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株式会社小田原エンジニアリング
# 株式会社小田原エンジニアリング 当社(1979年5月21日設立、1990年6月26日に商号を寿自動車工業株式会社から株式会社小田原エンジニアリングに変更、1990年7月3日に本店を神奈川県川崎市から神奈川県小田原市に移転、株式の額面金額50円)は、株式会社小田原エンジニアリング(1979年10月15日設立、本店所在地・神奈川県足柄上郡松田町)の株式の額面金額を変更するため1991年1月1日を合併期日として同社を吸収合併し、同社の資産、負債及び権利義務の一切を引き継ぎましたが、合併前の当社は休業状態にあり、合併後において被合併会社の営業活動を全面的に継承いたしました。 従って、実質上の存続会社は、被合併会社である株式会社小田原エンジニアリング(神奈川県足柄上郡松田町所在)であるため、本報告書の記載事項につきましては、実質上の存続会社について記載しております。 なお、事業年度の期数は、実質上の存続会社の期数を表示しております。 当社は1979年10月株式会社小田原鉄工所(1950年10月有限会社小田原鉄工所設立、1953年1月株式会社小田原鉄工所に改組)の電装事業部から分離・独立して資本金1,000万円で設立されたもので、会社設立以降の主な変遷は以下の表のとおりであります。 株式会社小田原鉄工所から分離・独立して資本金1,000万円で神奈川県足柄上郡開成町吉田島4289番地に株式会社小田原エンジニアリングを設立。 生産力増強のため、本社組立工場を増築。 米国に100%子会社であるOdawara America Corp.を設立。 同業者である米国OTT-A-MATIC INC.を買収し、Odawara Automation Inc.に社名変更。 生産力増強のため、新潟県長岡市に100%子会社である株式会社小田原オートメーション長岡(現・連結子会社)を設立。 株式会社小田原鉄工所から賃借していた本社工場の土地、建物を同社から一括購入。 業務拡大のため、本社工場の隣接地に事務所棟増築。 事業拡大のため、米国Odawara Automation Inc.の本社工場を新築、移転。 株式会社小田原エンジニアリング(神奈川県小田原市所在、形式上の存続会社)は、株式会社小田原エンジニアリング(神奈川県足柄上郡開成町所在、実質上の存続会社)を株式の額面金額変更のため吸収合併。 本店を神奈川県小田原市から神奈川県足柄上郡開成町へ移転。 生産力増強のため、株式会社小田原オートメーション長岡の工場増築。 株式を日本証券業協会の店頭売買銘柄として登録。 生産能力増強のため、工場用地を本社工場の近隣に取得。 米国Odawara Automation Inc.を100%子会社とする。 生産能力増強のため、米国Odawara Automation Inc.の本社組立工場を増築。 中華人民共和国上海市に日本小田原机械工程株式会社上海代表処(上海事務所)を開設。 日本証券業協会の店頭銘柄より、ジャスダック証券取引所に上場換えする。 米国Odawara America Corp.とOdawara Automation Inc.を合併、存続会社をOdawara Automation Inc.とする。 ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)に株式を上場。 大阪証券取引所ヘラクレス市場、同取引所JASDAQ市場及び同取引所NEO市場の各市場の統合に伴い、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。 中華人民共和国広東省広州市に日本小田原机械工程株式会社広州代表処(広州事務所)を開設。 生産能力増強、大型設備対応、IT機能強化による業務効率向上等のため、神奈川県足柄上郡松田町に土地建物を取得し、その後建物の改修、増築を進める。 東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。 ローヤル電機株式会社(現・連結子会社)及びその子会社を株式公開買付けにより連結子会社とし、モーター用巻線設備に、コイル用巻線設備を加えた「巻線機事業」、「送風機・住設関連事業」を新たな中核事業とする。 本店を神奈川県足柄上郡開成町から神奈川県足柄上郡松田町へ移転。 本社工場エントランス棟及び組立工場を竣工。 株式交換により、ローヤル電機株式会社を100%子会社とする。 ドイツ連邦共和国ミュンヘンに、ドイツ駐在員事務所を開設。 生産能力増強、大型設備対応等のため、本社工場敷地内にメイン工場を竣工。 ドイツ駐在員事務所を閉鎖し、新たに100%子会社であるOdawara Automation Deutschland GmbHを設立。 東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場。 当社グループは連結財務諸表提出会社(以下「当社」という。)、子会社9社で構成され、巻線設備の開発、設計・製造、販売、送風機及び照明等住宅関連設備の製造、販売を主な事業内容としております。 当社グループの事業内容と各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、事業区分は事業セグメントと同一の区分であります。 家電製品分野、自動車分野、産業・医療機器分野、OA/AV機器分野、通信分野等向けにモーター用巻線設備及びボビンコイル用巻線設備を顧客の要望に沿って開発、設計・製造し、世界各国に販売しております。 室内空調機器の送風用ファン、工作機械等の冷却用ファンなど幅広い分野で使用されている小型送風機(クロスフローファン、軸流ファン等)、浴室等に使用される防水照明器具等及び住宅換気・ビル換気関連用製品を製造、販売しております。 事業概要図は次のとおりであります。 当社グループのうち当社の労働組合は、全労連・全国一般労働組合に所属しておりましたが、2014年9月30日に同組織を脱退し、新たに小田原エンジニアリング労働組合として発足し、現在はいずれの上部団体にも属しておりません。なお、2022年12月31日現在、小田原エンジニアリング労働組合は93人の組合員で構成され、労使関係は良好に推移しており特記すべき事項はありません。 その他の連結子会社においては労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、創業以来、社是である「開拓の精神で顧客に奉仕する」をモットーに事業を展開しております。また、顧客第一主義を経営の基本方針として掲げ、お客さまの求めに対して果敢に応じ、お客さまの満足を得ることを追究いたします。その実現のため、技術と品質でナンバーワンとなることを目指すとともに、活気ある職場づくりと企業体質の強化に努めてまいります。 また、当社グループは、経営理念、行動規範に基づき、お客さま、取引先、株主、投資家、地域社会、従業員など全てのステークホルダーとの対話を尊重し、世界中の人々の生活が豊かになること、地球環境保護に貢献するなど、持続可能な社会の構築及び発展に貢献することをサステナビリティに関する基本方針としております。 我が国経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進む中で、各種政策の効果もあり、緩やかな持ち直しの動きが続いたものの、資源価格・原材料価格の高騰や円安の進行等に伴う物価上昇、供給制約、金融資本市場の変動等の影響により、不透明感が増す状況で推移いたしました。 一方世界経済は、欧米を中心に持ち直しの動きが続きました。しかし、ウクライナ情勢の影響等による資源価格・原材料価格の高騰や供給制約の下で、物価の上昇が一段と進行し、インフレ抑制に向けた各国の金融引き締め強化により、欧米では景気回復のペースは鈍化しております。また、中国では不動産市場の低迷やゼロコロナ政策による経済活動抑制の影響などにより、持ち直しの動きに一部弱さが見られました。 当社グループを取り巻く環境におきましては、巻線機事業の主要顧客である自動車産業において、各自動車メーカーが電動車のラインアップを拡充し、具体的な対応戦略や投資計画が発表されるなど世界的に電動車へのシフトが加速いたしました。一方で、半導体を中心とする原材料・部品不足が長期化する中、中国における一部地方での都市封鎖やウクライナ情勢の影響等による国際物流の停滞、サプライチェーンの混乱により、一部自動車メーカーでは減産や工場の稼働停止が実施され、設備投資計画の見直しや遅れが見られました。加えて、巻線機事業において、製品の主たる構成部品である制御機器・電気部品等の長納期化が改善されないことや、原材料価格高騰の影響などもあり、全体として不安定な状況が続きました。 今後の見通しにつきましては、世界的な高インフレの長期化や金融引き締め強化の継続等を背景とした欧米の景気後退懸念、中国における防疫政策転換の影響など、世界経済においては様々な下振れリスクが顕在化しております。我が国経済は、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあり、景気は持ち直していくことが期待されているものの、こうした海外景気の下振れリスクや資源価格・原材料価格の高騰、供給制約の影響等に留意する必要があるなど、先行き不透明な状況が続くことが見込まれます。 巻線機事業の主要顧客である自動車産業においては、半導体を中心とする原材料・部品不足の解消については不透明感が残るものの、各自動車メーカーにおける電動化戦略の具体化や、電動車のラインアップ拡充がより一層進むことが予想され、モーター巻線機の需要は引き続き拡大することが期待されております。一方で、送風機・住設関連事業の市場環境は、今後、中国経済減速の影響から、送風機事業において好調だった工作機械用の軸流ファンの需要が低迷しはじめ、また、住設関連事業においては、浴室照明器具は比較的堅調な受注が見込めるものの、住宅換気装置は金利高・資材高騰の影響を受けて、受注の減少が予測されます。 当社グループは、主力の巻線機事業の市場拡大に伴い、競争もより一層激化することが予想されるため、絶えざる技術開発により競争力の高い製品を開発するとともに、品質、コスト、納期等の重点施策とグローバル市場に合わせた地域別戦略を進め、送風機・住設関連事業においては、新製品開発による差別化や付加価値向上、拡販に向けた宣伝・販売強化、市場ニーズに合わせた商品化の検討など成長戦略の推進を遂行することにより、2021年12月度からの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、最終年度である2023年12月期において、売上高150億円、営業利益12億円を目標として掲げております。 巻線機事業では、高生産性や高速化に対応した競争力のある製品開発を進めるとともに、共通化・標準化や、製品の主たる構成部品である制御機器・電気部品等の長納期化への対応を進めることで、技術、品質、コスト、納期・供給能力における競争力を強化してまいります。 送風機・住設関連事業では、予測される需要の低迷や受注減少に対応すべく、送風機応用製品や換気改良製品を戦略アイテムとして拡販を目指すとともに、新商品の早期開発、販売促進を進めてまいります。 また、市場拡大が続くモーター巻線機市場の需要に対応するため、グループ全体として生産面でのシナジー効果を高め、生産能力、納期の改善を進めるとともに、技術開発を積極的に進めることで、新製品開発力の向上にグループ総力をあげて取り組むとともに、収益性、成長性、財務安全性等に関する見える化を実現するグループ経営管理システムの構築及び体制強化を図ってまいります。 当社グループの人材育成に関しましては、経営人材を計画的に育成していくため、取締役スキル・マトリックス及び任用方針の整備運用、中長期の経営人材育成教育体系を整備していくとともに、組織拡大を踏まえ、リーダー育成を図るための教育体系整備、評価基準をより明確化し、更なる自律的な成長を促進させるため、人材評価制度のアップデートを進めてまいります。 サステナビリティに関しましては、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を図るうえで、重要課題(マテリアリティ)として以下のとおり特定するとともに、事業活動を通じた社会的課題の解決に取り組んでおります。また、神奈川県が発行するグリーンボンドへの投資を行い、環境改善や環境保全に関する施策に貢献しております。 地球環境保護に向けての内燃機関自動車から、xEVへの移行に伴う産業構造の大変革等による脱炭素社会実現への社会的な流れに応えるため、当社グループの中核事業である巻線機事業の技術革新推進と供給能力の強化を進め、持続可能な社会の実現を目指す。 環境保全・エネルギー効率化という社会の要請に応えるため、送風冷却・換気コントロール技術により社会の省エネルギー化、クリーン化を目指し、企業と社会のサステナビリティに貢献する。 当社グループは、お客さまのニーズに応えた新技術の開発及び新製品を提供すべく、社是である「開拓の精神で顧客に奉仕する」を常に念頭に置き、他社に差別化した製品を通して顧客満足度を向上させるとともに、常に新しい市場を開拓していくことにより、当社グループの優位性を更に高める経営に邁進してまいります。 有価証券報告書に記載した当社グループの事業状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月30日)現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループが扱う巻線設備のお客さまは、家電製品分野、自動車分野、産業・医療機器分野、OA/AV機器分野、通信分野等の製造会社であり、当社グループは巻線設備の総合メーカーとしての地位を確固たるものとすべく経営努力しております。しかしながら、当社グループの受注・生産活動は、各分野の技術革新動向や設備投資動向等に左右されるため、当社グループ独自での将来予測が困難であります。このため、想定していた技術革新動向や設備投資動向等の前提条件と実際の結果が異なる場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、巻線技術を応用してお客さまのニーズにマッチした新製品・新技術を開発し、家電製品分野、自動車分野、産業・医療機器分野、OA/AV機器分野、通信分野等へ製品・サービスを供給しております。これらの開発において、近年、技術革新のスピードもますます速まり、ニーズの多様化、グローバル化も急激に進んでおります。今後、開発競争はますます激化すると思われ、予想を上回る新技術の出現や各分野の動向の激変によっては、当社の研究開発費の負担も大きくなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 送風機・住設関連事業では、産業・工作機械や住宅設備関連メーカーへのユニット及び最終製品の供給を行っているため、需要予測については、景気動向はもとより各企業の設備投資動向、新設住宅着工件数及びリフォーム工事件数の動向に大きく影響されます。このため想定していた景気動向や設備投資動向、新設住宅着工件数やリフォーム工事件数などの前提条件と実際の結果が異なる場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 送風機・住設関連事業では、価格競争力の維持・向上を図ることを主眼に、連結子会社の楽揚電機(香港)有限公司の子会社として製造会社・販売会社を中国で設立し、中国工場への生産移管及び販路拡大を推進するべく進めておりますが、急激かつ大幅な人民元の切り上げが行なわれた場合、製品の価格競争力が低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、製品開発において蓄積してきた技術を知的財産権等として保有し、権利保護の徹底及び経営資源として活用しておりますが、特定の国及び地域においては知的財産権等の保護が十分でないことにより、当社グループの知的財産権等を侵害する可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権等を侵害することのないよう最善の注意を払っておりますが、不測の事態などにより第三者から知的財産権等の侵害を主張された場合には、その補償あるいは訴訟費用負担等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、業務を通じて入手した機密情報を多数保有しております。当社グループでは、物理的なセキュリティ及び情報セキュリティシステムの構築、管理体制の整備や教育等の対策を実施しておりますが、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、盗難等、不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ウィズコロナの新たな段階への移行が進む中で、当社グループは事業リスクの最小化に向けた施策の推進に努めておりますが、当社グループの取引先が存在している地域・国の一部においては依然として警戒が必要な状況にあり、都市封鎖、外出制限等の政策が発生した場合、当社グループの生産活動や販売活動等が計画通りに進まない可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループはグローバルな事業展開を行っており、日本を含む世界各国の法規、税制等の適用を受けております。当社グループでは、「企業倫理と法令遵守」を行動規範に掲げ、社内教育等を通じたコンプライアンス意識の向上に努めておりますが、世界各国の法規や税制等の動向、または重大な法令違反等により、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業拠点は、地震、台風、噴火等の自然災害、火災等の事故、テロ攻撃、疾病発生及び蔓延等により、物的・人的被害が生じる可能性があります。当社グループでは、大規模災害による生産活動への影響が大きな脅威と認識しており、その対応として事業継続計画(BCP)を策定するとともに、リスク管理委員会を中心としたリスク管理体制を構築し、リスクの軽減を図る対策を実施しておりますが、生産及び出荷に大きな遅延が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの部材調達先、外注先の事業拠点は、地震・台風・噴火等の自然災害、火災等の事故、テロ攻撃、疾病発生及び蔓延等により、物的・人的被害が生じた場合、当社グループの生産及び出荷に支障を来す可能性があります。また、原材料や部材、外注費の高騰が急激であった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻の影響により、世界規模で国際物流の停滞、サプライチェーンの混乱や資源価格の高騰等が顕在化しております。現時点では収束の見通しが立っておりませんが、侵攻による影響が長期化又は深刻化し、原材料や部材の調達が困難になった場合、当社グループの生産及び出荷に支障を来す可能性があります。また、原材料や部材、外注費の高騰が急激であった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 巻線機事業においては、中期経営計画(FY2021~FY2023)の重点施策に沿って、事業競争力の強化と中国・北米を中心とする重点地域でのアプローチの強化を実施いたしました。生産活動においては、当期に出荷や売上を予定していた一部の案件が、翌期にずれ込んだものの、利益率の高い従来製品や機種追加等に伴う改造、予備品関係の販売促進を行うことにより、制御機器・電気部品等の長納期化の影響を最小限に抑えるべく対応を続けてまいりました。 送風機・住設関連事業においては、中国市場向け工作機械や産業ロボットの需要が好調を維持したことで、送風機事業の軸流ファンの売上が大幅に増加して前年を大きく上回りました。また、住設関連事業についても、コロナ禍の持家住宅建築需要や巣ごもりによるリフォーム需要の拡大もあり、浴室照明器具及び全館空調システムを含む住宅換気装置が比較的堅調な伸びを示したため、全体として好調な一年となりました。 これらの結果、当連結会計年度における当社グループの営業成績といたしましては、連結売上高は14,086百万円(前年同期比3.9%増)となりました。利益面につきましては、営業利益は967百万円(前年同期比8.7%減)、経常利益は1,118百万円(前年同期比11.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は801百万円(前年同期比13.4%減)となりました。 当連結会計年度のセグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 巻線機事業に関しては、当期に予定していた一部の海外向け案件の売上が翌期にずれ込んだことにより、売上高は8,519百万円(前年同期比1.0%減)、従来製品や利益率の高い改造、予備品等を売り上げるなど利益の確保に努めたものの、原価率の高い大型の開発案件を売り上げたことや売上高全体の減少に伴い、セグメント利益は987百万円(前年同期比19.1%減)となりました。また、受注高は、車載モーター用案件を中心に好調に推移したことで11,596百万円、受注残高は12,816百万円となりました。 なお、当社グループの巻線機事業は、完全受注生産で、案件ごとに仕様やボリューム、納期等が大きく異なるため、受注時期や売上時期は、四半期並びに通期単位で大きく変動することがあります。 送風機・住設関連事業に関しては、中国市場を中心とした工作機械や産業用ロボット・半導体関連向けの軸流ファンが好調を維持し、浴室照明器具も買換え需要の増加もあり好調に推移したことで、売上高は5,567百万円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は262百万円(前年同期比47.0%増)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。 流動資産は、前連結会計年度末に比べて8.8%増加し、18,206百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,383百万円、電子記録債権が617百万円、仕掛品が871百万円それぞれ増加し、受取手形及び売掛金が854百万円、商品及び製品が659百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。 固定資産は、前連結会計年度末に比べて3.9%減少し、5,809百万円となりました。 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて5.4%増加し、24,015百万円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べて7.7%増加し、9,596百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が770百万円増加したこと等によるものであります。 固定負債は、前連結会計年度末に比べて32.4%減少し、249百万円となりました。 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて6.1%増加し、9,845百万円となりました。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて4.9%増加し、14,169百万円となりました。これは主に、利益剰余金が631百万円増加したこと等によるものであります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,283百万円(20.3%)増加し、7,591百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は前年同期に比べ651百万円(48.6%)増加し、1,992百万円となりました。収入の主な内訳は、仕入債務の増加額740百万円、売上債権の減少額270百万円等であります。また、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額263百万円等であります。 投資活動の結果使用した資金は前年同期に比べ338百万円(121.5%)増加し、617百万円となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出483百万円等であります。 財務活動の結果使用した資金は前年同期に比べ587百万円(77.3%)減少し、172百万円となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額169百万円等であります。 当社グループの資金需要の主なものは、生産活動に必要な材料費、外注費及び労務費等の製造費用や、試験研究費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備新設、改修等にかかる投資であります。 当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保することを基本方針とし、原則として自己資金で賄うこととしております。なお、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。 なお、キャッシュ・フロー指標等のトレンドは以下のとおりであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 特記すべき該当事項はありません。 当社グループは、多様化するお客さまのニーズに応えるとともに、他社製品との差別化、製品のオリジナリティー化をモットーに研究開発活動を行っており、製品の高付加価値化及びソフト技術・システム技術の開発による非価格競争の強化に積極的に取り組んでおります。 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は170百万円であります。 巻線機事業の研究開発につきましては、原則として当社がモーター用巻線設備の研究開発の全般を担当し、株式会社多賀製作所がボビンコイル用巻線設備の研究開発の全般を担当しております。両社は積極的に技術交流を行い、必要に応じて当社グループ間の交流も行っております。 巻線機事業の研究開発活動としましては、マーケットのニーズをとらえて独自に研究開発するものと、完全受注生産方式を採用しているため、各お客さまより要望されて個別に研究開発しながら製品にするものとがあります。 代表的なものといたしまして、電気自動車・ハイブリッドカーのトラクションモーター用生産システムの品質・生産性向上や、コンプレッサー用モーター生産システムの開発、従来製品の品質・生産性向上、コスト低減等を中心とした研究開発をいたしました。 当連結会計年度における巻線機事業の研究開発費の金額は157百万円であります。 送風機・住設関連事業の新製品の開発及びその関連業務に関しましては、ローヤル電機株式会社を中心に活動しております。 送風機・住設関連事業におきましては、耐油・耐振動を強化した軸流ファンの新製品開発、送風・換気技術を応用した新製品の開発を継続しております。 当連結会計年度における送風機・住設関連事業の研究開発費の金額は13百万円であります。
首都圏新都市鉄道株式会社
# 首都圏新都市鉄道株式会社 2  当社は、連結財務諸表を作成していませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載していません。 3  当社は重要な関連会社がないため、持分法を適用した場合の投資利益又は投資損失の金額は記載していません。 4  第29期、第30期、第33期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載していません。第31期、第32期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。 5  従業員数は、就業人員を表示しています。 当社株式は金融商品取引所非上場ですので、該当事項はありません。 当社株式は金融商品取引所非上場ですので、該当事項はありません。 1985年7月の運輸政策審議会において、21世紀における東京圏の姿を展望した「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」の答申がなされ、その中で東京から筑波研究学園都市までの常磐新線(つくばエクスプレス)の整備は、都市交通対策上喫緊の課題であり、建設・運営段階における関係者の全面的な支援のもとに具体化を図るべきものとされました。 一方で、首都圏における住宅不足解消の方策として、1989年9月に、大量の宅地供給と新たな鉄道の整備を推進する目的で「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」が施行されました。 ここに東京都の秋葉原から茨城県のつくば市まで延長58.3kmを結ぶ都市高速鉄道の整備事業が促進されることになり、第三セクターを事業主体として建設・運営すべく、1991年3月15日に沿線の1都3県12市区町村の出資により、「首都圏新都市鉄道株式会社」(本社事務所:東京都港区六本木四丁目2番14号)が設立されました。 その後の経緯は、以下のとおりです。 する特別措置法」に基づく基本計画が、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣より承認される。 当社は2005年8月24日に開業したつくばエクスプレスを第一種鉄道事業者として運営する旅客運送業者です。 つくばエクスプレスは秋葉原~つくば間(58.3km)を最速45分で結ぶ都市高速鉄道で、利用者及び沿線地域に以下のような効果を生み出すことを期待されています。 東京圏北東方面は東京都心からの放射方向の鉄道網の密度が極めて低い地域となっていましたが、開業により、都心までの時間距離が大幅に短縮されました。 沿線地域は多くの開発計画地を抱えており、沿線開発と鉄道整備を一体的・計画的に整備することにより、良質の住宅・宅地の供給が可能となります。 IT拠点として発展する秋葉原と研究開発拠点のつくばが結びつくことにより、筑波研究学園都市の一層発展を可能とするとともに、沿線の八潮市、三郷市、流山市、柏市等においても生活利便性の向上、人、物、情報等の流れの活発化による業務機能や研究開発機能の移転、整備が図られ、首都圏一極集中の是正に寄与します。 開業により、沿線の計画開発地の開発及び既成市街地の活性化が促進され、地域産業や商業が活性化し、大きな経済波及効果を生み出します。 なお、つくばエクスプレスの鉄道施設については、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)工事として建設を進めてきましたが、開業に当たり、主要な鉄道施設の譲渡(2005年8月23日)を受けました。また、2008年3月31日に復旧工事を含む残工事分について譲渡(二次譲渡)を受けました。これにより、つくばエクスプレス建設工事は完了となりました。 つくばエクスプレス建設事業にかかる資金等の流れ及び調達方法は、国及び関係自治体の合意により、以下のとおりとなっています。 この資金は、各年度毎に所定の割合(14%)を建設費に充当するほか、1997年度以降2002年度までは当該年度の財政投融資等の6%相当分にも充当し、有利子資金導入の遅延に資することとしました。 2  当社は単一セグメントとなっています。なお、記載の従業員数は全て鉄道事業従業者です。 3  従業員数欄の(外書)は、臨時従業員(派遣等)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)です。 4  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。 労働組合はありません。 有期労働者には60歳以上の嘱託社員を含む。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2023年3月31日)現在において、当社が判断したものです。 当社は、常に安全を第一に、安全・安定・安心輸送の公共交通機関として、その社会的な責任を果たし、地域・社会から愛され信頼される会社を目指します。 我が国においても2020年2月頃から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大は、2022年度においても収束しませんでした。また、この間にリモートワークなどの働き方が普及・定着しつつあり、当社線の輸送実績はコロナ禍以前の水準まで回復しない状況となっています。 こうした事業環境においても、鉄道事業者の根幹である「安全・安心」はゆるがせにできません。鉄道設備の信頼性を向上させる保守や投資は決して手を緩めることなく実施いたします。 また、引き続き、お客様や社員の感染防止対策を徹底するとともに、鉄道セキュリティ対策を推進します。 さらに、厳しい事業環境を乗り越え、将来にわたり鉄道サービスを提供するため、ご利用動向の変化に対応したサービスのあり方を検討するとともに、経営基盤の強化に取り組みます。 社会に大きな影響を与え続けてきた新型コロナ禍もここに来てようやく沈静化しつつありますが、当社の業績はコロナの影響で大きく落ち込み、徐々に回復を見せているものの、コロナ前にはなかなか戻らず、依然厳しい状況が続いています。一方、ウクライナ危機に端を発して、諸物価の著しい高騰という予想外の事態に直面しています。 2023年度の事業環境は、新型コロナウイルスの感染状況のほか、2022年度から続く世界的な物価高などが引き続き当社の経営に大きな影響を与えることが予想されます。当社は、状況の変化に応じ下記のような諸課題に対応した事業を実施していきます。 安全で安心な鉄道輸送の確保こそが当社の経営の根幹であり、当社の安全方針である「安全の確保はすべてに優先する」を常に意識し、引き続き安全性の一層の向上に取り組んでいきます。 ポストコロナ社会におけるお客様のご利用形態の変化への対応の検討も進めていきます。また、沿線自治体・まちづくり団体等との連携活動や、地球環境に配慮した活動を進め、「つくばエクスプレス」の魅力を一層高めていきます。 コロナ禍の長期化により働き方や生活スタイルの変化が定着しつつあり、お客様のご利用は、コロナ禍以前の水準まで回復しないほか、2022年度から続く世界的な物価高など厳しい経営環境となっています。 こうした難局を乗り越え、末永く継続発展していくため、TXブランドの向上や事業運営体制の充実など、経営基盤を強化していきます。 諸課題に対応した事業の詳細については、当社企業情報サイトの「事業計画(中期・単年度)/単年度事業計画」   (https://www.mir.co.jp/company/plan.html)をご覧ください。 持続的な事業運営を行うにあたっては、「安全・安心」、「環境」、「社会」が重要な要素と考えています。 まず、「安全・安心」については、「企業行動指針」(以下、同指針)に「安全で良質なサービスの提供」を掲げ、異常時対応や事故防止対策を行うため社長を委員長とした鉄道安全委員会を開催し、全社一丸となった安全に対する取組を推進しています。 次に、「環境」については、鉄道は、他の交通機関と比較してエネルギー効率が高く、総じて環境負荷の低い交通機関ですが、その優位性に慢心することなく、同指針に「環境問題への積極的な取組み」を掲げるとともに、「環境に関する基本的な指針」を定め、毎年度「TX環境報告書」を作成しています。なお、「TX環境報告書」の公表にあたっては、常勤の取締役により構成される役員会(社長が招集)において審議するほか、審議結果については、取締役会へ報告しています。 さらに、「社会」については、同指針に「コンプライアンスの推進と徹底」、「人権の尊重と働きやすい職場環境の確保」などを掲げ、コンプライアンス推進体制等を構築しています。推進体制は、第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要のコンプライアンス推進体制概要図に記載のとおりです。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社の事業環境に構造変化が生じています。このため、当社は、中期経営計画作成にあたって、外部要因等の分析を行いました。 また、重要な要素である「安全・安心」、「環境」、「社会」について、当社のおかれた外部要因等から、それぞれ課題(リスク)を選別、抽出し、機会の検討を行いました。 主な検討結果については、以下のとおりです。 我が国では、今後加速度的に労働人口の減少が見込まれております。当社の主たる事業である鉄道事業の安定輸送の維持のためには、適切な人材の確保、育成が必要であるため、ハード、ソフト両面の働きやすい職場環境づくりを推進してまいります。 社内教育・研修の機会を通じ、必要な知識やスキルの獲得など人材育成の充実に取り組んでいきます。また、長期的に安定して確保・育成していくために、自社内に乗務員養成所の整備を推進しており、2024年度内の開校を目指しています。 2019年4月に更新した「女性が活躍できる雇用環境の整備等に関する行動計画」に基づき、女性社員がより長くいきいきと働ける職場、安心して出産・子育てができる職場づくりに向けて、社内制度の更なる充実を目指しています。 当社では、将来にわたり持続的な事業運営を行うため、今後の複数年間(3~5年間)を対象とした中期経営計画作成し、その中期経営計画のもと単年度を対象とした事業計画を作成しています。 作成した事業計画について、四半期ごとにその進捗を役員会へ報告し、管理する体制を構築しております。 役員会では、事業の進捗に応じ、改善策等、対応を審議しています。 役員会での審議結果にもとづき、担当部で事業を推進し、翌年度の事業計画へ反映しています。 また、このサイクルで得られた課題、対応等については、次期中期経営計画に反映していきます。 各課題(リスク)に対する指標及び目標及び2022年度の実績については以下のとおりです。 ・自然災害や設備不具合等自社起因の運転事故、輸送障害件数について、0件を目指します。 ・低炭素社会の実現に向けて取り組みます。 ・沿線自治体や住民との環境コミュニケーション活動を充実させます。 ・使いやすい、移動しやすい、わかりやすい、どなたにもやさしい施設を目指します。 入学条件とした国立大学法人です。 女性が活躍できる雇用環境の整備等については、当社企業情報サイトの「女性活躍推進法・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」(https://www.mir.co.jp/company/woman.html)において、当社の目標と取り組みをご覧いただけます。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の経営成績、財政状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、将来に関する事項は、当事業年度末(2023年3月31日)現在において、当社が判断したものです。 新型コロナウイルス感染症については、ワクチンの接種・普及が進むにつれて、徐々に収束していくものと予想しておりますが、感染再拡大に伴う経済活動の停滞の影響が長期化した場合は当社の事業の運営に支障をきたし、また、経済活動の停滞が長期化すれば当社の財政状態及び経営成績が重大な影響を受ける可能性があります。 当社の収益の大半を占める旅客運輸収入は、旅客利用客の確保や運賃改定の動向に依存します。鉄道利用客について、沿線の開発による人口や就労者の増加状況、リモートワーク等の働き方や生活スタイルの変化に伴う旅客輸送動向の変化等によって、また、運賃についても、競合他社及び物価動向の状況によって、旅客運輸収入が計画を下回り、そのことが会社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。 なお、2022年度末の現金及び預金、有価証券、投資有価証券の合計は865億円であることから、当面の資金繰りは問題ないものと考えています。 当社は関東地方南部の秋葉原~つくば間を結ぶ鉄道施設を所有していますが、当該エリアに大きな被害をもたらす地震や、集中豪雨、台風等の自然災害により、当社の財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。 鉄道事業者は、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を得なければならない(第3条)とともに、鉄道事業を休廃止しようとするときは、事前に国土交通大臣に届け出なければならないこととされています(第28条、第28条の2)。また、旅客の運賃及び料金の設定・変更については、原則としてその上限について国土交通大臣の認可を受けなければならないとされています(第16条)。このため、沿線人口減少、物価の高騰等の事業環境の変化に対して、運賃変更等の対応を素早く行うことは困難であります。よってこれらの事象が発生した場合、当社の業績が影響を受ける可能性があります。 わが国は少子・高齢化が進展しており、生産年齢人口が将来にわたり減少することが推測されております。当社沿線は全国平均からは遅行するものの、人口の減少や構造の変化等社会情勢及び経済情勢の変化により、当社が提供するサービスの需要が低下した場合、労働力の確保並びに人材の育成が困難となった場合には、収益の減少及び経営コストの増加により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。 社会に大きな影響を与え続けてきた新型コロナ禍もここに来てようやく沈静化しつつありますが、当社の業績はコロナの影響で大きく落ち込み、徐々に回復を見せているものの、コロナ前にはなかなか戻らず、依然厳しい状況が続いています。一方、ウクライナ危機に端を発して、諸物価の著しい高騰という予想外の事態に直面しています。 こうした状況下においても、当社は鉄道事業者の根幹である安全・安定・安心輸送の維持・継続を果たしてまいりました。 この厳しい事業環境を乗り越え、将来にわたり鉄道サービスを提供するため、当社は「コロナ禍における安全輸送の徹底と輸送動向の変化への対応~ポストコロナ社会に向けた基礎づくり~」をテーマとする「中期経営計画(2021~2023年度)」を策定し、「安全で安心な鉄道輸送の確立」・「充実したサービスの提供」・「経営基盤の強化」を基本方針とする「2022年度事業計画」に基づいて、様々な取り組みを進めてまいりました。 これらの推進等により、当期の輸送人員は126,381千人[前期比14.3%増、内訳は、定期79,828千人(前期比8.6%増)、定期外46,553千人(前期比25.5%増)]となりました。一日当たりの輸送人員で見ると約349千人(前期比約43千人増)と一定程度の回復が見られ、当期の鉄道事業営業収益は40,868百万円(前期比17.3%増)となりました。内訳は、定期運賃18,938百万円(前期比8.0%増)、定期外運賃20,204百万円(前期比29.5%増)、運輸雑収1,725百万円(前期比2.2%増)となりました。 一方、営業費は燃料費調整単価の上昇等による動力費・水道光熱費の増加が1,121百万円ありましたが、修繕費や減価償却費の減少があったことから、36,602百万円(前期比1.0%減)となりました。 この結果、営業損益は、4,265百万円の利益(前期は2,179百万円の損失)となりました。また、営業外収益は68百万円(前期比28.0%減)、営業外費用は2,375百万円(前期比6.1%増)、経常損益は1,959百万円の利益(前期は4,323百万円の損失)となりました。 以上により、法人税、住民税及び事業税353百万円、法人税等調整額△535百万円を差引後の当期純損益は2,141百万円の利益(前期は4,331百万円の損失)となり、3期ぶりに最終利益を計上することができました。 また、当期純利益2,141百万円の計上により、利益剰余金残高は1,543百万円となりました。 財政状態については、資産合計724,770百万円(前事業年度末比40,746百万円減)、負債合計538,211百万円(前事業年度末比42,888百万円減)、純資産合計186,559百万円(前事業年度末比2,141百万円増)となりました。 資産の減少は、主として、鉄道・運輸機構からの返済により無利子貸付金が減少したこと及び鉄道施設等の減価償却によるものであり、負債の減少は、主として、関係自治体への返済により無利子借入金が減少したこと及び鉄道・運輸機構から譲渡を受けた鉄道施設の未払金が返済により減少したことによるものです。 純資産の増加は当事業年度の純利益の計上によるものです。なお、固定負債の大半を占める長期未払金435,793百万円は、主として、長期割賦により譲り受けた鉄道・運輸機構への長期未払金ですが、その返済条件は、元利均等半年賦支払の方法による期間5年据置、35年償還であり、当面の財政状態は特に問題はないと考えています。 当事業年度における現金及び現金同等物は15,756百万円となり、前事業年度に比べて7,894百万円増加しました。 当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは19,349百万円となり、前事業年度に比べて4,235百万円増加しました。 これは主として、減価償却費が1,042百万円、法人税の還付額が601百万円とそれぞれ減少した一方で、税引前当期純利益が1,959百万円と前事業年度に比べて6,282百万円増加したことによるものです。 当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは32,667百万円となり、前事業年度に比べて2,607百万円増加しました。 これは主として、収入面では、鉄道・運輸機構との間に締結した「事業費の貸付等に関する協定」に基づく鉄道・運輸機構からの貸付金回収による収入が23,866百万円と前事業年度に比べて2,803百万円減少した一方で、投資有価証券の償還による収入が11,100百万円と前事業年度に比べて3,100百万円増加したこと、支出面では、有形固定資産の取得による支出が2,018百万円と前事業年度に比べて2,446百万円減少したことによるものです。 当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは△44,122百万円となり、前事業年度に比べて2,823百万円支出が減少しました。 これは、関係自治体が定めた「常磐新線建設資金貸付要綱」に基づく長期借入金返済による支出が23,881百万円と前事業年度に比べて2,803百万円減少したこと、また、鉄道・運輸機構との間に締結した「常磐新線の建設及び譲渡・引渡し基本協定書」に基づく長期未払金の返済による支出が20,241百万円と前事業年度に比べて20百万円減少したことによるものです。 当社の事業内容は、役務の提供を主たる事業としており、生産、受注及び販売の状況について、金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため、「生産、受注及び販売の状況」は「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の項において記載しています。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2023年3月31日)現在において判断したものです。 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債および会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。 財務諸表の作成にあたっての重要な方針・見積りは、「重要な会計方針」及び「重要な会計上の見積り」に記載のとおりですが、そのうち見積りの重要度が高いものは以下の通りであります。 従業員の退職給付債務および費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の数理計算上の前提条件を用いて見積りを行っております。数理計算上の前提条件と実績が異なる場合または前提条件の変更があった場合には、翌事業年度以降の退職給付債務および費用に影響を与える可能性があります。 繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見込額に基づいて判断しております。将来の課税所得の見込額については、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響が、収束に向けて段階的に回復した場合の輸送人員に基づく旅客運輸収入等、経営者による重要な判断を伴う主要な仮定が含まれています。これらの仮定が変更された場合には、翌事業年度以降の財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。 当事業年度の経営成績等は、「 (1)経営成績等の概要①財政状態及び経営成績の状況」の項に記載のとおりですが、当事業年度の輸送人員は、前事業年度に比べて一定程度の回復が見られ、営業収益は40,868百万円(前期比17.3%増)となったこと、営業費が減少したことから営業利益は4,265百万円となり、営業外費用の増加はありましたが、当期純損益は2,141百万円の利益(前事業年度は4,331百万円の損失)となりました。 資本の財源及び資金の流動性については、当社は運送費、一般管理費等の営業費用の支払いや設備投資を実施しながら、主に鉄道・運輸機構への長期未払金の返済に資金を費やしています。 なお、重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。 つくばエクスプレスの建設及び譲渡・引渡し並びに工事の施行、事業費の負担等について次のように鉄道・運輸機構との間で協定を締結しています(なお、これらの協定は工事施行認可等のつど変更、累積されますので直近の内容を記載しています。)。 当社からの無利子貸付金は、鉄道・運輸機構が調達する都市鉄道整備事業資金からの無利子借入金と同額(事業費の40%相当額)とする。 2  一部工事工程の関係から、完成予定期日は2003年12月4日付で「2005年3月31日」を「2008年3月31日」に協定変更しています。 鉄道・運輸機構との間に締結した「常磐新線の建設及び譲渡・引渡し基本協定書の第5条第2項の規定に基づく事業費の貸付等に関する協定書」に基づき、つくばエクスプレス(常磐新線)の建設事業費に充当するため貸付を実施いたしました。 下表のように、沿線の1都3県2市から同自治体の定めた「常磐新線建設資金貸付要綱」及び同自治体間「覚書」に基づき長期借入を行い、同額を同機構に貸付けました。 2  長期借入金及び長期貸付金には、1年以内返済予定として短期借入金及び短期貸付金に振り替えた金額を含めて表示しています。 3  1994年12月以降借入・貸付した資金の据置期間は12年、それまでに借入・貸付したものは8年となっています。 鉄道・運輸機構と当社は、1993年2月23日に締結した「常磐新線の建設及び譲渡・引渡し基本協定書」第6条の規定に基づき、鉄道施設の譲渡若しくは引渡しの条件等に関し、2005年7月6日に協定を締結しています。主な内容は次のとおりです。 鉄道・運輸機構は、工事しゅん功後当社との間で鉄道施設譲渡契約を締結し、当該鉄道施設を譲渡する。 鉄道施設の譲渡価額は鉄道・運輸機構が国土交通大臣から認可を受けた額とする。 当社は、本協定に基づき負担することとなる債務の担保として、鉄道・運輸機構との間で抵当権設定契約を締結し、鉄道・運輸機構から譲渡を受けた鉄道施設で組成する鉄道財団のうえに、鉄道・運輸機構を第一順位とする抵当権を設定する。 当社は、以下①及び②の合計額を鉄道・運輸機構に支払う。 譲渡日の翌日から5年後の譲渡日までの間、当社は未償還元本に係る支払利子と未償還元本に係る債券の債券発行費、債券発行差金及び管理費の合計金額を支払う。 毎年度上期については9月14日、下期については3月14日とする。 鉄道・運輸機構と当社は、2005年7月6日締結した「常磐新線の建設及び譲渡・引渡し基本協定に基づく譲渡若しくは引渡し条件等協定書」に基づき、同機構の事業費負担とした常磐新線秋葉原起点―0K080M~58K395M間の鉄道施設の譲渡契約を2005年8月19日に締結しています。主な内容は次のとおりです。 鉄道・運輸機構と当社は、2005年7月6日締結した「常磐新線の建設及び譲渡・引渡し基本協定に基づく譲渡若しくは引渡し条件等協定書」に基づき、常磐新線秋葉原・つくば間の残工事に係る鉄道施設の譲渡に関し、2008年3月31日に締結しています。主な内容は次のとおりです。 該当事項はありません。
SBSホールディングス株式会社
# SBSホールディングス株式会社 2  従業員数は、就業人員数を表示しております。 3  「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第37期の期首から適用しており、第37期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。 2  従業員数は、就業人員数を表示しております。 4  「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第37期の期首から適用しており、第37期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。 東京都江東区に㈱関東即配(現SBSホールディングス㈱)を設立。 東京都墨田区に即日配送事業の㈱関東即配(現SBS即配サポート㈱)を設立。 商号を㈱総合物流システム(現SBSホールディングス㈱)に変更。 軽作業請負事業の㈲スタッフジャパン(現SBSスタッフ㈱)を設立。 マーケティング事業のマーケティングパートナー㈱を設立。 商号を㈱エスビーエス(現SBSホールディングス㈱)に変更。 日本証券業協会(現東京証券取引所JASDAQ市場)に株式を店頭登録。 雪印物流㈱(現SBSフレック㈱)の株式取得。 ㈱エスビーエス(現SBSホールディングス㈱)を純粋持株会社に移行。 3PL事業を吸収分割により㈱関東即配に事業承継。 不動産証券化事業の㈱エーマックス(現SBSアセットマネジメント㈱)を設立。 東急ロジスティック㈱(後のティーエルロジコム㈱、現SBSロジコム㈱))、ティーエルトランスポート㈱(現SBSロジコム㈱)、ティーエルサービス㈱(現SBSロジコム㈱)、日本貨物急送㈱(現SBSフレイトサービス㈱)、伊豆貨物急送㈱(現SBSフレイトサービス㈱)の株式取得。 食品物流の㈱全通(現SBSゼンツウ㈱)の株式取得。 保険代理事業の㈲SBSインシュアランスサービス(現SBSファイナンス㈱)の株式取得。 商号をSBSホールディングス㈱に変更、本社を東京都墨田区太平に移転。 ティーエルロジコム㈱(現SBSロジコム㈱)がビクターロジスティクス㈱(後のVLロジネット㈱)の株式取得。 ティーエルロジコム㈱(現SBSロジコム㈱)が日本レコードセンター㈱の株式取得。 ティーエルロジコム㈱(現SBSロジコム㈱)がVLロジネット㈱を吸収合併。 インドの国際物流会社Atlas Logistics Pvt. Ltd.の株式取得。 車両輸送の㈱ゼロの株式取得。 シンガポールにSBS Logistics RHQ Pte. Ltd.を設立し、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシアの拠点整備を実施。 東京証券取引所市場第二部へ上場。 ブランド統一の一環として、新ロゴマークの導入、物流14社の社名変更などを実施。 東京証券取引所市場第一部へ指定替え。 インドの国際物流会社Transpole Logistics Pvt. Ltd.の株式取得(その後、2016年に経営撤退)。 SBSフレック㈱の地域子会社6社が合併し、SBSフレックネット㈱が発足。 SBSロジコム㈱のトラック輸送を担う子会社SBSロジコム北関東㈱及びSBSロジコム南関東㈱を設立。 SBSサポートロジ㈱とSBS即配㈱が合併し、SBS即配サポート㈱が発足。 シンガポールに運輸・通関事業を行うSBS Logistics Singapore Pte. Ltd.を設立。 SBSロジコム北関東㈱とSBSロジコム南関東㈱が合併し、SBSロジコム関東㈱が発足。 リコーロジスティクス㈱(現SBSリコーロジスティクス㈱)の株式取得。 SBSロジコム㈱が日本レコードセンター㈱を吸収合併。 ㈱京葉自動車教習所と㈱姉崎自動車教習所が合併し、SBS自動車学校㈱が発足。 ㈱日本政策投資銀行と共同で日本物流未来投資ファンド㈱(現日本物流未来投資㈱)を設立。 SBSリコーロジスティクスの国内子会社6社が合併し、SBS三愛ロジスティクス㈱が発足。 東芝ロジスティクス㈱(現SBS東芝ロジスティクス㈱)の株式取得。 東洋運輸倉庫㈱の株式取得。 SBSロジコム㈱が旭新運輸開発㈱の株式取得。 SBSフレック㈱が㈱日ノ丸急送の株式取得。 SBSリコーロジスティクス㈱が㈱ジャスの株式取得。 古河物流㈱(現SBS古河物流㈱)の株式取得。 SBSグループ本社機能を東京都墨田区から東京都新宿区に移転。 東京証券取引市場プライム市場へ移行。 SBSフレックネット㈱が㈱創友を吸収合併。 SBSリコーロジスティクス㈱が㈱EMCの株式取得。 当社グループは持株会社制を導入しており、2022年12月31日現在、連結財務諸表提出会社(以下当社という)並びに子会社57社(うち連結子会社41社)及び関連会社9社(うち持分法適用関連会社1社)から構成されております。当社は持株会社として、グループ戦略の立案・決定やグループ会社のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への各種共通サービスの提供を行っております。 当社グループは、あらゆる産業に繋がり、経済活動に必要不可欠な社会基盤のひとつである物流を中核事業としております。また、物流支援事業として物流の周辺にあるさまざまなニーズにお応えし、物流事業の差別化と充実を図っております。具体的には、物流施設等の開発・販売・賃貸等を行う不動産事業及び人材、環境、マーケティング、太陽光発電等からなるその他事業を行っております。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 当社グループの各事業の位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。これらの3事業は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントと同一の区分であります。 当事業におきましては、主に企業間(BtoB)物流の分野で総合的な物流事業を展開しております。具体的には、荷主である顧客企業に対して物流改革を提案し、物流業務の包括受託及び各物流業者との連携による物流業務運営を提供する3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)及び4PL事業、全国ネットワークを持つ三温度帯(冷凍・冷蔵・常温)での食品物流事業、顧客企業の倉庫・工場からの材料・製品等の運送・配送を担う運送事業、主に小型貨物を即日配達する即配サービス事業、国際物流事業、物流コンサルティング事業等であります。 上記の事業を行う主な関係会社は、SBS東芝ロジスティクス㈱、SBSリコーロジスティクス㈱、SBSロジコム㈱、SBSフレック㈱、SBSゼンツウ㈱、SBS即配サポート㈱及びSBS古河物流㈱です。 当事業におきましては、所有する施設をオフィス、住居、倉庫などを用途とし賃貸する事業及び物流施設の開発・販売事業から構成されます。 主な関係会社は、SBSロジコム㈱、SBSアセットマネジメント㈱及び㈱エルマックスです。 顧客企業の物流センター等で発生する業務等を担うスタッフの派遣や紹介を行う人材事業、一般及び産業廃棄物の回収及び中間処理を一貫して行い資源の再利用など廃棄物のリサイクルを行う環境事業、顧客企業の営業や販売促進活動を支援する広告制作、広告代理等のマーケティング事業、保有地や物流センターの屋根を活用した太陽光発電事業等から構成されます。 主な関係会社は、SBSスタッフ㈱、SBS即配サポート㈱、マーケティングパートナー㈱及びSBSロジコム㈱です。 当社グループは、当社を持株会社として当社グループの連結の範囲に入る子会社41社及び関連会社1社*が相互に連携して、物流事業、不動産事業、その他事業を営んでおります。これらを報告セグメントとの関連で示すと以下の通りであります。なお、次項の図には非連結子会社及び関連会社の一部(※印)を含んでおります。 *関連会社の内訳は、(株)ゼロ(持分法適用関連会社)です。 資金援助あり。 役員の兼任3名、資金援助あり。 資金援助あり。 資金援助あり。 役員の兼任3名、資金援助あり。 役員の兼任1名、資金援助あり。 役員の兼任1名、資金援助あり。 資金援助あり。 資金援助あり。 資金援助あり。 当社グループの一部の連結子会社において労働組合が結成されております。2022年12月31日現在の組合員数は2,902名であります。 なお、当社及び連結子会社のいずれにおいても、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、「全方位の物流機能を有する3PL企業集団」として、総合提案力、専門性、課題解決力をベースに、サプライチェーンの一翼を担うことでお客様の効率的な企業活動をサポートしております。 また、物流という生活の重要な社会インフラに携わる当社グループは、その社会的責任の重要性を認識し、安全、環境、社会貢献を実現するCSR経営に真摯に取り組むことで、企業価値と株主価値の向上に努め豊かな社会の実現に貢献してまいります。 当社グループは、中長期的な視点から事業の持続的成長、収益力及び資本効率の向上を図る方針であります。また、重要な事業戦略、投資戦略の一環として、物流施設の自社開発と流動化サイクルを計画的に循環させることで、3PL及び4PL事業の安定的成長を図る独自のビジネスモデルを推進しております。このことから、積極的な投資活動と財務健全性の維持という両側面の均衡を保つことを重視しており、目標とする自己資本比率を30%と設定し、これを判断指標と位置づけております。 昨今の物流業界は、人手不足や技術革新を背景に、かつてないほど大きな構造転換期に差し掛かっております。人手不足が深刻化する中、IoT、AI、LT(Logistics Technology)を活用した革新的な技術の実用化に向けた取り組みが加速していることに加え、EC通販市場の急拡大により商流が変わりゆく中、物流もそれに呼応する形で、大きな変革を迫られています。 当社グループは、このような経営環境のパラダイムシフトを好機として捉え、自らも変化し続けることで激しい企業間競争に勝ち残ることを目指します。“For Your Dreams. ~人々の『夢への挑戦』をつなぎ未来を拓く~”をスローガンとし、ベンチャー企業が強みとする「柔軟性」と「スピード」、これに上場企業の「ガバナンス」を併せ持ち、物流の未来を創造する集団であり続けます。このために、次の基本方針を掲げます。 当社グループが得意とする3PL及び4PL事業の強化を、様々な手法を用いて具現化します。Web.マーケティングや営業力強化による新規受注の拡大、現場力強化による効率性の追求、事業の底上げや領域拡大につながるM&Aを積極的に検討、実行してまいります。また、当社グループ独自のソリューションである物流施設開発を含めた3PL及び4PLのご提案に加え、今後は自動化技術やAI関連設備導入も組み入れるなど、お客様の物流課題解決に貢献するべく、当社グループ独自のサービスモデル確立を目指します。 3PL及び4PL事業拡大とサービスレベル向上を促進するために手掛ける物流施設の自社開発と、既存施設の流動化を計画的に推進することにより財務上の健全性を維持します。 推進すべき地域と事業を明確化し、選択と集中を進めてまいります。 新型コロナウイルス禍の影響が続く中、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギーや食糧、ロジスティクス関連コストの上昇に加え、急激な為替相場変動など、経営を取り巻く環境は依然として目まぐるしく変化しています。こうした環境の中、激化する企業間競争を勝ち抜いていくうえで、経営の透明性・効率性の確保およびグループシナジーの極大化は不可欠であり、当社グループ各社の有する物流機能を融合し、グループとしての一体感をより強化することがグループとしての競争力向上につながるものと考えております。 今後の成長を持続するためには、インターネットショッピングの需要の高まりにより、引き続き市場の拡大が続くEコマース事業への対応、中核に据える3PL事業を推進する物流人材や海外展開に備えたグローバル人材の育成、物流施設開発や将来の技術革新を見据えたロボット化の積極的な導入を行い、それらを取り込むためのプロフェッショナル人材の確保が不可欠です。同時に労働人口の減少にともない、物流事業のベースを支えるドライバーなど、経営資源の安定的確保も重要な経営課題と捉え、そのための人事制度の整備を進め、優秀な人材の採用と育成に取り組むほか、社員一人ひとりが働きがい・誇り・生きがいを持てる環境作りに努めてまいります。また、物流企業としての社会的責任を果たすため、交通事故の防止や作業の安全確保などの安全対策、エコドライブの推進や車両・施設に起因する環境負荷の軽減などの環境保全対策に徹底的に取り組みます。さらに、内部統制の強化、コンプライアンスの徹底やリスク対策などを柱に、コーポレート・ガバナンス体制の充実に取り組むことにより、持続的社会の実現に向けて社会の期待に応える企業グループとして、サステナビリティ経営を着実に推進してまいります。 当社グループは、短期及び中・長期的な経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクを、主に外的要因に起因するもの、内的要因によるもの、その両方の側面を持つものの15の事象に区分し、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力を行っております。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの事業は、国内外の経済、景気動向及び顧客企業の輸送需要の動向に影響を受けます。特に、国内景気の大幅な落ち込みによる消費の低迷や極端な円高、海外景気の深刻な落ち込みによる輸出入量の減少や輸配送料金の値下げ圧力などが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、事業の多様化の推進、取引先企業の拡大などによりリスクの分散を図るとともに、事業ポートフォリオの充実と最適化を推進しております。 当社グループの主力事業である物流事業には、軽油・ガソリンなどの燃料が不可欠です。世界的な原油価格の高騰や為替変動による燃料価格の想定を超えた値上がりは、コストの増加要因となります。燃料価格の想定を超えた値上がりコスト増加相当分を料金に転嫁できない場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、世界的な市場の動向を注視するとともに燃料価格の変動を予測した予算の策定及びエコドライブの推進や段階的な次世代自動車の導入などにより、燃料効率の高い物流サービスへの転換を推進しております。 当社グループの重要な成長戦略として、M&Aや3PL事業推進のための物流施設の開発を行うにあたり、必要な資金は主に金融機関からの借り入れで調達しておりますが、金融環境の悪化は戦略投資への資金調達が困難となり、調達金利の上昇が起こる可能性があります。また、一部借入金には、財務制限条項が付されておりますが、これに抵触することで当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、物流施設の流動化や営業キャッシュ・フローなどによる有利子負債の返済促進と金利の固定化などの対策を講じております。 当社グループは、既存事業の規模拡大や新規事業分野へ進出するに際し、事業戦略の一環としてM&Aや資本参加、資本提携などを行っておりますが、予測できない事態により買収や提携後の事業計画の進捗が当初の予定より大幅に遅れた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、M&Aや資本参加、資本提携などにおいては事前デューディリジェンスを徹底し、被買収企業の経営層との丁寧な調整を行います。 当社グループの不動産事業は、開発事業と賃貸事業で構成されております。開発事業における物流施設の新規開発にあたっては、販売用、賃貸用に関わらず顧客の確保を前提としており、入居者あるいは販売先を決定したのちに、顧客のニーズに合わせた仕様あるいは賃料や賃貸期間などを決定し、着工しております。そのため、受注時期や規模、仕様、完成時期、販売時期によって売上及び利益が一定の時期に偏る場合や遅延が生じる場合があります。 当社グループでは、顧客の確保を前提とした物流施設の開発を行っております。 当社グループの主力である物流事業では、貨物自動車運送業や倉庫業、通関業などの物流に関する各種事業法、不動産事業では建築基準法や金融商品取引法、人材事業では労働者派遣法などの様々な法規制を受けております。それらが、社会情勢の変化に応じて改正や強化、解釈の変更などが行われた場合は、新たな費用負担の発生や事業展開の変更を求められる可能性があります。これらの対応に新たな費用負担が発生した場合は、コストの増加要因となります。 当社グループでは、法令遵守を旨としており、業界団体をとおして情報を収集するほか、法令や制度の変更を予め想定した対策を講じております。 当社グループは、トラックによる輸送や物流センターの運営を主体に事業を展開しており、大規模な自然災害などが発生した場合は、大きな影響を受けます。当社グループは首都圏に多くの物流施設を有しており、大規模な自然災害が発生した場合は、荷主企業や当社施設の被災、交通網の遮断・混乱、電気・水道などのライフラインの停止などにより、事業の継続が困難となる可能性があります。 当社グループでは、「事業継続計画(BCP)」において災害状況の想定及び対応策を定め、定期的な訓練の実施や主要な建物の耐震性の確保、事業拠点の可能な範囲での分散化を進めております。 当社グループや荷主企業で感染症による発症者が確認された場合は、オペレーションの制限や停止を余儀なくされるなど、当社グループの事業活動に様々な影響を与えます。また、従業員等を感染症から守る感染防止対策費用は、コストの増加要因となります。 当社グループでは、事業所及びトラックなどの事業用車両の衛生管理を徹底するほか、従業員等には国の指針に従い、出社時の検温の実施及び健康状態の確認、手洗いや手指の消毒の励行、マスク着用の徹底を図っております。 当社グループは、トラックなどの事業用車両が公道を利用し、顧客の商品または製品の輸配送を行っておりますが、万が一、人命を失うような重大な事故を起こした場合は、被害者からの訴訟や顧客からの信頼喪失や社会的信用の毀損、営業停止または事業用車両の運行停止などの行政処分を受ける可能性があります。 当社グループでは、当社と当社グループが協働して設置する「SBSグループ運輸安全推進会議」にて教育・啓発、事故防止、安全運転管理の3つを重点施策としてグループ全体で運輸安全マネジメントを推進しております。 当社グループは、顧客の商品・製品の管理、倉庫管理、通関処理などの業務システムから会計システム、人事給与システムなどの社内システムに至るまでコンピュータやネットワークを使用しております。万が一、コンピュータの故障やウイルスへの感染、外部からのハッキング、大規模な自然災害などによりシステムがダウンした場合は、オペレーションの停止や制限を余儀なくされ、業務処理の遅延や混乱を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、SOC(Security Operation Center)サービスによるネットワークの監視や確認、AIを用いたウイルスの監視、次世代ファイヤーウォールによりセキュリティ強化を図っております。また、当社と当社グループ会社が協働して設置する「SBSグループ情報セキュリティ推進会議」にてグループ全体でセキュリティ対策と教育・啓発を推進しております。 当社グループは、個人情報を含む多くの顧客情報を扱っており、潜在的に個人情報や顧客情報の流出、データの喪失リスクがあります。万が一、顧客情報の流出やデータの喪失などの事態を招いた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、社内規程で顧客情報の適正な管理を定めるとともに、「SBSグループ情報セキュリティ推進会議」のもとで、グループ全体で顧客情報の適正管理のための対策を推進しております。 当社グループは、様々な法令や幅広いルール、社会的規範のもとで事業を展開しており、関連規制への抵触や取締役や従業員等による不正行為が発生した場合は、当社グループの信用毀損や取引の停止などにより多額の損害賠償請求などを招き、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、「SBSグループコンプライアンス規程」を定め、当社グループを構成する取締役や従業員等がコンプライアンスに則した行動を取るための体制や仕組みの構築を推進するとともに、「SBSグループ行動基準」を定め誠実で公正・透明な企業風土を醸成するよう努めております。 当社グループは、持続的に成長するために海外での事業展開に取り組んでおりますが、進出国または進出地域の政治体制や法規制の変化、景気の後退による経済状況の変化、感染症にともなう疾病の発生などにより社会的混乱が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、進出国または地域に関する情報を常に収集し、分析を行っております。 当社グループでは、人材の重要性を認識し、採用活動や人材育成に注力しておりますが、必要な人材を確保できない場合や多くの人材が社外へ流出した場合、人材の育成が計画どおりに進捗しない場合などは、当社グループの事業展開や業績及び成長戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、新卒または中途採用に拘らず積極的に採用を行うとともに、人材育成の基本方針にもとづいて、グループ各社の従業員を対象とした様々な人材育成教育を実行し、能力の向上とキャリア開発を支援しております。 当社グループは、気候温暖化にともなう海水面の上昇などにより、港湾部の事業拠点が浸水被害を受ける可能性や異常気象による豪雨や豪雪、台風被害などによる交通網の遮断・混乱、電気・水道などのライフラインの供給停止、熱中症による従業員の健康危害などの影響を受ける可能性があります。また、国際合意にもとづく二酸化炭素の排出規制強化や企業が排出する温暖化ガスに対する「炭素価格」の導入は、コストの増加要因となります。 当社グループでは、エコドライブの推進や段階的な次世代自動車の導入、省エネルギー設備を導入するなどの低炭素化を前提とした計画的な事業戦略及び環境戦略を策定し、気候変動リスクに長期的な視野で取り組んでおります。 当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)においては、新型コロナウイルス感染症の再拡大、資源価格や燃料価格の急騰、また為替レートの急激な変動などに見舞われながらも、国内外の経済活動は徐々に回復の兆しを見せ、本格的な経済活性化が期待される状況となっております。そうしたなか、当社グループはお客様、取引先ならびに従業員の感染防止と安全確保を最優先に取り組みながら、主力の物流事業における3PL、4PLビジネスの獲得と、ネット通販などの物流需要拡大に応えるべく積極的な対応を図ってまいりました。 また、М&Aを軸とする当社の成長戦略において、SBSグループ各社相互間のシナジーを発揮させることで、当社グループのサービスラインナップをさらに拡充し、社会の物流ニーズを強固にサポートする体制を整えました。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。 当連結会計年度の業績については、海外事業における海上・航空運賃の高騰、為替影響のほか、電子機器、EC関連などの国内物流量の増加に伴ってグループ各社の物流事業が堅調であったことから、売上高は前連結会計年度より519億96百万円増(+12.9%)の4,554億81百万円、営業利益は同11億37百万円増(+5.5%)の218億44百万円、経常利益は同9億14百万円増(+4.5%)の214億4百万円となり、売上高、営業利益、経常利益の各指標とも5期連続で過去最高値を更新しました。 また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2022年6月30日に当社連結子会社の物流施設(SBSフレック株式会社阿見第二物流センター)で発生した火災に関連した火災損失を特別損失として計上しましたが、当該火災により焼失・毀損した固定資産に対して支払われた保険金の受取金額のうち、上記の火災損失に対応した金額を特別利益に計上したこと等により、同9億42百万円増(+8.7%)の117億32百万円となり、こちらも4期連続で過去最高値を更新することとなりました。 セグメント別の経営成績は以下のとおりです。 主力の物流事業では、既存顧客との取引拡大に加え、高い物流機能を求める新規顧客の獲得に注力しました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大きく落ち込んだ企業間物流が海外を含めて回復したことや、即日配送事業におけるネット通販需要の取り込み等により、当期における物流事業の売上高は前連結会計年度より549億59百万円増(+14.5%)の4,332億95百万円、営業利益は傭車費、燃料費の増加や新制服導入費用の計上等があり、同1億23百万円減(△0.8%)の154億23百万円となりました。 不動産事業は、開発事業と賃貸事業で構成されております。開発事業では、グループの3PL、4PL事業を推進するために、顧客の物流ニーズに合った大型倉庫を土地の取得から建設まで一貫して行います。賃貸事業では、グループで保有する倉庫、オフィスビル、レジデンス等から賃貸収益を得ています。当社は、将来の投資に向け物流不動産を流動化し資金を回収しており、流動化に伴い計上する収益は不動産事業に含めております。 当期の物流不動産流動化の実績として、横浜金沢物流センター(横浜市)の信託受益権の一部譲渡を実施しております。当期における不動産事業の売上高は前連結会計年度より36億19百万円減(△21.2%)の134億23百万円、営業利益は同50百万円減(△0.8%)の62億82百万円となりました。 その他事業の主なものは、人材派遣事業、マーケティング事業、太陽光発電事業及び環境事業です。当期におけるその他事業の売上高は前連結会計年度より6億56百万円増(+8.1%)の87億62百万円、営業利益は同32百万円減(△7.5%)の4億2百万円となりました。 資産、負債及び純資産の主な増減要因は以下のとおりです。 当連結会計年度における総資産は2,968億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ197億1百万円増加しました。これは主に、現預金、売掛金および棚卸資産の増加等によるものです。 負債は2,047億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億36百万円増加しました。これは主に、短期借入金の増加等によるものです。 純資産は921億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億64百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加、並びに非支配株主持分の増加等によるものです。 営業活動により得られた資金は224億7百万円(前連結会計年度末は274億72百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加等、収益力の底上げを主因としたものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により使用した資金は158億95百万円(前連結会計年度は223億43百万円の支出)となりました。これは主に、車両や設備等の固定資産の取得によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により得られた資金は4億89百万円(前連結会計年度は92億78百万円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済支出152億94百万円、配当金支払い21億84百万円等があった一方で、長期借入による収入150億円及び短期借入金の純増55億19百万円があったことによるものです。 当社グループは、物流事業を中核とするサービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報にもとづき、会計上の見積りを行っていますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果とは異なる場合があります。 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。 なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。 当社グループの主たる運転資金は、傭車費、外注費、人件費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要といたしましては、車両の経常的な更新、子会社・関連会社株式の取得等によるもの及び物流施設の自社開発に伴う用地取得、建設工事代金、設備投資等があります。 資金の財源につきましては、当面の資金需要と設備投資計画に則り自己資金と金融機関からの借入金により調達しております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、326億68百万円となり、有利子負債残高は1,040億95百万円となっております。 当社グループは、グループ全体の資金を有効活用するため、キャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、連結子会社の支払い代行業務を行う他、連結子会社の報告にもとづき、グループにおける重要な資金繰りの状況について把握しております。また、取引銀行において、借入金の与信枠の設定を受けており、必要な資金を速やかに確保する基盤を整えております。 当社グループは、中長期的な視点から事業の持続的成長、収益力及び資本効率の向上を図る方針であります。また、重要な事業戦略、投資戦略の一環として、物流施設の自社開発と流動化サイクルを計画的に循環させることで、3PL及び4PL事業の安定的成長を図る独自のビジネスモデルを推進しております。このことから、積極的な投資活動と財務健全性の維持という両側面の均衡を保つことを重視しており、目標とする自己資本比率を30%と設定し、これを判断指標と位置づけております。当連結会計年度の自己資本比率は、23.7%(前連結会計年度比+1.8%)となっており、引き続き財務の健全性を意識した事業運営を行い、投資と回収の最適なバランスを実現してまいります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社高見澤
# 株式会社高見澤 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社高見澤)、子会社10社及び関連会社2社より構成され、その事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 なお、事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 溜博高見澤混凝土有限公司及び山東建澤混凝土有限公司の2社は中華人民共和国山東省において現地向けに生コンクリートの製造販売を行っております。 事業の系統図は以下のとおりであります。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 債務保証あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 提出会社及び国内連結子会社においては、労働組合は結成されておりません。在外連結子会社においては、溜博高見澤混凝土有限公司工会委員会(溜博高見澤混凝土有限公司)が労働組合として結成されております。 なお、提出会社、国内連結子会社及び在外連結子会社ともに、労使関係は円満に推移しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「顧客、社員、株主、地域社会」に必要とされ、貢献することを企業経営の最重要項目と捉え、存在感のある企業を目指して経営に当たっております。 当社グループは、企業を取り巻く環境が依然厳しい中、社員全員が目標を共有化し、持てる力を最大限発揮し、「全員参加の経営」を基本として取り組んでおります。今後ますます変化が進む時代に対応すべく、以下の項目を中長期的な戦略と位置づけ、実施してまいる所存であります。 ① グループ各社の経営力をより強固にするため、経営意思決定のスピード化を図る。 ② 「収益基盤の拡充」を最重要課題として、各社コア事業の育成に取り組んでいく。 ③ キャッシュ・フロー重視の経営に徹し、財務体質の強化と改善を図る。 ④ 営業力の強化を図り、良質な製品の提供を通して、お客様の信頼に応えるべく提案営業を行う。 ⑤ グループ各社の将来展望に立ち、時代と社会の要請に応え得る新しい事業の開発を模索し、その実現を図る。 ⑥ 事業再構築により、スリムで筋肉質な企業体質への脱却を図る。 ⑦ 経営体質の見直しと生産体制の効率化、原価の低減化を徹底させ、コスト競争を勝ち抜く。 ⑧ グループ会社の「智慧」を集め、この時代を生き抜くための人材育成を行う。 経営環境につきましては、建設関連事業は、前年度と同水準の公共工事予算が見込まれるものの、原材料価格や各種土木資材価格の上昇が続いており、厳しい経営環境が続くものと予想されます。電設資材事業については、半導体市況の悪化や資源・材料価格高騰などの影響により、受注環境が停滞し収益は前期比若干減少するものと見込んでいます。カーライフ関連事業では、燃料油の需要がさらに減少することで販売競争の激化が予想され、また車検入庫と車輌販売も楽観できない環境が予想されます。住宅・生活関連事業については、農産物部門では、きのこ培地の需要はあるものの、長引く円安による為替変動や原材料の高騰による影響は引き続き不透明な状況であり、不動産部門では、建築資材や人件費の高騰によるコスト高により、住宅の需要供給が停滞し、不安定な情勢が予想されます。また、飲食料品部門では、物価上昇による家計収支の圧迫から需要に不透明感はあるものの、営業拡大により売上は前年を上回る見通しであります。 こうした中、当社グループにおきましては、各事業の現状から更なる拡充に向け、拠点・業務エリアの拡大と新業態への挑戦に取組み、適正価格の追求と製品・サービスの質向上により、安定収益の確保を図ってまいります。 また、今後も引き続きキャッシュ・フロー重視の経営により、経常収支改善に努めてまいります。 当社グループは、営業力を強化しコスト削減等を図ると共に、新分野へ進出し、より強い経営体質へ向け改善を図ってまいりました。 今後、以下の重点施策を実施していきたいと考えております。 会社がかかわる全ての活動の危険を摘み取り、安全・安心に関する自主的な取組みの促進と意識の啓発を図る。 DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトで推進してきた「人事制度改革」「事業戦略の見直し」プランを着実に実行し、将来に向けての礎を構築する。 そして、これからもお客様から選ばれる企業になると共に、将来にわたり持続的な成長を遂げていくため、高い倫理観を持ってコンプライアンス経営を重視し、安定した収益を創出できる企業グループとして、更なる成長発展を目指して、経営基盤の充実と業績の向上に努めてまいります。また、経営環境の変化により、リスクも多様化、高度化していることから、内部統制を強化し、法令順守の徹底を図り、経営リスクを最小化してまいります。 当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、経常利益を重視しており、2024年6月期の連結指標を次のように設定しております。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 サステナビリティの重要な議案、個別施策に関する議案については、担当部門から報告を受けた経営戦略会議にて討議・決議を行い、取締役会は適宜、報告を受け、審議・監督する体制を執っております。 当社の取締役会は、会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上のために、建設的な議論を行い、企業理念や重要な経営戦略等の大きな方向性を示し、適切なリスクテイクを支える環境整備を行っております。また、企業としてリスクを再認識し、コントロールする仕組みの構築と社員一人ひとりのリスクに対する意識を高め、必要に応じて分析・対策を行っております。 また、DX化により、粒度の違う各事業の活動状況及びリスクを正確に把握し、すばやく判断・対応することにより企業価値の向上に努めます。各事業セクションには、DXを推進するための人材を配置し、又は教育を行い、事業環境の変化に対応できる体制の整備を目指します。 当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応は、重要な経営課題の一部であると認識し、社員一人ひとりが日頃から課題解決への責任感を持ち、実行力を高めることで組織としての成果を出すよう取り組んでおります。 昨今の自然災害の多発を踏まえ、地球温暖化対策としてCO₂排出量を把握の上、諸削減策を実施しております。 会社が持続的な成長を遂げるために、事業ポートフォリオの見直し、再構築により収益の最大化を図ります。DXを通じて業務を効率化し、生産性を高めることにより、人的資源の再配分を行い新規事業への挑戦を積極的に進めます。 当社は、働きがいのある企業を実現すべく、「活き活きと働きがいを持てる職場環境の整備」、「社員の能力開発」、「挑戦する職場風土の醸成のための人員再配置」を重要課題として捉え、当社に必要される5つの力として、「全体を構想する力」、「新たなものを生み出す力」、「人を巻き込み横断的な企画を主導する力」、「高い目標を協力に推進・実現する力」、「部下を育成・指導する力」を掲げています。これらはいずれも人的資本経営を重要な経営戦略と考え、環境の変化や多様性に対応すべく、持続的な企業価値の向上を目指しております。 多種多様な事業を営む当社にとって、人材の定着・適性にあった職場への配属は極めて重要な課題であります。多様な経験を積んで頂くため、今後入社3年間は3つのセグメント異動を実施し、ビジネス基礎形成と幅広い基礎知識と一本筋の通った専門性(キャリアの軸)の形成を実施してまいります。その後、マネジメント職、スペシャリスト職、ジェネラル職へと人材価値の確立を目指します。これらにより、人材の最適再配置・循環を行い、組織の活性化を図ると共に、人材の定着化も併せて図ってまいります。 また、上記に沿った研修プログラムを設計し、人材の育成に邁進してまいります。 サステナビリティへの取組みのうち、気候変動に関するリスクと機会に係る課題について、温室効果ガス(以下GHGという)の削減やエネルギー効率の向上等、環境への負荷を最小化する取組みを開始しております。 当社コンクリート事業部においては、2023年4月に同業社とGHGの排出量を2045年までに実質ゼロにすることを目標とした「aNET ZERO イニシアティブ協定」を締結し、目標達成に向けたロードマップの策定を開始しております。また、高炉スラグ微粉末をセメントの代替材として、55%~60%置換した低炭素型コンクリートの製造に取組み、セメントの使用比率を大幅に抑制しセメント製造時に発生するCO₂の削減につなげ建設現場の脱炭素化を推進し、国土交通省が建設現場の脱炭素化に向けて全国で取り組んでいる「低炭素型コンクリートブロック活用工事」で採用されている普通ポルトランドセメントの置換率55%以上にも適応いたします。 また、再生可能エネルギー導入、省エネ化、CO₂排出量を削減するため複数の事業所の屋根に「太陽光発電システム」を導入いたしました。 なお、投資に関しては、ESG投資として2022年10月に長野県発行のグリーンボンドへの投資を行い、長野県の環境負荷を軽減する施策に貢献しております。 また、当社では、上記「(3)戦略」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、具体的な取組みが行われているものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標は設定しておりません。測定可能な数値目標設定につきましては、引き続き重要な経営課題であると認識しており、早期に対応できるよう取り組んでまいります。 なお、関連する実績については以下のとおりとなっております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、2006年6月期より適用の「固定資産の減損に係る会計基準」に対応するため減損損失の認識の判定を行っておりますが、その結果によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、生コンクリート製造販売を目的に中国国内に合弁会社2社を立ち上げ進出しており、中国国内の規制や経済情勢により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの有利子負債残高は当連結会計年度末現在で8,929百万円であり、借入依存度は23.9%となっております。将来市場金利が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主たる事業である建設関連事業及び電設資材事業において、売上高に占める公共工事の割合が高いため、公共工事関連予算の大幅な削減により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、公共事業への依存度を低減するため、長野県内外での営業エリア拡大を図り、公共工事への依存から民間工事へシフトしていくことによって視野を拡げてまいります。 当社グループのカーライフ関連事業において、売上高のうち主要な部分を占める燃料油は、一般消費者の需要動向の影響を受けております。ハイブリッド車をはじめとする次世代自動車の増加や人口減少により販売数量の減少が予想され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでのシェアアップによりシナジー効果を更に上げ、石油製品や車両販売拡大につなげてまいります。 地震、台風、洪水等の自然災害の発生により、生産設備の損害や操業が停止し、事業活動の継続に支障をきたした場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症拡大の影響により従業員が感染した場合や経済情勢が悪化した場合には、当社グループの生産から販売に到る一連の事業活動が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、雇用情勢、個人消費、設備投資等に持ち直しの動きがみられるようになりましたが、ウクライナ情勢の長期化や原材料価格の高騰、急激な為替変動などにより、依然として先行きについては不透明な状況が続いております。 このような経営環境の中にあって、当社グループは、「グループ・各事業部の連携強化」、「CSR(企業の社会的責任)への取組み」、「リスクマネジメント体制の強化」、「人材育成への総合的な取組み」、「コスト削減」等に取組み、更なる安定基盤の構築とグループ全体の事業拡大、強化を図ってまいりました。 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,470百万円増加し、37,428百万円となりました。当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2,214百万円増加し、23,885百万円となりました。当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,256百万円増加し、13,543百万円となりました。 当連結会計年度の経営成績は、売上高68,946百万円(前連結会計年度比8.8%増)、営業利益1,631百万円(前連結会計年度比49.9%増)、経常利益1,895百万円(前連結会計年度比43.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,240百万円(前連結会計年度比99.5%増)となりました。 セグメント別の状況は、次のとおりであります。 建設関連事業の売上高9,877百万円(前連結会計年度比13.8%増)、営業利益は337百万円(前連結会計年度比123.4%増)となりました。 電設資材事業の売上高は34,738百万円(前連結会計年度比10.2%増)、営業利益は958百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。 カーライフ関連事業の売上高は16,646百万円(前連結会計年度比2.9%増)、営業利益は221百万円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。 住宅・生活関連事業の売上高は7,684百万円(前連結会計年度比10.2%増)、営業利益は432百万円(前連結会計年度比72.3%増)となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて819百万円増加し、当連結会計年度末には2,838百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 当連結会計年度において、営業活動の結果獲得した資金は2,743百万円(前年同期比143.3%増)となりました。これは主に売上債権の増加額2,075百万円に対し、税金等調整前当期純利益1,702百万円、減価償却費771百万円、仕入債務の増加額2,723百万円等によるものであります。 当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は1,266百万円(前年同期比31.4%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,197百万円等によるものであります。 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は658百万円(前年同期比33.4%減)となりました。これは主に長期借入れによる収入1,665百万円に対し、短期借入金純減額165百万円、長期借入金の返済による支出2,009百万円等によるものであります。 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度末における流動資産は21,491百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,085百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が867百万円、売掛金が747百万円、電子記録債権が761百万円増加したことによるものであります。固定資産は15,937百万円となり、前連結会計年度末に比べ385百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が131百万円、投資有価証券が107百万円増加したことによるものであります。 この結果、総資産は、37,428百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,470百万円増加いたしました。 当連結会計年度末における流動負債は16,281百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,368百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が2,662百万円増加したことによるものであります。固定負債は7,603百万円となり、前連結会計年度末に比べ154百万円減少いたしました。これは主に社債が110百万円、長期借入金が72百万円減少したことによるものであります。 この結果、負債合計は、23,885百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,214百万円増加いたしました。 当連結会計年度末における純資産合計は13,543百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,256百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益1,240百万円によるものであります。 この結果、自己資本比率は35.3%(前連結会計年度末は35.2%)となりました。 当社グループの当連結会計年度においては、建設関連事業は、国土強靭化に向けた対策工事や複数の大型民間工事で前連結会計年度以上の売上を確保し、原材料・燃料などの価格高騰や仕入商材の値上がりの影響があったものの、製造原価の低減や販売価格への転嫁などに努めた結果、増益となりました。電設資材事業は、設備投資案件に対する積極的な営業活動の結果、受注が好調に推移し増収となり、人件費ほか諸経費の増加を吸収し増益となりました。カーライフ関連事業は、石油部門では、原油高に伴う油価の高騰と燃料販売数量が順調に推移したことにより増収増益となりました。オート部門では、車検及び新車・中古車販売が共に順調に推移したことにより増収増益となりました。住宅・生活関連事業は、農産物部門では、きのこ培地の販売が順調に推移したことや、原材料、包装資材等の高騰はあったものの利幅確保に取組み増収増益となりました。不動産部門では、地価高止まりにより、売買部門の受取手数料と土地販売事業収入が増加したものの、自社所有の賃貸料収入が減少したことから増収減益となりました。また、飲食料品小売部門では、家庭内消費が引き続き順調であったことに加え、ECサイト向けなどへの営業拡大により増収となりました。 この結果、売上高68,946百万円(前連結会計年度比8.8%増)、営業利益1,631百万円(前連結会計年度比49.9%増)となりました。 営業外収益は441百万円、営業外費用は177百万円を計上し、経常利益は1,895百万円(前連結会計年度比43.9%増)となりました。 特別利益は44百万円、特別損失は237百万円を計上し、法人税等合計454百万円、非支配株主に帰属する当期純利益7百万円により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,240百万円(前連結会計年度比99.5%増)となりました。 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 2023年6月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。 当社グループの第三者に対する保証は、出資会社の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2023年6月30日現在の債務保証額は、70百万円であります。なお、この債務保証は株主9社による連帯保証であります。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、石油製品や電設資材の購入費用及び販売用不動産の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の安定性を確保することを基本方針としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は8,929百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,838百万円であります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行なっております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に関して適切な仮定の設定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当社グループの当連結会計年度において、建設関連事業においては、国土強靭化に向けた対策工事や複数の大型民間工事が増えたこと、電設資材事業においては、設備投資案件の納入が順調に進んだこと、カーライフ関連事業においては、原油高に伴い油価が高騰したこと、住宅・生活関連事業においては、建売分譲物件の取扱いが増えたことなどにより増益となりました。 また、原材料・燃料などの価格高騰や仕入れコストが上昇したものの、利幅確保の取組みや販売価格への転嫁などに努めた結果、営業利益、経常利益ならびに親会社株主に帰属する当期純利益が予想を上回ることとなりました。 該当事項はありません。 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は76百万円であります。 セグメント別の主な研究開発の成果及び研究開発費は次のとおりであります。 建設市場において「環境への配慮」と「設計の見える化と性能保証」は絶対条件になりつつあります。2021年に開発したCVブロックは、経済性と施工性において優れる製品でありますが、環境配慮部門である製造時のCO₂排出量削減と品質保証部門である基準書への適合という点においては改良の余地を残しました。単なる環境配慮や品質保証にとどまらず、商品力のアップという営業戦略としての視点からも形状を含めた改良が必要になりました。 これにより、CO₂排出量は従来製品比40%削減を達成し、基準書への適合による設計の見える化と品質の信頼性向上に役立っています。この取組みと製品特性を発注者・購入者に説明することで、建設市場での基盤が構築されつつあります。 公的機関が勧める大型構造物のプレキャスト化には、製品同士の現場連結工程が伴います。機械式継手は国土交通省も認めている信頼性の高い技術ですが、材料コストが高く薄肉部材には適用しにくいこともあり、工場製品には不向きな部分が存在しました。 そこで、スプライススリーブを用いた2分割ボックスカルバートの新製品開発を行いました。経済性においては従来製品とほぼ同値、製品の継手部品質においては向上する結果が得られ、工事での適用も決定しました。 この継手は、ボックスカルバートだけでなく擁壁を含む様々な構造物にも流用できるため、さらなる市場拡大が見込めます。なお、機械式継手自体が信頼性の高い工法であるため、設計コンサルタント及び建設会社からも高い評価を受けています。 当セグメントに係る研究開発費は75百万円であります。
株式会社きょくとう
# 株式会社きょくとう 当社は、創始者牧平年廣が1964年6月に福岡市井尻(現:福岡市南区井尻)に「福岡ベビーランドリー企業組合」を設立し、ホームクリーニングのサービスを開始しました。その後地域毎に有限会社の形態で運営を行い、団体名を企業組合極東化学ドライに変更しております。 その後の沿革は次の通りであります。 機能的かつ効率的事業活動を行う目的で、19の有限会社を㈱きょくとうに合併し、それぞれを工場として営業する。 上記の合併会社のうち関西・四国地区の4社を合併解消により分離、その他9社についても合併解消手続開始。 当社は、ホームクリーニングを主たる業務としております。 なお、当社は、ホームクリーニング業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。 当社の事業内容は以下の通りであります。 当社の事業の系統図は、次のとおりであります。 当社の営業形態別店舗数は、次のとおりであります。 ・直営店とは、当社の所有する店舗又は当社が賃貸契約をした店舗で、当社の従業員が営業している店舗。 ・準直営店とは、当社の所有する店舗又は当社が賃貸契約をした店舗で、当社と営業契約を結んだ契約者が、営業している店舗。なお、当社は売上高に応じた手数料を契約者に支払います。 ・取次店とは、当社と営業契約を結んだ契約者が所有する店舗又は契約者が賃貸契約をした店舗で、契約者が営業している店舗。なお、当社は売上高に応じた手数料を契約者に支払います。 ・マックス店とは、仕上げ時間の指定(例:午前11時までの商品受付は午後5時の引渡し可能)、長時間営業(例:午前8時から午後8時まで)及び日曜・祝祭日営業などの営業形態をとる店舗。 ・100円クリーニングショップとは、一部の特殊品(外注品を含む)を除き、クリーニング料金が1点100円(消費税等を除く)の店舗。 ・スリープライスショップとは、一部の特殊品(外注品を含む)を除き、1点のクリーニング料金が商品により150円、250円、350円に限定された店舗。 該当事項はありません。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 当社は、ホームクリーニング業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、当社の品目別、営業形態別及び地域別に記載しております。また、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析についても、セグメント毎の記載はしておりません。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 「融和」:お客様・営業所・社員間の融和を図り、相互の強い信頼と協調を築き上げる。 「変革」:自己を変えることによって組織を変え、組織の力を持って業界の変革を目指す。 「貢献」:知識と技術でお客様のクリーニングライフをお手伝いし、社会に貢献する。 を掲げ、お客様第一主義を基本的な経営方針としております。 の実践を心がけ、企業活動を行っております。 当社は、収益性重視の経営理念に基づき、生産性の向上、販売管理費の統制や付加価値の高いサービスを提供することによって、売上高伸長率5%及び売上高経常利益率8%を目指し、常に収益の改善に努め、株主の皆様に応えられる企業経営に取り組んでまいります。 当社は、3年目となるコロナ禍の影響を引き続き受け、加えて急激な円安による為替相場の変動やウクライナ情勢により資源価格が上昇するなど、厳しい経営環境の中で経営を行ってまいりました。 このような経営環境下において、継続して取り組んできた様々な改革や効率化による効果も見られる中で、2023年度は、コロナ禍の内向き(守り)の意識をリセットし、外向き(攻め)の意識にチェンジしていくために、再度、成長・拡大を基本方針として次の課題に取り組んでまいります。 当社は、引き続き構造改革を行い安定した収益基盤の構築と企業価値の向上に取り組み、「融和」・「変革」・「貢献」の経営理念のもと、2022年に策定した中期経営計画の実現に取り組んでまいります。 当社が受給した雇用調整助成金の不正受給について、特別調査委員会の調査報告書に再発防止策として経営改善へ向けた提言がされております。この調査結果を真摯に受け止め、社内に再発防止委員会を設置し、経営改善に向けた具体的な再発防止策を策定し、最重要課題として取り組んでまいります。 上記の通り、コーポレートガバナンス及び内部統制を更に強化し、株主の皆様、お客様、そして全てのステークホルダーの皆様の信頼回復とご期待に応えられるよう社員一丸となって取り組んでまいります。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 家庭用衣料の洗濯を主体とするホームクリーニング業界では、冬物から夏物への衣更えの時期が重衣料を中心として数量、金額共に最需要期を迎えます。当社では、最需要期が上半期に当たることから売上高及び利益が上半期に偏る傾向があり、この最需要期の結果が、通期の業績に大きく影響する可能性があります。 一般家庭のクリーニング需要は、1993年をピークに減少傾向が続いております。今後においても、消費者の節約志向に伴う個人消費の低迷や少子高齢化によりクリーニング需要の減少等が当分継続すると思われます。 当社としては、家庭内に収まった洗濯物を如何に引き出すか、その為には、お客様第一主義に徹し、品質とカウンターサービスの向上に努めてまいります。 当社のクリーニング工場及びプラントは、建築基準法により商業地域や住居地域での引火性石油溶剤の使用が禁止されております。 当社としては、関係省庁の基本方針に基づき、早急に改善を推進してまいります。 この取り組みにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、感染抑制と経済活動の両立が進む中、今後、感染拡大により行動制限が行われた場合は、当社の業績及び財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、感染抑制と経済活動の両立が進む一方で、急激な円安による為替相場の変動やウクライナ情勢等を受けた資源価格の上昇など、国内経済は不安定な状況となりました。 当社におきましても、3年目となるコロナ禍の影響を引き続き受け、加えて、原材料費やエネルギーコストが上昇するなど、厳しい経営環境で推移しました。 このような経営環境の中、当社は、特別会員数と需要の増大を目的に販促活動を計画的に実施しました。具体的には、洋服の詰め放題「満服袋サービス」やサービスチケットの利用を推進しました。また、「洋服のリフォーム」と「スニーカークリーニング」の販売を強化し、スニーカークリーニングは、7月より撥水加工の販売を開始しました。 以上の結果、当事業年度の業績は、売上高は4,688,683千円と前事業年度と比べ107,931千円(2.4%)の増収となりました。 利益につきましては、前事業年度から実施している工場と店舗の統廃合による事業効率化の効果もあり、営業損失は177,918千円と前事業年度の営業損失442,505千円と比較して減少、経常損失は93,319千円と前事業年度の経常損失371,822千円と比較して減少、特別損失として雇用調整助成金の不正受給に伴う違約金及び延滞金96,573千円、減損損失26,539千円を計上したことなどにより当期純損失は169,780千円となり、前事業年度の当期純損失784,151千円と比較して減少しました。 ② 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 当社においては、基本的に受注、即生産、販売となりますので記載を省略しております。 当社においては、基本的に受注、即生産、販売となりますので記載を省略しております。 (資産) 流動資産は、前事業年度末に比べて2,359千円減少し、719,336千円となりました。これは、現金及び預金が101,994千円、売掛金が17,652千円増加したものの、短期貸付金が107,084千円減少したことなどによります。 固定資産は、前事業年度末に比べて3,362千円減少し、3,053,963千円となりました。これは、土地が87,258千円、投資不動産が42,960千円、差入保証金が25,154千円減少したものの、投資有価証券が88,470千円、長期貸付金が81,835千円増加したことなどによります。 この結果、総資産は、前事業年度末に比べて5,721千円減少し、3,773,299千円となりました。 (負債) 流動負債は、前事業年度末に比べて545,839千円増加し、1,220,723千円となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が21,184千円減少したものの、未払金が488,370千円、前受金が54,788千円、未払消費税等が17,577千円増加したことなどによります。 固定負債は、前事業年度末に比べて402,252千円減少し、775,620千円となりました。これは、役員退職慰労引当金が28,284千円増加したものの、長期未払金が246,235千円、長期借入金が190,020千円減少したことなどによります。 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて143,587千円増加し、1,996,343千円となりました。 (純資産) 純資産合計は、前事業年度末に比べて149,309千円減少し、1,776,956千円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が88,184千円増加したものの、利益剰余金が237,481千円減少したことによります。 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ101,994千円(29.9%)増加し、当事業年度には442,737千円となりました。 当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、249,866千円(前事業年度は135,953千円の支出)となりました。 支出の主な内訳は、税引前当期純損失136,996千円、固定資産売却損益56,727千円、売上債権の増加額17,652千円などであり、収入の主な内訳は、減価償却費90,632千円、役員退職慰労引当金の増加額28,284千円、減損損失26,539千円、貸倒引当金の増加額23,271千円、未払消費税等の増加額18,261千円などであります。 当事業年度における投資活動の結果得られた資金は、100,152千円(前事業年度は46,205千円の支出)となりました。 収入の主な内訳は、有形固定資産の売却による収入156,553千円、定期性預金の払戻による収入60,000千円、投資不動産の売却による収入34,000千円などであり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出94,685千円、定期性預金の預入による支出60,000千円、無形固定資産の取得による支出20,971千円などであります。 当事業年度における財務活動の結果使用した資金は、248,023千円(前事業年度は114,224千円の収入)となりました。 主な内訳は、長期借入金の返済による支出211,204千円、配当金の支払額31,573千円などであります。 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。 財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 特記すべき事項はありません。
エスリード株式会社
# エスリード株式会社 大阪市北区西天満に、日本エスリード株式会社(現、エスリード株式会社)を設立。 宅地建物取引業免許(大阪府知事免許)を取得。 福岡市中央区渡辺通に福岡支店(現、福岡市中央区天神)を設置。 宅地建物取引業免許(建設大臣免許)を取得。 エスリードシリーズ第1棟「エスリード福島」を販売開始。 本店を大阪市北区梅田に移転。 本店を大阪市北区梅田一丁目1番3-2400号に移転。 エスリード企画株式会社を吸収合併。 エスリード管理株式会社(現、エスリード賃貸株式会社)を設立(当社100%出資)。 株式の額面金額を変更するため、イーエルコーポレーション株式会社(形式上の存続会社)と合併。 老朽化マンション建替え事業物件「エスリード堂ヶ芝」を販売開始。 ホームワランティを日本で初めて標準装備。 神戸市総合設計制度許可及び住宅市街地総合整備事業適用マンション「エスリード六甲第2」を販売開始。 大阪証券取引所市場第二部に株式を上場。 社団法人日本高層住宅協会(現、一般社団法人不動産協会)に加盟。 大阪証券取引所市場第一部に株式を上場。 東京証券取引所市場第一部に株式を上場。 エスリードシリーズ供給戸数10,000戸目となる「エスリード長岡天神」を販売開始。 綜電株式会社を設立(当社100%出資)。 関西で初めて「マンション建替え円滑化法」を適用した「エスリード高野台」を販売開始。 イー・エル建築工房株式会社(現、イー・エル建設株式会社)を設立(当社100%出資)。 エスリード住宅流通株式会社を設立(当社100%出資)。 大阪市で初めて「マンション建替え円滑化法」を適用した「エスリード帝塚山」を販売開始。 本店を大阪市福島区福島六丁目25番19号(現所在地)に移転。 森トラスト株式会社と資本業務提携契約を締結。 森トラスト株式会社による当社株式に対する公開買付けに賛同表明。 森トラスト株式会社による当社株式に対する公開買付けが成立。同社が当社の親会社となる。 エスリードハウス株式会社を設立(当社100%出資)。 名古屋市中村区名駅に名古屋支店を設置。 エスリード建物管理株式会社を設立(当社100%出資)。 名古屋支店を名古屋市中区栄に移転。 エスリード管理株式会社の不動産管理事業及び保険代理店事業をエスリード建物管理株式会社へ吸収分割。 エスリード管理株式会社の商号をエスリード賃貸株式会社に変更。 日本エスリード株式会社からエスリード株式会社に商号変更。 Eクリーンアップ株式会社を設立(エスリード建物管理株式会社100%出資)。 東海圏第1号となる「エスリード名古屋東別院」を販売開始。 エスリード・アセットマネジメント株式会社を設立(当社100%出資)。 南都ビルサービス株式会社の全株式を取得し、同社を連結子会社化(エスリード建物管理株式会社の100%子会社)。 東京証券取引所市場第一部からプライム市場に移行。 エスリード住宅流通株式会社の商号をエスリードリアルティ株式会社に変更。 当社グループは、当社及び子会社11社により構成されており、事業はマンションの開発分譲を中心として、マンションの管理事業、賃貸関連事業、電力供給事業、建設・リフォーム事業、不動産の仲介・買取再販事業、戸建分譲事業、宿泊施設の運営・管理事業、不動産証券化事業、デジタルマーケティング事業、マンション・ビルの清掃事業、ビルメンテナンス事業等を行っております。 事業内容と当社及び子会社の位置づけは、次のとおりであります。 親会社の森トラスト株式会社は、不動産開発、ホテル経営及び投資事業を営んでおります。また、森トラスト株式会社の親会社である株式会社森トラスト・ホールディングスは、グループ会社の株式保有を行っております。 なお、事業内容と当社グループ及び親会社(株式会社森トラスト・ホールディングス、森トラスト株式会社)の位置づけは、次のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 私たちは、総合デベロッパーとしてお客様の暮らしのステージを支えたい、都市と住まいの未来を見据えたサービスをご提供したい、このような想いのもと経営理念を掲げています。 総合デベロッパーとして。 都市と住まいの未来を見据えて。 いです。 また、事業を通じて経営理念を実現するための経営方針を掲げています。 厳選された良質なマンション供給体制を維持する。 グループ一体となりシナジーを生みながらマンション周辺事業を拡充する。 する。 ンを分譲してきました。今後もこのマンション供給体制を堅持します。 込まれる新規事業にも参入するなど、さらにマンション周辺事業を拡充してまいります。 られず、新たな事業領域に積極的に挑戦し、社会の多様なニーズに対応できる事業体制を実現します。 そして、経営理念及び経営方針をもって事業活動を行うことで、私たちは社会に貢献します。 総合不動産会社として都市の豊かさに貢献する。 お客様の暮らしの豊かさ向上に貢献する。 多様化する社会のニーズへの対応を通じ、持続可能な社会に貢献する。 ◇総合不動産会社として、都市の価値向上に努め、都市の豊かさに貢献します。 ◇厳選された良質な住まいは、お客様の暮らしの豊かさに貢献します。 生可能エネルギーの活用などあらゆるチャレンジを通じて持続可能な社会に貢献します。 当社グループは、創業30周年を機にグループ総力を結集し、真の総合不動産会社へ新たな一歩を踏み出してまいります。 マンション分譲事業では、建築費の値上がり等を考慮しつつ、良質なマンション供給によって着実に成長してまいります。良質なマンションを数多く供給してきた実績と、創業以来培ってきた高い用地仕入力・商品企画力を生かし、これからもお客様に選ばれるマンションづくりを徹底してまいります。 マンション周辺事業では、マンション分譲事業などの既存事業とのシナジーを生みながら、さらなる拡大・充実を目指します。マンション周辺事業は当社グループを支える収益源へと成長しましたが、今後さらなる拡大・充実を図るため、グループ外からの収益獲得を強化し、シナジーが見込まれる新規事業にも積極的に進出してまいります。 その他の不動産事業では、多岐にわたる事業を積極的に拡大・成長させ、今後の当社グループの成長の原動力とします。リゾート開発やホテル事業、総合建設業、中央卸売市場及び官公庁ビジネスといった既存事業に加え、大型商業施設やデータセンター、物流施設、ニュータウン開発、コンパクトシティ開発など、マンション分譲事業に縛られない新たな事業を見据えて事業体制の構築を図ってまいります。 また、当社グループは多様化する社会のニーズへの対応を通じ、持続可能な社会に貢献することを社会的使命として掲げています。グループ一体となって積極的に新たな取り組みにチャレンジし、ZEHなどの環境配慮型マンション開発や、電気自動車と急速充電器の導入などのクリーンエネルギー活用といった脱炭素社会の実現に向けた事業展開を推進してまいります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があるものの、感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直しの基調で推移しました。新たな変異株の出現といった懸念はありますが、足元では、新規感染者数の「全数把握」について見直しが行われるなど、ウィズコロナへ移行しつつあります。一方、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの長期化や急激な為替変動、欧米の銀行破綻による金融システム不安等、わが国経済の先行きは依然として不透明な状況が続いています。 当社グループの属する不動産業界においては、用地代・建築コストの値上がりに伴うマンション販売価格の上昇が長く続いているものの、住宅ローン金利が低水準で推移していること、政府による住宅ローン減税政策が続いていること、在宅勤務の浸透により住宅に対する消費者の意識が高まっていることなどから、住宅需要は底堅いままで推移しました。 しかし、今後は、少子高齢化に伴う住宅需要減退や原材料・人件費高騰に伴うコスト増加などの影響により、当社グループを取り巻く環境は今後厳しさを増していくと予想しています。 エスリード株式会社は1992年に大阪で創業して以来、関西圏を中心に良質なマンションを提供することで成長してまいりました。しかし、少子高齢化に伴う住宅需要減退や、原材料・人件費高騰に伴うコスト増加などの影響により、当社グループを取り巻く環境は今後厳しさを増していくと予想しています。 このような経営環境の中、当社は2022年5月8日の創業30周年を機に、グループ総力を結集し真の総合不動産会社へ新たな一歩を踏み出すことといたしました。 コスト増が見込まれるマンション分譲事業では、今後も引き続き「お客様から選ばれるマンションづくり」に努めて「完成在庫0」を達成しつつ、建築コストの値上がり等に鑑み、良質なマンション供給によって着実に成長してまいります。 マンション周辺事業ではマンション分譲事業とのシナジーを生みながら、さらなる拡大・充実を目指してまいります。より一層強固な収益源とするために、グループ外からの収益獲得を強化してまいります。 その他の不動産事業ではマンション分譲事業に縛られず、新たな事業領域に積極的に挑戦してまいります。リゾート開発やホテル事業、総合建設業、官公庁や中央卸売市場との取引といった既存事業を拡大・充実させながら、大型商業施設やデータセンター、物流施設、ニュータウン開発、コンパクトシティ開発などの多岐にわたる新たな事業を見据えて事業体制の構築を図ってまいります。 当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、経常利益を採用しております。 採用理由は、当社グループの主要事業であるマンション分譲事業において、棚卸資産の取得を目的とした資金調達を行うことも多いことから、いわゆる稼ぐ力にあたる営業利益に加えて支払利息などの財務コスト等も含めた経常利益が、当社グループの本来の稼ぐ力を測る最適な指標だと判断したためであります。 なお、当連結会計年度における経常利益の実績は93億68百万円となり、期初に公表した業績予想の90億円を上回ることができました。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は「不動産業界をリードする(real EState LEAD)」という想いのもと、1992年5月に設立された総合不動産会社です。 当社グループは「総合デベロッパーとして。都市と住まいの未来を見据えて。」を経営理念とし、「多様化する社会のニーズへの対応を通じ、持続可能な社会に貢献する。」を社会的使命の一つとして掲げています。 企業を取り巻く環境が大きく変化する中、当社グループは持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立していくことが重要な経営課題であるとの認識に立ち、サステナビリティに関する取組を推進しています。 サステナビリティに関する諸課題の中でも、当社グループにとって特に重要であると認識しているのが気候変動と人的資本・多様性です。 気候変動が原因の一つとされる近年の異常気象や自然災害は、当社グループが各事業において開発・販売する不動産や保有・運営する不動産へ深刻な被害をもたらす可能性があります。当社グループは創業以来、マンション分譲事業を中心として成長してきましたが、現在の事業領域は戸建事業やホテル事業、更にはリゾート開発や太陽光発電事業など多岐にわたっており、今後も事業領域を拡大していくことを目指しております。事業領域の拡大に伴い取り扱う不動産が増えるにつれ、気候変動による当社グループの経営への影響はより重大になっていくことが見込まれます。当社グループは2022年6月にTCFD(気候変動財務開示タスクフォース)提言への賛同を表明しており、TCFD提言に基づく情報開示を通じて、ステークホルダーの皆様との対話を進め、分析をさらに精緻化し取組を進化させてまいります。 また、人的資本・多様性への投資は、今後の当社グループの成長に不可欠なものと認識しております。当社グループは2022年5月8日に迎えた創業30周年を機に、グループ総力を結集し「真の総合不動産」へと成長する新たなスタートを踏み出しました。人的資本・多様性はこの成長を実現するための重要な要素であり、将来にわたって投資を継続していく必要があるものと考えております。 当社グループは、サステナビリティを経営に重大な影響を与える課題の一つとして認識しています。リスク管理委員会をサステナビリティについて検討する機関と位置づけています。 リスク管理委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、営業本部・事業本部・管理本部の本部長及び副本部長によって構成されています。その他、必要に応じてグループ会社の役職員、内部監査室長やその他の者が出席します。 リスク管理委員会は、リスク管理規程に基づき月に1回以上開催され、議事内容は取締役会に報告しています。 気候関連に伴うリスクと機会には、低炭素な社会へ移行していく過程での政策や市場、技術等の変化によって生じる「移行リスク・機会」と、地球温暖化に伴い慢性的な気温上昇や急性的な自然災害の激甚化によって生じる「物理的リスク・機会」に大別されます。 当社グループでは、「移行リスク・機会」が大きいシナリオとして①2℃シナリオを設定し、IPCC第5次報告書のRCP2.6シナリオや経済産業省の「グリーン成長戦略」等を参照しました。一方、「物理的リスク・機会」が大きいシナリオとして②4℃シナリオを設定し、IPCC第5次報告書のRCP8.5シナリオを参照しました。 分析の事業範囲は、エスリード株式会社と全グループ会社を含むエスリードグループとしました。また、分析期間は2050年までを想定し、2030年までを中期、2031年以降を長期として、相対的な事業への影響度の大きさを大・中・小の3段階で分析しました。 当社グループは、環境配慮型住宅の開発とクリーンエネルギーの活用の2つを軸として、脱炭素社会の実現へ向けた取り組みを推進しております。 中期的には原価の増加が見込まれるものの、市場の拡大や省エネ技術の低廉化により長期的には収益増加が見込まれます。政府のグリーン成長戦略では、2030年までに「新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という目標が掲げられており、政府目標に沿った支援策の拡充や省エネ技術の進展が見込まれ、当社グループにおいても、これらの機会を活用してZEH販売戸数を増加させていく所存です。また、炭素税の導入により化石燃料由来の光熱費が増加することが見込まれるため、ZEHや省エネ物件の提供により販売後不動産の利用者が負担する光熱費の減少に努めます。 2022年2月17日には、エスリード神戸大倉山ヒルズが投資用ワンルームマンション業界で初めて「ZEH Oriented」認証を取得しており、業界最速供給を達成いたしました。また、経済産業省が導入している「ZEHデベロッパー」登録制度において、2022年6月に「ZEHデベロッパー」として登録認定されました。 さらに、戸建分譲事業を展開する当社グループのエスリードハウス株式会社でもZEH仕様の戸建を販売しております。 NSモールド×NSコートは当社グループのイー・エル建設株式会社が実用新案権を取得した、建物の外観を損なわないタイル剥落対策工法です。タイルを使用しないタイル調意匠付けトータルシステム工法で、タイル製作過程の成型や焼成時に発生する二酸化炭素排出を抑制します。 当社グループのイー・エル建設株式会社が枠無メーターボックスドアを共同開発・特許取得いたしました。枠のないシンプルなデザインを採用し、CO2排出量は材料と施工手間で約1/2まで抑制されます。 マンション建設に使用する建築材料及び建築製品を見直すことで建設時のCO2排出量を削減します。 当社グループにて電力供給事業及び太陽光発電事業を手掛ける綜電株式会社は、現在10基のメガソーラーを保有しており、クリーンエネルギーを供給しております。クリーンエネルギー供給量は、当社のファミリーマンションの約40%、約4,800戸の消費電力に相当します。 また、2023年1月31日に綜電株式会社が8基目の太陽光発電所を取得するにあたり、当社グループ初となるグリーンローン契約を株式会社滋賀銀行と締結いたしました。グリーンローンは資金使途が環境に配慮したプロジェクトに限定される融資で、融資後の資金使途の管理や環境改善効果の実績報告を通じて透明性が確保されます。綜電株式会社が策定したグリーンローン・フレームワークは、第三者評価機関より認証を得ております。 当社が2023年2月に引き渡したエスリード京都梅小路公園について、居住者向けにEVカーシェアリングを提供いたしました。 再生可能エネルギー需要の増加に伴い、自動車のHV化やEV化が進行することが見込まれます。当社グループでは、多様化する社会のニーズに応えるべく積極的に新たな取り組みにチャレンジしていきます。 エスリードの社用車の一部をガソリン車からPHV(プラグインハイブリッド車)に変更いたしました。エスリード本社敷地内にEV急速充電設備を設置する予定です。 当社グループは、人的資本と多様性への投資を当社グループの事業を支える重要な戦略として位置づけています。当社グループにおける人的資本戦略は、M&A等の人材を含む仕組みの買収以上に、社内人材の育成・能力開発に向けた投資、外部専門人材の積極採用、従業員エンゲージメントの向上に向けた取組、従業員の健康増進に向けた投資など、“人材”そのものを重要視した投資を目標としています。 人的資本戦略立案については、中期的な財務目標の設定を行い、非財務情報可視化等の現状把握の後、実現に必要な分野への積極的な投資を実施しています。 新卒の新入社員に対して、前に踏み出す力や考え抜く力、チームで働く力等の社会人の基礎力を身に着けることを目的に、入社前合宿研修を実施しています。入社後は、ビジネスマナー研修や企業全体の把握を目的としたグループ会社を含む各部署の理念、事業内容の研修を実施しています。また、顧問弁護士によるコンプライアンス研修を実施し、企業風土の向上に努めています。さらには、外部及び社内講師による不動産市場動向や資産運用マンション営業、金融市場動向に関するセミナーを実施するとともに、宅地建物取引士の資格取得プログラムの導入、各種資格手当によるスキルアップの推奨を実施し、不動産に精通した人材育成を図っています。 母集団形成として求人サイトへの掲載、人材紹介会社の利用、ダイレクトリクルーティング、合同企業説明会の出展、リファラル採用等、各募集職種に適した手法を協議し実行しています。当社方針として、新卒社員に対しては主体性や向上心があり、論理的に物事を考えられる人材、中途社員に対しては実務経験や所有資格、人柄を鑑み即戦力として共に働くことができる人材の確保を目指しています。 当社グループ全体で3カ月通算表彰式や年間表彰式を開催し、社員のモチベーションの最大化に努めています。また、福利厚生の一環として持ち株制度を導入し、グループ全体の企業価値向上という共通目標を促すことで従業員エンゲージメントの向上に努めています。加えて、福利厚生の一環として親会社である森トラスト株式会社及びグループ会社であるエスリードホテルマネジメント株式会社のホテル優待の提供、プロ野球やJリーグサッカーの年間シートの提供等も実施しています。 当社グループは、従業員のモチベーション向上及び離職防止策としてジョブローテーションを推進しています。当社グループは、デベロッパー業務のみならずマンション管理事業や賃貸事業、建設・リフォーム事業、仲介・買取再販事業、戸建分譲事業、宿泊施設の運営・管理事業、ビルの清掃・メンテナンス事業、デジタルマーケティング事業など多岐にわたる事業を展開しています。部署やグループ間での転籍希望についてヒアリングし、グループ内の流動性を高めることで、従業員の適正職種の見極めや柔軟で多様な経営実行体制の構築、従業員のモチベーション向上を図り、業務慢性化による生産効率の低下や離職を防止しています。 当社グループは、多様な人材を適材適所に配置し能力の最大化を図ることを目標としています。宿泊施設の運営・管理事業における外国籍人材の雇用、マンション管理事業における管理人や清掃員を対象とした高齢者雇用、グループ会社であるエスリード・アセットマネジメント株式会社が推進している高度シニア人材の活用など、幅広い雇用の創出に努めています。 男女における労働環境について、現状は従業員の男性比率が高いものの、性別や年齢、勤続年数を考慮しない成果主義人事制度を導入しているため、人材採用や育成に関しては公平な評価を実施しています。また、育児介護休業については男女問わず取得を希望する従業員が取得することができる職場の実現に向けて、規程の改訂を実施し社内イントラネットを通じて育児介護休業制度の周知を行っています。 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、従業員が安心して働くことができる環境を実現するために、職場クラスター発生への防止策を徹底しました。換気・マスク着用の徹底、座席間隔の確保、アクリル板の設置といった飛沫感染防止策に加え、全従業員の健康管理、厳格な自宅待機基準の運用、時差出勤やリモートワークの導入、本社オフィス入口に設置したサーモグラフィによる従業員並びに来訪者の体温管理など、さまざまな対策を講じてきました。また、従業員のみならずご家族やご友人、当社開発マンションにお住いの方を対象に新型コロナウイルスの職域接種を実施し、従業員に対しては接種完了後も定期的なPCR検査を継続して実施しています。 また、同感染症以外の健康管理については定期的な法定健康診断やインフルエンザワクチンの無料接種を実施するとともに、30歳以上はバリウム検査、40歳以上より人間ドックを実施しています。さらには、消防職員を招いた消防訓練や安全運転管理者講習を行い、従業員の安全確保に努めています。 当社グループは、行動規範や内部通報制度運用規程等、コンプライアンス体制に関する規程について法令・定款を遵守した行動をとるための規範として制定し、社内イントラネットを通じて周知徹底を継続的に実施しています。また、内部通報制度運用規程に則り、コンプライアンス上の疑義ある行為については総務部・内部監査室・外部法律事務所を窓口として情報を収集し、取締役会及び監査等委員会へ報告のうえ適切に対処することを内部統制システム構築基本方針に明記しています。 加えて、内部監査室はグループ会社を含む各部署における業務活動が、法令・定款及び諸規程に準拠した組織及び制度を通じて経営目的達成のために適正に行われているか、年間を通して監査しています。 さらに、顧問弁護士によるコンプライアンス研修を実施し、従業員への意識浸透を図り企業風土の向上に努めています。 当社グループは、サステナビリティに関するリスクを経営に重要な影響を与える課題の一つとして認識し、代表取締役社長が委員長を務めるリスク管理委員会において審議します。リスク管理委員会は当社グループのリスク管理規程に基づき、各本部及び子会社のリスク管理責任者及びリスク管理担当者を置いています。また、委員会の事務局は管理本部が務めます。 気候変動にともなうリスク及び機会を評価管理する指標として、Scope1・2・3のCO2排出量を算出しました。 また、Scope1・2の削減目標については、2021年度の排出量(t-co2)と比較して、2030年までに△46%、2050年までに△100%と定めております。そして、Scope3の削減目標については、2021年度の面積(※1)当たり排出量(t-CO2/㎡)と比較して、2030年までに△30%、2050年までに△100%と定めております(※2)。 社会情勢により前提条件に変更があった場合、排出削減目標を再検討する可能性があります。 当連結会計年度におけるCO2排出量の実績は以下のとおりです。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、発生しうるリスクに係る管理体制の整備、発生したリスクへの対応等を行うことにより業務の円滑な運営に資することを目的として、リスク管理規程を設け、これに基づきリスク管理委員会を開催しております。また、リスクを「事象発生の不確実性」と定義し、リスクには損失等発生の危険性のみならず、新規事業進出による利益又は損失の発生可能性等も含むものとしております。 リスク管理委員会においては、当社グループのリスク管理に関する方針、体制及び対策の検討を適時に行っております。また、各本部等のリスクに係る総合的な調整や、以下に記載する個別のリスク等の重大性、緊急性等のあるリスクの管理等を行うことで、効果的かつ効率的なリスク管理を実施しております。 なお、以下に掲げる個別のリスクについては、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に与える影響の内容を考慮し、特に重要なリスクを順に記載するとともに、その個別の対応策についても記載しております。 少子高齢化などからくる需要の減退や社会構造の変化、顧客ニーズの多様化が進んだ場合、当社グループの主力事業である不動産販売事業のみで事業活動を永続的に発展させていくことは困難となる可能性があります。 その対応策として、当社グループの事業戦略において、マンション分譲事業以外にマンション周辺事業とその他の不動産事業を展開しており、これらをさらに拡大・充実させることで、収益源の多角化を進めております。 当社グループ内でハラスメントや法令違反など重大なコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの信用失墜や、損害賠償を請求されるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、当社グループは、コンプライアンス体制の強化を経営上の重要課題として位置づけ、コンプライアンス経営によるリスク管理の徹底に努めております。また、これらコンプライアンス経営をより迅速に機能させるため、顧問弁護士や会計監査人等の第三者から業務遂行上の必要に応じて適宜相談を行い、助言・指導を受けております。 さらに、当社グループ内へコンプライアンスの意識を浸透させるため、「エスリードグループ行動規範」を定めており、役員及び社員は日常の業務遂行において法令・社内規程等を遵守することはもとより、社会倫理を尊重し、この規範に定める事項を誠実に実施しなければならないとしております。特に、職場内の優位性を背景にした精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為であるパワーハラスメントや、性的嫌がらせであるセクシャルハラスメント、差別的行為、インサイダー取引、個人情報保護を含む情報セキュリティなどについては、適時適切に社員教育及び注意喚起を実施しております。 当社グループにおいて、マンション周辺事業やその他の不動産事業を担う子会社11社の拡大・充実にあたって新規事業への進出を図る際、これを取り巻く事業環境が当初の思惑から変化することやその他予見できない事象が生じた場合、それらの影響により投資の回収に至らず固定資産の減損損失や棚卸資産の評価損が発生する可能性があります。 その対応策として、当社グループは子会社が新たな事業を行う際には、その重要性に応じてエスリード株式会社における取締役会の承認も必要であるとする規程を整備・運用しており、当社グループ全体における業務の適正を確保するとともにリスクを適切に把握したうえで投資判断を行うことができるよう努めております。 当社グループの主力事業である不動産販売事業は、景気動向、金利動向、新規供給物件動向、不動産販売価格動向、住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利の上昇、あるいは供給過剰による販売価格の下落の発生等の諸情勢に変化があった場合には、購買者のマンション購入意欲を減退させる可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、上記経済情勢の変化は、事業用地の購入代金、建築費等の変動要因ともなり、これらが上昇した場合には、当社グループの事業利益が圧迫され、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 開発用地の取得にあたり、新規供給物件の動向や不動産販売価格の動向、将来の景気見通し、宿泊事業など他の業界の活性化などからくる用地取得競争によって用地価格が高騰した場合、当社グループの事業利益が圧迫され、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、用地取得前のマーケティング調査により開発用地エリアの需給バランスや適正価格水準等を詳細に検討するなど、適切な価格での開発用地取得が可能となるよう努めております。 当社グループは、多くの建築工事を外注していることから、工事中の事故、外注先の倒産や請負契約の不履行、その他予期せぬ事象が発生した場合、工事の中止又は遅延、建築コストの上昇等が生じる可能性があります。 その対応策として、品質維持及び工期遅延防止のため、当社の設計室が定期的に現場監理を行い、外注先との定例会議を随時開催し、施工図及び工期スケジュール等の確認を行い、リスクの適時適切な把握に努めております。また、関連法令の改正等についても当社設計室やリスク管理委員会等により適時に情報収集を行っております。さらに、外注先の選定にあたっては品質、建築工期及びコスト等を勘案して決定しており、特定の外注先に依存しないように努めております。 販売活動は、景気動向や金利動向、住宅税制等の諸情勢の変化の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利の上昇があった場合には、お客様のマンション購入意欲が減退してしまう可能性があります。特に、外的要因等により住宅ローン審査が厳格化した場合、更なる購入意欲の減退が懸念されます。 その対応策として、発売物件を無理なく完売できるだけの営業社員を採用・教育するとともに、良質な開発用地の取得からマンション竣工に至るまでの品質管理を徹底することで、契約数の維持向上に努めております。 マンション市場の販売環境は、地域間によってある程度の格差があるため、当社グループのマンションプロジェクトが集中している近畿圏や東海圏のマンション市場の販売環境が他のエリアに比べて著しく悪化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、マンションの適切な維持管理に加えてマンションのみならず多様化する社会のニーズに適合した新たなサービスを提供することで、収益源の多角化を推進しております。 金利動向については、「③ 販売活動について」で示したリスクに加え、開発用地の取得資金を主として金融機関からの借入金により調達しており、他業種に比べて有利子負債への依存度が高い水準になりやすいことから、金利水準が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、事業用地の取得から物件の竣工まで約2年程度と比較的長期間にわたる資金回収が前提となっていることから、その影響は比較的長期間にわたる可能性があります。 その対応策として、マンションプロジェクトの始まりである開発用地の取得段階においては金融機関からの借入を前提としつつも、迅速な意思決定によって同業他社との競争優位を図るべく手許資金での用地取得が可能となるよう一定以上の資金水準を保ちつつ、マンション竣工後の資金回収サイクルを最短化すべく「完成在庫0」を基本とした物件の早期完売体制を構築し、建築コストや金利分を含めたマンションプロジェクトの資金回収を当該マンションの販売代金で賄うことを前提とした健全な財務体質を追求しております。一方で、新規事業をはじめさまざまな事業拡大に向けた積極的かつ機動的な意思決定を行うべく一定以上の資金水準を維持することとしており、余剰資金は必要に応じてグループ間融資を行うなど、グループ資金マネジメントにより効率的な資金活用に努めております。 今後の景気動向や不動産市況の悪化等により、当社グループ保有の棚卸資産の資産価値が低下した場合は、棚卸資産の簿価切り下げ処理が適用され、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、当社グループは、「① 開発用地の取得について」「② 建築工事について」「③ 販売活動について」で示したように適切な事前調査とプロジェクト審査を経たうえで、マンション竣工に至るまで徹底した品質管理を行うことで、景気の動向や不動産市況の悪化など外部要因リスクにも耐えうるよう資産価値の維持向上に努めております。 当社グループは、開発用地の取得、建築工事請負契約、お客様との分譲マンションの販売契約、その他さまざまな契約を締結しております。契約書の内容の不備、契約不履行、契約の取消や契約の無効、その他の苦情などのトラブルが訴訟に発展するおそれがあり、重要な訴訟が提起された場合には、訴訟費用の発生や損害賠償金の支払いなどの損失が生じる可能性があります。 その対応策として、契約の相手先からの苦情、クレーム、その他さまざまなトラブルについては、お客様相談室、総務部及び担当部署において対応をしており、お客様の声に迅速かつ適切に対応できる体制を整えております。また、クレーム台帳は全社分を総務部で一元管理して社内研修等で活用し、再発防止に努めています。 当社グループはマンション・戸建住宅をご購入いただいたお客様、もしくはご検討いただいたお客様、並びにマンション管理業務・電力管理業務等における区分所有者等の重要な個人情報をお預かりしており、「個人情報の保護に関する法律」に定められる個人情報取扱事業者に該当します。 サイバー攻撃や不正アクセス等により当社のシステムが正常に利用できない場合や個人情報漏洩が発生した場合は、当社グループの営業活動や業務処理の遅延、信用失墜及びそれに伴う売上高の減少や損害賠償請求など当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、当社グループとしましては、個人情報管理に関する基本的な方針を「プライバシーポリシー(個人情報保護方針)」として定めるとともに、個人情報の取扱に関するルール(規程・細則)を設け、体制整備を行い、社内研修等を通じて全従業員の意識を徹底させております。 また、システム上においては、個人情報のファイル保管の厳重化、社内ネットワークの常時監視及び異常の検知、適切な権限に基づくアクセスコントロールを行っており、個人情報以外の情報の取扱いも含めて情報管理全般にわたる体制強化を図っております。 そして、万一の情報漏洩等の事故発生に備え、サイバー保険を付保しております。 気候変動によって慢性的な気温上昇や急性的な自然災害の激甚化などが発生した場合、進行中のマンションプロジェクト建設現場やその他当社グループの管理・保有する物件等において物理的・人的な損害を受ける可能性があります。また、気候変動への対策として低炭素社会へ移行していく過程において、消費者の嗜好の変化による売上の減少や、環境問題に関する法令規制の強化によるコストの増加等が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、当社グループはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示を行い、将来的な気候変動が事業にもたらすリスクと機会に関するシナリオ分析や戦略策定等を行っております。戦略の進捗についてはリスク管理委員会においてモニタリングを実施し、必要に応じて見直しを行う体制を構築しております。 新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症や疫病(以下、「感染症等」という。)の拡大が発生した場合に、当社の事業活動全体を停止若しくは休止せざるを得なくなる可能性があります。また、建築工事の外注先等の当社取引先の事業活動の停止や、顧客との対面販売の機会の減少などにより、売上高及び利益水準が低下する可能性があります。 その対応策として、当社グループは、感染症等に対し、平常時からの対策、感染症等拡大時の体制、対応、行動基準等の必要な事項を定めることにより、社員の安全及び事業の継続を確保しております。また、取引先と緊密に連携し工期に遅れが生じないよう計画的に行動すること、オンラインでの商談に対応できる体制を整え販売活動の機会を確保することなどで、当社グループの経営成績への影響の抑制に努めております。 大規模地震や気候変動などの自然災害等(以下、「地震等」という。)が発生した場合に、進行中のマンションプロジェクト建設現場やその他当社グループの管理・保有する物件等において物理的・人的な損害を受ける可能性があり、また、社会インフラの機能不全やこれに伴う経済環境の悪化も想定され、そのような場合には当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、当社グループは、地震等に対し、平常時からの対策、地震等発生時の体制、対応、行動基準等の必要な事項を定めることにより、当社グループの地震等による人的・物的被害を最小限にとどめ、社員の安全及び事業の継続を確保するとともに、地震等発生後の復旧活動を迅速に行うことを目的として事業継続計画(BCP)及び各状況に応じたマニュアルを策定しております。 当社グループが事業活動を行うにあたり、「宅地建物取引業法」、「国土利用計画法」、「建築基準法」、「都市計画法」、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、「建設業法」などの法的規制があります。これらの法規制に基づき、不動産販売、不動産賃貸、不動産管理、マンションの建設等の事業を行っており、規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合に、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 その対応策として、当社グループは、各種業界団体へ加入するとともに、同団体主催の研修会に参加するなどして事前に業界動向の把握や規制の改廃その他新たな法的規制等についての情報収集に努めております。 文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があるものの、感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直しの基調で推移しました。新たな変異株の出現といった懸念はありますが、足元では、新規感染者数の「全数把握」について見直しが行われるなど、ウィズコロナへ移行しつつあります。一方、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの長期化や急激な為替変動、欧米の銀行破綻による金融システム不安等、わが国経済の先行きは依然として不透明な状況が続いています。 当社グループの属する不動産業界においては、用地代・建築コストの値上がりに伴うマンション販売価格の上昇が長く続いているものの、住宅ローン金利が低水準で推移していること、政府による住宅ローン減税政策が続いていること、在宅勤務の浸透により住宅に対する消費者の意識が高まっていることなどから、住宅需要は底堅いままで推移しました。 マンション周辺事業においては、良質な維持管理サービスが選ばれるマンションづくりに貢献し、良質なマンションの供給がマンション周辺事業の収益拡大に貢献するという従来からの好循環を、さらに加速させることができました。 これらの結果、当社は創業以来最高の売上高・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益を達成しました。連結売上高は799億13百万円(前期比7.1%増)、連結営業利益は94億81百万円(前期比9.5%増)、連結経常利益は93億68百万円(前期比9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は61億47百万円(前期比13.2%増)となりました。 当社グループは、経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標として経常利益を採用しています。当連結会計年度における経常利益の実績は93億68百万円となり、期初に公表した業績予想の90億円を上回ることができました。 (1)不動産販売事業 不動産販売事業の中でもマンション分譲事業においては、底堅い住宅需要に加え、出口戦略として従来の個人・法人顧客に加えて国内外の機関投資家などの選択肢が増えたことから、マンションの販売・引渡が好調に推移した結果、外部顧客への売上高587億42百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益は82億2百万円(前期比3.6%増)となりました。 既存のマンション周辺事業が堅調に推移し、外部顧客への売上高は211億71百万円(前期比26.5%増)、セグメント利益は33億12百万円(前期比15.3%増)となりました。 最近2連結会計年度の不動産販売事業の販売実績は次のとおりであります。 最近2連結会計年度の不動産販売事業の契約実績は次のとおりであります。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて215億51百万円増加して1,358億67百万円となりました。これは主に販売用不動産の増加117億33百万円、仕掛販売用不動産の増加79億58百万円、長期前払費用の増加13億69百万円によるものです。 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて162億84百万円増加して749億1百万円となりました。これは主に電子記録債務の減少14億94百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加114億89百万円、長期借入金の増加47億2百万円、短期借入金の増加15億78百万円によるものです。 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて52億67百万円増加して609億65百万円となりました。この結果、自己資本比率は44.9%となりました。 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億72百万円減少し、当連結会計年度末には260億27百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果減少した資金は128億60百万円(前年同期は93億71百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益93億68百万円、棚卸資産の増加208億71百万円、法人税等の支払額33億7百万円によるものです。 投資活動の結果減少した資金は48億19百万円(前年同期は10億60百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出29億53百万円、無形固定資産の取得による支出20億51百万円によるものです。 財務活動の結果増加した資金は167億8百万円(前年同期は64億11百万円の増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入334億17百万円、長期借入金の返済による支出172億26百万円によるものです。 2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。 3)営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 4)各期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率とインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。 「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ⑥ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 2023年3月31日現在の契約債務の概要は次のとおりであります。 上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、不動産販売事業における事業用地の取得を目的とした資金であります。事業用地は、その取得から物件の竣工まで約2年程度と比較的長期間にわたる資金回収が前提となっております。このような中でマンションプロジェクトの始まりである開発用地の取得段階においては金融機関からの借入を前提としつつも、迅速な意思決定によって同業他社との競争優位を図るべく手許資金での用地取得が可能となるよう一定以上の資金水準を保っております。当該資金のうち、借入による資金調達に関しましては、主として変動金利の長期借入金で調達しております。 また、マンション竣工後の資金回収サイクルを最短化すべく「完成在庫0」を基本とした物件の早期完売体制を構築し、建築コストを含めたマンションプロジェクトの資金回収を当該マンションの販売代金で賄うことを前提とした健全な財務体質の追求を図っております。 一方、マンション周辺事業及び当社グループ全体においても、新規事業をはじめさまざまな事業拡大に向けた積極的かつ機動的な意思決定を行うべく一定以上の資金水準を維持することとしており、余剰資金は必要に応じてグループ間融資を行うなど、グループ資金マネジメントにより効率的な活用に努めております。 上記の財務政策は当連結会計年度においても継続しており、新型コロナウイルス感染症による影響はありません。 加えて、株主還元については安定した配当政策の実施を基本方針とし、成長投資や必要な手許資金を考慮した上で決定しております。 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は260億27百万円であります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 2012年2月23日付で森トラスト株式会社との間で、資本業務提携契約を締結しております。当社と森トラスト株式会社は、本提携を通じて、当社と同社が相互に経営ノウハウを提供することにより、国内におけるマンションの企画・開発・販売等を協力して推進し、両社の企業価値向上を図ることを目的としております。 当社は2023年6月16日開催の取締役会において、株式会社MAプラットフォームが計画中の「苫小牧国際森林リゾート計画」にかかる用地の持分を取得することを決議いたしました。 詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。 該当事項はありません。
有機合成薬品工業株式会社
# 有機合成薬品工業株式会社 当社グループは、当社及び子会社2社により構成されており、アミノ酸関係、化成品関係、医薬品関係の製造販売を主たる業務として行っております。 当社はファインケミカル事業のみの単一セグメントであります。当社グループの主な事業内容と、当該事業に係る位置づけは次のとおりであります。 当社は、アミノ酸、ビタミン原料等の製造及び販売を行っております。 当社は、タイヤコード接着剤原料、農薬中間体、シリコン化合物等の製造及び販売を行っております。 当社は、医薬品原料・中間体等の製造及び販売を行っております。 子会社ユーキテクノサービス㈱は、主として当社の製造業務の請負等を行っております。 子会社YUKI GOSEI KOGYO USA INC.は、米国における海外拠点として、主に当社製品の販売関連業務の請負等を行っておりましたが、2012年1月以降休眠会社となっております。 以上に述べた事項の系統図は、次のとおりであります。 該当事項はありません。 労働組合は、1949年6月結成以来穏健な組合活動を続けており、労使間は円満で紛議を生じたことはありません。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は、「わが社は内外のあらゆる技術を駆使して人の役に立ち人によろこばれるものを創る」という企業理念を頂点に置いた経営を目指し、その企業理念を実現するために、時代のニーズに対して柔軟に対応する経営の羅針盤としての「私たちはファインケミカルに機軸を置き叡智と技術を結集した真の『ものづくり』に挑戦します」という経営理念のもと、企業活動を健全に継続、成長させ、株主の皆様、お客様、従業員、地域社会の皆様等、全てのステークホルダーに対して、中長期的な視点に立ち、企業価値を常に向上させ、最大化することが使命であると考えております。 今後の経済見通しにつきましては、新型コロナウイルスの流行は継続しているものの、ウィズコロナの浸透とともに、経済活動も徐々に活発になるものと思われますが、ウクライナ情勢の長期化などによる原燃料の高騰や、為替動向の不透明などにより、当社を取り巻く事業環境は、引き続き予断を許さないものと見ております。 このような状況の中、当社は2024年3月期を起点とする3カ年の中期経営計画を策定し、『激変する経済環境の中、主要製品の売上を拡大しながら、新製品を継続的に導入し、以て向こう10年間の成長に資する礎を築く』を基本方針に、新たな目標を達成するための経営課題に取り組み、より一層の収益力向上を図ってまいります。新たな中期経営計画の重点施策は以下5点でありますが、詳細につきましては、「新中期経営計画の策定に関するお知らせ」をご覧ください。 指標として、ROA(総資産営業利益率=売上高営業利益率×総資産回転率)を経営目標値としております。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は、経営の健全性、効率性、透明性を向上させ、株主をはじめとするステークホルダーの期待に応えつつ、持続可能性向上への取組を行い、企業価値を高めていくことが、サステナビリティの基本であり、経営の重要課題のひとつであると認識しております。 当社では、サステナビリティに係るリスク及び機会をいち早く認識し対応が取れるよう、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会を監督する責任と権限を有しており、経営会議やリスクマネジメント・コンプライアンス委員会で協議・決定された内容の報告を受けるなどして、当社のサステナビリティのリスク及び機会に対する対応について監視するようにしております。 当社における、「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」は、以下のとおりであります。 当社は、クオリティーカルチャーを醸成することが、企業競争力を高め、持続可能な社会の実現に貢献できるものと考えており、2023年度を初年度とする中期経営計画では、事業継続性の向上を目標に、一人ひとりが自主的に改善活動に取り組めるよう「一人ひとりが自分で考え、判断し、行動する人材を育成する」をテーマに人材育成してまいります。 また、当社は多様性の確保が社内活性につながるとの認識のもと、性別や国籍、時期などによらず採用を行い、これら人材の管理職登用は能力や適性などを総合的に判断しており、女性・外国人・中途採用者も主要ポストに登用しております。 第2 事業の状況  3 事業等のリスク  に掲げるような当社における全社的なリスクの管理は、全業務執行役員が出席するリスクマネジメント・コンプライアンス委員会にて行われており、サステナビリティに係るリスクの評価やその対応等について決定したり、対応状況をモニタリングするなどしております。また、新製品の開発などのサステナビリティに係る重要な機会と認識されるものについては、経営会議の協議を経て対応を決定しております。 なお、これら委員会や会議にて協議した内容は取締役会へ報告され、監督されます。 当社では、「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 取引上位10社の占める割合は、67.5%となっております。 これらの企業とは取引を通じての良好な信頼関係を構築しつつ対応しておりますが、取引条件の急激な変更や契約解除等の場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社で使用する原材料等の購入価格は、国内、国外の状況、並びに原油、ナフサ価格の動向等に影響を受ける他、原材料等を一部取引先に依存しております。コストダウン、販売価格への転嫁等によりその影響を極力回避する努力をいたしておりますが、原材料価格の高騰が当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。 食品添加物の製品群には、海外品の品質向上もあり、価格競争が激化している製品があります。このため、更なる付加価値の創出等により価格水準の維持及び向上を目指すとともにコスト低減にも取り組み、販売価格の下落リスクに備えておりますが、今後も価格競争が継続し業績に影響を与える可能性があります。 当社は在庫水準については常日頃より意識し、販売需要予測等からその適正化に努めています。しかしながら、市況の著しい悪化等により、販売価格の急激な落ち込みや在庫の長期化が生じて、在庫評価損の計上を余儀なくされた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 本社は東京都中央区に、東京研究所は東京都板橋区にそれぞれ位置しておりますが、生産拠点である工場は福島県いわき市にある常磐工場のみとなっております。 当社では災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練等の対策を講じていますが、常磐工場が地震等の自然災害・火災及び水災等に罹災した場合は、生産機能が回復するまでの間、操業停止となる可能性があります。 当社は、取引先金融機関とシンジケートローンを締結し、当該契約に基づく借入金の当事業年度末残高が1,031百万円あります。当該シンジケートローンの他にも貸出コミットメントライン契約を締結していますが、これら契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金についての期限の利益を喪失する可能性があり、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限が徐々に緩和され、旅行支援や円安によるインバウンド消費回復も見られたことから、経済活動は緩やかながら正常化に向かっていきました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギーコスト高騰によって、各種物価の上昇が進み、また、海外各国でのインフレ抑制を目的とした利上げ政策等の影響を受け、日本銀行も長短金利操作の運用の一部見直しをするなど、景気回復への見通しはまだまだ不透明であります。 化学工業におきましては、堅調だった半導体関連材料も緩やかに停滞する動きを見せており、原材料やエネルギーコストの高騰による収益圧迫など、引き続き予断を許さない状況にあると認識しております。 こうした状況下でありながらも、当社は外部環境の変化に迅速かつ的確に対応するため、昨年7月に大規模な設備投資を機関決定するなど、製品の安定供給が社会的使命であるとの認識のもと、重要課題を克服・解決しながら、持続可能な社会の実現に取り組んでおります。 当期の業績状況としましては、売上高は4期連続で過去最高を記録し、前期比3.9%増の12,839百万円となり、売上高の増加並びに経費の節減等による売上原価低減、輸送コストに落ち着きが見られたことなどにより、営業利益は前期比116.8%増の897百万円、経常利益は前期比66.1%増の660百万円、当期純利益は前期比124.3%増の556百万円と大幅に増加しました。 製品区分別の経営成績は、次のとおりであります。 医薬用途、工業用途の輸出販売が好調であったことから、売上高は5,017百万円と、前期と比べ605百万円(13.7%)の増収となりました。 半導体表面処理剤、高分子材料、農薬中間体の販売が増加したことにより、売上高は3,396百万円と、前期と比べ253百万円(8.1%)の増収となりました。 国内向け原薬の販売は増加したものの、一部の原薬及び原薬中間体の輸出販売が減少したことから、売上高は4,425百万円と、前期と比べ381百万円(7.9%)の減収となりました。 輸出売上に関しましては全売上に対して39.8%を占め、5,108百万円と前年同期と比べ600百万円(10.5%)の減少となりました。 当期の資産合計は、22,118百万円と前事業年度末と比べ945百万円(4.5%)の増加となりました。これは主に、売掛金、製品、原材料、機械及び装置の増加と、現金及び預金、仕掛品の減少によるものであります。 当期の負債合計は、10,639百万円と前事業年度末と比べ471百万円(4.6%)の増加となりました。これは主に、買掛金、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、未払金、未払法人税等、賞与引当金の増加と、長期借入金の減少によるものであります。 当期の純資産は、11,478百万円と前事業年度末と比べ474百万円(4.3%)の増加となりました。これは主に、繰越利益剰余金の増加によるものであります。 当期のROA(総資産営業利益率)は4.1%と、前年同期と比べ2.1%上昇しました。これは主に上記の理由による売上高の増加に伴い、営業利益が前期比増益となったことによるものであります。 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,143百万円となり、前事業年度末に比べ712百万円減少いたしました。 営業活動により増加した資金は668百万円(前期は1,787百万円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益641百万円、減価償却費928百万円による資金の増加と、たな卸資産の増加969百万円による資金の減少との差額によるものであります。 投資活動により減少した資金は1,237百万円(前期は442百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,155百万円によるものであります。 財務活動により減少した資金は158百万円(前期は772百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額220百万円と、長期借入金の返済による支出399百万円によるものであります。 当社は受注による生産は僅かであり、主として見込み生産によっておりますので、受注及び受注残について、特に記載すべき事項はありません。 ( )は総販売実績に対する輸出高の割合であります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当期の業績状況としましては、売上高は4期連続で過去最高を記録し、前期比3.9%増の12,839百万円となり、売上高の増加並びに経費の節減等による売上原価低減、輸送コストに落ち着きが見られたことなどにより、営業利益は前期比116.8%増の897百万円、経常利益は前期比66.1%増の660百万円、当期純利益は前期比124.3%増の556百万円と大幅に増加しました。 当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、売上高に占める大口取引先上位10社の売上高比率は、当事業年度において67.5%(前事業年度66.2%)となっており、これらの企業との取引条件の急激な変更や契約解除等は当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 製品区分別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。 当社は安定的な経営基盤を維持するため、現行製品の用途開発、生産技術の強化向上等によりこれらの企業との引き続き良好な関係を維持するとともに、新規取引先の確保や新製品の研究開発、現有設備を使った新規事業への参入を積極的に行っております。 当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、以下のとおりであります。 ・営業活動により増加した資金は668百万円(前期は1,787百万円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益641百万円、減価償却費928百万円による資金の増加と、たな卸資産の増加969百万円による資金の減少との差額によるものであります。 ・投資活動により減少した資金は1,237百万円(前期は442百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,155百万円によるものであります。 ・財務活動により減少した資金は158百万円(前期は772百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額220百万円と、長期借入金の返済による支出399百万円によるものであります。 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この財務諸表の作成に当たって重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針を適用するにあたり、より重要な判断を要し財政状態及び経営成績に影響を与える項目は下記のとおりであります。 当社は、繰延税金資産の回収可能性があると考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するに当たっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。 該当事項はありません。 高付加価値新製品の創製を目指し、医薬品関連分野及びファインケミカル分野に関わる研究開発に重点をおいております。 医薬品関連分野では、ジェネリック原薬の製造、あるいは新薬(治験薬を含む)及び既存薬の原薬・重要中間体の受託製造を目指した研究開発を重点的に進めております。また、当社の戦略物質のひとつであるピリジン・ピペリジン・キヌクリジン誘導体を中心とした医薬中間体・原料の研究開発にも注力しております。 ファインケミカル分野では、還元反応、グリニャール反応、バイオ反応等の戦略技術の応用・深化の研究を進めつつ、IT関連分野、ポリマー関連分野、機能性材料分野を視野に、アミノ酸誘導体、ピリジン・ピペリジン・キヌクリジン誘導体及び有機ケイ素化合物を中心とした研究開発を進めております。 また国内外を問わず、これら化合物の市場展開を積極的に図っております。 なお、当事業年度の研究開発費の総額は、589百万円であります。
株式会社キムラタン
# 株式会社キムラタン 当社グループは、連結財務諸表提出会社(当社)、連結子会社4社、持分法非適用関連会社1社で構成されております。主要な事業としては、アパレル事業として、ベビー・子供服、その他衣料雑貨等の自社企画・設計による高価値・お手頃価格の製品を中心に、国内においては、百貨店におけるインショップ(得意先売場内の自社ブランドコーナーにおいて、自社販売員が消費者に接客販売を行い、店頭在庫の管理も自社販売員が行う形態)の運営、直営店・ネット通販による消費者への直接販売を行っております。ショップ業態における店舗運営業務について当社は連結子会社である㈱キムラタンリテールに委託しております。 上海可夢楽旦商貿有限公司は、中国国内でのアパレル商品の卸販売を行っておりましたが、現在は事業を休止しております。 アパレル事業として区分していた中西㈱は、2023年2月1日付で保有する全株式を譲渡したことにより、連結の範囲から除外しております。 不動産事業として区分しております株式会社キムラタンエステート(2022年9月6日付で和泉商事有限会社から商号変更しております。)については、2022年4月1日付で発行済株式の全部を取得し、新規に連結の範囲に含めており、今後の収益の柱事業として位置付けております。 加えて当社はその他事業として、ウェアラブル事業を行っております。 また、その他事業に区分しておりました保育園運営については、㈱キムラタンフロンティアに委託しておりましたが、㈱キムラタンが2023年4月で保育園事業を譲渡したこと、さらに受託しておりました他社の保育園運営も2023年3月末で終了しております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 当社店舗の運営業務を委託しております。 また、売上高(連結相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。 提出会社において、「キムラタン労働組合」が1976年8月に結成されております。また、2023年3月31日現在の組合員数は7人であり、現在はいずれの上部団体にも属しておりません。 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、事業構造改革としてアパレル事業を大きく縮小しましたが、「ENJOY PARENTING, PLAY FASHION ~子育てを楽しもう、ファッションで遊ぼう~」というコンセプトは変わらず掲げ、引き続き子育て世代から信頼され、支持されるブランド構築を目指し、アパレル事業の持続的な成長を目指しております。一方で2021年2月に開始した不動産事業について、収益獲得の第2の柱事業とする事業ポートフォリオの転換を行いました。この抜本的な収益構造の変革により安定的な収益構造を維持しつつ、さらなる事業拡大を企図することで、企業価値の早急な回復と一層の向上に努めてまいります。 新型コロナウイルスの感染症が2類から5類に引き下げられ、感染症そのものは収束傾向に向かいつつある一方で、世界的な資源価格の高騰による物価高、円安傾向の継続による輸入仕入価格の上昇など、依然として景気の先行きは不透明な状況となっており、2024年3月期における日本国内の経営環境も引き続き予断を許さない状況が続くものと考えられます。 以上のように、現下の国内経済の先行きは極めて不透明な状況にありますが、当社グループは長期にわたる景気悪化にも耐えうるコンパクトに力強い企業への変革を目指して、利益を出せる体質への変革をさらに推し進めるとともに、キャッシュ・フローの大幅改善、黒字化を目指してまいります。 当社は、2022年2月14日付公表の「事業ポートフォリオ転換に関するお知らせ」に記載のとおりの計画に沿って、2023年3月期において当社アパレル事業の大幅縮小と不動産事業の拡大を柱とする事業ポートフォリオの転換を実行いたしましたが、今後はアパレル事業の赤字の解消と不動産事業の安定的な利益確保により経営再建と財務基盤の強化を果たしてまいります。 アパレル事業におきましては、2023年2月までに全国208店舗の閉鎖と本社人員のスリム化並びに在庫の圧縮を完了させており、これまでの多額の赤字の要因を排除してまいりました。今後は規模を追求するのではなく、独自価値の創造、ブランド力の回復と向上に努め、コンパクトながら利益体質の事業へと変貌を遂げてまいります。 不動産事業におきましては、2023年3月期においても安定的に収益を確保しており、今後も既存物件の稼働率の向上と、管理コストの最小化による収益力の向上に努めてまいります。 同時に、企業価値の回復と向上を果たしていくために、成長戦略として新たなM&Aを含む不動産投資についても積極的に案件の探索と検討を推し進め、さらなる収益力の向上につなげてまいります。 ウェアラブル事業につきましては、2023年3月期においても導入園数が増加しておりますが、保育の現場における事故防止に対する関心が高まる中、今後も導入園の増加が見込まれるところであり、安心・安全、保育の質の向上に貢献することを通じて社会的に意義のある事業として育成してまいります。 以上により、2024年3月期の単年度黒字化を実現するとともに、将来的な成長と安定的な財務基盤の構築に努めてまいります。 2023年3月期の営業キャッシュ・フローは、遺憾ながら引き続きマイナスとなったものの、アパレル事業の事業縮小と在庫の徹底消化並びに不動産事業が安定的にキャッシュ・フローを確保したことにより前年同期に対し大幅な改善となりました。 今後についても、過剰生産の排除、仕入の適正化等、キャッシュ・フロー経営に徹し、財務体質の改善を図ってまいります。 当社グループは、これまで、取引金融機関との緊密な関係維持に努めてまいりました。定期的に業績改善に向けた取組み状況等に関する協議を継続しており、今後も、必要な運転資金について取引金融機関より継続的な支援が得られるものと考えております。 さらに、当社は、2021年10月8日開催の取締役会において、必要運転資金の確保と将来の成長戦略のための資金調達を目的として、第16回新株予約権の発行を決議し、2023年3月期において94,000個の権利行使がなされ1億73百万円の資金を調達しております。 当社は、2016年3月期より継続して赤字を計上しており、継続企業の前提に関する重要事象が存在しております。当社グループは、このような状況を早期に解消するために、事業ポートフォリオの転換を決定し、2023年3月期においては、事業構造改革の推進、今後の赤字要因の徹底排除に重点的に取り組んでまいりました。したがって、サステナビリティに関しては事業に関連する領域での取り組み実績はあるものの、幅広く体系的な取り組みが十分にできているとは言えない状況にあります。 今後、中長期的な成長や持続可能性を確保するために、事業の多様化や効率化を図るとともに、経済・社会の持続的な発展に貢献することが必要不可欠であると考え、サステナビリティを広く経済、社会、環境の視点で捉え取り組んでまいります。 現在、当社グループでは取締役会を中心としたガバナンス体制を構築しておりますが、経済・社会の持続的な発展に貢献し、企業価値を向上させるためには、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会について幅広く捉え、多様な視点で検討を行う必要があると考えております。今後、幅広い世代が参画できるサステナビリティ推進のための仕組みを構築し、事業活動や社会問題との関連性についての議論と整理を行ってまいります。また、事業活動に重大な影響を及ぼす懸念のあるリスクについての識別、評価を行い、社会課題の解決と当社グループの持続的成長の両面で重要課題として取り纏めを行い、取締役会においてリスク及び機会の審議及び監督を行う体制を構築してまいります。 ガバナンスの構築においては、具体的には以下のような論点で課題を整理し、取り組みを実施してまいります。 戦略を策定し具体的な目標を設定することが重要であると考えており、戦略と目標設定には、環境への影響の軽減、社会的な利害関係者との協力関係の構築、従業員と関係性の強化などが含まれることを想定しております。 また、サステナビリティに関する情報の適切な報告、透明性の確保が必要であり、企業の持続可能性に関する報告書や指標の策定、情報の公開等を行うことにより、当社グループの持続可能性への取り組みや進捗状況をステークホルダーに対して明確に伝達するよう努めてまいります。 サステナビリティに関連する問題について、社会的な利害関係者と積極的に関わり、協力関係を築く仕組みについても検討してまいります。これには、顧客、投資家、従業員、など、企業に関与する様々なステークホルダーが含まれますが、ステークホルダーとのコミュニケーションや関係構築により、企業のサステナビリティ戦略はより具体化されていくものと考えております。 当社グループでは、2023年3月期において、事業ポートフォリオの転換に伴い、店舗販売員だけではなく、本社人員についても大幅なスリム化を行っており、人的資本に関する戦略や関連する指標の策定等については、取り組みができていない状況にあります。 しかしながら、将来の成長・持続的な発展や競争力向上のためには、長期的な視点に立った人的資本に関する戦略が必要であると考えております。従業員のスキルや能力向上、組織の強化、事業の多様化などを考慮し人的資本の戦略を立案・実行することは、企業の持続的な発展に寄与するものであり、長期的な戦略についても前記の戦略立案と併せ取り組んでまいります。 また、人的投資の成功には、組織文化と従業員のエンゲージメントが重要な要素であり、従業員が成長や変革に積極的に参加し、組織の目標達成に貢献することが必要であると考えております。今後、組織文化の整備や従業員のモチベーション向上にも注力し、人的投資の効果の最大化に取り組んでまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社が判断したものであります。 当社グループは主に日本国内において事業を展開しておりますが、国内景気や個人消費の動向などの経済状態が、当社グループの業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループのアパレル事業の販売高はそれぞれの季節における天候不順に少なからず影響されます。著しい天候不順が生じた場合、消費マインドの低下を招き、業績と財政状況に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、製品の品質、安全性の確保を経営の最重要課題のひとつであると考えており、製品の製造過程において発生する可能性のある針等の危険異物等の混入などの欠陥を防ぐため、品質管理部署を設け、最新の検針器の導入や、専門機関による全品検査など安全性の向上に努めております。しかしながら、予測できない事故により製品に欠陥が生じた場合、消費者や販売先に不信感を与えるとともにブランドイメージを損ね、業績と財政状況に悪影響を与える可能性があります。 当社グループが営むアパレル事業は、品質や価格面での競争力に加え、商品の感性やファッション性、店舗演出力といった変化の激しい消費者ニーズへの対応力も競争優位性を確保する上で重要な要素となります。  当社グループではこのような市場環境におきまして、明確な商品戦略、販売戦略をもって、魅力的な製品を提供できると考えておりますが、当社グループが市場の変化を十分に予測できず、他社との競争力が後退した場合、将来における売上の低迷と収益性を低下させ、業績と財政状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは多くの製品を中国から仕入れております。当該国においては、急激な経済成長を背景に、政策による後押しもあって、労働者賃金の上昇など情勢の変化が顕著になっています。今後、賃金がさらに大幅に上昇した場合、製品仕入コストの上昇を招く恐れがあります。 また、賃金上昇は内陸部にも広がりをみせていることに伴い、沿岸部における労働力不足が一層深刻になる恐れもあり、その場合、著しい生産力の低下を招き、当社グループ製品の生産が困難になる可能性があります。 さらに、中国メーカーとの取引は、主として米ドル建で行っておりますが、今後、為替相場がさらに円安となった場合、製品仕入コストの上昇を招く可能性があります。 これら仕入コストの上昇や生産力の低下が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、2022年4月より、事業の第2の柱として不動産事業を拡大を図っております。これにより、全国に賃貸不動産を多数保有しておりますが、不動産市況の動向によっては、賃貸物件の入居率やテナントの利用率の低下等により、業績と財政状況に影響を与える可能性があります。 当社グループの本社および店舗等の事業拠点は日本に展開しております。地震、台風、洪水、津波等の自然災害、火災、停電、原子力発電所事故、戦争、テロ行為等により、事業活動の停止や施設の修繕に係る多額の費用が発生し当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルスは一旦収束に向かっておりますが、今後再び新たな感染症の発生や感染拡大により、再度、緊急事態宣言が発出された場合、店舗の休業や外出自粛による客数の大幅な減少、所得減少による消費マインドの落ち込み等により、当社グループの業績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、2014年3月期より継続してマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、また、当連結会計年度において7億24百万円の営業損失及び11億34百万円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。 当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。 当社グループは、以下の対応策を着実に実行することで、当該状況を早期に解消し、業績及び財務体質の改善を目指してまいります。 当社は、2022年2月14日付公表の「事業ポートフォリオ転換に関するお知らせ」に記載のとおりの計画に沿って、2023年3月期において当社アパレル事業の大幅縮小と不動産事業の拡大を柱とする事業ポートフォリオの転換を実行いたしましたが、今後はアパレル事業の赤字の解消と不動産事業の安定的な利益確保により経営再建と財務基盤の強化を果たしてまいります。 アパレル事業におきましては、2023年2月までに全国208店舗の閉鎖と本社人員のスリム化並びに在庫の圧縮を完了させており、これまでの多額の赤字の要因を排除してまいりました。今後は規模を追求するのではなく、独自価値の創造、ブランド力の回復と向上に努め、コンパクトながら利益体質の事業へと変貌を遂げてまいります。 不動産事業におきましては、2023年3月期においても安定的に収益を確保しており、今後も既存物件の稼働率の向上と、管理コストの最小化による収益力の向上に努めてまいります。 同時に、企業価値の回復と向上を果たしていくために、成長戦略として新たなM&Aを含む不動産投資についても積極的に案件の探索と検討を推し進め、さらなる収益力の向上につなげてまいります。 ウェアラブル事業につきましては、2023年3月期においても導入園数が増加しておりますが、保育の現場における事故防止に対する関心が高まる中、今後も導入園の増加が見込まれるところであり、安心・安全、保育の質の向上に貢献することを通じて社会的に意義のある事業として育成してまいります。 以上により、2024年3月期の単年度黒字化を実現するとともに、将来的な成長と安定的な財務基盤の構築に努めてまいります。 2023年3月期の営業キャッシュ・フローは、遺憾ながら引き続きマイナスとなったものの、アパレル事業の事業縮小と在庫の徹底消化並びに不動産事業が安定的にキャッシュ・フローを確保したことにより前年同期に対し大幅な改善となりました。 今後についても、過剰生産の排除、仕入の適正化等、キャッシュ・フロー経営に徹し、財務体質の改善を図ってまいります。 当社グループは、これまで、取引金融機関との緊密な関係維持に努めてまいりました。定期的に業績改善に向けた取組み状況等に関する協議を継続しており、今後も、必要な運転資金について取引金融機関より継続的な支援が得られるものと考えております。 さらに、当社は、2021年10月8日開催の取締役会において、必要運転資金の確保と将来の成長戦略のための資金調達を目的として、第16回新株予約権の発行を決議し、2023年3月期において94,000個の権利行使がなされ1億73百万円の資金を調達しております。 しかしながら、これらの対応策は実施途上であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立が進行しましたが、一方で、不安定な国際情勢や原材料・エネルギー価格の高騰と急激な円安を背景に、幅広い品目で消費者物価が上昇しており、国内経済の先行きは不透明な状況が続いております。 このような状況の中、当社グループでは、2023年3月期を抜本的な構造改革の年として、2022年2月14日公表の「事業ポートフォリオの転換に関するお知らせ」に記載のとおり、当社アパレル事業の大幅縮小による多額の赤字の解消と、不動産事業の拡大による安定的な収益基盤の確保を柱とする全社的な事業構造改革に取り組んでまいりました。 アパレル事業の縮小につきましては、全国に展開する208店舗を閉鎖する計画に沿って2022年5月から順次閉鎖を実行し、2023年2月末日までに全店舗の閉鎖を完了させました。同時に閉店セール及びEC販路を活用した在庫の徹底消化にも取り組んでまいりました。 本社人員体制のスリム化につきましては、事業縮小によるブランドの絞り込み、業務範囲の見直し等を推し進め、2023年2月末日までに2022年2月時点の人員数に対し約65%のスリム化を実施いたしました。 一方、不動産事業の拡大につきましては、2022年2月14日及び同年4月1日に公表いたしましたとおり、4月1日付で全国に約70の収益物件を所有する株式会社キムラタンエステートの株式取得が完了し、子会社化とともに不動産部門を設置し管理・運営体制の強化を実施いたしました。 当連結会計年度の売上高は、前年同期比16.3%減の35億47百万円となりました。事業ポートフォリオ転換により不動産事業が大幅拡大となりましたが、アパレル事業につきましては店舗販売が既存ベースでは堅調な推移となったものの、店舗数の減少及び2023年1月30日に公表いたしました「(開示事項の変更)子会社の事業縮小の中止並びに子会社に対する債権放棄及び子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」に記載のとおり、2023年2月1日付で子会社中西株式会社の株式譲渡を行い同社が連結の範囲から除外となったことにより事業全体では減収となりました。 売上総利益率は、アパレル事業において、円安の進行よるコスト増に加え、持越し在庫の完全消化を優先課題として、閉店セールでの値引率を大幅に深め徹底消化を図った結果、前年同期に対し11.0ポイント減の31.4%となり、売上総利益額は前年同期比38.0%減の11億13百万円となりました。 販売費及び一般管理費につきましては、不動産事業の拡大に伴う経費の純増と、不動産事業のM&Aに伴う株式取得関連費用1億49百万円や後記のシンジケートローン契約に伴う登記費用30百万円等の一時費用の計上、のれんの償却額等が増加要因となりましたが、一方でアパレル事業の経費については、店舗閉鎖や本社スリム化など事業の縮小による人件費の減少、店舗家賃の減少等により大幅減となったことから、全社ベースでは前年同期比22.2%減の18億38百万円となりました。 以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、在庫一掃に向けた粗利益率の大幅低下に加え、前掲の一時費用の負担が重く、7億24百万円(前年同期は営業損失5億64百万円)となりました。経常損失は、急激な円安の進行により為替差損28百万円を計上したことや、2022年9月22日付「シンジケートローン契約締結に関するお知らせ」において公表のシンジケートローン契約締結に伴うアレンジメントフィー等の借入手数料1億49百万円の計上等により10億37百万円(前年同期は経常損失6億9百万円)となりました。 加えて、前掲のとおり2023年2月1日付で子会社中西株式会社の全株式を譲渡いたしましたが、同社に対する貸付金の一部免除を含む関係会社株式売却損52百万円及び2023年2月22日付で公表の「債権の取立不能又は取立遅延のおそれに関するお知らせ」に記載のとおり当社が物流倉庫を賃借していた取引先の破産手続開始決定により当該取引先に対する敷金返還請求権39百万円について貸倒引当金を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純損失は11億34百万円(前年同期は当期純損失8億92百万円)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの名称および区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「3.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。 当連結会計年度において、インショップ及び直営店208店舗の閉鎖を実施するとともに閉店セールにおける在庫品の徹底消化に注力してまいりました。結果、実店舗での販売は、行動制限の緩和、新型コロナウイルス感染症の影響の低減により年度を通じて堅調に推移し、閉店セールにおいては、値ごろ感を訴求した売場展開、販売動向に合わせた売価変更等を行い前年同期の倍以上の販売推移となったことにより、既存店ベースの売上高は、前年同期比27.6%増となりました。店舗数については、前掲のとおりインショップ及び直営店208店舗の閉鎖を実施し、当期末の店舗数はアウトレット2店舗を含む9店舗となりました。 ネット通販につきましては、実店舗での閉店セールにおいて在庫の徹底消化を図ったことから、ネットでは価格訴求型の販売促進の抑制、送料無料キャンペーンの休止など収益性の向上に努めたことやブランド絞り込みにより販売アイテム数が減少した影響で、売上高は前年同期比40.3%減となりました。 卸業態については、大手量販専門店との取り組みが進行しましたが、一部得意先においては追加受注が低調となり、また前掲のとおり2023年2月1日付で子会社中西が連結の範囲から除外となったことにより、当期の売上高は前年同期比32.0%減となりました。 以上の結果、当期におけるアパレル事業の売上高は、前年同期比35.3%減の26億34百万円となりました。セグメント利益については、6億38百万円の損失(前年同期は5億16百万円の損失)となり、持越し在庫の完全消化に向けて値引率を深め販売強化を図ったことにより赤字幅は拡大する結果となりましたが、店舗閉鎖、本社スリム化による固定費削減が進み、在庫消化も計画を上回るなど、事業黒字化に向けた構造改革が進捗する結果となりました。 不動産事業については今後の収益の柱事業と位置付け、当連結会計年度の期首においてM&Aによる株式会社キムラタンエステートの子会社化と不動産部門の設置、運営・管理体制の整備を行い、不動産事業を本格的に開始いたしました。 当連結会計年度においては、物件ごとに異なる顧客ニーズへの対応力強化による稼働率の向上と、徹底した効率化による管理コストの最小化を課題に掲げ、物件ごとの詳細な現状分析や戦略立案を行ってまいりました。その結果、年度を通じて安定的に利益を確保しており、柱事業として全社的な事業構造改革に貢献しております。期末にはさらなる収益力の向上を目指して、管理業務の一部の内製化にも取り組んでまいりました。 以上の結果、当期の不動産事業の売上高は7億99百万円となりセグメント利益は1億20百万円となりました。 その他事業である保育園事業においては、当期は事業収益の改善を課題として園児の募集に注力し、充足率の向上を目指してまいりました。しかしながら、出生数が減少する環境下で、質の高い保育を安定的に提供するためには当社のような少数園での運営体制には限界があり、運営施設数が多くノウハウがより豊富な事業体に運営を移管することが望ましいと考えられることから、2023年1月30日付で保育事業の事業譲渡を決定し、2023年4月1日付で事業譲渡が完了いたしました。 ウェアラブルIoT事業においては、引き続き導入園の拡大に向けて保育博への出展等の営業強化に注力するとともに、午睡中の見守りに特化した「おひるねバンド」型の新製品“cocolin lite”の開発に取り組んでまいりました。“cocolin lite”では、午睡中の姿勢の変化の誤検知が限りなくゼロであるウェアラブルならではの特長をそのままに、リスクの高い午睡時の体動変化の検知に特化することで、着脱が容易であるメリットを付加することにより、幅広く保育施設のニーズに対応しながら導入園の拡大を目指してまいります。 以上の結果、当期におけるその他事業の売上高は、前年同期比9.9%増の1億14百万円となり、セグメント利益は55百万円の損失(前年同期は86百万円の損失)となりました。 以上のとおり、当連結会計年度を抜本的な構造改革の年と位置付け、ポートフォリオ転換に向けた施策に取り組んでまいりました。業績は減収、赤字拡大と非常に厳しいものとなりましたが、構造改革は計画どおりに進捗し年度末までに完了させることができました。今後、2024年3月期の単年度の黒字化と将来的な成長と安定的な財務基盤の構築を実現し、企業価値の回復と向上に努めてまいる所存であります。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 2 不動産事業は生産を行っておりません。 当社は受注生産を行っておりません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比べ20億52百万円減少し、4億9百万円となりました。アパレル事業縮小に伴い実施した店舗の閉店セールによる在庫の消化、保有する全株式の譲渡による中西株式会社の連結除外により、売掛金が4億62百万円、商品及び製品が10億3百万円と、それぞれ減少しました。加えて不動産事業拡大のためのM&A等を含めて現金及び預金が5億49百万円減少したことが主な要因であります。 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比べ70億94百万円増加し、72億19百万円となりました。期首に株式会社キムラタンエステートの株式を取得し完全子会社化したことに伴い、収益不動産が増加したことにより、有形固定資産が66億79百万円、無形固定資産が4億79百万円増加したことが主な要因であります。 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比べ10億58百万円減少し、8億90百万円となりました。前掲のアパレル事業の縮小と中西株式会社の連結除外による支払手形及び買掛金の減少3億39百万円、事業構造改革完了に伴う事業構造改革引当金の減少1億99百万円、返済等による短期借入金の減少4億6百万円が主な要因であります。 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比べ60億51百万円増加し、65億70百万円となりました。不動産事業拡大に向けた株式会社キムラタンエステートのM&Aによる取得のために金融機関より調達等により長期借入金が56億31百万円増加したこと、加えて、取得した土地、建物の資産評価等による繰延税金負債3億64百万円の増加がその主な要因であります。 以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の3.8%から2.0%となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、55百万円と前年同期と比べ4億13百万円(88.2%)の減少となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、37百万円の支出(前連結会計年度は2億72百万円の支出)となりました。税金等調整前当期純損失11億40百万円と前期に対し赤字拡大となりましたが、減価償却費2億25百万円、売上債権の減少4億11百万円、棚卸資産の減少8億21百万円等の要因により、営業キャッシュ・フローは、前期に対し2億34百万円の改善となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、13億66百万円の支出(前連結会計年度は6億47百万円の収入)となりました。不動産事業の拡大に向けた株式会社キムラタンエステートの株式取得による支出19億56百万が主な支出であり、一部の物件売却による収入5億円が主な収入となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、9億91百万円の収入(前連結会計年度は2億76百万円の支出)となりました。主な増減要因は、短期借入金の純増6億68百万円、長期借入れによる収入62億16百万円、長期借入金の返済57億85百万円です。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金需要の主なものは製品仕入、人件費や家賃等の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金によって充当しております。また、NET通販にかかるシステムの設備投資資金については、借入金に加え、第三者割当増資や新株予約権行使により調達しております。 当社グループは、取引金融機関との緊密な関係維持に努めており、定期的に業績改善に向けた取組み状況等に関する協議を継続しつつ、状況を判断しながら第三者割当増資や新株予約権の発行を行うなど、安定的で機動的な資金調達の維持向上に努めております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うことから、実際はこれらと結果が異なる場合があります。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 なお、新たな感染症の発生やこれに伴う顧客の動向、市場に与える影響等を予想することは極めて困難ではありますが、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき会計上の見積りを行っております。 該当事項はありません。 当連結会計年度において、特記すべき事項はありません。
池上通信機株式会社
# 池上通信機株式会社 当社グループは、当社および子会社5社から構成されており、情報通信機器の開発、生産、販売、サービスにわたる事業活動を展開しています。 当社グループの事業に係る位置付けは次のとおりです。 当社が情報通信機器の開発、生産ならびに北米・中南米、欧州・中東・アフリカ、西アジア・東南アジア・大洋州地域を除いた販売、サービス活動を行っています。 ㈱テクノイケガミでは当社が生産した情報通信機器の修理・サービスの一部を行うとともに、当社プロダクトセンターの製品の一部を生産しています。 連結子会社であるIkegami Electronics(U.S.A.),Inc.(米国)では、北米・中南米地域で、Ikegami Electronics(Europe)GmbH(ドイツ)では、欧州・中東・アフリカ地域で当社製品の販売、サービス活動を行っています。 また、非連結子会社であるIkegami Electronics Asia Pacific Pte.Ltd.(シンガポール)では、西アジア・東南アジア・大洋州地域を対象として、当社製品の販売、サービス活動を行っています。 事業の系統図は次のとおりです。 当社製品のサービス、および生産を行っています。 当社は設備資金、運転資金について融資をしています。また、土地、建物の一部を賃貸しています。 役員の兼任 2名。 当社製品の北米・中南米地域への販売、およびサービスを行っています。 当社製品の欧州・中東・アフリカ地域への販売、およびサービスを行っています。 当社グループの労働組合は結成されておりません。なお、労使関係については、特に記載すべき事項はありません。 正規雇用労働者の平均年齢は、男性45歳、女性34歳である。なお、正規雇用労働者のうち34歳以下の男女の賃金の差異は96%である。パートタイマーのみの男女の賃金の差異は113%である。 女性活躍推進法等により上記公表を行っていないため、記載を省略しています。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 当社グループは、社会における当社グループの存在意義(パーパス)を『「技術」のチカラで、あなたをしあわせに。』と定め、「卓越した技術と匠の技で社会が求める新たな価値を創造し、持続可能な社会インフラ構築の一翼を担い、広く世の中に貢献し、社会から必要とされる企業であり続ける。」ことを目指して参ります。 そして、創業理念「技術の向上、開発へのたゆまざる意欲と不屈の精神を支えとし、使って喜ばれる製品を作り出し、世の中に寄与してゆく。その実現に向け、常に努力し、責任を以て事に当たる社員を育てる。」をベースに、以下の4つの経営ビジョンを基本方針として定めています。 当社を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に端を発した半導体を始めとしたサプライチェーンの混乱は仕入れ価格や調達リードタイムに大きな変動をもたらし、市況は未だ不安定な状態が続いておりますが、一部事業領域においては落ち着きを取り戻しつつあります。 また、ロシアのウクライナ侵攻後の資源価格の高騰や、物価上昇によるインフレ局面の進行が世界経済に悪影響を及ぼし、依然として予断を許さない状況です。 しかしながら、こうした状況のなか当社グループは業績の確保に向け、調達先の多様化の一環として各種部材の供給状況、納期変動を迅速に把握できる体制を整え、生産計画への影響を最小限に留めるべく、長納期部材の早期発注、適正なタイミングでの入手に取り組んでおり、徐々に改善の兆しが表れております。 また、生産の平準化による生産効率の追求や販売価格の見直し・改定を進めるなど、不安定な原材料市況に起因する売上原価への影響を極小化するための施策を引き続き推進して参ります。 併せて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速するとともに、新3カ年中期経営計画を確実に実行することで、基盤となる放送システム事業の更なる収益性向上への取り組み強化、セキュリティー事業、メディカル事業、検査装置事業の産業システム事業の成長戦略を加速させ、更なる事業の拡大を目指して参ります。 2024年3月期の通期連結業績の目標とする経営指標は、現時点において以下のとおりです。 上記の業績見通しは、当社グループが現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は重要なリスク要因や不確実な要素等により異なる可能性があります。 当社グループを取り巻く事業環境は、中長期の視点では国内外での4Kシステムの需要増加と、放送技術の高度化に伴う設備投資、更には高精細を目指した8Kシステムへの期待、安心・安全の確保によるセキュリティー需要、医療用映像機器の高画質、高精細化需要、品質、安全性の確保による検査工程の自動化要求等が高まっていくことが見込まれます。 こうした環境の中、当社グループは、4つの経営の基本方針に基づき、2023年5月25日に公表した新3カ年中期経営計画2023―2025の実現へ向けて取り組んで参ります。 こうした状況の中、部品選定の見直し、調達先の多様化に取り組む一方で、取引価格の見直し・改定を進めるなど、サプライチェーンの混乱による影響を最小限に留めるための施策を継続して参ります。併せて、メーカーとしての基本である製品競争力のさらなる強化はもちろん、更なるコスト構造の改善による企業体質の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速することで、売上・利益の確保に努め、持続的成長と企業価値向上を目指して参ります。 当社グループは、2025年度を最終年度とする新3カ年中期経営計画を策定いたしました。本中期経営計画に掲げた目標を確実に達成することで対処すべき課題を解決し、更なる事業の発展と企業価値の向上を目指して参ります。 画像処理技術の高度化や差異化機能開発により、医療用カメラの更なる更新需要促進と新たな需要喚起を図る。また、既存の硬性鏡カメラ、顕微鏡カメラ以外の新領域カメラ技術へのチャレンジにより新たな医療分野への参入を推進する。 医薬市場のシェア拡大と新分野への挑戦にて産業市場を成長路線に乗せ、事業拡大を目指す。 ハイエンド技術市場である「安全保障(防衛・公共)」「安心安全(鉄道・流通)」「環境(プラント)」への注力とOEM展開による安定した売上高規模・利益体質の構築に取り組む。 ・IP対応製品の開発を強化するとともに、次世代新技術の習得・活用により高度なトータルシステムソリューションの提案強化に取り組むことで、お客様の更新需要を確実に取り込み、全社の基盤事業として事業の安定化を確立する。 ・海外市場においては、エリアマーケティング戦略を強化・推進し、次世代4Kカメラシステムの販売促進により、シェア拡大と事業の安定化を図る。 □ 収益の状況や経営環境に対応した安定配当の継続を基本とし、企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保の充実等を勘案し、配当を行うことを基本とする。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、持続可能性の観点から企業価値を継続的に向上させるため、サステナビリティ推進を強化しております。 気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、社会課題の解決(SDGs)・社会貢献等、サステナビリティ課題への対応を含むサステナビリティ全般について、担当取締役を委員長とする各種委員会を設置し、戦略策定や施策展開の計画や進捗管理を行っています。 施策の実施・進捗管理については、内部監査室の監査の後、取締役で構成する経営会議へ報告を行い、経営会議はその進捗状況をモニタリングし、監督しています。 また、2023年度からは、取締役会・経営会議への報告機関として、常務取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を発足させ、サステナビリティに配慮した事業を推進していく体制の強化をさらに拡充していきます。 (※)取締役会には、年1回、必要あるときは随時、サステナビリティ関連の各種施策の進捗状況を報告し、取締役会からの監視・監督を受けることになります。 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。 当社グループは、経営ビジョンにおいて「その実現に携わるすべての人々が生き甲斐と働き甲斐を見出すことのできる企業であり続ける」と掲げております。 その働き甲斐、生き甲斐を見出すためには、最大の経営資源といえる人材の一人ひとりが、仕事を通じて輝けるように、意識、組織、風土を醸成してまいります。 そのため、採用時はもとより、入社後において次の人材像を望む姿としています。 また、池上グループは、性別や国籍、新卒採用や中途採用といった採用方法の違い等に関わらず、公正、公平な選考により、当グループが望む人材像の実現について、最適と思われる人材を採用します。 また、多様性のある社員が持つ多様な能力を遺憾なく発揮できるように、適切かつ有効な方法をもって人材の確保および育成を行います。 当社グループは、性別、国籍、年齢、職歴、障害など多様性に富む従業員が、各々の生活環境、生活スタイルに合わせた働きやすい柔軟な仕組みを選択でき、ワークライフバランス推進に資する社内環境を整備いたします。 更に、職場の安全と心身の健康を守るとともに、人権を尊重し、差別のない健全な職場環境の確保に取り組んでいます。 特にセクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント等については、人権を侵害し職場環境を毀損する行為であるため、職場でのコンプライアンス遵守を実現するため教育・研修を実施し、発生の予防を図ります。 問題発生時には迅速に対応し、解決と再発防止のために適切な処置を行います。 当社グループでは、リスク管理を内部統制のための重要な要素として認識しています。 当社グループは、経営戦略と並行し、重大なリスクに対する対応力を高めるために必要な措置を講じています。 具体的施策として、第一に、各部門のリスク管理能力を引き上げると同時に、全社の重要な事業リスクを把握・識別する体制を整えるために、コンプライアンス担当取締役を委員長とするRC委員会を設置しています。 第二に、社内外の環境影響監視機関としてEMS連絡会を設置しています。EMS連絡会は、ISO14001・環境マネジメントシステムに基づき、環境関連法令順守、社内外の環境課題、環境目標、緊急事態発生時の対応等を全社的に検討し、環境経営を推進するうえでのモニタリングを行っています。 さらに今後の展望として、前述の通り、2023年度からは「サステナビリティ委員会」が気候関連リスクをはじめサステナビリティ全般の管理機能を担い、原則として6ヶ月に1回、必要あるときは随時開催し、各種リスクに関する分析、対策の立案と推進、進捗管理等を実践していきます。 当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、以下のとおりです。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことから、世界的に経済活動の制限が緩和されるなど、景気の持ち直しの動きに期待がされていますが、今後、再び感染が再拡大するなどして、経済活動の停滞が生じた場合、計画されていた案件の延期や規模縮小、新規設備投資の凍結のリスクも見込まれます。こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、こうしたリスクの影響を最小限に留めるため、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速するとともに、比較的影響を受けにくいと思われる公共性の高い案件や、投資意欲が旺盛な市場、地域に注力するなど、お客様の運用変化や新たなニーズに即したソリューション提案を推進して参ります。 また、当社グループ従業員が新型コロナウイルスに感染し、その感染がグループ内に拡散した場合、操業停止やサプライチェーンの停止等により、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを未然に防ぐため、テレワーク・時差通勤の導入、衛生管理の徹底など、引き続き感染予防と拡散防止に努めて参ります。 コロナ禍の影響によるサプライチェーンの混乱から、半導体を始めとした様々な部品の調達難および価格の高騰が続いており、現時点において、一部事業領域においては落ち着きを取り戻しつつあるものの、市況は未だ不安定な状態が続いております。今後、こうした状況が長期化し、さらなる部品の調達難や価格の高騰などのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、こうしたリスクの影響を最小限に留めるため、調達先の多様化の一環として各種部材の供給状況、納期変動を迅速に把握できる体制を整え、生産計画への影響を最小限に留めるべく、長納期部材の早期発注、適正なタイミングでの入手に取組むとともに、生産の平準化による生産効率の追求や販売価格の見直し・改定を進めてまいります。 当社グループは国内のみならず米国、欧州、アジア、中近東、ロシア等の地域で商品を供給しています。従って、これらの国または地域の経済状況や地政学的要因、法的規制等により当社グループの販売活動に影響を及ぼす可能性があります。特に、ウクライナ情勢が長期化し、資源価格をはじめとした過度の物価上昇によるインフレが世界経済への悪影響を及ぼした場合、また、米国と中国間の貿易摩擦が過熱し、米国による中国への各種規制強化等により、中国のみならず、世界経済にまで景気減速が広がった場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクが顕在化した場合、その影響を最小限に留めるため、米国、ドイツ、シンガポールの現地法人との連携を密にし、各地域の情勢を的確に把握するとともに、サプライチェーンの強化を図って参ります。また、国際情勢の変化に伴う為替相場の変動リスクにも備え、為替予約等によりリスクの最小化に努めて参ります。 当社グループでは、工場における生産活動に関し、労働安全衛生に配慮するとともに、環境マネジメントシステムISO14001の認証を取得し、地球環境に配慮した生産活動に努めております。また、首都圏における大規模地震の発生などにより本社機能が麻痺した場合に指揮命令系統を早期に確立するための震災マニュアルも策定しています。しかしながら、不測の大規模地震や台風等の自然災害による生産設備の被害、工場における事故、製品輸送・外部倉庫保管中の事故等、不測の事態が発生するリスクが考えられます。これらの事象は、工場の操業や顧客への供給に支障が生じることで、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。しかしながら、製品の品質面でのリスクを全て排除するのは不可能であり、製造物責任(PL)問題を提起される可能性があります。また、その他にも製品の不具合による賠償など品質や安全面での問題を提起される可能性も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクに備え、製品の設計段階からデザインレビューを実施するともに、製品化の前段階での品質、性能評価試験を徹底しています。また、製品として出荷前に品質管理部門での出荷前テストを綿密に実施しています。 当社グループは、国内外の市場へ向けた新製品、新技術の開発を進めておりますが、各事業において、市場で競合する各社との競争の激化により、製品競争力が相対的に低下し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクが発生しないよう、常に次世代技術の習得・獲得・活用に注力し、各事業において市場でのマーケティング戦略の立案・実行による製品開発へのフィードバックを徹底します。 当社グループは、事業の遂行にあたって、国内はもとより、事業を展開する各国において、当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受けたりお客様からの信頼を失ったりする可能性があります。当社グループでは、コンプライアンスの取り組みを横断的に統括するRC委員会を設置し、具体的な計画を策定、実行することで、リスクの未然防止に努めています。また、リスクマネジメントやコンプライアンスに関する研修を通じ、従業員へ法令順守の意識醸成と徹底を推進し、違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。 当社グループは、資金需要に対する機動性と安定性の確保および資金効率向上を図ることを目的に、取引銀行3 行とコミットメントライン契約等を締結しています。これらには純資産の減少および経常損失の計上に関する財務制限条項が付されています。これに抵触し、借入先の請求に基づき借入金の返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの影響が緩和し、経済活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されましたが、外国為替市場での急激な円安の進行や物価の上昇など、依然として先行き不透明な状況で推移しました。 また、世界経済におきましても、緩やかな持ち直しが続くことに期待されていますが、ウクライナ情勢の長期化による資源を始めとした原材料価格の高騰による世界的なインフレ局面の進行や、サプライチェーンの混乱による部品調達難、中国での新型コロナウイルス感染者数の急増など、景気の下振れリスクが存在する状況で推移しました。 このような状況下において、当社グループの当連結会計年度における経営成績の概要は次のとおりです。 売上高につきましては、前年同期比19.9%増収の221億46百万円となりました(前年同期売上高184億70百万円)。 損益面につきましては、営業損益は前年同期比で12億52百万円減の営業損失9億97百万円(前年同期営業利益2億55百万円)、経常損益は前年同期比で12億94百万円減の経常損失10億円(前年同期経常利益2億93百万円)、最終損益につきましては、前年同期比で12億53百万円減の親会社株主に帰属する当期純損失10億74百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益1億78百万円)となりました。 当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルスの影響が緩和したことから、国内外での需要が回復傾向で推移し受注が好調であったこと、併せてお客様の契約納期を遵守できたことも寄与し、前年同期の売上高を下回る結果となりました。 放送システム事業では、国内で、大型中継車やSNG中継車など、中継車システムの販売が大きく伸長し、ヘリコプターテレビシステムなど、無線伝送システムの販売も堅調に推移するとともに、欧米でも放送用カメラシステムの販売が堅調に推移したことから、前年同期に売上高を上回りました。 産業システム事業でも、セキュリティー事業では、CCTVカメラおよびシステムの販売が堅調に推移し、検査装置事業でも医薬市場向け検査装置のほか、産業市場向け検査装置の売上が増加するとともに、メディカル事業では中国市場における医療用カメラの販売が大幅に増加したことあり、前年同期を上回る売上高となりました。 当連結会計年度の損益につきましては、販売価格の見直し・改定を進めるなど、サプライチェーンの混乱による影響を最小限に留めるための施策を敢行して参りましたが、部材価格の高騰による急激な売上原価の悪化を吸収できなかったこと、また、お客様の契約納期遵守のため、部材調達にあたり通常仕入れ価格より高額な市場流通品を一定数確保せざるを得ず調達いたしましたが、その結果、直近におけるそれら部材の評価額が2023年3月末の帳簿価額を下回ったことから、主に再調達原価まで切り下げる方法により会計処理を行い、8億27百万円を棚卸評価損として売上原価に計上したことにより、営業損益、経常損益、最終損益ともに前年同期比で大幅な減益となりました。 生産、受注および販売の実績は、次のとおりです。 当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。 当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。 当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。 当連結会計年度末の総資産は、289億61百万円であり、前連結会計年度末に比べ15億57百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金の減少、売掛金、原材料及び貯蔵品の増加等により、前連結会計年度末に比べ15億94百万円増の239億72百万円となりました。固定資産は、有形固定資産、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ37百万円減の49億88百万円となりました。 負債総額は162億50百万円であり、前連結会計年度末に比べ25億57百万円増加しました。流動負債は、支払手形及び買掛金、電子記録債務、短期借入金、賞与引当金の増加等により前連結会計年度末に比べ29億83百万円増の116億9百万円となりました。固定負債は、社債の減少等により、前連結会計年度末に比べ4億26百万円減の46億40百万円となりました。 純資産については、前連結会計年度末に比べ9億99百万円減少し、127億10百万円となりました。これは主として、利益剰余金の減少と為替換算調整勘定の増加によるものです。この結果、自己資本比率は、43.9%(前連結会計年度末50.0%)となりました。 翌連結会計年度につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に端を発した半導体を始めとしたサプライチェーンの混乱は仕入れ価格や調達リードタイムに大きな変動をもたらし、一部事業領域においては落ち着きを取り戻しつつありますが、市況は未だ不安定な状態が続いております。当社グループは、前述の2024年3月期の業績目標を達成すべく、その影響を最小限に留め、売上高の確保と、さらなる利益創出を目指し、資金の流動性も確保しつつ、更なる財務基盤の強化を図って参ります。 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純損失10億24百万円を計上し、減価償却費5億42百万円、売上債権の増加19億59百万円、棚卸資産の増加8億14百万円、仕入債務の増加14億21百万円、未払消費税等の増加2億84百万円等により、11億87百万円の支出となりました(前年同期比4億32百万円の支出減少)。 投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出3億3百万円、無形固定資産の取得による支出34百万円等により、3億35百万円の支出となりました(前年同期比6億49百万円の支出減少)。 財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純増加5億10百万円、長期借入れによる収入14億27百万円、長期借入金の返済による支出11億58百万円、社債の償還による支出3億12百万円等により、2億72百万円の収入となりました(前年同期比17億86百万円の収入減少)。 当社グループの資金需要は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費のほか、設備の新設、改修に係る投資となります。特に、放送市場におけるデジタルハイビジョン設備の更新需要の納入に係る仕入代金の資金需要が生じています。また、近年においては、新たな収益源泉を拡充するため産業システム事業の投資への資金需要が発生しています。これらの資金需要の財源については、自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行により調達することとしています。 資金の流動性については、前述の製品の納入に係る仕入代金の他、突発的な資金需要に対しても機動的に資金を調達できるよう金融機関との間で総額40億円のコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えています。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 当社グループが行う重要な見積りは以下のものです。 当社グループの売上高は季節的変動が著しく、第4四半期連結会計期間に売上が集中する傾向にあります。この期間の売上債権の回収は翌連結会計年度に行われることから、貸倒引当金の会計上の見積りは重要なものとなります。 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。 当社グループは、適切な与信管理を行い、一般債権の貸倒実績率が低い状況で推移していますが、売上増加により期末時の債権が増加したり、多額の貸倒れが発生した場合、貸倒引当金の金額が増加する可能性があります。 当社グループは、取引先との中長期的な取引・関係維持、シナジー創出等、企業価値の維持・発展等を目的として、この目的に合致した株式を保有しています。これらの株式には、取引所に上場されている上場株式と上場されていない非上場株式があります。 当社グループは、保有株式の評価については、上場株式は取引所の市場価格、非上場株式は取得価額で行っています。 保有株式の減損については、上場株式においては、個別銘柄毎に市場価格と取得価額を比較して50%以上下落した場合は、合理的な反証がない限り著しい下落とみなし減損処理を行い、2期連続して下落幅が30%以上50%未満の範囲で推移した場合、市況および銘柄固有の要因分析を行い、今後の回復可能性を判断して減損処理を行っています。また、非上場株式においては、個別銘柄毎に1株あたり純資産額と取得価額を比較して50%以上下落した場合は、今後の回復可能性を判断して減損処理を行っています。 保有目的が合致しなくなった場合、その株式を売却する場合があります。また、市況悪化や投資先の業績悪化により、保有株式の減損処理を行う場合があります。 当社グループは、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理を行っています。 当社グループの業績の悪化や事業再編、固定資産の用途変更など、固定資産の回収可能性を著しく低下させる変化が生じた場合、減損処理を行う可能性があります。 当社グループは、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の分類に応じて、会計上の資産・負債の金額と税務上の資産・負債の金額との差額および税務上の繰越欠損金(一時差異等)に係る税金の額から将来の会計期間において回収が見込まれない税金の額を控除して繰延税金資産に計上しています。 回収の見込額は課税所得に影響を受けるため、業績の悪化により将来の課税所得の減少が見込まれる場合、繰延税金資産の減少および法人税等調整額の増加となる可能性があります。また、税制改正により将来の法定実効税率に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響を与え、法人税等調整額が変動する可能性があります。 当社グループは、従業員の退職給付に充てるため、非積立型確定給付制度(退職一時金制度)および確定拠出制度を採用しています。このうち退職一時金制度においては、原則法による数理計算をしています。数理計算の計算基礎には、割引率、予定死亡率、予定退職率、予想昇給率があります。 数理計算による退職給付債務の見込額と実際の退職給付債務の金額との差額は、未認識数理計算上の差異として翌期以降費用処理していますので、翌期以降の費用に影響があります。 退職給付関係の計上額等は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しています。 当社グループは、製品のアフターサービスに伴う費用の支出に備えるため、過去の実績率に基づいて算出した見積額および特定の製品に対する個別に算出した発生見込額を計上しています。 当社グループは、設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。また、製品として出荷前に品質管理部門での出荷前テストを綿密に実施しています。 しかしながら、出荷後に想定外の不良が発生することで、多くの修理費用が発生した場合、製品保証引当金の金額が増加する可能性があります。 当社は、製品、仕掛品については個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)、原材料については移動平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)により評価していますが、連結子会社は、主として先入先出法による低価法を採用しています。 棚卸資産の評価および算定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)(棚卸資産の評価)」に記載しています。 該当事項はありません。 当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,588百万円です。 放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。 放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。 昨年度開発した「UHK-X750」、「UHK-X700」、「CCU-X100」によるHFR(High Frame Rate)撮影機能に加え、オプション機能として、MoIP(Media over IP)インタフェースを実現しました。これにより、外部動画サーバーとカメラ間をIPシステムとして構築することが可能となり、海外を中心としたIPシステム要求への対応が可能となりました。 また、ロボットアームを用いたリモートプロダクションシステムR2(Real Remote) SYSTEMにおけるバーチャルシステムとの融合を推進し、11月に幕張メッセで行われたInterBEE2022展示会において、インカメラVFXの実演を行いました。通常、VFXシステムはカメラ位置情報を得るためにVFXスタジオ内にセンサを配置する必要があります。しかし、VFXシステムにR2 SYSTEMを使用することで、カメラ位置情報はR2 SYSTEMから得られることができるため、センサの配置は不要となり、運用が容易になります。今後のバーチャルスタジオへの応用が期待されます。 放送映像音声スタジオ機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 この数年、地方放送ローカル局のスタジオ更新需要は継続しているものの、放送と共に進化している配信ビジネスによって、コンテンツづくりでは多種多様なフォーマットへ対応の高まりから、システム機器のマルチフォーマット化開発を推進しました。今年度、コンテンツづくりに欠かせない、ビデオスイッチャ「MuPS-5000シリーズ」、ルーティングスイッチャ「UHSMシリーズ」、システム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」のシステム3要素すべてのマルチフォーマット化を実現しました。これにより配信は制作者の意図に応じた各種フレームレートを選択することで、放送フォーマットに限定されないコンテンツづくりを可能としました。 フレームレートについては2K/4K何れも、59.94fps(Frame Per Second)、50fps、29.97fps、23.98fpsに対応しました。このうち、29.97fps、23.98fpsは映画、ドラマ、音楽制作に必要なフレームレートであるため、ドラマスタジオやイベント制作システムに対しても提案が可能になりました。また、これらのフォーマットは従来、2Kにおいてセグメントフレーム「SF」形式が主流でしたが、昨今はネイティブなプログレッシブ方式の要求も強いため、両方に対応すべく、実現範囲を拡大しました。これにより、キー局様のドラマスタジオや汎用目的のスタジオサブへの機器提供が可能になり納入実績に結びつけました。 また、ビデオスイッチャ「MuPS-5000」シリーズの小型スイッチャでは、小型操作卓のブラッシュアップ開発をしました。多系統、多機能化した小型スイッチャの仕様に合わせるべく、小型操作卓の制作操作機能を高め、低コスト化、高訴求力を実現しました。新しいプロセッサと共に、操作系も新たに販売を強化しており、その成果が納入実績となって表れてきました。 ビデオスイッチャと同じくシステムキーデバイスであるルーティングスイッチャ「UHSM」シリーズは、地方ローカル局、および中規模クラスのシステム向け製品を開発しました。マトリクスサイズは120×120と大型製品に対し半分近く小型化した製品ですが、池上の特長である映像変換機能、マルチビューワ、ダウンストリームキーヤなどのシステム機能内蔵を継承し、システム構築を効率化できる製品として、今秋からの販売に向け、提案を開始しております。 さらに、ルーティングスイッチャをコントロールするGUIを開発し、各種機能操作、管理情報の保存再生機能操作を確立することができ、納入したキー局では利便性が上がり好評を博しています。 システム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」は、昨年度から継続しラインアップ増強機能としてタイムコードを重畳する機能と、2:1切替器として12G SDI信号をメカリレーで切り替えを実現した、12G SDIリレーモジュールを開発しました。特に12G SDIリレーモジュールは、今後、4K送出のEMG系統切替に展開し、システムのレジリエンス向上に寄与して参ります。 その他、映像機器以外として、中継車、或いは小規模ニュース送出システム向けの音声ルータにミキシング機能を搭載した「DAF-040オーディオプロセッサ」を開発しました。新しいI/F規格「MADI」も取り込み、対応力を強化しています。 今後、映像システムと共に、音声も複合的に備わった提案も強化して参ります。 放送システムにおいては、今年度、以下の開発成果がありました。 MoIPシステム構築のキーデバイスであるIP Media GW(Gateway)を開発しました。IP Media GWは従来の信号方式であるSDI(Serial Digital Interface)信号とIPメディア伝送規格であるSMPTE ST.2110方式の相互変換を行う装置で、MoIPシステム構築に必須のものです。InterBEE2022展示会において自社製ブロードキャストコントローラを用いてスイッチャとIP Media GWを連携させたミニスタジオサブシステムを展示し好評を博しました。また、放送システム機器全ての制御通信方式としてEthernet化(IP化)を進めており、リモートプロダクションと呼ばれる遠隔地からの運用操作にも容易に対応可能になります。これによりMoIPシステムの真価を発揮させ、近い将来にクラウド環境へのシステム構築を見据えた取り組みを進めています。 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。 放送局向け4K対応FPU装置「PF-900」のFPU受信基地局更新需要への対応に向け、さらなる受信性能向上の開発をしました。受信性能の向上により、アンテナの小型化や送信出力を抑えること(低消費電力化)が可能となり、環境にかかる負担軽減にも貢献して参ります。 セキュリティ機器関連では、高画質化、ネットワーク化の市場ニーズのほか、様々な顧客ニーズに対応したシステム、ソリューション提供のための開発を進めています。 流通監視市場のIP監視システムでは全世界のIP機器との接続を実現するためONVIF対応の製品を提供しています。今年度、従来のONVIFプロトコルProfile-Sを、最新プロトコルのProfile-T対応の開発を行いました。これにより全世界のONVIF対応製品と更に柔軟な接続が行えるようになり、機種、機能の選択肢の幅が増え、様々なニーズに対応したシステム提案が可能となりました。 更にIP監視システムで必要不可欠の伝送装置ではH.265コーデック対応を進めており、従来より高画質、ネットワーク負荷を低減した高品質のソリューションを提供して参ります。 鉄道市場では、車掌用ホーム監視システムにおいて、定期保守の効率性、安全性を確保した独自の昇降式ハウジングを開発し好評を博しております。今年度、更なる小型、軽量、省メンテナンス化を目指し開発を進めて参りました。今後はこれを製品化し鉄道の安全運転、定時運行に寄与して参ります。 メディカル機器関連では、医療現場に求められる映像装置の研究開発を進めています。 今年度、忠実な色再現性や高感度かつ高画質を追求した小型 HD カメラ「MKC-X300」、および高輝度で忠実な色再現が可能な 27 型液晶モニタ 「MLW-2760C」を開発しました。 「MKC-X300」は、小型光学プリズムと1/2.8型CMOSで構成された小型カメラヘッドを実現、手術顕微鏡など限られたスペースに取り付けても操作性が損なわれません。また、汎用モデルでありながらS/N比63dBの高画質を実現しており、16軸方向で独立した色相・彩度の調整が可能なカラーコレクト機能を搭載し忠実に色を再現することができます。 「MLW-2760C」は、PIP(Picture In Picture)やPOP(Picture Out Picture)などの2画面表示を可能とし、表示している映像をそのまま出力するMonitor Out機能を実現しました。また、保護パネルと筐体を一体型の構造とすることで防塵防滴性に優れ清掃がしやすい清潔なデザインとし、病院内の感染リスクなどを回避することが期待できます。 今後も差異化技術を追求し機能性能の改善を図り、低侵襲手術を始めとした医療技術の向上、発展に貢献して参ります。 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。 医薬市場では、近年の超高齢化社会を背景に、ジェネリック医薬品の使用促進による医薬品生産量の急速な増加や昨今の安定供給問題等により、高速で高精度な医薬品検査を行い、規格・品質を担保する検査装置へのニーズが高まっています。その中で錠剤の外観検査においては、高い水準で安定した品質を維持するために、錠剤全周の異物付着や汚れ、割れ、欠け、形状不良など様々な不良を高精度で検出するとともに、刻印錠、割線錠のように凹部を持った錠剤の形状欠陥検査においても精度向上が求められています。 この状況において、今年度は2020年11月に新製品として市場投入した錠剤外観検査装置「TIE-10000」の機能強化および利便性向上の開発を行いました。特に利便性向上では、品質基準シミュレーション機能の強化、オペレータにやさしいユーザーインターフェイス(操作画面の一新)など、さまざまな機能を開発し好評を博しております。さらに、これらの機能を搭載した「TIE-10000」は、医薬以外の市場にも採用いただきました。今後は、AI/IoT技術を活用し、さらなる製品価値向上の開発を推進して参ります。 産業市場では、自動検査の要求が一段と増える中、枚葉査装置「PIE-650M」とロボットとの連携による軟性フィルムなどの搬送システムを開発しました。このシステムは連続生産ソリューションニーズを捉えたことで引合いが増えており、今後、他企業との技術アライアンス等も含め、更なる連続生産ソリューションを提供して参ります。
秩父鉄道株式会社
# 秩父鉄道株式会社 当社の企業集団は、当社・子会社7社で編成され、その営んでいる主要な事業内容は次のとおりであります。 該当事項はありません。 当社沿線にて索道及び動物園の営業を行っております。 当社沿線にて乗合及び貸切バス事業を行っております。 当社資材の購入及び駅売店・卸し販売業を行っております。 当社線路施設保守・電気施設保守を行っております。 当社沿線にて旅行業を行っております。 2023年3月31日現在の組合員数は280名で、日本私鉄労働組合総連合会に加盟しており、労使関係は安定した状況にあります。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、鉄道事業・不動産事業・観光事業・バス事業・その他事業を営んでおり、経営理念として以下を掲げ、人々の豊かな生活と未来を築くことを目指します。 ① お客様に対し、安全でゆとりとやすらぎのある快適なサービスを提供する。 ② 沿線地域社会の発展と環境保全に貢献する。 ③ これらを実現するため経営資源の充実と経営基盤の強化に全力を傾注する。 その他、経営理念に基づく基本方針として「安全基本方針」「環境経営基本方針」「人材育成基本方針」を定めています。 株主の皆様からお預かりしております株主資本は、有効に活用させていただいておりますが、現在全社一丸となって収益構造の改善と累積損失の解消に取り組んでいるところであり、目標とする経営指標などにつきましては、安定的に収益が確保できる態勢が確立できた段階で設定したいと存じます。 グループ全社が一丸となり、事業基盤の保持・強化を図りつつ、新たな事業構造の構築に向けた中長期的な戦略として、以下に基づき、具体的な対策を計画・推進してまいります。 当社グループは、鉄道事業を柱として事業展開していることから、公共交通機関としての「安全・安心・安定」を維持できる事業者であることが使命であり、輸送の安全、無事故無災害の達成を最優先課題に掲げております。この課題の達成に向け、全役員・従業員が、安全に対し常に意識を持ち業務にあたるとともに、近年頻発・激甚化する自然災害などに対応すべくソフト・ハード両面における取り組みを更に強化してまいります。 また、当社沿線における居住人口の長期的な減少傾向が続く中、電力料金をはじめとするコストの上昇により、非常に厳しい事業環境にあります。公共交通事業者としての責務を果たし続けていくため、経費削減等の経営努力を続けるとともに、事業の採算性のほか多面的な検証を行い、適正な運賃・料金について検討を行ってまいります。 他方、今後の持続可能な成長を実現するためには、「人財」への投資は必要不可欠であります。人財への投資を増やしていき専門知識や経験を有する人材を育成するとともに、就業環境の改善を図り、従業員にとって魅力ある会社づくりを進めてまいります。 当社ふかや花園駅周辺における「花園IC拠点整備プロジェクト」による各施設の開業は、沿線への交流人口増加の契機となっております。引き続きその効果を最大限に享受すべく、また、沿線の各観光施設への周遊の機会を増加させるべく、当社グループ一体となり、各種イベント、諸施策を実施してまいります。 加えて、安定収益の拡大を図るため、駅前を中心とした遊休不動産の活用方法を検討し実行してまいります。 当社は、これらを実現するための体制づくりとして、新年度より組織を見直し、グループ全体の観光事業の再構築と、より安定的で収益力の高い不動産事業への転換を目指してまいります。今後は、グループ会社の統合・再編も視野に入れ、経営の効率化による早期の業績回復と強固な経営基盤の構築を図り、もって、企業価値向上と地域貢献に努めてまいります。 当社では、内部統制、コンプライアンス及びリスク管理に関する社内規程を策定し、子会社を含めて適切に対応できる体制を構築しております。 上記の運用については、四半期毎にグループCSR委員会を開催してコンプライアンスやリスク管理に関する課題や情報の共有を図る他、随時内部監査部門を通じたグループの運用状況の監督を行っています。 当社は中長期的な企業価値の向上のためには多様な人材の活用と人材の育成が重要であると考えており、人材育成については「人材育成基本方針」を定め、人材の多様化及び環境整備については「行動計画(女性活躍)」や「行動計画(次世代育成)」において数値目標や取組みテーマを定めており、これらは実績数値とあわせて当社ホームページで開示しております。なお、当社は公共交通機関として輸送の安全確保が最重要課題であることなどから、現時点では積極的に外国人採用を行う環境にはないため、外国人の採用・管理職登用の数値目標は設定しておりません。また、当社の主要事業である鉄道事業の特性から、従業員の社内育成を基本としており、従業員の離職率も低いことなどから、中途採用の必要性は限定されております。このため、中途人材についても採用・管理職登用の数値目標は設定しておりません。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは鉄道事業を中心に事業を展開しておりますが、鉄道事業法、道路運送法をはじめ法令・規則等の規制を受けており、これら法令の変更・強化によって、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社の路線は、羽生駅から三峰口駅までの本線と武川駅から三ヶ尻駅までの貨物線であり、当社グループの施設、設備も鉄道沿線に集中しているため、地震等の自然災害によって多大な損害を受ける可能性があります。 また、施設等の復旧までの間、列車の運休や遅延、その他による営業収益の減少と施設・設備の修復及び代替輸送のために、多額の費用を要することとなる可能性があります。 当社の主要株主である太平洋セメント株式会社のセメント原料等を輸送しており、その営業収益は、当社の全営業収益の26.0%を占めております。そのため、当社グループの業績は太平洋セメント株式会社の輸送方法の変更、輸送量の減少等によって影響を受ける可能性があります。 当社グループは鉄道事業を中心に継続的に設備投資を行っており、その資金は金融機関等からの借入により調達しておりますが、金利の変動によって、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 鉄道事業、バス事業においては、その動力を原油に依存しており、電気やガソリン、軽油などの価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 国際情勢の緊張状態が続いており、各国において公共交通機関等がターゲットになる危険性が指摘され、わが国も例外ではありません。当社グループの施設、車両において爆弾テロ等が発生した場合、多大な損害を受ける可能性があります。 新型コロナウイルス感染症の流行が拡大した場合、利用客の減少による事業縮小や従業員の感染による休業等の可能性があります。 また、これらの事象が長期化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、継続して営業損失を計上してきており、更に、当連結会計年度において多額の営業損失、経常損失、当期純損失を計上しているため、監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」に照らすと、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しているとみなされます。このような事象または状況を解消するために、以下の課題に取り組んでまいります。 これらの施策により、翌連結会計年度の資金繰りは安定すると考えられることから、現時点において今後の事業継続に関して重要な不確実性は認められないものと判断しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。 当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和される中、深谷市において大型商業施設が10月に開業されるなど、沿線への交流人口増加の動きも見られました。当社グループでは、こうした環境変化を捉え、ダイヤ改正を実施するとともに、沿線の市町や商業施設、同業他社と連携した誘客活動を積極的に展開し、地域の活性化と収益の確保に努めました。 しかしながら、感染症の波状的な拡大や電力料金をはじめとする諸物価の上昇など、当社グループを取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況が続きました。この結果、当連結会計年度の営業収益は4,688百万円(前期比7.7%増)、営業損失は361百万円(前期は287百万円の営業損失)、経常損失は311百万円(前期は192百万円の経常損失)となりました。また、主に鉄道事業におきまして、収益性の低下による減損の兆候が認められたことから、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき資産グループ毎に将来の回収可能性を検討した結果、固定資産の減損損失として特別損失に5,894百万円を計上いたしました。これにより、親会社株主に帰属する当期純損失は5,046百万円(前期は47百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 セグメントごとの業績は、次のとおりです。 鉄道事業におきましては、輸送の安全性向上を図るため、設備面では熊谷駅駅舎耐震補強工事や小前田変電所高速度遮断器更新工事などを実施するとともに、異常時訓練や警察機関との共同訓練の実施、安全指導による従業員の意識向上に取り組みました。 旅客部門では、ダイヤ改正により、輸送力の強化や羽生・行田市方面から長瀞・秩父方面へのアクセス向上を図るなど、旅客需要に応じた利便性向上に努めました。また、SLの魅力を高める各種企画列車の運行、記念乗車券類の発売のほか、駅前イベントの2拠点同時開催や同業他社と連携するフリー切符の利用区間拡大など、沿線周遊促進策にも取り組み、旅客誘致に努めました。これらにより、定期・定期外旅客の人員および収入は前期に比べ増加いたしました。 貨物部門では、輸送量が減少したことにより、貨物収入は前期に比べ減少いたしました。 営業費用は、電力単価高騰により電力費が大幅に増加したことに加え、設備投資に伴う減価償却費などにより、前期に比べ大幅に増加いたしました。 この結果、営業収益は3,047百万円(前期比3.5%増)、営業損失は415百万円(前期は237百万円の営業損失)となりました。 乗車効率とは客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。 不動産事業におきましては、熊谷駅南口駐車場の稼働率が向上するなど、賃貸収入は前期に比べ増加いたしました。 一方、営業費用は、賃貸物件の修繕工事実施などにより前期に比べ増加いたしました。 この結果、営業収益は349百万円(前期比2.1%増)、営業利益は159百万円(同8.2%減)となりました。 観光事業におきましては、行動制限の緩和やいわゆる県民割などにより、個人利用が増加したほか、団体利用にも一部回復が見られました。 営業費用は、光熱費などが増加いたしました。 この結果、営業収益は403百万円(前期比9.8%増)、営業損失は30百万円(前期は36百万円の営業損失)となりました。 バス事業におきましては、学校団体など一部の貸切バス需要に回復が見られたほか、4月からの新規スクールバスの運行開始もあり、収入は前期に比べ増加いたしました。 営業費用は、修繕費の増加のほか、燃料費高騰の影響も受けました。 この結果、営業収益は204百万円(前期比30.8%増)、営業損失は64百万円(前期は100百万円の営業損失)となりました。 その他事業におきましては、卸売・小売業では、コンビニエンスストアなどの売上が堅調に推移したほか、建設・電気工事業では、推進工事の受注がありました。また、旅行業では、2月から全天候型レジャー施設として「長瀞トリックアート有隣倶楽部」の営業を開始いたしました。 この結果、営業収益は1,014百万円(前期比14.6%増)、営業損失は26百万円(前期は101百万円の営業損失)となりました。 現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ61百万円増加し810百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動により得られた資金は333百万円となりました。これは、減価償却費が440百万円となったことなどによるものであります。 投資活動により使用した資金は299百万円となりました。これは、工事負担金等受入による収入が830百万円となった一方で、固定資産取得による支出が1,121百万円となったことなどによるものであります。 財務活動により得られた資金は27百万円となりました。これは、長期借入金の返済による支出が1,351百万円となった一方で、長期借入れによる収入が1,385百万円となったことなどによるものであります。 当社グループのサービスは、鉄道事業を中心として営業しており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」における各事業のセグメント業績に関連付けて示しております。 なお、最近2連結会計年度の主な相手先別の営業収益及び当該営業収益の総営業収益に対する割合は次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和される中、深谷市において大型商業施設が10月に開業されるなど、沿線への交流人口増加の動きも見られました。当社グループでは、こうした環境変化を捉え、ダイヤ改正を実施するとともに、沿線の市町や商業施設、同業他社と連携した誘客活動を積極的に展開し、地域の活性化と収益の確保に努めました。 しかしながら、感染症の波状的な拡大や電力料金をはじめとする諸物価の上昇など、当社グループを取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況が続きました。この結果、当連結会計年度の営業収益は4,688百万円(前期比7.7%増)、営業損失は361百万円(前期は287百万円の営業損失)、経常損失は311百万円(前期は192百万円の経常損失)となりました。また、主に鉄道事業におきまして、収益性の低下による減損の兆候が認められたことから、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき資産グループ毎に将来の回収可能性を検討した結果、固定資産の減損損失として特別損失に5,894百万円を計上いたしました。これにより、親会社株主に帰属する当期純損失は5,046百万円(前期は47百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「3 事業等のリスク」に記載した事項が経営成績に重要な影響を与える可能性がありますが、その他に、当社グループは観光に関する事業が多く、また、地域も限定されているため、土曜・日曜・ゴールデンウィーク・夏休み等の天候不順が営業成績に重要な影響を与える要因になります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 当社グループは、運転資金、設備投資資金等の資金調達が必要な場合は、金融機関からの借入金によることを基本としております。 なお、翌連結会計年度における重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりでありますが、現在のところ自己資金及び金融機関からの借入金以外の資金調達の計画はありません。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)(固定資産の減損)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
K&Oエナジーグループ株式会社
# K&Oエナジーグループ株式会社 当社は、共同株式移転の方法により、2014年1月6日付で関東天然瓦斯開発㈱(現 連結子会社)と大多喜ガス㈱(現 連結子会社)の完全親会社として設立されました。 関東天然瓦斯開発㈱と大多喜ガス㈱が共同株式移転の方法により当社を設立。東京証券取引所市場第一部に株式を上場。 本店を東京都中央区から千葉県茂原市に移転。 地熱井等の掘削事業を行う㈱WELMA(現 連結子会社)を子会社化。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行。 朝日興業㈱として設立。 社名を朝日㈱に変更。 社名を㈱於菟商会に変更。 社名を大多喜天然瓦斯㈱に変更し、天然ガス事業に進出。 子会社、天然瓦斯化学工業㈱(1951年5月解散)を設立し、ヨウ素事業を開始。 東京証券取引所に株式を上場。 千葉天然瓦斯㈱(1934年1月設立)を吸収合併し、都市ガス供給事業に進出。 社名を関東天然瓦斯開発㈱に変更。ガス事業法に基づくガス販売業務その他営業の一部を新設の大多喜天然瓦斯㈱(現 大多喜ガス㈱)に譲渡。 子会社、関東建設㈱(2018年10月に関東天然瓦斯開発㈱を存続会社として合併)を設立し、建設業等営業の一部を譲渡。 東京証券取引所市場第一部に株式の上場指定替え。 子会社、KNG AMERICA, INC.を設立し、米国内における石油・ガス開発事業を開始。 天然ガス・ヨウ素事業を行う日本天然ガス㈱(現 K&Oヨウ素㈱)(現 連結子会社)を子会社化。 東京証券取引所市場第一部における株式の上場を廃止。 日本天然ガス㈱(現 K&Oヨウ素㈱)との間の吸収分割により、ヨウ素及びヨウ素化合物の製造・販売に関わる事業を日本天然ガス㈱に、日本天然ガス㈱による天然ガスの開発・採取・販売に関わる事業を関東天然瓦斯開発㈱に統合。 大多喜天然瓦斯㈱(現 関東天然瓦斯開発㈱)の子会社として、ガスの供給販売を主目的に大天瓦斯販売㈱として設立。 商号を大多喜天然瓦斯㈱に変更。関東天然瓦斯開発㈱より、ガス事業法に基づくガスの供給事業、圧縮天然ガスの製造・販売事業及びこれに附帯する事業を譲り受け。 子会社、オータキ産業㈱(2018年1月に大多喜ガス㈱を存続会社として合併)を設立し、圧縮天然ガス及び液化石油ガスの供給販売事業を開始。 商号を大多喜ガス㈱に変更。 お客さま件数10万件突破。 千葉県山武郡成東町(現 千葉県山武市)より、町営のガス事業を譲り受け。 東京証券取引所市場第二部に株式を上場。 お客さま件数15万件突破。 東京証券取引所市場第二部における株式の上場を廃止。 電力事業(卸販売)を開始。 電力事業(小売販売)を開始。 当社グループは、当社及び子会社10社(連結子会社4社、非連結子会社6社)並びに関連会社3社で構成されております。 主な事業内容は、天然ガスの開発から需要家へのガスの供給までをグループ内で一貫して行うガス事業、天然ガスの生産に付随するかん水を利用したヨウ素事業であります。当社グループの営んでいる事業内容と各社の位置付けは次のとおりであり、記載区分は事業の種類別セグメントと同一であります。 また、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。 当事業には、連結子会社2社(関東天然瓦斯開発㈱、大多喜ガス㈱)及び非連結子会社2社等が関わっており、主な事業としては関東天然瓦斯開発㈱が天然ガスの開発・採取・販売を、大多喜ガス㈱が都市ガスの供給・販売、LPガスの販売、圧縮天然ガスの製造・販売を行っております。 関東天然瓦斯開発㈱は、大多喜ガス㈱に対してガスを販売しております。 当事業には、連結子会社2社(関東天然瓦斯開発㈱、K&Oヨウ素㈱)が関わっており、関東天然瓦斯開発㈱がヨウ素の原料となるかん水の販売を、K&Oヨウ素㈱がヨウ素及びヨウ素化合物の製造・販売を行っております。 関東天然瓦斯開発㈱は、K&Oヨウ素㈱に対して、かん水を販売しております。 その他の事業には、連結子会社3社(関東天然瓦斯開発㈱、大多喜ガス㈱、㈱WELMA)及び非連結子会社6社(KNG AMERICA, INC.、ほか5社)等が関わっており、電気の供給・販売、土木工事やガスの販売に伴う配管工事等を行う建設事業、ガス機器等の販売、地熱井等の掘削事業、地質・水質調査事業、米国内における石油・ガス開発事業等を行っております。 当社グループを事業の種類別セグメントごとに図示すると次のとおりであります。 当社と経営指導契約等を締結しております。 当社と経営指導契約等を締結しております。 当社と経営管理契約等を締結しております。 当社グループには、当社及び関東天然瓦斯開発㈱、大多喜ガス㈱の従業員で構成された関東天然瓦斯開発労働組合があり、全国ガス労働組合連合会に加盟しております。2022年12月31日現在の組合員数は278名であります。 また、K&Oヨウ素㈱の従業員で構成されたKOI労働組合があり、日本化学エネルギー産業労働組合連合会に加盟しております。2022年12月31日現在の組合員数は55名であります。 なお、労使関係については良好な関係にあり、特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、総合エネルギー事業の推進と世界的に稀少な資源であるヨウ素の販売を通じて、快適で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指して事業を展開しております。 <グループ経営理念>エネルギーとヨウ素の開発・生産・販売を通じ、快適で豊かな生活と持続可能な社会の実現に貢献します。・環境と調和し、地域社会と共生する事業を展開することで、持続可能な社会の実現に貢献します。・安全・安心とお客さま満足を追求し、多様なサービスを創出・提供することで、快適で豊かな生活の実現に貢献します。・社員一人ひとりが積極的に能力を開発・発揮し、高い目標に向かって挑戦する企業風土を実現します。 2022年はロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギー市場の安定性が揺らぎました。こうした情勢のなかでも、脱炭素に向けた世界のうねりは着実に高まっています。わが国においても、2050年カーボンニュートラルや2030年度の温室効果ガス削減目標の実現に向け、今まで以上に安全の確保を大前提とした安定的で安価なエネルギー供給の確保を追求していくことが求められています。 こうした状況下において、当社グループが操業する南関東ガス田における水溶性天然ガスは、貴重な国産エネルギー資源として高い重要性を有しており、安定的な開発・生産を推進していく必要があります。また、ガス事業者は地域に根ざしたエネルギー事業者として、地域のお客さまが求めるエネルギーやサービスを提供することに加え、エネルギーの安定供給の確保や、自治体や地域企業との連携による地域創生やSDGsへの貢献、さらには再生可能エネルギー等の地域資源を活用した脱炭素化への貢献といった取り組みが期待されており、当社グループもこれらの期待に応えていく必要があります。さらに、ヨウ素は医療分野から電子産業分野まで需要が拡大しており、今後も新興国を中心に安定的に市場が拡大していくことが見込まれております。ヨウ素資源は主にチリと日本に偏在しており、ヨウ素及びヨウ素化合物の需要の拡大に見合う供給が求められています。  また企業の役割として、将来の事業構想を踏まえた中長期的な人材戦略を展開し、社会環境の変化に対応できる人材の採用・開発を強化することにより、企業だけでなく個人として持続的な成長を図ることや、持続可能な企業グループとして成長するための経営基盤の強化やガバナンスの向上を実現することが求められています。 こうした事業環境をふまえ、当社グループは、「2030年に向けた経営方針」と長期経営ビジョン「VISION2030」を踏まえ、「中期経営計画(中計2024)」に取り組み、単年度実行計画を着実に達成していくことにより、マテリアリティ(重要な社会課題)を解決し、地域社会の発展及び持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業グループとしてさらなる成長を目指します。 (1) 国産資源開発のスペシャリストとして、環境と調和した開発を推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。 (2) 地域社会に欠くことができない総合エネルギー事業者として、快適で豊かな生活の実現に貢献し、暮らしと経済を支えます。 (3) ステークホルダーの期待に応え、持続可能な企業グループとして成長します。 当社グループは、コア事業である天然ガス鉱業・エネルギー供給事業・ヨウ素事業を維持・拡大するとともに、エネルギーの上流側では天然ガスに加えて、地下資源開発力・掘削技術を活かした地熱をはじめ、太陽光・風力など様々な再生可能エネルギーの開発・生産に取り組み、下流側ではエネルギー供給を基盤としたエネルギーサービスとともに地域共創に取り組みます。 「天然ガスの安定生産」「かん水(ヨウ素の原料)の増産」「再生可能エネルギー開発への投資拡大」を推進し、エネルギー資源開発を展開します。 総合エネルギー事業者として、「お客さまのニーズに応じたエネルギーの多様な価値の提供」「地域や暮らしに密着したサービスを提供し、地域の社会課題の解決への貢献」を実現します。 世界のヨウ素メジャーを目指して、他社とのアライアンスを強化し、国内外でヨウ素の増産を図り、お客さまの需要拡大に応えます。 2050年カーボンニュートラル実現のため、再生可能エネルギー発電の開発、エネルギーの脱炭素化、森林保全、GHG回収、メタネーションやCCS等に関する研究・開発など、多様なアプローチを複合的に取り組みます。 将来の事業構想を踏まえた中長期的な人材戦略を展開し、社会環境の変化に対応できる人材の採用・開発を強化することで、企業と個人の持続的な成長を図ります。 持続可能な企業グループとして成長するため、「経営基盤の強化」「ガバナンスの向上」に取り組みます。 当社グループの経営成績及び財政状態等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、本項における将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループにおきまして、事故や災害等によるガス・ヨウ素設備への損害や、操業トラブルが発生した場合には、ガスの生産・供給及びヨウ素の生産の支障になるほか、設備復旧等のために費用が発生する可能性があります。特にガス設備に大規模な漏洩・爆発事故等が発生した場合には、その直接的損害に加えて、信用失墜や損害賠償責任等が生じる可能性があります。 また、ガス・ヨウ素の調達先や販売先での事故や災害等による稼働停止等が生じた場合には、調達支障や販売量減少の可能性があるほか、不測の停電や電力使用制限等が生じた場合には、同様の影響に加え、当社グループにおけるガス生産量やヨウ素生産量が減少する可能性があります。 そのため、当社グループは、ガス導管設備の耐震化や、各設備の継続的な修繕、主要設備の受電の予備電源化等の予防対策を行うとともに、事故や災害等の発生時には速やかな復旧対策を講じることで、リスクの軽減を図っております。 当社グループにおきまして、事業地域における経済活動の影響を受け、ガス販売量及び受注工事・器具販売等の売上高が減少する可能性があります。 そのため、当社グループは、事業地域における新規拡販や営業力の強化、並びにコスト削減等による生産ガスの競争力強化を推進してまいります。 当社グループにおきまして、冷暖房及び給湯にかかる需要を中心として、ガス需要が気温・水温の影響を受けることから、天候の変動によって、家庭向けを主としたガス販売量が減少する可能性があります。 そのため、当社グループは、気温・水温の影響を受けにくい工業用のお客さまへのガスの拡販や、一年を通じて平均的にご利用いただける家庭用燃料電池コージェネレーションシステムであるエネファームの拡販等を推進することで、リスクの軽減を図っております。 「2050年カーボンニュートラル」に向けた社会状況の変化に伴い、当社グループにおきまして、他エネルギー企業との競合の激化や、大口販売先の需要減少、既存需要の他燃料への転換等によって、ガス販売量が減少する可能性があります。また、ガス需要の大幅な伸びに対応する必要等が生じた場合には、設備の新設・増強や新規ガス源の確保等にかかる設備投資が発生するため、減価償却費等の増加の影響を受けて、一時的に利益が減少する可能性があります。 そのため、当社グループは、「S+3E」のバランスに優れた国産天然ガスを活用しながら、長期的には、ガスに限らず、再生可能エネルギーの開発やカーボンオフセットに関する研究・開発を進めることで、カーボンニュートラルへの道筋を確立し、多様化するお客さまニーズへ応えていくことを目指し、短期的には、国産天然ガスの高度利用やカーボンオフセットにする各取り組みを検討・実施してまいります。また、中期経営計画に基づいた設備投資を行うことでコストの平準化と価格競争力の維持を図っております。 当社グループは、天然ガスを開発・生産しており、生産設備の老朽化や新規開発の不調等によるガス生産量の減少、老朽更新投資等によるガス生産コストの上昇が発生する可能性があります。また、当社グループが仕入れているガスの一部は、輸入エネルギー価格の影響を受けるため、利益が減少する可能性があります。 そのため、当社グループは、中期経営計画に基づいた適時適切な設備投資を行うことで生産量の維持拡大とコストの平準化を図るとともに、調達ガス源を分散化することで、リスクの軽減を図っております。 当社グループは、鉱業法及び鉱山保安法、ガス事業法、その他の法令に従って事業を行っているため、法令・制度の改正が事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループは、法令・制度の改正の早期把握に努め、法令・制度の変更に適切に対応してまいります。 当社グループは、天然ガス・ヨウ素を含有したかん水を地下から汲み上げて、天然ガス及びヨウ素の生産を行っているため、排水にかかる水質規制や、開発地域である千葉県との排水限度量について定めた地盤沈下防止協定の動向等により、天然ガス及びヨウ素の生産量が減少する可能性があります。 そのため、当社グループは、水溶性天然ガス環境技術研究組合※の組合員として他組合員と共に環境負荷低減のための試験研究等を行うとともに、かん水の地下還元等による排水量の管理を行い、併せて適切な水質管理を行うことにより、排水全般に対して適切な管理を行っております。 当社グループは事業の性格上、多くのお客さま情報をはじめとする個人情報をお預かりしており、その社会的責任は極めて重いものと認識しております。個人情報漏洩等の事態が発生した場合には、信用失墜や損害賠償責任等が生じる可能性があります。 そのため、当社グループは、業態に応じた個人情報取扱要領を定めて、関係者に対してルールの徹底、システム的な管理体制の整備を行う等、その取り扱いに万全を期しております。 当社グループにおきまして、ガスの生産・供給や料金計算等に関する基幹的な情報システムに重大な支障が発生した場合には、ガス生産量の減少やお客さまへの安定供給や円滑なサービスの提供が損なわれることにより、ガス販売量の減少や信用失墜が生じる可能性があります。 そのため、当社グループは、サーバーのセキュリティ対策や定期的なメンテナンス等の確実な実施のほか、障害時対応体制の整備を行っております。 当社グループにおきまして、大部分を海外に輸出しているヨウ素は、海外市況や為替の影響により、販売量の減少や販売価格の低下が生じる可能性があります。 そのため、当社グループは、海外に輸出しているヨウ素の販売先の多様化等を図っております。 当社グループが所有する金融資産・不動産等は、市況や金利、投資先の財政状態等の変動により利益の減少や損失が発生する可能性があります。 そのため、当社グループは、これらの管理に関する規則を定め、安全性の高い資産への分散投資等によりリスクの軽減を図るとともに、定期的な状況の確認・評価を行っております。 当社グループにおきまして、万一法令・規則違反や企業倫理に反する行為等が発生した場合には、その直接的損害に加えて、信用失墜や損害賠償責任等が生じる可能性があります。 そのため、当社グループは、子会社等も含めたコンプライアンス体制の整備を行っております。具体的には、グループ各社の社長等で構成するコンプライアンス委員会を設置し、遵法精神と企業倫理に基づく事業活動の徹底に取り組み、コンプライアンスに関する講演会や研修等を実施しております。 当社グループにおきまして、新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴い、業務用や工業用のお客さまの事業活動停止や縮減等により、ガス販売量が減少する可能性があります。 そのため、当社グループは、ガスの機動的な供給計画の検討・実施、及びお客さまからの早期の情報収集や新規開拓営業等により多様な需要を獲得することで、リスクの軽減を図っております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。) の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による規制が徐々に緩和され、社会経済活動に持ち直しの動きがみられたものの、ロシアのウクライナ侵攻などを契機とした原材料・エネルギー価格の高騰、急激な為替変動などにより、先行き不透明な状況が続きました。 こうしたなか、当連結会計年度の売上高については、主に販売価格の上昇によってガス事業の売上高が増加したことなどにより、60.7%増加の106,200百万円となりました。またヨウ素販売価格が上昇したことなどにより、営業利益は85.5%増加の7,304百万円、経常利益は79.3%増加の7,931百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については67.5%増加の4,766百万円となりました。 増減の比較については、全て「前連結会計年度」との比較であります。 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」といいます。)等を当連結会計年度から適用しております。このため、前連結会計年度との比較は基準の異なる算定方法に基づく数値と比較しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更等)」をご参照ください。 セグメントごとの業績は次のとおりであります。なお、2022年1月1日付で連結子会社間の吸収分割による事業再編を実施しており、当連結会計年度より「ガス事業」にて計上していた原価の一部を「ヨウ素事業」の原価として計上する変更を行っております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度のセグメント利益の組替えを行っております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。 <ガス事業> 輸入エネルギー価格の影響によりガス販売価格が上昇したことや、発電用途での需要増加等によりガス販売量が増加したことなどにより、売上高については64.4%増加の89,993百万円となりました。また、営業利益については、ガス仕入費用も増加したことなどにより、12.0%増加の5,300百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は151百万円減少し、営業利益は64百万円増加しております。 <ヨウ素事業> 好調な市況を背景に、ヨウ素販売価格が上昇したことに加え、為替も円安で推移したため、売上高については60.3%増加の8,892百万円、営業利益については194.2%増加の4,724百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による影響はありません。 <その他> 電力事業の売上高が増加したことなどにより、売上高については26.1%増加の7,313百万円となりました。一方、営業利益については建設事業の費用が増加したことなどにより、0.8%減少の524百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は814百万円増加し、営業利益は5百万円増加しております。 当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は、次のとおりであります。 増減の比較については、全て「前連結会計年度末」との比較であります。 <資産の部> 流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加などにより16.6%増加の42,949百万円となりました。また、固定資産は、関係会社長期貸付金及び建設仮勘定の増加などにより7.4%増加の66,874百万円となりました。以上の結果、資産合計は10.8%増加の109,823百万円となりました。 <負債の部> 流動負債は、支払手形及び買掛金の増加などにより62.9%増加の17,639百万円となりました。また、固定負債は、退職給付に係る負債の減少などにより5.7%減少の5,798百万円となりました。以上の結果、負債合計は38.0%増加の23,438百万円となりました。 <純資産の部> 純資産合計は、利益剰余金の増加などにより5.2%増加の86,385百万円となりました。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 増減比較については、現金及び現金同等物の期末残高は「期首」との比較、キャッシュ・フローは「前連結会計年度」との比較であります。 <現金及び現金同等物の期末残高> 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、20,920百万円(3.1%増加)となりました。 <営業活動によるキャッシュ・フロー> 税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより、12,172百万円(89.0%増加)の収入となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 有形固定資産の取得や関係会社への貸付などにより、9,668百万円(36.8%増加)の支出となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得などにより、1,874百万円(95.1%増加)の支出となりました。 当社グループの主な資金需要は、営業活動における運転資金及び投資活動における設備投資資金であります。運転資金は自己資金により、設備投資資金は自己資金のほか金融機関からの借入により調達しております。また、当社グループはグループファイナンスを導入しており、グループファイナンスを通じてグループ各社との間で必要な資金の融通を行っております。 なお、キャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績については、受注高の販売高に対する割合が僅少であることから、記載を省略しております。 なお、当社グループの主たる事業であるガス事業においては、受注生産を行っておりません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは、「中計2024」において、経常利益、ROA(総資本当期純利益率)などの財務目標と国産天然ガス生産量、ヨウ素販売量等などの非財務目標を経営指標として定めております。 なお、財務目標における当連結会計年度の実績は、ヨウ素市況や為替が追い風となったことで、経常利益79億円、ROA4.6%と、2024年目標値に到達しておりますが、これは一時的な外部要因によるものであるため、目標値は据え置いております。 当社は2014年1月6日付で、連結子会社である関東天然瓦斯開発㈱、大多喜ガス㈱との間で、経営管理・指導に関する「経営指導契約」を締結しております。 当連結会計年度の研究開発活動は、主にガス事業及びヨウ素事業に関するものを中心として、次のとおり実施いたしました。 なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は219百万円であり、特定のセグメントに帰属しない全社費用としております。 環境に配慮した水溶性天然ガス適正採取技術の研究を行うほか、生産効率化・増産のための研究等を実施しております。 新製品開発等のための研究を行うほか、生産効率化・増産のための研究等を実施しております。 新規事業の開拓を図るための研究開発等を実施しております。
株式会社ベルーナ
# 株式会社ベルーナ 当社は、現代表取締役社長安野  清が1968年9月に埼玉県上尾市に個人にて友華堂として創業した後、1977年6月に印鑑、陶器、家庭用品等の小売及び通信販売を行う目的で、資本金5,000千円をもって㈱友華堂(1株の額面金額10,000円)として設立されました。 株式額面変更のため、1992年4月1日を合併期日として、休業中のツバサ電機㈱(1947年11月設立、1株の額面金額50円)に形式上吸収合併されましたが、同時に存続会社の商号を㈱ベルーナに変更いたしました。 従いまして、以下の記載事項につきましては特段の記述がない限り、合併期日までは実質上の存続会社について記載しております。 なお、事業年度の期数は、実質上の存続会社の期数を継承しておりますので、1992年4月1日より始まる事業年度を第17期といたしました。 当社グループは、当社と連結子会社57社(2023年3月31日現在)により構成されており、アパレル・雑貨事業、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業、データベース活用事業、呉服関連事業、プロパティ事業及びその他の事業を行っております。 当社グループの事業内容及び当社と子会社の事業に係る位置付けは次のとおりであります。 次の8事業は、「第5  経理の状況  1.連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 なお、当連結会計年度より、従来「総合通販事業」としていた報告セグメントの名称を「アパレル・雑貨事業」に変更しております。 当社並びに当社子会社が、カタログやインターネット等を媒体とする、生活関連商品の販売及び関連事業を行っております。主要な商品は、衣料品、生活雑貨・家具等の家庭用品及び身の回り・趣味用品であります。子会社では、㈱ミン、㈱アイシーネット、丸長㈱、㈱セレクトなどがアパレル・雑貨事業を行っております。 当社子会社の㈱オージオが化粧品等を、㈱リフレが健康食品等を販売する事業を行っております。 当社が、食料品・日本酒・ワイン等を販売する事業を行っております。 当社子会社の㈱ナースステージが看護師向け通販事業、JOBSTUDIO PTE.LTD.が看護師人材紹介事業を行っております。 当社並びに当社子会社が、受託業務事業(封入・同送サービス、通販代行サービス)を行っております。子会社では、㈱サンステージが主に通信販売事業のお客様に対するファイナンス事業を行っております。BGL・レーベルが物流3PL事業を行っております。 当社子会社の㈱BANKANわものや、㈱さが美、㈱東京ますいわ屋などが和装関連商品の店舗販売等を行っております。また㈱マイムが衣料品を主体とした衣裳レンタル事業を行っております。 当社並びに当社子会社が、不動産賃貸・不動産再生及び開発事業を行っております。子会社では、㈱テキサス、㈱カリフォルニア、㈱オージオなどが不動産賃貸・不動産再生及び開発事業を、㈱グランベルホテル、MIRIANDHOO MALDIVES RESORTS PVT.LTD.等がホテル事業を行っております。 当社子会社のフレンドリー㈱が衣料品を主体とした卸売事業を、㈱エルドラドがゴルフ場運営事業・飲食店事業を行っております。 一部の連結子会社を除き、当社グループには労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は「お客様の衣食住遊を豊かにする商品及びサービスをより高い利便性、経済性、ファッション性をもって提供し社会に貢献する」ことを経営理念とし、安定性、成長性、継続性、収益性、のバランスのとれた真のエクセレントカンパニーを目指すことによって、株主、投資家の期待に応えていくことを経営の基本方針としております。 当社は、2023年3月期から2025年3月期までの第五次経営計画を策定しております。当社グループにおける経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、ROEであり、第五次経営計画最終年度までの目標指標は下記のとおりであります。なお、2023年3月期の業績進捗状況を踏まえ、2024年3月期及び2025年3月期の売上高予算・営業利益予算について修正を行っております。 当社は前連結会計年度より、セグメント個々の事業内容・進捗状況を分かりやすくすることを目的とし、事業セグメントを改編し、販売商品・サービスを基軸とした新セグメントに移行いたしました。新セグメントは、アパレル・雑貨事業、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業、データベース活用事業、呉服関連事業、プロパティ事業、その他の事業の8セグメントといたしました。中長期の方針は「売上高3,000億円、営業利益300億円を通過点に通信販売総合商社の成熟を目指す」としております。第五次経営計画においては、1つ1つの事業を太く強くし、シナジー効果を発揮するポートフォリオ経営の成熟を進め、各セグメント目標の達成を目指すと共に、SNSを含むネット化の推進、実践的人材の育成強化、シナジー効果を狙ったM&Aの推進を重点的に進めて参ります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの国内感染が縮小し、行動制限の緩和により消費活動が回復傾向となる一方、急激な円安の進行やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰により物価上昇が進行しており、先行きは不透明な状況にあります。国内の個人消費につきましては、物価上昇の影響はあるものの、外出需要に伴う消費活動が活発化し、徐々に回復傾向になりつつあります。通信販売業界におきましては、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や接触回避の影響が弱まったものの、幅広い顧客層からの通販利用需要の拡大が継続しております。 当社グループは、環境の変化に対応しながら、更なる成長を実現すべく経営基盤を強化して参ります。次期におきましては、新型コロナウイルスの5類感染症への移行に伴う国内経済活動の正常化や外出・旅行需要の高まりに対応すると共に、世界的な資源価格の高騰や欧米各国の金融引き締めに伴う為替変動に対応し、事業の継続性・安定性・収益性・成長性の確保を目指します。 国内経済活動の正常化や外出・旅行需要の高まりの影響及び原材料価格・資材価格の高騰や為替変動の影響は、事業種別・商品カテゴリ種別により異なります。外部環境の変化に対応し、当社グループの経営資源の配分最適化を行います。 顧客需要の変化及び原価・資材費上昇に対応し、新たな価値を生む商品及びサービスの投入を進めると共に、品揃え・媒体の最適化を行います。 アパレル雑貨事業におけるカタログ発行部数の減少に対応し、封入・同送サービス、通販代行サービスにおける新サービスを開発し、新規顧客拡大を進めます。 外出・セレモニー需要の高まりを見据え、新たなサービスの開発及び集客施策の強化により提供価値を高めると共に顧客認知を高め、成長性引き上げを目指します。 外出・旅行需要の高まりを見据え、集客施策の強化を行うと共に運営キャパシティの拡張を行い、ホテル事業の大幅成長を目指します。また、2023年3月に取得した北海道のホテルや2023年4月より一部稼働をスタートした銀座のホテル等複合施設の安定稼働を目指します。 当社グループは、経営上の意思決定、執行及び監督に係るガバナンス体制に加え、昨今のコンプライアンス上のリスク管理の重要性が高まっている状況を受け、コンプライアンスを含めたガバナンス体制・リスク管理体制の整備及び運用の強化に努めております。「リスク管理業務」については、内部監査室・法務部・経営企画室の3部門で連携を図ることで、更なるガバナンス体制の強化に取り組んでおります。 当社グループは、今後も継続してこれらの体制を維持・活用し、当社の文化として根付かせることを目指して参ります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「地域に生活するより多くのお客様の、衣食住遊を豊かにする商品及びサービスを提供し、お客様の生活と幸せの向上に貢献する」という理念のもと、1968年の創業以来、日本の社会的課題に取り組みながらお客様や取引先、従業員など多くのステークホルダーの皆様のご支援のもと成長して参りました。 日本では1970年代以降の物価上昇や1980年代後半からの女性の社会進出など、様々な社会環境の変化があり、時代の変遷と共に消費者のニーズも変化して参りました。その中で当社グループは、分割払い可能な家庭用品の通販や女性向け衣料品のカタログ通販など、商品やサービスを変えながらお客様のニーズに応え、現在まで事業を継続し、成長して参りました。社会的課題への適応は当社グループの根幹的な価値であり、これまでも、また、これからも引き続き課題の解消に貢献することが重要な使命だと考えております。 当社グループはサステナビリティに関する活動の社内横断的な検討・推進組織として「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。「サステナビリティ推進委員会」は、持続可能な社会の実現へ向けて当社グループが果たすべき貢献と当社グループの持続的な成長を目指す上で必要となる基本方針を策定し、かつ積極的な活動を取り決め横断的に推進することを目的とし、取締役会の諮問機関として設置されております。今後、この委員会を中心に、対応すべき課題を明確にし、持続可能な社会の実現に向けた活動を加速して参ります。 当社グループは、「サステナビリティ宣言」に則り、ステークホルダーの期待や要請にグループが一体となって応えていくために重要課題を特定しました。重要課題の特定にあたっては、検討すべき社会課題および当社グループに求められる要請について、ステークホルダーごとに洗い出しを行い、全123項目を抽出した上で、整理・分類し25つの課題を特定しました。ステークホルダーにとっての重要度および事業会社によっての重要度を分析し、当社グループにおいて社会的な影響が特に大きいアパレル・雑貨事業について7つのマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。当社グループでの取り組みは下記の通りです。 安全・安心な商品を提供するカタログ通販ビジネスを通じて、全国どこへでもお客様の豊かな衣食住遊を支援するとともに、「買い物難民」問題の解決に取り組みます。 お客様のニーズの的確な把握、入・出荷量の調整等、ITを活用した商品ロスを最小限にする取り組みを実施しています。 CO2排出実態調査の後、物流センター等の大規模施設におけるエネルギー管理の強化を通じてCO2排出量を削減に取り組みます。 従業員向けの職場満足度調査を実施し、働きやすさや働きがいに関する声を収集し、改善に向けて取り組んでいます。 オーガニックコットンやリカバーブルーといった素材を使用するだけでなく、製造工程・販売プロセスに至るまで持続可能な社会に貢献する商品のラインナップを拡充しています。 従業員向けの勉強会を開催するだけでなく、全社経営方針発表大会において、当社グループの考え方や取り組みを説明し、全従業員に対してサステナビリティに関する意識啓蒙を行なっております。 当社グループでは、『人の成長の先に、企業の成長がある』と考えています。わが社の求める社員像として「何事に対しても明るく、ポジティブに取り組み、お客様の満足とより良い仕事にこだわり、困難から逃げることなく、自分の能力とキャパシティを広げ、信頼を高めるために常に挑戦する」という方針を掲げ、人材の育成や活躍推進に取り組んでいます。 当社グループでは、「経験が人を育てる」という考えの下、事業活動の中での実践を通じてこそ成長が促進されるものと考えており、OJTを主体として、それを補完する形での研修制度(OFF-JT)の整備と自己啓発の促進に取り組んでおります。OJTにおいては、当人の成長意欲を重視し、「1勝9敗」の精神で果敢にチャレンジすることを推奨しています。若手社員にも積極的に権限を委譲し、成功や失敗の経験を通して成長できる環境を整えています。また社内ローテーションを推進し、幅広い経験を積むことで、逞しい人材を育成して参ります。 研修制度(OFF-JT)では、年次ごとの振り返り研修や管理者向けの研修を設けているほか、外部講師を招いて知識を習得するプログラムを実施しています。さらに、創業からの経験や歴史、哲学を創業者である代表取締役自ら発信する場を設け、当社の文化を継承する次世代の育成に取り組んでいます。また、資格取得や通信教育の受講といった「自己啓発」を後押しする各種施策・制度を充実させることによって、人材の育成・強化を図っています。 当社グループでは、多様な人材の活躍を推進しており、女性や海外人材、パート社員などの短時間勤務者といった様々な背景を持つ人材がそれぞれの強みを活かして活躍できる環境作りに取り組んでおります。当社グループでは、正社員からパート社員、アルバイト社員まで多くの女性社員が働いており、商品企画、カタログ制作、コールセンター業務、WEBサイト制作・運営など、幅広い分野で女性が活躍しています。パート社員が部長職にまで昇格するなど、パート社員でも能力の高い方、やる気のある方は、積極的に正社員や管理職に登用しています。また、短時間勤務や勤務形態の変更など、それぞれのワークスタイルに合った働き方ができる体制を整えています。当社グループでは、今後も多様な人材が活躍できる職場環境の整備と機会づくりに取り組んで参ります。 当社グループは、従業員一人一人がその能力を十分発揮し、自己成長できるよう、明るい職場環境と自由闊達な企業風土づくりに努めています。従業員のオペレーション品質や効率を高めると同時に、一人一人のモチベーションを高め組織全体のモラールの合計値を上げることを目的とした表彰制度「ガンバレーション制度」をグループ全社で導入しています。一人一人が目標達成意欲、自己成長意欲を持って各自の仕事に取り組み頑張った人をお互いに称賛・表彰することで部門活性化や、さらなるモラール(士気)向上に繋げています。 当社グループは「サステナビリティ推進委員会」が主体となって気候変動リスクをはじめとするサステナビリティに関するリスクをマネジメントしています。サステナビリティ推進委員会が中心となってリスクに関する情報・データを収集し、事業活動項目ごとに、リスクを網羅的に抽出します。次に、サステナビリティ推進委員会において、抽出したリスクの中から当社グループにとって重要なリスクを特定し、その重要性を評価します。サステナビリティ推進委員会によるリスクの識別・評価に基づく当社グループの戦略・施策等の方針や提言を取締役会へ報告することとしています。 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した7つの項目のうち、重要なテーマと位置付けている「CO2排出量削減」、「従業員の働き方改善」への対応についての目標及び実績は、次のとおりであります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、当社は、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努めて参ります。 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、国内及び海外各地にて事業を展開しており、規制当局による様々な法的手続き及び訴訟等に関するリスクを有しております。内部統制・管理体制を構築し法令遵守を徹底させておりますが、違反の効果的な防止が伴わない場合や、法規制の新規追加・変更等に伴い新たな義務や費用負担が発生した場合、当社グループの企業イメージの悪化や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業務に大きな影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの提供する商品については、独自の品質管理基準を設け、品質向上に取り組んでおります。しかし、将来にわたり販売した商品に安全性の問題等が発生した場合には、企業イメージの悪化や対応コストの発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの取扱商品について重大な事故等が発生した場合には、商品改修費用等が発生する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、独自の品質基準を設け商品の品質向上に取り組むとともに、関連法規の遵守に努めております。 当社グループでは、季節的な商品動向に基づいて販売計画を立てておりますが、冷夏や暖冬、長雨などの天候不順が起きた場合、商品売上の減少や過剰在庫などを招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 万が一自然災害等が発生した場合、受注処理及び商品出荷業務、商品仕入業務、督促・債権回収業務等は、多大な影響が発生する場合があります。その影響を最小限にすべく、情報システムの耐震対策やコールセンター及び物流センター等各種フルフィルメント拠点の分散化を行っております。しかしながら、大規模災害の発生による社会インフラの大規模な障害発生、疾病の流行、当社グループの設備等に被害が生じた場合等については、業務の全部又は一部が不全となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、競争力のある商品の生産及びコスト削減のために、取扱商品の大半を海外、主に中国から調達しております。しかしながら、政治情勢の変化、予期しない法律又は規制の変更、労働力の不足、ストライキ、デモ、経済状況の悪化、自然災害などにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、海外事業を展開する国及び地域の政治、経済情勢等の情報収集に努め、リスクを低減または回避するよう努めております。 カタログ等に使用する紙パルプ等の原材料市況が当社グループの想定以上に高騰した場合や、原油高騰等により運送業者への委託発送料が上昇した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、複数の購買先を確保するなどして仕入価格の変動抑制に取り組んでおります。 当社グループは、海外各国でプロパティ事業を展開しております。海外での事業展開において、政治・経済情勢の変化、法令や各種規制の制定・改正、テロ・戦争、地域的な労働環境の変化等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、海外事業を展開する国及び地域の政治、経済情勢等の情報収集に努め、リスクを低減又は回避するよう努めております。 当社グループの取扱商品の一部は海外から外貨建で輸入しております。為替相場の変動リスクを軽減するために為替予約等のヘッジを行っておりますが、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、お客様の個人情報を取り扱っているため、個人情報保護法を遵守すると共に情報流出を防止するために内部並びに業務委託先の管理体制を強化しております。しかし、万が一個人情報が流出した場合には企業イメージを悪化させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、個人情報保護法に定められたとおり、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備するとともに、プライバシーマークの取得を行い、適切な情報の取り扱いを行っております。 当社グループの業務は、殆ど全てにおいてコンピュータ処理が行われており、様々な対策を実施し、セキュリティの強化・IT基盤の強化を図っております。しかしながら、その時点で考え得る最新の対策を講じていても、外部からの不正アクセス・コンピュータウィルスの侵入によるシステムダウン又は誤作動により、損失を被る場合があります。また、コンピュータトラブルが発生し復旧に時間を要した場合には臨時の費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、日頃よりシステムの安定稼働の維持に努めるとともに、重要なシステムについてはバックアップを確保する等の策を講じております。 プロパティ事業については、景気動向、地価動向並びに金融環境等の経済情勢の影響を受けやすく、不動産市況の動向が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、各物件の実績管理は、月次で実施しており、業績が著しく低下した際には、迅速に対応、改善できる体制にしております。 当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。市場価格の大幅な下落が生じる場合には、保有有価証券に減損又は評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、コミットメントライン契約等を締結しておりますが、当該契約では各決算期末における連結貸借対照表における純資産合計を前決算期末における純資産合計の75%以上を確保することなどの財務制限条項が付されております。今後、これに抵触し、当該契約による借入金の返済を求められた結果、不履行になった場合は期限の利益を喪失し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の信用格付が引き下げられた場合には、資金調達費用の増加や、公募債及び私募債市場における資金調達能力が低下する恐れがあり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、銀行借入に加え社債の発行など資金調達手段の多様化やグループ内資金の効率的運用などによる財務体質の安定に努めております。 当社グループは、M&Aや業務提携などを通じてグループ事業の強化を図っております。対象企業については極力リスクを回避するよう努めておりますが、M&A後に未認識債務が判明したり、当初期待した効果が得られなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、プロパティ事業を中心に多額の有形固定資産を有しております。周辺環境の変化等により十分な将来キャッシュ・フローが期待できない場合、減損損失を計上する必要が生じ当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、各事業部の実績管理は、月次で実施しており、業績が著しく低下した際には、迅速に対応、改善できる体制にしております。 当社グループは、多くのお客様の嗜好に応えるべく、過去の実績や市場のトレンド等を分析し、商品やサービスを企画・開発・販売をしておりますが、お客様の嗜好の変化に対応できなかった場合、売上の減少や過剰在庫などを招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症発生に伴い、下記事業において、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの国内感染が縮小し、行動制限の緩和により消費活動が回復傾向となる一方、急激な円安の進行やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰により物価上昇が進行しており、先行きは不透明な状況にあります。国内の個人消費につきましては、物価上昇の影響はあるものの、外出需要に伴う消費活動が活発化し、徐々に回復傾向になりつつあります。通信販売業界におきましては、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や接触回避の影響が弱まったものの、幅広い顧客層からの通販利用需要の拡大が継続しております。 このような環境下におきまして、当社グループはアパレル・雑貨事業、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業、データベース活用事業、呉服関連事業、プロパティ事業、その他の事業の8セグメントにおいて、1つ1つのセグメントを太く強くし、シナジー効果を発揮するポートフォリオ経営の成熟に取り組んで参りました。その結果、当連結会計年度の売上高は212,376百万円(前年同期比3.5%減)となり、営業利益は11,217百万円(同18.9%減)となりました。経常利益は資金調達に係る手数料が前年同時期より縮小したことなどにより12,459百万円(同14.3%減)となりました。また、投資有価証券売却益が縮小したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は7,417百万円(同27.3%減)となりました。 セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。 なお、当連結会計年度より、従来「総合通販事業」としていた報告セグメントの名称を「アパレル・雑貨事業」に変更しております。当該セグメントの名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。 通販においては、第1四半期より新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、既存顧客のレスポンスが鈍化傾向となりました。また、急激な円安進行や原材料価格の高騰、資材価格の高騰を受け第3四半期より商品価格の見直しや紙媒体における発行量の抑制を行い、収益性確保を優先した事業運営を行いました。アパレル店舗においては、第1四半期より来店顧客数が回復傾向となりましたが、第3四半期以降は商品価格の見直しの影響もあり来店顧客数及びレスポンスが鈍化傾向となりました。この結果、売上高は88,314百万円(同10.1%減)となり、セグメント利益は930百万円(同55.5%減)となりました。 化粧品販売事業においては、台湾における新型コロナウイルス感染拡大の影響による苦戦及び第1四半期・第2四半期における国内の新規顧客獲得数の減少により減収となりました。また、TVCM実施等により広告宣伝費が増加しました。健康食品通販事業においては、新規顧客獲得を強化した一方で既存顧客の売上が減少し、減収となりました。この結果、売上高は14,792百万円(同7.8%減)となり、セグメント利益は588百万円(同67.8%減)となりました。 新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、既存顧客のレスポンスが鈍化傾向となりましたが、おせち販売の拡大やネット広告等による新規顧客獲得の拡大により増収となりました。また、新規顧客獲得拡大により広告宣伝費が増加しました。この結果、売上高は32,306百万円(同7.3%増)となり、セグメント利益は1,763百万円(同22.3%減)となりました。 第1四半期においてTVCM等の積極的な広告宣伝を行った一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、前年同時期に特需のあったマスクやパルスオキシメーター等の医療雑貨・消耗品需要が縮小しました。顧客レスポンスの鈍化を受け、第4四半期より紙媒体における発行量の抑制を行いました。この結果、売上高は14,076百万円(同12.1%減)となり、セグメント利益は237百万円(同76.8%減)となりました。 封入・同送サービスにおいては、アパレル・雑貨事業における成長鈍化の影響により減収となりました。ファイナンス事業においては、新規顧客獲得の拡大により増収となりました。この結果、売上高は15,752百万円(同3.1%増)となり、セグメント利益は5,700百万円(同0.2%増)となりました。 衣裳レンタル事業においては、大学卒業式の袴レンタルの拡大により増収となりました。和装販売事業においては、第1四半期より来店顧客数が回復傾向となりましたが、第3四半期以降は来店顧客数が減少傾向となりました。また、㈱さが美、㈱東京ますいわ屋における構造改革が浸透し、収益力が向上しました。この結果、売上高は23,865百万円(同0.6%減)となり、セグメント利益は1,246百万円(同109.7%増)となりました。 ホテル事業においては、行政機関による日本国内における移動制限の影響や、外国人の入国規制の影響が前年同時期と比較し縮小したことに加え、前期に新規開業したホテルの稼働率向上により、大幅な増収増益となりました。一方で、前年同時期には大規模な海外不動産の売却があり、大幅な減収減益影響が出ております。この結果、売上高は19,986百万円(同15.6%増)となり、セグメント利益は1,366百万円(同57.6%増)となりました。 新型コロナウイルス感染拡大の影響が縮小したことにより、飲食店事業・宿泊予約事業などが大幅な増収となりました。一方で、アパレル卸売事業が苦戦しました。この結果、売上高は4,149百万円(同3.2%増)となり、セグメント損失は92百万円(前年同期は99百万円のセグメント損失)となりました。 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末比4,530百万円増加し、122,664百万円となりました。これは主に、仕掛販売用不動産が4,133百万円減少した一方で、現金及び預金が3,519百万円、営業貸付金が1,934百万円、商品及び製品が1,730百万円、販売用不動産が2,409百万円増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末比26,883百万円増加し、162,928百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が9,394百万円、建設仮勘定が16,223百万円増加したことによるものであります。この結果、資産合計は、前連結会計年度末比31,413百万円増加し、285,592百万円となりました。 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比316百万円減少し、64,587百万円となりました。これは主に、電子記録債務が5,442百万円、短期借入金が7,416百万円、未払費用が1,694百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が8,580百万円、契約負債が1,682百万円、1年内償還予定の社債が4,980百万円減少したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末比24,338百万円増加し、94,568百万円となりました。これは主に、長期借入金が24,819百万円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末比24,021百万円増加し、159,155百万円となりました。 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比7,392百万円増加し、126,436百万円となりました。この結果、自己資本比率は43.9%となりました。 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比2,259百万円増の31,828百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、8,241百万円(前年同期は7,154百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益11,953百万円、減価償却費3,792百万円、販売用不動産の減少2,089百万円などであります。主な減少要因は、営業貸付金の増加1,960百万円、棚卸資産の増加1,927百万円、仕入債務の減少2,408百万円、その他の流動負債の減少1,172百万円、法人税等の支払額4,880百万円などであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、29,924百万円(前年同期は17,033百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出28,179百万円、無形固定資産の取得による支出1,826百万円などであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、23,527百万円(前年同期は8,652百万円の増加)となりました。主な増加要因は、短期借入金の増加額3,849百万円、長期借入れによる収入33,342百万円などであります。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出6,605百万円、社債の償還による支出5,010百万円、配当金の支払額1,885百万円などであります。 当社グループは、主にカタログ等を媒体とする通信販売により一般顧客を対象に小売販売を行っており、製品の製造は行っておりません。従って生産実績の記載は行っておりません。また、通信販売の特質上受注から商品発送までのリードタイムは極めて短いものであり受注状況の記載を行っておりません。 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当連結会計年度は、アパレル・雑貨事業、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業、データベース活用事業、呉服関連事業、プロパティ事業、その他の事業の8セグメントにおいて、1つ1つのセグメントを太く強くし、シナジー効果を発揮するポートフォリオ経営の成熟に取り組んで参りました。その結果、売上高は212,376百万円(前同期比3.5%減)となり、営業利益は11,217百万円(同18.9%減)となりました。なお、第五次経営計画の1年目である当連結会計年度の目標は、売上高2,190億円、営業利益150億円、ROE8.7%としておりました。また、2022年10月28日に業績予想を修正し、売上高2,150億円、営業利益140億円、ROE8.1%としておりました。売上高は修正後予算に届かず、修正目標比1.2%減となりました。営業利益についても修正後予算に届かず、修正目標比19.9%減となりました。経常利益は資金調達に係る手数料が前年同時期より縮小したことなどにより12,459百万円(同14.3%減)となりました。また、投資有価証券売却益が縮小したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は7,417百万円(同27.3%減)となりました。 主力事業の取り組みは次のとおりであります。 なお、当連結会計年度より、従来「総合通販事業」としていた報告セグメントの名称を「アパレル・雑貨事業」に変更しております。当該セグメントの名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。 通販においては、第1四半期より新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、既存顧客のレスポンスが鈍化傾向となりました。また、急激な円安進行や原材料価格の高騰、資材価格の高騰を受け第3四半期より商品価格の見直しや紙媒体における発行量の抑制を行い、収益性確保を優先した事業運営を行いました。アパレル店舗においては、第1四半期より来店顧客数が回復傾向となりましたが、第3四半期以降は商品価格の見直しの影響もあり来店顧客数及びレスポンスが鈍化傾向となりました。この結果、当連結会計年度の売上高は88,314百万円(同10.1%減)となり、セグメント利益は930百万円(同55.5%減)となりました。 次期におきましては、顧客需要の変化及び原価・資材費上昇に対応し、新たな価値を生む商品及びサービスの投入を進めると共に、品揃え・媒体の最適化を行います。 化粧品販売事業においては、台湾における新型コロナウイルス感染拡大の影響による苦戦及び第1四半期・第2四半期における国内の新規顧客獲得数の減少により減収となりました。また、TVCM実施等により広告宣伝費が増加しました。健康食品通販事業においては、新規顧客獲得を強化した一方で既存顧客の売上が減少し、減収となりました。この結果、当連結会計年度の売上高は14,792百万円(同7.8%減)となり、セグメント利益は588百万円(同67.8%減)となりました。 次期におきましては、化粧品販売事業では国内においてインフォマーシャルによる販売強化、ネットの新規顧客獲得経路の開発、卸販売の拡大に注力すると共に、アジア圏を中心にした海外展開の拡張に取り組みます。健康食品事業では新規顧客レスポンス向上及びリピート顧客数増加のため、新たな販促手法の開発に取り組みます。 新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、既存顧客のレスポンスが鈍化傾向となりましたが、おせち販売の拡大やネット広告等による新規顧客獲得の拡大により増収となりました。また、新規顧客獲得拡大により広告宣伝費が増加しました。この結果、当連結会計年度の売上高は32,306百万円(同7.3%増)となり、セグメント利益は1,763百万円(同22.3%減)となりました。 次期におきましては、ネット及びテレビ媒体を強化し、マルチメディア活用を推進する事に加え、顧客需要の変化及び原価・資材費上昇に対応し、商品価値の向上、品揃え・媒体の最適化を行います。 第1四半期においてTVCM等の積極的な広告宣伝を行った一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、前年同時期に特需のあったマスクやパルスオキシメーター等の医療雑貨・消耗品需要が縮小しました。顧客レスポンスの鈍化を受け、第4四半期より紙媒体における発行量の抑制を行いました。この結果、当連結会計年度の売上高は14,076百万円(同12.1%減)となり、セグメント利益は237百万円(同76.8%減)となりました。 次期におきましては、引き続きネットの強化を進めると共に、原価・資材費上昇に対応し、新たな販路開拓に注力します。 封入・同送サービスにおいては、アパレル・雑貨事業における成長鈍化の影響により減収となりました。ファイナンス事業においては、新規顧客獲得の拡大により増収となりました。この結果、当連結会計年度の売上高は15,752百万円(同3.1%増)となり、セグメント利益は5,700百万円(同0.2%増)となりました。 次期におきましては、アパレル・雑貨事業におけるカタログ発行部数の減少に対応し、封入・同送サービス、通販代行サービスにおける新サービスを開発し、新規顧客拡大を進めます。 衣裳レンタル事業においては、大学卒業式の袴レンタルの拡大により増収となりました。和装販売事業においては、第1四半期より来店顧客数が回復傾向となりましたが、第3四半期以降は来店顧客数が減少傾向となりました。また、㈱さが美、㈱東京ますいわ屋における構造改革が浸透し、収益力が向上しました。この結果、当連結会計年度の売上高は23,865百万円(同0.6%減)となり、セグメント利益は1,246百万円(同109.7%増)となりました。 次期におきましては、外出・セレモニー需要の高まりを見据え、新たなサービスの開発及び集客施策の強化により提供価値を高めると共に顧客認知を高め、成長性引き上げを目指します。 ホテル事業においては、行政機関による日本国内における移動制限の影響や、外国人の入国規制の影響が前年同時期と比較し縮小したことに加え、前期に開業したホテルの稼働率向上により、大幅な増収増益となりました。一方で、前年同時期には大規模な海外不動産の売却があり、大幅な減収減益影響が出ております。この結果、当連結会計年度の売上高は19,986百万円(同15.6%増)となり、セグメント利益は1,366百万円(同57.6%増)となりました。 次期におきましては、外出・旅行需要の高まりを見据え、集客施策の強化を行うと共に運営キャパシティの拡張を行い、ホテル事業の大幅成長を目指します。また、2023年3月に取得した北海道のホテルや2023年4月より一部稼働をスタートした銀座のホテル等複合施設の安定稼働を目指します。 当連結会計年度末における財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループは、更なる成長を目指すために、設備や不動産開発・取得への投資を行っており、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追及するとともに、将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元とのバランスを保つことに努めております。 資金の調達源としては、営業キャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入金を基本としております。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務・社債を含む有利子負債の残高は111,340百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は31,828百万円となっております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。当社グループは連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の実績や状況に応じ、合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この差異は、当社グループの連結財務諸表及びセグメントごとの業績に影響を及ぼす可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 なお、新型コロナウイルス感染拡大の長期化等、今後の見通しには不確実性が含まれておりますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
理研コランダム株式会社
# 理研コランダム株式会社 ん。 財団法人理化学研究所において研究開発された研磨布紙の製造販売を目的として、理研コランダム株式会社を東京都文京区(現)に設立し、製造販売を開始。 東京都北区(現)に王子工場を建設し研磨布紙の製造を開始。 群馬県沼田市(現)のガーネット研磨紙製造工場および群馬県利根郡(現)のガーネット鉱区を買収、沼田工場として研磨紙ならびにガーネット砂粒を生産。 商号を理研研磨材株式会社に変更。 商号を日本コランダム株式会社に変更。 商号を理研コランダム株式会社に復元。 ステンレス研磨用広巾研磨紙製造塗装機を完成し製造を開始。 東京証券取引所市場第二部に上場。 埼玉県鴻巣市に鴻巣工場を建設、広巾研磨布紙を製造。 ノートンカンパニー(米国)と折半出資による合弁会社理研ノートン株式会社を設立。 「不動産の管理および賃貸」に関する業務を事業目的に追加。 鴻巣工場を増設し王子工場移転、工場の集中化を図る。 本社を東京都中央区より埼玉県鴻巣市へ移転。 合弁会社理研ノートン株式会社の全株式を取得し当社100%子会社とする。 理研ノートン株式会社の商号を株式会社理研に変更。 株式会社理研を吸収合併。 東京都北区(王子工場跡地)に理研神谷ビルを建設、イオンリテールストア株式会社(旧株式会社忠実屋)に賃貸。 ノートンカンパニー(米国)との技術援助契約の終了。 群馬県利根郡みなかみ町(現)(須川平農工団地)に新治工場を建設し、研磨布紙の製造を開始。 「複写機部品の製造および販売」、「電気照明器具の製造および販売」および「空気清浄器の製造および販売」に関する業務を事業目的に追加。 研磨布紙製造販売の合弁会社「淄博理研泰山涂附磨具有限公司」(中華人民共和国山東省)を設立。 OA機器部材等の製造販売の子会社「理研精密器材(蘇州)有限公司」(中華人民共和国江蘇省)を設立。 鴻巣工場、東京営業所、北日本営業所、名古屋営業所、大阪営業所がISO9001の認証を取得。 事業内容の多様化に備えるため「複写機器部品の製造および販売」を「事務用機器部品の製造および販売」と事業目的の一部を変更。 新治工場がISO9001の認証を取得。 OA器材部材等の製造販売の子会社「理研精密株式会社」(静岡県沼津市)を設立。 沼田工場がISO9001の認証を取得。 新治工場新工場棟増設。 研磨布紙等製造販売の合弁会社「濰坊理研研磨材有限公司」(中華人民共和国山東省)を設立。 ISO14001の認証を全社一括で取得(統合認証)。 OA器材部材等の販売子会社「理研香港有限公司」(中華人民共和国香港)を設立。 研磨布紙等の製造販売会社「株式会社光環」(埼玉県鴻巣市)の株式を取得し子会社化。 鴻巣工場新加工工場棟増設。 OA器材部材等の製造販売の子会社「理研精密株式会社」の全株式を譲渡。 オカモト株式会社と資本業務提携を行う。 「株式会社光環」を清算。 オカモト株式会社が株式公開買付けにより当社株式を50.15%保有、親会社となる。 「濰坊理研研磨材有限公司」(中華人民共和国山東省)を清算。 イオンリテールストア株式会社との不動産賃貸借契約を解約。 不動産賃貸物件である理研神谷ビル(東京都北区)を解体。 イオンリテール株式会社との事業用定期借地権設定契約を締結。 理研精密器材(蘇州)有限公司(中華人民共和国江蘇省)を清算。 「淄博理研泰山涂附磨具有限公司」(中華人民共和国山東省)の全持分を第三者へ譲渡。 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社、親会社「オカモト株式会社」、及び連結子会社「理研香港有限公司」の3社で構成されております。また、親会社からは一部商品等の仕入を受けております。 なお、当期において連結子会社の理研精密器材(蘇州)有限公司の清算が完了し、また持分法適用関連会社の淄博理研泰山涂附磨具有限公司は全ての持分譲渡の登記が完了したことから、当該2社は当社グループより除外しております。 当社グループの事業に係わる位置づけは、次のとおりとなります。 なお、次の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 研磨布紙等製造販売事業…………………当社が行っております。 OA器材部材等製造販売事業……………当社および連結子会社 「理研香港有限公司」が行っております。 不動産賃貸事業……………………………当社が行っております。 労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は経営理念として「理研コランダム憲章」を掲げ、その実現に向けた「行動指針」を設定しています。 ・日本を代表する研削・研磨のトップ企業として、社会的責任を自覚し、法令・ルールを厳格に遵守し、社会的規範にもとることのない、誠実かつ公平な企業活動を推進する。 ・お客様を第一と考え、常に最高の製品・サービスを提供する。 ・株主、市場から高く評価され、広く社会から信頼される。 ・社員にとって働き甲斐があり、魅力に富んだ職場にする。 ・公正・透明・自由な競争を実践し、会社資産の保全拡大に努める。 ・一人一人が高い倫理観(例えば、「安全第一」「嘘をつかない」「ルールを守る」「反社会的勢力に対しては隙を見せず、毅然とした対応を行う」「公私に亘り節度ある行動をする」等々)を持って自主的・自立的に行動し、協力して業務を遂行し、自由闊達な職場を築く。 当社グループは、上記「理研コランダム憲章」に定める基本理念、環境理念、品質方針、行動指針に則り、コーポレートガバナンスの取組み強化を図りつつ,株主価値の向上および顧客満足度の向上ならびに一人一人の従業員の資質向上を経営の重要施策と位置づけ、ますます厳しさを増す企業間競争における競争力の強化、収益力の向上および財務体質の強化を図り、いかなる環境変化にも対応できる経営の実現に向かって努めてまいります。 わが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きが見られます。このような状況のなか、当社グループの当連結会計年度における決算は、半導体向けの研磨材が増加したことに加え、不動産賃貸収入が通年で得られたことから売上高で3.8%の増加となりました。利益面で昨年度に続き各利益が黒字になりました。これは、売上高の増加に加え、課題であった原価率が改善したことも大きな要因となっています。ただ、セグメント別では、当社の中核事業である研磨布紙等製造販売事業の収益力の強化が課題であると認識しています。 会社全体として社員教育・研修(安全・健康・コンプライアンス・技術継承・品質重視・原価利益意識・与信管理等)の充実を図ります。また営業面では、得意先の与信管理を徹底し、売価の見直し、商流の整理をしながら、新製品を中心に代理店ルートの拡販、直ユーザー・新規分野開拓等で販売強化を図ります。生産面においては、研磨布紙製造販売事業を中心に、今秋までに工場の集約を行い、ベルト製品等の加工工程の合理化を促進していきます。さらに活動が活発化してきた「QC(品質管理)活動・提案制度等」を中心に、品質・歩留まり改善等で収率向上を行います。 「品質と効率向上を考えた設備投資」で、省人化と機械の稼働率改善を行います。また、製品の見直し・生産組入れ・材料の見直し等で、製品・仕掛品の在庫削減等を行います。以上の各改善等で、営業利益を上げて行きます。 不動産賃貸事業に関しましては事業用不動産の将来へ向けた有効活用の観点から、イオンリテール株式会社と事業用定期借地権設定契約を締結しており、2022年度は通年で賃貸収入が得られたことに加え、2023年度途中からは店舗の営業開始を予定しており賃貸収入が満額となることから、今後はさらに安定的な収入が見込める状況です。 また、コンプライアンス・リスク管理、環境保護対策の強化についても、企業の社会的責任に対する社会の要請は一段と高まっていることからさらに充実させていきます。 当社グループでは、長期経営計画実現のための目標として、中期経営計画をローリング方式により立案し、実行しておりますので、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益であります。 2023年度の計画は、売上高4,246,000千円、営業利益148,000千円、経常利益164,000千円、親会社株主に帰属する当期純利益114,000千円であります。 新型コロナウイルス感染症の影響は、各国の緊急事態宣言による消費活動の制限、また経済に落ち込みにより、当社の事業にも大きな影響が出ていました。今後、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけが変更になる等、対策が大きく変更になりますが、予測不可能な側面も否定できず、当社の事業への影響も不透明と考えています。 当社グループは、感染症が拡大した初期より対応・対策を進め、グループの従業員およびその家族の安全確保を第一として、事業活動を継続してまいりました。具体的には次のような点を実施済です。 今後は、新型コロナウイルス感染症の位置づけの変更に伴い、現在実施中の施策をどのよう取り扱うかを社内で議論し、より有効な対策を立案してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、当社グループの財政状況および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは以下のものがあります。 なお、ここに記載した内容は当連結会計年度末現在において当社グループが主要なリスクと判断したものであり、従って、ここに記載のものがリスクのすべてではなく、また記載のリスクも将来に対する見通し、推定を含んでおり、実際の結果と相違する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響、及び同感染症に対する当社グループの対応策に関しては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(4)新型コロナウイルス感染症に関するリスクの認識をご参照ください。 当社グループの売り上げの約80%程度は研磨布紙製品であり、その大部分は国内販売です。最終購入者は自動車・金属・ステンレス製造加工業者、木工・家具建材業界であります。売上等の当社グループ業績はこれらの業界の生産水準に影響を受けるリスクがあります。 主力商品の研磨布紙は、研磨材を基材(布・紙)に密着させ、シート、ベルト状等に加工したものです。今後、原油価格の高騰、中国の躍進等による原材料需要の急拡大を原因とする原材料価格の高騰により当社グループの業績に影響を受けるリスクがあります。 一部原材料については供給先が限られていることから、安定的な供給について影響を受けるリスクがあります。 当社はイオンリテール株式会社と業事業用定期借地権契約を締結し、理研神谷ビル跡地を賃貸しております。同社の経営状況や経営方針が賃貸契約や賃貸条件に影響を及ぼすリスクがあります。 当社は環境ISOの認証に裏付けされた環境マネジメントシステムにより、製品およびその製造過程については、法令を始めとする環境基準その他安全基準をクリアーしておりますが、今後更に厳しい基準の適用がなされた場合にはそれに対する所要の措置が必要になる可能性があり、その場合には生産、販売等への影響を通じ当社グループの事業、財務の状況に影響を受けるリスクがあります。 当社グループの外貨建て輸出入取引は原材料の輸入取引が大きな比重を占めるため、為替相場の円安方向への変動により収益状況は大きな影響を受ける構造となっております。急激な円安方向への為替変動により当社グループの業績が影響を受けるリスクがあります。 当社グループは中国において子会社1社を有し、調達、製造、販売におけるグループ力の総合発揮に取り組んでおります。中国において、産業政策、環境政策、法制度、税制、労働慣行等の社会経済環境の急激な変化があった場合には、当社グループの事業に影響を受けるリスクがあります。 当社グループでは運転資金、設備投資資金等を金融機関からの借り入れで対応しています。金融危機や取引金融機関の経営状態等によって資金調達に支障が生じるリスクがあります。 当社グループの製品は多くの業界で使用され製品を納入している取引先は多岐にわたります。取引先企業の業績が悪化あるいは、破綻した場合には販売代金を回収できないリスクがあります。 当社グループには全体で約190名の従業員が勤務をしています。各人がその能力を発揮できるよう適材適所での配置を実施していますが、人材の育成に失敗した場合には固定費の上昇による収益への圧迫が発生するリスクがあります。 当社グループはコーポレートガバナンスコードや内部統制方針に基づき会社経営を実施しています。このガバナンスが不全状態になった場合には、組織運営の混乱や事業継続体制の危機等が発生するリスクがあります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しています。個人消費は緩やかに持ち直しており、設備投資も持ち直しています。先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されます。ただし、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染症拡大の影響に十分注意する必要があります。 当社グループの売上については、機械工具商向け研磨布、精密加工用フィルム製品及び半導体向けの研磨材の売上が伸長したことに加えイオンリテール株式会社との事業用定期借地権設定契約の締結による賃貸収入増もあり、売上高は4,007,448千円(前期比3.8%増)となりました。 また利益面においては、年金資産の時価評価減により退職給付費用が大幅に増加、課税所得の増加により事業税の付加価値税額が増加しましたが、不採算製品の販売縮小や原材料価格高を製商品販売価格に転嫁したことによる原価率低減でそれらをカバーし、賃貸収入増も寄与した結果、営業利益は68,950千円(前期比179.2%増)となりました。経常利益については持分法適用関連会社である中国の合弁会社「淄博理研泰山涂附磨具有限公司」の売上減少により、また当該持分法適用会社の持分を譲渡したことから、当連結会計年度に連結の範囲から除外したため持分法による投資利益が減少したことにより46,323千円(前期比84.8%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については「淄博理研泰山涂附磨具有限公司」の持分譲渡益の計上や為替換算調整勘定の取崩益を計上したことから721,578千円(前期比131.8%増)となりました。 セグメントの経営成績は次のとおりであります。 当社グループの中核事業である研磨布紙等製造販売事業の当連結会計年度の業況は、第2四半期連結累計期間までは得意先の需要増により機械工具商向け研磨布及び精密加工用フィルム製品が増加、また第3四半期連結会計期間以降は半導体向けの研磨材の売上が大幅に伸長したことから売上高は3,453,301千円(前期比7.4%増)となり、不採算製品の販売縮小や原材料価格高を製商品販売価格に転嫁したことにより、営業利益は180,844千円(前期比159.3%増)となりました。 事務機器に組み込まれる紙送り用各種ローラー部品の受注生産をしているOA器材部材等製造販売事業の当連結会計年度の業況は、得意先の半導体関連部材の調達難による生産調整が響き売上高が減少したことから415,540千円(前期比28.4%減)となり、営業利益は売上高の減少により固定費負担を吸収できなかったことから原価率が悪化し64,666千円(前期比51.3%減)となりました。 イオンリテール株式会社との事業用定期借地権設定契約の締結による賃貸収入増により賃貸収入の売上高は138,607千円(前期比107.9%増)となり、売上高の増加が大きく寄与したことから営業利益は109,657千円(前期比189.7%増)となりました。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ519,295千円増加し、6,679,579千円になりました。これは主に、持分法適用関連会社である中国の合弁会社「淄博理研泰山涂附磨具有限公司」の持分譲渡により関係会社出資金が1,810,840千円減少した一方、その持分譲渡金収入により現金及び預金が656,963千円、長期性預金が1,300,000千円増加、中国からの原材料や商品の供給不安に対応するための仕入高の増加により棚卸資産が合計で260,855千円増加、設備投資の増加により有形固定資産が113,814千円増加したものであります。 負債は前連結会計年度末に比べ94,192千円増加し、1,860,519千円になりました。これは主に、返済により短期借入金が100,000千円、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が72,800千円減少、「淄博理研泰山涂附磨具有限公司」の持分譲渡による取り崩しを行い繰延税金負債が129,837千円減少しましましたが、設備投資額の増加により設備関係支払手形及び設備電子記録債務が63,725千円増加、課税所得の増加により未払法人税等が213,133千円増加、工場再編費用等の計上により未払費用が47,404千円増加、年金資産の時価評価減により退職給付に係る負債が56,395千円増加したものであります。 純資産は前連結会計年度末に比べ425,104千円増加し、4,819,061千円になりました。これは主に、「淄博理研泰山涂附磨具有限公司」の持分譲渡による為替換算調整勘定取崩し277,325千円、及び配当金の支払い55,320千円により減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により721,578千円増加したものであります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて656,963千円(91.9%)増加し、1,371,832千円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 営業活動の結果獲得した資金は、96,317千円(前期は569,552千円の獲得)となりました。 資金増加の要因としては、税金等調整前当期純利益の計上870,908千円、非資金取引である減価償却費158,692千円、利息及び配当金の受取額274,669千円が主なものであります。 一方、資金減少の要因としては、非資金取引である関係会社出資金譲渡益649,163千円、為替換算調整勘定取崩益277,718千円、棚卸資産の増加額256,810千円が主なものであります。 投資活動の結果獲得した資金は、773,276千円(前期は383,479千円の支出)となりました。 資金増加の要因としては、持分法の適用範囲の変更を伴う関連会社持分譲渡による収入2,273,740千円が主なものであります。 一方、資金減少の要因としては、長期性預金の預入による支出1,300,000千円、有形固定資産の取得による支出198,216千円が主なものであります。 財務活動の結果支出した資金は、242,007千円(前期は99,448千円の支出)となりました。 資金減少の要因としては、短期借入金の減少額100,000千円、長期借入金の返済による支出72,800千円、配当金の支払額54,881千円が主なものであります。 当連結会計年度のセグメントごとの内訳は、次のとおりであります。 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度のセグメントごとの内訳は、次のとおりであります。 当連結会計年度のセグメントごとの内訳は、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度の売上高は、前期比3.8%増の4,007,448千円、営業利益は前期比179.2%増の68,950千円、経常利益は前期比84.8%減の46,323千円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比131.8%増の721,578千円となりました。 詳細につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 研磨布紙等製造販売事業は、第2四半期連結累計期間までは得意先の需要増により機械工具商向け研磨布及び精密加工用フィルム製品が増加、また第3四半期連結会計期間以降は半導体向けの研磨材の売上が大幅に伸長したことから売上高は3,453,301千円(前期比7.4%増)となりました。 OA器材部材等製造販売事業は、得意先の半導体関連部材の調達難による生産調整が響いた結果、売上高は415,540千円(前期比28.4%減)となりました。 不動産賃貸事業では、イオンリテール株式会社との事業用定期借地権設定契約の締結による賃貸収入増により売上高は138,607千円(前期比107.9%増)となりました。 新型コロナの感染症法上の位置づけを原則として2023年春に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する政府の方針により、新型コロナウイルス感染症の経済的な影響は限定的になり、営業活動の環境も改善することが想定されることから、新製品を中心に代理店ルートの拡販、直ユーザー・新規分野開拓等で販売強化を図ります。 研磨布紙等製造販売事業は、売上高の増加による粗利の増加や、不採算製品の販売縮小や原材料価格高を製商品販売価格に転嫁したことにより増益となりましたが、OA器材部材等製造販売事業は売上高の減少により固定費負担を吸収できなかったことから原価率が悪化し減益となりました。不動産賃貸事業は理研神谷ビルの賃貸収入増が大きく寄与したことから増益となりました。 今後、「品質と効率向上を考えた設備投資」で、省人化と機械の稼働率改善を行います。また、製品の見直し・生産組入れ・材料の見直し等で、製品・仕掛品の在庫削減等を行います。以上の各改善等で、営業利益の更なる向上を図ります。 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、材料、商品等の仕入、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。 また、設備資金需要は、主として生産効率や省力化を目的とした研磨布紙等の生産設備の新設や改修等にかかるものです。 今後は内部資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを中心に充当する予定ですが、不足分については引き続き金融機関借入により調達することを方針としています。 なお、当社グループは、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行3行と当座貸越契約を締結しております。これらの契約に基づく借入金未実行残高は以下のとおりです。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成に当たっては会計方針の選択・適用、資産・負債の評価、各種引当金の引当額についての判断、見積りが必要となります。これらの判断、見積りについては過去の実績、当該取引の状況等を勘案し継続性、合理性に留意して行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと相違する場合があります。 なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症の重要な影響はないものと判断しております。 当社グループでは、長期経営計画実現のための目標として、中期経営計画をローリング方式により立案し、実行しております。 2022年度の計画は、売上高4,015,000千円、営業利益105,000千円、経常利益272,000千円、親会社株主に帰属する当期純利益215,000千円でしたが、計画に対する実績は、売上高4,007,448千円(達成率99.8%)、営業利益68,950千円(達成率65.7%)、経常利益46,323千円(達成率17.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益721,578千円(達成率335.6%)となりました。 また、当連結会計年度における営業利益率は1.7%(前期は0.6%)でありましたので、更なる営業利益率向上のため、工場の集約を行い、ベルト製品等の加工工程の合理化を促進していきます。さらに活動が活発化してきた「QC(品質管理)活動・提案制度」を中心に、品質・歩留まり改善等で収率向上を推進いたします。 (1)当社は、持分法適用関連会社である淄博理研泰山涂附磨具有限公司を設立後、同社へ研磨布紙製品の技術供与、原材料供給等を実施してきました。この度、合弁会社への出資の役割を終えたと判断し、投資資金の回収による当社の財務基盤強化及び国内生産体制への再投資を目的とし、2022年4月18日開催の取締役会において、富卓磨料(山東)有限責任公司に持分譲渡することを決議し、同日付にて持分譲渡契約を締結いたしました。なお、2022年6月9日をもって、当社が保有しておりました全ての持分を114,069千元(2,273,740千円)にて譲渡し、持分譲渡が完了しております。 当社は当該会社の登録資本の 47. 00%の持分を保有しています。 当社の代表取締役(1名)が当該会社の役員(董事長)を、当社の取締役(1名)が当該会社の役員(董事 )を兼務しています。 当社と当該会社の間で半製品購入取引があります。 況については、いずれもありません。 当社グループの研究開発活動は、長年の研磨布紙製造で培った処理布、処理紙、PETフィルムなどの長尺基材や、金属・ゴムなどのロール形状のものに研磨材や特殊粒子を付着固定させるコーティング技術と原材料調達ネットワークなどを駆使し、基礎研究、新商品開発、工業製品化に取り組んで参りました。又、研磨材単体での設計開発、品質管理ノウハウの向上にも注力して参りました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、40,251千円であります。 なお、セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。 当社の主力事業である研磨布紙の製造販売事業については、より良い品質の向上を目指すとともに、生産の効率化、コスト低減、又、多様化する顧客要求に継続して対応するため新設備の導入や適切な機械条件の検証に取り組んで参りました。又、削る・磨くと言った多岐にわたる市場に対応するため、新たな材料開発に注力し新商品の開発と新市場の参入に努めて参りました。用途では金属研磨市場、家庭用品、住宅建材などになります。 当セグメントに係る研究開発費は、38,480千円であります。 OA器材部材等製造販売事業では、複写機・金融端末市場において、紙送り用ロールの耐久性向上、搬送能力アップ機能を付与した製品について、価格競争激化する中、生産の効率化を目的とした製造方法の改善を推進して参りました。又、次世代の複写機に採用されるべく新機能を付加した新商品の開発にも注力して参りました。 当セグメントに係る研究開発費は、1,771千円であります。
rakumo株式会社
# rakumo株式会社 なお、2020年9月28日付をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。 当社グループは、当社(rakumo株式会社)及び連結子会社2社(RAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)、株式会社gamba)により構成されており、『仕事をラクに。オモシロく。』というビジョンのもと、企業の業務の生産性向上に貢献するサービスを提供すべく、事業を展開しております。 当社グループの主要サービスは、(1) 当社グループ及び他社のライセンスサービス(*1)の提供である「SaaSサービス」、(2) ライセンスサービスに関する導入支援や業務支援等を中心とした「ソリューションサービス」、(3) ベトナムを拠点にラボ型ITシステム開発等を行う「ITオフショア開発サービス」であります。なお、当社グループは、ITビジネスソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 また、*の用語については後記「用語の定義、解説」をご参照ください。 企業向けグループウェア製品「rakumo」及び社内SNS型日報共有アプリ「gamba!」の開発・販売のほか、他社ライセンスの代理店販売を実施しております。 グループウェア(*2)とは、企業など組織内のコンピューターネットワークを活用し、組織メンバーのコミュニケーション円滑化や情報共有、業務効率化等を支援するためのソフトウェアであります。 「rakumo」は、当社グループが企画・開発を手がける企業向けグループウェアにおけるサービス群の総称であり、カレンダーや勤怠管理、経費精算、稟議申請等の各種機能を有しております。rakumoの名称は、ユーザーがサービスをより楽に利用するための「楽(らく)」と、「雲(=クラウド)」をかけたものであります。 なお、rakumoは、SaaS(Software as a Service(*3))と呼ばれる方式でサービスを提供しております。これは、ユーザー側でソフトウェアを保有するのではなく、サービス提供側がクラウド(*4)上でソフトウェアの機能を提供し、ユーザーはインターネット経由でサービスを利用する形態であります。 Google版rakumoは、Google社が提供するグループウェア「Google Workspace(*5)」(旧 G Suite)と連携し、機能拡張したアドオンツールとして提供しております。Google Workspaceは一般ユーザー向けに提供が開始されたこともあり、rakumoでは、企業がGoogle Workspaceを利用する際に不足する機能の補完や、より使いやすい画面の設計、より便利にご利用いただける機能を提供しております。 各サービス名及び概要は次のとおりです。 Salesforce版rakumoは、セールスフォース社の営業支援サービスであるSales Cloudなどのサービスと連携し、主に営業担当者の予定調整業務負荷を軽減します。 「gamba!」は、誰でも簡単に使える社内SNS型日報アプリであり、これまでの日報におけるムラ・ムリ・ムダを解決し、労働生産性向上(業務効率化)、個人・チームの成長、及び社内コミュニケーションの活性化を支援促進する製品となっております。 Google社のGoogle Workspaceライセンス販売のほか、関連サービスの他社ライセンス販売を行っております。 rakumoシリーズは、「幅広いお客様の共通業務を支援する安全かつ高品質なITサービスを、多種多様なお客様に、導入しやすいコスト・環境で提供する」という事業開始当初のミッションを実現するため、サービス提供基盤として、従来のサーバー設備投資コストと比べて低コストでの導入が可能な、Google社やセールスフォース社のクラウドプラットフォームサービス(*6)を利用しています。 また、全ユーザーが同じバージョン、同じソースコードのソフトウェアを使用するシングルインスタンス(*7)を採用しており、当社グループでの定期的な保守・改修を可能にする一方、顧客側でも動的にカスタマイズが可能な仕組みとなっており、従来のITサービスに比べて導入・保守費用が大きく軽減でき、導入・利用しやすい料金でのサービス提供を可能としております。 各サービスはPCのみならず、スマートフォンでも利用することが可能となっております。また、サービス単体での販売に加え、複数サービスを組み合わせることにより、本来の単価の合算よりも安価にご利用いただけるパック形式での提供も行っております。 お客様の業務の生産性は業務サービスの操作性と直結しているという認識のもと、専任のプロダクトデザイナーがエンドユーザーの様々な利用ケースを分析し、幅広いお客様に利用しやすい操作画面やプロセスのデザインを行っています。 rakumoは基盤サービスとして広く利用されるGoogle社のGoogle Workspaceやセールスフォース社のSales Cloudといったアプリケーションサービスと様々なデータや機能において連携しています。また、rakumoシリーズでは、カレンダー・経費精算・ワークフロー間の連携のように、個々のサービス同士が連携し、データを別のサービスでも利用することが可能となっております。 これらにより、企業内システムで発生しがちな、異なるITベンダーが提供するサービスを利用することによる手間の軽減、また、データをサービス間で再利用することによる重複入力の削減や入力ミスの低減、プロセスの自動化等を実現しております。 従来、企業内の情報共有ツールであるグループウェアは、利用企業の自社内でサーバーや通信回線設備、ソフトウェア等を保有・運用する形態で、大企業向けが主流でありました。これらは、セキュリティ面での優位性やカスタマイズが容易といったメリットがある一方、設備調達やカスタマイズの為、導入までに一定の期間が必要であり、また、導入後もソフトウェアの改修や設備の運用コストが多額に発生する等、中小企業への導入は難しい面がありました。 一方、当社グループが採用している「クラウド」方式では、従来のようにユーザー側でサーバーやソフトウェア等の設備を利用企業側で保有するのではなく、インターネットを介してサービスを利用するため、低コストかつ短期間での導入が可能であります。 また、ソフトウェアサービスを、インターネットを介して(クラウド上で)提供し、利用者が必要な機能を必要な分だけ利用できる「SaaS」方式を採用しております。これにより、ソフトウェアの保守や機能追加等はサービス提供側で一括して実施するため、運用コストも安価であり、中小企業での導入も容易となっております。 当社グループの主要サービスである「rakumo」の収益構造は、サービス料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプション(*8))として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー(*9))を得ることができる「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル(*10)」となっております。 売り切り型ではなく、継続的なサービス提供を前提としており、継続的に収益が積み上がっていくストック型ビジネスとしての安定性がありながら、新規契約数の増加に伴う高い成長も目指すことができるビジネスを展開しております。 また、年間契約や複数月契約が主体であり、契約金額を一括前払いで回収しているため、キャッシュ・フローの観点で有利なことも特徴です。 当社グループのサービスは、Google社及びセールスフォース社のサービスと密接に連携したサービスであり、それぞれのサービスをご利用いただいているお客様には、利用者の操作面や管理操作面での利便性向上、操作の効率化が可能になります。当社グループとしては、両社サービスとの連携を更に深め、また、両社の基盤を最大限に活用することにより、当社グループの事業の安定と成長に繋げられるように事業を展開していく方針であります。 自社販売だけでなく、販売パートナー及び紹介パートナーを多数有していることも当社グループの特徴であります。2つの販売チャネルを効果的に機能させることで、導入企業数及びユーザー数の更なる増加による事業の安定性及び成長性の実現に尽力しております。 顧客のサービス利用期間における満足度を高めることが契約更新に繋がることから、当社グループでは、プロダクト開発力の強化や継続的な製品改修、顧客サポートの品質向上、定期的な新サービスのリリース等に努めております。これらの施策や販売・マーケティング施策等により、既存顧客に対しては、契約更新のみならず、他のサービスや関連商品等の購入(クロスセル)に繋げていただけるよう尽力しております。 また、導入の容易さや安価な利用料金により、着実なユーザー数の増加、高い継続率を実現しており、多種多様な業界、中小企業から大企業に至るまで2,334社(2022年12月末時点)の企業に導入いただいており、少数の特定顧客に依存しない収益構造となっております。 グループウェアの入れ替えには全社的な対応が必要となることも多く、容易に解約される性質の製品ではないと考えられ、ライセンスの販売額に対する月間解約率は低位(2022年度通期平均0.67%)で推移しております。 なお、当社グループ(gamba除く)のクライアント数及びユニークユーザー数の推移は以下の通りです。 当社及び他社SaaSサービスの導入支援や業務支援等のソリューションサービスに加え、ライセンスサービスに関連した他社ハードウェアの販売等を行っております。 当社製品は、直感的に理解でき、幅広いお客様に利用しやすい操作画面やプロセスのデザインにより、原則として導入作業から運用段階まで、導入企業自ら実施いただけるよう設計しております。一方で導入企業からのご要望にお応えするため、前システムからの移行作業や、関連サービスも含めた導入時の初期設定作業、管理者や各ユーザー向けの操作説明等を実施しております。これまでのサービス開発・運用経験やノウハウを活かし、高度なIT及び業務スキルをもった当社コンサルタントにより、各種ソリューションサービスを提供しております。 日本国内における各企業のIT開発部門においては、開発案件の増加や新技術の開発等により、最新のITスキルを有した人材が求められる一方、IT業界の人材供給は限られており、慢性的な人材不足に直面する等、開発コストが増加する一因ともなっております。当社グループでは、他社企業からの開発依頼にお応えするため、連結子会社であるRAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)を拠点として、ITオフショア開発サービスを提供しております。 メインに実施している「ラボ型」のシステム開発では、顧客ごとに特定のエンジニアを確保し、専属のチームを組成の上、一定期間継続的に開発業務を行います。チームメンバーが固定されていることにより、企業独自の開発要件やノウハウ等の蓄積も可能となり、人材確保や人件費面以外においてもコスト削減メリットが生じます。 なお、ITオフショア開発サービスは中長期での契約となる場合が多く、SaaSサービス同様にお客様の業務に組み込まれることとなり、安定的な収入を生み出せる構造となっております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 本書記載内容に対する理解を容易にするために、また、正しい理解をいただくために、本書で使用する用語の定義と解説を以下に記載します。 なお、番号は本項「3 事業の内容」の文中において*で示した用語と対応しております。 「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル」で提供される自社グループ及び他社のライセンスビジネス。 企業など組織内のコンピューターネットワークやインターネットを活用し、組織メンバーのコミュニケーション円滑化や情報共有、業務効率化等を支援するためのソフトウェア。 Software as a Serviceの略称。クラウドで提供されるソフトウェアサービスのこと。ユーザー側でソフトウェアを保有するのではなく、サービス提供側がソフトウェアの機能をクラウド上で提供し、インターネットを介してユーザーがサービスを利用する形態。 クラウドコンピューティングの略語で、従来のようにユーザー側でサーバーやソフトウェア等を保有するのではなく、インターネットを介してサービスを利用するもの。サーバー等の初期費用や、ソフトウェアも含めたシステム全体の開発・保守・運用負担を抑えることが可能。 Google社が提供するクラウド型ビジネス業務基盤ツール。 ネットワークやサーバー、アプリケーションサービス、データ保存等ができる基盤(プラットフォーム)を、インターネットを介して(クラウド上で)提供しているサービス。自社でこれらの設備を用意・保有する必要がなく、容易かつ即座にサービスの利用が可能。 全ユーザーが同じバージョン、同じソースコードのソフトウェアを使用する方式。 ソフトウェアのライセンス契約方式においては、売買ではなく特定期間内の使用権を販売する方式のこと。料金は定額で、契約期間内においては、ソフトウェアのアップデートなどは追加料金を支払うことなく受けることが可能。 継続収益。リカーリングビジネスにより得られる収益のこと。リカーリングは「繰り返される」「循環する」という意味。リカーリングビジネスとは、一度の取引で完了するのではなく継続して取引をおこない、安定した収益を得ることができるビジネスモデル。 サービス料金を使用期間やユーザー数等に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー)を得るビジネスモデル。 当社製品を開発している。 役員の兼任あり。 管理業務を受託している。 役員の兼任あり。 資金の貸付あり。 当社及株式会社gambaにおいて労働組合は結成されておりません。 連結子会社RAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)においては、労働組合が結成されております。 なお、労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは『仕事をラクに。オモシロく。』というビジョンのもと、『次のいつもの働き方へ。』をミッションに掲げ、ビジネスを展開しております。 また、当社グループでは「情熱」「協働」「変化」という3つの行動指針を共通の価値観として大切にしながら、ITを活用し、仕事の効率化や柔軟な働き方を実現する製品やサービスの開発・提供に取り組んでおります。 こうした経営方針の下、当社グループの主要なサービスである企業向けグループウェア製品「rakumo」及び社内SNS型日報共有アプリ「gamba!」の普及と、関連するサービスの提供により、お客様の働き方改革の実現や労働生産性の向上に貢献してまいります。 具体的な販売戦略としましては、販売パートナーとの関係強化を図り、当社グループ製品の販売強化を実施してまいります。また、販売パートナーとの関係強化だけでなく、各種マーケティング施策及び積極的な営業施策により、自社直接販売の強化を継続してまいります。 プロダクト開発においては、Google社及びセールスフォース社との関係を維持し、現製品の機能向上及び市場ニーズを踏まえた新たな製品をタイムリーに提供してまいります。また、カスタマーサクセスの強化により、お客様の継続的な利用、更にはアップセルに注力してまいります。 以上のような施策により、新規顧客の開拓に加え、新規及び既存のお客様のサービス満足度を向上させ、高い成長性の確保と継続的な収益の確保を実現していく方針であります。 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上高及び営業利益を特に重視するとともに、適正な人員規模・人材配置による事業運営に努めております。 また、「rakumo」及び「gamba!」は、料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー)を得ることができる「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル」であるため、ユーザー数、利用企業数、ストック収益の成長率及び解約率を重視しております。 当社グループは、当社及び連結子会社2社(RAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)、株式会社gamba)により構成されております。 当社においては、SaaSサービスとして、企業向けグループウェア製品「rakumo」の開発・販売、他社ライセンスの代理店販売等、また、ソリューションサービスとして、当社及び他社SaaSサービスの導入支援や業務支援等のソリューションサービスに加え、ライセンスサービスに関連した他社ハードウェアの販売等を行っております。 また、株式会社gambaにおいては、SaaSサービスとして、社内SNS型日報共有アプリ「gamba!」の開発・販売を行っております。 RAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)においては、ITオフショア開発サービスの提供や当社製品の開発を行っております。 国内企業においては、依然として「労働生産性の向上」が課題となっており、更なる業務効率化が求められております。また、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけとして、在宅勤務やモバイルワークなどテレワークの実施、オフィス勤務とリモートワークを併用したハイブリッド勤務の増加など、時間や場所にとらわれない「新しい働き方」も引き続き求められている状況です。 このような中、組織メンバー間のコミュニケーション円滑化や情報共有における課題が浮き彫りとなってきております。また、今後も感染症の状況や企業規模に関わらず、生産性向上や業務効率化など、「業務のデジタル化」に資するクラウドサービスへの需要は、継続・加速するものと考えております。 なお、当社グループが主なサービスプラットフォームとして利用しているGoogle社及びセールスフォース社においては、当社サービスと連携の深い両社の製品・サービスであるGoogle Workspace及びSales Cloudの利用者数が年々増加しております。 こうした環境を踏まえると、「rakumo」は、多種多様なお客様のニーズに対応できるラインナップを保持していると認識しており、今後の更なる認知度向上に伴い、当社グループのサービスに対する需要も益々拡大していくものと考えております。 当社グループの主要なサービスである「rakumo」は、ビジネスモデルの主な特徴として以下のような点が挙げられ、当該事項は当社グループの競争優位性に繋がっております。 詳細は、「第1 企業の概況  3 事業の内容  (1)SaaSサービス」をご参照ください。 「rakumo」は、導入・利用しやすい料金の実現やユーザー体験分析を基としたサービスデザイン、自社・他社サービスとの連携によるプロセスの自動化・効率化等により、業種・規模を問わず、多種多様な2,300社以上のクライアントにサービスを提供しております。 また、販売網に関しては、インターネットマーケティングの活用による、ネット経由でのクライアントからの直接アプローチを主体とした自社販売に加え、Google WorkspaceやSales Cloud等の代理店として販売する企業を中心に、100社以上の販売パートナー及び紹介パートナーを有しております。この2つの販売チャネルを効果的に機能させることで、導入企業数及びユーザー数の更なる増加による事業の安定性及び成長性の実現に尽力しております。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響による経営環境の大幅な変化により、事業活動に対して制約を受ける可能性はありますが、現時点における経営環境への影響は限定的なものとなっております。当社グループにおきましては、リモート環境による営業活動の実施や顧客サポート体制の構築・提供、従業員への在宅勤務環境の整備支援施策等により、通常通りの業務遂行が可能な体制となっております。従いまして、基本的な経営方針・経営戦略等に関しては今後も継続していくこととしております。 当社グループの主要サービスである「SaaSサービス」が今後も継続的な成長を果たしていくためには、より幅広い業種・業態の顧客に選ばれるとともに、継続的に支持される必要があると考えております。そのためには、当該サービスの優位性となっているユーザビリティ(使いやすさ)の維持・向上が不可欠であると認識しております。 今後も顧客ニーズの変化を迅速に把握し、継続的なユーザー・インターフェースの改善、各種機能強化及び他社製品との連携といった製品機能強化に加え、顧客サポートの品質向上等により、市場優位性の保持に努めてまいります。 当社グループの主要製品である「rakumo」は、2010年のサービス提供開始時から販売パートナーとの関係構築を進めており、現在ではGoogle Workspace(旧 G Suite)やSales Cloudを販売する企業を中心に100社以上の販売パートナー等を有しております。これら販売パートナーとの関係は、当社グループのサービス展開における優位性となっております。 今後も市場拡大が見込まれる中、当社グループが更なる成長を果たしていくためには、販売体制の強化及び知名度の向上が重要であると認識しております。そのため、販売パートナーの新規開拓及び既存パートナーの深耕により、販売体制の強化を図ってまいります。また、販売パートナーがより当社製品を販売しやすくなるよう、展示会やセミナー等を実施するほか、個々の主要販売パートナーに合わせた対応を行ってまいります。 当社グループは、主要製品である「rakumo」サービスが、Google WorkspaceやSales Cloudといったサービスとの連携の中で提供されるという性質上、Google社やセールスフォース社の顧客に向けたマーケティング・販売施策を主に実施しております。今後の更なる顧客認知と販売機会の獲得に向けて、現在実施しているインターネットマーケティングやイベント出展のほか、Google Workspace導入企業への当社からの積極的なアプローチやIT系メディアの露出を図る等、幅広い顧客に対する施策を検討してまいります。 また、これまでに獲得した顧客リード(見込み客)のうち、すぐには商談につながらないリードについては、商談につなげるための対策を十分に実施できておらず販売機会を逃すこともありましたが、マーケティングオートメーションの活用等により、顧客の検討意向を上げる情報提供を積極的に行ってまいります。 さらに、クレジットカードによるオンライン決済等、インターネット上で顧客自身がサービスの購入手続きが可能となる方法を実現し、より多くの顧客の購買手続きに同時に対応できる、効率的な販売手段の構築を検討してまいります。 加えて、M&A等を通じて獲得した製品及び販売網を利用し、当社グループ全体として、クロスセル(複数製品販売)に取り組んでまいります。 当社グループが競争優位性を確保しながら持続的に成長するためには、前述した既存サービスの強化に加え、提供するサービス領域を拡大し、付加価値を高めていくことが重要であると考えております。 新サービスの開発や投融資(M&A)等を通じて、既存のGoogle Workspaceやsalesforceプラットフォーム上でのサービス強化に加え、プラットフォーム非依存のビジネスSaaS領域(情報・コミュニケーション・HR系)でのビジネス拡大を企図しております。これらにより、当社グループ提供サービスのビジネスインフラとしての価値向上に努めるとともに、収益基盤の強化にも注力してまいります。 当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を多数採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えております。当社グループのビジョン及び事業方針に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に引き続き取り組んでまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 各リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、そのリスクの複雑性から明確化は難しいものの、当社グループの事業特性や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」と「重要なリスク」に分類しております。 また、当社グループはこれらリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生時の対応に努める方針でありますが、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績及び財政状態に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。 当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク・コンプライアンス規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会で、企業経営や災害・事故、社会環境等、当社グループを取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループはITビジネスソリューション事業を展開しており、法人を主要顧客としております。また、当社グループは主力サービスとして、法人向けグループウェア「rakumo」を展開しており、勤怠管理やカレンダー、経費精算、稟議申請、社内掲示板等、顧客企業が日常的に使用する機能を幅広く提供しております。グループウェアの入れ替えには全社的な対応が必要となることも多く、容易に解約される性質の製品ではないと考えられ、ライセンスの販売額に対する月間解約率は低位(2022年度通期平均は0.67%)で推移しております。 また、サービス料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー)を得ることができる「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル」を採用しております。 これらにより、サービスが複数年に渡り継続して利用されることで、解約数が新規契約数を上回らない限り、収益が前年度を上回るというストック型ビジネスとしての安定性がありながら、新規契約数の増加に伴う高い成長をも目指すことができるビジネスを展開しております。 しかしながら、今後の経済情勢や景気動向の変化等により、顧客企業の情報化への投資が抑制されるような場合、新規・追加受注が想定通り進まない場合又は解約率が当社の想定を上回った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、法人向けグループウェア「rakumo」及び「gamba!」を展開しており、クラウド型でのサービス提供を行っております。クラウド市場は急速な成長を続けており、当社グループは今後もこの傾向は継続するものと見込んでおり、同市場での更なる事業展開を図っていく計画であります。 しかしながら、経済情勢や景気動向の変化による企業の情報化投資の抑制や、規制の導入等予期せぬ要因によりクラウド市場の成長が鈍化するような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた開発費用をソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)として資産計上しております。このソフトウエアについて、クライアントニーズへの適切な対応を実施することにより減損を発生させないよう努める方針ですが、重大な将来計画、使用状況等の変更やサービスの陳腐化等により、収益獲得又は費用削減効果が大幅に損なわれ、ソフトウエアの減損が必要となる場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社が顧客に提供しているアプリケーションは、Google社が提供するクラウドプラットフォーム及びセールスフォース社が提供するクラウドプラットフォーム上に構築されております。 また、当社は、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社とGoogle Workspaceに関する再販売代理店契約を締結しており、株式会社セールスフォース・ジャパン(2022年2月1日付けで株式会社セールスフォース・ドットコムから社名変更)との間でも当社の製品と結合したソリューションの一部として、同社グループサービスの再販を可能とする契約をそれぞれ締結しております。 現時点において両社が日本から撤退する予定はなく、また、当社としては、両社と円滑な関係を維持できていると考えていることから、今後の契約関係も安定して継続するものと考えております。 しかしながら、両社の経営戦略の変更により日本でのプラットフォームの提供が廃止・停止となった場合、プラットフォームの機能に障害が発生して当社のアプリケーションに影響が生じた場合、プラットフォームに大きな機能変更が生じた場合、プラットフォームの競争優位性が失われた場合、プラットフォーム利用料及び各サービスの引上げを要求された場合、当社が解除事由に抵触したこと等を理由に契約を解除された場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが顧客に提供しているアプリケーションは、クラウドという特性上、インターネットを経由して行われており、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社はシステムトラブルを最大限回避すべく、企業向けクラウドプラットフォームとして信頼されているGoogle社が提供するクラウドプラットフォーム及びセールスフォース社が提供するクラウドプラットフォーム上にアプリケーションを構築しております。 しかしながら、自然災害や事故、プログラム不良、不正アクセス、その他何らかの要因により予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業に関する情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産の保護や漏洩リスクを回避するため、情報セキュリティ基本方針を定め、関連規程を整備・運用しております。 しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産の漏洩、消失、不正利用等が発生した場合、当社グループの信用失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループはクラウド製品を扱っていることもあり、当該ビジネスの特性から新型コロナウイルス感染症による主要サービスに関する経営成績や財務状況へのマイナスの影響は限定的となっております。また、提供プロダクトの性質上プラスの影響もあることから、全体として重要な影響は生じておりません。 なお、以前と比較し、現時点では、新型コロナウイルス感染症による経済等への影響は低下しているものと考えておりますが、当該感染症等の影響が再度大きくなった場合には、当社グループ及び販売先・取引先等への事業活動の制限等が発生する可能性があります。 当社グループでは、これらの影響を回避又は軽減するために、事業所内における感染防止対策を徹底し、従業員の安全確保に務めるとともに、感染者が発生した場合の対応を検討する等、危機管理の徹底に取り組んでおります。また、在宅環境における業務・開発環境の整備を行う等、テレワークの推進にあたっております。 当社グループが属するインターネット業界においては、新技術の開発や新サービス出現のスピードが早く、顧客ニーズも早期に変化する等、変化の激しい業界となっております。当社グループでは、最新の技術動向や環境変化に関する情報収集、優秀な人材の確保や教育によるノウハウの蓄積等に積極的に取り組み、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。 しかしながら、何らかの理由で技術革新や顧客ニーズへの対応が遅れた場合や、新技術への対応のため想定を超える投資が必要となった場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが事業を展開する法人向けグループウェア市場は、競合企業が複数存在しており、今後クラウド市場の普及に伴い、規模の大小を問わず競合企業の新規参入が予測されます。これら競合他社の中には、当社グループに比べ大きな資本力や技術力、販売力等の経営資源及び顧客基盤等を保有している企業が含まれます。 当社グループは、製品開発力の強化や継続的な製品改修・サービス品質の向上等により、競争力の維持に努めておりますが、競合企業や新規参入企業との競争激化により、当社グループが想定している事業展開が図れない場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、他社企業からの開発依頼にお応えするため、連結子会社であるRAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)を拠点として、ITオフショア開発サービスを提供しております。 メインに実施している「ラボ型」のシステム開発では、顧客ごとに特定のエンジニアを確保し、専属のチームを組成の上、一定期間継続的に開発業務を行っております。チームメンバーが固定されていることにより、企業独自の開発要件やノウハウ等の蓄積も可能となり、人材確保や人件費面以外においてもコスト削減メリットが生じます。 しかしながら、今後の経済情勢や景気動向の変化等により、顧客企業の情報化への投資が抑制されるような場合、新規・追加受注が想定通り進まない場合、または解約等が発生する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが継続して事業拡大を進めていくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が不可欠であると認識しております。そのため、継続的な人材採用や育成に加え、定着率向上に向けた各種施策を行っております。 しかしながら、優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合等には、経常的な業務運営及び事業拡大等に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの連結従業員数は95名(2022年12月31日現在)であり、小規模な組織であると認識しております。現時点においては、当社グループの規模に対して適切な人員体制が構築出来ているものと考えておりますが、今後の事業拡大に応じて、人員増強、内部管理体制の充実を図っていく必要があると考えております。 しかしながら、事業の拡大に応じた人員増強が順調に進まなかった場合や内部管理体制の充実がなされなかった場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの在外子会社の財務諸表は現地通貨にて作成されるため、連結財務諸表作成時に円換算されることとなります。為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、クラウドインフラ利用料や一部仕入において、直接的または間接的に、外貨建てでの取引を行っております。オペレーションコストの継続的な見直しや、円建てでの取引契約への移行を進めることで為替リスクの低減を図っておりますが、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、2022年6月に株式会社gambaの全株式を取得し、のれんを連結貸借対照表に計上しております。当該のれんについては、同社における将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、今後の事業環境の変化等により、将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度末における資産合計は1,776,603千円となり、前連結会計年度末に比べ259,516千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が144,314千円、のれんが84,794千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における負債合計は624,114千円となり、前連結会計年度末に比べ54,977千円増加いたしました。これは主に、契約負債が68,172千円、買掛金が7,795千円増加した一方、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が14,982千円、未払法人税等が6,275千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における純資産合計は1,152,489千円となり、前連結会計年度末に比べ204,538千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益184,552千円を計上したことにより、利益剰余金が増加したことによるものであります。この結果 、自己資本比率は64.9%(前連結会計年度末は62.5%)となりました。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響はありましたが、規制の緩和等、経済社会活動の正常化が進んだことで、景気は一部に弱さがみられたものの、緩やかに持ち直しました。先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果等もあり、景気は持ち直していくことが期待されます。一方、世界的な金融引締めが続く中で、海外景気の下振れが、わが国の景気下押しリスクとなっております。また、物価上昇や供給面での制約、金融資本市場における変動等の影響に十分注意する必要があり、依然として不透明な状況にあります。 当社グループが事業展開するソフトウェア業界におきましては、企業の生産性向上や業務効率化、テレワークに関連したシステムへの投資需要拡大が引き続き見込まれます。政府が推進する「働き方改革」への取り組みに加え、感染症への対応を鑑みた在宅勤務やモバイルワーク等テレワークの実施、オフィス勤務とリモートワークを併用したハイブリッド勤務の増加等、「新しい働き方」が定着しつつあります。 このような状況の中、当社グループは、『仕事をラクに。オモシロく。』というビジョンのもと、『次のいつもの働き方へ。』をミッションに掲げ、オフィスの生産性向上に貢献すべく、企業向けグループウェア製品「rakumo」の機能強化及び更なる拡販に注力しました。 販売面においては、これまでのチャネル別営業組織から、「顧客規模別」及び「営業プロセス」の2軸により分割した営業組織へ再編を行いました。これにより、既存のインバウンド型営業(クライアントからのアプローチ)での案件創出力を向上させるとともに、アウトバウンド型営業(当方からのアプローチ)にも積極的に取り組むことで、新たな案件創出に尽力いたしました。 加えて、クライアントニーズを勘案した既存製品の機能追加・改善や、契約直後の顧客に対するフォロー・設定サポートを実施する等、お客様満足度の向上や解約率低減にも努めました。 なお当社は、2022年6月30日付で、社内SNS型日報アプリ「gamba! (ガンバ)」をクラウド上にて提供している株式会社gambaの全株式を取得し、連結子会社といたしました。本連結子会社化により、当社及び当社パートナー網が有する顧客基盤を活用し「gamba!」の利用者数拡大に取り組むとともに、同社との相乗効果を発揮することで、「rakumo」の新規顧客獲得も加速させてまいります。 費用面では、為替変動による影響が一部あったものの、継続的な費用低減施策や、売上高の順調な成長により、売上原価率は改善いたしました。一方、販売部門への投資及び一過性のgamba社買収関連費用等もあり、販管費率は上昇しました。 この結果、当連結会計年度の売上高は1,096,831千円(前連結会計年度比13.8%増)、営業利益は232,297千円(同1.9%増)、経常利益は225,500千円(同1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は184,552千円(同2.2%減)となりました。 なお、当社グループはITビジネスソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の経営成績は、以下の通りであります。 当サービスにおいては、新規顧客の増加やライセンス追加などにより堅調に推移し、2022年12月末のクライアント数は2,334社(2021年12月末比132社増)、ユニークユーザー数は502千人(同54千人増)となりました。 分業制による専門性向上や商談創出力の向上を企図した営業組織の再編、パートナー等との共催を含めた各種ウェビナーの実施、製品間連携を訴求したパック製品の販売強化等を進めました。 加えて、流入数・顧客獲得増加を目的とした製品ホームページの継続的な更新を実施した他、教育分野への注力としてコンソーシアム参画や導入事例の掲載、コンテンツマーケティングの実施等、各種施策にも積極的に取り組みました。 また、契約・利用開始直後の顧客や更新顧客に対するフォローの実施、利用者アンケートや個別インタビュー等を通じた既存製品の各種機能開発等も実施し、新規クライアントの獲得やユニークユーザー数の増加、ユーザー1人当たり単価の増加に尽力しました。 さらに、gamba社の買収によって、SaaSサービスの強化に努めました。 この結果、SaaSサービスの売上高は960,894千円(前連結会計年度比17.0%増)となりました。 当サ―ビスにおいては、既存顧客への業務支援案件の継続的な提供を行ったことに加え、ライセンスサービスに関する新規導入支援案件の受注・提供等により、売上高は48,775千円(前連結会計年度比7.7%増)となりました。 当サービスにおいては、既存顧客からのラボ型開発案件が安定的に推移しました。一方、SaaSサービスに注力したこともあり、単発の受託開発については減少いたしました。 この結果、売上高は87,161千円(前連結会計年度比10.1%減)となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ144,263千円増加し、当連結会計年度末には1,384,056千円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は275,026千円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上221,830千円、契約負債の増加額41,458千円、減価償却費の計上38,743千円、法人税等の支払額39,065千円によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は92,266千円(同72.7%増)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出46,227千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出34,041千円、投資有価証券の取得による支出10,000千円によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は47,290千円(前連結会計年度は11,217千円の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出57,240千円、株式の発行による収入9,950千円によるものであります。 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 当社グループは新規案件について受注残が発生するものの、受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。 当連結会計年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの当連結会計年度の財政状態に関する状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載しております。 また、経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。 当社グループの主要サービスは、料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー)を得ることができる「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル」であるため、売上高及び営業利益を特に重視しております。 当連結会計年度における売上高は、1,096,831千円(前連結会計年度比13.8%増)となりました。サービス別の売上高につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しております。 当連結会計年度における売上原価は、399,796千円(前連結会計年度比9.8%増)となりましたが、売上原価率は前連結会計年度の37.8%から1.3ポイント改善し、36.5%となりました。これは、当社グループの主要サービスである「SaaSサービス」において、売上高の成長に加え、変動費率((Google社向けサーバー費用+セールスフォース社のプラットフォーム利用料+gambaサーバー費用)÷SaaSサービス売上高)が当連結会計年度末時点で10.6%となり、高い限界利益率(89.4%)を実現できたことによるものであります。 この結果、売上総利益は697,035千円(前連結会計年度比16.3%増)となりました。 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、464,737千円(前連結会計年度比25.1%増)となりましたが、売上高販管費率は前連結会計年度の38.6%から3.8ポイント上昇し、42.4%となりました。これは主に、営業部門への投資及びgamba社買収費用等によるものであります。この結果、営業利益は232,297千円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。 当連結会計年度における営業外収益は、48千円(前連結会計年度は81千円)となりました。これは主に、受取利息によるものであります。 また、営業外費用は6,845千円(前連結会計年度は6,370千円)となりました。これは主に、為替差損、支払利息によるものであります。 この結果、経常利益は225,500千円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。 当連結会計年度における特別利益は発生しておりません(前連結会計年度も発生しておりません)。 また、特別損失は3,670千円となりました(前連結会計年度は29,398千円)。これは、和解金によるものであります。 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は184,552千円(前連結会計年度比2.2%減)となりました。 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、当社グループの主な資金需要は、労務費、サービス提供のためのライセンス原価やプラットフォーム利用料、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの営業費用及び成長に向けた投融資等の必要資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金及び各種資本政策等による資金調達等、財務状況のバランスを見ながら対応していくこととしております。 なお、当連結会計年度末時点において、現金及び預金が1,435,554千円、有利子負債控除後のネット・キャッシュも1,385,554千円あるため、当社グループにおきましては、当面の資金流動性に影響は与えないものと考えております。 また、当社グループのビジネス特性上、新型コロナウイルス感染症による資金繰りへの影響は限定的と考えております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、引き続き不透明な状況とはなりますが、以前と比較し顧客の業績悪化等に与える影響は限定的になっていると想定され、現時点では業績等への影響は限定的であると判断しております。 重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は次のとおりであります。 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。 なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくために、経営者は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。 当社グループの経営上の重要な契約は次のとおりです。 当社グループは、『仕事をラクに。オモシロく。』という事業方針(ビジョン)のもと、成長性・持続性のある組織づくりを支援する各種サービスを「クラウド」上で提供すべく、研究開発活動を行っております。 当連結会計年度の研究開発費の総額は6,881千円となっております。主な活動は、HRテック領域(人事分野でのテクノロジー領域)関連サービスの開発であります。 当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますので、セグメント別の記載を省略しております。
リックソフト株式会社
