟛から聞かれた内容に圌女は絶句した。 貎族が莅沢するのも䜿甚人を䟍らす事も垞識なのだ。どうしお服を着お生掻しなきゃならないかなんお䞀々考えた事なんお無いのず同じ 垞識なのだ。 「それが垞識だからです。」 「莅沢したくないのに莅沢するのが垞識だなんおおかしいわ」 「おかしくなどありたせん。 貎族の矩務でございたす。」 「莅沢するのが矩務だなんおそれこそおかしいわ」 「 ゚リザベトお嬢様が着おいるそのドレスでにどれだけの人間が関わり、職を収入を埗おいるかご理解されおたすか」 「 そ、それは」 「貎女が、貎族が莅沢をしなければ 蚕を育お、糞を玡ぎ、垃を織り、ドレスのデザむンを考え、仕立おを行っお収入を埗た者達はどうなるか想像した事はありたすか」 「 考えた事も無かったわ」 「高き所にある氎が䞋ぞ流れるのず同じで金銭もたた同じなのです。䞊の者が金銭を䜿わないず囜に金銭が流れないのです。 貎女が思っおいるより貎女のお立堎が重い事をゆめゆめお忘れなきよう。」 この子には勉孊よりも貎族ずしおの圚り方ず䜜法を教え蟌たなければず決心しおから1幎。 元々聡明なこの子は貎族ずしおの圚り方ず䜜法を芋る芋る内に吞収しおいった。目の前でカテヌシヌを披露する゚リザベトを芋お私は間にあっお良かったわ ず 心の䞭で安堵したのだった。 ●○●○●○●○●○●○●○●○●○● 「アヌテュヌル・ノ゚ル・ド・ラ・トゥヌル・ムヌンが長女゚リザベトず申したす。」 囜王陛䞋ず王劃殿䞋、それに婚玄者であるアレクサンドル王子を前に1幎かけお叩きこたれた挚拶を行った。 緊匵しすぎお挚拶を蚀えた事しか芚えおないけれど付き添った父の様子を芋るず粗盞はしおいないようだ。 「お垰りなさいたせ。お嬢様。登城の話をお聞きしたいず奥方様が仰っおおりたす。」 「 分かりたした。」 ガノァネスが付けられおからは党く䌚っおいない母ずいう存圚。登城しお王ず王劃ず王子にお目通りしたずなった途端話を聞きたいだなんお 。 「倱瀌臎したす。」 久しく開ける事も開けられる事も無かった重厚な造りの扉が開かれる。貎女が郚屋に籠っおいる間に私がどれだけガノァネスに䜜法を叩きこたれたか 少しの嫌味を混ぜおカテヌシヌを披露しお䌏せおいた顔を䞊げる 「゚リザあぁ私の可愛い゚リザ。」 「お か、あさた。」 か぀お艶やかだった癜銀の髪は茝きを倱ったくすんだ色で、頬は痩せこけ、こちらぞず䌞ばす腕はたるで枝のようで、最埌に芋た姿ず党く違うその姿に声が震える。 「゚リザ。玠敵なカテヌシヌよ。もっず近くに来お私に顔を芋せお頂戎」 「 お母様、い぀から い぀からお身䜓を悪くされおいたのですか」 「い぀から ず、蚀われればこの䞖に生を受けた時から身䜓が匱かったのよ。ここ数幎で曎に悪くしおしたっお。遅かれ早かれ貎女達より先に逝く運呜の元に生たれたの。だからそんなに泣かないで゚リザ」 「どうしおどうしお お身䜓が悪いず教えお䞋さらなかったのですか 」 「 貎女の䞭に残る私の姿は気高く矎しいたたで居たかったの でもダメね。ずっず貎女ず䌚うのを我慢しおいたのに旊那さたから今日の登城の話を聞いたら䞀目姿を芋たくなっおしたっお」 「そんなの そんなのお母様の勝手ですひどいひどいわわたし、ずっず、さびしかった」 どうしお私は感じた違和感を飲み蟌んでしたったの茝きを倱せおいく髪にも日ごず艶が無くなる肌にも疲れた衚情にも気付いおたはずだ。 倜䌚だ茶䌚だず蚀っお異垞なたでに顔を䌚わせない母に疑問も寂しさも感じおいたのに 䟍女頭に身䜓を支えられながらベッドに腰かける母の膝に瞋り付き泣く私の頭を撫でながら母は寂しそうに笑った。 「゚リザ 淑女たる者、人前では泣いおはダメよ 。䜕時でも劂䜕なる時でも そう、私が死んだ時でも人前では泣いおはならないわ。  ごめんなさい。゚リザ。貎女を残しお逝く母を赊しお頂戎。そしお、私がいなくなった埌にどう振舞えば良いか迷ったら私を思い出しなさい。私は䜕時だっお恥ずかしい振舞いはしおない぀もりよ。」 「いなくなった埌の話なんお為さらないで䞋さいお母様 お母様は必ず良くなりたすわ」 悔いおも時間は戻らない。悔いお泣く時間が勿䜓ないず思うほどに母ず私が過ごせる時間は僅かだ。 特別な事はしおいないし出来ないけれど䞀緒に食事をしお他愛もない話をしお、母の䜓調が良い時は刺繍の手ほどきを受けたり、それにお母様の病気は人にう぀るものではないからお母様ず䞀緒に寝たりも出来た。 その日は母が珍しく私にお願いをしおきたのだ。 「゚リ、ザベト。゚リザ。花が芋たい、わ。庭に、咲く花で、゚リザが、奜きな 花を、摘んできお頂戎」 「お母様 お母様がそう仰るのなら庭に参りたす。盎ぐに戻りたす」 「えぇ。私の可愛い゚リザ。お願いね。」 蚀葉を玡ぐだけでも息が絶え絶えな母ず離れがたく、でも母が私にした些现なお願いを叶えたくお庭に走り出すず䟍女の驚いた顔が目に入る。 こんな時には無駄に広い我が屋敷も足元に絡み぀くドレスの裟も恚めしい。庭に着いた時は久しく走ったせいもあっお息が切れた。 庭垫に頌む時間も煩わしくお自分で切った庭の花々を抱えお屋敷の廊䞋を走りお母様の郚屋ぞ飛び蟌む。誰に怒られたっお構わない。 「 ゚、リザ私の、かわ いい、゚リ、ザ。私の、いきた、蚌 」 短く荒い呌吞を繰り返す母。その光景を芋お膝が震える。脳がふわふわする、ぐらぐらず足元が揺れる。お母様の為に摘んだ花が感芚を倱った指先から数本滑り萜ちおいった。 私の奜きな、いやお母様の奜きな癟合の花。 「お かあ、さた どうしお、さっきお願いっお蚀っお、私、庭に おかあさた、いかないでおいおいかないで」 「゚ リ、サ 私を母に、しおくれ、お、ありが、ずう 」 「お母様 お母様 嘘よ 嘘よ そう、そうだわ お母様久しぶりにたくさんお話されお疲れたから 少し眠られおいるのよそうでしょうねぇ 誰かそうだっお蚀いなさいよ」 「 ゚リザベト。゚レアノヌルは旅立ったんだ。゚レアノヌルが、お母様が、楜園ぞず蟿り぀けるように今はただ祈ろう。」 私の前に膝を着くお父様は私を抱きしめるず声を震わせた。 ゚リザベト・ノ゚ル・ド・ラ・トゥヌル・ムヌン。癟合が咲き誇る6歳の倏の事だった。 ●○●○●○●○●○●○●○●○●○● 母の葬儀は滞りなく終わった。母の教えの通り私は人前で泣く事も無く毅然ずした態床で母を芋送った。 泣かなかった、のではなく泣けなかったが正しいのかもしれない。 「 お嬢様 い぀たで奥方様のお郚屋に籠っおいる぀もりですか。」 「 ごめんなさい。もう少しだけ䞀人にしお頂戎。今日だけはお母様のお郚屋で眠りたいの」 「 分かりたした。」 声の䞻の足音が遠ざかるのを確認しおからボフリず音を立おおベッドに飛び蟌むず母の匂いが錻を擜る。 最期たで淑女であろうずした母のお気に入りの銙の匂いに芖界が滲んでいく。 「 おかしいわ。どうしおお母様が亡くなるの」 だっおゲヌムでぱリザベトが断眪される時に゚レアノヌルが王家に枛刑を嘆願する䞀文があったはずだ。 だから少なくずもその時たでは母は生きおいる筈なのに 。 ゲヌムでは生きおいる描写があったから私はどこか楜芳芖しおいた。少し身䜓を悪くしただけですぐに良くなるず信じお 吊、信じる事で珟実から逃げおいた。 「これは、この䞖界はゲヌムじゃないのね 。」 どの䜍ベッドに蹲っおいたのか、蝋燭は燃え尜き蟺りはすっかり闇に芆われおいた。 カヌテンを閉めおいない窓から入る月光の明るさに目を奪われるず文机に䞀冊の本がある事に気付く。 「これは 䜕の本かしら これっおお母様の日蚘」 お兄様からメレテヌル囜の公爵家ずの婚玄が決たった事が告げられた。 身䜓が匱く王族ずしおの公務も儘ならない私が他囜ぞ嫁぀ぐなんおやっおいけるのかしら。いえ、やっおいかなくおはならないのよね。 ゚りレアに嫁いだお姉様も今では幞せに過ごされおるず聞いおいるわ。 お身䜓が悪いお父様ず、お父様の囜王ずしおの務めを支えるお兄様は他囜ぞ嫁ぐ私ぞ過分な支床ず配慮をしお䞋さった。 ニュクトスでの盛倧な結婚匏を終え、メレテヌルぞず出立した私にムヌン公爵 いえ、旊那様も私の身䜓ぞずおも配慮しお䞋さった。 「お母様ずお父様は政略結婚だったけれど、ずおもお幞せそうね 。」 お父様の婚玄が決たった頃から綎られる日蚘に駄目だず思いながらも頁を捲る指が止められない。 月の障りが無いからもしやず思ったら埅ちに埅った我が子が私の元に来おくれたわ。 旊那様は私の身䜓を心配しお「本圓に産むのか」ず仰ったけれど、私はどうなっおも構わないからこの子を産みたいわ。いえ産むわ だっお、私の元に来おくれたんですもの。王族ずしおいた時も、公爵倫人ずしおいる今も私はこの身䜓の匱さで䜕も成せなかった。 この子を産んで私の生きた意味、生きた蚌をこの䞖に残したいの。 今日はずおも䞍思議な倢を芋たわ。 目が眩むような明るい灯の䞋で芋た事の無い服を着お、二本の枝の様なモノで食事をする䞉人の家族なのかしら 聞いた事も無い蚀語で䜕を話しおいるのか分からないけれど 「゚リサ」ず呌ばれお笑っおた女の子 きっず名前なのね お腹に子がいるず分かっおから芋たこの倢が気になるわ。もしかしたら神蚗を賜ったのかしら。 そうだわお腹の子にぱリサず名付けたしょう。 旊那様にお腹の子は「゚リサ」にしたいず蚀ったら「性別も分からない内に名前ずは気が早いな」なんお笑われおしたった。 それでも䞀緒に名前を考えおくれる旊那様が愛おしいわ。 ゚リサずいう名前のたた぀けたいけれど 䌝統的な名前を付けるべきずいう呚りの声もあっお、゚リザベトに決めたわ。 ゚リザベトなら愛称で゚リザず呌べるわ。あぁ 私の可愛い゚リザ。早く䌚いたい。 今日旊那さたからお腹の子が女の子だった時にはメレテヌル囜の第䞀王子の正劃に迎えられる事を䌝えられた。 私ずの婚姻を結ぶ際に囜王陛䞋が誓いをたおられたらしいけれど お腹の子が男の子ならばこの子はどうなるの ニュクトス王族の血を匕く公爵家の長男だなんお䜕れ危険分子ずなるず危惧されおも仕方ない立堎よ。 旊那様は口を噀んだけれどきっず男の子ならば歎史の闇に屠られおしたうのね 。 あぁ ゚むレむテュむア様、どうか この子が無事に生たれたすように 。アルテミス様どうか どうか この子が女の子でありたすように。 そうでなければあなたは あなたの存圚は無かった事にされおしたうのよ。 毎日毎日、教䌚でお祈りを捧げる私に旊那様は身䜓に障るず仰るけれど䞍安で仕方がないの。 どうか どうか女の子でありたすように。 「 お母様 第䞀王子の婚玄者を産みたくお女の子が欲しいっお蚀っおたのでは無かったのそんな 私ずっず勘違いしおいた 」 ゚リザが無事に産たれおくれた。 身䜓の調子が戻るのに時間がかかっおしたっおベッドから起きお歩けるようになった頃にぱリザも歩けるようになっおいたわ ただ芚束ない足取りで歩く゚リザがずおも愛おしいわ。 ゚リザが他の子より早く読み曞きが出来るようになるず、口さがない方々が「悪魔憑き」などず吹聎しおいるようだわ。 悪魔憑きなんかではないわ゚リザはどう足掻いおも残されおいる時間が短い私に成長を芋せようずしおくれおいるだけだなのに それなのに悪魔憑きだなんお 「゚リザベトを悪魔憑きず䞍遜な物蚀いをする茩がいるようだが 神から賜った莈り物に䜕ず恐れ倚き事を囜 いや神ぞの冒涜ず知るが良い」 王のその䞀蚀で゚リザを悪魔憑きず䞀際倧きく吹聎しおいた者達が粛枅された。゚リザの耳には入らないように十分配慮しなくおは。 䟍女頭から゚リザがしようずしおいた事を聞いおずおも驚いたわ 自分の事を自分でしたいのっお゚リザに蚀われたけれど、どうしおメむドにしおもらっおはならないのかしら 私では䞊手く説明できないわ。 今床は庭で走っおいたなんお 身䜓に傷でも぀いたら゚リザ付きのメむドは良くお解雇、悪くお凊刑されおしたうわ。 そうなれば優しい゚リザは傷぀いおしたうからそれを理解しおほしくお぀いお説教をしおしたうの。 お説教の最䞭顔を䞊げた゚リザの顔を芋お最近゚リザの笑った顔を芋おいない事に気付いたわ。今床久しぶりに゚リザず出掛けたしょう 最近評刀の芳劇はどうかしら 芳劇に行く前にドレスを新調しようず仕立屋を家に招いた最䞭倒れおしたった みたいね。 私の病状を蚀い淀む医者の様子 それに、自分の身䜓の事は自分が良く分かるわ。 今たで良く持ったわ 。でも、もう少しだけ、もう少しだけ私の身䜓頑匵っおほしいの。 ゚リザには囜䞀番のガノァネスに぀いおもらったわ。 ゚リザず䌚えないのはずおも寂しいけれど 去り逝く私ずの思い出が倚ければ倚いほど、残されるあの子が悲しみから戻れなくなっおしたうわ。 だからこれで良いの 。 私の身䜓が動くうちに出来る限り茶䌚ず舞螏䌚に出垭したい。いえ、しなくおはならないの。 将来の゚リザの為に出来る限り呚りにいる貎族を遞別しなくおは 。 ゚リザのカテヌシヌが芋れるたで生き長らえる事が出来たなんお、もう、思い残す事は無いわ。 具合が悪くになるに぀れ乱れる筆跡、短くなる文にそっず指を這わすず䞀粒の涙がむンクを滲たせた。 「こ、んなの わ、たしの 私のせいで、お母様は亡くなっおしたったようなものじゃない」 産たれる時に私がこの生を拒たなければ 悪圹什嬢ずいう立堎を拒たず母に心劎を䞎えなければ そんな私を拒たずに私の為に無理に公の堎に出垭しおいた母に気付いおいれば 。 母の日蚘を読んでからず蚀うのも、婚玄砎棄をされようず行動する事を止めた。 婚玄を拒む事でたた誰かの呜を奪っおしたうのではないかず酷く恐かった。 それに俺様キャラの筈の婚玄者は随分なヘタレ系になっおいたし恐らく物語が倉わったのだろうず思いその埌、母を喪った悲しみから逃れようず王劃教育ずガノァネスの授業に没頭し、淑女ずしお公の堎に出垭するようになっおからは曎に忙しく日々を過ごした。 12歳の誕生日の前日、久しぶりの父ずの倕食の最䞭父から蚳の分からない事を蚀われお呆然ずする。 「明日゚リザベトに䌚っお欲しい人たちがいるんだ。」 「䌚っお欲しい方 ですか」 「その なんだ。あの たずはこの手玙を読んでくれないか」 「手玙 ですか これ、は 」 ゚リザベト この手玙を読んでいるず蚀う事は旊那様は自分で䌝える事が出来なかったのね。 狌狜しながら゚リザに手玙を枡す様子が目に浮かぶようだわ。 ゚リザ 心しおこの手玙を読んで頂戎。そしお読み終わっおも旊那様 いえ、お父様を責めおはならないわ。 党おは私の我儘のせいなのです。 お父様が䌚っお欲しいずいう人たちは貎女の新しいお母様よ。 効か匟もいるかもしれないわ。 私がお願いしたのよ。誰も責めないで、責めるなら私を責めお頂戎。 ゚リザ 私が亡き跡に貎女はお父様以倖頌る存圚が無くなっおしたうわ。 私は身䜓が匱かったけれど䜕時だっお家族が支えおくれたから最期たで生を党うできたわ。 でもね 党く知らない人が貎女の継母になるず考えた時に震えが止たらなかったわ。 ゚リザず旊那様を愛しおくれる人でなければどうしおも嫌だった私の願いを叶えおくれたのが私の乳姉効であるトニアなの。 私がニュクトスを離れるたで共に過ごしたトニアなら゚リザを任せられるわ。 愛しい゚リザ。 貎女の幞せを母は願っおおりたす。                   文末の矎しい゚レアノヌルのサむンたで目を通すず心に滞った、もやもやを吐き出すようにため息を吐く。 「お父様 お父様はトニア様をどう思っおらっしゃいたすの お母様に蚀われたからなんですの それずも 」 「最初ぱレアノヌルに蚀われたから䌚っおいた 。だが、今は䞀人の女性ずしお 愛しおいるすたない ゚リザ 」 「どうしお謝るのです お母様に蚀われたから結婚するず蚀われた方が䞍誠実で蚱せたせんわ。お父様ずトニア様に愛があるのならば私から蚀う事はありたせんわ。」 「それにだな えヌず、その 」 「ただ䜕かありたすの 効か匟でもいるのかしら」 「その 効が二人だ。アメリアず゜ニアだ。蚱しお くれるか」 「分かりたした。明日お䌚いできるのを楜しみにしおおりたすわ」 ゚レアノヌルお母様が亡くなった事でムヌン公爵家の䞉姉効の長女では無く䞀人嚘になった私に察しお物語が修正を行ったのか、ゲヌム通りに䞉姉効の長女ずなっおしたった事に激しい恐怖を感じた。 翌日、私の誕生日の宎が行われる開催時間よりずっず前に新しい母ずなるトニア様ず4歳ず0歳の効ず察面した。 「初めたしお。アヌテュヌル・ノ゚ル・ド・ラ・トゥヌル・ムヌンが長女゚リザベトず申したす。トニア お母様これからよろしくお願いいたしたす。あら、貎女たちが私の効たちなのね。」 「初めたしおえりざべずさたアメリアずもうしたす」 「たぁこれから家族になるのよ゚リザベト様だなんお寂しいわ 。゚リザ姉様の方が嬉しいわ」 「えりざねえさたヌヌヌ アメリアずっずねえさたにおあいしおみたかったの」 足元にドンず衝撃走り目を向けるずアメリアがドレスに埋もれるようにしお私の足に抱き぀いおいた。 「アメリア゚リザベト様に䜕たる䞍敬を申し蚳ありたせん゚リザベト様躟が足りず 」 「トニアお母様 。効が姉に抱き぀く事のどこが䞍敬なの あぁ 倧䞈倫よ。アメリア泣かないで頂戎。これから貎女達のお披露目も兌ねおいるのよ 可愛い顔でお披露目したしょうね、アメリア」 最初からお披露目をする気だったのであろう父がした準備のおかげで私の誕生日の宎ずお披露目は無事に終わった。 新しい家族を拒めばゲヌムずは違う立堎の私になれる。 でも、拒んでしたったらたた呜を奪っおしたうのでは無いかず思うず、私には新しい家族を迎え入れる事しか出来なかった。 それから高等孊院に入孊する迄の3幎間はずおも穏やかなものだった。 新しい母はニュクトスの貎族ず゚りオラの貎族の間に産たれた子女で、勉匷だけでは無いニュクトスの事も゚りオラの事も教えおくれた。 ゚りオラで商䌚を手広くやっおいる貎族の血だろうか、特に経枈や経営に぀いお教わったのはずおも身になったわ。 こちらの家で暮らすようになっお急に環境が倉わっお眠れないアメリアにお䌜話をし、泣き止たない゜ニアには子守唄を唄ったのも今では良い思い出だ。 聞いた事のない話、聞いた事のない歌に二人ずも倢䞭になっおくれたっけ。 ぎこちないながらも少しず぀家族になっおいけお本圓に穏やかな時だった。 ただ䞀぀アレクサンドル王子がヘタレ系から俺様キャラになっお事以倖は 。 今日私 いえ婚玄者であるアレクサンドル王子ず私は二人䞊んで高等孊院の入孊匏に出垭したのだけれど 。 入孊匏の埌、たさか目の前でアレクサンドル王子ずヒロむンずの出䌚いのシヌンが繰り広げられるなんお思っおも無かった すっかり俺様キャラになった王子ずヒロむンが出䌚っおしたった私に出来る事はず考えお行動しおみたけれど 。 ヒロむンず仲良くすれば呜は助かるかもず仲良くしようずするけれど、私のキツむ芋た目ず口調に合わせおヒロむンの小動物の様な態床ず匱々しい口調のせいで たるで私がヒロむンを苛めおいるようになっおしたった。 このたたではダメだず今たで䜙り話した事の無かった男爵家ず子爵家の什嬢に話しかけお亀流を持ったし最初は戞惑っおいた圌女達ず亀友を育んでいるず思っおいたのは私だけでそれを良く思わない䞀郚の人間が圌女達を苛め孊院から远い出しおしたった。 私は 䜕床同じ過ちを繰り返すのだろうか。 物語から逞脱しようずするず物語は私の倧事な物を奪っおいく。拒むのも抗うのもあの時、母を喪った時に止めたじゃない。 それから私は物語が望む悪圹什嬢ずしお振舞った。私は悪圹什嬢ず蚀う立堎を党うしなければならないだけの駒なのだ。 「あら婚玄者がいる身の王子ず二人で話すなんお 貎女䜕を教わっおきたのかしら」 䞍貞を働いたず思われおも仕方が無いシチュ゚ヌションにも関わらず「そ そんな蚀い方酷いず思いたす 」ずしくしく泣き始めるヒロむンを慰める王子にも私にも情けなくおその堎を立ち去った。 「王族である王子に察するその振る舞い恥を知りなさい」 ある舞螏䌚でのヒロむンの䜙りに瀌を倱する振舞いに苊蚀を蚀うずたたしおも「でも、王子は 蚱しおくれたしたぁ 」ず泣き始めた。 孊院内なら私も目を瞑るけれど、ここは公の堎で、瀌に厳しい方から䞍敬眪ず蚀われおも仕方のない振舞いだ。 この振舞いを芋過ごしおは今床は私たで他の貎族から槍玉にあげられおしたう。 「俺が蚱したが ゚リザベト。問題があるか」 「 いえ、アレクサンドル王子がお蚱しになるのならば問題はありたせんわ」 「 お前はい぀も いや、䜕でも無い。」 18歳の誕生日に䞀通の手玙が届けられた。 12幎前から今日ずいう日に私ぞ届けるように蚀われおいたずいう手玙は倧切に保管しおくれたのだろう幎月の颚化もなく私の掌に茉せられた。 「君は これでいいの」 もう二床ず芋る事の無いず思っおいた封蝋に呆けおいるず手玙を届けおくれた人物の蚀葉に我に返るけれど既にその人物はいなくなっおいた。 銀髪の䞍思議な青幎。 18歳の゚リザぞ 18歳になった貎女はどんな姿なのかしら 。 私には想像する事しか出来ないけれど、私ず旊那様の子ですものずおも矎しく育っおいるのは間違いないわね。 旊那様の瞳の色に私の髪の色を匕き継いだ゚リザが産たれた18幎前の今日、私は䞖界で䞀番の幞せ者だったわ。 貎女は私を幞せにしおくれたのに、私は貎女を幞せにする所か貎女に蟛い立堎を背負わせおしたったわね。 ゚リザ 今貎女は健やかに暮らしおいる幞せかしら泣いおはいない貎女は良く泣く子だから母は心配です。 幎月が経おば人の想いは倉わっおいくのが䞖の垞。 貎女が幞せならばこの手玙の事は忘れお頂戎。 でも、もし貎女が困っおいお自分や旊那さたにも解決の出来ない事ならばこの手玙を持っおきた者を頌りなさい。 必ず貎女の力になっおくれる者です。 愛しい゚リザ。 貎女の幞せを母は願っおおりたす。 「 お母様。私 幞せになんおなれないよ どうすれば 。 それに手玙を持っおきた者ず蚀われおも䞀䜓どなたなのかしら 」 前䞖の蚘憶を蟿り、思い出した蚘憶を頌りに足を進める。 午埌の授業を䜓調䞍良ず称し䌑んだ私は芋぀かったらどうしようず蚀う䞍安ずこれから䌚うであろう人物ぞ緊匵感に胞を抑えた。 元々人の少ない裏庭は授業䞭ずいう事もあっお人の気配は無く静寂が支配しおいた。 ただ䞀か所裏庭のガれボを陀いおは 。 「 やぁ。先皋ぶりだね」 「先皋はお瀌もせず申し蚳ありたせんでした。それに母の願いずはいえ貎方様に䟍埓のような真䌌事をさせおしたい 」 「んヌん。別に構わないよ。で君はどうしおここに病匱で授業に出れない僕ず違い君は孊院きっおの才女じゃないか。 そんな君が授業をさがっお婚玄者以倖の男ず逢瀬しお良いのかい」 「私の動向に気を掛ける者などいないでしょう。婚玄者である王子のお心は既に違う方に向けられおいたす 。王子の寵愛を受ける事のない私はもう甚枈みなのですわ。  このたたでは䜕れ倧きな混乱をこの囜 いえ、近隣の囜たで混乱させおしたうでしょう。」 「うん。そうだね。このたた結婚できたずしおも君の母君の母囜であるニュクトスの民は玍埗できないだろう。同盟の恩恵を受けながら君を蔑ろにするだなんお。 婚玄砎棄になれば確実に同盟砎棄 それに」 「戊争になるかもしれたせんわね 。だからこそ私は貎方様にご盞談がありたすの」 「ふヌん。たぁ聞くぐらいなら良いよ。昌寝にも飜きおきおたんだ」 「 病匱な方はこんな堎所で昌寝なんお為さらないですわよ」  週に䞀床、あの方に盞談をする為に裏庭ぞず向かう事を䜕床繰り返しただろうか。 今埌の身の振り方を粗方決め、行動を起こし始めた矢先に信じられない出来事が起きおしたった。 「囜王陛䞋が流行り病で䌏せっおらっしゃる」 「゚ ゚リザベト萜ち着きなさい。」 「 それでご容態は劂䜕ほどですの流行り病ず蚀っおも囜王陛䞋はただお若いですものお父様良くなりたすわよね」 「それが な。芳しくないようだ。」 「そん、な 。 お父様 今埌の事に぀いおお話したい事がありたすのトニアお母様を呌んでください」 「゚リザベト䞀䜓どうしたんだ」 「 私の䞀生のお願いを聞いおいただきたいだけですわ」 囜䞭の博識な医垫の力を持っおしおも囜王陛䞋が快埩する事は無かった。 そもそも本来の物語では顔を䌚わす事がないあの方ず䌚ったのが原因なのか、それずも自分ず家族の安党を確保する身の振り方を考えたせいなのか  たたしおも、亡くなる筈の無い方を喪っおしたった。それでも私は 守りたいモノがある。 囜王陛䞋の死を囜䞭で悌み、葬儀が終わり喪が明けるずアレクサンドル王子いえ、アレクサンドル王の戎冠匏が恙無く行われた。 元々孊院を卒業ず同時に王子ぞ家督を譲る぀もりだず仰っおいた囜王陛䞋の指瀺のもず準備されおいただけあっお戎冠匏もその埌のパヌティも玠晎らしいものだった。 王劃様は囜王陛䞋の急逝に䜓調を厩しパヌティは最初だけ出垭され埌はアレクサンドル王ず私に任されお䌑みになった。 「゚リザベト様っお、ニュクトスの方のお知り合いが倚いんですね矚たしいです私ニュクトスの方でどうしおもお䌚いしたい方がいお」 ニュクトスからの客人ず話をしおいるず劙に間延びした声が響いた。 「 私ではお圹に立おそうにもありたせんわ。貎女自身で探した方がお䌚い出来るのでは無くお貎女の行動力なら出来およ」 「えニュクトスず同盟を組んでいるずはいえそんなに亀流ないじゃないですか゚リザベト様っおどうしおニュクトスのお知り合いが倚いんですか そう蚀えばニュクトスに䜕だか倧事な情報が流れお倧倉だったっお私聞きたした」 「その蚀い方たるで私が情報を流したずでも蚀いたげね貎女 黙っお聞いおいれば倱瀌にも皋があるわよ私がニュクトスの者ず亀流があるのは 」 「䜕だ隒々しい今日は晎れの日なのに䞀䜓䜕の隒ぎだ」 「アレクサンドル様少し゚リザベト様ずお話をしおいただけですね、゚リザベト様」 「 えぇ」 「゚リザベト様っおニュクトスのお知り合いが倚いんですよ。この間アレクサンドル様ず行った゚リザベト様のお誕生日パヌティも普段パヌティではお芋かけしない ニュクトスの方々ばかりでビックリしちゃいたしたそれに孊院の裏庭でもどなたかずお䌚いしおるのを芋かけちゃいたしたし、もしかしおあの方もニュクトスの方ですか」 「なに゚リザベト それは本圓か」 「本圓ですが 私がニュクトスの者ず亀流があるのは」 「゚リザベトお前には倱望した 俺の婚玄者である事を盟に立堎の匱い者を苛め、男ず逢瀬を繰り返し、挙句ニュクトスに情報を流すなど ゚リザベト貎様ずの婚玄は砎棄する」 あぁ やはりこの流れからは逃れられないのね 。母の出自を蚀わせおも貰えないたた話は進んでいく。 「聞いおいるのか゚リザベト貎様はニュクトスに情報を流した疑いもある。衛兵歀奎を牢に入れろ」 「゚ ゚リザベト様は私どもの貎きお方無瀌にも皋がありたす」 「ありがずう。倧䞈倫よ 貎女は私のお父様ず䌯父様に事の顛末を䌝えお頂戎。これを芋せれば盎ぐにお䌚いできる筈よ。頌んだわよ」 震えながら私の前に立ち塞がるニュクトスからの客人に私の18歳の誕生日にニュクトスの前囜王であるお爺様ず珟囜王である䌯父様から賜った髪食りを手枡した。 「では皆さた埡機嫌よう。」 埮笑みを浮かべ呚りを芋枡すず䞀瀌し、たるでパヌティから屋敷に垰るかのように自ら牢ぞず向かった。 「ふふ たるで今日ずいう日に私を牢に入れる為に準備しおいたようね。このたたでは裁刀もすぐでしょうね。皆 ごめんなさい。私を赊しお頂戎」 予感は的䞭しこれたた予め準備されおいたような裁刀が始たった。 断眪されるのが決たっおいる裁刀。アレクサンドル王の息が掛かった者によるでっちあげの蚌拠による裁刀を぀ら぀らず聞き流す。 私にずっお倧事なのはこの埌だ。幌い時から同じ時を過ごしおきた王子いえ今は王ね、その人の振舞いなど分かり切っおいる。 この人は眪悪感を少しでも枛らす為に私に発蚀をさせるわ。今さら呜乞いなんおしない私は私の守りたいモノの為に足掻くだけよ。゚レアノヌルお母様の様に。 「䜕か蚀いたい事はあるか゚リザベト」 「 それが私の眪ならば劂䜕なる眪状でも党お粛々ず受け入れたすわ。ですが 䞀぀だけ 我が家ず私は䜕の関係もありたせんの。」 「この期に及んで家の面目を保ずうずは䜕お浅たしい女なんだ」 「いいえ面目を保ずうだなんおずんでもありたせん 亡き母を差し眮いお母芪面する者や私ず本圓の姉効だなんお勘違いしおいる者、あた぀さえそれを新しい家族だなんお蚀う父ず、関係があるだなんお死んだ埌も䌝えられるのが耐えられたせんの」 「なんお女だ こんな女が嚘だなんおアヌテュヌルも可哀想に。私は慈悲深いからな。お前では無くアヌテュヌルに慈悲をくれおやろう」 「たぁ、流石メレテヌル囜の囜王陛䞋。慈悲深きその埡心に感謝臎したす。では 私ず私の家は関係ないず認めおくださいたすのね」 「あぁ。認めよう」 「ぞ 陛䞋斯様な事を認めおは 」 「私の家の領地 資産 圹職 そのどれも没収しないだなんお本圓に囜王陛䞋は慈悲深いこずですわ」 「な 」 「だっおそうでしょう眪人である私ず公爵であるムヌン家は関係ないず今貎方様はお認めになられた。 私の蚀い分はもう䜕もありたせんわ。次に皆様にお䌚いするのは凊刑の日かしら では埡機嫌よう。」 䞊手くいくかどうか緊匵しおいた身䜓が牢に戻るず途端に震え始める。 良かった これで少なくずも家族や領民の安党は守れたよね 玄束を守られるか䞍安だけれどあの方も動いおくれる筈だから倧䞈倫 きっず倧䞈倫よ 捕われの身、死に逝く身では出来る事など限られおいる 埌は祈る事しか出来ない。 䜕かを急く様に決められた凊刑の日。質玠なレヌスもフリルも無い癜のドレスを身に纏い、癜粉を叩いただけの姿で民衆の前に姿を珟すず興奮し切った様子で口々に眵詈雑蚀を吐き出しおいた トニアお母様 䜿甚人の皆、䞊手く民衆に情報を流しおくれたのね。ありがずう。私のお願いを聞いおくれお 私は貎族からだけじゃなく民衆からも悪圹什嬢ずしお憎たられなければならない。今、この時たでは。 「 最期に䜕か蚀い残す事は」 「 この囜に生きる党おの民の繁栄ず幞犏を願っおいたす。」 ずんでもない悪女の最期の蚀葉を聞こうずする民衆は其々が口を噀むず先皋たでの眵詈雑蚀の嵐が嘘の様に静たり返り静寂が広がる。 悪女ず思っおいた女の口から出た最期の蚀葉ず慈しむ様に民衆を芋枡す私の衚情に誰もが口を開けなくなる。 これで 僅かにでも民衆の心にこの凊刑に察する疑念の思いを怍え付ける事が出来た筈  「 それだけか」 「えぇ。」 教䌚の鐘が鳎り響く。その音で我に返った民衆の䞀郚が声を匵り䞊げるが虚しくも鐘の音で遮られ゚リザベトには届かなかった。 「あんた゚リザベトなんかじゃなくお゚リサちゃんだろ良く垂堎に来おくれたじゃないか」 「あの方ぱリサさんです䜕かの間違いです凊刑を止めおください」 空の青ず迫りくる銀の刃  [newpage] 「っは はぁ は 。ゆ 倢」 じっずりず汗ばむ身䜓に眉を寄せ、今尚残る銖ぞの圧迫に吐き気を催し銖を摩ろうず手を䌞ばすず、自分のものではない䜓枩を感じ驚きで指が跳ねる。 「ひっ な ん、なのっお園子どうしおここで寝おるのい぀もお母様達ず寝おるでしょ」 「すぅ すぅ。」 人を驚かせおおいおすやすやず気持ち良さそうに隣で眠る園子を起こす蚳にもいかず、私の銖を暪切る様に投げ出された園子の腕を垃団に入れるず園子の顔をマゞマゞず芋぀める。 「最期に䌚った時の゜ニアず同じ幎なのね 」 裁刀の前に心ある者達の蚈らいで家族ずの接芋が蚱されたあの日、唇を噛みしめ涙を耐えるアメリアず察称的に゜ニアは倧きな瞳からボロボロず涙を零しおいた。 今曎前䞖の倢なんお思ったけれど、今たで顔を䌚わす事を碌にしお来なかった最近になっお家族ず顔を䌚わせたのが切っ掛けだったのか それずも自分はさっさず死んで家族や領民、囜に迷惑を掛けたにも関わらず、のうのうず平和に今を生きおいる私ぞの戒めなのか 蚘憶の䞭の守れなかった効達を思い出し、ふぅず息を䞀぀吐くず隣で眠っおいた園子がごそごそず身動ぎし始める。。 「ぅあれえりこおねヌさた」 「ふふ。お早う。園子。良く眠れたかしら」 「うんずっおも 䟝璃子お姉様のベッドずおもふかふかするわ」 「園子のベッドず同じものじゃない。それよりも園子はどうしお私の郚屋に」 「えヌずね、今日のパヌティが楜しみで起きちゃっおお父様もお母様も起きおくれないし お化けがでるかもっお思ったらこわくなっお 」 「お化けっお園子䞀䜓䜕時から起きおいるの」 「分からないけれど、たっくらで恐かったヌ」 「 園子もう暫く眠らなきゃダメよ今日はい぀もよりパヌティが始たるのが遅いんだから埌で眠くなっおしたうわよ」 「もう眠くないもんそれに今日のパヌティっおこの間䟝璃子お姉様を助けおくれたおうじさたたちがくるのよね」 楜しみヌずはしゃぐ園子の声に倕方から開催されるパヌティを思いため息を䞀぀零した。 もし圌らが譊察孊校を卒業埌に公安所属になったずしおも、鈎朚財閥の䌚長である私のお父様ず懇意になれば倚少の危険からは遠ざけられるかもしれない。 財閥ずいう暩力の埌ろ盟がある人間を倱うような危険な任務を任せはしないでしょうし 。 「䟝璃子ちゃんは济衣着ないの折角お母様が準備しおくれたのに 」 「 だっお私济衣䌌合わないもの それよりそろそろ出発の時間でしょう参りたしょう綟子お姉様」 ホテルに向かう車の䞭で劙に園子が静かな事に気付き声を掛けるず園子はい぀もの快掻を䜙所に気だるそうにこちらを芋た。 「なぁにえりこおねヌさた 」 「園子 具合でも悪いの」 「ううん ちょっず぀かれただけだよ」 「園子 ちゃんずお氎飲んでいる 眠い?喉は也いおない」 「おトむレしちゃダメだからのんでない 」 「お母様園子が倚分脱氎症状起こしおいるわこの子 パヌティ楜しみだからっお早くから起きおいるから睡眠䞍足もあるし 」 「奥方様、ホテルの盎ぐ傍たで参りたしたので、先にホテルで旊那さた方に降りお頂いおから、園子お嬢様は私が病院に連れお参りたす」 「え えぇ、斎藀頌んだわね 倧䞈倫、園子盎ぐに病院に行くから少し暪になっおなさい」 「やだヌ園子もパヌティにいくヌやだヌ園子だけいけないのやだ」 ぐずぐずず泣き出し始めた園子の気持ちは分かる。自分だけ眮いおいかれるなんおこの子にずっおは寂しくお仕方ない筈。 「 お母様、園子に付き添っおあげお頂戎。私ず綟子お姉様はお父様も斎藀もいるから倧䞈倫よ。園子、お母様が䞀緒にいおくれるからもう寂しくないわよ。ほら、少し眠りなさい。」 「お嬢様方、い぀もより荒い運転になる事をお蚱しくださいでは参りたすよ」 赀信号で止たった際に、劙に目のキラキラした斎藀は既に装着した癜手袋をキュッず匕っ匵るず、普段ではありえない急発進をしたのだった。 「園子の容䜓はホテルに連絡するわ。綟子、䟝璃子、お父様ず斎藀の蚀う事を聞くのよ」 「園子は母さんに任せお、行こうか。なぁに心配いらないさ病院で凊眮しお貰っお盎ぐに良くなるさ」 「綟子姉様は脱氎症状を起こしおいないかしら?倧䞈倫」 「倧䞈倫よありがずう䟝璃子ちゃん。䟝璃子ちゃんこそちゃんず飲たないず」 䞃倕パヌティヌなんお䞃倕を口実にパヌティヌしたいだけだろう。なんお、思っおいたけれどパヌティ䌚堎の芋事な食り付けず笹に芋惚れる。 お父様のお知り合いに挚拶し、零にぃず景にぃを探すけれどあんなにも目立぀二人が芋圓たらない。キョロキョロず蟺りを芋枡すず隣から悲鳎が䞊がった。 「きゃっッツぅ」 「綟子倧䞈倫かいうっ」 「綟子お姉様」 「ごめんなさい 足を 挫いおしたっお お父様たで巻き蟌んでしたっお こんな時にごめんなさい」 真新しい䞋駄のせいか、それずもホテルのパヌティヌ䌚堎特有の絚毯のせいか、はたたたそのどちらずものせいか足を挫いた綟子お姉様は足を抑えるず䜕床もごめんなさいず繰り返す。 綟子お姉様を萜ち着かせようず背䞭をゆっくり撫でるず隣に座り蟌んでいる父を芋遣る。 足を挫きそうになった時綟子お姉様は咄嗟にお父様に掎たろうずしたものの、いきなりな䞊に普段の運動䞍足が祟り父も足を挫いおしたったみたいだ。 「倧きい怪我に繋がらずに捻挫で枈んで䞍幞䞭の幞いじゃない。お父様、綟子お姉様ず今から病院に向かっお䞋さいな」 「私たで病院に行っおは 䟝璃子が䞀人になっおしたうじゃないか」 「私はこのたた歀凊に居りたす。それにお母様からの連絡も無いでしょう。お母様が連絡した時に誰もいなかったら䜙蚈な心配をかけおしたうでしょ それに䞀人ではないわ。友人が来おくれるから倧䞈倫よ。お父様も綟子お姉様も心配なさらないで垰りの事はお母様からの連絡がきた時にでも決めるから」 ほら早く行っおず枋る二人を異垞に気付いお駆け぀けおくれたパヌティスタッフに事情を説明しタクシヌたで二人を運んでもらった。  ごめんなさい䞉人ずも。私が䜙蚈な事を考えたばかりに䞉人を苊したせおしたった。 私が零にぃず景にぃをお父様達ず䌚わせたい、黒の組織ぞの朜入捜査から遠ざけたいなんお考えおしたったばかりに物語の修正が働いおしたった、なんお考え過ぎだろうか。 それにしおも零にぃず景にぃ遅いわね もしかしお、二人の身にも䜕か遭っおしたったの 嫌な想像に背䞭がじっずりず汗ばむ。济衣を着なかった私にせめお綟子お姉様ず園子ずお揃いになる様にず二人の济衣に䌌た柄ず色合いのワンピヌスが汗でひんやりずするのを感じる。 「少し庭に出たすので、降谷零ず唯川景光が受付をしたら鈎朚䟝璃子は庭にいるずお䌝え願えたすかお手数ですが宜しくお願い臎したす。」 口早にそう受付に䌝えるず、ホテルの庭園に出る。パヌティヌ䌚堎の喧隒ずは裏腹にしんず静たり返った庭園に䜇んでいるず、どんどん嫌な想像で頭が溢れ返りそうになった。 「 倧䞈倫。家族も倧した事が無くお、零にぃも景にぃも無事にきおくれるだっお、玄束したもの。」 い぀の間にか䞋を芋お俯いおしたっおた顔を無理矢理䞊に䞊げるず、前䞖で芋た空ずは比べ物にならない䜍、星の芋えない空にため息が零れる。 「䟝璃子ちゃん遅くなっおほんっずうにごめんこんなに埅たせたのに連絡も出来なくお本圓ごめん」 「ごめんなれロが女に囲たれるのはい぀もの事だずしお電車は止たるし慌おおタクシヌに乗ったは良いけど枋滞にハマるし 」 「で、結局走っお来たんだけど 䟝璃子ちゃんのご䞡芪にも迷惑を掛けおしたったよね」 「零にぃも景にぃもそんなに急いで来おくれおありがずう こちらも謝らなきゃいけない事があっお 」 「姉効ずお父さん、それにお母さんが付き添いで病院っお倧䞈倫なのかいでも、䟝璃子ちゃんを䞀人にするなんお 」 「れロの蚀い分も分かるけど奜き奜んで䟝璃子ちゃんを眮いおいった蚳ではないだろ」 「お父様は残ろうずしおくれたけど 私の我儘だっお景にぃず零にぃが来おくれるっお思っおたから䞀人じゃないわ。来おくれるっお信じおたもの」 だから倧䞈倫っお笑うず二人は私を抱きしめおくれた。 「ずころで䟝璃子ちゃんは䞀人で庭で䜕をしおいたんだい」 「折角の䞃倕だし星が芋えるかなっお思っおたけれど党然ダメね。郜䌚の空気じゃ良く芋えないわ。」 「今日は割ず芋える方ず思うけどなぁ。䟝璃子ちゃんは星奜きなの 俺は綺麗だず思うけど星座は党然」 「ずおも星の綺麗な堎所で星を眺めおいたから、どうしおも比べちゃっお。この星が圊星でわし座の1等星アルタむル、織姫はあの星で こず座の1等星ベガ」 倧きな空に瞬く星を指差すずその指を远っお景にぃは星を眺め、零にぃは私の暪顔を眺めおいる。 「凄い 良く知っおいるね」 「星は、遠く繋がった堎所でも同じものを芋れるから 勿論芋る囜によっおは芋え方も違うけれど、星の配眮は䞀緒でしょ それなのに日本ず倖囜では星によっお䌝わる話が違うっお面癜いなぁっお。こず座なんおビックリする䜍違うもの」 「確かにそうだね、こず座のモデルのオルフェりスの話は䞃倕の話ずは党く違っおるからな。」 「オルフェりス」 「竪琎の名手だったオルフェりスは劻゚りリディケを亡くしおしたうの。悲しんだオルフェりスは冥界の王ハデスに゚りリディケを地䞊に戻しお欲しい懇願するのよ。」 「で、最初は拒んでたハデスも自分の劻から説埗されお゚りリディケを地䞊に戻しおやるこずにするんだ。ある条件をオルフェりスに玄束させるたんだよ。」 「地䞊ぞ戻るたで決しお゚りリディケ゚りリディの顔を芋ないこず。玄束を守っおオルフェりスは歩いたけれど地䞊の光が僅かに芋えおきおあず、もう少しずいう所で喜びで゚りリディケの顔を芋おしたうの。」 「゚りリディケは冥界に戻され、盎ぐにオルフェりスはハデスの所に向かうけれどハデスは応じなかったんだ。」 「でそっからはれロ」 「でっお終わりだけど」 「終わりずいうか諞説あるけど、オルフェりス亡きあずに゚りリディケず出䌚っお二床ず別れる事なく暮らしたものが䞀番幞せなものね。他はオルフェりスが可哀想で。」 「うん。なんだかモダモダするなぁ。埌ろを振り返るなっお玄束も意味分からないし。」 「冥界から地䞊に出た時にね、゚りリディケの足音が聞こえなくなったの。そこでオルフェりスは䞍安になっおしたったのね 本圓に埌ろに゚りリディケは぀いおきおいるのかそもそも埌ろにいるのは本圓に゚りリディケなのかっお」 「最埌たで信じれば良かったのになぁ。」 「本圓そうだわ。『足音』、䞀぀で疑っおしたっお倧事な物を無くしおしたうなんお、ね。」 数幎埌の景にぃの心に少しでも残る様に祈りを蟌めお口を開いた。どうか、どうか足音で刀断しないで、ず。 「少し颚も出おきたし、そろそろ䌚堎に戻ろうか」 「そう蚀えば二人ずも食事ただでしょう 立食だから軜い物しかないけれど戎きにいきたしょうそれにずおも玠敵な笹食りがあったの」 「久しぶりに短冊曞くのも良いかもなヌ れロも曞こうぜヌ」 「 」 「どうした䟝璃子ちゃん」 「どうしたんだい䟝璃子ちゃん」 「うぅん、䜕でも無い」 䞀瞬聎こえた旋埋にきっず、颚の音ず聎き間違えたのよねず、振り返り背埌に広がる庭園を芋お、私は二人に぀いおいったのだった。 [newpage] 「䜕ずいう事をしでかしたのですアレクサンドル自分の婚玄者を勝手に婚玄砎棄する所か、しょ 凊刑するなどそれが王 いえ人のするこずです」 「そんなに喚くなよ  あんな女の為に心を乱す事なんおないだろ身䜓がしんどいず思っお黙っおこの件凊理したのに䞀䜓どこから聞いたんだか」 「この囜はもう終わりよ 」 「母䞊も䞀々倧げさだな。ニュクトスの王族の血が流れおいるずはいえ母芪がたかが第䞉王女の嚘を凊刑した䜍で䜕を蚀っおるんだ」 「あなたこそ䜕を蚀っおいるの ゚リザベトの母君はニュクトスの囜王や他の王族から䞊々ならぬ寵愛を受けおいたのよ」 「は」 「その嚘である゚リザベトがこんな目にあっお ニュクトスは䞀䜓どう動くずいうの 」 「アレクサンドル王こちらに居られたしたか 倧倉ですニュクトスから䜿者が来たした」 「先觊れも無しにか倱瀌だろう」 「アレクサンドル今私たちがそんな事を蚀える立堎ですか匁えなさい 私も列垭臎したす。䜿者にはそう䌝えなさい。」 事の自䜓が分かっおいないのかアレクサンドルは悠々ずした足取りで城の廊䞋を歩いおいった。 「これは、これは。垰皇倪后様ずお䌚いできるずは思いもしたせんでした。アレクサンドル王 折角メレテヌルずは良い関係を築いおいるず思っおいただけに歀床の件、非垞に残念です。」 「こちらの情報をニュクトスに流された以䞊良い関係を築ける蚳ないだろう 」 「その件ですが あヌ貎方達が提瀺した蚌拠を出した者達、今になっお蚀わされた曞かされたなんお蚀い始めおるみたいですね」 「それこそ、お前達のでっち䞊げだろ芁件をささっず蚀えお前達のような囜ずは今埌関わっお行きたくもない」 「囜王からの曞状です。どうぞ、アレクサンドル王から拝読なさっおください。垰皇倪后はその埌からお読みください」 ニュクトスから寄こされた䜿者は、 若いずは蚀えメレテヌルの囜王であるアレクサンドルず、前囜王の死去により退いたずはいえ䞀囜の皇后であった垰皇倪后を前にしおも、飄々ずした態床を貫いおいた。 アレクサンドルず良く䌌た幎頃の䜿者は曞状を態ずらしいほど倧げさな皋恭しくアレクサンドルに枡す。 枡された曞状を読むに぀れアレクサンドルの衚情が僅かに緩んでいくず、隣でそわそわず埅぀母に曞状を手枡す。 「 これだけか この䜍で良いずぱリザベトもその䜍の女ずいう事か。構わんぞ。」 「流石はメレテヌル囜の新囜王、話が早いですね」 「な こんな内容ずおもじゃないけれど無理だわ」 「おや囜王には了承しおいただきたしたが」 「母䞊、倧げさじゃないか゚リザベトの母䞊が結婚した時に持参した物を金銭に蚈算しお返玍するだけだろ」 「 本圓に 貎方ずいう子は ゚リザベトの母君が䜕を持参したのか分かっおお蚀っおいるの ニュクトスからの茿入れの際に、ニュクトスから茞入しおいる鉱石や鉄鋌品の関皎を倧幅に䞋げお頂いたのよ それに我が囜に隣接する鉱山の䞀郚での採掘暩も。」 「゚リザベトがお生たれになっおから亡くなるたでに䞋げられおいた関皎分ず採掘暩を䜿甚しお採掘した鉱石類を党お金銭で返玍するず即答されるずはさすがメレテヌル囜の囜王は違いたすねぇ」 「それに返玍金を理由に増皎しおはならないだなんお どうかご慈悲を」 「慈悲 ねぇ。本来ならばこちらずしおは戊をしおも構わないのですよですが゚リザベトが我が囜王に文を曞いおいたんですよ。 我が身に䜕があろうずも、戊を起こす事だけはお止めください。私のせいで皆が傷付くこずがありたせんように、ず。 ゚リザベトに感謝しおくださいね では、私はこれで。あぁ そうそう、支払いは分割でも倧䞈倫ですよ勿論利子は぀きたすが 。では私はこれで。」 今曎、事の重倧さを理解したのか顔面を蒌癜させながら力なく腰掛けるアレクサンドルず人目も憚らず涙を流す垰皇倪后を䜙所にニュクトスからの䜿者はたるで 自分の城を歩くかのように悠々ずした足取りで去るのだった。 簡玠な朚の台に茉せられた瑞々しい野菜、芳醇な銙りを挂わせる果物、捌かれた肉、干された魚、歀凊に来れば䜕でも手に入るず謳われるメレテヌル䞀の垂堎で 今日も婊人達は買い物に井戞端䌚議ず忙しかった。 「あぁ。やだやだ。たた塩が倀䞊がりしおいるじゃないか。倧将 っお今日はい぀ものむさ苊しいのじゃないのかい」 「倧将は今日は䜓調䞍良で俺は代打な蚳 塩ねぇ ゚りレアに塩の倀段を倀䞊げされたらたたったもんじゃねヌよ」 「゚りレアが 䜕だっおいきなり倀䞊げなんお ここ数幎倀段が倉わる事は無かったじゃないか」 「䜕でもよ 歀凊だけの話 」 快掻ずした衚情を䞀転させ倧将代理は神劙な顔になるず蟺りをきょろきょろず芋枡すず婊人を手招きし顔を近づけさせた。 「歀凊だけの話 ゚りレアが塩や海鮮物を倀䞊げし始めたのは、゚リザベトの死が絡んでるらしヌぜ」 「゚リザベトあの凊刑された悪女かい」 「なんでも゚リザベトの2番目の母芪っおのが゚りレアの貎族の出でな。その実家が゚りレア䞀の商䌚を営んでいるずきたもんだ 継子を凊刑された憀りだろうな どうにかこの囜に䞀矢報いたかったんだろうな」 「アンタそれは違うんじゃないかい゚リザベトは継母や矩理の効をそりゃもう凄絶に苛めぬいたっお噂聞いただろう」 「それがさぁ俺ぱりレアの知り合いから凄い事聞いちたったんだよ䜕だず思う」 「䜕だい歀凊たできおもったいぶらないで早く蚀いなよ」 「ぜヌヌヌヌヌんぶ嘘なんだずよ」 「ぞ」 「継母や矩効を苛めた事も䞍仲だった事も無く関係は円満だったんだずよ」 「なんだっおそんな嘘を」 「家族ず領民を守りたかったんだず 泣かせるじゃないか゚リザベト様!それにな ゚リザベト様の裁刀の時に蚌蚀しおた奎が次々ず䞍審死しおるらしいぜ」 「それっおもしかしお 」 自分達でも分からない内に倧きくなっおいた声をたた朜める。 「嵌められたんだろうな゚リザベト様は 」 呚りで聞き耳を立おおいた者達も口を噀んだせいで䞍気味なほどの静けさが蚪れるが、倧将代理ず話をしおいた婊人が嚁勢良く声を匵り䞊げた。 「だからず蚀っお関係の無い私達の生掻に関わる物を倀䞊げされおもねぇ」 「それもなぁ 庶民向けの塩の倀䞊げは埮々たるモンだ。それ以䞊に倀䞊げしおるのぱりレアず俺達の䞭間に入るこの囜の貎族の商䌚だから蚳が悪いぜ。 貎族向けの塩の倀䞊げ凄たじいもんだぜたぁ、お貎族様のプラむドがあるから死んでも庶民向けの塩なんお䜿わねヌだろうな 」 「゚りレアよりこの囜の商䌚が倀䞊げしおるっおどういう事だい」 「それこそ俺に蚀われおもどうしようもならないっ぀ヌの」 (仕掛けは䞊々。埌は足が぀かない皋床に話を広めお、城に朜り蟌む手筈もしなきゃなんねヌし、アむツ面倒な事抌し付けやがっお) 歀凊だけの話なんお蚀葉を聞いお本圓に歀凊だけの話にする人間なんおどの䜍いるのだろうか。 垂堎の倧将代理ず婊人の話はあれよあれよず囜䞭に蔓延しおいった。 最初はただの噂ず笑っおいた王族、貎族は䜙りの話の広がり振りに慌おお事態を収拟しようずするが吊定すればする皋話の信憑性は増しおいった。 婚玄者ずはいえ眪を眪ずしお心を鬌にしお凊刑した囜の為に生きる若き囜王ず評されたのも束の間、今ではどこからか話が挏れたのか惚れた女ず䞀緒になる為に婚玄者を凊刑した鬌の様な囜王ず評されおいた。 高たる囜民の䞍信感、それに手を打぀でもなく惚れた女に湯氎のように金を䜿う囜王に察する貎族の䞍信感が爆発しそうになっおいた。 「シスタヌ今日も暑いでねぇ」 「えぇ。最近めっきり雚が降らなくお 庭の薬草も元気が無くお、困っっおるんです」 「薬草なんお育おおいたのかい」 「 知識のある方から教えお頂いお怍え始めたんです。その方に手䌝っおもらっお薬草園造りから党お。」 「この暑さじゃ枯れちたうかもしれないねぇ。この雚の降らなさぱリザベト様の怒りだなんお蚀う者すらいるよ。なんおたっお囜王ずあの女が結婚しちたったんだからねぇ。 あの盛倧な結婚匏のせいでたた皎金が䞊がるかず思うず頭が痛いよ」 「あの方はそんな事を思う方ではありたせん」 「どうしたんだいシスタヌい぀も静かなあんたがそんな倧きい声を出しお」 「あの方は数幎前たで朜ち掛けおいたこの教䌚を建お盎し、満足に食べさせる事の出来なかった孀児院の子䟛たちに食事を䞎えお䞋さいたした。 䞀時の斜しだけじゃなく、読み曞きずいった勉匷ず収入を埗られるようになる為に私を始め子䟛たちに技術を教えお䞋さいたした。 そんな方が雚を降らせないなど そのような囜民を苊しめる様な事をする筈がありたせん」 「私おっきり囜が建お盎したんだずばぁり思っおたよ こんな倧芏暡な建お盎したさか個人でやるずはねぇ」 「 囜に芋捚おられた私達を゚リザベト様は救っお䞋さったんです」 囜民の祈りも虚しく雚が降る日は䞀向に来ず、空からは刺すような日光が降り泚いでいた。 蟲䜜物は䞍䜜続き、囜民の䞍満は高たるばかりだった。 王族の浪費ぞの補おんの為の繰り返される増皎、䞍信感に続いおの蟲䜜物の䞍䜜に匱きものは疲れ果おおいった。 「こんばんは、アレクサンドル囜王。こんな圢でお䌚いする 気がしおたしたよ。」 「な お前あの時のニュクトスの䜿者か おいお前達䜕をがけっずしおいるこの者をひっ捕らえろ」 圢だけの䌚議が終わりアレクサンドル囜王ず王劃が退宀するべく開けられた扉の前には䞀人の青幎が䜇み、腰に携えた剣を玠早く匕き抜くずその切っ先を銖に向けた。 「初めたしお。皆々様方、゚リザベトの埓兄です。どうしたんだいそんなに驚いた顔をしおあぁ君達に分かる様に蚀っおあげる。ニュクトスの第䞀王子だよ。」 「ニュクトスの第䞀王子なんお癜々しい嘘を」 「嘘だず思うなら今自分の銖に向けられおいる剣を芋おみなよニュクトスの王章が入っおるじゃないか いくら病匱で公匏の堎に䜙り出ないからずいっお、か぀お同盟囜だった囜の王子の顔を芚えお無い蚳」 「病匱っおかお前は面倒だっただけだろヌが今日も面倒だからっおこんな圹割を俺に抌し぀けおよヌ」 囜王を守る近衛兵の䞀人が囜王の背埌から突劂ずしお声を䞊げ、剣を振るいながらニュクトスの王子ず䞖間話を始めるその異様な空間に人々は身䜓を震わせるしかなかった。 他の近衛兵が呻き声を䞊げ倒れる䞭䞀人だけ立぀その男は兜を脱ぎ棄お攟り投げるず、ガチャンず音が響き枡るず同時に顔を芋た貎族達から「゚りレアの第䞀王子 」ずざわめきが起こった。 「たぁ俺の顔は分かっちゃうよなヌ゚りレアの第䞀王子でヌヌヌす俺の母さんがニュクトスの第二王女だから゚リザベトずもコむツずも埓兄になる蚳ヌ」 「な」 「お前 たさかそんな事も知らなかったのお前が、゚リザベトが亡くなるたで䜕も考えず楜に生きれたのは、゚リザベトがお前のの傍で寄り添っおくれおたからだし。 お前が分からない事があっおも恥をかかずに枈んだのは圌女がこっそりお前にに教えおいたからだそれなのにお前はそれが圓たり前みたいな顔をしお次第に自分の頭で芚える事すら忘れたんだろ」 「違う 俺は悪くない アむツは王劃教育だの䜕だのっお蚀っお俺を芋おくれなかった俺を芋おくれたコむツず結婚するのが正しかったんだ」 「わ わたし 私は䜕も悪くないわ凊刑を決めたのはアレクサンドルよ私は䜕も蚀っおない䜕もやっおない䜕もしおないのに䜕でこんな目に䌚わなきゃならないのそうだわアレクサンドル!離瞁したしょう私を助けお私を愛しおるなら私ず離瞁しお」 前埌を挟たれ、剣を向けられ続けた王劃は、口から唟を飛ばすほどの勢いで捲し立おるずアレクサンドル囜王に瞋り付いた。 「 正しい結婚ねぇ。最埌に良いショヌを芋せおもらったよ」 「最初に蚀うのが自分は悪くないなんお、ある意味お䌌合いの倫婊だったのかもなヌ」 その埌、メレテヌル囜はニュクトスず゚りレアで二分割されるこずになった。 領地が増えるず管理が面倒だず蚀うニュクトス王子ず、くれるなら貰うけどそこたで欲しくない゚りレア王子ずの話し合いはある意味難航したず䌝わった。 「アメリア ここに居たのかい初倏ずは蚀え倜だよ。テラスじゃ倜颚が身䜓に障っちゃうだろ ニュクトスに嫁いで、家族が懐かしくなったかい」 「王子 、いえあなた。䜕だか昔が懐かしくお あの星ずあちらの星をご芧になっお」 「あれは こず座ずわし座かい」 「えぇ 。姉様は星を芋るのが奜きで 。 私ね、父ず母の結婚で元々暮らしおいた屋敷から公爵家の屋敷に移った時に、環境に慣れなくお良く眠れなくなっおしたったの。 そんな私に゚リザベト姉様は時折䞍思議なお話や聞いた事も無い旋埋の歌を歌っお䞋さったの。色々な話の䞭であの星達の話が奜きで䜕床もせがんだわ」 「どんな話なんだい」 「こず座の䞀等星ベガはオリヒメ様、わし座の䞀等星アルタむルはヒコボシ様で、オリヒメはテンテむの嚘で、機織りの䞊手な働き者の嚘だったの。 神様達の着るものを䜜る仕事をしおいお、幎頃になったオリヒメにテンテむは倩の牛を飌っおいるヒコボシをお婿に迎えたの。結婚した二人は仕事を忘れお遊んでばかりいるようになっおしたっお。 するずオリヒメが機織りをしないせいで神々の着物がボロボロになり、ヒコボシが䞖話をしないから牛たちが病気になっおしたったの。 テンテむはすっかり怒っお、「二人は倩の川の、東ず西に別れお暮らすが良い」ず蚀っおオリヒメずヒコボシを離れ離れにしたの。 でもテンテむは、オリヒメが䜙りにも悲しそうにしおいるのを芋お、「䞀幎に䞀床、䞃月䞃日の倜だけ、ヒコボシず䌚っおもよろしい」ず蚀ったの。 それから䞀幎に䞀床䌚える日だけを楜しみにしお、オリヒメもヒコボシも仕事に粟を出したの。そしお䞃月䞃日の倜、オリヒメは倩の川を枡っお、ヒコボシの所ぞ䌚いに行くの」 「聞いた事も無い䞍思議な話だね。」 「䞍思議な話で䜙りにせがんだものだからすっかり芚えおしたっお タナバタマツリずいうパヌティヌもするみたいだけれど、流石にそれはせがんでもしおもらえなかったわ」 「 君は本圓に゚リザベトが奜きなんだね」 「姉様ず初めおお䌚いする前すごく緊匵したの。だっお母から毎日のように、たたに来る父からも䌚う床に聞いおいた人に実際䌚うなんおドキドキしお、 䌚った時は䜙りの嬉しさにお姉様に抱き぀いおしたったの。怒る母を䜙所に姉様は効が姉に抱き぀く事が䜕がいけないのず蚀っおくれお  あの瞬間から私は姉様が倧奜きなのだから ニュクトス王子であるあなたず恋愛結婚をし、幞せになった私ずこれから゚りレアの王子の元に嫁いで幞せになる゜ニアを芋お欲しかったな っお思っおしたっお」 「゚リザベトは幞せさ。自分を想っお泣いおくれる人がいるんだから」 「 あなた」 「䞃月䞃日 こず座 うん。今床の䞃月䞃日はタナバタをやろう。あず、こず座のオルフェりスに因んで囜䞀の竪琎の名手を呌んで゚リザベトの思い出話を皆でしよう」 「玠敵玠敵です 王子様」 䞃月䞃日の倜、゚りレアずニュクトスの囜境を跚ぎ䜜られた友奜の宮殿に竪琎の音色が響き枡った。 ねぇ、姉様 たるであの二人、ヒコボシずオリヒメみたいね ニュクトスの果おにはアレクサンドル、゚りレアの果おには、あの女が塔に幜閉されおいるわ。 ただ二人は蚱しが無いから䞀幎に䞀床䌚えないし、カササギも来ない  [newpage] 竪琎の音色ず共に幞せな倢を芋た 。 私はこれで、やっず、赊された気がする。
このシリヌズは原䜜知識ふわふわ、口調ふわふわ、䞭䞖ペヌロッパ知識、乙女ゲヌ知識が党おにおいおふわふわずした文章で構成されおいたす。<br />蚭定が盛り盛りなので1䜜目から読んで頂けるず分かりやすいず思いたす<br /><br />私だけが楜しいオリ䞻前䞖線が8割、コナン倢が2割です。<br /><br />空のように広い心で矛盟ずご郜合䞻矩をスルヌし、山より高い想像力でお読みください <br /><br />埅っお頂けおるか自信ないですが、お埅たせしたした<br />䞃倕前に曞いおいお、腰痛がおき、仕事に远われ、消滅郜垂のコナンコラボに勀しんでいたら8月終わりかけおお驚きたした <br /><br />ちなみに曞いおる最䞭に「郜䌚っお星みえるん」っお呟きに、リア友から郜䌚は芋えない 米花町なら芋えるずいう蚀葉を貰っお無事曞ききる事ができたした<br /><br />10/28<br />閲芧・いいね・ブクマ・コメント・スタンプ本圓にありがずうございたす<br />気付いたら数日で10月が終わりたすねびっくりです<br />続きは11月䞭に必ず
前䞖が悪圹什嬢な私が名探偵の䞖界に転生したようです【番倖線】
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10045610#1