# リックソフト株式会社 Corporation Plcは2015年12月10日(米国時間)にNASDAQに上場しています。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社(Ricksoft,Inc.)の計2社で構成されており、「我々の技術・知識・ノウハウを最高に発揮し、お客様の価値向上と社会の発展に貢献します。」を経営理念として掲げております。 「お客様のビジネスがグローバルでも競争力を持つように、世界のビジネスシーンで活用されている優れたツールを日本企業の方々にも使っていただきたい」という想いや「そこで得られたノウハウから生まれた自社開発ツールを世界に向けて提供したい」という考えを持ち、調査・分析から設計・構築・稼働・運用に至る一連のサービスを提供する「ツールソリューション事業」を主な事業として取り組んでおります。 当社グループが販売するのは、Atlassian社を中心にグローバルで評価の高いツール群です。販売するソフトウェアはそれぞれ様々な用途で使われますが、当社グループで最も販売実績のあるAtlassian社のソフトウェアは、主にソフトウェア開発の工程管理や課題管理として使用されます。当社グループの顧客もAtlassian社の製品をソフトウェア開発で利用する企業が多くを占めておりますが、Atlassian社の製品の特徴の1つでもある操作性の良さから、その用途はソフトウェア開発に留まらず、一般のプロジェクト管理のために導入される等、用途の広がりをみせております。 当社グループが提供するツールソリューション事業とは、単純に海外の便利なソフトウェアを仕入れ、それをそのまま国内の顧客にライセンス提供するのではなく、顧客の抱える問題・課題の解決や、顧客の要望・要求を満たすため、ソフトウェアとともに、利用環境の構築、ソフトウェアの機能追加(カスタマイズ)、ユーザー向けの研修など様々なサービスと組み合わせて提供することを意味します。例えば、顧客にソフトウェアをカスタマイズしたいといった要望があればSIサービス(注1)、利用環境を自社で管理できないといった課題があればマネージドサービス、場合によってはそれらを組み合わせて顧客が最適な環境でビジネスに取り組めるよう各種サービスを提供しております。 当社グループでは、提供する製品・サービスの内容により、「ライセンス&SIサービス」、「マネージドサービス」、「自社ソフト開発」の3つに区分しております。 なお、従来クラウド環境の提供サービスを「クラウドサービス」という名称で記載しておりましたが、その実態に鑑み「マネージドサービス」という名称に記載を変更しております。 なお、当社グループのセグメントはツールソリューション事業の単一事業であり、セグメント情報の記載を省略しております。 (1)区分別の製品・サービス内容は次のとおりであります。 主にAtlassian社のソフトウェアの導入支援を行っており、お客様の課題解決のために提案からライセンス販売、コンサルタントとしてのプロジェクト参画やSI、研修、運用支援(ヘルプデスクによる問い合わせ対応等)まで包括的に行っております。 主な収益モデルとしては、顧客の新規導入時にAtlassian社から当社がライセンスを仕入れ、顧客に対してライセンス再販サービスを提供しております。また、翌年以降の更新時には、毎年保守費用が顧客に発生します。なお、Atlassian社への支払いに関しては、Solutionパートナーランク(注2)に応じてディスカウントが適用されております。 また、SIサービスとして、以下に示すようなサービスを提供しています。 当社グループで取り扱う製品の稼働環境としてのクラウド環境提供を迅速に行っております。24時間365日対応、取り扱い製品の専任技術者が運用管理するフルマネージドクラウドサービスとなっております。 主な収益モデルとしては、当社のマネージドサービスを利用する顧客に対しては、ライセンス料に加えてクラウド上の運用代行費用を受領しており、利用開始後は毎月売上を計上しております。 取り扱っているサービスは、RickCloudで特長としては、次の4点が挙げられます。 ・スモールスタート(注7)から本格稼働まで対応が可能です。 ・クラウドストレージ(注8)でデータを保護しています。 ・サービス監視とリソース監視を行っています。 ・標準的なセキュリティ対応を行っています。 Atlassian製品の主力製品であるJiraやConfluenceへの拡張機能となるアドオン製品を自社開発し、Atlassian Marketplaceにて販売しております。 拡張機能とは、Atlassian製品の標準機能では実現できない機能を独自ソフトウェアにより実現することです。「WBS Gantt-Chart for Jira」を例にしますと、Jiraの一覧表示では実現できないWBS(注9)やガントチャート(注10)という機能をJiraに持たせることが可能になります。 主な収益モデルとしては、新規購入時には製品毎の標準価格で販売し、翌年以降に更新された際は、毎年一定の更新料を受領しております。なお、Atlassian Marketplaceの使用料として、Atlassian社に対して製品ごとに決められた手数料を支払っております。 2023年2月28日現在、「WBS ガントチャート for Jira」を含めた自社開発ソフトウェアは国内のみならず海外へ販売し、他の製品も含め魅力的な機能拡充を続けております。海外販売子会社であるRicksoft,Inc.も技術チームと連携し、強力な海外ライバル製品に負けないよう、海外ユーザーが要望するUI/UX(注11)の改善に取り組み、今後もユーザーの要望を取り込む方針で製品強化を行ってまいります。また、Jiraの「表形式での課題編集機能をサポートしていない」という弱点を補うアドオンとして「Excel-like Issue Editor for Jira」を開発し、表計算ソフトの課題管理に近い感覚でJiraの課題を編集することが可能となりました。 (2)当社グループ各社の事業と位置付けは次のとおりであります。 当社グループにおいて、当社は東京、名古屋を拠点としてツールソリューション事業を行っており、Ricksoft, Inc.は米国を拠点とし、開発したソフトウェアをAtlassian Marketplace経由にてグローバルに販売しております。 システムの導入に関して、分析から開発、運用に至るまでのサービスを指す。 Atlassian社がパートナーの認定技術者数等に応じて設定しているランクを指し、高いランクからプラチナ、ゴールド、シルバーの3種類がある。ランク毎に充足が求められる認定技術者数等及び当社グループの状況は以下のとおり。 お客様の業務とツールの機能との適合部分(Fit)と乖離部分(Gap)を調べる作業で、追加開発が必要な機能の洗い出しを実施すること。 ツールの機能を拡張する為のアプリケーションのこと。プログラミング言語により開発され、ファイルとして提供される。 ツールに簡易的な機能を追加するために記述するプログラムのこと。直接記述するだけですぐに動作するという特徴がある。 当連結会計年度よりサービスの名称を「クラウドサービス」から「マネージドサービス」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。 小規模で運用を開始すること。 クラウド環境で管理されているデータ保存領域のこと。 プロジェクトの各工程を担当者毎の作業レベルにまで分類し木構造にまとめたもの。 プロジェクト管理で用いられる表の一種で、工程毎の計画と進捗が横棒によって表現されたもの。 UIは、ユーザーインターフェイス(User Interface)の略でコンピュータシステムあるいはコンピュータプログラムと人間(ユーザー)との間で情報をやり取りするための方法、操作、表示といった仕組みの総称。UXは、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で製品やサービスの利用を通じて得られる体験の総称。 事業の系統図は、次のとおりであります。 当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは「価値ある道具(ツール)を世界中の多くの人が使えるようにすること」を企業使命としております。 「価値ある道具(ツール)」を活用することで、新しい働き方や組織の生産性を向上させることができ、時間や場所の制約も緩和し、組織に俊敏さをもたらすことができます。 この企業使命を実現するために、自分たちの技術・知識・ノウハウを最高に発揮し、お客様の価値向上と社会の発展に貢献する企業を目指してまいります。 当社グループの事業ドメインを「価値ある道具(ツール)の提供」と定義し、この事業ドメインを突き詰めていきます。 この事業ドメインを広義に解釈すると、大手ソフトウェアベンダーや技術系商社、そしてオープンソース(注1)など多くのプレイヤーが存在します。 海外で評価の高い道具(ツール)を輸入し国内向けに販売する場合、取扱製品は同様であるため、差別化しにくい状況となります。 しかし、海外で評価が高いということは、その理由があるはずです。技術者集団から生まれた当社グループは、その理由の本質を理解し、顧客が抱える課題を解決します。また、日本顧客向けに追加機能をマネージドサービスとして開発し他プレイヤーが提供できない価値をお客様へ提供します。 当社の顧客は大企業が中心となっておりますが、当社のこれまでの戦略として、最初は一部署等の小規模組織に導入を促し、当該部署での成功体験を足掛かりとして、他部署への導入や全社的な標準ツールとしての採用等の横展開を進めてまいりました。大企業においては、ひとたびプロジェクト管理ツールを導入すると、当該ツール上で数千規模のプロジェクトが管理されることとなるため、簡単にはリプレイスすることができず、継続率が高いという傾向があります。 海外には国内に知られていない道具(ツール)が多くあります。もしそれらの道具(ツール)が国内にあったらすぐにでも使いたいと言うであろう顧客を国内の潜在顧客と定義します。当社グループは潜在顧客をターゲットとして海外から先進的な道具(ツール)を国内へ提供します。 もし海外にも存在しない場合は潜在的要望の可能性を検討し、チャンスがあると判断した場合は道具(ツール)を自ら開発します。 日本を除いたグローバル市場では国内市場とは異なる営業戦略や商品戦略が必要です。つまり対象とする市場に対する知識、ノウハウが無いと全く戦えません。 幸いなことに、当社グループはアジアパシフィック地域(注2)においてAtlassian社のパートナーランキング上位をキープしており、Atlassian社に関連する市場(以下、Atlassianエコシステムと記載する)に詳しく、Atlassianエコシステムではリックソフトという名前が良く知られています。この有利な状況を利用し、Atlassianエコシステムから自社開発ソフトウェア製品(ツール)を海外展開する戦略をとってまいります。 「価値ある道具(ツール)」はお客様が対価を支払っても欲しいものと考えます。 したがって、ツールであるソフトウェアに係るライセンス販売、ツールの環境構築、カスタマイズ、運用支援等のSI、ツールの稼働環境を提供するマネージドサービス、ツールのアドオン製品を提供する自社ソフト開発等から構成される「売上高」を重要な指標と位置付けております。 そして、「ツールソリューション事業」の拡大を推進し、継続的な成長及び企業価値の向上を実現していく上で利益を確保することは重要であり、「顧客数」「認定技術者数」及び「営業利益」を重要な指標と考えております。 昨今のデジタルトランスフォーメーション(注3)の流れの中で、製造業、金融・保険業、そして卸売・小売業など多くの業種にAI(注4)、IoT(注5)、AR/VR(注6)という新技術の波が押し寄せております。この流れの中で、このような新技術のソフトウェア開発においては、従来のウォーターフォール型開発(ソフトウェア開発にあたり、要件定義、設計、実装、テスト、リリースまでのサイクルを一回で行う開発手法。サイクルは一年以上に及ぶケースが多い。)から、アジャイル型開発(要件定義、設計、実装、テストのサイクルを短く設定し、市場環境の変化を受けて要件定義を柔軟に変更する前提で順次開発する手法。サイクルは通常2週間程度。)へと、ソフトウェア開発手法のトレンドが変化しつつあります。ウォーターフォール型開発においては、開発開始から開発完了までの作業工程を最初に確定できるため、要件定義が変わらない前提においては効率的な開発が可能となりますが、新技術の開発という領域においては、ライバル製品の出現等、市場環境の変化のスピードが速いため、ウォーターフォール型開発では開発したソフトウェアの競争力が損なわれる恐れがあります。これに対応する開発手法がアジャイル開発であり、敢えてサイクルを短く設定することによって市場環境に応じた臨機応変な開発を可能とするものであります。また、短いサイクルで臨機応変に開発を進めていくアジャイル開発が更に発展した概念として、開発チームだけではなく運用チームまで巻き込んで組織的にPDCAサイクルを回していくDevOpsという概念も近年広がっております。 当社グループが主に取り扱うAtlassian製品は、アジャイル開発やDevOpsを支える管理ツールであります。 また、日本国内における先進的なツール導入は海外に対して遅れており、調査会社の調査によると、日本におけるアジャイル開発の浸透は、海外と比較して5年程度のタイムラグがあるものと推察され、アジャイル開発が国内に浸透していく流れの中で、国内におけるAtlassian社のソフトウェア導入は今後も進展していくものと認識しております。 当社グループは継続的な成長を目指すため、対処すべき課題を以下のとおり設け、その実現のための施策を実施してまいります。 会社の全体的な収益拡大を行うために、Atlassian製品及びAlfresco製品やWorkato製品などAtlassian製品以外の先進的ツールの活用を促すことのできる優秀な営業部員、開発やコンサルティングを担うことのできる高い技術力を伴う人材(プリセールスSE)の確保が必要となっております。また、自社ソフト開発業務の製品ラインナップを拡充対応できるマネージャークラスの人材は拡大を進めていますが、これまでどおり開発要員も必要となっております。マネージドサービス業務に関しては、市場の規模拡大に伴い、RickCloudに対するお客様からの引き合いも継続して増加しているため、当社内のクラウドシステム構築の経験・スキルは今まで以上に必要となってきました。 人材の確保につきましては、各種採用広告媒体やWebでのコミュニケーションツールを利用しながら引き続き、新卒者・中途採用者の募集活動と獲得を行ってまいります。 当社は、2020年3月より「等級・評価・賃金」の三本柱を中心に新人事制度の運用をスタートさせました。公平公正な評価、外部環境を意識した賃金体系の整備と見える化を実施することにより、従業員のモチベーションアップが事業の成長につながることと確信しております。また、事業の安定化とお客様からの信頼度を高めることを兼ね、認定資格(「Atlassian Certified Professional(ACP)」、「Alfresco Certified Engineer(ACE)」をはじめAWS等)の取得については、さらなる認定者数のアップに努めます。その他、要員規模の拡大に伴い法令対応してきた、産業医・衛生委員会の設置、メンタルヘルス対策をはじめ、コロナ禍においても適切な対策を施し従業員が安心して働ける健康的・衛生的な職場環境を築いてまいります。 自社ソフト開発業務に関しては、日本のみならず海外への売上拡大も見据えた製品開発(各種言語に対応等)を行っています。海外のライバル会社に負けない製品を開発するためクラウド技術とUI/UX力を強化させてまいります。海外子会社は当社の製品を「価値あるツール」として世界に広めるというブランド力の向上も担っております。 当社グループは、Atlassian関連事業に特化し、Atlassianの担うプロジェクト管理ツール・コミュニケーションツール市場の拡大するビジネススタイルを着実に実行し、今日の成長につなげてまいりました。同市場への依存度は当面の間高水準で推移していくと予測されます。従って、Atlassianの担う同市場に変化が生じた場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。中長期的にはAtlassian製品以外(Alfresco製品、Workato製品等)の先進的なツールの売上を高めていく必要があると考えております。また、市場が拡大し、お客様からの要望が高まるマネージドサービス業務や自社ソフト開発業務については、益々力を入れていきます。 当社グループは、市場動向、競合企業、顧客ニーズ等の変化に対して素早くかつ柔軟な対応が可能な組織運営をするため、経営管理体制のさらなる強化を図ってまいります。また、企業価値を継続的に向上させるため、内部統制の構築、セキュリティ対策の強化、企業コンプライアンスなど全役員・従業員が高いレベルの意識を持って取り組めるように努めてまいります。 ソフトウェアのソースコード(プログラミング言語で書かれた文字)を公開して自由に改良・再配布ができるようにしたソフトウェアのこと。 アジアから太平洋にかけての地域である。その範囲は曖昧だが、おおよそ、東北アジア・東南アジア・南アジアとオセアニアを合わせた地域を表すことが多い。また、Atlassianが定義した地域として他にはAMER(アメリカ)とEMEA(ヨーロッパ)がある。 2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」。IoT、AI(人工知能)、ビッグデータ・アナリティクス(解析)など、デジタル技術を活用することで、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること。 人工知能(artificial intelligence)。人工的にコンピューター上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、あるいはそのための一連の基礎技術を指す。 モノのインターネット(Internet of Things)。センサーやデバイスといった「モノ」がインターネットを通じてクラウドやサーバーに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組み。 ARとは「拡張現実感」「Augmented Reality(オーグメンテッドリアリティ)」のことで、周囲を取り巻く現実環境に、情報を付加・削除・強調・減衰させることによって、人から見た現実世界を拡張するものと定義されている。 VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」のことで、「表面上は現実ではないけれど、その本質的な部分では現実」という意味で、実体験に限りなく近い体験を得ることができる。 当社グループの事業において、リスクの要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 当社グループのビジネスは、企業を主要顧客としております。これまで、顧客企業のIT投資意欲の上昇を背景として、事業を拡大してまいりました。しかし、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、顧客企業のIT投資意欲が減退するような場合には、新規顧客の開拓の低迷や既存顧客からの受注の減少等から、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、事業・顧客・地域(国内・海外も含め)の分散を図り、引き続き価値のある開発、改良を行い、お客様にとって付加価値の高いサービスを提供し続けることでリスクの低減に努めてまいります。 当社グループは、大手・中小を問わず競合企業が存在しております。また、海外には類似製品が存在しております。そのため、競合他社の技術力やサービスの向上、海外の類似製品の日本国内への市場参入により競争が激化するような場合には、当社グループが提案している営業案件の失注や製品販売及びサービス提供の契約の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、引き続き顧客のニーズを汲んだ製品・サービスの提供を進める方針であります。ソフトウェア業界は、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が激しく、新しいサービスが逐次生み出されている中、当社も技術革新及び顧客ニーズの変化に対応すべく、積極的に最新情報の蓄積、分析及び当社への導入に取り組んでおります。 当該リスクに対しては、引き続きAtlassian製品以外のツール提供(Alfresco、Workato等)の比率を高めてまいります。 当社グループが属するIT業界においては新技術の開発及びそれに基づく新商品の導入が頻繁に行われており、顧客ニーズの変化を含め、非常に変化の激しい業界となっております。そのため当社グループは、新技術や新製品を常に注視し、顧客ニーズの深い理解とその変化に対応するよう取り組んでおりますが、何らかの理由でこれらの対応が遅れた場合、当社グループが提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、これらの対応のため予定していない投資が必要となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクに対しては、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めてまいります。 当社グループは、グローバルでの事業展開が重要であると考えており、米国に子会社を設立し、自社ソフトのマーケティング活動を行っております。さらに、開発に関しても子会社の分掌にすることから、適切な組織規模や人員配置等により、事業の拡大を図る方針でありますが、当社グループの想定どおりに事業展開が進まなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、当該事業の進捗や課題の状況を定期的に把握・管理することでリスクの低減に努めております。 当社グループでは、自社の成長をより加速させるために、M&A、資本業務提携等を実施してまいります。M&A、資本業務提携等について、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを検討した上で実施しておりますが、時期や発生可能性は不明であるものの、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査によっても把握できなかった問題が生じた場合や、事業展開が計画どおりに進まない場合、投下資本の回収が困難になる可能性があります。 当該リスクに対しては、投資前のデューデリジェンスの徹底及び事業計画の合理性の十分な検討を行うことで対応してまいります。 当社グループは、今後も事業拡大を進めていくにあたり、エンジニアを中心に営業を含めた優秀な人材を確保するとともに、人材の育成が重要な課題であると認識しております。またAtlassianをはじめ、取扱う各ツールにおけるパートナーランク維持のため、認定技術者(専門試験の資格取得)の人数確保についても重要な指標と捉えております。これらに関して、当社グループは採用活動及び研修体制の充実等により人材流出の防止、資格保有者数の確保に努めております。しかしながら、必要とする人材の安定的な確保が出来なかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、積極的な採用活動を継続するほか、働き方改革の推進に継続的に取り組み、従業員の定着率向上に努めております。 当社グループのツールソリューション事業において、必要に応じて、システムの設計・構築、保守・運用等について協力会社に外注しております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において技術力及び技術者数が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、業務に関連して多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。情報セキュリティ基本方針を策定し、役職員及び協力会社に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施しているほか、ISO27001、ISO27017の認証を取得するなど、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、外部での事例等を取込んだ内容により従業員(協力会社要員含む)教育を強化するとともに、担当からの発信機会と従業員へ情報管理の重要性確認の機会を増やし、未然防止策を実施しております。 当社グループにおいて、創業者である代表取締役大貫浩は、当社グループの経営方針及び事業戦略を決定するとともに、ビジネスモデルの構築から事業化に至るまで重要な役割を果たしております。また、今後も当社グループの業務全般においては、同氏の経営手腕に依存する部分が大きいと考えられます。当社グループでは、取締役会等の重要な会議において役員及び部長の情報共有や経営組織の強化等により、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が業務執行を継続することが困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、受注したライセンス金額やプロジェクトの規模や内容が予想と大きく乖離し、又は納入時期が変更等となって売上・収益の計上が翌四半期あるいは翌連結会計年度に期ずれする場合があります。売上・収益の計上時期の変更や期ずれした金額の大きさによっては各四半期あるいは連結会計年度において当社グループの経営計画と経営成績に乖離が生じる可能性があります。 当社グループの事業は、インターネットを経由して行われております。従いまして、インターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。アクセス数の急激な増加に伴う負荷の増加や外部からのサイバー攻撃、自然災害及び事故などによる予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、安定的なサービス提供のため、サーバー設備やセキュリティの強化等のシステム管理体制の整備を行っております。 地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ、感染症の流行(パンデミック)等により、当社グループにおいて人的被害又は物的被害が生じた場合、又は、外部通信インフラ、コンピュータネットワークに障害が生じた場合等の事由によって当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対しては、上述のような災害等が発生した場合の事業への影響を最小限に留めるため、事業継続計画(BCP)を策定しております。有事の際の影響を最小限に留めるよう努めております。 当社グループは、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置づけており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案し、配当を検討したいと考えております。当社グループは、当面は内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においては、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、経営成績や財政状態等を総合的に勘案し、配当を検討したいと考えておりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。 当社の公募増資による調達資金の使途については、今後の事業拡大に向けた人員採用費、人件費、既存製品改善及び新製品開発のための研究開発費、基幹システム構築のための設備投資資金に充当する予定であります。しかしながら、経営環境等の急激な変化により上記の資金使途が想定どおりの成果をあげられない可能性があります。 当社グループは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は0.4%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、 「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国経済は、2022年3月をもってまん延防止等重点措置が全面的に解除され、2022年10月から外国人観光客の受け入れが再開されるなど、新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応が変化し、経済活動の再開を促す措置が講じられたことを背景に、経済活動の正常化が図られ、内需を中心に景気は堅調に推移しました。この結果、上場企業の2022年4~12月期決算は、前年同期比で増収増益となりましたが、製造業、非製造業で大きく明暗が分かれました。コロナ禍からの回復で、非製造業は増収増益となった一方で、製造業は、為替や資源高の高騰などがブレーキとなり、増収減益の着地となりました。 世界経済に目を向けると、アメリカの2022年10‐12月期の実質GDP成長率は前期比2.9%増となり、景気後退懸念が高まるなかでも、2四半期連続でプラス成長を維持しました。他方中国においては、ゼロコロナ政策の長期化が、国内における消費意欲の減退及び生産活動の停滞をもたらし2022年の実質GDP成長率は前年比3.0%と、その伸びは大幅に鈍化しました。 インフレへの警戒感と地政学リスクも依然として継続しており、先行き不透明感は拭えないため、今後も世界情勢を注意深く見守る必要があります。 当社グループが属する情報サービス分野におきましては、企業価値や競争力向上のための「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」推進の流れが加速しており、IoT、AI、クラウド、5G、RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務の自動化)、FinTech、エッジコンピューティングなどの先端技術を活用したIT投資の需要が引き続き堅調に推移しました。 このような状況の中で当社グループは、顧客ニーズや企業意識の変化による、問題や不安の解決に対して製品やサービスの可能性を新たな形にし、発信してまいりました。これらの利用状況は、順調に推移しております。 また、社内においてもDXの推進、働き方改革の実施により、さらなる生産性の向上、コストダウン等を目指し、情勢に順応した社内改革を推し進めております。今後も全役職員が一丸となり、既存顧客の深耕と新規顧客の獲得による受注拡大に加えDXの推進を図ってまいります。 以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高5,623,325千円(前連結会計年度比30.5%増)、営業利益546,980千円(同25.0%増)、経常利益567,395千円(同26.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益423,882千円(同29.7%増)となりました。 なお、当社グループはツールソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,639,262千円増加し、4,571,491千円(前連結会計年度比55.9%増)となりました。主な要因は、現金及び預金が981,886千円、前払費用が収益認識会計基準等の適用により474,026千円、繰延税金資産が40,122千円増加したことによります。 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,420,113千円増加し、2,097,148千円(前連結会計年度比209.8%増)となりました。主な要因は、買掛金が510,246千円、収益認識会計基準等の適用により契約負債が1,057,723千円増加及び前受金が168,923千円減少したことによります。 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ219,148千円増加し、2,474,342千円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が423,882千円、円安の影響で為替換算調整勘定が11,362千円、ストックオプションの行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ9,166千円増加した一方で、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の期首残高が234,403千円減少したことによります。 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末と比べ981,886千円増加し3,070,797千円(前連結会計年度比47.0%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。 当連結会計年度における営業活動の結果、収入は977,857千円(前連結会計年度比506.8%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益567,395千円、仕入債務の増加509,214千円及び契約負債の増加430,641千円があった一方で、売上債権の増加122,844千円、前払費用の増加334,112千円及び法人税等の支払額93,751千円があったこと等によるものであります。 当連結会計年度における投資活動の結果、支出は27,391千円(前連結会計年度比41.5%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出9,818千円及び無形固定資産の取得による支出15,509千円があったこと等によるものであります。 当連結会計年度における財務活動の結果、収入は18,104千円(前連結会計年度比20.4%減)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入が18,122千円があったこと等によるものであります。 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、以下のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、以下のとおりであります。 当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績などを勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものはありません。 売上高は、前連結会計年度に比べ1,315,102千円増加し、5,623,325千円(前連結会計年度比30.5%増)となりました。これは主に、ライセンス売上の新規案件の獲得等によりクラウド型売上、データセンターやサーバーといったオンプレミス型売上ともに好調に推移し、特に販売時に売上を一括計上するオンプレミス型の売上が伸びたことによるものであります。 売上原価は、前連結会計年度に比べ980,086千円増加し、3,759,387千円(前連結会計年度比35.3%増)となりました。これは主に、売上増加に伴うライセンス仕入の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,863,937千円(前連結会計年度比21.9%増)となりました。 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ225,520千円増加し、1,316,957千円(前連結会計年度比20.7%増)となりました。これは主に、給与手当及び支払手数料の増加によるものであります。この結果、営業利益は546,980千円(前連結会計年度比25.0%増)となりました。 営業外収益は主に販売奨励金の増加により、前連結会計年度に比べ7,996千円増加し、20,984千円(前連結会計年度比61.6%増)、営業外費用は主に支払利息の増加により、前連結会計年度に比べ338千円増加し、569千円(前連結会計年度比146.5%増)となりました。この結果、経常利益は567,395千円(前連結会計年度比26.0%増)となりました。 特別損益については、該当事項はありません。法人税、住民税及び事業税79,670千円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は423,882千円(前連結会計年度比29.7%増)となりました。 財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 そのため、当社グループは常に業界動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。 当社グループは、Atlassianアプリケーション用のアドオンソフトを中心に自社開発ソフトウェアの研究開発に取り組んでおります。 当社グループの研究開発活動として、主に自社開発ソフトウェア(以下、本ソフトウェア)の開発及びその改良を行っております。本ソフトウェアは、当初国内ユーザー向けに開発されましたが、ユーザーインターフェースを英語に対応し、英語圏の海外ユーザーを増やしてきました。それにより現在では、国内ユーザーより海外ユーザーが多い状況となっています。このユーザー層の変化に追従するため、海外ユーザーから強く要望されるUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)の改良開発、日本語と英語以外の言語対応を行い、より多くの海外ユーザーに使ってもらえるよう対応を図っております。 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は168,406千円であります。 なお、当社グループはツールソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
バリュエンスホールディングス株式会社
# バリュエンスホールディングス株式会社 当社の創業者である嵜本晋輔は、中古家電を主な取扱商材としたリサイクル業を行う中でブランド品のリユースに着目し、2004年6月に株式会社MKSコーポレーション(現 株式会社ドロキア・オラシイタ。以下「MKS」という。)を設立するとともに、ブランドリユース店の1号店となる「ナンバdeなんぼ屋」をオープンいたしました。2007年3月には店名を「NANBOYA」と改名し大阪府、東京都及び神奈川県へ計9店舗を出店いたしました。 株式会社SOU(現 当社)設立以後の企業集団に係る経緯は、以下のとおりであります。 現在、当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社(バリュエンスジャパン株式会社、バリュエンステクノロジーズ株式会社、バリュエンスベンチャーズ株式会社、株式会社米自動車、Valuence International Limited、Valuence International USA Limited、Valuence International Europe S.A.S.、Valuence International Singapore Pte. Ltd.、Valuence International UK Limited、Valuence International Shanghai Co., Ltd.、Valuence International MEA Trading L.L.C)、持分法適用関連会社(株式会社南葛SC)の計13社で構成されており、ブランド品、貴金属、時計、地金、宝石、骨董品及び美術品などの買取、販売を主としたリユース事業を中心に展開しております。なお、当社は持株会社としてグループ全体の経営・マネジメント強化、戦略立案・策定を担っております。また、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。また、当社グループは「ブランド品、骨董・美術品等リユース事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 連結子会社及び持分法適用関連会社の主たる業務といたしましては以下のとおりであります。 当社グループの取扱商品は主に、ブランド品、貴金属、時計、地金、宝石などのリユース品及び骨董品・美術品であり、国内及び海外において買取を行っております。買取方法は「店頭買取」「宅配買取」「出張買取」「オンライン買取」の4種類であり、海外においては「店頭買取」を中心に展開しております。 「店頭買取」は、商品を買い取る店舗(以下「買取店舗」という。)へ、お客様が売却したい商品をお持ちいただき、店頭で買取スタッフが鑑定・査定し、その場で買取を行います。国内においては「なんぼや」「BRAND CONCIER」で主にブランド品や貴金属等を買い取っており、「古美術八光堂」で主に骨董品・美術品を買い取っております。また、海外においては商品を問わず「ALLU」で買取を行っております。 「店頭買取」のほか、お客様に売却希望商品を宅配にてお送りいただく「宅配買取」、お客様のご自宅にお伺いする「出張買取」を展開しております。また、ビデオ通話を活用して買取スタッフが鑑定・査定を行う「オンライン買取」も展開しております。 当社は高価格帯の商品の取り扱いに注力しているため、お客様自身の手により直接店頭に持ち込みたいというニーズが強く、店頭買取が全体の約9割を占めております。一方で、宅配買取、出張買取、オンライン買取とサービスを拡充しており、外出ができない状況であっても商品を売却いただける仕組みを構築しております。また、商品仕入の9割が個人のお客様(一般消費者)からの買取によるものであり、集客は創業時より注力してきたWEBマーケティングを中心としております。 また、自社での買取以外にも、百貨店や金融機関など他業種とのアライアンスも行っております。百貨店とのアライアンスにおいては、お客様の接客等はアライアンス先の従業員が担当し、当社は鑑定・査定などの買取面でのサポートを行います。また、アライアンス先からご紹介いただいたお客様のご自宅への出張買取も行っております。これにより、リユースサービスを普段利用することのない顧客層へのアプローチが可能となっております。 商品の買取にあたっては、これまでに買取った商品のデータや販売データを蓄積した自社システムである「商品管理システム」を参照することで、買取スタッフの査定能力の標準化を図っております。また、熟練のスタッフが本部からオンラインで店頭の買取スタッフをサポートする体制を構築しており、買取の精度向上に努めております。 上記「(1)商品買取」で買取った商品は主に、当社グループが運営しているオークションを通じて国内外パートナー(オークションにおける取引先リユース事業者。以下同じ。)に販売しております。なお、一部商品においては卸販売も行っており、オークション及び卸販売の合計割合は2023年8月期の売上高の約9割を占めております。 このほか、店舗及びECサイトを通じて一般消費者への小売販売も行っております。 当社グループは、自社オークションを通じて国内外パートナーに対して販売を行っており、その売上高は2023年8月期の売上高の5割以上を占め、最も大きな販路となっております。 「STAR BUYERS AUCTION(以下「SBA」という。)」は、主にブランド品を対象としたオークションであります。2020年3月にオンライン化したことにより、海外からの参加も可能となり、多くの国内外パートナーに参加いただくオークションとして成長しております。 また、ダイヤモンドに特化したオークションや、骨董品・美術品類を対象とするオークション「THE EIGHT AUCTION」も運営しております。 これらの自社オークションにおいては、自社仕入商品以外に、パートナーの保有する商品も委託商品として出品しております。 金やプラチナなどの貴金属・地金や、自社オークションでの販売に向かない商品は、これらを専門に取り扱う専門業者へ卸販売を行っております。 小売ブランド「ALLU」において一般消費者向けの販売を行っております。「ALLU」は流行にとらわれずに時代を越えて永く愛されているヴィンテージ商品、アンティーク商品を中心にラインナップし、国内では表参道と銀座、心斎橋に実店舗を構えるとともに、国内外においてECサイトも展開しております。 これら事業の系統図は、次のとおりであります。 左記事業内容を担っております。 アプリ、システム等の開発を行っております。 ベンチャー企業に対する投資及び養成を行っております。 新車・中古車の買取・販売、自動車の整備を行っております。 海外において左記事業内容を担っております。 海外において左記事業内容を担っております。 海外において左記事業内容を担っております。 海外において左記事業内容を担っております。 海外において左記事業内容を担っております。 海外において左記事業内容を担っております。 海外において左記事業内容を担っております。 クラブチーム等スポーツ団体の運営・管理を行っております。 役員を兼任しております。 当社グループの労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 当社グループは、事業だけではなく地球環境も含めた持続可能性を高め、中長期的な競争優位性を確立するため、「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに定め、「Circular Design Company」の実現を目指しております。顧客とパートナーとの関係を通じてValuenceを中心にモノが循環する世界を実現するため、顧客やパートナーに対して様々な選択肢を提供することで、当社が保有するモノだけではなく、顧客やパートナーが保有するモノの循環を促進し、新たな収益機会を創出してまいります。 このような状況の中、一般消費者からの買取は依然として競争が激しく、販売面においても、小規模なものも含めると数多くの事業者向けオークションが乱立しております。今後も、新規参入やM&Aなどによる企業再編の動きが加速するものと予想されます。 一方で、海外においては組織的にCtoBtoBのビジネスモデル(一般消費者から買取を行い、リユース事業者に販売するモデル)を展開する事業者は不在であると認識しております。 上記の認識に基づき、当社グループは、現状のビジネスモデルのITを活用した効率化(DX化の推進)に加え、エンゲージメントを高める施策を通じてグループ全体で顧客との長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルへと転換を図ります。また、グローバル展開を加速していくことで、更なる成長を目指してまいります。 当社グループは、2025年8月期を最終年度とする中期経営計画「VG1000」を2022年10月に「VG1000 ver2.0」として見直しを行いました。現中期経営計画においては一般消費者から買取を行い、買取した商品を主に当社グループが運営しているオークションを通じて国内外パートナーに販売するという既存事業をベースに、toB及びtoCのそれぞれにおいて新規領域への投資を行う計画としております。 既存のCtoBtoBモデルのグローバル展開、グローバルも含めた小売の強化、顧客・パートナーとの関係強化によるリカーリング型ビジネスへの転換を戦略とし、事業を推進しております。なお、現中期経営計画の対象期間は、2026年8月期以降の飛躍に必要なあらゆる機能の実装・充実を進める投資期と位置付けておりますが、投資は行いつつも利益成長も遂げていく計画としております。 事業戦略は次のとおりであります。 当社グループの仕入は店頭買取が中心であり、店舗数の増加が仕入拡大に寄与すると考えており、当事業年度においては国内10店舗、海外10店舗の新規出店を行いました。 国内においては新規出店に加え、他業種とのアライアンス強化による仕入拡大も図ってまいります。海外においては、当社グループとしてリスクの少ない出店形態であるパートナーとの協業による出店を中心に、スピード感を持った出店を行ってまいります。 マーケティング施策としては、当社グループの強みであるSEO対策をはじめとしたWEBマーケティングに注力することにより集客拡大を図ってまいります。また、国内で培ったWEBマーケティングのノウハウを海外で展開することにより、海外での更なる仕入拡大を目指します。加えて、CRM強化によりリピーターを獲得することで、効率的な集客を行ってまいります。 当社グループは、これまでCtoBtoBモデルを中心に事業を成長させてまいりました。今後は既存のビジネスモデルを進化させることで更なる成長を目指してまいります。フルフィルメントサービス、おまかせ出品やSaaS型新機能の提供といった付加価値サービスを展開し、パートナーの利便性を向上させつつ参加パートナーの開拓も推進していくことで、当社グループの強みであるtoBプラットフォームを更に強化し、より魅力的なプラットフォームとしてまいります。 加えて、海外各拠点でのグローバルECの構築、出店を含む店舗強化などtoCチャネルを強化することにより、国内外の顧客との接点を拡大してまいります。また、toCチャネルをきっかけとし、買取や他サービスも利用していただくなど継続的な関係を構築し、当社グループ内でシナジーを創出することで収益の最大化を目指してまいります。 当社グループはブランド品、骨董品・美術品を中心とした商材を取り扱っております。加えて、既存領域のみならず、車や不動産なども含めた様々な実物資産の取扱いを広げております。2023年2月には自動車の買取・販売・整備に強みを持つ株式会社米自動車を連結子会社化いたしました。今後も実物資産におけるジャンル拡大を進め、顧客の抱える問題をワンストップで解決し、顧客のLTVを向上させることで収益機会の最大化を図ってまいります。 また、実物資産のみならず、心の豊かさを提供することを領域としてビジネスを拡大し、モノや思いをつなぐ新たな循環型経済圏をつくることで、企業価値の向上を目指してまいります。 近年、サーキュラーエコノミーという言葉が広く一般に浸透し、企業にも環境問題や社会課題への対応が一段と求められてきております。当社グループの中核事業である「リユース」は、不要になったモノを廃棄するのではなく次に必要な方へとつなげる、循環型社会における重要な取組の一つであります。 事業だけではなく、地球環境も視野にサステナビリティの取組に注力することで、持続可能な社会の実現と当社の持続的な成長につなげてまいります。 当社グループは、創業時よりWEBマーケティングを中心に集客を行っており、機能を内製化することで高い効果を発揮しております。一方で、競争環境の激化により顧客獲得コストが上昇していることから、CRM施策によるリピーター顧客の獲得や集客の効率化が必要であると認識しております。 今後もSEO対策をはじめとするWEBマーケティングを中心に、潜在顧客・顕在顧客の双方にアプローチしつつ、SNSなどのマス広告も活用し指名検索を増加させることで、顧客獲得単価の低減や、顧客とのエンゲージメント強化によるグループ内送客の体制構築と顧客のリピーター化による効率的な集客を実現できるものと考えております。 リユース品は新品と異なり決まった価格が存在せず、相場も一定ではないことから、値付けが非常に難しいという特徴を持っております。当社グループにおいては、研修体制の整備や現場でのOJTを進めることで買取スタッフの能力向上に努めておりますが、これに加え、査定能力を標準化するための仕組みの構築が重要であると認識しております。 そのため、社内システムの機能改善やデータベースの整備、本部による店頭サポート体制の強化を継続しておりますが、今後はこれらに加え価格算出にAIを活用することで、更なる能力標準化と買取の効率化に努めてまいります。 当社グループの主力販路であるSBAは、オンラインで開催しており、海外の事業者も数多く参加するグローバルなブランドリユースオークションプラットフォームとして規模を拡大しております。 今後も更に多くの国内外パートナーが参加するプラットフォームとして魅力を高めるとともに、委託拡大に向けた取組も展開することで、GMV(流通取引総額)の拡大を図ってまいります。また、パートナーが落札した商品の保管・小売販売までを一気通貫で請け負うフルフィルメントサービスの構築や、パートナー企業が市場主となってオークション開催が出来るSaaS型新機能の提供により、更なる収益力向上を目指してまいります。 当社グループは現在、実店舗3店舗とECサイトにて、一般消費者に向けた小売販売を行っております。 今後は、グローバルEC構築に向けた海外拠点でのECサイト開設、国内における小売店舗の出店など、グローバルも含めた小売強化に注力してまいります。小売販売の強化はビジネスモデルをリカーリング型に転換するための重要施策と位置付けております。顧客との接点を拡大し、買取をはじめとした当社グループサービスの利用につなげることでエンゲージメント強化を図るほか、「ALLU」ブランド強化によりフルフィルメントサービスにおける小売委託をより多く獲得できるようになり、パートナーとのエンゲージメント強化にも貢献すると考えております。 当社グループの事業は、顧客からの買取がビジネスモデルの起点にあるため、より多くの顧客と接点を持つことが事業を拡大する上で重要と考えております。 今後は、買取のみならず、小売販売をはじめとするtoCサービスの拡大、取扱いジャンルの拡充やグループ内送客の体制強化などにより、顧客とのエンゲージメントを高めてまいります。これによりグループ全体で顧客との長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルへと転換していく方針です。 当社グループは、香港をはじめ欧米や東南アジアに子会社を設け、現地におけるSBAパートナーの開拓と、買取店舗の展開を進めております。買取においては直営のみならず、パートナーとの協業による出店に注力し、当社グループとしてリスクを最小限にした店舗展開をしております。国内リユース市場における競争が依然として激しい現状において、海外へとビジネスを拡大していくことが重要であると認識しております。 WEBマーケティングのノウハウを海外でも活かすことにより、国内で培ったCtoBtoBのビジネスモデルのグローバル展開と、グローバルも含めた小売強化を行うことで、更なる規模拡大を図ってまいります。 当社グループのメイン事業である「リユース」は、循環型社会における重要な取組の一つであり、リユース事業をグローバルに展開していくことが、持続可能な社会の実現、ひいては当社グループの持続的な成長につながると考えております。TCFD提言に基づく情報開示をはじめ、リユースによる環境フットプリントの削減貢献量を可視化した「Resale Impact」の事業ブランドへの展開や、カーボンニュートラル達成に向けた国際的イニシアチブの認証取得などの取組を行っております。 今後も循環型社会の実現を牽引する存在として、サステナビリティを経営戦略の中核に据え、環境や社会に配慮した取組を積極的に行っていくことで、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。 中期経営計画「VG1000 ver2.0」において、以下のとおり重要経営目標と主要KPIを定めております。 2030年に「Circular Design Company」の実現を目指すにあたり、現中期経営計画期間は投資期と位置づけておりますが、利益成長も確り達成すべく成長性指標として2022年8月期の営業利益を基準とし、2025年8月期まで営業利益の年平均成長率は40%、また資本収益性指標としてROE20%を目標として設定しております。なお、株主の皆様への利益還元については最も重要な経営課題の一つと考え、株主還元指標として配当性向30%以上を定めております。主要KPIにつきましては、国内外における買取店舗網の拡大が当社グループの事業成長に直結するため、2025年8月期に国内170店舗、海外100店舗の出店を計画しております。また、既存のCtoBtoBモデルのグローバル展開にあたり、海外パートナー数の拡大及び売上高比率の向上を目標に設定しております。 中期経営計画の推進及び経営目標の達成を通じて更なる成長を実現し、企業価値の向上を図ってまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 サステナビリティへの対応は重要な経営課題の一つという認識のもと、関連する重要事項については取締役会で審議、決定しております。サステナビリティに関する計画及び進捗については、取締役会の支援機関として設立されたESG推進委員会が取締役会へ原則年4回報告を実施し、その中でサステナビリティに係るリスク・機会についても議論を行っております。加えて、サステナビリティに係るリスク全般の管理については、リスクマネジメント委員会からも同委員会の開催後に取締役会へ報告を行っております。 取締役会は、ESG推進委員会及びリスクマネジメント委員会で協議、決議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティ課題への対応方針及び実行計画等についての議論、審議を行うとともに、執行の監督を担っております。代表取締役はリスクマネジメント委員会の委員長を務め、サステナビリティリスクを含むリスクマネジメントに係る執行の最終責任を負っております。また、ESG推進担当取締役はESG推進委員会の委員長を務め、サステナビリティの取組に係る執行責任を負っております。 当社グループは、「Circular Design for the Earth and Us」というパーパスに基づき、全社横断的にサステナビリティに資する取組を推進しております。取組の推進にあたり、当社グループが特に対処すべき社会・環境課題として、18のESG課題(マテリアリティ)を特定し、Planet(E)、People(S)、Transparency(G)の各項目について目指す姿を定めております。事業活動を通じて戦略的にマテリアリティに取り組むことで、誰もが大切なことにフォーカスし、自分らしく生きることのできる、持続可能な社会の実現を目指してまいります。 当社グループは、サステナビリティに係るリスク・機会について主要事業を中心に対象活動を選定し、ESG推進委員会でより詳細に検討を行っております。ESG推進委員会において議論・検討された内容は取締役会で報告され、特に重要とされたリスク・機会は当社グループの戦略に反映し、ESG推進委員会が中心となって管理を行っております。 また、サステナビリティに係るリスクの分析結果や取組の状況についてはグループ全体のリスク管理を行うリスクマネジメント委員会に共有され、同委員会によりリスク管理状況がモニタリングされます。ESG推進委員会及びリスクマネジメント委員会が連携し、サステナビリティに係るリスクの管理を行っております。 持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的な成長を目指し、Planet(E)、People(S)、Transparency(G)について具体的な目標を以下のとおり設定しております。目標の達成に向け、サステナビリティへの取組を加速してまいります。 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに含みます。詳細は「1.サステナビリティ全般(1)ガバナンス」をご参照ください。 気候関連のリスク・機会は、長期にわたり当社グループへ影響を及ぼす可能性があるため、マイルストーンを設定し検討することが必要であると認識しております。そこで、2025年、2030年、2050年をそれぞれ短期、中期、長期と位置付け、気候関連のリスク・機会を検討いたしました。 気候変動が当社グループに与えるリスク・機会及びそのインパクト、戦略のレジリエンスの把握、更なる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施いたしました。主要事業であるブランド品、骨董・美術品の買取販売のバリューチェーンを対象としております。 リスクの抽出にあたっては、移行リスク(政策/規制、テクノロジー、市場、評判)、物理リスク(急性・慢性)の視点で洗い出しを行いました。洗い出されたリスクの影響度は、財務・人的安全・社会的批判の観点から検討しております。なお、移行リスクについては「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2021年)を、物理リスクについては「Representative Concentration Pathways(RCP8.5)」(IPCC、2014年)を参照しております。 当社グループは、カーボンニュートラル実現に向け戦略のレジリエンスを継続的に強化していく必要があると認識しております。そのためには、リスクを適切に移転・回避・軽減するとともに、機会に対しては積極的に対応することが重要との考えのもと、具体的な対応を検討いたしました。特に重要とされた項目については当社グループの戦略に反映し、管理しております。 当社が特定した主なリスク・機会は以下の表のとおりであります。 以上のシナリオ分析の結果、当社グループにおいては、気候変動対応が不十分と判断された時の事業機会の損失やレピュテーション低下、人材獲得能力や従業員エンゲージメントの低下を重要な移行リスクとして改めて認識いたしました。また物理リスクにおいては、自然災害による店舗やオフィス、倉庫への影響を大きなリスクとして認識いたしました。 一方で、サーキュラーエコノミーの普及に伴い、当社グループの主要事業であるリユース市場の拡大という機会も再認識いたしました。このため、認識されたリスクに対応することが事業機会の追求や企業価値向上にも繋がるとの考えのもと、カーボンニュートラルの達成に向け取組を積極的に進めております。 特に、影響度の高いリスクへの対応は喫緊の課題でもあり、各種施策の検討・実施を推進しております。具体的には、各種イニシアチブへの参加・賛同や、気候変動対応に関する開示の拡充、災害に備えた体制強化等を進めてまいります。CO₂排出削減については、Scope 1、Scope 2の削減はもとより、Scope 3においても排出量の多いカテゴリから優先的に対応を検討し、カーボンニュートラルを目指してまいります。 気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理に含みます。詳細は「1.サステナビリティ全般(3)リスク管理」をご参照ください。 当社グループは、気候変動に対する取組の指標としてGHG排出量を設定し、2030年8月期までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げております。GHG排出量実績は、当社コーポレートサイト Sustainabilityページ ESGデータ(https://www.valuence.inc/sustainability/data/)で開示しております。 今後、GHG排出量の算定を含む現状の把握と環境負荷低減に向けた具体的な施策の検討を進めるとともに、更なる開示の拡充に取り組んでまいります。 当社グループは、パーパスの実現に向けて、人材の専門性の強化及び組織としての多様性の確保に取り組み、人材の価値を最大限に引き出すことが必要不可欠であると認識しております。すべての社員が最も生産的かつ満足度の高い状態で働ける状態を目指し、以下のとおり人材育成及び社内環境整備に関する方針を定めております。 すべての社員が自分の好きなこと・得意なことを仕事にし、自分らしくイキイキと働けるよう、「OJT」「Off-JT」「自己啓発」の3つの観点で人材育成を推進いたします。 当社グループは、全ての社員が自分らしく仕事に取り組めるよう、人種、宗教、年齢、性別、国籍、障がい、性的指向、性自認等、あらゆる差別を禁止し人権を尊重いたします。職場において社員があらゆるハラスメントを受けることなく、更なる多様性を受け入れるしなやかな組織に向けた啓蒙活動を継続して行ってまいります。 当社グループは、「大切なことにフォーカスして生きる人を増やす」というミッションを掲げ、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮することが企業価値向上に繋がるという考えのもと、私たちに関わるあらゆる人々が健康かつ安全・安心に働くことができる世の中を目指してまいります。 これらの方針に基づき、中期経営計画「VG1000 ver2.0」の達成に向けて、事業成長と人材成長の観点で人事戦略を立案し、施策を展開しております。 人材育成方針及び社内環境整備方針に関連する指標及び目標については以下のとおりであります。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業又は本株式の投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。 当社グループの事業において、リユース品の買取仕入は収益確保における基盤となっております。しかしながら、リユース品の買取仕入は新品と異なり、お客様の売却希望商品の持込数に依存することから、仕入量の調節が難しいという環境にあります。そのため、より安定した買取仕入を行うべく、インターネット上でのSEO対策の強化に加え、カスタマーサポートの充実や、電話やSNS「LINE」を使用した事前査定を実施することで当社グループ買取店舗への誘導を図っております。また、宅配買取、出張買取、オンライン買取も実施し、仕入体制の強化に努めております。更に、海外での買取も開始しております。 しかしながら、今後における景気動向の変化、競合の買取業者の増加、顧客マインドの変化、宝石・貴金属等における相場変動等によって、質・量ともに安定的なリユース品の確保が困難となった場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 リユース品の仕入金額については、金やプラチナ等の相場がある場合を除き、あらかじめ流通価格が決まっているものはありません。また、ブランドの人気の移り変わりや近年におけるリユース品流通量の増大により、当社グループのリユース品仕入においては、商品の真贋チェック(当社グループの規定に準ずるか否かのチェック。以下同じ。)を行い、その時々の状況に合わせた適正な買取価格を提示できる買取スタッフの存在が欠かせません。従って、専門知識と経験を持ち合わせた買取スタッフの人員確保は、当社の重要な経営課題であると認識しております。 以上により、買取スタッフの人員確保が計画どおり進まない場合、当社グループのリユース品買取仕入活動及び店舗の出店計画は制約を受けるため、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 バッグや時計といったブランド品については、一部ブランドの「コピー商品」の流通が広範囲にわたっており、社会的な問題となっております。当社グループにおいては、日頃から各買取スタッフの真贋チェック能力を養うことにより、コピー商品の買取防止に努めております。また、お客様(パートナー及び一般消費者)に安心して商品をお買い求めいただくために、販売前にも再度入念な真贋チェックを行っており、誤って仕入れたコピー商品については、全て返品もしくは廃棄処理を行い、コピー商品の販売防止に努めております。また、必要に応じて、社外に真贋チェックを依頼しております。 しかしながら、各ブランドの正規店からの仕入ではなく二次流通にて一般消費者から商品を仕入れるという特性上、常にコピー商品の買取・販売のリスクを含んでおり、当該トラブルの発生及びこれに伴う信頼低下により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 買い取った商品が盗品であると発覚した場合、民法の規定では2年以内、古物営業法に関する規定では民法の認める場合に加えて古物商が公の市場より仕入れてから1年以内であればこれを無償で被害者に回復することとされております。当社グループにおいては、少しでも盗品と疑わしい商品については買取を控え、警察当局とも密に連携を図る等、盗品の流通を阻止すべく体制を整えております。 また、古物営業法及び民法遵守の観点から、古物台帳(商品の買取記録を詳細に記載した台帳)を業務システムと連携させることで、盗品買取が発覚した場合には適時適切に警察当局の捜査に協力し、盗品を被害者へ無償返還できる体制を整えております。しかしながら、事業特性上、盗品の買取を完全に防止することは困難であり、盗品の買取による仕入ロスや当該トラブル発生に起因した信頼低下により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループはこれまで、買取店舗「なんぼや」「BRAND CONCIER」「古美術八光堂」を全国に展開することにより、買取仕入量を確保してまいりました。 今後、更なる成長へ向けて仕入力の強化が必須でありますが、今後の買取店舗の出店が計画どおりに進まなかった場合、リユース商品の仕入が計画を下回り、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループは、取扱商品におけるマーケット規模が大きい三大都市圏の中心である東京特別区、大阪市、名古屋市及びその周辺に買取店舗が多く存在しております。これらのことから、三大都市圏及びその周辺に影響を与える大規模災害の発生等により事業設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループが展開する買取店舗は賃借店舗であることから、何らかの理由により契約が更新できない場合、また、契約更新時などに賃料が上昇した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループの事業においては、インターネットによる集客をはじめ、店舗での現金払出しに関連する不正防止や買取から販売までの間の個別の商品の管理、買取及び販売の相場データの収集、オンライン上でのオークション販売に至るまでITシステムへの依存が大きくなっております。 このため、数日間のシステム停止であれば人の組織的な対応で事業を継続できる側面がありますが、想定以上のシステム停止等が発生した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループは、買取店舗及び小売店舗を展開しておりますが、事業環境の変化等により各店舗の採算性が低下した場合、減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては、減損処理が発生しないよう各拠点の収益管理を徹底し、採算性の悪い拠点に対しては対策を講じておりますが、不採算拠点の増加や閉鎖が増加した場合には、多額の減損損失が発生する可能性があります。 当社グループは、貴金属、時計、地金、宝石及びブランド品が主な取扱商材となっており、そのほか、骨董・美術品等も取り扱っており、特定の商品に依存しない安定した販売体制を構築しております。また、今後の更なる収益拡大に向け、自動車、不動産など取扱商品のジャンルを拡大し、世界中で共通の価値がある実物資産を幅広く取り扱ってまいります。 しかしながら、取扱商材によっては流行の変化に伴う経済的陳腐化や、為替相場、貴金属・地金相場及び時計相場の変動等により価値下落がもたらされるもの、牽引役となる人気商品・ヒット商品の有無により販売動向が大きく左右されるものが存在しており、為替・株式市況等の乱高下、景況感の急激な変化等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 なお、特に貴金属・地金相場及び時計相場の変動により、計画どおり仕入ができない場合、売上高が影響を受ける可能性があります。また、自社オークションを始めとする複数の販路を有しており、各相場動向を見ながら販路選択を行い、在庫回転期間を長期化させることなく販売することが可能ですが、計画どおりの売上総利益率が確保できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 新型コロナウイルス感染症拡大による政府の緊急事態宣言発令を受け、一部の店舗営業の臨時休業等を行った結果、リユース品の買取及び販売において若干の影響が生じておりました。現在は、販売については自社開催のオークションをオンライン化し、買取については顧客と従業員の安全の確保を大前提として感染拡大に留意しながら通常の体制で営業を行っておりますが、今後、緊急事態宣言の発令やそれに類する事態が発生した場合、また、その他自然災害の発生によって店頭買取・出張買取といった商品買取をはじめとした営業活動に支障をきたす可能性があります。 当社グループは、買取った商品を自社開催のオークションを通じて国内外のリユース業者へ卸販売しております。オークション参加業者の中には短期間で海外へと転売するビジネスモデルを採る業者も存在することから、構造的に為替変動の影響を受ける側面があります。オークションにおける落札価格に為替の影響が加味されるため、円安時は金額が伸びやすく、円高時は金額が抑えられる傾向にあります。 この傾向は、様々な国や地域からのオークション参加が増えることで軽減されると考えておりますが、為替変動のタイミングとその時のオークション参加パートナーの国別割合によって、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループでは主に商品の買取において同業他社との競合が生じており、当社においては、マーケティングの強化、利便性の高い立地への出店、店舗におけるサービスクオリティーの向上、継続的な人材教育により、競争力の向上及び競合他社との差別化を推進していく方針であります。 しかしながら、今後において、新規参入企業により一層の競合激化が生じた場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループは、運転資金の多くを金融機関からの借入金等に依存しているため、金融情勢の変化などにより計画通り資金調達ができない場合には、事業展開等に影響を受ける可能性があります。なお、2023年8月期末時点の有利子負債(リース債務含む)は15,260百万円(有利子負債比率(注)179.8%)であります。また、今後は小売販売も強化してまいりますが、小売販売の割合が高まることに伴い、有利子負債の比率が上昇する可能性があります。当社グループは、複数の金融機関との間で総額110億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。加えて、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引金融機関との良好な取引関係を維持しております。更に、金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には利益を圧迫し、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループは、古物営業法にかかる法的規制を受けており、古物営業の許可を都道府県公安委員会より受けております。古物営業の許可には有効期限は定められておりませんが、古物営業法又は古物営業に関する他の法令に違反した場合、盗品等の売買等の防止もしくは盗品等の速やかな発見が著しく阻害される恐れがあると認められる場合には、公安委員会は古物営業法第24条に基づき営業の停止もしくは許可の取消しを行うことができるとされております。 当社グループは、古物商の許可を受けて古物の売買を行っており、古物市場主の許可を受け、かつ競り売りの届出を行い古物商間及び海外パートナーとの古物の売買をしております。また、同法に関する社内教育を徹底し、同法に定められている買取依頼者の本人確認、古物台帳の管理の徹底等、同法を遵守した営業活動を行っており、事業継続に支障をきたす事象発生は無いものと認識しております。 しかしながら、今後、同法に抵触するような事件が発生し、許可の取消し等が行われた場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループでは、店舗業務や販売促進等において、顧客の住所、氏名、職業、年齢、クレジットカード情報等を取り扱っており、これら個人情報も帳簿等に記載又は電磁的方法により記録し、管理しております。このため、当社グループにおいては個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し、プライバシーマークを取得する他、社内規程等ルールの整備、社内管理体制の強化、社員教育の徹底、情報システムのセキュリティ強化等により、個人情報保護マネジメント機能の向上を図り、「個人情報の保護に関する法律」の遵守、個人情報の漏洩防止に努めております。また、海外におけるGDPR、CCPA、PDPA等の法規則にも対応できるよう整備しております。 しかしながら、個人情報の漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜、事後対応による多額の経費発生等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループの事業は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が適用されます。当社グループが同法令の遵守を怠った場合、行政庁による指導、助言及び勧告並びに罰則を受けることがあり、その場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。 当社グループでは、事業拡大を図るために、グループ事業の海外展開を進めていく方針であります。そのなかで、各国の景気変動、政治的・社会的混乱、法規制等の変更、大幅な為替変動などが発生した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。また、海外で買取店舗を運営する海外パートナーは当社グループの屋号を使用して店舗運営を行うため、現地パートナーの店舗運営に関してネガティブな情報や風評が流れた場合には、ブランドイメージの低下を招くことにより、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性があります。 当社は、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、また、譲渡制限付株式報酬制度を導入し当社グループの役員及び従業員に譲渡制限付株式を付与しております。今後もこれらの制度の活用を検討しておりますが、新株予約権が行使された場合、また、譲渡制限付株式を付与した場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 なお、新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。 当社グループは、新規事業への進出、既存事業強化等のため、シナジー効果が期待できるM&A及び投資を実践していくことで、グループにおける企業価値の向上を目指しておりますが、M&A対象会社又は投資対象先に期待する利益成長やシナジー効果等が実現できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等は影響を受ける可能性があります。 当社連結子会社であるバリュエンスジャパン株式会社は、運営するVALONに設置する美術品について当社グループの事業戦略上、富裕層ビジネスの展開を目的として、当社代表取締役である嵜本晋輔が代表取締役を務めるSFプロパティマネジメント株式会社と、2023年8月に関連当事者取引を行っております。取引内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項  関連当事者情報」に記載のとおりです。 当社グループは、関連当事者取引を行わないことを原則としておりますが、関連当事者取引を行う場合には、取引の合理性や取引価格の妥当性の検証を含めて十分に審議し、独立役員、監査等委員の見解を踏まえた上で取締役会の承認を得なければならないこととしております。事業年度毎に取引が継続する場合も同様としております。また、取締役会に実施状況を定期的に報告するとともに、監査等委員会による監査や内部監査における監査で取引内容等のチェックを行うことで、取引の健全性及び適正性の確保に努めております。 当社グループは、店頭買取が約90%であることから、年末年始や営業日数が他の月より少なくかつ平均気温が1年を通じで最も低い2月等は、集客及び仕入が減少する傾向にあります。また、当社グループの流通取引総額の5割超を占める自社オークションにおいては、オークション参加事業者が年末商戦に向けた仕入を7~8月で加速させる傾向にあります。これらの要因により、当社グループの業績は下期に偏重となる傾向があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 なお、当社は「ブランド品、骨董・美術品等リユース事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当社グループは、地球環境も含めた持続可能性を高め中長期的な競争優位性を確立することが必要不可欠であるという認識のもと、「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに設定し、2030年に「Circular Design Company」の実現を目指しております。 2023年8月期は、特に人への投資を重点的に行う年と位置付け、新規出店及び事業規模拡大のための人員拡充に加え、従業員の能力向上、スキル習得等、積極的な人への投資を行いました。また、仕入拡大やオークションプラットフォームの充実に向けた投資は継続し、株式会社米自動車のM&Aや小売店舗の出店、グローバルEC構築に向けたECサイトリプレイスなど、2024年8月期以降の投資テーマである領域拡大、グローバル投資についても着手しております。 当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度の仕入高は56,168百万円(前期比6,758百万円増、同13.7%増。株式会社米自動車の仕入高を除く)となりました。WEBマーケティングによる集客、1to1マーケティングによるリピーター獲得が好調だったことに加え、新型コロナウイルス感染症が第5類に移行したことや、アライアンスの取組が拡大したこと、地金相場高騰の影響等により好調に推移いたしました。 当連結会計年度の売上高は76,130百万円(前期比12,744百万円増、同20.1%増)となりました。インバウンド需要を見越した国内事業者の買い意欲が高まったことでオークション売上高が伸長したことに加え、インバウンド需要回復による店舗売上高の増加やALLU AUCTION開催等により小売売上高も好調に推移いたしました。 当連結会計年度の売上原価は56,116百万円(前期比9,046百万円増、同19.2%増)、売上総利益は20,013百万円(前期比3,697百万円増、同22.7%増)となりました。売上総利益率につきましては、オークション委託拡大における手数料売上の増加や、売上総利益率の高い小売売上高の伸長などにより26.3%(前期比0.5ポイント増)となりました。 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は17,829百万円(前期比3,402百万円増、同23.6%増)となりました。これは主に、積極的な人への投資に伴う人件費の増加や、WEBマーケティング強化による広告宣伝費の増加、新規出店等に伴う地代家賃が増加したこと等によるものであります。また、オークションプラットフォームをはじめとしたシステム開発・保守運用に関連する業務委託費等も増加いたしました。 これらの結果、営業利益は2,183百万円(前期比294百万円増、同15.6%増)となりました。売上高営業利益率については2.9%(前期比0.1ポイント減)となりました。 当連結会計年度の営業外損益は、人材雇用に係る助成金収入の減少等により営業外収益が36百万円(前期比12百万円減、同25.5%減)、また、営業外費用は、支払利息や為替差損の増加等により185百万円(前期比38百万円増、同26.5%増)となりました。 これらの結果、当連結会計年度の経常利益は2,034百万円(前期比243百万円増、同13.6%増)、売上高経常利益率は2.7%(前期比0.2ポイント減)となりました。 当連結会計年度の特別損益は、本社移転に係る債務免除益の発生等により特別利益が107百万円(前期比107百万円増)、また、買取店舗の減損損失の発生や本社移転に係る事務所移転費用の発生等により特別損失が228百万円(前期比120百万円増、同111.4%増)となりました。法人税等合計は、法人税の増加等により863百万円(前期比149百万円増、同21.0%増)となりました。 これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,050百万円(前期比81百万円増、同8.4%増)、売上高当期純利益率は1.4%(前期比0.1ポイント減)となりました。 当連結会計年度末におきましては、主に仕入が好調に推移したこと等で商品が増加したことによる流動資産の増加や買取及び販売店舗の新規出店や本社移転等による固定資産が増加した結果、資産合計は27,675百万円となりました。仕入資金、株式会社米自動車の株式取得や本社移転等にかかる資金調達により社債や長期借入金が増加した結果、負債合計は18,841百万円となりました。 また、主に配当金の支払いによる減少と親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加の結果、純資産合計は8,834百万円となりました。 当連結会計年度におきましては、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費が増加し、棚卸資産の増加や法人税等の支払いによる資金の減少の結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,374百万円の収入となりました。 投資活動としましては、主に買取及び販売店舗の新規出店や本社移転による固定資産の取得や株式会社米自動車の株式取得による支出の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、2,538百万円の支出となりました。 財務活動としましては、主に投資活動に係る長期借入れによる収入の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,723百万円の収入となりました。 当社グループでは生産活動を行っていないため該当事項はありません。 当社グループでは受注活動を行っていないため該当事項はありません。 当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度末における流動資産合計は19,227百万円(前期比2,423百万円増)となりました。この主な要因は、資金調達による現金及び預金の増加528百万円や、株式会社米自動車の子会社化の影響を含めた商品の増加1,304百万円があったことに加え、未収消費税等の増加250百万円等によるものであります。固定資産合計は8,448百万円(前期比2,002百万円増)となりました。この主な要因は、販売店舗の新規出店・本社移転等に伴う有形固定資産の増加960百万円、株式会社米自動車の子会社化に伴うのれんの発生や、システム開発に伴うソフトウェア及びソフトウェア仮勘定等の計上等による無形固定資産の増加1,240百万円によるものであります。これらの結果、資産合計は27,675百万円(前期比4,425百万円増)となりました。 当連結会計年度末における流動負債合計は14,822百万円(前期比501百万円増)となりました。この主な要因は、短期借入金の減少799百万円等があった一方で、1年内償還予定の社債の増加200百万円や、1年内返済予定の長期借入金の増加623百万円があったほか、新オフィスのフリーレント契約による未払費用の発生等によるその他流動負債の増加459百万円によるものであります。固定負債合計は4,018百万円(前期比2,943百万円増)となりました。この主な要因は、社債の増加700百万円、長期借入金の増加1,989百万円があったこと等によるものであります。これらの結果、負債合計は18,841百万円(前期比3,445百万円増)となりました。 当連結会計年度末における純資産合計は8,834百万円(前期比980百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払による減少があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加729百万円があったほか、新株発行による資本金及び資本準備金の増加242百万円等によるものであります。 買取面においては、新規出店及びWEBマーケティング等による効率的な集客拡大に向けた取組を展開いたしました。また、更なる仕入拡大に向け、他業種とのアライアンスによる買取等も強化しております。これらの結果、当連結会計年度における仕入高は56,168百万円(前期比6,758百万円増、同13.7%増。株式会社米自動車の仕入高を除く)となりました。 出店戦略については、新規出店や店舗移転を推進し、より利便性の高い店舗網を構築するとともに、不採算店舗については退店を行うなど、店舗効率の最大化を進めてまいりました。これらの結果、当連結会計年度末におけるグループ全体の買取店舗数は、国内135店舗、海外38店舗となりました。 販売面においては、自社オークション「STAR BUYERS AUCTION(以下、「SBA」という。)」及び小売における売上高が好調に推移し、当連結会計年度の売上高は76,130百万円(前期比12,744百万円増、同20.1%増)となりました。 当連結会計年度における売上総利益率は、26.3%(前期比0.5ポイント増)となりました。小売売上高の拡大に加え、SBAの月4回開催が定着したことや、自社オークションにおける委託落札額が伸長したことで、売上総利益率は上昇いたしました。 国内だけでなく海外パートナーが数多く参加しているラグジュアリー品に特化したグローバルプラットフォームとしてSBAの認知が拡大してきた結果、当連結会計年度の自社オークション売上高は40,393百万円(前期比6,480百万円増、同19.1%増)となりました。また、2023年3月からSaaS型新機能の提供を開始したこともあり、自社オークションにおける委託落札額が伸長し、当連結会計年度の自社オークション手数料売上高は2,851百万円(前期比724百万円増、同34.1%増)となりました。 また、株式会社米自動車の業績貢献により卸売・その他(地金除く)売上高は10,749百万円(前期比2,645百万円増、同32.6%増)となり、金相場が引き続き好調に推移したことから卸売(地金)売上高は13,007百万円(前期比488百万円増、同3.9%増)となりました。 小売施策としては、2022年12月に「ALLU心斎橋店」をオープンしたほか、個人向けオークションである「ALLU AUCTION」を2023年1月より四半期毎に開催するなど、顧客との関係性深化及びALLUブランドの認知向上を図ることで小売強化に努めました。小売店舗においては、訪日外国人向けの販売が店舗売上高の5割を超え、好調に推移いたしました。これらの結果、当連結会計年度の小売売上高は9,127百万円(前期比2,404百万円増、同35.8%増)となりました。 インバウンド需要の回復に伴い国内パートナーの買い意欲が旺盛であったことや、小売店舗における訪日外国人向けの販売が好調であったこと、加えて株式会社米自動車の業績を含む卸売・その他売上が拡大したこと等により、国内売上高は59,117百万円(前期比10,573百万円増、同21.8%増)となりました。また、海外売上高比率は22.3%と高い水準で推移いたしました。 フルフィルメントサービスやSaaS型新機能などのオークションプラットフォーム等のシステム開発、SEOをはじめとしたWEBマーケティングの強化、新規出店等や荷量増加に伴う人材採用や積極的な人材育成等を行ったことにより、販売費及び一般管理費は17,829百万円(前期比3,402百万円増、同23.6%増)となりました。 これらの結果、当連結会計年度の営業利益は2,183百万円(前期比294百万円増、同15.6%増)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて528百万円増加し、8,334百万円となりました。 当連結会計年度中における各区分のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,374百万円の収入(前連結会計年度は1,716百万円の支出)となりました。これは税金等調整前当期純利益1,914百万円や、減価償却費971百万円、株式報酬費用169百万円等による資金の増加があった一方、棚卸資産の増加額934百万円や、未収消費税等の増加額245百万円、法人税等の支払額840百万円等による資金の減少があったためであります。 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,538百万円の支出(前連結会計年度は1,536百万円の支出)となりました。これは買取及び販売店舗の新規出店やオフィス移転等の有形固定資産の取得による支出1,341百万円や、オークションプラットフォーム等のシステム開発に伴う無形固定資産の取得による支出831百万円があったことに加え、株式会社米自動車の株式取得による支出471百万円等の資金の減少があったためであります。 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,723百万円の収入(前連結会計年度は2,691百万円の収入)となりました。これは短期借入金の減少額898百万円や、長期借入金の返済による支出718百万円、配当金の支払額320百万円があった一方、社債の発行による収入1,000百万円や、長期借入れによる収入3,050百万円等の資金の増加があったためであります。 当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額11,000百万円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。 当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、15,008百万円であります。 当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、商品買取に係る仕入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資資金需要は、主に、オークションプラットフォーム構築や買取・販売に係る社内システムの改修に係るシステム投資、買取店舗や小売店舗の新規出店に係る設備投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。 当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。 当社グループは、運転資金の効率的な調達のため、取引銀行と総額11,000百万円のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。なお、当該契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は600百万円であります。 当社は、2022年12月22日開催の取締役会決議に基づき、同日付で株式会社米自動車(以下、「米自動車」という。)の株式取得に係る株式譲渡契約及び株式交換契約を締結いたしました。株式譲渡契約書に基づき、2023年1月31日付で米自動車の発行済株式の一部を取得するとともに、株式交換契約に基づき、2023年2月28日付で当社を株式交換完全親会社、米自動車を株式交換完全子会社とする簡易株式交換を実施し、同社を完全子会社化いたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。 当社グループは、自社研究及び国立大学法人 北海道大学 大学院情報科学研究院との共同研究を通じて、人工知能を活用し、外部環境等を反映したオークション価格の動的設定や買取査定価格の自動算出についての研究を行っております。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は26百万円であります。
あんしん保証株式会社
# あんしん保証株式会社 当社は、2002年12月16日に東京都港区新橋において、不動産の賃貸借における家賃債務の保証業務を行うことを目的とする会社として、賃貸あんしん保証株式会社を設立いたしました。 その後、クレジットカード事業者との提携を模索する中、2003年12月に株式会社ライフ(現ライフカード株式会社)と業務提携を行い、家賃債務の保証に加え、不動産管理会社(賃貸人を含む)へ家賃等の立替を行うサービスの提供を開始いたしました。 当社設立以後の経緯は、次のとおりであります。 東京都港区新橋に賃貸あんしん保証株式会社を設立(資本金5,000万円)。 大阪支店の開設。 京都管理センター(現カスタマーセンター)の開設。 滞納報告型商品の販売開始。 株式会社ライフ(現ライフカード株式会社)と業務提携。 保証商品「ライフあんしんプラス」の販売開始。 増資(資本金8,000万円)。 増資(資本金1億1,000万円)。 増資(資本金2億4,500万円)。 大分支店(現福岡支店)の開設。 増資(資本金4億2,725万円)。当社はアイフル株式会社の子会社となる。 増資(資本金4億4,600万円)。 「不動産賃借保証管理システム」の特許取得(特許第4150659号)。 本社を東京都港区芝に移転。 札幌支店の開設。 さいたま支店の開設。 増資(資本金4億8,450万円)。 名古屋支店の開設。 仙台支店の開設。 ストック・オプションの権利行使による資本金の増加(資本金5億6,200万円)。 岡山支店の開設。保証商品「あんしんプラス」の販売開始。 指定信用情報機関CICへ加盟(株式会社シー・アイ・シー運営)。 新潟支店の開設。賃料のクレジットカード決済商品販売開始。 本社を東京都中央区京橋に移転。当社はアイフル株式会社をその他の関係会社とする。当社商号を賃貸あんしん保証株式会社からあんしん保証株式会社に変更。東京証券取引所マザーズに上場。増資(資本金6億3,587万円)。ストック・オプションの権利行使等による資本金の増加(資本金6億6,437万円)。株式会社アプラスと業務提携。 沖縄営業所(現 沖縄支店)の開設。 イオンカードの家賃決済と当社の家賃保証を組み合わせたサービスの提供開始。 ストック・オプションの権利行使による資本金の増加(資本金6億7,036万円)。 ストック・オプション及び有償ストック・オプションの発行。 ストック・オプションの権利行使による資本金の増加(資本金6億7,492万円)。 ストック・オプションの権利行使による資本金の増加(資本金6億8,091万円)。 ストック・オプションの権利行使による資本金の増加(資本金6億8,094万円)。 家賃債務保証業者登録(国土交通大臣(1)第11号)。 本社を東京都品川区東品川に移転。 東京証券取引所市場第一部へ上場市場変更。 指定信用情報機関JICCへ加盟(株式会社日本信用情報機構運営)。 東京証券取引の市場区分の見直しにより市場第一部からスタンダード市場へ移行。 当社は、「人として社会に感謝し、地域社会の発展に挑む」という企業理念を掲げ、賃貸借契約における家賃債務の人的保証すなわち連帯保証人制度を法人として引き受ける機関保証会社として、家賃債務の保証事業を展開しております。 当社は、「ライフあんしんプラス」や「あんしんプラス」などの保証商品の販売を中心に事業を展開しており、身内の方を連帯保証人にすることで本来協力しあう関係にある賃借人と連帯保証人との不和の原因となり得る現状の抑制に向け、業容の拡大に取り組んでおります。これは、連帯保証人制度に代わる住環境のインフラの一端として、賃借人や連帯保証人の便益を向上させ、且つ、賃借人と賃貸人との間で起きるトラブルを抑制するセーフティネットとなることで、不動産賃貸業界の活性化の一助となることを目的としております。 当社は、入居者(賃借人)が家賃を支払う前に当社が不動産管理会社(賃貸人を含む)へ全額立替払いを行う「事前立替型」保証商品を提供する家賃保証会社であります。この「事前立替型」保証商品は、家賃債務保証業界において主流である家賃の滞納が発生した場合に初めて代位弁済を行う「滞納報告型」保証商品の弱点である「不動産管理会社(賃貸人を含む)の家賃管理事務の煩雑さ」と「不動産管理会社(賃貸人を含む)に対する入居者(賃借人)の賃料滞納時の未回収リスク」を排除した家賃債務保証商品となります。 「事前立替型」保証商品は当社が家賃債務保証業界において先駆的に販売を開始した商品となります。そのラインナップは、クレジットカード事業者(ライフカード株式会社、※1、以下略称:ライフカード)との業務提携に依る商品である「ライフあんしんプラス」および信用情報機関(株式会社シー・アイ・シー、※2、以下略称:CIC)への加盟により適切な与信機能を確保し、保証実行リスクを抑えた当社が立替を行う商品である「あんしんプラス」があります。なお、「事前立替型」保証商品を運用する仕組みについて、当社は2008年7月にビジネスモデル特許(特許第4150659号)を取得しております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 入居者(賃借人)が支払うべき家賃等について、入居者(賃借人)の家賃等を支払期日より前に、クレジットカード事業者(ライフカード)が不動産管理会社(賃貸人を含む)へ立替を行い、家賃等債務の保証を実施するサービスであります。本商品はクレジットカード事業者(ライフカード)との業務提携により実現している商品であります。当社が他社に先駆けて販売したことから家賃債務保証業界全体としては類似モデルを導入している会社が少ないビジネスモデルとなります。 入居者(賃借人)から保証契約時、保証契約更新時及び毎月の家賃等の引落時に、それぞれ初回保証料、更新保証料及び月額保証料を受領し、これらが当社の収益となります。フィー型のビジネスモデルであることから安定した収益基盤の構築が可能となっております。 当社は、不動産管理会社(賃貸人を含む)が入居者(賃借人)の家賃等の滞納によって、自己資金の持ち出しや滞納債権を抱えるリスクを排除し、不動産管理会社(賃貸人を含む)に対して滞納家賃等債務の保証を退去時まで行うサービスの提供を実施しております。 入居者(賃借人)の家賃等の未滞納者及び1ヶ月目から3ヶ月目までの滞納者はライフカードが家賃と月額保証料等を入居者(賃借人)の登録口座から引落を行います。家賃等の滞納が4ヶ月目に当社がライフカードに対して家賃等滞納債権の代位弁済を行います。家賃等の滞納が4ヶ月目以降(代位弁済実行後)の滞納者はライフカードに代わって当社が入居者(賃借人)に対して家賃と月額保証料等の請求を行います。 本サービスの概念図は、次のとおりであります。 「ライフあんしんプラス」がクレジットカード事業者による家賃等の立替を行うサービスであることに対して、「あんしんプラス」は当社が家賃等の立替を行うサービスとなります。入居者(賃借人)が支払うべき家賃等について、入居者(賃借人)の家賃等を支払期日より前に当社が不動産管理会社(賃貸人を含む)へ立替を行い、家賃等債務の保証を実施するサービスであります。 入居者(賃借人)から保証契約時、保証契約更新時及び毎月の家賃等の引落時に、それぞれ初回保証料、更新保証料及び月額保証料を受領し、これらが当社の収益となります。フィー型のビジネスモデルであることから安定した収益基盤の構築が可能となっております。 また、当社は入居者(賃借人)から家賃等の支払を受けるため、入居者(賃貸人)の滞納賃料等の一部について未回収金が発生する場合があります。家賃等の未回収リスクをヘッジするためには、高い審査能力を保有している必要があります。当社は信用情報機関CICに加盟していることから申込者の支払能力を正確に把握し、当社独自の審査を行っております。 本サービスの概念図は、次のとおりであります。 入居者(賃借人)による家賃等の滞納が発生した場合に不動産管理会社(賃貸人を含む)より、滞納の報告(代位弁済の請求)を受け、滞納家賃等の代位弁済を行うサービスであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 当社は、「人として社会に感謝し、地域社会の発展に挑む」という企業理念を掲げ、賃貸借契約における家賃債務の人的保証すなわち連帯保証人制度を法人として引き受ける機関保証会社として、家賃債務の保証事業を展開しております。 当社は家賃保証事業を継続し拡大していくことが「機関保証の普及の実現」ならびに企業価値の向上につながると捉えており、目標とする経営指標を保証債務残高及び保証債務件数として、経営指標の向上に努めております。 当社はこれまで家主が物件の管理を企業へ委託する、所謂管理物件を主たる市場としておりましたが、家主自身で物件を管理する一般物件市場の開拓を推進しております。当社は、より付加価値の高い保証スキームとしてクレジットカードポイントを付与できる信販会社との提携商品、家主への滞納が発生しない事前立替による保証、指定信用情報機関CICを用いた一定の承認率を保持しつつもデフォルトリスクを抑える与信精度などを競争上の強みとし、市場開拓を進めております。また、新たなクレジットカード会社との提携商品の販売や指定信用情報機関JICCを用いた滞納報告型商品の販売強化に加え、家賃債務の保証事業を基幹ビジネスとしながら、これらのノウハウや優位性を活かし未だ機関保証が進出していない分野へ進出することで、事業の多様性と収益の分散化を図ることを中長期的な戦略としております。 当社は連帯保証人制度に代わる機関保証の普及を実現するというミッションを推進していくために、新たな企業価値創造に向けてより一層の挑戦を続け、これまでに打ち出した様々な施策を定着させるべく、以下の施策を対処すべき課題として取り組んでまいります。 ① 新商品の拡充と既存商品の拡大  新たなクレジットカード会社との業務提携や付帯商品の開発、保証範囲拡大に向けた取り組みや新たな収益源の確保に向けた取り組みに努め、既存商品の充実と拡大を並行して推進し、営業の強化に取り組んでまいります。 ② 回収基盤強化による流動債権比率の抑制  流動債権比率の抑制を図るため債権管理部門の人材確保と人材育成により、回収基盤のさらなる強化へ注力するとともに、弁護士をはじめとする外部委託業者の活用や督促支援システムを有効活用した業務効率化の向上に取り組んでまいります。 ③ システム機能の定着化  新たな収益構造改革に向けたシステム対応を視野に入れ、システム機能の早期的なリリースへ注力するとともに、既存のWEBやアプリ機能の利用率向上に向けた戦略立案、実行へ努めてまいります。 働きやすい企業の定着を実現させるため、新入社員をはじめとする人材育成方針の明確化、効果的な研修の充実・強化を図るとともに、組織力の強化並びに社内環境整備へ努めてまいります。 コンプライアンスは法令・社内規則等の遵守のみでないことを認識し、広く社会規範を踏まえた業務運営を実施するとともに社内コンプライアンス研修の充実、強化に取り組み企業価値向上へ努めてまいります。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は気候変動を含む環境・社会課題を経営上の重要事項として捉え、重要な取組事項については、今後、経営会議での検討、報告を予定しております。 当社は、環境や社会課題を考慮した地域経済の好循環サイクルを追求し、地域社会と全てのステークホルダーの持続的な発展に貢献するとともに、気候変動に関するリスクへの対応を経営の重要課題であると位置づけました。当社の気候変動に伴うリスク(物理リスク・移行リスク)と機会を以下のとおり定性的に分析しております。今後も定期的な分析を実施し、気候変動が経済に及ぼす様々な影響を把握し、評価するとともに、リスクを管理する体制の構築に努めてまいります。 当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、下記のとおりであります。 ・多様・多彩な人材育成を図るため社内人材の育成・能力開発に向けた研修制度をより充実させる取組みを行ってまいります。 ・マネジメントを含むキャリア意識の形成をサポートし、経営に関する意識改革・研修等、若手社員を含めた管理職候補への教育も強化してまいります。 ・女性管理職の人数を増加するとともに、産休・育休後に復職しやすい就業環境を設け、女性活躍推進を一層支援してまいります。 ・持続的に成長できる強い企業になるための経営戦略の一つとしてダイバーシティ推進を行います。 ・自律的にキャリアを構築できる人材づくりと、多様な視点を活かし機能させる組織風土の醸成を進めます。 ・従業員それぞれの多様な考え方や経験を活かすことで、新しい価値創出を目指します。 ・多様な価値観を持つ人材がお互いを尊敬できる人材基盤の強化を図ってまいります。 ・障がい者・外国人の採用をより積極的に取り組んでまいります。 職場におけるハラスメントは、防止のための仕組みがあっても、防止する意識が下がれば減らない根深い問題であり、当社は誰もがハラスメントを行う可能性があることを自覚して相手を思いやって行動し、相談しやすく見て見ぬふりをしない風土を作るために、ハラスメントに対して毅然とした対応を行います。 当社では、上記「(2) 人的資本に関する開示」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要リスクは、以下のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 不動産賃貸市場における賃貸不動産の件数は堅調に増加傾向を示しておりますが、今後さらに高齢化が進み、主に転居を伴う経済活動を行う10代から40代の人口の絶対数が減少するなどの情勢の変化によっては、不動産賃貸市場が低迷することも考えられ、その場合には当社の事業継続に大きな影響を与える可能性があります。 当社は、家賃等を賃借人の支払期日より前に立替払いするビジネスモデルを提供しております。また、家賃債務の保証事業としてCIC・JICCに加盟し、両社が保有する信用情報(クレジット情報)を活用したスコアリングと顧客属性を基にした定量・定性的な与信機能を設けていることから、競合他社と比べ優位性があります。今後、資本力のある銀行やクレジットカード事業者が当社と同様のビジネスモデルを構築する場合、当社と競合する可能性があります。当社としては、不動産賃貸業界の大手団体や大手フランチャイズ・チェーンなどの囲い込みを行い、先行者利得を最大限確保するように努めますが、環境の変化により、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。 家賃債務の保証事業は、入居者(賃借人)の家賃債務に関する連帯保証を入居者(賃借人)の委託をもとに引き受ける事業であり、入居者(賃借人)による家賃等の滞納があれば当社がクレジットカード事業者(ライフカード株式会社)や不動産管理会社(賃貸人を含む)に対して代位弁済を行う必要があります。このような偶発債務が、経済環境の予想し難い激変等何らかの理由により上昇するような場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社の家賃債務の保証事業における保証商品においては、当社が入居者(賃借人)の家賃等債務に対する連帯保証人となっております。当社又はクレジットカード事業者が不動産管理会社(賃貸人を含む)に行った家賃等の立替について入居者(賃借人)の家賃等の支払に遅延・滞納が起きた場合に、当社がクレジットカード事業者や不動産管理会社(賃貸人を含む)に代位弁済を行います。これにより、当社は保証契約に基づく求償債権又は保証委託契約に基づく求償債権を取得することになりますが、これら債権を全額回収できるとは限らず、入居者(賃借人)の滞納家賃等の一部について未回収金が発生する場合があります。 当社は、このリスクに対して適切な与信を実施することと、過去実績の分析から適切と想定される保証料金体系を設定することで、未回収リスクを最大限ヘッジしております。しかしながら、実際の貸倒損失が当社が予測する範囲を上回った場合、現時点の貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、当社が貸倒引当金を設定する基準を改訂した場合、又はその他の要因により予想以上に悪影響を受けた場合、当社は追加の貸倒引当金の計上を必要とする可能性があるほか、未回収金が当社の想定を大きく上回った場合、キャッシュ・フローが悪化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社における家賃債務保証事業は、多数の個人情報を扱っております。当社としては、個人情報へのアクセス権限の設定や、外部記憶媒体の利用制限等の徹底管理など、内部の情報管理体制の徹底により個人情報の保護に注力しておりますが、不測の事態により個人情報が流出した場合、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。 「ライフあんしんプラス」商品において、業務スキームの重要部分である賃料等の立替機能及び未回収金の初期回収をライフカード株式会社へ委託しております。ライフカード株式会社との契約は、2008年12月19日より家賃保証商品の取扱にかかわる業務提携契約及び包括債務保証契約を締結しており、契約期間は満1ヵ年とし、別段の意思表示をしない場合は同一条件にて自動更新されるものとしております。双方次のいずれかに該当した場合、契約解除事由と定めております。①債務不履行で相手方が相当の期間を定めて催告したにもかかわらず、なお債務不履行その他の違反が是正されない場合、②差押、仮差押、仮処分、強制執行または競売の申し立て、もしくは滞納処分を受け、本契約の義務履行に重大な悪影響を及ぼす場合、③手形・小切手が不渡りになった場合、④支払停止、破産、民事再生手続開始、会社更生手続開始、清算もしくは特別清算開始の申し立てがあった場合、⑤いずれかの会社が消滅会社となる合併、解散もしくは営業の全部を第三者に譲渡した場合としております。また、「あんしんプラス」商品において、賃借人に対する与信機能をCICへ加盟することで強化しております。クレジットカード事業者や信用情報機関との提携は当社の事業を継続する上で必要不可欠な提携であり、通常想定し難い事情等により提携が解消となった場合、当社の事業継続に影響を与える可能性があります。 なお、ライフカード株式会社と当社との取引は以下のとおりです。 家賃債務の保証事業においては、滞納家賃等の返済ができないにもかかわらず、対象物件の明渡意思がない若しくは金銭的な面から明渡不可能な賃借人等の対応として、月額賃料等に係る保証債務の発生に関する解決(退去)が困難な場合、これらの解決を図るため、明渡訴訟を提起することもあり、当該訴訟費用も保証範囲となります。この訴訟の件数の増加、必要となる費用の内容若しくは訴訟結果によっては、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 家賃債務の保証事業においては、当社が保証を受託した原契約である賃貸借契約の対象不動産の使用などを巡って、賃貸人が賃借人に対して訴訟を提起する場合があります。この場合、連帯保証人である当社も、保証範囲の債務履行請求訴訟においては、賃借人と同列の立場として被告となる可能性があることから、当該訴訟の件数、内容若しくは結果によっては、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 現段階では家賃債務の保証を営む事業者に対する直接的な法規制はありませんが、今後不動産賃貸業界全般に大きな影響を及ぼすような法的規制が新たに設けられた場合には、当社の事業に影響を与える可能性があります。 当社は業務をシステム化しており、システムの安定運用に依拠して審査、保証契約等の管理、債権管理、その他各種運用及びお客様の個人情報の記録・保存・管理等を行っております。コンピューター及びネットワーク機器・回線障害または誤作動、システムプログラムの障害等により、正常な業務運営が妨げられることがないように、バックアッププランを含めた緊急時の体制を整えております。また、システム全般に適切なセキュリティー対策を講じております。 しかしながら、事故、火災、自然災害、停電、人為的ミス、ソフトウエアの不具合及び外部からの不正アクセス等により、システムの安定的な運用が困難となった場合、当社の事業活動に支障が生じることによって、当社の経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。 当社代表取締役である雨坂甲は、当社の重要な事業推進者の一人であり、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。 当社では今後、同氏に過度に依存しないよう組織的な経営体制の構築や人材育成を進めていきます。しかしながら、何らかの理由で同氏の業務執行が困難となった場合、当社の経営成績及び今後の事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度におけるわが国経済は、景気の緩やかな持ち直しがみられるものの、依然として物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響を十分に注意する必要があり、先行き不透明な状況が続いております。 賃貸住宅市場におきましては、令和4年度の新設住宅着工戸数が前年度比0.6%の減少となり前年の増加から再びの減少となる中、貸家着工件数は前年度比5.0%の増加、2年連続の増加となりました。(国土交通省総合政策局建設経済統計調査室発表:建築着工統計調査報告 令和4年度計)このような事業環境のもと、当社は新たな企業価値創造に挑戦すべく、トップラインの成長に向けて、以下の施策を実施してまいりました。 営業活動につきましては、新たなクレジットカード会社との提携商品の販売や指定信用情報機構JICCを用いた滞納報告型商品の販売等へ注力した結果、加盟店契約数、保証件数及び保証残高は前年に引続き、堅調に増加いたしました。また、債権管理面につきましては、組織改編に応じて回収面に関わる各運用の改善、適正化により業務効率の向上を図ってまいりました。さらに、DXにおいて継続的に各種Webサービス機能を拡充し、オーナー向けアプリ機能のリリースも実施してまいりました。 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,408,200千円増加し、9,474,368千円となりました。 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ991,469千円増加し、7,308,563千円となりました。 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ416,731千円増加し、2,165,805千円となりました。 当事業年度の経営成績は、営業収益4,497,713千円(前年同期比8.9%増)と、増収となりました。また、利益につきましては、営業利益571,042千円(前年同期比24.8%増)、経常利益677,471千円(前年同期比15.3%増)、税引前当期純利益677,471千円(前年同期比16.0%増)、当期純利益471,700千円(前年同期比17.7%増)となりました。 当社の事業セグメントは、家賃債務保証事業の単一セグメントでありますので、セグメント別の記載を省略しております。 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,362,351千円と前事業年度末と比べ81,338千円(6.3%)の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における営業活動の結果、増加した資金は185,946千円(前年同期は170,003千円の収入)であります。この主な増加要因は、税引前当期純利益677,471千円、収納代行預り金の増加額813,441千円等であり、主な減少要因は、収納代行立替金の増加額1,109,654千円、求償債権の増加額200,468千円及び法人税等の支払額188,497千円等であります。  (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における投資活動の結果、減少した資金は50,876千円(前年同期は106,124千円の支出)となりました。主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出47,836千円等であります。  (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における財務活動の結果、減少した資金は53,731千円(前年同期は3,643千円の支出)となりました。この減少要因は、配当金の支払額による支出53,731千円であります。 当社の事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (資産)  当事業年度末における資産につきましては、前事業年度末に比べ1,408,200千円増加の9,474,368千円(前事業年度末比17.5%増)となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が81,338千円増加したこと、営業未収入金が26,861千円増加したこと、求償債権が200,468千円増加したこと及び収納代行立替金が1,109,654千円増加したこと等によるものであります。 (負債) 負債につきましては、前事業年度末に比べ991,469千円増加の7,308,563千円(前事業年度末比15.7%増)となりました。増加の主な要因は、収納代行預り金が813,441千円増加したこと及び契約負債が128,499千円増加したこと等によるものであります。 (純資産) 純資産につきましては、前事業年度末に比べ416,731千円増加の2,165,805千円(前事業年度末比23.8%増)となりました。増加の主な要因は、当期純利益を471,700千円を計上したことによるもの等であります。 (営業収益) 当期における営業収益は、保証債務残高及び新規保証件数が伸びたことにより、4,497,713千円(前期比8.9%増)となりました。 (営業利益) 当期における営業費用は、3,926,671千円(前期比6.9%増)となりました。支払手数料が139,211千円増加(前期比10.7%増)、給与手当が64,989千円増加(前期比14.7%増)したこと等によります。その結果、営業利益は571,042千円(前期比24.8%増)となりました。 (経常利益) 当期における営業外収益は、償却債権取立益が15,331千円減少(前期比35.1%減)、助成金収入が20,733千円減少(前期比75.1%減)したこと等により、合計で123,678千円(前期比23.2%減)となりました。営業外費用は、市場変更費用が前期18,836千円発生したものの、当期は発生しなかったこと等により、合計で17,249千円(前期比44.2%減)となりました。その結果、経常利益は677,471千円(前期比15.3%増)となりました。 (税引前当期純利益) 当期における特別損失は、固定資産除却損が前期3,495千円発生したものの、当期はほぼ発生しなかったこと等により、0千円となりました。その結果、税引前当期純利益は677,471千円(前期比16.0%増)となりました。 (当期純利益) 当期においては、法人税、住民税及び事業税228,105千円(前期比9.2%増)を計上し、法人税等調整額△22,334千円(前年同期は△25,578千円)を計上した結果、当期純利益は471,700千円(前期比17.7%増)となりました。 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。 当社の短期運転資金は、クレジットカード事業者への代位弁済金、不動産管理会社(賃貸人を含む)への立替金が主な使途であり、保証債務残高の増加に伴い資金需要額も増加いたします。資金の調達方法は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、無形固定資産の取得は主に基幹システムの開発にともなうものであり、財源としては内部留保による資金をあてております。 営業収益は、対前期比8.9%増を達成し、期初計画対比99.7%(0.3%減少)とほぼ計画通りとなりました。 営業費用は、DX推進による業務効率化が進んだことから、時間外労働時間が抑制されるなど生産性向上が進み、営業費用の増加は限定的で、営業利益、経常利益及び当期純利益は計画を上回りました。 保証債務残高(月額)及び保証債務件数につきましては、対前期末と比して堅調に推移しました。 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 家賃保証商品の取扱いに関わる業務提携契約及び包括債務保証契約。 CIC加盟に関する契約。 営業協力活動の提供。 該当事項はありません。
株式会社大田花き
# 株式会社大田花き 当社(形式上の存続会社、1975年6月6日 株式会社ケイ・エヌ・エスとして設立、1996年1月8日に商号を株式会社大田花きへ変更、本店所在地東京都渋谷区千駄ケ谷一丁目21番13号、株式額面500円)は、株式会社大田花き(1989年1月31日設立、本店所在地東京都大田区東海二丁目2番1号、株式額面50,000円)の株式の額面金額を変更するため、1996年4月1日を合併期日として同社を合併し(同時に本店所在地を東京都大田区東海二丁目2番1号に移転)、同社の資産・負債及びその他の一切の権利義務を引き継ぎましたが、合併前の当社は休業状態にあり、合併後におきましては実質上の存続会社である株式会社大田花き(1989年1月31日設立)の事業を全面的に継承しております。 従いまして、実質上の存続会社は、被合併会社であります旧株式会社大田花き(1989年1月31日設立)でありますから、以下の記載は、別に記載のない限り実質上の存続会社について記載しております。 なお、事業年度の期数は、実質上の存続会社の期数を継承しておりますので、1996年4月1日より始まる事業年度を第9期といたしました。 当社グループは、当社(株式会社大田花き)、子会社3社、関連会社3社及びその他の関係会社1社により構成されており、その他の関係会社を除き、花きの卸売事業を主たる業務とし、それに付帯する業務を行っております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置づけは次の通りであります。 なお、当社は、花き卸売事業の単一セグメントであります。 卸売市場法に基づき東京都中央卸売市場大田市場において、花き卸売業を営んでおります。 九州地方にて花き類の卸売・問屋業を営んでおります。 大田市場の業者向けに花き類を保管する倉庫を賃貸しております。 生産者向けの種苗販売、生花店など小売業者向けの洋らん卸売業、花き小売業を営んでおります。 大田市場の業者向けに花き類を保管する倉庫を賃貸しております。 東北地方にて花き類・関連資材の卸売・問屋業を営んでおります。 大田市場において、花きに関する研究、情報サービスの提供などを行っております。 なお、当社のその他の関係会社である株式会社大森園芸ホールディングスとは資本関係のみで、取引は行っておりません。 事業系統図は、次のとおりであります。 当社への出荷。役員の兼任3名。 予約相対受託品の一時保管用倉庫の使用。役員の兼任4名。 資金援助あり。 当社取扱商品の販売。 資金援助あり。 予約相対受託品の一時保管用倉庫の使用。役員の兼任1名。 当社への出荷。役員の兼任1名。 役員の兼任1名。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは「緑豊かな美しい日本」に住む「富国有徳」の実現を目指す日本の企業として「事業を通して暮らしに潤いを提供し、豊かな社会文化を創造」すべく努力を積み重ねております。花のビジネスは、成熟国家日本の「暮らし向き」を考えると今後とも拡大の可能性を秘めています。そこで当社グループでは、花き流通を担う企業集団として、主要な機能である①情報流②商流③物流④資金流を各社有機的に連動させ、株主の皆さまや顧客の期待に応えるべく努めております。このことにより事業が持続的に発展し、中長期的な企業価値向上につながると考えております。 ①情報流 価格形成力のある拠点的な花の取引所である当社において、グループそして業界をリードする相場の形成に努めます。 ②商流  グループ全体で花のサプライチェーンの構築を強化します。 ③物流  コールドチェーンの強化など時代の要請に応えるきめの細かいサービスを実現し、取引先の利便性を高めてまいります。 ④資金流 社会的役割のもと資金の効率活用を目指し、信頼される健全企業であることに努めます。 花き業界は、卸売市場制度の規制緩和、花き生産の減少等により、一層優勝劣敗の傾向が強まっております。当社グループとしましても利益率の向上、収入の多角化策そしてグローバル化への対応を行ってまいります。あわせて業界の構造改革、再編に進んで取り組んでいくことが重要になってまいります。 また新たな需要を掘り起こすべく、消費活動を牽引する取り組みも行なってまいります。 これらを実現するためにも一層のコーポレート・ガバナンスを徹底し同時に品質、情報、流通の管理ビジョン「確実なパスワーク」を明確にし、経営機能を強化してまいります。 今後の見通しにつきましては、天候不順に加え、国内花き生産者の高齢化による生産量の減少、花き小売商高齢化による廃業・人口減による地方都市経済の縮小など楽観を許さない状況も想定しています。当社グループは社会インフラである卸売市場を基軸として、生活者に求められる商品の供給・提案を行います。また地方都市の花き消費がこれ以上減少しないように、花き地方市場との取り組みを強化し、地域文化の継承・花文化の普及に努めます。同時に、地元である首都圏においても花文化の普及・啓蒙活動に取り組み、多種多様な小売店舗の活性化に尽力することで、消費拡大・生産拡大に努め、社業の発展に臨みます。 当社グループはサステナビリティを巡る課題への対応は、重要なリスク管理の一部であると認識しております。事業を通じ従業員の安全、社会の安定に貢献し、環境に配慮したえエネルギー削減型のサプライチェーンの構築と価値の連鎖を追及し、企業価値の向上を目指します。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は、取締役会において気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組んでおります。 当社グループは循環型社会に向けて環境に配慮した物流に取り組んでおります。卸売市場として取引総数の最小化を図り、サプライチェーン上の総移動距離を短くすることでCO2排出量削減に努めており、梱包材等廃棄物のリユース・リサイクルステーションとしての役割も果たします。 また、当社グループはダイバーシティ推進を重要な経営戦略の一つとして位置づけ、多様な人材が働き甲斐を持って活躍するための取組を推進しております。女性活躍推進においては、女性のリーダーシップ機会の創出と従業員が育児や介護などをしながら安心して働き続けられるように、環境整備に取り組んでおります。また、ソーシャルインクルージョンへの取組として、高齢者・障害者雇用の維持・促進を行っております。 当社は、持続可能な社会の実現に向けて責任を果たす役割をパーパスのもと「企業理念」「将来ビジョン」「経営目標」に織り込み事業年度ごとに中期経営計画を策定し、取締役会で決定しております。また、SDGs重点目標項目にも掲げ社会・環境問題に対する方針や戦略的目標を策定・推進しており、四半期ごとに取締役会にて担当執行役が報告し、見直しも行っております。 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、ここで記載する内容は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 花きは嗜好性が高い商品なので少子化や高齢化社会におきまして、各年齢層ごとにどのような消費動向になるか予測できない面があります。花き購買層の中心である中高年層の消費意欲の継続性も含め当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクに対応するため、変化する生活環境を考え顧客に寄り添い、消費者が求めることを捉えていくことに努めてまいります。そのためにも生活者視点で経営資源を投入、バランスをを図ってまいります。 花きの商品価値は供給・需要双方で天候の影響を受けます。供給面では生産段階から花店が一般の消費者へ販売する時点まで品質・物の良し悪しに影響し、需要面では、購入時点における嗜好に影響いたします。したがって、温暖化も含め天候により供給と需要のバランスがくずれ取引量や取引価額に影響する場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクに対応するため、供給面・品質面では保冷倉庫棟の設備強化を行っています。このことは顧客サポートにもつながり、消費者ニーズにも応える花きの提案を行ってまいります。 自然災害や疾病の流行などの有事が発生した場合、当社グループで人的・物的被害を受けたり、有事により社会情勢が大きく変化した際に、全部の事業、又は一部の事業の継続が困難になるなど影響を及ぼす可能性があります。 このリスクに対応するため、事業継続計画を作成し、有事での対応、手順を整え備えております。また、新型コロナウイルス感染症対策としてサテライトオフィス、在宅勤務を実施しており、社員への心構えとして6S(整理、整頓、清掃、清潔、躾、作法)の徹底、出張や社内外の会議等について慎重に判断しております。 当社グループは売上債権及び貸付金の貸倒による損失に備えて貸倒引当金を計上しております。取引先の信用力や支払条件等、与信リスクの最小化を図っておりますが、花店の経営において花きは“フレッシュ”であることが求められ、在庫期間が短いという商品特性上在庫が直ちに損失となる可能性が高く、これにより取引先の経営・資金繰りが悪化した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクに対応するため、営業本部を中心に部署横断で顧客管理を行い、債権管理も含めた取引先のリスク管理に努めております。 当社は生鮮食料品等の取引の適正化等を目的とする「卸売市場法(1971年法律第35号)」及び卸売市場法に基づく「東京都中央卸売市場条例」その他関係諸法令による規制の対象となっております。2020年6月21日、卸売市場法の改正が施行され卸売市場の規制が大きく緩和されました。このことは花き卸売事業を花き流通の要と捉えている当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 このリスクに対応するため、法令順守に努める一方で、花きを取り巻くシーンで卸売市場流通が生活者視点でのインフラとして認識されるように花き流通のプラットフォーマーの役を担い、顧客に寄り添い、必要とされるグループとなるように努めてまいります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍で依然社会活動は一部制限されているものの、日常生活を取り戻そうとする動きが活発となりました。一方でロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー、食料品、肥料などの値上がりが著しく、賃金を上げようとする動きが出てきたものの、可処分所得は伸び悩んでおり景気の先行きは不透明な状況が続いております。 花き業界においてはアレンジメントやガーデニング、観葉植物など家で楽しめるホームユース需要が堅調でした。外出機会の増加でイベント需要が回復し、結婚式での需要はコロナ前の水準まで急増しました。葬儀や法事などは人数を少なくして小規模で行うことが定着してきた為、金額ではコロナ前に届かないものの件数はコロナ前の水準に回復しました。また、円安の環境下で切花の輸出が堅調でした。 花きの国内生産量は高齢化や生産コストの高騰により減少が続いております。一方、生産者は効率化を図る為に取引先を人口の多い都市部に絞る動きが顕著となり、都内で市場を営む当社には荷物が集まりました。また輸入品を扱う輸入商社も円安による仕入コストの上昇で、空港に近い大規模市場に荷物を集約する流れが加速し、羽田空港と成田空港に近い当社には比較的潤沢に荷が揃う状況でした。このような状況下で地方市場や地方の大手小売店との取引が増加し、また全国的にはwithコロナにおいて需要に供給量が追い付かず単価高となったことも売上好調の要因となりました。 このような結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,285,086千円(前年同期比9.1%増)、営業利益304,086千円(前年同期比43.1%増)、経常利益419,747千円(前年同期比69.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益306,130千円(前年同期比76.5%増)となりました。 なお、当社グループは花き卸売事業単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。 当連結会計年度末における資産合計は8,810,466千円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ187,228千円増加し4,175,593千円、固定資産は前連結会計年度末に比べ182,852千円減少し4,634,873千円となりました。流動資産の主な内訳は、売掛金2,360,224千円、現金及び預金1,678,358千円、固定資産の主な内訳は建物及び構築物2,594,640千円です。 当連結会計年度末における負債合計は3,875,981千円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ17,444千円増加し2,230,946千円、固定負債は前連結会計年度末に比べ258,146千円減少し1,645,035千円となりました。流動負債の主な内訳は、受託販売未払金1,476,909千円、固定負債の主な内訳は長期借入金677,946千円、退職給付に係る負債489,164千円です。 純資産は前連結会計年度末に比べ245,078千円増加し4,934,485千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益306,130千円の計上、剰余金の配当61,052千円によるものです。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して178,552千円増加し1,763,921千円となっております。 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は、641,112千円(前年同期は450,188千円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益419,747千円、減価償却費264,441千円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額112,382千円、持分法による投資利益59,342千円、売上債権の増加57,622千円によるものです。 投資活動の結果使用した資金は、61,896千円(前年同期は66,837千円の使用)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出120,674千円、貸付けによる支出20,000千円であり、増加要因は貸付金の回収による収入84,078千円によるものです。 財務活動の結果使用した資金は、400,663千円(前年同期は391,581千円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出323,808千円、配当金の支払額60,886千円によるものです。 当連結会計年度の仕入実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。 なお、当社グループは花き卸売事業の単一セグメントであります。 該当事項はありません。 当連結会計年度の販売実績を取扱品目別に示すと、次のとおりであります。 なお、当社グループは花き卸売事業の単一セグメントであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、コロナ禍で増加したホームユース需要に加え、落ち込んでいた冠婚葬祭需要も回復し、売上高は過去最高を記録しました。コスト面ではエネルギー価格の上昇による固定費の増加やドライバー不足による配送コストの上昇などに苦慮したものの、売上高増加により利益は向上しました。このような結果、売上高4,285,086千円(前年同期比9.1%増)、営業利益304,086千 円(前年同期比43.1%増)、経常利益419,747千円(前年同期比69.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益 306,130千円(前年同期比76.5%増)となりました。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。 当社グループの資金状況は、営業活動によって641,112千円の資金を得て、投資活動によって61,896千円、財務活動によって400,663千円の資金を使用しました。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して178,552千円増加し1,763,921千円となりました。 運転資金需要のうち主なものは、商品仕入資金、販売費及び一般管理費の営業費用であり、また、当社グループの事業の特性上、回収、支払サイトが他業種に比べて短く、流動性は極めて高くなっております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
丸東産業株式会社
# 丸東産業株式会社 包装用品の販売を目的として「株式会社 丸東商会」として設立(福岡市大字住吉123番地)。 本社を福岡市博多区祇園町に移転。 丸東商事株式会社を合併。 大阪市西区(現 中央区)に大阪支店(現 大阪営業所)設置。 丸東化学工業株式会社(昭和35年3月丸東工業株式会社に社名変更)を設立し、単体(ポリエチレン)フィルムの製造開始。 貿易部(現 国際事業部)を設置し、貿易業務を開始。 丸東工業株式会社を吸収合併し、同時に商号を丸東産業株式会社に変更。 和白工場を新設し、単体(ポリエチレン)フィルムの製造、印刷、製袋の一貫した生産を本格的に開始。 和白工場に単体(ポリエチレン)・複合(ラミネート)フィルム総合工場としての生産体制を確立。 諌早工場を新設。 丸東紙工株式会社(現 丸東印刷株式会社(現 連結子会社))に資本参加。 丸東製袋株式会社を設立。 東京都中央区(現 墨田区)に東京出張所(現 東京営業所)を設置。 丸東紙器株式会社を設立。 香港包装器材中心有限公司(現 連結子会社)に資本参加。 東京工場(茨城県結城市)を新設。 福岡証券取引所に株式を上場。 煙台中尾丸東塑料製品有限公司を設立。 福岡工場を新設。 単体(ポリエチレン)フィルムの製造部門を分離し、丸東化研株式会社を設立。 丸東グラビア印刷株式会社は、丸東製袋株式会社及び丸東紙器株式会社を吸収合併し、同時に商号を丸東印刷株式会社に変更。 和白工場を閉鎖・売却。 本社を福岡県小郡市に移転。 丸東化研株式会社を清算。 煙台中尾丸東塑料製品有限公司の持分を全て譲渡。 東京工場を閉鎖・売却。 諌早工場を閉鎖。 製版設備増強。 ISO9001取得。 VOC回収設備稼働。 ISO14001取得。 MARUTO(THAILAND)CO.,LTD.(現 連結子会社)を設立。 ISO22000取得。 福岡第二工場を新設。 当社及び子会社3社は、包装資材(複合フィルム及び単体フィルム)の製造販売並びに包装資材(複合フィルム、単体フィルム及び容器等)の仕入販売を主な事業内容としております。 当社グループの事業における当社及び関係会社の位置づけは、次のとおりであります。 香港包装器材中心有限公司…単体フィルム及び容器等の香港及び中国地区における販売を主な事業内容としており、製商品の大部分は当社より購入しております。 丸東印刷㈱……………………当社の複合フィルム製造の製袋工程の一部を担当しております。 MARUTO(THAILAND)CO.,LTD.…タイ王国にて、包装資材の仕入販売と輸出入を行なっております。 久光製薬㈱……………………医薬品の製造・販売を主な事業内容としており、複合フィルム、単体フィルム及びその他の包装資材を当社より購入しております。 凸版印刷㈱……………………情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野及びエレクトロニクス事業分野などの幅広い事業活動を展開しており、当社と複合フィルム及び単体フィルム等の仕入販売及び複合フィルム製造工程の一部の外注加工を行なっております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 提出会社には、丸東産業労働組合及び丸東産業従業員組合が組織されており、令和5年2月28日現在における組合員数は、それぞれ128名及び121名であります。なお、いずれの組合も上部団体には加盟しておらず、労使関係は良好に推移しております。また、連結子会社においては、労働組合は組織されておりません。 当社グループは、「お客様第一主義」を基本理念とし、包装の機能を高め続けることで人類の豊かな生活に貢献することが使命であると考えています。 当社グループは、経営方針に基づき安定的かつ持続的な成長と利益の確保を経営目標としております。 国内及び世界経済は新型コロナウイルス感染症が収束に向かいつつあるものの、原油価格の上昇に伴う原材料価格の高止まり、ユーティリティコストの増大、地政学的リスクの顕在化など、景気の先行きは厳しい状況が予想されます。 このような状況の中で当社は、今後、ライフスタイルの変化を受けてさらなる個包装化が促進されることを見込んでおり、需要拡大への対応が必須であると考えております。そのため、より高い品質で、より迅速に、ユニークな発想でお客様のニーズにお応えするべく、「製品の生産量を増加させるための生産エリア拡大」、「個包装化・環境に配慮した生産設備の拡充」、「生産の自動化による省力化」、「環境配慮型のユニークな研究開発の強化」を目的に、当社福岡工場内に福岡第二工場を新設いたしました。併せて、太陽光発電設備の新設により脱炭素社会に向けた取り組みを推進してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 原材料調達の変動について 当社グループが生産する複合フィルム及び単体フィルムは、主に合成樹脂フィルムや合成樹脂ペレットを原材料として使用しており、そのほとんどを国内複数のメーカーより購入し、安定した量の確保と適切な仕入価格での購入に努めております。 しかしながら、原油価格の高騰や、為替の変動による輸入価格の変動、また、急激な需要増から一時的に需給バランスが崩れることもあります。 このような場合、当社グループの努力で吸収できない場合には、お客様と交渉しながら対応してまいりますが、将来長期にわたって十分な量の確保や適切な仕入価格での購入ができない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 設備投資に伴う影響について 当社グループは事業の維持拡大や急速な技術革新に対応するため設備投資を行っておりますが、そのための必要資金は、営業キャッシュ・フローまたは外部からの調達で賄っております。その際、市場環境の変化により投資回収の遅れ、償却費負担による業績の圧迫や資金調達に伴う金利等が利益率を引下げ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 法的規制について 当社グループは合成樹脂フィルム等の包装資材を製造しており、製品については「容器包装リサイクル法」の規制を受け、製造工程の一部においては「化学物質管理促進法(PRTR法)」及び廃棄物の管理に関する規制や「大気汚染防止法(VOC規制)」の規制を受けております。これらの法的規制が改正及び強化された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 (4) 災害による影響について 生産施設や設備等につきましては、定期的な点検を実施し維持管理に努めるほか、耐震対策などを実施し、地震を始めとした災害による生産の停止や製品の供給に混乱を起こさないよう努めております。しかしながら、当社グループの生産拠点は同一地域内にあるため、予想を超える大地震等の災害による生産の停止や社会インフラの大規模損壊等が発生した場合は、当社グループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。 (5) 保有株式に関するリスクについて 当社は、従来より原則として取引関係維持等の目的のため株式を保有しております。 時価のある株式については、将来の大幅な株式相場の悪化及び投資先の業績不振等により損失が発生する可能性があります。 (6) 新型コロナウイルス等の感染によるリスクについて 当社グループは、新型コロナウイルス等の感染防止について必要な対策を講じておりますが、当社グループの従業員に感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、第76期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響や原油価格の上昇に伴う原材料価格の高騰の継続、ユーティリティコストの増大、円安の進行など景気の先行きが不透明な状況で推移いたしました。 このような状況のもと当社グループは、お客様への製品の安定供給を第一に努めてまいりました。 営業面では、「掴めるくん®」及び「吸湿くん®EX」などの機能包材や「MARUTOエコプロダクツ(環境対応品)」、「丸東パッケージプロモーション(販売促進策)」の提案を行ってまいりました。また、原材料価格の高騰に対しては、その一部を製品価格に反映する活動を行ってまいりました。 生産面では、原材料価格の上昇分を内部で吸収する努力を行うとともに、原材料調達が困難な状況においてもお客様への安定供給を果たすべく、協力会社を含め一丸となって製品を製造する取組みを行ってまいりました。 また一方で、海外子会社の業績が、円安の進行などの影響から、予想よりも伸長したものの、ユーティリティコストの更なる上昇を受け、損益面では厳しい状況で推移いたしました。 この結果、売上高181億3千6百万円(前期比8.2%増)、営業利益4億8千万円(前期比36.0%減)、経常利益6億1千1百万円(前期比28.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億1千6百万円(前期比29.9%減)となりました。 製品別の業績は次のとおりであります。 当連結会計年度は、既存得意先の受注が堅調に推移したことなどにより、前連結会計年度に比べて売上高は10億9千万円増加し、125億3千7百万円(前期比9.5%増)となりました。 当連結会計年度は、医薬品及び食品包装用フィルムなどの増加により、前連結会計年度に比べて売上高は8千7百万円増加し、12億4百万円(前期比7.9%増)となりました。 当連結会計年度は、海外スーパー向け食品トレー及び食品容器の受注が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べて売上高は1億1千6百万円増加し、15億4百万円(前期比8.4%増)となりました。 当連結会計年度は、国内及び海外向け機械が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べて売上高は7千1百万円増加し、28億9千万円(前期比2.5%増)となりました。 なお、財政状態の状況は以下のとおりであります。 当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度に比べ8億4千4百万円増加し、97億2千4百万円(前連結会計年度末88億8千万円)となりました。その主な要因は、商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の増加によるものであります。 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度に比べ9億4千2百万円増加し、71億6千3百万円(前連結会計年度末62億2千1百万円)となりました。その主な要因は、建設仮勘定及び無形固定資産の増加によるものであります。 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度に比べ1億3千万円増加し、62億2千9百万円(前連結会計年度末60億9千9百万円)となりました。その主な要因は、電子記録債務及び1年内返済予定の長期借入金の増加などによるものであります。 当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度に比べ11億7千3百万円増加し、20億9千万円(前連結会計年度末9億1千7百万円)となりました。その主な要因は、長期借入金の増加によるものであります。 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度に比べ4億8千4百万円増加し85億6千8百万円(前連結会計年度末80億8千4百万円)となりました。その主な要因は利益剰余金が増加したことによるものであります。 当連結会計年度における現金及び現金同等物の連結会計年度末残高は、期首残高より1億9百万円減少し、27億4千1百万円となりました。 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローについては、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費が棚卸資産の増加額を上回ったことなどにより、5億3千5百万円の増加(前連結会計年度比3億4千3百万円減)となりました。 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローについては、主に有形固定資産の取得による支出により19億9千7百万円の減少(前連結会計年度比6億9千2百万円減)となりました。 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に長期借入金による収入により13億3千3百万円の増加(前連結会計年度比16億7百万円増)となりました。 当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績を品目別に示すと次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループ連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針については、「第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕〔注記事項〕連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)連結財務諸表〔注記事項〕(追加情報)」に記載しております。 当連結会計年度の業績は、売上高は、181億3千6百万円(前連結会計年度比8.2%増)、損益面では、営業利益4億8千万円(前連結会計年度比36.0%減)、経常利益6億1千1百万円(前連結会計年度比28.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億1千6百万円(前連結会計年度比29.9%減)となりました。 売上高の増加要因につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 当連結会計年度における売上総利益は、原油由来のフィルム及びアルミ箔などの原材料価格が高騰したことなどにより、前連結会計年度に比べ9千3百万円減少し、28億5千6百万円(前連結会計年度は29億5千万円)となりました。 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、人件費や減価償却費などにより前連結会計年度に比べ1億7千6百万円増加し、23億7千6百万円(前連結会計年度は21億9千9百万円)となりました。 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1億7千7百万円減少し、4億1千6百万円(前連結会計年度は5億9千4百万円)となりました。 当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社グループの主な資金需要は、原材料及び商品仕入、労務費、経費並びに一般管理費等の運転資金となります。投資を目的とした資金需要は、主に当社福岡工場、複合フィルム製造設備の新設及び維持並びに更新であります。運転資金及び設備資金は、主に営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金にて賄っております。 当社グループの経営方針に基づき、安定的かつ持続的な成長と利益の確保のためには、売上の伸びとともに、本業での売上高営業利益率が重要であると考えております。 売上高営業利益率は、安定的に5%以上を目標にしております。当連結会計年度の売上高営業利益率は2.6%となりました。その要因につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 該当事項はありません。 当社グループは、複合・単体フィルム等の包装資材メーカーとして、絶えず市場ニーズに即応した事業活動を展開しております。研究開発活動は、主に当社にて実施しており、開発室が中心となり、これに技術本部、生産本部、営業本部、購買本部などの各部門が適時参画して、多様化、高度化した広汎な範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究開発し、提供することを基本指針としております。 当連結会計年度は複合フィルムを中心に研究開発し、主な内容は次のとおりであります。 ・電子レンジ対応フィルム(レンジde直進くん®)の研究開発   ・抗菌フィルムの研究開発 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、83百万円であります。
エブレン株式会社
# エブレン株式会社 高度にネットワーク化され情報化されつつある現代社会において、私たちは非常に多くのパソコンやパッド等のコンピュータを家庭や職場で日常的に目にしています。 何をするにもパソコンを活用し、どこへ行ってもコンピュータが存在する現代はコンピュータ社会とも呼ばれますが、実は私たちが日常的に目にしているたくさんのパソコンは、コンピュータが活用されているフィールド全体から見れば限定的な一部であり、それを凌ぐ規模のコンピュータが私たちの見えない所で稼動しています。 それは、人々の利便性や安全・快適で豊かな生活を実現するための社会インフラや、経済活動や生産活動に関わる産業インフラに組込まれている産業用コンピュータです。 社会インフラの具体例としては、電気・ガス・水道等のライフラインを始め、交通・医療・通信・放送・セキュリティーから防衛に至る広範囲に及び、産業インフラとしては、情報・金融・物流・生産等に関わる各種システムや装置があります。これらシステムには例外なくコンピュータが組込まれていて、装置全体の活動を制御する頭脳的役割を担っています。 当社グループは、これらのインフラシステムに使用される組込型コンピュータ(産業用コンピュータ)及びその周辺製品を事業の対象領域として捉え、当社グループが保有する技術力と生産力を全分野横断的に提供することを営業の基本として、これらに特化した製品の設計と製造を一筋に継続してきました。 この間において、コンピュータの世界は半導体集積回路の技術革新と相まってコストパフォーマンスが向上し、その活用領域が飛躍的に拡大しました。 また、当社グループ製品の顧客である大手システムメーカー(産業用電子機器メーカーや機械装置メーカー等)の多くが、「選択と集中」を標榜した得意分野へのリソース重点配分政策を推進してきた結果、当社グループのような専門メーカーが果たす役割も重要視されるようになり、我々が活躍するチャンスも拡大の一途にあると考えております。 当社グループが設計・製造する製品は、従来から通信・医療・交通・半導体製造装置・FA機器(注1)・計測装置・セキュリティー等のシステムに組込まれるコンピュータが中心ですが、これらの分野に加えて、最近ではIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、HPC(スーパーコンピュータ)、及びエッジコンピューティング(注2)分野のコンピュータハードウェアの開発案件も増加しております。 コンピュータ産業を構成する技術領域は極めて広く、当社グループが提供できる専門領域はコンピュータの世界全体から見れば極めて限定的ではありますが、この領域については突出した技術サービスと、良質な製品づくりを通してコンピュータ産業の発展に寄与し、当社グループの顧客を始めとしたステークホルダーに対する使命と責任を果たしていきたいと考えております。 当社グループは、当社(エブレン株式会社)及び連結子会社1社(蘇州惠普聯電子有限公司)により構成されており、産業用電子機器や工業用コンピュータに使用されるバックプレーン、システムラックやコンピュータシャーシ(以下「ラック」(注3)と記載)、及びボードコンピュータ(注4)を含むその他周辺機器等の設計、製造、販売を行っております。 バックプレーンとは、CPUボード(注5)やI/Oボード(注6)等の各種回路基板(ボードコンピュータ)を相互に接続して信号伝送を行う回路及びこれら基板に電力を供給する回路を備え、これら基板の着脱をコネクタを介して自在に接続できるようにしたユニットのことを言います。バックプレーンはこれら回路基板間の全ての信号を統合し、コンピュータとしての基本機能を実現するためのハードウェアであり、人体に例えるなら、全身の神経を統合している脊髄のような役割を果たしています。 バックプレーンには各種の規格が制定されており、当社グループではそれらの規格に準拠した標準製品も販売しておりますが、顧客である電子機器メーカーや機械装置メーカーの製造する最終製品は多岐にわたり、その要求仕様も異なるため、顧客独自の仕様に合わせて設計したカスタム製品(標準品を部分的に変更し又は独自の仕様で設計して顧客の要求に合わせた製品)の販売が中心となっております。また、バックプレーン単体ばかりでなく、顧客の要求に合わせて製造したラックに組み込み、電源ユニットやファン等を取り付け、配線等を施した上で、コンピュータ本体として完成した製品の販売も行っております。 バックプレーン及びラックは電子機器本体(筐体)に固定的に組み込まれるため交換することが容易ではなく、かつシステムダウンの許されない社会インフラを支える電子機器に応用されることが多いため、極めて高い品質レベルを要求されております。加えて産業用コンピュータの設計・製造は新製品開発と密接に関わるため、大手システムメーカーは自社内で生産するか、当社グループのような独立系メーカーに委託することとなります。 また、多品種少量・変種生産を常とする産業用コンピュータの生産においては、これに柔軟に対応する生産体制が求められます。 当社グループでは各種のコネクタ、及び様々なサイズや厚さのプリント基板に対応できるようにした自動組立装置(プレスフィットマシン)並びに検査装置(電気検査機)を自社で設計、開発し生産に使用しております。 ボードコンピュータは、用途によりバックプレーンに接続して複数のボードコンピュータと一緒に動作を行うもののほか、1枚のボードコンピュータのみで動作するものがあります。バックプレーンを使用するボードコンピュータは半導体製造装置や鉄道車両等、比較的大規模なシステムに使用される一方、1枚のボードコンピュータのみで動作するものは、IoTやエッジコンピューティングの分野等、比較的小規模な分野で使用します。CPUだけではコンピュータとして成り立たず、コンピュータとして動作させるためにはCPUのほかに記憶装置、入出力装置、通信装置等を回路基板に組み込む必要があります。このようなケースにおいて、顧客はCPUの開発に専念し、ボードコンピュータとして動作させることは当社グループが行うケースが増えております。当社グループは、従来のバックプレーンを使用するボードコンピュータの製品開発で培った技術力、開発力を駆使し、IoTやエッジコンピューティング等、時代の流れに沿って様々なニーズに応じたサービスを提供しております。 産業用電子機器では、保守性、拡張性、汎用性等の利点から、回路基板を自由に抜き差しできるバックプレーン方式が一般的に採用されているため、その応用分野は産業用電子機器業界全般にわたっております。また、ボードコンピュータにおいても同様に業界全般で使用されております。当社グループでは、これら産業用・工業用コンピュータのボード、バックプレーン、バスラック(注7)、システムシャーシ等の設計・製造・販売を行っており、単一セグメントであるため、応用分野別に集計を行っております。主な適用機器を分野別に分類すると次のとおりであります。 当社グループの事業系統として、当社は海外の仕入先から部材を仕入れるとともに、連結子会社である蘇州惠普聯電子有限公司との間で相互に部材を融通しております。このことにより、仕入の際のスケールメリットの享受や、安くて高品質な部材の調達を可能にしております。また、当社においては組立て等の製造工程の一部を外注先に依頼しております。さらに、蘇州惠普聯電子有限公司から日本国内の顧客に販売することがありますが、その際は当社経由での販売となります。 事業の系統図は、次のとおりであります。 当社のバックプレーンを製造しております。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記する事項はありません。 該当事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、エレクトロニクス分野における頭脳、知力の集団となることを目標とし、最高のソリューションを提供することのできるブレインでありたいとの社名に込めた思いで、事業の拡大に取組んでまいりました。 日本を代表する大手電子機器メーカー、機械メーカー等との取引を継続することができたのは、この経営目標を着実に実行してきた結果として当社グループの技術力が認められ、顧客の信頼を勝ち得てきたことによるものと認識しております。特にバックプレーンに関する新規格の発表を注視し、新規格に準拠したバックプレーンの商品化を早期に推進するとともに、自社製プレスフィットマシンを用いて高品質なバックプレーンを短納期で顧客に提供することにより評価を得ていると判断しております。 当社グループは、設立以来バックプレーンをベースにおいたビジネス展開を行ってまいりましたが、ボードコンピュータの開発設計を行うシステムソリューション事業部の機能や、中国蘇州市にある子会社の製造・販売及び部材調達拠点としての機能を最大限に活用し、従来以上に顧客の幅広いニーズにお応えしていく所存であります。 当社グループは、売上高及び経常利益を重視する経営指標としております。これらを実現するために、営業体制の強化に加え、技術的研究開発、生産体制再整備等への投資を行うとともに、目標を有効・効率的かつ適正に達成するための内部統制の強化を図り、業務に励んでまいります。 当社グループが設計・製造する製品は、通信・医療・交通・半導体製造装置・FA機器・計測装置・セキュリティー等のシステムに組み込まれるコンピュータのほか、IoTやAI及びHPC分野の開発案件も増加してきております。 半導体関連について、一般社団法人日本半導体製造装置協会(SEAJ)「2023年1月発表 半導体・FPD製造装置 需要予測 (2022年度~2024年度)」によると、2023年度の日本製半導体製造装置販売高は前年度比5.0%減、2024年度は20.0%増と予測しています。さらに、世界半導体市場統計(WSTS)「2022年秋季半導体市場予測について」(2022年11月29日発表)によると、世界の半導体市場動向は、2023年は前年比4.1%減と2019年以来のマイナス成長を予測しています。また、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)「通信機器中期需要予測[2022年度~2027年度]」(2022年12月14日発表)によると、通信機器市場において2023年度以降も緩やかに回復すると見込んでいます。 バックプレーンの開発、製造をコアとして事業を展開し、拡大していくという基本方針は今後とも不変でありますが、より一段の飛躍のためにはバックプレーンをコアにして、事業ドメインを拡大していくことが不可欠であると考えております。この観点から中期的な戦略目標として、「ユニット供給を中心に受託範囲を拡げることにより事業ドメインの拡大を目指す」ことを掲げております。 バックプレーンは産業用コンピュータを構成する基幹部品の一つでありますが、前述のとおりその全てではありません。産業用コンピュータはバックプレーンに電源やファン等の周辺デバイス、ボードコンピュータ等を接続し、シャーシに納めて初めて作動可能な状態となります。当社グループの顧客である電子機器メーカーは、従来は設計・購買・生産・検査・出荷等の全てのプロセスを自社で完結していましたが、最近では人材等、限られた経営資源の有効活用と製品開発期間の短縮及びコスト低減を目指し、顧客側で必要とされる構成レベルの部材を、ユニット製品として調達することが一般的となってきました。 当社グループが事業対象としている産業用コンピュータを構成レベル順に分類すると以下のとおりです。 当社グループでは顧客のニーズに合わせて、バックプレーン単体を販売する場合もあれば、システムラック又はコンピュータ・プラットフォーム全体をご提供する場合もあります。当社グループはどのレベルであっても受託設計・受託生産が可能ですが、年々構成レベルの高い(完成品に近い)製品に対する需要が増加する傾向にあります。 この背景としては、顧客の製品開発期間短縮ニーズや技術者不足によるものと考えられますが、当社グループでは顧客が本来の研究開発活動にリソースを集中していただけるよう、受託設計・製造能力の向上に努め、顧客の多様なニーズに応えられる体制を拡充してまいります。 当社グループは産業用コンピュータに使用されるバックプレーンの開発・製造をコアとして事業を拡大してきました。近年では事業拡大の一つとしてCPUの周辺回路設計を中心としたボードコンピュータの開発・製造も行っております。このコア事業に関しては以下のような施策をもってより一層の強化を図り、他社との差別化を進め、専業メーカーとしての当社グループの優位性を確固たるものにしていく計画であります。また、施策を実現していくために中期的な視野に立った人材補強と設備投資を積極的に実施します。 各種バックプレーン、ブリッジボード(ボードコンピュータを挿入する数を増やすためのボード)、標準シャーシ、FANアラームボード(ファンの停止を検知してアラーム信号を出すボード)等、新製品の開発とバリエーションの拡充を引き続き実施してまいります。また、IoTでの利用に適した組込み向けCPUを使用したボードコンピュータの開発等、ボードコンピュータのバリエーション拡充にも努めてまいります。 顧客のコスト低減要求に応え、コストダウンを図っていくことはメーカーに共通する課題であります。 当社におきましても購買、生産管理、設計、製造、検査等の各プロセスにおいて効率向上、能力アップを図り、コスト削減に向けた努力を続けてまいります。また、中国子会社・蘇州惠普聯電子有限公司の活用もコスト削減に向けた方策の一つと位置付けております。 さらに、品質の向上、納期の厳守・短縮化にも努め、クオリティ、コスト、デリバリー全ての面での顧客満足度の向上に努めてまいります。 各種機器がインターネットを介して通信を行うIoTが急速に拡大しつつあります。ビッグデータとAIの活用に伴う膨大なデータを収容するクラウドサーバーの負荷を軽減するために、データの発生源に近いところで情報を収集し、クラウドへ送る前に情報処理を実行する考え方(エッジコンピューティング)も注目されています。モバイル通信は第5世代移動通信システム(5G)への移行が始まり、自動車等の自動運転や医療分野への応用が期待されています。さらに、5Gの通信技術を特定の対象やエリアに応用するローカル5Gが我々の生活に新たなソリューションを提供します。コンピュータと通信の技術の融合によって実現される新たな社会に向けたこの趨勢は、当社グループにとって絶好のチャンスであり、今後とも積極的に対応していく方針です。 コンピュータの高速化に伴い、CPUやメモリ等の半導体集積回路部品の発熱をどのように食い止めるかが重要な技術的課題となっています。当社グループはこれまでの産業用コンピュータやHPCの熱制御技術、冷却構造の設計経験を踏まえ、今後電子回路の放熱技術が重要な課題になると判断し、放熱技術をテーマとして研究に取組んでおります。 2002年に設立した中国子会社・蘇州惠普聯電子有限公司は、発展する中国市場や中国進出した日系電気・電子機器メーカーの製品需要を取り込むための拠点であり、現地生産によってコスト競争力のある製品供給を実現するための戦略的な位置付けにあります。また、技術力と価格競争力のある優良な現地部品メーカーを積極的に開拓して活用し、グループ全体としての価格競争力を高め、企業価値の最大化に向け注力していくことは重要な戦略の一つと考えております。そのため、同社との連携を強化しながら、積極的な活用を図っていく計画であります。また、同社においては、生産量の増加に合わせ現地での人員採用による生産体制の強化を図り、生産コストの低減を進めるとともに、中国及びアジア地域におけるビジネスを拡大したいと考えております。 当社グループは、大手電子機器メーカーを中心とする顧客との間で、安定的な取引関係を継続、拡大しております。これらの顧客と、引き続き良好な関係を維持、強化していくことが重要な戦略であると認識しております。そのためには「エブレンに任せた方が良い。」、「エブレンを利用しなければ損である。」という評価を定着させるとともに、良好な信頼関係を実現していくことが必要であります。上述の「(a)ユニット供給の拡大」で多様化する顧客のニーズを捉え、「(b)コア事業の強化」はこの評価定着を実現し、応えていくための戦略でもあります。 一方で当社グループ製品は、電子機器全般にわたる産業用コンピュータに使用されているためターゲットとなる顧客は多岐にわたっておりますが、数多くの潜在顧客が存在すると認識しております。新規顧客の開拓に関しては、展示会への出展や各種専門誌を通じた広告宣伝活動を積極的に展開し、上場企業としてのIR活動等も認知度アップの好機と位置付けております。 前項で述べたとおり、当社グループの更なる発展のために事業ドメインの拡大を図ってまいります。そのためには、バックプレーンをコアに、ボードコンピュータや周辺デバイスを含めたシステム提案や組立・配線・システム調整等を含めた受託範囲の拡大、高付加価値化が不可欠と考えております。また、ボード開発・製造のノウハウ等を活用しつつ、従来以上に幅広いメーカーとのパートナーシップを強化し、受注領域の拡大を進めてまいります。さらに、当社グループの中国子会社・蘇州惠普聯電子有限公司の強みを活かし、中国からの高品質・低価格な部材や製品の仕入、及び中国での製品販売を強化し、中国ビジネスの一層の拡大を推進してまいります。 当社は自然災害等で罹災した際に早期に業務を復旧させるためのマニュアルとして、事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)を制定して運用を開始しております。この取組みを更に強固なものにするため、当社の重要設備であるプレスフィットマシンを早期復旧させるための備えを充実させるとともに、サプライチェーンマネジメントの観点から仕入先や外注先への指導及び多角化を意識し、罹災時の対応方法の選択肢を増やす取組みを推進してまいります。また、従来から当社グループでは八王子地区と大阪事業所、中国・蘇州と工場を分散化させることにより、災害等に対するリスク分散を行ってきました。当社グループが取り扱う製品群の重要性に鑑みて、今後の受注・生産・販売の状況次第では、さらに生産地域の分散も検討いたします。 当社グループは会社法等が求める内部統制体制の整備について、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性及び関連法令の準拠性の確保のために積極的な取組みを行い、今後とも業務の適正性の確保に注力いたします。ステークホルダーに対しては、迅速で公正・公平な情報公開やIR活動の一層の充実により経営の透明性を高めてまいります。 また、環境問題に対する対応も重要な課題と認識しております。当社グループにおいてもこの対応の一環として環境マネジメントプログラムISO14001の認証を取得し、このプログラムの維持を通して環境問題への取組みを継続、強化し、環境保全に対応した製品づくりを推進してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、取締役会に準ずる意思決定機関として経営会議を開催しております。また、経営会議の下部組織として当社グループの重要な課題を議論する場である複数の会議体を設けており、経営会議においてそれぞれの会議体の報告を通じて状況を確認し、進捗管理及び監視を行っております。 特に環境活動においては、環境理念及び環境方針を定めて ISO14001に基づいた環境マネジメントシステム(EMS)を構築し、グループ全体の環境マネジメントサイクルと、拠点ごとの環境マネジメントサイクルを連動させることで、全社員参加の環境活動を展開しております。さらに、年1回の統括マネジメントレビューでは、その活動内容を報告し、経営トップのコミットメントによる環境経営を推進しております。 当社グループの環境理念として、地球環境保全が21世紀における人類の最も重要な課題の一つであることを認識しており、地球環境保全と将来の世代の夢が守られる持続可能な社会の義務に向け、積極的に貢献してまいります。 それを実現するために、省資源、省エネルギー、廃棄物の減量、有機溶剤消費の削減などを行い、環境負荷の軽減に努めるとともに、RoHS適合製品の提供の推進等、継続的に環境マネジメントシステムの改善活動を推進しております。 当社グループの人材の多様性の確保について、能力や適性など総合的に判断する登用制度により、性別・国籍や中途採用、新卒採用の区別なく登用しております。また、人材の育成に関して、職位・職能ごとに求める能力を定義し、従業員とその上司によるコミュニケーションを通じて本人に適した目標を定めて育成を実施しております。その際に、有用なセミナーや研修などの制度は積極的に活用できるよう、環境を整えております。また、従業員の働きがい・定着率向上のためにはワークライフバランスも重要と考えており、そのための働きかけも行っております。 当社グループにおいて、全社的なリスク管理は経営会議及びリスク管理会議で行っておりますが、サステナビリティに係るリスク及び機会の識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては経営会議の下部組織である各種会議体の中で詳細な検討を行います。その中で重要と認識されたリスク及び機会について経営会議及びリスク管理会議で報告が実施され、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえて評価を行い、管理項目とします。 人材の確保に関するリスクの内容については「3 事業等のリスク (7)人材の確保について」をご参照ください。 環境活動において、当社ホームページに年度ごとの環境報告書を掲載しております。その中で、CO2削減を目的とする電力使用量等を監視項目として設定しておりますが、当社グループ全体での電力使用量に対する環境への影響度を考慮した結果、目標値の設定は行わずに、年度ごとに数値を算出し、継続して監視する項目としております。今後、環境の変化などで扱いを変更したほうが好ましいと判断した場合は、目標設定を含めて対応を行ってまいります。 また、ワークライフバランス実践のための取組みの目標として、従業員一人当たりの有給休暇取得目標を14日とします。なお、当連結会計年度の有給休暇取得実績平均は13.3日となっております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループには、産業用コンピュータを使用するあらゆる業種の顧客が存在しているため、過去には特定の業種が不況に陥ってもほかの業種で補うことができた場合もありました。しかし、近年は当社グループにおいて半導体製造装置関連への販売が多く、半導体等急激に状況が変化する可能性のある市場における需要の減少又は産業全体が設備投資を控えるような市場動向となった場合、受注減・在庫増加等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、製品を作るために電子部品を始め様々な部材を使用します。そのため、仕入先業者とは良好な関係を築き安定した部材供給に努めております。しかし、業界全体での部材の需給関係が極端に偏ることによって部材の入手が困難になり、納期遅延や部材価格の値上げが慢性的に発生した場合、利益の圧迫、値上げや納期遅延による受注減等により、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、多品種少量生産及び短納期に対応するため原材料を多く保有していますが、主要顧客の属する半導体業界は技術革新が激しく、顧客の設備投資の動向、半導体の需給変化等の外部要因により大きく影響を受けるため、需要予測が難しくなっております。また、規格変更等、大量廃棄につながる要因が発生する可能性があります。そのため、当社グループは、棚卸資産の滞留状況を毎月の経営会議で監視するとともに、商品及び製品の出荷見込みや原材料の顧客買取可否について検討し、適正在庫を保つように努めております。しかし、想定を上回る大量廃棄につながる要因が発生した場合には、過去に計上した棚卸資産評価損と比較して損失が多額に計上され、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは顧客の注文を受け生産を行うため、完成在庫に関するリスクは少ないと考えております。 当社グループでは、設計・製造過程において外注を利用しています。当社のコアとなる製造工程以外は外部の協力会社に委託することが多く、外注先とは良好な関係を保つとともに、品質確保のために適宜指導等を実施しております。また、新たな外注先の開拓も精力的に行っておりますが、依頼可能な外注先が減少した場合、納期遅延の発生等により顧客の信頼を失い、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、中国に生産拠点として子会社を設けております。中国子会社にて材料を調達し、現地で生産して中国国内で販売又は日本へ輸出する体制を構築しております。当社グループの売上高に占める中国子会社の比率は4.1%程度と低いものの、日本国内でのコストダウンの手段や顧客の現地法人との取引等、中国子会社の活用は重要な位置を占めております。したがって、中国政府の方針変更や労働賃金の高騰等、現在の体制を持続させることが困難な状況が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは原材料の一部を輸入しており、当社グループの顧客はその製品の一部を輸出しております。為替が極端な円高に振れた場合は、当社グループが納入している顧客の製品輸出に影響するため注文が減るリスクがあります。また、為替が極端な円安に振れた場合は、中国を始めとした外国からの部品仕入価格が上昇し、利益を圧迫するリスクがあります。したがって、当社グループにとって極端な円高や円安は好ましくない状況となり、結果として当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業の継続及び拡大においては、更なる技術革新に対応しうる技術者の確保、当社グループの製品を販売するための営業部門や管理部門等の優秀な人材を充実させる必要があります。当社グループでは、ハローワーク等を活用して優秀な次世代経営幹部や従業員の採用等を進めるとともに、職場安全パトロールを定期的に実施して労働環境を適正に保ち、従業員の意識向上と組織の活性化を図り優秀な人材の定着を図る方針であります。しかしながら計画どおりに人材の採用等が進まない場合又は現在在籍している有能な人材が流出するような場合、国内外で採用費や人件費等が高騰した場合等、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 現在、当社グループでは、代表取締役社長上村正人が経営戦略の決定を始め、企画開発や資本政策、営業活動等、グループの事業推進に重要な役割を果たしております。組織体制の整備や人材の育成を積極的に進めることにより、同氏に依存しない体制の構築を進めておりますが、同氏が当社の経営から外れ、かつ人材育成等が遅れた場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、コンピュータ・バックプレーンとバスラック、及びボードコンピュータの設計・製造を行っておりますが、品質不良による損害賠償が発生する可能性があります。当社グループは、業務執行の全社的協議機関である経営会議の下に品質・生産会議を設置して全社的な品質管理に努めており、納品先でも厳密なテストを実施しております。しかし、当社グループの責による品質不良から顧客に損害が発生し、当社の加入している生産物賠償責任保険では損害賠償額を十分にカバーできなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの販売高において、株式会社アバールデータに対する割合は24.6%となっております。当社グループは同社と友好的な関係を築いており、取引関係が解消される可能性は低いと考えておりますが、同社の顧客である半導体関連最終顧客の状況により受注減・在庫増等となった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 産業用の電子機器にバックプレーン方式が多用されるのは、メンテナビリティー(保守性)が優れているという点が大きな理由と言われています。CPU・メモリ・通信・カメラ入出力・画像処理等の各回路を、機能単位ごとにボードコンピュータ化することにより、万が一故障や動作不良が発生した場合には、原因となったボードコンピュータを交換することができます。長期的には技術革新に伴い小型化・高密度化が進み、バックプレーン方式や各種機能をワンボード化したマザーボード方式に代わる、新たな電子機器構造が出現する可能性もあります。当社がそれらの技術革新に対応できない場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、事業活動において取引先企業の機密情報や取引先関係者及び従業員の個人情報等を保有しております。当社グループにおいて、これらの情報を含めたセキュリティーの強化を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や、違法又は不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったことの責任追及や、それに伴う規制措置の対象となる可能性があります。このような事象が発生した場合においては取引先及び市場からの信頼が毀損され、結果として当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、外為法や下請法を始めとする取引先に関する法律を遵守し、環境等に関する法令に基づき適正なものづくりに努めております。また、当社グループが製造・販売するバックプレーン等自体において、外為法を始めとする法的規制による影響は少ないと考えておりますが、顧客が当社グループのバックプレーン等を搭載した機器を販売する際には、顧客の製品次第で各種の法的規制が関係する可能性もあります。 当社グループは幅広い業種に対して製品を提供しているため、特定の分野における規制の強化等であれば影響は少ないと思われますが、多くの業種で規制の影響が強まる場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは生産設備を一極集中させないことに加え、事業継続計画(BCP)を作成する等、緊急事態に備えた取組みを行っております。しかし、異常気象や天候不順、台風や集中豪雨等の予測困難な気象状況の変化が起きた場合、地震及び自然災害等に起因する電力不足、突発的な事故や新型コロナウイルス感染症等の疫病の流行、火災及びテロ行為、インフラの断絶、ITシステムの故障等により、想定を超える事業の一部中断や取引先に被害が生じた場合、当社グループの売上高が減少するのみならず、製造及び出荷の遅延又は製造設備の修理等に係る費用の増加や多額の損失をもたらし、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループ及び主な顧客や仕入先、外注先等は緊急事態宣言による操業規制や人の移動、人出の減少等による影響が比較的少ない業種のため、生産活動には支障ありません。しかし、国内外企業における事業活動の停滞に伴う設備投資の先送り等が生じているため、一部の顧客においては当社グループの売上高へ影響が出る可能性があると考えております。 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況は次のとおりであります。 流動資産は、前連結会計年度末に比べて418百万円増加し、4,325百万円となりました。増加要因としては、原材料及び貯蔵品344百万円、現金及び預金173百万円、仕掛品43百万円、電子記録債権43百万円の増加であります。減少要因としては、受取手形及び売掛金167百万円、商品及び製品12百万円の減少であります。 固定資産は、前連結会計年度末に比べて0百万円増加し、1,278百万円となりました。増加要因としては、無形固定資産9百万円の増加であります。減少要因としては、有形固定資産4百万円、繰延税金資産4百万円の減少であります。 流動負債は、前連結会計年度末に比べて4百万円減少し、1,014百万円となりました。減少要因としては、短期借入金28百万円、未払法人税等12百万円の減少であります。増加要因としては、支払手形及び買掛金36百万円の増加であります。 固定負債は、前連結会計年度末に比べ19百万円増加し、393百万円となりました。増加要因としては、役員退職慰労引当金9百万円、その他(長期未払費用)5百万円の増加であります。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて405百万円増加し、4,197百万円となりました。増加要因としては、利益剰余金393百万円の増加であります。 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、原材料やエネルギー価格の高騰、世界的なインフレの進行抑制に対する欧米諸国での政策金利の引き上げに伴う大幅な為替変動等があり、先行き不透明な状況が続いております。 我が国経済は、輸入物価の上昇を主因としたインフレが続き、エネルギー価格や各種原材料価格の高騰を増幅した物価上昇に歯止めが掛からない厳しい状況となっており、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような状況下、当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響は一部ありましたが、ウクライナ問題の影響は現段階ではほとんど無く、半導体製造装置を中心に計測・制御分野が好調なため、売上高が増加しました。 また、部品入手難による影響は顧客との連携を強化し、生産情報を早期に入手して先行手配していたため、大きな影響は出ておりません。 この結果、当連結会計年度における業績は、売上高4,258百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益656百万円(前年同期比22.1%増)、経常利益654百万円(前年同期比23.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は426百万円(前年同期比23.4%増)となりました。 当社グループは、産業用電子機器及び工業用コンピュータの設計・製造・販売を行っているものであり、セグメントは単一でありますので、セグメントごとに経営成績の状況は開示しておりませんが、営業品目の応用分野別売上の概況は、次のとおりであります。 通信・放送関連は数年来低調に推移していますが、第4四半期にネットワーク機器の特需や電力関連新機種の量産が開始され、増加しました。この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比46百万円(19.2%)増の287百万円となり、売上構成比率は前年同期の6.2%から6.8%となりました。 新型コロナウイルス感染症による中国のロックダウンにより、医療関連装置が第1四半期に影響を受けましたが、第2四半期に復調し、第3四半期から増加に転じました。この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比36百万円(8.8%)増の448百万円となりましたが、売上構成比率は前年同期の10.5%から変更ありません。 世界の半導体市場は、GAFAMの業績低迷によりデータセンターやスマホ向けの設備投資が縮小され、NAND型フラッシュメモリやDRAMが供給過多となり、メモリ向け半導体製造装置を中心に一部顧客で設備投資が凍結されました。また、ロジック向け半導体製造装置は中国への輸出規制等により第3四半期以降、一部顧客で最新の半導体製造装置の生産調整がありましたが、世界的な半導体の供給不足を背景に大手半導体メーカーやファウンドリ(半導体受託生産会社)が大幅な増産体制を目指す計画に変化はなく、継続して増加しました。当社グループもその影響により売上高が増加しました。この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比295百万円(11.6%)増の2,856百万円となり、売上構成比率は前年同期の65.3%から67.1%となりました。 新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言により、移動制限の影響で業績が悪化した鉄道会社の設備投資の延期や、海外向け鉄道関連の入札延期、設置工事の遅延がありました。また、顧客の半導体部品の入手遅れによる納入制限の影響もありました。この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比78百万円(14.1%)減の476百万円となり、売上構成比率は前年同期の14.1%から11.2%となりました。 部品の入手遅れで2022年3月期から2023年3月期へ納入が後ろ倒しとなった製品がありました。この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比35百万円(23.0%)増の188百万円となり、売上構成比率は前年同期の3.9%から4.4%となりました。 当連結会計年度末における現金及び同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ159百万円増加し、1,808百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果獲得した資金は、247百万円(前連結会計年度は267百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益654百万円、売上債権の減少131百万円、仕入債務の増加34百万円、減価償却費17百万円であります。また、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加372百万円、法人税等の支払額236百万円であります。 投資活動の結果使用した資金は、34百万円(前連結会計年度は、2百万円の獲得)となりました。支出の主な内訳は、定期預金の預入13百万円、有形固定資産の取得10百万円、無形固定資産の取得10百万円であります。 財務活動の結果使用した資金は、61百万円(前連結会計年度は、65百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払33百万円、短期借入金の純減少18百万円、長期借入金の返済10百万円であります。 当社グループは、産業用電子機器及び工業用コンピュータの設計・製造・販売を行っているものであり、セグメントは単一であります。したがいましてセグメントごとに生産規模等を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」における営業品目の応用分野別に関連付けて示しております。 当連結会計年度における生産実績を応用分野別に示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績を応用分野別に示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績を応用分野別に示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。また、当社グループは、産業用電子機器及び工業用コンピュータの設計・製造・販売を行っているものであり、セグメントは単一であります。したがいまして、セグメントごとに経営成績等の状況に関する分析・検討内容の開示はしておりません。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。当社グループは、連結財務諸表作成において必要な見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報等を勘案した上で行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 当社グループは、特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。 当社グループは、棚卸資産を取得原価で計上しておりますが、正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって計上し、取得原価との差額を原則として売上原価として処理しております。また、一定期間使用していない資材や使用見込みのない部品等については、一定の率に基づいて段階的に帳簿価額を切下げる方法を採用しております。なお、これらの棚卸資産の評価減の判定は、当社グループが過去からの資材・部品等の入出庫等のデータの蓄積により、当該ライフサイクルの経済実態を把握できていることを前提としております。 当該見積り及び前提について、将来、需要や市場状況の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、追加の評価減が必要となる可能性があります。 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性の判断に当たっては、将来の課税所得について、中期事業計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における中期事業計画の達成状況、予算等)と整合的に修正し見積っております。当該見積りには、事業環境に照らして算定した受注予測等の仮定を用いております。 当該見積り及び仮定について、将来、事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損損失を認識するかどうかの判定において見積られる将来キャッシュ・フローは、中期事業計画の前提となった数値を、事業環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における中期事業計画の達成状況、予算等)と整合的に修正し、各資産又は資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮して、見積っております。当該見積りには、事業環境に照らして算定した受注予測等の仮定を用いております。 当該見積り及び仮定について、将来、事業環境の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以 降の連結財務諸表において減損損失の計上が必要となる可能性があります。 売上原価は、前連結会計年度2,994百万円に対し、当連結会計年度は217百万円増加し、3,211百万円となりました。 当連結会計年度における、売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度76.4%に対して75.4%と0.9%減少となりました。 これは主に、当社の主力である計測・制御分野における半導体製造装置の好採算案件の売上比率が高かったためであります。 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度389百万円に対し、当連結会計年度は0百万円増加し、390百万円となりました。 主な増加要因は、新型コロナウイルス感染症による移動制限が解除され、取引先や事業所間の出張増加による旅費交通費の増加1百万円であります。また主な減少要因は、研究開発費の減少4百万円であります。 営業外収益は、前連結会計年度7百万円に対し、当連結会計年度は3百万円減少し、3百万円となりました。主な要因は、保険解約返戻金3百万円の減少であります。 営業外費用は、前連結会計年度14百万円に対して、当連結会計年度は9百万円減少し、5百万円となりました。主な要因は、為替差損8百万円の減少であります。 特別利益は、当連結会計年度の計上はありません。 特別損失は、前連結会計年度との主要な増減はありません。 税効果会計適用後の法人税等は、前連結会計年度184百万円に対し、当連結会計年度は43百万円増加し、227百万円となりました。これは主に法人税、住民税及び事業税の増加であります。 当社グループが目標とする経営指標である売上高、経常利益は次のとおりであります。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。また、継続的な成長を図るため新製品の開発とバリエーションの拡充に努めており、これらに必要な資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,808百万円であり、流動性を確保しております。 経営成績に重要な影響を与える要因については、3 事業等のリスク を御参照ください。 経営者の問題意識と今後の方針については、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 を御参照ください。 該当事項はありません。 当社グループは、産業用電子機器及び工業用コンピュータの設計・製造・販売を行っているものであり、セグメントは単一であります。したがいまして、セグメントごとに研究開発活動の状況及び研究開発費の金額を示すことはしておりません。また、当社グループにおける研究開発活動は、主に当社が行っております。 当社における研究開発活動は、以下のとおりであります。 当社はバックプレーンの専門メーカーとして、顧客の要求や技術動向の変化に対応しつつ、新規格に係る標準製品の開発やバリエーションの拡充のための研究開発活動のほか、事業ドメインの拡大を企図した周辺分野に対する研究開発活動にも積極的に取り組んでおります。 研究開発体制について明確に担当部署を定めてはおらず、当社の各事業所の技術課が業務と並行して研究開発を実施しております。 当連結会計年度における研究開発費の総額は、17百万円であります。 主な研究開発費の実績は次のとおりであります。 重要顧客の新製品に搭載される基幹部品の生産及び量産化に向けた開発テーマです。当該基幹部品の性能向上を目指して、革新的かつ傑出したコストメリットを期待できる工法を採用し、量産対応可能な製造工程を確立します。 ルネサス製RZ/T1プロセッサを搭載し、SDRAM、QSPI Flashメモリを統合した小型CPUモジュール製品です。多数のI/O端子による拡張が可能であるため、EtherCAT,PROFINET,EtherNet/IP等の産業イーサネットを使用した、リアルタイム制御機器向けに最適です。
岩谷産業株式会社
# 岩谷産業株式会社 岩谷直治氏の個人経営により大阪市港区市岡浜通1丁目に岩谷直治商店を創業し、酸素、カーバイド、溶接材料等の取扱いを開始しました。 株式会社組織に改め、資本金198千円をもって、岩谷産業株式会社を設立しました。 本店を大阪市東区本町3丁目11番地に移転しました。 東京営業所(現・東京本社)を開設しました。 LPガスを「マルヰプロパン」のブランドで販売開始、これにより消費財市場への進出の基盤を固めました。 LPガス等の販売会社であるセントラル石油瓦斯株式会社(現・連結子会社)を設立しました。 大阪証券取引所市場第二部に株式を上場しました。 東京証券取引所市場第二部に株式を上場しました。 大阪・東京両証券取引所市場第一部に指定となりました。 大阪・東京2本社制を採用し、首都圏における企業基盤の強化を図りました。名古屋証券取引所市場第一部に株式を上場しました。 本店を大阪市東区本町4丁目1番地に移転しました。 高圧ガス等の販売会社である大阪イワタニガス株式会社(現・西日本イワタニガス株式会社、連結子会社)を設立しました。 LPガス輸入基地として堺LPG輸入ターミナルが完成しました。 サウジアラビアよりLPガスの直輸入を開始しました。 岩谷ガス工業株式会社、富士瓦斯工業株式会社、大阪水素工業株式会社の3社が岩谷ガス工業株式会社を存続会社として対等合併し、高圧ガス等の製造・販売会社である岩谷瓦斯株式会社(現・連結子会社)を設立しました。 第43回定時株主総会の決議により決算期を11月30日から3月31日に変更しました。 LPガスの配送・充てん業務並びに工場管理の合理化を図るため、各地域ブロック別に供給センターの統廃合を実施しました。 「マルヰプロパン」発売40周年を迎え、生活者に選ばれるエネルギーとして、新しいブランド「Marui Gas(マルヰガス)」を採用しました。 東京本社を東京都港区西新橋3丁目21番8号に移転しました。 環境に関する国際規格であるISO14001の認証を取得しました。 国内初の「水素供給ステーション」が完成し、実証試験を開始しました。 ミネラル・ウォーター「富士の湧水」の宅配事業を開始しました。 本店を大阪市中央区本町3丁目6番4号に移転しました。 新たな技術拠点として、兵庫県尼崎市に中央研究所が完成しました。 東京証券取引所と大阪証券取引所の市場統合に伴い、大阪証券取引所市場第一部は、東京証券取引所市場第一部に統合となりました。 国内初の商用水素ステーション「イワタニ水素ステーション 尼崎」が完成しました。 名古屋証券取引所市場第一部について上場廃止申請を行い、上場廃止しました。 転換社債型新株予約権付社債(300億円)が全額権利行使されたことで、200億円であった資本金が350億円となりました。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行となりました。 当社グループは、当社、子会社163社(うち連結子会社106社、持分法適用非連結子会社57社)、関連会社76社(うち持分法適用関連会社36社)及び関係会社以外の関連当事者により構成され、総合エネルギー事業、産業ガス・機械事業、マテリアル事業、自然産業事業及び各事業に係る金融、保険、運送、情報処理等その他の分野に事業を展開しております。 各分野における当社、主要な関係会社の位置付け及びセグメントとの関連の系統図は次のとおりであります。 特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、創業以来、「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」を企業理念として掲げ、常に世の中が求める新しい価値、お客様が求める価値の創造に努め、社会に貢献することを目指しています。 この観点から、株主様、お取引先様、従業員などからの信頼と期待に応えることが、会社繁栄の絶対条件と考え日々の事業経営に取り組んでおります。セグメントごとの事業内容は下記のとおりであります。 総合エネルギー事業は、全国のご家庭にMaruiGasブランドとしてお届けしている民生用LPガスや、工場で使用される産業用のLPガス・LNGを販売しています。また、カセットこんろ・ボンベや富士の湧水などの生活関連商品やガス関連機器・都市ガスの保安サービスなどをお客様に提供し、暮らしのインフラを支えています。特に民生用LPガスについてはLPガスの輸入から小売りまで一貫した供給体制をもち、全国展開している日本で唯一のLPガス事業者で、全国に約400ヶ所の拠点を有しており、その販売・物流・保安体制を活かし、きめ細やかで質の高いサービスを全国で提供しています。 産業ガス・機械事業は、エアセパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)、水素、ヘリウム、炭酸ガス、半導体材料ガスや医療用ガスなどの産業ガス事業と、各種ガス製造・供給設備、FAシステム、溶接装置、半導体製造装置、環境機器などの機械事業を展開しています。長年培ってきた技術力と、ガス・機械の幅広いラインアップによりお客様のニーズに合わせた提案を行い、産業全体を支えています。 マテリアル事業は、樹脂原料や樹脂製品、ミネラルサンドなどの資源、ステンレスや非鉄金属、二次電池材料等、モノづくりに必要な原料・部材などを取り扱っています。環境商品等の成長分野への拡販や新商品の開発に加え、海外事業の強化に取り組み、事業規模の拡大を図っています。 自然産業事業は、液化窒素などの冷熱を利用した事業・商品開発の一環として冷凍食品の販売を行うとともに、種豚や農業および畜産設備などを販売しています。 2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN23」では、テーマに「水素エネルギー社会の実現に向けて~事業の枠組みを超えた挑戦~」を掲げ、基本方針を「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」及び「デジタル化の推進」としています。「PLAN23」の経営数値目標としては、収益性や成長性、効率性を測る指標として経常利益、ROE(自己資本利益率)を採用しました。具体的な数値目標は2024年3月期において、経常利益400億円、ROE9%以上としております。また、主要な事業の成長を測る指標として、PLAN20に引き続き「LPガス直売顧客数」、「国内外カセットこんろ・ボンベ販売数量」、「エアセパレートガス販売数量」、「液化水素販売数量」の4指標を重要事業指標といたしました。 なお、2023年3月期の実績は、経常利益470億円、ROE11.2%となり、2024年3月期の経営数値目標を達成いたしました。この状況を踏まえ、2024年3月期を初年度とする新中期経営計画の策定を進めています。 当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして、中期経営計画「PLAN23」を策定し、「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」と「デジタル化の推進」に取り組んでおります。 重点的には、基本戦略として、「脱炭素社会に向けた取り組み強化」、「エネルギー生活総合サービス事業者への進化」、「海外事業の拡大」の3項目を掲げ、これらの基本戦略に基づいて、投資や事業戦略を推進しております。 また、当社の利益配分に関する基本方針につきましては、安定的な配当により株主の皆様へ還元すると同時に、成長戦略を支えるための投資等に活用し、企業価値の最大化を図ることで株主の皆様のご期待に応えてまいります。 当社はこれらの取り組みを着実に実行し、「世の中に必要とされる企業」であり続けることにより、当社グループの企業価値の向上、ひいては株主共同の利益の実現に資することができるものと考えております。 今後の見通しにつきましては、不安定な国際情勢や物価上昇により、先行きに不透明感はあるものの、社会経済活動の正常化が進むとともに、脱炭素化やデジタル化への投資が見込まれることから、緩やかな回復が続くと想定されます。 なお、2024年3月期より、会社組織の変更に伴い、事業セグメントの区分方法を見直し、報告セグメントを総合エネルギー事業、産業ガス・機械事業、マテリアル事業の3区分に変更しております。 総合エネルギー事業は、引き続きLPガス直売顧客数の増加と販売数量の増量に努めます。またLPガスや都市ガス顧客に対して、エネルギー関連機器の拡販を行うとともに、脱炭素の流れの中で重油からの燃料転換の促進や、カーボンオフセットLPガスの販売を拡大します。カートリッジガス事業においては、中国に加え、タイの新工場を起点とし、東南アジアを中心に海外事業の拡大に取り組みます。  産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスの適正な価格転嫁と拡販を図るとともに、引き続いてヘリウムの安定供給に取り組みます。また、脱炭素に関連して、液化水素を始めとするガスや設備の販売を強化します。水素エネルギー社会の実現に向けては、CO2フリー水素サプライチェーン構築の取り組みを着実に推進します。 マテリアル事業は、各種資源・素材価格が下落傾向にある中、資源ビジネスの拡大に向けて、調達数量の確保と新たな権益獲得に向けた取り組みを進めます。環境ビジネスについては、低環境負荷PET樹脂、バイオマス燃料、次世代自動車向け二次電池材料等の拡販に加え、リサイクル事業などの新たな取り組みを推進します。また、機能性フィルムを中心とした先端材料の拡販や、金属加工事業などの海外事業の強化を図ります。 当社は1941年に水素の取り扱いを開始し、長い歴史に基づく経験とノウハウを有しています。液化水素の国内シェアは100%で、圧縮水素を含む水素の国内シェアは約70%となっております。水素事業は将来の資源エネルギー事業であり、大量で安価なCO2フリー水素源の獲得が最も重要だと考えています。当社グループは液化水素製造能力をさらに増強するとともに、再生可能エネルギーからの水素製造や海外からのCO2フリー水素の輸入などに取り組み、企業理念に沿った経営を進めてまいります。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 当社は、「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」という企業理念のもと、ガス&エネルギーを軸とした事業を通じて、持続可能な成長と社会課題の解決に取り組んでおります。また、「住みよい地球がイワタニの願いです」をスローガンに、脱炭素社会の実現及び環境との共生をめざす企業活動を行っています。 加えて、サステナビリティに関する基本的な方針として「イワタニ企業倫理綱領」を定めるとともに、「中期経営計画」の中でSDGsの達成に繋がる事業目標を定め、取り組みを推進しております。 当社では、リスクを統合的に管理するため、「危機管理委員会」を設置しています。また、当委員会の傘下には、サステナビリティ推進委員会を始め、コンプライアンス、工場保安などの主要なリスクに対応する個別委員会を設け、リスクへの総合的な対応を行っています。 危機管理委員会は、危機管理委員会委員長のもと、定期的に開催され、関係法令の遵守を含め企業全体のリスク管理に努めています。また、各個別委員会についても定期的に開催され、関連リスクの遵守状況や取り組み状況を確認し、その内容は危機管理委員会に報告されています。危機管理委員会および各個別委員会に関する重要事項については、取締役会に報告を行い、適切な監督を受ける体制となっています。 このような方針、ガバナンス及びリスク管理のもと、当社グループは、地球環境問題を経営の最重要課題として捉え、気候変動を重要なサステナビリティ項目と位置付けています。 当社は、TCFD(※)提言に賛同し、TCFDのフレームワークを活用して、気候変動に係るリスクと機会を評価・特定した上で、その対応を検証するとともに、情報を適切に開示していきます。 また、グループ全体のリスクを統合的に管理する「危機管理委員会」の傘下に設置されている「サステナビリティ推進委員会」にて、気候変動に係るリスク・機会、取り組み方針、目標などについての議論や実績の進捗確認を行っています。 (※)TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示などについて検討するため設立された「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」です。 気候変動に伴うさまざまな外部環境の変化の要因を「移行リスク」と「物理的リスク」に分類の上、それぞれの分類ごとに、当社グループの事業におけるリスクと機会を評価・特定しています。 気候変動に関する「リスク」に対応し、「機会」に向けた取り組みを強化していくことで、地球温暖化の解決と持続的な成長の両立を目指します。具体的な取り組み内容については、当社ウェブサイトをご参照ください。 また、これらの項目は2022年度における将来見通しに基づいたものであり、刻々と変わる社会動向や技術革新など外部環境の変化に合わせて柔軟に対応していきます。 気候変動に関するリスクと機会については、「発生の可能性」と「事業への影響度」の2軸により重要度を評価した上で、気候変動に関する「リスク」への対応と「機会」に向けた取り組みの強化を進めています。また、気候変動に関する事業影響をさらに詳細に把握する為、シナリオ分析を進めており、継続して開示情報の充実を図ってまいります。 2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを表明するとともに、そのマイルストーンとして、国内で当社グループが排出するCO2(※)について2030年度に、2019年度比で50%削減することを目指しています。 当社グループのCO2排出量の実績については、当社ウェブサイトをご参照ください。 なお、2022年度の実績は、2023年9月頃に掲載予定です。 当社は、事業環境の変化に対応した、持続的な成長と企業価値創造のためには「ダイバーシティ&インクルージョン」が必要と考えています。「多様な価値観を受け入れ 互いを尊重し高め合える組織へ」という、社長メッセージを発信し、ダイバーシティ&インクルージョン推進に向けた諸施策を講じています。また当社社員の行動規範となる「イワタニ企業倫理綱領」において、「ゆとりと豊かさを実現するため、多様な価値観を尊重し、能力を充分発揮できる環境をつくる」とし、個性や自立性を活かしたチームワークで、自由な発想と豊かな創造性を発揮できる人材育成に努めるとしております。 社内体制としては2017年度からダイバーシティ担当を設置し、女性活躍推進をはじめとした多様な人材の活躍支援を行っております。当社のダイバーシティに関する考え方や方針、取り組みについては、当社ウェブサイトをご参照ください。 今後も、多様な価値観を受け入れて互いを尊重し高め合える組織に向けて、ダイバーシティ経営をより一層推進します。 ・現状では総合コースにおける女性の割合が十分でなく、管理職候補者数が少ない状態です。このため、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画において、「総合コース採用者における女性比率25%以上とする。」という目標を掲げて取り組んでおります。 ・現在、外国人の執行役員を1名登用しております。 ・今後も国籍を問わず、職務内容、能力を鑑みて採用・登用してまいります。 ・専門的な知識を有する方を中心に中途採用しております。 ・今後も社内人材で不足する人材採用を進めてまいります。なお、管理職への登用は新卒採用者、中途採用者と分け隔てなく、職務内容、能力を鑑みて登用しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 LPガスの消費量は、気温や水温の影響を受けますので、当社グループの主力商品であるLPガスの販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。このため当社グループは利益が下半期に偏る収益構造を有しています。また、特異な天候の変動によっても、当社グループのLPガス販売量に影響を及ぼす可能性があります。 当社はLPガスを中東と米国から輸入しており、輸入価格の変動による影響を平準化するため、多くの卸売先との間で、販売価格をCP(Contract Price)とMB(Mont Belvieu)に連動する価格体系としています。ただし、当社では在庫評価について「先入先出法」を採用しており、LPガスの輸入から販売までのタイムラグが約3ヶ月あるため、輸入価格の上昇時には安い原価の在庫を高く売ることから増益要因となる一方、下落時には高い原価の在庫を安く売ることから減益要因となります。 なお、当連結会計年度は31億円の減益効果(前連結会計年度は79億円の増益効果)が生じております。 当社グループは、化石燃料であるLPガスを主力商品としている一方で、水素など脱炭素化に資する商品の普及拡大にも注力しており、今後の気候変動に係る規制等の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、グループ全体のリスクを統合的に管理する「危機管理委員会」の傘下に設置している「サステナビリティ推進委員会」にて、気候変動に係るリスク・機会、取り組み方針、目標などについての議論や実績の進捗確認を行っています。 気候変動に係る詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。 当社グループは貿易取引において為替リスクを負うことがありますが、為替予約等を行うことにより、為替相場の変動によるリスクを回避しています。なお、急激な為替の変動が起きた場合には、このリスクを完全に排除することは困難であるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、高圧ガス保安法等に基づくLPガス・産業ガス等を取り扱っております。そのため、法律に基づいた定期的な法定検査及び自主的な検査・点検を行っております。ただし、大規模な地震等の天災により基地などの出荷設備やお客様側の消費設備に甚大な被害があった場合や感染症の大規模な流行などにより、安定供給ができなくなる可能性があります。 電力・ガス小売事業の全面自由化や国内の人口減少・地方都市の過疎化等に伴い、同業者間及びエネルギー間の競争環境が変化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、貿易取引やアジアを中心とする海外事業展開を行っていますので、その地域における政治・経済情勢の悪化や、予期しない法律・規則・税制の変更、治安の悪化等の状況によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、M&AによるLPガス直売顧客数の拡大や産業ガス事業拡大に向けた設備投資など、戦略的な投資に対する資金需要があり、金利変動が業績に影響を与える可能性があります。ただし、有利子負債の多くは固定金利で調達していることから、金利変動による影響は限定的であります。 当社グループは、取引先に対して様々な形で信用供与を行っており、債権の回収が不可能となるなどの信用リスクを負っております。これらの信用リスクを回避するため、当社グループでは取引先の信用状態に応じて、信用限度額の設定や必要な担保・保証の取得などの対応策を講じております。しかしながら、取引先の信用状態の悪化や経営破綻等により債権が回収不能となった場合などには、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、グループ企業の株式を保有するとともに、事業上の関係緊密化を図るために取引先などの有価証券を保有しております。今後の株式市場の変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。政策保有の目的で保有する株式については、毎年取締役会において個別に保有の適否を判断しております。 当社グループが提供する製品・サービスについては、適切な品質管理体制のもと対応しておりますが、製造物責任賠償やリコール等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や企業イメージの低下、多額の費用負担が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、LPガス事業をはじめとした各種事業において多くの個人情報を取り扱っており、個人情報保護法に定める個人情報取扱事業者として、個人情報の取扱状況について適切な管理を行い、法の遵守に努めております。ただし、当社グループの取り組みにもかかわらず、個人情報の流出が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下、顧客からの損害賠償請求など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、国内外で各種の法令・規制・社会規範の下で事業を展開していることから、コンプライアンス委員会を設置して遵法体制の強化に努めております。さらに、当社グループの全構成員が遵守すべき規範として「イワタニ企業倫理綱領」を制定・周知するなど、コンプライアンスの徹底を図っております。ただし、当社グループの取り組みにもかかわらず、法令等に抵触する事態が発生した場合には、当局からの行政処分、利害関係者からの訴訟、当社グループの社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における日本経済は、物価上昇や為替変動による先行き不透明感は依然として残るものの、コロナ禍からの社会経済活動の正常化に伴う個人消費の持ち直しに加え、設備投資が堅調に推移したことで、緩やかに回復しました。 このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「PLAN23」の基本方針である「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」と「デジタル化の推進」に取り組みました。 脱炭素社会の実現に向けては、当社が参画する「液化水素サプライチェーンの商用化実証」において、海外の出荷地と国内の受け入れ地が決定するなど、CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた取り組みを着実に推進しました。また、FC商用車向け水素ステーションの建設に向けて、コスモ石油マーケティング株式会社と合同会社を設立しました。 総合エネルギー事業では、カーボンオフセットLPガスなど顧客の脱炭素化を支援する商材の拡販に加え、「イワタニカセットガス」の原材料調達から廃棄までを含めたサプライチェーン全体のCO2排出量を算定・公表するなど、LPガスの脱炭素化に向けた取り組みを進めました。 産業ガス・機械事業では、再生医療分野において、中央研究所で細胞の製造や輸送、凍結保管に関する研究を進めるとともに、新規顧客の獲得に注力しました。陸上養殖分野においては、同研究所に水産養殖の研究設備を導入し、商品提案力の強化を図りました。 マテリアル事業では、金属加工事業の拡大に向けて、タイの拠点を拡張し、製造設備の増強や太陽光パネルの設置を行うことで、生産能力の拡大とCO2削減に取り組みました。 当連結会計年度の業績は、売上高9,062億61百万円(前年度比2,158億68百万円の増収)、営業利益400億35百万円(同41百万円の減益)、経常利益470億11百万円(同5億98百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益320億22百万円(同20億57百万円の増益)となりました。 セグメント別の経営成績は次のとおりです。 総合エネルギー事業は、LPガス輸入価格が高値で推移したことや、新規連結の影響もあり、LPガスの販売が増加しました。また、カセットガスの販売も堅調に推移しました。 一方、LPガスの収益性は改善したものの、市況要因が前年度比で111億8百万円の減益と大幅なマイナスになりました。 この結果、当事業分野の売上高は3,937億20百万円(前年度比665億45百万円の増収)、営業利益は144億34百万円(同82億21百万円の減益)となりました。 産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスについては、電子部品業界向けを中心に販売数量が減少したことに加え、電力料金の上昇により製造コストが増加しました。水素事業は、水素ステーションの運営費用が増加する中、液化水素や関連設備の販売が伸長しました。特殊ガスについては、半導体ガス等が堅調だったことに加え、ヘリウムは世界的な需給ひっ迫により市況が上昇する中、安定供給に努めました。また、機械設備は、ガス供給設備や半導体関連機器の売上が伸長しました。 この結果、当事業分野の売上高は2,404億3百万円(前年度比560億70百万円の増収)、営業利益は165億61百万円(同40億93百万円の増益)となりました。 マテリアル事業は、ミネラルサンドについてはサプライチェーンの混乱により市況が高止まりする中、引き続き安定供給に努めたことで増収となりました。ステンレスは新規顧客向けに販売が増加し、金属加工品もエアコン向けを中心に堅調に推移しました。また、次世代自動車向け二次電池材料は市況上昇の影響や新規顧客向けの販売により売上が増加し、低環境負荷PET樹脂やバイオマス燃料等の環境商品も伸長しました。 この結果、当事業分野の売上高は2,384億53百万円(前年度比874億78百万円の増収)、営業利益は125億36百万円(同52億81百万円の増益)となりました。 自然産業事業は、業務用や一般消費者向け冷凍食品の需要が回復する中、仕入コストおよび物流費上昇への対応を進めました。一方で、畜産の飼料価格高騰に加え、種豚の出荷頭数が減少しました。 この結果、当事業分野の売上高は289億86百万円(前年度比56億9百万円の増収)、営業利益は5億67百万円(同1億8百万円の減益)となりました。 売上高は46億97百万円(前年度比1億63百万円の増収)、営業利益は13億64百万円(同1億5百万円の減益)となりました。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ975億23百万円増加の6,560億3百万円となりました。これは、有形固定資産が216億95百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が192億95百万円、新規連結の影響によりのれん等の無形固定資産が206億89百万円、商品及び製品が100億17百万円、投資有価証券が58億98百万円それぞれ増加したこと等によるものです。 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ656億1百万円増加の3,437億73百万円となりました。これは、社債が200億円、長期借入金が133億64百万円、電子記録債務が100億24百万円、支払手形及び買掛金が65億91百万円、契約負債が62億13百万円それぞれ増加したこと等によるものです。 なお、当連結会計年度末のリース債務等を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ282億94百万円増加の1,394億54百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ319億22百万円増加の3,122億30百万円となりました。これは、利益剰余金が271億28百万円、為替換算調整勘定が32億85百万円それぞれ増加したこと等によるものです。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ36億82百万円増加の332億56百万円となりました。 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が383億96百万円増加したことにより514億71百万円の収入となりました。 これは主に、税金等調整前当期純利益473億22百万円、減価償却費242億15百万円、仕入債務の増加額71億98百万円等による資金の増加と、法人税等の支払額155億86百万円、売上債権及び契約資産の増加額98億43百万円、棚卸資産の増加額97億94百万円等による資金の減少によるものです。 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が283億46百万円増加したことにより602億86百万円の支出となりました。 これは主に、有形固定資産の取得285億11百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得243億67百万円、投資有価証券の取得56億70百万円等による資金の減少によるものです。 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が29億94百万円増加したことにより110億32百万円の収入となりました。 これは主に、社債の発行による収入200億円による資金の増加と、配当金の支払額48億84百万円、借入金の純減少額19億89百万円等による資金の減少によるものです。 当社グループの事業形態は主に商品の仕入による販売を主要業務としているため、生産実績及び受注状況に代えて仕入実績を記載しております。 当連結会計年度における外部からのセグメントごとの仕入実績(役務原価等を含む)は次のとおりであります。 当連結会計年度における外部顧客へのセグメントごとの販売実績(役務収益等を含む)は次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 売上高は、前連結会計年度に比べ31.3%増収の9,062億61百万円となりました。これは主に、LPガス輸入価格が高値で推移したことや各種市況上昇への対応を着実に進めたことに加え、新規連結の影響によるもので、詳細は「(経営成績等の状況の概要) (1)経営成績の状況」のセグメント別の経営成績をご参照ください。 売上総利益は、LPガス市況要因による大幅なマイナス影響を受けたものの、売上高が増収となったことから、前連結会計年度に比べ11.0%増益の2,129億25百万円となりました。 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ14.0%増加の1,728億90百万円となりました。これは主に、運搬費や新規連結の影響等により人件費が増加したことによるものです。この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ0.1%減益の400億35百万円となりました。 営業外損益は、69億76百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度の63億36百万円の収益(純額)に比べ6億39百万円増加しました。これは主に、補助金収入及び持分法による投資利益等が増加したことによるものです。 この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ1.3%増益の470億11百万円となりました。 特別損益は、3億10百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度の4億69百万円の損失(純額)に比べ7億80百万円の増益要因となりました。これは主に、負ののれん発生益を計上したことによるものです。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ6.9%増益の320億22百万円となり、1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度の520.98円に対し556.69円となりました。 当社は、中期経営計画「PLAN23」において、最終年度の2024年3月期に、経常利益400億円、ROE9%以上を目標としております。前連結会計年度及び当連結会計年度、PLAN23最終年度目標の経常利益、ROEは次のとおりであります。 第80期(2023年3月期)実績は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化に伴う主力商品の販売増加や、各種市況上昇への対応等により、経常利益は470億円、ROEは11.2%となり、PLAN23の最終年度目標を達成しました。 また、主要な事業の成長を測る「重要事業指標」のうち、「LPガス直売顧客数」については、PLAN23の目標を1年前倒しで達成しました。「国内外カセットこんろ・ボンベ販売数量」、「エアセパレートガス販売数量」、「液化水素販売数量」についても、概ね順調に推移しております。 以上の状況を踏まえ、2024年3月期を初年度とする新中期経営計画の策定を進めております。 キャッシュ・フローの状況については、「(経営成績等の状況の概要) (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&Aによる株式取得のためのものであります。当社グループにおいては、安心・安全を支えるインフラ整備については事業全体の収益を考慮して、将来の成長投資については資本コスト等を考慮して多角的かつ慎重に投資判断を行う方針であります。 当社グループは、財務の健全性を保ちつつ、安定的に営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことで、事業運営上必要な資本の財源及び資金の流動性を確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、コマーシャル・ペーパー(CP)により調達を行っております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金並びに金融機関からの長期借入、社債の発行等により行っております。また、グループ内資金の効率化を目的として、グループ会社間で貸付等を行っております。 社債については、2021年12月のグリーンボンドに引き続き、2022年9月に普通社債(期間7年・10年、各100億円)を発行いたしました。これらは、株式会社日本格付研究所(JCR)より、債券格付「A」を取得しております。また、CP発行に必要な国内CP格付についても、長期発行体格付「A」に対応する「J-1」を取得いたしました。 なお、当連結会計年度末のリース債務等を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ282億94百万円増加の1,394億54百万円となりました。 該当事項はありません。 当連結会計年度の研究開発は、「ガス&エネルギー」を基軸に当社の基幹事業である総合エネルギー、産業ガスからマテリアル、自然産業までの事業領域を対象として取り組むとともに、「水素のイワタニ」としての地位を強固なものにするべく水素サプライチェーンの構築に向けた技術開発、さらには脱炭素に向けた新技術開発に注力しました。 研究開発活動の中心となる中央研究所(兵庫県尼崎市)は、グループ全体の成長ビジョンを見据え、新事業・新商品の開発に繋がる研究開発に取り組みました。また、お客さまへの技術サービス、当社取扱製品の品質管理、商品開発効率を高めるため、分析を主体とした基盤技術の強化にも取り組みました。 2021年10月に設立した岩谷水素技術研究所では、最新鋭の水素試験研究設備を活用し、極低温の液化水素や超高圧圧縮水素ガスに適合した材料や機器の評価を行いながら、水素ステーション建設コストの低減や保安強化につながる研究開発を加速しました。また新規開発テーマとして、液化水素の冷熱回収技術や将来の液化水素ステーションの実用化に向けた充填技術開発に着手しました。さらに、水素と二酸化炭素からプロパンなどの炭化水素燃料を合成する研究を進めています。 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,056百万円となります。そのうち、当社の研究開発費は1,644百万円であります。 主な研究開発内容は水素関連で、その金額は351百万円です。その他の研究開発費用をセグメント別に分けると、総合エネルギー事業334百万円、産業ガス・機械事業69百万円、マテリアル事業103百万円、自然産業事業6百万円、その他1,190百万円となっております。その他セグメントが多いのは研究開発拠点である当社中央研究所の共有費用が含まれるためです。 なお、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。 水素・燃料電池戦略ロードマップ及び水素基本戦略に基づき、水素ステーションの整備や新たな水素エネルギー・アプリケーションの開発等の水素エネルギーの利用拡大に繋がる活動に取り組みました。さらに、水素エネルギー社会の実現を見据えたCO2フリー水素サプライチェーンの構築にも重点を置き研究開発を推進しました。 具体的には、経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との取り組みにおいて、豪州の未利用褐炭を用いた大規模水素サプライチェーンを構築する実証事業(HySTRA)に参画し、海上からの受入基地でのローディングアームの試験などを通しエンジニアリングデータを蓄積しました。「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」(福島県浪江町)では、商用水素ステーションや県内施設に設置されている燃料電池への供給を継続するなどの実証試験に取り組みました。また、バス・トラック等の大型車に対応した水素ガス供給に関わる計量管理技術の開発にも取り組みました。 2025年に開催される大阪・関西万博での商用運航を目指し、水素燃料電池船のデザインや仕様を決定し建造を進めるとともに、船舶用水素ステーションの建設にも着手しました。また、日揮ホールディングス株式会社や豊田通商株式会社と共同で、プラスチックを燃料にして水素を製造する技術の調査を進めました。さらに株式会社大林組と共同で、液化水素冷熱を回収し事務所空調などへ適用する研究開発にも着手しました。 カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一環として、LPガスの脱炭素化につながるグリーンLPガスの製造技術に関する調査研究を進め、岩谷水素技術研究所にてラボ試験に着手しました。 また、NEDO委託事業として、相馬ガスホールディングス株式会社他と共同で、既存インフラを利用した水素混合LPガスの導管供給の実証試験に向けたF/Sを完了しました。2023年度は相馬ガス株式会社の事業エリアでの実証試験を目指します。 さらに、当社主力のコンシューマープロダクツであるカセットガスの拡販に繋がる新商品の開発に向け、熱電発電素子や燃料電池を使った発電機能を生かした製品開発を進めています。 再生医療分野に力点を置き、大阪大学との共同研究講座で得られた細胞凍結・解凍プロセスの最適化研究成果を活かし、細胞保管輸送容器の開発や凍結装置の開発を進めました。また、2021年度に「再生医療・バイオ研究開発拠点」として中央研究所内に設置したバイオ研究専用クリーンルームを活用し、細胞保管技術開発を進めています。 陸上養殖分野における酸素ガスなどの事業拡大に向け、2023年1月に中央研究所内に陸上養殖の研究設備を導入しました。当社独自で陸上養殖研究を進めることで、自社での知見やノウハウを蓄積し、同分野での提案力強化につなげていきます。 中央研究所で確立した半導体向け重水素ガス製造技術を基に、2021年度に岩谷瓦斯株式会社三重工場内に重水素プラントを立ち上げ出荷を開始しました。引き続き効率化やロス削減技術を追求し技術移管を進めます。 溶接・溶断分野では、コータキ精機株式会社と共同で水素ガス100%を使用して鋼板を切断する水素切断機を開発し商品化するとともに、銅とステンレスの異種金属接合技術の開発に取り組みました。 携帯電話やパソコン向けに需要が拡大する積層セラミックコンデンサー(MLCC)に使われるナノニッケルの合成技術に取り組み、大手ユーザーにサンプル出荷を行い評価を受けながら品質を高めるとともに、事業化に向け自動化による生産量のアップや製造コストの削減技術を追究しています。 当社の扱う冷凍食品中の微生物、残留農薬、抗生物質分析技術の向上に注力しながら、輸入食品の自主管理分析を実施しました。また、株式会社桂精機製作所と共同で農業用ハウス暖房における燃料のLPガス化を進める中で、燃焼排ガス中のCO2を回収し農作物の光合成に利用するシステムの開発に取り組みました。
株式会社小山カントリー倶楽部
# 株式会社小山カントリー倶楽部 3  当社は関連会社がありませんので、持分法を適用した場合の投資利益は記載しておりません。 4  潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、第62期から第64期にかけては潜在株式が存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。 5  当社は、株式が非上場、非登録であり、株価の算定が困難なため、株価収益率、株主総利回り、最高株価及び最低株価は記載しておりません。 日産系各社の福利厚生施設の一環として栃木県小山市大字喜沢にゴルフ場を経営することを目的に設立。資本金3,000万円。本店所在地を東京都千代田区丸の内2丁目に置く。 コース造成工事着工。 第1次増資3,800万円。増資後資本金6,800万円。 第2次増資6,000万円。増資後資本金1億2,800万円。 コース造成工事概略完工し、18ホールをもって仮開場。 第3次増資4,500万円。増資後資本金1億7,300万円。 本館クラブハウスを現在地に竣工、本開場。 第1次週日会員募集開始。 第2次週日会員募集開始。 本店所在地を東京都千代田区神田河合町4丁目に移転。 第3次週日会員募集開始。 継続事業として第2グリーン造成工事着手。 第2グリーン造成工事完工。 本店所在地を東京都千代田区西神田2丁目に移転。 1ホールに付コーライグリーン2面であったが、1面をベントグリーンとする改造に着手した。 ベントグリーン改造工事完了。 賃借中のアウトコース内用地265,078㎡買収資金調達のため特別会員制度を設け募集を開始した。 賃借中のアウトコース内用地265,078㎡買収完了、買収価額70億円。 賃借中のインコース内用地14,075㎡買収完了、買収価額3億1千万円。 本店所在地を栃木県小山市大字喜沢に移転。 賃借中のアウトコース内用地5,436㎡買収、買収価額5千89万円。 第4次増資2億1,125万円。増資後資本金3億8,425万円。 第1次平日会員募集開始。 第5次増資2,500万円。増資後資本金4億925万円。 A種株式発行による増資9,250万円、B種株式発行による増資7,500万円。増資後資本金5億7,675万円。 資本金の額5億7,675万円を5億2,675万円減少し5,000万円とする。 普通株式発行による増資750万円、A種株式発行による増資1,000万円。増資後資本金6,750万円。 A種株式発行による増資250万円、B種株式発行による増資500万円。増資後資本金7,500万円。 資本金の額7,500万円を250万円増加し7,750万円とする。 資本金の額7,750万円を500万円増加し8,250万円とする。 第2次平日会員募集開始。 資本金の額8,250万円を7,500万円増加し15,750万円とする。 資本金の額15,750万円を11,750万円減少し4,000万円とする。 当社はゴルフ場の経営を主な事業とし、その付帯事業として食堂の委託経営及び売店の経営をしております。 該当事項はありません。 2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 3  従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。 当社は、労働組合は組織されておりません。 なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。 ゴルフ場業界においては、ゴルフ人口の減少等により、過当競争状態が継続すると考えられます。こうした中で、業績の安定化を図るためには、他コースとの違いを明確にし入場者を確保する必要があります。小山ゴルフクラブの特徴は、会員制のもと会員重視の運営姿勢を堅持していること、通常営業は全てキャディ同伴プレーとしていること、首都圏に近い、自然を十分に残した平坦なコースであること等であります。今後ともこれらの特徴を活かし、コース整備、キャディ、フロント、レストラン等のサービスの向上を図ってまいる所存であります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 当社の事業であるゴルフ事業経営は、景気の変動及び個人消費の動向が入場者数に大きく影響を与えます。 景気の低迷は売上高を減少させるリスクがあり、また近隣のゴルフ場では、会社更生法や民事再生法が適用されたゴルフ場が多く、身軽になったことでかなりの低料金での集客が可能となっております。低価格競争が当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 天候が入場者数の増減、売上高に大きな影響を及ぼします。また秋の台風及び冬の積雪はコースをクローズさせざるを得ず売上高の減少要因となり、当社の業績が影響を受ける可能性があります。 当社は、会員及び会員が紹介するプレーヤーを受け入れており、会員の高齢化が進み会員1人当たりの来場回数が減ることになれば、入場者数の減少に影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルス感染症については現在社会活動の制限は緩和されてきておりますが、依然コンペ等の予約状況は厳しく、この影響の先行きは依然として不透明です。また感染者が増加した場合、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度における我が国の社会経済情勢としては、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中にあっても、ゴルフは、安心安全なスポーツとして見直されており、来場者数も増加する傾向にあります。 一方、円安およびロシアのウクライナ侵攻により、電気料金など光熱費や仕入れ商品単価のアップなど、物価上昇圧力が企業業績を悪化させる要因となっております。 こうした中、当小山ゴルフクラブにおいては、昨年から引き続き入場者確保へ向けて集客策を積極的に実施するとともに、コース整備の充実及びキャディサービス等の質の向上に継続して取り組んでまいりました。 これらの結果、前年に比べ売上高が改善し、経費縮減に努めたことにより、通期で利益計上となりました。 当事業年度の成果は次のとおりであります。 当事業年度の営業日数は、所定営業日数349日に対し、悪天候等による休業が14日あったため335日でした。入場者数は、20,139人(キャディ同伴17,907人、定休日セルフ2,232人)と前年同期に比べ2,591人、14.7%増加いたしました。 当事業年度の売上高は、平日会員の入会者数、入場者数が前年より増加したことにより、385,193千円と前年同期に比べ60,691千円、18.7%の増収となりました。 営業利益は、30,905千円(前年同期は営業利益3,091千円)となりました。 経常利益は、33,018千円(前年同期は経常損失5,515千円)となりました。 当期純利益は、32,312千円(前年同期は当期純損失3,424千円)となりました。 前年同期に比べ業績が改善した要因は、売上高の増加により増収なったことと経費縮減等によるものであります。 当事業年度における財政状態は次のとおりであります。 当事業年度末における流動資産の残高は87,277千円で前事業年度末に比べ11,490千円増加しております。主な要因は現金及び預金13,468千円の増加によるものです。 当事業年度末における固定資産の残高は8,168,684千円で前事業年度末に比べ1,926千円増加しております。主な要因は有形固定資産1,699千円の増加によるものです。 当事業年度末における流動負債の残高は75,361千円で前事業年度末に比べ17,813千円増加しております。主な要因は短期借入金10,000千円の増加、1年内返済予定の長期借入金7,357千円の増加によるものです。 当事業年度末における固定負債の残高は5,685,981千円で前事業年度末に比べ186,709千円減少しております。主な要因は長期預り金156,750千円の減少、長期借入金31,044千円の減少によるものです。 当事業年度末における純資産の残高は2,494,618千円で前事業年度末に比べ182,312千円増加しております。主な要因は資本剰余金192,500千円の増加によるものです。 当事業年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、45,316千円と前年同期に比べ13,468千円増加しました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は、48,264千円となりました(前事業年度は2,490千円の収入)。これは主に、税引前当期純利益33,324千円、減価償却費12,172千円等によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は、14,609千円となりました(前事業年度は14,206千円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出13,872千円によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は、20,187千円となりました(前事業年度は40,873千円の支出)。これは、短期借入金の借入れによる収入10,000千円、長期借入金の返済による支出23,687千円及び長期預り金の返還による支出9,700千円によるものであります。 事業区分別売上実績は次のとおりです。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当事業年度における売上高は385,193千円(前年同期比18.7%増)となりました。主な要因は来場者増によるプレー収入等23,764千円の増加、前年6月に食堂の運営を外注業者への委託を取り止め当社が直接運営することにしたことによる食堂売店売上21,013千円の増加、新規平日会員募集による入会金等によりその他収入9,213千円の増加によるものであります。 当事業年度における売上総利益は売上高の増加により前年同期比25.0%増の188,523千円となりました。 当事業年度における一般管理費は157,617千円と前年同期比9,979千円、6.7%増加致しました。 当事業年度は営業利益30,905千円(前事業年度は3,091千円)となり、大幅に利益改善致しました。 当事業年度は経常利益33,018千円(前事業年度は経常損失5,515千円)となり、損失から利益に転換しました。 当事業年度は税引前当期純利益33,324千円(前事業年度は税引前当期純損失2,412千円)となり、35,737千円増加しました。税効果会計適用後の法人税等負担額は1,012千円となりました。その結果、当事業年度は当期純利益32,312千円(前事業年度は当期純損失3,424千円)となり、35,736千円増加しました。 当事業年度のキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。 なお、重要な設備の新設等及びそれに伴う資金調達の予定はありません。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
ファーマライズホールディングス株式会社
# ファーマライズホールディングス株式会社 東京都豊島区に株式会社東京物産を設立。 本社を東京都文京区に移転。 東京都文京区湯島に本店を開局し、調剤薬局の営業を開始。 本社を現在の東京都中野区に移転。 有限会社みなみ薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、静岡県御殿場市)を買収。 株式会社協和静岡(静岡県御殿場市)を吸収合併。 愛知県名古屋市の名古屋店に日本薬物動態研究所を併設。 新潟県新潟市に北陸ファーマシューティカルサービス株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を設立。 有限会社南魚沼郡調剤センター(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、新潟県南魚沼市)に当社、北陸ファーマシューティカルサービス株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が資本参加し、株式会社に改組。 株式会社エンゼル調剤薬局(福島県内9店舗)を合併。 商号をファーマライズ株式会社に変更。 有限会社みなみ薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を株式会社に改組。 北陸ファーマシューティカルサービス株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が株式会社みなみ薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を吸収合併し、商号を株式会社みなみ薬局に変更。 株式会社双葉(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、京都府京都市6店舗)を買収。 株式会社ツジ薬局の愛知県内5店舗を営業譲受。 日本薬物動態研究所をファーマライズ医薬情報研究所に名称変更。 株式会社ジャスダック証券取引所へ上場。 株式会社ふじい薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、北海道苫小牧市14店舗)を買収。 株式会社三和調剤(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、東京都武蔵野市3店舗)と業務資本提携。 ファーマライズ株式会社をファーマライズホールディングス株式会社に商号変更。 また、新設分割により持株会社体制に移行し、ファーマライズ株式会社を新設。 株式会社三和調剤(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、東京都武蔵野市3店舗)を買収。 株式会社ハイレンメディカル(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、北海道内18店舗、秋田県大館市2店舗)を買収。 株式会社北町薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、東京都練馬区3店舗)を買収。 有限会社エム・シー(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、宮城県仙台市3店舗)と業務資本提携。 新世薬品株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、兵庫県淡路市14店舗)と業務資本提携。 株式会社ジャスダック証券取引所と株式会社大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)へ上場。 大阪証券取引所JASDAQ市場、同取引所ヘラクレス市場及び同取引所NEO市場の各市場の統合に伴い、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場。 株式会社ほくやく、株式会社バイタルネット、中北薬品株式会社、伊藤忠商事株式会社と業務資本提携。 株式会社メディカルフロント(現連結子会社・株式会社メディカルフロント、東京都)の株式取得。 株式会社テラ・ヘルスプロモーション(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、大阪府6店舗、和歌山県1店舗)を買収。 新世薬品株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、兵庫県15店舗)を買収。 有限会社ドゥリーム(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、沖縄県3店舗)と資本業務提携。 株式会社寿製作所(現連結子会社・株式会社寿データバンク、栃木県)を買収。 日本メディケア株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、東京都4店舗、神奈川県2店舗)を買収。 ファーマライズプラス株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を設立。 有限会社たかはし(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、北海道3店舗)を買収。 株式会社東京みなみ薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、東京都4店舗、神奈川県1店舗)を新設。 大阪証券取引所と東京証券取引所の合併に伴い、東京証券取引所JASDAQに上場。 岩渕薬品株式会社と業務資本提携。 東京証券取引所市場第二部へ市場変更。 有限会社鬼怒川調剤センター(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、栃木県1店舗)を買収。 エア・ウォーター株式会社と業務提携に向けた基本合意を締結。 株式会社エシックス(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、新潟県5店舗)を買収。 株式会社ヘルシーワーク(現連結子会社・株式会社ヘルシーワーク、大阪府18店舗、奈良県2店舗、和歌山県1店舗、兵庫県1店舗)と業務資本提携。 株式会社ふじい薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が北海道ファーマライズ株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)及び株式会社たかはし(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を吸収合併し、商号を北海道ファーマライズ株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)に変更。 株式会社東京みなみ薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が、日本メディケア株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を吸収合併。 当社株式が東京証券取引所市場第一部銘柄に指定。 有限会社川口薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、北海道3店舗)を買収。 有限会社ドゥリーム(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、沖縄県4店舗)を買収。 ファーマライズ株式会社が株式会社三和調剤を吸収合併。 薬ヒグチ&ファーマライズ株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、茨城県1店舗、千葉県2店舗、東京都30店舗、神奈川県6店舗、石川県1店舗、京都府4店舗、大阪府24店舗、兵庫県2店舗、和歌山県1店舗、香川県2店舗及び佐賀県1店舗)を買収。 有限会社フォーユー(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、福井県4店舗)を買収。 有限会社ファコム(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、福井県1店舗)を買収。 ファーマライズ株式会社が、株式会社東京みなみ薬局及び株式会社北町薬局を吸収合併。 有限会社ヌーベルバーグ(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、宮城県1店舗)を買収。 ファーマライズ株式会社が、有限会社ヌーベルバーグを吸収合併。 株式会社みなみ薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が、商号を東海ファーマライズ株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)へ変更。 株式会社フォーユーが、有限会社ファコムを吸収合併。 有限会社イノセ商事(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、埼玉県1店舗)を買収。 ファーマライズ株式会社が、ファーマライズプラス株式会社を吸収合併。 北海道ファーマライズ株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が、株式会社川口薬局(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を吸収合併。 有限会社エム・シー(現連結子会社・ファーマライズ株式会社、宮城県8店舗)を買収。 ファーマライズ株式会社が、株式会社鬼怒川調剤センターを吸収合併。 株式会社ミュートス(現連結子会社・株式会社ミュートス、大阪府)を買収。 株式会社テラ・ヘルスプロモーション(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が、株式会社双葉(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を吸収合併。 ファーマライズ株式会社が、有限会社イノセ商事を吸収合併。 株式会社テラ・ヘルスプロモーション(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)が、商号を関西ファーマライズ株式会社(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)へ変更。 有限会社ケミスト(現連結子会社・株式会社ケミスト、長崎県6店舗)を買収。 アスパラントグループ株式会社及び同社が運営・管理するAG2号投資事業有限責任組合と業務資本提携。 ファーマライズ株式会社が、東海ファーマライズ株式会社、北海道ファーマライズ株式会社、株式会社エシックス及び株式会社フォーユーを吸収合併。 ファーマライズ株式会社が、関西ファーマライズ株式会社、薬ヒグチ&ファーマライズ株式会社及び株式会社エム・シーを吸収合併。 有限会社アマゾンファーマシー(現連結子会社・ファーマライズ株式会社)を買収。 ファーマライズ株式会社が、新世薬品株式会社及び株式会社ドゥリームを吸収合併。 株式会社メディカルフロント(現連結子会社・株式会社メディカルフロント、東京都)を買収。ポケットファーマシー販売株式会社(株式会社メディカルフロントの100%子会社、東京都)を連結子会社化。 ファーマライズ株式会社が、有限会社アマゾンファーマシーを吸収合併。 株式会社ヘルシーワーク(現連結子会社・株式会社ヘルシーワーク、大阪府24店舗、奈良県3店舗、和歌山県3店舗、兵庫県1店舗)を買収。 株式会社ウィーク(現連結子会社・株式会社ウィーク、東京都)を買収。 有限会社サン・メディカル(現連結子会社・株式会社サン・メディカル、神奈川県2店舗)を買収。 東京証券取引所の市場区分変更によりプライム市場に移行。 有限会社映双薬局(現連結子会社・有限会社映双薬局、神奈川県2店舗)を買収。 株式会社くすき調剤薬局(現連結子会社・株式会社くすき調剤薬局、三重県1店舗)を買収。 有限会社池本薬局(現連結子会社・有限会社池本薬局、北海道1店舗)を買収。 当社の100%子会社として北海道ファーマライズ株式会社を設立。 ファーマライズ株式会社を吸収分割会社、北海道ファーマライズ株式会社を吸収分割承継会社として吸収分割。 ファーマライズ株式会社が、HIGUCHI PH VIETNAM CO., LTD.を設立。 有限会社大木薬局(現連結子会社・有限会社大木薬局、三重県2店舗)を買収。 当社(ファーマライズホールディングス株式会社)は平成21年6月1日付で新設型会社分割を行い、調剤薬局事業を新設子会社のファーマライズ株式会社が承継することで、当社は持株会社となりました。現在の当社グループは、持株会社である当社を中心に、連結子会社14社で構成されております。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 それぞれの事業内容は以下の通りであります。 調剤薬局事業は、ファーマライズ株式会社、株式会社ケミスト、株式会社ヘルシーワーク、株式会社サン・メディカル、有限会社映双薬局、株式会社くすき調剤薬局、有限会社池本薬局、北海道ファーマライズ株式会社及び有限会社大木薬局による、医療機関の発行する処方せんに基づき一般患者に医薬品の調剤を行う調剤薬局の経営事業であります。 物販事業の主な内容は、ファーマライズ株式会社による化粧品等販売事業、コンビニエンスストア並びにドラッグストア等の運営事業であります。 医学資料保管・管理事業は、調剤薬局事業の周辺業務として、株式会社寿データバンクが手掛ける紙カルテやレントゲンフィルム等の保管・管理事業であります。同事業は、全国の病院において震災対応や業務効率化のための建替・移転が活発に行われていることから、積極的な営業活動により事業基盤の安定化に努めております。 医療モール経営事業は、ファーマライズ株式会社がJR札幌駅内の「JRタワーオフィスプラザさっぽろ」で運営している医療モールに係る事業です。 その他の事業の主な内容は、①株式会社ミュートスで行っている製薬企業等向けのシステムインテグレーション事業等、②株式会社メディカルフロントで行っている医療関連ITソリューション事業等、③株式会社レイケアセンターによる人材派遣事業、④株式会社ウィークによる有料職業紹介事業であります。 当社グループでは、これらの物販事業、医学資料保管・管理事業、医療モール経営事業及びその他の事業につきましても、調剤薬局のシナジー事業として収益機会の拡大に向けて鋭意取り組んでおります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 したものです。 法律」(以下、育休法とします)の規定による公表義務の対象では無いため、記載を省略しております。 割合を算出したものです。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社の主たる事業である調剤薬局業界において、薬物療法のプロとしての指針は、「パーフェクト(完璧)」であります。このことから当社の社是は「パーフェクト(完璧)」とし、これを当社の基本方針としております。次に掲げる経営理念をこの基本方針をもって、実践しております。 医療に携わる企業として、社会的責任を強く認識し、「Perfect」を目指して積極的に活動していきます。 SDGsの取り組みを重要視し、全社員、ステークホルダーと対話を深めながら、サステナブルな未来へ向かっていきます。 一人ひとりが、信頼と安心を感じられるよう、知識、専門性、経験とノウハウを生かし対応していきます。 当社グループの主たる事業活動の場である調剤薬局業界におきましては、わが国の高齢者人口の増加に伴い、国民医療費は増加基調にあり、処方せん枚数も増加を続ける見込みであります。一方で、医薬分業率の頭打ち傾向、薬価改定及び後発医薬品利用の促進などにより、市場成長の鈍化が予想されております。また、多数の薬局が混在する現状から、周辺業界からの参入も含めて再編成が進み、寡占化が進行すると想定しております。このような環境下、サステナビリティやデジタルトランスフォーメーションに対する取り組み強化も含めた競争力の増強、経営の効率化及び規模の拡大等、持続的な成長をもたらす経営基盤の構築が重要であると認識しております。 令和3年12月24日付で公表しました「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024」(以下、「中期経営計画」といいます)は、日本の人口の3分の1が65歳以上の高齢者になる2030年に向け、持続的な成長を可能とする基盤を築くことが目的であります。「中期経営計画 SFG(Steps for Future Growth)2021~成長を目指した経営基盤の構築」において構築した経営基盤を基に、株主価値の更なる向上を目指し、競争力を強化し成長していくために、次の3つのテーマに沿った施策を実施してまいります。① 投資家に選ばれる会社になるための取組強化② 調剤事業を核とした事業展開による収益獲得強化③ 経営基盤のさらなる強化 当社グループの事業ポートフォリオにおいては、調剤薬局事業が成長性・収益性の両面から投資すべき事業と認識しており、M&A並びに店舗棟の設備や人的資本の投資については同事業を中心に実行してまいります。また研究開発投資については、収益性の高い新規店舗モデルの開発やデジタル技術を活用した新たな顧客体験の提供などに実施していく予定であります。 中期経営計画の最終年度となる令和7年(2025年)5月期における目標とする経営指標(連結ベース)は以下の通りです。 規模の拡大を目的として、継続的に新規出店を実施していくことが経営上の重要課題であると考えております。このために、従来からの新規出店に関する情報入手ルートの活用・深耕の他に、新たなルートを開拓することが店舗開発上の課題と認識しております。また、当社グループは、既存の店舗網をさらに充実させ、かかりつけ薬局として地域医療に貢献していくためにもドミナント展開を強化してまいります。この目的に沿って、新規開業する診療所や病院の情報収集を図り、より地域密着の開拓に努めてまいります。 また規模の拡大は単位当たりの管理コストの低減とともに、仕入に関し一定のバイイングパワー形成に寄与し、医薬品卸やその他業者との価格交渉を有利に運ぶメリットがあります。 調剤薬局業界は医療法、健康保険法によって調剤技術料、薬価等が定められており、そのために隔年で実施される医療法の改正等の影響を受けます。また、社会の変化につれて医療の質も時々刻々変化しており、調剤薬局に対するニーズも今後一層強まっていく半面、競争が激化しております。 当社グループは応需処方せん枚数の維持・増加のために、変化する社会のニーズを適確に捉え、積極的にサービスに反映させていく方針であります。現在は、1.顧客の満足度を高めるホスピタリティの実践、2.当社独自のヘルシーライフアドバイザーの育成及び利用者のこころとからだの健康保持・増進活動の支援、3.今後の高齢化をにらんだ在宅医療への対応、などを経営課題と考えております。 またニーズに適切に対応するためには、最新の専門情報の収集、蓄積や薬剤師の質的向上が必要となります。当社は、従来から学術研究の充実に取り組み、薬学、メディカルスタッフの業務等自主的研究を重ねるとともに、教育・研修に関する専門部署を設けて、人材育成のため研修制度の質的向上を図ってまいりました。こうした地道な取組み姿勢が質の高い薬剤師の確保につながるものと考えております。 調剤薬局は医療機関であり、薬剤の調剤は患者の生命、健康に関わる業務です。特に調剤過誤は、健康を損なうおそれがあり、徹底的に防止することが調剤薬局の使命であると認識しております。当社では過誤のリスクを管理するため、委員会組織を設けて過誤の防止に取り組んでおります。現場の店舗では「過誤防止検討会」を開催して、過誤、インシデント(調剤の過程で起こる何らかの間違い)の事例研究を行い、本部では「過誤防止委員会」が、各店の報告に基づいて全社レベルでの状況を把握し、対策を検討した上で対応を指導しております。過誤が発生した場合には、適正かつ迅速に対応するため「調剤過誤判定委員会」が過誤のレベルを判定し、重大な過誤が発生した場合には、「過誤対策委員会」が組織的かつ迅速に対応を決定し指示しております。 このように当社では調剤過誤を防止するため、現場から本部まで連携の組織を設け、重層的な組織対応で防止に取り組んでおります。 調剤薬局チェーンは、膨大かつ重要な個人情報を取り扱っております。当社グループは、個人情報を取り扱う従業員や委託先(再委託先を含みます)に対して、適切な監督を行います。その主な内容は、1.個人情報保護方針の策定、2.個人データの取り扱いに係る規律の整備、3.組織的安全管理措置、4.人的安全管理措置、5.物理的安全管理措置、6.技術的安全管理措置です。 また、「個人情報保護委員会」を設け、すべての部門に個人情報管理責任者を配置しております。別途、店舗向け研修実施の他、実務レベルでのマニュアルを作成し、現場保管を義務付けております。このマニュアルの実施状況については随時内部監査・統制室が監査を実施し、随時フォローを行っております。また、その他全従業員から「個人情報保護に関する誓約書」を徴求して個人情報に対する意識を啓蒙するとともに、入退室管理方法の徹底、情報廃棄方法のルール化等を行い、電子データの管理方法の徹底、暗号化等を行っております。 このように当社グループでは個人情報漏洩を防止するため、体系的かつ網羅的に対策を講じ、随時管理の精度向上に努めております。 広範な地域で多店舗展開を営む事業形態にあっては、店舗のオペレーションの効率化は必須の経営課題であり、これをIT化等の投資によって推進できることが、大企業の優位性であります。また、規制が多く、収益確保に制約の多い調剤薬局事業においては、オペレーションの効率化が個別の店舗の採算確保の基礎であります。 こうした認識のもと、当社は店舗における煩雑な業務のオペレーションを常に見直し、効率化すると同時に、業務のIT化等も推進して、店舗の運営コスト低減に努めております。 後発(ジェネリック)医薬品の強力な普及推進が国策として促されております。当社は、内部研究機関である「ファーマライズ医薬情報研究所」を中心に信頼性のおける後発医薬品の選定を行い、患者及び病院、クリニック等の医療機関の要望に極力対応できる体制の整備に努めております。また、後発(ジェネリック)医薬品メーカーの品質問題等に起因する安定供給問題においては、当社グループの幅広い店舗網を活用して患者に確実にお渡しできるよう体制を整えております。 当社グループでは、コンプライアンスの認識不足に起因する不祥事の発生を根絶するために、コンプライアンス委員会、そして法律上疑義のある行為等について当社グループの従業員が直接情報提供を行う手段として社内及び社外に内部通報窓口を設置しております。コンプライアンス委員会では、コンプライアンス計画を策定し、役職員に対するコンプライアンス意識の啓蒙・教育活動に徹底的に努めており、内部通報窓口では不祥事根絶へ向けた窓口体制の整備及び相談があった際の迅速な改善行動が取れる体制を整えております。 当社グループにおいて、内部統制システムの構築は最重要事項の一つと認識しております。当社では、内部監査・統制室を設置し、コーポレートガバナンスを担う各機関との連携を密にすることで、店舗やグループ企業の拡大にも柔軟に対応できる体制を構築するべく鋭意努めております。 わが国では高齢者人口の増加に伴い国民医療費は増加傾向にあります。一方で薬価改定や後発医薬品使用促進強化等により、市場成長率の鈍化傾向が予想されております。また、処方せん枚数も伸長していく見込みでありますが、薬価改定や調剤報酬の抑制による処方せん単価の下落により、適切な対策なしでは利益率の漸減傾向は回避できないものと予想しております。 このような事業環境下においても適正な利益水準を確保していくために、業務オペレーションとグループ組織構造の見直しを進めてまいります。具体的には、店舗業務のみならず本部業務のオペレーションも棚卸しを実施し、抜本的な見直しを行った上で対象となる作業の自動化・効率化を図ることにより、コストの削減に取り組んでまいります。また、グループ形態を変革し、役割分担やコストの見直しをしていくことで販売管理費の削減にも努めてまいります。 当社グループは、薬物療法のプロフェッショナルとして地域医療への積極的な取り組みを通じて地域社会に貢献することを使命としております。そのためにも長期的に成長していくことが不可欠であり、環境・社会・経済などを将来にわたって適切に維持・発展させていくための持続可能性(サステナビリティ)を重視・配慮した経営をしていくべきであると考えております。こうした考えから、令和3年6月にサステナビリティ委員会を設置し、「サステナビリティ方針」を定め、「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を両立する事業活動を推進しております。また、サステナビリティ委員会においては、気候変動問題を始めとするサステナビリティに関する社会課題や環境課題を含めたリスクや機会を幅広く議論しており、それらの対応を事業戦略等に適時性をもって反映させてまいります。 オンライン服薬指導、オンライン資格確認の導入、及び令和5年1月からの電子処方せんの運用開始など、医療を取り巻くデジタルトランスフォーメーションは加速しております。当社グループは、これら外部環境の変化に適応するため、経営企画部内のDX推進課、グループ会社のシステム開発会社である株式会社ミュートス及び株式会社メディカルフロントとの連携を強化しております。IT技術を活用した働き方の見直しや各部門を一気通貫するシステム運用等、社内業務の効率化に止まらず、デジタルトランスフォーメーションを強化し、次世代薬局の構築に向けても取り組んでまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下の通りであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を基本に事業を運営するため、当社グループは令和3年6月に「サステナビリティ委員会」を立ち上げました。加えて、当社グループのサステナビリティ推進を統括する事務局をファーマライズホールディングス経営企画部に設置しました。サステナビリティ委員会は、代表取締役会長を委員長、代表取締役社長を副委員長、常任委員を経営の執行側役員、必要に応じ委員長が指名した委員により構成されます。現状、月に1回度程度開催される委員会において、気候変動問題を始めとするサステナビリティに関する社会課題や環境課題を含めたリスクや機会を幅広く議論し、それらへの対応を事業戦略などに適時性をもって反映させます。 サステナビリティ委員会は、「取締役会」の諮問機関として、取締役会の指示に基づき、サステナビリティに関する課題に関して提案・報告を行います。 取締役会は、気候変動を含めたサステナビリティ課題に係る基本方針や重要課題を踏まえた上で、総合的なコンプライアンス、リスク管理の観点から、事業戦略、投資計画、BCP等を審議・決定します。 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む社員育成、および社内環境の整備に関する方針は以下の通りです。 当社グループでは、誰もが主体的に考え行動できる自由闊達な雰囲気の中で、チームで働く力を養い、継続的な成長を実現する改革(イノベーション)を起こすことができるよう、新入社員からベテラン社員まで、年齢や職種を問わず長く成長できる教育を行っております。それにより当社グループのみならず社会全体に貢献することができる人材を育成する風土・仕組みを作ってまいります。 具体的には、それぞれの立場や役割に応じたスキルや知識を身につけるための階層別研修と、よりよいサービス提供のための部門別研修、マネジメントの選抜型研修、コンプライアンス等のテーマ別研修等を行うことに加え、自ら学び・考え・チャレンジすることの重要性を繰り返し教育することで、個人と会社の成長を促します。 人材育成の研修体系とともに人事制度も一新し、浸透を図ってまいりました。 上司と部下のコミュニケーションを促進して、チームとしての成長を促す仕組みと、何を頑張ればキャリアや処遇アップにつながるかを明確にしたシンプルでわかりやすい給与体系を構築しています。 また、よりよい職場作りと入社後の成長を促すために、評価、異動や昇格等、様々な職場体験(エンプロイーエクスペリエンス)を可能にし、社員のエンゲージメントを高めていきます。 具体的には、社員のエンゲージメントに関わるサーベイを実施・分析することで、課題を抽出し、エンゲージメント向上へ効果的に作用する施策を立案・実行していきます。 また、日常から上司と部下や、部門を越えた社員同士のコミュニケーションの接点が増えるような、1on1面談の推進や、本社事務所においてはフリーデスクといった施策も積極的に進めます。 サステナビリティ課題に関するリスクと機会については、サステナビリティ委員会を中心に、社内外ステークホルダーへのヒアリングや事業部・関連部門との議論を整理分類して明らかになった課題をもとに、5つの重要課題(マテリアリティ)を特定しています。 気候変動問題を含めた「サステナブルな社会と未来に向けての取り組み」は、事業活動に関するマテリアリティの最重要項目の一つとして認識しています。気候変動に関するリスクと機会に関しては、サステナビリティ委員会が幹部社員への意識調査に基づき重要なリスクと機会を特定しています。特定したリスクと機会に関しては、取締役会に報告され対応策が討議・決議されます。取締役会は、サステナビリティ委員会の報告に基づき、サステナビリティ課題を含めた総合的な外部的・内部的な経営リスクを勘案し、その相対的重要性や相互作用性などを考慮した上で、サステナビリティ課題に関する重要課題(マテリアリティ)の特定を行います。 なお当社グループは、経営課題に内在・関連するさまざまなリスクに対応するため、「コンプライアンス委員会」、「サステナビリティ委員会」を設置し、必要に応じて外部の専門家の助言を受け、リスク管理の充実に努めています。 当社グループでは、上記「戦略」で記載した人材育成方針、および社内環境整備方針においては、以下の指標、および目標を用いています。 なおこの数値は、当社グループの主要な事業を営むファーマライズ株式会社のものを記載しています。 以下において、当社グループの財政状態、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性がある主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の有価証券に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。 調剤薬局事業を行うに当っては、関連する法令に基づき、各都道府県知事に薬局開設許可及び保険薬局指定を受けるとともに、必要に応じて各都道府県知事等の指定等を受けることとされております。また、物販事業のうち医薬品医療機器等法に基づく医薬品等の販売を行うに当っては、各都道府県知事に店舗販売業許可を受けるとともに、必要に応じて各都道府県知事等の指定等を受けることとされております。また、食品・酒類等の販売についても、それぞれの関係法令に基づき所轄官公庁の指定等が必要とされております。その主な内容は下表の通りであります。 当社グループは調剤薬局事業・物販事業を行うために必要な許認可等を受けて営業しており、これまで店舗の営業停止または取消等の処分を受けたことはありませんが、万一、法令違反等により、当該処分を受けることとなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 近年、健康保険法の改定のほか、その他の医療制度の改定が実施されており、今後も各種の医療制度改定の実施が予想されます。その動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの調剤売上は、薬剤に係る収入と調剤技術に係る収入から成り立っております。薬剤に係る収入は、健康保険法により定められた「薬価基準」という公定価格によっております。また、調剤技術による収入も健康保険法により定められた調剤報酬の点数によっております。 今後、医療法の改定が行われ、薬価基準、調剤報酬の点数等が変更になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 最近の薬価基準の改定は次表の通り実施されております。(薬価ベース)令和元年より毎年改定となりましたが、同年のみ消費税の増税と同時改定として10月に実施されております。 医薬分業は、医療機関と調剤薬局がそれぞれの専門分野で業務を分担することにより、国民医療の質的向上を図るために国の政策として推進されてきました。最近では医薬分業率の伸び率は鈍化しており、将来においても低下する場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 調剤薬局業界では、薬価基準の改定が実施された場合、最終的な仕入価格を医薬品卸業者と妥結するまでの間、暫定価格(合理的であると見積もった価格)で仕入計上し、暫定価格と最終的な仕入価格の差額については医薬品卸業者との取引条件の妥結後、薬剤ごとに精算の会計処理をしております。 今後、暫定価格と妥結価格の間に大きな乖離が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 調剤薬局事業において、調剤売上高は消費税法において非課税売上となり、一方、医薬品等の仕入は同法の課税仕入となるため、当社グループが仕入先に対して支払った消費税等は、租税公課として販売費及び一般管理費に費用計上しております。過去の消費税の導入及び消費税率改定時には、消費税率の上昇分が薬価改定幅に考慮されておりましたが、今後、消費税率が改定され、消費税率の改定が薬価改定に考慮されない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 調剤薬局事業は、医薬品医療機器等法により店舗ごとに一定数以上の薬剤師を配置することが義務付けられ、薬剤師法により調剤業務は薬剤師ではない者が行ってはならないとされております。また、物販事業のうち医薬品医療機器等法に基づく医薬品等の販売は、一般用医薬品の分類等によりその販売者が規定されております(要指導医薬品及び第1類医薬品については薬剤師のみが、第2類医薬品及び第3類医薬品については薬剤師又は登録販売者が行わなければならない)。当社グループは医薬品医療機器等法に則り、すべての調剤薬局において薬剤師の配置基準を満たしており、すべての医薬品等販売店舗においてその分類等による薬剤師・登録販売者の配置基準を満たしております。 薬剤師・登録販売者の確保は、調剤薬局業界及び医薬品販売業界共通の課題であり、出店や退職者の補充など、必要時に薬剤師・登録販売者を確保できない場合などは、新規出店計画や事業運営に支障をきたす場合もあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、令和5年5月31日現在、調剤薬局を300店舗展開しております。今後も積極的な新規出店及びM&Aにより店舗数の拡大を図り、一方で不採算店舗については整理を行う方針であります。 医薬分業の進展に伴う出店競争の激化により、当社の出店基準を満たす立地が確保できない場合、主応需医療機関における分業の意思決定の遅れや競合激化により、出店後に計画通りの売上高が確保できない場合、主応需医療機関が移転、廃業した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループの新規出店形態として土地及び建物を取得する場合と土地及び建物を賃借する場合があります。店舗の土地及び建物を取得した上で出店する場合には土地及び建物の購入代金、建築費、仲介手数料及び設計料等の費用が発生し、土地及び建物を賃借して出店する場合には賃貸人への保証金、敷金及び建設協力金が発生します。これらの出店時の費用については将来回収が可能であると判断した上で出店しておりますが、個別店舗の売上実績が事業計画を下回った場合や賃貸人が破綻するなど賃貸借契約の継続や保証金等の回収が出来なくなった場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、調剤過誤防止を調剤薬局のリスクマネジメントの最重要事項と認識し、調剤業務においては複数体制の調剤チェックを行い、管理体制として社内に「過誤防止委員会」等を設け、過誤やインシデントの報告を義務付け、日常的に過誤防止を徹底しております。また、万一に備え全店舗において「薬剤師賠償責任保険」に加入しております。このように当社は過誤防止に万全を期しておりますが、万が一重大な調剤過誤が発生した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起による損害賠償等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、調剤業務を行うために患者情報を取得・保管しております。この中には個人情報保護法に定められた個人情報が含まれております。当社は個人情報保護も最重要管理項目と認識し、社内に個人情報保護担当役員を長とする「個人情報保護委員会」を設け、店長、本社各部門長を情報管理責任者とする体制を構築し、さらに全社員から「個人情報保護に関する誓約書」を取得しております。また、弁護士等専門家による勉強会を開催し、情報の利用・管理に関してはガイドラインを定めて、保護管理を徹底しております。 また、カルテ等の医療記録の保管・管理業務を担う株式会社寿データバンクでも個人情報を取り扱っておりますが、同社はプライバシーマーク制度とISMS適合性評価制度の2つのセキュリティ規格の認証を取得しており認証基準に適合した管理を行っております。 当社グループでは、これまで個人情報が漏洩した事実はありませんが、万一個人情報が漏洩した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起による損害賠償等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、出店に際して設備投資資金の大部分を社債及び借入金によって調達しております。今後の金利動向によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 なお、当社グループは、金融機関と平成25年7月12日に締結した1,000百万円の金銭消費貸借契約に係る融資特約書を締結しており、令和5年5月31日の借入残高は8百万円であります。同契約には以下の財務制限条項が付されております。 ① 借入人は、各年度決算期の末日における借入人の連結の貸借対照表において算出されるデットエクイティレシオ(下記に定義する)の水準を2.8倍以下とする。 ② 借入人は、各年度決算期の末日における借入人の連結の貸借対照表及び損益計算書において算出されるネットレバレッジ倍率(下記に定義する)の水準を4.0倍以下とする。 現状において、業績は順調に推移しており、当該懸念は少ないものと認識しておりますが、上記いずれかの財務制限条項に抵触し、上記の契約による融資が受けられなくなった場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、金融機関と平成30年9月28日に締結した400百万円の金銭消費貸借契約書を締結しており、令和5年5月31日の借入残高は140百万円であります。同契約には以下の財務制限条項が付されております。 ① 令和元年5月決算期を初回とする各年度決算期の末日(以下、当該決算期を「本決算期」という。)の末日における借入人の連結の貸借対照表において、純資産の部の合計額を、当該本決算期の直前の借入人の本決算期の末日又は平成30年5月に終了する借入人の決算期の末日における純資産の部の合計額のいずれか大きい方の75%以上に維持すること。 現状において、業績は順調に推移しており、当該懸念は少ないものと認識しておりますが、上記いずれかの財務制限条項に抵触し、上記の契約による融資が受けられなくなった場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、金融機関と平成30年9月28日に締結した3,000百万円の限度貸付契約書を締結しており、令和5年5月31日の借入残高は1,558百万円であります。同契約には以下の財務制限条項が付されております。 ① 令和2年5月決算期を初回とする各年度決算期の末日(以下、当該決算期を「本決算期」という。)の末日における借入人の連結の貸借対照表において、純資産の部の合計額を、平成30年5月に終了する借入人の決算期の末日における純資産の部の合計額のいずれか大きい方の80%以上に維持すること。 ② 令和2年5月決算期を初回とする連続する2期について各年度決算期の末日における借入人の連結の損益計算書において、当期損益の金額を0円以上に維持すること。 ③ 令和2年5月決算期を初回とする連結の貸借対照表及び損益計算書において算出されるEBITDA・MULTIPLE(下記に定義する)を7倍以下に維持すること。 現状において、業績は順調に推移しており、当該懸念は少ないものと認識しておりますが、上記いずれかの財務制限条項に抵触し、上記の契約による融資が受けられなくなった場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、金融機関と令和3年3月26日に締結した2,000百万円の実行可能期間付タームローン契約書を締結しており、令和5年5月31日の借入残高は1,666百万円であります。同契約には以下の財務制限条項が付されております。 ① 令和3年5月決算期を初回とする各年度決算期の末日及び中間期(以下、当該決算期及び中間期を「本・中間決算期」という。)の末日における借入人の連結の貸借対照表において、純資産の部の合計額を、当該本・中間決算期の直前の借入人の本・中間決算期の末日又は令和2年5月に終了する借入人の決算期の末日における純資産の部の合計額のいずれか大きい方の75%以上に維持すること。但し、AG2号投資事業有限組合を割当先とする転換社債型新株予約権付社債の影響により借入人の連結の損益計算書において特別損益を計上した場合は、当該特別損益を除く。 ② 令和3年5月決算期を初回とする各年度決算期の末日における借入人の連結の損益計算書において、経常損益の金額を0円以上に維持すること。 ③ 令和3年5月決算期を初回とする各年度決算期の末日における借入人の連結の損益計算書及び連結の貸借対照表において、以下の計算式のネットレバレッジ倍率が3.3倍を上回らない状態を維持すること。 現状において、業績は順調に推移しており、当該懸念は少ないものと認識しておりますが、上記いずれかの財務制限条項に抵触し、上記の契約による融資が受けられなくなった場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、金融機関と令和4年7月29日に締結した500百万円の金銭消費貸借契約書を締結しており、令和5年5月31日の借入残高は500百万円であります。同契約には以下の財務制限条項が付されております。 ① 令和5年5月決算期を初回とする各年度決算期の末日(以下、当該決算期を「本決算期」という。)の末日における借入人の連結の貸借対照表において、純資産の部の合計額を、当該本決算期の直前の借入人の本決算期の末日又は令和3年5月に終了する借入人の決算期の末日における純資産の部の合計額のいずれか大きい方の75%以上に維持すること。 ② 令和5年5月決算期を初回とする連続する2期について各年度決算期の末日における借入人の連結の損益計算書において、経常損益の金額を0円以上に維持すること。 現状において、業績は順調に推移しており、当該懸念は少ないものと認識しておりますが、上記いずれかの財務制限条項に抵触し、上記の契約による融資が受けられなくなった場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループの固定資産は、その大半が店舗の運営に供されておりますが、この中には不採算店舗及び一部遊休状態となっているものもあり、平成15年10月31日付「企業会計基準委員会」から公表された「固定資産の減損会計の適用指針」に則って、平成18年5月期より同会計基準及び同適用指針を適用しております。 当社グループは今後不採算店舗については、増収努力とコスト削減による店舗利益の向上を目指すと同時に、一部不採算店舗については閉鎖、売却等を進め、対策を講じる方針であります。しかしながらこれらの対策が思うように進展しなかった場合には、追加的に減損を認識する場合があり、この場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当連結会計年度は当社グループで244百万円(前年同期200百万円)の減損損失を計上しております。 当社グループはスケールメリットを確保するためにM&Aを積極的に推進する方針であります。M&Aの実施に当たっては、事前にリスクを把握・回避するために、対象企業の財務内容等につきデューデリジェンスを行っております。しかしながら、買収後に予期しなかった問題が生じた場合や、事業環境の変化等により業績が計画通りに進展しない場合、のれんの減損処理を行う必要性が生じる等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下の通りであります。 当連結会計年度(令和4年6月1日から令和5年5月31日)におけるわが国経済において、景気は緩やかに回復しております。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続くなか、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況です。 こうしたなか、当社グループは令和3年12月24日に「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024」を公表し、株主価値の更なる向上を目指し、競争力を強化し成長していくため、①投資家に選ばれる会社になるための取組み強化、②調剤事業を核とした事業展開による収益獲得強化、③経営基盤の更なる強化による収益構造の改善を推進しております。 当連結会計年度における業績は、売上高52,030百万円(前年同期比0.8%増)、営業利益1,438百万円(前年同期比5.4%減)、経常利益1,431百万円(前年同期比5.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は333百万円(前年同期比25.6%減)となりました。 売上高につきましては、薬価改定の影響はあったものの、応需処方せん枚数の増加及び技術料算定が順調に進展したことによる調剤売上高の増加、並びにコンビニエンスストア部門及び有料職業紹介事業が好調に推移したことにより、増収となりました。 利益面においては、物販事業のドラッグストア部門におけるマスク等の衛生材料等コロナ関連需要の減退や巣ごもり需要の反動による売上高の減少及び水道光熱費等の経費の増加、その他セグメントにおける医薬品の卸売取引の減収、医学資料保管・管理事業における減収に伴う減益等を主な要因として営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに減益となりました。 調剤薬局事業におきましては、仕入環境の変化等により第2四半期連結累計期間では193百万円の減益でしたが、特に第3四半期以降の処方せん枚数の回復や技術料単価の増加により当連結会計年度では26百万円まで減益幅は縮小いたしました。 セグメントごとの業績は以下の通りであります。 なお、当連結会計年度より、従来「調剤薬局事業」「物販事業」の各事業内に含めておりました卸売に係る取引においては、各報告セグメントから「その他」セグメントに統合しております。これは経営管理上の意思決定や業績区分を見直した結果、従来のセグメントとは分けて区分することがより適切であると判断したことによるものであります。また、比較・分析対象の前連結会計年度のセグメント数値については、変更後の報告セグメントの区分に基づくものであります。 当連結会計年度における調剤薬局事業の業績は、M&Aや新規出店効果に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による受診抑制の緩和を主な要因とした処方せん枚数の回復傾向が第3四半期以降より鮮明となってきたことや、調剤技術料の算定増加等により売上高は42,327百万円(前年同期比0.8%増)と増収になりました。利益面においては、薬価改定の影響及び仕入環境の変化、当期に実施した新規出店やM&A等による販管費の増加等の要因を、処方せん枚数の増加や調剤技術料収入の拡大による増益要因でカバーしきれずセグメント利益は1,685百万円(前年同期比1.5%減)と減益になりました。同期間における調剤薬局店舗は8店舗増加、9店舗減少で、当社グループが運営する店舗数は300店舗となりました。増加した店舗は、株式譲受により取得した有限会社映双薬局の2店舗(神奈川県)及び株式会社くすき調剤薬局の1店舗(三重県)、有限会社池本薬局の1店舗(北海道)、有限会社大木薬局の2店舗(三重県)、ファーマライズ株式会社の新規開局の2店舗(栃木県及び大阪府)であります。 薬局運営面につきましては、選ばれる「かかりつけ薬局」となるために、①地域医療(在宅医療及び施設調剤、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局)の実施、②後発医薬品推進、③患者情報の一元管理や重複投与・飲み合わせ・残薬確認強化の観点から電子お薬手帳「ポケットファーマシー」の利用促進、④生活習慣病の予防を継続的に支援していくことを目的とした、当社独自の健康寿命延伸プログラムである「継続支援プログラム」の推進、⑤店舗ごとに特徴・行動計画を打ち出し必要に応じて本部が支援する「コンセプト薬局」施策の開始、⑥かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品から介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる「健康サポート薬局」の継続的な推進に取り組んでおります。 なお、健康サポート薬局は当連結会計年度末時点で82店舗(前年度末比11店舗増)となり、地域連携薬局は117店舗(前年度末比21店舗増)となりました。また、専門医療機関連携薬局につきましても認定取得に向け準備を進めております。 当連結会計年度における物販事業の業績は、売上高は7,771百万円(前年同期比2.3%増)、セグメント損失は199百万円(前年同期はセグメント損失150百万円)となりました。これは、売上高においては、コンビニエンスストア部門におけるコロナ影響の緩和による経済活動の回復を背景とした売上高の伸長が主な要因であります。利益面においては、ドラッグストア部門において、主力の医薬品や化粧品等は回復しつつあるもののマスク等の衛生材料等コロナ関連需要の減退や巣ごもり需要の反動による売上の減少額の方が大きくなってしまったことにより、売上総利益が減少したことによるものであります。 また、同期間における調剤を併設しない本セグメントの当社グループが運営する店舗数は1店舗増加の46店舗となりました。 当連結会計年度における医学資料保管・管理事業の業績は、主に医療機関における経費削減の動きから紙カルテ等の保管年数の短縮化の影響を受け、売上高は646百万円(前年同期比7.6%減)、セグメント利益は81百万円(前年同期比24.6%減)となりました。一方で紙カルテ等の保管・管理のニーズは継続的に発生していることから、それらの獲得と新たなサービス提供に向けた営業活動を展開しております。 当連結会計年度における医療モール経営事業の業績は、売上高は505百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は減価償却費が減少したことで90百万円(前年同期比35.2%増)となり、安定的に推移しております。 当連結会計年度におけるその他事業の業績は、有料職業紹介事業は好調だったものの、医薬品の卸売取引の減収を主な要因として売上高は779百万円(前年同期比3.1%減)となりました。また、医薬品の卸売取引の減収に加え、医療関連ITソリューション事業等が減益となったことなどによりセグメント利益は36百万円(前年同期比53.7%減)となりました。 当連結会計年度末における流動資産の残高は11,372百万円(前年同期比493百万円増)となりました。この主な要因は、現金及び預金が4,742百万円(前年同期比751百万円増)となった一方で、売上債権等(「売掛金」と「未収入金」の合計額)が4,024百万円(前年同期比246百万円減)となったことによるものであります。 当連結会計年度末における固定資産の残高は12,048百万円(前年同期比818百万円減)となりました。この主な要因は、のれんが2,748百万円(前年同期比472百万円減)となり、また、建物及び構築物(純額)が2,902百万円(前年同期比218百万円減)となったことによるものであります。 当連結会計年度末における流動負債の残高は9,835百万円(前年同期比1,358百万円増)となりました。この主な要因は、買掛金が4,252百万円(前年同期比142百万円増)となり、また、1年内償還予定の社債及び1年内返済予定の長期借入金の合計額が3,490百万円(前年同期比1,213百万円増)となったことによるものであります。 当連結会計年度末における固定負債の残高は6,598百万円(前年同期比1,972百万円減)となりました。この主な要因は、社債及び長期借入金が5,216百万円(前年同期比1,868百万円減)となったことによるものであります。 当連結会計年度末における純資産の残高は6,987百万円(前年同期比288百万円増)となりました。この主な要因は、当連結会計年度の利益剰余金が増加したことによるものであります。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,734百万円(前年同期比743百万円増)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。 営業活動の結果増加した資金は、2,520百万円(前年同期比1,806百万円増)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が1,049百万円となり、法人税等の支払額又は還付額により資金が836百万円減少した一方で、減価償却費が589百万円、減損損失が244百万円、のれん償却額が635百万円計上され、売上債権が482百万円減少したことによるものであります。 投資活動の結果使用した資金は、703百万円(前年同期比411百万円増)となりました。この主な要因は、差入保証金の回収による収入が197百万円となった一方で、新規開局等に伴う有形固定資産の取得による支出が380百万円、無形固定資産の取得による支出が162百万円、差入保証金の差入による支出が158百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が180百万円あったことによるものであります。 財務活動の結果減少した資金は、1,072百万円(前年同期比38百万円増)となりました。この主な要因は、長期借入による収入が1,700百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が2,419百万円、リース債務の返済による支出が222百万円、配当金の支払額が131百万円となったことによるものであります。 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに記載しますと、以下の通りであります。 当連結会計年度における処方せん応需実績は、以下の通りであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要」に記載の通りであります。 当社グループの主な活動領域である調剤薬局事業におきましては、隔年で実施される調剤報酬改定、毎年実施される薬価改定が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。国民医療費抑制の方針から、調剤報酬・薬価自体は今後も全体としては実質引き下げ方向での改定が予想されます。 近年の改定は、「在宅医療の充実」や「後発医薬品の使用促進」、「かかりつけ薬剤師・薬局化」を今まで以上に明確に反映しており、「地域包括ケアシステムの構築」や「国民医療費抑制」といった国の方針により沿った内容となっております。調剤報酬改定の影響は大変厳しいものとなっておりますが、これらの改定への対応如何では収益力の低下を抑え、競争力の強化につなげることも可能であると考えております。 当社グループは、令和3年12月24日付で経営理念を改定し、「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024」を公表しました。 一人ひとりが、信頼と安心を感じられるよう、知識、専門性、経験とノウハウを生かし対応していきます。 当社グループは以前より、地域に密着した「かかりつけ薬局」の理想形を追求し、地域医療に貢献するという考え方のもと、選ばれる「かかりつけ薬局」となることを目指し、地域医療(在宅医療及び施設調剤)及び後発医薬品の推進並びに電子お薬手帳の普及や24時間対応に向けた取組み等を実施してまいりました。同時に、地域のセルフメディケーション・健康支援ニーズに対応したサービスを提供する体制づくりや健康保険制度外事業の拡大にも取り組んでまいりました。 そして、本中期経営計画のもと、グループ全体として、①投資家に選ばれる会社になるための取り組み強化、②調剤事業を核とした事業展開による収益獲得強化、③経営基盤の更なる強化による収益構造の改善、を推進してまいります。 特に調剤薬局事業におきましては、①超高齢社会に対応すべく医療・介護・ヘルスケアを推進し、かかりつけ薬局として地域医療に貢献するという使命を追求、②当社独自の認定資格ヘルシーライフアドバイザーによる「からだ・こころ・くらしのウエルネス」をテーマに国民の健康保持・増進活動を支援、③業務のセンター化による効率化とDX化によるオンライン指導推進に注力してまいります。また物販事業では、①スクラップ&ビルド、②顧客情報の活用強化、③売場・商品選定改革による採算性の改善、④新規業体の開発に取り組んでいきます。 当連結会計年度における状況については、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社の運転資金需要の主なものは、調剤のための医療用医薬品仕入、物販のための商品仕入のほか、店舗運営の製造経費、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。 なお、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は借入金により資金調達することとしております。 該当事項はありません。 ファーマライズ医薬情報研究所は、当社の一部門として平成9年11月に設置され、主にインターネットや文献を用いて、公表された後発医薬品の試験データ(生物学的同等性試験と溶出試験)(注)等の検証を行う等、当社グループの調剤薬局事業において、医薬分業における薬剤の専門家としての機能を果たすための支援活動を目的としております。 なお、当連結会計年度中の研究開発費の金額は9百万円であります。 国策として後発医薬品の普及が推し進められるなか、わが国の医療用医薬品は、1万数千種類にも及びその中には多数の同種同効品が存在しており、1つの先発医薬品に対して、数十種類にも及ぶ後発医薬品が存在することもあります。 後発医薬品は、先発医薬品に比べて安価であるため、先発医薬品と生物学的に同等であるならば、その後発医薬品に関する特徴等の正確な情報を医師の求めに応じて提供し、処方してもらうことも調剤薬局の職務と考えております。 ファーマライズ医薬情報研究所では研究成果として、当社グループが取り扱う医薬品に対応する推奨後発医薬品リストを作成し、当社グループの調剤薬局及び医療機関に提供することで、患者が安心して利用できる質の高い医療サービスの提供を実現し、他社との差別化及びブランド価値の向上に寄与しております。 最新医学情報・薬学情報の収集により、当社グループの薬剤師に調剤に必要な医学情報を提供して、薬剤の専門家の機能発揮に役立てております。 また、患者や地域住民等に対しても健康維持・増進に役立つ医薬の情報を提供し、その啓発にも注力しております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 当社の子会社である株式会社ミュートスにおいて、新たな顧客獲得にむけて、薬局向けのソリューション・サービスの開発、及び製薬メーカー向け業務システム、サービス開発にむけての基盤技術等に関する研究開発活動を行っております。 なお、当連結会計年度中の研究開発費の金額は4百万円であります。
株式会社エスケイジャパン
# 株式会社エスケイジャパン 主要株主である筆頭株主の久保泰子氏及び主要株主の久保千晶氏からの株式譲受により、株式会社ラウンドワンが主要株主と主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社となる。 当企業集団(以下、当社グループと称します)は、当社及び連結子会社であるSKJ USA,INC.及び愛斯凱杰(北京)文化伝播有限公司によって構成されており、キャラクターのぬいぐるみ・キーホルダー・家庭雑貨・携帯電話アクセサリー及び電子玩具等の企画・販売を行っております。 事業の系統図は、以下のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「Dream for your life  人と社会の幸せのために、創造への挑戦を続けます」を経営理念に、癒し・安らぎ・潤いのある商品の企画開発・販売に取り組んでおります。真に価値ある商品の提供によって業容の拡大と発展に努め利益ある成長を基本として、社員と家族、会社と株主、取引先、社会が幸せになる継続的な企業創造への挑戦を続けます。 当社グループでは、キャラクターエンタテインメント事業、キャラクター・ファンシー事業をそれぞれの分野で影響力のある事業へ成長させ、創業以来中核の事業として培ってきたキャラクタービジネスの枠を超えた新たな市場へも果敢にチャレンジすることにより、グループ全体の事業規模拡大につなげてまいります。 当社グループが優先的に対処すべき事業上の課題は、「(5)経営環境及び対処すべき課題」に記載の通りであります。 なお、財務上の課題につきましては、当連結会計年度末の自己資本比率は83.7%と安定した水準にあり、現金及び預金も潤沢であるため、現在優先的に対処すべき課題はありません。 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、さらに強固な財務基盤を構築するため、高採算の商品開発と適正な在庫・経費管理をさらに徹底し「営業利益率5%以上」「ROE10%以上」「自己資本比率80%以上」であります。 当社グループが展開する事業は、余暇市場やアミューズメント施設の傾向に左右され、加えてヒットキャラクターの影響を受け易く依然として厳しい経営環境にあります。 このような状況の中、当社グループは持続的に成長するためには、よりよい商品を企画販売し、利益を生み出すための基盤づくりを強化することが不可欠であると認識しております。お客さまのニーズを的確に把握し、当社グループの商品をご利用いただくための諸施策を推進することにより、増収増益に向けた基盤づくりを進めてまいります。 キャラクターエンタテインメント事業におきましては、アミューズメント、カプセルトイ市場の環境に対応し、新規キャラクターの取得を全力で行うことで売上の拡大に努めてまいります。 また既存キャラクターに関しては新たな商品企画にチャレンジし、需要が拡大するフィギュア商品についても安定的に提供できるよう積極的に取り組んでまいります。 生産部門におきましては、既存取引メーカーとの更なる関係構築を図りコストダウンに努めるとともにフィギュア商品の生産のために新規成型工場を開拓することで、市場、取引先からの様々な商品要望に応えられるよう生産体制を構築してまいります。 海外子会社事業におきましては、担当社員を増員することで取引先の要望に対して迅速な対応が取れる体制を確立し、既存キャラクター商品数の拡大および新規キャラクターの取得、提案を行い、海外市場でも活況なフィギュア商品についても商品化に向け積極的に取り組むことで売上の拡大を図っていきます。 キャラクター・ファンシー事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の制約緩和等による人流の変化に伴う消費行動および商品需要の変化を捉え、オリジナル商品の更なる拡充を図るべく、商品企画体制を強化するとともに、インバウンド需要の本格的な回帰を見据え流通戦略を再構築し売上の拡大に努めてまいります。 また為替変動や原材料高騰による生産コストの上昇に対しては、既存取引メーカーの選択と集中を図りながら新規メーカーの開拓にも積極的に取り組み生産コスト抑制に努めるとともに、適正な利益の確保に努めてまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社は、アミューズメント施設のプライズ機に投入されるぬいぐるみ、キーホルダー等の景品を企画し、アミューズメント施設のオペレーター等に直接販売しております。 令和4年3月1日に改訂された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の「解釈運用基準」により、プライズ機向けの景品について小売価格がおおむね1,000円以下と規制されていることから単価が低く、アミューズメント施設等に設置されているプライズ機向けに用途を限定して開発されているため、当社の属するアミューズメント業界向け販売部門の市場規模は小さく、大手ゲーム機メーカーがおおむね半分のシェアを占めているといわれており、残りを当社を含めて30社程度で競合している状況であります。また、アミューズメント施設等のオペレーター売上高は、景気動向やゲーム機・キャラクター等のヒットに恵まれるか否かに影響を受けるほか、令和元年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大による要因により、当社グループの経営成績にもその影響が及びます。 当社グループが取り扱う商品の大半はキャラクター商品であります。取り扱うキャラクターを分散し、機動的な仕入体制をとることにより、キャラクターの人気の移り変わりに柔軟に対応しておりますが、キャラクターの人気度によって当社グループの経営成績が変動する可能性があります。 また、商品開発にあたっては、キャラクターの商品化許諾権を持つ版権元との契約により、商品化許諾を受けたキャラクターを用いた商品を提供しておりますが、人気キャラクターの商品化許諾を版権元から獲得できなかった場合並びに現在使用しているキャラクターの商品化許諾に関する版権元との契約が解消された場合、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。さらに、商品化にあたっては、商品化許諾契約を締結しておりますが、そのキャラクターの商品化を包括的に獲得するものではなく、カテゴリーごとに契約することが多く、競合他社が同じキャラクターを使用することを制限するものではありません。 当社グループの取り扱う商品のライフサイクルは短く、当社グループが消費者動向に対する的確な予測及び迅速な対応を欠いた場合、あるいはヒット商品の開発を行えた場合でも一時的な人気にとどまった場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、ユーザーニーズを的確にとらえた商品を継続的に市場に投入していく方針でありますが、販売不振等により滞留在庫が増加した場合には、在庫処分として売却損や廃棄損を計上することがあります。また、商品の調達は注文を受けてから行うことは少なく、見込みで調達することがほとんどであることから、見込み違いにより滞留在庫が増加した場合には、当社グループの経営成績が変動する場合があります。 当社グループは、商品の企画・販売に特化しており、自社の生産設備を保有しておらず、生産と物流に関しましてはすべて外注にて対応しております。外注先を分散することにより、外注先の倒産等の事態が発生した場合に備えておりますが、外注先にて納期が遅れる等の問題が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、環境や人体に悪影響を与える物質を使用していないかどうかを含めた品質管理を徹底しておりますが、商品に不良が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性もあります。特に海外からの調達に関しましては、納期管理と品質管理に重点をおいており、輸入業者との生産工程の進捗状況のすりあわせや、現地と国内における商品検査等を徹底しております。 当社グループの企画する商品の大半は海外で生産されており、為替の変動が輸入価額に影響を及ぼす可能性があります。為替変動のリスクを軽減するために為替予約を行っておりますが、急激かつ大幅な為替の変動が続いた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、輸入取引に係る為替変動のリスクに対応するため、デリバティブ取引を実施しております。デリバティブ取引については、時価による損益処理を行っておりますので、各期末における為替レートや日米金利差等により評価損益が計上され、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、売場の販売促進やアフターサービス等のために、お客様から個人情報をいただき、厳格な管理のもとで運用させていただいております。コンプライアンスの重要性を含めて全社員に教育を実施するとともに、今後も個人情報保護・管理状況に関する監視と不具合の継続的改善に一層の徹底を図ってまいります。 しかしながら、以上のような対策を講じたにも関わらず、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは全国各地に取引先が存在しておりますが、これらの地域で自然災害が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、令和2年からの「新型コロナウイルス感染症」の行動制限が徐々に緩和され、新規感染者数の増減に関わらず経済活動正常化に向けた動きが継続される一方、急激な為替変動やウクライナ侵攻問題等の影響によって輸入原材料が高騰し商品の値上げが相次ぐなど依然として先行きが不透明な状況が続いております。 このような中、当社グループでは連結売上高9,731百万円(前期比49.7%増)、営業利益577百万円(前期比26.9%増)、経常利益549百万円(前期比16.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益379百万円(前期比13.5%増)と、売上・利益ともに前期実績を上回る結果になりました。 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。この結果、当連結会計年度の売上高、販売費及び一般管理費がそれぞれ21百万円減少しましたが、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益に与える影響はありません。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 キャラクターエンタテインメント事業は、取引先店舗の来場者数の回復およびクレーンゲーム機の増台等によりクレーンゲーム市場が活況であったことに加え、競走馬を商品化した「サラブレッドコレクション」や「星のカービィ」「たべっ子どうぶつ」等の定番キャラクターの受注が好調に推移した結果、売上高7,211百万円(前期比73.5%増)、営業利益505百万円(前期比53.5%増)と前期実績を上回りました。 キャラクター・ファンシー事業は、「たべっ子どうぶつ」や「星のカービィ」「ポケットモンスター」等の定番キャラクター商品と「バスボール(フィギュア入り入浴剤)」商品の販売が順調に推移した結果、売上高は2,519百万円(前期比7.6%増)と前期実績を上回りましたが、営業利益は急激な為替変動等に伴う仕入原価の高騰により利益率の低下を余儀なくされ72百万円(前期比42.5%減)に留まりました。 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ511百万円増加し、4,842百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ192百万円増加し、789百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ318百万円増加し、4,053百万円となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益があったこと等により一部相殺されたものの売上債権の増加額があったこと等により、前連結会計年度末に比べ222百万円減少し、当連結会計年度末には2,568百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果使用した資金は、87百万円(前年同期は389百万円の獲得)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純利益549百万円があったこと等により一部相殺されたものの、売上債権の増加額558百万円があったこと等によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は、53百万円(前年同期は30百万円の使用)となりました。 これは主に、有形・無形固定資産の取得による支出50百万円があったこと等によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は、89百万円(前年同期は188百万円の使用)となりました。 これは主に、配当金の支払額89百万円があったこと等によるものであります。 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標は次の通りであります。 当社グループは独自の生産拠点・生産工程を所持しておらず、生産能力を表示することは困難であります。したがって、生産の状況についての記載はしておりません。 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の商品販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度末における流動資産の残高は、4,616百万円(前連結会計年度末は4,058百万円)となり、557百万円増加いたしました。これは現金及び預金が減少(2,790百万円から2,568百万円へ222百万円減)したものの、受取手形及び売掛金が増加(687百万円から1,058百万円へ371百万円増)、電子記録債権が増加(181百万円から369百万円へ188百万円増)及び商品が増加(208百万円から345百万円へ136百万円増)したこと等が主な要因であります。 当連結会計年度末における固定資産の残高は、226百万円(前連結会計年度末は272百万円)となり、46百万円減少いたしました。これは投資有価証券が増加(73百万円から106百万円へ32百万円増)したものの、繰延税金資産が減少(91百万円から9百万円へ81百万円減)したこと等がその主な要因であります。 当連結会計年度末における流動負債の残高は、712百万円(前連結会計年度末は551百万円)となり、161百万円増加いたしました。これは買掛金が増加(269百万円から305百万円へ36百万円増)、流動負債「その他」が増加(47百万円から163百万円へ115百万円増)したこと等がその主な要因であります。 当連結会計年度末における固定負債の残高は、76百万円(前連結会計年度末は45百万円)となり、31百万円増加いたしました。これは固定負債「その他」が増加(42百万円から76百万円へ33百万円増)したこと等がその主な要因であります。 当連結会計年度末における純資産の残高は、4,053百万円(前連結会計年度末は3,735百万円)となり、318百万円増加いたしました。これは利益剰余金が増加(2,852百万円から3,140百万円へ288百万円増)したこと等がその主な要因であります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2  事業の状況、3  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度における売上高は9,731百万円、販売費及び一般管理費は1,747百万円、営業利益は577百万円、経常利益は549百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は379百万円となりました。 売上高は9,731百万円(前連結会計年度は6,498百万円)となり、3,232百万円増加しました。これは、キャラクターエンタテインメント事業の売上高が7,211百万円(前期比73.5%増)と増加したこと等がその主な要因であります。 販売費及び一般管理費は1,747百万円(前連結会計年度は1,527百万円)となり、220百万円増加しました。これは、荷造運搬費が増加(340百万円から462百万円へ122百万円増)したこと等がその主な要因であります。 営業利益は577百万円(前期比26.9%増)となりました。これは、売上高が3,232百万円、売上総利益が342百万円それぞれ増加したこと等がその主な要因であります。 営業利益577百万円に対して、経常利益は549百万円(前期比16.4%増)となりました。営業外損益に特記すべきものはありません。 特別損益はありません。 また、法人税等合計が前連結会計年度と比較し32百万円増加した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は379百万円(前期比13.5%増)となりました。 当社グループは、運転資金及び投資資金は自己資本で賄う方針としており、十分な手元流動性を有しております。運転資金需要の主なものは、仕入代金の支払や従業員への給与支払い等であります。投資目的需要の主なものは、商品製造のための金型等であります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。また新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「追加情報」をご参照ください。 当社グループの連結財務諸表の作成において、経営成績及び財政状態に影響を与える見積りは、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられるさまざまな要因を考慮したものでありますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社グループは、さらに強固な財務基盤を構築するため、高採算の商品開発と適正な在庫・経費管理をさらに徹底し「営業利益率5%以上」「ROE10%以上」「自己資本比率80%以上」に目標を変更しており、当連結会計年度は「自己資本比率80%以上」及び「営業利益率5%以上」については達成しましたが、「ROE10%以上」は、未達成となりました。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社ACSL
# 株式会社ACSL 当社の設立以降の沿革、主要な事業に関する公開情報は以下のとおりであります。 当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を/Revolutionizing Social Infrastructure by Pursuing Cutting-Edge Robotics Technology」というヴィジョンを掲げております。当社は自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。日本の社会課題である労働力のミスマッチに対し、当社のコアである独自開発の制御技術とそれを利用した「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の社会実装により、当社のミッション・ヴィジョンの実現を通じて社会課題の解決を目指しております。 近年、我が国のドローン市場を取り巻く環境は大きく変化しており、経済安全保障やセキュリティに対する意識の高まりとそれに伴う国産回帰需要の台頭、航空法改正に伴う有人地帯上空における目視外飛行(レベル4)に関する法規制の整備、デジタル田園都市国家構想におけるドローンの利活用など、今後の新たな市場創造に向けた動きが加速しております。また、世界的な脱炭素化の流れのなかで、電気を動力源とするドローンは、物流の効率化やクリーンエネルギー設備の保守点検等への利用において注目を集めております。 当社の主たる事業は、産業用ドローンの自社開発、ドローンを活用した無人化システムの受注開発、生産及び販売・サービス提供であります。ドローンは、「空(そら)」や「空(カラ:屋内の開かれた場)」といった、屋内外問わず、空間の制約を克服して自動化・省人化を達成可能であり、この技術の潜在的な利用可能分野は極めて大きいと考えております。当社は最先端の自律制御技術をコアとして、顧客の業務を代替・進化させるドローンを提供するべく、顧客の現場視察、対話、そして実証を通して用途特化型ドローンの開発を進めております。 当社の事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社の主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 当社のビジネスモデルは、顧客からのドローン導入の打診に基づき、顧客におけるドローン活用による課題解決の概念検証(PoC:Proof of Concept(※3))、及び概念検証(PoC)を経て顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行う「実証実験」と、顧客における試用(パイロット)ベースの導入として当社のプラットフォーム(※4)機体をベースにした機体の生産・販売を行う「プラットフォーム機体販売」であります。更に、これらの実証実験、プラットフォーム機体販売を通じて、当社が提供できるソリューションの作り込みを行い、ドローンの利活用が多く見込まれる用途において、「用途特化型機体」として量産機体の開発・生産・販売を推進しております。 「実証実験」では、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化の検証を並行して行っております。なお、当社における概念検証(PoC)は単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。更に当社では、顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。業務効率化などの効果実現に向け、特注システムの提供のみに留まらず、安全導入に不可欠なドローンの操作シミュレータやドローンの保守点検サービスを提供し、システム導入・運用サポートを一貫して提供しております。なお、顧客の既存システムへ組み込むソリューションの取り組み事例としては、工場設備、橋梁、煙突内部、下水道管路内等の閉鎖環境、風力発電設備、船舶内のホールド等の点検自動化、建設現場や発電所等の屋内巡視自動化、ドローンによる物流システムの運用構築、災害現場の把握等がございます。これらの特注システム開発に際しては、概念検証(PoC)のサービス提供料や特注システムの仕様提案・設計・開発・試験運用に係るカスタム開発料を主な収益源としております。概念検証(PoC)を含めて有償のサービスモデルを構築し、顧客の側で継続的なプロジェクトをスムーズに立案・実施することを可能にしております。 「プラットフォーム機体販売」においては、顧客における試用(パイロット)もしくは商用ベースでのドローン導入として、当社が保有するプラットフォーム機体の生産・販売を行っております。この段階では、当社のプラットフォーム機体をベースに顧客の実業務への展開に向けたカスタマイズなどを行っております。 「用途特化型機体」の開発、生産、販売として、ドローンの幅広い利活用が見込まれる特定の用途においては、用途に特化したドローンの量産を進めております。用途特化型機体は、①小型空撮ドローン、②閉鎖環境点検ドローン、③煙突点検ドローン、④中型物流ドローンの4種類の製品化を進めております。 当社では、各段階で収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなど実証実験とプラットフォーム機体販売を組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。 なお、機体販売後の運用サポートにおいては、販売後、定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料などを主な収益源としております。 当社製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社では産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係る助成金又は補助金については、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、収受した金額を売上高として計上しております。 当社は、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーであり、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクト・スタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。 当社は自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで、「自ら考えて飛ぶ」最先端の制御技術を核とした技術力を有しており、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや、高性能な機体プラットフォームを提供することに加えて、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システムの開発、更に最終的には顧客システムに統合されたレベルのシステム開発まで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいう「頭脳」に相当します。人間でいう運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分であるドローンの姿勢制御、飛行動作制御等の技術については、モデルベース(※5)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※6)に係るアルゴリズム(※7)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※8)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。人間でいう、目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分の技術は、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※9))やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AI(※10)による環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS(※11)・GNSS(※12))を用いる制御では自律飛行(※13)することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 また、人間がロボットに対し状態の監視や指令を行い、対話を可能とするための技術として「UI/UX(※14)」の技術が必要となります。ドローンはエッジ処理(ドローン端末側で計算処理を実行すること)による自律的な飛行を行いますが、一般的には地上局と通信を行いながら飛行しており、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするため、地上局のソフトウエア技術が必要不可欠となっております。当社では地上局のソフトウエアについても独自開発を行っており、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行うことや、飛行ルート変更の操作指示、緊急時には非常用介入操作指示を出したりすることが可能となっております。 当社が有している独自開発の自律制御システムは、三次元空間において自律制御が求められる難易度の高いドローン分野で培った技術であり、今後、これらの技術はドローン以外の様々な用途のロボティクスに展開可能となっております。 産業用ドローンの社会実装においては、単に機体性能や制御技術の高いドローンを提供するだけでなく、特定用途で利用するための機体や制御の改良、機能アプリケーション(※15)や搭載オプションの開発・追加等が必要となります。これらの改良や開発を行うためには、実際にドローンが導入される実環境下での飛行実績を積み重ねることが重要となっており、多様な環境下での実証実験とデータの蓄積、クライアントからのフィードバック及びそれらに基づく機体開発や技術開発が不可欠となっております。 当社は主に大企業を中心に多くの幅広い顧客ベースを有し、これまでの多くの顧客とのプロジェクトを通じて、様々な現場視察、クライアントとの対話、そして豊富な実証実験の実績があります。実証から得られた情報やフィードバックを基に、プラットフォーム機体の改良や搭載オプションの開発・追加、UI/UXの改善を行っております。 また、多くの実績データやフィードバックの中から、特定の領域において量産が見込める機体については「用途特化型機体」として、量産機体の開発・生産・販売を行っており、2021年12月31日現在、以下の4つの用途特化型機体を展開しております。 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。 当社の労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。当社グループは自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。 屋内外の3次元空間を制約なく自由に移動できるロボティクス技術であるドローンの潜在的な利用可能分野は広範であり成長力は非常に高いと考えております。当社グループは、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーであり、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクトスタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。 産業用ドローン市場が「実証実験期」から「社会実装期」へと移行する中で、当社グループは2022年1月に2022年度~2025年度を対象とした中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」をローリング方式により発表いたしました。「ACSL Accelerate 2022」では、当社グループが「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するため、従来、進めております4つの用途特化型機体の量産化と社会実装の推進に加え、新たな用途特化型機体の開発と製品のセキュア対応、インド市場への本格進出及びESG施策への取り組みの推進を主な事業戦略の柱として進めてまいります。加えて、現在は産業用ドローンの領域にて展開している、当社グループのコア技術である独自開発の制御技術について、新たな適応可能性の検討を行い、他分野への展開も進めてまいります。高い技術力により顧客の要望に応えるビジネスモデルを確立することで、高い水準の収益性を実現し、持続的な成長、継続的な企業価値向上を目指してまいります。 現在、日本においては、労働人口の減少による人手不足の深刻化が進む一方で、今後、インフラ設備の老朽化の進行が見込まれ、労働力の需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。省人化・無人化を推進することは社会的な要請であり、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による、リモートワーク・非接触・遠隔操作など新たな生活様式の広がりに伴い、省人化・無人化に対する市場要求は、より一層顕在化しております。 当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。日本の社会課題である労働力のミスマッチに対し、当社グループのコアである独自開発の制御技術とそれを利用した産業用ドローンの社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じて社会課題の解決を目指しております。 当社グループは、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーとして、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、量産機の開発、量産体制の構築・販売を行っております。 国内ドローン市場を取り巻く環境は、地政学的リスクの高まりや不安定な世界情勢などから経済安全保障への関心が強くなっており、日本政府はドローンの調達にあたり、2020年9月に公共の安全と秩序維持等に支障の生じるおそれがある業務等に用いられるドローンの調達は、セキュリティが担保されたドローンに限定し、既に導入されているドローンについても速やかな置き換えを実施する方針を公表しております。 また、2022年6月7日に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想基本方針において、デジタルの力を活用した地方の社会課題解決の方法として、農業分野や物流でのドローンの活用が示された他、災害発生時のドローンを利用した情報収集や点検でのドローンの活用などの取り組みに言及がなされ、社会課題を解決する新たな方法としてドローンに注目が集まっております。全国各地にて、デジタル田園都市国家構想の事業費を活用した、ドローンによる地方創生が加速しており、具体的には福井県敦賀市、茨城県境町、北海道上士幌町などの自治体でドローンの社会実装に向けた実証実験が始まっております。 ドローンを取り巻く法制度は、日本政府が2022年度を目途としている「レベル4」(有人地帯上空における目視外飛行)の実現に向けて、2021年6月に航空法改正案が成立し、2022年12月5日には航空法施行規則等の一部を改正する省令が施行されるなど、規制を含めた法整備が着実に進んでおります。当社グループでは、航空法施行規則等の一部を改正する省令の施行日において、レベル4に対応したドローンの第一種型式認証の申請を実施し、2023年3月13日に無人航空機の型式認証制度において、第一種型式認証証書を日本で初めて取得しております。今後、レベル4相当の飛行が可能となることで、既に法整備が進んでいるレベル1~3の市場に加えて、ドローン物流など、我が国においてドローンで利用可能な巨大な空間・市場が出現する見込みです。 当社は2022年1月に示した中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」で掲げた「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するための取り組みを推進してまいりました。 直近の国内事業の進捗として、用途特化型機体の量産化と社会実装については、大部分の機体が先行的な開発投資のフェーズから、上市・初期市場対応(顧客フィードバックへの対応)を実施するフェーズへ移行しつつあります。 国産の高セキュリティ対応の小型空撮ドローン「SOTEN」は出荷を2022年3月に開始し、2022年12月までに645台を出荷いたしました。SOTENは引き続き、ドローンの利活用にあたりセキュリティ対応が求められる顧客から多くの引き合いを頂いております。また、リリース後もグローバル大手のPix4D社のソフトウエアへの対応やLTE通信対応を開始するなど、継続的な機能アップデートを実施して需要創出を図っております。 物流用ドローンについても、物流専用ドローン「AirTruck」の量産及び出荷を開始しており、2022年12月期において15台を出荷し、さらに15台の受注を頂いております。全国自治体におけるデジタル田園都市国家構想に関連した事業で、AirTruckならびにセイノーHD社・エアロネクスト社が推し進めるSkyHub®が採用されるなど社会実装を進めております。加えて、KDDIスマートドローン社とエアロネクスト社が地域配送を効率化・省人化するドローン配送パッケージ組成に当たり、AirTruckが採用されております。また、日本郵便株式会社が実施する「ドローンによる郵便物などの配送試行」に国産ドローンを提供し、運航の支援を実施するとともに、2023年度以降の実用化を目指すレベル4対応の物流専用機を2022年12月に披露いたしました。日本郵政グループとは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。 新用途開発とセキュア対応について、プラットフォーム機体であるPF2をセキュア対応させたPF2-AE(Advanced Edition)をリリースし、セキュリティ対応ドローンを求める顧客要望に応えてまいります。また、既に開発や量産などを行っている4つの用途以外においても、実証実験を進めており、風力発電設備の点検や測量の分野において、用途特化型機体の開発に着手しております。 ESGの取組みについては、投資家、顧客、パートナー企業など多様なステークホルダーに対して、当社グループのヴィジョンと取り組みを体系的に紹介し、発信するために、当社初となる統合報告書を和文・英文で刊行いたしました。人材面においては様々なバックグラウンドを持った人材の採用を継続的に進め、ダイバーシティのさらなる強化を図っております。2022年12月末時点において、全従業員に対する外国籍の従業員の比率は約22%となっており、研究開発部門においては約50%のメンバーが外国籍となっております。今後も多様な働き方やキャリア形成を尊重し、多様性を活用し、競争力の強化を図っていきたいと考えております。 自律制御システムの他分野への展開については、地上走行ロボットの開発を行っているREACT株式会社(旧アイ・イート株式会社)への出資を行い、REACT株式会社が有しているロボット開発技術と当社グループが有している自律制御関連技術を組み合わせることで、より付加価値の高い製品開発を効率的かつ早期に実現し、製品技術の向上と事業の拡大を目指します。 海外ドローン市場においては、国内以上に経済安全保障への関心が高く、昨今の経済安全保障の状況により転換期を迎えております。特に当社グループが展開を進めているインドでは海外製のドローン完成品の輸入が禁止、アメリカではロシアや中国製のドローンが規制されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。当社グループはセキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することができる可能性が高く、需要の拡大を見込んでおります。 インド市場への進出については、現地パートナー企業との合弁会社(ACSL India Private Limited)にて、現地の生産拠点の整備、機体の販売に関する許認可の申請を進めております。2022年12月期において8,000万インドルピー(140,000千円相当)の大型案件を受注しており、今後も事業拡大を見込んでおります。 アメリカ市場では2022年にAUVSI XPONENTIAL 2022、Commercial UAV Expoの2つの世界最大規模の展示会に出展いたしました。展示会では、SOTENが経済安全保障ニーズに応え、点検・測量などで活用できると高評価を頂きました。また、展示会での顧客との関係構築により、2022年10月にGeneral Pacific, Inc.社など複数顧客先でロードショーを実施し、潜在顧客より実務適用が可能という評価とともに、購入意思が示されました。 また、当社は、2022年11月には国連専門機関である万国郵便連合(Universal Postal Union:UPU)の諮問委員会(Consultative Committee)に、ドローン関連企業として世界で初めて加盟するなど国際的なプレゼンスを高めてまいります。 このような中、当社グループは、2023年1月20日にCVI Investments, Inc.に対する第三者割当により、総額3,564,087千円(うち、2023年2月6日に新株式の発行により339,349千円、新株予約権付社債の発行により1,389,500千円及び新株予約権の発行により8,045千円の払込完了)の資金調達を決議しており、今後も新たな製品の開発や新たな市場への展開といった事業の成長に合わせて、継続的な資金調達を行っていくとともに、金融機関とも逐次協議を行い、事業の成長に伴い拡大する運転資金の確保に努めてまいります。第三者割当により調達した資金については、ドローン機体の開発・評価、海外事業の拡大及びソフトウエア開発に投資してまいります。 当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行ってきました。 また、海外展開に向けた投資としては、現地規制に対応する機体のカスタマイズおよび輸出規制への対応、加えて、販売体制の構築などを積極的に進めていく予定です。 当社が優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。 用途特化型機体の開発として小型空撮、閉鎖環境点検、煙突点検、中型物流の4つの用途にあわせた機体開発を進めてまいりました。用途特化型機体の大部分は開発投資が先行するフェーズを抜け、上市・初期市場対応を実施するフェーズに移行しつつあります。また、プラットフォーム技術の強化として、これまで取り組んできた自律制御技術の強化を引き続き進めるとともに、レベル4への対応として、無人航空機の安全性と均一性を確保するための認証制度である第一種型式認証取得を目指した取り組みを進めてまいりました。加えて、操作性を向上させる地上局のアップデートや外部ソフトウエア連携の開発などを行ってきました。今後は、既存製品の原価低減・品質改善に向けた開発を行いつつ、海外進出を目指し、輸出許可の取得や現地法規に対応可能となるための開発として積極的な先行投資を進めてまいります。 当社は安全品質を最優先事項と位置づけ、品質向上を目指して、社内体制の強化を進めてまいりました。機体の量産について、国内における高品質な組み立て供給が可能なパートナー企業との連携により、販売を開始した用途特化型機体の量産体制を構築しております。今後もパートナー企業との連携を進め、高品質かつ安定的な量産体制の構築を目指します。製品品質においては販売開始した製品について顧客からのフィードバックを受け継続的な改善を目指します。調達戦略としては、高騰している半導体・電子部品価格への対応として安価な半導体・電子部品へ設計変更などを実施することにより、価格高騰の影響を一定程度削減できる見込みです。 販売においては、セキュアな環境下での飛行を想定した国産の小型空撮機体を中心に、販売代理店網の構築を進め、用途特化型の機体の販売を軸に出荷機体の増加を目指します。また高品質、セキュリティ対応をしたプラットフォーム機体の販売拡大に加え、引き続き大企業を中心とした各分野の顧客に対し、業務効率化・無人化を目指した実証実験・カスタム開発の提供を推進してまいります。 海外市場については、経済安全保障による需要の増加を受けて、本格的な海外進出を展開いたします。インド市場においてはインドにおけるパートナー企業と連携し、日本メーカーである優位性を活用するとともに、政策に合致するよう現地生産を行い、インドでのマーケティングを本格化させていきます。また、アメリカ市場についても、極めて強い経済安全保障ニーズに応えるべく本格進出に向けた市場調査や規制対応などの準備を進めてまいります。 ドローン関連業界を取り巻く大きなトレンドとしてのレベル4の規制整備、セキュリティへの対応について、規制の変化に対応し、拡大が見込まれる需要に対応すべく、規制整備に関連する国土交通省、経済産業省などの行政機関と引き続き、密な連携を図ってまいります。 加えて、海外市場への進出においては現地規制当局との連携も進めてまいります。 当社は、取締役会の監査・監督機能をより一層強化し、更なるコーポレートガバナンスの充実を図っていくため、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行いたしました。監査等委員である取締役、内部監査室及び監査法人とより密接な連携を図ることで、内部統制システムの適切な運用を進めてまいります。 当社グループでは、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、研究開発費を特に重視しております。また、当社グループの事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、用途特化型機体の量産モデルを想定した上で、用途特化型機体の用途数、出荷台数、また、ソリューションの作りこみとして、概念検証(PoC)及びカスタム開発におけるプロジェクトの案件数、機体の出荷台数があげられます。研究開発費においては、外部パートナーを有効活用することにより、当社グループとしてのコア技術であるSLAMを含めた大脳・小脳の自律制御開発を推進するとともに、今後のレベル4対応等に向けた開発投資を積極的に進めていく予定です。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は取締役及び監査等委員である取締役を構成員とする危機管理委員会にて、主要なリスク発生の可能性及び対応などを検討しております。 また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しておりますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅するものではございません。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 ① ドローンが社会利用されるにつれ、飛行への信頼性も強く求められます。当社グループに限らず、他社においてもドローンに関する重大な墜落事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があり、その場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 ② 当社グループでは、事故を起こさずに、人と安全に共生するドローンの実現に努めております。リスク分析などに基づく本質的な安全設計を進めるとともに、当社グループが有する技術を活用することで、GPSが届かない環境下や悪天候の中でも、安全に飛行できるような機体を開発しておりますが、万が一、当社グループの製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、重大な製造物責任賠償やリコールによる多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。その上で万が一に備え、保険会社との連携を深め、重大な事故の際の賠償責任、費用発生をカバーするためのドローン機体及び運用について専用の保険の開発を行っております。 ③ 昨今、ドローンに対して、5Gと同様に、データセキュリティ・乗っ取り防止といった利用面における安全性の意識が高まっております。当社グループでは、データセキュリティに関連する部品選定において安全性を重視し、また、通信暗号化等による乗っ取り防止等ドローン側のセキュリティ技術の高度化に取り組んでおります。さらに、情報セキュリティマネジメントシステム認証のISO/IEC27001を取得しております。なお、ソリューション・パートナーの選定、顧客への直接的な取引により当社からの販売先は全て特定可能な状態です。しかし、悪意のあるハッカー等によりセキュリティが崩された場合においては、機体が操縦不能となることにより人や財産等に損害を与えたり、データ漏洩により利用者へ被害等が発生したりする可能性があり、重大な製造物責任賠償やリコールによる多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当社グループの事業を規制する主な法規制は、以下のとおりであります。 航空法については、当社グループがドローンを飛行の禁止空域で飛行させること及び所定の飛行の方法によらず飛行させることに関して、同法に基づく許可・承認を得ております。なお、2022年12月5日より無人航空機の新制度が開始され、有人地帯(第三者上空)での補助者無し目視外飛行であるレベル4飛行が可能となりました。 電波法については、ドローン操縦時における1.2GHz帯画像伝送に関して、同法に基づき一般業務用の無線局(携帯局)の免許を取得しております。また、ドローン映像伝送用の5.7GHz帯の免許を端末毎に開局しております。 製造物責任法については、当社グループはドローン等の製品を製造しているため、当社製品の欠陥等が生じたことによって生命、身体又は損害を被ったことを被害者が証明した場合、損害賠償請求が認められる可能性があります。リスク軽減に向け外部のテクニカルライターによる取扱説明書のレビューや、保険会社との連携を進め、専用の保険の開発を行いました。また、品質マネジメントのISO9001の認証取得や一般社団法人日本産業用無人航空機工業会(JUAV)による機体認証を取得しております。加えて、2023年3月13日に無人航空機の型式認証制度において、第一種型式認証書を日本で初めて取得しております。 外国為替及び外国貿易法については、当社グループが販売する製品及び部品の一部は、規制の対象となる可能性がございます。そのため、当社グループが海外にむけてドローンの輸出、又は関連する技術の提供をする場合は、同法を遵守して適切な輸出管理に努めております。また、法令遵守において社内のみでなく、顧問弁護士等の社外の専門家も含めたチェック体制を構築しております。 当社グループは、当該規則の確認体制を構築して、法規制等の遵守に努めておりますが、今後、予期せぬ規制の制定・改廃が行われることや予定されている規制緩和が計画どおりに進まないことも想定されます。そのような場合に、当社グループが、当該法規制に柔軟に対応できない場合には、許認可・免許の取り消し等により、当社グループの活動が制限されることがあり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当社グループの事業に関連する特許権等の知的財産権について、これまで第三者より知的財産権の侵害に関する指摘等を受けた事実はなく、また、今後も侵害を防止するため、適切な管理を行っていく方針でありますが、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性や新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であります。 また、当社グループが保有する特許に関しては、当社グループの提供するドローン技術の内、必要な部分をカバーするものであり、それぞれ個別の特許が事業に与える影響がない又は軽微と考えておりますが、今後も、当社グループの事業拡大にあわせ、特許整備への投資を行ってまいります。 今後、当社グループが第三者との間の法的紛争等に巻き込まれた場合、弁護士や弁理士と協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該紛争に対応するために多くの人的又は資金的負担が発生するとともに、場合によっては損害賠償等の支払請求や製品等の製造及び販売の差止の請求等を受けることがあり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、生産活動や研究開発活動に必要な部品・部材等の多くを外部の取引先から調達しておりますが、取引先からの供給が中断した場合や製品需要の急増などによる供給不足が発生した場合には諸活動が制限され、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。特に、直近の世界的な半導体不足による部材の供給の遅れや価格の高騰が継続し、当社グループの計画通りの調達ができない場合には、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは、調達にあたっては、品質確認等の受入検品を慎重に実施しております。しかしながら、品質に問題が生じた場合や、調達品の調達先における生産体制及び品質管理体制に問題が生じる等、当社グループの事業運営に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、主要な取引先企業に対しては、生産・開発等の活動状況の確認のための監査を定期的に実施しております。 在庫については、製品計画、売上規模にあわせ、定期的に需要予測を見直し、最適量を維持してまいりますが、当初グループの想定よりも需要が異なることで発生する、在庫不足による機会損失や逸失利益、又は在庫過多による在庫管理費用や減損等の追加費用が発生する可能性があります。 当社グループでは、品質保証管理規程及び生産管理規程を設け当該規程に則り各種製品の製造、品質管理を行い、品質の保持、向上に努めております。 信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、保証期間内の製品の不具合の発生率が想定を上回った場合や不測の不具合の発生により、アフターサービス費用や無償修理費用、リコール費用等が発生する可能性があります。 当社グループは、引き続き製品の品質向上に努め、特に不具合に対する継続的な改良、不具合の起きにくい製品設計の推進、信頼性試験の導入を含め、開発時、出荷前の試験強化、製品へ非常時対策の機能開発の継続、飛行・機体管理等の運用のルール化、顧客クレーム・故障・墜落等に対する処理プロセス等について強化してまいります。なお、当社製品の欠陥等が生じたことによって生命、身体への被害、又は損害を被ったことを被害者が証明した場合、製造物責任法に基づき損害賠償請求が認められる可能性があります。これらのリスクへの対応が長期化し、当社グループが加入する保険でカバーできる範囲などを超えた場合などは、当社グループの事業活動に支障が生じ、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主要な経営指標等の推移は「第1企業の概況 1主要な経営指標等の推移」のとおりであります。今後、顧客のニーズとのミスマッチや流行の変化、競合の出現、景気の変動、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限等により販売量が期待を下回る可能性、また、顧客企業側での予算稟議、実行タイミングによっても、業績推移に影響を受ける可能性があります。 当社グループは、産業用ドローン市場の将来的な市場拡大のための技術開発に係る先行投資に注力してきたこと等から、損益について第1期から第7期及び第9期から第11期において損失を計上しております。また、様々な国家プロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおりますが、研究開発活動に係る補助金等の受領は管轄機関による監査を終えて金額が確定した後の入金となるため、研究開発活動を行うための資金は実施中に必要となり先行して研究開発費用が発生しております。 当社グループでは、上記のような先行する開発投資費用を上回る収益を確保すべく取り組んでおりますが、開発、販売活動に必要な人材の採用や育成が進まない場合や、当社製品が市場で受け入れられない場合等、事業展開が当社グループの計画どおりに推移しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、2013年11月に設立されており、社歴の浅い会社であります。したがって、当社グループの過年度の経営成績は期間比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。 当社グループは、継続的な成長のために、自律制御型ロボットシステムとしてドローンのハードウエア及びソフトウエアの研究開発に取り組んでおります。新製品又は新技術の開発のために不可欠な研究開発活動を継続していく必要があるという考えの下、これまで積極的に研究開発費に係るコストを投下してきており、今後も継続して研究開発活動を促進していく方針であります。当社グループは、売上高の伸長によって、持続的な利益やキャッシュ・フローを創出できる体制を構築する方針ですが、テクノロジーの進化が早く、当社グループがそれらのテクノロジーの進化に追随できない場合や当社グループが顧客や市場からの支持を獲得できる新製品又は新技術が投入できず、研究開発活動の効果が十分に得られない場合に、想定以上の投資に係る費用が発生する場合があります。その場合には、当社グループが目指す計画が達成できない可能性や営業損益等の黒字化に時間を要する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、2022年1月に中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」を策定し、社内外のステークホルダーとともに、全当事者が一丸となって顧客価値の創造、企業価値の向上に取り組んでおります。引き続き中期経営方針の下、事業環境の変化やその他要因に柔軟に対応しながら事業を推進してまいりますが、「事業等のリスク」に記載のリスクを始めとする様々な要因により、結果として中期経営方針で掲げる数値目標が未達となる可能性があります。 当社グループは、主に大企業向け又は官公庁が関連するプロジェクトにおいてドローンの機体販売や概念検証(PoC)サービスの提供を行っており、受注から納品、検収までには一定の期間を要すること、及び多くの顧客における会計期間の年度末が3月であり、これら顧客の予算費消サイクルが会計期間の後半に偏る傾向があることから、四半期会計期間毎の業績について、当社グループにおける会計期間の第1四半期及び第4四半期の売上高の比重が高くなる傾向にあります。このような業績の季節変動により、当社グループの一時点における業績は、通期業績の分析には十分な情報とならないことがあります。当社は、通期業績の透明性向上を図るために、第10期から決算期(事業年度の末日)を従来の3月31日から12月31日に変更しております。 なお、2022年12月期の四半期連結会計期間ごとの売上高の推移は以下のとおりです。 実証実験、プラットフォーム機体販売及び用途特化型機体販売のいずれにおいても、検収基準を採用しております。実証実験について、主に大型案件に関する成果物の個別性が高い傾向があります。原則として、顧客の要求する仕様を満たしていることを顧客が検収をした時点で売上計上しておりますが、案件の個別性により当初の予定よりも検収が遅れた場合には、売上計上が遅れることになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。加えて、当社グループが参画する国家プロジェクトによる収入については、案件の内容に基づき、売上計上または営業外収益として計上しておりますが、案件の個別性により当社グループが想定している区分での計上が認められない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 また、検収時期が期末日付近に予定されている案件において、天候不順や顧客側の事情によりその実施時期が翌連結会計年度に延期されるような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループの主な事業は、部品仕入、開発、製造、販売、検収、資金回収という事業フローのため、事業拡大に連動して運転資金が増加する傾向にあり、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる場合がございます。また、当社グループでは、最先端の技術開発に取り組むため産学官連携で様々なプロジェクトに参画しており、国からの補助金や助成金を受領しております。当該補助金等の受領は、管轄機関による監査を終えて金額が確定した後の入金となりますが、研究開発活動を行うための資金は実施期間中に必要となり、先行して研究開発費用が発生します。 収益体質の改善による利益の確保や運転資金の効率化等、運転資金の確保に努めるとともに、金融機関とは逐次協議を行い、事業の成長に伴い拡大する運転資金の確保に努めてまいります。資金調達が必要になった場合には金融機関からの借入れ等を行うことがありますが、金融機関からの与信の変更による借入可能額の減少や市場金利の上昇により資金調達コストの増加等が発生した場合においては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループは、ドローン機体の開発・評価、海外事業の拡大及びソフトウエア開発への投資資金として、2023年1月20日にCVI Investments, Inc.に対する第三者割当により、総額3,564,087千円(うち、2023年2月6日に新株式の発行により339,349千円、新株予約権付社債の発行により1,389,500千円及び新株予約権の発行により8,045千円の払込完了)の資金調達を決議しております。 当社グループは、海外市場における事業拡大のため、アジアやアメリカなどを中心に海外展開をすすめるべく、現地企業との業務連携をしております。インドにおいては現地企業と合弁会社を設立しており、アメリカにおいては子会社を設立しております。しかし、現地における予期しない社会的および政治的変動、税制または税率の変更などその他経済的状況の変動があった場合、それらの事象は当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外展開に伴い、外国企業からの部品調達及び外国企業への当社製品又は技術の販売等に関し、輸出入規制、環境保護規制をはじめとした各国又は各経済圏における政策及び法規制の変更があった場合にも、当社グループの事業展開に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、成長戦略の一環として、海外企業も含めた企業買収、業務提携、戦略的投資につき、積極的に検討をすすめる方針としております。また、当社グループはコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)としてACSL1号有限責任事業組合を設立しております。当社及びCVCからの投資等については、投資リスク等を十分勘案したうえで決定し、投資価値の回収可能性を定期的にチェックいたしますが、経営環境・前提条件の変化等の理由により投資先の財政状態及び経営成績が悪化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、投資等に伴い計上される資産については、今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、減損損失を計上する可能性があります。 当社グループは、2022年12月31日現在の従業員数が71名と小規模組織で運営しており、内部管理体制も組織規模に応じたものとなっております。 当社グループの人員の中心となる開発に関わる人材については、グローバルで最先端な知見を有する人材を獲得するために、国内だけでなく海外も含め、幅広い人材プールを採用の対象として積極的な採用活動を実施しており、今後の事業の拡大及び多様化に対応して、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、計画どおりに人員の強化が出来ない場合や、事業の中核をなす人材に不測の事態が生じ業務遂行に支障が生じた場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、販売した機体の不具合等、予期せぬトラブルが発生した場合又は取引先との関係に何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、予測不可能な地震、津波、暴風雨その他の自然災害、火災や停電等の事故、疫病の流行、コンピュータウィルスに起因する情報システムの停止、テロ行為等の違法行為などにより事業活動の停止等に備え、BCP(事業継続計画)を策定しております。しかし、事業活動の長期間に渡る停止や施設の改修に多額の費用が発生した場合、事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考えており、設立以来配当を実施しておりません。今後の配当方針については、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。 現時点において当社グループは、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財政状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。しかしながら、配当実施の可能性及びその実施時期等については、本書提出日現在において未定であります。 新型コロナウイルス感染症について、政府による緊急事態宣言の発令等により経済活動が抑制される状況は、今後減少していくものと予想しております。当社グループは、リモートワークを活用するなどしておりますが、当社従業員や顧客先、取引先において、一時的な新型コロナウイルス感染症の蔓延等により、事業活動の低下、サプライチェーンなどに影響が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当社は、2021年6月24日開催の定時株主総会において、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる前連結会計年度は、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となりますので、経営成績に関する前年同期比については記載しておりません。 当連結会計年度末における資産合計は、4,976,675千円となり、前連結会計年度末に比べ738,509千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が1,403,705千円減少、売掛金が321,397千円、仕掛品が175,584千円、原材料が275,937千円それぞれ増加したことにより流動資産が前連結会計年度末に比べ604,433千円減少したこと、及び投資有価証券が285,489千円減少したことにより固定資産が前連結会計年度末に比べ134,076千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における負債合計は、2,037,893千円となり、前連結会計年度末に比べ1,742,127千円増加いたしました。これは主に買掛金が553,630千円、短期借入金が1,000,000千円それぞれ増加したことにより流動負債が前連結会計年度末に比べ1,716,476千円増加したこと、及び繰延税金負債が25,650千円増加したことにより固定負債が前連結会計年度末に比べ25,650千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における純資産合計は2,938,782千円となり、前連結会計年度末に比べ2,480,636千円減少いたしました。これは主に資本金が4,520,260千円減少、資本剰余金が835,189千円、利益剰余金が1,108,232千円それぞれ増加したことによるものであります。 この結果、自己資本比率は57.1%(前連結会計年度末は94.0%)となりました。 当連結会計年度の売上高は、1,635,192千円となりました。これは主に既存顧客を中心にした実証実験、機体販売及び国家プロジェクトの実施によるものであります。 当連結会計年度の売上原価は、1,759,404千円となりました。これは主に実証実験と機体販売に関わる材料費、外注加工費によるものであります。 その結果、売上総損失は、124,212千円となりました。 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,079,484千円となりました。これは主な費目として研究開発費として1,168,758千円、人件費等によるものであります。 その結果、営業損失は2,203,696千円となりました。 当連結会計年度の営業外収益は、39,200千円となりました。これは主に国家プロジェクトに係る助成金収入の計上によるものであります。 当連結会計年度の営業外費用は、9,734千円となりました。これは主に持分法による投資損失の計上によるものであります。 その結果、経常損失は2,174,230千円となりました。 当連結会計年度において、投資有価証券評価損408,865千円を特別損失として計上したこと、及び法人税等10,093千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,591,834千円となりました。 なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,403,705千円減少し、1,356,252千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 なお、決算期変更に伴い、経過期間となる前連結会計年度は、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となりますので、前年同期比については記載しておりません。 営業活動の結果使用した資金は、2,148,199千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,583,096千円を計上したことによるものであります。 投資活動の結果使用した資金は271,208千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出110,884千円、無形固定資産の取得による支出127,090千円によるものであります。 財務活動の結果得られた資金は1,013,910千円となりました。これは主に、短期借入金の純増減額1,000,000千円によるものであります。 当社グループの生産品はその大部分が生産後すぐに顧客のもとへ出荷されているため、生産実績は販売実績とほぼ同額となります。従いまして、生産実績の記載を省略しております。下記c.販売実績をご参照ください。 当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、売上高の主な内訳別に記載しております。 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、売上高の主な内訳別に記載しております。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 経営成績に特に重要な影響を与える要因については、以下のとおりであります。 当社グループに限らず、ドローンに関する重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があります。当社グループでは、事故を起こさないよう、安全性第一のドローンの実現に努めておりますが、万が一、当社グループの製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償、リコールによる支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。製品の信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、新型コロナウイルス感染症について、政府による緊急事態宣言の発令等により経済活動が抑制される状況は、今後減少していくものと予想しておりますが、当社従業員や顧客先、取引先において、一時的な新型コロナウイルス感染症の蔓延等により、事業活動の低下、サプライチェーンなどに影響が生じることも考えられ、影響の度合いによっては、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、世界的な半導体不足による、部材の供給の遅れや価格の高騰については、当社の機体生産に影響を与えており、今後も半導体を始めとする部材の供給不足や価格高等が継続する場合には、用途特化型機体の量産等および当社の研究開発活動に影響を与え、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 その他、経営成績に重要な影響を与える要因については「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金等により充当することとしております。 なお、当社グループの資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 当社グループは、自律制御技術を始めとした最先端のロボティクス技術を追求し、それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しており、各分野のコアクライアントとなるパートナー企業とのプロジェクトを通じ、各種用途の産業向けドローン・ソリューションを構築し、実際の経済効果を生み出すドローン用途を創出していくことを経営の基本方針としております。 この基本方針を踏まえ、ドローン機体の販売拡大及びシステムインテグレーション、ソリューション構築を通じたドローン機体の利用拡大による売上高の拡大を企図しております。 経営者は、事業を拡大し、継続的な成長を実現するために様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、それらの課題に対応するため、常に事業環境についての情報を入手し、戦略の策定、顧客ニーズの把握、製品力の強化、企業規模の拡大に応じた内部管理体制・組織の整備を進め、企業価値のさらなる向上を目指して取り組んでおります。 なお、経営者の問題認識と今後の方針についての具体的な内容は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 該当事項はありません。 当社グループは、自律制御型各種ロボットシステム(ドローン等)のハードウエア及びソフトウエアの研究開発に取り組んでおり、当連結会計年度は、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行ってきました。 2022年12月31日現在、当社の研究開発活動は、研究開発ユニットにおいて、最高技術責任者(CTO)以下39名の体制で実施しております。 当事業年度の研究開発費の総額は1,168,758千円です。主な研究開発の内容は、用途特化型機体に関する研究開発として、小型空撮機体における外部ソフトウエアとの連携・LTE通信対応、煙突点検機体の専用地上局アプリケーションの開発、物流専用機体(AirTruck)の量産体制構築、レベル4対応機体の開発を行っております。その他、プラットフォーム機体(PF2)のセキュリティ対応(PF2-AEの開発)、地上局アプリケーションのアップデート、飛行中の通信処理の向上とセキュリティ対応、無線通信モジュールの開発、海外への事業展開に向けた現地への規制対応の開発などを進めております。 なお、当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
株式会社ヨンドシーホールディングス
# 株式会社ヨンドシーホールディングス 当社グループは、㈱4℃ホールディングス(当社)及び子会社8社で構成され、その主な事業内容は、「4℃」(ヨンドシー)ジュエリーを中心としたブランドSPA事業、ODMを中心としたアパレルメーカー事業、ホールセール事業、ディベロッパー事業及びリテール事業であります。 さらに、各事業に関する物流及び付帯するサービス業務等を行っております。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 グループの概要は以下のとおりであります。 セグメント別の概要は以下のとおりであります。 ㈱エフ・ディ・シィ・プロダクツ及びその子会社は、主にジュエリーを中心とした商品群において、企画・製造・販売の一貫したブランドビジネスを展開しております。その主なブランドは「4℃」、「Canal 4℃」(カナルヨンドシー)、「EAU DOUCE4℃」(オデュースヨンドシー))等であります。 ㈱アスティ及びその子会社は、アパレルや雑貨を核に、中国やベトナム、バングラデシュ等の海外生産基盤を強みに企画提案力のあるメーカー機能やアパレル機能を有し、大手アパレル、専門店及びGMSを主たるマーケットに事業展開しております。㈱アージュは、婦人服、服飾雑貨及び実用衣料品を中心とするリテール事業を西日本を中心に展開しております。 事業の系統図は、以下のとおりであります。 当社の役員が5名兼務しております。 資金提供されております。 当社の役員が2名兼務しております。 資金提供されております。 当社の役員が2名兼務しております。 資金援助しております。 当社の役員が1名兼務しております。 資金提供されております。 当社の役員が1名兼務しております。 資金提供されております。 資金援助しております。 当社の役員が2名兼務しております。 資金提供されております。 当社グループには、1974年に結成された労働組合があり、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(UAゼンセン)に加入しております。2023年2月28日現在の組合員数は1,182名であります。 なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、人間尊重の基本理念のもと、変革を恐れず、挑戦し続ける企業文化を大切にいたします。 を経営理念として掲げ、商品やサービスの提供を通して、人々の快適な生活づくりに貢献することを最大の使命と考えております。 また、顧客、社員、取引先、株主など私たちを取り巻く人々に対する責任を果たすため、一層の高収益企業を目指し、グループの結束力を一段と強化してまいります。 当社グループは、経営環境の変化に対し、当社グループの強みを最大限発揮することで、お客様の期待を越える商品・サービスを提供し、更なる成長を目指してまいります。中核であるジュエリー事業において、ブランド価値の更なる向上と収益力強化を図るとともに、アパレル事業にて出店拡大、既存店の成長を推し進めることで、強固な事業ポートフォリオの構築に取り組んでまいります。 また、信頼性の高い企業グループの構築に向け、サステナブル経営を実践し、内部統制機能の強化、株主への利益還元、利益成長に繋がる中長期的投資等を実行することにより、企業価値の更なる向上に取り組んでまいります。 当社グループは収益性の向上、投資効率、資金の有効活用等を実現するため、中期的な数値目標として、連結売上高450億円、のれん償却前当期純利益を用いて算出するROEにて8%以上、のれん償却前当期純利益を用いて算出する1株当たり当期純利益にて150円以上を掲げ、諸施策を実施しております。 流通業界におきましては、新型コロナウィルスによる行動制限の撤廃に伴い消費回復が期待されるものの、原材料高による企業収益の圧迫や物価高騰による消費者マインドの更なる冷え込みが懸念され、厳しい経営環境が続くことが想定されます。 そのような状況のなか、当社グループは、市場の変化への対応力を強化するとともに、競争優位性を確立するため、以下の課題に取り組んでまいります。 4℃は、ブランド価値の更なる向上と収益構造改革に取り組んでまいります。好感度を高めるためのプロモーションやコアターゲットの明確化を進めるとともに、商品力を強化し、「女性客の拡大」「ECの拡大」「顧客化の推進」に取り組んでまいります。一方で、ブライダル専門店の損益改善や組織の効率化を推進し、利益率を改善することで、グループの高収益を支える役割を果たしてまいります。 ㈱アージュは、出店戦略を推し進め2024年2月末までに100店舗体制の確立を目指します。出店により関西ドミナントの更なる深耕と関東の店舗数拡大を図ります。商品面におきましては、関東圏で通用する商品構成の確立や直貿・直流の拡大により商品力強化を図ってまいります。 アパレルメーカーは、コスト高が続く環境において、長年培ってきたバングラデシュにおける生産基盤の強みを活かし、主力取引先との取り組みを強化してまいります。 「企業価値の向上」、「グループガバナンス体制の強化」、「グループ人財育成の推進」、「DXの推進」により、企業の永続性に向けた強固な事業基盤を構築してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの主力商品であるジュエリーの主原材料は金・プラチナ等であり、国際市場商品であるため、流通価格及び為替市場の変動による高騰を販売価格に完全に転嫁できない可能性があります。 当社グループは、衣料品売上を国内の専門店や量販店の売上に依存しており、個人消費、衣料消費の動向に左右されることが考えられます。また、冷夏、暖冬等の気象条件が市場動向を大きく左右し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおける海外生産商品については、現地工場との直取引のウエイトが上がってきております。これの決済通貨はUSドルが主体となっており、円貨の対USドルレートの変動によっては経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 エフ・ディ・シィ・プロダクツグループの主力商品であるジュエリー等のファッション商品は、海外ブランドも含め多くの競合ブランドが存在しています。オリジナリティのある、高品質な商品とサービスの提供に全力を傾注してまいりますが、予測しえない競合状況が発生し、ブランド競争力が低下した場合、またブランドイメージが毀損された場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、バングラデシュを中心に、海外生産拠点の充実・強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの海外拠点において、政治・経済情勢の悪化、政変、治安の悪化、テロ・戦争等の発生により生産活動に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの小売店舗及び不動産施設は日本国内に所在し、事業展開を行っております。大地震等予測し得ない自然災害が発生した場合、当社グループの店舗及びその他の不動産施設に物理的に損害が生じ、当社グループの仕入活動や流通・販売活動が阻害され、その結果、当社グループの事業に支障が生じる可能性があります。また、当社グループの供給業者若しくは仕入・流通ネットワークに影響する何らかの事故が発生した場合も同様に、当社グループの事業に支障が生じ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、海外から商品調達を行っており、また、日本国内のほぼ全域において小売店舗を設け、事業活動を展開しております。感染症の拡大(パンデミック)が国内及び海外において発生した場合、生産活動や物流が停滞することや、国内の小売店舗が閉鎖される等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、プライバシーポリシー、特定個人情報取扱規程、個人情報管理規程、個人情報取扱細則等を策定し、コンプライアンスの重要性を含めて全社員に教育を実施するとともに、システムセキュリティについても常に高度化を図っております。しかしながら、以上のような対策を講じたにもかかわらず、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことで、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復いたしました。一方、急激な為替の変動や資源・エネルギー価格の高騰は、企業活動に大きな影響を及ぼしました。 流通業界におきましても、一部で消費回復の兆しは見られましたが、相次ぐ値上げの影響による節約志向の高まりから、先行き不透明な状況が続きました。 このような状況のなか、当社グループは、環境変化に対しグループの強みを最大限発揮することで、お客様の期待を越える商品・サービスを提供し、更なる成長に向け取り組んでまいりました。そして、信頼性の高い企業グループの構築に向けサステナブル経営を実践し、内部統制機能の強化、株主への利益還元、利益成長に繋がる中長期的投資等を実行することによって企業価値の向上に取り組んでまいりました。 その結果、当期の連結業績は、売上高395億8百万円(前期比3.6%増)、営業利益19億79百万円(前期比10.7%増)、経常利益23億42百万円(前期比2.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失の計上により11億49百万円(前期比22.9%減)となりました。また、重要な経営指標として定めている「のれん償却前営業利益」は24億76百万円(前期比8.4%増)となりました。 セグメント別の業績は、次のとおりであります。 ジュエリー事業は、売上高185億87百万円(前期比0.5%増)、営業利益13億56百万円(前期比13.3%増)となりました。 アパレル事業は、売上高209億21百万円(前期比6.6%増)、営業利益9億42百万円(前期比6.0%増)となりました。 財政状態については、次のとおりであります。 当連結会計年度の資産の合計は、前連結会計年度と比べて66億72百万円減少し、502億11百万円となりました。 当連結会計年度の負債の合計は、前連結会計年度と比べて19億69百万円減少し、119億96百万円となりました。 当連結会計年度の純資産の合計は、前連結会計年度と比べて47億3百万円減少し、382億14百万円となりました。 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ11億円減少し、当連結会計年度末には17億99百万円となりました。 当連結会計年度における営業活動の結果、資金の増加は31億3百万円(前連結会計年度比12億31百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益20億円や非資金項目である減価償却費7億70百万円があったことによるものであります。 当連結会計年度における投資活動の結果、資金の減少は23億71百万円(前連結会計年度比24億77百万円減)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出20億7百万円があったことによるものであります。 当連結会計年度における財務活動の結果、資金の減少は18億34百万円(前連結会計年度比18百万円増)となりました。これは主に、配当金の支払額17億86百万円があったことによるものであります。 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度末における流動資産は136億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が10億96百万円減少したこと等によるものであります。 固定資産は365億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億72百万円減少いたしました。主な要因は、投資有価証券が46億29百万円減少、のれんが4億96百万円減少したこと等によるものであります。 流動負債は58億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億25百万円増加いたしました。主な要因は、資産除去債務が2億8百万円増加したこと等によるものであります。 固定負債は61億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億95百万円減少いたしました。主な要因は、繰延税金負債が21億94百万円減少したこと等によるものであります。 純資産は382億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億3百万円減少いたしました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が39億66百万円減少したこと等によるものであります。 当連結会計年度は、繰延税金負債の減少等により自己資本比率が、前連結会計年度の75.4%から76.0%と増加しております。 当社グループは、営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローにて獲得した資金を主な財源としております。 その一方で、当社は国内金融機関からの借入について、相対での借入枠を十分に確保しており、将来にわたって必要な営業活動および債務の返済に備えるため、自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入により資金調達を図ります。 なお、国内グループ会社の資金については、当社にてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)による一元管理を行っており、必要に応じて資金を融通しております。 当社グループの当連結会計年度の資金は、前連結会計年度末に比べ11億円減少し、当連結会計年度末には17億99百万円となりました。当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローにて前連結会計年度末に比べ12億31百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローにて前連結会計年度末に比べ24億77百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローにて前連結会計年度末に比べ18百万円の資金の減少となりました。 当社は中期的な数値目標としてのれん償却前当期純利益を用いて算出するROEにて8%以上、のれん償却前当期純利益を用いて算出する1株当たり当期純利益にて150円以上を掲げております。また、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を客観的に判断するため、「のれん償却前営業利益」を重要な経営指標と位置付けております。 第73期は、のれん償却前営業利益24億76百万円となりました。のれん償却前当期純利益を用いて算出するROEは4.1%、のれん償却前当期純利益を用いて算出する1株当たり当期純利益は76.7円となりました。 国内のジュエリー市場は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことで、回復傾向に向かいました。また、株高や不動産高による恩恵を受けた富裕層を中心とした消費行動は活発化いたしました。 そのような状況のなか、ジュエリー事業を展開するエフ・ディ・シィ・プロダクツグループは、女性客拡大や顧客化に向けた各種施策が奏功し、ファッションジュエリーが堅調に推移いたしました。また、サイトをフルリニューアルしたEC事業の売上高も順調に拡大いたしました。一方、業績の苦戦が続いているブライダルジュエリーについては、店舗集約による効率化と都市型店舗への大型投資に着手いたしました。 その結果、売上高は185億87百万円(前期比0.5%増)、営業利益は13億56百万円(前期比13.3%増)となりました。 国内のアパレル小売市場は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことで、一部で回復の兆しが見られました。一方で、資源・エネルギー価格の高騰や急激な円安が進行する中、実質賃金の伸び以上に物価が上昇する状況が続いたことで、衣料品販売にとっては厳しい消費環境が続きました。 そのような状況のなか、デイリーファッション「パレット」を展開する㈱アージュは、既存店売上高が前期比2.1%増と伸長いたしました。また、関東初進出となる4店舗を含む10店舗の新規出店により、着実に規模の拡大が進みました。アスティグループは、円安や原材料価格高騰の影響を受ける厳しい環境にありましたが、海外の生産基盤を活かした主力取引先との取り組み強化が奏功し、売上高が拡大いたしました。 その結果、売上高は209億21百万円(前期比6.6%増)、営業利益は9億42百万円(前期比6.0%増)となりました。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表を作成するにあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社エリッツホールディングス
# 株式会社エリッツホールディングス 提出会社は、当社グループ全体の事務管理業務を集中的に行うことを目的として、2012年3月に設立しました。2012年10月には、提出会社を親会社として、株式会社エリッツ、株式会社エリッツ建物管理、株式会社エリッツ不動産販売、株式会社弁慶ひっこしサービスをそれぞれ100%子会社とするエリッツグループに組織再編を行っております。 提出会社の設立以降の以後の企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。 なお、提出会社の設立以前は、1986年10月、当社創業者である槙野常美が、不動産管理業を営んでいた既存企業のオーナーからの応援を受けて当該企業に賃貸マンション仲介部門を新設する形で京都市中京区において創業し、1989年5月には管理業務も開始しました。その後独立して1989年7月に現在の「株式会社エリッツ」の前身である「株式会社長栄ホーム」を設立いたしました。 「株式会社長栄ホーム」設立以後、提出会社の設立までの企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。 当社グループは株式会社エリッツホールディングス及び連結子会社6社により構成されており、不動産仲介事業、不動産管理事業、居住者サポート事業を営んでおります。なお、当該3つの事業区分については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と整合しております。 当社グループはグループ内に種々の業務を行う子会社を擁しており、相互の連携によりグループとしてシナジー効果が発揮されるよう努めております。 当社グループの事業内容及び当社と各子会社の位置付けは次のとおりであります。 当社が担当しております。具体的には以下の業務を行っております。 当社が各子会社に対し経営計画、事業企画等の経営指導を行うと同時に、人事・経理・システム・総務等の事務管理業務を集中受託して事務の効率化を図っております。 また、グループで使用する事務機器や車両等を当社が一括管理し各社にリースしております。 株式会社エリッツが賃貸マンション・アパート等の賃貸仲介を担っております。京都・滋賀を中心に近畿圏で57店舗を展開し、単身、ファミリーを問わず広く社会人層を中心に、学生層にも間口を広げて、当社保有の賃貸不動産、株式会社エリッツ建物管理がオーナーからお預かりしている管理物件といった当社グループの管理物件のほか、他社管理物件やオーナーが自ら管理する物件などの当社グループ管理物件以外の物件についても賃貸の仲介をしております。特に当社グループ管理物件の仲介におきましては、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。 株式会社エリッツが、当社への火災保険取次紹介、株式会社VASTへのインターネット接続・新電力・ガス・NHK加入取次紹介、室内消毒・引越等の業務を行っております。 株式会社エリッツ不動産販売が不動産売買仲介事業を担っております。一般住宅及び投資用マンションの情報収集をし、広告をして集客し、顧客に仲介をしております。 当社グループ管理物件のオーナーが、所有物件を売却又は新規購入される際には株式会社エリッツ建物管理から紹介を受け、株式会社エリッツ不動産販売がその売買仲介を行うことによりグループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。 当社は、京都市内に賃貸マンション8棟、商業ビル2棟、賃貸用店舗1軒を保有しており、自社使用のほか、267室の居室と12戸のテナントから家賃収入を得ております。競売情報や当社が収集した投資用マンション情報をもとに、利回りや当社グループの仲介力・管理能力とのシナジー等を考慮して物件を購入しております。購入した不動産については仲介事業から得た情報をもとに、顧客需要を満たすようにリノベーションを行い、入居率100%を目指しております。株式会社エリッツが賃貸仲介し、株式会社エリッツ建物管理が管理を行っておりますので、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。 不動産開発事業においては、競売情報や株式会社エリッツ不動産販売が入手した情報をもとに再販可能性を慎重に検討し、物件を厳選して購入しております。購入後は当社が当社グループのノウハウを生かし、時代のニーズに沿った投資用マンション等を企画・計画し、改装や建設は専門業者を利用しますが、株式会社エリッツの仲介力を生かした満室引渡しや、株式会社エリッツ建物管理によるメンテナンスサービスの提供など、他社には真似のできない賃貸マンション経営に関するワンストップでのトータルサービスを提供することで、グループ全体のシナジー効果が発揮される事業であります。また、不動産特定共同事業も当社が企画して、当社、株式会社エリッツ、株式会社エリッツ建物管理及び株式会社エリッツ不動産販売が協働してワンストップで行っておりますので、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。 ELITZ INTERNATIONAL MALAYSIA SDN.BHD.(以下、エリッツインターナショナルマレーシアという。)が、マレーシア・クアラルンプールで不動産賃貸、売買の紹介及びマンスリー・ウィークリーマンションの運営、管理を行っております。最近まではコロナ禍の影響もあり、一時的に事業が停滞しておりましたが、元来、日本人の旅行先、リタイア後の移住先として人気の地域であることから、引き続き市況把握と事業基盤構築等、アフターコロナを見据えた取組みを展開しております。本事業は当社とエリッツインターナショナルマレーシアが協働して行っております。 株式会社エリッツ建物管理は管理物件の保守管理や入居者管理を担っております。建物の保守管理では大型改装工事や日々の小規模修繕工事、エレベーター保守や日々の清掃などの維持管理を行っております。入居者管理では入居者からの問い合わせ対応や家賃等の収納・集計管理、契約更新手続きなどを行っております。また、入居者が退去される際の改装工事を元請けとして行っております。 株式会社ARC建物管理は分譲マンションの保守管理や、マンション管理組合の運営サポートを行っております。 建物の保守管理では大型改装工事や日々の小規模修繕工事、エレベーター保守や日々の清掃、ごみの収集、植栽などの維持管理を行っております。管理組合の運営サポートでは理事会の運営サポートや管理費の集金管理などを行っております。また、清掃事業も担っており、自社の管理物件のほか、株式会社エリッツ建物管理から業務委託を受け、同社管理物件の清掃業務を行っております。 当社グループ各社にて契約いただいたお客様(管理物件のオーナー、入居者、物件購入者)に対し、火災保険等の損害保険を中心に勧誘を行っております。当社は提携保険会社に対する窓口としてグループ各社の勧誘・募集結果のとりまとめ、事故発生時の対応、事務処理を受託しております。グループ各社における保険契約の勧誘・募集が保険代理店収入となり、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。 当社グループの管理物件入居者に係る家賃等の滞納保証を行う事業であり、顧客への勧誘は主に株式会社エリッツが、顧客の審査、家賃の収納やオーナーへの引渡しは株式会社エリッツ建物管理が行い、当社は家賃保証会社との事務処理のほか、自社資金による滞納保証業務も行っており、グループとしてシナジー効果が発揮される事業であります。 居住者に安心と利便性を提供するため、専門業者と提携し、REサポート(24時間、365日駆けつけサービス)等の入居後サービスを行っております。 株式会社VASTはコールセンター事業を担っており、株式会社エリッツから賃貸仲介で契約されたお客様の紹介を受け、インターネット契約、電気・ガス・NHK受信契約などの取次を行っております。 また、不動産業者向けの顧客管理システム「バストレージ」の開発及び販売、顧客管理システムと連動させることで顧客情報を確認しながら電話対応ができ、円滑なコミュニケーションを実現する「AI VASTシステム」のOEM販売を行っております。 株式会社エリッツは「弁慶ひっこしサービス」というブランド名で引越事業を行っております。主に株式会社エリッツの賃貸仲介でお部屋を契約されたお客様に引越、引越に伴う中古家電等の処分・売買、遺品整理などのサービスを提供しており、一般貨物自動車運送業、古物商の許可を取得して行っております。 また、環境にやさしく、京都ならではの観光客需要に応えられるだけでなく、賃貸マンション居住者の利便性が高まることで当社グループ管理物件の魅力向上にもつながるため、賃貸仲介においてもシナジー効果が期待できるシェアサイクル事業を2022年9月期からスタートしております。 不動産仲介事業においては現在、当社グループの基幹システムとして賃貸仲介システム(バストレージ、不動産ポータルサイトとの自動連携、空室情報更新、契約管理、全店舗情報共有、顧客管理などを行う)を駆使することにより、賃貸仲介の業績を左右する反響数、反響来店率、応対決定や成約率の向上を図っております。 また、この基幹システムにより、未経験者が短期間で戦力化できており、新規店舗の出店に際しても基幹システムにネットワークを接続することで瞬時に情報が共有できるなど、速やかな店舗立上げが可能になっております。 当社グループの基盤である京都・滋賀エリアの賃貸住宅需要については、学生数も多く、今後も底堅いニーズが期待できる状況であり、現在、当社は京都・滋賀エリアにおいて48店舗を有しておりますが、さらなる成長を目指し、近隣他府県エリアへ店舗網の展開を進め、すでに大阪・奈良へは拡大中であります。テレビやSNS、インターネット広告の充実、社宅代行会社からの依頼拡大等も含め、新規エリア需要の獲得や京都・滋賀エリアにおけるさらなるシェア拡大に努めております。 不動産管理事業においては現在、自社ビルを除き26,000戸以上の管理戸数を有しており、その入居率は直近2連結会計年度において約95%の水準を維持しております。この入居率を維持できている理由は、株式会社エリッツの仲介力の強さにあります。自社管理物件の入居者のうち約9割が株式会社エリッツの仲介によるものであり、この仲介率がそのまま約95%の入居率となって表れております。この水準の入居率を維持できる自社仲介力は管理戸数拡大において賃貸不動産オーナーの判断基準に大きな影響があります。また、当社グループの最近の毎年の仲介件数における自社管理物件の割合は約20%に過ぎず、残りの約80%はオーナーが自ら管理する物件や他社管理物件を仲介しておりますので、当社グループ管理物件が今後、相当数伸びたとしても現在の仲介力をもって入居率を維持することが可能であり、管理戸数拡大を継続できると考えております。 居住者サポート事業は、保険会社や滞納保証会社、インターネットプロバイダー、新電力会社などの当社グループ業務提携先が直接サービス提供主体となるため、小口多数の取引の集積でありながら、当社グループにおいては低コストで運営でき収益性が高い事業であります。他方、本事業自体が独立して成立するというよりも、不動産仲介事業や不動産管理事業と相俟って多数の顧客情報や居住者ニーズを取込んで付加価値をつける事業であり、不動産仲介事業での仲介件数の伸びや当社グループ管理物件戸数の伸びが事業成長の重要な要件となります。 当社より設備の貸与を受けております。 当社より設備の貸与を受けております。 当社より設備の貸与を受けております。 当社より設備の貸与を受けております。 当社より資金を貸与しております。 当社より設備の貸与を受けております。 当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 提出会社並びに(株)エリッツ以外の連結子会社5社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく公表義務の対象ではないため、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての記載を省略しております。 連結子会社(株)エリッツは、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表項目のうち、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異を公表項目として選択していないため、記載を省略しております。また、(株)エリッツは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率の記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 当社グループは、『安心・安全・癒し・環境』をテーマに暮らしを提案し、質の高い情報とサービスにより、夢のある住空間とゆとりある生活の実現に貢献することを企業理念とし、100年以上続く企業を目指しております。 このため、お客様が孫やひ孫の代になっても、当社グループとの出会いを喜んでいただけるような本物の商品やサービスを提供し続けられるよう、本物を目指し、人作りや商品作り、また仕組作りに励んでまいります。 これらを踏まえて当社グループの経営方針を以下のとおり定めております。 当社グループの基幹事業である、不動産仲介事業、不動産管理事業及び居住者サポート事業における経営環境の認識は以下のとおりであります。 当社グループにおける不動産仲介事業は、主に賃貸仲介事業と不動産売買仲介事業から構成されますが、不動産売買仲介事業の売上・利益は僅少であるため、ここでは主に賃貸仲介事業に関して記載いたします。 賃貸仲介事業は、2019年末に発生した新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、新規の学生の単身マンションや転勤等に伴う住み替え等の需要が減少しはじめ、2020年秋頃からその影響を大きく受けております。当社グループは京都府近郊を主要な事業エリアとしておりますが、京都府の学生数については横ばいでの推移となっており、今後も底堅いニーズが期待できる状況であります。 他方、京都府の人口は漸減傾向にあり、当社グループの主要顧客である単身者、ファミリー層の需要が減少していくものと考えられます。このため、今後は京都・滋賀地区という既存事業エリア内でのシェアの拡大と大阪・奈良地区を含めた他府県への事業エリアの拡大に努めていきたいと考えております。そのためには、店舗数の拡大、学生をターゲットとしたTV広告の充実、県外からの転居や同一地域内での転居、転勤に利用される社宅代行の使用等も含め、需要の獲得に努めていく必要があります。 なお、過去数年間におきましては、新型コロナウイルス感染症が当社グループに与える影響に大きいものがありましたが、コロナウイルスに対する一般市民の反応状況も落ち着いてきておりますので、あくまで一過的な要因であったと考え、現時点におきましては基本的に経営方針・経営戦略等を見直す必要はないと判断しております。 当社グループにおける不動産管理事業は、賃貸マンションの管理事業と分譲マンションの管理事業に分かれますが、分譲マンションの管理事業は売上・利益が僅少であるため、ここでは賃貸マンション管理事業に関して記載いたします。 当社における賃貸マンション管理事業は、賃貸マンション経営をされているオーナー様からそのマンションの管理を受託し、共用部分の管理・清掃、家賃の収納代行、家賃保証、長期修繕計画の提案等を行っており、入居者の退去後は、改装・リフォーム等の工事を受託しております。 また、建物自体の築年数が経過することで、設備の老朽化や時代のニーズにそぐわなくなること等により需要が減退していくことは避けられませんが、当社グループの管理物件であるか否かを問わず、積極的に改装等の提案を行うことにより、リノベーションサービスの拡大に努めております。 居住者サポート事業は、本事業自体が独立して成立するというよりも、不動産仲介事業や不動産管理事業と相俟って多数の顧客情報や居住者ニーズを取込んで付加価値をつける、というのが当事業の本質であります。このため、不動産仲介事業での仲介件数の伸びや当社グループ管理物件数の伸びが事業成長の重要な要件となります。 また、引越事業、シェアサイクル事業、自社保証事業及びソフトウエア開発・販売を除けば、当社グループ自身が直接サービス提供主体となるのではなく、保険会社や滞納保証会社、インターネットプロバイダー、新電力運営会社ないしその代理店などの当社グループの業務提携先が直接サービス提供主体となるため、小口多数の取引の集積でありながら、当社グループにおいては低コストで運営できる収益性の高い事業であります。 他方で、特に新電力関係に見られたように、外部環境の変化により大きく影響される傾向がありますので、先ずは賃貸仲介件数と管理物件数の拡大を着実に進めることに努めるとともに、新しいサービスの取込みを進めてまいります。 当社グループの中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)における戦略テーマは、「管理拡大」、「仲介拡大」、「財務体質の強化」の3つであり、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、①管理物件数(戸数)、②仲介件数並びに③財務指標としての資産合計、自己資本比率及び総資本経常利益率を重視しております。 管理物件数(戸数)は不動産管理事業における事業計画の進捗度合の把握・分析のため、仲介件数は不動産仲介事業における事業計画の進捗度合の把握・分析のため、また、資産合計、自己資本比率及び総資本経常利益率は当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として活用しております。 当社グループは、今後の事業拡大及び継続的成長のために優先的に対処すべき事業上の課題を以下のとおり認識しております。 京都市内は京都市景観条例により、一部地域で新たに建設する建物の高さ制限が設けられています。これによりマンション等の老朽化や設備の経年劣化により、建替えを希望しても利回りの問題でそれが叶わない事態が生じております。このような事態に対して、株式会社エリッツ建物管理では、きめ細やかな管理を実現するため、当社独自の会員組織として「エリッツオーナーズクラブ」(1998年6月から)を開設し、総会(毎年10月)及び定例会(毎年7月)において、年間活動内容の報告やマンション経営のノウハウ・関連法令改正など近年変化する賃貸業界に関わる旬な情報をテーマにして専門家を招いた講演会やセミナー等を開催しております。また、地域毎にエリッツ建物管理スタッフとオーナー様による地域別研修会(毎年6月)を開催し、より具体的な情報交換などを行い、魅力ある商品作り、優良住宅の提供に対応しております。 これまでは京都市内や滋賀県を中心にして拡大戦略をとってまいりましたが、近年は飽和状態にあるため、現在は京都府下や奈良県、大阪府など他府県での出店を続けております。 京都市内を中心としたエリアでは、新型コロナウイルスの感染拡大やテレワークの普及により、密になりやすい都市部から郊外への移住を検討する人も増えており、高まる郊外の賃貸住宅需要を取り込み、事業領域を拡大していくために、郊外エリアにおいても優秀な人材の確保・育成に努めるとともに、既存店舗との共存を図る意味から店舗間の情報交換を密にし、京都府内でのシェア向上を目指しております。 さらに、滋賀エリアでは、JR沿線の駅前を中心に店舗展開しております。滋賀エリアは大阪・京都への通勤圏内であること、琵琶湖に隣接し居住環境に恵まれていることもあり、近年人口が増加傾向にあります。京都エリアでの当社の知名度を生かし、滋賀エリアでの需要を捉え、京都エリア店舗との連携を強化し、売上の向上を目指しております。 また、新たな市場の開拓を図るため、現在のエリアの延長線上にある奈良県や大阪府の北摂地域へも店舗展開を進めております。出店に際しては、候補地における競合店の出店状況を考慮し、周辺地域の賃貸物件の部屋数、賃貸人口を考慮し、出店の是非を判断することを基本方針としております。 当社グループは、従業員の目標設定、業績等の査定方法を明確化し、人事評価の適正化を図っております。また、急速なIT技術の進歩にあわせて、この変革のスピードに対応できるような人材を育成していく体制を整えることも急務であると考えております。今後はそれらを見据え、従業員一人一人の上昇志向と能力の向上を図っていく所存であります。 当社グループは、2020年7月に「プライバシーマーク」を認証取得して「個人情報保護マネジメントシステム」の適切な運用を行い、お客様からお預かりする個人情報を大切に取扱い、漏洩等が起こらない体制構築に取組み、お客様からの信頼を得ることに注力しております。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 エリッツホールディングスグループでは創業以来、「社訓」に顧客第一の精神に基づいた企業風土の構築を謳い、この精神に基づいた従業員一人ひとりの行動を通じて社会に貢献することを掲げています。そして、「質の高い情報とサービスにより、夢のある住空間とゆとりある生活の実現」「永続的な挑戦経営と価値ある利潤の追求」「働き甲斐があり自己成長のできる職場作り」という、お客様・従業員・社会に対する経営の基本姿勢を示し、持続可能な社会の構築に積極的な役割を果たします。 私たちは、グローバルな視点に立ち、本業を通じて社会・環境問題の解決に取組ます。私たちは、社会・環境問題の解決に向けて、エリッツホールディングスグループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルや革新的な商品・サービスの開発に取り組みます。 私たちは、お客様に商品・サービスの内容を十分にご理解いただけるよう、丁寧な説明や提案に努めるとともに、いただいたお客様のお声を迅速に業務改善や商品・サービス向上につなげます。 私たちは、お客様の情報について、万全の管理に努めます。 私たちは、お客様が主体的かつ合理的に不動産を通じて健全な資産形成ができるよう、行政やNPO等とも連携しながら、教育・啓発活動に取組ます。 私たちは、あらゆる法令等やルールを厳格に遵守し、社会規範にもとることのない誠実かつ公正な企業活動を遂行します。 私たちは、ステークホルダーとの健全かつ正常な関係を構築するとともに、公正な競争、企業情報の適切な開示等、社会の構成員としての責任をまっとうします。 私たちは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して毅然とした姿勢を貫き、また、組織的犯罪による不動産を利用した不正取引の防止に取組ます。 私たちは、省エネルギー・省資源等、自らの企業活動によって生じる直接的な環境負荷の低減に取組ます。 私たちは、あらゆる企業活動において、個人の人権、多様な価値観を尊重し、不当な差別行為を排除します。 私たちは、安全で快適な職場環境を実現するとともに、社員それぞれの多様な働き方を尊重し、ワーク・ライフ・バランスの実現に努めます。 私たちは、社員の能力開発に取り組むとともに、心とからだの健康づくりに努めます。 私たちは、企業活動を行うあらゆる地域において、さまざまなパートナーと協力し合い、事業活動や教育・文化事業等の社会貢献活動を通じて、地域社会の活性化や豊かな生活環境づくりを目指します。 当社グループでは、上記のサステナビリティに係る基本方針を、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に則して、今後、当社グループが具体的に対処すべき課題を明確にし、その具体的な対処法をリスク管理と持続的な成長実現の観点を含め、継続的に取組んでまいります。 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方」をご参照ください。 当社グループでは、現状、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制手続等の体制をコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。コーポレート・ガバナンスの体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。 当社グループでは、現状、サステナビリティ関連の戦略における喫緊の重要性を鑑みた記載事項はありません。なお、現状のガバナンス体制とリスク管理の範疇と体制の中で認識している事業上のリスクに関しては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 人材の育成及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。 当社グループでは、不動産事業を通じてゆとりある生活の実現をはかり、地域社会への貢献を実現するため、人材育成に取組んでおります。そのため人材の長所、短所を見極め、当社の事業に大いなる関心、情熱を抱き、当社に対する適性が満ち溢れている人材を育成するため、国籍・性別・新卒・中途・学歴などにとらわれることなく多種多様な人材が活躍できる環境を構築してまいります。そして、共通の価値観に基づくビジョンの実現に向けて、従業員一人ひとりの適性に合わせた知識やスキルの向上をサポートするとともにそのキャリアアップをはかり、それぞれの成長や考え方に合わせて誰もが力を発揮できる職場づくりを目指しております。 当社グループでは、お客様から何年たっても感謝され続けるサービスを提供し続けるためには、まず従業員自身が職場でも家庭でも健康的で豊かなゆとりのある人生を送ることが重要であると考えております。そのため従業員一人ひとりにとって働き甲斐があり自己成長のできる職場環境の構築と全従業員の生活向上を目指し、時短勤務や育児休暇をはじめとする様々な勤務体系や休暇制度を整備することで働きやすい職場環境づくりに取組んでまいります。 当社グループでは、現状、サステナビリティ関連のリスク管理における特別な体制、手続等に関して記載すべき事項はありません。現状のリスク管理は、コーポレート・ガバナンスの範疇と体制にて行われており、詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。 当社グループでは、現状、サステナビリティ関連の全般的な指標及び目標として記載すべき事項はありません。 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は次のとおりであります。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 当社グループの主たる事業は賃貸住宅の仲介事業であり、賃貸住宅市況の影響を直接的に受けております。従って、当該市況が低迷した場合、あるいはその低迷が長期化した場合には、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。少子高齢化はもとより、大学等のオンライン授業が定着化した場合、学生が単身にていわゆる下宿生活を行う必要性がなくなったり、また、企業においても、転勤による住まいの需要も滞り、地方移転を行う場合もあり、需要そのものが減少することが考えられます。このようなことが長期化すると、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 賃貸住宅需要は景気の動向やそれに伴う雇用環境等に影響を受けやすく、景気の後退やマンションの供給過剰等により、不動産市況が停滞あるいは下落した場合、賃貸住宅用不動産の入居率又は賃料水準が低下することが考えられます。この場合、当社グループの主たる事業である不動産管理事業において、管理物件に係る管理収入が減少します。また、不動産賃貸事業においては、地価動向等に伴い不動産価格が下落し、自社保有資産の価値が低下したり家賃収入が減少する等、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 不動産仲介事業においては、当社グループの事業展開エリアにおいて大手の競合他社が数社あり、競争激化による影響を受けやすい構造になっております。当社グループでは、他社に先駆けて導入した基幹システムやこれに付属する仲介関連システムを駆使することで、空室情報の自動更新なども可能になり、広告媒体へのより迅速な反映や顧客への迅速で正確な情報提供が行えるなどの優位性を有しておりますが、競合他社の動向によっては当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 不動産管理事業においては、既存競合他社が多数存在し、競争激化による影響を受けやすい業界構造となっております。当社グループは、不動産仲介事業による部屋付け力との相乗効果に加え、管理物件はもとより自社物件についても管理を行っているため、スケールメリットによる原価低減及びノウハウの蓄積等により不動産管理事業についても競争力を有しておりますが、競合他社の動向によっては当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 自社保有不動産の賃貸事業においては、不動産賃貸仲介業務と不動産管理業務の両方を行っているという当グループの事業特性から最新の顧客ニーズのトレンドを把握できることと、スケールメリットを生かした原価の低減を図ることで、リフォームやリノベーションにより競争力のある物件の提供が比較的安価で実現できるなど、十分に競争力を有していると自負しておりますが、賃料相場の値下げなど競合する物件の動向によっては当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主要な事業である賃貸仲介事業の顧客の中で、外国人留学生、訪日外国人観光客などの外国人顧客が占める割合が1%程度あります。これらの外国人顧客は、日本の留学生受入政策、観光政策、経済状況、為替相場の状況、外交政策による対日感情、自然災害、事故、疫病等の影響を受ける可能性があり、これらの状況の変化により外国人顧客が減少した場合、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 日本国内においては、少子高齢化が進んでおり、今後18歳人口の減少に伴い、学生数も減少していきます。しかしながら当社顧客層のうち、学生の比率は2割程度で推移しており、また同時に未婚率の増加や単身世帯が増加傾向にあり、単身者向けの物件の利用者は若年層(34歳以下)から、中年層(35歳~64歳)、高齢層(65歳以上)へと拡がっていることから、少子高齢化による影響は軽微であると想定されます。 当社グループは、主に不動産ポータルサイトに仲介物件情報を掲載することにより集客を行っております。広告宣伝費の支出に関しては、広告効果を測定し、最適な広告宣伝を実施するよう努めておりますが、不動産ポータルサイト内での検索結果や効果的な広告宣伝で売上高が大きく変動する場合があります。当社グループは、日常的に広告施策の効果を検証し、広告宣伝費の利用について適正に判断をしておりますが、当社グループの想定どおりに集客効果を得られない場合等には、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主要事業である賃貸不動産仲介事業は、不動産・建築等に関連する各種の法令や条例による規制を受けております。これらの改正や関連する各種税制の改正により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはコンプライアンス(法令遵守)に細心の注意を払って業務を行っておりますが、宅地建物取引業法及びガイドライン等に関し違反が行われた場合、行政処分等の制裁(たとえば営業活動の期限付き停止等の措置)により収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、現在は法令により貸主・借主双方よりの賃貸仲介手数料の合計額が上限として家賃の1か月分と規制されていますが、この上限が下方に改訂された場合、当社グループの業績及び財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 なお、本書提出日現在における当社グループの事業に係る許認可取得状況は次のとおりです。本書提出日までにこれらの許認可等の取消事由及び更新拒否事由は存在しておりませんが、今後何らかの理由により許認可等の取消等があった場合、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 不動産業界では公正取引委員会の認定を受けて、昭和38年に「不動産の表示に関する公正競争規約」を、昭和58年に「不動産業界における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」を設定しており、当社グループはこれら規約を遵守しておりますが、万が一規約に違反する行為が行われた場合は当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは宅地建物取引業者として法令の定めに従い、取引情報に関し守秘義務があり、2020年7月に「プライバシーマーク」の認証取得を受け、個人情報の秘密保持に努めて参りましたが、個人情報保護法に従い、情報セキュリティのさらなる強化を行っております。しかしながら、万が一個人情報の漏洩が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社の仲介関連業務である保険募集代理店業務の運営は、保険業法及び関連法令並びにそれに基づく関係当局の監督等による規制、元受保険会社の指導等を受けております。万が一保険業法及びその関連法令に抵触するような事態が発生した場合、代理店登録の取消しや、業務停止等の処分が行われ、それにより保険サービスが提供できなくなることで、当社グループの業績が悪化あるいはその低迷が長期化した場合には、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、法令遵守、サービスの品質・安全性の確保、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループを取り巻く環境や競合他社及び競合他社を取り巻く環境において何らかの問題が発生した場合、取引先、顧客の評価に悪影響を与え、それにより当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 不動産賃貸事業において、当社グループが不動産の取得を行うにあたっては不動産の権利、構造、環境等に関する欠陥や瑕疵等により予期せぬ損害を被る可能性がないよう、当該不動産の綿密な調査を行い、慎重な対応に注力しておりますが、取得した不動産に欠陥や瑕疵等があった場合には、瑕疵の修復などの追加費用等が生じる場合があります。 一方で、当社グループの保有する不動産を売却する場合において、当該不動産の欠陥や瑕疵等について当社グループの責任が問われた場合には、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、また、瑕疵の修復などの追加費用等が生じることにより当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが保有・管理している不動産は、京都府、滋賀県、大阪府に所在しておりますが、その大多数が京都府にあります。このため、この地域の条例の規制(例えば京都市の景観条例による建築物、屋外広告物等の規制)がより厳しくなった場合、これらに対応するための費用が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。このため、奈良県や兵庫県をはじめ営業地域の拡大を順次進めて、管理物件の分散により地域偏在に係るリスクの低減に努めております。 さらに、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化等により、管理収入、家賃収入が減少する等、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主要事業である不動産仲介事業においては1月から3月にかけて新社会人や新大学生などが大量に移動する時期であり、これに企業の転勤需要なども重なって、第2四半期の顧客数は通常月の1.5倍~2倍程度に増加します。またもう一つの主要事業である不動産管理事業におきましても、不動産仲介事業と同様の理由により、移動が増えることで入退去に係る改装工事やこの時期に集中する更新事務等の業務が通常月に比べて25%程度増加します。この結果、第2四半期において年間の約3分の1の契約件数・金額が集中します。 以上のような理由から不動産仲介事業及び不動産管理事業において通常月の1.5倍以上の業務がこの時期に集中することになりますが、これは毎年の傾向であり当社グループではこれに対応できる業務体制を構築しております。しかしながら当社グループの想定を上回る顧客需要が発生し、業務対応が間に合わなくなった場合には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 引越事業はクレーム産業とも言われ、業務中における荷物の破損等に細心の注意を払い、適切な保険に加入するとともに、輸送中の交通事故も含め不慮の事故を想定しながら業務に努めなければなりません。当社グループでは、安全を最優先に教育指導を行っておりますが、荷物の破損や交通事故等の業務事故が頻発すると、結果として企業イメージに悪影響を及ぼし、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループにおける古物営業に関しましては、引越に伴う退去の際に退去者の家電等を引き取ることがほとんどであるため、盗品のリスクは非常に低いものとなっておりますが、万が一盗難品の買取りが発生した場合には、当該商品の仕入ロスやトラブル発生を原因とした当社グループへの信頼低下により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 不動産特定共同事業に関するリスクとしては、法令違反等による事業の停止、運用状況の悪化や思うように出資者が集まらなかった場合の風評被害を受ける可能性がありますが、業績に及ぼす影響は軽微であると想定されます。 海外事業に関するリスクとしては、外資規制により不動産事業の展開が規制され、現地のエージェントを介さなければ仲介事業ができないため、現地パートナーや提携先とのトラブルや、商習慣や宗教に関するトラブル、法規制の変更や不透明な運用などがある場合にも事業運営に支障をきたす可能性がありますが、業績に及ぼす影響は軽微であると想定されます。 当社グループの事業の事務処理は煩雑で件数も膨大であり、業務運営上の事務処理リスク、また管理業務上の事務リスクや不正リスクなどのオペレーショナルリスクが存在します。当社グループでは、これらのリスクの軽減を図るため、システム管理等の業務基盤の整備を進めるとともに、業務管理体制の強化を図っておりますが、事務処理における事故・不正等が発生することにより、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、賃貸仲介事業、賃貸管理事業等において多くのお客様の個人情報を取り扱っております。サイバー攻撃や当社グループ役職員による情報漏洩が発生した場合やシステム障害により、グループのシステムが停止した場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクについて、過去に事故の発生はありませんが、今後の想定される情報セキュリティリスクの対策については、当社の内務部を主管部署とし、外部からの攻撃に対するセキュリティ対策等の強化や、クラウド型セキュリティソフトによる端末のアクセス管理等のエンドポイントセキュリティの導入など、第三者の専門機関の提言も取り入れて社内体制及び社内ネットワークシステムの整備を行っております。 気象変動による地球温暖化、集中豪雨、干ばつ、スーパー台風、黄砂、火山の爆発、地震、原発災害等日本国内のみならず、世界的な脅威が現れることを想定しながら業務に当たることが必要と思われます。特に、当社グループの主要な営業地域である、京都・滋賀地域において自然災害が顕著な場合は、当社グループの業務に影響がでる可能性があり、その場合、営業活動が滞り、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの行っている事業は労働集約型産業であり、また一般的に転職率の高い業種でもあり、昨今の労働者の「売手市場」では、人材の確保に苦慮する場面が続いており、今後もこの傾向に変動はないように思われます。当社グループの業績の向上のみならず、労働条件・福利厚生制度等を充実させ魅力ある企業としなければ優秀な人材の確保に支障を来たし、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが所有する固定資産において、不動産市況の悪化による賃料水準の低下、空室率の上昇、金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下や保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損会計を適用することとなり、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 2019年末に発生した「COVID-19」いわゆる新型コロナウイルス感染症に関しましては、当社グループでは店舗・営業所・事務所において感染対策を実施し、当社グループにおいて陽性者を出さないこと、クラスターを発生させないことを主眼に、社員一人一人が自覚を持った行動を取り、決して当社グループから感染を広げないことを社会的使命と考えて行動してまいりました結果、当社グループの業務遂行には大きな影響はありませんでしたが、社会全般において感染拡大が生じた結果、仲介需要の減少として影響が及ぶこととなりました。今後も、同様に感染症が蔓延した場合には、需要動向に影響が生じ、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは直営店舗を多数展開していることから、企業不祥事の未然防止の一助とするため公益通報者保護に重点を置き、企業不祥事の未然防止に注力しておりますが、通報内容の看過や遺漏、また公益通報者保護に手違いが生じたような場合に、結果として企業イメージに悪影響を及ぼし、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社の代表取締役である槙野常美は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として当社グループの経営方針や経営戦略を決定するとともに、新規事業の事業化に至るまでの重要な役割を担っております。当社では、役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、槙野常美に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により槙野常美の業務執行が困難になった場合には、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは管理物件、自社物件の大規模修繕工事、原状回復工事等については、ほぼすべてを外注しているため、当社グループの選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合、外注先の経営不振や繁忙期等により工期が遅延する場合、あるいは、労働者の不足に伴い外注価格が上昇する場合等には当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 本書提出日現在において、当社グループには重大な訴訟を提起されている事実はありませんが、事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しております。 これらの法的手続は、結果の予測に困難が伴い、多額の費用が必要となる場合もあり、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの法的手続において当社グループの責任を問うような判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、法令に基づく適正な労務管理などにより、労務関連リスクの低減に取組んでおりますが、労務関連のコンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、訴訟の発生、会社イメージの低下等により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、当社グループの業績向上に対する貢献意欲や士気を一層高めるとともに、株主との価値共有を推進することにより企業価値向上に資することを目的としてストック・オプション制度を設け、当社及び子会社の取締役及び従業員に対し、新株予約権を付与しております。当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は、196,400株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は5.88%となっております。今後、これらの新株予約権が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 当社グループは、販売用不動産及び賃貸用不動産等の取得資金等の設備資金を主として金融機関からの借入金によって調達しております。当社グループの連結有利子負債残高は当連結会計年度末現在で1,911百万円であり、総資産に占める割合は22.6%となっております。従って現在の金利水準が変動した場合には当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がありますが、当連結会計年度におけるインタレスト・カバレッジ・レシオは53.70倍であり、その影響は限定的であると考えております。 当社株式は2023年6月27日に東京証券取引所スタンダード市場に上場されました。新規上場時において東京証券取引所の定める流通株式比率は29.5%の見込みでしたが、2023年9月30日現在の流通株式比率は30.6%となっております。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度末における資産合計は8,459,511千円となり、前連結会計年度末に比べ665,751千円の増加となりました。主な増加要因は、現金及び預金の増加692,380千円及び未成工事支出金の増加78,273千円により流動資産が788,011千円増加したこと、主な減少要因は、土地の減少などで有形固定資産が130,271千円減少したことで、投資その他の資産が9,821千円増加したものの固定資産が122,259千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における負債合計は4,215,654千円となり、前連結会計年度末に比べ146,927千円の減少となりました。主な増加要因は、前受収益の減少が40,022千円あったものの、未払費用の増加48,669千円、未払法人税等の増加42,739千円、未払消費税等の増加37,587千円、預り金の増加 32,236千円などにより流動負債が100,626千円増加したこと、主な減少要因は長期借入金の減少240,229千円などにより固定負債が247,553千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における純資産合計は4,243,856千円となり、前連結会計年度末に比べ812,679千円の増加となりました。これは主として、株式上場時の一般公募増資により資本金145,360千円、資本剰余金145,360千円の合計で290,720千円増加したこと、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益の計上654,717千円及び配当金の支払額138,256千円により、利益剰余金が差引516,461千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、長期化するウクライナ情勢等の影響によるエネルギー価格の高騰や大幅な物価上昇などの不安要素もありましたが、新型コロナウイルス感染症に対する社会環境の変化に伴い、経済活動は全般的に回復基調で推移してまいりました。当社の属する不動産業界におきましては、原材料価格、物流価格、人件費等の高騰による建築コストの上昇や、金利上昇の懸念はあるものの、当社グループが主力とする賃貸不動産業界は引き続き回復傾向にある中で推移してまいりました。 このような事業環境の下で当社グループにおきましてはコア事業である不動産賃貸仲介事業のエリア拡大や不動産管理物件の新規獲得が順調に推移すると共に、新たな収益基盤である居住者サポート事業などの成長強化に努めてまいりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は、コア業務である賃貸仲介事業や売買仲介事業、建物管理事業が順調に伸長したことに加え、スポット取引である不動産売上が255,783千円(当連結会計年度の売上高の4.6%を占め、前連結会計年度比で7.9倍)生じたことなどにより5,562,617千円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。このため、不動産売上原価、改装工事等の外注費、人件費及び地代家賃等の増加がありましたが、営業利益は1,013,232千円(同65.4%増)となりました。 営業外収益はコロナ禍による助成金収入や保険解約返戻金が減少し、消費税免税益がなくなったため大きく減少しました。他方、営業外費用は東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴い株式上場費用や株式交付費が生じたことなどにより増加したため、経常利益は984,904千円(同43.7%増)となりました。 特別損益では投資有価証券評価損を計上しましたが、減損損失は減少したため、税金等調整前当期純利益は961,875千円(同45.2%増)となり、法人税等の税負担額の増加により親会社株主に帰属する当期純利益は654,717千円(同51.3%増)となりました。 事業セグメントごとの業績は、次のとおりであります。 賃貸住宅の仲介手数料は900,208千円(前連結会計年度比8.7%増)、賃貸物件オーナーからの入居後サポートに係る業務委託料収入が926,974千円(同10.9%増)と順調に伸長しました。また、販売用不動産の売却収入が223,375千円増加したことなどが寄与し売上高は2,923,689千円と前連結会計年度比21.1%の大幅増収となりました。 このため、販売用不動産の売却原価や人件費の増加、新規出店に伴う家賃の増加などがあったもののセグメント利益(営業利益)は594,005千円と前連結会計年度比368,079千円、162.9%の増益となりました。 管理物件数の増加に伴い管理料収入が779,027千円(前連結会計年度比6.0%増)、改装収入が891,146千円(同6.8%増)と安定的に伸長したことなどが寄与し、売上高は1,964,483千円と前連結会計年度比8.2%の増収となりました。 また、セグメント利益(営業利益)は285,531千円と前連結会計年度比40,209千円、16.4%の増益となりました。 保険代理店手数料とシェアサイクル売上は順調に伸長しましたが、新電力やインターネット接続等の取次業務収入、家賃滞納保証業務収入及び引越事業売上は前連結会計年度比微増にとどまり、入居後サービス売上は前連結会計年度比微減と振るわなかったため、売上高は674,444千円と前連結会計年度比6.2%の増収となりました。 他方、取次業務収入に係る他セグメントへの内部紹介料の増加やシェアサイクル事業の減価償却費の先行増加もあり、セグメント利益(営業利益)は422,926千円と前連結会計年度比5,021千円、1.2%の減益となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて693,879千円増加し4,013,035千円となりました。 営業活動の結果獲得した資金は890,978千円となりました。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益961,875千円、減価償却費118,648千円、棚卸資産の増減額52,028千円、預り金の増減額31,974千円及び法人税等の還付額46,624千円であります。他方、資金の主な減少要因は前受収益の増減額△56,042千円及び法人税等の支払額△322,903千円であります。 投資活動の結果使用した資金は128,701千円となりました。資金の主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出△102,431千円であります。 財務活動の結果使用した資金は68,494千円となりました。資金の主な増加要因は、株式上場に際し実施した一般公募増資による株式の発行による収入290,720千円であり、資金の主な減少要因は、長期借入金の返済による支出△220,958千円及び配当金の支払額△138,256千円であります。 当社グループにおけるセグメントには製造関連事業はありませんので、該当事項はありません。 当社グループにおけるセグメントには製造関連事業はありませんので、該当事項はありません。 当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社グループはこの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 当社グループは、当社における不動産売買事業、不動産賃貸事業のほか、株式会社エリッツにおいて賃貸仲介事業を多店舗展開していることから、店舗網の定期的な見直しが必要となることがあり、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは販売用不動産の評価と固定資産の減損であります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結損益計算書関係) ※4減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失6,016千円を計上いたしました。 また、会計上の見積りを行ううえでの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況  1連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(追加情報)」をご参照下さい。 財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 当社グループでは、運転資金及び設備資金は基本的に手許資金で賄っております。当社グループの主たる資金需要は、販売用不動産取得資金、賃貸用不動産取得資金であります。販売用不動産取得資金は、小型物件については手許資金、大型物件については物件毎の販売計画に基づいて金融機関からの長期借入金で調達しております。また、賃貸用不動産取得資金は、プロジェクト毎の企画書に基づいて金融機関からの長期借入金で調達しております。 以上のとおり、当社グループの事業運営を円滑に遂行するための資金の調達方法及び資金の流動性は十分に維持・確保できているものと認識しております。 当社グループの報告セグメントは不動産仲介事業、不動産管理事業、居住者サポート事業から構成されております。 不動産仲介事業の主たる収益は、賃貸物件入居者からの借主仲介手数料と賃貸物件オーナーからの貸主仲介手数料及び業務委託手数料であり、仲介件数が減少すれば借主仲介手数料、貸主仲介手数料及び業務委託手数料のすべてが減少し、当社の経営成績に重要な影響を与える要因となる可能性があります。 また、自社保有賃貸用不動産の家賃収入については、経営成績に影響を与える要因は自社保有物件の戸数及び入居率であります。なお、自社保有物件の採算が悪化した場合、固定資産の減損会計が当社の経営成績に重要な影響を与える要因となる可能性があります。 不動産管理事業の主たる収益は、管理委託契約に基づく管理収入、管理業務に付随する改装工事等から得られる収益であり、経営成績に影響を与える要因は管理戸数及び管理物件の入居率であります。 納保証手数料、各種サービスの取次手数料及び引越サービスであり、経営成績に影響を与える要因は各サービスの取扱件数であります。これらはいずれも小口多数の契約の集積であり、不動産仲介事業での取扱件数や不動産管理事業での管理戸数の影響を受けております。居住者サポート事業は不動産仲介事業や不動産管理事業で蓄積された顧客情報等の情報資産の活用により低コストで運営できている事業でありますが、不動産仲介事業での取扱件数や不動産管理事業での管理戸数が大幅に減少すると、当社の経営成績に重要な影響を与える要因となる可能性があります。 その他、経営成績に与える要因については、「第2 事業の状況 事業等のリスク」に記載のとおり認識しておりますが、各種対応策を実施することでリスク要因の低減を図っております。 当社グループは、毎年売上高の前年比7%成長を掲げ、既に8年が経過しました。新型コロナウイルス感染症の発生以降、前年対比プラス成長はクリアしておりますが、売上高の前年比7%成長については達成できなかった年度もありました。しかしながら、管理物件数は着実に成長しており、入居者アンケートにおいても、約85%以上のお客様に当社対応に関して満足の旨の回答をいただいております。また、賃貸物件オーナーにおいても当社グループ管理物件の入居率に満足いただき、賃貸経営の収益安定に寄与することで当社グループが今後さらなる成長を遂げられることを目標としております。 当社グループの中期経営計画における戦略テーマは、「管理拡大」、「仲介拡大」、「財務体質の強化」としており、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、a.不動産管理事業においては管理物件数、b.不動産仲介事業においては仲介件数、並びにc.財務指標においては資産合計、自己資本比率及び総資本経常利益率を重視しております。 管理物件数は不動産管理事業における事業計画の進捗度合の把握・分析のため、仲介件数は不動産仲介事業における事業計画の進捗度合の把握・分析のため、また、資産合計、自己資本比率及び総資本経常利益率は当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として活用しております。 当社グループの管理物件数、仲介件数及び財務指標の推移は以下のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社クレスコ
# 株式会社クレスコ 当社企業グループは、親会社である㈱クレスコと連結子会社12社及び持分法適用関連会社2社により構成されており、ITサービス事業及びデジタルソリューション事業を営んでおります。 事業の内容と各社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。 主にエンタープライズシステム、金融システム、組込みシステム、AIシステム、モバイルシステム、プラットフォーム、アジャイル開発・ニアショア開発・オフショア開発、RPA導入支援、データアナリティクス、UXデザインといったコンサルティング並びにIT企画・開発・保守の総合サービスを行っております。 主にクラウド、Robotics、AI&Data、セキュリティ、UX/UIといった顧客のDX実現を支援する製品・サービスからなるソリューション群の提供を行っております。 当社はシステム開発・保守業務を委託しております。 当社はコンサルティング業務に係る技術的支援を行っております。 ㈱ザイマックスとの合弁会社であり、当社は従業員を派遣しております。 現在労働組合はありませんが、労使関係は良好であり、特記すべき事項はありません。 女性活躍推進法の公表項目としていない又は公表義務がないため、記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。 当社企業グループは、2021年度より10年間の長期グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートしております。また、当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(変革:2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(挑戦:2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(飛躍:2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、最初のステップとなる中期経営計画2023では、「連結売上高500億円」「連結営業利益額50億円」「ROE15%以上」を目標としております。 「CRESCO Group Ambition 2030」の実現を通して売上高1,000億円を目指してまいります。その実現に向けて中期経営計画2023では、2023年度における連結売上高500億円の達成を目指しております。具体的には、ITサービス事業(エンタープライズ、金融、製造)とデジタルソリューション事業の4本柱により、ビジネスの成長戦略を推進してまいります。 中期経営計画2023では、「コアビジネス領域をより強固なものにするための3つの基本戦略」においてビジネスの土台を強化しつつ、「新たなビジネスの柱を生み出すための3つの重点戦略」に取り組んでおります。 当社企業グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として売上高、営業利益額、ROEを設定しております。 2022年度の経営環境は、ロシア・ウクライナ紛争を端緒とする世界的な物資の供給不足と資源価格の高騰が発生し、インフレーション対策として海外での政策金利が引き上げられた影響で円安が過度に進行したことにより、国内物価も急激に上昇いたしました。当社企業グループにおいても、人件費や外注費、電力代など諸原価の高騰圧力を実感し、価格転嫁と生産性向上による収益力の確保が課題となる一年となりました。 その一方で、複数年にわたって続いた新型コロナウイルス感染症の影響も当年度の後半には徐々に落ち着きを取り戻し、国内企業がコロナ後を見据えて積極的なIT投資を再開するなど、情報サービス産業にとってはプラスになる動きが認められ、当社企業グループにおいても年度を通じて堅調に受注を確保することができました。 社会的には地球温暖化や労働力不足を背景として「サステナビリティ」に注目が集まっており、「人的資本」を含めた情報開示の法制度化の機運も一段と高まっております。当社企業グループとしてもこれらの課題に背を向けることなく、従来にも増して積極的に取り組んでいく方針であります。また、AI分野では目覚ましい技術革新が進んでおり、AIが人間を超える「シンギュラリティ」(技術的特異点)を迎える時も遠い将来の話ではないといわれるまでになりました。当社企業グループも既存の情報技術に捕らわれることなく、常に新たな技術を取り込んで事業体制を構築していく必要性を強く認識しております。 このような変化の著しい経営環境にスピーディーに対応し、ステークホルダーの期待にお応えするため、当社企業グループでは、以下の課題認識のもと、諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 当社企業グループの掲げる「CRESCO Group Ambition 2030」の実現や「中期経営計画2023」の達成のためには、安定した顧客基盤の構築と拡大が必要不可欠であると認識しておりますが、特にITシステムは「作る」時代から「使う」時代へ流れが加速しており、それに伴い顧客ニーズも多様化しているため、サービス形態を柔軟に変革することが求められております。 このような経営課題に対し、当社企業グループでは、営業・マーケティング部門の強化やM&Aによる販路の拡大に引き続き取り組むほか、デジタルソリューション事業を新たな収益の柱に据えるべく、担当部署におけるラインナップの拡充、社員へのDX教育に取り組んでまいります。また、顧客との業務・資本提携等のアライアンスや当社企業グループ内での営業案件の共有により顧客ニーズを着実に取り込んでまいります。加えて、顧客からの更なる知名度と信頼を獲得するために、積極的な広報活動によるブランディングも進めてまいります。 デジタルソリューション事業への投資の一方で、当社企業グループの強みである開発力を中核とした総合的なITサービス事業を安定したビジネスの根幹とするべく、継続的な強化を図る必要があると認識しております。そのためには、品質の強化はもちろんのこと、新技術の先取りも欠かせないと考えております。 このような経営課題に対し、当社企業グループでは、エンタープライズ・金融・製造の産業別セグメントごとに適切な戦略を立案し実行するほか、継続的なM&Aによる事業の補強及び拡大も進めながら「稼ぐ力の最大化」に努め、顧客ニーズに的確に対応してまいります。また、品質管理プロセスの継続的な見直しに取り組むほか、新技術の獲得を目的として、資格取得や社内勉強会、グループ横断的な最新動向の共有機会の提供など幅広い教育訓練投資を実行してまいります。 当社企業グループが属する情報サービス産業では、「ヒト」こそが最も重要な経営資源であると認識しております。しかし、ITの普及や少子高齢化の進行といった社会経済情勢の変化により、慢性的なIT人材不足と流動化が生じており、従業員の採用や外注先であるビジネスパートナーの確保が困難な状況にあります。 このような経営課題に対し、当社企業グループでは、従業員の給与水準の見直し、テレワーク制度・オフィス配置等の労働環境の見直し、広報活動による採用活動支援を行うとともに、新たに策定した「DX人財育成プログラム」「次世代人財育成プログラム」の実践等を通じた社員への教育投資やリテンション対策投資にも取り組んでまいります。また、ビジネスパートナーを確保するための取組みとして、ニアショア(子会社やビジネスパートナーとの協業による国内分散開発)やベトナムを中心とするオフショア(海外現地企業との協業による国外分散開発)も引き続き推進してまいります。併せて、M&Aを通じたIT人材の獲得も進めてまいります。 当社企業グループの持続的な企業価値の向上のためには、顧客ニーズの多様化、国内における生産年齢人口の減少、グループ経営の重要性といった事業環境の変化に柔軟に対応し、当社企業グループにおける多種多様な経営資源をより効果的かつ効率的に活用するための経営基盤が必要不可欠であると認識しております。 このような経営課題に対し、当社企業グループでは、自らDXによる経営改革を実践するべく、業務プロセスの見直しを含めた情報システム基盤の再整備、オフィスワーク及びリモートワーク環境の整備等の全体最適化、並びに当社の管理部門を中心に据えたグループ・ガバナンス・システムの更なる強化に取り組んでまいります。 当社企業グループは事業目的を達成する責務を負っておりますが、一方で、企業価値の向上と社会課題の解決の双方を実現する「サステナビリティ経営」や、人材の価値を最大限に引き出して中長期的な企業価値の向上を実現する「人的資本経営」を推進することが求められております。 このような経営課題に対し、当社企業グループは、当連結会計年度において「サステナビリティに関する基本方針」を制定し、持続可能な社会の実現に向けた行動を推進していくことを明らかにいたしました。また、「健康経営宣言」「マルチステークホルダー方針」を公表し、従業員をはじめとした多様なステークホルダーとの価値共創を進めていくことを明らかにしております。今後も引き続き、これらの方針等に則った事業活動を展開し、適時適切な情報開示に努めてまいります。 なお、サステナビリティ経営及び人的資本経営に関する詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 「中期経営計画2023」の「重点戦略」及び「基本戦略」に係る当連結会計年度における主な活動と成果は以下のとおりであります。 当連結会計年度は特に新ソリューションとサービスの開発及び収益改善に向けた活動に注力しました。 当社企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。 当社企業グループは2022年4月、持続可能な社会の実現に向けた、積極的かつ能動的な取り組みを推進する姿勢を明確にするため、「サステナビリティ基本方針」を策定しました。様々な事業活動を通じて、社会の課題解決とサステナビリティに関する取り組みを推進し、私たちが実現したい『世界中の人々の想像を超える「その先」、もっと豊かでわくわくする未来』を通して、「持続可能な社会」の実現と当社企業グループの成長を目指してまいります。 「企業活動の成長が世界の人々の幸福に可能な限り最大の貢献をすること、そしてそこに働く人々が共に喜びと誇りをもち、自己の能力を最高に発揮できること」は企業の使命であると考え、また、人間はみな平等であるという立場から、発揮する能力以外の性別、学歴、血縁、人種、国籍、宗教等すべての差別を無くし、技術の追求を中心とした自由で、活気のある経営を行いたいと考え、創業以来、これを実践してきております。 私たちクレスコグループはその実践を通じて豊かな社会づくりに貢献し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点で様々な事業活動、企業活動に取り組むことによって「持続可能な社会」の実現と私たちクレスコグループの成長を目指してまいります。 当社企業グループは、持続的な成長と企業価値向上を目指し、2021年度から、今後10年間の長期ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートいたしました。社会に新しい価値を提供し、利益を上げると共にステークホルダー全体の利益も考慮していくべきだと考えております。E(環境:Environment)、S(社会:Social)、G(企業統治:Governance)は、企業が認識すべき「社会から企業への期待」であり、政府が2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言したことを踏まえ、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るため、ESGにおいて「何ができるか」を常に思考し、行動し、継続することを大切にしております。 当社企業グループにおいては、「事業を通じた活動」、「持続可能な社会への貢献」の2軸からESG経営に紐づく6つの重点テーマを設定いたしました。そして、それぞれのテーマについてSDGsで提唱された17の国際目標から関連する項目を選定し、全事業活動を通じた「価値創造」と「社会の課題解決」に取り組んでいます。 当社企業グループは、グローバルな経営環境の変化への対応と事業機会の拡大、社会課題の解決を目指し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するための柔軟なガバナンスを構築しています。 取締役会は、リスクや機会を含むサステナビリティに関する監督及び管理の責任を持ち、そのもとで社長執行役員及び配下の各部門が業務執行を担っています。また、社外取締役が、逐次、経営層に監督・助言する機能や取締役会における経営判断が、様々な社内施策や取り組みに的確かつ迅速に反映され、実行に移される機能が備わっております。 サステナビリティ関連の全体的な業務執行については経営戦略室が中心になり、また、当社における人的資本の活用については経営戦略室及び人事部が中心になり、それぞれマネジメントを行い、サステナビリティへの取り組みの方向性を議論、決定の上、各部門と連携して活動し、取締役会への議案の提出及び活動状況の報告を行っております。 当社企業グループ事業活動をとりまく国内外の情勢は今後も大きく変動することが予測されますが、そこで想定されるリスクの低減や事業機会の創出を図り、レジリエンスを強化するため、ESG視点の戦略、ビジネスモデルの重要性が一層高まっております。 日々の報道で頻繁に見聞きする深刻な社会課題に対応し、サステナブルな社会を実現するためには、技術革新、特にIT技術は必須であり、サステナビリティへの取り組みを進める上で、IT技術を応用した「デジタル変革(DX)」は、欠かせないツールであることに間違いはありません。 当社企業グループの展開するビジネスモデルは、まさに、お客様のDX支援です。当社企業グループの2大事業であるITサービス事業、デジタルソリューション事業は、お客様の作業効率性や付加価値の上昇や「働き方改革」を含めた社会(S)や環境負荷の低減や保全といった環境(E)に寄与するものです。このことこそが私たちの社会的使命であり、存在価値、そして存在理由そのものであると考えております。 当社企業グループは、創業以来、IT技術を応用した“システム開発(モノづくり)”に徹底的にこだわり、成長してまいりました。技術と品質に裏打ちされたESG視点でのビジネスモデルは、当社企業グループの持続的な成長を支え、人、社会、地球に大きなインパクトを与えることができるものと考えております。加えて、多彩なESG活動が、自らのリスク低減や事業機会の創出に繫がり、ひいては事業の成長を促進し、そこで創出された利益が様々なステークホルダー(マルチステークホルダー)や社会に還元される、といったサイクル(価値創造プロセス)を形成していくと考えております。 当社企業グループの競争力の源泉は「人財」です。重要な財産である人材の「材」を「財」であるという認識のもと、当社は、経営戦略と連動した人財戦略を策定し、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を掲げております。 成長を楽しみ互いに高め合う風土や自立・挑戦といったマインドをベースにしております。当社はこのマインドをベースに、「スペシャリティ強化」「キャリア開発支援」「基礎力向上」の3つを柱として様々な取り組みを実施しております。自ら学び挑戦し成長を楽しみながら、「一人ひとりが輝きスペシャリティを活かしたキャリアを実現する人財育成モデル企業」を目指します。 自己の実力を最大限に発揮するために、「資質」「人間力」「技術力」「仕事力」の4つの力が重要であると考えています。この4つの力が高い状態であるほど、より大きな成果を生み出すことができます。当社企業グループの人財育成では、もともと備わっている「資質」に加え、「人間力」「技術力」を磨き、これらの力を成果に結びつける「仕事力」を高め、市場で活躍するITプロフェッショナルを育成しております。 スペシャリティ強化の一つとして、ITサービス事業DXの観点では、エンジニア集団としてお客様に価値を提供し続けるために、デジタル技術、ビジネスデザイン(ビジネスをお客様と共創できる)スキルを身に付けた、次世代のビジネスをリードできるDX人財を育成しております。 また、社内業務DXの観点では、当社自身のDX(社内業務効率化、社内業務改革)を実現するために、デジタル技術やデータ活用に関する知識や技術を活用して、DXへの取り組みを推進できるDX人財を育成しています。DX人財の基礎教育として、例えば、次のプログラムを実施し、エンジニアだけでなく、社内間接部門についても育成を行っております。 当社企業グループが持続的に発展していくためには、これからを創造、牽引できる人財の育成が重要であると考えています。2022年より「次世代マネジメント育成プログラム」をスタートさせ、毎年40名前後を選抜し、バックキャスト(思考)を用いたこれからの在りたい姿を描きながら、自身の強み・弱みを踏まえたキャリアの設定、マネジメントとしてのマインドや考え方を学び、優秀な人財の発掘と育成を行っております。 個人が自律的・主体的にキャリア開発に取り組み、持続的に成長することによって新たな価値を創造し続け、それが企業の成長、ひいては社会貢献にも繋がるとともに、個人の成長を支えるという循環を生み出します。個人の成長あっての企業の成長という考えのもと、一人ひとりが自らのキャリア形成に取り組めるよう、キャリアデザインシートの活用やキャリア相談窓口の設置等を通じて、社員をサポートしております。 当社企業グループは多様な属性・専門性・経験・価値観を持つ個人を尊重し、一人ひとりがその能力を最大限に発揮することにより、新たな価値を創造できると考えております。このため、多様な人財が活躍できる環境を整備するとともに、お互いを認め、高め合う職場を実現するため様々な取り組みを進めております。 IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人財不足は否めず、人財の獲得と開発体制の強化は継続的な課題となっております。当社は、経営戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、外国人、障がい者や「これだけは負けない」という国内・国外で秀でた実績・経験を持つ方を採用するユニーク採用等、多様な人財獲得についても強化しております。また、就職活動中の学生をターゲットに魅力的な企業イメージを持ってもらうため、採用広告でのブランディングにも力を入れています。 その他、ニアショアやクレスコベトナムを通じたオフショアを積極的に活用し、機会損失(案件の失注や縮小等)が発生しないよう取り組んでおります。 当社では、新卒社員が現場に定着し着実に成長できるよう、指導員制度とメンター制度を設けております。指導員は職場の先輩が担当し、1年間のOJTを通して、業務上で必要な技術・知識・マインドを指導しています。メンターは2年間、他部門の社員が担当し、直接の業務から離れた立場でのアドバイスを行っております。メンター制度についてはキャリア入社者にも適用し、早期に当社に慣れ、実力を発揮できるよう支援しています。また、配置については、経営戦略と社員の能力・適性をマッチングさせた戦略的な配置と社員が自ら希望する部門へ異動を申し出ることができる社内公募・FA制度を実施し、最適かつモチベーション向上に寄与する配置を行っております。 社員と当社のさらなる成長のために、「スペシャリティの追求」「実力本位に基づく処遇」「多様な人財が活躍できる職場の実現」をコンセプトとした人事制度では、個々の専門性や強みを追求できるよう職務・職責を7等級・16職種に分類し、複線型のキャリアパスを歩めるようにしています。担当する職務・職責と成果創出に応じたメリハリのある処遇を実現し、より高いレベルで「実力」を発揮することを促す制度としています。また報酬については市場の動向も踏まえながら、2年連続でベースアップを実施し、人財への投資も積極的に行っております。 健康経営は、健康管理を経営的な観点から戦略的に実践することであり、中長期的には、生産性向上や組織活性化をもたらし、企業価値や業績の向上につながります。社員の心身の健康を維持・増進し、社員一人ひとりが、安心・安全に、やりがいを持って働ける職場を実現するこの取り組みは、企業のレピュテーションや人財採用の面でも効果が期待できるものであり、併せて、企業のリスクマネジメントとしても重要なものであります。当社では「健康経営宣言」を掲げ、健康経営推進体制を整備し、健康リテラシー向上の研修やウォーキングイベントによる運動等に取り組んでおり、2023年3月には4年連続で「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2023」に認定されております。 なお、最新の当社の健康経営に関する体制や具体的な取組みについては、下記URLにてご覧いただけます。 働く“場所”については、テレワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド型勤務」を推進し、担当業務や指導体制をもとに社員一人ひとりが最適な選択をできるようにしています。オフィス環境については、「コミュニケーション促進」と「集中力向上」をコンセプトに本社のレイアウトを変更し、対面機会の創出を図るとともに、Web会議に対応した環境づくりとして個別ブースを設けたほか、Web配信スタジオ「Fusion Studio」(フュージョンスタジオ)を設置する等、オンライン対応も充実させています。 働く“時間”については、コアタイムのない「フルフレックスタイム制度」のもと社員が働く時間帯を自由に選択できるようにしています。その上で、健全な就業環境の実現にも力を入れており、時間外労働は低い水準を継続し、年次有給休暇は80%を超える取得率を達成しています。働く“場所”と“時間”ともに柔軟性を高め、多様な人財が生産性の向上やワークライフバランスを実現できるよう支援しております。 多様性の受け入れは、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くため、必要不可欠であります。当社企業グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。その中で女性の活躍を支援し、女性管理職比率の増加にも注力するほか、外国人や障がい者も積極的に採用し、活躍できるよう取り組んでおります。2021年4月からは、LGBTに対する取り組みの一環として、パートナーシップ制度を導入いたしました。また、2022年4月には「男性育休100%宣言」に賛同する等、性別を問わず仕事と育児の両立を支援しています。今後も、多様な人財が組織に平等に参画し、その能力を最大限発揮できる機会の提供を通じて様々なイノベーションを生み出し、価値創造につなげてまいります。 なお、最新の当社のダイバーシティ&インクルージョンに関する体制や具体的な取り組みについては、下記URLにてご覧いただけます。 当社企業グループは、サステナビリティガバナンスのもと、リスク低減と事業機会の創出を確実にするため、リスク管理及び機会管理を強化しています。リスク管理においては、リスクの重要性を内部統制委員会で定期的にモニタリングしております。その中でも、特に経営への影響が大きく、速やかな対応を要する人財、内部統制に関するリスク等については常務会、取締役会でとり上げ、リスクオーナーを選定し、進捗管理を行っております。各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。機会管理においては、当社企業グループ全体でテーマを共有し、優先順位の設定とESG視点での活動を促進する仕組みや管理体制を構築し、具体的な事業活動に繋げております。 当社企業グループは、上記「当社企業グループのESG経営」に示した6つのテーマ毎に、目標を定めております。目指すべき方向性を明確にし、的確な進捗管理を可能とすることで、ESG経営を着実に実行しています。サステナビリティガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しております。 気候変動は、現在及び将来世代が豊かな生活文化を実現することに対する大きなリスクとなっております。当社企業グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、気候変動への対応の必要性を認識しております。 現時点では、社内体制が未整備のため、TCFDに賛同しておりませんが、可能な範囲で、気候変動に関する取り組みを行い、環境負荷の低減と事業活動の効率性の向上のため以下の活動に取り組んでおります。 当社企業グループは、ITを通じ、様々な業種、業態のお客様向けに、ITサービス事業(システム開発)及びデジタルソリューション事業(クラウド、AI、ロボティクス、IoTなど)を展開しております。事業活動を通じて、お客様の情報システムの導入や更改による環境負荷低減を実現し、ひいては社会の環境負荷低減に貢献してまいります。 気候変動により平均気温が上昇することは、環境や社会に非常に大きな影響を及ぼすことから、「環境負荷の低減活動」を実行することが、重要であると認識しています。当社企業グループの事業における最大のネガティブインパクト(CO2削減や環境への影響)は、電力の消費量やコピー等の紙の使用量であるため、日常的に省電力や節電やペーパーレスに取り組んでおります。これらの取り組みは、システム開発におけるエネルギー利用の効率化やコストダウンにも繋がります。 当社の本社ビルにおいては、再生可能エネルギー(電力)の購入による温室効果ガス削減への取組を行い、環境負荷低減に努めております。 今後、「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」への実現に寄与すべく、更なるCo2削減にむけた具体的な目標、取り組みを検討してまいります。 なお、2021年度及び2022年度の当社におけるScope別Co2排出量は下記のとおりです。 上記「(2)戦略 ロ」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、当社企業グループに属する全ての会社では行われていないため、当社企業グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、当社企業グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社企業グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。 当社は『リスク管理規程』を制定し、当該規程に基づいて当社企業グループにおけるリスクを区分・管理しております。当社取締役会は、リスクの種類・内容に応じて責任部門を定め、各責任部門長、各業務執行取締役及び内部統制委員会がリスク管理体制の整備とモニタリングを行っております。 サービスリスクは、当社企業グループが提供するソフトウェア開発・保守等のサービスに関連して発生する不採算リスクや納品物の不具合による損害賠償リスク等をいいます。当社企業グループでは、十分な収支計画や技術的な検証を行ったうえで受注を決定しておりますが、顧客からの仕様変更要求、予期せぬ技術的なミスマッチ等により追加の工数が発生した場合や、納品したソフトウェアの契約不適合責任等に基づく損害賠償請求を受けることとなった場合に、信用の悪化も含めて当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、当社の品質管理本部を中心に品質マネジメントプロセスの推進を図っており、当該リスクを未然に防止しております。 なお、当連結会計年度において、受注損失引当金を51,415千円計上しております。 サイバー攻撃や当社企業グループの過失等により第三者の秘密情報・資産を漏洩又は消失した場合には、当社企業グループは損害賠償責任や信用の悪化を招くことになり、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、定期的にコンプライアンスチェックを実施しており、役員・社員のコンプライアンス意識の向上を図るとともに、セキュリティ事故発生時の体制を整備することでその悪影響を最低限にとどめるようにしております。 大規模な自然災害や疫病が発生した場合には、事業上必要となる情報システムへの被害や外出の危険性の観点から、当社企業グループの事業継続が困難となり、当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社企業グループでは、システムのクラウド化の推進、テレワーク体制の充実等のBCP(事業継続計画)を策定・実行しております。 当社企業グループの事業の特性上、計画どおりに開発に従事する人材を獲得することができず、協力会社と適宜・適切に連携ができない場合、プロジェクトの立ち上げや遂行、サービスの提供に支障が生じ、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社企業グループでは、テレワーク・オフィススペース戦略等の働き方改革を推進することで積極的な採用活動を進めるとともに、オフショアを進めることで国内人材不足に対応しております。 当社は、事業領域の拡大を目的として積極的なM&A・アライアンス投資を進めるとともに、余剰資金の運用を行っていることから、多額の金融商品を保有しております。したがって、M&A・アライアンスが当初想定した効果を発揮できない場合や金融市場が大きく変動した場合に、保有する金融商品の価値が下落し、のれんや有価証券の評価損を計上するなど当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社ではグループ統括本部を中心としたグループ管理体制を構築するとともに、財務部による運用管理体制を整備しております。 なお、当連結会計年度において、デリバティブ評価損を2億26百万円、投資有価証券評価損を1億70百万円計上しております。 上記の他、当社企業グループの事業遂行過程で第三者に対して損害を与えた場合に、損害賠償責任を追及する訴訟等を提起され、当社企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社企業グループでは、上記のリスク管理体制により当該リスクを未然に防止しております。 なお、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している以下の事項が発生しております。 当社の連結子会社であるクレスコワイヤレス㈱が、過年度において訴訟の提起を受けております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他 2.重要な訴訟事件等」をご参照ください。 当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)においては、新型コロナウイルス禍からの正常化が進む一方で、ロシア・ウクライナ紛争に端を発する物価高騰と、それらに対する各国の金融政策及び財政政策の結果、金融市場の不透明感が増大し、家計消費と企業投資に極めて重大な影響を与えてまいりました。 当社企業グループの顧客企業においては、一部でIT投資を厳選又は延期あるいは規模を縮小する等の動きが認められるものの、既存システムの刷新やDX推進による生産性向上を目的としたIT投資需要は依然として旺盛であり、当社企業グループの受注は順調に推移しております。 このような経営環境のもと、当社企業グループは当連結会計年度において下記の取組みを行ってまいりました。 当社においては、2022年4月1日付で代表取締役会長及び代表取締役社長執行役員の2代表制に移行するとともに、『CRESCO Group Ambition 2030』の策定を機に、創業以来初となるコーポレートロゴの変更を実施いたしました。また、『CRESCO Group Ambition 2030』実現のために経営戦略本部を設置するとともに、グループシナジーの更なる発揮のためにグループ統括本部を設置し、グループ間での営業案件の共有を進めてまいりました。さらに、適切な権限委譲による経営上の意思決定と施策実行の迅速化を目的として、当社の執行役員を本部長に据える組織改革を行いました。 当社企業グループにおいては、機動的経営の強化及びグループガバナンス向上のため、グループ役員会議の頻度を増やし、グループ役員間の連携強化を図ってまいりました。また、当社企業グループの人材・経営資源の有効活用によるシナジー効果の更なる発揮を目的として、2022年7月1日付で連結子会社3社(アルス㈱、㈱エヌシステム及び㈱ネクサス)を合併し、㈱クレスコ・ジェイキューブとして再編いたしました。また、2023年2月には、大阪・東京・名古屋の三大都市圏に拠点を持つソフトウェア開発会社である日本ソフトウェアデザイン㈱の全発行済株式を取得し、連結子会社(みなし取得日は2023年3月末)としております。 当社においては、2022年4月にUiPath社の認定リセラー「ゴールドパートナー」に認定され、5月にはUiPathライセンス購入企業向けにe-Learningの提供を開始いたしました。さらに、2023年3月には同社の「ダイヤモンドパートナー」に認定されました。また、2022年10月にはアマゾンウェブサービス(AWS)の「AWS公共部門パートナープログラム」及び「AWS公共部門ソリューションプロバイダー」に認定されたほか、企業のDX人材を育成する「DX研修サービス」を開始するとともに、当社の大容量ファイル共有サービスである「インテリジェントフォルダ」のiOSアプリをリリースいたしました。今後もRPAやクラウド、DX領域でのビジネスラインナップを拡充し、デジタルソリューションの強化に取り組んでまいります。 また、近年サイバー攻撃への対策が企業の優先課題となっていることから、2022年8月にはサイバー攻撃の兆候を検知・分析し、その情報をもとに専門家による対策支援を提供する「マネージドセキュリティサービス for SIEM」の販売を開始し、多くの反響をいただいております。さらに、2023年3月には、端末を監視しサイバー攻撃被害を最小化できるソリューションである「マネージドセキュリティサービス for EDR」の提供を開始いたしました。 当社が得意とする画像認識AIや機械学習の分野では、2022年9月に、画像認識AIによる画像分類結果の根拠を可視化する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの特許を取得しました。また、12月には日本航空㈱との間で医療AIによる画像認識技術を活用した「航空機エンジン内部検査ツール」を開発することを発表いたしました。2023年2月には、当社はJR九州ホテルズ㈱と共同で数理最適化手法を用いたホテル部屋割り最適化の実証実験を行い、部屋割り最適化ツールのプロトタイプを開発いたしました。今後も、獲得した知見や技術をベースにお客様のDXを推進し、社会の発展に貢献してまいります。 資本・業務提携の分野では、2022年11月に㈱フォーラムエンジニアリングのエンジニアを専門とした人材サービス「コグナビ」のグローバル展開を目的としたインド法人への資本出資に関する基本合意を締結いたしました。 以上のような事業の底上げとビジネス機会の創出をより一層強化するために、当年度より当社社員に対し技術・品質・ビジネス変革に関する自己学習を奨励しております。また、エバンジェリスト活動も継続して取り組んでおり、複数名の当社社員が大学で教鞭をとる機会をいただいております。 連結子会社においては、2022年5月に、㈱クレスコ・デジタルテクノロジーズが同社のIoT機能を搭載した「ソーシャルトイレシステム」の販売を㈱光合金製作所との共同開発により開始いたしました。また、7月にはクレスコ・イー・ソリューション㈱がSAP S/4HANAへの移行サービス「MOA」の内容をリニューアルいたしました。10月にはCRESCO VIETNAM CO., LTD.がベトナムのフードデリバリー市場向け最新POSシステムの販売を開始しております。 また、昨今のコロナ禍を契機として、当社企業グループでは事業所及び開発拠点の移転等のオフィススペースの見直しを進めており、事業効率の更なる向上に取り組んでおります。 しかしながら、資金運用において、米国でのインフレ抑制策としての政策金利の引上げとリセッション入り懸念により米国において株安が進行し、当社が保有する金融商品(期限前償還条項付円建て他社株式連動債)に関してデリバティブ評価損(営業外費用)を2億26百万円計上しております。 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高483億68百万円(前年同期売上高444億50百万円、8.8%増)、営業利益49億98百万円(前年同期営業利益44億57百万円、12.1%増)、経常利益51億35百万円(前年同期経常利益47億82百万円、7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益33億28百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益32億36百万円、2.8%増)と増収増益となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 ITサービス事業の売上高は、456億12百万円(前年同期比7.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は63億54百万円(前年同期比11.1%増)となりました。サブセグメント別の状況は、次のとおりであります。 「エンタープライズ」区分の売上高は、188億39百万円(前年同期比3.4%増)となりました。これは、「運輸」「人材紹介・人材派遣」分野での大型案件の収束があったものの、「流通サービス」「建設・不動産」「情報・通信・広告」「公共」の各分野における売上高が増加したことによるものであります。 また、「エンタープライズ」区分のセグメント利益(営業利益)は、23億74百万円(前年同期比5.3%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。 「金融」区分の売上高は、141億15百万円(前年同期比3.1%増)となりました。これは、主として「銀行」分野での基盤構築・移行といった個別案件の増加によるものであります。 また、「金融」区分のセグメント利益(営業利益)は、18億20百万円(前年同期比5.9%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。 「製造」区分の売上高は、126億57百万円(前年同期比21.3%増)となりました。これは、「機械・エレクトロニクス」「自動車・輸送機器」の両分野におけるクラウド・セキュリティ案件や先行投資目的の案件の増加と、特に「自動車・輸送機器」分野において新規顧客を獲得できたことによるものであります。 また、「製造」区分のセグメント利益(営業利益)は、21億59百万円(前年同期比23.8%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。 デジタルソリューション事業の売上高は、27億55百万円(前年同期比30.7%増)となりました。これは主として、当社の主力クラウドサービスである「Creage」とRPAライセンスの販売増加によるものであります。 また、セグメント利益(営業利益)は1億65百万円(前年同期比14.3%増)となりました。これは、当社のデジタルソリューション担当部署において新規サービスやソリューションの企画、研究・検証活動を推進した結果、間接コストが増加したものの、ライセンス販売が大きく伸びたことによるものであります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、4億98百万円増加し、336億35百万円となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べ3億円増加し、224億87百万円となりました。これは主に、現金及び預金が8億19百万円、受取手形が4億34百万円、有価証券が1億96百万円それぞれ減少したものの、電子記録債権が7億19百万円、売掛金が5億12百万円、「その他」に含まれる未収入金が3億94百万円、契約資産が1億16百万円それぞれ増加したことによるものです。 固定資産は前連結会計年度末に比べ、1億98百万円増加し、111億47百万円となりました。これは主に、投資有価証券が2億56百万円、ソフトウェアが94百万円、保険積立金が67百万円それぞれ減少したものの、繰延税金資産が2億40百万円、建物が2億15百万円、敷金及び保証金が64百万円それぞれ増加したことによるものです。 当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ18億17百万円減少し、91億85百万円となりました。 流動負債は前連結会計年度末に比べ1億83百万円減少し、72億50百万円となりました。これは主に、買掛金が88百万円、受注損失引当金が45百万円それぞれ増加したものの、1年内返済予定の長期借入金が1億54百万円、未払金が88百万円、「その他」に含まれる資産除去債務が50百万円それぞれ減少したことによるものです。 固定負債は前連結会計年度末に比べ16億33百万円減少し、19億35百万円となりました。これは主に、資産除去債務が58百万円、社債が50百万円それぞれ増加したものの、退職給付に係る負債が12億57百万円、長期借入金が4億83百万円それぞれ減少したことによるものです。 当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ23億15百万円増加し、244億49百万円となりました。これは主に、利益剰余金が23億39百万円、退職給付に係る調整累計額が50百万円それぞれ増加し、その他有価証券評価差額金が1億36百万円減少したことによるものです。 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ8億22百万円減少し、109億15百万円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは16億79百万円の収入(前年度32億22百万円の収入)となりました。 これは主に、法人税等の支払額が16億93百万円、退職給付に係る負債の減少額が13億24百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が49億44百万円あったことによるものです。 投資活動によるキャッシュ・フローは8億74百万円の支出(前年度11億55百万円の支出)となりました。 これは主に、投資有価証券の償還による収入が17億5百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が20億43百万円、有形固定資産の取得による支出が2億94百万円、無形固定資産の取得による支出が1億3百万円あったことによるものです。 財務活動によるキャッシュ・フローは16億31百万円の支出(前年度13億52百万円の支出)となりました。 これは主に、配当金の支払額が9億88百万円、長期借入金の返済による支出が6億39百万円あったことによるものです。 当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当社企業グループの当連結会計年度の経営成績について、売上高は前年同期に比べて8.8%増の483億68百万円となりました。営業利益は前年同期に比べて12.1%増の49億98百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べて2.8%増の33億28百万円となりました。 ITサービス事業の売上高は、前連結会計年度に比べて7.7%増の456億12百万円となり、デジタルソリューション事業の売上高は、前連結会計年度に比べて30.7%増の27億55百万円となりました。 売上原価は、前連結会計年度より29億74百万円増加し、387億26百万円となりました。費目別では、外注費が15億8百万円、材料費が6億35百万円、労務費が4億91百万円、経費が3億11百万円それぞれ増加しておりますが、いずれも上記の売上高の増加に伴うものであります。 この結果、売上総利益率は、前連結会計年度の19.6%より0.3%上昇し19.9%となりました。 販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度から4億2百万円増加し、46億43百万円となりました。これは主に、デジタルソリューション事業の拡大や営業力強化のための人員強化と、経営戦略本部やグループ統括本部の新設等により人件費が94百万円増加したこと、及びブランディング強化のために広告宣伝費が36百万円増加したこと、並びに連結子会社3社の合併や日本ソフトウェアデザイン㈱の新規連結に伴い支払報酬や取得関連費用等の経費が増加したことによるものであります。 以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度の10.0%から0.3%上昇し10.3%となりました。 営業外収益は、前連結会計年度より64百万円減少し、4億82百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益が51百万円増加したものの、受取利息が1億24百万円減少したことによるものであります。 営業外費用は、前連結会計年度から1億23百万円増加し、3億45百万円となりました。これは主にデリバティブ評価損が1億36百万円増加したことによるものであります。 以上の結果、売上高経常利益率は、前連結会計年度の10.8%から0.2%低下し10.6%となりました。 特別利益は、前連結会計年度から85百万円減少し1億64百万円となりました。これは主に当期に投資有価証券償還益を1億42百万円計上したものの、投資有価証券売却益が2億17百万円減少したことによるものです。 特別損失は、前連結会計年度から2億1百万円増加し、3億55百万円となりました。これは主に、前期の減損損失72百万円がなくなったものの、当期において投資有価証券評価損を1億70百万円、コーポレートロゴ等変更費用を1億13百万円計上したことによるものです。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より91百万円増加し、33億28百万円となりましたが、売上高当期純利益率は、前連結会計年度の7.3%から0.4%低下し6.9%となりました。 なお、「中期経営計画2023」及びKPIの進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 新型コロナウイルス感染症による社会経済情勢の変化や昨今の物価高騰が企業のIT戦略・IT投資の姿勢に質的・量的な変化をもたらしていると考えられ、これらの動向は当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。 当社企業グループのプロジェクトマネジメントは標準化された手法を用いて行われておりますが、顧客とのミスコミュニケーションや仕様変更、開発人員の不足等により不採算プロジェクトや損害賠償責任が発生するリスクがあり、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。 当社が保有するM&Aやアライアンス目的の金融商品並びに余剰資金の運用目的の金融商品は、市況及び金融市場の動向に強い影響を受けるため、当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(4) キャッシュ・フロー」に記載しております。 当社企業グループが持続的に成長し企業価値を向上させるためには、事業活動や余剰資金の運用を源泉とした自己資金を十分に確保することは当然として、ソフトウェア開発体制を拡充するための設備投資資金、将来の事業拡大に向けたM&A・アライアンスのための投資資金及び新規技術の獲得に向けた研究開発資金を適時適切に調達することが必要不可欠であると認識しております。 当社企業グループでは、原則として、これらの資金を自己資金で賄うこととしております。ただし、経営環境や業界動向、経済・金融情勢等を勘案して、多額の資金が必要となった場合には、財務健全性に配慮しつつ、証券市場からの資金調達や金融機関からの借入れを実行することも視野に入れております。 なお、当連結会計年度において、特筆すべき資金調達は行っておりません。 当社企業グループでは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付けており、株主資本の充実と長期的な安定収益力を維持するとともに、業績に裏付けられた適正な利益配分を維持することを基本方針としております。また、株価動向や経営に与える影響を考慮しつつ自己株式の取得を実行することも重要な株主還元政策の選択肢の一つであると考えております。 当連結会計年度における配当の実施状況につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 当連結会計年度の研究開発活動は、当社においては、過年度からの医療領域での高度な知識を有する医師たちとの共同研究で追究・検証し、さらに実用化へ向けた活動などを中心に行ってまいりました。継続中の研究テーマに加えて、数件の新研究テーマにも着手しております。医療領域で得られた知見を用いて産業への展開活動も行っております。AI技術による画像処理技術の研究テーマが多くなってきております。画像処理技術に続く研究テーマの柱の立ち上げに体制を強化し、お客様のご要望にお応えする新たな研究テーマに着手することに取組んでおります。研究開発のテーマとしては「先端技術に関する研究開発」「デジタルソリューションに関する研究開発」に大別されます。 先端技術に関しては、眼科及びその他の医療科目における深層学習を用いた医大や医療機関との共同研究を複数(当連結会計年度の実績で9件)行っており、その成果を眼科学会及び情報処理系の学会にて発表してまいりました。これまで進めてきた研究テーマである、疾患の診断支援に加えまして、多くの医療関係者や製薬会社の方々と協議して、病気の初期段階の検知や正常状態から予兆となる症状が見られる段階での検知・スクリーニングに関する研究がほとんど未着手状態であり、今後有益であると判断し、この領域の研究にも力を注いでおります。また、医療だけでなく、航空機エンジンなどに代表される大型で高度な産業機械に関しても、故障の特定も大切ではありますが、早期の故障検知、故障予兆の検知や予測に関しての要望が強く、従来技術(様々なセンサーデータの分析)に加えて当社の画像処理技術が有効であることがわかり、この領域での研究も進めております。医療の発展への直接的な貢献、医療AI研究で得たITへの貢献、そして、実ビジネスへの貢献のため、今後もコアとしての研究活動をしてまいります。 先端技術に関する活動の結果を用いて、実ビジネスへの展開も継続して取り組んでおります。医療機関との共同研究を進めた成果の実用化を目指し、眼科学会併設機器展示会場でデモシステムの学術展示を複数回(当連結会計年度の実績で3件)行いました。また、研究過程で見出された特異な技術の特許申請・権利化も実施してきております。医療領域の商用化は時間がかかるため、発表できるようになるまでには更なる時間を要しますが、現在複数案件の話を進めております。航空運送事業者との航空機エンジン整備支援の共同研究の成果をもとに航空機エンジン内部検査ツールを開発しました。検査ツールにより得られた検査記録をデータベース化し、より精密な内視鏡検査に取り組むとともに、今後は日々の検査で蓄積された情報と運航中に収集しているエンジンデータを融合させることで、不具合の発生を予測して事前に整備処置を行う予測整備へつなげることを目指します。産業機器の保守作業に向けて、医療と同様に画像を用いた保守作業支援の共同研究を推進してまいります。 なお、当連結会計年度における当社企業グループの研究開発費の総額は93,960千円であります。
中央日本土地建物グループ株式会社
# 中央日本土地建物グループ株式会社 当社株式は非上場でありますので、該当事項はありません。 当社株式は非上場でありますので、該当事項はありません。 旧中央不動産株式会社の沿革は、以下のとおりであります。 当社グループは、当社及び連結子会社12社ほかにより構成され、その主要な事業並びに当該各事業における当社及び関係会社の位置づけは次のとおりであります。 なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一の区分であります。 中央日本土地建物㈱は、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、品川区)を中心にオフィスビル・商業施設等の事業用不動産の取得、開発、及び賃貸、運営業務を行っております。 中央日土地ビルマネジメント㈱は、当社グループ及び不動産ファンド等の保有物件を中心にオフィスビル・商業施設等の管理運営、PM(プロパティマネジメント)を行っております。 中央日土地ファシリティーズ㈱は、当社グループ保有物件を中心に建築工事、ビルリニューアル工事を行っております。 中央日本土地建物㈱は、首都圏を中心にマンション・戸建住宅の企画、開発、販売を行っております。また、ファミリー向けマンションを始め、学生マンション、老健施設等の賃貸業務を行っております。 中央日土地レジデンシャルサービス㈱は、分譲・賃貸マンションの総合管理業務を行っております。 中央日土地ソリューションズ㈱は、不動産売買・賃貸借の仲介及び不動産鑑定評価業務並びに顧客企業のCRE(企業保有不動産)戦略支援を行っております。 中央日土地アセットマネジメント㈱は、不動産ファンドの企画・組成・運用を行っております。 ㈱レイクウッドコーポレーションは、主に神奈川県においてゴルフ場の運営などを行っております。 Chuo-Nittochi America Corporationは、主にアメリカ合衆国内において不動産開発賃貸事業への投資を行っております。 主な事業の系統図は次のとおりであります。 3  前連結会計年度末比増減は、報告セグメントの一部変更に伴い、前連結会計年度末従業員数を組み替えたうえで算出しております。 当社の従業員は、中央日本土地建物㈱からの出向者であるため、労働組合は組織されておりません。なお、連結子会社のうち中央日本土地建物㈱には労働組合が組織されておりますが、労使関係は良好で、特記すべき事項はありません。 正規雇用労働者は基幹職と業務職に区分しており、正規雇用労働者のうち基幹職管理者の賃金差は92.9%、基幹職非管理者の賃金差は87.1%となっております。 当社グループは、グループ企業理念に掲げる〈使命〉〈価値観〉〈行動規範〉の実践、すなわち「あらゆるステークホルダーの皆さまとの共創により、人と社会に安心と感動を提供すること」を通じて、「変化の潮流に挑戦し、期待を超える価値を共創する総合不動産グループ」の実現を目指します。 今後のわが国経済は、政府の各種政策などにより社会経済活動の正常化が一層進展し、景気の持ち直しの動きが継続していくと期待されます。その反面、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化をはじめとする地政学的緊張の高まり、世界的なインフレ圧力を背景とする各国の政策金利引き上げによる景気減速、更には欧米に端を発する国際金融資本市場の不安定化などの影響が懸念されるため、これまで以上に先行き不透明な状況が続くことと考えられます。 こうした環境の下、当社グループでは現「中期経営計画1st STAGE」(2021年4月~2024年3月)の達成に向けて、「グループ総合力発揮による利益創出力の強化」、「新規領域への取り組み」、「成長戦略実現に向けた組織基盤強化」並びに「グループブランドの確立」を基本方針に掲げております。 「利益創出力の強化」については、「淀屋橋駅東地区都市再生事業」、「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」、「虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業」、「春日ビル建替計画」の大型再開発プロジェクトを着実に推進しております。また、住宅分譲戸数の拡大とお客さまに選ばれるブランドの確立を目指します。 「新規領域への取り組み」については、スマートビルやスマートハウスなどDXを活用した付加価値の提供、海外事業や再生可能エネルギー分野の取り組みなどを行っていきます。 「組織基盤強化」については、SDGs対応部署として中央日本土地建物グループ社内に「サステナビリティ推進室」を、また、中央日本土地建物社内に「エネルギー統括室」をそれぞれ新設しました。 「グループブランドの確立」については、コーポレートブランドや住宅ブランド「バウス」のテレビCMや公共交通機関への広告などを展開するほか、バレーボール日本代表オフィシャルスポンサーに就任するなど、スポーツ振興への取り組みを始めました。 当社グループは、経営の基本方針に則し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 サステナビリティ活動の企画・推進を図るグループ横断的な組織として、「サステナビリティ委員会」を設置し、マテリアリティ(重要課題)ごとに目標・KPIやアクションプランを策定し、進捗のモニタリングを実施しています。 本委員会は、中央日本土地建物グループ株式会社代表取締役社長(委員長)、各グループ会社役員等で構成され、定例(原則年2回)開催ごとに協議事項を取締役会へ報告・付議しています。また、サステナビリティ委員会の下部組織である協議会(ワーキンググループ)では、マテリアリティ(重要課題)ごとの目標・KPIのモニタリング及び達成に向けた部門管理と推進活動に関する情報集約機能を担います。 体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。 当社グループは、深刻化する社会課題解決への貢献を新たな価値創造の機会と捉え、企業理念にも則した「サステナビリティビジョン」と5つの「マテリアリティ(重要課題)」から構成される「サステナビリティ基本方針」を掲げております。かかるなか、気候変動問題、少子高齢化やデジタル化の進展など、私たちを取り巻く環境や価値観は大きく変化しており、引き続き社会のあらゆる活動と人々の生活を支える重要な基盤を提供する企業としての責務を果たしてまいります。 当社グループでは、社会課題解決により一層取り組むべく、多様化する社会並びに顧客ニーズにより高い次元で応えるサービスを提供することを通じて、グループの持続的な成長と、社会やステークホルダーの皆さまから選ばれ続ける企業グループとなることを目指し、今後とも環境・社会・ガバナンスを意識し、社会情勢や事業活動の変化などに応じて、マテリアリティの改定やブラッシュアップを進めてまいります。 再生可能エネルギーの活用や、環境性能の高い不動産の開発・運営など、脱炭素社会の実現に向けて、入居者や共同事業者など関わる全ての人々とともに自然環境と調和したまちづくりに取り組みます。 当社グループが関わる不動産や街の防災対策、地域コミュニティの活性化など都市が抱える社会課題の解決と、多様化するライフスタイルを尊重するレジリエントかつウェルビーイングなまちづくりに取り組みます。 スマート社会(Society 5.0)の実現に向け、オープンイノベーションや日々革新するデジタル技術を活用することで、既存ビジネスモデルの変革や新たな事業を創出し、イノベーティブな事業活動を行います。 誰もが自分らしく活躍できる社会の実現に向け、従業員一人ひとりの個性・働き方を尊重し、多様な人材の育成と活躍を支援するとともに、さまざまな価値観に真摯に向き合った事業活動を行います。 人権・法令・コンプライアンス等の遵守を徹底するとともに、あらゆるステークホルダーの皆さまから信頼されるコーポレートガバナンス体制を確立します。 リスクの回避・低減及び発生した場合における的確な対応を図るべく、リスクマネジメント体制を構築し、リスクのモニタリングとコントロールの徹底に努めております。 リスク管理の具体的な内容については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 「①サステナビリティ共通」に記載のとおりであります。 不動産業における気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、当社グループの事業と関連性が高いリスク・機会を特定しました。特定した気候変動における移行リスクと物理リスクは、当社グループの経営成績及び財政状態へ影響を及ぼす可能性があります。 移行リスクとして、炭素税導入やZEB・ZEH義務化といった政策・法規制に伴うコスト増加などが想定されます。また、脱炭素化に向けた取り組みが遅れた企業に対してステークホルダーからの評判低下の可能性があります。物理リスクとして、風水害激甚化による保有物件への被害発生や平均気温上昇による空調コストの増加や工期の遅延などが懸念されます。 一方で、気候変動への対応は事業機会の創出にもつながります。主な機会として、低炭素ビルの需要増加や太陽光発電設備・省エネ技術導入によるランニングコスト減少が期待されます。また、再生可能エネルギー発電事業など脱炭素化に向けた事業にも参画し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 気候変動関連リスクについては、将来的に協議会(ワーキンググループ)で選別・評価したリスクをサステナビリティ委員会とリスク管理・コンプライアンス委員会が連携して管理し、定期的に経営会議・取締役会へ報告・付議する体制を構築する想定です。 気候変動については、移行リスク(炭素税の導入、ZEB 対応、ステークホルダーからの評判低下など)と物理リスク(風水害の激甚化、平均気温の上昇など)により、当社グループの経営成績及び財務状態が影響を受ける可能性があります。 当社グループでは、「自然環境との共生」をマテリアリティ(重要課題)として特定しており、再生可能エネルギーの活用や環境性能の高い不動産の開発・運営など、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めています。 「①サステナビリティ共通」に記載のとおりであります。 当社グループは人材育成方針及び社内環境整備に関する方針を以下の通り定め、人的確保リスクに備え、ダイバーシティ&インクルージョンの推進の取組みを実施しております。 当社グループはチームの能力が最大限に発揮できるよう「グループ総合力」「プロフェッショナル人材」「リーダーシップ」の人材マネジメントに力を入れており、多様な人材が活躍するプロフェッショナルな人材集団作りに取り組んでおります。 当社グループは「都市開発事業」「住宅事業」「不動産ソリューション事業」「資産運用事業」の4つの事業を柱とし、併せてゴルフ事業を展開する「総合不動産グループ」です。 総合力が発揮しやすいよう「中央日本土地建物グループ企業理念」や「グループ共通の人事制度」の浸透を図りつつ、各社各部門を横断した会議体、若手社員による経営課題のプレゼンテーション、グループ内外のプロジェクトの組成、ジョブローテーション・教育研修を行うなど、多様な人材の能力が発揮できる職場環境を整備しております。 このような環境のもと、「縦軸」として各社各部門が組織力や専門性を高め、それぞれが掲げる事業計画の達成に向けてしっかり取り組み、それを実現するための「横軸」として、各社各部門間の連携強化を図ることで、当社グループの強みである総合力を発揮して参ります。 当社グループは急速に変わりゆくマーケット情勢や多様なお客様ニーズに的確に対応すべく、未来志向で、自ら考え、自ら動ける自律性の高いプロフェッショナル人材の育成に力を入れています。 スキル面の育成強化について、新卒入社の社員に対しては、入社2年間は教育責任者、育成リーダー、実務指導員、メンターが連携して社員の成長をマンツーマン体制で全面的にサポートし、その後のジョブローテーションによりスキルの幅を広げ、社員自身が自らのキャリアの適性を見極めていきます。 そしてキャリア採用者を含めた全社員の更なる専門性の高度化を図っていくために、63の資格取得支援の他、中央日土地カレッジなど様々な研修・派遣等により、社員の主体的なスキル開発を支援しています。 また、社員によって異なり、ライフステージによっても変わりうる社員一人ひとりのキャリアビジョンに向き合うために、年代別キャリアデザイン研修、キャリア開発相談窓口、ジョブ公募制度により、社員が自らありたいと考えるプロフェッショナル像の実現を支援しています。 多様な価値観やキャリアを有する役職員が、働きがいや一体感を持ってチャレンジできる魅力ある企業文化を構築するには、管理者層のリーダーシップの発揮が重要であり、管理職向けのマネジメント力強化研修、評価者研修、人権啓発を充実させています。 また、部長クラスを対象に、上司の企業理念の実践度合に対する部下社員からのフィードバックツールとして360度サーベイを実施し、管理職自身のマネジメント特性や気付きを促します。 更に、次世代リーダーを発掘・育成するため、管理者を目指す社員に対してアセスメント研修を実施しています。 人事ビジョンを実現するうえで女性活躍の推進が課題であると認識しており、女性が長期間に渡り、安心して継続就業、活躍できる職場環境の整備を行うため、次のとおり行動計画を策定しています。 多様な人材の能力が安定かつ持続的に発揮できるよう、種々の人事制度、福利厚生制度により社員のワークライフバランスの向上をサポートし、社員が活き活きと働くことのできる職場風土の実現を目指しています。 全社員にモバイルPC及びスマホを貸与しており、場所を意識せず仕事ができる環境を整備しております。 また、ダイニングやラウンジなど、就業中の利用だけに限らず、就業以外に自己啓発や社内外交流など多様な目的で自由に利用できる環境を設置しています。 個々の社員の業務効率やライフスタイルに合わせて、始業・終業時刻を社員が柔軟に選択できる制度です。1か月毎に決められる総労働時間の中で、日々の始業・終業時刻、労働時間を社員が自ら選択することができます。 個々の社員の業務効率やライフスタイルに合わせて、勤務場所を社員が柔軟に選択できる制度です。社員は、自宅や当社が指定するサテライトオフィス(「TIMEWORK」:スペースシェアリングサービス)で勤務することが可能です。 リフレッシュ休暇など各種有給休暇、育児介護支援制度、健康支援制度など充実しております。 福利厚生パッケージ、住宅補助制度、社員口預金、社員持株制度、慶弔・見舞金など充実しております。 多様な人材の能力が安定かつ持続的に発揮できるよう、社員の健康保持・増進を通じて、「社員の幸せ」「生産性の向上」「企業価値の向上」「企業の永続的発展」を支えるウェルビーイングな職場づくりを全社一丸となって実現いたします。なお、2023年3月に経済産業省の「健康経営優良法人2023(大企業法人部門)」の認定を受けました。 「人と社会に安心と感動を。ともに考え、ともに創り、ともに未来へ。」この使命を果たすためには、全ての社員とその家族が身体的・精神的・社会的にも満たされた状態、すなわちウェルビーイングであることが何よりも大切だと考えます。そのために中央日本土地建物グループは、社員に様々な情報や教育の場、ツールを提供することで社員の健康保持・増進を支え続け、全ての社員が活き活きと働くことができる魅力的な職場づくりに取り組んでいくことを宣言いたします。 いる社員を対象に算出しております。 長時間労働等の労働問題の発生、人事運営上の不公平・不公正、ハラスメント行為、人的流出、人材獲得の困難等により、当社グループの経営成績及び財務状態が影響を受ける可能性があります。 当社グループは「人と社会に安心と感動を。ともに考え、ともに創り、ともに未来へ。」という企業理念のもと、「多様な価値観やキャリアを有する役職員が、働き甲斐や一体感を持ってチャレンジできる魅力ある企業文化を構築する」というグループ人事ビジョンを掲げ、「多様な人材の活躍推進(人材マネジメント・女性活躍の推進)」「ワークライフバランスの向上」「健康経営」「人権啓発」の面から人材育成に取組んでおります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 当社グループは、企業価値の持続的な向上に向け、これらのリスクを認識したうえで、リスクの回避・低減及び発生した場合における的確な対応を図るべく、リスクマネジメント体制を構築し、リスクのモニタリングとコントロールの徹底に努めております。 なお、当社グループのリスクマネジメント体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。 当社グループは、設備投資資金及び運転資金の多くを借入金や社債に依存しているため、総資産に占める有利子負債の比率が高い水準にあります。当社グループでは外部格付けを取得し、その維持、向上を図っております。 しかし、有利子負債に占める固定金利比率が高いため、今後の金利上昇の影響は短期的には限定的ですが、中長期的には、金利上昇の影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 また、金融機関の融資スタンスの厳格化や当社格付けの低下などにより、資金調達が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 このため、有利子負債については、引続き固定金利での調達を主体とすることに加えて、一定の資金調達枠の確保、投資期間とのマッチング、調達期限の到来期の分散、調達手法の多様化、投資リターンや全体的な財務状況、中長期的な将来見通し等を総合的に勘案し、適正な残高水準と内容を保つよう管理、運営することにより、リスクの低減に取り組んでおります。 当社グループは、東京都心6区を中心にオフィスビルを保有し、都市開発事業を行っております。しかし、景気動向の影響を受け、不動産市場が悪化した場合、賃料水準の下落、稼働率の低下などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 このため、日頃よりテナントのニーズ把握及びサービス向上に努めるとともに、保有物件の立地、用途、稼働状況、収支等を踏まえた個別運用方針の定期的な見直しを行う等、リスクの低減に取り組んでおります。 当社グループが保有する不動産(土地・建物)について、将来、経済状況、需給バランスの悪化等の要因により、価格が著しく下落した場合、当該資産の売却等による実現損計上、棚卸資産の評価に関する会計基準や固定資産の減損会計にかかる会計基準適用による評価減計上が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、SPCを活用した不動産投資についても、投資対象不動産の価格下落による評価損計上などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 このため、当社グループでは不動産市況の現状と将来見通し、及び、保有不動産の運用状況、評価額等を定期的に分析し、個別運用方針及び全体的なポートフォリオ運営方針の見直しを行う等、リスクの低減に取り組んでおります 。 当社グループは、多くの上場株式を保有しております。株式市場全体で大幅な株価下落が生じるような場合には、評価損の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 このため、当社グループでは時価評価額の変動状況のタイムリーなモニタリングを行うとともに、定期的な保有意義の見直しを経たうえで残高圧縮を行う等、リスクの低減に向け取り組んでおります。また、株価急変時や売却決定銘柄の株価変動リスクを回避するためのヘッジ手法等に関しても継続的に検討しております。 地震や風水害等の災害、戦争、暴動、テロ、感染症の流行その他突発的な事故等が発生した場合、経済や従業員の働き方、社会の生活行動に広範な影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 このため、当該リスクについては、当社総務部が主管部署となり災害等発生時の安全対策やBCPの整備、BCM訓練等を行い、影響を最小限にとどめる取り組みを行っております。 新型コロナウイルスにつきましては、今後感染症が再度蔓延し、経済活動の先行き不透明な状態が長期化した場合、賃料の減少、開発プロジェクトの計画スケジュール変更や、住宅分譲における需要面への影響等、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 当社グループにおけるオフィスビル、マンション等の新築及び修繕等の発注にあたっては、その時点の工事の人手や資材等の需給状況が、工事期間及び建築工事費に影響を与えます。建築工事費の増嵩は、各物件の収益性に悪影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 特に、近年は新型コロナウイルスの影響等による生産・物流網の停滞等から、国際的に資材等の需給のひっ迫が生じ、更にはロシア・ウクライナ問題で、資源も含めた社会・経済面への影響も懸念される状況であります。 当社グループとしましては、各資材等の供給・価格変動動向を注視し、工期及び資材等価格の建築発注条件を適切に管理するよう努めております。 当社グループが行う事業は、「宅地建物取引業法」、「建設業法」、「不動産の鑑定評価に関する法律」、「金融商品取引法」、「都市計画法」、「借地借家法」などの法令の他、各自治体制定の条例などによる規制を受けております。また、SPCを活用した不動産投資では、「資産の流動化に関する法律」などによる規制を受けております。しかし、将来における、これらの規制の改廃によって、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。 このため、当社グループではリスク管理・コンプライアンス部が中心となり、法令順守のための定期的な研修等を行い、コンプライアンスの周知・徹底を図るとともに、法令改正の都度、迅速にその内容を関係部署に伝達し、必要な対応策の検討等を開始する体制をとっております 。 また、様々な不動産事業等を行う中で、訴訟、紛争等が発生する可能性がありますが、規制当局からの指摘・指導、お客様からの苦情等につきましては、現場での迅速な対応と所管部署への報告・協議、専門家への相談等、必要な組織対応を行う体制をとっております。 当社グループでは、各事業において個人情報をはじめとする多くの機密情報を取り扱っておりますが、万一、役職員の不注意、サイバー攻撃等により、これらの情報が漏洩しますと、関連するお客様への被害等の影響から、当社グループの社会的信用失墜、損害賠償の発生等の可能性があります。 これらの機密情報に関しては「個人情報の保護に関する法律」をはじめ、関連する諸法令に基づく規程類を整備し、書類・データ等の管理体制を強化するなど、適切な情報管理に努めております。また、情報端末・サーバ・ネットワーク機器等に対するハード・ソフト両面でのセキュリティ強化、全役職員へのマルウエア対応策の徹底等のセキュリティ教育を行っております。 気候の変動及び人的リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。 当連結会計年度のわが国経済は、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する世界的な供給制約及び物価高騰、更には欧米の金融引き締めを背景とした国際金融資本市場の変動などにより、不安定な状況が続きました。 一方、国内景気は、新型コロナウイルス感染症拡大防止と社会経済活動を両立する生活様式が徐々に浸透し、政府の各種政策の効果もあって、持ち直しの動きがみられるようになりました。 不動産業界においては、賃貸オフィス市場で東京ビジネス地区の空室率が高止まりし、平均賃料も下落基調でした。また、コロナ禍を機にテレワークが進展する中で、出社回帰の動きもみられるなど、社会経済活動の変化を見据えたオフィスに求められるニーズは、従来以上に多様化・高度化しました。首都圏の住宅市場に目を転じると、新築マンションの供給戸数は減少しましたが、平均価格は高値圏で推移し、初月契約率も概ね順調でした。このようにマンション市場は底堅く推移しましたが、地価並びに建築費など市場変動リスクへの留意が重要な時期でありました。 このような事業環境の下、都市開発事業においては、コロナ禍の落ち着きにより賃貸収入は堅調であった一方、エネルギー価格の高騰や工事費の高止まりなどの影響により、賃貸原価は上昇傾向にあります。新築物件については、当期間中に「東横INN横浜市営地下鉄センター南駅」及び中規模オフィスビル「REVZO(レブゾ)シリーズ第3号の「REVZO一番町」が竣工しました。また、新たなアセットクラスとして取り組んでいる物流施設では、「LOGIWITH(ロジウィズ)厚木」、「(仮称)一宮市物流施設プロジェクト」、「LOGIWITH八王子」の3物件が着工しました。さらに、不動産ポートフォリオの改善と資金効率化を企図して保有物件の売却も進めました。 住宅事業においては、分譲マンションの「バウス西大島」、「バウス湘南台」、「バウス上中里」、「パークホームズ日本橋本町」などの引き渡しが進み、販売収益に寄与しました。その他、賃貸マンションの「バウスフラッツ品川キャナルサイド」、「バウスフラッツ高円寺」、「バウスフラッツ日本橋馬喰町」、「バウスステージ中野」、及び学生マンションの「バウスクロス板橋加賀」がそれぞれ竣工しました。 不動産ソリューション事業においては、2022年9月に恒例の「CRE戦略セミナー2022」を開催しました。今回は3年ぶりに会場で講演を行うとともに、ライブ配信も行うハイブリッド形式としました。また、物件取得後に改修などのバリューアップ実施のうえ売却する買取再販事業にも注力しました。 資産運用事業においては、中央日土地アセットマネジメントが運用する「中央日土地プライベートリート投資法人(CNPR)」で新たにオフィス2物件、商業施設1物件、住宅1物件の計4物件を取得しました。この結果、CNPRの運用資産残高は3月末時点で1,200億円に達しました。また、CNPRは、不動産投資運用における環境・社会・ガバナンス配慮の重要性を認識し、企業の社会的責任として、環境負荷の低減等、サステナブルな社会の実現を目指した取り組みを継続しております。 その他の事業(分野)においては、海外事業として、米国における賃貸集合住宅開発プロジェクト並びに複合開発プロジェクトへの参入、再生可能エネルギー分野への取り組みなど、新規事業領域の開拓に取り組んでいます。 また、SDGsへの取り組みの一環として、当社グループのマテリアリティの1つである「自然との共生」に強くコミットした重要評価指標及びサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットを設定した、「サステナビリティ・リンク・ボンド」による資金調達を行いました。 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は110,626百万円(前連結会計年度比13.2%増)、営業利益は20,612百万円(同9.1%増)、経常利益は26,186百万円(同26.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,554百万円(同18.9%減)となりました。 セグメント別の業績は次のとおりであります。 なお、当連結会計年度において報告セグメントを一部変更したことに伴い、前連結会計年度におけるセグメント情報の数値を組替えております。報告セグメントの一部変更については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報 1 報告セグメントの概要」に記載のとおりであります。 主力であるオフィスビル・商業施設等の賃貸収入並びに商業施設の持分譲渡収入などを計上し、営業収益は58,561百万円(前連結会計年度比6.6%増)となりましたが、一部テナント入れ替えに伴う修繕費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は14,424百万円(同15.0%減)となりました。 「バウス西大島」、「バウス湘南台」及び「バウス上中里」などの住宅分譲収入、並びに賃貸住宅の譲渡収入及び賃貸収入などを計上し、営業収益は 39,775百万円(前連結会計年度比27.1%増)、セグメント利益(営業利益)は9,274百万円(同91.3%増)となりました。 不動産仲介手数料、鑑定評価・各種コンサルティング手数料に加え、事業用不動産の転売収入などを計上し、営業収益は8,465百万円(前連結会計年度比10.0%増)、セグメント利益(営業利益)は2,662百万円(同44.6%増)となりました。 私募リート「中央日土地プライベートリート投資法人」を含むファンドからのアセットマネジメントフィー、アクイジションフィーなどを計上し、営業収益は1,278百万円(前連結会計年度比12.8%増)、セグメント利益(営業利益)は796百万円(同16.4%増)となりました。 ゴルフ場事業などにより、営業収益は3,909百万円(前連結会計年度比3.9%増)、セグメント利益(営業利益)は348百万円(同3.0%減)となりました。 営業外収益は、受取配当金及び持分法による投資利益等により10,718百万円と前連結会計年度比3,033百万円の増加となりました。また、営業外費用は、支払利息等により5,144百万円と前連結会計年度比738百万円の減少となりました。これらにより、経常利益は26,186百万円と前連結会計年度に比べ5,493百万円(26.5%)の増加となりました。 特別利益は、固定資産売却益等により5,289百万円を計上しましたが、前連結会計年度において計上した多額の投資有価証券売却益の剥落により13,310百万円の減少となりました。また、特別損失は、減損損失及び固定資産売却損等により2,893百万円と前連結会計年度比1,418百万円の減少となりました。 税金等調整前当期純利益28,582百万円を計上し、法人税等で7,901百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は20,554百万円と前連結会計年度に比べ4,798百万円(18.9%)の減少となりました。 総資産は、前連結会計年度末に比べ13,882百万円増加し1,179,205百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ14,722百万円増加し216,342百万円となりました。これは主に販売用不動産並びに現金及び預金等の増加によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ839百万円減少し962,862百万円となりました。これは主に有形固定資産が純額で増加した一方で、優先出資の償還に伴い投資有価証券が減少したことによっております。賃貸等不動産を中心とした有形固定資産並びに流動資産である販売用不動産を合わせると総資産の約7割を占めております。 総負債は、前連結会計年度末に比べ1,515百万円減少し780,085百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ29,705百万円増加し174,622百万円となりました。これは主に再開発案件の保留床取得に伴う営業未払金の増加によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ31,220百万円減少し605,463百万円となりました。これは主にサステナビリティ・リンク・ボンドを発行した一方で長期借入金が減少したことによります。 純資産は、前連結会計年度末に比べ15,398百万円増加し399,119百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。結果として純資産額と総資産額との比率は約34%となっております。 となり、現金及び現金同等物は、7,700百万円増加し、当期末残高は111,040百万円となりました。 税金等調整前当期純利益28,582百万円、減価償却費10,022百万円、有形固定資産売却損益△3,211百万円などを計上し、売上債権の増加△2,558百万円、棚卸資産の増加△4,802百万円、法人税等の支払額△10,900百万円などによる資金減少の結果、19,894百万円の収入となりました。 有形固定資産の売却による収入28,680百万円、投資有価証券の売却による収入14,091百万円などによる資金増加の一方、有形固定資産の取得による支出△28,477百万円、投資有価証券の取得による支出△3,748百万円などによる資金減少の結果、11,368百万円の収入となりました。 借入金の借入・返済による純支出△31,800百万円、社債の発行・償還による純収入11,000百万円、コマーシャル・ペーパーの純増減額△1,000百万円、配当金の支払額△1,586百万円などにより、23,537百万円の支出となりました。 該当事項はありません。 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 2 当連結会計年度において報告セグメントを一部変更したことに伴い、中央日土地ファシリティーズ㈱における賃貸ビル・設備等に関する請負工事は、都市開発事業の1セグメントとなっております。これにより、前連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績も組替えております。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度においては、テナントを始めとしたお客様、お取引先様、株主様、地域社会並びに当社グループ社員などステークホルダーの安全を最優先に図りながら、収益維持、積み上げに取り組んでまいりました。 なお、当社グループの当連結会計年度における経営成績等については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。 以下は当社の内部管理上の計数に基づいており、億円単位で記載をいたします。 当連結会計年度の営業収益は1,106億円で、前連結会計年度比129億円の増収となりました。 このうち、土地建物賃貸収入は523億円で、前連結会計年度比21億円の減収となりました。大型建替案件・再開発案件の開発段階であり、また、物件ポートフォリオ入替え等による影響を受けたこともあり、減収となりました。 販売用不動産売上は421億円で、前連結会計年度比143億円の増収となりました。これは主に住宅事業におけるバウスブランド・マンション等の分譲収入増、及び賃貸住宅物件の譲渡、都市開発事業における商業施設売却などによるものであります。 営業収益のうちのその他は162億円で、前連結会計年度比7億円の増収となりました。これは主に不動産ソリューション事業における仲介手数料収入などの増加によるものであります。 当連結会計年度の営業利益は206億円で、前連結会計年度比17億円の増益となりました。これは、営業総利益が21億円の増益となった一方で、販売費及び一般管理費が4億円増加したことによります。 当連結会計年度の経常利益は262億円で、前連結会計年度比55億円の増益となりました。このうち受取配当金、持分法による投資利益等の営業外収益は30億円の増加、営業外費用は7億円減少しております。営業外収益の増加は、主に出資ファンド保有物件売却による受取配当金などの増加によるものです。 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は206億円で、前連結会計年度比48億円の減益となりました。これは主に、前連結会計年度において特別利益に計上した多額の投資有価証券売却益が剥落したことによっております。 当連結会計年度のセグメント別営業利益の状況等は以下のとおりです。 都市開発事業の営業利益は144億円で、前連結会計年度比で25億円の減益となりました。これは、主に物件ポートフォリオ入替え、大口テナント退去等による賃貸利益の減少などにより、営業総利益が29億円減少した一方で、物件売却手数料の減少等により販管費が3億円減少したことによります。 住宅事業の営業利益は93億円で、前連結会計年度比約44億円の増益となりました。これは主に、バウスブランドを中心とした住宅分譲利益の増加で営業総利益が44億円増加した一方、広告費・販売経費等の販管費が前連結会計年度とほぼ同水準で推移したことによるものです。 不動産ソリューション事業の営業利益は27億円で、前連結会計年度比8億円の増益となりました。これは主に、不動産仲介手数料、鑑定評価・各種コンサルティング手数料等の役務収益の増加によるものであります。 資産運用事業の営業利益は8億円で、前連結会計年度比1億円の増益となりました。同事業の収益はファンドからのアセットマネジメントフィー、アクイジションフィーなどが主体であります。このうちアセットマネジメントフィーは、預り資産に基づいており、ステーブルな利益に貢献しております。 その他の営業利益は3億円で、前連結会計年度とほぼ同水準となりました。これは、主に安定的なゴルフ場事業の運営によるものであります。 当連結会計年度末における財政状態の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 財政状態の状況に関する分析は以下のとおりです。なお、以下は当社の内部管理上の計数に基づいており、億円単位で記載をいたします。 当連結会計年度末の総資産は1兆1,792億円で、前期末比139億円増加しました。この前期末比増減の内訳は、増加要因で、現金及び預金が前期末比77億円、販売用不動産(含む仕掛及び信託受益権)が前期末比54億円、有形固定資産が前期末比163億円であり、減少要因で、投資有価証券及び出資金が前期末比163億円であります。 現金及び預金の前期末比77億円増加は、前期末残高比約7%の増加ですが、金利動向を踏まえたうえで、複数の大型再開発案件等への投資に対応するため、手元流動性を若干積上げたことによります。 販売用不動産(含む仕掛及び信託受益権)の前期末比54億円増加は、購入・造成による増加369億円、固定資産からの振替による増加7億円、販売による減少322億円などによるものであります。 有形固定資産の前期末比163億円増加は、取得・設備投資による増加525億円(含む再開発案件に係る保留床取得)、売却による減少254億円、販売用不動産への振替による減少7億円、減損処理による減少12億円、減価償却による減少100億円などによるものであります。 投資有価証券及び出資金の前期末比163億円の減少は、主に不動産証券化商品への出資等による増加31億円、売却・償還による減少158億円であり、その他は上場株式の株価下落に伴う時価評価額の減少が主要因であります。 当連結会計年度末の負債は7,801億円で、前期末比15億円減少しました。この前期末比増減の内訳は、主に再開発案件の保留床取得に伴う営業未払金の増加262億円、有利子負債の減少217億円などであります。 有利子負債の前期末比217億円の減少は、社債発行・償還による増加110億円、連結子会社(匿名組合による不動産投資ビークル)における借入金の減少170億円のほか、主に物件売却回収資金などの充当によっております。 当連結会計年度末の純資産は3,991億円で、前期末比154億円増加しました。 この前期末比減少の内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益206億円から剰余金の配当16億円及び持分法適用範囲の変動10億円を控除した180億円の利益剰余金の増加、並びに上場株式の株価下落に伴うその他有価証券評価差額金28億円の減少などによっております。 営業活動によるキャッシュ・フローは、19,894百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益28,582百万円、減価償却費10,022百万円などの計上、及び仕入債務の増加1,126百万円等による資金増加の一方、売上債権の増加△2,558百万円、棚卸資産の増加△4,802百万円、法人税等の支払額△10,900百万円などによる資金減少であります。出資ファンド保有物件売却による受取配当金の増加などもあり、売上債権の増加及び仕入債務の増加による短期的なキャッシュ・アウト・フロー(約14億円)の要因を除いた長期投資等への原資となる税引後のキャッシュ・イン・フローは約213億円となっております。 投資活動によるキャッシュ・フローは、11,368百万円の収入となりました。主な内訳は、有形固定資産の売却による収入28,680百万円、投資有価証券の売却による収入14,091百万円などによる資金増加の一方、有形固定資産の取得による支出△28,477百万円、投資有価証券の取得による支出△3,748百万円などによる資金減少であります。このように投資活動によるキャッシュ・イン・フローは、主に不動産証券化案件等への出資金回収を含めた投資有価証券の売却収入によるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フローは、23,537百万円の支出となりました。主な内訳は、借入金の借入・返済による純支出△31,800百万円、社債の発行・償還による純収入11,000百万円、コマーシャル・ペーパーの純増減額△1,000百万円、配当金の支払額△1,586百万円などであります。営業活動によるキャッシュ・イン・フロー、並びに連結子会社(匿名組合による不動産投資ビークル)の保有物件を含めた物件売却による回収、不動産証券化案件に係る出資金回収、及び社債発行・償還による純収入等により、当連結会計年度における不動産・出資案件に対する投資を賄ったうえで、借入金返済に充当しております。なお、比較的高水準のキャッシュ残高は、金利動向を踏まえたうえで、複数の大型再開発案件等への投資に備えるものであります。 当社グループの主要な資金需要は不動産取得・開発資金であり、これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応しております。 当連結会計年度末における有利子負債は624,984百万円となりました。引続き長期・固定での資金調達を主とすることにより、安定した財務基盤の構築を図りつつ、調達手段の多様化を目指し、グリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ボンドなど無担保普通社債を発行し、社債残高は79,000百万円となっております。 また、当社及び主要な連結子会社において銀行提供のキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。 投資機会及び経済・金融情勢の変動等に備えるべく、一定水準の現預金及びコミットメントライン等の借入枠設定を行う等、円滑かつ安定的な資金確保にも留意しております。 経営指標につきましては、ビジネスモデルに合わせて、種々の指標をバランスよく総合的に見ていくべきと考えております。具体的には、持続的な成長、財務基盤の強化の観点から、期間収益力を示す「経常利益」、借入金等の返済力を示す「有利子負債/EBITDA倍率」、資産の効率的な活用を示す「総資産利益率(以下ROA)」に注視してまいります。各指標の当連結会計年度の実績は以下のとおりです。 経常利益は262億円と前期比55億円の増益となりました。賃貸利益は物件ポートフォリオ入替え、修繕費の増加等により前期比減となった一方で、住宅分譲利益が増益となり、また、出資ファンド保有物件売却による受取配当金の増加等により、経常利益は増益となりました。 有利子負債/EBITDA倍率は約15倍となりました。成長に向けた投資が先行すると同指標が上昇いたしますが、中長期的な不動産市況、将来収益見通し等も踏まえて同指標の動向を注視し、運営してまいります。 ROAは約2.6%となりました。建替え計画等による収益の一時的な落ち込みや投資等に伴う資産の増加に十分留意した運営を目指してまいります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。 当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。 該当事項はありません。
株式会社 アルバック
# 株式会社 アルバック 当社は、1952年米国NRC Equipment Corporationと技術提携を前提とした総代理店契約を結び各種真空装置の輸入販売を目的として創業いたしました。 創業後の主要事項は次のとおりであります。 各種真空装置の輸入販売を目的として、日本真空技術株式会社(資本金6百万円)を創業。 大森工場を新設し、国産装置の製造に着手。 株式会社東洋精機真空研究所を合併し、尼崎工場として真空化学装置及び真空ポンプ等の規格品の製造に着手。 本社及び大森工場を横浜市に移転。 真空技術の基本を応用し、真空冶金事業を開始。 真空材料株式会社(商号変更 アルバックマテリアル㈱)を設立、耐火材料の販売を開始。 熱分析機器の専門メーカーとして真空理工株式会社(現・アドバンス理工㈱)を設立。 新生産業株式会社(1929年9月20日創立)に吸収合併されると共に、同日社名を日本真空技術株式会社と改称し、旧日本真空技術株式会社の事業内容を継続。 外国事業部リライアンス部を分離し、米国Reliance Electric and Engineering Co.と共同出資で日本リライアンス株式会社を設立。 香港万豊有限公司と共同出資で合弁会社Hong Kong ULVAC Co.,Ltd.を設立。 真空冶金事業部を分離し、真空冶金株式会社を設立。 本社及び横浜工場を茅ヶ崎市に移転。 専売特約店の三和アルバック販売株式会社(商号変更 アルバック東日本㈱)を設立。 小型真空ポンプの専門メーカーとして真空機工株式会社(現・アルバック機工㈱)を設立。 超材料研究所を千葉県に新設。 対米輸出の拠点として北米に現地法人ULVAC North America Corp.(現・ULVAC Technologies, Inc.)を設立。 九州地区の営業活動の拡大のために九州アルバック株式会社(商号変更 アルバック九州㈱)を設立。 サービス事業部を分離し、アルバックサービス株式会社を設立。 SI事業部を分離し、アルバック成膜株式会社を設立。 米国Helix Technology Corp.と共同出資でアルバック・クライオ株式会社を設立。 台湾台北市にULVAC TAIWAN Co.,Ltd.(現・ ULVAC TAIWAN INC.)を設立。 米国The Perkin Elmer Corp.と共同出資でアルバック・ファイ株式会社を設立。 茨城県筑波学園都市(現つくば市)市内に筑波超材料研究所を設立。 中国北京市に北京事務所を開設。 核融合臨界プラズマ実験装置「JT-60」の真空排気系を納入。 関西の拠点工場としてアルバック精機株式会社を設立。 大型装置の生産体制強化のため、青森県八戸市に東北真空技術株式会社(商号変更 アルバック東北㈱)を設立。 欧州地区のサービス体制強化のため、西独にULVAC GmbHを設立。 グループ会社支援のため、株式会社アルバック・コーポレートセンターを設立。 英文社名をULVAC JAPAN,Ltd.と変更。 真空ポンプの量産体制確立のため、鹿児島に九州真空技術株式会社を設立。 半導体製造装置の生産体制強化のため静岡県裾野市に富士裾野工場を新設。 九州真空技術㈱がアルバック精機㈱を合併し、アルバック精機㈱に商号変更。 資本金12億10百万円より38億30百万円に増資。 資本金38億50百万円に増資。 アルバックサービス㈱がアルバックマテリアル㈱を合併し、アルバックテクノ㈱に商号変更。 韓国ソウル市に、ULVAC KOREA,Ltd.を設立。 中国に寧波中策動力機電集団有限公司と合弁で寧波愛発科真空技術有限公司を設立。 真空装置の生産能力拡充のため、東北真空技術㈱、アルバック九州㈱鹿児島事業所にクリーン工場を増設。 シンガポールCSセンター、台湾新竹R&Dセンターを開設し、アジアのネットワークを拡大。 台北五股サービスセンターを開設。 ULVAC KOREA,Ltd.に生産工場として平澤工場を設置。 寧波愛発科真空技術有限公司に新工場を設置。 株式会社アルバック(英文社名ULVAC,Inc.)に商号変更。 カスタマーサポート強化のためULVAC TAIWAN INC.桃園CIP工場を設置。 カスタマーサポート体制の充実のためULVAC SINGAPORE PTE LTDを設立。 アルバック東日本㈱が高山アルバック㈱を合併し、アルバック イーエス㈱(現・アルバック販売㈱)に商号変更。 米国Physical Electronics USA,Inc.が保有するアルバック・ファイ㈱株式(50%)を取得し、100%子会社化。 米国RELIANCE ELECTRIC COMPANYより日本リライアンス㈱株式(31%)を取得し、持分を81%に引き上げ。 アルバック東北㈱、アルバックテクノ㈱、UMAT㈱による機械加工、表面処理、精密洗浄の一貫工場を東北に設置。 中国における本格的生産工場とCSソリューション工場として愛発科真空技術(蘇州)有限公司を設立。 工業用インクジェット装置を製造・販売しているLitrex Corporationの株式50%を取得。 東京証券取引所市場第1部に株式を上場。資本金38億50百万円より81億円に増資。 資本金81億円より89億50百万円に増資。 韓国にULVAC KOREA,Ltd.とアルバック東北㈱が共同出資で大型基板真空用部品の製造を目的としたUlvac Korea Precision,Ltd.を設立。 韓国にULVAC KOREA,Ltd.と真空冶金㈱が共同出資で成膜装置用部品の表面処理を目的としたPure Surface Technology,Ltd.を設立。 中国に日本リライアンス㈱、啓電実業股份有限公司と共同出資で制御盤及び自動制御駆動装置の製造、販売を目的とした愛発科啓電科技(上海)有限公司を設立。 資本金89億50百万円より134億68百万円に増資。 中国にアルバック機工㈱と江蘇宝驪集団公司と共同出資で真空ポンプ用部品の製造、販売を目的とした愛発科天馬電機(靖江)有限公司を設立。中国に沈陽中北真空技術有限公司と共同出資で真空炉の製造、販売を目的とした愛発科中北真空(沈陽)有限公司を設立。成都東方愛発科真空技術有限公司を子会社化し、愛発科東方真空(成都)有限公司に商号変更。 真空冶金㈱がUMAT㈱を合併し、アルバックマテリアル㈱に商号変更。フラットパネルディスプレイ事業拡大のため、富士通ヴィエルエスアイ㈱より設備事業譲受。 ULVAC KOREA,Ltd.に生産拡大のため玄谷工場を増設。 アルバック機工㈱宮崎事業所に小型真空ポンプの評価、検証を目的とした信頼性評価センターを設置。 英国Cambridge Display Technology Limitedが保有するLitrex Corporation株式(50%)を取得し100%子会社化。 タイに販売やフィールドサポートを目的としたULVAC (THAILAND) LTD.を設立。 台湾にフラットパネルディスプレイ製造装置などの製造を目的としたULVAC TaiwanManufacturing Corporationと、部品加工や部品洗浄などフィールドサポートを目的としたULTRA CLEAN PRECISION TECHNOLOGIES CORP.を設立。 中国における子会社の管理統括等を目的とした愛発科(中国)投資有限公司を設立。 台湾に制御盤等の製造を目的としたULVAC AUTOMATION TAIWAN Inc.を設立。 韓国に研究開発を目的としたULVAC Research Center KOREA,Ltd.を設立。 台湾に研究開発を目的としたULVAC Research Center TAIWAN,Inc.を設立。 精密ステージを製造・販売しているシグマテクノス㈱の株式(70%)を取得。 マレーシアに販売やフィールドサポートを目的としたULVAC MALAYSIA SDN.BHD.を設立。 神奈川県茅ヶ崎市に真空装置部品の表面処理を目的とした、アルバックテクノ㈱ケミカルセンターを新設。 宮崎県西都市に小型真空ポンプの生産集約化を目的として、アルバック機工㈱宮崎事業所を増 設。 愛知県春日井市にフラットパネルディスプレイ製造装置の生産能力拡充のため、愛知工場を新設。 インドビジネス拡大のため、ULVAC,Inc.India Branch.を設立。 埼玉県日高市に大型の精密ステージの製造・販売するためシグマテクノス㈱本社工場を新設。 啓電実業股份有限公司の持株譲渡に伴い愛発科啓電科技(上海)有限公司を愛発科自動化科技(上海)有限公司に商号変更。 開発委託設計を目的としたアルバック ワイ・エム・イー㈱(商号変更  アルバックエンジニアリング㈱)を設立。 フィールドサポートを専門とした、アルバックヒューマンリレーションズ㈱を設立。 台湾における経営の合理化などを目的としてULVAC TAIWAN INC.を存続会社とし、ULVAC Taiwan Manufacturing Corporationと合併。 韓国にスパッタリングターゲットの製造及びボンディングを目的とした、ULVAC Materials Korea,Ltd.を設立。 スパッタリングターゲット材の効率的な生産と開発体制の強化を目的として、アルバックマテリアル㈱から当社へ事業を移し、洗浄事業のサポート体制の充実を目的として、アルバックテクノ㈱とアルバック九州㈱へ事業譲渡。 中国にスパッタリングターゲットの製造及びボンディングを目的とした、愛発科電子材料(蘇州)有限公司を設立。 中国にタッチパネルの製造などを目的とした愛発科豪威光電薄膜科技(深圳)有限公司を設立。 ディスプレイ事業を東アジアで機動的に事業展開するため、Litrex Corporationを解散し、当社にて同事業を継続。 中国に研究開発を目的とした愛発科(蘇州)技術研究開発有限公司を設立。 資本金134億68百万円より208億73百万円に増資。 研究開発強化のため、富里工業団地に千葉超材料研究所を新設移設。 当社がアルバックマテリアル㈱を吸収合併、アルバック九州㈱のサービス、洗浄、表面処理事業をアルバックテクノ㈱に事業譲渡。また、アルバック九州㈱がアルバック精機㈱を吸収合併。 韓国の研究開発強化のため、ULVAC Research Center KOREA,Ltd.を解散し、ULVAC KOREA,Ltd.の付属研究所として韓国超材料研究所を設立。 ㈱アルバック・コーポレートセンターを解散し、当社にて同事業を継続。 販売体制強化のため、アルバック イーエス㈱をアルバック販売㈱に商号変更。 シグマテクノス㈱を解散。 日本リライアンス㈱の一部株式(80%相当)を㈱高岳製作所へ譲渡。 ULVAC Research Center TAIWAN,Inc.を解散し、ULVAC TAIWAN INC.にて同事業を継続。 中国に輸入部品の保税扱いでの仕入れ、販売のため、愛発科真空設備(上海)有限公司を設立。 アルバック理工㈱(現・アドバンス理工㈱)の全株式を㈱チノーへ譲渡。 アルバックエンジニアリング㈱を解散。 沈陽中北真空技術有限公司が保有する愛発科中北真空(沈陽)有限公司の株式(25%)を取得し、100%子会社化。 100%子会社化に伴い、愛発科中北真空(沈陽)有限公司を愛発科真空技術(沈陽)有限公司に商号変更。 中国にフラットパネルディスプレイ用マスクブランクス事業の生産、販売を目的とした愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立。 寧波愛発科真空技術有限公司が第三者割当増資を実施。 日本リライアンス㈱を㈱REJに商号変更。 愛発科豪威光電薄膜科技(深圳)有限公司を解散。 Pure Surface Technology,Ltd.がULVAC Materials Korea,Ltd.、Ulvac Korea Precision,Ltd.、UF TECH,Ltd.を吸収合併。 アルバックヒューマンリレーションズ㈱の全株式を㈱マイスティアへ譲渡。 中国にリークテスト装置の生産、販売を目的とした愛発科東方検測技術(成都)有限公司を設立。 東京証券取引所の市場区分見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。 ㈱REJの全株式をアイダエンジニアリング㈱へ譲渡。 当社がアルバック東北㈱、アルバック九州㈱を吸収合併。 当社グループは、当社、子会社36社、関連会社8社からなり、真空技術が利用されているさまざまな産業分野に多岐に渡る製品を生産財として提供している真空総合メーカーであります。 事業内容は、真空技術を基盤として、真空装置・機器やサービスを提供する真空機器事業と真空技術の周辺技術を基盤として、主に材料や表面分析装置等を提供する真空応用事業に区分できます。 各々の事業区分ごとの主要製品は下表のとおりであります。 なお、上記の真空機器事業と真空応用事業の区分と「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分は同一であります。 また、当社企業集団の主要製品の概要は、次のとおりであります。 真空中で金属やシリサイドなどの金属の材料に、高エネルギーのアルゴン原子をぶつけ、それに叩かれ飛び出してくる金属原子を付着させて成膜する装置。 つくる薄膜の種類に応じて原料をガス状態で供給し、下地膜の表面における化学触媒反応によって膜を堆積させる装置。 真空中に被エッチング材料を入れ、その材料に合わせてエッチングガスを導入しプラズマ化し、エッチング種が被エッチング材料に吸着されると表面化学反応を起こし、エッチング生成物を排気除去する装置。 真空中で特定の物質を熱し、そこから蒸発する原子や分子をより温度の低い面に凝縮させて、表面に膜を形成する装置。 真空中で各種金属の焼入、ろう付、焼戻、容体化、時効、磁性処理等を行う装置。 以上のような装置により、携帯電話、スマートフォン、PC、タブレットPC、携帯音楽プレイヤー、デジタル家電、薄型テレビ、自動車等の最終製品を構成するエレクトロニクス部品等が生み出されております。 また、主な各々の事業区分ごとの事業の流れは以下のとおりです。 当社グループの労働組合は、主としてアルバック労働組合であります。なお、労使関係については良好であり、特記すべき事項はありません。 当社グループは、下記の基本方針にもとづき、株主、投資家及びお客様満足度の向上を図ることで企業価値を高めてまいります。 複雑化、高度化するお客様の課題に対し、技術、価格、納期、アフターサービスなどに迅速かつ柔軟に対応し、お客様満足度の向上を目指します。 製造業の基本であるコスト競争力を高めるため、製造装置の標準化(モジュール化、ユニット化)を中心とした継続的な生産技術の革新を行います。 競合他社が真似することのできない最先端の独創技術を商品化し、開発型のソリューションを提供する企業を目指します。 経営方針や情報が迅速に伝わる風通しのよい組織と企業風土を継続して形成します。 株主価値の向上にとどまらず、技術の総合利用を通じて産業と科学の発展に貢献することを目指します。 当連結会計年度における世界経済は、穏やかな回復基調で推移しましたが、地政学リスクの高まり等に伴う各種材料や部品の価格上昇やサプライチェーンの混乱、そして世界的な金融引き締めに伴う景気後退懸念の高まり等から、その先行きに対する不透明感が高まりました。 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界では、スマートフォンやパソコン等の需要減速に伴う短期的な半導体メーカーの設備投資の鈍化が認められるものの、中長期的には、生成AIへの期待等も相俟った半導体需要拡大が見込まれるとともに、地政学リスク対応等の観点からの世界各地での半導体工場新増設計画も進められています。また、エレクトロニクス業界では、グリーンエネルギー政策等に基づくEV導入促進政策の進展等に伴ったパワーデバイス投資、スマート社会化構想等に基づくデジタル化の促進やメタバースの実現等に向けた各種電子デバイスの技術革新や増産のための投資、中国におけるエレクトロニクス国産化政策に基づく投資等が継続的に拡大しています。そして、フラットパネルディスプレイ(FPD)業界においては、タブレットやパソコン用のITパネルが液晶から有機ELへの転換期にあり、大型基板の有機EL投資が今後増加することが期待されています。また、産業用電池業界においても、EVバッテリーの小型大容量化や安全性向上の実現に向けた量産投資が本格化しはじめています。 当社グループは、「互いに協力・連携し、真空技術及びその周辺技術を総合利用することにより、産業と科学の発展に貢献することを目指す」という経営基本理念のもと、真空及びその周辺技術を、装置、材料、成膜加工、分析、カスタマーサポートといった幅広い事業領域において取扱うことで生み出されるシナジー効果を強みとした事業経営を行っております。また、このシナジー効果をより効果的に発揮できるよう、当社グループ間の連携強化や世界の多様な企業や研究所等とビジネスパートナーシップの形成を推進することで、よりグローバルに事業を展開し、更なる持続的成長と企業価値向上を実現する高い収益性を有する企業集団となることを目指しています。 また、当社グループは、「真空技術及びその周辺技術の総合利用により、経済価値、社会価値、環境価値を創造する」というサステナビリティ方針も定めており、当社グループの事業活動を通して、幅広いステークホルダーとともに、産業と科学の発展に貢献し、環境負荷の低減や健康と幸せの創造により適正な利潤を追求し、気候危機や資源不足等地球の持続可能性を脅かす環境問題の解決に向けての取組みも推進しております。 さらに、当社グループは、当社の創立70周年となる2022年度に当社グループの10年後に向けたビジョンである“Vision2032”「未来につながる『可能性の場』であり続ける」を策定いたしました。当該ビジョンは、当社グループの10年後の理想像を描くとともに、当社創業時から受け継がれてきた企業文化や価値観を未来志向に変換するという位置付けで策定したものです。そして、当社グループは、“Vision2032”の実現に向けて、当社グループが取組むべき重要課題(マテリアリティ)を次のように定めています。 この重要課題(マテリアリティ)に取組むため、当社グループは、2024年6月期を初年度とする3年間(2024年6月期~2026年6月期)の新中期経営計画を策定いたしました。 なお、2023年6月期で終了した中期経営計画「Breakthrough 2022」(2021年6月期~2023年6月期)については、成長領域である半導体及び電子部品事業における投資拡大によって、売上高については当初計画値を上回ったものの、市場環境の急激な悪化や地政学的要因等によるサプライチェーンの混乱等を原因とする調達部品の長納期化等によって、利益率の面においては当初計画が未達となりました。 そこで、新中期経営計画においては、次のとおり、目標達成のために具体的な取組みを定め、これらの取組みを実施してまいります。 新中期経営計画の概要は次のとおりです。 当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応が、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長のために重要であると認識し、経営基本理念に基づきサステナビリティ方針を定め、真空技術及びその周辺技術の総合利用による経済価値、社会価値、環境価値の創造を目指しております。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、社長直轄のサステナブル経営推進室を設置し、グループ全体でサステナビリティの取組みを推進しています。年2回開催されるサステナビリティ推進委員会では、社内取締役、執行役員及び部署長が参加し、サステナビリティに関する目標設定・進捗管理、方針の検討、重要テーマへの取組みなどについて討議を行っています。重要案件については、取締役会の決定した経営方針に基づいて重要な業務執行に関する事項について審議を行う機関である経営会議等で適宜報告や決議を実施しています。また、サステナビリティ担当執行役員は、サステナビリティ推進委員会の内容及びグループ全体のサステナビリティの取組みについて取締役会に報告し、取締役会は業務執行状況を的確に把握し、適切に監督しています。 当社グループでは、2050年にありたい姿「真空技術で世の中のためになる価値をパートナーとともに生み出し、人と地球の未来に貢献し続けている企業」及び“Vision2032”「未来につながる『可能性の場』であり続ける」の実現に向けた当社グループ固有の経営課題を「マテリアリティ」と定義し、「ステークホルダーにとっての重要度」と「事業への影響度」の2軸で評価し以下の4項目を特定しています。特定したマテリアリティに取組み、経営基盤を強化するとともに、真空技術で社会的価値を創造し人と地球の未来に貢献し続けている企業を目指します。 当社グループのあらゆる事業活動の中核には「真空技術及びその周辺技術の総合利用」があります。近年深刻化する気候変動、資源の枯渇といった地球規模の課題に対し技術力を駆使してイノベーションの創出を目指します。そのために、顧客や取引先、関係各所と先端技術の研究開発や新たな取組みを推進します。さらに、人財育成、知的財産戦略の強化など、多角的に推進の基盤を強化してまいります。 新中期経営計画で掲げている「成長事業における製品競争力の強化」においては、次世代のインフラの中核となる半導体・電子デバイスや大容量バッテリーを実用化する技術・製造装置の開発を関連企業・研究機関と進めます。これにより社会基盤、カーボンニュートラル、新エネルギー分野での課題解決型事業を強化・創出するとともに、利益・資本効率重視の経営を推進することで、飛躍の土台を築き上げます。 当社グループは、世界の半導体メーカー・電子デバイスメーカーやパネルメーカーが集中する日本・中国・韓国・台湾など東アジアを中心に、幅広い顧客基盤、先端研究機関とのネットワーク、開発・営業・カスタマーサポート拠点、製造拠点、サプライヤー網を持っており、グローバルに事業展開する多数のグループ会社から形成されています。「アルバックグループは、互いに協力・連携し、真空技術及びその周辺技術を総合利用することにより、産業と科学の発展に貢献することを目指す」という経営基本理念を実践・実現していくためには、当社が企業倫理行動基準の中に定めた「社員の人格・個性の尊重」「人権の尊重とあらゆる差別的取扱の禁止」を遵守し、グローバルに活躍する従業員の個性を尊重し、多様性を受け入れ活かすことが大きな原動力になります。 このようなダイバーシティを尊重し、インクルージョンを推進することによりイノベーションを創出し、顧客や社会の課題を解決することで、従業員それぞれの成長につながる新しい価値を生み出し続けることを目指します。このような考えに基づき、変化の激しいビジネス環境を勝ち抜いていく上で、外部環境の変化に強くグローバルに活躍できる人財の育成を強化するため、働きがいのある職場環境や人事諸制度の整備、教育機会の創出に努めます。 「国連グローバル・コンパクト」に署名し、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野で企業が遵守すべき普遍的原則である「国連グローバル・コンパクトの10原則」に基づき、各分野における取組みを推進しています。当社グループにおいては、「企業倫理行動基準」を定め、自らの業務が人権を侵害していないかを判断するための指針としています。さらに、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規範を踏まえた「ULVAC人権方針」を策定し、事業に反映することで、人権に関する重要な課題を特定し、その取組みを明らかにしています。 当該方針に従い、人権デューデリジェンスのプロセスを構築し、企業活動を通じて人権に与えうる影響の認識、防止、対処に向けた取組みを進めています。そして、このプロセスを通じて生じる問題に対する救済メカニズムの充実にも努めています。 また、当社グループでは、エレクトロニクス業界を中心としたCSR推進団体であるRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範の遵守に努めています。その原則を基に、主要生産拠点での自己評価調査を定期的に行っています。取引先に対してもこれらの規範の遵守を求めています。 地球環境の保全が重要課題の一つとしてとらえ、環境に配慮したビジネス活動を展開し、気候変動対応や水資源の有効活用など資源循環への取組みを加速し住みよい地球と豊かな社会の発展に貢献していきます。 中でも、気候変動の取組みについては、重要な経営課題の一つとして位置付けています。 IEA(国際エネルギー機関)等が発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」のシナリオで、気候変動が中長期的に事業に影響を及ぼすリスク・機会を以下のとおり特定しており、「カーボンプライシング」「台風や豪雨等の異常気象による災害発生による事業継続リスク」「パワーデバイスの市場機会の拡大」について、リスクと機会を分析し事業への定量的な影響について評価しました。今後事業への影響の定量化の範囲を拡大するとともに、具体的な施策の検討を更に進めてまいります。 責任ある社会の一員として積極的に取組んでいくため、当社グループは事業活動における中長期の温室効果ガス排出量削減目標として、2030年に40%削減(2020年比)、2050年には実質ゼロを定め、国内外における省エネルギーに対する取組み努力、太陽光発電設備の設置、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進するとともに、環境配慮型製品の開発等あらゆる活動を通じて温室効果ガス排出量抑制に努め、気候変動対策に取組んでまいります。 経営に重大なダメージを与える全てのリスクについては経営企画室を所管部署として定め、当該リスクの特定とその対策の立案を社内関係部署やグループ会社に指示しています。これにより、リスクの識別と全社的な対応の推進を行い、結果をリスクマネジメント委員会に報告しています。同委員会では、これらのリスクの詳細な洗い出しや特定、さらには事業報告や改善策の検討を行い、モニタリングを通じて早期検出や報告、対処を実施しています。 また、中長期的なサステナビリティリスクについてはサステナブル経営推進室を所管部署として定め、サステナビリティに関連するリスクの特定を社内関係部署やグループ会社に指示し、その結果をサステナビリティ推進委員会に報告しています。同委員会では中長期的なリスクに対する取組みの進捗を管理しています。最終的に、取締役会はこれらの委員会からの報告を受け、リスクの管理状況を監督しています。当社グループは、これらの体制を通じて、経営の安定と持続可能な成長を目指します。 なお、重大なリスクの詳細については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 中長期的な企業価値向上及び持続的な成長において、財務のみならず非財務における指標の達成は重要であり、今後も当社グループ全体で活動してまいります。当社グループのサステナビリティに関する主な指標及び目標は次のとおりであります。 人財育成及び社内環境整備に関する方針については、「(2)戦略 ②多様な人財の育成と活躍推進・レジリエントな組織づくり」に記載のとおりであります。 「サステナビリティに関する考え方及び取組」に関する詳細な情報については、当社ウェブサイト(https://www.ulvac.co.jp/sustainability/index.html)において公開しているULVAC VALUE REPORTをご参照ください。2023年版については2023年11月に公開予定です。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、特にFPD、半導体及び電子部品等の製造工程で使われる真空装置の分野において、独自技術の開発を行って市場投入することによりこの分野におけるシェアを獲得し、成長してまいりました。その反面、当社グループの顧客であるFPDメーカー、半導体及び電子部品メーカーの市況変化による設備投資の大幅な縮小が発生した場合や顧客の財務状況が悪化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、2024年6月期を初年度とする中期経営計画において、「真空技術による社会的価値創造」、「利益・資本効率重視の経営」の2つの基本方針を定めております。この方針のもと、市場変動の中でも生産性向上による利益率の改善を果たすとともに、成長領域における開発に集中していくことで、持続的成長を実現してまいります。また、当社の多様な製品は幅広い分野で使用されており、とりわけ半導体や電子部品の分野において収益の安定基盤を築くことにより、市場変動への対応力を高めております。 当社グループは、積極的な研究開発投資を継続して行うことにより、最先端技術を使用した新製品を市場に投入し続けてまいりました。しかしながら、開発の著しい遅延を余儀なくされ、新製品の市場への投入の遅れが生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 成長のために必要な開発について、投資の選択と集中によりスピードアップを図るとともに、定期的なモニタリングを実施して著しい遅延が生じないよう、その進捗を管理しております。 当社グループは、グローバルに事業を展開し、世界各国・各地域の顧客に向けて製品を提供しておりますが、競合他社もグローバルに展開しており、新規参入もある競争環境です。この環境下で、製品の性能のみならず価格面での競争も激化しており、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、顧客の製造工程で必要される製品に対して、最先端技術を用いた製品を適時に投入することで、競争力維持に努めております。 当社グループがグローバルな事業環境の中で成長を続けるために、人財の確保は最も重要なことと位置付けております。事業の成長に必要な人財を確保し続けることができない場合、競争力の低下を招くこととなり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、人材を「人財」として捉え、多様な人財が挑戦し続ける場の創出に努めています。人財の育成を推進し、多様な人財が心身ともに健康で活気に満ち、個人の能力が最大限に発揮できるように健康経営等を通して推進することで働く環境を整え必要な人財を確保しております。 当社グループは、製品を生産するための部品需給の逼迫による部品価格の高騰や供給の遅延が発生した場合や、大規模な災害などによるサプライチェーンの障害などにより生産活動の停止、遅延が発生した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、仕入先との協力体制構築や早期の部品手配などにより、必要な部品の確保に努めております。 当社グループは、グローバルに事業を展開する上で、各国・各地域において、輸出入、競争法、贈収賄防止、環境、移転価格税制等、各種法規制の適用を受けています。これらの法規制に抵触した場合、当社グループの社会的信用の低下はもちろんのこと、課徴金や損害賠償訴訟への対応が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、これらの法規制は年々厳格化する傾向にあり、将来において予期せぬ法規制の改正等が行われることにより、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、企業倫理行動基準を定めて各種法規制遵守の重要性を啓蒙するとともに、グループ各社に設置するコンプライアンス委員会やリスクマネジメント委員会において、抵触のおそれがある行為の内容についての報告を実施し、適宜必要な対応がとれる体制をとっております。また、とりわけ重要な法規制への対応は当社経営会議で報告の上、当社役員の主導でグループ各社へ展開する体制をとっております。 当社グループは、国際規格であるISO9001の認証取得を含む品質保証体制を確立し、高レベルのサービスを提供し続けてまいりました。しかしながら、常に最先端技術を利用した製品を提供していることから開発的要素も多く、予期せぬ不良が発生し、多額の追加原価の発生・損害賠償や信頼低下による売上高減少を招いた場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、2024年6月期を初年度とする中期経営計画において、モノづくり力強化を進めており、コスト、信頼性が決定される上流工程の業務を強化しております。製品の完成度を高めるバリューエンジニアリング、不適合内容の水平展開など品質向上の仕組みを盛り込むとともに、再発防止策の実施・徹底を進めております。 当社グループは、金融機関からの借入金等により資金調達を行っておりますが、市場環境、当社の信用力低下等により、資金調達が困難になる可能性があります。また、当社グループの借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されているものがあり、現状、当社グループの財政状態は当該条項に照らして問題のない水準にあるものの、当該条項に抵触した場合、資金調達に支障が生じる可能性があります。資金調達が想定どおりに行えない場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、資金調達にあたって年度別の返済額の平準化に努めており、リファイナンスリスクの低減や返済負担の軽減を図っております。また、社会情勢や経済環境の先行きが不透明な中、不測の事態に備え、十分な手元流動性資金を確保するとともに、コミットメントラインを設定し追加資金を確保できる体制を整えており、当面資金調達リスクは極めて低い状態にあります。事業環境の急激な変化にも対応できるよう、引き続き、適時に必要資金を確保できる体制を維持してまいります。 当社グループは、事業上の重要情報及び事業の過程で入手した個人情報や取引先等の機密情報を保有しております。これらの情報が意図せず流出した場合、顧客の喪失や社会的信用の低下、損害賠償等が発生する可能性があります。また、盗難・紛失等による第三者の不正流用、サイバー攻撃、その他不測の事態によって重要データの破壊や改ざん、情報漏えいや流出、システム停止等が発生する可能性があります。これらの要因により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、ネットワークやシステムにおける定期的なリスクアセスメント等セキュリティ対策を進めるほか、情報管理に関する諸規程のもと、適切な情報管理体制を構築し、社員教育によりその徹底を図っております。 当社グループは、海外売上高比率が高いものの、原則として円建取引を行っております。しかしながら、当該円建取引では、円高時に海外メーカーと比較して価格競争力の面で不利になることがあります。また、一部外貨建取引もありますが、外貨建取引においては、急激な為替変動による為替リスクが生じる可能性があります。これらの要因により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、為替予約等によりリスクヘッジを行うことで、為替変動による業績への影響を低減するよう努めております。 当社グループは、各種真空装置に関する多数の特許を保有し、積極的に新規権利獲得にも努めております。しかしながら、第三者から不測の特許侵害訴訟が提起された場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 これに備えるため、当社グループの製品・技術に関して、定期的に特許調査を行っております。 当社グループの製品に関連する安全性等の問題により、顧客への損害発生、損害賠償責任や売上高の減少、社会的信用の低下等につながる可能性があります。また、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生し、製品の供給やサービスの提供に支障をきたす事態となった場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、「安全第一」を企業経営の基本とし、顧客に利用していただく様々な製品やサービスの安全と、私たち自身が安全で明るく元気に働くことのできる活気ある職場づくりを、リスクアセスメントを中心とした安全管理システムの運用を通じて目指していきます。 当社グループは、地球温暖化防止、水質汚濁、大気汚染、騒音、土壌汚染、廃棄物処理、使用する有害化学物質等において、国内外の様々な環境法令の適用を受けており、その遵守に努めております。 しかしながら、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生した場合には、環境対応費用の増加や事業活動停止、社会的信用の低下等の可能性があり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 気候変動対応に関しては、将来の規制動向も踏まえて事業機会及びリスクの分析を開始しております。また、当社グループによる中長期の温室効果ガス排出量削減目標として、2030年に40%削減(2020年比)、2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロを定め、定期的なモニタリングを実施し進捗管理をしております。 環境関連法令や規制を遵守するための取組み、環境理念や環境方針に基づいた環境負荷の低減、温室効果ガス排出量削減目標達成に向けた施策を継続的に推進し、環境情報の適切な開示を行ってまいります。 当社グループと同様にグローバルな事業展開や広範な事業展開をしている企業と同じく、各国・各地域における経済環境、自然災害、戦争、テロ、感染症等の諸般の不可抗力要因が、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における世界経済は、穏やかな回復基調で推移しましたが、地政学リスクの高まり等に伴う各種材料や部品の価格上昇やサプライチェーンの混乱、そして世界的な金融引き締めに伴う景気後退懸念の高まり等から、その先行きに対する不透明感が高まりました。 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界では、スマートフォンやパソコン等の需要減速に伴う短期的な半導体メーカーの設備投資の鈍化が認められるものの、中長期的には、生成AIへの期待等も相俟った半導体需要拡大が見込まれるとともに、地政学リスク対応等の観点からの世界各地での半導体工場新増設計画も進められています。また、エレクトロニクス業界では、グリーンエネルギー政策等に基づくEV導入促進政策の進展等に伴ったパワーデバイス投資、スマート社会化構想等に基づくデジタル化の促進やメタバースの実現等に向けた各種電子デバイスの技術革新や増産のための投資、中国におけるエレクトロニクス国産化政策に基づく投資等が継続的に拡大しています。そして、フラットパネルディスプレイ(FPD)業界においては、タブレットやパソコン用のITパネルが液晶から有機ELへの転換期にあり、大型基板の有機EL投資が今後増加することが期待されています。また、産業用電池業界においても、EVバッテリーの小型大容量化や安全性向上の実現に向けた量産投資が本格化しはじめています。 その結果、当連結会計年度につきましては、受注高は2,472億21百万円(前年同期比228億74百万円(8.5%)減)、売上高は2,275億28百万円(同137億32百万円(5.7%)減)となりました。また、損益面では、営業利益は199億46百万円(同101億15百万円(33.6%)減)、経常利益は228億80百万円(同93億19百万円(28.9%)減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は141億69百万円(同60億42百万円(29.9%)減)となりました。 企業集団の事業セグメント別状況は次のとおりであります。 真空機器事業を品目別に見ますと下記のとおりです。 前年度にITパネル用液晶投資が活発化しましたが、その反動減の影響により、受注高、売上高ともに前年同期を下回りました。 半導体製造装置は、ロジック向け投資等により、電子部品製造装置は、パワーデバイスやオプトデバイス等の投資活発化や中国のエレクトロニクス国産化に向けた投資活発化等により、受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。 半導体、電子部品及びEV用バッテリー等の製造装置や民生機器関連向けの真空ポンプ・計測機器・電源機器等が好調に推移し、受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。 自動車部品製造用真空熱処理炉や高機能磁石製造装置、漏れ検査装置等の売上が順調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。 その結果、真空機器事業の受注高は2,014億93百万円、受注残高は1,250億4百万円、売上高は1,847億60百万円となり、165億50百万円の営業利益となりました。 真空応用事業を品目別に見ますと下記のとおりです。 FPD関連製品の工場稼働率低下等により受注高、売上高ともに前年同期を下回りました。 表面分析機器関連や高精細・高機能ディスプレイ向けマスクブランクス関連が好調に推移し、受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。 その結果、真空応用事業の受注高は457億28百万円、受注残高は160億16百万円、売上高は427億68百万円となり、33億55百万円の営業利益となりました。 また、当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりとなりました。 負債合計は、前連結会計年度末に比べ91億99百万円減少し、1,486億20百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が76億94百万円、契約負債が25億60百万円それぞれ減少したことなどによります。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加し、2,048億53百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上を主な要因として利益剰余金が80億49百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は56.1%となりました。今後もキャッシュ・フローマネジメントの強化等により、財務基盤の更なる強化を目指してまいります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、部品長納期化対応等により運転資金が増加する一方で、税金等調整前当期純利益、減価償却費等を計上したこと等により、10億11百万円の収入を確保しました。中期経営計画において2026年6月期までの目標として掲げている営業キャッシュ・フロー630億円(3年間累計)の実現に向けて、引き続きキャッシュ・フローマネジメントの一層の強化に努めてまいります。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、156億73百万円の支出となりました。 その結果、フリー・キャッシュ・フローは146億62百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、業績連動配当性向に基づいた配当金の支払などに充当し、54億38百万円の支出となりました。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ197億88百万円減少し、873億17百万円となりました。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高は2,275億28百万円(前年同期比5.7%減)となりました。半導体及び電子部品製造装置において、ロジック向けの投資の寄与に加えてパワーデバイス・オプトデバイス、中国のエレクトロニクス国産化に向けた投資等が活発化しているものの、半導体製造装置の一部ではスマートフォンやパソコンなどの需要減速や半導体メモリの在庫調整に伴い足元の半導体メーカーの設備投資が鈍化していることや、FPD製造装置において前年度活発化したITパネル用液晶投資の反動減が影響したことが主な要因となります。 営業利益率は8.8%(前年同期比3.7ポイント減)となり前年同期から悪化しました。これはFPD製造装置における売上高の減少に加え、先行投資となる半導体関連等の研究開発費増加が主な要因となります。 なお、研究開発費の総額は137億66百万円となり、前年同期から34億25百万円増加しました。研究開発費の売上高に対する比率は前年同期から1.8ポイント増加し6.1%となりました。研究開発力強化は、中期経営計画における主な取組みのひとつであり、将来の成長に向けた投資を引き続き強化しております。 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当社グループは2024年6月期を初年度とする3年間の中期経営計画を策定致しましたが、この中期経営計画において、「真空技術による社会的価値創造」及び「利益・資本効率重視の経営」の2つの基本方針を掲げております。この方針のもと、売上高、売上総利益率、営業利益率、営業キャッシュ・フロー、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画上の財務モデルにおける指標としております。 中期経営計画3年目の数値目標については、売上高3,000億円、売上総利益率35%、営業利益率16%、3年間累計の営業キャッシュ・フロー630億円、ROE14%としております。この財務モデルの達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した具体的取組みにより、中長期の視点で成長を目指してまいります。 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 売上高は、前年同期比7.7%減の1,847億60百万円となりました。半導体及び電子部品製造装置において、ロジック向けの投資の寄与に加えてパワーデバイス・オプトデバイス、中国のエレクトロニクス国産化に向けた投資等が活発化したことにより受注高・売上高が前年同期を上回ったものの、FPD製造装置において前年度活発化したITパネル用液晶投資の反動減の影響により、受注高、売上高が前年同期比で減少したことが主な要因となります。 セグメント利益率については、当連結会計年度は9.0%と、前年同期の13.6%から悪化しました。これはFPD製造装置における売上高の減少及び半導体関連等の研究開発費増加が主な要因となります。 当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 売上高は、前年同期比3.9%増の427億68百万円となりました。FPD関連の顧客工場の稼働率低下等により材料における売上高は前年同期を下回ったものの、表面分析機器、高精細・高機能ディスプレイ向けマスクブランクス関連の売上高は好調に推移し前年同期を上回ったことにより、当セグメントの売上高が増加しました。 セグメント利益率については、当連結会計年度は7.8%と、前年同期の7.1%から改善しました。これは、利益率の高い製品の売上高増加が主な要因であります。 財政状態の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの主な資金需要は、新たな成長戦略の足がかりとなる研究開発投資や設備投資、事業により生じる運転資金に基づくもので、とりわけ成長事業として強化を図っていく半導体や電子分野の開発投資を拡大する予定です。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金などにより対応し、資金調達にあたっては、リファイナンスリスクの低減や返済負担の軽減を図るために、年度別の返済額の平準化に努めております。 また、近年米中関係悪化や、米国・中国等の景気後退等ますます市場環境の先行きが不透明な中、不測の事態に備え十分な手元流動性資金を確保するとともに、コミットメントラインを設定し追加資金を確保できる体制を整えており、当面安定的な経営が可能な状態にあります。事業環境の急激な変化にも対応できるよう、引き続き、適時に必要資金を確保できる体制を維持してまいります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。 当社グループは、真空技術をコアとしたイノベーションの創出・共創の推進を経営の重要な柱に位置付けるとともに、持続可能な社会の実現に向けた技術開発を進めています。気候変動や環境問題などといった社会課題に対応するためには、半導体や高機能な電子デバイスが貢献すると認識しており、当社グループの持つ真空薄膜形成技術がこれらのデバイスを製造するための核心技術となっています。 当連結会計年度においては、先端デバイス及び材料、エネルギー・環境、ヘルスケア領域に注力した研究開発活動を以下のとおり実施しております。 当社グループの開発体制は、グローバルに展開する各開発拠点において顧客密着型の開発を実施し、競合他社に先駆けた独創的な新技術の開発、積極的な応用技術の開発を行っております。真空技術をコアとした製品のうち、主力である半導体、電子部品、FPD製造用スパッタリング装置に加え、スパッタリングターゲット材料の開発などシナジー効果を生かした開発を重点的に行っております。また、省エネルギーに貢献するとして注目されているパワーデバイス向けイオン注入装置の開発を加速しております。 「真空技術をコアとしたイノベーションの創出・共創の推進」として、次々世代半導体分野においては、スキルミオン技術や光電融合、ヘルスケア分野においては、国立大学法人大阪大学医学部と共同で赤血球の真空凍結乾燥保管技術の開発を行っております。さらに、産学連携の取組みの成果としては、大阪大学大学院工学研究科アルバック未来技術協働研究所において、高性能量子ドット材料の提案が「ChemNanoMat誌」の表紙論文に採択され、真空凍結乾燥に最適化した液滴の微粉化で「微粒化シンポジウム優秀講演賞」を受賞いたしました。東京工業大学アルバック先進技術協働研究拠点においては、プロセスプラズマの空間分布診断手法の基本原理を確立し、国際会議ICRP/GEC 2022(*1)にて「GEC学生ポスター賞」を受賞いたしました。このように、数多くのテーマが表彰されるなど共創による異分野交流から生まれる新しいビジネス創出の場を形成しています。また、次世代バッテリー分野において当社独自の真空蒸着技術を活用した脱炭素の取組みをしております。その一例として、2022年8月にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトの研究開発項目の一つである「高性能蓄電池・蓄電池材料」の「次世代蓄電池の材料技術の開発」に「リチウム金属負極生産技術」が採択されました。 当連結会計年度における研究開発費の総額は13,766百万円となり、セグメントごとに研究開発活動の成果を示すと次のとおりであります。 当社の事業の柱である、半導体や高機能電子デバイス、FPDなどの電子デバイス製造装置の各分野に開発投資を行い、新商品や新技術を創出し、高度なお客様のご要求にお応えしております。また、真空ポンプや真空計測機器等各種のコンポーネント分野へも開発投資を行い、真空装置と機器を合わせて開発するシナジー効果を発揮しております。 当セグメントに係る研究開発費は12,957百万円となり、代表的な成果は次のとおりであります。 半導体製造装置においては、最先端ロジック分野におけるメタルハードマスク工程の実績をもとに他工程参入を実現するための装置及び成膜プロセス性能向上の開発を行っております。また、メモリ分野においても微細化、高積層化の進むDRAM及び3次元NANDフラッシュメモリでの他工程参入を目指した装置及び成膜プロセス開発も進めております。 電子部品製造装置においては、パワーデバイス、通信デバイス、オプトデバイス、電子部品(MEMS等)及びパッケージングの製造に適した装置及びプロセス開発を行っております。その成果の一例として、一般社団法人日本真空工業会(以下、「JVIA」という。)表彰において、「高密度実装向け低ダメージプラズマアッシング技術」がJVIA真空装置部門賞を受賞いたしました。 液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びフレキシブルディスプレイなどの分野における次世代技術への装置及びプロセス開発を行っております。 有機ELディスプレイにおいては、高精細化プロセスの要求が高まり、製品歩留まりを改善するための開発(スパッタリング装置等における低発塵新搬送機構、マスク合わせ精度向上)や成膜性能を向上する新ユニットの開発、新材料開発など、総合的な成膜技術向上を進めております。さらに、高い水準で面内の均一性を維持管理していくためにAI活用による安定稼働、生産性向上、省人化を実現するための装置を開発しております。 今後採用の拡大が予想される、高移動度の酸化物半導体薄膜トランジスタ(TAOS)向けスパッタリングターゲット材料の開発を行うとともに、スパッタリング成膜プロセス開発も進めております。 真空装置を構成する主要な機器として、真空ポンプや真空計測機器のほか、直流(DC)電源、真空搬送ロボット、真空バルブ等の開発を行っております。具体的には、成膜用新型デジタルDC電源に搭載可能なオプション機能(4つのアップグレードパッケージ)を開発し、2022年9月にリリースいたしました。また、JVIA表彰において、マルチイオンゲージ電離真空計「ST200」がJVIA真空コンポーネント大賞を受賞いたしました。 さらに、主に有機ELディスプレイ製造装置に搭載されるクライオポンプ、量子コンピュータや医療関連に使用する極低温冷凍機の開発も進めており、次世代半導体やヘルスケア分野などの幅広い分野に真空機器が貢献しております。 スパッタリングターゲット材料をはじめとする先端材料、表面分析装置やマスクブランクスの開発を行っており、当セグメントに係る研究開発費は808百万円となりました。 主に、半導体やFPDの高性能化に貢献するスパッタリングターゲット材料等の先端材料、先進的な表面分析装置の開発を行っております。また、半導体やFPDのリソグラフィ工程の重要部材であるマスクブランクスなどの開発を行っております。具体的には、表面分析分野では2023年4月、X線光電子分光分析装置(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy又はESCA: Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)のフラッグシップモデルとなり、自動化と簡易操作を追求した多機能走査型X線光電子分光分析装置「PHI GENESIS」を開発、リリースいたしました。
株式会社ジャパンディスプレイ
# 株式会社ジャパンディスプレイ 東京都千代田区神田練塀町に中小型液晶ディスプレイ製造及び関連製品の開発、設計、製造及び販売を事業目的とする(株)日立ディスプレイズを設立。 (株)日立製作所より、日立顕示器件(蘇州)有限公司(2012年3月にSuzhou JDI Devices Inc.へ社名変更)、深圳日立賽格顕示器有限公司(2012年3月にShenzhen JDI Inc.へ社名変更)、及び高雄日立電子股份有限公司(2012年3月にKaohsiung Opto-Electronics Inc.へ社名変更)を取得し連結子会社化。 (株)日立デバイスエンジニアリングを吸収合併し、(株)日立ディスプレイデバイシズと(株)日立ディスプレイテクノロジーズへ会社分割。 (株)日立製作所100%出資から、(株)日立製作所50.2%、キヤノン(株)24.9%、松下電器産業(株)(現パナソニック(株))24.9%出資に変更。 (株)日立製作所がパナソニック(株)が保有する(株)日立ディスプレイズの全株式を譲受。 千葉県茂原市に(株)日立ディスプレイプロダクツ(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイイーストプロダクツへ社名変更)を設立。 (株)日立ディスプレイデバイシズ及び(株)日立ディスプレイテクノロジーズを吸収合併。 東京都千代田区丸の内に中小型ディスプレイデバイス及び関連製品の開発、設計、製造及び販売を事業目的とした(株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が発足。 (株)産業革新機構(現(株)INCJ、以下「INCJ」といいます。)、(株)日立製作所、(株)東芝、ソニー(株)の4社が、(株)日立ディスプレイズ、東芝モバイルディスプレイ(株)、ソニーモバイルディスプレイ(株)の統合契約を締結。 (株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が、海外販売連結子会社4社(JDI Display America, Inc.、JDI Europe GmbH、JDI Taiwan Inc.、JDI Korea Inc.)を設立。 (株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が、海外販売連結子会社2社(JDI China Inc.、JDI Hong Kong Limited)を設立。 (株)ジャパンディスプレイ統合準備会社が、社名を(株)ジャパンディスプレイ(旧(株)ジャパンディスプレイ)に変更。 (株)日立製作所が、キヤノン(株)が保有する(株)日立ディスプレイズの全株式を譲受。 旧(株)ジャパンディスプレイが、(株)日立ディスプレイズの全株式を取得。 旧(株)ジャパンディスプレイが、ソニー(株)、(株)東芝、(株)日立製作所よりそれぞれソニーモバイルディスプレイ(株)(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイウェストへ社名変更)、東芝モバイルディスプレイ(株)(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイセントラルへ社名変更)、(株)日立ディスプレイズ(2012年4月に(株)ジャパンディスプレイイーストへ社名変更)の全株式を取得。 (株)ジャパンディスプレイイーストが、素尼移動顕示器(蘇州)有限公司(2012年8月にSuzhou JDI Electronics Inc.に社名変更)の全株式を取得。 (株)ジャパンディスプレイイーストを存続会社とし、同社の親会社である旧(株)ジャパンディスプレイ、旧(株)ジャパンディスプレイの子会社である(株)ジャパンディスプレイセントラル、(株)ジャパンディスプレイウェスト、及び(株)ジャパンディスプレイイーストの子会社である(株)ジャパンディスプレイイーストプロダクツを吸収合併する合併契約を締結。 上記合併を実施し、(株)ジャパンディスプレイイーストは、(株)ジャパンディスプレイへ社名変更。本社を東京都港区へ移転。 Nanox Philippines Inc.を連結子会社化。 茂原工場において第6世代LTPS液晶ラインでの量産開始。 東京証券取引所市場第一部に株式を上場。 白山工場において第6世代LTPS液晶ラインでの量産開始。 JDI Taiwan Inc.の子会社が提出会社からKaohsiung Opto-Electronics Inc.の全株式を取得し、子会社化。 Shenzhen JDI Inc.の全株式を譲渡。 Suzhou JDI Devices Inc.の全株式を譲渡。 能美工場を売却。 Ichigo Trust(以下「いちご」といいます。)との資本提携契約に基づき、いちごに対する第三者割当増資を実施。いちごが筆頭株主となる。 白山工場を売却。 JDI Taiwan Inc.が Kaohsiung Opto-Electronics Inc.の全株式を譲渡。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行。 Suzhou JDI Electronics Inc.の全株式を譲渡。 いちごが支配株主となる。 東浦工場での生産を停止。 以下は、2013年4月に合併するまでの当社の沿革図であります。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、海外製造子会社1社、海外販売子会社等7社で構成されており、主な事業内容は、ディスプレイ及び関連製品の開発、設計、製造及び販売事業です。 ディスプレイは、電子機器の出力装置として文字、写真、動画等の画像を表示する電子部品です。当社グループが手掛けるディスプレイは、主としてスマートフォン、車載用機器、ウェアラブル機器、VR機器等に搭載されています。 なお、当社グループの事業は、ディスプレイ事業の単一セグメントであるため、事業別セグメント情報の記載を省略しています。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 当社グループが製造したディスプレイの販売を行っております。 当社グループが製造したディスプレイの販売を行っております。 当社において労働組合(ジャパンディスプレイ労働組合)が結成されており、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」を企業理念として、人と世界を結び、瞬時に多くの情報を伝えるインターフェースであるディスプレイを世界中のお客様にお届けしています。現代社会の基盤技術であるこれらディスプレイの供給において、当社グループは、価値創造の源泉である「世界初、世界一」の独自技術とそれを支える人財力を有効に活用し、社会と人の課題解決に取り組んでまいります。そして、全てのステークホルダーの皆様のための未来価値創造実現に向け、全社一丸となって取り組む成長戦略として、2022年5月に「METAGROWTH 2026」を策定いたしました。 「META」は「広範囲で、高度な、普遍的な」を意味し、「METAGROWTH」は当社グループの今後の飛躍的な成長を表しております。 以下は、「METAGROWTH 2026」の2026年に向けた基本方針であります。 当社グループは、私たちの存在で、社会が、世界が、コミュニティが今より良くなる社会の実現に向けて、現代社会の基盤技術であるディスプレイの探索と深化を進め、他の追随を許さない競争優位性を確立し、社会の発展にとって不可欠な企業として顧客価値・社会価値を創造いたします。 以下は、「METAGROWTH 2026」における3つの重点施策です。 ・ eLEAP、HMO、メタバース向けの超高精細ディスプレイ、透明ディスプレイ等、既に「世界初、世界一」独自技術で実証しているように、当社は、グローバルディスプレイ業界においてテクノロジーリーダーシップを取り戻しました。この盤石な技術基盤をさらに強化し、飛躍的な顧客価値創出と株主価値向上を実現してまいります。 ・ グローバルディスプレイ業界はテクノロジー産業であり、テクノロジーカンパニーである顧客のニーズは、高いコストパフォーマンスを持つ優れたテクノロジーです。当社は、圧倒的なコストパフォーマンスを有するeLEAP等、「世界初、世界一」独自技術を通じて顧客ニーズに対応し、顧客の価値創造と競争優位性をサポートいたします。 ・ コモディティ競争に参加せず、唯一無二の革新的な技術で抜本的な収益力向上と飛躍的な成長を実現いたします。 ・ 環境性能に優れたeLEAP、HMO等のGreenTechにより環境問題に取組むとともに、ESG意識の高い顧客の付加価値創出に寄与します。 ・ 企業の存在意義は社会貢献にあり、サステナブル社会に資する経営を堅持してまいります。 ・ 「世界初、世界一」への挑戦ができる会社として、社員一人ひとりの成長を支え、風通しの良い企業文化を促進いたします。 当社グループの「世界初、世界一」の独自技術を「6つの成長ドライバー」として位置付けました。技術基盤を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化により収益性の抜本的な改善を図ります。 当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」において、2027年3月期を最終年度とする5か年の財務目標(KPI)を設定いたしました。しかしながら、世界的インフレに伴う顧客需要の減退や部材・エネルギー費の高騰等により、「METAGROWTH 2026」略策定時から事業環境が大幅に変動したこと、また、外部企業との戦略提携に基づき、今後の事業展開が従来計画から変動する見込みであることから、これらの影響を精査の上、新たな財務指標を設定する予定です。 当期の業績は、激しい競争環境の継続と世界的なインフレ進行の影響を受け、大変厳しい結果となりました。こうした状況にあって、当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」で目指すところの、「『世界初、世界一』の独自技術とそれを支える人財力を経営基盤に新たな顧客価値の創造を実現する」ことが、厳しい事業環境からの脱却とその後の成長に不可欠であることを改めて強く認識しております。当社グループは、盤石な技術基盤をさらに強化し、飛躍的な顧客価値創出と株主価値向上を実現するため、引き続きグループ一丸となって「METAGROWTH 2026」の遂行に取り組んでまいります。 以下は、「METAGROWTH 2026」に基づき「技術立社」としての当社グループが取り組む課題として特に重要なものです。 足元の収益改善に向けては、引き続き固定費の削減に取り組むほか、高騰が続くエネルギー費や、上昇した部材費、輸送費の販売価格への転嫁を図ります。また、設備投資や研究開発は、将来の収益力向上に確実に寄与する案件を厳選し、キャッシュ・フローを重視した経営を行ってまいります。 中長期的な高収益体質の実現に向けては、「世界初、世界一」の独自技術とそれを支える人財力により顧客価値を創出し、脱過当競争・脱コモディティ化による収益力の抜本的な改善を図ります。競合状況の厳しいスマートフォン用ディスプレイから早期の撤退を図り、「6つの成長ドライバー」に経営リソースを集中して、事業ポートフォリオの変革を加速化いたします。成長ドライバーは、①圧倒的なコストパフォーマンスを有する次世代OLED eLEAP、②超低消費電力、高精細化、大画面化を実現するバックプレーン技術 HMO、③メタバース、④AutoTech、⑤Rælclear(レルクリア(透明インターフェイス))、⑥新技術・新製品・新事業の6分野です。これらの技術・製品の提供を通して顧客の価値創造と競争優位性を更に強化することで、収益力の向上を図ってまいります。 また、当社グループは、ロイヤリティ収入獲得のため、知的財産権をさらに積極的に活用してまいります。ディスプレイの基盤技術であるeLEAP及びHMO技術については、他企業にライセンス提供して普及促進を目指すオープン戦略をとっており、2023年中にパートナーとなるライセンス先との契約を締結し、協業の開始を目指します。加えて、当社グループが長年培ってきたIPS(In Plane Switching)技術に係る特許等についても、今まで以上にライセンシング活動を積極的に展開し、ロイヤリティ収入の拡大を目指します。 当社グループは、顧客や市場に求められる技術や製品を継続して開発、生産、供給するための前提となる健全な環境・社会の維持に配慮するサステナビリティ経営を推進します。これにより、持続的な成長を実現することで、企業価値の向上を目指してまいります。 技術・製品の開発においては、環境や社会への貢献を重要な基準とし、ESG意識の高い顧客の付加価値創出にも寄与します。例えば、eLEAPは、生産過程において有機材料の廃棄ロスやCO2排出量を大幅に低減し、HMOは、ディスプレイの消費電力を大幅に低減することを可能とするグリーンテクノロジーです。また、液晶技術を用いて照明の光の広がり方を自在に制御するLumiFreeも、利用シーンに応じた照明環境の最適化を通して使用エネルギーの削減に寄与します。このような環境や社会貢献に資する新たな価値創造に継続して取り組みます。 加えて、当社が2021年8月に署名した世界最大のサステナビリティ・イニシアティブである「国連グローバルコンパクト」の「人権、労働、環境、腐敗防止」の4分野10原則への取組みをグループ全体で推進するほか、数年内には、パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス排出削減中長期目標の「SBT」の認定、及び事業を再生可能エネルギー100%で賄うことを目標とする「RE100」への加盟を目指してまいります。 さらに、これらの当社グループの課題を解決し、飛躍的な成長を実現するために不可欠である人的資本の更なる強化に向け、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるための環境づくりに取り組んでまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「企業の存在意義は社会貢献にある」との信念のもと、サステナブル社会に資する経営を堅持すべく、サステナビリティ経営を経営戦略の中核として位置づけています。社会貢献の実現に向け、事業を通じた社会と人の課題解決に取り組むとともに、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指しております。 また、当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」ことを掲げております。人々が躍動する世界を創造するためには、まず、人、社会、地球が健全であることが前提と考え、この前提の実現に向けて、次の3つを「サステナビリティ基本方針」と定め、活動を推進しています。 当社は、人、社会、地球が健全であるために、企業倫理を遵守した経営を実施していくことを目的として、全ての役員及び従業員が遵守すべき具体的指針となる「JDI倫理規範(JDI Ethics)」を制定し、活動の基盤としています。JDI倫理規範では、人権の尊重や職場環境整備、地球環境保全への取組、地域社会との良好な関係維持や社会通念に反する不適切な行為を行わないこと、誠実に社会的良識に従い行動すること等を謳っています。 当社は、「社会」「お客様及び取引先」「競合会社」「株主・投資家の皆様」「従業員」等のステークホルダーとの関係を良好に保つとともに、社会的価値の共創に努めます。 当社では、上記の施策を基に、豊かなグローバル社会の実現への貢献、サプライチェーン全体の環境負荷低減、地域社会をはじめとする社会への幅広い貢献等に取り組むとともに、ガバナンス経営による効率化と健全性を実現し、企業として持続可能な成長を目指してまいります。 当社は、環境マネジメントシステムやコンプライアンス委員会等、環境・社会・ガバナンスに関する委員会やマネジメントシステムを設置し、サステナビリティ関連課題に取り組んでいます。取締役会は、各委員会・マネジメントシステムの運営組織からの報告を受け、重要な課題や対応策についての議論と監督、及び重要な決定事項について承認を行います。 また、当社は、サステナビリティ活動に関する基本計画の策定、教育・啓発の実施等、サステナビリティ業務を行う主管部署として、CFO管掌下にサステナビリティ推進部を設置しています。サステナビリティ推進部は、各委員会・マネジメントシステムと連携し、グループ内各部門のESG課題への取組を俯瞰し全社での取組を推進するとともに、サステナビリティ推進活動全体について取締役会への報告を行っています。今後、これらの機能を統合した「サステナビリティ推進委員会」の設置を検討します。 更に当社は、生産技術統括部内にサステナビリティ技術部を設置し、各生産拠点の省エネルギー推進や再生可能エネルギーの利用拡大に向けた検討を行っています。 上記体制に加え、各事業部・機能部門では、事業活動を通じて社会課題を解決するための独自技術の開発、新規事業の創出に取り組んでいます。 「すべてのステークホルダーの皆様のための未来価値創造実現」に向けて、当社グループが取り組むべき課題としてマテリアリティを特定いたしました。各マテリアリティへの取組により、社会の発展にとって不可欠な企業として顧客価値・社会価値を創造し、持続的な成長を図ります。 マテリアリティの1つである人的資本については、社員のエンゲージメント向上及び新たな価値を創造し続ける組織の構築に向け、各種取組により社員一人ひとりの価値の最大化及び多様性の確保を推進します。 気候変動への対応については、2022年度から気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言する気候変動のシナリオ分析とリスク・機会の選定、財務インパクトの評価を開始しており、脱炭素社会の実現を目指した取組を加速化いたします。(3)気候変動への対応をご参照下さい。 ・透明インターフェイス「Rælclear(レルクリア)」等、社会課題に貢献する製品・技術を開発し、新規事業として展開します。 ・「世界初、世界一」の技術力を活かし顧客価値を創造します。 ・環境性能に優れた次世代OLED「eLEAP」、超低消費電力バックプレーン技術「HMO」、利用エネルギー削減に貢献する自由照明「LumiFree」等のグローバル展開により環境負荷の低減を図ります。 ・品質、コスト、納期に加え、人権や環境等のサステナビリティへの取組を評価し、サプライヤー様との協力関係のもと、サステナブルなサプライチェーンの実現を目指します。 ・信頼される企業となるため、法規制の遵守のみならず、社会規範・企業倫理に即して行動します。 ・事業活動に関連する様々なリスクを適切に管理・評価し、優先度に応じた事前対策を実施することにより、事業活動に重大な影響を及ぼすリスクが発現した場合の損失の最小化を図ります。 ・「世界初、世界一」の技術を発信し続けるエンジニア及び事業を支える優秀な人財を確保します。 ・社員一人ひとりの人権を尊重し、多様な人財がその能力を最大限発揮できるよう多様な働き方を可能とする職場環境を整え、新たな発想、価値創造を追求します。 ・TCFD提言に基づいたシナリオ分析結果により特定したリスク・機会への対応を適切に実践します。 当社グループでは、全社的なリスク管理は、「3 事業等のリスク」に記載のとおり「リスク管理規則」で定めるリスク管理フローに沿って実施しています。気候変動への対応を含むサステナビリティに係るリスクについては、全社的なリスク管理において、重要リスクとして特定し、サステナビリティ推進部が主担当部門としてこれを管理するとともに、マテリアリティとも関連付けた対応を行っています。サステナビリティに係るリスクは、前述の推進体制の下でモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告されます。 当社は、気候変動への対応をマテリアリティの一つとして位置付け、2022年度からTCFD提言に基づいたシナリオ分析を開始し、気候変動に関する重要リスク・機会の特定、それらが及ぼす財務的影響の評価をいたしました。この分析結果に基づき、気候変動対応策の経営戦略への組み込みを図るとともに、ステークホルダーに対する情報開示にも積極的に取り組んでまいります。 以下は、TCFD提言に沿った取組事項です。 当社は、気候変動問題を経営重要課題の一つと認識し、環境・社会・ガバナンスに関する委員会やマネジメントシステムを複数設置し、ESG課題に取り組む中で、気候変動問題についても対応しております。気候変動問題に対する執行レベルの最高責任者はCEOです。 取締役会は、年に一度の気候変動問題を含むサステナビリティ関連報告及び適時適切なマネジメントシステムからの報告を受け、必要に応じた議論と課題についての監督及び重要な決定事項について承認します。 当社は、脱炭素社会を実現するための省エネの推進、再生可能エネルギー活用の検討等、温室効果ガス排出量削減を目指しています。気候変動による気温上昇が社会に及ぼす影響は甚大と認識し、2022年度から1.5℃、4℃シナリオを用いて、2050年までを考慮したシナリオ分析を実施しました。当社は、このシナリオ分析に基づいて特定された重要なリスクと機会を踏まえて、統合的な気候変動戦略の策定を目指してまいります。下表は当社のリスク・機会要因と事業へのインパクトに対する対応策の一例です。 2050年の1.5℃世界では、eLEAP、HMO等の低炭素社会への移行に有効な独自技術の活用により、大きな機会獲得が期待できることが分かり、これら技術を成長ドライバーとする成長戦略「METAGROWTH 2026」の推進が、長期的な機会をもたらすことを確認いたしました。 リスク対応策による低減を図り、当社の強みである独自技術によって、2050年1.5℃世界の実現を目指してまいります。 当社グループは、サステナビリティ推進部が主管部署となり、気候関連リスク及び機会の特定を行っています。事業活動に係わるリスク管理フローに沿って、担当する各部門にて想定される新たな規制、製品・サービス、市場に関する気候関連リスク及び機会の特定を行っています。主管部署は気候関連を含む全社リスクの識別・評価、管理プロセスについて、リスク管理規則に基づき適切に管理しています。 環境負荷の指標は、自社のScope1、Scope2に加え、Scope3排出量についても全体像の把握と優先的に削減すべき対象の特定を目的に、2021年度実績から該当カテゴリ全ての排出量を算定し開示しています。温室効果ガス排出量削減に向けて、中長期的な削減目標を設定し、数年内のSBT認定取得を目指します。併せて、直近の2025年度の再生可能エネルギー比率の目標を設定して取り組むとともに、バリューチェーンを通じた環境負荷低減を積極的に推進してまいります。 当社グループでは、「内部統制システム構築の基本方針」に規定する「損失の危機の管理」に基づき、リスクの未然防止及び発生時の影響の最小化に向けて、「リスク管理規則」等の必要な規則及び体制を整備しています。リスク管理規則では、「リスクを特定・分析し、対策を講じる」プロセスを毎年実行し、持続的、かつ円滑な事業運営を図ることを目的としたリスク管理の運用ルールを定め、サステナビリティ推進部が主管部門となって運用を行っています。 事業に係るリスクは、リスク管理フローに沿って担当各部門にて、想定されるリスクの起こりやすさ(頻度)と起こった場合の影響度(売上・利益への影響等)を評価し、重要度の高いリスクを優先に回避策・軽減(低減)策・移転策を検討・立案・実行しています。これらの対策については、期中にサステナビリティ推進部が担当部門に対するヒアリング等を通じて有効性評価を行い、実施状況を継続的に確認しています。年度毎のリスク評価結果は、マネジメントレビューを経て、取締役会に報告されるとともに、全社員に展開されます。また、事業計画や中期事業計画等の策定においては、その策定プロセスの中でリスクを分析し、対策も合わせて計画に織り込んでいます。 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 当社グループでは、事業のリスクを以下のとおり「事業活動リスク」「財務リスク」「経済リスク」「自然・事故災害リスク」「法務リスク」「労務リスク」「社会リスク」「政治リスク」の8つに分類しています。 当社グループは、売上の大半をディスプレイに依拠しており、事業及び業績は、国内外におけるディスプレイ市場及びディスプレイを搭載する完成品市場の影響を受けます。完成品の市況は、景気の変動等による個人消費の動向、消費者の嗜好、季節性等に大きく左右され、これらの変動により受注が減少した場合には、部品や完成品の過剰在庫、又は工場稼働率低下による機会損失が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、競合他社との競争の結果、販売価格が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 このため、当社グループは、「世界初、世界一」独自技術を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化を図り、販売価格水準の維持及び向上を目指すとともに、原材料や部品の削減、歩留りの改善等によるコスト低減に取り組み、販売価格の下落に備えておりますが、脱過当競争・脱コモディティ化が進展せず、当社グループでのコスト低減幅以上に販売価格が下落した場合又は利益率の低い製品の販売比率が拡大する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、高度な技術を必要とするディスプレイの製造・販売を行っているため、技術の優位性の確保は、当社グループの競争力にとって極めて重要です。当社グループは、従来技術と比較して大幅な低消費電力や高精細化を実現するバックプレーン技術や次世代OLED等、唯一無二の技術を開発し、ディスプレイ市場におけるニーズをけん引している状況にあると認識しておりますが、最新の技術を利用した製品を迅速に顧客に提供するためには、継続的な研究開発は不可欠です。 かかる研究開発において、当社グループでは、明確な開発方針のもと、研究開発対象の厳選、開発段階での進捗レビュー及び継続是非の判断を実施しています。しかしながら、こうした施策にもかかわらず、成果が収益に繋がらない場合、又は想定した成果を得られず当社グループの技術優位性が損なわれる場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが営むディスプレイ事業は、大規模な生産設備の取得及び維持、大量かつ安定的な電力供給、並びに多くの従業員の雇用を要する、固定費比率が比較的高い事業です。したがって、顧客需要の減少、他社との競合等により当社グループの工場の稼働率が低下する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、電力会社による電力供給の制限や、石油・天然ガスの輸入価格の高騰又は円安等による電気料金の値上げが行われる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは、原材料・部品等を複数の仕入先から購入しており、原材料等が適時、適量に調達できることを前提とした生産体制を敷いています。しかしながら、原材料・部品等の一部については、その特殊性から仕入先が限定されているものや仕入先の切替えが困難なものもあります。仕入先の経営環境の悪化や災害等により必要な原材料・部品等の供給遅延、供給不足又は価格高騰等が生じた場合には、当社グループの製品の納期に遅延が生じる可能性、又は他の仕入先からの購入のための費用増加が生じる可能性があります。また、調達した原材料・部品等に欠陥や瑕疵が存在した場合や、当社グループ若しくはその顧客の求める仕様が満たされていない場合には、当社グループの製品の品質及び評価に影響を及ぼす可能性、当社グループ又はその顧客に対するクレーム、訴訟に発展する可能性、又は調達した原材料・部品等の評価減や返品等に伴う費用増加が生じる可能性があります。 更に、高精細、低消費電力といった高付加価値のディスプレイの生産には、精緻な生産技術と成熟したスキルを要します。当社グループが生産する製品はカスタム品が大半であり、製品ごとに部材や製造装置の設定が変更となることが多いため、特にノウハウの蓄積が少ない新技術を採用した製品の生産活動においては、製品の歩留り向上に時間を要することや、品質トラブルが生じることがあります。また、顧客との契約に基づく供給義務の履行のため、歩留りが低い状況においても製品の製造を継続する必要が生じる場合もあります。当社グループでは、開発、設計、プロセス、製造、品質保証の各分野の摺合せを綿密に行うことで、そうした問題の発生の極小化を図るとともに、問題が発生した際には早期に解決を図るための体制を構築し、生産ライン従事者のスキル向上のための教育プログラムも完備しています。しかしながら、そうした対策をもってしても、歩留りの悪化や品質トラブルが生じた場合には、当社グループの製品の評価に影響を及ぼす可能性、又は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、企業競争力強化や収益性向上、長期的な供給体制の維持、新技術及び新製品の開発のため、部材メーカー、装置メーカー、完成品メーカーを含む外部企業との協業を実施しており、今後も研究開発、製造等の分野において競争力を強化するため、外部企業との新たな協業に加え、戦略的提携及び買収等を実施する可能性があります。これらの協業、戦略的提携及び買収等は、資金調達の制約、戦略上の目標変更、技術管理又は製品開発等の事業上の問題の発生、若しくは許認可等の規制上の問題、市場の変動等により、実施又は維持ができなくなる可能性があるほか、実施後に十分な成果が得られない可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの売上高は、特定のアプリケーション又は製品、及び特定の顧客への販売に相当程度依存しています。当該アプリケーション又は製品の市場における需要の減退、当該顧客のブランド力の低下、当社グループの製品が顧客の要求する水準を満たせない場合、又は競合他社による当社グループ製品に代替する新製品の開発等による当社グループ製品の競争力低下等により、受注の減少、利益率の低下、又は取引条件の悪化が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、多くの有形固定資産を保有しています。固定資産の連結貸借対照表計上額につきましては、当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価していますが、競合やその他の理由によって事業収益性が低下し当該資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には、減損の認識が必要となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは将来にわたり競争力を確保するため、必要に応じ生産効率の低い生産拠点の閉鎖や研究開発の中止等の事業構造改善を実施する場合があります。その場合において、設備の減損や従業員の処遇に関する事業構造改善費用が発生するほか、技能を有する従業員の流出等の可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、2022年度からTCFDの枠組みに基づくシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しており、今後対策を今後脱炭素化(カーボンニュートラル)への取組みを強化してまいりますが、かかる取組みに伴う費用負担や、将来的なカーボンプライシングの導入による費用の増加が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、カーボンニュートラルに向けた取組みが顧客からの要求水準に満たない場合、顧客との取引が制限される可能性があります。更に、慢性的な気温上昇に伴う自然災害の頻発化や甚大化によるサプライチェーンの混乱や、生産性の低下、洪水等に備えるためのBCP対応コストの増加が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレによる民生機器出荷台数の減少及び部材・エネルギー費等のコスト上昇により厳しい状況にあり、当社グループにおいては、当期も厳しい業績とフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続する見込みとなっております。一方、当社は、前期においていちご及びINCJの支援を受けたことにより、当連結会計年度末現在の借入金残高は0円の無借金状態となり、財務状況は大幅に改善しております。(その後、2023年5月30日付でいちごより40億円の短期借入を行っております。)また、2023年3月22日付で、いちごに対する第三者割当により第13回新株予約権を発行しており、今後、いちごによる当該新株予約権の行使がされた場合は、最大約1,734億円の調達がされることとなるため、当面の資金繰りに目途は立っております。 しかしながら、いちごにより当該新株予約権の行使がなされない場合、若しくは行使が一部に留まり十分な資金が確保できない場合、かつ、金融機関等からの調達が十分に実行できない場合には、手許資金が当社の事業遂行上必要な水準を下回る場合があります。 なお、第13回新株予約権の半数の行使期間は、2023年6月1日から2028年5月31日までであり、残り半数の行使期間は、2023年12月1日から2028年11月30日となっております。 いちごは、本有価証券報告書提出日現在、当社の発行済株式に係る議決権数の78.2%に相当する株式を直接保有する支配株主となっており、当社の株主総会の特別決議を要する事項(他社との合併等の組織再編、重要な資産や事業等の売却、定款の変更等)及び普通決議を要する事項(取締役の選解任、剰余金の処分や配当の決定等)について、拒否権を含む重大な影響力を有しております。また、いちごとの間の投資一任契約に基づき、いちごから投資運用に関する権限を受託しているいちごアセットマネジメント・インターナショナル・ピーティーイー・リミテッドへの投資助言を行う、いちごアセットマネジメント株式会社の代表取締役社長であるスコット キャロン氏は、当社の代表執行役会長CEO兼取締役です。 この状況に対し、当社は、2021年3月期に指名委員会等設置会社に移行しており、社外取締役が過半数を占める監査委員会、指名委員会及び報酬委員会を設けることで独立性の担保を図っています。また、事前承認事項等の設定はありません。更に、スコット キャロン氏は、当社によるいちご及びその関係会社との取引において利益相反の懸念を回避する観点から、かかる取引に関する取締役会の審議及び決議には参加しておりません。それでもなお、株主総会の承認を必要とする事項に関し、いちごが影響を及ぼす可能性があります。 また、いちごは、当社の企業価値向上を支援するスポンサーとして、長期的視点から株式を保有する意向を当社に対して示しておりますが、一方で、「④上場維持基準への不適合」に記載のとおり、当社は、東京証券取引所プライム市場における上場維持基準の適合に向けて、いちごの持株処分による持株比率低下を図る必要があります。かかる状況下、今後、当該上場維持基準への適合に向けていちごが当社株式の一部を売却した場合、又はその他の理由に当社株式の一部又は全部を売却した場合には、売却の方式、タイミング、規模等によっては、当社株式の需給関係及び市場価格に影響を与える可能性があります。 また、当社第2位の株主であるINCJにつきましても、当該上場維持基準への適合に向け、持分処分による持株比率の低下を図る必要があります。なお、INCJは、産業競争力強化法等の一部を改正する法律(平成30年法律第26号)による改正前の産業競争力強化法に基づく経済産業大臣の認可を得た上で行われた、旧株式会社産業革新機構(現株式会社産業革新投資機構)からの新設分割により設立された会社であるところ、当該認可に係る告示(20180913経第4号)における「認可条件」として、産業競争力強化法(設立時の名称は「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(産活法)」)に基づき設立されておりますが、同法により2025年3月までに保有する全ての株式等を処分する必要があります。 当社の本有価証券報告書提出日現在の発行済株式数は、普通株式3,880,388,022株、及び普通株式の取得請求権を有し議決権のないE種優先株式5,540株です。また、いちごに対し、普通株式を目的とする第13回新株予約権を発行しております。 E種優先株式の全てが普通株式に転換された場合に交付される株式数2,308,329,640株(議決権数23,083,296個)に、第13回新株予約権が全て行使された場合に交付される株式数3,852,444,400株(議決権数38,524,444個)を合算した総数は6,160,774,040株(議決権数61,607,740個)であり、本有価証券報告書提出日現在の普通株式の発行済株式総数3,880,388,022(議決権数38,803,443個)を分母とする希薄化率は158.77%(議決権ベースの希薄化率は158.77%)に相当します。 このように、E種優先株式の普通株式への転換請求権が行使された場合や、第13回新株予約権が行使された場合は、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化し、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。 前連結会計年度末現在において、当社の「流通株式比率」は14.6%であり、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準である当該比率35%以上を満たしておりません。東京証券取引所の規則上、当社は2022年4月4日付の市場区分の変更前に東京証券取引所市場第一部に上場していたことから、2025年3月末までの経過措置期間内に適合することが必要となります。一方で、東京証券取引所の規則には、第三者が事業再生を支援するために一定の上場株券等を所有する場合であって、5年以内に上記の上場維持基準に適合する見込みを有すると東京証券取引所が認めるときには、5年間(又は東京証券取引所が認めた期間)、上場維持基準の適合の猶予が認められる特例があります。当社は、事業再生支援目的でいちごとの資本提携契約を締結し出資を受けていることから、5年後の2028年3月末までを計画期間とする特例適用が認められております。 プライム市場の流通株式比率に適合するためには、前連結会計年度末現在78.2%の当社普通株式を保有するいちごの持株処分による持株比率低下を図ることが最大の課題であります。また、同時点で当社普通株式の5.5%を保有する当社第2位の株主であるINCJの持分につきましても、持株処分による持株比率の低下が必要となります。 当社は、プライム市場の流通株式比率の適合に向けていちご及びINCJと持株比率の低下等について協議をしてまいりますが、そのためにも、成長戦略「METAGROWTH 2026」に沿って、早期の業績等改善を進めていく必要があると認識しており、今後一層業績改善に向けた取組みに注力してまいります。しかしながら、こうした取組みをもってしても、2028年3月末までの猶予期間内に流通株式比率が上場維持基準に適合しない場合は、上場廃止となります。 当社グループは、当連結会計年度において6期連続で営業損失及び重要な減損損失を、9期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 当該状況を解消するため、当社グループは、全社的な事業構造改革として、設備利用効率の改善、資産規模の適正化による生産性向上及びサプライチェーンの見直し等によるコストの更なる削減に取り組んでおります。この戦略的取組みの一環として、2022年10月28日開催の取締役会において、製造連結子会社SEの全株式をSuzhou Dongshan Precision Manufacturing Co., Ltd.に売却することを決議し、同社との間で株式譲渡契約を締結し、2023年1月までに株式譲渡を含む全ての手続を完了いたしました。また、2023年3月を目途に生産終了を決議していた東浦工場に関して、同年3月10日付の取締役会決議に基づき、同工場内一部建物の賃貸先であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社に対し、2024年4月1日を物件引渡日として同工場の建物を譲渡することにつき、同社との間で最終契約を締結いたしました。今後も既存事業の選択と集中を進め、収益性の更なる向上に向けた経営資源の最適化に引き続き取り組んでまいります。 上記施策に加え、技術基盤を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化により収益性の抜本的な改善を図るための成長戦略「METAGROWTH 2026」を2022年5月13日付で発表し、引き続き推進しております。本成長戦略における主な事業戦略として、同年3月30日に発表した超高移動度酸化物半導体バックプレーン技術「HMO」、同年5月13日に発表した次世代OLED「eLEAP」のほか、車載及びVR製品、並びにそれらに関連する知的財産権の積極活用等を中心に製品・事業ポートフォリオを再編し、早期の黒字体質の安定化と事業成長を図っていく方針であります。 財務面では、世界的なインフレ高進やサプライチェーンにおけるリスクに備えた手許資金確保の重要性に鑑み、INCJとの間で、2019年9月2日付当社借入金(元本総額200億円)の2023年2月28日までの返済期限再延長につき合意した後、同年2月10日付の取締役会決議に基づくいちごからの短期借入(元本総額200億円、以下「2023年2月10日付当社新規借入」といいます。)を原資として、全額を返済完了いたしました。 また、本追加資本提携契約に基づき、いちごは、当社に対する債権総額約1,017億円(2022年12月22日付Short-Term Loan Agreementに基づく当社借入280億円、2023年2月10日付当社新規借入200億円及び同年2月27日付でINCJから譲渡された当社債務約537億円の合計に相当)のうち150億円を、2023年2月27日付で放棄しました。 さらに、本追加資本提携契約に基づき、いちごに対する当社普通株式(一部放棄後の債権残額の現物出資による総額約867億円の調達)及び当社普通株式を目的とした第13回新株予約権(行使時の調達総額:最大約1,734億円)について、2023年3月22日付でそれぞれ払込み及び発行手続を完了しております。 以上の施策により、当社借入金の全額が自己資本に振り替わったことで、大幅な負債圧縮、長期安定的な資本構成及び将来的な資金需要に対する財務施策の機動性向上を確保することとなりました。加えて、今後の資金需要に応じた機動的な借入実施(いちごからの同年5月30日付元本総額40億円)、第13回新株予約権の行使のほか、低効率資産の売却又は流動化等も含め、引き続き適時適切な資金調達策を講じてまいります。 一方で、昨今の世界的な原材料費の高騰、エネルギー費高騰による動力費や輸送費の負担増加及びグローバルな消費減退等の影響により、早期の業績回復による黒字転換が遅延し、当社グループ資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性を勘案すると、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 当社グループは、グローバルに事業活動を行っているため、世界経済の動向に起因する完成品需要の変動により、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。とりわけ、VR機器等高価な民生機器や耐久消費財である自動車の需要は、経済状況の影響を強く受けるため、国内外の景気が悪化する場合等には、それら完成品に採用される当社製品の需要が減退し、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、取引先及び取引地域が世界各地にわたっており、外貨建で取引されている製品・サービス等のコスト及び販売価格は為替の影響を受けるため、為替相場の変動により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪化する可能性があります。加えて、海外子会社の現地通貨建の資産・負債は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、当社グループの財政状態は為替相場の変動による影響を受けます。 当社グループは、製造拠点を日本及びフィリピンに、販売拠点をグローバルに展開しています。また、中国及び台湾のEMS(電子機器受託製造)企業と提携し、後工程生産を委託しています。地震、津波、豪雨、洪水、落雷等の自然災害、コンピュータウィルスの感染、顧客データの漏洩、部品調達先等の罹災によるサプライチェーン上の混乱、疫病の発生や蔓延、戦争、テロ行為、暴動あるいは労働争議等が発生し、当社グループの拠点やEMS企業が大打撃を被った場合には、生産・出荷や販売活動が停止する恐れがあります。また、災害により電力供給量の低下や物流ルートの遮断等、社会インフラが不安定化した場合には、生産能力の低下、原材料の調達難、製品供給の遅延等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 かかる災害による損害の発生に備え、当社グループは、建物、構築物、装置、在庫及び運搬中の貨物の代替コスト及び、事業の中断、製造物責任等に対して適切と判断するレベルの補償範囲をカバーする各種保険に加入しておりますが、当該保険には免責金額が設定されているものがあるなど、全ての損害額がカバーされるものではありません。 当社グループの事業は、国内外の様々な法令、規則等による制約を受けています。また、世界各地域において、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物処理、製品リサイクル、地球温暖化防止、エネルギー等に関する様々な環境関連法令の適用を受けています。当社グループは、これらの規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、製品の製造販売活動や設備投資が制約を受けるなど、事業展開に支障が生じる可能性があるほか、各種の法規制が制定又は変更された場合には、その遵守対応のための費用が増加する可能性があります。また、当社グループにおいてこうした法規制の違反が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性や社会的評価に影響を与える可能性があります。 2020年7月16日付で、当社の過年度決算における不適切な会計処理により損害を被ったとして、当社の株主1名及び当該株主が代表取締役を務める国内法人株主2名から、当社並びに当社の元取締役及び現取締役合計10名に対し、連帯して約3,858百万円の損害賠償を請求する訴訟が提起されております。当社は、原告の主張を踏まえて適切に対応してまいります。 当社グループは、当社技術の保護に向け、適切な国・地域での知的財産権の取得に努めていますが、一部の国・地域によっては固有の事由により知的財産権による保護が十分にされていない可能性があります。また、当社グループは、第三者からの使用許諾を受けて第三者の知的財産権を使用する場合がありますが、今後、必要な使用許諾を第三者から受けられなくなる可能性や、当社グループにとって不利な条件での使用許諾しか受けられなくなる可能性、競合他社が当社グループより有利な条件で第三者から使用許諾を受け当社グループの競争力が相対的に低くなる可能性があります。 当社グループは、先端技術を用いたディスプレイの製造及び販売を行っていますが、先端技術を用いた製品については欠陥や瑕疵が製品の出荷までに発見されにくく、製品の出荷後に品質問題が発生した場合には、製品の回収及び修理、デザインの変更等に多大な費用を要するとともに、技術者等人的資源の投入を要する可能性があり、また、顧客との関係及び当社グループへの信用に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの製品の欠陥や瑕疵により当社グループ又はその顧客に対する訴訟が提起される可能性もあり、当社グループはグローバルに事業活動を展開しているため、各国で訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となった場合、各国の法制度・裁判制度の違いもあり、事案によっては巨額の損害賠償金や罰金等の支払を命じられる可能性もあります。 また、当社グループは、ディスプレイ事業における競争法違反の可能性に関し、日本及び他の国・地域において、調査の開始又は訴訟の提起がされる可能性があります。これらの調査や訴訟の結果、当社グループに対して、複数の国・法域において課徴金や損害賠償の支払が命じられる可能性があります。かかる規制当局による処分や訴訟について、その結果を予測することは困難ですが、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、その結果によっては、当社グループの事業、業績、財政状態、及び社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、技術部門において専門性の高い優秀な人材を採用又は育成することにより、競争優位性を確保することができると考えています。しかしながら、専門性の高い優秀な人材は限られていることから、人材の採用及び確保の競争は激化しております。優秀な人材を確保又は育成できない場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループから、専門性の高い優秀な人材が競合他社に移籍した場合には、その者が有する当社グループの知識やノウハウの流出により、当社の競争力が相対的に低くなるおそれがあります。また、当社グループの経営は、現経営陣の能力と貢献に相当程度依存しており、何らかの理由により経営陣が辞任しその代替が確保できない場合や、経営陣の健康状態、訴訟その他の不測の事態への対応により当社グループの経営に十分注力できない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、当社グループ・顧客・取引先の技術、研究開発、製造、販売及び営業活動に関する機密情報、並びにステークホルダーの個人情報を様々な形態で保持及び管理しています。当社グループにおいてはこれらの機密情報を保護するために適切な管理を行っていますが、かかる管理が将来にわたって常に有効である保証はありません。予期せぬサイバー攻撃等の事態により当社グループが保持又は管理する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は使用するような事態が生じた場合には、当社グループに対して損害賠償を求める訴訟が提起されるなど、当社グループの事業、業績、財政状態、及び社会的評価に影響を与える可能性があります。 当社グループは、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大時に、従業員に対する在宅勤務や時差出勤の推奨、作業スペースの隔離、また不要不急な出張の禁止やウェブ会議システムの活用等により接触を抑える対策を実施し、社員やその家族の安全を優先しつつ、生産体制の維持を図りました。また、サプライヤーとの連携により、最大限の部材確保に努め、生産への影響の最小化を図りました。 新型コロナウイルスは、感染症法上5類に位置付けられましたが、今後感染が再拡大した場合、又は他の感染症が流行した場合は、当社又は当社の事業活動に関係する調達、生産、物流等の取引先において、原材料の調達、製品生産の遅れ、又は販売先からの受注減少が予想され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2020年にオーストラリアのシンクタンクが、当社を含む複数の企業がウイグル人の強制労働によって製造されたとされる部品を調達しているとの報告書を出しました。これについて、当社は、強制労働を行っていたとされた、サプライヤーの下請企業2社について事実関係の調査を行いましたが、強制労働があったことを示す事実は確認されませんでした。強制労働があったことを示す事実は確認されなかったものの、その後、上記サプライヤーからは、当該下請企業2社との取引を停止し、それぞれ他のサプライヤーへの切り替えを完了したと報告を受けており、当社も当該事実を確認しております。 当社グループは、全てのサプライヤーに対して「サプライヤーCSR推進ガイドブック」を配布し、強制労働や児童労働をはじめとするいかなる人権侵害にも加担しないことを要請するとともに、「サプイヤーCSR自己監査票」による調査の実施、及び定期的なモニタリングを実行してまいりますが、将来にわたって常にこれら施策が有効である保証はなく、サプライヤーにおいて人権侵害が起きた場合、当社の事業活動に必要な部材の調達が困難となることや、顧客、その他の取引先との取引が停止されることにより、当社グループの業績、財務状況、社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。 また、米国で2022年6月21日「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」に基づく輸入禁止措置が施行され、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品は、強制労働により生産されたとみなされ輸入が原則禁止されています。UFLPAに基づく輸出管理規制により、サプライヤーとの取引関係悪化や、国レベルでの制裁措置による貿易制限が生じることにより、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、コンプライアンス遵守、財務報告の適正性確保を達成するために内部統制システムを整備し、運用してまいりましたが、2020年3月期に、過年度決算において架空在庫計上や費用先送り等による不適切な会計処理を継続的に行っていたことが判明し、財務報告に係る内部統制に重要な不備があったことが判明しております。当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分認識しており、不備を是正するため、2020年4月にガバナンス向上委員会を設置の上、同委員会が検討・策定した内部統制機能の強化を含む再発防止策について、具体的な詳細を定め、全社一丸となって実行いたしました。 その結果、2021年3月期末日においては、開示すべき重要な不備が解消しており、内部統制は有効である旨、2021年6月28日付「内部統制報告書」において開示いたしました。当社は、再発防止の取組みを今後も継続的に実行し、一層コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、社内の意思疎通・相互理解の促進によるコミュニケーション向上等により、内部統制の強化を図っております。その一環として、財務報告に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制等の点検・改善等に取り組んでおりますが、将来にわたって常に有効な内部統制システムを整備及び運用できる保証はなく、また、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制の不備又は開示すべき重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 当社グループは、日本とフィリピンに製造拠点を有し、中国と台湾に後工程の製造委託をしています。また、グローバルに販売拠点を有し、海外顧客への売上高が当社グループ全体の売上高の大きな割合を占めております。海外事業の展開にあたっては、グローバル子会社の異動、外国における経済情勢や政治情勢の不安定化、新興国でのインフレーション等に基づく賃金の上昇及び現地従業員との関係悪化、外国為替管理の強化、予期しない法規制の新設又は変更、税制、法制度及び事業環境の差異及びその不利益な変更、課税等の行政上の措置、戦争及びテロ等の軍事的影響、反日感情による非買運動等の地政学的リスク要因があり、これらの要因が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。 当連結会計年度(以下「当期」といいます。)における当社グループを取り巻く経営環境は、従前よりの厳しい競争状況に加え、スマートフォン用ディスプレイの有機EL(OLED)へのシフト、半導体等の部材不足、世界的なインフレに起因する民生機器出荷台数の減少や部材・エネルギー・輸送費のコスト上昇等、これまで以上に厳しい状況となりました。 こうした状況のもと、当社グループは、収益改善に向けて経営効率の一層の向上を図るため、引き続きアセットライト化による固定費の削減・変動費化を進めたほか、2022年5月に策定した成長戦略「METAGROWTH 2026」に基づき、脱過当競争・脱コモディティ化に向けて取り組みました。アセットライト化の一環としては、2022年5月に生産性とコスト競争力において大型ガラス基板の工場に劣る東浦工場(愛知県知多郡)での生産を停止することを決議し、2023年3月にこれを完了したほか、2022年10月には中国の連結製造子会社SEの全株式譲渡を決議し、同年12月に当該株式譲渡の手続きを完了いたしました。 脱過当競争・脱コモディティ化に向けては、競争環境が非常に厳しいスマートフォン事業の大幅縮小を決定するとともに、「METAGROWTH 2026」において、「世界初、世界一」の独自技術をベースとした「6つの成長ドライバー」を定め、これら成長分野の強化に取り組みました。中でも、当社が2022年5月に世界で初めてマスクレス蒸着及びフォトリソ方式による量産技術を確立した次世代OLED「eLEAP」は、その性能と環境性の高さから顧客及び他のディスプレイメーカーからの高い関心を得ております。当期第4四半期にはeLEAPの初受注を獲得しており、2024年から量産出荷を開始する予定としております。また、この技術を他企業にもライセンス提供すべく、複数の候補企業と協議を進めました。 これらの取組みの効果の発現は当期において限定的でしたが、2024年3月期以降に段階的に発現する見通しであり、取組みの継続により中長期的に大きな成果に結びつくものと考えております。 上記の結果、当期の売上高は、前期比25,200百万円減少(8.5%減)の270,746百万円となりました。売上高の減少に加え、高騰した部材・エネルギー・輸送費の価格転嫁に遅れが生じたことにより、営業損失は44,386百万円(前期は8,576百万円の損失)、経常損失は42,924百万円(前期は7,964百万円の損失)となりました。また、特別利益として、中国の連結製造子会社の株式売却に伴う関係会社株式売却益13,471百万円、いちごによる貸付金債権の放棄に伴う債務免除益15,000百万円を計上したほか、特別損失として、減損損失2,803百万円、及び事業構造改善費用5,884百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は25,818百万円(前期は8,096百万円の損失)となりました。 なお、営業利益(損失)に営業費用である減価償却費及びのれん償却額を加算して算出したEBITDAは、マイナス36,198百万円(前期はプラス161百万円)となりました。 アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。 スマートフォン、タブレット用のディスプレイを含むモバイル分野の当期売上高は、75,689百万円(前期比35.7%減)となり、全売上高に占める割合は、前期の39.8%から28.0%に低下しました。 当分野では、世界的なスマートフォン出荷台数の減少に伴う需要減に加え、米国主要顧客向け液晶ディスプレイの需要減少トレンドの継続、当社におけるスマートフォン用ディスプレイ事業の戦略的縮小により、前期比大幅減収となりました。 計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなる車載分野の当期売上高は、134,555百万円(前期比25.8%増)となり、全売上高に占める割合は、前期の36.1%から49.7%に上昇しました。 当期は、中国の新型コロナ政策により生じたサプライチェーンの混乱や半導体等の部材不足による自動車メーカーでの生産制約の影響を受けましたが、旺盛な需要と、前期における半導体不足による自社での大幅な生産制約の反動もあり、前期比大幅増収となりました。この結果、車載分野の売上高は過去最高となり、全売上高に占める割合は、通期で初めてモバイル分野を超過しました。 ウェアラブルやVR等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイのほか、特許収入等を含むノンモバイル分野の当期売上高は、60,500百万円(前期比15.3%減)となり、全売上高に占める割合は前期の24.1%から22.3%に低下しました。 物価高やメーカーの製品価格値上げの影響等によりVR機器及びウェアラブルデバイス用ディスプレイの需要が減少し、前期比減収となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件等は一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いこと等から、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、海外の製造子会社による後工程に区分して管理されております。 そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。 当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。 当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社のグループは単一セグメントであるため、アプリケーション分野別に記載を行っております。 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比35,578百万円減少の222,696百万円となりました。これは、主に損失の計上による現金及び預金の減少、モバイル及びノンモバイル分野の売上高の減少に伴う売掛金の減少、有償支給取引の減少に伴う未収入金の減少等によるものです。 負債合計は、前連結会計年度末比87,242百万円減少の98,265百万円となりました。これは、主にいちごへの第三者割当増資による86,680百万円の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)及びいちごによる15,000百万円の債権放棄等に伴う借入金73,680百万円の減少によるものです。 純資産合計は、主に親会社株主に帰属する当期純損失25,818百万円の計上による利益剰余金の減少及び中国の製造連結子会社SE売却による当社連結対象からの除外に伴う為替換算調整勘定の減少の一方、いちごに対する第三者割当の方法による86,680百万円の増資により、前期末比51,663百万円増加の124,431百万円となりました。 上記の結果、自己資本比率は55.8%と前連結会計年度末に比べて改善しました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失21,893百万円の計上及び棚卸資産の増加等により、65,665百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純損失の拡大等により、43,992百万円の支出増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出8,630百万円の一方、中国の製造連結子会社SE株式の譲渡に伴う収入(子会社株式の売却による収入)18,208百万円により、9,777百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、子会社株式の売却による収入の増加により、9,681百万円の収入増加となりました。 この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計)は、74,296百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の増加による収入28,000百万円等により、27,685百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、株式の発行による収入が剥落した一方、短期借入金の増減による収支が純減から純増へ転じたことにより、12,916百万円の収入増加となりました。なお、当連結会計年度に非資金取引として、86,680百万円相当の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を実施しております。 これらの結果及び為替の影響により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は25,754百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,185百万円減少しました。 当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資です。他方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることから、これらの資金需要が自社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで数年にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。そのため、当社グループは、後述の財務戦略の基本的な考え方に沿って、適宜資金調達を検討してまいります。 当社グループは、安定収益の確保と着実な成長を目的として、計画的かつ機動的な財務戦略を立案し、実行しております。 事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、安定的に資金確保し、CCC(キャッシ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化によって財務体質を強化することを目標として取り組んでいます。また、事業展開においては、現地のカントリーリスクに伴うサプライチェーンの混乱による受注減少のリスク等、不測の事態が発生することも想定し、政府系金融機関による各種支援メニューや民間金融機関によるアセットファイナンス及びプロジェクトファイナンスの組成等、その都度最適な資金調達方法を検討しております。 また、当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが肝要だと考えております。手許流動性の水準を考慮するにあたっては、連結売上高1.0か月分を目安に、手許現預金及び追加ファイナンスによって賄うこととしております。 更に、手許現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、金融投資家等からの借入金等を通じて、適宜必要な資金を確保する方針です。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当社は、2023年2月10日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、いちごとの間で、いちごに対する第三者割当による普通株式(調達総額867億円)及び普通株式を目的とする第13回新株予約権(行使時の調達総額1,734億円)の発行による追加の資金調達に関する追加資本提携契約(以下、「本追加資本提携契約」という。)を締結いたしました。 当社は、2023年2月10日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、いちごとの間でShort-Term Loan Agreementを締結いたしました。なお、本Short-Term Loan Agreementにつきましては、同日付の本追加資本提携契約に基づく、2023年3月22日付の普通株式に係る払込みにおいて、金銭債権の現物出資(デット・エクイティ・スワップ)により、返済が完了しております。 当社は、2023年2月10日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、INCJとの間でA種優先株式譲渡契約を締結いたしました。なお、2023年2月27日付で取得したA種優先株式1,020,000,000株につきましては、2023年3月10日付で全て消却しております。 当社は、2023年3月10日開催の取締役会の決議に基づき、当社東浦工場の建物及び付帯設備等をソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社に譲渡(帳簿価額:53.7億円)することを決議し、同日付で同社との間で物件引渡日を2024年4月1日とした最終契約を締結いたしました。 当社は、2023年3月27日開催の取締役会の決議に基づき、同日付で、株式会社JOLEDとの間でスポンサー支援に関する基本合意書を締結いたしました。 当社は、先進の発想を具体化し、人々の生活と文化発展に貢献することを目標にし、商品開発から基礎的な要素技術開発まで幅広い研究開発活動を行っています。 顧客からの要求に即した商品開発及びそのための技術開発は事業部が担当しています。生産プロセス及び生産技術開発は生産・品質保証本部、近い将来から次世代までの技術開発はR&D本部が担当しています。また、大学、公的研究機関、関連メーカー、技術ベンチャーとの研究開発活動も積極的に行っています。 当連結会計年度の研究開発費は9,456百万円となりました。 当連結会計年度の主な研究開発の成果は、下記のとおりです。 当社は、世界で初めて(当社調べ)マスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を形成する次世代OLED「eLEAP」の量産技術を確立いたしました。 eLEAPはOLEDディスプレイの量産に使用されているファインメタルマスク(FMM)を用いた有機材料の蒸着方式と比較して、製品性能(発光領域の拡大による長寿命・省電力・高輝度、高精細化、フリーシェイプ)の優位性及び生産性(製造時の基板の大型化、OLED材料効率等)の優位性があり、ディスプレイデバイスに革新的な飛躍をもたらすものと考えております。 長年培ってきた液晶技術を用いて照明の光の広がり方(以下、配光特性)を自在に制御可能とする自由照明「LumiFree」を新たに開発し、世界で初めて(当社調べ)量産技術を確立いたしました。 LumiFreeは、従来の照明器具において生産・導入後に困難であった配光特性の制御を可能にするものです。「必要な時間、必要な場所に、必要な量の光を届ける」ことが可能になることから、新しい照明演出による人・物・場所への価値創出、利用シーン毎での照明環境の最適化による利用エネルギー削減、過剰な照明の利用により生じている光害(ひかりがい)の改善等を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。
株式会社アトラエ
# 株式会社アトラエ 当社の創業者である新居佳英は、長年経験してきたアナログかつクローズドな従来のHR領域(Human Resources=企業の人的資源)(注1)にインターネット、テクノロジーの力を駆使して変革を起こし、労働力の最適配置を実現するため、当社を設立いたしました。 設立以降の経緯は以下のとおりであります。 当社は、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンを掲げております。 当社は、インターネット上で、転職を希望する求職者と求人企業のマッチング(求職者が求人企業へ入社することをいう。以下同じ。)を実現する成功報酬型求人メディア「Green」(以下、「Green」という。)、エンゲージメントを可視化することで組織を活性化し、人材の活用と定着化を促進する、組織力向上プラットフォーム「Wevox」(以下、「Wevox」という。)の運営を行っている他、長期的に成長し続ける企業であるために積極的に新規事業の展開を行っております。また、「テクノロジーによって人の可能性を拡げる事業を創造していく」という想いを込めて、当社を「People Tech Company」と再定義しております。 当社は、2020年7月に100%子会社である株式会社アルティーリを設立し「Sports Tech事業」に進出いたしました。これに伴い、2021年9月期より同社を連結の範囲に含めており、当社グループは当社及び連結子会社1社により構成されております。 当社グループが各セグメントにおいて提供する主要なサービスは以下のとおりです。なお、以下の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。 当社が展開するPeople Tech事業の背景には、日本の雇用慣行の変化があります。同一の企業で定年まで働き続ける「終身雇用」は終焉を迎え、グローバリゼーションやIT化によって企業の存続年数はますます短くなっております。さらに、成長産業が変化し続けていく中で、日本国内における人材の流動性は急速に高まっております。 一方で、日本のHR領域におけるサービスの多くは、高コスト構造に陥りやすい旧態依然とした労働集約型のビジネスモデルや、情報を囲い込むことによって価値を生み出そうとするクローズドなビジネスモデル(注1)を中心に構成されてきました。 現代においては、パソコン、タブレット端末、スマートフォン等の普及、さらにはFacebookやX(旧Twitter)等のソーシャルメディアやブログを中心に個人が積極的に情報を発信し、情報のオープン化が進んでおります。HR領域においても、ビッグデータ解析等のテクノロジーを活用することによって、これまで以上に本質的な価値を提供することが可能になると考えております。また、欧米先進国では、既にこれらを活用した採用活動が盛んに行われており、日本においても今後その流れが加速することが予想されております。 当社は、創業当初より「Human Resources × Technology」をテーマに挑戦し続けてきたことにより、HR領域におけるノウハウ、経験、そして求職者及び求人企業の採用プロセスに関するあらゆるデータを蓄積してきました。この強みを最大限に活かし、今後は更に一歩踏み込んだ、テクノロジーによって人の可能性を拡げる「People Tech Company」として、より多くの人が楽しく活き活きと働く世の中を実現していきたいと考えております。 当社の主力サービスである「Green」は、ビッグデータ解析等のテクノロジーを駆使することによって、求職者と求人企業の最適なマッチングを実現するプラットフォームです。 「Green」に登録している求職者のうち、アクティブユーザー数(注2)は66,099人(2023年9月単月)、掲載されている求人数は29,891求人です(2023年9月単月)。 主な特徴は以下のとおりです。 当社の求人メディアは、業界に先駆けて成功報酬型の料金体系を導入しました。従来の広告型求人メディアの多くは、採用の成否に関わらず、求人広告の掲載と同時に広告掲載料金が発生します。一方、「Green」は、新規登録時に初期設定費としてシステム利用料や掲載記事作成料が必要となるものの、その後は求人広告の掲載期間や掲載求人数の制限がありません。採用が成功し、求職者が実際に入社した段階で成功報酬が発生する、いわゆる成功報酬型の料金体系を採用しています(注3)。 「Green」を利用する企業は、広告掲載料金が掛け捨てになるリスクを取る必要がありません。従来の広告型求人メディアには掲載しづらく、人材紹介会社に依頼する以外に採用する方法がなかった専門分野に特化した求人や期間限定の求人等であっても、積極的に求人広告を掲載することが可能です(注4)。これまで表に出てこなかった魅力ある求人情報が掲載されることで、さらに優秀な人材が集まり、より一層優良な企業の利用を促すという好循環が生まれていると考えております。 また、成功報酬型というビジネスモデルのため、多くの企業が採用ニーズの強弱に関わらず、能動的に継続的な求人の掲載を行うことができます。従来の広告型求人メディアを運営する企業のように多数の営業人員を抱える必要がないことも大きな特長です(注5)。 当社の求人メディアは、成功報酬型というビジネスモデルの特性上、求職者と求人企業の採用プロセスに関するあらゆるデータを保有しています(注6)。どのような職務経歴、専門能力、経験年数の求職者が、どのような業種、職種、規模、社風の企業にアプローチを行ったか、書類選考を通過したか、何次面接まで進んだか、内定もしくは入社まで至ったか、といった求人企業の採用活動又は求職者の転職活動に関するあらゆるデータが蓄積されております。 この蓄積されたデータを解析することによって、転職を考える求職者には最適化された求人情報を、採用を考える求人企業には最適化された求職者情報を届けられるレコメンドシステム(注7)を実現しており、書類選考通過率の向上に努めております(注8)。 このマッチングのテクノロジーに磨きをかけ、継続的にデータを蓄積することによって、従来、人材紹介会社のアドバイザーがアナログかつクローズドに仲介していた求職者と求人企業のマッチングを、より低価格かつ効率的に実現しています。 当社の主力サービスである「Green」は、IT・Web業界において採用ニーズの高いエンジニアやWebデザイナー等が多く登録する求人メディアです。また「Green」を利用して採用活動を行った求人企業のうち、約8割がIT・Web業界に属しています(2023年9月期)。 組織力向上プラットフォーム「Wevox」はエンゲージメントを可視化することで組織を活性化し、人材の活用と定着化を促進するサービスです。エンゲージメントとは、組織に対する自発的な貢献意欲や主体的に仕事に取り組んでいる心理状態を評価した指標です。「Wevox」独自のサーベイを用いる事で、重要な経営指標の一つとして注目を集めているエンゲージメントを定量的かつ多角的に把握する事が可能となります。会社組織やスポーツチームなど、あらゆる組織での利用が拡がっており、本書提出日現在、利用組織は3,040社を超えております。当社は、世の中の人材の流動性が高まり、知識産業化が進む現代において、あらゆる組織は今まで以上に人材の採用や、育成、そして定着に力を費やす必要性が高まると考えております。 「Wevox」は、このような社会情勢において、唯一無二の組織力向上プラットフォームを目指し、多くの組織におけるエンゲージメントの向上に貢献してまいります。 当社グループは、長期に渡って成長し続ける組織であるために、複数の事業を収益化させ、発展、拡大させていくことが極めて重要だと考えております。 本書提出日現在の主な新規事業は、ビジネス版マッチングアプリ「Yenta」(以下、「Yenta」という。)です。 「Yenta」は、人工知能(機械学習)を活用し、ビジネスパーソン同士の出会いを創造するマッチングアプリケーションです。採用、出資、営業、情報交換、転職など、様々な目的に基づくマッチングを多数創造しています。 「Green」は、求職者と求人企業の最適なマッチングにより人材の流動化促進と最適配置を実現します。「Wevox」は、組織を活性化し、人材の活用と定着化を促進します。「Yenta」は、多くのビジネスマッチングを実現し、ビジネスパーソンの組織の枠を超えた横の繋がりを増やすことで、オープンイノベーション、働き方の多様化、生産性の向上などを促進しております。当社グループは、今後もテクノロジーによって人の可能性を拡げる事業を創造してまいります。 当社は、2020年7月に100%子会社である株式会社アルティーリを設立し「Sports Tech事業」に進出いたしました。プロバスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」を創設し、千葉県千葉市を本拠地にプロバスケットボールクラブの運営等を行っております。People Tech事業の経営ノウハウを掛け合わせる事で、スポーツビジネスにおける新たな価値の創造に挑戦してまいります。 当社グループの事業系統図は下記のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社は、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンを掲げております。全ての社員が誇りを持てる組織と事業の創造にこだわり、関わる人々がファンとして応援したくなるような魅力ある会社であり続けます。そして、日本を代表するグローバルカンパニーとして、世界中の人々から必要とされる存在を目指します。 また、当社は「テクノロジーによって人の可能性を拡げる事業を創造していく」という想いを込めて、当社を「People Tech Company」と再定義しております。 当社グループの経営戦略の現状と見通しは以下のとおりです。「Green」、「Wevox」の成長を加速させると同時に、複数の新規事業を創造し、収益化させていく方針です。 当社は、「Green」を通じて、従来の人材紹介サービスのリプレイスを実現したいと考えております。日本のHR領域におけるサービスの多くは、高コスト構造に陥りやすい旧態依然とした労働集約型のビジネスモデルや、情報を囲い込むことによって価値を生み出そうとするクローズドなビジネスモデルを中心に構成されてきたと考えております。しかし、パソコン、タブレット端末、スマートフォン等の普及、ビッグデータ解析等のテクノロジーの進化、さらにはFacebookやX(旧Twitter)等のソーシャルメディアやブログを中心に個人が積極的に情報を発信し、情報のオープン化が進む現代においては、書店や小売、不動産業界等と同様に、HR領域においても、従来のサービスでは提供し得なかった本質的な価値を提供することが可能になると考えております(当社が考える本質的な価値については「第一部 企業情報 第1企業の概況 3 事業の内容 < People Tech事業 >(1)成功報酬型求人メディア「Green」」に記載の「①成功報酬型のビジネスモデル」及び「②ビッグデータの活用」をご参照ください)。 当社の「Green」は従来の人材紹介会社のように求職者と求人企業を仲介するアドバイザーを必要とせず、オンラインで転職のサポートが可能なサービスです。また、アドバイザーを雇用する必要が無い事から、従来の人材紹介会社と比較して安価な成功報酬単価を実現する事が可能となります。新型コロナウイルス感染症を含む感染症の拡大によって、積極的な外出が困難な状況に陥った場合や、経済活動の動向に関して不透明な状況が継続し求人企業が採用予算の削減を余儀なくされる状況に陥った場合でも、当社の「Green」はその影響を受けづらいサービスであると考えております。当社は、転職市場における「Green」の独自のポジションを活かした更なるシェアの拡大を目指してまいります。 当社グループは、これまで培ったノウハウ、経験、顧客基盤等を活用し、HR領域における新市場の創造及びビッグデータ、テクノロジーを駆使した先行優位性を持つビジネスモデルの創造を目指します。 「Wevox」は、エンゲージメントを可視化することで組織を活性化し、人材の活用と定着化を促進するサービスです。エンゲージメントとは、組織に対する自発的な貢献意欲や、主体的に仕事に取り組んでいる心理状態を評価した指標です。「Wevox」独自のサーベイを用いる事で、重要な経営指標の一つとして注目を集めているエンゲージメントを定量的かつ多角的に把握する事が可能となります。 当社は創業以来、「Green」を通じて、多くの求職者と求人企業のマッチングを実現してきました。 しかしながら、IT業界を始めとした昨今の知識産業社会においては、採用という雇用の入り口だけでなく、人材の流動性の高まりや多様な働き方の浸透に伴い「人材の活用及び定着」こそが、将来の企業経営における極めて重要な課題になるであろうと考え、「Wevox」の提供を開始しております。今後は、唯一無二の組織力向上プラットフォームとなる事を目指し、多くの組織におけるエンゲージメントの向上に貢献してまいります。 「Yenta」は、「ビジネスを加速させる出会い」を生み出すビジネスマッチングアプリケーションです。ソーシャルメディア等の台頭で、個人が積極的に情報を発信する現代においては、ビジネスパーソンが会社組織に依存しない時代が到来していると当社は考えております。「Yenta」は、人工知能(機械学習)を駆使し、多くのビジネスマッチングを実現しております。具体的には、組織の枠を超えた横の繋がりを増やすことで、オープンイノベーション、働き方の多様化、生産性の向上などを促進しております。 当社は、2020年7月に100%子会社である株式会社アルティーリを設立し「Sports Tech事業」に進出いたしました。プロバスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」を創設し、千葉県千葉市を本拠地にプロバスケットボールクラブの運営等を行っております。People Tech事業の経営ノウハウを掛け合わせる事で、スポーツビジネスにおける新たな価値の創造に挑戦してまいります。 当社は、継続的な事業拡大のためには、これまで培ったノウハウ、ナレッジを活用し、欧米、アジア等のより大きな市場で、今後の成長が期待される地域に向けたサービス提供を推進することが重要だと認識しております。それに伴い段階的ながらも社内コミュニケーションに英語を取り入れ、海外進出を意識した経営を行ってまいります。また、これらと同時に、市場調査を行っていく中で、現地法人設立や現地有力企業とのパートナーシップ構築等の検討も進めてまいります。 当社は、優秀で意欲ある人材の採用、育成、定着が極めて重要であると考えております。従来のような出世を前提としたヒエラルキーの強いピラミッド型の組織形態では無く、フラットな組織形態かつプロジェクト単位で柔軟に働ける組織運営を徹底しております。それにより、意思決定のスピードを速め、業界の変化に迅速に対応し、社員一人ひとりの経営視点や参画意識を高めるよう努めております。 当社は、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョン実現のため、当社に関わる全ての人々を幸せにするサイクルを回し続けながら、意欲ある社員が「働きがい」を感じられる組織創りを追求しています。優秀な人材を惹き付け、その人材が高いエンゲージメントと共に長期に渡り活躍する事が当社の持つ魅力であり、成長市場における長期的な競争力の源泉であるという考えのもと、組織運営を行っております。 具体的には、当社は、採用活動を会社経営の最重要事項と捉えており、個人の価値観や能力はもちろんのこと、人間性や既存メンバーとの相性なども十分に吟味した採用活動を行っております。そのため、過剰な人材採用を行うことはせず、労働生産性にこだわりを持った経営を行っております。また、当社は新卒採用を中心とした組織創りを行っております。学生時代の経験やスキルはもちろんのこと、価値観や人間性など全ての要素において一切の妥協を許しません。少しでも採用基準に満たない部分があれば、採用を見送るという厳選した採用活動を行っております。若い社員だからこそ、高い柔軟性を持ち、最新の技術をキャッチアップするスピードが速く、大きな事業環境の変化にも即座に対応できる能力を持っているため、急激な成長を遂げる可能性を秘めていると考えております。 当社グループは継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高及び生産性(社員一人当たり売上高)を重要指標としております。 「Green」はIT・Web業界に強い求人メディアです。IT・Web業界は、以下の点から成長トレンドにあると考えております。 ・日本のインターネット広告市場は、7,747億円(2010年)から3兆912億円(2022年)に拡大しております(注1)。 ・日本の一般消費者向け電子商取引(EC)の市場規模は、7兆7,880億円(2010年)から22兆7,449億円(2022年)に拡大しております(注2)。また日本のEC化率は9.13%(2022年)であり(注2)、十分な成長余地があると考えております。 IT・Web業界の求人動向については、2023年9月時点で、業種別の転職求人倍率は「IT・通信」が約7倍、職種別の転職求人倍率は「エンジニア(IT・通信)」が約10倍であり、いずれも高い水準にあります(注3)。 当社は、IT・Web業界に強い求人メディアという独自のポジションの確立、ビッグデータ解析等のテクノロジーの進化に基づく書類選考通過率の向上等により、更なるシェアの拡大を目指します。また、あらゆる業界におけるIT化の加速により、IT・Web業界と他の業界における垣根が低くなってきていると当社は考えております。今後は、IT・Web業界以外でも認知度を向上させ、求職者及び求人企業の獲得効率の向上を目指します。マーケットシェアが拡大する事で、更に認知度やブランド力が向上するという好循環が実現できると考えています。 当社は「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンの下、「テクノロジーによって人の可能性を拡げる事業を創造していく」という想いを込めて、当社を「People Tech Company」と再定義しております。当社は、「Green」、「Wevox」の成長を加速させると同時に、複数の新規事業を創造し、収益化させるため、以下の課題に取り組んでまいります。 当社は、これまで培ってきたWebマーケティングのノウハウを中心として、段階的に動画広告を利用したマスメディア向けの広告を活用することにより、「Green」への登録者を獲得してまいりました。その結果としてIT・Web業界においては相応の知名度を獲得できたと考えておりますが、今後は、IT・Web業界を超えた幅広い業界における知名度の向上、競合企業との差別化を明確にしたブランドの確立が重要であると認識しております。 そのためにも、これまで構築してきたWebマーケティングと並行し、費用対効果を慎重に考慮した上で、マスメディアを活用した広告宣伝及びプロモーション活動を継続的に検討してまいります。 当社は、主力サービスである「Green」を中心に堅調に成長している一方で、「Green」の収益力への依存度が高い状態にあります。長期的に成長し続ける組織であるためにも、今後複数の事業を収益化させ、発展・拡大させていくことが極めて重要だと考えております。 そのためにも、組織力向上プラットフォーム「Wevox」の収益拡大を図るとともに、その他構想・検討している新規事業に関しましても、未来の収益の柱へと育てるべく尽力してまいります。 当社は、創業当初から転職・採用等のHR領域に特化したノウハウや経験を有しております。それらを属人的なものではなく、競争優位性の高い独自のデータとして蓄積してまいりました。当該ビッグデータをさらに有効活用し、優位にかつスピーディに事業を展開していくことが重要であると考えております。 また、継続的・安定的にデータを蓄積しつつも、今まで以上にデータの解析精度を向上させ、データを活用した新規事業の創造へと取り組んでまいります。 当社は、知的産業社会で価値を生み出す最大のリソースは「人」であり、その集合体としての「組織」であると考えています。そのためにも、能力と意欲を兼ね備え、かつ当社の持つ価値観や目指す方向性に強く共感する人材のみを採用することを徹底しております。また、そのような優秀な人材が長期にわたってやりがいを感じて働くことができるよう、旧態依然とした出世や役職といった考え方を撤廃し、全社員に権利と責任を付与したフラットなプロジェクト制での組織運営を行っております。 この取り組みの徹底のため、全社員にプロとしての意識・自発的な行動・成果を求めております。そのため、情報共有を徹底し、ビジネスで成果を出す上で不必要な管理やルールの排除を行っております。その結果、当社は極めて高い定着率を誇り、新卒や若い社員を育成するノウハウを保持することに成功しております。 しかしながら、今後複数事業の迅速な拡大・成長を実現する上で、これまでと同様の水準を保ちながら、人材を確保していくことが当社の発展における課題であると認識しております。 そのため、ソーシャルメディアを活用したダイレクトリクルーティングや従業員からの紹介制度の強化等、多様な採用手法を用いて人材の獲得に努めるとともに、優秀な社員が定着し続けるような創意工夫をし続けてまいります。 当社の運営する事業は、膨大な個人情報を保持しております。そのため、個人情報保護に関しては重要課題と認識しており、個人情報に関する社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施やセキュリティシステムの構築を行っております。また、一般社団法人 日本品質保証機構が運営する情報セキュリティマネジメントシステムの認証を取得しており、引き続き、情報管理体制の強化、徹底を図ってまいります。 当社の継続的な事業拡大のためには、これまで培ってきたノウハウ、ナレッジを活用し、欧米、アジア等のより大きな市場で、今後の成長が期待される地域に向けたサービス提供を推進することが重要だと認識しております。それに伴い段階的ながらも社内コミュニケーションに英語を取り入れ、海外進出を意識した経営を行っております。また、これらと同時に、市場調査も継続的に行っていく中で、現地法人設立や現地有力企業とのパートナーシップ構築等の検討も進めてまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社では、サステナビリティ推進プロジェクトを中心に社会課題の審議・検討を行い、取締役会において対応方針の決定をしています。また、取締役会の指示・助言の下でサステナビリティに関する取り組みのモニタリングを行っております。 当社グループは、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョン実現のため、「働きがいのある社会」の実現に向けて、経済性と社会性の観点から優先的に取り組むべき重要な課題をマテリアリティとして特定しております。 特に、マテリアテリティの「持続可能な組織及び経営手法の確立」として、人的資本である優秀で意欲ある人材の採用、育成、定着が極めて重要であると考えております。 また、当社における人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等 ⑤組織運営」に記載のとおりです。従来のような出世を前提としたヒエラルキーの強いピラミッド型の組織形態では無く、フラットな組織形態かつプロジェクト単位で柔軟に働ける組織運営を徹底しております。それにより、意思決定のスピードを速め、業界の変化に迅速に対応し、社員一人ひとりの経営視点や参画意識を高めるよう努めております。 具体的には、役職を撤廃した自律分散型組織、360度評価制度、社員一人ひとりが株主視点を持った経営判断を行うための株式報酬制度(注)・従業員持株会制度、スーパーフレックス、子連れ出社及び制限なしのテレワーク等、働く社員のオーナーシップを尊重した取り組みを実施しております。また、月に1回程度実施している全社員参加の組織に関するディスカッション等により、社員が高い当事者意識と経営者視点を持つカルチャーの醸成に努めております。 当社は、「テクノロジーによって人の可能性を拡げる」事業を創造することをミッションとしており、創業以来、環境負荷の少ない事業ポートフォリオを実現していると認識しております。当社の策定した環境方針において、気候変動への対応の推進を掲げており、温室効果ガスの排出量の測定・開示やエネルギー効率の改善に向けて取り組んでおります。また、当社は 2022年7月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明するとともに、同提言に賛同する企業や金融機関等からなる TCFD コンソーシアムに加入し、TCFD 提言に基づく気候変動に関するより良い情報開示について検討を進めています。 詳細は、当社ウェブサイト「TCFD提言に基づく情報開示」(https://atrae.co.jp/esg/environment/#TCFD)を参照ください。 当社では、社内で定めるリスク管理規程に基づき、各プロジェクトの責任者が事業運営上のリスクの把握・評価・モニタリングを行います。特に重要なリスクは取締役会に報告され、取締役会において協議を行い、必要に応じて関係プロジェクトに具体的な対策の指示を行います。 サステナビリティ関連のリスクは、サステナビリティ推進プロジェクトが把握・評価・モニタリングを行います。特に重要なリスクは他の重要なリスクと同様にサステナビリティ推進プロジェクトから取締役会に報告され、取締役会において協議を行い、サステナビリティ推進プロジェクトを通じて関係プロジェクトに具体的な対策の指示を行います。 当社は、前述のとおり「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョン実現のため、当社に関わる全ての人々を幸せにするサイクルを回し続けながら、意欲ある社員が「働きがい」を感じられる組織創りを追求しています。優秀な人材を惹き付け、その人材が高いエンゲージメントと共に長期に渡り活躍する事が当社の持つ魅力であり、成長市場における長期的な競争力の源泉であるという考えのもと、組織運営を行っております。 当社の運営する組織力向上プラットフォーム「Wevox」のサーベイを用いて組織の状態を月に1回エンゲージメントスコアとして可視化し、より一層の社員エンゲージメント向上に努めております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予測することが困難であるため記載しておりません。 また、必ずしも主要なリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断に資すると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、事業等のリスクに対し発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。 当社は、企業の人材採用支援を主たる事業としているため、求人企業の採用ニーズに影響を受ける可能性があります。 主要顧客であるIT・Web業界は現在も成長途上の領域であり、IT人材の不足感は依然として高い状況にあるため(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2023」)、当面の採用ニーズは堅調に推移するものと想定しております。 しかしながら、想定を上回る世界規模の景気悪化が起こり、求人企業の雇用水準が低迷する事態が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社はインターネットを介してサービスを提供しております。そのため、スマートフォンやタブレット型端末等の新しいデバイスの普及により、インターネットの利用環境が引き続き整備されていくと共に、同関連市場が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。 2012年にインターネットの利用者数は初めて1億人を突破して以降、2022年のインターネットの人口普及率は84.9%となっております(出典:総務省「令和4年通信利用動向調査」)。 しかし、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社はインターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該市場は技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が極めて速く、それらに基づく新機能や新サービスの導入が相次いで行われる変化の激しい市場です。 このような急速に変化を遂げる環境の中で、当社はHR領域において前例のないビッグデータ解析や人工知能の導入、スマートフォンやタブレット型端末等の多様なデバイスへの対応など、最新技術の開発を率先して行うと共に、優秀な人材の確保に取り組んでおります。 しかしながら、技術革新のスピード、顧客ニーズの変化、デバイスの進化等は予期せぬスピードで発展していく可能性があります。今後何らかの革新的な技術が台頭し、当社の対応が遅れた場合には、当社が現状有している技術的優位性の低下を招く可能性があります。また、そのような革新的な技術に対応するために多額のシステム開発費用が追加的に発生する可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の競合企業は、既存の人材紹介会社、求人メディア等が該当します。既に競合企業が多いうえ、参入障壁も低く、新規参入企業も多い状況にあります。 当社サービスの特徴として、急拡大を遂げるIT・Web業界において採用ニーズの高いエンジニア、Webデザイナー等の登録者が多い点が挙げられます。また、当社は、長年に渡り蓄積してきた転職活動、採用活動に関する膨大なデータを活用したビッグデータ解析等のテクノロジーを駆使することで、書類選考通過率(注)の向上を実現することにより、市場における優位性の構築を推進してまいりました。 しかしながら、これらが競合企業との十分な差別化要因になるとは限らず、若くテクノロジーに長けた企業がHR領域に挑戦してきた場合や、当社と類似した海外の企業が日本へ本格的に進出し、当社の優位性を凌駕した場合、また膨大な転職・採用に関するデータを保有する大手人材紹介会社等が自社の社員を大幅に削減することによって、労働集約型のビジネスモデルから当社のようなテクノロジーを駆使したビジネスモデルに切り替えた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の主たる収益は、Greenによる収益であります。2023年9月期の連結売上高(7,757,523千円)に占める「Green」の比率は67.5%(5,236,339千円)であり、依存度は高い状況にあります。当社は、中長期的な成長を実現するため、並行して「Wevox」の収益拡大及び新規事業の創造及び収益化を進めております。 しかしながら、新規事業の創造及び収益化が当初の計画どおりに進まず、Greenへの依存度が変わらない場合、当サービスの売上高の変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、これまでGreenの書類選考通過率の向上に努めてきましたが、これは、当社が長年にわたり構築してきたビッグデータ解析等のテクノロジー、GreenのUI(User Interface)、UX(User Experience)の継続的な改善、その他求人企業から求職者、求職者から求人企業へのアクションを促す各種施策によるものと考えております。 しかしながら、これらの施策が奏功せず、もしくは景気の悪化等により求人企業の人材採用ニーズが減少することで書類選考通過率が当社の想定を下回った場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の主な事業領域であるインターネット、テクノロジーの領域は、サービスライフサイクルの短期化が著しい状況にあります。当社は、時代の変化に適応した新規サービスを次々と生み出し続けることが継続的な成長を実現するために必須であると考え、積極的に新規事業への投資を行っております。また、新規事業の領域として、海外における事業展開も検討しております。そのため、広告宣伝やシステム投資、人件費等の追加的な支出が発生し、一時的に利益率が低下する可能性があります。また、新規事業が当初の計画どおりに進捗しない場合、投資を回収できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、2020年7月に100%子会社である株式会社アルティーリを設立し「Sports Tech事業」に進出いたしました。プロバスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」を創設し、千葉県千葉市を本拠地にプロバスケットボールクラブの運営等を行っております。People Tech事業の経営ノウハウを掛け合わせる事で、スポーツビジネスにおける新たな価値の創造に挑戦してまいります。 当該事業においては、スポーツ業界の動向の変化や運営するチームの競技成績が、観客動員数及び当社グループの収益等に影響を与える可能性があり、さらに、競技成績向上のためのチームの補強等による支出が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。スポーツ業界の動向等を予測することは困難でありますが、当該リスクが顕在化した場合には、スポンサー売上、入場料収入、物販による収入等に影響が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、感染症の影響につきましては、「(6)その他のリスクについて ③感染症の発生及び流行拡大について」をご参照ください。 当社が提供するGreenの基礎となるのは、求人企業及び求職者の採用実績、書類選考の通過実績等のデータです。それらのデータが蓄積されることでGreenのレコメンド機能が強化され、求人企業及び求職者の書類選考通過率が高まります。求人企業及び求職者を獲得するためには、常に広告効果の検証及び予想を行ったうえで出稿先を選択し、継続的に広告宣伝活動を実施することが必要不可欠であると考えております。 しかし、広告の効果を正確に予測することは困難であるため、当社の想定する求人企業及び求職者を獲得できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 Greenの成功報酬は、求職者が求人企業に入社した時点で売上として計上されます。当社は求人企業から報告を受けることにより入社確認を行っておりますが、入社の事実を適切に報告せず、成功報酬の支払いを免れようとする不正行為が発生する可能性があります。当社は、求人企業と求職者のデータの突き合せ、採用フローの進捗確認の徹底、不正が発覚した場合の罰則規定の強化、不正行為を防止するシステム対応、転職祝い金制度(注)を活用した求職者による入社報告の促進策等を実施することで、不正行為の防止に努めております。 しかしながら、不正行為の方法が当社の想定を超えて悪質である場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、期末日現在、取締役7名、従業員(正社員)91名で事業を運営しておりますが、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制及び業務執行体制を構築しております。 当社グループは、今後の事業の成長に応じて、人材の採用・育成を行うと共に、内部管理体制及び業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適切なタイミングで実施できなかった場合、又は人材が社外に流出した場合は、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は新卒採用を中心とした組織創りを行っております。期末日現在、従業員(正社員)91名に占める新卒採用者の割合は約45%であり、また平均年齢は31.9歳と若い年齢の社員で構成されております。 若い社員の成長スピードの鈍化、事業運営に必要なスキルや経験を積むことが困難な状況に陥った場合は、当社役職員の経験不足が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、継続的な事業拡大や新規事業の推進のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。 しかしながら、当社グループが求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の全てのサービスはインターネットを介して提供されております。また、当社の主要な事業であるGreenの主要な売上高は成功報酬に関する売上高であります。成功報酬に関する売上高は、入社人数に成功報酬単価を乗じる事により算定されますが、当社が独自に開発した販売システムにより自動計算及び集計が行われ、その後に会計システムへの連携が行われます。当社は、安定的なサービスの運営及び内部管理体制の構築を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害等に対する万全の備えをしております。 しかし、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、新規事業立ち上げ時の想定以上のアクセス増による一時的な負荷増大、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、当社のサービスを利用する求人企業や求職者等との信頼関係に悪影響を及ぼし、また、Greenの販売システムによる処理が適切に行われないこと等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社サービスを規制する主な法規制として、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等があります。 当社はこれらの法規制を遵守したサイト運営を実施しており、今後も法令順守体制の強化や社内教育の実施等を行ってまいりますが、新たな法規制の制定や改正が行われ、当社の事業が制約を受ける場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、ユーザーの職務経歴や応募情報等の個人情報を取得し、利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。個人情報の漏洩、改ざん等を防止するために個人情報の管理をサービス運営上の重要事項として捉え、個人情報を扱う際の業務フローや権限体制を明確化し、厳格な管理を徹底しております。また、当社は、個人情報の保護の徹底を図るべく、2023年7月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を取得し、ISO/IEC27001:2013の運用規程に従って、社内での個人情報の取扱い、管理についてルール化し、役職員の教育を行い、その徹底を図っております。 しかしながら、外部からの不正なアクセスや当社関係者の故意又は過失によりユーザーの個人情報が流出する等の問題が発生した場合には、当社への損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社が運営するサービスにおいて使用する商標、ソフトウエア、システム等については、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものではないと認識しております。今後においても、侵害を回避するため知的財産権の監視、管理等を当社顧問弁護士と協力して行っていく方針でありますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに当社の事業分野で第三者により知的財産権が成立する可能性も考えられます。 そのような場合には、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定されます。そのような事態が発生する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプション(新株予約権)を発行しております。ストック・オプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末(2023年11月末)現在、新株予約権による潜在株式数は812,100株であり、発行済株式総数27,021,200株の約3.0%に相当しております。 当社は、将来の事業展開に即応できる財務体質の強化を重要課題として位置付けております。現在は成長過程にあると考えていることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保を充実させ、新規事業の早期展開、事業拡大、事業効率化のために投資を行い、企業価値向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。 当社は、内部留保の充実を図り、再投資していく方針であるため、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期については未定であります。 感染症の発生及び流行拡大については、当社グループのリスク管理施策により抑制できるものではありませんが、役職員の感染防止に努めることで事業の継続性に対する影響を可能な限り抑制しながら、感染症の拡大防止に取り組んでおります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症の発生及び流行拡大により、顧客企業が採用活動に慎重になる可能性や顧客企業内の感染症対応の繁忙等により当社のサービス導入の意思決定が遅延する可能性があります。また、感染症の拡大防止のために、Sports Tech事業の興行が通常通り開催されない場合、事業活動に制約が生じ、スポンサー売上、入場料収入、物販による収入等に影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループ内の感染拡大や当社の業務委託先等が事業活動の縮小等を余儀なくされる可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国の経済は、緩やかに回復しております。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があるなど、不透明な状況が継続しております。 このような状況の中、当社グループは、成功報酬型求人メディア「Green」、組織力向上プラットフォーム「Wevox」、ビジネス版マッチングアプリ「Yenta」、及びプロバスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」を運営してまいりました。 成功報酬型求人メディア「Green」については、我が国の経済が不透明な状況にある中でも、求人企業の多くが属するインターネット業界は、人工知能やIoTに関する様々なサービスが生まれており、ITエンジニアやWebデザイナーといった人材の需要は堅調に推移しております。当社では、求人企業と求職者のマッチング効率向上のためのコンテンツの拡充、ビッグデータ解析によるレコメンド精度の向上をはじめ、登録者数の増加施策としてWebマーケティングの強化等、転職市場における「Green」の独自の競争優位性を活かした様々な取り組みを実施しております。 組織力向上プラットフォーム「Wevox」については、組織の状態をスコアリングして可視化し、改善策を推奨することで、利用企業の組織改善を支援するサービスであり、2017年5月の正式リリース以降着実に導入企業を増やしております。当社では、今後の拡販に向けてプロダクトの更なる向上、カスタマーサクセス体制の充実を図ることが重要と考えております。 ビジネス版マッチングアプリ「Yenta」については、「ビジネスを加速させる出会い」を生み出し、ビジネスパーソンの組織の枠を超えた横の繋がりを増やすことで、オープンイノベーション、働き方の多様化、生産性の向上等を促進しております。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,757,523千円(前年同期比17.8%増)、営業利益は952,588千円(前年同期比10.2%減)、経常利益は922,591千円(前年同期比12.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は334,557千円(前年同期比48.5%減)となりました。 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。 成功報酬型求人メディア「Green」については、当連結会計年度の入社人数は4,420人(前年同期比7.7%減)となりました。組織力向上プラットフォーム「Wevox」については、幅広い業種・業界にサービスの提供を行っており、本書提出日現在の導入企業は3,040社を超えております。 以上の結果、People Tech事業の売上高は7,299,491千円(前年同期比15.2%増)、セグメント利益は973,317千円(前年同期比12.0%減)となりました。なお「Green」の売上高は5,237,239千円(前年同期比8.6%増)、「Wevox」の売上高は1,964,546千円(前年同期比39.3%増)であります。 当社グループは、千葉県千葉市を本拠地とするプロバスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」を新規に設立し「Sports Tech事業」に進出いたしました。「アルティーリ千葉」は当社の連結子会社である株式会社アルティーリが運営等を行っております。2021-22シーズンよりB3リーグに新規参入し、初年度にB2リーグへの昇格を果たし、当連結会計年度はB2リーグにて活動を行ってまいりました。 以上の結果、Sports Tech事業の売上高は1,213,931千円(前年同期比50.5%増)、セグメント損失は23,578千円(前年同期は48,364千円のセグメント損失)となりました。 当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。 当連結会計年度末における総資産は7,149,650千円となり、前連結会計年度末と比べて250,418千円減少しました。これは主に、売掛金が98,568千円、繰延税金資産が95,805千円増加したものの、現金及び預金が224,451千円、投資有価証券が207,112千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における負債は1,597,825千円となり、前連結会計年度末と比べて124,453千円増加しました。これは主に、契約負債が110,415千円、未払法人税等が20,989千円、未払消費税等が19,168千円減少したものの、未払金が272,270千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における純資産は5,551,825千円となり、前連結会計年度末と比べて374,871千円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益334,557千円を計上したものの、自己株式の取得により純資産が999,947千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、4,725,309千円となり、前連結会計年度末と比べて224,451千円の減少となりました。主な要因は、以下のとおりであります。 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、944,232千円の収入(前連結会計年度は704,683千円の収入)となりました。この主な増加要因は、税金等調整前当期純利益622,590千円、投資有価証券評価損300,000千円、株式報酬費用の計上額202,679千円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額406,502千円であります。 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、163,749千円の支出(前連結会計年度は587,878千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出108,883千円、預け金の預入による支出45,000千円によるものであります。 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,006,248千円の支出(前連結会計年度は2,030千円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,002,947千円によるものであります。 当社グループは、提供するサービスに生産に該当する事項がありませんので、生産実績及び受注実績に関する記載はしておりません。なお、セグメントごとの販売実績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは営業活動から得た資金により今後更に経営基盤を強化し、成長投資としての広告宣伝投資及び新たな事業展開に備えるための投資を行う方針です。必要な資金は自己資金で賄うことを基本とし、必要に応じて追加の資金調達を実施いたします。 なお、当社は取引銀行3行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約13億円を締結しております。当社は緊急時に備えて強固な財務基盤を構築しておりますが、さらなる経済環境の悪化に備え財務基盤の安定に向けた活動も継続してまいります。 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上高及び生産性(社員一人当たり売上高)を重要指標としております。 2023年9月期は我が国の経済活動の動向が不透明な状況にある中でも増収を達成いたしました。また、生産性(社員一人当たり売上高)につきましては、従業員数が増加し、当社の主力サービスである「Green」以外の事業に対しても積極投資を行う中、過去最高水準の生産性を実現いたしました。今後も重要な経営指標として生産性向上を追求してまいります。 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社秋川牧園
# 株式会社秋川牧園 無農薬無投薬の健康安全な自然食品の製造及び販売を目的として、山口県山口市に秋川食品株式会社(資本金3,000千円)を設立し、健康鶏卵の製造販売を開始。 健康牛乳の本格的な販売開始。 仁保有機農業研究会の設立に参加し、有機野菜の健康な食べ物づくり運動を展開。 健康若鶏の無投薬飼育技術の開発。 牛肉、豚肉の生産販売を開始。 健康牛乳の生産者である有限会社秋川牧園へ出資(出資比率54.6% 後に 有限会社あきかわ牛乳)し、同社は当社の子会社となる。 健康加工食品(加工冷凍食品)の製造販売を開始。 チキンスープの生産能力増強のためスープ工場を増設。 食肉保存用の大型冷凍庫を設置。 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会と取引開始。 西日本地区の量販店と取引開始。 健康食肉の生産能力増強のため本社工場にパックセンター(食肉包装工場)を設置。 販売の全国展開のためのブランド化を目指し、株式会社秋川牧園に商号を変更。 健康加工食品の生産能力増強のため、本社工場に冷凍食品工場を設置。 高品質の健康鶏卵生産能力増強のため、本社工場に採卵農場を設置。 消費者情報の収集と「健康安全・高品質の食べ物づくり」のブランド浸透のため、直売店「牧園倶楽部」東広島店をゆめタウン東広島店内にオープン。 有限会社秋川牧園(後に 有限会社あきかわ牛乳)への出資金の全額を譲渡し、同社は当社の子会社でなくなる。 首都圏への販売力強化のため、東京営業所を東京都港区に設置。 関東地区の量販店と取引開始。 日本証券業協会に株式を店頭登録。 直売店「牧園倶楽部」閉鎖。 有限会社あきかわ牛乳(連結子会社)の出資口数の52%を取得。 有限会社菊川農場(現 連結子会社)の出資口数の全てを取得。 株式会社スマイル生活(連結子会社)を設立。 有限会社むつみ牧場(現 連結子会社)の出資口数の10%を取得。 冷凍食品の生産能力増強と品質向上のため、冷凍食品工場を増設。 株式会社スマイル生活を吸収合併。 日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場。 株式会社チキン食品の株式を100%取得し、連結子会社とする。 株式会社ゆめファーム(現 連結子会社)を設立。 有限会社あきかわ牛乳(連結子会社)の出資口数の残り全てを取得し、100%子会社とする。 ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQに上場。 有限会社篠目三谷の株式を追加取得し、連結子会社とする。 東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場。 東京営業所閉鎖。 冷凍食品の生産能力増強のため、冷凍食品第3工場を増設。 有限会社あきかわ牛乳を吸収合併。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から、スタンダード市場に移行。 当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社(㈱秋川牧園)及び連結子会社5社(㈲篠目三谷、㈱ゆめファーム、㈲菊川農場、㈱チキン食品及び㈲むつみ牧場)で構成されております。 また、資本関係はないものの協力関係がある生産農場とともに、農薬・化学肥料・抗生物質等の薬物・化学添加物に頼らない安全な食肉、加工食品、鶏卵、牛乳、一般食品等に関連する事業活動を展開しております。 当社グループの事業内容及び関係会社の当該事業に係る主な位置付けは次のとおりであります。 なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 主要な製品は、食肉、加工食品、鶏卵及び牛乳等であります。 食肉、加工食品は、㈲菊川農場と当社の協力農場において生産された若鶏等を、㈱チキン食品等において一次処理加工を行い、当社で製品化し、販売しております。 鶏卵は、㈲篠目三谷において生産された鶏卵を、当社において製品化し、販売しております。 牛乳は、㈲むつみ牧場で生産した原乳を、当社において製品化し、販売しております。 販売先としましては、生協、量販店、小売店等であります。 生産卸売事業等において製造された製品と、外部取引先より仕入れた商品を会員様に販売しております。 以上当社グループについて、主なものを図示すると次のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループが1970年代から先駆的に取り組んだ食の安心・安全はほとんどの消費者が認める共通の価値観となりました。一方、地球温暖化などの環境問題の顕在化、原発事故と再生可能エネルギーへのシフト、減少を始めた日本の人口と待ったなしの地方創生など、今ほど真の賢さと変革の実行力が必要とされている時代はありません。 当社グループは、①私たちは持続可能で真に豊かな社会への変革に貢献します、②私たちは理想の農業を追求します、③私たちは一人一人の主体性を起点として、活力溢れる会社をつくります、の3つの企業理念(私たちの目指すもの)を掲げ、食の健康と安全を大切にする消費者にとってのNO.1ブランドを目指し、価値創造に積極的に取り組むことを経営の基本方針としております。 コロナ禍は終息局面を迎えたものの、日本では食料やエネルギーの輸入価格が高止まりする中、少子高齢化の進行によって人手不足の深刻化と国内市場の縮小とが同時に進んでおります。当社グループでは、そのような中でもブランド力と成長力のさらなる向上を目指し、今年3年目となる中期計画の4つの基本戦略に基づき、引き続き積極的に取り組んでまいります。 当社グループは創業以来、理想の農業を追求する中で、既存の農業の枠には収まらない新しいかたちに進化してきました。今後も当社グループのもつ幅広い機能に磨きをかけることでブランド力と成長力を高めてまいります。重点課題としましては、販売の伸びが続く冷凍食品について、機械化の効果が出やすいナゲットなどの「成形品」の商品開発と製造能力の増強を進め、事業の競争力を高めてまいります。 商品、販売、コミュニケーションを柱とするブランド戦略をさらに推進し、当社グループの理念に共感する「秋川牧園ファン」を増やしていくことで、ブランド力と成長力を高めてまいります。重点課題としましては、新たにPR会社と連携した取り組みを開始し、メディアを通しての情報発信を強化することで、秋川牧園ファンの増加に繋げてまいります。 安心安全な食を宅配でお届けし、新たなライフスタイルの創造を目指す当社グループには、今後の成長に向けての大きなチャンスがあるものと認識しています。人材、農場、工場、物流施設、情報システムといった事業基盤の強化と整備を進め、当社グループのさらなる成長を実現してまいります。重点課題としましては、年内に完成予定の直販新物流センターの安定的な稼働を早期に確立し、直販事業のさらなる拡大に向けての体制を整えてまいります。 地球温暖化問題や格差の拡大などを背景として、サステナビリティは世界共通の重要な価値観となってまいりました。温暖化ガスの排出削減など、当社グループのサステナビリティを高めつつ、この変化を事業の追い風にしていくことで、ブランド力のさらなる向上を実現してまいります。重点課題としましては、飼料米の栽培面積の拡大、地域の未利用資源を活かした商品開発、再生エネルギーへのシフトなど、サステナビリティ向上に向けた取り組みを推進してまいります。 当社グループでは、売上高経常利益率4%以上を達成することを、数値目標として設定しております。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は企業理念である「①持続可能で真に豊かな社会への変革に貢献します ②理想の農業を追求します ③一人一人の主体性を起点として活力あふれる会社をつくります」の3つの価値観のもと、創業以来、農薬など化学物質に依存しない食づくりや、地域循環型で自然と共生する農業のモデルづくりなど、サステナブルな社会への変革に貢献すべく、積極的に取り組んでまいりました。今後も世界の価値観がサステナビリティ重視にシフトする変化を事業の追い風にすべく、様々な課題に積極的に取り組んでまいります。 現在は代表取締役社長をトップとし、経営管理部・マーケティング室を中心にサステナビリティの向上に向けて様々な取り組みを検討・実施しております。 今後につきましては、温室効果ガスの削減と地域循環システムの構築による飼料原料の自給率の向上の2点を重点課題に位置付け、その取り組みを強化していきたいと考えております。 当社は、多様な人材の個性と主体性を尊重し、その特徴を活かし、一人ひとりが活き活きと働くことのできる会社をつくっていくことが、価値創造及び企業成長の原動力であると考えております。 現在は代表取締役社長をトップとし、経営管理部・マーケティング室を中心にサステナビリティに関する様々な情報収集や自社のデータの分析を実施するなどして、サステナビリティに関するリスクの把握と対策の検討を行っております。 当社では、女性、外国人、中途採用者に限らず、多様な個性、特徴、経験をもつ人材が既に活躍しております。今後につきましては、さらに重要性が増していく人材育成や人材確保に向けて、人的資本への投資をさらに強化してまいります。 当社の経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主な事項を下記に記載いたしました。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ① 飼料原料価格の変動 飼料原料価格は、作況や船運賃、為替変動や世界的な需要動向、さらには投機的な資金の動きにより大きく変動します。この変動に対し、国からの拠出金と飼料業界・生産者の積み立てにより運営される飼料安定基金制度があり、価格の高騰時には、この基金からの補填により生産段階の負担増が大きく軽減される仕組みとなっています。しかしながら、飼料価格の高騰が長期化する場合には、飼料コストの上昇は避けられず、製品価格への転嫁が必要となります。 近年、高病原性鳥インフルエンザが世界各地で継続的に発生しており、世界的な問題となっております。当社グループでは、鳥インフルエンザ対策には万全を期しておりますが、当社グループの農場で発症した場合には、生産及び販売の減少等の影響を受ける可能性があります。また、当社グループの農場での発症はなくても、近隣の別の農場で発症した場合には、行政による生産物の移動制限措置、さらには風評被害により、生産及び売上の減少等の影響を受ける可能性があります。しかしながら、この行政による移動制限の範囲や期間は、経済的影響を配慮して小規模なものになってきていますし、風評被害につきましても、消費者の冷静な行動が定着しつつありますので、総合的にはリスクは縮小傾向にあるものと考えております。 当社グループの生活協同組合に対する売上構成比は高い状況にあります。これは、食の安心・安全の面で当社グループの方針と生活協同組合の安全な食品を消費者に届ける目的が共通することによるものです。また、当社グループは、安全な食べ物を、高い信頼性の中で総合的に生産する能力を有しており、一方、生活協同組合は、多くの消費者を組織化し、学習会等の開催で、安全な食べ物の必要性について啓蒙活動を行いながら、食品を供給する事業を行っており、良い形で双方の機能分担と互恵的な関係が長期的に保持されています。しかしながら、生活協同組合の中でも主取引先であるグリーンコープ生活協同組合連合会及び生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の売上構成比は高く、その業績の影響を受ける可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動が正常化に向かう一方で、ウクライナ情勢の長期化や為替相場の急激な変動による物価の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続きました。食品業界につきましては、原材料、包材、エネルギーなど様々なコストが上昇する中で消費者の節約志向へのシフトが進んでおり、厳しい事業環境となっております。 当社グループにつきましては、冷凍加工食品を中心に販売が好調に推移したことに加え、製品の値上げ効果もあり、売上高は増加しました。利益面につきましては、売上増や値上げによる増益要因がありましたが、飼料やエネルギー等の値上がりによるコストアップや、ブランド及び成長力の強化に向けての積極的な支出により、営業利益段階では減益となりました。経常利益につきましては、飼料価格の高騰時に備えた、国、飼料メーカー、生産者の積立金を財源とする飼料価格安定基金からの補填金収入(1億65百万円)及び飼料高騰に伴う地方自治体からの補助金収入(47百万円)を営業外収益で計上したことにより増益となりました。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、70億70百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は19百万円(前年同期比82.9%減)、経常利益は2億42百万円(前年同期比2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億56百万円(前年同期比2.2%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 生産卸売事業につきましては、主な販売先である生活協同組合において、冷凍加工食品を中心に販売が好調に推移したことに加え、製品の値上げ効果もあり、売上高は増加しました。利益面につきましては、製品の値上げによる増益要因がありましたが、飼料等の原材料及びエネルギー価格の高騰の影響により減益となりました。 この結果、生産卸売事業の売上高は、53億75百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益は3億18百万円(前年同期比25.3%減)となりました。 当社の食を中心とした安心・安全な食品を全国の個人の消費者に直接お届けする直販事業につきましては、会員数が引き続き伸長したことに加え、値上げ効果もあり、売上高は増加しました。利益面につきましては、売上高の増加や値上げの効果に加えて、ピッキング等の業務の効率改善により増益となりました。 この結果、直販事業の売上高は、16億95百万円(前年同期比3.2%増)、営業利益は1億8百万円(前年同期比108.3%増)となりました。 財政状態については次のとおりであります。 当連結会計年度末の総資産は、前年同期に比べ4億79百万円増加して60億73百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加(2億74百万円)、仕掛品の増加(1億24百万円)及び売掛金の増加(1億13百万円)等によるものです。 負債につきましては、前年同期に比べ3億77百万円増加して39億35百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加(1億12百万円)、長期借入金の増加(1億9百万円)、及び買掛金の増加(93百万円)等によるものです。 純資産につきましては、前年同期に比べ1億2百万円増加して21億38百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加(1億14百万円)によるものです。 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が2億36百万円(前連結会計年度は2億25百万円の純利益)となり、減価償却費(3億92百万円)、長期借入れによる収入(4億円)、短期借入金の純増額(2億円)等から、有形固定資産の取得による支出(6億83百万円)、長期借入金の返済による支出(3億77百万円)、棚卸資産増加額(1億21百万円)等を控除した結果、前連結会計年度末に比べ、86百万円減少し、7億79百万円となりました。 営業活動の結果獲得した資金は4億49百万円(前連結会計年度は3億64百万円の獲得)となりました。 これは主として、税金等調整前当期純利益(2億36百万円)、減価償却費(3億92百万円)等から、棚卸資産の増加額(1億21百万円)、売上債権の増加額(1億13百万円)等を控除した結果によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は7億8百万円(前連結会計年度は4億97百万円の使用)となりました。 これは主として、有形固定資産の売却による収入(8百万円)等から、有形固定資産の取得による支出(6億83百万円)及び、貸付けによる支出(24百万円)等を控除した結果によるものであります。 財務活動の結果獲得した資金は1億72百万円(前連結会計年度は72百万円の獲得)となりました。 これは主として、長期借入れによる収入(4億円)、短期借入金の純増額(2億円)等から、長期借入金の返済による支出(3億77百万円)等を控除した結果によるものであります。 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ4億31百万円増加し、70億70百万円(前年同期比6.5%増)となりました。生産卸売事業につきましては冷凍加工食品を中心に販売が好調に推移したことに加えて、製品の値上げ効果もあり増加しました。直販事業につきましては会員数が引き続き伸長したことに加えて、値上げ効果もあり増加しました。 当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ55百万円減少し、16億53百万円(前年同期比3.2%減)となりました。売上総利益率は、飼料価格の値上がりや、エネルギー価格の高騰の影響により前連結会計年度に比べ2.3ポイント減少し、23.4%となりました。 当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ95百万円減少し、19百万円(前年同期比82.9%減)となりました。営業利益率は、上記の売上総利益率の減少や、ブランド及び成長力の強化に向けての積極的な支出や、運賃の増加等により前連結会計年度に比べ1.4ポイント減少し、0.3%となりました。 当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ4百万円増加し、2億42百万円(前年同期比2.0%増)となりました。飼料価格高騰に伴う飼料価格安定基金からの補填金収入及び地方自治体からの補助金収入で営業外収益は増加しましたが、上記の営業利益率の減少により、経常利益率は前連結会計年度に比べ0.2ポイント減少し、3.4%となりました。 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3百万円減少し、1億56百万円(前年同期比2.2%減)となりました。法人税等の増加の影響により利益率は減少いたしました。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度末の流動資産の残高は、26億31百万円(前連結会計年度末は24億35百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1億95百万円増加いたしました。これは主に仕掛品の増加(1億24百万円)、現金及び預金の減少(86百万円)及び原材料及び貯蔵品の増加(34百万円)によるものであります。 当連結会計年度末における固定資産の残高は、34億41百万円(前連結会計年度末は31億57百万円)となり、前連結会計年度末と比べ2億84百万円増加いたしました。主な要因は、有形固定資産の増加(2億74百万円)によるものであります。 当連結会計年度末における流動負債の残高は、24億11百万円(前連結会計年度末は21億38百万円)となり、前連結会計年度末と比べ2億73百万円増加いたしました。主な要因は、短期借入金の増加(1億12百万円)、未払法人税等の増加(39百万円)によるものであります。 当連結会計年度末における固定負債の残高は、15億23百万円(前連結会計年度末は14億19百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1億4百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金の増加(1億9百万円)によるものであります。 当連結会計年度末における純資産の残高は、21億38百万円(前連結会計年度末は20億35百万円)となり、前連結会計年度末と比べ1億2百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加(1億14百万円)によるものであります。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。 当社グループでは、目標とする経営指標を、売上高経常利益率4%以上を達成することを、数値目標として設定しておりますが、当連結会計年度につきましては3.4%となっております。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関等からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関等からの長期借入を基本としております。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は24億88百万円となっております。 また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7億79百万円となっております。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当社グループが締結している主な技術提携契約は次のとおりであります。 当社グループは、1972年に健康・安全な食づくりをスタートして以来、若鶏の無投薬飼育、全植物性飼料の開発、有機塩素系化学物質の畜産物への残留の改善、ポストハーベスト無農薬コーンの開発輸入、飼料原料の非遺伝子組み換え化、野菜の無農薬栽培技術の開発など、一般には非常に困難とされていた食の安全性上の課題を技術開発を進めることによってクリアし、消費者から大きな評価をいただいてきました。 当社グループでは、今まで培った食の安心・安全に対するノウハウを強みとしつつ、さらに消費者の健康に向けて、よりトータルに提案できる会社を目指し、研究開発を推進していきたいと考えております。 また、世界的に食糧不足のリスクが高まる中、飼料原料の多くを輸入に依存する日本の畜産業界にあって、飼料の自給率を高めるための研究開発を進めることは、長期的な安定生産のためにも重要なテーマであると認識しております。 当連結会計年度の主要な研究テーマと活動状況は次のとおりで、研究開発費の総額は27,918千円であります。 若鶏、採卵鶏、乳牛等の家畜の飼育における生産性と品質の向上を目指し、研究開発を進めています。その中でも主力の若鶏につきましては、鶏の腸内細菌叢の改善に向けての技術開発や、大腸菌症の種類や感染経路の特定、より効果的な防疫対策についての研究をしております。 飼料の原材料の国産自給率向上を目指して、飼料米の専用品種を採用しての多収穫試験栽培や、飼料米を実際に飼料に配合しての家畜の飼育実験などの研究開発を進めております。 また、自家生産する乳牛用の粗飼料についても、多収穫と牧草の品質の両立に向けての研究開発を進めています。 自らが生産を行うことの強みを活かして、動物性の飼料原料を使用しない「全植たまご」のように、飼料の中身や飼育・栽培方法から差別化できる商品の開発を行っております。 また、当社グループが生産する素材(鶏肉、鶏卵、牛乳など)を活かした加工品の開発を積極的に進めていき、ブランド力を向上させていきたいと考えています。 該当事項はありません。
株式会社金太郎温泉
# 株式会社金太郎温泉 当社は温泉旅館業の単一セグメントであり、その事業の内容は次のとおりであります。 最近2期間の売上高構成比率は次のとおりであります。 該当事項はありません。 当事業年度におきましては該当者はおりませんでした。 当社は温泉旅館業の単一セグメントでありセグメント別の記載は行っておりません。 当社は従前より、良質な温泉の魅力を前面に出しながら、料理、おもてなし等付加価値を高めることにより、顧客満足度を向上させることに取組んできました。 営業面では、当社の強みである、老人会、年金友の会等の高齢者を中心とした組織団体に強い県内外のリアルエージェントへの強力な営業を展開、重点地域として関東、中京、関西方面の営業も強化してまいりました。また、ネットエージェントとの連携及び、自社ウエブサイトの見直し等ネット販売を強化し、さらには、台湾、韓国を中心に訪日外国人旅行者(インバウンド)の受け入れも積極的に行ってきました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により事業環境が激変し、当温泉旅館業界におきましては、団体旅行の消失などにより営業活動の縮小を余儀なくされてきました。 こうした厳しい経営環境を経て、ようやく今年5月に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられ、社会経済活動の正常化が進展し、訪日外国人客も徐々に増加してきていることなどから当業界の業績は回復基調を辿ると想定できますが、一方では原材料や燃料価格の高止まりや、金融引き締めによる世界的な景気減速懸念、地政学リスクなど事業環境の不確実性は依然として残っています。 当業界におきましては宿泊需要の増加が見込まれる一方で、同業他社との競争が激しくなることが予想されます。 こうした環境下、当社といたしましては、お客様の多様化する価値観や、環境負担減、高齢化対応といった時代の要請に応えるべく、絶えず商品力やサービスの品質を高める努力と、更には必要な施設への改装を施すことによる高付加価値化を進め、収益力を向上させてまいる所存です。 団体旅行の消失により、個人中心の集客への流れが加速する中、宿泊予約の手続きはインターネット利用者が増加しております。こうした中、ネットエージェントとの連携強化を進めるとともに、自社ウエブサイトの見直しを進めるなど、インターネット販売を強化してまいります。 当面は、原材料や燃料価格は高止まりの状況が予測されます。こうした状況のもと、採算コストを維持するため、人員の適正配置及びマルチタスク化を推進し、従業員個々の能力の向上とともに生産性の向上に取組んでまいります。また、食材等仕入管理の徹底、その他経費の削減に取組んでまいります。 お客様の満足が得られるように全従業員の応対能力向上、レベルアップすることが重要であります。またクレームの対応と減少については社内会議と研修の充実を進めてまいります。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 当社は、社名の由来でもある「金太郎さんのように元気になれる温泉」という願いを引き継ぎながら「健康」をキーワードにお客様に喜ばれ必要な会社として持続的な成長を促進し、合わせて地域社会に貢献することを基本方針としております。 当社は、株主、お客様等に対し、経営の効率性の向上、健全性の維持、透明性の確保に努めており、今後もコンプライアンスの徹底並びに経営監査、監督機能の強化を図るとともに、健全な経営体制の確立に努める所存であります。 サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視又は管理するためのガバナンスについては、意思決定機関であると同時に業務執行状況を監督する機関である取締役会において、経営に関する重要事項についての報告、決議を行っており、社会貢献、持続可能な社会の実現に取組んでおります。 また、経営の意思決定機関である取締役会において、社外取締役10名及び社外監査役1名が出席しており、外部からの監視及び監督機能は充足していると考えております。 当社は温泉旅館及び日帰り温泉施設の運営を主としており、良質な温泉を提供し、お客様の「健康」をサポートすることにより、社会貢献するとともに、雇用の創造、地域社会の発展に寄与してまいります。 人材の確保については、女性、中途採用者を積極的に受け入れしているほか、外国人、シニア層を積極的に活用してまいります。 人材の育成及び社内環境整備といたしましては、当社における安定したサービスの提供、サービスの質の向上、更には収益力向上のためには、社員教育の強化は必要不可欠であり、今後も積極的に社員教育に注力してまいります。 人材の育成については、実際の職務現場において、上司や先輩従業員などの指導担当者が、部下である従業員に対し、職務を遂行していく上で必要な知識やスキルを随時与えることによるOJT教育を推進しております。 当社は、当社の経営に関する様々なリスクを検討並びに審議するため、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価、分析をし、必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えております。 事業等のリスクに関する詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当社では、サステナビリティに関する取り組みにおいて、現状では目標設定はしておりませんが、持続的、かつ、中長期的な企業価値の向上に向け、人的資本に関する指標及び目標設定を含めて社内環境整備を推進してまいります。 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社の営業は、現在日本国内の団体・個人・グループ及び家族の旅行利用が中心であります。そしてそれらの旅行者の増減は国内の景気及び災害等に大きな影響を受け、個人消費の低迷、または、災害の発生等により当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 大手法人企業から、零細企業まで、旅行代理店は多様であり、全国津々浦々からの、電話による予約申込、不定形・支払期日のないクーポン券の発行等の取引慣習の中で旅行者を受け入れており、このような旅行代理店業者が債務不履行をおこした場合当社の経営・財務に多大の影響を及ぼす危険性を内包しております。 施設についての満足感を要求される業界であり、相応の固定資産を所有しております。したがって地震、大雨、火災等の災害の影響を受ける可能性があります。設備・環境の斬新さを常に求められ多額な設備更新を継続的に実施せざるを得ない当業界では、施設の陳腐化が懸念されます。 当社のような温泉旅館は、継続的な自己資金による設備更新は難しく、他人資本への依存度が他業界より高く、この様な借入依存の財務状況は経済情勢及び、金融情勢の変化による金利変動により大きく影響を受ける要素を含んでおります。 食事の提供に関しましては、安全かつ安価な新鮮素材の仕入・調理が求められ、新たな病原菌や管理の瑕疵により食中毒が発生した場合、当社の業績に重要な影響を受ける可能性があります。 機械化が難しいサービス業であり、かつ土曜日・日曜日・祝日等が繁忙期である当業界における人材の確保は多難であり、人員を確保するため、新卒者の採用に加え中途採用者等の増加をはかる必要性があり、人件費負担の増加による収益性低下の可能性を内包しております。 内外の経営環境の予見出来ない状況変化が生じた際には、減損損失の計上が必要となり、経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度におけるわが国経済は、ウクライナ危機による不安定な国際情勢を背景とした原材料や燃料価格の高騰などが景気の下押し要因となったものの、期後半には新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことなどから個人消費が緩やかに回復し、企業収益も改善するなど、景気は持ち直しの動きを見せてまいりました。 宿泊・観光業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う国内移動の規制や外出の自粛、訪日外国人客の入国規制により旅行消費は大幅に減少、また地域や老人会、企業等の日帰り宴会につきましてもほぼ消失し、厳しい経営状況が続いておりましたが、行動制限の緩和が進み、感染症対策と社会経済活動の両立が徐々に進む中、全国旅行支援等の観光振興事業の後押しもあり、業績は回復基調に向かい、ようやく明るい兆しが見えてきております。 このような経営環境下、当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ83百万円減少し、2,374百万円となりました。 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ196百万円減少し、1,485百万円となりました。 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ112百万円増加し、889百万円となりました。 利用人数は宿泊では59,887名、前事業年度に比べ12,850名増加(27.3%増加)となり、日帰り宴会客数では2,341名、前事業年度に比べ1,035名増加(79.2%増加)となりました。日帰り温泉施設「カルナの館」の利用人数は257,043名、前事業年度に比べ14,236名増加(5.8%増加)となりました。 売上高は旅館部につきましては、1,044百万円(前事業年度に比べ38.3%増加)となりました。「カルナの館」につきましては186百万円(前事業年度に比べ18.2%増加)となりました。以上のような状況により売上高総額は1,231百万円(前事業年度に比べ34.8%増加)となりました。 売上原価につきましては、前事業年度に比べ101百万円増加の289百万円(前事業年度に比べ54.1%増加)となり、販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度に比べ116百万円増加の888百万円(前事業年度に比べ15.0%増加)となりました。 結果、営業損益は53百万円の利益を計上(前事業年度は営業損失47百万円を計上)、経常損益は46百万円の利益を計上(前事業年度は経常損失46百万円を計上)、税引前当期純損益は112百万円の利益を計上(前事業年度は税引前当期純損失48百万円を計上)、当期純損益は111百万円の利益を計上(前事業年度は当期純損失49百万円を計上)いたしました。 キャッシュ・フローの状況でありますが、「営業活動による資金」が304百万円増加、「投資活動による資金」が206百万円減少、及び「財務活動による資金」が121百万円減少した結果、「現金及び現金同等物」の残高は、前期末(513百万円)に比較し23百万円減少し、489百万円となりました。 当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 営業活動による資金は304百万円の増加(前期は77百万円の増加)となりました。これは主に税引前当期純利益112百万円、減価償却費132百万円、未払消費税等の増加26百万円、売上債権の減少24百万円等によるものです。 投資活動による資金は206百万円の減少(前期は61百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出206百万円等によるものです。 財務活動による資金は121百万円の減少(前期は135百万円の増加)となりました。これは長期借入金の返済による支出121百万円によるものです。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ83百万円減少の2,374百万円(前事業年度末は2,457百万円)となりました。 流動資産は588百万円(前事業年度末632百万円に比べ43百万円減少)となりました。現金及び預金が前事業年度末に比べ23百万円減少しておりますが、これは主に運転資金及び設備資金としての支出によるものです。また、売掛金が前事業年度末に比べ24百万円減少しておりますが、富山県観光キャンペーン事務局への売掛金の大幅な減少等によるものです。 固定資産は1,785百万円(前事業年度末1,825百万円に比べ40百万円減少)となりました。これは主に当事業年度における設備投資総額89百万円に対し、減価償却費130百万円により、有形固定資産が40百万円減少したことによるものです。 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ196百万円減少の1,485百万円(前事業年度末は1,681百万円)となりました。 流動負債は437百万円(前事業年度末510百万円に比べ72百万円減少)となりました。これは主に前事業年度の大規模な改修工事関係の未払金の支払等により未払金が前事業年度末に比べ111百万円減少したこと、未払消費税等が前事業年度末に比べ26百万円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が前事業年度末に比べ12百万円増加したこと等によるものです。 固定負債は1,047百万円(前事業年度末1,171百万円に比べ123百万円減少)となりました。これは主に約定返済により長期借入金が前事業年度末に比べ134百万円減少したことによるものです。 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ112百万円増加の889百万円(前事業年度末は776百万円)となりました。 当事業年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b経営成績」に記載のとおりであります。 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5経理の状況 1財務諸表等 ⑴財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 特記事項はありません。 該当事項はありません。
アサガミ株式会社
# アサガミ株式会社 となっております。 2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。 東京都中央区小田原町に、資本金600万円をもって京浜港における港湾運送業を目的として双栄運輸株式会社設立。 商号を東京航運株式会社と改称。 川崎製鉄株式会社(現JFEスチール株式会社)千葉製鉄所新設に伴い営業所開設(現千葉支店)、同社の原材料、製品の回漕、船内荷役、海上運送等の特命業者となる。 資本金を増資し1,200万円とする。 浅上倉庫株式会社を吸収合併。商号を浅上航運倉庫株式会社と改称し、資本金2,200万円とする。 本社を東京都江東区深川塩崎町に移転する。 資本金を増資し6,600万円とする。 旭硝子株式会社(現AGC株式会社)千葉工場新設に伴い営業所開設(現市原支店)、同社の製品の陸上輸送の特命業者となる。資本金を増資し1億3,200万円とする。 資本金を増資し2億6,400万円とする。 東京証券取引所市場第二部に株式を上場。 資本金を増資し3億9,600万円とする。 有限会社児玉組を吸収合併し、資本金4億600万円とする。 資本金を6億900万円とする。 本社を東京都中央区日本橋本町に移転する。 東京都江東区塩浜に7階建倉庫(41,000㎡)深川物流センターを新設する。 東京都江東区塩浜に深川プレスセンターを新設する。 商号をアサガミ株式会社と改称。 資本金を増資し21億8,900万円とする。 東京お台場公団埠頭に6階建倉庫(33,000㎡)お台場国際物流センターを新設する。 東京お台場公団埠頭に5階建倉庫お台場国際物流センターB号を新設する。 株式会社エアロ航空(現連結子会社)の株式を取得。 東京都江東区塩浜に深川プレスセンターB号を新設する。 広島県坂町亀石地区に広島物流センターを新設する。 オーテック株式会社を吸収合併する。その結果港運輸工業株式会社(現連結子会社)およびホワイト・トランスポート株式会社(現連結子会社)が子会社となる。 本社を東京都千代田区大手町に移転する。 広島県坂町亀石地区に大型商業施設(23,000㎡)広島ベイサイドフォートを新設する。 アサガミプレスセンター株式会社(現連結子会社)の株式を取得。 広島県坂町横浜地区に広島物流センターB号を新設する。 東京都江東区塩浜に深川プレスセンターC号を新設する。 愛知県豊明市に豊明デリバリーセンターを新設する。 アサガミプレスいばらき株式会社の工場を新設する。 岡山県倉敷市に岡山物流センターを新設する。株式会社マイプリント(現マイプリント株式会社)(現連結子会社)の株式を取得。 本社を東京都千代田区丸の内に移転する。 東京証券取引所の市場区分見直しにより市場第二部からスタンダード市場へ移行。 当社グループは、当社、親会社、連結子会社9社、非連結子会社4社および関連会社2社で構成されており、物流事業、不動産事業、印刷事業およびその他の4部門に関する事業を行っております。当社グループの「セグメント」の事業内容と、主な関係会社との関連は次のとおりであります。 また、次の4部門は「第5 経理の状況1(1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 当部門は主に、寄託を受けた貨物を倉庫に保管する業務、入出庫・荷捌きおよびこれに付帯する業務を行っております。 当部門は主に、海上・航空運送の輸送手続き、港湾・空港における貨物の積込み・積み下ろし・荷捌きおよびこれに付帯する業務を行っております。 当部門は主に、貨物自動車による貨物の運送、利用運送および運送の取次等の業務を行っております。 当部門は主に、庫内業務、保管、輸送に至る物流作業を一括して請負う業務を行っております。 当事業は主に、顧客の要望に合わせた大型物流施設・商業施設等を賃貸・管理する業務を行っております。 当事業は主に、婚礼・年賀印刷等の一般印刷、新聞等の受託印刷、発送およびこれらに付帯する業務を行っております。 当事業は主に、自動倉庫工事等の建築工事およびグループ内の業務請負事業等を行っております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。 労使間の関係については、各組合とも穏健円満なる交渉経過を辿っております。 当社グループは「顧客に対する最高のサービス」、「適正利潤の追求」、「眞に働きがいのある会社」を経営理念とし、物流、印刷、不動産、その他の各事業を展開しております。 この経営理念を実現するため、次の経営方針を掲げ、株主、取引先、社員、当社グループに関わる人たちの幸せを実現したいと考えております。 物流業界では長年ドライバー不足が続いているため、採用活動に継続して力を入れるとともに、日々の安全教育を通して従業員の意識向上を図り、質の高いサービスを提供することで競争力向上に努め、事業の継続、拡大を行ってまいります。また、印刷業界では印刷物の発行数が減少傾向にある状況ですが、コスト削減や業務効率化を進めてまいります。 当社は事業基盤および財務体質の強化により、安定的かつ継続的な配当を行うことを株主還元の基本方針としております。従業員や取引先等の関係者の幸せ実現および株主還元のため、安定的な企業活動を継続することが重要と考えており、持続的な経常利益の確保が経営上の目標と考えております。目標を達成するため、質の高いサービスの提供により顧客満足度を高め競争力の向上に努めるとともに、無駄な業務を改善し、効率化を図ることで、利益を確保してまいります。 今後のわが国経済の見通しといたしましては、海外情勢や金融政策、物価上昇の拡大次第では、わが国経済に厳しい影響がもたらされる恐れがあり、注視する必要があります。 そのような環境の中、当連結会計年度において当社グループは、次の重点課題に取組みました。今後も顧客から常に「選ばれる企業」として持続的な成長を目指してまいります。 日々顧客からの要望に応えるとともに、最高のサービスを提供するため努めております。 また、高い安全性は当社の物流サービスの品質であり、「安全はすべてに優先する」ことを常に認識し事故撲滅に努めております。 既存顧客における事業拡大や課題に取組むとともに、サービス範囲拡大・充実に努めてまいりました。今後も顧客とのコミュニケーションを密に取り、事業拡大等のビジネスチャンスを逃さないように努めてまいります。 書類や業務工数の削減、手順の簡素化等の業務効率化に顧客の協力も頂きながら取組んでおります。今後の労働力の減少や技術革新、財務基盤の強化に対応していくため、常に新しい視点で改善に取組んでまいります。 人材教育として、資格取得支援を行っており、若手社員のOJT教育、全社員を対象とした定期的な面談等を実施しております。人材採用に関しては、新型コロナウイルス感染症拡大防止および近年の採用活動動向の観点からWeb面接を実施する等、継続して多くの就職希望者と面談する機会を作れるよう工夫を行っております。 新型コロナウイルス感染症拡大による事業停止や従業員の健康悪化を防止するため、マスク着用、飛沫防止用アクリル板・消毒液の設置、テレワーク実施に伴う出社制限、流動的な出社時間の設定等のさまざまな感染症対策を行ってきましたが、世の中の経済回復のための潮流に合わせ、状況を考慮しながら取組んでまいります。 当社グループは、お客様の要望するところを先取りし、常に自らの技術と知識を最高にして最適のサービスとして提供出来るよう情熱と誠意をもって仕事に取り組みます。それによりお客様および当社グループ共々の適正にして最大限の利益を追求いたします。それは同時に当社グループがお客様および社会に対し限りない貢献を果し続けることの喜びと誇りを享受し、グループおよび役職員の物心両面での充実を追求し続けることであります。以上を基に当社の経営理念は以下のとおりであります。 当社グループは、常にモノや情報を高い品質のサービスとして提供すべく、安全・確実・効率的にかつ最大限環境保全に対応しつつ事業を遂行し、あらゆる製造業、小売業のバリューチェーン(価値連鎖)の完成に貢献することを使命といたします。当該内容を踏まえサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。 当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、経営活動の中で環境、社会、ガバナンスに関する課題に積極的に取組んでおります。具体的には、会社として従業員の行動指針を定め冊子化し、全従業員に配布し、内容を教育し遵守するよう徹底しております。行動指針は、安全や健康、法令遵守、環境への配慮、情報管理等、守るべき・心がけるべきことを定めたものです。経営を持続していくため、特に安全管理、職場環境について重視しております。また、コンプライアンス委員会や内部統制委員会、安全衛生協議会等、複数の会議体でサステナビリティにつながる内容についても議論しており、当社はサステナビリティを経営の重要な要素の一つと考え、取組みを続けてまいります。 当社グループの経営理念につながる行動指針に関するサステナビリティの取組みとして、経営者が行う現場パトロールや拠点の所属長・担当者・協力会社と行う現場パトロール、作業員や乗務員に対する現場教育・訓練等、拠点が交流している地域との協調のための横断歩道での児童誘導、省電力によるCO2排出量削減につながる建物内照明のLED化、同様にCO2排出量削減につながる車両の大型化、社会の健康や平和につながるスポーツ振興等を行っております。人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針として、新入社員に対する座学・現場研修、フォローアップ研修、先輩社員が新入社員に仕事やプライベートの両面で指導・相談を行うOJT教育、管理職または係長・主任クラス等の階層別教育、目標の設定や悩み等を相談する上司と部下の個人面談等を通して、人材育成や環境整備にも取組んでおります。また、わが国全体で起きている少子化に関する対策の一助になるとともに従業員の活力となり、働く動機になればという想いから、従業員の子どもの就学等のライフイベントに対する助成を行っております。人材を大切にする会社として、従業員の家族も大切にし、全従業員が意見を伝えられる風通しの良い職場環境を持続するための取組みを行ってまいります。 当社グループは、物流を主業務としていることから、その社会的責任を果たすためには、安全管理が非常に重要な要素だと考えております。顧客や従業員、第三者に重大な影響を与えてしまう事故やトラブルを防止するため、各拠点および全社的な安全衛生協議会を通じて情報の共有、対応の検討を行い、リスク管理を行っております。 また、各会議体および社内外への通報窓口、従業員が経営者に考えや意見を伝えられる自己申告書制度を通じ、外部環境だけでなく、職場環境や人材に関するリスクについても対応しております。 当社グループは、節電やCO2排出削減、事故防止等、サステナビリティに対する様々な取組みを行っております。また、指標として掲げることが困難な地域活性化やスポーツ振興等にも取組んでおります。その中でも安全管理については、無事故無災害を目標に日々創意工夫をしながら活動を行っております。また、当社運転手に対しては、外部機構の運転適性診断を入社時および高齢者とは別に定期的に受診し、対象者の受診率100%を目標に継続的に活動をしております。 人的資本に関する目標および指標については、人材が大切という観点から、従業員それぞれの業務の質向上を図ることができる資格の取得支援を行っております。 当該指標について、当社では関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、提出会社のものを記載しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループの事業活動は、物流事業における国内外の景気動向、原油価格の動向、および顧客の物流政策の方針、不動産事業における市場動向等、印刷事業における市場動向等の環境が変化した場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 事業環境の変化のリスクに対応すべく、顧客からの情報収集やコミュニケーションを確実に実施し、即時に経営層の判断のもと対応できる体制と仕組みを構築しており、新たなビジネスチャンスへの取組みや業務効率化、コスト圧縮を推進し、事業継続のため、対応してまいります。 当社グループは、事業を営んでいる各地域において、地震、台風等の大規模な自然災害が発生し、大型設備等の破損により事業運営の麻痺等が生じた場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 災害等の発生時には、出勤体制を臨機に設定し、従業員家族の安全を守ると同時に、当社事業を継続し顧客への影響を最小限に留めるよう対応いたします。 新型コロナウイルス等の感染症拡大により、消費活動が停滞し、顧客または婚礼印刷事業等の当社グループの事業運営が停滞した場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、感染症の拡大は、従業員の働き方にも影響を与える可能性があります。出社が困難になった従業員や感染防止のために、テレワークや時差出勤等を利用し、対応しております。 業務効率化やコスト圧縮等を推進し、事業継続のため、対応してまいります。 当社グループは、物流事業において多数の車輌(トラック、トレーラ等)を保有しております。事故防止活動の一環として、安全管理、運行管理の徹底を図るための研修や、全車輌に発進、走行速度、制動の状況を記録するデジタルタコグラフを装着し、データを安全運転指導に役立てる等の取組みを実施しております。しかし、重大な交通事故等が発生し、顧客の信頼および社会的信用が低下した場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 事故に対する安全対策は社内および顧客と共有し、類似の重大事故を発生させないよう、現場と本社管理部門が連携し、対応してまいります。 当社グループは、経営を行う上でさまざまな法的規制を受けております。当社グループはコンプライアンス経営を重視しており、これら法律等の制定および改正が行われた場合、その対応により業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 法律等が改正された場合には、各専門家等から情報収集し、コンプライアンスのための社内ルールの改定等を行うことで対応してまいります。 当社グループは、物流施設および不動産賃貸施設等の固定資産を保有しておりますが、土地および建物の時価の下落等により、減損処理を実施する場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 業績に大きな影響を与える減損処理の必要が発生した場合は、適切に情報開示を行ってまいります。 当社グループは、有価証券を保有しておりますが、証券市場の悪化等により大幅な株価の下落が発生した場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。適切に情報開示を行い、対応してまいります。 当社グループは、借入による資金調達を行っておりますが、金融市場等が変化し、大幅な金利の上昇が発生した場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。借入先との情報交換を適切に行い、当社グループの状況について十分な理解を得られるよう努めてまいります。 当社グループは、事務所への入退出管理、コンピュータシステムのバックアップおよび不正アクセスの防止、ウイルス駆除ソフト導入、社員個人による情報漏洩につながるソフトウェア導入の全面禁止等の情報セキュリティー対策を実施しておりますが、想定を超える災害発生、コンピュータウイルスの感染、不正なアクセスによるコンピュータ内への侵入、従業員の過誤等による重要データの消去、または不正入手が生じた場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 従業員や協力会社が円滑に内部通報できるよう、連絡窓口を設置するとともに、コンプライアンス委員会で情報共有し、対応をしてまいります。 当社グループは、各事業における債権の発生につき、その与信管理に十分留意しておりますが、不測の事態により顧客の与信不安が生じ、債権の回収が困難となった場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。与信不安を早期に発見できるよう、日頃から顧客の情報収集に努めてまいります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による規制の緩和が進められましたが、海外情勢や為替の影響により、さまざまな物価が上昇いたしました。今後も海外情勢や金融政策の影響が懸念されるため、依然として先行きは不透明な状態であります。 物流業界では、新型コロナウイルス感染症の影響で下がったドライバー有効求人倍率が再び上昇していることに加え、2024年から始まるドライバーの時間外労働時間規制に対する対応が課題となっております。また、燃料価格が高い水準となっており、厳しい経営環境で推移いたしました。不動産業界では、首都圏大型物流施設の空室率は上昇しておりますが、賃料も徐々に上昇しております。印刷業界の婚礼分野では、婚礼件数が徐々に回復しております。年賀分野と新聞分野では、年賀葉書の発行枚数ならびに新聞の発行部数の減少傾向が続いているため、依然として厳しい状況となっております。 このような経営環境に対応すべく、当社グループは、原点である経営理念の「顧客に対する最高のサービス」、「適正利潤の追求」、「眞に働きがいのある会社」に立ち返り、取組みを行ってまいりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は41,091百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は1,676百万円(前年同期比15.5%減)、経常利益は1,872百万円(前年同期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は997百万円(前年同期比21.1%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 当事業のうち、倉庫部門につきましては、売上高は1,879百万円(前年同期比1.5%増)となりました。これは主に、既存顧客の増床や倉庫作業による取扱量の増加があったことによるものであります。 港湾フォワーディング部門につきましては、売上高は7,119百万円(前年同期比6.0%増)となりました。これは主に、国際情勢の影響から航空運賃が高騰したことや建設機械の輸出取扱量ならびに輸入鋼材の取扱量の増加によるものであります。 運輸部門につきましては、売上高は12,571百万円(前年同期比4.4%減)となりました。これは主に、新規商権の獲得があった一方、スポット案件や鋼材関連等の輸送取扱量が減少したことによるものであります。 3PL(サードパーティーロジスティクス)部門につきましては、売上高は883百万円(前年同期比3.8%減)となりました。これは主に、取扱量の減少によるものであります。 この結果、当事業の売上高は22,453百万円(前年同期比0.8%減)、セグメント利益は1,971百万円(前年同期比0.6%減)となりました。 当事業につきましては、売上高は3,619百万円(前年同期比2.3%増)、セグメント利益は修繕費の増加等により1,652百万円(前年同期比1.7%減)となりました。 当事業につきましては、婚礼分野は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い停滞していた婚礼印刷の受注件数が徐々に回復いたしました。しかしながら、年賀分野は年賀葉書の総発行枚数が減少傾向にある中、その受注件数も漸減しており、新聞分野は新聞の発行部数やその他印刷物の受託数減少等もあり、売上高は15,980百万円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益は燃油価格の高騰に伴うコストの増加等も起因し69百万円(前年同期比51.2%減)となりました。 当事業につきましては、建設工事関連の工事量減少等により、売上高は807百万円(前年同期比6.6%減)、セグメント利益は128百万円(前年同期比32.8%減)となりました。 生産、受注および販売の実績は、次のとおりであります。 該当事項はありません。 受注実績の金額を算出できないため「(1) 経営成績」に記載しております。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 事業の内容につきましては変更ありません。 当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ1,339百万円減少し、45,325百万円となりました。これは主に、現金及び預金が612百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が136百万円、土地の売却や減価償却等により有形固定資産が570百万円減少したことによるものであります。 負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,254百万円減少し、26,245百万円となりました。これは主に、流動負債のその他に含まれる未払金が131百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が401百万円、短期借入金が407百万円、未払法人税等が208百万円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が137百万円、長期借入金が1,239百万円減少したことによるものであります。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ915百万円増加し、19,080百万円となり、自己資本比率は41.8%となりました。これは主に、利益剰余金が827百万円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ612百万円減少し、6,085百万円(前年同期比9.1%減)となりました。これは、運転資金および設備投資等に鑑みた資金計画に基づく長期借入れによる収入3,685百万円があり、加えて税金等調整前当期純利益が1,689百万円あったものの、車両、荷役機械等の更新に伴う有形固定資産の取得による支出997百万円があったこと、また、財務体質の改善を目的として通常の営業サイクルにおいて得られた資金を活用する等した長期借入金の返済による支出が5,332百万円があったこと等によるものであります。 なお、各キャッシュフローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動によって得られた資金は、2,008百万円(前年同期比21.4%減)となりました。 この主な要因は、税金等調整前当期純利益1,689百万円、減価償却費1,530百万円、投資有価証券売却益110百万円、固定資産売却損269百万円、売上債権の減少額129百万円、仕入債務の減少額427百万円、未払消費税等の減少額153百万円、法人税等の支払額835百万円、利息の支払額100百万円等によるものであります。 投資活動によって使用した資金は、790百万円(前年同期は使用した資金826百万円)となりました。 この主な要因は車両、荷役機械等の固定資産の更新に伴う有形固定資産の取得による支出997百万円、有形固定資産の売却による収入166百万円、システム改修や業務改善を目的とした無形固定資産の取得による支出175百万円、公開買付けに応じたことによる投資有価証券の売却による収入160百万円、契約満了に伴う敷金及び保証金の回収による収入105百万円等によるものであります。 財務活動によって使用した資金は、1,831百万円(前年同期は使用した資金1,897百万円)となりました。 この主な要因は、運転資金および設備投資等に鑑みた資金計画に基づく長期借入れによる収入3,685百万円、通常の営業サイクルにおいて得られた資金を活用する等した長期借入金の返済による支出5,332百万円、配当金の支払額170百万円等によるものであります。 当社グループの資本の財源については、営業キャッシュ・フローで得た資金や金融機関からの借入金によるものであります。資金の流動性については、運転資金と設備投資が主な資金需要であります。 当社は財務体質の強化を踏まえ、有利子負債の圧縮を行い、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針としております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況1(1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得見込額が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに基づき算出しているため、その見積りの前提条件に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産の減額により業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。 固定資産の回収可能価額については、割引前将来キャッシュ・フロー、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、その前提条件に変更が生じ減少した場合、減損処理の実施により業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 当連結会計年度の設備投資については、受注増への対応と生産効率の向上を目的とした設備投資を実施しております。 当連結会計年度の設備投資の総額は1,400,455千円であり、セグメントごとの設備投資について示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の主な設備投資は、事業用機械装置および車両等の代替購入等を中心とする総額840,591千円の投資を実施しました。 なお、重要な設備の除却または売却はありません。 当連結会計年度の主な設備投資は、賃貸用不動産の設備更新等を中心とする総額218,681千円の投資を実施しました。 なお、重要な設備の除却または売却はありません。 当連結会計年度の主な設備投資は、印刷設備の更新等を中心とする総額322,442千円の投資を実施しました。 なお、重要な設備の除却または売却はありません。 当連結会計年度の主な設備投資は、車両の代替更新等を中心とする総額4,141千円の投資を実施しました。 なお、重要な設備の除却または売却はありません。 当連結会計年度の主な設備投資は、提出会社において、車両の代替更新等を中心とする総額14,598千円の投資を実施しました。 なお、重要な設備の除却または売却はありません。 賃借している土地の面積については、〔   〕で外書きしております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社精養軒
# 株式会社精養軒 東京築地にフランス料理店を創業する。 東京上野公園内に支店を開業する。 会社設立 資本金100万円で株式会社精養軒とする。 関東大震災により築地の本店を焼失し、拠点を上野公園内に移す。 日本観光を吸収合併し、資本金165万円とする。 本店移転登記により東京都台東区上野公園忍ヶ岡一号地に移す。 上野本店の建物改築が完成する。 株式を東京証券業協会(㈱大阪証券取引所)に登録し、店頭登録株として公開する。 日本洗染㈱を吸収合併し、資本金10,950万円とする。 利益処分による資本組入れにより、資本金13,140万円とする。 国立科学博物館内に出店(ムーセイオン店)する。 国立大学法人東京工業大学内に出店(大岡山店)する。 ㈱大阪証券取引所と㈱東京証券取引所の統合に伴い、株式を㈱東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場する。 東京都美術館館内に出店(サロン店・ミューズ店・カフェアート店)する。 国立科学博物館より3月に再受託し、出店(くじらカフェ店)する。現在は上野店を拠点に9店舗を営業し今日にいたる。 無償減資により資本金を減少し、その他資本剰余金へ振り替えを行い、資本金50百万円とする。 ㈱東京証券取引所の再編に伴い、スタンダード市場に移行する。 当社は、飲食業の運営を主な事業内容としており、運営は当社のみで行っております。従いまして、子会社及び関連会社はなく、企業集団はありません。 なお、飲食業及び賃貸業の区分はセグメントと同一区分であります。 当社は、宴会場・結婚式場・レストランを備えた上野店を始め、都内を中心にフランス料理、洋食を主体としたレストラン等の運営を行っております。 当社は、東京都及びその他地域において、事業用地、駐車場等の賃貸を行っております。 事業の系統図は次のとおりであります。 該当事項はありません。 当社では、全従業員(管理職を除く)が参加して、精養軒従業員組合が結成されております。労使間は、円満に推移しております。 我が国の飲食業界は、人口減少や少子高齢化による飲食需要の減少等により、全体的な飲食市場の縮小が懸念されている一方で、飲食業界は参入障壁が低いため、中食や宅配を行う事業者数は増加し、中食や宅配の市場等が拡大しており、業界内競争は激化しております。 また、令和2年以来、新型コロナウイルス感染症拡大により、大きな打撃をうけました。感染拡大が3年目を迎えた令和4年前半はオミクロン株の拡大により低迷が続きましたが、後半に入り、感染者数が増加しても国や行政からの行動規制が発動されることはなく、旅行支援等の拡大やインバウンド需要の回復などにより、人流は着実に改善してまいりました。一方で、円安や物価高により原材料費の高騰、光熱水費の上昇、慢性的な人手不足などから、大変厳しい経営環境となりました。 当社は、従来より、「より良き内容・より良きサービス」をモットーに我が国の食文化に貢献するとの企業理念のもと、「伝統と格式ある精養軒ブランドの再構築」「質の高い料理とサービスの提供」「安定した収益構造の確立」を目指して参りました。 また、当社は、令和元年以降、中期経営計画147を掲げ、営業力の強化、人材の育成、業務の効率化、上野本店大規模リニューアル計画の検討などを進めてまいりました。 しかしながら、令和2年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経営環境は激変し、大きく方針の転換を迫られております。 今後の見通しにつきましては、引き続き、新型コロナウイルス感染症の動向が懸念されますが、全体的には国や行政による社会活動の完全復活に向けた方針は変わらないものと思われることから、ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、より一層、競争力を強化していく必要があります。つきましては、後記(4)優先的に対処すべき課題に対しまして、抜本的な対策を検討し実行してまいる所存でございます。今後とも厳しい環境の中、事業を継続し、我が国の食文化発展に貢献していき、全社一丸となってこの難局を乗り越えていく所存でございます。 当社は、中期経営計画147において、令和6年度以降の売上高3,700百万円以上、経常利益200百万円以上を目指すべき指標として公表いたしました。しかしながら、今般の新型コロナ影響を踏まえ、アフターコロナを見据えた指標の見直しを行う可能性がございます。現在、令和5年度業績予想も現時点で合理的な算出が困難なため、未定とすることにいたしました。 当面、コロナ禍からアフターコロナへの移行期において、中長期的な企業価値の向上を目指し、以下の①から④の項目の対策を実行してまいります。 中期経営計画につきましては、新型コロナ収束に伴う経済環境の変化や当社の業績回復状況を踏まえ、今後再検討してまいります。 当社における事業等のリスクとして、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には以下のようなものがあります。尚、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 将来的な人口減少や高齢化により食需要が減少し、飲食市場が縮小することが予想されます。また、今般の新型コロナウイルス感染症拡大や緊急事態宣言の発出及び平成23年の東日本大震災などのような突発的、偶発的な売上低下要因が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記同様、市場が縮小しても、飲食業界の参入障壁が低いため、益々業界内競争は激化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、伝統的な料理を大切に継承し、お客様に提供して参りました。今後、人手不足や教育機会の短縮等により、技術の継承がなされない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の店舗は、公的施設を中心に数年周期で契約期限を迎え、競争入札が実施されます。万一、入札に失敗した場合、大きな収益機会を失うことになり、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の食材は、国内企業より調達していますが、その仕入は海外からも多岐にわたっております。極力、安定調達ができるよう努めて参りますが、災害、気候変動等による調達不足や価格変動などのリスクもあり、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。 ノロウイルスなど様々な衛生管理上、留意すべき点があり、引き続き、衛生面、安全面を重視して業務を遂行して参ります。万一、衛生事故等が発生した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、食品衛生法の規定に基づき、営業店毎に所轄の保健所から飲食店営業許可を取得しており、衛生管理は最重要事項として日々の業務に取り組んでいます。また、個人情報保護法の施行により、当社が管理している顧客名簿等、一層のセキュリティ強化と社員の管理意識向上に努めております。しかしながら、万一、法令違反等、不測の事態が発生した場合は、信用失墜による売上減少や損害賠償の費用発生などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 近年、飲食サービス業は、人手不足が深刻化しております。手作りの美味しい料理を丁寧なサービスで提供し、お客様のご支持をいただく当社の事業スタイルとしては、今後も人手不足が解消されない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、会社全体において、コンピューターによる業務運営を多岐にわたり実施しており、災害等によるシステムトラブルやデータの破損、更には情報の盗難、漏洩など、これらの問題が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の事業活動において、様々な訴訟、紛争、その他の法的手続きが提起される可能性は否定できません。現在、当社に重要な影響を及ぼす提起はされておりませんが、将来において、重要な訴訟等が提起された場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社が保有する固定資産について、事業の収益性が低下した場合など固定資産の減損会計適用による減損損失が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しております。 当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比べ132百万円減少し4,919百万円となりました。流動資産は、230百万円減少の3,258百万円、固定資産は97百万円増加の1,661百万円となりました。 流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が185百万円減少したことによるものです。 固定資産の増加の主な要因は、投資有価証券が105百万円増加したことによるものです。 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比べ99百万円増加し、3,175百万円となりました。流動負債は104百万円増加し361百万円、固定負債は5百万円減少し2,814百万円となりました。 流動負債の増加の主な要因は、買掛金が27百万円及び未払消費税等が53百万円増加したことによるものです。 固定負債の減少の主な要因は、退職給付引当金が18百万円及び役員退職慰労引当金が15百万円並びに繰延税金負債が27百万円増加した一方で、長期前受収益が73百万円減少したことによるものです。 当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比べ231百万円減少し、1,745百万円となりました。この減少の主な要因は、その他有価証券評価差額金が78百万円増加した一方で、繰越利益剰余金が309百万円減少したことによるものです。 当事業年度における我が国経済は、民需中心に緩やかに持ち直してまいりました。企業部門においては、円安方向への為替変動により、製造業を中心に輸出関連企業がけん引役となり好調な業績を維持しております。一方で、感染症の影響が大きかったサービス部門は、昨年後半から消費意欲やインバウンド需要の改善により、先進各国に比べ遅れながらも回復基調となってまいりました。 飲食業界におきましては、令和2年以来、新型コロナウイルス感染症拡大により、大きな打撃をうけました。感染拡大が3年目を迎えた令和4年前半は、オミクロン株の拡大により低迷が続きましたが、後半に入り、感染者数が増加しても国や行政からの行動規制が発動されることはなく、旅行支援等の拡大やインバウンド需要の回復などにより、人流は着実に改善してまいりました。一方で、円安や物価高により原材料費の高騰、光熱水費の上昇、慢性的な人手不足など、業界を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあります。 このような状況下、当社におきましては、引き続き、お客様、従業員の感染防止対策を徹底するとともに、営業強化、業務効率化によるコスト削減、人材育成の強化などに努めてまいりました。 営業面におきましては、既存レストランのメニュー充実及び価格改定、パンダカフェオープンや改装によるカフェ事業の拡充、物販事業における商品開発や販売チャネルの拡大、創業150年を記念した新メニューの開発及び販売促進、それに伴う、テレビ・新聞を中心とした広告宣伝活動の強化などに注力いたしました。一方で、スクラップ&ビルドの一環として、「東京大学医学部附属病院店」を令和4年9月22日に閉店いたしました。 業務の効率化においては、各種新システムの導入などにより、繁閑状況の早期把握による適正な人員配置など、特に人員効率の改善に取り組んでまいりました。人材育成においては、接客力向上を目指し、サービス担当の教育強化などに努めました。 しかしながら、各レストランは着実に回復しているものの、大規模な宴会は未だ回復途上にあり、全体売上はコロナ前の水準にはいたっておりません。 その結果、当事業年度の売上高は1,888百万円(前年同期比106.6%増)となりました。営業損失は372百万円(前年同期は営業損失907百万円)、経常損失は304百万円(前年同期は経常損失461百万円)、当期純損失は309百万円(前年同期は当期純損失476百万円)となりました。 なお、収益認識会計基準等の適用による、当期財務諸表に与える影響は軽微であります。 又、セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 当飲食業におきましては、上記の理由により、当事業年度のレストラン部門の売上高は1,313百万円(前年同期比113.8%増)、宴会他部門の売上高は452百万円(前年同期比156.1%増)、飲食業全体の売上高は1,765百万円(前年同期比123.2%増)、セグメント損失459百万円(前年同期はセグメント損失1,000百万円)となりました。 なお、収益認識会計基準等の適用による、当期財務諸表に与える影響は軽微であります。 当賃貸業におきましては、安定的な賃貸収入の確保に努めております。この結果、当事業年度の売上高は123百万円(前年同期比0.0%減)、セグメント利益87百万円(前年同期比6.2%減)となりました。 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、692百万円となり前事業年度末と比べ315百万円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。 営業活動の結果、使用した資金は、252百万円(前年同期は351百万円の使用)となりました。この主な要因は、税引前当期純損失の計上308百万円であります。 投資活動の結果、得られた資金は、570百万円(前年同期は420百万円の獲得)となりました。この主な要因は、定期預金の預入による支出2,638百万円、定期預金の払戻による収入3,138百万円であります。 財務活動の結果、使用した資金は、3百万円(前年同期は2百万円の使用)となりました。この主な要因は、その他3百万円であります。 当事業年度の収容能力(生産能力)と収容実績は次のとおりであります。 当社の事業の性格上、受注実績は販売実績と同額のため記載を省略しております。 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 当事業年度の販売実績を営業店別に示すと次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 売上高は、1,888百万円(前年同期比106.6%増)となりました。この主な要因は、安定した不動産収入が堅調に推移したことや、飲食業も回復基調となり、レストラン部門の売上高が699百万円(前年同期比113.8%増)及び宴会部門の売上高が275百万円(前年同期比156.1%増)増加したことによるものです。 売上総利益は、950百万円(前年同期比264.1%増)となりました。この主な要因は、売上高増加によるものです。 販売費及び一般管理費は、1,322百万円(前年同期比13.2%増)となりました。この主な要因は、売り上げ増加による人件費が61百万円増加したことによるものです。その結果、営業損失は372百万円(前年同期は営業損失907百万円)となりました。 営業外収益は、70百万円となりました(前年同期は営業外収益453百万円)。この主な要因は、雇用調整助成金等が391百万円減少したことによるものです。営業外費用は、1百万円となりました(前年同期は営業外費用7百万円)。この主な要因は、地代家賃が7百万円減少したことによるものです。その結果、経常損失は304百万円(前年同期は経常損失461百万円)となりました。 特別利益は、資産除去債務履行差額の計上により1百万円となりました(前年同期は特別利益3百万円)。特別損失は、5百万円となりました。この主な要因は、減損損失が10百万円減少したことによるものです。その結果、上記の経常損失及び特別利益並びに特別損失の計上で、税引前当期純損失は308百万円(前年同期は税引前当期純損失475百万円)となりました。 法人税、住民税及び事業税1百万円(前年同期は1百万円)となり、その結果、上記の税引前当期純損失の計上で、当期純損失は309百万円(前年同期は当期純損失476百万円)となりました。 又、飲食業の売上高及びセグメント利益又は損失(△)並びに来客数を時系列に示すと、次のとおりであります。 なお、当事業年度の賃貸業につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 飲食部門の売上高・利益及び収容実績は、令和4年前半はオミクロン株の感染症拡大により低迷が続きましたが、後半に入り、感染者数が増加しても、行政等からの行動規制が発動されることはなく、人流は着実に改善し実績も回復してきましたが、まだコロナ前の水準にはいたっておりません。 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、将来的な人口減少や高齢化による食需要の減少、飲食市場が縮小し、業界内競争が激化することが予想されていることや、今般の新型コロナウイルス感染症や平成23年の東日本大震災などのような突発的、偶発的な売上低下要因が発生した場合は、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。 その他の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用及び労務費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 運転資金及び設備投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉に自己資金調達を原則とする方針であります。尚、現在検討しております上野店の大規模リニューアル等、多額の設備投資資金が必要となった場合には、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、所有資産の売却も検討する可能性があります。 当社は、中期経営計画147において、令和6年度以降の売上高3,700百万円以上及び経常利益200百万円以上を、目指すべき指標として公表いたしました。しかしながら、今般の新型コロナ影響を踏まえ、アフターコロナを見据えた指標の見直しを行う可能性がございます。現在、令和5年度業績予想も未定としておりますが、収束状況等今後の動向を踏まえ、検討していく予定でございます。 当事業年度における売上高は1,888百万円となり、前年度に比べ、974百万円(106.6%増)の増収となりました。経常損失は、304百万円となり、前年度に比べ、158百万円(前年同期は経常損失461百万円)改善となりました。営業力の強化、業務の効率化によるコスト削減、人材の育成等を推進し、引き続き当該指標の改善に努めていく所存でありますと共に、新型コロナウイルス感染症による政府の方針に沿った感染防止対策を進めて参ります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社エフ・コード
# 株式会社エフ・コード なお、臨時雇用者数は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。 なお、臨時雇用者数は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。 なお、第13期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を受けておりません。 当社は「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」というミッションを掲げ、未だ無限の可能性を秘めた事業活動のデジタル化の領域において、経験を有するコンサルタントによる直接的なサービスと、その知見を具現化したソフトウェアの提供により、事業者とその先にいる生活者(注1)との豊かな関係をつなぐハブになるべく、デジタルマーケティングナレッジを提供しております。 情報化の進展した現代にあっても、事業者の所在地やデジタル人材の獲得の難しさ、資金力の有無などによって最先端のビジネスに関する人・モノ・情報へのアクセスは、依然として事業者ごとに偏りが見られ、デジタル社会の高度化に伴いその差はむしろ拡大している側面すらあります。進化し続けるデジタルテクノロジーと複雑化が進むマーケティングノウハウを背景として、この状況は今後ますます拡大していくことが想定されますが、その一方で、事業者自身は特定業務のデジタルへの置き換えといった初歩的なことから、さらにはビジネス変革、事業成長へとつなげるデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX、注2)への取り組み意識まで、デジタル技術活用の事業戦略上の重要性をよりいっそう大きなものとして認識している現状があります。  また、商品・サービスの提供者側のDXが活発化する中、最終的に情報・サービスを受け取る生活者側がDX化のメリットを十分に享受してカスタマー・ エクスペリエンス(以下、CX、注3)を充実したものへ高めることが、生活者と事業者の豊かな関係を育むうえで重要ですが、価値観が多様化し、デジタル技術の進展により情報接点の氾濫した環境において、生活者と事業者とのコミュニケーションは複雑さを増しており、かえって望む情報と出会うこと・届けることが難しくなっている側面が出てきております。 このように複雑化した生活者と事業者との関係性、及びデジタルを取り巻く状況下では、従来のIT化のような技術的側面からのアプローチではなく、深いインサイトに基づいて情報社会における生活者のかかえる課題を理解する視点に立ったコミュニケーション設計と同時に、そのコミュニケーションを実現するための高度な技術設計の2つの要素が必要不可欠であると当社は考えております。 当社は、CXにおけるこれらの高度なコミュニケーションの設計及び分析と、DXにおいてそれらを実現及び推進する技術力とを合わせ持つ「マーケティングテクノロジスト」集団として、複雑化した生活者と事業者の関係性を最適化しマーケティング革新に寄与することで、世界中の企業においてDXを推進し、より豊かな情報社会の実現を目指してまいります。 DXの領域においては、例えばCRM(注4)等による顧客管理の自動化やレコメンド等によるデジタル広告の自動・最適化、VOC(注5)データ等の分析による営業活動改善、あるいはRPA(注6)等を活用した日常業務等の自動化など、具体化された課題領域が多種多様にわたっており、また、個々の課題それぞれに対してソリューションを提供するような個別のシステムやサービスが数多く存在しております。 DXを進めるにあたっては、市場に存在するこれらの個別のシステムやサービスを課題ごとに取り入れた結果、デジタル施策等はそれらが機能する領域のみにおいて推進され、部分最適に陥り、最終的に情報を受け取る生活者にとっては、むしろ望むタイミングで望む情報と出会うことが難しくなってしまうケースがあると考えられます。 当社は、このようなケースが散見される中、従来のマーケティングにおける仮説ベースで設計された個々のデジタル施策には生活者の体験に関する観点が限定的であると考え、購買現場、すなわち「生活者の目線」をCXのデータ解析により理解し、CXのデータに基づいた実証ベースによって個々のデジタル施策を設計することが、CXを損なうことなくDX推進を図るうえで重要であると認識しております。 当社では、現代における事業者と生活者とのデジタル上における複雑化したコミュニケーションの環境をふまえて、DX領域における多種多様な個別課題の背景に存在している"デジタル上での顧客接点がどうあるべきか"というCXの全体観を整理・設計したうえで、DXによって解決すべき課題とその優先順位を明確化し、個々のデジタル施策等が戦略上一体となって効果を発揮するようなDX推進サービスを展開しております。 当社では、かねてよりコンサルタントによる直接的な人的支援によって、事業者がかかえる事業課題と紐づいたデジタルマーケティングの戦略立案・支援サービスを提供してきており、これまでの実績・経験から、事業課題に即したソリューション提供の数々の事例を再現可能な形にするためにノウハウ・知見として蓄積してまいりました。 また、これまでのサービス提供の過程において、CXの重要性に着目し、2013年より10年近くにわたりSaaS(注8)型のマーケティングツールとして、エントリーフォーム最適化ツールやブラウザプッシュ通知ツール、Web接客ツールなど、広告配信データやサイト解析データだけではなく、エントリーフォームの入力事項やサイト内のチャット等の反応といったユーザーとの深いコミュニケーション領域におけるデジタルマーケティングサービスを提供してまいりました。 このような業歴から、EFO(注9)データやVOCデータ、Web接客データといった「ユーザーの生の声」とも言えるCX領域のデータを長年にわたり蓄えるとともに、業界別・課題別の知見・ノウハウとして参照可能なデータ基盤へと強化してまいりました。 さらに、サービス提供の進捗を通じて事業者の課題ごとに最適化されていく当社のソリューションは、新たなフィードバックとしてCXデータ基盤のアップデートへとつながり、これまでに培った知見・ノウハウ及び蓄えられた独自のCXデータは累計にして1,000社、アカウント数は3,000件を超えるユニークなCXデータ基盤として進化を続けており、より質の高いDX推進サービスのために不可欠なものとなっております。 当社は、この独自のCXデータ基盤を保有することで、業界別・課題別に顧客企業にとってあるべきCX体験を分析、CXの全体観を設計し、そのために必要なDX施策を選択・実行していきます。 顧客経営レベルの戦略策定と課題の解決の場面においてデジタル化が浸透していない現状に対し(未だに断片的な市場データ等から人力と経験による仮説を重ねるアプローチが主流である状態)、当社はDX推進へ取り組むにあたり、プロジェクト開始時点からこれまでに構築してきたCXデータ基盤等のデータアセットを参照し、顧客企業の属する市場の調査や同業他社の戦略分析から戦略策定まで、顧客経営レベルの課題解決に向けたDX推進サービスの提供を目指しております。 当社はDX事業の単一のセグメントにて事業を行っております。 CX向上SaaSの提供とともに、CX領域のデータ基盤を軸とするプロフェッショナルによるDX推進の伴走型支援やデジタルマーケティング全般の支援を組み合わせ、企業のDX推進支援をワンストップで提供しております。 なお、当第3四半期累計期間まで、当社のDX事業を、DX推進支援をワンストップで提供するものとしつつ、顧客課題及びニーズ等を考慮して「デジタル顧客獲得支援サービス」と「デジタル顧客育成支援サービス」の2つのDX支援のサービス領域に区分し、それぞれ独立したサービスとしてその概要を記載しておりましたが、これらのサービス間の関連性や一体としてサービス提供する方針の強化から、共に成長を期すべくものとして、サービス区分を統合することといたしました。 当社は顧客企業のWebサイトにおけるCXを向上することによりロイヤルカスタマー化及び継続的な購買活動を促進するSaaSを提供しております。 創業当初より行うデジタルコンサルティング、デジタル広告運用などの実績・経験から得られた知見・ノウハウをSaaS型ソフトウェアとして昇華し、2013年2月よりマーケティングツールとして提供してまいりました。これまで、エントリーフォーム最適化ツール「f-tra EFO」(2013年2月提供開始)、Web接客ツール「f-tra CTA」(2016年5月提供開始)、ブラウザプッシュ通知(注10)ツール「f-tra Push」(2016年12月提供開始)など、デジタルコンサルティング及び広告領域の支援にとどまらず、エントリーフォーム入力事項やサイト内のチャット等の反応といったユーザーとの深いコミュニケーション領域におけるマーケティングツールの開発に取り組んでまいりました。 これらのツールから、コミュニケーション領域における最も深いユーザーデータを取得・蓄積することが可能となり、これまで各ツールが提供してきたサービスを統合・強化したCX向上SaaSの開発に着手し、2018年にWeb接客ツール「CODE Marketing Cloud」(2018年7月提供開始)へと発展させました。 現在は、CX向上SaaSとして自社プロダクトである「CODE Marketing Cloud」を主力とし、その一部の機能を独立して提供する「f-tra EFO」とともに、当事業年度において事業譲受により当社のサービスとして提供を開始している「sinclo」、「hachidori」等、幅広いニーズに対応すべくCX向上SaaSの提供を行っております。 CODE Marketing Cloudは、企業ウェブサイトに来訪したユーザーに対し、ユーザーのサイト内での行動情報・購買情報などをもとに最適なタイミングでポップアップバナーなどの適切なコンテンツを自動提示し、サイト内の顧客体験をより良質なものへと改善できるウェブ接客ツールを提供するサービスです。 アクセスログや顧客企業の保有するデータなどを元に、サイトを訪れたユーザーに対して必要と考えられるコンテンツを自動提示することで、既存のページを大きく改修することなく、購入率・購入単価・顧客ロイヤリティの向上を図ります。継続的に機能の開発・拡張を行なっており、ウェブサイトの上に重ねて表示する視認性の高いポップアップバナーに加え、顧客企業のウェブサイト自体を書き換え、サイトの一部として溶け込んだ、より自然な印象での情報告知・ページ導線の追加を行うことが可能です。 また、ツール提供に加えて、専門スタッフによる導入時の体制構築支援及び導入後の運用支援も行っております。 f-tra EFOは、PCサイトまたはスマートフォンサイト内に設置されたエントリーフォームの入力支援機能を提供するサービスです。顧客企業のサイト内におけるユーザーの最終アクションともいえるエントリーフォームへの入力作業において、ユーザーの離脱を防止するために、入力形式の指示やエラー表示によってエントリーフォームを最適化し、ユーザーの入力ストレス・ミスの低減を通してフォーム完了率を向上させ、コンバージョン率(実際に購買や資料請求、お問い合わせ、会員登録などが行われた率)の改善を図り、金融業、不動産業、小売業(EC)などの業種への導入実績を有しております。 当社はCX向上SaaSの提供のほか、CXデータを活用することによって、顧客企業の属する市場調査や同業他社の戦略分析と戦略設計、また、戦略実行段階を担う人材育成など、DX推進のプロセス全体に影響を及ぼす戦略設計・組織設計を伴走型で支援し、それらが整理された段階では、顧客企業と生活者とのデジタルを通したコミュニケーション構築の支援や、その後の成約率向上支援などを行っております。 具体的には、当社の膨大なCXデータ基盤を活用した同業他社との比較分析と、当社コンサルタントによるデジタル戦略立案の支援や、DX推進の人材不足が発生するケースにおいて若手幹部人材への研修実施等のDX人材育成プログラムの提供をしております。また、全体的な戦略が決定している段階においては、広告運用のデータ分析・改善に至るまでの一連のプロセスを担うコンサルティングや、顧客WEBサイトの集客力を継続的に維持向上させるためにコンテンツの企画・制作・分析・改善までの施策支援を行っております。さらに、Webサイト上での生活者とのコミュニケーション接点が構築された段階では、営業履歴のデータ分析による商談成約率向上のためのインサイドセールス(注11)改善支援等、戦略の各段階において当社コンサルタントの伴走型支援を通じて個別のデジタルマーケティングサービスを顧客ごとの課題に即して提供しております。 なお、当社がサービスを提供するDX課題領域のテーマについては、特定の領域に限定されることはなく、マーケティング領域・UI/UX(注12)・営業活動・CRM領域等、企業の様々なDXニーズに対応するべく幅広い市場に展開している状況です。 このような複数・広範囲のサービス提供によって、当社の顧客数は増加傾向にあり、引き続き顧客基盤の拡大を目指しております。なお、顧客数については、2022年12月期において複数の事業の譲受を実施しており、譲受サービスの顧客数も含まれていることから、2022年12月期においては特に増加しております。 当社事業の強みは、創業当初より蓄積されたCX領域のデータとノウハウの特殊性によりもたらされております。 1,000社を超える事例は、デジタル顧客獲得支援サービスから吸い上げられるデジタル広告等の関連データや、デジタル顧客育成支援サービスから取得されるUI/UX等に関するデータなど、顧客の業種、事業課題と紐づいた形で整理され、業種や業態だけではなく、顧客のテーマに合わせて分析可能なデータ基盤として完備されており、戦略立案から認知・獲得、獲得したリードの育成まで、一気通貫のノウハウとして当社の競争力の源泉となっております。 DX領域においては、デジタルマーケティングにおける市場分析・戦略立案、広告展開提案、サイト解析、解析結果をうけた課題解決の実行など、それぞれの領域を推進することに特化した企業を中心にサービスが展開されておりますが、現状では各領域を横断的にワンストップで推進・支援するサービス提供者は不足していると考えられます。これに対して当社では、CXデータ解析をコアに横断的にDXサービスを展開し、今後のDXニーズの拡大に伴い必要とされるサービスを目指しております。 当社は、高まるDXニーズに対して、市場において実際に提供されているサービスは個別課題へフォーカスされた施策が中心で、DX領域の多様なテーマを横断的に推進できる担い手が不足しており人材供給が難しい状況であると考えております。当社では、CXデータ基盤をはじめとする、これまでのデジタルコンサルティングの事例におけるベストプラクティスを自社のノウハウとして人材育成にも活用しており、市場で不足するDXを推進できる人材の育成ノウハウが強みとなっております。 該当事項はありません。 なお、臨時雇用者数は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。 当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 当社は、「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」をミッションとして掲げ、未だ無限の可能性を秘めた事業活動のデジタル化の領域において、経験を有するコンサルタントによる直接的なサービスと、その知見を具現化したソフトウェアの提供により、所在地や業種を問わず、多くの企業とその先にいる生活者との豊かな関係をつなぐハブになるべく、最先端のデジタルテクノロジーを駆使してDXの推進を支援し、より豊かな情報社会の実現を目指しております。 当社が事業を展開する国内DX市場においては、2020年は1兆3,821億円の規模と想定されており、2030年には5兆1,957億円の規模にまで成長すると予測されております(出典:富士キメラ総研「2022デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。また、デジタル関連IT&ビジネスコンサルティングの2020年の市場規模は1,337億円であり、2025年には4,986億円に達するものと推定されており、(出典:InternationalDataCorporation(IDC)「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2020年~2025年」)引き続き拡大傾向が続くと見込まれております。 また、主に当社のDX事業において関連するインターネット広告市場の市場規模は、スマートフォンの普及や通信環境の整備等により、引き続き拡大を続けており、2022年には3兆912億円に達しました(株式会社電通グループ「2022年日本の広告費」、2023年2月公表)。 このように関連市場それぞれにおいて高い成長が見込まれるDXの領域において、多様な企業規模・業種のクライアントに対してサービスを提供していくことにより、国内におけるDXのニーズを捉え、事業展開を拡大してまいります。 国内DX市場が急成長をとげ、企業におけるDXへの取り組み意識が高まる中、情報化の進展した現代においては、そのニーズは業務のデジタル化といった個別のものからビジネス変革へつながるものまで、多岐にわたっております。 一方で、最終的に情報・サービスを受け取る生活者側がDX化のメリットを十分に享受しCXを充実したものへ高めることは企業と生活者との豊かな関係を育むうえで重要ですが、価値観が多様化し、デジタル技術の進展により情報接点の氾濫した情報社会においては、企業と生活者とのコミュニケーションは複雑さを増し、かえって望む情報と出会うこと・届けることが難しくなっている側面が出てきていると考えております。 当社では、このような現代における企業と生活者との複雑な関係性をふまえ、DX領域における多種多様な個別課題の背景に存在する“デジタル上での生活者とのコミュニケーションがどうあるべきか”という、購買の現場ともいえる顧客接点の重要性に着目し、CXの全体観を整理したうえで、DXの推進によって解決すべき課題を明確にしていきます。また、当社が保有するデジタル黎明期より蓄積してきたCX領域のデータとノウハウを活用し、顧客の業種や業態、課題に即した分析をして、顧客にとって最適なソリューションを提供することでDXを実現します。顧客にとって最適なソリューションを継続的に提供するとともに、DX推進を図りたい企業のニーズに対して幅広く対応するため、当社はCX向上SaaSと、CX領域のデータ基盤を軸とするプロフェッショナルによるDX推進の伴走型支援及びデジタルマーケティング全般支援等を組み合あわせ、企業のDX推進支援をワンストップで実行しております。 当社はCX向上SaaSを提供サービスの軸とし、サービス提供を通じて発見・解決した顧客企業ごとの課題事例から獲得したデータやノウハウをCX領域のデータ基盤のアップデートへとつなげ、より質の高いDXの実現を目指しております。マーケティング・UI/UX・営業活動・CRM領域等、企業の様々なDXニーズにワンストップで対応できるような幅広いDXサービスを展開・強化することで、DX領域の多様なテーマを横断的に推進できる担い手が不足している市場において、競争力を高めてまいります。 これまでの当社のサービス提供先は、BtoC領域のエンタープライズ(※)が中心となっておりましたが、コロナ禍においてビジネスのオンライン化が従前にも増して加速したことに伴い、企業の営業活動がインサイドへ移行すること等によって、BtoB領域におけるDXニーズが急速に進展してきております。 当社では、これまでBtoC領域のエンタープライズへの支援を通じて培ったノウハウを強みとして、これまでに増してBtoB領域の企業等へと販路を拡大していくことを目指しております。 当社は、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、客観的な経営指標として売上高及び営業利益を重視しております。また、CX向上SaaSの提供をはじめとしたマーケティング・UI/UX・営業活動・CRM領域の改善等、課題に即した個別のデジタルマーケティングサービスの提供を通じ、事業全体でDX推進をワンストップで支援しているため、顧客数、顧客単価を重要な経営指標として向上を目指しております。 なお、直近の事業年度における顧客数の推移については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。 当社では、以下の点を事業上及び財務上の課題として掲げております。 当社が将来にわたって成長していくためには、提供するサービスが顧客にとって常に価値あるものであるように、サービスの質・スピードともにさらなる向上が必要であると考えております。これまでに開発、リリースしたサービスは、既に多くの顧客を獲得して市場から一定の評価を得ており、十分な競争力を有するものであると認識しておりますが、めまぐるしく変化する生活者の消費行動と、その変化への対応を経営課題として企業が日々葛藤する中、デジタルマーケティング領域の市場において企業がかかえる課題とそのソリューションの在り方も形を変えていくものと考えられます。それらに対応すべく、当社としても最先端のデジタルメディア情報の収集体制とこれまでの顧客成功事例集約を図り、新たな質の高いサービスへ発展させていくことに注力していきます。 当社はこれまでエンタープライズからスモールビジネスまで事業規模を問わず多種多様な要求水準に応える事業活動のデジタル化の領域における支援サービスを、専門知識を有する人材による人的支援を中心として提供してまいりました。当社の継続的な事業成長には、この人的領域でのソリューションのノウハウを十分に活用して高い質で再現していくために、引き続き優秀な人材を確保・育成していくことが重要と認識しております。企業におけるDX推進の動きが加速する中、DX市場の拡大に伴って当該領域の人材獲得は他社とも競合し、今後も難しいものとなることが考えられます。 当社では、優秀な人材獲得のための採用方法の展開に加えて、当社の事業戦略と連携した教育内容による人材育成体制の確立により、継続性と安定性を備えた組織体制の構築を進めてまいります。 当社が事業展開する事業活動のデジタル化の領域においては、国内DX市場にみられるように、その市場規模は今後大きな成長が見込まれておりますが、景況感によって企業のマーケティング活動の需要は変化する場合があり、これに伴い特定時期において売上及び利益の変動が発生する場合があります。当社では、既存顧客への定期的なサービス満足度のヒアリングと解約分析を通じてサービス継続率の向上へ取り組むとともに、SaaS型サービスを提供する顧客基盤の拡大によって、よりいっそう収益の安定化に努めてまいります。 これまでのDX市場及びインターネット広告市場の拡大の中において、絶えず変化する企業のデジタルマーケティングへの課題解決のために当社はサービスのアップデートを繰り返し、多種多様な企業へサービス提供を行い、継続的な取引による顧客基盤の確立と収益基盤の強化を図ってまいりました。今後も拡大を続ける同市場の中でさらなる事業成長を実現するために、当社サービスの認知度向上のための積極的な広報活動やインターネットを利用したマーケティング活動・大手企業との提携等をより一層推進し、それらを土台として新規顧客獲得に注力してまいります。 当社がサービスを提供している事業活動のデジタル化の領域においては、技術革新のスピードや企業の課題解決に対するニーズの変化が速く、またそれに基づくサービスの導入が相次いでいる非常に変化の激しい業界であり、これらの変化へ対応していく総合的な組織力が重要であると認識しております。当社は新たな技術に係る情報の収集、知見の獲得、顧客ニーズに適時に応えることができる情報アセット・技術力を保有するとともに、提供サービスの改良・改善及び新サービス開発に活用してまいります。 当社は、急速な事業環境の変化に適応し、継続的に成長していくためには、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模の拡大・成長に合わせてバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、財務報告の適正性の確保、情報セキュリティの向上、個人情報の保護、リスク管理等の内部統制及びコンプライアンス体制につきまして、より実効性の高い体制となるよう必要な適材適所の人材配置等を進めて、各機能の充実を図ってまいります。 当社は、継続的にサービスを提供していくとともに、既存サービスの機能改善や新規サービスの開発に取り組むために、手許資金の流動性の確保が重要であると認識しております。このため、金融機関との良好な取引関係の構築や一定の内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤の強化を図ってまいります。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 当社は、これらのリスクの発生可能性を十分認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。 なお、文中に記載している将来に関する事項は、本書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 当社はDX市場及びDXに関連するインターネット広告、ならびにマーケティングテクノロジーの市場を主たる事業領域としており、当社事業の継続的な拡大・発展のためには、更なるインターネットの利用拡大とインターネット広告の需要拡大、マーケティングテクノロジーが企業の業績向上へ寄与するものであることが事業者へさらに浸透していくことが必要であると考えております。 しかしながら、インターネットの利用に関連する規制の導入、技術革新等により、事業者のインターネットサイト運営が困難になった場合や経済状況・景気動向の影響によって消費が後退してインターネット上の購買活動が縮小した場合など、インターネット広告市場の成長が阻害されるような状況や事業主が広告費用を減少させるような状況が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社が事業展開しているDX市場及びマーケティングテクノロジー関連市場では、技術革新が行われておりそのスピードが速いことから、技術革新に応じたサービスの拡充、及び事業戦略の修正等も迅速に行う必要があると考えております。そのため、当社では業界の動向を注視しつつ、迅速に既存サービスにて新たな技術を展開できる開発体制を整えております。 しかしながら、予期しない技術革新等があった場合、それに伴いシステム開発費用が発生する可能性があります。また、適時に対応ができない場合、当社の技術的優位性やサービス競争力が低下し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社の事業が属するマーケティングテクノロジー関連分野においては、市場が急拡大を遂げた背景から歴史が比較的浅く、ニーズが拡大していくに伴って、戦略コンサルティング企業、大手広告代理店、SIベンダー等が同領域に参入するなど、当社をとりまく競争環境は激化しております。 また、参入企業が増加する一方で技術の進歩が目覚しく技術革新による競争力を有した競合他社の出現によって当社の将来の競争力が低下する可能性があります。 今後、当社のサービスが十分な差別化や機能向上等ができなかった場合や、さらなる新規参入により競争が激化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 代表取締役である工藤勉は、2011年3月以降継続して当社代表者を務めており、経営方針の決定から事業運営までにおいて極めて重要な役割を果たしております。何らかの理由により業務遂行が困難になった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社では、適切な権限委譲を図るための組織整備や社内の人材育成等を行うことによって、特定人物へ依存しない経営体制の構築を進めております。 当社は、当事業年度末において、従業員100人未満の小規模な組織として効率良く事業運営を行っており、内部管理体制・業務執行体制はともに当該組織規模に応じたものとなっております。したがって、当社の役員や重要な業務を担当する従業員が退職等で流出した場合は、当社の事業活動に支障を来し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社の主要な事業・サービスの要となっているのは人材であり、各種サービスの品質向上、新たなサービスの企画・開発のためには、優秀な人材の採用・育成と定着が欠かせないものとなっております。 しかしながら、人材獲得競争の激化により、優秀な人材の獲得が事業の拡大スピードに追い付かず事業運営が非効率なものとなった場合や在職する人材の離職が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、ソフトウェアやビジネスモデルに関する特許権、実用新案権、またはサービスに係る商標権等の知的財産権の調査等は可能な限り対応しておりますが、第三者が当社の知的財産権を侵害したり、あるいは当社が意図せずに第三者の知的財産権を侵害したとして提訴されるなどの可能性があります。 このような事象等により係争問題が発生した場合には、多額の費用及び経営資源が費やされ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため当社では、他社との差別化及び競争上の優位性確保のため、特許等の獲得と保護に努め、また、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な調査のもとにサービス開発を行ってまいります。 当社がサービスを提供する事業活動のデジタル化の領域においては、クライアントの機密情報や個人情報を取得することから、秘密保持契約等によって守秘義務を負っております。厳重な情報管理の徹底及び従業員への守秘義務の徹底をしておりますが、何らかの理由によりこれらの機密情報や個人情報が外部に漏洩した場合、当社の信用失墜等によって、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス及びリスク管理を経営の重要課題のひとつと位置づけ、内部統制システムの適切な運用に努め、同システムの充実・強化を継続的に図っております。 しかし、適切な管理体制のもとで役職員の不正及び不法行為の防止に万全を期しているものの、万が一不正及び不法行為が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は現在成長過程にあり、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておりません。当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しておりますが、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がるものと考えております。 内部留保資金につきましては、財務体質の強化を図るとともに、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、将来の事業展開のための財源として利用していく予定であります。 将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益配分を検討しますが、配当実施の可能性及びその実施時期については現時点において未定であります。 なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。 当社は、当社取締役及び従業員等に対して、当社の新株予約権を付与しており、さらに将来付与する可能性も含め、新株予約権が行使された場合、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおり、本書提出日の前月末現在における潜在株式数は、736,000株であり、本書提出日の前月末現在における発行済株式総数5,232,500株の14.07%に相当しております。 株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、当社事業のさらなる拡大のため、当社サービスの機能強化及び安定的な稼働のためのインフラ費用、事業成長のための広告宣伝費、採用費用及び人件費等に充当する予定です。 しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。 当社のサービスはインターネット上において提供されており、大規模なプログラム不良や不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、事業の継続に支障が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は安定的なサービスの提供を実現するために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する万全の備えをしております。 当社の事業は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。そのため、これらに被害をもたらすおそれのある自然災害等が発生した場合には、当社は事業を継続することができない等の支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、当該事象が発生した場合には、適切な対応に努めますが、事業への影響を完全に防止または軽減できない可能性があり、結果として、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 2022年12月31日現在において、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社は、事業の成長による企業価値の向上を目的とし、既存事業とのシナジー効果が期待できる場合や市場における優位性の獲得が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。M&Aの実施においては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況及びM&Aに伴うリスク分析結果等を考慮し進めるように努めております。しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化が生じる、事業上若しくは戦略上の問題又は相手先企業との関係の変化等によりトップラインの成長やサービス間の相互補完、双方の顧客への既存及び獲得サービスの提供等、当初想定していた事業のシナジー効果等が得られない、買収後の事業の維持及び統合につき想定以上のコストが生じる等、買収後に想定外のリスクが顕在化する場合には、期待した投資のリターンが得られない可能性があり、これらに起因して当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、事業用のソフトウェアやのれんをはじめとする固定資産を所有しております。のれんについては、その効果の及ぶ期間にわたって規則的に償却されますが、減損の兆候が認められる場合には、のれんが帰属する事業から得られる将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することにより、減損損失の認識の要否を判定する必要があります。減損の兆候の把握や減損損失の認識及び測定については慎重を期しておりますが、事業計画や市場環境の変化等により、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額が回収可能価額まで減額され、当該減少額は減損損失として測定されます。当社が運営するサービスの収益性の低下や事業環境の悪化、競合状況の変化等の理由で、これらの固定資産から期待しているキャッシュ・フローを見込めない状況になる等の要因により、減損損失が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は事業譲受けに関連し、2022年12月期末においてのれん941百万円及びその他の無形固定資産を10百万円計上しております。また、既に実施した事業譲受に係る契約には一部アーンアウト条項が付されており、条件が適切に遂行された場合、追加的な取得対価の支払いが発生する可能性があります。 M&Aに関連するのれん及び無形資産の金額、償却方法及び償却期間については現時点において確定しておりませんが、M&Aによって生じるのれん及び無形資産の金額等は、M&Aによる期待収益及び将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと想定しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合等においては、減損損失が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。 なお、当社の事業はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、国内における入国制限の緩和など各種政策の効果により持ち直しの動きが続いている一方で、世界各国の中央銀行による相次ぐ政策金利の引き上げに加え、長期化の様相を呈するウクライナ紛争などの国際情勢不安も重なり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。 このような経営環境のもと、当社が事業を展開するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)市場及びデジタル関連IT&ビジネスコンサルティング市場においては、コロナ禍における新たなライフスタイルの確立や消費活動のオンライン化が加速したことによって、消費者のメディア接点の多様化がよりいっそう進み、これらに対応するためのデジタルシフトをはじめとしたDXへの取り組みが多くの企業において活発なものとなっており、高成長が期待される市場として注目されております。 このような状況の中、当社では前事業年度に引き続き、CX向上SaaSとして主に、クライアント企業のウェブサイトにおける顧客体験を向上し、顧客のロイヤルカスタマー化及び継続的な購買活動を促進するソリューションを提供し、これらのSaaSに加えて、長年にわたり蓄積されたCXデータとDXコンサルティングの知見を基礎に、クライアント企業が属する市場や競合の調査・DX戦略設計・マーケティングプラン策定・施策実行におけるコンサルティング及び伴走型支援等を広く提供してまいりました。 また、当社の提供プロダクト及びサービスの拡大とCXデータの質及び量の増強を図り、競争力をより高めることを目的として、2022年2月に株式会社コミクスよりSaaS事業の譲受、9月にブルースクレイ・ジャパン株式会社よりSaaS事業の譲受、11月にメディアリンク株式会社が運営するSaaS型ウェブチャットシステム「sinclo」に関する事業のうちマーケティング用途を主とした事業の譲受、12月にhachidori株式会社が運営するSaaS事業の譲受をそれぞれ実行いたしました。 この結果、当事業年度の経営成績は、譲受事業の顧客において当社既存サービスの提供を行うことによるシナジー効果等も寄与し、CX SaaS及び付随するプロフェッショナルサービス、DXコンサルティング案件の受注は順調に推移し、売上高1,071,926千円(前年同期比62.3%増)、営業利益230,745千円(前年同期比43.9%増)、経常利益225,934千円(前年同期比51.2%増)、当期純利益194,170千円(前年同期比27.5%増)となりました。 当事業年度末における資産合計は、2,863,921千円(前事業年度末843,306千円)となり、前事業年度末に比べ2,020,614千円の増加となりました。このうち、流動資産は1,359,306千円(前事業年度末752,633千円)となり、606,673千円の増加となりました。この主な要因は、現金及び預金が376,385千円、売掛金が88,655千円、未収入金が114,665千円それぞれ増加したことなどによるものです。また、固定資産は1,504,614千円(前事業年度末90,673千円)となり、1,413,940千円の増加となりました。この主な要因は、事業譲受に伴いのれんが941,344千円、繰延税金資産が424,196千円増加したことなどによるものです。 当事業年度末における負債合計は、2,133,960千円(前事業年度末351,455千円)となり、前事業年度末に比べ1,782,505千円の増加となりました。このうち、流動負債は1,048,884千円(前事業年度末205,609千円)となり、843,275千円の増加となりました。この主な要因は、買掛金が63,836千円、短期借入金が450,000千円、1年内返済予定の長期借入金が324,157千円それぞれ増加したことなどによるものです。また、固定負債は新規の借入に伴い939,230千円増加し、1,085,076千円(前事業年度末145,846千円)となりました。 当事業年度末における純資産合計は、729,960千円(前事業年度末491,851千円)となり、前事業年度末に比べ238,108千円の増加となりました。この主な要因は、当期純利益の計上等によって利益剰余金が193,782千円増加したことや、第三者割当増資による新株式の発行によって資本金及び資本剰余金がそれぞれ22,207千円増加したことなどによるものです。 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末比で376,385千円増加し、977,962千円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。 当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、58,380千円となりました(前事業年度は102,924千円の収入)。主なキャッシュ・フローの増加要因としては、税引前当期純利益218,531千円、仕入債務の増加額63,836千円、のれん償却費23,824千円、などによるものです。また、主なキャッシュ・フローの減少要因としては、未収入金の増加額114,665千円、売上債権の増加額104,030千円などによるものであります。 当事業年度における投資活動の結果支出した資金は、1,441,194千円となりました(前事業年度は16,467千円の支出)。これは主に、事業譲受による支出1,403,075千円などによるものであります。 当事業年度における財務活動の結果得られた資金は、1,756,817千円となりました(前事業年度は189,174千円の収入)。これは、長期借入金の返済による支出84,613千円があったものの、長期借入れによる収入1,348,000千円、短期借入金の純増減額450,000千円、株式の発行による収入44,225千円などがあったことによるものであります。 当社は、DXの領域における各種サービスを主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。 当社は、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。 なお、以下の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。 (繰延税金資産) 当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 (固定資産の減損) 当社は固定資産について、減損の兆候があり、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する方針です。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。 b.売上原価、売上総利益 当事業年度における売上原価は452,760千円(前事業年度比77.7%増)となりました。これは主に、顧客及び受注案件数の増加に伴い人件費及びアウトソース活用が増加したことによるものであります。結果として、売上総利益は619,165千円(前事業年度比52.6%増)となりました。 c.販売費及び一般管理費、営業利益 当事業年度における販売費及び一般管理費は388,420千円(前事業年度比58.3%増)となりました。この結果、営業利益は230,745千円(前事業年度43.9%増)となりました。これは主に、事業拡大に伴い新たな人員を採用したこと、人員増加に伴うオフィス移転により事業所費用が増加したことなどによるものであります。 d.経常利益 当事業年度において営業外収益が6,369千円(前事業年度は営業外収益1,271千円)、営業外費用が11,180千円(前事業年度は営業外費用12,205千円)発生しております。これは主に、新規借入の増加に伴う支払利息の増加などによるものであります。この結果、経常利益は225,934千円(前事業年度比51.2%増)となりました。 e.当期純利益 当事業年度において特別損失が7,403千円(前事業年度は未発生)発生しております。これは、本社移転に伴う移転費用として、有形固定資産の減価償却費及び旧本社の原状回復費用などを計上したことによるものです。また、法人税等合計24,361千円を計上した結果、当期純利益は194,170千円(前事業年度比27.5%増)となりました。 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社では、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、客観的な経営指標として売上高及び営業利益を重視しております。 当該指標につきましては、第16期事業年度(2021年12月期)は売上高660,569千円、営業利益160,400千円、第17期事業年度(2022年12月期)は売上高1,071,926千円、営業利益230,745千円となっております。 当社の資金需要が生じるものとしては、人件費、広告宣伝費、地代家賃等の運転資金のほか、事業拡大に伴う採用活動のための採用費やプロダクトの開発費であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は営業活動により得られたキャッシュ・フロー、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。 2022年2月1日開催の取締役会において、株式会社コミクスが行うSaaS事業(EFO CUBE事業、chroko事業、Butterfly事業、Growth Hack LTV事業)を当社が譲受けることを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結して、2022年2月28日付で事業の譲受をいたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。 2022年8月17日開催の取締役会において、ブルースクレイ・ジャパン株式会社が運営するSaaS事業(GORILLA-EFO)を当社が譲り受けることを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結して、2022年9月1日付で事業の譲受をいたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。 2022年10月17日開催の取締役会において、メディアリンク株式会社が運営するSaaS型ウェブチャットシステム「sinclo」に関する事業のうち、マーケティング用途を主とした事業(以下、譲渡対象事業)を当社が譲り受け、事業譲渡後は当社が「sinclo」ブランドを継承することについて決議し、 同日付で事業譲受に関する契約を締結して、2022年11月1日付で事業の譲受をいたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。 2022年11月21日開催の取締役会において、hachidori株式会社が運営するLINE活用型マーケティング・チャットボット「hachidori」及びSaaS型動画メッセージツール「recit」を当社が譲り受けることについて決議し、同日付で事業譲渡契約を締結して、2022年12月12日付で事業の譲受をいたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。 2022年11月28日開催の取締役会決議に基づき、サブスクリプションファクトリー株式会社との間で、同社が事業の一部を分割し新たに設立する、株式会社KaiUの株式を譲り受ける契約を同日付けで締結し、2023年1月31日に株式取得を実行し、株式会社KaiUを完全子会社といたしました。 また、2023年2月15日開催の取締役会において、2023年3月30日を効力発生日として株式会社KaiUを吸収合併することを決議し、吸収合併契約を同日付けで締結いたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。 2023年3月20日開催の取締役会において、株式会社SAKIYOMIが新設分割の方法で2023年4月17日に新たに設立予定である新会社の全株式を取得して子会社化することを決議し、新会社の株式を譲り受ける契約を同日付けで締結いたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。 当社は、DX事業において、SaaS型ソフトウェアとして、Web接客ツール「CODE Marketing Cloud」を中心にマーケティング運用ツールの提供を行っておりますが、DX推進における市場ニーズを取り込むべく新たな機能と製品の開発活動を行っており、当事業年度における研究開発費の総額は100千円となっております。 なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
株式会社アピリッツ