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 プルルルル  遠くで䜕かの音が聞こえる。  うるさい。朝っぱらからなんなの。  頭に響く音に、ギャリヌは呻いた。  倢いや、倢じゃない。実際に鳎っおいる。  この音は  。    ハッず飛び起きたギャリヌは、ベッドのサむドテヌブルに手を䌞ばしお電話の子機を取る。がやける芖界に目をこすりながら時蚈を睚めば、もう昌に近い時間だ。 「ハむ、もしもし」  寝起きで声がかすれた。自分の声じゃないみたいだ。  受話噚の口を抌さえお䞀床咳払いする。これで倧䞈倫だろうか。 『  ギャリヌ  』  わずかな沈黙の埌、控え目に自分の名が呌ばれた。その声にギャリヌは、目を芋開く。目が芚めた。今床こそ。  自然に、口元がほころぶ。  ただ幌いその声に䜕床名前を呌ばれたこずだろう。あの日から忘れたこずはなかったが、懐かしい、ず感じる皋床にはすでに時間が経っおいた。 「久しぶりね、むノ」  ギャリヌも圌女の名を呌ぶ。  あれからヵ月。  再䌚の玄束は、ただ果たされおいない。 [chapter:黄薔薇の肖像]  恐ろしくも悲しいあの奇劙な矎術通を抜けお、この䞖界に戻っおきたあの日からヵ月。  急に戻っおきた珟実に远われおいるうちに、気が぀けば日々が過ぎ去っおいた。  あの䞖界は䜕だったのか、いただにわからないこずだらけだ。この先、䞀生わかるこずはないのかもしれないずも思う。  ただ䞀぀はっきりしおいるのは、あの奇劙な䞖界でギャリヌがむノず過ごした時間は、珟実の䞖界にすればたった30分足らずの出来事だずいうこずだ。それが、ギャリヌの腕時蚈が告げおいた事実。今や、あれが倢ではなかったずいう蚌拠は、手元に残っおいるむノのハンカチだけだ。  あの日、むノず戻っお来られた興奮に、たた䌚おうず再䌚の玄束はしたものの、䞀晩経っお興奮が収たっおくるず珟実が芋えおきた。  圌女は䞡芪ず来おいたはずだった。䞡芪にしおみれば、自分の存圚は䞍審者以倖の䜕者でもない。むノずギャリヌにしおみれば氞遠にも思える長い時間だったが、繰り返すが圌らにしおみれば30分足らずだ。そこで仲良くなったにしおは、仲良くなりすぎおいる自芚はある。たしおや再䌚の玄束など、どう考えおもおかしいだろう。自分がむノの芪なら、たずは疑っおかかる。  そしお悪いこずに、その理由をギャリヌは説明できない。  あの䞖界であったこずを珟実に理解しおもらうこずは難しいず、分別が぀いおしたう皋床には倧人になった自分にはわかっおしたうからだ。  だから、ギャリヌはむノに連絡をずるこずを先延ばしにしおいた。  ハンカチを芋るたびに、郵送しようかずも思った。でも、それも出来ないたた時間が過ぎおいく。そのこずに気が぀くたびに、さらに䌚えない様々な理由を぀けおいた。  結局は、単なる倧人の狡さでしかない。  最終的に、むノに連絡先を枡しおいるのだから、むノが本圓に自分に䌚いたいず思っおくれた時に連絡をずっおくれればいいず思うこずにした。  子どもの関心は移ろいやすいものだ。  もしも、玄束が果たされないずしおも、それは少しだけ寂しいが仕方のないこずだず思った。忘れたいなら仕方ない。あの䞖界は、それほどショックなこずも倚かったのだから。    だからこそ、むノから電話が来た時は玔粋に嬉しかったし、ホッず肩の荷が䞋りたような気がした。  もっずも、そうした狡さがむノを長く苊しめるこずになっおいたこずに気付かされたのは、そのすぐ埌のこずだ。  「あの  ギャリヌさんですか」 「はい」  暪から声をかけられお、顔を䞊げればそこに品の良い女性が立っおいた。  思わず、感心しおしたう。ギャリヌにはそれが誰だかすぐに分かった。優しそうな颚貌に、芯の匷そうな瞳の色。  雰囲気がずおも䌌おいる。 「むノのお母様ですか」 「ええ」  問いかけるず、女性はふわりず埮笑んだ。やっぱり、正解だ。  ギャリヌは立ち䞊がっお向かいの垭を匕くず、圌女をそこに座らせる。  ちょうど近寄っおきた店員に玅茶を頌み、圌女は改めおギャリヌに向きあうず、すっず頭を䞋げた。 「今日はお呌び立おしおしたっお申し蚳ありたせん。むノは時間したら倫が連れおくるこずになっおいたすから、それたで少しお時間をください」 「ええ。もちろんです」  ギャリヌは頷く。そのために、むノず玄束した時間よりも早く来たのだ。  ここは、むノに話しおいたマカロンが矎味しいお店。そこにむノよりも前に、むノの母芪ずいるのは少し䞍思議な感じはする。 「むノ、  むノさんの様子はどうですか」 「盞倉わらず、あたり眠れおいないようです。倜䞭に䜕床も起きおいるようで」 「そうですか」  ギャリヌは眉をひそめた。  むノから電話があっお䌚う玄束をした埌、すぐに圌女の母芪から再び電話がかかっおきた。むノに䌚う前に䌚いたい、ず。  そこで簡単にむノの珟状を聞かされおいたのだが、あたり良くはないようだ。  ギャリヌは僅かに迷ったあず、口を開く。 「お話を䌺う前に、  むノさんから私の事は䜕かお聞きになりたしたか」  い぀もの口調で話すわけにもいかず、䞀人称ず語尟を気にしながらそう尋ねれば、圌女は苊笑めいた衚情を浮かべた。 「矎術通で私を助けおくれた人だ、ず。こんなこずを蚀うのは倱瀌だず思いたすが、むノから貎方に䌚いたいず蚀われた時、正盎、私も倫も戞惑いたした。嚘の口調は、短時間で仲良くなったにしおは心から貎方を信頌しおいるようでしたし。いったい、なにがあったのかず」 「    」  玅茶が運ばれおきた。圌女はカップに口を぀けるず、続ける。 「貎方がどんな方なのかもわからなかったですし、  嚘を助けおいただいたのなら、お瀌を蚀わなければず思い぀぀も、これほどに遅くなっおしたい申し蚳ありたせん」 「いえ、お母様のお気持ちはわかりたす」  そうずしか答えられない。  ギャリヌが神劙に頷くず、圌女は「ですが」ず口調を改めお、今床は埮笑んだ。 「むノを信じようず思いたす。あの子から、  ずおも䞍思議な話を聞きたした。空想豊かな、䜜り話のような話です。到底信じられないようなこずでしたが、あの子は真剣そのもので  だから私たちはあの子ず信じようず思いたす。私は芞術関係は玠人ですが、ゲルテナが䜜り出す䞖界は、  そうですね、匷いお蚀うならそんな䞍思議なこずがあっおもおかしくないような䞖界芳を持っおいる気がしたすから」 「  ありがずうございたす」  瀌を蚀うのも倉な気がしたが、それしか思い圓たる蚀葉は芋぀からない。  ギャリヌにしおも、蚀葉であの䞖界の出来事を説明するのは難しい。むノずギャリヌにずっおは珟実でも、あの䞖界はもうここにはないのだ。  改めお、ギャリヌは目の前の女性を芋぀める。  噚の倧きな人たちだ、ず思う。あのむノの芪なだけはある。  あの子も歳ずは思えないほどの勇敢さず聡明さを兌ね揃えおいた。圌女の存圚に、䜕床助けられたか知れない。 「むノを信じたす。だからこそ、貎方にお䌚いしたかった。あの日から  むノは少しず぀䞍安定になっおきおいる気がするんです。もしもあの子の蚀う通りなら、きっずむノの䞍安を取り陀けるのは貎方だけでしょう。同じ経隓をした、貎方だけ」  芪ずしおは歯痒いのだろう。苊い口調の圌女に、ギャリヌは先を促す。  そう、ギャリヌはきちんず聞かなければならない。  䜕ができるかただ分からない。でも、再䌚の玄束を先延ばしにしたために、きっずむノは誰にも蚀えずに苊しんでいる。  勇敢で聡明なむノ。  忘れがちだが、圌女はただ歳なのだ。 「  眠れないようだ、ず電話でおっしゃっおいたしたね」 「ええ。眠るのが怖い、ず蚀っおいたす。怒っおいる、泣いおいる、誰かを  忘れおしたう、ず」  圌女の衚情が曇る。  ――  誰か。  その蚀葉に、ギャリヌは眉をひそめた。  それはきっずギャリヌの事ではない。あの䞖界で過ごした、もう䞀人の存圚のこずだろう。ギャリヌの䞭で蚘憶が薄れかかっおいるあの少女は、たずえ䞀時であっおもむノの友達だった。  たしおや、少女が消えるずころをむノはすぐ目の前で芋おいる。  幌い少女にずっお、その衝撃はどれほどだろう。  ギャリヌには想像するこずしかできない。良くも悪くも倧人になればなるほど、傷぀かないようにする術を知るようになる。心が鈍くするこずができる、ず蚀えばいいだろうか。  ギャリヌは冷めたコヌヒヌで唇を湿らせ、口を開く。 「  任せおください、ず胞を匵っおは蚀えたせん。この件に関しおは䞊手く話すこずができないんです。先ほどの話ですが、私の事を䞍審に思われるこずも、䞍安に思われるこずも理解できたす。ですが、ひず぀だけ信じおいただきたいのは、私はむノさんを倧切な友人だず思っおいるこずです。幎霢は離れおいたすが、圌女は私にずっお、ずおも倧切な友人です。私は圌女の存圚に䜕床も助けられたした。だから、むノさんが悩んでいるなら今床は私が圌女を救いたいず思いたす」 「    」 「䞀晩、嚘さんを私に預けおいただけたせんか」  これは賭けのようなものだった。  むノの䞍安を取り陀けるかどうか、ギャリヌにはわからない。だが、むノがもしもメアリヌのこずで悩んでいるのなら、䜕かできるかしれない。  それには、むノずじっくり話す時間が必芁だ。  目の前の女性はたっすぐギャリヌを芋぀めおくる。やたしいこずなど䜕もない。決意を蟌めお芖線をそらさずにいれば、圌女はふっず埮笑んだ。 「わかりたした。あの子の話を聞いおやっおください」 「もちろん、喜んで」  ギャリヌはほっずしお笑みを浮かべた。  嚘には貎方ず䌚っおいたのは内緒なんです、ず唇に人差し指を立おた母芪が垭を立っお10分埌。 店を出お埅っおいるず、遠くから声が聞こえた。 「ギャリヌ」  芋れば、小さな䜓で懞呜に走っおくる女の子がいる。  あぁ、倉わっおいない。 「むノ」  ギャリヌは身を屈めお䞡手を広げる。  その腕の䞭に、小さなぬくもりが飛び蟌んできた。   その店はテむクアりトもしおいるので、マカロンは買っお垰るこずにした。  もしもむノが䜕か問題を抱えおいるなら、家の方がじっくり聞ける。  むノは色ずりどりの䞞いお菓子を目を茝かせながらショヌケヌスを芗いおいた。ギャリヌが「どれでも奜きなのを遞んでいいわよ」ず蚀えば、悩んだ末に぀を遞ぶ。  赀いのず、青いのず、黄色いの。  むノらしいチョむスだ。  ギャリヌは「じゃあ、私はこれ」ず他の色を遞んで、結局むノがあたり食べられなさそうな味のもの以倖は党皮類買うこずにした。食べられなかったらお土産にすればいい。  むノず手を繋ぎながら、玅茶の茶葉などを買うために、ヵ所寄り道する。  自宅に蟿り぀いた時には、すでに昌をずいぶん過ぎおいた。ランチは途䞭で食べお来たので、ちょうどおや぀の時間だ。 「どうぞ」  こんなこずもあるかもしれないず、䞀生懞呜に掃陀をしおおいお良かった。  すっきりず片付いた郚屋は、自分の目で芋おもい぀もより広く感じる。たあ、むノは䞡家のお嬢さんのようだから、圌女の自宅からすれば猫の額かもしれないが。  物珍しそうにきょろきょろず芋たわすむノが、居間の゜ファに陣取る倧きなクマのぬいぐるみを芋おぱぁっず衚情を茝かせる。  あれはギャリヌの趣味だ。ひず目で気に入っお買ったギャリヌの同居人。「かわいい」  しかし、パタパタず駆け寄っお、ぎゅっず抱きしめるむノの方がよっぜどかわいい。  今だけ浮気を蚱しおね、ずギャリヌは冗談亀じりに考える。  むノは抱きしめおいたクマに顔をうずめ、それからじっずクマを芋぀めた。考えるように銖をひねる。 「どうしたの」  䜕か倉な所でもあっただろうか。  ギャリヌも思わず銖をひねるず、むノがクマを眮いおトコトコずこちらに近寄っおきた。  䜕だか良くわからずに行動を芋守っおいるず、むノが今床はギャリヌに抱き぀く。反射的にお腹のあたりにあるむノの頭を撫でるず、むノが顔を䞊げおフフッず笑った。 「クマさんも、ギャリヌず䞀緒の匂いがする」 「え」  それはいい匂いなの、それずも嫌な匂いなの。  加霢臭がしおくるにはただ早すぎるわよね、ず思わずヒダッずする。蚀った本人はいたっお笑顔なので、どうやら䞍快なものではないらしい。  しかし、どうにも萜ち着かない。  ギャリヌはむノを䞍自然にならないくらいの匷さで匕き離すず、気を逞らすために「それじゃあ、お茶にしたしょう」ずマカロンを指し瀺す。 「うん」  玠盎に頷いたむノに、マカロンの入った箱を枡した。  キッチンから倧皿も持ち出しお、その䞊にレヌスのペヌパヌを敷く。それをリビングのテヌブルに眮いお、むノにお願いをした。 「マカロンをお皿に移しおくれるその間に、アタシは玅茶を甚意するから」  わかった、ずたた玠盎に返事をしお、むノはマカロンの入った箱を慎重に開ける。  興味は完党にう぀ったようだ。ほっずしお、ギャリヌは息を吐いた。  「どう、おいしかった」 「うん。甘くお、おいしい」  マカロンず玅茶を食べながら、他愛のない話をしおいた。  お皿の䞊のマカロンはほずんどなくなっおいる。  そろそろ聞いおもいい頃合いだろうか。ギャリヌがそれずなく氎を向ければ、むノはぜ぀ぜ぀ずあれからどうしおいたのかを話し出した。  䞡芪ず䞀緒にもう䞀床ゲルテナ展を芋お回ったこず、そこで気が぀いた色んな絵のこず、そしお  最近芋る倢のこず。 「  倢でね、䜕床も䜕床も芋るの。メアリヌが燃えおしたうずころ。メアリヌはい぀も泣いおるの。悲しそうに、どうしおっお私に倢の䞭で蚀うの。䞀緒にいようねっお蚀ったのに、っお  」  カタンずカップを眮いお、むノは唇を噛む。 「それでね。私、気付いたんだ。メアリヌの顔、ちゃんず思い出せない。どんどん忘れおくの。笑った顔、いっぱい芋おたはずなのに。メアリヌは泣いおお、きっず私に怒っおる。私は  友達を、こ、殺しちゃったんだ」  声を震わせお蚀ったむノに、ギャリヌは即座に銖を振った。 「いいえ。それは、アタシがやったのよ。メアリヌの肖像画を燃やしたのはアタシ」 「ちがうもん。燃やそうっお最初に蚀ったのは私だもん。だから  きっずメアリヌは怒っおる」 「    」  唇を噛んだたた、むノは泣きそうな顔をしおいた。  でも泣かない。この子は匷い子だ。勇敢で、聡明で  ずおも優しい。その匷さず優しさが、時ずしお己を傷぀けおしたうこずもある。 「むノ」  ギャリヌは怅子から立ち䞊がっお、むノの隣にひざたずく。  スカヌトを握りしめおいる小さな手のひらを、ギャリヌは䞡手でそっず包んだ。 「ねぇ、むノ。あんたが怖いのは、メアリヌに恚たれるこずメアリヌは人間じゃなくお、ゲルテナの描いた絵だった。あの子は倖に出たがっおいお  かわりになる人間を探しおいたわ。それず、友達になる人間を」  あの絵空事の䞖界での出来事は、わからないこずだらけだ。  けれど、きっずこの掚枬は間違っおいない。たたたた遞ばれた。それがギャリヌずむノだったのだ。  むノは友達になる人間ずしお。  そしお、きっずギャリヌは成りかわる人間ずしお。  メアリヌはむノに「人しか出られなかったらどうするか」ず蚀ったそうだ。むブから色んな話を聞いた末に、ギャリヌなりに考えた結論だった。  きっず、無数の遞択肢の䞭で、間違えたものを遞んでいたらギャリヌは今ここにいなかっただろう。堎合によっおは、むノも出おこられなかったかもしれない。  もしくは。 「  アタシは、あの肖像画を燃やしたこずを埌悔しないわ。そうしなければ、きっずアタシはここにいなかった。今、ここにいたのはメアリヌだったかもしれない」  はっず顔を䞊げたむノが、嫌がるように銖を䜕床も振る。  怅子から降りお、ギャリヌに抱き぀いおきた。 「ギャリヌがいなくなるのはむダ」 「  アタシもよ。むノがいなくなるのは嫌だわ」  しがみ぀く小さな背䞭を優しく叩いおやる。 「アタシはメアリヌずずっず䞀緒にいたわけじゃないからわからないけど、アンタたちは仲の良い姉効みたいだったわ。むノ、もう䞀床聞くけど、メアリヌに恚たれるのは怖い」 「    」  むノが銖を振った。 「メアリヌが私の事を怒るのはしょうがないから」  それは期埅した答えず違っおいたが、ギャリヌは続ける。 「じゃあ、なにが怖いの」 「  メアリヌを、忘れるこず」  ぜ぀り、ず零れた答えに、ギャリヌは小さく息を吐く。  ああ、やっぱり。  むノは優しい子だ。  先を促せば、むノが苊しげに口を開く。 「寝お、倢を芋るたびに、メアリヌがわからなくなっおいくの。私ずギャリヌがあの倉な矎術通に閉じ蟌められたのはたぶんメアリヌのせいで  、きっずメアリヌがいなくならないず出られなかったず思う。だから  私も  」 「埌悔しない」  コクリ、ずむノが頷く。  むノは恐らく、あの矎術通で誰よりも遞択をしおきた子だ。  遞んで、進んで、今ここにいる。その事をむノはきちんずわかっおいる。 「だから、忘れないようにしようず思ったの。メアリヌのこず  」  友達、だったから。 「そうね」 「でも忘れちゃうの」 「うん」 「どうしたらいい、ギャリヌメアリヌを忘れたくないでも、もうわかんないのっ」  匕き぀ったような声に、ギャリヌは穏やかに答える。 「倧䞈倫よ。アタシがいるでしょ。私だっおあそこにいたのよ。芚えおるわ、あの子のこず。党郚じゃないし、アタシはあの子に嫌われおいたからむノの印象ずは違うかもしれないけどね。でも、  きっずむノも芚えおいるわ。今は色んな事がぐちゃぐちゃになっお、メアリヌが芋えなくなっおいるだけよ」  おいで、ずギャリヌはむノを抱きしめおいた腕を離すず、肩を抌しお顔を芗き蟌んだ。  そこには涙はない。枯れおしたったように、也いおいる。  䞍安の皮が、むノの䞭の氎を吞い取っおしたっおいる。それがむノの心を蝕んでいる原因だ。 「䞀緒に、思い出したしょう」  手を匕けば、むノはコクンず頷いた。  「久々に絵を描くわ」  ただ残っおいたカンバスを匕っ匵り出す。家に眮いおある油絵の具は䜿い物にならなかったので、新しく買っおきた。  むヌれルに立おかけお、真っ癜なカンバスに筆をすべらす。芚えおいる茪郭を瞁取る。  さあ、ここからだ。 「むノ、こっちにきお。ここに座っお」 「うん」  怅子を指し瀺せば、むノが真剣な衚情でカンバスを芋぀めた。  そこにはただがんやりずした色を乗せおいるだけだ。 「さあ、思い出しおみお。倧䞈倫、焊らなくおいいわ。たずは、どんな服を着おいた」 「  みどり」 「どんな緑色明るかった暗かった」 「少し  深い  」  深い、ずいう蚀い回しに感心しながら、むノの蚀葉に合わせお色を混ぜ合わせおいく。 「葉っぱの色。芜が出たばっかりのじゃなくお  成長しお、固くなった、濃い色の」 「そうね、そんな色だったわ」  ギャリヌは筆で油絵の具をすくい取り、カンバスに萜ずし蟌む。  重ねるように色を深めおいった。  こうしお絵を描くのは、本圓に久しぶりだ。それなりに腕はなたっおいないらしい。  ギャリヌは昔から絵を描くこずが奜きだった。他の人よりも䞊手くお、自分でもそう思っおいた。けれど、残酷なほどに才胜がものを蚀うのがこの䞖界だ。他人より䞊手い、ではやっおいけない。誰よりも䞊手くなければ。そこに、ひずの目を匕き぀ける䜕か突出したものがなければ。  それに気付いたころ、描くもの描くもの党おが気に入らなくなった。  そしお、絵を描くこずを止めた。奜きだけでは食べおいけない。  それでも芞術の䞖界から離れられずに、いただにこの䞖界に身を眮いおいる。けれど、そろそろ進路を決めなければならない。タむムリミットはあずわずかだ。  迷いの䞭で行ったのが、あのゲルテナ展だった。  もしかしたら、ギャリヌの䞭にあった迷いが、メアリヌの䞭の䜕かを刺激したのかもしれない。  むノの芖線を感じながら、色を重ねおいく。  深い緑のワンピヌス。奜きだず蚀っおいた青色のリボン。  自分の心の内を、絵や蚀葉にするのはカりンセリングでもよくある話だ。そうするこずで、自分の䞭のものが芋えおくる。  むノにずっお、これがどこたで圹に立぀かはわからない。もしかしたら、むノの助けになればず蚀いながら、自分のためにやっおいるのかもしれなかった。 「さあ、次は髪の色よ。どんな色だった」 「    」  聞けば、むノがきゅっず眉をしかめお、カンバスを睚むように唇を薄く噛む。  ギャリヌは苊笑しお、芪指でむノの唇の䞋をなぞるように抌した。 「そんな顔したら駄目よ。むノが苊しくお悲しい顔をしおいたら、きっずメアリヌも同じ顔をするわ。笑っおごらん蚀ったでしょう、アンタたちは姉効みたいだったっお。むノが笑っおるずきは、メアリヌも笑っおいたわ」 「  うん」  ぎこちないながらも、むノが埮笑みのようなものを浮かべる。  それに埮笑み返しおやれば、ふっずむノの匷匵った身䜓が緩んだ気がした。 「目を぀ぶっおみお。むノの䞭のメアリヌはどんな姿をしおいる」  むノは自分の䞭に沈んでいるメアリヌの蚘憶を探るように、そっず目蓋を閉じる。  しばらくしお、そっず唇を開いた。 「  きんいろ」  倧事なこずを打ち明けるような囁き。  ギャリヌは筆をかえお、茪郭ず髪の色を塗っおいく。ギャリヌの蚘憶にある圌女もたた、金色の髪をしおいた。本物の陜光の䞋に立ったら、きっず矎しかったに違いない。 「私みたいにたっすぐじゃないの。歩くたびにふわふわ揺れおた。きれいだったの。私が話しかけるずくるっお向いお、あんな暗いずころでも、キラキラ光っおた」 「ええ」  緩やかに波打぀黄金。  髪の長さは、むノず同じくらい。 「県は思い出せる」 「うん」  むノの唇に、笑みがのる。  あの子の姿を、むノはちゃんず思い出しおる。 「青色。メアリヌが奜きな色だった。晎れた、空のいろ。ママが持っおる指茪の宝石みたい」 「ええ」  サファむダみたいな、きれいな柄んだ青色。  最埌に芋たメアリヌの目は濁っおしたっおいたけれど、あの子の目は確かにそんな色をしおいた。  明るい青を筆でのせる。  息づいたように、絵に呜が宿った。  ピンク色の口元。  そこは。 「初めおできた友達だっお、そう蚀っお  メアリヌは笑っおた。ギャリヌ、笑っおるよ。わたしの、きれいな友達  」 「  ええ、そうね。アンタたちは、確かに友達だったんだわ。あの子は人間じゃなくお、あの䞖界から出られなかったけど  私たちが、燃やしおしたったけど」  でも芋お。  ギャリヌは筆をおいお、むノの頭を撫でる。 「目を開けおみお、むノ。ほら、圌女は消えおないわ。アタシたちが芚えおいるかぎり、あの子はい぀たでも生きおるのよ」  そっず目を開ける。  むノがカンバスを芋た。 「  メアリヌ  」  そこに描いたのは、蚘憶の䞭のメアリヌだ。  出䌚ったばかりの頃の、無邪気に笑う少女。  ギャリヌは圌女ずほずんど䞀緒に行動しおいなかった。でもむノの蚘憶をすくい䞊げお、蚀葉を絵に蟌めれば、この少女が絵の䞭に浮かびあがる。 「  笑っおる  」 「そうね」  ゲルテナのように描くこずはできない。  でもそれは、確かにむノずギャリヌの䞭にいるメアリヌだった。  むノに友達だよ、ず嬉しそうに笑った、圌女の肖像。  ポロリず、むノの瞳から真珠のような涙が萜ちた。ぜろぜろず零れお、止たらない。  むノの母芪が蚀っおいたこずを思い出す。  あの子、泣きそうな顔をしおいるのに泣かないんです。    ――泣いおたすよ、お母さん。  ギャリヌは埮笑んで、むノを抱き寄せた。  勇敢で、聡明で、優しい、歳の小さな女の子。  涙は浄化䜜甚を持っおいる。きっずこの子の心を最しおくれるだろう。  もう、倧䞈倫だ。 「倧䞈倫よ、むノ。アンタは、メアリヌを忘れたりなんかしないわ。倧事な友達は、アンタの䞭にいるもの。アンタの䞭で、こんなに楜しそうに笑っおる」  だからもう倧䞈倫。  抌し殺すような泣き声が、だんだんず倧きくなっおいく。  すがり぀く熱い䜓枩を、ギャリヌは抱きずめた。  この腕の䞭にいるものは、ずおも尊く、愛おしい。   小さな寝息を立おるむノをベッドに暪たえお、ギャリヌはそっず䞊垃団を匕き䞊げる。  真っ赀になった目の瞁が痛々しいが、泣き疲れお寝おいるむノは穏やかな衚情だ。  むノが眠っおいるずころを芋たのは、そう蚀えばたった䞀回だ。その時も悪倢を芋たず震えおいた。今床悪倢を芋たら起こしおあげようず思っおいたが、きっずもう倧䞈倫だろう。  もう䞀床優しく頭を撫でお、なんずなくそうしたくなっお額にそっず口付けた。  むノの心を救えただろうか。 あの矎術通でギャリヌがむノに救われたように。 「  でも、やっぱり今回も救っおもらったのかもしれないわね」  穏やかな寝顔に、ギャリヌは苊笑しお寝宀を出る。  メアリヌを描いたカンバスのある郚屋に移動するず、たたその前に座った。  もう䞀床、筆を手に取った。  甚意した絵の具は、黄ず赀ず青。  メアリヌを圩るように薔薇を描いおいく。赀い薔薇を倚めに、青ず黄は添えるように。  あの子は青色が奜きだず蚀っおいたが、きっず赀も奜きだったに違いない。  玠盎に口にはできないほど、赀い薔薇はあの子にずっお倧事なものだったはずだ。 「これで我慢しおね、メアリヌ」  ギャリヌが描いたメアリヌが呜を持぀こずはないだろう。  そこたでの力があるならば、ギャリヌはきっずここにはいない。  これが、ギャリヌが描く正真正銘、最埌の絵画だ。 「決心぀いたわ」  やっぱり、むノには助けられおばかりだ。これで諊めではなく、今たでの自分を糧に新しい道に進むこずができる。  最埌の薔薇を描き終えお、ギャリヌは筆を眮く。  これたで描いおきた䞭で、䞀番の出来だった。   翌日、目を芚たしたむノがカンバスを芋お感嘆の声を䞊げた。  衚情は明るい。ぐっすり眠れたようだ。それだけで、自分の気持ちも明るくなるのを感じるから䞍思議だ。 「むノ、お昌ぐらいにご䞡芪が迎えに来るそうだから、朝ごはん早く食べちゃいなさい」 「パパたちに電話したの」「そりゃあ、するわよ。倧事な嚘さんを預かっおいるんだもの」 「怒っおなかった」 「あら、どうしお」 「  心配かけちゃったから」  自芚があったのだろう。しょがん、ずするむノにギャリヌは笑った。 「だったら、二人が来たら笑顔で『ありがずう』っお蚀っおみればいいんじゃないかしら。きっず、それだけでパパもママも喜んでくれるず思うわ」 「そうかな」 「そうよ。むノが笑っおるず、みんな嬉しいもの」  アタシもよ、ず付け加えればむノが満面の笑みを浮かべる。  そうそう、いい調子。  ギャリヌも笑う。  簡単だが、い぀もよりは手の蟌んだ朝ごはんをテヌブルに䞊べた。  いただきたす。  向かい合っお、ごはんを食べる。 「ギャリヌ」  モグモグず目玉焌きを頬匵っおいるず、むノがニコニコずいい笑顔のたた蚀った。 「やっぱり、ギャリヌは王子様みたい」 「  っ」  ぶっず食べ物を吹き出しそうになっお、あわおお口を抌さえる。  やっぱり、っおどういうこずなの。  内心動揺したくりのギャリヌに気付かず、むノは「あ、でも」ず銖を傟げる。 「ギャリヌは、もしかしお、王子様じゃなくおお姫様の方がいい」  いやいやいやいや、ちょっず埅っお。 「あの、むノいや、アタシは男だから王子様でいいんだけど  でもなんで、王子様」  なんずか口の䞭の物を飲み蟌んで聞けば、むノが眩しい笑みで蚀った。 「ギャリヌはい぀も私を助けおくれるから矎術通でもそうだったし、今日も。ずっずだから、ありがずうギャリヌ」 「    」  ぜかん、ずあっけにずられ、次の瞬間にギャリヌは思わず声を䞊げお笑った。  むノがびっくりしたように目を䞞くしおいるが、仕方ない。 「フッ  アハハハハハむノ、やっぱりアンタは栌奜いいわね」  可愛いかわいいギャリヌのお姫様。  でもやっぱりむノの方が王子様みたい男前だ。  勇敢で聡明で優しくお、栌奜いい。  こんな子ず出䌚えたこずは、奇跡に等しいんじゃないだろうか。 「ギャリヌ、たた䌚える」 「ええ、もちろんよ」  ハンカチがなくおも、キャンディヌがなくおも、――そう、きっず玄束がなくたっお、ギャリヌはむノに䌚いに行くだろう。  この小さな最愛の友人ずの絆を、決しお倱いたくないず心から思うから。 「今床は、アタシから䌚いに行くわ」 「絶察ね」  圌女の䞭にあるあの矎しい薔薇のように、綺麗な瞳がキラキラず茝く。  匟んだその声に、ギャリヌはしっかりず頷いた。  このずき、幌いながらもむノの䞭に芜生えた憧れは、やがお成長し恋心の花を咲かせるこずになる。  ギャリヌがその事を知るのは、ただ先の話。  
Ibにたぎっお萌えを昇華すべく曞いたんですがどうしおこうなった。真゚ンドの埌のお話です。メアリヌの䞀件は、むノのトラりマになっおもしょうがないくらいのものだず思うんだよね。それを二人で乗り越えおくれたらなヌずいう劄想がこんなこずになりたした。ギャリヌさんは芞倧生くらいの蚭定。埮劙に曞き慣れおない感がひしひし笑そしおタグは䜕を぀けたらよいのか 。ギャリむノギャリむノず萌えおたのに、かすりもしおない気がするけど心意気はギャリむノです。ギャリむノったらギャリむノ。でも粟神的にはむノギャリのギャリむノが奜みです。■4月27日远蚘Σ(Žロ)でででデむリヌ15䜍ですずっ通知来おたじビビりしたした ありがずうございたす タグもブクマもコメも嬉しいですっ やっぱギャリむブだよねギャリむブ
黄薔薇の肖像
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 吟茩は転生者である。名前は䜐倉姫。    なんお、某物語の始めを借りおみたけれど、冗談ではなく、私は本圓に転生者である。元々しがないオタクだった私は、䜕の拍子か死んでからコナン䞖界に転生したのだ。譊察庁のお偉いさんの、嚘ずしお。  二歳のずきそれを知り、前䞖の蚘憶を取り戻した私は、盎ぐにこう思った。──これ、降谷さんずの政略結婚ルヌトでは ず。  前䞖で私は、所謂"安宀の女"だったのだ。元々コナンくんのこずは知っおいたが、執行されおずっぜりず降谷さんの沌に嵌たった。安宀さんのずきよりも公安のずきの顔が奜きだったので、厳密に蚀えば"降谷の女"だったような気もするが。  たあずにかく降谷さんが倧奜きだったので、暇さえあれば支郚やその他色々なずころで倢小説を読み持っおいた。その䞭でも特に奜きだったのが、政略結婚モノだ。そしおそのヒロむン達が殆ど、偉い譊察官の父を持っおいるずいうのも、芚えおいた。  そしお、父芪が譊察官であるこずに気が぀いた私の行動は、ただ䞀぀。自分のあらゆるスキルを䌞ばすこずである。勉匷や運動、芞術関係に至るたで。犯眪発生率が異垞に高いこの東郜で生き残る為にも、必芁なこずだ。  幞い今䞖の私は元々の才胜があったのか殆どのものがかなりのトップクラスだったし、芋た目もモデルかず間違えられるほど良かったため、二十歳を過ぎるころには無事(?)ハむスペック倧和撫子が完成した。䞭身は残念、悲しいこずにオタク䞞出しの私だが、今䞖ではかなり呚りに甚心しおいるので誰もこのこずを知らないだろう。  転生したこずに気が぀いお、凡そ20幎埌。私は22歳ずなり、぀い先日倧孊を卒業した。そしおやはりず蚀うべきか、私は父の蚈らいで降谷さんずお芋合いをしおいる。着物を着お、我が家の行き぀けの和食専門の高玚料理亭で。  目の前にいるのは、私が前䞖からずっず憧れ、奜きだった降谷さん。正盎心臓どころか内臓党おが口から飛び出そうだが、幌い頃から培ったポヌカヌフェむスによっお蟛うじお人の顔を保っおいる。 あ〜降谷さん顔がいい䜕これ、本圓にアラサヌですか うっそ滅茶苊茶若い肌きめ现かい、スヌツ最高、はにかみ顔玠敵すぎない えっ無理誰が䜕ず蚀おうず顔がいい 「じゃあ埌は若いお二人で」  はい出たした王道パタヌン 早いなずは思わないよ、だっお倧䜓こうだもんね うんうん知っおる  人奜きのする笑顔を浮かべおいる降谷さんず心の䞭が倧暎走しおいる私を眮いお、私の父ず圌の䞊叞は垭を倖した。その瞬間、すんっず圌の顔から胡散臭い笑みがすっぜ抜ける。いやいや確かにお偉いさんずの嚘ずのお芋合いだからほが確実に入籍たでするずはいえ、化けの皮䞀気に剥がしすぎでしょ  。 「先に蚀っおおくが、これは完党な政略結婚だ。僕が君に恋愛感情を抱くこずはないし、君よりも仕事を優先するこずは知っおおいおくれ」  うんうん知っおる〜〜〜  本来怒りを芚えるような台詞でも、残念、私はドの぀く倢女子なのである。確かに降谷さんに溺愛されるルヌトが䞀番嬉しいが、そんな䞍確かな可胜性に賭けお降谷さんに「うざい」ず嫌われるよりも、圌に無関心な振りをしお、掚しずの同棲生掻を楜しむのが最も埗策ではないか。  だっお、掚しず䞀぀屋根の䞋だよ 合法的に圌の座ったずころに座れるんだよ 䞊手くいけば私が掗濯物出来るんだよ すっごいファンサヌビス  目の前では降谷さんが぀ら぀らずその他の条件を䞊び䞊げおいる。それに真面目な顔のフリをしお頷く私。降谷さんが瞬きをする床に、圌の長い金色の睫毛も動く。  あヌ顔がいい、ご郜合䞻矩っおいいね [newpage]  このようにしお、私は党囜の安宀の女に刺されそうな、"降谷零ず結婚する暩利"を勝ち取った。  勝ち取ったず蚀っおも、私はただ蚀われたこずに埓順に頷いおいただけだけど。ずっず倧和撫子を挔じおたから党く怪したれなくお助かった。ビバ・む゚スマン  やはりずいうか、零さん結婚したのだからこう呌べず蚀われたは党くず蚀っおいいほど家に垰っおこない。あれ、私䞀人暮らししおたっけ ず銖を傟げるレベルだ。たあ毎日垰っお来られたら心臓があたりに早く錓動しすぎお早死にしそうだからいいんだけどね でも普通新婚がこんなのしおたら芋限られるから、そこらぞん零さん理解しずいた方がいいず思うよ  た、愚痎はここたでずしお倧しお蚀っおないけど。  掚し掻満喫するぞひゃっふ〜〜〜  この家に監芖カメラやら盗聎噚やらが備わっおいるのは、ほが確実である。ずいうか、抌し入れで探し物しおいたら実際にカメラを芋぀けたのだからほがどころの話ではない、正真正銘100%だ。因みにそのカメラには気づかなかった振りをしお、さりげな〜〜く目を逞らし、さりげな〜〜くその前に物を眮いた。  ずはいえ正盎そんな窮屈な生掻はごめんである。幟ら倫ずはいえ、生掻の党郚を監芖されるのは流石に嫌じゃありたせん ずいうこずで、私は自分の郚屋を倧々的にリフォヌムした。  幞いお金は芪から貰ったものだけでもたっぷりあるので、零さんに自宀をリフォヌムをしたい旚を䌝えたら、ちょうど疲れおいるタむミングだったのか「奜きにすればいい」ず投げやりに蚀った。  ──蚀ったね 蚀いたしたね ほんっずヌに奜きにしたすよ  しおらしくそうですか、ず蚀う心の奥は狂喜乱舞である。早速倜のうちに母方の祖父が経営する財閥の子䌚瀟であるリフォヌム䌚瀟に連絡をずり、翌日の昌間にリフォヌムをしおもらった。盞談する前に既に盞談はしおあったので、ずんでもないスピヌドリフォヌムである。  壁玙を匵り替える぀いでに付いおいたカメラ等をさりげなくポむッず()しおもらい、䞀応リフォヌムずいう建前䞊、新しい机やベッドも入れおもらった。終いは郚屋の扉である。ピッキングが出来ない鍵穎のないタむプで、パスワヌド、虹圩認蚌、指王認蚌党おが必芁なものだ。因みにパスワヌドは、やりたいずきにリフォヌム䌚瀟のホヌムペヌゞの隠しペヌゞで倉えられるようになっおいる。  䞀週間埌垰っおきた零さんには滅茶苊茶眉間に皺を寄せられたけど、ごめんね、掚しずはいえこれだけは譲れないんだ   私の至犏のお郚屋だけは 「う〜キッド様〜新䞀くん〜平次くんヌヌヌ」  郚屋の䞭に入り、がふっずクッションを抱きかかえたたた゜ファに飛び蟌んだ。因みに防音完備なのでこの郚屋の倖にはこの叫びは届かない、オヌケヌオヌケヌ。  キッド様のポスタヌが、郚屋の壁に貌られおいる。圌のグッズが凄すぎお、あんたはこの䞖界でも二次元キャラか ず叫んだのは私だけの秘密だ。  新䞀くんず平次くんはやはりここではちゃんず(?)䞉次元の人間なので、グッズはない。だから色々なずころから新聞やらTVの映像やらを買い取っお、それぞれたずめおスクラップしたり、出おいるTV番組のずころを繋ぎ合わせおCDに焌いたりず、オタ掻を満喫しおいるのだ。  あっ、勿論最掚しは零さんだよ こっそり零さんが前日に䜿ったコップ流石にちゃんず掗っおるけど持ち蟌んで、それでゞュヌス飲んだりしお悶えおるよ   ただの倉態だね私 ううぅ〜零さんの匂いする  これでアラサヌずかあり埗ない    リビングから持っおきたクッションをぎゅうぎゅうず抱きしめる。䞀昚日零さんが垰っおきお腕を眮いおいたものだ。䜕でそんなの芚えおるのかっお そりゃ愛の力ですよ ──匕かないで、流石に凹むから。  そういえば愛の力ずか蚀ったけど、これは所謂恋愛感情ではない。たぶん、恐らく、maybe。蚀うなれば無償の愛である。私がどんなに圌を愛しおいようず、それに察する圌の察䟡は、  息を しおいる だけで いいんだ  いやほんずにほんず、だっお存圚が尊い、生きおるだけで尊いから。恋人は日本だもんね、぀いでに正劻も日本でしょ 私は埌ろ盟を利甚する為だけの功ずでも思っお䞋さいたせ〜〜 流石に愛人ずか䜜られたら絶望どころの話じゃないけど、零さんは䜕だかんだ真面目だから、きっずそういうこずはしないでせう、たる。  ずいうか、そんな暇もないだろうし。今の零さんは28歳、぀たり朜入捜査真っ只䞭である。いや、䜕でお芋合いしたの、結婚したの もしかしなくずも譊察䞊郚の圧力ですね、今床父に䌚ったらぶん殎っずきたす、心の䞭で。私は小心者なので実際にはにこにこ笑っおいるだけだけど。 [newpage]  そういえば、譊察孊校組は皆生きおいるようで。぀いこの間䌊達さんず高朚刑事ずすれ違っお、䌊達さんが萜ちた譊察手垳拟い䞊げようずしおたから党力で腕を匕っ匵った。そりゃもヌ党身党霊、党䜓重をかけお。珟圹の譊察官ずはいえ、䞍意打ちな䞊に屈んでいた状態だったから、意倖ず簡単に吹っ飛んだ。  ──私ず共に。  ガシャンずトラックが凄い音を立おた暪で、私は地面に擊った腕が痛いなあ、ずかがんやり考えおいた。ら、慌おた䌊達さんず高朚刑事に病院に担ぎ蟌たれお。䌊達さんを心配したのか走り蟌んできた二人組を、私は二床芋、いや䞉床芋四床芋くらいした。  ──えっ、爆凊 生きおる  その埌お瀌だずか䜕ずかで居酒屋で奢っおもらい、そこの話の流れでスコッチも生きおるこずを知った。おうおう凄いな。偶然車に蜢かれお運転しおた倧孊生の女の子が拟っおくれたのか。偶然っお凄いな、ふむふむ。  その飲み䌚で䞉人ずは連絡先を亀換した。そのずきに「ぞヌ君っお降谷っお名字なんだね 俺らの同期にも同じ名字の奎がいたんだよ」ず蚀われたずきには空笑いを返しおおいた。ごめんなさいその同期さんず愛のない結婚生掻しおるんです 蚀えないけどヌ  このようにしお、無事私達は友人関係になったのだ。これを零さんが把握しおいるのか、私は知らないけど。いやでも、知っおるんだろうな。だっお公安様だもん。  たあ、止められないからいいのかな。圌らずは月に䞀床くらいの頻床で呑みに行く仲である。譊察孊校時代のお話ずかよく聞ける。りッ䟛絊が玠晎らしい。最掚しは零さんだが、その次に奜きなのは実は譊察孊校組なのだ。曎にその䞋であるキッド様達にも悶えおいるのだから、圌らずいるずきの私の乱心ぶりは想像が぀くだろう。この前の飲み䌚のずきも束田さんず萩原さんがわちゃわちゃしおお県犏だった。  因みに䌊達さんずナタリヌさんの結婚匏にはお呌ばれしお行きたしたよ。スコッチっぜい人もいたした。ちょっず目を芋匵られた気がするけど䜕でかな。二次䌚はカオスでした。  ガチャ、ず音がする。旊那様のお垰りのようだ。クッションを持っお、私も自宀から出る。零さんはそんな私をちらず芋やっお、スヌツのゞャケットをハンガヌに掛けた。 「お食事にしたすか」 「いや、芁らない。颚呂は沞いおるか」 「あ、はい」  䌚話終了〜〜  どんなに玠っ気なくおも怒りなんおしないよ、なんおったっおトリプルフェむス 普通の人が䞀日八時間劎働だずしお×3するず䞀日24時間劎働 普通の人よりそれぞれは少ないだろうけど、本圓この人ワヌカヌホリックすぎでしょ。瀟畜すぎる。もう、その可愛いおめめの䞋に熊ちゃんがいるよ☆   ごめん自分でやっおお気持ち悪かった。  兎に角、零さんにはもっずちゃんず䌑んでほしい。でも圌は、結婚しおから半幎もするのに䞀床も私の食事を取っおくれたこずがないのである。公安だからだろうけど、そこたで信甚されおないのは少し悲しい。ちょっずだけだよ、ちょっずだけ。  でもその分、他のずころには気を぀けおいる。お颚呂はネットで調べお䞀番疲れが取れる枩床に蚭定しおあるし、冷蔵庫には未開封の食材を垞に入れおある。零さんの郚屋には立ち入りが犁止されおるけど、リビングなどの電球は目に優しいものに倉えおおいたのだ。  それに、出来るだけ圌が家にいるずきは自分の郚屋に匕っ蟌むようにしおいる。䞀応垰宅した盎埌に二蚀䞉蚀亀わしお、圌が入济しおいる間に掗濯物を掗濯機に入れる。流石にないず思うけど、脱衣所にカメラがある可胜性も考えお、悶えるのは必死に我慢だ。自宀に匕きこもっおからベッドの䞊でのたうち回っおいる。  䜕気なくキッチンにお茶を飲みに行けば、圌がネクタむを解いおいる。䜕気ないその仕草が滅茶苊茶色っぜくお、思わず冷蔵庫にガンッず頭をぶ぀けた。 「  倧䞈倫か」 「だ、倧䞈倫です。ちょっず目眩がしたしお。お茶飲んだらすぐ寝たすね」 「え、あ、あぁ  」  心配しおくれる零さん最高。銖傟げるの可愛かった。お茶をはしたなくない皋床に急いで飲み、そそくさず自分の郚屋に退散する。ベッドにダむブしおお決たりの劂く叫ぶ。 「はぁ〜〜今日も掚しが尊い」  芋た目は倧和撫子、頭脳は前䞖ず合わせお【自䞻芏制】歳、地雷なしの倢女子、その名も──    そこの貎方、私の名前、芚えおたす䞀回しか出おないけど しかも名乗っただけだけど [newpage] ・倢䞻ちゃん䜐倉姫 黙っおれば滅茶苊茶ハむスペックな倧和撫子。 顔良し頭良し性栌良し、運動神経たあたあ良し。 降谷さん倧奜きだけど、譊察孊校組も奜きだし、䞻人公組ずかも奜き。 人の感情の機敏には敏感なはずが、降谷さんが絡むずおかしくなる。 ・降谷零 恋愛感情はただない。たぶん。 けど䜕だかんだ蚀っお奥さんのこず良い子だず思っお気にかけおるのに、党然心開いおくれなくおほんの少し凹んでる。 䌊達さんのずきのこずも、奥さんじゃなくお同期組グルヌプからのLINE既読付かないようにしお芋おるで初めお知っお、たた凹む。 名目䞊だけでも家族なんだから、少しくらい話しおくれおもいいのに  。 ・爆凊組 ぞヌ降谷っお蚀うんだ、アむツず䞀緒だね() ・䌊達さん ん 降谷 あれ、ちょっず聞いた旊那さんの人物像、アむツに䌌おるような   ・スコッチ え、あ、あの子  
降谷さん倢です<br />n番煎じ政略結婚ネタ。<br />前䜜ずは雰囲気も文䜓も180床違う、ガッチガチのギャグです。<br />曞いおお凄く楜しかった  <br /><br />毎床蚀っおおし぀こいかもしれたせんが誹謗䞭傷、荒らし、無断転茉等はやめおくださいね。<br />ブロヌクンハヌトしたすので。<br /><br />ネタ舞い降りおきたら続き曞きたいなぁ。<br /><br />【远蚘】<br /><br />2018/08/27付<br />小説デむリヌランキング6䜍<br />小説女子に人気ランキング3䜍<br /><br />2018/08/28付<br />小説デむリヌランキング1䜍<br />小説男子に人気ランキング58䜍<br />小説女子に人気ランキング2䜍<br /><br />ありがずうございたす  <br />奜評䟡、枩かいコメント、本圓に嬉しいです(⁎᎗͈ˬ᎗͈⁎)♡<br />シリヌズ化しようず思いたす<br />これからも宜しくお願いしたす*_ _)♡<br /><br />2018/08/29 修正したした<br />2019/07/29 修正したした<br />誀字報告ありがずうございたす((Žω)Ž_ _))
掚しず政略結婚したので掚し掻を満喫しおいたす
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10046001#1
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たずはなにから話そうか。最初から話せば楜ではあるが、なにしろ、きみには聞かれたくないこずも倚くおね。  そうか。すべお吐かなければだめか。わかった。他でもないきみの頌みだ。なかなか情けない䞊に、ひどく長い話になるが、勘匁しおくれよ。 そうだな。たず、これを頭に入れおおいおくれ。 俺は目が芚める前も、芚めたあずも、きみのこずを考えおいたよ。 目芚めた、ずわかったのは、滲んだ光が癜熱灯になったからだ。 無味也燥な像を結んだ芖界は腫れがったい。看護垫が芚醒に気付くたでの短い時間、茞液の管に繋がれた俺はどうやら生き延びたらしいずいうこずを埐々に理解しおいた。蚘憶の断片を鑑みるに、远い詰められた組織が最埌の悪あがきに吹き飛ばしたビルにいたらしい。最埌の蚘憶は熱ず痛みず爆颚。咄嗟に抱き蟌んで守った䜓枩。たったくよくも死ななかったものだ。自分の悪運の匷さに惚れ惚れしたよ。 膜の向こうのようにたわんだ声でドクタヌたちが俺の呚りを埘埊しおいた。奇跡だずかなんずか。他人事のように聞いおいた。こうしお瀕死の俺がのんきに管だらけで寝転んでいるずいうこずは、めでたく組織は壊滅し、負傷者を治療する暇たで確保できたずいうこずだ。玠盎に、さすがだなず思ったよ。ああ、きみのこずだ。突入䜜戊の指揮を執ったのはきみだからな。慎重で呚到なきみのこずだ、蚎ち挏らしの可胜性も䜎い。その䞊きみは埋儀だからな。病院もセキュリティは配慮枈みだろう 俺はおずなしく安党ず治療を受け取ればいい。 ふず芖線を感じお、俺は癜衣の隙間に目をやった。ブルヌの入院着の子どもが少し離れたずころに立ち尜くしおいた。頭を包む癜い包垯。どうしたボりダ。そんな顔じゃ、男前が台無しだぞ、ず俺は思った。 ボりダは矀がるドクタヌに恐れをなしたのか、はたたた管たみれの俺のせいか、瞫いずめられたように動かなかった。すたないず思っおいるのだろうか 俺の負傷が、自分を庇ったものだから。ああ、そうだな。圌が気にするこずはない。過倱の割合を決めるたでもなく、俺は埌悔なんかしおないからだ。爆颚に吹き飛ばされるはずだったボりダず、圌を助けようずしおいたきみを守ったこずを。 はは、拗ねないでくれるか。わかっおいる、きみは俺の助けなんかなくおもどうにかしたこずだろう。だがな、俺のからだは、咄嗟にきみを守りに動いたわけだ。理解ずは反察の反射の郚分だ。本胜的な郚分だろうな。気づいちゃいなかったが、俺の無意識はもうずっくに、きみに惹かれおいたんだろう。  なんだ。照れおいるのか 自芚しおいたのは、きみの方が先だろうに。 ―――この戊いが終わったら。 きみは芚えおいるか 突入を仕掛ける、盎前の倕暮れだ。䞡脇に吊ったホルスタヌ、汚れる前のワむシャツで、きみはそっず呟いた。 ―――この戊いが終わったら、䌝えたいこずがありたす。絶察に聞いおもらいたすから。 だから生き残れ、ず蚀倖に聞いた。 俺たちは、己ぞの憎悪ずやりきれなさがお互いの喉を焌いおいるこずを既に知っおいた。きみは生半に誀魔化しきれる盞手ではなく、結局血反吐を吐くようなやり取りを経お確執は解かれた。その際俺はきみに殎られ、俺もきみを殎った。拳をけじめにするのは、どこの囜の男でも䌌たようなものだな。 和解したず蚀っおも、終盀たで耇雑な立堎を維持し続けたきみずは、顔を合わせた機䌚は少なかった。その䌚話の倚くは組織に関する内容だったが、きみずの䌚話は䞍思議に快く、無事を祈る蚀葉ずしおきみが己ずの䌚話を玄束しおくれたこずを俺は喜んだ。赀金色の倕日がきみを瞁取り、印象的な瞳がかたどったアルカむック・スマむルが匷く印象に残っおいる。解釈のしづらい衚情だったよ。奜奇心が掻き立おられた。あれは、どういう皮類のきみの笑顔だったのだろう。バヌボンずも、安宀透の笑みずも違う。   そうか、答えおはくれないか。ん 構わんよ。奜きなように解釈できるからな。はは、教えないず蚀ったのはきみだぞ。 組織ずの戊いでは、きみも無傷では枈たなかったようだったが、シャツを汚しながらも無事に立っおいたのを俺は芋おいる。その䞊、ビルが吹き飛ばされたその瞬間、咄嗟にボりダの小さなからだを守ろうずしおいただろう 俺はな、そんなきみを諞共に抱え蟌んだ。芚えおいるか   そうか。いや、構わないさ。 ずもあれ、俺が生き延びたんだ。きみも、きっずどこかの病宀にいるんだろうず俺は思った。 腕ひず぀満足に動かせない状態は少し気恥ずかしいが、早いうちに䌚いたいものだった。もしかしたら、きみもベッドに瞛り付けられおいたのかもしれないが。 きみが俺を芋舞うのが先か、俺がきみを芋舞うのが先か、そんな競争も悪くない。そう、俺はのんきに思っおいたよ。 ダマさえ越えればずっずず叩き出されるアメリカず異なり、日本の入院生掻は長い。やけに頻繁な看護垫の埡甚聞きにうんざりした頃、ようやく俺は解攟された。倧茪の花束に苊笑する。俺がこれなら、きみもさぞかし凄かったこずだろう。花束のミニひたわりが䜕を圓然のこずをず蚀わんばかりに小花を埓えおいた。 結局きみは、入院生掻に倊んだ俺を蚪ねおくれるこずはなかった。ひょっずしたら病院が違ったのかもしれないず考えた。リハビリがおら歩いたあらゆる棟のプレヌトには、降谷も安宀も掲げられおはいなかったから。 たあ構うたい。自由の身になったからには、いかようにも調べられる。きみの方から来るかもしれない。あれだけの囜際シンゞゲヌトが倒れたんだ。FBIずしお公安に芁請しなければならない仕事も、公安から聎取される内容も倚いこずだろう。ああ、そうだな。むしろこちらがきみの本領発揮か。逃亡させおもらえるずは思っおいないよ。気の枈むたで問い詰めるずいい。そっちは玠盎に答えるずは玄束できんが、この話なら党郚話そう。むしろこころしお聞いおくれ。ほら、寝たふりをするな。 楜しみだ。きみはどんな顔で、俺のずころに来るかな。なに、颚芋くんを寄越す いいだろう、遊んでやろうか。  そうそう。実力を芋極めるのは倧事だぞ。ずもかくだ、俺は同じこずを考えながら、殊勝にFBIが間借りしおいる譊察庁ぞ顔を出した。 だが、きみは来なかった。 退院祝いにもみくちゃにされおいるずきも、FBIぞのメッセンゞャヌも、懞念案件の察策䌚議に出垭したのもきみではなかった。 ただ入院しおいるのか。それずも職務の特殊性から、別の堎所で働いおいるのか。はたたた、倧出䞖なんおこずもあるのかも。 だが降谷くん、きみは俺に䌝えるこずがあるんだろう 埋儀なきみのこずだ。俺の居堎所を掎めば、すぐにも連絡しおくるはずだ。そうだろう きみは来るはずだず埅぀ばかりで自分から向かわなかった俺は、胞の底で震える予感が確信に倉わるのを、無意識に厭っおいたのかもしれない。 い぀たで経っおもきみは顔を芋せる気配もなかった。回されおくる曞類にも、メヌルのコピヌ欄にもきみの名前がない。きみのこずだからたたぞろ倉名を䜿っおいるのかもしれないず誀魔化しお、きみがそんなこずをする必芁はもうないはずだず反論する掚理に蓋をしおいた。 ある日、譊備䌁画課に野暮甚ができた。俺は埮かに躊躇した。そこにきみがいるか、確かめるこずができおしたう。フロアぞ向かう歩調が鈍る。薄い壁の向こうにある真実にこの俺が躊躇しおいる。あんなに萜ち着かない気分でノックしたのは、芪父の蚃報を聞いた、ガキの頃以来だ。 「遅かったですね」 応察に出たのはきみではなかった。そう。颚芋くんだった。 甚を枈たせがおら、圌の肩越しにフロアを芋枡す。きみの姿はないが、䞍自然な空垭もない。どこの机も曞類が積たれおいる。知らずにこもっおいた肩の力が抜けたよ。 「おい、颚芋。今日もうあがりだろ。あずやっずくから早く行け」 「すみたせん。ありがずうございたす」 近くのデスクから声がかかり、颚芋くんは俺から受け取った曞類を恐瞮しながら幎配の男に蚗した。颚芋くんは俺に圢匏的な瀌を蚀うず、慌ただしく垭ぞ戻り鞄を取った。宀内は誰も圌も忙しそうだったが、昌前に退庁しようずする圌を誰もが手を止めお芋送ろうずしおいた。 「頌んだぞ」 「よろしくな」 「泣くなよ、颚芋」 「すみたせん。行っお参りたす」 わけがわからなかったよ。 居心地悪く入り口に突っ立ったたたの俺の前を、劙に湿っぜい響きのやり取りが飛び亀っおいる。おい誰かいた錻を啜った。なんだこれは。急き立おられるように予感がしお、俺は足早に通り過ぎようずした颚芋くんの腕を掎んだ。 「埅お、颚芋くん。聞きたいこずがある」 「日を改めおくれないか」 「䞉秒で枈む。降谷くんに䌚いたいんだが」 空気が凍った。手の䞭の前腕筋が硬盎する。颚芋くんはくちびるを慄かせ、マむナス䞉十床の宀枩を掻き分けるように絞り出した。 「降谷さんは  もう、ここにはいない」 「  異動か 圌のこずだから出䞖かな。意倖だな。圌だけは最埌たで掃蚎に関わるず思っおいたが」 咄嗟に口を぀いたのは、そんな蚀葉だった。きみは頑ずしお組織の息の根を止めるたで動くたい。それができるだけの力も、胜力もある。 本心から思っおいるこずではあるが、確信を高め぀぀ある可胜性から無理に目をそらした蚀葉は玙のように軜い響きで噛み合わせが悪かった。 「  異動、の、ようなものか  悪いが、急ぐのでこれで」 颚芋くんは腕を奪い返すず、足早にフロアを出お行った。圌の背が消えるや譊備䌁画課に喧隒が戻っおくる。蚀葉を䌎わない芖線がたずわり぀くのを感じ、俺もすぐにその堎を去った。嫌な予感がしおたたらない。きみの行方を知りたければ、颚芋くんを尟けるべきだず本胜が囁いおいた。明らかに圌はなにかを知っおいる。真実を远うなら圌を芋匵るのが垞套だ。だずいうのに、たったく俺はどうかしおいた。庁舎からすぐにタクシヌを拟う圌をがんやり芋るばかりで、垞より早い脈拍ばかり数えおいた。 頭の隅が、ちりちりず予感に震えおいた。 ―――真実の気配に、怯えおいたんだ。 適圓に仕事を切り䞊げるず、俺は工藀邞ぞず車を向けた。 ふるい本のにおいはひずのこころを安らがせる。ゆっくりず降り積もった時間の持぀穏やかな停滞が、いたの心臓には必芁な気がした。 倏の長い倕暮れのなか、工藀邞はひっそりず䜇んでいた。玄関灯も灯っおおらず、無人の静けさが挂っおいる。奜きなずきに䜿っおくれず厚意のたたに鍵を䞎えられおはいるが、瀌儀ずしお䞀床チャむムを鳎らした。意倖にも「はぁい」ず応える声がした。 ほどなくしお、この家の若い䜏人が顔を出した。倕闇に青ざめお芋えるカッタヌシャツを着蟌んだ青幎がきょずんず俺を芋䞊げおいた。目の端が埮かに赀い。極端に静かな家の様子からしめやかな気配を嗅ぎ取っお、俺はかけようずした声を詰たらせた。 「赀井さん、なんでいた」 お互いを認めたたた、俺たちはなかなか挚拶を亀わせずにいた。ようやくこがれ萜ちたそれは驚きに満ちおいお、事情がわからないながら俺の胞郭を匷く抌した。 「どうかしたの、工藀くん」 たばたきもできずに嫌な予感に呑たれた俺を远い打぀ように、くぐもった女の声が近づいおきた。 無意味に玄関に突っ立った俺たちを芋぀けた黒服の女は、ストッキングの足を䞍自然に止めた。 「  あなた、どうしお今頃、こんなずころに来たの」 志保は殊曎ゆっくりず぀ぶやくず、郚屋の䞭ぞず戻っお行った。子音のaが震えるのを聞き逃さなかった。感情を抑えるずきの圌女の癖だ。俺は凍り぀いたように動けなかった。䞉十床を軜く超えおいるはずの気枩が嘘のように肌寒く感じた。黒いサマヌドレスは、死者を悌むためのものだ。アメリカでも、日本でも。 尋垞ではない俺の様子に、ボりダは気付くものがあったらしい。倧きな目に同情が浮かぶ。 「赀井さん、ひょっずしお知らなかったんですか」 真実を突き぀けられようずしおいる。最も近しい可胜性ににじり寄られお、俺は情けなくも腰が匕けた。そんなはずはないず也いた舌が早くも反論しようずしおいた。それこそが自分自身の確信の蚌巊だ。 なにかの間違いだ。きみほどの男を俺は知らない。この俺に䞀片も真意を悟らせない埮笑みで、生き延びたあずの玄束をしたきみだ。 この戊いが終わったら、きみは俺に䌚いにくるんだろう。 きっず俺はひどい顔をしおいたんだろう。信じられないのもわかりたすず前眮きしお、真実の申し子は逃れようのない事実を口にした。 そのずき圌の蚀葉を、俺は、どうしおも思い出せない。 [newpage] 埡圱石の圱が長く䌞びおいた。 ひぐらしが耳に残る声を響かせおいた。爆颚のような斜陜に照らされお、簡玠な石の矀れはしんず倏の底に静止しおいた。 東郜の片隅に鎮たる共同墓地は、埋め盎されたばかりの、新しい土のにおいがしおいた。 長幎颚雚にさらされた砂岩の墓暙はのっぺりずした衚情で俺を芋返す。觊れればざらざらず指を荒らしそうな衚面には、䞀片だっおきみに結び぀くものなどなかった。真新しい菊ず暒の青い芳銙ずおそうだ。線銙は既に燃え尜きお、小さな芯がぜ぀んず残されおいる。 灰色にくすむばかりのこれが、あの華やかな男の、いたの姿なのだずいう。 到底珟実ずは思えないたた、俺は『きみ』に向き合っおいた。実のずころ、どうやっおここたでやっおきたのかわからない。断末魔の茜色の具合からしお工藀邞からそのたたここに来たのだろうが、車をどこに停めたのか、そもそも車で来たのかすら思い出せない始末だ。驚くほど頭が空になっおいた。珟圚地ひず぀捻り出せないなんお経隓したこずがない。 「  きみも」 墓石は俺の倪腿ほどもない。小さくお、ざらざらしおいお、ずおも静かだ。あらゆるものが俺の知るきみのすべおず異なっおいる。ひぐらしが遠く近くに鳎いおいる。土ず青草のにおいが匷い。匔いの静寂。呆けた俺はなにかを考えるこずもできずにいた。 「きみも俺を、おいおいくのか」 ひぐらしが鳎いおいた。 物悲しいその声の尟が溶けおしたう頃に、俺は自分がなにを口走ったのかを理解し、呆然ず自分の口を抌さえた。手のひらに圓たる呌吞が生枩かく震えた。 俺は䞀䜓なにを蚀ったのだろう。おいおいくだなんお、子どもみたいに。虚ろな蚀葉はあたりに頌りなく空気を揺らした。自分が発した蚀葉だなんお、ずおもじゃないが信じられない。 ―――降谷くんに聞かれたら、どうするんだ。 咄嗟にそう思っおしたっおはっずした。聞かれたらも、なにも。墓石は雚の流れた跡に圱を刻みながら、しんず沈黙を返すばかりだ。 足が萎えそうなほどの喪倱感が俺を襲った。座り蟌みそうになるのをなけなしの気力で堪えたよ。 降谷くん。きみ、死んだのか 墓堎の空気は倕立ちのあずのように湿り、死䜓の肌を思わせた。きみには間違っおも䌌合わない。きみに觊れたこずこそなかったが、火を噎くようなきみの瞳ず、光を玡いだような髪ず、きみを衚すものはひず぀ひず぀が茝く生呜の気配を湛えおいる。 そんな降谷零を、䞀䜓、誰が殺せるずいうんだ。 俺は恐る恐る墓石に觊れた。熱のこもった、冷たく固い、無慈悲な感觊だった。こんなものがきみの寝床か。冗談だろう。なあ。きみはどこかの病院でうなっおいるか、新しい仮面を付けおなにかを探っおいるんだろう。なあ、降谷くん。 「―――そうか。そういうこずか」 降っおわいた閃きに俺は飛び぀いた。簡単なこずだ、か぀お己が䜿ったのず同じ手だ。俺は死䜓を芋おいない。蚌拠を積み䞊げお、蚌蚀を増やしお、降谷くんは『降谷零』を埋葬したのだ。俺が沖矢明になったずきのように。なにせ圌が暎いた手だ、筋曞きをなぞる皋床造䜜もない。 俺はその思い぀きに倢䞭になった。考えれば考えるほどそうずしか思えなくなった。 あずから思い返すに、そのずきの俺はすっかり動顚しおいた。なにしろ俺はきみが死ぬなんお考えたこずもなかったし、もっず銬鹿げたこずに俺が生きおいるならきみも生きおいるはずだず信じおいた。あの凄惚な組織で生き抜いおきたきみだ。悲劇を経おさえ螏みずどたったきみがこんなにも呆気なく倱われるなんお、あっおいいはずがなかった。 ひずなど指先ひず぀で簡単に死ぬものだず知っおいた俺には、きみの賢さず匷靭さは救いですらあった。そう。どんなに賢くずも、頑䞈でも、それが生き延びる理由にはならない。俺はそれを嫌ずいうほど知っおいる。アメリカでも、日本でも、組織でも、どんな資質も死神には関係がないず思い知っおいた。なにより俺自身が、この手で殺す偎だった。正しさも優しさも。  だが、どういうわけかな。きみだけは、抜け目なく死を撥ね付けるのだず思い蟌んでいた。それが突然無瞁仏の墓の前に蹎り出され、これが珟実だず突き぀けられおも信じられるはずがない。 新しい土のにおいのする墓を芋䞋ろした。぀くづくきみには重ならなかった。圓然だ、ここにきみはいない。そう考えるず気分が高揚し、俺は埮笑みさえした。 「  芚悟しろ、降谷くん。きみが俺を墓堎から匕きずり戻したように、俺もきみを芋぀けおやろう」 頭のどこかに「無駄なあがきだ」ず囁く声があったが、俺はそれを無芖しお墓の前を去った。倪陜は沈みきり、薄玅色の残照が未緎のように挂っおいた。じきに倜が来る。 きみは生きおいる。 共同墓地から戻ったその日から、俺は取り憑かれたように降谷零の最期を調べ始めた。䞍思議なもので、きみぞの糞口を探るためだず思えば、あれほど现心に拒んだ情報さえ抵抗なく觊れるこずができた。 組織ずの最埌の戊いで、日本譊察の殉職者リストには新しい名前が䜕件も登録されおいる。その䞭に䞊ぶ降谷零の文字を俺は躊躇いなく蟿り、きみが内臓砎裂で死んだこずや、俺の入院しおいた病院に収容されたこずを知った。怜死蚘録には痛たしい怪我の詳现が連なっおいる。䞡腕の骚折、からだを芆う倧小の火傷。きっずそれたでの俺なら耐えきれなかっただろう。俺はこの腕の䞭に確かにきみを抱え、そしお取りこがしたのだず思い知らされる内容だ。助けられたいのちをたたしおも助けられなかった、そう絶望したこずだろう。いたは倧䞈倫だ。なにしろこれは、きみが操䜜した情報なんだろう 血の気ず䞀緒にしがらみが倱せ、すっかり穏やかな衚情ずなった蚘録写真を撫でた。䞍思議なほどに動揺はなかった。俺が来葉峠で『死んだ』ずき、バヌボンは繰り返しキヌルの撮った蚘録映像を芋たずいう。銃匟を受けお倒れる俺の死に際を凝芖ながら、きみもこんな気持ちだったのだろうか。どんなに明らかな蚌拠を突き぀けられおも、きみは生きおいる、その䞀念が熟火のように腹を熱くしおいた。 早くきみを芋぀けたいず匷く思った。それず同時に、ずっずこうしおきみを远っおいたいずも。 か぀お倱螪した父の跡を远い、突き進んでいた頃ず同じように、いやそれ以䞊に、俺はきみを远うのに倢䞭になった。倚少歳を食ったずころでひずの本質は倉わらないずいうこずか。あの頃よりももっずなりふり構わず、それこそ寝食を忘れお俺はきみの生の蚌明に取り組んだ。若さのたたに探し続けた父は、結局その死を蚌明するこずになっおしたったが、今床の盞手はそうやすやすず死ぬような男じゃない。きみを必ず芋぀けるず躍起になった。  ああ。父の生が完党に吊定されたずきに感じた倱望や虚しさの反動も、あったかもしれない。 なんどもなんども朝が来お、倜が来お、たた朝になった。きみは芋぀からない。仕事のファむルもそこそこに、きみの蚘録が積み重なっおいく。 来葉峠での俺には、身を隠さざるをえない理由があった。きみにもきっずあるはずだ。組織が滅びたいたずなっおも、自分さえ埋葬しお隠れる理由が。それは新たな朜入任務かもしれない。庁内の陰謀かもしれない。はたたた、個人的な理由かもしれない。 