# 株式会社アピリッツ 当社は、2000年7月の設立以来、ECサイトやWebシステムの構築等を行うWebソリューション事業を展開してまいりました。さらに、2010年11月からはPC向けオンラインゲーム事業、2014年3月からはスマートフォン向けオンラインゲーム事業を行っております。なお、2012年6月に商号を株式会社アピリッツに改め、現在に至っております。 株式会社ケイビーエムジェイの設立以降の沿革は、次のとおりであります。 当社グループは、「ザ・インターネットカンパニー」という理念に基づき、「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」ことを目指し、デジタルトランスフォーメーション時代に対応し進化したデジタル技術を用いて顧客のサービスひいては人々の生活をよいものへ変革するという考え方の基に事業を展開しております。具体的には、これまで蓄積してきた技術力に基づき、Webソリューション事業、オンラインゲーム事業、デジタル人材育成派遣事業を展開し、様々なニーズに対応できる体制づくりと収益拡大を図っております。 各事業の内容は下記のとおりであります。 なお、次の各事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 当社グループは、顧客企業のECサイトやWebシステムの企画、要件定義、設計、開発、保守・運用のすべての工程を自社内で対応することができるため、顧客が各工程を複数の企業に依頼するのに比べて、安価かつスピーディーな開発を可能としています。また、デジタルマーケティングの支援サービス、セキュリティ診断サービス等も提供しており、デジタルトランスフォーメーションが推進される中において現状のビジネスをデジタル化したいと考えている顧客のニーズに合わせた支援を行っております。とりわけAWS(Amazon web service)を利用した大規模システムの構築にも力を入れており、設計導入・活用実績は多岐にわたります。 また、2022年1月に株式会社ムービングクルーを子会社化し、エンターテインメント事業の分野におけるデジタル化支援も進めております。 企画、要件定義、設計、開発、保守・運用というWebシステム構築の上流工程から下流工程の各分野をワンストップでサポート。Amazon web service(※1)の導入・設計・運用・保守のトータルサポートの実績も多数。 ECサイト(※2)の新規構築やリニューアルなど、様々な構築に対応するECソリューションサービス。 デジタルビジネスのプラットフォーム化を促進すべくスマートフォンアプリの総合開発を提供。 ECサイト内において商品等のキーワード検索ができる検索ASP(※3)サービス。 ユーザーのアプリ内行動を分析し、効果的なプッシュ通知配信を行うSaaS型ソリューション。 実店舗からのデジタルシフトを促進するデジタルマーケティング運用支援(※4)を提供。 定性的なユーザビリティ調査と、アクセス解析により、Webサイトの効果的な動線設計・UI設計・デザイン制作を実施。 Googleアナリティクス(※5)の設定支援や、Webサイト改善提案を行うだけではなく、お客様の社内にデータサイエンティストを育成し、分析チームを構築する。 多数のWebシステム開発、運用経験から得たノウハウを活かし、脆弱性診断(セキュリティ診断)やサイバー攻撃、情報漏えいにも対応できるセキュリティ対策の強化をトータルに支援。 オンラインゲーム事業では、当社名で提供するゲームの企画から開発・運営を行う「自社ゲーム開発」、パートナー企業名で提供されるゲームの企画から開発・運営を請け負う「パートナーゲーム開発」を展開しております。 「自社ゲーム開発」では、自社のオンラインゲームプラットフォームである「Appirits Games Project」及び他社オンラインゲームプラットフォームである「Google Play、App Store」を通じてオンラインゲームを無料で提供し、ゲーム内のアイテム課金等により収益を得ております。キャラクターデザイン、シナリオ作成、開発、運営を当社が一貫して行うことにより、オンラインゲーム制作にかかるノウハウを蓄積しております。PC版、スマートフォン版のゲームを作成してきましたが、近年では、技術難易度の高いスマートフォン向けゲームの開発が中心となっております。 「パートナーゲーム開発」では、ゲーム企画のプランニングやレベルデザイン、同時大量接続の処理技術など自社ゲームの開発・運営によって培ってきたノウハウをもとにパートナー企業のオンラインゲームの受託開発・運営(運営移管含む)を行っております。開発請負、リリース後の運営により売上増加に伴う顧客からのインセンティブ収益を得ております。 また、顧客から派遣人員の要請があった場合においても、デジタル人材育成派遣事業と連携し、迅速に顧客のニーズに応えられる体制となっております。 これらを組み合わせることで、社内のノウハウを循環させ、ボラティリティが高いとされるゲーム事業においても安定的な収益確保ができる事業体制の構築に取り組んでおります。 『ゴエティア-千の魔神と無限の塔-』の魔神たちが登場するマルチプレイRPG。神との戦いに敗れ荒廃した世界を舞台に、新たな「ゴエティア」の世界が展開される。 トライフォート社より当社へ運営移管したタイトル。 天下分け目の決戦と言われた「関ヶ原の戦い」をモチーフにした戦国ソーシャル育成カードゲーム。 トライフォート社より当社へ運営移管したタイトル。 魏・呉・蜀の三国が争覇した、群雄割拠の三国時代の歴史である、世界中で人気の三国志をモチーフとした三国ソーシャル育成カードゲーム。 トライフォート社より当社へ運営移管したタイトル。 日本史上にキラ星の如く輝く志士・剣士たちが「開国」と「攘夷」、「倒幕」と「佐幕」に分かれて争った幕末を舞台とした幕末ソーシャル育成カードゲーム。 セガ社より当社へ運営移管したタイトル。 巨大総合動物園「ジャパリパーク」が舞台のコマンドバトルRPG。「セルリアン」の急増したパークの危機を守るために、ジャパリパーク保安調査隊、略して「探検隊」が様々な場所を冒険します。 「破壊」と「創造」をテーマに、主人公と仲間たちが活躍する本格群像劇RPG。 アカツキ社より当社へ運営移管したタイトル。 櫻坂46・日向坂46を応援する(公式)音楽ゲームアプリ。 櫻坂46・日向坂46のライブ映像でリズムゲームを楽しめます。 アプリ限定の撮り下ろしメンバーフォトやムービーなどアプリ内限定コンテンツを多数収録。 デジタル人材育成派遣事業は、これまでWebソリューション事業及びオンラインゲーム事業にそれぞれ備わっていた、デジタル人材の派遣機能及び2022年7月に子会社化した株式会社Y'sを統合して新たに立ち上げた事業です。顧客からのデジタル人材の派遣要請があった場合、当該プロジェクトを遂行できる人員を当社から派遣し、その対価として収益を得ております。派遣人員の採用強化と技術力向上によるは派遣単価の向上により収益拡大を図ってまいります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「ザ・インターネットカンパニー」という理念のもと、「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」ことを目指しデジタルトランスフォーメーション時代に対応し進化したデジタル技術を用いて顧客のサービスひいては人々の生活をよいものへ変革するという考え方の基に事業を展開しております。 その実現に向けてWebソリューション事業、オンラインゲーム事業、デジタル人材育成派遣事業を展開し、インターネットを利用して実現できる様々なサービスを提供することにより、顧客の生活やビジネスに変革をもたらし、企業価値の最大化を図ります。 当社グループは、事業規模の拡大と収益性の向上を重要な課題と認識しており、特に売上高及び営業利益とその成長率を重要な指標としております。また、資本効率を判断する指標として自己資本利益率(ROE)を重要な指標と位置付けております。また、それらの源泉となるエンジニア数、単価、顧客継続率も重視しております。 当社グループが属する情報サービス業界は、オンラインサービスの拡大とデジタルトランスフォーメーションの推進によるデジタル化の流れを受け、システムの受託開発市場においても拡大しました。また、オンラインゲーム業界においても、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要やゲーム実況解説動画の活況により市場が拡大する結果となりました。そうした市場の拡大傾向が続く一方で、経済産業省の調査によると2030年にはIT人材が最大79万人不足する見込みとなっており、慢性的なIT人材不足の対応を講じる必要があることも明らかになっています。デジタル人材育成派遣事業は、こうしたIT人材不足に対して企業にとって柔軟な対応を選択するための選択肢としての役割を果たすべく事業を展開しており、今後ますます需要が高まるものと考えております。 当社グループは、中長期的には、規模の拡大を図っていくことを経営上の目標とし、既存事業の安定的成長と、新規事業の確立を両軸として、規模の拡大を図ります。 国内のインターネット社会は、通信環境やAI、IoTをはじめとする様々な分野での技術革新、日本社会全体で実施されているデジタル化への取り組み等の動きは、引き続き継続するものと見られています。 変わりゆくインターネット社会に、当社グループ内の技術力・クリエイティビティを適応させることにより、顧客にとって価値のあるサービスを提供することを通じて、社会とともに成長し続けてまいります。 その推進にあたり、下記の事項を対処すべき課題として捉え、対応に取り組んでおります。 通信技術やAIの進化、インターネットを基盤技術とする各種技術の急激な進化に伴い、インターネット利用者がインターネット関連サービスに期待することも大きく変化していくことが予想され、当社グループにおいてもこの変化に柔軟に対応していくことが今後の成長において必要不可欠であると認識しております。そのため、各種技術の進化とそれに伴う市場ニーズの変化を的確に把握・予測し、当社グループのサービス向上、新規開発に結びつけるよう努めてまいります。 当社グループが継続的に成長し続けるためには、インターネット関連技術に関して、デジタルトランスフォーメーション時代に対応し進化した高いデジタル技術力と柔軟性を維持し続けることが重要であると認識しております。そのために、高いスキルを備えた人材やデジタルネイティブな若い人材の確保及び育成が必要不可欠であり、当社グループでは当該人材の採用を積極的に行い、中途採用及び新卒採用を継続的に行っております。また、優秀な人材確保のためにM&Aを積極的に行うことも選択肢の1つとしております。さらに、優秀な人材の定着を促進するため、ワークライフバランスの充実、働き甲斐のある職場環境の構築に引き続き努めるとともに学習循環を活かして、既存社員を含めた社員の教育、育成に注力してまいります。 当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、内部管理体制の充実に努めてまいります。 当社グループは、成長戦略の一環としてM&Aを推進しております。M&Aを検討する際には、当社グループ事業とのシナジー、事業戦略との整合性、買収後の収益性、買収プロセスの透明性、買収後の統合効果を最大化するプロセス(PMI)等に留意しております。今後も、M&Aを推進し、より一層の事業拡大を図ってまいります。 当社グループは、社会的責任としてサステナビリティ経営が重要な課題であると認識しております。当社グループは、サステナビリティ経営の基本となるESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みの開示強化を積極的に進めており、事業活動を通じて地球環境問題解決への貢献、多様性豊かな社会づくりのための活動、透明性の高い経営環境の確保に繋がるよう努めてまいります。 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。しかし、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行っていただく必要があると考えております。 本項記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループが属するインターネット業界は変化の激しい業界であり、事業に関連する技術革新のスピードが早く、顧客のニーズも日々急速に変化しております。したがって、これらの業界に属する事業者は、多様な顧客ニーズに応えるべく、常に新しい技術やイノベーティブな取り組みをキャッチアップし、また、応用していくことが求められます。 当社グループは、技術革新や顧客ニーズの変化に対応すべく、技術力向上や顧客ニーズの把握に努めておりますが、これらの変化に適切に対応できない場合は当社グループの競争力の低下を招き、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが事業展開しているオンラインゲーム業界においては、オンラインゲームの供給会社が多数存在しております。このような中、当社グループではゲームタイトル開発に際し、競合他社との差別化を図るべく、時代の潮流を見据えた企画の立案及び高い技術力を用いた開発を実施し、ユーザーのニーズに合った魅力あるゲームタイトルを提供するよう努めております。 しかしながら、今後当社グループが提供するゲームタイトルがユーザーに支持されず、又は競合他社との競争激化に伴い、当社グループが提供するゲームタイトルのユーザー数及び収益が著しく減少した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、今後も事業規模・サービスの拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業・サービスの創造に取り組んでいく方針であります。 しかしながら、新規事業・サービスの開始に際しては、当社グループにおいて研究開発及びシステム開発に係る人員不足、技術力不足その他の要因により、事業立ち上げ等に想定以上の時間と費用を要する場合や事業拡大及び収益獲得が当初の想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループのオンラインゲーム事業においては、自社ゲーム及び他社ゲームの継続的な開発が重要な戦略となっております。当社グループは、ユーザーの期待に応えられるようなゲームタイトルの開発・運営に努めており、ユーザーの嗜好の変化等を継続的に確認し、その時々のニーズに合致するような要素を開発期間中に追加したり、様々なゲーム内イベント等を運営期間中に実施したりすることで、ゲームのクオリティやユーザー満足度の維持向上を目指しております。 しかしながら、ゲーム開発には多額の先行投資がかかる一方で、競合企業の新作ゲームタイトルのリリースやユーザーの嗜好の変化により開発した新規ゲームタイトルが想定通りの売上を達成できる保証はなく、開発凍結やサービス停止を決定する可能性があります。また、新規ゲームタイトルのリリース時期については、ゲームのクオリティ向上等のための追加開発や、何らかの不具合発生等により開発期間を延長し、リリース時期を変更する可能性があります。 これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 PCやスマートフォンの普及に伴い、昨今では未成年者のユーザーも増加しております。当社グループが運営するゲームタイトルでは、ゲーム内で有料アイテムを販売しており、アイテムを購入する際には、クレジットカードの利用や通信キャリア決済、又はプリペイドカードを利用するなど決済手段がいくつか存在します。特に家族の端末を利用したクレジットカード決済においては、未成年者が誤って有料アイテムを購入すること等により多額の請求が発生するなど、課金に関するトラブルが発生する可能性があります。 当社グループはこうした課金トラブルを防ぐため、自社サイト内で注意喚起を行うなど、サイトの健全性・安全性を維持することに努めておりますが、このような課金トラブル等が、運営するゲームタイトルで発生した場合、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 近年、オンラインゲームにおいて一部の悪質なユーザーがリアル・マネー・トレード(RMT)(注)によってアイテム等の譲渡を行うことでゲームの安全性・健全性が阻害されるという問題が発生しております。 当社グループでは、利用規約でリアル・マネー・トレードの禁止を明記するとともに、違反者に対してはゲームの利用停止や強制退会等の厳正な対応を講じる方針であることを明確にしております。 しかしながら、当社グループに関連するリアル・マネー・トレードが大規模に発生、又は拡大した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 オンラインゲーム事業における他社ゲーム開発では、提携先から開発費用・固定運営収入・レベニューシェアという収益を受領しております。 当社グループの運営するゲームタイトルは決済代行会社を通じて売上の回収を行っており、また、自社ゲーム開発による当社ゲームタイトルは大手プラットフォーム事業者を中心に、複数のプラットフォーム上において各社のサービス規約に従いサービスを提供しております。 当社グループは、提携先、決済代行会社及びプラットフォーム運営会社とは良好な関係を維持しておりますが、今後何らかの要因により契約継続が不可能となる場合や、手数料率の変更等が行われた場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが運営するソーシャルゲームは、有料アイテム・コンテンツを購入して利用することが可能であることから「資金決済に関する法律」の適用を受けており、その法律に沿った運用を行っております。 また、当社グループが運営する人材派遣事業は、厚生労働省が指定する「労働者派遣事業」に該当し、厚生労働大臣の認可が必要であります。当社グループでは関係法令の遵守に努め労働者派遣を行っております。 なお、当社グループが事業であるシステム開発やコンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の適用対象となります。 その他、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」等の種々の法令の規制を受けております。当社グループは、事業に関係する法的規制の把握に努め、法令を遵守し事業を行っておりますが、万が一法令に違反するような事象が発生したような場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが属するオンラインゲーム業界では過去にランダムに入手するアイテムやカードを特定種類そろえることで希少なアイテムやカードを入手できる所謂「コンプリートガチャ」における課金方法が不当景品類及び不当表示防止法に違反する見解が2012年7月に消費者庁より示され、業界各社の業績に大きな影響を及ぼしました。当社グループでは業界団体JOGAによる自主規制、対応を遵守し対応に当たっておりますが、今後社会情勢の変化によって既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制が行われた場合には著しく制約を受け、影響を受ける可能性があります。 当社グループは、当連結会計年度末現在において、重要な訴訟を提起されている事実はありません。事業運営に係る各種リスクの軽減に努めるとともに、法的リスクに対応できる内部管理体制の構築を進めて参ります。しかしながら、当社グループが保有する個人情報の管理不徹底等の人為的ミスの発生、第三者からの不正アクセスによる情報流出又はシステム障害及び当社グループの提供したサービスの不備等に起因して、訴訟を受ける可能性があります。受託開発業務においては、納品遅延、瑕疵担保対応などによる損害賠償請求等の訴えを起こされる可能性があります。その訴訟の内容及び結果、損害賠償の金額によっては当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、将来の新規事業分野への参入や事業拡大のため、M&A等の投資活動を行っております。 M&Aにあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味した上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、企業買収等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わります。 当社グループが営むWebソリューション事業においては、委託を受ける開発・保守運用業務等の中で、顧客が保有する個人情報・機密情報を取り扱う場合があります。また、オンラインゲーム事業においても、事業の性質上、多くのユーザーの個人情報を保有しております。当社グループは個人情報を取り扱う企業として、「個人情報の保護に関する法律」や関連法令等の遵守に努め、個人情報に関する従業員の継続的な教育・研修を行っております。 また、当社は、2007年1月に「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項(JISQ15001)」を満たす企業として、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より「プライバシーマーク」付与の認定を受け、2年ごとに更新認定を受けております。 当社グループは、取り扱う情報のセキュリティ・管理体制には万全を期しておりますが、万が一個人情報や機密情報が外部に流出した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、受託業務や運営するゲームタイトルにおいて、第三者の知的財産権の侵害を行わないよう努めておりますが、万が一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払い等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社グループが申請した知的財産権が認可されない可能性もあります。 こうした事態が発生した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、オンラインゲーム事業を推進する上で、ゲームタイトルの開発を行っており、当該ゲームタイトルの開発費用は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にしたがってソフトウエアとして資産化し、リリース時から減価償却費を計上しております。 会計上において資産化したソフトウエアは、何らかの理由により開発を中止したり、リリース後において収益性が著しく低下する場合等には、減損損失を認識することとなり、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、オンラインゲーム事業において、海外パートナーと連携しオンラインゲームの海外展開を図っております。しかしながら、海外展開においては、各国における市場動向、政治・経済、文化の違いや、現地の法的リスクや債権の回収リスクなど、国内取引以上に高いリスクが存在することは否めず、このようなリスクが顕在化した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、海外展開を行っているため、一部の取引について外貨建での決済を行っております。そのため、為替レートの変動によっては損失が生じる可能性があります。 本書提出日現在においては、全社の取引高に占める外貨建の取引の割合が小さいため、為替変動が当社グループに与える影響は少ないと考えておりますが、今後海外展開が進んだ場合は、為替レートの変動等が、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが提供する事業はネットワークシステムを利用しているため、自然災害、コンピューターウィルス、サーバーへの過重負荷、外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入などの不測の要因によってシステムがダウンする可能性があります。 当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステム強化・セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるようバックアップの体制を整えております。 しかしながら、万が一システムトラブルに当社グループが適切に対応できなかった場合、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。また、システムの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し、売上の低下や当社グループに対する損害賠償請求等が発生する場合も想定されます。 このような場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 Webソリューション事業における受託開発業務においては、開発工数が当初の予定より大幅に増加するリスクがあります。当社グループは、このような事態を発生させないように適切な工数計画の策定、工数管理及び品質管理を行っていますが、開発中に顧客の要求する仕様が大幅に変更されたり、予期し得ない不具合が発生したりした場合等には、開発工数が大幅に増加し、採算が悪化する等、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが受託開発した成果物については、通常、顧客に対して契約不適合責任を負います。当社グループは品質管理を徹底しておりますが、予期せぬ不具合等が発生した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 Webソリューション事業及びオンラインゲーム事業における受託開発業務においては、顧客側の検収作業遅延等により、想定どおりに収益を計上できず、計上時期が決算期末を越える「期ズレ」が発生する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、地震等の自然災害の発生等を想定したリスク管理体制を整備しております。しかしながら、当社本店所在地は東京都にあり、他の地域に拠点を分散しておりません。このため、東京都において大地震、台風等の自然災害や火災等の事象により、業務の遂行が困難となった場合や設備の損壊、電力供給の停止又は制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社代表取締役社長である和田順児は、当社の経営方針・事業戦略の決定・遂行においても重要な役割を果たしております。 当社は、人材の採用・育成、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化、職務の分掌を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。 しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが、今後更なる成長を果たすためには、優秀な人材の採用及び育成を継続的に実施し、開発体制の強化及び営業力の向上等を図っていく必要があると考えております。 当社グループは、引き続き優秀な人材の採用及び育成を継続していく方針でありますが、今後、必要な人材の確保が計画と大幅に乖離した場合、人材の流出が生じた場合及び当社グループが求める人材の育成ができなかった場合、開発体制の強化及び営業力の向上等が想定どおりに実現しなかった場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、当社役員及び従業員(元役職員を含む)に対し、新株予約権を付与しております。2023年3月末現在における新株予約権による潜在株式数は435,200株であり、発行済株式総数4,133,700株の10.5%に相当します。これらの潜在株式となる新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 株式上場時の公募増資による調達資金の使途につきましては、設備投資資金として社内管理システムへの投資、開発体制強化に伴う開発人員の人件費の増加分及び当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費に充当する予定であります。 しかしながら、当初の計画に沿って資金を充当した場合でも、想定通りの投資効果を上げられない可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による規制が徐々に緩和され、社会経済活動も緩やかに持ち直しが見られましたが、急激な円安による為替相場の変動やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源・エネルギー価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループが属するインターネット業界・オンラインゲーム業界においては、大手企業を中心に「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」によりビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる新たなデジタル化の流れが引き続き力強いものとなっております。加えて、感染症対策としてのリモートワークの環境整備等、デジタル化がもたらす新しい生活様式への対応など、ITに対する底堅いニーズがあります。 こうした経営環境の中、当社グループは「ザ・インターネットカンパニー」というビジョンのもと、「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」をミッションに掲げ、その実現に向けてWebソリューション事業、オンラインゲーム事業、デジタル人材育成派遣事業を展開し、DXの追い風のもと収益拡大を図っております。 オンラインゲーム事業においては、2021年8月に運営移管した「けものフレンズ3」及び2022年6月に運営移管した「アルカ・ラスト」について、当初計画した2年間での投資回収については、期間内での回収が難しいとの判断に至ったため、40,821千円の減損損失を計上しております。このうち「けものフレンズ3」については減損によりのれん償却の負担額が無くなるため、今後の運営計画においては利益確保が見込める事から運営を継続してまいります。 また、当社グループが成長戦略として掲げるM&A戦略も積極的に実施し、2022年1月にファンコミュニティサイトの企画・開発・運営事業を手掛ける株式会社ムービングクルーを、2022年7月にIT人材派遣事業及びWEB制作を手掛ける株式会社Y'sをそれぞれ完全子会社化し、デジタル人材の確保・育成と事業領域の拡大に取り組んでおります。なお、第2四半期連結会計期間より、デジタル人材育成派遣事業を新たなセグメントとして区分し、デジタル人材不足の社会的な課題に対するソリューションとなれるよう取り組んでおります。 以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高7,323,080千円(前年同期比52.70%増)、営業利益462,783千円(前年同期比98.4%増)、経常利益445,145千円(前年同期比102.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益210,206千円(前年同期比92.5%増)となりました。 当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。 なお、第2四半期連結会計期間より、セグメントを従来の「Webソリューション事業」「オンラインゲーム事業」に、新たに「デジタル人材育成派遣事業」を加えた3つのセグメントに変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」の「1 報告セグメントの概要(3)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。また、前期との比較は変更後の報告セグメントに組替えて行っております。 なお、売上高及びセグメント利益は、期首にセグメント変更があったものとみなして算定しております。 Webソリューション事業においては、顧客のニーズに合わせたサービス設計から開発・保守までの一連の流れで業務を請け負うことによりロイヤリティループを形成し、継続受注や複合サービスの提供案件を順調に伸ばすことができました。また、大型案件の件数も順調に増加しており、それにともない受注単価も着実に伸長しております。新規の問合せも業務のDX化の流れを受けて増加しており、Webソリューション事業全体の業績は順調に推移してまいりました。 この結果、当連結会計年度における売上高は2,876,925千円(前年同期比33.6%増)、セグメント利益は837,253千円(前年同期比50.9%増)となりました。 この結果、当連結会計年度における売上高は3,218,695千円(前年同期比45.0%増)、セグメント利益は145,240千円(前年同期比5.0%減)となりました。 派遣人員の採用及び教育を戦略的に行い、質の高いデジタル人員を顧客に提供できた結果、当連結会計年度における売上高は1,227,459千円(前年同期比190.9%増)、セグメント利益は94,618千円(前年同期比61.9%増)となりました。 また、財政状態は次のとおりとなりました。 当連結会計年度末の資産合計は、4,198,509千円と前連結会計年度末に比べて1,382,652千円の増加となりました。流動資産は1,137,407千円増加し、3,286,052千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加383,263千円、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は売掛金)の増加651,599千円、仕掛品の減少95,885千円等によるものであります。固定資産は245,244千円増加し、912,456千円となりました。これは主に、のれんの増加96,410千円、その他の無形固定資産の増加69,380千円、繰延税金資産の増加71,499千円等によるものであります。 当連結会計年度末の負債合計は、2,077,205千円と前連結会計年度末に比べて1,185,888千円の増加となりました。流動負債は693,270千円増加し、1,578,086千円となりました。これは主に、買掛金の増加224,867千円、未払金の増加235,609千円、1年内返済予定の長期借入金の増加103,686千円、未払法人税等の増加213,621千円、契約負債(前連結会計年度は前受金及び前受収益)の増加108,720千円、短期借入金の減少300,000千円等によるものであります。固定負債は492,618千円増加し、499,118千円となりました。これは主に、長期借入金の増加491,000千円等によるものであります。 当連結会計年度末の純資産合計は、2,121,303千円と前連結会計年度末に比べて196,763千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が210,206千円増加、新株予約権の行使による新株発行に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ30,782千円増加した一方で、配当金の支払により利益剰余金が40,252千円減少、自己株式の取得57,029千円が生じたこと等によるものであります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,822,398千円と前連結会計年度末に比べて383,263千円の増加となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は、535,672千円と前連結会計年度末に比べて228,016千円の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益402,208千円、未払金の増加204,140千円、仕入債務の増加118,477千円、のれん償却額110,275千円があった一方で、売上債権及び契約資産の増加406,765円があったこと等によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は、254,915千円と前連結会計年度末に比べて171,514千円の減少となりました。これは主に事業譲受による支出が150,000千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出55,638千円、有形固定資産の取得による支出43,320千円があったこと等によるものであります。 財務活動の結果得られた資金は、102,503千円と前連結会計年度末に比べて422,522千円の減少となりました。これは主に長期借入れによる収入650,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入61,564千円があった一方で、短期借入金の減少額300,000千円、社債の償還による支出155,300千円、自己株式の取得による支出59,646千円があったこと等によるものであります。 当社グループは、デジタル人材育成派遣事業のセグメント区分にて人材関連事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため省略しております。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。 これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うために、実際の結果はこれらとは異なる可能性があります。 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。 Webソリューション事業においては、業務のDX化の追い風を受け、顧客のデジタルトランスフォーメーションに向けての取り組みを実現するパートナーとして新規案件の獲得に努め、あわせてエンジニア採用と教育を継続的に行ってきた結果、増収となりました。オンラインゲーム事業では、大規模セカンダリ案件である「UNI'S ON AIR(ユニゾンエアー)」の運営移管が行われたことなどが増収につながりました。デジタル人材育成派遣事業においては、派遣人員の増加により順調に成長したことに加えて、2022年7月に子会社となった株式会社Y'sが貢献し増収となりました。 その結果、当連結会計年度の売上高は7,323,080千円となりました。 Webソリューション事業では、エンジニアの技術力向上により、より大型の案件受注が可能となり、それにより受注単価も順調に上昇し、当社グループの事業においては、エンジニアを中心としたデジタル人材を事業の源泉と考えており、中途採用に加えて新卒採用についても積極的に行い、増加する受注案件に対応できる組織作りに努めました。 オンラインゲーム事業においては、運営体制の適正化による外注費等の抑制を図ることに努めました。 その結果、当連結会計年度の売上原価は5,568,376千円、売上総利益は1,754,704千円となりました。 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,291,921千円となりました。主な内訳は、給料手当が312,492千円、支払手数料が138,113千円、賞与引当金繰入額が11,376千円であります。 その結果、当連結会計年度の営業利益は462,783千円となりました。 営業外収益は、受取手数料等により1,466千円となりました。営業外費用は、和解金等により19,104千円となりました。 その結果、当連結会計年度の経常利益は445,145千円となりました。 当連結会計年度において、オンラインゲーム事業においては、2021年8月に運営移管した「けものフレンズ3」及び2022年6月に運営移管した「アルカ・ラスト」について、当初計画した2年間での投資回収については、期間内での回収が難しいとの判断に至ったため、減損損失を40,821千円計上しました。また、法人税、住民税及び事業税を223,379千円、法人税等調整額を△31,378千円計上しております。 その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は210,206千円となりました。 財政状態の分析内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの財務政策は、安定的な運用を行うことを基本方針としております。 運転資金及び将来の事業拡大を目的にした投資資金の財源については、自己資金及び銀行からの借入金を財源としております。 当社グループは、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するために、安定的で成長性の高いWebソリューション事業における売上高及び契約継続率を重要な指標としております。Webソリューション事業の売上高については、2018年1月期が1,190百万円、2019年1月期が1,272百万円、2020年1月期が1,425百万円、2021年1月期が1,824百万円、2022年1月期が2,184百万円、2023年1月期が2,876百万円と安定的に増加しており、契約継続率については、2023年1月期においては、前年度からの契約継続の顧客が78.4%となっております。 今後更に顧客満足度を上げて継続率を高めるために、開発のみの単発受注ではなく、こちらから積極的に分析・戦略立案といったサービス設計を行い、その流れで企画、開発、保守、また次の提案へと繋がる所謂ロイヤリティループを引き続き発生させることで売上高の安定化を図るとともに継続成長を実現させる戦略であります。 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場ニーズや内部環境及び外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に実施し、現在及び将来における内部環境及び外部環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。 当社は、2022年6月30日、会社法第370条及び当社定款第25条第2項(取締役会の決議に替わる書面決議)の規定による決議によって、株式会社Y'sを完全子会社とするため、株式を取得することを決議するとともに、同日付にて株式譲渡契約を締結し、2022年7月1日に全株式を取得しました。 なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)(子会社株式の取得)」に記載しております。 当社は、アカツキ社が運営主体である「UNI'S ON AIR(ユニゾンエアー)」の共同運営権を取得することに関する契約を2022年6月30日付で締結しました。 なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)(重要な事業の譲受(共同運営権の取得))」に記載しております。 当社グループでは、オンラインゲーム事業において、自社が企画・開発・運営する新作オンラインゲームの開発について、β版の完成までにかかる費用を研究開発費として処理しております。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、117,963千円であります。 今までとは違う革新的な新しいオンラインゲームを開発する。 2024年1月期にリリース予定の新作タイトルの開発を行っております。
株式会社MORESCO
# 株式会社MORESCO 当社グループは、当社(株式会社MORESCO)、連結子会社14社および、持分法適用関連会社2社により構成されており、化学品(特殊潤滑油、合成潤滑油、素材、ホットメルト接着剤、エネルギーデバイス材料)の製造・販売を主な事業としており、主要製品は以下のとおりであります。 当社グループのセグメントは、製造・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「中国」、「東南/南アジア」および「北米」の4つを報告セグメントとしております。 日本国内では当社が主要製品の製造・販売を行っております。なお、自動車用ブレーキ液・不凍液はエチレンケミカル株式会社が製造・販売を行っております。 中国では無錫德松科技有限公司および莫莱斯柯花野圧鋳塗料(上海)有限公司が特殊潤滑油を製造しており、無錫莫莱斯柯貿易有限公司および莫莱斯柯貿易(浙江)有限公司が販売しております。また、天津莫莱斯柯科技有限公司がホットメルト接着剤を製造・販売しております。なお、莫莱斯柯(浙江)功能材料有限公司が特殊潤滑油の製造・販売に向けて工場を建設中です。 東南/南アジアではタイにおいて、MORESCO(Thailand)Co.,Ltd.が特殊潤滑油を製造・販売しており、ホットメルト接着剤を輸入販売しております。インドネシアにおいて、PT.MORESCO INDONESIAが特殊潤滑油を製造・販売しており、PT.MORESCO MACRO ADHESIVEがホットメルト接着剤を製造・販売しております。また、インドにおいて、MORESCO HM&LUB INDIA PRIVATE LIMITEDが、特殊潤滑油およびホットメルト接着剤を製造・販売しております。 北米では米国において、MORESCO USA Inc.が特殊潤滑油および合成潤滑油を製造・販売しております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。 当社製造の廃水処理剤を販売している。 事務所を賃借している。 当社製造販売の作動油の潤滑油管理(試験・分析)を行っている。 事務所、分析機器の一部を賃借している。 当社冷熱媒体および熱間鍛造潤滑剤の生産を行っている。 当社潤滑油のライセンス生産およびその販売を行っている。 当社潤滑油のライセンス生産およびその販売を行っている。 莫莱斯柯花野圧鋳塗料(上海)有限公司および無錫德松科技有限公司でライセンス生産された当社潤滑油を販売している。 当社ダイカスト用油剤のライセンス生産を行っている。 莫莱斯柯花野圧鋳塗料(上海)有限公司および無錫德松科技有限公司でライセンス生産された当社潤滑油を販売している。 当社潤滑油のライセンス生産およびその販売を行う予定である。 当社ホットメルト接着剤のライセンス生産およびその販売を行っている。 当社潤滑油のライセンス生産およびその販売を行っている。 当社ホットメルト接着剤のライセンス生産およびその販売を行っている。 当社潤滑油およびホットメルト接着剤のライセンス生産を行っている。 当社潤滑油およびホットメルト接着剤のライセンス生産を行っている。 当社グループには労働組合として、国内ではMORESCO労働組合とマツケン労働組合があり、株式会社MORESCO従業員(子会社および関連会社への出向者を含む。)はMORESCO労働組合に、株式会社マツケン従業員はマツケン労働組合に所属しております。MORESCO労働組合については、事業所別に支部が置かれ、提出会社の本社に組合本部が置かれております。2023年2月28日現在における各組合への加入者数は、MORESCO労働組合が271名、マツケン労働組合が16名であります。当社グループの労働組合はいずれの上部団体にも加盟しておりません。また在外連結子会社の一部においては労働組合があります。なお、いずれも労使関係は安定しており、特筆すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、経営理念である「ユーザーのための研究開発」をモットーに、境界領域(モノとモノとの接点における摩擦や磨耗など)におけるニーズに応えることによって、社会に貢献できる企業を目指してまいりました。現中期経営計画(2021~2023年度)においては、次の5項目を中期経営方針に掲げております。 ① 当社グループの経営資源を最大限活用し、持続可能社会の実現に貢献する。 ② 営業と開発の強みを相互に活かし、事業の付加価値向上と新事業分野へのチャレンジを加速する。 ③ 継続的な技術革新によりものづくりの競争力を強化し、製造原価の低減と品質の向上を図る。 ④ 管理部門の抜本的な改革により業務効率の改善を図り、MORESCO流働き方改革を推進する。 ⑤ コンプライアンス・リスクに対して高い意識をもち、ステークホルダーの信頼を高める。 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束しつつある中、社会経済活動の回復が期待できる状況にあります。一方、世界経済は昨年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻から1年以上が経過しましたが、収束の兆しが見えず情勢は予断を許しません。また、米国・欧州等における金融情勢の不安定さ、日本においても物価の上昇傾向が顕著であることから、経済情勢の不透明感には注視を要します。 一昨年の下期以降、上昇し続けていた原材料価格は、目下のところ落ち着きを見せていますが、販売価格への転嫁を継続し、利益確保に努めてまいります。 当社は事業の付加価値向上と持続可能社会の実現に向け、2022年に制定した「MORESCOグループサステナビリティ基本方針」および以下の経営ビジョンのもとで、2022年11月にはTCFD提言への賛同を表明し、脱炭素社会に向けた活動について積極的に情報開示を行っております。 環境関連分野では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)推進の一環として、難燃性作動液の回収・再生率向上、モニタリングシステム導入による製品の長寿命化等、サステナブル社会に合わせ新たなビジネスを推進しています。また、バイオマスマーク商品として認定された植物由来樹脂配合のホットメルト接着剤、環境負荷低減に寄与する低VOC型ホットメルト接着剤等の開発をさらに進め、持続可能社会実現に貢献していきます。 エネルギーデバイス分野では、食品包装分野、水素エネルギー分野に向けて、ガス・水蒸気透過度測定装置の開発を推進しています。2023年度内には、水素社会実現への貢献として、水素に特化した透過度測定装置を上市予定です。また、有機薄膜太陽電池(OPV)はフレキシブルで軽量なフィルム状の太陽電池であり、半透明で意匠性も高いことから、商業施設、研究機関、公的機関、官公庁への展開を推進しています。OPVに蓄電されたエネルギーは、CO ₂ を大幅に抑えたクリーンな再生可能エネルギーであり、大学とともに材料開発にも注力し環境にやさしいエネルギーデバイスとして、企業を中心にOPVの拡販を進めております。 ライフサイエンス分野では、当社の強みである有機合成技術を生かし、オートファジーを制御する新規化合物の共同研究開発を進めております。また、水に溶けにくい有効成分を当社の特許技術であるナノエマルジョンテクノロジーで水溶化することで皮膚や腸からの吸収を促進させる技術を生かし、大手化粧品会社等での採用に向け活動を続けています。 海外においては、これまでの中国担当の執行役員に加え、北米担当、東南/南アジア担当を新たに選任し、従来以上に各地域でのニーズ把握、新製品開発等に注力してまいります。 研究開発においては、各市場において顧客ニーズに即応する製品開発に重点を置いた体制を構築してきましたが、今後は事業部を横断した連携や、海外子会社、大学との連携をより図る等、既存技術と新規技術をシンクロさせながら社会課題に対応できる両利きの研究開発を進めてまいります。 また、当社は2021年から2023年まで3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を受けておりますが、今後も従業員の健康を会社の財産と考え、従業員のワークライフバランスやメンタルヘルスを重要視し、健康増進のため最大限の支援を継続いたします。 第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)の最終年度である2023年度においては、目標を下記のとおり定めております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、中国、タイ、インドネシア、米国およびインドで現地法人設立による生産販売拠点を設置し海外事業を推進しております。当社グループの海外売上高は、中国、東南アジアをはじめとするアジア地域を中心に、2022年2月期10,484百万円、2023年2月期11,492百万円であり、売上高に対する比率はそれぞれ、38.4%、37.9%であります。これらの海外市場における景気変動、通貨価値の変動、政治情勢の変化、災害・疫病の発生および法規制の変化等が、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当社グループでは、気候変動を経営上の重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。 気候変動リスクとしては、移行リスクとしてコストの上昇や市場の変化、物理的リスクとしてサプライチェーンリスク等が重要度と発生確率が高いものと認識しております。 このような認識の一方で、当社グループは、気候変動をリスクだけでなく機会と捉え、「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を両立させつつ事業を運営し、社会課題や環境課題の解決により一層貢献するべく、サステナビリティ課題に対して積極的に対応していきます。 当社グループは、国内外に生産拠点を有しており、安定供給への重大な責任を有しております。これら拠点が大規模な自然災害やパンデミックの発生または事故等により、製品の供給が困難な事態に至った場合には、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当社では、高温用潤滑油製造のための合成設備を赤穂工場で、またハードディスク表面潤滑剤製造設備は本社・研究センター内でそれぞれ保有しており、万一、工場、本社において重大なトラブルが発生し、設備の稼働が長期的に停止する事態になった場合には、製品の供給が一時的に停止する可能性があります。在庫量につきましては約1.0ヵ月であります。 当社では、流動パラフィンならびにその連産品であるスルホネートを硫酸精製法により生産しております。硫酸精製法のメリットは、連産品としてスルホネートを生産できることですが、デメリットとしては製造過程において廃棄物として廃硫酸が発生することがあげられます。当社においては、隣接する廃硫酸リサイクル企業との間をパイプラインで直結し、廃硫酸処理を含めた一貫生産ライン(クローズドシステム)を構築しておりますが、廃硫酸処理を他社の設備で行っているため、当該他社工場の移転、縮小等、設備に変更が生じた場合、素材部門の生産能力に影響をおよぼす可能性があります。 また、当社では流動パラフィンならびにスルホネートを千葉工場のみで生産しており、万一工場において重大なトラブルが発生し、工場の稼働が長期的に停止する事態になった場合には、製品の供給が一時的に停止する可能性があります。工場の在庫量は約1.0ヵ月であります。 以上のような製品の製造に係るリスクに対して当社グループでは、拠点ごとでの事業継続計画(BCP)の策定、定期的な設備の保守点検および防災訓練の実施等、リスク発生の回避と発生時の被害最小化を図る取り組みを行っております。 当社グループは、ISO9001の認証取得を含む厳しい社内品質保証体制に基づき製品の品質と信頼性の維持向上に努めておりますが、製品の品質不良に伴うリスクを完全に排除することは不可能であり、予期せぬ不良等が発生した場合、訴訟等のリスクがあります。当社グループの製品に品質保証問題が生じた場合には、補償費用が発生し、また、製品の信頼を損なって顧客の喪失等に結びつき、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。当社グループは、製造物賠償責任請求に対しては保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額をすべてまかなえるという保証は無く、製品の欠陥が当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当社グループの製品は、潤滑油、石油化学製品、化成品等を主な原料としており、これらの原料は、原油価格・ナフサ価格の変動の影響を受けます。原油価格・ナフサ価格は、今後とも国内外の需給動向等により大きく変動することがあります。また東日本大震災では原料製造工場の被災による影響を受けましたが、今後とも災害・事故等による供給停止や、供給者側の事業・製品の統廃合等にともない原料の入手に支障をきたす可能性もあります。 当社グループとしては、原料価格の変動による影響に対しては特殊潤滑油の主たる販売先との間で原油・ナフサ価格に連動した製品価格の改定を行っているなど、製品価格への転嫁を進めるとともに、コスト削減および高付加価値製品への転換を図ってまいります。所要原料の確保については、グローバルレベルでの原料調達先の確保・使用原料の多様化により対処してまいりますが、これらの対処が十分にできなかった場合には、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。 当社グループでは、新製品開発が収益性の向上や将来の成長に寄与するものとの認識のもと、新製品の開発に多くの経営資源を投入しております。特に、2021年度より開始した第9次中期経営計画では、「持続可能社会の実現への貢献」と「事業の付加価値の向上と新事業分野へのチャレンジの加速」を経営方針に掲げ、「環境関連分野」「情報関連分野」「エネルギーデバイス分野」「ライフサイエンス分野」の4分野に重点を置き、研究開発に取り組んでおります。 このような経営方針のもと、研究開発部門と営業部門が密接に連携を取りながら、社内外のネットワーク(人脈、技術等)を活用し、市場ニーズの的確な把握と研究成果の早期結実に努めておりますが、投資に見合った収益が得られなかった場合には当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当社グループが開発した新技術に関して、基本的には特許を出願する方針でありますが、製造方法に関する特許等で侵害発見が容易でないものおよび特殊潤滑油に関する特許等で組成を開示することにより配合ノウハウが他社に漏洩する可能性があるものについては、秘密保持のため、出願を控える場合があります。このため他社が、当該事項に関する特許を出願した場合には、特許が成立する可能性があります。当社としてはこうした事態に備え、社内での当該事項の実施記録を残すことにしており、「先使用権による通常実施権」を主張することができるよう対処しております。 当社の製品および各事業所を規制する主な法的規制・行政指導は、以下のとおりであります。なお、新たな法規制、条例等の改正により、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。 今後、環境に対する意識の高まりから「水質汚濁防止法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の更なる法改正が進められる可能性が考えられ、当社工場からの廃棄物、排水等の処理に更なる規制の強化が図られた場合には、工場内での処理方法の開発、排出前処理のための設備投資等が必要となり、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当社グループでは、全ての役職員が「経営理念」「MORESCO行動憲章」および「内部統制システムの整備に関する基本方針」に沿って企業活動に従事し、ステークホルダーから支持される企業となるため、「コンプライアンス方針」を制定し、これに基づきコンプライアンス遵守体制の整備と推進を実行しております。またグループ各社を対象とした内部監査の実施により、コンプライアンス遵守体制の維持、改善に努めております。 こうした取り組みにも関わらず、重大な法令違反を起こした場合、社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 近年、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染等により、企業が保有する情報が流出する事件が多発しています。当社としましては、「情報セキュリティポリシー」およびこれに関連する規程の整備および運用、情報セキュリティ対策製品の導入、並びに役員、従業員を対象とした情報セキュリティ教育の実施等により、その防止に努めております。 しかしながら、不測の事態により情報の流出等が発生した場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当社グループは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しております。市場環境の急激な変化等により収益性が低下していると判断し、保有する棚卸資産に対して評価損を計上する場合に、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、保有する固定資産について減損損失を計上する場合に、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復等により、回復基調で推移しました。世界経済においては、インフレ圧力が顕在化する中で、欧米各国は金融政策を引き締め方向に転換させました。このような金融情勢の中、ドル円相場は激しく変動しました。中国においては、ゼロコロナ政策下での厳しい行動制限や同政策終了後の感染急拡大による混乱が景気を下押ししました。 このような状況のもと、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて3,009百万円増加し、32,017百万円となりました。これは主に、売上債権が752百万円、棚卸資産が979百万円、投資その他の資産が537百万円それぞれ増加したこと等によるものです。 負債は、前連結会計年度末に比べて2,321百万円増加し、10,778百万円となりました。これは主に、仕入債務が836百万円、短期借入金が1,822百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税等が244百万円減少したこと等によるものです。 純資産は、前連結会計年度末に比べて688百万円増加し、21,240百万円となりました。これは主に、利益剰余金が242百万円、為替換算調整勘定が373百万円それぞれ増加したこと等によるものです。 当連結会計年度の売上高は、原材料価格高騰等に伴う販売価格の是正により、30,333百万円(前期比11.1%増)となったものの、販売価格への転嫁までにタイムラグが生じていることから、営業利益は523百万円(前期比63.5%減)となり、経常利益は1,046百万円(前期比48.0%減)となりました。また、前期の特別利益(固定資産売却益833百万円)の剥落もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は615百万円(前期比66.0%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 全体的には販売価格の是正により増収となりました。部門別の販売の状況は次のとおりです。 特殊潤滑油部門では国内自動車生産台数は前期を上回ったものの、主要顧客での生産台数減少の影響を受け、数量は前期を下回りました。ホットメルト接着剤部門では、主力の衛生材用途が堅調に推移したことに加え、粘着用途での新規獲得による増加等により数量は前期を上回りました。素材部門では、ポリスチレン可塑剤用途での数量が、顧客工場での大型定期修理等の影響で減少しました。合成潤滑油部門では、高温用潤滑油が顧客での在庫調整の影響を受け、またハードディスク表面潤滑剤はデータセンター投資の冷え込みの影響により、ともに数量は前期を下回りました。 以上の結果、当セグメントの外部顧客への売上高は19,637百万円(前期比6.8%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は33百万円(前期比96.0%減)となりました。 特殊潤滑油は販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。ホットメルト接着剤は、空気清浄機用フィルター用途での需要が一段落したこと等により減収となりました。 この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は3,814百万円(前期比5.2%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は311百万円(前期比28.2%減)となりました。 特殊潤滑油は需要の回復により前期を上回る数量となり、また販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。ホットメルト接着剤はインドおよびインドネシアでの数量増により増収となりました。 この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は5,870百万円(前期比30.4%増)となりセグメント利益は123百万円(前期比42.7%増)となりました。 メキシコにおける日系自動車メーカーの稼働率低下の影響等により数量は減少しましたが、販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。 この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は1,011百万円(前期比28.1%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は87百万円(前期比18.6%減)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて532百万円増加し、4,186百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは515百万円の収入(前期は2,333百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益等によるものです。 投資活動によるキャッシュ・フローは1,172百万円の支出(前期は603百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものです。 財務活動によるキャッシュ・フローは1,227百万円の収入(前期は2,937百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額等によるものです。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループの化学品事業は、主として見込み生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上高は30,333百万円(前期比11.1%増)となりました。全般的に販売価格が上昇したこと、インドおよびインドネシアでのホットメルト接着剤の増販および東南アジアでの特殊潤滑油の需要回復等によるものです。利益面については、原材料価格高騰による原価率の上昇により、営業利益は523百万円(前期比63.5%減)となり、経常利益は1,046百万円(前期比48.0%減)となりました。また、前期の特別利益(固定資産売却益833百万円)の剥落もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は615百万円(前期比66.0%減)となりました。 財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。 当連結会計年度においては、営業活動で得られた収入および財務活動で得られた収入を主な財源として、有形固定資産の取得を行いました。詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 当社グループの資本の財源および資金の流動性については、必要資金は自己資金のほか金融機関からの借入等で確保しております。自己資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより、継続的、安定的な資金の獲得を行っておりますことに加え、グループ各社の資金集約化により、資金の効率的な運用に努めております。また、金融機関からの借入に関しては、主要取引金融機関と当座貸越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。 当連結会計年度は第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)の2年目でありました。当該計画立案当初における当連結会計年度の目標数値の達成状況は次のとおりであります。 また、2023年度の目標数値は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであり、その達成のための対処すべき課題は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 当社グループは、多様化する顧客ニーズや持続可能社会の実現に対応していくため、また、新たな分野での事業創出のため積極的に研究開発活動に取り組んでおり、原材料の精製・合成・変性・配合による高機能付与および顧客要求条件に合致した製品特性の評価技術を基盤に、カーボンニュートラル社会に適合した、特殊潤滑油、合成潤滑油、ホットメルト接着剤および新規事業開発の各部門で研究開発を進めております。研究開発拠点は日本に置き、中国・東南アジア・米国には技術者を日本から派遣し、セグメント間の連携を図りながら現地に根ざした製品開発するとともに、現地の開発力の向上を推進し、各拠点での迅速な開発が可能な体制づくりを行っております。 主として当社の本社・研究センターに、事業部門に関連した開発部および新規事業開発を担う研究開発部を置き、環境関連、情報エレクトロニクス関連、エネルギーデバイス関連、ライフサイエンス関連の各分野での新材料開発・新技術開発・新製品開発および既存製品の改良開発を推進しております。研究開発スタッフは101名であり、これは従業員全体の12.9%に当たっております。 当連結会計年度における各セグメント別の研究開発の主要課題、研究開発成果および研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,246百万円となっております。 主に、機能材事業部内に設置している各分野の開発課において、ダイカスト用油剤、難燃性作動液、熱間鍛造潤滑剤、金属加工油等の研究開発を行っております。 ダイカスト用油剤では、少量の塗布で使用可能な油剤による工場内環境改善、品質・生産性向上を実現する、製品開発を完了していますが、今後更には各自動車メーカーのEV化・軽量化で貢献できる少量塗布型新製品開発を推進します。また効率的な少量塗布を実現・サポートするための塗布シミュレーション技術の開発も進めて参ります。 難燃性作動液では、国内No.1水グリコール系作動液メーカーとして環境への取り組みを加速し、劣化作動液から主成分を回収利用するリサイクルシステムのブラッシュアップに併せ、作動液の長寿命化を実現するための自動モニタリングシステムの開発により廃棄物低減による環境負荷の低減への貢献も進めています。 熱間鍛造潤滑剤では、黒鉛代替可能で環境改善可能な白色系潤滑剤の開発を進め、特にサイクルタイムの早い加工を行う工程に用いることのできる潤滑剤の製品開発を成功させました、引き続き自動車軽量化で適用が期待されるアルミ鍛造分野への取り組みを推進しております。 金属加工油では、環境改善や生産性向上に貢献できる水溶性切削油のコア技術の更なる深耕を進めると共に、加工油剤の長寿命化を実現するための自動モニタリングシステムの開発を行い、加工性能の安定化や廃棄物低減による環境負荷の低減への貢献を進めています。 合成潤滑油開発部において、ハードディスク表面潤滑剤、ハードディスクドライブ内部品用グリース基油・半導体製造装置用の特殊油剤等の研究開発を行っております。独自の分子構造設計と合成・精製ノウハウによりオンリーワン製品の開発に注力しております。 ハードディスク表面潤滑剤では、さらなる記録密度向上のために必要とされる低浮上性(低すきま性)を実現する新規化合物が主要ディスクメーカーで採用され始めております。品質安定化のための製造基盤技術強化を進めるとともに、次世代ハードディスクの要求特性に対応した新規化合物の分子設計に注力しております。具体的には、大容量磁気記録技術として期待されている、MAMR(マイクロウェーブアシスト磁気記録)やHAMR(熱アシスト磁気記録)などに要求される耐久性・耐熱性に優れた新しい構造の潤滑剤の開発を続けております。 ハードディスクディスクドライブ内部品や半導体製造装置用の特殊油剤では、アウトガス発生の原因となる低揮発成分が嫌われるため、これを徹底的に除去した高度精製油剤の開発を行っており、市場評価も進んでおります。 また、新しい事業構築を目標として、バイオマス材料を用いた材料開発や添加剤合成の分野への挑戦も開始し、潤滑性や導電性、サステナブル社会への貢献といった市場動向の要求に沿って、独自性の高い高機能添加剤の開発を行うともに、合成技術を活かし他部門やグループ会社との協業による市販原材料とは異なる機能を有した新たな原材料設計・添加剤設計・製品開発に引き続き注力してゆきます。 ホットメルト事業部内に設置しているホットメルト開発部において、人や環境に配慮した低臭気・無揮発成分(VOC)の接着剤の開発に加えて、省エネルギーを実現しうる低温塗工タイプの新製品やホットメルトの弱点である耐熱性不足を克服しうる新製品などの開発を行っております。 主要市場のひとつである衛生材料業界向けには、顧客の海外進出に追随し、現地調達可能な材料を用いた新製品開発とともに現地生産拠点への生産技術支援に引き続き取り組んでおります。また紙おむつなどの衛生材料市場の製品について、低臭気化のニーズにあわせたホットメルトの低臭気化技術や、接着界面の分析・解析技術の向上により、少ない塗布量でも十分な接着力を発揮できる低塗布量対応型ホットメルトの技術を開発し、ユーザーの安心感向上に貢献できる新製品開発に注力しております。 さらに近年、環境問題に対する意識が世界的に高まっており、資源の有効活用や循環型社会の形成に有効と考えられる「バイオマス」の利活用が盛んに検討される中、カーボンニュートラルに貢献し、機能面でも特長のある製品を増やし、お客様の多様性に沿ったラインナップを準備致しました。また自動車内装用向けの反応型ホットメルトの性能向上に成功し新たな自動車メーカーでご採用頂きました。ホットメルトはもともと有機溶剤を含まず、人体や環境に優しい粘接着剤ですが、原料そのものについても、バイオマス由来原料の特長を活かした粘接着剤の開発に取り組んでいきたいと考えています。 環境関連、情報エレクトロニクス関連、エネルギーデバイス関連、ライフサイエンス関連などの分野をキーワードとし、引き続き新規事業創出を目指した種々の研究開発を行っております。 エネルギーデバイス関連分野に関しては、有機ELデバイスの封止材を主軸とする製品開発と販売に取り組んでおります。次世代有機デバイスとして期待されているフレキシブルタイプ向け、マイクロLED向け、そしてペロブスカイト型太陽電池向けの封止部材についても開発に注力しており、顧客評価が進んでいます。加えて、フレキシブルタイプに使用するフィルム等のガス・水蒸気透過度測定装置について販売および受託分析を継続しており、国内を中心として実績が拡大しております。更には水素透過率を測定できる新装置の開発も進んでいます。 有機薄膜太陽電池(OPV)については海外メーカーとの製品・材料での協業も取り入れながら、Roll-To-Rollでの独自の試作が可能な点を生かしながら販売を開始しております。 ライフサイエンス関連部門では複数の大学や研究機関と連携し、加齢に伴い悪化する各種生活習慣病とも関係すると考えられているオートファジーという細胞内の恒常性維持現象の活性化薬に関する創薬研究を進めています。また各種薬物の吸収性を飛躍的に高めることができる独自のナノエマルジョン技術を開発し、手始めに化粧品原料に応用し、実用化に向けた研究開発を進めております。その他の新規事業開発においては、長期経営計画をベースに、上記の開発テーマ以外にも、バイオガスからの非石油石炭由来オイルの製造開発なども進めている。またさまざまな調査活動や情報解析活動にも取り組んでおり、新たなプロジェクトの継続的な孵卵を進めております。 日本セグメントに係る研究開発費の金額は1,146百万円であります。 主としてダイカスト用油剤および金属加工油に関して、現地のニーズに合致した製品開発に注力し、研究開発要員が駐在し、現地開発体制の強化を進めております。ダイカスト用油剤においては、リーディングカンパニーとしての開発ノウハウを共有化し、現地ニーズに対応した製品開発をタイムリーに行うことにより、ローカルユーザーを含めた市場シェアアップに努めております。金属加工油では、日本で培った水溶性切削油開発におけるコア技術の共有化を図り、現地ニーズに合致した新製品開発を進めています。 中国、東南/南アジアおよび北米セグメントに係る研究開発費の金額は100百万円であります。
株式会社サンデー
# 株式会社サンデー おりません。 であり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。 り、第49期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。 日曜大工用品の販売を目的として株式会社サンダイヤーズマート(資本金10,000千円)を設立。 第1号店として「八戸店」を青森県八戸市に開店。 商号を株式会社サンデーに変更。 岩手県に初めて進出し、久慈市に「久慈店」を開店。 秋田県に初めて進出し、鹿角市に「花輪店」を開店。 発注業務の効率化を図るため、コンピュータシステムを導入。 北海道に初めて進出し、札幌市に4店舗を同時に開店。 店舗数の増加に対応するため、八戸物流センターを青森県八戸市に開設。 商品供給を主体としたFC事業を開始し、第1号店を北海道苫小牧市に開店。 固定客の増加と顧客管理を目的とした自社カード「マイカード」を導入。 将来に向けた発展と企業イメージの刷新のためコーポレート・アイデンティティーを導入。 プリペイドカード「プリカード」の取り扱いを開始。 東北財務局に貸金業登録を実施し、マイカードによるキャッシングを開始。 株式の額面金額を変更するために形式上の存続会社株式会社淡路商店が当社を吸収合併し、同日同社の商号を株式会社サンデーに変更。 青森県八戸市根城六丁目22番10号に本店を移転。 日本証券業協会に株式を店頭登録。 POSシステムを全店導入するとともに社内LANを整備し電子メールを稼働。 金ケ崎物流センターを岩手県金ケ崎町に開設。 イオン株式会社と業務・資本提携に関する契約を締結。 イオン株式会社との共同店舗第1号店「イオンスーパーセンター石巻東店」を宮城県石巻市に開店。 イオン株式会社の連結子会社となる。 株式会社ジョイと業務・資本提携に関する契約を締結。 株式会社ジョイを連結子会社化。 サンデー最大の売場面積の「青森浜田店」を青森県青森市に開店。 農家向け収穫払いカード「アグリッシュカード」を導入。 株式会社ジョイを完全子会社化。 新業態第1号店「ホームマート名川店」を青森県三戸郡南部町に開店。 商品の宅配に加え、住まいの補修・修繕・取付まで承るSUN急便を本格稼働。 監査等委員会設置会社へ移行。 株式会社ジョイを吸収合併。 仙台物流センターを宮城県村田町に開設。 八戸物流センターを移転増床し開設。 カー用品専門店「GATERA(ガテラ)下田店」を青森県上北郡おいらせ町に開店。 当社100店舗目となる「弘前樹木店」を青森県弘前市に開店。 当社として最南端の店舗となる「いわき泉店」を福島県いわき市に開店。 株式会社ジョイから承継した山形県内全店舗の屋号を「ジョイ」から「サンデー」に変更。 電子マネーWAONを搭載した自社ポイントカード「サンデーカード」を導入。 ペット専門店「Zoomore(ズーモア)八戸店」を青森県八戸市に開店。 花巻物流センターを岩手県花巻市に開設。 プロショップ「DayPRO(デープロ)八戸石堂店」を青森県八戸市に開店。 宮城県仙台市に「仙台卸町店」を開店。当社で初めてクリニックモールを併設。 2023年2月28日現在、店舗数112店舗。 当社は、イオン株式会社(東証プライム市場上場)が親会社であり、住生活関連商品を中心とした暮らしの必需品を一般消費者へ販売するホームセンターの経営を主たる事業としております。また、イオングループが東北エリアで展開するスーパーセンターにおいて、DIY、カー、レジャー関連商品の販売を担っております。 当社の主な取扱商品は、DIY商品(木材、建築金物、工具、塗料、エクステリア)、家庭用品(日用品、インテリア、電化製品、家庭雑貨等)、カー・レジャー用品(園芸資材、ペット用品、レジャー用品、カー用品等)、その他(施工サービス等)であります。 ⑤ 労使関係    良好に推移しており、特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は、「お客さまを原点に、平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」というイオンの基本理念と「一人ひとりの笑顔が咲く未来の暮らしを想像する」というイオングループ未来ビジョン、そして当社が掲げる“Save Money Good Life”(節約による豊かな暮らし)というスローガンのもと、住生活関連を主体とした生活必需品やアグリ、園芸、DIYなどホームセンターらしい商品の販売と各種サービスを通じ「あなたの街のサンデー」として地域のお役に立てる企業を目指しております。また、お客さま、お取引先さま、株主さま、働く仲間である従業員などすべてのステークホルダーの期待にお応えできるよう、企業価値の向上に努めるとともに、企業の永続的な発展を目指しております。 ・人口減少や少子高齢化の影響による世帯年齢構成の変化、今後進行すると思われる世帯数の減少が経済に与える影響は拡大して行くと考えられます。 ・新型コロナウイルス感染症分類引き下げに伴う行動制限の緩和や政府の観光支援策の影響から国内の社会経済活動に回復の兆しが見え始めた一方、世界的なエネルギー・原材料価格の高騰や円安など、消費者の生活防衛意識が高まる不透明な状況が続いています。 ・国際情勢の不安定化に起因する原材料価格及び物流コスト、エネルギー価格等の高騰が、物価の上昇を引き起こしており、消費者の生活を圧迫するなど景気の下振れリスクがあることから、厳しい経営環境が続くものと考えられます。 ・業種・業態の垣根を越えた販売競争は更に激化していく事が予想される他、労働人口の減少を背景とした人件費や物流費、また店舗建設費の上昇傾向は今後も継続するものと考えられます。 当社は、東北エリアを主要基盤に生活必需品全般を扱うホームセンター事業を展開しており、お客さま満足を追求する企業を目指してまいります。そのために、今後も続くと思われる業種・業態を超えた出店競争や価格競争の激化、昨今の物価上昇に伴うお客さまの節約・低価格志向、少子高齢化に伴う人口減少など、一層厳しさを増す経営環境の変化へ迅速に対応してまいります。また、労働人口の減少等に伴い上昇している人件費を合理的な取組みによって抑制するために、DX戦略を推進することで、業務の効率化を進めてまいります。このように、今後の成長に向けて様々な角度から生産性の向上に取り組み、安定的に利益を確保できる経営基盤の構築を目指してまいります。さらに、当社は成長戦略の実現に向け、新規出店によるドミナントエリア形成、変化したお客さまのニーズに対応した新カテゴリーの導入、次代を担う人材の育成などに取り組み、収益力向上と集客力のアップを図ってまいります。そして、これらの取り組みを実行するため、「商品経営、衆知経営、積極経営、人財育成」を経営の柱として掲げ、ガバナンス機能を高めつつ、持続的成長性と安定した収益性を確保できる経営基盤を構築してまいります。 当社は、さらなる成長を目指し、資本効率と採算重視の経営を行ってまいります。その経営効率を進めるにあたり重視する経営指標と中長期的な目標数値は、ROE(株主資本利益率)10%、売上高営業利益率は5%であります。業種・業態を越えた競争激化など、経営環境は厳しさを増しますが、今後さらに重要指標の向上に向け、一層の生産性改善に取り組んでまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避、及び発生した場合の対応に努める所存であります。文中における将来に関する事項については当事業年度末現在において判断したものであります。 当社の出店及び増床に際しては「大規模小売店舗立地法」(以下「大店立地法」)等の法的規制を受けております。「大店立地法」では、売場面積1,000㎡超の店舗出店及び増床について、地元自治体への届出が義務付けられております。駐車台数、騒音、交通渋滞、ゴミ処理問題等地域環境保護などの観点から規制が行われているため、地元自治体や地域住民との調整を図ってまいりますが、出店に要する期間の長期化により、当社の出店計画に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は出店に際し土地及び建物等を取得若しくは賃借いたしますが、賃借の場合、土地及び建物等の所有者と賃貸借契約を交わし、賃料等を契約期間にわたり支払ってまいります。そのため業績不振などにより契約期間満了前に店舗を閉鎖する場合には、残余賃料や違約金、保証金放棄などの賃貸借契約上の負担が発生する場合があります。 近年ホームセンター業界は、同業のみならず、ドラッグストア、スーパーマーケットなどの各種業態との競争が激化しております。競合各社の出店によるお客さまの購買行動の変化等から、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、地域別格差が広がる所得・雇用環境などの景気動向や冷夏・暖冬などの天候不順も販売動向に影響を及ぼすことから、仕入・販売計画の適否が業績に影響を与える可能性があります。 当社の設備資金・運営資金の一部は、銀行借入による調達に依存しておりますが、金利水準の急速かつ大幅な上昇があった場合、支払利息の増加等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後新たに減損損失を認識すべき資産について減損損失を計上することとなった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、自社カード会員をはじめとする多数の個人情報を有しておりますが、主に顧客の個人情報管理につきましては、個人情報保護管理規程等に基づき厳重な情報管理体制の整備、従業員教育による意識向上に努め、管理の徹底を図っております。 また、従業員の個人情報などその他の個人情報につきましても、運用・管理の外部委託先と機密保持契約を締結するほか、プライバシーマークの取得を要請するなど、一体となって万全な管理体制構築に努めております。 しかしながら、万が一個人情報が漏洩した場合は当社の社会的信用失墜につながり、収益の減少や損害賠償責任が生ずることなどが考えられ、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、東北エリアにおいて店舗による事業展開を行なっております。このため、同エリアの大地震や台風等の自然災害あるいは予期せぬ事故等により店舗・施設に物理的損害が生じ、当社の販売活動や流通・仕入活動が著しく阻害された場合、さらに人的被害があった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、店舗運営におけるエネルギーの使用が多いことから、地球環境に大きな負の影響をもたらす地球温暖化問題に取り組んでおります。脱炭素社会の実現を目指す「イオン脱炭素ビジョン2050」に基づき、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーへの転換等に取り組んでおりますが、環境に関する法的規制の強化や社会的要請の高まりにより想定以上のエネルギー費用や対策コストが発生した場合、また気候変動に伴い冷夏・暖冬等の天候不順による季節商品の需要低下により、販売計画を下回った場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 食品の安全性と品質保証に対する消費者の関心は、偽装表示、異物混入等の発生により高まっています。何らかの理由で当社が提供する食品の安全性や品質に対する消費者の信頼が低下した場合、食品部門を含む店舗の売上が低下する可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 感染症の発生や蔓延は、消費者の行動制限、消費マインドの減退やサプライチェーンの混乱などに伴って売上が低下する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、海外からの輸入商品を取り扱っており、為替変動が生じた場合には、商品原価や物流コストの上昇、若しくは商品調達等に支障をきたし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、店舗及び本社における業務の大部分においてコンピュータシステム及びそのネットワーク(以降「システム」と総称します。)を使用しております。 当社は、主要事業の遂行におけるシステム障害のリスクを低減するために、定期的なバックアップやセキュリティ対策を実施しておりますが、自然災害など予期せぬ事態により、万一、システム障害が発生した場合には、商品の販売や仕入れ等に支障をきたし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。この結果、前事業年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せず説明しております。 当事業年度(2022年3月1日~2023年2月28日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延から約3年が経過し、感染防止対策を継続しながらも、経済活動の正常化が進みつつあります。一方で、不安定な国際情勢が長期化していることにより、エネルギー価格の高騰や、度重なる食料品等の値上げが消費者の生活を圧迫するなど、先行きが見通せない状況が続いております。 当社においても、商品原価の引き上げや、光熱費、店舗建設資材等様々な面でのコストが上昇しており、経営環境は厳しさを増しております。 このような状況の中、当社では“Save Money Good Life”をスローガンに掲げ、地域に暮らす方々の「豊かさ実感」に貢献するため、期間限定の特売を抑制し、いつでもお買い得価格で購入できる商品を増やすなど、物価が上がる状況下において、お客さまが必要な商品をお買い得価格で提供し続けることで「豊かさ創造」を具現化する活動を実施してまいりました。 当事業年度における営業概況としましては、春から夏にかけて天候不順がガーデニングや農作業、行楽需要期を直撃した影響を受け、客数が前年より減少する実績となりましたが、第3四半期以降は、暮らしの必需品を低価格で販売する「暮らし応援」の取組や、光熱費が高騰する中で生活費の節約に関する商品の売り込みを実施し好調に売上を確保してまいりました。また、第4四半期には日本海側のエリアを中心に大雪となったことで防寒衣料や除雪用品などが好調に推移するなど持ち直しの動きがありました。 サービス面におきましては、当社で購入した商品を宅配するだけでなく、DIYアドバイザーの資格をもつ従業員が補修・修繕・取付まで実施するSUN急便で、東北地方の少子高齢化を伴う人口減少を背景にご好評いただいており配達・取付件数を伸ばしております。SUN急便では8つの自治体との間に、地域の見守りに関する協定を締結しており、地域住民の安全安心にも貢献する取組として今後とも推進してまいります。 当事業年度内の出店といたしましては、8月に宮城県仙台市に2階にクリニックモールを併設したサンデー仙台卸町店を開店しました。また専門店業態として、7月に青森県八戸市で45年間にわたり営業してきたサンデー八戸石堂店を業態転換し、当社初のプロショップとなるDayPRO(デープロ)八戸石堂店を開店しました。また、11月にはペット専門店Zoomore(ズーモア)の2号店として、青森県弘前市にZoomore弘前店を開店し、以来お客さまよりご好評いただいております。これらの出店により当期末店舗数は112店舗となりました。 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ10億30百万円増加し、344億8百万円となりました。 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ6億54百万円増加し、225億93百万円となりました。 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ3億75百万円増加し、118億14百万円となりました。 当事業年度における当社の売上高は490億94百万円、営業利益は8億83百万円、経常利益は9億42百万円、当期純利益は5億8百万円となりました。 なお、当社は、ホームセンター事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末残高に比較し2億88百万円減少し、5億27百万円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は7億76百万円(前年同期は1億93百万円の使用)となりました。これは主に税引前当期純利益8億26百万円、減価償却費10億59百万円、棚卸資産の増加4億50百万円、仕入債務の減少3億92百万円、未払消費税等の減少1億45百万円、その他の資産の増加2億33百万円、その他の負債の増加1億96百万円、法人税等の支払1億79百万円等によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は16億57百万円(前年同期比18.3%増)となりました。これは主に新規出店や既存店の活性化、空調及び電気設備入替等に伴う有形固定資産の取得による支出16億59百万円等によるものであります。 財務活動の結果得られた資金は5億92百万円(前年同期比61.2%減)となりました。これは主に短期借入金の純増額12億円、長期借入れによる収入23億円、長期借入金の返済による支出26億27百万円、配当金の支払いによる支出1億61百万円等によるものであります。 当社は、小売業を主たる事業としているため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。 当社はホームセンター事業の単一セグメントであるため、仕入実績を部門別に示すと、次のとおりであります。 当社はホームセンター事業の単一セグメントであるため、販売実績を部門別及び地域別に示すと、次のとおりであります。 なお、「その他」には、「施工サービス等」が含まれており、「その他の営業収入」には、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」の範囲に含まれる不動産賃貸収入等が含まれております。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当事業年度末の流動資産合計は126億23百万円となり、前事業年度末と比較し3億60百万円増加いたしました。主な増加理由は、現金及び預金の減少2億88百万円、新規出店等に伴う商品及び製品の増加5億23百万円、売掛金の増加98百万円等によるものであります。 当事業年度末の固定資産合計は217億85百万円となり、前事業年度末と比較し6億69百万円増加いたしました。主な増加理由は、新規出店等に伴う有形固定資産の増加6億5百万円、長期貸付金(建設協力金等)の減少64百万円、繰延税金資産の増加58百万円等によるものであります。 当事業年度末の流動負債合計は165億57百万円となり、前事業年度末と比較し7億31百万円増加いたしました。主な増加理由は、短期借入金の増加12億円、1年内返済予定の長期借入金の減少2億67百万円、買掛金の減少4億29百万円、未払法人税等の増加2億2百万円、流動負債その他(未払消費税等)の減少1億41百万円等によるものであります。 当事業年度末の固定負債合計は60億36百万円となり、前事業年度末と比較し76百万円減少いたしました。主な減少理由は、長期借入金の返済による減少60百万円、リース債務の減少92百万円、資産除去債務の増加52百万円等によるものであります。 当事業年度末の純資産合計は118億14百万円となり、前事業年度末と比較し3億75百万円増加いたしました。主な増加理由は、当期純利益5億8百万円の計上と配当金の支払1億61百万円等によるものであります。 当事業年度は、ホームセンター1店舗、専門店4店舗の新規出店に加えて、SuC1店舗をコンセッショナリーからテナントに変更し、取り扱い商品を増やすなど、店舗基盤の拡充を図ってまいりました。また、物価が上がる状況下において、お客さまが必要な商品をお買い得価格で提供し続けることでお客さまにご満足いただける店づくりに努めてまいりましたが、当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用したことに伴い、売上高が7億92百万円減少しております。その結果、売上高は490億94百万円となりました。 当事業年度における売上総利益は155億1百万円となりました。また、売上総利益率は31.6%となりました。その主な要因は、商品の仕入れ先や配送ルートの最適化による仕入れコストの低減や、商品開発の推進・拡販に取り組んだことによるものであります。 当事業年度における販売費及び一般管理費は146億17百万円となりました。チラシ配布部数やエリア変更等セールスの見直しを実施したことで販売促進費が減少した一方でエネルギー単価の上昇や新規出店等により設備費が増加しております。 当事業年度における営業利益は8億83百万円となりました。営業利益率は前期から0.4ポイント下落し1.8%となりました。また、経常利益は9億42百万円となりました。経常利益率は前期から0.4ポイント下落し1.9%となりました。 当事業年度における当期純利益は、不採算店舗の固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」に従い、将来の回収可能性を検討した結果、1億16百万円の減損損失を特別損失に計上しており、5億8百万円の利益となりました。 「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 2023年2月28日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。 当社は、運転資金及び設備資金につきましては、自己資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期運転資金は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入及びリースを基本としております。 なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は114億98百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、5億27百万円となっております。 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。 (1)物流委託契約の要旨は、次のとおりであります。 1984年2月21日より協議による解約まで。 物流加工業務及び配送業務の委託。 (2)業務・資本提携に関する契約の要旨は、次のとおりであります。 2003年8月18日より協議による解約まで。 スーパーセンター事業と小売関連事業に関する業務及び資本の提携。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社日本創発グループ
# 株式会社日本創発グループ また、第1期(2015年12月期)に子会社となった東京リスマチック株式会社の沿革は以下のとおりであります。 当社企業グループは、当社と子会社53社(連結子会社36社、非連結子会社17社)及び関連会社8社で構成され、「クリエイティブをサポートする企業集団」として、クリエイティブサービス事業を営んでおります。 事業の系統図は、以下のとおりであります。なお、当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。 当社企業グループは、純粋持株会社である当社のもと、グループ共通の中核概念を制定し、「クリエイティブをサポートする企業集団」として、クリエイティブサービス事業を軸にビジネス展開を積極的に推進することで、お客様にとり必要不可欠な企業集団として企業価値の向上を図ってまいります。 お客さまが羽ばたかせるご自身のイマジネーション。私たちは、多様なリソースと先進技術を駆使して、それを確かなカタチにするお手伝いをしていきます。 お客さまのチームの一員との心持ちで最善を尽くし、ベスト・パートナーとなることをめざします。そのためにも、社内・グループ内のチームワークの強化に努めます。 私たちは、お客さまのご満足と成功を願う真心と、それを支える技を兼ね備えたプロフェッショナルです。 納品物の品質はもとより、企画段階からアフター・フォローまでのプロセスとスピードにおいても、言い訳のない高い品質を実現します。 私たちの最大の喜びは、お客さまにご期待を越える成果をお届けし、その笑顔を拝見すること。もっとその笑顔に出会うため、私たちは自らを鍛えながら、お客さまにとってのプラスαを追求し続けます。 私たちは、目の前の一人ひとりのお客さまのご要望や目的、お悩みやお困り事に真正面から向き合います。そして、そのご満足を我が事として、丁寧に、一所懸命に追求します。 私たちは、多様な個性、専門性、先進技術をもった人と会社が結びつき、切磋琢磨している集団です。そこに息づく多様性、先進性、独創性をいっそう発揮しながら、お客さまに新鮮な驚きをお届けしていきます。 私たちは、伝統的な印刷をさらに進化させつつ、想像力と先進デジタル技術を駆使して、クライアントの想いを、今まで見たことのないカタチでターゲットの心に刻みつけていきます。 や環境に対する責任を、誠意をもって、また積極的に果たしていきます。 当社企業グループが属するクリエイティブサービス業界においては、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が懸念されるものの、ワクチン接種が進んだことやウィズコロナの新社会規範の浸透により経済活動についても回復することを想定しております。また、一部制限があるものの来日する外国人観光客が増加することが予想されております。しかしながら世界的なインフレ懸念、金利上昇や不安定な為替状況などのリスクが依然として残り、景気の先行きは不透明な状況であります。一方で、IoT、AI、ビックデータ分析、シェアリングエコノミーモデルなど、高度なIT技術、モバイル通信の高速化を含めたネットワーク環境の利便性向上に対応し高彩度モバイル端末やVR機器等が普及するなか、クライアントがご要望されるクリエイティブの表現方法、表現技術、表現手段は、さらに多種・多様化するものと考えております。当社企業グループは、伝統的な印刷製造技術のみならず、什器等のプロダクトを含む多様なデザイン力、3D-CAD・3D-CGを軸とする映像クリエイティブ、立体音響、AR・VRを含むIT構築力に加え、定期出版雑誌等の出版物、webメディアや映像を含めた情報配信ビジネスにも注力しており、トータルで専門技術を保持しつつ、環境変化に応じて事業資産の配分を変更させることで企業間競争において優位性を維持しております。 こうした環境認識の下、当社企業グループの対処すべき課題は以下のとおりであります。 ① グループ各社の役割と事業責任の明確化、また、経営の機動性を向上させ、効果的な経営資源の調達及び配分を行うことでグループ全体の企業価値の向上を図ってまいります。 ② グループ各社が専門とする技術及びノウハウのさらなる向上を図るとともに、グループ各社の人材を含めたソリューションの連携強化、付加価値の高いサービスの開発、提供により顧客満足度の向上に取り組んでまいります。 ③ 主力事業領域におけるシェア拡大、新規事業領域への挑戦、また不採算事業の改善等を、M&Aを含め機動的に取り組み、安定的な事業ポートフォリオの形成を目指してまいります。 ④ 当社企業グループは事業拡大のため、人材の確保及び教育を重要な課題と認識しております。当社が中心となって、潜在能力の高い人材の獲得に向けて各種採用活動を進めるとともに、ワークライフバランスや教育を重視し、人材育成を積極的に進めてまいります。 当社企業グループの中期経営計画において、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重要な指標としております。加えてEBITDA、自己資本比率、キャッシュ・フローを重視した経営により、企業の経営基盤を強化し、安定的な成長を図っていく所存であります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与え、当社企業グループの事業展開その他に対するリスク要因となる可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。当社企業グループの経営環境、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、以下のリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があり、当社株式の市場価格は、これらの要因のいずれによっても下落する可能性があります。 当社企業グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本書の記載を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。 当社企業グループにおける営業収入は、日本国内市場における広告宣伝活動の需要に大きく影響を受けます。国内経済の低迷が長期化した場合は、企業は収益の減少に伴い、広告宣伝活動を縮小する傾向があり、その結果、当社企業グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を及ぼす可能性があるため、特に重要なリスクであると認識しております。 当社企業グループが属する市場の成長予測、各顧客のクリエイティブサービス関連の需要予測等入手可能な情報に基づいて、事業戦略を策定し、リスク軽減を講じますが、当社企業グループの予算編成及び業績予想の策定については、当社企業グループの業績予想は実績と乖離する可能性があります。 当社企業グループの製品・サービスにつきまして、競合他社と価格競争に陥るような状況になった場合、価格面において競争を優位に展開できる絶対的な保証はなく、当社企業グループの製品・サービスが激しい価格競争にさらされ、当社企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクであると認識しております。 当社企業グループは、価格競争に対してより優位性を保持するため、顧客にとって付加価値の高い製品・サービスをワンストップで提供しているものと自負しておりますが、顧客の更なるクリエイティブサービスニーズの変化に対応するため、専門とする付加価値の高い技術及びノウハウ、最新の生産・製造設備の導入、M&A等により、常に商材・サービスを積極的に増強し、ワンストップで多様なクリエイティブサービスニーズを確かなカタチとして提供できるよう努めてまいります。 当社企業グループを取り巻く経営環境において、経済情勢の急速な悪化と情報媒体の急速な多様化による印刷関連企業の淘汰により、経営基盤の脆弱な企業等においては、経営状況が悪化する場合も考えられます。そのような予測不能な事態が生じた場合には売上債権の回収に支障をきたす可能性があるため、重要なリスクと認識しております。 当社企業グループは、社内規定に基づいて、締結された顧客との契約をベースに売上債権を管理しております。また、新規取引毎に信用調査を実施し、信用度を確認したのち取引口座を設定し、債権管理担当者が日々入金状況を確認しており、債権管理において特段の問題は生じておりませんが、当社企業グループでは、今後、信用調査をより一層強化していく方針であります。 当社企業グループは、地震、津波、台風等の自然災害あるいはパンデミックの発生等によって、当社企業グループの製造拠点が壊滅的な損害を受けるもしくは操業不能に陥る可能性があります。当社企業グループの工場、事業所は一定の地震に耐え得る機能を有しております。しかしながら、工場、事業所、機械及びライフラインが壊滅的な損害を被った場合、また、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染や、感染拡大防止のため従業員が出社できなくなった場合、製造業務が一時的に停止し、業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに工場・事業所、機械装置類の修復、修理または代替のために多額な費用を要する可能性もあり、その結果、当社企業グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクであると認識しております。 これらリスクの発生を予見、また、先行きを正確に見通すことは困難でありますが、被災時の事業継続については、従業員等の安全の確保と事業の継続を目的として、一定の基準を超える災害発生時には、代表取締役社長を最高責任者とする緊急時対策本部を設置し、具体的な緊急時対応計画を策定し、臨機応変な対応を行ってまいります。また、新型コロナウイルス等の感染症対策としては、社員や協業者の安全の確保と事業遂行のバランスを考慮し、オンラインで可能な業務はオンラインで実施するなど従来とは異なる働き方を志向していくこととしております。 新型コロナウイルス感染症によるビジネスの影響に対しては、例年以上に当社企業グループ、顧客の状況把握に努めるとともに、特にキャッシュ・フローについてきめ細かな状況把握に尽力し、いち早くリスクの顕在化時の資金手当等が可能になるように取り組んでまいります。 インターネットをはじめとするコンピュータネットワークや情報システムの果たす役割が高まり、情報システムの構築やセキュリティ対策の確立は事業活動を継続する上で、いまや不可欠となっております。これに対して、近年ソフト・ハードの不具合やコンピュータウイルス等による情報システムの停止、サイバー攻撃等による顧客情報の漏洩等さまざまなリスクの発生の可能性が高まっております。当社企業グループは、個人情報の保護に努め、システムとデータの保守・管理には万全を尽くしております。しかしながら、万一データの漏洩が発生した場合は、当社企業グループの社会的信用が低下し、今後の事業展開に多大な影響を与える可能性があり、重要なリスクであると認識しております。当該リスクを低減するため、当社企業グループは、情報セキュリティポリシーや個人情報保護方針を制定し、情報技術の進歩や社会情勢の変化に応じて見直しや改善を実施しております。 当社企業グループは、製造物責任や廃棄物処理責任、環境・個人情報保護関連、税制関連等において、さまざまな法的規制を受けております。今後更に規制が強化された場合には、事業活動に対する制約の拡大やコストの増加も予想され、当社企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社企業グループは、企業行動規範を制定し、法令遵守、コンプライアンス経営の強化を基本として、コンプライアンスに係る情報を収集するための企業倫理ヘルプラインを設置し、監査等委員会および内部監査室が連携して業務プロセスを監査するなど、不正行為の早期発見と是正を図り、コンプライアンス違反行為防止のための体制を構築し事業を進めております。しかしながら、これらの対策を講じても、個人的な不正行為等、予見あるいは防止できない事象によるリスクを完全に回避することは困難であり、重大な法令違反等を起こした場合には、当社企業グループの社会的信用、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当該状況を解消すべく、当社企業グループ経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、スピードを持って対応していくよう努めております。 当社企業グループでは、今後も「クリエイティブをサポートする企業集団」として、クリエイティブサービス事業を軸に事業を行ってまいります。またニーズの変化に対応するために、柔軟に商材ポートフォリオ、人材ポートフォリオ、事業ポートフォリオの最適化を進めてまいります。 当連結会計年度における当社企業グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。「(1)経営成績等の状況の概要」における前連結会計年度との比較は、収益認識会計基準等を適用する前の前連結会計年度の連結業績を基礎とする基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。 詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。 当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における当社企業グループの事業環境は、新型コロナウイルスオミクロン変異株の感染拡大により、まん延防止等重点措置が36都道府県に発出され、第7波、第8波の感染拡大により感染者数が増加し、個人の消費行動は停滞が続きました。また、米国金利引上げに起因する急激な円安進行により金融市場は大きく変動し、資源・エネルギー高による世界的なインフレの消費への影響が懸念されており、さらには、長期化が見込まれるウクライナ情勢、それに伴う国際的な物流への支障、物資の供給懸念など、経済状況は不安定であり、紙やインクなどを含めた原材料価格、物流価格は上昇の傾向にありました。一方で、感染症拡大防止への取り組みやオミクロン対応ワクチン接種も進み、イベントの開催が再開されるなど、企業活動は回復しつつあり、コロナ禍での新しい社会生活に即したサービスや販促ツール・サービスの需要が増加いたしました。 当社企業グループは、お客さまに、より付加価値の高いサービスを提供するため、事業環境の変化や事業戦略に基づき将来の成長分野に事業資産を機動的に集中させております。岡山市の研精堂印刷株式会社では、枚葉・輪転印刷から製本までを一貫して行う新工場を稼働させ西日本地域での生産体制を強化いたしました。また、茨城県行方市にグラビア印刷機と各種用途に応じた自動製袋機を備え、様々な形状の商品生産と短納期対応を強みとする工場を持ち、パッケージ・包装資材および販促商品の企画・製造・販売を行う株式会社リングストンを連結子会社といたしました。さらに、広告宣伝の企画・立案・制作を事業とする株式会社ダイアモンドヘッズ、モデルマネジメントを事業とする株式会社バークインスタイル、「GetNavi」「CAPA」「ムー」「TV ライフ」「POTATO」「BOMB」「mer」「FYTTE」「学研キッズネット」など広く深く認知されている定期雑誌ブランドを保有する株式会社ワン・パブリッシング、映像・音響・ICTに関わるプロジェクトをワンストップで提供するジャパンブロードキャストソリューションズ株式会社、屋外広告・交通広告を中心に特化し独自のノウハウと実績をもつ大光宣伝株式会社およびその関係会社2社を連結子会社とし、メディア関連事業を強化いたしました。企画提案・製造・制作から配信までをトータルでカバーできるユニークな企業体として、クリエイティブサービス事業の領域拡大に取り組んでまいりました。 その結果、当連結会計年度の経営成績の状況は、売上高644億16百万円(前連結会計年度比17.9%増)、営業利益32億48百万円(前連結会計年度比86.2%増)、経常利益は、助成金収入の減少に加え貸倒引当金繰入額の計上等がありましたが36億44百万円(前連結会計年度比50.6%増)となりました。経常利益に減価償却費、のれんの償却額および金融費用を加えたEBITDAは57億40百万円(前連結会計年度比26.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は20億3百万円(前連結会計年度比110.5%増)となりました。 当連結会計年度末における財政状態は、当連結会計年度において、株式会社ダイアモンドヘッズ、株式会社バークインスタイル、株式会社ワン・パブリッシング、株式会社リングストン、ジャパンブロードキャストソリューションズ株式会社、大光宣伝株式会社および株式会社アムと株式会社大宣工房が連結子会社となったことにより、資産及び負債が総じて増加しております。 当連結会計年度末における総資産は、主に、現金及び預金、短期貸付金及び投資その他の資産のその他の減少がありましたが、受取手形、売掛金、電子記録債権、商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の増加により、前連結会計年度末に比べて11億76百万円増加し、677億71百万円となりました。 当連結会計年度末における負債は、主に、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金、退職給付に係る負債の減少がありましたが、買掛金、繰延税金負債、流動負債のその他及び固定負債のその他の増加により、前連結会計年度末に比べて7億83百万円増加し、550億35百万円となりました。 当連結会計年度末における純資産は、主に、非支配株主持分の減少がありましたが、支払配当金を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べて3億92百万円増加し、127億36百万円となりました。 なお、当社企業グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて18億61百万円減少し、103億55百万円となりました。 営業活動の結果獲得した資金は22億38百万円(前連結会計年度比24億35百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益33億57百万円、減価償却費16億45百万円、減損損失4億95百万円、仕入債務の増加額2億14百万円により資金の増加がありましたが、売掛債権の増加額11億89百万円、棚卸資産の増加額6億13百万円、法人税等の支払額14億82百万円により資金が減少したことによるものであります。 投資活動の結果使用した資金は2億3百万円(前連結会計年度比82億16百万円減)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入10億27百万円、投資有価証券の売却による収入3億48百万円、貸付金の回収による収入42億45百万円がありましたが、有形固定資産の取得による支出14億64百万円、投資有価証券の取得による支出2億90百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出19億40百万円、貸付けによる支出20億44百万円により資金の減少があったことによるものであります。 財務活動の結果使用した資金は39億1百万円(前連結会計年度は14億89百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入22億円がありましたが、長期借入金の返済による支出36億円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出17億52百万円、配当金の支払額5億39百万円により資金の減少があったことによるものであります。 当社企業グループは、クリエイティブサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。 当社企業グループは、クリエイティブサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。 当社企業グループは、クリエイティブサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。 経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社企業グループの当連結会計年度末における財政状態は、総資産677億71百万円(前連結会計年度末比1.8%増)、負債550億35百万円(前連結会計年度末比1.4%増)、純資産127億36百万円(前連結会計年度末比3.2%増)となりました。また、自己資本比率につきましては、前連結会計年度に比して1.7ポイント改善し18.1%となりました。総資産、負債及び純資産の概況及び詳細につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 当連結会計年度の経営成績につきましては次のとおりであります。 売上高は、644億16百万円(前連結会計年度546億20百万円)となりました。売上高の概況及び詳細については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 売上原価は、464億24百万円(前連結会計年度395億76百万円)となりました。その結果、売上総利益は、179億92百万円(前連結会計年度150億44百万円)、売上総利益率が27.93%(前連結会計年度27.54%)となりました。 販売費及び一般管理費は、エネルギー、燃料資源の価格高騰による運搬費、水道光熱費、維持管理費等の増加、また、新規連結による費用が増加となり、147億43百万円(前連結会計年度132億99百万円)となりました。 以上の結果、営業利益は32億48百万円(前連結会計年度17億45百万円)となりました。 営業外収益は、主に助成金収入が減少したため、9億99百万円(前連結会計年度13億55百万円)、営業外費用は、主に支払手数料が減少したため、6億3百万円(前連結会計年度6億80百万円)となりました。 以上の結果、経常利益は36億44百万円(前連結会計年度24億20百万円)となりました。 特別利益は、固定資産売却益5億29百万円、投資有価証券売却益1億43百万円、負ののれん発生益50百万円、持分変動利益1億円等を計上した結果、9億1百万円(前連結会計年度2億87百万円)となりました。特別損失は、固定資産除却損35百万円、投資有価証券評価損94百万円と前連結会計年度に比して減少しましたが、固定資産売却損33百万円、減損損失4億95百万円、退職給付制度終了損4億20百万円、段階取得に係る差損54百万円、持分変動損失12百万円等を計上したため、11億89百万円(前連結会計年度8億1百万円)となりました。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は20億3百万円(前連結会計年度9億51百万円)となりました。 当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因につましては「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しておりますのでご参照ください。 当社企業グループの経営方針・経営戦略の現状と見通しにつきましては「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますのでご参照ください。 当社企業グループは「クリエイティブをサポートする企業集団」として、クリエイティブサービス事業を軸にビジネス展開を推進することで、お客さまにとって必要不可欠な企業集団として企業価値の向上を図るべく日々努めております。その実現のため、当社企業グループの中期経営計画において、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重要な指標としております。加えてEBITDA、自己資本比率、キャッシュ・フローを重視した経営により、企業の経営基盤を強化し、安定的な成長を図っていく所存であります。 当連結会計年度における営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益及びEBITDAの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」を、キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を、自己資本比率の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析」をご参照ください。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社企業グループの運転資金、設備投資等の所要資金につきましては、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、原則自己資金及び借入金で賄うこととしております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を、設備投資等や長期運転資金の調達は金融機関からの長期借入を基本としており、必要に応じて資金調達を実施いたします。また、当社企業グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。 資金の流動性につきましては、安定的な営業キャッシュ・フロー及び自己資金に加え、金融機関からの借入等により十分な手元流動性を確保しております。 当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。 連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者の判断により一定の会計基準の範囲内で会計上の見積りを行う必要があり、会計上の見積りの金額が資産・負債、収益・費用の数値に反映されております。連結会計年度末における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、退職給付引当金、資産除去債務、繰延税金資産及び市場価格のない投資有価証券、固定資産の減損、のれんの評価であり、これらの見積り及びその基礎となる仮定は、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。 連結財務諸表の作成にあたって、必要な会計上の見積りは合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定の判断につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照ください。 特に記載すべき事項はありません。 特に記載すべき事項はありません。
日揮ホールディングス株式会社
# 日揮ホールディングス株式会社 提出会社は「日本揮発油株式会社」として1928年10月25日資本金2,500千円をもって創立されました。 提出会社の変遷を示せば次のとおりであります。 当社グループ(当社、当社の子会社59社及び関連会社36社)は、総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業を主たる事業としており、これに加え、機器調達及びコンサルティング等の附帯事業を営んでおります。各事業における当社及び主要な関係会社の位置付け等は次のとおりであります。なお、次の区分はセグメント情報に記載された区分と同一であります。 当セグメントは、石油、石油精製、石油化学、ガス、LNG、一般化学、原子力、金属製錬、バイオ、食品、医薬品、医療、物流、IT、環境保全、公害防止等に関する装置、設備及び施設の計画、設計、調達、建設及び試運転役務等のEPCビジネスを中心に構成されております。なお、当セグメントを構成する会社は以下のとおりであります。 当セグメントは、以下のような分野別製品群からなる事業で各関係会社にて製造・販売しています。 その他の事業は総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業以外の事業であり、以下のような分野及び会社で構成されております。 以上に述べた事項の概略は次のとおりであります。 んでおりません。 労働組合は結成されておりません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、企業活動を行う上での軸・拠り所として企業理念「JGC's Purpose and Values」を制定しております。 「JGC's Purpose and Values」は日揮グループのパーパス(存在意義)及びValues(価値観)の2つの要素から構成され、日揮グループのパーパス(存在意義)として、「Enhancing planetary health」を掲げ、当社グループ共通のValuesとして、4つのちから、即ち、「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」を定め、さらに「尊重」、「誠実」を2つの誓いとして明らかにしております。 当社グループは、企業理念「JGC's Purpose and Values」に基づき企業活動を進めていくことで、企業価値の一層の向上を図り、以て人と地球の健やかな未来づくりに貢献してまいります。 当社グループは、2021年度から2025年度の5ヶ年を長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ、挑戦の5年間と位置づけ、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025(BSP2025)」において、「EPC事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、戦略投資に積極的に取り組むことで収益の拡大、多様化を進めております。財務目標として、2025年度に売上高8,000億円、営業利益600億円、親会社株主に帰属する当期純利益450億円、自己資本利益率(ROE)10%を掲げております。 2025年度の海外の大型EPCプロジェクトの売上高目標を3,500億円に設定し、リスク管理・プロジェクト折衝力の強化を通じたプロジェクト粗利益率の向上と、JV組成戦略・デジタル技術・建設工法の最適化による受注競争力の向上を推し進め、大型EPCプロジェクトにおける当社グループの強みをさらに深化させていきます。 大型EPCプロジェクトに加え、EPC事業を成長市場・成長分野に拡大し、ポートフォリオの多様化を推進していくことで、2025年度の成長市場・分野におけるEPC事業の売上高目標として3,000億円の達成を目指します。今後案件の増加するLNG受入基地、ガス火力発電、太陽光発電、バイオマス発電、医薬品、病院、ケミカル分野の強化による収益拡大と並行して、成長著しいアジア地域におけるリージョナル経営体制の強化並びに、国内市場への対応も見据えた人員増強を図ります。 高機能材製造事業においては、事業規模を拡大し、2025年に売上高600億円の達成を目指します。その実現に向け、既存主力事業においてプロパーケミカル触媒、ハードディスク用研磨材、半導体製造装置関連素材等の製品ラインナップを増やし、収益の拡大に取り組みます。また、将来を見据えた戦略投資と次世代事業の開発にも取り組みます。戦略投資ではファインケミカル新製品開発や高熱伝導窒化ケイ素基板生産設備、次世代事業の開発ではカーボンリサイクル向け触媒、全固体電池用電解質、骨再生材料等が対象となります。 「2040年ビジョン」で定めた5つのビジネス領域について、特に将来の成長エンジンとして期待する以下のビジネスの確立に取り組みます。2025年度は売上高500億円を計画し、10年後には売上高5,000億円規模のビジネスに育成していく方針です。 BSP2025の計画2年目となる2022年度においては、「EPC事業のさらなる深化」では、海外プラント市場の中長期的な拡大を見据えたプロジェクト遂行キャパシティ拡大の一環としてインドにオペレーションセンターを設立したほか、アジア市場のさらなる拡大に向けて、東南アジアの統括拠点としてJGCアジアパシフィック社の取組みを本格始動し、フィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシアのグループ内エンジニアリング子会社との連携を強め、営業・プロジェクト遂行体制の強化に取り組みました。さらに、遂行中の複数の大型EPCプロジェクトにおいて、データ統合管理システムを適用し、デジタル技術を活用したプロジェクト遂行(EPC DX)を本格化させました。 「高機能材製造事業の拡大」では、セラミックス事業の拡大に向けて、昭和電工マテリアルズ株式会社から事業譲受したセラミックス事業部門が、2022年7月にJFCマテリアルズ株式会社として事業を開始したことに加え、顧客の需要増に対応するために半導体製造装置用セラミックス及び高熱伝導窒化ケイ素基板の生産設備増強を実施しました。 「将来の成長エンジンの確立」では、海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社に海外における低・脱炭素分野のEPCプロジェクトを手掛ける専門組織として「サステナブルソリューションズ」を新設したことに加え、2022年4月に東洋エンジニアリング株式会社と燃料アンモニア製造プラント及びアンモニア受入基地のFS(フィージビリティスタディ)、FEED(基本設計)、EPCプロジェクトの受注・遂行に関するアライアンス契約を締結しました。また米KBR社ともアンモニア製造プロセスに関するライセンス契約を締結し、当社グループ、東洋エンジニアリング株式会社及び米KBR社共同で、北米や中東・北アフリカなどで検討が進む案件獲得に向けて、営業活動を推進しました。 東洋エンジニアリング株式会社とは、2023年3月に国内のSAF製造プラントのFEED及びEPCプロジェクト受注・遂行に関するアライアンス契約も締結し、今後国内において増加が見込まれるSAFプラント建設プロジェクトに対して共同で営業活動及びプロジェクト遂行を行い、より多くの案件に対応していく方針です。 また、当社、コスモ石油株式会社、株式会社レボインターナショナルの3社で廃食用油を原料とした国産SAFの製造・供給事業※1を推進していくため、合同会社 SAFFAIRE SKY ENERGY を設立し、2024年度下期から2025年度初めの運転開始を目指しています。再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造技術実証プロジェクト※2では、2024年度の運転開始を目指して福島県浪江町と実証プラントの立地に関する基本協定を締結しました。加えて、岩谷産業株式会社及び豊田通商株式会社とともに、愛知県名古屋港近郊における廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造事業の事業化検討を開始したほか、帝人株式会社及び伊藤忠商事株式会社とともに、ポリエステル製品をケミカルリサイクルする技術のライセンスを目的とした合弁事業会社、株式会社RePEaT(リピート)を設立し、中国企業向けに最初のライセンス契約を締結するなどポリエステル製品のリサイクル事業を推進しました。 総合エンジニアリング事業のエネルギーソリューションズ分野及びサステナブルソリューションズ分野においては、長引くインフレーションや金融引き締め策等によって、世界経済が減速し、先行き不透明な事業環境が続くことが懸念されます。一方で、世界的な脱ロシアの動きによるエネルギー不足や調達先の多様化などによって、低・脱炭素社会の実現に向けた移行期間における安定的なエネルギー源、すなわちトランジションエネルギーとして重要性が再確認された天然ガス及びLNGを中心に、中長期的なエネルギーの安定確保を見据えた顧客の設備投資計画が、引き続き着実に進展していく見通しです。加えて、世界的な低・脱炭素化の潮流を受け、水素・燃料アンモニアやSAFをはじめとする低・脱炭素分野、資源循環分野においても多くの設備投資計画が実現していくことが期待されます。 ファシリティインフラストラクチャーソリューションズ分野においても、新興国を中心とする人口増加と経済成長、さらには脱炭素化のニーズを背景に、産業インフラや先端産業における顧客の設備投資計画が拡大、着実に実行されていくことが期待されます。 国内分野においては、既存製油所の保全工事、ヘルスケア・ライフサイエンス、ケミカル分野を中心とした産業インフラ分野への設備投資が継続的に行われるとともに、政府が掲げるグリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた水素・燃料アンモニアやSAFなどの低・脱炭素関連分野や資源循環分野での顧客の設備投資が拡大していく見通しです。 機能材製造事業では、触媒分野においては、FCC触媒の国内シェア拡大及び海外展開に加え、水素化処理触媒の協業先企業との体制維持と収益性向上、ケミカル触媒の新規案件獲得、拡大するカーボンリサイクルやケミカルリサイクル分野に対応する新規ケミカル触媒の製品化、再生可能エネルギー発電向け環境保全触媒の材料開発などを目指します。ファインケミカル分野においては、主力であるエレクトロニクスや半導体市場の事業環境悪化の影響が懸念されるものの、シリカゾルの新規研磨材の立上げ、機能性塗料材の拡販及び多用途展開、化粧品材のプラスチックビーズ代替拡大とオプト材の拡販、多用途展開に注力してまいります。 ファインセラミックス分野においても、引き続き半導体製造装置市場の事業環境悪化の影響が懸念されるものの新規顧客獲得や新分野参入のほか、高熱伝導窒化ケイ素基板のさらなる受注拡大に取り組んでまいります。 当社グループは、企業理念である「JGC's Purpose and Values」に基づき、サステナビリティに関する取組みを通じて企業価値の持続的な向上を図るために、「サステナビリティ基本方針」を定め、環境、社会、ガバナンス、品質、安全、健康の分野での活動において、サステナビリティを積極的に追求しております。また、環境調和型社会、世界各地域における共創共生、人権の尊重・働きがい、エネルギーアクセス、生活の質の向上、ガバナンス・リスク対応をマテリアリティとし、経営方針の策定や事業活動の展開を行う上で基本となる重要な課題と位置付けています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループでは、代表取締役会長を委員長とするサステナビリティ委員会を設け、気候変動や人的資本を含むサステナビリティ分野に関する方針や行動計画の策定、並びに活動状況の評価・推進に係る審議を行うとともに、内容に応じ取締役会への附議・報告を行っております。また、代表取締役社長が委員長を務めるグループリスク管理委員会を設け、グループのリスク全体の把握・整理、リスク管理システムの維持・構築、改善の提案・審議を行っており、気候変動等サステナビリティに関連するリスクについては、サステナビリティ委員会と連携を図って対処しております。これら委員会の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治体制の概要」に記載しております。 上記のガバナンス及びリスク管理を通じて特定された当社グループにおいて重要と考えるサステナビリティ項目別の対応は以下のとおりです。 持続可能な社会の実現に向けて、気候変動への対応は世界的な課題となっています。当社グループはマテリアリティの一つに「環境調和型社会」を掲げ、事業活動を通じ気候変動への対応を図るとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のガイドラインを踏まえて事業戦略を検討・策定、これに基づいた開示を行っております。 当社グループの気候変動対応の責任者は代表取締役会長であり、上記サステナビリティ委員会の主宰等を通じ、気候関連のリスクと機会を評価・管理するとともに、当社グループの経営戦略や経営目標に反映させる責任を負っています。また、上記グループリスク管理委員会等の枠組みのもと、気候変動を含む様々な具体的なリスクに対して、サステナビリティ委員会とも連携しつつ、低減と未然の防止に努めています。 当社グループでは、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」や中期経営計画「BSP2025」の策定過程において、国際エネルギー機関(IEA)の複数のシナリオ等を前提に行った分析を踏まえ、気候変動関連のリスクと機会を認識し、これらビジョン・計画に反映させ、エネルギートランジション、資源循環などを未来に向けたビジネス領域と位置付けております。具体的には、従来の化石資源関連ビジネスの低炭素化に注力するとともに、カーボンニュートラルに向けて、アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)、持続可能な航空燃料(SAF)、プラスチックのリサイクル、電気自動車(EV)関連の高機能材、洋上風力等再生可能エネルギーなどの分野を機会と認識してこれらのビジネス化に積極的に取り組んでいます。さらに、「BSP2025」において、グループ企業の自社拠点での事業活動に伴う温暖化ガス(GHG)排出量(Scope1+2)について「2050年ネットゼロ」を宣言するとともに、2030年度までの売上高当たり排出量の2020年度比30%削減を目指すこととしています。実績については、2021年度(2021年4月~2022年3月)のScope1+2のGHG排出量は133,573トンCO2で、売上高ベースで前年度から2%の増加となりました。同じく2021年度のScope3排出量は702,873トンCO2でした。なお、排出量実績はいずれもグループ内の6社 (当社、日揮グローバル株式会社、日揮株式会社、日揮触媒化成株式会社、日本ファインセラミックス株式会社及び日本エヌ・ユー・エス株式会社)による排出量であり、前提や内訳など詳細については国際的な気候変動関連の情報開示の枠組みであるCDPへの当社からの2022年7月の報告をご参照ください。 また、気候変動に伴う機会を踏まえ、BSP2025において上記の各分野を念頭におき、「将来の成長エンジンの確立」を目標として掲げております。 人的資本を重要な経営基盤と位置付ける当社グループにおいては、経営戦略と連動する人財戦略は重要テーマです。本テーマに対し、取締役会の指名を受け戦略的な人事施策の策定と実装を牽引するCHRO (Chief Human Resource Officer) のイニシアチブのもと、経営戦略や事業戦略実現のために必要な人財要件や人財数を特定するための人財ポートフォリオ策定のほか、ポートフォリオ実現のための採用・育成、エンゲージメント向上、Inclusion & Diversityの推進等、重点課題を定め、グループ全体でそれら重点課題の解決に戦略的に取り組んでおります。 当社グループのパーパス(存在意義)を実現するために必要な組織像を「変化し続ける様々な社会課題に対し、解決に貢献し続けることができる組織」、「深化と探索、そして探索の結果を進化させるサイクルが形成された組織」として定め、この組織像を実現するため、「自ら変化を起こし続ける人財」を継続的に輩出することを人財育成方針とし、国籍・人種・年齢・障がい・ジェンダー・宗教等の違いにかかわらず、すべての従業員に対して能力開発・キャリア開発の機会を公平に提供することとしております。また、指標の一つに管理職に占める女性労働者の割合を用いており、その実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。従来から適任者は性別にかかわらず管理職に登用しており、今後も積極的に女性の管理職への登用を図ってまいります。 さらに当社グループでは、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」のもと、事業環境の変化に合わせ、ビジネス領域、ビジネスモデル、組織のトランスフォーメーションを進めており、日揮グループで働く従業員が、今後益々多様化していくことを想定しております。2023年3月に策定した「Inclusion & Diversity基本方針」においては、多様化する従業員一人ひとりが、能力と活力を最大限に発揮して自分らしく活き活きと働くことができるよう、「日揮グループに集うすべての人に敬意をもって接し、国籍・人種・年齢・障がい・ジェンダー・宗教などを問わず、異なる意見・経験を尊重」すること、「多様な人財一人ひとりの能力と活力を最大限に引き出す風土を大切にし、それを可能にする制度を拡充」すること等を掲げ、社内環境整備を含めこれらを推進しております。指標の一つに男性労働者の育児休業取得率を用いており、その実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。従来から従業員にとって意見・希望を言いやすく、多様性が受容される風土があり、今後も一人ひとりのライフステージと希望に合わせ、男性育休取得のサポートを継続します。 当社グループは「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の国際的に認められた人権原則に基づき、当社グループの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を尊重することが、ビジネスの基盤であると認識しています。当社グループでは、代表取締役会長が委員長を務めるサステナビリティ委員会のもと、グループ横断型の人権対応分科会において、当社ガバナンス統括オフィスコンプライアンスユニットが中心となって、人権を尊重する体制を推進しています。その上で、グループ各社の役職員に対し、「日揮グループ行動規範」及び「日揮グループ人権基本方針」を以って人権の尊重を要求しているほか、外部講師を招いて人権に関する研修を実施するなど、社員の意識醸成も図っています。さらに当社グループは、人権デューデリジェンスプロセスの構築にも積極的に取り組んでおります。総合エンジニアリング事業においては、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した人権課題の特定、リスク評価、及びリスク低減措置の整備を進めております。今後は同取組みの機能材製造事業への展開を通じ、当社グループ社員をはじめ協力会社で働く労働者、サプライヤー、パートナー、顧客等、すべてのステークホルダーの人権侵害リスクの排除、その維持、侵害が発見された場合の早期の救済に努めることとしております。また、上述のプロセス構築に加え、人権方針遵守に関する具体的な行動指針を示した規程の整備など、より一層の取組みを充実させてまいります。 当社グループは、プラントなどの施設の安全運転や安定生産を実現するために、品質マネジメントを極めて重要な要素と位置付けており、ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムを構築し、長年に亘って蓄積してきた知識や技術、教訓を結集し、システムと人財をグローバルに活用して、品質確保に取り組んでいます。具体的には、各主要グループ会社において、社長の下に品質保証委員会などの会議体が設置されており、品質マネジメント活動が社長のレビューにて総括される品質マネジメント体制が構築されています。またこれら各社では、上記品質マネジメントシステムに基づき、品質方針を策定しています。組織の各階層が方針に基づく品質目標を設定して組織の課題を明確化し、品質目標とアクションプランのPDCAサイクルを回すことにより、継続的なパフォーマンス改善を図っています。その上で、上記の品質保証委員会などの会議体が定期的に開催され、高品質のプロダクトやサービスを提供するため、品質上の問題の根本原因を究明、有効な再発防止策を含めた改善活動を推進し、その成果を評価して継続的な改善を実践しています。こうした品質マネジメントの活動は、各社において年に一度、社長によるマネジメントレビューを実施して総括し、品質保証に関わる枠組みの整備と改善を継続的に実施しています。 当社グループでは、Health(衛生)、Safety(安全)、Security(セキュリティ)、Environment(環境) (以下、HSSEという。)を常に追求すべき企業価値と捉え、当社グループのみならず協力会社も含め、国内外事業所や建設現場などで働くすべての人を対象に「すべての人が、健康で安心して働き、家族のもとへ無事帰る」というグループ共通のHSSE基本理念を制定し、グループを挙げてHSSEの推進に取り組んでいます。本理念に基づき、グループ各社が安全衛生方針を掲げ、安全衛生委員会あるいはHSSE委員会を設置し労働安全衛生管理体制を構築しており、HSSEに係る重要テーマに関して審議し、対処しております。また、グループ各社の安全衛生委員会あるいはHSSE委員会は、安全衛生上のリスクを低減する活動を展開しております。重大災害があった場合は各グループ会社の労働安全衛生管理部門が迅速に対処するとともに、当社関連部門に対して緊急連絡し、必要に応じて当社が支援する体制を取っています。労働安全衛生のパフォーマンス向上については、安全衛生意識の向上と安全衛生知識・技術の向上という二つの側面から取り組んでおります。意識向上においては、当社代表取締役社長主催のグループ全体のHSSE大会など各種イベントの開催、知識・技術の向上においては、新入社員や初めて現場赴任する従業員への安全衛生環境教育、国内外の建設現場に対するHSSE監査などを実施しております。HSSE委員会では、国内外の建設現場において、休業災害度数率、記録災害度数率をはじめHSSEに関するパフォーマンスを測定する複数の指標を定め、モニタリングすることで、継続的なHSSE管理の徹底と向上に努めています。 当社グループは、情報及び情報システムは会社の重要な資産であり、顧客や取引先からの信頼を獲得・維持する上で必須であることを踏まえ、情報セキュリティは事業活動に係る重要な経営課題と認識しています。「日揮グループ情報セキュリティ方針」及び「日揮グループ情報セキュリティ指針」のもと、情報セキュリティマネジメントシステムを構築し、継続的な見直し、改善、向上を図っています。主要グループ会社それぞれにおいて、各社のトップマネジメントを中心に、情報セキュリティの推進・維持を行う情報セキュリティシステム推進体制を構築しており、法令・規則等に準拠した情報セキュリティ関連規定の策定、各社に配置した情報セキュリティ統括責任者及び情報セキュリティモニタリング責任者を通じた情報セキュリティマネジメントシステムの確立、導入、計画、運用、モニタリング、継続的改善に取り組むPDCAサイクルを実施しています。加えて各社の責任者間で情報共有を行い、コミュニケーションを密に連携することで、グループ横断での適切な情報セキュリティの維持及び向上を図っています。また、当社代表取締役社長が委員長を務めるグループリスク管理委員会において、情報セキュリティに関わるリスク管理について審議しています。さらに、情報セキュリティリスクに対処する具体的な取組みとして、あらゆる技術的サイバーセキュリティ対策を講じているほか、継続的な情報セキュリティ教育や訓練を通じ、グループすべての従業員の情報セキュリティへの意識向上に取り組んでいます。 当社グループでは、企業理念としての「JGC's Purpose and Values」において、社員が共有すべき価値観の一部として「尊重」と「誠実」を掲げ、コンプライアンスを経営の基軸に据えています。当社グループが国際社会の一員として持続可能な事業展開を図っていくためには、国内のみならず海外関係国の法令を遵守し、さらに、企業倫理に則って公平・公正にビジネスを行うことが必要不可欠です。この認識のもと、企業理念を実践する際に守るべき重要な事項を「日揮グループ行動規範」に定め、社員一人ひとりに遵守を義務付けています。これらに基づき、当社グループでは、グループ各社が高い倫理観のもとに事業活動を行えるよう、グループコンプライアンス体制を構築しています。主要なグループ会社にコンプライアンス責任者を配置し、指揮下のコンプライアンス部門担当者とともに、各社の実情に合った施策を立案・実施しています。また、グループ会社間の垣根なくコンプライアンスの情報共有を行う場としてグループ横断型のコンプライアンス・コミッティーを設けています。当社ガバナンス統括オフィスコンプライアンスユニットが、当社グループ全体を対象としたコンプライアンス推進のための総合的な施策策定や調整等の機能を担っています。また、コンプライアンス向上に向けた取組みとして、階層別及び目的別(腐敗防止も含む)の各種コンプライアンス研修の実施や、コンプライアンスに関する社内及び取引先などの相談・通報窓口として、専門の第三者機関が受付を担当する相談・通報窓口の整備・運用など、コンプライアンス上のリスクの未然防止や早期発見に資する取組みも実施しています。贈賄防止においては、当社グループ贈賄防止関連諸規定の整備及びこれらに基づく贈賄防止プログラムを展開し、当社グループと取引を行うステークホルダーに対するコンプライアンス上の事前審査や契約書への贈賄防止文言の反映等の取組みを行っています。 当社グループの事業その他に関する主要なリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。これらのリスクは、予測不可能な不確実性を含んでおり、将来の当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性があります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、当社グループは、これらのリスクに対処するため、必要なリスク管理体制を整え、リスクの管理及び対応を行っておりますが、それらの対応が有効に機能しない等により、これらのリスクを回避できない可能性があります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 総合エンジニアリング事業においては、オイルメジャーや国営石油会社が顧客となる国際的な大規模プロジェクトを遂行しております。このようなプロジェクトにおいて設計、調達及び建設する各種プラントは、数多くの異なる要素や機能で構成される複雑なシステム総合体であり、また、契約締結からプラント引渡しまで長期間にわたるプロジェクトも多いため、その間の政治・社会情勢の変化、政策の変更その他顧客を含む取引先の状況等の変化による受注後のプロジェクトの計画変更、中止、中断又は延期等のリスクを含む総合エンジニアリング事業におけるリスクの見積りには複雑性を伴い高度な技術力及び豊富な経験を要します。上記のリスクが顕在化した場合、代金回収並びにプロジェクトの遂行、特に納入品の性能及び品質又は納期の遅延等に起因するプロジェクトの採算に大きな影響を与えることがあります。また、パートナー企業と責任を分担するジョイントベンチャー又はコンソーシアムを組成し、受注することがあります。この場合、パートナー企業のプロジェクト遂行能力の不足、分担業務の不履行やパートナー企業の財政状態の悪化等が生じた場合、当社がパートナー企業の債務を負担することとなり、大幅な追加費用の負担が発生し、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、事業会社において、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況<プロジェクトリスク管理>」に記載のとおり、見積・応札段階においては、コーポレート部門及び各事業部門によるプロジェクトリスクレビュー会議等でプロジェクト固有のリスク分析を行い、見積方針を策定するとともに、遂行段階においては、コーポレート部門及び各事業部門によるプロジェクトレビュー等の会議にてプロジェクトの進捗、採算状況等をモニタリングする等リスクの低減に努めております。また、事業会社は、当社取締役会に対し、上記各段階における主要なリスクに係る報告・審議を必要に応じて実施しております。 仕向地や現地工事を行う国や地域で不安定な政情、戦争、革命、内乱、テロ、経済政策・情勢の急変、経済制裁等のいわゆるカントリーリスクが顕在化した場合、総合エンジニアリング事業においては、プロジェクトの中止、中断又は延期、工事従事者の動員及びプラント建設に要する資機材調達の遅れ等によりプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業においては販売取引の減少及び売上債権を回収できないこと等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、貿易保険の利用、カントリーリスクに関する情報の収集及び不可抗力条件等、顧客との契約条件設定等の対策を実施し、リスクの低減に努めております。また、テロ、紛争等に対する海外駐在員の安全対策については、危機管理基本規程に基づき、危機管理統括部が中心となり、平時の情報収集・分析の強化、各種予防策の拡充、有事における対応等、危機管理機能の更なる強化に努めております。 当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震、豪雨、暴風雨等の想定を超える自然災害や感染症の世界的流行(パンデミック)に見舞われた場合、総合エンジニアリング事業において建設工事の中断又はやり直し等によりプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業において事業所・工場の操業停止や生産能力低下等が発生し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、当社グループ各社の本社、建設現場、事務所・工場等の拠点ごとに自然災害発生時の対応手順を規定化し、安否確認システムの導入及び防災訓練等を実施するほか、リスクに関する情報の収集及び不可抗力条件等の顧客との契約条件の設定等の対策を実施する等、リスク低減に努めております。 また、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」という。)については、今後も感染状況や政府・自治体の要請も踏まえ、都度必要な措置を講じるとともに、各国の情勢や規制に応じ、安全状況を確認したうえで事業活動を継続してまいります。なお、感染が世界的に拡大したCOVID-19及びそれに対する各国政府の措置の影響を受けて、総合エンジニアリング事業においては、遂行中のプロジェクトの海外工事従事者の移動や物資の輸送が制限され、そのため資機材の調達や建設工事に遅延等の影響が生じました。COVID-19に起因する上記の状況は依然として完全には払しょくされておらず、当社は、顧客に対して必要な納期や契約金額の調整を求めて交渉を行っており、今後も引き続き必要な対応を行ってまいります。 当社グループは、当社グループ役職員をはじめとする関係者の安全の確保を最優先とする方針のもと、顧客等とも密に連携し対応してまいりますが、COVID-19の収束時期や最終的な影響については予測が難しく、顧客等との協議の結果、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 当社グループは、海外売上高のほとんどが外貨建て契約となっており、為替レートが急激に変動した場合、当社グループの受注、売上及び損益に影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、複数通貨建てによるプロジェクトの受注契約をはじめ、海外調達、外貨建ての発注及び為替予約等の対策を状況に応じて実施し、リスクの低減に努めております。 総合エンジニアリング事業においては、プラント建設地において工事従事者が不足した場合、工事従事者の賃金が高騰した場合には、建設工事の遅延及び建設工事費用の増加によりプロジェクトの採算が悪化し、当社グループの事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、主要プラントマーケットにおける建設労働力動向をモニタリング・予測するとともに、モジュール工法を採用し現地工事を最小化するほか、現地建設工事に豊富な実績を有する企業と協業する等により、リスクの低減に努めております。 総合エンジニアリング事業においては、プラント建設に要する資機材費の見積後、発注までにタイムラグがあるため、この間に資機材・原燃材料費及び輸送コストが高騰した場合、資機材の調達費用及び輸送コストの増加によりプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業においては、原燃材料価格が高騰した場合に利益率が低下する可能性があります。更に、国際輸送の混乱、部材供給不足等に起因して資機材・原燃材料の調達費用及び輸送コストが高騰するとともに、資機材・原燃材料の調達及び供給スケジュールが遅延する恐れがあり、このような状況が続いた場合、当社グループの事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、価格動向のモニタリング・予測、予測精度向上に向けた取組み、早期発注、調達先の多様化、製品価格への転嫁、並びに契約面での対応等の対策を実施し、リスクの低減に努めております。 直近では、経済制裁措置によるエネルギーなどの需給逼迫により、世界経済がインフレーションに転じる兆候が見られており、特にそのようなリスクを慎重に見極めて適切に対処することとしております。 当社グループは、既往のインフラ事業、メディカル事業、ヘルスケア事業への投資に加え、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025」に基づく施策としてデジタルやM&A、生産設備、事業開発、商業実証、研究開発などの形態で成長戦略投資の取組みを行っております。これらの投資を実行する中で、投資先やパートナーの業績や財政状態を含む事業・投資環境に想定を超える事態が生じた場合、期待通りの収益が上げられないリスク、投資の一部又は全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあります。また、パートナーとの経営方針の相違、投資の流動性の低さ等により、当社グループが希望する時期や方法で撤退できないリスクがあります。 このリスクに対して、新規投資の実行に当たっては、審査基準を設け投資の意義・目的を明確にしたうえで、取締役会やグループ投融資委員会による審議を経るとともに、既存投資のモニタリングを更に強化する等、リスクの低減に努めておりますが、リスクが顕在化した場合、当社グループの事業、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。 当社グループは、事業活動において税法、建設業法等の事業関連法規、国内外の環境に関する各種法令、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、汚職等の腐敗行為防止のための諸法令、人権保護に関する法令及び原則、事業及び投資に対する許認可等の制約を受けております。当社グループは、これらの国内外の法令及び規制等を遵守するため、コンプライアンス・プログラム並びにグループ方針及び規程の整備、実施、モニタリング及び改善を継続的に行っておりますが、係る取組みが奏功する保証はありません。当社グループによる各種法令等違反が生じた場合や、関係する各種法令等の大幅な変更又は予期しない解釈の適用が行われた場合には、当社グループの事業活動に対する制約の発生、法令遵守対応に関する費用の発生、当社グループに対する過料・課徴金・罰金等の制裁、当社グループの社会的評価の毀損等により、当社グループの事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 当社グループは、事業活動における技術情報や顧客から入手した個人情報等の機密情報を保有しており、停電、災害、ホストコンピューター、サーバー又はネットワーク機器の障害や紛失・盗難、外部からの攻撃やコンピューターウイルスの感染等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合、これらに対応するために多額の費用負担が生じるほか、顧客からの信用の失墜により当社グループの事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、当社グループは情報セキュリティ方針を制定し、重要な情報システム、ネットワーク設備及びIT資産については、外部からの不正アクセスの防止、ウイルス対策及び暗号化技術の採用等のセキュリティ対策を講じるとともに、役員・従業員への教育研修及び訓練を通じた情報セキュリティの重要性の周知徹底等の適切な措置により、情報セキュリティの強化を図り、リスクの低減に努めております。しかしながら、このような対策を行ったとしても、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備の損壊・通信回線のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては将来の当社グループの事業及び財政状態等に影響を与える可能性があります。 当社グループは、調達品等の品質不良、不具合の発生防止を含め、納入品の品質確保に努めていますが、納入品の性能、品質に起因して顧客、取引先又は製品使用者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起された場合、大規模な納入品回収や損害賠償責任の発生等に加え、当社グループの社会的評価に影響を及ぼすことが考えられ、当社グループの事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 このリスクに対して、当社グループは品質保証を所管する組織を設置し、品質マネジメントシステムの活動を推進するとともに、製造物責任賠償保険(以下、「PL保険」という。)に加入する等の対策を講じていますが、上記のリスクの発生を完全に回避できる保証はなく、また、PL保険には損害補償額等の制約に服するため損害の全てを回避できない可能性があります。 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、当社の業績も海外諸国の経済動向、社会・国際情勢の変化、地政学的情勢、経済制裁、保護貿易の状況等の影響を受けます。特に原油や天然ガス等のエネルギー価格は世界の景気動向に加えて、資源輸出国の生産動向、各国のエネルギー政策、更にはロシア・ウクライナ情勢及び関連する経済・金融制裁の動向によって今後も上下する状況が続くとみられます。エネルギー資源の価格の変動が世界的な景気後退につながる場合には、当社グループの顧客企業の設備投資の低下を招き、開発案件数の減少による競合企業との競争の激化等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。総合エンジニアリング事業においては、世界的な景気後退により、顧客企業、パートナー企業、資機材発注先、現地建設工事会社等の取引先の財政状態の悪化等が生じ、プロジェクトの計画変更、中止、中断又は延期等及び現地建設工事又は資機材調達の遅れによるプロジェクト遂行への悪影響、並びに取引先からの代金回収に影響を及ぼす可能性があります。 気候変動に関するリスクとしては、建設現場及び製造現場などで自然災害リスクが高まるほか、パリ協定の長期目標を踏まえた脱炭素化社会の実現に向けた動きが加速する中、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入が実施され、想定を上回るスピードで化石燃料及び化石燃料由来の製品需要が減少した場合、顧客企業の化石燃料関連への投資抑制、顧客企業の事業内容自体の変更実施等、当社グループの顧客企業の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。これにより、開発案件数の減少及び限られた案件の受注を巡る競合企業との競争の激化等による価格低下が起こる可能性があります。当社グループがこうした事業環境の変化に対応できない場合には、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。 こうしたリスクに加えて、社会や産業全般の変化等当社グループを取り巻く事業環境が変化するリスクに対して、足元の事業環境の変化に対応しつつ、当社グループが持続的に成長していくための取組みを推進してまいります。なお、当社グループは、2021年5月に公表した「2040年ビジョン」に基づき、地球環境と人類の健康に関わる課題解決への貢献を目的とし、ビジネス領域をエネルギートランジションやヘルスケア・ライフサイエンス等の幅広い領域へトランスフォーメーション(変革)させていくほか、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、更にそれらを支える基盤としてグループ内の組織のトランスフォーメーションに取り組んでおります。また、国内外で実績を上げ始めている非化石燃料、資源循環、再生可能エネルギーなどの分野のプロジェクトの受注、遂行に加え、これらトランスフォーメーションを通して当社グループは、脱炭素社会の実現に向けた取組みをこれまで以上に推進し、持続的な成長を図ってまいります。 当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」という。)の影響が和らぐなかで世界経済は回復傾向にあったものの、ウクライナ情勢等に伴う資源価格をはじめとする物価上昇の長期化に加えて、これを抑えるための各国中央銀行による金融引き締め等が継続され、世界経済は後退の動きを見せ始めるなど先行き不透明な状況が高まりました。 このような状況のなか、当社グループの総合エンジニアリング事業の海外マーケットにおいては、エネルギーソリューションズ分野(石油精製、石油化学・化学、ガス処理、LNG等)では、世界各地での経済活動の再開に伴ってエネルギー需要の回復が進み、さらにエネルギー安全保障と低炭素化の両立の観点から、環境負荷が比較的少ない天然ガス(液化天然ガス(LNG)を含む)の重要性が高まり、産油・産ガス諸国で多くの設備投資案件が着実に進展しました。また、ファシリティインフラストラクチャーソリューションズ分野(発電、受入基地、医薬、医療、水処理、鉄道等)では、世界的な低・脱炭素化の動きを背景に、アジア地域を中心に再生可能エネルギー発電や産業インフラ関連の投資計画が進捗しました。サステナブルソリューションズ分野(水素・燃料アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)、スペシャリティケミカル、ケミカルリサイクル、グリーンケミカル等)では、同様に世界的な低・脱炭素化の潮流を受け、水素・燃料アンモニアなどを中心に低・脱炭素関連案件が着実に前進しました。 同事業の国内マーケットにおいては、既存製油所の改修・保全のほか、ライフサイエンスやヘルスケア、ケミカル分野を中心としたインフラ分野への設備投資が継続的に行われるとともに、政府が掲げるグリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた水素・燃料アンモニアやSAF(持続可能な航空燃料)などの低・脱炭素関連案件で進展がみられました。 機能材製造事業においては、触媒・ファインケミカル分野では、COVID-19の影響が和らぐなかで世界各地で経済活動が再開し、触媒を中心に顧客の製品需要は総じて堅調に推移したものの、供給過剰や世界的なインフレーションの進行に伴う消費者の購買意欲の減退によって、半導体やエレクトロニクス市場におけるファインケミカル製品の事業環境に悪化がみられました。ファインセラミックス分野では、活況であった半導体関連市場において景気の減速感が強まっているものの、電気自動車やハイブリッド車向けのパワー半導体関連製品の需要については引き続き好調に推移しました。 なお、当社グループは引き続き、激変する外部環境を注視し、適宜情報収集及びリスク対応を実施するとともに、COVID-19の感染拡大の防止に努め、当社グループ社員をはじめとする関係者の安全に配慮して事業を遂行しました。 以上のような経営環境のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりとなりました。 この結果、当連結会計年度末の受注残高は、為替変動による修正及び契約金額の修正・変更を加え、1兆5,710億円となりました。 なお、当連結会計年度の連結財政状態の概況は以下のとおりであります。 当連結会計年度末における流動資産は5,394億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ61億49百万円の増加となりました。これは主に未収入金が387億12百万円減少したものの、現金預金が447億92百万円増加したことによるものです。固定資産は1,736億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ127億2百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産が27億円、無形固定資産が13億49百万円、投資その他の資産が86億53百万円増加したことによるものであります。 この結果、総資産は7,131億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ188億52百万円の増加となりました。 当連結会計年度末における流動負債は2,722億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ183億69百万円の増加となりました。これは主に1年内償還予定の社債が200億円減少したものの、支払手形・工事未払金等が267億47百万円、流動負債その他が97億94百万円増加したことによるものです。固定負債は429億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ98億36百万円の減少となりました。これは主に社債が100億円減少したことによるものです。 この結果、負債合計は3,151億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ85億33百万円の増加となりました。 当連結会計年度末における純資産合計は3,979億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億18百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を306億65百万円計上した一方、自己株式の取得により200億円減少したことによるものです。 この結果、自己資本比率は55.7%(前連結会計年度末は55.8%)となりました。 当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較し447億46百万円増加し、3,327億55百万円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益488億11百万円に加え、未収入金の減少などにより、結果として1,107億69百万円の増加(前連結会計年度は193億11百万円の増加)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより114億71百万円の減少(前連結会計年度は76億95百万円の減少)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出などにより612億88百万円の減少(前連結会計年度は1億48百万円の減少)となりました。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 「(1)経営成績等の状況の概要 ① 当連結会計年度の概況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高6,068億90百万円(前期比41.7%増)、営業利益366億99百万円(前期比77.4%増)、経常利益505億60百万円(前期比68.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益306億65百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失355億51百万円)となりました。 売上高及び営業利益は、海外の大型プロジェクトの順調な進捗及び円安の影響等により前連結会計年度と比較して増収・増益となりました。経常利益は、主に金利上昇による受取利息の増加により、前連結会計年度と比較して増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度については特別損失としてイクシス関連損失を計上し純損失となりましたが、当連結会計年度は黒字転換しております。 当連結会計年度のセグメント別の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。 総合エンジニアリング事業においては、海外では北米での大型LNGプロジェクトや中東での製油所近代化プロジェクト、国内ではライフサイエンス関連プロジェクトやバイオマス発電プロジェクトの進捗が順調に伸びたことにより、売上高は前連結会計年度と比較して増収となりました。セグメント利益は、プロジェクトの着実な遂行、プロジェクト終盤案件での採算改善、円安影響等により、前連結会計年度と比較して増益となりました。 触媒分野においては、燃料需要が徐々に回復したことから、FCC触媒を中心に、国内外で触媒の需要が堅調に推移しました。ファインケミカル分野においては、半導体やエレクトロニクス市場の事業環境悪化の影響を受け、シリカゾルの需要が減少したものの、化粧品材の需要は堅調に推移しました。ファインセラミックス分野においては、半導体関連市場の需要が悪化し始めた一方で、電気自動車やハイブリッド車向け高熱伝導窒化ケイ素基板の需要は引き続き旺盛でありました。この結果、売上高は前連結会計年度と比較して増収となりました。セグメント利益は半導体関連の需要悪化に加え、燃料費や材料費の高騰の影響等により、前連結会計年度と比較して減益となりました。 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の改善に加え、過去終了プロジェクトの係争終結に伴う未収入金の回収などにより営業活動によるキャッシュ・フローは1,107億69百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形、無形固定資産の取得による支出等により114億71百万円の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出、自己株式の取得等により612億88百万円の減少となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末から増加し3,327億55百万円となりました。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。 総合エンジニアリング事業は、キャッシュ・フローや採算の変動が大きく、プロジェクトの安定的な遂行のために十分な運転資金を必要としています。機能材製造事業では、主として製造設備の拡張・更新のための設備投資を効率的かつ継続的に行っています。また、中期経営計画「BSP2025」において計画している戦略投資を進めてまいります。 当社グループは、資金需要に対して、営業活動によるキャッシュ・フローから得た資金及び手元資金に加え、状況に応じて有利子負債などによる調達資金を充当しています。有利子負債は、金融市場の環境等を鑑み、社債発行や金融機関からの借入など最適な手段によることとしております。なお、当社は株式会社日本格付研究所から信用格付を取得しており、報告書提出時点において長期発行体格付がA+、コマーシャルペーパーがJ-1となっております。 当社グループは、顧客からの信頼獲得及び長期にわたる大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、短期的な市場動向に左右されない強固な財務基盤を維持するとともに、戦略投資に対する機動的な資金調達余力を確保するため、自己資本比率については50%以上を安定的に維持することを目標としています。また、市場混乱時にも事業を継続するために十分な流動性を常時確保する方針としており、手元資金に加え取引金融機関とのコミットメントライン契約未使用枠300億円を有しています。手元資金については、効率的な運用・配分を実現するため、グループ内のキャッシュ・マネジメントの最適化に取組んでいます。当社は、戦略投資に機動的に対応しつつ強固な財務基盤を維持するとともに株主還元を着実に実施し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。 当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付けております。具体的な株主還元方針の内容については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当社は、日揮グローバル株式会社との間で2019年10月1日を効力発生日とする吸収分割契約において承継の対象とならなかった海外における各種プラント・施設のEPC(Engineering, Procurement and Construction:設計・調達・建設)事業の一部の経営を、日揮グローバル株式会社に対して委託し、日揮グローバル株式会社はこれを受託することについての経営委任に関する覚書を締結しております。 当連結会計年度は、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ「挑戦の5年間」と位置付ける中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure (BSP2025)」の2年目として、引き続き3つの重点戦略①EPC事業のさらなる深化、②高機能材製造事業の拡大、③将来の成長エンジンの確立に注力してきました。その結果、将来のビジネスの核となる技術の早期獲得を目的とした実証事業の推進の継続に加えて新たな実証事業の推進、事業推進のための特別目的会社の設立、事業化推進のための関係者との連携構築、新たな産学の連携を促進することができました。なお、研究開発費については、当社で行っている各セグメントに配分できない研究開発費用2,096百万円が含まれており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、7,862百万円です。 現地セキュリティや自然環境が厳しい地域や労働者の確保が困難な地域等、建設工事の遂行が困難な地域におけるプロジェクトが増加傾向にある中で、当社グループは大型モジュール工法の採用や、プロジェクト遂行の効率性向上のためにAWP(Advanced Work Packaging)による工事管理の採用などを実践しています。さらに新しい工法(ロボット化、自動化、3Dプリンター導入、小型モジュール工法、リモート化など)、要素技術の導入(新素材、設計にAIやBIM導入など)、EPC全領域でAWP採用拡大などを図り実装することによって、熟練労働者不足、不安定な現場生産性、スケジュール遅延などのプロジェクトリスクを低減することを目指しています。同時にこうした取組みが当社グループの競争力強化にもつながると考えEPC事業会社を中心に全社的な活動を展開しています。 プラント全体の配置図であるプロットプランの設計は、プラントの運転・メンテナンスのし易さ、安全性の確保、環境保全はもちろんのこと、建設コストを決定付ける最も重要なものとして位置付けられています。したがって複雑な制約条件のもとで様々な要求を最適化するという大変難しい技術が必要であり、従来、経験豊富なシニア技術者の感覚に頼る部分が大きい領域でしたが、当社グループのIT戦略「ITグランドプラン2030」においてAI設計イノベーションを掲げ、プロットプラン設計を自動化するAuto Plot PATHFINDER®を開発しました。Auto Plot PATHFINDER®による設計は、形式知化・コード化されたシニア技術とAIによるユニット分割をもとにしたユニット単位・機器単位の自動配置、位置確定などエンジニアによる指示取込み、最適配置のステップで行われます。Auto Plot PATHFINDER®により、多数のプロットプラン案を超短時間で作成することが可能になり、人間が思いつかないものを含む多くの提案が瞬時にできることから、新しい提案型設計 (Generative Design)へ変革し、基本設計の段階から顧客の検討に貢献できると考えております。2022年度ではPreFEED業務に初実装し、複数のプロットプラン案の定量評価が客先説明時に好評だったことから、今後のFS(フィージビリティスタディ)やFEED(基本設計)業務に適用していきます。 Data Centric EPC遂行は、従来の人の手を介した図書ベースの情報交換に代え、ICT技術を最大活用したデータ中心の効率の良い情報交換とタイムリーな意思決定を図ることを目指した新たなプロジェクト遂行手法であり、プロジェクト遂行におけるリスクを低減し品質・コスト・納期それぞれの要素を向上させることが期待されています。当社グループにおけるData Centric EPC開発においては、設計・調達・建設の作業対象となるタグを一元管理し、そのタグのデータをデータソースとなるシステムから集約し、またそのデータを活用するシステムへ連携する仕組みを構築しています。AWPは、Data Centric EPC遂行の仕組みを活用した一例であり、対象作業の開始を制限する可能性がある先行作業の特定とモニタリングが可能となります。現在進行中の複数プロジェクトにおいて、建設工事に実装したほか、設計・調達業務との連携と効果波及を目指してAWP管理の拡大を進めています。また、当社グループでは、Data Centric EPC遂行とAWPの統合を主軸に置き、EPC全体におけるデジタルトランスフォーメーション (Digital Project Delivery) へも取り組んでいます。 アセットインフォメーションは、顧客が安定したプラント操業を維持するために重要な情報です。近年は本分野の顧客要求の高まりもあり、複数のプロジェクトでアセットインフォメーションマネジメントの実装が進み、当社グループにおける技術の蓄積が進んでいます。設計・調達・建設(EPC)の各フェーズの中で生成されるプラントを構成する各種のアセットのインフォメーションに関し、一貫性をもって管理・統合するため、当社グループではデジタルツイン技術への取組みを進めています。社内標準化を進めることでインフォメーションの精度を飛躍的に向上させるとともに、データハンドオーバーの国際業界標準規格である「CFIHOS」に準拠したインフォメーションマネジメント遂行を実現しています。これにより遂行したプラントの完成・引渡し後に顧客がスムーズに運転・保全に移行し、アセットやプラントのオペレーション&メンテナンス(O&M)コストの低減という付加価値を提供し、顧客の事業価値向上に貢献しています。 プラントの高経年化が進む中で重要性が増している保全業務に資するべく、当社グループは、プラントの設備診断業務を強力に支援する設備管理システム(A-MISTM)の販売・運用を行ってきました。また、このシステムを包含する情報プラットフォームを構築し、IoTやビッグデータを活用した統合型スマート保全サービス(INTEGNANCE®)の事業化を進めています。 INTEGNANCE®では、検査結果や運転情報などをもとにしたプラントのAI予兆保全と定期修理計画の立案を保全戦略支援サービスとして提供するほか、モバイル端末タブレットやスマートフォンを活用した作業状況の電子化とタイムリーな情報共有による工事進捗管理を行います。 また、3Dビューア「INTEGNANCE® VR」(以下、「本ビューア」という。)を開発、デジタルツインの構築・運用を行う事業会社「ブラウンリバース株式会社」を設立し、2022年9月より有償提供を開始しました。本ビューアでは、既存プラント全体を撮影した360°パノラマ写真上にアノテーション(関連データをタグ登録)することで、各機器や部材の関係を可視化するいわば“プラントのストリートビュー※”を実現、プラント内のあらゆる情報に視覚的に迅速にアクセスすることで実務者の運用・保守業務の大幅な効率化を可能にしています。 さらに、英国の原子力業界をはじめ、高度かつ確実な安全管理が求められる分野で幅広く利用されている事故想定シナリオ管理手法「フォルトスケジュール」をベースに開発したスマート保安の最適化を支援するリスクマネジメントソフトウェア(Coresafety®)の提供を2023年3月より開始いたしました。 昨今、温室効果ガスの一つである二酸化炭素(CO2)の排出量削減が求められていますが、当社グループではCO2の排出抑制→分離回収→有効利用・貯留→資源再生というカーボンマネジメント・サイクルの各要素で技術・知見を継続して積み上げています。 CO2-EOR(原油増進回収)においては、原油とともに随伴されるCO2を有効に活用するために、当社グループは特殊なゼオライト膜で効率的にCO2を分離回収することを可能とする技術を開発し、米国テキサス州での実証試験を継続して実施中です。本技術とともにカーボンマネジメント・サイクルの知見と合わせて、産油ガス国、企業向けにCO2に関する課題解決に向けたトータルソリューションを提供していく方針です。 さらに、「尼国グンディガス田におけるCCUSのJCM実証に向けた準備調査」において、現在、大気放散されているCO2を近郊の圧入井までパイプライン輸送して、地下に圧入・貯留するCCS実証プロジェクトの事業化調査を完了しました。今後、実証設備の基本設計、建設を経て、2020年代後半を目途にCO2の圧入、モニタリングを開始することを想定しています。本プロジェクトが実現すれば、アジア地域におけるCCS事業のモデルになるものと期待しています。 また、温室効果ガスの中でもメタンの排出量は、既往の計算では精度高く求めることが困難とされており、欧州や米国などではセンサーによる実測が求められつつありますが、実際に計測をしている企業は多くありません。精度の高いメタン排出量の計測がなされていないために、排出源が特定されておらず、正しいメタン削減ソリューションにつなげられていない現状があります。当社は石油・天然ガス設備からのメタン排出を想定した「メタン排出計測技術評価設備」を技術研究所に建設し、国内外の計測器メーカーなどと幅広い協働を通じて計測技術を向上させることにより、一層効果的なメタン排出対策を実現していきます。今後、メタン排出量削減が温室効果ガス削減に向けて重要であることを引き続きアピールし、優れた温室効果ガス測定技術とエンジニアリング技術を駆使し、温室効果ガス排出の少ない設備の実現を目指していきます。 さらに、既設LNGプラント関連のAI・IoTビジネスとして、運転ビッグデータ解析及び気象解析を通じて得られた知見を基に操業改善によるLNG増産サービスを海外顧客向けに展開しています。例えば空冷式LNGプラントの場合、生産量減退の要因となるHot Air Recirculationに対しFoggingを適用しLNG増産につなげた試みのほか、アジアの国営石油会社向けにHot Air Recirculationの予測モデルを開発、本モデルを操業と連携させ増産するシステムを構築、運用中です。増産量を正確に把握するため、機械学習やシミュレータを利用したデジタルツインの開発も行っています。また、その他複数社のLNGプラントオーナー向けに、月次で運転ビッグデータ解析から解析結果・改善案を提供するサブスクリプション型サービスをLNG3 Envisionとして提供しています。 世界には未開発の中小規模海洋ガス田が多数存在し、効率的な開発手段が期待されています。その最有力候補が、当社グループが世界有数の建造実績を持つ洋上LNGプラント(FLNG)です。 FLNGは、現地ガス消費市場規模に限界のある、またセキュリティ・環境問題を抱えるような地域での陸上パイプラインガス、並びに操業中の洋上石油生産設備で大量に生産される随伴ガスなどの現金化ソリューションでもあります。また、当連結会計年度では、海洋石油・ガス開発分野において、低炭素化・脱炭素化に代表されるSDGs達成に向けたソリューションへのニーズの高まりを受け、当社グループは、社会と顧客の課題に応えるべく、以下2点に取り組んできました。 温室効果ガス排出量削減に向けた取組みとして、当社ではCO2フリー燃料の導入促進やカーボンリサイクル、及びEMS(エネルギーマネジメントシステム)の観点で研究開発を行っています。 CO2フリー燃料としてCO2フリーアンモニアが国内で着目されており、2020年代半ばの日本でのCO2フリーアンモニアの商業実装に向けた検討が進められています。当社グループは、2014~2018年度に実施した内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のエネルギーキャリアプロジェクトの成果を活用し、再生可能エネルギーや化石資源からのCO2フリーアンモニアの製造・供給の社会実装を目指して、様々な案件のフィージビリティスタディに参画するとともに、CO2フリーアンモニアのより効率的な製造方法やコストダウンに向けた研究開発を行っています。特に変動する再生可能エネルギー由来のCO2フリーアンモニア製造について、従来にはないダイナミックな変動型アンモニア合成システムを開発しています。 再生可能エネルギー由来の水素を利用したグリーンケミカルの普及に際しては、天候・時刻・季節によって変動する再生可能エネルギーを利用し、いかにして安定的・効率的にケミカルを製造するかが課題になります。その課題解決のためには、統合制御システムの開発が必須となります。 当社グループは、福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で製造される水素利用を想定したアンモニア製造プラントの基本設計や、統合制御システムの要件定義を行ってきました。当連結会計年度には、この統合制御システムを組み込んだ再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造技術の実証プラントを福島県浪江町に建設することが決まり、技術実証に向けて大きく進展しました。当社グループは、本実証プロジェクトを通じて、再生可能エネルギー由来の水素を原料とするグリーンアンモニア製造技術の確立を引き続き目指していきます。 中期経営計画「BSP2025」において、ケミカルリサイクルを注力分野の一つと位置づけており、ガス化(EUPガス化ケミカルリサイクル)、油化、モノマー化(廃繊維リサイクル)を含め、幅広いプロセス技術を通じてケミカルリサイクルを推進し、循環型社会の構築に貢献していくことを目指しています。 廃プラスチックのケミカルリサイクルは、リサイクルが困難な異種素材や不純物を含むプラスチックを分解し、様々な化学物質に再生することが可能であり、リサイクル率の大幅な向上をもたらす技術として期待されています。 当社グループは、荏原環境プラント株式会社とUBE株式会社からEUP(Ebara Ube Process)に関する技術供与、株式会社レゾナック・ホールディングスから量産化技術の供与と運転支援を受け、廃プラスチックのリサイクル推進に向けて、①廃プラスチックのガス化設備並びにガス化設備から製造される合成ガスを用いた化学品製造設備の提案、②廃プラスチックを原料とする水素製造装置の提案、及び③廃プラスチックリサイクルを実現するためのバリューチェーン構築を行っています。このEUPは、2003年より稼働を続けているガス化設備で、世界で唯一の長期商業運転実績を有する極めて信頼性が高いプロセスです。さらにEUPでは混合プラスチックや不純物を含むプラスチックの活用が可能となります。2022年度から岩谷産業株式会社、豊田通商株式会社と共同で国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業にて、都市部における廃プラスチックガス化リサイクルによる地域低炭素水素モデル構築に向けた調査を実施し、その調査結果として、3社は、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造に関して、愛知県名古屋港近郊での協業を検討する基本合意書を締結するにいたりました。今回の基本合意書の締結により、早期に基本設計業務を開始し、2020年代中頃での水素製造開始を目標として取り組んでいます。廃プラスチックの活用並びに地産地消水素の製造により水素社会の実現にも貢献してまいります。 プラスチックのケミカルリサイクル技術の一つに油化技術があり、当社グループは、10年間の運転実績を有する国内大型商用装置をベースに、廃プラスチックの油化ケミカルリサイクルに関する自社ライセンス(Pyro-BlueTM)の開発・提供を推進しています。当社グループの油化技術は、他の油化プロセスでは事前除去する必要があるPVC(塩化ビニル)やPET(ポリエステル)を含む混入プラスチックの処理が可能です。顧客が処理したい廃プラスチックを試験的に処理し、サンプル油を提供できるベンチ装置も完成しました。今後、処理できるプラスチックの種類拡大、装置の大型化による経済性向上、効率化等を進め、プラスチックの資源循環社会の実現に貢献していきます。 繊維産業においては、製造工程における大量のCO2排出や衣類の大量廃棄が課題となっています。使用済繊維製品の利用は、現状、熱利用を目的とする「サーマルリカバリー」や別の製品原料とする「マテリアルリサイクル」が一般的ですが、「ケミカルリサイクル」は繊維製品を再び繊維の原料へ化学分解することにより、繊維 to 繊維のリサイクルができる画期的な方法です。 PET(ポリエステル)は、繊維製品だけではなく、ボトルをはじめ、フィルムや食品トレーなど多くの製品に使用されています。当社グループが提供するケミカルリサイクル技術は、着色されたポリエステルから染料や不純物を除去できるため、添加物、付着物等の影響によりメカニカルリサイクルできないポリエステル製品の受け皿としても機能するため、製品を限定せず素材としてのポリエステル全体の資源循環を目指すことが可能な技術です。本技術のライセンスを提供する目的として「株式会社RePEaT(リピート)」を設立しました。 2050年のカーボンニュートラルに向けて、航空分野における脱炭素化として、「空のカーボンニュートラル」の機運が高まっています。中・大型機に対しては、機体の軽量化、効率化もほぼ限界と言われています。そして、空のカーボンニュートラル達成のためには、実質的にはSAF(Sustainable Aviation Fuel, 持続可能な航空燃料)が切り札とも言われており、その利用拡大は急務となっています。当社グループは使用済食用油を原料としたSAF製造体制の確立とバリューチェーンを構築していくことを目指しています。具体的には、国内初の国産SAF大規模生産に向けて「合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY」を設立し、2025年に年間3万キロリットルのSAFの国内供給を目指します。個人や自治体、企業がSAFの原料となる使用済食用油の提供を通じて、国内における資源循環の促進に直接参加ができる場として「Fry to Fly Project」を開始しました。今後とも、国内において脱炭素化に向けた資源循環の促進に積極的に参加できる機会の創出、これらの活動を通じて、市民・自治体、企業の行動変容につなげていくことを目指しています。 今後も自動車・交通需要の増加に伴い、タイヤ需要の増加が見込まれています。将来、資源の枯渇やCO2排出量の増加による気候変動などの問題に直面する可能性が指摘されている中、今後もより持続可能な形でタイヤを提供し続ける必要があります。当社グループは、関係する企業とバイオマス由来の原料(エタノール)を使用してタイヤの原料となるブタジエンを製造するプロセス開発に取り組み中です。当社グループは、競合技術より「タイヤ原料のブタジエン選択率が高い」独自の触媒を保有しています。今後、関係する企業と2023年までに実証試験を終了し、技術を確立し、持続可能な社会実現への貢献を目指します。 CO2削減やサステナビリティなどの観点から、バイオマスを原料とする化学品や燃料の社会的需要が高まっています。当社グループでは、CO2の削減効果が高く、かつ食料と競合しない非可食バイオマス原料を効率的にバイオエタノールやバイオプラスチック等の原料に転換するための技術開発を進めています。バイオマス原料の変換技術としては、バガス(サトウキビ搾汁後の残渣)や木質資源(木材やパルプ等)を効率よく糖に変換するための前処理技術の開発、及びこれらの糖に含まれる発酵阻害物質を除去するための糖精製技術の開発に注力しております。現在は石油から製造されている1,3-ブタジエン(主にタイヤの原料となる製品)をバイオマス由来のエタノールから製造する技術の開発を化学会社と共同で進めています。 日本は、国土の約7割を森林が占めています。その森林の未利用バイオマスを化石燃料の代替原料として活用する「グリーンリファイナリー」の機運が高まっています。森林の未利用バイオマスは、化石燃料と同じ炭素と水素を持っているため、森林の未利用バイオマスを化石燃料の代替として利用できれば、製品の炭素を固定することになり、再生可能な取組みとなります。「バイオリファイナリー」実現のために、具体的なプロセス選定(急速熱分解)のみならず、川上(森林)から川下(製造)までのプレーヤーインテグレーション&バリューチェーン構築が進みつつあります。当社グループは、今まで培ってきたプロセスエンジニアリング力を活かして、「森林×化学」で化石燃料に頼らない暮らし、つまり、脱化石燃料社会の実現を引き続き目指していきます。 今年度は、株式会社カネカ、株式会社バッカス・バイオイノベーション、株式会社島津製作所と共同で国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「CO2からの微生物による直接ポリマー合成技術開発」に共同提案し、採択されました。このプロジェクトは日本政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」におけるカーボンリサイクルの実現に貢献するものです。4社がこれまで培ってきた知見や技術を結集し、化石資源に依存しない循環型バイオものづくり技術の実現を目指してまいります。 医薬品業界では、これまでの低分子合成医薬品に加え中分子合成医薬品、バイオ医薬品を主体とする高分子医薬品、再生医療等製品の開発が増加傾向であり、製造が複雑な医薬品や活性の強い医薬品が増え、付加価値の高い医薬品が開発されています。これに対し、当社グループは、合成医薬品製造に関して、高薬理活性物質の製造に適応するための新たな封じ込め技術の確立と高度な封じ込め測定手法を含めた技術強化、中分子医薬品製造に関しては独自製造設備の更なる展開、医薬品業界の注目度が高まっている連続生産に関しては知財戦略を含めた製造技術の開発など、多角的に技術開発を進めています。バイオ医薬品製造に関しては、マイクロバブル発生技術に高性能撹拌技術を付加したバイオリアクター開発、大量培養に向けたスケールアップ技術開発、製造DXシステム開発、連続生産に向けた技術開発等を進めています。再生医療等製品に関しては、再生医療関連施設の多くの建設実績を踏まえ、効率的な細胞・組織培養環境基準の構築、及び関連要素技術の高度化を進めています。固形製剤、無菌製剤製造工場ではロボット活用による無人(塵)化の実現、スマート工場化の開発を進めています。このような研究開発活動の成果として、当社グループが建設するプラント・施設への導入事例も増えており、当社グループの技術差別化につながっています。 さらに、病院分野では、カンボジアでの病院経営、日本国内でのPFI事業における病院運営で得た医療、経営、運営の知見をもとに施設設計との融合を図るとともに、ICTの活用により利便性、効率性を高め、より高い機能性とホスピタリティを持つ病院づくりを進めています。また、病院と地域を情報ネットワークで結び、住民が安心して生活できる病院を核にしたまちづくり「ヘルスケアシティ」の構築を目指した取組みを始めています。 当社グループは、原子力発電所及び再処理工場の廃止措置に係わるプロジェクトマネジメントのサービス提供と廃棄物処理関連技術の開発を進めています。このうち、原子力発電所の廃止措置について、発電所内に貯蔵されている放射線量の高い使用済イオン交換樹脂を安全、かつ安定的に貯蔵するための分解技術の実用化に目処が得られつつあります。また、分解されたイオン交換樹脂を含む、多種・多様な放射性廃棄物への適用を目指し、閉じ込め性能の高い固型化技術の開発を進めています。さらに、再処理工場を含む様々な原子力施設の廃止措置を対象に、長期間にわたる廃止措置プロジェクトを安全、かつ効率的に実施するためのマネジメント支援システムを開発中です。 国内外で注目されている小型モジュール炉(SMR)をはじめとする次世代原子炉技術については、水素や再生可能エネルギーと並び、脱炭素社会の実現への貢献が期待できること、NuScale Power, LLC(ニュースケール社)の技術が他のSMR技術に先駆けて、2020年8月に米国初の設計認証を取得し、米国原子力規制委員会によりその安全面が認められ、商業化に最も近いSMR技術であることから、SMRプラントのEPC事業への進出を目指し、当社グループは2021年3月に米国の特別目的会社を通じてニュースケール社に出資しました。さらに2022年4月には株式会社国際協力銀行(JBIC)が出資し、日本政府としてニュースケールSMRの実現を後押ししています。現在、米国アイダホ国立研究所敷地内に米国初のニュースケールSMR実証プラントを建設するCarbon Free Power Projectが始まっており、2029年の運転開始に向けて米国フルア社/ニュースケール社等が建設運転一括許可申請(COLA)とEPC準備業務を実施中です。当社グループは、2022年度からフルア社の設計部門とプロジェクト管理部門組織への当社エンジニア人員の派遣を開始しています。 当社グループは、SMRの将来的な市場拡大に加えて、SMRが中長期的には海外市場を中心にSMRのEPCプロジェクトを受注・遂行していくことを視野に入れ活動していくほか、SMRと再生可能エネルギー設備、水素製造設備、海水淡水化設備とのインテグレーションも検討していく予定です。 国内の洋上風力発電は、現在進行中の港湾区域に続いて一般海域の促進区域におけるプロジェクトが動き出しています。今後、国内の洋上風力発電は毎年複数案件が継続的に開発される見通しであり、当社グループも主力EPCプレーヤーを目指し、事業性検討や基本設計など早い段階から関与しながら将来のEPC受注と遂行を目指しています。最近では電力ケーブルの最適設計技術を確立しました。また、今後特に成長が期待されている浮体式洋上風力分野に関しては、これまで既に浮体式実証設備の撤去実証事業や今後の事業開発に関するフィージビリティスタディ、浮体の要素技術の検討などに取り組んできており、継続して技術力・競争力の強化を図りながら、プロジェクト全体の最適化を目指して取り組んでまいります。 当社グループでは、パーパス(存在意義)である「Enhancing planetary health」の実現を目指し、事業戦略・開発戦略・知財戦略の3つを連携させることで、深化・探索領域の技術開発と事業化を推進しています。 コア技術領域となるEPC(設計・調達・建設)事業では、設計やプロジェクトマネジメントのデジタル化、建設工法最適化等の受注競争力向上に役立つ知財・無形資産の確保に注力するとともに、各種技術契約を重要視し、円滑なビジネスパートナリングに努めています。 また、将来の成長エンジンとなる成長事業領域では、ケミカルリサイクル等の資源循環技術、ブルー水素・燃料アンモニア等の新エネルギー分野でのビジネス創出を支援すべく、ノウハウ・特許・商標等の知財ミックスによる保護に取り組んでいます。 さらに、2040年ビジョンにおける5つの注力分野及びDX等の分野における特許出願比率を段階的に増やしていく計画です。 特に重要な技術開発テーマでは、技術開発から事業化までを複数のステージに分けてステージ移行時にゲート審査を実施するとともに、知財戦略のPDCAサイクルを用いて必要なアクションをモニタリングしています。 なお、当事業での研究開発費は2,648百万円です。 石油精製企業は、新型コロナ禍からの経済回復による燃料需要増加への供給対応と、カーボンニュートラルに向けたエネルギーシフトに対応する製油所の事業変革、両面からの対応が求められています。当社グループは、石油精製分野において、これら顧客のニーズ変化に対応する触媒及び触媒素材開発に取り組んでいます。FCC触媒は顧客ニーズを取り込んだ改良型触媒で海外大型案件の継続採用や国内採用を果たしました。また、今後拡大が期待されるケミカルリファイナリー用に開発したFCC触媒は、海外で石化型FCC装置にトライアル採用が決定しました。水素化処理触媒は海外石油会社と共同開発した水素化分解触媒が、海外石油会社で採用され良好な実績を上げており、今後同社での採用拡大が期待されています。 水素化分解触媒に用いられるゼオライトや無定形シリカアルミナ材は、当社グループの触媒開発技術を活用して開発された触媒素材であり、これら触媒素材は石油精製分野だけでなくケミカル分野にも広く展開が期待されています。触媒素材販売拡大に向けてゼオライト生産設備の生産能力を増強し、製品種の拡大や用途開拓に取り組んでいます。 ケミカル分野は汎用樹脂原料の需要低迷により、ケミカル製品種の見直しや事業再編の動きが活発化する一方、競争力のある、高効率なプロセスや高機能ケミカル製品への転換が進められています。また循環型社会の実現に向けたCO2・ケミカルリサイクルやバイオマス由来原料、生分解性プラスチックへの原料転換の検討が進められています。当社グループにおいては、顧客の高効率プロセスニーズに対応するケミカル触媒や吸着剤開発に取り組んでいます。今後拡大が期待される水素化触媒の開発のため、実機プロセスを模擬したラボ反応評価設備の導入と、反応生成物の構造解析を行うための分析装置を導入しました。それらの分析結果を機械学習ソフトにより解析しながら、製品開発の迅速化にも取り組んでいます。 今後ケミカルリサイクルプロセスでも必要とされる、炭化水素中の塩素を高効率で除去可能な新規の塩素吸着剤の開発を完了し、実証段階に入っています。さらに塩素除去に加え硫黄除去、酸素除去等のケミカルリサイクル前処理材の開発にも取り組んでいます。今後も新たなニーズに対応する触媒や吸着剤の拡充を図っていきます。 環境保全・クリーンエネルギー分野では、カーボンニュートラルに向けた、CO2削減のためのバイオマス混焼及び専焼用の発電所向けに、排ガス中のアルカリ成分に耐性のある脱硝触媒の開発に取り組み、高い劣化抑制能を有する触媒を開発しました。現在、幾つかのバイオマス専焼発電所での実証試験を開始しており、早期の実商化及び拡販を目指しています。 また、クリーンエネルギーとして期待されているアンモニアを、燃料として混焼させた時に排出される窒素酸化物を効率的に除去するための新規触媒の開発に着手しています。さらに、CO2回収・利用・貯蔵(CCUS)やクリーンな水素利活用等に使用される、新規材料の探索にも着手しました。 プラスチック眼鏡レンズはレンズ厚の薄肉化・軽量化のため高屈折率化傾向は継続して進行しています。大手眼鏡メーカーの高屈折レンズ用ハードコート膜に採用された高屈折率チタニアナノ粒子の需要も着実に増加しています。また、耐光性を大幅に向上させた開発品は大手メーカーで良好な評価結果を得られており、量産化検討段階に進捗しました。さらに、高屈折率酸化物ナノ粒子と短時間硬化マトリックスを組み合わせたハードコートラッカー材は、プロセスの低エネルギー化に寄与しうることに加えて顧客のプロセス短縮ニーズとマッチして採用評価が進んでいます。 化粧品やサニタリー分野では、マイクロプラスチックビーズ代替としての独自の感触用シリカ材は既に一部の顧客に採用されていますが、スクラブ材や化粧品への採用検討が引き続き加速しています。それと並行して、シリカ素材以外のラインナップとして米澱粉粒子など植物由来のボタニカルな新商品開発にも顧客の期待が大きく寄せられ、環境と人に優しい化粧品材料開発に取り組んでいます。 半導体関連製品の需要は中長期な成長が見込まれており、当社グループのシリコンやHDD基板用研磨砥粒において、次世代用の研磨面品質と研磨効率を両立した開発品の顧客評価は活発に進んでいます。このため、市場回復への備えや次期展開に向けて、シリカゾルの生産能力増強を進めています。また、新たに参入を目指しているCMP研磨用途では微細化・多層化に伴い多様化するニーズに対して独自の無機複合型研磨砥粒を中心に、純度や形状制御された砥粒でラインナップを揃え、顧客評価を進めています。 光学フィルム用機能性光学材料では、有機ELテレビやQLEDテレビの高画質化のトレンドは変わらないと見込まれ、顧客による視認性向上のための反射防止フィルム用低屈折率粒子の採用検討が継続しています。当社グループは、多用途展開として車載用ディスプレイ向けにも低屈折粒子の開発を行うなど新用途開拓に取り組んでいます。 新規開発材による用途開拓として、高速通信用低誘電率、高誘電率材料開発への取組みを継続しています。重要顧客を中心に活動しており商品化に向けた検討ステージが着実にステップアップしています。 ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LEDなどの高出力化や省エネルギーを達成するために、パワー半導体の高性能化が進んでいますが、同時に絶縁放熱基板への要求が厳しくなってきています。その要求に応えるため、当社グループは国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同開発した独自の製造方法により世界最高レベルの放熱性・信頼性を持つ「高熱伝導窒化ケイ素基板」の開発並びに事業化を推進してきました。既に新量産工場を立ち上げ、製品の品質及び生産性向上を実現しながら、更なる高性能品開発にも取り組んでいます。 通信分野においては、自動運転やIoTの普及に欠かせない5Gが本格導入され、今後、更なるデータ量の増大に向けたBeyond5Gなどの無線通信や光通信回線の大容量化・高速化が必須になります。当社グループは、最先端の無線通信技術、光通信技術に対応できる薄膜回路基板、単板コンデンサなどの性能・信頼性向上などの開発・製造・販売を行っています。 今後成長が期待される再生医療分野においては、最先端の骨再生材料について国立大学法人東北大学などとの共同研究を継続しています。その他、当社グループ独自のセラミックス材料技術と高精度加工技術により、補助人工心臓用部品や「はやぶさ2」などの宇宙衛星用部品、次世代Liイオン2次電池や燃料電池用部材など、先端分野で使用される製品の開発や新材料の開発に大学や各研究機関などと連携して取り組んでいます。 なお、当事業での研究開発費は3,070百万円です。 また、総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業に加え、その他の事業において46百万円の研究開発費を計上しております。
タマホーム株式会社
# タマホーム株式会社 2  潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。 3  平均臨時雇用人員数は、臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。 2  潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。 3  平均臨時雇用人員数は、臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。 1998年当時は、まだバブル経済崩壊の影響が色濃く残り日本経済全般が不況の中にあり、住宅業界も新設住宅着工件数が下降傾向にある状況でした。この経済情勢のもとではマイホームを手に入れることは難しいことでありました。しかし、衣食と同じように私たちが生きていく上で必要不可欠な要素の「住」が手の届かない存在であってはならないという考えから、多くの人に「高品質住宅を低価格で提供する」という業界の常識を打ち破る理念を掲げ、当社は、現代表取締役会長玉木康裕が1998年6月3日に福岡県筑後市に注文住宅建設会社としてタマホーム㈱(資本金10百万円)を設立いたしました。 主な変遷は以下のとおりであります。 当社グループは、当社および当社の関係会社(子会社13社および関連会社2社(2023年5月31日現在))で構成されております。 セグメントは「住宅事業」「不動産事業」「金融事業」「エネルギー事業」の4つに分類し、それらセグメントに含まれない事業を「その他事業」に分類しており、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一であります。 事業内容と当社グループの当該事業における位置づけは、次のとおりであります。 住宅建築事業は、注文住宅の建築請負を行う事業であります。注文住宅の建築は、当社が顧客との間で戸建住宅の工事請負契約を締結し、設計及び施工(工事管理)を行う業務であり、当事業の特徴は、ロードサイド型の独立型店舗展開と広告宣伝活動にあります。 当社グループは、ロードサイド型の独立型店舗での出店を中心に全国展開を行ってきました。ロードサイド型の独立型店舗は全国47都道府県への出店を2011年1月にタマホーム沖縄㈱(2018年10月吸収合併)が新都心展示場を出店することによって達成し、2023年5月31日現在183店を展開しております。独立型店舗は基本的にモデルハウス、事務所、ショールームを設置し、店舗内にてモデル内覧から仕様決めなどの総合的な営業を可能としております。 また、空白エリア縮小のため、住宅総合展示場への出店も行っており、2023年5月31日現在住宅総合展示場63箇所へ出店しております。今後もロードサイド型独立店舗、住宅総合展示場を問わず効率的な出店をしてまいります。 また、店舗への集客についてはテレビCM、WEB動画CM、チラシ及びWEB広告等による広告宣伝活動を行うことにより確保しております。当社における広告宣伝活動の目的は、近郊店舗への集客のほかに、当社ブランドイメージの確立があります。当社ではタマホームの社名を認知していただくことを目的とし、そのために効率的と考えるテレビ及びWEBによるCM訴求や競技場での看板設置等を広告宣伝活動の一つとして実施しております。 当社グループは、「より良いものをより安く 提供することにより 社会に奉仕する」という経営方針のもと、設立当初から「自由設計・オール電化・豊富な設備仕様」の住宅(大安心の家)を当時としては画期的な坪単価で提供することで、急速に業容を拡大してまいりました。 設立当初は、九州地区でのみ営業展開を行っておりましたので、断熱地域区分(注1)5、6、7地域対応の商品である「大安心の家」のみを提供しておりましたが、営業エリアを拡大するに伴い北関東、北陸、南東北地区(4地域)対応商品である「大安心の家〔愛〕」、北東北地区(3地域)対応商品である「大安心の家〔暖〕」、北海道(1、2地域)対応商品である「大地の家」、沖縄(8地域)対応商品である「大安心の家〔沖縄〕」などの商品を随時投入いたしました。 また、地域特性によるお客様のニーズを各販売エリアごとに反映させた「地域限定商品」、都市部の狭小地向け3階建て住宅である「木望の家」、都市部の狭小地でも緑とふれあえる屋上緑化タイプ住宅「グリーンエコの家」、「大安心の家」の外観意匠を向上させた「大安心の家PREMIUM」、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に対応した「大安心の家ZERO」「木麗な家ZEH」、安心の品質を低コストで実現した「シフクノいえ」など、営業展開に合わせた商品の拡充も行ってまいりました。 さらに、2023年4月には、25年後の当たり前の基準「HEAT20 G3」相当、UA値0.23w(㎡/K)を実現した高耐候、高耐久で高断熱、高気密住宅「笑顔の家」を全国で発売開始しました。 なお、「大安心の家」シリーズにつきましては、2009年6月から「長期優良住宅」認定制度(注2)が開始されたことに伴い、同制度へ適合するよう大幅な改良が施されました。また2022年5月からは、住宅性能表示制度の改定により新設された最上位等級「断熱等性能等級5」に対応しました。「自由設計・オール電化・豊富な設備仕様」はそのままに、何世代にもわたって安心して暮らせる住まいとなるよう、高耐久、高断熱、高耐震の3要素が強化された商品となっております。 当社グループの販売する商品の主なラインナップは以下のとおりです。 「自由設計・オール電化・豊富な設備仕様」が特徴で、当社設立以来の主力商品であります。また、長期優良住宅認定制度(注2)に標準で対応となっております(沖縄除く)。地域断熱区分によって各種ラインナップ(「大安心の家[愛]」「大安心の家[暖]」「大地の家(1・2地域対応)」「大安心の家[沖縄]」)を取り揃えております。 次世代省エネルギー基準に標準で対応した商品であり、「大安心の家」と比較して低価格な商品となっております。断熱地域区分1~7地域のそれぞれの次世代省エネルギー基準に対応し、子育て世代や一次取得者向けに、よりお求めやすい価格設定とした商品となっております。 市街地などの限られた敷地でも、ライフスタイルに応じた住まいづくりが実現可能な3階建住宅です。ピロティ式カーポート(注3)など、限られた敷地で、広く快適な生活ができる立体的な間取り構成などの工夫がなされている住宅です。防火面での安全性の向上も図られ、標準にて準耐火仕様の設定となっております。 屋上スペースを庭園やアウトドアリビングとして有効活用可能で、都市部の狭い敷地でもプライベートな屋外空間を確保できる自由設計の住宅です。 開放感を演出するハイ&ワイドサッシや高いデザイン性と耐久性を併せ持つ外壁材を標準採用し、ワンランク上のライフスタイルを実現する商品です。 「大安心の家」をベースに、年間のエネルギー収支をゼロとすることを実現しました。価格を抑えながら、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金要件を満たす商品です。 「木麗な家」をベースに、経済産業省が定める「ZEH定義」に対応した仕様の商品です。 シンプル&ベーシックなプランバリエーションに人気の住宅設備、最高等級3の高耐震性を備えた企画型商品です。 25年後の当たり前の基準「HEAT20 G3」相当、UA値0.23w(㎡/K)を実現した高耐候、高耐久、高断熱、高気密で省エネルギー仕様の商品です。 断熱地域区分とは、「省エネ法」において、全国の気候条件に応じて地域区分されたものです。適合する地域区分に応じて断熱性能基準が設けられ、断熱材の厚み・開口部の断熱性・気密性能などが規定されています。 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(2009年6月4日施行)」が施行されたことにより、長期優良住宅としての性能(劣化対策、耐震性、維持管理の容易性等の基準)が定められ、同制度に適合している住宅を購入し、認定を受けることで税制の特例措置(住宅ローン減税、登録免許税、固定資産税等の減免等)を受けることができる制度であります。 ピロティとは建物の一階部分にあって壁のない、柱だけで囲われた空間のことです。この空間を利用した駐車場をピロティ式カーポートといいます。 当社は、設立後25年が経過し、初期に建築した住宅のメンテナンスおよび増改築の要望が増えてきております。引渡しからの経年数に応じた商品を展開し、リフォーム事業を展開しております。 住宅建築に付随する各種工事(解体、外構等)や引っ越し、インターネット回線等を提携業者へ紹介することで紹介手数料を受け取っております。 CAD入力、図面作成等設計支援業務を行っております。 当社グループでは、これまで住宅建築事業にて数多くの注文住宅を提供してきましたが、展示場へ来場いただくお客様のうち約6割が土地を持たないお客様でした。このようなお客様にも当社の住宅をより身近に感じていただくことを目的として開始したのが戸建分譲事業です。 これまで培ってきた住宅建築のノウハウを活かして、戸建分譲事業を手掛けることで、経営方針である「より良いものをより安く」提供することが可能となっております。 事業開始当初は5区画程度のミニ開発案件を中心に事業展開を行っておりましたが、事業ノウハウの蓄積にあわせて30区画を超える大規模プロジェクトも手掛けることが可能となりました。現在は資金回転率の高い、10区画以下の案件について強化しており、住宅の提供だけでなく、街並みや景観、環境にも充分配慮した総合的な住環境を提供する事業へと成長しております。 マンション事業では、自社企画マンションの企画・開発・販売及び中古マンションのリノベ再販を主な業務としております。 サブリース事業は、ビルを1棟もしくはフロアー単位で借り受けて、転貸する事業であります。オーナー様(所有者)に賃料保証し、テナントから受け取る賃料を収益に計上する事業であります。また、ビルの価値向上(改修工事等)を行い、当社が直接営業することで積極的なリーシングを行っております。 オフィス区分所有権販売事業は、サブリース事業で培った経営資源を活用した事業であります。都心商業地の地価上昇率は引き続き高い水準を維持しており、今後も高いオフィス需要が見込まれる状態に変化はないと考えております。オフィス区分所有権販売事業においては都心商業地の小・中規模オフィスビルを1棟単位で仕入れ、リノベーション等によるバリューアップでオフィス用物件としての魅力を高め、テナント賃料及び入居率の改善を図り、最終的にはハイグレードのオフィスビルとして1棟単位またはフロアー単位で販売します。 当社グループでは、保険代理業として火災保険、地震保険、自動車保険等の取次及び生命保険の取次業務を行っております。保険代理業の業務は多岐にわたっており、契約の取次だけにとどまらず、事故が発生した際の窓口業務、保険会社との折衝業務なども行っております。また、最近では取扱商品の拡充を目的とした生命保険の販売にも力を入れており、社内ファイナンシャル・プランナーを活用したライフプランの提案にも力を入れております。 タマファイナンス㈱にて本融資実行までの代金立替サービスであるつなぎ融資サービスを、当社の新築住宅購入者向けに提供しております。 当社グループでは、大規模太陽光発電所の運営を行っております。 福岡県大牟田市において、「タマホーム有明メガソーラー発電所」を2015年1月に竣工し、2015年2月より商業運転を開始しました。固定価格買取制度に基づき、発電した全量を九州電力㈱に売電しております。 タマ・アド㈱は、総合広告会社として広告代理業を行っております。事業領域は広告媒体の広告の仕入販売だけにとどまらず、それらで提供する広告コンテンツの制作、イベント等の企画等と幅広くなっております。 タマリビング㈱は、家具の販売(卸売及び直販)、オプション工事(カーテン、照明工事等)の請負を行っております。 在住ビジネス㈱は、地盤調査、地盤改良工事、地盤保証に関する事業を行っております。 タマアグリ㈱は、農業への進出及び障がい者雇用機会の創出を目的とし、福岡県筑後市で農作物等の生産・加工・販売を行っております。 THオートリース㈱は、当社グループ内の社用車を中心としたリース、中古車販売、メンテナンス、修理、損害保険の管理を行っております。 シンガポール、アメリカに設置したグループ会社を通じて、海外の住宅関連企業および不動産への投資等を行っております。 以上述べた事項を事業の系統図によって示すと、次のとおりであります。 2  特定子会社であります。 3  有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。 4  議決権の所有割合欄の(  )書は内書きで、間接所有割合であります。 5  議決権の所有割合欄の[  ]書は、緊密な者または同意している者の所有割合で外数となっております。 6  持分は100分の50以下でありますが、実質的な支配を行っているため子会社としております。 7  上記以外に持分法非適用関連会社が2社あります。 2  臨時従業員数は、臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。 2  臨時従業員数は、臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しています。 3  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 現在、当社グループにおいて、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。 2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。 連結子会社は「管理職に占める女性労働者の割合」、「男性労働者の育児休業取得率」及び「労働者の男女の賃金の差異」について、女性活躍推進法等の規定による公表を行わないため、記載を省略いたします。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 当社グループは、2022年5月期より5ヶ年の中期経営計画「タマステップ2026」を進めています。「新築住宅着工棟数№1を目指し、4つの事業(注文住宅事業・戸建分譲事業・リフォーム事業・不動産事業)の柱を中心に成長する」という基本方針を着実に実行し、引き続き持続的な成長へ向けた強固な経営基盤の形成を促進していきます。 当社グループは、中期経営計画において、「注文住宅事業で都道府県別シェア№1を目指す」「戸建分譲事業で販売棟数1,700棟を目指しシェア拡大を図る」「リフォーム事業で売上高120億円を目指し事業成長を図る」「不動産事業で売上高500億円を目指し事業成長を図る」を基本戦略に掲げております。 中期経営計画において、「受注棟数」「販売棟数」「売上高」「営業利益」「営業利益率」「当期純利益」をグループの成長を示す経営指標と位置づけており、最終年度となる2026年5月期における目標数値を、以下のように設定しております。 当社を取り巻く経営環境においては、短期的には長引くウクライナ情勢によって、円安の進行、資源・原材料価格の上昇傾向が継続、中長期的には人口減少による国内住宅市場の縮小およびそれに伴う住宅着工戸数の減少並びに高齢化による職人不足といった懸念があります。 このような状況の中、当社グループは2022年5月期より中期経営計画「タマステップ2026」がスタートし、順調に推移しております。引き続き当社グループの中核事業である住宅部門を中心に、継続的な成長と強固な経営基盤の形成に向け取組みを推進していきます。住宅事業においてはより高い付加価値の商品展開を推進し、さらなるシェアの拡大に努め、非住宅事業においては事業機会を適切に捉え収益性を高めることにより、売上高の伸長を目指します。 以上に鑑み、当社グループの2024年5月期の連結業績予想は、売上高257,000百万円(前連結会計年度比0.4%増)、営業利益14,100百万円(同6.3%増)、経常利益14,100百万円(同4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,200百万円(同5.6%増)を見込んでおります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。なお、文中にある将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは「より良いものをより安く 提供することにより 社会に奉仕する」という経営方針のもと当社グループの事業そのものがサステナビリティへの取り組みに繋がることと認識したうえで、環境・社会・経済において、持続可能な社会形成に貢献しております。 当社グループは、経営環境の変化に対応した競争優位性の高い戦略を実践し、迅速な意思決定を行うため、取締役会を原則月1回開催し、緊急を要する場合には、書面決議による取締役会を開催しております。取締役会には社外取締役も出席し、助言などにより取締役会の監督機能を高めるとともに、活発な議論が交わされるように努め、合議制により公正・迅速な意思決定を行っております。特に事業継続にもたらす全社的な重要リスクの認識、対応策の整備及び運用を行うとともに、人材の育成・確保に伴うサステナビリティ課題についてのリスク及び機会を把握し、それらに適切に対応できるよう体制強化を検討しております。 当社グループは、経営方針の具現化を目指し、CSR基本方針「5つのHappy」を策定し、国産材の活用や国内林業の活性化、森林資源の有効活用にも寄与している当社の木材流通システム「タマストラクチャー」の紹介等をホームページで公開するなど、気候変動を含む地球環境問題への対応を通じて、持続可能な社会形成及び中長期的な企業価値向上を図るため全社一丸となって取り組んでおります。 今後も、取引先と緊密に連携し、新しい素材や工法の開発にも協力しながら、より質の高い家づくりができるノウハウを集積してまいります。 また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、従業員の成長への意欲を大切にし、安心して夢・目的を実現できる職場環境をつくるための取り組みを行っております。 当社グループは、言語、文化、性別、国籍、年齢、障がいの有無等にとらわれず、多様な人材の一人ひとりがお互いの価値観、考え方を認め、能力を最大限に発揮し、成長することができる充実した職場環境の構築を目指します。また、今後は人権に対する理解をさらに深め、職場環境の整備に対応していき、女性の活躍においても出産や育児に対するサポートを積極的に行うことで活躍できる機会を提供します。シニア人材に対してもこれまでの一人ひとりの経験や能力に応じた職場環境を提供することで、多様な人材が活躍できる職場形成に取り組んでいきます。 当社グループは、事業の推進に伴って生ずるリスク管理については、会社諸規程で定めるとともに、各取締役は、自己の職務分掌範囲内につき、リスク管理体制を構築する権限と責任を負い、同リスク管理体制を推進しております。また、担当取締役はグループ会社各社の連携のもと、当社グループ全体のリスク管理を行っております。その運用評価及び問題点などは取締役会等に定期的に報告され、顕在化するリスク等に対して、早期に適正な対応を取る体制を整えております。 当社グループでは、上記(2)戦略において記載した、人材の多様性の確保を含めた人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いておりますが、目標につきましては今後開示に向けた議論を行い、検討をしてまいります。 当社グループは、女性社員が活躍できるよう、子育て世代に対しては育児短時間勤務の利用可能期間を小学校就学の始期に達するまでとしたルールを設け、また、出産を控えた社員に対しては、産前の体調不良等にも柔軟に対応できるマタニティ休暇の利用を推奨し、社員の能力に応じた活躍ができるように積極的に取り組んでいます。2019年~2023年の5年間の育児休業からの復職率は91.1%であり、多くの女性社員が復職後も継続的に活躍しています。 当社グループでは、65歳定年制を設定しています。本人の意思や健康状態を最優先に考え、定年後も積極的に再雇用を行い、2023年5月末現在68名の再雇用人材が在籍しています。シニア世代の知識、経験、技術は会社にとっての重要な財産であるとともに、若手世代に対する技能伝承は日本社会にとっても重要です。今後も少子高齢化が進み労働人口が減少する中で、シニア世代が活躍できる職場環境を整備し、多様な人材が活躍できる場を提供していきます。 当社グループは、障がいのある方が社会で活躍できる場所を提供するために障がい者雇用に取り組んできました。障がいの内容に応じて職場環境を選定し、タマホームグループで、2023年5月末現在73名の障がい者を雇用しています。障がいの内容を考慮した勤務日数や就業時間等の雇用条件を設定し、各自が無理なく業務が行えるよう、周りの従業員がサポートを行いながら業務をしています。今後はさらなる活躍の場を提供できるように業務や職場環境の改善を図るとともに「1支店に1名以上の障がい者雇用」を目指してまいります。また、タマホームの特例子会社として2009年6月1日に「タマアグリ株式会社」を設立しました。農産物の生産・加工・販売、印刷業務、事務業務代行を行っており、多くの障がい者が社会で活躍できる環境を提供しています。 当社は、個人の成果、業務への取り組みを評価する人事考課制度を取り入れ、各社員の能力に応じた待遇を設定しています。また教育研修においては、新入社員の入社時研修、フォローアップ研修、職種別研修、等級別研修等の各種研修制度を導入し、社員のキャリアデザインを支援しています。 本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループでは、戸建住宅の建築請負を主な事業としていることから、新年度を控えた引越シーズンである3月から5月までの間に引渡しが集中する傾向にあります。そのため、当社グループでは、引渡時期が第4四半期に収益が偏重する傾向にあります。 従って、景気動向、自然災害等の要因により、第4四半期の引渡しに支障が生じた場合は、当該期間の売上高が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるため、その対策として当社グループでは着工時期の平準化を図ることにより、引渡棟数の季節波動を抑え、四半期毎にリスクの分散化を図っております。 当社グループの主たるお客様は個人のお客様であることから、景気や金利の変動、消費税率の改定、住宅ローン減税政策等の税制の変更などによる個人消費動向の変化の影響を受けやすく、個人消費動向に何らかの理由で住宅業界に不利な変化が生じた場合、これにより受注・売上が減少し当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その対策として当社グループでは、市場環境の変化を的確に捉え、そうした環境変化に対応した商品開発をスピーディに行うことにより、受注減少への影響を低減する対策を取っております。 当社グループは、住宅建築事業のほかにも積極的に事業を展開していることから、遵守すべき法令・規則は多岐にわたっております。特に建設業法に基づく建築工事業許可については、許認可の取消や更新が行えなくなった場合、住宅建築事業における営業活動に重大な支障を及ぼす可能性があります。 これらの法令等の規制についてやむを得ず遵守できなかった場合及びこれらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があるため、当社グループではこれらの法令等を遵守し、許認可等の更新に支障が出ないよう、従業員に対するコンプライアンスに関する教育指導を継続的に実施しております。 当社グループでは、木造注文住宅の建築請負を主要な事業としていることから、住宅を構成する木材等の主要部材の急激な高騰等の局面においては材料の仕入価格が上昇することや、また、請負業務の遂行にあたっては一部外注先等の従業員が担っていることから労働力不足等の影響が想定よりも大きい場合、工事原価が上昇することが考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 その対策として当社グループは、原価変動の動向を事前にモニタリングすることにより、事前の調達対応や代替策を行う体制を整え、原価の高騰が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性を低減しております。 地震や台風などの大規模な自然災害の発生時には被災した自社保有設備や建築現場の修復に加え、建物の点検や応急措置などの初動活動や支援活動等により、多額の費用が発生する可能性があるため、当社ではこうした保有資産や管理物件ごとにそれぞれのリスク・運用形態に応じた損害保険を付保しております。 また、社会インフラの大規模な損壊で建築現場の資材・部材の供給が一時的に途絶えた場合等には、完成引渡しの遅延等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その対策として当社グループは、人的な応援や代替調達ルートへの切替といった対応策を取る体制を整え、自然災害等に伴う社会インフラの大規模な損壊により当社グループの業績に及ぼす悪影響を最小化するための取組みを行っております。 当社グループでは、不動産事業に係る分譲・マンション事業用地およびオフィスビルの仕入に際して、立地条件、競合物件の動向、地中埋設物の有無、仕入価格変動等について十分な調査を行いその結果を踏まえて仕入を行っております。 しかしながら、不動産価格の急激な変動による販売価格の引き下げ、近隣の開発計画の遅れ、土壌汚染や地中埋設物の瑕疵が発見されることによる事業中止、延期が発生した場合には、事業計画の遂行に重大な問題が生じ、販売用不動産の評価損が発生する虞があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが保有する販売用不動産以外の、その他有形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、市場環境や経営環境等の変化により減損処理の必要が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、多数のお客様の個人情報をお預かりしております。個人情報保護につきましては「個人情報保護規程」を制定し全社的な対策を継続的に実施しておりますが、万一個人情報の漏洩等が発生した場合には、信用を大きく毀損することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、現在シンガポール、アメリカ、ベトナム等に子会社を設置し、一部海外エリアでの事業展開を行っております。当社グループは当社本社に海外事業室を設置し、事業展開を行う各国の経済・社会・政治情勢および法規制の動向について情報収集と対応の統括を行っておりますが、これらの国々でテロ活動、軍事クーデター、大規模な騒乱、法制度の大幅な変化等が生じた場合、業務執行に影響が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、現段階において業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社グループの販売する住宅、不動産において、契約不適合(瑕疵)等の発生、または工事期間中における近隣からの様々なクレーム等が発生した場合、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。当社グループでは、施工に関したお客様の満足度を高めるために徹底した品質管理に努めておりますが、重大な訴訟等が発生した場合には、当該状況に対応するために多額の費用が発生するとともに、当社グループの信用を大きく毀損する虞もあり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2019年から世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症のように、当社グループのステークホルダーの健康が同時多発的に脅かされる事態が生じた場合、事業所の閉鎖やサプライチェーンの停止等、当社グループの企業活動が制限され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルス感染症への対策としては、当社グループは当社本社に対策本部を設置し、新型コロナウイルス感染症に関する情報収集並びに、同感染症の拡大および感染拡大に伴う影響を最小限に止めるための対応等に当たっております。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響の緩和と社会経済活動の正常化が進む中、ゆるやかな持ち直しの動きがみられました。しかしながら、円安や物価高、長引くウクライナ情勢、海外における金融不安の台頭等、多くの懸念材料により先行き不透明な状況が続いています。 当社グループの属する住宅業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による戸建志向への高まりは落ち着いたものの、住宅税制優遇制度の継続や省エネ住宅への補助金制度等が追い風となり、需要は堅調に推移いたしました。一方、世界的なインフレによる原材料価格の上昇や調達難により、建築コストの上昇が続いております。 こうした事業環境のなか、当社グループにおきましては、引き続き、早期受注・早期着工・早期売上を目標に掲げ、地域特性に合わせた販売戦略を策定・実施するとともに、変化するお客様の価値観・行動様式に柔軟に対応していくことで、中核事業である注文住宅事業の収益基盤をより一層強化するとともに、各事業において収益力の向上に努めました。 その結果、当社グループの連結経営成績は、売上高256,065百万円(前年同期比6.4%増)となりました。利益につきましては営業利益13,264百万円(同11.5%増)、経常利益13,477百万円(同9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,715百万円(同5.2%増)となりました。 また、当社グループの当連結会計年度末における資産総額は、111,508百万円(前連結会計年度比6.1%増)となりました。流動資産は、未成工事支出金の減少4,063百万円等があったものの、現金及び預金の増加852百万円、販売用不動産の増加7,376百万円、仕掛販売用不動産の増加1,818百万円などにより84,482百万円(同6.6%増)となりました。なお、現金及び現金同等物は「2.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、34,323百万円(同2.5%増)となりました。また、固定資産は機械装置及び運搬具の増加などにより27,026百万円(同4.5%増)となりました。 負債総額は、76,593百万円(同3.3%増)となりました。流動負債は、未成工事受入金等の減少7,191百万円があったものの、支払手形・工事未払金等の増加1,929百万円、短期借入金の増加1,513百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加1,457百万円、未払費用の増加3,117百万円、未払法人税等の増加1,210百万円などにより69,023百万円(同5.5%増)となりました。固定負債は、長期借入金の減少などにより7,570百万(同13.1%減)となりました。 純資産は、配当金の支払3,663百万円、自己株式の取得1,000百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益8,715百万円の計上等により3,998百万円増加し、34,915百万円(同12.9%増)となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ852百万円増加し、当連結会計年度末には34,323百万円となりました。 当連結会計年度において営業活動による資金の増加は、6,385百万円(前連結会計年度は4,580百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益13,149百万円(同12,163百万円)、減価償却費1,993百万円(同1,615百万円)、未払費用の増加3,117百万円(同37百万円)、棚卸資産の増加4,753百万円(同8,472百万円)、仕入債務の増加1,929百万円(同1,219百万円)等によるものであります。 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、2,626百万円(同1,992百万円)となりました。これは、新規支店の開設等の有形固定資産の取得による支出2,718百万円(同1,850百万円)等によるものであります。 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、2,992百万円(同1,824百万円)となりました。これは、長期借入金の返済による支出2,401百万円(同837百万円)、自己株式の取得による支出1,000百万円(同450百万円)、配当金の支払額3,660百万円(同2,943百万円)等によるものであります。 当社グループ(当社及び連結子会社)が営む住宅事業、不動産事業、金融事業、エネルギー事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 2  金額は、販売価格によっております。 3  不動産事業、金融事業、エネルギー事業、その他事業では、受注活動を行っていないため記載しておりません。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 2  主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの売上高は、注文住宅事業において、過年度から実施してきた価格改定による販売単価の上昇、戸建分譲事業における販売棟数の増加等により、256,065百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。利益面では、注文住宅事業における売上高増に加え、価格改定による利益率の改善効果等により、営業利益は13,264百万円(同11.5%増)、経常利益は13,477百万円(同9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、8,715百万円(同5.2%増)となりました。1株当たり当期純利益は298円41銭(前連結会計年度は282円25銭)となりました。 当社グループの中核をなす注文住宅事業は、受注棟数、販売棟数共に前期比で減少となったものの、従前からの価格改定効果の浸透により増収増益となりました。今後も価格改定効果に加え、引渡棟数の増加等に伴い増収増益が見込まれます。また、事業全体としても、増収増益となり最高収益を達成しました。注文住宅事業を中心に戸建分譲事業及びリフォーム事業の収益基盤の強化を図ってきたことによる収益力向上の成果が十分に表れたものと捉えています。 セグメントごとの経営成績等の詳細は、「(3)セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析」に記載しているとおりであります。 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、不動産事業における販売用不動産取得があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、注文住宅事業における展示場の新設および移転があります。当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入等を行っており、自己資本比率等の財務健全性指標を注視しながら、最適な選択を実施していきます。 なお、当連結会計年度における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は18,467百万円(前連結会計年度は16,765百万円)となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、34,323百万円となっております。 住宅事業においては、注文住宅事業において、6ヶ所(うち移転5ヶ所)の出店を行い、営業拠点は245ヶ所になりました。また、モデルハウス、ショールームのリニューアルを38ヶ所において実施しました。過年度より続くコロナ禍における戸建住宅再評価の傾向は落ち着いたものの、当社の展開する戦略商品である地域限定商品及び期間限定商品を中心に受注は堅調に推移、1棟当たり販売単価については上昇傾向を維持し、利益率が改善したことにより増収増益となりました。 リフォーム事業においては、引き続き、入居後10年を経過したお客様を中心に、保証延長を目的とした保証延長工事及び入居後15年以上を経過したお客様への継続的な保証延長工事のご提案を行いました。また、住宅設備の経年劣化による交換需要の取り込み等のリフォーム受注活動を積極的に展開した結果、増収増益となりました。今後も、累計で16万棟を超える豊富なストック情報をもとにお客様との関係深化を図りつつ、築年数やお客様のニーズに応じた最適なリフォーム商品の提案と販売を進めてまいります。 以上の結果、当事業の売上高は201,708百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は8,935百万円(同69.5%増)となりました。 不動産事業においては、戸建分譲事業において、引き続き、資金回転率を重視した10区画以下の小規模分譲地を中心とした仕入、販売に取り組みました。土地情報を収集・厳選する専任組織の能力増強に努め、仕入強化の取り組みを進めた結果、受注・引渡とも好調に推移し、引渡棟数については1,247棟と前期比31.1%増加しました。しかしながら、原価・販売管理費等も増加したことにより増収減益となりました。今後とも戸建住宅の需要動向を注視しつつ、マーケットニーズに対応した良質な住宅の供給及び土地の仕入を一層強化することで、戸建分譲事業の確実な伸長を図っていく方針です。 マンション事業においては、マンションの販売及び中古マンションのリノベーション販売に取り組みました。当期は新規分譲プロジェクトの販売案件がなかったため、売上高、利益とも前期比で減少しました。 サブリース事業においては、東京23区内に所在する新規受託物件の獲得及び管理物件(期末管理物件数25棟)の稼働率の向上に注力しました。 オフィス区分所有権販売事業においては、保有物件の販売を進めるとともに、確実なオフィス需要の見込まれる東京主要5区を対象として仕入に取り組みました。 以上の結果、当事業の売上高は45,404百万円(前年同期比15.5%増)、営業利益は2,637百万円(同43.9%減)となりました。 金融事業においては、引き続き、当社で住宅を購入されるお客様への保険販売及びフラット35の利用促進に取り組みました。当社の住宅引渡棟数は堅調に推移しましたが、保険販売については、2022年10月からの火災保険制度改定による保険期間の短縮により、火災保険の手数料収入が減少しました。生命保険の販売については、一時払い保険商品の販売に意欲的に取り組みました。また、フラット35については、フラット35全体の利用率の低下傾向が続いており、当社においても利用が減少しました。 つなぎ融資については、その活動を消極化し、つなぎ資金の紹介による手数料ビジネスへのシフトの積極化を図りました。 以上の結果、当事業の売上高は1,144百万円(前年同期比22.9%減)、営業利益は232百万円(同62.7%減)となりました。 エネルギー事業においては、福岡県大牟田市で商業運転するメガソーラー発電施設の売電実績について、電力会社からの出力制御指示による出力制御は前年並みでしたが、天候の影響及び販売管理費増により、当事業の売上高は837百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益は270百万円(同3.4%減)となりました。 その他事業においては、住宅周辺事業を中心に増収増益となり、当事業の売上高は6,970百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益は1,126百万円(同17.1%増)となりました。 以上の結果、当社グループの連結経営成績は、売上高256,065百万円(前年同期比6.4%増)となりました。利益につきましては営業利益13,264百万円(同11.5%増)、経常利益13,477百万円(同9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,715百万円(同5.2%増)となりました。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 該当事項はありません。 当社グループは、経営方針である「より良いものをより安く 提供することにより 社会に奉仕する」にもとづき、高品質・低価格の住宅を供給するための研究開発活動を行っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は、130百万円であります。なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。 研究開発活動は特段行われておりません。
フジオーゼックス株式会社
# フジオーゼックス株式会社 当社グループは当社(提出会社)と親会社、子会社7社で構成されており、エンジンバルブ、バルブシート、コッタ、ローテータ、リテーナ、機械等の製造、販売を主な内容としており、さらにそれらに関連する物流その他のサービス活動を展開しております。 当社および当社の関係会社の事業は次のとおりであります。 なお、当社グループは単一セグメントであるため、事業別により記載しております。 当社と子会社である富士气門(広東)有限公司、PT. FUJI OOZX INDONESIA、FUJI OOZX MEXICO, S.A. DE C.V. はエンジンバルブ等の製品の製造、販売を行い、子会社であるオーゼックステクノ株式会社は金型等の製造および当社の生産工程に付帯する業務を行っております。 関連当事者の大同興業株式会社は親会社である大同特殊鋼株式会社の特殊鋼鋼材を当社へ販売しております。 また、子会社のFUJI OOZX AMERICA Inc.は当社フジオーゼックスグループが製造するエンジンバルブをはじめとする製品を顧客に販売しております。 当社は国内子会社1社および海外子会社3社等に機械設備・治工具等の販売を行っております。 当社は主に子会社である富士气門(広東)有限公司、PT. FUJI OOZX INDONESIA、FUJI OOZX MEXICO, S.A. DE C.V. に技術供与を行っております。 当社および国内子会社の従業員の福利厚生については、子会社である株式会社テトスが行っております。 また、当社関連製品の輸送・梱包については、子会社である株式会社ジャトスが行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 当社グループの在籍組合員数は、2023年3月31日現在965人であり、労使関係は円満に推移しております。 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社の経営理念は次のとおりです。 ① 技術を極め、顧客の高い満足と強い信頼を頂く商品を提供する。 ② 地球環境を守り、企業責任を全うし、社業を通じて社会に貢献する。 ③ 世界を視野に高い目標に挑戦し、企業の発展と個人の成長を実現する。 当社グループとして経営理念に基づき、ものづくりを本業とするメーカーとしてPQCD(Productivity 生産性、Quality 品質、Cost 価格、Delivery 納期)について世界最高の体制を構築し、高いCS(顧客満足)を得ることを目標に、製品の開発・生産・販売から廃棄までの全工程で地球保護に積極的に取り組みます。また、個人を尊重し、相手の立場で考え、意欲・能力を最大限に発揮することで、世界に飛躍する製品・技術・人を創造することに挑戦します。エンジンバルブの専門メーカーとして低燃費技術の進化を通じて社会に貢献してまいります。 当社グループの事業の中心である自動車産業の世界需要は、依然新型コロナウイルス感染症拡大に伴う半導体不足に加え、昨年からのロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料価格、エネルギーコストの高騰など、国際情勢の悪化などが大きな影響を及ぼしています。世界的に不透明な経済環境が続くものの、今後の自動車業界全体は部品調達不足が徐々に解消し、回復基調に向かうと見込まれております。 一方、エンジン搭載車を含む自動車業界自体においては、世界的なEV化・HV化への加速動向、またCO2排出問題(カーボンニュートラル)等の環境問題やバイオ燃料等の新エネルギー問題への対応、さらには情報化・自動化等といった、正に新時代へ向けた多種多様な変革の局面に立たされております。 このような状況のなか、当社グループといたしましては、3ヶ年計画「2023年中期経営計画」を策定し、グループの更なる成長を目指してまいりました。2023年度はその最終年度となります。 この中期経営計画の重要テーマとして、2023年度も次の3つの大きな課題に取り組んでまいります。 2年前から発生している半導体不足問題は長期化しており、主要な取引先である自動車メーカーの生産は昨年度年間を通して低迷しました。この問題の解消にはさらに時間を要するようで、本格的な回復は今年度下期以降ではないかとの観測がなされています。今年度の当社操業度は中期経営計画で想定していたレベルより低い状態が続くと予想しております。 また原料、資材、エネルギーコストは昨年度下期にピークに達し、今年度も高止まりが継続すると思われます。企業努力での吸収は困難な状況のなか、顧客への売価転嫁について交渉を行ってまいりましたが、幸い多くの顧客の理解を得ることができました。昨年度は調達コストの上昇が続いたため、価格反映は半年遅れのスライドギャップが発生し、収益低下となりましたが、今年度はさらなる上昇はないと予想しており、スライドギャップによる収益低下要因は解消できると考えております。 今年度は3ヶ年中期経営計画の最終年度となりますが、先述した半導体問題起因の低操業度による収益低下が継続するため、中期の収益目標は未達の見込みです。原価低減に努め少しでも目標に近づく努力を続けてまいります。今年度下期以降は半導体問題の解消が期待され、これに備えた生産性改善に取り組む所存です。 M&Aの取り組みとして、2022年度は有望な領域で利益を上げており成長が見込まれる数社に対し意向表明を行い、内1社については2023年5月31日付けで株式譲渡契約を締結いたしました。詳細については「第5 経理の状況 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであり、引き続き他の案件についても検討しております。 また、子会社の新事業展開は順調に進んでおり、事業開始した移動コンビニに続き、ドローンによる太陽光パネル点検事業を開始し、さらに機能回復特化型デイケアの新拠点が6月より事業開始いたしました。また本社工場余剰地を利用してブランドミニトマト事業の開発を準備しております。 2013年度と比較して2023年度CO2 20%削減を目標に全グループで省エネ活動に取り組んでまいりました。特に太陽光発電については、グループ全体で設置を進めてきた結果、2022年度末グループ全体の合計発電能力は5,269kWに達しました。2023年度は更に国内外子会社にて1,941kWを追加設置し、合計7,210kWとする予定です。 中期経営計画では2023年度末10,000kWの発電能力を目指しておりましたが、2022年来の円安の進行によって日本国内での輸入中国製資機材価格が高騰し採算性が悪化したことに加え、これまでの太陽光発電およびその他の省エネ対策により、本社工場の2023年20%削減が達成できる見込みとなったことから実施予定であった本社工場第三ステップは一旦保留し、当面はその他の省エネ対策を継続実施してまいります。 2023年度はスローガンと基本方針を以下のように定め、それぞれの重点課題への取り組みの具体化による年度目標の実現を目指してまいります。 効率的な生産体制の追求を最重要テーマに、特に省人省力の推進を実施すべく稼働ロス低減・滞留在庫の低減・検査自動化を実践してまいります。 事業戦略に基づく具体的な成果を実現するため、新技術の開発・実用化を進めるとともに、新分野事業・シナジーを活かした事業・地域関連事業等の新規事業の確実な立ち上げを実践してまいります。 働き方改革・DX推進・BCP等により経営基盤強化を図っていくとともに、「CO2排出量20%削減・産業廃棄物排出量50%削減」の目標を達成すべく、ESG経営を実践してまいります。 引き続き、会社全体の構造改革を推進するとともに、企業の社会的責任(CSR)を果たし、世界のなかで存在価値のある会社として認められる、理想を追求して行くことができる企業体質を目指します。 当社グループは、事業活動を通じて当社および社会が得る利益の最大化を図るべく、SDGsが目標とする5つのP(People(人間)、Prosperity(繁栄)、Planet(地球)、Peace(平和) 、Partnership(パートナーシップ) )の内、Planet、Prosperity、Peopleの3つとの関連性を考慮し、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を整理しました。持続可能な社会の実現のため、各マテリアリティにおける課題を経営において解決してまいります。 詳細な取組み内容につきましては、以下記載の当社ウェブサイトをご参照ください。 当社は、サステナビリティ基本方針を定め、これに則り経営上の重要課題(マテリアリティ)を抽出し、課題解決に取り組んでおります。 代表取締役社長を委員長とするCSR委員会を設置し、更に下部組織としてリスクマネジメント委員会を設置し、サステナビリティを含む全社リスクと機会の選定・抽出を行い、経営に及ぼす影響度合いの評価、施策の立案、進捗管理を行う体制を構築しています。 リスクマネジメント委員会にて、政治、経済、社会情勢、気候変動等、当社グループを取り巻く環境を踏まえ、事業への影響度、発生可能性からリスクレベルを総合的に判断し、全社リスクを選定し、その対応策の検討を行っております。 当社グループは、環境負荷低減に寄与する製品の提供および事業運営過程におけるCO2排出量削減活動を通して「持続可能な社会の実現に対する貢献」と「企業価値の向上」の両立を努めます。 環境負荷低減に寄与する製品の提供については、エンジンバルブの専門メーカーとして、短期的にはガソリンエンジンの高効率化に貢献し、中長期的にはカーボンニュートラル燃料にも対応できる製品の開発を進めてまいります。 また、事業運営過程におけるCO2排出量削減の取り組みの方向性は大きく2通りです。1つは、製造ラインの省エネ化等により消費エネルギーそのものを抑制すること、もう1つは、太陽光発電システム導入など使用エネルギーを再生可能なものに転換することです。 温室効果ガスがもたらす気候変動影響に対し、世界中で急速な低炭素社会への移行に関する議論が進んでいますが、日本政府も2030年には温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することが公表されました。当社グループも日本政府の掲げる目標に準じ、温室効果ガス排出量を2013年比で2023年までに20%、2030年までに50%削減することを目標に掲げ、カーボンニュートラル達成に向けた様々な課題に取り組んでおります。政府方針に準じることで我が国でも導入が検討されている炭素税などの将来的なエクストラコストへの備えにもなると考えております。 当社グループでは、経営理念を実現するための行動規範、及び行動基準を定めております。ビジネス環境や雇用環境が激しく変わりつつある時代であっても、企業と個人が共に成長し合える状態を創りあげ、次世代に向かい失敗を恐れずに高い目標へ挑戦し続けるための人的資本の確保に努めております。 人材の多様性を含む人材育成については、当社グループでは、従業員の人格を陶冶し、知識を高め、技能を錬磨するために必要な人材育成として、OJT、OFF-JTを基本とした階層別・職能別教育訓練、および自己啓発の援助を行っております。各階層・職能別に格付基準として定義・要件を定めており、従業員の評価基準とするとともに、人材育成の目標として周知し、能力開発・育成と職場問題の改善を図っております。 人的資本経営のための社内環境整備については、グローバル人材の育成のための海外語学留学制度、又は各種資格取得奨励としての就学支援や国内留学制度など、従業員各人の成長を図りながらも組織の一員として経営理念を体し、自己の役割を完遂できる人材の育成を実現するための制度が整えられております。 また、2023年中期経営計画において、働きやすい環境をつくることによって、すべての従業員がその能力を発揮出来るようにするため、多様な働き方の許容と健康的な職場環境の提供を推進し、以下の重要施策に取り組んでおります。 激変する事業環境において、当社グループが将来にわたって成長し続け、また、少子高齢化が進む中、優秀な人材を継続的に確保するために多様な人材が年齢、性別、国籍、宗教、障がいの有無などの差別なく持てる能力を存分に発揮できる環境であることが重要となっております。特に女性社員の更なる活躍は重要なテーマの一つであり、当社グループでは新たな行動計画を策定し、これに基づき女性採用の強化や就労環境の整備等の活動を推進しております。 多様な人材が働きやすく、力を発揮しやすい職場環境とするためには多様な働き方を受け入れることが必要と考えております。当社グループでは、従業員のワーク・ライフ・バランス推進の一環として、従来よりコアタイム無しのフレックス制を導入し、近年では在宅勤務の採用・拡大に取り組んでまいりました。 さらに、女性が活躍しやすい環境を整えるため、女性社員の産前・産後休業、育児休暇・休業といった制度の充実はもとより、男性従業員も育児に積極的に参加できるよう「産後パパ育休」制度の積極的な活用を推進しております。 当社グループでは、海外のお客様ともお取引があり、また生産・販売拠点も有しております。海外への販売活動、海外拠点への人員派遣などグローバルに活躍できる人材を継続的に育成できるよう海外語学留学制度を導入し、外国語でのコミュニケーション能力と、異文化理解・活用力の向上を推進しております。 当社グループでは、風通しの良い職場環境を醸成し、従業員ひとりひとりが心身ともに健康な状態で活躍できるよう必要な福利厚生制度の整備とあわせて、安心・安全な職場環境づくりはもとより、従業員のフィジカル面、およびメンタル面でのサポート活動において取り組んでおります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、自動車をはじめとするエンジンに使用される部品(主にエンジンバルブ)を生産・販売することを事業としております。しかしながら、電気自動車等の普及により、エンジンを使用する自動車が大きく減少し、売上が減少することで、グループ経営が厳しくなるリスクがあります。 地球規模の気候変動による超大型台風、集中豪雨、極度の渇水等の被害規模拡大に伴い、日本各地で都市機能、ライフラインの麻痺または一時的な機能停止をする恐れが有ります。また、当社グループの主要な国内生産拠点である静岡県西部は、南海トラフを震源とする大規模地震の防災対策強化地域となっております。 将来予測される自然災害の発生に備え人的安全を第一に考え、なおかつ建物、生産設備、仕掛品、製品などの資産が損傷・損失しないよう対策を講じておりますが、その対応には限界があります。 もし、自然災害によりライフライン等の機能停止が発生した場合、一時的に生産活動が停止する可能性があります。また、大規模地震等の自然災害や火災等の事故など、重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループが受ける影響は甚大なものになる恐れがあります。 当社グループでは、海外4社・国内3社の子会社があり、グループを形成していますが、特に一部の海外子会社は、設立から10年以内でまだ収支が安定せず、経営(販売・生産・資金)に問題が起きた場合、当社含むグループ全体に影響を及ぼすリスクがあります。 当社グループでは工場内の製造ラインや部課等の組織で従業員が業務をおこなっておりますが、組織内外において、パワーハラスメント行為やセクシャルハラスメント行為、その他のハラスメントが発生することにより、被害従業員の身体的・精神的悪影響や退職・休職リスク、職場内の意欲低下による生産性低下、社会的事件となることでの会社の信用度やイメージが低下するリスクがあります。 新型コロナウイルス感染症を始めとするパンデミックにつきましては、当社グループ全体の様々な分野において大きなリスクとなっております。最大のリスクは従業員等の生命を失うリスク、また従業員等に感染者が発生することによる業務中断のリスクであります。なお、長期化による事業環境悪化および資金調達のリスクも重要でありますが、現状では高くはないと判断しております。 当社グループは、地球環境を守るためのCO2削減活動を推進する活動を行います。しかしながら、目標に対し未達成(施策が未実施・不十分)となることによる周辺環境の悪化、企業イメージの低下を起こすリスクがあります。 当社グループは、「ESG」を意識した経営を行っていくことにより環境や社会に貢献できる企業を目指しておりますが、産業廃棄物などの環境問題や人権侵害、差別等の社会問題、内部統制不備等のガバナンスに関する問題が発生するリスクがあります。 当社グループでは、製品の製造にあたって、品質安定化の追求と、厳格な検査・保証管理体制を構築するとともに、損害保険加入等の対策をとるなど、品質不適合リスクその他事業活動に伴う種々のリスクについて対策を講じております。しかしながら、大規模な製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、その結果によっては、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは国内、海外において事業活動を行っており、その遂行にあたっては、法令その他社会的規範を遵守し、公正で健全な企業活動を展開しております。しかしながら、将来における法令、規範の変更や社会の諸要求の厳格化による解釈の変更などによって発生する事態が、業績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、現在の製品についての新技術・新工法、また新たな製品の開発について、研究開発を続けております。しかしながら、新製品、新技術や新工法の開発遅れや工法の陳腐化により、顧客からの要望に応えられず、製品の販売に大きな打撃を受ける可能性があります。 当社グループは、業務遂行に際しコンピュータを使用し、インターネット等も利用しておりますが、社内からの情報漏洩インシデント、また外部からの重大なコンピュータインシデント(サイバー攻撃やウイルス感染)が発生した場合の重要なデータの破損・喪失および復旧の遅れにより、グループ経営や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。 当社グループで使用する原材料(鋼材)は、親会社グループより購入しておりますが、価格の大幅な高騰に対し販売先への価格転嫁の遅れ等により経営に影響を与えるリスクが生じる可能性があります。また、電力等のエネルギー価格が大幅に高騰することにより、グループ経営や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。 なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化によって原材料、エネルギー価格が高騰し、物価高に拍車が掛かりました。歴史的なインフレとその抑制を企図した欧米各国での急速な利上げが急激な為替変動を招くなど先行き不透明な状況が続いてきましたが、新型コロナウイルス感染症による行動制限・企業の活動制限も大きく緩和されるなど、製造業を中心に景気は緩やかな持ち直しとなりました。 当社グループの属する自動車業界につきましては、依然として半導体を始めとする部品調達不足による生産調整が継続しており、原材料価格、エネルギー価格上昇など、生産への影響は継続しています。 このような市場環境のなか、在外連結子会社が前期15か月連結から当期は12か月連結となったことを主因として、前期と比較して海外販売は30.6%の減少となりました(在外連結子会社4社におきましては、前期は、決算日の変更および連結決算日に仮決算を行う方法への変更により、2021年1月1日から2022年3月31日の15か月間の経営成績を連結していることから、在外連結子会社について2021年4月1日から2022年3月31日までの12か月間を連結した場合との比較では16.2%の販売減)。国内販売は市場の回復や原材料・エネルギーコスト上昇分の売価転嫁などにより、前年同期と比較すると14.5%の増加となりましたが、国内外を合わせると3.0%の販売減となりました。(在外連結子会社について2021年4月1日から2022年3月31日までの12か月間を連結した場合との比較では3.9%の販売増)。 利益につきましても、引き続き固定費の徹底圧縮による原価改善活動など収支対策に取り組んでおりますが、海外販売の減少、原材料費、エネルギーコストの増大により前期比利益減少となりました。 以上の結果、売上高は21,606百万円(前期比663百万円減)、営業利益は869百万円(前期比701百万円減)、経常利益は1,052百万円(前期比733百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は595百万円(前期比390百万円減)となりました。 また、参考として、在外連結子会社4社につきまして、前連結会計年度が2021年4月1日から2022年3月31日までの12か月間であった場合の連結経営成績と当連結会計年度の連結経営成績の比較を下記に記載しております。 2023年中期経営計画の2年目となる2022年度計画に対する実績は、売上高は計画220億円に対し実績216億円、営業利益は計画24億円に対し実績9億円、ROS(売上高営業利益率)は計画11%に対し実績4%となりました。売上高は、半導体不足の長期化による自動車メーカーの減産の影響を受け、計画に対し約2%(4億円)の未達となりました。営業利益およびROSにつきましては、売上高減少に加え、原材料、エネルギー価格の高騰の影響により、計画に対し約62%(15億円)、ROSは7%の未達となりました。 2021年から2023年の3年間の中期経営計画全体としては、売上高は計画680億円、営業利益は計画73億円、ROSは10%以上を計画しておりますが、先述の半導体問題起因の低操業度による収益低下が継続するため、中期の収益目標は未達の見込みです。そのため、原価低減に努め少しでも目標に近づく努力を続けることに加え、来期2025年3月期以降は半導体問題の解消が期待されることから、本年はこれに備えた生産性改善に取り組んでまいります。 なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。 当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。 当社グループは、一部において受注生産を行っていますが、得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であり、受注高は生産高にほとんど等しくなるため、記載を省略しております。 当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ434百万円減少し34,239百万円となりました。総資産減少の主な内訳は、有形固定資産が534百万円であります。有形固定資産は、減価償却等により減少しております。 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ937百万円減少し6,374百万円となりました。負債減少の主な内訳は、短期借入金が456百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が297百万円であります。短期借入金および長期借入金は、いずれも返済等により減少しております。 当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末に比べ503百万円増加し27,865百万円となりました。純資産増加の主な内訳は、利益剰余金が328百万円、為替換算調整勘定が148百万円であります。為替換算調整勘定は、円安の影響により増加しております。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ62百万円減少し、5,504百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果、得られた資金は2,689百万円(前連結会計年度は3,948百万円の獲得)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益915百万円、非資金損益項目である減価償却費2,317百万円、棚卸資産の減少518百万円であります。 投資活動の結果、使用した資金は1,594百万円(前連結会計年度は500百万円の使用)となりました。支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,561百万円によるものであります。 財務活動により使用した資金は1,188百万円(前連結会計年度は3,462百万円の使用)となりました。支出の主な要因は、短期借入金の純増減額601百万円、長期借入金の返済による支出303百万円、配当金の支払額267百万円であります。 当社グループの資金需要は、営業活動上の運転資金に加え、自動車部品事業の安定収益の確保に向けた生産能力の増強や技術研究、新規事業の創出に向けた研究開発など、成長投資のための資金があります。これらに必要な資金は、事業が生み出す営業キャッシュ・フローと手元資金でまかなうことを基本としていますが、それを超える投資の場合、金融機関借入することも選択の一つとし、成長の機会を失うことにならないよう安定的な資金調達と資金調達コスト抑制の両立を目指しています。また、半導体および部品調達問題による各自動車メーカーの減産や、国際情勢の悪化に伴う原材料価格、エネルギーコストの高騰、物流の混乱、欧米各国の急速な利上げに伴う急激な為替変動による混乱など、不透明な経営環境が続いておりますが、十分な営業キャッシュ・フローを創出できるよう、固定費の徹底圧縮を中心としたコスト改善活動に取り組んでおります。 資金の流動性については、当連結会計年度末に保有している5,504百万円の現金及び現金同等物に加え、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関と当座貸越契約を締結しております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。 当社グループでは、棚卸資産の保有期間および将来の需要予測に基づき、回収可能価額が帳簿価額を下回るものについては評価減を計上しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。 当社グループでは、有形固定資産および無形固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、回収可能価額が帳簿価額を下回る兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。 この判定は、資産の帳簿価額と回収可能価額を比較することにより実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損損失を計上することとなります。回収可能価額は、正味売却価額もしくは使用価値により算定しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来のキャッシュ・フロー、割引率等について一定の仮定を設定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。 減損の有無の判定に際して用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当社グループでは、繰延税金資産の算定にあたって、将来減算一時差異等を使用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。課税所得が生じる可能性の判断においては、事業計画に基づき課税所得の発生時期および金額を見積っております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。 会計上の見積りの不確実性に関する情報については、「第5 経理の状況 注記事項 (会計上の見積りの不確実性に関する追加情報)」に記載のとおりであります。 当社は、2023年5月26日開催の取締役会において、株式会社マルヨシ製作所の全株式を取得し、当社の連結子会社とすることを決議し、2023年5月31日に株式譲渡契約を締結しました。なお、2023年7月3日付で株式の取得手続きを行う予定であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。 当社グループは、自動車部品製造の単一セグメントであるため、研究開発活動は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。 当連結会計年度における研究開発活動は、自動車用から汎用に至るまで、陸用、舶用を含む動弁系部品専門メーカーとして、新製品、新技術の研究開発を通じてカーボンニュートラルに向けた内燃エンジンの進歩発展に寄与する事により社会に貢献すべく活動を続けております。 特に自動車産業界は、近年の車に求められる環境対応や更なる燃費向上のエンジン開発を強力に推進しており、当社もこれら社会的ニーズに応えるべく、積極的にエンジンバルブを主体とした動弁系部品のエンジン熱効率向上およびカーボンニュートラル燃料への対応により、お客様に対して迅速、的確かつ信頼性の高い製品を提供すべく、各種の研究開発に努力しております。 この様な背景を踏まえつつ当連結会計年度は、製品の実証試験、各種シミュレーションの信頼性評価を活用した新製品・新工法技術開発に取り組み、カーボンニュートラル促進に向けた高機能特性エンジンバルブの研究開発に加えて、既存製造技術を活用した異分野製品の開発取組みを進めております。 当連結会計年度における研究開発費は230百万円であります。
ディーブイエックス株式会社
# ディーブイエックス株式会社 当社は、1986年4月の設立以来、「人に優しい医療」への貢献をコンセプトに、循環器疾病分野の医療機器を中心に事業展開しており、医療現場に携わる企業として「生命と健康を守る」ことをパーパスとし、患者様、医師・医療関係者の皆様にとって有益な製品・サービスを提供し、最適な医療の普及に貢献することを使命としております。 当社の事業内容は商品に応じて「不整脈事業」、「虚血事業」、「その他」に区分されます。 各事業について次のとおり説明いたします。 なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報と同一であります。 不整脈とは、心臓を動かす刺激の発生又は刺激が伝わる伝導路の異常によって心臓のリズムが乱れる疾患のことで、脈が遅くなる徐脈、速くなる頻脈、脈が飛ぶ期外性収縮の3つに分けられます。原因としては、先天的なもの以外に加齢や喫煙、ストレス等によって引き起こされるといわれております。 不整脈事業においては、徐脈、頻脈、期外性収縮の治療に用いる心臓ペースメーカ、アブレーションカテーテル(心筋焼灼術用カテーテル)、ICD(植込み型除細動器)、検査用電極カテーテルが主力商品となっております。当事業はこれら不整脈の検査・治療のための医療機器を関東地域を中心に、医療機器輸入商社及び国内医療機器メーカーから仕入れ、主に医療施設に対し卸売会社として販売しております(販売代理店業)。 現在、当事業においては既に全国展開している虚血事業と連携しながら、営業エリアの拡大を推進しております。 当事業においては、主に以下の商品を販売しております。 心臓ペースメーカは、不整脈のうち主に脈が遅くなる「徐脈」を治療する機器です。心臓は洞結節と呼ばれる部位より発生した刺激が伝導経路を伝わり、心筋が収縮することで血液を送り出しています。心臓の刺激を伝える経路が病気により機能しなくなったり、刺激を作り出す洞結節の活動が低下すると心臓の脈拍が少なくなり、時には失神発作を起こしたりします。これが徐脈です。このように心臓の拍動が低下したときに、心臓の代わりに刺激を発生させる機器が心臓ペースメーカで、絶えず心臓を監視しており、設定した最低限の脈拍が出ていれば心臓ペースメーカは作動せず、その人の脈拍が優先される仕組みとなっております。 心臓ペースメーカが徐脈の治療に使用されるのに対し、ICD(植込み型除細動器)は主に「心室頻拍」や「心室細動」と呼ばれる重篤な頻脈の治療に用いられます。心室頻拍とは心臓が異常に速く拍動する不整脈のことで、180~220拍/分(正常は60~100拍/分)という非常に速いリズムで心臓が動くため血液が送り出せず、めまいや失神を起こします。また、心室細動とは心臓が正確なリズムを失って心室が小刻みに痙攣する状態のことで、心臓から血液がほとんど送り出されず意識不明となります。この状態で放置すると死に至るため、一刻も早い処置が必要となります。通常、このような不整脈を止めるには電気ショックパルスを心臓に与える方法(除細動)しかありません。ICD(植込み型除細動器)はそのような頻脈が発生したとき、それを検知してただちに電気ショックパルスによって止めることを目的に開発された装置です。 CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)は、ICD(植込み型除細動器)の機能に、心不全の治療の一種である心臓再同期療法の機能を併せ持つ商品であります。心臓再同期療法とは、心臓を動かすための電気信号の伝達に障害が発生し、心臓が正常に動作しなくなった場合に、人工的な電気信号を発生させることで心臓を正常に動作させようという治療法です。ICD(植込み型除細動器)に比べて適応範囲が広い商品です。 電極カテーテルは、先端部分に電極が付いた特殊なカテーテルで、主に心臓電気生理学的検査に使用されるものです。心臓電気生理学的検査とは、心腔内に電極カテーテルを挿入し心腔内の様々な部位からの電位記録を取ったり電気刺激を与えたりして、不整脈の詳細な診断や発生メカニズムの解明、重症度の評価、薬剤の効果の判定、心臓ペースメーカやICD(植込み型除細動器)の適応決定などに広く用いられる検査方法です。電極カテーテルは用途に応じて、先端部分の電極数が2極~40極以上、カーブ部分が固定されているタイプや手元操作でカーブが変化するものなど多くの種類があります。 アブレーションカテーテル(心筋焼灼術用カテーテル)は、電極カテーテルの一種で、頻脈の原因となる心筋組織を焼灼し根治させるアブレーションといわれる手技に使用されるものです。アブレーション(心筋焼灼術)とは、心腔内に留置したカテーテルに外部から高周波エネルギーを通電し、不整脈の原因となっている部位を焼灼し組織的に壊死させる治療法で、現在、WPW症候群(正常な伝導系以外に別の副伝導路を有することに起因する病気)に対しては確立した治療となっているほか、発作性上室頻拍等でも良好な成績が得られております。また、心房頻拍や心房粗細動に対しても有効であるケースが増えているなど、従来外科手術の適応となっていた症例だけでなく、薬剤によってコントロールされていた症例にまで適応の幅は広がっております。 薬剤抵抗性を有する発作性心房細動治療を目的とした新しいエネルギー源である冷凍凝固法を用いたバルーンカテーテルです。バルーンが装着されたアブレーションカテーテルを心房細動のトリガーとなる肺静脈に挿入し、治療を行います。肺静脈隔離が比較的短時間で行われ、合併症発生率が従来より低いことから、今後も広く普及していくことが予測されています。 従来の超音波診断装置とは異なり、心臓の中に超音波カテーテルを留置し治療中の心臓内の情報をリアルタイムに得ることができるカテーテルです。また、磁気センサー付きの超音波カテーテルは、3Dマッピングシステムとの併用により心臓のリアルタイム3D画像を構築することが可能です。心腔内超音波カテーテルを用いることで、治療手技の有効性、安全性の向上が期待されます。 虚血とは、血管の狭窄又は閉塞により組織への血流が不十分もしくは途絶している状態を指します。虚血により引き起こされる虚血性疾患としては、心臓の冠動脈で起こる心筋梗塞や狭心症、脳の血管で起こる脳梗塞等が代表的なものです。原因となる動脈硬化は糖尿病や高血圧、高脂血症等によって進行し、肥満や喫煙、運動不足、ストレスの多い生活等も動脈硬化を促進させるといわれております。 虚血事業においては、虚血性疾患の検査・治療のための医療機器を、国内外の医療機器メーカーより直接仕入れ、主として全国の医療機器販売代理店を経由して医療施設に販売しております(国内総代理店業)。このため、全国主要都市において当事業を中心とした営業拠点を既に展開しております。 なお、国内で医療機器として流通させるためには厚生労働省の薬事承認を取得する必要があり、当社は有望な医療機器を国内外に見出すためにマーケティングを担当する部署や薬事承認及び品質保証を担当する部署を設置しております。 また、不整脈事業と同様の形態(販売代理店業)をとり、虚血分野の検査・治療に用いる医療機器を輸入商社や国内医療機器メーカーから仕入れ、医療施設等に販売しているケースもあります。 当事業においては、主に以下の商品を販売しております。 当社が日本国内における製造販売業者の認証を有する自動造影剤注入装置「RAQUOSインジェクションシステム」は、心臓血管インターベンション治療など血管造影を行う際の造影剤注入装置で、医療現場のニーズを取り入れた操作性の向上と、少量から大量まで正確に造影剤を注入することを実現しました。また、本システムを使用することで、複数症例での連続使用、造影剤の自動充填や自動エア抜き機能などにより、手技時間の短縮や放射線被ばくの低減、造影剤使用量の削減が期待されます。 「その他」においては、脳神経外科関連商品、一般外科関連商品、消化器関連商品、放射線防護用品等、主力事業である不整脈事業及び虚血事業に属さない商品の販売を行っております。 事業系統図は、次のとおりであります。 該当事項はありません。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は、「生命と健康を守る」ことをパーパスとし、患者様、医師・医療関係者の皆様にとって有益な製品・サービスを提供し、最適な医療の普及に貢献することで、「人に優しい医療」へ貢献しながら継続的に成長・発展することを目指しております。また、適時、公平な情報開示に努めるとともに、コンプライアンスを重視し、健全で透明性が高く、広く社会から信頼される経営を推進しております。 なお、当社のパーパス、ミッション、ビジョン、バリューズは次のとおりです。 患者・医師・医療関係者にとって有益な製品・サービスを提供し、最適な医療の普及に貢献する。 医療の現場や社会から求められるリーダーを目指す。 人種・性別・世代を問わず、多様な個性で変化を捉え、新たな事業を開拓する。 私たちは、人に優しい医療の実現に貢献する。 私たちは、ニーズを捉え、最適なサービスを考える。 私たちは、相互に理解し合い、相互に助け合う。 私たちは、自己の目標を定め、常に能力の向上を目指す。 私たちは、適正な利益を確保した公正な取引を行う。 私たちは、人の『心』をもって正直に行動する。 医療機器業界を取り巻く環境は、超高齢社会の進展による医療ニーズの高まりに伴い医療機器やサービスに対する需要増加が予測される一方で、そのことが国民医療費の増大につながることから、今後も医療費抑制策は継続する見通しです。少子高齢化対策、格差是正、財政健全化への社会的課題意識の高まり等の要因も相まって、診療報酬や患者負担率の改定、継続的な特定保険医療材料の保険償還価格の引き下げといった方向に政策が執られることが予想され、当社を含む医療機器業界がその影響を受けることとなります。 そのような中、当社の取引環境においては、医療機器メーカーによる医療施設への直接販売や販売代理店の選別が行われ、顧客である医療施設でも共同購入による仕入単価の引下げ等の効率経営推進の動きが見られます。 また、競争環境に関しては、前述の構造的な要因により、従来の販売・流通業態では収益性の低下圧力に不可避的に直面することから、既存競合企業においては、合従連衡などによるシェア拡大で価格競争力を高める動きが見られる一方、効率的な医療制度運営や医療経営を目的とした技術導入のニーズを契機とした様々な規模、形態での新規参入も顕著になっており、当社の事業環境は大きな変化の中にあります。 このような環境の変化を機会として捉え、持続的に成長していくため、中期経営計画として中長期的なビジョンを共有しております。なお、外部環境や当社の状況が変化することが想定される中、適宜状況に合わせた軌道修正を可能とするため、中期計画の運用においては従来通りローリング方式を継続することとし、毎年、通期決算発表の時期を目途に公表することを予定しております。 中期経営計画においては「当社の製品やサービスが日本のみならず世界中の生命と健康を守る」、「 当社の製品やサービスが1秒に一人の生命と健康を守る」ことを目指し、持続的な成長を可能とするための変革に取り組むこととしております。以下をテーマ・目的とした全体戦略に基づき、部門ごとの戦略を策定したうえで計画に取り組んでおります。 当社は、安定的に業容の拡大を図ることを経営の基本と考えており、継続的かつ効率的に販売の拡大を図ることを目指しております。そうした観点から、資本効率性の指標として自己資本当期純利益率(ROE)20%以上、収益性の指標として売上高営業利益率4%以上を確保することを目標としております。医療現場のニーズを捉えた商品の導入、高付加価値サービスの提供、管理機能の整備・強化により経営効率を向上させることで、当該目標の達成を目指しております。 当社は、継続的な成長を実現していくために、以下の事項を課題と認識しております。 当社は、主力の不整脈事業において、関東地区に特化して営業展開をしてきた経緯から、同地区への売上依存度が非常に高い状況にあります。激化する競争環境におけるリスク対応として、また、安定的な業容拡大を目指すためには、不整脈事業の営業エリアを拡大することが不可欠であるとの認識を持っております。 今後も、不整脈事業の全国展開に向けて、人材育成をはじめとする体制の整備を行い、既存顧客とともに新規顧客の期待に応えられるよう総合的な販売力の強化を図ることで、売上拡大に努めてまいります。 顧客基盤の構築と新規顧客の開拓には、顧客ニーズにあった医療機器をいち早く、継続的に提案することが必要であると認識しております。そのためには、常に国内外の最新医療情報を把握し新商品の早期の販売権獲得と、迅速な薬事承認の取得が求められるところであります。 特に、虚血事業における取扱商品の充実が急務とされているため、自社開発製品である自動造影剤注入装置「RAQUOS インジェクションシステム」の国内普及に向けた取組みや、マーケティング部門や薬事部門の活動による製品導入の取組みに加え、研究開発部門の機能強化や営業部門の組織強化等により主力商品の育成に取り組んでおります。当事業年度においては、「RAQUOS インジェクションシステム」及び関連消耗品の販売を本格的に開始いたしました。 また、医療現場のニーズを反映させた独自企画商品を充実させることで、新規顧客開拓や既存顧客の深耕につなげる取組みも継続しており、当事業年度においては、不整脈シミュレーター「EPSトレーナー」の海外販売を継続しました。また、新型コロナウイルス対策の必要性が高まる状況下において、陰圧装置の販売にも注力しました。 近年においては、顧客である医療機関からは、償還価格の引き下げによる値下げ要請、あるいは医療経営環境改善のための値下げ要請への対応が求められる傾向が継続しており、当社においても一層の効率化や合理化が求められていると認識しております。目標とする売上高営業利益率4%以上を達成するために、仕入先企業との協力関係の構築や、比較的利益率の高い当社独自商品の販売促進への取組みを行っております。 当社は、「生命と健康を守る」をパーパスに掲げ、医療業界で「患者・医師・医療関係者にとって有益な製品・サービスを提供し、最適な医療の普及に貢献する」ことをミッションとし、現在と未来の社会・環境に対する責任を自覚しながら事業活動を行うことを目指しており、全社的な取組みを行っております。具体的には、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 サステナビリティ、気候に関するリスク及び機会を含む事業上のリスクは、代表取締役を委員長とし、常勤取締役及び各部門の責任者を委員とするリスク・コンプライアンス委員会で評価、審議されたのち、取締役会で承認されています。 また、当社では、2021年11月に、取締役会決議に基づき、後述のESG方針及び重要課題を定め、持続可能な社会への貢献を実現するための取組みを実施しております。また、中期経営計画においても重要な課題と認識した上で、各部門における重要課題への取組み状況は、毎月開催される定時取締役会及び経営会議において報告されております。 当社は、事業上のリスク、サステナビリティに関するリスク、気候変動リスクの関係を下図のように認識しております。 サステナビリティに関するリスク及び気候変動に関するリスクを含む事業上のリスクは、代表取締役を委員長とし、常勤取締役及び各部門の責任者を委員とするリスク・コンプライアンス委員会においてリスクとして認識し、その対応を検討、評価しております。 リスク・コンプライアンス委員会では、抽出されたリスクごとにリスク原因、想定シナリオ、発生頻度と影響規模から算定した固有リスク値、さらにリスク対応策/統制活動、統制活動によるリスク削減度などから算定した残余リスク値について評価を行います。さらに、リスク対応策の実施度合いを半期ごとに取締役会に報告することとしております。 また、取締役会では、固有リスク値や残存リスク値等に鑑み、重要なリスクを重点リスクとして認識し、有価証券報告書で開示することとしています。 当社は、ESG(環境、社会、コーポレート・ガバナンス)に関する方針を定め、それぞれの方針のもと、以下の通り重要課題ごとに目標や指標を定めて改善に取り組んでいます。 なお、その他の重要なサステナビリティリスクについては、「3 事業等のリスク」に記載しております。 当社は、社会生活、企業活動の基盤である自然環境の負荷軽減に貢献します。また、医療業界におけるソリューションリーダーとして、未来を見据え、効率的な資源利用と環境保全に配慮した事業活動を行います。 全国の営業拠点ごとの電力使用状況を把握し、その削減に努めています。各拠点において前年度より削減することを目指しています。 主要営業拠点はテナント物件であり把握困難であったことから、本社における電力使用量を指標とし、当社WEBサイトで公表しています。 なお、当事業年度から集計可能な全拠点の消費電力を開示する方針です。 全ての営業車両のガソリン使用量の集計し、効率的な営業、配送活動を行うことで温室効果ガスの排出削減につなげる取り組みを開始しています。 ペーパーレスを推進しており、業務で使用するコピー用紙の削減のため、社内申請や経費精算の電子化に加え、電子署名を導入しています。 コピー用紙の購入量を公表しており、前年度より削減することを目指しています。また、電子契約率を公表しており、中期的には80%の電子契約率(*1)を目指しています。 当社は、『心』ある多様な人材を持続的競争優位の源泉と考え、全ての従業員がいきいきと働くことができる職場環境を整備し、幸せな生活と人生の基盤を提供します。また、従業員の創造的な活動を通じて、社会全体への最適な医療の提供に貢献します。 従業員の健康増進への取組みとして、当社では、人事基本方針に掲げた「企業は人なり」を実践するため、2017年に「健康企業宣言」(2020年再宣言)を制定しました。産業医や健康保険組合、産業保健スタッフと連携し、全社員の心とからだの健康を維持・増進するとともに健康経営推進と働き方改革に取り組みます。 また、当社は、多様な人材がパーパスである「生命と健康を守る」を共有し、安心して能力発揮できる企業文化の醸成、企業倫理の涵養を目指しています。これまでの人材育成に重きを置いた考え方を継承しつつ、高い企業成長力を持続するために多様な人材が活躍できる環境を整備していきます。また、社員一人ひとりの能力・役割に合わせた教育研修を継続的に計画・実行することで適切な人材マネジメントを行い、長期的に活躍できる優秀な人材の獲得・育成を通じて、持続的な企業成長を実現します。 当社では、持続的な成長と企業価値向上のために、多様な価値観を尊重することが重要を考え、様々な人材が活躍できる職場環境を整備します。女性が職業生活で希望に応じて能力を発揮し、活躍できる環境の整備に努め、広く活躍の機会を提供していきます。また、ライフイベントや疾病による女性従業員の離職を防ぎ、働きがいのある職場づくりや様々な研修を通じて、女性社員比率、女性管理職比率の向上に取り組みます。 当社は、全社員が各々の個性や多様な能力を最大限発揮するために、公正で働きがいのある職場づくりが不可欠であると考えています。社員への公正な評価・報酬、公平な福利厚生を目指し、思想・良心・言論の自由などの基本的人権を尊重することで、社員が安心できる公正な職場づくりを推進するとともに、社員一人ひとりが相互理解と尊重を促進し、働きがいを持ち続けられる会社を目指します。 当社は、地域社会と共生する企業であり続けるために、社会貢献活動を積極的に行うとともに、社員の主体的な社会貢献活動に対して「ボランティア休暇制度」を通じて支援します。また、「企業市民」として、各地域からの要請を踏まえた活動を通じて、より良い地域社会の実現に努めます。 当社は、医療機器業界において医療制度の一端を担う立場にあり、公正な競争による健全な事業活動が社会の厚生に寄与すると認識していることから、国内・海外を問わず、当社の事業における不正な利益の供与や受領を防ぐため、贈賄防止規程を定め社内研修や周知を継続的に実施しています。また、取引先との基本契約において腐敗行為防止条項への合意を求めるとともに、「ディーブイエックス贈収賄防止指針」を公表し、取引先による贈収賄を禁止し、腐敗行為防止への取組みを要請しています。 また、当社は、「企業活動と医療施設等の関係の透明性に関する方針」を定め、当社の事業活動に伴う医療施設等への資金提供実績の情報を当社WEBサイトで公開しております。 製造事業を事業展開していくにあたってはサプライチェーンにおける人権や法令遵守に関連するリスク、気候変動に関連するリスク、経済安全保障に関連するリスクを経営課題として認識しております。 調達先において人権侵害や不法な労働等の法令・倫理に反する状況がないか、取引先に定期的に確認をとることとしています。 温室効果ガスの排出量については、Scope1,2の把握を優先課題としております。また、代理店業のほか、製造事業の進展具合、重要度の変化に応じてサプライチェーンにおける把握が必要となる認識をしております。 海外からの直接調達品については、供給の遅延や停止があった場合の想定のもと、対応方針を定めています。間接的な調達品については、調達先企業に対し、対応方針を確認することとしています。 また、いずれにおいても、当該地域、当該国に関する情報の収集、把握に努めております。 当社は、自然環境、社会環境といった環境の変化に柔軟に対応し、果敢に挑戦することができるリスク管理体制を構築、維持します。また、社会やステークホルダーに対する責任を自覚し、その信頼に応えるため、適切な牽制機能を備え、透明性の高い情報開示を行います。 コーポレート・ガバナンスの状況は、コーポレート・ガバナンス報告書により開示しております。コーポレートガバナンス・コードの各原則の取組み状況を当社WEBサイトで公表しております。 取締役会実効性評価を実施し、課題認識し、段階的な取組みを行うこととしています。 当社は、会社法及び金融商品取引法に基づき、当社の業務の適正を確保するための体制を整備・運用することを基本方針として定めており、当社Webサイトで開示しております。 情報セキュリティ規程及び関連規程のもと、情報セキュリティ連絡会を四半期に一度以上開催することとしております。同連絡会では、システム開発に関する情報共有のほか、サイバーセキュリティの観点から外部環境の把握、当社における脅威レベルの把握、及び適宜社内向けの注意喚起、周知を行っております。 また、データセキュリティの観点では、情報資産管理体制の整備を推進しており、社内規程に基づき、年に一度の情報資産棚卸を行い、情報資産の管理状況を確認することとしております。 災害及びサイバー攻撃に対しては、セキュリティ対策方針のもと、事業継続上の主要な制約条件となり得る情報システム及び通信インフラについて発生要因、影響の規模、復旧までを含めた想定を行い、防御力、回復力等の観点から課題に対する改善を行っております。 また、事業継続上の主要制約条件となる従業員の安全確保に関しては、災害発生時の安否確認システムの運用、災害・危機管理対応細則を定めております。 当社は、企業価値の増大に最大の注意を払い長期かつ安定的な利益還元を目指すとともに「人に優しい医療」という経営理念のもと、すべてのステークホルダーに対し、透明性、公平性、継続性を基本に会社法や金融商品取引法等の関連法令及び東京証券取引所の定める適時開示に関する規則を遵守し、タイムリーな情報提供に努めることを基本方針としています。 情報開示基本方針を当社WEBサイトで開示しており、情報開示体制図はコーポレート・ガバナンス報告書において記載しております。 当社においてコンプライアンスとは、倫理・法令遵守を意味します。コンプライアンスを推進するための全社的な委員会組織として、「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、重要なコンプライアンス事項に関する審議・協議・決定・情報交換等を行っています。また、年に一度のコンプライアンス確認テストを全社員に実施し、関連法令遵守に努めております。 また、当社はリスク・コンプライアンス委員会が検討したリスクを取締役会に報告することにより、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。 当社は、持続的成長を可能とする事業基盤を構築し、変化に挑戦し成長し続ける組織に変革することが求められるとの考えから、中期経営計画において、「成長基盤の強化(組織)~技術・環境の変化を機会にする~」を戦略的テーマの一つとしています。現下の中期計画における重点戦略として、「女性活躍推進」と「多様な人材育成」を挙げております。世代、性別、国籍等の多様な人材による多様な価値観を包含する組織とすることで、環境変化(社会的要請の変化や、市場の広がりを含む)に潜む機会を捉えやすくし、そのような変化に柔軟に対応しやすくすることを意図したものです。 女性が職業生活で希望に応じて能力を発揮し、活躍できる環境の整備に努め、広く活躍の機会を提供していきます。また、ライフイベントや疾病による女性従業員の離職を防ぎ、働きがいのある職場づくりや様々な研修を通じて、女性社員比率、女性管理職比率の向上に取り組みます。 全社員に占める女性社員の割合、新規採用者に占める女性社員の割合、全管理職に占める女性社員の割合を指標とし、前年からの増加を目指しています。 当社は、多様な人材が、パーパスである「生命と健康を守る」を共有し、安心して能力発揮できる企業文化の醸成、企業倫理の涵養を目指しています。これまでの人材育成に重きを置いた考え方を継承しつつ、高い企業成長力を持続するために多様な人材が活躍できる環境を整備していきます。また、社員一人ひとりの能力・役割に合わせた教育研修を継続的に計画・実行することで適切な人材マネジメントを行い、長期的に活躍できる優秀な人材の獲得・育成を通じて、持続的な企業成長を実現します。目標及び指標は以下の通りです。 ・障害者雇用率:現状は2.0%であり、法定雇用率2.3%を満たしていないため、法定の比率を目標としています。 ・外国人:外国人比率、外国人の管理職比率は、海外展開の進展にあわせて増加を目指します。 ・中途採用者:中途採用者の管理職比率は適正かつ高い水準にあるため、中途採用比率の推移にも鑑みつつ、引き続き採用属性に偏らない登用と人材育成を進めます。 当社は、リスク・コンプライアンス委員会が検討・評価したリスクを取締役会に報告することにより、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。 当社の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は本書提出日(2023年6月28日)現在において当社が判断したものでありますが、以下の記載は当社の事業等及び当社株式への投資にかかわるリスクを全て網羅するものではありません。 原材料価格の高騰等により仕入先からの値上げ要請の圧力が高まる状況において、顧客への価格転嫁が困難な  場合、利益率が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 現行医療保険制度においては、当社が販売する特定保険医療材料の保険償還価格が定められており、医療費抑制を目的として償還価格が引き下げられる傾向が継続するものと想定され、その動向は、当社の顧客である医療施設の購買方針や販売価格に直結し、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。 償還価格の引き下げ傾向が継続することや、制度の変更により、医療機関からの値下げ要請が高まり、利益率を押し下げる要因となることが課題となっています。 当社が属する医療機器業界においては総じて競争が激化する傾向にあります。とりわけ、当社においては、関東地域における売上高の割合が高いため、当該地域において、従業員の転職や独立その他の要因により当社が想定した以上に競争が激化し、相対的に当社の競争力が低下し取引関係の変更に至る場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社においては利益率低下傾向にある市場において自社企画品等による付加価値向上に努めていますが、競合品の登場により、自社企画品の収益性が低下する可能性があります。 さらに、医療業界における革新的な治療技術の開発等、急速な技術の進歩により、新たな事業機会が生まれる可能性がある一方で、事業機会に適切に対応できないまま医療施設において既存商品の使用頻度が低下した場合には、当社の業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 当社は、他の医療機器輸入商社及び国内外の医療機器メーカー等から仕入を行っておりますが、当社が主要仕入先と締結している取引契約については、仕入先の買収、合併等の影響やその他の理由により、解約となる、又は更新が不可能となる場合があります。当社が取り扱っている商品の中には代替不能な商品も含まれているため、何らかの事由により商品の仕入に支障が生じた場合には、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 また、自社企画品や開発品においても、原材料や部材の不足、サプライチェーンの停滞、あるいは製造請負企業の経営破綻や人材不足等により商品の供給や開発が遅延又は停止した場合には、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、持続的成長を維持するためには、変化に強い社員からなる組織でなければならないとの考えに基づき、 人事基本方針のもと人材の獲得に努めておりますが、採用競争力が低下し採用が困難になった場合や、退職者の増加等により人材流出が急増した場合、要員不足による業務遅滞や機会損失の発生による影響が生じる可能性があります。 当社は、環境保全と事業活動との調和を経営上の重要課題の一つとして位置づけ、社会生活、企業活動の基盤である自然環境の負荷軽減に貢献することを方針としておりますが、気候変動による政策・法規制の動向、経済環境が変化した場合、エネルギー価格上昇や車両等の調達によるコスト増、炭素税導入等による負担増などの影響が生じる可能性があります。 当社の事業活動におきましては、迅速に医療商材を医療機関へ届けるため、当社従業員が営業車両により直接営業所から医療機関へ医療商材を運搬することがあり、当社従業員による重大な車両事故が発生した場合には、社会的信用の低下や、対応に関する費用の発生等により当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「医薬品医療機器等法」といいます。)において、商品を市場に出荷する「製造販売業」として許可を受けており、社内においては医療機器製造販売業三役(医療機器等総括製造販売責任者・国内品質業務運営責任者・医療機器等安全管理責任者)を置き、必要十分な品質管理、安全管理体制を整備しているものと認識しています。しかしながら、万一、製品の不具合、調達部材の品質不良や検査作業不良等に起因する医療事故が発生した場合には、当社の信頼の低下、リコールによる市場在庫・流通在庫の回収コストの発生のほか、損害賠償請求等の訴訟を提起され当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社におきましては、情報セキュリティ基本方針及び個人情報保護基本方針のもと、法令、規程類に基づく情報管理及び全社横断的な情報セキュリティの確立、導入、運用、監視、維持、改善が実行されていますが、万一、マルウェア感染によりシステム停止等に至った場合、業務が遅滞又は停止する可能性があります。 また、サイバー攻撃やヒューマンエラーによる個人情報や機密情報の漏洩や、退職・転職に伴う情報持ち出し又は持込みが発生した場合、社会的信用の棄損や、競争力の低下、対応に関する費用の発生等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、国内外における最先端の技術開発に関する情報をいち早く把握し、必要に応じた投資や、新製品取引関与に向けた働きかけを行い、将来有望な医療用製品の販売権の獲得を目指しております。しかしながら、適切な情報提供・報告がなされなければ、適切な判断に基づいた投資判断ができず、投資による損失が発生する可能性があります。 当社は、虚血事業において依存度の高い主力製品の取扱い終了が利益率低下要因となったことから、新たな競争力の源泉となる独自製品ラインナップを拡充し、外部環境の変化が激しい状況下においても成長への投資余力を確保することが課題となっております。また、当社は前記(1)③「競争環境」におけるリスクへの対策として輸入総代理店として取り扱う独自商品の拡充に努めておりますが、当該取引形態においては輸入先の事情により契約終了に至ることがあります。 当社は、事業運営にあたり多数の契約を締結しておりますが、交渉力不足や十分な審査を行うことができない事情等により、当社が過度に不利となる条件で契約を締結した場合には、本来必要のない費用を負担する、利益を喪失するなどの不利益が発生する可能性があります。 当社は、滅菌期限等の有効期間(UBD)がある医療機器を取り扱い、在庫を保有しております。市場動向の変化、営業力不足等により在庫過多が生じ多量のUBD切れ商品が生じた場合には、在庫破棄による損失が生じる可能性があるほか、在庫のUBD管理の不備により誤ってUBD経過後の商品が使用された場合には、取引先や顧客からの信用の棄損、取引先の喪失、損害賠償請求等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 自社製品の薬事承認に係る申請その他に必要な情報の不備、入手遅延等があった場合、自社開発品等の薬事認可取得の遅延による上市延期、機会損失や信用低下等の影響が生じる可能性があります。 また、自社製品の海外輸出を行うにあたり、各国の承認必要事項の変更、製造元及び当社の書類作成の対応遅延が生じ、各国の承認が遅延する場合、事業計画に影響が生じる可能性があります。 当社は、販売先である医療施設等の取引先に対して信用取引を行っており、債権の回収リスクを負っております。近年においては、診療報酬及び保険償還価格の引き下げ等により、医療施設、医療機器販売代理店を取り巻く環境は厳しくなっているため、当社の販売先の経営の悪化等により、債権の回収が困難となった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う環境の変化は、当社の取引先に対しても大きな影響を与えるものと捉えております。 自社製品の海外輸出を含む輸送過程において、梱包不備等による運送中の破損が生じた場合、製品破損による損害が生じる可能性のほか、故障が発生することによる損害が生じる可能性があります。 当社におきましては、常日頃適切な会計処理を心がけ、実施しておりますが、内部統制システムにおいて不備が発生し見直しが行われないこと等により、不正確な事務、あるいは事故・不正等が発生した場合には、誤謬を原因とする開示書類の虚偽記載やこれに対する行政上の措置により、損害や信用の毀損が生じる可能性があります。 また、新たな取引形態等におけるルールの未整備やルール運用の不備により、仕入・売上・資産の計上に誤りが生じ、誤った財務報告がされた場合には、当社の信用の棄損に至る可能性があります。 医療機器業公正競争規約は、事業者団体(医療機器業公正取引協議会)が業界の公正な競争秩序を確保することを目的として、景品類の提供に関して定めた規約であります。当該規約は、1998年11月に公正取引委員会の認定を受けて告示されたものであり、自主規制でありながら法的裏付けのある規制となっております。 また、医療機器の適切な使用を確保するため、従来医療施設からの要請に応じて、いわゆる「立会い」業務を行う場合がありますが、2008年4月より医療機器業公正取引協議会が「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準」の運用を開始し、「立会い」業務に基準を設けております。 当社においても、2004年9月末に当該規約に準じた「DVx行動ガイドライン」を策定し、社員の行動規範を定め運用をはかる等、社員への教育啓蒙にも努めておりますが、医療機器業公正取引協議会及び公正取引委員会との認識の違いが生じ、入札停止や違約金等の罰則を適用された場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社が行う医療機器の開発、製造、輸入及び販売等の事業は、医薬品医療機器等法等関連法規の厳格な規制を受けており、事業遂行にあたり「高度管理医療機器等販売業・貸与業」「第一種医療機器製造販売業」「医療機器修理業」の許可及び「医療機器製造業」の登録を受けております。当社はこれらの許可及び登録を受けるための諸条件並びに関連法令の遵守に努めており、現時点において当該許可及び登録が取り消される事由は発生しておりません。しかしながら、法令違反等によりその許可及び登録が取り消された場合又は規制当局から業務停止等の処分を受けた場合には、規制の対象となる商品を回収し、又はその販売を中止することが求められる可能性及び事業を継続できない可能性があり、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社が取得しております主な許可及び登録は以下のとおりです。 医薬品医療機器等法第39条第1項の規定により許可された高度管理医療機器の販売業者又は貸与業者であること。 医薬品医療機器等法第23条の2第1項の規定により許可された第一種医療機器製造販売業者であること。 医薬品医療機器等法第23条の2の3第1項の規定により登録された医療機器製造業者であること。 医薬品医療機器等法第40条の2第1項の規定により許可された医療機器修理業者であること。 当社は、国立・公立病院を始めとする多くの公的病院と継続的に取引を行っていることから、当社としても贈賄事件防止により一層注力する必要があると認識しております。万が一、当社におきまして贈賄事件が発生した場合には、刑事罰、事業者団体(医療機器業公正取引協議会)からの摘発・違約金支払命令を受けるほか、仕入先からの取引打切りや入札手続きにおいて指名停止措置を受けるなどの取引先の喪失、信用低下が発生する可能性があります。 また、当社は、入札等における独占禁止法遵守により一層注力する必要があると認識しております。万が一、当社におきまして独占禁止法違反事案が発生した場合には、刑事罰、事業者団体(医療機器業公正取引協議会)からの摘発・違約金支払命令を受けるほか、仕入先からの取引打切りや入札手続きにおいて指名停止措置を受けるなどの取引先の喪失、信用低下が発生する可能性があります。 当社は、自社企画製品による当社の提供価値の向上、差別化を図っておりますが、自社企画製品の知的財産に関する管理体制の不整備や機能不全があった場合には、自社企画製品が模倣されるなどして知的財産が侵害される可能性があります。また、他者の知的財産権に関する事前調査が不足したり、当社従業員の教育が不足したりした場合には、知的財産に関する紛争により損害賠償責任を追及されたり、製品回収コストや信用低下を招く可能性があります。 近年労働法規の改正が続き労務管理の重要性が増しておりますところ、当社において、労働時間管理の不備、管理職の知見不足、組織マネジメント機能の低下により労働法規違反行為が生じた場合には、労働基準監督署是正勧告や刑事罰を受けるほか、信用低下による人材確保への悪影響が生じる可能性があります。 当社は、事業特性に基づく法令のほか、会社法、金融商品取引法、取引所規則など、あらゆる関連法令の遵守を推進しておりますが、万一、会社法違反(善管注意義務違反、忠実義務違反を含む)、金融商品取引法違反(内部者取引規制違反を含む)、取引所規則違反、暴排条例違反等が発生した場合、法令に基づく罰則のほか、違法行為・取引内容の公表・報道により、信用失墜や人材採用競争力等への悪影響が生じる可能性があります。 当社では、事業所および倉庫において商品を保有しており、法令に基づく適正な保管を行っておりますが、万一、火災が発生した場合には、近隣住民からの損害賠償請求、安全管理に対する信用失墜、行政処分、営業所等の閉鎖、取引先喪失等の事態に至る可能性があります。 当社では、国内外の仕入先から医療機器等を仕入れ、顧客である販売代理店や医療施設に対し販売を行っていることから、大規模な地震や風水害等の自然災害が発生した場合、物流への支障やシステム上の障害により当社の業績に影響を及ぼす可能性があり、また、従業員や営業所等、保有資産に被害が生じる可能性があります。 新型感染症の感染拡大に対して、医療施設において緊急性の低い治療の延期などの対策が執られた場合、当社が医療機器を供給する症例の数が減少すること等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大におきましても、緊急事態宣言を受けた営業活動自粛のほか、医療施設において上記対策等が執られたことによる販売の減少が生じました。 なお、当社におきましては、下記対策の他、2020年1月31日に新型コロナウイルス対策本部を設置し、顧客、取引先及び従業員の安全を第一に、当社の理念である医療への貢献を継続するための計画の策定等を実施しております。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が残るものの、各種行動制限の緩和に伴い、社会経済活動の正常化が進んだことから緩やかな回復基調が見られました。しかし、ウクライナ情勢の長期化や資源価格の高騰、世界的な金融引き締めによる円安の進行や物価の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。 医療機器業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に減少し症例数が回復しつつあるものの、医療機関においては物価高騰による運営コストの急騰を価格転嫁できないことから、経営改善に努める医療機関等取引先からの販売価格引き下げ要求は依然として高く、医療機器業界を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況にあります。 このような情勢のもと、当社では、社員の感染リスクを軽減するためのあらゆる対策を講じ、医療の安全、安心のために安定して商品を供給し続けることを使命とし企業活動を行ってまいりました。 これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,379,239千円増加し、23,589,982千円となりました。 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ655,031千円増加し、14,278,055千円となりました。 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ724,208千円増加し、9,311,926千円となりました。 当事業年度の経営成績は、売上高47,483,757千円(前期比4.4%増)、営業利益1,340,547千円(同7.1%増)、経常利益1,352,942千円(同7.5%増)当期純利益936,184千円(同8.5%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 不整脈事業は、売上高40,858,153千円(前期比3.8%増)、セグメント利益4,633,179千円(同5.8%増)となりました。 虚血事業は、売上高は3,059,612千円(前期比4.0%減)、セグメント利益は385,570千円(同35.7%減)となりました。 その他は、売上高は3,565,991千円(前期比21.5%増)、セグメント利益は437,313千円(同23.1%増)となりました。 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得1,484,945千円、投資活動による資金の支出477,057千円、財務活動による資金の支出244,917千円等により、前事業年度末と比較して767,843千円増加し、8,614,223千円(前期比9.8%増)となりました。 当社の事業は、商品の仕入販売であり、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社の事業形態は、原則として受注と販売が同時に発生するため、記載を省略しました。 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。 当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比較して1,138,084千円増加し、21,965,511千円となりました。その主な要因は、電子記録債権が207,378千円減少しましたが、現金及び預金が767,843千円、商品が472,599千円増加したこと等によるものです。 当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比較して241,155千円増加し、1,624,470千円となりました。その主な要因は、投資有価証券が300,000千円増加しましたが、土地が55,000千円減少したこと等によるものです。 当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比較して630,364千円増加し、13,770,586千円となりました。その主な要因は、未払法人税等が71,000千円、未払金が32,495千円減少しましたが、買掛金が842,699千円増加したこと等によるものです。 当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末と比較して24,667千円増加し、507,469千円となりました。その主な要因は、その他が15,200千円減少しましたが、退職給付引当金が31,057千円増加したこと等によるものです。 当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して724,208千円増加し、9,311,926千円となりました。その主な要因は、剰余金の配当により258,843千円減少する一方、当期純利益により936,184千円、自己株式の処分により48,492千円増加したこと等によるものです。 当社は医療現場が必要とする医療機器等の商品を継続的かつ安定的に提供することで、医療の安心・安全に貢献することを社会的使命と考えております。この観点から財政の安全性には十分な配慮を行っております。当事業年度末における流動比率は159.5%、当座比率は145.4%、固定比率は17.5%、自己資本比率は39.4%、負債比率は153.5%であり、十分な安全性が確保されております。 当事業年度の売上高は47,483,757千円(前期比4.4%増)となりました。これは主に、不整脈事業において、新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けた前事業年度からは症例数が大きく回復したことによるものです。 当事業年度の売上原価は42,027,693千円(前期比4.6%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴う仕入高の増加によるものです。 当事業年度の販売費及び一般管理費は4,115,516千円(前期比0.8%増)となりました。これは主に、売上増加に伴って生じる荷造運賃、通信費、旅費交通費の増加によるものであります。効率化の向上には引き続き取り組んでおりますが、当事業年度における売上高販管費比率は8.7%(前事業年度は9.0%)となりました。 営業外損益は、前事業年度の6,605千円の利益(純額)から12,395千円の利益(純額)へと5,789千円利益(純額)が増加しました。これは、営業外収益その他が前事業年度は2,269千円発生しておりましたが、当事業年度は6,431千円となったこと等によるものです。 特別損益は、前事業年度の42千円の利益(純額)から2,371千円の損失(純額)へと2,413千円損失(純額)が増加しました。これは、固定資産除却損が前事業年度は57千円発生しておりましたが、当事業年度は3,181千円となったこと等によるものです。 当期純利益は、上記の結果、前事業年度の863,016千円から8.5%増加して936,184千円となりました。 当社は医療現場のニーズに沿うことで安定的に業容の拡大を図ることを経営の基本とし、長期にわたって増収を重ねてまいりました。当事業年度の売上高は新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けた前事業年度からの反動により増収となりましたが、医療現場の落ち着きとともに更なるの業容拡大が可能と考えております。 また、当社は資本効率性の指標として自己資本当期純利益率(ROE)20%以上、収益性の指標として売上高営業利益率4%以上を確保することを目標としております。当事業年度における自己資本当期純利益率(ROE)は10.5%(前事業年度は10.5%)、売上高営業利益率は2.8%(前事業年度は2.8%)となりました。 販売総代理店として利益率の高い事業であったエキシマレーザ血管形成システムの独占販売契約終了や特定保険医療材料の保険償還価格改定の影響、及び価格競争の激化を主な要因として効率性に係る両指標ともに近年は低下傾向にある状況です。商品構成の改善、医療現場の課題解決を支援する高付加価値サービスの提供、管理機能の整備・強化による経営効率の向上を推進することで、これらの指標の改善と向上に取り組んでまいります。 商品の販売価格については、償還価格改定に伴う交渉だけでなく、医療機関のコスト意識の高まりや同一系列病院での統一価格交渉などによる価格競争の激化が見られ、行政による医療費の削減・抑制・適正化の方針を踏まえると、価格面では今後も厳しい環境が続くものと考えております。 当社といたしましては、プロダクトミックスやセグメント構成比率の変更による利益率改善、医療現場の課題解決を支援する営業力の強化、収益性を毀損しない新領域事業への展開に継続的に取り組むことで、規模・効率性の両面にわたって拡大と改善を図ってまいりたいと考えております。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 不整脈事業の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響により、症例数の一時的な減少傾向は依然として残っているものの、医療機関における医療提供体制の拡充に伴い前事業年度からは大きく回復し、前期比3.8%増の40,858,153千円となりました。 セグメント利益は、売上高の増加により、前期比5.8%増の4,633,179千円となりました。 虚血事業の売上高は、Spectranetics社製品の国内独占販売期間が終了したことから、前期比4.0%減の3,059,612千円となりました。 セグメント利益は、売上高の減少及び粗利率の低下により、前期比35.7%減の385,570千円となりました。 その他の売上高は、外科、脳外科関連商品等が好調に推移したことから、前期比21.5%増の3,565,991千円となりました。 セグメント利益は、売上高の増加により、前期比23.1%増の437,313千円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの要因は次のとおりであります。 棚卸資産の増加618,220千円、法人税等の支払512,075千円等の支出要因があった一方、税引前当期純利益1,350,571千円に加え、減価償却費391,272千円、仕入債務の増加842,699千円、売上債権の減少150,446千円等の収入要因により、1,484,945千円の資金の獲得(前期は1,687,188千円の資金の獲得)となりました。 有形固定資産の売却による回収65,244千円、貸付金の回収9,000千円等の収入要因があった一方、投資有価証券の取得による支出300,000千円、有形固定資産の取得による支出230,140千円等の支出要因により、477,057千円の資金の支出(前期は97,487千円の資金の支出)となりました。 自己株式の処分14,346千円の収入要因があった一方、配当金の支払258,478千円等の支出要因により、244,917千円の資金の支出(前期は235,334千円の資金の支出)となりました。 キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。 当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。 当社の運転資金に係る資金需要の主なものは、商品仕入代金の支払資金、販売費及び一般管理費等の営業費用の支払資金になります。営業費用の主なものは、人件費及び営業活動のための旅費交通費であります。設備投資に係る資金需要の主なものは、デモ・レンタル用などの営業用機器、システム関連、営業用車両関連の支払資金になります。当事業年度における設備投資金額は269,239千円、業態上或いは戦略上、当社は原則的に生産設備を保有しない方針であり、生産設備や建物の保有がないことから資本的支出は微少です。 当事業年度における研究開発費は15,426千円、自社製品及び自社企画品の研究開発のための費用を計上しております。 株主還元について、当社は継続的かつ安定的な配当による株主還元を行うことを基本として配当を決定することとしております。2023年3月期末配当は1株当たり30円、配当性向は33.3%となっております。 当社の運転資金及び設備投資資金等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金を充当しております。 資金調達の方法として、銀行等金融機関からの借入によることとしており、社債の発行、株式の発行につきましては現状では予定しておりません。2023年3月31日現在において借入金残高はありません。 M&Aなど今後において生じる可能性がある戦略的資金需要、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」にて記載したリスクまたはその他のリスクが顕在化した場合の事業継続のための資金需要等に対応して、手元資金を有しております。2023年3月31日現在の現金及び現金同等物の残高は8,614,223千円となっており、将来資金に対して十分な財源及び流動性を確保しているほか、取引金融機関との間で2,300,000千円の当座貸越契約を締結(全額未使用)しており、緊急対応可能な体制を整備しております。 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正と認められている会計基準に基づき作成されており、採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。 この財務諸表の作成にあたって、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 債権等の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しておりますが、得意先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、追加引当が必要になる可能性があります。 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しておりますが、割引率など数理計算上で設定される前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、主として営業部を基礎として資産のグルーピングを行っております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、投資額の回収が見込めなくなった場合には、将来追加で減損処理が必要となる可能性があります。 当社は、市場価格のない株式等を保有しております。取得価額をもって貸借対照表価額としていますが、当該株式の1株当たり純資産額が取得価額と比べ50%超低下し、かつ、回復の見込みがないと認められる場合は減損処理を実施する方針としております。超過収益力についての毀損の有無は投資先の事業計画の達成状況等を踏まえて評価しておりますが、将来、実績が事業計画を下回る場合は減損処理が必要となる可能性があります。 該当事項はありません。 当事業年度においては、医療機器及び周辺機器等の研究開発を行っており、研究開発費の総額は15,426千円となっております。
極東証券株式会社
# 極東証券株式会社 冨士証券株式会社を東京都中央区日本橋茅場町一丁目2番地に設立する。 証券取引法に基づく証券業者として登録する。 東京証券取引所の正会員となる。 前身の冨士証券株式会社の経営を継承し、当社新発足する。 商号を極東証券株式会社に変更する。 本店を東京都中央区日本橋茅場町一丁目6番地に移転する。 証券取引法の改正による免許制への移行に伴い証券業の免許を取得する。 引受け及び売出しを行う業務の免許を受ける。 公社債の払込金の受入れ及び元利金支払の代理業務の承認を受ける。 住居表示の実施により本店所在地は東京都中央区日本橋茅場町一丁目4番7号になる。 累積投資業務の承認を受ける。 証券投資信託受益証券の収益金、償還金及び一部解約金支払の代理業務の承認を受ける。 譲渡性預金の売買、売買の媒介、取次ぎ及び代理業務の承認を受ける。 大阪証券取引所(現大阪取引所)に正会員として加入する。 海外証券取引に係る外為法上の指定証券会社としての認可を受ける。 大阪支店を開設する。 常任代理業務の承認を受ける。 株式事務の取次ぎ業務の承認を受ける。 抵当証券の販売の媒介及び保管業務の承認を受ける。 総合証券会社となる。 名古屋証券取引所に正会員として加入する。名古屋支店を開設する。 極東証券(亜洲)有限公司を設立する。 株式会社極東証券経済研究所を設立する。 金地金の売買、売買の媒介、取次ぎ及び代理並びに保管業務の承認を受ける。 日本銀行と当座預金取引を開始する。 MMF・中期国債ファンドのキャッシング業務の承認を受ける。 証券取引法の改正による登録制への移行に伴い証券業者として登録を受ける。 KYOKUTO FUTURES (SINGAPORE) PTE,LTD.を設立する。 極東プロパティ株式会社を設立する。 極東不動産株式会社を吸収合併し、自己株式消却。 極東証券(亜洲)有限公司を清算する。 東京証券取引所市場第二部に上場する。 KYOKUTO FUTURES (SINGAPORE) PTE,LTD.を清算する。 株式会社FEインベストを設立する。 東京証券取引所市場第一部指定となる。 金融商品取引法の施行に伴い第一種金融商品取引業者及び第二種金融商品取引業者の登録を受ける。 東京証券取引所の市場区分変更に伴い、東京証券取引所第一部からプライム市場に移行する。 当社及び関係会社は、有価証券の売買等及び売買等の受託、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い等を主たる業務としております。 当社及び関係会社の事業内容及び位置付けは以下のとおりであります。なお、当社及び関係会社は、(1)金融商品取引業、(2)投資業、(3)不動産業、及び(4)調査・研究業を事業内容としておりますが、当社が行う事業以外において当社及び関係会社の連結財務諸表への影響が僅少なため、「投資・金融サービス業」という単一セグメントとしてみなしております。 主な関係会社は、当社の子会社「株式会社FEインベスト(連結)、極東プロパティ株式会社(連結)、株式会社極東証券経済研究所(非連結)」の3社であります。 ① 極東証券株式会社は、国内において第一種金融商品取引業及び第二種金融商品取引業を営んでおります。 ② 株式会社FEインベストは、国内において第二種金融商品取引業を営んでおり、同社が組成する投資ファンドの運営・管理を行っております。 株式会社FEインベストは、自己資金を利用して、主に長期投資による安定的収益の確保を目的とした投資業を行っております。 極東プロパティ株式会社は、不動産業を営み、主として極東証券株式会社の本支店の店舗等を賃貸しております。 株式会社極東証券経済研究所は、主として極東証券株式会社の委託に基づき、国内外における経済、金融証券市場の調査・研究業を営んでおります。 当社には労働組合は組織されておりません。 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度(以下第2 事業の状況において「当期」という。)末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、創立以来、「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念として、信頼を原点としたFace to Face(お客さまとの対面での直接対話型)のビジネスモデルと健全経営による安定的成長確保を経営の基本方針としております。この基本方針を堅持しながら、当社グループしか提供できない商品やサービスの独自性を追求してまいります。これらの事業活動を通じて、お客さまを含め国民全体の資産形成に資することで社会全体に付加価値をもたらし、ひいては、国民経済全体の発展に貢献することを念頭に置きながら、持続可能な事業を展開することに努めてまいります。 当社グループは、自らが採択した「お客さま本位の業務運営に関する方針」に基づき、お客さまの立場に立って、親切・丁寧な対応を心がけるとともに、お客さまの利益を最優先に考え、それぞれのニーズにあった商品やサービスを提供してまいります。 また、株主資本の効率的な運用という観点から、当社グループを取り巻く環境の変化を的確に捉えながら、適切なリスク管理の下、新しい収益分野や投資対象への取組みを推進し、収益力の向上と収益源の多様化を図ってまいります。 当社グループは、経営の基本理念に則り、独自のビジネスモデルを堅持し持続的な成長を目指してまいります。そのため、当社グループは、以下に掲げるサステナビリティ基本方針に基づき、全てのステークホルダーをこれまで以上に意識しつつ、当社グループの企業価値の向上及び金融・資本市場を通した持続可能性への貢献を行ってまいります。 また、東京証券取引所プライム市場上場企業として、企業価値の向上に向けた資本コストや株価を意識した経営及び株主との対話の推進に取り組むとともに、より高い水準のコーポレート・ガバナンス体制の構築に努めてまいります。 当社グループは、企業理念に基づき、金融商品取引業者としての事業を通して、サステナビリティ(持続可能性)の向上に取り組んでまいります。 当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなるという認識の下、オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持いたします。更には、その営業スタイルの質的な向上を図るとともに、他社では提供できない多様な商品を取りそろえ、マーケット変化を捉えた機動的な運用提案を行うことで、お客さまの満足度を高め、信頼を獲得してまいります。お客さまと当社との強固な信頼関係こそが、当社グループ独自の企業価値であります。こうした当社グループ独自のビジネスモデルを強化することで、厳しい競争環境下においても、当社グループの持続可能な事業展開が可能になると考えております。 当社グループは、ESG要素を含む中長期的な社会全体の持続可能性の向上に貢献するため、金融・資本市場の一層の機能強化に資することや、事業以外の分野における社会貢献活動に積極的に参画してまいります。具体的には、当社グループ独自の商品やサービスの提供により、国民の資産形成を促進することで、社会全体に付加価値を生み出し、国民経済全体の発展に貢献してまいります。また、様々なステークホルダーに貢献するために、地球温暖化や気候変動等の環境問題、全ての役職員にとって働きやすい職場環境を確保する等の働き方改革、金融リテラシー向上に貢献するための金融教育及び地域社会の発展について積極的に取り組んでまいります。 当社グループは、国内外の証券市場で売買される金融商品の販売をその事業基盤としていることから、その顧客基盤や預り資産についても、市場環境によって大きく左右されると考えております。当期においては、株式市況が比較的好調に推移したことから、顧客口座数、預り資産ともに増加いたしました。顧客基盤や預り資産について、単にその水準をもって経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とすることは困難でありますが、それらを当社グループの収益基盤の大きな柱として認識しつつ、加えて、お客さまの属性や投資行動等を詳細に分析する仕組みを検討し、そこから得られる様々なデータを活用した客観的な指標の構築に向け、更に検討を続けてまいります。 当社グループの持続的な成長のためには、提供する商品やサービスに対するお客さまの評価や満足度の向上が不可欠であります。お客さまの満足度を測る指標は、お客さまの投資パフォーマンスの向上、提供されるコンサルティングサービスの評価など、様々であり、当社ではお客さまの満足度を評価する指標として、「既存のお客さまによる新規顧客のご紹介」に関するものをこれまでも採用してまいりました。 新規に口座開設をしていただいたお客さまのうち、口座開設の契機が既存のお客さまによるご紹介の比率は高水準(当期実績 53.8%)を保っております。また、当期におきましてお客さまロイヤルティ調査を行いました。同調査において、当社は対面証券会社平均と比べてロイヤルティ指標が高いとの結果が出ており、これは当社のFace to Faceのビジネスモデルがお客さまから評価されているものと考えております。このトレンドを今後も維持できるように既存のお客さま評価や満足度を更に高めるとともに、当社グループ自身の認知度を向上させ、新規のお客さまの獲得に努めるとともに、お客さまの満足度の向上に努めてまいります。 当社グループの収益性を評価する指標として考えられるものは、以下のとおりであります。 当期における当社グループの資本コストは、株主資本コストが2.3%及び加重平均資本コストが1.9%であります。当社グループとして、自己資本利益率(ROE)や投下資本利益率(ROIC)が資本コストを上回ることを目標といたします。当期の各指標の実績につきましては、自己資本利益率は2.5%、投下資本利益率は△0.5%となりました。 当社グループは、市場環境に大きく影響を受けない安定した収益構造を確保するために、収益構造の多様化を図ってまいります。その成果を判断する指標としては、手数料収入、トレーディング収益、金融収支等の安定的なキャッシュ・フローがバランスよく貢献していることを検証することとしております。なお、当期においては、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことから、トレーディング損益(前連結会計年度(以下「前期」という。)比20億14百万円減少(66.5%減少))が減少しております。 当社グループの経営者は、経営の基本方針に則った中長期の経営戦略を実行するうえで、以下に掲げる環境事象が当社グループの経営に影響を及ぼすと考えております。 国内外の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の感染者数が大きく減少し、世界的に経済活動の再開が進みました。一方、インフレを抑制しようと主要国の中央銀行が大幅利上げを繰り返したことから、累積効果により多くの国で景況感が悪化しました。もっとも、当期後半にはインフレが鈍化傾向となり、先進国・新興国とも利上げ打ち止めが視野に入ってきました。3月には米国の地域銀行の破綻や欧州クレディ・スイスの経営危機で、金融システムや経済への悪影響が懸念されましたが、2008年のリーマン・ショックの経験を踏まえた主要金融当局の対応を受け、一旦落ち着きを見せました。 今後については、国際通貨基金(IMF)が2023年4月に公表した世界経済見通しによると、「金融部門の混乱や高インフレ、ロシアによるウクライナ侵攻の影響、3年にわたるコロナ禍を受けて、見通しは再び不透明に」とあります。また、世界経済の成長率予測は2023年が2.8%、2024年が3.0%、日本については2023年が1.3%、2024年は1.0%とされております。 また、2023年4月に開催された日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合における基本的見解は、「日本経済の先行きを展望すると、今年度(2023年度)半ば頃にかけては、既往の資源高や海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかに回復していくとみられる」とありますが、一方で、「海外の経済・物価動向、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い」としていることから、当面はその動向を注視していく必要があります。 そのような中で、証券取引を取巻く規制環境の変化、大手業者による預り資産の拡大戦略、顧客層の高齢化、更には新型コロナウイルス感染症の収束後の投資行動の変化の可能性など、当社の持続的成長の脅威となる要因は多数あり、当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなると考えられます。 わが国では、政府の資産所得倍増プランの下、様々な施策が実施されつつあります。また、国民の高齢化は着実に進行しており、高年齢層の金融リテラシーの向上のための施策、資産を安定的に運用するための適切なアドバイス、これらの世代に適合した商品の提供といった新しいニーズが生まれつつあります。 このような環境において、富裕層向けの金融サービスをその事業の柱としてきた当社グループとして、そのビジネスの独自性を更に追求することで、その存在意義が高まり、厳しい競争環境下においても、持続可能な事業展開が可能であると考えております。 当社グループの直接対話型のビジネスモデルを堅持し、事業を持続的に発展させるためには、お客さま満足度の向上を目指す必要があると考えております。そのため、お客さまへの分かり易く、親切、丁寧な対応に努め、特色ある旬の商品を引き続き提供してまいります。また、営業活動をサポートするツールの導入を引き続き行うとともに、お客さまロイヤルティ調査結果に基づいたサービスの向上を図ってまいります。 当社グループの収益の中心は、上記の直接対話型のビジネスから得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。当社グループは、株主資本の効率的・積極的運用により、手数料収入以外の収益源を確保し、当社グループの収益力を強化するために、有望な商品や投資分野の開拓に努めてまいります。 当社グループの企業価値を他社と差別化している要因は、「お客さまからの信頼」というブランドと「特色ある旬の商品の提供」というノウハウであると考えています。これらを活用して、今後の環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を図るためには、人的資本をこれまでにも増して充実させることが重要であると考えています。 そのため、様々な経験・技能・属性を有する人材の確保及び中核人材の登用、当社のサービスに必要なスキルの習得、多様な働き方が出来るような社内体制整備を積極的に行ってまいります。 これらの人的資本への投資が、最終的にはお客さまの利益最大化につながると考えております。 顧客本位の業務運営を確保するための法令等の改正に的確に対応し、よりお客さまに寄り添った対応を行ってまいります。当社グループは「お客さま本位の業務運営に関する方針」を更に徹底し、役職員全員がより高い金融知識や倫理観に基づいて業務を遂行してまいります。 当社グループは、本来の事業以外の分野においても、社会に貢献することが、当社グループの企業価値向上にもつながるものと考えております。そのため、国民全体の金融リテラシー向上のみならず、質の高い教育や研究を発展させる目的で、学術活動や教育分野への支援を積極的に行ってまいります。また多様な価値観のもと豊かな社会を築いていくために、メセナ活動の一環として文化、芸術活動への協賛を行ってまいります。 気候変動対策や脱炭素化に向けた世界的な動きに対応するため、中長期的観点から、お客さまのESG投資に係るニーズを的確に把握し、それらのニーズに適った金融商品の提供を検討してまいります。併せて、脱炭素社会に向けて推進される代替エネルギーの開発など有望分野への自己資金による投資について積極的に取り組んでまいります。 また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークを用いて、気候変動が当社グループの事業活動に与えるリスク及び機会を充分に分析し、そのうえで気候変動に係るビジネス戦略を策定し、当社グループ及び社会の持続的な発展につなげてまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。 サステナビリティ課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。そのため当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、企業価値の向上及び金融・資本市場を通した持続可能性への貢献を行ってまいります。 当社グループは、経営の基本理念に則り、独自のビジネスモデルを通して持続的な成長を目指してまいります。そうした中、当社グループにとって重要と考えられるサステナビリティ課題について、取締役会等で継続的に議論を行い、そのうえで基本方針や推進体制等を整備するなど、ガバナンス体制の構築を行っており、サステナビリティ課題(TCFDへの対応を含む)への取組みの進捗状況を取締役会に定期的に報告することとなっております。 当社グループは、独自のビジネスモデルを堅持し持続的な成長を目指すため、サステナビリティ重要課題を設定しております。同重要課題への取組み内容(戦略)は下記のとおりとなっております。 当社グループの事業リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めることその他のリスク管理のために必要となる事項を取扱うため、リスク管理委員会を設置しております。委員会においては、全社的なリスク管理の一環としてサステナビリティ関連のリスクを取扱うこととしております。また、委員会における審議内容は、代表取締役社長及び取締役会に報告することとなっております。 上記「②戦略」において記載した、当社グループのサステナビリティ重要課題への対応状況を示す指標及び目標は下記のとおりとなっております。 ・オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持いたします。その営業スタイルの質的な向上を図り、当社グループの提供する商品やサービスを求める新しい顧客層を開拓するとともに、全体的な預り資産の増加を図り、顧客基盤の拡大に努めてまいります。 ・役職員がその業務を遂行するうえで必要とされる様々な資格の取得を支援するとともに、若年研修、リーダー研修などの研修プログラムを充実させ、お客さまの期待に応えられるような人材の育成や拡大を図ってまいります。 ・自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指してまいります。 ・資産寿命を延伸させるための安定的な資産運用や資産相続アドバイスなど、総合的なコンサルティングサービスに対するニーズに応えることによって新たな顧客層の取り込みを図ってまいります。 ・当社グループが他社との差別化を図るためのビジネスモデルの根幹は、特色ある旬の商品やサービスをFace to Faceでお客さまにいかに提供できるかというところにあります。その観点から、営業活動を高度化させるデジタルツールを活用してまいります。 ・営業担当者のモバイル端末に、STARモバイルの機能を導入。外出先において、お客さまの口座情報へのアクセスが可能となった。 ・引受幹事証券会社として、新技術、新サービスを提供する企業に必要なアドバイスや情報提供を行うとともに、上場時の株主づくりに貢献してまいります。 ・「お客さま本位の業務運営に関する方針」を徹底し、役職員全員がより高い倫理観に基づいて業務を遂行するとともに、コンプライアンス体制の更なる強化を図ってまいります。 ・管理すべきリスクが多様化する現状に鑑み、新たに認識されたリスクや今後発生すると予想されるリスクを的確に把握し、それに対する対応策などを早期に策定するなど、リスク管理の更なる強化を図ってまいります。 ・中長期の観点から、お客さまのESG投資に係るニーズの把握やそれに適う金融商品の提供等の検討を行ってまいります。また、自己投資の分野においては、脱炭素社会に向けて推進される代替エネルギーの開発など有望分野への投資について引き続き取り組んでまいります。 ・金融リテラシーの向上のための施策を行い、お客さまに販売する金融商品について、内在するリスク・リターンの関係をより分かりやすく説明してまいります。 ・環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を図るために、人的資本の充実を目指してまいります。 ・「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」を推進するとともにハラスメントの防止やメンタルヘルスも含めた役職員の健康管理の増進等に取り組んでまいりました。今後も、これらの取り組みを継続するとともに、適材適所の人員配置や差別のない人材登用等、あらゆる面で役職員が働きやすい職場環境を整備することを課題として認識し注力してまいります。 ・自ら提供する金融サービスを通じて国民の資産形成や金融リテラシー向上に貢献することや、質の高い教育や研究を支援する目的で、学術活動及び金融・経済等に係る教育分野への寄付を行ってまいります。 当社グループの企業価値を他社と差別化している要因は、「お客さまからの信頼」というブランドと「特色ある旬の商品の提供」というノウハウであると考えております。これらを活用して、今後の環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を図るためには、人的資本の充実が最も重要であると考えております。 当社グループはこうした考えのもと、独自の金融サービスを提供するために不可欠な高度な能力を備えた人材の獲得及び人材育成プランを実施してまいります。また、人材の多様性の拡大に努め、女性の更なる活躍のための社内環境整備やそれぞれの職域職種における多様な働き方を支援するための制度整備を実施してまいります。さらに役職員の健康の維持促進やリフレッシュ機会の提供など、多様な能力をもった役職員が高いパフォーマンスを発揮できる環境を整備してまいります。 上記「(1)サステナビリティ課題全般 ①ガバナンス」の項目に記載のとおり、当社グループは、TCFDへの対応も含むガバナンス体制の構築を行っております。 当社グループは、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照のうえ、2℃シナリオ及び4℃シナリオが実現した場合の2つの社会を想定いたしました。 その想定のもと、気候変動が当社グループの事業活動に与えるリスク及び機会を以下のとおり抽出し、対応を開始しております。 上記「(1)サステナビリティ課題全般 ③リスク管理」の項目に記載のとおり、当社グループは、リスク管理委員会において、全社的な事業リスク管理の一つとして気候関連リスクの管理を行っており、委員会における審議内容は、代表取締役社長及び取締役会に報告することとなっております。 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重大であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合への対応を図るため、全社的なリスク管理体制を整備しております。また、当社グループの事業リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めることその他のリスク管理のために必要となる事項を取扱うため、リスク管理委員会を設置しております。なお、委員会における審議内容は、代表取締役社長及び取締役会に報告することとなっております。 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、単一領域(金融商品取引業)で事業を行っているため、その業績は金融資本市場の変貌や環境変化によって多大な影響を受けることとなります。金融資本市場の縮小等によって、当社グループの収益が縮小した場合、それを補完する他の事業を行っていないことから、経営成績や財政状態が急激に悪化する可能性があります。 当社グループは、Face to Faceのビジネスモデルに基づいて対面営業を行っていることから、オンライン取引等を行うために必要とされるシステム等は構築しておりません。しかしながら、将来的には顧客又は投資者からフィンテック分野での技術を活用したサービスの提供を求められる可能性があります。その際、これまでテクノロジーを有効に活用してこなかったことにより、高度にシステム化されたお客さま向けサービスのためのインフラ構築の遅延により収益機会を逃す可能性があります。また、業務効率性向上の遅延、費用削減の限界等により、当社グループの市場競争力そのものが低下する可能性もあります。これらを原因として、将来にわたって当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 お客さまからの手数料収入に極端に頼らない収益構造を構築するためには、新しい収益分野への進出による業容拡大や収益源の確保が必要でありますが、業容拡大や収益源確保のための経験やリソースが伴わないことにより、また、それらの施策実施のタイミングに遅れが出ることにより、収益機会を逃してしまう可能性があり、結果として、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 収益源の多様化を目的として金融商品取引業以外の新規事業に直接又はグループ会社を通じて参入することを決定した場合は、当該事業を管轄する法令等の遵守が必要となります。したがって、法令遵守について不適切な対応や違反行為を行うことで、それらの業務が制限されることとなり、収益拡大につながらない可能性があります。 当社グループは、お客さまからの信頼確保を経営の基本理念として、日頃よりコンプライアンスの徹底とお客さま本位の業務運営を実行しております。しかしながら、お客さまに多額の損失が発生した場合、お客さま等から訴訟の提起や仲裁の申立てが行われる可能性があります。仮に、これらの訴訟等の結果が当社グループにとって不利なものとなった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、法令遵守やリスク管理の視点から内部統制システムの整備を図り、より充実した社内管理態勢の確立と役職員におけるコンプライアンス意識の徹底に努めております。しかしながら、業務執行のプロセスにおいてそれらに関与する役職員の故意又は過失により法令違反若しくはそれらに準ずる行為がなされる可能性があります。内部統制システムの整備やコンプライアンス研修の実施は役職員による違法行為を未然防止するための有効な方策ではありますが、違法行為の全てを排除できるものではありません。また、役職員による意図的な違法行為は、周到に隠蔽され、長期間にわたって発覚しない場合もあります。更には、業務執行に関わり未公開情報を取り扱うこととなった場合に、それらの未公開情報の不適切な利用や漏洩、又は情報受領者との共謀など、不正行為が行われる可能性もあります。これらの違法行為は、当社グループの経営成績や財政状態に直接又は間接に影響を与える可能性があると同時に、会社に対しての使用者責任や法的責任等を問われる可能性があります。 当社グループは、規則やマニュアルの整備など、役職員によるオペレーションに係るリスク軽減に努めておりますが、リスクの原因を全て排除することは極めて困難であります。役職員による事務処理上のミス等に起因する事故や不正等によって損失が発生した場合、損害賠償や社会的信用力の低下によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、地震等の大規模な自然災害の発生やそれに伴うインフラ障害、又は新型コロナウイルス感染症などの病原性感染症の拡大(パンデミック)等を想定し、あらかじめ様々な対策を講じております。しかしながら、これら災害等に起因するリスクを全て回避することは困難であり、想定を超える規模でリスクが発現し、事業規模の縮小を余儀なくされる場合や事業継続計画の不備により事業の維持が不可能となった場合には、それらの事象に起因する直接的な損害に加えて、将来の収益の減少を引き起こすこととなり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループの事業はお客さまや投資者の信頼の上に成り立っております。仮に、お客さまや投資者の信頼を損ねるような不祥事が発生したり、お客さまに提供するサービスの内容が低下することにより、お客さまの評価が悪化した場合、お客さまが離散し、顧客基盤が脆弱となり、収益力の低下を引き起こします。また、その真偽にかかわりなく、当社グループにとって不利な報道や風評が流された場合にも、事業の縮小を招くことになります。これらの風評リスクの発現は、結果として当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループの事業は、気候変動に関するリスクにより様々な影響を受ける可能性があります。例えば、気候変動への対応において脱炭素化によりエネルギー価格の上昇や供給量の不足が生じ、事業継続に支障をきたすことで事業コストの増加につながる可能性があります。また、気候変動の深刻化によって、保有する金融商品の価格やお客さま向け商品の販売に悪影響が生じ収益が悪化する可能性があります。グリーン投資を志向する顧客ニーズの変化への対応の遅れにより、当社の市場競争力(商品・サービス)の低下が発生する可能性もあります。気温上昇による屋外での活動制限等の物理的な制約を受ける可能性もあります。当社グループでは、中長期の経営成績や財政状態に影響が生じ得ることを踏まえ、気候変動を経営の重要な課題の一つとして認識し、その対策を検討してまいります。 当社グループは、銀行借入の他、コールマネーによる市場での資金調達を行っております。金融引締めや金融市場の混乱又は当社の信用格付けの低下により、必要な資金調達が困難となる、又は不利な条件での資金調達を強いられる場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。このような流動性に係るリスクを回避すべく、コミットメントライン契約に基づくシンジケートローン、換金性の高い資産の保有、手許流動性の確保、流動性コンティンジェンシープランの整備、等の諸施策を講じております。 当社グループは、外貨建ての有価証券をお客さまに販売、又は自己勘定で取引しておりますが、取引の決済通貨として利用する外貨については、複数の外国為替取扱銀行との取引ラインを維持することで流動性の確保に努めております。しかしながら、外国為替市場の混乱等により外貨調達が困難になり、結果として決済が履行できなくなった場合には、決済の相手方に対する信用の毀損又は決済遅延等による金銭的な損失が発生することとなり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、保有する外貨や外貨建て有価証券の為替リスクを回避するために行うデリバティブ取引を活用しております。しかし、これらの取引が、その本来の役割(リスク管理)を果たさない可能性があります。また、信用格付け等の悪化によりデリバティブ取引を行う能力が低下する場合も想定されます。これらは、デリバティブ取引により多額の損失を被る場合を含め、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループの事業内容が変わらない場合であっても、会計制度や会計基準が改正されることによって、当社グループの経営成績や財政状態を標記する方法が変更される可能性があります。また、繰延税金資産の計上につきましては、現行の法定実効税率を使用しておりますが、税制の改正によって税率が変更された場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、関係会社への投資に加えて、純投資目的の有価証券を保有するとともに、不動産等の固定資産も保有しております。経済環境の悪化によって不動産価格の下落や不動産の陳腐化によって保有資産の減損を強いられる可能性があります。また、有価証券については、それらの市場価格等が下落することによって多額の評価損(減損)が発生することも考えられます。それらは、結果的に当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社は、金融商品取引業を営むために金融商品取引法第29条に基づく金融商品取引業の登録を受け、金融商品取引法及び同法施行令等の関係法令を遵守することが求められております。また、当社は東京証券取引所、大阪取引所及び名古屋証券取引所の取引参加者であるとともに、自主規制機関である日本証券業協会及び第二種金融商品取引業協会の会員であり、これら諸団体が定める諸規則を遵守することも求められております。将来何らかの事由(会社又はその役職員の法令違反行為)により、金融商品取引業の登録の取消しや業務停止処分を受けた場合、又は金融商品取引所や自主規制機関から処分を受けた場合は、事業活動を行うことが困難となり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 第一種金融商品取引業者は法令に基づいて、固定化されていない自己資本金額のリスク相当額に対する比率を自己資本規制比率として算出しております。この自己資本規制比率が法令で定める一定比率(120%又は100%)を下回ることによって、業務方法の変更命令、業務の停止命令、更には登録の取消しが行われることとなります。また、この自己資本規制比率の届出を怠った場合又は虚偽の内容の届出を行った場合は行政処分等を受けることがあります。これらの処分等が行われた場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 金融商品取引業者は、お客さまから預託された資産を円滑かつ安全に返還できるように、預託された有価証券及び金銭については自己の財産とは区別して保管することが義務付けられております。また、お客さまから預託された外貨による金銭は、その円貨相当額を分別保管しており、仮に当社が経営破綻した場合は、当該預託された外貨ではなく分別保管されている円貨相当額を返還することになります。ただし、お客さまが信用取引を行った際に、当社が預かる信用取引買付け株券又は信用取引売付け代金については分別保管の対象とはなっておりませんが、これらの株券又は金銭は、社内で厳格に分別管理されております。しかし、これらの分別保管が適正に行われていなかった場合には、お客さまへ返還の遅延等が発生する可能性があり、それによって何らかの賠償責任が発生することも想定され、これらは当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社が加入する日本投資者保護基金は、会員が破綻した際に、投資者が当該破綻業者に預託した証券及び金銭について一人当たり10百万円を上限として保護することとしております。しかしながら、会員となっている金融商品取引業者の破綻に際して、投資者保護のために支払う総額が基金の積立総額を上回る場合は、当社を含む会員に対して、臨時拠出を求める可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、自己勘定で株券及び債券等の取引を行っておりますが、市場流動性が減少する、又は多額の損失が発生する可能性があります。また、これらのポジションの市場リスクを低減させるために、ヘッジ取引やポジション管理を行っておりますが、想定以上に市場価格が変動した場合には、これらの機能がうまく発揮されない可能性があります。このような場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 経済情勢の悪化等により、株式市場や債券市場が低迷・縮小した結果、投資者の投資意欲が減退し、売買注文が減少することによって、委託手数料をはじめとする各種手数料収入が減少する可能性があります。また、新規上場企業の減少や株券発行市場の縮小によって引受手数料等が減少する可能性もあります。これらは、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 規制緩和の影響で金融商品取引業への参入が容易になるとともに、情報技術を利用した新たな商品やサービスを提供する業者の進出が可能となってきております。競争が激化する環境下で、当社グループがその競争力を維持できない場合には、競合他社へビジネスが流出してしまい、収益力を維持できなくなる可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 信用取引を行うお客さまへ当社自らが信用供与を行い、それによって得られる収益は、当社グループの収益源の一つであります。しかし、信用取引による損失がお客さまに発生した場合、又は、代用有価証券の担保価値が下落することでお客さまの預託する担保価値が減少した場合において、担保の追加差し入れができなかった結果、当社が何らかの損失を被る可能性があります。その場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、保有する外貨建てポジションの為替変動リスクをヘッジする目的で店頭デリバティブ取引を行っておりますが、取引の相手方(カウンターパーティ)の業務が継続できなくなることによって、当該取引の清算決済の履行が行われないカウンターパーティ・リスクがあります。仮に決済履行が行われなかった場合、何らかの損失が発生する可能性もあり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、反社会的勢力との取引関係を排除するための必要な方策をとるとともに、マネー・ロンダリングやテロ資金供与に関しても当社が不正に利用されないための対策をとっております。しかし、万全の体制をとっていたとしても、これらを全て排除することができない可能性があります。そのため、当局からの是正命令等を受ける、又は社会的な信用力が低下する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループによる業務遂行の根幹となる金融商品取引法等の関係法令について、新たな法令の施行や改正が行われた場合、当社グループの事業に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、金融商品取引業者に係る会計基準の新規適用や改正により、事業内容に変更がなくても、当社グループの経営成績や財政状態に関する開示内容が大幅に変更される可能性があります。 当社グループの従業員に係る退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件等に基づいて算定されております。実際の運用結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループが業務執行のために利用するコンピュータのハードウエア若しくはソフトウエア、又はネットワークが、人為的ミス、品質不良、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルス、災害や停電等の諸要因によって障害を起こす場合があります。当社グループ及び業務委託先はこれらシステム障害リスクに備えて、システムの監視、二重化、バックアップ構築などの措置を講じておりますが、それらが不十分又は想定を超える大規模な障害であった場合には、損失や損害賠償責任が発生する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、保有する全ての情報資産を重要な資産として位置付け、「情報セキュリティ方針」に基づいて、情報管理態勢を整備するとともに、それぞれの情報資産を保全するためのセキュリティ対策を施しております。しかし、何らかの理由で重要な顧客データや個人情報が漏洩又は破壊される可能性があることは否めません。このような場合は、お客さまをはじめ全てのステークホルダーの信頼を失墜するのみならず、賠償責任を負う場合もあります。これによって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、サイバーセキュリティに関する対応方針を定め、高度なサイバー攻撃の標的とされる蓋然性の高い業務領域を特定するとともに、サイバー攻撃を想定したセキュリティ対策やサイバー攻撃緊急時対応計画を策定するなど、体制整備に努めております。しかし、これらの対策にもかかわらず、想定しなかった攻撃を受けることによって、重要な情報資産の漏洩や破壊が起きる可能性があります。これによって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、幅広いコンサルティングサービスを提供し、お客さまの満足度を向上させることを目標に業務運営を行っております。したがって、それらを達成できる人材の確保又は育成は重要な経営課題の一つであります。そのために、有能な人材を通年で積極的に採用するとともに、社員教育制度の充実を図っております。しかし、人材確保や人材育成が進まなかった場合には、将来の事業展開に支障をきたし、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 当期における当社グループの経営成績等の状況の概要は以下のとおりであります。 当期においては、新型コロナウイルス感染症の感染者数が大きく減少し、世界的に経済活動の再開が進みました。一方、インフレを抑制しようと主要国の中央銀行が大幅利上げを繰り返したことから、累積効果により多くの国で景況感が悪化しました。もっとも、当期後半にはインフレが鈍化傾向となり、先進国・新興国とも利上げ打ち止めが視野に入ってきました。3月には米国の地域銀行の破綻や欧州クレディ・スイスの経営危機で、金融システムや経済への悪影響が懸念されましたが、2008年のリーマン・ショックの経験を踏まえた主要金融当局の対応を受け、一旦落ち着きを見せました。 株式市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続との悲観的な見方と、早期利下げとの楽観的な見方とが株価のサイクルを形成し、インフレと景気動向に注目が集まりました。日経平均株価は当期を通じ概ね28,500円から25,500円のレンジ相場でしたが、FRBが2023年にも利下げに転じるとの期待から8月17日にはレンジを越え29,222円の高値を付ける場面もありました。年末にかけ値を崩した後、1月からは海外株にけん引され3月9日には28,734円まで戻しました。その後、米国金融機関の破綻を機に金融システムへの懸念から日経平均株価も急落を余儀なくされる場面がありましたが、各国金融当局の迅速な対応を受けて落ち着きを見せ、28,041円で当期を終えました。 外国為替市場では、FRBによる急ピッチでの利上げを背景に10月まで世界的に米ドルの独歩高となり、ドル円相場は10月21日には1ドル=151.93円と1990年以来、約30年ぶりの円安水準となりました。なお円安が投機的かつ急激であるとして日本国政府・日本銀行は9月と10月に24年ぶりとなる円買いドル売り介入を実施しました。その後は米欧の中央銀行が利上げ幅の縮小を模索する中でドル独歩高は転機を迎えました。ドル円相場は、日本銀行の政策変更と日本の金利上昇が相まって急速に円安修正圧力が高まり、1月16日に1ドル=127.92円を付けました。当期は1ドル=133.53円で終えております。 債券市場では、日本の10年国債利回りは概ね0.20%から0.25%のレンジで推移したのち、12月20日に日本銀行がイールドカーブコントロール政策における10年国債利回りの誘導レンジを0プラスマイナス0.5%に拡大したことから急騰しました。2月10日には次期日本銀行総裁として植田和男氏を候補とする人事案が決まり、その後は金融政策の変更を巡る思惑から変動が大きくなりました。3月14日には0.24%まで利回りが急落する場面を経て、0.32%で当期を終えました。 こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。 当期の業績につきましては、営業収益43億15百万円(前期比66.5%)、純営業収益42億59百万円(同66.1%)、営業損失3億12百万円(前期は営業利益13億円)、経常利益4億91百万円(前期比26.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益11億68百万円(同55.2%)となりました。 当期末の資産合計は、預託金やトレーディング商品の減少等により、709億2百万円と前期末に比べ8億94百万円減少いたしました。 当期末の負債合計は、預り金や未払法人税等の減少等により、236億1百万円と前期末に比べ20億89百万円減少いたしました。 当期末の純資産合計は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加等により、473億1百万円と前期末に比べ11億94百万円増加いたしました。 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。 トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。 市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用することとしております。リスク管理体制としては、各部門が、日々のポジション・リスク額及び損益の状況をチェックのうえ、経営陣に報告しております。更に、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、取締役、執行役員及び監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率及びその詳細を取締役会に報告しております。 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。 当社グループは、創立以来、「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念として、信頼を原点としたFace to Faceのビジネスモデルと健全経営による安定的成長確保を経営の基本方針としております。この経営の基本方針のもと、当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなるという認識の下、オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、当社グループは、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持しております。また、内外の証券市場で売買される金融商品の販売をその事業基盤としており、その顧客基盤や預り資産については、収益基盤の大きな柱であると認識しております。この基本戦略のもと、当社グループは、全体的な預り資産の増加を図り、顧客基盤の拡大を目指してまいりました。更に当社グループの収益の中心は、証券市場における仲介業者として得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。当社グループは、自己資金を有効活用することで、市場環境に大きく影響を受けない安定した収益構造の多様化を図ってまいりました。当期における経営成績は、株式市場における売買代金が減少したことや投資信託の販売が低調であったことから受入手数料が減少するとともに、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことや自己保有債券の時価が下落したことなどから債券トレーディング損益が減少いたしました。これらの結果、前期に比べ減収減益となりました。それらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。 なお、新型コロナウイルス感染症については、2023年5月8日以降、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における五類感染症に位置付けられ、その後、顕著な感染拡大は生じておりません。今後、感染が再度拡大し、経済活動に影響を与えるかどうかを現時点で正確に予想することは困難ですが、拡大した場合については当社グループの業績に影響を与える可能性があり、当面はその動向を注視していく必要があると考えております。 当期の株式市場においては、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続との悲観的な見方と、早期利下げとの楽観的な見方とが株価のサイクルを形成し、インフレと景気動向に注目が集まりました。日経平均株価は当期を通じ概ね28,500円から25,500円のレンジ相場でしたが、FRBが2023年にも利下げに転じるとの期待から8月17日にはレンジを越え29,222円の高値を付ける場面もありました。年末にかけ値を崩した後、1月からは海外株にけん引され3月9日には28,734円まで戻しました。その後、米国金融機関の破綻を機に金融システムへの懸念から日経平均株価も急落を余儀なくされる場面がありましたが、各国金融当局の迅速な対応を受けて落ち着きを見せ、28,041円で当期を終えました。これらに伴い、株式市場における売買取引は低調に推移いたしました。あわせて、投資信託の顧客販売についても年間を通して低調な動きとなりました。その結果、「受入手数料」は、18億34百万円(前期比91.9%、1億61百万円減少)となりました。その内訳は以下のとおりであります。 「株券委託手数料」は、株式市場における売買代金が減少したことにより、9億72百万円(同90.8%、98百万円減少)となり、「受益証券(上場投資信託)委託手数料」を加えた「委託手数料」は、10億1百万円(同90.6%、1億4百万円減少)となりました。 主にアンダーライティング(引受)業務に係る手数料で構成される「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、当社が参入したIPO件数及び大型案件が減少したことから、16百万円(同52.0%、15百万円減少)となりました。 投資信託受益証券の募集・売出しの取扱手数料などによって構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の販売の減少により、5億35百万円(同90.0%、59百万円減少)となりました。 主に受益証券(投資信託)の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、2億80百万円(同107.0%、18百万円増加)となりました。 「トレーディング損益」につきましては、「債券等トレーディング損益」が減少したことから、10億15百万円の利益(同33.5%、20億14百万円減少)となりました。内訳は以下のとおりであります。 「株券等トレーディング損益」は、外国株の売買を中心に1億54百万円の損失(前期は1億32百万円の利益)となりました。 「債券等トレーディング損益」は、「多様な商品によるマーケット変化を捉えた機動的な運用提案」を行うことで、お客さまからの信頼を獲得するとともに、お客さまの投資パフォーマンスの向上を目指しましたが、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだこと、また、自己保有債券の時価が下落したことなどから、15億65百万円の利益(前期比47.7%、17億16百万円減少)となりました。 外貨建債券の為替ヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引を中心とした「その他のトレーディング損益」は3億95百万円の損失(前期は3億84百万円の損失)となりました。 「金融収益」につきましては、主にトレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金で構成されます。「金融収益」は14億45百万円(前期比99.9%、1百万円減少)となりました。 「その他の営業収入」は、19百万円(同102.8%、0百万円増加)となりました。 以上の結果、「営業収益」は、43億15百万円(同66.5%、21億76百万円減少)となりました。 「金融費用」は信用取引支払利息及び支払利息が増加したことにより、55百万円(同109.4%、4百万円増加)となりました。「営業収益」からこの「金融費用」を差し引いた「純営業収益」は42億59百万円(同66.1%、21億81百万円減少)となりました。 「販売費・一般管理費」は、人件費、事務費、租税公課等の減少等により、45億72百万円(同88.9%、5億68百万円減少)となりました。 「純営業収益」から「販売費・一般管理費」を控除した「営業損益」は、3億12百万円の損失(前期は営業利益13億円)となりました。 「営業外損益」は、投資有価証券からの受取配当金が増加したことなどにより、「営業外収益」が10億12百万円(同136.0%、2億68百万円増加)となった一方で、外貨建投資有価証券の為替リスクをヘッジする目的で行った為替デリバティブ取引に係る為替差損が発生したことなどにより、「営業外費用」を2億8百万円(同127.1%、44百万円増加)計上いたしました。この結果、「営業外損益」は、8億4百万円の利益(同138.6%、2億23百万円増加)となりました。 「営業利益」に当該利益を加味した「経常損益」は、4億91百万円の利益(同26.1%、13億89百万円減少)となりました。 「特別利益」は、投資有価証券売却益で13億13百万円(同91.9%、1億16百万円減少)を、一方、「特別損失」は、投資有価証券売却損等合計で1億5百万円(同54.5%、87百万円減少)を計上いたしました。この結果、「特別損益」は、12億8百万円の利益(同97.7%、28百万円減少)となりました。 「経常利益」に当該利益を加味した「税金等調整前当期純損益」は、16億99百万円の利益(同54.5%、14億17百万円減少)となりました。 「法人税等合計」は、法人税、住民税及び事業税の減少により、5億30百万円(同53.1%、4億68百万円減少)となりました。 この結果、「親会社株主に帰属する当期純損益」は、11億68百万円の利益(同55.2%、9億49百万円減少)となりました。 当期末の財政状態は、前期末に比べ純資産は増加しましたが、資産及び負債の総額は減少いたしました。これらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。 「流動資産」は、475億74百万円となり、前期末に比べ46億61百万円減少いたしました。これは主に顧客預り金の分別保管を主な目的とする預託金が32億20百万円減少(当期末99億55百万円)、約定見返勘定が5億99百万円減少(当期末2億59百万円)、トレーディング商品が4億94百万円減少(当期末130億36百万円)したことによるものであります。 「固定資産」は、233億27百万円となり、前期末に比べ37億67百万円増加いたしました。これは主に長期純投資のために保有する投資有価証券が34億25百万円増加(当期末200億13百万円)したことによるものであります。 この結果、「資産合計」は、709億2百万円となり、前期末に比べ8億94百万円減少いたしました。 「流動負債」は、215億87百万円となり、前期末に比べ20億56百万円減少いたしました。これは主にコールマネー等の短期借入金が17億50百万円増加(当期末106億円)した一方、お客さまからの現金の預りを中心とした預り金が33億5百万円減少(当期末93億30百万円)したこと及び法人税、住民税及び事業税の減少により未払法人税等が2億81百万円減少(当期末1億1百万円)したことによるものであります。 「固定負債」は、19億99百万円となり、前期末に比べ32百万円減少いたしました。これは主に繰延税金負債が4億66百万円増加(当期末4億93百万円)した一方、長期借入金が5億円減少(当期末10億円)したことによるものであります。 この結果、「負債合計」は、236億1百万円となり、前期末に比べ20億89百万円減少いたしました。 「純資産」は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、「利益剰余金」が51百万円増加(当期末373億70百万円)、投資有価証券の時価が上昇したことにより、「その他有価証券評価差額金」が11億41百万円増加(当期末7億57百万円)いたしました。この結果、「純資産合計」は、473億1百万円となり、前期末に比べ11億94百万円増加いたしました。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。 当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、29百万円の獲得(前期は12億23百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(16億99百万円)から投資有価証券売却益(12億49百万円)を差し引いた利益(4億50百万円の獲得)、短期差入保証金の減少(3億91百万円の獲得)、トレーディング商品の売買(2億36百万円の獲得)、顧客からの預り金を中心とした預り金の減少(33億5百万円の使用)による預託金の減少(32億20百万円の獲得)及び法人税等の支払い(8億73百万円の使用)によるものであります。 当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、12億89百万円の使用(前期は11億74百万円の獲得)となりました。主な要因としましては、純投資目的で保有している投資有価証券について取得が売却を上回ったことによる減少(9億45百万円の使用)及び定期預金の預け入れと払戻しによる減少(6億64百万円の使用)によるものであります。 当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、1億33百万円の獲得(前期は25億96百万円の使用)となりました。主な要因としましては、短期借入金の残高が増加(12億50百万円の獲得)した一方で、配当金の支払い(11億16百万円の使用)を行ったことによるものであります。 これらの結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ4億50百万円減少し、186億47百万円となりました。 当社グループの財務戦略の基本的な考え方は、自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指すものであります。 金融商品取引業者は、その業務の性格上、自己勘定に基づいて有価証券等の保有や売買取引を行う場合があります。それら保有有価証券の価格変動リスクなどの各種リスクを十分にカバーできる「固定化されていない自己資本の額」を維持し、財務の健全性を表す「自己資本規制比率」を一定の水準以上に維持することが法令等により義務付けられております。当社は、「自己資本規制比率」を高水準に維持することを経営の基本方針といたしますが、上記のとおり、自己資本を効率的に活用して、収益性を高めるために一定のリスク(主に市場リスク)をとる必要もあると考えております。このため、これらリスク額及び自己資本規制比率につきましては、適切なリスク管理体制の下で監視しております。 当社は、財務体質や収益性を測る指標として「信用格付け」を取得しております。当社グループとして、近い将来に新株式や債券の発行による資金調達を行うことは想定しておりませんが、運転資金の安定的な調達を可能とするため、「信用格付け」の水準を安定的に維持することに努めることといたします。 当社は、半期ごとに実施する流動性コンティンジェンシープランの検証過程において、緊急事態発生時に、借入金等の返済やお客さまへの預り金の返還などを円滑に行うために当初必要と考えられる手許現預金の水準を決定しております。また、その後必要となる現金需要を賄うために、短期間で現金化が可能となる市場性のある有価証券の保有に努めております。 また、当社グループはお客さま向け販売や自己勘定での取引を目的として、外貨建て有価証券を取り扱っております。これら外貨建て有価証券取引の清算決済においては、期限までに当該外貨を遅滞なく支払う必要があります。しかしながら、外国為替市場の動向によっては決済のための外貨調達が困難になることも想定されます。このような外貨調達リスクを避けるため、市場の状況や取引高を勘案しながら、必要と思われる外貨の種別及び金額をその都度検証し、十分な金額を手許に維持するよう心がけております。 上記目的で必要とされる手許流動性の水準を超える現預金については成長分野や有望市場への投資活動に振り向けることが可能な資金と位置付け、積極的に投資活動を行ってまいります。これによって、新たな収益源の開拓や収益性が向上し、企業価値向上につながると考えております。 当社は、株主価値向上の一環として、株主の皆さまに対し積極的な利益還元を図ることを経営の重要な政策の一つとしており、配当につきましては、連結配当性向50%以上及び連結純資産配当率(DOE)2%以上の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準とし、当社の自己資本の水準及び中長期的な業績動向並びに株価等を総合的に判断し決定する旨を基本方針としております。 当期の配当につきましては、上記の連結純資産配当率(DOE)基準を採用し、1株当たり30円(中間15円、期末15円)の普通配当を支払うことといたしました。なお、配当原資は利益剰余金であります。 配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。 当社グループの資金需要につきまして、営業活動に係る資金利用といたしましては、お客さま向け販売商品等のトレーディング商品の買付け、信用取引に係るお客さま向けの融資、証券取引サービスを提供するためのインフラ維持に係る費用、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金利用といたしましては、投資有価証券の買付け、お客さま向けサービスの向上と取引の安全性を確保するために必要なシステム投資、金融商品取引業者として法令遵守のために必要な制度整備やシステム投資などがあります。 一方、当社グループの運転資金につきましては、自己資金の利用又は借入による資金調達によって賄っております。自己勘定によるトレーディング商品や投資有価証券の買付けにつきましては、原則として自己資金を利用することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。短期借入金については、銀行借入に加えて、コールマネーの調達も行っております。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計9行との間で、総額50億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は20億円であります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。しかしながら、実際の結果は、見積り作成時点での不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。 当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。 一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動します。したがって、当社グループの連結経営成績についても、証券市場に係るこれらの要因が多大な影響を及ぼす可能性があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
日本坩堝株式会社