俺はきみの協力者ず思しき連䞭を調べ䞊げ、公安の仕事を嗅ぎたわり、きみの人生を䞁寧に掗い出しおいった。 「赀井くん、近頃どうしたんだね。きみはきみの本分を超えたこずをしおいないかい」 恐らくは公安から苊情を受けたゞェむムズに質され、俺は「No, sir.」ず短く答えた。ゞェむムズは信じおはくれなかったようだ。芖線が厳しくなる。 「組織の再起を封じるために、日本譊察ずの緊密な連携が必芁な時期だ。痛くもない腹を探られおは、Bread and butterのようにはいかない。きみならそれくらい分かるだろう」 「ええ。ひどい誀解を受けおいるっおこずも」 きみが身を隠さなければならないほどの理由がきっずあるのだ。仕事に身を捧げきっおいるきみのこずだから、それは公安案件の可胜性が非垞に高い。だが、そうだな、次からはもう少し隠密に探ろう、ず懲りずに考えた。 「  ほどほどにしなさい。最近のきみは鏡も芋おいないようだからね。ひどい顔色だよ」 ゞェむムズはため息を吐き、私にきみを解雇させないでくれよず蚀い残しお去っおいった。俺はディスプレむを切り替えた。ずらりず䞊んだ公安の監芖察象を確認しおいくが、どれもこれもきみが朜入するほどのものずは思えない。ゞェむムズにも釘を刺されおしたったこずだし、これ以䞊のハッキングはいたは控えた方がいいず刀断した。  ん ああ。いたは。なにしろ、諊めが悪くおね。 「だずするず  颚芋くん、かな」 俺は探りを入れる目星を぀けた。きみの忠実な郚䞋である圌は、なにがしかの情報をきっず持っおいるはずだ。 意倖にもすんなりずアポが取れ、俺はなんずなく通話蚘録を眺めた。䞉時間前の発信蚘録で『降谷零』の登録番号が衚瀺されおいた。きみを远い始めおから、い぀の間にか始たった習慣だ。  嫌だね。消すものか。 番号をタップするず、幟ばくもせずに自動アナりンスに切り替わった。 『お客様のおかけになった番号は、珟圚䜿われおおりたせん。番号をお確かめのうえ―――』 すべお聞かずに終了した。 繋がらないこずなどずうに知っおいたが、「もしかしたら」を諊めるこずができなかった。  ああ、そうだな。未緎がたしい。我がこずながら笑っおしたう。きみなら、早々に無駄なものは消去するんだろうな。きみが本気で隠れたのなら、電話番号などいの䞀番に倉えるに決たっおいる。 胞ポケットを探るず、ショヌトホヌプが䞀本だけ残っおいた。可及的速やかに買いにいかなければならないず思った。きみを探し始めおから、俺の喫煙量は䞉倍に増えた。 正盎なずころ、俺は焊りを感じ始めおいた。情報を集めれば集めるほど、きみが姿を消すほどの理由などないず結論付けざるをえなくなる。バヌボンや、安宀透ずしお構築しおいた人間関係にもきみは䞀切の痕跡を断ち切っおいた。たさに断絶だ。それたでのきみのやり方であれば、䞍審を持たれないよう埐々に、そしお自然に存圚を消しおいったはずが、『呜日』を境に乱暎なほど唐突に―――死んだのならば圓然に―――煙のように姿をくらたせおいたのだ。 明らかにきみの流儀に反するそれは、その突然の䞍圚が䞍可抗力によっお成されたものだず蚌明するようで、きみの死を補匷しおいるずしか思えなかった。 降谷零の死を吊定しようずするほどに、死の蚌明ばかりが連なっおいく。 なんの手がかりもなく、自身の掚理を吊定しおたで走り続けるに十分なほど、俺はもう若くはない。 がむしゃらに糞を蟿っおも報われるずは限らないこずを、父の背䞭越しに知っおしたった。虚しさはひずを臆病にする。なにか、かけらでもいい、きみの生をにおわせるものが欲しかった。少なくずも、死を疑うに足るものが。 自分の歳を、こうしお認識するずはな。 「あいにくだが、俺はなにも知らん。もし降谷さんが生きおいるなら、俺の方こそ手がかりを知りたい」 日比谷公園のベンチに腰かけ、颚芋くんはにべもなく俺の垌望を打ち砕いた。圌は少しや぀れたようだった。鋭さを増した頬骚に淡く汗が浮いおいた。日本の倏は、朚陰でさえ蒞篭のように暑くおたたらない。 薄緑の葉をぎくりずもさせない柳を遠く芋぀めるように芖線を挂わせ、颚芋くんは「俺があのひずの身元確認をしたんだ」ず呟いた。炎倩に炙られた怍物のように萎びた声だったよ。 「䞍思議だった。死䜓が珍しいわけじゃない。降谷さんがそうなりうる存圚なんだずいうこずがずおも奇劙に感じられたんだ。俺にずっおあのひずは、俺たちずは違う、なにか別の生きものだった。心臓がみっ぀あるず蚀われたっお信じたでしょう」 「圌は人間さ。むしろ俺は、圌以䞊に人間的な男を知らない。確かに、恐ろしく切れる男だが、あの目に火花を散らしお走るひたむきさや、笑っおしたうほど埋儀なずころや、案倖䞖話焌きな性分はむしろ埮笑たしいくらいだ」 颚芋くんの衚す降谷零が気に入らず、俺は぀ら぀らず俺の知るきみを描き出しおいた。生意気で有胜で、時折子どもっぜい危うさを芗かせおいたバヌボンや、子どもたちに囲たれた安宀透、その芯を貫く降谷零を思い返すだけで、俺のくちびるは気付かないうちにゆるりず䞊がった。勝気に笑うきみの瞳を思い描くず、繊现なガラス现工を撫でるような快さを感じた。  なにを難しい顔をしおいる きみも颚芋くんの蚀い様が気に入らないか。  俺 なぜ。そう感じおいるんだから、仕方ないだろう。 ああ、そう、颚芋くんだ。颚芋くんも、奇怪なものを芋る目で俺を芋た。 「あんたに執着しおるのは、降谷さんの方だず思っおいたが  あんたの方も、そうだったんだな」 「 俺が」 「気付いおないのか。あんた、絶察に過去圢を䜿わないんだ。ずうに去っおしたった人間をただ生きおいるず信じるなんお、昔の降谷さんみたいじゃないか」 颚芋くんの指摘に面食らった。俺ずきみずは、友人ですらなかった。友人になりたいず思っおいた矢先、きみは姿を消しおしたったから。因瞁はあれど、人間関係ずしおは成立もしおいない。  はは、そうだ。蚀われおみれば、俺の行動はか぀おのきみず比べおなんの遜色もなかったが、俺は圌の指摘に気埌れを感じた。こんなもんじゃない。反射的に思った。なにしろ俺は䞍安を捚おきれないでいた。埮かでも、垌望を欲しがっおいる。きみはもっず火の玉みたいに俺を探した。砎滅的なほどの情熱ず、恐れ知らずのひたむきさで。 劙な顔をしないでくれ。本圓のこずだろう そうだ、聞かせおくれないか。きみはなんども俺の死に様を芋ただろうに、䞀床も俺の死を疑うこずはなかっのか きみはよく蚀っおいたな。『赀井秀䞀ほどの男が、死ぬはずがない』ず、この俺のこずを。なあ降谷くん。もう俺は死んでいるずよく諊めずに顔を䞊げおくれおいた。どうしおきみは、そこたで信じ続けおいられたんだ。  そうか。ああ、いや。きみは、本圓に  。   俺もきみのように、きみの生存を信じたかった。信じたかったよ。だが、根拠もなく信じられるがむしゃらさは、俺の䞭には、もうない。信じ蟌もうずするたびに、心臓に穎が開くようだった。 目を䌏せる俺を朚陰に取り残すように、颚芋くんは「昌䌑みが終わる」ず立ち䞊がった。 「昌飯を食い損ねた。あんたも、時間を無駄にしたな。収穫はなかっただろう」 「  期埅はしおいなかったさ。今床、なにか奢ろう」 「アメリカ人の食い物か 願い䞋げだな。  降谷さんの飯は、矎味かったな」 痩せた颚芋くんは、懐叀を乗せお呟いた。 「きみは、圌の料理を食べたこずがあるのか」 「䜙りものだがな。どれもこれも矎味かった。鰆の逡かけやら、鶏倧根に柚子をどうこうしたや぀やら 俺は料理はさっぱりだが、小噚甚なひずだったよ」 「はは、聞くだけで腹が枛っおくる」 「たったくだ。  なあ、あんた」 颚芋くんは哀れみのようなものを混ぜお俺を芋䞋ろした。 「俺が蚀う矩理は、党くないんだが。これ以䞊、執着するのはやめおおいた方がいい。身を滅がすぞ」 「加枛は知っおいるさ」 「そうかな。いたのあんたなら、俺にだっお付け入る隙がありそうだ」 圌は振り切るように頭を振るず、陜炎の立぀䞭を戻っおいった。俺はベンチに腰を䞋ろしたたた、俯いた柳を芋るずもなしに芋぀めおいた。煙草を咥えようにも、買い忘れおいたらしくポケットは空だ。 収穫はなかった。それどころか、敬慕したひずの死を受け止めお、歩き出しおいる姿を芋せられおしたった。 そんなはずはないだろう、降谷くん。 目を刺す陜光を遮断し、俺はたなうらの面圱に問いかけた。西日に瞁取られたほのかな埮笑みは、昚日のこずのように思い出せる。 ―――この戊いが終わったら、䌝えたいこずがありたす。 「絶察に俺に聞かせたいこずがあるんだろう 」 俺は堪えるように額に觊れた。䞡腕が鳥肌でも立ったかのように粟立っおいた。この腕は、きみを抱いたはずなんだ。きみを守ったはずだったんだ。生き延びたきみはどこかぞ消えお、たたどこかで健気に働いおいるのだず思っおいたい。きみの骚片なんお考えたくもなかった。なのに頭蓋の内偎で、しんず静たりかえった倕暮れの墓石がちら぀いおいた。ただ認めたくない。ただ調べ尜くしおいない。  俺はきみの䌝えたかったこずを、もう氞遠に知るこずはできないかもしれないず、ただ、信じたくなかった。 たたらなくきみの声が聞きたくなっお、俺は端末をタップした。かけたずころで留守電蚭定がされおいるわけでもない。声など聞こえるはずがないのだが、それでもかけずにはいられなかった。短い呌び出し音はすぐに自動メッセヌゞに切り替わる。 『おかけになった電話番号は、珟圚䜿われおおりたせん。番号をお確かめのうえ、もう䞀床おかけください。おかけになった電話番号は』 わかっおいたさ。党力を尜くしお調べおも、蚌明できるのはきみの死だけ。そこに謎はなく、あるのは俺の願望だけだ。信じおいたい。信じお、きみの圱を掎みたい。か぀おきみが俺にそうしたように。誰もが俺を芋送っおいったあの頃、ただひずり远いかけおきたきみの姿に気付いたずきの、あの驚きずいったらなかった。目に嵌めおいたのは暗い憎悪だったずいうのに、俺には星でも収めおいるかのように光っお芋えた。誰もが俺の死を語ったはずだ。蚌拠はどこにもなかっただろう。それなのにきみは远っおきおくれた。俺を远っおきおくれた 人生で忘れ埗ぬ瞬間ずいうものを挙げるなら、俺は迷わず、きみの远跡に気付いた、あの瞬間を遞ぶ。 降谷くん。俺は、きみが思っおくれおいるほど、匷い男ではなかったらしい。これは俺の匱さの話だ。きみが姿を消しお、今床は俺が远いかける番だず息巻いおいたのに、俺はどこかできみの死を認めおしたっおいた。そんな俺がそれでもきみを探すのは、きみの生をこころから信じおいたからじゃない。  俺は認めたくなかったんだ。この腕の䞭に䞀床は匕き入れたきみさえも、たた、スコッチのように明矎のように父のように、圌岞ぞ取りこがしおしたったのだず認めるのが恐ろしかった。幻滅しただろう。  どうしお、そんな顔をするんだ。 端末は自動メッセヌゞを繰り返しおいた。無慈悲なそれはざりざりず俺の倖面を削り、情けない本音を暎きたおた。俺は端末を耳から離し、ゆっくりず目を開いた。明暗の差でハレヌションを起こした芖界に蝶が䞀匹圷埚っおいた。远いかけるように、若い女が遊歩道を歩いおいった。゜フトクリヌムを舐めながら過ぎる圌女の銀髪が蝶の軌跡に重なる。 ひどい虚無感に苛たれながら、俺は通話終了ボタンを抌そうず芪指を動かした。 『―――のうえ、もう䞀床おかけなおしください。おかけになった電話番号は、珟圚䜿われおおりたせん。番号をお確かめのうえ、―――  は い 』 「    ッ」 あのずき、    あのずき、 そう、きみの声が、したんだ。 俺は匟かれたように端末を耳に抌し付けた。うんずもすんずも蚀わず、画面を確かめるず通話はずっくに終了しおいた。泡を食っおリダむダルしたが、䜕床かけおも、どれだけ埅っおも二床ず声は聞こえなかった。だが、あれはきみだ。䞀秒にも満たないが、聞き間違えるはずがない。あれはきみの声だった。 充電の切れた端末を芋぀め、俺は党身が震えるのを感じた。生きおいる。降谷零が、生きおいる。 明らかにこの電話番号が停止されおいようが、二床ず繋がらなかろうが、そんなこずはどうでもよかった。きみが生きおいる。その小さな、しかし確固ずした垌望こそが、なによりも重芁なこずだった。 ああ。 俺はあの声を、疑いなく垌望だず思ったよ。 [newpage] 初めお垌望を埗た倜、俺は倢を芋た。 躊躇っおいた時間を取り戻すように調べものに没頭し、そのたた眠ったからだろうか。鮮やかすぎるほどの倕暮れを背に、きみが俺を芋返しおいた。 「あかい」 きみが俺を呌ぶ。党身から力が抜けおいくようだった。迷子が芪を芋぀けたかのような安堵。匷烈な斜陜を背にしたきみの衚情は䌺えなかった。だが問題はなかった。疑いもなくきみだ。 䌚いたかった。 俺は蚀葉もなくきみを芋぀めた。倢の䞭でも驚きすぎお動けないずいうこずがあるなんお知らなかった。きみは呆けた俺をからかうようにくるりず背を向けるず、枅々しいシャツの肩口から振り返り、早く来いずでも蚀いたげに歩き出した。 慌おお俺はあずを远いかけたがどうしおも远い぀けない。きみは俺が四苊八苊しながら远いかけおいるのを芋お、嬉しげに埮笑んだ。 芋たこずのない、玠盎な衚情だった。い぀たでだっお芋おいたかった。 俺は懞呜にきみに䞊がうずしたんだが、きみの足は早く、おたけに俺は発声するこずができなかったので、長く䌞びたきみの圱をがむしゃらに远い続けた。 倏には珍しい筋雲が倕陜に向かっお吞い蟌たれるように䌞びおいた。 きみはその、おどろに暮れる地平ぞ䞀歩䞀歩、歩いおいく。 [newpage] 䞀瞬だけ繋がった通話に垌望を埗た俺は、再び党力できみの足取りを蟿り始めた。正盎なずころ、本業の方が片手間になっおいた感も吊めない。  そう怒るな。幞いにも組織が滅んでくれたおかげで緊急の案件はなかったし、ゞェむムズに銖を切られる矜目にもならずに枈んだ。 FBIの仲間たちが垰囜ぞ向け業務を瞮小しおいく䞭、俺は公安案件ず思しき情報を暪抜きしおいた。  そう怒るな。颚芋くんたちは盞圓に慎重だがそれでもやはりワキが甘い。なに、そっちじゃない だが本圓のこずだろう。最埌たで組織に正䜓を悟らせなかったきみや、すべおの情報を冥府ぞ持ち去ったスコッチのような人間は、やはりそうそういるものじゃないのさ。 「ヘむ、シュり ランチタむムだぜ。絶食ダむ゚ットでもする気か」 やかたしい声に呌びかけられ、俺はダミヌのブラりザを立ち䞊げおから顔を䞊げた。デスクの前に筋肉ダルマが仁王立ちしおいた。SEAL sから転職しおきたマックスだ。こい぀ずは䜕床か制圧珟堎でチヌムを組だこずがある。今回も突入時のメンバヌにいたはずだ。 「日本の倏は殺人玚だな。倖に出る気にもなりゃしねえ」 「アヌカン゜ヌ育ちの特殊コマンドがギブアップずはな。日本人はこの時期に各地ぞ旅行に行くぞ。ラむブや祭り、あずはスポヌツむベントが開かれるのもこの時期だな」 「正気じゃねえ」 マックスは近くのデスクにふんぞり返るず、膚れたレゞ袋からおにぎりを投げお寄越した。来日しおハマったらしい。早くもツナマペに食らい぀きながら「やるよ」ず䞍明瞭な発音で告げた。 「  別に、腹は枛っおない」 それよりも次の資料を読みたい。公安が扱う案件は極秘事項が倚く、ほずんど電子化されおいないだろう。それも日本語だ。英文を読むようにはいかない。骚の折れる䜜業だよ。俺はわずかな電子化された資料ず膚倧な塵芥の情報を擊り合わせお、そこにきみの足跡が無いかを探し出さなければならなかったんだ。  そう䞍機嫌になるな。もうしやしないから。できるこずが問題だ ふむ、たあ、その通りだな。 「枛っおなくおも、食えるうちに食っずけ」 「ここは戊堎じゃない」 「文民に戊堎の区別が぀くかよ。なにに远い詰められおるのか知らねえが、補絊を軜芖したらご自慢の脳みそも鈍るっおもんだ。最埌に飯食ったのい぀だ 薬䞭みたいな顔だぜ」 人盞が悪いのはもずもずだがな マックスは無瀌なこずを蚀い、早くもふた぀めのフィルムを剥がしにかかった。あたり噛んではいたい。 譲りそうにないマックスず塩鮭のおにぎりを持お䜙しながら、俺はふず、そういえば最埌に食べたのはなんだっただろうかず考えた。少なくずも朝食は食べた芚えがないが、昚倜はなにを食べたはずだ。  食べただろうか。蚘憶を蟿ろうずするが、きみの倢ばかりが鮮明でね。それ以倖を思い出せなかった。おい、呆れないでくれるか。 その頃、俺は毎晩きみを倢に芋おいた。 倕暮れを背負ったきみは、毎回䞀蚀だけ「あかい」ず俺を呌び、あずはひたすら歩き続ける。俺はどうにかしおきみを捕たえようずあがきながら、必死にきみのあずを぀いお行く。面癜くないこずに、倢の筋曞きはい぀も同じだ。ろくな倉化もないが、倢ずはいえきみに䌚える睡眠を、俺は日に日に埅ち遠しく思うようになっおいた。 それにしおもその頃は、顔色が悪いず蚀われおばかりだった。ゞェむムズにも面ず向かっお蚀われたし、ゞョディには「ちゃんず寝おるの」ずし぀こく食い䞋がられた。ちゃんず寝お、起きお、朝ごはんを食べなさい。䞖界は進んでいくのよ。フルダがここにいなくおも。 降谷くんは生きおいる。子どものような反発を芚えながら、俺は端末に自分の顔を写しおみた。ブラックアりトした画面では分かり蟛いが、確かにや぀れたようだった。ぎょろりず県光ばかり鋭い男がこちらを芋返しおいる。 「なあ、マックス。俺の顔、そんなにひどいか」 「マリファナで歯たで溶かした連䞭ず倧差ねえよ。お前が拒食症なんお、笑えねヌ」 こうしお特に自芚的な䞍調もないあたり、なにかしら口にしおはいるのだろうが、ろくに食事を意識した蚘憶が無いので぀たみの類を食事代わりにしおいる可胜性も捚おきれない。  やっぱり、きみはそう蚀うず思っおいたよ。はは、すたん。こういうタチでね。ああ、懲りずに䜕床でもやらかすだろうな。だからきみが、芋匵っおいおくれないか。  そこは躊躇わないで欲しいんだがね。 マックスは、きみには負けるがお節介な男でね。俺はため息を吐くず、ぺりぺりずおにぎりのフィルムを剥いだ。 「おう、食え食え」 なにが楜しいのか、嬉しそうにや぀は煜った。ふわりず海苔の銙りが錻をかすめ、しっずりずした米の感觊が指に銎染んだ。ひずくち噛むず、甘い滋味が広がる。ああ。思っおいたよりからだは飢えおいたらしい。 ほどよい粘りの米ず海苔を噛もうずした、そのずき、なにかが裟を匕いた。 「  」 振り返るが、誰もいない。 肘掛けにでも服を挟んだのだろう。気を取り盎しお嚙みしめようずすれば、たた裟を、今床は幟分匷く匕かれた。 おかしい。裟はどこにも挟たれおいないし、俺の呚りにはひずはいない。マックス以倖は。そもそも近寄られれば気配でわかる――― 芖線を䞊げお、ぎょっずした。 誰もいない。 空調が䜎く唞っおいる。パ゜コンがかりかりず囁いおいる。マックスがじっず俺を芋おいる。 他には誰も、いない。 ランチタむムずいうのを差し匕いおも、異様なほどに静かだった。たるで切り離されたかのように、ひずの気配が消え去っおいる。銖筋のあたりでぞわぞわず譊鐘が鳎り始めた。口の䞭に入れたたたのかたたりが仄かに甘く、日垞的なその味が、かえっお倒錯的な気がした。 「食わねえの」 たばたきもせずにマックスが蚀う。そんな堎合か。反論したかったが口が塞がっおいおは喋れない。ずっずず飲み蟌んでしたおうずしお、 その瞬間、䞭身が䞀倉した。 耐え難い生臭さが溢れる。噛み合わせた歯はぐにゃりずやわらかく沈み、ぶにょぶにょず匟力のあるなにかが口蓋に觊れた。 もぞ。舌の䞊を、なにかが動く。 もぞり。 ぶちゅり。 生理的な嫌悪が背筋を駆け䞊がり、堪える間もなく嘔吐した。歯に、舌に、粘膜すべおに残る感觊を臭いを吐きろうず咳き蟌んだ。唟液を拭いながら吐いたものを確かめお、凍り぀いた。 うぞ、うぞ、ず。 ぀や぀やず濡れ、䞞々ず倪った―――蛆が。 倉色し果お、甘く爛熟した腐肉を螊るように這い回っおいる。 肉は、野晒しに溶けた屍から削いだものか。灰色の肉に、脂がでろりず溶け出しおいた。こびり぀いた皮膚は噛みちぎったように乱雑に裂けおいお、蛆がうたそうに蠢いおいる。 それは、ちょうど、ひずくち分の倧きさだ。 蟌み䞊げおきたものを止めるこずもなく、俺は再び嘔吐した。薄黄色い胃液が足元に跳ねた。口内に酞の苊味が広がるのがせめおもの救いだ。 「おいおいシュり 倧䞈倫か」 慌おお腰を浮かしたマックスが、吐くものがなくなっおもえずく俺に駆け寄っおきた。その手が觊れる前に、俺は逆手を取っお圌を絞めあげた。 「ふざ ける、な」 「な、なにがだよ」 マックスは困惑しながら俺の拘束を倖し、獣のような敏捷さで距離を取った。さすが元特殊郚隊。隙なく構え぀぀、心配顔で「やっぱ倏バテか」ず的倖れなこずを聞いおきた。 だが、それで怒りが収たるはずもない。銖の埌ろにただ鳥肌が立っおいる。俺もたた戎拳道の構えを取り、「これを芋お蚀え」ず吐瀉した腐肉を瀺した。 「  別に、普通のオニギリじゃねえか」 だが、䞀瞬前たでおぞたしい光景を䜜り䞊げおいたモノは、なんの倉哲もない米ず海苔に倉わっおいた。あの匷烈な腐臭さえも消えおいる。 どういうこずだ、これは。 呆然ず構えを解いた俺を認めお、マックスもたた拳を䞋げた。顔色悪いぜ、ず気遣わしげな声で話しかけおきた。 「疲れおるんだろ。消化の良いもん食うずいいぞ。あ、そういやオレ、キュヌトヌシツの冷蔵庫にアむス入れおるわ。やるから食えよ。゜ヌダ味だぜ」 「いや すたん、いたは 食欲がない」 幻芚だったのだろうか。気が぀けばオフィスには昌食を終えた䜕人かが戻っおきたいた。あれほど異様に感じた静寂などどこにもない。俺は食べ残したおにぎりを芋遣った。塩鮭が締たった身をさらしおいるが、到底食事を続ける気にはなれない。 吐き戻したものを片付け、マックスに芁領を埗ない謝眪をするず、俺はトむレぞず向かった。幻芚だずしおも、口をすすがずにはいられなかった。  倧䞈倫か ああ。  そうか。ああ、俺は倧䞈倫だ。もう終わった話だから。  そうか。なら、続けるぞ。 気の枈むたでうがいをした俺は、鏡に写った自分を芋返しお自嘲した。自己管理もできないずは。鏡の䞭の男はたるで䞭毒者だった。倏の日差しが䞍䌌合いな、䜓枩の䜎そうな顔をしおいる。組織にいた頃さえこんなこずはなかった。顔色の悪さは、あの幻芚のせいだけじゃない。きみぞの執着が原因だずわかっおいる。これは仕事でもなんでもない。だずいうのに、俺はいたにも垭に戻り、きみの探玢を続けたいず思っおいた。床を越しおのめり蟌む理由などなにもないのに、自分を止めるこずができない。 ―――きみが俺に䌝えたかったこずを、どうしおも聞きたい。きみの、その口から。 拳で口を拭い、もう䞀床鏡を確認した。そしお俺はぎょっずした。 俺の銖に、幟筋もの、爪跡が浮かび出おいた。 心圓たりなどない。 掻きむしったように幟筋も、芋芚えのない爪跡は赀くみみず腫れになっおいる。吐き戻しおいたずきにもこんなこずはした芚えはない。 じっずりずした氎堎の枩床を今曎意識した。蛙の腹のように湿り、たずわり぀いおくる。 さすがに薄気味悪く、俺はオフィスに戻ろうず足早にドアに向かった。 そのずきだ。䜎くたわみ、死人の声垯を無理矢理重ねたような声が、俺の耳元で囁いた。 「もうすこしだったのに」 [newpage] 食欲がない。 あのおぞたしい幻芚が疲劎の霎したものだずしお、それを差し匕いおもものを食おうずいう気になれなかった。俺は毎日、昚日の俺がなにを食べたのか思い出せずにいた。 そんな顔をしないでくれ。よくない傟向だずわかっおいたさ。 だが、食事を目の前にしおも、正気を削る錯芚を芋おしたえば、それ以䞊食べようずいう気はなくなる。 俺は盞圓にひどい顔をしおいたらしく、FBIの連䞭はどうにかしお俺に食わせようず手を倉え品を倉え迫った。チェリヌパむを焌いおきたのよず配る捜査官のミナ、゚ナゞヌドリンクならいけるんじゃねえかず酒ずスポヌツ飲料を混ぜる爆匟解䜓班のケビン、絊湯宀でポリッゞを䜜りだす機動隊のアン゜ニヌ。 指が敷き詰められたパむや、毛髪の挂うドリンクや、ぐちゃぐちゃに朰れた脳が差し出されおいるように俺には芋えた。もちろんそれは䞀瞬の錯芚だったが、食欲など圌方に倱せようずいうものだ。パむの線み目から血のように赀い゜ヌスが垂れおいる。 ゞョディやキャメルは執拗に俺を寝かせようずしおくる。疲れおいるのだず。俺はFBIの仲間の䞭でも、抗争の最前線にいたからな。たしお狙撃手だ。組織ずの長い察立の最䞭、スコヌプの向こう偎で死んでいく実戊郚隊を䜕人も芋おいる。状況によっおは、芋殺しにするこずもあった。ゞョディのや぀はそれで䜙蚈に心配したんだろう。少し䌑めず蚀うんだ。俺がこんなこずをしおいおは誰も救われない。無益な調べものはよしお先ぞ進めず。 俺は埐々に、オフィスぞ顔を出さなくなった。沖矢を挔じおいた頃に、遠隔で仕事をするノりハりを身に぀けおいたのは幞いだった。ゞェむムズはただ俺をクビにはしおいなかった。したずころで別に構わない。そうすれば䞀日䞭、きみを远える。 ロングステむ甚ホテルの俺の郚屋には、びっしりずきみの情報が貌られた。生たれおからのきみの足跡や、関わったず思しき事件の䞉面蚘事たで。抹消されおいたきみの過去を探すのは骚だった。特に写真は、怜死写真の粗いコピヌしかない。 毎晩倒れこむように眠った俺は、目が芚めおたずきみの怜死写真を芋る。ベッドの暪に貌ったんだ。締たりのない衚情筋に瞌を閉じたきみを芋るず、添い寝でもしおいるかのような感芚になった。俺はどこかで眠り、目芚めおいるだろうきみの寝顔を想像し、おはよう、ず写真に語りかけた。 俺の昌倜は、きみを䞭心に回るようになった。 調査はいっこうに進展がなかったが、眠るずきみに䌚えた。倢の䞭のきみはい぀も「あかい」の䞀蚀ずずもに俺を迎え、俺を残しお歩いおいく。俺はきみを必死に远う。 おどろの倕焌けが照らしおいたきみの道は、い぀のたにか暗く寂しい路地ぞず入り蟌んでいた。眠るたびに、きみはどこかぞの歩みを進めおいるようだ。切れかけた電灯がぱ぀ん、ぱ぀んず明滅する道を、きみは俯いお歩いおいく。 行くな、降谷くん。 きみに䌚えるずいうだけで舞い䞊がっおいた時期を過ぎた俺は、きみの歩む先にろくな予想ができず、前にも増しお远い瞋ろうずしおいた。手足が鉛でも巻かれたかのように重く、俺は無様にあえぐばかりで远い぀けない。俺がどんなに足掻いおも、きみは埅たなかった。倜が来たにしおは暗すぎる道だ。街灯もないアメリカのど田舎ですら星明かりがある。鍟乳石から萜ちる氎音さえも響かない、地底の深淵のような暗闇の䞭で、きみの背䞭だけががんやりず浮かんでいる。 埅っおくれ、ず叫びたかった。 きみはそっちに行くべきじゃない。 俺に生き残れず蚀ったきみは、きみだけは、そっちに行くな。 きみは、ひずがただの血袋に倉わる瞬間も、切り萜ずされた指の曲がり方も、砕かれた頭蓋の䞭身も知らない。きみがそっちに行っお、俺が残る道理はないんだ。 なあ、降谷くん。 こんな血たみれの俺を远いかけお、この䞖に匕きずり戻したきみが、俺をおいおいくずいうのか。 この腕はいのちを刈るばかりで、結局、誰にも、きみにも、届かないたた。 降谷くん。 いくな。 蚀葉は音にならなかったはずだが、きみは足を止めた。 翳った衚情を䌺わせないたた、きみはゆるく顎を䞊げた。俺はきみの芖線を蟿り、䞊がった息を浅く䞊擊らせた。 はは、ず小さな笑いが挏れた。きみの目的地に玍埗がいったんだ。 俺たちがようやく蟿り着いたそこは、俺のホテルの入り口だった。 目芚めの倊怠感が党身を芆っおいた。 窓の倖は暗い。玠っ気ないデゞタル時蚈は午前二時を回ったばかりで、倏ずはいえ倜明けはただ遥か先だった。 それほど長く眠ったわけではなかったが、劙に目が冎えおしたった。[[rb:幞せな > ・・・]]倢を芋おいたからかもしれない。俺はそわそわず窓の倖を芗いたり、郚屋のドアを開けおみたりしたが、そこには誰がいるわけでもなく、生ぬるい倏の倜だけが満ちおいた。 分かっおいたこずだが倢なのだ。きみは甘い男じゃない。俺がミステリヌトレむンで姿を芋せたような機䌚を䞎えおくれるはずもない。きみが隠れるずなったら培底的だ。それでも期埅は思いのほか倧きかったらしく、俺は玄束を反故にされた子どものような悲しみを感じた。 調べ物を続けよう。 切り替えお、たずは顔を掗うべく掗面所ぞ行くず、鏡に幜霊のような男が写った。青癜く頰が削げ、薬物䞭毒者のような隈の䞭で目ばかりが鋭い。無粟髭の䌞びた頰で薄く笑った。随分ず荒んだ雰囲気を垯びた。せっかくきみが蚪ねおきおもこれでは叱られおしたうだろう。あずは、ちゃんず食えず怒るに違いない。ラむを毛嫌いしおいたくせに、料理だけは䞉人分䜜り続けおいたから。あのずきの俺は、ひずくちだっお食べなかったが。 「  きみの䜜る食事が食べたい」 ぜろり、ず、呟いた。 バヌボンはなにを䜜ったのだったか。スコッチの分の぀いでですず蚀いながら、いく぀も䞊べられた皿の䞊。圓時ろくに芋おいなかったのが悔やたれる。きっず豊かな匂いを持぀湯気が立ち、矎味そうにかがやいおいたはずだ。きみの䜜る料理を食べたい。向かいに座るきみに、どれだけ矎味いかを䌝えながら。 ぐうぅず腹が鳎った。空腹を久し振りに思い出した気がする。食事の機䌚があるたび、米はふわふわずした黎に芆われたし、スヌプの䞭でボりフラが泳いだ。ぜんぶ、俺の錯芚なんだが。最埌にい぀食事をしたか、うたく思い出せない。ああ。おかしいな。もう、おかしくなっおいたのかもな。 あり぀けるはずもない食事を欲しお鳎る腹をさすり、顔を䞊げた。 鏡の䞭の俺に、腕が二本、絡み぀いおいた。 腕は背埌から䌞び、しかしそこに続くべきからだはどこにもなかった。皮膚が觊れる感觊すらなく、耐色の手は俺の口を芆っおいた。あきらかにこの䞖のものではない。存圚感が薄く、生きおいる人間のそれずいうよりは投圱された映像のように寂しい印象を受けた。 指の関節が浮き出たその手を俺は凝芖した。枩床もなく質感もない、鏡の䞭だけの虚像。生気のない、しかし若々しいその手に既芖感があった。 俺は手が芆う堎所に觊れた。鏡の䞭で俺の手ず、耐色の手が重なる。骚にも、皮膚にも觊れおいる感觊はない。無粟髭がちくりず俺の指を刺した。俺は石のような指をなぞるように蟿る。枩床も、觊れおいる実感もないが、俺の指は愛おしむ仕草でそれに觊れた。 これは、きみの指だ。 肘から先のない、亡霊のように垌薄な腕。だが俺は確信しおいた。これは降谷くんだ。 降谷くんが来おくれたのだ。そう思うず、急に心が華やいだ。おかしいか だが、俺は嬉しかった。俺は間違いなく嬉しかったよ。   ああ、そのずきだったんだ。 血の気の倱せたきみの手に手を重ねお、俺はきみを愛しおいるんだず、ようやく気付くこずができた。 遅すぎたな。 [newpage] 耳障りなアラヌムに意識を叩かれお、俺は目を芚たした。い぀の間にかベッドに戻っおいたらしい。掗面所にいたように思ったが、どうやらそれも倢か。俺は身を起こし、顎に觊れた。ちくちくず指を刺しおいたはずの髭はなく、久しぶりにさっぱりしおいる。぀たり顔を掗ったこずは掗ったが、知らぬ間に二床寝をしおしたっおいたのだろう。俺はしばらく薄い蚘憶を蟿り、ゆるゆるず䞡手で顔を芆った。くちびるのささくれに匕っかかっお、埮かな痛みを感じた。きみが觊れおいた堎所だ。生枩かい呌吞が俺の手のひらを湿らせた。 きみのあの手は倢だったのだろうか。熱さも冷たさもなく、がんやりず俺の口を芆ったきみの䞡腕。怜死写真の䞭では無残に折れ曲がっおいたきみの力匷い腕には生気がなく、肘から先もなかったが、もうそんなこずはどうでも良かった。 倢でも、死人でもいい。 俺は䞡手で口を抑え、音のない声を出しおみた。感觊のないきみの手のひらが、ただそこにあればいいず思った。 『 あ い し お い る 』 盲目の少女が觊感を頌りに䞖界を拓いおいったように、どんな方法でも、どんなきみでも、繋がる方法はあるのだず。 かたん、 最埌の音が消えた頃だろうか。ベッドルヌムのドアの向こうで、小さな物音がした。 こず、     こず、 ぺちゃ 足音、ではなかった。固いものずやわらかいものが立おる、ささやかな音だ。 正䜓はすぐにはわからなかった。本来、すぐにでもチェストから銃を匕き出すべきなんだが、恥ずかしいこずに俺はすっかり腑抜けおいおね。がんやりず音が進行するのを聞いおいた。 しゅう ぱたん、ずんずん、 音は、近づいおくるわけでもない。だが埐々にいきいきずしおきた。次第にうたそうな匂いたで挂っおきお、がんやりずしたたたの俺の腹がいた目芚めたようにぐうず鳎った。 食事を䜜っおいる。 きみだ、ず思った。それを裏付けるように、機嫌のいい錻歌たで聞こえおきた。俺はきみの錻歌なんお、聞いたこずがないはずなのにな。 本圓にうたそうな匂いだった。これたでろくにものを食べおいなかったのはこのためだったのだず、匂いだけで確信するような。 それになにより、きみが、このドアの向こうにいる。 匟かれたように俺はベッドを降りた。ドアたでのたった数歩の距離が信じられないほどもどかしい。ドアに飛び぀き、この向こうにいるきみを想像しおたたらなく嬉しくなった。切ないほど腹も枛っおいた。銖が折れたように俯くきみを抱きしめお、奜きだず䌝えお、うたいうたいず耒めながらきみの朝食を食べる。考えるだけでこころが匟む。 ノブに手をかけた、そのずきだった。 くん、ず、なにかが袖を匕いた。 小さな、気のせいず片付けられるほどの匕っかかりだ。そのたたの勢いでドアを開くはずだっただろう。 だが、なぜだろう。早くドアの向こうに行かなければず気は急くのに、どうにもなにかが気になった。 俺はうしろを振り返った。そこには寝乱れたベッドがあるだけだ。癜々ずした朝の光は遮光カヌテンの向こうで、宀内はがんやりず薄暗い。うたそうな匂いが錻を刺激し、党身がドアの向こうを志向しおいる。料理を終えたのか物音が途切れおいた。そのかわり、生枩かい気配がドアの向こうに䜇んでいる。俺を埅っおいる。 「あかい」 きみが呌んでいる。ドアを開けなければ。開けお、ようやく远い぀いたきみを抱きしめなければ。寝宀にはなにもない。誰も、いない。 けれど俺は、ノブを回すこずができなかった。 俺は誰もいない、がらんどうの寝宀を芋぀めお、無意識に呟いた。 「降谷くん  」 なぜそう思ったのか、さっぱりわからない。掚理しようにも、盎感ずしか。 明らかにドアの向こうにきみがいるずいうのに、どうしおだか俺は、きみがいるず思ったんだ。この䜕もない、薄明るい朝の狭間に。 呟いた、その瞬間だった。 がむしゃらに匷い力に匕かれ、思わず俺はバランスを厩した。䜓力が萜ちおいたのだろう。䞍意の力に螏ん匵りが効かず転倒する。咄嗟に受け身を取ろうずしたが、からだに響くはずの衝撃はなかった。それもそのはずだ。 床がない。 虚空に攟り出された俺は、突き䞊げるような颚を党身に受けた。氎平線の向こうから吹くような匷颚がからだ䞭を拭い、そのなかに俺は光るものを芋た。 芖界の端だ。俺の、ちょうど巊肩に。 颚に煜られ光る、きみの金の髪だ。 気が぀けば、無遠慮な力加枛の䞡腕が、俺のからだを抱きしめおいた。ちょうどうしろから抱きしめられおいるような栌奜だ。めちゃくちゃな颚圧にも負けない、絶察に離さないずばかりに俺にしがみ぀いおいた。俺はなにも考えられないたた、きみの䞡腕に自分の手を添えた。腕の力がたすたす匷くなっお、少し苊しい。 ごうごうず颚が逆巻いおいる。血の巡る音のようなそれに玛れるように、耳元のきみが囁いた。 「赀井」 [newpage] 「―――ず、いうわけだ」 語り終えた俺は、すっかりぬるくなったミネラルりォヌタヌをひずくち飲んだ。長い話になっおしたい、顎が疲れおいる。語り始めこそあれこれ反応を瀺しおいた降谷くんは、蒌耪めたたたぎくりずもしない。やはり食事時に話す内容ではなかったか。話せずせがんだのは圌ではあるが。 それにしおも、いくら倢の話ずはいえ、腹立たしいほど情けない『俺』だった。実際はもう少しマシな振る舞いができるはずだが、包垯だらけの降谷くんを芋おいるずそう倖れおもいないかもしれないず思っおしたう。組織を仕留めた最埌の戊い、厩れたビルから生還した俺たちは、東郜譊察病院に揃っお入院䞭だ。 爆颚をもろに济びた俺が意識を取り戻したずき、俺の腕の䞭でぐったりしおいた。折れた骚が突き出した圌の腕はそれでもしっかり数奇な少幎を抱えおいお、俺は再び千切れそうな意識の䞭、瀕死の降谷くんを背負い、ボりダに先導されお瓊瀫の䞭から抜け出した。背負ったからだから血が染み出すのを感じながら、生きた心地がしなかった。圌を喪った俺を、俺は『芋た』ばかりだったのだ。 生きおくれ、どうかきみは生きおくれず念じながら、䞀歩䞀歩を歩いた。 䞍満顔でベッドに収たる降谷くんを芋舞った俺の安堵がわかるだろうか。 䞡腕をギプスに固められた圌の郚屋には看護志願者が列を成したが、出歩けるようになった俺は医者が諭そうが降谷くん自身が喚こうが、絶察にその圹割を枡さなかった。近頃では医者も諊め気味で、いっそ同宀にしたすか ず聞いおくる始末だ。俺は快諟したが降谷くんは癜くなったあず真っ赀になっお断った。きみ、そんなこずを蚀っおいるが、きみの郚屋の゜ファでうたた寝する俺を芋おにたにたしおいるこずくらい、俺が知らないず思っおいるのか。 幞い手に倧きな怪我もなかった俺は、食事に䞍自由する降谷くんを䞉食介助しおいる。フィヌディングずいうのはいいな。圓初は矞恥やら悔しさやらで凄い顔をしおいた降谷くんは、やっず諊めたのか次はあれがいい、これがいいず小さなわがたたを蚀うようになった。スプヌンに食い぀く雛のような仕草も、俺の県差しに気付いお頰を赀くするのも可愛らしい。あなたも食べおくださいよ、ず口を尖らせるのは幌い匟効を芋おいるようで頬が緩む。 昌食を取りながら、「生還以来ひずが倉わっおたせんか」ず降谷くんは蚝しんだ。今日のメニュヌは癜米ず味噌汁、氎菜ず豚肉の梅肉和え、春雚サラダ、デザヌトのキりむ。俺には少し物足りないが、降谷くんは倏らしい味付けを喜んでいる。キりむ以倖の最埌のひず匙を絊仕しながら、「奜きな盞手は倧事にしたくおね」ず答えた。降谷くんの咀嚌が止たった。 「えっ は、  え」 「退院したら、ちゃんずした堎所で䌝えるが。俺はきみが奜きだよ、降谷くん」 俺は頭に包垯を巻いたたた、降谷くんはベッドの䞊で、奜意を䌝えるのに盞応しい堎ずはずおも蚀えない。だが、䞀刻も早く䌝えたかった。ほずんど噛たずに癜米を飲み蟌んでしたった圌の頰に觊れる。じんわりず枩かい䜓枩が染みおくる。圌は、生きおいる。 混乱から芚めた降谷くんに远求され、返事ず―――戊いの前に圌が蚀おうずしおいた蚀葉ず匕き換えに、俺は長い長い話をした。愚かで、匱い男の話だ。自分の壊れ方をさらすのは、男ずしお情けなくもあった。だが降谷くんは、俺ずは違う感想を抱いたらしい。 「    だ」 「   すたん、聞き取れなかった」 「    赀井。キりむ、ください」 俺の反駁を無芖しお、降谷くんはすっかり也燥したデザヌトを所望した。 唐突な芁望に匕っかかりを芚えるものの、口たで開けおいる圌に仕方なくスプヌンを取る。ひずくちサむズにくり抜くず、真倏の䌌合う果物は也いた衚面以倖から瑞々しさを溢れさせた。歯䞊びのいい口に攟り蟌んでやる。 「ん」 キりむを含んだ降谷くんは、ただなにかあるのか、目で俺を呌ぶ。䞀文字に結んだくちびるがいずけない。面倒を芋るような぀もりで近付いた。 「  っ」 油断した。くちびるにやわらかいものが觊れる。爜やかな果汁の匂いがぷんず錻をくすぐった。 降谷くんは䞡腕が䜿えない。突然俺にくちづけた圌は、開けおずねだるように俺のくちびるを舐めた。果汁に冷たされた、少し冷たい舌だ。俺は䞀秒の迷いもなく口内に招き入れ、必死に銖を䌞ばしおいた圌の負担を枛らすようにむスから腰を浮かせた。 「っふ、」 絡めた舌の䞊を、ぬくもった果物が転がる。 くちづけが深くなるのを狙っおいたように、降谷くんはぐいぐいず果肉を俺の方ぞ抌し蟌んできた。食えずいうこずだろうか。少々苊しい思いをしながら嚥䞋し、途端に逃げを打぀舌を思うさた堪胜する。甘酞っぱい埌味も消えるほど舌を絡めおからようやく解攟するず、息を匟たせた降谷くんは䞀目でわかるほどに赀くなっおいた。 目を最たせた圌は、顔を緩たせる俺から目をそむけ、情熱的なくちづけのあずずは思えないほど苊々しい口調で呟く。 「ペモツぞグむだ」 「ペモツ  なんだ」 聞きなれない音の連なりは意味を捉えにくい。 降谷くんは困惑する俺を睚み぀けた。埗䜓の知れない畏れを持぀囜に生きるひずの、目だ。 「黄泉戞喫。あの䞖の食事。迷信ですけど。あなた―――あなた、ひず口でも飲み蟌んでたら、連れおいかれおいた」 迷信ですけど、ず圌は繰り返した。あの䞖の食事。俺は業火の䞭で芋た癜昌倢を蟿り、ようやく薄気味悪さを感じた。執拗なたでに繰り返される食事ず、その成れの果お。生皮で撫でられるような䞍快さが背筋を走る。 あの、最埌の幞犏な空腹。 ドアの向こうに甚意されたものは、なんだったのだろう。 それを甚意したのは、降谷零の姿をしたものは、 なんだったのだろう――― 「勝手に死にかけやがっお。よりにもよっお僕の姿で、劙な倢を芋ないでください」 「  死にかけおいたのはお互い様だろう。きみを担いで逃げたのは俺だぞ」 「足は無事だったんです。意識が戻ればどうにかなりたした」 「戻らなかったな。ICUに担ぎ蟌たれるたで」 「ちょっずだけ戻りたしたよ でもあなたが僕を背負っおたから だから、僕は」 降谷くんは぀んのめるようにその先を切った。 悔しげに歯噛みしお俺を睚む。いきいきず匟むようなその目に、薄暗い連想は消えおいった。 「ホヌ。きみは、芚えおいるのか」 「  っ」 「なにを口走ったかは」 「が、僕なにか蚀ったんですか」 「そうだな」 恐る恐る、ずいう様子で、降谷くんは俺を䌺う。 心圓たりがありそうな様子に笑いを噛み殺しながら、「きみの返事ず亀換だ」ず告げる。亀換もなにも、もうずっくに癜状されおいるようなものだが。 俺は、ようやく远い぀いたひずに觊れる。倏を内偎に閉じ蟌めたような圌はぎくりず震えお、たっすぐに俺を芋る。 この喜びをきみに䌝えおいきたいず、匷く思う。 芋぀める俺の芖線に促されたように降谷くんは深呌吞し、そしお芚悟を決めたのかゆっくりず、力匷くくちびるを開く。 「僕は―――」 [newpage] ひず呌吞ごずに肺が焌けるようだ。 炎に巻き䞊げられた粉塵のせいで芖界は悪い。いや、それだけではない。眩みがちな目を必死に開き、俺は先導する少幎の小さな背䞭を远う。気を抜けば、二人分の䜓重を支える膝が砕けそうだ。意識のないからだはひどく重い。 ぶらぶらず手を揺らす降谷くんを背負い盎した。聞こえおいないず知り぀぀も圌の名を呌ぶ。 きみはここで死ぬような男じゃない。 俺を呌び戻したのはきみだろう。ひずりだけ逝かせはしない。きみにはただするこずがあるはずだ。俺に䌝えたいこずだっおあるんだろう。俺にもできた。きみに䌝えたいこずができた。䞀緒に話そう。長くなるかもしれないが、長い、長い話を䞀緒にしよう。 俺ず生きよう。 暗闇を切り裂く光が芋えおくる。戊いは倕暮れに始たり、底無しの倜を越えおもう朝焌けの時間なのだ。 赀井さん、早く、ず叫ぶ子どもが手を䌞ばしおいる。小さく頌りない、けがれなき手だ。俺の䞡手はふさがっおいお、圌の手をずるこずはできない。その代わりに、俺は血の滎るからだを、それでも䞀歩䞀歩前に進める。 「   、   」 ふず、錓膜がかすかに揺れる。誘爆の凶暎な音ずも、骚組みが厩れる䞍吉な音ずも違うそれ。 俺の巊肩には、降谷くんの頭が乗っおいる。 朊朧ずしたたたなのだろう、はっきりずしない発音で、それでも圌は囁いた。 「食うなっお  蚀っおるだろう ばか 」
怖がらない赀井秀䞀 vs ホラヌ<br /><br />久しぶりに投皿したす。怒涛の燃料投䞋もれロしこも叶わぬアメリカより血涙蟌めお。<br /><br />なんでもあり<br />なんちゃっおホラヌ<br />果物蚀葉っおあるんですね<br /><br />8/29远蚘<br />ランキング4䜍、女子人気18䜍、男子人気100䜍頂きたした。たくさんお読み䞋さり、たた感想・評䟡ありがずうございたす。<br /><br />8ペヌゞ目に぀いお<br />頂いた感想のうち、ある仮説を立おおくださる方が倚いのですが、正盎「その解釈があったか そっちのが怖いしその意図で曞くべきだった」ず感嘆しきりです。迂闊迂闊。<br />8ペヌゞ目は7ペヌゞ目の補足ずいうか、赀井さんだけが芚えおいる壊滅時の蚘憶なので、本䜜はやっぱりなんちゃっおホラヌです。
旅は道連れ、䞖は情け
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 突然手をずった圌女に少幎は驚くこずすら忘れおただただされるがたたに立ち䞊がり二人はプラットホヌムを走り去った。  目の前で跳ねるポニヌテヌルを芋぀め、トりダは息を切らし。  ギアステヌションを飛び出し、目映い人工の光に包たれた町䞭を駆け抜けお、そういえばいたは倜だったのだず、ふず少幎は思い出す。バトルサブりェむは地䞋にあるため、倖の様子を䌺うこずはできず、そのうえバトルや孵化に倢䞭になっおいるず、぀い぀い時間を忘れおしたうから。  どこぞ向かうのだろう。玔粋な疑問が胞の内にわき䞊がる。僕のパヌトナヌは僕を連れ出しおどこに行くずいうのか。足を止めるこずも、声をかけるこずもせず、走り行く圌女にペヌスを合わせながらトりダはくるくるず思考を回転させる。マルチバトルでタッグを組むようになっおからはや数ヶ月、明るく掻発的な性栌で、野性的な考え方をする少女が自分を驚かせるこずは倚々あったけれど、ここたで突拍子も無い行動にでたのは初めおのこずだった。  芋せたいものでもあるのだろうか、はたたた、なにかのドッキリなのだろうか。䞀蚀蚀えば枈むはずなのに、どうしお圌女はピタリず口を閉ざしたたた走るのだろう。それずも、䞀蚀では枈たされない䜕かが、起きたのか。  理由が思い぀かない。疑問から疑問しか生たれなかった。い぀しか二人は人工的な光に包たれたラむモンシティを抜け出し、真っ暗な道路を走っおいた。星が泳ぐ空をバックに、黒い圱がふた぀。倜道を照らすのは淡い光だけ。けれど圌女は党おが芋えおいるかのように迷いなく暗闇を進んでいく。いた、少女がどのような顔をしおいるのか、トりダには分からない。  開けた草むらに出たずころで、ようやく少女は少幎の手を離した。トりダは息を敎え、解攟された手をさすり、慌おるこずなく、穏やかに、目の前に䜇む少女に声をかけた。  「トりコちゃん」  やっず瞳が暗闇に慣れ始め、闇ず同化しおいた盞手の茪郭がゆっくりず浮かび䞊がっおくる。垜子を深く被り、真っすぐにトりダず向かい合うトりコの様子は、やはりい぀もず違っおいた。  生枩い倜颚を感じ、銖筋をぶるりず震わせる。墚で染められた倜空だった。針で现かく突き刺した穎から光が挏れ、小さな小さな煌めきがあたり䞀面に目映く光り茝いおいる。朚々の囁きが、深閑の空に響き、どこか怪しげに錓膜を震わせた。少幎も、少女も、喋らない。奇劙な沈黙。けれどトりダは決しお催促をしなかった。普段マルチバトルを奜む圌は、トりコず出䌚う以前は様々なパヌトナヌずタッグを組んでいお、倚様な倚くの人間ず接する機䌚があった。そのため盞手が心のうちに䜕かを朜めお戊っおいるうちは、決しおこちらからせっ぀かず、向こうが喋りだすたで埅぀こずが懞呜であるこずを知っおいた。蟛抱匷く埅぀。倧切な人間にだからこそできる行為だった。  空を芋䞊げ、息を零す。吐いた息が癜く染たり、消える。  ふず、少女の喉が埮かに震えた。トりダは芋逃さなかった。こおりず銖を傟げ、  「うん、なあに」  トりコの顔を芗き蟌み、あっず目を芋開いた。  目元が真っ赀に腫れおいた。青い瞳は困惑ず動揺を通り過ぎ、倱意に染たり、信じられないほど色耪せおいた。「トりコちゃん」本圓に驚いおしたっお、反射的に圌女の䞡肩に手を䌞ばしおいた。どうしたの。なにがあったの。口には決しお出さず、息を飲んで。  「  た」  震える小さな声で、  「しんでしたった」    草むらの方を指差した。  トりダが身を乗り出しお茂みを䌺うず、䞀匹の倧きなメブキゞカが倒れおいた。逞しい角に矎しい花を満開に咲かせお、瞌を閉ざし、ピクリずも動かなかった。  朚陰で䌑憩をしおいる最䞭、野生のポケモンに襲われ、その時の攻撃が臎呜傷になり、しんでしたったずいう。    「私をかばっお」  倒れたメブキゞカの偎で、泣いお、泣いお、泣き続けお、気が぀いたら倜で、どうしたらいいかわかんなくお、トりダがラむモンにいるの思い出しお、それで。  ぜ぀りぜ぀りず説明するトりコはずおも痛たしかった。圌女の掠れきった声を聞きながら、トりダはどうしようもない苊しさに唇を噛み。ねぇ、ずっずしんだポケモンの偎にひずりで寄り添っおいたずいうの。    「トりコちゃん、はじめおこういうこず」    無蚀でこくりず頷く。  「じゃあ、土に還しおあげないず。メブキゞカも、寒いっお、きっず思っおる」  トりダはゆっくり先導するように優しく話しかけお、鞄からモンスタヌボヌルを取り出しドリュりズを呌んだ。圌の䜓栌にぎったりの倧きな穎を掘っおあげおね、ず頭を優しく撫でおやる。ドリュりズは暪たわるメブキゞカをちらりず䞀瞥し、悟ったのだろう、立ち尜くすトりコぞ近づき、圌女の指先に長い錻でちょんず觊れた。そしおすぐに振り返り、鋭く倧きな爪で地面を掘りだした。  「こないだやっず花が咲いたの」    呟いたトりコの蚀葉に、芚えおいるよ、ずトりダが答える。明るく笑うトりコに嬉しそうにすり寄るメブキゞカの光景が鮮明に思い出され。綺麗な色をした花だった。力匷い角ずの察比でよりいっそう可憐に咲き誇っおいた。倪陜の光に反射しお、キラキラずした瞳。笑っおいた。䞻人の偎を離れず、誇らしげに胞を匵っお。春そのものだった。愛おしさに満ちあふれおいた。  「やっず咲いたのに」  䞍気味な静けさの䞭、ザカザカず穎を掘る音だけがやけに響いお。トりダは䜕も蚀えなかった。ただ黙っお、隣に立぀圌女の手をそっず握った。ぎゅうず握り返す感芚に、さらに力匷く握り返す。    愛するポケモンが亡くなるのは、そう珍しいこずではない。人間ず同じように寿呜があり、倩呜があり、魂はいずれ尜き果おる。そしお呜の終わりに立ち䌚うのは、トレヌナヌの矩務だ。生涯を捧げおくれたパヌトナヌの死を芋届けるこずは、ポケモンず半生をずもにする人間たちの倧切な瞬間でもあるのだから。  けれど、しかし。突然蚪れた別れは、少女にはただ早すぎた。  圌女は圌を愛した。そしお圌もたた答え、䞻人を愛した。故に身を挺しお庇い、しんでいった。  避けられぬ事態だったず、事故だったず、蚀い蚳できたらどれだけ救われただろう。あのずき、あそこで、こうしおいれば、そしたら、こんなこずには。ぐるぐるず過去を悔やむ蚀葉だけが浮かんで消えお、  「なんで」  自然ず口を぀いた。  「こわい」  もう氞久に動くこずのないメブキゞカから決しお目を逞らさずに。  「怖い」    ドリュりズが穎を掘り終えお、埋葬の準備に取りかかった。トりダが袖を捲っおメブキゞカに近づき、「手䌝っお」トりコの方を振り返る。「ご䞻人に埋めおもらえたほうが、絶察喜ぶず思うよ」  こくりず頷いお、トりコが頭を、埌ろをトりダが持ち䞊げるこずになった。  そっずメブキゞカの頭に手を添えお、その冷たさに䜓が匷ばった。日の光に照らされ暖かく柔らかかった毛䞊みは土で薄汚れ、䜓枩を党く感じなかった。震える手で、ゆっくりず頭を撫でおやる。圌はこうしお撫でられるのが奜きで、よく甘えた声で催促しおきた。応えおやるず嬉しそうに、鳎いた、圌は、もう、いない。  「シキゞカのころ出䌚った」  「うん」  「やんちゃでよく手を焌いた」  「うん」  「ずっず䞀緒だった。食いしん坊だった。぀たみ食いをしおよく叱った。花が咲くず䞀目散に駆けお芋せおくれた」  「綺麗だったね」  「うん」  「トりコちゃん、土被せるよ。お別れしよ」  「おわかれ」  「さよならを蚀わなくちゃ。あず、ありがずうっお。あヌそだ、がくからもお瀌。ほら手、合わせお。うん。いたたで、トりコちゃんずずっず䞀緒にいおくれお、守っおくれおありがずう」  「ありがずう」  「ね。ありがずう」  「ありがずう  」    瞬間、䜓の底からドッず寂しさがせり䞊がり、喉に぀っかえお、唇が震えたけれど、ぐっず堪え、トりコは安らかに眠るメブキゞカに、そっず最埌のキスをした。  「さようなら」  むせ返る土の銙り。完党に埋葬を終え、地面はたるで最初からなにもなかったかのように真っ平らになった。
闇を走るこどもたち。たた題材にしたい
【トりトり小話】こどもたちは倜を埋める
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お久しぶりです䜜者のむノムヌです この床、私の事情により小説投皿を䌑止しおおりたしたが、今日からたた小説投皿を再開させお頂きたす遅くなっおしたい本圓に申し蚳ございたせんでした...次回の投皿は、9月の埌半を予定しおおりたすご了承ください。そしお今回からようやく2孊期線が始たりたす八幡に襲いかかる波乱ずは...それではどうぞ ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ 倏䌑みが明け、新孊期を迎えた総歊高校。 生埒のほずんどは『倏䌑み䜕しおた』や『倏䌑み楜しかったね〜』など、倏䌑みに関する話で盛り䞊がる。たあ俺はそんな盞手いないんですけどね。ず思った矢先。 久しぶりに芋る桜色の髪が、俺の芖界の䞭に入った。 結衣「ヒッキヌ久しぶり元気にしおた」 久しぶりだな、由比ヶ浜... おかいきなり久しぶりっお蚀っおるじゃねぇか...流石リア充。よし、聞いおないフリしよう。 結衣「ちょっずヒッキヌ今無芖したでしょアタシの目はごたかせないんだからね」 アタシの目はごたかせないんだからね、っおどこのツンデレキャラだよ。仕方ない、返事しおやるか... 八幡「...久しぶりだな、由比ヶ浜」 結衣「やっず反応しおくれた久しぶり、ヒッキヌ」 俺の返事で、ふくれ顔が䞀瞬にしお笑顔に倉わる。久しぶりに芋たけど、本圓にこい぀衚情倉わりやすいよな... 圩加「おはよう八幡」 矩茝「久しぶりだな八幡よ」 暪から倩䜿の声ず雑音が聞こえた。 俺はすぐに倩䜿の声が聞こえた方を向く。 雑音気のせいだろ。 圩加「久しぶりだね八幡」 八幡「久しぶりだな戞塚最近䌚えなかったから心配したぞ...」 圩加「僕も八幡に䌚えなくお心配したよ元気でよかった」ニコッ もう毎日俺に味噌汁䜜っおくれ。 この倩䜿の笑顔に久しぶりに元気を貰った。 さお、そろそろ時間だな... 矩茝「フフフ...我は寂しかったぞ八幡よ唯䞀の友である貎様を芋ない間はっ」 (キヌンコヌンカヌンコヌン) 圩加「あ、時間だねそれじゃあ垭に戻るね八幡」 結衣「アタシも戻るねじゃあねヒッキヌ」 八幡「おう、たた埌でな。...お前垰らないの」 矩茝「あ、か、垰りたす...」 材朚座は萜ち蟌んだ様子で自分のクラスぞ戻っおいった。䞀䜓䜕がしたかったんだコむツ...材朚座が垰っお1分埌、平塚先生が教宀の戞を思い切り開け、教卓ぞ向かう。 静「おはようみんな久しぶりに䌚えお先生は嬉しいぞ。早速だがこれから始業匏だ。準備が出来た者から䜓育通ぞ行くように。以䞊」 流石平塚先生、男らしさ増した。 ...寒気した...蚀うのやめずこ。 皆が友達ず喋りながら移動する䞭で俺は䞀人ゆっくりず䜓育通ぞ向かう。するず急に肩を觊られ、その方向を向くず倏䌑みでもおなじみだったアむドルがいた。 奈緒「よっ八幡」 神谷奈緒。 こい぀ずは春から知り合っおから、よく話す仲になった。ずいうかあい぀が孊校来おる日はほが話す。 八幡「奈緒か。ラヌメン食った時以来だな」 奈緒「確かにそうだな。改めおこの前はありがずな」 八幡「瀌を蚀われる皋の事はしおないけどな...」 奈緒「そんな固い事蚀うなっお...あそうだ今日アむツらがココに来るんだったった...」 八幡「アむツら」 奈緒「ぞぞ、始業匏になったら分かるぞじゃあな八幡」ダッ 八幡「は...行っちゃったし...」 䜓育通の入った所で奈緒は自分のクラスの列に䞊ぶ為、駆け足で列の方ぞ向かった。 アむツらっお誰だよ...せめお説明しおから行っお欲しかったけど...埌ろの女子グルヌプから『神谷さんず楜しそうに話しおた目の死んでる人誰』っお噂されおるけど無芖。ほっずけ。俺も自分のクラスの列に䞊び座る。 そしおしばらくしお、始業匏が始たった。 校長が壇䞊に立ち、恒䟋の長い話を始める。10分くらい経ち、ようやく締めに入る。 校長「...最埌に、今日1日限定で我が総歊高校に䜓隓入孊をしおくれる人を3人ご玹介したすそれではステヌゞの方に」 䜓隓入孊 そんな話聞いおない...は 矎嘉「やっほヌ★城ヶ厎矎嘉です総歊高校の皆ずは久しぶりかな今回、テレビ䌁画で今日䞀日䜓隓入孊する事になったから、よろしくね★」 沞き起こる歓声。 䜕で矎嘉...聞いおないし... そしお2人目。...んあの子... たゆ「初めたしお、䜐久間たゆです♪1日だけの䜓隓入孊ですが、よろしくお願いしたす♡」 この子、この前ナンパから助けたばかりの...え、埅っおマゞで状況が読み蟌めない。 そしお3人目もたた芋たこずがある人物。 文銙「総歊高校の皆さん、初めたしお。鷺沢文銙です。䞀日限りの䜓隓入孊ですが、皆さんのいい思い出になれれば...ず思いたす。よろしくお願いしたすね」 鷺沢さんもなぜここにいるんだよ... 生埒皆が倧歓声の䞭で、俺は今起きおいる事を頭の䞭で敎理する。奈緒が蚀っおたのっおこういう事だったのか... 校長「今日、テレビ局の『アむドル䞀日䜓隓入孊』ずいう䌁画で総歊高校が遞ばれ、346プロアむドルの城ヶ厎矎嘉さん、䜐久間たゆさん、鷺沢文銙さんの3人が、ここに来お䞀日䜓隓入孊をする事になりたした。是非、いい思い出を䜜っおくださいね」 䜓育通が再び盛り䞊がる。 ずりあえず、ずんでもない事になりたした。 ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ 矎嘉side みんな喜んでおよかった〜 ここに来たの3回目だからあたり盛り䞊がらないかなっお思っおたけど、嬉しいな。 八幡が芋えなかったのは残念だけど...でも倧䞈倫 スタッフ「お疲れ様でした。これから3人にはそれぞれのクラスぞ行っお頂きたす。前にも話したように、䜐久間さんは1幎A組、城ヶ厎さんは3幎F組、鷺沢さんは2幎C組ぞの移動をお願いしたす」 矎嘉・たゆ・文銙「「「はい」」」 アタシの行くクラスは、八幡のいる3幎F組だから実は行く前に話し合いをしお、2人はアタシがこのクラスに行く事を認めおくれた。意倖にあっさりでビックリしたけど、理由を聞いたら玍埗した。たあそれはいいか アタシは䞊機嫌の䞭で、クラスぞ向かった。 ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ 八幡side 始業匏が終わっおも、隒ぎが収たらないクラス。たあアむドルが3人も来れば...っお今幎ここにアむドル䜕人来おるんだよ。 頭を抱えながら悩む䞭で、平塚先生が戞を開け、ざわめきは䞀瞬にしお静たる。 静「さあ...皆も分かっおるず思うが、今日䞀日だけこの孊校で、そしおこのクラスで䜓隓入孊をするアむドルが来たさあ䞭に入っお」 先生の玹介ず共に、再びクラスが沞く。 そしお入っお来たのは予想通り、矎嘉だった。それず同時にカメラマン達も教宀ぞ入る。 矎嘉「城ヶ厎矎嘉です今日䞀日、3幎F組でお䞖話になりたすよろしくね★」 女子A「キャヌ矎嘉ちゃヌん」 女子B「矎嘉ちゃんよろしくヌ」 男子A「あの城ヶ厎矎嘉が俺たちのクラスに...」 男子B「矎嘉ちゃヌんテレビ芋おるよ」 本圓に凄い人気だ。流石カリスマJK。 初めお俺ず䌚っおから、メディアぞの露出が増え、曎に知名床が䞊がっおいた。 あんなトップアむドルずL◯NEで普通にやりずりしおる、なんお蚀える蚳無い。 そんな䞭、矎嘉ず俺の目が合った。 矎嘉「...」パチッ 八幡「...」 矎嘉は笑顔でりィンクをしおきた。 ビックリした...勘匁しおくれ... 俺は少し顔を赀くしながら巊に顔を逞らすず、無人の机が眮かれおいた。 ...もしかしお。 静「それじゃあ城ヶ厎は、あそこの垭に座っお」 矎嘉「分かりたした★」 やっぱりそうでしたかヌ。 矎嘉は通路を歩き、指定された机に座る。 そしお俺の方を向き、笑顔を芋せお。 矎嘉「よろしくね★」 よろしくね、ず䞀蚀。 俺は「お、おう」ず返すしかなかった。 カメラが埌ろからカシャカシャうるさい... 静「それじゃあ䌑み時間に、城ヶ厎に孊校を案内しおくれる人を...」 男子A「俺がやるヌ」 男子B「いや、俺だよ」 女子A「いヌや、私が」 女子B「いやいや、私でしょ」 たたさらに隒がしくなった。 しかしそれは、すぐに止むこずになる。 静「たあ最埌たで聞け。城ヶ厎に孊校を案内しおもらうのは、奉仕郚の郚員にやっおもらう。なので由比ヶ浜、比䌁谷、頌むぞ」 八幡「え...」 結衣「わ、私ずヒッキヌでですか」 静「ああ。蚳あっお私が受け持぀郚掻の郚員に任せるこずにしたのでな。2人ずも、よろしく頌む」 女子A「え〜先生、私たちはダメなの」 静「すたないな。もう決たった事だ」 先生の䞀蚀で、クラスの歓声がため息に倉わる。『え〜』ずいう声がほずんどだ。 葉山「たあたあ色々事情があるんだし、ここは我慢しよう。有名人が来おくれるだけ、凄い事だからここは由比ヶ浜さんず比䌁谷君に任せよう」 戞郚「葉山君の蚀う通りっしょ有名人がこのクラスに来るだけ運呜だし」 男子A「...たあ、葉山達が蚀うなら...」 女子A「葉山君が蚀うなら仕方ないね...」 葉山ず戞郚の呌びかけで、䜕ずかこの堎は収たった。サンキュヌ葉山、戞郚。今回だけ感謝する。この絶奜のタむミングで、チャむムが鳎った。 静「それじゃあ今日の予定を説明する。1時間目はクラスで自習だ。私はここにいないので静かに自習するように。2時間目から、城ヶ厎を迎えお授業を始めるぞ。由比ヶ浜、比䌁谷、城ヶ厎を連れおちょっず来たたえ」 俺は矎嘉を連れお由比ヶ浜ず䞀緒に平塚先生の所ぞ向かう。たくさんの生埒の泚目を济びる䞭、俺達は先生の話を聞く。テヌプ亀換等の準備の為、珟圚カメラマンなどはいない。 静「これから2人には、この時間を䜿っお城ヶ厎に孊校案内をしおもらう。」 結衣「も、もう孊校案内の時間ですか」 静「ああ。ずは蚀っおも城ヶ厎は䞀応この孊校には䜕回か来おくれおいるからな。少し分かるず思うが、テレビから是非この時間を蚭けおほしいず蚀われたんだ。すたないが、よろしく頌む」 矎嘉「ゎメンね、2人ずも...」 結衣「ううん、党然倧䞈倫だよむしろ嬉しい孊校でたた矎嘉ちゃんに䌚えるなんお」 矎嘉「ぞぞ、嬉しいなアタシも結衣ちゃんに䌚えお嬉しいよあず八幡もね」 八幡「来るっお聞いおないぞ...凄いビックリしたんだからな...」 矎嘉「ふひひ、内緒にしおたからね★」 静「そろそろもう䞀人の郚員が...来たようだな」 もう䞀人の郚員っお雪ノ䞋か。 アむツも倧倉だな。クラス違うのに。 ...え雪ノ䞋の埌ろの2人っお... 雪乃「遅れおすみたせん、2人を連れおきたした」 静「ご苊劎雪ノ䞋。蚀い忘れおいたが、奉仕郚の3人でアむドル3人を孊校案内しおくれ。カメラも回るから、よろしく頌む」 雪ノ䞋の埌ろにいた2人は俺ず由比ヶ浜の前に出る。マゞかよ... 文銙「初めたしお。奉仕郚の皆さん、今日はよろしくお願いしたす。そしお...お久しぶりですね、比䌁谷さん」 たゆ「雪ノ䞋さん、由比ヶ浜さん初めたしお。今日はよろしくお願いしたすね♪そしおずっずお䌚いしたかったですよ...比䌁谷八幡さん♡」 もう垰りたい。 こうしお、波乱の時間が幕を開けたした。 ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ 「ここが静ちゃんの勀めおる総歊高校...立掟な孊校ね〜」 スタッフ「...高校の敷地に入るのは、孊生の時以来ですか」 「あら、倱瀌なこず聞くわねアナりンサヌ時代も高校に取材で行った事あるわよ倱瀌しちゃうわ、プンプン」 スタッフ「ハハ、これは倱瀌したした...それじゃあ取材行きたしょうか」 「ええ埅っおおね、静ちゃん。ミズキ、匵りきっちゃう」
倏䌑みが明け、぀いに始たった新孊期<br />そこで八幡を埅ち受けたのは、番組をも動かすビッグむベント2孊期線、぀いにスタヌト<br />・お久しぶりですようやく今日から2孊期線スタヌトずなりたす遅くなっおしたい本圓に申し蚳ございたせんでしたそれではどうぞ
新孊期は、倧きな波乱ずずもに始たりを告げる。
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  「倧䞈倫。私がギャリヌのお婿さんになるから」 あらやだこの子、栌奜いい。 嫁云々の話を切り出すのを躊躇っおいた自分ず比べお、なんお男らしい返答だろう。 「っお  いやいや、そうじゃなくっおね  そういえば、良く考えたらそこもおかしいわよね」 初めは『むノ』がお嫁さんに行くか、お婿さんを貰うかずいう意味の発蚀だず思っおいたから特に気にしおいなかったけれど。 『ギャリヌ』が䞻語だず考えるず、その衚珟は色んな意味で誀解を生む。 「  」 「あ、あのさ  知っおるわよね  アタシ、これでも男なんだけど」 確かにこんな口調だが、自分の性別は勿論男だ。 数幎来の付き合いだけれど、たさかそこから勘違いされおいるのではず、ギャリヌは䞀瞬本気で䞍安になる。 「  知っおるよ」 流石にそれは杞憂だったようだ、が。 「でも、お嫁さん圹じゃないずドレス着れないでしょう」 「              」 分からない。 この子が䞀䜓自分に䜕を求めおいるのかが、自分には党く理解できない。 「アタシ、ドレスなんお着ないわよぉぉ  っ」 「普段ギャリヌが女の人の服を着ないのは知っおるよ  でも  そういう時ぐらい、ドレス着たいのかなっお」 テヌブルに突っ䌏しお泣き喚きたい衝動を抑えながらそう蚀うず、さらに衝撃の蚀葉が返っおくる。 りェディングドレスを着た自分  なんだそれおぞたしい。 「あのね、むノ  確かにアタシはこんな口調だけど、そっちの―――女の人の服を着たいずか、そういう願望はないの  」 むノの気遣いが胞に痛い。なんだか、目頭が熱くなっおきた。 幎の所為だろうか。涙腺が緩くなっおきたのかもしれない。 「  ほんずう無理しおない」 「本圓よ、無理なんおしおないわ」 「でも、ギャリヌ  䞀緒にお掋服芋に行ったずき、凄く楜しそうにしおた  」 「それは可愛い栌奜しおるむノを芋るのが楜しかったからよ  決しおそういうんじゃないの」 「  ほんずう」 「本圓の本圓よっ  りェディングドレスはアタシじゃなくおむノが着るべきだわ」 ぱぁっず嬉しそうな顔をするむノに、ギャリヌはほっず息を吐―――。 ハッ。 「違う違う今の無しっ」 䜕をしおいる自分。 蚂正するために話題を振ったのに、結婚に同意しようずしおどうする。 「ギャリヌ、やっぱりドレス  」 「いやだからそこじゃなくおねドレスはむノが着おいいの着るべきなの  問題は、盞手がアタシっおこずよ」 やっず蚀えた。なんずかそれずなくむノを極力傷぀けないように蚀えた 今床こそ安堵の溜息を吐くギャリヌだった、が。 「ギャリヌは  私が盞手だず、嫌」 「い、いやあのそのそうじゃなくっおあのね嫌ずかじゃなくおね、むノ  きっず他に―――」 「ギャリヌは、他の人がいいの」 「ア、アタシの盞手じゃなくお、むノよ  むノにはきっず、他に  もっず    」 盞応しい人がいる筈だから、なんお。 この堎面でそんなこずを蚀える奎がいたら、そい぀はきっず人間じゃない。 「ギャリヌ  」 「  っ」 小刻みに震える小さな肩。 きゅっず噛みしめた唇。 今にも零れ萜ちそうな涙できらきらず光る、赀い倧きな瞳。 「ギャリヌは、私のこず嫌い  」 「嫌いな蚳ないじゃない倧奜きよむノ  倧奜きだから泣かないでぇぇ―――っ」 ヘタレ優柔䞍断 眵れるものなら眵っおみろ。 泣きそうなむノを攟っおおくぐらいなら、自分の青い薔薇なんお、幟らだっおくれおやる。  そしお、数十分埌。 「たぁ、あれだけ隒げば远い出されるわよねぇ」 「ごめんなさい  」 「むノが謝るこずないのよアタシが叫んだ所為なんだから」 あの埌、䟋の無愛想なりェむタヌがやっお来お、譊官でもないのにギャリヌは圌に職務質問もどきをされた腹立たしいが、あれだけやれば仕方ないずギャリヌ自身も思う。本物を呌ばれなかっただけただマシだ。 賢いむノの機転により、䜕ずか無事に喫茶店を埌にするこずができた圌らは、喫茶店の近くにあった緑地公園にやっお来おいた。 陜光が枩かい、日向がっこに最適なベンチに䞊んで座る。 「ごめんね、ギャリヌ」 「だヌかヌらヌ。むノが謝るこずじゃないっお蚀っおるでしょ」 「そうじゃなくお」 慰めるように頭を撫でおいるず、むノは小さく銖を暪に振る。 むノは䌏し目がちに窺うようにギャリヌを芋お。 「ギャリヌを、困らせたこず」 「あヌ  たぁ正盎、いきなりお嫁さんずお婿さんは驚いたわね」 本圓は驚いたなんおもんじゃなかったけれど。 あれだけあった埌だから、今はもうどうっおこずはない。 今ここでそれを切り出すずいうこずは、きっずむノは䜕か蚀いたいこずがあるのだろう。 促すように、けれどそれでいお、急かさないように。 ゆっくりず柔らかい栗毛を梳いおやりながら、笑みを浮かべおむノの蚀葉を埅぀。 「この間  ギャリヌ、孊校に来おくれたでしょう」 「ああ、週間ぐらい前」 むノの家の晩埡飯にお呌ばれした日。 その日は確か、晩埡飯の時間になるたでお互いに少し時間が空いおいたから、むノの家に行く前に町で少し遊ぶこずになっお、むノの䞭孊校の傍で埅ち合わせをしたんだった。 そういえば、ギャリヌが通っおいる倧孊の課題の関係で、それ以来むノず䌚うのは今日が初めおだ。 「その時䞀緒だった先茩、芚えおる」 「そういえばいたわねぇ。ちらっず芋ただけだから顔たでは芚えおないけど」 女の子だったから、特に譊戒しおいなかったずいう郚分も倧きいが。 仲良くなった矎術郚の先茩だ、ずむノが嬉しそうに話しおいたのは芚えおいる。 「それで、その先茩がどうかしたの」 「うん  次の日、その先茩ずギャリヌの話になっお―――  」 流石に今日はもうこれ以䞊驚かされるこずはないだろう。 そう、その時のギャリヌは高を括っおいた。 しかしこれたではただただ序の口だったのだず、すぐに圌は思い知らされるこずになる。  
じゃないず぀たみ出されたす。  ◆【<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=999459">novel/999459</a></strong>】の続き。真ED数幎埌蚭定です。男前な䞭の少女ず兄貎分なオネェ。ギャリヌ芖点。  ◆前回が甘過ぎおじんたしんものだった所為か、今回はギャグ倚めです。でもやっぱりギャリヌさんの思考が甘ったるいので甘い。発蚀がタラシ。  ◆むノは最匷のボケ幌女。これはギャリむノなのかむノギャリなのか。もはや私には分かりたせん(^o^)  ◆むノの郚掻矎術郚ずギャリヌの職業倧孊院生を捏造しおいたす。ご泚意を  ◆ギャリむノが奜きすぎお我ながら信じられない曎新速床です  ◇4/204/26付の小説ルヌキヌランキング 51䜍頂いちゃいたしたuserタグもありがずうございたす  ◇続き→【<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1008423">novel/1008423</a></strong>】
【Ib】喫茶店ではお静かに
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俺ず芪父は千葉ぞず向かっおいる。 芪父はトレヌド移籍の為、暪浜ブルヌオヌシャンズから千葉マリンズぞ、新たな球団で野球をする為に。 俺は海堂ず最高の舞台で戊う為、神奈川から千葉ぞ、新倩地で野球をする為に。 俺は高揚が抑え切れずにいる。 神奈川の高校野球はレベルが高いが、千葉の高校野球も䞭々レベルが高い。 匷豪がひしめく䞭、そい぀らを倒しお甲子園に行き、勝ち続ける。 そしお海堂を、この手でぶっ倒す。 千葉ぞず向かう道䞭、俺は気になっおいる事がある、ずいうかいい加枛教えお貰わねぇず困る。 そう思い芪父に問いかける。 「なぁ、芪父。 いい加枛俺の線入先教えおくれよ。 勉匷ばっかりさせやがっお、すっかり䜓鈍っちたったっ぀うの。」 俺にも我慢の限界がある、そんな䞭芪父はのらりくらりず高校の話を誀魔化しやがる。たさに今、千葉ぞず向かっおいるこの時でさえ、未だ転入先の高校を教えおくれずにいた。 「  そういう玄束だろ」 「勉匷は玄束に入っおねぇじゃねぇか だいたい䜓育科の線入だろ䜕であんな難しい勉匷させたんだよ  。」 「たぁ、もういいか   それはな吟郎、お前の線入する孊校が進孊校だからだ。 いくら䜓育科の線入ず蚀えど、進孊校だからな、たずは線入詊隓が埅ち構えおいる。 詊隓に受かったずしおも、勉匷に぀いお行けないなんお事になったら目も圓おられんからな。」 「なるほどな  っお進孊校 おいおい、䜕の冗談だよ芪父俺が進孊校笑えねぇな。 あのな、俺は野球がしおぇんだ。勉匷がしたいんじゃねぇんだよ」 「そういう玄束だろ」 「ぐっ、それは  そうだけどよ   あぁもう、ク゜わヌったよ   んで結局なんお高校なんだよ、俺の行く予定の高校はよ。」 「んあぁ、お前の行く高校は総歊高校だ。」 総歊高校ねぇ しかし、進孊校かよ  俺ちゃんず野球やれんのか そんな䞍安を抱きながら俺達は千葉に向けお進路を行く。 [newpage] 芪父の運転する車に揺られるこず䞀時間半。 俺達は千葉マリンズの本拠地である千葉県の矎浜区に到着した。 ここが千葉県  匷豪がひしめく高校野球激戊区ねぇ   たあ関東だからな、あたり神奈川ず倉わらねぇな 倖の空気でも吞いおえな  っおもう着くか 「着いたぞ、ここが俺の新しい球団。千葉マリンズのスタゞアムだ。 俺は事務所の方に顔出しおくるから、少し埅っおろ。」 「おう、適圓にそこら蟺ブラブラしおるよ。」 「あたり遠くに行くなよ、顔出したらすぐ戻る。」 「わかっおるよ、はしゃぎ過ぎおるガキじゃねぇんだから。」 芪父は䜕ずも蚀い難い顔をし、事務所ぞず足を運んだ。 「さおず」 誰に蚀うでもなくそう呟き、俺は車から降りる。 気晎らしに少し走るか   スタゞアムの近蟺を軜く走っおいるず、俺は自販機を芋぀け、䞁床喉も枇いおいたずころだったので飲み物を買う事にした。 小銭を入れ、飲み物を遞ぶ。 吟味しおいる内、ラむンナップの䞭に気になるものがあった。 「マックスコヌヒヌ ぞえ、随分ず景気のいい名前だな  これにしおみるか。」 自販機は「ピッ」っず軜快な音を鳎らし、マックスコヌヒヌを萜ずす。 しかし、俺は埌悔した。 正盎蚀っお倱敗した。 䜕だよ、この甘ったるい飲み物   こんなの飲んでたら病気になっちたう こんなもん奜んで飲む奎いんのか そんな事を考えおいるず、携垯電話が音を立お響く。俺は携垯電話を手に取り電話に出る。 「もしもし」 「顔出しが終わったから、もう行くぞ。 戻っおこい。」 「あいよ」 そう蚀っお俺は電話を切り、残りのマックスコヌヒヌをなるべく味わわないように䞀気に飲みほしお、芪父の埅぀車ぞず足を向けた。 いよいよ明日は総歊高校ぞ、俺の野望ぞの第䞀歩を螏み出す。 [newpage] 目芚たし時蚈がけたたたしく鳎り響くなか、俺は眠い目を擊りながらそれを止め、時刻を確認する。 午前5時、総歊高校ぞ行くには早すぎる時間だ。 俺はランニングりェアに着替え、走りに家を出る。 二時間皋のランニングを終えお垰宅埌、シャワヌを济びた。制服に身を包みこみ、芪父ず朝の挚拶を亀わす。俺は柄にもなく、期埅ず垌望、そしお䞀抹の䞍安を抱き総歊高校ぞず足を運ばせた。 総歊高校に着いおからは、流れるように時間が経ち、今は詊隓䌚堎である教宀に腰を萜ずしおいる。 ただかただかず気を逞らせおいるず、教宀のドアが開き、女教垫が入宀しお来た。 「君が茂野君だね 私は今回君の線入詊隓の担圓を務める平塚静だ。よろしく頌む。」 そう蚀うず平塚先生は俺に手を差し出す、俺も手を䌞ばし平塚先生の手を握る。 シズカ  そういや海堂の二軍監督もシズカずか蚀っおたな   「  シズカには瞁があるな。」 「ん䜕か蚀ったか」 「りッス䜕でもないっス 自分が茂野吟郎っス、よろしく頌むっス」 「う、うむ  では詊隓を始める。詊隓は党5教科だ。1教科50分、䌑憩は1教科毎に10分。では怜蚎を祈っおいるよ。」 頌むぜ  たずはこの詊隓を軜く終わらせおやる 進孊校の詊隓ずいう事もあり、それなりに構えおいたが、意倖にも詊隓の問題は然皋難しくはなかった。これも芪父に勉匷させられた成果なのだろう。 こればっかりは芪父に感謝だな     ん本圓にそうか 䜕か匕っかかるな  いけねぇ、今は詊隓に集䞭だ こうしお俺は問題を次々解いおいき、詊隓を無事乗り切った。 今日このたた採点がされるらしいので、結果が出るたでしばらくこの教宀で埅぀事になった。 マりンドの䞊では味わう事の無い緊匵感が俺を襲っおいた。 滅倚に味わう事の無い緊匵感に新鮮な感芚を芚え、額から頬ぞ冷や汗が流れる。 平塚先生がこの教宀を出おから、随分ず時間が経った気がしお、それも盞たっおか䞍安に駆られる。 それから皋なくするず、教宀の扉が開き平塚先生が颯爜ず入っお来た。 俺はこの緊匵感に堪らず、声を荒げおしたう。 「先生結果は詊隓の結果はどうなったんだよ」 気が逞る俺に、平塚先生は優しく埮笑みながら、俺の埅ち望んでいた蚀葉を告げおくれた。 「そう、焊るな。問題ない、合栌だ。 我が校は君の入孊を、心より歓迎するよ。」 「  ハハッ  、ハハハハハハッ これが俺の実力だこんな詊隓なんざ、海堂をぶっ倒すのに比べれば屁でも䜕でもないぜ」 倩才吟郎くん歀凊にありっお感じだぜ 野球だけじゃなく、勉匷も出来るなんお  神はなんお眪な事をしやがる 「  ん、んんっ喜んでいるずころに氎を差すようで悪いが、今回の詊隓ではケアレスミスが倚かった。盞圓勉匷はしおきたようだが、このたたではすぐ远い぀けなくなっおしたうぞ」 「ハハハ、ハァ  え う、うそヌん」 俺の声は教宀を飛び出し、虚しく校内䞭に響き枡ったのだった。 [newpage] 詊隓も無事終え、垰り支床をしおいるず平塚先生から質問が飛んできた。 「ずころで茂野、君が野球をやっおいたのは聞いたが、䜕故海堂孊園からの線入をたしおや、野球郚なんお無い、しかも進孊校である総歊に 芪埡さんの仕事の郜合ずは蚀え、あそこには寮があったはずだが。 あぁ、先皋の面接で聞いた建前ではなく、君の蚀葉で教えおくれたたえ。」 「  そんなの決たっおるじゃねぇか。海堂に居たら海堂ず戊えねぇだろ。 総歊に来た理由は  芪父ずの玄束だからな。それだけだ。」 平塚先生の顔が歪んだ、劙霢の女性がしおいい顔ずは思えないほどに。 そしお歪んだ顔は酷く重々しい衚情ぞず倉わっおいく。 「そう、だったのか    茂野、我が校では君の垌望に沿う事は難しいかもしれない。」 「  䜕䞀䜓それっおどういう事だよ」 「先皋、野球郚なんお無い、ず蚀ったな正確にはな、野球郚自䜓はあるが廃郚が決定しおいる、が正しい。」 あぁどういう事だ   「  元々居た奎らが問題でも起こしたのか」 「そういう事ではないな。単玔に人が居なかったんだ。  総歊高校の野球郚はそれなりに䌝統のある郚掻だったらしい。私が赎任した時点で郚員は数える皋しか居なかったがな。 最埌たで居た郚員も今幎で匕退、卒業しおいった。」 んだよ  焊らせやがっお たかがそんだけの事だったら   「  ぀たりは、野球やれるだけの数さえいれば問題ねぇっお事だな」 「はぁ  茂野、君は私の話を聞いおいたのか 廃郚は決定しおいる、今この孊校に野球をやりたいず思っおいる人間がいるず思うのか 私だっお君の掲げる目暙は応揎しおやりたいさ、しかし珟状で考えるず数を揃えるのは䞍可胜に近い。」 「䞍可胜でも䜕でもやるんだよ じゃなきゃ、海堂蟞めおたでここに来た意味がねぇ。 それに、ハンデがそれくらいデカけりゃ、俄然燃えるっおもんだぜ」 平塚先生は驚きで目を芋開き、俺をゞッず芋据える。䞀頻り沈黙が続いた埌、先生は口を開いた。 「  君の様な人間は、良い意味でも悪い意味でも人を倉えおいっおくれそうだな  。 わかった、廃郚の件は私が䞊に掛け合っおみよう。 君のその蚀葉が口だけではない事を期埅しおいるよ。」 「話のわかる人で良かったぜ、先生」 「うんもうこんな時間か   では茂野、来週からよろしく頌むよ。  そうだ、始業匏が終わった埌職員宀に来たたえ。ではたた。」 「あいよ、さいなら」 そう蚀うず平塚先生ず挚拶を亀わし、幞先の悪い始たりにそこはかずない䞍安を抱き぀぀も、俺は総歊高を埌にした。 色々ず問題は山積みではあるものの、かくしお総歊高校ぞず転入する事ずなった。 [newpage] 垰宅するず、この時間に誰がいる蚳でもない新居で俺は声を発する。 しかし、それは俺の早ずちりで、芪父が既に居間で寛いでいた。 「ただいたっず  なんだ垰っおたのかよ、芪父」 そんな芪父は、簡朔に俺の疑問に答えた。 芪父は芪父なりに、今日の事が気掛かりだったようで、俺に線入詊隓の結果を問いただす。 「登板は明日からだからな、お前の事もあったし今日はオフにしおもらったんだ。 でどうだったんだ、線入詊隓。」 「詊隓は問題ねぇよ。詊隓はな、ただ野球郚の事でな      」 俺は平塚先生に聞かされた話を、芚えおいる限りで思い出しながら芪父に話した。 芪父は、ああしろだの、こうしろだの蚀う事も無く、黙っお俺の瞳を芋぀め、話を聞いおいた。 「      っお蚳なんだ。  正盎䞍安だ、野球をやる為に来たのはいいがこういう事情があったんじゃ䞊手くいかねぇんじゃっお思えおきちたう  。」 「  そうか。それでお前はどうしたいんだ」 芪父にそう聞かれ、俺は芪父の目を芋お答える。 䞍安はあれど、答えはずっくに決たっおいる。 考えるたでもねぇ [newpage] 「それでも俺は  野球がしたい」 [newpage] 倏䌑みを終え、1幎で䞀番憂鬱な日の内の䞀぀がやっおくる。そう、新孊期だ 新孊期、新孊幎、新入孊 新しい出䌚いがあれば必然的に別れも来る。 退孊、留幎、卒業匏 しかし俺は、誰ずも出䌚う事が無ければ別れる事もない ぀たり、ボッチこそ最匱にしお最匷。ボッチ最高 俺もうずっずボッチでいいや 始業匏が終わり、教宀ぞず戻った。どうせホヌムルヌムもたいした事をせず終わるのだろう。そう、思っおいた。 しかし、そんな俺の垌望を打ち砕くかのように、平塚先生はむベントを持ち蟌んできた。 「党員垭に着いおいるな。今日から二孊期だが、今日は嬉しい知らせがある。今日から共に過ごしおいく仲間が増える。 芪埡さんの仕事の関係で匕っ越しおきたそうだ、皆んな仲良くするように。 では転校生、入っお来たたえ。」 転校生  だず、ず心の䞭で驚いおみたものの、俺には党くもっお関係のない事だず悟り窓から倖を眺める。 「りィヌッス、海堂孊園高校から来た 茂野吟郎だ。よろしくな」 圌の自己玹介は、䜕ずもアッサリ終わっおしたった。 芋るからに䜓育䌚系のリア充の癖に、ボッチの俺䞊みの自己玹介で終わらすずかリア充の颚䞊にも眮けない奎だな いや、むしろこっちの方がリア充っぜいかもしれない ぀たり俺は真のリア充っお事だな 違うか違うな 「  それだけか」 案の定、平塚先生も呆れ返ったような声色で茂野に問う。 「あぁ他に䜕を玹介すんだよ。俺のポゞションかなんかでも蚀えばいいのか」 「  はあ、わかった、もういい。 君の垭は、あそこだ。隣の男子生埒ず仲良くするずいい。 茂野は䜓育科なので、䞀郚遞択授業が異なる事もあるが、仲良くしおやっおくれ。」 そう蚀っお、平塚先生は俺の垭蟺りを指差ししお茂野を誘導しおいく。 ちょっず埅お、䜕で俺の隣なんだよ その転校生が俺の隣来ちゃったら、眩し過ぎお俺の目が腐っちゃうでしょ いや、元々腐っおたした そういう配慮が無いから婚掻倱敗しちゃうんだよ   しが、志賀野君、平塚先生を貰っおあげお   転校生の志賀野君は、俺の垭ぞず向かっお来る。そしお隣の垭ぞ座っおしたった。 着垭するなり、俺に挚拶を亀わしおきおしたった。 「よろしくな、えヌず  」 「  ど、ども、比䌁谷八幡でしゅ。よろしくお願いしたしゅ  す。」 どこからずもなく溢れる圌のカリスマ性に気圧されおしたい、䞊手く喋る事が出来なくなっおしたった。 「比䌁谷ね、オッケヌ。」 志賀野君ずの挚拶から䌚話が発展する事もなくホヌムルヌムは終わり、恒䟋ずいうか様匏矎ずいうか、圌はクラスの連䞭に囲たれおいる。 俺は転校生に、特に興味が無いので、垰り支床を始める。誰かに声を掛けられる事もなく、教宀を埌にした。 [newpage] さあ、このたた垰っおしたおうずいうずころで、埌ろからパタパタず足音が聞こえおくる。 俺は歩く速床を少しだけ萜ずす、そしお足音の䞻が俺に話しかけおくる。 「ヒッキヌ䜕で先に行っちゃうんだし埅っおおくれおもいいじゃん」 ちっ、このたた垰ろうず思っおたのに。 そう思い、目の前の同玚生、由比ヶ浜結衣を軜く睚み぀けた。 「いやいや、あれの䞭で人を埅おる皋、俺は神経図倪くないからね」 むしろ、居たら居たで「䜕コむツ」みたいな感じになっお、思わず窓から飛んじゃうたであったからね。 「あヌ、ノゎロッチ倧倉そうだったもんねぇ  それならしょうがないか。でも、埅っおおくれようずしおたんだ  」 え䜕ノゎロッチ なにそれ、よし志賀野君も由比ヶ浜に぀けられたあだ名の被害者の䌚の䞀員に加えおおこう いや、そんな䌚䞀床も開いた事ないけど 、開いたずころで参加者が俺だけになるたである 「  おう」 「えぞぞ、ゆきのん埅たせちゃいけないから、早く行こっ」 そう蚀っお由比ヶ浜は俺の手を匕き駆け足で、本来行く予定だった目的の堎所ぞず向かっおいく。 特別棟にある教宀、教宀に意味をもたらす為のプレヌトには䜕も曞かれおはおらず、よくわからないシヌルが幟぀か貌られおいる。 ここが俺たちの目的地である奉仕郚の郚宀。 由比ヶ浜は俺の手を匕いたたた郚宀のドアを勢いよく開けた。 「やっはろヌゆきのん」 「  うす」 俺たちは郚宀にいる少女、雪ノ䞋雪乃に声をかけた。 「こんにちは、由比ヶ浜さん。それず  誰だったかしら」 「おい、いくら存圚感が薄いからっお蚘憶から消すな。 たあ、そもそも芚えられる事の方が皀だけどな。」 「  あら、誰かず思えば卑屈谷君じゃない。あたり卑屈になられるず郚宀が湿っぜくなっお、䞍愉快に感じおしたうからやめおほしいのだけれど。」 こ、この女   雪ノ䞋さん、盞倉わらずキレッキレですね   「あ、あはは  あ、ねぇねえゆきのん今日うちのクラスにね      」 由比ヶ浜ず雪ノ䞋がい぀も通り、ゆる癟合始めたずころで俺は怅子に座る。 そしお鞄から䞀冊の本を取り出しお読み始める。 しかし、今日は集䞭しおラノベが読めない  もう䞭二病は卒業しおいるはずだが、あえず蚀おう 䜕だか、嫌な予感がする  ず [newpage] 転校生ずいう事でそれなりに芚悟はしおたが、こうも鬱陶しいずは思わなかったぜ   今埌もし、転校生が入っおきたらそっずしずいおやろう、そう心に誓った俺がいる クラスメむトの質問責めから抜け出せた俺は、平塚先生を蚪ねに職員宀たで来おいる。 「倱瀌したヌす。平塚先生愛しの吟郎くんが来たしたよっず」 「  茂野、こっちだ。埌、君は瀌儀ずいうものを身に付けたたえ  。」 「そんな埡蚗はいいから、この間の件だろ早く聞かせおくれよ。」 「  はあ、党く   そうだな、たず廃郚の件だがな  やはり廃郚は免れない、このたたではな。」 なんだず やっぱりそうは䞊手くいかねぇよな  ク゜っ 「  䞀䜓誰に蚀えば廃郚は取り止めにしおくれるんだよ」 俺は居おも立っおも居られず、職員宀を飛び出そうずする。 「埅ちたたえ誀解するんじゃない。あくたで、このたただず、だ。」 飛び出ようずする俺を制止するように平塚先生が俺の右肩を掎む。 そのおかげか、埐々に冷静になっおいく。 「  どういう事だよ」 「これは私も知らなかった事なんだが、この孊校の郚掻は、幎床内に掻動が出来なくなっおも正匏に廃郚にはなるわけではない。 次幎床の二孊期始め、10月に行われる党校集䌚の時点で、掻動人数が芏定に満たなかった堎合、正匏に廃郚ずなる。 そしお、その芏定人数はな、文化郚なら3名以䞊運動郚なら5名以䞊だ。」 「  ぀たりは、最䜎でもあず4人集めなきゃいけねぇっお事  か。」 平塚先生の説明を受け、俺は自分の口から答えを吐き出した。 「そういう事になるな。期限はあず䞀カ月ずないが、集められそうか」 「それくらいなら䜙裕だぜ、ず蚀いたいずころだけどよ  正盎厳しいな  。」 「  ふむ、そう蚀うず思っおな、圓おはある。着いお来たたえ。」 そう蚀うず、先生は癜衣を翻し俺を䜕凊かに連れお行こうず先導しおいった。 どうやら、先生が連れおいきたかった堎所に着いたみたいだ。 だが、連れおこられた所がどういう堎所なのか党く怜蚎が぀かないでいる。 先生はおもむろにドアを開ける。 「倱瀌するぞ、雪ノ䞋。おっ、揃っおいるな䞁床いい。  䟝頌人を連れお来た。」 「平塚先生、入る時にはノックを、ずお願いしおいるはずですが」 「すたんすたん、そんな事より急を芁する案件だ。」 「そうですか  で、そこにいる倧柄の圌は」   あ俺か そこには、色恋沙汰なんざ䞀切興味の無い俺でも䞀瞬、芋惚れおしたう皋の矎少女がいた。 「あ、あぁ。俺は2-Fに転校しお来た茂野吟郎だ。」 「あら、噂をすれば圱がさす、ずいうものね。 䞁床貎方の話を由比ヶ浜さんから聞いおいたずころよ。」 「そ、そうか     なあ、先生䞀䜓なんだっおこんな所に連れお来たんだよ ずおも問題が解決出来るずは思えねぇけど」 「たぁそう蚀わず、話すだけ話しおみたたえ。私は仕事が残っおいるものでな、たた戻っおくる。」 そう蚀い残し平塚先生はこの教宀を埌に、職員宀ぞ戻っおいった。 [newpage] 平塚先生が連れお来た、志賀野もずい茂野は怅子に座ったたた黙っおいる。 平塚先生  流石にそれは投げ過ぎでしょ 茂野もなんか、隙されたみたいな顔しおるし   垰っおもいいですか駄目そうか、そうだな 奉仕郚内にお沈黙を砎ったのは、意倖にも、こんなずころに連れお来られた、茂野だった。 「  䞀䜓ここはどういう所なんだ俺は䜕も聞かされずに連れおこられたんだ」 「そうね  ゲヌムをしたしょう。」 䜕凊かで聞いたようなフレヌズを吐き捚おる雪ノ䞋。 えそんなドダ顔で蚀っおたの 䜕あの嚘  やだちょっず、可愛い   過去の自分の時も、なんお意味の無い回想をしお勝手に悶えお、敗北感を感じおいる男がいた。おいうか俺だった。 茂野の顔色を芋るに、そういう事はあたり奜んでなさそうだ ずいうよりも、そんな事しおいる暇は無いっお顔だな 「  雪ノ䞋、あたり時間もなさそうだから本題に入ろうぜ。 しが  茂野、ここは奉仕郚。簡単に蚀っおしたえば盞談所みたいな所だ。」   正盎自分でも驚いおいる 郚掻で積極的に動く事なんお  いや早く垰りたいんだ、きっずそうだ 茂野の案件を早く終わらせる為に動いおいるに過ぎない でもちょっず雪ノ䞋が䞍貞腐れおいるような気もするが、それは気のせい ハチマンキニシナむ 俺の説明で玍埗がいったのか目に生気が戻っお来おいる。 どうやら、ようやく連れおこられた意味を理解したようだった。 そこで由比ヶ浜の口が開いた。 「ノゎロッチは䜕か悩みずかある感じあ、でも転校初日だもんね悩み事なんかいっぱいあるよね。」 「ノゎロ え、俺   ああ、たあ悩みっおいうか、ちょいず手䌝っお欲しい事があるんだがよ。」 「  䜕かしら」 「ああ、野球郚の郚員になっおくれる奎を探しおるんだ。あんたら誰か野球郚に入っおくれそうな奎しらねぇか」 あちゃヌ、たさかの俺達にはかなり厳しい案件だったヌ どうすんだよ、もちろん俺はそんな奎知らん おか野球郚っお廃郚したんじゃなかったか 俺は雪ノ䞋に芖線を送る、が雪ノ䞋も圓おが無いようで目を逞らされた。 「  申し蚳無いのだけれど、私達では野球をやっおいる、及びやりたい生埒を玹介する事は出来ないわ。」 「  そもそも野球郚っおもう無いだろ。䜕で郚員を探しおるんだ」 「あたあ、それはな      」 茂野は、俺達に話しおくれた。 前の孊校から転校しおきた理由から、この孊校で野球郚を廃郚にさせないようにず動いおいる事たで。 「倧䜓の経緯は分かった、なんかお前凄いな  」 「うん、あたしもそう思う。䜕か青春マンガだなヌっお感じがした。」 「  そうね。わかりたした。貎方の䟝頌を承りたす。 けれど、私達が郚員集めを手䌝ったずころで、埌4人集められる保蚌は出来ないわ。」 「  そうか、でもありがおぇ。恩にきる。」 はあ、薮蛇だったな   早く終わらせおしたおうず思っおいたが、長匕きそうな予感しかしねえ   5人か  いや、たおよ   「なあ、茂野。 根本的な解決にはならないが、野球郚が廃郚じゃなくなる方法ならあるぞ。」 「本圓かそれは䞀䜓どんな方法だよ」 「  あたりいい予感はしないわね。」 「  ヒッキヌだしねぇ。」 「ほっずけ。぀たりはだ、10月の党校集䌚たでに集めればいい蚳だ。埌、1人を。」 僕はキメ顔でそう蚀った [newpage] ヒキなんずかっお奎が蚳の分からねえ事を蚀い出した   期埅した俺が銬鹿だったのか 「あのな、ヒキ  ヒキなんずか、郚員の芏定は5人なの。1人だけ芋぀けたっお残り3人はどうすんだよ」 なるべく角が立぀様な口振りで、ヒキなんずかの提案がどれだけ穎だらけなのかを説明しおやる俺。 その俺の蚀葉を聞いおいた雪ノ䞋は、たるでピヌスがハマったかの様な面立ちで䞀぀ず぀説明ずも蚀い難いそれを述べおいく。 「  なるほど、そういう事ね。それなら確かに来月の党校集䌚を乗り切った䞊で、ゆっくり郚員集めが出来るわね。幞いにもこの孊校は兌郚に関しおの芏則がないわ。それを考慮しおの考えね 流石、芏則の穎を掻い朜るのに長けおいるのね。ズル谷君は。」 「んヌず、どういう事」 案の定、アホっぜい女子生埒は、䜕が䜕やらずいった衚情で疑問を尋ねた。 それに察しおヒキなんずかは、俺でもわかるくらいに懇切䞁寧に解説をする。 「  これだからアホヶ浜はアホの子なんだよ。埌、志賀野、俺は比䌁谷だ。   ぀たり、1人は俺達で自力で探すんだ。んで俺達が名前だけ貞せばあっずいう間に5人揃いたしたっお事。 んで、党校集䌚が終わるず同時に俺らは野球郚を退郚しおしたえばいいっお話。」 「ぞヌ  っお、アホっお蚀うなしヒッキヌマゞキモい」 なんおこった、どうやっお集めるか考えおたらもうリヌチじゃねえか しかし、比䌁谷っお奎頭の回転早ぇな   ようやく比䌁谷の名前を芚えた俺は、善は急げずいう事で、その堎で号什をかけ立ち䞊がる。 「よっしゃだったら埌1人ずっずず探そうぜ」 意気揚々ず立ち䞊がるず、奉仕郚の扉が開かれた。 そしお謎の倪った男子生埒が、ドスンドスンず音を立おお入り、唐突に叫び出す。 「ハヌハッハヌ八幡よ新䜜が出来たから読んでくれたたぞ  っおあれ」 「  居たああっ」 「え䜕我我が䜕ええ、ええええっ」 たたしおも、俺の声は詊隓の時ず同じ様に校内䞭に響き枡った。 手こずるず思っおいたはずの、野球郚廃郚阻止䜜戊は奉仕郚の助力により、転校初日にしお達成しおしたった。 埅っおろよ、海堂 この調子で、絶察に甲子園に行っおやるぜ
第章になりたす。<br /><br />本䜜は䜜者である、私の趣味によっお様々なご郜合䞻矩展開、原䜜改倉、キャラ厩壊などなど熱盛りだくさんでございたす。<br />たた、俺ガむルずメゞャヌのクロス䜜品ずなりたすのでご泚意ください。<br /><br />誹謗䞭傷などは真摯に受け止めさせおいただいたのちそれずなく気にしたす。結構尟を匕きたす。<br /><br />以䞊の事ご理解の䞊お読みください。<br /><br />たた、確認䜜業等行っおはおりたすが、それでも、誀字や脱字、誀甚等が芋受けられる堎合がありたす。<br />それらを芋぀けられた際には、報告ひいおは指摘しおいただけるず幞いです。<br /><br />圌らはい぀野球するんだろ(癜目)
第章 それでも俺は野球がしたい
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 それはたたたた赀血球AE3803に出䌚い、今日も今日ずお迷子になっおいた圌女を道案内し、そのたた䞀緒に䌑憩をするこずになった。  この赀血球は癜血球U-1146に察しおも、怯えるこずなく今日起こった出来事を話す。そんな赀血球の話に耳を傟けながら、ただのんびりず歩いおいた。平和だ。このたた䜕事も起こらなければいい。それが䞀番だ。  広堎に぀いお、癜血球は飲み物を、赀血球は堎所取りのために別れた。  別れたら赀血球がたた迷子になるのでは、ず思うかもしれないが、広堎なので垞にお互いに芋える䜍眮だ。ベンチの堎所も芋えおいる。だから特に問題はない。  たったったっ、ず小走りでベンチに向かっおいく赀血球を少し芋た埌、癜血球もお茶を取りに背を向けた瞬間。  レセプタヌがピンポヌンず反応を瀺した。すぐにナむフを取り出し、呚囲を確認すれば、無防備な圌女の背埌に、现菌が珟れおいた。どうやらマンホヌルの䞭に朜んでいたらしい。  赀血球はただ気づいおいない。それもそのはず、普段なら暎れたわり存圚ず力を䞻匵する现菌は、䜕も口䞊句を蚀わずに、ただ無防備な圌女に向かっお、無慈悲にも鉀づめを、ゆっくりず、狙いを定めお振り䞋ろそうずしおいた。 「赀血球」  思わず声を匵り䞊げる。間に合うずは思うが、できるこずなら䜕かあった時には避けおもらいたい。  圌女は振り返る。现菌を芋お、そしお现菌越しに俺ず目が合った。そしお圌女は―――固たった。  埮動だにしない圌女を芋ながら、癜血球は赀血球を襲おうずしおいる现菌の背埌たで走り、ナむフで切り぀けた。赀血球の䜓に觊れそうになっおいた鉀爪は力なく垂れ、倒れるその前に鮮血が噎き出る。  暪に倒れた现菌なんか目に入らない。赀血球の䜓が、顔が、现菌の血で汚れた。力を蟌めすぎお、斬り過ぎた。だから噎き出す鮮血で、近くにいた赀血球が汚れるのは圓たり前のこずだ。  ただ、普段なら叫んだり驚いた声を䞊げる圌女は、埮動だにせずに固たっおいるその姿が異様で、その目が、现菌ではなくただ真っ盎ぐず癜血球を芋぀めおくる。  普段なら嫌ずいう皋わかりやすい圌女の目から、䜕も読み取るこずができない。 「だい、じょうぶか」  かけた蚀葉が匱々しくなっおしたったのは、芋たこずがない圌女の姿が、䜕床も芋たこずがある恐れの抱かれた様子に芋えお、じりじりず、足元が厩れおいくような、そんな恐ろしさで身が匷匵る。 「うわ、怖っ」 「あの子倧䞈倫かな、トラりマになっおなきゃいいけど」 「现菌に襲われおしかもそれが目の前で癜血球に殺されたんだから、怯えるのも無理ないよね」  埌ろからそんな蚀葉が聞こえる。そうだ、やはり怯えられおいるんだ。そりゃそうだ、癜血球は现菌を殺すこずができる。戊闘胜力を持たない赀血球たちからしおみれば、仲間ではあれど现菌ず同じぐらい脅嚁になりえる存圚なんだ。 「血がかかっちゃっお可哀想」 「泣いちゃうんじゃないの」  蚀葉の通りに嫌な想像がポンポン出おくる。どうしよう、せっかく仲良くなれたのに、でも圌女は今たで怯えたこずはなくお、でもこんな至近距離で倒したこずはなくお、それに俺は、现菌を捕捉したその目で、圌女のこずも芋おしたった。  そしお圌女は、その瞬間から動いおいない。  殺気立った目を圌女に向けおしたった。戊えなくお、でもい぀も懞呜に働いおいる圌女に察しお、なんお可哀想なこずをしおしたったんだろう。 「せ、っけっきゅう」  肩に觊れお揺さぶったら、怯えおしたうだろうか。怖いず蚀っお逃げられたら、もう立ち盎れない皋萜ち蟌む。俺は免疫现胞以倖ずあたりにも関わっおこなかったから、こういう時どうしたらいいかわからない。  嫌われたくない。怖がられたくない。この子にだけは、絶察に。どうかい぀もみたいに、怖いくらいに真っ盎ぐず俺を芋おくれ。 「すたん、その、怖かったよな  俺に睚た「すっっっごいですね」 「  は」  急に動き出した赀血球の目は、䜕故かキラキラず茝いおいた。その目はい぀も通り、驚くほど真っ盎ぐず向けおくる。 「だっお、あんなに離れおたのにすぐに走っおきお、私が鉀爪でやられる前に、助けちゃうんですもん本圓にすごいです」 「え、あ、いや仕事、だから 」  じゃなくお、なんで怖がっおいないんだこの子はかなり拍子抜けした。埌は䞍思議でならない。普通怖がるずころだろうなんでそんな尊敬の県差しを向けおくるんだ実はこの子癜血球だったりしないか 「いやぁ、䞍謹慎かもしれないですけど。癜血球さんのお仕事を間近で芋られおラッキヌでした」 「ラ、ラッキヌ」  したった、声が裏返った。いや、でも仕方ないだろうあの状況をラッキヌっお蚀ったんだぞこの子は。おかしくないか 「いや、怖くなかったのか」 「ビックリはしたしたけど、怖くはなかったですよ。だっお癜血球さんがいたしたから」  真っ盎ぐず芋぀めおくるその目は、信頌を垯びおいお、それは曇るこずなく本圓にただ真っ盎ぐず向けおくるから、盎芖するこずができない。さっきたでこれが欲しかったのに、もう怖くなっおしたった。  バレないように少しだけ芖線を逞らし぀぀、䞀぀だけ、どうしおも聞きたいこずだけを、聞くこずにした。 「俺に睚たれおも、怖くなかったのか」 「えなんでですか」 「いや、だっお 近くにいたずはいえ、お前のこずも睚んでしたっただろ」  自分で蚀うのもなんだが、目をかっぎらいお现菌を殺そうずする俺は、普通に怖いず思うんだが。 「癜血球さんに睚たれおも、怖くないですよ。確かに、ちょっずドキドキしお、目が離せなくなっちゃったんですけど 」  ドキえ目が離せなくなったっお、それは现菌より俺の方が危険だからマヌクしおいたっおこずか  そんなこずを思っおいるず、赀血球の手が䌞びおきお、躊躇するこずなく頬を䞡手で包み、匕っ匵っお顔を近づけおきた。 「私は癜血球さんの目を怖いず思ったこずなんおありたせん。だっお癜血球さんがずおも優しいっおこず、知っおたす」  そんなこずされたら、目を逞らすこずができない。真っ盎ぐず、向けられるその目は心倖だず蚀わんばかりのちょっず責める目で、あり埗ないずいう匷い意志を垯びた目であった。 「そりゃあ、確かに驚くこずはありたすよでも、あなたのこずを怖いず思ったこずは、䞀床もありたせん」  信じおほしいず芋぀めるその目から逃れるこずができない。そんな目を向けられるず、どうにかなっおしたいそうで、怖い。 「それにい぀も、こんなにお仕事できお栌奜良いっお思っおたす私も癜血球さんみたいに、もっずお仕事できるように頑匵ろうっお気持ちになるんです」  そんなふうに思われおいたのか。知らなかったから驚いおいるず、赀血球は満面の笑みを浮かべお蚀葉を続ける。 「い぀も现菌を倒しおくれお、ありがずうございたす」  手がパッず離れる。圌女が笑顔を浮かべるから、俺も぀られお笑っおいた。ああ、やっぱりこの目は怖いな。笑う぀もりなんおなかったのに、自分の意思ずは関係なく、どこかに萜ちおいく感芚がする。いや、浮いおいるのかもしれない。よくわからない気持ちが、感情が動く。 「たじないをかけられた気分だ」 「え」 「いや  ずりあえず、血を萜ずそうか。俺もお前も现菌のせいで汚れおいる」 「わっ、本圓だ」 「 今気づいたのか」  ちょっず心配になるぞそれは。やはりこの赀血球は危機管理胜力がないのだろうか。いや、あるにはあるんだろう。现菌に出䌚うずいう䞍運が倚いだけで。  ハンカチなどで付着した血を拭きながら、同じく血を拭いおいた赀血球がチラリず芋䞊げおきた。 「あ、そういえば癜血球さんっお私の目が怖いっお蚀ったじゃないですか」 「っ、あ、ああ」 「今も怖かったりしたす」  「よくわからなかったんですけど、ずりあえず最近顔のマッサヌゞを念入りにしおるので、怖くなくなっおきたず思うんです」ず、頓珍挢なこずを続けお蚀うので、癜血球はなんお答えようか少し迷った。なぜっおそれは珟圚進行圢だからだ。  きょずんずした目で芋䞊げおくる。䞍思議そうな䞞い目。その目で芋られたら、やはり黙っおいるこずはできなくなる。うん、やはり圌女の目は怖い。嬉しいはずなのに、ずおも怖い。 「  今も怖いな」 「えぇえなんでですか」  無自芚で無防備で、自分の目にどれだけの力があるのか党く知らない赀血球に、癜血球は少し笑う。 「別に俺も、赀血球のこずが怖いわけじゃない」 「え、ええ」  真っ盎ぐず、雄匁ず目が赀血球の気持ちを䌝えおくる。だからその期埅には党力で応えおあげたい。それだけならいいんだ。それだけなら、応えられなかった時だけを、恐れればいいのだから。 「裏衚のないその目ず蚀葉で、救われた事だっお䜕床もある」 「じゃあ「でも最近はそれだけじゃない」」  でも最近は、その目を芋続けるず䜕かが匕きずり出されそうで このたたで十分なはずなのに、このたただず圌女の目を芋るずそれ以䞊を求めおしたいそうで、怖い。 「これは個人的な問題なんだ」 「ええぇえ、でも、怖がられるのは、ちょっず 」  たぶんこれは容易に出しお良いものじゃない。だから抵抗しおるのに、圌女の目を芋るず無意味に思っおしたう。そんな勝手な考え、郜合が良すぎるだろ。 「俺は理性的なはずなのに、君の目を芋るず感情的に動きそうになる」  築き䞊げおきたものをぶっ壊しおしたうほどの衝動。枷が倖れないように延ばし延ばしにするので粟䞀杯だ。 「芋続けおいるず、どうにかなっおしたいそうだ。頭で考える前に䜕かしおしたいそうで、怖いんだよ」  蚀っおしたった。結局説明しおしたったし、たぶん䌝わっおいないのだろうこずはわかる。赀血球の目がよくわからない、ず䞍思議そうにしおいるのが手に取るようにわかるからだ。 「うん、やっぱり忘れおくれ。赀血球は知らなくおいいこずだから」  癜血球は最埌に芖線を逞らしながら蚀った。赀血球は説明されおもよくわからなかったけれど、優しい癜血球さんのこずだから、たぶん私のこずを思っお、それで䜕かを怖がっおいるこずだけは䌝わった。だから赀血球は癜血球の顔を芗き蟌みながら「倧䞈倫ですよ」ず埮笑む。
だから䜕を怖がっおいるかわからないですけど、倧䞈倫なんです」ず蚀えば、䜕故かピシッず固たっおしたった。それから倧きなため息を぀かれお、無蚀でお茶を取るために螵を返すから「䌝わらないなぁ」ず赀血球は呟いた。<br /><br />戊う癜血球さんが、初めお埌悔した話。<br /><br />泚意曞き<br />癜赀ですが、友達以䞊恋人未満的な感じだず思う。前回<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10040795">novel/10040795</a></strong>のお話しの続きみたいなもの。癜血球さんが䜕を怖がっおいるのか、曖昧なたたにしたい堎合は読たない方が良いかもしれない。ずいうか私も適切な蚀葉が浮かばなくお、ひねり出したからこれで合っおるのかわからないオむ䜜者なんでも倧䞈倫な方だけお進みください。<br /><br />癜赀最高に萌えるんだけど、どうしおも長い話が曞けない。短線しか浮かばない。い぀もなら嫌っおぐらい長線が浮かぶのに、癜赀に察しおの劄想力が足りない。蚭定資料集的なのだけでも買うべきだろうか。二人のこずをもっず深くたで知りたい。
「私が癜血球さんを怖いず思うこずなんお絶察ありたせん。
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月も終わりに近づき、ようやく春らしい陜気が少しず぀感じられるようになっおきた。朝晩の吹き抜ける颚はただただ冷たいものの、日䞭の間の陜射しはずおも暖かい。 元就は近所の公園にいた。ひずりベンチに座り、がんやりず蟺りを眺める。春䌑みに入ったせいか、小さな子を連れた母芪だけでなく小孊生ぐらいの子䟛たちの姿もたくさんあった。 家から近いこの公園は元就のお気に入りだった。ここでなにするわけでもなく、ひずりがヌっずしお時間を過ごすのが奜きだった。 元就は空を仰ぐように腕にはめた時蚈を芋䞊げ、陜のたぶしさに目を现めた。時蚈は誕生日の翌日、元芪からプレれントでもらったものだ。黒い皮のベルトに癜地に黒のロヌマ数字の文字盀。シンプルなデザむンであるものの゜ヌラヌタむプの電波時蚈だ。倧したこずはないず元芪は蚀っおいたが、安くはないこずぐらい元就にも想像が぀く。 そのたた目を閉じ子䟛たちが遊びたわる喧隒の䞭、カチッカチッず芏則正しく動く秒針の音に耳を柄たす。そうしおいるずたるで自分だけが呚囲から切り離された䞖界にいるような錯芚に陥る。 元就は少しの間そうしおいたあず、腕を䞋ろし、溜息を぀きながら目を開けた。 元就も孊校は春䌑みに入っおいる。郚掻に行ったり、時々以前手䌝ったずころにバむトに出かけたりする他は、䞉成や幞村ず䜐助のバむトする喫茶店に行ったりするぐらいで、特にやるこずもない。そうは蚀っおも孊生だから、日々勉匷はしないずいけないのだが。圓然、実家に垰るずいう遞択肢は、ない。 そのせいか、ふずした時に考えるのは元芪のこずばかりだった。 最初は、ただの物奜きなダツだず思っおいた。 でも今は少し違う。 ただどう違うのかは、自分でもよく、わからなかった。 螏み蟌たないでくれず蚀ったのは、元芪を身内のゎタゎタに巻き蟌みたくなかったからだ。それに近い将来、元芪にも盞応の盞手ができ元就のこずを煩わしく思う日がくるだろう。自分がいらない人間だず蚀われるのはもうたくさんだった。 しかしそんな元就の気持ちずは裏腹に、元芪が元就ず距離を眮こうずする様子は党くなく、むしろあの蚀葉は逆効果だったずすら思えるぐらいだ。「そんな蟛そうな顔されお、はいそうですかっおわけにはいかねぇよな」ずこれたで以䞊に元就のこずを気にかけるようになった。 元芪の行動はずおも玠盎だ。 元就に察する気遣いも、本圓に元就を心配しおくれおのこずなのだろう。でもその真っ盎ぐさが時に知らず知らずのうちに人を傷぀けおしたうこずがあるこずに、きっず元芪は気付いおいない。 元就にはそれがひどく切ない。自分ず元芪の優しさがかみ合っおいない、この珟実が。 頬をくすぐる冷たくも穏やかな颚は春の蚪れを感じさせる。ふず膚らんだ桜の蕟が目に入った。どうしたっお春はやっおくる。埅っおいおも、埅っおいなくおも、春はやっおくる。そうやっお移ろう季節のように、人も物事も倉化し続ける。倉わらぬものなどどこにあるずいうのか。そしお元芪は、自分がいなくなった埌、䜕を感じるのだろうか。 元就は空に向かっお手を䌞ばしおみた。䜕も぀かめないこずはわかっおいおも手を䌞ばしおみたかった。そこに答えがあっお欲しいず思ったからだ。しかし頭䞊には、心を芋透かされそうなほどの雲ひず぀ない真っ青な空が広がるだけだった。 (銬鹿銬鹿しい・・・) そう思いそろそろ垰ろうず立ち䞊がったずき、聞き慣れた声に名前を呌ばれ振り返った。するず真ん䞭に分けた少し長めの黒髪で、額にバンダナを巻いた男が立っおいた。男は元就を芋お満面の笑みを浮かべる。 「元就」 「な、なぜ貎様がここにいる・・・」 予想倖の人物に驚いた元就は埌ろに、歩埌ずさった。しかしそんな元就に構わず男はどんどん距離を詰めおくるやいなや元就を抱きしめた。 「䌚いたかったぜ」 そしおそう蚀うず元就を抱きしめる腕に䞀局力をこめた。 男は元就の幌銎染の、尌子晎久だった。 [newpage] 今日は仏滅か、ず䞀瞬思った。 元芪は、たるで自分の家のように我が物顔で居座る男二人の顔を亀互に芋た。ただでさえ、埌茩に無理に連れお行かれた合コンのせいで気が滅入っおいた。いや、正確に蚀うず合コンが悪かったわけではない。埌茩の遞んだ店の雰囲気は良かったし、飲み䌚は単玔に楜しかった。気が滅入る原因は別、他でもない自分自身にあった。 元就を圌らの䞭に残すのは些か心配ではあったが、ずりあえず着替えようず元芪は自宀ぞず䞀床匕っ蟌んだ。 埌ろ手で扉を閉め、ネクタむを緩めながら溜息を぀く。そしお鏡に映る自分の顔を芋぀めた。 (やっぱりどうかしおる・・・) 自分が元就のこずを奜きだなんおそんなこずあるはずがない。それどころかあっおはならない、ず思う。もし元就に䜕かしおしたったら元就のご䞡芪に面目が立たないだけでなく、自分を信甚しおくれた孫垂にも合わせる顔がない䞊に、圌女の友人関係にもひびを入れかねない。 だいたい元就はただ子䟛だ。倧人であろうず振舞っおいるようだがやはりただ幌さを感じる。それに身䜓だっお・・・ず思ったずころで頭に浮かんだもやもやを振り払うように顔をぶんぶんず振った。 合コンに行くのは最初は断っおいた。元就は春䌑み䞭だしこの前の䞀件があるから極力偎にいおやりたい、そう思っおいたからだ。しかし埌茩から「䞇幎リア充のアニキには俺らの気持ちはわからないんですよ」ず泣き぀かれおしたい䜕も蚀えなくなっおしたった。 乗り気ではなかったものの、埌茩の遞んだ店の雰囲気は良く、食べ物も矎味しかった。元芪は今床元就も連れおきおやろうず思った。酒が呑めなくおも充分楜しめそうだったし、䜕よりデザヌトも充実しおいる。そんな颚に無意識のうちに元就こずを考えおしたっおいた自分をくすぐったく感じ぀぀も、悪い気はしなかった。 しかしその埌元芪を䞀気に突き萜ずしたのは向かいに座っおいた女の子の䜕げない䞀蚀だった。 流れからなんずなく恋愛の話題になっおいたのだが、元芪は元就のこずを考えおいおあたり䌚話に集䞭しおいなかった。それなのに、そのフレヌズだけがやけにはっきりず耳に届いたのだ。 「キスしたいな・・・っお思ったら、もうその人のこず奜きなのよ」 随分ず間の抜けた顔をしおしたっおいたのだろう。 呆けおいる元芪を芋お少し慌おたように女の子が付け加えた。 「あ、男の人はどうかわからないですよ。でも、女性はそういう人、倚いず思いたす。極端な話、゚ッチはできおもキスは嫌っおこず・・・よくあるず思いたすよ」 そう語る圌女の暪に䞊んでいた女の子たちもうんうんず肯定するように頷いおいた。確かにプロのお姉さんでもそういう人は倚いず聞く。肌は合わせおも唇は重ねない、ず・・・ 元芪の脳裏に先日の自分の行動がフラッシュバックした。そう、あの時確かに自分は思ったのだ。 ―――キスしたい、ず。 (いやいやないだろ・・・) 元芪は頭を抱えた。あの時どういう぀もりであんな颚に思ったのか、わかるようでわからない。ただ、元就が攟っおはおけない存圚であるのは確かだ。もう単なる同居人ではない。だけどそれが恋愛感情なのか、よくわからない。 いやよくわかならないじゃない、くどいようだがあっおはならないのだ。そうだ倧人になれ元芪、ず自分に蚀い聞かせる。そしお萜ち着こうず深呌吞をするため深く吞い蟌んだ息は、急に『人を奜きになるのは理屈じゃないよ』ずいう慶次の蚀葉を思い出したこずで、吐き出す頃には深い溜息ぞず倉わっおいた。 しかし考えたずころでどうずいうこずではない。それよりも今は目の前の問題ず向き合おうず、元芪は蚪問者二人の顔を思い浮かべるず郚屋を出た。 䞀人目の来客は想定内だった。 倖に黒塗りのベンツが止たっおいたからだ。運転垭には小十郎が仏頂面で座っおいた。奔攟な䞻を持぀ず倧倉だなず思い぀぀も、目は合わせないようマンションぞず入った。 それにしおも最近やたらず姿を芋せるがこい぀は暇なんだろうか。 政宗のこずは友人ずしお奜きではあるが、元芪ずしおはご近所にあらぬ噂を立おられるこずの方が厄介だ。今䜕かあっおここに䜏めなくなるのは非垞に困る。 いや、そんなこずよりどうしおこい぀は自分の家のようにく぀ろいでいるのか。そんな元芪の䞍歓迎モヌドの空気を察しおいるのにも関わらず、政宗は䜕凊吹く颚だ。 「そんな顔すんなっお。せっかくゎヌゞャスなお土産持っおきたのによ」 ず、おそらく幎代ものであろうワむンのボトルを掲げる。ずにかく䜕故かご機嫌だ。酒は嫌いではない。しかし高知育ちの元芪は、どちらかず蚀うず掋酒より日本酒の方が奜きだ。 いやいや違うそうじゃない今問題なのは・・・ず、元芪はもうひずりの蚪問者に目を向けた。元就の幌銎染で尌子晎久ず名乗った男は、䜕故か元芪に察しお敵意剥き出しだった。こい぀は自分の䜕がそんなに気に入らないのだろうか。 元芪ずしおは先ほどからずっず元就にべったりなのが気に入らない。元就が『晎久』なんお名前で呌ぶのも気に入らない。自分のこずはただ『長曟我郚』なのに。 (・・・っおこれじゃあ嫉劬じゃねぇか) 元就ず晎久はを芋ながら䜕やら話をしおいた。話の内容が気になるずころだがこちらには背を向けおいるため、衚情すらもよくわからない。そんな悶々ずした気持ちが顔に出おいたのか、政宗が奜奇心に満ちた目を元芪に向けおきおいた。 「・・・なんだよ」 「いや、別に」 そう蚀いながらもニダニダず笑う政宗の衚情は䜕か蚀いたげだ。元芪は少しふおくされお政宗から目を逞らした。これではたるで子䟛だず、そんな自分がたすたす情けなく感じられた。 政宗はおもむろにチラリず前の二人に目をやり立ち䞊がるず、偎たできお元芪の肩に腕をかけた。 「そう䞍機嫌になるなっお。今日はちょっず蚀いたいこずがあっただけだからな」 「なんだよ」 しかし続きを促す元芪の声を無芖するかのように政宗は玄関ぞず向かっおいった。 「もう垰るぜ。俺も暇じゃねぇんだ」 「あ、おい」 元芪はわけのわからないたたその埌を远った。靎を履いた政宗は元芪に背を向けたたた話し始めた。 「俺はいろんなタむプの人間を芋おきおいる。だから断蚀できる」 そこたで蚀うず政宗は、銖をたわし顔だけ元芪の方ぞ向けおきた。その衚情には、もうからかうような空気は少しもない。 「あい぀の目。あの目は・・・死のうずしおいる人間の目だ」 「・・・・・・っ」 政宗の蚀葉に目を芋開く。蚀葉が出なかった。政宗は悪ノリをするタむプだが性質の悪い冗談を蚀う人間ではない。緊匵で心臓が早鐘を打぀のがわかった。ゎクリず息を飲む。そしおやっずのこずで搟り出した声は掠れおいた。 「どういう・・・意味だよ・・・」 「そのたんたの意味だ。いいか、元芪。物事に偶然の入る䜙地なんかねぇよ。倧事な子猫ちゃん・・・せいぜいしっかり芋匵っおおくんだな」 政宗はそう蚀うず優雅な動䜜で倖ぞず出お行った。政宗の蚀葉が頭の䞭をぐるぐるず駆け巡る。 「意味わかんねぇよ」 元芪はドアに向かっお吐き捚おるように呟いた。 [newpage] ふぅ、ず䞀息぀きながら湯船に身䜓を沈める。元就はそのたたゆっくりず、背を颚呂の端に預け目を閉じた。 突然だったので驚いたものの、晎久の蚪問は嫌ではなかった。友達らしい友達がいなかったあの頃、自分ず本気で向き合っおくれたのが晎久だった。匕っ越しおからもずっず、晎久は元就のこずを気にかけおくれおいた。 そういう意味では、唯䞀の友達だったのかもしれない。だから、きちんず話もせずに逃げるように地元を出おきおしたったこずにずっず埌ろめたさを感じおいた。 ただ、晎久を芋おいるず蟛いこずたで思い出しおしたう。それが嫌だった。ずおも皮肉なこずだず思う。圌がいなければ、元就にはずっくにあの堎所にいる意味など無くなっおいたずいうのに。 瞌の裏に、必死に問いかけおきた晎久が思い浮かぶ。 『おい、元就。東京行くっおほんずかよ』 あの日真剣な目で自分を芋぀める晎久に、ちゃんず䌝えたいこずがあったのに蚀葉が出なかった。 ・・・今なら蚀えるだろうか。 それにしおも、ず思う。元芪に察しおは今にも噛み付きそうな勢いだった。そうなっおしたうのも無理はないずは思い぀぀も、二人だけにしお倧䞈倫だっただろうかずいう䞍安がよぎる。しかし䌌おいるずころもあるので存倖わかりあえるかもしれない、ずも思えた。もちろん、簡単な話ではないだろうが。 晎久からは、遠たわしに広島に垰っおきたらどうだず蚀われた。元就はそれにうたく答えるこずはできなかった。なぜならもう地元には戻らない぀もりで東京ぞ出おきたのだ。 しかし、元芪ずいるず、居心地の良さに色々ず決心が鈍るのも事実だった。もう自分には遞択肢などないず思っおいた。そしお母を亡くすず同時に倱ったず思っおいた自分の居堎所。人は新たに、居堎所を䜜るこずなどできるものなのだろうか。 重い空気が挂う䞭、元芪は自分の家にも関わらずこの䞊ない居心地の悪さを感じおいた。 今、元就は颚呂に入っおいる。政宗が垰っおしたっおいるから、晎久ず二人っきりだ。なんずなく䞊んで䞀緒にを芋おいるが、どうにもこうにも気たずい。 ただでさえ先ほどの政宗の蚀葉が頭をぐるぐるしおいお萜ち着かないのだ。しかし付き合いの長い(らしい)晎久に確かめおみようにも、ずおも気軜に話しかけられるような雰囲気ではない。 きっず自分の知らない元就を晎久は知っおいるはずだった。だがどう聞いおいいかもわからずチラチラ隣を䌺うも、晎久は䞍機嫌な衚情のたただ。 結局䜕も蚀えず黙っおいたら、晎久がおもむろに口を開いた。元芪に察する攻撃的な県差しは少しも倉わらないたたに。 「お前・・・元就に倉なこずしおねぇだろうな」 「はっ」 心圓たりがありすぎお䞀瞬びくりずなった。しかし党お未遂なのだ。元芪は動揺を悟られないよう平静を装う。そんな元芪を晎久は真剣な衚情で芋おきた。元芪の動揺には気付かなかったようで、晎久は淡々ず蚀葉を続ける。 「実は少し安心したんだ。あい぀が他人ず打ち解けお話しをしおいるのを初めお芋たからさ」 「え、でも孊校じゃ友達だっおいるし・・・」 元芪は䞉成や幞村の顔を思い浮かべた。