# 日本坩堝株式会社 当社グループは、当社及び子会社5社、関連会社3社により構成され、耐火物事業(黒鉛坩堝・定形耐火物及び不定形耐火物の製造販売、鋳物材料の仕入販売)、エンジニアリング事業(各種工業炉の設計施工及び付帯する機器類の販売、築炉工事請負等)、不動産事業(建物・駐車場賃貸、太陽光発電事業)及びその他事業(塗料循環装置事業)を行っております。 当該事業における当社及び子会社、関連会社の位置づけは次のとおりであります。 グループ各社の主な事業の内容は次のとおりであります。 当社が製品を全量買取販売しております。 金融機関からの借入に対し債務保証を行っております。 当社製品の一部外注委託及び同社製品の一部購入販売をしております。 当社グループには、当社の大阪工場(技術部門含む)、豊田工場の従業員により組織され、UAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)に所属している労働組合があり、労使間の協調を保ちつつ健全な歩みを続け、今日に至っております。 なお2023年3月31日現在における組合員数は、68人であります。 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないため、記載を省略しております。 当社グループは、『創造性豊かな活力に満ちた役職員により、伝統を守りつつ、いかなる時代、いかなる環境にも適合する会社を目指す』ことを経営理念とし、株主をはじめとするすべてのステークホルダーの期待に応え、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を経営の最重要課題として取り組んでおります。そのために、内部統制システムの整備・強化を図り、経営の透明性・公平性を確保し、迅速な意思決定により経営の効率性を高めるべく、コーポレート・ガバナンスの充実を進めております。 「中期経営計画2024~Crucible3R」(2023年3月期から2025年3月期)においては、基本課題として、「業績の伸展、財務の強化」「顧客満足度の飛躍的改善」「業務の生産性向上」「組織・人財の活性化」を掲げ、連結収益の拡大、利益率の改善、戦略的な経営資源配分、顧客に寄り添い全幅の信頼を得る活動・業務の実践、一人・単位時間当たりの成果増大、部署間の真摯な対話の拡充、全員が誇りを持てる働き甲斐のある職場風土創り等を進めます。 具体的には、付加価値の高い製品の開発・製造、サービスの提供に努め、新規顧客の開拓、工事への取組拡充、海外展開等を進めるとともに、製造原価の低減、販売費・一般管理費の削減に注力してまいります。特に営業利益率の向上に重点を置いて、グループ全社・全員が一体となって取り組んでまいります。 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に加え、ウクライナ情勢等に起因する原材料・燃料価格の高騰、為替相場等の市場動向など、予断を許さないものと認識しております。 鋳造市場においては、自動車の国内生産・販売が引き続き半導体の供給不足の影響を受けていることに加え、中長期的には自動車のEV化進展がもたらす広範な影響への的確な対処が最重点課題であります。また、鉄鋼市場においても、世界規模での需給調整等が進むなかで製鉄所の再編が進んでおり、当社グループも引き続き影響を受ける見通しであります。 他方、工業炉市場は、競合企業は多いものの新規参入の少ないマーケットと認識しており、特に海外市場において拡大余地が十分にあるものと考えております。この分野では、特にカーボンニュートラルに資する製品が求められており、CO2削減をキーワードにした工業炉の開発が最大の課題と考え、当社も積極的に取り組んでおります。また、環境・工事市場は景気変動の影響を受けにくいことから、焼却炉新設・更新は中期的に継続するものと想定しております。大型の焼却処理施設は高水準の稼働が続いており、メンテナンス工事の需要も引き続き大いに期待できる見込みであります。 「中期経営計画2024~Crucible3R」では、当社グループの経営理念を踏まえた「長期ビジョン」として、「22世紀へ、躍進するNIKKAN ~創業1885年、『4世紀をつなぐ企業』を目指して」を掲げております。 また、長期ビジョンに基づく到達目標として、「2040年に連結経常利益20億円(売上高200億円、経常利益率10%以上)」を設定しており、当社グループの「コア・コンピタンス(核となる強み)」である『耐火物・サービスに関する総合的なソリューション提供力』を最大限に活かして実現を目指します。この長期ビジョンと2040年の到達目標を全社・全員で共有するとともに、バックキャスティングの手法も用いて3年間の位置づけを整理し、Rebirth(再生)、Re-create(価値の再創造)、Reconstruct(事業構造の再構築)という3つのRをキーワードとした中期経営計画としております。この3年間における基礎固めと3つのRの進展をベースに、次期「中期経営計画2027」での飛躍へと繋げてまいります。 「中期経営計画2024」の到達目標は、2024年度連結経常利益6億円(売上高100億円、経常利益率6%以上)としておりますが、その実現に向けた経営戦略については、以下の通り4つの視点で整理しております。 財務戦略の基本は、安定的な財務体質の維持と高い資本効率の追求を軸として、持続的な企業価値向上を意識した経営資源配分を行うことであります。具体的には、営業キャッシュ・フローを安定的に積み上げて戦略的な設備・研究開発投資を行うとともに、経営環境を踏まえた機動的な資本政策を実施し、適正水準の利益配当を継続いたします。 第2の視点、到達目標達成に向けた最大のキーファクターである顧客満足向上戦略は、「常に顧客に寄り添い、情報を発信しニーズに応えることを通じて、顧客から全幅の信頼を受け続ける会社を目指す」ということであります。具体的には、顧客への的確なクイックレスポンスを継続し、情報共有化・分析を通じた製品満足度の改善を進めるとともに、技術・営業面でのサービス水準の飛躍的向上を図ります。また、海外の重点エリアにおいて、生産・営業の両面で積極的に展開いたします。 第3の視点は、業務生産性の向上に関する戦略であります。顧客の満足度を高め、業績の向上を通じてステークホルダーの期待に応えるべく、あらゆるビジネス・プロセスの生産性において同業他社比秀でた状態の実現を目指します。特に、サステナビリティに積極的に取組み、カーボンニュートラルに貢献する先進的でユニークな製品・技術の開発を進めます。また、部門・部署間の連携・対話を一段と促進し、営業・技術・生産・管理の各業務の生産性を大幅に向上させてまいります。 以上の経営戦略の土台となる組織活性化戦略の基本方針は、「役職員全員が、当社グループで働いていることを、大切な人たちに胸を張って誇りを持って語れる会社であり続けること」であります。具体的には、新規事業創出力・先見的対応力を組織全体で強化するとともに、基礎研究や革新的技術開発において大きな成果を生み出し得る人財の育成を抜本的に進め、これらをベースにグループ会社全体での相乗効果がこれまで以上に発揮される施策を推進いたします。また、エンゲージメント・サーベイを効果的に活用し、組織マネジメントのレベルアップ等を通じて、より働き甲斐があり心理的安全性が十分に確保された組織風土・企業文化への変革を進めてまいります。 184期(2024年3月期)の年度運営方針は、「新中期経営計画の完遂~特にカーボンニュートラルに本格的に取り組む一年」であります。 184期の基本戦略については、戦略企画部を軸とした経営企画・戦略立案・新事業創出機能の拡充、中期経営計画の実効的なフォローアップ等に加え、各部門において以下の通り推進いたします。 国内営業部門は、長年の実績を活かして引き続きお客さまの安定操業に貢献していくことを柱に、既存のお客さまとの深化・取引拡充に取り組み、新市場・新分野のお客さまの開拓を強化いたします。各営業員がこれまで以上にお客さまの事業内容や経営課題をよく知る努力を積み重ね、当社グループの強みであるきめ細かなサービスを提供し続けることで、お客さまの満足度を一段と高めてまいります。また、そうした観点から、新たな営業管理指標を導入し、営業員の対応力強化を進めてまいります。 海外営業部門は、重点地域に製造・販売・メンテナンス拠点を確立して市場深耕を進め、海外における売上・営業利益のウエイトを拡充いたします。具体的には、アジア地域での現地生産化によるコスト競争力向上、技術ライセンス先との取引拡充、代理店との連携強化等を積極的に推進してまいります。また、2021年12月に中国江蘇省に設立した合弁会社「久精日坩(江蘇)新材料科技有限公司」は、2022年4月より新会社としての操業を開始しております。当社より総経理を派遣するとともに当社基準の生産・品質管理を導入しており、既に連結業績に寄与しております。 技術部門は、豊富な製品群、蓄積技術、特徴ある製造・研究設備の裏付けのもと、技術対応力と製品開発力を向上させ、顧客対応力および環境変化対応力を一段と強化いたします。具体的には、顧客ニーズやクレーム最小化に向けた取組成果等の指標化、各種技術対応活動の分析を通じた技術力強化により、顧客満足度の大幅向上を目指します。また、CO2削減をキーワードにした新製品開発、オンリーワン製品の開発、戦略企画部と連携した将来を見据えた研究開発への取組を強化するとともに、知的財産、基礎研究への重点投資を進めてまいります。 生産部門は、品質の維持・向上、安全の最重視を基本に据え、製造原価計算の精緻化、製造工程管理のレベルアップ等を通じて生産性向上を図るとともに、製造設備の保守・更新の一層の適正化を行ってまいります。また、原材料・燃料費の高騰・高止まりへの的確な対応、自社工場におけるカーボンニュートラルへの取組等を進めます。 管理部門は、エンゲージメントに係る諸施策の積極展開を最大の眼目として、有為な人財の採用継続、適材適所の人事運営、教育研修の拡充等による人財開発・育成を一段と進めるとともに、「働き方改革」の更なる推進、リスク管理の高度化、コンプライアンス意識の更なる向上、管理会計の拡充等の経営管理高度化、IT領域拡大への対応強化、法令・制度改正への的確な対応等に、精力的に取り組んでまいります。 当社グループは、子会社・関連会社を含めた全事業を、耐火物事業、エンジニアリング事業、不動産事業、その他事業の4つのセグメントに区分しております。耐火物事業は鋳造市場向け事業と鉄鋼市場向け事業とに、またエンジニアリング事業は工業炉市場向け事業と環境・工事市場向け事業とに、それぞれ区分しております。日本ピーシーエス株式会社の塗料循環装置等に関する事業は、その他事業のセグメントとしております。 当社グループの耐火物事業は、一定分野に限定することなく、多種多様な製品群により広範なお客さまのニーズに的確にお応えしていることから、分野ごとに競合企業が異なるという特徴を有しております。各分野において優れた技術力を持った競合企業と切磋琢磨を続けながら、また当社グループの強みである営業・技術両面での総合的なソリューション提供力を存分に活かしながら、今後もこの事業における競争優位を確保できるよう努めてまいります。 最大のウエイトを占める鋳造事業の基本戦略は、「主要市場として、顧客動向の分析と的確な対応を徹底、自動車産業の大変革に先手を打ち、鋳造業界の更なる発展に貢献」であります。 主たる取引先である自動車関連産業におけるシェアの維持・拡大のため、お客さまから「ファーストコール」をいただくための信頼構築に努めるとともに、省エネ・断熱・脱炭素ニーズに対応した新製品「LITETEX」「エレマックス」等の新製品の拡販を進めてまいります。また、電子デバイス分野等に対応した金属粉末溶解市場への展開、自動車のEV化に適応した誘導炉市場向け製品の拡販、環境問題に適合した省エネ耐火物の開発と販路拡大も積極的に行っております。主力製品である定形耐火物は、当業界で最新・最大の成形設備「CIP(冷間等方圧プレス)」により、例えば高圧縮ルツボ、大型ルツボ等の高付加価値製品を効率的に製造できるという大きな特長を有しております。 鉄鋼事業の基本戦略は、「設備再編等により変化する国内市場でのシェアを死守しつつ、海外市場における取引拡充に向けて新技術を確立」であります。 国内市場については、製鉄所の再編、高炉から電炉へのシフト進展等の影響を受けることとなりますが、高い技術力により継続的に安定耐用に貢献してきた実績、スピーディーできめ細かな対応力をベースに、シェアの維持と利益率向上に努めてまいります。海外市場については、易乾燥性樋材などの新技術の開発を進めるとともに、海外での技術指導が可能な人財の育成により、ロイヤリティー収入の確保を図ってまいります。 第2のセグメントであるエンジニアリング事業については、「中期経営計画2024」において、長期ビジョンの実現に向けた事業構造(ポートフォリオ)の再構築を進めていくうえで極めて重要な分野として位置付けており、今後、人財を大幅に増強いたします。 エンジニアリング事業の柱の一つである工業炉事業の基本戦略は、「顧客のCO2削減、作業負荷軽減に貢献する工業炉開発を推進し、先進ビジュアルパネルを活用して作業の安全と高効率化を追求」であります。 この事業では、炉内の酸化物発生を大幅に抑えることができる新たなコンセプトの溶解兼保持炉としてお客さまから高評価をいただいております「フリーダム」の大幅な拡販に加え、アルミ市場向け溶解兼保持炉「MK炉」「NM炉」、および炉修工事の受注拡大を進めてまいります。海外についても、これまで拡大してきたアジアに加え、伸長著しい北米を重点マーケットとして、市場ニーズに即した製品開発、日系企業を中心とした営業活動強化により、積極的な展開を図ってまいります。 この事業における当社グループの強みは、汎用的な製品だけではなく、お客さまの製造ラインに合わせて最適にカスタマイズした製品を設計・製造できること、設置後のメンテナンスも一貫して対応できることであります。工業炉開発の技術者が鋳造分野等の技術者との連携を一段と強化することで、カーボンニュートラルに適応した製品群の開発が加速されてきており、IoT技術を活用した新機能の開発・展開も含め、上記の強みをこれまで以上に活かした事業拡大を進めます。 エンジニアリング事業のもう一つの柱である環境・工事事業の基本戦略は、「人財拡充による対応力強化と時短に繋がる製品・サービスの提供を通じて顧客ニーズに適応し、取扱工事を大幅に拡大」であります。 民間事業者および自治体の設備投資動向を的確に捉え、焼却炉、誘導炉、各種工業炉のメンテナンス工事を中心とした受注拡大に取り組みます。具体的には、高接着性・速硬性・高強度・易乾燥性という特性を有する「クイックセッター」の拡販、当社の独自性を発揮した時短工法への取組強化などを通じて、設備工事ニーズに対する質の高いサービスの提供を進めます。特に、民間産廃市場では焼却炉の中大型化傾向が続くなかで大型工事案件の増加が見込まれることから、人財の採用・育成、協力会社との連携など経営資源を重点的に投入いたします。また、2017年4月に連結子会社化した眞保炉材工業株式会社とのシナジー拡充を更に進めるとともに、大手プラントメーカーとの取引拡大にも一段と積極的に取り組んでまいります。 第3のセグメントである不動産事業では、本社ビルの賃貸と豊田工場の太陽光発電に加え、2017年4月より開始した大阪倉庫の賃貸により、引き続き安定的な収益確保に努めるとともに、遊休不動産の有効活用を進めてまいります。 第4に、その他の事業として、2021年4月に連結子会社化した日本ピーシーエス株式会社とのシナジー拡充を進めてまいります。日本ピーシーエス株式会社は、主に自動車関連向け塗装工程に係る自動省力機、塗料循環装置の設計製造を手掛け、取引先との強固な信頼関係をベースに、卓越した技術力をもって事業を行なっております。技術・ノウハウ等を共有することで自動車関連メーカー等との取引拡充を展望するとともに、工業炉事業においても設計技術の融合等を通じて新製品の開発を一段と加速いたします。 また、新規事業の拡充も当社グループの最重要経営課題の一つであります。地球温暖化、資源問題など経営環境に関する中長期の予測・展望も踏まえながら、金属溶解以外の業界への耐火物供給、業務提携やM&Aを通じた事業多角化の推進等により、「次の1世紀を支える新規事業」を創出してまいります。 前述の通り、当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に加え、ウクライナ情勢等に起因する原材料・燃料価格の高騰、為替相場等の市場動向など、引き続き予断を許さないものと認識しております。特に、主要取引先である自動車関連産業における生産・販売の回復の遅れ、鉄鋼業界における製鉄所再編については、優先的に対処すべき事業上の課題と認識しております。また、自動車のEV化進展に伴う中長期的な影響についても、今後重点的な対処が不可欠な事業上の課題であります。 当社グループとしては、このような市場構造の変化に対して、『創造性豊かな活力に満ちた役職員により、伝統を守りつつ、いかなる時代、いかなる環境にも適合する』との経営理念を改めて全員が共有し、創業138年の歴史を刻む中で培ってきた柔軟な対応力を発揮して、更なる成長を力強く目指してまいります。 「中期経営計画2024」においては、この経営理念を踏まえた「長期ビジョン」として、「22世紀へ、躍進するNIKKAN ~創業1885年、『4世紀をつなぐ企業』を目指して」を掲げ、約20年後の到達目標「2040年に連結経常利益20億円」を設定しており、当社グループの「コア・コンピタンス(核となる強み)」である『耐火物・サービスに関する総合的なソリューション提供力』を最大限に活かしてこの目標の実現を目指します。 グループ全社・全員が一丸となって「中期経営計画2024」を完遂することこそが、上記の事業上の課題への対処と考えております。 なお、183期は厳しい経営環境が続く中で連結業績は前期比減益となっておりますが、当社単体では増収増益となり、また各子会社も含め引き続き健全な財務体質を維持しており、特筆すべき財務上の課題はありません。 「(1)②財務戦略」に記載の通り、安定的な財務体質の維持と高い資本効率の追求を軸として、持続的な企業価値向上を意識した経営資源配分を行ってまいります。具体的には、営業キャッシュ・フローを安定的に積み上げて戦略的な設備・研究開発投資を行うとともに、経営環境を踏まえた機動的な資本政策を実施し、適正水準の利益配当を継続いたします。 「中期経営計画2024」においては、最終2024年度(2025年3月期)の目標として、連結売上高100億円、連結経常利益6億円、連結ROE8.0%を掲げております。 初年度の183期(2023年3月期)は、主要取引先である自動車関連産業が半導体不足回復の遅れ等により厳しい操業状況となり、国内生産台数が低水準で推移したことに加え、原材料・燃料価格が円安の進行等もあって大幅に上昇したことなどから、連結売上高が88.4億円(最終年度目標進捗率88.4%)、連結経常利益が1.9億円(最終年度目標進捗率31.2%)、連結ROEが0.5%(最終年度目標比▲7.5ポイント)と不十分な達成状況となりました。 売上高については、特に鋳造事業において自動車産業の操業低下の影響が大きく、原材料・燃料価格等の上昇に伴う価格改定をお客さまのご理解を得ながら進めたものの、グループ全体の年度ラップ計画は未達成となりました。しかしながら、エンジニアリング事業はラップ計画を達成しており、特に工業炉事業については炉内の酸化物発生を大幅に抑えることができる新たなコンセプトの溶解兼保持炉「フリーダム」を中心に、大型案件を順調に成約・進捗しております。 経常利益については、当社単体では年度ラップ計画を達成いたしましたが、中央窯業株式会社が燃料費の高騰を主因に大幅な赤字となったことに加え、日本ピーシーエス株式会社が外注費・資材費等の上昇分を価格転嫁しきれず大きく減益となったことから、連結ではラップ計画対比大幅未達となりました。 ROEにつきましては、上記の通り経常利益が未達となったことに加え、中央窯業株式会社において大幅な赤字計上に伴い繰延税金資産の大半を取り崩したこともあって、計画を大きく下回っております。 184期(2024年3月期)は、自動車関連産業の操業回復に伴う受注増加、「フリーダム」を中心とした工業炉事業の伸長、環境・工事事業における順調な業績拡大を軸に、年度ラップ計画の達成を見込んでおります。目標の達成状況については、引き続き達否要因の分析など経営管理・フォローアップを的確に行うとともに、適切に開示してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、サステナビリティ基本方針として、「企業理念・社是に基づき、環境・社会面の要請・ニーズと経済的リターンを両立させ、長期的な視点に立った取組を通じて企業価値を高めていく」と定めております。この基本方針のもと、カーボンニュートラルに取り組むお客さまに貢献する製品の開発を進め、当社グループ自身も製造過程における取組等を強化いたします。加えて、ESG/SDGsに関する取組として、ダイバーシティへの取組、労働環境の改善、地域貢献、取締役会の活性化等を進めてまいります。 上記の基本方針を踏まえた取組内容については以下の通り6つの視点で整理しており、毎月開催する経営会議において案件ごとに報告・討議を行うとともに、内容の重要性に応じ取締役会において報告または審議を行っております。 第一に、様々な社会課題、特に事業における環境保全の重要性を認識し、脱炭素や資源有効活用に積極的に取り組んでまいります。具体的には、豊田工場での太陽光発電、トンネル窯の効率性向上、生産工程でのリサイクル処理、エネルギー消費原単位の低減、照明設備のLED化等であります。 第二に、お客さま、株主・投資家、社員などステークホルダーとのコミュニケーションを通して、相互理解に努め、共存共栄を図ります。地域の祭礼への寄付や広場提供、子供110番などの地域安全活動、小中学校からの社会科見学受入等も継続してまいります。 第三に、お客さまに安心・安全に使用していただける高付加価値な製品・サービスを通して、総合的なソリューションを提供いたします。具体的には、アルミ保持炉の電化、各種レンガ類の不焼成化、易乾燥性樋材の開発等であります。 第四に、人権を尊重し安全と健康を第一に、労働環境の維持・改善に努めます。具体的には、生産現場の省力化・環境改善、エンゲージメント・サーベイの実施等であります。 第五に、障壁を設けることなく多様性を受け入れ、個性を認め合い尊重しあう「るつぼ」となり、その「るつぼ」から新しい価値を創造いたします。具体的には、高齢者雇用への取組、女性活躍の推進、障がい者雇用の拡充等であります。 第六に、企業活動を推進するうえで必須条件となるコンプライアンスやリスクマネジメントに継続して取り組みます。具体的には、取締役会の実効性向上、コンプライアンス研修の拡充等であります。 当社グループは、鋳造業や鉄鋼業など原材料を加熱加工する素形材産業や焼却炉等の環境関連産業向けに、耐火物、工業炉等の製造販売、各種工事等のエンジニアリングサービスの提供をしておりますが、これら産業のお客さまのカーボンニュートラル実現に向けた取組に貢献していくことが極めて重要であります。 他方、当社グループ自身も、製造過程において温室効果ガスを排出していることから、様々な取組を通じてカーボンニュートラルの実現を目指すことが求められております。 お客さまの取組への貢献に関しては、蓄積技術やその応用、新たな開発技術等を通じて、以下の通り積極的に製品開発、製造・販売を行っております。具体的には、定形耐火物では煉瓦の不焼成化、また不定形耐火物では、易乾燥性の高い製品、予め定形化することでCO2の直接排出を削減する製品等であります。耐火物以外では、熱間作業の軽減、優れた省エネ効果、高歩留、高品質といった特徴から大変ご好評をいただいている工業炉「フリーダム」、お客さまの製造工程におけるCO2の直接排出を削減する取鍋電気加熱装置「エレマックス」等であります。 自社の製造等における取組としては、最も影響の大きい定形耐火物の焼成工程におけるCO2の直接排出を削減するため、新しい技術の研究開発を進めるとともに、当面の対策としてカーボンオフセットガスを利用しております。また、工場で使用するフォークリフトの電動化、グリーン電力の活用等を行っております。 当社グループは、前述の通り、「中期経営計画2024」において、「組織と人の活性化」を経営戦略の土台と位置付けております。「中期経営計画2024」の成否は、人財の能力向上・発揮を促進すること、人財を資源ではなく資本と捉えてその価値を最大限に引き出すことにかかっていると考えており、そのことを通じて持続的な成長を実現させてまいります。 具体的には、以下の通り、組織風土改革、優秀人財の確保、人財育成、ダイバーシティを人的資本経営における重点課題として取り組みます。 エンゲージメントは「組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組めている状態を表すもの」、会社と個人の繋がりであり、「個人と組織が対等な関係で、互いの成長に貢献し合う関係」、言い換えれば、「やりがいがある」「達成感を感じる」「環境に満足している」状態と認識しております。従業員一人ひとりが自分の持ち場を守るだけでは不十分であり、従業員が相互に刺激し合い、わくわくするような仕事に向きあうことが必要であることから、このエンゲージメントが重要と考えております。 エンゲージメント向上への取り組みを推進していく上で、その課題や改善度合の見える化を進めることが効果的と考え、エンゲージメント・サーベイを2021年度より導入し、その総合スコアをKPIとして設定して全社をあげて取り組んでおります。 いわゆる「1 on 1」についても、2022年度より新たに全社に導入いたしました。チームが目指すべき方向性を明確に示した上で、メンバーの強みや特性、価値観を踏まえたメンバーの自発的なキャリア形成に関与し、組織成長、メンバー成長の両輪を回せる状態を目指してまいります。 また、「TRYプロジェクト」と称して、社員自らが考え、自発的に声をあげ、行動する運動を継続しており、それら社員の声を全社に広く還元しております。 2021年度より、新卒採用手法としてダイレクト・リクルーティングを導入いたしました。採用条件に合致する学生の資質等を事前に確認した上で全国の学生にオファーできる仕組みであり、多様な優秀人財の獲得に効果をあげております。併行して、インターンシップも積極的に活用しております。 中途採用については、人財紹介会社の活用を規模にこだわらず大幅に拡充し、優秀人財の確保に努めております。「中期経営計画2024」において重要分野と位置付けているエンジニアリング事業(環境・工事、工業炉)の増員を図る観点から、業種に特化した紹介会社の拡充のほか、ダイレクト・リクルーティング、ヘッドハンティングなど採用手法の多様化にも取り組んでおります。2022年度より、社内公募制度、リファラル採用も新たに導入いたしました。 新卒、中途採用ともに、優秀人財確保のため更なる手法の拡充に取り組んでまいります。 2020年度より、主要拠点(東京、大阪、愛知)の立地にマッチした新たな公開型研修制度を導入しております。理論的なテーマから実務に役立つテーマまで100を超える講座があり、何度でも受講可能な仕組みとなっております。社員本人、管理者によって主体的に育成に取り組むことができており、人財育成の礎となっております。 また2021年度より、次世代の経営層の育成を目的として部門横断の「ルツボ創成タスクフォース」を組成し、経営目線での提案活動を進めております。 若手層の育成に関しては、2021年度より「若手からの提言プロジェクト」を開始、部門横断で人選した若手が経営陣に対して積極的に提案を行っております。 人事交流については、コロナ禍により見送っていた工場間の交流会を2022年度より再開いたしました。今後は、生産部門間だけではなく、営業、技術など他部門間の交流も拡充する予定であります。 長期ビジョン「22世紀へ、躍進するNIKKAN ~創業1885年、『4世紀をつなぐ企業』」を目指して持続的な成長を図るためには、多様な人財の活躍が必要不可欠と考えております。 女性活躍推進については、女性管理職比率を重点目標の一つとして人財育成を計画的に進めます。高齢者の活躍も重要な課題であり、定年退職者の継続雇用率100%を目標に推進いたします。障がい者雇用については、法定雇用率を充足すべく情報収集等に努めてまいります。また、従前より海外部門、技術部門等において外国出身者が活躍しておりますが、優秀人財の確保を一段と進めます。 多様な人財の確保とともに多様な働き方の実現も極めて重要と考えております。有給休暇の取得推進、長時間労働の削減に加えて、在宅勤務、時差出勤、半日有休・時間有休取得等の多様な制度の活用、産休・育休、介護休暇の利用促進に努めてまいります。 サステナビリティに関する最大のリスクの一つは、温室効果ガス排出に関する規制強化と認識しております。具体的には、温室効果ガス排出規制に対応したお客さまの製造プロセス変更、LCAを意識したお客さまの商品選択の変化、カーボンプライシングなど脱炭素に関する政策の変更等が想定されます。これらの想定リスクは当社グループの製品・サービスの価値にインパクトを与え、中長期的な投資計画にも大きく影響するものであります。 当社グループでは、「リスク管理・コンプライアンス委員会」を半期に一度開催し、サステナビリティに関するリスクも含め、事業上のあらゆるリスクを適切に管理・統制するとともに、危機に転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、危機に転じた場合はその影響を最小限に留めるなど、的確なリスクマネジメントを行っております。また、「リスク管理・コンプライアンス委員会」における重要な事象について、半期に一度取締役会に報告するとともに、必要に応じ経営会議においてリスクの管理・統制に関する討議を行っております。 なお、「3事業等のリスク」に、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について記述しておりますので、併せてご参照ください。 気候変動に関する指標及び目標につきましては、お客さまの取組への貢献、自社の製造等における取組の両面から鋭意検討を進めている段階であります。 人的資本に関する指標及び目標は、以下の通りであります。 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異につきましては、提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないため、記載を省略しております。 今後も引き続き、その他の指標及び目標について検討を進め、開示内容の拡充に努めてまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載したリスク以外のリスクも存在します。 当社グループでは、戦略・事業遂行上のリスクや重大な危機に転ずる可能性のあるリスクを「リスク管理・コンプライアンス委員会」にて把握し、グループ重要リスクとして整理することとしております。リスクを適切に管理・統制するとともに、危機に転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、危機に転じた場合はその影響を最小限に留めるなど、的確なリスクマネジメントを行っております。なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。 なお、ウクライナをめぐる現下の国際情勢については、当社グループとしても十分に注視しております。ウクライナ、ロシアとの輸出入取引がないことから、業績への直接的な影響はありませんが、原材料・燃料価格への波及、為替相場等の市場動向など間接的な影響はあると考えております。この点は「(6)原材料の調達・価格動向」、及び「(7)燃料価格の動向」に記述の通りであります。 鋳造市場は、当社グループにおける最大の事業分野であり、鋳造事業・工業炉事業を合わせて、当連結会計年度では売上高の56.8%を占めております。その鋳造市場の約9割が自動車業界向けであります。自動車業界においては、EV化への取組が加速しつつあり、環境対応車のシェアが大幅に高まっていくと予測されております。EV化によりエンジンをはじめ鋳造部品の構造が大きく変わっていくものと考えられ、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。 こうした状況を踏まえ、当社グループとしては、環境対応、軽量化に伴う部品構成の変容等に関する分析を進めるとともに、自動車メーカーの内製部門と主要部品メーカーの生産設備統合の流れが加速する予測なども含め、お客さまの動向を注視してまいります。国内においては、当面、純EV/FCVよりHEV、PHEV、M-HEVが中心となる見通しであることから、特にアルミ部品の需要への対応が重要と考えており、国内の自動車生産台数の増減(景気動向)を見据えて、製品・サービス(耐火物製品、工業炉製品、メンテナンス・サービス、部材の仕入販売)を適合させてまいります。 鉄鋼事業は、当連結会計年度では売上高の8.8%を占めておりますが、鉄鋼業界において需要減等を理由とした製鉄所再編、設備縮減の動きが続いており、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。 この影響を最小限に留めるべく、国内市場においては、高い技術力により継続的に安定耐用に貢献してきた実績、スピーディーできめ細かな対応力をベースに、シェアの維持と利益率向上に努めてまいります。また、海外市場において、易乾燥性樋材などの新技術の開発を進めるとともに、ロイヤリティー収入の確保を図ってまいります。 工業炉の新設工事、焼却設備等の補修工事などのエンジニアリング事業においては、工事完了時のお客さまによる検収において、契約毎に異なる材質・寸法等の仕様確認や試運転による慎重な確認が実施され、また耐火物事業の製品販売に比し1件当たりの取引額が多額になるケースが多いことから、売上の期間帰属等に関し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 こうした特性を踏まえ、エンジニアリング事業の売上の期間帰属等については、特に慎重に判断し適正な収益認識に努めてまいります。 当社の製品及び商品のサイズや材質は得意先や用途により異なるため、多品種の在庫を保有しております。これらの棚卸資産は、販売価格が低下した場合には帳簿価額を時価まで切り下げ、また直近で動きのない場合には滞留期間に応じて評価損を計上しております。したがって、販売価格や滞留期間によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 こうした棚卸資産の金額的重要性と評価プロセスの状況に鑑み、必要な評価減の金額を基準に基づいて適正に算定すべく、内部統制手続を整備し適正な運用に努めてまいります。 工場機械設備の老朽化についても、事業運営において重視すべきリスクの一つと考えております。主要設備の中には、導入後の経過年数が長いものも少なくなく、定期的な補修等実施により正常稼働に努めておりますが、予想を超える異常停止等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 「中期経営計画2024」において、工場機械設備全般にわたって計画的な更新を進めることとしておりますが、軽度な異常が発生した場合でも都度要因を慎重に見極めて的確な対策を講じるなど、安定稼働に向けた適切な対応を継続してまいります。 当社グループでは、主力事業である耐火物の製造に必要となる原材料を、中国をはじめとする世界各国より直接あるいは商社経由にて調達しております。国産原材料の比率が高くないことから、現在の輸入国からの調達に問題が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料価格の高騰・高止まり、大幅な円安が続いた場合、お客さまのご理解に基づく価格改定の進捗状況次第では、グループの業績が下振れする可能性があります。 調達先が中国等の特定国に偏らぬように、原材料の種類に応じて常に世界各国に調達先を求めておりますが、引き続き多様な原材料に関する調査・評価等を幅広く実施し、リスクの軽減に努めます。また、原材料価格動向等をお客さまに丁寧にご説明してご理解を得ることで適切な価格改定を着実に実施するとともに、機動的な為替ヘッジを進めてまいります。 当社グループでは、主として定形耐火物の製造工程(焼成等)において、多量のガスや電気を使用しております。ロシアによるウクライナ侵攻以降、値上がり基調であった原油価格が急激に上昇し、さらに円安が急速に進行したこともあって、183期(2023年3月期)は燃料価格がかつてないほどの上昇幅で推移しました(都市ガス価格は昨年12月には前年同月比約2倍に、一昨年同月比約3倍に上昇、電力価格も一時前年比2倍程度まで上昇)。 こうした状況を踏まえ、お客さまのご理解に基づく価格改定を鋭意進めておりますが、燃料価格の更なる高騰・高止まり、大幅な円安が続いた場合、グループの業績が下振れする可能性があります。 近年、大規模な地震発生や巨大台風の直撃、数十年に一度の集中豪雨発生などの自然災害が相次いでおります。当社グループの生産拠点は、大阪、愛知、埼玉に分散しているものの、南海トラフ地震をはじめ大規模地震発生の予想エリアに所在しております。台風、集中豪雨のエリアは予想が困難でありますが、万が一、当社グループの生産拠点において、大規模な自然災害が発生した場合には、前述(5)の設備老朽化とあわせ、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。 2020年3月にBCP(事業継続計画)を抜本的に見直し、2011年以来となる大幅改定を実施いたしました。このBCPに基づく教育、訓練を定期的に実施するとともに、必要に応じて計画を見直すなど、大災害発生時においても早期の事業復旧ができるよう努めてまいります。 足元、新型コロナウイルス感染者数は比較的低位で落ち着いており、行動制限等の緩和、感染症法上の位置付けの5類への移行もあって、わが国経済への影響は相対的に改善基調にあります。しかしながら、当社グループの工場が立地する大阪、愛知、埼玉において、新型コロナウイルス感染者数の増加等により各工場の操業度を落とさざるを得ない状況が生じた場合には、当社グループの業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。 引き続き従業員の安全確保に十分配慮しつつ、政府・自治体の対応方針、対象地域の状況等を注視してまいります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大抑制を図りつつ経済活動の正常化が進んだことで、設備投資、雇用情勢等が持ち直し、企業収益も緩やかながら改善基調となっております。先行きについては、各種の政策効果もあって景気が回復に向かうことが期待されますが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、原燃料価格の高止まり、物価上昇の継続、供給面での制約などを十分に注視する必要があります。 当社グループを取り巻く関連業界におきましては、主要取引先である自動車関連産業は、半導体不足回復の遅れや海外景気の下振れ等から、厳しい操業状況が続きました。国内生産台数・販売台数には持ち直しの動きも見られますが、本格的な回復には至っておらず、先行きは予断を許さない状況にあります。 鉄鋼産業は、国内粗鋼生産の前年同月比減少が継続しており、引き続き自動車部門の動向及び原燃料価格の高騰や為替変動等による更なる下振れリスクに注意を払うことが必要であります。 このような状況のなか、当社グループは営業と技術が一体となり、主力製品や新製品の拡販活動等を積極的に推進いたしました結果、当連結会計年度の売上高は88億4千1百万円(前期比1.9%増)となりました。しかしながら、利益面では、主要取引先である自動車関連産業が半導体不足回復の遅れ等により厳しい操業状況となり、国内生産台数が低水準で推移したことに加え、原材料・燃料価格が円安の進行等もあって大幅に上昇したことなどから、厳しい結果となりました。 当社単体では、営業利益が1億9千5百万円(前期比73.2%増)、経常利益が2億9千6百万円(前期比60.1%増)となりましたが、子会社・関連会社については、中央窯業株式会社が燃料費の高騰を主因に大幅な赤字となったこと、日本ピーシーエス株式会社が外注費・資材費等の上昇分を価格転嫁しきれず大きく減益となったことに加え、正英日坩工業燃焼設備(上海)有限公司が中国経済低迷の影響を受けて赤字を計上し持分法投資損失が拡大したことなどにより、非常に厳しい決算となりました。 この結果、連結営業利益は1億6千2百万円(前期比36.5%減)、連結経常利益は1億8千7百万円(前期比40.5%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、中央窯業株式会社において繰延税金資産を5千万円取り崩し、法人税等調整額が大きく増加したこともあって、2千4百万円(前期比88.4%減)となりました。 事業セグメント別の業績は、以下の通りであります。 セグメント別では、鋳造・鉄鋼市場向けの耐火物事業の売上高は50億4千5百万円(売上高比率57.1%)と前年比0.4%増加しましたが、営業利益は2億3千1百万円と前年比4.2%減少いたしました。工業炉・環境関連市場向けのエンジニアリング事業の売上高は27億2千6百万円(売上高比率30.8%)と前年比5.4%増加し、営業利益は3億3千5百万円と前年比17.7%増となりました。不動産事業の売上高は3億8千2百万円(売上高比率4.3%)と前年比2.5%減少し、営業利益は2億2千7百万円と前年比5.4%減少いたしました。その他事業(日本ピーシーエス株式会社の塗料循環装置事業)の売上高は6億8千7百万円(売上高比率7.8%)と前年比2.2%増加いたしましたが、4千3百万円の営業損失となりました。 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末比3千1百万円(0.5%)増加し、66億7百万円となりました。主として、売掛金の増加によるものです。 当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末比3億2千4百万円(7.2%)減少し、41億7千7百万円となりました。主として、製造設備の減価償却によるものです。 これらの要因により、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比2億9千2百万円(2.6%)減少し、107億8千4百万円となりました。 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末比1億5千1百万円(4.5%)増加し、35億3千3百万円となりました。主として、買掛金の増加によるものです。 当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末比4億5千7百万円(18.2%)減少し、20億5千1百万円となりました。主として、長期借入金の減少によるものです。 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比1千3百万円(0.3%)増加し、51億9千9百万円となりました。 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は48.2%(前連結会計年度末は46.8%)となりました。期末発行済株式数に基づく1株当たり純資産額は773.10円となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末比4億3千9百万円減少し、17億9百万円となりました。 当社グループは、安定的な財務体質の維持と高い資本効率の追求を軸として、持続的な企業価値向上を意識した経営資源配分を行うことを財務戦略の基本方針としております。 営業キャッシュ・フローを安定的に積み上げることで、設備投資及び株主還元の原資を確保するとともに、計画的に長期借入金を返済することで、引き続き良好なバランスシートを維持するとともに、中長期的に資本効率を高めていくための投資活動を行ってまいります。 設備投資については、減価償却額の推移も意識しつつ、工場製造設備、技術開発の両面において中長期的な視点で戦略的に進めてまいります。 当社グループにおける資金需要は、主として設備投資に係る資金と経常的な運転資金が中心であり、取引金融機関からの借入による調達を基本としております。なお、今後の成長に寄与するシナジー効果の高いM&A案件については、投資効果、資本効率、財務バランス等を総合的に勘案のうえで、引き続き資金調達面も含め戦略的に検討してまいります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に当たっては、様々な見積りによる判断がなされておりますが、見積りに内在する不確実性により、実際の結果が異なることがあります。 連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載の通りですが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積りを含む会計方針は以下の通りであります。 棚卸資産は、販売価格が低下した場合には帳簿価額を時価まで切り下げ、また直近で動きのない場合には滞留期間に応じて評価損を計上しております。販売価格が低下した場合や見込生産していた製品が販売できなくなり過剰在庫が生じた場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。 2017年4月の眞保炉材工業株式会社、2021年4月の日本ピーシーエス株式会社の連結子会社化に伴い、期末において217百万円の営業権(のれん)を計上しております。両社の業績動向等を踏まえて将来の見積りを行っており、期末時点において減損の必要性は全くないものと判断しております。なお、この営業権については、子会社化以降現在まで計画通りの償却を進めてきております。 投資有価証券について、今後回復の可能性がないと判断した銘柄は、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来の市況悪化、投資先企業の業績低迷等により、今後更に減損の追加処理が必要となる可能性があります。 繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を合理的に見積った上で判断しております。将来、繰延税金資産の回収ができないと判断した場合には、繰延税金資産の減額、税金費用の追加が必要となる可能性があります。 大阪工場、豊田工場等の製造設備については、期末時点において減損の兆候にあたる事実の有無を工場ごとの損益実績等に基づいて検証しております。 その他に、見積り・仮定の不確実性、あるいは変動による影響等を考慮すべきものはありません。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは、高機能化する金属やガラスなどの高温溶解プロセス向けに、要求品質に適合したルツボなどの容器、定形および不定形耐火物、その設備・プロセスの研究開発を行っております。 主な取引先である自動車及び関連産業、機械、重機に使用されるアルミニウムや鉄および電気・電子を中心とした銅合金などの鋳造市場、高炉・電炉などの鉄鋼市場、環境・リサイクル市場を対象とした製品の開発改良を行っております。日本国内だけではなく、中国、東南アジアおよび北米を中心に、それぞれの国の要求品質にあった製品を開発し輸出しております。また、技術供与によるロイヤリティーを確保するための技術開発も継続的に進めております。 鋳造市場では、当社グループの代表的製品である黒鉛ルツボ「フェニックス」について、他社との差別化を図る材質改良を継続し、積極的に拡販を進めております。また、大型製品への対応、量産効率向上を目的に、成形装置である大型CIP(冷間等方圧プレス)に続いて大型焼成炉を新規導入しており、生産性、品質性能が大幅に向上しております。 不定形耐火物では、環境にやさしい炉材の開発に注力し、将来の環境規制を先取りするなど時機を逸しない研究開発活動を行っております。断熱不定形材(パッチング材)「ライトテックス(LITETEX)」シリーズは、RCF規制(特定化学物質予防規則の一部)に抵触しない断熱不定形材として、多数のお客様よりご好評を頂き、順調に販売を伸ばしております。また、CO2削減、工期短縮、省力化につながる新製品群として、①易乾燥性流し込み材(VEシリーズ)、②取鍋用不定形耐火物(VELOXシリーズ)を開発・製品化いたしました。これらの製品は、養生~乾燥~使用開始までの時間について、従来不定形耐火物対比1/3(VEシリーズ)、1/8(VELOXシリーズ)と、大幅な時短を実現しております。さらに、構造体にした際に割れ難く亀裂が進展し難い高靭性流し込み材「W2シリーズ」も開発・製品化を完了しており、逐次市場へ投入してまいります。 自動車の電動化が進む中で、使用される電池や磁石、MLCC製造には高機能の定形ルツボをはじめとする定形耐火物や不定形耐火物が必要であり、こうした顧客ニーズに応えるべく、活性金属に抵抗性の高いカルシアルツボの開発に着手し、既に製品化(大型化)の目途が立っております。また、超高温用途としてジルコニアルツボ(ZIRCONIX)の用途別の改良を継続し、適用範囲も拡大しております。今後も一層の品質安定化、新規開発を進めてまいります。 原子力発電所で発生した低放射性廃棄物処理を目的とした特殊ルツボ「キャニスタ」についても、引き続き品質のレベルアップに努めております。 鉄鋼市場では、高炉から高温で溶解される銑鉄、スラグを受ける出銑樋およびその周辺で使用される製銑用不定形材およびレンガについて、要求の厳しい国内顧客にきめ細かく対応するとともに、徹底した品質管理と継続的な技術開発を行っております。こうして国内で培った最新技術と品質管理手法を、海外の技術供与先ならびに現地顧客へ紹介・提供し、ロイヤリティー収入に繋げております。 工業炉市場では、炉内の酸化物発生を大幅に抑え、酸化物清掃作業の回数を削減できる新型溶解炉「Freedom (フリーダム)」を展開、新機能を付与するなどの改良を行い、特許申請とともに拡販を進めております。1年以上のメンテナンスフリーを実現するなど、これまでにない画期的な性能を有する工業炉であります。また、ルツボを使用したルツボ式連続溶解炉「MK炉」も、引き続き高い評価を頂いております。取鍋の分野でも、CO2削減効果や高い温度制御性という特徴を持つ取鍋電気加熱装置「エレマックス」をさらに改良し、ガス加熱方式に比べ格段の省エネ性を実現するとともに、作業現場の酷暑対策に貢献しております。この製品は、電気故の蓄熱特性も有しており、今後こうした特徴をさらに深く追求してまいります。 環境・工事市場では、焼却炉・溶融炉向けに、技能経験が浅くとも施工が可能な不定形耐火物が改めて脚光を浴びていることから、従来製品の機能向上に向けた開発を積極的に進めております。また、築炉作業の工数低減に寄与できる炉材(易乾燥性流し込み材(VEシリーズ)等)・工法の開発にも注力しております。 研究開発活動については、製品開発部、鋳造技術部、鉄鋼技術部、工業炉技術部が連携し、高い顧客満足を得るための取組を進めております。今後はこれまで以上に産学連携の枠組みを充実させ、より研究環境の整った中で、将来を見据えた礎を構築して参ります。 当連結会計年度の主な活動は次のとおりであります。 当連結会計年度における耐火物事業の研究開発費の金額は、167,911千円です。 当連結会計年度におけるエンジニアリング事業の研究開発費の金額は、138,952千円です。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、306,863千円であります。
東急建設株式会社
# 東急建設株式会社 当社は、2003年4月10日にTCホールディングズ株式会社として設立。同年10月1日に(旧)東急建設の建設事業部門を商号と共に引き継ぎ、新たに東急建設株式会社としてスタートしました。 当社グループの主な変遷は次のとおりであります。 TCホールディングズ㈱は建設業法による国土交通大臣許可(特-15)第20220号の許可を受けました。 TCホールディングズ㈱は宅地建物取引業法による国土交通大臣免許(1)第6474号の免許を受けました。 当社グループは、東急グループの構成員として開発事業の分野を担い、当社、子会社11社、関連会社6社で構成され、建設事業を中心に事業を展開しております。 当社グループの事業に係る位置付け及びセグメント情報との関連は、次のとおりであります。 なお、セグメント情報に記載された区分と同一であります。 建設事業      当社を中心に事業を行っております。当社は、子会社の東建産業㈱、東急リニューアル㈱、㈱川村積算及び関連会社の世紀東急工業㈱、東急グリーンシステム㈱、あすか創建㈱、岩瀬プレキャスト㈱に工事とそれに附帯する事業の一部を発注しております。海外においては、子会社のPT.TOKYU CONSTRUCTION INDONESIA、GOLDEN TOKYU CONSTRUCTION CO.,LTD.、INDOCHINE ENGINEERING LIMITEDとその子会社2社、TC PACIFIC CONSTRUCTION, LLC及び関連会社のCH.KARNCHANG-TOKYU CONSTRUCTION CO.,LTD.が事業を行っております。また、その他の関係会社の東急㈱及びその他の関係会社の子会社の東急電鉄㈱より工事の一部を継続的に受注しております。そして、当社グループは、建設事業を「建設事業(建築)」と「建設事業(土木)」に分類して事業を行っております。 建設事業(建築):当社の建築部門と子会社の東建産業㈱、東急リニューアル㈱、PT.TOKYUCONSTRUCTION INDONESIA、GOLDEN TOKYU CONSTRUCTION CO.,LTD.、INDOCHINE ENGINEERING LIMITED、INDOCHINE ENGINEERING VIETNAM JSC.、INDOCHINE ENGINEERING PTY.LIMITED、㈱川村積算、TC PACIFIC CONSTRUCTION, LLCが建築工事とそれに附帯する事業を行っております。 建設事業(土木):当社の土木部門と子会社のPT.TOKYU CONSTRUCTION INDONESIA及びGOLDEN TOKYU CONSTRUCTION CO.,LTD.が土木工事とそれに附帯する事業を行っております。 不動産事業等 当社が不動産の販売、賃貸事業等を行っております。また、子会社の東急リニューアル㈱はICT関連サービス事業を、子会社の大阪消防PFI㈱は「大阪府立消防学校再整備等事業」を、子会社の東急建設-GBイノベーション投資事業有限責任組合はベンチャー企業への投資を行っております。 事業の系統図は次のとおりであります。 当社の施工協力をしております。 当社の設計業務を受託しております。 INDOCHINE ENGINEERING VIETNAM JSC.に業務委託をしております。 INDOCHINE ENGINEERING VIETNAM JSC.に業務委託をしております。 当社の積算業務を受託しております。 東急リニューアル㈱に業務委託をしております。東急リニューアル㈱から事業資金の一部を借入れております。 なお、就業人員数から有期雇用者である嘱託・契約社員を除いた場合は以下のとおりであります。 労働組合はありません。 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、建設事業を主要な事業内容としており、東急グループの一員として同事業の分野を担っており、東急グループ各社と連携し、安心で快適な生活環境を提供する東急ブランドをより強固にしつつ、その価値を競争力の一つとしております。 2021年3月に、創業の精神を受け継いだ企業理念に基づき、社会課題の解決を強く意識した2030年の企業ビジョン「VISION2030」、同年5月には、その達成に向けた10か年の長期戦略「長期経営計画“To zero, from zero.”」を策定しております。これらを実行することにより持続的な企業価値向上を実現してまいります。 国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、「知の深化」と「知の探索」を実践し、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略を実行することにより、財務・非財務両面での持続的な企業価値の向上を目指します。 め、ROICの算定式を以下の通りとしております。 は、全11段階中最上位のレーティングとなっております。 なお、各年度の目標指標は2023年5月10日に公表いたしました「「長期経営計画“To zero,from zero.”」のローリングに関するお知らせ」の数値を記載しております。 「(1) 経営方針」に記載の経営方針及び「長期経営計画 “To zero, from zero.”」を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りであります。 今後の国内建設市場につきましては、建設投資は堅調に推移することが見込まれますが、技能労働者の減少や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、時間外労働に関する上限規制の適用開始に向けた対応およびデジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。 このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、既存事業の深堀りと新規分野の模索など「知の深化」と「知の探索」を実践してまいります。また、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とし、この3つの提供価値と人材・デジタル技術の競争優位構築による「東急建設ブランドの訴求・確立」をはじめとする5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、持続的な企業価値向上を目指すため、企業ビジョンおよび経営計画に則り、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を軸に、ステークホルダー(お客様、協力会社、社員・家族、株主、そして社会)へ新たな豊かさを提供するサステナビリティ経営を実践しております。自社のサステナビリティを巡る課題をマテリアリティ(当社グループが優先的に取り組むべき経営の重要課題)として定め、その取り組みを推進しています。 マテリアリティは、経営会議等の会議体においてリスクと機会を認識し、ステークホルダーにおける重要度と企業価値向上への影響度を踏まえ取締役会で特定しています。これら取り組みの進捗について取締役会に報告するとともに、環境変化に柔軟に対応するため、毎年リスクを網羅的に洗い出し、見直しを行う仕組みとしております。 業務執行状況は、事業部門長会議や経営トップによる四半期ごとの事業モニタリングにおいて把握し、工事受注、不動産取引、ベンチャー投資やその他事業投資等の個別案件は、組織横断の「本社リスク管理協議会」、「受注協議会」、「海外受注協議会」、「不動産取引審査会」、「事業投資審査会」、「ベンチャー投資委員会」を設け、リスクの事前検証を実施しております。サステナビリティ課題を報告・協議する「サステナビリティ委員会」では、当連結会計年度において環境問題・TCFDについて議論・報告を行いました。 サステナビリティの取り組みに関する詳細な情報につきましては弊社ウェブサイト(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/foundation/)をご参照ください。 上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。 気候変動がもたらす影響を幅広く検討し、特に重要であると考えられるリスクと機会を特定しております。それぞれのリスクと機会が当社グループに与える財務影響を、気候変動への対応や規制が進むことが想定される2℃未満シナリオと、災害の甚大化がより深刻となる4℃シナリオに分けてシナリオ分析を実施しました。 気候変動リスクの低減およびこれらの機会を生かすことを経営の最重要課題と認識しており、具体的にはZEB・ZEH・木質建築物の推進や低炭素燃料の使用拡大によるGHG排出量の削減、再生可能エネルギー電力の利用拡大、そして最終廃棄処分率の削減などに取り組んでおります。 以下の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりです。 値である為変更の可能性があります。 気候変動、TCFD提言に基づく詳細な情報については弊社ウェブサイト(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/environment/tcfd/)をご参照ください。 当社グループは、「人材」を競争優位の源泉と位置付け、従業員一人ひとりが能力を高め、個々の力を十分に発揮できるよう人材育成の強化に取り組んでおります。 コア事業である建設事業でこれまで培ってきた現場力をさらに深め、強みである都市機能を止めない技術やノウハウ、土木・建築・その他事業の枠を超えたチームワークを次世代へ確実に引き継ぐため、必修型「ビジネス基礎教育」、職種別に特化した必修型「専門教育」、キャリア自立に向けた自発的な行動を支援する「選択・選抜型教育」の3つの要素を軸に人材育成マスタープランとして教育体系を整備し、若手の早期育成を進めております。また、人事制度改定により年次に関わらない抜擢登用、能力絶対評価による優秀社員のスピード昇格を可能とし、ジョブローテーションによる成長機会の創出と合わせて現場力強化を進めております。 一方、戦略事業である国際事業・不動産事業においてはより高い専門性を持つ人材が不可欠であり、専門性を活かしたキャリア形成を実現する専門職制度を新たに開始したことにより、スペシャリストの育成を推進し、新たな事業領域拡大・イノベーション推進に向けた高い専門能力とプロ意識、誇り・情熱・向上心とやり抜く力を併せ持ち変革をリードできる「自律型人材」の育成・獲得を進めております。 また、当社グループは「デジタル技術」を「人材」と並ぶ競争優位の源泉と位置づけており、「デジタル技術」をより強固に推進するためのデジタル人材の獲得と育成を進めております。デジタル人材育成計画を策定し、全社員がそれぞれに求められるスキルの獲得を目指しております。 以前にも増して変化の激しい市場環境で「知の深化」と「知の探索」の実践を牽引し、複雑化する経営を担う人材の不足は大きなリスクとなります。これを回避すべく、次世代経営者・幹部候補者を対象とした次世代経営アカデミーを運営し、次世代人材プールを構築することで計画的な経営人材の輩出と主要ポストの後継者計画の実現に取り組んでおります。 当社グループは、顧客ニーズの多様化への適合と、新たな事業領域拡大・イノベーション推進に向けて個性の違いが生み出すさまざまな視点や価値観を効果的に活用することができる企業風土の醸成を目指し、多様な人材が最大限の力を発揮できる職場づくりを推進しています。 多様性の確保として女性活躍推進、エリア総合職の採用・通年採用、外国籍社員への支援、LGBTQへの対応などを進め、その活躍の土台となる多様な働き方については、フレックス勤務制度・テレワーク勤務制度などを整備しております。更にデジタル化・IT活用での業務効率化、作業所における4週8休への取り組みなどの職場環境整備により長時間労働を要因とする健康被害を防止するとともに、健康経営を推進して従業員の健康づくりに積極的に取り組むことで、当社の持続的な成長とサステナブルな社会の実現を目指しております。 また、年2回実施するエンゲージメントサーベイにより組織の状況を把握して改善活動につなげるとともに、サーベイ結果のフィードバックを通じたチーム対話の推進等により組織内の心理的安全性の確保を進め、改善活動や新たなアイディアが生まれやすい環境づくりを目指しております。さらに、事業戦略への納得感を高めるため経営者と従業員とが直接意見を交わし合うビジョン対話や、感謝を伝えるサンクスカードの運用、新事業のアイディアコンテストの開催により、互いを認め合い、尊重し合い、挑戦を歓迎する組織風土の醸成に取り組んでおります。 当社グループでは、上記以下の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりです。 段階目のレーティングとなっております。 人的資本に関する詳細な情報については2023年10月に弊社ウェブサイト(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/ir/library/annual/)において公表予定の統合報告書2023年度版をご参照ください。 なお、当該将来に関する事項については、経営会議等および取締役会の会議体で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 温室効果ガスの大量排出による気候変動に伴い、建設事業や建物ライフサイクルへの政府の規制強化や、サステナブルな調達に対する要請の高まり等への対応が遅れた場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、再生可能エネルギー電力の使用やZEB(Net Zero Energy Building)の推進をはじめ3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした長期経営計画を推進することとしております。また、気候変動に伴い激甚化する風水害や、地震、津波等により当社グループの従業員や保有資産が被災するリスクに対して、BCP(事業継続計画)に基づいた訓練計画を行う等、BCM(事業継続マネジメント)にも取り組んでおります。 景気変動による国内建設市場の縮小、資材・労務価格等の急激な変動が発生した場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、市場の縮小に対してはイノベーションによる新たな事業領域の拡大、資材・労務価格等の急激な変動に対しては先行調達や代替工法の提案等により対応しております。 技能労働者不足による供給力の低下等に伴う、建設産業の構造変化への対応が遅れた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、協力会社との連携を強化しつつ、建設現場におけるICTの活用等DXによる建設生産システムの変革、生産性の向上により対応しております。 労働人口の減少や働き方の多様化、産業間の人材獲得競争が進む中、従業員への処遇改善や、ダイバーシティ&インクルージョンへの対応が遅れることにより、従業員の確保が困難となり人員不足に陥ることが想定されます。また、それに伴う売上高の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、人材育成の強化により従業員一人ひとりの能力をさらに高め、従業員エンゲージメントの向上によりその能力を最大限発揮するとともに、人事制度改革や働き方改革、さらにはダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、当社の魅力を高めることにより対応しております。 設計、施工における不具合等によりその補修等に多大な費用を要するような重大な瑕疵、品質不良が発生した場合、補修費用の発生による工事採算の悪化や顧客からの信頼喪失による受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、土木・建築各事業本部との組織連携や、品質管理の活動強化を図り、PDCAサイクルを実践する等、当社が定める品質方針に基づき対応しております。 なお、品質問題の発生および重大化を防ぐため、経営者まで速やかに情報共有される体制の整備や内部通報制度の拡大、施工部門における品質管理の再構築、技量向上を目的とした作業所技術員への人材投資の強化、組織風土の改革といった事項にも取り組んでおります。 第三者や多数の死傷者を伴う重大な事故・災害の発生及び社会的に影響の大きい工事等における事故が発生した場合、社会からの信頼を喪失し受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、経営トップの関与をより高めた安全管理体制等、当社が定める安全方針に基づき対応しております。 国際事業を展開する上で、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、本社機能を含むガバナンスを充実させリスクマネジメントを強化することにより対応しております。 感染症の流行が拡大することにより、建設市場の縮小、施工中案件の工事中断等が生じた場合、受注機会の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクには、感染防止対策を強化・徹底し、関係者ならびに従業員の健康に最大限配慮することにより対応しております。 当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で、経済活動が再開するなど景気に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、長引くウクライナ情勢や記録的な円安等の影響による物価上昇に加え、金融資本市場の変動など先行きに対する不透明感が高まりました。 建設業界におきましては、政府建設投資が堅調に推移したことに加え、民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりにより回復の動きが見られるなど、建設投資は総じて増加しました。 このような情勢下におきまして当社グループは、「長期経営計画“To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略(「東急建設ブランドの訴求・確立」「コア事業の深化」「戦略事業の成長」「人材・組織戦略」「財務・資本戦略」)に取り組んでまいりました。 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は288,867百万円(前期比11.9%増)となりました。損益面では、営業利益は5,107百万円(前連結会計年度は6,078百万円の営業損失)、経常利益は5,020百万円(前連結会計年度は5,132百万円の経常損失)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,245百万円(前連結会計年度は7,459百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 完成工事高については、国内官公庁工事が減少したものの、国内民間工事及び海外工事の増加により、216,938百万円(前期比9.5%増)となりました。一方、セグメント利益については、7,938百万円(前期比3.4%増)となりました。 完成工事高については、国内官公庁工事、海外工事及び国内民間工事の増加により、61,838百万円(前期比7.5%増)となりました。一方、セグメント利益については、1,106百万円(前連結会計年度は6,148百万円のセグメント損失)となりました。 不動産事業等売上高については、販売用不動産の売却等により、10,091百万円(前期比297.9%増)となりました。セグメント利益については、2,556百万円(前連結会計年度は1,770百万円のセグメント損失)となりました。 当連結会計年度末の資産の部につきましては、販売用不動産が3,780百万円減少した一方、現金預金が20,066百万円、不動産事業支出金が1,032百万円それぞれ増加したことなどにより、資産合計は前連結会計年度末と比較して11,352百万円増加(4.8%増)し、249,164百万円となりました。  負債の部につきましては、長期借入金が20,446百万円減少した一方、短期借入金が19,986百万円、電子記録債務が7,043百万円それぞれ増加したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比較して8,396百万円増加(5.8%増)し、153,144百万円となりました。  純資産の部につきましては、配当を2,443百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を5,245百万円計上したことなどにより、利益剰余金が増加した結果、株主資本は3,069百万円増加しました。また、政策保有株式の売却等によりその他有価証券評価差額金が803百万円減少したことなどにより、その他の包括利益累計額は311百万円減少しました。この結果、純資産合計は前連結会計年度末と比較して2,956百万円増加(3.2%増)し、96,020百万円となりました。 なお、自己資本は95,248百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して0.7ポイント減少し、38.2%となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、法人税等の支払額の支出や預り金の減少等の資金減少があったものの、税金等調整前当期純利益7,711百万円の計上や未収入金の減少等の資金増加により、20,392百万円の資金増加(前連結会計年度は12,201百万円の資金増加)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、投資有価証券の取得による支出等があったものの、投資有価証券の売却による収入等により、2,398百万円の資金増加(前連結会計年度は476百万円の資金減少)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払額や長期借入金の返済による支出等により、2,762百万円の資金減少(前連結会計年度は7,531百万円の資金減少)となりました。 この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から20,066百万円増加し、58,714百万円(前連結会計年度末は38,648百万円)となりました。 なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。 様の処理をしております。 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。 該当する相手先はありません。 当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上高は288,867百万円(前期比11.9%増)となりました。損益面では、営業利益は5,107百万円(前連結会計年度は6,078百万円の営業損失)、経常利益は5,020百万円(前連結会計年度は5,132百万円の経常損失)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,245百万円(前連結会計年度は7,459百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。  財政状態については、現金預金や不動産事業支出金が増加したことなどにより資産合計は249,164百万円(前連結会計年度末比4.8%増)となりました。また、短期借入金や電子記録債務が増加したことなどにより、負債合計は153,144百万円(前連結会計年度末比5.8%増)、利益剰余金の積上げなどにより純資産は96,020百万円(前連結会計年度末比3.2%増)となりました。自己資本比率は38.2%(前連結会計年度から0.7ポイント減少)となりました。 国内建設市場につきましては、建設投資は堅調に推移することが見込まれますが、技能労働者の減少や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、時間外労働に関する上限規制の適用開始に向けた対応およびデジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。 このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、「知の深化」と「知の探索」を実践し、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値を軸とした5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。 当社グループが「長期経営計画“To zero, from zero.”」で掲げた目標及び、当連結会計年度の実績は以下のとおりです。 前年度公表いたしました現在施工中工事の不具合や、過年度引渡し物件に係る施工瑕疵に対し、当社では、安全・品質・工程管理等のコア業務に関する技術員教育の強化、本社による作業所支援体制の強化、特定工事に対する専門委員会の設置等、品質管理体制の強化による再発防止策を徹底し、施工品質の向上に引き続き努めてまいります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費の支払や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、当社グループは提出日現在、事業運転資金の安定的且つ機動的な調達を目的として、取引金融機関5行及び19行との間でそれぞれ締結しております、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約等からの借入により資金調達を行っております。 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注高は209,721百万円(前連結会計年度は238,968百万円)、完成工事高は216,938百万円(前連結会計年度は198,045百万円)、セグメント利益は7,938百万円(前連結会計年度は7,678百万円)となりました。 当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比7,644百万円(4.1%)増加の192,052百万円となりました。 工事分類別では、前事業年度に比べ「販売用一般住宅」、「工場」が増加し、「流通施設」、「宿泊施設」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事が減少、民間工事が増加となりました。 利益率は、前事業年度比0.1ポイント改善し、7.2%となりました。 受注高は183,550百万円で、前事業年度比37,831百万円(17.1%)の減少となりました。 中央官庁からの受注は前事業年度比758.8%増加、地方自治体からの受注は同78.5%減少し、官公庁工事の受注額合計では同7.3%減少しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比4.1%減少、東急グループからの受注は同73.3%の減少となり、民間の受注額合計では同17.1%の減少となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度5.8%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事5.4%、民間工事94.6%の構成比となりました。 「住宅」は前事業年度比30.5%減少し、構成比は32.2%となりました。「倉庫・流通施設」は前事業年度比23.5%減少し、構成比は18.4%となり、「事務所・庁舎」は前事業年度比40.9%増加し、構成比は11.4%となりました。 国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比9.4ポイント増加し、国内全体に占める割合は79.6%となりました。 当連結会計年度における受注高は84,635百万円(前連結会計年度は53,828百万円)、完成工事高は61,838百万円(前連結会計年度は57,501百万円)、セグメント利益は1,106百万円(前連結会計年度は6,148百万円のセグメント損失)となりました。 当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比3,438百万円(6.0%)増加の60,325百万円となりました。 工事分類別では、前事業年度に比べ「道路」、「河川・海岸堤防」が増加し、「事業用水道」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事、民間工事ともに増加となりました。 利益率は、前事業年度における施工中工事の施工不良に伴う損失見込み額計上等からの反動等により、前事業年度比11.9ポイント回復し、5.7%となりました。 受注高は84,242百万円で、前事業年度比30,960百万円(58.1%)の増加となりました。 中央官庁からの受注は前事業年度比70.0%増加、地方自治体からの受注は同64.2%増加し、官公庁工事の受注額合計では同69.1%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比114.9%増加、東急グループからの受注は同46.6%の減少となり、民間の受注額合計では同38.3%の増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度5.7%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事68.8%、民間工事31.2%の構成比となりました。 「鉄道」は前事業年度比251.5%増加し、構成比は44.0%となりました。「道路」は前事業年度比23.3%増加し、構成比は28.0%となり、「上・下水道」は前事業年度比210.6%増加し、構成比は8.0%となりました。 国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比9.8ポイント増加し、国内全体に占める割合は59.0%となりました。 不動産事業等売上高は10,091百万円(前連結会計年度は2,536百万円)となりました。この主な内容は、販売用不動産の売却等に係るものであります。また、損益面では、2,556百万円のセグメント利益(前連結会計年度は1,770百万円のセグメント損失)となりました。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 該当事項はありません。 セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。 研究開発活動については、「VISION2030」の達成に向け策定した「長期経営計画“To zero, from zero.”」の中で示した、3つの提供価値「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」に関連する技術ならびに、技術革新による「④まちづくり、⑤品質向上、⑥生産性向上、⑦安全性向上」につながる技術の開発と実用化を、技術戦略基本方針に基づき推進しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。 更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。また、複数の大学と産学連携に関する包括契約を締結しております。 当連結会計年度における研究開発費は、1,177百万円であります。 主な研究開発成果は次のとおりであります。 当社は、関東宇部コンクリート工業㈱「溝の口工場」と共同で、電気炉酸化スラグ細骨材を用いた環境配慮型コンクリート「E-PEC」でJIS認証を取得しました。 「E-PEC」は、天然資源である砕砂等の代替材として電気炉酸化スラグ細骨材を使用することで、骨材天然資源の保護に貢献します。また、強度を確保した上でセメント使用量を低減できるため、CO2の削減(最大約10%)にも貢献する環境配慮型コンクリート(資源保護・低炭素)であります。さらに、電気炉酸化スラグ細骨材の粒子形状は球形であることから、コンクリートの流動性が向上し施工性が改善することに加え、単位水量も低減できるため乾燥収縮によるひび割れの低減や中性化の抑制等の高耐久化が望めます。建物の部位ごとに要求される施工性や耐久性に応じた最適な骨材使用率を調整することで、最適なコンクリート品質の確保を可能としております。「E-PEC」は、環境配慮性に加え、施工性や耐久性にも優れており複数のメリットがあることから、関東宇部コンクリート工業㈱「溝の口工場」において、当社以外の建設会社でも採用できるように供給を開始する予定です。 当社は「脱炭素」「廃棄物ゼロ」の実現に向けて、「E-PEC」の社内活用を推進すると共に、同技術の業界普及を目指してまいります。 当社と㈱カテックスは、多量湧水が想定される断層破砕帯や河川近接施工等におけるトンネル工事での多量湧水に対応する注入技術を開発いたしました。これにより、切羽からの多量湧水による掘削中断・遅延を回避し、地山注入改良時の施工性改善に加え、環境にも配慮した確実な地山改良効果が期待できます。 本技術は、ゴム膨張型のパッカー部分と止水ウレタンが滲出する布製パッカー部分との2段階構成により、先受け鋼管内に予め設置する注入管(インサートホース)をパッカーの外側に配置しても、注入機能とパッカー機能が両立するため、口元の止水性が発揮できます。また、本技術を用いることで、湧水とともに注入材が流出することを抑制できるため、河川の汚染防止及び地山改良効果の向上が期待できます。 本技術を用いた実証実験では、長尺鋼管先受け工の注入作業時に、250L/min./孔の多量湧水が生じた条件において、注入材の流出を抑制するとともに地山改良効果、止水・減水効果を確認いたしました。 なお、本技術は、「パッカー及びそれを用いた地山補強工法」として2022年5月に特許を取得しております。また、湧水を制御しながら止水ウレタンを注入する製品の販売は、「H2パッカー工法」として2023年4月から㈱カテックスより販売を開始しております。 当社が開発したトンネル全断面点検システム「iTOREL」は、これまで人が行っていたトンネル点検に代わり、覆工コンクリートのひび割れと浮きを自動検出するひび割れ検出ユニット、打音検査ユニットによって、定量的かつ経時的な変化も把握可能な点検データが取得できるだけでなく、点検から帳票作成までの作業効率を向上させることで、点検業務の効率化・高度化が可能となるシステムです。千葉県内の国道127号勝岩トンネルで行った現場試行では、点検作業に必要な人数が最大4割削減、帳票作成などの内業時間が18.5%削減可能であることを確認しました。 また、本システムの実用性が評価され、国土交通省関東地方整備局の「現場ニーズと技術シーズのマッチング」において、標準化推進技術に指定され、第10回ロボット大賞では優秀賞(社会インフラ・災害対応・消防分野)を受賞しました。 今後、当社がお客様への提供価値の1つとして掲げる「防災・減災」の取り組みの一環として、トンネル点検を実施する企業と連携して、トンネル全断面点検システム「iTOREL」の社会実装を進めてまいります。 当社と旭コンクリート工業㈱が共同開発した「PPCa ボックスカルバート」(※)は、側壁および頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法です。本工法では、部分的にユニット化したプレキャスト部材のみを工場で製作し、現場でコンクリート打設することで施工機械の制約内で施工を行うことを可能としました。現場での型枠・支保工を大幅に削減することができ、従来の現場打ちと比較し、内空7.0m・内高5.2m・延長10m のボックスカルバートの場合、約35%の工期短縮が可能となりました。 本工法は、2021年6月に先端建設技術・技術審査証明を取得後、R2国道246号渋谷駅周辺地下道工事(以下、本工事)にて初適用となりました。本工事は、渋谷駅西口から桜丘方面の歩行者・車両の利便性向上のため、国道246号の直下に地下車路、地下歩道を構築するものです。このうち、地下車路の約22mにおいてボックスカルバートを構築しました。今後、地下歩道の約25mのボックスカルバートの構築においても、本工法による施工を計画しております。 当社は、杭施工において、デジタル技術を活用したコンクリート打設管理装置を開発し、場所打ちコンクリート杭の品質確保に必要なコンクリート天端高さの計測業務を効率化しました。 当装置は、先端に錘を付けたワイヤーや自動巻取り装置などで構成され、打設中のコンクリートの天端高さを随時自動計測します。当装置により、計測されたデータがリアルタイムで遠隔地にも共有されることから、複数人によるチェックを現地で行う必要がなくなり、事務所や店社からのリモート管理が可能となります。さらに、これまでは技能労働者による目視・手作業を頼りに行ってきた管理業務が自動化されたことにより、経験が浅くても計測ができるようになりました。 今後当社では、より直感的に打設状況が分かるようなウェブアプリの開発を進め、それを用いた現場実証を進めてまいります。当社は、今後も品質管理を重視し、デジタル技術などの最新技術を取り入れた業務改善に取り組んでまいります。 当社は、建築物のライフサイクル全体を通じたエネルギーマネジメント/CO2削減へのファーストステップとして、BIMを活用した新たなエネルギーシミュレーションツール「TC-BES(Tokyu Construction-Building Energy Simulator)」を開発しました。2022年度より開始した試験導入の結果を踏まえ改善を行い、2023年度より実案件での試行を開始します。 2021年4月の「建築物省エネ法」改正など、脱炭素社会に向けた取り組みが推進される中、建設業が取り組むCO2削減対策の一つとしてZEB普及が挙げられますが、その実現に向けては、設計初期段階で建築物のエネルギー消費量低減に関する検討を行う必要があります。当社は、設計初期段階における一次エネルギー消費量を含む、各種エネルギー消費量低減のケーススタディーを、複数案比較・改善可能なシミュレーションツールの開発を行いました。 本ツールは、BIMから生成したエネルギーモデルと、当社が過去に携わったZEB案件のデータベースを利用し、「Open Studio」(エネルギー消費性能計算プログラム)にて解析を行う一連のフローを自動化することで、短時間で簡易に最適なZEB提案をすることが可能となります。 当社では、「長期経営計画“To zero, from zero.”」で、「3つの提供価値」のひとつに「脱炭素」を、また「競争優位の源泉」では「デジタル技術」を掲げております。本取組は、その両領域、建築事業の脱炭素・デジタルシフトを加速させるためのものであり、今後お客様のニーズに即した最適なZEBを迅速に提案してまいります。 当社が参加する、「P&UA構法共同技術開発グループ(※)」による本構法を用いて作成した木造10階建て共同住宅のモデルプランが、一般社団法人日本建築センターの評定を2022年10月14日に取得しました。 本構法は、一方向ラーメン構造と耐力壁を木造で架構するもので、新たに開発した「GIUA」と「シアリングコッター耐力壁」を用いることで、高耐力・高剛性・高靭性を実現します。 「GIUA」(㈱市浦ハウジング&プランニングによる特許出願済)は、中大規模木造で一般的な接合構法であるGIR(Glued-in Rod)に、鋼棒をあえて接着させないアンボンド部分を設けた接合構法であります。工場での施工となるため、現場施工の省力化が図れます。 「シアリングコッター耐力壁」(㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計による特許出願済)は、木質パネルを上下に並べ、パネル間に設けた切り込みにL型の鋼材(コッター)を組み合わせ差し込んで接続した耐力壁で、優れた変形性能とエネルギー吸収性能を有しております。 2030 年を目標とする東急建設グループの長期経営計画では、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を3つの提供価値として、経営の軸に定めています。そのうち「脱炭素」については、中大規模木造木質建築を推進することを戦略の一つに掲げ、木造木質ブランド「モクタス」を展開しております。 本構法は、中大規模木造建築物の設計施工を推進するうえで必要な技術であり、「モクタス」ブランドのラインナップに加えることで、さらなる展開を進めてまいります。当社は、今後お客様の期待にお応えできるよう、本構法の採用実績を積むとともに、他の建物用途への展開も視野に入れ取り組んでまいります。 当社は、木造準耐火構造技術である「モクタスWOOD(※)(準耐火)はり」の1時間準耐火構造及び、75分準耐火構造の大臣認定(大臣認定番号 QF060BM-0010 及び QF075BM-0010-1)を取得いたしました。 本技術は、木質荷重支持部材に耐火被覆(燃えしろ)として木質被覆材を張る(木(モク)に木(モク)を足す(タス))ことで構成された木製のはり(梁)で、2020年8月に1時間準耐火構造の大臣認定を取得した「モクタスWOOD(準耐火)柱」に続く技術です。また、木質被覆材は特殊な処理をせず一般的な木材が使用できるため、納期が早く安価であります。 今回の認定により、準耐火建築物において、柱はりに本技術を使用することで木現し(もくあらわし)の空間をご提供できることとなりました。なお、本技術は特許第7119151号として認められております。 当社は、木の心地よさを広く社会に伝えるとともに、今後も、脱炭素社会実現に向けて取り組んでまいります。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。 研究開発活動は、特段行われておりません。
株式会社関西ゴルフ倶楽部
# 株式会社関西ゴルフ倶楽部 1990年12月 関西ゴルフ倶楽部開場。 2003年1月 大松産業㈱の会社分割により、三明㈱を設立し、関西ゴルフ倶楽部及びゴルフ練習場を承継。 2010年11月 大阪地方裁判所に対して民事再生手続開始申立民事再生手続開始決定及び保全処分発令を受ける。 2011年7月 民事再生計画の認可決定。 2011年8月 民事再生計画の認可決定確定。 2011年9月 優先株式698,720千円を第三者割当として発行し、内349,360千円を資本金に組入れ、残額349,360千円を資本準備金とした。 2011年9月 リゾートトラストゴルフ事業㈱に対して普通株式5,200株の第三者割当増資を行い、金額26,000千円の内13,000千円を資本金に組入れ、残額13,000千円を資本準備金とした。 2011年9月 松本豊行他親族所有の普通株式4,800株をリゾートトラストゴルフ事業㈱が譲受け、リゾートトラストゴルフ事業㈱が、企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」の適用により、当社の親会社となる。 2011年9月 三明㈱より㈱関西ゴルフ倶楽部に商号変更。 2012年3月 無償減資を行い、資本金を100,000千円とした。 2012年6月 優先株式886,500千円を一般募集により発行し、内443,250千円を資本金に組入れ、残額443,250千円を資本準備金とした。 2012年12月 優先株式201,000千円を一般募集により発行し、内100,500千円を資本金に組入れ、残額100,500千円を資本準備金とした。 2013年3月 無償減資を行い、資本金を100,000千円とした。 2013年6月 優先株式283,500千円を一般募集により発行し、内141,750千円を資本金に組入れ、残額141,750千円を資本準備金とした。 2013年12月 優先株式153,750千円を一般募集により発行し、内76,875千円を資本金に組入れ、残額76,875千円を資本準備金とした。 2014年3月 無償減資を行い、資本金を100,000千円とした。 2014年6月 優先株式174,000千円を一般募集により発行し、内87,000千円を資本金に組入れ、残額87,000千円を資本準備金とした。 2014年12月 優先株式70,500千円を一般募集により発行し、内35,250千円を資本金に組入れ、残額35,250千円を資本準備金とした。 2015年3月 無償減資を行い、資本金を100,000千円とした。 2015年6月 優先株式38,250千円を一般募集により発行し、内19,125千円を資本金に組入れ、残額19,125千円を資本準備金とした。 2015年12月 優先株式34,500千円を一般募集により発行し、内17,250千円を資本金に組入れ、残額17,250千円を資本準備金とした。 2016年3月 無償減資を行い、資本金を100,000千円とした。 2016年6月 優先株式13,500千円を一般募集により発行し、内6,750千円を資本金に組入れ、残額6,750千円を資本準備金とした。 2016年12月 優先株式6,000千円を一般募集により発行し、内3,000千円を資本金に組入れ、残額3,000千円を資本準備金とした。 2017年3月 無償減資を行い、資本金を100,000千円とした。 2017年6月 優先株式3,750千円を一般募集により発行し、内1,875千円を資本金に組入れ、残額1,875千円を資本準備金とした。 2017年12月 優先株式7,500千円を一般募集により発行し、内3,750千円を資本金に組入れ、残額3,750千円を資本準備金とした。 2018年3月 無償減資を行い、資本金を50,000千円とした。 2018年6月 優先株式7,500千円を一般募集により発行し、内3,750千円を資本金に組入れ、残額3,750千円を資本準備金とした。 2019年4月 リゾートトラストゴルフ事業㈱へゴルフ場の運営を委託。 2019年6月 優先株式10,500千円を一般募集により発行し、内5,250千円を資本金に組入れ、残額5,250千円を資本準備金とした。 2020年6月 優先株式14,250千円を一般募集により発行し、内7,125千円を資本金に組入れ、残額7,125千円を資本準備金とした。 2021年6月 優先株式18,000千円を一般募集により発行し、内9,000千円を資本金に組入れ、残額9,000千円を資本準備金とした。 2022年6月 優先株式46,500千円を一般募集により発行し、内23,250千円を資本金に組入れ、残額23,250千円を資本準備金とした。 当社グループは、当社、親会社(リゾートトラスト株式会社及びリゾートトラストゴルフ事業株式会社)で構成されており、当社はゴルフ場の管理を行っております。なお、親会社であるリゾートトラストゴルフ事業株式会社にゴルフ場の運営を委託しております。 当社及び当社の親会社の事業における当社及び親会社の位置付けは、次のとおりであります。 ゴルフ場の概況は次のとおりであります。 2  当社は、ゴルフ場事業の単一セグメント・単一事業部門であるため、ゴルフ場全体での従業員数を記載しております。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 リゾートトラストグループの「経営理念」は『私たちリゾートトラストグループは新天地開拓を企業精神として「信頼と挑戦」「ハイセンス・ハイクオリティ」「エクセレントホスピタリティ」を追求し、お客様のしなやかな生き方に貢献します』と定めております。さらに経営理念を社員一人ひとりに浸透していくために各事業で「行動規範」と「目指す姿」が定められております。 ゴルフ事業では「私たちが第一に考えるお客様とは、ゴルフを愛する皆様です。」を行動規範とし、「唯一無二の一流ゴルフ事業集団」を目指す姿としております。 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は経常利益でありますが、安定的な黒字化を達成することを経営上の目標としておりますので、具体的な目標経常利益額の公表はいたしておりません。 当事業年度におけるわが国経済は、全体的に緩やかに持ち直しており、個人消費も同様に緩やかに持ち直して企業収益も総じて改善しているものの、そのテンポは緩やかな状況が続きました。 今後の日本経済は、新型コロナウイルス感染症への感染対策が、ウィズコロナへ移行している中で、各種政策の効果もあって景気が持ち直していくことが期待されます。 このような見通しの中、真のメンバーシップゴルフコースとして、エクセレントホスピタリティ実現の為、サービス・施設環境・コースコンディションの提供体制をしっかりと構築して参ります。 コロナ禍が落ち着き規制緩和等も広がる中、少しずつ人々の娯楽への幅も広がり、ゴルフ場環境の優位性は下がりつつあるかもしれませんが、会員様としっかり向き合い、声を聴き、さらなるお客様満足度向上に努め、関西屈指の名門として認知される安定したブランド力と会員権価値を高めて参ります。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社のガバナンスについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。 当社の重要な戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、当社はゴルフ場の運営、経理総務業務、年会費の集金及び管理業務をリゾートトラストゴルフ事業株式会社に委託しており、従業員が1名であることから該当事項はありません。 当社のリスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 当社の指標及び目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 当社は、上記「(2)戦略」において記載したとおり、人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略を作成していないため、具体的な指標や目標はありません。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 長引く不況、少子高齢化、レジャーの多様化等の影響で、特に青壮年層のゴルフ人口が減少しており、中長期的には来場者数に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、親会社であるリゾートトラストゴルフ事業株式会社との間で、関西ゴルフ倶楽部の運営に関し運営委託契約を締結しています。同ゴルフ場及び練習場の運営全般、経理総務業務及び経営指導等の業務を委託しておりますので、将来契約の更新ができない場合において、事業の継続性に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社の固定資産に対して減損処理が必要であると判断された場合、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社は、事業活動を通じて会員情報やリゾートトラストグループの営業秘密等、多くの情報資産を保有しております。それらの情報管理については、当社及び運営委託会社等の社員への情報セキュリティ教育の実施、サイバー攻撃に対応するソフトやメール誤送信防止システムの導入等の対策を講じております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入、事故等により、万一情報漏洩が発生した場合には、社会的信用の失墜、損害賠償請求等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度におけるわが国経済は、全体的に緩やかに持ち直しており、個人消費も同様に緩やかに持ち直して企業収益も総じて改善しているものの、そのテンポは緩やかな状況が続きました。 このような環境の中、当社がリゾートトラストゴルフ事業株式会社に運営委託している関西ゴルフ倶楽部の業況は、当事業年度の来場者数40,189名(前期比330名減)となりました。会員来場者数は1,550名減少の12,705名(前期比10.9%減)、ゲスト来場者数は1,220名増加の27,484名(前期比4.6%増)となりました。 当事業年度は3年に渡る新型コロナウイルス感染症も落ち着き、全体的にコンペが戻り始め、ゲスト来場者数もコロナ禍前に戻りつつある状況となりました。コロナ禍の影響によりゴルフ業界には追い風が吹き、前期は開場以来最高の来場者数4万名越えを獲得し、当事業年度もその流れを継続でき、来場者数は4万名越えとなりました。 当社の売上高は、年会費収入とリゾートトラストゴルフ事業株式会社からの運営委託手数料と利益配分手数料収入等で構成されており、年会費収入は120,082千円(前期比0.6%増)、運営委託手数料は72,000千円(前期同額)、利益配分手数料収入は12,610千円(前期比39.3%増)、売上高は206,989千円(前期比2.9%増)となりました。 一方、販売費及び一般管理費は185,586千円(前期比5.1%減)となり、この結果、営業利益は21,403千円(前期比282.8%増)、経常利益は36,659千円(前期比62.9%増)、当期純利益は23,203千円(前期比90.8%増)となりました。 前事業年度に比べ、資産は11,993千円増加の2,763,308千円、負債は16,460千円減少の74,394千円、純資産は28,453千円増加の2,688,913千円となりました。 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,358,484千円となり前事業年度末に対して35,607千円増加いたしました。 当事業年度の営業活動における資金の増加は39,900千円(前事業年度は34,979千円の増加)となりました。これは税引前当期純利益を36,527千円、減価償却費を30,477千円計上したこと等によるものであります。 当事業年度の投資活動における資金の減少は9,044千円(前事業年度は3,079千円の減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が9,057千円あったこと等によるものであります。 当事業年度の財務活動における資金の増加は4,751千円(前事業年度は46,686千円の増加)となりました。これは株式の発行による収入が4,751千円あったことによるものであります。 当社はゴルフ場の管理を行っている会社のため、生産実績及び受注実績については該当事項はありません。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の経常利益は36,659千円となり、経営上の目標である黒字を達成しております。 当事業年度末の資産合計は2,763,308千円となり、前事業年度末と比較し11,993千円の増加となっております。これは主に、現金及び預金が134,392千円減少する一方で関係会社短期預け金が170,000千円増加したこと等によるものであります。 当事業年度末の負債合計は74,394千円となり、前事業年度末と比較し16,460千円の減少となっております。これは主に、未払法人税等が9,777千円減少したこと等によるものであります。 当事業年度末の純資産合計は2,688,913千円となり、前事業年度末と比較し28,453千円の増加となっております。これは、当期純利益23,203千円があったこと等によるものであります。 経営成績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 当社の資本の財源及び資金の流動性については、既存施設の維持・管理を目的とした設備投資に必要な資金及びその他の所要資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、必要に応じてグループ会社からの借入等による資金調達を行うこととしております。 なお、当事業年度末における有利子負債の残高はなく、現金及び現金同等物の残高は1,358,484千円となっております。キャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会社の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。
株式会社ファミリーマート
# 株式会社ファミリーマート ㈱西友ストアー(現・㈱西友)が、フランチャイズ・システムによるコンビニエンスストア事業を開始。 当社の前身の㈱ジョナス(当時休眠会社)が、㈱西友ストアーから営業と資産の譲渡を受け、商号を㈱ファミリーマートに変更し事業を開始。 沖縄県に㈱沖縄ファミリーマートを設立。 東京証券取引所の市場第二部に株式上場。 台湾に全家便利商店股份有限公司を設立。 東京証券取引所の市場第一部銘柄に指定。 鹿児島県に㈱南九州ファミリーマートを設立。 ㈱ファミマ・ドット・コム(現・㈱ファミマデジタルワン)を設立。 全家便利商店股份有限公司が台湾店頭市場において株式を店頭公開。 中国・上海市に上海福満家便利有限公司を設立。 中国・広州市に広州市福満家便利店有限公司(現・広州市福満家連鎖便利店有限公司)を設立。 中国・蘇州市に蘇州福満家便利店有限公司を設立。 ㈱エーエム・ピーエム・ジャパンを株式の取得により完全子会社とする。 ㈱エーエム・ピーエム・ジャパンを吸収合併。 ㈱エーエム・ピーエム・関西を吸収合併。 中国・杭州市に杭州頂全便利店有限公司を設立。 中国・成都市に成都福満家便利有限公司を設立。 ㈱シニアライフクリエイトの株式を取得。 中国・深圳市に深圳市頂全便利店有限公司を設立。 中国・無錫市に無錫福満家便利店有限公司を設立。 中国・北京市に北京頂全便利店有限公司を設立。 中国・東莞市に東莞市頂全便利店有限公司を設立。 ㈱ココストアを株式の取得により完全子会社とする。 ㈱ココストアを吸収合併。 ユニーグループ・ホールディングス㈱を吸収合併し、ユニー・ファミリーマートホールディングス㈱に商号変更。ユニー㈱、㈱サークルKサンクスを含むユニーグループと経営統合する。コンビニエンスストア事業を㈱サークルKサンクスに承継し、㈱サークルKサンクスは㈱ファミリーマートに商号変更。 名古屋証券取引所の市場第一部に株式上場。 ユニー㈱の発行済株式の40.0%を㈱ドンキホーテホールディングス(現・㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)に譲渡。 ユニー㈱の全株式を㈱ドンキホーテホールディングス(現・㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)に譲渡。 完全子会社である㈱ファミリーマートを吸収合併し、㈱ファミリーマートに商号変更。 名古屋証券取引所市場第一部の上場を廃止。 伊藤忠商事㈱の子会社であるリテールインベストメントカンパニー(同)による当社株式の公開買付けと株式併合に伴い、東京証券取引所市場第一部の上場を廃止。 全家便利商店股份有限公司の発行済株式の5.0%の譲渡を完了。 ㈱ゲート・ワンを設立。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ファミリーマート)、子会社14社、関連会社及び共同支配企業18社の計33社により構成されており、コンビニエンスストア事業及びその周辺事業等を展開しております。 2023年2月28日現在の当社グループの事業内容及び事業に係る各社の位置付けは以下のとおりであります。 該当事項はありません。 当社は、伊藤忠商事株式会社及びその関係会社から構成されている伊藤忠グループに属しており、同社より商品供給体制に対するアドバイス・サポートなどの協力を得ております。 FamiPay事業の運営機能の支援などを行っております。 役員の兼任あり。 チケット販売管理システムの提供などを行っております。 店舗に設置したデジタルサイネージへのコンテンツ配信などを行っております。 役員の兼任あり。 台湾におけるエリアフランチャイザーであります。 沖縄県におけるエリアフランチャイザーであります。 役員の兼任あり。 鹿児島県及び宮崎県におけるエリアフランチャイザーであります。 役員の兼任あり。 中国・上海市におけるエリアフランチャイザーであります。 中国・蘇州市におけるエリアフランチャイザーであります。 中国・杭州市におけるエリアフランチャイザーであります。 顧客に対するクレジット決済機能及びポイントサービス機能の提供を行っております。 店舗で販売するミネラルウォーターのペットボトル飲料を製造しております。 コンビニエンスストア事業の商品供給体制に対するアドバイス・サポートなどの協力を得ております。 当社グループの労働組合には、「ファミリーマートユニオン」が組織されております。 なお、労使関係については円滑に推移しており、特記すべき事項はありません。 当社グループは、加盟店とともに、それぞれの地域のお客様に寄り添いながら地域社会に貢献し、さらなる事業の成長へ向けて生活に欠かすことのできない存在となることを目指しております。 当社グループは店舗の収益力向上を目指し徹底した業務改革により店舗の高質化を目指すことで、親会社所有者帰属利益の向上に努めております。 小売業界を取り巻く環境は、活動制限の緩和に伴い人流が回復し、消費マインドの持ち直しの動きがみられるものの、ロシア・ウクライナ情勢を発端とした食糧やエネルギー資源価格の高騰、円安等の影響やインフレによる消費マインド低下の懸念、業界・業態の垣根を越えた競争環境の出現や、新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式と消費行動の変容と定着、SDGsに対する関心の高まりと広がり、少子高齢化・人口減少に伴う働き手不足・人件費高騰等、依然として先行き不透明な要素に影響を受けることが見込まれます。社会生活の変容に伴い消費者ニーズも多様化しており、新たな発想による商品・サービスの創造が求められていることに加え、環境問題への対応等、企業の社会的責任が増大しております。 ファミリーマートは日本発祥のコンビニエンスストアとして創業以来、ライフスタイルの変化に対応しながらさらなる成長を目指し事業展開してまいりました。2022年度より、当社グループは、生活に欠かすことのできない存在となることを目指し、中期経営計画を実行しております。経営資源を集結して、中長期的な事業の成長に向けた業務改革と新たなビジネス構築を推進し、以下の取組みを実行してまいります。 2022年度から2024年度を「再成長を実現する3年間」とするべく、コスト構造改革、デジタルの最適活用、独自性のあるSDGsへの対応を強く推進しつつ、当社の強みである店舗基盤・ブランド・顧客基盤からなる『CVS事業の基盤強化』と、『基盤を活用した新規ビジネス拡大』により、新しい成長の好循環を実現し、事業全体の変革に取り組んでまいります。 当社にとって根幹のビジネスであるコンビニエンスストア事業の強み(「店舗基盤」「ブランド」「顧客基盤」)をさらに強化することで、お客様により優良な顧客体験価値を提供することを目指します。 「店舗基盤」については、AIを活用した店長業務のサポートや、飲料自動陳列ロボットの導入など、新しい技術を取り入れ、店舗の省力化・省人化に向けた検証や開発を実施しております。また、デジタルを活用した出店精度の向上による強い店舗網の構築や、無人決済店舗などの新しい出店フォーマットにより、出店可能な立地や地域を拡大してまいります。さらに、店舗数と売場面積を広げていくことで、新たな市場の獲得も推進してまいります。 「ブランド」については、お客様とのリアルな接点である店舗のQSC(クオリティ・サービス・クリンネス)レベルのさらなる向上を継続的に行うとともに、プライベートブランド「ファミマル」の育成や、営業・商品・マーケティングの連携強化によりさらなる看板商品の開発と定番商品の強化を行い、お客様へのファミリーマートらしいコミュニケーションも強化してまいります。 「顧客基盤」については、店舗に次ぐ顧客接点であるとともに、デジタルの顧客接点でもあるファミマのアプリ「ファミペイ」を強化し、お客様とのより密接なコミュニケーションを実現することに加え、顧客データの分析に基づいたお客様へのアプローチを強化し、さらに強固な顧客基盤を作ってまいります。 ファミリーマートの再成長に向け、CVS事業基盤を活用した新規ビジネス(「広告・メディア」「金融」「デジタルコマース」)について、収益化を加速させてまいります。 「広告・メディア」については、デジタルサイネージ設置による店舗メディア化の加速や、様々な自社メディアと顧客データの分析を組み合わせた、ファミリーマート独自の広告モデルの開発と提案を推進してまいります。 「金融」については、「ファミペイ」のさらなる利便性向上の取組みとして、2021年に新たに開始した「ファミペイ」アプリサービス「ファミペイ翌月払い」と「ファミペイローン」の拡大に加え、その他の金融サービスの開発に取り組んでまいります。 「デジタルコマース」については、ファミリーマートが持っている店舗網や配送網、商品等のリアルの事業基盤を活かし、店舗を中心としたデジタルコマース事業の創出に取り組んでまいります。 これら新規事業の収益化を加速させ、獲得した収益を店舗に投資することで再成長の好循環を生みだし、さらなるCVS事業の強化を実現してまいります。 中長期目標「ファミマecoビジョン2050」の達成に向けては、引き続き「温室効果ガス削減」「プラスチック対策」「食品ロスの削減」の取組みを推進してまいります。SDGs等の取組みに関してはご家庭の余剰食品などをファミリーマート店舗へお寄せいただき、地域の自治体やNPOなどの協力パートナーを通じて支援が必要な方に提供する「ファミマフードドライブ」や、店舗スペースを活用し、近隣のこども等を対象に食事を通じて地域の活性化を図る「こども食堂」等、当社ならではの取組みをより一層推進してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、各リスクが顕在化する可能性の程度や時期については合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社では、これらのリスクに対処するため、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクの監視及び管理を行っておりますが、これらのすべてのリスクを完全に回避するものではありません。また、当社グループ会社においても、この活動を推進しております。 なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループは、主としてコンビニエンスストア事業を国内・海外で展開しております。そのため、国内及び事業を展開している国又は地域における業界・業態の垣根を越えた競争環境の出現や、新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式と消費行動の変容と定着、インフレによる消費マインド低下の懸念等の経済情勢の変化により、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、主たる事業であるコンビニエンスストア事業において、消費者向けに主として食品の販売を行っております。ロシア・ウクライナ情勢を発端とした食糧やエネルギー資源価格の高騰、高止まりによる商品仕入価格の値上げや、光熱費等の店舗運営に関わる費用の増加などの直接的又は間接的な影響により、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、経営資源を結集し、中長期的な事業の成長に向けた業務改革と新たなビジネス構築を推進してまいります。詳細は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。 大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、今後も、中長期的に継続するとともに規模の拡大が懸念されております。当社グループが事業展開している国内・海外において、このような大規模な自然災害、事故、火災、テロ、戦争、新型コロナウイルス等による感染症の蔓延などの災害が発生した場合には、将来の当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、大規模災害時及び感染症発生時の事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、防災訓練等の対策を講じており、グループ会社においても個々に各種対策を講じております。また、当社は、災害対策基本法に基づき、国の定める指定公共機関として防災業務計画を策定しております。災害予防、災害緊急対策など災害発生時の体制を確立し、災害が発生した際は、関連機関と連携協力し、防災業務の的確かつ迅速な実施に努めます。 しかしながら、自然災害及び感染症の被害発生時には、その被害を完全に回避できるものではなく、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、主たる事業であるコンビニエンスストア事業において、フランチャイズ方式を採用し、加盟者に対し、当社が開発・保有する「ファミリーマート・システム」を提供し、「ファミリーマート」の店舗名でチェーン展開を行っております。加盟者と当社グループは、共存共栄の関係であり、共に成長・発展しながら、日々お客様に利便性をご提供していくことを目指しております。 フランチャイズ方式では、当社グループと加盟者の互いの信頼と協調が不可欠であり、当社グループと加盟者との信頼関係が損なわれたり、個人消費の減速、人件費・賃料・水道光熱費等の高騰等により加盟者の収益性が悪化し、事業継続が困難となることなどにより、多くの加盟者との間で加盟(フランチャイズ)契約が終了する事態が発生した場合、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、中期経営計画に掲げた「再成長を実現する3年間」の1年目として、当社の強みである「店舗基盤」「ブランド」「顧客基盤」からなる『CVS事業の基盤強化』と『基盤を活用した新規ビジネス拡大』により、新しい成長の好循環を実現するとともに、コスト構造改革、デジタルの最適活用、独自性のあるSDGsへの対応を推進するなど、事業全体の変革に取り組んでまいりました。詳細は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照ください。 また、ファミリーマート・システムを侵害する行為や、加盟者、取引先による法令違反、不祥事等により、各種取引の停止やチェーンの信用失墜等が発生した場合、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、主たる事業であるコンビニエンスストア事業において、消費者向けに主として食品の販売を行っております。また、食品以外にも衣料や日用品等、消費者の生活にかかる商品も提供しております。万一、これらの商品において食中毒や異物の混入、表示違反、リコール等の重大な商品事故等が発生した場合、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループといたしましては、品質管理基準を設定し、取引先とともに製造から販売まで一貫した品質管理体制を構築すること等により、食品及び他の商品の安全・安心を図っております。 当社グループは、事業展開している国内・海外において、会社法、金融商品取引法、税法、労働基準法(その他労務管理に関わる法令等を含む)、独占禁止法・下請法、その他食品関連法令及び環境等に関する法令等の適用、並びに行政の許認可等を受けております。当社グループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識の上、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っております。 しかしながら、こうした対策を行ったとしても、役員及び従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が棄損されるリスクを回避できない可能性があります。 また、国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定・改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅な変更の可能性も否定できません。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 なお、現在のところ、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりません。しかしながら、当社グループの事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となり、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、国連グローバル・コンパクトが掲げる人権に関する原則を含む10原則への賛同を表明し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」及び「OECD多国籍企業行動指針」への準拠に加え、「国際人権章典」及び「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」を尊重し、私たちの人権尊重に関する基本方針として「ファミリーマート人権方針」を策定しております。 当社及びサプライチェーンや加盟店等のビジネスパートナーの活動がお客様や地域コミュニティを含むステークホルダーの人権に影響を与えうる可能性を認識し、ビジネスパートナー及びその関係者にも本方針を理解し、支持していただくことを期待すると共に、コミュニケーションや情報共有を深めるなど、協働して人権尊重を推進するよう継続的に働きかけてまいります。 しかしながら、予期せぬ事態により当社グループ又はビジネスパートナーで人権問題が発生した場合、当社グループの信用失墜や賠償責任を課されるリスクの他、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、環境・社会に関するグローバルな課題の解決を経営上の重要課題の一つとして位置付け、サステナビリティ推進基本方針を定めるとともに、環境問題をはじめとする社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献するため、2030年及び2050年に向けた中長期目標として「ファミマecoビジョン2050」を策定しました。また、商品取扱・サービス提供及び事業投資案件の法令抵触リスクを含む環境リスクを未然に防止する環境マネジメントシステムの構築、サプライチェーンに対する広範囲なサステナビリティ調査の実施等、リスク管理に積極的に取組んでおります。こうした多岐にわたる気候関連リスク及び機会に適切に対応するため、サステナビリティ委員会を設置し、自然災害や法規制の動向のモニタリングや対応計画の検討、「ファミマecoビジョン2050」をはじめ気候関連の目標設定と実施計画の策定、進捗管理、評価を行っております。 特に喫緊の課題と認識する気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、経済産業省・環境省・金融庁が主導するTCFDコンソーシアムにも参加、気候変動に関するリスクが事業や経営成績に与える影響・対応策についてTCFDの提言に基づき分析を行い、開示を行っております。温室効果ガス排出量はサプライチェーン全体で算出しており、その削減目標は、パリ協定の目指す「2℃目標」に対し、科学的根拠に基づいた「2℃を十分に下回る」目標として「SBTイニシアチブ」により認定されております。 しかしながら、このような対策を行ったとしても、当社グループの事業活動により、環境汚染等の環境・社会に関する問題が生じた場合には、事業の遅滞や停止、対策費用の発生、社会的評価の低下等につながり、将来の当社グループの財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業の過程において、お客様等の個人情報を収集、保有しております。万一、個人情報の漏えい事故等が発生した場合、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループといたしましては、個人情報への不正なアクセス、個人情報の漏えい等を防止するため、一般に信頼性が高いと認められている組織的、人的、物理的、技術的安全管理措置を講じ、個人情報を取扱う従業者に対し、必要かつ適切な監督を行っており、当社及び子会社3社において、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)による「プライバシーマーク」を取得しております。 当社グループは、当社グループ、取引先及び店舗の間に情報システムを構築しております。この情報システムの障害やシステムを悪用した不正等により、業務の遂行等に支障をきたす事態が発生した場合、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループといたしましては、開発計画、開発プロセス、品質への重層的なモニタリングの実施や、設計品質、テストの網羅性を高めるためベンダーと相互牽制をしつつ、一体となって開発を行う態勢を整え、プロジェクトを推進しております。また、情報の取扱いに関する行動規範を定め、高い情報セキュリティレベルを確保することを重要事項と認識し、情報システム運用上の安全性確保のため、サイバーセキュリティリスクも考慮したIT環境の整備、技術的なセキュリティ対策強化及び危機管理対応の徹底に継続して取り組んでおります。 しかしながら、こうした対策を行ったとしても、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏えい、設備の損壊・通信回線のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては、将来の当社グループの財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 国内では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題となっております。主たる事業であるコンビニエンスストア事業において、人手不足による店舗運営の困難化、人件費の高騰による運営コストの上昇、サプライチェーンにおける人員不足などにより事業活動への支障が生じた場合、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、新しい技術を取り入れ、店舗の省力化・省人化に向けた検証や開発を実施しております。 当社グループは、店舗に係る有形固定資産、使用権資産及びのれん等多額の固定資産を保有しております。これらの資産について、現時点において必要な減損等の処理は実施しておりますが、予想を上回る経済情勢等の悪化や業績不振などにより店舗の収益性が著しく低下し、簿価が回収できなくなった場合、新たに減損処理を実施することになり、将来の当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、出店基準に基づく出店意思決定及び店舗損益等の定期的なモニタリングを行い、当該リスクの低減に努めております。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ100億3千4百万円増加(前連結会計年度比2.2%増)し4,614億9千5百万円となりました。 事業利益(注)は販売費及び一般管理費が減少したものの、営業総利益の減少により12億9千3百万円減少(同2.0%減)し640億1千5百万円となりました。 税引前利益は、主に前連結会計年度に全家便利商店股份有限公司の株式の一部譲渡に伴い計上した関係会社株式再評価益等がなくなったことにより883億7千6百万円減少(同64.3%減)し491億5千8百万円となりました。 当期利益は、600億6千5百万円減少(同64.1%減)し336億6百万円となりました。 非支配株主利益を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度より558億9千8百万円減少(同61.9%減)し343億6千1百万円となりました。 資産合計は、前連結会計年度末に比べ449億2千7百万円増加し1兆6,510億9千5百万円となりました。これは主として、使用権資産が増加したことによるものであります。 負債合計は、前連結会計年度末に比べ342億9千2百万円増加し9,710億9千1百万円となりました。これは主として、リース負債が増加したことによるものであります。 資本合計は、前連結会計年度末に比べ106億3千5百万円増加し6,800億4百万円となりました。これは主として、利益剰余金が減少した一方、その他の資本の構成要素が増加したことによるものであります。 これらの結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は41.3%、D/Eレシオ(ネット)は△0.2倍となりました。なお、当社ではD/Eレシオの算定においてリース負債を有利子負債に含めておりません。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は次のとおりであります。 営業活動の結果獲得した現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,185億4千6百万円となり、前連結会計年度に比べ47億3千4百万円増加しております。これは主として、税引前利益が減少した一方、関係会社株式再評価益が減少、預り金の増減額が増加したことによるものであります。 投資活動の結果使用した資金は334億5千2百万円となりました(前連結会計年度は215億1千5百万円の資金獲得)。これは主として、投資の売却、償還による収入が減少したことによるものであります。 財務活動の結果使用した資金は2,052億7千8百万円となり、前連結会計年度に比べ145億5千8百万円減少しております。これは主として、社債及び借入金の返済額が減少したことによるものであります。 以上の結果、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ201億6千6百万円減少し、2,006億2千3百万円となりました。 当社グループは「コンビニエンスストア事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度のセグメントごとの営業収益は以下のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の判断及び見積り」に記載しております。 当連結会計年度(2022年3月1日~2023年2月28日)におけるわが国経済は、行動制限の緩和に伴い人流が回復したことにより経済が正常化に向けて動き出し、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、原材料やエネルギー価格などの上昇に円安等の影響も加わり、厳しい経営環境が続いております。 当社におきましても、新生活様式への需要変化に対応するとともに、それぞれの地域のお客様に寄り添い、地域社会に貢献し、さらなる事業成長を目指し邁進しております。 このような環境の下、当社は、当連結会計年度においては、中期経営計画に掲げた「再成長を実現する3年間」の1年目として、当社の強みである「店舗基盤」「ブランド」「顧客基盤」からなる『CVS事業の基盤強化』と『基盤を活用した新規ビジネス拡大』により、新しい成長の好循環を実現するとともに、コスト構造改革、デジタルの最適活用、独自性のあるSDGsへの対応を推進するなど、事業全体の変革に取り組んでまいりました。 当社にとって根幹のビジネスであるコンビニエンスストア事業の強みをさらに強化することで、お客様により優良な顧客体験価値を提供することを目指しております。 「店舗基盤」については、AIを活用した店長業務サポートの実証実験を125店舗で実施し、店長業務とSV(スーパーバイザー)業務の負荷軽減に向けて取り組んでおります。また、飲料自動陳列ロボットの300店舗への導入拡大を予定するなど、新しい技術を取り入れ、店舗の省力化・省人化に向けた検証や開発を実施しております。加えて、デジタルを活用した出店精度の向上による強い店舗網の構築や、無人決済店舗などの新しい出店フォーマットにより、出店可能な立地や地域を拡大しております。 「ブランド」については、お客様とのリアルな接点である店舗のQSC(クオリティ・サービス・クリンネス)レベルの向上を継続的に実施しております。また、営業・商品・マーケティングの連携強化により、2022年3月に発売し累計販売数2,400万食(2023年2月末時点)を超える「ファミマ・ザ・クリームパン」や、同年6月の発売から3日間で販売累計120万食を突破し、累計販売数1,700万食(2023年2月末時点)の「ファミマ・ザ・クレープ」、2023年2月に発売し発売から3日間で100万食を突破した「ファミチキ×プリングルズ」、累計販売数が1,100万足(2023年2月末時点)を超えた、SNSで継続的に話題を獲得する「コンビニエンスウェア」のソックス等、看板商品の開発と定番商品の強化をすることで日商や客数が伸長しております。同年9月に1周年を迎えたプライベートブランド「ファミマル」も、「おいしい◎うれしい◎あんしん◎」をキーワードに、引き続き品質向上・価値の提供へ取組みを推進しております。 「顧客基盤」については、店舗に次ぐ顧客接点であるとともに、デジタルの顧客接点でもあるファミマのアプリ「ファミペイ」の強化に注力いたしました。2022年7月に3周年を迎えたことを記念し、「毎週金曜日はチャージの日!」、「ポイントカード連携のお買い物で3,000万ポイント山分け」等のキャンペーンを実施した結果、ダウンロード数は順調に推移し、1,500万ダウンロード(2023年2月末時点)を達成いたしました。お客様とのより密接なコミュニケーションを実現することに加え、顧客データの分析に基づいたお客様へのアプローチを強化し、さらに強固な顧客基盤を作ってまいります。 ファミリーマートの再成長に向け、CVS事業基盤を活用した新規ビジネス(「広告・メディア」「金融」「デジタルコマース」)について、取組みを加速しております。 「広告・メディア」については、デジタルサイネージの設置店舗を3,000店(2023年2月末時点)まで拡大し、店舗メディア化の加速や、様々な自社メディアと顧客データの分析を組み合わせた、ファミリーマート独自の広告モデルの開発と提案を推進しております。 「金融」については、「ファミペイ」のさらなる利便性向上の取組みとして、2021年に新たに開始した「ファミペイ」アプリサービス「ファミペイ翌月払い」と「ファミペイローン」の拡大に加え、その他の金融サービスの開発に取り組んでおります。 「デジタルコマース」については、ファミリーマートが持っている店舗網や配送網、商品等のリアルの事業基盤を活かし、店舗を中心としたデジタルコマース事業の創出に取り組んでおります。 これら新規ビジネスの収益化を加速させ、獲得した収益を店舗に投資することで再成長の好循環を生み出しております。 中長期目標「ファミマecoビジョン2050」の達成に向けては、引き続き当社ならではの「温室効果ガス削減」「プラスチック対策」「食品ロスの削減」の取組みを一層推進しております。 「温室効果ガス削減」については、省エネ型機器の導入により、店舗の電気使用量を抑制し、CO2排出の削減を進めております。また、「ファミマecoビジョン2050」にとどまらず、物流配送車のクリーンディーゼル車両の導入推進に加え、新たに水素を活用するFCV化に向けた検討も進めております。 「プラスチック対策」については、2022年4月より手巻おむすびの包材フィルムを、バイオ素材を使用した包材に変更するなど、石油系プラスチックの削減を推進しております。 「食品ロス削減」の取組みについては、消費期限の迫ったおむすびや弁当などの中食商品を値下げするシステムを各店舗で活用することにより、食品ロスの削減を推進しております。ほかにも、ご家庭の余剰食品などをファミリーマート店舗にお寄せいただき、地域の自治体やNPOなどの協力パートナーを通じて支援が必要な方に提供する「ファミマフードドライブ」の活動を推進しており、全国46都道府県2,040店舗(2023年2月末時点)でこの活動を実施しております。コンビニエンスストアならではのインフラを活かし、さらなる「食品ロスの削減」に取り組んでおります。 当連結会計年度末の国内店舗数は16,533店(国内エリアフランチャイザー3社計927店を含む)となりました。海外事業では、東アジアを中心に8,006店となり、国内外合わせた全店舗数は24,539店となりました。 これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は4,614億9千5百万円(前連結会計年度比2.2%増)、事業利益は640億1千5百万円(同2.0%減)、税引前利益は491億5千8百万円(同64.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は343億6千1百万円(同61.9%減)となりました。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、コンビニエンスストア事業における新規出店、既存店改装及び什器・システム機器等の店舗投資によるものであります。 当社グループは現在、運転資金につきましては自己資金により充当し、設備資金につきましては、自己資金のほか設備資金計画に基づく調達計画を作成することにより対応しております。自己資金に不足が生じる場合、リース、伊藤忠グループ金融制度からの借入金による調達を行うこととしております。 なお、海外子会社につきましては、運転資金、設備資金とも、原則として直接現地法人により調達を行っておりますが、必要に応じ、当社が保証を差入れております。 当社とコンビニエンスストア加盟店との加盟契約の要旨は次のとおりであります。 当社の保有するファミリーマート・システムのもとに、当社と加盟者が協力して消費者の生活に手軽で便利な商品を提供することにより、その利便性の向上に応えるとともに、当社と加盟者の相互の信頼と事業の繁栄を実現すること。 当社は、加盟者に商品の仕入の便宜を提供し、ファミリーマート・システムの統一、商品の品揃えの充実を図るため、ファミリーマート店の商品の開発を行うとともに、仕入の相手方企業との間で仕入体制を構築し、加盟者に商品と仕入先を推奨します。加盟者は、当社の推奨する仕入先及びその他の仕入先から商品を仕入れます。 当社は、巡回指導担当者を派遣して、販促活動、売上向上、接客、クリンネス、営業費管理、商品の陳列などに関する助言・指導をする他、各種仕入援助、情報・物流システムや従業員教育用の教材を提供します。 ファミリーマート店において当社の定める範囲で“ファミリーマート”などの商標、その他商品、営業の象徴となる標章(マーク)を使用することが許諾されます。 契約の期間は、ファミリーマート店の開店日の属する月から同月を含め120ヶ月目にあたる月の末日までです。再契約は、契約満了にあたって、加盟者と当社が協議し、再契約の締結を合意した場合新たなフランチャイズ契約を締結します。 加盟者は、ファミリーマート・システム等の提供を受ける対価として、当月の営業総利益に一定の割合を乗じた金額を支払います。 当社は、以下の事業会社との間でエリアフランチャイズ契約を締結しております。 なお、CCHは以下の事業会社との間でエリアフランチャイズ契約を締結しております。 研究開発活動については、当社グループはコンビニエンスストア事業においてオリジナル商品の開発を常に進めておりますが、その他特記すべき事項はありません。
株式会社カヤック
# 株式会社カヤック 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(㈱カヤック)及び連結子会社16社(㈱プラコレ、㈱カヤックアキバスタジオ、㈱鎌倉自宅葬儀社、鎌倉R不動産㈱、ウェルプレイド・ライゼスト㈱、サンネット㈱、㈱八女流、㈱SANKO、マンガデザイナーズラボ㈱、㈱カヤックゼロ、㈱ゲムトレ、㈱カヤックボンド、㈱カヤックポラリス、㈱eSP、ネイティブ㈱、㈱Papillon)と関連会社1社(AI Picasso㈱)によって構成されております。当社は、創業から一貫して「面白法人」のブランド化を進めており、「つくる人を増やす」という経営理念のもとに、受け止めた人の心に驚きや感動をもたらすような様々なインターネットサービスを提供するクリエイティブな企業であることを目的として、事業活動を行っております。 当社グループのサービスは(1)新しいアイデア、新しい技術及びサービスを用いたインターネット広告の制作を受託し、クライアントのマーケティング及びブランディングを支援する「クリエイティブプロデュース」、(2)ソーシャルゲームやハイパーカジュアルゲームの提供及びゲームの受託型開発を行う「ゲームエンタメ」、(3)eスポーツイベントの運営、ゲーム大会管理システムの提供などのゲームファンに向けた一連のコミュニティサービスを提供する「eスポーツ」、(4)地方公共団体や地域企業に対して、まちづくりに関するコンテンツの開発とサービスを行う「ちいき資本主義」を主要なサービスとしております。また、(5)「その他サービス」として、新規サービスの開発及び投資を行っております。 当社グループは、コンテンツ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載せず、主要なサービス毎に記載しております。 当社設立当時からのサービスであり、新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しています。特に、これまでにないユニークな体験がソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、「SNS」という。)上で話題になることで、広告の相乗効果を生むWEBキャンペーンの制作を主力のフィールドとしています。スマートフォンの普及、VR(注1)やAR(注2)などの新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件が増加傾向にあります。VR等の最先端の技術を用いた高付加価値なコンテンツの制作に挑戦することで、最先端の技術・ノウハウが蓄積され、結果として高品質・高付加価値なサービスの提供へとつながっています。 最近は広告領域にとどまらず、クリエイティブ力を活かし、新規サービスをクライアントとともに共同開発する等の新しい試みも実施しております。収益構造としては、キャンペーン、プロモーションを中心としたインターネット広告の制作を、クライアントから直接、もしくは広告代理店を介して、受託しております。 スマートフォン向けにネイティブアプリ(注3)として、ソーシャルゲームを提供しております。アプリの展開先は、主にGoogle Inc.の運営するGoogle PlayやApple Inc.が運営するApp Storeなどのプラットフォームとなっております。ソーシャルゲームは、ユーザーが他のユーザーと協力してゲームを進めるゲーム設計に特徴があるため、シリーズ累計1,000万ダウンロードを超える「ぼくらの甲子園!」シリーズに代表されるようにゲームを通じてユーザー間におけるコミュニケーションを促し、ユーザーが強い仲間意識を感じられることを意識したサービスを提供しております。また、一部のアプリについては、他社と共同して開発することにより、ノウハウ・技術・ブランド等の資産の共有や開発リスクの低減といった協業のメリットを享受する形でのサービスの提供を実施しております。最近では、年齢、国籍、性別、ゲーム歴などを問わない世界中全ての人をターゲットにした当社の「ハイパーカジュアルゲーム」が高い評価を得ており、2022年の世界のアプリダウンロード数ランキングは、2021年に引き続き、日本企業で1位となっております。また、子会社のカヤックアキバスタジオでは、スマートフォンゲームの受託開発、VR・ARコンテンツの制作など行っております。 収益構造としては、自社のオリジナルタイトルの場合、ユーザーは原則無料でサービスを利用することができますが、一部アイテムや機能を有料で提供することで課金収入を得ております。他社と協業でアプリを提供する場合は、当社がアプリを開発するため、開発受託による収益と課金収入のレベニューシェアから構成されております。ハイパーカジュアルゲームにつきましては、ユーザーに対しては原則無料でサービスを提供する一方、アドネットワーク事業者(注4)を通じて表示するゲーム内広告によって広告収益を得ております。 ゲームコンテンツに関連するコミュニティ形成や活性化を支援するサービスを展開しております。子会社のウェルプレイド・ライゼスト㈱を通じて、eスポーツ大会の企画・運営、プロ選手や実況解説者などのタレントマネジメント、自社eスポーツリーグの運営、eスポーツの普及・教育活動などを行っています。他方、ゲーム大会の管理システム「Tonamel(トナメル)」の開発・運営など、ゲームコミュニティの活性化につながるプラットフォームの提供も行っております。eスポーツ市場の拡大に加え、対戦形式の機能拡充にともない、「Tonamel」を用いた大会開催数も増加傾向にあります。また、ゲームのオンライン家庭教師サービスを提供する㈱ゲムトレや、小学生向けeスポーツ教室を運営する㈱eSPを連結子会社化するなど、eスポーツ周辺領域のサービス拡充を図っております。 収益構造としては、eスポーツイベントの企画・運営では、クライアントから直接、もしくは広告代理店を介して、受託しております。「Tonamel」については、ユーザーは原則無料でサービスを利用することができる一方、一部の大会では主催者からシステム利用料を得ております。ゲームのオンライン家庭教師サービス及び小学生向けeスポーツ教室は、ユーザーより入会金及び月額利用料をいただいております。 当社では、地域には地域経済資本、地域社会資本、地域環境資本の3つの資本があると考えています。GDPに代表される経済資本のみならず、人のつながりやコミュニティ、自然や文化を指標化し、充実させていくことによって、持続可能な成長を達成できるとの理念のもと、地域資本の増大に資するサービスを展開しております。具体的には、地域と移住希望者を結ぶ移住プラットフォームの「SMOUT」、地域のつながりづくりのためのコミュニティ通貨サービス「まちのコイン」、鎌倉市内で展開する「まちの社員食堂」や「まちの保育園」などがあります。当社の地方創生への取り組みに対する認知の向上と合わせ、「SMOUT」の登録ユーザー数と「まちのコイン」の導入地域数は増加傾向にあります。また、これらのプラットフォームサービスの提供を契機として、新たな観光資源の発掘や関係人口の創出を支援する地域プロモーションの受託も増加しております。 収益構造としては、「SMOUT」及び「まちのコイン」のシステム導入費や月額利用料、地域プロモーション制作費などを、地方自治体や地域企業から得ています。 その他のサービスとして、オリジナリティを重視したインターネットサービスの開発・運営・販売を行っております。ウェディングプランナーとユーザーをつなぐブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」、湘南エリアの不動産のセレクトショップ「鎌倉R不動産」、福岡県八女市の豊かな自然を流域資本と考え、新しい視点で地域産業を活性化する地域商社「八女流」など、新規サービスの開発及び投資を積極的に行っております。 なお、主要な4つのサービスは、各々が単独で収益を獲得するのみならず、ソーシャルゲーム・ハイパーカジュアルゲームやeスポーツ事業が連携してユーザーの相互送客を実施する、ソーシャルゲーム・ハイパーカジュアルゲームで培ったゲームのノウハウをクリエイティブプロデュースのWEBキャンペーンに利用する、また、クリエイティブプロデュースで培った広告ノウハウを利用し自社ゲームの広告や地域プロモーションを行うなど相互が有機的に結びつきサービス間におけるシナジー効果を発揮しております。 また、複数のサービスを提供しているからこそ、サービス間のシナジーを大切にしており、「SMOUT」や「まちのコイン」のWEBサービスをクリエイティブ力の高いクライアントワークチームで制作する等の事業面でのシナジーはもちろんのこと、人事・採用ノウハウの共有等の組織間のシナジーや、シナジーが起こりやすくする仕組み等の組織体制も構築しております。 当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。 当社より資金援助を受けております。 当社が、債務保証を行っております。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社は、「つくる人を増やす」という経営理念を掲げ、受け止めた人の心に驚きや感動をもたらすような様々なインターネットサービスを提供するクリエイティブな企業であることを目的として、事業活動を行っております。当社グループは、このような経営の基本方針に基づいて事業を展開しながら、企業価値並びに株主価値の増大を図ってまいります。 当社グループが重視する経営指標は、①売上高、②売上高営業利益率及び③クリエイター数であります。収益力の向上を図るとともに規模の拡大を目指してまいります。 当社グループは、日本的面白コンテンツ事業を中心としたインターネットの総合企業となるべく、クリエイター(クリエイティブ力)を軸に、既存事業のさらなる拡大に加え、ユーザーに新しい価値を提供する新規サービスを継続的に立ち上げ、収益化手段の多様化や既存事業とのシナジー創出に取り組み、中長期にわたって持続的に成長する事業ポートフォリオの構築とその土台(仕組み)となる組織戦略を重要な経営戦略として進めることで、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。 また、事業規模の拡大と収益源の多様化を図るため、「面白法人」というブランドコンセプトを活かしたビジネス領域の拡大にも積極的に取り組むと共に、優秀な人材確保・育成のための創造的な職場環境の整備や経営理念の浸透、内部統制やコンプライアンス体制の強化に取り組んでまいります。 当社は、創業以来「面白法人」としてのブランド化を進めてまいりました。これは、「つくる人を増やす」という経営理念や、「何をするかより誰とするか」や「サイコロ給」等のカヤックスタイルに代表されるように、新しい法人の価値観の共有と実践によるものであります。また、地域貢献の一環として鎌倉で社員食堂や保育園を展開する他、地域社会をインターネットで豊かにする取り組みも行っております。「面白法人」ブランドは、当社のこうしたユニークな取り組み等が各種マスメディアで取り上げられる機会が増加するとともに、認知度が徐々に高まりつつあると認識しております。 「面白法人」ブランドの価値向上は、優秀な人材の確保や当社グループの有するコンテンツの強化につながるため、当社グループがさらなる成長をするうえで重要であると考えております。優秀な人材の確保では、当社グループの理念に共感していただいたうえでの採用応募が増えるため、採用力の強化につながります。また、当社グループの有するコンテンツの強化の観点では、当社グループの提供するサービスをまだ利用していない潜在的なユーザーへのマーケティングと既存ユーザーのロイヤリティの向上が可能と考えております。 今後とも「面白法人」らしい様々なサービスの提供と組織制度の構築・運用を実践するとともに、当社グループの活動をコーポレートサイトや各種メディア、書籍等で世の中に継続的に発信しつづけることで、「面白法人」としての当社の知名度を向上させ、コーポレートブランド価値の向上を図っていく方針です。また、「面白く働けているか」というNPS(Net Promoter Score)を重要な経営指標とすること等により「面白法人」としての組織の成長に努めてまいります。 当社グループが属する業界では技術革新が絶え間なく行われており、近年では、スマートフォンやタブレット型端末の普及が進み、関連するマーケットが拡大しております。このような事業環境の下で当社グループが事業を継続的に拡大していくには、スマートフォンに限らず、ハードウェアからソフトウェアまで様々な新技術に適時に対応していくことが必要であると認識しております。社内で新技術に関する勉強会や新技術を用いたプロダクトの発表会を開催することで、新技術に触れる機会を創出するとともに、サービスへの新技術の積極的な活用を促し、新技術への対応を進めております。また、新技術へ対応すること、新たなサービスを生み出すこと等の「変化すること」を人事評価の項目に含めており、組織として、新しいことに常に挑戦する風土・文化の構築に努めるとともに、アイデア発想法の一つである「ブレインストーミング(ブレスト)」を定常的に会議に利用することで新しい技術及びアイデアを生み出しやすい環境の構築に努めております。 当社グループは、主要なサービスとして、「クリエイティブプロデュース」、「ゲームエンタメ」、「eスポーツ」及び「ちいき資本主義」と特性の異なる4つのサービスを展開しております。 広告キャンペーンの制作を中心とした「クリエイティブプロデュース」は、企業の広告予算に影響を受けますが、インターネット関連の広告予算は年々増加しており、当社の追い風となっております。新型コロナウイルスの感染拡大によりリアルでのイベント施策は世界的に大幅な縮小を迫られておりますが、当社では、技術力を活かして、いち早くオンライン施策の提案に切り替えるなどの対応策を実施しております。最近では、Webコンテンツの作成から、企業の研究開発、アミューズメント施設でのイベントの企画、ブランド・マネジメントなどへも事業領域が拡大、安定的かつ継続的に収益を伸ばすことができております。 「ゲームエンタメ」は、ヒットタイトルが生まれることで大きな利益を獲得することができる反面、市場環境の変化、技術の変化、競合企業の出現などに影響を受けやすい傾向があります。そのため、新規タイトルの開発は状況を的確に見極めて慎重な判断を下すとともに、リリースしたタイトルの収益性の向上に努める必要があります。最近では、ハイパーカジュアルゲームの拡大に加え、子会社においてソーシャルゲームの受託開発が伸長しており、グループ全体でのクリエイターのリソース最適化に取り組んでおります。 ゲームファンに向けた一連のコミュニティサービスを展開している「eスポーツ」では、急速に拡大するeスポーツ市場に向けたサービスの拡充に取り組んでおります。ウェルプレイド・ライゼスト㈱が大会の企画・運営、タレントマネジメント等で実績を積み上げ、プレゼンスの向上に努めてまいります。ゲーム大会の開催を簡単にする「Tonamel(トナメル)」では、ユーザー数の拡大に向け、機能強化に取り組んでおります。 「ちいき資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指してまいります。 このように複数のサービスを運営する当社グループでは、クリエイターのリソース配分を最適化することで、ユーザーのニーズ及び市場環境の変化に適切に対応する必要があります。そのため、クリエイター比率が90%を超える組織とするとともに、クリエイターのリソースをサービスの垣根をなくして一元的に管理し、状況に応じて配分を変更するアサインシステムを構築しております。これにより急激な環境変化にスムーズに対応し、最適なリソース配分を実現できるよう努めてまいります。また、リソースの一元管理を行うことで、サービス間のノウハウの共有と経験の多様化も促します。 当社グループは、ユーザーが安心して利用できるサービスを提供することが、信頼性の向上、ひいては事業の発展に寄与するものと認識しております。個人情報保護や知的財産保護等に関するサイトの安全性の強化に加え、利用規約の徹底やサイトパトロール等の体制強化のため、専属の監視チームの設置、監視ツールを開発して、健全性維持に取り組んでおります。 当社グループは、今後もより一層の事業拡大を見込んでおります。そのため、今後当社グループの事業拡大に応じた内部管理体制の構築を図るとともに、金融商品取引法における内部統制報告制度の適用等も踏まえ、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。 また、当社グループの成長速度に見合った人材の確保及び育成も重要な課題と認識しており、継続的な採用活動と研修活動を行ってまいります。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。 過去において、デジタルコンテンツ市場は、インターネット市場の拡大に伴うインターネット利用者の増加やインターネット広告の増加、スマートフォン端末等の新デバイスの普及、SNS等のソーシャルコミュニティの増加により高成長を続けてまいりました。このような傾向は今後も継続していくと考えておりますが、デジタルコンテンツ市場において市場成長が阻害されるような状況が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが提供するデジタルコンテンツは、ユーザー嗜好の変化の影響を受けやすく、また、多数の競合他社が存在します。したがって、ユーザー嗜好に即時対応し、満足度の高いサービス提供を行うため、新規コンテンツの開発ラインを常に維持することやコンテンツのライフサイクルの適正化を図ることで対応してまいります。しかしながら、ユーザー嗜好と乖離した施策を行った場合及び当社グループのデジタルコンテンツが競合他社と比較して優位性を保てなくなった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループはスマートフォンの特徴を生かし、当社グループのゲームアプリを海外で展開しております。海外においてはユーザーの嗜好や法令等が本邦と大きく異なることがあるため、現地法人とのパートナーシップによって当該リスクの低減を図っております。しかしながら、現地ユーザーの嗜好へ十分な対応が図られなかった場合や予測困難なビジネスリスクや法規制等によるリスクが生じた場合には、当社グループの想定どおりに事業展開できない可能性があります。 当社グループの事業領域であるデジタルコンテンツは、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。また、ハード面においては、スマートフォンの普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。このため、当社グループは、クリエイターの採用・育成や創造的な職場環境の整備をするとともに、新技術の知見及びノウハウの取得に注力しております。しかしながら、係る知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。さらには、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があり、これらのような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが運営するサービスのユーザーの個人情報に関しては「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。加えて、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」では、他人のID、パスワードの無断使用の禁止等が定められております。さらに、「特定商取引に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、一定の広告・宣伝メールの送信にあたっては、法定事項の表示義務等を負う場合があります。そのほか、当社グループは「電気通信事業法」における電気通信事業者として同法の適用を受けております。 次に、当社グループが運営するソーシャルゲームは、有料アイテム・コンテンツを購入して利用することが可能であることから「資金決済に関する法律」の適用を受けており、その法律に沿った運用を行っております。また、ユーザーが安心・安全にアプリを利用できる環境を整備するため、一般社団法人ソーシャルゲーム協会より提示された各種ガイドライン等の社会的に要請される自主規制についても順守し、迅速に対応する方針としております。 なお、システム開発やコンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の適用対象となります。 当社グループは、上記各種法的規制等について誠実な対応をしていると考えておりますが、不測の事態等により、万が一当該規制等に抵触しているとして契約等の効力が否定された場合、当社グループが何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化・改正され、もしくは新たな法令等が定められ、当社グループの事業が制約を受ける場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。そのほか、法的規制に違反していないとしても、当社グループのサービスの信頼性やブランドが毀損しサービスの安定的な提供が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、自然災害、事故等に備え、定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止または回避に努めておりますが、当社グループの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルスをはじめ重大感染症が発生・蔓延した場合、大規模にユーザーを集めて行うリアルイベントの開催数が減少し、当社グループの事業及び業績に直接的及び間接的に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、今後も事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、積極的に新規事業・サービスに取り組んでいく方針であります。新規事業・サービスについては企画段階・開発段階にてモニタリング等を実施するとともに、新規事業・収益事業等の事業ポートフォリオのバランスを図ることでリスクの低減を行っておりますが、不確定要素が多く存在する可能性があり、新規事業・サービスの展開が予想通りに進まない場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、新規事業への取り組みに付随したシステム投資・広告宣伝費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。 ハイパーカジュアルゲームは提供開始から数ヶ月~1年程度でピークアウトする傾向が一般的であり、安定的な収益をあげるためには、多数のユーザーを獲得できるタイトルを継続的に提供し続ける必要があります。当社グループは、既存タイトルで培ったノウハウを新規タイトルの開発に利用するだけではなく、複数タイトルを同時並行で開発・運営できる体制を構築しております。しかしながら、開発の遅延等により、多数のユーザーを獲得できるタイトルを継続的に提供できなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業は、携帯電話やPC、コンピューター・システムを結ぶ通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は深刻な影響を受けます。また、当社グループの運営する各サイトへのアクセスの急激な増加、データセンターへの電力供給やクラウドサービスの停止等の予測不可能な様々な要因によってコンピューター・システムがダウンした場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループのコンピューター・システムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、コンピューター・ウイルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、サイトの内容が利用規約に違反していないかを、当社グループで開発した監視ツールを使用し、当社グループの監視チーム及び監視を専門に行っている事業者と協力しながら定期的にチェックする体制を構築することで、表現の健全性の確保に努めております。しかしながら、社会情勢等により、新たな法規制の制定、法解釈の変更がなされ、将来において当社グループが提供するコンテンツが法的規制に抵触することとなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そのほか、法的規制に違反していないとしても、当社グループのサービスの信頼性やブランドが毀損しサービスの安定的な提供が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、事前に商標等の知的財産権について法務部にて調査を行っており、案件によっては顧問弁護士や弁理士等に調査を依頼しております。また、アドバイザリー契約を締結している弁理士による定期的な知的財産に関するチェック体制を整備する等の十分な注意を払っております。しかしながら、今後当社グループが属する事業分野において第三者の権利が成立し、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされるまたは権利に関する使用料等の対価の支払が発生する等の場合、及び当社グループの知的財産が侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。また、個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の運用やクレーム等への組織的な対応を図れる社内体制の整備を行っております。しかしながら、当社グループが保有する個人情報の管理不徹底等の人為的ミスの発生、第三者からの不正アクセスによる情報流出又はシステム障害及び当社グループの提供したサービスの不備等に起因して、訴訟を受ける可能性があります。その訴訟の内容及び結果、損害賠償の金額によっては当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、M&Aを有効に活用してまいる方針です。M&Aにあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味した上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、企業買収等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わります。 当社は、取締役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 また、当社は大和証券株式会社に対して第三者割当による行使価額修正条項付第7回新株予約権及び行使価額修正条項付第8回新株予約権を発行しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 2023年2月末現在でこれらの新株予約権による潜在株式数1,512,700株であり、発行済株式総数15,957,400株の9.5%に相当しております。 当社グループは、地域に根ざした持続可能な新しい資本主義の形として「鎌倉資本主義」を社会に向けて発信し、「まちの社員食堂」、「まちの保育園」をはじめとする「まちの」シリーズを鎌倉市内で展開しております。同事業は当社グループの社員への福利厚生の枠を超え、鎌倉で働き、暮らす人達もサービスの対象とし、当社コーポレートブランド価値の向上にも寄与しております。飲食店の運営につきましては品質・衛生管理、子育て支援施設の運営では安全管理を徹底しておりますが、万一、重大な事故が発生した場合には、損害賠償責任の発生、営業停止、風評被害等によって、当社グループの業績やブランド価値に影響を与える可能性があります。 当社は、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)柳澤大輔、代表取締役CTO(Chief Technical Officer)貝畑政徳及び代表取締役CBO(Chief Branding Officer)久場智喜の3名に、当社の経営方針や事業戦略の決定等の経営の重要な部分を依存しております。当社グループでは過度にこれら3名に依存しないよう、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築などにより、経営組織の強化に取り組んでおりますが、何らかの理由によりこれら3名による業務執行が困難となった場合、当社グループの業務に重大な支障を与える可能性があります。 当社グループがユーザーに支持されるデジタルコンテンツを提供していくためには、優秀な人材を確保することが極めて重要な要素であると考えており、外部からの人材獲得及び社内の人材育成に加え、人材流出を防止するための環境整備を重要課題として取り組んでおります。しかしながら、IT業界での人材獲得競争が非常に激しいことから、必要な人材を必要な時期に十分に確保できない場合や当社グループの有能な人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しており、内部管理体制の充実に努めております。 しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、ユーザーのメールアドレスその他重要な情報を取り扱っているため、情報セキュリティ方針を策定し、役職員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施し、プライバシーマークの認証を取得するなど、情報管理体制の強化に取り組んでおります。 しかしながら、何らかの理由で重要な情報が外部に漏洩した場合には、当事者への賠償と当社グループに対する社会的信頼の失墜、さらなる情報管理体制構築のための支出等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復の兆しが見られ、個人消費や雇用情勢も緩やかな持ち直しの動きが続いています。内閣府は2023年1月の月例経済報告において、景気の先行きについては、感染拡大の防止策を講じる中で、各種政策の効果もあり、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスク、また中国における感染拡大の影響に十分注意する必要があると指摘しております。 また、エネルギー価格の高騰や円安による為替相場の変動等、企業業績を取り巻く環境は厳しさを増し、総じて経済活動は慎重な姿勢が続く動きとなりました。 当社グループを取り巻く事業環境としましては、2021年のスマートフォン保有率が前年比1.8%ポイント上昇の88.6%となり、モバイルでのインターネット環境は引き続き発展を続けております(出所:総務省「令和4年版情報通信白書」)。当社が注力するインターネット広告市場についても、2022年の市場規模は前年比14.3%増の3兆912億円となり、継続して高い成長力を保っております(出所:電通「2022 日本の広告費」)。また、一般社団法人日本eスポーツ連合によれば、国内eスポーツ市場規模は2021年に前年比15.5%増の78.4億円となり、2022年は同48.1%増の116.1億円へ拡大する見込みです。 このような事業環境の中で、当社グループはより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう良質なデジタルコンテンツを提供し続けております。その中でも、クリエイティブプロデュース、ゲームエンタメ、eスポーツ、ちいき資本主義の4つを主要サービスと位置づけ、相互にシナジーを図りながら事業を進めてまいりました。また、その他サービスとして、SNSブライダルプラットフォームなどの新規サービスの開発及び投資を行っております。 重点分野の一つであるeスポーツ事業を担う、当社連結子会社であるウェルプレイド・ライゼスト株式会社(以下、「ウェルプレイド・ライゼスト㈱」)が2022年11月30日に東京証券取引所グロース市場に上場しました。eスポーツ専業の会社として上場することで、社会的な信用・知名度の向上(ブランド力の向上)、優秀な人材の確保、資金調達手段の多様化及びガバナンス体制の強化により事業成長が加速すると考えており、結果として、当社グループの企業価値向上につながると判断しております。 アライアンス面では、2022年5月23日付で株式会社カインズとの資本業務提携契約を締結し、当社よりカインズへ顧客体験の価値向上やプロモーション戦略の提供をするとともに、今後はDXを活用した商品開発、当社グループとカインズの人材交流、カインズのくみまち構想と当社のちいき資本主義の連携により、地方創生とコミュニティづくりの推進など他分野での連携を進めていきます。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は16,502,267千円(前年同期比31.3%増)、営業利益は1,211,707千円(前年同期比6.1%増)、経常利益は 1,219,425千円(前年同期比3.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は783,199千円(前年同期比5.5%減)となりました。 当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別の売上高の概況は次のとおりであります。 新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件が増加傾向にあります。また、当社の企画力、技術力をもとにクライアントの新製品開発を支援する領域にも進出しております。この結果、 クリエイティブプロデュース関連の売上高は、2,677,630千円(前年同期比6.0%減)となりました。 「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マン マッスルショット」、ハイパーカジュアルゲーム、㈱カヤックアキバスタジオでの受託ゲーム開発が売上高の大部分を占めています。ハイパーカジュアルゲームにつきましては、2022年第4四半期に新作タイトル「Number Master」「Draw Action」「Mannequin Downhill」の3本を正式にリリースしました。当四半期は新作タイトルを3本リリースしたこととモバイルゲームのダウンロード数の成長速度が回復基調の兆しをみせたことにより、年間のダウンロード累計数は前年同期比27.3%増の2億6,712万件となりました。また、㈱カヤックアキバスタジオでの受託事業は拡大基調にあります。この結果、ゲームエンタメ関連の売上高は9,198,964千円(前年同期比47.8%増)となりました。 ゲームファンに向けた一連のコミュニティサービスを展開しています。ウェルプレイド・ライゼスト㈱のeスポーツ事業ならびにトーナメントプラットフォームの「Tonamel」が売上高の大部分を占めております。ウェルプレイド・ライゼスト㈱ではオミクロン株の流行もあり、eスポーツ大会等の運営に関する受託案件が軟調に推移しました。一方で、コミュニティに寄り添った運営により、当連結会計年度におけるTonamelの累計大会開催数は前年同期比52.4%増の15,378件となりました。この結果、eスポーツ関連の売上高は、2,773,918千円(前年同期比18.9%増)となりました。なおスマートフォンゲームに特化したコミュニティの「Lobi」は2022年5月31日付で事業譲渡しております。 地方公共団体や地域企業に対して、まちづくりに関するコンテンツの開発とサービスの提供を行っております。移住プラットフォームサービスの「SMOUT」、コミュニティ通貨サービスの「まちのコイン」、地域プロモーションの受託、鎌倉市内で展開するまちづくり事業などのサービスが売上高の大部分を占めております。2022年12月末時点で、SMOUTの累計登録ユーザー数は前年同期比35.4%増の4.63万人となり、順調に拡大しております。「SMOUT」の導入地域数も2022年12月末時点で前年同期比20.3%増の870地域となり、市場の上限である自治体数約1700地域に対しての導入率が51%となりました。また2022年12月末時点での「まちのコイン」の累計登録ユーザー数は、前年同期比154.5%増の5.89万人と、こちらも順調に増加しております。この結果、ちいき資本主義関連の売上高は、468,852千円(前年同期比42.7%増)となりました。 ブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年上半期に業績が悪化した後、緩やかな回復基調にあります。また、2022年2月14日付でメタバース専門部隊をクリエイティブプロデュース事業部より移管して設立しました。この結果、その他サービス関連の売上高は、1,382,901千円(前年同期比66.1%増)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,801,453千円増加し、4,260,012千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは1,766,803千円の収入(前年同期間は489,660千円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,261,840千円の計上、売上債権の減少729,895千円、未払金の増加730,085千円、預り金の増加311,377千円等によるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フローは909,260千円の支出(前年同期間は13,412千円の収入)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出260,468千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出556,673千円等によるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フローは931,599千円の支出(前年同期間は572,148千円の支出)となりました。これは、株式の発行による収入499,931千円、非支配株主からの払込みによる収入217,779千円等によるものであります。 該当事項はありません。 当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,113,839千円増加し、10,966,432千円となりました。主な要因は、株式発行及び新株予約権行使による収入と税金等調整前当期純利益計上による現金の増加1,673,509千円と、売上高の増加に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加742,435千円と、2022年8月26日付で株式会社eSPの株式を取得し子会社化したこと等によるのれんの増加544,111千円であります。 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,365,451千円増加し、5,626,753千円となりました。主な要因は、一年内長期借入金の増加105,204千円と、未払金の増加723,763千円であります。 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1,748,388千円増加し、5,339,679千円となりました。主な要因は、2022年6月13日付で株式会社カインズから第三者割当増資の払込みと新株予約権の行使による資本金の増加336,440千円と資本準備金の増加527,757千円と、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加723,736千円であります。 当連結会計年度の売上高は16,502,267千円(前連結会計年度比31.3%増)となりました。これは、主要サービスであるゲーム関連の売上高がハイパーカジュアルゲームの躍進により大幅な増収となったことに加え、eスポーツ関連業務の拡大により売上高が大きく成長したためであります。 当連結会計年度の営業利益は1,211,707千円(前連結会計年度比6.1%増)となりました。ゲームエンタメとeスポーツが大幅な増収となったものの、事業規模の拡大に伴う外注費・人件費の増加と、グローバルの広告市場の悪化の影響、及び投資領域(eスポーツ・地域関連サービス)への投資を進めた結果、売上高営業利益率は7.3%(前連結会計年度は9.1%)となりました。 当連結会計年度において、助成金収入22,456千円等により営業外収益として36,218千円、支払利息7,727千円及び株式交付費10,700円等により営業外費用として28,500千円を計上しました。この結果、経常利益は1,219,425千円(前連結会計年度比3.6%減)となりました。 当連結会計年度において、投資有価証券売却益による特別利益47,965千円、法人税等合計として420,341千円を計上しました。 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は783,199千円(前連結会計年度比5.5%減)となりました。 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの運転資金・設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金、銀行借入等により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は4,260,012千円、流動資産は7,624,428千円、流動負債は4,284,036千円であり、将来に対して十分な流動性を確保しております。なお、有価証券報告書提出日現在でオフィス新設等の有形固定資産の取得をともなう重大な資本的支出の計画はございません。 当社グループをとりまく事業環境については、新型コロナウイルス感染症の影響からの緩やかな回復の兆しが見られ、個人消費や雇用情勢も緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスク、円安による為替相場の変動、また中国における感染拡大の影響に十分注意する必要があるとみられております。他方、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場がさらなる成長期を迎えると考えております。 そのような状況の中、当社グループは、ユーザーに「面白い」と感じて頂ける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んで参ります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。 「クリエイティブプロデュース」については、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追求によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大および安定化を図って参ります。また、広告制作受託のみならず、話題性のある商品開発やR&Dなど事業領域を広いフィールドで捉え、企業アライアンス等も行っていきながらさらなる成長を目指します。 「ゲームエンタメ」については、ハイパーカジュアルゲームの開発・運用体制の強化に取り組む一方、当社子会社である株式会社カヤックアキバスタジオでのゲームの受託開発に当社グループ内のリソースを集約し、リスクを抑制した形での収益拡大に努めるとともに、アニメやWebtoonなどの新規性の高い周辺領域への拡張も進めます。 「eスポーツ」は、ウェルプレイド・ライゼスト㈱、「Tonamel」、「ゲムトレ」を通じて、ゲームファンコミュニティへ向けたサービスを拡大させて参ります。ユーザー(コミュニティ)にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図って参ります。また、eスポーツのリーディングカンパニーとして、eスポーツ大会の企画・運営のみならず、タレントマネジメント、コミュニティ向け施策、教育事業などを通じて、業界のさらなる発展に寄与して参ります。 「ちいき資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指して参ります。 「その他サービス」については、「プラコレ」の成長をさらに加速させるとともに、引き続き、新規サービスの創出、成長または売却(選択と集中)に取り組んで参ります。その中で、2022年2月に立ち上げたメタバースの専門部隊がメタバース領域でさらなる成長を目指します。 なお、上記した各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことにより全社としての収益拡大を目指します。また、当社グループ全体での事業ポートフォリオの最適化と適切なリソース配分に努めます。  次期の連結業績見通しにつきましては、売上高18,200,000千円(当期比10.3%増)、営業利益1,350,000千円(当期比11.4%増)、経常利益1,350,000千円(当期比10.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益850,000千円(当期比8.5%増)を見込んでおります。 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループでは、①売上高、②売上高営業利益率、③クリエイター数を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性、クリエイター数は当社の企業価値の源泉であるクリエイティブ力を測る目安として重要視しております。クリエイター数については、優秀な人材を定期的に採用することの難しさや経営環境によって適正な水準が変わるため、具体的数値目標は設定しておりませんが、従業員数のうち90%以上をクリエイターとすることを目指しております。 当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。 そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行って参ります。 契約期間は定められておりません。 該当事項はありません。
株式会社ライフドリンク カンパニー
# 株式会社ライフドリンク カンパニー なお、沿革に記載した事項のうち、子会社の設立、買収及び株式譲渡等を図に纏めると以下のとおりとなります。 当社グループは当社(株式会社ライフドリンク カンパニー)、連結子会社1社(ニットービバレッジ株式会社)及び関連会社1社(生駒名水株式会社)の3社で構成され、清涼飲料(ドリンク)及び茶葉(リーフ)の製造販売を主たる事業としております。 当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、以下のとおりであります。 当社グループは、清涼飲料(ドリンク)及び茶葉(リーフ)の製造・仕入・販売を行っており、特に当社の自社飲料(自社生産の飲料)ビジネスが当社グループの最も重要な事業となっております。 当社の自社飲料ビジネスの特徴としては、①少品種大量生産、②調達から販売までの内製化、③工場の全国展開が挙げられます。これらにより、安定した品質の確保、低価格での製品提供、供給量の確保及び天災等への供給柔軟性の確保を実現し、高品質・低価格・大量かつ安定した供給を求める様々な小売業態の主要各社と強固なパートナーシップを構築することができております。具体的には、総合スーパー、食品スーパー、ディスカウントストア、ドラッグストア及びホームセンターなどに対してプライベートブランド商品及び当社ブランド商品の両方で継続的な取引を実現しております。 また、競合各社との比較として、大手飲料メーカーに対しては「価格の優位性」を、地方・地場飲料メーカーに対しては「価格の優位性」及び「規模の優位性(供給力、全国各地の小売拠点への対応)」を有していると考えております。 自社工場で生産する製品を水飲料(2L/500ml)、茶系飲料(緑茶・烏龍茶)(2L/500ml)、炭酸飲料(1.5L/500ml)に絞っております。この液種及び容量を絞った少品種大量生産により、各工場の生産ラインにおける生産品目の切替時間の極小化及び原材料・資材の共通化による仕入コスト抑制を実現しております。 当社はレジンや茶葉といった原材料の調達から、ペットボトル成型や茶葉の焙煎といった中間工程、飲料製品の充填・包装といった製品化工程、販売までを内製化しております。この内製化により、トレーサビリティを担保するとともに提供する製品品質の安定性の確保及び外部委託した場合に各工程において発生するマージンの削除による製品原価の低減を実現しております。 当社グループは、岩手県から宮崎県まで、日本全国に飲料工場を展開しております。この工場の全国展開により、天災発生等による供給停止リスクの低減(供給の安定性確保)、及び消費地への物流コストの低減を実現しております。 また、広域な地域で安定的に製品を供給できる体制により、全国展開する小売企業との取引を可能にしております。 当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループに関連する見通し、計画、目標等の将来に関する記述は、当社グループが現在入手している情報に基づき本書提出日時点における予測等を基礎としてなされたものであり、その達成を保証するものではありません。 当社は、企業理念として「おいしさの中心、安心の先頭へ。」を掲げております。“おいしさのスタンダード”と“確かな安全性”を追求し、朝起きてから夜眠るまで、毎日のあらゆるシーンで選んでいただける味と品質を持った商品をお届けし、赤ちゃんからご高齢の方まで、すべての人の“いつも”に寄り添い、日々の生活を支える存在でありたいと考えております。 このような企業理念に基づき、当社の社会的価値を高めるとともに、自社飲料(自社生産の飲料)の成長及び収益性改善、また非連続な成長に向けた取り組みを通じて、企業価値・株主価値の最大化を図ってまいる所存であります。 国内飲料市場全体では、少子高齢化や人口減少、原材料費や人件費などの生産コストの上昇、物流費の高騰などを背景として、厳しい環境が続いております。一方で、当社の取扱製品である水飲料、茶系飲料及び炭酸飲料の市場については、ライフスタイルの変化などにより、今後も安定的な拡大が見込まれるとともに、ECなどの販売チャネルの多様化などによる競争環境の変化も見込まれております。 当社は液種や容量を絞った少品種大量生産、原材料調達から販売までの内製化、及び工場の全国展開により、無駄を徹底的に排除し、「高品質・低価格・安定供給」の飲料の提供を強みとしたドリンク・リーフ事業を展開してまいりました。 今後もドリンク・リーフ事業のうち自社飲料(自社生産の飲料)への様々な取り組みにより、売上高の成長及びそれを上回る利益成長を目指してまいります。 当社グループは、「Max生産Max販売(自社飲料工場における1本当たりコストの極小化を目的としたフル生産化(=Max生産)及びMax生産に対応した販売先の確保(=Max販売)」の進化を経営方針として掲げ、生産能力の増強など様々な取り組みを進めてまいりました。 今後も自社飲料における「Max生産Max販売」の更なる進化・深化に向けて、自社飲料工場の設備更新・改良による生産能力増強や改善活動による工場稼働率向上に加えて、新工場建設による生産能力の増強やM&Aによる生産能力獲得などに取り組んでまいります。これらの取り組みにより、中期経営計画の最終年度である2026年3月期に76百万ケース※(2023年3月期比約134%。生駒名水株式会社は除く)の生産を可能とする生産体制の確立を目指しております。また、生産数量増加に対応した販売先確保のために、小売各社とのパートナーシップの深化及びパートナー業態の拡大を進めてまいります。 当社グループは、「Max生産Max販売」の推進により自社飲料における生産量及び販売量が拡大するなかで、製造ラインの省人化投資による生産性向上、ペットボトル軽量化による原材料費削減及び栃木工場内の新倉庫建設といった取り組みを進めてまいりました。 今後も今までの取り組みを継続するとともに、更なるコスト削減及び生産性向上に取り組んでまいります。 当社グループは、EC専用の主力商品として強炭酸水「ZAO SODA」、ミネラルウォーター「彩水」及び緑茶「彩茶」を楽天市場、amazon、Yahoo!ショッピング及びQoo10などで販売しております。そのなかでも「ZAO SODA」は楽天年間ランキング2022の水・ソフトドリンク部門1位を獲得するなど急速に市場へ浸透しております。 今後も、消費者のECシフト(購買場所としてのEC利用割合の増加)といった購買行動の変化に対応して、ニットービバレッジ株式会社の商品のEC各店舗への投入や自社サイトでのサービス拡大など、D2C※モデルへのチャレンジを進めてまいります。 当社グループは、「Max生産Max販売」の推進により、工場人員数、生産量及び販売量が拡大するなかで、人材の質、製品の品質といった質の向上は、事業の安定的な運営にあたり必要不可欠な継続的課題であると認識しております。人材の質の向上は採用基準の明確化や研修などの育成プログラムの実施を通じて実現し、製品の品質の向上は品質体制の強化、従業員の意識向上、PDCAサイクルの磨き上げを通じて実現してまいります。 当社グループは、2023年1月のニットービバレッジ株式会社の買収など事業成長・事業拡大の局面においてM&Aを活用してまいりました。今後は、生産能力の獲得に加えて、商流の拡充、物流機能の強化など、目的を明確にした上でM&Aに取り組んでまいります。 当社グループは、すべての人の“いつも”に寄り添い、日々の生活を支える存在でありたいという考えのもと、ESGについて積極的に取り組んでおります。具体的には、主にペットボトルの軽量化による1本当たりのレジン使用量の削減及びラベルレス商品への切り替えなどに取り組んでおります。 今後もリサイクルペットボトルへの対応をはじめとしたESGへの取り組みに注力し、社会的価値の最大化を図ってまいります。 当社グループは、経営方針、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、本業の業績指標を示す営業利益と一過性の償却費負担に過度に左右されることがない業績指標を示すEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)を用いております。 当社グループは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しており、営業利益やEBITDAを含む中期経営計画の数値は下表のとおりです。 当社グループは、サステナビリティ推進が中長期的な企業価値向上に資すると考え、サステナビリティに関連するリスクと機会の分析・評価を実施してまいりました。今後も、経営理念に基づき、より長期的な視点から「高品質で安全・安心な飲料・食品を安定的に供給することを通じて、消費者の生活インフラを継続的に支える社会的責任を果たす」ことを基本方針に、サステナビリティ推進と企業価値向上の両立を目指してまいります。 代表取締役社長は、トップマネジメントとして当社のサステナビリティ推進活動を統括し、サステナビリティ経営基本方針を掲げ、施策・目標達成の進捗状況を評価しております。また、この改善を指示する責任と権限を有しており、サステナビリティ推進への取組みが着実に実行される体制構築を図っております。 国際的な社会規範などで定められた社会課題・外部事例などを参考として、当社グループが中長期的に直面する可能性のある環境・社会・経済面での課題をリストアップするとともに、自社とステークホルダーの双方の視点から評価を行い、当社グループにとって重大な影響を及ぼすと想定されるリスクと機会を特定しております。 具体的には、リスクとして「人財の確保・育成の不足による事業継続困難」「採水量の減少・水質の変化」「環境負荷低減への未対応による事業機会の損失」「配送困難・配送コスト増加」「需要増に対応するための供給力不足」を、機会として「人財の定着促進による収益安定化・企業成長」「環境配慮型製品の展開による収益向上」「複数工場供給によるサプライチェーンの多重化」「M&Aなどによる生産能力の拡大」を特定しております。 リスクと機会については経営会議にて毎年見直し、その施策の進捗・達成状況の評価・振り返りを行っております。また、その結果は取締役会に報告され、管理される体制となっております。 当社グループは、最重要課題として「人的資本の向上」「水リスクの把握・水資源の有効活用・水質管理の徹底」「容器・包装の環境配慮」「持続可能な物流網の構築」「安定供給体制の構築」を特定いたしました。 事業活動において、これらの最重要課題への取組みを進めてまいります。 当社グループは、人的資本を企業集団における人財の能力と位置づけて、中長期的な企業価値の向上には人的資本の向上が必要不可欠であると認識しております。人的資本の向上を実現するため、人財採用の推進、人財育成への注力、多様性の尊重、及び労働環境の整備を進めてまいります。 当社グループは、採用難や離職増加により著しい人財不足が生じた場合、事業継続が困難になる可能性があると考えております。一方で、従業員の定着や多様なバックグラウンドを持つ人財の活躍は、収益安定化や企業成長に繋がると捉えております。当社グループは、適所適材の考えのもと、各個人の能力に基づく採用を進めてきましたが、今後も国籍・性別・障がいの有無などにとらわれず、多様な人財採用を推進してまいります。 当社グループは、人的資本の向上には、従業員一人ひとりが自発的に学び、主体的・自律的なキャリアを構築できる仕組みが必要不可欠であると認識しております。具体的には、階層別の研修、専門性習得のための研修、キャリア形成を考える機会などを提供し、キャリア形成の実現を後押ししてまいります。 当社グループは、多様性を尊重し、その「違い」を積極的に活かすことが人的資本の向上に資すると考えております。また、多様なバックグラウンドを持つ人財がともに働き、パフォーマンスを最大限発揮するための共通言語として、企業理念及びミッション・ビジョン・バリューの浸透が重要であると考えております。会社が重視している価値観・方向性を共有することで、従業員一人ひとりが「働く意義」を見出しやすくなり、結果として生産性やエンゲージメント、モチベーションの向上に繋がると認識しております。人員拡大に合わせて、これらの浸透へ向けた取り組みを継続してまいります。 当社グループは、長時間労働・過酷な労働環境・ハラスメントの発生が身体的・精神的な従業員の健康被害を引き起こし、同時に離職増加に繋がる恐れがあると認識しております。これらのリスクを的確に把握し、従業員が安心に働ける安全な労働環境の整備に努めてまいります。 地球温暖化の進行に伴い、世界各地で干ばつ・渇水による水の調達リスクが深刻化しております。当社グループは、飲料を主要製品とすることから、採水量の減少・水質の変化をリスクと認識しております。 当社グループは、各工場での水使用量の適正化及び排水基準の遵守などに取組み、地域の水資源の保全に努めてまいります。 脱炭素の動きとともに、脱プラスチックは世界的な課題となっております。当社グループは、ペットボトル及びラベルなどの原材料としてプラスチックを使用しているため、環境負荷低減への対応が未実施であった場合、事業機会を失う可能性があります。一方で、環境配慮型製品の需要増加は、収益向上に繋がる機会であると捉えております。 当社グループは、今後もペットボトルの軽量化による1本あたりのレジン使用量の削減、ラベルレス製品への切り替え、及びリサイクルペットボトルへの対応などの取組みを進めてまいります。 近年、日本国内では物流分野における労働力不足が顕在化しております。また、輸配送時の温室効果ガスは地球温暖化を加速させる一因とも言われております。当社グループは、ドライバー不足による配送の遅延及び配送コストの増加、並びに輸配送時の温室効果ガス排出による気候変動の加速などをリスクと認識しております。 当社グループは、新工場の稼働開始に合わせて輸配送ルートの最適化を進め、輸配送時の温室効果ガス排出量の削減及び配送コストの削減を目指してまいります。 気候変動に伴う急激な気温上昇により、飲料の需要が増加する可能性があります。当社グループは、気温上昇による需要増加を機会と捉える一方で、生産能力の不足により供給困難に陥る可能性をリスクと認識しております。 当社グループは、積極的な設備投資及びM&Aにより、需要増に対応するための体制構築を図ってまいります。 当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努める所存です。 なお、文中における将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 当社グループの事業の大部分は、日本国内において展開しております。そのため、日本国内における景気や金融、自然災害等による経済動向の変動、及びこれらに影響を受ける個人消費動向の変動は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが事業を展開する飲料市場では、競合企業が存在しております。当社グループは、引き続き、販売価格等において差別化を図り、競争力を維持してまいりますが、競合企業との差別化が困難になった場合や新規参入により競争が激化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは原材料として主にレジン(ペットボトルの原材料)、段ボール、キャップ、茶葉等を使用しております。かかる原材料の価格は天候や市場における需給の変化により影響を受けます。また、各工場において多くの電力を使用しております。 当社グループは、特に価格変動リスクが高いレジンに対して長期調達契約や使用量の軽減等の対策を講じていますが、これらの原材料及びエネルギーの価格が継続的に上昇した場合、当社グループの原価を押し上げる可能性があります。また、増加した原価を販売価格に転嫁できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、原材料の一部を日本円以外の通貨建てで国外から調達しております。為替相場の変動のリスクを軽減するために、状況に応じてデリバティブ取引を利用する方針でありますが、当該取引によって全ての為替相場の変動リスクを回避できるわけではなく、為替相場の変動があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは清涼飲料製品の製造及び茶葉製品の製造を行っております。また、清涼飲料製品及び茶葉製品の一部はグループ外の委託工場で製造しております。 グループ内工場におきましては製造設備が突発的かつ長期的に停止することがないよう、定期的に設備点検等を実施しております。また、委託工場については不測の事態が発生した場合に備えて、全国各地に複数の委託工場を確保しております。しかしながら、天災等による生産への影響を完全に排除できる保証はなく、不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、販売予測に基づく適切な在庫管理を行うことにより、過剰在庫の発生及び品切れによる販売機会の逸失がないよう努めておりますが、販売予測を誤った場合には過剰在庫又は在庫不足となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが今後業容拡大を図るためには、人財を確保し、育成することが不可欠であると認識しております。また、人財の確保のためにはパート・アルバイト労働者や外国人労働者の活用が不可欠であると認識しております。 今後、労働力の減少による人財確保競争の激化、景気回復や雇用環境の好転に伴う賃上げ圧力の増大、処遇格差の縮小を目的とする各種労働関連法、出入国管理及び難民認定法の改正等に起因する労働コストの大幅な増加が発生した場合、もしくは社内人財の育成や人財確保が困難になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法(PL)、労働関連法規制、個人情報保護規制、環境関連法規制等、様々な法的規制の適用を受けております。 当社グループは、これらすべての法的規制を遵守すべく、コンプライアンス重視の徹底を図っておりますが、その取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合、また、法的規制の強化・変更、予期せぬ法的規制の導入等により、法的規制遵守等に係るコスト負担が増加した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは生産・物流・販売等の業務を担うシステムを運用するとともに、インターネット販売等を通じて顧客情報を保有しております。これらの個人情報を含めた重要な情報の紛失・誤用・改ざん等を防止するため、システムを含めて情報管理に対して適切な対策を実施しております。しかしながら、今後、停電や災害、ソフトウェア・機器の欠陥、ウィルスの感染、不正アクセス等の予期せぬ事態の発生により、重要な情報の消失、外部への漏洩などの事態が起きた場合、当社グループの信用低下を招き、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、食品の安全性、衛生管理を経営上の最重要課題として認識し、品質本部を中心としてFSSC22000の維持に取り組むことにより、製品の品質管理・衛生管理を徹底しております。 しかしながら、異物混入製品や食中毒等健康被害を与える可能性のある製品、表示不良品の流通など、重大な品質問題が発生した場合、問題の処理・解決のための多額のコスト負担の発生、当社グループ全体の品質管理に対する評価毀損に伴う受注の減少などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業界や社会全体に及ぶ品質問題など、当社グループの取り組みを超える事態が発生した場合においても、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主要製品である清涼飲料は気温の上昇する夏場に需要が拡大し、気温の低下する冬場に需要が縮小することから、2023年3月期の上半期の売上高が通期の52%(ニットービバレッジ株式会社の子会社化の影響を除く)を占めております。そのため、異常気象といわれるほどの冷夏や自然災害が発生した場合、売上の減少が発生する等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、想定範囲を超えた地震等の自然災害やインフルエンザ等の感染症の大流行が発生した場合、本社機能や生産、物流体制に支障をきたすことが想定され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの有利子負債残高(リース債務を含む)は2023年3月期末において9,717百万円であり、有利子負債依存度は43.8%となっております。そのため、金融市場の混乱や景気低迷、金融機関の融資姿勢の変化により借換が困難となった場合や、市場金利の急速な上昇等により支払利息が急激に増加した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは事業の用に供する様々な固定資産を有しております。「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」の適用により、時価の下落や将来のキャッシュ・フローの状況によっては、これらの資産の減損処理が必要となる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は税務上の繰越欠損金を有しております。税務上の繰越欠損金には法人税等の減額効果があることから、その効果が見込まれる金額を繰延税金資産として計上しております。 税務上の繰越欠損金にかかる繰延税金資産の回収可能性は、繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)に基づいて判断しておりますが、当社の業績の推移如何により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、当社の役員及び従業員に対して、ストック・オプションとしての新株予約権を付与しております。2023年5月31日現在、その数は92,400株となり、発行済株式総数12,975,740株の0.7%に相当します。また、今後におきましても、当社の役員及び従業員等に対するインセンティブとして新株予約権を付与する可能性があります。 これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式価値に希薄化が生じる可能性があります。 当社の株主であるSunrise Capital II, L.P.、Sunrise Capital II (Non-U.S.), L.P.、Sunrise Capital II (JPY), L.P.は、2023年5月31日現在、当社発行済株式総数の51.8%を保有しております。また、当社は上記の株主のサブアドバイザーを務めるCLSA Capital Partners Japan株式会社より皆川亮一郎を取締役として受け入れています。 当該株主の当社株式の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成などに影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、生産能力増強や生産性向上のため、設備投資やM&Aを有効な手段として位置付けており、今後も必要に応じて実施する方針であります。 設備投資を行う際は投資の必要性や投資効果、回収可能性を評価し、M&Aを行う際は対象企業のビジネス、財務内容及び法務などについて詳細なデューデリジェンスを行うなど、各種リスクの低減を図る方針であります。しかしながら、想定されなかった事象が実行後に発生する場合や事業展開が計画通りに進まない場合などには、当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 なお、本書提出日現在において具体的に計画している企業買収や資本提携等の案件はありません。 当社は、事業上必要な資金調達のため、金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、これらの借入契約には、純資産維持及び経常利益確保等の財務制限条項が付加されております。今後、経営成績の著しい悪化等により財務制限条項に抵触した場合、借入先金融機関の請求により当該借入について期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 なお、財務制限条項の詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係」に記載のとおりであります。 当社グループは、飲料工場において営業許可及びFSSC22000認証を取得しております。当社グループは営業許可及びFSSC22000認証の維持のための取り組みを実施しておりますが、営業許可又はFSSC22000認証が取消された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における流動資産は10,905百万円となりました。主な内訳は「現金及び預金」4,326百万円、「売掛金」4,192百万円であります。 当連結会計年度末における固定資産は11,260百万円となりました。主な内訳は、「機械装置及び運搬具」3,279百万円、「建物及び構築物」3,131百万円であります。 当連結会計年度末における流動負債は8,397百万円となりました。主な内訳は、「短期借入金」3,000百万円、「買掛金」1,592百万円であります。 当連結会計年度末における固定負債は5,610百万円となりました。主な内訳は、「長期借入金」5,080百万円であります。 当連結会計年度末における純資産は8,157百万円となりました。主な内訳は、「当期純利益」の計上に伴う「利益剰余金」5,791百万円であります。 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、段階的な経済活動の制限の緩和や個人消費の持ち直しなど、平常化に向けた動きがみられました。しかしながら、資源価格の高騰や為替相場の円安進行を背景として、食料品を含む商品やサービスの価格上昇が進行するなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。 国内飲料業界におきましては、前年対比での消費の回復があったものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前の水準には及ばず、また、原材料価格やエネルギー価格の上昇圧力もあり、厳しい状況にあります。 このような事業環境のもと、当社は「高品質で価格競争力を持った商品」の供給を強みとして、自社飲料各工場の設備更新・改良による生産量の拡大及び販売先の確保に努めてまいりました。また、ニットービバレッジ株式会社の株式取得などのM&Aによる生産能力の獲得、栃木工場内の新倉庫稼働などの物流拠点の見直し、EC/D2C  (※1)モデルへのチャレンジに取り組んでまいりました。 その結果、当連結会計年度の経営成績は売上高が30,250百万円(前年度比19.1%増)、営業利益が3,116百万円(前年度比38.4%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)が4,251百万円(前年度比32.3%増)、経常利益が3,050百万円(前年度比45.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,076百万円(前年度比10.5%減)となりました。 なお、当社グループはドリンク・リーフ事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しております。 3月期の個別経営成績と2023年3月期の連結経営成績との比較で記載しております。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前年度比431百万円増の4,326百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローは3,774百万円の収入となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益3,039百万円、減価償却費1,123百万円によるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フローは5,003百万円の支出となりました。これは、主に生産能力増強及び物流効率向上を目的とした設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出3,411百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,537百万円によるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フローは1,659百万円の収入となりました。これは、主に長期借入による収入3,565百万円、長期借入金の返済による支出654百万円、短期借入金の純増減額(減少)500百万円、リース債務の返済による支出458百万円によるものであります。 当連結会計年度の生産実績を事業セグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の仕入実績を事業セグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは、原則として見込み生産方式を採っているため、記載を省略しております。 当連結会計年度の販売実績を事業セグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しております。 重要な会計方針については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。重要な会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 第51期の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況」に記載のとおりであります。 第51期の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②経営成績の状況」に記載のとおりであります。 第51期のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当社の事業活動における資金需要の主なものは、製品製造のための原材料の仕入れや製造労務費、製造経費のほか、販売費及び一般管理費等であります。また、その他の資金需要としては、各工場における設備更新等に伴う投資であります。 当社は事業活動に必要な資金を安定的に調達するため、内部資金の活用に加えて、金融機関からの借り入れによる資金調達を行っております。資金調達に際しては、調達コストの低減に努めております。 当社は、既存借入金の整理及び設備投資のための新規資金調達を目的に、2021年1月26日付け(2023年1月26日付けでシンジケートローン変更契約書の締結)で株式会社三井住友銀行他5行を貸付人とし、組成金額91億円のシンジケートローン契約を締結しております。 なお、本契約には財務制限条項が付されており、その詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。
白銅株式会社
# 白銅株式会社 それ以前については東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。 当社(1949年10月7日 株式会社国光地銅店として設立、1967年3月1日銅金株式会社に商号変更、本店所在地東京都中央区、株式額面50円)は、旧廣成株式会社(白銅株式会社(廣成株式会社)が1991年10月9日に金属事業に関する不動産を保有する目的で全額出資して設立、本店所在地東京都中央区、株式額面50,000円)の株式の額面金額を変更するため、1992年1月23日を合併期日として同社を吸収合併し、1992年4月1日付で白銅株式会社(株式会社白銅商店として1949年11月1日設立、本店所在地東京都中央区)から金属事業に関する営業を全面的に譲り受けるとともに商号を白銅株式会社に変更(同時に白銅株式会社は廣成株式会社に商号変更)し、旧白銅株式会社の金属事業に関する営業を実質的に引き継ぎました。 従いまして、実質上の存続会社は旧白銅株式会社であり、以下の事項につきましては、特段の記述がない限り、営業の譲り受けまでは旧白銅株式会社について記載しております。 当社グループは、当社(白銅株式会社)と連結子会社の株式会社AQR、上海白銅精密材料有限公司、Hakudo(Thailand)Co., Ltd.、Hakudo USA Inc.、West Coast Aluminum & Stainless, LLCにより構成されており、金属製品およびプラスチック製品の加工ならびに販売を主たる業務としております。 当社のセグメントは、所在地別に日本、北米、中国およびその他の地域の4つに分類しております。 日本では、材料メーカーや同業他社から5,400品目サイズ以上の製品を仕入れ、それを標準在庫品として常時当社工場に在庫しております。その標準在庫品をご注文に応じて切断やフライス加工し、短納期でお客様にお届けしております。また、当社は標準在庫品の販売とは別に当社工場に在庫していない製品を材料メーカーや同業他社から直接お客様にお届けする特注品の販売を行っております。 米国では、2022年12月にHakudo USA Inc.を設立し、2023年3月には同社を通じてWest Coast Alminum & Stainless,LLCの持分51%を取得しております。 中国では、連結子会社の上海白銅精密材料有限公司が製品を当社および材料メーカー等から仕入れて上海の工場に在庫し、ご注文に応じて切断やフライス加工し、短納期で中国のお客様にお届けしております。また、同社の工場に在庫していない製品についても、当社および材料メーカー等から仕入れて直接お客様にお届けしております。 その他の地域のタイでは、連結子会社のHakudo(Thailand)Co., Ltd.が中国同様に製品を当社および材料メーカー等から仕入れてバンコクの外部倉庫に在庫し、現地企業に販売を行っております。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、経営理念として『私たちは、関係する全ての人に信頼されるとともに、モノづくりに関わる人々へ商品・便利・安心の提供を通じて、社会に貢献します』を掲げております。その実現のために、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を築き、従業員一人一人のチャレンジ精神を原動力として、持続可能な社会の発展に今後も貢献し続けてまいります。 また、ブランドスローガンとして「あたらしい、を、素材から。」を定めております。あたらしいテクノロジーも、高いクオリティの「素材」があってこそ、と認識しております。優れた生産材が世界に今までになかった発想やイノベーションを生むと考え、産業の持続的発展に貢献してまいります。 当社グループは、以下の「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の経営課題に取り組むことにより、売上高および経常利益の中長期的な成長を目指してまいります。 原材料市況は、電気銅建値がトン当たり2022年3月末の133万円から2023年3月末には123万円に下落、また、アルミニウム地金(日本経済新聞月別平均値)はトン当たり2022年3月末の48万8千円から2023年3月末には36万9千円に下落しました。一方でステンレス鋼板(鉄鋼新聞月別中心値)はトン当たり2022年3月末の50万円から2023年3月末には68万円に上昇しました。 当社は、次に掲げる事項を経営課題と認識し、2022年5月に公表した2022年度を初年度とする中期経営計画(前進「期待を上回る」)においても、その解決に取り組むこととしております。 「ダントツ」の価値提供を実現することで、顧客満足度の向上と、コア事業の深化・事業領域の拡大を目指してまいります。 ダントツ戦略をベースに、2025年3月期までにビジネス進化と経営基盤の強化を図ってまいります。 ・海外子会社でのEC販売開始や、滋賀工場における自動検査梱包装置導入、白銅ネットサービスの強化と供給能力強化などの各種施策を実施いたしました。 ・2022年12月にHakudo USA Inc.を設立。翌年3月にWest Coast Aluminum & Stainless, LLCの持分取得を完了するなど、海外事業拡大へ向けた積極的な活動を展開しております。 ・他社在庫品を中心に取扱アイテムを拡充しております。当社標準在庫品と他社在庫品を合わせ、3月末時点で約50,900アイテムがご利用可能になりました。 ・白銅ネットサービス登録件数は3月末時点で累計約11,000社に増加し、流通業者のその先のお客様がご利用可能なCSネットサービスを展開しております。 ・三重県伊賀市に新拠点(伊賀倉庫)設置。ウォータージェット切断機・マシニング加工機・ワイヤーカット機を滋賀工場から移管し、2023年4月から稼働開始いたしました。 ・半導体関連の販売先を専門部署に集約し、業界ナレッジを蓄積する仕組みを構築いたしました。 ・3Dプリンターを契機に自動車関連の新規顧客を獲得してまいります。 ・獲得した新規顧客に対し、他の商材の拡販を展開いたします。 ・2023年3月に当社の100%子会社であるHakudo USA Inc.がWest Coast Aluminum & Stainless, LLC社の持分取得を行い子会社化いたしました。 ・2024年3月期は、2025年3月期目標値である白銅グループ海外売上高比率12%を前倒しで達成する見込です。 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高および経常利益であります。 中期経営計画(2022年4月~2025年3月)の2年目である2024年3月期の目標値は、売上高66,800百万円、経常利益4,500百万円であります。 当社グループは、企業理念に掲げる経営理念の基にESG及びSDGsなどを考慮したサステナビリティ経営の推進が必要不可欠であると認識し、以下に掲げる事項を意識して事業活動を行うことで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて貢献とを両立させてまいります。 ⅰ.ESG・SDGsなどを考慮したサステナビリティ経営についての理解を深め、事業を通じた環境や社会への貢献に取り組みます。 ⅱ.地球環境や自然への配慮と地球温暖化防止、循環型社会の形成に努めます。 ⅲ.従業員の健康増進を図るとともに、多様な人財の育成や採用および働き方などを実現します。 ⅳ.当社グループの健全性・効率性・透明性などの向上を図り、各種リスクを低減します。 ⅴ.当社グループの事業にかかわるステークホルダーとの関係強化に努めます。 ⅵ.誰もが安心して生活できる社会の実現に向けた取り組みを行います。 また、加えて当社グループでは、人的資本に関わる方針として、以下の「教育・育成方針」ならびに「社内環境整備方針」を制定しております。 人こそが白銅グループの財産=人財である、と考えます。 そのため、白銅グループ企業理念に沿って、つぎの教育を実施します。 当社グループは、企業理念に掲げる経営理念を基に、誇りと安心感をもって働ける社内環境整備の取り組みの指針として、社内環境整備方針を制定します。 社内環境整備に取り組むために、3つの指針を定めます。 事業活動のすべてにおいて人の安全と健康の確保を最優先します。 そのために、職場における良好なコミュニケーションを確保し、従業員一人ひとりの心と身体の健康保持・増進に取り組みます。 また、各種ハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、ジェンダーハラスメント等)については、健全な職場環境を整備するために、各種ハラスメントの防止に取り組みます。 従業員一人ひとりがもつ多様なスキル・経験・価値観・属性など、「個性」と「能力」を互いに理解・尊重します。そして、失敗を恐れず、果敢に挑戦できる組織風土を実現します。 挑戦して成果を出した人に報います。 処遇面における公正性、透明性を確保し、成果を出した従業員が、さらに挑戦できるように適切かつ公平な仕組みを提供していきます。 サステナビリティの具体的な取り組みは、4つの構成要素(ガバナンス、リスク管理、戦略、指標及び目標)を踏まえて、以下のとおり開示します。 サステナビリティ関連リスク及び機会に関する事項は、「ESG/SDGs経営委員会」から経営会議を通じて取締役会に、必要に応じて取締役会に直接報告する体制となっており、取締役会が監視を行っております。また、代表取締役社長が議長を務める経営会議がサステナビリティ関連リスク・機会に関する監督を行っております。 ESG/SDGs経営委員会が、各本部・室、各子会社から報告のあったサステナビリティ関連リスクに関する事項の審議・評価を行っており、それらのサステナビリティ関連リスクに関する事項は、「ESG/SDGs経営委員会」から経営会議を通じて取締役会に、必要に応じて、取締役会に直接報告する体制となっており、取締役会が監視を行っております。 またリスク管理委員会および教育委員会が、サステナビリティ関連リスクの低減施策を検討しております。 2020年度に自社が排出したCO₂に対して「2030年度に2020年度比42%削減」および「2050年度にカーボンニュートラルの実現」という目標を設定しました。CO₂の排出削減目標の達成に向けて、省エネルギー活動や再生可能エネルギーの活用、サプライチェーンを通じた排出量削減に積極的に取り組んでいます。 従業員の物心両面の幸福を追求し、従業員満足度を向上させることで従業員各自の生産性や顧客対応へのモチベーションを高め、社会に与える影響力と会社の業績向上の影響力を高めています。 多様な人財を登用、活用することで組織の生産性や競争力を高めております。 また、互いの価値観や個性の違いを受け入れ、共に成長することで、多様な人財が創造性を発揮する組織を目指しています。 事業活動のすべてにおいて人の安全と健康の確保を最優先としております。従業員一人ひとりの心と身体の健康保持・増進、安全な作業現場の整備、各種ハラスメントの防止に取り組むなど、安全で健康的な職場環境の整備を推進しています。 2020年7月に教育委員会を発足し、多様な人財の活用と育成のための教育制度の整備、拡充を図っています。また、果敢に挑戦し自己実現を目指す従業員には、自己実現への支援を積極的に行っています。 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスク管理委員会を設置しています。リスク管理委員会の構成は、ESG・SDGs推進室長を委員長とし、各部門を代表する管理者が委員を務めております。 リスク管理委員会は「リスク管理規程」に基づき、リスク管理体制の構築と運用にあたっており、より具体的には次のサイクルを廻すことで、リスク管理体制の運用を行っております。 作成時または見直し時にリスク値が一定の値を超えたリスクについては、リスク管理委員会で討議し対策を実行する。 なお、当社は、リスクを「組織に物理的、経済的もしくは信用上の損失又または不利益を生じさせる全ての可能性」と捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクの影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付けております。 また、取締役および従業員は、当社グループの存続を危うくする重大な危機発生の可能性を常に意識し、危機の回避、軽減および予防策、その他必要な措置を事前に構ずることとしております。 当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があるリスクについて以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要度が低いと考えられるリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク」を「重要なリスク」と定義しております。重要なリスクおよびその発生可能性・影響度の評価は、以下のとおりです。 重要なリスクのうち、特に主要なリスクは以下のとおりです。なお、⑯気候関連リスクについては、(3)気候変動への対応(TCFD提言にもとづく情報開示)をご参照ください。 当社グループの主要販売品目であるアルミニウム、伸銅等の非鉄金属の価格は、原材料市況によって変動しております。このため原材料市況が大きく変動した場合には、当社グループの業績に重要なプラスまたはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。連結営業利益に与えた原材料市況の変動による棚卸資産影響額は、前連結会計年度は差益6億1千万円でしたが、当連結会計年度は差益5億5百万円へ減少しました。 また、当社グループの商品及び製品は、期末評価において期末付近の仕入実績に基づく品目別の再調達原価を使用して評価を行っております。このため原材料市況が大きく変動した場合には、会計上の見積りにおける期末評価差額または将来における実際の販売価格と会計上の見積りとの乖離により、業績に重要な影響を与える可能性があります。 a.非鉄金属市況の変動に伴う取扱い品目の価格変動は、品種品目により四半期毎または都度、販売価格へ転嫁させております。 b.当社在庫商品は、品目アイテム単位で過去の販売実績および販売予測を勘案して発注量を調整することで、在庫量の最適化を図っております。 c.期末の再調達原価に基づく評価以外に、在庫販売回転月数に応じ、長期滞留評価を行うことで業績に与える影響を低減しております。 当社グループは、アルミニウムやステンレスの厚板を多方面の業界に販売しております。なかでも半導体製造装置業界およびFPD製造装置業界向けの売上高比率が高く、同業界は、いわゆる「シリコンサイクル」や「クリスタルサイクル」に大きく影響されるため、その周期によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度末時点では、長期的にはIoTやDX、AIの推進などによる半導体需要の拡大が予想されているものの、短期的には調整局面が続くと考えております。 その他、工作機械業界は、輸出向けを中心に受注環境は減少傾向に転じており、航空機業界の設備投資は回復の兆しが見られますが、依然として低調な状況が継続していることから、不安定な状況にあります。 当社グループでは、次の事業展開により特定業界への売上高依存の回避を図っております。 a.環境汚染規制対応商品群であるECOシリーズの品揃えを拡充します。環境に配慮したアイテム数の拡大、カドミレス・鉛レス真中等の需要に対応します。 b.航空宇宙規格材料の品揃えを拡充します。長期的な需要拡大が期待される産業であり、当社の特徴を活かして、伸長させる分野であると捉えております。 c.技術革新と成長の期待がある自動車領域に対して、組織を整え、必要な設備投資を行い、加工技術を習得したうえで、伸長させる分野であると捉えております。 d.お取寄せ品の品揃えを拡充します。従来取り扱いの少なかった金属材料以外の副資材等についてもメーカーや同業他社の扱い商品を白銅ネットサービスからお取り寄せできるようにすることで、これら資材等の需要に対応します。 e.加工方法の多様化を進めます。自動化設備の導入・拡大により需要増加に対応します。また、新設したウェータージェット切断機により難削の需要に対応します。 当社グループの事業活動は、経営陣、部門責任者および構成員等に依存しております。優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材の確保・定着・育成が計画どおりに行えない場合、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 a.国内において、新卒採用や経験者の通年採用を積極的に実施するとともに、「教育・育成方針」にもとづき、自社のビジョン・ミッションの浸透、スキルマップ管理による必要なスキルや知識習得の機会を提供しております。 b.多様な人材を登用・活用することで組織の生産性や競争力を高め、また互いの考え方の違いや個性を受け入れ、共に成長することで、多様な人材が創造性を発揮できる組織を作り上げるための活動を行っております。 c.従業員が心身ともに健康でいられる労働環境の整備、福利厚生の拡充による従業員満足度の向上へ向けた取組みにより、企業活動の安定化を図るとともに、従業員およびその家族の社会生活における充実度を高める施策を打ち出しております。 a.事業再編を通して重複機能を削減し、配置人員の戦略分野・業務への再配置による人員・人件費の非効率の解消に取り組みます。 b.多様な能力・ノウハウ・経験を持つ人材交流、異なる組織風土や思考特性を持った組織を統合することで、強固かつ新たな競争優位要因の構築に努めます。 c.事業再編の実施後は、その効果を定量的・定性的に測定しております。また、撤退条件を設定しております。 d.定期的に法律事務所や会計事務所その他の専門家とコミュニケーションを取ることで、検討すべき法的リスク・経済社会環境の変化についての情報を得るとともに、必要な支援を受けております。 当社グループは、企業買収および資本参加を含む投資または合併による事業の拡大(以降、投資等)に取り組んでおりますが、投資等の実行後にグループ全体に内在するリスクおよび機会を適時・的確に識別することができず当初想定した財務上の目標やシナジー効果を実現できない、偶発債務の発生や未認識の債務等が判明する、これらに伴いのれんの減損が発生する可能性があります。さらに、投資後のPMI(※)が計画通り進まないことや、対象事業の戦略が当社グループの経営理念や経営戦略と将来に亘って整合しないことにより、当社グループの事業ならびに業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 a.投資等により事業の拡大を企画する場合は、その投資等の可否に対し、法令順守等の基本事項および経済的基準・技術的基準・その他定性的基準を設けており、それらを単一もしくは複合的に検討して、機関決定を行うプロセスとしております。 b.投資等の実施後はPMI(※)強化の一環として、その効果を定量的・定性的に測定しております。また、案件別に撤退条件を設定しております。 c.投資等の検討段階において法律事務所や会計事務所その他の専門家への相談や規制等の調査等に努めております。また投資等の実施後は定期的に各専門家とコミュニケーションを取ることで、検討すべき規制・環境変化についての情報を得るとともに、必要な支援を受けております。 d.投資等に係るリスク軽減のために保険の提供を受けることも検討してまいります。 当社グループは、これまで展開していたアジア市場に加え北米市場に進出いたしました。今後も、その他海外への進出、拡大や現地の有力パートナーとの連携等に積極的に取り組んでまいります。 しかしながら、現地の税制・規制の制定や変更、政治・経済情勢・為替等の変動や提携先パートナーの財務状況の悪化・提携の解消や提携の維持が困難となる事由が発生し、期待された収益を上げることができない可能性があり、当社グループの事業および業績ならびに財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 a.海外事業活動により事業展開をする場合は検討段階において現地の法律事務所や会計事務所その他の専門家への相談や規制等の調査等に努めております。また投資等の実施後は定期的に各専門家とコミュニケーションを取ることで、検討すべき現地規制・環境変化についての情報を得るとともに、必要な支援を受けております。 b.投資等の対象先が販売先を兼ねる場合には、与信調査を定期的に行うことで損失等の防止を図っております。 当社グループの各事業拠点、特に当社の各工場が、自然災害や大規模な事故または治療方法や対策が確立されていない新たな感染症の流行等により重大な被害を受けた場合、長期にわたる操業停止や大規模な修繕・設備改修等が発生することが想定されます。また、主要な販売先または仕入先がこれらの被害を受けた場合、当社の販売活動または製造活動に重要な影響を及ぼすことが想定されます。このためこれら災害・事故・感染症等が発生した場合、当社グループの事業および業績ならびに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 a.国内においては、事業や財務への影響の予防・軽減を目的として、工場の分散、耐震工事の実施、損失をカバーする包括的な損害保険の加入等により、自然災害等の発生時のリスク分散体制を構築し、事業の早期復旧に対応するためBCP計画の作成および定期的な計画見直しにより影響を最小限に抑える体制を構築しております。 b.海外拠点においては、種々の保険の加入等および、不慮の事象が発生した場合の、報告・行動等を定め、迅速な対応ができる体制を構築しております。 c.災害発生時の従業員の行動・対策については従業員に周知徹底を図るとともに、有事に備えた、安否確認訓練を定期的に実施しております。 d.感染症に対しては、政府等の発表を参考に外部の専門家と相談のうえ、感染源対策・感染経路対策・標準予防策等を取れる体制を構築しております。 当社グループの事業活動は、コンピュータシステムおよびコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを利用して行っております。通信ネットワークに生じる障害や、ネットワークまたはコンピュータシステム上のハードウェアもしくはソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動に支障が出る可能性があります。また、情報システムが適切に導入・更新されていないことによるシステム上の不具合、業務の非効率、生産性低下を招き、事業活動に支障が出る可能性があります。さらに、当社グループでは業務を遂行上、厳格な情報管理が求められておりますが、不測の事態により情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに、売上高が減少あるいは販管費が増加し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 a.リスク管理委員会の分科会として情報セキュリティ推進プロジェクトを発足させ、その中で情報セキュリティ管理を向上させ、情報漏洩の防止強化、内部統制レベルの向上、ISO27001に準拠した社内ルールの整備・運用により、情報セキュリティ事故の発生を抑えております。 b.リスク管理委員会において、情報セキュリティに関する社内規程等の整備、不正アクセスを未然に防止するための対策、従業員に対する教育等を実施し、更にこれらの取組みを定期的に評価・見直すことにより、情報セキュリティマネジメントの継続的な改善に取り組んでおります。特に、効率的で安定した事業活動の遂行を担保するため、老朽化したシステムの更新を行っており、また、サイバー攻撃全体への対応として「情報セキュリティ対策チーム」を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築しました。 c.新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅勤務が推進され、PC等の情報機器の持ち出しの機会が増えたことに伴い、情報機器の紛失や盗難の事故対策として、暗号化製品の導入やリモートロック・リモートワイプ機能の設定を行っております。 d.情報漏洩防止に関するルールの周知・徹底、理解度向上等の教育を継続的に行うことで、情報漏洩に対する従業員の意識の強化に努めております。 新型コロナウイルス感染症は、人類の生命を直接脅かすにとどまらず、全世界の社会・経済に深刻な影響を与えました。当社グループにおいても、従業員や関係者の感染により社会活動の制限、工場の操業停止や事業活動の停止等が発生する可能性がありましたが、2023年5月、感染症法上の分類が2類相当から5類に移行されたことから収束に向かっていると判断しております。ただし、今後、状況が変化し、世界的に社会・経済活動が停滞した場合、売上高が減少する等、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 a.当社グループでは、従業員および家族の生命の安全・健康が確保されることを最優先としております。国・地方自治体の要請に応じられるよう、在宅勤務のルール化とそれらを可能にするWeb会議・リモート営業ツール等を整備しております。 b.感染拡大を防止するための行動制限をはじめとした詳細な取り決めを行い、感染発生時の対応・拡大防止策・報告フローを整備しております。 c.これまでの感染発生時の経験をもとに、簡易検査キット等の確保、従業員および家族の定期的または必要に応じた検査等を実施できる体制を整備しております。 d.海外における感染情報およびその対処については、現地からの情報を取得するとともに、必要に応じて外部の専門家の意見を取り入れて対処に当たります。 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 売上高は、前連結会計年度比11.1%増加し、過去最高の616億2百万円となりました。 主な増加要因は、販売単価の改善ならびに原材料市況の影響等によるものです。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、経済活動の持ち直しが見られました。しかしながら、ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻の長期化による資源・エネルギー価格の高騰や、物価の上昇、欧米諸国を中心とした政策金利の引き上げや為替変動などによる下振れ懸念もあり、景気の先行きに不透明感が広がっております。 当社グループ業績に影響が大きい半導体製造装置業界においては、長期的にはIoTやDX、AIの推進などによる半導体需要の拡大が予想されているものの、在庫調整局面が続いております。 その他、工作機械業界は、第3四半期以降、輸出向けを中心に受注環境は減少傾向に転じております。 また、航空機業界の設備投資は回復の兆しが見られますが、依然として低調な状況が継続しております。 このような状況のなか、「リモート営業」ツールを活用した営業活動を継続しつつ、行動制限の緩和を受け、新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、顧客往訪による対面営業を徐々に再開し、新規顧客の開拓に積極的に取り組んだほか、図面加工品や新商品・新サービスの拡販に注力いたしました。 また、以前より注力しております24時間365日お見積り・ご注文可能なWEB サイト「白銅ネットサービス」の利用促進ならびに「白銅ネットサービス」の取扱商品数を2022年3月末の32,700品目サイズから2023年3月末には50,900品目サイズへ拡充することで、更なる顧客基盤の強化・拡大と取引先様の利便性向上に努めました。 当連結会計年度は、海外への進出・事業拡大にも積極的に取り組んでまいりました。当社は、2022年12月にアメリカ合衆国において、新たに現地法人「Hakudo USA Inc.」を設立し、2023年3月には、同社が「West Coast Aluminum & Stainless, LLC」の持ち分51%を取得いたしました。 その他、連結子会社の内、上海白銅精密材料有限公司は、中国国内における新型コロナウイルスの行動制限等の影響により、売上高は前連結会計年度を下回りましたが、株式会社AQR、Hakudo(Thailand)Co., Ltd.の売上高は、前連結会計年度を上回り、好調に推移しております。 以上の顧客満足度の向上および事業規模拡大等の施策を着実に実行いたしました結果、売上高は、前連結会計年度比で増加しました。 営業利益は、前連結会計年度比11.2%減少し、37億7千7百万円となりました。 売上高の増加による増益要因はあったものの、運賃や電気料金をはじめとする各種コストの上昇などの影響により減益となりました。なお、減益要因には、米国子会社の「Hakudo USA Inc.」が「West Coast Aluminum & Stainless, LLC」の持分51%を取得した際の一時的な費用1億2千6百万円が含まれております。 棚卸資産影響額の差益は前連結会計年度が6億1千万円でしたが、当連結会計年度の棚卸資産影響額の差益は5億5百万円と1億4百万円減少しました。 棚卸資産影響額を除いた営業利益は、前連結会計年度比で10.1%減少し、32億7千2百万円となりました。 経常利益は、営業利益の減少により前連結会計年度比8.8%減少し、39億8千8百万円となりました。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比7.6%減少し、27億3千7百万円となりました。 セグメントごとの業績は次のとおりとなります。 当連結会計年度末の資産合計は、431億4千9百万円と、対前連結会計年度末比で13億6千9百万円増加しました。 流動資産は、338億2千9百万円と、対前連結会計年度末比で2億1千3百万円増加しました。増加額内訳は、商品及び製品28億1千7百万円、電子記録債権5億5千4百万円、その他1億9千3百万円等です。減少額内訳は、現金及び預金26億3千6百万円、受取手形及び売掛金7億3千万円です。 固定資産は、93億1千9百万円と、対前連結会計年度末比で11億5千5百万円増加しました。増加額内訳は、のれん8億9百万円、有形固定資産その他1億7千6百万円等です。減少額内訳は、建物及び構築物1億7百万円です。 負債合計は、219億2千万円と、対前連結会計年度末比で3千1百万円減少しました。 流動負債は、217億6千8百万円と、対前連結会計年度末比で1億3千4百万円減少しました。減少額内訳は、未払法人税等5億6千6百万円、支払手形及び買掛金3億6千2百万円、未払費用1億2千6百万円、賞与引当金1億1千9百万円等です。増加額内訳は、電子記録債務7億3千万円、1年内返済予定の長期借入金3億5千万円等です。 固定負債は、1億5千1百万円と、対前連結会計年度末比で1億3百万円増加しました。増加額内訳は、その他に計上されたリース債務9千8百万円です。 純資産は、212億2千9百万円と、対前連結会計年度末比で14億円増加しました。増加額内訳は、利益剰余金13億1千9百万円等です。 自己資本比率は、前連結会計年度末の47.5%から49.1%となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ、26億3千6百万円減少し、60億3千8百万円となりました。その内訳は次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、3億2千1百万円の資金の増加(前年同期は45億5千5百万円の資金の増加)となりました。 増加額内訳は、税金等調整前当期純利益39億8千8百万円、減価償却費8億4千5百万円、売上債権の減少5億8千4百万円等です。減少額内訳は、棚卸資産の増加24億4百万円、法人税等の支払額18億1千万円、その他2億5百万円、仕入債務の減少1億6千3百万円、その他の流動負債の減少1億6千3百万円、未払費用の減少1億3千9百万円、賞与引当金の減少1億1千9百万円等です。 投資活動によるキャッシュ・フローは、15億5千2百万円の資金の減少(前年同期は6億7千7百万円の資金の減少)となりました。 減少額内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出7億9千5百万円、有形固定資産の取得による支出4億3千4百万円、無形固定資産の取得による支出2億6千1百万円等です。 財務活動によるキャッシュ・フローは、14億1千6百万円の資金の減少(前年同期は12億1百万円の資金の減少)となりました。 減少額内訳は、配当金の支払14億1千6百万円です。 該当事項はありません。 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 該当事項はありません。 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ダントツの品質、ダントツのスピード、ダントツのサービス、納得してご購入頂ける価格の実現を目指すことで顧客満足度の向上を図ってまいりました。販売単価の改善ならびに原材料市況の影響等に伴い、売上高は、前連結会計年度比で11.1%増加し、616億2百万円となりました。 売上高の増加を上回る仕入高の増加等により、売上原価は前連結会計年度比で14.0%増加し、514億4千9百万円となりました。 この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度比で1.5%減少し、101億5千2百万円となりました。 売上高の増加に伴う運賃の増加等により、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比で5.3%増加し、63億7千5百万円となりました。 この結果、当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度比で11.2%減少し、37億7千7百万円となりました。 不動産賃貸収入等の営業外収益は、前連結会計年度比56.1%増加し2億4千1百万円となりました。不動産賃貸費用等の営業外費用は、前連結会計年度比19.4%減少し、2千9百万円となりました。 この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度比で8.8%減少し、39億8千8百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比で7.6%減少し、27億3千7百万円となりました。 当連結会計年度より北米を加えた3区分を報告セグメントとしております。 業績に影響が大きい半導体製造装置業界は、長期的には半導体需要の拡大が予想されているものの在庫調整局面が続いており、売上高の増加による増益要因はあったものの、仕入高の増加や運賃、電気料金をはじめとする各種コストの上昇などにより減益となりました。売上高は588億3百万円(対前期11.2%増)、営業利益は38億1千万円(対前期7.2%)、セグメント資産は415億4千7百万円(対前期0.8%増)となりました。 米国子会社の「Hakudo USA Inc.」が「West Coast Aluminum & Stainless, LLC」の持分を51%を取得した際に一時的な費用1億2千6百万円を計上しております。 営業損失は1億2千6百万円、セグメント資産は18億8千6百万円となりました。 品質向上と原価低減に努め、また代理店開拓や加工品拡販に注力した結果、売上高は15億8千1百万円(対前期8.0%減)、営業損失は0百万円(対前期100.1%減)、セグメント資産は16億9千1百万円(対前期2.9%減)となりました。 その他事業においても、業績向上に努め、売上高は12億1千6百万円(対前期37.9%増)、営業利益は9千3百万円(対前期15.3%増)、セグメント資産は7億1千6百万円(対前期43.1%増)となりました。 キャッシュ・フローの状況については、第一部[企業情報] 第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](3)当期のキャッシュ・フローの概況をご参照ください。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売および在庫のための商品購入ならびに商品の加工費用のほか、販売費及び一般管理費等であります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費、運賃、業務委託費等であります。 当社グループは現在、運転資金については短期借入金により、設備資金については内部留保により調達することを基本としております。また、当社においては、取引銀行3行と貸出コミットメント契約を締結し、機動的な資金調達を行っております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際して、特に以下の項目が当社グループの財政状態および経営成績にとって重要であり、かつ経営判断および見積りに影響を及ぼすものと考えております。 当社グループの債権のうち、損失が合理的に予想される債権に対しては、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。貸倒引当金の見積りをより適切に行うため、取引先について、財政状況、与信状況などを勘案して個々について検証することとしております。 投資有価証券(「その他有価証券」)は、市場価格のない株式等以外のものと市場価格のない株式等に分類し、市場価格のない株式等以外のものは当連結会計年度末の市場価格に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定)により評価しております。また、市場価格のない株式等は1株当たり純資産額と取得価額とを比較して1株当たり純資産額が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討することとしております。 当社グループの在庫商品は、総平均法に基づく原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用し、グルーピングした商品毎に当連結会計年度末の再調達原価と取得原価を比較して評価損を計上しております。 また、長期滞留の在庫商品に対しては販売可能性を判定して評価損を計上しております。 当社グループは、非鉄金属素材の販売を中核の事業としていることから、非鉄金属の市況の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。当連結会計年度末において、電気銅建値・アルミニウム地金は前連結会計年度末比で下落しましたが、一方でステンレス鋼板は前連結会計年度末比で上昇しました。 また、当社の主要販売分野が半導体製造装置業界および液晶製造装置業界、工作機械業界等であることから、各業界の設備投資の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。 ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻により世界経済の下振れ懸念がある等、先行き不透明な状況が続くと見込まれますが、差別化商品をはじめとする標準在庫品の品揃えを充実させるとともに、3Dプリンターによる金属製品の受託製造の技術力向上、24時間365日お見積り・ご注文可能な「白銅ネットサービス」の普及により、売上高の向上に努めてまいります。 当社グループは海外への進出、事業拡大に積極的に取り組んでおります。その施策の一環として、2023年3月20日付で当社の連結子会社であるHakudo USA Inc.がWest Coast Aluminum & Stainless, LLCの持分を取得いたしました。同社は非鉄金属の薄板販売事業で優良な顧客基盤と経験豊富なセールスチームを有しております。同社の顧客基盤に対し、当社が取り揃える商品やサービス、およびE-Commerceシステムを活用した経費削減等のシナジーを期待できると考えております。 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合関係)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。
株式会社ナカヨ
# 株式会社ナカヨ 東京市渋谷区において、個人営業として中村与一郎商店を創立。 東京都世田谷区北沢2丁目47番地において、株式会社中与通信機製作所を設立。 逓信省戦災復興計画により電話機、交換機部品の指定メーカーとなる。 株式会社日立製作所戸塚工場の有線通信機種製作に着手、技術指導を受ける。 株式会社信和電業社を吸収合併。 デミング賞を受賞。 株式会社日立製作所より資本導入。 群馬県前橋市に前橋工場を建設。 日本電信電話公社のP.B.X.(構内交換機)指定メーカーとなる。 日本電信電話公社の電話機納入メーカーとなる。 日本電信電話公社の電子交換機用継電器開発メーカーとなる。 前橋工場に電話機総合組立工場を増設。 株式会社ナカヨ通信機に商号変更。 株式を東京証券取引所市場第二部へ上場。 子会社株式会社前橋商工を設立。 東京都渋谷区に業務本部を開設。 群馬県前橋市に総合電話機工場として群馬工場を新設。 本社を東京都渋谷区に移転。 子会社株式会社前橋商工が社名変更し、ナカヨエンジニアリング株式会社となる。 秋田県能代市に商品開発秋田研究所(北日本事業所)を新設。 ISO9001品質管理システムの登録認定を取得。 ISO14001環境マネジメントシステムの登録認定を取得。 東京証券取引所市場第一部銘柄に指定を受ける。 当社世田谷事業所、ナカヨ電子サービス株式会社本社およびナカヨエンジニアリング株式会社本社を東京都世田谷区(桜上水)に移転。 子会社ナカヨエンジニアリング株式会社を吸収合併。 本社を群馬県前橋市に移転。 ISO27001情報セキュリティマネジメントシステムの登録認定を取得。 当社東京オフィス、ナカヨ電子サービス株式会社本社およびNYCソリューションズ株式会社本社を東京都港区に移転。 株式会社ナカヨに商号変更。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からスタンダード市場へ移行。 当社グループは、株式会社ナカヨ(当社)及び連結子会社2社・非連結子会社1社及び関連会社2社で構成されております。 当社は通信機器メーカーとしてブロードバンド&ワイヤレスシステムを主に製品開発、製造、販売及びSEサポートに至る事業活動を展開しております。連結子会社のうち、ナカヨ電子サービス株式会社は、当社製品のCTI・IPボタン電話装置等の音声端末機器、交換装置を中心に販売、メンテナンス、施工を行っており、NYCソリューションズ株式会社は、NTT商品の販売を行っております。関連会社の株式会社エヌティシステム他1社は当社製品を含めた製品販売を行っております。 なお、2023年4月1日付で、当社を存続会社、ナカヨ電子サービス株式会社を消滅会社とする吸収合併を行っております。 当社製品の販売及び工事を営んでおり、当社役員1名及び当社従業員2名が同社役員を兼任しております。 当社役員1名及び当社従業員2名が同社役員を兼任しております。 おります。 2023年3月31日現在、組合員数は412名であり、上部団体の全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しております。 会社と組合間の折衝は経営協議会を通じて行われ、苦情処理の話合いも円滑になされており、組合は経営に対して協力的であります。 なお、連結子会社には労働組合はありません。 であります。 3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 であります。 3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 当社グループは、時代の変化、ニーズに対応した物づくりに真摯に取り組みます。お客様の視点にたった製品の開発、製造、販売並びにサービスの提供を通じて社会に貢献することを基本理念としております。あわせて当社グループはコンプライアンスと社会的責任を深く認識し、その時代に即した企業行動のあり方を常に見直して行動します。また当社グループでは「企業理念」に基づき、「企業行動憲章」、「従業員行動指針・行動規範」を掲げています。これらを実践して、当社グループが取り巻くすべてのステークホルダーの信頼と満足を得られるよう努めます。 当社グループでは、「ハードウエア・ソフトウエアとサービスによる価値創造により、お客様の事業発展と社員幸福を目指す」という経営ビジョンに基づき、2022年3月期を初年度とする第五次中期経営計画を策定し、目標の達成に向け、グループ一丸となって取り組んでおります。 製品・サービスを創出する。 ②グループ全体で徹底したコスト管理を行い、安定的に収益を生み出せる経営体質へと改善する。 ③社員がナカヨグループで働くことに「喜び」や「やりがい」を感じられる環境を構築する。 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を見据えて事業を見直して、従来からの事業の柱であるビジネスホンの更なる展開に加え、新たな事業基盤の確立に取り組んでまいります。特に、当社グループの強みである情報伝送技術とものづくりにITを融合させた事業である「スマートX事業」に経営資源を重点配分することで、本事業の早期確立を推進してまいります。 当社グループは、親会社である当社を中心に、機能別の各会社で構成されております。各会社は協調して事業運営を行っておりますが、それぞれの自主性、主体性、独自性はグループ全体の方針の中で尊重し、事業運営を行っております。 事業構成及び内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。 当社グループの関連するICT市場において、Society5.0の実現に向けてIoTやAIを活用した製品・サービスの高度化、技術革新と共に新たなビジネスの躍進が見込まれております。その一方、当社の主力商品であるビジネスホン関連においてはリプレイス需要を中心とする市場へ移行しており、大幅な売上増加は見込めない状況にあります。 また、当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症による各種制限が徐々に緩和されており、社会経済活動の正常化が進んでいる一方、資源価格の上昇や急激な為替変動による物価上昇が続いており、依然として先行不透明な状況が続いております。当社の生産活動におきましても、部品調達コストの上昇や、部材不足による一部製品の生産調整等を余儀なくされております。 当社グループは、ビジネスホン関連の製造・販売を主たる事業としております。ビジネスホン関連以外でもインターホンにネットワーク通信技術という異なる分野の技術を融合させたシステムを実現したインターホン事業の製品についても販売しております。また、2022年3月期を初年度とする第五次中期経営計画を策定し、既存事業を推し進めるとともに、新たな事業基盤として立ち上げたスマートX事業では、経営資源の重点配分による開発力強化に加え、新たな販路の開拓等を進め、事業基盤の確立を早期に実現させてまいります。今後も、お客様の立場に立ち商品開発・販売を行ってまいります。 当社グループは2021年4月からスタートした第五次中期経営計画において、最終年度の2024年3月期の業績について、売上高20,000百万円、営業利益800百万円を掲げております。 なお、2023年5月時点において、社会情勢等を踏まえた2024年3月期の業績の見通しにつきましては、下記の通りであります。 を基本方針として活動していく所存です。 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を見据えて事業分類を見直し、従来からの事業の柱であるビジネスホンの更なる展開に加え、新たな事業基盤の確立に取り組んでまいります。特に、新たな事業基盤として立ち上げる「スマートX事業」に経営資源を重点配分することで、本事業の早期確立を推進してまいります。 ビジネスホン関連事業は、売上高について大幅な上昇が見込めない状況であるものの、市場のシェアを獲得していくことで安定的な売上と利益を見込めることから、収益の基幹事業とし、既存商品群の機能強化に加えて、サービス商品やアプリケーション商品の新商品開発を継続してまいります。その上で、新たな事業基盤であるスマートX事業やインターホン事業等の開拓・拡大をすすめ、事業規模を拡大してまいります。 製造革新活動の継続、IoTの活用によるスマート工場化、BI(Business Intelligence)ツールの導入などにより生産性を向上させてまいります。また、社員の試行錯誤によるチャレンジを推奨する制度の導入などにより創造性の強化を図ってまいります。さらには、社員教育の充実や働き方改革の推進など、社員のパフォーマンスを最大限に発揮できる環境を整備することで、経営体質を強化してまいります。 人材確保に向けて、採用方法及び働きやすい環境づくりが必要であると考えます。その為、従来の採用活動に加えインターシップ制度の導入拡大や通年採用を通じ、安定して人材確保できるよう努めております。また、従業員に対して、育児等による時短勤務の拡充や長期時間労働抑制のためのPCシャットダウンアプリの導入など環境整備に努めております。引き続き働きやすい環境づくりのために努めてまいります。 健全な成長を持続するためには、コーポレートガバナンスと内部管理体制の強化が重要であると認識しております。経営の効率性・健全性を確保するため、内部監査及び内部統制システムの整備・拡充を引き続き行ってまいります。 新型コロナウイルス感染症による事業への影響を最小限とするため、部品、金型等固定資産の安定的な調達の実現と経営環境の変化、消費者のライフスタイルや消費マインドの変化に機動的かつ柔軟に対応できる体制の構築に努めてまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループでは、サステナビリティに関する事案については、経営会議など各種の執行会議で審議され、重要な事案については取締役会に報告され、審議されます。 また、サステナビリティを含むリスク・コンプライアンス案件については、代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、全体的なリスクマネジメント推進に関わる課題、対応策の協議及びコンプライアンス全般の強化を行っております。 事業活動による環境リスク、環境負荷の把握とその低減については環境管理責任者を委員長とする環境委員会を設置して毎月報告会を行い、事業活動に反映しています。 当社グループは「良き企業市民として、時代のニーズを先取りした価値を創造し、社会の発展に貢献します。」という企業理念に基づき、SDGsのゴールに向けて、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を意識した取り組みを行っております。こうした取り組みのもと、法令・規範・倫理等を遵守し、誠実に企業活動を推進することですべてのステークホルダーへの社会的責任を果たしてまいります。 すべての従業員が能力を十分に発揮できるよう、誰もが仕事と生活の調和がとれた働き方ができる環境づくりを推進しております。この考えを基に人材の育成及び社内環境整備について以下の施策を実施しています。 ・人材の育成   若手人材育成制度、キャリア異動希望制度の実施。 推進等の取り組みの実施。 れらの取組は年度毎に見直しを行い、年度計画書を作成し、環境委員会にて管理・運用されております。 ライアンス委員会を設置し、ナカヨグループ全体のリスクマネジメント体制を整備しております。 につきましては取締役会に報告されます。 当社グループは、社員がナカヨグループで働くことに「喜び」や「やりがい」を感じられる環境を構築することを目標とし、すべての社員がその能力を十分に発揮できるような職場環境の実現を目指しております。 当社グループは社員が仕事と子育てを両立できるように男性の育児目的休暇取得率を20%以上とすることを目指しております。2022年度において、当社グループにおける男性の育児目的休暇の取得率は21%となっております。今後も、出産祝品を贈呈する際に育児目的休暇の計画書を配付する等の取得奨励策を積極的に行い、取得率を向上させてまいります。 また、社員が働きやすい職場環境の整備として、テレワーク勤務の実施や時間単位有給制度、有給休暇計画表の作成等による年次有給休暇の取得促進を行っております。特に、年次有給休暇の取得率80%以上を目標として取り組んでおり、2022年度の実績は80%となっております。今後も80%以上の取得率を維持できるように推進し、ワークライフバランスの整った職場環境の整備を進めてまいります。 地球温暖化対策の指標として、当社グループ全体のCO2排出量を2030年度に50%削減(2016年度比)と設定しています。これを実現させるための取組として、再生可能エネルギーの導入、再生エネルギー電力の購入、製品の環境性能向上等の施策実施を進めております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループの主要な取引先として、株式会社日立製作所、株式会社日立情報通信エンジニアリング、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社の4社があり、売上高に占めるこれら4社への依存度が高くなっています。 当連結会計年度における株式会社日立製作所に対する販売実績は66百万円であり、連結売上高の0.4%を占めています。また、株式会社日立情報通信エンジニアリングに対する販売実績は5,002百万円であり、連結売上高の29.3%を占めています。これら2社を含む日立製作所グループとの取引は受注生産による販売であり、同グループの仕入方針の変更等により、当社グループへの発注が減少した場合や発注条件が変更された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における東日本電信電話株式会社に対する販売実績は1,353百万円であり、連結売上高の7.9%を占めています。また、西日本電信電話株式会社に対する販売実績は1,324百万円であり、連結売上高の7.7%を占めています。なお、これら2社を含む日本電信電話グループとの取引は、一部に入札方式が採用されており、不採用となった場合は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があり、その程度につきましては、様々な要因により変動すると認識しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクの対応策として、当社グループは、新製品開発を継続して行うことで、従来の取引先を確保しつつ、スマートX事業やインターホン事業、サービス事業など新規事業における製品開発・販売を実施し、売上拡大及びリスク分散に努めております。 当社グループの部品の調達は世界中多岐にわたっております。当社グループの製造する製品の材料費が、何らかの理由により大幅に変動し、製品価格に転嫁できない場合、あるいは販売品目の構成比の変動に伴い、材料費率が大幅に変動した場合、売上総利益が変動する可能性があり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクは現時点で顕在化しており、当連結事業年度は世界的な半導体需要の増加及び調達コストの上昇のにより、材料費率の増加及び調達期間が長期化する影響を受けています。 今後の部材の調達については、半導体需要の増加の影響はやや抑制される見通しではあるものの、引き続き影響の長期化や調達期間が長くなる場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策については、継続して調達先の現状把握と納入可否の確認を実施するとともに、他製品で採用実績のある他社相当品への切替の実施や、販売価格の見直し等を検討することで、影響を最小限に留めるよう努めてまいります。 当社グループは、ボタン電話装置(ビジネスホン)および周辺装置の売上高が全体の半数を占めており、また売上高の大半を国内需要に頼っているため、国内の景気の好不況による企業の設備投資の意欲により販売数量に影響を受けます。また通信機器関連分野は、ネットワークインフラの技術革新が著しく、IoT関連技術が急速に進展しており技術革新のスピードに乗り遅れた場合は魅力ある新製品をタイムリーに提供できず、市場におけるシェアを低下させる懸念があります。また、情報通信機業界以外の業者の新規参入により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を受ける可能性があります。当該リスクの対応策として、当社グループは、主力製品であるビジネスホンの既存商品群の機能強化に加えて、サービス商品やアプリケーション商品の新商品開発を推進いたします。また、当社グループは、新製品開発を継続して行うことで、従来の取引先を確保しつつ、スマートX事業やインターホン事業、サービス事業など新規事業における製品開発・販売を実施し、売上拡大及びリスク分散に努めております。 当社グループの製品は、社会インフラの構築に利用され、また顧客の情報コミュニケーション基盤を支えるものであります。製品の品質には細心の注意を払って製作しておりますが、全ての製品において品質問題が発生しないという保証はありません。 品質上の問題に起因する欠陥や瑕疵又は障害が発生した場合、その修復や対応のために発生する費用や利益の逸失、社会的な信用の失墜、ブランドイメージの喪失による売上高の減少等経営に影響を及ぼす可能性があります。その程度につきましては、様々な要因により変動すると認識しております。なお、当社グループの製品保証引当金の金額以上の多大なる影響を及ぼす当該リスクの顕在化の可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクの対応策として、開発完了時点、部品納入時点、製品完成時点等段階別に品質を管理する専門部署を複数設置し、法令及び社内ルールの遵守、システム等を活用した管理の徹底に努めております。 当社グループは、製品を国内で生産しているため、競合他社が相対的に製造原価の安い外国等に生産拠点をシフトし、当社と同等の製品を、より安価に提供するようになった場合、当社グループに売上高の減少、損益の悪化等の影響を及ぼす可能性があります。 また、海外業者の参入による販売の激化に伴い、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは部品調達、金型等の固定資産の一部を海外から調達しており、この海外調達比率を徐々に引き上げる方向で進めております。これに伴い、為替変動リスクが高まり、損益に影響する割合が増加します。円高は損益に好影響、円安は損益に悪影響となります。当該リスクの対応策として、為替予約等により、変動リスクの軽減を図ることがありますが、短期間での為替の急激な変動は為替予約等のリスクヘッジを行っても、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、海外調達先の社会情勢、災害により部品、金型等が長期にわたり調達が困難になった場合には該当関係製品の生産に支障をきたし、市場に製品を供給出来なくなる可能性があり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は上記の(2)材料費および材料費率についてのリスク以外、現時点では認識しておりません。当該リスクの対応策として、調達先の現状把握と納入可否の確認を実施するとともに、他製品で採用実績のある他社相当品への切替を実施することで影響を最小限に留めるよう努めてまいります。 当社グループの事業活動を支える根幹は人であり、当社グループの将来の成長と成功は、有能な人員の確保・育成が重要な経営課題であると認識しております。しかしながら、この確保・育成がうまくいかなかった場合、将来にわたり業績に影響を与える可能性があります。 また、人員の流出等により従業員の年齢構成・各職場の人員配置のバランスが崩れた場合、職場内の意志疎通が十分機能せず、円滑な事業活動の遂行に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。しかしながら、人材の確保においては、多少ではあるものの、人手不足による影響が生じております。当該リスクの対応策として、従来の採用活動に加えインターシップ制度の導入拡大や通年採用を通じ、安定して人材確保できるよう努めております。 当社グループは、事業の遂行により蓄積された機密情報と顧客からお預かりした秘密情報や個人情報を保有しております。サイバーテロ、ウイルス感染、ハッキング等により機密・秘密情報が漏洩した場合、顧客からの損害賠償請求による損失、社会的な信用の失墜による売上高の減少等経営に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。情報セキュリティ管理体制の下、巧妙化するサイバー攻撃等への情報セキュリティ対策として、IPS(不正検知システム)やアンチウイルスソフト、メールソフトへの標的型攻撃検知アプリの導入および従業員の情報セキュリティに対する意識レベル向上のための教育・啓蒙活動を実施し、その維持管理を行っております。 当社グループは、製品の開発に関しては電気通信事業法等の政府の規制を受けており、輸出入に関しては、外国為替および外国貿易法等の貿易関連法規の規制の適用を受けております。また、環境、独占禁止、特許、リサイクル等の国内法の様々な規制も受けており、これらの法律の遵守ができなかった場合は、活動の制限、損害賠償の発生等当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクの対応策として、コンプライアンス教育の強化と充実、法令及び社内ルールの遵守等を徹底するよう努めております。 現在のところ、当社グループにおいては重要な訴訟を受けた事実、あるいは訴訟を提起したというものはありません。ただし、新製品を開発し新技術を使用する中で、事前調査には万全を尽くしていますが、技術の範囲が多岐にわたり、国内外の特許権等の知的財産権に抵触しているとして法的手続きの対象となる可能性があり、その場合に発生する費用は財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクの対応策として、コンプライアンス教育の強化と充実、法令及び社内ルールの遵守等を徹底するよう努めております。 当社グループの現金及び現金同等物の残高は、当連結会計年度末では前連結会計年度末に比べ、2,061百万円減少しております。親会社株主に帰属する当期純利益の減少、大規模災害や新規開発投資の増加あるいは新規設備投資の増加、配当金の増加等によって、キャッシュ・フローが一時的に悪化する可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。当該リスクの対応策として、主要取引金融機関との間でコミットメントラインの契約を締結しており、流動性リスクを回避する体制をとっております。 新型コロナウイルス感染症は社会的な脅威としては収まってきているものの、今後の感染拡大状況によっては、部品調達リスク、従業員が感染するリスク、消費動向に関するリスクが想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 今後、感染症の拡大、蔓延が発生した場合に備え、状況に応じた感染症対策を徹底するとともに、テレワークやWEB会議等を活用することで、事業継続へのリスクを最小限に抑える体制を整備しています。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和されており、社会経済活動の正常化が進んでおります。一方、資源価格の上昇や円安による物価上昇が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。 当社グループの関連するICT市場について、Society 5.0の実現に向けてIoTやAIを活用した製品・サービスの高度化等、技術革新と共に新たなビジネスの躍進が見込まれております。しかしながら、ボタン電話や構内用電子交換機などのビジネス関連機器は、部材不足の影響があったため、生産活動が低調となりました。 このような状況下で、当社グループは2021年4月からスタートした「第五次中期経営計画」において、「ハードウエア・ソフトウエアとサービスによる価値創造により、お客様の事業発展と社員幸福を目指す」という経営ビジョンに基づき、持続的な成長と中期的な企業価値の向上を見据えて事業分類を見直し、従来からの事業の柱であるビジネスホンのさらなる展開に加え、新たな事業基盤の確立に取り組んでおります。特に、新たな事業基盤として、情報伝送技術と製造能力にITを融合させた事業「スマートX事業」に経営資源を重点配分しております。当社グループの強みとする音声・画像等の情報伝達技術や製造能力を活用した製品・サービスの創出に取り組んでおり、当連結会計年度では、労務管理・業務管理用アプリケーション商品「NYC On Timeアシスト」「NYCオフィスアシスト」を発売いたしました。 また、製販一体によるシナジー効果を発揮し事業の合理化、市場での競争力を高めるため、2023年4月に連結子会社のナカヨ電子サービス株式会社を吸収合併しました。事業規模の拡大とグループ経営の最適化による経営体質の強化を図ってまいります。 SDGsへの取り組みとして、すべての従業員が能力を十分に発揮できるよう、誰もが仕事と生活の調和がとれた働き方ができる環境づくりを推進し、制度拡充や利用しやすい環境づくりを図り、この度、群馬県より「令和4年度いきいきGカンパニー優良事業所」として当社が両立支援部門で優秀賞を受賞しました。引き続きSDGsへの取り組みを通じて社会貢献に寄与すべく事業の推進を行ってまいります。 新製品につきまして、テレワーク機能の強化と医療・介護系業務との連携を強化した新デザインのビジネスホン、IPテレフォニーシステム「NYC-Xシリーズ」を発売しております。本製品は、ボタン部などの塗装の廃止やボタン部の表示を従来のシルク印刷からレーザー発色を採用するなど、塗装レス、インクレスを実施し、従来製品よりも部品点数の低減を行ったことで、リサイクル性を向上させており、SDGsにも寄与した製品となっております。また、落雷対策、リチウムイオンバッテリーを搭載したUPS(無停電電源装置)「UPS-LiB360NⅡ/LiB1000NⅡ」を2023年4月に発売しました。本製品は、非常時でも蓄電池として使用可能で、災害時でも安心して長時間システムの運用が可能な製品となります。引き続き、お客様目線での製品開発を行い、新しい製品やサービスを提供してまいります。 生産活動につきまして、一部部材において入手困難な状況が継続しており、調達先の現状把握と納入可否の確認を行い、生産維持に努めました。販売活動につきましては、スマートX事業のアプリケーション「NYC On Timeアシスト」「NYCオフィスアシスト」を発売し積極的に販売活動を行いましたが、取引先で新製品切替えに伴う旧製品の納入調整等の影響により主力製品であるビジネスホンの販売が低調に推移しました。 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,929百万円減少し、22,392百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ550百万円減少し、5,496百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,378百万円減少し、16,895百万円となりました。 当連結会計年度の業績については、売上高は、17,086百万円(前期比8.1%減)となりました。利益面については、価格転嫁を行っているものの部材価格の高騰による調達費用の増加と急激なインフラ費用の増加により、営業損失974百万円(前連結会計年度は営業利益86百万円)、経常損失858百万円(前連結会計年度は経常利益218百万円)と、当初予想を大きく下回りました。なお、2023年5月11日に公表しております「投資有価証券売却益(特別利益)の計上に関するお知らせ」のとおり投資有価証券売却益を計上した為、親会社株主に帰属する当期純損失は708百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益281百万円)となりました。 なお、当社グループは通信機器事業の単一セグメントであります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ2,061百万円減少し、3,913百万円となりました。 営業活動によって使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,607百万円増加し、1,746百万円(前期は139百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額1,154百万円、投資有価証券売却益453百万円があったこと等によるものであります。 投資活動によって使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ120百万円増加し、136百万円(前期は15百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入483百万円があったものの、ソフトウエアの取得による支出334百万円、有形固定資産の取得による支出318百万円があったこと等によるものであります。 財務活動によって使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ0百万円増加し、177百万円(前期は177百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額177百万円があったこと等によるものであります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 ます。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 親会社株主に帰属する当期純利益281百万円)となりました。 ります。 当社グループは、2022年3月期を初年度とする「第五次中期経営計画」に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を見据えて事業分類を見直し、従来からの事業の柱であるビジネスホンの更なる展開に加え、新たな事業基盤の確立に取り組んでまいりました。世界的な半導体を中心とする部材の供給不足、原材料価格の高騰が続いている中、当社グループでは、お客様のご希望に応えるべく生産を確保する為、グループ社員一丸となって生産維持に注力をしたことにより、売上高は概ね予想数値どおりに推移いたしました。利益面では、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が、合理化等による費用削減を行ったものの、2022年3月期の後半にかけて新型コロナウイルス感染症による世界的な半導体を中心とする部材の供給不足等の影響により、調達費用が想定を上回り、原価が上昇したことで予想を下回りました。 当社グループを取り巻くICT市場は、多様な働き方に向けたテレワーク等新たなビジネススタイルへの移行に向けての通信インフラ関連の需要増加、Society 5.0やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向けたIoTやAIを活用した製品・サービスの高度化等、技術革新と共に新たなビジネスの躍進が見込まれております。第五次中期経営計画では、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を見据えて事業分類を見直し、従来からの事業の柱であるビジネスホンの更なる展開に加え、新たな事業基盤の確立に取り組んでまいります。特に、新たな事業基盤として立ち上げる「スマートX事業」に経営資源を重点配分することで、本事業の早期確立を推進してまいります。 総資産は前連結会計年度末に比べ1,929百万円減少し、22,392百万円となりました。 流動資産は前連結会計年度末に比べ1,235百万円減少し、15,034百万円となりました。これは主に、原材料及び貯蔵品の増加1,031百万円、商品及び製品の増加107百万円があったものの、現金及び預金の減少2,067百万円、売掛金の減少384百万円があったこと等によるものであります。 固定資産は前連結会計年度末に比べ693百万円減少し、7,357百万円となりました。これは主に、投資有価証券の減少584百万円、ソフトウエアの減少161百万円があったこと等によるものであります。 負債は前連結会計年度末に比べ550百万円減少し、5,496百万円となりました。 流動負債は前連結会計年度末に比べ450百万円減少し、4,404百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少194百万円、未払法人税等の減少145百万円、賞与引当金の減少71百万円、電子記録債務の減少43百万円があったこと等によるものであります。 固定負債は前連結会計年度末に比べ100百万円減少し、1,091百万円となりました。これは主に、繰延税金負債の減少115百万円があったこと等によるものであります。 純資産は前連結会計年度末に比べ1,378百万円減少し、16,895百万円となりました。これは主に、利益剰余金の減少885百万円、その他有価証券評価差額金の減少450百万円があったこと等によるものであります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、部品や製品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要は、設備投資、開発投資であります。また、株主還元については、株主の皆様に対する利益還元を充実していくことが経営上の重要課題であることを認識しており、業績に応じた配当の実現と市場競争力の維持や収益の向上に不可欠な設備投資、研究開発等を実行するための内部資金の確保を念頭に、財政状態、利益水準及び配当性向等を総合的に勘案し、安定的に実施する様努めてまいります。運転資金、投資資金及び株主還元等につきましては、主として内部資金を基本としております。 また、大規模災害や新規開発投資の増加あるいは新規設備投資の増加、配当金の増加等によって、キャッシュ・フローが一時的に悪化した場合に備え、主要取引金融機関との間でコミットメントラインの契約を締結しており、流動性リスクを回避する体制をとっております。 当社グループは、健全な財務体質及び継続的な営業活動により、資金調達は可能であると考えております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,913百万円となっております。 及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当社は、2022年12月22日開催の取締役会において、2023年4月1日を効力発生日として、当社の完全子会社であるナカヨ電子サービス株式会社を吸収合併することを決議し、2023年2月1日に合併契約を締結しております。 詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。 当社グループの研究開発は、開発推進本部で行っており、主に群馬県前橋市におけるプラットホームシステム部、ソフトウェア部及び東京都港区における情報技術研究センターにおいて幅広く展開しております。 大きな分担としては、AI技術を利用したデータ分析に基づく予測や認識等を行うための研究開発を情報技術研究センターが主体で推進し、IPビジネステレフォニーシステムへの展開、IP技術応用機器、無線LAN応用機器、PHS応用機器、特定小電力無線応用機器を使用したIoT/M2M技術および福祉機器等の事業運営に直結した技術開発を、前橋市のプラットホームシステム部、ソフトウェア部を中心に推進しております。 当連結会計年度に支出した研究開発費は495百万円であり、研究開発の概況については次のとおりであります。 これまでにない付加価値を提供出来るように、アプリケーションを中心とした製品開発において、小型サーバとして開発したマイクロサーバに「NYCオフィスアシスト」「NYC On Timeアシスト」を搭載し、設置するだけで業務改善を可能とする製品を販売しました。今後は開発中の音声系のアプリケーションを連携させて更なる付加価値を提供できる製品開発を推進して参ります。 主力製品であるビジネスホンをモデルチェンジし、「NYC-Xシリーズ」として2022年11月に販売開始しました。「新デザイン端末」による商品力の向上、「転送電話機能」「会議通話機能」の改善によるテレワークにおける利便性向上、旧機種からのデータ設定を簡単に移行できる「データ変換アプリケーションXi」による工事性の向上を図っています。 また、オフィス、ビル分野向けの無人受付システム「NYC Reception」を2023年3月に販売開始しました。受付モニタにタブレットを使用し、ビジネスホンに接続可能な汎用無人受付システムであり、わかりやすい操作画面から簡単に使いこなせるよう操作性向上を図っております。 更にQRコード発行システム等更に便宜性の向上を図った受付システムの開発、非接触操作を可能とする機器の開発を推進してまいります。 IP電話機の接続対象SIPサーバを追加する改良を行っています。 今後も、各種のキャリアに対応するIP電話機、IPネットワーク強化のための開発を継続推進してまいります。 前橋工科大学と共同で行っている健康管理システムの研究、開発において、社会の課題でもある、健康寿命の延伸について検討を行っています。健康寿命は、介護が必要になる前のフレイル(ちょっとした衰え)に気が付き、その期間の過ごし方を見直し、改善することでその延伸も可能であると言われています。そこで、日々の体重の変化と活動状況からフレイルの兆候を発見できるシステムとして、前橋市が進めるCCRC(Continuing Care Retirement Community)事業において健康管理システムを活用しています。利用者に身体と認知の課題を気づかせ、更に、利用者に合わせた健康維持プログラムを提供し商業施設で実証実験を実施しております。また、この活動を公共交通に係る利便性の向上等を目的としたMaeMaaS(マエマース)の交通系ICカードと連携させるために、市民が日常的に立ち寄る郵便局に「健康ステーション」を設置し実証実験を拡大しています。 IoTシステムにおいて必須となるデータ収集を、ネットワークの周縁部(エッジ)の近くにサーバを分散させ、アプリケーション処理の低遅延化や通信トラフィックの最適化と簡易アプリも搭載可能なマイクロサーバの活用を今後も推進してまいります。 また、多種の用途への適用が行えるようなサービス、機能の検討を推進してまいります。 AI利用による自社製品の付加価値創出に向け、画像データの分析による人物の識別と行動把握に関する研究、並びにテキストデータの分析による対話、文章変換に関する研究を行っております。 画像データの分析では、お客様ニーズが高い危険領域への侵入検知および個人識別の研究、自社工場を使って行動把握による製造工程の効率化の研究に取り組んでおります。 テキストデータの分析では、問い合わせ対応などサポート業務の支援を想定して、チャットボットの研究、専門用語や独自の言い回しを含む文字列の類似度評価をもとに、対話や文章変換の研究に取り組んでおります。
日鉄鉱業株式会社
# 日鉄鉱業株式会社 石炭、鉄鉱石、石灰石等の製鉄原料の総合開発と資源確保を目的として、旧日本製鐵㈱の鉱山部門が独立し、資本金5,000万円をもって当社設立。二瀬、釜石、倶知安、赤谷の各鉱山を引き継ぎ稼行。 東鹿越採石所(1951年4月 東鹿越鉱業所に改称)を開設。 井倉採石所(1951年4月 井倉鉱業所に改称)を開設。 津久見採石所(現・大分事業所)を開設。 船尾採石所(現・連結子会社「船尾鉱山㈱」)を開設。 羽鶴鉱業所(1953年4月 葛生鉱業所に改称、現・栃木事業所)を開設。 関東証券㈱の経営に参画(1953年4月 資本参加)。 東京証券取引所第一部に上場。 炭鉱機械メーカーであった㈱幸袋工作所に資本参加することにより、機械事業へ進出。 尻屋鉱業所を開設。 三鷹研究所を開設(1989年4月 研究開発センターに改称、1994年10月 東京都日の出町に移転)。 営業部門の強化を目的として新和商事㈱(現・連結子会社)を設立。 鉱山コンサルタント部門を分離し、日鉄鉱山コンサルタント㈱(現・連結子会社「日鉄鉱コンサルタント㈱」)を設立。 北上産業㈱(現・連結子会社「日鉄鉱建材㈱」)に資本参加。 長尾山採石所を開設。 久原採石所(1988年10月 山口採石所に改称、2023年3月 廃止)を開設。 日本ボールバルブ㈱(現・連結子会社)に資本参加。 三井金属鉱業㈱との共同出資により、日比共同製錬㈱を設立。 足立石灰工業㈱との共同出資により、アテツ石灰化工㈱(現・連結子会社)を設立。 鳥形山鉱業所を開設。 日本セメント㈱(現・太平洋セメント㈱)他との共同出資により、津久見共同採掘㈱(現・連結子会社)を設立。 伊王島鉱業所の閉山をもって石炭生産部門から撤退。 直営生コン工場を分離し、日鉄鉱道南興発㈱(現・連結子会社)を設立。 機械営業部門を設置。 重機整備部門の拡大を目的として津久見車輛整備工業㈱(現・連結子会社)の株式を取得。 釜石鉱業所を廃止し、釜石鉱山㈱(現・連結子会社)を設立。 津久見鉱業所(現・大分事業所)の支山を分離し、四浦珪石㈱(現・連結子会社)を設立。 ㈱幸袋工作所の子会社であった㈱嘉穂製作所(現・連結子会社)の全株式を取得。 化成品部門を設置(1993年4月 環境営業部門へ改称、一部事業は資源事業部門へ統合)。 不動産事業部門を設置。 新日本製鐵㈱(現・日本製鉄㈱)との共同出資により、日鉄鹿児島地熱㈱(2013年4月 当社に吸収合併)を設立。 チリ共和国での銅鉱山開発のため、日鉄鉱チリ㈲(現・連結子会社)を設立。 銅事業の海外展開を図るため、古河機械金属㈱他との共同出資により、オーストラリアにポート・ケンブラ・カパー社を設立(2003年8月 操業休止)。 袖ヶ浦物流センターを開設。 関東証券㈱と堂島証券㈱が合併し、堂島関東証券㈱(現・堂島関東㈱)が発足。 チリ共和国での銅鉱山開発のため、現地法人との共同出資によりアタカマ・コーザン鉱山特約会社(現・連結子会社)を設立。 アタカマ銅鉱山(チリ)の試操業を開始(同年6月より本格操業に移行)。 ㈱幸袋工作所の破砕機事業を同年1月に設立した㈱幸袋テクノ(現・連結子会社)に移管し、㈱幸袋工作所を解散。 津久見鉱業所(現・大分事業所)が行っていた石灰石加工・出荷業務を引き継ぐため、津久見石灰石㈱(現・連結子会社)を設立。 当社が保有するポート・ケンブラ・カパー社株式を古河メタルリソース㈱へ譲渡し、同社の経営から撤退。 三井鉱山㈱(現・日本コークス工業㈱)の子会社であった北海道共同石灰㈱(現・連結子会社「北海道石灰化工㈱」)の全株式を取得。 堂島関東証券㈱(現・堂島関東㈱)の行う自己株式取得に応じ、当社保有の全株式を売却し、証券事業から撤退。 葛生鉱業所(現・栃木事業所)が行っていた石灰石採掘・加工業務を引き継ぐため、葛生石灰砕石㈱(現・連結子会社)を設立。 日鉄鹿児島地熱㈱(同年4月 当社に吸収合併)が行っていた地熱発電用蒸気供給の操業業務を引き継ぐため、霧島地熱㈱(現・連結子会社)を設立。 鹿児島事業所を開設。 自然エネルギー開発の推進を目的として、再生可能エネルギー事業部門を設置。 新日鐵住金㈱(現・日本製鉄㈱)の子会社であった住金鉱業㈱(現・連結子会社「八戸鉱山㈱」)の株式を取得。 チリ共和国での銅鉱山開発のため、当社の関連会社であったアルケロス鉱山㈱(現・連結子会社)の株式を追加取得。 東京証券取引所の市場区分再編に伴い、市場第一部からプライム市場へ移行。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(連結財務諸表提出会社)及び子会社32社、関連会社3社により構成されており、当社及び連結子会社の主な事業は、資源事業(鉱石部門、金属部門)、機械・環境事業、不動産事業及び再生可能エネルギー事業であります。 当該各事業に携わっている当社及び主要な子会社並びに関連会社の事業内容、位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。 当社がチリ共和国におけるアルケロスプロジェクト遂行のため出資しております。 当社労働組合は、技術職社員は事業所ごとに単位組合を組織しており、社内上部組織として日鉄鉱業労働組合連合会があります。 基幹職・事務職社員は、単一組合の日鉄鉱業職員組合を組織しております。 当社における労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。 当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、資源事業を社業の柱とし、社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図ることにより、発展・拡大してまいりました。今後とも、資源の開発・安定供給に努めてまいります。 機械・環境事業につきましては、社会のニーズに応じた良質な商品を提供するとともに、事業フィールドの拡大を図ってまいります。さらに、不動産事業や再生可能エネルギー事業につきましても、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現することにより、株主、取引先及び地域社会に貢献してまいります。 当社グループは、2021年度から2023年度の3ヶ年を対象とした第2次中期経営計画を策定し、2021年5月に公表しております。本計画期間は鳥形山鉱業所(石灰石)の第3立坑建設工事、八戸鉱山(石灰石)の新規鉱区開発、チリ共和国アルケロス銅鉱山開発といった将来の成長を見据えた大型投資の本格的実行期間となり、このような積極投資に耐えうる収益の確保と財務の健全性を維持しながら、国内外の需要動向、特に石灰石の主要納品先である鉄鋼メーカーの構造改革などに対応していくことを重要課題としております。 本計画におきましては、長期ビジョン「資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する」のもと、基本方針として「大型投資を着実に実行し、持続的成長へ向けた資源の獲得を目指す」・「国内外の需要動向に対応した経営資源の配分を行う」を掲げ、これらを実行に移すとともに、事業活動とSDGsへの取り組みの両立を図ることを目指しております。 本計画期間における当期進捗の概要は以下のとおりであります。 鳥形山鉱業所第3立坑建設工事は坑内滴水対策などで当初計画から約1年工期を延期し、2024年度の本格運用を目指し建設中であります。八戸鉱山新鉱区開発は2021年度に一部出鉱を開始しておりますが、開発工事が全て完了し本格操業となるのは次期中期経営計画期間を予定しております。アルケロス銅鉱山は環境許認可手続きに想定以上の時間が取られたことや、コロナ禍での手続き停止により開発の機関決定が遅れておりましたが、本年4月の取締役会にて経済合理性を確認し開発移行を決定、工事に着手しております。 安定供給体制の再構築につきましては、2021年1月の鳥形山鉱業所の長距離ベルトコンベア火災事故を受け、監視体制の強化や設備の耐熱化を図るとともに、改めて操業上のリスクや出荷停止時における臨海鉱業所のバックアップ体制の再評価、見直しを行っております。 輸出拡大につきましては、現向先での拡販及び安定供給体制の強みを生かした複数年契約の締結を推進し、自社海外拠点や外部企業による情報を統合、分析のうえ海外石灰石需要の掘り起こしを行い、新規取引先の獲得を目指しております。 その他、鉱物資源の価値向上につきましては、取引先の理解を得ながら進めており、また、AI・ITの導入についても、プラントの安定操業や品質確保を目的とした点検、監視業務の高度化を図るべく導入試験を重ねており、搬送ベルト上の石灰石への異物やオーバーサイズ混入の検出に、AIを導入したシステムを稼働させる予定であります。 鉱山事業と製錬事業の取扱い数量をバランスさせ、外部要因に左右されない収益構造を確立すべく既存銅鉱山の鉱量増大及び新規銅鉱山の開発を目指し、チリ共和国を中心に調査を実施しております。アタカマ銅鉱山においては、周辺鉱区からの鉱量組入れを実施、また、新規開発については、本年4月にアルケロス銅鉱山の開発着手を決定しております。製錬事業におけるコスト低減を最優先課題とした業績改善につきましては、製錬会社の出資各社と協調しながら着実に進めておりますが、電力、資材調達価格の高騰などで厳しい事業環境が続いており、引き続き製錬所の安定操業と適正な設備投資水準などを検討してまいります。 水処理剤の主力製品においては、委託製造先の生産能力の増強やストックポイントの整備など、今後の需要増を見込んだ生産・物流体制の強化に取り組んでおります。次世代型水処理剤の開発と新規需要開拓につきましては、2020年度に試験販売を開始し新規取引先を開拓中であります。また、台湾・東南アジア圏での市場開拓につきましても、生産拠点の検討を行っております。 集じん機の海外展開につきましては、当社からエレメントを供給し現地合弁会社で完成品を製作のうえトンネル工事用にレンタルするなど、市場開拓に取り組んでおります。また、エレメント製造の価格競争力強化を目的として、自動化や新しい焼結方法の研究などを進めております。 中長期目標としてROA(総資本営業利益率)7%以上、自己資本比率60%以上を目指しております。本中期経営計画期間は、投資活動に伴い借入金など他人資本の増大が見込まれることから、本中期経営計画最終年度である2023年度の目標をROA4%以上、自己資本比率57.5%以上としております。 2022年度は大幅増益に加え、政策保有株式の処分を推進したことなどからROA6.7%、自己資本比率63.5%の実績となっております。 2022年度の連結営業利益は136億円となり、計画に対し46億円の大幅増益となりました。主な増益要因は資源事業(金属部門)におきまして、銅価上昇や円安進行など外部環境が好転したことにより、電気銅及びアタカマ銅鉱山の収益が大幅に改善し、45億円の増益となったことによるものであります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「日鉄鉱業グループは、豊かな未来社会づくりに貢献するとともに、社員一人一人が生き生きと誇りを持って働ける企業を目指します」を経営理念としております。この理念のもと、環境・社会課題への取り組みを明確にし、持続的な事業活動と中長期的な企業価値向上を図ることを目的として、2022年4月にサステナビリティ委員会を設置し、「サステナビリティ基本方針」やサステナビリティ関連方針を制定のうえ、マテリアリティ(重要課題)を特定しております。 サステナビリティ委員会では、気候変動をはじめとしたサステナビリティに関する方針や目標及び実行計画の策定、目標に対する推進管理や評価、個別施策の審議を行い、定期的に取締役会に報告や提言を行っております。また、その後の対応状況のモニタリングを通じて評価と再検討を行い、重要なリスクにつきましては定期的に取締役会に報告を行っております。 上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された、当社グループにおける重要なサステナビリティ項目に関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 気候変動が当社グループの各事業に与える影響につきまして、気温上昇を抑えるために必要な経済施策、また、その温度上昇時に想定される環境被害などを示した気候関連シナリオである2℃以下及び4℃シナリオを想定し、網羅的に「リスク」と「機会」を抽出しております。気候変動がもたらすリスクは、低(脱)炭素社会へ移行することに伴うリスクである「移行リスク」と気候変動による災害等により顕在化するリスクである「物理的リスク」に分類され、さらに物理的リスクは集中豪雨や洪水などの一過性の気候現象によって惹起される急性的リスクと、海面上昇や熱波などの長期的な影響が持続する慢性的リスクに分類されております。今後はさらにシナリオ分析を進め事業に対する影響を把握し、戦略を策定してまいります。 当社グループは、気候変動に対する取り組みとして、日本国内におけるグループ会社の直接排出量(Scope1)と他社から購入する電気等のエネルギー使用に伴う間接排出量(Scope2)を合わせた国内CO2総排出量のうち、化石燃料や電気の消費に伴うエネルギー起源のCO2排出量について、2030年度までに日本政府のCO2排出区分別の目標※1である2013年度比38%以上の削減※2を目指してまいります。なお、生石灰製造に伴い発生するプロセス由来の非エネルギー起源CO2については、今後の技術動向を注視し、CCUやCCS等の新技術が社会実装可能となった際に導入を推進することで、より一層のCO2排出削減に取り組んでまいります。 また、長期目標として2050年度における当社グループの非エネルギー起源CO2も含めた直接、間接排出量(Scope1+Scope2)について、新技術の導入やカーボンオフセット等の対策も取り入れ、カーボンニュートラルの実現を目指してまいります。 当社グループのCO2排出量推移は以下のとおりであり、2022年度国内エネルギー起源CO2排出量は2013年度比12%の減少となりました。引き続き設備の効率化・省エネ化等による燃料や電気使用量の削減、自家消費用の再生可能エネルギー発電設備の導入や再エネ電力への切り替えなどの対応を段階的に実行に移すことでCO2排出量の削減に努めてまいります。 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。 日鉄鉱業グループは、総合資源会社として持続的成長を実現していくために、人材育成制度に基づく専門人材の開発と、個々の能力を発揮できる職場環境づくりを通じて、社員一人一人が自ら考え主体的に行動する人材の育成に取り組みます。 当社グループは持続的成長を実現していくために、上記方針に基づき人材育成に取り組んでおります。社員個々の成長の要素として「日常業務を通した経験とそこからの学び」、「上司・同僚の指導、協働」、「自己啓発・自己学習」、「階層別研修などの会社主催研修」などの育成体系を整備し、これらをシンクロさせることにより、社員個々の能力を発揮できる職場環境づくりに取り組んでまいります。 多様性確保のための社内環境整備に関する施策として、テレワーク勤務制度の制定や時差出勤制度、フレックスタイム制度などの柔軟な働き方を実現する各種制度の導入、退職した社員の再雇用のためのジョブリターン制度、配偶者の転勤に伴う休職制度など、社員一人一人が仕事と生活の調和のとれた働き方ができる環境整備に取り組んでおります。女性活躍推進については従来から課題意識を持ち、2014年より女性総合職を積極的に採用し始め、総合職社員の採用者数に占める女性比率を30%以上とする目標を掲げ採用活動を継続しているものの、総合職における女性の各種指標は男性に比べて低い状況となっております。今後も女性社員の採用を強化した上で、特に女性社員の定着を促進するための育成や長期的に働ける環境の整備推進、管理職への登用にも積極的に取り組んでまいります。 また、豊かな未来社会づくりへの貢献として、人材の多様化に向けた障がい者雇用推進にも取り組んでおります。障がいによるハンディキャップを個性と捉えて多様な才能を開花させ、長期的に就業できる環境を整備し、高い定着率を実現できる組織づくりを推進してまいります。 当社グループでは、上記「イ.戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因については以下のものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの売上高の17.6%(当連結会計年度実績)を占める石灰石の約半量は、鳥形山鉱業所(高知県)で生産されております。同鉱業所からの出荷の大部分は海上輸送によっているため、台風の襲来等に伴う荷役作業の滞留により生産・販売に支障を来すことがあります。また、鳥形山に位置する同鉱業所の鉱山は、直近10年間の年間平均降水量が4,000mmを超える降水量の多い地域であるため、集中豪雨による生産設備への浸水等により生産・販売に支障を来すことがあり、これらの気象条件が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 また、同鉱業所の位置する地域は、南海トラフ巨大地震が発生した場合、大きな揺れや津波の影響により、甚大な被害が生じることが予測されており、その被害の規模によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの経営方針に掲げる「社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図る」ことが困難になるため、最も重大なリスクの一つであると認識しております。 このようなリスクに対し、当社グループでは当社BCM推進室主導のもと、年間複数回、関係部署を交えた定期的な会議を実施、主要設備の見直しを含むリスク対策に係る意見交換を行い、情報の共有化を図るとともに、適宜BCP(事業継続計画)を改正するなどの対策を講じております。 当社グループは、長年の事業活動の結果、全国各地に多数の休廃止鉱山を所有しております。集中豪雨や地震等の自然災害の影響等により、当社グループの休廃止鉱山において鉱害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは鉱山保安法に基づく定期的な巡視や点検を実施し、また、堆積場の保全や坑廃水による水質汚濁を防止するため、必要に応じて鉱山施設の維持保全工事を実施しております。 当社グループにおいて重篤な労働災害、火災事故や設備トラブルなどの不測の事態が発生し、生産活動が停止した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 特に、鳥形山鉱業所の鉱山で採掘した石灰石を海岸選鉱場へ輸送する長距離ベルトコンベア(全長23.3㎞)などの主要設備において火災が発生した場合、被害規模によっては長期間にわたり石灰石の生産・輸送・出荷が停止することから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは当社保安環境室による当社及び関係会社の事業所や工場施設等の保安巡視に加え、全国各地で保安研修会を開催するなど、全社的な労働安全衛生管理活動の展開により、労働災害・事故の発生防止に努めるなどの対策を講じております。また、当社生産技術部による設備点検や監視体制の強化などのインシデント対策を図るとともに、火災被害を軽減するための延焼防止対策などを進めております。さらに、石灰石出荷基地である袖ヶ浦物流センター(千葉県)をはじめ、各事業拠点からの応援出荷などの安定供給体制の強化・見直しに努めております。 当社グループでは、国内において電気銅を生産しているほか、チリ共和国のアタカマ銅鉱山において銅精鉱を生産しており、銅の国際市況により業績が大きく変動します。今後の銅価の状況によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 銅価の変動が当社グループの経営成績に与える影響額は、翌連結会計年度において1ポンドあたりの価格が10セント変動(上昇)すると、連結売上高で年間18億円、連結営業利益で年間3.1億円の変動(増加)をもたらすと試算しております。 当社金属部門の事業に係る銅価等の価格変動リスクに対しては、商品先渡取引によるリスクヘッジを実施するなどの対策を講じております。 当社グループは、電気銅の生産にあたり外貨建の銅鉱石の仕入取引があるほか、連結財務諸表を作成するにあたり海外連結子会社の財務諸表を円換算していることなどから、為替相場の変動により業績が大きく変動します。今後の為替相場の推移によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 為替の変動が当社グループの経営成績に与える影響額は、翌連結会計年度において1米ドルあたりの価格が5円変動(円安方向へ推移)すると、連結売上高で年間26億円、連結営業利益で年間1.6億円の変動(増加)をもたらすと試算しております。 当社金属部門の事業に係る為替変動リスクに対しては、通貨オプション取引によるリスクヘッジを実施するなどの対策を講じております。 当社グループの当連結会計年度末における有利子負債残高は228億円であり、今後の市中金利の動向次第では収益を圧迫する可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは金利動向を注視し、柔軟に資金調達手段を検討するとともに、長期借入金において、固定金利又は金利スワップ契約の締結により金利変動リスクを回避するなどの対策を講じております。 当社グループの主力生産品である石灰石は、主に国内の鉄鋼メーカーやセメントメーカーに向けて販売しており、今後、公共投資や民間設備投資の減少、自動車などの工業製品の減産、得意先の生産設備におけるトラブル、製鉄所の組織再編や製造方法における技術革新により、主要取引先の鉄鋼・セメント等の生産量が減少した場合や製鉄の原材料が変更された場合などは、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは随時業界全体や個別の取引先などの動向について情報収集に努めるとともに、国内外において新規顧客の開拓を検討するなどの対策を講じております。 当社グループが取り組んでいる銅や錫などの非鉄金属の探鉱や鉱山開発には、多額の探鉱費や開発費(坑道掘削、生産設備建設等)を要します。鉱物の価格水準や可採鉱量が想定を下回った場合をはじめ、現地政府からの許認可取得や金融機関からの資金調達などが難航した場合における計画の大幅な見直しにより、投資回収が困難となったときには、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは定期的に鉱物の価格水準や可採鉱量を確認のうえ適宜計画を見直し、現地政府と適切な関係を構築し許認可取得手続を円滑に進めるほか、政府系金融機関及び主要な借入先であるメガバンクへの緊密な情報提供を通じてコミュニケーションを強化し、柔軟な資金調達を図るなどの対策を講じております。 当社グループは、チリ共和国で銅鉱山を運営しているほか、アジア諸国においても事業を展開しており、現地において、テロや紛争などの政情悪化、感染症の流行、災害やストライキなどの事象が発生し、事業活動に波及した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 また、チリ共和国において銅とリチウムのロイヤルティ課税を引き上げる新鉱業ロイヤルティ法案が可決され2024年より施行される見込みですが、当社グループの稼働中の銅鉱山並びに開発中の銅鉱山は同法案による主な増税対象から外れていることから、現時点ではその影響は軽微であります。しかしながら、同法案施行後の改正によっては、同国での銅鉱山の操業・開発計画等に変更が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは事業活動を行っている国・地域について最新情報を把握するよう努めるとともに、同業社団体を通じて本邦の関係省庁と緊密に連携し対応を協議することや緊急連絡体制を構築するなどの対策を講じております。 なお、ウクライナ情勢につきましては、経済制裁、各国規制等の影響や物流の混乱及びエネルギー価格の高騰等に伴い、世界経済が不安定となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 今後の関連法令の改正によっては、当社グループにおいて新たな環境対策費用や設備投資等の負担が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、国内外における環境規制の強化やSDGsなどの社会的要請の高まりにより、当社グループの本業である鉱山業の稼行や鉱山開発が制限された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは環境に関わる規制や社会の動向を注視するとともに、国際環境管理規格ISO14001の認証取得、社有林の森林認証取得、鉱山跡地や堆積場の緑化等を行い、国内外の各拠点で環境保全に努めております。 他方、環境規制の強化等は、当社グループの機械・環境事業における主力商品である集じん機や水処理剤の需要拡大に繋がる機会であり、規制強化が見込まれる国・地域や産業において、新規顧客の開拓に注力してまいります。 なお、当社は2022年6月にTCFDの提言への賛同を表明し、気候変動の影響評価及びその情報開示に取り組んでおります。TCFDの提言を踏まえた取り組みにつきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。 役員又は従業員が、事業に関連する法令や規制、様々な利害関係者との関係において、社会的な要請や期待に応えられなかった場合、事業活動の制限や信用の低下などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは業務執行部門から独立した当社内部監査室が中心となり、国内の当社本社・事業所・支店及び関係会社並びに海外の関係会社の内部監査を実施しております。また、継続的に開催している階層別コンプライアンス研修の実施、財務報告に係る内部統制の整備・運用などにより、コンプライアンス・内部統制の強化・拡充に努めております。 契約不適合や欠陥等のある製商品・サービスを顧客に提供した結果、顧客の生命や身体に危害を与えることやクレーム等が発生することにより、製商品の回収費用をはじめ、顧客に対する補償や訴訟関連費用等が発生した場合、また、当社グループに対する信用が低下した場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループでは契約不適合や欠陥等のある製商品・サービスを顧客に提供することのないよう品質保証・管理に努めております。 当社では、品質保証委員会を定期的に開催し、当社グループにおいて顧客へ提供する製商品・サービスの品質に関するリスクを把握・評価し、当該リスクに対応した取り組みの検討を行っております。 当連結会計年度における具体的な取り組みとして、品質保証委員会を2回開催し、各事業所における品質管理状況の調査報告及び品質リスク管理小委員会の活動報告などを行っております。 インターネットを利用する業務などの情報セキュリティには、悪質なメールの受信や不正なアクセス、また、パソコンや電子記憶媒体の盗難等により、重要な企業情報が漏洩、改ざんされることやパソコン等を踏み台にマルウェアを拡散される脅威が存在します。 当社グループは、基幹システムの運用や電子データの管理・伝達において、IT機器やそれらを含む社内外のネットワークを利用して業務を行っているため、前述の脅威によりセキュリティリスクが顕在化する可能性があります。また、テレワーク勤務制度の導入に伴い、マルウェアの感染リスクや端末の紛失・盗難リスク等の情報セキュリティに関するリスクが増大しております。 仮に重大インシデントが発生した場合に当社グループだけでなく、ネットワークやシステム等で通信・接続されるサプライチェーンを含むステークホルダーの業務に支障が生じ、復旧費用の発生や当社グループの信用低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社経理部情報システム課が中心となり、当社グループで利用しているソフトウエア等の更新管理やマルウェア対策ソフトウエアの導入、ネットワーク内の多層防御の構築、社外で使用するパソコンに保存するデータや通信データの暗号化設定に加え、内部監査において監査対象部署に対し、情報セキュリティの重要性やIT管理に関する規程の周知徹底を行うなどの対策を講じております。 新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどの未知なる病原体による感染症の拡大は、国内外の経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、感染の広がり方や収束時期を予想することは困難であります。当社グループは、全国各地に鉱山をはじめとする事業拠点や関係会社を有しており、海外には営業拠点を置くほか、チリ共和国においては銅鉱山を操業・開発しております。これら国内外の各拠点において集団感染が発生した場合、営業活動や操業の中断による生産・販売、製商品サービスの提供に支障を来すことになります。また、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行時のように、緊急事態宣言の発出や各国政府による都市封鎖や国境封鎖、外出禁止令等の措置がなされた場合には、各拠点の活動そのものが制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 このようなリスクに対し、当社グループではテレワーク勤務や時差出勤等の柔軟な勤務体制の導入や各拠点最良と思われる防疫環境を整備しながら、国・地域の感染状況や防疫措置等の最新情報を把握するなど、事業活動への影響を最小限に留める感染症対策に努めてまいります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響を受けつつも社会・経済活動の正常化が進むなど一部に持ち直しの動きが見られましたものの、ウクライナ情勢の長期化等による資源・エネルギー価格の高騰に加え、各国の金融引き締めが世界経済の成長を下押しするなど、景気は厳しい状況で推移いたしました。 このような経済情勢のもと、当社グループにおきましては、資源事業及び機械・環境事業等における増収により、売上高は1,640億2千万円(前連結会計年度比10.0%増)と前連結会計年度に比べ増加いたしました。 損益につきましては、資源事業の減益及び海外銅鉱山の開発調査費の増加により、営業利益は136億3千2百万円(前連結会計年度比13.3%減)と前連結会計年度に比べ減少し、経常利益は持分法による投資損益が悪化しましたことから、132億4百万円(前連結会計年度比20.5%減)と前連結会計年度に比べ減少いたしました。 一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、保有株式の売却益計上に加え、法人税等が減少しましたことから、97億8千万円(前連結会計年度比5.4%増)と前連結会計年度に比べ増加いたしました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 主力生産品である石灰石の増収に加え、燃料関連商品等の増収により、売上高は594億3千6百万円と前連結会計年度に比べ50億4千5百万円(9.3%)増加しましたものの、エネルギーコストの増加等により、営業利益は59億6千9百万円と前連結会計年度に比べ10億6千3百万円(15.1%)減少いたしました。 電気銅の国内販売価格が高水準で推移しましたことに加え、銅精鉱の販売数量が増加しましたことから、売上高は869億4千8百万円と前連結会計年度に比べ82億1千5百万円(10.4%)増加しましたものの、アタカマ銅鉱山における生産コストの増加等により、営業利益は66億1千2百万円と前連結会計年度に比べ6億5千万円(9.0%)減少いたしました。 環境部門における販売が好調であったことに加え、機械関連子会社における販売も順調に推移しましたことから、売上高は130億3百万円と前連結会計年度に比べ16億5千8百万円(14.6%)増加し、営業利益は12億5千7百万円と前連結会計年度に比べ2億5千6百万円(25.6%)増加いたしました。 賃貸物件の稼働状況が概ね順調に推移しましたことから、売上高は28億8千2百万円と前連結会計年度に比べ5千6百万円(2.0%)増加し、修繕費の減少等により、営業利益は17億7百万円と前連結会計年度に比べ1億3千1百万円(8.4%)増加いたしました。 太陽光発電部門は概ね順調に推移しましたものの、地熱部門において定期修繕工事に伴い一時設備の稼働を停止しましたことから、売上高は17億5千万円と前連結会計年度に比べ3千7百万円(2.1%)減少いたしました。 一方、営業利益は減価償却費の減少等により、5億4千7百万円と前連結会計年度に比べ3千7百万円(7.5%)増加いたしました。 当連結会計年度末における資産の部の合計は、前連結会計年度末に比べ106億2百万円(5.4%)増加し、2,083億3千5百万円となりました。 流動資産につきましては、原材料が減少しましたものの、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ44億7千2百万円(5.0%)増加し、941億7千8百万円となりました。 固定資産につきましては、設備投資による有形固定資産の増加及び保有株式の時価上昇に伴う投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ61億2千9百万円(5.7%)増加し、1,141億5千6百万円となりました。 当連結会計年度末における負債の部の合計は、前連結会計年度末に比べ24億3千6百万円(3.4%)減少し、689億2千4百万円となりました。 流動負債につきましては、未払法人税等が減少しましたものの、短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ13億1千9百万円(2.8%)増加し、482億5千8百万円となりました。 固定負債につきましては、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ37億5千6百万円(15.4%)減少し、206億6千6百万円となりました。 当連結会計年度末における純資産の部の合計は、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ130億3千8百万円(10.3%)増加し、1,394億1千万円となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ67億7千9百万円(20.6%)増加し、397億2千9百万円となりました。 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益141億7千9百万円、減価償却費54億8千5百万円の計上に加えて、棚卸資産の減少等による収入要因により、営業活動によって得られた資金は158億1千8百万円となり、前連結会計年度に比べ72億7千8百万円(85.2%)増加いたしました。 当連結会計年度においては、有形固定資産の取得による支出等により、投資活動に要した資金は55億7百万円となりましたが、投資有価証券の売却による収入の増加により、前連結会計年度に比べ17億4千9百万円(24.1%)減少いたしました。 当連結会計年度においては、配当金の支払による支出等により、財務活動に要した資金は49億2千万円となり、前連結会計年度に比べ1億6千万円(3.4%)増加いたしました。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 第2次中期経営計画の進捗について」及び「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当社グループの運転資金需要の主なものは、生産事業所等における操業費、仕入商品の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用、法人税等の支払いによるものであります。また、設備資金需要の主なものは、資源事業を中心とした老朽設備の更新工事に加え、鳥形山鉱業所の第3立坑建設工事などの安定供給体制の確立のための設備投資等を目的としたものであります。 当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金及び借入金により調達しております。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は228億円であります。 今後、アルケロス鉱山開発工事等の設備投資の実施により、設備資金の需要が増加してまいりますが、投資内容を精査し、投資額を抑制することに加え、運転資金の必要額を見直すことで、借入額の圧縮に努めてまいります。 また、手許資金については、各部署からの報告に基づき当社経理部が随時、資金繰計画を作成・更新しております。その上で、複数の金融機関における短期借入金(当座貸越)の信用枠の設定やコミットメントライン契約の維持により借入余力を確保するとともに、公募普通社債の発行登録を維持し、臨機応変な資金調達に対応できる準備を行っております。それらの施策により大型投資を着実に実行しつつ、万が一営業キャッシュ・フローが悪化した場合にも対応できる十分な流動性を確保しております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 該当事項はありません。 当社グループは、開発テーマを選別することにより、これまで以上に独自技術の優位な分野に資源を集中して研究・商品開発を行い、市場ニーズに合致した商品の早期市場投入を推進してまいりました。また、新テーマの発掘及び戦略的特許管理も重点課題と位置付けており、当社研究開発部を中心に資源事業関連商品、新規素材商品の開発、各種機械装置及び水処理剤の改良や開発に加え、SDGs関係としてカーボンニュートラル技術の研究を行っております。 これらの業務に携わる人員は68名であります。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、823百万円であります。 資源事業関連商品、新規素材商品の開発を行っており、特に粉体への薄膜被覆技術の研究や、その技術を応用した商品の開発を行っており、粉体への機能性付与をキーワードとした研究開発を進めてまいりました。また、当社が関連する金属鉱山における浮遊選鉱などの選鉱プロセスの研究開発を進めてまいりました。 加えて、カーボンニュートラルに関する技術開発を行っております。石灰質材料への炭酸ガス固定化の研究として、石灰炉等から発生する炭酸ガスの回収及び固定化技術の確立。超低炭素仕様の石灰製品の開発としては、排煙処理用途において、少ない使用量でも、高い脱硫・脱塩素特性を示す高機能の石灰質材料の開発を行っております。また、カーボンニュートラルのためのストラティファイド光触媒の応用研究も行っており、当社で開発したストラティファイド光触媒にて下水処理場等から排出される硫化水素を分解し、水素を回収するシステムの開発を進めており、併せてGHG削減全般に寄与してまいります。 当該研究開発の費用は、377百万円であります。 当社研究開発部機械・環境開発課は、水処理剤や各種機械装置に関する研究開発を行っております。ポリテツについては、効率良く安価に製造するための新規製造方法の開発や、競合他社製品と性能面で差別化するための高機能化の研究を行いました。シンターラメラーフィルタ、エルボージェット、プラズマダッシュは、新たな需要を掘り起こすため、新規フィルタエレメントの開発や現行装置の更なる高性能化に取り組みました。機械・環境関連の開発は、営業部門とベクトルを合わせ、市場のニーズに応えた研究開発を進めてまいりました。 当事業に係る研究開発費は、418百万円であります。 当社研究開発部開発管理課は、当社研究開発部各課の運営、管理、方針の総括及び産業財産権の管理等を行っております。 開発管理課の費用は、26百万円であります。
株式会社ケーズホールディングス
# 株式会社ケーズホールディングス 2  最高株価及び最低株価は2022年4月4日より東京証券取引所プライム市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第一部におけるものであります。 当社は、1955年10月1日に、資本金 600千円、商号有限会社加藤電機商会をもって、一般電気器具販売及び電灯工事請負を目的とし、茨城県水戸市に設立されました。その後、1971年5月27日に商号を有限会社カトーデンキとし、さらに1973年9月29日に株式会社カトーデンキと組織変更いたしました。 株式会社カトーデンキは、1980年9月22日に、家電品小売業を営むカトーデンキ販売株式会社と不動産賃貸業を営む株式会社カトーデンキに分離し、1985年3月21日に、カトーデンキ販売株式会社に吸収合併されました。従って、カトーデンキ販売株式会社設立以前の沿革については実際に営業を行ってきた株式会社カトーデンキに関するものを記載いたしました。 加藤  馨が、茨城県水戸市元台町5丁目の借家にラジオ受信機を主体とする販売・修理業を開始。 業務の拡大により、有限会社加藤電機商会を設立。 有限会社カトーデンキに商号変更。 茨城県水戸市城南2丁目に駅南店を開店。 組織変更を行い、株式会社カトーデンキを設立。 商品戦略の一環として、効率の向上を目指した定番制度を導入。 家電品小売業を営むカトーデンキ販売株式会社と不動産賃貸業を営む株式会社カトーデンキに分離。 物流部門の強化と効率化のために、茨城県水戸市浜田2丁目にサービスセンターを開設し、水戸商圏内の集中配送を開始。 株式会社カトーデンキを吸収合併。 茨城県水戸市城南2丁目の駅南店及び駅南オーディオセンターを取り壊し、同地に4階建ての建物を新築、駅南本店として開店。また、ソフトの需要増加に対応するため、CDソフト及びLDソフト商品の取扱いを開始。 売上管理、商品力の強化を図るために、全店POSシステムを導入。 日本証券業協会東京地区協会に株式店頭登録。 本部機構の統合を図るために、茨城県水戸市桜川に本部を移転。 株式会社よつば電機(株式会社東北ケーズデンキに社名変更。2007年10月、株式会社デンコードーに合併)の発行済株式の80%を取得し、フランチャイズ契約を締結。 株式会社ケーズデンキに商号変更。 茨城県ひたちなか市に携帯電話等を取扱う株式会社モバイルシステムひたちなか(株式会社ケーズソリューションシステムズに社名変更。2021年4月、吸収合併)を設立。 東京証券取引所市場第二部に上場。 東京証券取引所市場第一部に昇格。 株式会社ワンダーコーポレーションから、同社の会社分割により設立された子会社である株式会社デジックスケーズ(現株式会社ケーズキャリアスタッフ  現連結子会社)の株式を100%譲受。 株式会社ギガス(現連結子会社)と株式交換。ギガスケーズデンキ株式会社に商号変更。 八千代ムセン電機株式会社(現株式会社関西ケーズデンキ  現連結子会社)と株式交換。 株式会社ビッグ・エス(現連結子会社)と株式交換。 株式会社北越ケーズ(現連結子会社)と株式交換。 茨城県水戸市に株式会社九州ケーズデンキ(現連結子会社)を設立。 株式会社ケーズホールディングスに商号変更。 株式会社デンコードー(現連結子会社)と株式交換。 株式会社デンコードーが株式会社東北ケーズデンキを吸収合併。 株式会社ケーズモバイルシステムが株式会社マックスブロードバンドを吸収合併、株式会社ケーズソリューションシステムズに商号変更。 株式会社デジックスケーズが株式会社ケーズキャリアスタッフに商号変更。 株式会社テクニカルアーツの株式を100%取得し、子会社化。 株式会社ケーズソリューションシステムズを吸収合併。 株式会社サワハタキャリーサービス(現株式会社ケーズキャリーサービス  現連結子会社)と株式交換。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。 茨城県水戸市に本社ビルを竣工し、本店所在地を移転。 当社グループは株式会社ケーズホールディングス(当社)、子会社9社、及びその他フランチャイズ契約加盟店により構成され、事業は、家庭用電気製品、及びパソコン並びにその周辺機器、携帯電話等を取扱う家電量販店として多店舗展開しており、商品は国内家電メーカー又は卸売会社等から、当社の本社で一括仕入を行い当社、株式会社ギガス、株式会社関西ケーズデンキ、株式会社ビッグ・エス、株式会社北越ケーズ、株式会社九州ケーズデンキ、株式会社デンコードー(以上子会社)、及びその他フランチャイズ契約加盟店の店舗を通じて消費者に販売しております。 当社グループが営む事業と関係会社等の当該事業における位置付けは次のとおりであります。 なお、セグメント情報を記載していないため、単一の区分で記載しております。 以上の企業集団について図示すると次のとおりであります。 2  株式会社ギガス、株式会社関西ケーズデンキ及び株式会社デンコードーについては売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。 セグメント情報を記載していないため、事業部門別の従業員を示すと次のとおりであります。 2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 2  上部団体のUAゼンセンSSUAに加盟しております。なお、労使関係は安定しております。 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは『人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。』の企業理念をパーパスとして掲げ、次のとおり取り組んでおります。 無理をして自分の力以上の力を出すことは短期的には可能であっても、終わりのない会社経営には適切ではありません。無理をすれば必ずその反動があります。 お客様にご満足いただくためにあるべき姿に向かって、正しいことを無理をせず、確実に実行していく経営方針を『がんばらない経営』と表現しております。 お客様を大切にするためには、まず従業員を大切にしなければ「本当の親切」は実現しないと考え、1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主の順で大切にしようと考えております。 当社グループは以下のとおり重点取組事項及び目標とする経営指標・株主還元目標を掲げ、マテリアリティ(重要課題)を特定したうえで、ESG経営に取り組んでおります。 既存店売上高は、前年対比100%の水準を維持することを目標とし、加えて出店によるシェアの拡大を図る。 高付加価値商品の販売強化と、商品開発で利益を確保すると同時に経費をコントロールする。 当社グループのマテリアリティ(重要課題)は何であるかについて話し合い、企業価値及びステークホルダーに与えると思われる影響の洗い出しを行いました。その後、取締役会において当社グループにおけるマテリアリティを以下のとおり特定いたしました。 2021年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の中、政府による特別定額給付金の支給や巣ごもり需要、テレワークの普及等により売上高及び利益は過去最高となりました。しかしながら、2022年3月期以降はその反動減が想定よりも大きかったことに加え、ウクライナ情勢を背景としたエネルギー資源や原材料高騰による電気代や物価上昇で消費者の生活防衛意識が高まり、消費マインドの低下や買い替えサイクルの長期化が顕著化しております。 そのような中にあっても、当社グループの取り扱う家電品は、衣食住に関わる安定的な生活を確保するために必要な生活必需品であり、買い替え需要は決してなくなることはありません。特に、家庭での光熱費の上昇により、省エネ性能の高い高付加価値商品に対するお客様の買い替えニーズは高い状況が続くと思われます。 また、コロナ禍以前は、ECでの買い物が主流になりリアル店舗の価値が低下するのではないかと懸念する見方もありました。しかし、コロナ禍であっても、自宅から車で15分圏内に店舗があるという利便性と、リアル店舗でお買い物をすることの楽しさが再認識されたものと考えております。引き続き「本当の親切」を実践し、少子高齢化の中であっても当社グループはしっかりと買い替え需要をとらえ、シェアアップを図ってまいります。 当社グループは、これらの認識を踏まえ、次のとおり、取り組んでおります。 当社グループは家電専門店の「ケーズデンキ」を運営しております。取扱商品を家電品に絞ることによって、ローコスト経営と従業員の専門性の高さを保持しております。また、家電品を試用・体験できる売り場づくりなど、家電専門店ならではの特徴のある店舗作りに取り組んでおります。 当社グループは一人当たり単価を伸ばすことに注力しております。お客様のご要望を伺い、お客様に合ったよりよい商品のご提案をすることで高付加価値商品の販売構成比を上げることに取り組んでおります。また、関連品のお勧めをすることで、お買い上げ点数のアップを図っております。人口減少によって来店客数が減少傾向にある地域もありますが、これらの取り組みにより客単価を上げることでシェアの拡大を図り、着実に成長していくことを目指してまいります。 当社グループの「ケーズデンキあんしんパスポート」会員は4,700万人を超えておりますが、更なる新規会員の獲得に加え紙のカードからスマートフォンアプリへの移行に注力しております。このアプリは、会員様へ会員限定クーポンの配信や、WEBチラシの閲覧を容易にすることなどが可能で折込チラシに代わる販売促進策の一つになっております。コロナ禍を機に、チラシの発行部数・折込エリアの見直しを行う反面、アプリでの販促活動は今後更に重要さを増すものと認識し、会員の獲得推進に注力してまいります。 当社グループの出店強化エリアは、人口が多い都市部と未出店地域です。当社グループが認識する“都市部”とは、人が多く住んでいる大都市周辺のベッドタウンを指しております。これらの地域に積極的に出店し、未完成の国内店舗網を構築することにより、ドミナント戦略の効果をより発揮することが可能になります。同時に既存店はスクラップ&ビルドを行い、常に周辺環境に合致した新しい店舗づくりを目指してまいります。2024年3月期は16店舗の出店と8店舗の閉鎖を計画し、更なる業容の拡大を図ってまいります。 当社グループには自社ECサイト(ケーズデンキオンラインショップ)があり、Yahoo!ショッピング、楽天市場にも出店しております。新型コロナウイルス感染症拡大でECサイトの売上高はコロナ禍以前のおよそ2倍に伸長し、その後も高い水準を保っております。当社グループでは、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン等の配達、設置工事を伴う商品はECに適しにくく、小物商品や消耗品がECでの購買に適していると分析しております。それらの商品群に対してはオリジナル商品を投入し、訴求力のある価格でなおかつ利益を確保できる体制を整えてまいります。 当社グループは、お客様を大切にするためには、まず従業員を大切にしなければ「本当の親切」は実現しないと考えています。働く従業員に報いるために2024年3月期についてもベースアップを実施し、積極的な給与の引き上げを行っております。また、2023年4月1日から、これまで60歳であった定年年齢を65歳まで引き上げる新たな定年延長制度を導入し、最長70歳まで勤務できる新たな再雇用制度も導入いたしました。当社グループは、女性活躍に関する取り組みやワークエンゲージメントに関する取り組みを行いながら人材の育成を図り、多様な人々が共に楽しく働ける職場環境づくりを行うことで、優れた人材を確保してまいります。 当社グループでは、『人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。』の企業理念をパーパスとして掲げ、ESG経営に取り組んでおります。2022年4月1日には、サステナビリティ委員会を発足させ、『統合報告書2022』(2022年11月公表)においては、当社のマテリアリティを定めるとともに気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示をいたしました。気候関連のリスク・機会の両面において事業及び財務へ与える影響を分析し、今後の経営戦略に反映してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは正しいことを無理せず、確実に実行していくという経営方針「がんばらない経営」や「従業員を大切にする」という考え方がサステナビリティの根幹となると考えております。 そのような考えのもと、様々なサステナビリティ課題にグループ全体で取り組むため、サステナビリティに関する情報の共有、及び対応方針の検討、並びに取締役会において決定された対応方針の推進、進捗状況のモニタリングを目的とした「サステナビリティ委員会」を設置し、年2回開催しております。 参加者は当社取締役、及びグループ各社の代表取締役社長、並びに当社各本部長とし、委員長はサステナビリティの取組に関する責任者と位置付けております。 この委員会において検討された結果は取締役会に報告され、取締役会はサステナビリティ関連の対応方針を決定しております。 また、取締役会は半期ごとにサステナビリティ委員会から対応や進捗状況などの報告を受け、サステナビリティ関連の取組を監督しております。 当社グループは「お客様を大切にするためにはまず会社が従業員を大切にしなければそのことは実現しない」という考え方のもと、従業員が働きやすい環境の整備に努めております。 人材育成に関してはOJTによるトレーニングのほか、eラーニングの活用による商品知識の習得、販売スキルの向上や配送工事研修センターを設置し、配送設置工事の模擬体験によってサービスの品質の維持と向上に取り組んでおります。 また、2022年6月に人材開発部を新設し、各種研修を通じて経営環境の変化に対応できる多角的かつ組織横断的な視点を備えた次世代経営幹部、リーダー等の育成にも努めております。 人材の多様性に関する取組の一環として女性管理職比率を引き上げるため、研修や子育てサポートなどに積極的に取組、ライフステージが変わっても無理せず楽しく働けるような環境づくりに努めるほか、人権方針を定め多様な人々が共に楽しく働けるよう、全従業員が共通認識を持ち、よりよい職場環境となるよう努めております。 当社グループはリスク管理プロセスにおいて、グループ全体を横断したマネジメント体制を構築し、サステナビリティ関連課題についても全社的なリスクとして統合及び管理を行っております。 当社グループのサステナビリティ関連リスク管理プロセスには、取締役会、サステナビリティ委員会、各部門・グループ各社、経営企画室、人材開発部、CSR部が携わっております。 サステナビリティ関連マネジメント体制におけるそれぞれの役割は以下のとおりです。 サステナビリティ関連課題への最終的な対応方針を決定し、推進・進捗状況をサステナビリティ委員会からの報告を受け、監督する。 サステナビリティ関連課題に対してグループ全体での情報の共有、及び対応方針の検討、並びに取組を推進し、取締役会に提案・報告する。 所管するサステナビリティ関連リスク及び機会に関する情報をCSR部に提供、各本部長・グループ各社社長がサステナビリティ委員会に参加し、情報共有するとともに、対応方針に基づき対応を実行する。 CSR部、人材開発部から報告されたサステナビリティ関連リスクを全体リスクに統合する。 人的資本関連対応推進部署として各部門・グループ各社と連携して人的資本関連リスク及び機会の特定・影響度評価等を行い経営企画室へ報告する。 気候関連対応推進部署として各部門・グループ各社と連携して気候関連リスク及び機会の特定・影響度評価等を行い経営企画室へ報告する。 当社グループのサステナビリティ関連マネジメント体制及びリスク管理プロセスにつきましては、始めにCSR部及び人材開発部がサステナビリティ関連リスク及び機会を抽出し、各部門やグループ各社と連携してヒアリングを行い、サステナビリティ関連リスク及び機会についての見解(影響度・対応方法等)と排出関連データを収集し、全てのリスク及び機会を特定します。 この結果はリスク全般の管理部門である経営企画室に報告され、この段階においてサステナビリティ関連リスク及び機会は全体リスク管理に統合されます。 統合された情報は、経営企画室よりサステナビリティ委員会に報告され、グループ全体での情報の共有、及び対応方針の検討、並びに取組の推進が行われます。 サステナビリティ委員会での議論は取締役会へ報告され、それを受けて取締役会が最終的な対応方針を決定し、推進・進捗状況のモニタリングを行うサステナビリティ委員会を監督しております。 以上のようなプロセスを経て、当社グループはサステナビリティ関連リスク及び機会の特定、評価、対応、モニタリングを実施しております。 当社グループは人材の多様性の観点から女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画をグループ各社ごとに各社の状況に合わせて以下のとおり定め、グループ全体の多様性の確保に努めております。 ①女性管理職比率を5.0%以上にする。 ②正社員の月ごとの平均残業時間合計値を直近事業年度実績よりも10%削減する。 ①新規学卒者採用及び中途採用における女性の割合を30%以上とする。 ②子育てに関する既存の支援制度を希望者が利用できる環境づくりに取組、計画期間内の育児休業等取得につき以下の水準を維持する。 ①新規学卒者採用における女性採用者の割合を40%以上維持を目標とする。 ②女性育児休業取得率90%以上を維持し、男性育児休業取得率30%以上取得を目標とする。 ①新規学卒者における女性採用者の割合を40%以上とすることを目標とする。 ②ワークライフバランス実現のため、法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数平均が直近年度で月ごと40時間未満とし、直近年度実績より削減することを目標とする。 ①新規学卒者採用における女性採用者の割合を30%以上とする。 ②男性社員の育児休業取得率を20%以上、女性社員の育児休業取得率を90%以上とする。 ①新規学卒者採用における女性割合を40%以上を維持する。 ②正社員の月ごとの平均残業時間合計値を直近事業年度実績よりも10%削減する。 ①係長相当職以上の女性社員を現状の5.1%から15.0%以上にする。 ②育児休業取得率:女性社員現状100%を継続、男性社員現状16.0%から30.0%以上にする。 ①男性・女性それぞれ育児休業取得者を1名以上とする。 ②総合職転換する社員を1名以上とする。 採用者に占める女性の割合を40%以上にする。 上記の取組により、当社グループにおける女性の課長代理及び副店長職以上の管理職比率は当連結会計年度末日において3.7%となっております。 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があるリスクには、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、全ての商品について市場調査、販売動向、景気予測、気候条件等を十分に勘案した上で販売計画を立てておりますが、特にエアコン、石油・ガス・電気暖房機等のいわゆる季節商品は、夏・冬の気候の影響が非常に強い商品であります。他の商品が新機種・新製品の発売等、メーカーの商品開発による売上拡大の要因があるのに対し、季節商品には加えて気候条件という販売側で予測・コントロールが困難な要因が存在しております。 季節商品の動向は、販売時期が一定期間に集中する傾向にあるものの、予測・コントロール不可能な気候条件の変動により左右されるため、今後も気候条件の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、空白地域への出店により国内店舗網の構築を図るとともに、人口密集地域への店舗開発も積極的に行い、家電販売業界において確固たる地位の確立を目指しております。 店舗開発につきましては、商圏状況(商圏世帯数、交通アクセス、競合状況等)に基づいた当社基準により売上及び利益計画、投資等をグループ各社の代表取締役及び店舗開発担当者が出席する会議にて充分に検討し、決定を行っておりますが、知名度の低い未出店エリアへの出店及び地価の高い人口密集地への店舗開発を進めることにより、顧客基盤を構築するまでに時間を要する場合や、1店舗当たりの初期投資額が大きくなる傾向があります。 このような状況において、予想外の新たな競合先の出店や、道路・交通アクセスの変化等により商圏状況に著しい変化があった場合、当初計画と実績に乖離が生じることがあり、全体業績に与える影響の割合が大きくなる可能性があります。 また、事業計画の変更や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ将来キャッシュ・フローが減少した場合、又は「固定資産の減損に係る会計基準」等の変更がある場合は減損損失が計上され、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、家電量販店に限らず、同様の商品を店舗において取り扱う企業、及びインターネット販売の企業と競合関係にあります。他社との差別化として品揃えや価格競争力のみならず、店舗競争力を高めるため接客やアフターサービス等人材育成の強化に努めるほか、電話注文による対応、自社ECサイトの充実、及びモール型ECサイトへの出店などお客様のご都合に合わせた販売チャネルの拡充を図っておりますが、企業間の競争が更に激化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、日本国内において事業展開しているため、国内の経済政策、景気動向、出店地域の景気や個人消費等の変化が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、「大規模小売店舗立地法」、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」に基づく「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」による規制、「不当景品類及び不当表示防止法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「特定家庭用機器再商品化法」等の法的規制を受ける事業を行っております。新たな法令の制定や規制の強化、規制当局による措置その他の法的手続きが行われた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、自然災害や事故、感染症等からお客様の安全を確保するため、ハザードマップを参考とした店舗開発、店舗の耐震性の強化、手指消毒剤の設置など、防災対策を徹底して行っております。しかしながら、地震・台風等の大規模な自然災害により店舗等が被災した場合や、自然災害、感染症の流行等により店舗の休業や来店客の減少、メーカーからの商品供給不足となった場合には、店舗売上の減少により当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、あんしんパスポートの発行や、インターネット通販を行っていること等により、個人情報を保有しております。これらの情報については、社内管理体制の整備や、セキュリティシステムの構築等により万全を期しております。しかしながら、個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損害賠償への対応やお客様の信頼を失うことにより当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、出店のため多くの土地・建物を賃借しております。賃借に際しましては契約に基づき敷金・保証金及び長期貸付金の差し入れを行っております。 担保設定等の保全に努めておりますが、賃貸人の経済状況によっては、その一部若しくは全部が回収できないことにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、事業の強化、拡大及び家庭電化製品の販売に特化することを目的として、組織再編やM&A、提携、売却等を行う可能性があります。当該行為に際しては、十分な調査、分析のうえ検討を行いますが、偶発的な問題が生じることにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、お客様に安定的に商品を提供するために日頃より将来を見極め、それに応じた仕入を行っております。しかしながら、自然災害や感染症拡大等による工場等の損傷や操業停止及び生産拠点の都市封鎖、物流網の停滞等により、取引先からの商品供給が一時的に滞る、又は遅延する可能性があります。万が一商品カテゴリー全体に深刻かつ長期的な商品不足が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、厳しい行動制限は緩和され、経済活動は正常化に向けた動きがみられました。一方でウクライナ情勢を巡る地政学リスクの高まりによるエネルギー資源や原材料高騰等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。 こうした状況のもと、当社グループは、正しいことを確実に実行する「がんばらない(=無理をしない)」経営を標榜し、お客様に伝わる「本当の親切」を実行すべく、「現金値引」、「長期無料保証」、「あんしんパスポート」などお客様の立場に立ったサービスを提供し、家電専門店としてお客様の利便性を重視した地域密着の店舗展開、営業活動を行ってまいりました。そのような中、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を徹底し、一部店舗での営業時間短縮を継続してまいりました。 また、当社グループでは、“人を中心とした事業構築を図りケーズデンキグループに関わる人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる。”を企業理念及びパーパスとして掲げ、サステナビリティ経営に取り組んでおります。2022年4月1日にはサステナビリティ委員会を発足させ、『統合報告書2022』(2022年11月公表)においては、当社のマテリアリティを定めるとともに気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示をいたしました。 出退店状況につきましては、以下に記載の通り直営店18店舗を開設し、直営店1店舗を閉鎖して店舗網の強化・経営の効率化を図ってまいりました。これらにより、2023年3月末の店舗数は550店(直営店546店、FC店4店)となりました。 以上の結果、売上高は7,373億20百万円(前年同期比98.7%)、営業利益は301億29百万円(前年同期比72.2%)、経常利益は352億66百万円(前年同期比75.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は211億20百万円(前年同期比74.0%)となりました。 また、当連結会計年度における財政状態につきましては次のとおりであります。 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ116億39百万円増加して4,536億92百万円となりました。 これは主に、現金及び預金が192億48百万円減少する一方、商品が303億46百万円、有形固定資産が45億29百万円増加したこと等によるものです。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ80億13百万円増加して1,734億40百万円となりました。 これは主に、買掛金が83億13百万円、未払法人税等が24億55百万円減少する一方、短期借入金が217億円増加したこと等によるものです。 なお、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ36億25百万円増加して2,802億52百万円となりました。 これは主に、利益剰余金が176億51百万円減少した一方、自己株式が214億83百万円減少したこと等によるものです。 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ192億48百万円減少して106億89百万円となりました。 各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。 営業活動による資金は、21億77百万円の支出(前年同期は242億26百万円の収入)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純利益312億86百万円、減価償却費149億27百万円、棚卸資産の増加額303億66百万円、仕入債務の減少額83億13百万円、法人税等の支払額121億9百万円等によるものです。 投資活動による資金は、184億52百万円の支出(前年同期は95億66百万円の支出)となりました。 これは主に、有形固定資産の取得による支出194億15百万円等によるものです。 財務活動による資金は、13億80百万円の収入(前年同期は127億46百万円の支出)となりました。 これは主に、短期借入金の純増額217億円、自己株式の取得による支出93億36百万円、配当金の支払額85億77百万円等によるものです。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。 この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 当社グループは、固定資産について減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定し、その結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額)まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。 グループ各社の経営者が出席する会議等にて営業店舗の業績のモニタリングを行っており、その結果を踏まえ、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たり慎重に検討しておりますが、事業計画の変更や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ将来キャッシュ・フローが減少した場合、翌連結会計年度以降に減損損失を認識することになる可能性があります。 当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。なお、連結損益計算書の主要科目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は次のとおりです。 当連結会計年度の売上高は、7,373億20百万円(前年同期比98.7%)となりました。 冷蔵庫、洗濯機は堅調に推移したものの、テレビは前年の東京オリンピック・パラリンピック開催による買い替え需要の反動があったことから低調に推移いたしました。また、エアコンをはじめとする季節商品は7月、8月に猛暑日が続かなかったことに加え、11月以降も気温が下がらなかったこと等により計画を下回りました。そのほかに第4四半期は電気代や物価上昇による生活防衛意識の高まりから、消費マインドの低下や買い替えサイクルの長期化が顕著化したこともあり前年同期を下回る結果となりました。 セットステレオ、キーボード、電子ピアノ、ヘッドホンなどいずれも前年同期を下回りました。 大型テレビへの買い替えにより単価の上昇傾向が続いておりますが、2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催による買い替え需要の反動があったことから前年同期を下回りました。 Windows8.1のサポート終了に伴う買い替えにより前年同期を上回りました。 食品の鮮度が長く保たれる冷蔵庫や、冷凍食品を保存しておくための冷凍庫、大容量・洗剤自動投入機能が付いたドラム式洗濯機など高付加価値商品への買い替えが継続し、前年同期を上回りました。 7月、8月に猛暑日が続かなかったことに加え、11月以降も気温が下がらなかったことでエアコンは前年同期に対しては上回ったものの、計画に対しては下回りました。 商品別販売実績、地域別販売実績及び単位当たり売上高は以下のとおりです。 2  上記金額にはEC売上高も含まれております。 3  長期無料保証サービスに係る売上4,613百万円は「その他」(直営店売上高)に含まれております。 詳細は、連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」をご参照ください。 2  上記金額にはEC売上高も含まれております。 2  売場面積については、大規模小売店舗立地法による届出売場面積を記載しております。 3  従業員数には、臨時従業員(一般従業員の標準勤務時間数から換算した人数)を含めて表示しております。 当連結会計年度の売上総利益は、2,078億83百万円(前年同期比98.4%)となりました。 お客様の高付加価値商品への買い替えニーズはあったものの、前年同期を下回る結果となりました。 第1四半期は上海ロックダウンの影響により一部商品の入荷が滞りましたが、第2四半期以降は順次入荷し供給不足は解消いたしました。仕入実績の詳細は以下のとおりです。 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,777億54百万円(前年同期比105.0%)となりました。 新型コロナウイルス感染症の影響で自粛していたチラシの折込や店舗改装等を再開したことで広告宣伝費、修繕費等が増加いたしました。また、電気代につきましては使用量の抑制に努めましたが、単価上昇により水道光熱費が大きく増加したこと等もあり、販売費及び一般管理費は前年同期を上回りました。以上の結果、営業利益は301億29百万円(前年同期比72.2%)となりました。 なお、経常利益は352億66百万円(前年同期比75.8%)となりました。 特別利益は、受取損害賠償金3億49百万円を計上したこと等により、4億24百万円(前年同期比61.5%)となりました。特別損失は、減損損失41億13百万円を計上したこと等により、44億4百万円(前年同期比81.0%)となりました。 以上の結果、税金等調整前当期純利益は312億86百万円(前年同期比74.8%)となりました。 当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は71億94百万円、法人税等調整額が29億71百万円となったことから、法人税等合計は101億65百万円(前年同期比76.7%)となりました。 以上の結果、当期純利益は211億20百万円(前年同期比74.0%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は211億20百万円(前年同期比74.0%)となり、連結ROEは7.6%となりました。また、包括利益は211億39百万円(前年同期比73.8%)となりました。 ・当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、「気候条件」「店舗開発」等を事業等のリスクとしております。詳細につきましては「第2  事業の状況  3  事業等のリスク」をご参照ください。 当社グループは、継続的な企業価値の向上を目指し、未出店エリアへの出店及び既存店舗のスクラップ&ビルドのための設備投資を行っております。こちらの資金需要は主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄っております。経常的な運転資金につきましては、銀行借入により賄っております。外部からの資金調達を行う場合には、経済状況を踏まえ選択しうる方法から当社グループにとり最善な方法により実施したいと考えております。また、株主への利益還元を経営の重要課題の一つとし、財務の健全性維持を図りつつ、安定的な配当として連結配当性向40%を目標とし、機動的な自己株式の取得を実行し、資本の効率的運用を進めてまいりたいと考えております。 ・当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが21億77百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが184億52百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが13億80百万円の収入となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。なお、当社グループは、主に仕入計画及び設備投資計画に照らして、銀行借入等により必要な資金を調達しております。来期の設備投資計画につきましては、「第3  設備の状況  3  設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。 ・セグメントの業績は、セグメント情報を記載していないため省略しております。 (1)当社は、既存の小売店と共存共栄を図ることを基本方針としてフランチャイズ契約を締結しております。契約の要旨は次のとおりであります。 、乙はその代償として一定の対価を支払い、甲の指導と援助のもとに継続して営業を行い、相互の繁栄を図ることを目的とする。 乙の販売する商品は全て甲がこれを供給する。これにより一括大量仕入による仕入単価の低下を図り、相互の利益に資するものとする。 本契約の期間は、契約締結日より満5ヶ年とする。ただし、期間終了後、甲乙が協議の上、契約を更新することができる。 本契約の有効期間中といえども、甲及び乙は相手方が本契約に定める事項に違反したときもしくは3ヶ月以前に予告することにより、本契約を解約することができるものとする。 (2)当社は、クレジット販売に関して、信販会社と加盟店契約を締結しております。 その主なものは次のとおりであります。 3ヶ月以上の予告期間をもって一方当事者の解約申出まで。 該当事項はありません。
三協立山株式会社