確かに亀友関係は広いようには芋えないが、元芪には圌らにはある皋床気は蚱しおいるように感じられた。 「そうなんだ。たぁ衚面䞊じゃなければいいけど・・・」 晎久はそう蚀いながら少し俯いた。心なしか、少し寂しげな衚情だった。 やや長めの睫毛がうっすらず顔に圱を぀くる。こうしおみるず、なかなかいい男なのだなずどうでもいいこずを思っおしたった。 「元就っおさ、無愛想だろ。昔はもっずよく笑ったのにな」 「そうなのか」 少し意倖に思っお聞き返すず晎久は少し怪蚝な衚情になり蚀い返しおきた。 「なんだよその顔。あい぀だっお笑うさ、人間だもん」 たぁそうは蚀っおも俺は特別だったけどな、ず埗意気に錻で笑った。しかしすぐ、けど・・・ず今床は逆に暗い衚情になり蚀葉を続けた。 「おふくろさんが入院しお、おやじさんず暮らし始めた頃かな。なんかあの頃から雰囲気が倉わった気がする」 「えっ、ちょっず埅お、元就の実の母芪っお・・・」 「なんだよ知らなかったのかよ。亡くなっおるよ。もう幎は経ったかな・・・」 勝ち誇ったような笑みを浮かべる晎久に察しお蚀い知れぬ敗北感が元芪を包む。そんな元芪の空気を敏感に察したのか、晎久はそのたた埗意げに胞をそらした。なんだかずおも悔しかったが、以前から気になっおいるこずを聞くなら今しかないず元芪は思い切っお聞いおみた。 「なぁ、お前は元就が䞊京した理由っお知っおるのか」 「理由䜕でお前に蚀わなきゃいけないんだよ」 「うっ・・・」 予想はしおいたもののあっさりず問いを退けられ、出錻くじかれた気分になる。しかし今は時間ずいう越えられない壁を受け入れるしかない。元芪は晎久の蚀葉の続きをチリチリずした焊燥感を胞に感じながら埅った。 「っ぀ヌか俺も詳しくは知らねぇんだよ。元就・・・肝心なこずはい぀も話しおくれないからさ。心圓たりはあるけどよ・・・おやじさんず暮らし始めおからなんかあったんだよ、絶察」 「䜕かっお䜕だよ」 「それがわかれば苊劎しねぇよ。元就、おやじさんず暮らすために匕越しちゃったからさ。それたでみたく䌚えなくなったんだ。」 そう蚀っお手を口元たで持っおきた晎久の顔は、今床は悔しそうに歪む。先ほどから晎久はたるで自分のこずのように぀らそうにしおいる。 元芪はそうかこい぀も元就が奜きなのか・・・ず思い、『も』っお䜕だよ『も』っおず、䞀瞬思ったが今は深く考えないこずにした。 「家、遠くなっちたったのか」 「いや・・・電車で駅離れた隣の垂・・・」 「はぁ」 「うるせぇ田舎の小孊生には電車で駅も遠距離なんだよっ」 顔を幟分か赀らめお怒る晎久に自分の小さい頃を思い浮かべ、確かに小孊生・・・特に䜎孊幎の頃は電車やバスにひずりで乗るのはちょっずした冒険気分だったなず振り返る。なんだか急に隣にいる男が身近に感じられた。 「高校ぐらいからたた長く䞀緒にいられるようになったけど、やっぱり以前ず倉わっおた。それたでちょくちょく連絡は取っおたんだけどさ・・・たぁなんおいうかよ。玄幎のむンタヌバルが二人の間を倉えたんだよ」 「・・・・・・」 その蚀葉に黙り蟌む元芪を尻目に、晎久は自分の蚀葉に玍埗したのか満足げに頷く。しかし元芪のやや呆れたような芖線に気付くず䜕かを思い出したように詰め寄っおきた。 「だ、だいたいよ、男子校なんか行ったのが間違いなんだよお前も元就に劙なマネしやがったらただじゃおかねぇからな」 「す、するわけねぇだろ」 話しおいおヒヌトアップしおきたのか晎久は、思わず䞊䜓を反らした元芪の胞倉を掎み䞊げるずさらに声を荒げお続けた。その顔には怒りずいうよりは悲しさが滲み出おいるこずに、元芪は戞惑いを感じずにはいられなかった。 「それに俺はなぁあい぀が泣くずこをもうこれ以䞊芋たくねぇんだよ」 「はぁお前䜕蚀っお・・・」 するず背埌から二人の䌚話を遮るように冷ややかな元就の声が聞こえおきた。 「アホか貎様。䜕を蚀っおいる」 「あ、元就・・・な、なんでもねぇよ。えっず・・・颚呂借りるぜ」 話を聞かれたのが照れくさかったのか、晎久は少し気たずそうに元就から顔をそむけるず、そそくさず颚呂堎ぞず向かっおいった。そしお晎久ず入れ替わるように元就が、ちょこんず膝を抱えお元芪の隣に座っおきた。 「お前、ちゃんず頭拭け。颚邪ひくぞ」 そう蚀いながら肩にかかっおいたタオルで元就の頭をがしがしず拭いおやる。い぀もなら子ども扱いするなず振り払うのに今日は別人のようにおずなしい。䜕か蚀いたいこずがあるのかもしれないず思い、タオルを肩にかけおやり手櫛でそっず髪を敎えおやった。 なんずなくそのたた頭を撫で続けおいるず、元就が静かに口を開いた。 「晎久からいろいろ聞いたのだろう」 元就がゆっくりずこちらを向く。元就を真っ盎ぐ芋るこずできず、元芪は少し芖線をはずすず頬を掻いた。 「あぁ・・・たぁ、いろいろっ぀ヌか・・・」 「あのお喋りめ。いっそ口に拡声噚でも぀けるがいい」 そう蚀うず元就は軜く溜息を぀いた。しかし蚀葉ずは裏腹に別に怒っおいる様子はなく、むしろその悪態には奜意的な感情が感じられた。 元芪は先ほどの晎久の蚀葉を思い出し、わざず擊り寄るように元就ずの距離を詰めた。膝を抱えたたたの元就の身䜓がほんの少し身じろいだのがわかった。 「なぁお前さぁ・・・俺のこずこわくなかったのか」 「貎様のこずは・・・こわくない」 元芪が顔を芗き蟌むようにきくず元就は眉をひそめながら答えた。芖線は床に向けたたただ。 「こわいのは・・・我のこずをいらないずいう人間だ。いらない、ず・・・」 「いらないっお・・・俺、お前のこず邪魔なんお思ったこずねぇし」 「違うだから貎様ではない父だ」 「どういうこずだよ、それ。お前がこっちに出おきたこずず関係あるのか」 少し匷い口調で蚀い返しおきた元就の顔は今にも泣き出しそうなぐらい歪んでいた。そしお元芪の問いかけには答えようずせず、䜕かをこらえるようにきゅっず口を結ぶず、顔を膝にうずめ黙り蟌んでしたった。ただでさえ小柄な元就の身䜓がい぀もより小さく芋えお、元芪は胞が締め぀けられる思いがした。 「あ、いや・・・話したくないんなら別に無理には・・・」 䞍意にテレビからの隒々しい笑い声が耳に぀いた。ちょうどバラ゚ティ番組をやっおいたようで、叞䌚者のおどけた声がひどく堎違いに響き枡る。元芪はその音が耳障りだず思いリモコンを手にするずテレビを消した。 じっずりずした静寂が郚屋を包み蟌む。やがお少し顔を䞊げた元就がポツポツず話し始めた。 「我の家・・・毛利の家は、代々続く開業医でな。地元ではちょっずしたものだ。父も埌を継ぐべく医倧に進んでいた。そこで父ず母は出逢ったのだが・・・」 そこたで話しおふず元就が蚀葉に詰たる。元芪はどうかしたのかず続きを促すように元就の顔を芗き蟌んだ。 「䜕かあったのか」 「・・・圚孊䞭に、母が劊嚠しおしたったのだ」 「あっ・・・」 「その時父ず母の間に䜕があったのかはよくわからない。ずにかく母は未婚のたた20歳で我を産み育おた。おそらく家族からは反察されおいたのだろう。我が物心぀いた時にはすでに母芪ず二人っきりの生掻だった。しかし女手ひず぀で子䟛を育おるのは容易ではない。長幎の無理がたたっお病気で倒れた頃、医者になり埌を継いだ父が珟れた」 「・・・・・・」 『元就・・・お父さんよ。母さん、話したこずあるわよね。あなたの本圓のお父さんよ。仲良くできるわよね』 元芪は元就の話をそのたた黙っお聞いおいた。 「そしお我が10歳の頃母芪が死に、その幎半埌に父は今の母芪ず結婚。二人の間には男の子ができた。新しい母は、我も匟も分け隔おなく接しようずしおくれおいるがやはりどこかぎこちなくおな。我ももずもず芪を頌る方ではなかったから、たすたす家族ずは疎遠になっおいった。」 初めお聞く元就の家庭の話は元芪の想像しおいたよりも重く、どう声をかけおいいのかわからなかった。さらに長曟我郚、ず顔を䞊げた元就の顔は今たでに芋たこずがないほど悲しげで、元芪は抱きしめたくなる衝動を必死に堪えた。 「我はどうしおもわからぬだ。䜕故父は・・・もっず早く母を迎えにきおくれなかったのだろうか。もっず・・・もっず早ければ母は・・・だが父は䜕も話しおはくれない・・・」 そこたで蚀い終わるず元就は再び膝に顔をうずめる。元芪は声をかける代わりに、そっずその肩を抱いおやった。そしおあやすように数回、元就の頭をポンポン、ずした。 おそらくすぐには䌚いに行けない事情があったのだろう。きっず元就もある皋床倧人になり、どこかでそれを理解し始めおいる。だから苊しんでいるのだろう。 しかしそれがどうしお元就がいらないずいうこずになるのか今の話からはたったくわからない。蟛いのかもしれないがもうこの際だしず思い、元芪はストレヌトに聞いおみた。 「なぁ、でもなんでそれがお前がいらないっおこずになるんだよ」 元就は少し顔を䞊げ軜くほほ笑むず、その理由を話し始めた。 「母は、我が頑匵れば耒めおくれたし、悪いこずをした時は厳しく叱っおくれた。我も母が喜んでくれるのが嬉しかったから、勉匷も運動も頑匵った。だから母が生きおいる頃はそこに自分の居堎所があるず思えた。だが母がいなくなっおからは・・・」 元就の眉間に再び皺が寄った。 「我はあの家にいるず自分の居堎所がわからなくなる。父はお金や物さえ䞎えおいればいいず思っおいるのだ。それに父が倧事なのは匟の茝元であっお我ではない」 それから元就は自分の家であったこずを端的に話しおきた。 『あなた、少しは元就のこずも・・・』 『いいんだ、あい぀は攟っおおいおも。勝手に育぀さ。今は、茝元の方が倧切だ』 『父さん、芋おくれ。たた䞀番を取ったぞ』 『元就・・・別にもう無理をする必芁はないんだぞ』 父芪ず今の母芪が話しおいるずころや、自分に察する態床・・・ 「父は、我のこずを耒めもしなければ叱りもしなかったのだぞ」 「あヌいや、でもそれはたぶん、お前がいらないずかじゃなくお、なん぀ヌか・・・」 うたく蚀葉が玡げなくもどかしかった。元就の父芪の肩を持぀わけではないが、本圓に元就がいらなくおそんな態床をずっおいるようには思えないのだ。 しかしそれを䞊手く蚀葉にできない。蚀葉に詰たっおいるず元就は再び俯いた。 「それで少し荒れた時期があっお、たすたす盞手にされなくなっお・・・どんどん居堎所がなくなっお・・・」 元就が膝を抱く腕にぎゅっず力をこめたのがわかった。元芪は肩にたわした腕を、元就を元気付けるように軜く揺らした。 「元就・・・」 名前を呌ぶず元就がゆっくりず元芪の顔を芋䞊げおきた。その瞳は涙で最んでおり、錓動が跳ね䞊がるのを感じた。元芪はその時初めお思っおいた以䞊に密着しおいたこずに気が付き、ゎクリず息を飲んだ。 「長曟我郚・・・」 そしお自分を呌ぶ声を聞いお、元芪の䞭で䜕かが切れた。 (あヌなんかもうどうにでもなれ・・・) 「も、元就・・・」 そう思っお元就の䞡肩を぀かみそのたた゜ファヌぞず倒そうずした瞬間、背埌からドタドタず隒々しい足音ず声が近づいおきた。 「だヌおめぇ元就にくっ぀くんじゃねぇよ」 い぀の間にか颚呂から䞊がっおきた晎久が人を匕き離すように間に割り蟌んでくる。元芪は元就ずの話に倢䞭になるあたり、晎久の存圚を完党に倱念しおいた。しかしもしあのたた晎久が来なかったら・・・ず思うず党く自制できおいない自分に愕然ずした。 呆然ずした頭で、元芪はふず晎久がバンダナを巻いたたたであるこずに気が付いた。元就も䞍思議に思ったらしく晎久の額を指で぀぀きながら聞いおいる。 「貎様、い぀たでこれ぀けおおるのだ」 「あ、あぁ・・・なんか最近気に入っおおよぉ。䌌合うだろ」 理由になっおいない、ず思った。元芪が付けおいる県垯ずは意味合いが違うはずだ。それずもそのバンダナの䞋には隠さないずいけないほどの傷跡でもあるずいうのだろうか。かずいっお突っ蟌んだずころでたたややこしい話になりそうなので気にしないこずにした。 元芪は晎久がこのたた春䌑み䞭居座られるこずを密かに懞念しおいたが、圌はどうやら明日には垰るようだった。 それを聞いおほんの少しだけ晎久に察しお寛容になれおしたう自分に呆れおしたう。どうも元就のこずになるず䜕故か䜙裕がなくなる。さっきのこずずいい、ほんずにどうかしおいる。 それにしおも、ず元就を芋ながら思う。ただ17なのに。元就はいろんな思いをしおきお、たったひずりで東京に出おきお・・・ 自分が元就ず同じぐらいの幎霢だった頃を思い出すず、胞の奥をきゅっず掎たれたような気恥ずかしさに苛たれる。 そしお元芪は元就の話ず政宗の蚀葉。それがどこで繋がるのかを必死に考えおいた。もしかしたら孫垂が最初に話しおいたこずずも関係があるのかもしれない。しかし、そこから導き出される答えがそうだずは思いたくなかった。それなのに嫌な予感だけが波王のように心に広がっおいく。 ただ、なんずなく元就の..フィヌルドの正䜓がわかったず同時に、本圓の意味でそれが匱くなった確かな手ごたえだけは感じおいた。 それでも圓分、もやもやは晎れそうにない。 [newpage] アナりンスず共に響く軜快なメロディず共に扉がプシュヌず閉たり、電車が走り去る。出口ぞず向かう人波の䞭、ホヌムに残った元芪ず元就。そしお、晎久の䞉人。 い぀たでも元就の䞡手をしっかりず離さない晎久に向かっお元芪が呆れ気味に蚀う。 「おい」 「なんだよ」 「お前䜕本電車芋送れば気が枈むんだよ」 「うるせぇ幌銎染の感動の再䌚だったんだぞ別れ難いに決たっおんじゃねぇか」 開き盎りずもずれる蚀葉に今床は元就が静かに呌びかける。 「晎久。これではい぀たでたっおも垰れぬではないか」 「うっ・・・だけどよ・・・」 ただ䜕か蚀いたげな晎久の蚀葉を包み蟌むような優しい声音で元就が語りかけた。 「案ずるでない。我のこずは倧䞈倫だ」 「元就・・・」 そうこうしおいるうちにアナりンスが響き、再び電車がホヌムぞず入っおくる。晎久は枋々電車ぞず乗り蟌むず、振り返り再び元就の手をずった。すぐに電車の発車を告げるベルが鳎り響き、そのたた二人の手は解けるように離れおいった。そしお穏やかな笑みを浮かべた元就が、ドアが閉たる瞬間に告げた。 「晎久。ありがずう」 「・・・」 慌おお出した手は閉たったドアに遮られ、バンっず手を぀く圢になっおしたった。晎久はそのたたの䜓勢で、窓からホヌムの䞊の二人を芋えなくなるたで芋おいた。 元就のこずが心配だった。 晎久が真っ先に思い浮かぶのが元就の母芪が亡くなった時のこずだった。元就は、亡くなった時はおろか、葬儀の間も凛ずしお涙ひず぀こがさなかった。その様子を芋おいた呚りの倧人たちは、口々に元就のこずを可愛げのない子䟛だず冷ややかな県差しをむけおいた。 晎久もあの時はそんな元就を芋おいお、少しぐらい泣いおやったっおいいのに、ず思った。元就が母芪のこずを倧奜きだったのは知っおいた。そしお母芪も、元就のこずを倧切にしおいた。だから泣かないのは可哀そうだず感じたのだ。しかし元就は、人目の぀かないずころで隠れお独りで泣いおいたのだ。声を殺すように、静かに。 元就はわかっおいたのだ。悲しいず泣くこずは簡単だ。でもその悲しみを受け止めおくれる人間は、元就の呚りに誰䞀人いなかったのだ。 ただあの時、元就はたった10歳だったずいうのに。 (あの時だっお・・・) ボロボロの姿で、雚の䞭愛犬を胞に悲痛な衚情を浮かべる元就の姿を思い出す。 頬を流れおいたのは雚だったのか涙だったのか。 「ちっくしょう」 晎久は小声で呟くず、䞋唇を噛んだ。なぜ自分はただ子䟛でこんなにも無力なのか。 (元就・・・お前はい぀たでひずりで泣く぀もりなんだ) 晎久は憀りにも䌌たやり堎のない想いを抱えながら、流れる景色をじっず眺め続けた。 元芪が走り去る電車を芋送りながら溜息混じりに呟いた。 「たったくしょうがねぇダツだな」 「たぁそう蚀うでない」 元就はしかたないではないかず元芪の隣に立ち、電車が走り去った方向を芋぀めた。するず元芪がじっずこちらを芋おいるのに気が付いた。 「なんぞ。ゞロゞロず芋おっお」 「あ、いや・・・昚日は・・・いろいろ話しおくれお、ありがずな」 そう蚀うず元芪は元就の方ぞ向き盎り、軜く埮笑んだ。 たったくなんお顔をしおいるのだ、ず思った。どうしおそんな切なげな目で自分を芋おくるのだ、ず。元就は胞の奥がじわじわず締め぀けられるような気分に䜕故か泣きそうになった。 そしおどう返事をしおいいかわからず黙っお元芪を芋䞊げおいたら、元芪が躊躇いがちに口を開いた。 「あのよぉ・・・お前がいたいなら、い぀たでだっお・・・ずっず、俺ん家いおいいんだからな」 その蒌い隻県が真っ盎ぐに元就の瞳を捉える。『ずっず』ずいう蚀葉はおそらく元芪の嘘停りのない本心なのだろう。でもそれはきっず今はそう思っおいるだけのこずだ。 元就は玠盎に銖を瞊に振るこずができず、元芪の芖線から逃げるようにふいっず目を逞らした。 そんな元就を怪蚝に思ったのか、元芪は元就の肩に手を眮くず、目線の高さを合わせるように元就の顔を芗き蟌む。 「元就・・・」 心配そうに自分を呌ぶ声の䞻に、ゆっくりず目を合わせる。 「我は・・・貎様を身内のゎタゎタに巻き蟌みたくなかった」 元就はかろうじおそれだけ䌝えるず、肩に眮かれた手に自分の手を添え俯いた。 それが粟䞀杯だった。 それ以䞊は䜕も蚀えなかった。蚀えるはずがなかった。 こんな想いをするくらいなら、東京になど来なければ良かった――――
『君の守るは自分の圹目だず思っおいた』―――●満を持しお尌子氏の登堎でございたす。でもすぐ退堎したすけどね(∀)●少女マンガで蚀うずころの䞻人公のラむバル(振られおしたう矎人の女の子ポゞション)なんですが、私なりに尌子氏をかっこよく曞こうずした結果がコレです(∀)●もう月も終わろうずしおいるのに月䞋旬のお話ずかですけどたぁそういうこずもあるよねっおこずで(∀)●しかも近いうちにアップできるずか蚀っおだいぶ過ぎおる気がしたすがたぁそういうこずもるよねっおこずで(∀)●前䜜はコチラ⇒【<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=913351">novel/913351</a></strong>】い぀も閲芧・評䟡・ブクマ本圓にありがずうございたす●季節ネタが続いたせいで本筋の停滞感は吊めたせんが、そろそろ動き出しおるような気がしたす(ぇっ)●衚玙の玠材はコチラよりお借りしたした⇒&quot;<a href="/jump.php?http%3A%2F%2Fwww.webcitron.com%2F%22" target="_blank">http://www.webcitron.com/&quot;</a>●(5/3远蚘)い぀もながらたくさんの閲芧・評䟡・ブクマありがずうございたす♪もう少し続きたすが、お付き合いしおくださるず嬉しいです。●次⇒【<strong><a href="https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1078770">novel/1078770</a></strong>】
My Sweet Home【⑀揺れ動く心、それぞれの想い】
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   土曜日の昌前に、倧通りで乗甚車に撥ねられた。  スロヌモヌションみたいにゆっくりず近づいおくる車、動かない身䜓、これが走銬燈ずかいうや぀か、ず思いながら、僕の頭は櫂くんのこずを思い浮かべおいた。四幎前みたいな笑顔、もう䞀床芋たかったなあ。最近では随分ず雰囲気が柔らかくなったけれど、やっぱり芋぀めおいるのは僕ばかりで、櫂くんは目が合えばすぐに逞らしおしたう。僕が櫂くんを芋぀めすぎおいるこずを、櫂くんは気付いおいるのかもしれない。目の合う回数が倚くなるに぀れ、僕は少しだけ怖くなっおいたのだ。偲ぶ想いの露芋を望んで、櫂くんを芋぀め続けおいるわけではなかったから。  次に目が芚めたずきには䞀面真っ癜な郚屋で、調床品も癜で統䞀されおいる。趣味の悪い郚屋だな、なんお思ったけれど、身䜓に走った痛みで理解した。ここは病院だ。県球を動かせば、厳重にギプスで固定された自分の足ず、秋の颚に髪を揺らされる櫂くんの姿が目に入った。  櫂くんは僕にデッキを手枡しおくれお、ちゃんず揃っおいるか、䞀緒に䞀枚䞀枚確認しおくれた。カヌドはどれも血痕や砂だらけで、スリヌブにも擊り傷が入っおいる。けれど䞀枚だけ、僕が特別倧事にしおいるブラスタヌ・ブレヌドだけは、砂も血痕も付いおいない綺麗な姿のたただった。カヌドを広げる前に櫂くんが寝台に敷いおくれた圌のハンカチが、血で汚れおいるのを芋぀けお、圌が拭い取っおくれたのか、ず䞍謹慎にも嬉しくなる。ブラスタヌ・ブレヌドが特別なのは、レアカヌドだからずかデッキの䞻軞だからずか、そんな理由からだけでは無いのだ。櫂くんが、くれたから。密かに恋しく思う圌が傍に居るず感じるだけで、心臓が耳元に圚るみたいにどきどきず音を立おお煩かった。  それからの時間はあっず蚀う間で、僕は芚悟を決めなければならないこずを宣告された。呆然ずしおいるず、ずっくに䞉和さんず䞀緒に垰ったず思っおいた櫂くんが、僕の郚屋をもう䞀床蚪ねおくれお、぀い感極たっおしたった。その身䜓に抱き぀けないこずが、残念でならなかった。今なら、きっず蚱される。抱き぀いおも、優しい圌はきっず抱き返しおくれる。䞍安なのだろうず慰めおくれるかもしれない。けれど愚鈍な僕の身䜓は、頑ずしお動かなかった。  䜕か欲しいもの、ず聞かれお、浮かんだのは圌の敎った顔だった。じっず芋぀めお、有り埗ない、ず内心銖を振る。  健気なふりをしお、ずるい頌み事をしおしたいそうになった。本圓は、ファむトよりも、しおほしいこずがあった。けれど痛たしげな櫂くんの瞳を裏切るこずができなくお、結局、䜕も倉わらない関係のたた二人きりの時間を過ごした。ファむトが出来お嬉しいずいう蚀葉に嘘は無かったけれど、櫂くんの腕が離れおいくのが切なくお、匕き留めたくお、僕は初めおその腕に觊れた。癜い肌に浮かんだ血管すら矎しくお、ずっず觊れおいたいくらいなのに、力の籠もらない自分の腕が恚めしかった。  僕の願望が透けお芋えおいたのだろうか、櫂くんが頬を撫でおくれた。慈しむみたいな優しい優しい接觊が、午埌の翳りかけた陜射しの䞭で、僕の胞を灌いた。  恋しくお恋しくお、泣いおしたいたかったのに、䜕故か僕の顔は、埮笑んでいた。 *** [newpage]  その埌の手術は成功しお、その倜には足の指が少しだけ動いた。それを芋た゚ミがたた泣いお、アむチは珍しく、兄らしい態床で゚ミを宥めた。い぀もず逆だね、だなんおからかえば、゚ミは怒っお拗ねおしたった。本圓に心配をかけおいたのだろう、玠盎でない効が可愛くお仕方がなかった。  ゚ミはカヌドキャピタルの面々ず連絡を頻繁に亀わしおいるらしい。い぀の間に連絡先を亀換したのだろう、ずいうアむチの疑問には、私立の孊校に通う゚ミの私物の携垯が答えおくれた。䞉和やミサキの連絡先の入ったその携垯は、個宀であるし、ただ若いから、ずいう謎の理由により、看護垫からこっそりず䜿甚蚱可が䞋りおいた。暇぀ぶし代わりの぀もりなのだろう、時々゚ミが、アむチずの共通の知人のメヌルを芋せおくれる。随分ず前から亀わされおいたメヌルの数々に、アむチは我が効ながら、そのコミュニケヌション胜力の高さに恐れ入っおしたった。そういえば、チヌム䞋剋䞊だなんお茶番もあったな、ず、゚ミず䞉和の劙な仲の良さにも玍埗がいった。 「おヌう、元気しおるかヌ」 「䞉和さん」 「暫く来られなくお悪かったな、あんたり遅い時間になっおも悪いず思っおさ。あ、これお芋舞い」  二床目の手術の数日埌、䞉和が普段通りの陜気な衚情で病宀をふらりず蚪れた。手に提げた玙袋をずいずアむチに抌し付けお、䞉和は手慣れたように傍の怅子に腰掛ける。玙袋の䞭身を持れば、れリヌだずか果物だずかが沢山詰たっおいお、䞀面癜の郚屋に色を䞎えおくれた。ふわりず銙る匂いは、葡萄のものだろうか、梚のものだろうか。挂っおきた良い銙りに、口元が綻ぶ。 「こんなにたくさん ありがずうございたす」 「いやいや、そこらのスヌパヌのだし、気にすんなヌ。おいうかさ、こういうお芋舞いっぜいの買うの、倢だったんだよねヌ」  からからず明るく笑う䞉和は、カヌドキャピタルで芋るずきず同じ顔をしおいる。玙袋に収められおいたれリヌが、癟貚店などで買い求められる䞭々良い倀段のするものだずアむチは知っおはいたが、厚意に甘えお知らないふりをするこずにした。日持ちはしないが、銙りの良い生の果物の入った柔らかなれリヌは、アむチも奜んで食べるものだ。内臓の病気でもないので、きっず今日か明日にでもアむチの胃袋に収たっおしたうのだろう。食の现くなっおいるアむチには、䞉和の気遣いが有り難かった。  アむチの衚情が緩んでいるのを確かめお、䞉和が目を现める。䜕事か口を開きかけお、だがそれはすぐに噀たれた。誀魔化すように倩真爛挫な笑顔を䜜っお、䞉和が鞄を持ち盎した。 「じゃ、俺もう垰るからさ。それ枡しに来ただけだし」 「え、もうですか」 「たた週末にでもゆっくり来るからさ。お前もゆっくり治せよヌ」  立ち䞊がる䞉和を匕き留めるこずはしない。快掻で、肝心なずころで嘘の぀けない性栌の䞉和に、これ以䞊無理をさせるのも気が匕けた。䞉和は笑っおいるのに、その明るさがどこか物悲しくお、アむチはなんずなく申し蚳無くなっおしたった。 *** [newpage]  足が安定したら、リハビリを始めたしょう。䞻治医からそう告げられ、アむチは無意識に、固定された自身の足を眺めた。手術前ずは段違いに鈍痛を発する足は、痛み止めが無ければ眠るのすら苊痛だった。幞い足以倖に重傷だった箇所は無く、目䞋の心配は歩行だけ、ず蚀われおいたのだ。ただ確実には蚀えないが、リハビリ次第では歩けるようになるらしい。  ただ若いから、時間はいっぱいあるわ。ゆっくりず頑匵りたしょう。看護垫からもそう蚀われお、アむチは途方もない気持ちになった。だっお、自分の足なのに、動かすずころを想像するこずすら出来ないのだ。関節が固たっおしたったかのように、動かし方が分からない。寝たきりでは身䜓に悪いから、ずリクラむニングで無理矢理に䞊半身を起こされれば、血の溜たっおいく感芚に足が悲鳎を䞊げる。朝晩看護垫に足の䜍眮を動かされれば、涙がにじみそうになる。かろうじお指先を震わせれば、それだけで足党䜓を鋭い痛みが貫いた。  地面に足を付いたずしたら、どんな痛みが襲っおくるのだろう。そんな恐ろしさが胞を占めおいお、いっそこのたたでも構わない、だなんお匱音を吐きたくなっおしたった。  でも、匱音なんお、  䞀生車怅子かもしれないず母から告げられた時の、゚ミの気䞈な顔を思い出す。目元は真っ赀に泣き腫らしおいるのがバレバレなのに、普段ず倉わらない小生意気な顔で、䜕でも無いふりをしおいた。淡々ず話を進める母芪の声に耐えきれなくなったかのように、話の途䞭にも関わらずカヌテンの圱に隠れおしたっお、嗚咜を挏らしおいたこずを知っおいる。ただただ小孊生なのだな、ず他人事のように、健気な効が可愛らしく思えた。きっず、アむチの方が蟛いから、ずかそんな理由で、涙を芋せるこずを躊躇ったのだろう。これではどちらが兄なのかわからないではないか。  再手術が成功したず聞いおから、目にも明らかに元気になった効は、すっかり元のこたしゃくれた可愛げの無い少女に戻っおいる。だが、以前よりもアむチにべったりずしおいるように感じるのは、入院ずいう特殊な状況のせいでも、アむチの気のせいでも無いのだろう。  効も母芪も、䜕も蚀わないが、アむチが歩けるようになるこずを望んでいるのだ。アむチに「圓たり前」が戻るこずを、望んでいる。その期埅が重いずは蚀わないが、アむチには遠い䞖界の他人事のように感じられた。自分のこずながら無責任だな、ずは思うのだが、どうにも実感が湧かないのだ。アむチは本圓に事故に遭ったのだろうか。この怪我は、倢ではないだろうか。あるいは、歩けるようになる未来だなんお、実は存圚しないのではないだろうか。  自然ず消極的な方向ぞず向かう思考を打ち消すように、アむチは手元に自身のデッキケヌスを匕き寄せた。  圌は、い぀だっおアむチず共にある。い぀だっおそれだけが、プレッシャヌに抌し朰されそうなアむチの、唯䞀の寄る蟺ずなるのだ。 「櫂くん 」  足なんお芁らないず思っおしたうほどに、焊がれる人のこずを想った。もしも足が無ければ櫂に觊れられなくなるのだずしたら、きっず自分は、今頃。 *** [newpage]  盞も倉わらず寝台にべったりで、いい加枛癜ずくめの代わり映えの無い郚屋にうんざりしおいるアむチには、䞀日のうちで䞀床だけ、楜しみな時間がある。  昌間のうちに面䌚を枈たせる方針の家族が垰った埌、倕食の運び蟌たれる前のその時間。䞖界が暗闇に包たれる前の儚い䞀瞬、癜い病宀は秋の真っ赀な色に染め倉えられる。玫がかった雲ず、真っ赀な空ずが芖界をいっぱいに芆うその頃に、決たっお櫂はアむチの郚屋を蚪れおくれるのだ。玄束しおいるわけでも䜕でも無いが、それは毎日のように繰り返されおいお、アむチの心を慰めた。櫂は、わざず誰も居なくなった頃を芋蚈らっお来おいるのかもしれない。い぀だっお倕焌けの䞭では、二人きりだった。  あの日アむチが望んだずおりに、二人きりの郚屋で、毎日のようにノァンガヌドをした。以前ずは違い、もうアむチも自力で起き䞊がれるようになっおいたので、カヌドは自分で動かすようになっおいた。自力で、ずは蚀っおも、ベッドの角床を䞊げおもらっおいるだけなので、厳密に蚀えば自力ずは蚀い難いかもしれないが、芋䞊げるのではなく櫂の顔を眺めるこずができお、そのずきだけはアむチは足の痛みをすっかり忘れおしたうのだった。  胞を締め付けるような䞀面の赀に、櫂の癜い頬にも橙の圱が差す。翠の瞳ずの察比が矎しくお、芋ずれおしたうのが垞だった。時間が止たっおしたったかのように、ゆったりず流れる二人のひずずき。瞬きすらも惜しむアむチに、櫂はアむチの気も知らずに、劎るような芖線を返しおくれるのだ。このたた心臓が止たっおくれればいいのに。物隒な考えは、これが初めおでは無かった。  䞻に食事甚に䜿われおいる、ベッドの䞊を橋のように暪断する簡易テヌブルに、アむチのデッキずカヌドを眮く。櫂はサむドテヌブルにカヌドを䞊べお、互いのスペヌスが少し離れおはいるが、二人だけの即垭のファむトテヌブルでファむトをした。向かい合っおは居ないが、櫂ずファむトをしおいるずいう事実だけで、アむチはひどく緊匵する。震える手でカヌドを操り、疲劎感の残る喉で宣蚀し宣蚀され、を繰り返す。  ファむトの指瀺に関する蚀葉以倖は、なにも無い。䞀詊合が終わるず、櫂はアむチの頭をくしゃりず撫でお、倕食の準備で院内が隒がしくなる前に、黙っお去っおいくのだ。たるで倕焌けが倜の闇に奪われおいくかのように。  櫂の面䌚を看護垫だけは知っおいたが、他にはアむチの家族も、誰も知らない。密やかな短い時間は逢瀬のようで、倕食の時間が来るこずが惜しかった。今なら叀兞の授業で習った短歌ずやらの、詠み人らの気持ちがわかる気がする。圌らは朝が来るこずを怖れたが、アむチは倜が来るこずを怖れおいるのだ。別れの時が近づいおくるのを切なく思うアむチの気持ちを、櫂も感じおくれればいいのに。ファむトの宣蚀以倖に蚀葉の䞀぀もない櫂が、カヌドをレストするのをがんやりず眺める。  櫂は䜕も話しおはくれない。だが、アむチにはわかるのだ。櫂の指先から、芖線から、カヌドから、櫂の感情が痛いくらいに䌝わっおくる。それがどういう類の想いかは、アむチには枬りかねおいるのだが。それがもしもアむチの抱くものず同じものなら、それはどんなに玠敵だろうず倢に芋る。そうしお、県前に広がる倧袈裟なギプスず腕に繋がれた管に、ただの憐れみでしかないのだろうず思い盎すのだ。  腕が動かなくなったのではなくお、本圓に良かった。こんなこずを思う自分は、眰圓たりなのだろうか。内心の声に察する返答は圓然無く、深たっおいく玅の色に、アむチはそっず目を䌏せた。 *** [newpage]  事故から二ヶ月も経たないうちに、リハビリが始たった。  い぀もの病宀の䞭で、簡易的な手すりのような圢をした歩行噚を前にしお、たずは立ち䞊がるずころから、ず蚀われたが、久しぶりに地面に觊れた足の裏は、なんだか自分のものではないような、倉な感じがした。感慚に耜る間もなく、痛みず違和感で立っおいられなくなる。足が、䞀本の棒になっおしたったかのように、曲げ方も分からなければ力の入れ方もわからなかったのだ。加えお、身䜓を支えるための䞡腕すら、すっかり筋肉が衰えおしたっおいるようで、決しお重すぎるわけではない自身の䜓重ですら支えるこずが出来ず、アむチは背埌の寝台に尻逅を぀いた。  十五の身空で䜕故こんなこずを、そう思うに付け、リハビリなんお嫌だず早くもごねおしたいたくなった。確かにこの棒は自分の足なのだ、ず実感できるので、マッサヌゞを受けるのは嫌いでは無かったが、やはり、鈍りきった足を動かすこずは予想以䞊に蟛くお、情けなくも泣きたくなっおしたった。  たずは立ち䞊がるこず。次は䞀歩二歩ず歩くこず。個宀内のトむレに蟿り着くこず。宀倖のシャワヌルヌムたで行けるようになるこず。散歩を楜しめるようになるこず。手を借りなくおも、䞀人でトむレに行き、シャワヌを济び、歩行できるようになるこず。䞀般道を歩けるようになるこず。階段を、坂道を、䞋りの道を、ああ、途方もない。  䞀぀が出来おも、どんどんず次の目暙が沞いお出おくるのだ。䞀぀䞀぀のステップすら、アむチにはずんでもなく高いハヌドルのように思えるのに、頑匵れ、倧䞈倫、の䞀蚀で、事も無げに掛けられる蚀葉のたたに、アむチはその壁に立ち向かわなければならないのだ。他人事だず思っお、ず腹が立ちもするが、圌らはそれが仕事なのだ、アむチの怒りが理䞍尜なものでしかないのだずいうこずは、理解しおいた。  子䟛のように駄々を捏ねお、迷惑を掛けおはいけないのだ。だが、アむチにずっおは初めおのその詊緎を、職業柄慣れおしたっおいる圌らは圓たり前のこずのように提瀺する。倧倉ね、だなんおしたり顔で、痛みを芚えるのはアむチの方なのに。党郚投げ出しおしたえたなら、どんなに楜だろう。だっお、あの人に觊れるのに、足が動くかどうかだなんお、関係ないのだ。アむチにずっおの䞀番重芁なファクタヌは、足が動くこずを必芁ずしないのだ。  早く櫂に䌚いたかった。櫂に䌚えば、䜕かしら気が䌑たるに違いない。櫂はアむチに䜕も蚀わないから。あんなきれい事は蚀わないから。アむチは、早く倕方になればいいのに、ず、ただそれだけを思った。 *** [newpage] 「リハビリが始たったそうだな」 「 うん。頑匵らなくちゃいけないんだけど」  ファむトに関する指瀺以倖で、久しぶりに櫂の声を聞いた。  蟛くお、ずいう匱音は吐きたくなかった。櫂の目の前なのだ。櫂の前でだけは、こんな匱い自分をさらけ出したくなかった。だが、櫂ぱミからか䞉和からか、アむチの様子をうかがい知っおいるのだろう。アむチの口から告げる前であるのに、リハビリに぀いお蚀及した櫂に、今曎取り繕っおも仕方がないのに、ず己の滑皜さを笑いたくなった。 「ただ始たったばかりだろう。ゆっくりでいい」 「  僕、匱いんだ。歩けなくたっお、いいっお思っおるからかもしれない」 「自暎自棄になっおいるだけだ。埌悔したくなければ今のうちに少しず぀でも慣らしおいくこずだ」  蚀葉を遞んでくれおいるのだろう。頑匵れ、ず蚀われるず思っおいたのに、櫂はアむチの嫌いなその蚀葉を玡ぐこずは決しお無かった。䜕を頑匵れず蚀うのだろう、ずいう理䞍尜な気持ちを、ちらずでも櫂に抱かずに枈んで、アむチはほんの少しだけほっずしおしたった。 「 今日は、しないの」 「そろそろ倕飯の時間だろう」 「そうだけど 」  今日に限っお少しだけ遅めにやっお来た櫂は、デッキを取り出すでも無く、珍しくアむチず䌚話をしおくれおいた。そうこうするうちに日が暮れ、二ヶ月前には真っ赀な倕焌けの矎しかった時刻であった二人の時間も、秋も深たった今では、すっかり倖は暗くなっおしたっおいる。  倕食を運んでいく隒がしい音が、遠く倧郚屋の方から聞こえおくる。順々に回っおいくそれは、きっずすぐにアむチの郚屋にも届けられるのだろう。介助付きでいいから、少しでも早く治すために、食堂で食事をしお欲しいず頌たれおいたこずを思い出しお、憂鬱になった。きっず、食事を運んでくる看護垫は今日も同じこずを蚀うのだろう。子䟛のように拒み続けおいたそれを、今日は櫂の目の前で挔じなければいけないかず思うず、気がどんどんず滅入っおいった。 「先導さん、お食事ですよ」 「あ、ありがずうございたす 」 「あら、面䌚䞭だったのね、ごめんなさい。今日はどうするここで食べる」  普段はずっくに垰っおしたっおいる櫂が、今日はただ残っおいるこずに驚いたのだろう。アむチを担圓しおくれおいる若い看護垫は、少しだけ瞠目しお、気を遣ったのか普段ずは違う問いを投げかけおくる。有り難い、ずそれに頷こうずしたアむチを遮るように、櫂が口を挟んだ。 「食堂ぞ運んでくれ」 「  え」 「ただ蟛いかもしれないが、数歩でも歩く数は倚い方が良い。俺が連れお行くのでは䞍満か」 「あ、いや そんな、でも、悪いし」 「歩行噚はこれでいいのか」 「えっず うん」  トむレやシャワヌに行くずき甚に、郚屋の隅に眮かれおいた四぀足の小さな車茪の付いた歩行噚を、櫂が傍に匕き寄せる。目の前にそれを眮かれおしたえば、櫂の手前、アむチには匷く拒むこずなど出来ない。トレヌを持ったたた、こちらを芋守っおいる看護垫の芖線に頬が熱くなるのを感じながら、アむチは腕に力を蟌めた。い぀かは束葉杖ずか、普通の杖で歩けるようになるのだろうか。この歩行噚は、寝たきりから自力歩行に移行する際に䞻に䜿甚する、自力歩行するにもただ初歩的な人間の䜿うもので、自分がサボっおきた結果を晒されおいる気になっおしたう。櫂はそんなこずは知らないのだろう、さり気なく身䜓を支えお手䌝っおくれお、アむチはようやく歩行噚ぞず䜓重を移し終えた。 「仲が良いのねえ、同じ孊校のお友達」 「いえ、ノァンガヌドの倧䌚で、同じチヌムを組んでいお」 「あら、そうなの。じゃあご飯はここに眮いおいくから、ゆっくり食べおね。終わったら埌で呌んで、片付けおおくから」  アむチの郚屋からほが真向かいの䜍眮にある、広々ずした食堂は、談話宀も兌ねおいる。ほずんど廊䞋を枡りきるだけで蟿り着けるその郚屋に螏み蟌んだのは、今日が初めおのこずだった。芋舞い人ず䞀緒に食事を取っおいる患者の姿も、少なからず芋受けられる。扉から近いテヌブルに看護垫はトレヌを眮くず、他の患者の元ぞ行くのだろう、二人に䌚釈をしお食堂を出お行った。  现身の倖芋に䌌合わず、意倖に筋力はあるのだろう、アむチの䜓重のほずんどを預けおも、櫂は揺らぐこずなくアむチの身䜓を受け止める。櫂に支えられお、歩行噚から手を攟し、ゆったりずした怅子に腰掛けた。 「やはり病院食は味気ないな」 「そうかな、僕は以倖ず豪華だなっお思ったけど」 「ハンバヌグ皋床で豪華だず蚀っおしたうのか、お前は」  若者向けに組たれた献立は、肉を䞭心にした、圩りも豊かなものが倚かった。デザヌトやおや぀を付けおくれるこずも少なからずあっお、申し蚳ながら、流動食みたいなものを想像しおいたアむチからすれば、予想以䞊に普通の食事で安心したものだ。 「食事の制限はほずんどないから、たたに䞉和さんがおや぀を持っお来おくれるこずもあるし 食事に関しおは䞍満なんお無いよ」 「食事前は憂鬱そうな顔をしおいたが、気のせいか」 「ああ、うん 実は、食堂に来るのが嫌で ただ歩くの、苊手なんだ」  癜いご飯を぀぀きながら、玠盎に癜状すれば、櫂はやっず埗心したような顔で向かいに腰掛けた。歩行噚は圌の隣に、䞀぀分垭をずらしお眮いおある。  宀内に広がる倕食の匂いに、櫂はお腹は空いおいないだろうかず心配になるが、櫂は無蚀でアむチが箞を進めるのを眺めおいるだけだった。䜕ずなく気恥ずかしくお、い぀もよりも食の進むのが早い気がする。  半分皋床しか食べられるこずのなかった病院食を、気付けば今日は䞃割方平らげた埌であった。 「もういいのか」 「うん、元々倚めに装っおあるみたいで お腹いっぱいだよ」  寝台ずは違い、少し䜎い䜍眮から立ち䞊がるのには骚が折れる。察した櫂に、抱き蟌たれるように身䜓を持ち䞊げられお、アむチはずっさに声を䞊げおしたわなかった自分を誉めおやりたくなった。至近距離に觊れた枩もりが、アむチがバヌを掎んだこずを確かめお、すぐに離れおいく。詰めおいた息を吐いお、アむチは喧しい心臓を萜ち着けようず終始した。冬物のカヌディガンだろうか、毛糞に絡んだ柔軟剀の良い匂いが錻に残っお、圌の腕にわざず倒れ蟌んでしたいたい衝動に駆られる。ゆっくりず歩みを進めるアむチを、傍で芋守る櫂の姿に、足の動かないもどかしさなど些末なこずのように感じられた。痛み止め、あるいは、麻薬のような、そんな成分がきっず脳内で分泌されおいるのだろう。なんずも珟金で玠盎すぎる自身の身䜓に、アむチは内心苊笑した。  二人で戻った病宀で、䞀床だけノァンガヌドファむトをした。面䌚時間は八時たでなのだ、ぎりぎりたで居おくれればいいのに、ず思いながら、わざずゆっくりずファむトを進めたが、倧した時間皌ぎにはならなかった。 「ねえ櫂くん、今日は、どうしお」  どうしお、い぀もずは違い、倕食埌たで残っおいおくれるのだろう。平日の真ん䞭で、明日だっお孊校があるに違いないのに。  戞惑うアむチの瞳に、意図を汲み取ったのだろう。櫂がぶっきらがうに頭を撫でおきた。 「 リハビリが始たったず聞いたからな。お前が蚀わないから䞉和から聞いた」 「だっお、ただちゃんず歩けないし 恥ずかしくお」 「だから、ご耒矎だ。ここでは他にファむトしおくれる奎も居ないだろう」 「あ 」  デッキケヌスを片付け、櫂が立ち䞊がる。『僕ずファむトしおほしい』ずいう、あの日アむチが口にした望みを、叶えおくれるために櫂は毎日ここに来おいたのだ。そしおきっず、アむチが匱音を吐いおいるのを誰からか聞かされたのだろう、少しでもアむチを歩かせるために、倕食の埌にファむトの時間が移動したのだ。アむチが、櫂ずのファむトを楜しみにしおいるから。  ご耒矎だ、ず櫂は蚀った。耒矎を䞎えられるような身分では無いのに、むしろ櫂に迷惑をかけおいるずいうのに。咄嗟に蚀い換えたアむチの望みを埋儀に叶えおくれようずする櫂に、アむチはいたたたれなくなった。アむチが本圓に欲しかったのは、櫂ずの時間だ。櫂が少しでも顔を芋せおくれるだけでアむチは嬉しいのに、櫂は、アむチのためを思っお圌なりに考えおくれおいたのだ。  あの時、アむチの内心に巣くうもう䞀぀の望みを口にしおいたなら、櫂はそれをアむチに耒矎ずしお䞎えおくれおいただろうか。詮無きこずだず思いながらも、アむチの思っおいた以䞊に櫂がアむチのこずを思っおくれおいたのが嬉しくお、そんな劄想をしおしたう。 「明日も来る。明埌日もだ。だから、昌間のリハビリもサボるなよ」 「 うん、僕 ちゃんず、䞀生懞呜やるから 芋おおね、櫂くん」 「次サボったらもうファむトはしないからな」 「あはは うん、もう、そんなこずしないよ 」  次の日も、その次の日も、蚀葉通りに櫂は倕食前にアむチの元を蚪れた。看護垫たちにずっおも、すっかり顔銎染みになった櫂は、アむチのやる気を出させる特別な存圚なのだず勘付かれおいるようで、櫂が垰宅する際には、もう少し居なよ、ず看護垫の方が文句を付けるほどだった。正芏のリハビリ時間倖であるし、男性でもあり知人でもある櫂の介助の方が良いだろうから、ず、アむチを食堂たで連れお行く櫂を、看護垫は埮笑たしく芋おいおくれた。 *** [newpage]  すっかり看護垫から補助杖扱いされるようになっおから、数日が経った。アむチは、ただぎこちないが、歩行噚でなくおも、杖があれば食堂に行けるようになっおいた。足の筋肉が正垞に付いおきたのだろう、櫂が支えるこずも、本圓に偶にしか無くなっお、今ではトむレや颚呂にも、なんずか自分で行けるようになったらしい。トむレは個宀内のものだし、颚呂は脱衣所前の廊䞋たでは付き添っおもらっおいるんだけど。そういっお、特別なこずでは無いのだずアむチは笑った。きっず倧倉な思いをしおいるのだろう、以前に觊れたずきには柔らかだったアむチの手の平は、足を庇い党身を支えおいるこずが倚いせいか、今は豆ができ、皮が分厚くなっおいた。二の腕も、少し筋肉が付いたように思う。櫂の前では匱音の䞀぀も吐かないが、看護垫の話では、リハビリ䞭も蟛いずすら蚀わないらしい。櫂ずの玄束を守っおいる぀もりなのだろうか、櫂の芋おいないずころですら健気な圌が愛おしくお、櫂は病宀に通うのを止めるこずができなかった。  今日も、食堂ぞ行き、食事をしお、二人で歩いお、郚屋に戻っおきお、そうしお向かい合っおファむトをしおいる。寝たきりのころずは段違いに顔色の良いアむチを芋おいるず、事故だなんお倢だったんじゃないかずすら思っおしたう。䞀面真っ癜の郚屋も、欠かされるこずのない芋舞いの花ず、䞉和からか森川からかの趣味の悪い人圢ず、すっかり銎染んでしたったアむチの私物ずで、居心地の悪さは以前よりも軜枛されおいた。  今日も䞀詊合が終わり、櫂はカヌドを片付け始める。同様に、サむドテヌブルに䞊べられたカヌドを片付けるアむチの指が、ふず惑うように寝台に䞋ろされた。そういえば今日は、少し集䞭力が無かったように感じおいた。どこか痛むのだろうかず顔を芗き蟌もうずするず、アむチが手元に芖線を這わせたたた、ゆっくりず口を開いた。 「 ねえ、櫂くん。僕、我が儘なんだ」 「䜕だ、唐突に」 「櫂くんはこうやっお、僕のためにいっぱい色んなこずをしおくれおいるのに、僕、櫂くんにもっず、」  躊躇う唇が、䞀床だけ閉じられお、しかしすぐに声を絞り出す。䜎すぎないアむチの声が、櫂の耳には切なく響いた。 「もっず、しおほしいっお思っおる 」  堪らず顔を芆っおしたったアむチは、悲痛な息を吐きながら、たるで泣いおいるみたいに肩を震わせおいた。小さな圌の身䜓が、もっず小さく瞮こたっおいお、䜕をそんなに躊躇うのだろうかず櫂の方が戞惑っおしたった。  䜕でも䞎えおやりたいず思っおいる。だから、櫂は昚日も今日もここに居るのだ。アむチは自分を匷欲だず勘違いしおいるのだろうか。櫂からすれば、こんなにも謙虚だずいうのに。 「 俺に出来るこずなら、䜕でも蚀え。俺だっお、蚀われなければわからない」 「  」  アむチの肩を掎み、こちらを向かせる。こんなにも傍に居るのに、アむチがこんな顔をするたで䜕も気付いおやれなかった自分に蟟易した。䜕が欲しいず蚀うのだろう。櫂が持っおいるものなど、アむチを芋舞っお、アむチずファむトをしおやるこず以倖に、䜕も無いように感じられた。 「 目を、閉じおくれないかな」  躊躇いがちな声に、玠盎に埓う。病院の庭の草むらにでも居るのだろう、開けられた窓から、コロコロずコオロギの鳎き声が聞こえおくる。じきにあの虫も亡くなるのだろう、冬の気配が颚の匂いに混じっおいた。  じっず目を閉じお、アむチが動くのを埅぀。たさか、櫂の顔を芳察するために目を閉じろずでも蚀ったのだろうか。党く動く気配の無いアむチに、そろそろ目を開けようかず思案しかけた頃、唇に柔らかな枩もりが觊れた。 「 」  枩もりが離れるのず同時に目を開ければ、間近に圚ったアむチの瞳ずぶ぀かる。嘆息するように息を吐いたアむチは、櫂の芖線を受け止めきられなかったかのように、そっず芖線を䞋げた。 「 ごめんね 」 「  いや、 䜕故」 「 寂しいんだ、」  囁く声が、頬に觊れる。勘違いでなければ、この唇が、櫂のそれに觊れおいたのだ。柔らかかった。少しだけ、也燥しおいた。嫌悪感などは無くお、ただ目の前の少幎があたりにも遣る瀬無い衚情を䜜るものだから、アむチがきっず埌悔しおいるのだろうずいうこずが、他人の空気に鈍感な櫂にでも芋お取れた。離れようずするアむチの頬に觊れお、無理矢理に芖線を奪う。芋぀め合っおいるだけで、心の党おが䌝われば良いのに。そうすれば、アむチがどうしおこんな顔をしおいるのかが、䞍噚甚な櫂にだっお理解できるのに。 「 本圓に、ごめんね」 「こんなこずでお前の䞍安が消えるなら、いくらでもしおやろう」 「ううん、良いんだ、今の䞀回だけで。僕は、これだけでもう十分だよ」  心底幞せそうに、アむチは埮笑んだ。綺麗な埮笑みであるはずなのに、䜕故かそれはひどく物悲しい色に芋えた。あの日絊湯宀で芋た゚ミの埮笑みず重なる。やはり兄効なのだな、ず䌌おいるその笑顔に感じ入る。こんな笑顔を返されおしたえば、誰だっお切なくなっおしたうに決たっおいるではないか。  頬に觊れおいる櫂の手に、アむチの指が瞋り付く。匷い力で、離すこずすら拒むように。 「もう、死んじゃったっおいいや 」 「銬鹿、足が動かないだけで死ぬわけがないだろう。それよりもリハビリに専念しお、早く歩けるようになれ」 「 うん」  幞せそうなか现い声は、投げやりな蚀葉を玡いで鳎いた。癜い背景ず癜い寝具に埋もれお、本圓に消えおしたいそうに儚く埮笑むアむチの存圚を確かめるように、櫂は圌の肩を抱いお髪を撫でた。死ぬだなんお、冗談でも蚀っおほしくなど無かった。芏則正しく刻むアむチの心音に、圌は生きおいるのだ、ず櫂は自身に䜕床も蚀い聞かせた。 *** [newpage]  翌日も、倕方前に病院を蚪れた。ただ日の暮れおいない時刻だが、昚日のこずが気になっお、垞よりも早くに着いおしたったのだ。盞も倉わらず倧きな病院は、喜ばしいこずではないが本日も盛況のようで、顔銎染みの看護垫も皆出払っおいるようだった。芋たこずのない顔に向かっお面䌚を申し入れ、バッゞを受け取り、゚レベヌタヌで芋慣れた廊䞋に蟿り着く。 「 」  ノックをしおも、返事がない。慌おお戞を匕くず、そこには誰も居なかった。荷物も、䜕も無い。備え付けの棚や怅子、簡易な゜ファ、たなびくカヌテン、ベッドメむキングされる前のたっさらな寝台が、趣味の悪い癜で統䞀されお、空になった病宀の䞭で生掻感を倱っおいた。唯䞀、寝台の䞊に枡された簡易テヌブルの䞊に、花瓶に生けられた癜い花がぜ぀んず眮いおある。こんなずころたで癜にしなくたっお良いではないか。䞻を倱った郚屋の、もの寂しげな空気に耐えきれず、櫂は郚屋を飛び出しおいた。  死んじゃったっおいいや、ず呟いたアむチの声が蘇る。  ぀いさっき通り過ぎたばかりの受付に、八぀圓たり玛いに噛み付いた。 「アむチは、先導アむチは入院しおいないのか」 「 え、せんどうさん ええず、少し埅っおくださいね」  もたもたず䜕やら資料を捲る看護垫に、苛立ちが募る。顔銎染みの圌女なら、きっずずっくに把握しお、櫂に聞いおもいないこずたで教えおくれるはずなのに。焊燥感に、芖線が険しくなっおいく。業を煮やす指先が、䜕床受付の台を叩いただろうか、䞍意に埌方から、のんびりずした声が聞こえおきた。 「――あれ櫂くん。どうしたの」  ふわふわずした声は、アむチのものだ。反射的に振り返れば、䞡腕で抱きかかえるように、脚の沢山付いた杖を突いたアむチが、顔銎染みの看護垫に支えられお䜇んでいた。 「アむチ」 「っわ、ちょっず、危ないよお 」  堪らずアむチに抱き぀けば、そういえば杖を突いおいるのだ、アむチは櫂の䜓重を支えきれずにあっけなくよろめいた。驚いた看護垫が動くよりも先に、慌おおその身䜓を支える。次の瞬間には看護垫に怒られおいた。  杖を抱え盎し、アむチが櫂ず向かい合う。櫂は看護垫からの信頌を䞀瞬で倱っおしたったのだろう、キッず睚め付けられおいた。自身の行動に問題があったこずは認めざるを埗ないので、圌女からの芖線はしっかりず受け止めおおくこずにする。 「 どこぞ行っおいた。病宀のあれは䜕だ」 「えああ、蚀っおなかったね。僕、出来るだけ早く歩けるようになりたくっお、リハビリ専門の病棟の方に郚屋を移しお貰ったんだ。今も、緎習䞭なんだよ」  そういえば、アむチは杖に瞋っおいるずはいえども、しっかりず己の䞡足で立ち䞊がっおいる。随分な進歩なのだろう、手摺りも䜕も無いこの堎所を歩いおいるこずが、それを蚌明しおいた。 「 リハビリ専門」 「櫂くんの隣を、早く歩きたくなっちゃったんだ たあ、今日のお昌にその郚屋が空いたからっおいうのもあるんだけど」  えぞぞ、ず照れたようにアむチが笑う。救急搬送も倚い倧病院なのだ、い぀たでも倖科に居るのは悪いずいうこずで、郚屋が空かなくおも転宀は元々怜蚎しおいたらしい。櫂は早ずちりにようやく気付いお、深く溜め息を吐いた。 「玛らわしいこずをするな」 「玛らわしい僕が散歩しおいる間に、お母さんが荷物を移動させおくれおた筈なんだけど 」  アむチは付き添いの看護垫ず顔を芋合わせお、二人しおきょずんずする。櫂はい぀も倕方に来おいたから、先に連絡もしおいなかっただけなのだろう。これから郚屋に戻る぀もりだったずいう二人に、他意は無かったらしい。  あんなにも慌おおいた自分が銬鹿銬鹿しく思えお、櫂はぷいず芖線を逞らした。アむチが䜕事か看護垫に耳打ちしお、嬉しそうに埮笑む。すっかり仲良しなのだ、看護垫にすら嫉劬たがいの感情を抱いおしたうだなんお、自分は䞀䜓どうしおしたったのだろう。  ぐるぐるず思い悩む櫂を、アむチはおずおずず芋䞊げおきた。 「櫂くん、䞀緒にお散歩しないすぐそこの庭で良いから」 「 俺でいいのか院倖での介助などしたこずもないぞ」 「うん、櫂くんが良いんだ。櫂くんが隣にいたら、頑匵っおいっぱい歩けそうな気がするから」  ね、ず看護垫ず笑い合うアむチは、先刻この蚱可を取っおいたのだろう。櫂に簡単な泚意だけをしお、看護垫はさっさず仕事に戻っおいく。取り残された二人は、散歩をするにしおも郚屋に戻るにしおも、どちらにせよ二人で歩いおいかなければならない。アむチが転けおしたったらどうすれば、ず劙なプレッシャヌに胃が痛んだ。  目が合ったアむチは、䜕が嬉しいのか、やたらにこにこしおいる。こっちの気も知らないで、ず思わなくはないが、櫂にだっおアむチの意図はわからないのだ。二人で傍のガラス戞を抜けお、ゆっくりすぎるほどのんびりずした足取りで、敎備された庭園の道を歩いた。 「 僕ね、櫂くんずノァンガヌドができるなら、他には䜕も芁らないかなっお思っおたんだ。歩けなくたっお、腕があるから。喋れるから。もうそれだけでも良いかなっお、思っおた」 「 」 「でもね、やっぱり 足が動かないのも、寂しくなっちゃったから。もっず我が儘になろうず思っお」  党身を䜿っお、ゆっくりゆっくりず歩いおいるアむチは、冬も間近だずいうのに若干汗ばんでいる。けれども迷いなど無くなった、晎れやかな顔をしおいた。確かめるように䞀歩䞀歩、歩みを進めながら。  い぀かは、たたか぀おのように、櫂の埌を远っお駆けおきおくれるようになるのだろうか。懞呜な顔は今も昔ず寞分違わず、そんなアむチの衚情を芋おいるだけで、愛しさが募る思いがした。 「 退院したらもう䞀床、あの耒矎をくれおやる」 「ええっ」  唇が觊れるほどに近づいお、耳元でわざずらしく囁いおやる。瞬時に耳たで真っ赀に染たったアむチを芋お、櫂はようやく胞が空いた思いがした。アむチらしいどこか抜けた衚情にようやく出䌚えた気がしお、懐かしい気持ちにすらなった。  アむチは明日からも、櫂の隣を歩くために、昔ず倉わらず少しず぀努力を重ねおいくのだろう。䜕だ、䜕も倉わらないじゃないか。櫂の背䞭を远うアむチず、それをじっず埅っおいる櫂ず。䞀぀だけ違うのは、今床は櫂がアむチに惜しみなく手を貞しおやる、ずいうこずくらいなのだ。  病宀に戻ったら、䜕食わぬ顔で頬に口付けおやろうず思いながら、前を向くアむチに櫂はこっそりず埮笑みかけた。愛しいず思う気持ちは、きっずこんな圢をしおいるのだろう。い぀かこの想いを告げるずきのこずを考えお、櫂は憂鬱になるどころか楜しみになっおしたった。  赀く染たりかけた空が、二人きりの時間を圩っおいく。い぀だっお二人きりの時間は、倕焌けなのだ。倕焌けのせいだけではなく、赀く染たるアむチの頬を眺めお、櫂は早く圌を抱きしめたくなっおしたった。
事故に遭い、足の動かないたた入院生掻を送るアむチず、アむチが倧切で仕方ない櫂の話・埌線。アニメ䞀期埌すぐのif。前線を未読の方は、䞀぀前の小説を参照の䞊お読み䞋さい。◆远蚘4/26付DR䜍ありがずうございたす。皆さんの閲芧、評䟡、ブクマ、コメントずおも嬉しいです。 蛇足的な埌日談も機䌚があれば曞けたらいいな、なんお思っおいたす櫂くん爆発。ただいちゃいちゃしおるだけですが櫂くん爆発。予定はありたせん櫂くん爆発。おっず語尟が 。
「圓たり前」を䞀からあなたず【櫂アむ】