# 三協立山株式会社 当社グループの沿革の概要は次のとおりであります。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社46社及び持分法適用関連会社6社から構成され、その主な事業内容と当社グループの当該事業における位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。 なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 当部門においては、ビル建材製品・住宅建材製品・エクステリア製品の製造・販売等を行っております。 当部門においては、アルミニウム及びマグネシウムの鋳造・押出・加工並びにその販売等を行っております。 当部門においては、店舗用陳列什器及び看板の製造・販売、店舗及び関連設備のメンテナンス等を行っております。 当部門においては、海外でのアルミニウムの鋳造・押出・加工並びにその販売等を行っております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。 す。 除外しております。 当社グループにおいて結成されている各労働組合は日本労働組合総連合会 ジェイ・エイ・エムに所属しており、その活動は穏健で、かつて争議行動などはなく、健全な歩みを続けており、労使関係は極めて安定しております。 であります。 定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。 者及び他社からの出向者は含んでおりません。 系において性別による処遇差は一切ありません。 介護を行う労働者の福祉に関する法律」による公表対象外の項目を示しております。 であります。 た、年間平均賃金は総賃金÷人員数で算出しており、総賃金には基準外賃金及び賞与を含んでおります。 おいて性別による処遇差は一切ありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、創業の原点である「お得意先」「地域社会」「社員」の三者が協力し共栄するという協業の精神に基づいた経営理念のもと、健全な企業活動を通じて社会に貢献していくことが私たちの使命であると考えております。 常にお客様の視点に立ち、誠実に対応することで、信頼される存在であり続けます。 技術と知識の向上に努め、新たな製品の開発とサービスの提供にたゆまず挑戦し続けます。 環境、地域社会、人との調和を考えて行動し、人と自然にやさしい企業であり続けます。 自己研鑽に励み、互いに切磋琢磨し、働き甲斐のある企業風土を育みます。 当社グループでは、株主及びその他ステークホルダー、そして社会からの信頼を築き共に発展していくことを経営の基本方針としており、VISION2030に向けて、4つの事業を中心に自社の強みや財務・非財務の資本を投入し、価値創造プロセスを循環させ続けることで、当社グループの更なる企業価値を高めてまいります。 各事業の強みは次のとおりであります。 私たちの使命は、商品・サービスをはじめ、様々な企業活動を通じて、人々が暮らす快適な空間と満足される生活づくりに貢献していくことであり、人と社会にやさしい環境商品やサービスを提供することで、豊かな暮らしの実現を目指してまいります。 多様なニーズに最新技術でお応えするビル建材と省エネ・バリアフリー・高耐久を考慮した住宅建材、そして最新のデザインと高い品質を追求したエクステリア建材の提供を通じて豊かな暮らしの実現に貢献いたします。 提供しております。 快適な居住空間を創造いたします。 皆様に幸せと笑顔、わくわくをお届けいたします。 『アルミニウム』と『マグネシウム』素材・押出形材における設計・試作・製造・デリバリーサービスまでのトータルソリューションを提供しております。 製品や物件の企画・設計段階から参画し、お客様に寄り添い、最適なご提案をいたします。 工事、看板・サイン等の屋外広告物、店舗・関連設備のメンテナンスサービスを提供しております。 お客様にとって価値ある快適空間を創造するために、「売れる」店舗づくりのご提案から、設計・製作・施工・メンテナンスまでトータルにサポートいたします。 欧州・タイ・中国にある海外拠点において、アルミニウムの鋳造・押出・加工を行っております。 日本・欧州のハイレベルな技術を他地域へ展開し、グローバルサプライヤーとして高付加価値製品を提供いたします。 三協立山グループ全体のリソースを活用した新たなビジネス創出や、異業種とのアライアンスによる新市場・新分野の開拓を行っております。 ①VISION2030 ~当社グループ企業としての持続的成長に向けて~ 当社グループは、持続可能な経営や安定的成長に向けた基盤づくりとして、2021年7月に「VISION2030(2031年5月期)」を公表しております。 についてです。 「環境にやさしく」、「安心な社会へ」、「暮らしを快適に」を軸とし、各事業活動を通じて魅力ある価値を創造してまいります。 各事業の具体的な方向性は以下のとおりであります。 今後、国内市場縮小が見込まれるため、市場競争力を高め、安定的な利益体質の構築を進めてまいります。 具体的には、市場変化に合わせた効率的な事業運営と、建材の中でも強い領域へ注力し、市場地位の維持向上を図ります。ビル・住宅部門においては、堅調な推移が予測される改装・リフォーム市場への対応強化に取り組み、引き続き収益改善に努めます。エクステリア部門においては、事業ブランドコンセプト「ワンダーエクステリア」に基づいて、お客様に“わくわく”していただける商品提案や様々な施策を推進するなど、更なる拡販に向けて取り組んでまいります。また、既存事業の近接領域の開拓も進めてまいります。 マテリアル事業では、国際事業と連携し、国内・海外を含め輸送分野を中心としたグローバルシナジーを創出し、将来の中核事業の1つとして事業領域の拡大に努めてまいります。 具体的には、国際事業の取扱製品は海外でのマテリアル領域が主体であり、国内でのマテリアル領域と一体的な事業運営を図り、特に輸送分野における自動車のアルミ化・EV化需要の拡大に対して、自動車メーカーなどグローバルプレイヤー向けに部品・材料を供給できる体制を強化してまいります。 国際事業では、収益貢献する事業への変革を進め、欧州・タイ・中国の生産拠点を生かし、輸送分野における自動車のアルミ化・EV化需要の取り込みを中心に、事業成長を目指してまいります。 業界内での高いポジションを生かし、事業領域拡大を行ってまいります。 具体的には、小売業が新規出店から改装にシフトしていることや、人手不足を背景とした省人・省力化需要が高まっており、これらの変化から生まれる需要の獲得を進めるとともに、小売店舗への総合提案化やサービス領域の拡大により市場拡張を図り、更なる事業成長を目指してまいります。 植物工場事業においては、2017年4月より大和ハウス工業株式会社様と共同開発を進めてきた植物工場システム「agri-cube ID(アグリキューブ・アイディー)」を2019年10月1日より販売しております。当社は栽培技術・栽培サポートの提供を行っております。今後も企業様の新規事業創出提案、遊休不動産活用提案、自治体・農業生産法人の新たな農業事業創出提案などを行ってまいります。 植物工場市場は将来の成長が期待されていることから、引き続き事業拡大に向けた製品開発や弊社独自の営業活動も進めてまいります。 さらに、「高齢化」や「インフラ整備」などの社会的課題に対応する新規事業開拓や、既存事業の近接領域の拡大を進めてまいります。 についてです。 建材事業を主力としてきた当社グループにとって、国内建設市場の長期的な縮小は大きな課題であり、将来的な事業環境変化に対応するためには、建材事業は引き続き中核事業として収益力向上を図るとともに、新たな成長分野を創出していく必要があります。このような事業構造の中で、過去2015年3月には、国際事業のM&Aにより、国内外のマテリアル事業を強化し、商業施設事業では、事業承継による規模拡大を図ってまいりました。今後もさらに領域拡大を進め、建材事業に偏らない事業構成により、市場の変化に柔軟に対応できる経営基盤を構築し、持続可能な企業を目指してまいります。 事業ポートフォリオについて、2031年5月期には、建材事業の売上が全体の50%になりますが、当社の中核であることに変わりはありません。国内外のマテリアル事業で30%、商業施設事業は15%へ、そして、新規事業を含む領域拡大を5%に高めていくことを目指してまいります。 今後の中長期的な市場見通しと当社が目指すべき事業構造を見据え、2022年5月期~2024年5月期の中期経営計画を引き続き推進してまいります。 基本方針『収益面での健全経営を確立し、安定的に成長する企業グループへ』を掲げ、以下の3つの重点施策により、市場構造変化に対応した事業ポートフォリオの構築を目指してまいります。 中期経営計画2年目となる2023年5月期時点での各施策の具体的内容と進捗状況並びに経営指標は次のとおりであります。 ります。 益60億円と公表しております。 中期経営計画最終年度となる2024年5月期は、経済活動の正常化が継続する中で、景気は緩やかに持ち直しが続くものと見込んでおります。一方で、エネルギー、諸資材価格や人件費の上昇、物価高による消費マインドの低下は継続するものと見込まれ、依然として先行き不透明な状況が続くと思われます。このような状況の中で、当社グループは、中期経営計画に掲げた3つの重点施策を着実に実行し、ステークホルダー皆様の期待にお応えできるよう業務を推進してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは経営理念に対して、従来よりCSRやSDGsに取り組み、環境や社会との調和を図ってまいりました。今、さらにそのことが強く求められる時代背景となっております。2020年10月、政府が2050年温室効果ガス実質ゼロを目指す方針を掲げ、また深刻化する労働力人口減少の中で、多様性を尊重した活躍を推進することなど、サステナビリティの取り組みが求められております。当社グループは、創業の原点である「お得意先」「地域社会」「社員」の三者が協力し共栄するという協業の精神に基づいた経営理念のもと、健全な企業活動を通じて社会に貢献していくことが私たちの使命であると考えております。 サステナビリティ推進体制として、業務執行取締役からなるサステナビリティ政策委員会を設置し、気候変動対応など全社的なサステナビリティ政策に関わる意思決定の審議を行っております。審議結果の内、全社方針、中期活動計画などの重要事項については、取締役会に提議しております。また、サステナビリティ政策の実行組織として、サステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ政策委員会で策定された方針・中期活動計画に基づき、具体的施策を策定し推進する体制としております。各委員会・各部会の運営は、サステナビリティ推進部が事務局となっております。 当社グループは、「カーボンニュートラルへの挑戦」「資源の循環」「人財を未来へつなぐ」を掲げ、サステナビリティについて自社の経営理念・これまでの取り組み(強み)から当社グループが長期的に目指す方向として、2021年に『サステナビリティビジョン2050 Life with Green Technology~「環境技術でひらく、持続可能で豊かな暮らし」を実現する企業グループへ~』を策定し、2030年を目標年としたマテリアリティ(重要課題)を定め、施策を遂行しております。 マテリアリティは、サステナビリティ推進委員会に設置した課題別部会において施策の実施、進捗状況の管理を行っております。課題別部会で把握した、発生し得るリスク等については、サステナビリティ推進委員会、サステナビリティ政策委員会へ報告され、重要と判断されたリスクについては、取締役会へ報告しております。特に、気候変動への対応の詳細については、「(2) 気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)③リスク管理」に記載のとおりであります。 また、当社グループでは、リスク管理の取り組み全体の方針・方向性及びリスクテーマ共通の仕組みの審議等を内部統制委員会で行っております。マテリアリティに関して特定したリスクについては、発生頻度、影響度から内部統制委員会へ報告すべきテーマを特定し、継続して報告しております。 なお、当社グループのコーポレート・ガバナンス体制図は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 <コーポレート・ガバナンス体制図>」に記載のとおりであります。 当社グループにおけるマテリアリティを定め、2030年に向け温室効果ガス排出量2017年度比50%削減、循環(リサイクル)アルミ使用促進、女性管理職比率10%を目標設定し施策を遂行してまいります。 当社グループは、長期的に目指す方向として2021年に「サステナビリティビジョン2050」を策定し、これに基づく2030年を目標年とするマテリアリティを定めております。また、長期的な経営方針として2021年7月に「VISION2030」を定め、重点戦略の1つに「サステナブルで豊かな暮らしに貢献」を掲げており、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量削減や主要原材料であるアルミニウムの循環使用の促進、廃棄物の再資源化を推進しております。2021年12月にTCFD提言に賛同し、気候変動に関するリスクと機会が、事業活動、経営活動、財務計画に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、情報を開示しております。 気候変動への対応は当社グループのマテリアリティの1つであり、ガバナンスについては、サステナビリティ推進体制に組み込まれております。 サステナビリティ推進体制について、詳細は「(1)当社グループが長期的に目指す方向 ①ガバナンス <サステナビリティ推進体制>」に記載のとおりであります。 気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、当社グループ国内3事業のバリューチェーン全体を対象として、TCFDフレームワークに沿って整理し、重要性の評価を行いました。次に国際機関などが公表している外部シナリオをもとに、国内事業について、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つの将来世界観を描き、2050年カーボンニュートラルを見据えた、2030年時点における考慮すべき外部環境変化のシナリオを策定し、リスクと機会を特定いたしました。また、事業収益にもたらす影響の大きさにより、大中小の3段階で分類いたしました。 当社グループでは、2030年までに温室効果ガス排出量を2017年度比で当社グループのScope1+2で50%削減することを目指しております。目標達成に向けて、CO2フリー電力の導入や太陽光発電の導入、照明のLED化などの設備更新、バッテリー式フォークリフトの導入などの具体的な削減計画を策定し、実行しております。その中で、日本国内においては、2022年6月から当社の4工場で使用する電力をCO2フリー電力に切り替えることで、年間約3,000トンを削減しております。 当社グループの「サステナビリティビジョン2050」において、資源の循環は重要な取り組みであり、原材料にリサイクルアルミ材を使用する取り組みの強化を進めております。アルミの使用済み製品やお客様の加工工程で発生する加工端材の回収など、お客様やサプライチェーンとの連携した取り組みを進め、安定したリサイクルアルミ材の調達を目指しております。 また、2022年度には、国立大学法人富山大学が有する基礎的研究資源と当社が有する製造技術資源を融合し、単独では困難な研究課題に果敢にチャレンジすることで、カーボンニュートラルへの礎を築くとともに、社会変化に資する研究成果の実現を目指すといった目的でアルミリサイクル及び押出加工革新の共同研究を開始しております。 当社グループでは、サステナビリティ推進委員会に設置されたTCFD部会のもと、各カンパニーの事業企画、営業、開発、生産部門などの関係者が参加し、直接操業や上流、下流のバリューチェーンに関連する気候関連リスクと機会について、発生頻度、影響範囲等から分析を行い、対応策等を総合的に評価し、優先度合いを決定しております。このプロセスに基づき特定した重要度の高いリスクと機会については、TCFD部会と各カンパニーの関連部署にて行うワークショップで、対応施策など議論を重ねた上で、年4回定期開催されるサステナビリティ推進委員会及びサステナビリティ政策委員会へ報告しております。両委員会で重要と判断されたリスク及び機会については、取締役会へ報告するほか、TCFD部会を通じて関連部署へフィードバックしております。また、進捗は定期的にサステナビリティ推進委員会、サステナビリティ政策委員会に報告し、取り組みに対するモニタリングを行っております。 当社グループの2030年度の指標と目標は以下のとおりであります。2022年度実績は、2023年10月以降に当社ホームページで公表する統合報告書をご参照ください。なお、2023年6月、当社グループの温室効果ガス排出量削減目標の対象範囲は、海外子会社を含めた当社グループ全体に拡大しており、また、基準年を2013年度から2017年度にしております。 当社は、「お得意先・地域社会・社員の協業のもと、新しい価値を創造し、お客様への喜びと満足の提供を通じて、豊かな暮らしの実現に貢献します。」を経営理念として掲げております。2021年7月に策定したVISION2030及び中期経営計画では、長期成長への仕込みのための施策として「新たな強みの創出」・「領域拡大」を定め、その実現のための人材育成強化が必要と認識しております。 当社は、女性、高齢者、障がい者、外国人、キャリア採用者など多様な人材の雇用拡大とともに職場での活躍に向けて取り組んでおります。サステナビリティ推進委員会に設けた人材活躍部会では、中長期的な方向性と戦略の策定及び推進により、多様な人材が活躍できる風土づくりを目指しております。また、女性の活躍促進や障がい者の雇用促進を含むダイバーシティ推進の専任部署では、具体的な計画策定と施策を実施してまいります。一方で、戦略的人員配置を目指すために、業務の効率化にも取り組んでおり、業務改革の推進と省人・自動化、デジタルを活用した新たな働き方を構築してまいります。 人材育成については、当社グループの持続的な成長を支え、お客様へ喜びと満足を提供するために新しい価値を創造できる人材の育成を目指しており、各種研修のほか通信教育受講の奨励や社内e-ラーニングの提供、公的免許・資格取得に対する報奨金支給等の自己啓発やキャリア形成支援を行っております。今後も、創業の原点である「お得意先」「地域社会」「社員」の三者が協力し共栄するという協業の精神に基づいた経営理念に表されるように「自ら成長する意欲」を持った社員に対し、知識・能力・技術レベルに応じた多彩な教育プログラムを通じて、スキルアップ支援を実施してまいります。 新入社員の早期戦力化、職場定着を目的にチューター研修をはじめ、入社から3年にわたり、段階的にフォローアップする研修を行っております。また、階層別に必要能力の組み込みを図るべく、各種研修を企画・実施し、事業環境を取り巻く様々な課題を的確に解決できる人材や、次代のビジネスリーダーの育成にも取り組んでおります。 選抜教育は、将来の経営者や経営幹部候補者の育成として当社が選抜した優秀な人材に対する教育であり、経営リーダー研修や改革リーダー研修を実施しております。また、女性リーダーの育成を目的とした行政が主催する研修への参加や外部機関での若手リーダー育成研修への参加など、他業種の方との交流を通じて、リーダーとしての資質を磨くことと新たな視点を社内で活用できる人材の育成を行っております。 当社は、社員一人ひとりが、お互いの「違い」を尊重し合い、それぞれの「個性」を生かしつつ能力を発揮し、企業に貢献できる環境づくりに取り組んでまいりましたが、更なる雇用環境の整備のための行動計画を定めております。 経営トップからの全社的取り組みの表明や、職場風土に与える影響が大きくチームづくりの要となる管理職向けの啓発教育を実施しております。2022年度は、各職場の責任者向けに『多様性と人材育成について』をテーマに46回(参加者1,270名)の研修会を行いました。 人的資本の拡充:経営戦略の実現のためには、当社で働く一人ひとりが「強い個人」となるために、社員が自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりが不可欠であり、革新管理者研修の受講促進や女性社員の積極的なキャリア選択支援などを行っております。 当社では、変化の激しい市場環境に対応し、常に迅速に新しい価値を創造するため、女性、外国人、様々な経験を持つキャリア採用者など、多様な人材の採用、起用を積極的かつ継続的に行っております。今後は、それぞれの特性や能力を最大限生かせる職場環境の整備や管理職層の教育などの取り組みを進めてまいります。 女性を積極的に採用することや働きやすい制度を整える取り組みを続けてきたことで女性社員は増加・定着してまいりました。また2022年度は、「女性活躍の推進」に向け、部長職以上を対象に外部講師による『なぜ今女性活躍なのか?~皆が働きやすくて働き甲斐のある職場にするために~』をテーマに研修会を行いました。 今後は、女性社員の業務領域を広げること、女性社員の経験・スキル向上や職場風土を変える教育などを軸に各カンパニーの特性に応じた施策と全社の共通施策を展開し、戦力となる人材・経営視点を持てる人材を育成することにも注力してまいります。 キャリア採用者は、即戦力となる実務経験者を年間を通して採用しております。仕事と一緒にライフスタイルを考えるUターン、Iターン、Jターンを希望する方にも、全国に拠点を持つ強みを生かして積極的に対応しております。 また、業界未経験・他業種からの人材も積極的に採用し、それまでの知識・経験を生かして新たな価値創造に取り組んでおります。 従業員の安全と健康は、企業の存立の基盤をなすものであり、安全衛生の確保は、企業の社会的責任であります。当社グループでは、人間尊重を基本理念とし、「安全第一」と「健康保持増進」を基に全員参加で安全衛生活動と健康経営を展開しております。 2019年10月に健康経営宣言を策定し、健康経営推進体制として、人事担当役員を健康管理推進委員長とした「健康管理推進委員会」を設置し、施策の立案、実行、効果の検証を行っております。 当社は、社員の健康を重要な経営基盤と考え、2019年10月に、従業員の心身の健康の保持・増進に取り組む姿勢を示す「健康経営宣言」を策定いたしました。多様な人材の誰もが働きやすい職場環境づくりを目指して、仕事と生活の両立を図るワークライフバランスを推進し、有給休暇の取得率向上や長時間労働の削減、業務効率化に取り組んでおります。 また、健康経営の推進について経営会議で定期的に報告を行っており、取締役、執行役員へ健康に対する意識付けを行うとともに職場環境の改善へ繋げております。 当社は、2023年3月に、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが優良であると認められ、経済産業省及び日本健康会議より「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定を受けております。また、連結子会社のST物流サービス㈱では、同制度にて「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門(ブライト500))」の認定を受けております。 当社グループは「サステナビリティビジョン2050」に基づき、中長期的に取り組むべきマテリアリティの1つとして、「多様性と人材育成」を掲げております。 その中で女性の管理職比率は、2030年に10%とする目標を定めており、2023年5月末時点では1.9%となっております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 当社グループは、ビル建材製品、住宅建材製品、エクステリア製品の開発・製造・販売、アルミニウム及びその他金属の鋳造・押出・加工・販売、店舗用什器、看板の製造・販売、店舗及び関連設備のメンテナンスを主な事業としております。当社グループの製品は多岐にわたり、その多くは国内における建設業、小売業をはじめとした各種産業に使用されており、一部は海外で製造、販売されております。このため、当社グループの経営成績は主に、日本国内及び海外の景気動向、為替動向、資材価格市況、建設会社の建設工事受注高や住宅着工戸数の変動、国内鉱工業生産、民間消費動向等の影響を受ける可能性があります。 このような状況に対処するため、当社は事業セグメントとして「建材」「マテリアル」「商業施設」「国際」と幅広く事業展開することで、特定の経済環境変化により一部の事業が影響を受けてもその他の事業活動で補うことにより、リスクを最小限に抑えるような事業構造を目指しております。 当社グループは、金融機関等からの借入金など有利子負債を有しております。金利が上昇した場合、支払利息が増加する等、当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 金利上昇のリスクを抑えるため、金利スワップ等のヘッジ取引等により金利の固定化を行い、リスク低減に努めております。 当社グループは、重要な取引先の株式を中心に、長期投資目的の株式を保有しております。株式市況の低迷等により保有株式の価格変動が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 そのような状況に対処するため、保有株式の有効性評価を定期的に行い、取締役会にて保有の適否を判断しており、不要と判断された株式は速やかな処分を行うこととしております。 為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債、売上高等の円貨換算額が当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 米ドル、ユーロ、タイバーツ及び人民元等の主要通貨の変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を行っております。 当社グループの生産活動においては、アルミニウム地金や鋼材等の原材料価格、電力や燃料等のエネルギー調達価格、運送コスト等の変動による影響が考えられます。国内外の景気動向や為替変動などで原材料・資材等の価格が高騰した場合、調達コスト増加の影響を最小限に抑えるためコストダウンや販売価格への転嫁等を実施しておりますが、その影響をすべて吸収できる保証はなく、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、主原材料であるアルミニウム地金についてはデリバティブ取引の導入や、安定調達と価格変動のリスク分散を目的に長期購入契約を行い、市況や為替変動による調達コストの上昇を最小限に抑えるよう努めております。また、部品の共通化や複数購買化を進め、原価の抑制に努めるとともに、吸収できない市況価格の変動については、競合他社の動向を踏まえ、適切な販売価格への反映を行っております。 当社グループは、積極的に研究開発を行い、市場のニーズに合わせた新技術・新製品をスピーディーに提供し、成長性及び収益性の維持・向上に努めておりますが、競合企業による新製品の投入や価格競争により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、市場分析を踏まえ、価格競争に巻き込まれにくい差別化製品及び高付加価値製品の開発に取り組んでおります。 当社グループは、海外に販売拠点、生産拠点を有しております。進出各国における自然災害、政治的不安、伝染病、戦争、テロリズムその他の社会的混乱、物価上昇、ストライキ等の経済的混乱が発生した場合、海外における生産・販売活動の変動、事業活動の停止や復旧対応により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 そのような状況に対処するため、政治情勢、財政情勢、政策変更等について、情報収集を実施し、政情不安等の兆候の早期把握に努めております。 当社グループは、JISその他国内外の品質基準及び社内の品質基準に則って各種製品を製造しておりますが、重大な製造物責任賠償やリコールが発生した場合、多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、開発及び設計の各段階で、品質確認のための試験やユーザー視点での確認会を実施し、指摘された問題を解決しなければ次工程に進めることができないルールの設定と運用により、重大な製造物責任賠償やリコールにつながる可能性の抑制を行っております。 当社グループは、事業の許認可や独占禁止、為替、租税、知的財産、環境、労働関連等、多くの法規制を受けております。将来のこれら法規制の改正、新規規制に伴うコスト増加等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、法令遵守に努めておりますが、法令遵守違反が発生した場合は、公的制裁や社会的信用の失墜等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、担当部署が中心となり、適宜外部の専門家(例えば弁護士)を活用しながら、専門部署がサポートすることで法を遵守しております。法改正に関する動向については、専門部署が情報収集を行い、経営層及び各事業会社へ情報共有しております。 また、法令遵守違反への対応として「コンプライアンス基本方針」を定め、従業員一人一人の意識の向上を図るとともに、グループ内で発生したコンプライアンス事案はコンプライアンス委員会で情報集約、対応することで内部統制の強化を行っております。 当社グループは、産業廃棄物の処理に関する法律及び大気、水質、騒音、振動、土壌汚染等の環境諸法令遵守を徹底しております。しかしながら、人為的ミス等による環境汚染により社会的信用が失墜した場合や、関係法令等の変更によって新規設備の投資によるコスト増加が発生する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、世界的問題として取り組みが進められている、気候変動や温室効果ガス削減への対応が必要になっております。 このような状況に対処するため、気候変動対策や環境保全活動をはじめとしたサステナビリティ活動に関する方針の審議・策定を行う代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ政策委員会」と、具体的施策を策定し推進する「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。その中で環境保全に関する方針や方向性の策定を行い、方針に基づく様々な課題(エネルギー転換等による温室効果ガス対策、資源循環リサイクル、環境配慮設計、化学物質管理)に取り組んでおります。 「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に基づき、当社グループに及ぼすリスクと機会の特定、分析、評価を行い、サステナビリティ推進委員会、サステナビリティ政策委員会での審議・承認を経て、事業活動、経営戦略に反映させる取り組みを進めております。進捗は定期的に委員会に報告し、取り組みに対するモニタリングを行っております。 また、主要な自社工場においては、ISO14001の認証を取得し環境管理や監視体制の強化、産業廃棄物管理の徹底に努め、問題発生の防止に取り組んでおります。 当社グループは、業務に関連して多数の企業情報を保有するとともに、多数の個人情報を保有しております。これらの企業情報及び個人情報については、万全の管理に努めておりますが、予期せぬ事態により情報が漏洩した場合には、損害賠償の発生及び社会的信用の失墜等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、グループ全体のセキュリティリスクの把握や対策を推進する「情報セキュリティ委員会」を設置し、学習管理システムを用いたセルフチェック、研修動画の視聴、ウイルスメール対応訓練などにより従業員のセキュリティ意識を向上させております。また、社外持ち出しPCへの暗号化ソフト導入、不審メール等の検知システム導入、アクセス時やアプリ利用に使用するIDの定期的な検証(利用者と権限)など仕組みの面でもセキュリティ対策を講じることで、社内情報流出など問題発生の抑制に努めております。 地震・水害等の自然災害、火災・停電等の事故災害、感染症の拡大等によって、当社グループの生産・販売・物流拠点及び設備の破損や社員の感染による操業停止に陥る可能性があります。災害や感染症等による影響を最小限に抑える対策を講じておりますが、被害を受けた場合は、復旧対応や事業活動の停止により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、災害への対応については、非常時の初期対応や報告経路、対策本部の設置と役割を定め、災害発生の際には適切な対応ができるよう仕組みを構築しております。また、災害防止や被害を最小限に抑えるために、設備の定期点検や防災訓練の実施、生産・販売・物流拠点に応じた事業継続計画(BCP)を作成し、被災時の速やかな事業の復旧が行えるよう備えております。感染症への対応については、各拠点と連携し、社員の感染予防対策の実施及び感染状況に関する情報収集と対策実施が行えるよう備えております。 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、貸倒見積高を算定し貸倒引当金として計上しておりますが、売掛・手形等の債権が回収不能となり貸倒れが当該前提等を大幅に上回った場合には、貸倒引当金の計上が不十分となる可能性があります。また経済状況の悪化や取引先等の信用不安等による前提条件等の見直しにより、貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、取引先の信用力チェックや与信枠の設定に関して規程やマニュアルを整備するとともに、信用力についての調査と評価を実施し、経営改善状況やリスク低減策等のモニタリングを行っております。 当社グループは、事業用の不動産やのれんをはじめとする様々な固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待しているキャッシュ・フローを生みださない状況になるなど、その収益性の低下により減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、減損の兆候等について定期的に取締役会に報告し、業績悪化の兆候を把握した際には適時に対策が打てるような体制を構築しております。 当社グループの退職給付費用は、退職給付債務の算出に使用する割引率が低下した場合や、年金資産の運用環境の悪化により前提条件と実績に乖離が生じた場合に、数理計算上の差異が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、年金資産の運用は安全性を考慮した投資配分に努めるとともに、定期的なモニタリングを行っております。また、退職給付制度には確定給付型と確定拠出型を組み合わせた制度を導入しております。 当社グループが海外への事業展開を含め持続的に成長するためには人材確保が不可欠であり、雇用制度の充実や能力開発制度等を通じて雇用確保と人材育成に努めておりますが、少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり雇用競争の激化や退職率の上昇により有能な人材の獲得や流出防止が困難な場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このような状況に対処するため、4月の定期採用に加えて通年のキャリア採用推進を行っております。また、高齢者や女性労働力の確保等ダイバーシティの推進を行うとともに、各種研修プログラムの他にも通信教育受講の奨励や社内e-ラーニングの提供など自己啓発支援を行い、人材育成に努めております。また、仕事と生活の両立を目指した長時間労働削減(ワークライフバランス推進)や働きやすい職場環境を整えることで離職防止や生産性向上の取り組みを行っております。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における当社グループを取り巻く外部環境は、経済活動の正常化が進み、景気停滞から緩やかに回復しているものの、エネルギーや諸資材価格の上昇、物価高による消費マインドの低下により、先行き不透明な状況が続いております。 このような環境のもと、当社グループは、長期ビジョン「VISION2030」の実現に向け中期経営計画(2022年5月期~2024年5月期)を策定し、『収益面での健全経営を確立し、安定的に成長する企業グループへ』を基本方針として諸施策の展開を進めております。  中期経営計画では、『収益面での健全経営を確立する』という点では、国際事業の黒字化に向けた施策を着実に遂行しております。長期的に目指す姿の取り組みとして、『サステナブルで豊かな暮らしに貢献』という点では、「サステナビリティビジョン2050」の一環として、2022年8月に国立大学法人富山大学と共同で、アルミリサイクル及び押出加工の革新研究を行うための共同研究講座を先進軽金属材料国際研究機構に設置いたしました。さらに、『多角化した経営』という点では、植物工場の「建設」から「栽培・サポート」までワンストップサービスを提供する植物工場システム「agri-cube ID」を開発し、大型植物工場に納入しております。今後は、企業様の新規事業創出提案、遊休不動産活用提案、自治体・農業生産法人の新たな農業事業創出提案等のご提案を行い、2026年度には年間5棟の植物工場「agri-cube ID」の導入を目指します。 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,703億85百万円(前連結会計年度比8.8%増)となりました。営業利益26億69百万円(前連結会計年度比29.4%減)、経常利益34億19百万円(前連結会計年度比18.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億30百万円(前連結会計年度比312.2%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 建材事業では、収益力の向上に努めるとともに、商品力と販売力の強化を進めてまいりました。 ビル建材では、集合住宅において省エネ補助金事業によるリフォーム需要への対応として、高断熱性能を備えたビル改修専用のアルミ樹脂複合サッシ「Grows(グラウス)-R」を強化するとともに、高層建築市場の活発化や台風の大型化に伴い高い耐風圧機能を実現し優良住宅部品認定を取得した「FINEMASTER(ファインマスター)HB」を発売するなど市場競争力の向上に注力してまいりました。また、冬でも室温低下を抑え、換気しながら高断熱を実現する超高層マンション対応「DI窓(ダイナミックインシュレーション技術を用いた窓システム)」と風騒音対策型外装ルーバー「タワースクリーン TSRシリーズ」が2022年度グッドデザイン賞を受賞しております。 住宅建材では、家族の気配と自然の光や風を感じる心地よい暮らしを提案したアルミインテリア建材「AMiS(アミス)室内窓」を追加、床材「Sフロア」の体系強化やインテリア建材「LiVERNO(リヴェルノ)」をリニューアルし、多様化するインテリアニーズへ対応いたしました。また、リフォーム商品ノバリスシリーズのバリエーションを拡充し、「ノバリス 玄関引戸」を発売し、期待されているリフォーム分野への強化を行いました。 エクステリア建材では、高度経済成長期に整備された公共建築物などの老朽化対応として、安全性や予防保全に優れた公共向け間仕切りメッシュフェンス「STメッシュ」の発売や歩行者自転車用柵「ピュアライン」のバリエーション拡充の他、物流の2024年問題を背景とした非対面・非接触での荷物の受け取りが可能な宅配ボックス「フレムスLight S型」、照明をカーポートやガーデンルームなどエクステリア商品に組み込んだセット提案型商品「MIRaRIA(ミラリア)」を発売いたしました。また、2050年カーボンニュートラル実現に向け取り組みが広がる中で、カーポートのノウハウを生かした太陽光発電への取り組みとして、カーポート型太陽光パネル架台「エネジアース」の開発やカースペース、アプローチ、庭空間などトータルにコーディネートし、住宅と外構の統一感や自由な空間創造ができる「X.style(クロス.スタイル)」の市場投入に注力いたしました。 以上の結果、建材事業においては、新設住宅着工戸数は減少しているものの、政府の補助金制度創設によるリフォーム需要の増加と価格改定の効果により、売上高1,871億41百万円(前連結会計年度比2.7%増)となりました。利益については、持家着工数の低迷による販売数量の減少と想定以上のエネルギーや諸資材価格の上昇により、セグメント損失1億18百万円(前連結会計年度はセグメント利益25億15百万円)となりました。 マテリアル事業では、物価上昇による景気減速の中、更なる物量と利益確保に向け、営業、技術、製造が一体となり、輸送分野や一般機械分野などの将来に繋がる案件の獲得や加工品案件の取り組みを進めてまいりました。また、カーボンニュートラルの実現に向けた対応として、リサイクル性の高いアルミニウム・マグネシウムの可能性追求による用途拡大・技術構築を進めております。 以上の結果、アルミ地金市況に連動する売上の増加などにより、売上高585億50百万円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。利益については、エネルギーや諸資材価格の上昇影響はあったものの、収益改善施策の実施により、セグメント利益32億11百万円(前連結会計年度比22.8%増)となりました。 商業施設事業では、慢性的な人手不足に伴う店舗の省力・省人化及び環境配慮や光熱費高騰に伴う省エネニーズなどへの対応として、店舗用什器とサイン・看板などをはじめとした商材の展開を強化してまいりました。その中で、ブラケットを交換するだけで既存の棚板がスライド棚になり、店舗の陳列作業の効率化や棚板入替に伴う廃棄物の低減が実現できる「スライドチェンジャー」を発売いたしました。 以上の結果、小売業を中心に店舗の新規出店や改装の需要を取り込んだことなどにより、売上高416億31百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。利益については、価格改定を進めておりますが、諸資材価格の上昇や為替影響などにより、セグメント利益6億3百万円(前連結会計年度比64.9%減)となりました。 国際事業では、欧州・タイ・中国にある海外拠点において、自動車分野を中心にアルミニウムの鋳造・押出・加工を行い、高付加価値製品に注力してまいりました。また、欧州では収益化達成に向けて改革に取り組んでまいりました。 以上の結果、為替影響、アルミ地金市況の連動や欧州、タイの自動車分野が堅調に推移したことなどにより、売上高828億57百万円(前連結会計年度比32.3%増)となりました。利益については、エネルギー価格等の上昇影響はあったものの、欧州子会社でのコスト改善施策や価格転嫁を進めたことにより、セグメント損失8億33百万円(前連結会計年度より23億14百万円の改善)となりました。 財政状態の状況については、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ35億28百万円増加の204億55百万円(前連結会計年度比20.8%増)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果、使用した資金は、1億71百万円(前連結会計年度は24億5百万円の収入)となりました。これは、減価償却費82億10百万円の計上があった一方で、仕入債務の減少額41億43百万円、棚卸資産の増加額33億38百万円があったことなどによるものであります。 投資活動の結果、使用した資金は、前連結会計年度に比べ3億17百万円減少の72億69百万円(前連結会計年度比4.2%減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出76億12百万円があったことなどによるものであります。 財務活動の結果、得られた資金は、前連結会計年度に比べ102億79百万円増加の105億54百万円(前連結会計年度は2億74百万円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出186億2百万円があった一方で、長期借入れによる収入188億63百万円、短期借入金の純増加額115億10百万円があったことなどによるものであります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における建材事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当連結会計年度の売上高は、3,703億85百万円(前連結会計年度比8.8%増)と増収となりましたが、営業利益は26億69百万円(前連結会計年度比29.4%減)、経常利益は34億19百万円(前連結会計年度比18.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は16億30百万円(前連結会計年度比312.2%増)となりました。 営業利益のセグメント毎の分析については、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 経常利益は、34億19百万円となりました。これは、為替差益6億40百万円などを営業外収益に計上したことによります。 税金等調整前当期純利益は、31億4百万円となりました。 税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、13億51百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は1億21百万円となりました。 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は16億30百万円となりました。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ144億61百万円増加し、2,829億32百万円となりました。増減の主な内訳は以下のとおりであります。 有価証券が14億81百万円減少したものの、商品及び製品等の棚卸資産が44億39百万円、現金及び預金が39億57百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が21億42百万円、それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ95億70百万円増加の1,512億68百万円となりました。 無形固定資産が4億61百万円減少したものの、退職給付に係る資産が39億62百万円、有形固定資産が14億61百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ48億91百万円増加の1,316億64百万円となりました。 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ73億99百万円増加し、1,902億65百万円となりました。増減の主な内訳は以下のとおりであります。 支払手形及び買掛金が40億76百万円減少したものの、短期借入金が116億57百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ61億81百万円増加の1,280億8百万円となりました。 退職給付に係る負債が16億18百万円減少したものの、長期借入金が15億62百万円、リース債務が6億55百万円、繰延税金負債が4億93百万円、それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ12億17百万円増加の622億56百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ70億62百万円増加し、926億67百万円となりました。これは、退職給付に係る調整累計額が49億0百万円、利益剰余金が11億36百万円、為替換算調整勘定が10億18百万円、それぞれ増加したことが主な要因であります。なお、自己資本比率は31.6%(前連結会計年度末は30.8%)となりました。 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの資金需要のうち主なものは、生産能力増強、生産効率向上のための設備投資及び新商品開発投資等の長期資金需要と、製品製造のための原材料等購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。今後も、財務基盤の安定を図りつつ、国際事業の改革完遂、変化する国内市場への対応、更には領域拡大に向けた投資など長期的な視点の資金需要に対応する方針であります。 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性の向上と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針として、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行などの金融機関からの借入、資本市場における社債の発行等により、必要資金を調達しております。当社は、運転資金は基本的に内部資金からの充当及び短期借入による調達を基本としており、設備投資やその他の投資資金の調達については、金融機関からの長期借入及び100億円の社債発行登録枠内での社債の発行等を基本としております。 また、流動性に関しては、財務柔軟性を確保するため、金融機関との借入限度額200億円のコミットメントラインの契約や、機動的に活用できる債権の流動化枠を確保することで調達手段の多様化を図り、現金及び現金同等物の残高が適正になるように努めております。 その結果、当連結会計年度末における借入金は、前連結会計年度末に比べ122億47百万円増加の825億51百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は204億55百万円となりました。 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件や仮定の変化により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)当社グループの将来戦略 ②中期経営計画とその進捗 <経営指標>」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。 当社グループは、2030年までの長期的に目指す姿としてVISION2030を定め、『サステナブルで豊かな暮らしに貢献』『多角化した経営』を掲げ、中期経営計画の基本方針のもと、「変化する国内市場への対応」「長期成長への仕込み」に向けた研究開発に取り組みました。 その結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,387百万円となりました。 セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。 建材事業では、環境配慮とユニバーサルデザインを基本に、「性能」「機能」「ロングライフ」の三つの要素を使う人の立場に配慮して盛り込み、安心・安全で快適な空間と生活に寄与することを目指した商品開発を実施しております。 ビル建材分野では、2050年カーボンニュートラル達成実現宣言によるリフォーム需要増加に対応すべく、改修用アルミ樹脂複合サッシ「Grows(グラウス)-R」を開発しました。既設枠見込み寸法60、70mmに加え、今後改修対象物件数が増加すると予想される80mm既設枠改装に対応可能です。 また、アルミ手摺に高層・超高層向け「FINEMASTER(ファインマスター)HB」、寒冷地向け「FINEMASTER(ファインマスター)CB」を追加いたしました。FINEMASTER共通の安心・安全に配慮した設計であり、2019年改正となった優良住宅部品(BL部品)の認定を取得しております。 住宅建材分野では、インテリア建材の主力商品である「LiVERNO(リヴェルノ)」シリーズをリニューアルいたしました。新カラーや抗菌・抗ウイルス加工を施したハンドルなどを拡充、簡易施工やメンテナンスが容易な新ソフトクローズ機構を搭載いたしました。 また、玄関キーシステム「e・エントリー」にスマートフォン対応タイプを追加いたしました。専用アプリをインストールしていただくことで、お手持ちのスマートフォンを鍵として利用できるだけでなく、外出先から施錠確認が行えるなど、多くのメリットがあります。 エクステリア建材分野ではオリジナリティを求めるお客様が増えているエクステリア市場の中で、ファサード、カースペース、アプローチ、庭空間などのエクステリア空間を高い自由度と優れたデザイン性でトータルに提案できる「 X.style(クロス. スタイル)」シリーズを開発いたしました。Xはクロスオーバーを意味し、異なる要素が境界を越えて交じり合うことで従来以上の価値をお客様に提供し、お客様の生活の質を高めることができます。 エクステリアは多種多様な空間で形づくられており、プランニングでは商品構成の自由度が重要視されております。「X.style」シリーズは、業界初の高さ違い連結など敷地対応力の高い「カーポート・マルチルーフ」、つなぎ目が出ない美しい連続意匠の「スクリーン」、軒により陽射しや雨の侵入を軽減できる「ガーデンルーム・テラス」といった構成要素を組み合わせ可能としております。また、明かりにも着目し、演色性の高い照明「MIRaRIA(ミラリア)」も開発し、「X.style」と一緒に質の高い空間を提供いたします。 研究開発費総額は1,630百万円であります。 アルミニウム関連事業では、自動車をはじめとした輸送機器向け部材を主たるターゲットとし、中強度から高強度に至る6000系合金のラインナップの早期かつ効率的な拡充を図るべく、これまでのリアルな実験検証に加えてMI(マテリアルズ・インフォマティクス)を積極的に活用した合金開発を精力的に推進しております。一方で、カーボンニュートラルの実現を見据え、サステナブルな材料循環を目指したリサイクル技術の研究開発をさらに加速すべく、国立大学法人富山大学と連携し共同研究講座を開設いたしました。本研究講座を通じ、高度なアルミニウムリサイクル技術の研究開発はもとより、積極的な人的交流による若い技術者の育成にも注力しております。アルミニウム材料を扱う様々なお客様やサプライチェーンとの連携を強化しながら引き続き取り組みを推進してまいります。 マグネシウム関連事業では、2013年度より参画した国家プロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」が当初目標を達成し2022年度末をもって完了いたしました。プロジェクト完了以降においても、開発した新規難燃性マグネシウム合金の早期実用化を図るべく、鉄道事業関連企業等との連携をさらに深めながら具体的な製品開発を推進してまいります。 研究開発費総額は676百万円であります。 商業施設事業では、環境配慮と市場環境の変化に対応した商品開発を推進しており、消費行動の変化に伴う決済サービスの多様化ならびに労働人口減少、働き方の変化に対応した商品開発に注力しております。「省人化・省力化」では、無人店舗に対応した陳列什器のユニット化や決済の自動化対応商品の拡充、商品陳列の作業軽減や既存棚を有効活用することで棚板の入れ替えに伴う廃棄物の低減及び製造時のCO2排出量を削減するスライド棚板『スライドチェンジャー』の拡充を行いました。「省エネ化・省資源化」では、サイン基幹商品であるアドフレームに設置環境やデザインニーズに対応した『LED小型壁面サイン』を追加し、ラインナップの拡充を行いました。 また、当社の主力得意先である量販店様に対し、決済サービスの多様化に伴うカウンター、セルフレジ什器や各種催事など販売促進什器の新たな需要の取り込みに向け積極的に商品提案を行い、商品の受注領域の拡大を図っております。 研究開発費総額は78百万円であります。 欧州・タイ・中国に展開した押出事業においては、自動車・産業機械・鉄道・航空・建材を主要分野とし、各分野で顧客との密接なプロジェクトにより、顧客が将来に向け求める技術及び製品の開発、市場調査等を実施しております。 研究開発費総額は1百万円であります。
株式会社シーボン
# 株式会社シーボン 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社シーボン)及び子会社3社により構成されており、スキンケア製品を中心とする化粧品及び医薬部外品(以下「化粧品」という。)の製造販売を行っております。「美を創造し、演出する」という企業理念のもと、自社工場である「生産センター」で製造した製品を、通信販売及び会員制の「シーボン.フェイシャリストサロン」で販売するだけでなく、化粧品をご購入いただいた会員様に対して、お客様の肌の状態を確認し、カウンセリングに基づくスキンケアアドバイスと東洋式フェイシャルケアをはじめとするフェイシャルサービス等の各種アフターサービスを提供しております。 スキンケア製品には、クレンジング・洗顔料・化粧水・乳液等の日常的に使用するベーシック製品と美容液・クリーム・パック等のお手入れ等の目的に応じて使い分けるためのスペシャル製品があります。その他、リップ・チーク・ファンデーション等のメイクアップ製品やシャンプー・リンス等のボディ関連製品も扱っております。 なお、当社は単一セグメントのため、当社事業を3つの事業体制群に分類し、それぞれの事業の内容を以下に記載いたします。 栃木県にある生産センターで、化粧品GMPに準拠した製造管理、品質管理により、医薬部外品を中心に製造しております。また、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得しております。顧客にできる限り新鮮な製品を提供するという方針のもと、研究、物流の拠点である研究開発センターで店舗在庫をリアルタイムで管理し、販売との同期化を図る小ロット生産体制を確立しております。メイクアップ製品等は、製造を外部に委託し、一部製品において包装工程を生産センターで行っております。また、美容ドリンク製品は、子会社である株式会社ジャフマックで製造しております。主力ブランドの「フェイシャリスト」を軸に、薬用シワ改善・美白ケア「シーボンAC」、お肌の悩み別の薬用美容液「シーボンMD」、通信販売向けの「アビリティ」等のブランドを展開しております。 当社では、インターネットや雑誌等への広告出稿のほか、各種イベント会場・駅前・街頭等において肌チェックの実施や試供品の配布等を行い、新規の顧客に対して、フェイシャリストサロンでのアフターサービスが体験出来る、トライアルプランに誘致しております。 来店顧客に対しては、トライアルプランとともに、美容販売員が自宅での正しい使い方やお手入れ方法のアドバイス等、化粧品全般と肌状態に関するカウンセリングを実施し、顧客の肌状態にあった化粧品を販売する手法を採っております。 それ以外の販売経路として通信販売、国内代理店販売、海外代理店販売があります。国内代理店の中には、フェイシャリスト販社と称する直営店舗同様の販売方法を採る代理店があります。 当社は、直営店舗、フェイシャリスト販社及び通信販売の顧客を会員として登録するとともに、「会員アフターサービス規約」に基づき、ホームケア製品の購入金額に応じたポイント「ビューティアップ・ポイント」を付与し、ポイント数に応じて、各種アフターサービスを提供しております。アフターサービスの際に、顧客の要望により、ポイント数に応じて提供しているフェイシャルサービスに加え、別途購入するパックセット等を用いた施術サービスの提供も行っております。 基準であります。GMPとは「Good Manufacturing Practice」の略称です。 ケアを有償でご体験いただけるプランのことです。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 醗酵食品の仕入れ、当社製品の販売をしている。 役員の兼任あり。 当社製品を中国で販売している。 役員の兼任あり。 当社製品を販売している。 役員の兼任あり。 セグメント情報を記載していないため、事業部門別の従業員数を示すと次のとおりであります。 セグメント情報を記載していないため、事業部門別の従業員数を示すと次のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は、「美を創造し、演出する」という企業理念の実現に向けて、スキンケア製品の研究開発や製造、販売にとどまらず、お客様に寄り添い、共に美しさを育むため、直営サロンでの肌カウンセリングや東洋式フェイシャルケア等の各種アフターサービスを提供し、お客様とコミュニケーションを深めることにより、他社との差別化を図ってまいります。 今後の見通しにつきましては、長く続いたコロナ禍の出口が見え始め、行動制限の大幅な緩和や、マスク着用の義務解除等により人流は回復基調にあり、消費行動はコロナ禍前の水準に戻ることが予想される一方、エネルギー価格等、様々なものの価格が上昇しており、消費行動拡大への足枷となっております。また、ウクライナ紛争も出口が見通せず、二極化しつつある世界において、情勢不安への懸念が高まりつつあります。 当社グループにおきましても、長く続いたコロナ禍の影響による既存顧客の減少等、厳しい状況が続いたものの、マスク着用の義務解除による化粧品需要拡大等、明るい兆しも見えており、2024年3月期よりスタートした新たな中期経営計画のもと、重点項目を着実に実行することにより、再成長を目指してまいります。 当社グループは、2024年3月期から新中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期)をスタートいたしました。「製品価値向上」「サロン価値向上」「新しい価値の創造」という3つの重点課題を掲げ、再成長を目指してまいります。 また、新中期経営計画の策定と合わせ、激変する社会環境と価値観の変化にしなやかに対応し、未来に向けた新しい「美」を追求、提案し、必要とされる企業であり続けるために、ブランディングプロジェクトを始動いたします。2024年の新社屋竣工、2026年の創業60周年に向けて、人と地球に優しい、サスティナブルな社会に貢献する企業を目指してまいります。 心と肌を科学して、お客様に安心と安らぎを提供することをR&Dの意義(パーパス)とし、当社技術の盤石化と、技術と製品価値の市場への認知度拡大を目指します。基礎研究においては、サロンケアの科学的解明から着想を得た精神皮膚科学研究を軸とし、社内だけではなく外部研究機関との連携を積極的に図ることで、新規技術開発と製品価値への展開を進めてまいります。製品開発においては、スターブランド・スターアイテム育成に注力し、ホームケア製品の認知と価値を高めることで新規顧客の獲得を目指します。加えて、サロン発想のスキンケア製品と技術をサロン以外で展開することで、新規事業や海外事業、OEM、ODM受託事業等、新しい事業展開を行ってまいります。 サロン価値の向上のためには、「新たな顧客の開拓」と「顧客満足の向上」が重要であると考えております。 新たな顧客の開拓として、肌チェック等のイベントブースの刷新や、イベントごとのターゲットに刺さるアプローチ施策の徹底により、イベントでの獲得効率の改善を図ってまいります。加えて、ブランド動画を刷新し、動画配信サイト等での広告宣伝による認知度拡大を目指すなど、WEB等のオンラインでの接点拡大も積極的に進めてまいります。 顧客満足度の向上においては、サロン空間演出等、顧客にとってさらに居心地の良いサロンとなるよう、ブランディングプロジェクトの始動とともに、店舗のリニューアルを順次行ってまいります。また、コロナ禍以降、既存顧客の来店数が減少する中、当社の製品、サロン及びフェイシャリストをご愛顧いただいているロイヤルカスタマーに支えられていると強く実感しております。ロイヤルカスタマーであることの魅力やその価値の最大化のため、ロイヤルカスタマー専用デスクを新たに設置し、更なるファン化に努めてまいります。 また、「ホームケア」と「サロンケア」により、お客様に最高の美しさを提供するというビジネスモデルが当社の最大の強みであり、競合他社との差別化になっていると認識しております。この「ホームケア」と「サロンケア」の科学的価値や機能的価値を真摯に分析し、当社の価値を再構築するための戦略として、シーボン美容理論(シーボン.ビューティーメソッド)を構築してまいります。ホームケアとサロンケアというシステム主体のコミュニケーションから、「なぜ、このシステムで美しくなるのか」という、理由を主体とするコミュニケーションへ変更することで、お客様が当社を選択する動機付けとなり、さらに、長期に渡ってサロンに通うモチベーションとなることから、シーボンの美容理論を構築し、スタッフ全員がお客様に対して説明できる体制づくりを実現してまいります。 サロンの出退店に関しましては、基準に則った店舗開発計画の実行及び都市型・郊外型を組合せた新規出店・改装・退店の計画の実行により、売上高の拡大と、利益率の向上を目指してまいります。従来の全国統一のレイアウトや店舗オペレーション等を見直し、都市型サロンでは、新規顧客との接点をさらに拡大すべく、現状のサロンスタイルと美容機器を併用した販売戦略を担う店舗へと改革いたします。一方、郊外型サロンでは、従来通りの運用を行いながら、店舗オペレーションやレイアウトを改善し高収益化を目指してまいります。 海外EC市場及びバラエティ市場への進出、拡大のため、経営資源の投入を進め、売上高や販路の拡大を図ってまいります。 海外EC市場では、パートナーシップを締結した杭州創詩品牌管理有限公司との連携を強化し、「独身の日」等の大型イベントでの知名度や売上高の向上を進め、中国パートナー企業の会員専用サイトでの販売を軸に、国内においてはインバウンドの増加や、在日中華圏顧客のサロン来店促進にも注力してまいります。 バラエティ市場では、4月より新ブランド「スリール」を発売いたしました。当該製品は、創業57年の化粧品メーカーとして蓄積した肌データと、イベント等での肌チェックやアンケートにより集められた、5万人のお客様の声※を反映した毛穴パックとなります。全国のロフトにて発売しており、今後販売動向を注視しつつ、販路の拡大や新製品の追加を進めていき、新たな市場において、サロン発信のメーカーとしてのアイデンティティを確立してまいります。 加えて、顧客とのカジュアルな接点づくりと、幅広い顧客層にリーチするために、小規模の店舗型サロン・レクチャー型店舗を出店し、新たなビジネスモデル構築のトライアルを行ってまいります。新たな顧客との接点開発として、新設店舗自体が常設している集客イベント場所という位置付けにもなり、既存サロンへの誘導も担う店舗形態を目指してまいります。また、シーボンのイメージ形成や醸成を図っていきながら、新しい顧客層の開拓や、過去に接点のあった顧客の誘引にもつなげてまいります。 当社グループは、継続的な事業の拡大を通じて、企業価値と企業体力を高めていくことを経営の目標に掲げております。経営指標としては、事業及び企業の収益力を表す各利益項目を重視し、特に売上高、営業利益及び経常利益の増額を目指してまいります。 当社グループでは、「シーボン.サステナビリティ宣言」を掲げ、「美を創造し、演出する」という企業理念のもと、全ての人々のQOL(Quality of Life)を向上し、持続可能な社会の実現を目指すこと、を宣言しております。社員一人ひとりが“自分らしく”輝くために、お互いの個性や多様性を尊重できる企業風土と、新しいことにチャレンジできる企業風土の醸成を目指し、取り組んでまいります。 サステナビリティに関する取り組みは、当社ホームページに掲載しております。 当社グループでは、サステナビリティに対する取り組みを重要な経営課題と認識しており、全社体制で臨むため、代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ委員会を設けており、方針やビジョンの確認、課題の洗い出し及びそれに対する施策の方向性を決定しております。その決定を受け、各本部から実務責任者を選任したサステナビリティ会議にて、施策のための討議及び推進を行っております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ会議における施策実行状況をモニタリングし、その活動内容を取締役会にて報告しております。 当社グループでは、マテリアリティ(重要課題)として「女性活躍推進」「社会との共生」「環境との共生」の3項目を掲げ、激変する社会環境と価値観の変化にしなやかに対応し、必要とされる企業であり続けるために、人と地球にやさしい、サステナブルな社会に貢献する企業を目指してまいります。 また、当社における人的資本価値向上の取り組みは、以下のとおりです。 ことで、「働きがい」と「働きやすさ」のある職場作りを行っております。 しております。 社を目指してまいります。 当社グループでは、リスクの識別・評価を実施し、原則2ヶ月に1回開催される「リスクマネジメント委員会」において、外部の有識者を交えた管理・モニタリングを行い、必要に応じて取締役会等に報告等を行っております。 社員に対して業務や職場環境の満足点・改善点を把握するための従業員満足度調査(ESアンケート)を年に1回実施しており、「社員の声」に真摯に向き合うことで、エンゲージメントの向上を図っております。また、内部通報制度においては、社外に内部通報窓口を設置しており、さらに、内部通報窓口を一般通報と役員由来の案件の2つに分けることで、社員が安心して通報できる体制を整備しております。 詳細は、「第2 事業の状況、3 事業等のリスク」に記載しております。 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人的資本価値向上の取り組みについて、職場環境がコロナ禍以前に戻りつつある中、ワークライフバランスが取れる環境を保つよう、次の指標を用いております。 なお、指標及び目標の設定は、従業員の定着や満足度向上に資するものとするため、今後も議論を深めてまいります。 当社グループでは、企業目標の達成を脅かす不確実性があり、結果的に当社グループ及びステークホルダーが不利益を被るものを「リスク」、このリスクの顕在化によりその状態を放置した場合、業務が著しく遅延また長期にわたり中断する場合や大きく信用を失墜し、企業の存続が危ぶまれる事態に陥る可能性が高まることを「危機」と定義しております。代表取締役の諮問機関である「リスクマネジメント委員会」において、リスクの識別・評価・管理・モニタリングを行い、必要に応じて取締役会等に報告・諮問を行っております。また、危機発生時には、業務全般の運営を継続しながら、通常機能に回復させることを確保するために必要な体制を整備し、損失を最小限に食い止めるべく危機事態に対処いたします。 以下には、当社グループのリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項のうち、顕在化の可能性が高く、取り組みを強化している重要な項目を記載しております。なお、記載されたリスクは全てを網羅したわけではなく、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。 社会的影響の大きい感染症が発生した場合、直営店舗にてお客様と対面による販売及びサービス提供する事業の特性により、店舗の臨時休業や営業時間短縮等に伴う、来店者数の減少等により、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 お客様とスタッフの健康と安全を第一に考え、直営店舗においては、ベッド間隔の調整や定期的換気による衛生的な空間づくりを行い、スタッフに対しては、検温や健康チェック、手指や機器の消毒など、感染予防対策を行っております。 また、ECをはじめ、新たな販路獲得に向けた化粧品や健康食品等の開発を進め、直営店舗以外の事業領域の展開にも注力してまいります。 気候変動の影響による台風・豪雨・洪水や地震等の自然災害について、頻度や損害規模がここ数年増大しております。被害状況の大きさによっては、店舗の臨時休業等事業活動の停止、店舗への製商品供給に支障をきたすだけでなく、設備等の復旧に巨額の費用を要する等、当社グループの事業活動全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、自然災害や火災・事故等の発生に備え、平時より老朽化した設備の改修や施設の定期点検、防災教育を行っております。また、緊急時に備え、具体的な行動フローにまで落とし込んだ「危機管理ガイドライン」を作成し、年1回以上の訓練を行うとともに、災害備蓄品の整備等を進めております。 当社グループは、新規のお客様を開拓するために、イベントプロモーションやWeb広告・デジタルメディアの活用等による集客活動を通じて、サロンでのトライアルプランへ誘致を行っております。新規来店者の約6割がイベントプロモーションを来店動機としており、イベントプロモーションの集客力低下は、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 新規集客においては、従来行っておりましたダイレクトアプローチだけでなく、製品の価値やサービスの魅力を伝えるコンテンツを新たな集客チャネルとし、情報発信を強化することでの新規顧客獲得施策を推進してまいります。また、美容サービス検索・予約サイトからの集客誘導をはじめとしたWebマーケティングを集客活動の新たな軸の一つとなるよう注力してまいります。 当社グループの販売チャネルは、直営店舗(91.7%)・通信販売(3.7%)・国内代理店(1.5%)・海外代理店(0.9%)・その他(2.2%)※で構成され、直営店舗での販売が売上の大半を占めます。デジタル化等による消費者のライフスタイルや消費行動が多様化しており、お客様ニーズに対応したチャネルの整備が遅延した場合には、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 既存の直営店展開を中心としたビジネスモデルに満足することなく、店舗ならではの「満足を超える感動体験」を追求するとともに、SNS等を駆使し、当社の製品価値・サービス価値に関する情報発信を強化してまいります。 併せて、新しい販売チャネルの拡充を図り、そのチャネルに合った製品開発を推進し、新たな顧客層の獲得を図ってまいります。 当社グループの主力チャネルである「シーボン.フェイシャリストサロン」では、「会員アフターサービス規約」に基づき、ホームケア製品の購入金額に応じたポイント「ビューティアップ・ポイント」を付与し、ポイント数に応じて、各種アフターサービスを提供しております。アフターサービスの提供が、お客様の定期的な来店・リピート購入等へ結びつくとともに、顧客ロイヤルティの向上につながっており、サービスの質の低下等により顧客離れが起こる事態となった場合には、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 他社サービスとの差別化のため、美容法のエビデンスの収集やお客様に効果を実感していただくカウンセリングシステムを導入しております。製品やサービスの価値を客観的に示すことで、お客様が継続的にサロンに通っていただける動機づけを図っております。 また、外部機関との共同研究により、アフターサービスの一環として提供している「東洋式フェイシャルケア」の心身に与える効果の科学的検証を進め、日本皮膚科学会や日本薬学会にて発表を行うなど、さらなる顧客ロイヤルティの向上に取り組んでおります。 当社グループの主たる販売拠点は国内ですが、マーケットの拡大が期待される国・地域において事業展開をしており、今後一層の拡大を目指しております。 これらの海外での事業活動におきましては、内戦、戦争の勃発・拡大、経済的・政治的な政情不安、労働問題、人権問題、テロ、クーデター、感染症の流行による都市封鎖等による経済停滞や社会的混乱等のリスクが潜在しております。 当社グループは、海外での事業におきましては、当社コンプライアンス課及び海外事業推進課が該当国・地域の現地法令に知見のある弁護士事務所と契約し、海外情報をいち早く収集し、予防法務、戦略法務について適切な助言を得られる体制を構築しております。また、中国現地法人につきましては、現地弁護士事務所と契約し、より現地から早期の情報収集を図っております。 当社グループは、自社開発の基幹システムを基礎に、直営店舗・製造部門・本社部門の様々な情報を一元管理しており、システムの安定的な稼働が業務遂行上重要な事項となっております。そのため、基幹システムに障害の兆候が見られる場合には、担当スタッフに対し自動的に通知が送信されるなど、システム障害を未然に防ぐよう努めております。しかし、基幹システムの構造の肥大化・複雑化といったレガシー化が進んだ場合には、業務効率の低下による営業機会の損失や維持管理コストの増大等、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ITシステムの強化・合理化におきましては、引き続き、基幹システム刷新に向けて取り組んでまいりますが、併せて、情報セキュリティの強化と社内における業務プロセスの見直しを推進してまいります。取締役会やリスクマネジメント委員会において定期的な報告を行い、適切なプロセスと意思決定のもと、実施してまいります。 当社グループは、お客様の個人情報のほか、適切なカウンセリングを行うために必要な範囲で生活状況や健康状態を確認させていただくことがあるとともに、化粧品の購入履歴や肌情報等お客様のプライベートな情報を入手する立場にあります。こうしたお客様の情報は、基幹システム内で共有化を図り、お客様が全国のサロンをご利用し、データに基づいたカウンセリング等のアフターサービスを受けられることを可能としております。外部からの不正アクセスを含む意図的な行為や過失により、個人情報が外部に流出した場合には、社会的信用の低下や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、「個人情報保護の基本方針」にてお客様の個人情報の取り扱いに関して厳格に定めるとともに、少なくとも年に1度社員教育を実施し、個人情報漏洩の事故防止を図っております。また、個人情報を格納するサーバーには厳格なアクセス制限をかけた上で、社内ネットワークと物理的に隔離しているほか、情報システムの強化等により、情報セキュリティマネジメントの向上を図っております。 当社グループには、国内2社、海外1社のグループ会社があり、当社とのシナジー効果により、より多くの収益を上げられる見込みがあります。グループ子会社が想定した業績・成果が上げられない場合、不正や社会のルールを逸脱した経営が行われるなどの不祥事が発覚した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおいては、人的・物的連携を強固にすることで、更なるシナジー効果が期待できると見込んでおり、積極的な交流を図っていく一方、当社のガバナンスやコンプライアンスに関してはグループ子会社にも及ぶものであり、実効性のある管理体制を敷き、運用してまいります。 当社グループは、製販一体であり、自社工場による製品の製造・品質管理や、フェイシャリストによる製品の販売及びサービスの提供が、事業の維持及び拡大の根幹となっております。しかしながら、雇用情勢の変化や労働市場の競争激化への対応の遅れなどにより、必要な人材の採用計画に大幅な遅延が起こる場合には、製品開発計画や製造計画、販売計画等に滞りが生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、人材を事業拡大の中核と位置づけ、人材の確保や定着のための様々な制度を設けており、出産や育児、介護等、ライフステージが変わっても働き続けられる柔軟な勤務制度等を導入しております。その一方で、年齢や勤続年数によらない評価制度を導入し、成果を公正に評価する体制づくりをしております。社員に「働きやすさ」と「働きがい」を提供することで、優秀な人材の確保に尽力しております。 また、社員のエンゲージメントを高めるべく、定期的に「従業員満足度調査(ESアンケート)」を実施し、その結果を踏まえた個別課題を抽出し、具体的な対応を図ることで、定着の促進や働き方の多様化及び柔軟化を推進しております。 成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、お客様に長くご愛顧いただける製品づくりを目指しております。市場動向も踏まえながら、お客様から寄せられるメールアンケートによる既存製品の満足度調査、新製品発売時には購入者アンケートを実施することで、満足度の監視及び変化するニーズを収集し、常に満足して頂ける製品を開発してまいります。その他、外部機関との共同研究や内部研究体制を強化し、新たな技術シーズを創出することで、他社との差別化を図り、独自性の高い製品開発に取り組んでおります。 生産数の大幅増加に伴う生産設備・生産人員の不足や、老朽化に伴う建物の破損等による生産体制への対応の遅れがあった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、定期的な生産設備の点検を行い、適宜新規設備の導入等の設備投資を行っております。今後、グローバル市場への進出拡大が見込まれるため、生産センター近隣の倉庫を製造業登録し、資材や製品の保管スペースを確保することで、増産への対応が可能な体制を構築しております。また、中長期的に販売計画を基にした生産数量の予測を行っており、当該予測に基づいた生産人員の採用を行っております。 る可能性があります。 して検証し、より安全性を確保するための強化を図っております。 出やご意見、ご要望を収集し、即時に関連部署へフィードバックを行いできる体制を構築しており、更なる品質向上に努めております。また、不測の事態が生じた際は責任役員へ報告する体制を構築しており、法令遵守の徹底に努めております。 ております。 当社グループは、「特定商取引に関する法律」「消費者契約法」等様々な法規制のもと、集客・販売活動を行っております。消費者保護の観点から、将来的に法規制が強化される可能性が高く、万が一これらに抵触することとなった場合、あるいはこれら法令等の改正又は新たな法令等の制定に対し適切な対応ができない場合には、行政機関による指導又は業務停止命令の対象となり、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 「販売ガイドライン」等各種ルールを定め、接客時の心構えとともに繰り返し社員教育を実施し、お客様の期待を超える接客サービスの提供を目指しております。 また、日々の接客や販売活動が適切に行われているかを確認するため、お客様・スタッフ・組織という3つの視点でモニタリングを行っております。特にお客様からについては、メールによるアンケート調査によりダイレクトな意見を吸い上げ、日々の接客の改善に活用しています。 当社グループは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、医薬品等適正広告基準、不当景品類及び不当表示防止法並びに化粧品の表示に関する公正競争規約等法規制のもと、広告活動を行っております。消費者保護の観点から、将来的に法規制が強化される可能性が高く、万が一これらに抵触することとなった場合、あるいはこれら法令等の改正又は新たな法令等の制定に対し適切な対応ができない場合には、行政機関による指導又は課徴金、刑事罰等の罰則対象となり、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、日本化粧品工業連合会が遵守すべき指針として定めた「化粧品等の適正広告ガイドライン」に沿った広告をおこなっております。 当社におきましては、コンプライアンス課広告法規支援担当を設置し、自社により制作される広告について広告審査を行うこととしており、厳正に対処しております。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における日本国内の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を繰り返したものの、感染拡大の慢性化に対し徐々に適応してきており、国内の人流はコロナ禍以前の状態へと回復しつつあります。また、海外においても「withコロナ」の動きが進み、海外旅行客等が増加するなど、世界的にも人流は回復傾向にあります。しかしながら、世界的な情勢不安や、物価・エネルギー価格等の高騰、欧米での金融機関の破綻等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。 こうした経営環境の中、当社グループの主力事業である直営店舗事業は、対面・接触型のサービスという特性から、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限等の影響を大きく受け、不安定な状況が続きましたが、2020年からスタートした中期経営計画の3カ年目として、「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」「高機能製品の創出」「コスト合理化による財務基盤の強化」の3つの重点課題に引き続き取り組み、収益性・生産性の向上に努めてまいりました。 また、顧客が感じる当社の付加価値をさらに高めるため、既存事業における新たな価値の創出に向け、組織のシームレス化及び機動力の強化を図っております。 新規顧客の来店数は、コロナ禍への適応が進んだことにより、イベントでの集客数が大幅に増加し、増加傾向にあります。しかしながら、既存顧客の来店数は、既存顧客の減少に対して新規顧客の流入がいまだ追いついておらず、前年を割る結果となりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は8,525,428千円(前年同期比6.9%減)となりました。 当連結会計年度における売上原価は、2,186,181千円(前年同期比6.7%増)となりました。その結果、売上総利益は6,339,247千円となり、売上高に対する売上総利益の比率は74.4%(前連結会計年度は77.6%)となりました。 経費の合理化に努め、販売費及び一般管理費は6,484,500千円(前年同期比6.2%減)となり、営業損失は145,253千円(前年同期は営業利益193,706千円)となり、経常損失は127,071千円(前年同期は経常利益301,299千円)となりました。 六本木本社ビル建替えに伴う解体撤去費用を含む特別損失282,051千円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は421,768千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益44,872千円)となりました。 直営店舗では、新規顧客の拡大を最重要課題と捉え、施策を実施してまいりました。日本国内の人流が回復傾向にあったことの追い風を受け、サンプリングや肌チェックを通じたイベントでの新規顧客の集客数は前年同期比141.1%と大幅に増加いたしました。このような従前から実施している新規集客活動に加え、インフルエンサーマーケティング等のWEBを活用した集客や、製品をタッチポイントとした集客活動を強化した結果、新規売上高は前年同期比127.0%と大きく伸長いたしました。 しかしながら、既存顧客の継続数※は、既存顧客の減少に対して新規顧客の流入がいまだ追いついておらず、前年同期比98.5%と前年を下回り、加えて、WEB等を活用した新規集客や、若年層への認知度向上施策により、20代や30代の流入が増加した影響を受け、顧客単価が低下した結果、既存顧客への売上高は前年同期比91.4%となりました。 海外事業においては、主に中国において販売活動を強化してまいりました。6月には大手ECモール天猫(T-mall)に旗艦店を出店いたしました。加えて、9月には中国で会員制自社ECプラットフォームを展開するEC販売大手、ACCESSグループの関連会社である杭州創詩品牌管理有限公司(所在地:中華人民共和国浙江省杭州市)とパートナーシップを締結いたしました。当社のサロン発信化粧品というブランド力と、ACCESSグループの持つ販売網や中国での販売ノウハウを掛け合わせることで、中国での売上高拡大を見込めるものと考えております。 この結果、海外事業における売上高は前年同期比155.1%と伸長しております。 社内研究体制の強化により、製品・サービスの価値向上を図ってまいりました。 サロン施術の効果の科学的解明から精神皮膚科学に着目し、当期はさらなる研究の深耕により、心理性ホルモンと肌に起こる様々な現象との関連性を解明いたしました。ストレスが引き起こす肌トラブルのケアとして開発した当社独自原料と、新たな研究成果を組み合わせて確立した技術を、サロン製品だけでなくOEM、ODM受託製品へと展開し、お客様の肌と心に寄り添う製品づくりを進めております。 コスト合理化に加え、営業力の強化と本社組織のシームレス化を推進するため、川崎市に置いていたシーボン.パビリオン(メインオフィス)を国内法人へ譲渡し、本社機能を北青山に移転いたしました。シーボン.パビリオン(メインオフィス)の譲渡は、当該施設の維持に掛かっていた固定費が削減されるなど、財務基盤の強化に繋がっております。また、本社移転に伴う組織再編の結果、意思決定の迅速化や組織間の意思疎通の更なる強化が図られるなど、組織のシームレス化を推進いたしました。利便性の高い立地へ本社を移転することで、一般消費者とのリアルな接点を持つ機会が増え、情報収集を強化したことで、当社ブランドの発信機会やクオリティの向上に繋がり、営業力の強化が図られました。 これらに加え、店舗家賃の減額や合理的な人員配置の実施等、全社的な固定費の削減により、当初目標を上回る合理化を達成いたしました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、減価償却費、支払補償費の計上等の 要因により、税金等調整前当期純損失364,230千円となったものの、有形固定資産売却による収入等により、前連結会計年度末に比べ1,182,287千円増加し、当連結会計年度末には3,967,021千円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 当連結会計年度において、営業活動の結果使用した資金は81,470千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失364,230千円、減価償却費271,639千円、解体撤去費用111,994千円、補償金の支払額162,688千円、補償金の受取額200,000千円によるものであります。 当連結会計年度において、投資活動の結果獲得した資金は1,353,343千円となりました。これは主に、有形固定 資産の売却による収入1,902,792千円、有形固定資産の取得による支出473,637千円、敷金及び保証金の回収による収入92,050千円によるものであります。 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は91,291千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出5,800千円、配当金の支払85,491千円によるものであります。 当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別ではなく、以下の区分に分け記載しております。 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。 当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。 当社グループ製品については受注生産を行っておりません。なお、OEM等による受注生産を一部実施しているものの、金額は僅少です。 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。 資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは安定した収益と成長性を確保するために将来必要な運転資金及び直営店舗の工事費用等の設備投資に必要な資金は、内部留保による手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としております。そのため、流動性の観点から基本的には当座預金及び普通預金にて運用しております。それらの資金を確保した上で、発生する余剰資金については、元本返還の確実性が高く、市場価格の変動が少なく、かつ可能な限り高い運用益が得られる方法で運用を行う方針であります。 なお、運転資金については、十分な内部留保資金を確保しておりますが、不測の事態に備えるため、運転資金の効率的な調達手段として、取引銀行2行とコミットメントライン契約を締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。 当連結会計年度末の流動資産は5,967,985千円となり、前連結会計年度末に比べ1,115,899千円増加いたしました。その主な要因は、固定資産の売却により現金及び預金が増加(前連結会計年度末比1,182,287千円増)したものであります。 当連結会計年度末の固定資産は2,870,744千円となり、前連結会計年度末に比べ1,840,532千円減少いたしました。その主な要因は、建物及び構築物の減少(前連結会計年度末比1,076,315千円減)、工具、器具及び備品の減少(前連結会計年度末比49,381千円減)、土地の減少(前連結会計年度末比1,100,000千円減)、建設仮勘定の増加(前連結会計年度末比402,824千円増)によるものであります。 当連結会計年度末の流動負債は2,659,974千円となり、前連結会計年度末に比べ183,141千円減少いたしました。その主な要因は、買掛金の増加(前連結会計年度末比38,296千円増)があった一方で、未払金の減少(前連結会計年度末比43,011千円減)、その他流動負債の減少(前連結会計年度末比184,410千円減)によるものであります。 当連結会計年度末の固定負債は468,565千円となり、前連結会計年度末に比べ51,112千円減少いたしました。その主な要因は、資産除去債務の増加(前連結会計年度末比10,942千円増)があった一方で、その他固定負債の減少 (前連結会計年度末比58,431千円減)によるものであります。 当連結会計年度末の純資産は5,710,190千円となり、前連結会計年度末に比べ490,378千円減少いたしました。その主な要因は、利益剰余金の減少(前連結会計年度末比507,379千円減)によるものであります。 この結果、自己資本比率は64.6%(前連結会計年度末は64.8%)となりました。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 当連結会計年度において新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。 当社グループは、主にスキンケア製品を中心とする化粧品及び医薬部外品の研究開発を行っております。「美を創造し、演出する」という企業理念のもと、肌本来の力を高めることに着目した、高機能かつ高い安全性を有する製品の開発を進めていることに加え、アフターサービスであるサロンケアにより培ってきたフェイシャルケア技術について科学的エビデンスに基づいた研究を通し、さらなる技術の深耕に取り組んでおります。そして、化粧品という枠を越えた美の新価値創造と女性のQOL(Quality of Life)の向上を目指す企業として、全てのお客様の美の創造に貢献してまいります。 製品開発においては製販一体であるメリットを活かし、お客様の来店毎に行っているメールアンケート調査・新製品発売後アンケートの結果から顧客のニーズを迅速かつ精度よく反映させる仕組みにより、満足度の高い製品開発に取り組んでおります。研究においては中長期の「R&D強化計画」に基づき、社内研究の推進など研究基盤の強化を進めると共に、大学や原料メーカー等の外部研究機関との連携を図り、新たな美肌理論や独自性の高い原料の開発等、オープンイノベーションの加速による新価値創造を進めております。 社内研究においては、サロン施術の効果の科学的解明から精神皮膚科学に着目し、心理性ホルモンと肌に起こる様々な現象との関連性を解明いたしました。具体的な成果として、心理的ストレスホルモン「アドレナリン」と神経成長因子「NGF」によるメラニン合成への影響を確認し、心理的ストレスがシミの形成に関与する可能性について「2022年6月日本皮膚科学会」にて発表致しました。また、幸せホルモン「オキシトシン」とストレスホルモン「アドレナリン」が真皮線維芽細胞のヒアルロン酸産生へ影響を及ぼすことを発見し、「2023年3月日本薬学会」にて発表しております。これらの研究成果については新たな美容理論として、今後の製品やサービスに展開してまいります。 当連結会計年度における研究開発費の総額は、160,882千円となっており、主な研究開発成果として、新製品を下記のとおり発売いたしました。 ありのままを、愛そう。育てよう。 マスク生活の常態化によるテカリやベタつき、毛穴悩みに着目し、汚れ落ちという機能性に加え、肌へのやさしさを持ち合わせて生まれた新ブランド。落とすケアを重視し、まっさらな素肌に化粧水をつけた瞬間の浸透※の違いを体感してほしいという想いを込め、クレンジング・洗顔・化粧水の4品をラインナップしております。 サロンケアメソッドの「核(コア)」を凝縮し、贅沢な「馬プラセンタエキス配合の美容液」を中心に設計されたスペシャルケアキット。フェイシャリスト®の手技によるサロンケアはもちろん、7日間のホームケアプログラムとしても、お使いいただける「2WAYスキンケア」。“ポジティブで上向きなハリ艶肌”へ導きます。 長引くマスク生活の影響で、特に気になるのが表に出ている目元と隠れている口元のハリ不足。そんな肌悩みをダイレクトにケアするために、「塗るから注入へ」という “マイクロニードル技術”に着目。 ヒアルロン酸※などの保湿成分を針状に固めた目元用・ほうれい線用のシート状美容液。1ヶ月間の集中スペシャルケアで、部位に応じたより効率的なうるおい&ハリケアを実現。一晩貼って寝るだけで、ピンとしたハリ肌へ導きます。
株式会社レオクラン
# 株式会社レオクラン 当社は2001年1月、大阪府吹田市において、医療、福祉、保健に関わる人たちのすべてのニーズに応え、医療機関を総合的にサポートすることを事業の主目的として設立いたしました。医療機関の設立企画から運営までのコンサルティング、企画、設計、医療情報システム構築、医療機器のメンテナンスまで幅広い業務を通じて、高い付加価値を創出することで医療業界に貢献してまいりたいと考えております。 株式会社レオクラン設立以後の当社グループに係る経緯は、次のとおりであります。 当社グループは、当社及び連結子会社5社で構成されており、新築・移転時の医療機関や福祉施設等に対して、企画段階から開設に至るまでの総合的なコンサルティングを行い、医療機器・医療設備・医療情報システム等を販売する「メディカルトータルソリューション事業」、医療機関で撮影されたCTやMRI等の医用画像を遠隔で診断し、情報提供するサービスを行う「遠隔画像診断サービス事業」及び介護・福祉施設向け給食サービスを行う「給食事業」を営んでおります。 当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。尚、以下に示す区分は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 本事業は、当社及び連結子会社3社(㈱医療開発研究所、㈱レオクラン東海、㈱L&Gシステム)で営んでおります。医療機関、健診施設及び介護・福祉施設等に対して、医療機器の選定等のコンサルティング業務をベースに、医療機器、医療設備及び医療情報システムの販売、付帯する保守・メンテナンスサービス並びに内装工事や設置工事の請負も行っております。「狩猟型」商社を標榜し、全国の大型の移転新築、改築の案件を中心に営業活動を展開しています。具体的には、医療機関や福祉施設等の新築、増改築、移転等のプロジェクトの根幹に係わる重要なファクターとなる医療機器、医療設備、医療情報システム等の選定から活用、施設の運営を展望して、設計段階からの技術支援、プロジェクト全体の予算管理と開業までのスケジュール管理をワンストップで提供する「トータルソリューション事業」を展開し、顧客との信頼関係を構築して、医療機器、医療設備、医療情報システム及び医療材料・消耗品の販売を行っております。また、保守・メンテナンスといった長期的サービスの提供も行っております。 当事業が提供するサービスの内容は以下のとおりであります。 業界での経験が豊富な経営陣、上級マネージャーのネットワークにより病院経営層へのアプローチに競争力を持ち、綿密なヒアリングと現地調査を重ねることで、設計、建設の開始前より、顧客の特徴を活かして、全体最適化を目指すコンサルティング業務を行い、顧客ニーズに沿った企画提案をいたします。 病院経営において豊富な専門知識と経験を持つスタッフにより、医師や医療従事者と建設業者の橋渡しをすることで、円滑な病院経営を実現するための建築計画、設計の支援を行います。 医療機関に必須となっている医療情報システムについて、電子カルテ、院内ネットワークシステムなどのインフラについて運用面を含めて全体最適化を図りながら、システム選定及び導入の支援を行います。また、地域医療ネットワークシステム、医療情報データベースの構築・共有化などを見据えた、セキュリティ強化やシステム構築にも対応いたします。 コンサルティング業務の中には、機器の調達支援が含まれていることも多くあります。予算の中で、顧客のニーズに応えることを目指した調達と販売を行います。 建物、施設の建替は一般的に30年サイクルで行われますが、機器、設備は5~6年に1回の更新が必要となります。当社グループでは、そのための新しい技術・機種・システムに対する知識を蓄積しております。特定メーカーに依存することなく最適の機器・システムの選定、調達を可能とし、将来の保守・メンテナンスを展望して地域ディーラーとも協業することができます。 病院機能とは独立した健診施設の新規開設、健診システム・画像システムを中心とした健診情報システムの構築、健診車両販売、健診施設運営・機器導入をワンストップでサポートいたします。 設備・機器導入後の保守・メンテナンスについても、専門スタッフが迅速に対応いたします。また、必要に応じて、医療材料・消耗品の調達、供給も行います。 本事業は、連結子会社である京都プロメド㈱が行っております。遠隔画像診断サービスとは、依頼元の医療機関で撮影されたCTやMRIなどの医用画像を、放射線診断専門医が遠隔で診断し、情報を提供するサービスです。当事業は、現在の医療業界全般の課題となっている医師不足や、医師の偏在に対応するものです。情報通信技術を活用することで医療機関を直接訪問せずとも、診断行為や医師同士の意見交換が可能であり、医療機関内で行われる画像診断と遜色ない環境で診断を実施することができます。京都プロメド㈱では、設立以来、京都大学医学部との連携により、高度な知識と豊富な経験を持つ放射線診断専門医を安定的に確保し、常時5~6人の専門医が常駐する読影センターを有し、緊急の画像診断にも対応できる体制を維持しております。また、自社SEによる依頼元医療機関とのシステム連携や、専任の受付スタッフによるスムーズな受付管理を常に心がけ、よりよいサービスの提供と業容拡大に努めております。 本事業は、連結子会社である㈱ゲイト(ブランド名:クックレオ)により介護・福祉施設等への給食サービスを行っております。「クックチル」(注)という新調理システムにより、セントラルキッチン(給食センター)にて、一括集中調理を行い、真空パックした製品を冷蔵状態でお届けする「おかず販売」と、施設から委託を受け、委託元の厨房に職員を配置し、日々の食事を提供する「業務受託サービス」を行っております。 セントラルキッチンで調理された製品をお届けする「おかず販売」は、食事準備の簡素化及び時間短縮が図れるため、介護職員の業務負担を削減することができ、調理技術のある人材(有資格者含む)の確保が困難な状況にも柔軟に対応することが可能であります。 ㈱ゲイトで提供するクックチル料理は、管理栄養士が栄養バランスを考慮して献立・レシピを作成し、専門の調理師がマニュアルに従って調理を行い、均質な製品の提供を行っております。いわゆるクックフリーズ(調理済みの冷凍食品)とは違い、彩りや風味の損傷を最小限に抑え、添え野菜など一部の商品を生野菜で納品することで、現場での調理に近い仕上がりを再現しております。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 各連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。 尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「利他利己」、「INNOVATION & CREATION」、「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」の企業理念とともに、「企業理念に基づいて、社業の発展を図り、顧客との共存を維持し、社会に貢献しつづける存在でありたい」という経営理念を掲げ、医療・福祉・保健というフィールドで、それぞれの問題解決に寄与するエキスパートとして、また未来に対する付加価値を創造するパイオニアとして、時代を読み、これからの社会と人々の繁栄に貢献することを責務と考え、事業を推進しております。 当社グループは、持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指しており、事業拡大の観点から売上高を重要な経営指標と位置づけ、また強固な経営基盤及び高利益体質を構築すべく、収益性を評価する指標として売上総利益率及び経常利益率を重要な経営指標と位置づけております。 当該事業におきましては、全国での受注実績により入手した病院づくりに係る最新の情報を活かし、新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売のみならず、大型医療機器を中心とした医療機器及び医療情報システム(電子カルテ等)の新規導入及びリプレースによる販売を日本全国で展開しております。中期的には、次のテーマを掲げ、目標達成に向けて取り組んでまいります。 トータルパックシステムとは、「お客様のすべての期待・要望に応えること」であります。新築・移転のための基本計画から開院までの様々な場面で、ノウハウ及びソリューションを提供することで、お客様から厚い信頼を得て、当事者として責任感を持って全力で取り組むことであります。 当該事業におきましては、独自性を活かし、質を重視した遠隔画像診断を提供することで緩やかな成長基調を維持するとともに、安定的な収益を確保してまいります。 当該事業におきましては、引き続きクックチル技術を活かした製品の販売強化に努め、新規取引の拡大を図ることで緩やかな成長基調を維持するとともに、安定的な収益を確保してまいります。 当社グループは、コンサルティング活動をベースとした医療機器専門商社であるため、優秀な人材を継続的に確保し、育成していくことが不可欠です。新卒定期採用を中心に、中途採用も含めて、優秀な人材の確保に努めてまいります。 また、遠隔画像診断サービス事業及び給食事業におきましても、有資格者の人員確保、能力の向上と開発に取り組んでまいります。 顧客へのコンサルティング活動は、医療に関する専門知識はもちろんのこと、IT技術支援等、当社の機能を十分に発揮し、ベストな解決策を提供することが期待されております。そのため、それぞれの専門家を育成するとともに、これらの需要にワンストップで対応できるプロジェクトマネージャーの育成等、OJTを中心に実践的な経験を数多く積ませる一方で、各種研修会への参加推奨など、社員教育に注力してまいります。 医療機関の新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売案件のコンサルティングを受注するためには、顧客からの情報収集とともに、営業プレゼンテーションを早期の段階で実施する必要があります。今後も、これらのコンサルティング営業の強化に注力し、案件を計画的かつ長期にわたって管理することによりコンサルティング活動の精度を高め、より顧客のニーズに応えられる体制を構築して、受注に繋げてまいります。 「企業リスク管理」の観点よりコンプライアンス体制の確立を目指し、社内管理体制の充実と社員教育を徹底してまいります。当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、内部管理体制の充実が不可欠であると認識しており、役職員のコンプライアンス意識の向上、グループ各社の取引態様に即した内部管理体制を構築する等、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。 現在当社グループには連結子会社が5社あります(㈱医療開発研究所、㈱レオクラン東海、㈱L&Gシステム、京都プロメド㈱、㈱ゲイト)。各子会社はそれぞれ医療機関、介護・福祉施設等向けに各種サービスを提供しております。今後子会社各社が独自性を活かしつつも、グループ間のシナジー効果を充分に発揮してそれぞれの会社の存在価値を高めていく必要があると考えております。その結果、それぞれの会社が連結決算に貢献し、連結ベースの各種指標の改善に寄与していけるよう、事業基盤、機能を強化してまいります。 既存事業の業容拡大に加えて、これまでに培ったノウハウと経験を活かして新規事業の創出に取り組み、新たな市場を開拓することで強固な事業基盤を構築してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「利他利己」「INNOVATION & CREATION」「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」の企業理念とともに、「企業理念に基づいて、社業の発展を図り、顧客との共存を維持し、社会に貢献しつづける存在でありたい」という経営理念の下に、医療・福祉・保健というフィールドで、それぞれの問題解決に寄与するエキスパートとして、また未来に対する付加価値を創造するパイオニアとして、時代を読み、これからの社会と人々の繁栄に貢献することを責務と考え、事業を推進しております。企業理念、経営理念の実現に向けて、人的資本の能力発揮の最大化が最も重要と考えており、人的資本に関する取組みにより、持続可能な社会の実現へ貢献してまいります。 当社グループはサステナビリティに関する重要事項について、経営委員会、リスク管理委員会等で協議・検討し、取締役会に報告することとしております。 当社グループにおける人材の多様性の確保を含む「人材の育成に関する方針」、「社内環境整備に関する方針」は以下のとおりであります。 当社は、コンサルティング活動をベースとした医療機器専門商社であるため、医療に関する専門知識はもちろんのこと、ベストな解決策をワンストップで提供するプロジェクトマネージャーをはじめ、優秀な人材を継続的に確保し、育成していくことが不可欠であり、経営の重要課題と認識しております。 また、当社グループは経営原則として、「会社の発展と社員の幸せの一致を図る」「家族を含めた人が財産であり、人を大切にする企業集団であり続ける」を掲げており、従業員にとって働きやすい職場であることが何よりも重要であると考えています。 そこで、「人材育成」「働きやすい職場づくり」を特に重要な課題として認識し、次世代を担う人材を育成し、継続的に成長するための施策に取り組んでおります。 「人材育成」に関しては、プロジェクトマネージャーの育成には幾多の経験と豊富な知識が非常に重要な要素であることから、OJTでの育成を主体として、仕事を任せ、業務上の課題を解決していくことを経験させることで能力の向上と開発を図っています。また、豊富な知識の習得の為に外部研修の活用、業務に関連する専門的な資格取得の奨励などを行っております。 「働きやすい職場づくり」に関しては、経営トップと従業員の対話の実施、仕事と育児・介護の両立支援、女性活躍支援などの多様な働き方の推進、多様な人材の登用、従業員に対するコンプライアンス教育の実施などを通じた人権の尊重の取組みを推進しております。 当社グループではリスク管理に関する規定を策定するとともに、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会にて、グループ全体の事業に係る多様なリスクを適切に管理し、リスクの早期発見及び未然防止に努めるとともに、損失を最小限に抑える体制の構築を推進しております。サステナビリティ関連のリスクについてもリスク管理委員会において把握し、審議しており、その内容を定期的に取締役会に報告しております。 当社では、「戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。尚、連結グループに属する全ての会社では具体的な取組は行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。 目標:2024年末までに全従業員の年次有給休暇の取得を60%以上にする。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、人口動態及び人口構造の変化、疾病構造の変化に伴う医療、保険、介護制度の見直し、また行政による各種規制の動向、医療技術革新等により事業戦略及び経営成績等が影響を受ける可能性があります。 当社グループのメディカルトータルソリューション事業が行っております医療機器の販売等は、医薬品医療機器等法により規制を受けており、所在地の都道府県知事より医療機器販売に係る許可等を取得する必要があります。当社グループ各社が取り扱う商品の多くが高度管理医療機器(注)であることから、同機器を取り扱っているすべての事業所で医薬品医療機器等法に基づく高度管理医療機器販売業・貸与業許可を取得しております。また、その他に以下の許可を取得しており、これまで当該許可等の否認や承認の取消しを受けたことはありませんが、当社グループ各社の事業所において許可要件や関連法規の違反等により当該許認可を取り消された場合には、当社グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおいて、何らかの要因による重大な事故、トラブル、クレーム等が生じた場合やコンプライアンス上の問題が発生した場合、または社会的な批判等が生じた場合には、取引停止等の対応が取られる可能性があり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの創業者であり代表取締役社長である杉田昭吾は、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、事業推進において重要な役割を果たしております。 このため、当社では事業拡大に伴い、同氏に過度に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏に不測の事態が生じた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。 当社グループは、事業活動における顧客等の個人情報や機密情報等の各種情報について、情報システム上で管理・運営を行っております。情報保護のために安全管理措置を講じ、情報セキュリティ面の充実を図るなど、情報管理の徹底に努めておりますが、システム障害やシステムへの不正侵入などにより、漏洩、改ざん、喪失等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 医療機関等の移転新築・増改築動向に関して、医療行政、厚生予算、建築費の動向等により、各年度における大型案件の受注が増減し、業績が変動する可能性があります。 医療機器業界の自主規制団体である医療機器業公正取引協議会においては、公正な競争秩序を確保することを目的として「医療機器業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(以下「公正競争規約」という。)」を制定しております。公正競争規約は、不当景品類及び不当表示防止法に基づき制定され、消費者庁長官並びに公正取引委員会の共同認定を受けたものであり、違反した場合は、違約金が課される等の罰則を受けることがあります。その結果、信用低下等により当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主力事業であるメディカルトータルソリューション事業においては、各年度における大型案件数及び販売額が増減し、業績に影響が生じる可能性があります。また、大型案件のスケジュールが重なるタイミングにおいては、必要となる専任人員の配置に限界があり、事業拡大の制約要因となる可能性があります。 当社の特徴でもある医療機関への新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売は、金額が多額なうえ、売上時期が集中することもあることから、月の売上高が偏ることがあります。また、売上高は、取引先の医療機関等の会計年度の関係により例年3月や9月に集中する傾向があり、その結果、当社グループの四半期の業績は通期の業績に必ずしも連動するものではなく、特定の四半期の業績だけをもって通期の業績見通しを判断することは困難が伴います。 尚、当社の第22期連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)及び第23期連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)の各四半期連結会計期間の売上高及び営業損益は以下のとおりであります。 当社グループのコンサルティング業務は、特に育成とノウハウの蓄積に時間を要することから、人材の確保や育成に支障が生じた場合は業績が変動する可能性があります。また、現在在籍する人材の社外流出が生じた場合も同様の可能性があります。 ロシア・ウクライナ情勢、円安進行の長期化等によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、それに伴う更なる物価上昇が顕在化しており、当社グループが取扱う医療機器等の価格が急激に上昇した場合や、物価上昇に伴って医療機関等の移転新築・増改築の動向に影響した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの取り扱う放射線部門情報管理システム、電子カルテ等の医療情報システム内及び遠隔画像診断サービス事業が取り扱う読影データには、患者の医療情報が含まれており、これらの情報が漏洩しないようなシステム構築及び社員教育を徹底しておりますが、万一個人情報保護法に抵触する事案が発生した場合、損害賠償請求訴訟を提起されることや、取引先との取引停止等が発生することが考えられ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 遠隔画像診断サービス事業において契約している医師による読影ミスが発生した場合、損害賠償請求訴訟を提起されることや、社会的信用の低下により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。 事業展開に必要な管理栄養士・栄養士・調理師等の人員数が確保できない場合には、事業展開に支障を及ぼす可能性があります。 食中毒等が発生し、多額の賠償金の支払いや、それに伴う当社グループの社会的信用の低下があった場合には業績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へ移行するなど、社会経済活動は段階的に回復してきているものの、一方で、ロシア・ウクライナ情勢、円安進行の長期化等によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、それに伴う更なる物価上昇など、先行きが不透明な状況にあります。 当社グループが属する医療業界は、増加し続ける医療費を背景に医療制度改革が実施されており、効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築が求められておりますが、医療機関は人手不足が常態化していることに加え、物価高騰の影響等により厳しい経営環境が続いています。 このような状況の中、当社グループの主要事業であるメディカルトータルソリューション事業におきましては、医療機関の課題を解決すべく、これまでに培ってきた経験と情報網を活かし、医療機関等の新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売、大型医療機器を中心とした医療機器及び医療情報システム(電子カルテ等)等の販売活動を全国で展開してまいりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は26,632,145千円(前期比 10.5%減)、営業利益は440,298千円(同 32.4%減)、経常利益は431,662千円(同 39.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は271,306千円(同37.9%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 当事業における医療施設の新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売の売上高は、下記のとおりであります。 当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症による事業への大きな影響はなく、各案件の進捗は概ね想定どおりに推移いたしました。前期は戦略的に受注した案件を含め、20億円以上の案件を複数計上しておりましたが、これに対し、当期は20億円以上の案件は1件に留まったことが影響して減収となり、その影響で売上総利益も減少しました。また、対面営業が増加したこともあり、販売費及び一般管理費については前期と同水準で推移したため、営業利益は前期に比べて減少いたしました。 これらの結果、当連結会計年度の売上高は25,502,957千円(前期比 11.1%減)、営業利益は371,221千円(同 35.4%減)となりました。 質の高い遠隔画像診断サービスの提供、放射線診断専門医の安定的確保と専門性の高いノウハウを武器に、導入医療機関及び取扱件数の増加を図り、安定した営業基盤を維持しております。読影診断数の増加により、前期に比べて増収となり堅調に推移した一方で、専門医への委託費の単価アップに伴うコストの増加に加え、設備投資に伴う減価償却費の増加などで、営業利益は前期に比べて減少いたしました。 これらの結果、当連結会計年度の売上高は724,721千円(前期比 7.1%増)、営業利益は55,631千円(同 16.8%減)となりました。 新規受託施設の獲得及び既存受託施設への販売強化に注力した結果、売上高は前期に比べて増加し、また材料費などの上昇はありましたが、価格の見直しなど収益性の改善に取り組んだ結果、営業利益も増加しました。 これらの結果、当連結会計年度の売上高は404,467千円(前期比 0.5%増)、営業利益は10,992千円(同 60.0%増)となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,276,070千円増加し、13,508,358千円となりました。これは、前渡金が2,262,491千円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が3,436,423千円増加したことなどによるものです。 固定資産は、前連結会計年度末に比べて50,315千円減少し、1,185,580千円となりました。これは、繰延税金資産が46,394千円減少したことなどによるものです。 以上の結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,225,755千円増加し、14,693,938千円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,074,158千円増加し、8,092,121千円となりました。これは、契約負債が2,252,270千円、未払法人税等が136,238千円、1年内償還予定の社債が92,500千円減少したものの、買掛金が3,659,565千円増加したことなどによるものです。 固定負債は、前連結会計年度末に比べて34,534千円減少し、877,714千円となりました。これは、退職給付に係る負債が38,276千円減少したことなどによるものです。 以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,039,624千円増加し、8,969,835千円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて186,131千円増加し、5,724,103千円となりました。これは、利益剰余金が173,270千円増加したことなどによるものです。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ57,232千円増加し、5,517,421千円となりました。 主な要因は以下のとおりであります。 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、341,555千円(前連結会計年度は、242,357千円の増加)であります。資金の増減の主な内訳は、売上債権の増加3,436,423千円、その他の流動負債(主に契約負債)の減少2,217,721千円などの資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益431,662千円を計上し、仕入債務の増加3,659,565千円、その他の流動資産(主に前渡金)の減少2,251,734千円などの資金の増加があったことによるものです。 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、82,011千円(同 49,958千円の減少)であります。資金の増減の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出50,498千円、無形固定資産の取得による支出32,644千円などがあったことによるものです。 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、202,311千円(同 120,931千円の減少)であります。資金の増減の主な内訳は、配当金の支払額97,962千円、社債の償還による支出92,500千円などがあったことによるものです。 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。 尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 主力のメディカルトータルソリューション事業において、医療施設の新築・移転、再編・統合等に伴う医療機器の一括販売について、前期は戦略的に受注した案件を含め、20億円以上の案件を複数計上しておりましたが、これに対し、当期は20億円以上の案件は1件に留まったことが影響して、前連結会計年度に比べ3,135,286千円の減少となりました。 売上高の減少による売上総利益の減少を主要因として、営業利益は440,298千円と前連結会計年度に比べ210,682千円の減益となりました。 営業利益と同様の要因に加え、前期に計上されていた保険解約返戻金(当期はその他に組替)54,000千円の影響で、経常利益は431,662千円と前連結会計年度に比べ277,997千円の減益となりました。 経常利益と同様の要因により、親会社株主に帰属する当期純利益は271,306千円と前連結会計年度に比べ165,745千円の減益となりました。 セグメント別の概況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。 当事業年度の財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況については、「第2  事業の状況  4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業活動のための適切な資金確保を図るため、営業活動によるキャッシュ・フローの向上を最優先事項と考えております。当連結会計年度末における現金及び預金の残高は、5,537,421千円となり、十分な流動性を確保しているものと判断しておりますが、急な資金需要や不測の事態に備えるため、金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しております(未実行残高 1,500,000千円)。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、会計上の見積りを行う必要があり、賞与引当金等各引当金の計上及び繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて見積りを実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社東洋クオリティワン
# 株式会社東洋クオリティワン 非上場につき該当ありません。 非上場につき該当ありません。 当社の企業集団は、当社、子会社及び関連会社計25社で構成され、ポリウレタンフォーム関連製品の製造仕入販売(車両用品、化成品)、不動産賃貸を行っています。 当グループの事業にかかわる位置付けは、次の通りです。 当社が製造販売するほか、子会社の㈱ティ・キュー・ワン・エコ、㈱東洋グリーンライト、㈱東洋ウレタン、㈱ティ・ティ・コーポレーション、㈱ティ・ティ・エム、㈱エフ・シー・シー、関連会社である㈱インズコーポレーションに於いて製造した製品を当社が仕入販売しています。海外におきましては子会社の東洋佳嘉(広州)汽車零配件有限公司、関連会社である東洋佳嘉(塩城)海綿制品有限公司、TQ-1 de Mexico S.A. de C.V. 、東莞東洋佳嘉複合材料有限公司、東洋佳嘉(湖北)海綿制品有限公司が製品の製造販売を行っております。 当社が製造販売するほか、子会社の㈱ティ・キュー・ワン・エコ、㈱ティ・ティ・コーポレーション、関連会社である㈱インズコーポレーションに於いて製造した製品を仕入販売しています。また、関連会社の㈱インズコーポレーションは仕入販売しております。海外におきましては子会社の浙江東洋佳嘉海綿制品有限公司、関連会社である東洋佳嘉(咸寧)海綿制品有限公司が製品の製造販売を行っております。 システムプラントの販売で当社が製造販売するほか、一部仕入販売しています。 当社が不動産の賃貸事業を行っています。 当社所有の建物を賃借している。 当社より債務保証を受けている。 当社より資金援助及び債務保証を受けている。 当社より資金援助を受けている。 兼務役員 2人当社所有の土地及び建物を賃借している。なお、当社より資金援助を受けている。 当社所有の建物を賃借している。 当社グループには、東洋クオリティワン労働組合等が組織(組合員数243人)されており、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟に属しています。 なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。 当社は、軟質ウレタン専業メーカーとして経営基盤のポジションを維持しつつ、国内及び海外拠点における基盤強化を進め、生産販売ネットワークの合理化・強化を図り、グローバルに勝ち残るべく、経営努力を傾注しております。 新型コロナウィルス感染症を起因とする経済活動制限は徐々に緩和してきたものの、ウクライナ情勢を背景とした原材料・エネルギー価格の変動、急激な物価上昇、さらに為替相場や株式市場、金利の動向等による企業業績への影響など、業績下振れの可能性が考えられます。 海外においては、ウィズコロナを前提とした経済正常化が進む中、原材料価格高騰やサプライチェーンの混乱、インフレの粘着化など、世界経済の先行き不透明感が強まっている状況です。 このような中、日本経済はアフターコロナに向けて緩やかな景気の回復が期待される一方で、物価上昇が企業収益や家計の圧迫要因となるほか、企業においては、サプライチェーンの寸断によるリスク回避の見直しや為替リスク回避による現調化等、企業経営基盤のポジションの再構築がなされるものと予想されます。 なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループでは、サステナビリティを含むリスク及び機会につき、代表取締役社長を委員長とする危機管理委員会を設置し、当社グループの活動が環境・社会・経済に与える影響、発生可能性等を踏まえ、対処方針等を決定し取締役会に報告しております。 当社グループのサステナビリティ関連におけるリスクとして、特に主要原料である原油の価格高騰による収益悪化や生産への影響を想定しており、原材料の調達先多様化によるリスク分散といった対策に加え、バイオ由来原料の製品開発を進めるなどの活動を継続していくほか、2022年4月にはカーボンニュートラル推進室を設立し、気候変動対応への取組も行っていく方針です。 また当社グループの人的資本経営は、「自己向上意欲を尊重し、グローバルに未来を切り拓く活力ある集団を目指すとともにグループ社員の充実した人生の実現を図る」ことを理念としております。社員一人一人の成長が、企業の価値創造の源泉であると考え、人材戦略として、「人材育成」「ダイバーシティ」「エンゲージメント」の3つを柱として据えております。 企業の更なる成長には、人材育成は最重要課題と捉まえ、人材育成と適材適所の配置により組織潜在能力最大化を図っていきます。 また、当社で働く一人ひとりが「強い個人」となるために、社員が自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりが不可欠と考えております。 多様性と自律性を備えた個の成長が、企業力の向上に繋がると考え、個人の事情や制約があっても「働きやすい」環境づくりを目標とし、各種人事制度・施策の導入や、様々な改善等「働き方の改革」に取り組んでおります。 社員一人一人の意欲を高め、組織としての力につなげていくことが肝要とし、社員がやりがいを持って仕事に取り組める活力のある組織をめざしております。 当社グループにおいては、サステナビリティ関連を含むリスクと機会につき、各部署が認識している内外の課題、利害関係者のニーズ及び期待を考慮した上で、半期毎に対象内容の抽出・更新を行っています。その内容や発生度合・影響度を経営企画室にて検証した上で、グループ全体のリスクと機会の抽出を行い、危機管理委員長である代表取締役社長宛報告しています。抽出されたリスクと機会については、グループ中期経営計画や年間計画に反映しております。 当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、「人材育成の推進」、「ダイバーシティへの取り組み」、並びに「エンゲージメント向上のための環境整備」に関する指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。 1)「付与日数」は、繰越日数を除く。 2)「取得日数」は、1年間に実際に取得した日数である。 3)「取得率」は、取得日数計/付与日数計×100(%)である。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 当社グループの主要原料は原油であり、原油価格や為替の動向が当社主要原料価格に与える影響が大きいため、当社グループでは、調達先の多様化によるリスク分散や市場原理に沿った様々な対策を講じておりますが、突発的な事情により原材料の安定的調達が出来なくなった場合や仕入価格が高騰した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、生産拠点として国内外に工場を有しておりますが、地震や台風等の自然災害が発生し、重大な被害を受けた工場が操業停止となった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、取引先の与信管理を徹底し、債権保全に万全を期しておりますが、万一取引先の経営破綻が発生し売掛債権が回収不能になった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、海外に現地法人を有し事業を営んでおりますが、その事業には次のような事業展開地域の政治、経済、社会情勢の変化等のカントリーリスクの他、為替リスクが存在しており、万一事業上の不利益要因が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 世界経済に大きな影響を与えていた新型コロナウィルスは、日本でも5類感染症に移行するなど沈静化しているものの、再度感染が拡大した場合には、当社グループの事業活動や収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 半導体不足や部品調達難問題による自動車メーカー等の稼働一時停止は徐々に減少しているものの、今後の状況次第では、当社ゲループの事業活動や収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 また軟質ウレタン専業メーカーとして勝ち残るために、積極的な投資を継続しておりますが、その施策及び業界再編の動向によっては、専業リスクが発生する可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国経済においては、新型コロナウィルス感染症を起因とする経済活動制限は徐々に緩和してきたものの、ウクライナ情勢に端を発した原材料・エネルギー価格の変動、急激な物価上昇など様々な要因が重なり合って、引き続き不透明な状況が続いております。 海外においては、ウィズコロナを前提とした経済正常化が進む中、長期化するウクライナ情勢や中国でのロックダウンを背景とした原材料価格高騰やサプライチェーンの混乱進行、インフレの加速など、世界経済の先行き不透明感が強まっている状況です。 当社事業と関係の深い自動車業界においては、サプライチェーンの混乱による半導体・部品調達難の影響が長期化したことにより、国内生産は回復基調にあるものの、依然として不安定な状態が続いており、また原油の高騰が各種原材料にも悪影響を与えております。 このような状況下、当社グループの当連結会計年度における売上高は、自動車業界における国内外の生産回復基調により、341億7百万円余(前連結会計年度比14.9%増)、経常利益は16億78百万円余(前連結会計年度比102.4%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 当事業は、車両用品・化成品およびその他の販売であります。 車両用品の売上高は、国内外の生産回復基調により、190億79百万円余(前連結会計年度比27.6%増)となり、また化成品の売上高は、145億53百万円余(前連結会計年度比2.4%増)となりました。 これらの結果、ポリウレタンフォーム関連事業の当連結会計年度における売上高は、336億33百万円余(前連結会計年度比15.3%増)、営業利益は9億19百万円余(前連結会計年度比98.0%増)となりました。 当事業は、当社が所有する賃貸用不動産の賃料収入ですが、当連結会計年度における売上高は4億74百万円余(前連結会計年度比6.4%減)、営業利益は2億17百万円余(前連結会計年度比28.2%減)となりました。 当連結会計年度末の資産合計は383億77百万円余(前連結会計年度末比45億11百万円余増)となりました。主な要因は現預金及び売掛金残高の増加等によるものです。 負債合計は194億47百万円余(前連結会計年度末比17億80百万円余増)となりました。主な要因は電子記録債務及び買掛金残高の増加等によるものです。 純資産は189億30百万円余であり、株主資本については166億6百万円余(前連結会計年度末比21億87百万円余増)、その他包括利益累計額は22億95百万円余(前連結会計年度末比6億61百万円余増)です。主な要因は、利益剰余金及び為替換算調整勘定等が増加したことによるものです。 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.40%から49.25%と良化し、1株当たりの純資産額も前連結会計年度末の2,184円49銭から2,570円85銭に増加いたしました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物は17億42百万円余の増加となり、当連結会計年度期末残高は86億76百万円余となりました。 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、29億77百万円余であり、前連結会計年度に比べ15億3百万円余増加しました。増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べ26億40百万円余増加したこと等によるものであります。 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、8億60百万円余で、前連結会計年度に比べ2億32百万円余増加しました。増加の主な要因は、長期貸付金の回収による収入が前連結会計年度に比べ2億28百万円余減少したこと等によるものであります。 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、4億39百万円余で、前連結会計年度に比べ6億20百万円余減少しました。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としておりますが、今期については、昨年と同様に新型コロナウイルスの流行に備えた手許流動性資金の確保もしております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 固定資産の減損損失は、割引前将来キャッシュ・フローが資産グループの帳簿価額を上回っているかどうかにより判断しております。 割引前将来キャッシュ・フローは、使用価値又は正味売却価額により算定しております。また、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として、各製造拠点を基準とした資産のグルーピングを行い、本社等については全社資産としてグルーピングしております。 当該見積り及び当該仮定について、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 繰延税金資産の回収可能性の判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。 収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。 当該見積り及び当該仮定について、見積り、判断における前提や将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。 退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率等の様々な計算基礎があります。 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 納期管理上一部見込生産を行っています。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。 貸倒引当金等の偶発事象に関する引当については、過去の実績や当該事業の状況に照らして合理的に考えられる見積り及び判断を行い、また価値の下落した投資有価証券の評価や繰延税金資産の計上については、将来の回復可能性や回収可能性などを考慮し実施しており、固定資産の減損については、資産の収益性等を考慮し実施しております。これらの見積りや判断における前提や状況が変化した場合には、最終的な結果が異なるものとなる可能性があります。 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は売上高341億7百万円余(前連結会計年度比14.9%増)、販売費及び一般管理費は45億20百万円余(前連結会計年度比9.3%増)、営業利益は11億36百万円余(前連結会計年度比48.2%増)、経常利益は16億78百万円余(前連結会計年度比102.4%増)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として東洋佳嘉(寧波)海綿制品有限公司(中国浙江省)における収用補償金を計上したことにより、24億96百万円余(前連結会計年度比693.3%増)となりました。 当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性のある事象につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 当事業は、車両用品・化成品およびその他の販売であります。 車両用品の売上高は、国内外の生産回復基調により、190億79百万円余(前連結会計年度比27.6%増)となり、また化成品の売上高は、145億53百万円余(前連結会計年度比2.4%増)となりました。 当連結会計年度における設備投資額は約13億円であり、その中の主なものは、株式会社ティ・ティ・エムの生産設備購入にかかる投資であります。その他は、生産能力の増強、合理化・省力化を目的として実施した様々な設備投資であります。これらの所要資金については、自己資金並びに銀行からの借入金で調達しております。 当事業は、当社が所有する賃貸用不動産の賃料収入ですが、当連結会計年度における売上高は4億74百万円余(前連結会計年度比6.4%減)、営業利益は2億17百万円余(前連結会計年度比28.2%減)となりました。 当該事項はありません。 当社グループは「フォームの総合メーカー」として、お客様にご満足を提供し、社会に貢献していくことを基本としております。 研究開発においては、市場動向を調査し、お客様のご意見やご要望を直接お聞きしながら、製品や技術に求められている方向性を探索しております。そして以下の3つのポイントに注力しながら研究開発を進めております。 長年培ってきた軟質ポリウレタンフォームとゴム発泡体に関する基盤技術を活かして、さらなる高品質化、高性能化及び低価格化を実現する技術開発を進めております。 大学との産学連携や他企業との共同開発など、外部からの知見・ノウハウも活用しながら、画期的な製品や技術を開発し、新しいシーズのご提案を行っております。 当社の「環境方針」に則って、環境負荷を極力低減し、「安全性」「地球環境への貢献」に配慮した製品や技術を開発しております。  現在当社グループの研究開発は主に技術部が推進しております。そのスタッフ人員はグループ全体で53名、総従業員数の約6%に相当します。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は464,607千円であり、主として特殊機能性軟質ポリウレタンフォーム、車両用ポリウレタンフォーム、産業資材用発泡ゴム関連の研究開発費用となっております。 当社の製品は車両用品と化成品とに大別され、それぞれ次のような開発を進めております。 車両用品の主力は自動車座席用のシートクッションです。シートクッションの他に、シートや内装の表皮材のバッキング用ポリウレタンフォーム、ヘッドレスト、アームレスト及び防音材料も手がけており、環境への配慮、快適性向上を中心に研究開発しております。 環境への配慮という側面では、今後エンジン車から電気自動車に切り替わると言われている中、部品への要求性能は更に高くなると予想されることから、従来とは異なる騒音の低減に貢献できる防音材料の開発や、車載バッテリーの安全性を高める素材の開発なども進めております。 快適性向上という側面では、自動運転化が進展していく中で、より居住性の良好なシートクッションが求められていることから、座り心地の良い静的特性を持ちながら、なおかつ運転時の低揺動性能や振動吸収性能などの動的特性が良好な材料を開発し、量産化を進めております。 室内環境においては、低臭気化や人体に有害な揮発性有機物質(VOC)の低減ニーズが高まっており、それらに対応する材料開発も進めております。 当社グループは、車両用品の設計、金型製作、試作、量産試作、量産化までの一連の工程ひとつひとつにきめ細かく対応することで、お客様にご満足いただける製品を量産化できるよう尽力しております。また、量産化したものについてはさらに高品質化と低コスト化を実現するべく、日々地道な改善活動を進めております。 化成品分野では、建築・土木、電気・電子、スポーツ・健康、家具・寝具、家庭用品等多岐に亘って製品をご提供しております。 それぞれのお客様によって要求される性能も様々ですが、当社がこれまでに培ってきた技術と経験をもとに、お客様それぞれのニーズにあった製品を的確・迅速にご提案しております。 産業資材用途では、水や埃などの侵入を防いだり、空気の漏れを防いだりするためのシール材料の開発を進めております。特にこの分野では発泡ゴムのニーズが増えており、お客様のご要望にお応えするべく発泡ゴムの性能アップに取り組んでおります。 寝具関係では、低反発から高反発まで幅広くバリエーションを増加させており、お客様からの高度な要求にお応えしている他、素材と加工方法の両面からの性能向上も進めており、体圧分散性や寝姿勢、寝床内気候、寝返り性などを改善できる寝具をご提供しております。 また昨今のカーボンニュートラルの流れから、脱石油系材料のニーズが高まる中、この度植物由来原料の軟質ポリウレタンフォームとして、バイオマス度60%以上の『ムービオ®』を発表いたしました。 また、高性能な寝具を開発するために大学との共同研究も進めており、寝姿勢のシミュ―レーション技術開発や、感性的評価と力学的評価を融合できる技術開発など実施しより良い製品をお客様へ提供できるよう取り組んでおります。 当社では分析技術による各種ソリューションを行っております。VOCやRoHS関連の分析はもとより、製品開発や品質改善のサポート、またお客様からのご依頼への対応、工場での各種問題解決に貢献しております。 今後とも、人に優しく、より便利に、より安全に、を追求しながら、お客様にご満足いただける製品を開発することに注力してまいります。
株式会社テイン
# 株式会社テイン 当社の現代表取締役社長市野諮の実父市野琢美が、リボン、テープ等の繊維製品・半製品を製造販売(主に輸出)する目的で、1962年10月1日東京都千代田区において新日本繊業株式会社を設立いたしました。その後、第一次石油ショック後の円高不況の進行に伴って業績不振に陥り、1977年9月度決算において欠損金の計上を余儀なくされ、その欠損金解消に充てるため1978年5月に減資(90%)をおこないました。しかし、円高進行が止まらないことにより(ピーク時レートが175.5円)、輸出が採算に合わず事業の継続を断念せざるを得なくなりました。そして、1978年11月1日同社社員に営業権を譲渡し、休眠状態に入りました。 現代表取締役社長市野諮が、ラリーの車両規定改正によってエンジンや動力伝達系統の改造が禁止されるのにともない、車両走行性能を向上するための機能部品としてサスペンションの重要性が高まることを確信して自動車部品産業に進出すべく、1985年2月28日実父市野琢美から休眠の状態にあった新日本繊業株式会社を譲り受け、商号を株式会社テインと改め、事業目的を自動車部品・用品の製造販売に変更、資本金1,600千円で横浜市鶴見区駒岡町13番地において現在の当社が名実共にスタートいたしました。 株式会社テイン(実質上の存続会社)設立以降の事業内容の変遷は、次のとおりであります。 東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場。 当社グループは当社、子会社5社および持分法適用関連会社2社により構成されており、自動車用サスペンション製品の開発、製造、販売を主な内容とした事業を展開しております。 開発は主に国内で当社がおこない、製造は国内工場および中国工場でおこなっております。また販売は国内においては当社が小売店等を通じてお客様に販売し、海外において北米地域はTEIN U.S.A.,INC.、欧州地域はTEIN UK LIMITED、中国・香港地域は天御遠東国際貿易(北京)有限公司、タイ国はTEIN Sales (Thailand) Co.,Ltd.、その他のアジア地域ならびにオセアニア地域等は当社が小売店等を通じて販売しております。 また、中国工場である天御減振器制造(江蘇)有限公司は、主にアジア地域を中心としたエントリーユーザー向けの製品を生産することで国内工場との住み分けを図っております。 なお、海外からの製品用資材や消耗品等の調達は、天御減振器制造(江蘇)有限公司および宿遷天野貿易有限公司が中国を中心にアジア地域での調査・調整活動をおこなうとともに、資材の一部共通化による調達の合理化や原価低減も推進しております。 当社グループの事業系統図は次のとおりであります。 その他の関係会社が1社あります。なお、当社との事業上の関係はありません。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定及び、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象では無い為、記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、カーアフターマーケット向けサスペンションの専門メーカーとして、「世界戦略に相応した品質、性能、価格の製品を作り上げ、カーアフターマーケット、プレミアム・リプレースメント市場におけるサスペンション事業の売上高100億円を目指す。」ことを、長期経営ビジョンとして掲げております。 この長期経営ビジョンを実現するため、次の基本経営方針を掲げ行動しております。 この基本経営方針に基づく行動により、長期経営ビジョンを実現させることが、お客様の満足度向上と株主の皆様のご期待に沿えるものと確信しております。 当社グループは、自動車用サスペンション事業に経営資源を集中的に投入してまいります。 また、グローバルな競争に打ち勝つための企業体質への転換を推進してまいります。 この基本方針に基づく中長期的な会社の経営戦略は次のとおりであります。 日々の営業活動から得られる様々な情報を活用し、ユーザーニーズに基づく提案型の営業を強化することで、国内は元より海外における販売シェアも拡大してまいります。 カーアフターマーケットでのトップ企業として相応しい速力を持ち、選択と集中による研究開発活動を推し進めることで、付加価値の高い高品質でリーズナブルな製品を開発してまいります。 効果的なVA・VE活動に注力するとともに、消費地生産によるグローバルな生産活動を追求することで、強靭な企業体質の構築とコストの削減を推進してまいります。 アフターマーケットにおける要求品質への適合は元より、所有することへの喜びをも提供できる品質の確立で、お客様満足度100%を目指してまいります。 営業・技術・生産などの様々な情報の共有、また拠点連携の強化や資産の相互活用など、テイングループの総合力を結集することで、よりスリムで強固な経営基盤を構築してまいります。 当社グループが目標とする経営指標は、事業効率を重視する観点から基本経営方針の一つにも掲げております「ROA(総資産利益率)の重視」であります。その経営指標に基づき、最小の資産(特に営業資産を重視しております。)で最大の利益を出す効率性の高い経営を目指してまいる所存であります。しかしながら、この指標は達成を目指すといった性質のものではなく、日常的な経営活動における効率向上を社内に周知徹底するための方法として位置付けております。 今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルスの感染症法上の分類の5類移行に伴い、消費者のマインドや経済社会活動がさらに正常化に向かうことが予想されます。しかしながら、欧州地域における多くの混乱の長期化などによる世界情勢の不安定化、エネルギー価格や原材料価格の高騰によるインフレ圧力の高まり、さらには世界的な金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れ懸念など、引き続き予断を許さない厳しい状況が続くものと考えられます。 カーアフターマーケットにおきましても同様に、先行きの見通しにくい状況が続くものと思われます。 このような中、当社グループといたしましては、人々の価値観や行動様式の変化がもたらされる新しい時代に向けて、引き続き新たな成長軌道に乗せるべく、「EnduraPro」「EnduraPro PLUS」のラインアップの拡充に傾注するとともに、多様化するユーザーのニーズに適合する各種ショックアブソーバー製品群の充実と新技術への対応の強化、また販路拡大を目指した顧客開拓に努めてまいります。 合わせて当社グループでしか生み出せない付加価値の創造により新たな需要喚起を図るとともに、内製化の推進やフレキシブルな生産体制をさらに強化し、品質の向上や為替変動の影響を受けにくい財務体質の構築などを推し進めてまいります。 なお、次期の連結業績見通しにつきましては、売上高6,057百万円、経常利益782百万円、親会社株主に帰属する当期純利益560百万円を見込んでおります。 前述の不安定な経営環境に対して、当社グループでは相互に緊密に連携しながら、中長期的な会社の経営戦略に基づき引き続き次の4つの課題に取り組み、売上の拡大に努めてまいる所存であります。 最先端のモータースポーツフィールドからフィードバックした付加価値の高い製品の開発と市販化による世界各国の様々なユーザーニーズに対応したラインアップの多様化と新たな需要の掘り起こし。 海外事業部の拡充、海外子会社および関連会社を活用した積極的なグローバル展開の推進。 国内外の生産拠点を活用した生産効率の一層の向上と、変化する需要に対応するフレキシビリティを追求した生産体制の整備。 耐久性・信頼性評価レベルのさらなる向上と購買品の品質保証体制の強化による世界基準の品質の確立。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は、意思決定において透明性、公正性かつ即時性を持ち、企業規模に則した経営管理組織を構築することが、コーポレート・ガバナンスを充実させるものと考えております。 取締役会では、当社の経営理念とする「たゆまぬ研鑚と先端を目指した技術力でドライビングプレジャーを創造し、多様化するお客様のニーズに応え、より豊かな社会に貢献する。」等の実現に向けた具体的な経営計画等を決定し、毎月開催される取締役会・経営企画会議において、経営幹部および執行役員等による業務報告がおこなわれ、前述の経営計画等に適合した業務執行がなされているか随時、監督をおこなっております。 ディスクロージャーに関しましては、法令等に基づく開示は元より、それ以外においても会社の意思決定の透明性および公正性を確保し、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現するための情報発信をおこなっております。 また、より一層のコンプライアンス体制の強化を目的として、社外役員を中心としたコンプライアンス委員会を設け、各種の細則を整備するとともに研修なども実施しております。 これからも持続可能な社会の実現に対して、ガバナンス体制を充実させ、自動車用品を通じて貢献してまいります。 環境への影響を最小限に抑えるため、積極的な太陽光発電設備の導入による環境負荷の低減、エネルギー効率の向上、油脂類等の再生装置によるリサイクルや廃棄物の低減、環境マネジメントシステムの導入など、環境への配慮に取り組んでおります。 人的資本については、重要な経営課題でもある「変化する顧客のニーズに対応する」という点において、当社の顧客の大半が男性であるということも少なからず影響し、全体に占める女性の比率が高くない傾向にはありますが、人的資本への投資等の重要性を踏まえ、今後も引き続き多様性の確保に向けた施策を推進してまいります。 当社では、内部監査室を活用した内部統制監査やリスク管理の他、コンプライアンス委員会の活動などを通して、財務報告に係る内部統制システム、コンプライアンスや関連当事者取引、その他様々なリスク管理体制をとっております。 また、サステナビリティを巡る課題についてもリスク管理の一環であると認識し、事案に応じて適確に対処するとともに、必要に応じて取締役会その他の会議体において取り組みを検討しております。 人材力の向上において入り口ともなる採用は非常に重要であると考えておりますが、当社では新卒採用を特に重視し、業務体験などを通じて当社の事業内容に対して高い志向性を形成できるよう努めております。また、人材育成においてはOJTを中心としつつ、当社の主要な職種を擬似的に体験できる研修制度などを通して、その後のキャリア形成に資する機会の提供をおこなっております。 社内環境整備に関しては、雇用機会の提供は元より、教育や昇格などについて国籍、性別、年齢等に拠らず適性や実力に応じた処遇をおこない、それらを総合的に判断して要職への登用をおこなうとともに、自己申告書制度などを用いて社内環境の継続的な改善に努めております。また、日々の会社生活が心身ともに健康に過ごせるよう、職場環境におけるあらゆる差別をなくし、ハラスメントの防止を図るとともに、ワークライフバランスを推進するための有給休暇の取得率の向上にも努めております。 なお、女性活躍推進法に基づく管理職に占める女性労働者の割合や役員に占める女性の割合、また育児休業取得率などは以下のとおりであります。 当社グループの事業は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。 以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の対応に努める方針であります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 自動車用サスペンション製品のカーアフターマーケットにおいては、趣味・嗜好性や、さらに近年においては経済状況なども販売動向やユーザーニーズに強く影響を与える要因となっております。当社の製品は技術力とブランド力によって、主にドライビングにおける運動性能、快適性、スタイル性などを重視するユーザーから支持されておりますが、こうしたユーザーニーズが大きく変化した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは、自動車用サスペンションの開発、製造、販売という単一セグメントに属する事業をおこなっております。これにより当社グループは経営資源を集中的に投入することによって、製品ラインナップの充実を図るとともに、常にコストダウンにも努めておりますが、カーアフターマーケット向けサスペンション市場における販売競争が激化し、当社の製品が販売不振に見舞われた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 その他不確実要素が多く存在するため、将来において、当社グループが予期していない事象が発生した場合には、当該投資が計画通り回収できない可能性があります。 当社グループには、海外に所在する連結子会社が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、為替レートの変動は当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001:2015の認証を国内の全ての事業所ならびに中国工場の天御減振器制造(江蘇)有限公司において取得しておりますが、全ての製品について不具合が発生しないという保証はありません。また、製造物責任についてはPL保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。自主回収や製造物責任賠償につながるような内容の製品の不具合が発生した場合には、多額のコストを要したり、当社グループの製品やサービスに対するユーザーの支持を低下させることになり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、研究開発上の知的所有権を所有しておりますが、当社の認識の範囲外で第三者の知的所有権を侵害する可能性があります。当社が第三者より知的所有権に関する侵害訴訟などを提訴されている事実はありませんが、知的所有権を巡っての紛争が発生した場合には、当社の業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社製品の生産拠点は横浜市内の本社工場、ならびに中国宿遷市の中国工場の2箇所となっております。両工場ともに安全管理には十分に注意を払っておりますが、地震、台風その他の自然災害、突発的事象に起因する設備の破損や電力・水道の供給困難等により被害を受け、生産活動の継続が困難になった場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループがグローバル規模で事業の拡大を図るためには、国内外での優秀な人材および良質な労働力の確保が必要不可欠と考えております。当社グループでは新卒者を中心とした採用をおこない、育成に努めておりますが、当社グループの求める人材・労働力の確保、育成が計画どおりに進捗しない場合には、今後の事業展開に支障が生じ、事業成長および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、国内および中国に生産拠点を置き、また世界の広範な地域で事業活動をおこなっております。 新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック等の異常事態の発生により、サプライヤーからの製品用資材や消耗品等の調達の停滞、外出規制に伴う従業員の自宅待機による生産活動への影響や購買行動の変化、また渡航等の制限や営業活動の自粛など事業の正常な運営が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。 当社グループは、資材・エネルギーコストその他の高騰に対して必要に応じて販売価格の見直しなどをおこなっておりますが、当該コスト増が販売価格の見直しで吸収できない場合、収益構造の悪化により、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する感染防止対策と行動制限の緩和による経済社会活動との両立が進んだことなどから消費や投資が拡大し、景気は概ね回復基調で推移いたしました。一方で、欧州地域における多くの混乱の長期化や、原油を始めとするエネルギー価格や原材料価格の高騰などがわが国経済にも波及し、多岐にわたり物価高騰が見られるなど物価上昇圧力に歯止めが掛からない状態が続いております。また第3四半期後半には、それまでの水準から変化が見られたものの円安傾向の影響は通期に渡り、さらには世界的な金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れ懸念、加えて半導体不足の多方面への影響など、先行きの不透明な状況が続いております。 このような情勢のもと、当社の属するカーアフターマーケットにおいて当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限の緩和もあり、出張による海外営業の再開と合わせて、Web会議ツールなども併用することで、より効果的で効率的な営業活動に努めました。またアジア地域が引き続き好調に推移したことから、これらの地域に向けた商材や開発速度の強化に力を注いでまいりました。他方、一部製品の販売価格の見直しを8月と1月に順次おこなうなど、利益率の確保にも努めてまいりました。しかしながら、中国ではゼロコロナ政策の緩和に伴う感染者の急速な増加が短期間ながらも販売や生産活動に水を差すこととなり、さらには欧米では景気低迷による影響を強く受けたことなどから全体では低調に推移いたしました。 なお、損益の面においては、前期からの在庫適正化のための生産調整を期央から増産にシフトしたものの、前述の理由などにより今期の減価償却の負担に見合った生産量の回復までには至らなかったこと、また原材料価格の高騰や為替影響などによる複合的な要因に伴う売上総利益率の低下がありました。 これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ80百万円増加し、7,995百万円となりました。 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ412百万円減少し、2,189百万円となりました。 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ492百万円増加し、5,805百万円となりました。 当連結会計年度の経営成績は、売上高は5,243百万円(前期比271百万円、5.5%増)となりました。 このような情勢のもと、当社の属するカーアフターマーケットにおいて当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限の緩和もあり、出張による海外営業の再開と合わせて、Web会議ツールなども併用することで、より効果的で効率的な営業活動に努めました。またアジア地域が引き続き好調に推移したことから、これらの地域に向けた商材や開発速度の強化に力を注いでまいりました。他方、一部製品の販売価格の見直しを8月と1月に順次おこなうなど、利益率の確保にも努めてまいりました。しかしながら、中国ではゼロコロナ政策の緩和に伴う感染者の急速な増加が短期間ながらも販売や生産活動に水を差すこととなり、さらには欧米では景気低迷による影響を強く受けたことなどから全体では低調に推移いたしました。 経常利益は660百万円(前期比△330百万円、33.3%減)となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は561百万円(前期比△189百万円、25.2%減)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ72百万円増加し、1,512百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローでは、当連結会計年度において営業活動の結果取得した資金は1,074百万円(前連結会計年度366百万円の取得)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益663百万円によるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フローでは、当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は418万円(前連結会計年度552百万円の支出)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出374百万円によるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フローでは、当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は613百万円(前連結会計年度51百万円の支出)となりました。これは主として長期借入金の返済による支出595百万円によるものであります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社は見込み生産をおこなっているため、該当事項はありません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、棚卸資産の評価、繰延税金資産の計上、重要な引当金の計上、退職給付に係る負債の計上等に関して、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因などに基づき、見積り及び判断を行い、その結果を連結貸借対照表及び連結損益計算書の金額に反映しております。但し、実際の結果は、見積による不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が当社グループの業績に重要な影響を及ぼすと考えております。 当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準に従い、収益性の低下により正味売却価額が帳簿価額を下回っている棚卸資産の帳簿価額を、正味売却価額まで切り下げる会計処理を適用しております。また、「棚卸資産」のうち、長期滞留品における正味売却単価は、長期間経過後の販売による回収金額を把握することが困難なことから、過去の販売実績から原価に一定の掛率を乗じた金額が回収できるものと仮定しております。 なお、将来の販売実績または市場動向が当社グループの見積りより悪化した場合には、追加の棚卸資産評価損が計上される可能性があります。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ80百万円増加し、7,995百万円となりました。これは主として、機械装置及び運搬具の増加によるものであります。なお、現金及び預金は、前連結会計年度末に比べ72百万円増加し、1,512百万円となりました。 当連結会計年度末における負債合計は、前年度会計年度末に比べ412百万円減少し、2,189百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金の減少によるものであります。 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ492百万円増加し、5,805百万円となりました。これは主として、利益剰余金及び為替換算調整勘定の増加によるものであります。 当連結会計年度における売上高は5,243百万円(前期比271百万円、5.5%増)と増収となりました。要因は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。 当連結会計年度における営業利益は、前期からの在庫適正化のための生産調整を期央から増産にシフトしたものの、前述の理由などにより今期の減価償却の負担に見合った生産量の回復までに至らなかったこと、また原材料価格の高騰や為替影響などによる複合的な要因に伴う売上総利益率の低下もあり607百万円(前期比△163百万円、21.2%減)となりました。 当連結会計年度における経常利益は、為替影響など複合的な要因に伴う営業外費用の増加により660百万円(前期比△330百万円、33.3%減)となりました。 上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は561百万円(前期比△189百万円、25.2%減)となりました。 「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。 なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は908百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,512百万円となっております。 当社グループが目標とする経営指標は、事業効率を重視する観点から基本経営方針の一つにも掲げております「ROA(総資産利益率)の重視」であります。その経営指標に基づき、最小の資産(特に営業資産についてを重視しております。)で最大の利益を出す効率性の高い経営を目指してまいる所存であります。 当連結会計年度末におけるROAは7.1%(前期比△2.8%減)であり、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。しかしながら、この指標は達成を目指すといった性質のものではなく、日常的な経営活動における効率向上を社内に周知徹底するための方法として位置付けております。 該当事項はありません。 研究開発活動につきましては、引き続き「EnduraPro」および「EnduraPro PLUS」のラインアップの拡充と合わせ、定番製品をベースとして一層の付加価値の向上を図りつつリーズナブルな価格実現のための新機構を取り入れた新製品を開発し販売を開始しました。 また、モータースポーツイメージの向上にも寄与する競技専用製品の開発や、次世代新製品に向けた各種の基礎研究なども並行して推し進めてまいりました。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、244百万円であります。
ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社
# ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社 当社は、1926年(大正15年)に、創業者である山下忠次郎が医療器械の販売を目的として長崎県佐世保市に山下医療器械店を興したことに始まります。1950年(昭和25年)に法人化により現在の山下医科器械株式会社を設立し、順次業容を拡大してまいりました。その後、2017年12月1日、山下医科器械株式会社の単独株式移転の方法により、持株会社である当社を設立いたしました。 当社設立以降の沿革は次のとおりであります。 当社は、持株会社として傘下グループ会社の経営管理およびそれに附帯する業務を行っております。 当社グループは、当社及び連結子会社6社、ならびに関連会社1社により構成され、中核事業である医療機器販売業では、主に、医療機器メーカーより仕入れた医療機器を、病院をはじめとする医療機関等に販売するとともに、医療機関向け各種サービス事業を行っております。 なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。 当社及び当社の関係会社の事業における位置づけ及び事業セグメントとの関係は、次のとおりであります。 医療機器販売業は、一般機器分野、一般消耗品分野、低侵襲治療分野、専門分野及び情報・サービス分野の5分野から構成されます。 汎用医療機器から高度医療機器まで、幅広い製品を取り扱う当社グループの中核事業分野であり、医療機関の様々な診療科、ならびに手術室、検査室、救急、ICU、病棟、外来等の各部署にわたって、総合的な販売活動を行っております。このうち手術室関連機器としては、手術室ユニットシステムや電気メス、手術台等の様々な手術関連機器・設備を、また診察関連機器としては、CT、MRI、超音波診断装置、その他各種診断機器等を取り扱っております。 一般機器分野と同様に、医療機関の各診療科・部門で用いられる医療用消耗品材料について、幅広く販売活動を行っております。また、院内物品管理のアウトソーシングであるSPDに関する病院施設のニーズの高まりに対応するため、自社開発のWeb版物品管理システムの市場導入を進め、顧客の流通精度管理及び購買管理を支援するコンサルティング機能の充実化を図っております。当社グループでは、SPD専門の物流管理及び営業支援機関であるSPDセンターを3拠点(佐賀県鳥栖市、福岡県福岡市、長崎県諫早市)設置し、同事業の強化に取り組んでおります。 患者の身体的負担をできるだけ少なく抑える低侵襲治療に関わる医療機器を取り扱っております。低侵襲治療は、診療科目に関わらず進歩、拡大している専門性の高い治療技術であり、当社グループはこの分野を内視鏡、サージカル、IVE、IVR、循環器の5つのカテゴリーに細分類し、それぞれに専門営業スタッフを配置しております。 このうち内視鏡については、特約店契約を結んでいるオリンパス社製の電子内視鏡システムや内視鏡画像診断支援ソフトウェア等の販売・サービスを行っております。 サージカルについては、外科用内視鏡及び処置具、腹腔鏡等の鏡視下手術機器を、IVEについては、主に消化器内視鏡用の内視鏡下処置具等を取り扱っております。 また、IVRについては、X線透視下での治療を行う際の処置具等を、循環器については、心臓疾患治療に使われるペースメーカー、人工心肺装置等の機器や処置具を取り扱っております。 整形、理化学、眼科、皮膚形成・再生医療、透析の5部門で構成され、特に専門性の高い医療機器を取り扱っております。このうち整形部門では、人工関節や骨折治療材料等の整形機器及び消耗品を、理化学部門では、血液分析装置や病理検査機器、検査試薬等の理化学機器及び消耗品を専門的に取り扱っております。透析部門では、人工腎臓関連機器及び消耗品を専門的に取り扱っております。 電子カルテやオーダリングシステム等の医療情報システムの構築や、医療ガス配管設備工事、医療機器のメンテナンスサービス、医療廃棄物収集運搬業請負等、広範囲にわたる医療関連サービスを提供するほか、クリニックの新規開業支援も手掛けております。 また、医療機関向けの医療関連IT製品を一堂に展示した常設総合展示場である「MEDiPlaza(メディプラザ)西日本」では、専門スタッフによるITコンサルティングサービスを提供しております。 さらに、医療機関に対する経営指導・助言、M&Aや事業承継等のコンサルティング、医業経営に関する各種セミナーの開催等を行うほか、医科向け会員ネットワーク「EPARK」事業の展開、ITやRPA等の新技術を駆使した製品・サービスの開発・提供も行っております。 なお、当社は、2023年7月25日付にて株式会社クロスウェブを新たに連結子会社としました。同社は、ネットワークおよびシステムインフラ構築事業を主体とし、地場企業や地方自治体の地域インフラの構築を行うほか、病院のネットワーク及びシステムインフラ構築・保守等、医療機関に密着したきめ細かなサービスを提供しております。 医療機器製造・販売業では、医療機器製造販売業許可(医薬品医療機器等法上の医療機器メーカーの資格)を取得し、主として整形外科用インプラント(体内埋没型骨材料)商品を取り扱っております。自社開発商品である大腿骨転子部骨折用の髄内固定システム「アレクサネイル」(特許取得)の製造を海外の特約メーカーに委託し、販売代理店を通じて全国販売を行っております。 医療モール事業では、広島県福山市において、医療クリニック、調剤薬局、デイサービス施設、フィットネスクラブ等の医療・健康関連施設への賃貸事業ならびに施設の管理・運営を行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 当社から経営指導を受けております。 当社から経営指導を受けております。 当社から経営指導を受けております。 当社から経営指導を受けております。 当社から経営指導を受けております。 当社から研究開発の支援を受けております。 2  従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。 3  臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。 4  全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。 2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。 3  全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。 当社には労働組合はありませんが、連結子会社である山下医科器械株式会社には2008年4月19日に結成された労働組合(UAゼンセン山下医科器械ユニオン)があり、上部団体であるUAゼンセンに加盟しております。2023年5月31日現在では837名の組合員(パートタイマー含む)で構成されております。なお、労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。 提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「地域のヘルスケアに貢献する」という経営理念を掲げ、地域医療の充実と安定、医療の品質向上に資する様々な商品及びサービスの開拓と提供を通じて、その実現を図ってまいりました。 2017年12月に持株会社体制に移行したのち、2022年2月に現在の事業会社6社体制となりました。持株会社体制を活かしたグループ力の向上に向けた活動により、ステークホルダーの真の満足度を高め、地域及び社会へ貢献を果たすべく、グループを挙げて取り組んでおります。また、新型コロナウイルス感染症の影響による活動制限を受けながらも、地域医療体制の継続を支援すべく、物流体制の維持や物品の供給を行っております。 前中期経営計画の終了を受けて、2021年7月に2022年5月期(前期)を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定しました。本計画では、基本方針を「持続成長可能な体制構築を目指し、継続的な収益拡大に向け、ヘルスケア領域でのグループ力の向上を図る」と定めております。各事業会社が更に本業に専念できる環境を整えることで継続的な収益拡大を目指し、グループの企業価値の最大化を図るため、重点事業領域を拡充しながらグループ力を向上させる活動により、最終年度の業績目標を達成するとともに、地域及び社会へ貢献に取り組んでまいります。 新中期経営計画最終年度(2024年5月期)の主要業績目標は以下の通りです。 なお、2022年5月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用したことから、上記の目標は当該会計基準等に基づいた目標となっております。 当期(2023年5月期)は新型コロナウイルス感染症の波が断続的に発生し、依然として厳しい状況で推移したものの、主力商品分野の積極的提案に加え、コロナ対策補助予算等による医療機関の設備投資需要にも適切に対応する他、グループ全体の収益力強化や顧客基盤の拡大等に向け、各種施策に取り組んでまいりました。その結果、中間年度ではあるものの、連結売上高、連結営業利益、及び連結経常利益のいずれも、最終年度目標を達成することができました。 当社グループは、上記の経営理念のもと、安定的に収益が確保できる組織体制の確立・強化を図り、事業収益力の継続的な向上を目指しております。そのため、当社グループでは、事業収益力と経営の効率性を示す指標として、ROE(自己資本利益率)を重要視し、中期的には10%以上を目標にしております。 当社グループの中核事業である医療機器販売業の主要マーケットである九州地区においては、地域ごとに濃淡はあるものの、地域医療体制の改革が進む中、各医療機関の機能変化や集約化が進みつつあります。当社グループでは、それぞれの地域の変化に適応しながら、各地域の中核となる高度急性期医療機関に対する営業や製品供給を引き続き推進してまいります。また、超高齢社会において、地域になくてはならないリハビリ機能や介護機能、“各地域の中での幅広い範囲の医療供給(プライマリケア)”体制、それらの連携である医療・介護ネットワークなどへ対し効率的かつ継続的に製品・サービスを提供していくことにより、経営理念の実現を実践してまいります。 次期の売上面につきましては、医療機関における検査・手術件数が引き続き緩やかに回復することが期待されるほか、医療の質向上と効率化に寄与する医療機器やITシステムの需要が底堅く推移するものと考えております。一方、前期から当期にかけ、ひっ迫する医療機関等の医療供給体制を維持支援するため、国が交付したコロナ対策補助予算等による一時的な対策需要の増加(特需)がありましたが、次期においてはそれが見込めていないことなどから、減収を予想しております。また、利益面につきましては、売上減少に伴う売上総利益の減少により、営業利益及び経常利益は減益を見込んでおります。なお、今期発生した特別損失を次期は計上しないことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は増益を見込んでおります。 持株会社と事業会社間において、迅速な情報収集や情報の共有および相互補完を図りながら、事業会社が本業に専念できる環境を構築し、グループ全体の事業収益を継続的に拡大していき、持続成長可能な推進体制構築の実現を目指します。また、グループ経営機能の明確化を図るとともに、グループ内の経営資源の効率的な運用を進め、収益力の向上を目指してまいります。 現在、外部企業と業務提携して、新型輸液装置のレンタルや、医療機関向けICTインフラサービス、注射調剤・監査支援システム、乳がん検査デバイスなど、新規商材の取り扱いを推進しております。いずれも将来の成長が期待できる商材であるため、早期に市場への浸透を図り、当社グループの事業の多角化を目指してまいります。 今後も、持続的な成長を目指し、グループの企業価値の最大化を図るため、外部企業とのアライアンスを含め、新規事業分野への投資を積極的に行い、事業領域の拡充を図ってまいります。 持続的成長を支える根幹は人的資本にあると認識しており、事業会社6社を含むグループ7社の人材情報を統合的にマネジメントする体制を構築し、採用から、研修、キャリア形成を一体的に捉える戦略的な人事管理体制の推進を図ってまいります。併せて、業務関連研修の他、階層別研修、新任管理職研修、コンプライアンス研修等、多様なカリキュラムによる従業員研修を実施し、当社グループ事業を支える人材育成に取り組んでまいります。また、従業員が健康的に働くことができる職場環境の整備に努め、時間外労働の削減や有給休暇の取得促進、全従業員の健康診断受診等、健康経営を積極的に実践し、組織の活性化を図ってまいります。 コロナ禍においても、従業員の感染防止を図りつつ、中核子会社のMAL(Medical Active logistics)事業部を中心に、物流体制の維持に万全を期し、医療資材の安定供給を確保してまいります。 また、当社グループの持つ物流ネットワークを有効的に活かし、物流の更なる効率化と顧客対応のスピードアップにより、物流面における競争力強化を図ってまいります。 顧客視点での価値創出に向け、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化の改革を行いながら、当社グループの企業価値を高めるツールとしてのDXを推進してまいります。営業や物流のみならず、全ての業務プロセスに対し検討を行ってまいります。 当社グループは、法令遵守はもとより、企業倫理への取り組みの重要性を認識するとともに、変動する企業環境に対応した迅速な経営意思決定と経営の健全性向上を図ることによって、企業価値を継続して高めていくことを経営の最重要課題の一つとして位置付けております。その実現のために、株主の皆様をはじめ、お客様、取引先、地域社会、従業員等のステークホルダーとの良好な関係を築くとともに、株主総会、取締役会、監査等委員会、会計監査人等、法律上の機能制度を一層強化・改善・整備しながら、コーポレート・ガバナンスを充実させてまいります。また、中核子会社において当期に発生した債権取立不能事案を踏まえ、再発防止策を策定し、与信管理、債権管理の強化を図ってまいります。 株主・投資家の皆様へは、迅速かつ正確な情報開示に努めるとともに、幅広い情報公開により、経営の透明性を高めてまいります。 当社グループは、環境的・社会的・経済的側面に配慮しながら、トータルヘルスケアサービスの事業活動に取り組み、地域とともにサステナブルな社会を実現し、企業価値向上を目指すことを重要課題と位置づけ、「ESG基本方針」を策定しております。当社グループの経営理念「地域のヘルスケアに貢献する」は、SDGsが目指す「誰ひとり取り残さない社会の実現」と強く結びついており、掲げるESG基本方針をもって、経営の推進やステークホルダー皆様に対する情報開示を行っております。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、関連法規をはじめ、コンプライアンス遵守に努め、社会の規範となる高度な倫理性に根ざした事業活動に努めます。また、経営の透明性を高めることにより、企業価値を更に向上させていきます。 取締役会は、サステナビリティーを巡る課題として、CO2排出抑制や、人材育成およびダイバーシティ&インクルージョン等の重要性を認識しており、毎期末に取締役会において報告を受け、適時指示をしております。これらの活動は当社ウェブサイトにも公開しております。 当社は、経営課題のみならず、さまざまな環境にも配慮し、サステナビリティを踏まえた中期経営計画を策定、開示しております。また、当社グループではESG基本方針を制定し、これに伴う重要課題(マテリアリティ)を抽出し、気候変動などの地球問題への配慮、自然災害への危機管理、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や取引先との公正・適正な取引など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し活動しております。 サステナビリティに関する取り組みは、当社ウェブサイトにおいて開示しております。 (人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針) 当社グループのESG経営に関する方針のうち、社会に対する方針では「価値創造に貢献できる高い専門性を持つ人材育成」「多様性のある人材活用」を掲げ、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。国内外において、健康や福祉、人権・貧困、都市と暮らし、ジェンダー平等や教育などさまざまな社会課題が顕在化する中、当社グループは、ヘルスケア領域を主軸に社会インフラを担っているという事業特性上、これらは取り組むべき課題であり、当社グループが果たすべき役割も大きいものと考えております。かかる基本方針のもと、「経営戦略と一体となった人事を実践し、グループ各社および各従業員と共に、未来を切り開く企業であり続ける。」をスローガンとする人事ポリシーを2021年に制定しております。 当社グループの事業の源泉は人材であり、社員の成長が当社グループの価値創造・成長へとつながっていくととらえております。弊社人事ポリシーは当社ウェブサイトにも公開しております。 上記の人事ポリシーのうち、「2.戦略人事」および「7.教育方針・キャリア形成」の項目では、「従業員一人ひとりが意欲をもって自らを高め」、「時代や社会の変化に対応し成長し続けるため、スキルアップの機会を継続的に提供し、グループ各社の従業員がキャリアを形成することで、活躍の場を広げ、前向きにチャレンジし続ける環境をつくります」としております。具体的には、各事業会社による入社時研修や全階層別研修、昇格者研修など、業態として求められる資格や知識(医療機器販売業・修理業、医療経営や医療情報にかかわる基礎知識など)の取得習得、現場での営業力として必要とされる知識や能力研修など各社員に対し積極的な習得の機会創出を行っています。また、「5.ダイバーシティ&インクルージョン」の項目では、「多様な価値や発想を取り入れ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、グループ各社の従業員が障壁を感じることなく能力を発揮できるための体制を整備します」としており、新卒採用者数における女性の比率30%以上を継続した目標とし、障碍者雇用について法定雇用率の順守を確保します。 上記人事ポリシーのうち“6.働き方改革・健康経営”において「グループ各社の従業員が心身ともに健康で明朗であり、達成感やモチベーションを高めながら職務を遂行するために、最適な働き方改革を行います」と謳っており、事業会社において健康経営優良法人認定(山下医科器械)やグループ従業員の健康診断結果のデータベースシステムを導入し、産業医や保健師による健康指導などの取り組みを行っております。 (気候変動に係るリスク等について) 当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同しており、当社グループの事業活動を通じ気候変動への対応に取り組んでいくと共に、積極的な情報開示に努めます。当社グループでは日本政府が推進する2050年に向けたカーボンニュートラル達成に向け、CO2排出抑制に向けた取り組みを行っております。具体的には、照明設備のLED化、空調設備等の更新、省エネルギー車両への転換等を推進し、CO2排出量が前年対比減となるよう目標を設定しております。  これらサステナビリティ情報の詳細は、当社ウェブサイト「私達の取り組み」をご参照ください。 当社の取締役会では重要な経営意思決定を行うとともに、グループ全体が、連携して法令や企業倫理遵守を推進する体制を構築し、モニタリングしております。また、グループ全社的なリスク管理に関しては、社外取締役の知見も活かしつつ、その体制整備や仕組みづくりに努めております。 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。 また、当社グループは、従業員が能力を最大限に発揮できる職場環境や制度設計に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適切な人材を管理職として登用していくことを方針とし、年齢や性別等を区別することなく、意欲と能力のある優秀な従業員が平等に管理職登用への機会を得られるような人事制度を整備しております。なお、全管理職に占める女性の割合についての実績は次のとおりであります。 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいりますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 公的医療保険制度における診療報酬は、医師の診療行為、医薬品、特定の医療材料等についてそれぞれ定められており、定期的に改定がなされております。診療報酬改定により特定の医療材料公定価格(償還価格)が引き下げられた場合、当社の販売価格の引き下げに直結するため、当社グループの収益性が著しく低下する可能性があります。これら医療行政の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、医療行政の動向に関する最新情報の把握に努めるとともに、適宜その分析を行い、経営戦略、事業計画に反映させるとともに、顧客の医業経営により一層寄与する提案営業活動の強化に努めております。 当社グループは、多様化する医療業界に対応するため、当社グループ以外の企業との業務提携、合併および買収等(以下、「M&A等」)を企画・実施することがあります。このM&A等の実施後に、相手企業との経営方針のすり合わせや業務部門における各種システムおよび制度の統合等に想定以上の負担が生じた場合、予想どおりの相乗効果が得られない可能性があります。また、業績が想定どおり達成されず、将来の営業利益が予想を下回る可能性が発生した場合、のれんの減損の必要性が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、グループの企業価値向上に資する M&A等を実施すべく、事前に対象となる企業の経営状況を確認するほか、財務・法務面でのリスクの有無等、当該企業の実態や価値を十分見極めた上で実施を決定いたします。また、 M&A等の実施後は、グループ間での連携を図り、シナジーを高めることにより、更なる業容拡大に努めております。 当社グループは、主に取引先との関係維持や営業活動の円滑な推進等のため、当該企業の株式を保有するほか、事業の展開上必要と思われる企業への出資を行っており、今後もその可能性があります。そのような有価証券への投資においては、株価の著しい下落あるいは投資先企業の著しい業績低迷等が生じた場合、投資有価証券評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、将来予想される投資有価証券価額を念頭に、投資先企業の業績を適宜精査し投資するとともに、保有投資有価証券の保有可否について十分に検討・審議しております。 当社グループの主たる事業である医療機器販売業においては、医療機器の卸売を行っております。当連結会計年度の医療機器販売業の売上高57,840百万円のうち、同業他社等に対する備品売上の割合はおよそ5.6%であります。それらの取引のうち、特に、仕入先から医療機関へ商品が直送される取引については、商品の発送等を当社が直接行わないため、売上に関する事実確認が相対的に難しい取引であることもあり、仕入先が発行した納品書等の外部証憑との突合、売上計上の妥当性を検討するため、目的物の実在性確認の手続きを明確化し、当該リスクの低減に努めております。 医療機器製造・販売業においては、株式会社イーピーメディックが自社開発した整形外科用インプラント(体内埋没型骨材料)の製造販売事業を行っておりますが、販路の拡大が予定通り進捗しない場合や、製品の欠陥により製造物責任を負う状況が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、法令・規則を遵守し、医療機関の期待に応える製品とサービスを提供できるよう、当社グループではISO13485(医療機器の品質マネジメントシステム)の認証を取得し、常に品質の向上を図っております。さらに、製品の不良等により、万が一重大な損害を発生させた場合に備え、生産物賠償責任保険に加入し、リスクの低減を図っております。 当社グループが行う業務において、商品の品質、設置・調整の不備等があった場合、医療事故に繋がる可能性があります。また、販売に際しての仕様説明や納入後の取扱い説明の内容、仕入先の倒産等によるアフターサービス継続条件の変更など、取扱商品に関する様々な事項について取引先と見解の相違が発生する可能性があります。さらに、医療事故等が発生した場合、訴訟等に至ることが考えられ、その内容によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、ISO9001(品質マネジメントシステム)およびISO13485(医療機器の品質マネジメントシステム)の認証を取得するなど、商品やサービスの品質管理体制を整備し、安定した品質を提供できるよう努めております。 当社グループは、事業活動上、土地・建物をはじめとする事業用固定資産を保有しておりますが、事業収益・キャッシュフローの悪化や地価の下落に伴う減損損失が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュフローによって資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証し、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。 情報システムは、当社グループにとって事業活動のあらゆる側面で重要な役割を担っております。一方、サイバー攻撃、不正アクセス、災害等によるシステム障害や情報漏洩が発生するリスクが高まっています。これら想定外の事態が発生した場合、当社グループの経営成績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、セキュリティシステムやバックアップシステム体制の強化、従業員に対する情報リテラシー教育等を行うことによって、リスク回避に努めております。 当社グループが持続的に成長するためには、人材確保が最も重要な経営課題の一つと認識しております。日本国内で事業を展開する当社グループでは、日本における労働人口の減少や転職市場の活況など、人材確保が優位に展開できず、人的資本に大きな影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、人事戦略本部を設置し採用活動を積極的に展開し、在籍社員の定着率を高めるために健康経営やタレントマネジメント導入による個別のキャリアアップを図るといった対応を行っております。 医療機器は、患者の生命および健康に影響を及ぼす可能性があるため、品質の適正な保持、医療現場における正しい方法での使用が求められることから、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」)において、製造から販売に至る各流通過程での遵守事項が定められております。 当社グループは、高度管理医療機器(注1)を含むあらゆる医療機器を取り扱う企業として、コンサルティング事業を主とする株式会社アシスト・メディコ及び情報システム企画開発を主とする株式会社イーディライトを除く全ての事業所にて、同法に基づく高度管理医療機器等販売業・貸与業許可を取得しておりますが、販売責任者の資格要件、品質管理の実施要件、トレーサビリティ(販売履歴の記録)(注2)の実施等、同法が求める各種要件を充足できなくなった場合、当該許可を取り消される可能性があります。 この他、事業所によって、主に以下の許可を取得しておりますが、各法が定める要件を充足できなくなった場合、当該事業所は当該許可を取り消される可能性があります。 また、医療機器製造・販売業においては、医療機器製造販売業許可を取得しておりますが、品質および安全管理体制等の要件を充足できなくなった場合、当該許可を取り消される可能性があります。 当社グループでは、管理部門と対象事業所が密に連携を図り、適切に許認可の取得・維持を行っております。また、全従業員に対し定期的に教育研修を実施し、関連法令の遵守に努めております。 当社グループは、医療機器の取引の公正で自由な競争秩序の確立を目的に設立された業界団体である「医療機器業公正取引協議会」に加盟しております。同協議会では、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づき、業界の自主規制ルールである「医療機器業公正競争規約」を定めており、医療機関等に対する景品類の提供は同規約により厳しく制限されております。これに違反する行為が行われた場合、同協議会より罰則を受けるほか、信用低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、同規約を遵守した営業活動を行うべく、同協議会の認定を受けた規約インストラクターを配置し、従業員への啓発教育に努めております。また、適宜、同規約に関する情報提供を行うとともに、問合せ内容等について情報共有し、必要に応じて改善を図るなどの取り組みを行っております。 当社グループが取り扱う個人情報は、主に個人販売先ならびに従業員の個人情報でありますが、患者情報を取り扱う医療機関と取引を行っていることから、患者情報の取り扱いを受託する企業として、取引先に確認書等を提出するなど、個人情報保護法に則した適切な対応を行うよう努めております。 しかしながら、同法に違反する事案が発生した場合、損害賠償請求訴訟や取引先との取引停止等が発生することが考えられ、その内容によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、プライバシーガバナンス指針を定め、個人情報や機密情報を取り扱う必要がある業務を特定したうえで、取り扱い担当者の限定、情報の取り扱い方法の制限、使用機器による制限等を厳格に行っております。 当社グループでは、中核子会社において佐賀県鳥栖市、長崎県諫早市および福岡県福岡市に物流拠点を設置し、回転率の高い医療用一般消耗品を一元管理するとともに、仕入業務の大部分をこれらの3拠点に集約しております。万一、災害によりこれらの物流拠点のいずれかの機能が停止した場合、物流・仕入管理システムの復旧や事業所への機能移転等が完了するまでの間、販売活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、中核子会社のMAL事業部において物流機能の一元管理を行うことで、上記3拠点が物流機能を相互補完できる体制を整え、地震や火災等の災害発生時のリスク分散・軽減を図っております。 当社グループでは、従業員が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、当該従業員が所属する事業所あるいは物流拠点が一時的に稼働停止を余儀なくされるなど、医療機関等への商品供給体制に影響を及ぼす可能性があります。また、感染拡大の状況によっては、仕入先メーカーからの商品調達が遅延するなど、医療機関の需要にタイムリーにお応えすることが難しい状況となることも想定されます。 上記リスクに対して、当社グループでは、グループ企業間での情報共有や対策の検討等を行っております。従業員に対しては、出勤前の検温や手指消毒、マスク着用等の徹底を指示するなど、感染防止に努めております。 当社グループでは、大規模な地震や水害等の自然災害が発生した場合、取引先への医療機器や医療用一般消耗品の供給体制に影響を及ぼす可能性があります。また、保有する建物や備品、インフラ等に被害が生じたり、従業員の雇用や採用といった人的資本に影響が生じ、事業活動が困難になる可能性があります。 上記リスクに対しては、事業継続計画(BCP)を策定し、事業運営が滞ることがないよう対策に努めております。 当社グループを取り巻く環境においても、環境関連の規制が年々強化される傾向にあり、規制の内容によっては当社グループ事業の運営活動の制約、販売する医療機器、医療用一般消耗品の制限がある等、当社グループの経営成績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 上記リスクに対しては、当社グループにて「ESG基本方針」を制定し、地球環境の保護や環境負荷の低減により、サステナブルな社会の実現に向け、カーボンニュートラル等の取り組み等を行っております。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国では、2020年1月以来猛威をふるってきた新型コロナウイルスの感染状況が、本年1月の第8波以降落ち着きをみせ、同年5月からは同ウイルスの感染症法の位置付けが「5類感染症」に移行されました。これにより、感染対策については、法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、個人の選択を尊重し、国民の自主的な取り組みをベースとした対応へと切り替わることとなり、今後、個人消費の回復等による経済の活性化が期待されております。他方、終息の見えないロシアによるウクライナ進攻情勢や、エネルギー資源、原材料の高騰、為替相場の動向など、依然として国内経済の先行きは不透明な状況が続いております。 当社グループが属する医療機器業界におきましては、資源・原材料価格の高騰がみられる中、医療機関等はコスト増加を価格転嫁することができないことから、経営に大きな影響が生じております。そのため、経営改善に努める医療機関等から各企業に対する納入価格の引き下げ要求は依然として厳しい状況が続いており、各企業は、医療機関の経営改善・効率向上に資する製品・サービスの提供を通じた医業収益向上への寄与が尚一層求められております。 このような状況の中、当社グループでは、コロナ禍において営業活動に一定の制約がみられたものの、グループの事業会社6社がそれぞれの営業活動を行ってまいりました。中核事業である医療機器販売業におきましては、前年度新型コロナウイルスの感染拡大に伴い減少していた検査・手術件数が回復したことにより、診療材料の売上が回復・増加いたしました。また、第3四半期連結累計期間まではコロナ対策補助金による医療機関の設備投資需要が前期よりも減少にて推移していたところ、第4四半期連結会計期間におきまして、年度末需要等を受け、累積で前期よりも若干の増加に転じたことから、当連結会計年度における売上高は581億95百万円(前年同期比5.5%増)となりました。利益面につきましては、売上高の伸長による売上総利益の増加により、営業利益は11億56百万円(前年同期比24.2%増)、経常利益は12億6百万円(前年同期比20.2%増)となりました。なお、第2四半期連結累計期間において、取引先であるジェミック株式会社にて生じた債権の全額6億11百万円を取立不能見込額として貸倒引当金を設定し、同額を特別損失として貸倒引当金繰入額を計上いたしております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益は2億19百万円(前年同期比68.5%減)となりました。 セグメントごとの業績は下記のとおりであります。なお、各セグメントの売上高はセグメント内の内部売上高を含んでおります。 医療機器販売業のうち一般機器分野では、一般医療機器備品やMRI、CT等の画像診断機器や放射線診断装置及び超音波診断装置の売上により86億34百万円(前年同期比2.3%増)となりました。一般消耗品分野では、汎用消耗品、感染対策消耗品及び手術関連消耗品の売上により240億60百万円(前年同期比3.8%増)となりました。内視鏡、サージカル、循環器等により構成される低侵襲治療分野では、電子内視鏡手術システム等の内視鏡備品や、腹腔鏡システム等のサージカル備品、血管内治療、内視鏡関連消耗品の売上により138億97百万円(前年同期比10.6%増)となりました。整形、理化学、眼科、皮膚・形成、透析により構成される専門分野では、PCR検査装置関連製品や眼科用検査装置等の売上により100億76百万円(前年同期比5.4%増)となりました。医療情報、設備、医療環境等により構成される情報・サービス分野では、電子カルテシステム等の医療IT備品の売上により13億68百万円(前年同期比12.9%増)となりました。 この結果、医療機器販売業の売上高は580億37百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は21億48百万円(前年同期比8.8%増)となりました。 医療機器製造・販売業におきましては、主としてグループ開発製品である整形外科用インプラントを製造・販売しており、売上高は2億86百万円(前年同期比0.4%減)、セグメント利益は12百万円(前年同期比39.9%減)となりました。 医療モール事業におきましては、主として賃料収入により売上高は69百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は0百万円(前年同期は46百万円のセグメント損失)となりました。 当連結会計年度末の総資産は245億68百万円となり、前連結会計年度末に比べて4億81百万円増加いたしました。流動資産は、主に現金及び預金の増加により、前連結会計年度末に比べて7億23百万円増加し、195億16百万円となりました。固定資産は、前連結会計年度末に比べて2億41百万円減少し、50億52百万円となりました。 当連結会計年度末の負債は、主に電子記録債務の増加により、前連結会計年度末に比べて5億62百万円増加し、166億44百万円となりました。また、純資産は、前連結会計年度末に比べて80百万円減少し、79億24百万円となり、自己資本比率は32.2%となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により21億66百万円増加し、投資活動により1億7百万円減少し、財務活動により2億9百万円減少いたしました。この結果、当連結会計年度末の資金残高は、前連結会計年度末から18億49百万円増加し、58億25百万円となりました。 当連結会計年度において、営業活動により増加した資金は21億66百万円(前年同期は5億81百万円の増加)となりました。 主な要因としましては、税金等調整前当期純利益6億35百万円、売上債権の減少額14億14百万円および仕入債務の増加額5億77百万円等によるものであります 。 当連結会計年度において、投資活動により減少した資金は1億7百万円(前年同期は27百万円の減少)となりました。 主な要因としましては、有形固定資産の取得による支出45百万円、無形固定資産の取得による支出36百万円、関係会社株式の取得による支出30百万円等によるものであります。 当連結会計年度において、財務活動により減少した資金は2億9百万円(前年同期は2億29百万円の減少)となりました。 主な要因としましては、株主配当金2億9百万円の支出によるものであります。 販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表を作成するにあたっては、会計方針についていくつかの重要な判断および見積りを行っております。これらの判断および見積りは、過去の経験や実際の状況に応じ、合理的と考えられる方法で行っておりますが、不確実性を伴うものであるため、実際の結果は判断および見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当社グループは、保有する有価証券のうち、時価のあるものについては、市場価格等が取得原価に比べて50%以上下落した銘柄について全て減損処理を行い、下落率が30%~50%の銘柄については個別銘柄ごとに時価の回復可能性を検討したうえで、必要と認められた額について減損処理を行っております。時価のない有価証券については、財政状況の悪化により実質価額が取得価額と比べ著しく低下したものについて減損処理を行っております。時価のある有価証券においては時価の回復可能性について、時価のない有価証券においては実質価額の算定について、それぞれ判断および見積りを行っておりますが、これら減損処理適用に係る判断の結果によっては、当社グループの連結財務諸表に影響を与える場合があります。 当社グループは、保有する固定資産のうち、減損の兆候があると認められる資産または資産グループについて将来にわたって得られるキャッシュ・フローを見積り、見積られた将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回っている場合に減損損失を認識します。減損損失を認識した資産または資産グループは、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減額した金額を減損損失として当連結会計年度において費用処理します。減損損失の認識および回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フローおよび割引率について判断および見積りを行っており、減損処理適用に係る判断の結果によっては、当社グループの連結財務諸表に影響を与える場合があります。 当社グループは、税務上の繰越欠損金や企業会計の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産および繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、判断および見積りを伴うものであり、実際の結果が見積りと異なった場合には、当社グループの連結財務諸表に影響を与える場合があります。 当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務の計上にあたって、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率及び年金資産の長期期待運用収益率など多くの見積りが含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、または法改正や退職給付制度の変更があった場合、その影響は累積されて将来にわたり規則的に認識されることとなり、将来の退職給付費用及び債務に影響を与える場合があります。 当連結会計年度における売上高は、581億95百万円(前年同期比5.5%増)となりました。なお、セグメント別の売上高は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。 利益面につきましては、売上高の伸長による売上総利益の増加により、営業利益は11億56百万円(前年同期比24.2%増)、経常利益は12億6百万円(前年同期比20.2%増)となりました。なお、第2四半期連結累計期間において、取引先であるジェミック株式会社にて生じた債権の全額6億11百万円を取立不能見込額として貸倒引当金を設定し、同額を特別損失として貸倒引当金繰入額を計上いたしております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2億19百万円(前年同期比68.5%減)となりました。 当連結会計年度末における流動資産は195億16百万円となり、前連結会計年度末に比べて7億23百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が18億49百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は50億52百万円となり、前連結会計年度末に比べて2億41百万円減少いたしました。 この結果、当連結会計年度末の総資産は245億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億81百万円増加いたしました。 当連結会計年度末における流動負債は161億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億83百万円増加いたしました。これは主に、電子記録債務が6億80百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は5億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ21百万円減少いたしました。 この結果、負債は166億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億62百万円増加いたしました。 当連結会計年度末における純資産は79億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ80百万円減少いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が87百万円減少したこと等によるものであります。 この結果、自己資本比率は32.2%(前連結会計年度末は33.1%)となりました。 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、営業活動は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。 なお、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。 当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入費用、販売費及び一般管理費等の運転資金であります。 これらに必要な資金については、自己資金をもって充当することを基本とし、必要に応じて銀行からの短期借入金等により資金調達を行うこととしております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社クロップス
# 株式会社クロップス 愛知県半田市岩滑東町一丁目105番地にいすゞオート半田株式会社(現、株式会社クロップス、資本金10,000千円)を設立、自動車の販売を開始。 日本移動通信株式会社(現、KDDI株式会社)の一次代理店として、自動車電話の販売を開始。 名古屋市中区金山にIDOプラザ金山を出店。 日本移動通信株式会社(現、KDDI株式会社)と一次代理店契約を締結。 商号を株式会社アルメディアに変更するとともに本店所在地を名古屋市中村区名駅四丁目23番9号に移転。いすゞ自動車株式会社のディーラー権を返上し、携帯端末販売に特化。 名古屋市中区栄三丁目7番9号に株式会社エー・エル・ビーを100%出資子会社として設立。 株式会社エー・エル・ビーにて、労働者派遣法に基づく一般労働者派遣事業の許可を取得し、労働者派遣事業の営業を開始。 商号を株式会社クロップスに変更。 当社にて、労働者派遣法に基づく一般労働者派遣事業の許可を取得し、株式会社エー・エル・ビーより労働者派遣事業の営業を譲受け、営業を開始。 当社と名古屋鉄道株式会社との間で、労働者派遣事業について業務提携を締結。 名古屋市中区栄三丁目7番9号に株式会社クロップス・クルーを当社、名古屋鉄道株式会社及び株式会社名鉄百貨店の共同出資により設立(現、連結子会社)。 いすゞエステート株式会社の子会社でビルメンテナンス事業等を営むいすゞビルメンテナンス株式会社の株式を全株取得して子会社化(現、連結子会社)。 いすゞビルメンテナンス株式会社がいすゞ自動車株式会社に対する第三者割当増資を実施(出資比率は当社90.9%、いすゞ自動車㈱9.1%となる)。 名古屋証券取引所 セントレックスに株式を上場。 店舗賃貸事業を営む株式会社テンポリノベーションの全株式を取得して子会社化(現、連結子会社。2013年5月に株式会社テン]ポイノベーションへ商号変更)。 文具事務用品卸事業を営む株式会社スガタの全株式を取得して子会社化。 東京証券取引所 市場第二部に株式を上場。名古屋証券取引所 市場第二部に上場市場を変更。 東京証券取引所 市場第一部銘柄に指定。名古屋証券取引所 市場第一部銘柄に指定。 包装資材卸事業を営む大明商事株式会社の全株式を取得して子会社化。 株式会社スガタが大明商事株式会社を吸収合併し、株式会社ハピラに商号変更(現、連結子会社)。 株式会社テンポイノベーションが東京証券取引所マザーズに新規上場。 いすゞビルメンテナンス株式会社が株式会社代々木の杜企画、株式会社トリトン、株式会社モップス、3社の株式を取得し、子会社化(当社の孫会社化)。 当社の孫会社である株式会社代々木の杜企画が株式会社トリトン、株式会社モップスを吸収合併。 株式会社テンポイノベーションが東京証券取引所(市場第一部、現在はプライム市場)に上場市場を変更。 いすゞビルメンテナンス株式会社が株式会社代々木の杜企画を吸収合併。 株式会社ハピラが自然派化粧品の卸販売を営む株式会社七つの海の株式を取得し、子会社化(当社の孫会社化)。 INNOVARE HOLDINGS PTE.LTD. の株式を取得し、子会社化。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からスタンダード市場へ移行。 名古屋証券取引所の市場区分の見直しにより、名古屋証券取引所の市場第一部からプレミア市場へ移行。 本店所在地を名古屋市中村区名駅三丁目26番8号に移転。 株式会社テンポイノベーションが、完全子会社 店舗セーフティー株式会社を設立(当社の孫会社)。 移動体通信事業を営む株式会社モバイルドリームの全株式を取得し、子会社化(現、連結子会社)。 KDDI株式会社と資本業務提携契約を締結。 当社が保有するいすゞビルメンテナンス株式会社の株式をいすゞ自動車株式会社に譲渡(出資比率は当社80.0%、いすゞ自動車㈱20.0%となる)。 INNOVARE HOLDINGS PTE.LTD. が ベトナム社会主義共和国にてHRアドミンサービスを営む JOB LINKS CORPORATION の株式を取得し、子会社化(当社の孫会社化)。 当社グループは、当社、株式会社モバイルドリーム、株式会社クロップス・クルー、いすゞビルメンテナンス株式会社、株式会社テンポイノベーション、店舗セーフティー株式会社、株式会社ハピラ、株式会社七つの海、INNOVARE HOLDINGS PTE.LTD.(他14社)の計23社により構成されており、以下の事業を展開しております。 当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次の通りであり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 セグメント情報等」の報告セグメントと同一の区分であります。 当社は、au商品を専売とする「auショップ/au Style」を、愛知県29店舗、三重県6店舗、岐阜県3店舗、静岡県3店舗、東京都11店舗、埼玉県1店舗の53店舗、UQモバイル商品を専売とする「UQスポット」を愛知県8店舗、三重県5店舗、岐阜県1店舗、東京都2店舗、埼玉県2店舗の18店舗で展開しております。 株式会社モバイルドリームでは、東京都でau商品を専売とする「au Style」を7店舗、au専売店を1店舗で展開をしております。 人材派遣事業を営み、名古屋鉄道グループ及びトヨタ自動車グループを主要取引先とし、一般労働者派遣、技術者派遣、業務請負及び有料職業紹介を東海地区、首都圏にて展開しております。 ビルメンテナンス事業を営み、いすゞ自動車グループを主要顧客先とし、商業施設やオフィスビル等の清掃、設備管理及び施設警備等を首都圏にて展開しております。 株式会社テンポイノベーションでは、店舗転貸借事業を営み、飲食店舗を中心とした開店・閉店支援サービス及び店舗管理等を首都圏にて展開しております。 店舗セーフティー株式会社では、店舗家賃保証事業を営んでおります。 不動産売買事業を営み、不動産業者とのリレーションシップ強化を目的として飲食店向けの店舗物件等の仕入れ販売を首都圏にて展開しております。 株式会社ハピラでは文具・生活用品等の卸事業を営み、100円ショップ、通信販売、OEMメーカー、卸問屋向けに、文具・生活用品等の企画・卸売販売等を展開しております。 株式会社七つの海では自然派化粧品の卸事業を営み、百貨店、専門店、通信販売向けに自然派化粧品の販売事業、ナチュラルケア売場の企画・販売サポートを展開しております。 シンガポール共和国に本拠地を置き、シンガポール、香港等を中心に11ケ国、14の事業会社を傘下に持つホールディング会社であり、労働ビザの申請、給与計算、税金・社会保険料計算等の受託業務を、アジア地域を中心に展開しております。 事業の系統図は、次の通りであります。 当社グループには、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 ります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、みずみずしい感性で新しい価値を創造し、顧客・社員・社会との共生を図り、永続的な発展を続けていくことを経営の基本方針としており、「みなさまのサプリメントになる」(お客様や株主様を始めとするステークホルダーのみなさまが当社グループとかかわりを持つことで、より良い状態になること)をコンセプトに、グループ各社の経営努力とM&Aの活用により、企業価値のさらなる向上を図ってまいります。 移動体通信事業においては、通信キャリア各社の料金値下げによる市場の活性化、流動化、オンライン限定プランの更なる普及等、携帯電話の販売市場において、環境の変化が継続することが予想されます。その一方、デジタル化の進展による情報格差の拡がり、「5G(第5世代移動通信システム)」対応の携帯電話端末の普及や関連サービスの高度化に伴い、リアルのお客様との接点を持つことの価値、対面販売の価値は増していくものと見込んでおります。 このような認識を踏まえ、当社は、エリアを限定した集中的な店舗展開と、au・UQの両ブランドを取り扱っているという強みを生かして、多様なお客様のニーズにお応えすることにより、質と量の両面で、更なる発展を目指してまいります。また、店舗の魅力を更に高める施策として、引き続き店舗の改装や、集客力のある好立地への店舗移転、オペレーションの見直し等を進めてまいります。 さらに、企業として変化の速い経営環境に即応し続けていくためには、社員一人一人が向上心を持って継続的に成長してゆくことと、その力を最大に生かすことができる組織力の強化が重要であると考えております。当社は、「会社と個人の人材育成力を高める」との方針のもと、従業員の研修制度の充実を図ってまいりましたが、さらに業務の品質・コスト・スピードを改善していくために、従業員エンゲージメント向上や、業務プロセスの見直しなどの施策に、従来以上に取り組んでまいります。 人材派遣事業においては、企業と働き手が各々希望する賃金のミスマッチの調整や、慢性的な人手不足への対応等、新たな課題や需要への対応が求められることが予想されます。 このような経営環境に対応するため、獲得が困難である専門的知識を有する人材を必要とする業界への市場開拓・参入等による営業活動の強化を図り、一般派遣においては取引先数の拡大及び既存のお客様のシェア拡大、技術者派遣及び業務請負においては既存のお客様のシェア拡大、有料職業紹介においては取扱件数の拡大を行ってまいります。 また、事業の現状に即し、事業目的の明確化をより図るとともに、今後の事業展開、事業内容の多様化に取り組み、収益性を継続的に高めてまいります。 ビルメンテナンス事業においては、オフィスビル、マンションをはじめとする施設に対するメンテナンスへの需要は継続しております。しかしながら、高いニーズの一方で、それにかかるコストの削減意識は依然として強く、原材料価格の高騰も相まって、取引価格の下落や同業他社との価格競争は、引き続き厳しい状況で推移するものと予想されます。また、長年続いている人材不足への対応、とりわけ若年層の確保が業界としての課題となっております。 このような経営環境に対応するため、大手取引先との取引実績による信用力を活かした新規顧客の開拓に注力するとともに、取引価格の見直し、業務工数の最適化、全体的なコスト削減を行い利益率の向上を図ってまいります。また、人材不足への対応のため、ITの導入による業務効率化、清掃・警備ロボット等の活用を検討してまいります。 店舗転貸借事業においては、インバウンドを含む人流の回復が顕著となる中で、外食業界において、今後は夜間来客と法人需要が回復に向かう可能性が高いものと思われます。人手不足の深刻化、原材料・光熱費の高騰への対応として、好立地でありながら固定費を抑制できる小規模な居抜き物件が人気化していることから、引き続きこのような市場性の高い店舗物件の仕入れに注力する方針であります。また、原材料や光熱費の高騰に加え、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済本格化に起因するテナント募集の増加等により、平常時より優良店舗物件の仕入機会が拡大する可能性がありますので、幅広く情報収集を行いつつ積極的に対応してまいります。 不動産売買事業においては、店舗転貸借事業との連携を強化し、情報収集と顧客開拓を進め、物件売買の機会を的確に捉えることで、引き続き不動産業者とのリレーションシップ強化を行ってまいります。 卸事業においては、文具・生活用品等の企画・販売では、世界的な物流逼迫、原材料・エネルギー価格の高止まりが継続する中で、ポストコロナ期の需要回復に対応しつつ、商品開発の強化やコストの改善が求められることが予想されます。 このような環境下、新商品の上市スピードを上げるとともに、高付加価値品へのシフト、安価な生産委託先の開拓、eコマース販売の強化を推し進め、よりよい商品、サービスをお客様へ提供し続けることができるよう努めてまいります。 自然派化粧品の企画・販売では、新型コロナウイルス感染症禍からの回復は依然として緩やかではありますが、一方で、社会全体におけるSDGs、サスティナブルな消費スタイルへの関心が高まっていること、厚生労働省が発表したマスクの着用の考え方により、メイクアップ製品等への需要の高まりなどのニーズの変化が見込まれることから、これに合わせた新規販路の開拓や、ブランド育成・商品開発を図ってまいります。 海外事業においては、東南アジア圏での経済活動は徐々に回復しつつあるものの、低価格を売りにした競合他社が台頭してきております。このような環境下、東南アジア圏の情報発信に注力するとともに、コンプライアンスを重視しながらサービスの品質の向上を図ることにより、顧客からの信頼獲得に注力してまいります。 当社グループは、既存企業の永続的な構造改革によるグループ各社の業績向上とM&Aやアライアンスによる新規事業取得により、当社グループの収益力向上と業容拡大を図ってまいります。目標とする指標に関しては、連結ベースでの売上高経常利益率とし、当面の数値目標を6.0%としております。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 クロップスグループは、「お客様」「社員」「株主」「地域社会」等、全てのステークホルダーに対する責務の重大性を認識し、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定による経営により、企業価値の最大化に努めてまいります。 当社のサステナビリティに関する取り組みについては、取締役会において検討を行っておりますが、特に気候変動問題については、当社の事業に重大な影響を及ぼすことは現時点で想定されないため、その方針の策定及び開示については中長期的な検討課題と捉え、今後も検討を重ねてまいります。 サステナビリティに関するリスク管理とガバナンスについては、リスク管理規程を定め、リスク管理体制の整備及びリスク事案への対応を行っております。詳細に関しましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。 当社グループは、いずれの事業セグメントにおいても、人材こそが最大の財産であるとの基本認識の下、従前より育成・評価・処遇の仕組みを構築・運用しております。移動体通信事業においては、2021年より、自発的かつ持続的な従業員と会社の発展向上を目的として、新たな人事評価・処遇制度と人材育成制度を導入し、適正な評価と処遇の実現により、従業員一人一人が成長を実感できることを目指してまいりました。具体的な育成制度としては、販売スタッフをはじめとした営業部門スタッフ向けの研修や、バックオフィススタッフ、マネジメント職群への階層別研修などがあります。また、定期的に各種の従業員サーベイを実施し、各人事施策の効果検証や、従業員のモチベーションの維持・向上に活用しております。 これらに加え、従業員エンゲージメントをより高め、優秀な人材の採用・定着を促進するために、当社のミッション・ビジョン・バリューの再構築に着手いたしました。経営層・管理職層が一体となって検討を進めており、会社として目指すべき姿と、それを実現するための人材戦略を、2023年中にまとめる予定です。 また、店舗転貸借事業・不動産売買事業、ビルメンテナンス事業など、特に個々の人材の能力の発揮が会社業績に強く反映される事業においても、重要かつ喫緊な経営課題として、採用・教育・処遇の見直しを進めております。 人材の多様性確保の観点からは、もとより当社は年齢・性別・国籍・採用形態などに係わらず、公平な育成・評価・処遇を行なっており、提出会社における女性管理職比率は30.6%となっております。 また、2023年2月には、愛知県より「あいち女性輝きカンパニー」の認証を受けました。これは、愛知県が、働く場における女性の「定着」と「活躍」の拡大を図るため、女性の活躍促進に向け、トップの意識表明や採用拡大、職域拡大、育成、管理職登用のほか、ワーク・ライフ・バランスの推進や働きながら育児・介護ができる環境づくりなどの取り組みを行っている企業等を認証するものであり、当社は今後もこのような就業環境を維持・充実させてまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの売上は概ね日本国内向けであり、日本国内の景気動向により、また、国内人口の減少等により市場は飽和状態となっており、同業他社との顧客獲得競争の激化から当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。 地震・台風等の自然災害が発生した場合は、当社グループの販売、営業、物流拠点に甚大な被害を被ることにより、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。 個人情報の漏洩や不正利用などの事態が生じた場合には、社会的信用の失墜及び損害賠償責任等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。 当社グループが安定的に成長していくためには、優秀な人材の確保が必要となります。また労働環境の変化に対応できる人材の育成にも取り組んでおります。しかしながら、人材の定着率悪化や新規採用の不調による、人材不足により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。 当社グループは、移動体通信事業を安定基盤として、新規事業分野へのM&A、事業提携に積極的に取り組むことにより、グループの業容拡大を目指す戦略を推し進めております。事前にリスクを回避するように努めておりますが、その後の市場環境の変化や不測の事態等により期待する成果を達成できない可能性があり、そのような事態になった場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。 当社グループは、M&Aに伴い発生した相当額ののれんを計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等によりのれんの評価額が帳簿価額より下落した場合に、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。 当社グループの事業活動に関連して、将来、取引先からのクレーム、労働問題、製造物責任等で訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。 移動体通信事業の店舗は、「auショップ/au Style」及び「UQスポット」であり、その新規出店は原則的にKDDI株式会社(以下、「KDDI」という。)の戦略に基づいて決定しております。そのため、新規出店の開設場所、規模及び運営形態等については、KDDIとの協議の上決定されることとなり、KDDIの経営方針によっては、業績に影響が生じる可能性があります。 移動体通信事業は、KDDIと代理店契約を締結しており、当社グループの主要な事業活動の前提となる事項となっております。当該契約は、当社が各条項に著しく違背した場合や円滑な履行が困難となった場合には、KDDIが契約を解除できることとなっております。また、当該契約は1年毎の自動更新になっておりますが、契約上はKDDI及び当社の双方とも有効期間内であっても3ヶ月前に通知することにより契約を解約できることとなっているため、KDDIの経営方針等が大きく変更された場合には、契約を解約されるリスクがあります。本報告書提出日現在、当該契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障を来す要因が発生した場合には、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当該契約の内容については、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載の通りであります。 移動体通信事業は、販売する携帯端末をKDDIから仕入れており、主な売上高が携帯端末の販売及びKDDIから支払われる手数料であることから、KDDIへの仕入及び販売依存度がいずれも高くなっております。 したがいまして、仕入及び販売について、KDDIの事業戦略や他移動体通信事業者に対する競争力によっては、業績に影響が生じる可能性があります。 移動体通信事業は、KDDIが提供する携帯端末の販売や移動体通信サービスの加入契約の取次等を行うことにより、KDDIから手数料を収受しております。 受取手数料の金額、支払対象期間、支払対象サービス、通話料金に対する割合等の条件は、KDDIの事業方針等により決定または変更されることから、現在の取引条件から大幅な変更等が生じた場合には、業績に影響が生じる可能性があります。 また、顧客が当社の運営する「auショップ/au Style」及び「UQスポット」において移動体通信サービスへの加入契約をした後、一定の期間内に当該契約の解約等を行った場合には、当該加入契約に係る手数料の一部が、KDDIから支払われない可能性があります。これにより、一定期間内の解約が予想以上に増加した場合には、業績に影響が生じる可能性があります。 移動体通信事業者の代理店業務については、「電気通信事業法」、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)、「古物営業法」、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(総務省告示第695号)及び社団法人電気通信事業者協会が定める「代理店の営業活動に対する倫理要綱」等により規制されており、当社では当該法令等を遵守し販売活動を行っております。しかしながら、当社の営業活動において、上記法令等に違反した場合には、信頼の失墜、損害賠償請求、代理店契約の解約等の可能性があり、業績に影響が生じる可能性があります。 なお、当事業においては、古物営業法に基づく古物営業の許可を取得しております。事業主が欠格事由に該当したり法令に違反した場合は、事業の停止を命じられる可能性があり、そのような事態になった場合には、業績に影響が生じる可能性があります。 人材派遣事業では、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)に基づく一般労働者派遣事業及び職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可を取得しております。事業主が欠格事由に該当したり法令に違反した場合は、事業の停止を命じられる可能性があり、そのような事態になった場合には、業績に影響が生じる可能性があります。 派遣登録者の確保は就職情報誌、ホームページ等の活用により求人活動を行う他、既登録者からの紹介も推奨しております。また、派遣登録者の能力については各派遣登録者のレベルに合わせた様々な研修及び制度でスキルアップに努めております。しかしながら、派遣登録者の確保が計画通り進まなかった場合や適格な派遣登録者がいない場合は、派遣機会を逃すことになり、業績に影響が生じる可能性があります。 社会保険に加入する必要のある派遣労働者については、派遣元事業者が保険に加入させる義務があります。そのため、社会保険料の料率が改定された場合には人材派遣事業に負担が発生する可能性があり、業績に影響が生じる可能性があります。 ビルメンテナンス事業を行ういすゞビルメンテナンス株式会社は、2003年1月にいすゞエステート株式会社よりビルメンテナンス事業を新設分割して設立し、現在もいすゞ自動車株式会社からの出資を受けております。主な取引先はいすゞ自動車株式会社であり、同社に対する販売依存度は2023年3月期において35.8%となっております。特定取引先への依存度が高いため、特定取引先の方針変更等によっては、業績に影響が生じる可能性があります。 ビルメンテナンス事業の主な業務内容は、商業施設やオフィスビル等の清掃、設備管理及び施設警備等であり、消防法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、警備業法、建築基準法、電気事業法、環境基本法等、法的規制に基づく各種許可、登録ならびに認可等を受けております。 今後、これらの法的規制の要件を満たすことができなかった場合には、事業活動に制約を受けるため、業績に影響が生じる可能性があります。 管理委託費の低下傾向は依然として継続しており、コスト削減要請に伴う管理仕様の見直しや契約更新時の値下げ要請による価格水準低下により、業績に影響が生じる可能性があります。 店舗の開店希望者に対しては、面談を通じて事業計画や資金計画等の把握を行っており、管理物件については預り保証金を受領しております。 不動産所有者に対しては、賃借契約に際して差入保証金を預託するため、審査及び与信管理を徹底しております。しかしながら、不動産所有者の倒産等により多額の差入保証金を回収できなかった場合には、業績に影響が生じる可能性があります。 店舗転貸借事業では、店舗造作物売買における「古物営業法」、不動産取引における「宅地建物取引業法」及び「建築基準法」等の法的規制を受けております。 今後、これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制が強化された場合、業績に影響が生じる可能性があります。 店舗転貸借事業では、新型コロナウイルス感染症のような感染症・伝染病の爆発的な流行に伴い、新規出店意欲の低下や転貸借契約の解約増加等により、売上高の減少や後継となる入居者が見つからず空き家が増加する可能性があります。また、テナントからの家賃減額要請や賃料収入が滞納又は回収不能となる可能性があります。株式会社テンポイノベーションでは、後継となるテナント入居者への営業や早期賃料回収及び家主等との賃料交渉等によりテナントからの賃料収入の滞納リスク等を事前に防止するよう努力しておりますが、大規模な感染症・伝染病の爆発的な流行が長期にわたる場合、業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。 不動産売買事業では、販売用不動産及び仕掛販売用不動産を保有しております。これらの不動産については、販売計画に基づいて適切な不動産管理を行っておりますが、当初の販売計画から大幅な乖離が発生する可能性があります。また、不動産は市場動向によっては滞留又は販売価格の見直しが発生する可能性があり、販売計画や不動産の市場価格に基づいて見直しが発生する可能性があります。この場合、不動産の評価損の計上等により、業績に影響が生じる可能性があります。 卸事業では、中国等を中心とした海外からの仕入を行っており、各地域の政治、経済、社会情勢の変化及び各種規制の動向等により、仕入が予定通りに出来ないリスクがあります。また、為替相場の大幅な変動があった場合には、業績に影響が生じる可能性があります。 卸事業では、適切な在庫管理と販売予測により、品切れによる販売機会ロス削減と過剰在庫の防止を行っておりますが、販売予測を誤った場合は在庫不足または過剰在庫となり、業績に影響が生じる可能性があります。なお、当該リスクに対し、当社において内部監査の充実等、子会社管理体制の強化を図っております。 商品の企画にあたっては、他社メーカーの特許権、商標権、意匠権等の侵害について細心の注意を払っておりますが、これらの権利を侵害したとして裁判等の紛争に至った場合には、多額の費用負担が発生し、業績に影響が生じる可能性があります。 卸事業が提供する商品において欠陥が生じるリスクがあり、製造物責任による賠償やリコール等が発生した場合は、顧客の信頼喪失を招くとともに、多額の費用負担が発生し、業績に影響が生じる可能性があります。 海外事業では、アジア地域を中心とした11ケ国に海外展開しており、予期しない法規制の改正、政情不安等により業績に影響が生じる可能性があります。 海外事業では、国を超えた人材の流動性を前提としているため、新型コロナウイルス感染症の拡大やパンデミックの発生に伴い、労働者の移動制限が長期に及ぶ場合には、業績に影響が生じる可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次の通りであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響下にあったものの、感染対策と経済活動との両立が進められたこともあり、個人消費、設備投資、及び雇用の動きに持ち直しがみられました。しかしながら、原材料・エネルギーの価格の上昇や、地政学的な分断による国際貿易の阻害により、世界的にインフレが進行し、更にこれを抑制するための各国の急速な高金利政策が、足元では金融システムの不安を惹起しています。わが国においても、記録的な円安はピークアウトしたものの、世界経済の下振れリスクや物価の高騰などから、依然として力強い景気回復への道筋は見通せない状況が続いています。 このような経済環境の中、移動体通信事業につきましては、通信事業者における、従来のブランドに加えた、オンライン手続のみに特化したブランドや格安ブランドを含めたマルチブランドでの市場への展開や、国から通信事業者に対する公正な競争環境の確保に向けた取組みの要請、また代理店に対する販売奨励金の算定体系変更など、事業環境の変化が依然続いております。こうした中、通信事業者は、携帯電話の販売だけでなく、金融サービス、ポイントサービスやスマートフォンを利用した決済サービスを連携させながら提供する事により、ARPU(1契約あたり収入)の向上や、長期的な顧客基盤の維持・拡大に引き続き注力しております。 また、当社は、2022年12月7日、通信事業者であるKDDI株式会社(以下、「KDDI」という。)と資本業務提携契約を締結いたしました。これまでの両社の良好な関係と実績を基礎として、当社とKDDIは、「コミュニケーションを基盤とする豊かな社会の実現による持続的な事業成長」を図るため、コンシューマ向けKDDIのサービスに関する事業において、両社の有する事業基盤・資産及びノウハウを活用し、高い販売力の実現と顧客基盤の強化を目指すとともに、通信を中心としたサービス提供、及び店舗を活用した社会貢献等を通じ、両当事者の中長期的な企業価値を向上させていくことに合意いたしました。 人材派遣事業につきましては、有効求人倍率が緩やかに上昇し、派遣従業員の実稼働総数は新型コロナウイルス感染症禍前の水準まで回復しております。一方で、在宅勤務や時差通勤など働き方の多様化が進み、市場が求める労働力と就業希望のニーズが一致していない状況が継続しております。 ビルメンテナンス事業につきましては、オフィスビルや医療機関、マンションなどの施設において継続的なメンテナンスサービスが求められており、また、高度経済成長期に建設されたオフィスビルやマンションの老朽化が進んでいる状況下、建替えが難しい場合の相応のメンテナンスに対する需要も発生しております。 店舗転貸借事業および不動産売買事業につきましては、外食業界において、3年ぶりとなる行動・営業制限のない盆休み及び年末年始や、10月から実施された「全国旅行支援」、水際対策の大幅緩和によるインバウンド増加等により、売上高、来客数が大幅に回復しましたが、利益面では原材料と光熱費の高騰もあり、厳しい状況となりました。また、夜間来客と法人需要の戻りは鈍く、引き続き飲酒業態において回復の遅れがみられました。東京主要地域の不動産市況については、1月以降、インバウンドを含む人流の回復が進み、テナント募集も全体的に落ち着きが確認できる一方で、ブランド力に乏しい駅外周部等の店舗物件、固定費が膨らむ大型の店舗物件や集客面に課題がある空中階の店舗物件は、出店需要に弱さが残る状況が継続しました。 卸事業につきましては、文具・生活用品等の企画・販売では、在宅勤務の定着により法人向けの需要が低迷しましたが、趣味の多様化やSNSの利用者増加等により、筆記具や雑貨を中心とした個人向けの需要が堅調に推移しました。但し、一方では、原材料・エネルギー価格の上昇や、円安の進行と長期化など、先行き不透明な状況も続いております。自然派化粧品の企画・販売では、環境を重視したライフスタイルを意識した消費者の増加、サスティナビリティやSDGsへの社会的な関心の高まり等により、国内の自然派・オーガニック化粧品への需要は堅調でありますが、国内の化粧品市場の新型コロナウイルス感染症禍前までの回復の程度が緩やかであることや、化粧品に対するニーズの多様化により、今後、商品開発や販売方法について、他社との差別化が求められております。 海外事業につきましては、新型コロナウイルス感染症による、国境を超えた労働者の移動制限が緩和されてきたこともあり、需要は回復しつつあります。ただし、低価格を売りにした競合他社の台頭により、競争が激しくなっております。 このような事業環境の下、当連結会計年度の連結業績は、売上高48,380百万円(前年同期比6.8%増)となりました。損益面におきましては営業利益2,272百万円(前年同期比9.4%減)、経常利益2,432百万円(前年同期比9.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,175百万円(前年同期比20.4%減)となりました。 セグメント別の概況は、次の通りであります。 移動体通信事業においては、新店舗の開店や、2022年12月に、株式会社モバイルドリームの全株式を取得し子会社化したことにより、増収となりました。 損益面においては、店舗増加に伴う人件費、地代家賃、販売促進費等の販売費及び一般管理費の増加により減益となりました。 この結果、当該セグメントの売上高は19,323百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は545百万円(前年同期比38.5%減)となりました。 人材派遣事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていたクライアント企業からの需要が回復傾向にあり、増収・増益となりました。 この結果、当該セグメントの売上高は2,451百万円(前年同期比11.9%増)、営業利益は54百万円(前年同期は3百万円)となりました。 ビルメンテナンス事業においては、スポット案件の減少等により減収となりました。 損益面においては、販売費及び一般管理費の減少により、増益となりました。 この結果、当該セグメントの売上高は5,914百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は394百万円(前年同期比16.4%増)となりました。 店舗転貸借事業においては、当連結会計年度における新規契約件数及び後継付け件数(閉店した店舗に対し新規出店者と転貸借契約を締結したもの)の転貸借契約件数の合計は482件となりました。また、当連結会計年度末における転貸借物件数は合計2,216件となりました。 この結果、当該セグメントの売上高は12,193百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は961百万円(前年同期比32.9%増)となりました。 不動産売買事業においては、店舗転貸借事業を更に推進する為に、不動産業者とのリレーションシップ強化を目的として、店舗不動産の仕入販売や建築販売を行っております。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により市場が不活発化する中、5物件を売却、8物件を取得し、当連結会計年度末における保有物件数は6件となりました。 この結果、当該セグメントの売上高は876百万円(前年同期比9.6%減)、営業利益は250百万円(前年同期比34.7%増)となりました。 卸事業においては、主に文具・生活用品等の企画・販売について、アウトドア商品への需要が落ち着く中、激しい円安や原材料費等の価格高騰への対応のため、販売価格の値上げを実施し増収となりました。 損益面においては、円安や原材料費の価格高騰の影響を強く受けたことに加え、構造改革に向けた在庫処分の実施もあり、営業損失を計上しました。 この結果、当該セグメントの売上高は7,211百万円(前年同期比0.2%増)、営業損失は25百万円(前年同期は営業利益は292百万円)となりました。 海外事業においては、東南アジアにおける現地での従業員の採用件数が増加したことや平均単価の上昇、為替変動の影響により、増収・増益となりました。 この結果、当該セグメントの売上高は472百万円(前年同期比35.8%増)、営業利益は86百万円(前年同期比24.9%増)となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べて5.9%増加し、16,385百万円となりました。これは、主として売掛金の増加(218百万円)、商品の増加(365百万円)等によるものであります。 固定資産は、前連結会計年度末に比べて19.2%増加し、14,333百万円となりました。これは、主として差入保証金の増加(725百万円)等があったことによるものであります。 流動負債は、前連結会計年度末に比べて17.2%増加し、10,026百万円となりました。これは、主として短期借入金の増加(950百万円)等があったことによるものであります。 固定負債は、前連結会計年度末に比べて8.6%増加し、8,203百万円となりました。これは、主として長期預り保証金の増加(670百万円)等があったことによるものであります。 純資産は、前連結会計年度末に比べて9.7%増加し、12,489百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加(994百万円)等があったことによるものであります。 主に移動体通信事業や店舗転貸借事業の増収により、売上高は前連結会計年度に比べて6.8%増加し、48,380百万円となりました。 主に移動体通信事業における販売管理費の増加等により、営業利益は前連結会計年度に比べ9.4%減少し、2,272百万円となりました。 営業利益の減少等により、経常利益は前連結会計年度に比べて9.0%減少し、2,432百万円となりました。 販売管理費の増加による営業利益率の悪化等により経常利益率は前連結会計年度に比べて0.9%減少し、5.0%となりました。 被支配株主に帰属する当期純利益の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて20.4%減少し、1,175百万円となりました。 最近5年間における売上高経常利益率の推移は、以下のとおりであります。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ277百万円減少し、7,008百万円となりました。キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。 営業活動の結果獲得した資金は1,590百万円(前年同期は2,228百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益(2,377百万円)、預り保証金の増加額(660百万円)、法人税等の支払額(1,203百万円)等があったことによるものであります。 投資活動の結果使用した資金は2,053百万円(前年同期は725百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出(223百万円)や連結範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出(1,258百万円)等があったことによるものであります。 財務活動の結果獲得した資金は56百万円(前年同期は871百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の純増額(950百万円)、長期借入金の返済による支出(248百万円)、子会社の自己株式の取得による支出(806百万円)等があったことによるものであります。 手段によって得られた資金により、新規出店及び既存店舗の改装に係る設備投資等を行っております。 なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載の通りであります。 また、過去3年のフリーキャッシュ・フローの推移については以下の通りであります。 株主還元につきましては、財務の健全性に留意しつつ、配当政策に基づき実施しております。 達に関しては問題なく実施可能と認識しております。 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要としておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。 ては、収益性の低下の事実を反映するために、処分見込価額まで帳簿価額を切下げております。 場合には、評価損の計上が必要となる可能性があります。 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。 当社は、1994年4月1日に日本移動通信株式会社(現、KDDI株式会社。以下「KDDI」という。)と代理店契約を締結しております。契約内容は次の通りであります。 当社が直営拠点を設置する場合には、KDDIに対してその旨を書面で申し出た上、事前にKDDIの承認を得ることとなっております。 販売活動を行うに当たり、KDDIの商標・意匠・その他標章を使用する場合は、事前にKDDIの承認を得ることとなっております。 本契約の各条項に著しく違背した場合や、本契約の円滑な履行が困難となった場合などには、KDDIは催告を要さずに通知のみをもって、本契約を解除できることとなっております。 本契約の有効期限内といえども、解約希望日の3ヶ月前迄に書面で相手方に通知することにより、本契約を解約できることとなっております。 当社は、2022年12月7日にKDDIと、資本業務提携契約を締結しております。契約内容は次の通りであります。 当社の普通株式420,000株(議決権数4,200個)を処分し、2023年1月31日にKDDIがその全てを引き受けました。 両当事者は、両当事者の企業価値の向上を図ること等を目的とし、以下に定める事項について業務の提携を実施することとなっております。 該当事項はありません。
木村化工機株式会社
# 木村化工機株式会社 木村鉛工所を大阪市西淀川区大和田町に創業し、鉛工事の請負及び硬鉛製機器の製造を開始。 尼崎市杭瀬に工場を新設・移転し、木村鉛鉄機械工業所と改称。鉛管・鉛板等鉛についての一貫体制を完備するとともに化学機械用各種装置メーカーとして独自の地歩を確立。 原子力利用関係機器・装置の設計・製作を開始。 化学機械装置の実験研究所を尼崎工場内に設置。 大分県鶴崎に大分工場を新設。 木村化工機株式会社に商号変更。 尼崎工場の製罐工場を増設。 資本金を10億3千万円に増資。 株式を大阪証券取引所市場第一部に指定替え上場。 株式を東京証券取引所市場第一部に上場。 静岡工場新設。 子会社 三原木村工機株式会社(2017年10月1日付吸収合併)を設立。 尼崎工場内に本社事務所を新設。 子会社  株式会社サモンド・サービス(2017年10月1日付吸収合併)を設立。 尼崎工場の事務所・厚生施設の建替・新築。 本社事務棟を増設。 尼崎工場製缶・工作棟建替。 フォレコ株式会社の株式を取得(現  連結子会社)。 監査等委員会設置会社へ移行。 尼崎工場製缶第三工場・実験棟建替。 株式を東京証券取引所スタンダード市場に移行。 開発棟建替。 当社グループ(木村化工機株式会社(当社)、連結子会社1社(2023年3月31日現在)により構成)においては、エンジニアリング事業、化工機事業及びエネルギー・環境事業の3事業を行っており、その製品の種類は多岐にわたっております。各事業における当社グループ会社の位置付け等は次のとおりであります。 なお、次の3部門は「第5  経理の状況  1  (1) 連結財務諸表  注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 当部門においては、蒸発装置、蒸留装置、晶析装置、洗浄装置、攪拌機、圧力容器タンク、ステンレス・鉄・樹脂の配管工事等の設計、製作、加工並びに販売と、これら製品の設置並びに付帯工事を行っております。 当部門においては、プラント設備・機器類の関連工事(製作、既設撤去、据付、配管、塗装、保温、試運転調整)及びメンテナンス工事等の管理、請負施工を行っております。 当部門においては、核燃料輸送容器及び格納装置、核燃料濃縮関連機器、放射性廃棄物処理装置、放射線遮蔽設備及び実験設備等の設計、製作、加工並びに販売と、これら製品の設置並びに付帯工事を行っております。 フォレコ㈱(連結子会社)は、当部門に係る製品の製造及び工事を行い、販売しております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。 当社グループには、JAM木村化工機労働組合が組織(組合員数 234人)されており、JAMに属しております。 なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは「努力・調和・忍耐」を社是とし、「価値ある技術・製品・サービスを提供することによって顧客のニーズと期待に応え、健全な企業活動を通じて社会の発展に貢献する。」ことを企業理念としております。 そのため、「顧客第一、人間尊重、変革への挑戦、法の遵守 ~すべては、すべてのために~」を行動指針とし、顧客が満足し安心して使用できる品質の製品とサービスを提供すると共に、製品の研究開発、生産、販売からメンテナンスに至るまでの事業活動のあらゆる段階において、関連する顧客及び従業員と環境の安全性の確保に最大限の努力を傾注することを製品安全に関する基本理念として活動しております。 今後のわが国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の動向に景気が左右されない状況への移行が進む一方で、世界的な金融引締めが続く中、海外景気の下振れがわが国に与える影響および物価上昇、供給面での制約等の影響に十分注意する必要があります。このような中で、当社は令和6年に創業100年を迎えますが、当社が保有する技術の認知度向上を図るとともに、歴史や伝統に安住することなく、未来志向の視点から顧客の期待とニーズに応え、社会の発展に貢献していくことが当社の使命であると考えております。 このような認識に立ち、令和4年度から令和6年度までの第13次中期経営計画のスローガン「創業の想いを未来へつなぎ、夢を創ろう!」のもと、業績目標である売上高230億円、経常利益12億円以上の確保を目指してまいります。 この目標達成に向け、新たな技術の開発に注力し、保有技術については応用可能な分野を開拓するとともに、未来を拓く人材育成に努めてまいります。 エンジニアリング事業につきましては、設計・製作・調達・現地工事・工程管理・試運転までを一貫して行うプラントエンジニアリング(EMPC)方式でのさらなる受注および利益の拡大を図るとともに、特に脱炭素・循環型社会の実現に向け地球温暖化対策として有効であるCO2排出量を大幅に削減する省エネ型蒸留・蒸発装置、機器等の継続的な改良・開発および受注拡大に向け積極的に営業展開してまいります。また、当社が総合プラントエンジニアリング会社であることの認知度を向上させるべく、今後も各種媒体を通じて情報を発信してまいります。 化工機事業につきましては、営業力の強化を継続し、新規顧客の開拓、顧客の情報収集およびその共有化を行い、受注およびメンテナンスエリアの確保・拡大に一層注力いたします。また、コスト競争力の強化、顧客満足度の高い製品の提供や技術力および工事遂行能力の向上、協力会社との良好な関係構築、動員力のさらなる強化および顧客動向や社会環境の変化に対応できる体制の構築を進めるとともに、人材の確保および後継者の育成に取り組んでまいります。 エネルギー・環境事業につきましては、原子力発電所関連では、許認可を要する周辺装置の製作・保守・保全業務の受注、福島第一原子力発電所関連では、廃炉・廃止措置対応としての燃料デブリ処理のための分析セル施設関連業務および原子炉周りの除染・解体工事、遠隔保守対応の設計・製作業務に関する受注、核燃料サイクル関連では、青森県六ヶ所村の再処理工場、MOX燃料加工工場の竣工に向けた耐震基準および火災・爆発対応の見直し設計・改造等の新規制基準対応業務および現地での改造工事の受注に注力いたします。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは「価値ある技術・製品・サービスを提供することによって顧客の期待とニーズに応え、健全な企業活動を通じて社会の発展に貢献する。」との経営理念の下、環境問題などの社会的課題への取組みや、人材育成・労働環境の整備など、サステナビリティに関する様々な課題について、随時、経営会議において議論し、重要なものは取締役会で決定しております。 また、当社グループコンプライアンス・マニュアルを策定し、法令等の遵守はもとより、人権の尊重や環境の保全に対する意識を役職員に徹底するとともに、コンプライアンス委員会を設けてコンプライアンスを重視する企業風土を確固たるものとすることに努めております。 当社グループは、サステナビリティの実現のためには、当社グループとして企業の社会的責任を果たすことが重要であると認識しております。特に、脱炭素・循環型社会の実現に向け、地球温暖化対策として有効なCO2排出量を大幅に削減する省エネ型蒸留・蒸発装置、機器の継続的な改良・開発に努め、また、当社が本社を置く尼崎市による、地域に必要なエネルギーを再生可能エネルギー等地域のエネルギー資源によってまかなう「エネルギーの地産地消」の取組みに当初から賛同し、同市クリーンセンターで発電された余剰電力をCO2排出量ゼロのクリーンな電気として購入するなど、脱炭素社会の実現に向けて積極的に取り組んでおります。 また、当社グループは、2022年度から2024年度までの第13次中期経営計画において「創業の想いを未来へつなぎ、夢を創ろう!」をスローガンとして掲げ、新たな技術の開発に注力し、保有技術については応用可能な分野を開拓するとともに、未来を拓く人材育成に努めることとしております。 この実現に向け、当社グループは、多様な人材を確保するためキャリア採用を強化するとともに、人材基盤を強化するため、2021年11月から人事制度改革に取り組んでおります。この制度改革のねらいは、社員の自主・自律的な成長・キャリアアップを図り、自ら課題を見つけ挑戦する人材に活躍の機会を提供し、働き甲斐のある職場づくりを目指すものです。働き甲斐のある職場づくりについて、多様な人材が能力を発揮し、活躍できる環境整備を目標としております。特に、男性の育児休業取得を積極的に推奨すること及び育児休業後の復職環境を整備し、全社員へ活躍の機会を提供することが、目標達成へつながるものと考えております。 知的財産に関して当社グループは、新たな技術の開発に注力するとともに、保有する特許権を主として自社技術の防衛のために活用しておりますが、近年は特定の目的に特化したプロセスや設備に関する顧客との戦略的な共同出願にも力を入れており、これらを活用した特定の分野での受注を考えた活動をしております。今後は、他社へのライセンス供与をも視野に入れながら、特許戦略を策定・実践し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。 当社グループは、サステナビリティに関する課題をはじめ経営に関わる様々な課題について、経営会議及び取締役会で議論し決定しており、監査等委員会設置会社として、独立社外取締役2名を含む監査等委員会が業務執行状況等の監査を行っております。各課題の意思決定に際しては、事前に関連部署においてリスクの抽出・評価・検討を行うこととする体制を整備し、また、当社グループ経営全般に関する主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析を行い、取締役会に報告する体制を整えております。 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当社グループに関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。 当社グループの主要な受注先である化学・繊維・医療・食品関連等の業界の経済情勢の変動により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。具体的には、当社グループの主な製品である化学機械装置及び原子力を含 むエネルギー・環境関連機器はすべて受注生産であり、その需要は国内の設備投資動向の影響を受け、特に設備投資計画の延期又は中止は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 エンジニアリング事業を中心に展開しておりますプラントエンジニアリングは、プラントの企画・提案、設計、調達、製作、工事、施工管理、試運転という一連の業務を受注するビジネスモデルです。案件によっては大規模かつ施工期間が長期間に及び、納期・工期遅延、労働者確保が困難となる可能性があり、コストが増加するリスク、技術的な問題や品質問題が発生するリスクがあり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループのエネルギー・環境事業は、国家の政策による影響が大きく、事故の発生、世論の変化などの外的要因による国策の変更により、当社グループの経営成績及び財務状況が大幅に影響を受ける可能性があります。 当社グループは、豊かな経験とノウハウで信頼性の高い製品の製造を目指すとともに、製品について品質管理体制を整備し、高い品質の確保・維持に努めております。しかしながら、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性は皆無ではなく、そうした重大な事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、法令の遵守及び契約の履行等に努めておりますが、事業活動を行う中で知的財産権、製造物責任等の重大な訴訟が提起された場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、投資有価証券として時価のある上場株式を保有しておりますが、株式市場の低迷や経営状況の悪化・破たん等により、保有する有価証券の評価額が減少し、回復の見込みのない場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、大地震、台風、津波、洪水、火災等の予期せぬ災害による損害の発生及び拡大を防ぐため、防災設備の整備や点検、訓練などを定期的に行い、また、損害の発生に備えて損害保険の付保、安否確認システムの導入、資金調達手段の確保等の対策を講じておりますが、こうした災害による人的・物的被害により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、感染症に対して、社内規程・対策行動マニュアルに基づき、感染対策本部を設置し、従業員や家族の安全と健康を最優先にした感染症予防策として在宅勤務、通勤時間帯の変更、来訪者管理の徹底(従業員だけでなく、取引先も含めた感染防止対策の協力)などを行うことにより、事業継続に対する影響の最小化を図る体制を整えております。ただし、当社グループの従業員を含めた感染症が拡大し、事業活動が制限される事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは「技術基盤」「営業基盤」「組織基盤」の強化及び各基盤の基礎となる「技術者の確保と育成」を最重要課題と認識し、有為な人材の確保・育成に努めておりますものの、技術者等の専門人材が不足し、事業の縮小又は事業の継続に支障が出る場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、顧客の与信管理について、定期的に信用情報調査を行っております。また受注条件及び受注予定先企業に関する情報を収集することにより経営リスクの有無の判定を行い、その上で社内規程に基づき受注の可否を判断しておりますが、顧客が業績不振により信用不安に陥った場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、顧客や協力会社の企業情報、当社グループの開発情報、取引先(顧客及び仕入先)、株主、従業員の個人情報等、製造・研究開発に関する技術情報、及び会計を含む企業の財務情報等の情報資産を保有・管理しております。これら情報資産の安全対策に関しては情報セキュリティ委員会を設け、情報セキュリティ管理を遂行するためのリスク評価、リスク管理はもちろんのこと、情報セキュリティ規程及び実施要領の見直しや利用者への普及・啓発を行っております。 しかしながら、情報セキュリティに対する侵害(不正アクセスによる情報漏洩、利用者による情報漏洩、ウイルス感染、なりすまし、使用不能攻撃、ハードウエア紛失等)やシステム・ネットワークの障害・故障、損壊(電源異常、熱暴走、天災による機器損壊等)等の被害が発生した場合、顧客等に多大な損害・損失を与えるだけでなく、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、各種政策の効果や行動制限の緩和等により社会・経済活動の正常化が進み、景気は緩やかながらも持ち直し基調で推移しました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰および急速な円安の進行による物価上昇、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の減速懸念等、依然として先行き不透明な状況が続きました。 また、当社の業績に影響のある国内向け設備投資につきましては、同感染症長期化の影響や資源・エネルギー価格の高騰による企業業績の下押し要因が多く、景気の先行きに対する不透明感も続き、設備投資への慎重姿勢が維持されましたが、景気に左右されづらい情報化投資や研究開発投資、脱炭素に向けた環境対応投資等が下支えとなり、コロナ禍で先送りしていた投資を再開する動きも一部でみられる等、底堅く推移しました。 このような状況のもと、受注高は 26,784百万円と前連結会計年度に比べ 4,666百万円の増加(+21.1%)となりましたが、売上高は 21,553百万円と前連結会計年度に比べ 3,036百万円の減少(△12.3%)となりました。 損益面につきましては、営業利益は 1,736百万円と前連結会計年度に比べ 939百万円の減少(△35.1%)、経常利益は 1,797百万円と前連結会計年度に比べ 970百万円の減少(△35.1%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は 999百万円と前連結会計年度に比べ 968百万円の減少(△49.2%)となりました。 セグメントの業績は、次のとおりであります。 化学機械装置の設計・製作・据付工事を行うエンジニアリング事業につきましては、設計・製作・調達・現地工事・工程管理・試運転までを一貫して行うプラントエンジニアリング(EMPC※)方式での受注拡大および省エネ型であり、また、脱炭素・循環型社会の実現に向け地球温暖化対策として有効であるCO2排出量を大幅に削減する蒸留・蒸発装置、機器等の受注拡大を図るべく、当社が得意とする固有技術を前面に打ち出した企画提案を積極的に展開いたしました。 その結果、受注高は 8,476百万円と前連結会計年度に比べ 668百万円の増加(+8.6%)となりましたが、売上高は 8,096百万円と前連結会計年度に比べ 3,411百万円の減少(△ 29.6%)となり、セグメント利益(営業利益)は 245百万円と前連結会計年度に比べ 1,189百万円の減少(△82.9%)となりました。※「EMPC」とは、プラント建設業界では一般的に知られている「EPC」(設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の略)に製造(Manufacturing)の「M」を加えた当社造語(商標登録済み)であります。 化学機械装置の現地工事・メンテナンス業務を行う化工機事業につきましては、主要製品の製造設備改修、製造基盤を整備するための基盤強化工事に加え、高機能・高付加価値商品の増産対応を行う企業も一部ではみられましたが、製品原価の上昇や半導体等の不足による生産制約が続く中、顧客の多くは設備投資に対する慎重な姿勢を維持したため、既存設備の安定稼働のための定期修理およびメンテナンス工事が主となり、当該工事の受注確保を最優先に大型の新設・増設工事の受注拡大および工事の円滑な進捗に取り組みました。 その結果、受注高は 11,152百万円と前連結会計年度に比べ 2,968百万円の増加(+36.3%)、売上高は 8,576百万円と前連結会計年度に比べ 253百万円の増加(+3.0%)となり、セグメント利益(営業利益)は 993百万円と前連結会計年度に比べ 104百万円の増加(+11.8%)となりました。 原子力を含むエネルギー・環境関連機器の設計・製作・据付工事を行うエネルギー・環境事業につきましては、安全審査が終結した原子力発電所の再稼働に向けた業務、福島第一原子力発電所関連の廃炉・廃止措置に向けた各種装置・除染対応業務、および核燃料サイクル施設では青森県六ヶ所村でのMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)加工工場の竣工に向けた新規制基準対応業務や仕様変更に伴う現地での追加工事を受注すべく営業活動を展開いたしました。 その結果、受注高は 7,156百万円と前連結会計年度に比べ 1,028百万円の増加(+16.8%)、売上高は 4,880百万円と前連結会計年度に比べ 120百万円の増加(+2.5%)となり、セグメント利益(営業利益)は 496百万円と前連結会計年度に比べ 145百万円の増加(+41.3%)となりました。 流動資産は 21,404百万円と前連結会計年度末に比べ 307百万円の微増(+1.5%)となりました。 固定資産は 8,751百万円と前連結会計年度末に比べ 330百万円の微増(+3.9%)となりました。 この結果、総資産は 30,155百万円と前連結会計年度末に比べ 638百万円の微増(+2.2%)となりました。 流動負債は 11,186百万円と前連結会計年度末に比べ 115百万円の微増(+1.0%)となりました。 固定負債は 3,544百万円と前連結会計年度末に比べ 211百万円の減少(△5.6%)となりました。これは主として、長期借入金が 315百万減少したことによります。 この結果、負債合計は 14,731百万円と前連結会計年度末に比べ 95百万円の微減(△0.6%)となりました。 純資産合計は 15,424百万円と前連結会計年度末に比べ 733百万円の増加(+5.0%)となりました。 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は 51.1%となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により 3,407百万円増加、投資活動により 589百万円減少、財務活動により 770百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ 2,059百万円増加し、当連結会計年度末には 7,628百万円となりました。 当連結会計年度において営業活動により資金は 3,407百万円増加し、前連結会計年度の 214百万円の流出から 3,622百万円変動し、流入に転じました。主な要因は、前受金の増加であります。 当連結会計年度において投資活動により資金は 589百万円減少し、前連結会計年度に比べ 438百万円流出が増加しました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出の増加であります。 当連結会計年度において財務活動により資金は 770百万円減少し、前連結会計年度に比べ 252百万円流出が増加しました。主な要因は、長期借入れによる収入の減少であります。 今後のわが国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の動向に景気が左右されない状況への移行が進む一方で、世界的な金融引締めが続く中、海外景気の下振れがわが国に与える影響および物価上昇、供給面での制約等の影響に十分注意する必要があります。 当社グループの業績に影響のある国内向け設備投資につきましては、原材料価格の高騰、半導体の供給制約などを背景とし、依然として不透明な状況が続くと想定しております。 なお、当社において、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構原子力科学研究所の定常臨界実験装置(STACY)施設の機器製作に係る当社尼崎工場における不適合の発生があり、独立した専門家を含めた調査委員会を設置し、調査を行いました。当該調査結果を踏まえ、再発防止の徹底に努めてまいります。 このような状況のもと、当社グループの業績は、売上高 22,700百万円、営業利益 1,240百万円、経常利益 1,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益 960百万円を予定しております。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって留意すべき事項の詳細につきましては、「第5  経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりでありますが、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらの見積りには不確実性を伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。経営者が当社グループの業績に重要な影響を及ぼすと認識している事項は以下のとおりであります。 工事契約については、当事者間で合意された実質的な取引の単位に基づいて、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当連結会計年度の工事収益を認識しております。なお、工事進捗度の見積方法は、発生原価に基づくインプット法によっております。製品の販売については製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、製品の引渡時点で収益を認識しております。収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、プロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。 受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を工事損失引当金に計上しております。なお、工事施工の途中において、予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2  事業の状況」の 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 当社グループの経営戦略と対処すべき課題」 及び 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」 をご参照下さい。 当社グループは、十分な手元流動性を有しており、運転資金及び設備投資資金は主として自己資金より充当し、必要に応じて金融機関からの借入れを実施することを基本方針としております。なお、今後、当社の成長のために発生する資金需要につきましても、当該基本方針に基づき、主に自己資金より充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施する予定です。 該当事項はありません。 当社グループ(当社及び連結子会社)は、自社が得意とするプラント・エンジニアリングや喫緊の課題であるCО2削減に直結する省エネルギープロセス、材料技術(材料選定、腐食・防食技術、設備診断)を軸として、将来の市場環境を見据えた積極的な研究開発活動を展開しております。 これら研究開発には大学との共同研究や産学官連携事業の活用、ユーザーと密接に連携した技術開発を行うことが必要であり、中長期的なテーマに関しては各事業部の営業・技術部門、製造部門と連携しながら推進しております。その促進機関として、全社の開発テーマや新技術を対象とした総合開発委員会を設けております。また、短期的には、各事業部が日常的な用途開発を協力機関企業や開発部と連携しながら、中期経営計画の業務別施策の中で実施しています。 分野としては、脱炭素社会の実現や炭素循環に寄与する省エネルギー技術やバイオマス利活用技術、窒素循環型社会に貢献する環境リサイクル技術、その他、材料技術に関する技術開発を行っています。 研究開発従事者は、各事業部技術部門を含めると約15名となり、これは総従業員数の約4%に当たります。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は144百万円であります。 当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発状況及び研究開発費は次のとおりであります。 長年の経験に基づき、様々な角度からお客様の設備や工場を検証し、省エネルギー効率が高く、最小の設備投資費用で短期間にコスト回収が可能となる提案をしております。また、当社の強みは工場のプロセスに踏み込んだ提案ができることであり、具体的にはプロセスの蒸発濃縮工程や蒸留工程に最新式の高効率のヒートポンプや蒸気圧縮機を効果的に組み込んだ電化による画期的な省エネの提案を行っています。 広い分野に利用できる水熱反応技術について、有機物の高速加水分解、抽出操作、有機反応、無機物の改質、分野で納入実績があります。最近の傾向としては、非可食性バイオマスから有効成分を抽出して高付加価値製品へ転換する用途、また、無触媒での水和反応や無機材料の改質等の用途での市場展開を図っています。 分子の大きさで分離する膜分離・濃縮は、熱を使い相変化が必要な蒸発濃縮に比べ、画期的な省エネ効果を生み出すことが可能となります。この技術は環境、エネルギー、食品、水、医療・医薬等に直結した技術であり、ユーザーのプロセスラインや廃液処理に適用することで、省エネかつ、経済的に有価物の回収や分画などを行うことができます。さらに、当社の主力製品である蒸発濃縮装置や高効率のヒートポンプ式およびMVR式蒸留装置と組み合わせ、さらに競争力を向上させることが可能です。様々な分野で実績を積み重ねており、将来の省エネルギー設備の強力な武器にするべく、更なる技術開発に取り組んでおります。 排水等に含まれる低濃度のアンモニア回収効率を飛躍的に向上させた設備の提案を行っております。現在、低濃度のアンモニア排水は環境基準以下に希釈して放出されるか分解処理されており、窒素資源として有効活用されていません。アンモニアは水素キャリアや発電の燃料として注目されております。当社はNEDOプロジェクト(脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム)に採択され、上述の膜分離技術や高効率アンモニア回収装置を組み合わせることで、窒素資源を高効率、かつ省エネで回収する技術の実用化開発に取り組んでおります。 化学プラントで用いられる樹脂と金属等の異種材料の接着技術の施工性改善技術の開発に取り組んでおり、樹脂であるポリプロピレンを耐食材料、ガラス繊維強化プラスチックを強度部材とした異種材料の接着施工性の改善で成果を挙げております。更に耐食材料であるビニルエステル樹脂(KS樹脂)や耐熱塩ビと金属材との接着施工技術の改善や金属材の溶接品質、溶接能率向上のための改善にも鋭意取り組んでおります。 上記に係る研究開発費は、53百万円であります。 地方自治体や電力会社等から外部電源不要で放射性物質を高効率で除去できる空気浄化システムの開発要望を受け、経済産業省の「原子力産業基盤強化事業補助金」を活用して新しいフィルタシステムを開発しております。本システムはスクラバ技術(特許取得済み)やその他の特有技術を組み込んでおり、コンパクトで高効率のためトラック1台に全ての機器を搭載できる車載型で、事故時にはどこにでも移動可能です。原子力施設向けの常設設備や地方自治体向けの緊急対策設備として販売を開始する予定です。 上記に係る研究開発費は、 91百万円であります。
工藤建設株式会社
# 工藤建設株式会社 当社グループは、当社及び関連会社2社で構成され、建設工事・土木工事の請負、不動産の売買・賃貸、建物総合管理事業及び高齢者向け介護事業を主な事業とし、さらに各事業に関連する事業を行っております。 当社グループの事業に係る位置づけ及びセグメント情報との関連は、次のとおりであります。なお、セグメント情報に記載された区分と同一であります。 建設・土木工事の設計・施工・監理及び請負、戸建住宅の設計、施工及び請負を行っております。なお、関連業務を行う関連会社1社((㈱東洋リース)がございます。 土地、建物の販売を行っております。 建物の保守点検・管理事業・家賃収納代行など建物総合管理業務並びに賃貸業務を行っております。なお、賃貸事業に付帯する管理等については、関連会社1社(㈱日建企画)が行っております。 介護保険法に基づく高齢者向け介護事業のうち、主に介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)の運営を行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であります。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 当社は創業以来、神奈川・東京を収益基盤とし、土木工事、建築工事、マンション分譲事業、住宅事業、建物管理事業、介護事業と、時代の変化に柔軟に対応しながら事業領域を変化させてまいりました。従来からのコアビジネスである「建設・住宅」の収益基盤の強化を図りつつ、神奈川・東京に住まわれる「地域の人々に対して全ライフステージにわたって居住し続けられる“住まい”を提案する生活舞台創造企業」として事業展開を図ることで、株主の皆様をはじめとした関係者の皆様の期待に応えていくことを経営の基本方針といたしております。 建設業を取り巻く厳しい経営環境の中、株主価値を実現することが重要な課題であります。建設部門中心の現状を踏まえつつ、「生活舞台創造企業」として事業展開を図りながら、そのビジネスモデルを確立することを視野に入れ、収益力と資本力につきましては、次の指標を目標に置いております。 当社は、主要4部門の経営戦略のポイントを以下のとおりとしておりますが、経営環境の見通しが不透明であることなどから中期経営計画は公表いたしておりません。中期経営計画の公表につきましては今後の課題として検討してまいります。 建設部門におきましては、環境配慮・長寿命化といった資産価値の維持・向上に資する土地有効活用の提案を積極的に行ってまいります。 住宅部門におきましては、社員多能工の施工による大型地下室付き住宅・賃貸住宅を主力商品として、「住まい」を造るだけではなく、「住みがい」を提供し、顧客感動の実現に取り組んでまいります。 建物管理部門におきましては、既存管理物件による安定的な収益の確保と、管理物件の新規獲得を強化してまいります。 介護部門におきましては、高齢者施設の原点である要介護高齢者の「住まい」と「介護サービス」の両面から商品性を高めてまいります。 本社管理部門におきましては、人材育成の強化とキャッシュ・フローを重視した経営を行ってまいります。 わが国経済は、コロナ禍から景気の緩やかな持ち直しが続く一方で、エネルギーや原材料価格の高騰、ウクライナ情勢等の地政学リスク、金融市場の動向等様々な要因により、先行き不透明感が増しております。 建設業界におきましては、建設技術者や技能労働者の担い手不足、建設資材の高騰、労働環境の整備(長時間労働の是正等)といった課題を抱えております。また、介護業界につきましても、介護を必要とする高齢者の増加により、介護職員の人手不足といった課題を抱えております。 当社はこのような環境の下、持続的な成長を確実なものとし、安定的に収益を確保すべく、以下のとおり事業展開を図ってまいります。 公共投資は底堅く推移するものの、民間建設投資は厳しさが続くものと推測されます。今後の需要増加が見込まれる社会インフラや集合住宅等の老朽化に伴う防災・減災対策、維持・更新、リニューアル分野などの強化に取り組んでまいります。 低水準で推移する住宅ローン金利や政府による住宅取得推進策等の後押しはあるものの、人口及び世帯数の減少や空き家対策など住宅市場を取り巻く環境は大きく変化していくものと思われます。こうした環境変化に対応しつつ、地域密着型の営業体制を強化し、安定した受注確保と収益力の向上に取り組んでまいります。 保守並びに修繕工事部門の収益力向上、賃貸マンションを中心とした管理物件の着実な増加の実現によるストックビジネスの強化が重要な課題となっています。また、サブリース物件におけるテナントの退去あるいは賃料引き下げ要請への適時適切な対応、さらには、当社支払賃料の適正化による収支改善等、賃貸事業のリスク管理の強化に取り組んでまいります。 高齢者数の増加とともに、ますます介護ニーズが高まり、社会的な役割も大きくなってくると推測されます。介護サービス需要の拡大に伴う労働者不足への対応は重要な課題と認識しており、新卒採用の強化や従業員の処遇改善など職場環境整備を図っていくとともに、当社が運営する介護付き老人ホームの特徴である「確かな介護品質」、「きめ細かなリハビリテーション」、「安心の医療体制」、「こだわりの住環境」の提供に取り組んでまいります。また、新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行されましたが、引き続き感染防止対策には徹底して取り組んでまいります。 全体としては、事業競争力・収益力の強化とデジタル化等による生産性向上を図るとともに、ガバナンス強化、コンプライアンスの徹底を最重点課題と認識し、内部統制システムの整備を継続して推進してまいります。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 当社は、「地域の人々に対して全ライフステージにわたって居住し続けられる“住まい”を提案する生活舞台創 造企業」として事業展開を図ることにより、持続可能な社会と企業価値の向上を目指しております。その実現のためにサステナビリティ経営を重視し、サステナビリティに関する基本的な方針の策定、課題解決に向けた取り組み及び人的資本・知的財産への投資等は経営会議で審議したうえで、取締役会に諮ることとしております。 当社のリスク管理は、業務上のリスクを積極的に予見し、適切に評価することとし、コンプライアンス・リスク管理委員会において、リスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報の共有化を図っております。 また、施工工事における様々なリスクに対応するため、社内安全基準を策定しているほか、リスクアセスメントを含む「安全衛生マネジメントシステム」を運用し、労働災害防止に向けた取り組みを図っております。 当社は人材の多様性を尊重し、多様な人材の採用・登用が企業の持続的な成長と企業価値の向上につながると考え、性別や年齢・障がいの有無にかかわらず積極的に多様な人材の採用・登用に取り組んでいます。その中で女性の管理職への登用や障がい者の採用については、次の指標を用いて、数値目標を設定しております。 当社の将来を担う若手社員の能力開発、スキルアップを図るため階層別研修、安全衛生教育、技能講習、自己啓発支援、職種別研修等を実施しているほか、資格取得支援として外部講師による定期的なガイダンスと勉強会を開催しております。 2024年4月から適用開始となる「建設業の残業規制」等働き方改革関連法に対応するためのロードマップを策定し、働き方改革推進員会を中心に労働環境の整備及び生産性向上による労働時間の短縮等に取り組んでいます。 横浜市が従業員の健康づくりを経営的な視点から考え、戦略的に実践する「健康経営」に取り組む事業所を横浜健康経営認証事業所として認証していますが、当社は2023年2月に最上位区分である「横浜健康経営認証クラスAAA」の事業所として認定されるなど、社員が心身ともに健康でイキイキと活躍する職場を目指し、社員の健康増進活動に積極的に取り組んでいます。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 景気後退や建設市場の縮小等により、想定を上回る建設需要の減少や官公庁による公共事業の大幅な減少、住宅市場における需給状況や価格の大幅な変動等、建設・住宅市場における急激な環境の変化により受注額が大幅に減少した場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、建築物の長寿命化に資するリノベーション等の注力分野に経営資源を投入し、収益の拡大に取り組んでおります。また、当社の得意分野である戸建地下室に加え、コンセプト賃貸、木造ビル事業の取り組みを強化しておりますが、市場環境が想定を超える変化をした場合、経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 建設資材の急激な価格高騰や調達難、労務価格の高騰や建設技能労働者の不足等が生じることにより、工事採算の悪化等、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、営業部門と施工部門が連携して上昇する労務費・資材コストへの対応を図りつつ、効率的な施工体制を構築することでリスクの最小化に向けた施策を推進します。 品質保証責任を問われる建築物等の重大な欠陥、リフォーム事業における建築基準法令への不適合対応費用が発生した場合、多額の損害賠償、補修費用、社会的信用の失墜が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対応するため、法規制に適合する部材の使用、有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底しております。また、戸建住宅においては、長期保証制度を設け、きめ細やかなアフターサービスを提供するなど品質管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態や人為的ミスによる重大な品質問題等の発生を完全に回避することはできません。 施工工事において労働災害が発生し、工事の中止や遅延による工事原価の上昇、損害賠償、行政処分等による社会的信用の失墜が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対応するため、社内安全基準を策定しているほか、リスクアセスメントを含む「安全衛生マネジメントシステム」を運用し、労働災害防止に向けた取り組みを図っております。 当社は神奈川、東京に営業拠点を有しており、首都圏において地震、台風、大雨、大雪等の自然災害が発生し、やむなく業務を停止せざるを得なくなる場合や、建物や設備が損傷し、その修復に多大な費用が必要になった場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対応するため、事業継続計画(BCP)を策定しております。拠点ごとに緊急連絡体制を整備し、定期的な防災訓練の実施や、必要物資の備蓄、さらには大規模停電等による本社機能喪失を想定したデータ保存の二重化等に取り組んでおります。 当社の建設事業における土地所有者様、お施主様、入居者様、及び介護事業におけるサービス提供者様等に関する大量の個人情報を取扱っております。 当社では、全従業員を対象に、個人情報や機密情報の取扱いに関する研修を定期的に実施するほか社内体制を整備するなど、様々な機会でその重要性を周知徹底し、その取扱いには管理体制の充実と細心の注意を払い情報漏洩の防止に取り組んでおります。またシステム面では、ファイアーウォールの設置による社外からの不正アクセス防止、電子メール対策ではクラウドのセキュリティーシステムによるフィルタリングの実施、社員が使用するPCの操作ログ監視システムによるデータ流出防止等に取り組んでおりますが、万一個人情報の漏えい等が発生した場合、社会的信用の失墜、損害賠償請求等により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社の介護事業は、主に介護保険法の適用を受けるサービスの提供を行うため、サービスごとに自治体の指定を受ける必要があり、これらの法令には介護報酬減額や指定取消事由も定められており、コンプライアンスを徹底した運営が求められております。介護保険制度については、3年ごとに介護報酬の改定が行われることとされており、今後、介護報酬の引き下げ、介護サービス料金の自己負担割合の引き上げ等、介護給付費の伸びを抑えるための制度改正や報酬改定が行われた場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、リハビリ強化型ホームなど、差別化要素の明確化による施設の高稼働率を維持するとともに、介護職員の介護福祉士保有率等を向上させることで、各種高加算項目の取得により収益の向上を図ることにより、リスクの最小化に向けた施策を推進します。 当社は、建設事業においては建設業法、建築基準法、住宅品質確保促進法等、不動産事業においては宅地建物取引業法等、介護事業においては介護保険法、老人福祉法等の法的規制を受けております。 当社では、建設業法をはじめとした各種関連法令の事前確認を徹底するとともに、役職員、お取引先業者に対して法令遵守の啓発活動及び遵守状況のモニタリングを実施しておりますが、今後、コスト増加や事業上の新たな制約につながる法的規制の新設や改廃、適用基準の変更等があった場合、又は法的規制による行政処分等を受けた場合には、当社の経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、各事業の収益性が著しく低下した場合には、保有する土地・建物・のれん等について減損損失の計上が必要になることも考えられ、その場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 当社は、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、「内部統制システム構築の基本方針」を制定しております。各種規程・マニュアル等の整備、会計処理の適正性のモニタリング等、内部統制の実効性確保に努めておりますが、財務報告が適正に行われなかった場合には、上場廃止・青色申告取り消し等のリスクが生じる可能性があります。 当該リスクに対応するため、速やかな情報収集と正確な情報把握に努めるとともに、不適切な財務報告事例等について管理部門をはじめ関連する部門に水平展開するなど、正確な財務報告等に関する啓発教育を実施し、適正な財務報告の重要性を徹底してまいります。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、建設事業における工事の中止を余儀なくされる事態に至った場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が長期化した場合には、介護事業におけるお客様の一時的な利用控え、また感染拡大の度合いにより行政の要請に基づいた事業所の一定期間のサービス停止など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対応するため、全社対応方針を定め、重要業務の維持継続及び事業への影響の最小化に取り組むとともに、社内外の状況把握に努めております。具体的には、日常生活や労務上の留意点及び感染疑い時の対応フロー等を従業員に徹底し、在宅勤務・時差勤務・WEB会議の活用により、事業が継続できる体制を整備しております。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和と社会経済活動の正常化が進む中、雇用・所得環境に改善の動きがみられるなど、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、世界的な金融引締めが続く中、円安や物価上昇による家計や企業への影響、長引くウクライナ情勢や金融資本市場の変動等による下振れリスクを注視する必要があり、当社を取り巻く経営環境の不透明な状態が続いております。 建設業界におきましては、公共投資は底堅い動きとなっており、建設投資についても徐々に持ち直しの傾向が見受けられるものの、資材価格の高騰等による影響もあり、今後も建設需要やニーズの変化に対してより一層注視が必要な状況が続いております。 住宅業界におきましては、新設住宅着工戸数は、持家においてはこのところ弱含んでおり、貸家及び分譲住宅の着工は底堅い動きとなっておりますが、世界的なインフレによる資材価格の高騰や調達難により、建築コストの上昇が続いております。 介護業界におきましては、高齢化率の上昇等に伴い、社会インフラとしてサービスの安定供給が一層高まる中、介護事業者については、有効求人倍率が高い数値で推移しており、引き続き介護人材の確保と組織づくりが介護事業者の課題となっております。 このような情勢の中、当社は、神奈川・東京を中心とした営業エリアにおいて、お客様の感動を創造し、人生の様々なステージを支える生活舞台創造企業を目指して事業展開を図ってまいりました。 この結果、当事業年度における業績は、売上高195億79百万円(前年同期比15.1%増)、営業利益3億33百万円(前年同期比38.8%増)、経常利益3億6百万円(前年同期比50.4%増)、当期純利益1億35百万円(前年同期比12.3%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 売上高は、手持ち工事の順調な進捗により、99億92百万円(前年同期比25.5%増)となり、営業利益は物価上昇等の影響により3億57百万円(前年同期比10.1%減)となりました。 売上高は、事業用不動産の売却により1億79百万円となり、営業利益は79百万円となりました。 売上高は、手持ち大規模修繕工事の順調な進捗により、37億69百万円(前年同期比1.9%増)となり、営業利益は2億93百万円(前年同期比14.1%増)となりました。 売上高は、入居率の向上により、56億37百万円(前年同期比5.8%増)となり、営業利益は1億76百万円(前年同期比30.8%増)となりました。 当事業年度末における流動資産の残高は64億62百万円(前事業年度末残高57億49百万円)となり、7億13百万円増加しました。その主な要因は、現金預金が4億18百万円、完成工事未収入金が5億11百万円、介護事業未収入金が1億5百万円増加し、不動産事業支出金が3億46百万円減少したことにあります。 当事業年度末における固定資産の残高は81億92百万円(前事業年度末残高83億44百万円)となり、1億52百万円減少しました。その主な要因は、のれんが64百万円、長期前払費用が82百万円減少したことにあります。 当事業年度末における流動負債の残高は57億13百万円(前事業年度末残高52億70百万円)となり、4億43百万円増加しました。その主な要因は、短期借入金が5億10百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が51百万円減少したことにあります。 当事業年度末における固定負債の残高は42億36百万円(前事業年度末残高41億45百万円)となり、91百万円増加しました。その主な要因は、預り保証金が1億59百万円増加し、転貸損失引当金が47百万円減少したことにあります。 当事業年度末における純資産の部の残高は47億5百万円(前事業年度末残高46億78百万円)となり、26百万円増加しました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果獲得した資金は、2億94百万円(前事業年度は10億99百万円使用)となりました。これは、税引前当期純利益2億66百万円に減価償却費3億18百万円等の調整を加味した収入に加えて、不動産事業支出金の減少3億46百万円の収入があった一方で、売上債権の増加7億円による支出があったこと等によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は、2億93百万円(前事業年度は1億10百万円獲得)となりました。これは、定期預金の増加1億73百万円等によるものであります。 財務活動の結果獲得した資金は、2億45百万円(前事業年度は3億51百万円獲得)となりました。これは、短期借入金の増加5億10百万円等によるものであります。 この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末残高と比べて2億45百万円増加して、13億7百万円となりました。 また、当事業年度末残高における有利子負債の総額は、前事業年度末残高に比べて、4億25百万円増加して、42億99百万円となりました。 工事の受注方法は特命と競争に大別されます。 当事業年度完成工事のうち、主なものは次のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 不動産販売事業の売上実績は次のとおりであります。 建物管理事業の売上実績は次のとおりであります。 建物管理事業売上高に対する割合が100分の10以上の相手先は該当がないため、記載しておりません。 建物管理事業売上高に対する割合が100分の10以上の相手先は該当がないため、記載しておりません。 介護事業の売上実績は次のとおりであります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当社の当事業年度の経営成績等は、売上高は195億79百万円と前年同期に比べ15.1%増加し、営業利益は3億33百万円と前年同期に比べ38.8%増加、経常利益は3億6百万円と前年同期に比べ50.4%増加、当期純利益は1億35百万円と前年同期に比べ12.3%増加となりました。 主な事業である建設事業においては、受注を見込んでいた工事の中止等があったものの、民間受注は住宅部門含め堅調に推移し、売上高は99億92百万円と前年同期に比べ25.5%増加した一方、建設資材価格等の高騰の影響もあり、販売価格の見直し、原材料調達ルートの拡大、固定費削減など収益力回復に努めましたが、営業利益は3億57百万円と前年同期に比べ10.1%減少しました。 建物管理部門では、営業力強化による管理戸数の増加、原価圧縮、大規模修繕工事の順調な進捗により、売上高は37億69百万円と前年同期に比べ1.9%、営業利益は2億93百万円と前年同期に比べ14.1%増加しました。 介護部門では、施設全体の入居者数の増加、料金改定の実施等により、売上高は56億37百万円と前年同期に比べ5.8%、営業利益は1億76百万円と前年同期に比べ30.8%増加しました。 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当社の資本の財源及び資金の流動性について、主要な資金需要は、新規事業所の開設に伴う設備投資や運転資金、借入金の返済及び法人税の支払い等であります。これらの資金需要につきましては営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入により資金調達を図っております。これらの営業活動及び財務活動により調達した資金については、機動的かつ効率的に使うことで金融負債の圧縮を図ることで、財務体質の向上に努めてまいります。 経営指標につきましては、特定の経営指標を定めておりませんが、企業理念である「積善経営の実践」により、「生活舞台創造企業」として事業展開を図りながら、そのビジネスモデルを確立することを視野に入れ、全てのステークホルダーの期待に応えていく所存です。そのうえで、健全性、収益性、効率性、成長性などを総合的に勘案し、持続的かつ安定的な企業価値の向上を重視し、経営を行ってまいります。 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 特記すべき事項はありません。 特記すべき事項はありません。
株式会社ニヤクコーポレーション
# 株式会社ニヤクコーポレーション 東京都中央区に株式会社国鉄石油荷扱社設立。 石油荷役株式会社に社名変更。 タンクローリー第1号車(3,500㍑)を導入。 石油物流業務を開始。 油槽所の運営管理受託を開始。 ニヤク労働組合設立。 関東興産株式会社(現ニヤクトレーディング株式会社)を設立。 ステンレスタンクローリーを導入し、化学品物流業務に進出。 LPガスタンクローリー第1号車導入。 山陽ドラム株式会社(現株式会社ニヤクドラムコンテナサービス)を設立。 阪神運油株式会社を設立(1999年吸収合併)。 平和ドラム工業株式会社を設立(後の平和興業株式会社、2016年吸収合併)。 陽和運輸株式会社を設立(2008年吸収合併)。 陽光運輸株式会社(現株式会社ヨウコー)を設立。 所有タンクローリーが1,000両を超える。 ナショナルタンクトラック協会(NTTC)会員となる。 三共運輸株式会社を系列化(後の中国ニヤク株式会社、2006年吸収合併)。 日本ケミカル輸送株式会社を設立(2008年吸収合併)。 所有タンクローリーが2,000両を超える。 西日本荷役株式会社設立(後の九州ニヤク株式会社、2011年経営統合)。 海外無事故表彰制度を制定し、15年連続無事故ドライバーの第1回海外表彰(ハワイ旅行)を実施。 石油防災株式会社を設立。 株式会社ニコム(現株式会社ニヤクシステムサポート)を設立。 社名を現在の株式会社ニヤクコーポレーションに改称。 国際物流業務に進出(国際複合一貫輸送開始)。 高圧ガス物流業務に進出。 本社を東京都港区芝大門に移転。 LNG物流業務に進出。 愛知県石油運輸株式会社を系列化(後の株式会社アイセキ、2016年吸収合併)。 物流管理基幹システム「BUSS」の稼動を開始。 光和輸送株式会社を系列化。 有限会社北陸石油物流を設立。 上海荷役国際貨運代理有限公司(2020年に上海金潤荷役物流有限公司に経営統合)を設立し、海外物流業務に本格的に進出。 福島県郡山市にオペレーションセンターを開設。 株式会社MCI物流西日本(現株式会社ガスケミカル物流西日本)を系列化。 山陰酸素工業株式会社より高圧ガス物流業務の事業譲渡を受ける。 本社を東京都江東区冬木に移転。 太平洋石油輸送株式会社、宗谷共石油送株式会社より石油物流業務の事業譲渡を受ける。 テイコク運輸株式会社より高圧ガス物流業務の事業譲渡を受ける。 株式会社大急を系列化(2018年経営統合)。 食品飲料物流業務に進出。 東邦運送株式会社を系列化(2015年吸収合併)。 国内最大規模を誇る横浜コンテナデポを開設。 株式会社一光梱包輸送を系列化(2016年吸収合併)。 超低温ガス物流に関する研修制度として「NCTS」を構築。 高圧ガス容器点検整備技能センターを開設。 堀田運送グループを系列化(2023年経営統合)。 西部酸素株式会社より高圧ガス物流業務の事業譲渡を受ける。 上海金潤化工物流有限公司(現上海金潤荷役物流有限公司)を系列化。 株式会社ニヤクガスエンジニアリングサービスが営業開始。 クレハ運輸株式会社、クレハ運輸トラック株式会社より、両社が鹿島・千葉の拠点で展開している化学品物流業務の事業譲渡を受ける。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は当社(株式会社ニヤクコーポレーション)、子会社17社により構成されており、物流事業、構内・倉庫事業、JR関連事業、商品販売、賃貸等を主に、その附帯関連する事業を行っております。 事業内容と当社及び関係会社の当該事業における位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。 なお、事業区分は「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 [注記事項]」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 また、関連当事者との関係につきましては、石油元売会社であるENEOS株式会社と上記3事業において取引関係があります。 事業の系統図は次のとおりであります。 石油製品、同副製品の運送を当社の下請および当社が下請。 役員の兼任あり。 資金の借入。 高圧ガスの運送を当社の下請。 役員の兼任あり。 高圧ガスの運送を当社が下請。 役員の兼任あり。 資金の貸付。 空容器の運送を当社が下請。 役員の兼任あり。 資金の借入。 当社所有車両用の燃料油脂および諸資材を購入。 役員の兼任あり。 資金の借入。 役員の兼任あり。 資金の借入。 当社のコンピューターシステム関連業務を受託。 役員の兼任あり。 資金の貸付。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 資金の貸付。 当社所有車両の点検、整備。 労働組合の主たるものとしては、ニヤク労働組合が組織されております。本社並びに支店に支部が設けられており、2023年6月30日現在の労働組合員数総数は、1,764人であります。 労働組合とは労働協約に基づき、正常かつ円滑な労使関係を維持しております。 なお、上部労働団体等には加盟しておりません。 該当事項はありません。 なお、連結子会社である株式会社ヨウコーは、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ですが、「管理職に占める女性労働者の割合」、「男性労働者の育児休業取得率」及び「労働者の男女の賃金の差異」以外の項目を公表しているため、記載を省略しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、従来の「第9次連結中期経営計画」の3本柱とした「産業物流業務の拡大」「物流品質・技能の深度化」「人材の確保・育成」の取組みに、「個別事業の収益性確保」を加えた「連結中期経営計画2028」とする5ヵ年の取組み計画をスタートさせ、事業構造の変革と経営の効率化を更に進め、“Safety is our business”のスローガンのもと、高品質の物流サービスの提供を第一とする経営方針を堅持し、更なる成長と事業基盤の強化のため安定的な利益の確保に努めてまいります。 国内経済につきまして、コロナ対応は終焉局面を迎えましたが、本格的な経済活動回復の先行きは依然不透明です。当社グループにおきましては、これまでの主要貨物である石油の需要減少が確実な中にあっても、揺るぎない経営基盤を確立することが重要と考えます。 当社グループといたしましては、国内経済における足許の環境変化と時代の先行き等を見据え、新たに「連結中期経営計画2028」とする5ヵ年の取組み計画をスタートさせました。これにより、事業構造の変革と経営の効率化を更に進めてまいります。具体的には、バランスの取れたビジネスポートフォリオの実現と企業の持続的成長を目指す「産業物流業務の拡大」の推進、国内外における「物流品質・技能の深度化」の取組み、企業成長の礎となる「人材の確保・育成」との従来の3本柱に、「個別事業の収益性確保」を加え、よりきめ細かいレベルでの各事業の採算性や収益性に目を配りながら、安定した経営基盤を実現いたします。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、連結中期経営計画における中期経営ビジョンの基本コンセプトに「持続的成長を可能とするビジネスポートフォリオを実現し、国内最大のバルク物流コモンキャリアとして、常に質の高いサービスを提供し続けます」を掲げ、足許の環境変化と時代の先行き等を見据え、サステナビリティを十分意識した取組みを行っております。 また、その進捗等については、様々な定期報告を含め、適宜、取締役会、経営会議等に報告のうえ審議されています。 当社グループは“Safety is our business”のスローガンのもと、高品質の物流サービスの提供を第一とする経営方針を堅持し、更なる成長と事業基盤の強化に努めております。その中で、特に我が国では、石油物流分野において深刻な需要減少が続き、その傾向が将来に渡り継続することが見込まれていることから、当社グループでは、サステナビリティに対処するための重要な取組みとして、「石油物流業務」への依存割合を見直し、「産業物流業務の拡大」を行うことで、バランスの取れたビジネスポートフォリオの実現をすることによる持続的成長を目指しています。 また、気候変動への具体的な対策として、二酸化炭素の排出量削減を目的とした低炭素物流の実現を目指し、エコドライブの推進による低燃費走行、車両代替えによる低燃費・低公害車両への切り替え、再生タイヤの活用、廃棄物リサイクル等による資源リサイクルに努めています。 更に、当社グループは、「人材の確保・育成」を図りながら全ての事業領域において「物流品質・技能の深度化」を進めることを重要な経営課題としています。その実現のためにも多様な人々がそれぞれの能力を十分に発揮できる職場の構築に向けたダイバーシティの推進や社内の研修プログラムなどを含めた環境整備を行っております。 当社グループは、定期開催する経営会議や定期業務監査等を通じて、サステナビリティ関連のリスクを含めて、事業運営に重大な影響を与えると想定されるリスクを各事業拠点から抽出し、想定し得るリスクの全体把握を行ったうえで、当社グループにとって重要と考えられるものについては、都度、対処・対策を講じています。 また、その重要な対処・対策等については適宜、取締役会に報告することになっています。 我が国の2050年カーボンニュートラル宣言なども踏まえ、時代の先行きを見据え、石油物流のみに依存しないバランスの取れたビジネスポートフォリオを実現することは、優先的目標であると考えます。 また、低炭素物流については、上述のとおりその実現のための様々な施策を講じておりますが、具体的な目標設定には至っておりません。 更に、当社グループは女性従業員の採用も積極的に行っております。その行動計画として、2026年3月31日迄を計画期間とする「採用する労働者に占める女性労働者の範囲に関し、事務職は40%以上、現業職は5%以上」の数値目標を掲げております。なお、当事業年度における提出会社の実績は、事務職は36.1%、現業職は3.0%となっております。 当社グループの財政の状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 当社グループは、主力事業として貨物自動車運送事業を行っており、貨物自動車運送事業法、貨物利用運送事業法による規制を受けており、これら法律改正や規制緩和の影響を受ける可能性があります。 ② 当社グループの主力事業である貨物自動車運送事業はNOx・PM法、生活環境確保条例等による排ガス規制の影響を受けており、これら動向の影響を受ける可能性があります。 当社グループの有する物流設備に対して、通常の想定を超える規模での自然災害が発生した際には、これら設備に何らかの損害が生じ、事業活動に支障を与え経営成績に影響を及ぼす可能性を否定できません。 当社グループの主要な取扱品目である石油製品の需要動向に大幅な変動が生じた場合には経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該石油製品の取扱に当っては安全管理に万全を期しており、万一の事故に備え充分な保険を付保しておりますが、重大な事故が惹起された場合には経営成績に影響を及ぼす可能性を否定できません。 なお、新型コロナウイルス感染症につきましては、2023年5月8日から「5類感染症」に移行しましたが、将来、同規模の感染症によるパンデミックが発生した場合には、当該石油製品のみならず産業物流業務においても重要な影響を受ける可能性があります。 当社グループの主力事業である貨物自動車運送事業は、原油価格の高騰等により軽油調達価格が上昇した場合、これら費用を顧客価格に転嫁できなければ経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、業務運営の効率化を図るため積極的にIT化を推進しておりますが、想定した以上の災害の発生、コンピュータウイルスへの感染、クラッカー行為等を受けた場合に、コンピュータシステムや営業活動を部分的に停止することを余儀なくされ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、事業を行うに当たり多数の車両を使用しております。近年環境問題への関心が高まる中、当社グループは低公害車の導入やエコドライブの推進等、環境対策を自主的に進めておりますが、当社の想定を上回る環境規制が実施された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、既存の事業基盤を拡大するため、あるいは新たな事業への進出等のため、事業戦略の一環としてM&Aや資本提携を含む戦略的提携を行う可能性があります。M&Aや戦略的提携に際しては十分な検討を行ないますが、買収提携後の事業が当初計画通りに進捗しない場合には、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に規制されるとともに、改正改善基準告示が適用されることにより、物流業界全体の課題としてドライバー不足が加速する可能性があります。当社グループにおいてもドライバーの採用が進捗しない場合には、業績及び財務状況に一定の影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー及び販売の実績(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの当連結会計年度末の総資産は42,032百万円と前連結会計年度末から987百万円の増加となりました。 流動資産は、11,275百万円で前連結会計年度末に比べ2,228百万円減となりました。この主たる要因は受取手形及び売掛金の増加はあったものの、現金及び預金の減少によるものです。 固定資産は、30,756百万円で前連結会計年度末に比べ3,215百万円増となりました。この主たる要因は建物及び構築物、機械装置及び運搬具、土地、建設仮勘定、投資有価証券の増加によるものです。 流動負債は、9,927百万円で前連結会計年度末に比べ337百万円増となりました。この主たる要因は支払手形及び買掛金、未払金等のその他流動負債の増加によるものです。 固定負債は、7,043百万円で前連結会計年度末に比べ795百万円減となりました。この主たる要因は長期借入金、退職給付に係る負債の減少によるものです。 純資産は、25,060百万円で前連結会計年度末に比べ1,445百万円増となりました。この主たる要因は利益剰余金、その他有価証券評価差額金の増加によるものです。 当連結会計年度(以下「当期」と言います。)における世界経済は、新型コロナウイルスの影響が大幅に緩和され、景気の持ち直しが期待されたものの、長期化するロシア・ウクライナ情勢などにも刺激された著しい物価上昇圧力等を受ける状況が続きました。 日本経済におきましても、これら影響とともに経済の下押し圧力が続く厳しい状況下で推移致しました。 このような状況のもと、当社グループでは、2021年7月から3ヵ年の計画にてスタートさせた「第9次連結中期経営計画」にもとづき、従来からの経営課題である「産業物流業務の拡大」「物流品質・技能の深度化」「人材の確保・育成」の3つを柱とする取組みを引き続き積極的に展開してまいりました。 その結果、当期の売上高は、石油物流分野において深刻な需要減少が続く中で、高圧ガス・食品飲料の各物流分野が底堅く伸び「産業物流業務の拡大」によるポートフォリオ分散の取組み効果があったものの、その全てを取り返すには至らず、前期比1.9%減の52,814百万円となりました。また、費用につきましては、2024年問題を見据えたドライバー要員確保に伴う支出や、荷主要請にもとづく予備車両確保による固定費負担の影響等がありましたが、徹底したコスト削減や業務の効率化を行い、売上原価と一般管理費を合わせた総経費は、前期比2.1%減の、51,264百万円となりました。 以上により、営業利益は前期比64百万円増の1,549百万円となり、営業外損益を算入した経常利益は前期比99百万円増の1,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期比15百万円増加し1,147百万円となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 物流事業につきましては、高圧ガス・食品飲料の各物流分野の取扱い増があったものの石油物流分野において深刻な需要減少が続いたことにより、売上高は前期比0.8%減の44,151百万円となり、セグメント利益は2,465百万円(同利益率5.6%)となりました。 構内・倉庫事業につきましては、危険物倉庫分野の取扱い増等により、売上高は前期比3.8%増の1,233百万円となり、セグメント利益は194百万円(同利益率15.8%)となりました。 その他事業につきましては、燃料油販売の取扱数量の減少等により、売上高は前期比8.6%減の7,429百万円となり、セグメント利益は1,358百万円(同利益率18.3%)となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,543百万円減少し、当連結会計年度末には、4,463百万円となりました。 営業活動の結果得られた資金は2,919百万円(前連結会計年度比 57百万円の減少)となりました。 これは主に退職給付に係る負債の減少額617百万円、売上債権の増加額307百万円等があったものの、減価償却費2,443百万円、仕入債務の増加額108百万円、税金等調整前当期純利益1,910百万円等があったことによるものです。 投資活動の結果使用した資金は4,778百万円(前連結会計年度比 3,124百万円の増加)となりました。 これは主に有形固定資産の取得による支出4,799百万円等があったことによるものです。 財務活動の結果使用した資金は681百万円(前連結会計年度比 158百万円の増加)となりました。 これは主に割賦債務及びリース債務の返済による支出353百万円、長期借入金の返済による支出314百万円等によるものです。 当連結会計年度の売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。 連結財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績について影響を与える見積りが必要となります。 これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案し合理的な見積り・判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なり、将来の経営成績等に影響を与える場合があります。 当社グループの当連結会計年度末の総資産は42,032百万円と前連結会計年度末から987百万円の増加となりました。 主な内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。 当社グループの当連結会計年度の売上高は、52,814百万円と前連結会計年度に比べ1,028百万円の減少となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,147百万円と前期純利益に比べ15百万円増加しております。 主な内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。 主な内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの運転資金需要の主なものは、人件費や燃料油費等の売上原価、販売費及び一般管理費等であり、設備資金需要の主なものは、営業用車両・事業所建物施設等の設備投資であります。これらの資金需要に対する資金の調達については、自己資金及び金融機関からの借入金によっております。 なお、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源については、「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。 また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,463百万円となっており、充分な流動性を確保していると考えております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
光ビジネスフォーム株式会社
# 光ビジネスフォーム株式会社 ビジネスフォームの製造販売を目的として、光ビジネス・フォーム株式会社を東京都日野市日野に設立し、日野工場を同所に開設。 東京都杉並区阿佐ヶ谷に営業所、阿佐ヶ谷工場を新設。 東京都日野市日野に多摩営業所を開設。 製版部門の㈱ヒカリコンピューティングサービス(H.C.S.)を日野工場内に別会社として設立し、製造販売を開始。 東京都八王子市北野に八王子工場を新設。日野工場の一部を移設、阿佐ヶ谷工場の一部を日野工場に移設。 東京都中央区京橋に営業部を阿佐ヶ谷より移転開設。 東京都八王子市東浅川町に本社、多摩営業所及び日野、八王子工場、H.C.S.の一部を移転し高尾工場を新設。 東京都新宿区西新宿に新宿営業所を新設し、販売活動を開始。 山梨県甲府市丸の内に甲府支社を新設し、販売活動を開始。 神奈川県横浜市中区尾上町に横浜営業所を新設し、販売活動を開始。 千葉県千葉市富士見に千葉営業所を新設し、販売活動を開始。 山梨県東八代郡石和町に山梨ヒカリビジネス㈱を発足、ビジネスフォームの製造販売を開始。甲府支社閉鎖。 加工部門のヒカリプロセッシング㈱(H.P.C.)を別会社として高尾工場内に設立し、ビジネスフォームの製本加工の製造販売を開始。 埼玉県浦和市高砂に浦和営業所(現さいたま営業所)を新設し、販売活動を開始。 千葉県野田市七光台に東部物流センター及び野田営業所を新設し、販売活動を開始。 東京都港区赤坂に赤坂営業所を新設し、販売活動を開始。 千葉県野田市七光台に野田工場を新設し、ビジネスフォームの製造販売を開始。 大阪市阿倍野区旭町に大阪支店を新設し、販売活動を開始。 中央区京橋より中央区日本橋小舟町へ営業所移転。 H.C.S.及びH.P.C.を吸収合併。 赤坂営業所を東京都港区新橋に移転し新橋営業所と改称。 新潟県新潟市に新潟営業所を新設し、販売活動を開始。 商号を光ビジネス・フォーム株式会社から光ビジネスフォーム株式会社に変更。 日本証券業協会東京地区協会店頭に登録。 高尾工場増築工事が完成し、ビジネスフォームの製造を開始。 長野県営業所を長野県諏訪市に新設し、販売活動を開始。 山梨ヒカリビジネス㈱を吸収合併し、甲府営業所、石和工場として製造・販売活動を開始。 東京都八王子市東浅川町にDPPセンターを新設。 高尾工場ISO9001:2000版の認証を取得。 プライバシーマークの認定を取得。 高尾工場ISO14001:1996版の認証を取得。 ジャスダック証券取引所創設に伴い、同取引所に移行。 物流管理業務を行う子会社として光ティーピーエル㈱を設立。 石和工場を閉鎖し、高尾工場に統合。 東京都八王子市兵衛にDPP第2センターを新設。 ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)に上場。 新潟営業所を閉鎖し、日本橋営業所に統合。 大阪証券取引所(JASDAQ市場、ヘラクレス市場及びNEO市場)の各市場の統合に伴い、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場。 光ティーピーエル㈱を解散し、物流部門へ統合。 東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場。 千葉営業所と野田営業所を統合し千葉県営業所と改称。 日本橋営業所、新橋営業所、金融ソリューション部を移転統合し、新たに日本橋営業部を発足。 日本橋営業部と新宿営業所を統合し、新たに首都圏ソリューション営業部を発足。 長野県営業所と甲府営業所を統合し、新たに甲信営業所を発足。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所スタンダード市場に移行。 首都圏ソリューション営業部を廃止し、首都圏第一営業所から第五営業所を発足。 新宿本社事務所と日本橋事務所を移転統合。 当社は、ビジネスフォーム等の製造販売及びデータプリントサービスを主とする印刷関連事業を営んでおり、主な事業内容は次のとおりであります。なお、企業集団を構成する関係会社はありません。 該当事項はありません。 当社において労働組合は組織されておらず、該当事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 創業以来コンピュータの進歩と共に歩んできました当社では、コンピュータ用帳票の企画、設計、製造、納入までの一貫生産を中心に、システム開発から高速漢字プリンタによるデータ出力、メーリングサービスに至るまでお客様の多種多様なニーズに最新の設備と技術を駆使し迅速、柔軟にかつ責任をもって対応してまいりました。私たちが掲げてまいりましたお客様本位の姿勢は、ときに営業展開に、また機械設備にと、情報化社会の高度化とともに進化してまいりました。これからもお客様に最適な製品、サービスを“光のごとく速やかに”ご提供し、お客様の良きパートナーとしてお役に立てるよう全社一丸となって努力してまいります。 当社の強みである顧客ニーズへのきめ細かな対応と、顧客ニーズを先取する複合的な提案力を駆使し新規ユーザーの開拓と、既存ユーザーへの新たなニーズ発掘拡大に努め売上の増強を図り、また生産面においては常に原価率の低減と高品質な製品づくりを最大目標とし、効率性の向上を追求しつつ高収益体質の強固な企業基盤の構築により企業価値の持続的向上をめざしております。 情報産業に携わる企業として、情報のセキュリティは不可欠であります。ことに当社が重点施策として取り組んでいるデータ出力業務については、個人情報の保護管理は極めて重要な問題と認識し万全の対処をしております。また世界的な広がりを見せている環境保全管理についても十分認識した生産活動が重要と考えます。 認定取得済のプライバシーマーク、認証取得済のISO9001、ISO14001等の改善に取り組んでいるのもそれらの一環であります。 私達は公正で透明性の高い経営により、社会と調和し、信頼される企業として努力を続けてまいります。 ビジネスフォーム印刷市場は、オフィス周りの電子媒体化、デジタル化の進展により電子帳票システム、電子商取引の拡大等が加速しており、ビジネスフォームの需要は逓減傾向が続いています。そうした潮流の中で、当社が従来より注力してまいりました、データ処理サービス及びその関連業務の本流化が進行しております。このようなビジネス環境や需要動向をふまえ、当社といたしましては、バリアブル印刷等を活かした新たなニーズの創出と提案営業力をさらに強化し、お客様のビジネスパートナーとしての役割を強固なものにしてまいりたいと考えております。企画から始まり発送に至るまで途切れることのない“製販社内一貫管理”体制を確立し、生産体制の拡充と整備を図ってまいります。 当社の中長期的な成長のために最新の設備導入によるさらなる生産性の向上、トータル的な効率アップに取組むことで企業価値、株主共同の利益の最大化を目指していきたいと考えております。 企業価値を増大させていくためには、利益を継続的に維持していくことが重要と考えております。そのため、自己資本当期純利益率(ROE)と売上高経常利益率(ROS)を重視しており、資本の効率的な運用と収益性の向上に努めております。 当面といたしましては、ROE10%以上、ROS13%以上を目標として取組んでおります。 我が国では、新型コロナウイルス感染に終息の兆しが見られないものの、感染症の分類見直しをはじめとして社会経済の正常化が進展し、景気が回復していくことが期待されています。他方、長引くロシアによるウクライナ侵攻などを背景として、我が国周辺においても安全保障環境は厳しさを増し、世界情勢の今後の展開は予断を許さない状況となっており、また、資源・エネルギー価格の高騰や円安の進行を背景とした物価上昇が継続するなど、国内外の環境が大きく変化する中で、景気回復実現への懸念は依然残り、企業経営者には引き続き難しいかじ取りが求められています。 フォーム印刷業界におきましては、感染症対策特需の漸減が見込まれ、公的部門においてもペーパーレス推進が本格化し、民間部門も含めて、ビジネスフォームの減少スピードは一段と速まっていくものと思われます。 このような情勢の中で、営業面におきましては、特にBPOの分野で、顧客ニーズの変化に迅速に対応する、総合的かつ具体的なソリューション提案を行い、ビジネスフォームと情報処理の技術を総合的に組み合わせて新しいサービスに結びつけるような活動を積極的に進めてまいります。また、顧客企業の業態改革に伴うアウトソーシングの動きを好機ととらえ、自らの業態変革にも一層の拍車をかけていかなければならないと考えます。 生産面では、引き続き感染症予防対策を緩めることなく、一段の省力化投資による生産機能のレベルアップを図り、人員・設備の効率的再配置により、新しいサービスの提供力向上を目指すとともに、原価率のさらなる低減に努めてまいります。また、内部統制やISO活動・個人情報保護活動とともに、法令遵守やセキュリティ・環境・女性活躍推進・働き方改革といった企業の社会的責任、さらにはSDGsへの取組みを一層強化してまいります。 なお、新型コロナウイルス感染症が当社の経営環境に与える影響につきましては、限定的と考えておりますが、今後の経過によっては、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があり、今後の推移状況を注視してまいります。 投資者の判断に重要な影響を及ぼす主な事項は、以下のようなものがあります。なお下記におけるリスク項目は、全てのリスクを網羅したものではありません。また、本文中の将来に関する事項は当事業年度末現在において判断したものであります。 当社は官公庁、証券、金融、生損保、一般事業会社等幅広い業種にわたり多くの顧客との取引を行っております。国内景気の変動、消費動向やそれらに伴う顧客サイドのビジネス環境により、受注量の減少や受注単価の低下等、業績に影響が生じる可能性があります。 コンピュータ用事務帳票類等の従来型のビジネスフォーム市場は、デジタル化・ネット化が進む中で、縮小傾向にあります。当社の売上高においてデータ出力関連売上高の比率が高まっているとはいえ、ビジネスフォームはまだ主要部分を占めており、その市場変化への対応を著しく損ねた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、市場の変化に伴い、売上の形態も複雑化しており、売上計上時期の変動により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社といたしましては、市場の変化に対応すべく、自らの業態改革に一層の拍車をかけていかなければならないと考えております。 当社主要製品の材料は印刷用紙で、石油価格や海外チップ・パルプ市場動向などにより製紙メーカー等の仕入価格が上昇し、製造コストの削減で補いきれない場合や、販売価格に転嫁できない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、印刷用紙の安定的な量の確保と可能な限りの低価格での仕入に努めております。 個人情報の取扱いについては重要な経営課題の一つとして位置づけ、2002年6月に個人情報保護方針を制定し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会のプライバシーマーク使用の許諾(いわゆるプライバシーマーク)については、2003年3月に認定を受け、2023年3月に10度目の更新認定を受けております。 情報漏洩の可能性は皆無と信じておりますが、想定を超えた条件の中での事故が発生した場合、お客様から損害賠償請求等の事態がおこる可能性があります。 顧客情報の取扱いについては、今後とも設備及びシステム上での安全管理体制と人的管理措置を整備する等万全を期してまいります。 新型コロナウイルス感染症について、従業員が感染し社内において感染が拡大した場合、事業活動に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、従業員の安全・健康に最大限配慮しながら、事業継続を堅持することを基本方針とし、在宅勤務や時差通勤の励行等の感染症対策を講じて、感染リスクの軽減を図っております。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度における我が国経済は、繰り返す新型コロナウイルスの感染拡大に加え、大きな環境変化に直面する1年でした。感染拡大の一時的な収束と感染症対策の常態化により、業績が持ち直す企業が増えるなど、経済が緩やかに回復する兆しを見せる一方、資源・エネルギー高や円安による輸入品価格の高騰を背景とした国内の物価上昇は、今後の懸念材料となっています。また、海外においても、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、米国、欧州、中国、ロシアを取り巻く環境が深刻さを増すなど、国内外ともに先行きに対する不透明感が増す状況となっています。 フォーム印刷業界におきましては、特に公的部門で新型コロナワクチン接種券関係の特需が継続しましたが、テレワークやオンライン会議が日常化するニュー・ノーマルの中でビジネス・スタイルのペーパーレスにも一段と拍車がかかりました。 このような情勢のもと、当社は営業部門におきましては、引き続き新型コロナワクチン接種関係の公的需要の取り込みに注力し、接種券の印刷発送に加え、コールセンター業務と連携した予約システムの一括受注を図り、売上の拡大に努めました。 製造部門におきましては、様々な感染症予防対策を講じて生産力を維持しつつ、一層の省力化・人員配置の効率化に努めました。 また、セキュリティ委員会を通じて、サイバー攻撃対策などの情報セキュリティ対策を強化するとともに、法令遵守、内部統制、ISO、個人情報保護の諸活動を通じて各製造工程の質的な見直しを図り、社員教育を繰り返し行いました。 以上のとおり、営業・製造・管理各部門においてそれぞれの体質強化策を推進してまいりました結果、売上高11,994百万円(前期比25.4%増)、経常利益1,975百万円(前期比60.7%増)、当期純利益1,272百万円(前期比55.3%増)となり、前事業年度に比べ増収・増益となりました。 当事業年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ932百万円増加し、4,085百万円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 当事業年度において営業活動の結果得られた資金は1,588百万円(前年同期比491百万円の増加)となりました。これは主として税引前当期純利益1,861百万円、減価償却費295百万円、仕入債務の増加額199百万円、売上債権の増加額220百万円、独占禁止法関連損失109百万円、法人税等の支払額480百万円及び独占禁止法関連支払額166百万円によるものであります。 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は252百万円(前年同期は250百万円の獲得)となりました。これは主として有価証券の償還による収入30百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入13百万円、投資有価証券の取得による支出211百万円及び固定資産の取得による支出82百万円によるものであります。 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は403百万円(前年同期比32百万円の増加)となりました。これは配当金の支払201百万円及びリース債務の返済による支出194百万円によるものであります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当事業年度末の総資産は前事業年度末に比べて1,082百万円増加し、11,880百万円となりました。うち流動資産は6,094百万円(前年同期比1,219百万円の増加)、固定資産は5,786百万円(前年同期比136百万円の減少)となりました。流動資産の主な増加要因は、現金及び預金が932百万円、売上債権が220百万円増加したこと等によるものであります。また固定資産の主な減少要因は、投資有価証券が63百万円及び前払年金費用が56百万円増加しましたが、有形固定資産が244百万円減少したこと等によるものであります。 当事業年度末の負債は前事業年度末に比べて70百万円増加し、2,962百万円となりました。うち流動負債は2,549百万円(前年同期比228百万円の増加)、固定負債は412百万円(前年同期比157百万円の減少)となりました。流動負債の主な増加要因は、リース債務が57百万円、独占禁止法関連損失引当金が57百万円減少しましたが、買掛金が82百万円、支払手形が117百万円、未払法人税等が107百万円増加したこと等によるものであります。また固定負債の主な減少要因は、リース債務が136百万円減少したこと等によるものであります。 当事業年度末の純資産は前事業年度末に比べて1,011百万円増加し、8,918百万円となりました。うち株主資本は8,762百万円(前年同期比1,070百万円の増加)、評価・換算差額等は155百万円(前年同期比59百万円の減少)となりました。株主資本の主な増加要因は、利益剰余金が1,070百万円増加したことによるものであります。評価・換算差額等の減少要因は、その他有価証券評価差額金が59百万円減少したことによるものであります。 当事業年度の売上高は前事業年度に比べ2,429百万円増加の11,994百万円、売上原価は前事業年度に比べ1,513百万円増加の8,548百万円、販売費及び一般管理費は前事業年度に比べ147百万円増加の1,477百万円となりました。この結果、営業利益は前事業年度に比べて768百万円増加の1,968百万円となりました。 営業外損益は前事業年度に比べて22百万円減益の6百万円となりました。これは、受取利息及び配当金等による営業外収益が34百万円、支払利息等による営業外費用が27百万円計上されたことによるものであります。この結果、経常利益は前事業年度に比べて746百万円増加の1,975百万円となりました。 特別損益は前事業年度に比べて92百万円減益の△113百万円となりました。これは、有価証券償還益等による特別利益が0百万円、独占禁止法関連損失等による特別損失が113百万円計上されたことによるものであります。この結果、当期純利益は前事業年度に比べて452百万円増加し、1,272百万円となりました。 当事業年度のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金1,588百万円を、投資活動に252百万円および財務活動に403百万円使用しました。その結果、当事業年度の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度に比べ932百万円増加し、4,085百万円となりました。 なお、詳細につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 当社の主な資金需要は、製造費用や営業費用の運転資金及び設備投資資金であります。資金調達につきましては、運転資金の状況や設備投資計画に照らして必要な資金を、自己資金及び金融機関からの借入等により調達しております。なお、当事業年度末における有利子負債残高はリース債務の334百万円となっております。 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しているとおりであります。 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載しているとおり、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上、売上高経常利益率(ROS)13%以上を目標としております。当事業年度は、ROEが15.1%、ROSが16.5%となっており、資本の効率的な運用と収益性の向上に努めてまいります。 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成において、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性から、これらの見積りと異なる場合があります。 当社が採用しております重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しているとおりであります。 なお、新型コロナウイルス感染症が業績に及ぼす影響については、現在のところ限定的であり、会計上の見積りに大きな影響を及ぼす可能性はないとみております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
燦ホールディングス株式会社
# 燦ホールディングス株式会社 なお、発行済株式総数及び1株当たり配当額は、当該株式分割前の実際の株式数及び配当額を記載しております。 当社は、1932年に葬儀の請負と霊柩運送事業を主目的として設立された「株式会社公益社」を前身としております。 太平洋戦争末期に、国策による企業統合が進められた際、「大阪府貨物自動車運送事業整備統合要網」に基づいて、大阪府下の全霊柩運送業者が、前記「株式会社公益社」を中心に統合し、1943年10月1日、新会社「株式会社公営社」として発足いたしました。 当社グループは、当社、連結子会社5社及び持分法適用関連会社1社で構成され、葬儀請負とこれに付随する商品・サービスを提供する葬儀事業を主な事業としております。 なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 (1) 公益社グループ…………㈱公益社が、営業地盤とする関西圏(大阪府、兵庫県および奈良県の一部)ならびに首都圏(東京都および神奈川県の一部)において、顧客から葬儀施行の依頼を受け、付随する商品・サービスを含めた葬祭サービスを顧客に提供いたします。その際、連結子会社であるエクセル・サポート・サービス㈱へ警備、清掃等の業務を委託し、同社から料理等を購入しております。 エクセル・サポート・サービス㈱は、料理等の葬祭関連商品を販売しております。また、介護サービスを顧客に提供しております。 ライフフォワード㈱は、終活関連WEBプラットフォーム事業を運営し、ライフエンディングに関するサービスの提供をしております。 (2) 葬仙グループ……………㈱葬仙が、鳥取県米子市、鳥取市および島根県松江市とこれらの周辺地域を営業地盤として、葬儀を受注し、付随する商品・サービスを含めた葬祭サービスを顧客に提供しております。その際、㈱公益社は、生花を㈱葬仙に納入しております。 (3) タルイグループ…………㈱タルイが、兵庫県明石市とその周辺地域を営業地盤として、葬儀を受注し、付随する商品・サービスを含めた葬祭サービスを顧客に提供しております。 (4) 持株会社グループ………当社は、㈱公益社、㈱葬仙および㈱タルイが使用する葬儀会館等の不動産を賃貸(一部転貸を含む)するほか、エクセル・サポート・サービス㈱およびライフフォワード㈱に対しても事業所・駐車場等を賃貸しております。 また連結子会社5社に対して役員を通じて経営指導を行うほか、各社から総務、人事、経理、情報システムの事務等を受託しております。 ㈱グランセレモ東京(持分法適用関連会社)は東京都を営業地盤として、葬儀を受注し、付随する商品・サービスを含めた葬祭サービスを顧客に提供しております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 なお、同社の売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。 当社グループの労働組合は、公益社労働組合と称し、2023年3月31日現在における組合員数は446人で、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟に加盟しております。 なお、労使関係については良好に推移しております。 同一の職務においては同一の賃金としており、男女の賃金の差異は主に男女間の管理職比率および雇用形態の差異によるものです。 男女の賃金の差異は主に男女間の管理職比率および雇用形態の差異、ならびに特定の職種において勤務時間が短いパートタイムの女性労働者が多いことによるものです。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 2019年4月に改定した経営理念は、ミッション(使命)、ビジョン(未来・目指す姿)、バリュー(価値観)の3つから成る、以下のような体系です。 燦ホールディングスグループ経営理念のミッション「人生に潤いと豊かさを。よりよく生きる喜びを。」は、葬儀事業からライフエンディングのトータルサポート企業へ、また新規事業の展開へと新しい価値を創り出すことに挑戦しつづける当社が、商品やサービスを通じてお客様と地域の人々の人生に潤いと豊かさを感じてもらうこと、よりよく生きる喜びを感じてもらうことが社会に果たすべき使命であるということを意味しています。 ビジョンは、当社の目指すべき未来の姿として、人の心に寄り添い、人生の喜びと幸せを創出する企業、新しい価値、高い付加価値を創造し、持続的に安定成長していく企業、一人ひとりが情熱を持って、主体的に行動し挑戦しつづける企業になることを掲げました。 バリューは、ミッション、ビジョンを実現するために、当社グループとして大切にすべきこと、価値観をまとめました。 それに加えて、2022年4月に私たちの社会に対しての存在意義、存在価値をあらためて定義し、当社グループのパーパスを制定しました。 このパーパスと経営理念のもとに、人生100年時代の社会に貢献する取組みを進めていきます。 超高齢社会において、2040年までは死亡者数が増加すると予測されています。その一方で少子化が進み、日本の人口は減少傾向で将来を担う若者が減少する中、高齢者の割合が年々高まっています。 これらの社会情勢は人々の価値観に影響しており、葬儀についても家族を中心に近しい人だけで行う家族葬のほか、無宗教葬や一日葬など葬儀の形が多様化し、同時に葬儀の小規模化傾向は続いており、葬儀施行単価の下落につながっています。 そうした中、葬儀事業者による葬祭会館の新規出店や、葬儀紹介業者によるインターネットを通じた集客など、事業者間の激しい競争が続いています。 こうした事業環境の変化に対して、当社は2032年に迎える創業100周年に向けて当社のありたい姿を「新10年ビジョン」として策定しました。当社がこれまで築き上げてきた「信頼」とそのベースとなる「サービス品質」という強みをより一層磨き続けながら、「葬儀事業者」から「シニア世代とそのご家族によりそい、ささえるライフエンディングパートナー」への進化を実現させていきます。そのために以下の2つに挑戦します。 ① 当社は葬祭業界のリーディングカンパニーとして、現状より幅広い層のお客様にご満足いただけるサービスを提供するために、出店エリアを全国規模に広げ、葬儀会館数は2031年度にはグループ全体で210会館を目指します。 ② ライフエンディングサポート事業(注)をさらに拡大させ、シニア世代のライフエンディング・ステージを通じて様々な価値を提供することで、多くのシニア世代とそのご家族のクオリティ・オブ・ライフ向上に貢献します。2031年度には売上100億円を目指し、当社グループの事業の柱へと育てます。 新10年ビジョン実現に向けて、経営環境の変化の兆候を捉え、戦略を確実に推進するため、3ヵ年の中期経営計画を3回策定・実行することを想定しています。2022年4月に策定したその第1期となる中期経営計画(2022年度~2024年度)において、以下の5つを重点課題として進めていきます。 これまで葬儀事業で提供してきた葬儀ブランドに加えて、価格を抑えながらも高品質のサービスを提供する家族葬専用の新たな葬儀ブランド「エンディングハウス」を立ち上げました。この新葬儀ブランドを中心とした低投資・低コストオペレーションの会館を全国規模で展開し、より多くのお客様へサービス提供を行っていきます。新葬儀ブランドだけではなく、従来の葬儀ブランドの拡大やM&Aの活用も含めて出店を加速し、3ヵ年で31会館の出店を目指します。 現在葬儀事業会社で行っている葬儀前後のサービスや、子会社のライフフォワード㈱で行っている終活関連プラットフォーム事業などの終活から葬儀後までのライフエンディングサポート事業分野を拡大し、お客様とご家族の長期間のサポートを実現させます。3年後には売上30億円とし、葬儀事業に続く柱となる事業に育成します。 葬儀事業の拡大に向け、コンタクトセンターや葬儀関連業務(お葬式に必要な物の手配、寝台霊柩乗務、事務等)やその業務のコントロール機能など、従来グループ各社で行っていた施策や機能を集約することにより効率的/高品質な業務を提供する体制を実現することや、デジタルマーケティングによる営業機能の強化を行うことで他社との差別化を目指します。 付加価値の高いサービスとその品質が当社の強みと認識しており、その質の向上・維持のため、当社の葬儀施行サービス、関連商品(供養品、料理等)、葬儀前後のサポート、空間(会館)に至る品質管理と教育を実施し、クオリティマネジメントシステムを強化し顧客満足度向上を目指します。 ・成長戦略を加速させるために人材の採用と既存人材の育成を行うことで、組織の経営基盤を強化します。 ・ESG(環境、社会、統治)に積極的に取り組み、環境・社会的課題(SDGs等)にも真摯に取り組むことで持続可能な社会の構築に積極的な役割を果たし社会に貢献します。 この3ヵ年において営業利益率は15.5%以上を維持し、ROICは7.0%以上を目指します。出店によりコストが先行するため、この3年間の営業利益率及びROICは一時的に悪化しますが、2025年度以降は出店による増益効果で改善を見込んでいます。 現在、気候変動問題をはじめとする環境・社会的課題(SDGs等)への対応が重要性を増してきており、当社グループにおいても、事業のプロセスにおいてこれらの問題に取り組み、また、当社が目指している「ライフエンディングのトータルサポートサービス」を、社会問題や環境問題の解決に役立つビジネスへの進化をさせていくことが不可欠となっています。 2021年11月に環境・社会的課題(SDGs等)や改訂コーポレートガバナンス・コード対応等を意識した事業及び経営インフラの整備を推進するため、「人生に潤いと豊かさを。よりよく生きる喜びを。」という経営理念のもと、基本方針に「サステナビリティに配慮した事業マネジメント、ESG経営の推進」を掲げ、「燦ホールディングスグループESG方針」、「ESG行動指針」を制定し、ESGに関する各施策の取り組みを進めるため「ESG推進委員会」を設置しました。今後ともグループの企業活動を通じSDGsへの貢献も果たしながら、持続可能な社会の実現を目指すESG経営を推進してまいります。 に貢献するとともに、グループの持続的な成長を目指します。 ESGに関する各施策の取り組みを進めるための「ESG推進委員会」を2021年11月11日に設置しました。 ESG推進委員会がESGに関する方針や活動計画の審議、決定等を行うこととしています。また、同委員会は、社長が任命するESG推進担当執行役員を委員長として、ESG推進担当執行役員が指名する者にて構成されます(ESG推進体制は右図の通り)。 ESG推進委員会において審議した内容は定期的に取締役会に報告し、各関連部署と連携実施することで、事業活動に反映させます。 当社グループは本中期経営計画(2022年度~2024年度)の中で、経営基盤強化の施策として「ESG経営の推進」を掲げ、ESG経営で注力すべきテーマを以下の通り特定しています。 このテーマは、創業100年に向けて今後10年間に当社グループが進むべき方向、ありたい姿(新10年ビジョン)と整合するものです。 ライフエンディングサポート事業とは、ライフエンディング・ステージにおいて必要とされる、日常生活や、人生の「終末期」の準備サポート等、安心して心豊かな老後の時間を過ごすために必要とされるサービスや商品を提供することで、社会に貢献する事業です。当社グループでの具体的な対象事業は、葬祭会社の葬儀前後のサービス、㈱ライフフォワード、エクセル・サポート・サービス㈱の介護、高齢者食とその領域での新規事業とします。既存の葬儀事業に加えて、シニアライフ全体での新規事業の開拓/拡大を目指すことで、お客様のクオリティ・オブ・ライフ向上への貢献を目指します。また、中長期的には、 葬祭業界の成長のために、当社グループの葬儀事業およびライフエンディングサポート事業のナレッジを葬儀事業者等に提供する、葬儀事業者向け「ソリューション」モデルの構築も視野に入れています。新10年ビジョンの実現に向けた事業戦略の推進が、当社グループの事業を通じて社会に価値をもたらすとともに、燦ホールディングスグループESG方針に基づくESG経営の推進を強化し、グループの持続的な成長につながるものと考えています。 当社グループは、リスク管理を統括する「リスクマネジメント委員会」を設置し、委員長を議長として、リスク管理に関する規定を整備し、当該委員会において当社グループ全体のリスク管理体制・施策等の審議を行うとともに事業活動に関係する様々なリスクへの対応を検討・実施・推進しています。詳細は、「第一部第4提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要③企業統治におけるその他の事項、第2事業の状況3 事業等のリスク」をご参照ください。リスクマネジメント委員会のメンバーは、社内各種委員会活動の状況も踏まえ、ESG推進委員会メンバーと兼務しています。ESGに関するリスク・機会の洗い出し、対応するための施策の検討に関してはESG推進委員会において行っており、当社グループが取り組むべきESG課題として整理し、取り組み施策の洗い出しを行いました(下図)。当社グループが提供する「高付加価値なライフエンディングサービスと、質の高いホスピタリティサービス」の源泉はいずれも人であり、人と人、人とモノ、人と環境・社会のかかわりあいにおいて発現するものであるため、当社グループのESG経営においては社会(Social)の要素が中心的な課題であると認識しています。 今後、これらの課題の見直しや優先順位を検討することにより、当社グループのESG重要項目(マテリアリティ)を特定し、当社グループ全体のリスク管理体制との統合の方向性を検討してまいります。 2023年度は、当社グループに関連のあるESG課題として特に重要である気候変動と人的資本に関して、リスク・機会の洗い出しやシナリオ分析(気候変動に関して)、経営戦略との連動性、対応策の検討を行いました。気候変動、人的資本に関する戦略や指標・目標を含む詳細内容は以下の通りです。 当社取締役会は、気候変動を含むサステナビリティ課題への対応を重要な経営課題として認識しています。ESG推進委員会において関連する方針や活動計画の審議を行い、その審議内容を定期的に取締役会に報告しています。 取締役会では中期経営計画・年度予算等に気候関連課題もテーマに織込んでおり、次年度以降、進捗を監督していきます。 経営陣は、サステナビリティをグループ全体の経営課題として明確に位置づけ、サステナビリティに対する取組みを推進するための計画を策定するとともに、各関連部署と連携して実施できるよう周知し進捗管理を行い、必要に応じて是正対策を検討したうえで戦略を見直し、事業活動に反映させます。 2023年3月期は、「気候変動」を重要なESG課題と位置付け、TCFD提言への賛同、TCFDコンソーシアムへの参画を行いました。また、ESG推進委員会において当社グループとして初めてTCFDのフレームワークに沿った気候シナリオ分析、気候関連リスク及び機会の特定に取り組みました。その結果は取締役会に報告されました。分析の結果、全体的に当社グループのビジネスに大きな影響をもたらすリスク・機会は特定されませんでしたが、シナリオ毎の主要なリスク・機会が当社グループへもたらす可能性のある中長期的な財務的影響の評価を行い、対応の方向性を確認しました(戦略の項目参照)。気候変動に関しては、引き続きESG推進委員会において必要に応じて社会的動向の把握やリスク・機会の見直しを実施し取締役会に報告するとともに、具体的な取り組みの方向性や目標設定、指標(KPI)の設定を行います。 気候変動が顕在化する4℃シナリオと脱炭素社会への移行により規制強化などが見込まれる1.5℃シナリオの2つのシナリオに基づき、当社グループの事業に影響をもたらすリスク・機会の検討を行いました。 検討の結果、全体的に当社グループのビジネスに大きな影響をもたらすリスク・機会は特定されませんでした。 しかし、個別のシナリオ検討の結果、4℃シナリオにおいては、気温上昇や降水パターンの変化により、花材の生育不良が生じ、調達コストの増加、1.5℃シナリオにおいては、炭素税の導入による課税負担の増加が、財務的な影響をもたらす可能性のある主要なリスクとして特定されました。 今後、特定されたリスク・機会については、各関連部署と認識を共有し、これらのリスクを最小化/機会を最大化するための具体的な対応策を検討し、事業活動に反映させていきます。 当社は、ESG推進委員会において中長期的な観点からの気候変動リスク・機会の特定・評価を行っています。また、既に顕在化している気候変動に伴うリスク(主に台風・豪雨等の物理的リスク)に関しては、リスクマネジメント委員会において発生頻度と損失規模に基づくリスクの特定・評価を行っています。 ESG推進委員会もしくはリスクマネジメント委員会で特定・評価された気候関連リスクを含む重要なリスク等については随時、取締役会等に報告、共有がなされており、適切な対応策の検討が行われています。具体的には、気候変動に関するリスクのうち、経営戦略に関連するリスクについては必要に応じて取締役会において審議を行い、個々の関連部署において指示・報告等を通じて、リスク事象の発生の回避及び発生した場合の対応策を検討しております。 当社では、「リスク管理規程」及び「危機発生時対応マニュアル」を制定し、リスクマネジメント委員会が中心となって、当社グループ全体のリスク管理体制・施策等の審議を行うとともに事業活動に関係する様々なリスクへの対応を検討・実施・推進しています。 ESG推進委員会で特定された気候変動リスク等については随時、リスクマネジメント委員会に共有され、グループ全体のリスクの中での優先順位を検討し、中長期的な経営戦略との関連性の中で対応策を検討しています。 当社グループは、環境に配慮した事業活動の推進をESG行動指針に掲げ、温室効果ガス排出量削減に向けた取組を推進しています。2023年3月期における温室効果ガスの排出量は以下の通りです。 算定基準:電力使用量からのCO2は、マーケット基準で算定しています。電力CO2排出係数は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく電力事業者別の調整後排出係数を使用しています。また、ガスおよび燃料の換算係数は、環境省まとめの「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用しています。 当社グループの事業領域である葬儀業界は、コロナ禍の影響もあり近年急激な変容を遂げています。葬儀スタイル・供養スタイルの多様化、伝統・格式嗜好から小規模・簡素化嗜好へのシフト、アクティブシニアや高齢おひとり様の増加など、事業環境・顧客志向の変化にあわせて当社グループの事業戦略も変化し、結果としてその担い手である従業員に求めるスキル、行動の在り方も変えていく必要があります。当社グループは2032年度に創業100周年を迎えますが、これまでの「大切な人との最後のお別れに寄り添う葬儀事業者」というお客様との信頼に根差した在り方は引き続き大切にしつつ、今後は「シニア世代とそのご家族に寄り添い、ささえるライフエンディングパートナー」への進化を実現させるのが、当社グループの新10年ビジョンです。現在はそのための変革期間であり、本中期経営計画(2022年度~2024年度)は新10年ビジョン実現の「基盤作り」期間に該当します。その事業戦略として、「葬儀事業の拡大」「ライフエンディングサポート事業の拡大」「葬儀事業の競争力強化」「日本一満足・感動いただけるサービスを目指した仕組み強化」「経営基盤の強化」を掲げており、その実現に必要なスキル・専門性を備える人財を採用・育成・獲得していくこと(下図「人財の育成・確保」)が必要です。また、そうした事業変革を担う従業員に求める行動として、「ホスピタリティのこころ」を持った上で、過去にない変化へチャレンジしていく「主体性」、そして専門能力を発揮しながら変革をやり抜く「実行力」を有する人財を増やしていける組織風土作り(下図「組織風土の変革」)にも取り組んでいます。当社グループの進むべき方向性であるパーパスや経営理念に共感する従業員の土壌を築きつつ、人的資本の側面から事業戦略の実現性を高めるためのこれら両輪の取り組みを継続させた先に「挑戦し続ける組織風土」として常態化され、結果として中長期的に企業価値が向上し続けていく、それが当社グループの人的資本経営の考え方です。このような組織風土が根付いているか否かを確認するための指標として、当社グループの人的資本経営では「従業員意識調査」の結果を取締役会で適宜モニタリングしていく予定です。 ここでは、当社グループの経営理念・パーパス浸透の取り組みの考え方について記載します。 当社グループの経営理念のミッション「人生に潤いと豊かさを。よりよく生きる喜びを。」は、葬儀事業からライフエンディングのトータルサポート事業へ、また新規事業の展開へと新しい価値を創り出すことに挑戦しつづける当社が、商品やサービスを通じてお客様と地域の人々の人生に潤いと豊かさを感じてもらうこと、よりよく生きる喜びを感じてもらうことが社会に果たすべき使命であるということを意味しています。加えて、2022年4月に私たちの社会に対しての存在意義、存在価値をあらためて定義し、当社グループのパーパスを制定しました。私たちは、シニア世代とそのご家族との長期にわたる関係を築きながらトータルなサポートを提供することによって、その方の人生によりそい、支えてまいります。経営理念・パーパスを浸透させるための従業員の行動への動機づけとして、各事業会社・各事業所へ社長が直接出向いて従業員と直接対面でのコミュニケーションを行うタウンミーティングなどを実施しています。特に、「日本一満足・感動いただけるサービス」を実現・達成していくための組織を作るには、当社グループで働く従業員一人ひとりが経営理念・パーパスを理解し、会社への帰属意識を高めてもらうことが不可欠です。そのため、経営理念・パーパスの従業員への浸透度を従業員意識調査の中で今後測定していく予定です。 ここでは、「人財の育成・確保」として、事業戦略の実現に必要なスキル・専門性を有する人財を採用・育成・獲得していく考え方を中心に記載します。 葬儀単価は下落傾向にあるものの、死亡数は当面増加傾向にあり、我が国の葬儀市場は大幅な成長は難しいまでも一定の市場規模の維持は可能と考えています。一方、コロナ禍の影響もあり葬儀市場は近年急激な変容を遂げています。そうした環境変化に対応した事業推進ができる戦略企画・将来の経営幹部候補人財の育成・確保を進めております。具体的には、採用競争力のある条件提示を可能とする人事制度の導入によって優秀な人財を外部から確保するとともに、管理職研修の強化と、幅広い視野や能力開発を目的としたローテーションを今後強化していくことで、戦略企画・経営幹部候補人財の育成に努めております。 既存の葬儀サービス事業では、新葬儀ブランドを中心とした出店加速により葬儀事業エリアと顧客ターゲットを拡大していく必要性から、葬儀サービス人財の確保、および戦力化を進めております。特に葬儀サービス人財は、これまで以上に新卒および中途採用を強化することで人財の確保を進めてまいります。また、採用した人財を戦力化するための当社オリジナルの人財育成プログラムを開発し、葬儀サービス人財の育成とサービス品質の向上に努めております。 新事業・サービスとしては、終活から葬儀後までのライフエンディングサポート事業分野を拡大し、お客様と家族の長期間のサポートを実現させるとともに将来の柱となる事業に育てる計画を掲げております。それにあたり、シニア世代に向けた終活サービスのポータルサイトを通じた商品・サービスの提供を事業内容とするライフフォワード㈱の売上拡大・収益化を最重要課題の一つに位置付けています。その担い手として、マーケティングの専門性を有した人財の育成・確保が急務です。特に、WEBマーケティング等のデジタルマーケティング領域においては、優秀な人財の中途採用に注力しております。また、新事業・既存事業ともに当社グループ全体においてマーケティングスキルの向上が重要なため、今後はマーケティングスキル向上の研修等を強化してまいります。 加えて、当社グループでは、死別等によって悲嘆されているご遺族の立ち直りのサポートの一助となるべく、社会貢献活動としてグリーフケア活動を行っております。ご遺族の悲しみを癒し、前向きに生きるエネルギーの源になって頂くための遺族サポートを行う「ひだまりの会」を2003年12月に立ち上げ、これまで1,000名を超えるご遺族の方々のサポートをしてまいりました。また、グリーフケア活動の一つであるエンバーミング(ご遺体に消毒殺菌・防腐・修復・化粧をし、生前のお姿に近づける技術)処置は、今後さらに重要性が増すと想定しております。昨今の新型コロナウイルス感染症等のパンデミックリスクだけに留まらず、今後、日本では地震や台風・水害等の大きな自然災害が発生することが想定されており、自然災害等でお亡くなりになった方に対してエンバーミング処置を行うことで故人の遺志や残された人たちの想いを十分に葬儀に反映することが可能となります。このようなグリーフケアを通じた社会貢献活動は、当社グループの社会価値向上のための非常に重要な取組みといえます。今後は葬儀サービスだけでなく、グリーフケア活動まで担うことができる人財の育成を強化するとともに、エンバーミング処置ができる日本遺体衛生保全協会(IFSA)認定のエンバーマー資格保有者の確保と育成の強化に取り組んでまいります。 また、当社グループは、日本一満足・感動いただけるサービスを目指し、人のこころに寄り添うホスピタリティあふれるサービス・商品・空間(会館)を、妥協することのない質の高さをもって実現し、お客様にお届けすることが企業価値の源泉と考えており、これを実現する人財育成とクオリティマネジメントを徹底しています。ひとりひとりがプロフェッショナルとして質の高いサービス提供ができるように教育研修の専門部署を設けてサービス品質の向上を行っております。具体的には、入社後に教育専門部署による葬儀サービスの教育の機会を設け、厚生労働省認定「葬祭ディレクター技能審査資格」の資格取得に努めており、現在有資格者は315人(2022年11月末時点)となっております。また、サービス品質をさらに向上させるために、当社グループ独自の葬儀サービス人財の役割に応じたサービス認定制度を導入し、従業員のモチベーションを高め主体的に自らの成長を促していくプログラムとして運用しております。こうした取り組みによってホスピタリティ溢れるサービスを提供していくことでお客様の満足度の向上に努めております。 ここでは、「組織風土の変革」として、「ホスピタリティのこころ」を持った上で、過去にない変化へチャレンジしていく「主体性」、そして専門能力を発揮しながら変革をやり抜く「実行力」を有する人財を増やしていく社内環境作りの考え方について記載します。 当社グループは、挑戦を行う従業員の育成および組織づくりを行うために、管理職に求める人財要件として、環境理解、戦略構築、成果志向・価値創出、挑戦・主体的行動、関係構築・協働、組織・人財開発の6項目を設定しました。この求める人財要件にもとづいた管理職の人事制度を2021年4月に導入しており、管理職研修を実施することで自ら率先して挑戦し、周囲を動機づけ、変革を巻き起こすリーダーシップを発揮する管理職の育成を強化しております。また、様々な表彰制度やインセンティブ制度を導入することで、従業員ひとりひとりが職場の中で主体性を持って挑戦と実行ができるような組織づくりを行っております。 また、多様な働き方を実現するための環境整備も行っており、テレワーク制度導入によるリモート勤務に必要なインフラ整備(ペーパレス・電子化)や諸手当の導入、障がい者雇用の強化、2021年度は一部職種向けの副業制度を導入いたしました。今後は、女性活躍の推進、シニアの活躍機会創出にもより力を入れていくほか、フレックス制度の導入など環境整備も進めていく予定です。 加えて、コンプライアンスを重視した組織風土の醸成にも力を入れております。役員・従業員が遵守すべき規範、普遍的な考え方を「行動規範・行動基準」としてまとめた「コンプライアンスブック」の全役員・従業員への配布とヘルプラインを周知するほか、コンプライアンス研修・個人情報保護(PMS)研修・ハラスメント研修等の定期的、継続的な教育を実施することで、コンプライアンスに対する意識向上を従業員に対して取り組んでおります。 以上、当社グループの進むべき方向性である経営理念・パーパスに共感する従業員の土壌を築きつつ、人的資本の側面から事業戦略の実現性を高めるための取り組みとして、「人財の育成・確保」「組織風土の変革」を両輪で継続させた先に、「挑戦し続ける組織風土」として常態化されているかを確認するため、従業員意識調査を実施しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。 葬儀需要の数量的側面は死亡者数によって決定され、葬儀事業における所与の条件となります。死亡者数の中長期予測として、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2023年4月推計)における死亡者数の中位推計に依拠すれば、向こう10年間、年平均1%弱の伸び率で死亡者数が増加するとの予測が得られます。しかし年度毎に見ると、実績値は上記推定値から乖離した動きを示します。 したがって、仮にマーケット・シェアおよび葬儀1件当たりの平均単価が変わらないとしても、(当社グループ営業エリアの)死亡者数の変動によって、葬儀およびその関連事業を中核事業とする当社グループの単年度業績が、少なからず変動する可能性があります。 年間死亡者数の発生に季節性があるため、特に12月~2月が当社グループの葬儀施行件数が相対的に多い繁忙期となります。したがって、葬儀およびその関連事業を中核事業とする当社グループでは、上期よりも下期の営業収益が多くなっています。 また、この繁忙期(とりわけ1月~2月)はインフルエンザの罹患者の発生が多くなる時期でもありますので、その年のインフルエンザ流行の程度によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 葬祭業界は法的規制、行政指導のない業界ですが、それは裏を返せば事業への参入障壁が低いことを意味します。 業界内には地域密着型で家業的な中小零細業者を圧倒的多数とする葬儀専業者と、広域展開している一部大手事業者を含む冠婚葬祭互助会とがあります。これまで婚礼を中核事業としてきた冠婚葬祭互助会が葬儀に注力しているほか、成長産業としての認識から、仏事関連産業はもとより異業種(電鉄、流通、生協、農協、ホテル等)からの参入が全国規模で進んでいます。また、インターネットによる葬儀紹介事業者の進出もあり一段と競争激化に拍車をかけています。参入障壁の低さが、今後新たな新規参入を招き、当社グループの業績に影響を与えるような競争環境の変化をもたらす可能性も否定できません。 台風や豪雨、大規模な地震等の自然災害の発生は、当社グループが所有または運営する施設(主に葬儀会館)に損害を及ぼす可能性があります。これに伴う葬儀会館の一時的な稼働停止リスクに対しては、グループ内の他の葬儀会館や外部施設の利用により、葬儀施行への影響を最小限に抑えます。また、施設に係る経済的損害のリスクについては損害保険の付保により転嫁を図ります。しかし、それらの対応で十分に事業への影響や損失がカバーされる保証はありません。 感染症の発生・蔓延は、人びとの移動や集いに大きな制約をもたらします。最悪の場合は、故人との対面でのお別れができないなど、葬儀形態そのものが制約を受けることも生じます。こうした事態は、葬儀の参列者の減少、小規模化をもたらし、また、社葬やお別れの会などの大規模葬儀の施行を困難にすることを通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは2020年2月中旬以降、コロナ禍により、主に葬儀における参列者減少に伴う小規模化によって業績への影響を受けてきましたが、当連結会計年度においては葬儀施行単価に持ち直しの傾向が見られました。 新型コロナウイルス感染症の拡大から3年が経過し、わが国でもWithコロナの取り組みが進んでおり、社会経済活動が正常化に向けて本格的に動き出しましたことが背景にあります。 このような状況の変化をふまえ、本感染症の影響は、今後は過去3ヵ年と比べて限定的になると想定しております。但し、本感染症による影響が今後この想定と乖離する場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、葬儀会館に係る有形固定資産を中心に固定資産を保有しています。経営環境や事業の状況の変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失の計上により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの料理・飲料事業については食品衛生法により規制を受けています。当社グループが飲食店を営業するために、都道府県知事が定める基準により食品衛生責任者を置くことはもとより、厳格な衛生管理を実施することによって、食中毒の回避に万全を期しています。しかしながら、万が一食中毒を起こした場合、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命じられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、葬儀の請負等を通じて多くの個人情報を所有することから、2005年4月より施行された個人情報保護法の遵守体制構築を経営の最重要課題の一つと位置づけ、プライバシーマークの認証を取得いたしました。 しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出した場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担や企業イメージの低下が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、資源高や円相場の変動の影響などを受けつつも、新型コロナウイルスの感染抑制と社会経済活動の両立が進むもとで、景気の持ち直しが見られました。企業収益が全体として高水準で推移するもとで、設備投資は緩やかに増加し、個人消費も物価上昇の影響を受けつつ緩やかに回復しました。 葬儀に関しては、コロナ禍において小規模・簡素化傾向が加速し、今後も感染症の動向とその影響については不確実性が高いものの、当期においてはこうした傾向がやや緩和したものと見られます。また、故人との大切な最後のお別れの場においては、引き続き適切な感染防止対策を講じたうえで、関係者の安全・安心に配慮すると同時にご遺族等のお気持ちに寄り添い応えることが、葬儀事業者には求められています。 葬儀業界では、各地での新規出店の加速、マッチングビジネスの台頭などにより、特に小規模葬儀をめぐる競争が激化しています。このような事業環境の変化を背景にM&Aが増加しており、今後、葬儀業界のみならずライフエンディング業界全体の再編が進むものと考えられます。 このような事業環境の変化をふまえ、当社グループでは新たに定めたパーパスおよび10年ビジョンの実現に向けて、その基盤づくりの時期と位置付ける3ヵ年(2022年度~2024年度)の中期経営計画を2022年4月にスタートさせました。その中の重点項目の一つである「葬儀事業の拡大」では、3ヵ年で31会館の出店を目指しております。初年度の2022年度は6会館を開設する計画に対し、以下のとおり8会館を開設しました。 このうち「エンディングハウス」の4会館は、中期経営計画における「葬儀事業の拡大」達成のカギとして準備を進めてきた、家族葬専門の新しい葬儀ブランドです。また、2022年4月に設立した葬祭会社「㈱グランセレモ東京」(㈱広済堂ホールディングス51%、当社49%の出資による合弁会社)については、2022年7月5日より事業を開始しております。 当期のグループ葬祭3社の葬儀施行収入は前連結会計年度(以下、前期)比7.6%の増収となりました。グループの全葬儀施行件数は、㈱葬仙および㈱タルイにおける増加により、前期比1.5%の増加となりました。また、葬儀施行単価は、葬儀規模にかかわらず全般的に持ち直したため上昇しました。さらに、葬儀に付随する販売やサービス提供による収入も、グループ全体では前期比増収となりました。 費用については、社葬・お別れの会の件数増加による直接費の増加、昨今の資源・エネルギー価格の高騰影響による光熱費やガソリン代の増加のほか、広告宣伝費や新規出店による地代家賃等が増加しました。そのため、営業費用は前期比6.8%の増加となりました。また、販売費及び一般管理費は、人材強化のための採用関連費用やソフトウエアの減価償却費の増加等により前期比9.3%増加しました。 この結果、当期の営業収益は216億63百万円となり、前期比8.3%の増収となり、営業利益は38億68百万円と前期比14.6%の増益となりました。また、営業外費用において「㈱グランセレモ東京」に係る持分法による投資損失12百万円や会館のリニューアル等に伴う解体撤去費用24百万円の計上等はありましたが、経常利益は38億43百万円と前期比13.5%の増益となりました。さらに特別利益として、主に「公益社 宝塚会館」の土地等の売却益(注)からなる固定資産売却益2億92百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は41億27百万円となり、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は27億83百万円と前期比36.4%の増益となりました。 当社グループでは、葬祭3社および当社を中心とした会社グループ別の4つのセグメント、「公益社グループ」、「葬仙グループ」、「タルイグループ」、「持株会社グループ」を報告セグメントとしております。なお、「公益社グループ」には、㈱公益社に加え、㈱公益社の葬儀サービスのサポートのほか介護サービス事業や高齢者施設での食事の提供等を行うエクセル・サポート・サービス㈱、および終活関連WEBプラットフォーム事業を行うライフフォワード㈱を含んでおります。当期のセグメント別の経営成績は次の通り、持株会社グループを除く3つのセグメントで増収増益となりました。 公益社グループの中核会社である㈱公益社においては、葬儀施行件数は前期比0.3%減少しました。その主な要因として、前第4四半期(2022年1~3月)においてコロナ感染の第6波によりコロナ関連葬儀が増加していたためです。これに対し、葬儀施行収入は前期比6.7%の増収となりました。これは主に、大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の施行件数の増加に加え、一般葬儀(金額5百万円以下の葬儀)の単価が持ち直したことによります。また、葬儀に付随する販売やサービス提供は、法事法要や墓地・墓石等の増収が仏壇仏具、後日返礼品の減収をカバーして、全体として前期比増収となりました。 費用については、人件費の増加や広告宣伝費の増加、新規会館に係る地代家賃の増加等のため、セグメント費用は前期比増加しました。この結果、当セグメントの売上高は179億34百万円(前期比8.0%増)、セグメント利益は24億42百万円(前期比24.5%増)となりました。 葬仙グループの㈱葬仙においては、米子、松江を中心に新店効果により葬儀施行件数が増加し、全体では前期比11.0%増加しました。会葬者数の増加に伴い、葬儀施行単価についても上昇しました。このため葬儀施行収入は前期比13.5%の増収となりました。一方、葬儀に付随する販売やサービス提供は、仏壇仏具の販売減少等により前期比減収となりました。 この結果、当セグメントの売上高は15億15百万円(前期比10.9%増)、セグメント利益は1億39百万円(前期比84.3%増)となりました。 タルイグループの㈱タルイにおいては、新店のみならず既存店においても葬儀施行件数が伸長し、全体で前期比9.8%増加しました。葬儀施行単価についても、小規模葬儀が増加する一方、大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の受託があり、全体で上昇しました。このため葬儀施行収入は前期比10.5%の増収となりました。葬儀に付随する販売やサービス提供は、後日返礼品や仏壇仏具等の販売増加により前期比増収となりました。 この結果、当セグメントの売上高は18億31百万円(前期比11.1%増)、セグメント利益は3億71百万円(前期比23.9%増)となりました。 持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、主に配当金収入の増加により増収となりました。費用については新規出店に伴う地代家賃や減価償却費、新たな基幹情報システムの稼働等に伴うソフトウエアの減価償却費等の固定費が増加したほか、合弁会社「㈱グランセレモ東京」に係る持分法による投資損失を営業外費用に計上しました。 この結果、当セグメントの売上高は61億47百万円(前期比3.0%増)、セグメント利益は26億55百万円(前期比1.9%減)となりました。 当連結会計年度末(以下、当期末)における流動資産は110億39百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)比23億23百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が17億49百万円、営業未収入金及び契約資産が1億59百万円それぞれ増加したことによるものです。 固定資産は251億89百万円となり、前期末比57百万円増加しました。有形固定資産は主に「公益社 宝塚会館」の土地売却等により1億78百万円減少したことによるものです。その一方で、新たな基幹情報システムの稼働等に伴うソフトウエアの増加により無形固定資産が1億79百万円増加したほか、合弁会社「㈱グランセレモ東京」への出資や新規会館の開設に伴う差入保証金の増加等により、投資その他の資産が56百万円増加したことによるものです。 この結果、総資産は362億29百万円となり、前期末比23億81百万円増加しました。 当期末における流動負債は35億59百万円となり、前期末比5億32百万円増加しました。これは主に、営業未払金が1億41百万円、未払法人税等が1億7百万円それぞれ増加したことによるものです。 固定負債は10億54百万円となり、前期末比1億36百万円減少しました。これは主に、リース債務と長期未払金の減少によるものです。 この結果、負債合計は46億13百万円となり、前期末比3億95百万円増加しました。 当期末における純資産合計は316億15百万円となり、前期末比19億85百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益27億83百万円を計上し、剰余金の配当4億50百万円を支払うこと等により利益剰余金が17億50百万円増加したこと、ならびに当期中に自己株式を3億87百万円取得したことによるものです。 この結果、自己資本比率は前期末比0.2ポイント低下し、87.3%となりました。 当期末における現金及び現金同等物は、前期末より17億44百万円増加し、91億79百万円となりました。 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは32億62百万円の増加(前期は29億91百万円の増加)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純利益41億27百万円、減価償却費8億82百万円により資金が増加したのに対して、売上債権の増加額1億59百万円、法人税等の支払額14億7百万円により資金が減少したことによるものです。 投資活動によるキャッシュ・フローは5億94百万円の減少(前期は14億91百万円の減少)となりました。 これは主に「公益社 宝塚会館」の土地等の売却からなる、有形固定資産の売却による収入4億62百万円等で資金が増加する一方、新規会館の建設工事や既存会館の改修工事等に伴う有形固定資産の取得による支出7億80百万円、新たな基幹情報システムの構築等に伴う支出2億20百万円により資金が減少したことによるものです。 財務活動によるキャッシュ・フローは9億23百万円の減少(前期は11億3百万円の減少)となりました。 これは主に、配当金の支払額4億50百万円、自己株式の取得による支出3億87百万円により資金が減少したことによるものです。 当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。 なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度(以下、当期)は新型コロナウイルスの感染拡大の3年目となり、わが国でもようやく感染対策を継続しながら社会経済活動の正常化を目指す動きが強まりました。そうした中で大きな感染拡大の波が二度到来しましたが、前連結会計年度(以下、前期)と比べると当該感染症の業績への影響がさらに緩和し、前期比増収増益となりました。増収の主な要因は、一つは一般葬儀の単価の持ち直し、もう一つは大規模葬儀(金額5百万円超)の回復にあります。 一般葬儀につきましては、公益社関西圏では主にコロナ関連葬儀(陽性の方及び検査後陰性が判明した方の葬儀)の減少により葬儀施行件数が減少し、エリアシェアも競合の出店等の影響で低下しました。その反面、葬儀単価は全体的に上昇しました。一方、公益社首都圏ではエリアシェアの上昇を伴って件数が増加しました。また、葬仙、タルイともに件数が前期比二桁台の伸び率で増加した上、単価も上昇しました。大規模葬儀につきましては、金額ベースでコロナ前の平均的水準を回復しました。 また、ライフエンディングサポート事業につきましては、中期経営計画最終年度である2024年度の目標を30億円と設定しておりますが、当期は18億円となりました。 費用につきましては、昨今の資源・エネルギー価格の高騰影響による光熱費やガソリン代の増加という外部要因のほか、人材強化のための人件費や採用関連費用、集客のための広告宣伝等のマーケティングコスト、地代家賃等の新規出店関連費用、基幹営業システムの構築に伴うソフトウエアの減価償却費など、社内の政策的な要因による増加がありましたが、営業費用と一般管理費を合わせて増収率を下回る増加率に抑えました。 この結果、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の「売上高営業利益率15.5%以上」については、実績値が17.9%となり、目標を大幅に上回ることができました。 新たな中期経営計画の初年度となる当期は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に掲げた5つの課題に取り組みました。その中の重要項目の一つである「葬儀事業の拡大」の取り組みとして、2023年3月に新しい葬儀ブランド「エンディングハウス」事業をスタートさせました。 この結果、当期は6会館(中期経営計画3ヵ年で31会館)の出店計画に対し、8会館(首都圏3、関西圏4、山陰1)を出店しました。このうち「エンディングハウス」を4会館(首都圏、関西圏各2)同時オープンしております。 「エンディングハウス」は家族葬専門のブランドで、価格を抑えながら高品質を追求したコストパフォーマンスに優れたシンプルなパッケージプランによるサービスを提供します。伝統や格式・形式にとらわれず、ご家族など近しい方々だけでゆっくりとお別れしていただく場としてのご利用を想定しています。この事業を展開する営業エリアは、関西圏、首都圏も対象ですが、エリア拡大の中心はこれまで当社グループが事業展開していない全国の主要都市となります。また、自社による出店の他にM&Aやアライアンス等、様々なスキームを使いながら新規出店スピードを加速させ、全国へと事業エリアの拡大を図っていきます。 なお、特別利益として固定資産売却益2億92百万円計上しました。これは主に、自社所有の「公益社 宝塚会館」を事業環境の変化に合わせて家族葬に適した会館にダウンサイジングしたことに伴い発生した余剰不動産を資本効率改善のために売却したことによるものです。 新型コロナウイルス感染症の業績に対する影響(以下、「コロナ影響」と略記)の主なものは、①一般葬儀における参列者減少による一般葬儀の小規模化 ②社葬・お別れの会を中心とする大規模葬儀に関して、感染拡大状況やその防止施策の影響を受けて、開催が見合わせられるケースがあること、の2つです。 ①の一般葬儀に関しては、一定の前提条件をおいてグループ葬祭3社における影響額を推計してきましたが、コロナ禍の3年間に、葬儀の単価や価格帯別構成比に影響を与えるコロナ以外の要因が徐々に大きくなっており、試算結果をそのままコロナの定量的影響とみなすことはもはや困難であるとの判断から、影響額の推計を取りやめることとします。 ②の大規模葬儀に関しては、当期金額ベースでコロナ前の平均的水準を回復したと判断しております。 2020年初頭からのコロナ禍が葬儀の小規模化を加速させたことは事実であり、当期葬祭3社の葬儀単価が前期比上昇したとはいえ、コロナ前の2019年度の水準に戻ったわけではありません。その一方で、わが国も感染再拡大のリスクを念頭に置きつつ、社会経済活動の正常化に向けて動き出しました。これらの状況を勘案すると、葬儀の小規模化傾向は、揺り戻しを挟みつつ今後もコロナ前と同様に続くものと考えます。 当社グループでは、「(1)経営成績等の状況の概要」でもふれましたように、故人との大切な最後のお別れの場においては、引き続き適切な感染防止対策を講じたうえで、関係者の安全・安心に配慮すると同時に、ご遺族等のお気持ちに寄り添ってまいります。 総資産は、前期末比23億81百万円増加して362億29百万円となりました。 負債の部では、業績の拡大を反映して営業未払金や未払法人税等が増加するなど流動負債が増加しましたが、固定負債に大きな異動はありませんでした。また、有利子負債は少額のリース債務のみで、投下資本はもっぱら純資産からなります。純資産額は主に利益剰余金の増加により19億85百万円増加しました。 投資に伴う資産の部の動きを見ると、新規出店8会館および基幹情報システムの構築を中心とする設備投資は大半が減価償却費でまかなえる規模であり、固定資産の増加はごくわずかでした。その結果、現金及び預金は、固定資産の売却代金も加わり、設備投資や株主還元(配当金支払い、自己株式取得)の資金に充当してもなお、17億49百万円の増加となりました。 このように投下資本は増加しましたが、営業利益及び経常利益はコロナ禍3年目の当期、コロナ前の2019年度の過去最高益を更新する大幅増益となりました。その結果、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の資本効率目標「投下資本利益率(ROIC)」は7.8%と前期0.6ポイント向上し、目標とする7.0%を上回りました。 一方、財務の状況は、総資産に占める固定資産の比率が高いものの、その固定資産は純資産によってまかなわれており、当期末において自己資本比率は87.3%と高水準です。また、流動資産の8割超を現金及び預金が占め、手元流動性比率5.3ヵ月(コロナ影響を除くため、2018年3月期~2020年3月期の営業収益の平均値に基づいて算出)であることから短期的な支払能力も高いと言えます。これらの点から、今般の新型コロナウイルス感染症クラスの外的ショックが再び発生しても、それに耐えうる財務の健全性を有すると判断しております。 資金の最大の源泉である税金等調整前当期純利益が、主に一般葬儀の単価の持ち直しと大規模葬儀の回復による業績向上や固定資産売却益の発生などにより、前期比3割増加したため、営業活動によるキャッシュ・フローが32億62百万円の増加となりました。 一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、8つの葬儀会館の新規出店及び既存会館のリニューアル等による有形固定資産の取得と新たな基幹情報システムの構築に係る無形固定資産(ソフトウエア)の取得による支出に対して、公益社の旧宝塚会館の土地等の売却による収入を差し引きして、5億94百万円の減少となりました。さらに、前期に引き続き、当期も増配および自己株式の取得を実施し株主還元を充実させたことにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、9億23百万円の減少となりました。 この結果、現金及び現金同等物は前期末比17億44百万円増加して91億79百万円となりました。 これにより、以下の資金使途や資金需要に対する原資の一部として、さらに万が一のダウンサイドへの備えとして、資金の流動性は十分に確保できていると判断しております。 当社は現在取り組んでいる中期経営計画(2022年度~2024年度)において、強固な財務基盤をベースに成長のための積極的な投資を行うことを明らかにし、営業キャッシュ・フローをまず、《既存設備への投資》と《成長投資》とに配分し、その余を株主還元に充当するという、キャピタル・アロケーションの枠組みを示しました。 ここで《既存設備への投資》とは葬儀会館を中心とする既存設備のリニューアルや改修であり、減価償却費の範囲内を基本とします。《成長投資》とは、葬儀会館の積極的な新規出店やライフエンディングサポート事業の強化といったオーガニックな成長のための投資とM&Aやアライアンスによるインオーガニックな成長のための投資からなります。 葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境をふまえ、成長のための新規出店は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、新たな葬儀ブランド「エンディングハウス」を中心とする計画ですが、残り2ヵ年で23会館の出店を目指す投資資金は、営業キャッシュ・フローを中心とした自己資金でまかなうことができる見込みです。ライフエンディングサポート事業に係る投資資金に関しても、同様と考えております。 なお、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件については土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、土地を賃借する場合と比べて、一時的に多額の投資資金を要する可能性があります。また、M&Aやアライアンスに係る投資においては、予期せぬ好投資案件に対して、資金調達に起因する機会損失を回避することが重要であると考えます。 これらのケースを含む緊急多額の資金需要に対しては、高い水準にある資金の流動性で対応するほか、取引銀行3行と締結している総額10億円のコミットメントライン契約に基づく借入れによって資金調達をすることがあります。なお、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 その他 機械及び装置、構築物、工具、器具及び備品があります。 特記すべき事項はありません。
株式会社マイネット
# 株式会社マイネット 等となっております。 なっております。 マイネットグループは「会いたいときに会いたい人に会える社会の実現」をビジョンに掲げ、「デジタルの力で繋がりを拡張する」をミッションとしております。 2020年代のメガトレンドとして、既存産業のDXが進む中、当社グループは強みのDX技能をゲーム領域とスポーツ領域を主軸に投下し、ゲームサービス事業と新規で注力しているスポーツDX事業の2本柱での事業展開を進めております。 ゲームサービス事業では、ゲーム運営に特化し、これまでに累計80タイトル以上のゲームタイトル運営で蓄積したノウハウやデータ基盤を活用することで、ユーザーの皆様が長く、ワクワク楽しめる「10年空間」の実現を目指しております。 当社グループは、新作の開発は行わず、既にリリースされているゲームタイトルをゲームメーカーから買取、協業、M&Aまたは受託で仕入れております。仕入れたタイトルに対して、国内最大数のタイトル運営で蓄積したデータ・アセット・ノウハウをシェアリングすることで収益性を高め、タイトルの長期利益化、長期運営を実現し、長くワクワクする空間をユーザーに提供しております。 スポーツDX事業では、ファンタジースポーツ事業とクラブDX事業の展開を進めております。ファンタジースポーツ事業では、スポーツとユーザーのデジタル接点を創出し、新たな価値提供によるコミュニティ形成を行い、形成したコミュニティに対して、多様なマネタイズを目指しております。当該事業領域で国内No.1を目指し、市場形成を牽引してまいります。 クラブDX事業では、プロバスケットボールチームの滋賀レイクス、プロサッカーチームのFC琉球に対して当社のDX技能を注入し、スポーツ産業の収益力向上や地域社会の活性化を促しております。 なお、当社グループの現状の報告セグメントはゲームサービス事業の単一セグメントです。 ゲームサービス事業の事業系統図は次のとおりです。 当社の労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は安定しております。 当社グループは、「会いたい時に会いたい人に会える社会の実現」をビジョンに掲げ、「デジタルの力で繋がりを拡張する」をミッションとしております。不可逆的に進む社会のオンライン化の先端で人と人とを結び付ける事業を展開しております。 当社グループでは、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の中長期的な成長を重視しております。 当社グループは、ゲーム領域・スポーツ領域を中心にコミュニティの価値創造を通じて事業を展開しております。主力のゲームサービス事業では、累計80本超のゲーム運営で蓄積したデータ・アセットを活用する横断基盤を構築し、ゲームタイトルの長期運営を実現しております。スポーツ領域ではファンタジースポーツ事業及びFC琉球・滋賀レイクスのクラブDX事業により、スポーツ産業のDXに取り組んでおります。 スマートフォンゲームメーカーは相対的に成功確度が高いIPタイトル(人気キャラクター関連タイトル)の開発に注力しており、同時にゲームクオリティのリッチ化が進行しています。その結果、タイトルごとの売上や費用に加えて、運営チームの規模も大きくなるなど、タイトル規模の大型化が進行しています。ゲームタイトルが大型化したことで、仕入先であるゲームメーカーにとって、一つ一つのゲームタイトルの会社業績に与える影響が大きくなり、売却に慎重になる傾向や、継続した売上計上を希望する傾向がみられています。 当社はこうした環境変化、顧客ニーズに対応し、プロフィットシェアや受託などの柔軟なスキームを整備するなど獲得戦略を洗練させております。大型~超大型タイトルを獲得・運営できるプレイヤーは非常に限られるため、多様な契約形態を取り揃えることで当社の新たな競争力となり、今後のゲームサービス事業の再成長への礎となっています。 当社グループは「デジタルの力で繋がりを拡張する」を会社のミッションとして掲げております。当社がゲームサービス事業で培ったDX技能を、ファンタジースポーツやクラブDXの取り組みを通じて、スポーツ領域にも投下することで、2本柱での成長を目指してまいります。 当社グループでは、ゲームサービスをスマートフォン/タブレット端末を通じインターネット上で提供していることから、システムの安定的な稼働及び技術革新への対応が重要な課題と考えております。これに対し、当社グループではサーバー等のシステムインフラを安定的に稼働させるべく、継続的なインフラ基盤の強化及び専門的な人員の確保に努めるとともに、技術革新にも迅速に対応できる体制構築に努めてまいります。 当社グループが継続的に企業価値を向上していくためには、高い専門性を有する優秀な人材の確保及び将来を担う人材の育成が経営上の重要な課題であると認識しております。そのため、職場環境の改善、福利厚生の充実及び採用活動の多様化に努めるとともに、企業認知度の向上に取り組み、人材の確保に力を入れております。 一方で、採用においては優れた能力のみならず、当社グループの理念と企業文化を共有できる人材の選考を心がけており、社員同士が協力し合いながら生き生きと働ける組織作りを大切にしております。 また、社内研修・教育制度を強化し、組織の枠を超えた積極的な交流を図り、知見とノウハウを可視化・伝播することで企業と共に成長していく人材育成システムの構築を目指してまいります。 当社グループが今後更なる業容拡大を図るためには、内部管理体制やコンプライアンスの実効性を高めながら各種業務の標準化と効率化の徹底を図ることにより事業基盤を確立させていかなければならないと認識しております。そのために当社グループでは、経営幹部の確認体制の下、全社に業務フローやコンプライアンス遵守を周知徹底させると同時に、日々改善を行うことで業務の効率化を図ってまいります。また、新規事業分野に潜在する各種リスクも勘案して内部管理体制及びコンプライアンス体制の充実と強化を図ってまいります。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 当社グループの事業領域である国内のスマートフォンゲーム市場は、2015年頃より成長期から成熟期へと移行しております。そのため、各ゲームメーカーはIPを活用したタイトルを創出するなどして成長を再加速させるための努力を続けておりますが、同時にスマートフォンゲームの高機能化が進行しており、開発費用の高騰や中国・韓国企業のパブリッシングタイトルの台頭もあり、競争は更に激化している状況となっております。 このように成熟期に入ったスマートフォンゲーム市場では、資金調達力などの企業体力に限界のある小・中規模事業者の淘汰、規模や効率を追求する事業者間の合従連衡の動きなど業界構造の変化のスピードが更に速まることも考えられます。各ゲームメーカーが自ら運営するゲームタイトルを当社グループのようなゲームサービス事業者に移管するという流れは続くものと予想しておりますが、景気の大きな変動の影響を受けるなどして、スマートフォンゲーム市場の全体売上が大きく悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、ゲームサービス事業での競争力向上を目的としたゲームタイトル仕入のため、事業買収や企業買収といったM&Aに注力しております。一方でゲームメーカーはスマートフォンゲーム市場が成熟化するにつれて新たなヒットタイトルを創出する難度は高まりつつあり、今後は開発期間の長期化や開発金額が高騰している新規のゲームタイトル開発に比べると、事業リスクの低いゲームサービス事業に他社が参入してくるリスクがあると考えておりますが、現在はゲーム市場が拡大する中で、競合企業の撤退が増加しております。 当社グループでは獲得体制の強化、サービスラインの拡充、運営力の磨きこみ等の施策により、マーケットリーダー戦略を実行して実績を元に競争優位を築いてまいりますが、モバイル端末向けに類似サービスを提供する企業や新規参入者との競争が発生、または激化することにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループのスマートフォンゲーム事業では、株式会社ディー・エヌ・エー、Apple Inc.、グリー株式会社、Google LLC等のプラットフォームを介して利用者にサービス・コンテンツを提供しており、当該プラットフォームを運営する事業者への収益依存が大きくなっております。 当社グループは、提携先との契約を遵守し、友好的な関係を維持するよう努めるとともに、特定の提携先に過度に依存しないよう、ポートフォリオのバランスを考慮した経営を心がけております。しかしながら、提携先の方針又は事業戦略の変化によって、手数料率の変更等何らかの要因により、当社グループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが事業展開を行うスマートフォンゲーム業界においては、事業に関連する技術革新のスピードが速く、それに基づく新サービスの創出が相次いでおります。当社グループは技術革新に伴う事業構造の変化に迅速に対応する強固な体制作りに努めておりますが、技術革新に関し予期せぬ事態が生じた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。 当社グループは、積極的にゲームメーカーが企画・開発・リリースしたゲームタイトルを仕入れて、当社グループが運営することで業績を拡大しております。今後、仕入れたゲームタイトルの収益性が低下し、ゲームタイトルに係る当社保有資産の減損処理が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 「デジタルの力で繋がりを拡張する」を会社のミッションとしている当社グループでは、ゲームとスポーツのコミュニティ領域における新規事業の創出を目的として、既存事業に加えて追加的なシステム投資、広告宣伝費等の支出が発生し、利益率を低下させる可能性があります。また、新サービス・新規事業を開始した際には、そのサービスや事業固有のリスク要因が新たに加わると共に、予測とは異なる状況が発生して計画どおりに展開が進まない場合、その投資回収ができず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、今後事業拡大や企業運営を円滑に遂行していく上で、優秀な人材を確保することが極めて重要であると考えております。エージェントを活用した採用活動と自社社員紹介によるダイレクトリクルーティングの仕組により優秀な人材確保のための採用活動を継続的に行うとともに、社内人材の育成のために社内外での研修や勉強会の開催等の施策を行っております。 しかしながら、必要な人材を適切な時期に確保できない場合、または社内の有能な人材が流出した場合には、経常的な業務運営や事業展開に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、2006年6月に設立され、事業転換や新規事業立ち上げを通じて成長してまいりました。今後も更なる事業拡大に対応する上で新たなスキルやナレッジなどを着実に蓄積していくことが求められると考えており、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。 しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業は、スマートフォン/タブレットを始めとしたモバイル端末のコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークにより、利用者にサービスを提供しております。システムの安定的な稼働を図るためにサーバーの分散化・定期的バックアップ・稼働状況の監視等により、システムトラブルの事前防止又は回避に努めております。しかしながら、不慮の事故により通信ネットワークが遮断された場合には、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの運営する各スマートフォンゲームへのアクセスの急激な増加によるサーバーへの過重な負荷や、電力供給の停止等予測不可能な様々な要因によって、システムが作動不能に陥った場合、やむなくサービスの提供を停止する可能性があります。この結果、当社グループの業績及びサービスのブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが運営するゲームサービス事業において、ユーザーの個人情報に関し「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。加えて、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」では、他人のID、パスワードの無断使用の禁止等が定められております。さらに、「特定商取引に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、一定の広告・宣伝メールの送信にあたっては、法定事項の表示義務等を負う場合があります。また、スマートフォンゲーム等における一部の課金方法がユーザーの過度の射幸心を煽るとして特定の課金方法に対しては「不当景品類及び不当表示防止法」に違反するとの見解が2012年7月に消費者庁より示されております。なお、コンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の適用対象となります。 当社グループはスマートフォンゲーム事業の領域に適用される法令を遵守し、インターネットやスマートフォンを介した情報漏洩・情報の不正取得・ウイルス感染防止に関する取り組みを強化しております。しかしながら、法的規制や業界の自主規制の状況や内容によっては、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 また、社会情勢等により、新たな法規制の制定、法解釈の変更がなされ、将来において当社グループが提供するコンテンツやサービスが法的規制に抵触することとなった場合、当社グループの業績及び企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、サービス名称について積極的に商標登録の取得に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っております。また、当社グループが提供するサービスにおいて、当社グループが所有する知的財産権を第三者に使用許諾する場合や、第三者の所有する知的財産権の使用許諾を受ける場合があり、その場合は使用許諾契約の締結等による管理体制を強化しております。 しかしながら、知的財産権の範囲が不明確であることや契約条件の解釈の齟齬等により、当社グループが認識の外で第三者の知的財産権を侵害した場合、第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受ける可能性があります。その結果、解決までに多額の費用と時間がかかり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、当社グループが提供するサービスやコンテンツの利用者の個人情報を取得する場合があります。当社グループでは、個人情報の外部漏洩・改ざん等の防止のため、個人情報の取扱いに際し、「個人情報の保護に関する法律」に従い厳正な管理を行っております。 しかしながら、コンピューターウィルス、不正侵入や故意又は過失により、個人情報の漏洩や不正使用等のトラブルが発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や当社に対する信用の低下及び企業イメージの悪化等により、当社グループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループのゲームサービス事業で提供するゲームタイトルでは、不特定多数の個人利用者が、利用者間において独自にコミュニケーションを取ることができます。当社グループは青少年保護、健全性維持・向上のため、利用規約において不適切な利用の禁止を明示すると共に、モニタリングを常時行い、規約違反者に対しては、改善の要請や退会の措置を講じる等の対応を行うことで、サービスの安全性及び健全性の確保に努めております。 しかしながら、ゲームタイトルの利用者が急速に拡大し、利用者のゲームタイトル内における行為を完全に把握することが困難となり、利用者の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、利用規約の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、ゲームタイトルのブランドイメージの悪化等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが提供するゲームタイトルの一部には、性的表現が含まれるものがあります。当社グループでは、ゲームタイトルを配信する前に各プラットフォーム運営事業者の基準や当社グループの基準に照らし合わせ、表現の健全性を確保するように努めております。 当社グループは事業の拡大に伴い、ゲームタイトルや各種サービスの安全性及び健全性の維持・向上のために必要な対策を講じていく方針でありますが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延等が生じた場合や、不適切行為への対応のために計画外、あるいは想定以上の費用が発生した場合には、当社グループの業績及び企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、法令遵守を基本としたコンプライアンスの推進により、法令違反等の根絶に努めております。しかしながら、当社グループの役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、各種サービス利用者、取引先、その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等の発生及び前述の知的財産権、個人情報、各種サービスの安全性及び健全性についても訴訟のリスクがあるものと考えております。 かかる訴訟の内容や結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や企業イメージの悪化により、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは長期的な企業価値向上のため、役員及び従業員に対しインセンティブとして新株予約権(以下、「ストック・オプション」という)を付与しております。今後におきましても、優秀な役員及び従業員を確保するために、インセンティブとしてストック・オプションを付与する可能性があります。なお、これらストック・オプションが行使された場合、発行済株式総数が増加し、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 地震、台風、津波等の自然災害、感染症の拡大、国際紛争等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループのサービス展開地域において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供を一時的に停止する可能性があります。また設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、及び各種災害や国際紛争等による物的、人的損害が甚大である場合には、事業の継続自体が困難となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により極めて先行き不透明な状況が続いております。 当社グループが属する国内ゲームアプリの市場では、中国・韓国系を中心とした海外パブリッシャーによるタイトルのシェアが年々増加しており、また、各ゲームタイトルのリッチコンテンツ化が進行しております。そのため、資金調達力などの企業体力に限界のある小・中規模事業者の淘汰が急速に進行しており、今後も事業者間の合従連衡が行われていくものと考えております。 このような市場規模のもと、当社グループは、スマートフォンゲームの運営に特化したゲームサービス事業を主力事業としております。既にリリースされているゲームタイトルをゲームメーカーから買取や協業、またはM&Aで仕入れ、国内最大数のタイトル運営で蓄積したデータ・アセット・ノウハウをシェアリングすることで収益性を高め、タイトルの長期利益化・長期運営を実現しております。また、当社グループは既存産業のDXが進む2020年代において「デジタルの力で繋がりを拡張する」というミッションの下、強みのDX技能をゲーム領域に加えスポーツ領域のコミュニティに投下し、ファンタジースポーツとクラブDXの事業化に注力しております。 ゲームサービス事業では、2022年10月17日をもって、当社が運営するゲームタイトルにおいて運営期間が10年を超えるものが累計で10本となりました。今後も累計80タイトル以上のゲーム運営から得た知見をゲームタイトルの長期運営に活かしてまいります。また、2021年6月1日より運営受託を行っていたタイトルにおいて、1年以上に亘る安定的運営が評価され、2022年10月1日より運営権譲渡契約を締結するに至りました。引き続き顧客ニーズに多様な契約形態で対応してまいります。なお、2022年12月末時点での運営タイトル数は26となっております。 ファンタジースポーツでは、2022年3月のB.LEAGUE公認ファンタジースポーツサービス「B.LEAGUE#LIVE2021」のリリースに続き、2022年9月には「B.LEAGUE#LIVE2022」のリリースもいたしました。また、2022年5月には「プロ野球#LIVE2022」のリリースもいたしました。試合数増加や初心者大会の設置等さまざまな集客施策により新規ユーザーの獲得と定着が進み、計画を大きく上回る結果となりました。引き続き、国内のファンタジースポーツ市場の形成をリードするとともに、当社における第二の柱となる事業として確立を目指してまいります。また、2022年8月に株式会社ティーアンドエスから、同社が運営する日本最大級のバスケットボールメディア「BASKETCOUNT」事業を譲受いたしました。メディアそしてファンタジースポーツの両面及びそれらが生み出すシナジー効果を用いて、国内におけるバスケットボールファンコミュニティの熱量を高め、さらに盛り上げてまいります。 クラブDX事業では、プロバスケットボールチームの滋賀レイクス、プロサッカーチームのFC琉球に対して当社のDX技能を注入し、スポーツ産業の収益力向上や地域社会の活性化を促しております。 また、当連結会計年度において、当社グループにおける新型コロナウイルスの影響は限定的です。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は10,542,863千円(前連結会計年度比0.3%減)、営業損失は399,269千円(前年同期は営業利益577,611千円)、経常損失は419,685千円(前年同期は経常利益546,442千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,633,077千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益229,274千円)となっております。 なお、当社グループはゲームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,535,457千円減少し、1,943,488千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果使用した資金は、148,632千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,519,634千円などによるものであります。 1,207,000千円などによるものであります。 財務活動の結果使用した資金は、26,276千円となりました。これは主に、社債の償還による支出400,000千円などによるものであります。 当社グループは生産活動を行っておりませんので、記載を省略しております。 当社グループは受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。 当社グループは、ゲームサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて1,454,537千円減少し、4,360,027千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少(前連結会計年度末比1,523,057千円の減少)などがあったことによるものであります。 当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べて367,581千円増加し、3,364,169千円となりました。これは主に、長期借入金の増加(前連結会計年度末比119,001千円の増加)などがあったことによるものであります。 当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて1,822,120千円減少し、995,857千円となりました。これは主に、利益剰余金の減少(前連結会計年度末比1,739,023千円の減少)などがあったことによるものであります。 当連結会計年度の売上高は、タイトルの獲得の遅延等により、前連結会計年度に比べ0.3%減の10,542,863千円となりました。 当連結会計年度の売上原価は、プラットフォーム手数料の増加等により、前連結会計年度に比べ9.0%増の6,841,436千円となりました。この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ13.8%減少し3,701,427千円となりました。 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費をはじめとする各種費用が増加したことから、前連結会計年度に比べ10.4%増加し4,100,696千円となりました。 当連結会計年度の営業外収益は、受取保険料や助成金収入の増加により、前連結会計年度に比べ186.1%増加し14,167千円となりました。当連結会計年度の営業外費用は、投資事業組合運用損が減少したこと等から、前連結会計年度に比べ4.3%減少し34,583千円となりました。この結果、経常損失は419,685千円となりました。 当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ46,330千円減少し0千円となりました。当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ979,108千円増加し1,099,949千円となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,633,077千円となりました。 要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,943,488千円となっております。 ゲームサービス事業の持続的な成長に伴う運転資金、ゲームタイトルの仕入、将来的なM&A等の可能性に備えております。 当社グループは、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、スマートフォンゲーム市場の変化、他社との競合、プラットフォーム運営事業者や業務提携先との関係、技術革新への対応度合、人材の確保育成、ネットワーク災害、コンプライアンスと内部管理体制、知的財産権、個人情報管理、サービスの安全性及び健全性等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。 そのため、当社グループは、優秀な人材の採用、セキュリティ対策、新規事業の開拓、魅力ある新たなゲームタイトルの仕入や業務提携及びゲームメーカー又はその事業のM&A等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。 当社グループの経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。 そのために、ゲームサービス事業における展開、新規事業・サービスへの積極的な取り組み、システム技術・インフラの強化、優秀な人材の確保と育成、内部管理体制の強化等を行ってまいります。 2020年代のメガトレンドとして、既存産業のDXが進む中、当社グループは強みのDX技能をゲーム領域とスポーツ領域を主軸に投下し、ゲームサービス事業と新規で注力しているスポーツDX事業の2本柱での事業展開を進めております。 ゲームサービス事業では、再成長による安定した利益創出に向け、既存タイトルでのマーケティング注力やゲームコミュニティによる新たな価値提供を通じた売上増加を目指すとともに、当社の強みである運営力を磨き適正なコスト削減に取り組みを進めてまいります。また、ゲームタイトルの大型化などのタイトルの特性変化に合わせ、新規獲得体制や獲得スキームを一層強化し、当社におけるタイトル運営数の増加を通じて、盤石な利益創出を目指します。 スポーツDX事業は、ファンタジースポーツ事業とクラブDX事業を展開しております。ファンタジースポーツ事業は当社グループの次なる成長を牽引する再注力事業と定め、スポーツとユーザーの新たなコミュニティを形成し、形成したコミュニティに対してデイリーファンタジースポーツ等の複数のマネタイズを行うことで、複利成長を目指せるモデル構築を進めております。また、クラブDX事業では、スポーツIPを通じて、SDGsや社会貢献への取組みを強化することで、当社グループのブランド力向上を図ります。 ゲームサービス事業による盤石な利益創出、ファンタジースポーツ事業による複利成長のモデル構築、クラブDX事業による高いブランド力の獲得を通じて、持続的な企業価値向上に取り組みます。 契約期間は定められておりません。 契約期間は定められておりません。 契約期間は定められておりません。 契約期間は定められておりません。 契約期間は定められておりません。 該当事項はありません。
株式会社システム情報