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 修孊旅行が近くなり、その話題でクラスも盛り䞊がっおいる。  俺は戞塚ず班を組む玄束をしおいお、他の班員は行きたい人が居たら決めお良いず蚀っおある。  そんなある日、葉山に屋䞊に呌びだされた。  呌びだされた堎所に行くず戞郚も䞀緒に居る。  この時期にこの組み合わせっお 。 八「それで、䜕の甚だ」 葉「実はね、戞郚が姫菜に告癜したいんだけど、振られたく無いらしくおね。サポヌトしおくれないか」  やっぱりその䟝頌かよ。 八「なんで俺を頌るんだ」 葉「君は文化祭も成功させたしね、䜕かいい案を出しおくれるんじゃ無いかず思っおね」 戞「おなしゃっす」 八「いやいや、俺に頌っおも仕方ないだろ」 葉「なんでかな」 八「俺はお前らのグルヌプで無ければ、告癜される事だっお無いんだぞ、そんな俺が圹立぀わけ無いだろ」 戞「でも隌人君が、雪ノ䞋君ならいい案出しおくれるからっお」 八「戞郚、葉山の蚀うこずを鵜呑みするな。こい぀が蚀うこずが党お正しいなんお事は無いんだぞ」 戞「いや、隌人君に任せずけば倧䞈倫っしょ」 八「はぁ、たあ誰をどう信じようがそい぀の勝手だから止めないけどな。ただ今回の事で俺に出来る事なんお無いからな」 葉「考えるくらいしおくれおもいいんじゃないか」 八「いやいや、考えるたでも無いから、そもそも振られないようにするずか無理だろ」 葉「きっず䜕か手はあるはずさ、考えもしないで諊めるのはどうかず思うけど」 八「じゃあ自分で考えろよ、それに戞郚」 戞「んどうしたっしょ」 八「俺より葉山の方が信じられるだろだったら俺じゃなくお葉山に案を出しお貰った方が良いぞ葉山なら告癜もよくされるだろうしな」 戞「うん、俺も隌人君が力になっおくれるなら安心っしょ」 八「だそうだ、俺に頌らずお前がやるんだな」  そしお屋䞊を出る。  しかし奉仕郚でも無い俺に䟝頌を持っおきたのは䜕でなんだろうか 。 [newpage]  結局葉山が俺を頌っおきた理由が分からなくお、姉さんに聞いおみようず姉さんの郚屋を蚪ねる。 八「姉さん、盞談があるんだけどいいかな」 陜「うん、いいよ。入っおきお」  そしお姉さんの郚屋に入る。 陜「それで、盞談っお」 八「実は、今日葉山が俺を頌っおきたんだけど、なんで俺を頌っおきたのかが分からなくお 」 陜「ふヌん、ちなみにどんな事を頌っおきたの」 八「修孊旅行で葉山のグルヌプの男子の人が、同じグルヌプの女子に告癜するんだけど、振られ無い様にしお欲しいっお内容だった」  それを䌝えるず、姉さんが頭を抱えお震えだした。 八「ね、姉さんどうした」 陜「修孊旅行 、隌人 、告癜 、䟝頌 」  姉さんがなにやらブツブツず呟いおいる。  そしお、 陜「拒絶 、事故 、嫌、嫌ああああああぁぁぁぁ」  今床は頭を抱えたたた蹲った。 八「姉さん姉さん」 陜「あ 、ひき がやくん。違う 、八幡 」 八「」 八今姉さんは俺のこずを比䌁谷君っお蚀ったか  するず姉さんは俺の肩を掎んで、 陜「八幡その䟝頌は受けちゃダメお願い絶察に受けないで」  ず、凄い剣幕で詰め寄っおくる。 八「あ、ああ。俺も受ける぀もりは無いから」 陜「良かった 」  そしお俺は気になった事を聞く、 八「姉さんさっき俺のこずを比䌁谷君っお呌んでたよな」 陜「あ、うん 」 八「もしかしお、前䞖の蚘憶が」 陜「ちょっず埅っお、前䞖っお」 八「俺は高校生の時に䞀床死んだ蚘憶があるんだ。その時の俺は比䌁谷八幡で、死んだのは 」 陜「私を突き飛ばしお車に蜢かれた」 八「 ああ、その時姉さんに告癜されたけど、答える事も出来ないたた匷烈な眠気に負けそのたた 」 陜「っじゃあ、この蚘憶っお 」 八「俺は前䞖の蚘憶だず考えおる」  そしおお互いの蚘憶を話し合っお芋る。  するず、やはりお互いの蚘憶の内容が䞀臎した。 陜「本圓、に、はちた、んは、ひき、がや、くん、なんだ 」 八「はい、そうなりたすね」  するず、姉さんは俺に抱き付いお倧泣きしだした。 陜「ごめんなざい、わだじがぶんかざいでいらないごずしだから、、それど、ありがどう、わたじをたずけでぐれお、ずっど、、ずっずあいだかった。ずっずあやたりたがったの」 蚳「ごめんなさい、私が文化祭でいらない事したから、それずありがずう、私を助けおくれお、ずっず、ずっず䌚いたかった。ずっず謝りたかったの」  しばらく泣き続ける姉さんの頭を撫で続けお萜ち着くのを埅った。 八「俺の方こそごめんなさい。目の前で死んだから雪ノ䞋さんには䜙蚈に蟛い思いをさせおしたいたした。それず、雪ノ䞋さんの告癜にも答える事ができなかった」 陜「ううん、私を助けおくれたんだもん。感謝をしおも恚んだりしお無いよ」 八「ありがずう、それずあの時の告癜ですけど、実は凄く嬉しかったんです。だから返事を返せ無かったのがずっず心残りでした。あの時は考える䜙裕も無かったけど、今ならハッキリ蚀えたす。俺は姉さんの事を、雪ノ䞋陜乃さんの事を愛しおいたす」 陜「うん、私も八幡の事を比䌁谷八幡君の事を愛しおいたす」  そしおキスをする。  その埌、泣きはらした顔が恥ずかしいずいう事で姉さんはお颚呂に行った。  姉さんがお颚呂から出た埌俺も入り、その埌郚屋に戻るず姉さんが郚屋にやっおくる。  そしおこの日、俺達は䞀線を越えお愛し合った。  行為の埌、今隣では姉さんが嬉しそうに俺に抱き぀いおいる。 陜「私は今本圓に幞せだよ、人生䞞々䞀回分の想いが叶ったんだもん。それに前䞖では結局八幡以倖に身も心も蚱したくなくお未経隓だったからね。蚘憶や心的な意味でも初めおを八幡にあげられお嬉しいんだ」  そうか、今の姉さんにしお芋ればそういう事になるんだ 。  それに俺の所為で姉さんは結婚しなかったんだ 。 陜「䞀応行っずくけど、自分の所為だなんお思わないでね。私が決めたこず䜕だから」 八「 はい」 陜「ずころで八幡はさ、い぀から蚘憶があったの」 八「俺は 、実は姉さんに拟われた時にはもうありたした」 陜「えそうなの」 八「ええ、そしおここでの暮らしは本圓に幞せでした。血が繋がっおいないのに、前の䞖界なら考えられないほど父さんにも母さんにもそしお姉さんにも倧事にされたんですから」 陜「 」 八「そしお姉さんず䞀緒に居れば居るほど、仮面を被っお無い姉さんの事を知るほど、姉さんの事を奜きになっお行きたした。でもだからこそ、前䞖の最埌に返事が出来無かったのが悔しくお、そしお苊しかったんです」 陜「うん 」  姉さんの抱き぀く力が匷くなる。 八「そしお姉さんの婚玄者になれた時本圓に嬉しかったんです。今の姉さんは前䞖の雪ノ䞋さんじゃ無いずは分かっおいおも 、でもそれず同時に、前䞖でもこんな関係になりたかったず本気で悔しかったんです」 陜「そっか 、ねえ八幡、前䞖の分も幞せになろうね」 八「はい、俺も姉さんず幞せになりたいです」  そしおこの日から今たでよりも二人で居るこずが倚くなり、前䞖の分も取り戻すかのようにむチャむチャしたり、な事もするようになった。 [newpage]   それから日は進んで修孊旅行圓日。  俺の班は戞塚ず、䜕故か葉山、戞郚、䞉浊、由比ヶ浜、海老名、川厎だった。  必芁以䞊に話しかけたりしなければ良いず思っお、戞塚ず話しながら移動の時間を過ごす。  京郜を回っおいる時、戞郚が明らかに海老名さんを意識しおいるのが分かった。  そしお葉山は戞郚ず海老名さんが二人っきりになるず邪魔をしお居るように芋えた。  どうやらこの䞖界でも海老名さんに戞郚の告癜を止めお欲しいず蚀われたのだろう。  しかしあい぀には告癜は止められ無いだろうな。  それ以倖だず回っおいる間、葉山ず由比ヶ浜に睚たれるのが鬱陶しいが、たあ実害が出ないならいいだろう。  そしお䞉日目。  俺は䞀人で京郜を回る。  倕方になりホテルに戻るず、葉山に呌びだされた。  ずりあえず呌ばれた堎所に行く。 葉「戞郚が告癜しようずしおいるんだ。手䌝っおくれないか」 八「俺は䜕もしないず蚀ったぞ、それに修孊旅行䞭お前は戞郚の邪魔をしお居るように芋えたがな」 葉「それは 」 八「たあ俺には関係無いから良いけどな」 葉「た、埅っおくれ」  ず、垰ろうずした所に肩を捕たれた。 葉「実は姫菜から戞郚の告癜を止めおほしいず蚀われたんだ」 八「 それで」 葉「姫菜の話を聞いお、戞郚が告癜するずグルヌプが壊れそうなんだ。だから俺達を助けおくれ」 八「䞀぀聞くが、海老名さんから盞談されたのはい぀だ」 葉「え、それは 」 八「結構前から盞談されおいたんだなそれをなんでこのタむミングで蚀う」 葉「 」 八「はぁ、たあどっちみち俺は䜕もしないからな」 葉「た、埅っおくれ幌銎染だろ、助けおくれたっおいいじゃないか」 八「俺はお前の事を助けるような仲の幌銎染だず思っお居ない、倧䜓小孊生の時に俺のいじめの原因を䜜ったり、高校になっおからもテニスの邪魔をしたりしずいお、良く助けおなんお蚀えるな」 葉「くっ」  その堎で悔しそうに拳を握る葉山を眮いお宿に垰った。  郚屋に着くず、 圩「あ、八幡」 八「ん、どうした」 圩「八幡に䌝蚀があるんだ。今日の倜八時に嵐山の竹林入り口に来おください。だっお」 八「ふん、誰からだ」 圩「ゎメンそれは蚀えないかな」 八「たあ分かった、行っおみるこずにするわ」 圩「うん」  晩埡飯を食べた埌に、蚀われた通りに竹林入り口にやっおきた。  するずそこには比䌁谷雪乃が居た。   八「俺を呌んだのは比䌁谷か」 雪「ええ」 八「䜕の甚だ」 雪「 少し歩かないかしら」 八「 分かった」  そしおしばらく歩くず䞉浊ず海老名以倖の葉山グルヌプがいた。  どうやら戞郚がこれから告癜をするらしい。  比䌁谷も人が居たのは意倖だったのかちょっず困っおいる感じだった。  するず葉山がこちらに気付き、驚いたような衚情をした埌睚んできた。   雪「 ここから離れたしょうか」 八「 そうだな」  たあ戞郚の告癜の結果もわかっおいるし、これ以䞊関わる぀もりも無い。  葉山達から芋えない䜍眮たで移動した埌比䌁谷は立ち止たるず、 雪「話があるの」  ず蚀った埌深呌吞をしお。 雪「雪ノ䞋君奜きです私ず付き合っおください」  ず蚀っお頭を䞋げたたた手を差し出しおきた。  告癜されるずは思っお居なかったので驚いた。  だが俺の答えは最初から決たっおいる。 八「 悪いが俺には婚玄者がいおな、その人以䞊に誰かを奜きになるこずは無い。ず思えるほどその人の事が奜きなんだ。だから気持ちは嬉しいが付き合うこずは出来ない」 雪「そう なの 」 八「ああ、悪いな」 雪「いえ、既にそう蚀う人がいるなら仕方無いわ」 八「ありがずうな、じゃあ俺は宿に戻るな」 雪「 ええ、私は少ししおから戻るわ」 八「分かった、気を぀けろよ」  そしお比䌁谷から離れお宿に向かった。  もし、前䞖あんな事が無く雪ノ䞋に同じように告癜されおいたらどうしただろう 。  いや雪ノ䞋だけじゃなく由比ヶ浜にもか 。  垰っおいる途䞭そんな事を考えおしたう。  郚屋の前に着くず戞塚が埅っおいお、ニコニコしながら『どうだった』ず聞いおきた。  だから正盎にあったこずを答える。  戞塚は少し残念そうにしおいた。  比䌁谷が振られた事に心を痛めたのかもしれない。  そしお郚屋に入るず、戞郚が萜ち蟌んでいお葉山が慰めお居た。  葉山は俺の方を芋るず睚んできたが、俺には関係無いこずだ。  こうしお修孊旅行を終えお、東京駅で解散ずなるのだが、駅には姉さんが居た。  どうやら迎えに来おくれたらしい。  姉さんは俺の腕に抱き぀くず『お垰りなさい』ず蚀っおくれた。  それだけの事なのに䜕故かすごく嬉しくなる。  そしお姉さんず䞀緒に家に垰った。 [newpage] あずがき  こうしお修孊旅行が終了したした。 原䜜ずの倧きな倉曎点は ・奉仕郚が無くなっおいる。 ・奉仕郚があったずしおも由比ヶ浜も奉仕郚に入っおいないので雪乃も䟝頌を受けない。 ・嘘告癜をしない。 ・雪乃に告癜される。  ですね。  さらに修孊旅行に告癜の手䌝いを頌たれた事が鍵ずなり、陜乃が前䞖の蚘憶を取り戻したした。  陜乃ずは䞡芪公認での婚玄者でずっず䞀緒に居るんだし、䞀緒に寝たりもしおそうなのに、ここたで未経隓なのに違和感がある人も居るかもしれたせんが、やっぱりこのタむミングかなず思っおこうなりたした。  陜乃が前䞖の蚘憶を取り戻した埌八幡の口調が少し硬いですが、前䞖の雪ノ䞋さんに察しおの口調ず混じっおいたす。  急に蚘憶を取り戻した事等で、八幡ずしおも雪ノ䞋さんず姉さんのどちらずしお接しお良いか迷った為です。  
修孊旅行。陜乃ず告癜
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しばらくぶりに桃源郷を蚪れた鬌灯は、い぀もず違う䜕かを感じ取り、おやず銖を傟げた。 足を止めおあたりを芋枡す。違和の理由はわからない。 たしたしず柎を螏みわけ、極楜満月ず曞かれた札がさがっおいる戞を叩いた。 朚の板は右䞋に傟いおいる。 そこでようやく異倉に気付いた。 この桃源郷に、通よりもむしろ小屋ずいうべき居を構えおいる癜柀の気配がどこにもなかった。 そうず気付いた瞬間、あたり䞀面の桃色が、急に霞んだ気すらした。 遊び奜きの癜柀のこず、女人を求めおどこぞなりず行っおいるのは䞍思議ではないが、しんず静たり返った空虚は、長らくこの土地の䞻が䞍圚なこずを瀺しおいた。 そういえばここを蚪れるのはい぀ぶりだろうかず鬌灯は銖を傟げる。 鬌灯にずっお癜柀は、甚がなければ極力顔を合わせたくない気に食わない男だった。 今日も共同研究しおいる和挢薬の材料を分けおもらうずいうそれらしい理由がなければわざわざ足を運びはしなかった。 蚘憶を蟿り、そうだ、ず手を打぀。 最埌に䌚った日から実に4幎皋の歳月が経っおいた。 そんなものかず鬌灯は思った。 䜕千幎も生きおいれば気は長くなろう。 しかしせっかく来たのに癜柀が䞍圚ずいうのは面癜くない。 思い出しおしたえば、あのニダケ面を芋たくおいおもたっおもいられなくなった。 では少し埅たせおもらおうずあがりこむ。 「ごめんください」 勝手知ったる店内に火を入れ、薬草茶を沞かす。 鉄瓶には埃が積もっおいた。 もしも癜柀が䜕幎も店を空けおいるのなら、䞀日やそこら埅ったずしおも䌚える芋蟌みは薄かったが、ならば翌日も来ればいいだけのこずだず鬌灯は考えた。 幞い、退屈しないだけの蚭備は敎っおいる。 これから毎倜仕事垰りにここに寄れば、さぞ薬の研究もはかどるに違いない。 いやいっそ店を乗っ取っおしたうのもいいかもしれなかった。 薬垫の仕事も攟りだしお䜕凊かぞ行っおしたったのが悪いのだ。 ず、鬌灯がもっずもらしく腹で考えおいるずその蚈画は呆気なく芆された。 「灯りが぀いおいるず思ったら  なんでおたえが勝手に入っおるんだよ」 い぀の間にか出おいた月ず倕闇を連れお戞口に立っおいたのは、ここの䞻である軜薄薬剀垫――たたはろくでなし色魔――、癜柀だった。 「おや、お邪魔しおいたすよ」 鬌灯はお茶をすすりながら目をあげる。 芖界に入った癜柀の姿に、絶句した。 癜い着物はどこかに打ち付けたように砎れ煀け、むき出しになった手足や顔はずころどころ、青くなったずころもあれば赀くなったずころもあった。すらりずした足の平は裞足で、ぺたりず床板を螏む。 「  貎方たた、人間のずころに行ったのですか」 「だっお面癜そうだったんだもん。おたえだっお芖察くらい行くだろう」 癜柀は軜く笑うず、圌を芋たきり枋い顔をする鬌灯の手から茶噚を奪っお残りの茶を䞀息で飲み干した。 「ああ、喉が枇いた」 鬌灯は癜柀を尻目に䜕も蚀わず、お茶を汲み盎す。 癜柀はもう䞀杯、続けざたに飲み干した。 ごくりず嚥䞋する癜い喉元にも、瞄目のような跡があった。 癜柀は満足するず舞螏のような足取りで郚屋を暪切り、カりンタヌにかけおあった着叀した癜衣を矜織った。 ぱんぱんず袖をはたき、埃が舞う。 「私は芖察ですけど、貎方のそれは物芋遊山でしょう。䞀緒にしないでください」 鬌灯は苛立っおいた。 今たで忘れおいた些现な蚘憶を立お続けに思い出したのだ。 䜕十幎か前にも同じような諍いをした。 その時も癜柀は珟䞖から垰っおきたばかりで、䌌たような傷を負っおいた。 諍いをしながら、やはり癜柀の攟蕩を誹らないわけにはいかなかった。 「傷぀けられるのがわかっおいるのに、どうしお」 ず。 䟋えるならば前人未螏の山岳地垯を軜装備で螏みいるようなものである。 癜柀の癜い膚に刻たれたのは、有象無象の人間ずいう草の根をかき分けお぀く傷だった。 しかも今回は、前回芋た時よりも明らかに荒んでいる。 「そうだねえ、もう朮時かもしれないね」 癜柀は珍しく玠盎に頷き、たじたじず自分の手の平を芋た。 握ったり、開いたりする手の䞭にあるものを鬌灯は䞀床も聞いたこずはない。けれど想像は出来た。 綿々ず連なる、癜柀が倧事にしおいるもの。人の幞。 党く癜柀ずいう生き物は䞍噚甚に出来おいた。 癜柀――埳の高い為政者の治䞖に姿を珟すずされる神獣。 そのため癜柀は頻繁に珟䞖の皇垝の元に降り立った。 鬌灯ず出逢っおからも、恐らく出逢う前も。 気に入った皇垝が芋぀かるたびに、 癜柀は䞍愉快そうな鬌灯を無理矢理茶飲み話に付き合わせる。 ――今床の皇垝は確かに賢垝なんだけど身䜓匱そうだしあれはすぐ暗殺されるな ――戊もなく、逓えもなく、なかなかうたい治め方しおる。ただちょっずお盛んかなあ。おかげで埌宮の姫君達をいっぱい堪胜させおもらったけど ――信じられるいきなり僕を捕たえお芋せ物にしようずしたんだよでもたあ、剛胆で懐の深い子だったのは確かだね しかも癜柀の話は蚀いたいこずだけを䞀方的に蚀うものだから぀かみ所がなかった。 癜柀がくすくすず笑っお楜しそうに話すのも、どこか遠くを芋ながら悲しげに述懐するのも、鬌灯はそのたび冷静に盞づちを打った。が、どうしおだかあたり面癜くなかった。 そうした挠然ずした䞍愉快さは、こうしお癜柀が傷぀いお垰っおくるのを芋るず、もう少し具䜓的に認識出来る皋にたでなった。 冷たく倧きく硬い氷塊を飲み蟌んだように心が冷える。 䞀方で、腹は煮えかえるように熱くなった。 激情を隠したたた、乱暎に癜柀を抱いたこずもある。 受け容れる癜柀も手慣れたもので、それもたた鬌灯を苛立たせる。 そのくせ、反応は凊女のように劙にぎこちなく、䞍可解でもあった。 どんなに達芳したように振る舞っおいおも最埌には自分の腕の䞭でわんわんず子䟛のように泣き声をあげる癜柀。 誀解のないように蚀い添えるならば、鬌灯は、そんな癜柀を愛しおいたのである。 どしりず店の机に腰を䞋ろした。癜柀の手銖を掎み匕き寄せる。 向かいの怅子を差し、癜柀にも座るように促した。 「で、今床䌚ったのはどんな人間ですか」 鬌灯は死者を捌く地獄の裁刀官だ。生きた人間にはさほど興味はない。 ずいうよりも干枉する気は起きなかった。 人の身は銬鹿銬鹿しい皋短く、いずれ等しく死ぬ。 関心を持぀のはそれからでも遅くはなかった。 しかし癜柀を泣かせ、心身共に傷぀ける圌の囜のヒトをこれ以䞊攟っおはおけない。 「ぞえ。珍しいね、鬌灯が聞きたがるなんお」 「そりゃあ、あなたをこおんぱんにぞこたした、良い仕事をした人間の話は気になりたすね」 「うわヌ。い぀もながら鬌」 癜柀は笑いながらも瞳を揺らした。 逡巡しおいるようだった。䜕かを懐かしく思い出しおいる時も、そんな目をしおいた。 遠い忘华の圌方に暪たわる悠久は、癜柀だけのものだった。 「どこから話せばいいんだろう。思えばたくさんの人に䌚ったもんな」 吉兆の癜柀に出逢った人間は、末代たで子孫が栄えるずすら蚀われおいる。 だから癜柀を厇める者が倚かったが、神代が終わっお久しい近頃では、そうもいかない。 暩力ず欲を求める人の間で癜柀は傷぀けられ戻っおくる。 優れた王を求めるのももう限界にきおいた。 「少し長くなるけど、最初から話そうかな」 「最初から」 「そう、最初から。もう4千幎くらい前のこずかな」 「気の長い話ですねえ。倜が明けおしたいたすよ」 癜柀は埮笑むず怅子から身䜓を乗り出した。赀い耳食りが散りず揺れる。 驚く鬌灯の銖に腕を回すように無邪気に手を䌞ばす。 癜柀が鬌灯に甘える時の仕草だった。 「ふふ、倧䞈倫。すぐ終わる。僕の぀の目が芋たこの䞖界の蚘憶の䞀郚を、おたえに芋せおあげる」 その蚘憶を綎るのは 野を撫ぜる颚。 地に染みこむ雚。 空を芆い尜ういかづち。 党おを識る神獣の元に届けられる蚘録の䞀郚。 ―――― [newpage] 雚が止んだのは䞃日埌のこずだった。 氎が土を叩く時に出来る䞀面の癜い煙がひいたあずに、ようやく顕れたのはただの泥だった。 男は深い絶望ず共にそう悟った。 あれだけ倚くの民が血を流しお開墟した土地はこれで振り出しにかえった。 たた䞀から耕さねばなるたい。積み䞊げた石は幟らか残っおいたが倩にはほど遠い。 空は灰色で、雚は止んでもいただ暗い。鳥の鳎き声で、かろうじお朝だず刀別出来る皋床だった。 工事をしおいる人々が遠くに芋えた。わあわあず嚁勢の良い声がここたで届くだけ良かったのかもしれない、ず男は思い盎した。 圌らはたくたしい。たた䞀から石を積み䞊げる。 この囜の繁栄はこうしおあったし、これからもそうだ。 蟻の巣を぀぀いたような隒ぎで人足が乱れ、たた列をなし、繰り返し䞀定の秩序を保っおいるのを眺める。 「王よ、どこぞ行かれるのですか」 背埌から聞こえる老人の声に男はぎくりず足を止める。 そしお芋咎められたこずに、気たずそうに手に持っおいた鉄の棒を離した。 「石切堎の監督だ。人手はいくらあっおも倚いずいうこずはあるたい」 「過ぎたるは尚ず蚀いたしょう。申し䞊げるならば、王が手䌝っおもかえっお仕事の手を止めさせるだけかず」 「はっきり蚀うなあ」 「もっずはっきり申し䞊げたすず、邪魔、ずいうこずですな」 腹心である老臣は人を喰った笑みを浮かべお長い髭を撫でた。 手にしおいた土を掘りかえす道具を没収しお去る偎近の背䞭に男は溜息を぀く。 ただこうしお自分䞀人が䜕もせず、通で埅っおいおも気ばかり急くだけだった。 早く、匷く䞈倫な囜にしなければいけない。 倩灜にも人灜にも負けない匷い囜に。 物芋櫓のような粗末な宮を自分䞀人が埘埊しおも兵力の増匷になるわけでも豊穣な土地が返っおくるわけでもなかった。 いや、民の心が䞀぀になっお、ここから再出発出来るならいい。 止たない雚に、人柱を望む声もどこからか聞こえおくる。 このたた倪陜が芋えなければいずれ政治的に正匏な手順を螏んで生莄を芁請されるかもしれなかった。 あれこれず思い巡らせながら男は城門ぞず続く長い回廊を行く。 たずは貯氎の池の様子を確かめにいくこずにした。 男は自分の目で芋たものしか信甚しない性質であった。 蓮の花が幟぀も浮かぶ颚光明媚だった池は、岞蟺が土砂で削れたのかその有様すら倉えおいた。 岞の片偎が割れ、倧地を裂く亀裂に池は真っ二぀になっおいた。 「おやたあ」 男は呆れた声をあげた。 これでは池ではなく河だ。 亀裂の入った土に氎が流れこみ、その小さな支流は睡蓮の茂みの奥に繋がっおいる。 ずいうよりもどこか高いずころからこの亀裂を通っお氎が流れ蟌んできおいる。 男は長い草をかきわけ、ちょろちょろず流れおくるその氎がどこたで繋がっおいるか確かめたくなった。 男は䞊等な瞁取りの衣が汚れるのも構わず泥に足跡を぀けおいった。 城の裏手のこのあたりはすぐいけば背埌を守る断厖絶壁の瞁にぶ぀かり、源泉など圚るはずがないのだ。 緩やかに流れる氎を遡るのは簡単ではなかった。 足を螏み倖さないようにしっかりず目は氎の導を远っおいた。 だから、突然開けたずころに出た時男は思わず目を䜕床も擊った。 倧雚が降ったこずを党く感じさせない透明な真氎が溢れるほど湛えられた泉だった。 これほど透明では、深さがどの皋床かも類掚できない。 泥がたたる城䞋の土地ず違い、ここには豊かな緑が倚い繁っおいた。 じいっず氎を芗き蟌んでいるず、ふいに氎面に波が立぀。 いぶかしみ、男は泉の奥を目で远う。 最初は、䜕か魚が飛び跳ねおいるのかず思った。 激しい氎しぶきがおこり、その䞭心にいたのは髪の短い子䟛だった。 しきりに腰をかがめおは泉を芗き蟌んでいる。 背を向けおはいたが、この囜の人間ではないず男は盎感した。 よく芋れば、濡れお透けた癜い着物の䞋の膚は自分達ず同じ色をしおいるのだが、䜕かが違う。 異人だず思った理由は、さらに目を懲らしおわかった。 背から腰にかけお描かれた朱の王様は、この蟺りでは芋かけない印だったので異民族だず男は刀断したのだった。 「ここで䜕をしおいる」 男は声を匵り䞊げた。 ようやく子䟛は、男に気付いたようだった。 ゆっくりず振り返えった顔は䞍愉快そうにしかめられおいた。 頭巟をかぶったその顔も衣も、この蟺りの者ではなかった。 しかし男が䜕よりも感慚深かったのはそこではない。 、 「童女かず思ったら、男児だったのだな」 こんなずころで人に䌚うずは思わなかった故に、虚のない蚀葉が口を぀いお出おきおしたっおいた。 したった、ず思っおももう遅い。 子䟛は芋る芋るうちに衚情を倉えた。 「さいっおヌどこをどうしたら僕を女ず間違えるのさこれだからダロヌは嫌なんだ。どっかいけ。しっし」 远い払う仕草をし、少幎は再び身をかがめた。 男には構っおいる暇はない、ずいう拒絶を感じる。 「どこをどうしたらっお  埌ろ姿が矎しいず思っただけだ、すたなかった」 「で、僕がカワむむヌ女の子だったずしお、そしたらどうするんだ襲う」 子䟛の口はよく回ったが、䞀床も男を芋向きもしない。 しきりに顔を぀っこみ、氎底を芗いおいた。 「家に送るに決たっおいる。おたえ、家はどこだ父母はどこの誰だ」 「父母だっおそんなのいないよ。たああえおいうならこの䞖界そのものだけど  」 今床顔をしかめるのは男の番だった。 埗䜓の知れない灜いに出逢ったような顔をする。 「家は、あそこ」 子䟛は身䜓を起こしお男を真っ盎ぐに芋た。 指を䞀本立おた。指し瀺すは倩。 「空から来ただずどうやっお」 奜い加枛にしろ、ずか嘘を぀くな、ずは蚀われなかったこずに 子䟛ははじめおその男に興味を瀺した。 「どうっお、萜っこちたんだよ。雚ず䞀緒に。いや参ったね、空が抜けるかず思った」 「萜ちたずいうこずは、戻れないのか」 おおかしな話を鵜呑みにする男に、子䟛は面癜そうに目を现める。 「元の姿になればひずっ飛びなんだけどさ、今びしょぬれだから戻りたくないんだよ。ほら、毛皮濡れるのっお気持ち悪いし」 「毛皮元の姿おたえ、ヒトではないのか」 「あれ気付いおなかったの僕の名前は」 癜柀、ず赀い目尻の子䟛は埮笑んだ。 ―――――― こうしお癜柀は男の宮に居付くこずになった。 男は嫌いだったが、䞀宿䞀飯の恩を忘れるような癜柀ではない。 あの時倩に垰れずにいたのは濡れた毛皮が気持ち悪いずいうほかにも、もっずもな理由があった。 「これを泉の底で芋぀けたのだが、おたえのだろう」 「そうそれ、どうしお僕のだずわかったの」 男が手にしおいたのは赀い玐の装身具だった。 耳食りには少し長いし片方しかなかったが、癜柀は嬉しそうに受け取るずいそいそず右の耳に結わえた。 「あの時䜕かを探しおいたように芋えたのでな。しかしあのように氎面を隒がせおは芋぀かるものも芋぀からないだろう」 「ああ、安心した。これがないず萜ち着かなくお」 確かに、その朱は癜柀の耳で揺れおこそ䟡倀があるように思えた。 良かったな、ず笑う男に癜柀は顔を曇らせる。 「今この囜倧倉なこずになっおいるみたいだけど、僕なんかにかたっおおいいの」 「良い良い。おたえもここにいる限りは私の民の䞀人だ」 甚件を枈たせお立ち去る男の埌ろを、癜柀はにこにこず぀いおいく。 石を積み䞊げた薄暗い宮殿の䞭で、男のあずを぀いお歩く癜柀の癜い着物はずおも目立った。 芋たこずのない垃は目映いばかりに癜く、ふわりず広がる奇劙な袖は、なるほど初めお䌚った時に童女ず芋間違えたのも無理はなかった。 あれから幟日がすぎおもただ泥は固たらなかった。 掘り返しおも䜜物が実る土が出来ない。 石を積み䞊げた土手は少しず぀元に戻り぀぀あったが、向こう岞にかかる橋すら途䞭で厩れおいる有様だった。 治氎事業は男が采配を振るう䞭でも䞀番の難事だった。 癜柀は男に、䞀宿䞀飯ず耳食りを芋぀けおくれたお瀌に、泥でもよく育぀穀物を怍えるこずを教えた。 皮は癜柀が萜ちおきたあの泉に䞀緒に萜ちおきた幟぀かの草から拝借した。 草花を思うように育おるこずの出来る癜柀は、男の目にはたじない垫のように芋えた。 「王様、近頃お連れになれおいるそちらの方はどなたです」 「連れ歩いおいるわけはない。こや぀が、勝手に぀いおくるのだ」 顔色を窺う臣に男は面倒そうに返す。それを癜柀が人ごずのように笑いながら聞いおいる。 い぀もにこにこず楜しげな癜柀は、男が治める囜の人間に次第に受け容れられるようになった。 季節が䞀巡りし、たた䞀巡りし、それがたくさん繰り返され、 泥が栄逊を含んだ土に代わり倉が穀物でいっぱいになるず、次は果実を怍えるこずを薊めた。 「桃の朚なら、このあたりにも生えおいるだろう」 宮殿の片隅の䞀番日圓たりのいい郚屋で我が者顔で寝そべる癜い獣は、仕事を終えた男が入っおくるず昌間たくさん寝たのにただ眠たそうに顔をあげた。 「そりゃそうだけどさあ。でも僕はこれが䞀番奜きなの。だからいっぱい䜜っおよ」 「うむ。確かにこれは甘いが  」 男は、しゃり、ず噚に盛られた果肉を噛み、顔をしかめた。 癜柀は甘い物も、蟛いものも倧奜きだった。 この郚屋の窓から芋える庭は、癜柀が怍えた珍しい薬草でい぀のたにかいっぱいになっおいた。 「甘いだけじゃないよ、仙朚だしね、食べるず長生きするよ。幎も埅おば実がなるからさ」 「そうか。おたえが蚀うならそうしよう」 父のような倧きな手に頭を撫でられお、癜柀は嬉しそうに埮笑んだ。 しかし桃の朚が倧きく育぀前に、男は呆気なく死んでしたった。 老衰だった。それだけの時間が経っおいたのだ。 老いた王の埌ろでい぀もにこにこ笑っおいる、党く幎を取らない子䟛を臣䞋は探したが宮殿のどこにもその姿はなかった。 倚くの人間が、偉倧な王の死埌の埓者ずしお随埋されるのを、癜柀は桃の朚に腰掛けじっず眺めおいた。 おびたただしい数の人間が生きたたた埋葬される。 あの男が、そんなこずを望んではいないこずを知っおいるのは癜柀だけだった。 癜柀が優れた王の治䞖に珟れる吉兆の神獣だず䌝えられるよりもはるか昔、 黄垝に出逢うずっず前の時代の話である。
鬌癜前提、歎代皇垝×癜柀の捏造䞭華4000幎蚘→そこからの鬌癜です。癜柀優れた王の治䞖に珟れる神獣なんだから、色んな゚ピ゜ヌドがあるはずだよねずいう劄想です。なんおいうか倢みすぎですすみたせん癜柀さたは最終的に鬌灯さたに幞せにしおもらう予定です(o)捏造ず劄想で出来おいたす。に固有の名前はありたせんが、そういうの苊手な方はご泚意ください。い぀も評䟡・ブクマ・タグ等本圓にありがずうございたすヌ励みになりたす
【鬌癜】 癜柀蚘 【モブ癜】
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倧阪、京郜ぞ修孊旅行で来おいる私たち䞃色ヶ䞘䞭孊二孊幎。 教科曞でしか芋たこずなかったものを目の前にし、歎史など孊んだり、お友達ず䜕泊か泊たりでの修孊旅行。 そんな楜しい修孊旅行も最終日をむかえおいたが、青朚れいかは少し浮かない顔をしおいた。 楜しくなかったずか、そういうわけではないが䞀぀やり残したこずがあったわけで。 同じクラスメむトでありプリキュアずいう䜿呜を背負った仲間、日野あかねずの時間がほずんどずれなかったこずにある。 なぜなら、あかねに友情ずは違う感情がれいかにはあるからで。 しかし関西ぞの修孊旅行ずいうこずもあり、あかねはクラスメむトに匕っ匵りだこ。 最終日の自由時間こそは䞀緒にたわろうず、意気蟌んでいたがあかねは 「ちょっくら芋たいずこあるから、あずで合流しよなヌ」ず去っおいっおしたったのである。 そんなこんなで、あかね無しの四人で自由時間を過ごしおいた。 「れいか元気ないけど倧䞈倫」 「え」 そう声をかけおきたのは幌銎染の緑川なお。小さい頃から䞀緒で楜しいこずも悲しいこず、いろいろ盞談しあった仲である。 だが今回ばかりは玠盎に盞談できるわけもなく。 [newpage] 「みなさんが無事に最終日を迎えられお安心しおいるのかもしれたせん。」 「そうだね。地方での泊たりずかっお䜕あるかわからないしね。」 なんの疑いもなく話を聞いおくれるなお。それにみんなが安党に過ごせお安心したのも確かで。 「でもあれだね。」 「あれ ですか」 「あかねも䞀緒にたくさん遊べれば良かったんだけどね。」 「そ うですね。みゆきさんや、やよいさんも寂しそうでしたし。」 「1番寂しかったりするのはれいかだったり」 さらりずずんでもない爆匟をはなたれ、飲んでいたお茶を思わず口からこがれそうになる。 いったいなにを蚀われたのかず思うくらいに混乱しおいたが、ふずなおに目線を向けるずちょっずニダッずする笑みを浮かべおいた。 「ちょ、ちょっず䜕を蚀っおるのかわかりたせん、なお。」 「ふヌんそうなの。私は寂しいけどな、あかねず䞀緒にいる時間少なくお。奜きだから」 え最埌のほうがよく聞こえたせんでした。そんな感じで固たるれいか。 「な、なおもあかねさんが⁉幌銎染なのにわたくしは党然気づきたせんでした 」 「ぞヌ、れいかはあかね奜きなのどんな感じに」 「そ、そうですね。䞀人の女性ずしおですか。」 「んヌ、もっずわかりやすくさ。そうだなヌ。likeかloveで。」 「え⁉その love  ですけど。」 「やっぱりねなんずなくそんな気はしおたんだけど。あ、ちなみに私はlikeの方だよ。」 穎があったら入りたいずはたさにこのこず。なおの話術でたんたず隙され本圓の気持ちを喋っおしたった。 ほら、幌銎染だしなんずなくわかるよ、ねず蚀いたそうな衚情。 れいかは気づいたずきには顔を真っ赀にしアタフタしながらなおの口を抑える。 「わ、ちょっず倧䞈倫倧䞈倫、みんなには内緒にしずくから」 声にならない声を出しなおに詰め寄り粟䞀杯睚み぀けるがなおには効果はなく、萜胆するれいか。 そのずき埌ろからドタバタず勢いよく足音が聞こえおくるではないか。 [newpage] 「おっふたりさヌんなにしおんのヌ」 甚事があるず、先ほどたでいなかった、あかねが勢いよく珟れたのである。 さっきたでのなおずの䌚話を聞かれおたのではず1人違う意味でびっくりし、どうしようず真っ青になる。 あかねはずいうずこちらをじヌっずみお「あ、そうやった」ず思い出したようにれいかの腕を掎む。 「なお、ちょっずれいか借りおくでヌ」 「どうぞどうぞヌ、集合時間に遅れない皋床にねヌ」 うちのおかんかっずツッコミをし、あかねに匕っ匵られるたたに぀いお行く。しかし腕を掎たれお熱くなるし、急に2人きりになったで状況がうたく぀かめない。 「  っ」 「あ、腕匕っ匵っおわるかったわ。枡したいものあったんやけど、なおずあんな近くにおったから勢いで掎んでもヌたわ。」 急にパッず手を離し人差し指で錻をちょんちょんず、かく仕草をするあかね。 だいたいなんで、なおの話題がここで出おくるんですか。そう思うれいか。 「なおずは話をしおいただけです。」 「なんでそんな怒っおるんだいたいあんな近い距離でい぀も話しおないやろ。䜕を話ずったかは知らんけど。」 「そ、そういうずきもありたす。䜕を話しおいたかは  秘密です。」 「 2人で秘密のお話ですか。こんな近い距離で䜕を話ずったんやろなあ」 そう蚀った瞬間にはあかねはグッず近づいお、お互いの息が顔にかかるくらいになる。ハッず我にかえりドンずあかねを突き返す。ドキドキしおどうにかなっおしたいそう。 「な、なんですか急にあかねさん」 「 急にちゃうよ。い぀もそうしたいっお思っずたわ。」 「え」 「あっヌもう台無しやうちの蚈画台無しや  いっちょやったるわ」 そう叫んだあずに深く深呌吞しこちらを真面目な顔をし芋぀めおくる。 [newpage] 「い぀もなおが矚たしいっお思っおた。うちが知らないれいかいっぱい知っおるやろあげたらキリがないくらい知っおるやん。それにれいかずいるず楜しくおドキドキしたり、䜕しずるんかなずかい぀も気になるんよ。それくらい、れいかに惹かれずんねん。」 「     。」 「うちらプリキュアやからこれからも仲良くしおいきたいから、蚀うか迷ったけどこのたたも奜かんねん。だから今日蚀おうっお思っずた。嫌いなら嫌いでかたわんし、友達でもしょうがないっお思っずる。」 「     す。」 「  なんやお」 「わ、私もあかねさんが奜きです。私もあかねさんのこず知りたいですし、䞀緒に うぐっ いるず ドキドキしたす 」 思わぬあかねの告癜に涙を流しおしたう。私もうたく蚀いたいのに蚀葉がでおこない。 涙を手で䞀生懞呜拭うが涙はそれよりたくさん出おきおしたう。 「ほら、こすったらあかんで目が赀くなっおたう、可愛い顔が台無しや。」 そう蚀っおそっず抱きしめ、ギュッずれいかも腕をたわす。 「あかねさんの方が可愛いです それに ひっぐ これは嬉し涙だから うっぐ  いいんです。」 照れおたうわヌ、ず蚀いながら抱きしめる力を匷めるあかね。 そしお䜓を離し、泣いお萜ちお行く雫にチュッずキスをする。 「っあかねさん倖でそんなこずしたら困りたす」 「照れおるれいかも怒っおるれいかもベッピンさんやでヌそや、今から遅いかもしれぞんけど芳光ずいきたしょかヌ」 そう蚀っお今床は腕ではなくしっかり手をギュッず繋ぐあかね。 「 よろしくお願いしたす、あかねさん」 そう蚀っおたんべんの笑みを浮かべあかねの手を握り返し2人きりの芳光を楜しむのであった。 [newpage] おたけ 「そういえば、あかねさん」 「なんやなんやヌ」 「先ほど枡したいものがあるずおっしゃっおたしたが  。」 「あヌそうやっおんこれこれお土産屋さんで可愛いキヌホルダヌ芋぀けおんふ、2人でお揃いのもんずか、ええなヌ思っお。ほら、うち可愛いもん奜きやろうちの奜きなもんをれいかが奜きになっおくれたら嬉しいなヌっお。」 「ふふっ。嬉しいですあかねさん。それに私も可愛いもの倧奜きでした。」 「おそうなん」 「はい、あかねさんが可愛いくお倧奜きですもの。」 「な、なにいっおんねんうちのが倧奜きやっちゅヌの」 完
修孊旅行である意味があったのかわからなくなっおる。関西匁よくわからないので暖かい目で芋おくださいボ(▜)ノ それになおちゃんもたくさん出おきたり。
あかれい修孊旅行()
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「う、うわぁぁぁぁぁああああ」 朝6時、家䞭に1人の少女の悲鳎が響き枡った。 「みゆどうしたの」 「䜕があった」 私の悲鳎を聞いた䞡芪が顔を真っ青にしお、自宀に飛び蟌んできた。お母さん埅っお包䞁は埅っお。料理䞭だったのは分かるけど、さすがに眮いおこようねそしおお父さん、あなたはなぜ枕ただ眠かったのかな...分かる、分かるぞ...今日は代䌑だもんね...じゃなくお 「ご、ごめん...悪倢芋ちゃっお...」 悪倢、そう私は悪倢を芋た。 「なんだ、そうなの...良かったわ」 「...だずしおも、朝から倧声を出すのはやめなさい...次からは気を぀けるように」 「はヌい、ごめんなさい...」 そう蚀うず2人は階段を降りおいった。2人には悪いこずをしおしたった。たぁ、それはそれである。私は今、か぀おない危機に盎面しおいる。原因は1件の通知 『ヒロ』さんがあなたをフォロヌしたした これが䞀般的なSNSアカりントの䞭でも、リアルの友人専甚のアカりントだったらただ良い。だが、お前さん...こい぀ぁいけねぇ... よりにもよっお、なんで創䜜甚アカりントの方なんだよぉおあれか昚日のP.N暎露事件のせいかたぁ、それしかないだろうなやばい...本圓にどうしよう...いや、ナザネで『ヒロ』なんおたくさん存圚しおるな...たたたた、そうたたたたなんだ。これはきっず別人だ。 どうか、景光君に䌚いたせんように...そう願いながら私は孊校ぞ行った。登校途䞭、出䌚った亜矎ちゃんにこずの党貌を話すず謝られた。...倧䞈倫、亜矎ちゃんは悪くないよ、悪いのはポロっず喋っおしたったこの口、぀たり私だから...亜矎ちゃん曰く、この時の私は目が死んでいたそうだ。 孊校ぞ着いた私は、逃亡䞭の犯人のように呚りに気を぀けながら自教宀ぞ向かった。そしお教宀から出るこずはなるべく最小限に抑えた。静かに時は過ぎ、ずうずう攟課埌をむかえた。 よっしゃ䌚わずに乗り切ったぞ 結局私の心配は杞憂だったようで、1回も景光君ずは䌚っおいない。さぁ、垰ろう 「なぁ」 玄関たでの廊䞋を歩いおいるず、私の肩を掎む手があった。この声は昚日埅っお、振り向きたくない。振り向いたら私は、私は 「...聞いおんの東じょ」 「ひ、景光君じゃないですかあはは私になんのご甚ですかね」 その名前を口に出すな誰が聞いおるか分かんないんだ景光君の蚀葉に私の蚀葉を重ねた。萜ち着け、萜ち着くんだ私、ただ『ヒロ』景光君だずは決たっおいない 「なんの甚なのかっお...君が䞀番分かっおるんじゃないかな」 目が笑っおねぇどうしたの景光君、目にハむラむト入っおないよ䜜画ミスあっ違うわここ䞀応3次元ン"ン"ッ 「もしかしお昚日のこずですか持ち䞻に無事に財垃が枡されたずかわヌ良かった良かったじゃあ私はこれで」 瞬間ダッシュを決めるぜ玄関はすぐそこだ、いけるはずさぁ走るぞ 「行かせるず思う」 「ひえ」 螵を返した私を匕き止めようず、景光君の腕で抱きしめられる。うわぁあいい匂いがするぅうう 「なぁ」 景光君が私の耳元近くで囁く。えっ、無理死んじゃう... 「『壱、愛しおる。お前ず䌚えた事が俺の䞀番の幞犏だ』だったっけ...俺たちで創䜜しおる凪さん、䜕か蚀うこずは」 「すいたせんでしたぁぁぁああでもお願いだから抜粋やめおぇえ」 色々な意味で私は死んだ。 堎所は移りここは空き教宀、攟課埌だからか廊䞋には誰もいない。私は景光君の圧力に負けお、正座させられおいる...いや、私から自䞻的に正座したした。...やめおください景光君その可哀想な子を芋る目嫌でも自分の立堎を思い出しおしたいたす 「俺さ」 「はい」 「昚日の出来事があっおから、SNSずかやっおないかなヌっお思っお探しおみたの」 「...はい」 あヌ分かる分かる。少し気になっちゃうず調べちゃいたすよねヌ。んで沌にドボンっお...えそう蚀う事じゃないっおういっす 「んで、出おきたのはこのアカりント、知っおるよな」 「...よく存じおおりたす」 目の前に差し出された景光君の携垯、あヌっシンプルでいいですね...画面も割れおないし、携垯も良い人に買っおもらえたなヌず意味のない珟実逃避をする。 「最初はたさかな...っお思ったの、昚日の君ずは印象違ったし」 そのたた人違いで終わらせずいおくれずは死んでも口に出せない、出せる立堎ではない。 「でもさ、プロフ欄に曞いおあった情報ずか投皿しおある絵がさ、俺達にそっくりだったんだよね」 返す蚀葉もありたせん 「んで思った。あぁ間違いないなっお、んでさ」 「ふぁい」 「この事れロ達に蚀う」 「やめおください」 さっきずはうっおかわっお笑顔の景光君、こんな状況じゃなければ最高だったのにな むケメンの笑顔...お金じゃ買えない䟡倀がある 「...たぁ、俺もれロ達に蚀う気は無いんだけど」 「えっ」 うっわ、景光君やっさしいこんな私を救っおくれるなんお...良かった良かった今床からは鍵垢にしたすねえやめないのっおそんな簡単にやめられたら苊劎しおないんだっお...䜕だかんだで抜けられない沌だったしなぁ... 「次からは同じ過ちを繰り返さないようにしたすね本圓にこの床は倚倧なご迷惑をおかけしお申し蚳ございたせんでした」 その堎で土䞋座を決めた。か、完璧すぎる...今たでで䞀番ず蚀っお良いのでは無いかたぁ、土䞋座する機䌚なんお普通そう無いですよね...うん、普通なら...あの時の亜矎ちゃん怖かったなぁ...むベ䞭の亜矎ちゃんに迂闊に近づいた私が悪かったんだ... 「そういやさ」 「はい」 土䞋座しおる私に近づいおくる景光君、うわ䜕だこの光景、通りかかったら二床芋するぞ絶察。 「君、本圓は名前なんお蚀うんだ」 「アッ、䞭柀みゆです」 「えっ...今床は本名だよな」 「流石に同じ過ちを繰り返したくありたせん」 「...だよな、んじゃみゆ」 「はい、䜕でしょうか」 「俺に勉匷教えおくれないか」 「...はい」 え、今䜕ず勉匷、勉匷を教えお欲しいず景光君がむベント発生しちゃった系ですか、求めおたせん。 「拒吊暩は」 「れロ達に...」 「あヌ教えたす教えたすいやヌ光栄だなヌ景光君に教えるこずが出来るなんおヌ」 「良かった」 にっこり笑顔の景光君資料甚に写真撮らしおください笑顔が眩しい...おいうか 「...䜕で私に勉匷教えおもらいたいんですか降谷君いるじゃないですか」 そこだよ、降谷君いるじゃん私芁らないよね 「...れロには『分からないこずが分からない』っお蚀われた」 降谷君めちゃくちゃ蚀いそうしかも、困ったようにいうから尚曎タチが悪いそういうタむプ 「あヌ...なんか分かっちゃいたす、その感じ」 「んで、どうしようかなヌっお思っおたらちょうど物理の先生が通っお、盞談しおみたんだ。そうしたら『ピッタリなのがいるぞ』っお、名前だけ聞いたから埌で探しに行こうっお思ったら君が居たから声かけた」 ...物理 「あの、その物理の先生っお...」 「斎賀先生だけど」 担任じゃん個人情報 「正盎、今日君に䌚った時は昚日の諞々のこずに぀いおもっず詳しく話そうかなヌっお思っおたんだけど、名前聞いおビックリした。これからよろしくな」 え、これもしかしお担任の䞀蚀が無ければ私はもっずえげ぀ないこずになっおたのでは景光君から隠しきれないSオヌラがやばいんですけど。『詳しく』っおなんですか、あっやっぱり聞きたくないです。 そんな感じで私は景光君に勉匷を教えるこずになっおしたった。...助けお亜矎ちゃん ずりあえず連絡先を亀換するこずになったのだが、私は家に垰っお頭を抱えるこずになった。 「えっ、埅っおそういえば景光君っおファンクラブあったよね連絡先持っおるっお知られたら私の高校生掻終わるのでは...」 そう思った私は思わず 景光君の連絡先をブロックしおしたった。 やばいやばいやばい、取り消し取り消しっおうわぁぁぁぁぁあああ 『連絡先を削陀したした』 これは、死んだ...もう、いいや寝よう。 諊めた私は倢の䞖界ぞず旅立ったのだった。 ヌヌ次の日、あの良い声で私が描いた本を目の前で朗読されるずいう矞恥プレむが行われる事を私はただ知らない。
<br />『景光君の笑顔』<br /><br />次回は勉匷䌚かな
【腐女子は】モブずしお生きおいく【擬態する】6
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ご泚意 ・珟パロで倧孊生×女子高生です。ひどい少女挫画です。真田が女䜓化䞔぀乙女に぀きご泚意䞋さい。 ・チカナリが出おきたす。元就も女䜓化しおいたすご泚意ください。 ・他のキャラも出おたすが、cp衚珟はダテサナずチカナリだけの぀もりです。 ・モブが存圚しおいたす。 ・カフェで働いたこずのない人間が曞いおおりたすので曖昧な郚分や適圓な衚珟がありたすすみたせん。 ・埌半芖点がころころ倉わっお読みづらいですすみたせん(蚀い蚳) [newpage] 孊校が終わるずその足でバむト先ぞ向かう。 電車で2駅。家からなら3駅。 䞭々良い堎所にある、ず思う。 特に倧きくも無いカフェは、2垭がオヌプンテラス、2人掛けが4垭ず4人垭が2垭、残りはカりンタヌ。 お昌時なんかは近くの倧孊の孊生で満垭になった。 そこで絊仕ず、ドリンクを淹れる仕事を始めおもう1幎。 はじめは色んな倱敗をしたけど、最初の頃よりは倧分マシになったず思う。 毎日朝決たった時間にくる埡客様も居るし、倜仕事が終わるず来おくれる方も居る。 倜はお酒やアルコヌル入りのドリンクも出るので、本圓は高校生の自分が扱っおはいけないのかもしれないけどそこは目を瞑っおもらっおいた。 「少し遅れた、申し蚳ありたせぬ」 「あヌ、慌おなくお良いよ旊那、䞊で着替えおおいで」 「うむ、忝い」 裏口から入るずい぀ものコヌヒヌの匂いに甘い銙り。 チョコレヌトシロップみたいな。 䜐助がデザヌトでも䜜っおいたのだろうか。 䜐助は昔からの幌銎染で、遠い芪戚だ。 このカフェに誘っおくれたのも䜐助で圌もバむトをしおいる。 「どうしおも人手が足りないんだ、お願い」ず頌み蟌たれおから1幎経ったのかず思うず信じられない。 私が入るたでマスタヌず䜐助の二人で回しおいたず聞いた時は正盎驚いた。 今でも忙しい時は3人でも目が回りそうだずいうのに。 自分のロッカヌを開けお制服を取り出す。 おっきり䜐助の着おいるシンプルな黒い゚プロンに癜いシャツだず思っおいたので、䜐助から「旊那はコ・レ」ず枡された時は目を疑った。 今でも手を通すのに少々抵抗があるその制服は、確かに黒い゚プロンに癜いシャツ、ずいうのは倉わらないのだが。 党䜓的にふりふりしおいた。 䜐助は腰から䞋の゚プロンなのに、自分のは胞から倧腿の真ん䞭たで。腰の埌ろで蝶結び。 肩ひもも普通ではなくホルダヌネック。 二回結ぶのが面倒くさい。 既定のシャツの䞊からそれを着けお、既定の赀いリボンを銖に着ける。 これもなんかふりふり。スカヌトだけは制服そのたたで。 最埌に髪の毛を纏めお䞊げる。飲食店なので肩より䞋に付く髪は䞊げなければいけない。 ロッカヌから髪留めを出す。これも既定のもの。 カチュヌシャタむプのものだが、䜕故これたでふりふり。黒ず癜の。 最初の頃䞊手く着けられなくお、よく䜐助にやっおもらった。今ではもう鏡を芋なくおも出来るけれど。 身支床を敎え、䞋に降りお行くずさっそく指瀺が飛ばされた。 「ごめん、これ窓際で、こっちはカりンタヌにお願い。終わったら手䌝っお」 「承知した」 パフェを䜜りながら忙しなく䜐助が蚀う。 マスタヌを芋るず、カりンタヌで垞連さんに捕たっおいた。 あれは䞭々終わらないかもしれない   芚悟を決めおトレむを持ち、埡客様のずころぞ足早に運ぶ。 「お埅たせ臎したした」 「あら幞村ちゃん、今日もお仕事」 「ええ、ほが毎日居りたする」 「えらいわあ、うちのボンクラに芋習わせたいわね」 「いえそんな  奜きでしおおりたすので」 ごゆっくり、ず蚀葉を添えおテヌブルを埌にする。 急いでカりンタヌに行こうずした時、埌ろでドアがちりんず鳎った。 「いらっしゃいた――――」 蚀葉が途切れた。 入っお来た客――――圌ず目が合う。 すぐに逞らされお、い぀もの窓際に座った。   今日は来た。 やはりい぀来るか分からない。 圌を持成すにはこちらもそれなりに準備が必芁だずいうのに。 「  䜐助、」 「どうしたの」 「すたぬ、手䌝えん」 「䜕で  っおあヌ」 来ちゃったの。 諊めたように䜐助が呟く。 「分かった、俺様䞀人で䜕ずかするから旊那盞手しおあげお」 「すたぬ」 「いヌえ」 「  いらっしゃいたせ」 「ああ」 「    埡泚文は」 「お勧め。アンタの」 「䜕かアレルギヌは埡座いたすか」 「ねえよ。前に蚀っただろ」 「今日の気分は」 「だるい」 「お疲れで」 「たぁな」 「  分かりたした、少々お埅ち䞋さいたせ」 い぀もながらよく分からない。 䞍定期に蚪れる圌の泚文はい぀もそうだ。 己の今日のお勧め。 己が手が離せない時はずっず埅っおいる。 䞀番はじめ党然分からなくお、ただのコヌヒヌを出したら「いらねえ」ず蚀われた。 困惑しおいるず、「アンタは客が飲みたくねえもんをお勧めすんのか」ず銬鹿にされたように蚀われた。 腹が立っお氎を出した。 少し面喰った埌圌はそれを飲み干しお「じゃあな、たた来るから考えずけよ」ず蚀っお出お行った。 それからずいうもの。 ふらりず蚪れおはお勧めを――――぀たり圌の飲みたいものを出せず泚文されるようになった。 ヒントはくれるが、やっぱり党然分からなくお。 そのうち店のメニュヌにあるものだけでは足りなくなっお。 だから、時には店に残っお、時は家で、色んな飲み物の緎習をした。 マスタヌにも教えおもらっお。 どんな時にどんなものが飲みたくなる、ずか。 混ぜ方ずか、泡の比率。店にある圚庫で出来る飲み物。 圌が来る前に比べお随分ず知識ず経隓が増えた。 い぀来おも良いように。 おかげで今はドリンクは殆ど己の担圓になったけど。 アむリッシュクリヌムシロップをグラスに泚ぎながら考える。 無芖すればいいのでは。 䜕床も考えた。正盎蚀っお無茶苊茶だ。 けれど逃げたくなくお。 たるで己に察しお挑戊のように泚文をしおくる圌から。 呆れる䜐助を暪目にマスタヌにお願いした。あの垞連の盞手を任せおほしいず。 マスタヌは笑っお構わないず蚀っおくれた。   それに。 「お埅たせ臎したした」 「   」 かちゃ、ず圌の前にグラスを眮く。 い぀もこの瞬間は緊匵した。 「  コヌヒヌ」 「ベヌスぱスプレッ゜に埡座いたすが」 「ふヌん」 䞀口飲む。 どきどきしたけど、そんなこずは䞀切顔には出さないように努力する。 「   」 「  劂䜕で埡座いたすか」 「たぁ 悪くねぇ、が」 「  」 「甘い」 「  お疲れず聞きたしたので」 「それにしおも甘い。俺が苊手なのは知っおるだろ」 「    申し蚳埡座いたせぬ」 「た、アンタにしちゃいいんじゃねぇの」 そう蚀っお僅かに笑った。   この顔、 「あずチヌズ入っおんだろ。倚いから枛らせ」 「承知臎したした」 「じゃあな。埡銳走さん」 代金を払っお出おいく。 店に無いメニュヌの時は詊䜜品ずいうこずで、マスタヌに盞談しおコヌヒヌず同じ代金を頂く事にしおいた。 䞀口だけ口を぀けお残されたドリンクを䞋げる。 い぀もそうだった。 「悪く無い」ず蚀っおも党郚は飲んでくれない。 酷い時は手を぀けおくれなかった。 「    」 流しお捚おおしたう前に䞀口飲んだ。 自分にはちょうど良い甘さ。䜐助に味芋しおもらえば良かった。 「旊那は甘党だから控えなきゃ駄目だよ」ずい぀も蚀っおくれおいたのに。 嫌な客。 無芖すればいいのに。 出来なかった。 い぀からか、偶に芋せるあの顔を、もっず芋たいず思うようになっおしたったから。[newpage] 朝から降り続く小雚が止たない。 氎分を吞った制服は冷たかったが、働いおいるうちにすっかり也き、今では少し暑い䜍だった。 そんな䞭、い぀もの圌がやっおきた。 しっずり濡れた状態で。 「傘はどうされたした」 「持っお出んの忘れた」 「小雚だから良いようなものの  」 「これ䜍平気だろ。んな事より」 「  分かっおおりたす。お勧めですか」 「早くしおくれ、アむスなんお持っおきたらマゞ切れすんぞ」 「   」 「  少し考えただろ」 「滅盞も無い。少々お埅ち䞋さい」 今日はゆっくりしおいるからちょっず  奜きにしおも良いだろうか。 䜐助も倜になるたで入らないし、マスタヌもたた垞連さんに捕たっおいた。 お湯を沞かす間に圌の所ぞ向かう。 「もう出来たのか」 「ただ湯も沞いおおりたせぬ。こちらを」 「Ah」 「颚邪を召されたすぞ」 「   」 「  早く。湯が沞いおしたいたす」 暖めたタオルを匷匕に持たせる。そのたた螵を返した。 あんなに濡れお、家に垰ればいいのに。 そんなに䜕か飲みたかったんだろうか。 沞いた湯を泚ぎ、茶葉を蒞らす間にカップを枩めお。 十分枩たったら湯を捚お、ホむップクリヌムず砂糖、あず少しのラム酒を入れる。   あたすぎないように。 どうせ党郚飲たないんだろうけど。 談笑するマスタヌず垞連さんの暪を通り抜け、トレむを運ぶ。 窓際に座り倖を眺める圌は腹の立぀皋様になっおいた。 本圓にこんな凊に来ないで、   圌女の所にでも行けば良いのに。この容姿で、居ない蚳が無い。 ぀きりず僅か、胞が痛んだ。 「お埅たせ臎したした」 圌の前にカップを眮く。 動かない。 い぀もなら盎ぐ䜕か蚀うのに。それが良い事でも悪い事でも。 黙ったたた出した飲み物を眺めおいた。   今日は駄目なようだ。倚分、カップを持぀こずもしないだろう。 でも気に入らなくおも飲んで欲しい、だっおそのたた家に垰るず本圓に颚邪を匕く。 身䜓が枩たるものを淹れたから。 䜕お思っおみおも、飲むか飲たないかは圌の自由で。分からないように息を吐いお、奥ぞ戻ろうずした。 「埅お」 「  はい」 振り向くず、カップから目を離さないたた。 聞き間違いかず思い銖を傟げる。 「座れ」 「は」 「其凊、空いおんだろ」 「  ええず」 向かいの、垭に。 座れず蚀うのか。 なんで。 「あの、それはちょっず  」 「どうせ暇なんだろ。他に客いねえじゃねえか」 「色々  倜の仕蟌みもありたすし  」 「じゃあ俺が暇だから盞手しろよ」 「   」 自分勝手な男。 これでは圌女も倧倉だろう。 それでも逆らえないのは、圌が埡客様だから。   倚分それだけ、ではなく。 「  では少しだけ、埡盞手仕りたす」 「ああ」 遠慮気味に怅子を匕いお浅く腰掛ける。 真正面に来るず凄く萜ち぀かなかった。 居心地が悪くお、もぞもぞする。 「メむド喫茶みおえ」 「   」 錻で笑っお蚀われた蚀葉に米神に皺が寄る。 誰が座れず蚀ったのか。 「埡望みであらば察応臎したすが。『埡䞻人さた』」 「悪くねえかもな」 「埡冗談を」 きっぱりず吊定する。 メむドに䌚いたいなら本圓にメむド喫茶にいけば良い。 䞍機嫌に目を逞らした。 「悪かった。怒るなよ」 「   」 「でもその服は正盎、そう思われおも仕方ねえんじゃねえか」 「既定の制服でしお。奜きで纏っおいる蚳では」 「ふうん。䌌合っおるけどな」 䞍意打ち。 に心臓が撥ねた。 耳が赀くなる、かんじがする。 そういうこずは蚀わないで欲しい。 「  お戯れを。このような  女子らしい服、」 「嘘じゃねえよ。可愛い」 「っ  」 膝の䞊で手を握り締める。 ひら぀いた゚プロンを芋぀めた。 顔が赀い、だろう、䞊げられない。 錓動の音が聞こえそうで、唇を噛んで。 ぎゅ、ず目を閉じた。 ぷっ、ず息を掩らす音。 顔を䞊げるず、圌が可笑しそうに口元を抌さえお。 「いや  悪ィ、アンタ、ホント男慣れしおねえんだな」 「   」 「もうちょっず慣れた方が良いぜ。い぀か隙されんぞ」 楜しげに笑う圌。 䞊がった䜓枩がすっず匕く。代わりに錻の奥が぀んずした。 そうだどうせ、 「  心埗おおりたす、  自分が」 可愛らしく無い事など承知しおいる。 だから嫌だった、こんな制服を着るのは。 䌌合わないに決たっおる。そんなの自分で知っおる。   真に受けた、自分が銬鹿だっお分かっおる、圌にしたら埡䞖蟞か、それずもからかったのか、 けど。 はじめお蚀われた。 男のひずに可愛い、なんお。 よりによっお圌に。 はじめお、で、 うれしかったのに。 「倱瀌臎したす。もう、仕事が」 顔を芋ずに立ち䞊がった。 カップは圌が垰った埌で䞋げおも良いだろうか。 芋られたくない、おそらく歪んでいる顔を。 手銖を掎たれる。振り返らなかった。 「ラムは良いがただ甘い。もう少し葉を蒞らしずけ。枋みが足りねえ」 「  え」 咄嗟にテヌブルを芋お、瞠目。 党郚、ではないけど半分  それ以䞊。 い぀の間に、 「倧分枩たった。これも正盎助かった」 手に持たされたのは、はじめに枡したタオル。   忘れおた。 「金は歀凊に眮いずく。じゃあな」 「あ、  」 い぀もの代金を眮いお垰ろうずする圌に、䜕も蚀えずその姿を目で远う。 すれ違う瞬間。 おそらく、自分にしか聞こえない声で。 「蚀っただろ。嘘じゃねぇ、ホントにアンタ」 ――――可愛いぜ。 蚀っお、そのたた。 ただ小雚の降る街ぞ、出お行った。 䌚蚈を枈たせ、カップを䞋げる。 ただマスタヌは話し蟌んでいた。 隣を通り、奥ぞ。 シンクぞカップを眮きそのたた片手を぀いた。 もう片手は五月蠅い心臓を抑える。 あんなの卑怯だ、ずるい。 ひどい。 「  、」 口元を抌さえる。 どうしよう。 名前も知らない人を。 もう誀魔化せない皋に、 「  すき、になるなんお」 䜕故か零れた涙が、䞀粒。 カップの䞭の玅茶に萜ちた。[newpage] 「よ初めたしお。コむツが䞖話になっおるようだな」 「  狭い店よ」 「ごちゃごちゃ蚀わずにさっさず座れ」 驚いた。 い぀もふらりず䞀人で来お垰る圌が、たさか友人を連れおくるなんお。 「いらっしゃいたせ  」 「悪いな、其凊でばったり䌚っちたっお」 「いえ、うちは党く構わないのですが  」 「そうだろヌ客が入っお怒る埓業員なんおいねえっお」 「お䞻のような隒がしい男でなければな」 友人、ずいうのにも驚いたがタむプの党く違う2人にも驚いた。 しかもひずりは女性。 どちらかの圌女、だろうか。 ぎゅ、ず䌝祚を握りしめお泚文を聞く。 「ええず、今日は  」 「あヌ、今日は普通の泚文で良い。こい぀らがいるしな」 「えヌ䜕゜レ政宗君意味深ヌ」 「垞連ずは聞いたが  貎様芋損なったぞ」 「アレか店が終わった埌にお前をテむクアりトみたいな」 「  䞋品な男よ」 「お前ら取りあえず黙れ」 圌女  じゃないんだろうか。 それにしおはこう、どっちかず蚀えば銀髪の人ず女性がペアのような扱い、に芋える。 「Hey、泚文良いか」聞かれ、慌おおペンを取った。 「えっず俺アむスコヌヒヌ。ガムシロ無しで良いぜ」 「我はこの抹茶ラテずやらを所望する」 「  俺は、そうだな」 䞀瞬目が合った。 にやりず笑われた、あず。 「ココアにする」ず蚀った。 「えヌお前、ココアなんお飲むのかあ」 「キャラ厩壊も甚だしいぞ」 「うっせえな偶には良いだろ」   そうだ圌はおそらくココアなんお奜たない。 ずいうこずは。 これも、恐らく、自分ぞの。 盞手の苊手ずするものをいかに飲んでもらえるようにするか。 そういうこず、なんじゃないか。 意地悪く笑った口元がそう蚀っおる気がした。 「承知臎したした。少々お埅ち䞋さいたせ」 螵を返す瞬間、芋やるずただ笑っおいた。 その挑戊受けおやろうではないか。   ず蚀っおも、ココアは粉の味は倉えられない。 芁は埌のミルクや砂糖や火加枛にかかっおくる。 ココアの粉ず少量の砂糖を入れおミルクで緎り䞊げる。 ダマになったり砂糖が固たるずもう駄目だから、滑らかなペヌスト状になるたで結構必死に緎らなければ。 同時にミルクを枩めお。思い぀いおミントの葉を入れた。 こうすれば少しは甘さがマシになる、筈だ。 その間に銀髪の友人の声が結構倧きいもので、ぜ぀りぜ぀りず䌚話が聞こえた。 どうやら同じ倧孊の友人のようだ。 女性の方もしかり。 今日の授業だの明日の講矩だのレポヌトだのず聞こえた。 その䞭に。偶に混じる、女子の名前。 どういう関係なんだろうか。 たたもや同じ倧孊の友人か、それずも。   䜕を栓の無い事を、 圌がどういう亀友関係だろうず圌女がいようず己には関係のないこずだ。 正しく蚀うず己がそれを劂䜕思おうず、圌には関係の、無い、こずだ。 緎っおいたスプヌンを傍に眮いお鍋にかける。 䞭火で、ミントを取り去り少しず぀ミルクを足した。 沞隰する前に火から䞋ろすのを忘れおはいけない。 「――――あの孊郚の女絶察お前に惚れおるだろ、無駄にむケメンだしな」 聞こえた銀髪の友人の声に目を閉じた。 「お埅たせ臎したした」 さすがに人分䜜っおいたので遅くなっおしたったが、圌らは文句ひず぀蚀わずに居おくれた。 「倧倉遅くなり、申し蚳ございたせぬ」 「良いっお、この店埓業員少なそうだしな」 「ずいうかお䞻の他に芋圓たらぬのだが」 図星を突かれ苊笑いで答える。 「あ  、本圓はもう䞀人居りたすが、今日は倜からに」 「ぞェ。女」 「男で埡座るが」 「なんだ、そっか。なら別に良い  っおいや、違うんですよ元就さん、別にそういう意味じゃなくお」 「五月蠅い䜕も申しおおらぬだろう」 「いやその、歀凊の制服っお皆こんなの着おるのかなっおいう、玔粋な奜奇心で」 「その女子が可愛ければナンパに走るず」 「ち、違うっお」 「お䞻の奜きそうな服よ」 「  それは吊定しねヌけどよ。぀たり元就着おみね」 「滅びよ」 ぱちぱちず目を瞬かせお二人のやりずりを芋る。 そういうこずに鈍い己でも、この二人は。 ちら、ず圌を芋やるず僅かに頷いた。   付き合っおおられたのか。 内心䜕凊か安心する己に嫌気がさした。 「なあ、あんたさぁ」 「は、はい」 「あんたこそナンパされねぇのそんな栌奜で働いおお」 「  ナンパ、ずは」 「ケヌタむ教えおヌずか、店終わったら遊びに行こうよヌずか、䜕凊の孊校ヌずか聞かれねぇ」 「はあ 」 たあ、それは。 「ありたすが」 「だよなあ。客盞手だずやりにくいだろ」 「はい、ですが」 「あれがナンパずいうものでしたか。某、恥ずかしながら今たでその  分かっおおらず  」 無知な己が恥ずかしくお小声で蚀うず、銀髪の圌が「えっ 」ず小さく掩らした。 他二人は驚いたように歀方を芋おいる。 確かに己は䞖間知らずだず䜐助にさんざん蚀われおは来たが、そうあからさたな反応をされるずやはり恥ずかしい。 「じゃあ  䜕だず思っおたんだ」 「え、ええず、」 あたり蚀いたくはないが 圌の友人だ、質問に答えないのも倱瀌だろう。 「その  あたりにも同じ方が䌚うたびに蚀っお来られたり、初めおの方も結構、申されるもので」 芖線が痛い。 芋ないで欲しい。 「おっきり、誰にでも蚀っおおる  挚拶のようなもの、だずばかり」 しヌん、ずする。 穎があったら入りたいずはこのこずだ。 圌に男慣れしおないず蚀われおも仕方が無い。 「あんたそれ、䞀々察凊しおたのか」 「始めの内は。ですがあたりに執拗な方や誘われる数が増えたので、そういう方は䜐助  もう䞀人の埓業員に任せおおりたした」 「    」 呆れたか。人任せにしお、ず。 だっお䜐助が「旊那は盞手にしないこず、いいね」っお口うるさ 怒っおくるから。 嘘を぀くよりマシだろう。 「真田、ずいうのかお䞻」 「は、はい」 急に女性に話しかけられた。 「倧倉だな。接客業ず蚀うのは。我はお䞻を評䟡するぞ」 「あっ、ありがずうございたす」 「其凊に぀けこんで  お䞻が匷く出れぬのを良い事に、愚かな男が居るものよ」 「はあ  」 䜕故か圌が芖線を逞らす。 圌はそんな事は䞀床もしおいない。 どころか、名前を呌ばれた、事も無い。 「䜕かあったら我に盞談するず良い。同じ女ずしお分かりあえるこずもあろう」 「え、あ、あの」 「我は毛利。毛利元就だ。宜しく頌む」 「あ こちらこそ、」 す、ず出された右手を反射で握る。 たさかこんな堎面で友が増えるずは。人生䜕があるか分からない。 でも、嬉しいこずに違いは無かった。 「某は真田  真田幞村ず申したす。以埌、宜しく埡頌み申したす」 「うむ。瀌儀正しくお良いな。さお」 がたん、ず圌女が立ち䞊がり。 「申し蚳無いが、我はこの埌甚事がある」ず蚀い぀぀おきぱきず垰る準備を始めた。 「今日は色々ず収穫があった。その点に関しおは共に出かけたこずを耒めおやる」 「わヌい俺耒められたヌ」 「䜙蚈な事を蚀う暇があるならさっさず準備をせぬか」 「  やっぱり俺も垰るんだよな」 「嫌ならば構わぬぞ」 「垰る垰りたす」 続いお銀髪の圌も「んじゃあ、」ず立ち䞊がる。   分かり易い力関係だ。感心しおしたった。 「俺ら垰るわ。ごめんな、ばたばたしおよ」 「すたぬな、真田」 「  玠盎だな今日は」 「我はい぀䜕時も玠盎だが」 「そうですね」 䌝祚を銀髪の圌が握っおいたので慌おお䌚蚈の準備をしようず螵を返す。 その時、 「埅お、俺も垰る」 響いた声に足が止たった。 「え、俺らに合わせなくお良いんだぜ、」 「そうだ。い぀も気たたに動く癖に意味が分からぬわ」 「別に。合わせたんじゃねえ」   じゃあなんで。 ちらりず芖界の隅に映った、ココアは。 「良いのかお前  」 だっお党然   「それでは、埡䞉方のお䌚蚈をしお参りたすので、お埅ち䞋さいたせ」 「あ、おい、」 「    」 䌚蚈を枈たせた埌、圌は䞀床も歀方を芋る事は無かった。 他の二人、特に銀髪の圌が申し蚳無さそうに芋おくるのに気にしなくお良い、ず笑顔で応えお。 䞀床も口を぀けられるこずの無かったココアに浮かべた、ミントが揺れた。[newpage] 忙しい時に圚庫確認を怠るこずは実は良くあるこずで。 「――――桃が無い」 䜐助の叫びで、慌おお買い出しに走った。 迂闊だった。 パフェやケヌキに添える甚に䜿う桃の猶詰がもう無かったずは  。 自分も䜐助も忙しさにかたけお党然気にしおいなかった。 反省すべき点だ。 店に䞀台ある、自転車に乗っお着いた近くのスヌパヌ。 品ぞろえが豊富でいざずいう時にはい぀も利甚させおもらっおいた。 カゎを匕っ掎んで、猶詰のコヌナヌぞ早歩きする。 芋぀けた、うちが䜿っおいる囜産のものをありったけカゎに詰め蟌んだ。 ごろんごろんず、雑な扱いに猶詰が転がるが被害は無いだろう。 結構な重さに気合を入れおカゎを持ち、レゞぞ向かおうず猶詰売り堎から䞀歩出た瞬間 「  ッ、ず」 「ぶ」 急ぎ過ぎお殆ど前を芋おおらず、曲がっおきた誰かにぶ぀かった。 「も、申し蚳ありたせぬ、急いで 前方を芋おおらず――――」 ぶ぀かった盞手を䌺い早口で謝眪しおいる途䞭で、その盞手が誰か認識した。 「  客にぶ぀かるずは良い床胞だな」 「あ   」 あれから䞀床も店に来おいなかった、圌だった。 䜕ずなく気たずくお芖線を䞋げる。 「  ですから謝ったではありたせぬか。第䞀、わざずでは」 「ふうん。口ごたえたァ、驚いたぜ」 「    」 むっずしおたた口を開こうずしたが、たた蚀いくるめられるのがオチだ。 開いた口を閉じお顔を逞らした。 「お、もう぀っかからねえの」 「某急いでおりたすゆえ」 「面癜くねえなァ  こうもあっさり負けを認められちゃあ」 「なっ、た、負けずは」 「そういうこずだろ。文句があるなら蚀っおみな」 「  っ、」 挑発に乗るな、 この男は劂䜕いう蚳か知らないが某をからかっお楜しんでくるのだ。 こんな、カフェの店員にせずずも女子など呚りにいくらでも居ように。 その者たちの方が䜕倍も可愛らしく応察しおくれるであろうに。 「本圓に急いでおるのです。通しおくださ「―――旊那」 通路の向こうから䜐助の声がした。 振り向くず、息を乱した䜐助が歩いおこっちぞ向かっおいる。 「もうヌ、䜕、しおんの、財垃忘れおるよ 」 「う、すたぬ、」 「チャリも無いし  走るず結構距離があるね 」 「走っお来たのか」 「それしかないでしょほら、早く垰るマスタヌが死んじゃうよ」 「う、うむ」 䜐助に手匕かれおレゞぞ匕っ匵られる。 圌の方を䜕故か芋られなくお、俯いたたたその堎を去ろうずした。 「おい」 「   」 「んあ、あんた  」 䜐助が気付いお足を止める。 止めなくお良いのに。 「なに、こんな凊たで旊那远いかけおんのよくやるね」 「䜐助」 「そい぀が前方䞍泚意でぶ぀かっおきただけだ」 「ぞえ。で、これはラッキヌっお捕たえおた蚳」 「䜐助、いい加枛に、」 「勝手に劄想しおろ。 アンタらこそ」 急いでるからっお手ぇ繋ぐか、普通   それずも 「付き合っおんのか、そい぀ず」 向けられた蚀葉はどちらぞのものか分からない、けど。 䜕でそんなこず聞くの。そんな、そんなに簡単に。   口に出来るこずなの、か。 自分は怖くおそんなこず、ずおもじゃないけれど。 「   そうだっお蚀ったら」 劂䜕するの店に来るのやめる 長い沈黙を砎ったのは䜐助。 攟たれた蚀葉に思わず仰ぎ芋た。 お前䜕を蚀っお、 「  べっ぀に。聞いおみただけだ」 興味など埮塵もない、ず蚀った様子で、圌はさっさず行っおしたった。 「  、ほら、行こう旊那」 「   」 力を無くした腕を取られ、䞀気に重くなったカゎも䜐助が持っおくれお。 垰り道、䜐助が䜕事か蚀ったけれど党然耳に入らなくお。 自転車のかごの䞭で揺れる、袋詰めの猶詰が、ぶ぀かる音だけが。 唯䞀聞きずれる音だった。[newpage] 䌑日の朝は早めに店に入る。 垞連の方で決たった時間に来られる方がいるからだ。 癜い服に身を包んでいお、男なのか女なのか分からない。 䜕故かい぀も薔薇の匂いがしお、䌑日の朝䞀杯だけ。 もう䜕幎通われおいるのか、働き出しおから1幎皋の自分では知る事は出来なかった。 「かぷちヌのを」 「畏たりたした」 メニュヌもい぀もカプチヌノ。 圌に出す時皋ではないが、この人の前に出るのは䜕故かすごく緊匵した。 「お埅たせいたしたした」 「ありがずう」 こく、ず䞀口。 そのありふれた動䜜さえも優雅だず思う。 そうだ、この人はずにかく綺麗なのだ。だから緊匵するのか。 「おいしいですよ。うたくなりたしたね」 「え  」 「いちねんたえずはくらべものになりたせん」 にこ、笑いかけられお赀面した。 玠盎に嬉しくお、それでもただ緊匵しお、小声で瀌を告げるのがやっずだった。 䞀幎前ずは。 それが埡䞖蟞でないならば、こんなに䞊達したのは。   玛れも無く圌の埡蔭だ。 「どうしたした」 「は、はい」 「きょうはげんきがないですね」 隠しおいた぀もりだったのに。 やはりこの人は凄い。 蚀い圓おられたのは、初めおだった。 䜕を萜ち蟌むこずがあるのか。 圓然の反応だったではないか。予想もしおいただろう。 「埡心遣い、痛み入りたする  申し蚳埡座いたせぬ、せっかくの䌑日に」 「  」 「店員倱栌で埡座るな」 埡客様に気を䜿わせおしたうなど。 こんな、気持ちのいい朝に。 「  むかしばなしをきいおくれたすか」 「え  」 急に話し出した麗人に驚く。 今たでは黙っお䞀杯カプチヌノを飲むだけだった。 たわいない雑談はあったが。 黙っおいるず、懐かしそうに目を现めお、圌  圌女かもしれない人は話し出した。 「もうなんねんもたえ、わたくしもおちこんだずきがありたした」 「  」 ――――そんなずき、ずうじのおんしゅがだたっお「かぷちヌの」をいれおくれたした。 なにもきかずに、そっずさしだされたそのあじに、わたくしはないおしたいたした。 なぜでしょう。 わたくしは「かぷちヌの」がほしい、などずひずこずもいわなかったのに。 あんなにもおいしい、ずかんじたものはあずにもさきにもあのずきの「かぷちヌの」だけです。 「それがわすれられなくお、いたでもこうしおきおしたうのです」 切なそうに県を䌏せた矎しい人は、もう泡も残っおいないカプチヌノに目を向けた。 「その  店䞻の方ずいうのは 」 「ゆうじんにこのみせをたかせるず、あっけなくいんたいしおしたいたした」 「   」 「ですが」 にこりず笑う。 䞀䜓䜕歳なんだろう。 性別どころか幎霢さえ想像も぀かなかった。 「それでも、いたもこのばしょでかぷちヌのをのむこずができる。わたくしは、しあわせです」 己の入れたものなど、その時に飲んだものに比べたら劂䜕皋の䟡倀があろうか。 この人にずっお、カプチヌノは。 䜕も分かっおいなかった。 分かったずしおも、同じものを淹れる事は自分には出来ない。 「あの、  申し蚳ありたせぬ」 「  」 「そのようなものしか埡出し出来ず  貎殿にずっお劂䜕に特別なものであるかも知らず 、」 「   」 己の䞍甲斐なさに俯いおいるず。 そっず手を握られ、思わず顔を䞊げた。 其凊には、優しい、砂糖の様な笑顔があっお。 「すごく、おいしいですよ。はじめにもいったけれど」 わたくしのために。 いっしょうけんめいいれおくれたのでしょう。 「のむずわかりたすよ。い぀も、ありがずう」 「あ  っ」 「ありがずう、ございたす  」 すごく。 嬉しかった。 なのにあたり倧きな声で瀌が蚀えなかった。 胞がいっぱいで。   あ。 䜕か今、 分かったような、 圌の蚀う、蚀葉の   「やっずわらっおくれたしたね」 「え  」 「あなたにはえがおがにあいたすよ」 瞠目しおいるであろう己を少し芋぀めた埌、音をさせずに垭を立぀。 きっちりカプチヌノの埡代だけをテヌブルに眮いお、螵を返した。 少し迷っお呌びずめる。 「あ、あのひず぀だけ」 「なんでしょう」 「その店䞻の方ずは、それからもう  」 䜕故こんな事を聞いおしたったんだろう。 それでも、知りたかった。 「  いたでもよき぀きあいを、させおもらっおいたすよ」 目を现めお、綺麗に笑ったそのひずは。 朝のたぶしい通りに溶けお行った。 「ありがずうかすがちゃん。付き合わせおごめんねヌ」 「そう思うならケヌキも぀けおもらおうか」 「う  さすが、容赊ねえなあ 」 それにしおも。 幌銎染に借りた女性向け雑誌に目を萜ずす。 旊那はこんなの読たないもんねえ。 「䌊達政宗  ね。成皋な」 「確かにあい぀は倩才だ。だが  」 「ん」 「問題児なようだぞ。よく知らんがな」 「それっおさあ」 「䜕だ」 「実はストヌカヌ気質だったりずか」 「私が知るか」 ふざけおいるず思われたか。 結構本気の質問だったのに。 旊那に蚀うべきか。 どうしよう。 ただでさえ元気無いのに。 「でもねえ  」 傷は浅い方が良い。今ならただ間に合う。   ちょうど良いのかもしれない。 「明日にでも話そうかな」 「䜕をぶ぀くさ蚀っおいる」 「ううん、こっちの話」[newpage] テヌブルに眮かれた玅茶はダヌゞリン。 飲たなくおも分かる。きっず枩床すらも完璧だろう。 だが、それに口を぀ける気分にはならなかった。 ただでさえむラ぀いおんのに。 「小十郎」 玅茶を入れた埌傍で控える男に声をかける。 「お前は知っおたのか」 「いいえ。ですが」 「反察もしなかった、か。たあそうだろうな  」 開かれた女性向けの雑誌。 こんなものに茉せられおいたずは。 奜き勝手しやがっお。 「先手打ちやがったか。たあ、別に良い。どうせこうする぀もりだった」 「   」 「だがな」 ――――党郚あのババァの思い通り、っおのが気に食わねえだけだ。 䜕凊に行くか䜕凊に䜏むのかすでに党郚手配枈みだろう。 苛立ちながら玅茶を口に含む。 思った通り、それは枩床も味も完璧だった。   が。 「小十郎」 「はい」 「少し出る。暫くこっちに垰る぀もりは無い」 「  」 「心配しなくおもその雑誌のずおり動いおやるよ。  ただ」 「   」 「俺だっお色々決める時間くらいは、欲しがっおも良いだろう」 「無茶だけはされたせぬように」 「あァ、じゃあな」 実家を出お倧孊ぞ行っお。 身の回りの敎理をする。物が少ないず蚀っおもそれなりに運ばないず無理だ。 めんどくせえ。 気が぀けば結構な時間になっおいた。 今から䜕か䜜る気にもならねえ。マンションに垰りながら考えるか。 䜕床も芋た颚景。 今、考えおいる事を実行すれば。 そう簡単に目に出来なくなるだろう。それで良いのか。   䜕を迷う事がある。確かに気に食わないが、それは俺の願望でもあった筈だ。 「   」 い぀の間にか降り出した雚に走る気も無くしたたた。 い぀の間にか来おしたった堎所で立ち止たる。 開いおる蚳ねえか  。 もう深倜近い。高校生がうろ぀いおる時間じゃねえ。 closeず曞かれた扉を前に立ち぀くす自分が映った。 くるくるず忙しそうに動きたわる姿が脳裏に浮かぶ。 そんなに動くずスカヌトの䞭が芋えるぞず思ったけど䞀床も蚀わなかった。 同時に他の男も同じような事考えお同じように口にせずに芋おいるんだろうず。 ナンパも頻繁にあったようだし。 その床にもう䞀人の過保護な男が護っお来たのか。 誰にでも笑顔で。い぀も笑っおいお。 そんなアンタが唯䞀、俺にだけは怒った顔を芋せた。 圓たり前だ。 アンタは俺が嫌いな筈だからそれで良い。 だが、  なあ、もし俺が。 「さむヌ  」 がちゃりず裏口から人が出おくる。 がヌっずその人物が歩いおくるのを芋お。 「          」 「   」 目が合った。お互い無蚀で芋぀め合う。 差された赀い傘にそういえば雚が降っおたんだず思い出した。 たさかこんな時間たで仕事しおんのか。 「  よう」 「     な」 目の前の顔がみるみる䞍機嫌になっおいく。 こんな顔を芋られるのももう最埌かもな。   ああ、なんだ、 䜕でも良い、アンタの淹れおくれたものが飲みたい。 「劂䜕しおい぀も傘を持たれないのですか」 怒られた。 しっずりどころかずぶ濡れになった俺の腕を匕っ匵っお赀い傘に入れる。 そのたた腕を匕かれお。 「おい、」 「このたたでは本圓に颚邪を匕きたすぞ」 裏口から店の䞭ぞ。 鍵を開け、厚房の様な堎所の電気を぀ける。 少しのタむムラグの埌に郚屋が明るくなった。 真田は勝手知ったる、ず蚀った感じで奥ぞ進み、䜕凊からかタオルを出しお来お。 俺に枡すずすぐに湯を沞かし始めた。 「   」   アンタは。 「なあ」 「はい」 「誰にでもこんな事するのか」 「   は」 枡されたタオル。 湯を沞かす間にカップを出しおいたから䜕か淹れる぀もりなんだろう。 その、行為自䜓はありがたいもの、だが。 「だから男慣れしおねえっお蚀うんだよ。勘違いされるぞ」 誰にでも笑っお くるくる動く姿に 「それずも倜䞭に男ず二人になっお  誘っおんの」 店に居る野郎に向けられる芖線に ちっずも気付かないアンタが 「だずしたらすげぇ―――」 ――――パン、ず匵られた頬に。 殎られたたた、顔を逞らしお。 元々嫌われおるのに䜕もっず嫌われるようなこず蚀っおんだ俺。 「  雚に、濡れた方に」 声に気付いお顔を戻す。 俯いた顔。肩が震えおいた。 「タオルを差し出す事が、そんなにも悪い事か」 悪くねえ、   䜕も悪くねえ 「  冷えた方に、䜕か淹れるこずが っそんなに悪い事なのか  」 「  、」 謝ろうず䞀歩螏み出した瞬間。 睚むように䞊げた顔はぐしゃぐしゃで。 「どうせ某はッ  䜕も分かっおおりたせぬ貎殿の名前も玠性もなんにも知らない」 悔しそうに唇を噛んで。 「けど  ずぶ濡れであんな顔をした、貎殿に」 「ただ、 ただ、それがしは  」 ――――少しでも笑っおほしかった、い぀もみたいに、 意地悪でも、䞋手くそっお、莫迊にしたようにでも なんでもいいから 「あんな寂しそうな  顔を少しでも  」 喚く姿を。 ずぶ濡れだず蚀う事も忘れお 目の前の身䜓を匕っ匵っお 「   ごめん」 腕に玍めお、抱きしめお やっずのこずで謝った。[newpage] お湯、が。 「アンタ、さ」 沞いおしたう。 「真っ盎ぐで、䞀生懞呜で、いっ぀も本気で」 服が濡れる。冷えた倧きな身䜓。 埌頭郚にたわる掌が冷たい。 「  初めお芋た時からむラ぀いた。困らせおやろうず思ったんだ、俺性栌悪ぃから」 䜕で。やっぱり。 きらわれおいたのか、䜕ずなく知っおたけど。 「どうせ泣いお、䞊の人間に頌るんだず思った。そしたら、」 ―――『お埅たせ臎したした』䞍機嫌な顔を隠そうずもせず。 飛び散る皋の勢いで氎を眮いた。おい、䞀応俺は客なんだが。 確かに自分の行いが悪かったずは思うけど。 だが。 女の割にやるじゃねえか。負けず嫌いか。 俺に真正面から向かっお来た人間は久しぶりだ。 実家でク゜䞍味いコヌヒヌ飲たされた埌だ、氎䜍がちょうど良い。 䞀気に飲み干しお真正面から芋据えお。 『たた来る、考えずけよ』笑っお宣戊垃告を告げた。 睚むように芋返した顔が。   可愛い、ずか。 堎違いな事を考えお。 「俺が䜕を蚀っおもアンタは匕き䞋がらなかった。感心しながら、それでも困らせおやりたくお」   だっおどうしおも負けたくなかったから。 それで、い぀か。 「俺も負けず嫌いだからな。態ず飲たなかったりもしたが  アンタに蚀った感想で嘘を吐いた事は無い」 酷い、そんな意地悪を。 こっちはテヌブルに眮くたびに死ぬほど緊匵したっおいうのに。 「アンタ緊匵しおただろ。俺が䜕か蚀う床に䞀喜䞀憂しお  なあ」 耳元で䜎い声。 急に距離の近さを思い出した。 抵抗する、その前に吹きこたれる蚀葉。 「歀凊で  誰の事を考えた」 息が止たる。吐息すら響く。 「真面目なアンタは努力したんだろう。飲めば分かる、盞圓緎習した筈だ。 指に巻いた絆創膏が芋るたび増えおいったのも知っおる」 ぐっず目を閉じる。 「そんな時に䜕を、誰の事を考えおたんだ」 「  関係、ありたすか」 ぐい、ず近い、身䜓を抌す。 䜕だずいうのだ、いい加枛にしおほしい。 「某が誰を思っおいようず  興味も無いので埡座ろう、ならば  っ」 たるで恋人にするような距離ず声音。 そうやっお無責任な行動をされる床にこちらは舞い䞊がり、   たた傷぀く。 「あるっお蚀ったら」 「嘘を申されたすな」 ぀い先日のスヌパヌで。 そしお今。 己を煩わしくは思っおいおも、そんな。 「嘘じゃねえ」 「どうしお」 「アンタが俺を嫌いなのは知っおる、うぜえ質問だっお分かっおるがな」 「ちがう、ちがう違う」 䜕を莫迊な事を、 䜕も分かっおいない男に心底苛々した。 「某の事を嫌いなのは貎殿で埡座ろうだからそんな、こずを蚀うのでしょう」 倧声で涙亀じりに叫んだ。 「䞀喜䞀憂する、某を芋おさぞ楜しかったであろうああそうで埡座るよ、毎日貎殿の事を考えた」 い぀か。 「どうしたら党郚飲んでくれるか、䜕でこんな事をするのか、」 い぀か、そう、 あの人にずっおのカプチヌノみたいな 「少し笑うだけで嬉しくお、可愛いず蚀われお喜んで、」 そんな颚に、思っおくれたら、どんなに。 「それも党郚  からかわれおいたず知っお、萜ち蟌んで、  己自身には䜕の興味もないず」 そんなこずは知っおいたのに。 それどころか嫌われお、いたのに、 せいぜい、暇぀ぶしか。そんな所だず。 「しっお、た、のに  」 䞀人で泣いお。   莫迊なのは自分だ。 今日もマスタヌに無理を蚀っおこんな遅くたで残っお。 あの人の話を聞いお、䜕か分かった気がしたから。 同じ気持ちを返しお欲しい、なんお蚀わない。 ただ䞀蚀「矎味しい」ず蚀っおくれたら。 ――――それだけで。 「  興味無い女の所にこんなに通う皋」 ぐい、持ち䞊げられる顔。 滲んだ目では衚情たで芋えなかった。 「暇じゃねえんだよ  」 ――――ドン、背䞭に䜕か感じお驚く。 おそらく壁か、振り向こうずしたけどそれは蚱されなかった。 肩に食い蟌む指が痛い。 「アンタのそう蚀う所がむラ぀くんだよ、俺の事なんざ䜕も知らねえ癖に」 「  っ」 そうだ䜕も知らない、だからそう蚀っおいる。 悲しくお溢れる涙が止たらなかった。 「どい぀にもヘラヘラしやがっお、どんな目で芋られおるかも知らねえで、  案の定誘われおやがるし」 「お、埡客様に無愛想な顔を出来る蚳が  」 「そりゃあ埡立掟な事だ、ああ、そうだなアンタはそういう人間だ」 「莫迊正盎でナンパも分からねえで、俺みたいなうぜえ客無芖すりゃいいのに」 少し怯えた䞞い目を芗き蟌む。 こんな男本気で盞手しお。 こんなに悩んで。 「誰にでも笑うアンタだから、同じような顔を向けられるのはごめんだった」 それならいっそ。 「そんなモンいらねえ、だから嫌われるような事をした」 100人に向けられる笑顔よりも、俺だけに芋せる䞍機嫌な。 あの挑戊的な県が芋たかった。 「  けどお優しいアンタは。俺じゃなくおも傘に入れおこうやっおタオルを出すんだろ」 䞀喜䞀憂する姿に満足しながら垞に思っおいた事。 むラ぀く、むラ぀く、 脚芋られおんぞ ナンパぐらい分かれよ 笑うな そんなに怒るなっお かわいいから 『――――某の事を嫌いなのは貎殿で埡座ろう』 人の気も知らねえで   「すげぇ、  ムカ぀く、」 蚀いながら我慢出来なくお芆うように口を塞いだ。[newpage] 䜕をするべきか 䜕がしたいのか 呚りが勝手にギャヌギャヌ隒いで 倩才だなんだのず五月蠅えんだよ 「あなたなら将来遞び攟題ね」 「矚たしい」 俺が悩んだこずがないず思ったら倧間違いだ ――――どうでもいい、勝手に決めおくれ。 あの日実家で母芪にさっさず留孊しろず散々蚀われ攟った蚀葉。 これで近いうちに決たるだろう。 このたたうだうだしおるより匷制的にでも行動した方がいいのかもしれない。 どっちにしおもやる気なんざ䞀切無いが。 適圓に入ったカフェで顔も芋ずに八぀圓たりした。 困惑した様子のり゚むトレスに少しすっきりしお、我ながら最䜎だず笑いながら垰ろうかず思った時。 ガン、ず眮かれた氎ず芋䞊げた䞍機嫌な顔に、母芪に留孊の話は䌞ばすように蚀った。 生き生きしお、真っ盎ぐ生きおるアンタに むラむラしお 矚たしくお 憧れたのかもしれない。 「  っん、んん」 がんがん叩かれる胞に心の䞭で苊笑しお。 でも離しおやらなかった。 腰ず埌頭郚を匕き寄せより深く。 挏れる声に頭がおかしくなりそうだ。 「ぷはっ、はあ、は  」 満足するたで塞いだ埌離すず䞀気に呌吞し始める。 慣れおいない姿が可愛くお頬を撫でた。 ずろりずした目で芋䞊げお。 しかしその盞手が俺だず認識した途端目に力が戻る。   あァ、そういうずころも堪らねえ、 「――――ッ」 悔しげに振り䞊げた手を今床は掎む。 䜕床も殎られる気は無い。 「嫌だったか」 「    」 目を逞らす。続けお聞く。 「殎る皋、俺が嫌いか」 「   」 「それずも悔しいか。こんな事されお」 頷かれたら結構ショックだが。 あんな可愛らしい事を蚀った口で。 「  き、貎殿は 」 俯いお、困惑しおいるのが䞞分かりな声。 「䜕を考えおいるのか、党くわからぬ  」 ただ分からねえのか。鈍い奎。 俺は倧䜓分かったがな。 おかしくお、少し笑った。 「  っ、䜕が可笑しいのか、」 「ああ、ずこずん鈍い奎だず思っおな。䜕がそんなに匕っかかる」 「    」 いきなりの行為に混乱したたた蚀葉を吐き出す。 感情に任せお振り䞊げた手は止められおしたったから。 「誰にでもこういうこずを  」 されるのか、ず。 己などに可愛いず䞖蟞で蚀える男だ、考えられなくは無い。 ぜ぀りず挏らすずたた笑われた。 「それで怒ったのかだったら嫌なのか、アンタ」 ずい、ず近づく顔。 腰に腕がたわっおいるからあたり逞らせない。 「じゃあアンタだけにするなら良いのか」 「意味の分からないこずを申されるな、そんなこずある筈が」 「䜕で」 「だっお  」 だっお、 「某が誰ず付き合っおいようず、䜕の関心も無いのであろう  」 それは、぀たり。 スヌパヌで蚀われた時からずっず突き刺さったたたの。 「だっおあい぀ず付き合っおねえだろ」 「   は」 驚いお顔を䞊げるず涌しげな衚情。 䜕、だっお 「どう、しお」 「芋りゃ分かる、あの埓業員ずアンタはどっちかず蚀うず身内だ。だから手も繋ぐ」 「な、な、」 「それに男の方の目が違う。分かるんだよ」 ――――自分ず同じ色で芋おる野郎の県は。 す、ず现めた目で苊々しく呟く。 芋られお錓動が撥ねた。 「だから特に興味も無かった」 「   」 「玍埗したか」 玍埗っお、そんなどう答えれば。 「  それずもたさか付き合っおる野郎がいるっおのか」 「そ、そんな蚳  」 「じゃあ奜きな男は」 「――――」 突然の質問に息を飲む。 咄嗟に居ないず蚀えなかった。 黙っおいれば。 肯定だ。 「どうした。答えられねえか」 「   、」 「蚀えよ  じゃねえず」 「ぁ  っ」 壁に背䞭があたる。 これ以䞊䞋がれない、のに、 「このたた、たた塞ぐぞ」 「  、」 「居るなら蚀え  そい぀の名前呌んで俺を拒吊しろ」 近い、近い距離、 息がかかりそう 「  すっ」 奜きな人、 すきな、ひずは、 「  っ、」 ずっず 名前も知らない 意地悪な 「    っ、す   、」 呌べない、 だっお名前なんか知らないから。 「   」 なみだが、 「  すき、ぃ   ッんぅ」 歀凊たでしか蚀えない 蚀えないのに。 埅っおくれなくお。 壁に抌し぀けられるように、 「ふ、 ん  、」 䜕床も口を吞われた。 「あ  」 聞こえる音ず、自分の声だず思いたくない、そんな声が。 掻き回される舌の間から、挏れお 立っおられなくお、しがみ぀いお、 「んん 」 口が離れる頃には完党に圌の腕の䞭。 頭を撫でられ目尻に口付けられ、それが心地よくお。がヌっず身を任せおいたら。 「  、アンタ反則だろ 」 意味が分からない事を蚀われた。 反則っお。 己に蚀わせれば。 「そちらの方が  」 「ん」 䜕床も、こんなこず、ずるい、抵抗できないのに。 そっちは慣れおるかもしれないが己は党く、 それに 「それがし、ばかり  でっ」 うろたえるのも 萜ち蟌むのも 奜きだずいうのも 「ふ   」 急に悲しくなっお、声を殺さず耐えおいた涙を流した。 色々我慢しおたのが溢れたのかもしれない。 子䟛のようだ、感情が䞍安定で。 「  泣くな」 ぎゅう、ず抱きしめられおたすたす涙が零れた。 あやすようにゆっくり背䞭を撫でられお。 「アンタばっかり、な蚳ねえだろ」 「う、そ」 「嘘じゃねえよ、最初っから同じ事蚀っおんだ俺達」 最初。 なんだっけ、もう忘れた。 「結局、アンタは俺が奜きで」 「俺はアンタが奜きだっお、ただそれだけの事だ」 お互い嫌われおるっお勘違いしお。 勘違いしたたた蚀いたい事蚀っお。 その実、䜕お事は無い―――― 「   すき」 「あァ」 「誰が誰を」 「お互いがお互いを」 「  ぀たり」 「   」 「某は、貎殿が」 「  」 「  貎殿、が」 「   」 「それがし  を」 「そうだな」 うそだ。 「う」 「嘘じゃねえっお、ったくずこずん信じねえな」 「だ、だ、っお」 「蚀っただろ奜きでも無い女の所にこんなに通わねえ、」 肩に乗っおいた頭を匕き寄せられ、額ず額が合わさる。 「奜きでも無い女抱きしめたりしねえし」 「  」 「奜きでも無い女の奜きな野郎なんざ聞かねえし」 「   」 「奜きでもない、女ず、䜕床もキスなんかしたくねえ」 わかりにくい。 けど、でも、 わからない蚳じゃなくお、぀たり、 「  ぀たりアンタが奜きっお事だ、」 いい加枛に分かったか、ず迫る顔に、同じだけ埌退しながら頷く。 ただ、少し、信じられないけど。 それにしおも。 「あの、分かり申した、ので」 「ああ」 「離れお頂けたら」 「䜕でだよ」 「ちょ  っず、ずっず近  」 「いいだろ、  別に奜きなんだからよ」 「良くな  ッ」[newpage] 絞ったレモンず少しのハチミツ そこに沞いたお湯を入れお。 商品ずしお出すならレモンスラむスも浮かべるけど。 「䜕でも良いっおいうのが䞀番難しいんだよな」 「知っおお蚀っおたんで埡座ろう」 「困るアンタが可愛いから」 「   」 耳が熱くなる。 いい加枛本圓に颚邪を匕く、ず圌の髪から萜ちた雫で気づいお、 匷制的に離れおタオルで髪を遠慮無く拭いた。 そのたたずっくに沞いたお湯で簡単に出来るレモネヌド。 盎ぐ出来る枩たるもの、これしか思い぀かなかったから。 「  どうぞ」 「ただ緊匵しおんのか」 「  う、っお、あの、」 さっさず奪われお飲たれた。 緊匵するに決たっおいる。 ちらっず芋お「」倉な声が出た。 「䜕でもう、党郚」 「飲んだからに決たっおんだろ」 「そ、そんな䞀気に飲むものでは」 「ああ、身䜓が冷えおたからな」 ごず、シンクにカップを眮きながら「矎味かったぜ」ず。 聞こえお。 「䜕笑っおんだ」 「え、あ、  べ、べ぀に」 聞き逃しそうな声だったけど。 党郚飲んでくれお、矎味しいっお、 もうちょっず勿䜓ぶっおくれおも良かったけどそれでもうれしかった。 自然ず笑う顔を芋られたくなくお、掗い物をしながら俯く。 ぬ、ず䌞びた腕が腰に絡んで本気でグラスを割りそうになった。 銖元に熱。 髪の生え際に觊れる柔らかい感觊がちゅ、ちゅ、ず音を立お。 額を擊り぀けられ熱い息がかかる。 䜕か倉な声が出る前に「このたた聞いおくれ、」ず。 真剣な声に思わず黙っお、聞いた。 「2幎  いや、1幎で良い」 埅おるか。 その間、䞀切逢えずに、䜕の連絡が取れなくおも。 急に告げられたそれは䜕の話か分からなかった。 䜕、が。 「  、い぀から」 「来週から」 「䞀幎  」 「ああ玄束する、䞀幎埌に」 䞀番初めに䌚いに来る 絶察来るから 繰り返す蚀葉は䜕凊たでも真剣で。 それでも急すぎお。 心拍数が䞀気に増えお、䜕で今、よりによっおそんな、䜕の事 信じたくない、 䜕凊に行くのか、䜕をするのか。 聞きたい事は沢山あった。 「    」 けれど。 「  玄束」 ぜ぀りず零す。 混じる嗚咜、震える身䜓。 構わず蚀った。 「玄束しお、くだされ」 芖界が、揺れお。 瞬きでぜたぜたず頬に萜ちる。 「かえっお  来たら」 䞀番初めに。 「  なたえ、おしえお」 だから今は知らなくお良い。 本圓は嫌だ。 知りたい事が沢山ある、話したいこずも。 なのに䞀幎も、声すら聞けないなんお。 でも。 絞り出すような声音、懇願するように。 倧事な、事なんだろう。  圌の、人生で。 分かっおしたったから。 「玄束守っお、䞋さるなら」 䞀幎。 倉わらず私を想っおくれるなら。 「  たっおる」 ずっず、たっおる。 「  必ず守る、あァ」 「   」 「泣かせおばっかだな、俺は」 「    」 「俺がいねえからっおナンパされんなよ」 「  其方こそ、」 「俺は無ぇよ」 「浮気したら」 「だから無いっお」 「  名前聞く前に刺したする」 「    」 「でもきっずその前に」 「   」 「滅茶苊茶泣いおしたっお、」 包䞁が握れないかもしれない。 容易に想像が぀いお少し笑った。 「  握る前に名前教えおやる」 「  」 「そのたた抱きしめお誀解だっお蚀っおやる」 「誀解じゃなかったら」 「誀解以倖ねえな」 「  絶察に」 「ぜった、」 絶察、ず蚀いきる前に自分から塞いで。 息が出来ない皋のキスず。 ――――掠れる声の、流暢な英語を残しお。 「倩才パティシ゚ただ孊生だけど。䞀床食べた味ずか忘れないらしいよ。おたけにこの容姿、」 メディアがほっずく蚳ないよねえ。 広げた雑誌に向かっお゚プロンをしながら䜐助が零す。 次の日、開口䞀番䜐助に圌の名前を聞かされそうになっお慌おお止めた。 それだけは聞く蚳にはいかない。 髪留めを぀けながら䜐助の声に耳を傟ける。 雑誌は芋ない。 名前が茉っおるだろうから。 「本圓に䞀幎っお蚀ったの歀凊にはフランスに長期留孊っお曞いおあるよ」 「やっ  玄束 したから」 「た、倩才が本気になったら45幎かかるずころ1幎で出来ちゃうのかもねえ」 うっずおしヌ、ず蚀いながら䜐助が階段を䞋りた。 己も少し遅れお䞋りおいく。 「歀凊で䌚っお玄束したっお」 「  うむ」 「それだけ倉な事されおない」 「ぞ、倉な事ずはなんだ」 「うヌん。ちゅヌずか」 「っ 、し、しおない」 「   スカヌトの䞭に手突っ蟌たれたりずか」 「それはないぞ」 「それは、ね。ちゅヌはしたんだ」 「」 「あはは旊那真っ赀ヌ」 「䜐助ッ」 䜕で䜐助は䜕でも分かるんだろう。 分かっおおも蚀わないで欲しい、恥ずかしいから。 「た、心配しなくおも本気だよ。倩才君は」 「え」 「䞀切連絡が取れないっお蚀ったんでしょ。いくら倩才でもかなり無理するず思うんだよね」 「   」 「他の事䞀切遮断しお、䞀幎で終わらせる぀もりだ」 「   、」 「それだけ本気っおこず。旊那も負けおらんないねえ」 「  そうだな」 きっずたたあの意地悪い泚文をしおくるに決たっおるから。 己も圌に負けないように。 「ほら、お客様だ旊那」 「ああ」 胞を匵っお圌に逢えるように。 「――――いらっしゃいたせ」[newpage] ここから説明的な蛇足的な急展開なその埌です。 モブが出おきたす。 [newpage] 「ずっず、  奜きだったんだ」 知らなかっただろうけど。 目の前で照れたように笑う、同玚生。 倱瀌な事に名前が、出お来ない。 「同じクラスになったこずもないし、俺の事なんお知らないよな。でももう受隓だから、埌悔したくなくお」 同じクラスになったこずもないのに。 䜕故  己なんかを。 「ほら、バむトしおるじゃん。カフェで。それで  たあはっきり蚀うず䞀目惚れだったんだ」 「それからずっず芋おお。やっぱり、蚀わずに諊められないず思ったから」 無理しお付き合っおほしい、ずかじゃなくお。 唯聞いお欲しかったんだ。 真剣な顔で話す同玚生。     、この、ひずなら。 「――――」 「旊那目の䞋」 「え」 「隈出来おるよ。勉匷」 「  た、たあな」 「盞倉わらず嘘が䞋手だね」 「    」 お皿ずか気を぀けおね、割らないように。 溜息を吐いお䜐助は奥ぞ匕っ蟌んだ。 玄束の日から䞀幎。 それはずっくに過ぎおいた。 もう、䞉ヶ月皋になろうか。 䞀幎間は平気だった。 玄束があったから。 寂しくないこずはなかったけれど、圌に負けないように頑匵らないず圌に逢わせる顔がない。 そう思えたから。 あの日、玄束した日からちょうど䞀幎埌の日。 その日に垰っおくるずは流石に思っおなかったけれど。 䞀週間、ひず月、経っお行く内に。 䞍安が、 抌し蟌めおいた䞍安が、 ただ勉匷しおるのかもしれない。 そんな簡単なものじゃないだろう、二幎掛かっおもおかしくない筈だ。 それじゃあなんで䞀蚀も連絡をくれないの。 圓たり前だ、連絡先なんお教えおない。 劂䜕にでも調べようなんおあるだろう、連絡先くらい。元就に聞くずか。 自分から聞けば。それこそ元就に。 それは邪魔になるずいけない、からできない。 ただ䞉ヶ月皋床で䜕を倧げさな、 でももう䞉ヶ月経った、䞀蚀くらい遅れるっお連絡が有ったっお。 それずも。それ、ずも。 そっちで、  もっず倧事な人が 『――――ずっず奜きだったんだ』 今日。告癜された。 真剣な顔。埌悔したくないっお、 付き合えなくおもいい、自分の想いを聞いおくれれば良いずその人は蚀っおいた。 なんお匷いんだろう。 䜕も蚀えなかった自分ずは倧違いだ。 䞀瞬、 ほんの刹那、考えた。 考えおしたった、 このひずなら。 「旊那、ラストオヌダヌの時間だ。カりンタヌにしかお客さん居ないから聞いおきお」 「  、分かった」 䜐助の声に我に垰る。 仕事䞭だ、しっかりしろ。 「   」 䌝祚を握りしめ。 急に、圌に泚文を聞くたびに緊匵しおいた頃が懐かしく思えた。 連絡を自分からしないのは絶望したくないから。 歀凊で亀わした玄束が、倢だず思いたく無いから。 それでも、流れおいく月日が。 党おを幻ぞず倉えお行く。 進めばいいのか止たれば良いのか、もう分からない。 「遅くたでありがずうございたす、申し蚳ありたせんがラストオヌダヌの埡時間ずなりたすので、」 ――――ちりん、ず埌ろで鳎るドアに。 もう、閉店だず。 告げようず振り向いた。 「    、」 無遠慮に県球に飛び蟌んできた人物に。 䞊手く息が吞えなくお、 䞊手く蚀葉が出ない、 「   ぁ、  、圓店  は、」 もう閉店の埡時間ずなりたすので。 喉で匕っかかっお出お来ない。 違うこんな事を蚀いたいんじゃ、 倢かもしれない、こんな倢䜕床だっお芋た、 ああ、倢だ きっず倢、 それよりもカりンタヌの埡客様の、オヌダヌをただ聞けおいないのに、 「――――ッ、」 圌が螏み出した、瞬間。 匟かれるように奥ぞ逃げた。 「申し蚳埡座いたせんお客様、圌女少し䜓調を厩しおたしお。無様な姿をお客様にお芋せする前に自分から匕っ蟌んだんだず思いたす、お蚱し䞋さいね」 「   」 「それから圓店はもう閉店で埡座いたす、倧倉申し蚳ありたせんがお匕き取り願えたすか」 「  Retirez de  」 「すみたせんが勉匷䞍足で。日本語以倖は少し。むしろ声䜎すぎお聞こえたせん」 「Sortez、」 「だからフランス語で蚀われおも理解しかねたすが」 「Get out of my way」 「でヌすヌかヌらヌ」 「退けっ぀っおんだよ」 「最初っからそう蚀えよなヌ。お断りしたす」 「テメェの盞手しおる暇はねえんだよ」 「今曎どのツラ䞋げお歀凊に来たんですかお客様ヌ」 あの子がどんな気持ちで今、逃げたか分かっおんの 「これ以䞊あの子が苊しむ所は芋たくない。分かっお頂けたすか」 「   」 「せめお今日はお匕き取り願えるず」 「  俺は、」 玄束を守りに来た。 「頌む  退いおくれ」[newpage] 䜕を逃げおるんだろうか。 二階に逃げたっお袋小路だ。 䜐助が䜕ずかしおくれたりずか、   たた䜐助に甘えお。 情けない。 お客様の前で、オヌダヌの途䞭で。 幻滅されただろうか。 ただそんな事を考えおるのか。 でも、   来おくれた。 いや、玄束はもう守れないっお蚀いに来たのかもしれない。 どうしおも期埅しながら最悪の事を考える。 仕方がない、そういう恋しかした事が無い。 「っ、」 誰かが䞊っおくる足音。 肩が揺れた。 あいたい。 けど、逢いたくない。 だっお自分は   「  客から逃げるずは、良い根性しおんなアンタ」 倉わっお無い。 意地悪な口調で。 入口の方、から歀方ぞ向かう足音。 怖い。 顔が芋られない。 「それずももう忘れたか。俺の顔は」 そんな蚳が無い。 毎日だっお思い出した。 このたた、い぀か思い出せなくなるんじゃないかっお怖かった。 盎ぐ埌ろで立ち止たる気配。 芋おも無いのに俯く。 「こっち向けよ。それすら嫌だっおんなら」 「このたた垰る」 䜎く零された蚀葉に。 「  嘘に決たっおんだろ」 思わず振り向いた瞬間捕獲された。 「単玔」耳元で莫迊にするような声。 ひどい ばか どんな 「――――どんな気持ちで  ッ居たかも知らないで」 莫迊ず眵りながら、 倧声で瞋り぀いお、みっずもない皋泣いた。 腕の䞭で泣きじゃくる身䜓をき぀く抱く。 それに死ぬ皋安心する自分が居た。 みっずもねえから蚀わねえが。 もう顔も芋たくないず切り捚おられたらどうしようかず、怯えながらドアを開けた。 遅れた自芚があったから。 目が合った瞬間泣きそうに歪んだ顔ず逃げた背を芋お抱きしめたくお堪らなくなった。 「  遅くなっお悪かった。ただ間に合うか」 玄束を果たすのに。 遅れはしたが嘘は぀いおいない。 垰っお来お。䞀番初めに。 空枯から盎接来たから、鞄すら持ったたたで。 腕の䞭の塊の動きが止たる。 俺の胞に顔を埋めたたた、がそりず蚀った。 「その前にひず぀だけ、謝りたい事が」 蚀われた蚀葉に背筋を䞀筋、冷たいものが流れた。   たさか。 いや、遅れたのは自分だ、こい぀に非は。 けれどもし䞇が䞀、予想しおいるこずを蚀われたら。 「今日、同玚生の方から。想いを告げられたした」 喉が枇く。 正盎聞きたく無い、かもしれない。 「それで  、こ、このひず、なら  っ」 離れずに。 ずっず傍に居おくれるのだろうかず。 「䞀瞬、ほんの䞀瞬でも考えおしたった  」 「  圌にも、貎殿にも、䜕お倱瀌な事をしおしたったのだろうず 」 ごめんなさい、ず謝りながらたた泣きだした圌女に。 「  謝るのは俺だろ」 そう考える皋に寂しい思いをさせたのは。 「俺が、  俺の所為だろ、だからアンタが謝るこずじゃねえ」 蚀うずたすたす泣いおしたっお銖を振っお、䜕床もその頭を撫でた。 「それで、頷いたんじゃねえだろうな」 「たさか」 「なら良い。  ったく脅かすんじゃねえよ」 これでオッケヌしたでござる、なんざ蚀われたら垰囜早々譊察にお䞖話になる所だった。 「ちゃんず蚀ったんだろ。恋人が居るからっお」 「  」 「オむ䜕で黙んだよ」 「  、こいびず」 「たさかこの期に及んで違うずか蚀わねえだろうな」 「や、そ、そうでは  」 「俺は向こうで聞かれる床にそう蚀ったけど」 「え」 「日本に倧事な恋人が居るからっおな」 「   ぅ」 「その様子じゃ  䜕お断ったんだ」 「  蚀わないず」 「駄目だ」 「   、す、」 「   」 「奜きな、  ずっず奜きな方が居るからず」 「  」 「蚀うず  笑っおそっか っお、ありがずう聞いおくれお、っお蚀っお」 「   」 「䞍味かったでしょうかぅぶっ」 「たァ、及第点だ」 だがその埌のやり取りは別に聞きたくねえ。 胞に顔を抌し付けおやった。 しばらくそのたたでいるず暎れ出した。 「こ、殺す気で埡座るか」 「んな蚳ねえだろ぀い想いが溢れおだな」 よしよし、撫でるずむう、ず口を突き出しお怒る。 食い぀いお欲しいのかよし分かった。 「  で」 「  ん」 背を屈めようずしたずころで話しかけられた。 わざずか勘の良い奎め。 「    あの、」 「どうした」 䜕か蚀いたげにもごもごするのも可愛いが、俺ずしおは離れおた間のアンタを補充したくおだな、 「  」 やくそく。 ぜ぀りず挏らされた声に。 「  、OK、そうだったな」 そういやただだった。 恥ずかしいのか䞋を向いおしたった顎を持ち䞊げお。 折角だから、前々から隠しおいた事も䞀緒にばらしおしたおうか。 「来月から䞖話になるパティシ゚兌マスタヌ代理の䌊達政宗だ。宜しくな」
カフェでバむトする高校生ず぀っかかっおくる倧孊生の話。珟パロで真田が女䜓化しおおりたすご泚意䞋さい。サむト加筆修正分です。/RRありがずうございたした/評䟡・ブクマ・タグありがずうございたすうおお嬉しいです /調子に乗っおサむトの続きの郚分を远加臎したした。ありがずうございたした(5/14)
On va dans un Cafe
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1幎に1床しか䌚えないのっお、どんな気持ちなのだろう。きっず、その気持ちがわからないから机に眮いた短冊はい぀たでも癜玙なのだ。今たさに逢瀬しおいるのだろう、䞀察の星に願い事を蚗す。そういった願掛けに、私は぀いぞ意矩を芋いだせないでいた。だっお、倩に蚗せば叶う願いは物心぀いた時には既に叶えられおいお、あずは私の努力目暙が残るのみ。なんなら、スマヌトフォンに蚗す方が良い。 ずはいえ、䜕も曞かないのもこの行事に倱瀌な気がするから、目先の欲望を曞いおみるこずにした。 『リサずだらだらお喋りがしたい』 目先すぎたかもしれない。四歩歩いおベランダに行けばきっず叶う、そんな願い。だから少し修正しお、『だらだら』に倧きくバツを打った。そしお暪に『本心で』ず付け加える。机のラむトに短冊を透かすず、その願いはきらきらず光っお空ぞ。そしお倩井で跳ね返っお私にぶ぀かる。わかっおる、これも私の努力目暙。短冊ずしおも願いずしおも芋映えは悪いけれど、これこそ私らしいのかも、なんお独りごちる。䞀぀息を吐いお、心をきめる。短冊をくしゃりず握り朰しおゎミ箱ぞ。 私は、結局スマヌトフォンに願いを蚗すこずにする。ベランダに出お、向かいの郚屋の電気が぀いおいるこずを確認。柵に身を預けお、メッセヌゞを送る。 『ねえ、星が綺麗よ。ベランダに出おご芧』 䞃倕を蚀い蚳に遣う私の願いが叶うには、ただただ時間が必芁そう。握り朰した短冊の感觊を思い出しながら、私は星の瞬く空を芋䞊げる。 やがお、向かいの郚屋のカヌテンが勢いよく開いた。 ♢♢ 「今日郚掻でさヌ、熱䞭症でふらっずきちゃった子がいお倧倉だったんだよヌ」 リサは脳内で回想しながら蚀う。圌女の制汗剀の匂いが颚に乗っお、私の錻腔をくすぐった。 「その子、倧䞈倫だったの」 「うん、保健宀に連れお行ったんだけど、暫くしたら元気になったっお聞いたよ」 「良かったわね」 その顔も知らない子のこずより、その子に䜕かあっおリサが悲しむこずがなくおよかった。浅たしい私はそう蚀った。 「うん」 「リサも」 「うん」 「リサも気を぀けなくおはダメよ」 貎女が倒れたら、私冷静ではいられないわ。そう付け加えた。 「  うん ありがず、気を぀ける」 リサは顔を少し赀らめお、喜色を浮かべた。 䜕だか今日はやけに正盎にものを話す自分がいる。䜕故だろう。たるで䜕かに浮かされたかのよう。 「あ、そうだ。友垌那、熱䞭症っおゆっくり蚀っおみお」 「」 考えがたずたる前にリサがよくわからない芁求を出しおくるものだから、私は玠盎に実行する。 「  ねヌ、っ」 蚀ううちにいたずらっぜい笑みを浮かべたリサの思惑に気づいおしたう。だから反撃するこずにした。 「ねえリサ。キスしたしょう」 笑みを凍り぀かせたリサは、あうあうず口を震わせる。 「っ、    ずるい」 こちらの台詞よ。そう心䞭で呟きながら、私は期埅に目を瞑る。そしお3秒ず経たずにそれは来る。 唇に、火が泚がれた。 ♢♢ ほの暗い䞖界の䞭、晒した友垌那のうなじがやけに癜く芋える。濃玺の济衣に身を包む友垌那は、裟が開かないように噚甚に脚を畳んでしゃがむ。その暪顔を照らす朱色の光源は、手に持った線銙花火の揺らめき。暗闇にがんやりず浮かび䞊がるようなその姿は、アタシの意識を根こそぎ持ち去るには十分だった。 「  リサ もう萜ちおしたうわ、はやく来なさい」 声をかけられおはじめお、芋蕩れおいたこずに気が぀く。 「あ、うん」 我ながら間の抜けた声。ぱたぱたず䞋駄を鳎らしお、友垌那の暪ぞ。肩が觊れ合いそうな、そんな至近で友垌那を芋詰めたらきっず埌戻りできないから、逃げるように閃光を目に焌き付ける。 垂れるように赀熱する光球に、その呚りを圩る控えめな火花。ちりちりず音を立おる。ぶら䞋がる球は可哀想なくらいに膚れ䞊がっおいお、友垌那の蚀う通りもうすぐ萜ちおしたいそう。 「綺麗だね」 「ええ」 我ながらばかみたいな感想だ、ず思った。アタシは実は儚く燃えるそれを芖界に収めおはいるけれど、ちゃんず芋おいる蚳では無いのだ。たずもな感想なんお出おくるはずもない。花火なんかよりよっぜど綺麗な暪顔がすぐそこにあるのに、アタシは盎芖するこずが出来ないから蚀い蚳に花火を遣う。 「消えそうなものっお、なぜだか心を匕くわよね」 「うん。なんでだろうね」 本圓はアタシはずっず続くものがいい。この花火が萜ちおも、友垌那を照らすちょうど良い照明が無くなっおしたったくらいの感想しか抱かないかもしれない。 けれど、さっきアタシの目を釘付けにした淡くオレンゞに照らされた暪顔は花火が萜ちるず同時に終わっおしたう。だからアタシは、なけなしの勇気ず、勿䜓ないず思うケチな心を奮わせお、顔を真暪に向けた。 「  っ」 花火に目をやっおいるハズの友垌那ず目が合った。向こうも䞍意に目が合ったこずに驚いおしたったようで、びくりず肩が跳ねる。それに䌎っお手が震えお、線銙花火の光が絶える。 暗くなった䞖界の䞭で、友垌那の満月のような双眞だけが色圩をも぀。蛇にでも睚たれたかのように身動きができなくお、芋぀めあったたた秒針が進む。なんで友垌那がこっちを芋おいるんだろう。そんな思考だけが頭の片隅に枊巻いおいた。 「  リサ    っ」 切矜詰たったような友垌那の声色に、なあに、ず問い返す声は掠れお出なかった。やっぱりアタシは動けなくお、でもなぜだか肩に友垌那の䜓枩がのしかかる。 その意味を考えお、友垌那が寄り掛かっお近づいおきたのだず察した瞬間、背埌から子䟛の笑い声がふた぀聞こえお、はっず埌ろを芋やる。倏祭の喧隒から飛び出おきた女の子が2人、しゃがみ蟌むアタシ達の埌ろを通り抜けお暗闇ぞず消える。 芖線を戻すず、友垌那は芖線を䞋に遣っお次の花火を取り出すずころだった。 「次はリサも持぀」 「う、うん」 たたばかみたいな盞槌を打おば、友垌那は花火を手枡しおくれる。二人それぞれ花火を持っお、同時に火を぀けた。 再び䞖界は少しだけ明るくなっお、ぱちぱちず小さく音が増える。たた目が合っおは心臓がもたないから、今床は花火を泚芖した。やがおアタシの持぀光球は萜ちお、䞉秒遅れお友垌那の花火も消える。 アタシ達はなん床も花火に火を点けお、なん床もそれを地面に萜ずした。目が合ったのは最初の1回だけだったけれど、肩に觊れた䜓枩はずっずくっ぀いたたただった。 ♢♢ フグっお、意倖ず可愛らしいよね。ぷくヌっお膚らんでちっちゃなひれを必死で動かしお泳ぐの。顔がちょっぎりブサむクなのも可愛い。埮笑たしくお結構奜きだったりする。 でもさ、アタシの幌銎染みたいな綺麗な顔立ちの女の子が、フグみたいにほっぺを膚らたせおこちらを睚む──ゞト目っおいうのかなそんな感じで芋おきたら、可愛いを通り越しお凶噚なんだよ。実際、アタシは今その顔をみお心臓を撃ち抜かれちゃいたした。 「さっきの、䜕なの」 ほっぺをぱんぱんに膚らたせおわざずらしくむくれる友垌那は、普段より曎に幟分䜎いトヌンで問いかけおきた。”さっきの”に思い切り心圓たりのあるアタシは、平謝りするしかない。 「ごめん  ぀い」 怒らせたみたいだずはいっおも、怒りの䞻匵の仕方が可愛すぎおなんずも眪悪感に浞りきれない。ずいうか、倚分怒っおるんじゃなくお、正確に蚀うずむくれおいる。きっずダキモチみたいな䜕かを焌いおくれおいお、そんなずころも愛おしくお可愛い。そしお薄暗い廊䞋でも぀や぀やず淡く茝いお芋える友垌那の頬はもちもちしお気持ちよさそう。 、 「幟ら䜕でも、サヌビスが過ぎるわよ」 倧盛況のラむブを終えお興奮冷めやらぬたた控え宀に戻ろうずしたら、汗も拭かないたたの友垌那に廊䞋で匕き止められた。途䞭で止められたから他のみんなは既に控え宀に入ったみたい。 本圓によく盛り䞊がったラむブだったから、アタシもテンションがどうしおも䞊がっおしたっお、声揎に応えおこんなこずを口走っおしたったのだ。芳衆に向けお、『みんな、アタシのものになりなよ』だなんお。それはもう倧きな声揎が返っおきお、殆ど声が質量をもっお殎り぀けおくるみたいな圧だった。䞀蚀でそれだけの反応を匕き出せお、アタシずしおは結構むむ感じだったな、なんお思っおいたのだ。この友垌那の衚情を芋るたでは。 「うん  ごめん」 「さっきからそればっかり。いいわ、こうなったら実力行䜿よ」 ふしゅう、ず友垌那の頬がしがむず同時に、ぐらんず芖界が揺れた。友垌那がアタシの胞ぐらを掎んで廊䞋の壁に抌し付けたからだ。ばん、ず壁に友垌那の手が叩き぀けられた。もう片方の手はアタシの手銖を掎んで、これも壁に抌し付けられる。驚きで肩がびくんず跳ねる。そしお間髪入れずに友垌那は顔を寄せおきお、アタシの耳元で蚀う。 「──リサ。私のものになりなさい」 ふっ、ず耳朶にかかる吐息。次いで耳たぶが䜕かに挟たれた。 ────おいうか熱っ、これ、噛たれお   「ひゃんっ」 耳を抉るように舐められたこずを唟液の気化熱で知る。矢継ぎ早に繰り出される友垌那の責めにアタシは倉な声を出しおしたう。舌は銖筋を降りおきお、ステヌゞ衣装の淵をなぞっお、鎖骚でずどたる。そこをぢゅう、っお音を立おお友垌那が吞った。痕぀いたな、なんお考えがよぎる頃には䞋が顎先を超えおいお、あっずいう間に芖界が友垌那で塞がった。 「んぅっ  」 そしおたた舌が絡たなかった事ぞの寂しさを感じる間もなく唇は離れおいっお、友垌那はアタシの顎を぀かむ。 「──わかった」 「  ひゃい    」 ふ、ず雰囲気を緩和させた友垌那は、わかればいいのよ、なんお蚀い眮いお控え宀に入っおいった。 ♢♢ 吊が応にも汗が身䜓を這いずり回るようなこの熱垯倜、友垌那の郚屋の窓は開いおいた。緎習の時から感じおいた予感が確信に倉わったのはこれを確認した時だった。倧気に満ちる湿床に反しお、からら、ず網戞は也いた音を立おお開く。 「  やっぱり」 カヌテンをかき分けお月明かりが差し蟌んだ郚屋を芋れば、ベッドの䞊に制服姿の友垌那が䞞たっおいた。膝を抱えるようにしお、窓ずは反察向きに身䜓を倒しおいる。 「起きおる  よね」 返事はないけれど、その代わりにもぞもぞず姿勢が倉わっお、銖だけがこちらを向く。 「  リサ」 呻くような声。ベッドにゆっくりず腰掛けるず、友垌那は銖だけでなく身䜓ごずこちらを向いた。 「その感じ、やっぱり」 「ええ  気づいおいたのね」 圓たり前じゃん。緎習の時、い぀もより顔が匷ばっおたもん。アタシは食べるチョコレヌトの量が増えるくらいでそんなに重たくないから、友垌那が抱えおいる動けなくなるほどの生理痛はあんたり想像が぀かない。けれどい぀も綺麗にシヌツが敷かれおいるベッドにはもがいたように波王の皺が広がっおいお。垰っおから寝る準備が敎うたで独りで耐えおさせおしたったこずに埌悔を埗た。 窓を締めお、クヌラヌを付けお、高めの気枩に蚭定しお。ネクタむを倖しおあげお、ボタンを二぀倖しお銖元を緩くしおあげた。タオルで銖に浮かんだ汗を拭いおあげるず、ぞっずするくらい冷たくお、怖くなる。 未だ暪になった顔を芗き蟌むず、ベッドの波王に負けないくらいくっきりず眉間に苊悶が刻たれおいる。唇が青いのは郚屋の暗さのせいだけではないだろう。 「はい、垃団被っお。  寝れそう」 「  」 友垌那は無蚀で、ぎゅ、ずお腹のあたりにすがり付いおくる。ほずんど膝枕しおいるような姿勢だ。友垌那は身䜓的に匱った時、意倖ず甘えん坊な所があっお。普段やられるず心底舞い䞊がっおしたいそうな行動だけれど、今それに喜べるほどアタシが浅はかでないこずを確認しお安堵した。 汗でややしっずりずした銀の奔流を撫でおあげるず、滑り萜ちるように零れた髪が膝をくすぐる。それに觊発されたかのように友垌那が口を開いた。 「  子守唄が、聞きたいわ」 今日は甘えん坊どころか駄々っ子みたいだ。 「自信、無いよ」 「リサの声が聞きたいの」 はあ、ず嘆息を呌気に混ぜお、そしお息を吞う。頬が熱くなっおいるこずを自芚しながら、努めお音量を萜ずしお音を吐き出し始める。 アタシ達、Roseliaの曲。感謝や枩もりに぀いお歌った優しい曲が、自然ず口から零れた。 「リサ、䞊手。䞊手だわ──」 Aメロが終わったあたりでうわ蚀のようにこう呟いた友垌那は、ワンコヌラス歌う頃にはすうすうず寝息を立おおいた。 い぀の間にか仰向けになっおアタシの脚の䞊に収たる友垌那の顔は安らかで。皺はアむロンでもかけたみたいにたっさらになっおいる。 䞍意に感じる枩もりに、倧げさに肩が跳ねる。手を芋遣れば友垌那の手が絡んでいお。驚きずは別の芁因で心臓が跳ね始める。身䜓ず心の自由を完党に奪われおしたっお、アタシはい぀寝ればいいのかな、なんお独り苊笑した。 ♢♢ このくらい、Roseliaのベヌシストなら出来お圓然。きっずそうなのだろう。だからアタシは、この䞀週間片時も忘れなかった、そしお䞀週間前は少しも匟けなかったフレヌズをノヌミスで乗り越えおも衚情䞀぀倉えやしなかった。油断したら、峠を越えた先の䜕でもないような運指が滞っおしたうから、曲が終わるたで緊匵を維持した。これはきっず、垰っおからお颚呂を枈たせお、髪を也かしお。そしおベッドに入っお、そこでようやく独り噛み締める類の喜びだ。だから、アタシは努めお平静を装っお緎習をやり過ごすこずに決めた。 曲が終わるず、皆口々に「今のテむクはずおも良かった」ず蚀う。けれど、アタシ個人を耒める様子はない。そりゃそうだ。皆、Roseliaの䞀員ずしお圓然のラむンをクリアするのは圓然なのだから、アタシは耒められるようなこずは䜕もしおいない。だから、アタシはアタシの喜びを独りそっず慈しむ。 「あのサビ終わりのフレヌズ、盞圓緎習したでしょう、リサ」 だから、緎習からの垰り道、二人になったタむミングで友垌那からこんなこずを蚀われおドキマギしないはずがなかった。 「えっ、気づいおたの」 「圓然じゃない。たたに郚屋でアンプ鳎らしおるでしょう窓開けおるず少し聞こえるのよ。䞉日前たではずおもじゃないけど匟けおいるずは蚀い難かった。けれど貎女は今日完璧に仕䞊げおきた。これは誇るべきこずよ、リサ」 え、友垌那にアタシの頑匵りを気づかれおた、ずいうか郚屋での緎習を聎かれお、いやそれより今、友垌那に誉められた 圢容しがたい感想ず感情が脳内を駆けずり回っお、容量がいっぱい。ベッドに持ち蟌むはずだった喜びが目の端から数滎こがれおしたう。 「  っ、なんで泣くの」 「ごめん  ちょっず    めっちゃ倧倉だったからさ  あず、友垌那が気付いおくれお嬉しい」 䞀昚日の倜、そのフレヌズが䞊手く匟けなくお、匷迫芳念じみた䜕かで泣いちゃった。昚日の倜、それでも諊めずに匟き続けた。少し苊しかった䞀週間が党お報われた気がしお、あっさりずアタシは感情を零した。 「    」 考え蟌むようにした埌、アタシより少しだけ身長の䜎い友垌那が、身䜓を䌞ばすようにしおおもむろに頭を撫でおくれる。 「よく頑匵ったわね」 髪越しに䌝わる掌の䜓枩に、䌝わる蚀葉の暖かさに、あたしの感情は益々勢いを増しお。がやけた芖界で友垌那が慌おる。 たたにこうしお耒められたらなんでも頑匵れちゃうな、なんお思った。 ♢♢ あヌ、ダバい。友垌那の暪顔みおたらこみ䞊げおきちゃった。ずはいっおも、孊校からの垰路を二人䞊んで歩いおるだけなんだけど。 孊校を出おからずっず、途切れるこずもなく続くアタシのなんでもないようなどうでもいい話にやけに真剣に盞槌を打っおくれる友垌那。時々アタシの顔を芋おコメントを返しおくれる友垌那。䞍意に、がさ、ず音を立おお民家の庭から柵に飛び出おきた猫に思いっきり目を匕かれる友垌那。その猫がすぐにどこか行っちゃっおあからさたに残念そうな顔をする友垌那。その残念そうな顔をすぐに取り繕っお枈たし顔を浮かべる友垌那。でもさっきよりは目線が䞋向きな友垌那。 芳察が现すぎるけど、幌なじみだから、ずかそんな範疇超えおるのは先刻承知。友垌那の衚情は色が乏しいず思われがちだけど、アタシからしたらそんなこずはない。わかりやすいくらいにころころず色圩を倉えおいく友垌那の感情。それっお党郚、顔に出るんだ。だから、アタシはこみ䞊げおくるこれをたたにそのたた吐き出しちゃうの。だっお、溢れ続けるものを身䜓に溜め蟌んでおいたらい぀か爆発するじゃん 「──で、リサ。なんだったかしら」 「うん。友垌那、奜きだよ」 身䜓䞭に満ちる”奜き”をちょっずだけ吐き出した。努めおあっけらかんずした笑顔を䜜る。擬音にしたら『にかっ』お感じかな あんたりマゞな顔するず、マゞに取られちゃうじゃん。いや、本気なんだけど。 「なっ  。リサ、からかうのはよしお」 ぶわぁ、ず顔が真っ赀になる友垌那。可愛いなあ、もう。 「からかっおないよ、本心だもん☆」 真剣な衚情で蚀えるのは、い぀になるかなあ。いっそ、爆発したら吹っ切れるのかなあ、なんお。 ♢♢ 「    もうダメ、今日は浮かばないわ」 小䞀時間くらいアタシのベッドの䞊で䜓操座りをしお虚空を芋぀めおいた友垌那が、到達にギブアップを宣蚀した。 最近友垌那は、䜜詞䜜曲に行き詰たるず無蚀でぬるりずアタシの郚屋に入っおきお、おもむろにベッドを占拠する。寝転がるわけでもなく、壁に背を預けるでもなく、风を舐めおみるでもなく、本圓にただベッドの䞭倮に䜓操座りをしお目線だけをキョロキョロず動かすの。䜕を尋ねおも「気にしないで」「リサはリサのやりたいこずをしおいお」の䞀点匵りだから、䞉回目くらいからアタシは䜕も蚀わずにそれを暪目で芋守っおいる。そしお倧抵、アタシの郚屋に来るほど远い詰められおいる時は結局䜕も浮かばずに、やがお音を䞊げる。 これも友垌那の進歩ずいえば進歩で、以前は本圓に良い詩やフレヌズが浮かぶたで飲たず食わずでベッドに頭をぜふぜふ打ち付けたり风を䜕袋も空けおしたったりしおいたのだ。い぀からか匕き際ず切り替えを心埗お、ギブアップできるようになったのは友垌那の確かな進歩ず蚀えるだろう。だからアタシは、劎いの蚀葉をかける。 「お疲れ様。少し䌑憩しなよ」 アタシが声を掛けお初めお、友垌那は䜓操座りを厩しお脚を䌞ばした。立ち䞊がらぬたたにベッドを這っお、端にちょこんず腰掛ける。 「有難う。そうするわ」 ひず぀ため息を攟ったあず、友垌那は自然な流れで䞡腕を広げおアタシに向き合う。アタシもそれに応えお、勉匷机から立ち䞊がっお友垌那ぞ歩み寄る。 腕が届く距離に入るず、埅ちきれないずばかりに友垌那はアタシのお腹のあたりに顔をうずめおくる。友垌那の䞡手はアタシの腰をガッチリホヌルドしお、ちょっずやそっずじゃ抜けられない。抜ける気は毛頭無いけれど。 すうぅ、ず倧きく息を吞う音。アタシに抱き぀く友垌那が、思い切りアタシの匂いを肺に収めおいるのだ。䜕床やられおも気恥しい。やがおふうぅ、ず溜め蟌んだ息が吐き出される。ずはいっおも、顔を埋めたたただから、呌気が圓たったずころが友垌那の䜓枩であったかい。 「満足した」 「    ええ、もう倧䞈倫」 蚀葉ずは裏腹に、ぎゅう、ずアタシをホヌルドする腕に力がこもる。そんなにぎゅっおしなくおも、アタシは逃げやしないのに。 「普段からこのくらい甘えおくれおもいいんだよ」 「ダメ。癖になるわ」 それは党くこっちのセリフで、この時間がすっかり癖になっお䜜詞が行き詰たればいいのに、なんお考えちゃうから、アタシっお本圓に性悪だ。 「  じゃあ、今日はアタシが満足するたでそうしおおくれる」 友垌那が顔を離しお、目だけでアタシを芋あげおくる。眉根が䞋がった、愛玩動物みたいな目の圢だった。 「  仕方ないわね」 再びぎゅっず絞たる腕の力に満足しお、アタシは友垌那の髪を指に絡めた。 ♢♢ 果おしなく続く猛暑日にぜっかりず空いた谷間の真倏日、銬鹿になっおしたったアタシの肌は30床そこそこの日䞭でも涌しく感じるようになっおしたった。今はもう時刻は20時を回っおいお、陜射しなんお残滓すらない。それなのに、背䞭には冷や汗をびっしりずかいおいるのは䜕故か。 「嫌よ。絶察に嫌」 友垌那がアタシの袖を掎んで離さないからだった。吊、状況ずしおは非垞に嬉しいし拗ねたように唇を突き出す幌銎染みはめっちゃ可愛いんだけど、それを解消するこずがきっず叶わないからこその冷や汗だ。よくよく芋れば友垌那の目が最んでさえいる気がする。 「アタシだっお離れたくないんだけどさヌ。たった週間くらいだよ」 お盆に䌎う明日から5日間くらいの母方の実家ぞの垰省の話をしたら、リサは぀いお行くのかず問われ。無論祖父母の顔も芋たいし、アタシだけこの家に眮いおいかれる蚳にもいかないでしょず答えたら、友垌那は玄関の前でアタシの袖を掎んで頑ずしお動かなくなっおしたった。 「だから、嫌。ずにかく嫌よ」 「そんな駄々こねないで  ね お土産買っおきおあげるからさ」 「芁らない」 八方塞がりだ。䜕がどうしようもないっお、こんなにも駄々をこねおアタシず離れたがらない友垌那がいじらしくお愛おしくお仕方なくお、めちゃくちゃ嬉しいずいうこずだ。アタシも匷く拒絶できない。良い折衷案も思い぀かない。 困ったなあ  。 「うヌん  そうだ、今日はアタシの郚屋に来る 友垌那の気が枈むたで充電しおよ」 「  行く」 その埌お颚呂を枈たせおから再び合流しお、䞀晩䞭文字通り抱き枕にされた。 コアラみたいにアタシに匵り付いたたた朝を迎えた友垌那は、「垰っお来たらもう䞀晩抱き枕になるこず」を条件にアタシに垰省を蚱したのでした。おしたい。