# 株式会社システム情報 当社グループは、1980年東京都港区赤坂において受託ソフトウェア開発を目的とする会社として、創業いたしました。その後、2000年に本社を東京都中央区勝どきに移転し、大手SIer(注1)を中心に営業展開を図っております。これまでの経緯は、次のとおりであります。 当社グループは、情報サービス業(ソフトウェア開発サービス)を主たる業務としております。顧客より請け負った受託開発業務を中心に、主にソフトウェアの設計・開発・導入・維持管理等の業務を実施しております。ソフトウェア開発は4つのフェーズと9つの工程からなり、それを実現するプロセスの関係は以下のとおりです。 当社グループは、長年の開発実績に基づき、品質保証のための世界標準であるCMMI®(注1)について、2012年11月に最高位のレベル5を達成いたしました。また、2015年11月、2018年10月、2021年9月にレベル5を継続して達成しております。 さらに、プロジェクト管理の国際標準的な資格であるPMP®(注2)についても、全従業員に占める資格取得率において日本国内でトップクラスに位置しているものと認識しております。 当社グループでは、このCMMI®、PMP®をベースに独自の開発標準(SICP(注3))を策定し、積極的に品質強化に努めております。この開発標準(SICP)は、組織方針、標準プロセス、標準書式、組織ベースラインから構成されており、当社グループが受託する全ての開発プロジェクトへの適用を義務付けております。 開発標準(SICP)の体系を図示すると以下のようになります。 これらに基づき、より品質の高いシステムの開発を実現することを経営の最重要課題として取り組んでおります。 当社グループは、主に保険・共済、金融、流通・サービス、製造、通信、官公庁などの業種・業態向けの業務システム開発を行っております。 なお、当社グループはソフトウェア開発サービスの単一セグメントであります。 米国カーネギーメロン大学(CMU)のソフトウェア工学研究所(SEI)が開発したソフトウェア開発プロセスの能力成熟度モデルであります。組織のプロセス能力(成熟度)を5段階で評価し継続的な改善を促す、体系的なプロセス改善のためのモデルであります。現在ではソフトウェア開発能力を測る国際標準的な指標となっております。 なお、最高位のレベル5を達成している日本企業は、以下のとおりとなります。 米国PMI(Project Management Institute)が認定するプロジェクトマネジメントに関する資格であります。PMIが発行する知識体系ガイド(PMBOK® = A Guide to Project Management Body of Knowledge)に基づくプロジェクトマネジメントエリアに関する知識と理解度をはかることをその目的としております。現時点ではプロジェクトマネジメントに関する国際標準的な資格となっております。 国際資格/標準であるPMP®、CMMI®をベースに、長年に亘る当社の開発ノウハウを注入して策定した当社独自の開発標準であります。 当社グループの事業系統図は、次のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは創業以来、ITサービスのプロフェッショナルとして、高度な技術と高い品質によるシステム開発を通じて、お客様の経営戦略の実現に貢献することを経営の基本方針とし、組織の技術力の向上のためCMMI®レベル5の取得、個人の技術力向上のためPMP®の取得率の向上に取り組んでまいりました。今後とも、CMMI®とPMP®をベースとした品質管理の強化に取り組むことで、お客様の顧客満足度向上に努めてまいります。 また、「中期経営計画(2021年10月-2026年9月)」を策定し、DX(注)により新たな価値を創出するとともにESGへの取組みを通じて、社会的価値・経済的価値を創出し、持続可能な社会の実現に寄与することをVISIONとして掲げております。 経済産業省では「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義しております。 当社グループは、事業規模の拡大による売上高の増加及び品質管理の強化による利益率の維持、向上を経営課題としております。「中期経営計画(2021年10月-2026年9月)」において、「連結売上高180億円以上(年間平均成長率6%以上)」を目指すべき指標として掲げております。また、内部強化のための積極的な投資でDX提供価値の向上や新技術の獲得を目指しつつ、「営業利益率12.0%以上」を確保してまいります。 当社は、「中期経営計画(2021年10月-2026年9月)」にて、VISION達成に向けた3つの基本方針及び5つの重点施策を策定しております。 DX(デジタル・トランスフォーメーション)に適応し、社会課題や顧客課題を解決できるDX Solution Partnerへの進化を目指してまいります。 DX(変革の時代)に適応可能な、付加価値の高い人材の創出を目指し、研修や育成制度の改革、働き方改革の推進を行ってまいります。 中期経営VISION「Value Engagement Partner」を基にした経営を通じ、社会的価値・経済的価値を創出し、持続的な企業価値向上だけでなく、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 詳細につきましては、(4)会社の対処すべき課題に記載しております。 当社では、システム開発で培った長年の経験を土台として、2021年9月に4度目の達成となったCMMI®レベル5、PMBOK®にアジャイル開発のコンセプトを加えた当社独自の開発標準SICPをシステム開発における品質管理の大きな柱としております。現在進行中の中期経営計画のVISION“Value Engagement Partner”では「DXによる新たな価値の提供」を掲げており、その施策の一つとして、新たなSICP Advancedの確立をプロジェクトマネジメントの更なる強化の柱としております。システム設計概念として、従来は、ウォーターフォールとアジャイルという開発手法の分類で進めておりましたが、DX Solution Partnerとしてお客様と「技術による付加価値の創出」を目指し、ファシリテーションの発想を加えて、SoR(System of Record)、SoE(System of Engagement)といったシステムの主目的の分類で新たな領域への拡張を行ってまいります。 DX Solution Partnerとしての地位確立には、デジタルビジネスへの適応と創出が不可欠なものとなります。DXに適応した組織への変革を目指すことにより、コア事業を拡大し、新規事業の創出を図ってまいります。 DXの本格展開に向けて避けては通れないCloud Computing, AI, Mobility, Big Data, Robotics, IoT, Cyber Securityの7領域を指しております。 当社では、業種・業態の垣根を越えるエコシステムの確立が、DX関連ビジネスの創出、拡大を後押しするものと考えております。急速に変化・多様化する顧客や一般消費者のニーズに柔軟に対応するため、多様な産業のプレーヤーが参画するネットワークを構築し、ケイパビリティ補完型のエコシステムを形成してまいります。 情報サービス産業は“人が全て”であり、ヒューマン・キャピタルが当社の持続的な企業価値向上に寄与すると考えております。変革のDX時代に適応可能な、付加価値の高い人材の創出を目指し、年齢・性別・中途採用を問わずに優秀な人材の確保・育成に努め、ダイバーシティを組織力の最大化に繋げてまいります。 当社グループは中期経営VISION“Value Engagement Partner”を基にした経営を通じて、社会的価値・経済的価値を創出し、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現という好循環を創っていくことに、積極的に取り組んでまいります。 当社グループの持続的な事業価値向上のためには、内部成長だけでなく、エコシステムの確立も含めた技術・ノウハウの獲得や共同事業推進が必要不可欠であります。他企業との資本業務提携やM&Aなど外部成長にも積極的に取り組んでまいります。 新型コロナウイルス感染拡大を契機に、当社においてもリモートワーク体制の確立などにより、従業員だけでなくステークホルダー各位の安心安全確保に努めてまいりました。また、社会が新型コロナウイルス感染拡大を経験したことで、ITの重要性が一段と高まり、リモートワークの導入や事業継続への対応としてクラウドに関連するビジネスは急速に拡大しております。DXの加速、リモートワーク、事業継続対策といった視点から、クラウドに求められる機能や運用は多様化・高度化しており、当社もグループで保有するクラウド関連の技術を結集させ、既に高い評価をいただいているマルチクラウドなど技術知見も大いに活かしてお客様の期待に応えてまいります。 情報セキュリティにつきましては、プライバシーマーク、ISMS(ISO/IEC27001)等の認証を取得しており、従業員に対するセキュリティ教育にも力を入れております。セキュリティ事故発生リスクの回避・低減に努めることは経営の重要課題と認識し、今後も事業上のセキュリティリスク発生の防止に努めてまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは創業以来、ITサービスのプロフェッショナルとして、高度な技術と高い品質によるシステム開発を通じて、お客様の経営戦略の実現に貢献することを経営の基本方針とし、組織の技術力の向上のためCMMI®レベル5の取得、個人の技術力向上のためPMP®の取得率の向上に取り組んでまいりました。今後とも、CMMI®とPMP®をベースとした品質管理の強化に取り組むことで、お客様の顧客満足度向上に努めてまいります。 また、「中期経営計画(2021年10月-2026年9月)」を策定し、DXにより新たな価値を創出するとともにESGへの取組みを通じて、社会的価値・経済的価値を創出し、持続可能な社会の実現に寄与することをVISIONとして掲げております。 当社においては、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、その対応方針及び実行計画等に関する経営上の重要事項を審議・監視いたします。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。 当社では、代表取締役を委員長とする業務執行取締役で構成するリスク管理委員会を設置し、全社的リスクの識別・評価及びリスク対応策を決定するとともに、リスクの発生の兆候を把握し、対応策実施の必要性判断を行っております。 リスク管理委員会は四半期に1回定例で開催し、事業環境の変化等による新たなリスクの可能性が生じた場合やリスク発生の兆候を把握した場合は随時開催しております。リスクを積極的に予見することにより、会社に及ぼす影響を最小限に抑えるための体制作りを推進しております。 また、安全衛生委員会、ISMS(注1)推進委員会、EMS(注2)推進会議など各種社内委員会・会議体を設置し、情報セキュリティや環境などの各種マネジメントシステムを構築・運用し、リスクの的確な把握、適正な対処、監視・責任体制を明確にしております。 なお、重要度の高いリスクについては代表取締役及びリスク管理委員会に報告されるほか、リスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては取締役会に報告されます。 情報マネジメントシステムの略で、情報の機密性、完全性、可用性を保護するための体系的な仕組みをいいます。 環境マネジメントシステムの略で、組織や事業者が、その運営や経営の中で自主的に環境保全に関する取組を進めるにあたり、環境に関する方針や目標を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくための組織や事業者の体制・手続き等の仕組みをいいます。 当社グループは、2021年10月から2026年9月まで(第43期~第47期)の5ヶ年の中期経営計画において、“Value Engagement Partner”として、DXにより新たな価値を提供すること、ESG経営により新たな価値を創出することをVISIONとしております。 また、VISION達成に向けて、当社がDXに適応し、社会課題や顧客課題を解決できる「“DX Solution Partner”へ進化」すること、そのためにDXに適応可能な「高付加価値人材の創出」を目指すこと、更には中期経営VISIONを基にした経営を通じて社会的価値・経済的価値を創出し、持続的な企業価値向上の実現、ひいては「持続可能な社会の実現」に貢献していくことを基本方針として掲げております。 情報サービス産業は“人が全て”であり、ヒューマン・キャピタルが当社グループの持続的な企業価値向上に寄与すると考えております。 当社の中期経営計画(2021年10月-2026年9月)において、変革のDX(デジタルトランスフォーメーション)時代に適応可能な、付加価値の高い人材の創出を目指し、年齢・性別・中途採用を問わずに優秀な人材の確保・育成に努め、ダイバーシティを組織力の最大化に繋げていくことを目標に掲げ、従業員の採用を積極的に行っておりますが、多様性の確保に向けた議論と検討の中で、現時点において国外のステークホルダーがほとんど存在していないこと、また年齢や性別による技能の差が認められる事業ではないことから、採用や中核人材の登用等の人材戦略としては適材適所を重視して、中途採用者・女性・外国籍といった特定区分について、本報告書提出日現在において、具体的な指標及び目標を設定しておりません。今後、関連する指標及び目標のデータ収集と分析を進め、開示項目を検討してまいります。 なお、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。 あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。 なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。 本項における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 情報サービス産業においては、顧客企業のIT投資への姿勢が経済情勢や景気動向の変化によって影響を受ける傾向があります。国内外の経済情勢の低迷や景気の悪化により顧客のIT投資が減少した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 顧客企業のコスト圧縮姿勢は継続しており、価格、品質両面で同業他社との価格競争リスクにさらされております。こうした状況下、当社グループはプロジェクト管理ノウハウを活かし、より付加価値の高いサービスを提供することで他社との差別化を図り、価格競争のリスクを低減しておりますが、今後もさらなる価格低下圧力を受けた場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 当社独自のシステム開発標準(SICP)に基づき、PMP®を保有するプロジェクトリーダがプロジェクト管理を徹底し、また毎週定期的に開催しているプロジェクトレビュー等により、原価が受注額を上回る、いわゆる不採算プロジェクトの発生を未然に防止するよう努めておりますが、予測できない要因により、不採算プロジェクトが発生した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループの主要顧客上位3社(グループ企業含む)向け売上高は全体の41.6%(前連結会計年度は41.6%)と高くなっております。当該顧客の事業方針や経営状況に大幅な変化が生じた場合は、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 プロジェクト管理能力を有するリーダクラスの従業員を中心に人材の採用を積極的に行っており、また従業員の教育にも力を入れておりますが、今後計画どおりに必要な人材が確保できない場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 システム開発プロジェクトにおいては、当初計画にない想定外の出来事が発生し、品質や納期を厳守するため長時間労働や過重労働が発生することがあります。当社グループでは毎週定期的に開催されるプロジェクトレビュー等において、問題の早期把握、解決に努めておりますが、やむを得ない事情によりこのような事象が発生した場合には、システム開発での労働生産性の低下等により当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、自ら個人情報を収集する業務を行っておりませんが、取引の中で個人情報・機密情報を取り扱う場合があります。当社グループは、全社的にセキュリティ対策に取組み、プライバシーマークやISMS(ISO/ IEC27001)等の認証を取得し、従業員のセキュリティ教育にも力を入れております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、外部からの不正アクセスや社内管理体制の不手際等により、万一当社グループから情報漏洩が発生した場合は、社会的信用の失墜、顧客との取引停止や損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、事業基盤拡大のために他企業との資本業務提携やM&Aを行う可能性があります。これらM&A等を行う際には事前に十分調査、検討を行いますが、想定したシナジー効果や収益が得られない場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 情報サービス産業においては技術革新のスピードが速く、当社グループでは組織を挙げて最新の技術情報を収集、分析しておりますが、技術革新への対応が遅れた場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループは、法令遵守の徹底を図るべく、企業行動規範を始めとした関連諸規程を定め、コンプライアンス教育に力を入れておりますが、法令などに抵触する問題が発生した場合には、社会的信用の失墜、顧客との取引停止や損害賠償請求等により、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症対策として在宅勤務を推進しており、規程等の社内制度やインフラの整備に万全を期しておりますが、同様に法令などに抵触する問題が発生した場合には、社会的信用の失墜、顧客との取引停止や損害賠償請求等により、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 当社グループの業績は、地震・台風などの自然災害、紛争・暴動・テロなどの人為的災害、新型コロナウイルスなどの感染症の流行などにより事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。このような予期せぬ事態が発生した場合に備え、当社グループは事業継続のための対応を実施、検討しておりますが、災害の状況によっては、業務の全部又は一部が停止し当社グループの業績に影響する可能性があります。 世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業を取り巻く環境は先行き不透明な状況にあります。当社グループにおいては、一部プロジェクトの開発期間延伸や、新規プロジェクトの立ち上げ見送り、対面での営業活動自粛等、受注獲得にも少なからず影響が出ているものの、当連結会計年度の業績に与える影響については限定的であると認識しております。しかしながら、新型コロナウイルスの影響が長期化した場合や、当社グループの従業員や就業先のお客様、協力会社等の関係者が新型コロナウイルスに感染した場合、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは、新型コロナウイルス感染防止対策として、在宅勤務、時差出勤の推進、リモート会議の活用、マスクの着用、アルコ―ルでの手指消毒を行い、感染リスクの低減に努めております。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」へと移管されたことで、各種政策に加えてインバウンド需要が順調に回復するなど、経済活動が正常化し企業収益にも緩やかな改善がみられております。一方で、地政学リスクの増大と、それに伴う資源価格の高騰、加えて円安による原材料価格の高騰が企業収益や家計へ大きな影響を与えており、物価の上昇に収束が見えないことから、先行き不透明な状況になっております。 当社グループが属する情報サービス産業においては、前年度に引き続き企業の設備投資意欲は旺盛で、2023年9月の日銀短観でも、2023年度はソフトウェア投資計画で10%以上の伸びとなっております。 このような環境下、当社グループ売上高の4割を占める金融セクター(保険を含む)だけでなく、デジタル化とDX推進によるビジネス拡大意欲が旺盛な流通・小売セクターやサービス産業向けのシステム開発案件が好調だったことで、売上高は過去最高となりました。一方で、新卒や第二新卒の採用強化、業容の拡大に伴うオフィス増床、既存社員の待遇改善、リスキリングを含む技術者教育などに注力した結果、経費の増加が、売上高の増加を上回る結果となりました。採用や人材育成の強化が利益を圧迫する主要因となりましたが、各企業が来春新卒採用において、想定の採用人数を満たさず採用の再募集や延長などを行っている現状を考え合わせると、適切な人材獲得を行えたものと考えており、中期経営計画の基本方針のひとつである「高付加価値人材の創出」の一環としての人材強化は、高度領域案件の受注獲得、高付加価値人材の価格転嫁による受注単価の上昇といった先につながる効果も生み出してきております。 また、教育投資による直接的な効果だけではなく、6月に当社社員の山田豊が、Google社の「2023 Google Open Source Peer Bonus」を受賞、当社社外取締役鷲﨑弘宜及びフェロー小林浩が、情報処理学会ソフトウェア工学研究会主催の「ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2023」にて最優秀論文賞を受賞するといった当社の技術力の高さの発信も、ブランド力強化による受注環境の後押しをしております。 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高15,327,359千円(前年同期比4.6%増)、営業利益1,692,248千円(同6.8%減)、経常利益1,716,935千円(同6.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,163,025千円(同6.4%減)となりました。 なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて503,617千円増加し、4,141,310千円となりました。 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は1,171,903千円(前年同期は956,583千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,703,237千円の収入があったこと、棚卸資産の増加額64,125千円、法人税等の支払額610,634千円があったこと等によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は190,345千円(前年同期は171,473千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出71,918千円、長期前払費用の取得による支出52,140千円、保険積立金の積立による支出49,625千円があったこと等によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は477,939千円(前年同期は819,105千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額438,438千円等によるものであります。 当社グループはソフトウェアの開発・保守等に係るサービスの提供を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性のため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 当連結会計年度における売上高は、15,327,359千円(前年同期比4.6%増)となりました。主な販売先は株式会社エヌ・ティ・ティ・データ2,199,881千円(売上高に対する割合14.4%)、第一生命情報システム株式会社1,689,318千円(同11.0%)、日鉄ソリューションズ株式会社1,183,185千円(同7.7%)であります。 なお、株式会社エヌ・ティ・ティ・データは2023年7月1日付で株式会社NTTデータグループに商号変更しております。また、売上高には国内事業会社である株式会社NTTデータとの取引も含まれております。 売上原価は外注費や人件費の増加等により前期比5.6%増の12,174,787千円となり、売上高に対する割合は79.4%となりました。 売上総利益は売上高の増加及びプロジェクト管理の強化により、前期比0.8%増の3,152,571千円となり、売上高に対する割合は20.6%となりました。 販売費及び一般管理費は事務所増床による地代家賃や積極的な新卒及び中途採用による給与手当及び教育費の増加等により前期比11.4%増の1,460,323千円となり、売上高に対する割合は9.5%となりました。 営業利益は、前期比6.8%減の1,692,248千円となり、売上高に対する割合は11.0%となりました。 営業外収益は前期比39.9%増の33,829千円、営業外費用は前期比11.8%減の9,142千円となりました。 経常利益は前期比6.1%減の1,716,935千円となり、売上高に対する割合は11.2%となりました。 法人税等合計が前期比6.3%減の540,211千円となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比6.4%減の1,163,025千円となり、売上高に対する割合は7.6%となりました。 なお、経営成績等の状況の概要については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績等の状況の概要」をご参照ください。 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度と比べて793,787千円増加し、8,589,592千円となりました。 流動資産は、前連結会計年度末と比べて619,276千円増加し、6,758,485千円となりました。これは主に、現金及び預金が503,617千円、売掛金が68,889千円、仕掛品が64,125千円増加したこと等によるものであります。 固定資産は、前連結会計年度末と比べて174,510千円増加し、1,831,106千円となりました。これは主に、投資その他の資産が191,457千円増加したこと、無形固定資産が41,747千円減少したこと等によるものであります。 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べて22,189千円増加し、2,417,028千円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末と比べて14,907千円減少し、2,083,937千円となりました。これは主に、賞与引当金が54,171千円増加したこと、未払法人税等が71,290千円、1年内返済予定の長期借入金が58,332千円減少したこと等によるものであります。 固定負債は、前連結会計年度末と比べて37,096千円増加し、333,091千円となりました。これは主に、長期借入金が29,166千円増加したこと等によるものであります。 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べて771,598千円増加し、6,172,563千円となりました。これは主に、利益剰余金が724,088千円増加したこと等によるものであります。 当社グループのキャッシュ・フローの状況の概要については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社グループの資金需要のうち主なものは、外注費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金であります。これらの所要資金については、自己資金により充当しております。 ただし、①大規模プロジェクトなどの案件によって立替が先行する場合、②M&Aによる買収資金の手当てが必要な場合や、③緊急時の対応等を鑑みて金融機関との良好な関係を維持することを目的とした場合には、金融機関からの調達を行うこととしております。 なお、当連結会計年度末における借入金の残高は307,500千円、現金及び現金同等物の残高は4,141,310千円であり、当面の資金需要に十分対応できる資金を保有しております。 該当事項はありません。 当社グループの研究開発活動は、内部強化のための積極的な投資により、DX提供価値を向上させることや新技術を獲得することを目的としております。 そのために、まずは、DX人材を育成していくことが重要であり、中長期的なコア事業の拡大を推進すべく、若手・未経験者のポテンシャル人材の採用枠を拡大し、従来型SIの技術者育成だけではなく、CAMBRIC技術領域に対応するDX人材を内部育成しております。また、DX提案力の強化策として、アーキテクチャの標準化やベストプラクティスを整備し、パターン化することにより、DX関連のナレッジマネジメント強化を推進しております。迅速かつ効果的な提案を推進し、ビジネス創出型のスタイルを確立していく狙いであります。 なお、OJTによる育成や、品質管理活動の一環として行っていることもあり、当連結会計年度に研究開発費として区分経理されている金額としては15,900千円であります。
株式会社ランディックス
# 株式会社ランディックス 当社は、2001年に東京都目黒区において、新規事業の検討を目的として、当社の前身である「株式会社アーバン・ライフ」を設立いたしました。不動産を通じて喜び・感動を提供したいという創業者である当社代表取締役の岡田の思いにより、2002年9月に株式会社コスモプランニングに商号変更した上で、不動産の売買・賃貸・コンサルティング業を開始しました。設立以降の経緯は次のとおりであります。 当社グループは、当社及び連結子会社(株式会社グランデ)の計2社で構成しており、不動産売買・仲介、注文住宅希望顧客と施工事業者のマッチングを行う「sumuzu(スムーズ)」事業と、ビル・マンション等の賃貸を行う「賃貸」事業の2つの報告セグメントを有しております。 東京城南6区(世田谷・目黒・大田・品川・渋谷・港)が主力事業エリアとなっており、渋谷・二子玉川・自由が丘というトライアングルエリアをカバーするように3つの事業拠点(目黒、桜新町、自由が丘)を設置しております。今後の重点拡大エリアとしては文京区、杉並区、豊島区、中野区をターゲットとしており、新たな拠点の設立による拡大エリアにおける営業効率の向上を視野に入れつつ、東京都内の富裕層顧客のシェア拡大を目指すとともに、培ってきた事業ノウハウをベースに同エリアでの事業展開を加速させていきます。 当社グループでは、優れたデザイン性とコストパフォーマンスが両立する住宅の実現を目指しています。 当社グループでは、お客様の注文住宅建築にあたって、土地探しの段階から契約・銀行融資、及びその後の建築プラン設計、竣工までをトータルにサポートすることで、真に満足できる注文住宅環境を提供しています。 従来の不動産事業においては、土地探しから住宅の完成までの各段階において、対応する事業者が段階ごとに異なり、かつフロー全体をコーディネートできるノウハウを持ったキーパーソンとなる存在が不在であることから、本当は実現できたはずのデザイン性やコストパフォーマンスが実現できていないという問題点がありました。 当社は不動産流通の段階から自社が携わり、注文住宅希望者に対して設計段階まで社内の建築士をはじめとした自社コーディネーターがサポート・コンサルティングを行うことで他では実現できないレベルのコストパフォーマンス、デザイン性を確保することで、住環境創造における唯一無二の価値を提供しています。顧客ごとの設計コンペ組成、相見積りの一括取得、消費者と事業者の情報格差の解消によるミスコミュニケーション防止・機会損失の防止をはじめ、通常の不動産業の域を超えたサービス提供を行っております。質の高いサービスによって顧客とのリレーションを強化し、優良な富裕層顧客を蓄積していけることが当事業の強みです。 当社グループは、東京23区の中でも主として富裕層の多い城南エリアを中心に事業を展開しております。 メインターゲットであるアッパーマス層以上の富裕層顧客は、自宅購入・売却取引後も収益物件の追加購入や買い替え、家族の不動産購入等を目的として複数回の不動産取引を行う傾向にあります。そのため、創業以来蓄積した富裕層顧客からのリピート利用や、紹介による取引が当社グループの強みであり、サービス品質への信頼による顧客との良い関係性が、高い成約率につながっております。 また、事業エリアにおいて、当社グループ独自の物件情報の提供や、創業以来長期にわたるアライアンス関係に起因するハウスメーカー、設計事務所、施工業者等との継続的なパートナーシップを築いており、相互の顧客紹介、協業関係を強化・継続しています。 当社グループは、事業エリアにおける高い認知度により、大手不動産会社や地元不動産業者・各金融機関との強力な仕入れネットワークを作り上げてきました。また、グループ内に販売部門と仕入れ部門を有していることで、タイムリーな顧客ニーズを把握することができ、その時点で最適な価格の仕入れや効率的な販売活動を行えるため、当社グループの物件はコストパフォーマンスや資産価値、希少性等、様々な面で強い競争力を持っております。 当社グループでは、効率的な営業活動を行うため、インターネットと紹介・リピートという2つの集客ルートの強化に注力してきました。その結果、2023年3月期は、当社グループの成約実績のうち、住宅情報サービスや自社HP等のインターネットサービスをきっかけとした成約が47.1%、紹介・リピートでの成約が35.5%となっております。 当社グループの賃貸事業は、収益用不動産を購入し、賃料収入を継続的に得ることで、安定収益の基盤を形成しております。 当社グループには労働組合はありません。なお、労使関係については円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは2022年1月にCI(Corporate Identity)を行い、企業理念を「唯一無二の豊かさを創造する」としました。 不動産の仕入れから販売、売買に係る仲介、注文住宅のマッチング、建築後のアフターフォローに至るまでのプロセスをワンストップソリューションで提供する住宅用不動産事業を展開しております。これに加えて、既存事業のクロスセル営業としての収益用不動産の販売を投資用レジデンスとして強化いたしました。事業の軸は富裕層顧客を対象とした住宅事業であり、高いデザイン性とコストパフォーマンスを両立する注文住宅の実現をコンセプトに、一般的な不動産売買事業者の事業領域に留まらない高品質なサービス提供を行っております。 当社グループが属する不動産業界では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより「家」が持つ役割が多様化いたしました。具体的には、仕事場という役割の付加、家で家族と過ごす時間の増大、顧客の住替え需要の増大であります。ウィズコロナを前提とした社会経済活動により、郊外への転出需要は縮小傾向になっておりますが、立地・収益性等で希少価値のある東京23区エリアの不動産取引は底堅く推移していくものと推測しております。このような環境の中で、当社グループは、より便利・安全で満足度の高い不動産取引の実現及び価値の提供を行っていきます。 そのために、以下の事項を今後の主要な課題として認識し、事業展開を図ります。 当社グループが行う不動産事業において、サービスを提供する営業人員のサービスレベルやスキルは、事業の成長において非常に重要なファクターであると認識しています。そのため、積極的な人員採用と教育を行い、併せて適正な評価制度や労務環境を整備することによって人員拡大を図っていきます。 当社グループには、創業以来の富裕層顧客のデータ、及び購入見込顧客情報の豊富な蓄積があります。当該データの分析・活用を促進することで、成約率の向上、リピート・紹介率の向上によって売上・利益の向上を図り、かつ高い在庫回転率を維持することで、より強固な財務体質を構築していきます。 既存の顧客層に対する新規の販売商品として収益用不動産の開発・販売を強化しております。既存の顧客に対して販売を行うことができるという特性から、さらに営業効率を高め、より高い利益を獲得できる可能性があると考えており、今後の事業拡大における重要な施策の1つとして営業人員数及び物件獲得数を強化していきたいと考えています。 当社グループにおいては、下記の数字を重要な経営指標としています。 当社の主力事業である「sumuzu」事業においては、仕入れから販売までグループ内で一貫して行うことができるという強みを有しており、連結グループにおける社員1人あたりの「sumuzu」事業売上高(不動産の開発分譲、不動産売買・仲介、オーダーメイド住宅のマッチング、収益用不動産の開発・販売)を重要な指標としております。 当社グループにおいては、「sumuzu」事業における仕入れから販売、オーダーメイド住宅のマッチングまでを包括的に行うこと、及び紹介顧客・リピート顧客の成約を特に重視した営業戦略をとっており、高利益体質の構築に重点をおいております。そのため、連結グループにおける社員1人あたりの営業利益を重要な指標としております。 当社グループは、建築業者と注文住宅希望者との請負マッチングコンサルティングを当社の重要なサービスとして位置付けております。土地選定の段階から、建築請負先の決定までサポートする営業手法は、当社グループの高い顧客満足の源泉の一つと考えております。そのため、当社では土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率を重要な指標としており、2023年3月期の建物請負紹介成約比率は27.3%(注)となっております。 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2023年1月31日内閣府令第11号)を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループにとってのサステナビリティとは、より美しい街並みと安心して暮らせる魅力的な街づくりに寄与し、ステークホルダーの皆様との信頼関係を築くことで、将来にわたって社会と共に成長していくことです。 国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の4つの構成要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)に基づき、取組を開示いたします。 当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しております。2023年4月14日開催の取締役会において「サステナビリティ委員会」を設置することを決議いたしました。 サステナビリティ委員会は、代表取締役社長及び各事業部長で構成し、気候変動及び人的資本に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取組施策について協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、重要なものを取締役会に報告いたします。取締役会は、サステナビリティ委員会で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、論議・監督を行います。なお、代表取締役社長は、サステナビリティ委員会の委員長を担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負います。 当社グループの戦略は、自社の事業及び財務に影響を及ぼすと考えられるリスクと機会の把握及び国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の実現という社会課題からサステナビリティ重要課題を設定し、課題解決をとおして持続可能な社会と企業の持続的成長を目指します。気候変動課題に焦点を当てた戦略については、リスク評価の仕組みを構築できておらずリスクと機会の検討に至っておりません。社会的課題については、健康と福祉、質の高い教育を重要課題といたしました。その理由は、安心して暮らせる魅力的な街づくりにおいて、そこで生活する人々が身体的に健康であることはもちろん、精神的にも、社会的にも満たされている状況であることが望ましいからです。そのため、地域活性やスポーツ振興として「世田谷246ハーフマラソン」への協賛、東日本大震災時には震災孤児のための寄付、コロナの影響で大学受験を目指すことが難しくなった子供たちへの受験勉強サポートとして2020年度から3年間「認定NPO法人キッズドア基金」を通じた奨学金の支援活動に取組んでおります。2023年度はトルコ・シリア地震に被災された方々の救援や被災地の復興支援に役立てていただくため、「認定NPO法人REALs」が募集する義援金への支援活動を開始いたします。 また、人的資本に関する課題は、魅力的な街づくりやステークホルダーの皆様との信頼関係を構築するために、人材価値を最大限に引き出すことであると考えております。そこで、当社グループにおける人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境性に関する方針は、以下のとおりといたしました。 当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるために、多様性ある人材の育成が重要事項であると考え、教育研修の提供、キャリア形成と能力開発の支援、チャレンジ精神の重視と実行者への評価に取組んでおります。 従業員自らがキャリアを描き、自律的に能力・技術を磨いて、成長へとつなげられる教育研修の機会を提供します。 従業員が新しいスキルを身に付け、新たな価値を創出するためのキャリア形成と能力開発を支援します。 従業員のチャレンジ精神を大切にします。チャレンジ精神のある社員を評価するため、異なる考え方や価値観を否定せず、フラットな目線で評価できる環境を確保し、成果を出した従業員が更なる挑戦ができるような体制を構築します。 当社グループでは、従業員1人ひとりの主体性と創造力、安全と心身の健康を守ることが重要事項であると考え、人格・個性の尊重、安全で健康な職場環境に取組んでおります。 従業員1人ひとりに寄り添い、各々のライフステージに応じた仕事が選択できる環境を整備することで雇用を維持し、企業の持続的な成長につなげることを目指します。思想、信条、宗教、国籍、人種、性別、身体的特徴、財産、出身地等の理由で嫌がらせや差別のない健全な職場環境を確保します。 当社グループは、全事業活動において人の安全、健康確保を最優先します。特に、人権を侵害し職場環境を害するハラスメントの一切を禁じ、見逃しません。問題発生時には、迅速に調査し、被害者の救済と再発防止に向けた断固たる処置を取ります。 当社グループは、気候変動及び人的資本に関するリスクを低減し事業機会を確実なものとするため、優先的に対応すべき事項の絞り込みについて、当社グループに与える財務的影響及び当社グループの活動が環境・社会に与える影響を踏まえて実施いたします。なお、気候変動に焦点を当てたリスク評価については、現時点で仕組みを構築できておりません。 人材に焦点を当てた場合に当社グループにとって財務的影響が大きいリスクは、経験豊富な従業員が離職すること及び採用競争力の低下により新卒などの若手又は即戦力となる中堅の確保が困難となることであると判断しております。そのため、従業員に成長の機会を提供し、更なる挑戦ができるように、安心・安全に働けるように環境を整えることでリスク低減に努めます。 この取組に関する実施状況については、サステナビリティ委員会で進捗管理・モニタリングを実施し、重要なものを取締役会に報告いたします。取締役会は、サステナビリティ委員会で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、論議・監督を行うことで、全社的なリスクとして統合的に管理します。 前述のとおり、当社グループでは、サステナビリティ戦略において人材に焦点を当てたリスク管理は最重要課題であります。そこで、「(2)具体的な取組 ②戦略」で記載した、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境性に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 従業員1人当たりでどれだけ効率的に本業の利益を稼げているかを示すものであります。人材の成長(教育研修やOJTによる能力開発支援が結果に結びついているか)、定着率の向上(従業員が定着し、スキルを身につけた人員が活躍しているか)を示す指標でもあるため、若手を中心とした組織の拡大化を図りながらも、グループ社員1人当たりの営業利益は現在の水準を維持・向上できるように努めます。 空きが出た又は新設されたポストに対して内部からの登用でそのポストが埋まった割合であり、グループ内で有能な人材を育成又は確保できているかどうかを図る指標となります。内部登用率の高さは、当社グループがより革新的・創造的な組織となるために従業員1人ひとりの能力を最大限に引き出した結果としての側面があると捉えております。更なる強化のために、多様なチャレンジを認め、従業員1人ひとりの成長を支援します。 指導的立場(※3)にある人材に占める女性の割合を示すもので、女性活躍の推進度合いを表す指標となります。意思決定の場に多様な視点を取り入れるべく、性別を問わず多様な背景を持つ人材の活躍を推進します。 (※1)内部登用率は、基準日の管理職に占める内部登用数を同日の管理職総数で除して算定しております。 (※2)2023年4月1日現在の当社グループの状況を反映させております。 (※3)当社グループでは指導的立場を課長職以上と定義しております。 当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を、以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利水準、地価の水準等のマクロ経済要因の変動と企業業績が密接に関係しており、とりわけ当社グループにおいては、市場金利や消費税増税の動向、不動産に係る税制の改正や住宅取得希望者の心理動向等が、当社グループの業績及び事業の展開に影響を与える可能性があります。 また、このような経済情勢の変化は、土地の購入代金、建築費等の変動要因ともなり、価格の上昇・下落等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、不動産販売を行っており、2023年3月末時点で、棚卸資産として5,438,361千円計上しております。当社グループでは、見込んでいた販売価格での販売が困難な場合には、在庫リスクを軽減するため、販売価格の値引きにより販売を促進させる施策をとることがあります。その際、値引きによる利益の減少が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、販売不振のために滞留する販売用不動産が発生した場合には評価損が発生する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、当社グループが売主となる場合には新築住宅の構造上主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分について10年間、中古住宅の場合には2年間の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負います。よって、万が一当社グループの販売した物件に重大な瑕疵があるとされた場合には、その直接的な原因が当社グループ以外の責任によるものであっても、当社グループは売主としてその責任を負うことがあります。その場合、補償工事費の増加や当社グループの信用力低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業運営上、宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法、建設業法、国土利用計画法等による法的規制を受けております。 当社グループは、以下の主要な許認可を含めこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの関連法規が改廃された場合や新たな法的規制が設けられる場合、又はこれらの法令等の規制について遵守できなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、不動産の仕入れに際して、立地条件、面積、地盤、周辺環境及び仕入れ価格等について事前に十分調査し、その結果を踏まえて仕入れを行っております。他社との競争激化や地価の上昇等により、不動産の仕入れが計画通りとならない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループで行っている不動産の販売については、顧客への引渡時に売上計上されることから、市場動向、顧客の事情、天候の影響等によって想定通りに販売が進まず、引渡時期の変更等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 景気の急激な変化は、当社グループが扱う住宅用不動産に対する顧客の購入意欲に影響を及ぼす可能性があります。2020年初頭より本格化した新型コロナウイルスは、2023年5月にインフルエンザ相当の「5類」へと危険レベルが引き下げられておりますが、新たな変異ウイルスに変化した場合、又はその他の様々な外的要因により、景気の下振れによる不況に陥った場合、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。当社グループでは随時、景気の変動要因について取締役会及び経営会議の検討事項として協議を行っており、景気後退における大幅な不動産相場への影響、消費者動向について社内での認識共有を行い、適切な営業活動の実行を図っています。 当社グループは、複数の拠点を保有し事業運営を行っております。新型コロナウイルスのパンデミック等の社会現象が、当社の想定を超える規模で発生し、複数拠点の運営が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。当社グループの対策として、オフィスにおける三密回避を意識したテレワーク、社内入室の際のアルコール消毒や常時マスク着用の励行、時差出勤を導入しています。また、有事の際には拠点別の責任者の指示による迅速な対応と社内連絡体制を構築しています。 当社グループは、各事業において、見込顧客情報及び取引顧客情報等、当社グループ事業を通して取得した個人情報を保有しており、個人情報の保護に関する法律等による規制を受けております。 これらの個人情報については、個人情報を有する当社グループの各社にて細心の注意を払って管理しておりますが、万が一、外部漏洩等の事態が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、物件取得及び建築等の事業資金を金融機関からの借入金により調達しております。市場金利が上昇する局面においては、支払利息等の増加により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは有利子負債の返済原資を主に取得した物件の売却代金としており、物件の売却時期が計画から遅延した場合、又は、売却金額が当社の想定を下回った場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが所有する固定資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下や保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損会計を適用することで当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 火災、破裂爆発、落雷、風、ひょう雪災、水災、地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火及び津波並びに電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故並びに戦争、暴動、騒乱、テロ等の災害により、当社グループが保有する物件について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。また、偶然不測の事故・自然災害により不動産に対する投資マインドが冷え込んだ結果、不動産需要が減り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度末現在、当社グループが関係する重大な訴訟の事実はありません。しかしながら、当社グループが売却した物件における瑕疵の発生、当社グループが行う開発工事にかかる近隣トラブル、当社グループが請け負った工事に対する顧客からのクレーム、入退去時のテナント等とのトラブル等を起因とする、又はこれらから派生する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 収益物件の賃借人との賃貸借契約の期間満了時に契約が更改される保証はないこと、また賃借人が一定期間前の通知を行うことにより賃貸借期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合もあるため、賃貸借契約の解約が増加した場合、後継賃借人が見つかるまでの間、賃貸収入が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、法令遵守、サービスの品質・安全性の確保、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループを取り巻く環境や競合他社及び競業他社を取り巻く環境において何らかの問題が発生した場合、取引先からの評価に悪影響を与え、それにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの運営する「sumuzu」は、インターネット環境が必要なサービスであり、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合やサーバーに不具合があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。 新株予約権の権利行使が行われた場合、当社株式が新たに発行され、既存株主が有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は41,000株であり、発行済株式総数2,827,793株の1.45%に相当しております。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、資産及び負債の計上、収益及び費用の計上、偶発債務の開示等に関して、必要に応じて経営者による会計上の見積りや仮定を用いることが必要となります。当社は合理的な基準に基づいて会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性に起因して会計上の見積りや仮定が実際の結果と異なる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすことがあります。 重要な会計上の見積りの詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当社グループが属する不動産住宅市場におきましては、政府による継続的な政策支援や住宅ローン金利の低位安定等で住宅関連を中心に総じて底堅く推移しております。このような環境の中で、当社グループは、「唯一無二の豊かさを創造する」の経営理念のもと、積極的な若手人材採用と育成により、新規顧客へのアプローチの量と質を向上させ、一方で既存顧客に対しては長期的なサポート及び丁寧な提案を行うことで、用地仕入れから販売までの期間を住宅用地については平均3.8ヶ月の短期間成約を維持継続しております。また、新たな開発用地取得や販売契約の獲得を目指した営業活動の強化及び収益用不動産販売の本格化により通期業績目標を達成することができました。 商品仕入れについては、販売用自社物件の在庫余力を積み増すことができ、当連結会計年度末の棚卸在庫総額は5,438,361千円となり、前年同期と比べ407,937千円の増加(前年同期比8.1%増)となりました。 以上の結果、連結売上高が15,017,028千円(前年同期比34.9%増)となり過去最高を更新いたしました。また、連結営業利益は1,682,782千円(前年同期比14.3%増)、連結経常利益は1,603,357千円(前年同期比13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,050,262千円(前年同期比12.1%増)となりました。 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 sumuzu事業においては、WebサイトやSNSの活用で関心の高い顧客層へ確実にコンテンツを届け、住宅購入を検討中の潜在層にも幅広くアプローチする集客体制を実現し、潜在顧客についても取り込むことができました。その結果、不動産販売件数、仲介件数を伸長することができ、売上高は14,906,569千円(前年同期比34.6%増)となりました。また、セグメント利益は1,962,475千円(前年同期比13.4%増)となりました。 賃貸事業においては、2022年3月に東京都世田谷区新町2丁目に新規賃貸用不動産物件を取得し、同年4月より営業を開始したことに加え、リゾート施設における賃料収入の回復が見られたことで業績が堅調に推移しました。その結果、売上高は109,462千円(前年同期比109.5%増)、セグメント利益は52,515千円(前年同期比553.9%増)となりました。 当連結会計年度末の資産合計は13,896,725千円となり、前連結会計年度末に比べ1,127,914千円増加いたしました。また、当連結会計年度末の負債合計は7,353,826千円となり、前連結会計年度末に比べ233,231千円増加いたしました。その結果、当連結会計年度末における純資産合計は6,542,898千円(前連結会計年度末に比べ894,683千円の増加)となり、自己資本比率は47.1%(前連結会計年度末は44.2%)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末と比べ、102,595千円減少し、4,403,151千円となりました。 営業活動の結果獲得した資金は566,469千円(前連結会計年度は332,094千円の支出)となりました。 主な資金の増加要因としましては、税金等調整前当期純利益1,608,699千円の計上であります。他方、主な資金の減少要因としましては、棚卸資産の増加額407,937千円、法人税等の支払額810,475千円であります。 投資活動の結果支出した資金は712,200千円(前連結会計年度は876,716千円の支出)となりました。 主な資金の増加要因としましては、差入保証金の返金による収入10,312千円であります。また、主な資金の減少要因としましては、定期預金の預入による支出700,000千円であります。 財務活動の結果獲得した資金は42,802千円(前連結会計年度は2,071,212千円の収入)となりました。 主な資金の増加要因としましては、棚卸資産の仕入れに伴う短期借入金の純増額156,190千円及び長期借入金の増加額626,300千円であります。また、主な資金の減少要因としましては、長期借入金の返済による支出584,141千円及び配当金の支払額155,489千円であります。 当社グループは生産を行っていないため、生産実績の記載はしておりません。 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度の売上高は、不動産販売の販売件数の増加に伴い前連結会計年度比34.9%増の15,017,028千円となりました。一方で、前連結会計年度に高利益案件が多かったこともあり、当連結会計年度では販売用不動産の売上に対する売上原価率が増加し前連結会計年度比41.6%増の11,727,539千円となりました。この結果、売上総利益は前連結会計年度比15.5%増の3,289,488千円となり、通期業績における予測の範囲内での着地となりました。 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比16.8%増の1,606,705千円となりました。主な要因は事業拡大に伴う人員増強などによる人件費の増加、及び棚卸資産増加に伴う物件取得関連費用の増加であります。この結果、営業利益は前連結会計年度比14.3%増の1,682,782千円となりました。 当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度比181.4%増の1,879千円、営業外費用は前連結会計年度比52.8%増の81,305千円となりました。営業外収益の主な要因は助成金収入の増加であり、営業外費用の主な要因は棚卸資産増加に伴う物件取得時に発生する借入利息として支払利息の増加であります。この結果、経常利益は前連結会計年度比13.0%増の1,603,357千円となりました。 当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比40.6%減の7,427千円、特別損失は前連結会計年度比265.6%増の2,084千円となりました。特別利益は生命保険の解約による保険解約返戻金であり、特別損失は固定資産の除却損であります。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比12.4%増の1,608,699千円となりました。 当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計)は、前連結会計年度比13.1%増の558,436千円となりました。これは、企業会計と税務会計の一時差異が解消による繰延税金資産の取り崩しによるもので、この結果、当期純利益は前連結会計年度比12.1%増の1,050,262千円となりました。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、瑕疵担保責任、法的規制などが挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業等の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ、1,127,914千円増加の13,896,725千円となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べ、1,176,137千円増加の10,946,975千円となりました。これは主に現金及び預金が597,404千円増加、棚卸資産が407,937千円増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ、48,222千円減少の2,949,750千円となりました。これは主に繰延税金資産が28,764千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、233,231千円増加の7,353,826千円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べ、186,724千円増加の5,496,856千円となりました。これは主に棚卸資産の仕入れに伴い短期借入金が156,190千円増加したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ、46,507千円増加の1,856,970千円となりました。これは主に長期借入金が44,478千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、894,683千円増加の6,542,898千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,050,262千円増加した一方で、利益配当金の支出により利益剰余金が155,522千円減少したことによるものであります。 「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 当社グループの資金需要は、営業活動に関しては、仕入れのための費用と人件費等の一般管理費が主な内容となっており、投資活動に関しては、事業用設備の取得が主な内容となっております。 当社グループは、運転資金、投資資金についてまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について銀行借入による資金の調達を実施しております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成にあたっては、経営者による見積りや仮定を用いることが必要となります。当社は合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性の存在により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 当社グループにおいては、「有形固定資産の減損損失の認識の要否」、「棚卸資産の評価」における会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が特に重要であると考えております。これらの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当連結会計年度のグループ社員1人あたりの売上高は、グループ全体の売上高が増加したため、前連結会計年度比10.7%増の168,730千円となりました。 当連結会計年度のグループ社員1人あたりの営業利益は、主に業務拡大に伴う人員増強による人件費や販売促進ツールの運用費等で販売費及び一般管理費が増加したため、前連結会計年度比6.2%減の18,907千円となりました。 当連結会計年度の土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率は、前連結会計年度比5.9%増の27.3%となりました。引続き、建築業者との請負マッチングを強化し、不動産販売件数の増加に伴う建物請負紹介成約比率の増加に取組んでいます。 該当事項はありません。 当社グループは、主にITプラットフォーム「sumuzu」の研究開発を行っています。 「唯一無二の豊かさを創造する」という経営理念のもと、顧客にインターネット上で透明性の高い情報を提供し、満足度の高い不動産取引を実現できるよう、研究開発に取組んでいます。 なお、当社グループの研究開発費は、sumuzu事業セグメントでのシステム開発に関するものとなっております。 お客様にインターネットを通じて透明性の高い不動産情報提供、並びにITを活用してオーダーメイド住宅の土地探し~住宅完成までをワンストップ提供するプラットフォーム提供、不動産のストックビジネス化に向けて中長期的なロードマップを策定していくことを目標に、不動産テックに関わる最新技術の調査・研究、システム開発及びサービス化による事業化検討を目的としています。 当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は以下のとおりです。 ネットコンペでオーダーメイド住宅をマッチングするサービス「sumuzu Matching」では、土地購入検討者又は土地所有者が住宅希望条件をエントリーすることにより、希望条件に興味を持ったsumuzu認定の住宅専門家がインターネット上でコンペに参加して、建築プランを提案するシステムで、機能追加と利便性向上を図りました。更なる機能性向上を図りオーダーメイド住宅の普及促進を目指します。 以上により、当連結会計年度における研究開発費は11,392千円となりました。
セレンディップ・ホールディングス株式会社
# セレンディップ・ホールディングス株式会社 第18期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。 当社グループは、当社(セレンディップ・ホールディングス株式会社)及び連結子会社6社(天竜精機株式会社、佐藤工業株式会社、三井屋工業株式会社、セレンディップ・テクノロジーズ株式会社、セレンディップ・フィナンシャルサービス株式会社、株式会社アペックス)で構成され、「プロフェッショナル・ソリューション事業」、「インベストメント事業」、「モノづくり事業」の3つの事業に区分されます。 我が国のモノづくり産業においては、中堅・中小企業が多数を占め、サプライチェーンを支えるとともに多くの雇用を創出しております。しかしながら、これらの中小企業オーナー経営者の高齢化に伴い、高い技術力・製品力がありながらも後継者不在により事業の継続が困難となり、多くの中小企業が廃業に至るという社会問題が顕在化しております。 また、後継者不在という理由に限らず、近代経営の複雑化・高度化に対応した経営管理体制が十分に構築されていない、少子高齢化に伴う労働力不足等によって経営資源を充分に確保できない、生産性が低く稼ぐ力が弱いといった課題を抱えた中堅・中小企業も数多く存在します。 このような課題を抱えた中堅・中小企業に対し、当社は「すべてのステークホルダーに価値と成長をもたらす100年企業グループ」創出というグループビジョンを掲げ、M&Aによる事業承継、中小企業が直面する複雑で高度な経営課題に対応できるプロ経営者の派遣及び経営執行にコミットしたPMI(※1)の実行、顧客企業の企業価値の回復・向上を図る一連の経営コンサルティング等、「中小企業経営の近代化(※2)」に資する総合的なソリューションを提供しております。 (※1)PMI(Post Merger Integration:M&A成立後の統合プロセス)とは、当初計画したM&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスを指します。統合の対象範囲は、経営、業務、意識など統合に関わる全てのプロセスに及びます。M&Aが企業活動にもたらす成果の度合いは、このPMIの巧拙によって決まると言われます。 (※2)企業が継続的な成長を図るためには、限られた経営資源を有効活用して、社会環境や産業構造の急激な変化に対応していくことが求められます。このような変化を敏感に察知して、時代にフィットした経営を行うことを、当社では「経営の近代化」と呼んでいます。 当社グループは「事業承継(投資)×モノづくり(経営)」を事業領域とし、事業承継を目的としたM&A(事業承継型M&A)によってモノづくり企業を中心とした中堅・中小企業を当社グループの傘下に収める「投資」と、近代経営の複雑化・高度化に対応した経営執行によって企業価値の回復・向上を図る「経営」を主軸とした事業を行っております。 例えば、M&A仲介会社であれば、基本的に譲渡を希望する企業と買収を希望する企業の引き合わせ、提携条件の調整、取引の実行までに係るM&Aプロセスでのサービス提供を主たる事業とし、また経営コンサルティング専業会社であれば、基本的に顧客企業の自主独立による成長に対するソリューション提供を主たる事業としております。 一方、当社グループは、経営権の譲渡を希望する中堅・中小企業の開拓、M&A戦略の立案、対象企業の選定・アプローチ、各種デューデリジェンス(調査・分析)、企業価値算定、ファイナンスアレンジ(資金調達等)、取引条件・契約交渉、クロージング(資金決済等)手続といったM&Aに関わる全般的な業務を当社グループ内で一気通貫して行っております。 また、当社はプロ経営者のチームでの派遣及び経営執行にコミットしたPMIにより現場・財務・経営を徹底的に見える化し、ムダ・ムリ・ムラの排除によって生産性を高め、また数値を集約することによって意思決定のスピードと精度を高める経営管理体制の構築を行います。更には、長期的な企業価値向上を図るため、グローバル化への対応、新技術・新製品への成長投資を実行し、「中小企業経営の近代化」を推進しております。 以上により、事業承継に課題を抱えたモノづくり中堅・中小企業に対し、事業承継型M&Aという「投資」による経営改革(ターンアラウンド)を実施し、その後の経営執行にコミットした「経営」による経営改革(ターンアラウンド)を実施するといった、シームレスな(途切れのない)経営改革を行う点が当社の特徴であります。 当社グループの各事業の内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置づけは次のとおりであります。 なお、次の3つのセグメントは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 「プロフェッショナル・ソリューション事業」においては、事業承継等の経営課題を抱えた中堅・中小企業や技術力強化を推進するモノづくり企業へ、プロ経営者やエンジニアといった当社グループの各種プロフェッショナルを派遣し、経営課題や技術的課題に対するソリューションを提供しております。当該セグメントには、当社及びセレンディップ・テクノロジーズ株式会社が属しております。 また当社グループにおいて、当社及びセレンディップ・テクノロジーズ株式会社はグループ各社の横断的機能を担っております。当社は、グループ各社の経営の近代化を推進する経営執行の役割を担い、プロ経営者派遣及びPMIを実行するとともに、バックオフィス業務強化のためのサポートやグループ各社の交流促進など、グループ全体の組織の活性化を図っております。セレンディップ・テクノロジーズ株式会社は、外部顧客のみならず当社グループ内へのエンジニア派遣を行い、技術交流及びR&D(新技術の研究開発活動)を促進する役割を担っております。 当社は、中堅・中小企業が直面する複雑で高度な経営課題に対応できる「プロ経営者」を派遣しております。 我が国のモノづくり産業においては、中堅・中小企業が多数を占め、サプライチェーンを支えるとともに多くの雇用を創出しております。しかしながら、これらの中小企業オーナー経営者の高齢化に伴い、高い技術力・製品力がありながらも後継者不在により事業の継続が困難となり、多くの中小企業が廃業に至るという社会問題が顕在化しております。 また、後継者不在という理由に限らず、近代経営の複雑化・高度化に対応した経営管理体制が十分に構築されていない、少子高齢化に伴う労働力不足等によって経営資源を充分に確保できない、生産性が低く稼ぐ力が弱いといった課題を抱えた中堅・中小企業も数多く存在します。 このような課題を抱えた中堅・中小企業や、事業承継を目的としたM&Aによって傘下に収めた連結子会社へ、当社よりプロ経営者を派遣し、経営執行にコミットした経営改革(ターンアラウンド)の実行、顧客企業の企業価値の回復・向上を図る一連の経営コンサルティング等の「中小企業経営の近代化」に資する総合的なソリューションを提供しております。 新型コロナウイルス感染症拡大により大手製造メーカーの生産活動停滞等を受け、その仕入先である中小製造業の業績が悪化しており、当該企業並びに支援金融機関からの経営改善支援に対するニーズが増加しております。 また、DXに対する各社の取り組みの本格化、中堅・中小企業の基幹システムの再構築需要の増加に伴い、ITコンサルティングのニーズも増加しております。 このような経営課題を抱える中堅・中小企業の課題解決・経営改革(ターンアラウンド)に寄与するため経営改善効果を実証したIoTツール等の活用等、総合的なソリューションを提供しております。 セレンディップ・テクノロジーズ株式会社は、エンジニアを自社の正社員として雇用し、専門性の高いプロフェッショナルのエンジニアを必要とするメーカーに派遣しております。また、ソフトウェアの受託開発も行っております。 モノづくり産業においては技術力の高さが競争力となります。製品の設計や開発といった重要な業務を任せられる人材の不足を補い、自社の技術開発を推進するために、高い専門性を持った人材をエンジニア派遣という形で受け入れるメーカーが増加しております。近年の自動車業界では、自動運転や電動化に関連する激しい技術開発競争を背景に、既存の自動車開発・設計技術とは異なる分野の高度な技術を持ったエンジニアへのニーズが高まっております。 「インベストメント事業」においては、金融機関等と連携した共同投資やマイノリティ出資、フィナンシャル・アドバイザリーによって、多様化する事業承継問題に柔軟かつ機動的に対応しております。事業承継等に課題を抱えた企業へのフィナンシャル・アドバイザリーの提供や、共同投資等により投資先企業への経営関与を高め、経営改革(ターンアラウンド)を促進し企業価値の向上を図り売却を通じたキャピタルゲインによって収益を獲得しております。当該セグメントには、セレンディップ・フィナンシャルサービス株式会社が属しております。 「インベストメント事業」を取り巻く環境においては、オーナー経営者の高齢化・後継者問題に加え、最近では新型コロナウイルス感染症の拡大が多数の中堅・中小企業に先行き不透明感を与えております。これによって事業承継へのニーズが高まり、事業承継問題の多様化・顕在化がますます加速していくと考えられます。 また、セレンディップ・フィナンシャルサービス株式会社は、当社と連携し、当社グループ全体の企業価値を高めるための戦略的な投資先企業の発掘を担っております。 「モノづくり事業」においては、当社が事業承継を目的としたM&Aによって傘下に収めたモノづくり企業が自動車部品製造及びFA装置製造を行っております。 日本のモノづくり産業においては、自動車産業が基幹産業の一つとなっております。そのため、自動車産業に関わる中堅・中小企業の事業承継促進や収益力の強化が日本経済の発展にとって重要な課題であり、当社はこれらの自動車産業に関連する製造企業を連結子会社として傘下に収め、「中小企業経営の近代化」によって企業価値の向上を図っております。 また、少子高齢化による労働力不足や海外生産拠点の人件費上昇といった課題への解決策として、モノづくり産業における工場の省人化・FA化が進展しております。今後も省人化・FA化に関連する市場は拡大していくと考えられ、当社もFA装置製造企業を連結子会社とし、当社グループの成長において重要な位置づけとしております。 三井屋工業株式会社は、1947年創業の自動車内外装部品メーカーです。主力製品は、自動車のラゲージルーム内装部品とフェンダーライナー・リアホイルハウスライナーといった外装部品であり、トヨタ自動車株式会社を長年主要顧客としております。 三井屋工業株式会社はトヨタ自動車株式会社と直接取引を行うサプライヤーであるため、新車種の企画段階から開発に参画し、顧客ニーズの早期把握に留まらず要求性能そのものを顧客とともに作り込むことが可能であります。自動車メーカーから発注された部品を単に納めるのではなく、自社の技術力を最大限に活かした機能性部品を顧客とともに考案することができ、高付加価値部品の製造・販売が可能という強みがあります。 また、三井屋工業株式会社では顧客の多様なニーズに応えるために競争力の高い材料を常に開発し続けており、主要素材は自社オリジナル品であります。特に、吸遮音性と軽量化を追求した材料は顧客より高い評価を得ております。近年では、自動車の車外騒音規制がより厳しくなるとともに、EV等のエコカーの生産・販売台数が増加しているなか、自動車部品にはこの吸遮音性と軽量化の両方が求められております。今後もその傾向は続くと考えられるため、このような付加価値の高い新材料を開発していくために、引き続き材料メーカーや化学メーカーと共同で材料開発に取り組んでまいります。 2002年には、三井屋工業株式会社が開発した軽さと剛性を兼ね備えた新素材である発泡PP材(※1)が、トヨタ自動車株式会社の技術開発賞を受賞いたしました。 2021年には、東北エリア及び関東エリアに自動車組立生産拠点を置く顧客へ迅速かつ柔軟に対応するため、山形県米沢市に東北工場を新設しました。東北工場では、当社グループが考えるスマートファクトリー(※2)構想を具現化するため、様々なデジタルデバイスの実装や生産性の高い設備導入を行いました。 (※1)発泡PP材とは、材料であるPP(ポリプロピレン)の内部に小さな気泡を入れることで剛性を備えたまま軽量化に成功した新素材です。 IoT(モノのインターネット)などを活用して取得・収集し、このデータを分析・活用することで新たな付加価値を生み出せるようにする工場を指します。 佐藤工業株式会社は、高度な精密プレス加工技術を持つ自動車精密部品メーカーです。主力製品は、自動車のオートマチックトランスミッション(AT)の機能部品であるプレート・バルブボデーであり、株式会社アイシンを主要顧客としております。 佐藤工業株式会社は、順送プレス量産加工において板厚の半分以下(最小0.68mm)の穴を抜くという高度な精密プレス加工技術を持っております。極小の穴や楕円形など特殊な形を開けるためのパンチを金型から自社で設計・製造することによって、順送プレスでは難しいと言われていたこの精密プレス加工を可能としました。 また佐藤工業株式会社では、不良品を出さない製造工程の設計と確認作業の徹底によって、2018年度には顧客目標0.51ppm(製品5,500万個中、不良品28個以内)を大幅に下回る不良率0.13ppm(製品約5,500万個中、不良品7個)を達成しました。2019年には、アイシン精機株式会社(現・株式会社アイシン)のグループ原価賞及びアイシン・エィ・ダブリュ株式会社(現・株式会社アイシン)の総合優秀賞を受賞しました。 高い安全性が求められる自動車製造業において、高い品質の部品を安定して供給し続けるサプライヤーであることは、顧客の信頼を得るための強みとなっております。 天竜精機株式会社は、1959年の創業以来一貫して工場の製造工程を自動化・省力化するための装置を開発・製造するFA装置メーカーです。主力製品は、個別受注生産品であるコネクタ自動組立機・電池関連自動組立機等と、量産品であるクリームはんだ印刷機をはじめとした実装関連設備であります。 天竜精機株式会社は、製品の設計や技術開発を担う設計部に、全従業員の約40%の人員が所属しております。この豊富な設計陣容によって、多様な製品・製造法に合わせた軽量化・微細化・高速化等の高度な顧客ニーズに柔軟・迅速に対応し、顧客ごとに最適な機械装置を提供することが可能となっております。 2018年には、印刷条件フルデジタル設定のクリームはんだ印刷機を開発いたしました。時間の経過とともに状態が変化するクリームはんだの粘性特性(レオロジー)をレオロジーアナライザーという製品(2015年商品化)で解析し、その計測データをクリームはんだ印刷機に転送することにより、従来は熟練工の経験を基に手動で設定していた印刷条件が、高い印刷品質を維持したままフルデジタルで設定可能となりました。 株式会社アペックスは、主に顧客の開発段階における試作品製作を行っており、機械加工、電子制御に留まらず、デザイン、アプリ開発に至るまで、社内一貫製作が可能な技術力を強みとしています。特に、自動車エンドユーザーに対する、新しい顧客体験の提供を可能にするための独自の技術力は、顧客から高く評価されています。また、事業の性質上、試作品の製作を通じて、今後トレンドとなる技術や材料の情報やノウハウを得ることが可能です。当社グループ企業の安定した顧客基盤を共有することで、株式会社アペックスの更なる事業拡大を図ると共に、株式会社アペックスの技術力・デザイン力を生かして当社グループ企業の製品開発力・デザイン力を高め、グループ全体の成長を加速いたします。 本書記載内容に対する理解を容易にするため、また、正しく理解していただくために、本書で記載する用語の解説は以下に記載しております。 経営指導・当社役職員派遣に対する経営指導料を受け取っております。 経営指導・当社役職員派遣に対する経営指導料を受け取っております。 当社より、資金の借入(CMS)があります。 経営指導・当社役職員派遣に対する経営指導料を受け取っております。 当社に対し、資金の貸付(CMS)があります。 経営指導・当社役職員派遣に対する経営指導料を受け取っております。 当社に対し、資金の貸付(CMS)があります。 経営指導・当社役職員派遣に対する経営指導料を受け取っております。 当社より、資金の借入(CMS)があります。 経営指導・当社役職員派遣に対する経営指導料を受け取っております。 当社に対し、資金の貸付(CMS)があります。 当社及び当社連結子会社の佐藤工業㈱、三井屋工業㈱、セレンディップ・テクノロジーズ㈱、セレンディップ・フィナンシャルサービス㈱、㈱アペックスにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 当社連結子会社の天竜精機㈱において、天竜精機労働組合が結成され労使関係は円満に推移しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「すべてのステークホルダーに価値と成長をもたらす100年企業グループ」創出というグループビジョンを掲げ、中小企業経営の近代化(使命)と、よき伝統の尊重と戦略合理的経営を追求していくこと(価値観)を目指しております。中小企業経営において変化が求められる今の時代に、古き良き伝統のみに縛られるのではなく、経営の変革により企業価値を継続・発展させていくことを基本的な経営方針としております。 当社グループは経営上目標とする指標として、経常利益を選定しております。 当社はM&Aを実行する際、各子会社の正常収益力を基にLBOファイナンス(※)によって買収資金を調達しており、各子会社の事業活動そのものだけでなくM&Aスキーム一連のファイナンスアレンジの巧拙も、事業パフォーマンスの評価軸として重要と考えております。そのため、各子会社の本業からもたらされる収益力の改善のみならず、財務の健全化に取り組み金融費用の最適化を行い、当社及び子会社ごとに経常利益の確保を目標に設定、管理しております。 (※)LBOファイナンスとは、企業やファンドが他社を買収する際、自己資金だけではなく、買収先の資産や将来のキャッシュ・フローを見合いとした借入等で調達した資金を元手に買収を行う方法です。 帝国データバンクより2021年に発表された「全国社長の年齢調査」および2020年に公表された「全国企業『後継者不在率』動向調査」によると、経営者の平均年齢が62.49歳と高齢化が進んでいるにも関わらず、6割以上が後継者未定と発表されております。 また、中小企業庁より2019年12月に発表された「第三者承継支援総合パッケージ」によると、日本企業が関連したM&A件数は、年間4,000件程度に留まり、潜在的な後継者不在の中小企業数(127万弱)からして不十分であり、このうち2025年までに黒字廃業の可能性のある約60万社の第三者承継を促すことを目標とした施策が報告されています。 このような環境のもと、国内M&A件数は、レコフデータによると、我が国全体で2017年の3,050件から2022年では過去最多の4,304件と増加しております。事業承継課題を抱える中小企業は今後も益々増加していくものと考えられ、市場は拡大傾向にあります。 日本自動車部品工業会がまとめた2021年度「自動車部品出荷動向調査結果」によると、自動車車体部品合計で3兆9,895億円の出荷額(2021年4月~2022年3月)となっています。今後、自動車の電動化が進む中、防音性・静粛性は益々求められる傾向にあり、市場は拡大傾向にあります。 電動化や自動運転など次世代技術の開発競争が激化し、「100年に1度」と言われる自動車業界の変革期を生き抜くため規模拡大で競争力を強化する動きが活発化しております。業界再編の波が押し寄せる中、サプライヤーも大手・中堅を中心に再編が進む一方、中小サプライヤーの事業継続が大きな課題となっております。 経済産業省の「スマートファクトリーロードマップ」によると、IoT・AI・ロボット等の活用によるモノづくりのスマート化に向けた取り組みがグローバル競争を勝ち抜くために必要である旨発表されています。IoTやロボットによるデータ活用により、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンのネットワーク化・最適化・自動化を進め、製品化・商品化の時間短縮や生産性向上等を実現していくことが未来のモノづくりに求められております。 安全性や快適性、環境性能の向上から電子化が進む車載向けでは、高速・大容量のデータ伝送性能を持つコネクタや高電圧対応の小型コネクタなどが開発され自動車技術の進化に貢献しております。これらコネクタを製造する自動機においても需要は継続的に見込まれるものと推測されます。 経済産業省の「自動車部品産業の変遷に関する調査」によると、自動運転技術の進展に伴い、車両の部品構成に変化が生じています。自動運転における顧客価値の変化により、自動車部品産業の事業環境にも変化が生じ、「より高付加価値の提供」が求められる自動車メーカーの研究開発が活発化しています。 上記経営環境のもと、M&Aを通じモノづくり企業をグループ化し、当社独自の「モノづくり事業承継プラットフォーム」に組み込むことで、グループ会社を変革・進化させ、グループ全体の成長を図るのが当社グループのビジネスモデルです。 「モノづくり事業承継プラットフォーム」とは、a.M&A実行基盤、b.経営管理基盤、c.モノづくり基盤の3つの基盤で構成され、事業承継に必要なすべてのソリューションをワンストップで提供する当社独自の仕組みを指します。 M&Aプロセス全体(M&Aの戦略立案、デューデリジェンス、資金調達、PMI等)を、モノづくり事業とインベストメント事業に精通したプロフェッショナル人材が一気通貫で遂行していきます。 プロ経営者のタレント・マネジメント・システムの構築、業務のシェアード化、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の構築及びグループ全体のGRC(ガバナンス・リスクマネジメント・コンプライアンス)体制の構築を、経営管理に精通したプロフェッショナル人材がチームで推進していきます。 品質管理強化、製造効率化、IoTを活用した省人化、そして新製品開発を、モノづくり事業と経営に精通したプロフェッショナル人材がチームで推進していきます。 さらに、当社グループは、モノづくり事業承継プラットフォームで蓄積したノウハウを、グループ内に留まらず、フィナンシャル・アドバイザリー、経営コンサルティングを始めとした事業化を進め、当社グループ全体の企業価値最大化を図ります。 当社グループは、更なる成長に向けた戦略として、以下の方針を立てています。 当社は、M&Aによる非連続的成長と既存事業のオーガニック成長(※)を両輪で推進し、事業ポートフォリオを強化していきます。 M&Aによる非連続的成長においては、M&Aを戦略的に実行し、スピード感を持ってグループの成長を推進します。投資企業の選定には「国際競争力が高く、サプライチェーンが強固な分野」を重点投資領域に設定し、製造業において安定的な成長が期待できる分野や、高成長・高付加価値の創造が期待できる分野を主なターゲットとした独自の投資ポートフォリオを構築していきます。 一方、既存事業のオーガニック成長においては、M&A後のPMIフェーズで、当社から派遣されたプロ経営者チームが、経営環境及び製造現場の可視化を前提とした「標準PMI」で再現性の高い統合プロセスを実現します。PMIフェーズで得た知見を当社グループの独自ノウハウとして蓄積し、「標準PMI」のアップデートを重ねることで、PMIの効果・スピードを高めていきます。 また、当社グループは自動車内外装部品製造事業、FA装置製造事業、試作品製作等において、成長に必要なR&D(新技術の研究開発活動)を積極的に行っていきます。具体的な取り組みとしては、「リサイクル率向上」「低騒音化」といった環境に配慮した取り組み、「工場の自動化」「DX化」といった効率性と品質向上への取り組み及び産学共同研究を通じた「伝送効率の改善」を実現する新素材の開発・製品化に向けた取り組みを行っていきます。 (※)当社がいう「オーガニック成長」とは、当社グループが買収した企業を含む既存事業の持続的な成長を指しています。当社グループは、既存事業の強みを活かしながら、標準化、省力化及びDX化を推進し、生産性を向上させています。また、既存事業から派生した新たな事業の創造や研究開発への取り組みもオーガニック成長の一環として位置づけています。 当社グループは、グループ経営の課題として収益基盤の安定化と子会社財務の健全化を目指しています。具体的には、投資効率と財務健全性の最適バランス化、当社グループ内の資金を有効活用し最適配分を行うための事業ポートフォリオ戦略によるグループ財務の安定、更には予算精度向上による継続的な収益力の改善を図っていきます。 事業ポートフォリオ戦略による投資余力の確保、金融、会計、法律等の多分野にわたる複雑で高度な専門知識やノウハウを組み合わせて「全体最適」な資金調達手段を導き出し、機動的・多様な資金調達を目指します。 人的資本投資については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 当社グループは、M&Aによる事業承継により傘下に収めた子会社の成長を通じてグループ全体の成長を図るビジネスモデルとなっており、子会社における既存事業の成長のため、及び上記のソリューション拡充のため、以下の課題に注力してまいります。 当社グループはM&A案件の発掘に際し、金融機関、M&A仲介会社等様々なリソースを活用し、精緻な企業分析、M&A後の成長戦略、PMI戦略、グループシナジー等を十分に勘案した上で投資判断を実行していくことが重要であると認識しております。ターゲット案件に対しては、当社取締役を中心とした経営層及び関係部門で構成する投資委員会において、十分な審議、戦略立案等を行い、当社グループの成長に結び付くM&Aの実行に注力してまいります。 当社グループの最も重要な経営資源は人材であり、M&A後のプロ経営者派遣を行う上で人材の採用・育成強化は継続的な経営課題であると認識しております。他社との差別化を推進していくため、更にはM&A案件の成功に対応するため、当該分野における優秀な専門家人材を積極的に採用し、育成強化してまいります。 当社グループは、M&Aを実行しグループ内に取り込み成長することを基本的な事業戦略としております。グループ企業が増加する過程においては、各社のこれまでの歴史・企業風土・文化の違いから価値観の相違が生まれる等、一つのグループ企業として全社が同じ目標に向かい一体化していくことは容易では無いものと認識しております。 これらの課題に対し、各社横断的な会議体やコミュニケーションの場を設け、積極的な信頼関係の構築に努めてまいりたいと考えております。更には年に一度、方針説明会を開催しており、グループ方針を理解するとともに一体化・意思統一を図ってまいります。 当社グループは、子会社における海外人材の採用や海外取引は存在するものの、グローバル案件を遂行するため、業務提携・技術提携、新たな販売先・仕入先開拓等のグローバルな事業展開に対応できる人材の強化、ネットワークの構築等は必要であると判断しております。今後、グローバルな事業展開力や経営執行力を当社グループの機能に取り込むことにより、グローバル対応力の充実に努めてまいります。 当社グループの一部の子会社が身を置く自動車業界では、環境規制の強化による電動化の進展、自動運転技術の進化、コネクティッドカーの普及、クルマが所有するものからシェア(共有)するものへ変わるといったライフスタイルの変化など、いわゆるCASE領域の進展がめざましく、自動車産業の構造は、『100年に一度の大変革期』を迎えています。事業の枠組みや前提条件が大きく変わろうとする中、新市場への挑戦、新しい技術(技術革新)・新しいやり方(現場改革)に果敢に挑戦してまいります。 当社グループはM&Aを実行する際、各子会社の正常収益力を基にLBOファイナンスによって買収資金を調達しているため有利子負債比率が高い水準にあります。利益の蓄積のほか、様々な資金調達手法を活用し、財務体質の強化を図ってまいります。 企業経営の透明性と開示情報の正確性の確保、諸法規等の遵守のため、内部統制システムの整備・充実を継続的に推進し、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的と判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。 当社グループは、人的資本への投資をはじめとしたサステナビリティに関する取組を推進するための監督・執行体制を構築してまいります。具体的には、取締役会にて年2回サステナビリティ関連施策に対する監督・審議を行います。また、当社コーポレート企画部担当執行役員がグループのサステナビリティ関連施策推進の責任者として、執行状況を取締役会に報告するとともに、経営会議、リスク・コンプライアンス委員会で審議・協議を行います。 当社グループは、グループ共通のサステナビリティ方針として「セレンディップ・サステナビリティ」を定めております。 当社グループは、意思と意欲あるグループの全社員が、自己の成長を実現し、その力を最大限に発揮できる機会を提供していきます。 その前提として、すべての社員が心身ともに健康・安全で活き活きと働くことができる、活気あふれる環境を整備します。 また、モノづくりを中心とする私たちのビジネス活動が、健全な地球環境を前提とする、という自覚を持ち、気候変動など環境への配慮を徹底し、私たちのビジネス活動が環境に与える影響を最小限に抑えるため、自社のコアコンピタンスを活かしたサステナビリティの取り組みを行います。 当社グループでは、サステナビリティに関する取組みを2024年4月より本格的に開始します。サステナビリティ推進のための戦略としては、人材育成、社内環境整備、気候変動への対応を3つのグループ共通テーマと定め、それぞれのテーマについての目指す姿に基づいて、グループ共通の施策を立案する項目、各社独自に施策を立案する項目に分け、各施策を推進することによってグループ全体の指標及び目標を達成する方針とします。 当社グループは、サステナビリティに関するテーマの中で人材育成を最重要テーマと位置づけ、「年齢も性別も学歴も社歴も国籍も関係なく、意思と意欲あるものに機会を与える」という基本的な考え方を前提に「多様・多才な人材が各人の力を最大限発揮し、グループ内外で協働して社会に貢献できる最も働きがいのある会社」であること、そして「全ての社員が魅力的な仕事に挑戦し、常に学び成長し続けている会社」であることを目指しております。 グループ共通の施策を立案する項目は次のとおりです。 各社独自で具体的な施策を立案する項目は次のとおりです。 当社グループは、「すべての社員が心身ともに健康・安全で活き活きと働くことができる、活気あふれる環境をつくりだすこと」を目指し、職場環境整備及び健康経営に取り組んでまいります。 グループ共通の取組として、実施した施策の評価と次の施策に活かす気付きとヒントを得ることを目的としたグループ全社員を対象とする「従業員意識調査」を毎年実施する予定です。調査で得られる評価結果のうち、特に「社員エンゲージメント(社員の自発的な貢献意欲)」と「社員を活かす環境(適材適所、働きやすい環境)」の肯定回答率を最も重要な指標とします。この結果は職場にフィードバックのうえ、人材育成や組織作りに活かしてまいります。 各社独自で具体的な施策を立案する項目は次のとおりです。 当社は、モニタリング体制として、代表取締役社長兼CEOの直轄組織である内部監査室と取締役会の諮問機関であるリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。また、業務執行体制として、当社各部門及びグループ会社が業務執行管理を行っております。内部監査室とリスク・コンプライアンス委員会と当社コーポレート企画部及びグループ会社が連携し、サステナビリティに関連するリスクの対応方針や議題について、優先度を識別・評価し迅速な意思決定を図っております。 当社グループでは、来期より毎年実施予定のグループ全社員を対象とする「従業員意識調査」の評価結果のうち、「社員エンゲージメント(社員の自発的な貢献意欲)」と「社員を活かす環境(適材適所、働きやすい環境)」の肯定回答率を最も重要な指標とします。 その他のサステナビリティ関連の指標及び目標については、現在詳細な検討を進めており、具体化した段階で速やかに情報開示する予定です。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、単年度予算及び中期経営計画を策定し、継続的な発展を目指して事業展開を行っております。しかしながら、中期経営計画については、策定時点の外部環境・市場環境に基づくものであり、経済情勢や所属する各種業界に想定外の変化が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 また、当社グループはM&Aによる事業承継により傘下に収めた子会社の変革・進化を通じてグループ全体の成長を図るビジネスモデルでもあり、M&Aの実施により当社グループの資産及び負債が増減するとともに、キャッシュ・フローの状況も変動します。今後のM&A戦略の実行により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社の投資先企業には、事業や経営組織の再構築中の企業が含まれる可能性があり、これらの企業は、将来の不確定要因を多分に含んでおり今後発生し得る様々な要因により投資先企業の業績が変動するリスクがあります。また、投資先企業の財政状態や経営成績の変動により、当社グループの業績が大きく変動する可能性があります。買収当初の見通しに対し、急激な事業環境の変化、PMIの計画遅れ等により当初の中期経営計画が達成できない可能性があります。 当社は、M&A成立後の統合プロセスであるPMIについて、プロ経営者及びコンサルタントをチームで派遣する等、独自のノウハウを蓄積しており、グループ全体の成長を牽引・実現してきた経緯があります。また、当社グループはプロフェッショナル・ソリューション事業の拡大に合わせて、コンサルタント、ITエンジニア等を積極的に増員してきました。今後、当社グループの事業を拡大していく上で、専門性の高い優秀なプロフェッショナル人材であるプロ経営者、コンサルタント、ITエンジニア等の確保ができなかった場合、若しくは専門性の高い優秀な人材が流出した場合、当社グループの事業遂行に影響を与える可能性があります。 当社グループは、子会社各社の財政状態及び経営成績の状況が当社グループ全体に与える影響が大きいため、子会社の業績が変動することにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。現在、当社においてグループ全社及び各社の経営戦略の立案や経営管理全般の統括管理を実行しておりますが、各子会社の事業運営が順調に遂行できない場合、または当社グループに予期しない変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、当社の新株予約権(以下、「ストック・オプション」という。)を付与しております。また、今後におきましても、役員及び従業員に対してインセンティブとしてストック・オプションを付与する可能性があります。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 当社グループは、事業の遂行にあたり国内外の経済情勢、景気、株式市場の動向及び政治情勢に大きく影響を受ける可能性があり、これらの要因によって企業収益が悪化した場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。このため、予想した投資回収の時期のズレにより当社グループの業績が大きく変動する可能性があります。 当社は、事業承継を必要とする中堅・中小企業に対して、M&Aを行い連結子会社化しておりますが、投資対象企業の管理体制が不十分であり適時適切に決算を行うことができない場合、連結決算作業が適時適切に行えない可能性があります。 当社グループは、企業買収に伴い発生したのれんを連結貸借対照表に計上し、原則として投資回収計画の算定基礎となった期間で償却しております。事業環境の変化等により期待する成果が得られない場合は、当該のれんについて減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループが保有する投資有価証券について、株式市場の動向や有価証券発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合において、評価額の引き下げに伴う減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、企業買収に関する資金を主に金融機関からの借入により調達しております。有利子負債は総資産に比して高い水準にあるため、資金調達方法の見直しや有利子負債の抑制を行っておりますが、金利上昇となった場合、支払利息の増加を招き利益を圧迫する要因となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループにおける金融機関からの借入金の一部において、当社グループ又は各子会社単体の各年度の年度決算における損益計算書の経常損益、各年度の年度決算期末における貸借対照表における純資産の部の金額等を基準とした財務制限条項が付加されており、利率の上昇又は請求により期限の利益を喪失する等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、製品、販売及び個人情報等の情報をシステム管理しており、システム上のトラブル等、万が一の場合に備え保守・保全の対策を講じる等、情報管理体制を構築しております。しかしながら想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能のコンピュータウイルス感染等によって情報漏洩が発生した場合、顧客及び取引先からの損害賠償請求を含め、当社グループの社会的信用に大きく影響を与える事象が発生するリスクがあります。 また、事業買収等により取得した子会社等に対し、適切なグループガバナンスが及ばず、またはシステム・セキュリティを含む様々なリスクに対するモニタリングやコントロールが十分に及ばない等、リスクマネジメントが適切に機能しない場合には、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループの事業は、各子会社全てが顧客企業の機密情報を取得することが前提であり、顧客企業や将来的に顧客になる可能性のある企業に対して守秘義務を負っております。当社グループでは守秘義務遵守のための教育・指導を継続的に行っておりますが、何らかの理由により機密情報が外部に漏洩した場合、信用を失墜する等により、当社グループの事業戦略及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループはインサイダー取引防止の観点から、グループ内役職員及び従業員に教育・指導を実施しておりますが、万が一、グループ内役職員及び従業員が顧客企業の機密情報を元にインサイダー取引を行った場合、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループの主要事業を制限する直接的な法的規制は存在しないと考えております。しかしながら、当社子会社である三井屋工業株式会社は自動車内外装部品製造を行っており、「四輪車走行騒音規制」に準じた製造事業を行っております。また、技術者派遣事業を行っているセレンディップ・テクノロジーズ株式会社は「労働者派遣法」「職業安定法」に基づいて事業を行っております。両社では関係法令の遵守に努めておりますが、関係法令に違反するような行為・事象が発生した場合は、当該事業が行えなくなるリスクがあります。更には、当社が行う事業承継、企業買収、業務提携等において、直接的若しくは間接的に制限する法的規制の新規制定や変更が行われた場合、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、有効なコンプライアンス体制の確立に努めておりますが、M&A等の事業戦略の実施に伴い、各種紛争等が発生する可能性があり、これらの紛争が訴訟等に発展する可能性があります。訴訟等が提起され、風評被害や損害賠償義務等に発展した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、新たな会計制度や税制等の導入・変更等に対し、速やかに対応するよう努めておりますが、これらの導入・変更に対応することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、中部・東海地区及び東北地区に子会社本社・工場等の拠点が点在しており、販売先についても日本全国及び一部海外にも拡がっております。このため、大地震・豪雨等の自然災害により、当社グループの事務所・工場等の建物・機械設備等が破損・停止する可能性があります。また、想定外の自然災害が発生した場合、電力・水・ガス等の供給停止、交通・通信網の停止、サプライチェーンの被害等の発生により販売先への商品・製品の出荷停止や遅延につながることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社では株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとして認識しております。現在、当社グループは引き続き成長過程にあると考えており、持続的成長に向けた積極的な投資に資本を充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると判断しております。このことから創業以来配当は実施していません。 当社の主力子会社である三井屋工業株式会社、佐藤工業株式会社は、いずれも自動車業界への売上構成比が高く、特にトヨタ自動車グループ、アイシングループの販売台数、工場の稼働状況及び設備投資により、当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。更には、トヨタ自動車グループ、アイシングループの主要市場である日本、北米、欧州、アジア等における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。天竜精機株式会社においては自動化技術による自動機製造を行っておりますが、得意先である各種メーカーの設備投資計画によって受注状況に大きく影響を与える結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 自動車産業は、CASE(コネクテッド化、自動運転化、シェア/サービス化、電動化)関連技術の導入により部品メーカーを含め業界全体が大きな変革期に突入しております。当社グループにおいてもこの変革に対して、三井屋工業株式会社、佐藤工業株式会社においてEV車を含む電動車に多用される部品の自社生産に向けて研究・開発を進めております。しかしながら、競合他社における新技術の開発や、市場ニーズの変化に伴う開発途中段階での技術の新規性の喪失によるコスト優位性の低下などで売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社の主力子会社は、原材料・部品を外部サプライヤーより仕入れており、原油価格やエネルギー価格の高騰、世界的なインフレ圧力、為替変動等による材料・部品価格の上昇が製造コストの上昇につながり、製品単価に十分に転嫁できない場合があります。また、当社グループはサプライヤーと基本取引契約を締結し、原材料・部品の安定的な取引を安定的な生産・製造の前提としておりますが、世界的に供給が逼迫する状況やサプライヤーにおける不慮の事故等により、生産・製造遅延を招くおそれがあります。これらの事由により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 また、当社の主力子会社である佐藤工業株式会社が顧客へ供給する製品には、自社で生産しているものと外注先に生産を委託しているものがあり、製品によっては特定の外注先に依存しております。当該外注先に不測の事態が起きた場合には、製品の供給が受けられなくなり、佐藤工業株式会社が顧客に対して供給責任を果たせなくなる可能性があります。 当社の主力子会社は、品質管理に重点を置き、顧客のニーズに沿った高品質な製品作りに全社を挙げて取り組んでおります。しかしながら、全ての製品について品質不具合がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償(PL)については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 また、当社の主力子会社はいずれも製造業であり、引き渡した製品について、重要な不具合等を原因としたリコール、アフターサービスにより多額の補償費用の発生が見込まれる場合には、当該案件を対象とした製品保証引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社の主力子会社を取り巻く市場環境の急変及び販売見込みの相違等の理由により滞留在庫を抱えた場合、もしくは販売価額が大幅に下落した場合等には、棚卸資産の簿価を切下げなければならない可能性があります。この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 製造業における人員確保の競争が高まっております。そのため、安定的に工場を操業するために必要な人員が確保されない可能性及び人件費の高騰により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループが事業を優位に展開していく上で、知的財産権は重要な役割を果たしております。当社グループが保有する知的財産権については、適切な保護及び管理を行っておりますが、第三者が当社グループの技術等を使用し、市場において当社グループの競争力に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、対価の支払いや損害賠償請求の訴訟等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループにおける製造業を営む子会社については、自社で工場を有しており、生産設備等多額な有形固定資産を保有しております。事業収益の著しい低下や生産設備の遊休化、陳腐化等に伴い、固定資産の回収可能価額が大きく下落し帳簿価額を下回った場合には、減損損失の計上の可能性があり、この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和され、ウィズコロナのフェーズへと移行し、経済社会活動の正常化が進む中で、個人消費や企業の設備投資に緩やかな持ち直しの動きがみられるものの、世界的な金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や、資源・エネルギー価格の上昇等による物価高騰、供給面での制約等の懸念により、先行きが不透明な経営環境が続いております。 当社グループの事業領域である中堅・中小企業の「事業承継(投資)」におきましては、中堅・中小企業の事業承継問題が深刻化する中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済・社会活動が停滞したことに後押しされ、事業承継手段としてのM&Aニーズ(譲渡ニーズ)が一段と増加いたしました。 一方、当社グループのもう一つの事業領域である「モノづくり(経営)」におきましては、新型コロナウイルス感染拡大等に伴う半導体を中心とした部品供給の停滞によるサプライチェーンへの影響等により、自動車メーカー国内生産は、期初から継続して生産計画見直しによる影響を受けたものの、期末にかけては大きく挽回しております。 このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大以前から経営執行にコミットしたプロ経営者をチームで派遣し現場・財務・経営の見える化を徹底し、バックオフィスの生産性向上や製造現場での幅広いITの活用に取り組み、ムダ・ムリ・ムラの排除を実施してまいりました。当連結会計年度においては、株式会社アペックスが当社グループに加わり、同社の技術力・デザイン力をグループ各社へ波及させグループ全体の成長を加速させる環境が整いました。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は15,195,426千円(前期比10.1%増)、営業利益は325,142千円(同66.8%増)、営業外収益に「受取補償金」132,185千円等を計上したため経常利益は347,378千円(同93.6%増)、特別利益に「保険解約返戻金」36,453千円、「受取保険金」138,760千円、特別損失に「役員特別功労金」30,000千円等を計上したため親会社株主に帰属する当期純利益は312,504千円(同56.3%増)となりました。 各セグメントの経営成績は次のとおりであります。 プロフェッショナル・ソリューション事業には、当社、セレンディップ・テクノロジーズ株式会社が含まれております。 プロ経営者派遣におきましては、事業承継課題を抱える中堅・中小企業が今後益々増加していく社会的背景があり、中堅・中小モノづくり企業から事業承継案件、事業再生案件の当社への持ち込みが増加しております。 経営コンサルティングにおきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により大手製造メーカーの生産活動停滞等を受け、その仕入先である中小製造業の業績が悪化しており、当該企業並びに支援金融機関からの経営改善支援に対するニーズが増加しております。また、DXに対する各社の取り組みの本格化、中堅・中小企業の基幹システムの再構築需要の増加に伴い、ITコンサルティングのニーズも増加しております。これらにより当社コンサルティング事業部の売上は前期比110.9%増と伸長し、当セグメントの増収要因となりました。一方で、経営課題を抱える中堅・中小企業の課題解決・成長に更に寄与するための積極的な人材採用により人件費や採用費等が増大したことに加え、事業拡大のための本社移転に伴う費用が発生したことが当セグメントの減益要因となっております。 エンジニア派遣におきましては、中堅・中小企業の成長を支援するため、経営基盤の強化、エンジニアのリスキリング強化、経営効率の合理化を徹底し、新しいIoTソリューションの開発とDXに注力しております。 この結果、プロフェッショナル・ソリューション事業の売上高は1,274,611千円(前期比7.9%増)、セグメント損失は53,301千円(前期は8,791千円のセグメント利益)となりました。 インベストメント事業には、セレンディップ・フィナンシャルサービス株式会社が含まれております。 前連結会計年度より、事業承継問題に機動的に対応すべく、上場後を見据えた案件の発掘・開拓に注力して参りました。上場後も、モノづくり企業を中心とした再生型事業承継支援サービス、フィナンシャル・アドバイザリー等の企業経営サポートを積極的に進めており、特にフィナンシャル・アドバイザリー案件の成約数は増加しております。また、当連結会計年度において、従来から構築してきた金融機関等との業務提携による初の共同投資の実行及びフィナンシャル・アドバイザリー売上を計上したこと並びにセレンディップ・フィナンシャルサービスとSBI新生銀行グループの共同ファンドである「日本ものづくり事業承継基金1号投資事業有限責任組合」設立によって管理業務に伴う報酬の受取が発生しております。一方で、上記の活動を更に強化するべく人材採用を強化したことにより、人件費や採用費等が増大いたしました。 この結果、インベストメント事業の売上高は113,859千円(前期比65.2%増)、セグメント損失は10,571千円(前期は24,891千円のセグメント損失)となりました。 モノづくり事業には、三井屋工業株式会社、佐藤工業株式会社、天竜精機株式会社及び株式会社アペックスのモノづくり企業が含まれております。 自動車内外装部品製造、自動車精密部品製造におきましては、期初から半導体供給不足や供給網の混乱に伴う自動車メーカーの生産計画見直しによる減産の影響を受けておりましたが、期末にかけて自動車メーカーの国内生産が大きく挽回したことにより増収となったことに加えて、製造スタッフの多能工化推進による更なる生産性向上で固定費を削減したことも増益に寄与いたしました。 FA装置製造におきましては、供給面での制約は残るものの、新規顧客の獲得や主要顧客の設備投資活動の再開により受注は回復し、増収・増益となりました。 また、2023年1月10日付で、株式会社アペックス(試作品製作)の全株式を取得し連結子会社化したことにより第4四半期から連結財務諸表に含めております。 この結果、モノづくり事業の売上高は14,230,665千円(前期比9.6%増)、セグメント利益は389,014千円(同84.4%増)となりました。 当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ759,663千円増加し、7,741,263千円となりました。これは主に、借入金の返済等により現金及び預金が569,935千円減少した一方で、連結子会社の増加及び売上増加により売掛金が936,510千円増加したこと、仕掛品が224,436千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ275,780千円減少し、8,427,200千円となりました。これは主に、連結子会社の増加等で有形固定資産が124,756千円増加した一方で、投資有価証券の売却及び時価評価、保険解約等により投資その他の資産が416,100千円減少したことによるものであります。 この結果、総資産は16,168,464千円となり、前連結会計年度末に比べ483,883千円の増加となりました。 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ1,059,716千円増加し、5,806,667千円となりました。これは主に、短期借入金が327,000千円減少した一方で、支払手形及び買掛金が262,553千円増加したこと、電子記録債務が147,966千円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が222,034千円増加したこと、未払金が305,748千円増加したこと、未払法人税等が180,321千円増加したこと、賞与引当金が191,096千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ486,377千円減少し、5,882,442千円となりました。これは主に、LBOローンの見直しを実施したことにより長期借入金が514,462千円減少したこと、投資有価証券の売却及び時価評価により繰延税金負債が112,434千円減少したことによるものであります。 この結果、負債合計は11,689,110千円となり、前連結会計年度末に比べ573,339千円の増加となりました。 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ89,456千円減少し、4,479,353千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が312,504千円増加した一方で、投資有価証券の売却及び時価評価によりその他有価証券評価差額金が217,305千円減少したこと、セレンディップ・テクノロジーズ株式会社優先株式の買取りを実施したことにより、非支配株主持分が94,500千円減少したこと、自己株式が91,275千円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により1,047,925千円増加、投資活動により392,066千円の減少、財務活動により867,063千円の減少となった結果、前連結会計年度末に比べ、211,153千円減少し3,012,071千円となりました。 営業活動の結果獲得した資金は、1,047,925千円(前連結会計年度は777,177千円の獲得)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純利益531,283千円、減価償却費1,057,151千円、売上債権の増加額626,696千円によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は、392,066千円(前連結会計年度は1,172,149千円の使用)となりました。 これは主に、定期預金の払戻による収入371,781千円、「モノづくり事業」セグメントにおいて生産能力増強のため設備投資を行ったことによる有形固定資産の取得による支出817,705千円、投資有価証券の売却による収入114,555千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出290,254千円、保険積立金の解約による収入250,895千円によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は、867,063千円(前連結会計年度は770,801千円の獲得)となりました。 これは主に、短期借入金減少額(純額)327,000千円、約定弁済に加えてLBOローンの見直しを実施したことによる長期借入金の返済による支出682,428千円によるものであります。 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは、他社との共同投資により、モノづくり企業を中心とした中堅・中小企業への投資を行っております。 当社グループの営業投資活動(共同投資及びマイノリティ投資)を示すための投資残高は次のとおりです。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において、判断したものであります。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和され、ウィズコロナのフェーズへと移行し、経済社会活動の正常化が進む中で、個人消費や企業の設備投資に緩やかな持ち直しの動きがみられるものの、世界的な金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や、資源・エネルギー価格の上昇等による物価高騰、供給面での制約等の懸念により、先行きが不透明な経営環境が続いております。 当社グループの事業領域である中堅・中小企業の「事業承継(投資)」におきましては、中堅・中小企業の事業承継問題が深刻化する中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済・社会活動が停滞したことに後押しされ、事業承継手段としてのM&Aニーズ(譲渡ニーズ)が一段と増加いたしました。 一方、当社グループのもう一つの事業領域である「モノづくり(経営)」におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大等に伴う半導体を中心とした部品供給の停滞によるサプライチェーンへの影響等により、自動車メーカー国内生産は、期初から継続して生産計画見直しによる影響を受けたものの、期末にかけては大きく挽回しております。 このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大以前から経営執行にコミットしたプロ経営者をチームで派遣し現場・財務・経営の見える化を徹底し、バックオフィスの生産性向上や製造現場での幅広いITの活用に取り組み、ムダ・ムリ・ムラの排除を実施してまいりました。 なお、経営成績については、以下のとおりです。 当連結会計年度における売上高は、「プロフェッショナル・ソリューション事業」セグメントにおきまして、基幹システム構想支援といったITコンサルティングに対するニーズが増加したことにより増収となりました。「モノづくり事業」セグメントにおきましては、新型コロナウイルス感染症拡大等に伴う半導体を中心とした部品供給の停滞によるサプライチェーンへの影響等により、自動車メーカーの生産計画見直しによる影響を受けたものの、期末にかけて自動車メーカーの国内生産が大きく挽回したことや株式会社アペックスが連結子会社になったこともあり増収となりました。「インベストメント事業」セグメントにおいては、当連結会計年度において、共同投資の実行及びフィナンシャル・アドバイザリー売上を計上し増加となりました。 以上の結果により、前連結会計年度と比べ1,389,431千円増加の15,195,426千円(前期比10.1%増)となりました。 当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度と比較して1,052,139千円増加の12,729,668千円(前期比9.0%増)となりました。「プロフェッショナル・ソリューション事業」セグメントにおきまして、積極的な人員採用等による労務費等により増加となりました。「インベストメント事業」セグメントにおきまして、保有株式の売却に伴う売上原価が発生し増加となりました。「モノづくり事業」セグメントにおきまして、製造スタッフの多能工化を推進し更なる生産性向上を実現したことで固定費が削減いたしました。 以上により売上総利益は、2,465,757千円(前期比15.8%増)となりました。 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して207,021千円増加の2,140,615千円(前期比10.7%増)となりました。これは主として、株式会社アペックスが連結子会社になったこと並びに採用費及び新事務所移転に伴う経費の発生によるものであります。 以上の結果により、当連結会計年度の営業利益は、325,142千円(前期比66.8%増)となりました。 営業外収益は、取引先との間でエネルギー等のコスト増加に対応する販売価格の修正に合意したことにより受取補償金132,185千円を計上したこと等により268,770千円(前期比44.4%増)となりました。また、営業外費用は、子会社において将来の金利負担を削減するため、LBOローン契約の見直しを実施し初期費用を計上したこと等により246,534千円(前期比22.3%増)となりました。 以上の結果により、当連結会計年度の経常利益は、347,378千円(前期比93.6%増)となりました。 特別利益は、保険解約返戻金36,453千円、受取保険金138,760千円等の計上により242,736千円(前期比66.4%減)となりました。また、特別損失は、役員特別功労金30,000千円等の計上により58,830千円(前期比90.9%減)となりました。 以上の結果により、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、312,504千円(前期比56.3%増)となりました。 当社グループの当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載されているとおりであります。 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載されているとおりであります。 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、当社グループ事業領域の「モノづくり」における設備投資及び研究開発活動に伴う投資資金、「事業承継」におけるLBOファイナンスに対する買収資金の返済があります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については、主に内部資金により確保しております。また、当社と一部の子会社は、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を通じて当社グループ企業相互間で余剰・不足資金を融通し、資金の効率化を図っております。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 10日付で株式会社アペックスの全株式を取得し、連結子会社化いたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。 当社グループでは、「高まる経営の難易度(グローバル化や少子高齢化によって市場や産業構造が大きく変化しており、新たなテクノロジーがかつてないスピードで変化をもたらす環境下では、今までのやり方を前提とした経営では成長することが困難となること)」に対応するため、「技術革新・現場改革」を当社グループ戦略の一つとして掲げております。 当連結会計年度におきましては、「モノづくり支援(技術革新によるロスの撲滅・職場環境の見える化)」「ロボット、IoT、AI」「設計・モデルベース開発」「EV開発」等を付加価値を高める分野と考え、R&D活動及びグループ間連携の強化を図り、当連結会計年度の研究開発費の総額は41,753千円となっております。 当社グループが支出した研究開発費は全て「モノづくり事業」において発生しております。
株式会社京写
# 株式会社京写 配当性向については無配のため記載しておりません。 2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。 工場を京都府久世郡久御山町へ移転。プリント配線板の開発に着手。 本社を京都府久世郡久御山町へ移転。 熊本県玉名市にプリント配線板専用の工場(現・九州工場)完成。 京都工場にスルーホールプリント配線板専用設備を設置。スルーホールプリント配線板の本格的な社内生産体制に入る。 東京営業所(現・東日本営業部)開設。 京都工場にファインパターン用全自動両面エッチングライン・全自動液レジライン導入。 香港・中国での片面プリント配線板の生産・販売を目的に、香港に合弁会社 Kyosha IDT(Holdings)Company Limited(現・Kyosha Hong Kong Company Limited)設立。 Kyosha IDT(Holdings)Company Limited(現・Kyosha Hong Kong Company Limited)の生産子会社 Panyu Kyosha IDT Circuit Technology Co., Ltd.(現・Guangzhou Kyosha Circuit Technology Co.,Ltd.)を中国に設立。 東南アジアでの片面プリント配線板の生産・販売を目的に、インドネシアに合弁会社 PT. Lippo Kyosha Indonesia(現・PT. Kyosha Indonesia)設立。 Kyosha IDT(Holdings)Company Limited(現・Kyosha Hong Kong Company Limited)グループの持株会社 Kyosha Holdings(Singapore)Limitedをバミューダ諸島に設立。 Kyosha Holdings(Singapore)Limitedが株式をシンガポール証券取引所のメインボードに上場。 PT. Hitachi Chemical Electronic Products Indonesia(現・PT. Kyosha Indonesia)を子会社化。 Kyosha Hong Kong Company Limitedの販売子会社 Kyosha North America,Inc.を米国に設立。 三和電子株式会社を子会社化。 新潟市に両面プリント配線板製造の新潟工場を開設。 ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)に株式を上場。 大阪証券取引所ヘラクレス市場、同取引所JASDAQ市場及び同取引所NEO市場の各市場の統合に伴い、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。 Kyosha Hong Kong Company Limitedの販売子会社 Kyosha (Thailand) Co.,Ltd.をタイバンコク市に設立。 大阪証券取引所の現物市場の東京証券取引所への統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。 Kyosha Hong Kong Company Limitedの販売子会社 KS Circuit Technology Sdn.Bhd.(現・Kyosha Malaysia Circuit Technology Sdn.Bhd.)をマレーシアセランゴール州ペタリンジャヤ市に設立。 Kyosha Hong Kong Company Limitedの販売子会社 Guangzhou Kyosha Trading Companyを中華人民共和国広東省広州市に設立。 キクデンインターナショナル株式会社から実装治具事業を譲受。 Kyosha Hong Kong Company Limitedの韓国駐在員事務所を韓国仁川広域市に開設。 ベトナム社会主義共和国 ハナム省 ズイティエン県に子会社 Kyosha Vietnam Co.,Ltd.を設立。 当社グループは、当社及び子会社10社で構成されており、プリント配線板及びこれに付随する電子部品等の製造・販売を主要な事業としております。 当社グループの事業に係わる位置付けは次のとおりであります。 なお、Kyosha Korea Co.,Ltd.については、グループ販売体制再編のため、2022年2月で事業を終了し、2022年4月に清算結了しております。 以上の企業集団等について図示すると次のとおりであります。 中国地域における当社グループ取扱製品の販売をしております。借入金等に対して当社より債務保証を受けております。 役員の兼任2名。 中国地域における当社グループの製造拠点であります。 役員の兼任2名。 中国地域における当社グループ取扱製品の販売をしております。役員の兼任2名。 北米及び中南米地域における当社グループ取扱製品の販売支援をしております。 役員の兼任2名。 東南アジア地域における当社グループ取扱製品の販売及び販売支援をしております。 役員の兼任2名。 東南アジア地域における当社グループ取扱製品の販売支援をしております。役員の兼任2名。 東南アジア地域における当社グループ取扱製品の製造・販売をしております。借入金に対して当社より債務保証を受けております。 役員の兼任3名。 実装事業を行う他、当社の実装搬送治具事業を一部業務委託しております。 役員の兼任1名。 中南米地域における当社グループ取扱製品の製造・販売及び当社グループ取扱製品の販売支援をしております。 役員の兼任2名。 東南アジア地域における当社グループ取扱製品の製造・販売をしております。 借入金等に対して当社より債務保証を受けております。 役員の兼任1名。 貸付金 2,788百万円。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループはグローバル市場において顧客満足を第一とし、「地に足のついた経営」を進め持続した成長を目指すことを基本とし、そのために以下を経営基本方針といたしております。 ①すべての事業活動において「安全の確保、法令の遵守、環境保全」を最優先する。 ②顧客のニーズに応え、新技術、新工法の開発と品質向上にたゆまぬ努力を傾注する。 ③選択と集中を進め、自社の強みを活かした分野に経営資源を集中する。 当社グループは、日本、中国、インドネシア、メキシコ、ベトナムの各生産拠点から、日本と同品質の製品を世界中へ供給することができ、特に、片面プリント配線板の分野においては世界最大の生産能力があるなど、同業他社に無い特徴を持っております。 主力製品である片面・両面プリント配線板事業では、自動車関連や家電製品等の分野をはじめ、事務機、電子部品・電子機器など幅広い顧客向けに販売しており、次期より増産を開始するベトナム拠点の成長により、更なる拡大を目指しております。また、実装や実装搬送治具の実装関連事業では、国内を中心に産業用機器や通信機器、航空機関連向けに販売を行っております。実装搬送治具事業は、メキシコ拠点での量産を進め、今後はプリント配線板事業とともに国内外での拡大を目指しております。 当社グループは2022年3月期を初年度とする5か年の中期経営計画を策定し、推進しております。 当社が属するプリント配線板業界の状況は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が無くなり、景気の回復が期待されていますが、世界的な金融引締めによる政策金利の上昇や為替変動、さらにロシア・ウクライナ情勢による原材料、エネルギー価格の高騰など不確定要素が多く、世界経済の先行きは依然不透明な状況にあります。 このような状況の中、自動車の電装化、電子部品の小型化、IoTやAI技術の発展、サプライチェーン分散化の加速など新たな成長分野が生まれています。これらの成長機会を捉えるため、グローバル生産・販売網の拡充やコア技術の深化によるニッチ・成長市場の開拓、DXを活用した生産性向上などの事業環境の変化に対応した各種施策を実行し、持続的成長に向け全社一丸となって経営目標の実現に取組んでまいります。 企業にとって信頼関係を構築することが最も重要であるとの考えから、会社とお客様、協力会社に加え、社員同士も互いに強い信頼関係を構築することで、一流の会社、一流の人材を目指します。 激しく変化する事業環境において、多方面に事業を展開し、そのすべてを自社で行うことは難しくなりつつあるため、特定分野にターゲットを絞り、経営資源を集中させ、当社のコアコンピタンスである印刷技術を武器に様々な分野でパートナーシップを構築することで、グローバルニッチトップメーカーを目指します。 (3)2026年3月期の経営目標 中期経営計画は最終年度の2026年3月期に売上高300億円、営業利益16億円、営業利益率5.3%、ROE(自己資本利益率)10%を目標としております。 中期経営計画の達成に向けて、次期につきましては、下記の年度方針を掲げ、重点課題に対処してまいります。 全社員が何をすべきか自身で考え計画を立案し、立てた目標に責任をもって、完遂させることで、個人と会社の成長を目指します。 を重点課題といたしまして対処していく所存であります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループのサステナビリティ方針は、経営理念、経営基本方針、行動規範に基づき事業活動を実践し、お客様、株主、投資家、従業員などすべてのステークホルダーとの信頼関係を構築することで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指すとしております。 具体的には、環境に配慮した製品の提供やモノづくりを通して環境負荷の低減に取組み、人々の健康的な生活と地球環境の保全に貢献するとしております。 サステナビリティに関する取組みについては、CO2削減プロジェクトを立上げ、グループの電力使用量とCO2削減目標を設定し、2023年度より活動を開始しております。これらの目標と活動内容は、常勤取締役により構成されるCSR推進委員会にて定期的(年2回)に報告する体制とし、適宜取締役会及び監査役会への報告を行っております。 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。 当社グループの企業理念である「人間尊重の精神で人材の育成に力を注ぎ明日を担う企業を創る」のもと、人材が最も重要な経営資源であるとの認識にたち、人材育成を行っています。 具体的には、階層別・職種別に実施される研修から、従業員の自発的なキャリア形成を支援する自己啓発プログラムを含め、体系的な教育体制を構築しています。 また、当社においては、女性活躍推進企業の認定マークである「えるぼし」(最高位:3段階目)を取得し、女性の活躍推進に対しても積極的な取組みを進めています。 当社グループのリスク管理は、常勤取締役で構成されるCSR推進委員会の小委員会であるコンプライアンス委員会にて定期的(年6回)にサステナビリティに関する活動内容を報告することで活動を評価する体制の構築に努めてまいります。 また、当社グループでは上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の目標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 当社グループは、性別、国籍、新卒、中途によらず、能力や成果、適性等により管理職への登用を行い、多様性の確保に取組んでいます。 また、従業員の安全・健康確保の観点より、労働者災害、環境災害、交通事故、長期療養者等については、2か月毎にその実績を当社グループ内で共有し、社内環境の向上に努めています。 上記方針に関する指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの特徴は、主に自動車や家電製品関連の電子機器メーカーであるユーザーの需要動向に対応して、国内外に生産拠点を有し、ユーザー各社に対しグローバルな体制でタイムリーな製品提供が可能な点にあります。 生産拠点が分散しているため、リスクも分散される反面、各国及びグローバルでの政治情勢、税制、雇用環境やサプライチェーン体制、電力等インフラ、賃金の上昇、衛生及び治安情勢の変化等、海外での事業展開に伴うリスクがあります。 現時点でこれらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため、当社は、グループ各社との密な情報共有を行うと共に、各国の外部コンサルタント等からの情報収集を通じ、その予防や回避に努めております。 当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板は、材料仕入先、製品販売先いずれも大手企業中心であり、厳しいコスト対応が要求されます。原油、ガラス、銅、パルプ等基礎素材価格の上昇は、当社グループが使う主材料価格に敏感に反映される一方、製品販売先である自動車や家電製品関連の電子機器メーカー等は、最終製品価格の低減に努めていることから、プリント配線板は安定価格を要求されており、主材料価格が急激に上昇した場合は上昇分を販売価格に即座に転嫁できないことがあります。この場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これらに対応するため、基礎素材価格の変動をグループ各社間で情報共有し、販売価格の適正化を速めるとともに、共同購入により価格交渉力の強化に努めております。 当社グループは、国内外で事業を展開しており、主にグループ間の取引に関して外貨建の取引があります。また、国内で生産する片面プリント配線板の主材料は輸入の割合が高く、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこれらに対応するため「デリバティブ取引のリスク管理規程」により為替予約等によるリスクヘッジに努めております。 当社グループの主力製品である片面・両面プリント配線板の需要は、アジア地域へのシフトが続いております。今後も予想以上にアジア地域へ需要のシフトが進行した場合、供給能力の不足や予期せぬサプライチェーンの寸断などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこのような状況に対応するため、アジア地域では、より競争力のあるベトナムに工場を設立し、生産体制の強化を進めるとともに、国内におきましては、印刷法による高密度製品や試作、小ロット生産への対応を進め、競争力を強化することで、これらリスクの軽減に努めております。 当社グループは、環境配慮の総合的な活動である「Kyosha-ECOMAP」の理念のもと、ものづくりにおける環境負荷の低減活動並びに、電気自動車(大電流)、新エネルギー(太陽光、風力)、LED光源といった環境配慮型商品へ供給される環境対応技術を活かしたプリント配線板製品群の研究開発を行っており、早期市場導入を図っております。 これら新製品の立上げが計画どおり進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため企業間連携を活用した開発スピードの向上や、市場導入の早期化に努めております。 当社グループの製造拠点は、国内5拠点と海外4拠点に分散しております。 大地震等の自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合には、生産設備の損傷が発生し、復旧に多大な時間と費用が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス等の感染症の世界的な蔓延により当社グループ及び取引先の操業中断が発生するなど、サプライチェーンが影響を受ける可能性があります。これらを合理的に予測することはできないため、万一発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため各拠点では、安全衛生活動を実施し、BCP(事業継続計画)を策定し、バックアップ体制を整えるとともに、各種保険にも加入することでリスクの軽減に努めております。 当社グループは、「品質第一」の品質方針を掲げ製品の品質向上に取組んでおります。一方で、顧客の品質要求や技術レベルは高度化が続いており、製品の使用環境も多様化していることから、顧客の使用時に予期せぬ品質問題が発生する可能性があります。このような品質問題が発生した場合には、製品の再生産、返品や交換、受注の喪失等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社はこのような問題の未然防止の取組みとして、顧客と品質目標を共有した改善活動及び受注・量産時のデザインレビューの強化を行っております。また、検査項目の見直しや検査体制の強化を通じて品質管理の強化を図るとともに、各種保険等にも加入することで、リスクの軽減に努めております。 当社グループは、生産・販売活動においてコンピュータシステム及び通信ネットワークを利用しております。このため通信ネットワークの障害やコンピュータ機器の故障、ソフトウェアの不具合等による機能停止、また、不正アクセス等によるデータ改ざん、破壊、情報漏洩などの不測の事態が発生し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社はこのような事態に対処するため、情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティに関する規程に基づき、コンピュータ機器の管理や不正アクセスを未然に防止するための社員教育を実施し、情報セキュリティに係るリスクの軽減に努めております。 当社グループの損失の危機管理に関しては、組織規程、職務権限規程、関係会社管理規程等に従った、当社の各部署及び執行役員、並びにグループ会社における自主的な管理を基礎とし、グループ横断的なリスク管理を強化してまいりました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大等による取引先の急激な信用悪化など、従来想定していなかった世界的リスクの発生により、損失や引当金の計上が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、これらに対応するため、グループ各社との横断的なリスク管理に関する諸規程等について、リスクの再評価、対応策の構築、及び日常業務における管理方法の明確化など、リスク管理体制の更なる強化に着手しております。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。 当連結会計年度の当社が属するプリント配線板業界は、国内外共に経済活動の正常化が進み、概ね堅調に推移しましたが、依然として自動車向けの半導体不足や急激な為替変動による原材料、エネルギー価格の高騰が続いていることから、先行きは不透明な状況にあります。 このような環境の中、当社グループの国内の状況は、プリント配線板事業では、主力の自動車関連分野で半導体や部品不足による生産調整の影響を受け、受注は低調に推移しました。実装関連事業では、産業機器や通信機器向けの受注好調に加え、低迷していた航空機向けも回復基調の結果、国内の売上高は前年同期を上回りました。 海外においては、自動車関連分野を中心とした新規顧客と新商品の売上が寄与し、受注は好調に推移しました。また、前期に稼働したベトナムは引き続き順調に推移し、自動車関連分野を中心に大幅に売上を伸ばしました。これらの結果、連結売上高は24,462百万円(前年同期比14.6%増 3,125百万円の増収)となりました。 利益面は、国内の自動車生産調整の影響と、主材料等の価格や電力料等の製造経費が高騰したものの、ベトナム子会社や実装関連事業の業績が大きく改善した結果、営業利益は671百万円(前年同期比40.3%増 193百万円の増益)、経常利益は619百万円(前年同期比20.6%増 105百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純損失は、生産協力会社から当社グループの製造拠点への生産移管に伴う特別損失836百万円を計上したことにより485百万円(前年同期比774百万円の減益)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 プリント配線板事業は、主力の自動車関連分野で半導体や部品不足による生産調整の影響が続き、受注が低迷したものの、実装関連事業では、産業機器や通信機器向けの受注好調に加え、低迷していた航空機向けも回復基調で推移した結果、売上高は9,846百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比2.1%増 198百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)はプリント配線板事業の受注低迷により189百万円(前年同期比20.7%減 49百万円の減益)となりました。 プリント配線板事業は、自動車関連分野を中心とした新規顧客開拓及び新商品のアルミ基板の受注増加により、売上高は13,552百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比18.8%増 2,149百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は増収の結果、699百万円(前年同期比8.4%増 54百万円の増益)となりました。 プリント配線板事業は、自動車関連分野を中心とした受注増加により、売上高は2,739百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比34.7%増 705百万円の増収)、セグメント損失(営業損失)は固定費の増加により、13百万円(27百万円の減益)となりました。 自動車関連分野の生産調整の影響から搬送用治具事業の受注が低迷したものの、プリント配線板の需要回復により、売上高は95百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比11.2%増 9百万円の増収)、セグメント損失(営業損失)は、搬送用治具事業の受注低迷により、0百万円(5百万円の減益)となりました。 プリント配線板事業は、自動車関連分野を中心とした新規顧客開拓により、売上高は2,151百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比265.7%増 1,563百万円の増収)、セグメント損失(営業損失)は増収により減少し、178百万円(前年同期比 243百万円の減)となりました。 また、財政状態につきましては、当期連結会計年度末の総資産は23,879百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,985百万円増加しました。当連結会計年度末の負債合計は16,432百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,933百万円増加しました。当連結会計年度末の純資産合計は7,446百万円となり、前連結会計年度末に比べ51百万円増加しました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度より1,929百万円増加し、5,091百万円となりました。各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。 営業活動による資金の増加額は、1,502百万円(前年同期は1,018百万円の減少)となりました。これは主に減価償却費947百万円、売上債権の減少429百万円、棚卸資産の減少235百万円によるものであります。 投資活動による資金の減少額は、1,324百万円(前年同期は698百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,312百万円によるものであります。 財務活動による資金の増加額は、1,470百万円(前年同期は1,338百万円の増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入1,986百万円、長期借入金の返済による支出476百万円によるものであります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、2022年3月期を初年度とする5か年の中期経営計画を策定し、中期経営ビジョンの実現のため、基本戦略と6つの重点戦略の推進により、最終年度の2026年3月期に売上高300億円、営業利益16億円、営業利益率5.3%、ROE(自己資本利益率)10%の達成を目標としております。 当連結会計年度における売上高は、24,462百万円(前年同期比14.6%増 3,125百万円の増収)となりました。プリント配線板事業においては、主力の自動車関連の受注が、国内で半導体や部品不足による生産調整の影響から低調に推移したものの、海外においては、新規顧客の開拓や新商品の売上が寄与し、好調に推移しました。 実装関連事業においては、産業機器や通信機器向けの受注増に加え、低迷していた航空機向けも回復基調で進んだ結果、売上高は円安の為替影響もあり、当初の業績予想(23,000百万円)を上回りました。 なお、セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。 当連結会計年度における営業利益は、ベトナム子会社及び実装関連事業の業績が大きく改善したことにより、671百万円(前年同期比40.3%増 193百万円の増益)、営業利益率は2.7%(前年同期比0.5%増)となりました。 この結果、営業利益は当初の業績予想(700百万円)に近い数値となりました。 当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純損失を計上のためマイナス値となりました。 引き続き経営目標達成に向け、各経営指標の向上に取組んでまいります。 当連結会計期間末における流動資産は、現金及び預金の増加1,933百万円、製品の増加328百万円等を主因に2,234百万円増加し、15,950百万円(前連結会計年度末は13,715百万円)となりました。 当連結会計年度末における固定資産は、有形固定資産の増加980百万円等を主因に751百万円増加し、7,929百万円(前連結会計年度末は7,178百万円)となりました。 当連結会計期間末における流動負債は、支払手形及び買掛金の増加328百万円、短期借入金の増加560百万円等を主因に1,208百万円増加し、10,884百万円(前連結会計年度末は9,675百万円)となりました。 当連結会計年度末における固定負債は、長期借入金の増加1,610百万円等を主因に1,724百万円増加し、5,548百万円(前連結会計年度末は3,824百万円)となりました。 当連結会計期間末における純資産は、主に利益剰余金の減少556百万円、為替換算調整勘定の増加662百万円等により、7,446百万円(前連結会計年度末は7,395百万円)となりました。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの財務戦略の基本方針は、「持続的成長に向けた集中と選択による投資」、「自己資本の強化」、「持続的、積極的な株主還元」としており、成長の実現と資金効率のバランスを考慮したうえで、企業価値の向上に努めております。 特に、将来の成長事業であるベトナムの当初計画増産投資は完了し、早期収益化による投資回収に取組んでおります。また、事業間の効率的な資源配分による成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営を推進いたします。 当社グループは、財務戦略の基本方針に則り、直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により資金調達を行っております。 主な短期的資金需要は営業活動上の運転資金であり、長期的資金需要は将来の成長事業への設備投資を継続して見込んでおります。 また、メインバンクとのコミットメントライン契約を継続し、中国国内での新型コロナウイルス感染症長期化が及ぼす景気減速に備えております。当該契約に基づく借入実績はありません。 資金運用につきましては、短期的な預金等に限定しており、内部留保金につきましても中長期的な経営戦略を推進するため、既存事業の充実と強化を目的とした投資とともに、新規事業の発掘や育成を行うための投資に活用してまいります。 当連結会計年度におきましては、営業活動として、主に減価償却費によるもの947百万円、投資活動として、主にベトナム子会社の増産を目的とした設備投資を行った結果、有形固定資産の取得によるキャッシュ・フローの支出は1,312百万円、財務活動として、長期借入れによる収入は1,986百万円、長期借入金の返済によるキャッシュ・フローの支出は476百万円となりました。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 該当事項はありません。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は84百万円であり、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。 プリント配線板は、電子・電気機器の高機能化、小型軽量化やユーザーニーズの多様化に対応して、一層の高密度化、信頼性の向上と短納期化が要求されております。 当社は、商品開発部門及び工場の連携のもとに、環境配慮の総合的な活動である「Kyosha-ECOMAP」の理念のもと、ものづくりにおける環境負荷の低減活動並びに、電気自動車(大電流)、新エネルギー(太陽光、風力)、LED光源といった環境配慮型商品へ供給される環境対応技術を活かしたプリント配線板製品群の研究開発を行っております。 該当事項はありません。
THK株式会社
# THK株式会社 東京都目黒区において創業者寺町博が東邦精工株式会社を設立。工作機械部品、リンクボール、LMローラー、LMボールの販売を開始。 当社主力製品LMガイド、ボールスプラインの販売を開始。 株式会社日新製作所を吸収合併する。 株式会社テーエチケーを株式会社宮入バルブ製作所との共同出資により設立。 株式会社テーエチケーより製造部門を買収、甲府工場とする。 ボールねじ製造販売開始。 アメリカ、シカゴ市にTHK America, Inc.(現・連結子会社)を設立。 XYテーブル製造販売開始。 株式額面金額変更(1株の額面金額500円から50円へ)のため、株式会社テーエチケー(形式上の存続会社)に吸収合併され、同社工場を名古屋工場及び大阪工場として製造活動を続ける。 西ドイツ(現・ドイツ)、デュッセルドルフにTHK Europe GmbH(現・THK GmbH、現・連結子会社)を設立。 商号をTHK株式会社に変更。 株式会社大幸製作所を買収し、岐阜工場とする。 東洋精工株式会社を吸収合併し、三重工場とする。山口工場(LMガイド製造)を新設。 THKインテックス株式会社(現・連結子会社、2009年7月に「大東製機株式会社」から社名変更)に資本参加し、技術提携を行う。 インテリジェントアクチュエータ製造販売開始。 新潟県北蒲原郡安田町(現阿賀野市)に株式会社佐文工業所との共同出資によりTHK新潟株式会社(現・連結子会社、2004年7月に「THK安田株式会社」から社名変更)を設立。 THK販売株式会社を吸収合併する。 台湾、台北市に恵祥有限公司(台湾)との合弁によりTHK TAIWAN CO., LTD.(現・連結子会社)を設立。 中国、北京市に中国技術進出口総公司備品配件公司(中国)、北京数控技術開発中心(中国)との共同でCNTIC-THK SERVICE CENTERを開設。 株式店頭公開。 株式会社ベルデックスに資本参加する。 山形工場(LMガイド、特殊軸受製造)を新設。 韓国、三益工業株式会社(現・三益THK株式会社、現・持分法適用会社)に資本参加し、技術提携を行う。 アイルランド、ダブリン市のPGM Ballscrews Ireland Ltd.(現・THK Manufacturing of Ireland Ltd.、現・連結子会社)を買収。 オランダ、アムステルダム市にTHK Europe B.V.(現・連結子会社)を設立。 トークシステム株式会社(現・連結子会社、1994年10月に「東伝システム株式会社」から社名変更)に資本参加する。 クロスLMガイド製造販売開始。 中国、大連市に瓦房店軸承集団有限責任公司との合弁により大連THK瓦軸工業有限公司(現・連結子会社)を設立。 ボールリテーナ入りLMガイド製造販売開始。 アメリカ、オハイオ州ヘブロンにTHK Manufacturing of America, Inc.(現・連結子会社)を設立。 リニアモータ製造販売開始。 フランス、エンジスハイム市にTHK Manufacturing of Europe S.A.S.(現・連結子会社)を設立。 リテーナ入りローラーガイド製造販売開始。 東京証券取引所市場第一部に株式を上場。 フランス、ダーディリー市にTHK France S.A.S.(現・連結子会社)を設立。 中国、上海市にTHK(上海)国際貿易有限公司(現・連結子会社)を設立。 中国、無錫市にTHK(無錫)精密工業有限公司(現・連結子会社)を設立。 THKインテックス株式会社(現・連結子会社)を株式交換により、完全子会社化。 中国、大連市にTHK(遼寧)精密工業有限公司(現・連結子会社)を設立。 中国、大連市に中国における統括会社としてTHK(中国)投資有限公司(現・連結子会社)を設立。 シンガポール、サンテックシティ地区にTHK LM SYSTEM Pte. Ltd.(現・連結子会社)を設立。 THKリズム株式会社(現・連結子会社、2010年6月に「株式会社リズム」から社名変更)の株式を取得し、同社及びそのグループ会社を子会社化。 タイ、ラヨーン県にTHK RHYTHM(THAILAND)CO., LTD.(現・連結子会社)を設立。 ベトナム、バックニン省にTHK MANUFACTURING OF VIETNAM CO.,LTD.(現・連結子会社)を設立。 株式会社ベルデックスの事業をTHKインテックス株式会社(現・連結子会社)に譲渡し、経営を統合する。 中国、常州市に蒂業技凱力知茂(常州)汽車配件有限公司(現・連結子会社)を設立。 マレーシア、THK RHYTHM MALAYSIA Sdn. Bhd.(現・連結子会社、2011年8月に「TRW Steering & Suspension(Malaysia)Sdn.Bhd.」から社名変更)の株式を取得。 メキシコ、グアナファト州にTHK RHYTHM MEXICANA, S.A. DE C.V.(現・連結子会社)、THK RHYTHM MEXICANA ENGINEERING, S.A. DE C.V.を設立。 当社輸送機器事業におけるボールジョイント製品の製造・開発部門を会社分割し、THKリズム株式会社(現・連結子会社)に統合する。 インド、カルナータカ州バンガロール市にTHK India Pvt. Ltd.(現・連結子会社)を設立。 大連THK互軸工業有限公司(現・連結子会社)を、中国大連経済技術開発区に移転し、拡張する。 TRW Automotive Inc.(現在はZF Friedrichshafen AGのグループ企業)より欧州及び北米におけるL&S(リンケージ アンド サスペンション)事業を譲受け、THK RHYTHM AUTOMOTIVE MICHIGAN CORPORATION(現・連結子会社)、THK RHYTHM AUTOMOTIVE CANADA LIMITED(現・連結子会社)及びTHK RHYTHM AUTOMOTIVE GmbH(現・連結子会社)を設立するとともに、チェコのTRW-DAS.a.s.(現・連結子会社 THK RHYTHM AUTOMOTIVE CZECH a.s.)の株式を取得。 アイルランド、ダブリン市にTHK CAPITAL UNLIMITED COMPANY(現・連結子会社)、THK FINANCE UNLIMITED COMPANY(現・連結子会社)を設立。 東京都港区にTRAホールディングス株式会社(現・連結子会社)を設立。 本社を現住所(東京都港区芝浦二丁目12番10号)に移転する。 当社グループは、子会社38社及び関連会社3社で構成されております。 産業機器事業は主に直動システムを中心とした機械要素部品等の製造販売及び産業機械の製造販売を行っており、輸送機器事業は主に自動車や二輪車などの輸送機器向けにステアリング部品、サスペンション部品、ブレーキ部品等の開発設計、製造販売を行っております。 直動システムは、機械装置等の直線運動部分に用いられ、機械装置等の高速・高精度化を実現した機械要素部品です。機械装置等の運動部分を「ころがり運動」化するため、「すべり運動」に比べて運動部分の摩擦が1/50に低減されることから、省エネルギーに優れた地球環境にやさしい製品です。 こうした特長により、高速・高精度を要求される工作機械や半導体製造装置等の精密機器に留まらず、アミューズメント機器や、地震の揺れから建物を守る免震・制震装置等にいたるまで、幅広い分野に採用されております。 当社グループの主な事業内容と、各子会社等の事業における位置づけは次のとおりであります。 日本国内においては、工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置などの産業機械メーカー及び代理店等には当社が直接販売し、その他メーカーの一部及びその他の代理店の一部には、トークシステム株式会社が販売を担当しております。また、当社に加え、THKインテックス株式会社、THK新潟株式会社及び日本スライド工業株式会社が製造を担当しております。THKインテックス株式会社は、産業機械の製造販売を行っており、当社から直動システム等を購入しております。また、当社はTHKインテックス株式会社より製造用機械の一部を購入しております。THKリズム株式会社は、ボールジョイント等を国内外の輸送機器メーカー向けに製造販売しております。 米州においては、THK America, Inc.が販売を担当し、THK Manufacturing of America, Inc.が製造を担当しております。THK RHYTHM NORTH AMERICA CO., LTD、THK RHYTHM MEXICANA,S.A. DE C.V.、THK RHYTHM AUTOMOTIVE MICHIGAN CORPORATION及びTHK RHYTHM AUTOMOTIVE CANADA LIMITEDは、リンクボール・サスペンションボールジョイント等の輸送機器要素部品を輸送機器メーカー向けに製造販売しております。 欧州においては、THK GmbH及びTHK France S.A.S.が販売を担当しております。またTHK Manufacturing of Europe S.A.S.及びTHK Manufacturing of Ireland Ltd.が製造を担当しております。THK RHYTHM AUTOMOTIVE GmbH及びTHK RHYTHM AUTOMOTIVE CZECH a.s.は、リンクボール・サスペンションボールジョイント等の輸送機器要素部品を輸送機器メーカー向けに製造販売しております。加えて、THK CAPITAL UNLIMITED COMPANY及びTHK FINANCE UNLIMITED COMPANYがグループファイナンス及び資金管理業務を担当しております。 中国においては、THK(中国)投資有限公司、THK(上海)国際貿易有限公司が販売を担当しております。また、大連THK瓦軸工業有限公司、THK(無錫)精密工業有限公司、THK(遼寧)精密工業有限公司、THK(常州)精工有限公司が製造を担当しております。蒂業技凱力知茂(広州)汽車配件有限公司及び蒂業技凱力知茂(常州)汽車配件有限公司はリンクボール・サスペンションボールジョイント等の輸送機器要素部品を輸送機器メーカー向けに製造販売しております。 その他の地域においては、THK TAIWAN CO., LTD.(台湾)、THK LM SYSTEM Pte. Ltd.(シンガポール)が販売を担当しております。また、THK MANUFACTURING OF VIETNAM CO.,LTD.(ベトナム)が製造を担当しております。THK India Pvt. Ltd.(インド)及び当社の関連会社である三益THK株式会社(韓国)は販売及び製造を担当しております。 事業の状況について系統図で示すと次のとおりであります。 製品・装置の製造を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 グループファイナンス及び資金管理を担当しております。 グループファイナンス及び資金管理を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品・装置の製造を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 製品の製造・販売を担当しております。 当社グループでは、THKリズム株式会社、THK RHYTHM MEXICANA,S.A.de C.V.、THK RHYTHM AUTOMOTIVE CANADA LIMITED、THK RHYTHM AUTOMOTIVE CZECH a.s.、 THK RHYTHM AUTOMOTIVE GmbH、THK RHYTHM MALAYSIA Sdn.Bhd、THK Manufacturing of Ireland Ltd.、THK Manufacturing of Europe S.A.S.、大連THK瓦軸工業有限公司、THK(遼寧)精密工業有限公司、THK(無錫)精密工業有限公司、蒂業技凱力知茂(広州)汽車配件有限公司、蒂業技凱力知茂(常州)汽車配件有限公司、蒂業技凱力知茂(常州)汽車配件有限公司上海分公司、THK MANUFACTURING OF VIETNAM CO.,LTD.において労働組合が結成されておりますが、労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。 また、当社及び他の連結子会社では、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 THKグループは、機械の直線運動部分を“軽く”“正確に”動かすため、“すべり”を“ころがり”化する重要な機械要素部品を世界へ供給しています。「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、1971年の創業以来、創造開発型企業として「LMガイド(Linear Motion Guide:直線運動案内)」をはじめとする機械要素部品を供給し、工作機械、半導体製造装置など様々な機械装置の高精度化、高剛性化、高速化、省エネルギー化を実現し、必要不可欠な部品として産業の発展に貢献してまいりました。 当社グループは、LMガイドを開発して以降、世界のトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えする中で蓄積してきたノウハウによる高品質な製品や幅広い提案力により、お客様から高い信頼を獲得しています。近年では産業分野のみならず、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように、世界中で多くのお客様より供給が求められる中、エッセンシャルビジネスとして本業を通じた社会貢献を実現しながらも、気候変動など地球環境が変化する中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、企業価値の向上を図ってまいります。 当社グループは、地理的な領域拡大を目指した「グローバル展開」と用途的な領域拡大を目指した「新規分野への展開」に加え、AI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底活用する「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げ、事業領域の拡大を図っております。 グローバル展開では、日本・米州・欧州・アジアの4極において、現地で生産して販売するという「需要地における製販一体体制」を構築しています。日本国内における当社グループのLMガイドをはじめとする直動製品の認知度は高く、市場シェアも高水準で推移する一方、海外では普及率が日本国内に比べて低いことから、まだ多くの潜在需要が存在すると考えております。近年は、とりわけ中長期的に需要の拡大が見込まれる中国やその他の新興国において、販売網の拡充ならびに生産体制の強化を図っています。加えて、先進国においてもユーザーの裾野が広がる中で着実に需要を取り込むべく販売網を拡充し、さらなる成長へと繋げています。 新規分野への展開では、LMガイドを中心とする製品群の現在の主な顧客は資本財メーカーですが、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように産業分野のみならず我々の身の回りにも膨大な需要が存在すると考えており、これらの需要を取り込むべく、これまで培ってきた直動システムのコア技術を応用した新製品を投入し、新規分野への展開を加速しています。 ビジネススタイルの変革では、デジタルテクノロジーが急速な進展を見せる中、AI、IoT、ロボットをはじめとする新たなテクノロジーを販売、生産、開発などのあらゆる面で徹底的に活用することにより、ビジネスの進め方や仕組みの変革を図っています。お客様向けコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」、製造業向けIoTサービス「OMNIedge」、そして「THK DXプロジェクト」の推進など、あらゆる取り組みにより新たな顧客体験価値を創造し、ビジネスのさらなる拡大を図っています。 そして、これらの取り組みを推し進める中、単にものづくりだけではなく、ビフォーサービスからアフターサービスまでの一連の工程をビジネスとし、お客様との接点を広げ、真にお客様に貢献していく「ものづくりサービス業」をビジョンにかかげ、その姿を鮮明にしていきます。今後もこれらの取り組みの前提となる、サステナビリティ、ESGの取り組みを強化していくとともに、収益性の向上や財務体質の強化を強力に推進し、企業価値の向上を図ってまいります。 当社グループの需要環境においては、デジタルテクノロジーの急速な進展や、地球環境保護機運の高まり、そして先進国における人手不足や長寿命化などのマクロ動態の変化がメガトレンドを形成する中、「5G」「AI・IoT」「CASE」「インダストリー4.0」「自動化・省人化・省エネ化」といった変化のキーワードが表れています。そして、これらのキーワードから、半導体製造装置・FA関連向け製品、サービスロボット関連製品、医療機器向け製品、電動アクチュエータ、次世代自動車部品、Omni THK、OMNIedgeなどの当社グループが提供する製品やサービスが求められており、その成長ポテンシャルは中長期かつ飛躍的なものになると考えられます。したがって、これらの需要を顕在化させるとともに着実に取り込むべく、成長戦略を推し進めてまいります。 フォーム「Omni THK」においては、THKの在庫品検索、短納期品の入手、選定・CADデータ・見積書取得とあらゆる工程をサポートすることに加え、標準品・セミオーダー品の短納期対応機能「Delivery」、お客様の製品管理情報とTHKの製品情報の紐付管理機能「Your Catalog」、お客様の需要予測とTHKの製造予定の照合による予実管理機能「Forecast」など、新たな顧客体験価値を提供しています。一方社内においては、「THK DXプロジェクト」を推進し、これらを成し遂げるべく、社内のシステムもお客様の発注から当社の出荷まで人を介さずに、一気通貫で自動で流れる仕組みの構築を目指し、飛躍的な生産性向上を図っています。このように顧客向けの「Omni THK」と社内改革の「THK DXプロジェクト」の両面からなる改革を連携しながら推し進め、新たな顧客体験価値の創出・提供により顧客満足度の向上を図っています。製造業向けIoTサービス「OMNIedge」は、製造現場で発生するロスを削減できるソリューションを提供することで、持続的な生産性向上(設備総合効率:OEEの最大化)に貢献して参ります。これまでに直動製品と回転部品の予兆検知AIソリューション、工具監視AIソリューションの3つを提供しており、機械要素部品の状態を数値化して予兆検知や、工作機械の工具欠損を検知することで、保全業務の効率化、在庫管理コストの削減、不良発生によって生じるロス削減を実現し、生産計画のスムーズな遂行をサポートします。 輸送機器事業においては、半導体をはじめとする部材不足による自動車の減産や鋼材価格の値上がりなどにより営業損失が続いています。そのような中、収益性改善に向けたさらに踏み込んだ対応が必要と考え、輸送機器事業の再編を進めています。グローバルにおける生産品目・生産ラインや人員・組織の再編、生産性・工程改善を推し進めるリカバリープランの継続・強化をはじめ、収益性の低い製品は売上の縮小も厭わない利益重視の運営、そして固定費を産業機器製品の生産に振り向けるなど、収益性改善に向けた施策を強化しています。一方、自動車業界における自動運転化や電動化をはじめとするCASEの潮流を追い風に、直動製品で培ったコア技術を活かした次世代自動車向けの新製品の開発・販売活動を加速しています。 当社グループは、2026年度を最終年度とする経営目標として連結売上収益5,000億円、営業利益1,000億円、EPS(基本的1株当たり当期利益)590円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)17%を掲げ、成長戦略を展開し持続的な企業価値の向上を図っております。 当社グループは、「気候変動」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げ、2023年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に対して賛同を表明しました。TCFD提言は、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つのテーマを中核的要素と位置付けています。当社は、TCFD提言に沿って、気候変動の影響について分析しました。 気候変動に関わるリスクや機会、対応策等を検討、審議する組織として、代表取締役社長を委員長とする取締役会の諮問機関である「サステナビリティ委員会」を設置しています。 「サステナビリティ委員会」には、下部組織として、各業務部門の代表をメンバーとする「サステナビリティ推進部会」を設け、TCFD提言に沿って気候変動に関わるリスクと機会に関するシナリオ分析を実施しています。 「サステナビリティ委員会」は「サステナビリティ推進部会」がまとめた分析結果について協議するとともに、気候変動に関わる対応策を決定し、進捗状況を管理しています。 取締役会は、「サステナビリティ委員会」で協議、決議された事項について、適宜報告、提案を受け、議論するとともに、各業務部門における気候変動対応の取組み全般を監督しています。 気候変動に関わるリスク及び機会を踏まえた戦略とそのレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な影響を踏まえ、当社の産業機器事業及び輸送機器事業(いずれも日本)を中心にシナリオ分析を実施しました。 全社的なリスク管理については、取締役会の諮問機関である「リスク管理委員会」において包括的、網羅的に把握するとともにリスク管理規程に則りリスクアセスメントを実施し、重要性評価及び対策の優先度を決定しています。 なかでも気候変動に関わるリスクについては、「サステナビリティ委員会」と下部組織である「サステナビリティ推進部会」において気候変動に特化したシナリオ分析を実施し、識別、評価のうえ対応策を決定しています。 なお、取締役会は、「リスク管理委員会」並びに「サステナビリティ委員会」で識別されたリスク及び対応策を踏まえ、気候変動が経営に及ぼす影響について取りまとめています。 当社グループは、2021年8月、地球温暖化の抑制に向けて、以下のとおり温室効果ガス排出量削減の「中期目標」及び「長期目標」を策定しました。 これらの目標を踏まえ、より一層省エネや省力化に貢献できる製品開発を進めるとともに、より環境に配慮した事業活動を継続し、豊かな社会づくり、持続可能な社会の実現に貢献していきます。 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクや不確定な要因は以下のものがありますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクや重要度が低いと考えられるリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。 当社は、当社グループの事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、経営陣による適切なリスクテイクを支えるため、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程に基づく全社的なリスク管理体制を構築しています。リスク管理委員会では、当社グループの事業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスク管理体制が有効に機能しているかどうかの検証を行っております。 また、当社は、リスクを組織の収益や損失に影響を与える「不確実性」と捉え、マイナスの側面とプラスの側面の両面があると考えており、マイナス面のリスクに対して適切にリスクヘッジしつつ、プラス面のリスクに対して積極的なリスクテイクを行うことができれば、今後の持続的成長につながると考えています。 当社は、リスク管理規程に則り、当社グループ全体を対象にリスクアセスメントを毎年実施しています。国内外のグループ会社および当社の各部門から報告を受けたリスクアセスメントの結果を基に「発生可能性」、「影響度」の2つの評価軸でマッピングを行うことで、リスクの重要度を評価し、リスク対策の優先度を決定しています。リスクの発生頻度、影響度はそれぞれ5段階で評価し、数字が高いほど、またリスクとして抽出した会社・部門が多いほど、リスクが高くなります。 当社グループは、日本国内はもとより、米州、欧州、アジア他に製造・販売拠点を有していますが、これらの事業拠点及び取引先の事業拠点において、地震・火災等の災害やテロ攻撃・戦争による政情不安または感染症蔓延等による被害を受けた場合には、生産活動をはじめとする企業活動全般に重大な影響を与える可能性があります。当社グループでは、事業継続計画(BCP)を策定し、危機発生時において被害を最小化するための事前対策や事業を継続、早期復旧するための対策を講じるとともに、地震や大雨等の自然災害発生時に、自社への影響を速やかに把握できる危機管理サービスを導入し、被害地域にある事業所及び取引先の把握と被害による部品供給状況を速やかに把握できる体制を整えておりますが、リスクを完全に回避することは困難であり、想定を超える被害が発生した場合には、結果として当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期化やロシア・ウクライナ問題を始めとする国際関係の変化に起因する各地域での政治・経済の混乱の影響は、世界的な物価の高騰、部品・原材料の供給不足等として顕在化しております。 ロシア・ウクライナ問題の紛争当事国における当社グループの事業活動の規模は比較的小さく、当社グループの事業への直接的な影響は僅少でありますが、ロシア・ウクライナ問題が長期化した場合、または他の地域で国際紛争が発生した場合には、エネルギーや原材料価格の高騰や原材料の調達遅延等、グローバルに事業展開する当社グループの事業活動への影響が懸念されます。 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応として、当社グループでは、2020年2月より新型コロナウイルス対策会議を原則として毎日開催し、世界中に展開する当社グループ各社と連携し、各国・地域の政府や自治体の指導に基づいた対策をいち早く開始しました。新型コロナウイルス感染症の収束が見えないなか、製品やサービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。 また、感染拡大防止の施策として、従業員、顧客、取引先等のステークホルダーの安全の確保と事業継続を最優先に考え、在宅勤務や時差出勤等を実施するとともに、リモートワークツール等の積極的な活用により業務を継続できる環境を確保しています。 現時点では、新型コロナウイルス感染症の収束時期や世界経済に及ぼす影響の大きさについては予測が困難であり、今後、新たな変異株の出現等、事態が更に深刻化、長期化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、米州、欧州、アジア他に製造・販売拠点を有しておりますが、中国をはじめとする新興国製品の台頭により、特に価格面における競争環境はグローバル規模で厳しさを増しています。 当社グループでは、顧客の心で考え、行動し、検証する「顧客志向」の立場で日々営業活動を行うとともに、直動製品と回転部品の予兆検知や工作機械の工具欠損検知ができる「OMNIedge」、当社と顧客を繋ぐコミュニケーションプラットフォームである「Omni THK」等、ITを活用して顧客や市場のニーズを的確に捉える仕組みを導入し、高性能で付加価値の高い製品の開発、提供を継続して進めていますが、顧客や市場のニーズを十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や新製品の市場への投入が遅れた場合、他社が画期的な新製品を開発することによって、当社製品が機械要素部品及び輸送用機器要素部品に占める地位を失うに至った場合には、将来の成長と収益性を低下させるおそれがあります。 また、グローバルで政治・経済情勢や法規制、関税や安全保障貿易管理に基づく輸出規制等に関する最新の状況をモニタリングし、取引形態やサプライチェーンの見直し等の対策を講じ、事業への影響の低減を図っていますが、当社グループの製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動、あるいは予期せぬ法規制等の変更により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、競争力を維持するため、優秀な人財を国内外で継続的に採用し、“個力の強化”を目標に、従業員の成長支援に取り組んでいます。また、新卒のみならずキャリア採用を強化するとともに、女性・高齢者・障がい者の活躍支援、自己申告制度による従業員の希望の確認等、体制面や従業員エンゲージメントの向上に努めています。 しかしながら、少子高齢化を背景として各分野における人財の確保競争が激しさを増すなか、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、特定分野のスキルを持った人財に対する世界的な需要の高まりが競争に拍車をかけており、当社グループが計画どおりに適切な人財を採用できなかった場合やその育成に齟齬が生じた場合、技術・技能の承継にも支障をきたし、当社グループの事業の遂行に制約が生じる可能性があります。 また、当社グループでは安定した労使関係の構築に努めていますが、海外においては労使慣行の相違が存在し、法制度や経済環境、社会環境の変化等予期せぬ事象を起因とする労使関係の悪化や労働争議の発生、また新興国を中心として従業員の賃金が急上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、産業機器事業と輸送機器事業を展開しています。産業機器事業はLMガイドやボールねじ等の機械要素部品、輸送機器事業はリンクボールやサスペンションボールジョイント等の輸送用機器要素部品を製造・販売しており、それぞれ工作機械や一般機械、半導体製造装置をはじめとする産業用機械メーカー、輸送機器事業は自動車関連企業等の輸送用機器メーカーが主要顧客です。当社グループでは、「グローバル展開」、「新規分野への展開」及び「ビジネススタイルの変革」の三つの戦略軸によるビジネス領域の拡大を進め、特定の顧客・製品に依存しないようリスクの分散に努めていますが、現状においては、当社グループの業績は主要顧客である工作機械、一般機械、半導体製造装置、輸送用機器等の産業界における需要動向に影響を受けており、特に輸送機器事業は自動車業界の動向の影響を強く受ける傾向があります。 従って、将来において特定の産業界における急激な需要動向の変化等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、製品の製造に使用する原材料及び部品を、国内に限らず広く世界中の複数の供給元から調達しています。これらの供給元を“共に成長するための重要なパートナー”と位置付け、新技術・新工法・新素材等の情報を出し合う場を設けるなど協調体制を組み、安定かつ継続的な供給の維持を図るとともに、徹底したコスト管理に努めています。さらに、紛争鉱物への対応や環境への配慮等、サプライチェーンを通じて、社会からESG観点での高度な対応が求められていることから、供給元の事業者に「CSR調達ガイドライン」を配布し、CSR調達の徹底を図っています。 ロシア・ウクライナ問題は世界的な物価の高騰を引き起こしており、ロシア・ウクライナ問題が長期化した場合、または他の地域で国際紛争が発生した場合、さらには供給元の生産能力不足や品質不良、倒産、コンプライアンス違反あるいは火災や地震等の自然災害等に加え、感染症の発生等を契機として供給元の所在する国や地域でロックダウン(都市封鎖)等が行われ、サプライチェーン寸断による原材料および部品の不足が生じた場合や原油高の影響、原材料供給国の社会情勢、新興国における需要の高まり等を背景として原材料価格が予期せぬ高騰を示した場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループの製品は、工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置等の産業用機械から、自動車、免震・制震装置、医療機器、アミューズメント機器、航空機等の民生品分野にも採用が拡がっています。 そのような中、当社グループは、国内外の各生産拠点において品質マネジメントシステムであるISO9001を認証取得し、それに従った各種製品・サービスの開発や製造を行うことで、産業機器事業の品質保証体制の整備を図るとともに、自動車産業をはじめとする輸送機器事業、また航空宇宙産業等の新たな分野に適応する各種品質セクター規格を認証取得し、あらゆる市場に適合する高い品質保証体制の構築に努めています。 しかしながら、製品に欠陥が生じるリスクをゼロに低減することは不可能であり、万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような予期せぬ製品の不具合が発生した場合、多大な費用の発生や社会的信用の低下、取引停止等により、経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 また、当社グループはグローバルな製造物責任保険等に加入しておりますが、損害賠償等の損失についてその全てを担保するという保証はありません。 当社グループは、輸出入等を中心とした外貨建取引について、為替予約等により為替リスクをヘッジしておりますが、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 また、連結財務諸表を作成するにあたって在外子会社の財務諸表を円換算しておりますが、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、金融機関からの借入、社債及びコマーシャルペーパーの発行等の方法によって資金調達を行っており、資金需要に対してその内容や財政状態および金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しています。金利が上昇した場合にはこれらの調達コストが増加します。この影響を軽減するため、当社グループでは金利スワップ契約等のデリバティブ取引を利用しています。 当社グループでは投資した資産について、現在価値の算出に市場金利を基準とする割引率を用いており、金利が大きく上昇した場合、使用価値の計算に用いる割引率が大きく上昇することにより回収可能価額が減少し、対象資産の評価額に影響を及ぼす可能性があります。 金利動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、事業活動を通して、個人情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。 当社グループでは、社長を委員長とする「情報セキュリティ委員会」を設置・運用しており、当委員会には、外部の専門家もオブザーバーとして参加し、情報セキュリティに関する管理体制やルールの整備・強化を図るとともに、国内外の個人情報保護を始めとする法規制強化への都度対応、情報リテラシーを高めるための社員教育の実施等、情報の厳格な管理に努めています。 また、当社グループは、事業全般において様々なコンピューターシステム及びITネットワークを活用しており、これらシステムには十分な安全対策を施しています。 近年、サイバー攻撃の手口の高度化・巧妙化、クラウドサービスの利用の増加等、情報セキュリティに関するリスクが高まっていることから、適宜セキュリティの強化に努めていますが、サイバー攻撃、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、インフラ障害、情報システムの不具合等により情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等不測の事態が生じた場合には、当社グループに対する社会的信用の低下や事業活動の中断、対策費用の発生、多額の課徴金の支払い、取引の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、地球環境を健全な状態で次世代に引き継いでいくことは企業の社会的責務であるとの認識に立ち、THKグループ環境基本方針を制定し、省エネルギー製品の開発、環境負荷の継続的な低減と自然環境の維持・改善等に努めています。また、当社グループは、各生産拠点において環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得するとともに、国内外の環境関連法令の遵守はもちろんのこと、EUの有害物質規制法RoHS指令及びREACH規則や中国の電子情報製品生産汚染防止管理弁法に代表される様々な規制に対しても、国内・海外の生産拠点に対して「グリーン調達ガイドライン」を適用し対応しており、これまで重大な環境問題が発生したことはありません。 しかしながら、不測の事態により将来において環境問題が発生した場合には、損害賠償や対策費用の発生、罰金等の行政処分、社会的信用の低下、生産活動の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 また、環境に関する規制がさらに厳格化し、追加の義務や費用負担が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、様々な国の法令・規則の適用を受けています。 当社グループでは、コンプライアンス意識の徹底と不正を許さない職場環境の醸成のため、社長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置・運用しており、当委員会には、外部の専門家もオブザーバーとして参加し、法令・社内規範・倫理規範の遵守を目的とした体制を整備し、公正な企業活動に努めています。また、当社グループの役職員が共有・遵守すべき「THKグループ行動憲章」を制定し、当社グループの全役職員に周知するとともに、必要な社内教育を実施するなど、コンプライアンス意識の向上を図っています。 また、内部通報制度を整備し、担当部署、監査等委員会、顧問弁護士と社内外に3つの通報窓口を設け、法令や社内規範等に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付け、コンプライアンスリスクの未然防止に努めています。 しかしながら、グローバルに事業を展開するなか、コンプライアンスリスクを完全に回避することは困難であり、法令違反等が生じた場合には、当社グループが刑事上、民事上、行政上の責任を負い、また社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。 キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響が続き、世界経済の先行きに強い不透明感が残る中でも、中国をはじめ、先進国を含む各地域において持ち直しの動きが続きました。 当社グループでは、「LMガイド(直線運動案内:Linear Motion Guide)」をはじめとする当社製品の市場を拡大すべく「グローバル展開」、「新規分野への展開」及び「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げています。グローバル展開では、中国やその他の新興国においてFA(Factory Automation)の進展などを背景としてマーケットは成長し、先進国でもユーザーの裾野が広がる中、これらの需要を取り込むべくグローバルで生産・販売体制の拡充に努めています。新規分野への展開では、自動車、医療機器、航空機、ロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野においても当社グループ製品の採用が広がる中、従来品のみならず新規開発品の売上収益の拡大を図っています。さらに、これらの戦略を推し進めるべく、様々な面でAI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底的に活用することで、ビジネススタイルの変革を図り、ビジネス領域のさらなる拡大を図っています。 そのような中、産業機器事業においては、中国をはじめとする各地域において、半導体関連や自動化、ロボット化の流れ、及びEV(電気自動車)関連などを中心に全般的に需要が好調に推移する中、これらの需要をこれまで推し進めてきた工場拡張や生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げました。一方、輸送機器事業においては、半導体などの部品不足に加え、中国の一部地域におけるロックダウンやウクライナ情勢に伴う部品調達難による自動車の減産の影響が続きました。これらに加え、為替が前期に比べて円安で推移したことなどにより、連結売上収益は前期に比べて754億9千8百万円(23.7%)増加し、3,936億8千7百万円となりました。 コスト面では、売上収益の増加や為替の円安の影響に加え、生産性向上に向けた各種改善活動を引き続き推進したことなどにより、売上原価率は前期に比べて1.6ポイント低下し、73.3%となりました。 販売費及び一般管理費は、売上収益の増加などにより前期に比べて80億3百万円(15.7%)増加し589億9千1百万円となりました。売上収益に対する比率は、売上収益の増加に加え、各種費用の抑制や業務の効率化に努めたことなどにより、前期に比べて1.0ポイント低下し15.0%となりました。 これらに加え、輸送機器事業を営む当社の連結子会社において、顧客である自動車メーカーにおける半導体などの部品調達難や、中国の一部地域におけるロックダウンの影響による減産に伴う売上収益の減少、及び鋼材価格やエネルギー価格の上昇等による収益の低下により、保有する固定資産について減損の兆候が認められたことから、国際財務報告基準(IFRS)に基づく減損テストを実施した結果、40億2千1百万円を固定資産の減損損失として、その他の費用に計上しました。また、海外の輸送機器事業におけるのれんについて、国際財務報告基準(IFRS)に基づく減損テストを実施したところ、世界的な物価の高騰が続く中、各国の金融引き締め政策等による急激な金利の上昇を受けて割引率が上昇した結果、96億2千万円をのれん及び無形資産の減損損失として、その他の費用に計上しました。 これらの結果、営業利益は前期に比べて41億9千1百万円(13.8%)増加し344億6千万円となりましたが、売上収益営業利益率は0.7ポイント低下し8.8%となりました。 金融収益は33億3千5百万円、金融費用は21億9千9百万円となりました。 これらの結果、税引前利益は前期に比べて56億1千2百万円(18.7%)増加し355億9千6百万円となりましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期に比べて18億8百万円(△7.9%)減少し211億9千8百万円となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 日本では、産業機器事業において、エレクトロニクス関連をはじめ、全般的に好調な需要が続きました。そのような中、これらの需要をこれまで推し進めてきた生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げた結果、売上収益は前期に比べて208億1千6百万円(16.9%)増加し、1,441億8千9百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、輸送機器事業を営む当社の連結子会社であるTHKリズム株式会社において、12億8千6百万円を固定資産の減損損失としてその他の費用に計上した上、関係会社株式評価損を計上した結果、前期に比べて52億4千8百万円(△23.6%)減少し、170億1千4百万円となりました。 米州では、産業機器事業において、エレクトロニクス関連を中心に全般的に好調な需要が継続する中、これらの需要をこれまで推し進めてきた生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げました。これらの結果、売上収益は前期に比べて236億3千4百万円(41.3%)増加し、808億5千5百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、売上収益が増加した一方、輸送機器事業を営む当社の連結子会社であるTHK RHYTHM NORTH AMERICA CO., LTD.において、20億9千4百万円を固定資産の減損損失としてその他の費用に計上した結果、前期に比べて12億1千7百万円悪化し、23億5千1百万円の損失(前期は11億3千4百万円の損失)となりました。 欧州では、産業機器事業において、全般的に好調な需要が継続する中、これらの需要をこれまで推し進めてきた生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げました。これらの結果、売上収益は前期に比べて124億6千7百万円(24.8%)増加し、627億1千5百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、売上収益が増加した一方、輸送機器事業を営む当社の連結子会社であるTHK RHYTHM AUTOMOTIVE CZECH a.s.において、96億2千万円をのれん及び無形資産の減損損失としてその他の費用に計上した結果、前期に比べて83億4千7百万円悪化し、96億8千4百万円の損失(前期は13億3千7百万円の損失)となりました。 中国では、全般的に好調な需要が継続する中、これらの需要をこれまで推し進めてきた生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げました。これらの結果、売上収益は前期に比べて162億3千9百万円(24.2%)増加し、833億1千2百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、輸送機器事業を営む当社の連結子会社である蒂業技凱力知茂(常州)汽車配件有限公司において、10億9百万円を固定資産の減損損失としてその他の費用に計上しましたが、売上収益が増加したことなどにより、前期に比べて43億1千4百万円(45.6%)増加し、137億7千3百万円となりました。 その他では、インド・ASEANをはじめとして当社グループ製品への需要の裾野が着実に広がる中、当社グループにおいては販売網の拡充に加え、新規顧客を開拓すべく積極的な営業活動を展開しました。加えて、一部地域で中国における需要の回復の影響を受けたことなどにより、売上収益は前期に比べて23億4千万円(11.5%)増加し、226億1千4百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、輸送機器事業を営む当社の連結子会社であるTHK RHYTHM MALAYSIA Sdn. Bhd.において、1千2百万円を固定資産の減損損失としてその他の費用に計上しましたが、売上収益が増加したことなどにより、前期に比べて5億8千2百万円(25.6%)増加し、28億6千1百万円となりました。 資産は、のれん及び無形資産が94億2千3百万円減少しましたが、現金及び現金同等物が124億4百万円、営業債権及びその他の債権が103億7千2百万円、棚卸資産が132億5千2百万円、有形固定資産が142億6百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ442億1千8百万円増加の5,603億4百万円となりました。 負債は、未払法人所得税が7億9千5百万円、退職給付に係る負債が14億4千5百万円減少しましたが、営業債務及びその他の債務が16億4千7百万円、社債及び借入金が191億1千9百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ212億2千6百万円増加の2,230億2千3百万円となりました。 資本は、自己株式の増加で59億2千2百万円、非支配持分が43億4千万円減少しましたが、利益剰余金が123億3千3百万円、その他の資本の構成要素が212億4千万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ229億9千1百万円増加の3,372億8千1百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益355億9千6百万円、減価償却費及び償却費208億3千4百万円、減損損失136億4千1百万円、営業債務及びその他の債務の増減額24億7千7百万円などのキャッシュ・インに対し、営業債権及びその他の債権の増減額94億8千1百万円、棚卸資産の増減額97億1千4百万円、法人所得税の支払額138億3千万円などのキャッシュ・アウトが発生したことにより、375億6千1百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は156億4千3百万円のキャッシュ・イン)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出294億7百万円などのキャッシュ・アウトにより、300億8千1百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は191億2千5百万円のキャッシュ・アウト)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入200億円のキャッシュ・インに対し、長期借入金の返済による支出21億8千5百万円、自己株式の取得による支出59億5千8百万円、配当金の支払額95億8千2百万円などのキャッシュ・アウトが発生したことにより、36億4千9百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は127億2千5百万円のキャッシュ・アウト)となりました。 これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて、124億4百万円増加し、1,638億3千5百万円となりました。 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、連結ベースにおいてはセグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため、生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に関連付けて記載しております。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 連結売上収益は3,936億8千7百万円、営業利益は344億6千万円、税引前利益は355億9千6百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は211億9千8百万円となり、売上収益、営業利益、税引前利益は前期に比べて増加したものの、輸送機器事業における減損損失の計上の影響などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期に比べて減少し、EPS(基本的1株当たり当期利益)は172.67円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は6.7%となりました。 事業別の状況を見ると、中国をはじめとする各地域において、半導体関連や自動化、ロボット化の流れ、及びEV(電気自動車)関連などを中心に全般的に需要が好調に推移する中、これらの需要をこれまで推し進めてきた工場拡張や生産性向上に向けた取り組みなどにより、着実に売上収益へと繋げました。一方、輸送機器事業においては、半導体などの部品不足に加え、中国の一部地域におけるロックダウンやウクライナ情勢に伴う部品調達難による自動車の減産の影響が続きました。これらに加え、為替が前期に比べて円安で推移したことなどにより、売上収益は前期に比べて増加しました。 地域別の状況を見ると日本では、産業機器事業において、引き続き回復基調で推移しているエレクトロニクス関連をはじめ、全般的に需要に回復の動きが見られた一方、輸送機器事業においては自動車の減産の影響を受けました。米州では産業機器事業におけるエレクトロニクス関連を中心に需要に回復の動きが見られた一方、 輸送機器事業においては、自動車の減産の影響を受けました。欧州では産業機器事業においては、全般的に需要の回復が見られた一方、輸送機器事業においては、自動車の減産の影響を受けました。中国では産業機器事業において全般的に需要の回復が続いたものの、輸送機器事業においては、自動車の減産の影響を受けました。アジア他地域では産業機器事業において、インド・ASEANをはじめとして当社グループ製品への需要の裾野が着実に広がる中、一部地域で中国における需要の回復の影響を受けました。 コスト面では、輸送機器事業において自動車の減産や鋼材価格の上昇、そしてこれらに伴う減損損失の影響を受けましたが、産業機器事業における売上収益の増加や為替の円安に加え、生産性向上に向けた各種改善活動を引き続き推進したことなどにより、営業利益、税引前利益については前期に比べて増加しました。 当社グループは、企業価値向上に向けた資金を適切に調達、配分しております。加えて、パンデミック、自然災害、不測の事態の発生時においても事業を継続し、当社製品の供給責任を果たすべく、強固な財務基盤を堅持することを財務戦略の基本としております。財務基盤の堅持に関しては、安定的な資金調達を可能とするため、格付機関である格付投資情報センターおよび日本格付研究所からともに取得している「A+(シングルAプラス)」の維持向上を目指しております。主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務基盤を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は調達可能であると認識しております。 シュ・フローは、375億6千1百万円であります。財務活動においては、普通社債の発行により200億円を調達しております。なお、主要な金融機関において、コミットメントライン300億円を設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しております。 また、当社グループでは、日本国内、米州、欧州及び中国の各地域において、グループ各社が保有する資金をグループ内で効率的に活用するキャッシュ・マネジメントシステムを構築し運用しております。日本国内においては当社、米州及び欧州においては当社の金融子会社、中国においては持株統括会社が資金集中管理を行うことにより資金の偏在をならし、資金の効率化、流動性の確保を図っております。 当社グループの主な資金需要は、製品製造のための原材料及び部品の購入費、製造経費、販売費および一般管理費等の運転資金に加え、生産効率及び品質向上、生産能力増強を目的とした設備投資や技術革新に対応した研究開発のための資金ならびに配当金支払いなどを見込んでおります。 当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の217億2千9百万円に比べ103億6千6百万円(47.7%)増加し、320億9千5百万円となりました。需要が回復基調で推移する中、工場拡張や自動化、ロボット化による生産性向上に向けた取り組みなどにより、設備投資額は前連結会計年度に比べ大きく増加しました。研究開発費は、前連結会計年度の55億6千万円に比べ7億7千7百万円(14.0%)増加し、63億3千8百万円となりました。配当金支払額は、95億8千2百万円となりました。 これらの設備投資、研究開発のための資金や、配当金の支払などの原資については、主に自己資金で賄っております。 当社グループは、将来の収益の獲得を目的とする設備投資や研究開発投資を実施すること、安定的な配当の継続を基本とするとともに業績に応じた積極的な利益配分を実施すること、そして内部留保を充実させて強固な財務基盤を堅持することが重要であると考えております。 利益配分につきましては、期間損益に対して連結配当性向30%を基本としておりますが、1株当たり配当金の下限を年間15円(中間・期末各7.5円)と設定しております。内部留保金につきましては、事業機会を的確に捉えるために必要となる水準を保持することを基本とし、当社グループの成長戦略の柱である「グローバル展開」、「新規分野への展開」、「ビジネススタイルの変革」の取り組みなどに有効活用してまいります。 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 該当事項はありません。 当社グループは、本社およびテクノセンター(東京都)を研究開発拠点として、基幹の直動システムをはじめ、精密XYステージやリニアモータアクチュエータなどのメカトロ機器、さらに自動車、免震・制震装置、医療機器、航空機、再生可能エネルギー、ロボットなどの消費財に近い分野において、直動システムのコア技術とノウハウを活かした製品開発に努めております。 海外では、2010年に中国に海外初の研究開発拠点となるR&Dセンターを設置し、2012年に本格稼動を開始しました。さらに、2015年から新たに連結子会社となったTHK RHYTHM AUTOMOTIVEのドイツの研究開発部門を加え、世界各地のお客様のニーズにより的確にお応えできるよう、米州、欧州、アジアを視野に入れた最適地開発体制の構築を進めております。 産業機器関連事業では、ロバスト性を高めた総ローラーガイド「小型SRG-G形」を開発しました。工作機械、半導体製造装置の高性能化要求に貢献していきます。また、プレートカバーを簡単に取付けるための専用治具「WPC-ST形」、耐薬品性能を向上させた積層形接触スクレーパ「発泡H-NBR LaCS」を市場投入しました。オプション類の拡充により幅広いお客様にご好評をいただいております。ボールねじでは、軸方向許容荷重を2倍に向上させたプレス機向け高負荷ボールねじ「HBN-KP形」を開発しました。許容荷重が高いため、ねじ軸径の大型化を抑えた装置設計が可能です。また、「SDA-V形」のラインナップを大幅に拡充しました。工作機械、半導体製造装置、電子部品実装機、ロボットなど幅広い分野で市場拡大を図ってまいります。クロスローラーリングでは、従来製品と寸法互換性があり内部構造を進化させ高剛性を実現した「RB-H/RE-H/RU-H形」を開発しました。また、内輪・外輪をそれぞれ一体形にした「RBU形」を開発しました。外輪のズレが発生しないためお客様の組付け工数の大幅な短縮に貢献します。さらに、高速複列アンギュラリング「BWH形」を市場投入しました。転動体をローラーからボールへと置き換えることで、高速性ニーズと発熱による昇温の抑制を実現し高速化が進む工作機械・ダイレクトドライブモータの市場での競争力向上をはかります。アクチュエータでは、ロボットの関節機構に適した回転モジュール「RMR型」を開発しました。剛性に優れたTHK製のクロスローラーリングを回転機構の主軸受とし、さらにロボットの関節部には欠かせない減速機、モータ、エンコーダ、ブレーキなどの要素を一体化した、ロボットの関節機構に適したアクチュエータです。 ロボット関連では、円筒座標型モジュール「MLS型」を開発しました。各軸をモジュール化、ボルトオンで簡単に組み立てができ一般的なPLCで操作可能なため容易に使用することができます。また、ピッキングロボットハンドシステム「PRS形」を市場投入しました。物流倉庫仕分け行程(ピースピッキング作業)の自動化・省人化が必要な箇所に提案していきます。 IoT関連では、お客様の設備の予兆検知の実現に向けた製造業向けIoTサービス「OMNIedge」において、LMガイドやボールねじなどの直動製品の予兆検知に加え、2022年2月にはポンプやファンなどの回転部品向けもラインナップに追加いたしました。さらに、第3弾として、同年11月には、工作機械の工具欠損検知ができる「工具監視AIソリューション」もラインナップに追加いたしました。 輸送機器事業では、自動車の電動化に伴い、軽量化ニーズへの対応と拡販に向け、新工法を採用したアルミ製品の市場投入を開始するだけでなく、北米ではアルミ鍛造技術を内製化し、米国のお客様のみならず、現地調達化ニーズのある日系メーカーのお客様にもご採用いただいております。 また、L&S(リンケージ アンド サスペンション)事業だけでなく、第2の柱として「CASE」関連の自動車用ボールねじ製品を開発、量産しております。自動ブレーキ要素部品として出荷するだけでなく、新たに、次世代サスペンション用途へも出荷を開始しました。更なる拡販に向け、シリーズ化を進めてまいります。 引き続きお客様がまだ気づかれていない、5年先、10年先のニーズを見据えた真のマーケットインを目指した次世代製品の開発を推進するとともに、現在のお客様のニーズにお応えした製品ラインナップの拡充に努めてまいります。 当連結会計年度における研究開発費の総額は6,338百万円であります。
株式会社ジェネレーションパス
# 株式会社ジェネレーションパス 当社の創業者である岡本洋明は、前職で営業支援システム及びコンサルティングを行う企業の取締役として経営全般と営業面を統括しておりました。その後、企業が情報システムを更新する際に過去のデータベースを引き継ぐことに着目し、個人の情報(思い出の写真)についても同様に引き継げるようにすることを目的として、世代を越えて個人間の思い出を橋渡しする会社として、写真などのアーカイブ化を事業とする「株式会社ジェネレーションパス」を創業いたしました。 当社設立以後の主な経緯は、次のとおりであります。 東京証券取引所マザーズに株式を上場。 当社グループは、当社及び連結子会社である株式会社トリプルダブル、青島新綻紡貿易有限会社、青島新嘉程家紡有限会社、株式会社カンナート、株式会社フォージ、Genepa Vietnam Co.,Ltd.の計7社で構成されており、インターネット上の店舗(ECサイト)で商品販売を行う「ECマーケティング事業」、マーケティングデータを基に商品の企画サポートを行う「商品企画関連事業」、ソフトウエアの受託開発及びシステム開発事業、メディア事業を行う「その他事業」を展開しております。 当社グループは、「優良な商材を創る企業の大切な思いを、消費者へと伝える橋渡し役を担う企業でありたい」という企業理念のもと、継続的なマーケティングデータの収集と分析及びオペレーションのシステム化を背景とした「ECマーケティング事業」を主たる事業として展開しています。 当社グループの事業における位置付け及びセグメントとの関係は次の通りであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一区分であります。 「マーケティング事業」は当社、及び孫会社である株式会社フォージが行っており、「ECサポート事業」は当社、及び子会社である株式会社カンナートが行っております。 当事業は、マーケティングの基礎となるビッグデータ(※1)を、当社グループの運営するECサイトや、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon等のECモール及びインターネット全体から収集・分析し、当社グループと取引のあるメーカー及び卸売事業者から提案された商品について、消費者の購買につながる可能性の高いキーワード、商品画像、価格等を設定し、当社グループECサイトで販売を行う事業となります。 また、当社グループの手法は汎用性のあるマーケティング手法であるため、取扱う商品ジャンルは限定されることなく、家具、家電、生活雑貨、ファッション、美容コスメ、スポーツ、キッズ・ベビー、食品その他の幅広いジャンルの商品を取り扱うことが可能となっております。 店舗については主に「リコメン堂」の屋号で、インテリア、ファッション、美容コスメ、スポーツ等のジャンル別に複数のモールにまたがり、連結合計で69店舗(2022年10月31日時点)を展開しております。 当社グループECサイトでは、主として、在庫を保有しないドロップシッピング方式(※3)を採用しております。当社グループの取扱商品数は、2022年10月31日時点で203万点にのぼります。なお、売れ筋商品については、メーカーや卸売事業者の在庫切れによる販売機会損失を勘案し、一定程度在庫を保有する方針としております。 また、203万点かつ多ジャンルに渡る種類の商品について、当社グループ内で商品撮影から、商品ページの制作、商品の受注・発注処理を実施することに加え、お客様の満足度向上のため、多くのEC事業者がメールだけの問い合わせ対応をしているところ、当社グループでは、お客様からのお問い合わせに関してはメールだけでなく、電話での窓口を社内に設置し、様々なお客様のご意見、ご感想、クレームに至るまでを記録及びデータ管理し、即時運営に反映可能な体制を構築しております。 数等の購買の際に判断基準となる各種ビッグデータ。 送のリードタイムを短縮し、また在庫リスクのないEC店舗の運営形態の一つ。 当事業は、当社グループの各種ECマーケティング機能を、今後ECサイトの運営を検討中である、または既に運営している企業向けに提供する事業となります。当社グループのECマーケティング事業で獲得した各種マーケティングデータを活用し、対象となるECサイトへ売れる商品情報の提供、店舗デザインの編集、商品構成(選定)と最適な検索キーワード及び商品ページの作成、集客、顧客対応等の運営支援を全般的に行うサービスとして提供を行っております。導入までの初期費用とマーケティング活動に必要な費用以外は、実際に商品が売れた段階で発生する成果報酬型のビジネスモデルとなっております。 「商品企画関連事業」は、当社及び子会社である青島新綻紡貿易有限会社、Genepa Vietnam Co.,Ltd.、及び孫会社である青島新嘉程家紡有限会社が行っております。 当事業は、当社グループのECマーケティング事業で獲得した商品データを活用し、主にメーカーと共同して商品の企画開発を行う事業であります。具体的には売れ筋データ分析によるメーカーとの共同商品開発の推進、高品質かつ高採算商品の製造のための海外工場との直接提携による生産管理体制の構築、自社ECマーケティング事業及びインターネット市場全体の分析による、実店舗への情報提供及び商品提供を行う事業となります。 「その他事業」は、子会社である株式会社トリプルダブルが行うソフトウエアの受託開発及びシステム開発事業並びにメディア事業であります。 ソフトウエアの受託開発及びシステム開発事業は、子会社の株式会社トリプルダブルにて行っている事業で、主に大学、企業の研究所との共同研究を通じて、システム、アプリケーションの受託開発やシステム開発の技術支援を行う事業であります。 メディア事業は、子会社のトリプルダブルにて行っている事業で、ECマーケティングデータを活用したメディア関連・情報発信業務を行う事業であります。 EPOとは、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon等に代表されるECモールをマーケティングインフラとして捉え、それぞれのECモールごとにおける特性をデータとして蓄積し、対象となる商品について、販売に最適な各種条件の設定をしていくものとなります。そして、当社グループECサイトにて販売を行い、その売れ行き状況を判断材料とし、より効果の高い販売結果を導き出すサイクルを実現するものです。また、ECモールによらない単独サイトでの販売に比べ、サイト開設時の初期コストが圧縮できる他に集客費や広告費が抑制され、効率的なマーケティングを行えることも特徴の1つとなっております。なお、EPOは、当社グループで定義し、用いている用語であります。 EPOのサイクルは、以下4つの機能から構成されています。 各ECモール及びインターネット上で販売されている商品について、マーケティングの基礎となるビッグデータを「収集」し、そのデータの「分析」を行います。 「収集・分析」で得られた結果を基に、該当商品の販売に最適なECモールを選択することに加え、消費者による検索結果の上位に当社グループECサイトを表示させるECモール内SEO(※4)及びインターネット広告に活用することで、購買見込みの高いお客様を当社グループECサイトへ誘引し、「集客」します。 「収集・分析」で得られた結果を基に、価格や配送、ポイント等の各種条件を設定し、商品画像、商品ページ等の制作を行った上で、商品の販売を開始致します。同一のECモール内においても、ECサイトごとに商品ページの掲載情報を変化させることにより、売れ行き状況が異なるため、より最適な販売結果に結び付けるための「実行(販売)」となります。 「実行(販売)」で得られた結果に基づき、より高い販売効果を追求するための「検証」を行います。改善プランの策定及び商品ページの再撮影を含む商品ページの再構築及び集客の見直しを行います。その結果を「収集・分析」フェーズに蓄積することにより、データ収集や分析だけを行うのではなく、実際の販売結果を向上させることが可能なサイクルを実現しています。 そして、このEPOサイクルを実現するためには4つの基礎能力が必要となります。 これらのEPOを実現するための基礎能力を持つことにより、少ない商品であれば可能なPDCAサイクルを203万点かつ多ジャンルにわたる商品に対応することが可能となっております。 数を増加させることを目的とした広告手法。 203万点かつ多ジャンルに渡る取扱商品についての受発注オペレーションを支えるシステムインフラとして、2013年に社内開発の受発注システム(GPMS=Generation Pass Management System) をリリースしました。69店舗の大量の受注及び837社のメーカー及び卸売事業者への発注に加え、お客様への各種連絡(注文確認連絡、納期連絡、出荷連絡等)を一括して効率的に行うことが可能です。 また、売れ筋商品の在庫発注管理、商品ページ制作、卸売事業者への大量発注等の自動化についてもGPMSとの連動によりシステム化を図っております。本受発注システムにより、膨大な人員を必要としていた作業の削減が実現し、注文件数の増加に伴うオペレーション費用の抑制が可能となりました。 なお、各ECモール及びインターネット全体からマーケティングデータの基礎となるビッグデータの収集・分析を行うためのシステムである、MIS(Marketing Information System)についても社内開発し、2014年より稼働しています。MISは、収集されたデータから使用頻度の高い商品キーワード、商品画像、価格等のビッグデータを分析することにより、出品前の商品売れ行き予測や、最適な商品キーワードの自動生成が可能となり、販売量の拡大に繋がっております。 EC事業及びソフトウエア製品の開発製造、販売。 管理業務及び通販業務の委託契約あり。 システム開発・保守の提供あり。 商業デザインの企画及び制作、EC通販。 インターネット、その他通信網を利用した通信販売。 当社の取扱商材の製造あり。 当社グループでは、労働組合は存在しませんが、従業員の過半数の賛成により従業員代表を定めており、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループでは、「世代を越えた人と人との架け橋」の経営理念の下、業績を遂行してまいります。 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の流行により、今後の景気、個人消費や業績動向は極めて不透明な状況であり、また小売業におきましては、業種業態を超えた競合との競争激化、人手不足による労働力不足、電気料金等のエネルギーコストや物流コストの高騰等、引き続き厳しい経営環境が予測されます。 ECマーケティング事業におきましては、商品取扱高の増加に注力するとともに、中長期の成長を見据えた投資を維持しつつ、利益成長を目指すために、他社を支援するECサポート事業及びメディア事業に注力していく所存です。当社子会社である株式会社カンナートは、2005年4月設立のWEB制作会社でWEB制作業務に加え、各種WEBサービスの企画・立ち上げから、WEB集客・キャンペーン等の運用まで幅広く提供している企業です。特に、EC分野におけるWEBマーケティングに強みを有しており、自社事業におけるECサイト運営のノウハウを取引先のECサイト構築・運用に活かし、ECシステムの開発から制作・運用まで一手に行っています。今後当社グループは、EC分野におけるマーケティング事業を強化するとともに、他社のECをサポートするWEB制作機能の充実を図る予定です。なお、業務提携において構築されるECサイトについて、当社と一体となって内製化を行うことにより、当社のECマーケティングのノウハウが外部に流出することなく、大規模なECサイトの構築・運用が行えるものと考えております。 商品企画関連事業におきましては、ECマーケティング事業で蓄積されたビッグデータを活用し、商品提案及び新規顧客開拓を加速させ、売上高及び利益の拡大に努めてまいります。青島新綻紡貿易有限会社は、繊維製品の開発・生産・販売及び貿易事業を行う会社へと成長している企業です。越境EC事業を推進する当社のECマーケティング事業におけるノウハウを同社に付加し、中国における当社グループの事業拠点といたします。また、青島新綻紡貿易有限会社で供給する良質な原材料、機能糸、高付加価値な製品等の幅広い商材を世界各国に提供することが可能であり、さらに、日本国内においては、当社のECマーケティング事業向けに競争力のある価格でオリジナルの商材を投入することが見込まれるものと考えております。 当社グループは、事業拡大に伴う売上高の拡大及び安定的な利益確保を重点的に考えており、売上高や経常利益について、現在の水準からさらなる向上を図ってまいります。 当社グループが対処すべき主な課題は、以下の項目と認識しております。 当社グループにおきましては、急激な円安による、エネルギー・原材料高騰への対応が重要な課題となっております。 ECマーケティング事業における仕入れ価格高騰への対応として、調達ルート見直しにより仕入価格を抑えるなどの企業努力を重ねること、並びに諸経費の削減を進め、販売価格を極力上げないよう取り組んでおります。その上で吸収しきれない部分に関してはお客様に一定の理解を得つつ販売価格への転嫁を進めてまいります。 当社グループにおきましては、国内グループでは社内外の感染被害抑止と従業員の健康と安全を確保するため、社員の時差出勤、マスク無償提供と就業時間中の着用の徹底、WEB会議システムの活用を実施する等、同感染症の拡大を止めるための対策を講じております。その上で陽性判定や濃厚接触者となってしまった場合にも従業員が安心して職場に復帰できるよう対応マニュアルやフローチャートを作成、運用しウィズコロナに向けて進んでおります。 また、海外に関しましては、国ごとの状況の変化に柔軟に対応しつつ、感染拡大防止に努めつつも生産体制を維持してまいります。 今後におきましても、引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済活動への影響を注視するとともに、想定外のリスクや不測の事態を想定し、経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築を図ってまいります。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。 実際の商品がメーカーや卸売事業者にあるため、配送に関してのきめ細かい工夫、効率的な梱包、独自のサービスの提供が困難であり、配送コストの削減が課題となります。この課題を解決する方法として、売れ筋商品を当社グループにて一括して管理できる提携倉庫の管理を強化することが必要不可欠と認識しております。複数の異なった企業が提供する商品を一括で配送すること、配送コストを削減すること及び一度に商品を受け取れること、という顧客利便性の向上を提携倉庫の管理強化により実現させていく方針であります。また、昨今の運送会社の物流コストの上昇の影響を最小限にするために、新規に物流会社との提携を加速させていく方針であります。 当社グループにおきましては、優秀な人材の確保が重要な課題となっております。即戦力を求めた実務経験者の中途採用及び持続可能な会社にすべく人的基盤を整備するための新卒採用を継続的に行うとともに、職場環境の改善、福利厚生の充実、目標管理制度の導入及び採用活動の多様化に努め、人材確保に注力してまいります。 当社グループにおきましては、今後の事業展開の上で必要不可欠となる海外での生産及び国内・海外市場での販売という課題があります。当社グループでは、インテリア・ファブリック商材の製造・販売の多様化・効率化と販路拡大を目的として、2018年4月に中国で「青島新綻紡貿易有限会社」を子会社化しました。また、原材料の輸入及び製品の輸出、木工製品の企画、製造、組立、検品等が行える海外拠点として、2019年10月にベトナムで「GenepaVietnam Co.,Ltd.」を設立いたしました。国内市場への販売に加え、今後も継続的に拡大することが想定される海外市場を取り込むことで、当社グループの業績拡大を加速させてまいります。 当社の事業拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの更なる強化が重要な課題であると認識しております。今後も監査役と内部監査の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでまいります。 以下において、当社グループの事業、経営の状況などに関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を記載しております。 当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生後の対応に努めるものでありますが、当社グループの株式に関する投資判断は、本項及び本報告書中の本項以外の記載事項も慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループのビジネスモデルは、インターネットを介して商品情報を提供し販売しております。インターネットの更なる普及及び利用拡大、企業の経済活動におけるインターネット利用の増加等が事業展開の基本条件であると考えています。しかしながら、仮にインターネットの普及に伴う新たな法的規制の導入、技術革新の停滞、通信コストの改定などの予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。それらのリスクに対して当社グループは、グループ各社の事業環境及び経営状況を常に把握し、必要に応じて当社取締役会等にて検討してモニタリングを行うなど、安定した業績及び健全な財政状態の維持に努めております。 当社グループが属するEC分野においては、小規模な事業者まで含めるとECを行う事業者は多数存在しています。参入障壁が低いことから、EC市場のさらなる拡大に伴い、新規参入業者が増加し、利益率や品質を度外視した過当な価格競争が業界内に横行するような状況になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、カタログ等の紙媒体を主力としている大手の通信販売事業者がインターネットを本格的に活用した販売活動を強化する可能性もあります。豊富な商品群や顧客基盤、販売ノウハウを有するカタログ通販業者等がインターネットによる販売活動を強化した場合、想定していた市場シェアを確保できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、安全性を確認できる商品のみ提供する方針であるため、健康等への影響が大きい化粧品や健康食品については、大手メーカーにて検査体制や品質の維持及び管理において安全性が確保されていると考えられる商品以外は取り扱わない方針であります。また、他の商品においても、製造者や卸業者が提示する機能などに関しては、可能な場合は第三者機関証明書を徴求する等、出来る限り表示内容の確認を実施し、お客様により安心して購入していただくための環境整備に努めております。しかしながら、当社グループの取扱商品について、製造者や生産者による表示の偽装や品質に関する虚偽の情報提供などが行われる可能性は否定できません。かかる事象が発生した場合、行政処分や消費者からのクレームによる損害賠償等が生じる可能性があるとともに、当社グループの対外的信用力が低下することにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、EPOというマーケティング手法により、インターネット上のECモールにおけるマーケティングの最適化を行うことを大きな武器として成長しております。そのため、日本の代表的なECモールである楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECのインフラとも言うべき企業の運営方針の影響を受けます。複数のECモールへの出店や独自サイトの運営の開始などにより、1つのECモールに依存しない運営体制の構築に努めております。しかしながら、ECモールが同一企業による複数の店舗の出店を禁止することによる既存店舗の閉鎖や、販売ロイヤリティ率の引き上げに伴いECモールへの出店に関する費用が増大する場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、夏季休暇が含まれる8月~9月は売上高・利益が減少する傾向にあり、11月~12月の贈答シーズンに売上高・利益が増加する傾向にあるため、通期の業績に占める第1四半期の比重が高くなっております。それらのリスクに対して当社グループでは、在庫状況を常に把握し、必要に応じて当社経営会議等にて検討してモニタリングを行うなど、安定した売上高・利益確保に努めております。このため、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であり、第1四半期の業績如何によっては年度の経営成績が影響を受ける可能性があります。 当社グループでは、主に静岡県磐田市並びに愛知県春日井市などに売れ筋商品を中心とした在庫を保有しており、当該商品の検品・保管・仕分・梱包といった物流関連業務を物流サービス業者に委託しております。これらのリスクに対して当社グループでは、常に当該物流サービス企業の状況を把握し、配送費用に関する他社比較を行いながら、新たな物流拠点の開拓に努めております。当該物流サービス企業の業績の悪化や在庫を保有している倉庫が自然災害又は火事などにより操業できなくなった場合、在庫の滅失、毀損や配送遅延、サービス一時停止などといった事態の発生により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループからお客様への商品配送は、そのほとんどを佐川急便株式会社やヤマト運輸株式会社などの運送会社を介してお客様に商品をお届けしております。これらのリスクに対して当社グループでは、リスク分散の観点からも各社との良好な取引関係の維持に努めるとともに、代替的な配送業者との関係構築を常に模索するように努めております。しかしながら、今後、各社からの大幅な配送料の値上げ要請や取引関係の縮小などがあった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループがメーカーや卸業者から仕入れる商品の多くは、主に中国やベトナム等において生産されております。したがって、当該地域に関連する地政学的リスク、社会リスク、信用リスク、市場リスクは、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外で製造された商品であるが故に、為替変動におけるリスクはメーカーや卸売事業者からの仕入価額の変動を通じて当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、商品企画関連事業について、主にベトナムの業者との取引を通じて、輸入仕入に関わる外貨建取引の決済及び売上に関わる外貨建取引の決済、外貨建資産・負債の換算に際しては為替相場の影響を受けております。したがって、為替の動向によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。それらのリスクに対して当社グループは、現地に派遣している当社従業員を中心に各社の事業環境及び経営状況を常に把握し、必要に応じて当社取締役会等にて検討してモニタリングを行うなど、安定した業績及び健全な財政状態の維持に努めております。 当社グループの事業は、WEBサイトの管理を始め、受注、発注、仕入、在庫、発送、売上までのほとんどの業務が業務管理システムに依存しております。想定を超えたアクセスの急激な増加や、コンピュータウィルスの侵入、人為的な破壊行為又は構築したアプリケーション内の不具合等、様々な要因によって当社グループのシステムに障害又は問題が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して当社グループでは、それぞれ予備系統や予備データの保有機能等の二重化措置やファイヤウォール、ウィルスチェック等、外部からの攻撃を回避するための対策を講じるなど、緊急時においても事業を継続できるよう定期的なメンテナンスを実施しております。 当社グループは、EC等による商品の販売に際してお客様の氏名、住所等の申し出を受け、多くの個人情報を保有するため、2005年4月に施行された「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)に規定する個人情報取扱事業者に該当します。当社グループのお客様などの個人情報が社外に漏洩した場合には、損害賠償や社会的な信用失墜等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して当社グループでは、個人情報にかかる取り組みとして、アクセスコントロール、情報管理規程・マニュアルを制定し、プログラム作成者の教育訓練及び全社員を対象とした社内教育を徹底しております。また、現在、プライバシーマークについての認定を更新し、情報管理体制の整備強化に努めております。 当社グループが事業を展開しているインターネット関連の業界は、新たな技術革新やサービスが次々と登場することが特徴となっております。技術革新等への対応が遅れた場合や、システム等に関連する投資額や費用が予想外に増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。それらのリスクに対して当社グループでは、技術革新等により開発されたサービスや機能等を当社グループ事業に活用するため、優秀な人材育成及び確保を中心に積極的な対応に努めております。 当社グループは、「不当景品類及び不当表示防止法(景表法)」、「特定商取引に関する法律(特商法)」及び「薬事法」等の法令による規制を受けております。これらの法令等に抵触した場合、当社グループのブランドイメージが損なわれることによるお客様からの信頼度の低下や法令等の改正又は新たな法令等の制定により法的規制が強化された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して当社グループでは、事業担当部署を中心に該当法令等を遵守するための管理体制及び従業員教育を徹底し、必要に応じて研修や指導を行うなどコンプライアンス体制の整備に努めております。 新型コロナウイルス感染症による影響は、2022年11月以降も継続すると見込んでおり、同感染症による影響は不確定要素が多く、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して当社グループでは、取引先様、グループの従業員とその家族等の安全と健康を第一に考え、社員の時差出勤・在宅勤務の推進、就業時間中のマスク着用の徹底、海外出張の停止、テレビ会議システムの活用を実施するなど、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための対策を講じております。 代表取締役岡本洋明は当社の設立の中心人物であり、経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社グループの依存度は高くなっております。 当社グループにおいては、同氏に過度に依存しない経営体制を構築すべく、他の取締役や従業員への権限委譲等を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、急激な事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、内部での人材育成と抜擢及び外部からの人材登用に努めております。 また、特にお客様からの問い合わせ等に対応するカスタマーサービス業務については、労働集約的な側面があり、恒常的に多数の従業員を効率的に配置する必要があることから、当社グループとしてはその採用と教育に努めております。 しかしながら、当社グループの属する市場が今後拡大し、競争が激化すれば、競合他社との人材獲得競争も激化し、当社グループの人材が外部に流出することや、人材確保に支障をきたすことも想定されます。また、今後急激な受注高の増加などに伴い業務量が急増した場合、出荷関連業務やカスタマーサービス業務の人員不足により業務効率が低下するなどの事態が発生することも想定されます。このような事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の低迷からは脱しつつあるものの、地政学的リスクの高まりや米国金利上昇の影響、エネルギー・原材料価格の高騰に加え円安等の影響により依然として不透明な状況が続いております。 当社グループが関連する小売業界全体では、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着きを見せており、個人消費は持ち直しの動きが続いておりますが、依然として急激なインバウンド需要の回復は見込めない状況であることから、引き続き厳しい状況にあります。一方、当社グループが属するEC市場におきましては、新型コロナウイルス感染症が長期化する中、外出自粛や在宅ワークの浸透の他、EC利用が消費者の間で徐々に定着しつつあることから、引き続き市場拡大しております。 このような状況の中、当社グループの主力事業であります「ECマーケティング事業」につきましては、家具・家電・生活雑貨等の売上が好調であったことから、連結グループの売上高は前年同期を上回る水準で推移いたしました。利益面につきましては、「ECマーケティング事業」において、急激な円安及び国際的なエネルギー・原材料価格の高騰による仕入価格の大幅な上昇に伴う影響が大きかったことから減益となったものの、「商品企画関連事業」において、中国及びベトナムでの工場稼働率が向上し売上が順調に進捗してきていることから、グループ全体として前年同期を上回る水準で推移しました。 また、営業外収益において、主に当社ベトナム子会社であるGenepa Vietnam co.,Ltd社(以下、「ジェネパベトナム社」といいます。)が有する外貨建債務に係る為替差益として266百万円が計上されております。なお、当該債務から発生する為替差損益は、ECマーケティング事業における仕入に係る為替の影響と逆相関の関係にあり、円安局面においては、営業外の区分で為替差益が発生し、円高局面においてはECマーケティング事業の営業利益が増加する一方、営業外の区分で為替差損が発生することになり、結果として当社グループの為替リスクを一定程度ヘッジする機能を有しております。 以上の結果、当連結会計年度における売上高は15,979百万円(前年同期は13,224百万円)、営業利益は74百万円(前年同期比11.0%増)、経常利益は396百万円(前年同期比175.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は343百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失90百万円)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 「ECマーケティング事業」につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で喚起されたEC需要や在宅勤務・巣ごもり需要等、変遷する消費者ニーズを的確に捉え、新商品を継続的に導入したことにより、家具・家電・生活雑貨等の販売が好調に推移し、売上高は前年同期比で増収となりました。一方、利益面につきましては、急激な円安及び国際的なエネルギー・原材料価格の高騰を受け仕入価格が大幅な上昇局面にあったため、前年同期比で減益となりました。翌期以降は、従前より取り組んでいる自社PB商品の開発、高利益率商品の開発に引き続き注力するとともに、上昇する配送コストの抑制や提携先倉庫の選択と集中を推進し利益を確保してまいります。 以上の結果、売上高は12,483百万円(前年同期は10,865百万円)となり、セグメント利益は267百万円(前年同期は360百万円のセグメント利益)となりました。 「商品企画関連事業」につきましては、ベトナムにおける新型コロナウイルス感染症の各種制限が緩和されてきており、また、生産体制の構築が進み工場稼働率が向上したこと及び当社中国子会社である青島新綻紡貿易有限会社の受注が好調に増加していることから、売上高、利益面ともに前年同期比で大きく増加いたしました。 「その他」につきましては、非物販事業としておしゃれなインテリア・雑貨の紹介、それらの実例の紹介及び家に関するアイデアを紹介するWEBメディア「イエコレクション」(https://iecolle.com)について、掲載する記事数やPV数の拡大に向けた人員増加等への投資の他、新たに「イエコレクション」の収益拡大を目標に、シーン・相手別におすすめの贈り物をセレクトするWEBメディア「プレゼントコレクション」を立ち上げたことにより、翌期以降はさらに売上面・利益面で寄与することが見込まれております。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度に比べ1,039百万円増加し、4,638百万円となりました。 流動資産は4,364百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,023百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、売上回収代金の増加及び金融機関からの借入により現金及び預金が559百万円増加し、取引高の増加により受取手形及び売掛金が173百万円増加、各モールにおける施策向けの在庫確保により商品及び製品が250百万円増加したこと等によるものであります。 固定資産は273百万円となり、前連結会計年度末に比べ15百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、機械装置及び運搬具が44百万円増加したこと等により有形固定資産が35百万円増加しましたが、のれんが23百万円減少したこと等により無形固定資産が22百万円減少したことによるものであります。 負債は、前連結会計年度末に比べ705百万円増加し、2,640百万円となりました。 流動負債は2,536百万円となり、前連結会計年度末に比べ791百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、商品等の仕入増加により支払手形及び買掛金が177百万円増加、運転資金の資金調達及びM&Aに関する資金の需要への備えを目的として締結したコミットメントライン契約による融資により短期借入金が500百万円増加し、ロイヤリティや決済手数料等の変動費が増加したことにより未払金が53百万円増加したこと等によるものであります。 固定負債は103百万円となり、前連結会計年度末に比べ86百万円の減少となりました。主な要因といたしましては、返済により長期借入金が97百万円減少したこと等によるものであります。 純資産は前連結会計年度末に比べ334百万円増加し、1,997百万円となりました。主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が343百万円増加したこと等によるものであります。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ559百万円増加し、1,349百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果、獲得した資金は177百万円(前連結会計年度は432百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額165百万円、売上債権の増加額143百万円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益397百万円、未払金の増加額53百万円、賞与引当金の増加額35百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。 投資活動の結果、使用した資金は87百万円(前連結会計年度は71百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出78百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。 財務活動の結果、獲得した資金は401百万円(前連結会計年度は23百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の増加額500百万円の資金の増加要因があったものの、長期借入金の返済による支出97百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。 当連結会計年度における生産高及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であります。また、マーケティング事業においては、一部需要動向を見込んだ商品仕入を行っております。そのため、受注実績に重要性がないため、記載を省略しております。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。 見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。 経営状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上目標達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。当社グループでは売上高や経常利益について現在の水準からさらなる向上を図ってまいります。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 当社グループでは、依然として消費動向が不安定な難しい状況下ですが、「世代を越えた人と人との架け橋」の経営理念の下、引き続き消費者目線に立った価格設定、配送への適切な配慮及び品質とのバランスにこだわり、業績の改善に全力で取り組んでまいります。ECマーケティング事業におきましては、商品取扱高の増加に注力するとともに、利益成長を目指すためにECサポート事業及びメディア事業に注力していく方針であります。商品企画関連事業におきましては、ECマーケティング事業で蓄積されたビッグデータを活用し、商品提案及び新規顧客開拓を加速させ、売上高及び利益の拡大に努めてまいります。 新規EC事業への戦略的投資に関する資金及びM&Aに関する資金の需要への備えとして、前連結会計年度に引き続き2022年6月に取引銀行と期間を1年間とするコミットメントライン契約を締結しました。当該契約に基づく無担保・無保証の借入設定上限は総額1,000百万円です。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が会計上の見積りに与える影響については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。 該当事項はありません。 当社グループは、マーケティングデータの基礎となるビッグデータの収集・分析に関わる幅広い技術の研究開発のほか、新商品の研究・開発を行ってまいりました。 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は24百万円であります。 該当事項はありません。 商品企画関連事業においては、生地に改良を加えた新商品の研究・開発に取り組んでおります。なお、当事業に係る研究開発費は24百万円であります。 該当事項はありません。
株式会社ロジック・アンド・デザイン
# 株式会社ロジック・アンド・デザイン 当社設立以後の沿革は、次のとおりであります。 当社グループは、当社及び関係会社(株式会社ロジック・アンド・システムズ)の計2社で構成されており、画像鮮明化アルゴリズム及び復元高解像度化技術の開発、当該技術を利用した製品の製造、販売及び当該技術を利用したソリューションの提供を主な事業として取り組んでおります。 当社は画像鮮明化アルゴリズム及び復元高解像度化技術を進化普及させるために設立いたしました。新規性、特異性の際立った両技術の開発力、応用・汎用力を基盤に、各搭載製品(ハード・ソフト・ネットワークカメラ等)の開発販売、及び取引先のニーズに応じてカスタマイズした個別開発プロジェクトの推進に取り組んでおります。「より見える化(視える化、診える化、看える化、観える化)」のソリューション・プロバイダーとして、昨今のAIによる画像処理等の画像加工技術とは一線を画し、記録されている画像・映像データのみを処理することで“画を作らない、加工しない”をコンセプトとし、医療やヘルスケアに代表される「ライフサイエンス」、防犯・警察関係に代表される「セキュリティ」、そして防災・ドライブレコーダー・車載カメラ、検査、ドローン等に代表される「インフラストラクチャー」の3領域を事業ドメインと捉え、「先の見えない時代だからこそ、安全・安心・快適な暮らしと社会を、より鮮明に、より身近に!“Sharpening and Enhancing Images for Better QOL”」をモットーに、画像処理・画像認識のマーケットにおけるコア・テクノロジーとしてあらゆるデバイスに搭載される必須エンジンのポジション確立を目指しております。 当社グループが主に開発、販売する製品は下記のとおりです。 映像のわずかな変化を可視化する技術を搭載し、監視カメラなど特有の不明瞭映像をリアルタイムで鮮明化。カメラとモニター間の映像ラインに挟み込むだけで鮮明化の実現が可能。 あらゆる環境下で最善の映像を提供する画像鮮明化技術を搭載したカメラ。一般のブラウザでも操作が可能であり、パソコン、タブレットやスマートフォンでも閲覧や鮮明化の調整を行うことが可能。 カメラや画像ファイルの見えづらい映像をすべてその場で鮮明映像にするソフトウエア。デスクトップに処理対象を表示して処理領域をビューウインドウで囲むことで画像処理が完了。 ネットワークに接続されたカメラやスマートフォン、PC、サーバーなど様々なデバイスからアクセスしてクラウド上で画像処理を提供。 当社の事業の系統図は、次のとおりであります。 本項「3 事業の内容」において使用する用語の定義については、次のとおりであります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく方針でありますが、当面は研究開発活動を継続するための資金の確保を優先し、なお一層の事業拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。 なお、剰余金の配当を行う場合には、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。 当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。 当社は、刻々と変化する経営環境に柔軟に対応できる組織体制と、経営システムの透明性、健全性並びに効率性を継続し、株主からの信頼及び社会的責任を果たすことをコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としております。 当社は、取締役4名(2022年2月28日現在)により随時必要に応じて会議体を開催しており、取締役の行為が法令・定款を遵守し適法かつ適正になされていることを相互に監督しております。 当社は、取締役が経営の方針、法令で定められた事項及びその他経営に関する重要な事項を決定するとともに、会社の業務執行状況を監督しております。 当社は、会計監査について監査公認会計士から取締役が、金融商品取引法に基づく会計監査の報告を受けております。また法律事務所と顧問契約を締結し、企業経営及び日常業務に関して法律上のアドバイスを受ける体制をとっております。 当社のリスク管理体制は、経営目標に対する適合性、業務実施の有効性、法令の遵守状況、リスク管理等の視点から、各部門に対して随時業務の改善に向けた助言、勧告を行っているとともに、各従業員の日常的な危機管理意識の向上を促しております。 当社は、取締役の定数を1名以上とする旨を定款で定めております。 当社は、取締役の選任決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う旨を定款で定めております。 当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の3分の1以上を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨を定款に定めております。 該当事項はありません。 当社は、監査役を設置しておりません。 当社は、内部監査組織を設けておりません。 上記の者以外に当社の会計監査業務に係る補助者はおりません。また、監査証明に対する審査体制として他の公認会計士による審査を受けております。 当社は監査公認会計士として独立性、専門性、監査の品質管理体制および監査報酬等を総合的に勘案して選定しており、検討した結果、適正と判断しております。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 該当事項はありません。 当社の監査公認会計士等に対する監査報酬は、監査日数、当社の規模・業務の特性等の要素を勘案して、適切に決定しております。 当社は非上場会社でありますので、記載すべき事項はありません。 なお、役員報酬の内容につきましては、「7 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。 関係会社株式以外は保有しておりません。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は個々のニーズに対してカスタマイズした「画像処理・認識アルゴリズム」の開発、及び具体的製品・サービスの提供を通して、バックヤードインフラにおけるコア・テクノロジーとして、大型プロジェクトのコンセプト開発も視野に入れ、“人々のQuality Of Lifeの向上に貢献する“をミッションと掲げて事業に取り組んでおります。 当社設立以前から培ってきた様々な技術や知見によるシナジー効果を最大活用し、生産現場、セキュリティ、店舗戦略(販売促進)、エンターテイメント、交通・移動手段等々の工業的領域におけるインダストリー関連事業に留まらず、AIとの連携による遠隔診療等に代表される医療・介護等をコアとする広義のライフサイエンス分野においても、付加価値の高いアルゴリズム開発と製品の提供によりコア・テクノロジーの立ち位置を確立してまいります。 AIが人類を超えると言われる2045年の転換点、所謂「シンギュラリティ」(技術的特異点)も、日々の技術進化のスピードで更に速まるのではとも言われています。また、カメラによる監視社会とも言われ、4Kから8K等高解像度カメラの加速的開発スピード、IoT、ドローン、顔認証、自動運転技術等々その分野を超えた様々な領域で「画像」の処理、解析、加工がコア・テクノロジーになりつつあります。 このような環境下において、当社は画像認識領域において「より視える化及び視えないものの可視化」に向けての様々な分野からのニーズに応えるべく引き続き技術力を高めてまいります。また、同時に単なる技術開発だけではなく製品化、実装化も強みとしており、それにより当社の製品は提供先が限られることなくベンダーフリーであるため、どのメーカーのデバイスに対しても「より視える化」を付加してエンドユーザーに提供することが可能であり、当社の技術と製品の普及をより広く進めることができると考えております。 なお、さらなる展開を進めるべく近い将来アルゴリズムを小型化したチップにすること(ASIC=”LISr-ISP”の開発)を計画しております。このチップ化により、防犯・監視・産業用カメラ、ドローン、ドライブレコーダー・車載カメラ等の小型のカメラへ直接組み込むことが可能となる他、コスト削減、大量生産、省電力、処理高速化等のメリットが得られ、利用用途の広がりが爆発的に進むことを目指しております。 当社が対処すべき主要な課題は、以下の項目と認識しております。 当社が事業の拡大や成長、技術力の向上を図るためには、優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しております。それに対して優秀な人材の継続的採用のみならず、社員個々の才能を伸ばす取り組みを積極的に推進し、社員全員が当社の理念や方針を深く理解し共感できるよう、環境づくりも含めてより強固な社内体制の構築に取り組んでまいります。 当社の技術や製品に対して幅広い分野から多くの関心が寄せられており、これらに対応するためには深い経験や知見及び技術面にも精通している人材が必要であると認識しております。そのためには優秀な人材の採用と育成を進めると同時に、さらなる販路拡大のために各種展示会への出展やセミナーの開催等による認知度向上と新規顧客獲得を進め、マーケティングの強化に取り組んでまいります。 研究開発が先行している当社では、今後も研究開発資金が先行して必要となる見込みであり、さらには人材採用等による社内体制強化のためにも事業資金の安定的な確保が必要であると認識しております。そのために当社は、販売強化により営業活動によるキャッシュ・フローのプラス転換を早期に目指すとともに、金融機関からの借り入れの他、エクイティファイナンスでの資金調達を検討しております。 当社は現在小規模な組織であるものの、今後の組織拡大に向けて業務効率化やリスク管理、コーポレート・ガバナンスや内部管理体制強化の必要性が増していくものと認識しております。それに対して内部統制の適切な運用や社内教育を推進し、また、これらの知見を有する人材の採用も検討するなどにより内部管理体制の強化を図ってまいります。 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社は現状、エクイティファイナンスでの資金調達や、金融機関からの借入により資金繰りを維持できております。しかし、当社は研究開発にかかる先行投資として多額の資金を必要とするため、その研究開発費負担により当期純損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続する見込みであります。このため、当社は新製品が上市し、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期にエクイティファイナンスでの資金調達等を実施する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。 当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。また、当社の事業活動は、現在の経営陣や重要な役割を担う従業員に依存するところがあります。当社は今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人材の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適切に行われなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社が事業の拡大や成長、技術力の向上を図るためには、優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しておりますが、外部からの優秀な人材確保が想定通りに進まなかった場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、研究開発活動等により獲得した技術等について、特許等をはじめとした知的財産を確保するよう努めております。しかしながら、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害し、特許に対する対価の支払や損害賠償請求等が発生してしまう場合や、反対に第三者により当社の知的財産権が侵害される可能性は否定できません。これらの場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 国内外の多くの企業や団体等により、新たな画像処理等に関する研究開発が行われており、技術革新は急速に進んでいる状況にあります。したがって、予想以上の急速な技術革新や代替技術・汎用的な競合製品の出現等による市場環境の変化に当社が適切に対応できない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社は画像処理ソリューション提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 当事業年度は、主に新型コロナウイルス感染拡大の長期化と、半導体不足による機器や部材の調達難の影響により厳しい年度となり、営業活動の停滞が余儀なくされました。このような環境の中においても、念願の医療領域参入として、医療用リアルタイム画像鮮明化装置MIEr®」(Medical Image Enhancer)の販売を開始し、医療機器事業が本格的に稼働を始めました。また、出願していた特許が権利化され、ファイバースコープ画像補正に関する件、画像鮮明化アルゴリズム(第3世代)により画像修正方法に関する件、暗視逆光特化型画像鮮明化に関する件、画像鮮明化アルゴリズム(第4世代)により画像修正方法に関する件、以上4件の特許を取得いたしました。 なお、当社常務取締役技術開発本部長が代表取締役を務めており開発専任会社であった株式会社ロジック・アンド・システムズの株式を取得し子会社化。技術・製品開発をより合理的に進めることができる体制を整えました。 以上の結果、当事業年度の売上高は87百万円(前年同期比7.4%増)となりましたが、研究開発費等の増加により営業損失は94百万円(前年同期は営業損失40百万円)、経常損失は94百万円(前年同期は経常損失44百万円)、当期純損失は98百万円(前年同期は当期純損失47百万円)となりました。 資産につきましては、前事業年度末に比べ48百万円増加し、1億33百万円となりました。これは主に、現金及び預金が19百万円、棚卸資産が10百万円増加したこと等によるものであります。 負債につきましては、前事業年度末に比べ6百万円減少し、18百万円となりました。これは主に、買掛金が4百万円、借入金が4百万円減少したこと等によるものであります。 純資産につきましては、前事業年度末に比べ55百万円増加し、1億14百万円となりました。これは主に、利益剰余金が98百万円減少した一方、資本準備金が1億53百万円増加したこと等によるものであります。 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ19百万円増加し、94百万円となりました。 営業活動の結果支出した資金は、1億21百万円(前年同期は23百万円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失が97百万円、売上債権の増加額が9百万円、棚卸資産の増加額が10百万円あったことによるものであります。 投資活動の結果支出した資金は、7百万円(前年同期は4百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が4百万円、関係会社株式の取得が3百万円あったことによるものであります。 財務活動の結果得られた資金は、1億49百万円(前年同期は96百万円の収入)となりました。これは主に株式発行による収入が1億53百万円あったことによるものであります。 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 当社は受注から販売までの期間が短いため、記載を省略しております。 当事業年度における販売実績を事業ドメイン別に示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び負債の残高、収益及び費用等に影響を与える仮定や見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる合理的見積りを行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれらの見積りと異なる可能性があります。 なお、当社の財務諸表を作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第4 経理の状況 1財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載の通りであります。 財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のようなものがあると考えております。 当社は、画像処理ソリューション提供事業の単一セグメントであるため、全社一体として資産のグルーピングを行っており、遊休資産等については個別資産ごとにグルーピングを行っております。減損の兆候があると認められる場合には、減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しております。 経営成績の状況の分析については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。 財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入代金、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金及び設備投資の資金調達については、自己資金を基本としており、必要に応じて金融機関からの借入金を実施しております。 当社は画像鮮明化アルゴリズム及び復元高解像度化技術を進化普及させるべく、それらの技術の実用化やさらなる高度化を目指してパートナー企業と共に研究開発に取り組んでおります。 当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は36,961千円であります。なお、当社の事業は画像処理ソリューション提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
東武鉄道株式会社
# 東武鉄道株式会社 当社グループは、当社、子会社73社及び関連会社10社で構成され、主要な事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。 なお、当社グループでは、「事業構造改革と事業推進体制の見直し」の一環として、グループ会社の機能強化と効率化を目的に連結子会社を再編したことに伴い、当連結会計年度よりセグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 上記部門の会社数には当社が重複して含まれております。 企業集団の状況について事業系統図を示すと次のとおりであります。 提出会社及び連結子会社には計36の労働組合があり、組合員数の合計は10,754人であります。 提出会社には東武鉄道労働組合があり、2023年3月31日現在の組合員数は、3,091人であります。東武鉄道労働組合の上部団体として東武交通労働組合があり、日本私鉄労働組合総連合会(私鉄総連)に加盟しております。 なお、労使関係について特記すべき事項はありません。 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループでは以下のとおり、「東武グループ経営理念」、「東武グループ経営方針」を定めております。 東武グループでは、「奉仕」「進取」「和親」を経営の拠り所としています。 「奉仕」:東武グループは、東武グループの全ての事業が社会に支えられていることを深く自覚し、豊かな社会の実現に貢献します。 「進取」:東武グループは、現状に甘んじることなく、常に研鑚に励み、時代を切り開く開拓者精神をもって新たな挑戦を続けます。 「和親」:東武グループは、人の和や環境との調和をもとに事業の発展と従業員の幸福を図り、社会の進展に寄与します。 お客様の暮らしに密着した事業を通じて沿線地域の発展に貢献する企業グループとして、安全・安心を根幹に「運輸」「レジャー」「不動産」「流通」等の事業を多角的、複合的に展開します。 お客様の視点に立ち、質の高い先進性や独創性あふれるサービスを提供し、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指します。 事業を通じて安定的に利益を創出しながら、環境にも配慮した経営を進め、お客様の生活を担う企業グループとして地域社会とともに持続的に発展することにより、企業の社会的責任を果たします。 2022年度の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限措置が緩和される中、感染拡大防止を図りながら社会経済活動が進められ、徐々に回復する動きがみられました。 2023年度においては、社会経済活動の進展が期待される一方、働き方や生活様式の変化に伴い、お客様の需要に応える取り組みを積極的に行うとともに、社会インフラの1つである鉄道事業を中心に社会を支え、地域のさらなる発展に全力を尽くしてまいります。 当社グループは、2022年度から3か年を期間とした中期的な事業計画を推進しており、重点戦略として「事業構造改革と事業推進体制の再編」、「新たなビジネスモデルによる収益力の拡大」、「社会課題をニーズと捉えた事業推進による収益拡大」の3つを掲げております。 昨今の事業環境の変化を踏まえ、「事業構造改革と事業推進体制の再編」の着実な実施による目標数値の早期達成をはかるとともに、事業環境の回復傾向を捉えた収益拡大をはかる施策を機動的に実施し、次なる成長ステージへの回復を目指してまいります。 「事業構造改革と事業推進体制の再編」については、事業環境の変化に伴う業務内容の抜本的な見直しとデジタル技術の活用等による費用の削減と省人化等に取り組み、経営体質の強化と生産性の向上を進めております。 ホテル業における損益分岐点の引き下げや、既存事業における本社人員の3割削減については2022年度に早期に達成しており、鉄道業における固定費割合削減についても、2023年度に目標数値の早期達成を目指しております。 「新たなビジネスモデルによる収益力の拡大」並びに「社会課題をニーズと捉えた事業推進による収益拡大」については、既存事業の磨き上げに留まらず新たな事業を育成し、次なる成長ステージに繋げてまいります。 ソーシャルイノベーション事業として、これまで旅行業で培ったノウハウを活かし、地域の課題を解決する新たな収益事業をポートフォリオに組み入れ、今後の成長事業に繋げてまいります。デジタルマーケティングを活用した収益拡大として、グループポイントサービスである「TOBU POINT」の利用会員を増やすとともに、移動と購買のデータを一元管理することでマーケティングに活用し、2024年度の目標数値であるデジタルマーケティング対象売上400億円を2023年度に早期に達成したうえで、連結収益の拡大を目指します。沿線開発については、獨協大学前や南栗橋の取り組みをモデルケースとしたまちづくりに加え、拠点駅の開発とともに拠点と都心部を結ぶエリア開発戦略や、本年度に都市計画提案を予定している池袋エリアの再開発を推進し、沿線の価値を高めてまいります。さらに、インバウンドの取り込み強化や、MaaSの販売力強化などにより観光需要を最大限取込み、収益力を強化してまいります。 加えて、東武グループが有する様々な事業展開や、都心から郊外まで広域な住環境を有する沿線の特長を生かしながら、沿線の子育て世代や通勤定期券の継続利用者に「TOBU POINT」を付与する独自の取り組みなどにより、ライフスタイルに応じたサービスを推進してまいります。 また、昨今の環境に関する意識の高まりを好機と捉え、環境保護ニーズを捉えた新たなビジネスの創造や自社アセットの脱炭素を推進し、新たな収益機会を獲得するとともに、省エネ化による費用の抑制をはかってまいります。特に日光エリアにおいては、環境配慮型・観光MaaSである「NIKKO MaaS」を基盤とし、地域との連携をはかりながら脱炭素への取り組みを進化させるとともに、7月に運行開始する新型特急スペーシアXにより、エコリゾートとしてのエリアブランディングを強化してまいります。温室効果ガスの排出を削減する取り組みについては、日光・鬼怒川エリアで実質再生可能エネルギー100%の列車運行に加えて、電車の回生エネルギーを駅の照明等の電力に変換する電力回生インバータ装置の設置などにより、2030年度には鉄道事業におけるCO2排出量を2013年度比で約50%の削減を見込み、地球温暖化を防ぐ各種対策を継続してまいります。 さらに当社グループにおいては、深刻化する少子高齢化の現状に対応するため、子育てしやすい環境の整備や制度の充実をはかっております。子育て中の社員がキャリア形成できる制度の導入や、出産・育児から復帰後の活躍をサポートし、高い満足度を維持しながら働けるとともに、個々のライフステージに合わせて、柔軟で安心して働きやすい環境を整備してまいります。また、自律的なキャリア形成を通じて、能力を最大限に発揮できる環境の充実を図ってまいります。当社グループでは、人的資本の活用を通じて豊かな社会の実現に貢献し、新たな取組みにチャレンジできる組織運営を目指すことで、社会課題の解決に寄与してまいります。 当社グループは、1897年の設立以来、社会とともに持続的な発展を遂げてまいりました。1969年には当社社是として「奉仕」「進取」「和親」を制定、現在はこれを「東武グループ経営理念」として掲げ、安全・安心を根幹に、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指す「東武グループ経営方針」のもと、事業を通じて社会課題の解決に取組むことで、社会の持続的な発展の一端を担いつつ、当社グループも発展してまいりました。 これからも、沿線の特長や経営資源を活かしながら、社会課題の解決を通じて、将来にわたって新たな価値を創造し、家族や地域社会の人々がお互いに助け合う「共助」を基盤とした「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」を実現することで、社会に不可欠な企業集団となることを目指してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、広域な鉄道ネットワークに広がる沿線地域が事業基盤であり、これまで以上に沿線を中心とした社会の持続的な発展を実現することは、当社グループの最も重要な課題であると考えております。 当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会の変容とともに、少子高齢化の進展、地球温暖化や廃棄物処理をはじめとした環境問題など、様々な社会課題に直面しており、新たなビジネスモデルの構築とともに、課題の解決が必要であります。 当社グループは、1897年の設立以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組むことで、社会の持続的な発展の一端を担いつつ、当社グループも発展してまいりました。 これからも、沿線の特長や経営資源を活かしながら、社会課題の解決を通じて、将来にわたって新たな価値を創造し、家族や地域社会の人々がお互いに助け合う「共助」を基盤とした「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」を実現することで、社会に不可欠な企業集団となることを目指してまいります。 この考え方のもと、当社が特定したマテリアリティ(重要課題)と、課題解決により社会の発展と企業価値の向上を持続的に創出するプロセス(価値創造プロセス)については、以下のとおりであります。 「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現に向けた価値創造を行ってまいります。 詳細は当社ホームページ「https://www.tobu.co.jp/corporation/management/group/」をご参照ください。 当社が特定したマテリアリティは、経営会議において審議するとともに、独立社外取締役が議長を務めるガバナンス委員会において審議、評価を行い、議長からコーポレート・ガバナンスに資する旨、取締役会に報告しております。 また、ガバナンス委員会は年2回開催され、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会、環境推進委員会等サステナビリティに資する各委員会の委員長から、活動計画及び活動報告、提言を受け、審議、評価を行い、取締役会へ上申しております。 上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。 それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 東武グループでは、鉄道事業を中心とした高い環境優位性を更に向上させ、環境負荷・気候変動リスクの低減につなげております。また、あらゆる事業分野において、廃棄物の排出抑制をはじめとした環境保全活動や自然災害によるリスクを低減させる取組みを推進して、持続可能な社会の構築に寄与し、企業の成長との両立を図っております。 当社では、この取組みを推進すべく、環境推進委員会担当取締役を委員長とし、各本部長及び環境経営に関係する部・室の担当執行役員及び部・室長で構成する環境推進委員会を設置し、気候変動に係るリスク・機会(以下、「気候変動リスク等」と言います。)について議論・検証を行っております。 代表取締役、社外取締役及び常勤監査役を委員とし、社外取締役が議長となり会議を主宰するガバナンス委員会において、環境推進委員会委員長は気候変動リスク等にかかる活動計画及び活動報告、提言を行います。ガバナンス委員会では、その内容について審議、評価を行い取締役会へ報告する等、気候変動リスク等に対する取組みにかかるガバナンス体制を構築しております。 また、気候変動リスク等にかかる取組みについては、東武グループにおける危機管理上重要な事項と捉え、危機管理委員会へ共有を図り、適切に管理される体制を構築しております。 連結決算上、最大の財務的影響を及ぼす当社の鉄道事業を対象に、気候変動の影響について、気候変動研究の分野で用いられる国立環境研究所による社会経済シナリオ(SSPシナリオ)のうち、持続可能な社会シナリオ(SSP1、2℃未満シナリオ)と地域分断社会シナリオ(SSP3、4℃シナリオ)を比較し、それぞれの社会における「リスク」と「機会」並びに「収益」への影響について分析しました。 SSP1とSSP3それぞれに、気候変動による当社鉄道事業への影響を「物理リスク」(洪水や暴風雨をはじめとした異常気象による倒壊など)と「移行リスク・機会」(低炭素経済への移行による規制の強化や新技術の導入、消費者の嗜好・行動の変化による市場や評判の変化など)に分類し、以下のとおり分析を行いました。 異常気象の増加に伴う水災リスクとして、鉄道事業の「施設」「設備」への財務的影響を分析しました。この分析では、洪水リスク評価モデル(注1)や気候予測データベース(注2)を使用し、鉄道事業に関する個々の資産(駅舎、線路、電気設備等)が洪水によって物理的にどの程度の損害を受けるか評価しております。過去の気象データをもとに、当社線全線における100年に一度レベルでの災害発生による被害額を計算しております。また、災害発生により運行に支障が生じた場合の収入への影響について概算で算出を行いました。 その結果、鉄道事業全体での水災リスクの影響については、SSP1とSSP3ではいずれも被害額が現行よりも増大するリスクがあるものの、SSP1の方が被害額が少ないことがわかりました。そのため、持続可能な社会を実現して気温上昇を2℃未満に抑えることは、当社が事業を営むうえで、水災リスク低減の観点からも重要と認識しております。 なお、当社では法面・橋梁強化、変電所嵩上げといった施設の補強や車両避難計画の策定等、自然災害の被害軽減のための対策にも取組んでおります。今後も環境負荷低減の取組みと合わせて、リスク低減のための取組みも進めてまいります。 SSP1では、炭素税の導入や脱炭素に向けた規制強化等により、エネルギーや資材の調達費用が増加し、財務的な負担が増加するリスクがあります。一方、クリーンエネルギー技術の進展等をはじめとした次世代技術の普及、特にMaaSや自動運転の実験など当社で既に取組んでいる施策を機会と捉え、鉄道運行等の関連コストの減少や業務効率化の可能性のほか、鉄道の環境優位性を維持することによる代替輸送機関からの転移等、収益向上の機会を得られることが推定されました。 物理リスク・移行リスクのほかに考慮すべき要素として、将来的な人口動態変化による鉄道収入への影響を分析しました。日本の人口動向は少子高齢化や人口減少は見込まれるものの、社会的に子育て環境を整えるシナリオのSSP1に対して、SSP3では経済停滞等により一層人口減少が進行することが見込まれます。 その結果、SSP1とSSP3では、2050年度には鉄道収入でSSP3の方が大きく減収することがわかりました。そのため、持続可能な社会を実現して気温上昇を2℃未満に抑えることは、当社が事業を営むうえで、将来的な収益確保の観点からも重要と認識しております。 以上を踏まえ、今後も地域社会とともに持続的な成長を目指していく東武グループは、事業を運営するうえでSSP1の実現を目指すことが重要と考え、今後も気候変動に関する各種取組みを進めてまいります。 なお、上記シナリオ分析にて抽出したリスクと機会、それぞれの評価と対策の詳細については、当社ホームページ 「https://www.tobu.co.jp/corporation/kankyo/tcfd/」をご参照ください。 当社では、環境優位性の更なる向上等による環境負荷の低減を解決すべき重要課題として捉えております。鉄道事業においては、2030年度にCO2排出量約50%削減(2013年度比)の達成を見込み、その実現のため「省エネ車両への置き換え・保有車両数の適正化」「駅、車両等の照明LED化」「高効率変圧器への更新」を中心に様々な環境負荷低減への取組みを行っております。 特に、日光・鬼怒川エリアは「国際エコリゾート日光」と位置付け、同エリアにおける東武グループの事業活動によるCO2排出ゼロを目指しております。その一環として、2022年4月より、日光・鬼怒川エリアを走行する列車及び都心から同エリアへアクセスする特急列車にかかる電力相当を再生可能エネルギー由来の電力に実質的に置き換えることにより、同エリアの鉄道輸送にかかるCO2排出量実質ゼロを実現しております。 2050年でのCO2排出量実質ゼロに向けて、今後も東武グループでは環境負荷低減のための取組みを進めてまいります。 当社グループは、広域な鉄道ネットワークに広がる沿線地域を事業基盤として「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を目指しており、そのために必要な人材とは、当社グループ経営理念「奉仕」「進取」「和親」を行動原理として、自ら考え自ら行動し、街と街、人と街など、さまざまな「つなぐ」ビジネスモデルを実現できる人材であります。 また、このような人材の活躍を促すためには、安全技術のように、長期にわたって継続的に磨き込んでいく能力と、刻々と変化する事業環境の下で新たな商品・サービス提供によって価値を創造することのできる能力の両面を育てていく必要があります。 この基本的な考え方を人材育成方針及び社内環境整備方針に反映させ、今後も多様な社員の「能力と可能性」の向上を図り、企業価値の持続的向上を目指してまいります。 当社グループは現在、2022年度から3か年を期間とした中期的な事業計画を推進しており、「事業構造改革と事業推進体制の再編」、「新たなビジネスモデルによる収益力の拡大」、「社会課題をニーズと捉えた事業推進による収益拡大」を重点戦略として、経営体質の強化と生産性向上、既存事業の磨き上げとともに、新たな事業の育成によって、次なる成長ステージにつなげていくことを目指しております。 今般、中期的な事業計画に適合した人材の多様性の確保を含む人材育成方針と、この方針を実現するための社内環境整備方針を下記のとおり策定し、経営環境の変化と同時に、労働力不足の深刻化、人生100年時代の到来、個人のキャリア観が変化する中でも、継続的な企業価値の向上を実現する人材の育成を図ってまいります。 既存事業をさらに磨き上げることによる「信頼」と、変革を恐れない新たな発想による「価値創造」により、ビジネスチャンスの開拓を地域社会の持続的成長につなげていく人材。 安全や技術の伝承を通して専門分野を伸ばしながら他分野との連携ができる人材育成への支援と、企業環境の変化に柔軟に対応し、価値創造できる人材育成への支援を図ります。 ダイバーシティ&インクルージョンの推進とともに、社員一人ひとりが個人の属性やライフステージにかかわらず、お互いを尊重しあい、安心して働きやすく、能力を最大限に発揮できる働き方を整備してまいります。更に社員の健康維持・増進の取組みを行い、働きがい向上を通じた更なる価値の提供を目指します。 当社では、上記「ア.戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 当社グループは、鉄道や電波塔などの重要な社会インフラをはじめとした様々なサービスを提供する企業グループとして、多くの情報システムを使用しております。これらへのサイバー攻撃や不正なアクセス、コンピューターウイルスへの感染や人為的不正操作等により、当該システム機能に重大な障害が発生し事業の運営に支障することで、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業を安定かつ継続的に行うべく、情報システム機能の確保をはかるために各種の情報セキュリティ対策を講じております。 当社における情報セキュリティマネジメントに関するガバナンス体制として、ICT推進部担当執行役員を委員長とした情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティマネジメントの実施状況及び実施計画の報告を行い、同委員会の議事についてはガバナンス委員会に報告を行っております。 当社グループにおいては、「情報セキュリティポリシー」に則り規程類を制定し、適時見直しを行っているほか、グループ会社の情報セキュリティに関する取り組み状況のモニタリングを実施し、PDCAサイクルにより情報セキュリティ対策に取り組んでおります。また、定期的にグループ会社に対する教育を行い、役職員の情報セキュリティに対する意識の向上を図っております。 当社においては、重要なインフラである鉄道事業の持続性を確保するため、鉄道運行にかかわる重要なシステムの社外ネットワークとの隔離や許可されたプログラムのみ実行できる環境を構築しております。役員を含めた全パソコンユーザーに対しては、情報セキュリティeラーニング、標的型メール攻撃を模擬した実体験型の訓練を実施しております。あわせて、高度化、複雑化するサイバー攻撃等の情報セキュリティインシデントに対応するため、専門チーム「TOBU-CSIRT」により、「有事における迅速な対応」と「平時における未然防止活動」に取り組んでおり、外部専門家が業務用ネットワークを常時監視し、異常検知の際は担当者に発報を行いインシデントに迅速に対応できる体制を確保しているほか、当社内での情報セキュリティインシデント発生を想定したシナリオにもとづく対応訓練を実施しております。また、サプライヤーとの契約にはセキュリティ条項を組み入れ、万が一の際に迅速な調査が行える体制を整えております。 当社グループにおいては、「東武グループコンプライアンス基本方針」を制定し、法令順守や健全な職場環境の形成などを記載したコンプライアンス・マニュアルの整備や、グループ全社員へコンプライアンス教育の強化をはかるなど、法令順守の徹底と不祥事発生の防止に努めるほか、東武グループ全社員に対して内部通報窓口の周知による利用促進等を行うなど、コンプライアンスの確保に取り組んでおります。 当社では、取引先等と相互に信頼関係を構築するために法令及び健全な商習慣に従い、公平・公正かつ透明な選定・取引を行うことをコンプライアンス・マニュアルにおいて定め、研修・教育などを通じ、贈収賄・汚職の防止に取り組んでおります。また、インサイダー情報について厳重な管理を行うとともに、eラーニング等を活用した教育などにより、インサイダー取引禁止の徹底を図っております。さらに、当社グループにおいては、反社会的勢力に対し、毅然とした対応を行うとともに、その排除に向け、「東武グループ連絡協議会」を開催し、グループ内において反社会的勢力に対する防備を固め、情報及び対応策などを共有する体制を構築しております。 また、当社では総務法務部担当執行役員を委員長としたコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス経営の推進、コンプライアンス経営の実施状況の把握、評価及び見直し等を行うとともに、同委員会の議事について社外取締役が議長を務めるガバナンス委員会に報告を行っております。 なお、当社は取引先との共存共栄の構築を目指し、2023年4月に「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。同宣言の取り組みを推進することで、取引先の事業継続と取引適正化に貢献してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、「事業環境・ビジネスモデルに影響を与えるリスク」「安全・安心の確保に関するリスク」「経営資源の確保に関するリスク」「ガバナンスに関するリスク」の4つを設定いたしました。それぞれのリスク顕在化を防ぐための取り組みは以下に記載のとおりです。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。 東武鉄道が展開している鉄道事業においては、鉄道事業法第3条により、路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の認可を受けなければなりません。同様に、運賃の設定・変更についても同法第16条により、鉄道事業者は旅客運賃等の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならず、国土交通大臣は、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して認可しております(総括原価方式)。また、認可を受けた運賃等の上限の範囲内で運賃等を設定・変更する場合は、国土交通大臣に届け出ることとなっております。 鉄道を取り巻く社会経済環境が大きく変化している中、コストコントロールを徹底しても生じる原価を適時適切に運賃に反映できない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、鉄道事業以外の当社グループ会社が展開する各種事業においても、様々な法令・規則等の規制の適用を受けており、これら法的規制が変更された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 わが国の合計特殊出生率は2016年より減少傾向に転じ、出生数の減少も続いております。新型コロナウイルス感染症の影響により出生率と出生数の低下にさらに拍車がかかっており、今後地域によって差はあるものの、人口減少と少子高齢化がさらに進行することが想定されます。 そのため、当社グループにおいては、相互直通運転を活用したシームレスな輸送をはじめ利便性や速達性の向上により快適な通勤・通学輸送と魅力ある観光輸送の提供、並びに良質で暮らしやすい住環境・サービスの提供や観光誘客を推進しております。これらの取り組みをとおして当社沿線の価値向上を図り、定住化促進と交流人口の創出に努めております。 しかしながら、消費活動の基盤となる人口減少と少子高齢化が沿線地域で急激に加速した場合、鉄道事業を中心に東武沿線を主たるマーケットとして事業を展開している当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 これまでの新型コロナウイルス感染症の影響により、働き方や日常生活において新しい生活様式が浸透・定着し、今後もニーズの変化・多様化が続き、新型コロナウイルス感染症発生前の状態には戻らないことを想定しております。 そのため、当社グループにおいては、事業環境が変化する中でも利益を確保できるよう事業構造改革を行い、事業運営体制の見直しやコスト削減施策による効率化と省力化を進めてまいります。また、EC事業の拡張やTOBU POINTを活用したデジタルマーケティングに取り組むほか、郊外居住需要の高まりをビジネスチャンスと捉えたサービスの提供や沿線の価値を高める開発を推進する等、事業の持続的発展を目指してまいります。 しかしながら、移動を前提としないライフスタイルが定着した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、鉄道事業をはじめ幅広い事業を展開しており、事業環境の大きな変化や急速な技術革新に伴う新たな競合サービス・競合事業者の出現等により、需給関係の悪化や競争激化が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、事業環境の変化やお客様ニーズの変容を的確にとらえ、グループ各社で培ったノウハウやデジタル技術などを活かしつつ、新たな技術や外部からの知見を取り入れて事業に活かしてまいります。それにより、お客様へ最適なサービスを迅速かつ柔軟に提供しサービス向上をはかるとともに、生産性を向上することで利益の確保につなげてまいります。 パンデミック等により外出制限や出控えが発生した場合には、運輸事業やレジャー事業を中心に利用者が急減し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、パンデミック等により従業員の感染が多発した場合には、事業運営に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、従業員の基本的な感染症予防策を継続的に実施するとともに、感染状況に応じた事業継続計画や感染対策を講じることでお客様が安全・安心にご利用いただけるよう取り組み、国民の安定的な生活の確保に欠かせない社会インフラの1つである鉄道事業を中心に社会を支え、事業を継続してまいります。 当社グループでは、安全・安心の確保はお客様の信頼を得るうえで最も重要であると考え万全を期しておりますが、万が一、重大な事故を発生させ長期的に事業を運営できなくなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、「安全はすべての事業の根幹である」との信念のもと、お客様と従業員の安全確保を最優先に安全管理体制の確立に努めるとともに、安全のための設備投資や教育・訓練などに継続して取り組み、安全・安心の確保に努めております。 気候変動による事業運営・維持に関するリスクの内容については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)重要なサステナビリティ項目 ① 気候変動」に記載のとおりであります。 当社グループは、鉄道事業をはじめ幅広い事業を展開しておりますが、不測の事故や災害、テロ・戦争の発生等外的要因により、長期的に事業を運営できなくなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、大規模な自然災害等の緊急事態に備え事業継続計画を整備するなど危機管理体制の充実強化に努めるとともに、自然災害に強いインフラの整備やテロ対策など、安全確保のための対策にも継続して取り組んでまいります。 当社グループは、各事業において顧客の個人情報を含むデータベースを管理しており、情報が流出した場合には損害賠償や信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、情報の取得及び利用に際しての社内での保護規程類を定め管理体制を整備するとともに社員教育を実施し、関係者の情報管理を徹底するほか、情報処理を社外に委託する場合も秘密保持の整備、監督を強化する等、取り扱いには十分留意し情報管理を行っております。 情報セキュリティに関するリスクの内容については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)重要なサステナビリティ項目 ③ 情報セキュリティ」に記載のとおりであります。 当社グループは、鉄道事業をはじめ多くの労働力を必要としております。出生率の低下による人口減少と高齢化は、一層早いスピードで進むことが想定され、労務費の高騰及び採用難等により人手不足が顕在化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、人材確保のために、多様な知識や価値観を持つ人材の登用や育成、安定した雇用や多様化する働き方への対応、福利厚生の充実等、働きやすく働き続けられる柔軟で安心な就労環境の確保を図ってまいります。さらに、自動運転等を含むデジタル技術の活用等により生産性の向上を進め、効率的な事業運営体制を構築してまいります。 当社グループは、鉄道事業をはじめとして多くのインフラ設備を活用し、動力として電力や燃料を使用しております。また、各事業においてはさまざまな原材料を使用しています。自然災害の発生や海外情勢の悪化などにより原材料や資源の価格が高騰した場合や、調達不足が継続した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては省エネに資する高効率車両や設備を導入するほか、設備の適正化や見直しによるエネルギー消費や温室効果ガス排出量の削減、適切な時期での調達を行う等、コスト抑制とともに持続可能な社会の構築に取り組んでおります。 当社グループは、各事業で継続的に行っている設備投資等の必要資金を、主として社債や金融機関からの外部借入れによって調達しており、将来への成長投資等により高水準の有利子負債残高を保有しています。今後、金利が一段と上昇した場合や、格付機関が当社の格付を引き下げた場合には、金利負担の増大や資金調達条件の悪化を招くことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、昨今の金利上昇傾向を踏まえて連結有利子負債残高の適切な管理に努め削減をはかるとともに、資金の調達手段の多様化を進めることにより、中長期の金利環境を勘案しつつ適時最適な方法による調達を行っております。 当社グループは、多様な事業展開を行う上で必要な資産や、株式などの投資有価証券等を保有しております。収支管理の徹底や事業構造改革の実施により、事業採算性を高め資産価値の向上をはかるとともに、投資有価証券については保有意義の検証を行い、中長期的に希薄と考えられる場合は段階的に縮減を図っております。 しかしながら、保有資産のキャッシュ・フロー創出力の低下や株価の大幅な下落等によりその時価が著しく下落した場合は、減損損失または評価損等を計上することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 コンプライアンスに関するリスクの内容については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)重要なサステナビリティ項目 ④ コンプライアンス」に記載のとおりであります。 当社グループにおいては、働きやすい制度や職場環境を整備し多様な人材が活躍しておりますが、人権を侵害する問題が発生した場合には、社会的制裁や信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループにおいては、人権について組織的・継続的に教育を行う体制を整え、社員の正しい認識と理解を深めるとともに、社員が活き活きと働くことのできる職場環境づくりに引き続き取り組むなど、人権の尊重に向けて継続して取り組んでおります。 なお、上記は当社グループの事業等について予想される主なリスクを例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限措置が緩和される中、感染拡大防止をはかりながら社会経済活動が進められ、緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方、緊迫する海外情勢の長期化や為替の急激な変動のほか、資源価格や物価の上昇、製品供給の制約は続いております。 当社グループにおきましては、「中期的な事業計画」を策定のうえ、事業構造改革等を通じて、強靭な経営体質の構築を進めました。また、感染症対策を継続しながら需要回復を積極的に取り込む施策を実施するとともに、グループ共通ポイント「TOBU POINT(略称“トブポ”)」をはじめとしたデジタル技術を活用したグループ収益の拡大策を強化いたしました。 2022年度の連結業績は、以下のとおりであります。 不動産事業における賃貸借契約見直しや分譲マンションの販売戸数減による減収はあるものの、旅行業におけるソーシャルイノベーション事業の拡大のほか、運輸事業における行楽や通勤利用の回復、レジャー事業における国内旅行需要や外国人旅行客の回復及び前年に営業制限があった百貨店業の回復等により増収となり、営業収益は614,751百万円(前期比21.5%増)となりました。 資源価格高騰による動力費や水道光熱費の増加のほか、前年までに抑制していた修繕費の増加はあるものの、運輸事業、レジャー事業及び流通事業の増収により、営業利益は56,688百万円(前期比129.2%増)となりました。 営業外収益については、雇用調整助成金等の助成金収入や前年計上した旅行業における受取補償金の減少等により、5,323百万円(前期比55.3%減)となりました。 営業外費用については、前年計上した旅行業における支払補償費や有利子負債返済による支払利息の減少等により7,196百万円(前期比22.0%減)となり、経常利益は54,815百万円(前期比100.0%増)となりました。 特別利益については、工事負担金等受入額の増加等により、8,735百万円(前期比189.5%増)となりました。 特別損失については、収益性が悪化した物件の減損損失や固定資産圧縮損の増加等により18,391百万円(前期比181.9%増)となりました。 これらの結果、税金等調整前当期純利益は45,159百万円(前期比88.9%増)を計上し、法人税等を控除した当期純利益は29,148百万円(前期比116.1%増)となりました。また、ここから非支配株主に帰属する当期純損失を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は29,179百万円(前期比116.9%増)となりました。 セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。 なお、当社グループでは、「事業構造改革と事業推進体制の見直し」の一環として、グループ会社の機能強化と効率化を目的に連結子会社を再編したことに伴い、当連結会計年度より、セグメントの区分を変更しております。これにより、前期比較については、変更後の区分にもとづいて記載しております。 各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。また、各セグメントの営業成績のうち「調整額」は内部取引消去額を表しております。 鉄道業におきまして、当社では、安全・安心で暮らしやすく、そして選ばれる沿線を目指して、様々な取組みを進めております。 安全面では、竹ノ塚駅付近、清水公園~梅郷間、とうきょうスカイツリー駅付近及び春日部駅付近において高架化工事を推進したほか、大山駅付近の高架化工事着手に向けて東京都と施行協定を締結いたしました。また、ホーム上の安全対策として、竹ノ塚駅、獨協大学前<草加松原>駅及び越谷駅2・3番ホームにおいてホームドアの使用を開始いたしました。さらに、駅設備のバリアフリー化を促進するため、鉄道駅バリアフリー料金の収受を開始いたしました。また、災害対策として、車両避難訓練及び異常時総合訓練、代行バス輸送訓練等を実施したほか、車内傷害事件等のテロ等不審者・不審物対応訓練を警察・消防と連携し取り組みました。 営業面では、特急スペーシアの新型車両「SPACIA X(スペーシア エックス)」について運行開始に向けたプロモーションを推進いたしました。また、相鉄新横浜線・東急新横浜線開業に合わせ、東上線から日吉駅・新横浜駅を経由して海老名駅・湘南台駅までの直通運転を開始いたしました。これにより、東海道新幹線の新横浜駅へのダイレクトアクセスが可能となり、利便性が向上いたしました。 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で行事等が相次ぎ休止となった高校3年生を対象に、新成人としての旅立ちにエールを込めて、当社線全線に無料乗車、東京スカイツリー等3施設に無料入場できる「#みらいエールきっぷ」を贈呈したほか、冬の日光・鬼怒川エリアの魅力発信と誘客を目的とした「日光・鬼怒川エリア週末フリーデー」を実施するなど、「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を目指した取組みを進めました。 一方、厳しい事業環境下においても安定した利益を確保できる体制を構築すべく、これまでに策定した事業構造改革を着実に実施し、固定費の削減を行いました。 バス・タクシー業におきまして、東武バスセントラル㈱では、お客様への最適なサービスの提供と安定的なバス事業の運営のため、花畑営業所を事業区域が重なる足立営業事務所に統合し、経営資源の集約をはかりました。 運輸事業全体としては、行動制限がないことによる行楽利用の回復や、引き続き固定費の削減に努めたこと等により、営業収益は189,189百万円(前期比9.1%増)、営業利益は19,381百万円(前期比64.7%増)となりました。 乗車効率とは、客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。 スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリー®」では、従前の事前販売に加えて、当日WEB予約券(当日販売する時間指定券)を販売し、また、繁忙日の展望台の営業時間を拡大することで入場時の混雑緩和につなげ、入場者数の増加とお客様サービスの向上に努めました。さらに、イベント割や全国旅行支援等、政府施策の活用や人気コンテンツとのコラボレーションイベントの開催等により誘客をはかりました。 ホテル業におきまして、各ホテルでは、インバウンドの入国制限緩和や全国的な新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きに伴い、急激に回復した需要を確実に取り込みました。また、需要と供給の最適化をはかりながら、客室単価の引き上げにも注力いたしました。 旅行業におきまして、東武トップツアーズ㈱では、旅行需要の完全回復には至っていない中、旅行業で培ってきた予約管理等の後方業務のほか、会場の設営、運営力等を活かしたソリューションビジネスを推進し、自治体等の各種感染防止対策事業や認証事業を受託するなど、旅行販売以外の事業拡大により増収に努めました。 遊園地・観光業におきまして、「東武動物公園」では、人気アニメとのコラボレーション企画の開催のほか、「水上木製コースターレジーナⅡ(ドゥーエ)」をリニューアルオープンさせるとともに、「東武ワールドスクウェア」では、園内展示物等をライトアップさせたナイトミュージアム「世界の夜あそび」を開催し、誘客に努めました。 レジャー事業全体としては、前期の落込みからの回復や旅行業における収益の拡大により、営業収益は188,354百万円(前期比83.6%増)、営業利益は19,470百万円(前期は1,072百万円の営業損失)となりました。 スカイツリータウン業におきまして、「東京スカイツリータウン®」では、年間を通じ開業10周年として誘客策を実施し、冬季ではイルミネーションをリニューアルしたほか、クリスマスマーケットや、4年ぶりとなるプロジェクションマッピングを実施いたしました。また、「東京ソラマチ®」では、開業以来初のフロア全面リニューアルを実施し、5階に「みんなの遊び場 ソラフルパーク」を開業させるなどさらなる誘客に努めました。さらに、「東京ミズマチ®」を一部拡大しラケットスポーツの専用施設「パデル東京ミズマチ」を誘致するなど、浅草~東京スカイツリータウンエリアの賑わいの創出をはかりました。 不動産賃貸業におきまして、当社では、居室内ワークスペースの導入等在宅ワークのニーズに対応した新築賃貸マンション「ソライエアイル越谷蒲生」を完成させ、都内に勤務する単身世帯を中心に沿線外からの流入をはかりました。また、新柏駅高架下にて、東武アーバンパークライン初の「EQUiA(エキア)」ブランドとなる商業施設「EQUiA新柏」を開業させたほか、獨協大学前エリアにて、新たな商業施設「TOBU icourt/トーブ イコート」を開業させるなど増収をはかりました。また、サテライトオフィス「Solaie +Work(ソライエプラスワーク)」においてTOBU POINTサービスとの連携によりお客様の利便性向上に努めました。 不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として、分譲マンション「ソライエグラン流山おおたかの森(シーズンスクエア)」(流山市)及び「ソライエテラス(イースト)」(草加市)の販売を開始したほか、産官学連携による次世代まちづくり推進プロジェクト「BRIDGE LIFE Platform 南栗橋」(久喜市)において分譲戸建「BLP南栗橋スマートヴィラ」の販売を開始いたしました。 不動産事業全体としては、マンションの販売戸数の縮小等により、営業収益は60,915百万円(前期比2.6%減)となり、電気料金の単価増等により、営業利益は13,681百万円(前期比12.3%減)となりました。 百貨店業におきまして、㈱東武百貨店では、次世代のお客様にも来店いただけるように、池袋店において、百貨店初となる「DAISO」等の3ブランド複合ショップを誘致いたしました。 ストア業におきまして、㈱東武ストアでは、再開発が進む湾岸エリアに2店舗目となる晴海三丁目店を新たにオープンいたしました。また、TOBU POINTアプリの提示によるポイント付与・利用を開始し、ポイント会員の新規開拓による日常利用会員の基盤強化をはかりました。 さらに、事業構造改革の一環として、リテール事業及び商社機能を統合するグループ事業の再編を行い、競争力の強化や新事業展開による事業拡大に向けた体制を整えました。 流通事業全体としては、百貨店業における前期の臨時休業による落込みからの回復等により、営業収益は163,438百万円(前期比6.0%増)、営業利益は2,602百万円(前期は4,022百万円の営業損失)となりました。 建設業におきまして、東武建設㈱では、宇都宮市においてLRT軌道工事を、東武谷内田建設㈱では、墨田区において介護事業所の全階内装改修工事を、東武緑地㈱では、三郷市において商店街区の環境整備工事をそれぞれ完了させました。 そのほか、東武ビルマネジメント㈱では、日光市において医療施設の清掃、警備及び設備管理業務を受注するなど増収に努めました。 その他事業全体としては、営業収益は81,902百万円(前期比4.4%増)となったものの、資材価格の高騰等により営業利益は2,646百万円(前期比22.7%減)となりました。 なお、当社グループのサービス、生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種のサービス、製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 当連結会計年度末の総資産は、売掛金の増加等により1,738,195百万円となり、前連結会計年度末と比べ48,339百万円(前期比2.9%増)の増加となりました。 負債は、有利子負債は減少したものの買掛金の増加等により1,257,620百万円となり、前連結会計年度末と比べ26,984百万円(前期比2.2%増)の増加となりました。 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により480,575百万円となり、前連結会計年度末と比べ21,355百万円(前期比4.7%増)の増加となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、69,074百万円となり、前連結会計年度末に比べて23,188百万円増加しました。 当連結会計年度末に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益45,159百万円に、減価償却費53,354百万円等を加減算した結果、101,115百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べて税金等調整前当期純利益が増加したこと等により34,264百万円の資金収入の増加となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、25,285百万円の資金支出となりました。前連結会計年度に比べて長期借入金の借入による収入が増加したこと等により9,720百万円の資金支出の減少となりました。 当社グループの資金需要は、営業取引に係る運転資金、設備投資等に係る資金、有利子負債の返済並びに配当等の資金を主としております。 設備投資につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。 短期的な運転資金は、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、取引銀行との総額90,000百万円の貸出コミットメント契約やコマーシャル・ペーパーの発行並びに、当社グループではキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しております。 また、運輸事業や流通事業を中心に日々の収入金があり、必要な流動性は確保しているとともに、十分な水準の資金を保有しております。 設備投資等の長期的な必要資金については、営業活動で得た資金に加え、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、長期安定的な資金調達を行うために、借入金のほか、社債の発行及びシンジケート・ローンの組成、リース等の多様な選択肢の中から最適な調達方法を採用しております。 同時に、年度別償還額の集中を避けることで、将来の借り換えリスクの低減に努めているとともに、金利上昇リスクに備え、固定金利と変動金利のそれぞれの負債残高のバランスを考慮しております。 また、2022年6月には、環境課題解決に資する事業の資金調達手段として、当社初となる「グリーンボンド」を発行いたしました。当社グループにおけるサステナビリティ経営の推進及び沿線地域社会の持続的発展を実現していくことを目的に、調達した資金は、新型の鉄道車両及び太陽光発電システムに係る設備投資資金並びにリファイナンスに充当いたしました。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準にもとづき作成されております。その作成にあたり経営者は、資産・負債及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わねばなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。 当社グループが保有する株式等の有価証券及びのれんについては、将来の株式市況の悪化または投資対象会社の業績不振等により時価の著しい下落が生じた際には、損失の計上が必要となる場合があります。 当社グループが保有する販売用不動産については、地価の下落や市況悪化等により時価の下落が生じた場合には、損失の計上が必要となる場合があります。 当社グループが保有する固定資産のうち、減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。 減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、経営環境に変化が生じ当初想定した収益が見込めないなど、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた仮定に変更があった場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率にもとづいて算出されております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、将来の課税所得の計画にもとづき慎重にかつ実現(回収)可能な範囲において繰延税金資産を計上しておりますが、将来において既に計上している繰延税金資産の全部または一部を実現(回収)できないと判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できないと判断した繰延税金資産を取崩すとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額に加算し、当期純利益を減少させる場合があります。同様に、現時点で評価性引当額として繰延税金資産を計上していない項目について、将来においてその全部または一部を実現(回収)できると判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できると判断した金額を繰延税金資産として計上するとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額から控除し、当期純利益を増加させる場合があります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社イルグルム
# 株式会社イルグルム 当社代表取締役社長執行役員CEO岩田進は、大学時代から個人事業主としてホームページ制作を行っておりましたが、売上高の拡大を機に、2001年6月に当社の前身となる有限会社ロックオンを設立いたしました。その後株式会社ロックオンへ組織変更を行い、インターネット広告効果測定システム「アドエビス」、EC構築オープンソース・ソフトウェア「EC-CUBE」(当時の名称は「ECサイト構築kit」)の販売を開始し、2019年8月には社名を株式会社イルグルムへ変更いたしました。 当社の設立から現在に至るまでの沿革は、以下のとおりであります。 当社グループは、当社、子会社6社(孫会社1社を含む)及び関連会社1社で構成されており、国内有数のシェアを誇る広告効果測定ツール「アドエビス」等のサービスを提供するマーケティングプラットフォーム事業と、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE(イーシーキューブ)」及びEC構築からマーケティング支援までのECソリューションを提供する商流プラットフォーム事業の2セグメントで事業を展開しております。 なお、重要性がないため、非連結子会社であるクラウドファイン株式会社については上記に含めておりません。 当社および当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関係は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 当事業は、広告効果測定サービス「アドエビス」、運用型広告レポート自動作成ツール「アドレポ」、動画マーケティングのコンテンツ制作や運用を行う「TOPICA WORKS」、プロジェクト管理ツール「My Redmine」等のサービスを提供する事業であります。 当事業は、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」及びEC構築・運用支援サービス等を提供する事業であります。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは「自分が関わること1つ1つに Impact を与え続けよう。人々の心に伝わる小さな Impact の積み重ねが、やがて世界を揺るがす大きなうねりとなるから。」という想いを「Impact On The World」というミッションに定め、データとテクノロジーによって世界中の企業によるマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる企業を目指して事業展開を行っております。 当社グループは、拡大しているインターネット広告市場において、広告効果測定とともに、運用型広告の効果最大化及び運用効率化のニーズ、さらには広告効果測定から運用型広告の一連の動きを一貫して最適化するマーケティングDX分野のニーズが高まってくると考え、これらのニーズに応えるため、マーケティングプラットフォーム事業において、広告効果測定プラットフォームの「アドエビス」や運用型広告のレポートを自動作成するツール「アドレポ」等の、多様化・分散化する消費者行動をメディア・デバイスに関わらず横断的に測定、活用するためのサービスを展開してまいりました。 折しも、新型コロナウイルス感染症の拡大を機にDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されておりますが、マーケティングの業界におけるDX実現のためには、当社主力サービスである「アドエビス」の提供価値であるデータの計測や活用等が必要不可欠になってくるものと考えております。 また、商流プラットフォーム事業においては、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」を提供し、「EC-CUBE」と連携する各種サービス(決済代行等)の提供事業者からマージン収入を得ております。コロナウイルス感染症の拡大により外出機会が減少する中、巣ごもり消費としてEC市場の流通額が一時期急増いたしましたが、直近ではECカート市場の競争も激化していることから、「EC-CUBE」の展開に加えて、競争力強化のためにEC構築・運用支援領域への再参入を行い、ECサービスの垂直統合モデル構築に取り組んでおります。 当社グループは、2023年11月に発表いたしました中期経営方針「VISION2027」において、マーケティングプロセス支援領域、EC構築・運用支援領域の2つの領域を柱に事業展開を行う方針を掲げております。 既存事業で培ってきた基盤を軸に、ツール提供に留まらず、顧客それぞれの状況に応じた課題を解決するために人的支援サービスの提供を行うなど、当社サービスを拡大していくことで、顧客企業のマーケティングDXの推進に貢献することを目指します。 当社グループの売上の大半を占めるマーケティングプラットフォーム事業はサブスクリプション(継続課金)を主な契約形態とするビジネスであり、契約の積み上げが安定的な売上計上につながるビジネスモデルとなっております。このため、当社グループでは、最重要視する経営指標として売上高を掲げており、同時に適正な利益計上及び株主還元についても重視しております。 中期経営方針「VISION2027」では、既存事業の継続的な成長を推進するとともに、新たな収益の柱とするべくマーケティングプロセス支援領域、EC構築・運用支援領域の拡大で成長を加速し、連結売上高100億円達成への道のりを明確なものにしてまいります。 当社グループは、主にインターネット広告市場を中心に事業を行っており、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。 中期経営方針「VISION2027」として、マーケティングプロセス支援領域、EC構築・運用支援領域の2つの領域を中心にサービス拡大を図ることを掲げております。マーケティングプロセス支援領域では、当社が強みを持つマーケティング施策の効果測定をはじめ、適応学習、投資選択、実行・管理に至るまでのマーケティングプロセスの円滑な循環を目指し、顧客のDX推進に貢献いたします。EC構築・運用支援領域においては、長年EC構築プラットフォームを提供してきた知見を活かし、カスタマイズ性に富んだECサイトの構築から運用伴走支援に至るまで、垂直統合モデルの実現に取り組んでまいります。 なお、重点戦略は以下のとおりであります。 オンラインにおけるプライバシー保護とパーソナルデータの適切な活用への関心が高まるとともに、情報セキュリティに対する脅威も年々増大し、加えて個人情報保護に関する国内外の法規制も強化されております。このような状況下において、プライバシーへの配慮や情報セキュリティ強化とパーソナルデータの利活用を両立させるための技術開発を推進してまいります。 当社グループでは、これまで開発部門、営業部門、カスタマーサクセス部門の体制強化を行いながら業容を拡大してまいりましたが、今後の継続的な成長のためには、これらの部門のさらなる強化はもとより、新規事業開発の人員体制拡充も必要となります。 また、事業の成長拡大や多角化により、高い専門性を有する人財の獲得及び育成については重要な経営課題となっております。今後も、多様な働き方を支援する制度・環境の整備や、人財成長を促す教育の充実を行いながら、持続的な雇用の創出に取り組んでまいります。 昨今、AI*のビジネス活用が注目されておりますが、当社グループの事業領域であるマーケティングデータの計測、分析、活用の分野においても様々な可能性が考えられます。マーケティング分野におけるAI活用により新しい価値提供を実現するため、新技術の開発を推進してまいります。 当社グループのさらなる企業価値向上を目指すため、M&Aによる事業拡大や社内事業部の分社化等にも引き続き取り組んでまいります。この施策の効果を最大化するためにも、グループ経営管理体制の強化やコーポレート・ガバナンスの強化は必須のものとして取り組んでまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループにおいては、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様となります。当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細につきましては、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。 当社グループは、サステナビリティについては「働きがい創出と事業成長を目指すと共に、マーケティングDX支援によって顧客企業の成長にも貢献し、豊かな社会づくりの一助となる」という戦略を掲げており、この戦略に基づき以下の目標達成に取り組んでおります。 また、人財の多様性の確保を含む人財育成方針としては、「一人ひとりが力を存分に発揮し、ともに成長できる組織へ」という基本的な考え方に基づき、当社の経営理念のもとでビジョンを実現するために、会社組織や従業員がどのようにあるべきかという基本方針として、以下のHRポリシーを策定しております。 ・イルグルムの社員には、主体的に取り組み、強みを磨き、力をかけあわせ価値創出することを求めます。 ・組織は、社員が力を最大限発揮し、キャリアビジョンを描ける機会・環境を提供します。 この基本方針に基づき、人財育成に取り組むとともに、従業員が力を発揮できるような職場環境の整備や、教育研修カリキュラムの充実、相互理解と相乗効果に寄与するようなコミュニケーションの機会創出等に取り組んでまいります。 当社グループは、リスク管理を経営上の重要な活動と認識しており、各執行役員が自己の分掌範囲について責任をもって構築しており、その運用状況は監査等委員会及び内部監査室が監査を行っております。詳細につきましては、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載の通りであります。 当社グループでは、ITを活用することで、ペーパーレス化やリモートワーク等環境負荷が少ない事業活動を進めていることから、サステナビリティ関連のリスク・機会を管理するための指標について、下記の人財の確保及び育成に関する指標以外については用いておりません。今後、当社において指標を定める目的や必要性を協議し、必要に応じて指標の策定を検討してまいります。 人的資本に関する指標としては、人財の多様性の確保を含む人財育成に関するものとして、次の指標を用いております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下とおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループはインターネット広告市場及びEC市場を主たる事業領域としており、当社グループ事業の継続的な拡大・発展のためには、更なるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大に加えて、インターネット広告の需要拡大や、EC市場の発展が必要と考えております。 しかしながら、インターネットの普及に伴う環境整備やその利用に関する新たな規制の導入、技術革新等により、今後のインターネットサイト運営の遂行が困難になった場合や、急激な景気の変化等によりインターネット広告の需要やEC市場での取引が縮小した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うサプライチェーンの混乱や資源・エネルギー価格高騰、及び為替の円安傾向等を背景とした物価高の進行等により、わが国経済の先行きは不透明な情勢となっております。こうした環境変化が当社グループの顧客企業に及ぼす影響につきましては、高い緊張感をもって注視してまいります。 インターネット業界においては日々新しい技術や機能が開発されており、当社グループもサービス機能の拡充のための開発や、新サービスや新事業の開発に取り組んでおります。また、主力事業である「マーケティングプラットフォーム事業」は月額課金型のサブスクリプションビジネスであり、業容拡大のためには契約件数の拡大が必須であることから、営業体制の拡充や広告宣伝の強化に努めております。 このようなシステム開発投資や、広告宣伝等への投資については先行投資となることから、投資先行の局面においては、利益率が低下する可能性があります。 また、これら先行投資を行ったにもかかわらず、想定どおりに事業拡大・成長が進まない場合には、結果として投資を回収できないこととなり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、高い利益率と成長性を得るために、自社開発サービスによる売上収益の比率を高める経営戦略を採っております。その中でも、主力サービス「アドエビス」関連の売上収益は、当期には売上収益の約61.3%を占めており、当期において当社グループの売上収益の多くが同サービス関連の売上に依存していることを示しております。市場環境の変化、内外の景気動向の変化などにより、同サービスの需要に大きな変化が現れた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。 また、インターネット広告市場においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上等を行えなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの「アドエビス」はインターネット広告の効果測定システムを基盤としてサービスを展開しておりますが、インターネット広告配信や媒体、ブラウザ閲覧サービス運営者等の方針転換により、情報の自動収集に制限が加わったり、禁止されたりする可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループは独自の方法により同様のデータ収集に努める方針ですが、現在収集できているデータを取得できなくなることでサービスの品質が低下したり、情報の収集に対して追加コストが発生したりする場合等には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの「商流プラットフォーム事業」では、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」の提供及び「EC-CUBE」をベースとしたEC受託開発を行う事業を行っております。「EC-CUBE」はフリーミアムモデルのオープンソース・パッケージとして提供しており、EC事業者のインフラ整備や売上向上に貢献する一方、連携する決済代行事業者等のオフィシャルパートナーから決済手数料収入を得るというビジネスモデルです。 したがって、オフィシャルパートナーの経営成績に影響が生じた場合、当社への決済手数料収入の減少へとつながり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、EC受託開発につきましては、プロジェクト単位に進行・費用等の管理を実施しておりますが、何らかの要因により当初の計画から作業進捗の遅延や想定外の費用負担が発生し、採算性が悪化する可能性があります。さらに、顧客の検収後に予期せざる不具合が生じた場合は、適正化のための追加費用や損害賠償請求への対応を余儀なくされ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業はインターネット環境に依存しており、サービス及びそれを支えるシステムやインターネット接続環境の安定した稼働を前提としております。また、事業展開を通じて収集・保管するビッグデータを分析基盤としてサービス提供や改善に活用しております。システムトラブルの発生可能性を低減して安定したサービス提供を行うために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間での復旧が可能な体制を整えております。 しかしながら、大規模なプログラム不良や、想定を大幅に上回るアクセス集中、コンピュータウィルス等により、開発業務やシステム設備等に重大な被害が発生し、正常に稼働できなくなった場合、及びその他何らかの理由によりシステム障害や保有するビッグデータの消失等が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が生じることにより、ユーザーとの信頼関係に悪影響を及ぼし、賠償責任の発生等によって、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、活発な技術革新が行われておりそのスピードが速いことから、技術革新に応じたシステムの拡充、及び事業戦略の修正等も迅速に行う必要があると考えております。そのため、当社グループでは業界の動向を注視しつつ、迅速に既存サービスにて新たな技術を展開できる開発体制を整えております。 しかしながら、予期しない技術革新等があった場合、それに伴いシステム開発費用が発生する可能性があります。また、適時に対応ができない場合、当社グループの技術的優位性やサービス競争力が低下し、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、サービスの安定稼働やユーザーの満足度向上を図るためには、サービスの成長に伴い先行的にシステムやインフラに投資を行っていくことが必要であると認識しております。 今後、現在展開している事業で予測されるユーザー数・アクセス数の拡大、新規事業への参入、及びセキュリティ強化のための継続的な設備投資を計画しておりますが、実際のユーザー数及びアクセス数が当初の予測から大幅に乖離する場合、設備投資の前倒しや当初計画を上回る投資を行わなければならず、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業を規制する主な法令等として「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」及び「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(青少年ネット規制法)」があります。 近年、インターネット上のトラブルへの対応として、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきており、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の施行や既存法令等の解釈変更がなされた場合には、当社グループの事業が制約を受ける可能性があります。その場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、インターネット関連サービスの提供を通じ、各サービス利用者の関係者を識別することができる個人情報や、プライバシー情報を保有しております。 当社グループでは、個人情報やプライバシー情報を取り扱う際の業務フローや社内体制を明確化し、個人情報管理に関する規程を制定しております。併せて役員及び社員を対象とした社内教育を通じて、関連ルールの存在を周知徹底し、意識の向上を図っております。2006年12月より、財団法人日本情報処理開発協会(現一般財団法人日本情報経済社会推進協会)が発行するプライバシーマークを取得しております。 また、当社グループのコンピュータシステムは、外部からの不正アクセスを防止するためのファイヤーウォール等のセキュリティ手段によって保護されております。 しかしながら、個人情報やプライバシー情報が当社グループの関係者や業務提携先の故意又は過失により、外部へ流出もしくは悪用される事態が発生した場合や、欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)に意図せず違反した場合には、当社グループが損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社グループ並びに運営サービスの信頼性やブランドが毀損し、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、運営する事業に関する知的財産権の保護に努めております。第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制として、社内で侵害の有無について確認を行った上で、必要に応じて顧問弁護士及び弁理士と連携を取って可能な限り知的財産権侵害・被害等のリスクを軽減すべく活動しております。 しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する支払いが発生する可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社グループが保有する知的財産の法的権利化ができない場合、当社グループの事業及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、2023年9月30日現在において提出会社の取締役6名(うち、非常勤監査等委員3名)、執行役員5名(うち、取締役兼任2名)及び従業員236名(執行役員除く)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。 当社グループは、今後の急速な事業の拡大に応じて社員の育成、人財の採用を行うとともに、業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合、あるいは役員及び社員が予期せず退任又は退職した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い、継続した人財の確保が必要であると考えております。特に新規事業を立ち上げ、拡大・成長させていくための事業開発力・マネジメント能力を有する人財や、システム技術分野のスキルを有する人財の確保に努めるとともに、教育体制の整備を進め人財の定着と能力の向上に努める所存であります。 しかしながら、当社グループの求める人財が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人財流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 代表取締役社長執行役員CEOである岩田進は、当社の設立者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において極めて重要な役割を果たしております。 当社グループでは執行役員制度を導入しており、経営監督を担う取締役会と業務執行を担う執行役員の役割を区別していることや、事業運営のための定例会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図ることで、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。 しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。 業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底して参りますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 地震や台風等の自然災害や大規模な事故、国際紛争等が発生した場合には、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、このような事態に備え、定期的なバックアップや稼働状況の監視によりシステムトラブルの未然防止や回避及び速やかな復旧体制の構築に努めておりますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保障はなく、地震等の大規模災害の発生や事故により本社及びデータセンターが被害を受けた場合、当社グループが提供する事業の継続に支障をきたし、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展や経済活動の改善により、足元の景況感については改善がみられましたが、急速な金融引き締め等による景気後退懸念が高まっていることから、依然として国内外における経済先行きは不透明な状態が続いております。 一方、当社グループが事業を展開している国内のインターネット広告市場については、社会のデジタル化を背景に2022年のインターネット広告費は前年比114.1%の3兆912億円(株式会社電通「2022年日本の広告費」)と継続的に高い成長率を維持しており、総広告費に占める割合も43.5%まで拡大しております。 また、当社グループのもう一つの対面市場であるEC市場については、2022年国内BtoC-EC市場規模は前年比109.9%の22.7兆円となりました。分野別では、物販系分野に関して前年比105.4%と伸長しており、物販系分野におけるEC化率についてもBtoC-ECで9.1%(前年比0.3ポイント増)と伸長しております。BtoB-EC市場におけるEC化も37.5%(前年比1.9ポイント増)と増加傾向にあり(いずれも経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」)、国内のEC市場規模拡大は継続しております。 このような事業環境の下、当社グループは、データとテクノロジーによって世界中の企業によるマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる企業を目指して事業展開を行っております。当連結会計年度においては、前期中の新連結子会社による業績貢献が期首から発生することから増収となりましたが、利益率の高い主力サービス「アドエビス」の減収や、商流プラットフォーム事業の利益率が低下し前期比で減益となったこと等により、売上高3,626,276千円(前期比8.8%増)、営業利益318,932千円(前期比18.8%減)、経常利益329,476千円(前期比17.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益197,019千円(前期比16.5%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は以下のとおりとなりました。 当事業は、インターネットにおける消費者行動を横断的に測定し、マーケティングに活用するためのクラウドサービスを提供する事業であります。当事業では、当期を最終年度とする中期経営方針「VISION2023」の戦略として、「アドエビス」を中心とする既存サービスを安定基盤としつつ、新サービスの複数展開により総合マーケティングDX支援企業集団へ進化し、LTV(ライフタイムバリュー)を最大化することを目指してまいりました。提供しているサービスは広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」を主力サービスとし、分析レポート自動作成サービス「アドレポ」を提供する広告代理店向けプラットフォームビジネスやインキュベーション領域として新サービス開発にも取り組んでおります。また、「アドエビス」につきましては、契約アカウント数の拡大を図るため、新たに低単価プランの「Growth Step Program」や、Cookieに依存しないコンバージョンAPIによる計測ソリューション「CAPiCO」の提供を開始しました。 当連結会計年度においては、インキュベーション領域の成長により売上高は前期に対して増加いたしましたが、主力の「アドエビス」の減収により営業利益は前期に対して減少することとなりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は2,933,066千円(前期比0.3%増)、セグメント利益は255,736千円(前期比8.5%減)と増収減益になりました。なお、当連結会計年度の売上高には、2022年1月31日に連結子会社化したファーエンドテクノロジー株式会社の売上高が含まれております。 当事業は、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」及びEC構築からマーケティング支援までのECソリューションを提供する事業であります。「EC-CUBE」はフリーミアムモデルのオープンソース・パッケージとして提供しており、EC事業者のインフラ整備や売上向上に貢献する一方、「EC-CUBE」と連携する各種サービス(決済代行等)の提供事業者から決済手数料収入を得るというエコシステムを構築しております。また、このオープンソース版「EC-CUBE」を用いたEC構築・運用支援領域にも参入し、従来のプラットフォーム開発からEC構築・運用支援までの垂直統合モデルのビジネスを展開しております。 当連結会計年度においては、垂直統合モデルを推進する中で大規模EC構築案件の受託開発にも取り組み、進捗に応じて売上計上を行っておりますが、従来の決済手数料収入と比べて受託開発事業の利益率は相対的に低く、また経営及び開発体制の強化によりコスト増になったこと等により、セグメント利益は前期に対して減少することとなりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は709,017千円(前期比71.2%増)、セグメント利益は66,629千円(前期比38.4%減)と増収減益になりました。なお、当連結会計年度の売上高には、2022年5月31日に連結子会社化した株式会社EC-CUBE Innovations(旧会社名 ボクブロック株式会社)の売上高が含まれております。 また、財政状態については次のとおりとなりました。 当連結会計年度末における流動資産は2,101,313千円となり、前連結会計年度末に比べ267,265千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が131,058千円増加したことや、EC構築領域の受託開発案件の売上計上等により受取手形及び売掛金が109,056円増加したことによるものであります。 また、固定資産は1,063,254千円となり、前連結会計年度末に比べ206,361千円減少いたしました。これは主に償却によりのれんが122,224千円減少したことや繰延税金資産が32,888千円減少したことによるものであります。 この結果、総資産は3,164,568千円となり、前連結会計年度末に比べ60,904千円増加いたしました。 当連結会計年度末における流動負債は1,018,203千円となり、前連結会計年度末に比べ134,833千円増加いたしました。これは主に未払金が100,443千円増加したことによるものであります。 また、固定負債は163,172千円となり、前連結会計年度末に比べ252,678千円減少いたしました。これは約定返済により長期借入金が252,678千円減少したことによるものであります。 この結果、負債合計は1,181,375千円となり、前連結会計年度末に比べ117,844千円減少いたしました。 当連結会計年度末における純資産は1,983,193千円となり、前連結会計年度末に比べ178,749千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上197,019千円による利益剰余金の増加及び剰余金の配当43,825千円による利益剰余金の減少等によるものであります。 この結果、自己資本比率は61.4%(前連結会計年度は57.1%)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ115,584千円増加(前年同期は132,001千円減少)し、1,375,332千円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローについては、564,845千円の収入(前年同期比30.3%増)となりました。主な増加要因は法人税等の支払額73,408千円(前年同期比62.4%減)や税金等調整前当期純利益319,940千円(前年同期比17.7%減)の計上等によるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フローについては、156,650千円の支出(前年同期比39.4%減)となりました。これは主に、自社開発ソフトウェアの計上等の無形固定資産の取得による支出148,073千円(前年同期比14.9%減)によるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フローについては、292,831千円の支出(前年同期比7.2%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出249,544千円(前年同期比7.4%増)及び配当金の支払額44,955千円(前年同期比30.8%増)によるものであります。 当社グループの事業内容は受注生産形態をとらない事業が多く、セグメント別に生産の規模を金額あるいは数量で示すことがなじまないため、記載しておりません。 当社グループの事業内容は受注生産形態をとらない事業が多く、セグメント別に受注の規模を金額あるいは数量で示すことがなじまないため、記載しておりません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当連結会計年度末における資産の合計は3,164,568千円となり、前連結会計年度末に比べ60,904千円増加いたしました。 当連結会計年度末における流動資産は2,101,313千円となり、前連結会計年度末に比べ267,265千円増加いたしました。これは主に売上高の増加により現金及び預金が131,058千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は1,063,254千円となり、前連結会計年度末に比べ206,361千円減少いたしました。これは主に償却によりのれんが122,224千円減少したこと等によるものであります。 なお、セグメント毎の内訳については、マーケティングプラットフォーム事業が2,692,204千円、商流プラットフォーム事業が504,731千円であります。 当連結会計年度末における負債の合計は1,181,375千円となり、前連結会計年度末に比べ117,844千円減少いたしました。 当連結会計年度末における流動負債は1,018,203千円となり、前連結会計年度末に比べ134,833千円増加いたしました。これは主に商流プラットホームのコスト増加により未払金が100,443千円増加したこと等によるものであります。また、固定負債は163,172千円となり、前連結会計年度末に比べ252,678千円減少いたしました。これは主に約定返済により長期借入金が252,678千円減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における純資産合計は1,983,193千円となり、前連結会計年度末に比べ178,749千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益197,019千円の計上による利益剰余金の増加及び剰余金の配当43,825千円による利益剰余金の減少等によるものであります。この結果、自己資本比率は61.4%(前連結会計年度末は57.1%)となりました。 当連結会計年度における経営成績の概要については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は次のとおりであります。 当連結会計年度の売上高は3,626,276千円(前年同期比8.8%増)、売上総利益は2,169,143千円(前年同期比4.0%減)営業利益は318,932千円(前年同期比18.8%減)となりました。 売上の8割近くをマーケティングプラットフォーム事業が占めており、同事業の売上高は2,933,066千円(前年同期比0.3%増)となりました。 また、商流プラットフォーム事業については、株式会社EC-CUBE Innovationsの案件増加により売上高は709,017千円(前年同期比71.2%増)となりました。 当連結会計年度の営業外収益は、保険解約に伴う返戻金8,341千円及び持分法による投資利益2,645千円等を計上したことにより17,895千円(前年同期比9.6%増)となりました。また、営業外費用は借入金に係る支払利息3,996千円等を計上したことにより7,351千円(前年同期比18.5%減)となりました。この結果、経常利益は329,476千円(前年同期比17.6%減)となりました。 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、一部ソフトウェアに係る減損損失9,535千円を計上したことにより319,940千円(前年同期比17.7%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は197,019千円(前年同期比16.5%減)となりました。 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 また、当社グループの資本の財源については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入れによる資金調達によっております。今後の資金需要のうち主なものは運転資金及びシステム開発等にかかる設備投資等によるものであります。 なお、当連結会計年度末における借入金の残高は634,529千円(前年同期比28.2%減)であり、現金及び現金同等物の残高は1,375,332千円(前年同期比9.2%増)となっております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 また、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 当社グループは、2023年11月に発表いたしました中期経営方針「VISION2027」において、マーケティングプロセス支援領域、EC構築・運用支援領域の2つの領域を柱に事業展開を行う方針を掲げております。 既存事業で培ってきた基盤を軸に、ツール提供に留まらず、顧客それぞれの状況に応じた課題を解決するために人的支援サービスの提供を行うなど、当社サービスを拡大していくことで、顧客企業のマーケティングDXの推進に貢献することを目指します。 また、中期経営方針「VISION2027」では、既存事業の継続的な成長を推進するとともに、新たな収益の柱とするべくマーケティングプロセス支援領域、EC構築・運用支援領域の拡大で成長を加速し、連結売上高100億円達成への道のりを明確なものにしてまいります。 当社は、2023年9月15日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社EC-CUBE Innovationsの全株式を、2023年9月29日付けで当社の連結子会社である株式会社イーシーキューブに譲渡することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。
日本基礎技術株式会社
# 日本基礎技術株式会社 当社(昭和10年12月27日設立)は、昭和56年9月21日を合併期日として日本グラウト工業株式会社(昭和28年11月5日設立)の株式額面金額を変更するため、同社を吸収合併した。 合併前の当社は休業状態であり、法律上消滅した旧日本グラウト工業株式会社が実質上の存続会社であるため、特に記載のない限り、実質上の存続会社に関し記載している。 大阪市北区松ケ枝町に溜池・干拓・ダム・トンネル等のボーリング、グラウチング工事を目的とし、資本金100万円をもって設立。 東京支店および九州支店を設置。 札幌支店を設置。 大阪市北区松ケ枝町に本社社屋を建設。 東北支店を設置。 東京都渋谷区渋谷に東京本社を設置。 大阪支店(現関西支店)および四国支店(松山営業所)を設置。 北陸支店を設置。 名古屋支店(現中部支店)を設置。 広島支店を設置。 東京都渋谷区桜丘町に東京本社社屋を建設。 企業基盤の強化を図る目的で、新技術開発株式会社と合併。 日本基礎技術株式会社に商号変更。 新潟支店を設置。 大阪証券取引所市場第二部に上場。 関東支店を設置。 東京証券取引所市場第二部に上場。 東京都渋谷区桜丘町に東京第2ビルを取得。 東京証券取引所および大阪証券取引所市場第一部に指定替え。 東京支社および首都圏支店を設置。 東京支社を廃止。 東京支社を設置。 JAFEC USA,Inc.を設置。 株式会社オーケーソイルを子会社化。 東京都渋谷区幡ヶ谷に東京本社・東京支社・首都圏支店を移転。 大阪市北区天満に本社および関西支店を移転。 群馬県邑楽郡明和町に総合テクニカルセンターを建設。 市場区分見直しに伴い東京証券取引所市場第一部をスタンダード市場へ移行。 当社グループは、当社、連結子会社2社、関連会社2社で構成され、法面保護工事、ダム基礎工事、アンカー工事、重機工事、注入工事、維持修繕工事、環境保全工事ならびにこれらに関する事業を行っており、あわせて建設コンサルタント及び地質調査を行っている。連結子会社のJAFEC USA,Inc.は、海外工事への参入を図るため平成21年10月に米国ネバダ州に設立し、株式会社オーケーソイルは、都市部の地盤改良工事および海外工事に実績があるため平成22年4月に子会社化した。また、関連会社の日本施設管理株式会社は、当社業務に関連するダム施設管理業務および建設コンサルタント業務を、株式会社オリオン計測は当社業務に関連する地質調査やデータ解析を行っている。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりである。 当社の業務に関連する工事を発注している。 当社の業務に関連するダム施設管理業務および建設コンサルタント業務をしている。 当社の業務に関連する測量・解析業務をしている。 当社には労働組合はない。 また、労使関係について特に記載すべき事項はない。 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略している。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 当社グループは、人と環境の共生を目指し、建設基礎技術で豊かな社会創りに貢献するため、社員一人ひとりの可能性を引き出し、顧客そして社会から信頼される技術者集団を目指すこととしている。 当社グループは、今後持続的に成長できる会社グループとして生き残っていくために、中長期的には、技術の伝承と生産性の向上、働き方改革の推進を図り、数値目標達成のため、全社を挙げて最大限の業績の進展に努めていく。 ・階層別技術教育の強化と高齢化に対する技術開発による技術の伝承を図る。 ・需要を先取りした技術開発への取組み強化を図る。 ・支店、現場における事務処理業務の簡素化を図る。 ・本社経理事務の自動化による業務形態の変革を実現する。 る資材価格の高騰や働き方改革への対応など、引き続き厳しい事業環境が続くものと予測される。 すとの情報があり、明るい兆しが見えている。 以上、内外の状況を慎重に考慮した上で、当社グループの数値目標の達成に向け、重点施策に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界的に落ち着きを取り戻し、国内でも感染症法の位置づけが5類に移行しているが、当社グループは引き続き感染症防止対策を行っている。 新型コロナウイルス感染症拡大による事業への影響は、国内においては比較的軽微であり、米国現地法人への影響は回復傾向にある。 今後も当社グループにおける影響を最小限に抑えながら経営活動を行っていく所存である。 当社にとってのサステナビリティは、当社の掲げる経営理念に基づき「人と環境の共生をめざし、当社の有する建設技術を最大限に発展・活用するという当社の企業価値」と「豊かな国土、環境創りに貢献するという社会的存在価値」を継続的に成長させることを目的としている。 当社のサステナビリティを実現するため、各部署のサステナビリティ担当による進捗状況の定期的な報告を取締役会で行っていく。 サステナビリティに関する基本方針や重要課題、さらには重要課題の監視、管理等のため、サステナビリティ関連のリスクを機会について分析し、対応策について検討を行う。リスクと機会については、今後各部署のサステナビリティ担当にて定期的に確認を行い、必要に応じて重要課題及び指標や目標を見直すなど適切に対応する。 当社グループは、今後の事業継続において、人材の確保が非常に重要であるという認識のもと、社員の年齢構成の変化や業態の変化に対応するために、様々な職歴を持つ中途採用者、勤勉で技術力を求めて来日する外国人または日本国内で建設、土木業に興味を持つ女性の採用、起用を積極的に行う。 現在、米国現地法人や本社の技術系社員として外国人を採用している。これらの人材は、今後その能力を活かして所属部署の若い戦力として活躍する人材であり、近い将来に管理職への登用も期待できる。女性社員は、当社グループの業種から全社員に占める比率は低い水準であるが、今後は技術系の女性社員の採用・育成に取組む。 なお、当社グループは、女性・外国人・中途採用者等の区分で、管理職の構成割合や人数の目標値等は掲げていないが、社内環境の整備を進め、数値目標の設定を検討していく。 当社グループは、社員の成長をサポートするため、新入社員をはじめ中堅社員・幹部社員にも定期的に社内教育を実施し、技術の向上や新知識の習得に努めている。また、社員のモチベーション向上を目指して、様々な表彰制度を設けている。 当社グループは、法令、社内規則及び企業倫理に違反する行為を抑制・防止・是正するため、内部通報制度を設けている。また、定期的に内部通報に関する周知および研修を行っている。 当社グループは、社員の多様性を尊重しながら受け入れ、健康で明るく、仕事も生活も充実した毎日を送ることができるよう、社員一人ひとりが元気に働ける職場環境の実現を目指している。業務の簡素化やワークライフバランスに配慮した各種制度の整備(育児・介護に関する制度、定額残業制の導入等)、長時間労働の削減対策、有給休暇取得の奨励等の取組を進めている。 気候変動等に伴う地球環境問題への取組として、当社グループの主要事業である土木事業、地盤改良技術を通じて、地域環境整備の一助となる取組を積み重ね、地球環境に貢献できる新しい工法の研究を進めている。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 当社グループの事業は、売上高の約6割(令和5年3月期55.9%)が公共工事である。公共工事への参加を希望する場合は、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書の提出と厳格な入札執行が要求されており、これらの手続きにおいて虚偽の申請や不正な入札行為を行った場合は、建設業許可の取消し、営業の停止や指名停止の処分が科せられ、当社グループの経営計画に多大な影響を及ぼすことになる。 公共工事の入札参加を希望する場合は、経営事項審査の総合評定値通知書を添付のうえ、一般競争(指名競争)参加資格審査申請書を関係省庁に提出し、認定を得なければならない。 この際、経営事項審査申請内容に虚偽の記載があった場合は、行政処分(建設業許可の取消し、営業の停止)や指名停止処分が科せられる。また、一般競争(指名競争)参加資格審査申請においても、虚偽の記載等があった場合は、競争参加資格の認定は受けられず、認定後に発覚した場合には取消されることがある。 独占禁止法違反や官製談合等の不正な入札行為を行った場合は、公正取引委員会から排除勧告が行われる。排除勧告を受けた場合は、営業禁止や営業停止の行政処分の他、国および地方自治体から指名停止の処分が科せられる。 当社グループは、売上高に占める公共工事の割合が非常に高いため、当社グループの業績は、国および地方自治体の財政事情に左右される公共投資の規模に大きな影響を受ける。公共投資が削減された場合、さらに同業他社との過当な価格競争が余儀なくされ、その結果、当社グループの受注高、売上高、利益が減少するリスクがある。 当社グループは、常に仕事の量と質に見合った組織と人員体制を指向していく必要がある。このような中で、技術水準を維持するためには、職員一人一人に高い技能、技術力および管理能力が求められる。特に工事品質の保持とオリジナル工法の技術力の向上と維持は、当社グループにとって重要な課題であり、業績に大きな影響を及ぼすので、技術者の育成が重要であると考えている。 の発生により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。 を受ける可能性がある。 当社グループは、売上高の約9割(令和5年3月期93.0%)が下請工事であるため、公共工事が縮小された場合にともなう競争激化や、金融機関の不良債権処理圧力等の影響を受けた発注ゼネコン(地場ゼネコン含む)の倒産による貸倒リスクがある。 当社グループは今後の海外工事への参入を図るため、その拠点として米国に子会社を設立している。今後、海外市場において予想を超えた為替相場の変動や海外工事を行う国の政治、経済、法制度等に著しい変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。 に甚大な制限が課される場合、消費市場の停滞等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。 ロシアのウクライナ侵攻により、資材価格やエネルギー価格の高騰が続いている。この軍事的対立が激化、長期化した場合は、資材価格やエネルギー価格等の高止まりにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進み、緩やかに持ち直しが見られたものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化により、資源価格やエネルギー価格の高騰が続き、世界経済は先行きの読めない厳しい状況が続いている。 この間、国内建設業界においては、国土強靭化関連等の公共工事は比較的堅調に推移したものの、民間建築分野では資材価格高騰による採算悪化の傾向が続き、厳しい状況が続いている。 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。 当連結会計年度末の総資産の残高は、302億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億44百万円の増加となった。 当連結会計年度末の負債の残高は、96億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億27百万円の増加となった。 当連結会計年度末の純資産の残高は、206億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億82百万円の減少となった。 当連結会計年度の業績については、受注高は、国内では、都市部を中心に予定数量の大幅見直しや来期以降への発注遅延等の影響により、計画を大きく下回る結果となった。また、米国現地法人でも、大型案件の工事着工が来期以降に大幅に延期されたことから、国内・海外の受注高合計は、前年同期比15億78百万円(7.0%)減の210億76百万円となった。その主な内容は、「法面保護工事」が27億61百万円(前年同期比9.9%減)、「アンカー工事」が25億32百万円(前年同期比22.3%減)、「重機工事」が74億37百万円(前年同期比42.1%増)、「注入工事」が39億49百万円(前年同期比29.8%減)である。 売上高については、国内では、都市部での再開発工事、国土強靭化関連工事、エネルギー関連工事、鉄道関連工事等が堅調に進捗したため、期初計画を達成した。一方、米国現地法人では、大型案件の発注遅延に伴い、施工が先送りとなり計画を下回る結果となった。 売上高は、全体で前年同期比17億97百万円(8.1%)増の239億8百万円となり、海外の減少を国内でカバーする結果となっている。その主な内容は、「法面保護工事」が33億56百万円(前年同期比2.0%減)、「アンカー工事」が33億54百万円(前年同期比13.0%増)、「重機工事」が70億2百万円(前年同期比35.3%増)、「注入工事」が51億90百万円(前年同期比20.0%増)となっている。 利益面では、一部の大型工事での進捗遅れによる不採算工事の発生、ならびに労働日数縮減のなかでの工期遵守厳命による就労人員の増により、労務費が増加したことから工事利益率は低下したが、都市再開発関連の障害物撤去等大型重機工事による生産性向上に加え、エネルギー関連工事や鉄道・高速道路の補修工事が順調に進捗した結果、国内では期初計画を上回った。一方、米国現地法人では、売上高の減少により、工事利益が大幅に低下し、赤字経営となった。その結果、連結営業損益は7億78百万円の利益となり(前年同期は7億51百万円の営業利益)、経常損益については10億8百万円の利益となった(前年同期は9億63百万円の経常利益)。親会社株主に帰属する当期純損益については、5億26百万円の純利益となった(前年同期は4億98百万円の純利益)。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1億95百万円の減少となり、57億52百万円となった。 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。 営業活動によるキャッシュ・フローは、9億69百万円の収入(前連結会計年度は11億87百万円の収入)となった。 これは、売上債権の増加額3億93百万円(前連結会計年度は55百万円の支出)、法人税等の支払額4億87百万円(前連結会計年度は4億55百万円の支出)、賞与引当金の減少額1億37百万円(前連結会計年度は34百万円の収入)、受取利息及び受取配当金1億73百万円(前連結会計年度は1億79百万円)等により資金が減少する一方で、税金等調整前当期純利益10億11百万円(前連結会計年度は10億44百万円)をはじめ減価償却費9億96百万円(前連結会計年度は10億1百万円)、仕入債務の増加額5億44百万円(前連結会計年度は1億72百万円の支出)等により資金を獲得したことが主な要因である。 投資活動によるキャッシュ・フローは、9億45百万円の支出(前連結会計年度は3億25百万円の支出)となった。 これは、主として有形固定資産の取得による9億48百万円の支出(前連結会計年度は9億94百万円の支出)、無形固定資産の取得による1億94百万円の支出(前連結会計年度は1億89百万円の支出)と、利息及び配当金の受取額1億73百万円(前連結会計年度は1億81百万円の収入)等によるものである。 財務活動によるキャッシュ・フローは、2億76百万円の支出(前連結会計年度は48百万円の収入)となった。 主な収入は、短期借入金の増加額6億円(前連結会計年度は15億円の収入)と自己株式取得のための預託金の減少額3億25百万円(前連結会計年度は2億65百万円の収入)であり、主な支出は、自己株式の取得による支出8億33百万円(前連結会計年度は14億3百万円の支出)、配当金の支払額2億76百万円(前連結会計年度は2億36百万円の支出)及びリース債務の返済による支出83百万円(前連結会計年度は71百万円の支出)等があったためである。 なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。 工事の受注方法は、特命と競争に大別される。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施している。詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項及び(重要な会計上の見積り)に記載のとおりである。 当連結会計年度末の総資産の残高は、302億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億44百万円の増加となった。その主な要因として、流動資産では、完成工事未収入金は増加したが、現金預金およびその他が減少したこと等により、84百万円減少した。固定資産では、投資有価証券が増加したこと等により2億29百万円増加したことによるものである。 負債の残高は、96億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億27百万円の増加となった。その主な要因として、短期借入金が増加したこと等によるものである。 純資産の残高は、206億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億82百万円の減少となった。その主な要因として、利益剰余金が減少したこと等によるものである。 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、68.2%となり2.0ポイントの低下となった。 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注高は、国内では、都市部を中心に予定数量の大幅見直しや来期以降への発注遅延等の影響により、計画を大きく下回る結果となった。また、米国現地法人でも、大型案件の工事着工が来期以降に大幅に延期されたことから、国内・海外の受注高合計は、210億76百万円(前年同期比7.0%減)となった。 売上高は、国内では、都市部での再開発工事、国土強靭化関連工事、エネルギー関連工事、鉄道関連工事等が堅調に進捗したため、期初計画を達成した。一方、米国現地法人では、大型案件の発注遅延に伴い、施工が先送りとなり計画を下回る結果となった。その結果、全体で239億8百万円(前年同期比8.1%増)となり、海外の減少を国内でカバーする結果となっている。 また、利益面においては、一部の大型工事での進捗遅れによる不採算工事の発生、ならびに労働日数縮減のなかでの工期遵守厳命による就労人員の増により、労務費が増加したことから工事利益率は低下したが、都市再開発関連の障害物撤去等大型重機工事による生産性向上に加え、エネルギー関連工事や鉄道・高速道路の補修工事が順調に進捗した結果、国内では期初計画を上回った。一方、米国現地法人では、売上高の減少により、工事利益が大幅に低下し、赤字経営となった。その結果、連結営業損益は7億78百万円の利益となり(前年同期は7億51百万円の営業利益)、経常損益については10億8百万円の利益となった(前年同期は9億63百万円の経常利益)。親会社株主に帰属する当期純損益については、5億26百万円の純利益となった(前年同期は4億98百万円の純利益)。 なお、受注高、売上高の内訳は、「第2 事業の状況  4.〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕  (1)経営成績等の状況の概要  ③生産・受注及び販売の実績」に記載のとおりである。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況  4.〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕  (1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。 当社グループは売上高及び営業利益を重要な経営指標として位置付けている。 当社が策定した中期経営計画(2023年度~2025年度)に従い、米国現地法人JAFEC USA,Inc.を含めたグループ全体としての数値目標の達成に向け、重点施策に従って、全社を挙げて取り組んでいく所存である。 資本の政策については、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としている。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は57億円を保有していることから、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えている。運転資金及び設備資金については、自己資金または借入により資金調達することとしている。 令和5年3月現在、短期借入金の残高は31億円である。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計40億円のコミットメントライン契約を締結している。(借入実行残高31億円、借入金未実行残高9億円)なお、本報告書提出日現在において、重要な資本的支出または重要な買収等の予定はない。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況  4.〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕  (1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。 特記事項なし。 当社グループは、ものづくりの施工技術を提供する専門業者として、「建設基礎技術で豊かな社会づくりに貢献する」ことを経営理念としている。そして、生産性向上や品質確保に重点を置き、当社独自技術について研究開発を進めている。 また、「削孔」と「注入」という当社グループの基本技術にさらなる磨きをかけるために、大学や公的機関、民間企業、あるいは海外企業等との技術交流、共同開発を積極的に推進し、かつ、ICT(情報通信技術)を活用した機械化施工技術の構築を目指す。 当連結会計年度における研究開発費は122百万円であり、これらの研究開発の概要は以下のとおりである。 バックホウベースの施工機のアーム先端部に取り付けた当社独自の攪拌翼で改良材と地盤をより効率よく混合する中層混合処理工法を開発した。施工機には経験の浅いオペレーターでも施工できるように自動運転機能を搭載し、ヒューマンエラーを低減し、むらなく安定した品質を提供できるものとした。 当期は、本工法の硬質地盤の掘削性能を宮城県および群馬県において確認した。また、ICT機能を追加した施工を群馬県、小型機械での施工を静岡県および福岡県でそれぞれ実施し、適用範囲を拡大させた。沖縄においては、風化泥岩の改良および固結した泥岩の掘削性能を小型機で確認した。また、技術審査証明を取得し、NETIS(新技術情報提供システム)は申請済みである。今後は、ICT施工における精度向上やICT建設機械への登録を目指す。 ロータリーパーカッションドリル(二重管方式)の自動削孔機を製作し、動作確認と削孔試験を群馬県で実施している。その結果、パーカッションドリルの一連の動作(削孔・接続)が自動化された。適応口径については5インチ、4インチ、3インチとなった。また、ロングブームを装着し、従来施工との比較試験を実施した結果、従来施工と同等程度の能力を少人数で対応可能なことを確認した。 また、福島県、長野県で実際にアンカー工の施工を行い、施工性能を確認した。さらに、ロッド供給装置とロッドチェンジャーの連携を実際の施工にて確認した。 ダムや都市土木等のボーリング作業が必要となる現場に展開させるための小口径ボーリングマシンを製作した。 兵庫県において、硬質地盤での削孔性能確認試験や長深度削孔試験、耐久試験、自動削孔試験などを実施している。そして、これらの試験により、改善点を抽出し、機械の改良や自動削孔プログラムの修正を行っている。また、熊本県のダム現場において削孔作業を行い、101mの掘削を行った。今後さらなる高機能化に向けて対応中である。 高圧噴射と機械撹拌を併用した地盤改良工法である「N.ロールコラム工法」を開発した。本工法は、高圧噴射を用いることにより、一般的な機械撹拌工法では得られなかった既設構造物等との付着を得ることを可能にした工法である。なお、標準改良径は2,400mmである。機動性の高い小型の改良機を使用し、大きな改良径を造成できるため、より経済的な施工が可能となる。なお、本工法は日特建設株式会社との共同開発技術である。 当連結会計年度末における保有特許件数は57件、出願中の件数は14件、保有実用新案件数は0件であった。また現業に係わる施工実施権は80件を保有している。 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。 研究開発活動等は特段行われていない。
美濃窯業株式会社
# 美濃窯業株式会社 当社グループは、当社及び連結子会社2社で構成され、耐火煉瓦の製造・販売を基礎として産業向け耐火物の製造販売、セラミックス分野を始めとするプラントの設計・施工、建築材料及び舗装用材の販売等の事業を展開しております。当社グループにおける各事業と各社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 セグメント情報等」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 耐火物事業…………………当社は、耐火煉瓦、不定形耐火物、その他耐火材料の製造、販売を行っております。 プラント事業………………当社及び岩佐機械工業株式会社が設計、製造、施工及び販売を行っております。 加工製品を当社が製造供給しております。 不動産賃貸事業……………オフィスビル及び住宅等を賃貸しております。 その他………………………主に当社が外注品等を販売しております。 以上述べた事項の事業系統図は、次のとおりであります。 建材及び舗装用材の製造販売及び施工を行っております。その一部を当社が供給しております(役員の兼任あり)。 プラント設備の設計及び施工を行っており、また、プラント設備で利用する耐火物の一部を当社が供給しております(役員の兼任あり)。 当社グループの労働組合は、美濃窯業新労組と称し、セラミックス産業労働組合連合会に属しており、2023年3月31日現在における組合員は202人であります。 なお、労使関係については円満に推移しており、特記すべき事項はありません。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルスに伴う各種制限の解除により経済活動が正常化し、個人消費、企業の設備投資も増加することで景気の持ち直しが予想されます。 また世界経済は、中国のゼロコロナ政策の撤廃による中国経済の上振れや、堅調な雇用・所得環境を背景にした米国経済の底堅い推移が予想されるものの、ロシアのウクライナ侵攻長期化、米中間の対立激化による地政学リスク等、依然として不透明な環境が続くと予想されます。 このような状況の中、当社グループの対処すべき事業上の課題といたしましては、これら内外の環境変化から受ける影響を極力低減することで経営の安定化を図り、中期経営計画である「MINOトランスフォメーション・プラン 2025」に着実に取り組み、企業体質の更なる強化と継続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。 第二に「耐火物事業」においては、リスク要因の一つである窯業原料の大幅な価格変動について、調達先の多様化等により引き続き主要原料の安定的な確保に努力するとともに、高騰分の価格転嫁も顧客の理解を得ながら粘り強く進めてまいります。その他、高機能・高品質製品と製造・技術・販売の一体サービスの提供により他社との差別化を図り、競争力のある製品開発に注力するとともに、より一層の顧客満足の向上と生産効率の向上に努めてまいります。 第三に「プラント事業」においては、顧客の各種ニーズに対応すべくサステナビリティを意識した新製品の開発を積極的に推し進め、新市場及び新規顧客の開拓に向けて取り組んでまいります。また、適宜の資材調達に努め、納期の確実性を高めます。 第四に「建材及び舗装用材事業」においては、公共事業の安定的な受注確保とともに、高機能製品の開発、新工法の開発に注力し、新規顧客開拓や新たな販売チャネルの開発に積極的に取り組んでまいります。 各事業においてこれらの戦略の確実な実現に努め、従来の顧客基盤を守りつつ、新たな収益基盤の構築を図るべく、当社グループの総合力を結集して取り組んでまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、2022年5月13日に公表しております中期経営計画において、サステナビリティに関する目標を8つ(以下、(2)戦略参照)掲げており、その進捗に関し経営企画部長が関係部門から取りまとめ、経営会議に報告した上で、重要度の高い目標に関しては、その進捗及び2024年3月期計画を2023年5月15日に公表しております。2024年3月期の進捗及び中期経営計画最終年度に当たる2025年3月期の計画についても、同様のプロセスを経て2024年5月の決算発表時に公表予定であります。 当社グループは2022年5月13日に公表しております中期経営計画に記載のとおり、ありたい姿として、「高品質かつ地球環境に配慮した製品やサービスの開発に注力しデジタルを軸に経営を変革することで、特徴のあるセラミックス企業としての存在感を高め、持続的に成長可能な企業体質をつくり上げる」と定め、サステナビリティに関しての戦略及び目標に関し、以下の8つを掲げております。 以下施策を通じて当社グループ、お客さま及び社会のCO2排出量削減に貢献すると共に当社グループの各事業をサステナビリティ貢献型事業に発展させてまいります。 また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。 ・2021年10月より従来の外部派遣研修に加え、オンライン動画研修制度を制定し、役職毎に指定する研修を年3回受講している他、指定する3か月間は社員個人の志向に合わせた研修を自由に受講可能な環境を整備することで社員のスキルアップやリスキリングを促しております。加えて2023年3月期より社員一人当たり5,000円/年の教育予算を各部門に配賦し、外部講習、資格試験用テキストや考査費に活用してもらう等社員教育に積極的に投資を行っております。 ・2022年10月より法定の育児休暇制度に加え、独自の育児奨励休暇制度(子供が一歳に達する日までで最大5日間の有給休暇を付与)を制定し、特に男性社員の子育て奨励を推進しております。制定後、現在に至るまで男性社員の育児休業取得率100%を達成しております。 当社グループは、2023年3月期より、四半期に一度「リスクコンプライアンス委員会」を開催し、当社グループ内で発生した安全や品質に係る事例、法令改正、内部監査指摘事項を代表取締役社長以下取締役(監査等委員及び社外取締役を含む)、執行役員、部門長に共有することで各部門のリスク感度を高め、同種事案の再発防止や法令違反に繋がる行為の未然防止に努めております。その他、各部門や子会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。 当社グループでは、上記(2)戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。特に女性の管理職比率及び女性正社員比率は低位となっており、人材の多様性確保のためにはそれぞれ2030年3月期までに10%、25%へと引き上げる目標を掲げます。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載したリスク以外のリスクも存在します。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。。 当社の耐火物事業はセメント市場向けが主力のため、国内建設業界の動向や政府の公共事業政策により大きな影響を受ける可能性があります。また、プラント事業も設備投資の動向、建材及び舗装用材事業も公共事業の動向により、大きな影響を受ける可能性があります。これらに加え、近年耐火物需要の多くを占める鉄鋼市場での需要が減少傾向にあることから、セメント市場向けへの新規参入等により、価格競争等が激化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、耐火物原料及び重油等の燃料を調達しておりますが、これらの原料及び燃料はリスク管理の観点からも調達先を分散して国内外の複数の取引先から購入を行っております。国外からの購入については、為替動向を考慮しながら為替予約等により、価格変動リスクの軽減を図っておりますが、為替レートの変動による影響を受ける場合があります。また、特に原料及び燃料の調達価格が大きく変動する場合に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、国内建設業界が最終需要者であるセメント製造設備用れんがやエンジニアリングの売上が当社グループ全体の売上の約25%を占めております。当社グループは、海外販路の拡充やプラント事業の強化等を通して国内建設業界の動向に左右されない事業構造への転換を目指しておりますが、国内建設業界におけるセメント需要が変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの生産拠点は、岐阜県瑞浪市、愛知県半田市、三重県四日市市等にあり、各工場で製品品種毎の分業体制を採っております。各工場とも火災・風水害等の影響を最小限とするため定期点検等の災害防止対策を講じておりますが、これらの災害が発生した場合、また特に想定されている南海トラフ巨大地震が発生した場合、かなりの震度が予想される地域にあるだけに、当社グループの生産体制、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、新型コロナウイルス感染症に代表される感染症蔓延リスクが景気の先行き及び今後の当社グループに与える影響は不透明でありますが、感染症の蔓延により国内建設業界の事業縮小、取引先における設備投資の抑制が長期化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、多くの生産設備や製造装置を用いて業務を行っており、従業員の安全管理が不可欠であると認識しております。労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を行っておりますが、万が一重大な事故や労働災害が発生し、一時的な復旧費用や補償金等の負担等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、ISO9001の品質保証規格の認証を受けており、製品に欠陥が生じないよう品質管理基準を定め生産を行っております。また、欠陥による損害賠償等が発生した場合に備え、製造物責任保険に加入し業績への影響を最小限に抑える手段を講じております。しかし、製品の欠陥によるクレームに対処すべく製品保証、補修工事などによる多額の追加費用が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準等を適用しております。経営環境の著しい悪化による収益性の低下等により、保有する固定資産に減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、保有している投資有価証券について、定期的に取締役会等でモニタリング及び投資有価証券の保有可否の検討を実施しておりますが、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で投資有価証券の価値が変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社製品を上回る性能の新製品が競合企業により開発・上市されたり、競合により販売価格の低下や利益率の低下が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは建設業法、消防法、下請代金支払遅延等防止法、大気汚染防止法、騒音規制法、振動規制法、毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律といった関連法令や条例、各種ガイドライン等の遵守を徹底し事業運営を行っております。万一これらの法令等に違反するような事態が発生した場合や、今後新たな法令等の制定、既存法令等の解釈変更がなされ事業が制約を受けることになった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが所有する主要生産設備の中には、導入後の経過年数が長いものも少なくなく、定期的な補修等の実施により正常稼働に努めておりますが、設備故障を含む操業トラブルや想定を超える異常停止等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、耐火物事業の原料の仕入や耐火物関連工事の外注に関し特定の取引先との取引額の割合が高い状況にあります。現状では、仕入先及び外注先と安定的な取引関係を保っておりますが、仕入先及び外注先における経営戦略の変更、収益の悪化、品質問題等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 人材の確保や育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは重要な人材が社外へ流出した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社グループの生産体制、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの保有する個人情報や当社グループの技術・営業等の事業に関する機密情報等については社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しておりますが、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により社外に漏洩した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業活動に有用な知的財産権の取得に努める一方で、第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、かかる知的財産権の侵害が発生してしまう可能性を完全に排除することは困難であり、万一知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、代表取締役である太田滋俊の親族と、事業戦略及び資本政策の検討及び実行等に係る助言を受けることを目的として当連結会計年度より新たな関連当事者取引を行っております。 当社グループは、関連当事者取引を行わないことを原則としておりますが、関連当事者取引を行う場合には、取引の合理性や取引価格の妥当性の検証を含めて十分に審議し、独立役員、監査等委員の見解を踏まえた上で取締役会の承認を得なければならないこととしております。年度毎に取引が継続する場合も同様としております。また、取締役会に実施状況を定期的に報告するとともに、監査等委員会による監査や内部監査における監査で取引内容等のチェックを行うことで、取引の健全性及び適正性の確保に努めております。 当社グループは、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置付けております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大などにより、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国経済は、まん延防止等重点措置の全面解除や全国旅行支援の後押しもあり個人消費が持ち直し、設備投資は高水準の企業収益を背景に底堅く推移したものの、海外経済の減速に伴う輸出の減少、生産活動の落ち込み等により一進一退の状態が続きました。 一方、世界経済は欧米各国の政策金利の引き上げや世界的な半導体関連需要の低迷、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるユーロ圏経済の減速懸念、欧米の銀行の経営不安に伴う金融機関に対する懸念の高まり等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような状況の下、セメント業界向けを中心とする耐火物事業については、セメントの国内生産量が8か月連続で前年同月を下回る中、原燃料価格上昇分の販売価格への転嫁及び各種コストダウンに取り組みましたが、依然として販売価格への転嫁が原燃料価格の高騰に追い付かず、売上高は前年度を上回ったものの、利益は前年度を下回る結果となりました。 プラント事業については、当社の主要顧客の設備投資環境が回復し、受注が堅調に推移していることに加え、2021年10月に買収した岩佐機械工業株式会社の売上高と利益が通期分加算されたこともあり、売上高、利益ともに前年度を大幅に上回る結果となりました。 建材及び舗装用材事業については、コロナ禍で縮小した民間工事需要が経済活動の正常化に伴い順調に推移したことに加えて、営業を含めた生産性改善の効果も加わり、売上高、利益(前年度セグメント損失)ともに前年度を上回る結果となりました。 不動産賃貸事業については、遊休不動産の積極的な活用により売上高、利益ともに前年度を上回る結果となりました。 これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末の資産合計は、前期末に比べ1,631百万円増加し、19,768百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前期末に比べ692百万円増加し、7,307百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前期末に比べ939百万円増加し、12,460百万円となりました。 当連結会計年度の経営成績は、売上高は14,609百万円(前年同期比17.7%増)、営業利益は1,394百万円(前年同期比61.3%増)、経常利益は1,528百万円(前年同期比61.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,072百万円(前年同期比57.7%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 耐火物事業につきましては、当連結会計年度の売上高は6,025百万円(前年同期比6.5%増)、セグメント利益は141百万円(前年同期比25.3%減)となりました。 プラント事業につきましては、当連結会計年度の売上高は5,702百万円(前年同期比30.6%増)、セグメント利益は912百万円(前年同期比92.5%増)となりました。 建材及び舗装用材事業につきましては、当連結会計年度の売上高は2,374百万円(前年同期比22.4%増)、セグメント利益は126百万円(前年同期は3百万円のセグメント損失)となりました。 不動産賃貸事業につきましては、当連結会計年度の売上高は381百万円(前年同期比6.5%増)、セグメント利益は187百万円(前年同期比2.3%増)となりました。 主に、外注品等を販売する事業であり、当連結会計年度の売上高は125百万円(前年同期比41.7%増)、セグメント利益は24百万円(前年同期比68.8%増)となりました。 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は231百万円(前期末比9.7%)増加し、2,609百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は740百万円(前年同期比36.5%減)となりました。 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,530百万円、減価償却費434百万円及び仕入債務の増加額318百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額1,106百万円、契約資産の増加額340百万円及び法人税等の支払額274百万円によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は221百万円(前年同期比80.4%減)となりました。 収入の主な内訳は、有価証券の償還による収入208百万円及び有形固定資産の売却による収入35百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出272百万円及び投資有価証券の取得による支出214百万円によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は287百万円(前年同期比13.5%減)となりました。 支出の主な内訳は、配当金の支払額187百万円及び社債の償還による支出60百万円によるものであります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 流動資産は、売掛金や契約資産の増加などにより、全体としては11,751百万円(前期末比1,660百万円増)となりました。固定資産は、投資有価証券が増加したものの、建物及び構築物(純額)や機械装置及び運搬具(純額)の減少などにより、全体としては8,016百万円(前期末比28百万円減)となりました。その結果、資産合計では、19,768百万円(前期末比1,631百万円増)となりました。 流動負債は、1年内償還予定の社債や未払法人税等の増加などにより、全体としては5,806百万円(前期末比964百万円増)となりました。固定負債は、社債の減少などにより、全体としては1,501百万円(前期末比271百万円減)となりました。その結果、負債合計では、7,307百万円(前期末比692百万円増)となりました。 純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加などにより、12,460百万円(前期末比939百万円増)となり、自己資本比率は63.0%(前期末比0.5ポイント減)となりました。 売上高は、原燃料価格上昇分の販売価格への転嫁が奏功したこと、得意先の設備投資環境の回復及び2021年10月に買収した岩佐機械工業株式会社の売上高が通期分加算されたことなどにより、前連結会計年度に比べ17.7%増の14,609百万円となりました。 営業利益は、耐火物事業については減少となったものの、得意先の設備投資環境の回復、2021年10月に買収した岩佐機械工業株式会社の利益が通期分加算されたことなどにより、1,394百万円(前年同期比61.3%増)となりました。経常利益は受取配当金や補助金収入などにより1,528百万円(前年同期比61.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は税金費用の支払いなどにより1,072百万円(前年同期比57.7%増)となりました。 当社グループは、事業運営上必要な流動性を常に確保し、高い財務健全性を担保することを基本方針としております。必要な資金については、事業により創出されるフリー・キャッシュ・フロー、金融機関からの借入及び社債の発行により資金調達をしており、運転資金及び設備資金につきましては、当社グループのものを含め当社において一元管理しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,609百万円、有利子負債残高は1,720百万円であり、手元流動性は十分に確保している状況であり、財務状況は健全であると認識しております。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりであります。 該当事項はありません。 当社グループは、①耐火物及びその関連技術、②ニューセラミックス技術、③各種工業炉及び付帯設備技術、並びに④建材及び舗装用材料・工法技術の4分野を中心に、経営基盤と事業競争力強化を実現するため研究開発に力を注いでおります。 これらの研究開発は、当社の技術研究所、各工場、プラント部及び連結子会社の美州興産㈱技術部・開発部が連携し、耐火物事業(セラミックス・耐火物事業)、プラント事業、建材及び舗装用材事業においてそれぞれ研究テーマを設定し推進しております。当連結会計年度における研究開発費の総額は348百万円であり、この内訳は耐火物事業265百万円、プラント事業49百万円、建材及び舗装用材事業33百万円であります。 当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動のテーマは、下記のとおりであります。
株式会社和心