Twitterに#たいにちリサゆきずいうタグで投げおる短線のたずめです。
短線たずめ5
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10048313#1
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 梅雚は雚が降っおいない日でも空気がじめっずたずわり぀いお来るようですっきりしない。その䞍快さに家を出るのを億劫がる者は数知れず、倧孊に行き退屈な講矩を聞き続けるか家で趣味の時間を謳歌するか迷う者もたた倚く。そんな葛藀の末にそのたた登校意欲を倱い講矩を欠垭する孊生は結構いる。日本の倧孊生にずっお梅雚は単䜍に䞊ぶ敵なのだ。 「いや、なんでそこで迷うんだ」  癜髪の青幎は隠れおいない巊目だけで呆れたように、隣で机に突っ䌏しおいる芪友にそう蚀った。蚀われた友人はずいうずだっおさ、ずきだる気な様子で返しおくる。その頭で跳ねる癖っ毛が湿気でい぀も以䞊にぎょこぎょこ跳ねおいるのずは反比䟋なダレ様だ。  確かに青幎自身にずっおも梅雚は割ず憂鬱な時期である。しかしだからず蚀っお孊校をサボるずいう発想はどうしたっお生たれおこない。青幎がそう蚀うず他の友人達から合いの手が入る。 「お前は真面目だからなあ」 「真面目っ぀うか堅物っ぀うか」  釣り目の芪友に続き、前髪に䞡目が隠れた芪友からもそんな茶々を入れられた。真面目ずいうか圓たり前のこずなのではず青幎は思うのだが、事実講矩宀にいる孊生はい぀もよりも少ない。そしお、そんなこず続けお期末に泣きを芋る孊生が毎幎䞀人二人はいるのが䞖の垞だ。  反しおこの青幎は生来の真面目な性栌でそんなずころからは最も離れた堎所にいるず蚀っおもいい。そしお自分を堅物だずか評する友人達だっお毎回きちんず講矩を受ける蟺り充分真面目の郚類に入っおいる。梅雚の鬱陶しさを愚痎っおいる癖毛の友人だっお䜕だかんだ蚀い぀぀もやるこずはしっかりやる奎なのだ。  もっずも、その理由は圌の意識だけではないようなのだが。 「いや、ホントはサボっちたおっかなっお思っおたんだよ。でも『ダメだよ、お兄ちゃん。ちゃんず孊校行かなきゃ埌で困るのはお兄ちゃんなんだよ』っお俺の可愛い可愛い効が心配しおくれたらもう、行くしかないだろ」 「うわ、出たよシスコン」  その台詞に友人達が䞀様に呆れ返った。しかし圓の本人はそんなのどこ吹く颚だずでもいうように今日も倉わらず効ぞの惚れ気を雄匁に語っおいる。  倧孊入孊を機に知り合った圌ら四人だが、それから䞉幎生の今に至るたでの時間でこの友人が所謂シスタヌコンプレックスであるこずは呚知の事実ずなった。それはもう末期の。少し歳が離れたその効は今幎高校に入りたおだず聞いたが、その幎頃の女子にしおは珍しく今も昔も倉わらずに兄に懐いおいるらしい。そんな効をこの兄は目に入れおも痛くないぐらい可愛がっおいる。どれくらいかずいったらクリスマスや圌女の誕生日には芪友を巻き蟌んでプレれント遞びに駆り出し、逆に効からもそういったむベントでプレれントを貰えば狂喜乱舞するぐらいだ。日垞的にもやれこんなこずしお可愛かっただの、やれこの間はこんなこずがあっただの圌の口から効の話が出ない日はなく、最早手遅れなレベルのシスコンである。最初はドン匕きしおいた圌らも慣れようずいうものだ。  そんなよく話に聞く圌の効であるが芪友達が圌女の姿を目にしたこずは無い。この友人の性栌からするずすぐにでも圌女の写真を芋せびらかしそうに思えるが意倖にもその逆だった。いくら惚れ気おも決しおそういうこずはしない。䜕かのきっかけでその理由を尋ねたずころ圌はあっけらかんずこう答えた。 「俺だっお出来れば芪友をブッ飛ばしたくはないからな」  ぀たり効に惚れられたら困るから写真を芋せない、そしお効に寄っお来る悪い虫は䟋え芪友であろうずボッコボコにしおやるず蚀倖的に宣ったのだ。その瞬間、䞉人は䜕かうすら寒いものを感じ背䞭に冷や汗が䌝ったのをよく芚えおいる。  そういう蚳で䞉人は倧たかな容姿は知っおいるものの圌女を芋たこずが無い。生幎月日や星座、血液型、性栌、趣味、奜みなどの基本情報は話を通しお䞀通り網矅したが、その姿だけが圌女ずいう人間のむメヌゞ像の䞭で䞍自然に欠萜しおいた。  それにしおも芪友達が効に惚れるかもしれないから写真を芋せないずはたた考えすぎな気がする。特に自分なんおそんな色恋沙汰ずは無瞁なのだから䜙蚈な心配だず思っおいた。  あの時たでは。 ♢ ♊ ♢  梅雚は雚の季節であり突然空暡様が倉わるこずも珍しくはない。今日は運が悪く䞋校途䞭の圌らはよりにもよっお豪雚に芋舞われおしたった。青幎は折り畳み傘を持っおいたものの四人も入り切らないし、䜕よりちっぜけな傘皋床この豪雚の前には無いも同然むしろ颚に煜られお邪魔になるだけだ。 「うっわ、ずぶ濡れ」 「気象庁ちゃんず仕事しろよな」  各々喚きながら走っお行くがそれで雚が降りやむ筈も無く、华っお雚脚が匷くなっおいく感じさえする。終いにはドンガラガッシャヌンッず雷たで萜ちおきた。うわあああず倧の男達から少々情けない悲鳎が䞊がる。 「マゞかよ、嘘だろ、勘匁しろよ」 「これは酷いな 」 「なあ、どっか店かなんかに入っお雚宿りしようぜ」 「だったら俺ん家来るか こっから近いし。぀かこんな倩気で効を䞀人家に眮いずけるかっおんだ」  今日は母さんも甚があっお出掛けおるから俺があい぀を守らねばず意気蟌む圌のシスコンはこんな雷雚の䞭でも通垞営業だ。慣れたず思っおいた青幎達だが呆れを通り越しいっそ感心さえしおしたう。もしかしたら奎は倩地がひっくり返ろうずも効の為ならば䞖界の果おからでも駆け付けるかもしれない。いやきっずそうだ。  ずもあれ申し出自䜓は有り難いものであるこずに倉わりない。圌らはその友人の家ぞず向かっお走っお行く。バシャバシャず氎溜りに足音を響かせるこず数分、圌の家だずいうモダンな䞀軒家が芋えおきお急いでその玄関の軒䞋ぞず駆けこんだ。 「あヌあ、ビッショビショ 」 「䞊がる前に党員䜓拭けよヌ。あず絶察に効には手を出さないこず」 「はいはい。分かったから早く入れおくれ」  盞倉わらずのその蚀葉を適圓に聞き流しながらドアを開けた友人に続いお圌らは家の䞭ぞず入っお行った。蟺りを芋回すずスッキリした玄関に掻けられた玫陜花の花が華やかさず柔らかさを醞し出しおいる。家庭的ながらも品のある雰囲気が第䞀印象の家だった。  倧の男四人でぎゅうぎゅうになった玄関だがふず足元を芋るず小さなロヌファヌが隅に揃えお眮かれおいた。圌の効が既に垰っおきおいるのだろうか、ずがんやり考える。 「ちょっずタオル取っお来るから埅っおおくれよ」  友人がそう蚀っおスニヌカヌを脱いで䞊がろうずした時、それを遮るように奥から物音が聞こえおきた。それは人の足音の様で次第にこちらぞず向かっお来おいる。きっず圌の効だろう。散々話には聞いおいたものの目にするのは初めおになるその姿に少しばかり興味がわいおきおしたう。䞀䜓どんな子なのだろうず考えおいるず、ひょこりず壁の向こうから女の子が顔を出しおきた。  その姿を䞀目芋お、ドクリず心臓が音を立おた。  かわいい。普段頭に䞊るこずのない単語がポンず䞍思議なほど自然に浮かび䞊がる。うっかり口を突いお出そうになったが、衝撃で固たる喉は小さく呻くだけにずどたった。  垰っおきおからそう時間は経っおいないのだろう、薄茶色のブレザヌに深みのある赀いスカヌトずリボンの制服を纏っおいる。スカヌトからスラリず䌞びた足は歩けるのかず疑っおしたうほどほっそりずしおいた。タオルを抱えた手だっおたるで人圢のもののように小さく柔らかそうだ。现い肩の䞊で揺れるのはたるでルビヌを溶かし蟌んだず芋間違うほどに鮮やかな赀い髪。ぎょこりず䞀房だけ跳ねた癖毛がたた可愛らしい。  そしお䜕より、穢れなど知らないかのように柄み切った琥珀の瞳。星にも䌌たきらめきを散りばめたその瞳に目が離せない。思わず吞い蟌たれおしたう。 「     っ」  ドクリ、ドクリ、ず心臓が痛いほど脈打っおいる。かあっず党身に熱が走るのを感じたがどうしようもない。䞖界に圌女しかいなくなったかのような感芚に、ただただ目の前の少女を䞀心に芋぀め続けおいた。 「おヌ マむスむヌトシスタヌ ただいた そしおもう垰っおたんだな、おかえり」 「お兄ちゃん、おかえりなさい それからただいた」  氞遠にも䌌たようなその刹那は次の瞬間友人の倧声によっおあっけらかんず砎られる。しかしそれに返した圌女の声はたさに鈎の音を転がすようで、本圓にこんな声を持぀人間がいたんだなず䞀呚回っおどこか他人事のように考えおいる自分がいた。 「 あの、お兄ちゃんのお友達の方々ですか」 「あ、ああ 」 「おじゃたしたヌす」 「突然ごめんねヌ」  ひたすら圌女を眺めおいるずころを急に話しかけられおきた為うっかり声が裏返りそうになる。咄嗟に返したずはいえ他二人ず比べるず圧倒的に玠っ気ない返事になっおしたっお、い぀もは気にしないずいうのに今は圌女にどう思われたかずいうこずばかりが気になっお仕方がない。  はじめたしお。そう蚀っおぺこり、ずお蟞儀する姿も本圓にかわいい。䞀䜓自分はさっきから䜕回可愛いを連呌しおいるのだろうか。もしかしたら䞀生分の可愛いをここで䜿い切るかもしれない。 「タオルもっず持っおきたすね、ちょっずだけ埅っおおください」 「あ、あぶ 」 「うわっ」  螵を返そうずした圌女に青幎が咄嗟に声を掛けようずするも時すでに遅く、振り返った圌女はゎチンず芋事に壁におでこをぶ぀けおいた。 「っう」 「わヌ 倧䞈倫 倧䞈倫か」 「だ、倧䞈倫だよ、お兄ちゃん 」  よほど思いっきりぶ぀けおしたったようで圌女は頭を抱えおしゃがみ蟌んでしたった。オロオロし始める兄を涙目になりながらも宥めおいるが、おでこが真っ赀に腫れおいる。 「 本圓に倧䞈倫か」 「あわわ 。すみたせん、お友達の方にたで心配かけお 」  ありがずうございたす、ずはにかみながら笑う圌女にただでさえ五月蠅い心臓が曎に隒がしくなっおしたった。青幎が自分に向けられたその笑みをがヌっず眺めおいる内に圌女は立ち䞊がり、家の奥ぞず消えお行った。 「おい、初めお芋たけど可愛いな効ちゃん」 「しかもいい子じゃん。お前もそう思うだろ」 「 そう、だな」 「だろヌ なんおったっお俺の自慢の効だからな」  他の友人達が口々に噂の圌女を耒めちぎる。話を振られた時ただ心臓がドクドク蚀っおいた圌はその動揺を悟られないか気が気ではなかったが、効を耒められお錻高々なその芪友は特に青幎の異倉に気付いおはいないようだった。  それから先、青幎は自分がどう過ごしたのか芚えおいない。雚が止むたで芪友達ず時間を朰したはずなのだが、圌らず䜕を話しただずか自分がどうしおいたずか詳しい蚘憶がすっぜり抜け萜ちおしたっおいた。ただ飲み物を手枡された時にうっかり觊っおしたった指先がやわらかかったなだずか、垰り際に向けおくれた笑顔が滅茶苊茶かわいかったなだずか、あの子のこずばかり考えおしたう。  兄効に芋送られお他二人の芪友ず家路を歩いおいる時もそんな残り熱に浮かされおいた。そこぞ突然暪を歩いおいた䞡目隠れの友人によっお爆匟が萜ずされる。 「随分ず気に入ったんだな」 「な っ!! 別に圌女は っ」 「お 俺は別に䜕にずは蚀っおないぜ」  にやにやずにや぀く圌らに嵌められたず悟るのはそうかからなかった。語るに萜ちた状態に蚀い返す蚀葉が芋぀からず、ハクハクず口を動かしたきり俯くしかない。きっず今の自分は顔どころか耳たで真っ赀だろう。 「いやヌ、お前にも遂に春が来たか 感無量だなあ」 「お父さんは嬉しいです」 「 五月蝿い」  誰がお父さんだ、誰が。だがそれ以䞊に芪友が口にした“春”ずいう単語に反応しおしたう。぀たり、これは、その、そういうこずなんだろう。 俺は圌女が     奜き、なのか   既に薄々ず気付いおいたもののそれを蚀葉にするず思い浮かべるだけでたたかあっず䜓が熱くなる。しかし小説ずかでよく聞く所謂“甘酞っぱい”気持ちに浞る間もなく友人達の远撃が来お吹き飛んでしたう。 「こちずらずっず心配しおたんだぜ なんおったっおお前女っ気なさすぎるもの」 「それ以前に女子に興味自䜓なかったしな。独身コヌスたっしぐらになりそうだから、いざずなったら俺らが玹介やら䜕やらしおやらなきゃず思っおたくらいだし」 「倧きなお䞖話だ」  い぀になく倧声で怒鳎った青幎だが友人達は臆したふうも無くあっはっはっはず腹を抱えお笑っおいる。こい぀ら、どうしおくれよう。そんな圌の本気の怒気を察したのか圌らはようやく笑いを匕っ蟌めた。 「ごめんごめん。こんなお前初めお芋るもんだから、぀いからかいたくなっちたったんだよ」  そう前眮きしお。でもさ、ず先皋ずは違い二人ずも穏やかな笑顔で自分を芋おいる。 「俺ら本圓に嬉しかったんだよ。お前がそういう意味で倧事にしたいず思える女の子に出䌚えお。お前情に節いクセしおそっちの方面は冷めきっおたからな」 「たたヌに恋バナしおも色恋の『い』の字もないし。良かったじゃん、しかもあんな可愛い良い子で。頑匵れよ、応揎しおっから」  そんな颚に蚀われれば爆発寞前だった怒りもしゅるしゅるず萎んでしたうではないか。自分のこずをたるで己のこずのように喜んでくれる圌らに小さな声でありがずう、ず呟く。埮かに笑みを浮かべた圌に応えるように芪友達もにかっず笑っお返した。 「ただ、問題はあのシスコン野郎だよなぁ 」 「そういやあい぀を忘れおたぜ 」 「ああ 」  気分は䞀転、䞉人そろっおげんなりず肩を萜ずした。意䞭のあの子には䞍幞なこずに厄介なボディヌガヌド もずいシスコンず蚀う名のお兄様が玄䞀名付いおいる。あや぀の口から効の話が出ない日はなく、その溺愛っぷりに隙は無い。実際効に近付こうずした男共を蹎散らした話も䜕床も聞いおいる。今たでは盞手の男子にご愁傷さた、ず合掌するだけだったが最早他人事ではないのだ。 「あい぀は その、俺のこず 気付いおいたか」 「ずりあえず今日はセヌフ。あんたりに心ここにあらずの状態だから怪しんではいたけど俺が『干しっぱなしの掗濯物を気にしおいる』っお誀魔化しずいたから」 「そ、そうか 」 「ずいっおもあい぀は効ちゃんに関しちゃやたら嗅芚鋭いからな 。今埌気を付けないずすぐ勘付かれお駆陀されるぞ」  芪友ずいえども容赊はしないっおのが奎のモットヌだからな。釣り目の芪友の蚀葉に確かに以前もそんなこずを蚀っおいたような 、ず青幎は蚘憶を遡る。それを思い出しおたすたす気が重くなった。 「た、でもあい぀もいい加枛効離れすべきだず思うぜ。っおか別に芪友の効に手を出しおはならないなんおルヌルないんだし」 「盞手がお前なら安心しお任せられるだろ。俺達も協力するから頑匵れや」  じゃあな、ず䞁床駅に向かう分かれ道で友人達は手を振りながら去っお行く。倧孊の近くで䞀人暮らししおいる青幎だけが別方向だ。街灯ず家々の灯りだけがポツポツず灯っおいる道を歩きながら、頭の䞭は圌女のこずばかりで埋め尜くされおしたう。  呚りが恋だ愛だず隒いでいおも䞀床も自分の琎線に觊れたこずは無く、そう蚀うこずずは無瞁だずずっず思っおいた。だから効に惚れられたら困るずいうあい぀の心配は少なくずも自分には党く必芁ないず思っおいたのに、それが今はどうだ。自分はたった䞀目芋た瞬間にいずもたやすく恋に萜ちおしたったではないか。぀たるずころ圌の心配はたさに的を射たものであったずいうわけだ。  二人の芪友はああ蚀っおくれおいたけど、実際これはどうなんだろうか。ただでさえ五歳の差は倧きく、向こうはやっず高校生になったばかりなのにこっちはただ孊生ずはいえ二十歳越えの成人男性だ。それに加えお圌女は芪友の効で、芪友は圌女を倧事にしおいお。そこに自分が割り蟌んでいいものか、ず問われれば蚀葉に詰たっおしたう。圌女は自分などが近付いおはいけない神聖な存圚にさえ思えおきおしたうのだ。他の奎はいいのに䜕故自分はダメなのか、ず建前を勝手に䜜っおいるのは自身なのにそんな恚みがたしい気持ちに駆られる。  もっずも、あの兄のガヌドを越えお圌女に近付けた者は未だか぀おいないようだが。建前を守るにしろそうでないにしろ結局壁ずしお立ちはだかる芪友に、青幎は勝手ながらも憎たらしく思えおきおしたうのだった。 ♢ ♊ ♢  あれから䞀ヶ月。梅雚は既に明けお季節は初倏ずなっおいた。倏䌑みたでももう秒読みだが、心ゆくたで䌑暇を楜しむためにはその前に詊隓を乗り越えなければならない。青幎達も勉匷したり期末課題に取り組んだりずほが毎日机に向かい、そしおやっずそれも倧詰めに近付いおいた。 「あヌ 、぀っかれた 」 「しかし喜べ。これで詊隓はすべお終わりだ 埌はレポヌトさえ出せば倏䌑み」  たった今詊隓を終えた為に知恵を絞りたくった頭がどっしりず重くなり疲劎を䞻匵しおいる。しかし友人の宣蚀通り詊隓はこれで党お終わる。そこそこの手ごたえがあったので远詊なんおこずにはならないだろうし、課題を出せば埌腐れなく倏䌑みを過ごすこずが出来る。 「レポヌトいく぀残っおる 俺は䞀぀」 「俺も埌䞀぀かな。あの厄介な教授のや぀」 「党郚片付けた」 「ずりヌ 俺なんお明日提出のがただ終わっおないんだぜ」 「それは自業自埗だろう。その課題は割ず前から出されおいるのにただ終わらせおなかったのか」  ぜかぜか背䞭を叩いお来る癖っ毛の芪友に青幎は淡々ずそう返す。課題は出され次第すぐに片付けるようにしおいる圌は既に党お提出し、詊隓勉匷に集䞭できるようにしおいた。癖っ毛の芪友以倖は提出期限たで䜙裕があるものの、圌に付き合い今日は図曞通に寄っお行くずいう。党おの課題を終わらせた圌は図曞通にいおも意味はないのでそこで別れお垰ろうずした。 「お兄ちゃん」  そこぞ、ここで聞こえるはずの無い声が耳に飛び蟌んで来た。たさかず思っおそちらを芋るずそのたさかで、あの赀髪の少女がこちらぞず駆け寄っお来るずころだった。䞍意打ちの想い人の登堎に思わず心臓が倧きく跳ねる。 「やっず来れたよヌ 道に迷っお遅くなっちゃった」 「あれ 効ちゃんじゃん、こんにちはヌ。どしたの こんなずころに」 「こんにちは お兄ちゃんの忘れ物届けに来たんです。はい、これ」  高校生らしく肩に䞋げたスクヌルバッグから䜕かを取り出し芪友ぞず差し出した。それはUSBメモリで、プラプラぶら䞋がっおいる癜血球のようなストラップに以前圌が䜿っおいたものであるず思い出す。 「俺のUSB これが無いずレポヌト出来ないずころだったヌ ありがずな」 「どういたしたしお 私のバッグに玛れ蟌んでたんだよ。今日孊校に残っお課題をやるっお蚀っおたからこれが無いず困るず思っお」 「それで孊校垰りにわざわざ来おくれたのか ホントありがずなヌ」 「えぞぞ、よかった。じゃあお兄ちゃん達レポヌト頑匵っおね」  そう蚀っお圌女は垰ろうず螵を返した。しかしちょい埅ちず芪友が匕き留める。 「お前、䞀人か」 「 そうだよ」 「だめだめ もう暗いのにお前䞀人で家に垰すわけにはいきたせん」 「え 、これぐらい倧䞈倫だよ。それに近いし」 「それでもダメ いいか お前はかわいヌの そんな子が䞀人で倜道を歩いおたら飛んで火にいる倏の虫なの」 「 私、そんなかわいくないよ」  いや、かわいい。滅茶苊茶かわいい。青幎は反射的に少女の蚀葉を吊定する。圌女が可愛くなかったらこの䞖に可愛いものなどなくなっおしたう。しかしそれを圌女やその兄の前で口にする床胞はなく胞の内に留められたが。 「いや、かわいい メッチャかわいい お前がかわいくなかったらこの䞖にかわいいものなんかない」  口に出さずずも芪友がほがほが同じこずを蚀っおくれた。ちょっずそれに驚きながら圌女の方を芋るずプスプスず煙が出そうなほど真っ赀になっおいる。 「 ど、どっちにしろ䞀緒に垰る人いないもん  」 「俺がいる」 「でも、お兄ちゃんこれからレポヌトやるんでしょ しかもかなり時間がかかりそうっお昚日愚痎っおたし 。私の為に課題そっちのけにするなんおダメだからね」 「うぐ っ で、でもお前だっおここたで来るのに道に迷ったんだろ 迷わず家に垰れるのか」 「う っ だ、だけど 」  互いに痛いずころを突かれ、䞡者どちらが先に折れるかの根競べに入る。その時、青幎は䜕故だか暪で自分ず共にその兄効のやり取りを芋守っおいた二人の目がキラヌンず光ったように芋えた。 嫌な予感がする。 「なら、こい぀に送っおっおもらうのはどう レポヌト党郚終わっお垰ろうずしおたずころだし」 「それにテスト勉匷で䜕床もそっちの家にお邪魔しおるから道も知っおるだろうし」 「 な おいっ」  勝手に圌女の連れに掚薊されお思わず声を荒げおしたう。確かに垰るずころだったし、圌女達の家にはあれ以来䜕床か蚪ねおいる。この二人の友人はあの日の宣蚀通り圌の恋路に協力的で、詊隓勉匷だなんだず口実を䜜っお芪友の家に行き圌女に䌚う機䌚を䜜っおくれおいたのだ。そしおこれもその䞀環なのだろうけど、いきなり圌女ず二人きりずいうのは緊匵しおしたう。 「え でも悪いです 」 「あ、いや 、俺は倧䞈倫だから 。道に迷いやすいんだろう 流石にこんな時間に迷子になるのは危険だぞ」 「うぅ 」  しかし緊匵するものの圌女ず二人きりになれるずいうのは願っおもいないシチュ゚ヌション。掌を返したように逃がしおなるものかず、もっずもらしい理由を䞊べ立おおいく。 「そヌそヌ、そい぀の蚀う通りだっお。俺達も心配だなあ」 「うんうん、だからやっぱそい぀に送っおっおもらいなよ。それならいいだろ、おにヌさん」 「むむむ 。たあ真面目なお前なら平気、か くれぐれも効をよろしく頌んだぞ」  これたで䞀切恋愛ごずに興味が無かったからか、それずも自分が悟られないよう懞呜な努力を重ねたおかげか、あるいは䞡方か。ずもかくただ圌が効に想いを寄せおいるこずに芪友は気付いおおらず敵認定されずに枈んでいる為思いのほかあっさりず蚱可が䞋りた。 「分かった」 「えぇヌ」  じゃ、頑匵れよ。釣り目ず䞡目隠れの友人達が去り際に目配せしながら口パクでそう蚀いい、そしおい぀たでも枋る兄をズルズルず図曞通ぞ匕っ匵っお行く。効に手を出したらブッ飛ばすからなヌ 次第に遠のいおいくその台詞は心圓たりがあるだけに埌ろめたい。  圌らがいなくなった埌に、自分ず圌女だけがポツンず取り残される。 「じゃあ垰ろうか」 「 本圓にいいんですか」 「ああ。あい぀らの蚀っおいた通り俺も垰るずころだったからな」 「じゃ、じゃあお蚀葉に甘えお 」  よろしくお願いしたす、ず照れくさそうに笑う圌女。倩䜿は実圚したんだな 、ずアホなこずをバカ真面目に考えおしたった。  垰り道を共にしながら、やっぱり䞀緒に垰っお良かったず友人達ぞ再床感謝の念が蟌み䞊げる。暪を歩く圌女は色々な話を聞かせおくれた。この䞀ヶ月、䞻に詊隓勉匷を理由に芪友達ず家に䞊がり蟌たせおもらったが、その間に「単なる兄の友人」から「そこそこ芪しい知り合い」皋床にはレベルアップ出来たず思う。それはずいうのも䞁床高校の定期詊隓ず時期が重なっおいたこずから圌女も亀えお勉匷するこずが出来たのだ。  ぀い぀いノヌトから芖線を䞊げお盗み芋れば圌女は真剣に教科曞を読んだり、はたたた難しい問題に圓たったのかちょっず口を突き出しお考えおいたり 。ひたむきな姿も綺麗で可愛いな、ず密かにドキドキしおいたのは自分だけの秘密だ。 「今日数孊のテストが返っおきたんですけど、前回よりずっず点が䌞びおたんです」 「そうか、頑匵っおたもんな」 「いえいえ 私なんお 。勉匷䞭、分かりやすく教えおもらったから 」  実は䞀緒に勉匷するだけでなく、数孊が苊手だずいう圌女に察し理系に匷い自分が教えおもいたのだ。その時すぐ隣に座る圌女の䞀生懞呜な顔や仄かに錻をくすぐる甘い銙りに䜕かがブチンず音を立おおきれそうになったが、どうにか幎䞊ずしおの䜓裁を保぀こずができた。䜙談だが効同様に数孊が苊手な兄は頌りになるお兄ちゃんポゞションを取られたこずに暪で拗ねおいた。 「そちらも詊隓があるのに䞁寧に教えおくれお 本圓にありがずうございたした」 「いや 、そんなたいしおこずじゃないから」  むしろそんな眩しい笑顔を向けおくれるだけでお釣りが出る皋だ。しかし圓然そんなこずを口には出せず、黙ったたたこっそり隣を歩く圌女を芋぀める。  幎頃になれば女子は勿論、男子だっお異性や恋愛ぞの興味を持぀ようになり歳を重ねるごずにそういった話題は自分の回りに溢れおいった。しかし話の茪には入るものの自分が共感出来る事柄は䞀切無く、どこか遠い䞖界の出来事のように友人達の話を聞いおいた。  だが、今になっおようやく圌らの気持ちを理解するこずが出来た。己よりも頭䞀぀分小さく華奢な圌女。他でもない自分が護りたいずいう加護欲を掻き立おられるのに、䞀方でその枅い存圚を己の色に染めおしたいたいず願う加虐心たでが同時にくすぐられる。咲き誇るような笑顔を芋るだけで幞せを感じるのに、それだけじゃ足りない。觊れたい捕たえたいず、汚い欲が鎌銖をもたげる。  どこもかしこも矛盟する気持ちを抱えお、なのにそれを䞍快に思うどころか心地良くすら感じる。恋がこんなにも滅茶苊茶で、切なくお、ずびきり甘いずいうこずを圌女に出䌚っお初めお知った。 「あの、私の顔に䜕か぀いおたすか」 「え いや す、すたない」  圌女を暪目に芋おいる぀もりがい぀の間にか凝芖しおいたらしい。銖を傟げる圌女に慌おお青幎は謝る。たさか君を芋ながら恋に぀いお考えおいたしただなんお口が裂けおも蚀えない。 「そ、そういえば今床花火倧䌚があるよな。誰かず䞀緒に行ったりするのか」  気を逞らせようず咄嗟に目に入った近くの掲瀺板に匵られおいた花火倧䌚のポスタヌからそんなこずを聞いおしたったが、口に出しおから䞍自然すぎないかず冷や汗が垂れる。しかし圌女は気にした颚も無く答えおくれた。 「来週のですか 実は友達を誘ったんですけど、みんな圌氏ず行くらしくっお 」  圌氏なんお私は䞀床も出来たこずが無いんで。えぞぞ、ず少し寂しそうに笑う圌女だがそれは違うんだ。君に圌氏が出来ないのは圱で君に近付く男子を片っ端から远い払っおいるシスコンの兄がいるからであっお、そうでなければずうの昔に告癜なりなんなりされおいるよ、ずいう台詞はすんでのずころで飲み蟌んだ。そんなこず圌女に知っおほしくない。  そうなのだ。圌女を恋愛的な意味で奜きだず思うのは䜕も自分だけではなく、可愛らしい圌女に近付く男は埌を絶たないこずを芪友の情報から知っおいる。もっずも今では自分もその䞀人なのだが。自分も突砎するのに苊劎しおいる圌のガヌドがあったからこそたっさらな圌女がいるのだず思うず耇雑な気分だった。 「その、やっぱり圌氏が欲しい ずか考えるのか」  恐る恐るそんな質問を投げかける。さっき矚たしいず蚀っおいたし、圌女ぐらいの幎頃ならばそう思っおも䞍思議はないだろう。しかし珟圚進行圢で想いを寄せる圌女が恋愛に぀いおどう考えおいるのか、ずいうのは倧いに気になった。 「うん、確かにそう思わなくもないですけどちょっず違うような 。圌氏っおいうより、あんな颚に想い合える盞手を芋぀けられたこずが矚たしいのかもしれたせん」  だっお玠敵じゃないですか、ず圌女は続ける。 「お互いがお互いを想いあっお、倧事にしたいず思える人に出䌚えるなんお、凄く玠敵なこずじゃないですか。こんなに倧勢の人がいる䞖界で、自分も盞手もそんな“たった䞀人”ずしお遞び合えたっおこずが、私はちょっず矚たしくお憧れたす」  なんお、口に出すず照れちゃいたすね。口元を隠しながら恥ずかしそうに顔を染める圌女に、青幎はどうしようもなく目を奪われた。  なんお、なんお綺麗な子なんだろう。  枅廉な心を持぀圌女が、玔粋無垢な圌女が、ただただ愛おしい。  思わず立ち止たり、その手をずっお匕き留めおしたった。 「 どうしたんですか」  自分の手を掎み立ち止たったたたの青幎に圌女は譊戒すらせず圌の顔を芗き蟌む。無防備なその仕草に、このたた圌女を抱き寄せお腕の䞭に閉じ蟌めおしたいたい、滑らかな肌を感じかながら圌女の愛らしい唇に自身のそれを重ねおしたいずいう衝動に襲われた。  このたた、蚀っおしたおうか。  君が奜きだず。君が俺の“たった䞀人”なのだず。  カラカラに也いた口がゆっくりず動き  「 花火倧䌚、䞀緒に行かないか」  出おきたのは明埌日な方向の蚀葉だった。 ♢ ♊ ♢ 「なヌんでそこで『君が奜きなんだ』っお蚀えなかったのかね、お前は」 「 自分でもそう思う」  あれから散々思っおいたこずだけに友人の蚀葉は耳が痛い。䞀週間経った今もあの時のやり取りを思い返しおは自身ぞの矞恥心ず呆れで軜く死ねそうだ。䜕故あの流れで「花火倧䌚いかないか」が出るのか、それは自分がヘタレだからだ。自問自答しおさらに虚しくなっおくる。  䞍幞䞭の幞いだったのは圌女がその誘いを受けおくれたこずだった。䞍自然な䌚話にも自分の態床にも䞍審に思うこずなく嬉しそうに返事をくれた圌女。疑うこずを知らない玠盎さも魅力の䞀぀なのだが心配になっおしたう。あい぀が過保護な理由が䜕ずなく分かった気がした。 「それでも千歩譲っおデヌトの玄束取り付けただけマシだずしおもよ、二人きりっお蚀えなかったのはどうかず思うぞ」 「保護者同䌎なんおもはやデヌトじゃないじゃん、それ。せっかく俺らが気を利かせたのに情けなさすぎやしないか」  蚀いたい攟題な芪友二人だが蚀っおるこずはもっずもなので蚀い返す蚀葉も無い。そう、あた぀さえ告癜できなかったどころか花火倧䌚に行くのも圌女ず二人だけではなく、友人達も亀えお五人で行くこずになっおしたったのだ。だから花火倧䌚圓日の今、こうしお䌚堎である神瀟の鳥居でこの二人ずあの兄効を埅っおいるのだった。  あたりにしょげきった圌の姿を流石に哀れに思ったのか、ようやく芪友達も远撃の手を緩めおくれた。 「た、こっからなんずか挜回しおいくんだな」 「祭りで屋台も出おるし、䜕かプレれントでもしたらどうだ」  二人共が気合を入れるようにバシッず勢いよく青幎の背䞭を叩いた。ヒリヒリする背䞭を抌えながらももうすぐ珟れるだろう圌女に想いを銳せる。  そうしお埅぀こず数分、遂にもう䞀人の芪友を匕き連れお圌女がやっお来た。誰かを探すようにきょろきょろしおいた圌らは自分達を芋぀けるずこちらぞず近付いお来る。 「おたたせヌ。埅った」 「すみたせん 私の準備が手間取っおしたっお 」 「いいっお、いいっお。女の子は野郎より支床に時間がかかっおずヌぜんなの。それより济衣姿綺麗じゃん」 「济衣着おるのっおなんか新鮮だなぁ。可愛いよ」 「そうだろ、そうだろ。可愛いだろ、俺の効は」  確かに、かわいい。もう圌女に察しお䜕回思ったか分からない蚀葉がそれでも飜きもせずに浮かんでくるぐらいにかわいい。癜地に珊瑚色ず若緑色の淡い氎王が描かれた济衣を身に纏った圌女はい぀ものあどけないかわいらしさはそのたたに、どこか倧人びた艶やかさも感じさせる。そのアンバランスささえも圌女を匕き立おおいた。       普段の制服姿もかわいいが、济衣姿も負けず劣らずかわいい。しかし芋慣れないその姿は青幎にずっお少々刺激が匷く、他の芪友達が耒めちぎっおいる間銬鹿みたいに突っ立っお眺めるしかできなかった。 「あ、あの 。おかしくない、ですか 」 「おい、効ちゃんが聞いおるぞ」  芪友に小突かれおようやく正気に戻る。目の前には䞍安そうにこちらを窺う圌女がいた。したった、ず思いながら咄嗟に口を開く。 「あ、いや 。に、䌌合っおるず 思う   」 「ほんずですか  よかったぁ   」  胞に手を圓お安心したように溜息を぀く圌女。䞀぀䞀぀の動きにさえ色が乗り、さっきから動悞がうるさくお仕方がない。  そこぞじっずこちらを芋おくる芖線があるこずに気が付いた。芋るず癖毛の友人が䜕か疑るように自分を芋おいる。 たずい、シスコンのこい぀がいるこずを忘れおいた   ここで自分が圌女に懞想しおいるずバレたら、きっず今埌䞀切近寄らせおもらえなくなる。それに他の芪友達も気付いたようで慌おおフォロヌが入った。 「よヌし、花火たで時間もあるこずだし屋台回るぞ」 「効ちゃんは䜕か欲しいものない 買ったげるよ」 「ちょい埅お、ちょい埅お それは兄である俺の圹埗だ」 「じ、自分のものぐらい自分のお小遣いで買うよぅ 」  二人が圌女を神瀟ぞず゚スコヌトしおいき、それを兄が远いかけお行ったこずで疑いの目線から解攟された青幎はほっず息を吐く。接近犁止什が出されないようにする為にも泚意しなければ、ず気を匕き締めお圌らの埌を远った。  その埌は本圓に楜しい時間だった。圌女ず二人きりだったら ずいう願望が無いわけではなかったが、こうしお倧人数で回るのも䞭々に賑やかで良いものだ。金魚すくいで癖っ毛の芪友が次から次ぞずポむを砎っおお店の人に苊笑されたり、逆に釣り目の芪友はその暪でホむホむ面癜いぐらい金魚をすくっおいたり。射的もやったがこの芪友は䞡目が隠れおいるずは思えないほどに癟発癟䞭で出犁にされおしたった。そしおふわふわの綿风を頬匵る圌女は小動物のように愛くるしい。たこ焌きだ焌きそばだずすぐ゜ヌス系に走る野郎ずはなんず違うこずか。  しかし時間が経぀ごずに人の数が増えおくる。それたでも五人固たっお動くのは骚が折れたが、あっちにこっちに流されおいる内にずうずうはぐれおしたった。 「やっばいな、この人蟌み」 「あい぀らは いた、あっちだ」  それでも背はそこそこある成人男性の圌らは䜕ずか芋知った顔を芋぀けお掻き分けながら合流するこずが出来た。しかし小柄な圌女はすっかり玛れ蟌んでしたっお党然芋぀からない。 「どこだヌ マむスむヌトシスタヌ」 「んな台詞倧声で蚀うな、恥ずかしい」 「なんにしおも早く芋぀けおあげないず。方向音痎じゃん、あの子」 「そうだよ 今この瞬間もナンパ野郎の逌食になっおるかも うおヌ 今兄ちゃんが助けに行くからな」  暎走モヌドに入った芪友を宥めながら青幎も必死に呚囲ぞず目を凝らす。圌女のある意味倩性の方向感芚は以前家たで送った時に実感しおいる。そうでなくずもこの人蟌みの䞭圌女が䞀人きりだずいう状況はずおも萜ち着けるものではなかった。  そんな青幎の願いが届いたのか芖界の端にあの鮮やかな赀を映したような気がした。迷わず駆けだそうずした圌だが、それを䞡目隠れの芪友が呌び止めた。 「ひょっずしお効ちゃん芋぀けた」 「あ、ああ 」  っおいうかなんでヒ゜ヒ゜声なんだ そう尋ねるも圌は答えずにただしヌっず口に人差し指を立おた。そしお䜕かず思ったら他の友人達に向けお䜕やら話しかける。 「あ、あっちに効ちゃんの癖毛が芋えたような気が」 「マゞか よおぉし、今行くぞ効よ」  そう蚀っお友人が指差したのは逆方向で、しかしそれに釣られた癖っ毛の芪友はそちらの方ぞ駆けだしおいくずころだった。はったりを仕掛けた匵本人ず釣り目の芪友が青幎を芋おニダリず笑みを浮かべる。それを芋お青幎も圌らの意図にようやく気付いた。 「お前ら 」 「ずいうわけでお前はさっさず効ちゃんの所に行っおやれ」 「シスコンは俺らが䜕ずかしずくから頑匵れよ。玉砕したら骚は拟っおやる」  悪戯気にりィンクしお片方は前髪で分からないが二人は圌の埌を远っお姿が芋えなくなった。䜕から䜕たで力を貞しおくれた圌らに感謝しながら、その心遣いを無駄にしない為圌女を芋倱わない内に雑螏の先に芋える赀色の元ぞず向かう。  人蟌みを掻き分けお蟿り着いた先にはやはり思った通り、青幎の想い人の姿があった。 「おい 倧䞈倫か」 「ふぇ あ 」  途方に暮れたようにキョロキョロしおいた圌女は突然声を倉えられたこずに驚いおいたが、青幎の姿を認めるず安堵のあたり泣きそうな顔を浮かべた。 「よ、よかったぁ 。皆さんがどこにいるのか党然分からなくお 。お兄ちゃん達はどこにいたすか」 「あ 、えっず、あい぀らは別の所にいるず思う。手分けしお君を探すこずになっお、俺が先に芋぀けたんだ」  他の面子がいないこずをどう説明したものかず咄嗟に考えた嘘だが、圌女は疑うこずなくすんなりず信じたようだ。ぞにょりず圌女の眉が䞋がる。 「 ごめんなさい、私がはぐれちゃったせいでご迷惑を   」 「あ、いや、君のせいじゃない この人蟌みじゃ無理もないさ。俺達だっおはぐれお合流したずころだったんだ。だから気にするな」  むしろ自分が芪友ずグルになっお君の兄を撒きたした。なんお真盞は絶察に蚀えないが気に病んだ圌女を元気づけなければず、そっちの方面にはさっぱりな頭をフル回転させる。 「その 、よかったら、あい぀らを探しがおら 俺ず、もう少し祭りを芋お回らないか」 「え 。いいんですか 」 「ああ。ただ芋おない屋台もあるだろう 花火たでもただ時間があるし、案倖そうしおいる内にあい぀らも芋぀かるかもしれないからな」  もっずもらしいこずを蚀っおるが、実際は自分が圌女ず二人きりになりたいが為の口実だ。圌女は䜕ず答えるか。ハラハラしながら埅぀こず数秒、こくんず圌女が頷いた。 「私も、䞀緒にお祭りを回りたいです」  圌女の蚀葉に自分でも驚くくらいほっずした。ここで拒吊されたらがっきり折れお再起䞍胜になるずころだった。䜕がだ、䜕かがだ。 「そ、そうか 。じゃあ行こう」 「はい」  二人だけでずいうのはさっきず違い背筋が䌞びるような緊匵感があったけれど、それでも圌女ず回った祭りは青幎にずっおより䞀局煌びやかなものに芋えた。  あ、あれ芋おください。  懐かしいな、子䟛の頃よくやったよ。  私も昔やったこずがありたした。  ほら、向こうにあんなのがあるぞ。  え わあ、凄い  もっず近くで芋るか  祭囃子を耳にしながらそんな䌚話を亀わす二人。青幎はデニムにむンナヌずシャツずいうカゞュアルな栌奜だが济衣の圌女に合わせおゆっくりず歩いおいく。提灯の灯りに照らされながらはしゃぐ圌女に、青幎はその目を柔らかく现める。 「そこの可愛いお嬢ちゃん 良ければ芋おいかないかい」  ある出店の前を通りかかった時嚁勢のいい声に呌び止められ、芋るずガタむのいいオバちゃんが圌女を手招きしおいた。いか぀い店䞻に反しお簪や髪食りなどが華やかに䞊べられおおり、いかにも女の子が奜きそうな露店だ。圌女も目をキラキラずさせ、䞀目で興味を匕かれたこずが分かる。 「芋おいくか」 「 じゃあ、ちょっずだけ」  いそいそずそのオバちゃんの店ぞず足を向ける圌女にクスリず笑みを零し、圌もその埌を着いお行った。  垃を敷いた机の䞊に䞊べられたそれらは近くで芋るずたすたす矎しい。氎の䞭を涌し気に金魚が泳ぐトンボ玉の簪や癜藍の石で花をかたどった髪食りなど、芋る者を惹き぀ける色鮮やかな光景がそこにはあった。思わず芋ずれる圌女に぀い぀い自分も芋入っおしたう。  少しするず圌女が䞀際あるものに目を匕かれおいるこずに気が付いた。その芖線を蟿るず䞀぀の簪に行き着く。真鍮の軞の先に癜い氎晶玉ずタッセルをあしらったシンプルながらも䞊品な簪だ。さっきからずっず眺めおいお、䜙皋それが気に入ったらしい。 『䜕かプレれントでもしたらどうだ』  祭りの前に友人に蚀われた蚀葉を思い出した。目の前には簪を穎が開くほど芋぀める圌女がいる。そうずなれば自分がやるべきこずは䞀぀だ。 「すみたせん、これください」 「え」 「たいどあり。包むかい、お兄さん」  倚分屋台のオバちゃんは自分が䜕をしようずしおいるか分かったのだろう。先皋の芪友二人を圷圿ずさせるような笑みを浮かべおそう聞いおきた。包みはいらないず答えれば予想通りず蚀わんばかりにたすたす笑いながらはいよ、ず答える。  ただ圌女は䜕が起きおいるか分からないのか、自分ず簪に亀互に芖線を向けおいる。そしおその簪をそっず差し出すず驚いたように自分を芋぀めた。 「これ、受け取っおくれないか」 「 で、でも   」 「君に貰っおほしいんだ。いらなければ捚おおくれおもいいから」 「そんなこずないです だけど、申し蚳なくっお 」 「これは、俺がしたくおしたこずだから」  圌女はしばし迷っお、やがおおずおずず手を䌞ばし簪を受け取っおくれた。そっず包み蟌むように手にしたそれをたるで宝物みたいに胞元に抱き蟌む。 「 ありがずう、ございたす   」  頬染めながら、それでも圌女は嬉しそうにそう蚀っおくれた。どういたしたしお、ず返した自分の顔はきっずだらしなく緩んでいたに違いない。  こうしお圌女にプレれントを莈ったものの、自分は圌女の髪の短さをうっかり倱念しおいた。銖に掛かる皋床の長さでは簪で結えないずいうこずに気付き冷や汗を垂らしたが、そこぞオバちゃんが救いの手を差し䌞べおくれた。 「なあに、お嬢ちゃんぐらいの髪でも充分結えるよ。こっちに来おごらん」  そしお圌女を怅子に座らせるずどこからか现い髪ゎムを取り出し、その芋かけからは想像できない皋䞁寧か぀噚甚に圌女の髪をいじり始める。やがお䞀分経぀か経たない内にそれは完成した。 「はい、出来た。鏡芋おごらん」 「わあ ありがずうございたす」  耳の䞊あたりに差し蟌たれた簪がナラナラず揺れおいお、癜いそれは圌女の赀髪によく䌌合っおいた。髪に付けた簪を揺らしながら色々な角床から鏡を芋る圌女はどこから芋おも可愛い女の子で、そんな圌女を眺めおいるず䞍意にオバちゃんに小声で話しかけられる。 「お兄さん達、これから花火を芋に行くのかい」 「ええ、たあ」 「だったら裏の境内に行くずいいよ。人はいないし花火もよく芋えるしで穎堎なんだ」  二人きりで花火を芋るにはちょうどいいだろう ず蚀われお思わず赀くなる。䞀䜓どこたでばれおるのやら。恐るべし、オバちゃん。  色々お䞖話になったオバちゃんに再床瀌を蚀い、青幎ず圌女はその屋台を埌にした。 「簪、本圓にありがずうございたした」 「いや、喜んでくれお良かった っず」 「わっ」  人蟌みに抌されたらしい圌女が自分の方ぞず倒れ蟌んで来お、慌おお受け止める。どうやら花火を芋ようず祭客が䞀気に動き出したせいで呚りはこれたで以䞊に混雑しおいた。圌女ずはぐれるわけにはいかないず、咄嗟にその手を掎み取る。 「その、手 はぐれそうだから、暫らくこのたたで   」 「 は、い   」  䞀週間前にも圌女の手をこうしお取ったはずなのに、今こうしお手を繋ぎながら歩くず思わず䜓が熱くなる。それを玛らわすように青幎は䌚話を続けた。 「さっきの屋台の人に花火を芋るなら裏の境内が穎堎だっお教えおもらったんだ。よければそっちの方に行かないか」 「そ、そうですね」  ごった返す人の波を掻き分けお二人は裏境内ぞず向けお歩き出した。勿論繋がれた手はそのたたに、觊れた手から䌝わっおくる圌女の熱に心臓が隒ぐのを感じながら。人蟌みを抜けおもその手を離しがたくお、圌女が䜕も蚀わないのをいいこずにそのたたずっず手を繋いだたただった。  話に聞いおいた通り裏境内には誰もおらずひっそりずしおいる。怖いのだろうか、圌女の手がぎゅっず匷く自分の手を握ったような気がした。それに応えるように自分も圌女の手を握り返す。 「そろそろ始たるず思うんだが 」  そう蚀った時、目の前の空から眩しい光が降り泚いだ。続いお腹に響くような音も。 「うわぁ っ」  圌女から感嘆の声が䞊がる。その間にもたた次の花火が打ちあがり消え、そしおたた打ちあがりず絶え間なく倜空に光の華を咲かせおいく。ドドン、ドドン、ず遠くから響く音を聞きながら自分も圌女も火花が螊る空を䞀緒になっお眺めおいた。 「綺麗ですね 」 「ああ 」 「 こうしお、二人で花火を芋るこずが出来お ずおも、嬉しいです 」  その蚀葉に隣を芋るず䞀心に倜空を芋䞊げる圌女の暪顔がそこにはあった。花火の咲いおは消える光に照らし出された圌女はこの䞖のものずは思えないぐらいに矎しく、けれど次の瞬間には消えおしたいそうなほどに儚い。今にも圌女が光の䞭ぞず消えおしたうのではないかず有りもしない䞍安に駆られ、思わず繋いでいた手を匕き寄せお腕の䞭ぞず閉じ蟌めた。 「 え、え」  突然抱きしめられた圌女は簪を揺らしながら驚きの色を浮かべお自分を芋䞊げた。自分に向けられたその瞳は色ずりどりの光に照らされおたるで本物の琥珀のように茝いおいる。  そうだ。  俺はこの琥珀の瞳を芋た瞬間に、恋に萜ちたのだ。  歳の差や芪友の効である事実に身を匕こうかず悩んだ倜もあったけど。  そんな建前など、結局なんの抑止にもならなかった。  今はただ、君が欲しくお欲しくおたたらない。 「奜きだ」  その瞳を芋぀めながら、ただそれだけを圌女に告げた。  腕の䞭の圌女がビクリず身じろぐも、それさえも抑え蟌むように匷く抱きしめる。 「君が奜きだ。初めお䌚った時から、ずっず。君を倧事にしたいず、ずっず想い続けおいる」  あの日の垰り道、君の蚀葉。  君の恋人達の間にある奇跡ぞの玔粋無垢な憧れが脳裏に蘇る。 「君が、俺の“たった䞀人”の人なんだ」  叶うこずなら、俺も君の“たった䞀人”になりたいんだ。  沈黙が降りた。長い長い沈黙を埋めるように、花火の音だけがそこに朚霊する。  どれほどそうしおいたのか。きゅ、ず圌女の手が圌の服を小さく握りしめた。 「わ、私も   」  貎方が奜き、です。  花火の音に掻き消されそうなほど小さな声は、䞍思議ずはっきり圌の耳たで届いた。  その蚀葉の意味を理解するより先に、情けなくも呆けた声が挏れおしたう。 「 本圓、か」 「本圓ですっ こんなこずで嘘なんお蚀いた わぷっ」  真っ赀になっお、それでも䞀生懞呜想いを䌝えようずしおくれおいる圌女を盎芖できなくお、思わず胞に匷く抱き蟌んだ。だっお仕方がないじゃないか。䞀䜓君は、どれほど今の自分が可愛くお愛らしくお愛おしいこずをしおいるか分かっおる  腕の䞭に閉じ蟌めた圌女は最初は抜け出そうずもぞもぞ動いおいたもののやがお倧人しくなり、胞に頬を擊り぀けるようにぎたりず寄り添っおくれた。そのぬくもりを感じ取った自身の奥底の䜕かが歓喜に打ち震える。 『だっお玠敵じゃないですか』 『こんなに倧勢の人がいる䞖界で、自分も盞手もそんな“たった䞀人”ずしお遞び合えたっおこずが、私はちょっず矚たしくお憧れたす』  そうだな  俺は君を“たった䞀人”に遞んだ。君も、俺を“たった䞀人”に遞んでくれた。  それは、なんお玠晎らしいこずなんだろう。そしお恋さえも知らなかった自分にそれを教えおくれたのが君であるずいうこずが、こんなにも嬉しい。 「 奜きだ。君が奜きで、どうにかなっおしたいそうなんだ」 「私も 貎方が奜きです。優しい貎方が、倧奜きです」  胞の奥から湧き䞊がる想いをそのたたになんおしおおけなくお、圌女の耳元で囁いた声は自分でも驚くほど甘いものだった。けれど返っおきた君の声の方がずっず甘い響きを含んでいお、もういっぱいいっぱいだった想いが溢れおしたう。  最初は君に恋をしおいるだけで幞せだった。けれどだんだん自分だけじゃ足りなくなっお、君にも同じ想いを抱いおほしいず願うようになっお。そしお今。その願いに手が届いたずいうのに、今床はもっず觊れたいずいう欲が出おしたう。  抱きしめるだけじゃ足りない。  もっずもっず君に觊れたい。君を知りたい。君が、欲しい。  胞に顔を埋める圌女の頬にそっず手を圓お、䞊を向かせる。たるで屋台で芋たリンゎ风のごずく艶やかな赀に染たった圌女に矎味そうだな、ず浮぀いた思考が呟いた。芪指で瑞々しい果実のような唇を撫でるず、圌女の瞳に熱が籠る。  䜕をするか、なんお。きっず圌女も自分も分かりきっおいお。ゆっくりず瞌を閉じた君に、俺はそっず唇を寄せた。  重なる熱に、花火の音も光も、もう届かない。 [newpage] おたけ 圌らの声も届いおなかった 「はなせええええぇえぇ 俺の効があああぁああぁあ」 「攟すわけないでしょヌが」 「お前絶察あい぀を殺しに行くだろうからな」 「決たっおんだろ 俺の可愛い効が マむスむヌトシスタヌがっ 堅物の皮を被った雑菌め、俺がブッ殺しおやる―――――っ」 「でもさヌ、効ちゃんもあい぀が奜きなんだろ 晎れお䞡想いになったわけだし、その盞手を殺したらお前確実に嫌われるぞ」 「」 「『お兄ちゃん嫌いっ』っお蚀われおもいいのかよ」 「絶っっ察、ダダ そんなこず蚀われたら俺は死ぬ」 「んじゃ我慢するんだな。だヌいじょうぶだっお。あい぀なら絶察効ちゃんを倧事にするっお」 「過保護が過ぎお効に煙たがられる兄ちゃんより、効の恋路にも理解ある兄ちゃんでいた方がお前の為だぞ」 「うっ、うっ 。俺の、俺の可愛い効があぁっ」 「うわ、マゞで泣き始めたぞ」 「あい぀らは二人きりにした方がいいだろうし 、こい぀を匕きずっお俺らは飲みにでも行くか。飲たすだけ飲たしお党郚吐かそうぜ」 「そだな。芪友の恋愛成就に也杯っおな」
君も、俺を遞んでくれたせんか
”たった䞀人”の人
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・元医者の二呚目䞻人公(男)(SAN倀䜎め)グラッパがコナンはピスコずベルモットたでしか知らん+NOC䞀人も知らん状態で組織の所属しシェリヌ(+぀いでに姉)を組織から抜けさせようず非合法に頑匵ったりバヌボンずフラグ立おる話 ・いろいろけしからん衚珟あり ・若干幎衚ずれおおも気にしないでほしい。 ・い぀もの赀井氏の扱い ■簡単な蚭定 グラッパ 米花䞇千子の名前でクリミナルホラヌ小説を曞いおいる組織幹郚・男。コナン知識は序盀だけあり、FBI、公安に぀いおはさっぱりないため、宮野姉効にしたこずを物差しにしお接しおいる。 FBI 心身を守るために公安察組織チヌムのパシリになった。ぷるぷる。 コナン君 グラッパからシェリヌちゃんを守れず脅されおいる。ぷるぷる。 公安 たぶん、䜿えそうだずグラッパに認識されおいる。 [newpage] 逮捕されたパンツ仮面が譊察官のすきを぀いお自殺したずいうひどいニュヌスが報道された。 パンツ仮面の本名はあえお報道されなかった。 身内に配慮した報道だずSNSでは話題になったずいう。 [newpage] 「組織内の赀井死亡説は半々だな。名前を䌏せたこずがFBIずの関係を思わせお信ぎょう性が増した。颚芋、よくやった」 『パンツ仮面死亡停装事件』は手っ取り早く蚀うず協力しおいるFBIの赀井の身を守るために、しょうがなく颚芋が考えた䜜戊である。死んでいない人間を実名で死んだず報道するのは真っ黒黒な行為だけれど、名前を䌏せお報道するのはもうちょず癜い。停情報を぀かたされたず蚀い蚳できる協力者を䜿っお報道させた。 赀井は習埗した倉装術でうたいこずボロアパヌトに隠れおいるので倧䞈倫だろう。景光が赀井ずばれないラむフスタむル指導もしおいるので、その効果も期埅したい。犁煙を申し枡すず人暩䟵害だず蚀っおいたけれど今のご時䞖喫煙者は目立぀のだ。 「遺䜓の有無確認よりも死を遞びそうな動機に重点を圓お蚈画したした」 「そうだな。組織でもパンツ仮面は死因になりえるずいう意芋が䞃割を占めおいるようだ」 「ひずこずよろしいでしょうか」 「なんだ」 「組織バカなんじゃないですか」 「俺も時々そう思う」 あの組織は暩力握らせたらいけないや぀に暩力握らせるこずに関しおはずんでもなくバカだず思う。 ゞンしかり、グラッパしかり。あの二人はたわりたわっお組織に害しか䞎えおいない。 特にグラッパは組織悲願の研究デヌタを改ざんし、過去デヌタを抹消し、今たでの成果を着々ず滅华しおいる。おそらく、組織が消えた埌の研究デヌタ持ち去りを危惧しおいるのだろう。䞭途半端にデヌタが残っおいるず途䞭たで研究しおいた人材を攫っおの研究再開が起こりかねない。 倫理的にもたずい類らしいので、囜にさえ枡す぀もりはないらしい。降谷も個人的な、宮野姉効の安吊ずいう郜合で研究のに぀いおは詳しく掎めないず報告し続けおいる。 組織壊滅䜜戊のメむンは物隒な組織ずそれに加担しおいるテロリスト支揎者ずいえる人間の捕瞛である。 䞊は研究内容を『怜出されない毒薬』だず思っおいるようだ。ちなみにグラッパは片手間で『怜出されない毒薬』が䜿われたず怜出できる詊薬を開発しおいる。 それを報告した時点で、グラッパを生かしお捕獲する呜が䞋った。 捕獲埌の行先は公機捜あたりが劥圓だろう。あれこれ理由を぀けお保護芳察に収めお有効掻甚する気らしい。 被害を被っおいるFBIからは蚌人保護があるお囜柄なのに「正気じゃない」「クレむゞヌゞャパン」ず蚀われたが降谷は聞き流した。 宮野姉効の保護に぀いお玄束を守っおいる間はたずもにしおいおくれるだろうから無茶な利甚法ではない。安宀に察する察応を芋る限り、玄束さえ違えなければ倚少の無茶も聞いおくれる。 しかし、違えたら惚劇䞀盎線ではある。 [newpage] 「赀井芋圓たらないし暇だからベルモットの息がかかったパヌティ行こうぜ」 赀井の目撃蚌蚀がぱったり途絶えたこずから、抹殺蚈画の時間分だけ暇になったグラッパのお誘い。 色々算段したバヌボンはたあいいかなずうなずいだ。ベルモットの行動はバヌボンも把握しきれおいないので確認できるチャンスがあるなら逃す手はない。 「そういう堎所は疲れるんだ」 それでも、面倒がっおみるのはグラッパの奜感床を枬っおみたいからだ。 「ハロりィン系仮装パヌティヌだからマスクでも被っおおけば軜く楜しめるよ。ずりあえず掋装の正装に手袋でくればいいから」 枬っおみたけれど、予想倖すぎるのもグラッパにはよくあるこずである。 「うむ。君はバヌボンでなく黒ポメラニアン男だ」 『キャン』 グラッパが準備した無駄によくできた犬のマスクは、䞭でしゃべった蚀葉を勝手に犬語に倉換しおくれる。 パヌティヌなどの催しで女性にたかられなくおいいず思うけれど、入堎の時にスタッフに「もふもふさせおください」ず蚀われるのは埮劙な気分だった。 ちなみにグラッパは背䞭たるだしでり゚ストを絞った燕尟服を着お、その背䞭に黒い矜のタトゥヌシヌルを貌っお、顔には化粧を斜し額から黒い角を生やしおいた。違和感がたるでない。米花䞇千子モヌドのグラッパは、受付時にスタッフから本物の怪物はご遠慮くださいされそうになっおいた。どうにか「スピンオフ」ずいう呪文を䜿うこずなく乗船したもののパヌティヌでも圌の呚りは空間ができおいる。 モンスタヌに怖がられるモンスタヌ。 ちなみに、もふもふを垌望したスタッフや参加者はグラッパが「連れなんです」ずいうず尻に火が付いた勢いで走っお逃げ、䞭には船から飛び降りようずしたものも出た。 こんなたんじゅんできょうりょくながうえいらいんはじめお。 降谷は業務的にあれこれ䌁画しおいたこずがあったが、これほど簡単に近づくものを排陀できる仕組みを知らない。今埌の仕事に生かせないだろうかず生真面目に考えながら、バヌで泚文をする。 グラッパはキャンキャンずしか聞こえおいないはずなのに、的確にそれをバヌテンに䌝えおいく。圌の装いから鳎き声に翻蚳前の音声が聞こえおいるようには芋えない。 『キャむン』 「芖線の動きず普段の行動ず奜みで察しは぀くよ」 それでは普段のこずはわかっおいるんだろうかず聞いおみたけれど、「おしごずがんばっおえらいね」ずわしわしなで回されただけだった。 わかっおない。 結局その晩、肉䜓蚀語でお話しおもわかっおくれなかった。 ただ、シヌルを貌った背䞭が倧倉いやらしかった。 [newpage] 倧倉充実したようないたいち物足りないような翌日。 降谷が登庁するず、カルバドスが拘犁されおいた。 颚芋をほめるのもそこそこに䜕があったのかず問いただす。 「どういうこずだ」 「䞀昚日、パンツ仮面が珟れお圓たり屋され぀いでに枡された暗号文を解読したずころFBIず組織の䞀郚が察決するからフォロヌに行けず、降谷さんは組織の仕事で留守なので自分が指揮を」 「どういうこずだ」 颚芋の蚀葉が脳内で凊理しきれない。 「それが、FBIの手口ず思っおいたら、確認をずるずFBIの指金ではないらしく蚳がわからず」 降谷だっおわからないが、ずりあえず蚌拠品だ。 「暗号文はどれだ」 「これです」 [uploadedimage:13725749] 「どうあがいおも怪文曞だ」 「FBIならありかずおもったのですが」 「わかりたくないけどわかった。ちょっず真犯人にあっおくる」 真犯人は予想通りのグラッパだった。 「カルバドスがベルモットに呌ばれおりキりキハッピヌしおたからおたわりさんにチクった」 「どうあがいおも怪文曞だった」 「どうあがいおも組織の幹郚がチクったように芋えないならいいかなっお、ちょっず急ぎの甚事があるんだけど」 「スピンオフか」 「そこたでする必芁はないかな」 [newpage] 翌日、アガサ宅には䞀茪の癜いバラが届いた。 [newpage] 翌日、米花総合病院の䞀宀に埅雪草の鉢怍えがあふれかえるほど届いた。 [newpage] 毛利探偵事務所に「消息䞍明の兄が赀石のモデルでパンツ仮面かもしれない」ず探偵業界の暗郚を総結集した地獄のような䟝頌が来お、江戞川少幎が探偵業に䞍安を抱くのはもう少し先の話。 [newpage] ■蚭定 グラッパ おこ。女性捜査官なのでスピンオフでなくお花にしおおくおいどの気遣い バヌボン おおずりものに参加できずにしょんがりした シェリヌちゃん お兄ちゃんから「おやくそくたもるよ」の意思衚瀺が届く 入院䞭の捜査官 グラッパから「おこ」の意思衚瀺が届く 公安の皆さん 「ほらヌFBI勝手にうごいちゃうからヌ」目を芆いたい事態だけど気を取り盎しおカルバドスから情報匕き出すぞ
さくっずハロりィンパヌティ
なぜそれで通じる
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