# 株式会社和心 当社の代表取締役である森智宏は、最上夢人、宮原優との3名で、1997年にアクセサリーブランド[かすう工房]を立ち上げました。その後、良質なデザインと日本で流通量の多いタイ製品の高い技術力を1つにした、低コスト・高品質なシルバーアクセサリーの供給体制を確立し、1998年にはOEM事業を開始、法人化を目指しました。1999年2月、自社ブランドである[かすう工房]の初の直営店舗を東京・代官山にオープン、和柄をモチーフとしたシルバーアクセサリーの販売により顧客を増やし、2003年2月、当社の法人化に至りました。 当社は『日本のカルチャーを世界へ』を経営理念に、「日本文化を感じるモノを作り販売する」モノ事業と「日本文化の良さを体験してもらう」コト事業、及び、その他事業、の3つの事業を運営しております。 モノ事業、コト事業のいずれにおいても、インターネット上での周知・拡散を集客手段の基本とし、京都をはじめとした国内の主要都市/観光地においてドミナント出店を行うことで、お客様が最初に接点を持った1店舗/1媒体を入口に、他店舗/他媒体への興味・関心を喚起することで、お客様に複数の製品と購買機会を提供するビジネスモデルを展開しております。2020年12月期より、子会社マイグレ株式会社を設立してその他事業を開始しております。 コト事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、個人消費は減退し、来店客数も感染症拡大前の状態にはなかなか戻らず、収益性が悪化しました。このため、モノ事業及びその他事業にリソースを集約し、経営資源の再分配を行う必要があり、コト事業を事業譲渡しました。 モノ事業は、企画・デザインから製造、販売までを自社で徹底して管理する製造小売業、いわゆるSPAの事業形態を採っております。店舗の空間設計や施工、オムニチャネル化を可能としたECサイトの開発・運用まで一貫して管理する事業形態を採ることで、効率的かつ高収益を目指した小売業を展開しております。また、小売業で蓄積したノウハウを武器に、他企業へのOEM提案を行っております。 [かんざし屋wargo]、[北斎グラフィック]、[箸や万作]、[猫まっしぐら]、[かすう工房]、[おびどめ屋wargo]、[ゆかた屋hiyori]及びこれら複数ブランドの商品を取り扱う複合店舗[The Ichi]を京都をはじめ国内の主要都市/観光地に展開しております。 また、店舗出店の他、ECサイトにおける販売及び催事場による販売も行っております。 いずれのブランドにおいてもオリジナルデザインを中心に、伝統工芸から人気キャラクターまで様々なコラボ商品を手掛けており、1商材に対する商品数の充実に注力し、多種多様な顧客ニーズに対応しております。また、お客様に楽しみながらお買い物をして頂ける店作りを追求しております。 各ブランドの主な特徴は以下のとおりです。 2005年に発足した、かんざしをメイン商材とした当社主力ブランドであり、[かんざし屋wargo]にて販売しております。 日本の伝統的な装飾品であるかんざしを、オリジナルデザインで現代に蘇らせることをコンセプトとし、和の伝統美を取り入れながら現代の日常生活で気軽に楽しめる商品を展開しております。 傘をメイン商材としたブランドであり、[北斎グラフィック]にて販売しております。 軽量で機能的な現代の傘に、伝統を継承した和傘スタイルを併せ持つ、新しい傘を提案しております。 2017年6月に発足した箸をメイン商材としたブランドであり、[箸や万作]にて展開しております。 「万(よろず)の箸を作る」という意味を込めた箸と箸置きの専門店で、日本全国の箸が手に入るような専門店を目指しております。 [猫まっしぐら]は、ありとあらゆるところで猫に触れ合えるように、日本猫(和猫)にこだわり、日本猫を中心とした猫雑貨専門店として誕生いたしました。 ”伝統意匠とアクセサリーとの融合”をコンセプトとして、和柄のシルバーアクセサリーをメイン商材として展開するブランドで、[The Ichi]にて販売しております。 重厚な趣きのシルバー素材のみならず、経年劣化しにくい真鍮素材や天然石、あるいは植物繊維などの非金属素材を取り入れております。 帯留めをメイン商材に展開するブランドであり、主に[The Ichi]にて販売しております。 日本が育んできた伝統美を守りながら、遊び心を取り入れて、日本の美を世界へ広げていくことをコンセプトにしております。 浴衣をメイン商材としたブランドであり、主に催事場において販売しております。 当社は、アニメ、マンガ、ゲーム及びそのキャラクターグッズなどクールジャパンの筆頭に挙げられるサブカルチャーコンテンツを手掛ける企業を主要取引先として、自社商品の製造過程で培ってきた国内外の多数の提携工場とのリレーションを活かし、原価を抑え、品質を維持した小ロット生産にも対応できるOEMサービスを提供しております。 商材毎に特化したOEM制作サイトを開設し、新規顧客開拓の主要手段としております。長年にわたる小売店舗の運営経験を活かした提案が可能であること、社内の専属デザイナーと顧客との間で直接コミュニケーションが可能であること、などが特徴に挙げられます。 [きものレンタルwargo]では、京都をはじめ国内の主要都市/観光地に出店する他、ECサイトからの予約システムや、ECサイトで着物一式を借りることができる宅配着物レンタルサービスを運営しております。店舗では荷物のお預かりサービスも提供しており、お客様には手ぶらで着物を楽しんでいただけます。なお、2022年12月末日にコト事業を事業譲渡しました。 その他事業においては、静岡県を中心に空き家をリノベーションして不動産賃貸業及び宿泊施設を運営しております。 各セグメントにおける都道府県別及び業態別の店舗状況は次のとおりであります。 倉庫を賃借しております。商品保管業務の委託、事務業務の受託があります。役員の兼任1名。 コンサルティング業務の受託があります。 当社の労働組合は、結成されていませんが、労使関係は円満に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 当社グループが掲げる経営理念『日本のカルチャーを世界へ』の“日本のカルチャー”とは、日本の風土そのもの、またそれにより育まれた日本人の民族性、生活様式/習慣、或いはそれらに影響を受けた人々が生み出してきた哲学や思想、文化・芸術や技術の賜物です。当社は、そのような“日本のカルチャー”を1人でも多くの方に実感できる場を提供することを通じて、日本のみんなだけでなく世界のみんなを幸せにすることが、当社グループの存在意義であると考えております。 伝統と革新の両面で、日本という国を象徴するあらゆるモノとそこに住む我々日本人を形づくってきたあらゆるコトのサービスを中心として提供しており、モノ事業の新規ブランドの開発、IT技術革新への対応及び新規出店の加速を実現し、その他事業を含めたさらなる事業拡大を目指してまいります。 2020年春以降、不採算店舗の退店と人員削減によるコスト削減を実施しております。2019年12月末に91店舗(モノ事業72店舗、コト事業19店舗)だった店舗を2022年12月末には29店舗(モノ事業22店舗、コト事業7店舗)まで縮小いたしました。また、モノ事業及びその他事業にリソースを集約し、経営資源の再分配を行う必要があり、コト事業を事業譲渡しました。今後も店舗の採算に応じて店舗撤退の要否を判断いたしますが、効率経営を念頭に、赤字店舗の閉鎖及び催事の強化を実施することで、コロナ禍においても利益が出る体質への変革を実行してまいります。 モノ事業における店舗展開以外に、ECサイトにおける販売、OEMサービス等の強化により、収益の確保を図ってまいります。 その他事業において静岡県を中心に空き家をリノベーションした不動産賃貸業及び宿泊施設を運営しております。今後は売上高の拡大を図ってまいります。 当社では、全店舗について家賃減額の交渉、人件費の削減、本社機能の縮小などを行ってまいりました。家賃減額交渉も継続しながら、本社及び店舗の運営費用の削減等引き続き経費の削減に努力してまいります。 財務状況の安定化を図るために、取引金融機関の支援も得ながら以下の通りエクイティファイナンスを実行いたしました。 当社は2021年5月20日開催の取締役会において、第三者割当による新株式の発行並びに第10回新株予約権の発行を決議し、2022年10月6日までに資金調達を完了しました。今後も財務体質の改善をより確実なものとするために、引続きエクイティファイナンスも検討することで、将来の事業拡大に備えた機動的な資金調達を図ってまいります。 今後も財務体質の改善をより確実なものとするために、引続きエクイティファイナンスも検討することで、将来の事業拡大に備えた機動的な資金調達を図ってまいります。 当社グループが対処すべき主な課題は、以下の項目と認識しております。なお、当社グループが運営する事業は、物品の販売を行うモノ事業とその他事業に大別されます。 当社グループの事業発展には、好立地・好条件物件への新規出店を継続的に行うことが重要と考えております。当社グループは複数ルートからの物件情報収集と積極的な条件交渉を行い、全国の主要都市/観光地への出店をすることにより、営業基盤を拡大してまいります。新規出店計画は当社グループの事業発展に欠かせないばかりか、当社グループの収益に影響を及ぼすリスクがあるものと認識しております。そのため、好立地・好条件の物件を獲得するためのネットワークを確立できるよう努めるとともに、ドミナント戦略の特性を活かした計画的かつ効率的な出店を行い、出店準備の内製化等の具体的施策も含め、更なる収益性の向上に努めてまいります。 近年、デバイスの多様化と進化に伴い、インターネット経由の消費が増加するとともにEC市場参入企業が増えており、競争力を強化する上でIT技術革新への迅速な対応が課題と考えております。当社グループはモノ事業は集客手段としてインターネット上に複数のECサイトを運営しております。ECサイトの企画から開発、運営とwebマーケティングの運用を一貫して内製化することで迅速で高頻度な新コンテンツのリリース等に対応してきました。webマーケティング、ユーザビリティ及びコンテンツへ対応することにより、今後の競争力を強化してまいります。 モノ事業-OEM部門は、キャラクターグッズ業界をはじめとしたコンテンツ産業に高いニーズがあります。ゲームやアニメなどへの消費は、経済変動による影響が大きいため、景気に左右されない安定した需要の創造と確保が大きな課題と考えております。 当社グループには、大手企業のゲームやアニメキャラクターとのコラボ商品の開発及び販売実績が多数ありますが、さらにモノ事業-小売り部門の実店舗やECサイトを通じて得る市場トレンド・消費者ニーズに関する情報や開発のノウハウをOEM部門の提案内容に織り込み、競合他社との差別化を図っております。 当社グループは設立以来、商材の企画・開発を行い、主に商材ごとのマルチブランド展開戦略で成長を図ってまいりました。当社グループが事業の高い成長と企業価値の向上を継続的にさせていくためには、既存及び新規ブランドの店舗開発を積極的に進めて行くとともに新規・周辺領域ビジネスにチャレンジしていくことが必要であると考えております。 その他事業では、不動産賃貸事業や宿泊施設の運営を行っております。今後もリスク管理体制の整備・運用を徹底した上で、新規及び周辺領域ビジネスの立上げによる収益の多角化を積極的に進めてまいります。 当社グループが継続的成長を遂げるためには、各分野に精通した優秀な人材の確保が重要であると考えております。中でも、当社が提供する商品やサービスのテーマとなる「日本のカルチャー」に関連する知識や経験を備えたデザイナーやECサイト運営に係るエンジニアの確保、熟練の着付け師の増員が重要な課題であると認識しており、当該人材の採用に注力してまいります。 入社時には正社員、アルバイトを問わず、全ての社員・スタッフに当社の企業理念や今後の事業についての研修を実施し、全社員・スタッフが統一した意識を持ち業務に当たるよう育成をしております。 当社グループは主要な集客手段としてインターネット上に複数の自社媒体を運営しており、多数の個人情報を有しているため、情報管理が最重要課題であると認識しております。当社においては、厳格な個人情報管理体制を構築しておりますが、今後も、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備等を実施し、情報管理体制の維持及び強化を図ってまいります。また、社内業務の効率化と省力化を図るため、社内情報システムの整備を継続的に行ってまいります。 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも事業遂行上のリスクとは捉えていない事項についても、投資者の投資判断上もしくは当社の事業を理解いただく上で重要と考えられる事項は、投資者に対する情報開示の観点から記載しております。 なお、本文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において、当社グループの判断に基づくものであり、不確実性を内在しているため実際の結果と異なる可能性があります。 当社グループが運営する事業は、物品の販売を行うモノ事業とその他事業に大別されますが、モノ事業(OEM部門)の一部案件を除き、いずれの事業においても一般消費者が最終顧客となることから、常に、商品・サービス・価格に関して国内外の競合企業と競争状態にあります。当社グループの商品・サービス・価格の競合他社に対する魅力が劣る等により事業競争力が相対的に低下し、顧客が競合他社を選択する場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは「日本のカルチャー」をテーマに、国内の主要都市/観光地で服飾雑貨や生活雑貨等のオリジナル商品の販売を営んでおります。外部環境の変化による気候状況、景気後退、大規模災害等に伴う消費縮小、来店客減少によって当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループ事業を取り巻く市場環境は、日本文化を象徴するデザインや日本製の商品に対する好感度の高さなどにより需要が拡大している状態と考えております。市場規模の拡大から異業種企業の参入等、市場の構造変化が劇的に進んだ場合は当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 一方で、わが国における戦争・紛争・テロの発生、感染症等の疫病の流行、大規模地震や台風等の自然災害、外交関係の悪化による訪日外国人客の減少等の場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社モノ事業については「食品衛生法」「製造物責任法」「著作権法」「特定商取引法」「個人情報保護法」「電子消費者契約法」「商標法」「景品表示法」等の法的規制が存在しています。しかしながら、今後新たな法令等の制定や既存法令等の改正又は解釈の変更がなされ当社の事業の一部が制約を受ける場合、又は新たな対応を余儀なくされる場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業基盤として人材の確保が必要ですが、生産年齢人口の減少、雇用形態の変化等により、従業員の採用競争は厳しい状況にあります。こうした環境の中で適切な採用、人員配置が叶わない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、必要とする人員を確保するために非正規社員の時間給単価が上昇した場合には人件費比率が上昇し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループはサービス提供にあたり会員情報等の個人情報を取得、利用しているため「個人情報保護法」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられております。当社グループは、これら情報の消失や外部への漏洩防止を目的として、自社媒体の開発及び保守・運用を委託する業者についてはサーバの選定等事細かな事項に至るまでの決裁権を保持する等、情報管理体制を強化しております。また、当社グループは店舗の損益管理、勤怠管理及び会計処理などの情報処理の運営管理について、専門のソフトウェアを利用しており、バックアップやウィルス対策など、データや情報処理のセキュリティを確保しております。しかしながら、不測の事態により個人情報の消失や外部への漏洩事故が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの社会的信用の失墜等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社はインターネット上に自社ECサイトを運営しており、事業の安定的な運用のためにシステム強化及びセキュリティ対策を行っております。しかしながら、予期せぬ自然災害や不慮の事故等により当社が運営する媒体のコンピューターシステムに障害が発生した場合や、想定を超える急激なアクセス増等の一時的な過負荷によってコンピューターシステムが動作不能に陥った場合、サービス停止により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの創業者であり創業以来の事業推進者である代表取締役森智宏は、当社グループの事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定等、当社グループの事業活動全般において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは過度に当該個人に依存しないよう、創業メンバーである専務取締役最上夢人をはじめとした経営幹部役職員を拡充し、権限委譲による分業体制と経営組織の強化に取り組んでおりますが、何等かの理由により当該各人による業務遂行が困難となり当社グループの業務の継続に支障が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社モノ事業は外部の製造会社に生産を委託しております。新商品の生産にあたっては、デザイナーによる試作品の事前チェックを通過しないものは発売日を延期する等、品質最優先で対応しております。しかしながら、商品の予期せぬ不具合やそれによる事故等の発生により、当社グループの商品の安心・安全・信頼が害され、品質に対する信用を失うことになった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の出店は、当社が建物等を賃借する直営店舗の形態を取っているため、賃貸人が破綻等の状態に陥り、当該店舗の継続的使用や差入保証金等の債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新規出店は賃料、商圏人口、競合店の状況等を勘案し、総合的かつ慎重に検討を行いますが、条件に合致する物件が調達できない場合には計画通りの出店ができなくなり、さらに出店後においても店舗収益性が低下した場合等には、店舗資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは国内の主要都市/観光地に出店している店舗からの売上比率が高いため、出店地域で悪天候が長期に及んだ場合、来店客数の減少等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の掲示板への書き込みやそれを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、当社グループの経営にとってマイナスの影響が生じ、当社グループの業績及び財政状態、株価に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは未だ成長過程にあり、今後想定される業務拡大や新規事業の展開に対応するべく、継続的な人材の確保・育成、適切な人員配置、及び柔軟な組織改編により内部管理体制の強化を図っていく予定です。しかしながら、新たな人材の確保・育成、人員配置や組織改組が計画通りに進まず、内部管理体制の強化が進まない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは第三者の著作権侵害のないように体制の整備を進めておりますが、万が一当社グループの商品が第三者の知的財産権を侵害した場合等には、損害賠償等の訴訟を起こされる可能性がないとは言えません。その結果、当社グループの事業展開に対する支障の発生や企業イメージが低下するほか、金銭的負担の発生により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社モノ事業は生産の大半を海外の製造会社に委託しており、主な生産国は中国とタイです。そのため、当該地域に関係する市場リスク、信用リスクおよび地政学的リスク等や為替レートの大幅な変動等が当社の仕入れに影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、新規出店による事業規模の拡大及び財務基盤の強化を目的として内部留保の充実を優先してきたため、設立以来配当を実施していません。当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、今後は経営成績及び財政状態等を総合的に勘案しながら、配当の実施を検討して参りますが、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定です。 当社は、取締役、従業員および社外協力者に対するインセンティブ付与を目的としたストック・オプション制度を採用しております。そのため、対象者により付与されている新株予約権の行使が行われた場合、既存株主の保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。 なお、本書提出日前月末現在における新株予約権による潜在株式数は139,900株であり、発行済株式総数3,682,500株の3.8%に相当します。 当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高996,843千円、営業損失203,296千円、経常損失220,584千円、親会社株主に帰属する当期純損失82,884千円となり、2022年12月31日時点の連結貸借対照表上441,820千円の債務超過となっております。 当連結会計年度においては、経済活動の制限が徐々に緩和されたことにより来店客数が前年同期比112.0%と戻りつつあるため増収となりました。コト事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、来店客数も感染症拡大前の状態にはなかなか戻らず、収益性が悪化しました。モノ事業及びその他事業にリソースを集約し、経営資源の再分配を行う必要があり、2022年12月29日公表の「着物レンタル部門の事業譲渡に関するお知らせ」のとおり、コト事業を事業譲渡しました。 新型コロナウイルス感染症拡大前の状態には程遠く、売上高が減少し、資金繰りに懸念が生じております。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。 なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」に記載しております。 昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により、インバウンドを含む観光需要の減少、外出自粛等の影響により売上高が減少しています。消費者の購買行動が新型コロナウイルス感染症拡大前の状態に徐々に戻り始めつつありますが、当社グループの業績及び財政状態に大きく影響する可能性があります。 なお、当社グループでは新型コロナウイルスへの感染予防を徹底してまいります。具体的には、お客様同士及び接客時の間隔確保、マスクの着用、アルコール消毒の徹底、定期的な換気の実施、スタッフの健康管理の徹底等を行ってまいります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの新たな変異株により感染拡大の影響を受けながらも社会経済活動が緩やかに再開した一方、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要があり、依然として先行き不透明な状況になっております。 当社グループの属する小売・サービス業界は、消費者の購買行動が新型コロナウイルス感染症拡大前の状態に徐々に戻り始めつつありますが、エネルギー価格や原材料の仕入価格高騰及び円安による物価上昇、人件費の高騰などが懸念されており、厳しい状況になっております。また、2022年の訪日外客数は前年同期比1458.6%増加(出典:日本政府観光局(JNTO))しておりますが、2019年同期比では88.0%減少(出典:日本政府観光局(JNTO))しており、まだインバウンド消費は回復しておりません。 このような経済環境の下、当社は「日本のカルチャーを世界へ」を経営理念に、「日本文化を感じるモノを作り販売する」モノ事業と「日本文化の良さを体験してもらう」コト事業、及び、その他事業、の3つの事業の強化に引き続き取り組みました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、出店計画の見直し、店舗の閉鎖を余儀なくされる状況となりました。 当連結会計年度においては、経済活動の制限が徐々に緩和されたことにより来店客数が前年同期比112.0%と戻りつつあるため増収となりました。出退店につきましては、当連結会計年度において、出店はなく、退店が16店舗あり、期末の店舗数は合計29店舗(前年同期比16店舗減)となりました。一方で、店舗の閉鎖やコスト削減により、販売費及び一般管理費は953,192千円(前年同期比20.2%減)となりました。 なお、コト事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、来店客数も感染症拡大前の状態にはなかなか戻らず、収益性が悪化しました。モノ事業及びその他事業にリソースを集約し、経営資源の再分配を行う必要があり、2022年12月29日公表の「着物レンタル部門の事業譲渡に関するお知らせ」のとおり、コト事業を事業譲渡しました。 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高996,843千円(前年同期比10.5%増)、営業損失203,296千円(前年同期は487,961千円の損失)、経常損失220,584千円(前年同期は493,389千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失82,884千円(前年同期は554,756千円の損失)となりました。 各セグメントの業績は、次のとおりです。 モノ事業においては、既存の店舗で在庫をメインに営業を進めました。家賃減額交渉も継続して行い、催事を強化することにより収益向上を図った結果、増益となりました。当連結会計年度末における店舗数は、〔かんざし屋wargo〕9店舗(前連結会計年度末比2店舗減)、〔The Ichi〕2店舗(同2店舗減)、〔北斎グラフィック〕7店舗(同5店舗減)、〔箸や万作〕2店舗(同1店舗減)、〔猫まっしぐら〕2店舗(同1店舗減)、合計22店舗(同11店舗減)となりました。その他、ネット通販、OEMサービス等も行っております。この結果、当連結会計年度におけるモノ事業の売上高は734,037千円(前期比1.4%減)、セグメント利益は131,148千円(前期は84,968千円の損失)となりました。 コト事業においては、当連結会計年度末における〔きものレンタルwargo〕の店舗数は7店舗(前連結会計年度末比5店舗減)となりました。この結果、当連結会計年度におけるコト事業の売上高は219,109千円(前期比49.8%増)、セグメント利益は716千円(前期は50,933千円の損失)となりました。 その他事業においては、静岡県を中心に空き家をリノベーションした不動産賃貸業及び宿泊施設を運営しております。この結果、当連結会計年度におけるその他事業の売上高は43,696千円(前期比229.9%増)、セグメント損失は1,977千円(前期は20,499千円の損失)となりました。 当連結会計年度における資金は122,638千円(前年同期比比4,188千円減)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果支出した資金は126,130千円(前年同期比185,101千円増)となりました。この主な要因は、税引前当期純損失64,968千円、持分変動損益79,477千円等によるものであります。 投資活動の結果得られた資金は49,193千円(前年同期比20,691千円減)となりました。この主な要因は、事業譲渡による収入61,600千円等によるものであります。 財務活動の結果得られた資金は72,748千円(前年同期比42,227千円減)となりました。この主な要因は、株式の発行による収入73,813千円等によるものであります。 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積もりとは乖離が生じる可能性があります。 なお、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 流動資産は、前連結会計年度末に比べて53,851千円増加し298,877千円となりました。これは主に商品が44,712千円増加したことなどによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて45,097千円増加し366,923千円となりました。これは主に関係会社株式が60,198千円増加したことなどによります。 その結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて98,949千円増加し665,801千円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べて231,556千円増加し871,299千円となりました。これは主に買掛金が79,710千円、1年以内返済予定の長期借入金が123,110千円増加したことなどによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて124,174千円減少し236,322千円となりました。これは主に長期借入金が123,806千円減少したことなどによります。 その結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて107,382千円増加し1,107,621千円となりました。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて8,432千円減少し△441,820千円となりました。これは主に利益剰余金が82,884千円減少したことなどによります。 当連結会計年度における売上高は996,843千円となりました。経済活動の制限が徐々に緩和されたことにより来店客数が前年同期比112.0%と戻りつつあるため増収となりました。出退店につきましては、当連結会計年度において、出店はなく、退店が16店舗あり、期末の店舗数は合計29店舗(前年同期比16店舗減)となりました。また、売上原価は246,948千円となりました。その結果、売上総利益は749,895千円となりました。 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、店舗の閉鎖やコスト削減などにより953,192千円となりました。その結果、当連結会計年度における営業損失は203,296千円となりました。 営業外収益は、受取利息13千円、受取手数料6,000千円、その他の営業外収益2,061千円により合計8,074千円となり、営業外費用は、支払利息4,684千円、為替差損1,095千円、持分法による投資損失19,571千円、その他の営業外費用10千円により合計25,362千円となりました。その結果、当連結会計年度における経常損失は220,584千円となりました。 特別利益は助成金収入17,202千円、固定資産売却益596千円、持分変動利益79,477千円、関係会社株式売却益31,794千円により合計160,500千円となりました。特別損失は減損損失3,292千円、固定資産除却損1,592千円により合計4,884千円となりました。また、法人税、住人税及び事業税16,658千円を計上しました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は82,884千円となりました。 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。 運転資金及び設備投資資金など必要な資金需要に対応するため、金融機関からの借入及び資本市場からの資金調達などにより必要資金を確保する方針であります。 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、市場環境・競合・経済情勢等の様々なリスク要因があり、それらが当社の業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しております。 当社グループのモノ事業は主に店舗運営により行っております。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド需要の消失、外出自粛、消費マインドの悪化等、当連結会計年度は厳しい状況で推移いたしました。その結果、出店計画の見直し、店舗の閉鎖を余儀なくされる状況となっております。 見通しにつきましては、新たな変異株の登場など今後も予断を許さない状況ですが、お客様や従業員の安全を最優先し、経営環境に対応しながら営業を続けてまいります。モノ事業及びその他事業にリソースを集約し、経営資源の再分配を行う必要があり、コト事業を譲渡しました。モノ事業では、赤字店舗の閉鎖、催事の強化を進めますとともに、アフターコロナを見据えた出店に関しましては、立地条件、契約条件、競合、収益性等を精査しながらスクラップアンドビルドを進めるとともに、家賃減額交渉も継続しながら、周辺領域への新規展開も行うことで収益の多様化を図ってまいります。 コスト面につきましては、全店舗について家賃減額の交渉、人件費の削減、本社機能の縮小などを行ってまいりました。本社及び店舗の運営費用の削減等引き続き経費の削減に努力してまいります。 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善な経営戦略の立案、経営課題に対する施策の実施に努めております。また、当社が最も重要な経営資源と考える人材については、出店計画に応じて綿密に人員計画を策定することで採用活動を適時に行うほか、教育研修制度を充実させることで必要な人材の確保に努める方針であります。 当社は2022年12月29日開催の取締役会において、株式会社インバウンドコンソーシアムに対して着物レンタル部門であるコト事業を譲渡することについて決議し、2022年12月末日をもって事業譲渡いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (企業結合等関係)」をご参照ください。 該当事項はありません。
株式会社 ハウス オブ ローゼ
# 株式会社 ハウス オブ ローゼ 当社グループは、当社と子会社4社及びその他の関係会社1社で構成されており、化粧品・浴用剤・雑貨品の小売業及び卸売業を主に営んでおります。その他の関係会社については、4[関係会社の状況]をご参照ください。 主要な事業内容と当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。 当社の企業集団等の主要な事業系統図は、次のとおりであります。 しております。 ハウスオブローゼユニオンが組織されており、UAゼンセン・専門店ユニオン連合会に属しております。 なお、労使関係は円満に推移しております。 したものであります。 ものであります。 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 「お客様にありがとうと言われるような販売を続ける」という社是のもと、良い商品づくりをすすめ、お使いになられたお客様が充分に納得し、ご満足されることを使命として「利益ある成長」を続ける「強くて良い会社」を目指しております。 当社の組織運営においては、スタッフ効率(店舗スタッフ一人当たり売上高)をもっとも重視しており、この結果を表わす経営指標が営業利益率となります。 当期の営業利益率は、1.3%でありますが、営業利益率5.0%を目標として、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。 当社の経営理念である「美しさと健康と快適な生活を願われる人々のために、優れた商品と真心のこもったサービスを提供する」のもと、主力事業であるスキンケア・バス・ボディケア商品等の物販事業においては、多くの女性に支持される店舗及び商品開発に注力し、新規客様との接点を拡大し、安定的な売上増及び利益増を目指してまいります。 また、新型コロナウイルス感染症の収束後の社会や経済の在り方が大きく変わっていくことが予想され、EC事業を確実に加速してまいります。 国内景気は、新型コロナウイルス感染症の鎮静化に伴う各種の制限解除により、インバウンド需要を含め、持ち直して行くことが期待されます。しかしながら、円安傾向の長期化による物価の高止まりや地政学リスクの影響等、不透明な状況が続くことが見込まれます。当社につきましては、当期末に物流センターの土地、建物を売却し物流機能を再編しました。新たな物流システムの下でさらなる物流効率化とサービス向上に取り組みます。また各営業部門においては一層の業績回復並びに業容の拡大に努めることに注力すると共に、全社的にはデジタル化を推進し業務の効率化や店舗サービスの向上を図ります。 ハウスオブローゼ直営店につきましては、コロナ禍で制限していたハンドウォッシュ(お客様の手を顔に見立て、洗顔料等を使用しお客様の手に触れながら洗顔方法をお伝えする、当社の強みである販売手法)を再開し、お客様一人ひとりに対する「触れる接客」を再強化することで、スキンケア化粧品を中心に売上高及び総客数の増加を図ります。そのため販売教育部や店舗サポート部が中心となり店長、スタッフの実践的な販売力強化を進めると共に、店舗ごとにMDの見直し等に取り組みます。店舗面では、今期も不採算店舗の退店を進めつつ、都市部の百貨店店舗から選定した数店舗をBePrime店に移行し店舗当たり売上高増の増加を図ります。今期はより一層、店舗利益の確保に重点を置いた運営に努めます。 EC事業は、期初に物流機能を刷新し、EC専用の物流システムを稼働しました。これにより自社ECサイトを中心に物流効率化と顧客満足度の向上を図りつつ、経費削減も可能と考えています。前期も事業全体で売上高は増加しましたが、特に外部モールの伸長が大きかった面がありますので、今期は自社ECサイトの集客増、売上増を図るべくOh!Babyシリーズ商品の販売強化を始め、通販限定企画等諸施策の強化やコンテンツの充実に取り組みます。一方外部モールについても、各モールのイベントを活用し、認知度向上と共にさらなる売上増を図ります。 個人オーナーや販売スタッフ派遣店舗に対しては、ハウスオブローゼ直営店同様、ハンドウォッシュを中心としたコンサルティング販売教育の強化に取り組むと共に、売上上位店舗への販促施策を拡充し底上げを図ります。またセルフ販売型の「リラックスタイム」については、拠点数の増加をさらに進めつつ、店舗管理や商品構成の見直しを図り、1店舗当たりの売上増加と店舗の活性化に努めます。その他一般卸に関してもチャネル拡大を進め、さらなる売上増加を図ります。また当事業全体として、期間限定商品の販売期間後の返品や廃棄ロスの抑制に取り組み、利益の向上に努めます。 リラクゼーションサロン事業は、技術及び接客面をさらに向上させることでリピート客の増加に努め、お客様の満足度を図ります。またオンライン予約システムについてはアプリのインストール率を向上させ、既存顧客のリピート率を高めつつ来店頻度向上を図ります。今後も不採算店舗数店舗の退店を計画していますが、1店舗当たりの売上高増加と共に事業の収益性向上に努めます。 カーブス事業は、不足しているスタッフ数の適正化を図りつつ、会員一人ひとりに対するサポートを強化し、「Wプラン」の推奨を進め、退会者の抑制に加え再入会活動を強化し、会員数の増加に取り組みます。また会員数が伸び悩んでいる店舗については、移設を検討し会員数の増加を目指します。一方、カーブスジャパンのTVCMも引き続き入会者の増加に資するものと期待し、早期に会員数10,000名確保を目指します。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社のサステナビリティ向上を推進する組織として、取締役経営企画室長を委員長とするサステナビリティ委員会及びワーキンググループを設置し、サステナビリティにおける課題や方向性等を検討し定期的に取締役会で報告しております。また、当社では「サステナビリティ基本方針」及びそれに基づく4つの指針を策定しており、今後、サステナビリティ委員会にて当該方針や現状の課題に基づきマテリアリティを特定し実施する予定です。 当社は、植物由来の原料を配合した肌に優しい自然志向の化粧品小売業を中核事業としており、企業価値の向上及び持続的な企業の成長において、環境を始めとしたサステナビリティは重要な課題であると認識しております。現在、店舗で使用しているショッピングバッグは既にプラスチック製から紙製に変更しており、商品のギフト用資材については、順次同様の変更を行っております。さらに容器等の素材に関しては、OEMメーカーと協力して環境に優しい容器等への変更を段階的に進める計画としております。 私たちは、人々が素肌の美しさと健康を保ち、それをもって日々快適な生活を営むことを願っており、経営理念の実践を通じ、私たちの可能な領域において持続可能な社会の実現を目指すと共に企業価値を高めてまいります。 創業以来、素肌に優しい自然志向の化粧品を中心としてPB商品を企画開発してきました。私たちは自然の中で生かされているとの認識を常に持ち、自然の恵みに感謝し、自然環境を大切にした商品づくりを目指します。 私たちは、私たちの事業活動に関わるすべての人の権利を尊重し、ディーセントワークに配慮して、人と人とのつながりを大切に事業を運営します。 従業員やその家族が快適な生活を営むべく、ワークライフバランスの更なる向上に努め、従業員一人一人が安全で安心して働ける労働環境の更なる充実を図ります。 私たちの事業には、多くの取引先が関わっており、取引先の協力なしには事業は成り立ちません。そのため、取引先とは対等で公正な関係を継続し、また取引先の選定及び継続にあたってはCSRの視点を重視し評価を行います。 我が国は、地震や風水害等の自然災害が多く発生し、その被害はインフラやサプライチェーンの進展に伴い甚大化、長期化しています。また情報ネットワークに関わるリスク等も増大化する中で、事業継続のため想定されるリスクを抽出し、取引先や地域コミュニティとも協力し管理強化を図ります。 当社は、自然志向の化粧品等の小売販売業務を中心とした顧客サービスと親身な接客を重視したビジネスを経営の主体としており、人材の雇用、育成は経営の重要課題と認識しております。 化粧品販売業である当社は、販売スタッフの販売教育には注力しており、販売教育部を中心として取り組んでおります。ほぼ毎月、全国の販売マネジャーが本社及び各地の営業所に集い、販売方針及び販売方法の徹底を図るとともに、当該マネジャーから担当店舗のスタッフに示達する流れが確立されています。また、新人販売スタッフにはOJTを行い、その後、販売教育部による販売トレーニングを受講し、当社の社是である「お客様に『ありがとう』と言われるような販売を続ける」に相応しい販売を行っているか検証します。なお、当社におけるリラクゼーションサロン事業及びカーブス事業はサービス事業ですが、社是に則りそれぞれの部門内で、ほぼ同様に接客及び技術に関するトレーニングを実施しております。一方、本社部門の新卒者には入社後新人研修を行い、座学及び店頭での販売研修を行っています。 従業員の健康管理については、全従業員に対し年1回の健康診断を義務とし、その結果を産業医に報告し、必要な場合は産業医による個別相談を実施しています。また、メンタルケアについては、当社が契約した専門カウンセラーが定期的に全国の直営店舗や営業所を訪問したり、主に販売マネジャーを対象とした電話やメール等によるカウンセリングを実施しています。 他方、毎月社内報を発行し、社長のメッセージや新商品並びに販売教育情報及び販売スタッフの情報交換ページ等を掲載しています。 サステナビリティに関するリスク管理については、当社では「リスク管理委員会」を設置しており、「リスク管理規程」及び現状当社としてリスクと考えている事項について検討、審議して代表取締役社長に報告すると共に、必要な場合は取締役会にて報告しております。また、毎年4月度の取締役会において、前事業年度におけるリスク管理委員会の活動及び内部監査結果を報告しています。 化粧品小売業を中核事業としている当社は、女性従業員数が全従業員の90%以上を占めており、また管理職全体に占める女性管理職比率も70%以上と高い水準にあるため、特段目標は定めておりません。当社の更なる事業成長のために、女性が中心となり、一人一人が活躍し、チームワーク力を発揮してもらいたいと考えており、女性管理職比率は、引き続き維持、向上に努めてまいります。 また、当社は従来から即戦力として中途採用者を受け入れており、管理職全体に占める中途採用者の管理職比率は90%以上と高く、特段の目標は定めておりません。新卒採用者については、育成を通じた管理職登用を一層強化したいと考えております。 外国人については、当社の事業領域上、現在は採用に至っておりませんが、今後の事業展開によっては採用及び管理職への登用を図ってまいります。 当社事業は、顧客サービス親身な接客を重視したビジネスであり、事業規模に比して従業員数が多いことから、子育てや介護等と仕事の両立ができるよう職場の環境整備が極めて重要と考え、育児休暇や介護休暇を始めとした施策の充実を図っております。 現在女性従業員の育児休暇取得率は100%となっており、今後ともこの数値を維持し、一人一人が安心して育休を取得でき、且つ店舗の勤務シフトが円滑に回るよう努めております。男性従業員の育児休業については、現状、該当年齢の従業員数が少ないため取得者はほぼいない状況ですが、取得者については当社の規定に準じ安心して取得できる環境を整備しております。また、育児休業や育児短時間制度では、法定より育休期間や育児短時間労働期間を伸長する等環境整備を図っております。 従業員の男女の賃金差につきましては、性差によるものではなく、業務の違いや職位及び勤務年数等に基づくものであり、比較的勤務年数の短い女性スタッフ数が多いための差となっております。 当社の経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社の化粧品販売事業は、コンサルティング販売を柱とした営業展開を行っておりますので、人的労力に負う部分が非常に大きなウエイトを占めており、スタッフの資質、技量によって店舗売上が左右される面があります。当社では、コンサルティング販売の徹底、レベル維持のためスタッフ教育に注力しておりますが、極めて少人数で年齢的にも若いスタッフに店舗運営を委ねているため管理面が統一されにくいこともあり、スタッフのモチベーションとモラルの低下が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、リラクゼーションサロン事業では、民間の資格を持ったリフレクソロジストにより施術を行うため、出店に応じたリフレクソロジストの確保が必要となり、人材確保が出来なかった場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、PB商品を企画・開発し販売するにあたり、研究開発室を中心としてOEMメーカーの協力を得て万全の体制をとっておりますが、万一不測の事態により商品の品質に欠陥が生じ、大量の消費者トラブルおよびクレームが発生した場合、損害賠償責任のみならず百貨店をはじめとした出店先から信用低下により出店契約が解除される事態となる可能性があり、その場合は当社の経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社は、PB商品をファブレス形式でOEMメーカーに生産を委託しております。商品の品質管理及び安定供給の維持等については、当社規格の製品検査及び覚書等で万全の体制をとっておりますが、OEMメーカーの対応に支障が生じた場合や、OEMメーカーが倒産した場合、商品の開発、一部商品の供給に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当社が取扱う自然志向の化粧品には、化粧品原料基準等で認可されている原材料を用いており、また健康食品にはビタミン類、ミネラル類などの原材料を用いております。これらの原材料の許認可については行政の意向が強く反映されるため、行政の意向により当社の商品製造・販売計画に支障が生じる可能性があります。 当社は各店舗において顧客の個人情報を多数有しております。よって、当社は顧客情報の管理を重要と考え、顧客情報管理規程を制定し、内部監査により管理の徹底状況を確認しておりますが、万が一顧客情報の漏洩等が発生した場合は、損害賠償の請求を受ける恐れがあります。また、信用の低下により販売活動に悪影響を与え、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当社は保証金を差し入れている店舗があり、当該保証金は、解約時には返却される契約となっております。当社では出店先の経営状況を必要に応じて確認しておりますが、出店先の業績不振、倒産等により保証金の回収が困難となった場合は、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当社は物流センターが1ヶ所のため、地震等の自然災害、交通災害等により物流機能が阻害される可能性があります。 当社の化粧品・医薬部外品等販売事業、健康食品販売事業、その他の事業における法的規制に関しては、「医薬品医療機器等法」関係の規制のほか、「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」「特定商取引法」「景品表示法」等の規制がなされております。また各販売事業における商品の品質、有効性、安全性の確保を目的とした社内規制を設けております。当社はこれらの法的規制を遵守し、行政通知等の情報収集に努め、規制内容に疑義が生じた場合は監督官庁等へ照会し回答を受けた上で実施するなど慎重な対応を行っております。化粧品・医薬部外品等販売事業につきましては、2014年11月25日施行の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく化粧品製造販売業許可(許可番号:13C0X00125)及び医薬部外品製造販売業許可(許可番号:13D0X00068)の交付を監督官庁より受け、当社PB化粧品及びPB医薬部外品の製造販売業務を行っております。製造販売業許可の有効期間は、共に2022年3月11日から2027年3月10日までとなっております。 なお、化粧品及び医薬部外品の製造販売業許可の失効または取消し等につきましては、医薬品医療機器等法第12条の2「許可の基準」、同法第75条「許可の取消し等」に定められております。当社の主要な事業活動の継続には、上述のとおり化粧品及び医薬部外品の製造販売業許可が必要であり、そのために「医薬品医療機器等法」等の関係法令を遵守した事業活動を実施する必要がありますが、現時点において、当社は当該業許可の取消しまたは更新要件の欠落の事由に該当する事実は無いと認識しております。しかし、将来何らかの理由により許可の失効、取消しまたは業務停止等の行政処分を受けた場合は、当社の主要な事業活動に支障をきたすと共に、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、上記法律等の改廃、法的規制の新設等が生じた場合、あるいは万一法的規制を遵守していない事態が生じた場合は、事業活動が制限され、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、自然志向の化粧品の販売を主たる事業としておりますが、2000年よりリラクゼーションサロン事業を開始し、リフレクソロジーの単独店舗又は化粧品等との併設店舗等の店舗展開を積極的に行っております。当社の行うリフレクソロジーにおける足裏等に対する施術はあん摩マッサージ指圧に類似する行為でありますが、上記施術は、行為自体の強度の点で対象者が痛みを感じるほどの強さをもって行うものではなく、また同時に提供される「色彩」、「照明」、「香り」、「音楽」、「飲み物」等と一体となってリフレクソロジーとして「リラクゼーション」の効果を有するものであることなどから総合的に判断し、「医師法」に規定される医療行為及び「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」に規定されるあん摩マッサージ指圧行為及び医業類似行為には該当しないと解しております。 但し、今後当社の行うリフレクソロジーが上記法律に何らかの形で抵触すると判断された場合は、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当社の主要事業が属する国内の化粧品市場は既に成熟した市場であり、業界の出荷高は近年横ばいの傾向にあるといわれております。このような中、自然志向、健康志向の高まりに対応すべく、独自の自然志向化粧品、サプリメント等の健康食品の開発・提供をしてきましたが、この分野においても新規参入が増加する傾向にあります。当社では、常に新たな商品の開発による他社との差別化を図り収益の確保を追求してまいりますが、類似品の登場などにより当社製品の競争力が低下するような場合は、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、競合他社との差別化を図り、一定の知的財産権を確保する措置を講じておりますが、他社による模倣品の販売により当社の商品の市場が侵食されるような場合は、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の開発販売するPB商品は、商標等の他社の知的財産権に抵触しないよう事前に入念な調査を行っておりますが、万が一、他社の知的財産権を侵害し、権利を有する他社がこれを先に発見した場合は、警告を受けるとともに、差止請求権、損害賠償請求権を行使される可能性があり、その内容及び結果によっては、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当社の直営店は、主に百貨店及び専門店を中心に展開しております。今後も百貨店コーナーでの販路拡大を継続するほか、ショッピングセンター等へ積極的に出店を行って参りますが、何らかの事情により、百貨店やショッピングセンター等での販売に変調が見られた場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 現在、株式会社ワコールホールディングスが筆頭株主として当社の議決権の21.3%を保有しており、当社は同社の持分法適用関連会社として位置づけられております。 当社と株式会社ワコールホールディングスを中心とする企業グループ(ワコールグループ)は、「美しさ」「快適さ」および「健康」を顧客へ提供する経営理念を共有しておりますが、経営そのものは完全に独立しており、当社は独自に事業展開しております。 同社との取引については、当社が運営する新業態型店舗において、ワコールグループの中核企業である株式会社ワコールから一部商品を仕入れております。 人的関係では、株式会社ワコールホールディングス常勤監査役が当社の社外取締役に就任しており、当社の取締役会および監査等委員会において適宜、助言・提言を受けております。なお、出向者等の受入はありません。 同社による議決権所有割合は、将来的に変動する可能性はありますが、相互の独立性は今後とも十分確保していく方針です。 新型コロナウイルス感染症の流行により、事業を取り巻く環境についてさまざまな影響を受けてまいりました。 今後も、感染症が流行・まん延する事態となった場合、当社の財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態が発生した場合には、感染症の性質や流行動向を注視しながら、当社では、お客様、従業員及び関係者の安全と健康を第一優先に考え、全てのお客様に安心してお買い物をしていただくため、店舗における必要な感染対策に取り組みます。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当事業年度末の総資産は、前事業年度末より1億5百万円減少し、88億32百万円となりました。 当事業年度末の流動資産は前事業年度末より1億28百万円増加し、57億33百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が2億77百万円増加し、売掛金が51百万円、商品及び製品が1億1百万円減少したことによるものであります。 当事業年度末の固定資産は前事業年度末より2億33百万円減少し、30億99百万円となりました。主な要因は、土地が3億2百万円、無形リース資産が56百万円減少し、繰延税金資産が1億25百万円増加したことによるものであります。 当事業年度末の流動負債は前事業年度末より4億62百万円減少し、17億33百万円となりました。主な要因は、未払法人税等が2億34百万円、短期借入金が1億50百万円、1年内返済予定の長期借入金が1億円減少したことによるものであります。 当事業年度末の固定負債は前事業年度末より59百万円減少し、13億57百万円となりました。主な要因は、長期借入金が1億円減少し、退職給付引当金が40百万円増加したことによるものであります。 当事業年度末の純資産は前事業年度末より4億16百万円増加し、57億41百万円となりました。主な要因は、土地再評価差額金の取崩により9億27百万円増加し、繰越利益剰余金が5億32百万円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は前事業年度末59.6%から65.0%となりました。 当期の国内景気は、夏場まで新型コロナウイルス第7波の影響を受けましたが、コロナ禍の鎮静化と共に行動制限が徐々に緩和されたことによって消費者マインドにも持ち直しの兆しが見られ、個人消費関連を中心に景況感が上向いた結果、企業収益も総じて改善傾向となりました。しかしながら、円安等を背景とした原材料価格の高騰による消費者物価の上昇により、買い控えや選別消費の傾向が強くなりました。企業間においても業況格差が拡大すると共に、業種によっては人手不足感が強くなりました。 ハウスオブローゼ直営店は、新型コロナウイルス第7波の影響により、第1四半期は当初計画を下回る状況となりましたが、その後は徐々に持ち直しの傾向で推移しました。ただ、秋以降の行動制限の緩和や全国旅行支援等により、週末や連休期間中の集客が伸び悩む面もありました。当期は、コロナ禍で当社の強みである「触れる接客」が制限される中、期初に「販売教育部」を新設し、接客力や販売力のさらなる強化を図るべく実践的教育に注力しました。また販売促進においても集客やスキンケア販売をバックアップする施策やSNSによるブランド認知強化に重点を置き取り組みました。その結果、既存店ベースでの売上高は前期比3.9%増となり、客数もほぼ同様の伸びとなりました。 商品面では、美白やエイジング関連のスキンケアラインが伸長した他、昨年9月にリニューアルしたベースメイク化粧品「フランクルール」シリーズがマスク生活に対応したラインナップも取り揃え、“素肌感覚の新ベースメイク”としてご好評をいただき、メイクアップ化粧品全体の売上を牽引しました。また本年3月には、シャンプー関連商品3シリーズを一新し発売しました。品質の向上のみならず、環境に配慮した容器を採用すると共に新たに詰め替え用商品を追加し、環境保護に資する商品としても売上増を期待しております。その他、季節に応じた限定商品や特長のある生活雑貨商品を発売しました。 店舗の状況につきましては、館の閉鎖及び不採算等により12店舗を退店、その一方、退店店舗の代替としての出店を始め計4店舗を出店し、期末店舗数は194店舗となりました。また、店舗改装で、都市部百貨店店舗のうち3店舗を「Be Prime」店としてリニューアルし、Be Primeの期末店舗数は10店舗となりました。Be Prime専用商品も好調に推移しており、上質感を求めた差別化店舗として堅調に推移しております。一方、Oh!Baby商品を中心とした半セルフ型ショップの「Oh!Baby」は首都圏2店舗にてポップアップショップ展開やSNSによりブランド認知を進めており、相次ぐ新商品シリーズも好評で、若年層を中心に注目度が高まっています。 EC事業は、Amazonモール、楽天モール及び新規のZOZOコスメといった外部モールがそれぞれのイベントに合わせた施策の実施等が奏功し、ボディスムーザーを中心に好調に推移し大きく売上伸長しました。一方自社運営サイトは、コロナ禍で急伸した反動で売上伸び率は若干鈍化しましたが、セールが好調だったことやリピーターによる購入が進んだこともあり、会員数の増加を伴い着実に売上増加となりました。EC売上高は、前期比26.0%の増加となりました。 以上、他の直営店販売事業を加えた当事業売上高は、92億54百万円(前期比5.4%増)となりました。一方経費面では、原材料価格の値上げに伴う商品の仕入れコスト上昇や人件費を始めとした諸経費の増加、及びEC事業で外部モールを中心に支払費用が増加するなど、様々な費用の増加により営業損失30百万円(前期は営業利益1億31百万円)となりました。 個人オーナー店舗向け卸は、季節限定商品や雑貨品が比較的好調に推移し、本年3月発売のシャンプー関連商品3シリーズも売上に寄与しましたが、新ベースメイク「フランクルール」の発売に伴う旧品商品の返品が売上減の一因となるなど、総じて厳しい状況となりました。一方大手量販店向け卸は、ボディケアを中心としたセルフ販売型の「リラックスタイム」が拠点数増加に加え、商品構成の見直しやMDの改善を進めたことでお客さまの購買率が向上し着実に売上を伸長、その他一般卸は、ロフトを始めとした販売チャネルの拡大やコロナ禍の鎮静化に伴い売上が増加する取引先もみられるなど好調に推移しました。中国越境EC卸は、中国市場に不安定感がある中で年度後半は持ち直してきましたが、通期では前期比で減少となりました。 以上、当事業売上高は、14億60百万円(前期比7.3%増)、売上高の増加により営業利益は60百万円(前期比53.0%増)となりました。 リラクゼーションサロン事業は、新型コロナの影響からは徐々に持ち直してきたものの、行動制限の緩和や諸物価の値上がり等により、顧客の来店回数が減少する傾向が見られました。このような状況の中で、当期はスタッフの施術技術や接客面の強化を図りつつ、コースメニューの改定及び簡素化を実施した結果、施術時間の長いコースの需要増加により施術単価の上昇につながりました。またオンライン予約システムも利便性を高めるべく機能アップさせ、予約件数の増加と来店周期の短縮化を実現しました。当期は期中に2店舗を退店しましたが、売上高は前期比0.6%と微増ながら前期を上回ることができました。 カーブス事業は、コロナ禍の鎮静化と共に健康志向の方の入会が増加する一方で、在宅時間の減少を理由に退会者の増加も見られました。このような状況の中、会員に対するきめ細かいサポートの強化に取り組む一方、来店が困難な会員に対しては、店舗でのトレーニングと自宅で体感できる「おうちでカーブス」の両方が利用できる「Wプラン」を推奨することで退会抑制と会員単価の上昇を図ることができました。さらにフランチャイザーであるカーブスジャパンによるTVCM効果もあり、期末会員数は期初より約260名増の約9,000名となり、売上高は前期比7.2%の増加となりました。 以上、当事業売上高は、11億90百万円(前期比4.3%増)、売上高の増加と共に売上原価率の低減等もあり営業利益は1億24百万円(前期比36.0%増)となりました。 以上の結果、第42期当社売上高は、各事業が着実に増加し119億5百万円、前期比5.5%の増加となりました。しかしながら費用面では、商品の仕入原価の上昇や人件費を始めとする諸費用の増加に加え、当初計画外で物流センター移転に係る費用も発生し、営業利益は1億53百万円(前期比41.5%減)となりました。一方、物流センターの土地、建物の売却により特別利益が2億84百万円、法人税等調整額を△1億33百万円計上したことにより、当期純利益は5億11百万円(前期比392.6%増)となりました。 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、当事業年度末は28億70百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は、3億22百万円(前期3億10百万円取得)となりました。これは主に税引前当期純利益の4億61百万円によるものであります。 投資活動の結果得られた資金は、5億83百万円(前期3億92百万円取得)となりました。これは主に固定資産売却による収入5億87百万円によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は、6億28百万円(前期7億60百万円使用)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出1億50百万円、長期借入金の返済による支出2億円、リース債務の返済による支出1億61百万円によるものであります。 当事業年度の仕入実績を商品分類別に示すと、次のとおりであります。 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当事業年度の販売実績を商品分類別に示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 当社の経営成績は、売上高119億5百万円、コロナ禍の影響を受けつつも各事業で確実に増加し、前年同期比5.5%の増加となりました。経費につきましては商品の仕入原価の上昇や人件費を始めとする諸費用の増加に加え、当初計画外で物流センター移転に係る費用も発生し、営業利益1億53百万円、前年同期比41.5%の減少となりました。 一方、物流センターの土地、建物売却により特別利益が2億84百万円、法人税等調整額を△1億33百万円計上したことにより、当期純利益は5億11百万円(前期は当期純利益1億3百万円)となりました。 当社の資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。 資金については、足元の状況を優先し、雇用を維持しながら店舗運営を継続していくため、2020年4月に運転資金として、金融機関3行から当座貸越契約を締結し、15億円の調達を行いました。また、長期借入金として5億円の調達を行いました。 なお、短期借入につきましては、2023年3月末日までに13億50百万円を返済、長期借入につきましては、2023年3月末までに4億円を返済しました。今後も状況に応じて、金融機関からの資金調達を適宜検討してまいります。事態収束の見通しが立ちましたら、従前通り、持続的な成長に向け邁進してまいります。 特記すべき事項はありません。 特記すべき事項はありません。
扶桑化学工業株式会社
# 扶桑化学工業株式会社 当社グループ(当社および連結子会社6社)は、「ライフサイエンス事業」および「電子材料および機能性化学品事業」の2分野に関係する事業を行っています。当社グループにおける各事業の位置付けは次のとおりです。なお、次の2部門は「第5  経理の状況  1.連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項」に掲げるセグメントの区分と同じです。 当セグメントにおいては、(a)果実酸類、有機酸類、(b)応用開発商品の製造・販売を行っています。 リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等の果実酸類および無水マレイン酸等の有機酸を中心に製品構成しています。果実酸類は飲料、加工食品に使用する酸味料、pH調整剤、酸化防止剤等の食品分野での用途を中心に、洗剤、化粧品、表面処理剤、コンクリート用混和剤、電子機器等の工業分野での用途に至るまで幅広く使用されています。 果実酸等の当社グループ製品を原料として、食品分野、工業分野に幅広く用途開発する商品であり、① 麺食品の品質改良剤、② 加工食品の日持ち向上剤、③食品製造メーカーにおけるトータル・サニテーション、④ 金属加工の改善等に用いられています。 当セグメントにおいては、(a)電子材料、(b)機能性化学品の製造・販売を行っています。 研磨剤原料用途として利用されている超高純度コロイダルシリカを中心に製品構成しています。この製品は、半導体業界を中心に需要があり、微細化、高集積化される次世代半導体集積回路の製造に必要なCMP(化学的機械的平坦化)スラリーにも対応しています。 プラスチック、塗料の添加剤および香料、化粧品の原料としての用途に使用される樹脂添加剤や、精密化学薬品製造の技術を活かしたファインケミカルを販売しています。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。 当社ライフサイエンス事業製品の販売を行っています。 当社ライフサイエンス事業製品、電子材料および機能性化学品事業製品の製造・販売を行っています。 当社ライフサイエンス事業製品の販売を行っています。 当社ライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業の賃貸事業を行っています。 当社ライフサイエンス事業製品の製造・販売を行っています。 当社ライフサイエンス事業製品の製造・販売を行っています。 当社の労働組合は、扶桑化学工業労働組合と称し、提出会社の本社に置かれ、2023年3月31日現在における組合員数は211名となっています。 なお、労使関係につきましては特に記載すべき事項はありません。 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないため、記載を省略しています。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、下記の社是、経営信条に則り、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。 そのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している「金メダル製品」の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。 今後の世界経済は、ウクライナ情勢の長期化、インフレの継続、金融信用不安の増加、経済安全保障リスクの高まり等、経済の混乱要因により、先行きは見通せない状況にあります。 このような状況のもと、当社グループは、当社経営資源を有効活用した国内外の需要取り込み、海外拠点を活用した海外展開、継続的な改善活動を通じたコア事業の更なる強化、市場ニーズに適合した新規商品の開発に取り組みます。さらに新規設備投資計画を進め、増加が見込まれる需要に対応するため供給力を強化します。 業績予想の売上高は、半導体市場の減速が想定されますが、当社主力製品である有機酸の海外展開の強化により、増収を見込んでいます。利益面では、セグメント構成比の変化や、原料・エネルギー価格の高止まり、新規設備の稼働に伴う減価償却費等の費用増加を見込んだことにより、減益となる見込みです。 当社グループは現在、2021年度から2025年度を対象とする中期経営計画“FUSO VISION 2025”を推進しています。策定時の想定に比べ、為替相場の円安傾向への変動、原料価格の高騰、および半導体微細化の更なる進展等、市場環境の目まぐるしい変化が、当社を取り巻く事業環境にポジティブな影響を与えました。その結果、業績が中期経営計画策定当初の想定を大きく上回ったため、最終年度である2025年度の経営目標の見直しを行いました。 なお、最終年度の経営目標以外の経営方針や施策については、現行の中期経営計画 “FUSO VISION 2025”に記載の内容から変更はありません。 中期経営計画の詳細および、中期経営計画の見直しに関する詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://fusokk.co.jp/fusovision2025)をご参照ください。 「限りなき進歩と創造」の先にあるもの、当社グループが目指す企業像としては、その特定の分野で輝く数多くの金メダル製品と様々な価値観・アイデアを持つ社員がそれぞれの持ち場で活き活きと働き、社会に貢献し続けられる体力のある企業、そのような未来を思い描き下記の通り設定しました。 2022年度の業績は、底堅く推移した食品市場を背景にした果実酸の安定的な販売、半導体市場の需要増加に対応した電子材料事業の販売数量の増加に加えて、原料やエネルギー価格高騰によるコストアップを、生産効率を上げ、価格改定を実施することで吸収し、収益の確保に努めました。その結果、当初の中期経営計画の経営目標を達成することができました。 2023年度以降においては、半導体市場が短期的には調整局面にあることを想定しており、厳しい市場環境ですが、各施策を着実に実行し、新経営目標の達成を目指します。 当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。 2023年度は新規開拓した販売網の強化、生産数量の拡大を目指し、当社の果実酸ビジネスをさらに推し進めます。また、国際食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」を継続して取得することで、世界基準での品質の高さをアピールし、更なる販売数量の拡大を見込んでいます。 次世代新製品として取り組んできたコート果実酸(有機酸の油脂コーティング品)は、2022年度に新規採用が実現しました。2023年度は国内外での更なる採用を目指し、営業開発活動を加速させていきます。更に、2022年度に上市した新しいコンセプトの次世代新製品であるテクノアシッドA(粉末酢酸)、テクノアシッドF(易溶化フマル酸製剤)、ウェルドゥS(グルテンフリー食品用製剤)も、顧客での評価は高く、2023年度には生産体制の確立と早期の販売を目指して取り組んでいきます。 また、製品ラインナップを充実させる一方、十三工場機能を大阪工場へ集約させ生産体制の効率化を図っています。2023年3月大阪工場に当該設備が完成しており、5月から製造を開始、2023年度中には十三工場での生産を終了する予定です。 海外では、青島扶桑精製加工有限公司が昨年に上海食品調味料開発センターを開設しました。青島のテストキッチンと併せて活用することによって、中国国内でのFFAビジネス(果実酸の特徴を活用したビジネス)の更なる拡大を目指していきます。また、FUSO(THAILAND)CO.,LTD.でもタイ国内のみならず、経済成長が著しい周辺国での活動を強化し、ローカル食品でのFFAビジネスの拡大を進めていきます。米国にあるPMP Fermentation Products,Inc.では、2023年度にグルコン酸ソーダの増産設備投資により製造能力が2割程度増強する見込みです。拡大する北米需要を取り込み、シェア拡大に努めます。 以上のように、国内外において市場・顧客動向を捉え、生産供給体制の拡充、新製品開発と早期戦列化、並びに中長期課題への適切な対応によって、さらなる売上および利益の拡大に取り組みます。 コロナ禍の拡大を経て、半導体の需要は大きく伸長しました。それに伴い当社の超高純度コロイダルシリカの販売も計画を上回る結果となっています。2023年度においては一時的に減速すると見込まれるものの、中長期的にはこの市場傾向が継続していくこと、各国家・地域が半導体に対する政策を打ち出していることを勘案し、当社では、半導体の生産量は増加すると予測しています。また、半導体の微細化の進展や高積層化によるウェハプロセスケミカルの需要量も、増加基調が継続されるものと見込んでいます。 この需要の増加に対応しつつ、BCP(事業継続計画)の観点から増設した鹿島事業所内の新設備は、2023年4月に稼働を始めています。本設備は、2018年に京都第一工場および第二工場に完成した超高純度コロイダルシリカ生産設備と同じ高度な技術を集結した仕様で、製造条件を高精度にコントロールする事が可能であり、益々厳しくなるお客様の品質要求に応える事ができます。また、旺盛な需要に対応するため、2024年4月に完工予定の京都事業所第二工場の設備増強、その先の2025年7月完工予定として鹿島事業所にさらなる追加設備を計画しています。2023年4月からの鹿島事業所の稼働と併せて、生産能力は現状の約1.5倍となる見込みです。 研究開発におきましては、従来どおりケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進しています。半導体分野では微細化、高集積化が益々進んでおり、それらのニーズに対応すべく、様々な大きさの粒子や硬さの粒子、表面修飾した粒子等の製品開発を続けていきます。 半導体研磨用途以外の新分野への製品開発や今後のグローバルな研究活動への拡大を見据え、京都事業所内の研究所を神戸市内へ移設し、新たな研究拠点として2022年7月に開所しました。東京研究所と共に、今後も積極的に経営資源を投下し、当社グループのコア技術である超高純度コロイダルシリカの合成技術を活かし、新規技術の研究開発を行います。 当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 2021年12月、当社は企業成長や事業継続を目的としてサステナビリティ基本方針を策定し、公表しました。環境、社会へのサステナビリティを意識したガバナンスを経営に反映させることにより、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に取り組んでいきたいと考えています。 当社は、グローバルニッチ企業のフロントランナーとして、その応用性と技術力で人々の暮らしの多様なシーンにおいて活躍し続けています。食品をはじめとする各産業界に貢献する果実酸とその誘導体、これからの社会における半導体産業に不可欠なシリカ関係製品群を提供し、未来に向け発展的な基盤を築いています。 社是「限りなき進歩と創造」により取り組んできた絶え間なき向上心をもとに持続的社会に貢献し、これからも永続的な企業価値の向上を図ってまいります。 当社は、サステナビリティを推進するため、2021年10月にサステナビリティ委員会を社内に設置しました。気候変動をはじめとした社会課題に対して、戦略的な経営を組み立てるため、企画開発室経営企画部が統括部署となり各事業部、事業所が取り組む事象やデータの集約、実行に取り組んでいます。 サステナビリティ委員会は、サステナビリティ関連のリスクおよび機会、取組み方針および進捗等を取締役会に報告しており、取締役会はサステナビリティへの取組みの進捗を監督する体制となっています。 現在進行中の中期経営計画では、目指すべき企業像とマテリアリティ(重点課題)を特定し、現状に満足することなく社会的課題に取組み、事業環境の変化への対応と新たな企業価値の創造に挑戦し続けることにより、企業として更なる発展を目指していきます。各事業部は、以下の3つの主要戦略に合わせた取組みを行っています。 世界情勢や将来予測の情報を収集・分析したうえで気候変動がもたらす当社におけるリスクおよび機会を洗い出しました。個々に記載する移行リスクとは、低炭素経済への移行に関するリスクです。また、物理的リスクは、気候変動による物理的変化に関するリスクとして記載しています。 2022年8月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDフレームワークに基づく情報開示をサステナビリティ報告書の中で行いました。現状では、国内会社のみのScope2による排出量の管理にとどまっていますが、今後は海外グループ会社を含めた全社排出量管理による取組みを進めていく方針です。当社の製品群は持続可能な社会の実現に必要なものが多く、現在取引先からの要請に応えるために設備投資を続けています。そのため、当社のCO2排出に対する取組みは、当面、原単位の削減に留まる見込みです。 当社の社是である「限りなき進歩と創造」において、進歩と創造を実現する担い手は、当社で働く人そのものです。また、経営信条の中でも、「社業の繁栄によって従業員の豊かさを築く」を掲げ、当社の持続的成長と、そこで働く従業員の成長・自己実現と生活の安定は表裏一体であると考えています。 当社では、事業年度の前半と後半に、それぞれ複数回、常勤取締役全員出席のもと、人事ミーティングを開催し、従業員全体の公正な人事考課の実施と併せて、主要なポジションのサクセッションプラン、中核人材の具体的な活用・育成計画について議論しています。 業務に必要なスキルやノウハウを習得するために、各職場でのOJTに加えて、全社的な研修体系を整備しており、階層別研修のような人材育成計画に基づく選抜・指名制研修だけでなく、従業員一人ひとりが自らのキャリアを自律的に考え、会社としてキャリア形成を支援するような選択制の職種別研修も行っています。従業員一人当たりの研修費用は次のとおり推移しています。 また、資格取得に対する奨励手当や受験料補助を支給するとともに、特定の職掌を対象に保有資格を評価に反映させる人事考課制度を運用しています。 さらに、国内・海外への社費留学制度も定めており、今後も自律的なキャリア開発や自己研鑽を支援する仕組みを整備・強化していきます。 需要拡大に伴い生産体制を強化している当社の現況において、人材の採用・確保は、最重要課題の一つです。 新卒採用は研究開発や生産、分析部門を中心に、中途採用は事業戦略に基づいた人材の最適配置の観点で、採用しています。 生産部門の事業所では、地域的にも人材獲得競争が厳しい状況にありますが、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用といった採用手法も試みながら、継続して要員強化に努めています。 2020年度から2022年度までの採用実績は次のとおりです。 人材の定着状況は、次のとおり推移しています。 ライフサイエンス事業、電子材料事業に続く第三の柱となる新規事業の確立を推進している、事業部門横断組織である企画開発部門に所属する人材については、経験者採用と社内公募により配置しています。 中途採用に引き続き注力していく中で、多様な知・経験・価値観を取り入れることによる「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」を推進するとともに、社内公募など個人選択型HRMの仕組みを整備していくことにより、新たなイノベーションの創出に努めます。中途採用の割合は次のとおり推移しています。 中期経営計画「FUSO VISION 2025」においては、「ダイバーシティ(多様性)の推進・意識改革」を目標として掲げ、従業員一人ひとりが、安心して長く働くことができる雇用環境の整備に取り組んでいます。 2021年度より2年間を対象期間とした一般事業主行動計画の達成状況は、次のとおりです。 在宅勤務制度、フレックスタイム勤務制度を運用し、多様な働き方の推進に取り組んでいます。働く場所や時間に係る柔軟性が高まったことがワークライフバランスの充実に寄与していると評価しています。一方で、研究開発部門や生産部門など、こうした勤務制度の適用が難しい部門があること、適用部門でも職場コミュニケーションに課題がある等の意見があるため、ワークライフバランス支援の観点から、引き続き、課題の把握と改善に取り組んでいきます。 従業員エンゲージメントに係る現状および課題を把握するための取組みのひとつとして、2022年3月にエンゲージメントに関する調査を実施しました。エンゲージメントについては、概ね肯定的な回答が多かったものの、中期的なキャリア開発支援には、もう一歩踏み込んだ取組みが必要であると考えています。 メリハリのある就労環境は、健康で活き活きとした職場づくりの基本であると考えています。労働時間については、毎月実績をモニタリング・報告しています。年次有給休暇については、法定の取得義務を確実に履行するのみならず、義務日数を超えた取得の奨励を行っています。また、ストレスチェックをはじめ、保健師による保健指導、健康相談室の設置等により、従業員一人ひとりが健康に働くことができる環境を整備することに努めています。時間外労働時間、年次有給休暇の取得状況の推移は、次のとおりです。 代表取締役を統括管理者としたリスクマネジメント委員会を設置し、緊急事態の対応のみならず、各事業におけるリスクの洗い出し、BCP体制、サイバーセキュリティの確認など、全社におけるリスクについて定期的に確認と見直しを実施しています。取締役会はリスクマネジメント委員会から提出を受けた報告書をもとにリスクの監視と評価を行い、次年度以降の対応計画を確認することにより、リスクマネジメントの取組みの決定と監督を行っています。 短期的には、原単位への取組みをさらに強化し、継続していきます。大型設備投資を計画していることから具体的な削減目標を出すことが難しく、次期中期経営計画の開始を予定する2026年度に向けた具体的な取組みを策定する方針です。中長期的には、原単位への取組みを継続するとともに、Scope3基準への管理体制を整備し、サプライチェーンを含むCO2の削減に向けて取り組むことを目指します。 当社は、2023年度からの3カ年を対象とした女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しています。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ライフサイエンス事業の製品は、加工食品・飲料等の食品分野が主な用途ですが、金属加工・コンクリート混和剤等の工業分野でも広く使用されています。食品分野では、比較的景気変動の影響は限定的と言われていますが、異常気象・自然災害等により需要が大きく変動する可能性があります。工業分野では、食品分野に比べ、景気変動の影響をより一層受けるリスクが存在します。また、どの用途においても、輸入品等の競合品との価格競争、国内外の市況の変動により販売価格、原価が影響を受ける可能性があります。そのため、ライフサイエンス事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。 電子材料および機能性化学品事業は、半導体業界を中心に製品および商品を販売しており、その半導体業界の特徴として、好況・不況の景気の波が激しいことが挙げられます。そのため、半導体業界の景気変動の波を受けるリスクが存在し、当社グループの電子材料および機能性化学品事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。 両事業とも、特定の分野・地域・ユーザーの依存度を分散するよう、新規用途を獲得するため積極的に情報収集・製品開発を行っています。特に、半導体業界は、短期的な景気の変動はあるものの、中長期的には成長が続くものと想定しています。その想定に沿って、短期的な不況に耐えうる財務体質の強化を目指しています。 大規模地震等の自然災害、製造および研究設備等における事故が発生した場合には、生産および物流設備、情報機器(システムサーバー)、研究機器等への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 上記リスクは、当社グループだけでなく、重要な取引先でも発生する可能性があり、サプライチェーンへの影響により、当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。 当社グループの生産および物流設備、情報機器(システムサーバー)、研究設備等が自然災害・事故災害に被災した場合は、当社グループで策定しているBCPの手続きにより、適切な情報収集・対応策を実施することで、最短での復旧を目指します。情報機器(システムサーバー)は、クラウド化による外部委託を推進しています。なお、感染症対策として、従業員の健康管理、テレワーク・時差出勤の推進、通勤手段の多様化への対応、勤務中の感染予防策の徹底等を周知し、実施しています。 また、重要な取引先で被害が発生した場合に備えて、仕入の複数購買等の施策をできる限り実施し、サプライチェーンの維持に努めています。 電子材料および機能性化学品事業の主要な納入先である半導体業界は技術革新の激しい業界であり、新規技術の開発・応用がなされた場合、市場が大きく変化する可能性があります。 常に半導体業界の最先端の動向・情報を収集し、最先端の技術に対応した製品開発を行い、供給体制を構築しています。また、半導体研磨分野で培った技術を活かし、中空ナノシリカ、トナー市場向けナノパウダー等の製品で半導体以外の市場の開拓を進め、依存度を下げます。 当社グループの事業は世界的に広がっており、当連結会計年度における海外売上高の連結売上高に占める比率は50.3%(北米16.7%、アジア31.2%、ヨーロッパ2.1%、その他0.3%)と海外向けの売上高の比率が年々高くなっています。 また、在外の連結子会社は、中国、米国およびタイに合わせて5社あり、子会社を通じて海外においても事業を行っています。海外市場で事業を行う際には、社会的・経済的なカントリーリスク、人事・労務問題の環境の相違、法令等の規制強化等、特有のリスクがあり、それらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 各国固有のカントリーリスクがあり、それを全て無くすことは困難ですが、各子会社へ駐在員を派遣し、専門家、業界団体等を活用し、各種リスクが顕在化する前段階での情報収集を実施し、早期対応に努めます。 当社グループの原材料の調達活動において、中国からの調達のウエイトが大きなものとなっています。このため、中国の社会経済情勢の影響を受けた際には、調達が困難となる可能性や調達価格が上昇する可能性があり、特定の会計期間における業績が影響を受ける可能性があります。 中国以外の国からの調達も検討する等、分散化によりリスクの軽減を図っています。さらに、当社および現地法人を通じて、仕入れ先との協力関係を強化し、情報収集、早期の対応が可能な体制を構築しています。また、調達価格が上昇した場合は、各種コスト削減や収益構造の見直しに加え、販売価格の改定による対応も図っていきます。 (4)海外事業について(5)原材料の調達について、で記載のとおり、海外向けの売上高、海外からの仕入高、在外子会社の財務諸表の換算、また、在外子会社も現地通貨と取引通貨が違う場合、それぞれ為替相場の変動リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 海外向けの売上高、海外からの仕入高のバランスをとることで、為替リスクの軽減を図っています。また、長期の販売契約を締結する際には、為替予約を利用して、仕入価格の固定化を図るなど、為替リスク軽減に努めています。 在外子会社の財務諸表を換算する際の為替リスクの回避は困難であり、海外子会社については、現地通貨での業績管理を行い、現地通貨ベースでの業績の向上を目指します。在外子会社が現地通貨以外の通貨で取引する場合は、基軸通貨である米ドルで取引を行い、為替の変動幅を最小限に抑えます。 世界的に環境問題に対する関心が高まる中、化学品への規制が強まる傾向にあります。このような状況下、当社グループの製品の製造・販売についても法律等により規制される可能性があります。 国内外の化学品への規制について、当社・子会社において、常に動向を注視し、情報収集を行い、必要な場合、担当部門において専門家や業界団体の助言等を得て、早期の対応に努めています。 知的財産権の取得および利用については、常に当社グループのスケジュール通りとなる保証はなく、市場競争力に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ訴訟等の当事者になる可能性があり、その際には費用の発生や人的資源の投入を強いられる可能性があります。 知的財産権やノウハウ等は、今後の事業展開や競争力に直結するため、非常に重要であると認識しています。これまで自社権利の取得、活用、保護、ならびに他社権利の尊重について各事業部で対応していましたが、その重要性を鑑み、2023年4月1日付で管理本部内に「法務知財室」を設置しました。今後は法務知財室の主導のもと、各事業部と協力して対応していきます。また、発明審査委員会を開催し、社内で知的財産権について情報共有を図り、適正な管理運用を行う体制を構築しています。 当社グループでは、製品が顧客であるユーザーで原料として使用される、BtoBと呼ばれる商流が大部分を占めており、当社グループの製品に問題等が発生した場合には、ユーザーから一般消費者向けの製品へも影響を与えるなど、影響の範囲が大きく広がる可能性があります。その結果、当社グループの業績に対して影響を与えるとともに、企業への信頼についても影響を受ける可能性があります。 経営信条の一つに「信用を重んじ確実を旨とする」とあるとおり、メーカーとして品質・信頼の確保が重要であると認識し、行動規範に品質の維持、コンプライアンス活動の推進等必要な事項を定め、社内に周知徹底しています。 また、両事業とも品質保証部門に対する体制の強化を図り、当社グループの製商品に対する品質管理を行うとともに、国内外の関係部門、調達先等に関与し、工程管理による不良の低減等の品質保証活動を推進しています。 当社グループは既存設備の更新だけでなく、新規設備投資等により事業の拡大を図っています。しかしながら、当社グループの製品に対する需要が期待どおりに推移しなかった場合は、生産設備の稼働率低下により、収益性が低下し、減損損失の計上・固定費の負担等、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。 新規製造設備への投資決定の際に、ユーザーからの要望・市場調査を念入りに行う等、十分な検討を重ねて決定しています。 新規製造設備や設備更新の際は、省人化、省エネルギー化等、コストの最小化、効率化を推進した設備の導入を進め、稼働率の低下にも耐えうる企業体質を目指しています。 (1)市場動向の影響について、で記載したとおり、景気変動の影響を受けた際に棚卸資産が大きく増加し、陳腐化することで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 また、原料価格・為替の変動により棚卸資産の簿価が市場価格より高くなり、低価法が適用されると、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 適時、販売状況・販売計画を確認し、生産・購買と販売のバランスをとり、タイムリーに生産計画・購買計画を立案・修正し、実行しています。 また、原料価格を販売価格へ転嫁し、適切な利幅を維持出来るよう、契約の見直しを実施しています。 コンピューターウイルスによる感染や外部からの不正アクセス等によって、営業機密や個人情報の漏洩が発生した場合には、取引先からの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 ファイアウォールの強化や監視ソフトの導入など、情報セキュリティの強化に日々努めています。 また、クラウド化による外部委託を推進するほか、社員に対してe-ラーニングを活用した情報セキュリティ教育を進めています。 気候変動の直接的な影響として、自然災害の増加、甚大化が想定されます。このリスクに対しては、(2)自然災害・事故災害の発生について、で記載しています。その他に間接的な影響として、気候変動緩和策へ対応した結果、調達先および販売先が限定される可能性や、温暖化対策の施策によるコスト増加により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 環境規制や関連法規等を遵守した上で、気候変動などの環境問題への対応を課題として捉えています。省エネの推進、温暖化ガスの排出量の削減に努めるとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が提言しております4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿って、気候変動が当社グループに与える影響を分析し、対策を実施しています。 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 当連結会計年度における世界経済は、経済活動の正常化が進み回復傾向で推移しました。一方でウクライナ問題は長期化し、世界的にインフレは継続しています。また、中国経済の動向や欧米の利上げによる景気後退懸念、米国の銀行破綻による信用不安の拡大、経済安全保障リスクも高まり、経済への影響が懸念される状況が継続しています。日本経済においても、社会活動の制限解除により経済の持ち直しの動きが見られますが、物価上昇による消費動向の落ち込みが懸念されるほか、日銀の政策変更により今後の利上げによる景気後退懸念が高まるなど、依然として先行きは不透明な状況が継続しています。 当社の事業環境としましては、食品関連市場は底堅く推移しましたが、半導体市場においては中長期的な成長は見込まれるものの、足元ではメモリー市場を中心に落ち込みが顕在化し、関連する工業分野でも停滞の動きが見られました。 このような情勢下、当社グループは引き続き新型コロナウイルス感染症の感染対策を徹底したうえで事業の継続に注力するとともに、成長を維持するため、拡販・価格改定などの営業活動の強化、研究施設の拡充などの研究開発体制を強化し新製品開発に取り組みました。さらに、原料資材の安定確保、既存設備の維持・強化による供給体制の強化を進めると共にコストダウンや効率化を図りました。また、進行中の大型製造設備投資計画を推進し、さらなる供給体制の強化を進めています。加えて、就業環境や社内体制の整備等、ガバナンスの強化を推進し、経営基盤の一層の強化にも取り組みました。 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,265百万円増加し、55,344百万円となりました。これは主に、原料価格の上昇や円安の進行により、棚卸資産が増加したためです。 固定資産は、前連結会計年度末に比べ18,253百万円増加し、58,184百万円となりました。これは主に、鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備建設工事に係る建設仮勘定が増加したためです。 以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ21,519百万円増加し、113,528百万円となりました。 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ9,241百万円増加し、23,908百万円となりました。これは主に、鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備建設工事に係る設備関係未払金が計上されたためです。 固定負債は、前連結会計年度末に比べ78百万円増加し、2,117百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が増加したためです。 以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ9,319百万円増加し、26,026百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,199百万円増加し、87,502百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。 当連結会計年度の売上高は68,459百万円(前連結会計年度比22.8%増、12,698百万円増)となりました。営業利益は18,930百万円(同25.9%増、3,895百万円増)、経常利益は19,740百万円(同27.3%増、4,230百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,129百万円(同29.7%増、3,239百万円増)となりました。 売上高、営業利益は、後述の各セグメントの要因により増収増益となりました。経常利益は、営業利益の増加に加え円安による為替差益が計上されたこと増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益計上の影響も加わり増益となりました。 当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。 ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が37,803百万円(前連結会計年度比20.3%増、6,372百万円増)、営業利益は7,403百万円(同49.9%増、2,463百万円増)となりました。 主力製品のリンゴ酸の需要は、景気後退の影響はあるものの価格改定や円安の効果もあり売上高は増加しました。工業用途の製商品は、当連結会計年度下期より世界的な景気後退の影響が顕在化しつつあり、需要が落ち込みました。日本においては、原料価格の高騰は一時ほどではないものの前連結会計年度に比べ上昇しました。そのため販売価格が原料価格に連動する契約となっている製品の販売単価が上昇し、売上の増加要因となりました。輸入商品価格は当連結会計年度上期において高騰していましたが、下期には円安の影響があるものの急激に低下したため、適正な販売価格の改定を継続し、収益の維持に努めました。海外子会社においても、原料価格の高騰に対して価格改定を実施し、販売促進の取り組みによる売上増加、円安による円換算後の増加効果もあり、売上高は増加しました。その結果、セグメント全体の売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、世界的な原料価格の高騰、円安による輸入価格の上昇、エネルギー価格の上昇、物流費増加等のコストアップの影響があったものの、売上高の増加により、前連結会計年度を上回り増収増益となりました。 電子材料および機能性化学品事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が30,655百万円(前連結会計年度比26.0%増、6,326百万円増)、営業利益は13,394百万円(同15.3%増、1,782百万円増)となりました。 主力製品の超高純度コロイダルシリカは当連結会計年度下期に半導体市場停滞の影響を受けましたが、年間での需要は堅調に推移しました。また、半導体の微細化の進展により最先端分野での需要は増えており、採用も増加しています。さらに、原料価格の変動に対する販売価格改定や円安効果が売上高の増加要因となりました。加えて、在宅勤務の普及によるトナー需要減退の影響を受けていたナノパウダーの需要は回復し、セグメント全体の売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、原料価格やエネルギー価格の上昇が製造コストに大きく影響し、物流費を中心として販売費及び一般管理費も増加したものの、売上高の増加、増産によるコストダウン効果、生産設備に係る減価償却費の減少により、前連結会計年度を上回り増収増益となりました。 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益および減価償却費の発生により取得した資金を有形固定資産の取得、法人税等の支払、配当金の支払に充てた結果、前連結会計年度末に比べ1,109百万円減少し、22,350百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 営業活動の結果取得した資金は、13,925百万円(前連結会計年度は10,199百万円の取得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加および法人税等の支払いによる支出が発生しましたが、税金等調整前当期純利益および減価償却費による収入が発生したためです。 投資活動の結果使用した資金は、13,417百万円(前連結会計年度は9,375百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が発生したためです。 財務活動の結果使用した資金は、2,124百万円(前連結会計年度は2,882百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払いを行ったためです。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っています。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。 なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりです。 「Ⅰ.果実酸コンビナート構想の実現」、「Ⅱ.生産体制の再構築及び設備増強」、「Ⅲ.次世代製品の早期戦列化」、「Ⅳ.FFAトップメーカーへの挑戦」の各テーマに取り組みました。 2017年11月に鹿島事業所の承継を完了し、リンゴ酸、フマル酸の原料である無水マレイン酸から製品までの一貫生産体制が確立され、国内№1のフマル酸メーカーとなりました。2019年7月には、鹿島事業所にリンゴ酸新製造設備が竣工し、鹿島事業所と大阪工場の2拠点での供給体制が確立し、日本唯一のリンゴ酸メーカーとして体制が強化されました。 リンゴ酸においては、強化された供給力を背景に各国子会社、販売店と連携、関係を強化して海外でのシェア拡大に努めました。下期には工業用途において市場減速の影響がありましたが、成長著しい東南アジア市場、特に飲料メーカーでシェアは拡大したほか、欧米においては新規に獲得した顧客のシェア維持に努めました。 鹿島事業所で生産するフマル酸、無水マレイン酸も安定生産を継続しました。主原料であるベンゼン価格の高止まり、エネルギー価格の上昇、設備の維持費用の増加等コストアップ要因が発生しましたが、顧客とのコミュニケーションを密にし、価格フォーミュラの改定、シェア維持に努めました。 クエン酸類は、上期は調達価格が高騰しましたが、中国子会社の青島扶桑精製加工有限公司と連携し、安定供給に努めシェア維持を目指すとともに、価格の高騰に対しては価格改定を実施しました。下期は一転、価格が下落傾向となりましたが、適正な価格の改定に努めシェアを維持しました。 グルコン酸類は米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.(以下PMP社)において安定供給体制を維持確立し、拡大する北米市場において成長分野での拡販、既存顧客との関係強化を目指しました。2022年度において北米市場は堅調に拡大し、フル生産を継続しましたが、需要が供給を上回って推移する状況のため、PMP社において設備増強を決定し、2023年度の稼働を目指し、設備投資を実施しています。 大阪工場を西日本の主要工場として最適化、合理化を進めビジネス拡大を目指しています。新製品であるコート果実酸(油脂でコーティングした有機酸)の設備は2021年度に完成し稼働を開始しています。顧客の評価も進捗し、採用も進みました。生産性向上、衛生環境強化を目的に製剤類の製造を行う十三工場の機能を大阪工場へ集約するためのプラントは、2022年12月に完工しました。2023年度上期より生産を開始し、下期より十三工場より移行できるように進めています。引き続き生産体制の見直し、効率化を進め、供給力の強化、コストダウンに取り組みます。 次世代の主力製品として、優れたコート性能をもち、様々な顧客ニーズへ対応したコート果実酸の開発および生産体制の確立を進めました。製造プラントは2021年度に完成し、クエン酸、リンゴ酸、ビタミンCのコート果実酸3品目を上市しました。国内外の顧客でサンプル評価が進捗し、採用も進みました。バイオスティミュラント(ストレスフリー製剤)については、ゴルフ場のグリーンの芝枯れ防止等で採用され、水稲、野菜等に対する効果の評価を継続しています。引き続き開発を継続し、拡販を行います。 食品添加物製剤(Formulation of Food Additives) 、食品素材・食品添加物製剤(Formulation of Food Materials and Food Additives)、機能性食品素材・食品添加物(Functional Food Material and Food Additive)、 機能性果実酸(Functional Fruits Acid)の商品群をFFAと総称しています。Food Tech等の新技術の台頭、食の多様化、フードロス意識の高まり等、食品業界を取り巻く環境は変革期に突入しています。この変革をチャンスととらえ、当社の製品、設備、販売チャネル、技術等のリソースを有効活用してこの領域でのビジネス拡大を進め、目標として2025年度の売上3倍、利益2%アップを目指します。供給体制を確立したコート果実酸に加え、テクノアシッドA(粉末酢酸)、テクノアシッドF(易溶化フマル酸製剤)ランチフレッシュR/RW(米飯用製剤)ウェルドゥS(豆粉向け製剤)の開発を行い、サンプル評価では高い評価を受けています。今後も、開発、拡販を継続し、供給体制の確立を目指します。また、海外拠点において各国の食品事情に適した製品開発を進め、新製品の開発、拡販を行っています。中国上海において上海食品調味料開発センターを開設し、中国における調味料ビジネスの確立を進めました。引き続き外部研究機関との共同研究の推進、試験機器の導入により開発スピードを加速させ、各地域のニーズをキャッチした製品のラインナップを積み重ね、中長期で着実な成長につなげます。 ライフサイエンス事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は、前連結会計年度に比べ6,372百万円増加し37,803百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ2,463百万円増加し、7,403百万円となりました。 販売数量面では、果実酸全般では、底堅く推移した食品市場を背景に安定した販売を維持しました。リンゴ酸は、国内販売は堅調に推移し、輸出は新規に獲得した顧客のシェア維持に努め、東南アジア、欧米市場の開拓を進めました。下期より工業用途(メッキ、洗浄剤)向けが市場減速の影響を受け、中国経済減速の影響を受けましたが、全般的には堅調に推移しました。コロナ禍の影響で海上輸送が混乱しましたが、グループの連携を密にして対応し、安定供給に努めました。 販売価格面では、原料価格は高止まりし、商品の仕入価格は上昇しましたが、顧客とのコミュニケーションを密にとり適切な価格改定を実施し対応しました。輸出や海外子会社の現地売上における円安の影響もあり、売上高は前年比増加しました。 営業利益は、原料、商品の仕入価格、エネルギー価格の上昇等のコストアップ要因はありましたが、価格改定、円安効果による売上増加により、前年比増加しました。 既存商品では国内外の市場で販売網の強化、拡大を図り、シェアの維持、拡大に努めるとともに、新商品の開発、拡販を進め、業績の拡大を目指します。 「Ⅰ.半導体研磨微細化への対応」、「Ⅱ.生産・研究・品質保証体制強化」、「Ⅲ.外部環境変化への迅速な対応」の各テーマに取り組みました。 半導体市況は、2022年度下期よりメモリー市場を中心に調整局面に入り、当社の売上にも影響が出始めました。しかし、半導体の10nm以下世代の最先端の製品の比率は高まり、半導体メーカー各社は設備投資を行っており、中長期では市場の成長が予測されています。当社も最先端分野への製品供給へ対応するため開発体制の強化、新設備建設、既存設備の効率化により供給力の強化を進めました。今後も顧客と綿密に連携し、微細化に対応した製品の開発、供給体制の強化を図ります。 拡大する半導体市場へ対応するため生産体制の強化を継続して進めています。鹿島事業所の新設備は2023年4月に完工し、試作を開始し、認定の作業を継続しています。京都事業所と鹿島事業所の2拠点生産体制が確立し、BCPの面でも生産体制が強化されました。2022年11月に新たに鹿島事業所に新設備の建設を決定し、2024年に完成予定の京都事業所の新設備、2025年完成予定の鹿島事業所の新設備が立ちあがると2022年度比約1.5倍の供給力を確保できます。今後も設備投資により供給力を増加させるとともに、品質、生産効率の向上を行い生産体制の強化を図ります。 半導体の微細化が進展していることに対応するため、研究体制の強化を継続して進めています。2022年7月に神戸に新研究拠点を開設し、京都事業所から移転しました。半導体の微細化に対応した研究開発を進めるとともに、立地や周辺環境を活かして新規領域への用途展開も企画しています。新規領域への研究開発拠点である東京研究所と2拠点体制で研究開発の深化を進めます。 鹿島事業所の設備の完成に対応して、品質保証体制の強化を進めました。新組織を立ち上げ、人員の拡充、分析機器の導入等の増加する供給能力に相応しい分析体制の構築を進めました。 引き続き、設備増強による供給能力の強化、半導体の微細化に対応した新製品開発のための研究開発体制の強化、高品質、供給能力を支えるための品質保証体制の強化を継続し、成長する半導体市場に対応していきます。 2022年度はコロナ禍の影響が継続する一方で経済回復が進展し、外部環境が目まぐるしく変化する一年であり、物流、調達環境に大きな影響がありました。国際物流網は、コロナ禍の影響により混乱が継続し、物流コストも高騰しました。物流網の混乱に対しては、海上輸送の経由地変更等あらゆる手段を講じて安定供給に努めました。物流コストの高騰に対しては、効率化によりコスト吸収に努めましたが、顧客との協議のうえ一部は価格転嫁を行い対応しました。直近では混乱は収束しつつありますが、情報収集に努め、安定した供給体制の構築を進めます。 主原料である金属ケイ素は主供給地である中国のロックダウンや価格の高止まりの影響を受けましたが、在庫水準の引き上げや複数の購買ルートの確保等で安定調達に努めました。また、複数の原産国からの調達の検討を進め調達リスクの低減に努めています。その他の原料、副資材、電気、ガス等のエネルギーコストも上昇しており、効率化に努めるとともに、価格転嫁について交渉を行っています。 コロナ禍で落ち込んでいたトナー用途で使用されるナノパウダーの需要は回復しました。新製品である中空シリカの新規採用に向けた活動等、電子材料分野で培われたコア技術をベースに新規市場の開拓を進めました。 変化する外部環境に的確に対応して、増加する物量に対応した安定供給体制の構築を引き続き進めるとともに、新規市場開拓を行い、安定した事業体制の構築、業績の拡大を目指します。 電子材料および機能性化学品事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は前連結会計年度に比べ6,326百万円増加し、30,655百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ1,782百万円増加し、13,394百万円となりました。 販売数量面では、超高純度コロイダルシリカの需要は、下期からメモリー向け需要の減速の影響がありましたが、ロジック向けの影響は限定的で、最先端半導体向けは顕著な需要を維持し、年間通してみると堅調に推移しました。また、物流網の混乱から各社在庫水準を引き上げたことも需要の増加につながりました。特に上期から第3四半期にかけて生産計画を上回る需要に対し、フル生産を継続しつつ、効率化の推進、稼働日数の増加等生産量の増加に努め、需要に対応しました。トナー用途で使用されるナノパウダーも景気回復とともに需要も増加し販売数量が増加しました。 販売価格面では、主原料の価格の変動に対する製品価格改定の実施、新製品、高付加価値製品の販売増加、円安の影響により販売価格は上昇傾向で推移した結果、売上高は増加しました。 営業利益は、原料、副資材、エネルギー等の価格上昇がコストアップ要因となり、加えて物流費の増加、新設備立ち上げの準備費用等の販管費が増加しましたが、売上の増加の影響が大きく営業利益は、増加しました。 短期的には半導体の需要は調整局面にありますが、中長期的な成長は継続すると予測され、微細化の進展、需要の増加に対応した体制を構築する必要があります。引き続き、最先端分野へ対応した製品開発、供給能力の強化等、課題への対応を継続し、業績の拡大を目指します。 前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに増加したため、12,698百万円増加し、68,459百万円となりました。 前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに増加したため、3,895百万円増加し、18,930百万円となりました。 当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ340百万円増加し、821百万円となりました。これは主に、受取利息の増加および、対ドル円安が進行したことによる為替差益の増加によるものです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ5百万円増加し、12百万円となりました。これは主に、支払手数料および投資事業組合運用損が増加したためです。 上記要因により、経常利益は前連結会計年度に比べ4,230百万円増加し、19,740百万円となりました。 当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ161百万円増加し、388百万円となりました。これは主に、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益が増加したためです。特別損失は、前連結会計年度に比べ23百万円増加し、46百万円となりました。これは主に、減損損失が計上されたためです。法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額は、利益の増加により法人税等合計で前連結会計年度に比べ1,129百万円増加し、5,952百万円となりました。 経常利益の増加に加え、特別損失が増加したものの特別利益の増加の影響が大きく、税金等調整前当期純利益は増加しました。法人税等は増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて3,239百万円増加し、14,129百万円となりました。 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、棚卸資産の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。運転資金の財源は、自己資金および金融機関からの短期借入等を基本としています。当連結会計年度は、新たな短期借入は行っておらず、当連結会計年度末に短期借入金の残高はありません。 投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収等によるものです。投資資金の財源は主に、自己資金および金融機関からの長期借入等によります。当連結会計年度は、設備投資に対する資金に対し、新たな長期借入は行っておらず、当連結会計年度末に長期借入金の残高はありません。当連結会計年度に実施した設備投資に係る資金の財源は、自己資金を充当しています。 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。 当連結会計年度における当社の最重要指標である「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)は、前連結会計年度に比べ3,780百万円増加し、23,268百万円となりました。 減価償却費は、両事業において前連結会計年度に比べ減少しました。ライフサイエンス事業における鹿島事業所のリンゴ酸設備投資は、稼働開始後3年が経過し、電子材料および機能性化学品事業における京都事業所の新設備も稼働開始から4年が経過したことが要因です。減価償却費が減少しましたが、営業利益が両事業で増加したため、全体で償却前営業利益が増加しました。 総資産回転率は0.66回で前連結会計年度から横ばいで推移しました。売上高が増加しましたが、総資産も増加したためです。 ROE(自己資本利益率)は17.4%で、前連結会計年度に比べて上昇しました(前連結会計年度は15.4%)。分母である純資産が利益の計上により増加しましたが、分子である親会社株主に帰属する当期純利益が、純資産の増加割合以上に増加したためです。今後、大型の設備投資計画に伴い、減価償却費の増加による一時的な利益の低下が想定されるものの、償却前営業利益の最大化を目指し、純資産は安全性とのバランスを考慮して、自己資本利益率の維持向上を目指します。 自己資本比率は77.1%で前連結会計年度より低下しましたが、水準以上の安全性は確保できています。利益の増加により純資産は増加しましたが、大型設備投資の開始に伴う設備関係未払金の増加や、利益増加に伴う未払法人税等の増加により負債が増加したため、自己資本比率は低下しました。今後も、増加が見込まれる需要に対応するため、継続的な設備投資や研究開発投資が成長の源泉であり、投資を継続するためにも、一定水準以上の純資産の厚みが必要であると考えています。 投資計画、配当政策を考慮して、効率性、収益性のより一層の向上を目指します。 該当事項はありません。 当社グループの研究開発活動は、ライフサイエンス事業については新大阪事業所および東京研究所、電子材料および機能性化学品事業については神戸研究所および東京研究所を拠点としています。各拠点において、販売戦略ターゲットに対応し、海外子会社を含む営業関連部門や品質保証部門等との相互連携、ユーザーとの相互協力を図りながら、新規事業・製品の開発、技術開発情報の収集等を行いました。また、当社では各セグメントに配分できない研究開発活動を行っています。 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は845百万円となりました。うち、各セグメントに配分できない研究開発費は4百万円となりました。 SDGsへの取り組み、健康意識の高まり、食の多様化といった食品業界を取り巻く大きな環境の変化をチャンスととらえ、当社の主力製品である各種有機酸を活かし、コート果実酸や食品添加物製剤といった機能性を有する商品の開発に引き続き注力しました。 既存の有機酸粒子の表面を油脂で均一にコーティングしたコート果実酸を開発し、大阪工場に設置した生産設備の活用により、市場増大が見込まれるグミ・キャンディーを始めとした製菓分野での販売量拡大を図りました。そして、健康食品など食生活の健康に関する部分で今以上に役立ちたいと考え、酸のダメージを受けやすい他成分への影響を軽減する、あるいは溶出のタイミングをコントロールして有機酸を腸に届けるといった機能の付与を、コーティング技術の応用により実現することを目指して取り組んでいます。 また、有機酸を種々組み合わせることによっても、これまでにない機能を付与できないか検討を進めました。そして、有機酸やその塩と酢酸とを組み合わせることで、通常では液体である酢酸を高濃度で粉末化できることや、フマル酸を他有機酸と組み合わせつつ加工を施すことにより、水に溶けにくいフマル酸の溶解性を改善できることなどを新たに見出すことができました。こういった技術を基にした有機酸の製剤により、有機酸を利用いただける新たな市場を創出すべく取り組みを継続してまいります。 一方で、SDGsへの取り組みの一環として、食品業界にとって避けては通れない食品ロスの問題に貢献していかなければなりません。種々の有機酸を組み合わせた製剤により、微生物による加工食品の腐敗・変敗を抑えることはもちろん、酸化防止能を有する有機酸の利用により、果物や野菜の褐変などの変質を抑えることでも活用いただけるよう商品の開発を進めました。そして、より効率よくその性能を発揮しながらも、酸味酸臭を低減して美味しさを保つことができるような有機酸関連商品の開発を継続して行い、米飯加工品用に特化した製剤などを上市しました。さらには、利用が十分に進んでいない食品資源の性能を補完できるよう、有機酸と食品素材などを組み合わせながら加工処理を施した機能的な素材の開発を進め、サステナブルな面にも配慮しながら食品ロス低減という社会課題に益々寄与していきたいと考えています。 なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、274百万円となりました。 シリコンウエハ研磨および半導体CMP研磨スラリー向けの超高純度コロイダルシリカ製品および新規用途向け応用製品の開発を行う新たな研究拠点として「神戸研究所」を立ち上げ、2022年7月から稼働を開始しました。それに伴い京都研究所の研究設備及び人員の神戸研究所へ移転を行い、東京研究所と共に新たな2拠点体制を整備しました。 研磨スラリー向けの超高純度コロイダルシリカ製品分野では、粒子サイズ、形状、濃度、表面状態、硬さ、粒度分布、粗大粒子数等を安定的かつ自在にコントロールする技術の発展に引き続き注力し、顧客ニーズにマッチした新製品の開発を行い、着実にシェアを伸ばしています。また、新たなコンセプトを導入した超高純度コロイダルシリカの開発が複数進行しており、一部は顧客へのサンプルワークやスケールアップへと進んでおります。このように、シングルナノ~オングストローム配線幅となる最新世代に向けた取り組みは順調に進んでおります。さらにより高度な技術が必要とされる新測定技術を採用した最新鋭分析装置の導入により、製品開発に大きく寄与しています。 製造技術については、半導体配線幅の急速な微細化に対応した高レベルの製造工程品質管理体制を継続的にブラッシュアップ、および最新鋭の機器を導入した新規ラインを高い水準で稼働しています。また、2020年11月に発表しました鹿島事業所への超高純度コロイダルシリカ製造設備投資は、計画通りに完成し、2023年4月より稼働を開始しています。さらに京都第二工場及び鹿島事業所への超高純度コロイダルシリカ製造設備の新規増設についても進行しており、これにより2025年度には、2022年度比約1.5倍の生産能力増強を達成し、旺盛な半導体業界の需要に迅速に対応していきます。 情報産業向けに上市しましたナノシリカ粉末製品の販売や顧客へのワークの継続と共に、新規用途向け応用開発品について、ビジネス獲得に向け技術要求に合わせた開発を東京研究所にて進めております。加えて神戸研究所においてコア技術をベースとした新規分野向け製品の拡充に向け、開発活動を開始しております。 当連結会計年度は、これら新規開発活動を支える開発環境の整備のため、新規開発拠点「神戸研究所」の整備と稼働を行い、最新鋭の実験装置・分析評価機器の複数導入、東京研究所も含めた研究開発投資および要員増を実施しました。 なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、566百万円となりました。
クオンタムソリューションズ株式会社
# クオンタムソリューションズ株式会社 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(クオンタムソリューションズ株式会社)と連結子会社6社(株式会社ビットワン、株式会社プロケアラボ、株式会社クロスワン、Quantum Automotive Limited、FASTEPS SINGAPORE PTE. LTD.、Quantum FOMM Limited)により構成されております。 当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。 当事業におきましてはEV事業、システムコンサルティング、システムインテグレーション、ソフトウェア開発及びシステム受託開発を行っております。 Choice Ace Holdings Limitedは、2023年2月に会社を清算しております。 まつげエクステンションサロンの運営、まつげエクステンションスクール運営、化粧品の販売を展開するアイラッシュケア事業を行っております。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、早期黒字化のため、前連結会計年度において、日本の電気自動車(以下「EV」という。)メーカーである株式会社FOMM(以下「FOMM」という。)と香港にて合弁会社Quantum FOMM Limited(当社持株比率66.7%、以下「QF」という。)を設立し、EV生産体制及び販売体制の構築・整備に着手し、当連結会計年度において、FOMMが開発したEVモデル「FOMM ONE」の製造・販売を開始いたしました。今後、当社グループは、「FOMM ONE」を足掛かりとして、グローバルなEVメーカーを目指していく方針です。 そのような中、当社の経営理念である「事業・顧客・人材の創造」のもと、グローバルな観点で「事業」「顧客」「人材」の創造に取り組んでいく所存です。 当社グループは「人に求められているものは何か?」を追求する企業として、常に国際社会に最新のサービスを提供し続け、もって国際社会に貢献していく企業であることを基本方針としております。 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」へ移行することが正式に決定し、感染拡大はようやく収まりつつあります。他方、ウクライナ危機による世界的な原材料費の高騰、部品等のサプライチェーンの混乱により、EVの製造・管理スケジュールが少なからず影響を受けています。 当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、以下のとおりであります。 2022年度後半には、日本政府による出入国制限が緩和されたこともあり、ビジネス目的の人々の往来が再び活発化している点は、グローバルなビジネス展開を進める企業にとって非常に好ましい環境にありますが、一方、急速な円安進行等により、先行きに関しては見通しが立てづらい状況にあります。当社グループとしては、その影響を注視し、事業への影響を最小限にとどめるため、諸経費や製品原価の削減に努めてまいります。 しかしながら、ここ二年あまりにおける新型コロナウイルス感染症の流行に対応して、リモートワークやウェブミーティングが浸透し、新しい生活様式への移行が進んだ結果、社会全体のIT化とデジタル化が加速しており、当社グループは、アプリケーションの応用拡大によりシステムソリューションへの需要が一層高まっていく見通しを持っております。2023年5月22日付プレスリリース「AI生成コンテンツ(AIGC)事業展開の可能性検討のお知らせ」にある通り、当社グループは、AIGC 事業展開の可能性を検討しています。AIGC とは、Artificial Intelligence Generated Content であり、Professional Generated Content(PGC)および User Generated Content(UGC)後のコンテンツ制作の新しい方法として考えられており、主にテキスト、画像、ビデオ、音声、ゲーム、仮想人間などに使用されます。まずは、主として日本のユーザに向けて、人工知能技術に基づいてユーザが意図したコンテンツを生成できる Web ベースの AIGC 製品を開発し、その後、当該AIGCテクノロジーを自動車に適用し、交通の安全性と効率性を向上させることを目指してまいります。例えば、AI技術等を活用したコントロールパネルの製造が考えられます。 また、環境問題が深刻化する中で、世界は脱炭素化社会の実現に向けて様々な取り組みが行われています。日本政府は2050年にカーボンニュートラルを達成する目標を掲げており、2030年代半ばまでにガソリン車の販売を禁止する方針を打ち出しています。現在の段階では日本のEV生産販売台数も普及率も欧米や中国に遅れを取っていますが、今後はその需要が徐々に拡大していくと考えられており、企業の貢献が求められます。これは当社にとって新たなビジネスを展開するチャンスでもあると考えております。 2022年度は、新型コロナウイルス感染症が収束に向かう傾向にあり、サロンごとの売上や来客数は、引き続き前期比プラスで推移いたしました。また、不採算店の閉鎖等を行い、経費削減を行ったことによりセグメント損失は縮小いたしました。しかしながら、商材の売上は減少傾向にあり、引き続きセグメント損失が生じるような状況でありました。2023年度は、サロンにおいては新しいメニュー導入の拡大を目指し、商材においては効果的な広告やSNS等の配信を見直し、販売拡大を目指すなど、収益確保に努めてまいりたいと考えております。 当社グループは、システムソリューション事業としてのEV事業における黒字化を目指してまいります。この目標の中には、AIGCテクノロジーをEV事業に融合させることも含まれます。 セグメントごとの中期経営戦略は、以下のとおりであります。 システムソリューション事業では、インターネットを利用したサービスに関するシステム構築が今後の収益の柱になると考えており、インターネット、移動体通信の分野に特化した事業展開を行っていく方針です。 特にAI、ChatGPT、AIGC(Artificial Intelligence Generated Content)の分野において事業の提携・投資を行ってまいります。 2022年1月より、当社子会社のQFはFOMMが開発するEVの製造および販売に関する基本合意書を締結し、主にタイ国内で販売してまいりましたが、2023年に入り、日本国内でも販売を始めました。 2020年から2022年は、コロナ禍の影響もあり、安定生産に必要な部品調達の遅れなどがありましたが、EV製造・販売委託先であるFOMMとの連絡・連携をより緊密にすることにより、FOMMの生産・販売体制の更なる安定化を図ってまいります。また、将来的には中国の自動車メーカーとの協力または提携により中国でのOEMの早期実現と大幅なコストダウンを図ってまいります。 商品販売に関しては、店頭販売の拡大を目指し、営業範囲を広げていきます。また、効果的な広告を選定し、積極的に予算を投入していきます。サロンでは、新メニューの導入にあたり、2023年3月に一部店舗スタッフに対して技術習得を行っております。今後は、更なる技術習得と全店舗での展開を目指し、単価アップと新規集客の拡大を目指します。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 システムソリューション事業の一環として、スタートしたEV事業においては、当社の委託生産先である株式会社FOMMは小型EVにおいて先行しているメーカーではありますが、今では大手自動車メーカーも小型車の新モデルを発表しているほか、中国の自動車メーカーによる低価格車のアクティブな展開が大きな脅威といえます。また、従来の自動車業界以外からのEV事業への参入も増えています。当社が当面の販売を予定しているタイ市場では、有望な新興市場として、数多くの自動車メーカーが参入しており、車種や販売価格における競争が激しくなる見込みです。今後は販売価格の低下、引いては採算が悪化するリスクがあります。 アイラッシュケア事業では、サロンに関して、まつ毛スタッフには美容師資格が必要なこと、労働人口の減少と人材の流動化が進んでいることなどにより、業績が好調でもまつ毛スタッフの確保ができない可能性があります。 また、顧客の嗜好変化により、ニーズ・市場規模の縮小が起こる可能性もあります。これらにより、競合他社との競争力が低下することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、大手企業と競合しない、ニッチな分野での営業力、企画力を活かし優位性を保とうとしておりますが、その保証はなく、獲得案件の低下や利幅の縮小等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループのEV事業では、世界の脱炭素化による追い風がある一方、各国の政策動向に大きく左右される面もあります。これまでは、EVの生産と販売を促進するため、各国は様々な奨励政策と優遇策・補助金を打ち出しています。現段階ではEVの製造コスト(特にバッテリー製造コスト)はガソリン車を大幅に上回っており、販売価格もガソリン車に比べ割高となっており、これらの優遇策と補助金が販売を支えている面が大きい状況にあります。そのため、当社のEV事業は、政策環境からの影響を強く受ける一面があります。奨励策や補助金が削減される場合、当社事業に重大なマイナス影響が及ぼされる可能性があります。 当社グループは、特許権等の知的財産権侵害に係る通知請求や訴えを起こされた事実はありません。しかし、将来的に当社事業に関連した特許その他の知的財産権が各関連事業にどのように適用されるかについて予想するのは困難であります。当社のEV事業では、FOMMが開発したEVモデル「FOMM ONE」の中華人民共和国(香港、マカオ、台湾を含む)、マレーシア、シンガポール、インドネシア及び中南米の一部地域における独占的製造・販売権を取得しております。 今後、当社グループ関連事業に関する知的財産権(いわゆるビジネスモデル特許を含む。以下同じ)が第三者に成立した場合、または現在すでに当社関連技術に関して当社グループが認識していない知的財産権が成立している場合、当該知的財産権の所有者より権利侵害に係る訴えを起こされることにより、当該知的所有権が使えないことで業務遂行に大きな影響を及ぼし、当社グループが損害賠償義責任を負う可能性があります。 通信販売及び対面販売を行う場合、保有する個人顧客情報を、適切に取り扱うことが重要であります。個人情報保護については、法律の遵守だけではなく、情報漏洩による被害防止を行う必要があります。 当社グループは、個人情報保護法の施行に対応して社員教育の徹底等、万全の体制を敷いており、個人情報を厳正かつ慎重に管理しておりますが、万一、外部からの不正アクセス等により個人情報が社外に漏洩した場合、損害賠償請求や社会的な信用失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 本有価証券報告書提出日の属する月の前月末(2023年4月30日)における当社の新株予約権による潜在株式数は、合計1,147,900株であり、同日における自己株式控除後の発行済株式総数13,627,604株の8.4%に相当します。 これらの新株予約権が権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存株主の有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。 新型コロナウイルス感染症の影響により、現在当社の主力であるアイラッシュケア事業の業績が低迷しております。当社グループとしては、サロンでの売上は新型コロナウイルス感染症の状況に大きく影響を受けるため、主として商材の売上増加により、業績回復を狙っております。 当社のEV事業については、現在タイにおける委託生産に一部の部品を日本と中国から供給されています。中国では一部地域にコロナ対策としての都市封鎖や厳しい行動制限が行われ、工場の一時的生産停止や輸送の停止と港での船舶渋滞などの現象が起こっているようです。このような状況による部品供給の延滞が起きれば、当社の委託生産計画が遅延する可能性があり、販売業績に悪影響を与えるリスクがあります。 当社グループには在外子会社があるほか、連結財務諸表は日本円で表示されておりますので、通貨の為替水準の変動により換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。当社のEV事業において、一部の部品を日本と中国から調達し、委託生産がタイで行われ、生産されたEVは、当面、タイで販売する予定です。このような一連の部品の調達から販売までの過程の中で、円換算による為替変動リスクにさらされており、また、販売に係る対価を外貨で持ち続けることにより、販売後も為替変動リスクにさらされることになります。 当社グループは、前連結会計年度において営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失が発生したことに加え、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなりました。当連結会計年度におきましても、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっております。これらの状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社グループは当該状況を早急に解消するため、以下の施策を実施してまいります。 システムソリューション事業では、当社グループの中核事業と位置付ける「FOMM ONE」を主軸としたEV事業に注力してまいります。当連結会計年度に「FOMM ONE」の本格的な製造・販売の開始を目指しましたが、当初計画と実績に大きな乖離が生じました。この事実を真摯に受け止め、当該事業を早期に軌道に乗せるべく製造面については製造ラインの効率化を、また、販売面についてはディーラー網の拡大やFacebook等のSNSを利用したマーケティング活動に注力してまいります。 アイラッシュケア事業では、サロン部門において、サロンの利便性の向上を図るため、ユーザからの要望が高い予約システムの再構築を行うことにより、集客数・来客数・リピート率の増加を目指します。また、新メニューの導入に向けて、スタッフの早期の技術習得を目指し、顧客満足度の増加・売上高の増大・新規顧客の獲得を目指して参ります。商材部門においては、当連結会計年度において販売を開始した新商品のまつ毛美容液について、SNS発信や広告の見直しを行い商品の認知度の向上を図るとともに、販路拡大を目指し店頭にて設置できる什器の作成と営業を行ってまいります。 これら今後必要となる事業資金の確保については、資金調達で得た資金や手元資金のほか、必要に応じて新たな資金調達を検討することで対応してまいります。 しかし、これらの対応策の実現可能性は、市場の状況、需要動向、他社との競合等の影響による成果を負っており、新株予約権者や投資家のご意向や事業計画の達成如何にも左右されるため、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、上記のような重要な不確実性の影響を反映しておりません。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は、次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、長期化した新型コロナウイルスの感染拡大が、ようやく落ちついてきた中、緩やかな持ち直しの傾向が見えてまいりました。しかしながら、その一方で、エネルギーなどの物価上昇や供給面での制約、金融市場の変動等の下振れリスクが懸念されるなど、経済環境は、先行き不透明な状況で推移しております。 このような環境の下、当連結会計年度につきましては、売上高264百万円(前期比3.0%増)、営業損失394百万円(前期は営業損失360百万円)となりました。経常損失は156百万円(前期は経常損失311百万円)となり、EV事業に関連した貸倒引当金繰入額及び減損損失の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は954百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失280百万円)となりました。 2022年7月よりEV製造を開始し、9月より販売を開始いたしました。しかし、EVの製造台数及び販売台数は、事業開始直後ということもございますが、部品の調達の遅延や船便の遅延・欠航、部品・癒着材などの不具合により、計画に比して少量に留まっており、計画達成が果たせませんでした(当連結会計年度売上高43百万円)。これにより、「FOMM ONE」の製造販売権を減損処理いたしました。 また、当社グループの中核事業として位置付けるEV事業に注力したことにより、コンテンツ制作等のEV事業以外のシステムソリューション事業のEV事業以外の売上高が前期と比較して減少いたしました(前期売上高32百万円、当連結会計年度売上高14百万円)。それに加え、前期と比較して、販売管理費などのコストが増大しております。その結果、売上高は58百万円(前期比81.6%増)、売上構成比は22.1%(前期売上構成比12.6%)となりました。セグメント損失(営業損失)は191百万円(前年同期は65百万円のセグメント損失)となり、前年と比べ125百万円損失が拡大いたしました。 当事業におきましては、サロン部門において、当連結会計年度中に3店舗閉店(高田馬場店・みなとみらい店・北千住店)した影響により売上高が減少しております。しかしながら、ディスカウント戦略やリピート率向上の施策等を行い、既存店舗の売上高は、前年比131%となりました。 また、商材部門において、新商品のまつ毛美容液のSNS広告の効果が弱かったことに加え、既存客の購入件数が減少し、計画を下回る水準となってしまいました。当連結会計年度における商材部門の売上が前期比89%と減少いたしました。その結果、売上高は205百万円(前期比8.2%減)、セグメント損失(営業損失)は54百万円(前期は110百万円の営業損失)となり、前連結会計年度と比べ56百万円の赤字幅縮小となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べて、22.6%減少し、442百万円となりました。これは、主に現金及び預金が271百万円減少したこと、未収入金が112百万円増加したこと及び貸倒引当金の引当額が26百万円増加したことなどによります。 固定資産は、前連結会計年度末に比べて、94.8%減少し、26百万円となりました。これは、主に製造販売権が198百万円、投資有価証券が268百万円、破産更生債権等が152百万円減少し、長期立替金が611百万円、貸倒引当金の引当額が474百万円増加したことなどによります。 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて56.8%減少し、468百万円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べて、49.5%増加し、72百万円となりました。これは、主に未払金が50百万円増加し、その他の流動負債が27百万円減少したことなどによります。 固定負債は、前連結会計年度末に比べて、100.0%減少し、計上額がなくなりました。これは、主に繰延税金負債が22百万円減少したことなどによります。 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて0.9%減少し、72百万円となりました。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて60.8%減少し、396百万円となりました。これは、主に資本金及び資本剰余金が、それぞれ295百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより利益剰余金が954百万円、その他有価証券評価差額金が128百万円、為替換算調整勘定が104百万円、新株予約権が19百万円減少したことなどによります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ271百万円減少し、236百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 営業活動による資金の減少は379百万円となりました。 これは主に税金等調整前当期純損失、減損損失、為替差益、株式報酬費用、貸倒引当金の増加額、新株予約権戻入益の計上及び投資有価証券売却益の計上並びに未収入金の増加によるものであります。 投資活動による資金の減少は477百万円となりました。 これは投資有価証券の売却による収入及び長期立替金の支払いによる支出によるものであります。 財務活動による資金の増加は583百万円となりました。 これは新株予約権の行使による株式の発行による収入によるものであります。 当社グループは生産を行っておりません。 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 当社グループは外注を行っておりません。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの当連結会計年度の財政状態に関して、当連結会計年度末における資産合計額は、468百万円となり、前連結会計年度と比較して615百万円減少しました。これを流動・固定資産別に分析すると以下のとおりです。 流動資産は、442百万円となり、前連結会計年度と比較して129百万円減少いたしました。これは、主として現金及び預金及び貸倒引当金の引当額の減少によるものです。 固定資産は、26百万円となり、前連結会計年度と比較して485百万円減少いたしました。これは、主として製造販売権、投資有価証券、破産更生債権が減少し、長期立替金、貸倒引当金の引当額の増加したことによるものです。 当連結会計年度末における負債合計額は、72百万円となり、前連結会計年度と比較して0百万円減少しました。これを流動・固定負債別に分析すると以下のとおりです。 流動負債は、72百万円となり、前連結会計年度と比較して23百万円増加いたしました。これは、主として未払金が増加し、その他流動負債の減少したことによるものです。 固定負債は、計上額がなくなり、前連結会計年度と比較して24百万円減少いたしました。これは主として、繰延税金負債が減少したことによるものです。 当連結会計年度末における純資産の合計額は、396百万円となり、前連結会計年度と比較して614百万円減少いたしました。これは主として、資本金、資本剰余金が増加し、利益剰余金、その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定、新株予約権が減少したことによるものです。 当社グループの当連結会計年度の経営成績に関して、当事業年度における売上高は、264百万円となり、前事業年度と比較して7百万円増加しました。この主な要因をセグメント別に分析すると以下のとおりです。 システムソリューション事業の当事業年度のセグメント間の売上を含まないセグメント売上は、58百万円となり、前事業年度と比較して26百万円増加いたしました。 アイラッシュケア事業の当事業年度のセグメント売上は、205百万円となり、前事業年度と比較して18百万円減少いたしました。 結果、当連結会計年度の営業損失は394百万円となり、前連結会計年度と比較して34百万円の赤字拡大、経常損失は156百万円となり、前連結会計年度と比較して155百万円の改善、親会社株主に帰属する当期純損失は954百万円となり、前連結会計年度と比較して673百万円の赤字拡大となりました。 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要  ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 当社グループの資金需要の主なものは、EV事業に係る材料や製造委託費及び販売費及び一般管理費の営業費用です。当社は、これらの資金需要を自己資金及び一部を借入金で賄っております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の計上額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しておりますので、記載は省略しております。 当連結会計年度の研究開発活動は、ありませんでした。
株式会社マキヤ
# 株式会社マキヤ 1895年6月静岡県沼津市に当社の前身であります「まきや金物店」を開業し、その後1953年8月に「有限会社マキヤ金物店」に組織変更し、1963年4月に社名を「有限会社マキヤ」と改めました。 1964年12月に静岡県富士市にマキヤ吉原店を開店し、チェーンストアとして第一歩を踏み出し、1972年6月に「株式会社マキヤ」と組織変更するまでに、静岡県東部地方を中心に8店舗を有するチェーンストアとなりました。 以下、現在に至るまでの概況は次のとおりであります。 有限会社マキヤを組織変更し、株式会社マキヤ(資本金4,800万円、静岡県沼津市)を設立。 現在地に本社及び配送センターを新築移転。大型電算機を導入。 配送センター増築。 機構改革し、本部制を敷く。 家庭用電気専門店「ヤベ電機」を16店舗展開する株式会社ヤベを吸収合併。 当社株式を社団法人日本証券業協会へ店頭売買銘柄として登録。 静岡県富士市に新業態店「エスポット新富士駅南店」を開店。 エスポット藤枝店に「食品館」を新設。 新業態店の神奈川県進出第1号店として小田原市に「エスポット小田原シティモール店」を開店。 静岡県沼津市に家電リサイクル・ショップ「HARD OFF」のフランチャイズ・チェーンとして当社の第1号店「ハードオフ沼津店」を開店。 家電リサイクル・ショップの三重県進出第1号店として津市に「ハードオフ津南郊店」を開店。 業務用食料品販売店「業務スーパー長泉店」を開店。 業務用食料品販売店の山梨県進出第1号店として「業務スーパー甲府昭和店」を開店。 株式の追加取得により、株式会社ひのやが子会社となる。 株式会社ヤマダ電機と共同出資により株式会社東海テックランドを設立。 当社100%出資により株式会社MKカーゴ(現・連結子会社)を設立。 株式の取得により、株式会社大田山邦が子会社となる。 株式の譲渡により、株式会社東海テックランドが連結の範囲から外れる。 株式会社大田山邦が株式会社オオタ山邦へ商号変更。 株式の譲渡により、株式会社オオタ山邦が連結の範囲から外れる。 当社100%出資の連結子会社である株式会社ひのやを吸収合併する。 株式会社MKカーゴが株式会社ハイデリカを吸収合併し、株式会社MK・サービスに商号変更。 神奈川県横浜市に100円ショップ「ザ・ダイソー」のフランチャイズ・チェーンとして当社の第1号店「ザ・ダイソーエスポット新横浜店」を開店。 現在、総合ディスカウント店「エスポット」21店舗、食品スーパー「ポテト」・「mamy」14店舗、業務用食料品販売店「業務スーパー」49店舗、家電リサイクル・ショップ「ハードオフ」6店舗、100円ショップ「ダイソー」8店舗等を展開。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社マキヤ)、子会社1社及びその他の関係会社1社により構成されております。当社は、主要事業である総合ディスカウント店「エスポット」、食品スーパー「ポテト」・「mamy」、業務用食料品販売店「業務スーパー」、リサイクル・ショップ「ハードオフ」及び100円均一ショップ「ダイソー」等の運営を行う「小売業」及び所有不動産等の賃貸事業等を行う「不動産賃貸事業」を展開しております。 連結子会社である株式会社MK・サービスは、物流業及び精肉プロセスセンター(精肉加工の工場)等の運営、惣菜・弁当等の製造・販売を行っております。 その他の関係会社である株式会社マキリは不動産賃貸業を行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。 労使関係  良好に推移しており、特記すべき事項はありません。 全労働者における男女の賃金の差異は、パート・有期労働者の男女の人数比率が影響。 全労働者における男女の賃金の差異は、パート・有期労働者の男女の人数比率が影響。 当社グループは、「お客様の利益」を第一とし、「お取引先様の利益」及び「会社と社員の利益」の「三位一体の利益」を追求することによって、人と人との心の連帯を生み、豊かな生活を提唱し、社会に貢献し続けることを企業経営の目的としております。 この目的を推進するに当たり、最も大切であると考える「信頼と感謝」の気持ちを要とし、常にお客様の利益に貢献し、お客様から圧倒的に支持される小売業であり続けることを経営理念としております。 このような経営理念のもと、当社グループは生鮮食品・加工食品・生活雑貨・家電製品・DIY・ペット・レジャー用品などバラエティーに富んだ商品を販売する総合ディスカウント店と、食品スーパー、業務用食料品販売店、リサイクルショップ、インテリアショップ、100円均一ショップの運営及び所有不動産等の賃貸事業等を展開しております。 これらにより消費の多様化にきめ細かく応える小売業として、堅実な経営を築くことを基本方針としております。 を全力で推進し、経営基盤の強化と企業価値の向上を図ってまいります。 そのために、以下の「磨き上げ5項目」を重点的に取り組んでまいります。 また、不動産賃貸事業においては、テナント等の誘致強化による収益性の維持と店舗の集客力の向上を推進してまいります。 当社グループは、資本効率の向上と持続的な成長による「高収益企業」となることにより、企業価値の向上を図ってまいります。 目標とする経営指標としては、ROA(総資本利益率)、ROE(自己資本利益率)等の資本効率に視点を置いた経営指標を重視し、これら経営指標を改善するためには、当社の場合は特に経常利益率の改善が重要課題であると捉え、そのために必要な売上総利益率の改善や人的生産性の向上に取り組んでまいります。毎期予算の立案における新規の店舗・設備等の投資案件についてもROI(投下資本経常利益率)を個別に点検し、経営効率と財務体質の更なる改善に努めてまいります。 また、固定資産投資のみならず、商品在庫についても在庫投資の観点から効率を追求すべく、商品カテゴリー別の交差主義比率(在庫投資対粗利額比率)の改善について、重点課題として注力しております。 なお、「中長期経営改革プロジェクト『MAP3』」における主な経営改革目標数値は以下のとおりであります。 当社グループを取り巻く経営環境は、アフターコロナに期待される景気の回復が地政学的リスクと不安定な金融市場に下押しされる中で、地方で深刻化する「少子高齢化と人口減少」、社会保障費負担等の増加やインフレ物価高による生活コストの増大などによる「可処分所得の減少」、大手企業の出店戦略やeコマースの拡大などによる「競争の激化」、原料供給側に起因するコストプッシュ型のインフレによる「消費者マインドの低下」といった問題に直面することになります。 を重点実践テーマとし、経営基盤の強化と企業価値の向上を図ってまいります。 環境問題への取り組みとしましては、引き続き再生可能エネルギーの導入拡大と省エネシステム等の導入によるCO2削減対策にも取り組んでまいります。 なお、不動産賃貸事業については、資産の有効活用によるテナント誘致、退出テナントが発生した場合の早期新テナント誘致を図り、安定的な収益維持を図ってまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「マキヤ・グループ行動規程」を定め、サステナビリティに関する諸課題の解決に向けて持続可能な社会の実現と企業価値向上を図ってまいります。 環境問題につきましては、その重要性を認識し、事業活動において資源の有効活用、資源のリサイクル、省力化及び効率化に積極的に取り組んでおります。また、人材に関しましては、社員の基本的人権の尊重を大前提として、人材の多様性の確保や社内環境の整備などに取り組んでおります。 当社グループは、サステナビリティに関する活動の推進及び統括するための委員会として「(仮称)サステナビリティ推進委員会」の設置による取り組みを検討してまいります。同委員会において、環境問題、社会問題等に関する取り組むべき重要課題を整備し、課題に対する対応方針や施策の立案、指標の設定、施策の進捗管理などについて、必要に応じて取締役会に報告、提案することといたします。 当社グループのサステナビリティに関する主な取り組み方針は以下のとおりであります。 なお、重要課題及び課題に対する対応方針や施策については、上記のとおり設置検討している「(仮称)サステナビリティ推進委員会」の設置による検討、整備を進めてまいります。 当社グループは、「(仮称)サステナビリティ推進委員会」において、気候変動、自然災害による環境リスクや人権問題にかかる社会リスクを識別し、これらのリスクに関する情報やデータを収集分析し、社内共有することにより発生リスクに対する経営的影響度を把握するとともに重要性を評価することといたします。それらの評価に基づくリスク対応方針や施策については、取締役会に報告、提案することといたします。 当社グループは、「(2)戦略」に記載の人的資本における女性が活躍できる雇用環境の整備について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。 その他の指標につきましては、「(仮称)サステナビリティ推進委員会」の設置による指標設定を検討してまいります。 なお、上記以外の当連結会計年度の主な取り組み実績は、次のとおりであります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであり、主に当社グループの小売事業に係るものであります。 これらの認識している主要なリスクは、他社における発生リスク事例に基づき、必要に応じて取締役会議及び経営会議において検証を行うこととしており、このようなリスクが発生した場合は、リスクを最小化するために対策本部を設置して対応してまいります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは家庭用品及び食料品等を中心とした総合ディスカウント店と食品スーパー等を多店舗展開しており、売場面積が1,000㎡を超える新規出店及び既存店舗の増床については、2000年6月1日より施行されております「大規模小売店舗立地法」(以下「立地法」という)の規制を受けております。 この立地法の規制等により新規出店には多くの時間と費用が必要になってきておりますが、計画どおりに出店ができない場合、当社グループの経営成績に影響が出る可能性があります。 当社グループは静岡県を中心とした東海地方に、多くの店舗を展開しております。従来から予想されております東海地方を震源とする大規模地震が起こった場合、当社グループの財政状態、経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの展開する家庭用品及び食料品等を中心とした総合ディスカウント店と食品スーパー等においては、1981年以前に建設された店舗が存在し、現在の耐震基準を満たしていないものがあります。 それらの店舗については、耐震診断を受け、必要な補強工事を行ったり、補強不能な店舗については移転をするなどの施策を実施しておりますが、それらの対策が実施される前に強度の地震が発生した場合、それらの建物の中には大きな損傷もしくは倒壊に至る可能性があるものもあり、人身・商品・設備等に被害を受けるリスクがあります。また、被害が軽微であった場合もその後の営業活動が困難になる場合があります。 震災を始めとした大規模な自然災害発生時はもとより、台風、大雪などによる天候の悪化等によって、道路交通網等の麻痺が起こった場合、物流拠点への商品の入荷の遅れや入荷不能が発生し、各店舗への未配送が起こるリスクがあります。 今後、物流拠点の分散化や他地域の協力業者の開拓、複数の物流コースの確保などを通じ、リスクの分散化を図ってまいりますが、災害が想定の規模を超えるような場合は、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 インフルエンザ等の感染症の流行により、関連商品、関連物資の需要が急激に高まり、関連商品のお客様への充分な販売提供、従業員への配付ができない場合があります。また、従業員の集団感染などが発生した場合、営業活動の継続が困難になる場合があります。 当社グループといたしましては、日頃より関連商品、関連物資の備蓄を行い、インフルエンザ等の感染症の流行の兆候を的確につかみ、緊急事態対策室をタイムリーに設置するなどの活動を通じて、これらに対処する方針ですが、感染症の流行の進度が急激かつ大規模であった場合は、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、潜在するリスク及びその対処方針は、インフルエンザ等の感染症によるリスクと同等であると判断しております。 当社グループの事業活動においては、情報システムの役割は極めて重要であり、常に情報システムの安定稼働に努めておりますが、地震・台風などの自然災害、コンピュータウィルスなどの事故、火災や停電もしくは電力不足などの外部要因により、情報システムに障害を誘発する場合があります。 当社グループとしてはシステム・サーバのクラウド化や、非常用バッテリーの搭載など、障害に備えた対策を構築中ですが、障害の程度が大きくかつ長期間であった場合、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 当社グループは、営業情報、個人情報、会社の経営に関する情報など、事業遂行に関する多数の情報を有しております。関連法令を遵守し、情報の漏洩防止に万全を期すために、情報の管理体制や適切な取扱い方法を定めた各種社内規程を制定するとともに、社内教育、情報管理施策を継続的に実施するなど、情報管理の徹底に努めております。 しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用する可能性があります。この対応に生じる費用や、企業の信頼低下が当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 当社グループは、静岡県、神奈川県、埼玉県及び山梨県を中心として総合ディスカウント店、食品スーパー等を多店舗展開しておりますが、自社店舗の周辺に競合する他社店舗が出店し、競合による売上・利益低下の影響を受ける場合があり、その影響が多大な場合、店舗の撤退を余儀なくされる可能性もあります。 当社グループとしては、常に競合店出店情報の収集に努め、競合店舗の出店が決定した時点における影響度合いを算定し、その影響を最小限に留めるための対策の立案・実施をしておりますが、競合店舗出店数、出店規模が想定以上に大きい場合、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 当社グループは、総合ディスカウント店、食品スーパー等を多店舗展開しておりますが、その新規出店に当たっては予測システム等を複数使用して、出店した場合の売上想定をしております。また出店後の実績数値についても予測数値との差異分析を行い、今後の予測数値の精度を高めるためのフィードバックをしております。 しかしながら、出店後にそれらの想定の範囲を超える周辺の環境変化や、競合店舗の出店等により、当初予定していた売上を確保できない可能性があります。それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 当社グループは、総合ディスカウント店、食品スーパー等を多店舗展開しておりますが、その新規出店に当たっては、店舗の出店用地の土地賃貸借契約や、建物賃貸借契約を締結し、敷金及び保証金を差入れる場合があります。差入先の信用状況を常に把握し、差入れ金額については常に適正水準となるよう吟味しており、また適正水準以上の差入先については、その一部返還の交渉をするようにしております。 しかしながら、それらの敷金及び保証金の差入先である家主が自己破産等に陥った場合、差入れている敷金及び保証金が返還されず損失が生じる可能性があります。それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 当社は、株式会社ハードオフコーポレーション、株式会社神戸物産等と締結したフランチャイズ契約に基づいて、「ハードオフ・オフハウス」、「業務スーパー」等の店舗を展開しております。これらのフランチャイズ契約については、契約の解除条項を規定しており、当該要因が発生した場合、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 また、フランチャイジーはその運営方針をフランチャイザーの経営方針に委ねており、フランチャイザーが展開する商品政策や経営状況等により、来店客数の減少や客単価の低下等を招き、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 なお、本書提出日現在において、当社が締結しているフランチャイズ契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりません。 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、店舗の収益状況及び不動産の価額動向等によっては、減損損失を計上することが必要となります。大型店として展開するエスポット業態は、他業態と比べて固定資産の投資額が大きくなる傾向があるため、多額の減損損失を計上する可能性があり、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 当社グループの株式会社MK・サービスは、惣菜工場にて弁当・惣菜・菓子等を製造するとともに、精肉プロセスセンターにて精肉の加工・パッケージ等を行っております。主に当社グループで展開する食品スーパー全店及び総合ディスカウント店等にその製品等を供給しております。当設備は、最新の衛生管理設備を持ち、常に安心・安全・美味しい惣菜等の製造を目指し日々取り組んでおります。 しかしながら、予期せぬ事態により、当設備に事故が発生したり、原材料の調達ができなかった場合、各店舗へ惣菜等の供給ができなくなる可能性があります。また、各店舗の惣菜等をこの設備で集中して製造しているために、設備内で生じた製造上の問題、たとえば異物の混入や、衛生レベルの低下等があった場合、全店への製品の供給がストップしてしまう可能性もあります。さらに、これらの商品の回収・廃棄コストの発生とともに、当社グループの信用力は悪化し、営業活動に支障をきたす恐れがあります。 当社グループでは、このような事故が発生しないよう常に品質管理に万全を期するよう対策を講じておりますが、仮にこのような事故が発生し、それが大規模あるいは長期間に及ぶ場合、それにより当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における日本経済は、活動制限が緩和されたウィズコロナの下で、景気の持ち直しが期待されたものの、ウクライナ情勢によるエネルギー価格・原材料価格の上昇や世界的な金融引締めによる円安の影響等により回復は緩やかなものとなりました。今後も、物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響が景気を下押しするリスクを含んでおり、先行きの見え難い状況となっております。 当小売業界におきましては、急激な物価上昇による消費者の「生活防衛志向」、同業態・異業態をはじめeコマースも含めた「競争の激化」、或いは「人口減少・高齢化」に伴う「可処分所得の減少」、人手不足や最低賃金の上昇による「人件費の高騰」、エネルギー価格の大幅な上昇(水道光熱費等)による「店舗運営コストの増加」など、依然として厳しい経営環境にあります。 このような状況の中、当社グループは、お客様の「毎日の生活」を、より豊かに、楽しく、健康で、快適にする、「より良い商品」を、「安心の価格(価値価格の安さ)」と「温かいサービス」でご提供し、社会に貢献する、「働き易い、高収益企業」になるという中長期基本方針の実現のため、中長期経営改革プロジェクト『MAP3』(Makiya-group Advancing Profit 3)を編成し、経営改革目標数値の達成のために、①「作業改善」と「働き方」改革の推進、②品揃え・品質・価格・売り方・サービスの磨き上げ、③「ファーストチョイス」の推奨販売、④「欠品」撲滅・フェイスUP・ボリューム陳列、⑤「ロス額」削減と「仕入コスト」の改善を全力で推進し、経営基盤の強化と企業価値の向上に取り組んでまいりました。 「ロス額」の削減におきましては、食品等の「消費期限値引きや廃棄」等の削減に積極的に取り組んでおり、ロス額は前期比で14.3%の削減が図られました。一方で、「値入率」については、プライベートブランド・ファーストチョイス商品等の高値入商品の販売強化を全社で積極的に取り組んでいるものの、競合店対抗による価格競争や原材料費の高騰による仕入価格の上昇等の影響により、改善は今一つ捗々しくない状況となりました。「作業改善」については、従業員の作業効率を向上する商品補充オペレーションや陳列方法への変更、レジ通過時間を短縮するセミセルフレジの導入を進め、業務改善をしながら残業時間の削減と業務の効率化を推進してまいりました。加えて、働き方改革の一環として、有給休暇の取得の推進、バックルームの空調整備等、労働環境の改善にも努めてまいりました。 また、高騰する水道光熱費の対策や、再生可能エネルギーの活用として、3店舗に太陽光パネルを設置し、電力の一部自給を開始するとともに、冷凍冷蔵ケースのLED照明化等も推進してまいりました。 8月にリリースいたしました電子マネー機能付きポイントカードをスマートフォンで利用できる「マキヤプリカLINEミニアプリ」につきましては、アプリ登録ボーナスや電子マネー利用還元、配信クーポン等様々なキャンペーンを実施したことにより、「マキヤポイントカード」利用会員の12%がアプリユーザーとなりました。10代~30代の会員はアプリから新規入会する割合が最も高く、デジタルネイティブ世代の取り込みに成功しております。今後も機能拡充と利便性の向上を計画しており、マキヤプリカの利用促進に寄与してまいります。 なお、当連結会計年度の店舗政策につきましては、以下のとおりであります。 以上の結果、当連結会計年度の業績は、営業収益は71,584百万円(前期比3.4%増)、営業利益は1,635百万円(前期比2.7%減)、経常利益は1,812百万円(前期比0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,187百万円(前期比10.8%減)となり、営業収益は増収となったものの、利益面については連結子会社が運営するグループ内物流業務コストの上昇等により減益となりました。 なお、株式会社マキヤ単体での当事業年度の業績は、営業収益は71,072百万円(前期比3.4%増)、営業利益は1,488百万円(前期比2.8%減)、経常利益は1,686百万円(前期比0.0%増)、当期純利益は1,114百万円(前期比11.4%減)となり、経常利益ベースでは増収増益となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比較して1,119百万円増加し、2,364百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が459百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が1,777百万円、減価償却費が1,282百万円あったこと等により2,540百万円の収入となり、前連結会計年度より収入が808百万円増加いたしました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が861百万円あったこと等により864百万円の支出となり、前連結会計年度より支出が1,084百万円減少いたしました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が1,500百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が1,470百万円、リース債務の返済による支出が436百万円、配当金の支払額が149百万円あったこと等により556百万円の支出となり、前連結会計年度より支出が854百万円減少いたしました。 小売業の仕入実績は以下のとおりであります。 なお、不動産賃貸事業は仕入実績がないため記載しておりません。 当社グループは主として商品の仕入販売を行っているため、該当事項はありません。 小売業の販売実績は以下のとおりであります。 なお、不動産賃貸事業は販売実績がないため記載しておりません。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 営業収益は71,151百万円(前期比3.5%増)となりました。「フード(食品)」部門につきましては、「エスポット(フード)」、「ポテト・マミー」、「業務スーパー」の全ての業態で好調に推移し、生鮮食品、日配食品、加工食品はいずれも前期を上回り、前期比4.8%増となりました。「ノンフード(非食品)」部門につきましては、HBC(ヘルス&ビューティーケア)商品及びリサイクル事業が前期を上回ったものの、前期比1.2%減となりました。 営業利益は1,889百万円(前期比0.1%減)となりました。これはエネルギーコストの上昇により水道光熱費が前期比41.8%増と大幅に増加したこと等によるものであります。 営業収益は432百万円(前期比0.5%減)、営業利益は154百万円(前期比3.1%減)となりました。 なお、当社グループが目標とする経営指標の実績推移は以下のとおりであります。 当連結会計年度の売上高は前期比3.5%増となりました。これは、『フード(食品)部門』の販売が好調に推移したことと、改装店舗の売上増加、新規開店店舗の売上の上乗せ等によるものであります。経常利益率は2.56%となり、前年に対して0.09%減少いたしました。これは、値入率の低下と、エネルギーコストの上昇による水道光熱費の増加等によるものであります。 ROEは、6.88%となり、前年に対して1.39%減少いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益が前年比で10.8%減少しているのに対し、自己資本は前年比6.4%の増加となったことによるものであります。 当連結会計年度末の資産合計は33,499百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,330百万円増加いたしました。 流動資産は9,895百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,587百万円増加いたしました。これは、災害リスク対策として手許流動性を高める方針としたことにより現金及び預金が1,119百万円増加したほか、商品が168百万円、売掛金が146百万円増加したこと等によるものであります。 固定資産は23,604百万円となり、前連結会計年度末と比較して257百万円減少いたしました。これは、減価償却等により無形固定資産が121百万円、有形固定資産が57百万円、繰延税金資産が67百万円減少したこと等によるものであります。 当連結会計年度末の負債合計は15,718百万円となり、前連結会計年度末と比較して266百万円増加いたしました。 流動負債は10,866百万円となり、前連結会計年度末と比較して373百万円増加いたしました。これは、契約負債が321百万円増加したこと等によるものであります。 固定負債は4,852百万円となり、前連結会計年度末と比較して107百万円減少いたしました。これは、退職給付に係る負債が74百万円、長期借入金が33百万円減少したこと等によるものであります。 純資産は17,780百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,063百万円増加いたしました。これは、利益剰余金が1,037百万円増加したこと等によるものであります。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社グループは、設備投資計画に基づき、中長期的な設備資金を自己資金または金融機関からの長期借入金により調達し、短期的な運転資金を自己資金または金融機関からの短期借入金により調達することとしております。 なお、当連結会計年度末における借入及びリース債務を含む有利子負債の残高は5,329百万円、有利子負債比率は30.0%、現金及び現金同等物の残高は2,364百万円であります。 当社グループの資本の配分は、将来の事業展望に備え、内部留保による企業体質の強化を図りながら、安定した株主配当を維持することを基本方針としております。 内部留保資金につきましては、手許資金として適正な残高を確保するために、売上総利益額の1カ月分以上の残高水準を保有することを基本とし、事業成長のための設備投資資金につきましては、営業キャッシュ・フロー計画額を上限とする設備投資計画額に配分することとしております。 当連結会計年度の株主配当につきましては、中間配当7円50銭、期末配当7円50銭、合わせて年間配当15円といたしました。次期におきましては、1953年8月の当社法人設立から70周年を迎える年度となります。この節目の年度を機に、次期の配当金につきましては、中間配当10円、期末配当10円、併せて年間配当20円とし、5円の増配を予定いたします。 2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。 当社グループは、「中長期経営改革プロジェクト『MAP3』」の各経営目標数値の達成を目指し、以下の「磨き上げ6項目」を重点的に取り組んでまいりました。 また、不動産賃貸事業においては、テナント等の誘致強化による収益性の維持と店舗の集客力の向上を推進してまいりました。 なお、「中長期経営改革プロジェクト『MAP3』」における経営改革目標数値の主な進捗状況等は以下のとおりであります。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、当該見積りを行った時点における入手可能な情報と合理的な基準に基づいて判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 株式会社ハードオフコーポレーション(新潟県新発田市新栄町3丁目1番13号)とHARD OFF・チェーン店の営業に関して、フランチャイズ契約を締結しております。 ただし、契約期間満了日3ヵ月前までに、双方より何等の意思表示もない場合は、契約は更に2年間自動的に更新されるものとし、以後も同様としております。 ロ 契約内容    株式会社ハードオフコーポレーションは当社に対し株式会社ハードオフコーポレーションが使用している商号、商標、サービスマーク等と経営のノウハウを用いて営業を行うことを認め、株式会社ハードオフコーポレーションが開発し所有するHARD OFFシステムを用い、株式会社ハードオフコーポレーションからの援助をもとに継続して営業を行い、相互の繁栄を図ることを目的としております。 なお、当社は株式会社ハードオフコーポレーションに対し、毎月の売上高に応じて定められた率のロイヤリティを支払っております。 株式会社神戸物産(兵庫県加古川市加古川町平野125番1)と業務スーパー店の営業に関してエリアライセンス契約を締結しております。 ただし、契約更新の条件を満たす場合で、契約期間満了の3ヵ月前までに、いずれか一方からその相手方に対して本契約を終了する旨の文章による通知がない限り自動的に1年間更新されるものとしております。 ロ 契約内容    株式会社神戸物産は当社に対し株式会社神戸物産が、その費用と経験等によって開発した「業務スーパー」の経営に関する経営ノウハウを用いて営業を行うことを認め、株式会社神戸物産の指導援助のもとに継続して営業を行い、相互の繁栄を図るとともに、業務スーパーを通じて地域社会への貢献を果たすことを目的としております。 株式会社大創産業(広島県東広島市西条吉行東1丁目4番地14号)とザ・ダイソーチェーン店の営業につきまして販売代理店契約を締結しております。 ただし、合意により期限の延長または契約更新がされるものとしております。 ロ 契約内容    株式会社大創産業は当社に対し株式会社大創産業の企画した商品による販売代理店の運営ノウハウ及び各種機密情報の提供とザ・ダイソーの商標、サービスマーク等の営業シンボルの使用を許可し、ザ・ダイソーの名称のもとに、販売代理店経営をすることを承諾して相互の繁栄を図ることを目的としております。 該当事項はありません。
株式会社文溪堂
# 株式会社文溪堂 当社の前身は、1900年に書籍・教科書の販売を目的とした、個人経営としての文溪堂を創業したのが始まりであります。1933年の「夏休みの友」の発行は、現在の出版の礎を築くこととなりました。戦後には、「学習プリント」(「テスト」の前身)の販売地区も全国に及ぶまでになりました。その後、製品・商品の発行点数・部数とも年々増加する等の事業の発展に伴い、1953年12月25日に株式会社文溪堂を設立するに至りました。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社2社、非連結子会社1社で構成されており、教育図書の出版及び教材の製造・販売を主な事業としております。 事業の内容と当社及び連結子会社の当該事業に係る位置付け及び事業セグメントとの関連は、次のとおりであります。 (出版)   当社は、小学校教育図書及び市販図書を製造販売しております。 ㈱学宝社は、中学校教育図書を製造販売しております。 また、当社と㈱学宝社との間に一部商品の売買があります。 (教具)   当社が裁縫セット・家庭科布教材等の教具品を製造販売しております。製造及び発送の一部を㈱ロビン企画に委託しております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。 当社の中学校向け教材を販売している。 役員の兼任あり。 当社の家庭科教材の加工をしている。 役員の兼任あり。 労働組合は結成されておりませんが、労使間の問題については社内に苦情提案委員会を設けて、労使の協調を図っております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社の企業理念であります「21世紀の人づくりを通じて、社会に貢献する教育と文化の創造企業をめざそう」を常に念頭に置き、現場第一主義の姿勢を堅持し、社内外の英知を結集して多様化する教育現場のニーズに対応した教材づくりに邁進してまいります。 また、“若さとアイデアに生きる文溪堂”に相応しい行動力とアイデアを駆使し、株主様はもとより、お客様やお取引先様からの信頼と期待に応えるべく、企業変革の必要性を認識しつつ、常に活性化した“ゆめ企業=文溪堂”を目指して鋭意努力してまいります。 新学習指導要領が小学校では2020年度から、中学校では2021年度から完全実施されました。当社グループとしましては、新しい教育の方向性を見定めながら、社会の変化や教育現場のニーズを的確に捉え、下記の5項目に重点をおいた経営を進めてまいります。 ① 当社グループの主体事業である出版部門においては、子供たちや先生方を支えるための良質で有益な教材やサービスの提供を目指し、従来からの教材の既成概念にとらわれない新しいタイプの教材を開発してまいります。 ② 出版以外の部門においては、教材・教具の商品企画の充実や販売網の拡充を図るとともに、中学校・高等学校への教材・教具の販路拡充を推進してまいります。 ③ 学校のICT環境の整備の充実に対応し、ペーパーとデジタルを融合させたハイブリッド型教材や、校務の負担を軽減し教師を支援するソフトウエアなどの開発・販売に取り組んでまいります。また、販売網の拡充を目指してまいります。 ④ 知的所有権がますます尊重されるなか、当社グループの商品開発力を駆使してアイデア性、独創性の高い教材・教具類の開発と、その権利化を図ってまいります。 ⑤ 当社グループの連結経営機構の発展を推進し、業務の効率化や収益力の向上を図ってまいります。 当社グループの主力商品であるテスト・ドリル等の出版物、裁縫セット・家庭科布教材等の教材・教具の販売市場である小学校及び中学校においては、少子化傾向が進み、児童・生徒数の減少という構造的な課題を抱えております。そのような状況のなか、2021年3月期(売上高130億円、売上高経常利益率6.7%)から売上高135億円、売上高経常利益率8%を目標値としてまいりました。 そして、2023年3月期は売上高127億円、売上高経常利益率8.8%となりました。売上高経常利益率は目標値を達成できたものの売上高は目標値に至っていないため、今後はGIGAスクール構想に適切に対応したデジタルの特性を生かした企画の提案や他社との差別化を図った教材の研究開発と提供に努めてまいります。また、業務の効率化や商品ラインナップの精選などによる製造原価の低減にも力を入れ、引き続きグループ全体での売上高135億円を目指し、売上高経常利益率についても8%以上を維持してまいりたいと考えております。 日本においては、コロナ禍での出産控えなどの影響もあってますます出生数が減少しており、少子化傾向がさらに進行しています。そのために教育現場では学校の統廃合が進んでおります。 教育界においては、変化が激しく予測困難な社会のなかでも、子供たちが未来を切り拓いていくために必要な資質・能力を着実に身に付けることが求められております。情報社会に続く超スマート社会で活躍できる人材の育成を目指して、これらの変化に対応した教育現場への提案がますます重要性を増しております。 また、文部科学省はこれからを生きる子供たちに必要な資質・能力の育成と学びを保障するため、GIGAスクール構想によりICT環境の整備を実施しました。学校では、端末を効果的に活用すべく研究を重ねております。 教育界においては、2020年度から始まったGIGAスクール構想により1人1台端末が整備され、児童・生徒の学びの充実や教師の働き方改革への活用が進められております。 このような情勢のなか、当社グループは教育現場から求められる様々な課題を解決するために、ICTの活用によるさらなる教育の充実に対応したペーパーとデジタルを融合させたハイブリッド型教材の開発、教師の業務の負担軽減を支援するソフトウエアの研究・開発・充実に取り組み、引き続き成長・発展を目指してまいります。さらに、当業界における先駆的な企業グループとしての自覚を持ち、保護者の費用負担の軽減にも配慮しながら、商品ラインナップの精選、製作コストの削減、諸経費の見直しに向けて積極的に取り組み、企業価値の向上を目指してまいります。 また、財務上の課題としましては、文部科学省が2024年度から段階的にデジタル教科書の導入を進めるなど学校のデジタル機器の活用への急激な傾斜により、従来のビジネスモデルの急激な変化による業績への大きな影響が発生した場合の対応として、自己資本の充実の重要性を認識しております。2023年3月期の自己資本比率は73.0%であり、70%以上の自己資本比率を維持してまいりたいと考えております。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社は、中長期的な企業価値の向上のためのサステナビリティを巡る課題への対応については、経営の重要課題であると認識しており、企業価値の向上に資するため設立した「ブランド戦略委員会」の中で統合的に検討を進めております。具体的には、当社のサステナビリティに関する取り組みについての基本方針を策定し、持続可能な開発目標の達成に向けて取り組みを進めております。 なお、気候変動要素については、取締役管理本部長を委員長とする「SBT推進委員会」をブランド戦略委員会から独立して設置し、取り組みを進めております。 また、取締役会では、人的資本・知的財産への投資の重要性を認識し、経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略について、実効性を含めて審議を行い、監督を行っております。 当社は、2020年12月に『21世紀の人づくりを通じて、社会に貢献する教育と文化の創造企業をめざそう』という企業理念のもと文溪堂SDGs宣言を行いました。「教育と文化の創造」「環境への配慮」「社会との共生」を重点取り組み事項として定めております。「環境への配慮」では、事業活動に伴う環境負荷を低減し、環境に配慮した取り組みを行っております。また、持続的な消費・生産形態である循環型経済を促進するため、3R(リデュース・リユース・リサイクル)により廃棄物の削減に加え、科学的見地と融合した二酸化炭素の排出削減目標の達成を目指しております。 SBT推進委員会は、気候科学に基づく「共通基準」で評価・認定された排出削減目標である「温室効果ガス排出量ゼロ」の達成を目指して、グループ全体で脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。また、協議した内容は、業務執行取締役を構成員とした経営会議へ報告し、必要な対応を実施するとともにその重要度に応じて取締役会へ適宜報告しております。 当社は現在、気候科学に基づく「共通基準」で評価・認定された排出削減目標を設定するSBT(Science Based Targets)の認証取得に向けて2023年4月27日に申請を行っております。 その過程において、いわゆるScope1・2と呼ばれる、当社グループが使用する化石燃料に由来するエネルギーや電力の使用量を把握し、その消費に起因する温室効果ガスの排出量をパリ協定が求める「温室効果ガス排出量ゼロ」の達成を目標として、グループ全体で脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。 当社の気候変動に関するリスク管理としては、SBT推進委員会において、グループ全体の二酸化炭素の排出削減目標の達成状況を常に把握するとともに、気候変動に影響を及ぼすと推測されるリスクを識別した場合は、経営会議へ速やかに報告します。 SBT推進委員会は、グループ各社におけるScope1・2の達成状況を常に把握し、気候変動の要因となりうる増減理由を分析し、影響を及ぼすと推測されるリスクを識別するとともに、その具体的な対処案を立案し、経営会議へ報告します。経営会議は、識別された気候変動に関するリスクの評価を行います。 SBT推進委員会は、識別した気候変動に関するリスクについて、グループ各社に気候変動に係るリスクの管理を行うとともに、評価したリスクの最小化に向けてグループ各社に対して具体的な対処を指示し、その達成状況について監督します。 グループ各社から気候変動に係るリスクの報告を受けた場合は、その内容を客観的に評価し、グループ全体で情報共有を図るとともに、適切な対応策を検討し、経営会議へ報告します。 経営会議においてリスクの最小化に向けた対処案の指示を受けた場合は、グループ各社に指示するとともに、その実施状況について監督します。 岐阜本社の本館ビルで使用する電力のすべてを、実質再生可能エネルギー100%の電力に切り替えております。発電方法は、森林の機能維持を目的に間伐等で伐採された未利用木材を活用した「木質バイオマス発電」によります。燃焼時に排出される二酸化炭素は、その樹木の成長過程における光合成での吸収量と相殺される「カーボンニュートラル」を実現しております。 また、当社グループが使用する化石燃料や電力の使用に起因する二酸化炭素の排出量の削減に向けて、照明機器や空調設備、運搬機器等の省エネルギー型への転換、化石燃料の使用を低減する自動車への更新等を進め、温室効果ガスの排出量を2030年までに42%削減、2045年にはパリ協定が要求する「温室効果ガス排出量ゼロ」の達成を目標として、グループ全体で脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。 ブランド戦略委員会は「社会との共生 21世紀をきみと創る」という基本方針を掲げております。従業員の安全・安心な労働環境を整備するとともに、生産的な雇用と働きがいのある仕事・職場を提供し、地域の一員であるとの自覚のもと様々な社会活動に貢献することにより、地域社会とのパートナーシップの構築を進めてまいります。 人的資本への投資等については、会社にとって最大の資産は「人」であると考え、今後も未来を担う子どもたちを支え続ける企業であり、さらに企業体質を強化していくために必要なものは、会社を支える社員教育だと考えております。定期的に資質向上のための階層別研修を実施するとともに、総合的な能力向上を目的とした自己啓発活動にも支援を行い、人材の多様化を目指した教育に努めております。また、仕事と育児等の両立支援については、出産の前後の育児における休暇制度、時短勤務制度等の諸制度を導入するなど、働きやすい職場環境整備に積極的に取り組んでおり、男性の育児休業取得の促進にも力を入れております。 2023年3月末時点での当社の管理職に占める女性労働者の割合は18.2%であり、今後の目標としては20%以上を目指し、より女性が継続的に活躍できる取り組みを促進してまいります。 当社は、年齢・性別等で差別することなく、管理職への登用に際しては意欲のある優秀な従業員が機会を得られる人事考課制度を導入しております。2023年3月末時点で当社における正社員の女性管理職比率は18.2%、女性従業員の比率は40.2%であります。女性の管理職及び監督職の育成に向け、社内プロジェクトメンバーへの積極的な登用を行うとともに、異業種交流による経験値の向上を目的として外部セミナーへ積極的に派遣するなど、女性の管理職及び監督職の比率の向上を目指してまいります。 事業の安定的な発展を目指し、外部の専門的な人材を積極的に採用しております。管理職への登用については、その経験や知識・能力を公平に評価しております。2023年3月末時点での当社における管理職に占める経験者採用者の割合は36.3%となっております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの主力商品であるテスト・ドリル等の出版物、裁縫セット・家庭科布教材等の教材・教具の販売市場は、小学校及び中学校であります。当連結会計年度における当社グループの売上高に占める小学校・中学校向けの出版物、教材・教具の売上の割合は約90%であり、今後も現場第一主義の姿勢を堅持し、教育のICT化を見据えつつ教育現場のニーズに対応した教材作りに邁進してまいります。しかしながら、日本が抱える少子化傾向が予想以上に進行し市場が著しく縮小した場合や、デジタル教科書の本格導入などの影響により従来のビジネスモデルが急激に変化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループの主力商品である出版物は、日本の教育・文化の安定的向上のために、独占禁止法の再販売価格維持制度の対象となっておりますが、この制度が廃止された場合、当社グループの業績(セグメントの出版)への影響はもちろんのこと、出版業界全体にも大きな影響を与える可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立が進み、持ち直しの動きが見られた一方で、急速な円安の進行と相まって輸入物価が高騰し、エネルギー・食料品を中心とした物価上昇が生じるなど、先行きが不透明な状況が続きました。 教育界においては、小学校では2020年度の新学習指導要領の実施から3年が、中学校では2021年度の実施から2年が経過しました。現行の学習指導要領では、児童・生徒一人ひとりが未来社会を切り拓くために育成する資質・能力を「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱に整理しております。また、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善等に向けた教育活動が定着してきました。 一方で、教育現場ではいじめや不登校などの問題や、特別な配慮や支援が必要な児童・生徒への対応など多種多様な課題への取り組みに追われております。さらに教師不足も重なり、教師の業務負担が十分に解消されない状態が続き、深刻な課題となっております。 そのような状況のもと、文部科学省は、1人1台の端末や高速大容量の通信ネットワーク環境の整備等の「GIGAスクール構想」を進めてまいりました。これらの教育インフラを効果的に活用することにより、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実だけでなく、教師の負担軽減も含めた働き方改革にもつながる運用が浸透しつつあります。 今後、小学校においては、現行の学習指導要領のもとで2024年度に教科書が改訂され、デジタル教科書も一部導入されることになっております。また、次期学習指導要領の議論も活発化し、方向性が示される段階に入ってまいります。教育施策も新たなステージに入り、今後ICTを活用した学びがさらに充実するものと思われます。 このような情勢を背景に、当社グループは主力である小学校図書教材においては、価格や付録などの厳しい競争が続くなか、効果的にデジタルデータを活用し、基礎・基本の定着や活用する力の育成と評価を念頭におき、あわせて教師の負担軽減にも配慮しながら、教育現場のニーズに応えた改訂を進めてまいりました。 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して273,338千円増加し、19,567,447千円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して192,756千円減少し、5,271,741千円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して466,095千円増加し、14,295,706千円となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は73.0%で引き続き比較的高い数値を維持しております。 当連結会計年度の経営成績は、売上高12,750,469千円(前年同期比3.3%減)と、減収となりました。利益につきましても、営業利益1,068,944千円(前年同期比7.3%減)、経常利益1,126,891千円(前年同期比7.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益704,440千円(前年同期比9.0%減)と、減益となりました。 なお、主力商品であるテスト・ドリル等の出版物は、文部科学省が定める学習指導要領や教科書に準拠する必要があるため、その定期的な改訂に伴い、内容を見直す必要があります。次期教科書改訂は小学校においては2024年度に予定されており、教育現場のニーズに対応した教材が提供できるかどうかが売上に影響を及ぼします。また、日本が抱える少子化傾向が進行し市場が縮小することも売上に影響を及ぼします。 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。 小学校図書教材においては、教育現場の実態や動向を分析し、多様なニーズを的確に捉えたことにより、求められる「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を育み、評価できる教材が教育現場に支持された一方で、児童数の減少やデジタル教材の導入の影響が見受けられました。 テストなどの評価教材では、各教科で「見方・考え方」を働かせながら、基礎・基本から活用までの学習内容を的確に評価できる企画と、二次元コードを活用して「自らの学び」をサポートするデジタル企画が教育現場から好評を得たことにより、前期実績を維持いたしました。 ドリルなどの習熟教材では、基礎的な学習内容が確実に定着する企画に加え、GIGAスクール構想による1人1台の端末の活用に対応した提案をしてまいりましたが、教育現場のニーズの変化や各自治体が導入するデジタル教材の影響により、実績が減少いたしました。 季刊物教材では、デジタル企画が好評を得て夏休み教材、冬休み教材ともに実績が増加した一方で、学年末のしあげ教材では予算削減などの影響により、実績が減少いたしました。 中学校図書教材においては、デジタル教材の普及により主力商品や季刊物教材の採用が大きな影響を受けたことにより、実績が減少いたしました。 この結果、当セグメントの売上高は8,975,910千円(前年同期比4.7%減)、営業利益は1,642,966千円(前年同期比4.9%減)となりました。 小学校教材・教具においては、各教科の授業運営が新型コロナウイルス感染症発生前の状態に戻ってまいりましたが、児童の嗜好の変化や購入方法の多様化などにより、採用状況に変化が見受けられました。 「書道セット」や「画材セット」「彫刻刀」では、新製品や長く使い続けられるデザインに加え、機能性の高さが受け入れられたことにより、実績が増加いたしました。 一方、「裁縫セット」や新1年生用品の「算数セット」では、児童の嗜好の変化などの影響により、実績が減少いたしました。 また、中学校・高等学校向けの家庭科教材ブランド「クロッサム」では、感染予防の観点から見送られていた調理実習が再開したことで、コロナ禍においてニーズが高まった布教材の採用が感染症発生前の水準に戻ったことにより、実績が減少いたしました。 この結果、当セグメントの売上高は3,774,558千円(前年同期比0.1%増)、営業利益は388,647千円(前年同期比2.8%減)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して791,039千円増加して6,603,192千円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。 営業活動による資金収支は784,405千円で、前連結会計年度と比較して44,597千円増加(前年同期の資金収支は739,807千円)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローが増加した主な要因は、税金等調整前当期純利益が129,784千円減少、退職給付に係る負債の減少額が56,752千円減少、売上債権の増加額が82,284千円増加、棚卸資産の減少額が227,345千円増加、仕入債務の減少額が52,756千円減少、法人税等の支払額が81,342千円増加したことによります。 営業活動によるキャッシュ・フローは、児童数の減少や、デジタル教材の影響を受けたことにより減収となり、税金等調整前当期純利益が減少しましたが、セグメントの出版では、小学校において来期に教科書改訂による出版物の内容の見直しが予定されており、今期において製作数を抑えたことや、編集費用負担が減少したことにより棚卸資産の減少額が増加し、増加に推移しました。決算期ごとに営業活動によるキャッシュ・フローの推移をみていきますと、2018年3月期1,487,472千円、2019年3月期925,684千円、2020年3月期455,248千円、2021年3月期781,903千円、2022年3月期739,807千円、2023年3月期784,405千円となっております。 投資活動による資金収支は365,710千円で、前連結会計年度と比較して269,329千円増加(前年同期の資金収支は96,381千円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローが増加した主な要因は、無形固定資産の取得による支出が56,583千円増加、投資有価証券の取得による支出が100,000千円減少、投資有価証券の償還による収入が274,389千円増加したことによります。 投資活動によるキャッシュ・フローは、株式の取得による支出はほとんどありませんが、社債の取得による支出と償還による収入の増減により影響を受けます。また、設備投資につきましては、セグメントの出版における製品の製作は外注の印刷会社に委託いたしますので、印刷機械等の有形固定資産の取得による支出はほとんどありません。セグメントの教具における製品の製作も外注に依存しておりますが、裁縫セット、画材セット等を製作するために必要な金型の取得による支出が発生する場合があります。その他の有形固定資産の取得による支出の主な内容は本社建物等の改修費用であります。無形固定資産の取得による支出は主に基幹システムの再構築や販売目的のソフトウエアの開発による支出であります。 財務活動による資金収支は△359,076千円で、前連結会計年度と比較して280,376千円減少(前年同期の資金収支は△78,700千円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローが減少した主な要因は、短期借入金の純増減額が290,000千円減少、配当金の支払額が9,609千円減少したことによります。 財務活動によるキャッシュ・フローは、2008年3月期より配当金の支払額については、文溪堂単体の当期純利益の40%相当額を目処に年間配当金総額を決定しております。なお、利益水準にかかわらず最低年間配当金として、1株当たり7円50銭を目標としており、配当金の支払額は当期純利益により変動いたします。また、短期借入金の純増減額につきましては、文溪堂単体の借入金は発生しておりませんが、子会社の㈱学宝社において教科書改訂に伴い出版物の改訂編集費用の増加により借入金が発生する場合があります。現在のところ、財務活動による資金調達は内部資金及び金融機関からの借入金で対応できると認識しております。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度末の総資産は19,567,447千円となり、前連結会計年度末と比較して273,338千円増加しました。 流動資産の残高は13,200,780千円で、前連結会計年度末と比較して284,274千円増加しました。流動資産の主な増減は、現金及び預金の増加791,039千円、有価証券の減少410,667千円、商品及び製品の増加57,090千円、セグメントの出版における小学校図書教材の改訂編集費用の減少により仕掛品の減少226,070千円であります。 固定資産の残高は6,366,667千円で、前連結会計年度末と比較して10,935千円減少しました。固定資産の主な増減は、ソフトウエアの増加78,819千円、ソフトウエア仮勘定(無形固定資産その他)の増加166,370千円、投資有価証券の減少279,280千円であります。 流動負債の残高は4,572,904千円で、前連結会計年度末と比較して161,844千円減少しました。流動負債の主な増減は、支払手形及び買掛金の減少151,474千円、未払金(流動負債その他)の増加141,031千円、未払法人税等の減少125,837千円であります。 固定負債の残高は698,837千円で、前連結会計年度末と比較して30,911千円減少しました。固定負債の主な増減は、繰延税金負債の増加24,857千円、退職給付に係る負債の減少27,608千円であります。 純資産は14,295,706千円で、前連結会計年度末と比較して466,095千円増加しました。純資産の主な増減は、利益剰余金の増加369,378千円、その他有価証券評価差額金の増加68,477千円であります。 当連結会計年度における売上高は12,750,469千円(前年同期比3.3%減)となりました。売上高が減少した主な要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。 売上原価は7,433,462千円(前年同期比3.1%減)、売上総利益は5,317,007千円(前年同期比3.7%減)となりました。売上原価が減少した主な要因は、小学校図書教材における編集費用負担が減少したためであります。また、売上総利益が減少した主な要因は、売上高が減少したためであります。 販売費及び一般管理費は4,248,062千円(前年同期比2.7%減)となりました。主な増減は、セグメントの出版において次期の販売促進のための出版物の無料見本の減少等により広告宣伝費が64,532千円減少、給与及び手当が73,166千円減少、福利厚生費が13,890千円減少、旅費交通費が35,886千円増加いたしました。以上の結果、営業利益は1,068,944千円(前年同期比7.3%減)となりました。 営業外収益は前連結会計年度の63,638千円から減少し59,416千円となりました。主な増減は、雑収入が6,353千円減少となります。以上の結果、経常利益は1,126,891千円(前年同期比7.3%減)となりました。 特別損失は政策保有株式の一部に評価損が発生し、投資有価証券評価損を48,608千円計上いたしました。法人税等合計は372,535千円(前年同期比13.7%減)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は704,440千円(前年同期比9.0%減)となりました。 教科書改訂に伴う出版物の改訂編集費用は、改訂初年度50%、2年度30%、3年度20%に按分して製品原価を計算しております。当期の小学校図書教材においては、2022年度品の出版物は改訂3年目にあたるため、教科書改訂に伴う改訂編集費用は20%にて計算しております。 上記の出版物の改訂年度の編集費用の処理により、通常は、改訂初年度50%にて計算された原価の製品を販売した決算期の売上原価が高くなり、2年度目、3年度目、4年度目と売上原価が小さくなる傾向があります。ただし、仮に改訂初年度の決算期における売上が減少し、売上を挽回するために2年度目に製品の部分改訂を実施し、編集費用が増加すると売上原価が上昇する要因となります。この2年度以降の部分改訂の編集費用は繰り延べ処理をせずに製造原価を計算しております。また、改訂初年度の前年の決算期においては、改訂する前の製品が次期(改訂初年度)に使用することができず在庫処分となり、その費用が売上原価の増加につながります。なお、通常、中学校の教科書改訂に伴う出版物の改訂は小学校の1年後に実施されます。 経営上の目標数値については、売上高経常利益率8%を目指しております。前期の売上高経常利益率は9.2%、今期も8.8%であり、目標数値を達成いたしました。今後も引き続き8%以上の維持を目標としてまいります。 セグメントごとの経営成績に関する分析・検討内容は次のとおりであります。 売上高につきましては、出版が8,975,910千円、教具が3,774,558千円となっており、売上高割合は出版が70.4%、教具が29.6%となっております。 報告セグメントに配分していない管理部門の販売管理費等の全社費用を除いたセグメント利益では、出版が1,642,966千円で売上高セグメント利益率は18.3%、教具が388,647千円で10.2%であります。両セグメントの利益率の差の主な要因は、出版は製作ロット数が多くなれば1冊当たりの原価が低くなりますが、教具は1個当たりの原価が低くならないことが挙げられます。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2〔事業の状況〕3〔事業等のリスク〕」に記載しております。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。営業活動による資金収支に影響を与える要因として編集費用があります。教科書改訂に伴う出版物の改訂編集費用が発生した決算期は、改訂編集費用の支払いが多くなり、営業活動による収支が悪化する傾向にあります。 運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。決算日現在、短期借入金は340,000千円、1年内返済予定の長期借入金は40,000千円であります。 当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料や加工賃、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。資金繰りの面では必要な手元資金を確保しておりますが、原油価格の上昇に起因する原材料価格の高騰や円安傾向による販管コストの増加を受け、事業活動に影響が出て、突発的な資金手当てが必要となった場合には、借入金にて十分な対応が可能と判断しております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用した会計方針は、「第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)〔連結財務諸表〕〔注記事項〕」をご参照下さい。 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
松竹株式会社
# 松竹株式会社 1895年12月、大谷竹次郎が京都新京極阪井座の仕打(興行主)となり、演劇興行に当りました。大谷の兄である白井松次郎も同じ興行界で活躍しており、1902年大阪朝日新聞が二人の活躍について「松竹の新年」の見出しで記事を掲載、これにより松竹の名が世間に知られるようになりました。まもなく二人は演劇専門の松竹合資会社を起こし、後に松竹合名会社と改めました。1920年2月には松竹キネマ合名社を創立して映画の製作・配給を発表し、6月には蒲田撮影所を開設、更に同年11月に帝国活動写真株式会社を創立しました。これが当社の設立日となります。 その後の主な変遷は次のとおりであります。 社名を松竹キネマ株式会社に変更。同時に松竹キネマ合名社を吸収、本社を東京・本郷区より京橋区に移転。 大阪松竹座開場。 東京株式取引所、大阪株式取引所に株式上場。 ルナパーク株式会社を吸収合併。 東京松竹楽劇部創設。 京都南座改装開場。 常磐興行株式会社及び邦楽座株式会社の二社を合併。 神戸聚楽館株式会社を吸収合併。 松竹興行株式会社を吸収合併し、社名を松竹株式会社に変更。 浅草国際劇場直営。 新橋演舞場直営開場。 京都太秦撮影所開設。 松竹映画都市株式会社を吸収合併。 西日本松竹興行株式会社設立。 松竹土地興行株式会社設立。 松竹京都映画株式会社設立。 東京・大阪・名古屋各証券取引所に株式上場。 福岡証券取引所に株式上場。 札幌証券取引所に株式上場。 歌舞伎座復興開場。 国際劇場株式会社を吸収合併。 松竹関西サービス株式会社設立。 東京都中央区築地に松竹会館が落成し、本社移転。 松竹衣裳株式会社設立。 松竹関西興行株式会社設立。 松竹第一興行株式会社設立。 松竹事業株式会社(現・株式会社松竹サービスネットワーク)設立。 東日本松竹興行株式会社設立。 京都松竹ビル竣工開場、ひき続き第2・第3ビル建設。 東劇ビル竣工開場。 大船松竹ショッピングセンター新設。 浅草国際劇場閉館。 株式会社松竹パフォーマンス設立。 大阪角座ビル竣工開場。 松竹関東サービス株式会社設立。 株式会社松竹プロモーション設立。 京都南座新装開場。 博多STビル竣工開場。 株式会社衛星劇場(現・松竹ブロードキャスティング株式会社)設立。 株式会社神奈川メディアセンター(現・株式会社松竹映像センター)設立。 鎌倉シネマワールド開場。 株式会社松竹マルチプレックスシアターズ設立。 株式会社伝統文化放送設立。 大阪松竹座新築開場。 鎌倉シネマワールド閉鎖。 本社を中央区築地・東劇ビル(現在地)に移転。 大阪中座閉館。 新木場ネガ・プリント倉庫竣工。 大船撮影所閉所。 松竹第一興行株式会社が松竹土地興行株式会社を吸収合併。 MOVIX京都開場。 京都松竹座閉館。 名古屋松竹座、浪花座閉館。 東日本松竹興行株式会社、松竹関西興行株式会社、西日本松竹興行株式会社解散。 松竹関東サービス株式会社、株式会社松竹プロモーション解散。 築地松竹ビル竣工開場。 松竹第一興行株式会社解散。 札幌シネマフロンティア開場。 MOVIX京都ツインビル開場。 株式会社松竹エンタテインメント設立。 ミッドランドスクエアシネマ開場。 角座1・2閉館。 なんばパークスシネマ開場。 名古屋証券取引所の上場廃止。 新宿松竹会館竣工。 新宿ピカデリー開場。 株式会社松竹京都撮影所(現・株式会社松竹撮影所)設立。 松竹京都映画株式会社解散。 渋谷ピカデリー閉館。 株式会社伝統文化放送解散。 松竹倶楽部ビル竣工。 歌舞伎座休館。 梅田ピカデリー閉館。 映画興行部門を会社分割し、株式会社松竹マルチプレックスシアターズに承継。 大阪ステーションシティシネマ開場。 中映株式会社を吸収合併。 歌舞伎座及び歌舞伎座タワー竣工。 歌舞伎座新開場。 京都松竹第2ビル閉鎖。 松竹ナビ株式会社設立。 株式会社松竹サービスネットワークが松竹関西サービス株式会社を吸収合併。 京都松竹第3ビル閉鎖。 京都南座休館。 築地ビルキャピタル有限会社を吸収合併し匿名組合築地ビルキャピタルが消滅。 京都南座新開場。 京都松竹阪井座ビル(旧・京都松竹第3ビル)竣工。 浅草六区松竹ビル竣工。 BS松竹東急株式会社設立。 KSビルキャピタル特定目的会社の清算が結了し、残余財産を承継。 新木場倉庫を譲渡。 東京証券所の市場区分見直しに伴い、市場第一部からプライム市場へ移行。 当企業グループ(当社及び当社の関係会社、以下は同じ)は、当社、連結子会社16社及び持分法適用関連会社9社により構成されており、映像関連事業、演劇事業、不動産事業、その他を主たる事業としております。 当企業グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。なお、以下の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1) 映像関連事業……主要な業務は劇場用映画の製作・売買・配給・興行、映画劇場・売店の運営、映像版権許諾、テレビ映画の制作・販売、CMの企画・製作、BS・CS・CATVのソフト製作・編集、衛星基幹放送、一般放送、ビデオソフトの製作・買付・販売、宣伝の企画・制作・代理、音楽著作権の利用開発・許諾等であります。 当社が製作・売買・配給する他、子会社㈱松竹撮影所が製作し、子会社㈱松竹マルチプレックスシアターズが興行を行っております。なお、当社が行う配給による収入が映画配給収入となり、子会社㈱松竹マルチプレックスシアターズが行う興行による収入が劇場運営収入となります。 子会社㈱松竹マルチプレックスシアターズが行っております。なお、劇場売店の運営による収入が劇場運営収入となります。 当社及び子会社松竹ブロードキャスティング㈱が保有する映像コンテンツの版権許諾を行っております。なお、映像版権許諾による収入が映像版権許諾収入となります。 当社が制作・販売する他、子会社㈱松竹撮影所が制作を行っております。 子会社㈱松竹撮影所が行っております。 当社が製作する他、子会社松竹ブロードキャスティング㈱が製作・編集を行い、子会社㈱松竹映像センターが映像ソフトの企画・製作を行っております。 子会社松竹ブロードキャスティング㈱、関連会社BS松竹東急㈱及び関連会社インターローカルメディア㈱が行っております。なお、子会社松竹ブロードキャスティング㈱が行う有料放送による収入が、有料放送収入になります。 子会社松竹ブロードキャスティング㈱が行っております。なお、子会社松竹ブロードキャスティング㈱が行う有料放送による収入が、有料放送収入になります。 当社が行っております。 子会社松竹ナビ㈱が行っております。 子会社松竹音楽出版㈱が行っております。 (2) 演劇事業……主要な業務は演劇の企画・製作・興行、俳優・タレントの斡旋、舞台衣裳の製作・売買・賃貸、演劇舞台の大道具・小道具・音響の製作・販売、劇場内イヤホンガイドサービス等であります。 当社の他、子会社松竹芸能㈱、㈱松竹エンタテインメントが行っております。なお、当社が行う演劇の企画・製作・興行による収入が、劇場運営収入になります。 子会社松竹衣裳㈱、日本演劇衣裳㈱が行っております。 子会社歌舞伎座舞台㈱、㈱関西美術、松竹ショウビズスタジオ㈱が行っております。 当社が演劇に関する映像コンテンツの配給を行っております。なお、配給による収入が映画配給収入となります。 当社が演劇に関する映像コンテンツの版権許諾を行っております。なお、映像版権許諾による収入が映像版権許諾収入となります。 関連会社㈱イヤホンガイドが行っております。 (3) 不動産事業……主要な業務は所有不動産の賃貸、不動産の管理・清掃等であります。 当社の他、子会社松竹衣裳㈱、㈱松竹サービスネットワーク、関連会社㈱歌舞伎座、㈱サンシャイン劇場、新橋演舞場㈱が行っております。 (4) その他……主要な業務は、プログラムの製作・販売、キャラクター商品の企画・販売、配信コンテンツの企画・制作、新規事業開発、飲食サービス等であります。 当社が行っております。 子会社ミエクル㈱が行っております。 松竹労働組合は映画演劇労働組合連合会(映演労連)に加盟し、また、連結子会社16社の中には合計で2の個別組合が存在しており、組合の自主性確立に努めると共に常に会社と一致協力して事業の発展、業績の向上に努力しております。 当企業グループでは以下の通り「ミッション」を定めております。 ・日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する。 ・時代のニーズをとらえ、あらゆる世代に豊かで多様なコンテンツをお届けする。 今後もこの「ミッション」に則り、お客様の要望に応える魅力あるコンテンツやサービスを提供し、また社外とのパートナーシップを促進して、株主の皆様に信頼され続ける企業グループたることを経営の基本方針として事業活動を進めて参ります。 当企業グループの中核事業である劇場用映画及び演劇は予想と実績の乖離が大きく、このため特定の経営指標をもって経営目標とすることはせず、安定した収益基盤を着実に強化していくことが第一と認識しております。 今後の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症という。)の感染症法上の位置付けの変更に伴い、個人消費の回復やインバウンド需要の伸長により景気の回復が期待されますが、ウクライナ危機の長期化や物価の上昇など、当企業グループを取り巻く経営環境について、引き続き状況を注視する必要があります。 このような状況の中、当企業グループは、事態の推移を考量する中で事業を展開し、あらゆる世代のお客様に喜んでいただき、心の支えとなる映像・演劇のコンテンツを、提供して参ります。 中核部門である映像関連事業及び演劇事業においては、伝統を活かしつつ、変化するお客様の嗜好を取り込みながらも、質の高いコンテンツを継続的に製作します。これを多様な形で水平展開して、より多くのお客様に提供していくとともに、不動産事業他では、資産のより効率的な運用を行い、安定的で活力のある、収益性の高い企業グループを目指して参ります。 映像関連事業の映画製作・配給では、引き続き、感染症の感染拡大を予防するためのガイドラインに基づき、スタッフ・キャストの安全のため感染対策を徹底して参ります。独自の製作力を高め自社企画・幹事作品を増やすとともに、外部幹事の作品にも積極的に参加し、宣伝・営業他社に尽力して参ります。多様な製作・出資形態による作品調達を行いながら、お客様に喜ばれる質の高い自社映画の企画・製作に一層傾注し、利益率を高めて参ります。当企業グループの充実したライブラリーの更なる活用も重要なテーマであり、ブルーレイ、DVD等既存のパッケージは勿論、配信や海外利用等のライセンスビジネスにも活用し、収益機会を拡げて参ります。映画興行では、㈱松竹マルチプレックスシアターズにおいて、より一層の収益力強化に向けて経費削減と効率的運営に努めます。また、他社との差別化につながる設備の導入を進め、お客様に選ばれるシネコンを目指して今後もサービスの拡充に努めて参ります。 演劇事業では、引き続き感染防止策を徹底しつつ、上演形態や日程等も工夫しながら興行して参ります。歌舞伎につきましては、質の高い古典の上演、新しい作品の創作を続け、一線級の俳優の至芸を見せるとともに、次代を担う俳優の活躍の場を一層広げて参ります。歌舞伎以外の一般演劇につきましては、ストリートプレイ、海外・オリジナルミュージカル等、様々なジャンルの作品に取り組んで参ります。シネマ歌舞伎では、ライブラリー作品の二次利用も積極的に展開して参ります。 不動産事業では、綿密なテナントコミュニケーションによって既存テナントとの良好な関係を構築するとともに、より好条件の新規テナント誘致にも注力することで、賃貸収益の確保に努めて参ります。また、長期的な収益向上策として、当社拠点である東銀座のブランド価値を高め、将来の開発計画も見据えた街づくりの一環としてエリアマネジメントも推進し、地域の活性化や環境整備等に貢献する活動にも積極的に取り組んで参ります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。 感染症の拡大により、映画館において営業時間短縮又は臨時休業等の措置が取られた場合、また当社の直営劇場をはじめとする演劇公演について中止又は延期となった場合には当企業グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当企業グループでは、医療分野の専門家の意見も独自に取り入れながら、各感染症特性及び劇場特性に応じた個別安全施策も加えて感染症対策を徹底して参ります。 映像関連事業における劇場用映画作品の興行成績は、作品による差異が大きく、不安定であり、また、各作品の興行成績を予想することは常に困難であります。当企業グループでは各種データに基づき作品の選定及び編成を行っておりますが、仮に一定の成績に達しない作品が長期にわたり継続した場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当企業グループの保有する知的財産権について、海賊版や模倣品による権利侵害が現実に発生しており、そのケースごとに適切な対応をとるように努めておりますが、海外やインターネットにおいては、法規制その他の問題から知的財産権の保護を充分に受けられない可能性があります。仮に、当企業グループが長期にわたり大規模な侵害行為を受けてそれを回避不可能な場合には、その侵害行為が当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当企業グループは演劇事業として歌舞伎及び一般演劇を上演しておりますが、出演俳優の健康上の理由及び不慮の事故等により出演が不可能になる恐れがあります。そのような事態に対しては、常に代役の出演が可能な状況を維持する等の対策を講じてはおりますが、場合によっては当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、常にお客様に満足していただけるような魅力ある公演を提供するよう努力しておりますが、公演及び出演俳優の話題性・認知度やお客様の嗜好の変化等により、入場者数が大きく左右される可能性があります。それに伴い当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 映像関連事業、演劇事業、不動産事業、その他における映画館(シネコンを含む)・演劇劇場、飲食店舗及び事業用テナントビル等、当企業グループは、多数の顧客を収容可能な営業施設等において、自然災害や衛生上の問題等顧客の安全・健康にかかわる予期せぬ事態が発生する可能性があります。万一、そのような事態が発生した場合、当企業グループでは「危機管理計画書」「危機管理ガイドブック」等を作成し被害を最小限に留めるよう安全対策を講じておりますが、その規模等によっては、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当企業グループが保有する固定資産において、地価の動向及び対象となる固定資産の収益状況によっては減損処理に伴う損失が発生する可能性があります。当企業グループでは、早期に減損の兆候を把握し適切な対応をしておりますが、減損損失が発生した場合には経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、固定資産の減損損失の計上にあたっての重要な会計上の見積りの前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当企業グループは、市場性のある有価証券を保有しております。保有有価証券は四半期ごとに時価評価をはじめ各種検証を行い、特に政策保有株式については、個別銘柄ごとに直近の財務状況、取引関係、配当等を総合的に検証し、定期的に取締役会に報告することによって保有の適否を判断しておりますが、将来大幅な株価下落が続く場合等には保有有価証券に減損又は評価損が発生し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 各連結会計年度及び第2四半期連結会計期間の末日における連結貸借対照表上の株主資本の部の金額を400億円以上に維持すること。 各連結会計年度及び第2四半期連結会計期間の末日における連結貸借対照表上の株主資本の部の金額を400億円以上に維持すること。 当企業グループは全国に賃貸不動産を保有しておりますが、不動産市況によっては賃貸物件の空室率が高くなることや主要テナントの撤退等により期待通りの収益を得られない可能性があります。各テナントと綿密なコミュニケーションを取りながら賃料交渉にも誠実に対応し、また撤退の際には後継テナントを誘致する等で対処をしておりますが、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当企業グループは税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、解消見込年度のスケジューリング及び将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しております。解消見込年度のスケジューリング及び将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っておりますが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当企業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、繰延税金資産の計上にあたっての重要な会計上の見積りの前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症という。)の影響が長期化する中、感染対策と経済活動の両立が進み、景気に持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の高騰や物価の上昇により、依然として先行きの不透明な状況が続きました。 映画業界は、2022年の興行収入が 2,131億1,100万円(前年比131.6%)となり、コロナ禍で落ち込んでいた観客動員数が、コロナ禍前の水準にあと一歩のところまで回復してきております。邦画・洋画の 構成比は、邦画が68.8%、洋画が31.2%となり、洋画のシェアは前年の20.7%からは10.5%増となりましたが、邦画のシェアが高い状況が続いています。入場人員は1億5,200万人(前年比132.4%)と興行収入同様に前年を大きく上回りました。また、全国のスクリーン数は前年より14スクリーン減り、3,634スクリーンとなりました。 演劇業界は、引き続き感染防止策のガイドラインを遵守し、段階的に収容率を上げつつ、日程や上演時間等を工夫しながら興行を執り行って参りました。その中で、松竹直営劇場の演劇公演では、お客様の安全、安心を第一と考え、上演形態に合わせ、できる限りの感染防止策を実施する中でお客様をお迎えいたしました。 不動産業界では、業績を改善させる企業が多く、不動産売買が活発化しました。また、経済活動再開の動きも本格化し、低迷していたホテルや商業施設の需要も回復しつつあります。一方、オフィス賃貸市場は停滞傾向が続き、資材高騰による建設コストの増加が事業採算性を悪化させるなど、業界の先行きに不透明感が増してきており、中長期での継続的な注視が必要です。 このような状況下、当企業グループは、より一層の効率化を図るとともに、本格的な事業再開に向けた環境整備に努めて参りました。 以上の結果、当連結会計年度は、売上高78,212百万円(前連結会計年度比8.9%増)、営業損失776百万円(前年同期は営業損失4,005百万円)、経常利益1,359百万円(前年同期は経常損失2,801百万円)となり、特別利益7,333百万円及び特別損失1,421百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は5,484百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,762百万円)となりました。 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。 当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりであります。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりであります。 当企業グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため単価を特定できるものではなく、また受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産、受注及び販売の実績については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。 経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 セグメントの業績は次のとおりであります。 配給は邦画14作品、洋画3作品、アニメ11作品、シネマ歌舞伎、METライブビューイング、松竹ブロードウェイシネマ等の作品を公開し、「月の満ち欠け」「HiGH&LOW THE WORST X」「かがみの孤城」「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEスターリッシュツアーズ」「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」「映画『ゆるキャン△』」「『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編」の7作品が興行収入10億円を超えるヒットとなりました。11月公開の「ある男」は第46回日本アカデミー賞で作品賞を含む最多8部門にて最優秀賞を受賞する等、高い評価を受けました。 興行は㈱松竹マルチプレックスシアターズでは、前連結会計年度に引き続き、感染拡大予防ガイドラインに従い、空調設備を適切に稼働させ、お客様の体表面温度の非接触測定やアルコール消毒液の設置等、万全な感染防止策を行っております。興行では、邦画で興行収入100億円を超えた作品が、「ONE PIECE FILM RED」「劇場版 呪術廻戦0」「すずめの戸締まり」「THE FIRST SLAM DUNK」の4本で、いずれもアニメ作品となりました。洋画では「トップガン マーヴェリック」が大ヒットし、年間興行収入の回復に貢献しました。 テレビ制作は、地上波にて、時代劇「必殺仕事人」、2時間ドラマ「再雇用警察官4」、連続ドラマ「全力!クリーナーズ」、BS放送にて、「続 遙かなる山の呼び声」、BS時代劇「まんぞくまんぞく」、「池波正太郎原作 武士とその妻」、時代劇スペシャル「無用庵隠居修行6」、連続ドラマ「シネコンへ行こう!」、CS放送にて、「池波正太郎から学ぶ『生きる作法』」等を制作いたしました。番組販売では、BS松竹東急㈱に大人気時代劇シリーズ「必殺仕事人」(全84話)他4作品を販売して好調に推移しました。 映像版権は、DVD・ブルーレイディスク販売にて「CUBE 一度入ったら、最後」、「テーラー 人生の仕立て屋」「あまんちゅ!シリーズBlu-ray BOX(数量限定生産)」「銀河英雄伝説 Die Neue These」「ウェディング・ハイ」「モエカレはオレンジ色」などの新作やアニメーションを販売し、好調に推移しました。 配信は、定額制動画配信では、dTVにて「ハニーレモンソーダ」、Amazon Prime Videoにて「大怪獣のあとしまつ」「東西ジャニーズJr. ぼくらのサバイバルウォーズ」、Netflixにて「モエカレはオレンジ色」の独占配信をスタートさせ、大きな話題となりました。都度課金型動画配信では、「峠 最後のサムライ」「MUNTO」「REVENGER」等の話題作を配信しました。 権利販売は、国内では、BSテレビ東京にて「男はつらいよ」シリーズ4Kデジタル修復版を8月まで、「釣りバカ日誌」シリーズを9月から放送するなど旧作を中心に好調に推移しました。海外では、フランスのパリ日本文化会館にて「男はつらいよ」50作品が1年間かけて上映され、海外では初めての全作一挙公開となりました。 CS放送は、松竹ブロードキャスティング㈱は、競合となるインターネット動画配信サービスにより、多チャンネル市場は厳しい状況が続いておりますが、視聴料収入の減少を広告収入で補い、またコスト削減を行うことで、利益の確保に努めました。 BS放送は、BS松竹東急㈱は、BS260chにて日本全国無料放送を行う放送局として、2023年3月に開局1周年を迎えます。映画・演劇・ドラマをはじめ、多彩な番組を視聴者の皆様にお届けしました。 この結果、売上高は41,284百万円(前年同期比1.6%増)、セグメント損失は1,371百万円(前年同期はセグメント損失1,890百万円)となりました。 なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の方法に比べ、当連結会計年度の売上高が3,736百万円減少し、セグメント損失は125百万円縮小いたしました。 新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、感染予防を徹底し、お客様の安全、安心に配慮した興行を行ってまいりました。しかしながら、7月から8月にかけてオミクロン株の流行に伴う感染者数の増加に伴い、一部の公演が中止となりました。 歌舞伎座は、感染防止策のガイドラインを遵守して興行を執り行い、収益の改善に努めましたが、舞台関係者の感染症罹患に伴い、「七月大歌舞伎」「八月納涼歌舞伎」の一部公演を中止しました。11月と12月には「十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」の公演が行われ、両月とも大盛況となり収益に大きく貢献しました。また、8月以降段階的に収容率を上げ、上演中を除き黙食による客席・ロビーでの飲食を再開しました。 新橋演舞場は、3月の「毒薬と老嬢」、4月と5月の「滝沢歌舞伎ZERO 2022」、8月の「流星の音色」、9月と10月の「少年たち あの空を見上げて」、11月と12月の「薔薇とサムライ2 -海賊女王の帰還-」、1月の「SANEMORI」、2月の「喜劇 老後の資金がありません」等が大成功を収めました。また、6月の「熱海五郎一座」、一部中止公演のあった7月の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」も収益に貢献しました。加えて、新橋演舞場初登場となった8月と9月の「超歌舞伎2022 Powered by NTT」は新規顧客層の獲得に繋がりました。 大阪松竹座は、3月の「正門良規 Solo Live SHOW with 関西ジャニーズJr.」、4月の「毒薬と老嬢」、5月の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」、7月の「七月大歌舞伎」、8月の「関西ジャニーズJr. Space Journey!~僕たちの軌跡~」、10月の「日本怪談歌舞伎(Jホラー歌舞伎)」、「サラリーマンナイトフィーバー」、1月の「坂東玉三郎×鼓童 初春特別公演『幽玄』」等の公演を実施し、一年を通して多彩な演目を上演しました。 南座は、3月の「三月花形歌舞伎」や「陰陽師 生成り姫」、7月と8月の「坂東玉三郎 特別舞踊公演」「坂東玉三郎 特別公演」、8月の「流星の音色」、9月の「超歌舞伎2022 Powered by NTT」、10月の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」、文化庁芸術祭大賞を受賞した10月と11月の「女の一生」等はいずれも好評を博しました。12月の「吉例顔見世興行」は3部制にて開催し、客席制限も大幅緩和となり収益の改善に繋がりました。 その他の公演は、演劇公演では、9月の日生劇場「夏の夜の夢」等が収益に貢献しました。歌舞伎公演では、10月と11月に浅草寺境内での平成中村座公演を、1月には新春浅草歌舞伎を3年振りに上演し、好評を博しました。全国歌舞伎巡業公演は3年振りに再開しました。 受託製作の歌舞伎公演は、公演期間や規模を縮小して実施いたしました。御園座では4月の「陽春花形歌舞伎」、10月の「坂東玉三郎 特別公演」、博多座では6月の「六月博多座大歌舞伎」、2月の「二月花形歌舞伎」の公演を行い、それぞれに彩りがあり好評を博しました。 シネマ歌舞伎は、片岡仁左衛門・坂東玉三郎の共演が大きな話題となった公演「桜姫東文章 上の巻・下の巻」をシネマ歌舞伎として4月に連続公開し好評を得ました。「月イチ歌舞伎」シリーズも継続し、古典の名舞台から「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ 前編・後編」などの新作歌舞伎まで幅広いラインナップを上映しました。 METライブビューイングは、2021-22シーズンの7演目や恒例のアンコール上映のほか、2022-23新シーズンでは若手スターを起用した演目を含む3演目を上映しました。新生METの意欲的な舞台が好評を博し、新しい顧客の開拓につながりました。 配信は、歌舞伎の公演では、歌舞伎座の7月興行「風の谷のナウシカ」の千穐楽を同時生配信する予定でしたが、公演の中止に伴い、急遽収録していた素材での配信に切り替えて実施しました。また、團十郎襲名興行においては、11月初日の「口上」、千穐楽の「外郎売」、12月千穐楽の「助六由縁江戸桜」の三つの演目を同時生配信しました。「歌舞伎オンデマンド」では、毎月の歌舞伎座の公演を千穐楽の数日後に配信するサービスを継続したほか、海外配信を9つの国と地域でスタートしました。歌舞伎俳優によるオンライントークショー「歌舞伎家話」「紀尾井町家話」は高稼働し、「紀尾井町家話」は2月に第100夜を迎え、初めてお客様を入れたイベントを行い、同時生配信しました。歌舞伎以外でも、同時生配信ではありませんが、「毒薬と老嬢」「アンタッチャブルビューティー」「サラリーマンナイトフィーバー」などの演劇作品を、収録した上で後日配信する試みを行いました。 この結果、売上高は22,668百万円(前年同期比44.1%増)、セグメント損失は1,059百万円(前年同期はセグメント損失4,068百万円)となりました。 不動産賃貸事業では、既存テナントとの良好な関係構築や空室の戦略的リーシング活動に努めることで、歌舞伎座タワーや銀座松竹スクエアなどの主要物件が高稼働し、計画通りの収益確保に貢献しました。また、中長期の事業戦略として、資産効率向上を目的に保有物件の見直しを行い、新木場倉庫の譲渡を行いました。 将来の街づくりの一環となる東銀座のエリアマネジメント活動においては、当社が発起人となって4月に一般社団法人とまちづくり推進協議会を設立しました。組織を構成する東銀座周辺の企業・団体や町内会・小中学校など地域との連携強化を図り、賑わいを創出して街の価値を高めるべく各種イベントなどを開催しました。また、SDGsの取り組みとして、月1回の定期清掃活動など地域貢献にも注力しました。 この結果、売上高は12,026百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は5,107百万円(同1.4%増)となりました。 ウィズコロナの社会状況を見据え、各事業におけるオンラインによる販売、配信の強化をはかりつつ、人気シリーズ作品やコア層向けの商品開発・販売を主軸に展開しました。 プログラム・キャラクター商品は、実写作品では、「モエカレはオレンジ色」「月の満ち欠け」「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」等、アニメ作品では「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」「映画『ゆるキャン△』」等の作品を中心に収益に貢献しました。 イベント事業/オンライン配信は、4月に幕張メッセにて開催した超歌舞伎の新作「永遠花誉功」では、有観客での上演に加えて同時生配信も実施するハイブリッド公演を行いました。8月から9月にかけて全国4都市開催となった「超歌舞伎2022 Powered by NTT」公演では、安心安全に配慮した有観客上演を行い、最終上演地の京都南座では国内同時生配信を行ったほか、海外に向けた英語字幕付きアーカイブ配信を実施しました。また、ファミリー層に向けた体験型展示アトラクション「恐竜島の大冒険」を7月から8月にかけて実施しました。2次元アイドルキャラクターと「文通」ができる世界初の総合アイドルプロジェクト「フロムアイドル」は、ミュージックビデオ等の配信を開始して好評を博し、当社発のアイドルキャラクターとして配信イベントを実施しております。 この結果、売上高は2,233百万円(前年同期比35.6%減)、セグメント損失は529百万円(前年同期はセグメント損失197百万円)となりました。 なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の方法に比べ、当連結会計年度の売上高が386百万円減少いたしました。 売上高は78,212百万円(前年同期比8.9%増)となりました。前連結会計年度は緊急事態宣言等に伴う公演の中止や映画館の休業等一部影響を受けましたが、当連結会計年度は下期以降、感染症の影響も縮小し、売上高は増加しています。 売上原価は46,295百万円(前年同期比0.2%減)となりました。これは主に配分金、仕込費等が減少したためであります。 販売費及び一般管理費は32,693百万円(前年同期比11.1%増)となりました。これは主に広告宣伝費、人件費、手数料等が増加したためであります。 売上高は増加したものの、上期においてオミクロン株の流行に伴う感染者数の増加に伴い、一部の公演が中止となった影響もあり、営業損失は776百万円(前年同期は営業損失4,005百万円)となりました。 営業外収益は3,934百万円(前年同期比31.7%増)となりました。これは主に補助金の増加によるものです。また、主に持分法による投資損失が増加したことにより営業外費用は1,798百万円(同0.9%増)となりました。その結果、営業外損益計上後の経常利益は1,359百万円(前年同期は経常損失2,801百万円)となりました。 特別利益は固定資産売却益6,996百万円、持分変動利益321百万円等合計7,333百万円を計上しました。また、特別損失については、減損損失852百万円、棚卸資産処分損288百万円、公演中止損失205百万円等合計1,421百万円を計上しました。 親会社株主に帰属する当期純利益は5,484百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,762百万円)となり、1株当たり当期純利益は399円30銭となりました。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ9,978百万円減少し、178,803百万円となりました。これは主に投資有価証券が増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産、有形固定資産が減少したこと等によるものであります。 負債は、前連結会計年度末に比べ15,626百万円減少し、92,320百万円となりました。これは主に借入金が減少したこと等によるものであります。 純資産は、前連結会計年度末に比べ5,648百万円増加し、86,482百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加したこと等によるものであります。 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額2,784百万円と合わせて、前連結会計年度末に比べ517百万円の減少し、16,013百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果得られた資金は6,061百万円(前年同期に得られた資金は4,806百万円)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益7,271百万円の計上等によるものであります。 投資活動の結果得られた資金は9,706百万円(前年同期に使用した資金は1,668百万円)となりました。これは主として、有形固定資産の売却による収入10,296百万円等によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は13,507百万円(前年同期に使用した資金は4,977百万円)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出14,435百万円等によるものであります。 当企業グループの主な資金需要は運転資金及び設備投資資金であり、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金によって充当しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16,013百万円となっております。 連結財務諸表の作成に当たって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当社の連結子会社である松竹ブロードキャスティング㈱は、持分法適用関連会社であるBS松竹東急㈱の第三者割当増資の引受けを2023年3月24日の取締役会にて決議し、2023年3月30日付で払込期日を2023年3月31日とする優先株式総数引受契約を締結しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。 特にありません。
インヴァスト株式会社
# インヴァスト株式会社 また、当社の完全子会社となったインヴァスト証券株式会社の沿革は以下のとおりであります。 当社は、持株会社として傘下グループ会社の経営管理及びこれに附帯する業務を行っております。 当社グループは、当社及び連結子会社6社により構成されており、外国為替証拠金取引事業を主たる業務としております。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 次の2部門は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1) 国内金融事業……当社及び国内連結子会社です。当社は純粋持株会社であり、子会社のインヴァスト証券株式会社は、取引所FX、店頭FX/CFD事業を行っております。また、当社は株式会社アルカドを当連結会計年度に設立しておりますが、事業を開始しておりません。なお、インヴァストキャピタルマネジメント株式会社は、貸金業(不動産業者向けファイナンス、中小企業向け事業資金ファイナンス等)を行っておりましたが、2023年4月に事業を廃止しております。 (2) 海外金融事業……Invast Financial Services Pty Ltd.が店頭FX/CFD及び証券取引を行っております。Invast Financial Services (EU) Ltd.及びInvast Global (CY) Ltd.は事業を開始しておりません。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 役員の兼任あり。 役員の兼任あり。 当社は純粋持株会社であるため、記載を省略しております。 該当事項はありません。 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、投資家の皆様に「誠実」な金融サービスをご提供し、常にお客様の立場で物事を考え、お客様に「驚きと感動」を感じて頂けるようなサービスをご提供する事を目指しております。 さらには、お客様が楽しく、安心してお取引頂く事により、私達が生活する社会の発展に寄与すると共に、当社でお取引頂くお客様、お取引先の方々、また当社役職員とその家族、当社に関係する皆様の幸せを実現したいと考えております。このような経営方針を当社グループの事業展開において徹底する事を目的に、当社グループ全役職員が共有する基本的な価値観や文化、存在意義や目指す姿を、Mission、Vision(ミッション、ビジョン)として定めております。 私達のミッションは、私達が暮らすこの世界を、「もっと良い場所」にする事です。私達の考える「もっと良い場所」とは、本当に必要としている人が、必要としているサポートを受けられる世の中です。一生懸命、真面目に働いている人は、ちゃんと豊かになれる世の中です。優秀で、意欲のある学生が、お金を理由に未来の選択肢を諦めなくても良い世の中です。どんな人でも、幸せになる為の資産形成が出来る世の中です。それも、寄付や善意に頼る従来のスキームではなく、経済活動の結果として、必要な人に必要なお金が届く世の中です。 私達のミッションは、世界中の人々が、それぞれに思い描く人生設計において、金融面の課題を解決するソリューションを生み出す事、挑戦する人をサポートし、より多くの人が、人生を豊かにする為のチャンスをつかむお手伝いをする事です。 金融という側面から、世界中の人々の幸せを通じて、より良い世界の構築に、貢献して行きたいと考えています。 私達は、世界中の人々の金融面における課題を解決するソリューションを提供し、人々の幸せを通じて「世界をもっと、良い場所にする」事を目的に働いています。ですから私達は、資産運用からスタートし、育児や教育、就職や結婚、資産形成など、世界中の人々の人生における様々な分野で、金融面の課題を解決するソリューションの創造を目指します。そして、より多くの人々の課題を解決する事を目的としている私達は、私達が提供する金融ソリューションの利用者数を増やしていく事、そして、売上に代表される事業規模を拡大していく事を重視します。 その為に、私達は金融という側面から、進化するテクノロジーに挑戦し、これまでの常識や慣例を疑い、顧客利便性や顧客価値を高める革新をリードし続けることを目指します。 私達は、全世界から集まった優秀な人材が、日々、本物のプロフェッショナルとしての責任を果たし、ビジョン達成の為に議論し、決断を下し、実行に移す、世界中に顧客を持つグローバル企業になります。 その第一歩として、2025年までに全世界で1,000万人の利用者を持つ金融ソリューションを生み出します。 当社グループの経営戦略は、「誠実」かつ「透明性」の高い、「自分が使いたくなるサービス」、「家族に勧めたくなるサービス」の開発、提供という考えに基づき、FX事業を中心とした高付加価値サービスの提供による差別化戦略を基礎としております。また、長期的な成長の源泉となり得る新しい金融サービスの開発に努め、当社グループの収益基盤の柱として育成していきたいと考えております。 また、変化する顧客ニーズに対応し、様々な人々のお金に関する課題解決を軸とした複数の金融ソリューションを新規事業として立ち上げてまいります。 当社グループは、収益の源泉であり、「お客様からの信頼の証」である顧客口座数、預り証拠金に加え、グループ全体の事業活動の成果を示す連結経常利益を重要視しております。 また、企業価値の向上を目指し、株主資本を有効活用することが重要であるという認識のもと、株主資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけております。 当社グループの主力サービスである外国為替証拠金取引は、外国為替市場や株式市場等の市況、その他国内外の経済環境等に大きく左右される傾向にあることから、相場に左右されない収益源の多様化、拡大が重要な課題であると認識しており、以下の課題に取り組んでまいります。 国内金融事業においては、テクノロジーを活用した独自の自動売買ソリューションや、顧客の運用成績向上に資する高付加価値サービスの開発等、当社グループの強みを最大限に発揮し、さらなる事業基盤の拡大を目指してまいります。 具体的には、子会社インヴァスト証券において、主力サービスである「トライオート」事業の収益力強化や顧客の利便性向上のための取組みを通じて、安定的な収益を確保すると同時に、昨年リリースの新サービス「マイメイト」において、アセットクラスの追加や機能改善等により、サービスの早期主力化を目指します。 海外金融事業においては、近年の資本規制強化により、多くの大手投資銀行が撤退しているプライムブローカレッジ市場を主ターゲットに置き、商品開発、セールスを強化し、トップクラスのグローバルマーケットプレイヤーを目指します。 現在、子会社Invast Financial Services Pty ltd.を中心に、オーストラリアや欧州を中心にサービスを展開しておりますが、今年4月には英国に新会社を設立する等、新たな地域への進出等により海外事業展開を加速させてまいります。 当社グループの事業にとって、システムの安定稼働は重要な課題のひとつであり、増加する取引量への対応、顧客利便性の向上等に対応した継続的なシステムの改良・増強を図るほか、災害等の有事に備えた体制の整備に取り組んでまいります。 当社グループは、持続的な成長の基盤となる優秀な人材の確保と人材育成が重要な課題であると考えております。今後のさらなるグローバル展開を見据え、海外を含めた広い視野での採用活動を通じて、多様な人材の確保を進めてまいります。 当社グループのビジョン達成のための事業戦略の一環として、グローバルなサービス展開は必要不可欠です。国内市場のみならず、グローバルマーケットを含めた販路拡大を進める中で、直面するリスクに適時適切に対処するため、グループで首尾一貫したガバナンス態勢の強化に取り組んでまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの現在の主力事業であるデリバティブ取引は、価格形成とリスクヘッジ機能を通じて、企業や投資家にとってリスク管理の手段を提供しているものの、それ自体が与える環境への直接的な影響は限定的であると考えております。 そのうえで、当社グループは、「世界をもっと、良い場所にする。」をミッションに掲げ、FX/CFD以外の領域において、人々のお金に関する課題解決に価値のあるサービスを提供することを目指しており、気候変動を含む環境、その他の社会課題を経営のテーマと位置付けております。したがって、自社の取引や事業投資においても、環境、社会、ガバナンスの要素を考慮することが必要であるため、重要な事項の意思決定にあたっては、経営会議において協議と検討が行われております。 取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスクと機会の監督に対する責任と権限を有しており、経営会議での協議内容をモニタリングすることで、当社グループのサステナビリティに関するリスクと機会への対応方針などを審議・監督しております。 当社グループは、優秀な人材の確保と人材育成が持続的な成長の基盤であると考え、それらの人材がそれぞれの条件下で、自らが意思により能力を発揮できる環境を整備することが重要であると位置づけております。 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。 当社グループは、持続的な成長の基盤となる優秀な人材の確保と人材育成が重要であるとの認識のもと、獲得した人材が必要なスキルを身につけて能力を最大化できるよう、各ポジションや役職毎に求められる能力・専門知識の習得を目的とした研修への参加促進や資格取得の支援を行っております。 また、当社グループのミッションを達成するための具体的な行動指針をバリューとして明文化すること等により、挑戦する姿勢そのものを称える企業文化の醸成を目指しております。さらに、会社のミッションと社員目標とのつながりを明確化し、達成への貢献度に応じて、キャリアプランや報酬等の処遇に反映できるよう人事制度を構築しております。 当社グループにおいて海外金融事業の従業員が占める割合は43.8%を占めており、海外金融事業のほとんど全てが非日本国籍となっております。 当社グループは、多様性を尊重する企業文化のもと、一人ひとりの個性や能力が最大限に発揮できる制度や職場環境を整備し、ワークライフ・バランスの推進と自律的なキャリア形成支援により、従業員が意欲をもって活躍する活力のある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するため、即戦力となる中途採用を積極的に行っております。具体的には以下の環境を整備しております。 イノベーションの創出やグローバル展開の加速に向けて、女性活躍を促すことに加え、多様な知識・経験を持ったキャリア採用を行い、その際、登用すべきポジションや役職のレベルについても、その能力が最も発揮されるよう検討を行っております。 当社グループでは、性別や年齢、国籍に関わらず、多様化する価値観等の違いを尊重し、個々の能力を最大限に発揮できるようダイバーシティ経営を推進しており、グローバルな事業展開を加速させるため、国内金融部門、海外金融部門間のインターンの受け入れやグループ間異動など、人材交流を行っております。 また、従業員のエンゲージメント、ウェルビーイング、従業員の定着率を向上させるため、ワークライフ・バランスを整えながら、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる職場環境、時間や場所にとらわれない働き方ができる環境の整備に努めてまいります。 具体的には、国内金融事業部門において、以下を整備しております。 当社グループは、子育てや介護等々の個別事情を配慮し、時短勤務やフレックス制度に加えて、リモートワーク制度を導入しております。また、人材育成、新たな知識・情報、人脈の獲得等によるイノベーション創出等を目的とし、副業を解禁しています。 社員の健康状態を把握し、継続的に改善する取組みを個人と組織のパフォーマンスの向上を目的とした重要な投資と捉え、年に1回の健康診断を実施しております。なお、満35歳以上の社員については、全額会社負担にて、人間ドックの受診を可能としています。 当社グループは、社員一人ひとりが働きやすいと感じる職場環境づくりと、地球環境を意識した取組みの一環として、通年ノーネクタイによるオフィスカジュアル、ビジネスカジュアルを推奨しています。 社員の能力を最大限に発揮し、イノベーションを起こすためには、社員の意欲を高めるオフィス環境が重要であるとの認識のもと、社員のコミュニケーションを促進するため、座席のフリーアドレス化や社内グループウェア・SNSでの情報発信、共有等を行っています。 当社グループは、組織の目的達成に影響を及ぼす、あるいはそれを阻害する、ないしは戦略の遂行を妨げる要因として、市場リスク、信用リスク、流動性リスクのほか、気候変動に起因する移行リスク及び物理的リスクを含めて総合的に評価を行うこととしております。 当社は、事業子会社の代表取締役を通じて、事業の特性にあったリスク管理体制の構築を推進するとともに、非財務情報を含めたレポーティング、モニタリングによって事業会社を含めたリスク管理を行っております。 今後も定期的にシナリオ分析を実施し、統合的リスク管理の枠組みにおいて、当該リスクを管理する体制の構築に努めてまいります。また、人材の確保に関するリスクの内容については「3 事業等のリスク12.人材の確保について」をご参照ください。 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づき、連結グループに属する各事業会社においても、具体的な取組みが行われ、関連する指標のデータが管理されているものの、各社の状況や特性に応じて、優先すべき事項が異なる状況にあるため、連結グループにおける記載が困難であります。 このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。 なお、提出会社は純粋持株会社であり、少数での運営を行っております。そのため、管理職は取締役又は取締役と一体的な立場と評価できる者と定義していることから、目標値の設定はしておりませんが、それとは別途、業務を指揮する者及び専門職を準管理職としております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは主たる事業として、外国為替証拠金取引(FX取引)に係るサービスを提供していることから、収益は外国為替市場の影響を大きく受け、取引量は外国為替市場の変動率(ボラティリティ)に大きく左右される傾向があります。 外国為替市場の変動率が高まれば取引は活発に、変動率が低ければ取引は減少傾向となることから、ボラティリティが低い相場が継続する等の市況環境によっては、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応については、FX取引以外の投資アセットクラスの拡充や、FX取引と異なる収益構造をもつ事業領域への進出等、収益の多様化が重要であるとの認識のもと、より幅広いお客様に利用いただける商品・サービスの開発、提供に努めてまいります。 当社グループが行う金融商品取引業は、証券、銀行、保険という垣根を越えた競争が激化しつつあり、各社はそれぞれの特徴を出した顧客の獲得、サービスの向上、取扱商品の多様化を推し進めております。 このような環境下において、当社グループの差別化戦略が競合他社の戦略と比べて劣る等の場合においては、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクは常態的に発生する可能性があると考えられます。 当該リスクへの対応については、当社グループの強みを最大限に発揮した独自の自動売買ソリューションの提供や、顧客の運用成績向上に資する高付加価値サービスの開発等に注力し、商品・サービスの開発・改善を継続的に行うことにより、競争力の維持に努めてまいります。 当社グループが提供する外国為替証拠金取引及びCFD取引は、顧客から受け入れた証拠金を担保としたレバレッジ取引です。当社グループは、ロスカット制度により、顧客に損失が発生した場合でも受け入れた証拠金の範囲内に損失額が収まるように努めておりますが、為替相場の大きな変動等により、受け入れた証拠金を超える損失が顧客に発生する可能性があります。これにより、当社グループの顧客に対する債権の全部又は一部が回収できなかった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクへの対応については、顧客の取引口座開設時等において、投資の知識・経験等の顧客属性を適正に管理する等の与信リスク管理を行っております。 また、当社の子会社(インヴァストキャピタルマネジメント株式会社)が営む貸金業においては、融資先の倒産や経営悪化等の要因によって、予期できない延滞・貸倒れ等が発生することがあり、これにより、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当該融資については、取引先を法人に限定して取引時の審査を厳格に行うとともに、リスクが顕在化した場合の債権保全策を講じたうえで実行しております。融資後も継続的に与信管理を行っており、当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりません。 当社の子会社(インヴァスト証券株式会社)は、取引所FX取引における顧客からの預り資産については取引所に直接差し入れる方法により、また、店頭FX/CFD取引における顧客からの預り資産については株式会社三井住友銀行で、信託保全を行っております。しかしながら、何らかの事由により、金融商品取引法等が要請する管理の方法に抵触する事態が生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが提供する、店頭FX/CFD取引は、顧客と当社グループによる相対取引でありますが、顧客に対する当社グループのポジションのリスクをヘッジするため、海外の金融機関(カウンターパーティ)等と契約を締結し、顧客との売買取引により発生した当社グループのポジションについて、カバー取引を行うことで、リスクを回避しております。しかしながら、想定外の事象が発生し、当社グループがカバー取引を行うまでの間に、為替相場やETF価格が大きく変動する等の場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、より安定的な取引環境を提供するカウンターパーティを選択して契約を締結しておりますが、カウンターパーティのシステム障害の発生等の理由により取引不能となった場合は、当社グループが価格変動等のリスクを負うことになります。また、当社グループが契約しているすべてのカウンターパーティが取引停止状態となった場合は、当社グループは顧客との取引を停止する可能性があります。 当社の子会社(インヴァスト証券株式会社)は、金融商品取引業を営むにあたり、金融商品取引法第29条に基づく「金融商品取引業」の登録を受けるとともに、自主規制機関である日本証券業協会、金融先物取引業協会及び日本投資顧問業協会に加入しているほか、東京金融取引所の取引参加者となっております。 子会社はこれらの法令並びに各協会、取引所が定める諸規則に従って事業活動を行い、継続的なコンプライアンス体制の見直しに努めておりますが、何らかの事由によりこれらの法令諸規則等に抵触する事態が発生し、行政処分等を受けた場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2005年4月1日より「個人情報の保護に関する法律」が全面施行されましたが、当社グループは、個人情報の保護は、信用を基礎とする金融商品取引業者に求められる重要な責務と認識し、顧客情報等の書類及び法定帳簿の具体的な管理方法や顧客データへのアクセス制限・使用方法を社内規程として策定し、個人情報管理の周知徹底を図っております。しかしながら、何らかの要因により当社グループ又は外部委託先から顧客情報が漏洩した場合には、信用低下や損害賠償請求等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の子会社(インヴァストキャピタルマネジメント株式会社)が営む貸金業は、「貸金業法」等の適用を受けております。子会社は、「貸金業法」に基づく貸金業登録により、各種の業務規制を受けているほか、金融庁が定める「貸金業者向けの総合的な監督指針」及び日本貸金業協会が定める「貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則」の適用も受けております。 子会社は法令等の遵守を徹底しており、現時点において法令等に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により子会社並びに子会社の役員及び従業員が法令等に抵触した場合、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられ、又は登録が取消され、当社グループの事業活動に支障を来たすとともに、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の法律改正等による業務規制の変更等で業務が制限された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、上記の各種法令諸規則のほか、「金融商品の販売等に関する法律」その他の規制を受けております。当社グループはかかる法令諸規則等の遵守に努めておりますが、当社グループ及び当社グループの役職員において、何らかの事由により、これらの法令諸規則等に違反する事実が発生した場合には、当社グループの風評、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして、社内規程の整備や役員及び従業員への啓蒙活動を通じて、その強化に取り組んでまいります。 当社グループはこれまで企業規模に応じた内部管理体制の強化に努めてまいりました。今後におきましても、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制システムの整備を含めた内部管理体制の一層の充実に努めてまいりますが、適切かつ充分な内部管理体制が整備できなかった場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが業務を行う上で、ITシステムは必要不可欠なものであり、そのため、システムの改善、サーバーの増強等システムの安定稼動に努めております。 しかしながら、ハードウェア、ソフトウエアの不具合、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウィルス、サイバーテロのほか、災害等によってもシステム障害が発生する可能性があります。当社グループではシステム障害の発生に備え、システムのバックアップや回線の二重化等の体制を整えております。 しかし、何らかの障害が発生し、顧客取引の処理を適切に行えない場合等には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、各種のオンラインサービスを展開するにあたり、新たなサービス並びに商品の提供、又は顧客利便性の向上による競争力強化のためには、継続的なシステムの開発及び改良等が不可欠であると認識しております。特に、当社が提供するトレーディングAIによるFX取引サービス「マイメイト」は、原則として、その基幹システムを内製開発・自社保有しております。システムのリリース前には入念に品質チェック等を行うことにより、システムの品質管理に努めておりますが、システム開発が計画どおりに進捗しなかった場合、システム投資の額が想定を超えて多額になった場合及び当初予想していたとおりの投資効果が得られない場合、また、システムの不具合、処理能力不足、通信回線の障害等が発生した場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、取引にかかわるシステム処理業務の一部を外部委託しております。外部委託先のシステム障害、処理能力の一時的な限界等、何らかの事情により外部委託先のサービス提供が困難になった場合等には、当社グループの業績に影響が及ぶおそれがあります。 当該リスクへの対応として、当社グループは、定期的に外部委託先へのヒアリングや監査を実施するほか、必要に応じて改善指導を行う等、外部委託先との関係強化に努めております。 当社グループは外国為替証拠金取引を中核事業として、顧客数、預り証拠金等の事業基盤の強化を行う一方、収益源の多様化のため、新たなサービス、事業展開を検討、実施してまいります。 しかしながら、顧客のニーズや市場環境に適応できず、方針の転換を余儀なくされた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業の特性上、業務の遂行に必要となる資金を機動的かつ安定的に調達する必要があります。 現状、資金需要については、自己資金だけでなく、金融機関からの借入という安定的な資金調達のため、当座貸越契約を締結する等、資金調達の多様化を図っております。 しかしながら、各事業の成長や、子会社の増加等による資金需要が高まった際に、経済情勢その他の要因により、資金調達が困難となる、若しくは資金調達コストが上昇する等により、適時に当社グループの望む条件にて資金調達ができない場合、当社グループの事業成長を阻害することとなり、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社の代表取締役社長 川路猛の資産管理会社である合同会社TKCは、当社の筆頭株主であります。 合同会社TKCは、今後も安定株主として当社株式を長期保有する方針ですが、今後、同社と当社グループの関係に変化が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 また、今後、その所有株式の一部を処分することがあれば、市場における当社株式の供給が増加することが考えられ、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、オーストラリアに子会社を有しており、今後、現地における法的規制を受ける可能性や、市場動向・為替変動等の事由により子会社の事業展開に影響が出た場合、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。 また、当社グループのビジョンは「2025年までに全世界で1,000万人の利用者を持つ金融ソリューションを生み出す」ことであり、ビジョン達成に向けた海外における投資や事業展開も積極的に進めていくつもりです。 そのため、今後、海外事業を拡大するにあたり、当社には為替リスク、現地規制リスク、カントリーリスク等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。 当社グループの成長と利益は、IT技術者やグローバル人材等、顧客に付加価値のあるサービスを提供するための専門性やスキルを持った優秀な人材の確保・育成に大きく影響されます。こうした優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、ストックオプション制度を採用しております。 当連結会計年度末日現在の残存する新株予約権の個数は、6,750個(675,000株)であり、今後、その行使が促進される場合には、当社株式の1株当たり株式価値が希薄化する可能性があります。 当社グループは、顧客本位の姿勢とコンプライアンスを重視し、お客様等との紛争の未然防止に努めておりますが、何らかの理由により発生したトラブルが訴訟等に発展し、万一当社の主張が認められなかった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染状況が徐々に落ち着く中で、緩やかながら持ち直しの動きが継続しました。原材料価格の高止まりや円安の影響による物価高に加え、設備稼働率の低下で生産・出荷が振るわないことは重石となりましたが、世界的にアフターコロナに向けた動きが加速していることでインバウンド需要が顕著に回復し、年度末に向けては規制のない旅行需要等に伴う消費活動活発化で、景況感および消費マインドが向上しました。 外国為替市場のドル円相場は、121円台で取引をスタートした後、日米金利差拡大や日本の貿易収支悪化等を背景に、10月に約32年ぶりの高値である151円台までドル高・円安が進行しましたが、政府・日銀による大規模なドル売り・円買い介入や米国の物価指数の伸びが鈍化したこと、日銀が長短金利操作(YCC)の許容変動幅を拡大したこと等から徐々に水準を切り下げ、年度末は132円台後半で取引を終了しました。 株式市場は、コロナ禍に加え米欧の大幅かつ継続的な利上げにより上値の重い展開が続きましたが、金利上昇圧力の弱い日本株は相対的に堅調地合いを維持し、一時はザラ場で29,000円台を示現する場面もありました。 しかし、年度後半には、為替の円安支援が徐々に剥落したことや、米金利高を受けてナスダック市場が軟調推移したこと等により伸び悩み、28,000円台で取引を終えました。 このような事業環境のもと、当社グループにおける各セグメントの業績概況は以下のとおりであります。 子会社インヴァスト証券を中心とする国内金融事業では、円安の影響を受けてFXトレードの需要が増加し、注力サービスである「トライオート」事業におけるFX取引が活況となった一方で、ETFにおいては、昨年以降の米国株式の下落により取引高が大幅に減少いたしました。また、昨年リリースの新サービス「マイメイト」は、顧客の収益性改善を最優先課題とし、機能追加やバージョンアップ等を行いましたが、顧客基盤の拡大のための獲得コストが先行したこと等から、国内金融事業の純営業収益は29億66百万円(前期比95.1%)、セグメント利益は34百万円(同7.7%)の減収減益となりました。 海外金融事業であるオーストラリアの子会社Invast Financial Services Pty Ltd.は、FX & Metals CFDやIndex & Commodity CFDの取引量が増加したことや、キプロスの現地法人を中心に欧州の顧客開拓が順調に進んだこと、また、金利収益が増加したこと等により、純営業収益は27億34百万円(前期比141.8%)となり、セグメント利益は4億28百万円(同122.1%)の増収増益となりました。 こうして、当社グループの当連結会計年度の営業収益は60億5百万円(同116.4%)、純営業収益は55億82百万円(同112.1%)となりました。 販売費・一般管理費は全体で51億98百万円(同123.8%)となり、純営業収益から販売費・一般管理費を差し引いた営業利益は3億84百万円(同49.1%)、経常利益は3億81百万円(同36.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億99百万円(同24.6%)となりました。 財政状態の概況は次のとおりであります。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して31億30百万円減少し1,222億78百万円となりました。流動資産は、29億45百万円減少し1,204億15百万円となりました。 流動資産の主な増加項目は、外為取引未収入金の増加52億51百万円、短期差入保証金の増加35億56百万円であり、一方、主な減少項目は、預託金の減少74億55百万円、現金・預金の減少26億89百万円、短期貸付金の減少17億98百万円であります。 また、固定資産は、前連結会計年度末と比較して1億84百万円減少し18億63百万円となりました。 当連結会計年度末における負債合計は1,105億43百万円となり、前連結会計年度末と比較して31億98百万円減少しました。流動負債は、31億64百万円減少し1,102億87百万円となりました。 流動負債の主な増加項目は、外為取引未払金の増加6億76百万円であり、一方、主な減少項目は短期借入金の減少23億89百万円、受入保証金の減少13億43百万円、未払法人税等の減少1億2百万円であります。 また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ36百万円減少し2億46百万円となりました。 特別法上の準備金は、10百万円となりました。 当連結会計年度末における純資産は117億34百万円となり、前連結会計年度末と比較して67百万円増加しました。主な増加要因は、為替換算調整勘定の増加81百万円、その他有価証券評価差額金の増加39百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1億99百万円の計上であり、主な減少要因は配当金の支払いによる2億52百万円であります。この結果、自己資本比率は9.6%(前連結会計年度末は9.3%)となりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べて31億57百万円減少し、当連結会計年度末の残高は82億17百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローは9億76百万円の資金減少(前期は24億4百万円の資金増加)となりました。主な減少要因は、外為取引未収入金の増加による51億91百万円、短期差入保証金の増加による28億22百万円、受入保証金の減少による27億44百万円であります。 主な増加要因は、顧客分別金信託の減少67億75百万円、営業貸付金の減少による17億98百万円です。 投資活動によるキャッシュ・フローは、34百万円の資金増加(前期は8億15百万円の資金減少)となりました。資金の主な増加要因は、定期預金の払戻による収入1億円、出資金の分配による収入63百万円です。 主な減少要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出1億70百万円であります。 財務活動によるキャッシュ・フローは、26億88百万円の資金減少(前期は38億41百万円の資金増加)となりました。資金の主な減少要因は、短期借入金の減少23億89百万円によるものであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、営業収益60億5百万円、営業利益3億84百万円、経常利益3億81百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1億99百万円となりました。 当社グループの主力サービスである外国為替証拠金取引は、外国為替市場や株式市場等の市況、その他国内外の経済環境等に大きく左右される傾向にあることから、相場に左右されない収益源の多様化、拡大が重要であるとの認識のもと、顧客ニーズの変化に対応しつつ、安定的な収益の確保を目指してまいります。 なお、当社グループは、株主資本利益率(ROE)を重要な指標として位置づけております。 当連結会計年度における株主資本利益率(ROE)は1.7%となりました。 また、収益の源泉であり、かつ「お客様の信頼の証」である顧客口座数・預り証拠金に加え、グループ全体の事業活動の成果を示す連結経常利益を重要な経営指標と認識しております。 当連結会計年度末における受入保証金残高は、947億51百万円、連結経常利益は、3億81百万円となりました。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 子会社インヴァスト証券を中心とする国内金融事業では、円安の影響を受けてFXトレードの需要が増加し、注力サービスである「トライオート」事業におけるFX取引が活況となった一方で、ETFにおいては、昨年以降の米国株式の下落により取引高が大幅に減少いたしました。また、昨年リリースの新サービス「マイメイト」は、顧客のトレード収益の改善を最優先課題とし、機能追加やバージョンアップ等を行いましたが、顧客基盤の拡大のための獲得コストが先行したこと等から、国内金融事業の純営業収益は29億66百万円(前期比95.1%)、セグメント利益は34百万円(同7.7%)の減収減益となりました。 海外金融事業であるオーストラリアの子会社Invast Financial Services Pty Ltd.は、FX & Metals CFDやIndex & Commodity CFDの取引量が増加したことや、キプロスの現地法人を中心に欧州の顧客開拓が順調に進んだこと、また、金利収益が増加したこと等により、純営業収益は27億34百万円(前期比141.8%)となり、セグメント利益は4億28百万円(同122.1%)の増収増益となりました。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、店頭FX/CFD取引におけるカウンターパーティーとのカバー取引に係る差入保証金、顧客からの預り金、FX/CFD取引等に係る保証金及び証拠金の入出金と顧客分別金信託及び顧客区分管理信託への入出金との差によるもの等であり、自己資金に加え、金融機関からの借入等により対応しております。また、これらの資金需要に備え、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関4社と当座貸越契約等(極度融資枠6,360百万円)を結んでおり、当連結会計年度における借入金の残高は3,500百万円となっております。 当社グループは現状において十分な資金の流動性を有しており、当座貸越枠等により十分な借入枠を確保しており、資金需要への対応には問題がないものと判断しております。 ただし、経済情勢の先行きは不透明であり、現時点における想定を超えて業績への悪影響が生じることが見込まれる場合には、必要に応じて、コミットメントライン等により、追加的に資金調達枠を確保することも検討してまいります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、有価証券の評価、減価償却資産の償却、繰延税金資産の回収可能性、貸付金等の貸倒れ及び当該引当金、賞与等の会計処理については会計関連諸法規に則り、過去の実績や状況に応じ合理的な基準により見積り、判断しておりますが、不確実性が存在するため、見積った数値と実際の結果は異なる場合があります。 該当事項はありません。
株式会社福岡サンレイクゴルフ倶楽部
# 株式会社福岡サンレイクゴルフ倶楽部 当社株式は非上場でありますので、該当事項はありません。 当社株式は非上場でありますので、該当事項はありません。 株主会員制によるゴルフ場経営を目的として、福岡市博多区に、資本金96,000千円にて設立。 株主会員の募集開始。 東峰住宅産業株式会社より、ゴルフ場及びクラブハウス並びにゴルフ場附属設備一式を譲受け、ゴルフ場経営を開始。 第1回転換社債型新株予約権付社債9億9,840万円を発行。 平日会員権「re-fresh」の会員募集開始。 資本金1,020,000千円を資本金96,000千円に減資。 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在し、有価証券報告書にて継続企業の前提に関する注記を記載。 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在し、有価証券報告書にて継続企業の前提に関する注記を記載。 佐賀銀行と合意の上、西直樹氏が2億16万円出資し自己資本を充実。8年間の再建計画を立て、経営を引受ける。 第1回転換社債型新株予約権付社債9億9,840万円全額を佐賀銀行より、西直樹氏が譲り受け。 第1回転換社債型新株予約権付社債9億9,840万円全額の株式転換により資本金586,060千円に増資。 資本金586,060千円を資本金96,000千円に減資。 コース内の池・グリーン等の改修、機械設備の更新を目的とする50,895千円の増資(西直樹氏が全額引受け)により、資本金96,000千円を資本金121,447千円に増資。 資本金121,447千円を資本金96,000千円に減資。 福岡サンレイクゴルフ倶楽部会則第2章 会員について追認と改定が承認される。 当社は、株主会員制によるゴルフ場経営を主な事業として取り組んでおります。 ゴルフ場の概要は、次のとおりであります。 なお、当社の株主は、当社との間でゴルフ場利用を目的としたゴルフ会員契約を締結し、所定の会員登録料を払込むことにより、当ゴルフ会員契約に基づく契約上の地位(会員権)を併せ有することになります。このように株式にゴルフ会員権がついている制度を株主会員制といい、当社は、この株主会員制によるゴルフ場経営を行うものであります。 該当事項はありません。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であります。 ① 今後のゴルフ場経営環境は、ゴルフ人口の減少・高齢化やゴルフ場売却・譲渡による大型資本の参入による来場者確保の為の価格競争が懸念され、今後とも客単価の低下により依然厳しい状況が続くと思われます。 このような状況の中で、当ゴルフ場は開場20年が経過し、ハウス内の設備、池の水漏れ、メンテンナンス機械類等の老朽化が目立つようになり、そのメンテナンスや修理、買い替え等多額の費用が発生する事が確実視されてきました。その為にも、近隣他クラブのプレー代など参考にしながら、適切なプレー代なども今後検討していく必要があると考えております。 また、中嶋常幸プロの監修を受け、今後もコース改造を行い、お客様に楽しんで頂けるようなコースを考えております。 ② 2019年10月より消費税が10%に引き上げられましたが現在の内税のままでは経営上も困難であります。 以上のような諸問題を解決し経常利益を黒字になす為には、思い切った改革を行なう必要があります。 今後共、経営陣及び従業員一同、鋭意努力してまいる所存ですので、株主の皆様には、どうぞ格別のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社は、企業価値の永続的な向上を目指し、経営体制、監査役監査を適切に機能させ、株主からの信頼及び社会的責任を果たすことに努めています。 当社のコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、「4[コーポレート・ガバナンスの状況等]」をご参照下さい。 現時点で戦略(人材育成方針を含む)がない為、検討中であります。 当社は、リスクの対策および会社の損失の最小化を図ることを目的とし、リスク管理体制を整備しています。リスク管理体制においては、様々なリスク情報を収集・分析して、リスクが顕在化した場合の対策を講じています。リスクの状況によっては内外の専門家とも相談し、より専門的な観点から対応を図っています。 また、当社が認識する事業上等のリスクに関する詳細は、「3[事業等のリスク]」をご参照下さい。 現時点で指標及び目標(人材育成方針に係る指標及び目標を含む)がない為、検討中であります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 ゴルフ場経営における会員募集の形態は、通常、預託金制度が採用されておりますが、当社は安定的な経営基盤を確保するために、株主会員制による会員募集を採用することとしており、株主には預託金制度における預託金償還請求権はありません。 株主会員制における株主は、ゴルフ場利用を目的とした会員契約を締結することにより、ゴルフ会員としての地位を有することになります。 当社は平成18年8月より、預託金制の平日会員募集を開始いたしました。預託金は無利息の負債であり、有利子負債を返還し金利負担を減らすことを目的として実施いたしました。 この預託金は償還期限が経過した後、償還請求に応じて償還する義務が生じます。事業利益による償還金が不足する場合は、株主会員による増資資金あるいは金融機関からの借入金により賄う必要がありますが、何らかの理由により、当該資金調達が不調に終わった場合は、今後のキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 事業用固定資産に対して、減損処理が必要となった場合には今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。 ゴルフ業界は、気象条件によって業容が大きく左右される業種です。台風・長雨・積雪等の異常気象が続き、計画通りの来場者が見込まれない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 当期の我が国経済は、新型コロナウイルスの感染対策に係る制限の解除を受け、徐々にではありますが景気が戻りつつあるものの、世界経済は総じて減速傾向にあり、資源・原材料の高騰、円安による輸入品価格の上昇などにより、依然として先行きは不透明な状況が続いております。 このような経済状況のもと、当ゴルフ場の来場者数は前年比207名増加の44,690名となりました。 ①  売上は、来場者数の増加(前期比0.5%増)により333,792千円となり、前期比12,772千円の増収(3.9%増)となりました。その主な原因は、新型コロナウイルスの感染症対策に係る制限の解除等による来場者数の増加であります。販売費及び一般管理費は、340,959千円となり前期比8,489千円増加(2.5%増)となりました。その主な要因は、人件費、水道光熱費の増加によるものであります。その結果、営業損失は53,085千円となり、前期比793千円の増益となりました。 ②  経常利益は、営業損失に登録料等の雑収入45,156千円が加わり△9,094千円となり、前期比6,558千円増加となりました。 ③  当期純利益は、△10,071千円となり、前期比47,198千円増加となりました。 収容能力、収容実績及び収入実績は、次のとおりであります。 一日当たりの収容能力は、240名であります。 来場者の実績は、以下のとおりであります。 当事業年度の収入実績は、以下のとおりであります。 ①  総資産は2,689,197千円となり、前期比48,214千円減少(1.7%減)しましたが、その主な要因は、現金及び預金28,037千円の減少、有形固定資産の減価償却36,454千円による減少及び有形固定資産の取得13,632千円による増加によるものであります。 ②  負債は254,120千円となり前期比38,143千円減少(13.0%減)しましたが、その主な要因は、長期借入金の返済による減少39,012千円によるものであります。 ③  純資産は2,435,076千円となり、前期比10,071千円減少(0.4%減)しましたが、その主な要因は利益剰余金が10,071千円減少したことによるものであります。なお、自己資本比率は90.5%となり前期比1.2ポイントの増加となりました。 当事業年度におきましては、現金及び現金同等物が23,892千円となり、前年同期と比べ28,037千円の減少となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益が△9,094千円となり、前年同期に比べ47,198千円増加し、また、役員退職慰労引当金の増加額が10,656千円となり、前年同期に比べ59,360千円増加しました。その結果、前年同期に比べ資金流入は95,926千円増加し、36,787千円の資金流入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が13,632千円となり、前年同期に比べ資金流出は1,343千円増加し、また、有形固定資産の売却による収入が当事業年度はないため、前年同期に比べ資金流入は5,237千円減少しました。その結果、前年同期と比べ資金流出は6,581千円増加し、14,723千円の資金流出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の借入による収入が当事業年度はないため、前年同期に比べ資金流入は150,000千円減少しました。また、長期預り金の返済による支出が10,320千円となり、前年同期に比べ資金流出は29,240千円減少しました。その結果、前年同期と比べて資金流入は126,780千円減少し、50,102千円の資金流出となりました。 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって重要な影響を及ぼす会計方針及び見積りは以下のとおりであります。 断し、繰延税金資産は計上しておりません。 該当事項はありません。 該当事項はありません。
株式会社IKホールディングス
# 株式会社IKホールディングス 1982年5月名古屋市中村区に住宅設備機器販売および贈答用品ならびに記念品用雑貨の販売を目的とする会社として現在の株式会社アイケイの前身である「アイケイ商事有限会社」を創業いたしました。 会社設立以降の主な変遷については、次のとおりであります。 当社グループは、当社と連結子会社6社(株式会社アイケイ、株式会社フードコスメ、アルファコム株式会社、株式会社プライムダイレクト、I.K Trading Company Limited、艾瑞碧(上海)化粧品有限公司)及び持分法を適用していない非連結子会社1社により構成されており、事業内容は雑貨類・食品類・化粧品類を最終消費者に直接販売するダイレクトマーケティング事業、及び同商品を卸販売するセールスマーケティング事業、チャットシステム及びコンタクトセンターの構築と支援等を提供するITソリューション事業を営んでおります。 TVショッピング、インターネットショッピング、リアル店舗での「SKINFOOD」化粧品等を販売する小売事業を行っております。 生活協同組合、通信販売会社、小売店舗、海外企業等への卸売事業を行っております。 チャットシステム、音声通話録音システムの販売等を行っております。 事業の系統図は次のとおりであります。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 資金援助あり。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 役員の兼任あり。 資金援助あり。 役員の兼任あり。資金援助あり。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しています。 あります。 当社における労働者の男女の賃金差異における正規雇用労働者について、役職別の賃金は同等の水準であり、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく役職別の男女の賃金差異は以下のとおりであります。 であります。 当連結子会社における労働者の男女の賃金差異における正規雇用労働者について、役職別の賃金は同等の水準であり、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく役職別の男女の賃金差異は以下のとおりであります。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 を高めていく経営を推進することであります。 め、ROE(自己資本利益率)を重要指標とし、20%以上を目標としております。 上昇が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。 を大幅に縮小してまいりました。 業価値の最大化を目指してまいります。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限が緩和されて以降、経済活動が正常化に向かいはじめ、景気回復への兆しが見られる一方、世界的な資源価格の高騰、為替変動リスクにより依然として不透明な状況が続くものと思われます。 このような状況の中、当社グループは収益のV字回復を達成するため、ローリング方式による新たな中期経営計画(IK WAY to 2026)を策定いたしました。この中期経営計画の達成に向けて、事業ポートフォリオマネジメントを強化するため、重点投資事業を精査するとともに、収益基盤であります生協ルート向けの商品開発と営業を強化いたします。また、国内での総販売代理店等としての地位を取得している韓国化粧品「ma:nyo」、「hince」、「KAHI」、「OLIVE YOUNG」、「SKINFOOD」等を強化商品として拡販してまいります。 国化粧品のリアル店舗では既存店舗の不採算店の閉鎖推進を行う一方で、新たなブランドとして「hince」2店舗等を出店いたしましたことから、店頭での活性化を通じて収益性を高めるとともに、新型コロナウイルス感染防止策に取り組みお客様及び社員の安心・安全を確保しつつ、キメ細かな接客によりお客様に喜ばれる店づくりを行ってまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、当社グループの存在意義を、私たちの商品を通じて、お客様の満足度向上とサスティナブルな社会を実現することと位置付けております。 経営課題について持ち寄り議論をするとともに、経営監視を行っております。 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する関する方針及び社内環境整備等に関する方針等は次のとおりであります。 当社グループは、企業価値の持続的向上は人材の育成が最重要と考えており、新卒採用者、中途採用者問わず「育ての親、里親」制度を設けており、入社した本人が会社に馴染むまで2人の親によりしっかりとサポートする制度を設けています。また、将来の経営者を育成するため、「ベビーボードメンバー」と「ジュニアボードメンバー」を指名し、1年間にわたり経営者として必要な知識等について研修を行うなど計画的な人材の育成を行うプログラムを設けております。 当社グループは、多様な人材がそれぞれの能力、スキルを学ぶためのOJT研修、外部研修のeラーニング研修、幹部候補養成のための「ベビーボード会議」、「ジュニアボード会議」など各種の人材育成制度を設けているほか、育児・介護などライフステージに合わせて働き方を選択できるフレックスタイム制を設けており、多様な就業形態や活躍機会を整備しております。 当社グループでは、全社的なリスクを当社の経営会議の一つでありますTOP会議にて行っております。TOP会議は、チームマネージャー職以上で構成され、週1回開催しております。サステナビリティ等を含む全社的なリスク管理に関する事案、コンプライアンスに関する事案、各部門の業務事案等、広範囲な内容について検討・報告を行っており、必要によりグループ役員会又は取締役会に報告される体制を構築しております。 使用することで、森林資源の持続を目指し、カーボンニュートラルな社会への貢献を行います。 ます。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 新型コロナウイルスなどによる感染症が流行・拡大した場合、当社グループのみならず国内・国外のサプライチェーン全体への影響が懸念されます。また、感染症流行抑制のため、経済活動の停滞を伴う行政の指導・要請等が生じた場合、景気が悪化し消費マインドが落ち込むなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループのセールスマーケティング事業の販売チャネルは、生活協同組合ルート(全国各地の地域生協、職域生協に販売)、通信販売ルート(一般企業向け販売)、店舗ルート(バラエティストア・ドラッグストア等への販売)、海外ルートの4つに大別されます。当事業の中では、生活協同組合ルートの売上比率が高くなっていますが、近年はダイレクトマーケティング事業の売上拡大に努めておりますことから、当社グループ全体に対しての売上比率は40%台と、その依存度は低くなっております。しかしながら、40%を超えるシェアがありますことから今後の生活協同組合の無店舗販売事業への取組み方針や組合員数の増減等の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループのダイレクトマーケティング事業及びセールスマーケティング事業は、商品の告知方法としてお客様に対しテレビでのインフォマーシャル又は商品のカタログを通じて販売促進活動を行っております。それゆえ、売上を拡大するためには一定の広告宣伝費が必要となるため、放映料が上昇した場合または紙の取引価格が高騰する等のコスト上昇により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、個人情報取扱業者に該当しており、遵法だけでなく、情報漏洩による被害を防止する必要があるため、外部からの不正アクセス防止およびウイルスの感染防止等、内部管理体制の強化を図ってはおりますが、万が一当社グループの個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用失墜に繋がり、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは会社法や上場会社としての金融商品取引法のほか、当社グループの事業において関連する主な法的規制は下表のとおりであります。これらの法的規制の遵守に努めてまいりますが、万が一法的規制に触れた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループが取り扱う商品は、雑貨類・食品類・化粧品類に区分されます。当社では、食品の安全性確保のため、生活協同組合が定める商品規制に加え、当社グループ独自の商品規制を設けており、当該基準を満たした商品のみを取り扱うこととしております。当社グループが取り扱う商品で、これまでに品質問題が大きな問題として発生した事例はありませんが、食品製造工程において無認可添加物の使用が発覚した場合等、当社グループ基準を満たさない商品が顧客に販売された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは販売実績がある、または販売見込のある商品について販売機会を逸しないように在庫として保有しております。当社グループの在庫品には、一般仕入商品(仕入先に返品可能商品)と当社グループの開発商品(当社グループの買取商品)の2種類があります。売上動向によっては、在庫の評価減の対象となり当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 韓国ブランドの化粧品販売は、ブランドホルダーであります韓国企業との間で販売代理店契約等の契約により行っている事業でありますので、当該契約の更新がなされなかった場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、中国及び香港に販売子会社を有しております。当社グループは現地動向を随時把握の上、適切に対応していく方針ですが、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループのITソリューション事業の商品であります「Voistore(音声通話録音システム)」は、韓国VOISTORE社との間で締結しております「代理店基本契約」に基づいて行っております。また、「M-Talk(チャットシステム)においても韓国SPECTRA社との「日本総代理店契約」に基づいて行っております。これらの契約が更新されない場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの経営成績及び財政状態、キャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑制に伴う行動制限が緩和されて以降、社会経済活動が徐々に正常化に向かい、景気回復の兆しが見られました一方、世界的な資源価格の高騰や為替の変動による物価高が顕著となりましたことに加え、ロシア・ウクライナ問題等による地政学的リスクの上昇が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような状況の下、収益基盤であります生協ルートでの営業力強化を目的といたしまして、企画提案書の見直しを行い、企画力・商品力及び訴求力の向上に努めてまいりました。また、新たな主力商品として位置付けた韓国コスメでは、人気のある「ma:nyo」、「hince」、「KAHI」などの国内総販売代理店等として販売を開始いたしました。TVショッピング「プライムダイレクト」においては、媒体効率を意識した放映に徹するため、放映枠を大幅に縮小してまいりました。 また、当社グループは、2022年12月より持株会社体制へ移行し、当社の商号を「株式会社IKホールディングス」に変更いたしました。更なる経営における意思決定のスピードアップ、柔軟な戦略策定、経営資源の最適配分、監督と執行の機能分離と権限委譲を進め、新規事業や経営人材の創出を進めることで、グループとしての企業価値の最大化を目指してまいります。 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高14,179百万円(前年同期比13.2%減)、営業損失224百万円(前年同期は360百万円の営業損失)、経常損失205百万円(前年同期は323百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失463百万円(前年同期は905百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 TVショッピングにおいては、収益性に拘り媒体効率を意識した放映方針に転換し、放映枠を絞り込んだ結果、売上高は大幅に減少いたしました。韓国コスメのリアルショップは「SKINFOOD」の不採算店7店舗(直営店)とFC店3店を閉鎖し、「hince」2店舗と韓国化粧品のセレクトショップ1店舗を新設いたしました。これらにより売上高は4,007百万円(前年同期比22.7%減)となり、営業損失は327百万円(前年同期は805百万円の営業損失)となりました。 売上高は、基盤販路の生協ルートにおいて食品企画はほぼ前年並みでありましたものの、雑貨企画及び化粧品企画が前年実績を下回りました。また、通販ルート、店舗ルートも微減いたしましたことから9,651百万円(前年同期比9.8%減)となり、営業利益は355百万円となりました。 なお持株会社体制の移行に伴い、全社費用の区分把握が可能になり、報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しております。このためセグメント別営業損益の対前期比は記載しておりません。 売上高は、主力商品であるチャットシステム「M-Talk」の売上が順調に拡大していることから、518百万円(前年同期比15.1%増)となりましたものの、営業利益は為替の影響を受け仕入コストが上昇したことから13百万円(前年同期比55.5%減)となりました。 当連結会計年度末の総資産合計は6,788百万円となり、前連結会計年度末と比べ589百万円減少いたしました。 当連結会計年度末の負債合計は4,818百万円となり、前連結会計年度末と比べ55百万円減少いたしました。 当連結会計年度末の純資産合計は1,970百万円となり、前連結会計年度末に比べ534百万円減少いたしました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、971百万円(前年同期は1,075百万円)となりました。 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動における資金の増加は66百万円(前年同期は769百万円の減少)であります。主な資金の増加要因は、減損損失190百万円、売上債権の減少428百万円、棚卸資産の減少213百万円であります。また主な資金の減少要因は、税金等調整前当期純損失397百万円、仕入債務の減少220百万円、法人税等の支払額190百万円となっております。 投資活動における資金の減少は279百万円(前年同期は319百万円の減少)であります。主な資金の減少要因は、有形固定資産の取得による支出146百万円、無形固定資産の取得による支出118百万円であります。 財務活動における資金の増加は109百万円(前年同期は1,135百万円の増加)であります。資金の増加要因は、短期借入金の純増額550百万円、長期借入による収入400百万円であります。また資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出750百万円、配当金の支払額90百万円であります。 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当連結会計年度の売上高は、14,179百万円(前年同期比13.2%減、2,156百万円減)となりました。これをセグメント毎に分析すると、ダイレクトマーケティング事業の売上高が4,007百万円(前年同期比22.7%減、1,177百万円減)、セールスマーケティング事業の売上高は9,651百万円(前年同期比9.8%減、1,047百万円減)、ITソリューション事業の売上高は518百万円(前年同期比15.1%増、67百万円増)となりました。 当連結会計年度の売上原価は、売上高の減少に伴い8,228百万円(前年同期比7.9%減、1,449百万円減)となりました。売上原価率は、前期に比べ3.3ポイント上がり58.0%となりました。 販売費及び一般管理費は6,175百万円(前年同期比20.4%減、1,584百万円減)となりました。主に広告宣伝費が減少したことによります。 当連結会計年度の営業外損益は19百万円の利益(前年同期は36百万円の利益)となりました。主に協力金収入があったことによります。 当連結会計年度の特別損益は191百万円の損失(前年同期は392百万円の損失)となりました。前年同期と比較し、減損損失が減少したことによります。 当連結会計年度末の流動資産につきましては前連結会計年度末に比べ825百万円減少しました。主な流動資産の変動は、「現金及び預金」が104百万円、「受取手形及び売掛金」が428百万円、「商品及び製品」が154百万円それぞれ減少したことによります。 当連結会計年度末の固定資産につきましては前連結会計年度末に比べ235百万円増加しました。主な固定資産の変動は、「無形固定資産」が259百万円増加したことによります。 この結果、当連結会計年度末の総資産は6,788百万円となり、前連結会計年度末と比べ589百万円減少しました。 当連結会計年度末の流動負債につきましては前連結会計年度末に比べ246百万円増加しました。主な流動負債の変動は、「短期借入金」が550百万円増加したことと、「買掛金」が220百万円、「未払法人税等」が77百万円それぞれ減少したことによります。 当連結会計年度末の固定負債につきましては前連結会計年度末に比べ301百万円減少しました。主な固定負債の変動は、「長期借入金」が311百万円減少したことによります。 この結果、当連結会計年度末の負債は4,818百万円となり、前連結会計年度末と比べ55百万円減少しました。 当連結会計年度末の純資産につきましては前連結会計年度末に比べ534百万円減少しました。主な純資産の変動は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により「利益剰余金」が555百万円減少したことによります。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 4 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社グループは、更なる成長を目指すため商品開発、販路開拓への投資を行っており、財務の健全性や資本効率などを追及するとともに、内部留保の充実と株主への利益還元とのバランスを保つことに努めております。 資金の調達源としては、営業キャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入金を基本としております。 とおりであります。 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 め、ROE(自己資本利益率)を重要指標とし、20%以上を目標としております。 業価値の向上に努めてまいります。 当社は、2022年8月18日開催の第41期定時株主総会で承認されました吸収分割契約に基づき、セールスマーケティング事業を当社の完全子会社である吸収分割承継会社の「株式会社アイケイ分割準備会社」(2022年12月1日付で「株式会社アイケイ」に商号変更)に 承継いたしました。これに伴い、当社は2022年12月1日付で「株式会社IKホールディングス」に商号変更し、持株会社体制に移行しました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。 当社は、2022年6月8日開催の取締役会において、当社連結子会社である株式会社プライムダイレクトを譲受会社として、コンビ株式会社が運営する化粧品事業を譲り受けることを決議し、同日付にて、事業譲渡契約の締結を行いました。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。 該当事項はありません。
株式会社豊田自動織機
# 株式会社豊田自動織機 提出会社(以下、「当社」という。)、子会社(271社)および関連会社(18社)は、自動車、産業車両および繊維機械などの製造、販売を主な内容とし、事業活動を展開しております。なお、当社を関連会社とするトヨタ自動車株式会社は「その他の関係会社」であり、主要な販売先であります。 当社および連結子会社(以下、「当社グループ」という。)の事業に係る位置づけおよびセグメントとの関連は、概ね次のとおりであります。 労使間に特記すべき事項はありません。 当社グループは、経営の基本方針を「基本理念」として掲げており、その内容は次のとおりであります。 当社のフォークリフト用エンジンの経年劣化による排出ガス国内規制値の超過と、排出ガス国内認証に関する法規違反につきましては、外部弁護士による調査に加え、独立した外部有識者による特別調査委員会の調査結果をもとに、本件内容の解明および真因分析、これらに基づく再発防止を徹底してまいります。その後、関係省庁の判断、指示を踏まえ、出荷再開、市場措置に向け取り組んでまいります。 新型コロナウイルス感染症の影響から回復基調にある一方、半導体不足、地政学的緊張の高まりを受けた資源価格の高騰、供給制約等の長期化懸念ほかにより、世界経済の先行きは不透明な状況が続いております。 一方で、カーボンニュートラル実現に向けた世界的な取り組みの加速やデジタル化の進展など、政治、経済、テクノロジーの分野における変化は著しく、当社の主要な事業である自動車、産業車両分野においても、電動化、自動運転領域の開発の進展や、IT、デジタル技術の活用による新規参入、業界構造の変化が生じており、企業間の競争がますます激しくなっております。 このような状況のもと、当社はより強固な経営基盤を築き、企業価値を一層向上していくため、次に挙げる3点に取り組んでまいります。 (イ) 基本の徹底 会社の基盤である、安全、健康、品質、コンプライアンス、環境への取り組みを継続し、特に法令遵守の体制やしくみを見直してまいります。加えて、モノづくりにおける「安全第一、品質第二、生産第三」の優先順位を堅持し、安全文化の定着をはかってまいります。(ロ) 体質強化 刻々と変わる世の中に対してアンテナを高く張り、リスクや課題に対して必要かつ十分な経営資源を投入し、迅速、的確に対応してまいります。また、そのために自ら変革できる組織、風土づくりを進めてまいります。(ハ) 将来に向けた挑戦 市場や業界の変化を当社の成長に向けたチャンスと捉え、IT、デジタル技術やオープンイノベーションを積極的に活用のうえ、新たな技術、商品開発を進め、お客様が求めるサービスの提供に努め、さらなる成長機会の取り込みをはかってまいります。 これらの取り組みを通じて、持続的な成長を支えるための経営基盤をより強固なものにするとともに、2030年ビジョンに示しますとおり、世界の産業、社会基盤を支え、住みよい地球、豊かな生活、温かい社会づくりに貢献できるように努めてまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが合理的な一定の前提に基づいて判断したものであり、その実現を約束する趣旨のものではありません。実際の結果は不確実性により変更される可能性があります。 当社グループは取締役会の下位の会議体に、サステナビリティへの取り組みを含む経営ビジョンや中期経営戦略を扱うマネジメント・コミッティ、特定の専門分野を扱うCSR委員会、環境委員会を組織し、CSR重要課題(マテリアリティ)をはじめとする当社グループのサステナビリティ分野の課題やリスクについて、審議、決定し、必要に応じ、取締役会でも報告、審議しております。CSR委員会、環境委員会ともに社長が委員長を務め、CSR重要課題(マテリアリティ)に関する主要な管理指標について中長期目標の策定、進捗管理、必要な投資などを審議、フォローしております。CSR委員会では、主にサステナビリティに関する重要事項について、環境委員会では、主に環境経営推進上の重要事項について審議等を実施しております。コーポレート・ガバナンス体制図については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。 当社グループは創業以来、社是である豊田綱領とそれに基づく基本理念の考え方である「住みよい地球と豊かな社会づくり」のもと、事業を通じて積極的に社会課題の解決に取り組んでまいりました。2030年に目指す姿である「2030年ビジョン」は、創業以来の事業「繊維機械」を原点として「自動車」「産業車両・物流」を両輪に事業展開し、社会と調和しながら、持続的に成長していく方向性を示しております。当社グループは、これからも社会のお役に立つとともに、持続的に成長することを目指して、取り巻く社会の変化や課題に真摯に向き合い取り組んでまいります。 この2030年ビジョンに掲げる「住みよい地球と豊かな生活、そして温かい社会づくり」に貢献することを目指し、「豊田自動織機グループサステナビリティ方針」に基づき、事業を通じた持続可能な社会の実現に向け、当社グループが取り組むべき特に重要な事項を次のとおりCSR重要課題(マテリアリティ)として定義し、その解決に努めております。 当社グループの経営方針、経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連の取り組みのうち、気候変動を重要な項目の1つとして位置付けております。気候変動のリスクと機会が当社グループに与える影響を把握するため、主要事業である産業車両事業についてシナリオ分析を実施しました。時間軸としては中期経営計画と長期環境ビジョンの2030年と2050年とし、選択したシナリオは移行リスクが顕在化する「2℃未満シナリオ」および物理リスクが顕在化する「4℃シナリオ」を設定しました。分析にあたり気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書「代表的濃度経路に関する将来シナリオ(RCP2.6、8.5シナリオ)」、国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlookより「持続可能な開発シナリオ(SDS)」、「公表政策シナリオ(STEPS)」を参照しました。 これらのシナリオが事業に与えるリスクと機会のうち影響が大きなものを次の表のとおり抽出しました。その上で、例えば、気候変動緩和に向けた規制強化による売上げ減少のリスクや環境性能に優れた製品の需要拡大による売上げ増加の機会を特定し、CSR重要課題の目標として掲げ、事業戦略へ織り込んでおります。 当社グループは、「豊田自動織機グループサステナビリティ方針」に基づき、「企業活動の成功は、従業員一人ひとりの個性と能力を伸ばし、全体の総合力を発揮することによってこそ達成される」との信念のもと、従業員を尊重し、個々人の成長を支援しております。そのために、均等な雇用機会を提供するとともに、従業員の多様性を確保し、職場力の強化に努めております。また、女性の活躍推進活動を進めており、国内では女性活躍推進法に基づき行動計画を策定し、管理職比率などの目標を設定して活動を推進しております。外国人や中途採用者については、個人の能力を公平、公正に評価し、管理職への登用を実施しております。 従業員一人ひとりの能力の向上は、会社の持続的発展に必要不可欠なものであり、従業員の仕事のやりがいにおける最も重要な要素であると認識しております。業務を通じたOJTを人材育成の基本と位置づけ、日々の指導や上司と部下による年2回の面談を通じて、従業員の人材育成に取り組んでおります。さらに、OJTを補完する施策として、新入社員に対する導入研修や、昇格者を対象とした階層別研修、業務遂行上必要な専門知識や能力、技能を身につける専門教育など、職場での実践につながる各種研修を実施しております。 社祖である豊田佐吉の「完全なる営業的試験を行うにあらざれば、発明の真価を世に問うべからず」という遺訓の精神を受け継ぎ、品質こそ会社の生命線と考えております。そこで、全従業員を対象に、実務で必要な品質保証スキルを身につけるため、体系化された品質教育を実施しております。その一環として、SQC(統計的品質管理)と機械学習の基礎教育などを実施し、機械学習の実践活用を拡大するため、職場の問題解決を通じた中核人材の育成をしております。また、技能系職場を対象にQCサークル活動に全員参加で取り組んでおり、それらの成果として、全国のQCサークル大会で発表し多くの賞を頂いております。海外生産拠点でもQCサークル活動に活発に取り組んでおり、各拠点にQCサークルトレーナーを育成、認定して、自律した活動ができるよう指導しております。さらに、創意工夫提案の取り組みでは、全員が日々改善に取り組んでおります。 上司と部下、従業員同士が十分なコミュニケーションを通じて良好な人間関係を構築することが重要だと考えております。そのため、上司と部下の間のコミュニケーションを積極的に行うだけでなく、先輩が後輩の日常の悩み事も含めた良き相談相手となる「職場先輩制度」を設けるなど、職場におけるコミュニケーションの強化に取り組んでおります。加えて、職場や会社全体での一体感醸成のため、日常の業務を離れたインフォーマルなコミュニケーションの促進にも取り組んでおります。近年はコロナ禍により一部中断しておりますが、これまで実施してきた職場単位での慰安会や、運動会、納涼祭、駅伝大会といった会社単位でのイベントなどを、今後も実施していきます。これらの取り組みを通じ、従業員一人ひとりがいきいきと働ける職場づくりを進めております。 従業員一人ひとりが最大限能力を発揮でき、やりがいや働きがいを感じられる職場づくりに重点をおいております。従業員の困りごとや職場における不満については、上司と部下のコミュニケーションによる解決を基本としつつ、全社的な従業員意識調査による声の吸い上げも行っております。加えて、労働組合で集約された従業員の意見についても、労使間で徹底的に話し合うことで、職場環境の改善に取り組んでおります。また、従業員の生活の安定も重要であると考えており、より豊かで充実した生活につながる福利厚生制度の整備も推進しております。 仕事と家庭の両立に取り組む従業員が、高い目標を持って活躍し、キャリアを形成できるよう、「両立支援制度の充実」、「両立に対する理解促進」を柱に取り組みを進めております。両立支援制度の充実では、「事業所内託児所の設置」、「育児、介護、配偶者の転勤による退職者が復職できる制度(ウェルカムバック制度)」、「育児のための短時間勤務制度」、「不妊治療のための公休制度、資金貸与制度」などの導入により、従業員が安心して長期にわたり当社で活躍することを支援しております。また、両立に対する理解促進の取り組みでは、介護に関する知識の習得や、相談しやすい職場風土醸成のため、仕事と介護の両立支援ハンドブックを40歳以上の従業員へ配付しております。その他、従業員や家族を対象とした仕事と介護の両立セミナーの定期開催や、希望者への介護ニュース(メールマガジン)配信も行っております。 このような取り組みの結果、2019年8月にはこの分野での高い水準の活動を評価され、厚生労働省より「プラチナくるみん」企業の認定を受け、2020年2月には、「愛知県 ファミリー・フレンドリー企業表彰」を受賞しました。 担当する仕事や役割において、性差なくすべての従業員が活躍することを「めざす姿」とし、女性の一層の活躍に向けた取り組みを強化しております。各部門の男女メンバーによる事務、技術職女性活躍推進プロジェクトが中心となり、女性活躍に関する課題抽出と会社への施策提言を行い、これらをもとに女性活躍推進の行動計画を作成、その計画に基づいてさらなる女性の活躍推進に向けた取り組みを進めております。また、部下の指導や育成を行う管理職を対象としてセミナーを実施し、これまで1,500人を超える管理職に啓発を行っております。さらに、「育児休職前セミナー」への参加など、性別に関わらず介護や育児などの時間的制約のある従業員が置かれている環境の理解、ライフイベントを意識した育成についての啓発も行っております。このような取り組みの結果、男性の育児休職取得率も増加しております。 また、仕事と育児の両立に取り組む従業員が高い目標を持って活躍し、キャリア形成できる環境を整備するため、キャリアの中断からの早期復帰支援制度を充実させております。「終日在宅勤務制度」や、配偶者とともに復職後の働き方を考える「育児休職前セミナー」、1歳未満の子を養育しながら働く従業員に対する「保育費用補助制度」を導入しました。このような取り組みの結果、女性管理職の人数は着実に増加しております。 そして、2016年10月には厚生労働省より、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業に対して与えられる「えるぼし」企業認定を、2019年11月には愛知県から「あいち女性輝きカンパニー」における「優良企業」表彰を受けております。今後、女性が仕事の幅を広げその質を高められるような職場づくりや、生産現場の女性活躍推進の取り組みを継続的に行っていきます。加えて、時間的制約などがあるすべての従業員が自分らしく活躍できる環境整備も推進してまいります。 「障がい者と健常者が一緒に仕事をし、働きがい、生きがいを共有する」という基本的な考えのもと、毎年継続的に障がい者の採用を行っており、入社後さまざまな職場で健常者とともに活躍しております。 高年齢者が生産現場でいきいきと働くことができるよう、身体的負担を減らした職場づくりに力を入れております。取り扱う重量や作業環境などについて、高年齢者に配慮した基準の設置や、デジタル技術を活用し、映像から作業姿勢の身体的負荷を自動で評価する「作業姿勢分析システム」を用いた生産ラインにおける工程改善などを行っております。また、50歳、55歳の節目を迎えた従業員に対し、その先10年の生き方や働き方を考える機会として「いきいきセミナー」を実施しております。 当社グループはリスク管理について、次の項目を基本として取り組んでおります。 ・リスクの未然防止や低減への取り組みを日々の業務の中に織り込み、その実施状況をフォローすること。 ・リスクが顕在化した場合には、迅速かつ的確な緊急対応により、事業や社会への影響を最小化するための適切な行動を徹底していくこと。 当社グループは毎年、品質、安全、環境、人事労務、輸出取引、災害、情報セキュリティなどにおけるリスクの未然防止や低減への取り組みを、各事業部および本社各部門の活動方針に織り込み、推進しております。その実施状況については、CSR委員会や環境委員会などの機能別の会議体で評価、フォローしております。 CSR委員会ではリスク統括責任者を中心に、全社に関わるリスクから特に重点となるもの(重点リスク)を洗い出し、各機能会議体での対策や、複数の機能にわたる新たなリスクへの対策につなげる活動を強化しております。こうした重点リスクへの対応を含め、各事業部および連結子会社のリスク管理レベルの向上を支援するため、本社の安全、品質、環境などの各機能部門は、連結子会社を含むグループ全体的な視点で規則やマニュアルを制定し、業務監査や現場点検などで確認、フォローを行っております。 気候関連リスクをはじめとするサステナビリティ分野の課題やリスクについては、当社グループのCSR重要課題(マテリアリティ)として明確に定義し、管理指標や目標を明確にし、CSR委員会の中で定期的にモニタリングを行っております。 当社グループはサステナビリティに関するリスクを緩和し機会を拡大するため、CSR重要課題(マテリアリティ)において、各分野での取り組み目標と活動、および中期目標値を設定し、活動を推進しております。なお、表中の「(単独)」の表記は、その取り組み目標と活動、および目標値が当社グループではなく当社のものであることを示しております。 気候変動に関する指標および目標は、「① CSR重要課題(マテリアリティ)」に含めております。 人的資本に関する指標および目標は、以下のとおりであります。 当社グループの財政状態、経営成績および株価などに影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループは、車両およびエンジンなどの商品を主にトヨタ自動車株式会社に販売しており、当連結会計年度の販売額は当社グループの総売上高の12.4%となっております。そのため、同社の自動車販売動向によっては経営成績に影響を受ける可能性があります。なお、同社は、当連結会計年度末現在、当社の議決権の24.7%を所有しております。 当社グループは、「魅力ある新商品の開発」という考えのもとに、年々高度化、多様化する市場のニーズを先取りし、お客様の満足が得られるよう、先進技術を導入した積極的な新商品開発を進めております。その主な活動は、現在の事業分野および周辺事業分野での開発、改良であります。この分野での収益が、引き続き、当社グループの収益の大部分を占めると考えており、将来の成長は主にこの分野での新商品の開発と販売に依存すると予想しております。当社グループは、継続して魅力ある新商品を開発できると考えておりますが、「新商品への投資に必要な資金を今後十分充当できる保証はないこと」「市場に支持される新商品を正確に予想できるとは限らず、商品の販売が成功する保証はないこと」「開発した新商品や技術が、知的財産権として必ず保護される保証はないこと」などのリスクをはじめとして、当社グループが市場のニーズを予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場投入ができない場合には、将来の成長を低下させる可能性があります。 当社グループは、事業活動を展開する上で、製品、製品のデザイン、製造方法などに関連する特許などの知的財産権を、海外を含め多数取得しておりますが、出願したものすべてが権利として登録されるわけではなく、特許庁で拒絶されたり、第三者からのクレームにより無効となる可能性があります。第三者が当社グループの特許を回避して競合製品を市場に投入する可能性もあります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、第三者の知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があります。 当社グループは、「クリーンで安全な優れた品質の商品を提供すること」を経営の基本理念のひとつとし、総力をあげて品質向上に取り組んでおります。しかし、すべての商品に欠陥がなく、将来にリコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような商品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を及ぼし、売上げや利益の減少、株価の低下などをまねく可能性があります。 当社グループの収益基盤である自動車事業、産業車両事業をはじめ、各業界における競争は厳しいものとなっております。当社グループの商品は、技術的、品質的、コスト的に他社の追随を許さない高付加価値な商品であると考えておりますが、激化する価格競争の環境下で、市場シェアを維持もしくは拡大することによって収益性を保つことができなくなる可能性があります。このような場合は、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの生産は、原材料、部品を複数の供給元に依存しております。当社グループは供給元と基本取引契約を結び、原材料、部品の安定的な取引を安定的な生産の前提としておりますが、供給逼迫による世界的品不足や供給元の不慮の事故などにより、原材料、部品の不足が生じないという保証はありません。その場合、生産の遅れをまねき、また、原価を上昇させる可能性があります。 当社グループでは、企業の社会的責任の観点から、環境への負荷の低減および適用される法規制遵守に取り組んでおります。具体的には環境規制に適合した商品開発および環境負荷物質の発生を低減する生産工程設計に努めております。しかし、環境に関するさまざまな規制は、今後も改正、強化される傾向にあり、その対応に失敗した場合には、商品の売上げの減少、生産量の限定など、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、コンプライアンスの徹底を事業活動の大前提であり経営の最重要課題の一つと位置付け、国内外の法令遵守はもちろん社会規範に則して事業活動を遂行すべく、体制整備や役員と従業員への教育、啓発などを推進し、コンプライアンスリスクの回避または最小化に努めておりますが、当社グループにおいて重大な法令違反等が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜やブランドイメージの毀損など、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業の拡大などを目的として、提携や合弁などの形で他社との共同による事業活動も行っております。しかし、業界の属するマーケットの変動が激しい場合、あるいは経営、財務およびその他の理由により両者の間で方針の不一致が生じた場合は、効果を享受できない場合があります。 当社グループの事業には、全世界における商品の生産と販売、サービスの提供が含まれております。一般に、他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上げの重要部分を占める米ドルおよびユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。このような可能性を低減するために、原則として先物為替予約などのデリバティブ取引を利用して、為替変動リスクをヘッジしております。 当社グループは、有価証券を保有しており、その多くが上場株式であるため、株価変動のリスクを負っております。各期末日の市場価額に基づき、当社グループは評価差益を認識しておりますが、有価証券に係る評価差益は将来の株価の変動によって減少する可能性があります。また、株価の下落は年金資産を減少させ、年金の積立不足を増加させる可能性があります。 当社グループは、製造ラインの中断によるマイナス影響を最小化するため、生産設備の定期的な検査、点検を行っております。しかし、当社グループならびに仕入先の生産施設で発生する人的、自然的災害、停電などの中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。特に、当社グループの国内工場や、仕入先などの取引先の多くは、中部地区に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、生産、納入活動が遅延、停止する可能性があります。遅延、停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。このような可能性を低減するために、原材料や部品の供給を受ける地域の分散による代替供給手段の確保など、サプライチェーンの最適化に向けて仕入先とともに対策に取り組んでおります。 当社グループは、さまざまな国で商品の生産と販売、サービスの提供を行っております。その国々における予期しない政治的要因、テロ、戦争、感染症の流行などの社会的混乱、経済状況の変化などにより、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの確定給付制度に係る費用および債務は、割引率などの数理計算上の前提条件に基づいて算出されております。したがって、割引率の低下や制度資産の減少など実際の結果が前提条件と異なった場合、または前提条件が変更された場合は、将来の期間に認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。なお、以下の経営成績等は、IFRSに準拠した連結財務諸表に基づいて記載しております。 当期の経済情勢を概観しますと、世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動制限の緩和などにより回復がみられたものの、ウクライナ情勢の影響による原材料、エネルギー価格の高騰を発端とした世界的なインフレ進行、各国の政策金利の引上げに伴う景気後退懸念の高まりなど、先行き不透明感が高まりました。また、日本経済は、急速な円安に伴う物価高騰などの影響により回復は緩やかなものとなりました。このような情勢のなかで、当社グループは、自動車の電動化、物流の自動化といったお客様のニーズや各市場の動きに的確に対応して、販売の拡大に努めてまいりました。 その結果、当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度を6,747億円(25%)上回る3兆3,798億円となりました。 利益につきましては、原材料の値上がり、人件費の増加、物流費の増加などがありましたものの、売上の増加、為替変動による影響、グループあげての原価改善活動の推進などにより、営業利益は前連結会計年度を109億円(7%)上回る1,699億円、税引前利益は前連結会計年度を168億円(7%)上回る2,629億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度を125億円(7%)上回る1,928億円となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 自動車におきましては、市場は日本では前期並みとなったものの、中国や北米が牽引し、世界全体で拡大しました。こうしたなかで、当セグメントの売上高は前連結会計年度を1,650億円(21%)上回る9,578億円となりました。営業利益は前連結会計年度を16億円(5%)上回る346億円となりました。 このうち車両につきましては、トヨタ「RAV4」が国内向けは増加したものの、海外向けが減少したことにより、売上高は前連結会計年度並みの831億円となりました。 エンジンにつきましては、主にガソリンエンジンが増加したことにより、売上高は前連結会計年度を548億円(20%)上回る3,224億円となりました。 カーエアコン用コンプレッサーにつきましては、北米や欧州で増加したことにより、売上高は前連結会計年度を736億円(21%)上回る4,297億円となりました。 電子機器ほかにつきましては、電池やDC-DCコンバーターなどが増加したことにより、売上高は前連結会計年度を370億円(43%)上回る1,225億円となりました。 産業車両におきましては、市場は欧州などで低迷し、世界全体で縮小しました。そのなかで、主力のフォークリフトトラックが主に北米で増加したことにより、売上高は前連結会計年度を4,944億円(28%)上回る2兆2,838億円となりました。営業利益は前連結会計年度を82億円(7%)上回る1,218億円となりました。 繊維機械におきましては、市場は主力の中国を含むアジアで堅調に推移しました。こうしたなかで、紡機や繊維品質検査機器が増加したことにより、売上高は前連結会計年度を151億円(22%)上回る843億円となりました。営業利益は前連結会計年度を23億円(41%)上回る78億円となりました。 資産につきましては、主に営業債権及びその他の債権が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ1,940億円増加し、7兆8,211億円となりました。負債につきましては、主に社債及び借入金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ2,806億円増加し、3兆8,857億円となりました。資本につきましては、前連結会計年度末に比べ865億円減少し、3兆9,354億円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益を2,629億円計上したことにより、1,949億円の資金の増加となりました。前連結会計年度の3,210億円の増加に比べ、1,261億円の減少となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が8,318億円あったものの、定期預金の預入により9,194億円を支出したことや、有形固定資産の取得により2,899億円を支出したことで、4,276億円の資金の減少となりました。前連結会計年度の2,298億円の減少に比べ、1,978億円の支出の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入れによる収入が3,548億円あったことにより、1,836億円の資金の増加(前連結会計年度は921億円の資金の減少)となりました。 これらの増減に加え、換算差額、期首残高を合わせますと、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,027億円となり、前連結会計年度末に比べ443億円(18%)の減少となりました。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループにおける重要な会計方針および見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 2.作成の基礎 (4) 見積りおよび判断の利用」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 3.重要な会計方針」を参照ください。 当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度を6,747億円(25%)上回る3兆3,798億円となりました。利益につきましては、営業利益は前連結会計年度を109億円(7%)上回る1,699億円、税引前利益は前連結会計年度を168億円(7%)上回る2,629億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度を125億円(7%)上回る1,928億円となりました。 売上高の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 営業利益の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 税引前利益は、前連結会計年度を168億円(7%)上回る2,629億円となりました。これは、主に営業利益が前連結会計年度を109億円(7%)上回る1,699億円となったことによります。 親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度を125億円(7%)上回る1,928億円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前連結会計年度の580円73銭に対し、621円17銭となりました。 当社グループの資本の財源および資金の流動性については、次のとおりであります。 当社グループの資金需要の主なものは、研究開発、設備投資、M&Aなどの長期資金需要と当社グループの製品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要であります。 当社グループは研究開発および設備投資に資金を重点的に配分するほか、事業の拡大、持続的発展に資すると判断する場合にはM&A等の投資にも資金を配分する方針であります。 株主還元につきましては、連結配当性向30%程度を目安に配当額を決定しております。配当政策に関する詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照ください。 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財政状態の維持を財務方針としております。 当社グループの財務状況は引き続き健全性を保っており、現金及び現金同等物、有価証券などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行と金融機関からの借入れによる調達などを通じて、現行事業の拡大と新規事業の開拓に必要な資金を十分に提供できるものと考えております。 当社グループは、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社、ムーディーズ・ジャパン株式会社および株式会社格付投資情報センターから信用格付を取得しており、有利な条件での資金調達を実現するため、格付の維持、向上につとめております。 当社グループの資金マネジメントにつきましては、日本国内におきましては、当社が国内子会社を対象に資金集中管理を実施しており、北米におきましては、トヨタ インダストリーズ ノース アメリカ株式会社(以下、「TINA」という。)が北米の子会社の資金集中管理を実施しております。また、欧州におきましては、トヨタ インダストリーズ ファイナンス インターナショナル株式会社(以下、「TIFI」という。)が、欧州の子会社の資金集中管理を実施しております。 当社とTINA、TIFIが緊密な連携をとることにより、資金効率の向上をはかっております。 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。 当社グループは、提出会社を中心に「魅力ある新商品の開発」という考えに基づき、年々高度化、多様化する市場のニーズを先取りし、お客様の満足度向上に向けて先進技術を導入した積極的な新商品開発を進めております。その主な活動は、既存事業および周辺事業の分野での開発、改良であります。 具体的な取り組みとしましては、省エネルギーや電動化、軽量化を中心とする環境技術や自動化関連技術に磨きをかけ、それらを主力事業である自動車および産業車両の新商品に展開しております。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は111,877百万円(資産計上分含む)であります。なお、この中には受託研究等の費用7,093百万円が含まれております。セグメントごとの主な内訳は次のとおりであります。 自動車セグメントにおきましては、ディーゼルエンジンや、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車など電動車向けの電動コンプレッサーおよび電源機器、ハイブリッド車用の車載電池などの開発に取り組みました。 産業車両セグメントにおきましては、エネルギー効率を高めた電動フォークリフトトラックやフォークリフトトラックの次世代モデル、産業車両機器の自動化技術、物流ソリューションに対応するシステム機器などの開発に取り組みました。 これらセグメント別の研究開発費は、自動車セグメントが47,121百万円、産業車両セグメントが56,282百万円、繊維機械セグメントが5,004百万円、その他セグメントが3,468百万円であります。
琉球セメント株式会社
# 琉球セメント株式会社 当社グループ(当社および連結子会社)は昭和34年10月、初代社長宮城仁四郎を中心に、県内唯一のセメント製造企業として設立された当社(琉球セメント株式会社)を中心として企業グループを構成している。 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社(琉球セメント株式会社)、子会社11社、関連会社6社により構成され、セメントおよびセメント関連製品の製造・販売を中心に、鉱産品の製造・販売および建設資材の販売、セメント輸送を主たる業務としている。 当社グループの事業内容および当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりである。 なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報)」に掲げるセグメント情報の区分と同一である。 当社がセメントを製造・販売している。 てだこ建材㈱、久米島琉球セメント販売㈱は、当社のセメントを販売している。 ㈲昭進汽船、琉球運送㈱、㈱ロジテム琉球は、セメント輸送を行っている。 琉球生コン㈱、てだこ建材㈱、琉栄生コン㈱、西崎生コン㈱、㈱南成生コン工業、協栄生コンクリート㈱、共立生コン工業㈱は、生コンクリートの製造・販売を行っている。 当社が石灰石原石の販売および砕石、砕砂を製造・販売している。㈱琉球鉱山開発が石灰石の採掘、波原産業㈱が砂利採取販売を行っている。 当社が建設資材・機械の仕入・販売および電力向け石炭他の仕入・販売等を行っている。 当社が土質安定剤の製造・販売、白色セメントの仕入・販売及び廃棄物の処理等を行っている。 琉球興業㈱が不動産の管理を行っている。 ㈱南西建設が土木建築工事を請負っている。 沖縄アンホ㈱は、硝安油剤爆薬の製造・販売を行っている。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりである。 当社から原料のセメント他を供給している。 当社から原料および販売目的のセメントを供給している。土地の賃借。 当社から原料のセメント他を供給している。土地の賃借。 当社の製品の輸送を請負っている。 当社の製品の輸送を請負っている。 資金援助。 を供給している。 当社の製品・原料の輸送を請け負っている。 当社の石灰石鉱山の採掘を請負っている。 当社から原料のセメントを供給している。 当社グループには、当社(琉球セメント株式会社)に琉球セメント労働組合(組合員数78人)が組織されており、日本化学エネルギー産業労働組合連合会に属している。 なお、労働組合との関係は円満に推移しており、特記すべき事項はない。 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略している。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 当社グループは、「郷土の資源で郷土をつくる」を経営理念に掲げ、お客様の期待する製品を提供することを通して郷土の発展に貢献する。また、環境に配慮した循環型社会の形成に寄与する企業を目指している。 当社グループは「中期経営計画」において、①事業戦略(収益力の維持・強化)②経営基盤の強化③脱炭素社会・環境問題への取り組みと貢献の3つの方針を柱としている。また、経営環境の変化を機会と捉え、セメントメーカーとして持続的成長に繋げ、事業活動を通してSDGsの達成に貢献していくことを基本方針としている。 当社グループは事業活動の成果を示す売上高、営業利益を重要な経営指標と位置づけ、この向上を目指し、経営効率化に努めていく。 なお、重要な経営指標については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)資産・負債・純資産の分析」に記載のとおりである。 今後の見通しについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進む中、景気が持ち直していくことが期待されるが、資材価格の高騰など、建設投資需要への影響が懸念され、先行きは不透明な状況で推移するものと予想される。また、カーボンニュートラルにおいては、資源リサイクルが可能な産業としてその期待が高まっている。 このような状況に対処するため、セメントおよびセメント関連部門では、石炭の安定調達に努め、ユーザーの皆様のご理解を得ながら、販売価格の適正化に取り組み、安定操業の継続を図り、郷土の資源を有効に活用しながら持続的な地域社会発展のため、高品質なセメントを提供していく。 鉱産品部門については、中長期的な計画に基づく効率的な採掘・生産体制の整備により、県内インフラ整備に貢献していく。 商事部門では、新たな市場・新規取扱商品の発掘に力を入れ、売上の拡大と収益の向上を引き続き図っていく。 環境事業部門では、県内で排出される廃棄物の受入品目や受入処理量を増やし、セメント原料および熱エネルギー原料として再利用することで資源循環型社会への更なる貢献を果たし、沖縄県における唯一のセメント工場である屋部工場の必要性の向上を図っていく。また、将来の新たな収益源としての新規事業についても取り組んでいく。 これらの課題の達成により業績の向上を図り、経営基盤の確立強化に努めていく。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 全従業員の行動規範として企業倫理規定が制定され、「人類共通の課題である地球環境の保全へ自主的に取組む」ことを定めている。また、経営方針としても重要な取り組みについては、中期経営計画に反映され、取締役会への報告・承認を行っている。 事業活動を通して沖縄県の資源循環型社会の実現に貢献できるよう、環境負荷低減に向けた工場の省エネ化、廃熱の活用による効率的なエネルギー利用の向上、廃プラスチックや木くずなどの廃棄物受入拡大による温室効果ガスの削減などに取り組んでいる。 多様な人材を育成する事が会社の持続的成長につながると認識し、「経営人材の育成」「働き方の多様化を推進する労働環境の整備」を経営方針として人材育成に取り組んでいる。 当社グループはリスク管理規程を制定し、リスク管理ガイドラインおよび危機管理ガイドラインを定めている。リスクについては、毎期リスクの測定を行い、経営に対する影響と顕在化の可能性が高いリスクについては、重点リスクとして全社的な対策を検討している。 セメント協会が公表した「脱炭素社会を目指すセメント産業の長期ビジョン」「セメント業界のカーボンニュートラル行動計画目標」を基本的な指標とし、産業廃棄物の処理拡大や省エネ設備への更新、新たな技術革新によるイノベーションの導入等を検討し、温室効果ガスを削減する事を目指していく。 また、当社は働き方の多様化を推進するため、育児休業取得率、平均残業時間、有給休暇取得率を指標としている。 育児休業取得については、当事業年度の男性育児休業取得率は80%であった。 従業員の一月当たりの平均残業時間は3.9時間となっており、厚生労働省「毎月勤労統計調査」(令和3年2月確報)における製造業の平均残業時間13.3時間と比較すると高水準を維持している。 有給休暇取得率についても、当事業年度は75.4%となっており、前事業年度72.4%に比べ、3.0%の改善傾向にある。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 当社グループの主要事業であるセメントおよびセメント関連事業は、事業を展開する沖縄県内市場において経済のグローバル化により再度輸入品が市場へ展開された場合、厳しい価格競争にさらされるリスクがある。また、当社は日本国内最小のセメントメーカーであり、国内の他の競業会社は規模が大きく、価格面で当社グループよりも競争力を有していると考えられる。そのため競業会社の販売圧力が激しくなると価格競争の激化により、販売体制の継続が維持できなくなることも考えられ、その様な事態に陥った場合は、財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、セメント工場および生コン工場を県内各地に有しており、顧客ニーズへの迅速な対応が可能である他、環境事業において産業廃棄物を受け入れ資源循環型社会に貢献する等、他社との差別化を図り競争力の強化を図っている。 当社グループの主要製品であるセメントの国内需要は、公共投資が抑制される事となった場合、減少傾向の影響を受ける。そのため、当社グループではそのような環境変化に対応するため、製造過程における廃棄物処理拡大および生産・物流コストの低減等の収益性の向上を図るための諸施策を実行しているが、今後の国の政策及び市場の悪化により更に需要が急速に減少した場合、当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、鉱産品事業の他、商事関連事業や環境事業等、事業の多角化を進め、事業リスクの低減に努めている。 当社グループの主要製品であるセメントは、石炭を主要な原材料として海外から調達し使用している。当社グループでは、調達コストの抑制・安定調達、設備投資による石炭使用量の低減に努めているが、石炭の価格および為替レートの急激な変動が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは環境事業において、石炭および原燃料の代替品となる廃棄物の受入拡大を進め、生産体制の強化によるリスク低減に努めている。 当社グループは、地震、津波、台風、豪雨などの大規模な自然災害により生産設備が被災した場合や産業事故などの中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はない。また主要製品であるセメントは、沖縄県内の1工場にて生産しており、操業を中断する事象が発生した場合や修復時の費用によって業績に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは自然災害からの早期復旧や産業事故を未然に防止するため、「リスク管理規定」および「危機管理ガイドライン」に即して対応する他、生産設備の定期的な点検・補修並びに安全対策を行い、製造ライン中断の予防に努めている。 当社グループは、今後、温室効果ガスの排出や化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、セメント事業を中心に当社グループの事業活動が制約を受けたり、費用が増加したりする可能性がある。 また、環境に影響する重大な事故等による影響を完全に防止または軽減できる保証がなく、当社グループ製造ラインで環境に影響する重大な事故等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは気候変動の緩和に向け、温室効果ガスの削減や環境負荷低減を進めるべく、廃棄物受入量の拡大や設備の省エネルギー化を目指し取り組んでいる。 また、環境に関する様々な影響を最小限化するため、環境マネジメントシステムに準じた環境法令等に基づく監視や点検、環境方針に基づく目的目標の設定・進捗管理を行い、リスクの低減に努めている。 当社グループは、離島セメントセンター他、県内各地で事業運営をしており、新型コロナウイルス等、感染症の拡大により従業員に感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性がある。 また、感染症の流行による経済活動の停滞により、建設工事の延期や民間の設備投資が抑制され、セメント需要にマイナス影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、中期経営計画に基づき、再投資可能な適正価格の確保に努めるほか、コスト削減に取り組み、収益の安定性を高めていく。また、事業復旧の早期化を図るため、業務継続計画を策定し、事業停止リスクの低減に努めている。 当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染の抑制と経済活動の両立が進み、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられたが、ウクライナ情勢の長期化や急激な円安の影響による資源・エネルギー価格の高勝など、景気の先行きは不透明な状況が続いた。 国内セメント業界においては、民需では都市部再開発工事や物流関連施設新増設の活発化により一定の需要がある一方、官公需については建設現場の慢性的な人手不足や天候不順により、セメント需要は4年連続で減少し、前期比1.6%減の3,728万トンとなった。また世界的な石炭価格の高騰により、未曾有のコスト高となっているセメント各社の業織は急激に悪化しており、事業存続に向けてセメント価格の大幅な値上げに踏み切った。 一方県内経済は、全国旅行支援や水際対策の緩和により観光関連や個人消費に回復の動きがみられた。建設関連は、公共工事で底堅く推移し、民間工事で工事再開などにより一部で持ち直しがみられたものの、全体としては弱い動きとなった。 その中にあって県内セメント需要は、公共・民間工事ともに前年に引き続き低水準で推移し、前期比1.1%滅の75万トンとなった。 このような状況のもとで、当社は経営基盤の強化ならびに廃棄物の再資源化により、環境問題や地域貢献に取り組んできた。 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高16,450,804千円(前年同期比3.7%増)、営業利益434,450千円(同79.8%減)、経常利益601,016千円(同74.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益522,061千円(同70.2%減)となった。 セグメントの業績は次のとおりである。 セメントおよびセメント関連事業において、セメントの沖縄県内販売量は前年に引き続き低調な出荷となり、前期比4.1%減の26万トンとなった。また、生産受託品を加えた総販売量は前期比1.1%減の51万トンとなった。セメント価格の改定により、売上高は6,836,634千円(同9.6%増)、営業損失は原燃料の高騰により、1,578,413千円(前年同期は営業損失92,327千円)となった。 鉱産品事業においては、新規顧客の獲得や価格改定により、売上高は7,484,859千円(同3.8%増)、営業利益は、販売量の減少および採掘コストの増加等により、1,584,120千円(同14.0%減)となった。 商事関連事業においては、車両機械販売の反動減等により、売上高は1,326,155千円(同12.2%減)となり、営業利益は417,356千円(同9.9%増)となった。 その他の事業においては、リサイクル事業で県内土木工事における建設発生土等が減少したことなどにより、売上高は803,155千円(同10.5%減)、営業利益は11,387千円(同58.2%減)となった。 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。 当社グループ(当社および連結子会社、以下同じ。)は見込み生産を行っているため、該当事項はない。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。 当連結会計年度末の総資産残高は、前連結会計年度に比べ2,805,483千円(前年同期比10.6%増)増加し、29,194,292千円となった。 流動資産については、棚卸資産の増加等により840,602千円(同7.8%増)増加の11,579,548千円となった。 固定資産については、構築物等の新規取得により1,964,880千円(同12.5%増)増加の17,614,743千円となった。 負債は、前連結会計年度末に比べ、2,496,445千円(同38.3%増)増加し、9,003,284千円となった。 流動負債については、短期借入金の増加等により、502,965千円(同9.6%増)増加の5,737,070千円となった。 固定負債については、長期借入金の増加等により、1,993,480千円(同156.6%増)増加の3,266,213千円となった。 純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が増加したため、309,037千円(同1.5%増)増加の20,191,008千円となった。 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については次のとおりである。 中期経営計画では下記のとおり計画していたが、売上高は計画比1,911百万円減(10.4%減)、営業利益は計画比2,546百万円減(85.4%減)となった。 売上高については、セメントおよびセメント関連部門でセメント価格の改定および、鉱産品事業で新規顧客の獲得などにより、前年を上回る結果となった。 営業利益については、原燃料コストが上昇したことで減少している。 当連結会計年度における売上高は16,450,804千円(前年同期比3.7%増)、売上原価は14,494,735千円(同19.4%増)、営業利益は434,450千円(同79.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は522,061千円(同70.2%減)となった。セメントおよびセメント関連事業においては、民間工事の減少を受け、低調となったものの、鉱産品事業が堅調に推移したことにより、全体としては、売上高は前連結会計年度を上回ったが、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、石炭高騰による製造コストが大幅に上昇したことで前連結会計年度を下回った。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりである。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、営業活動によって537,722千円の増加、また投資活動においては2,534,582千円減少、財務活動においては2,336,945千円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ390,131千円の増加となった。その結果、当連結会計年度末には4,001,497千円となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とこれらの要因は次のとおりである。 当連結会計年度末において営業活動による得られた資金は、537,722千円(対前年同期2,103,487千円減)となった。主な要因は、税金等調整前当期純利益723,597千円および棚卸資産の増加1,010,238千円などによるものである。 当連結会計年度末において投資活動により使用した資金は、2,534,582千円(同1,289,990千円減)となった。主な要因は、有形固定資産の取得3,089,497千円及び有形固定資産の売却455,491千円などによるものである。 当連結会計年度において財務活動により得られた資金は、2,336,945千円(同3,319,684千円増)となった。主な要因は長期借入金の調達2,614,147千円などによるものである。 当社は資源循環型社会への貢献を果たしながら継続的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出力を高め、健全な財務体質の維持および、有利子負債の圧縮に努める事により安定したキャッシュ・フローを確保することが可能であると考えている。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりである。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものとなっている。 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としている。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としている。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。 該当事項はない。 特に記載すべき研究開発活動は行っていない。
UBE株式会社
# UBE株式会社 匿名組合沖ノ山炭鉱設立。 匿名組合宇部新川鉄工所設立。 宇部セメント製造㈱設立。 宇部窒素工業㈱設立。 宇部興産㈱(現・UBE㈱)設立(上記4社合併)。 東京証券取引所等上場。 中央研究所(現・医薬研究所)開設。 伊佐セメント工場新設。 宇部カプロラクタム工場新設。 ニューヨーク駐在員事務所(現・UBE America Inc.、連結子会社)、デュッセルドルフ駐在員事務所(現・UBE Europe GmbH、連結子会社)開設。 千葉石油化学工場(現・UBEエラストマー㈱、連結子会社)新設。 苅田セメント工場新設。 堺工場新設。 宇部鉱業所閉山。 高分子研究所(現・みらい技術研究所)開設。 宇部アンモニア工業㈱(宇部アンモニア工業㈲へ商号変更、現・UBE㈱が合併)設立。 沖ノ山コールセンター完成。 145千KW石炭専焼自家発電所完成。 Productos Quimicos del Mediterraneo, S.A.(現・UBE CORPORATION EUROPE S.A.U.、連結子会社)の経営権獲得。 Thai Caprolactam Public Company Limited(現・UBE Chemicals (Asia) Public Company Limited、連結子会社)、UBE Nylon (Thailand) Limited(現・UBE Chemicals (Asia) Public Company Limited、連結子会社)操業開始。 創業100周年。 宇部興産機械㈱(現・UBEマシナリー㈱、連結子会社)設立。 宇部日東化成㈱(現・宇部エクシモ㈱、連結子会社)を株式交換により完全子会社化。 宇部丸善ポリエチレン㈱(現・持分法適用関連会社)設立。 Thai Caprolactam Public Company LimitedとUBE Nylon (Thailand) Limitedを合併し、合併新会社UBE Chemicals (Asia) Public Company Limited(現・連結子会社)を設立。 宇部興産機械㈱(現・UBEマシナリー㈱)は宇部テクノエンジ㈱を合併。 UBE CORPORATION EUROPE S.A.U.(現・連結子会社)はUBE CHEMICAL EUROPE, S.A.U.とUBE ENGINEERING PLASTICS, S.A.U.を合併。 大阪研究開発センター開設。 宇部興産機械㈱(現・UBEマシナリー㈱)はU-MHIプラテック㈱を合併。 宇部アンモニア工業㈲を合併。 C統合準備㈱(現・UBE三菱セメント㈱、持分法適用関連会社)設立。 UBEエラストマー㈱(現・連結子会社)設立。 商号をUBE㈱に変更。 セメント関連事業をUBE三菱セメント㈱(現・持分法適用関連会社)に承継。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。 ㈱エーピーアイコーポレーション(現・連結子会社)の株式取得。 当社グループは、当社及び関係会社65社(2023年3月31日現在)から構成され、その主な事業内容と当社及び主要な関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。 なお、事業区分は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一です。 また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財 務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。 当社は、ポリイミド、分離膜、セラミックス等の製造・販売を行っております。 宇部エクシモ㈱は当社機能品事業の一環として、電子・情報通信関連製品等の製造、販売を行っております。 宇部マクセル㈱は当社機能品事業の一環として、リチウムイオン電池用セパレータの製造、販売を行っております。 また、これらの連結子会社2社のほか連結子会社1社、非連結子会社1社、関連会社4社が機能品事業を営んでおります。 当社は、コンポジット、ナイロンポリマー、カプロラクタム(ナイロン原料)、硫安、工業薬品、ファインケミカル、高機能コーティング等の製造・販売を行っております。 宇部フィルム㈱は当社樹脂・化成品事業の一環として、ポリエチレン製品の製造、販売を行っております。 UBEエラストマー㈱は、当社樹脂・化成品事業の一環として、ポリブタジエン(合成ゴム)及びその原材料の製造、販売を行っております。 THAI SYNTHETIC RUBBERS COMPANY LIMITEDは当社樹脂・化成品事業の一環として、タイでポリブタジエンの製造、販売を行っております。 UBE CORPORATION EUROPE S.A.U.は当社樹脂・化成品事業の一環として、スペインでコンポジット、ナイロンポリマー、カプロラクタム、硫安、ファインケミカル、高機能コーティング、その他製品の製造、販売を行っております。 UBE Engineered Composites, Inc.は、当社樹脂・化成品事業の一環として、アメリカでコンポジットの製造・販売・受託加工を行っております。 UBE Chemicals (Asia) Public Company Limitedは当社樹脂・化成品事業の一環として、タイでコンポジット、ナイロンポリマー、カプロラクタム、硫安の製造、販売を行っております。 UBE Fine Chemicals (Asia) Co., Ltd.は当社樹脂・化成品事業の一環として、ファインケミカル、高機能コーティングの製造、販売を行っております。 また、これらの連結子会社7社のほか連結子会社3社、非連結子会社4社、関連会社10社が樹脂・化成品事業を営んでおります。 UBEマシナリー㈱は機械事業を統括するとともに成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械(窯業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、橋梁等の製造、販売を行っております。 UBE Machinery Inc.は米国で成形機の販売、アフターサービスを行っており、またUBEマシナリー㈱は同社へ製品及び部品の販売を行っております。 ㈱宇部スチールはグループ機械事業の一環として、製鋼品及び鋳造品の製造、販売を行っております。 ㈱福島製作所はグループ機械事業の一環として、舶用機械及び産業機械の製造、販売を行っております。 また、これらの連結子会社4社のほか連結子会社3社、非連結子会社4社が機械事業を営んでおります。 当社は、医薬品(原体・中間体)等の製造・販売、電力供給、不動産の売買・賃貸借及び管理等を行っております。 ㈱エーピーアイコーポレーションは当社医薬事業の一環として、医薬原薬、医薬中間体、治験薬製造受託品、R&D受託品及び化成品等の製造・販売を行っております。 UBE CORPORATION AMERICA INC.は米国における子会社の統括を行っております。 UBE America Inc.は当社及び当社関係会社の製品を米国市場で販売しております。 宇部興産(上海)有限公司は当社及び当社関係会社の製品を中国市場で販売しております。 UBE Europe GmbHは当社及び当社関係会社の製品を欧州市場で販売しております。 また、これらの連結子会社5社のほか連結子会社10社、非連結子会社1社、関連会社3社がその他事業を営んでおります。 また、この持分法適用関連会社1社のほか連結子会社1社、関連会社1社がセメント関連事業を営んでおります。 なお、セメント関連事業はセグメント情報の「調整額」の区分に含めております。 以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。 当社機能品事業の一環として、電子・情報通信関連製品等の製造、販売を行っております。 当社機能品事業の一環として、リチウムイオン電池用セパレータの製造、販売を行っております。 当社樹脂・化成品事業の一環として、ポリエチレン製品の製造、販売を行っております。 当社樹脂・化成品事業の一環として、ポリブタジエン及びその原材料の製造、販売を行っております。 当社樹脂・化成品事業の一環として、タイでポリブタジエンの製造、販売を行っております。 当社樹脂・化成品事業の一環として、スペインでコンポジット、ナイロンポリマー、、カプロラクタム、硫安、ファインケミカル、高機能コーティング、その他製品の製造、販売を行っております。 当社樹脂・化成品事業の一環として、アメリカでコンポジットの製造・販売・受託加工を行っております。 当社樹脂・化成品事業の一環として、タイでコンポジット、ナイロンポリマー、カプロラクタム、硫安の製造、販売を行っております。 当社樹脂・化成品事業の一環として、ファインケミカル、高機能コーティングの製造、販売を行っております。 成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械(窯業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、橋梁等の製造、販売及び当社グループの機械事業を統括しております。 米国で成形機の販売、アフターサービスを行っており、またUBEマシナリー㈱は同社へ製品及び部品の販売を行っております。 グループ機械事業の一環として、製鋼品及び鋳造品の製造、販売を行っております。 グループ機械事業の一環として、舶用機械及び産業機械の製造、販売を行っております。 当社医薬事業の一環として、医薬原薬、医薬中間体、治験薬製造受託品、R&D受託品及び化成品等の製造・販売を行っております。 米国における子会社の統括を行っております。 当社及び当社関係会社の製品を米国市場で販売しております。 当社及び当社関係会社の製品を中国市場で販売しております。 当社及び当社関係会社の製品を欧州市場で販売しております。 セメント関連製品の製造・販売及びセメント関連事業を統括しており、当社に原材料の石炭等を供給しております。 当社グループ(当社及び連結子会社)従業員の大多数が加入するUBE労働組合は、会社と円満な労使関係を維持しております。上部団体としては化学総連に加盟しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 120年を超える歴史を刻む当社グループは、「共存同栄」と「有限の鉱業から無限の工業へ」を創業の精神として受け継ぎ、時代と産業構造の変化に対応しながら、新たな技術への挑戦と自己変革を重ねて業容を拡大してまいりました。今後ますます多様化・複雑化するニーズに応えながら、下記の当社グループのパーパス(存在意義)を全うすべく経営理念と経営方針に基づき、未来につながる、新たな価値を創出するための事業活動をグローバルに展開するとともに、ESG(環境・社会・コーポレートガバナンス)への取組みを一層充実し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。また、株主を始め顧客、取引先、従業員や地域社会等のあらゆるステークホルダー、更には地球環境との共生を実践し、これらに貢献する価値創出企業であり続けます。 当社は、2022年4月に「UBE株式会社」という新社名の下、化学事業持株会社へと経営構造を転換し新たなスタートを切りました。今後は、スペシャリティ化学の企業グループとしてグローバルに持続的成長を図るとともに持続可能な社会への貢献に取り組み、機械事業やセメント関連事業については、持株会社としての経営を推進し、UBEグループとしての企業価値の最大化を図ります。 当社グループは、長期ビジョン「UBE Vision 2030 Transformation」で描いた目指す姿の実現に向け、直近3カ年のアクションプランとして中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」(対象期間:2022年度~2024年度)を策定し、以下の基本方針及び数値目標を掲げております。 この目指す姿の実現に向け、「エネルギー負荷の低い」、「市況変動に左右されにくい」、「収益性の高い」スペシャリティ製品を主体とする事業構造への転換を進めてまいります。また、こうした事業構造改革と省エネ推進・プロセス改善等の施策により、温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標の達成を目指すとともに、環境に貢献する製品や技術の開発と実用化を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 当連結会計年度においては、世界経済はロシアによるウクライナ侵攻の長期化、新型コロナウイルス感染再拡大に伴う中国のロックダウン、半導体をはじめとした部品不足の長期化やサプライチェーンの混乱等、多くの不安定要因が発生し、当社事業においては、エネルギーコストや原材料価格の高騰、物価上昇等に伴う需要減退の影響を受けました。これら地政学的リスクの深刻化、エネルギーコストや原材料価格の高騰、物価上昇や金利上昇に伴う需要減退の懸念等から今後も先行きが見通しづらい状況が続くものと予測されます。 こうした状況に加え、地球温暖化、海洋プラスチック等の環境問題、自然災害の増加、インフラの老朽化、少子高齢化等、持続可能な社会創出のための諸課題への対応が企業活動に求められており、更には、DXによる競争優位性の変化、健康や安全・安心についての意識の更なる高まり等、経営環境の変化のスピードも一段と速まっております。 当社グループはこれらの経営環境を踏まえ、ナイロンポリマー・カプロラクタム及びセメント関連事業において需要低迷や原燃料価格上昇の影響を受けて最終損失となりましたが、スペシャリティ化と地球環境問題への取組みを強く意識した事業構造改革を着実に進めながら、業績の回復と収益基盤の強化を図るとともに、将来の更なる成長を推進してまいります。すべてのステークホルダーに価値を創出し続けていくために、中期経営計画における5つの基本方針の着実な実行を重要な課題として認識しております。 技術力やバリューチェーンにおける強みをベースに付加価値を創出することで高収益を実現できるスペシャリティ事業に経営資源を重点的に投入し、一層の成長・拡大を図ります。需要拡大に対応したポリイミド、分離膜、コンポジット、ファインケミカル(C1ケミカル)、高機能コーティング等の能力増強や北米での生産拠点新設を進め、グローバルでの事業拡大と利益成長を目指してまいります。 他方、ベーシック事業については更なるコスト競争力の強化とともに、ナイロンポリマー、硫安、工業薬品、エラストマー等での高付加価値グレードの拡充並びに環境貢献型製品の開発や上市への取組みを推進し、安定的なキャッシュ・フローと着実な収益の上乗せを図ってまいります。 石炭を主要なエネルギー源として事業展開してきた当社グループは、エネルギー多消費型の事業構造を変革することが大きな課題であると認識しております。2021年4月に「UBEグループ 2050年カーボンニュートラルへの挑戦」を宣言し、自らの事業活動から排出されるGHGの実質排出量ゼロに挑戦するとともに、環境に貢献する製品・技術に関わる研究開発の推進とイノベーションの実用化により、社会全体のカーボンニュートラルへの貢献を目指すことといたしました。2030年度までの中期目標として、GHG排出削減率を50%(2013年度比)、環境貢献型製品・技術の連結売上高比率を60%以上にすることを目指しております。 こうした目標の達成に向け、中期経営計画期間においては生産活動における徹底した省エネ推進・プロセス改善に継続的に取り組むとともに、再生可能エネルギーを最大限活用し、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、グローバルな最適生産体制構築のため国内ナイロンポリマーの海外へのシフトを進めるとともに、エネルギー負荷が高く中長期的に収益力の改善も見通しづらい国内カプロラクタムは、2024年度に主要期系の停止により減産する検討を深めてまいります。 ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進のため、特に日本国内では、女性が働きやすく働き甲斐がある制度と環境整備の推進、専門性の高いキャリア採用や外国人採用の拡充等を進めるとともに、グループ全体でワークエンゲージメントの向上に取り組んでまいります。 新たに設置したDX推進室が主体となり、デジタル人財の育成を推進し、デジタル技術を活用した業務効率化とともに、新たな顧客価値や新規事業の創出を加速いたします。 化学事業会社として、グループ・カバナンスのレベルアップに努めるとともに、機械事業やセメント関連事業については、持株会社としてのガバナンス体制の整備、運用を通して、UBEグループの企業価値の最大化に努めてまいります。 長期ビジョンの目指す姿とともに、今後の市場の成長期待、UBEグループの有する強み、収益性等を踏まえて、化学分野の主要事業・製品の位置づけを明確にするとともに、経営資源投入の判断にも活用いたします。 中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」においては、最終年度となる2024年度の数値目標を次のとおり設定しております。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループのサステナビリティの推進とは、企業の経営そのものと捉えております。スペシャリティ化学を中核とする企業グループとしてのパーパスを全うするため、経営資源を効果的に活用し、社会に新たな価値を創出することで持続的成長を図ります。その礎となる持続可能な社会の実現に向けて、「UBEグループサステナビリティ基本指針」をグループ全ての役員・従業員に徹底させるとともに、「成長」「環境」「社会」「経営」それぞれのマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に積極的に取り組んでおります。 サステナビリティ推進体制としては、サステナビリティの各専門委員会等で個別のサステナビリティ事項を検討し、全体として取締役会と経営会議にその取組みを報告し、指示を受けております。 当社では、当社グループのリスクを適切に管理しリスクが顕在化した場合の損害を最小限にするために、取締役会決議にて制定した「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、リスク管理規程を定め当社グループ全社を対象にしたリスクマネジメント制度を実施しております。本制度では、当社グループのリスクマネジメントに関する業務を統括・推進するために取締役、執行役員の中から社長が指名するチーフ・リスク・オフィサー(以下CROという)を選任し、CROを補佐しリスクマネジメントの事務局となるリスク管理部を設置しております。 当社グループ全体に影響をおよぼす重要なリスクについては、リスク管理委員会に報告、審議した後、経営会議に付議し、リスクの認定と管理方針や対策の有効性等を審議いたします。また、取締役会は、その審議内容について、定期的に報告を受けることでモニタリングを行っております。この重要(重大)なリスクに関しては、リスクごとに「リスクテーマ役員」を定め、当該役員が全社俯瞰的な観点から当該リスクやその対策の有効性を評価し、対策の実施部署に対して次年度のリスク対策等を指示・指導を行う体制を整備しております。 経営に対する影響度の特に大きい重要なリスクについては、成長・環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の4項目に分類しております。GHG排出量の多い企業として、最も重要なリスクは「環境」であるとの認識のもと、GHG排出量削減への能動的な取組みと環境貢献型製品・技術を一層拡大することで、環境リスクを低減させるだけでなく、リスクを機会に転じさせることを目指しております。地球環境問題等の当社グループが抱える諸リスク、社会の持続的な発展に向けたグローバルなコンセンサス、環境負荷低減に貢献する当社グループの技術力等を総合的に勘案し、当社グループの持続的な成長に重要な影響を与えるマテリアリティを特定し、取締役会へ報告しております。 当社グループにとってカーボンニュートラルや地球環境問題は大きな課題であり、中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」においても、化学事業の成長戦略と地球環境問題への取組みについては、一体のものとして捉え、当社グループの持続的な成長及び企業価値向上にとっての最重要課題であると認識しております。 この地球環境問題の課題解決をチャンスと捉え、スペシャリティ化学を中核とする企業グループを目指しグローバルに持続的成長を図ってまいります。 当社グループでは、地球環境問題に関する課題の把握や対策を講じる地球環境問題対策委員会を設置しております。代表取締役社長が議長を務める経営会議は、地球環境問題対策委員会から審議内容の報告を受け、検討後、適宜指示を行い、継続的に対策の進捗状況を確認しております。また、重要事項については年1回、取締役会に上申・報告をしております。 気候変動対応による低炭素・脱炭素社会への移行を前提に2030年以降の考えられる姿(シナリオ)を複数検討し、それぞれのシナリオに沿って当社グループのリスク及び機会(チャンス)を分析し、必要とされる戦略を策定しております。 移行シナリオとして2℃シナリオと4℃シナリオの2つ、物理シナリオを検討・作成しました。それぞれのシナリオにおけるUBEのリスク及び機会を分析しております。その結果、それぞれのシナリオにおいて、顕在化が想定されるリスクによる影響は免れられないものの、同時に顕在化が想定される機会を取り込むことによって、持続的な企業価値の向上が可能であることを確認しました。 上記のシナリオ分析の結果、2030年近傍の財務影響度、影響の可能性が大きいものについてまとめたものが次のとおりです。 当社グループでは、気候変動対応を、リスク情報の一元管理や対策の実施状況等のモニタリングで活用しているリスク管理システムに登録し、管理しております。リスク管理システムに登録されたリスクは、それぞれの影響度に応じて重要(重大)リスク、ミドルリスク、マイナーリスクに分類され、経営における重要(重大)なリスクは、経営会議で審議され、具体的な戦略・施策へ反映されます。 気候変動対応は、地球環境問題として経営会議で審議され、取締役会に定期的に報告されます。それらの過程で、当社グループ全体としての気候変動に関するリスクとして識別・特定され、特定された気候変動関連のリスクについては、環境安全部担当役員を委員長とした全社的横断組織となる地球環境問題対策委員会にて、対策及び取組み方針等が立案・実施されます。 当社グループは、地球環境問題への取組みに関する2030年度の目標を見直し、下記のとおり新たな目標を策定しました。 当社グループは、2030年目途に国内のアンモニア生産を停止することを検討するとともに、スペシャリティ化学へ事業転換を図ることによって、上記のGHG排出量削減目標を達成できる見込みです。 なお、2022年度のGHG排出量は、省エネ活動等の取組みにより382万トンとなりました。これはUBE三菱セメント㈱へ移管されたセメント関連事業を除いて集計したものであり、同範囲で集計した2013年度と比較して19%のGHG排出量削減となっております。また、2022年度の環境貢献型製品・技術の連結売上高比率は、46%となりました。 当社グループは2021年4月26日に、「UBEグループ 2050年カーボンニュートラルへの挑戦」を宣言しました。自らの事業活動から排出されるGHGの実質排出ゼロに挑戦するとともに、環境に貢献する製品・技術に関わる研究開発のイノベーションの実用化により、社会全体のカーボンニュートラルに貢献していくことを目指します。 生産活動における徹底した省エネ推進・プロセス改善に継続的に取り組むとともに、再生可能エネルギーの利用の最大化や化石資源利用の極小化等を推進します。 更に2050年のカーボンニュートラル達成には革新的な技術開発が不可欠であることから、中長期的な視野で、他社等との協業を含めた原料の非化石化やCO2利活用技術の研究開発・実用化にも取り組みます。 環境貢献型製品・技術の開発を推進し、より多くのお客様に提供することで、当社グループ及び社会全体のカーボンニュートラルへの貢献を目指します。当社グループでは、ISO14001:2015改訂版をもとにガイドラインを策定し、環境貢献型製品・技術を定義しております。 当社グループは、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を2030年のあるべき姿の実現に向けた最重要課題と位置づけ、多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出し、グローバルな事業拡大と新たな価値を創出する原動力とするとともに、グループ全体でワークエンゲージメントの向上に取り組んでおります。 当社は、スペシャリティ化学を中核とする事業構造への転換を図っております。従来の企業風土から脱却し変革を進めるためには、多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出すことが不可欠と認識し、女性活躍推進をはじめ、専門性の高い人財のキャリア採用、シニア社員制度改定による働き甲斐の向上、障がい者の職域拡大等の施策を推進しております。 当社は、エクイティを重視し、多様な人財一人ひとりが活躍できるよう、アンケートや対話、面談の機会の充実でニーズの把握に努め、多様な支援制度の拡充を進めております。更に、多様な社員が能力を存分に発揮して活躍するためには、管理職の「インクルーシブ・リーダーシップ」の向上が重要であると考え、キャリア面談のスキル向上、両立支援施策の理解促進、心理的安全性確保に関する教育を実施しております。 スペシャリティ化学への変革推進に向け、経営戦略と連動した人財戦略を定め、着実に実行してまいります。 重点施策として、以下の4つを推進しております。 推進している具体的な取組みの概要は、以下のとおりです。 当社グループは、女性活躍を最重要課題の一つと捉え、女性管理職比率、女性社員比率の目標を設定して加速度的に取り組んでおります。当社においては、女性のライン長を増やして意思決定への関与を推進するとともに、採用面接や昇格面接において女性社員の参画を促進し多様な視点の反映に努めております。また、無償ケア労働の女性への偏りが活躍の阻害要因であると認識し、アンコンシャス・バイアスe-ラーニングを実施し、性別や属性に関わらず総労働時間短縮や両立支援制度拡充を進めるともに、男性の育児休職の取得を積極的に促進しております。2022年度、当社は子育てサポート企業として高い水準の取組みを行ったとして「プラチナくるみん」に認定されました。 更に、社会的な課題である女性のSTEM(科学・技術・工学・数学)人財増加のため、教育機関や近隣企業と連携して育成に取り組んでおります。 当社グループでは、人々の生命と健康、そして豊かな未来社会に貢献するスペシャリティ化学の会社を実現するために、多様な個性を持つ人財の採用に取り組んでおります。計画的に新卒採用及びキャリア採用を実施し、外国人採用も積極的に進めております。 とりわけ、経営戦略として掲げるスペシャリティ化学の強化実現に向け、事業戦略に即した専門性の高い即戦力人財をタイムリーに獲得すべくキャリア採用を強化しております。 当社では、「キャリア開発シート」を年に1回作成し、上司との面談を通じて社員一人ひとりが自律的にキャリアプランを考える風土を醸成しております。また、「キャリア相談室」を設置し、キャリア相談員との面談を通じて仕事やキャリアにおける課題の解決を支援する仕組みづくりを行っております。更に、社内公募を定期的に実施することで、業務の垣根を超えた新たな成長の場を提供しております。 今後も、一人ひとりの個性や志向を尊重しながら、社員が自らキャリアを描きその実現に向け成長できる環境を提供し、個人の能力や創造性を活かした組織パフォーマンスの向上につなげてまいります。 当社は、重要なステークホルダーである従業員と経営層の対話を積極的に行っております。各種アンケートを通じてエクイティ実現のためのニーズを把握し、フィードバックを行うとともに、スピード感を持って施策に反映しております。また、経営層と社員が直接対話をしてUBEのありたい姿について直接意見を交わし、共感の深化を進めております。2022年度は、女性社員と社長の車座ミーティング、女性社員と人事担当役員・人事部長との意見交換会やキャリア支援面談、シニア社員と人事担当役員・人事部長との意見交換会を実施し、障がいのある社員の働き甲斐を高めるため社長との交流も図りました。抽出された人財戦略面の課題は、取締役会、経営会議、役員経営研究会で議論するとともに、労使協議会で共有し労使で連携した取組みにつなげております。 当社グループは、中長期的企業価値の向上を目指し、疾病管理のみならず健康増進へと健康投資を実施し、健康経営の浸透と定着を図っております。当社では、自律的な健康管理と安心安全な職場環境整備のため、健康管理アプリの導入、ヘルスリテラシー向上のためe-ラーニング、3分健康アドバイスの発信、「健康経営宣言」「健康経営スローガン」募集による労使一体活動等を実施しております。また、全管理職に対し、健康経営浸透のための情報提供を実施しております。 2022年度、当社は2021年度に引き続き健康経営優良法人ホワイト500に認定、グループ会社においては㈱福島製作所がブライト500、他の8社が優良法人に認定されました。 当社グループは、「人権の尊重」を企業活動の基本に据えております。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して「UBEグループ人権指針」を定め、企業としての社会的責任を果たします。 当社グループ全体での人権教育推進体制を整え、継続的に人権教育を実施し、社員全員が人権について正しい理解と認識を持ち、あらゆる事業活動において一人ひとりが尊重されるよう取り組んでおります。2022年度は人権週間に合わせて当社国内グループ全体でe-ラーニングを実施し、「ビジネスと人権」「人権デューディリジェンスとUBEの取組み」について学びました。 また、人権デューディリジェンスの取組みとして、企業活動による人権に対する負の影響を特定し、それを防止、軽減する活動を進めております。行動計画に基づいて2024年までにPDCAを実施し、2025年以降はそのサイクルを回して継続的に取り組んでまいります。 これまでの取組みにより、働きやすい環境は整いつつあります。今後は、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を推進しながらも働き甲斐とワークエンゲージメントの向上を重視した取組みを行ってまいります。 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載いたします。 これらの事項は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスクの回避・分散及び発生した場合の対応、リスクの移転、危機管理対策等に最大限努力する方針です。 下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 当社グループは、化学、機械の事業分野で様々な製品を製造・販売しており、各事業分野において想定されるリスクは以下のとおりです。 ベーシック事業については、同業他社の生産能力増強により当該製品の供給が大幅に増加した場合やベンゼン、ブタジエン等の主原料価格が国際的な需給バランスや原油等のエネルギー価格の変動により急激に変動した場合には、製品と主原料の価格差(スプレッド)が著しく縮小することで業績に悪影響を与える可能性があります。また、原料の一部については特定の地域や供給元に依存しているため、供給元の事故等により必要な原料を確保できない場合があります。スペシャリティ事業については、情報技術やデジタル家電関連等の世代交代が早く、顧客要求にタイムリーに応じられないことによる販売量の減少や競争激化に伴う価格低下によって業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して、(一)原料市況動向の注視と価格高騰時の製品価格への迅速な転嫁による適正スプレッドの確保、(二)工場におけるコストダウン、(三)経営資源の重点投入によるスペシャリティ事業の成長加速等、収益基盤の強化に積極的に取り組んでおります。 機械事業の主力製品は、ダイカストマシン、射出成形機、運搬機、除塵機、化学機器、粉砕機等であり、世界の自動車販売台数の低迷や公共事業の減少、原燃料価格高騰による電力会社をはじめとした各社の経営業況悪化等に加え、脱炭素社会に向けた発電所・工場の統廃合等に伴い自動車メーカーや大手素材メーカー、電力会社等が設備投資や補修予算を控えた場合には、受注や出荷、サービス提供の減少といった影響を受ける可能性があります。また、グローバル化する市場においては、各国の景気の減速、貿易摩擦、競合メーカーの台頭等で販売が減少する可能性があります。 以上のようなリスクに対して(一)他社製品含めたアフターサービス事業の拡充による収益拡大・安定化、(二)コストダウンの強化、(三)カーボンニュートラル・DXやリサイクル事業等の成長市場における顧客ニーズへの対応力強化等、収益基盤強化に積極的に取り組んでおります。 気候変動問題については、当社グループはこれまで石炭を有効活用しつつ事業の拡大を図ってきましたが、炭素税や規制等が強化された場合、税負担等が増加することでコストが増加する可能性があります。また、環境意識の高まりが脱炭素社会への移行を早め、ステークホルダーから気候変動問題への対応が遅れている企業と評価されることにより製品の販売が低迷する等、企業価値に悪影響を与える可能性があります。更に、地球環境の変化により自然災害が激甚化・高頻度化する場合、製造拠点の設備被害、物流網の遮断、原材料等の入手困難等により生産活動に悪影響を与える可能性があります。 また、サーキュラーエコノミーやネイチャーポジティブ等の地球環境に関する関心の高まりを背景に、顧客等から当社グループ製品に対する要求が変化する可能性があり、この問題への対応が遅れることにより、製品の販売が低迷する等、企業価値に悪影響を与えることが予測されます。 以上のようなリスクに対して当社グループは、これらの地球環境問題を経営の最重点課題と設定し、エネルギー効率の向上やカーボンニュートラルなバイオマス燃料への置き換え等によりGHGの発生・排出の削減に注力するとともに、当社グループの強みを生かした環境負荷低減に資する製品・技術の開発と普及を推し進めることにより、脱炭素社会への貢献に努めております。また、廃プラスチックのリサイクルはもとより、これまで回収の難しかった複合プラスチックのリサイクル技術の開発等、資源循環につながる取組みについても積極的に行っております。 当社グループの製品は、自動車部品やデジタル家電、医薬品、家庭用品等の身近なものから、社会インフラの整備まで多くの分野で使用されます。そのため、品質に瑕疵のある製品が出荷された場合、その波及範囲は広範囲にわたり、安全上や健康上他の問題に至らない場合であっても、当該製品の回収や顧客への損害賠償等、多額の費用が発生し、更に、社会的な信用失墜により事業活動が低迷する可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、工程管理を確実に行うための設備の維持や適切な測定機器の設置、作業マニュアルの整備、従業員の教育等に努め、万一の不良品発生及び流出を防止できる体制を構築するとともに、国内外を対象とした生産物賠償責任保険に加入しております。更に、当社グループでは、過去に判明した品質検査上の不適切事案の対策としてガバナンスの強化、全従業員に対する継続的な教育の実施等、再発防止に努めております。 当社グループの製造事業所、特に化学製品の製造工場では、多種、大量の高圧ガスや危険物等の原材料、電気、スチーム等のエネルギーを使用しており、設備故障、人為的ミス、自然災害により大規模な爆発・火災・漏洩が発生する可能性があります。その場合には、従業員・地域住民等の生命・身体・財産並びに環境へ重大な影響を与えることとなり、事故対応や復旧の費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客・地域住民に対する補償が生じることで、業績に深刻な影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、「安全はすべてに優先する」を環境安全共通の価値観として、関連法令の遵守の徹底、設備の定期点検及び適切な維持補修、教育・経験を積んだ従業員の確保、管理マニュアルの整備、HAZOP(Hazard and Operability Study)等リスクアセスメントの実施、防災訓練の定期実施、環境安全監査等により、爆発・火災・漏洩等の事故の予防に取り組んでおります。 当社グループは、需要家のニーズに合わせた新技術・新製品をタイムリーに上市するために、あるいは次世代の事業の創出のために探索研究を含む研究開発に取り組んでおります。研究開発は長期間にわたることもあり、研究開発テーマが計画どおり進まず、新製品の開発が著しく遅延することや開発を断念した場合、あるいは医薬事業においては新薬の承認見送りや承認取り消しがなされた場合には、事業における競争力が低下し業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、将来の市場ニーズを見据えた事業ポートフォリオに基づいて重点的に経営資源を投入し研究開発成果の早期実現と精度の向上を図ることにより、スペシャリティ事業の伸長に取り組んでおります。 当社グループは、国内外に製造拠点及び営業拠点を有しており、これらの施設が、想定を超えた大規模な地震、台風、集中豪雨、津波等の自然災害により甚大な被害を受け、製造拠点における生産停止や営業拠点の活動休止等が発生する可能性があります。その場合には、建物・製造設備の復旧、棚卸資産の廃棄、設備の再稼働や原料調達・製品出荷の遅延等により、多額の費用及び機会損失が発生し業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、危機対応委員会及び自然災害対策委員会を設置し、災害発生時の対応マニュアル等の整備、建物・製造設備の計画的な改修・強化、定期的な防災訓練、教育、リスクマネジメント制度を活用した個別リスクの抽出と対策等を実施しております。また、早期に事業復旧を図る仕組みとして、自然災害発生時における事業継続計画(BCP)を策定し、定期的な見直しと訓練を行っております。 現在、新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にありますが、このような新たな感染症の蔓延は、将来においても発生し、製造拠点における生産停止や営業拠点の活動休止等が発生する可能性があります。その場合には、設備の再稼働や原料調達・製品出荷の遅延等によって多額の費用や機会損失が発生する可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、危機対応委員会を設置し、対応マニュアルの整備と各部署・事業所・グループ会社による「新型感染症対応BCP」を定期的に見直し、感染予防策の徹底や感染者発生時の対応及び業務継続の手段や対応方針を定めて、状況に応じた機動的な対応を図っております。また、危機対応委員会では、国内外におけるパンデミックの状況や政府・自治体の対応・方針、当社グループにおける感染者発生状況等をタイムリーに情報収集し、適宜、従業員の感染防止のための行動・対応指針を発出する等、事業活動への影響を最小限とする対応を実施しております。 当社グループは、各種業務システムやプラント制御システムを利用しており、年々高度化しているサイバー攻撃や不測の事態によるシステム停止、重要情報の漏えいや破壊等の被害が発生した場合、生産活動の停止、損害賠償や信用の失墜により、業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、情報セキュリティ委員会を設置し、関連規程の整備と周知、不正侵入探知・防御等の技術的な対策、IT-BCPの整備・訓練、当社グループの全役員・社員に対するセキュリティ教育と訓練等を実施するとともに、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置する等のセキュリティインシデント発生時の被害を最小化するための体制を構築しております。また、これら対策状況を定期的に評価、改善を行いリスクの低減に努めております。 当社グループは、国内外に製造拠点や営業拠点を有し、様々な国々・地域に製品を供給していることから、各国・地域における製造・営業活動に関わる法令・規制を遵守する必要があり、これらが改定された場合には、製造設備等の改修や変更、労働環境の整備等で費用が発生する可能性があります。また、法令・規制に違反した場合には、多額の罰金・制裁金・賠償金、従業員の収監等を受けるだけでなく、事業活動の制約や社会的信用に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、事業活動に関わる国内の主な法規制をリスト化し、当該法令等の主幹部署と関連する部署において法規制の改廃の情報を漏れなく共有する体制を整備するとともに、リスクマネジメント制度において法規制に関わるリスクを洗い出し、各々のリスクに対する対策を実施しております。また、当社グループの全役員・社員を対象にしたe-ラーニング・研修の定期実施等によって法規制の遵守とそれを堅持する企業風土を醸成しております。 当社グループは、競争の激しい市場において、製品やサービスの提供を継続し企業価値の向上のため、新規性のある製品や市場の創出、付加価値の高いビジネスモデルの構築等が不可欠であり、多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出せる高い専門性を持つ人財を獲得する必要があります。また、従業員にはOJTや教育訓練の面から、経験豊富な人財並びに業務やプラント運転操作等のノウハウを持った人財の確保も重要になります。こうした優秀な人財の獲得が困難となる場合や、重要な人財の社外流出が生じた場合には、企業活動に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、経営方針に「個性と多様性の尊重と働きやすい職場環境の整備」を掲げ、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を推進しております。女性活躍推進をはじめ、シニア人材の活躍支援や障がい者雇用に取り組み、働きがいのある職場を提供するとともに、賃金を含む待遇改善や、多様な人財一人ひとりが活躍できる柔軟な働き方の整備、労働時間の短縮を推進しております。 一方、当社グループやサプライチェーンにおいては、国際的な「ビジネスと人権」に関する意識の高まりを背景に人権に関する高度な対応が求められており、適切な対応が講じられていない場合、企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクに対して当社グループは、UBEグループ人権指針のもとに取引先とともにサプライチェーン全体の人権尊重に取り組んでおり、人権デューデリジェンスの体制整備を推進しております。また、社内の人権教育体制を整え、人権教育を実施し、当社グループの全役員・社員が人権について正しい理解と認識を持ち行動できるよう取り組んでおります。 当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等による資金調達を行っております。主要金融市場において著しい混乱が発生する場合、あるいは当社に対する信用格付が大幅に引き下げられる等の信用力が著しく低下した場合には、好ましい条件で資金調達ができず、成長投資等のために必要な資金を十分に確保できない可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、キャッシュ・フローを重視した経営を行い健全な財務体質を確保・維持するとともに、現預金、コミットメントライン等において十分な流動性を確保しながら、返済(償還)期限の分散、調達手段の多様化を図ることで、資金調達環境変動の影響を低減するよう取り組んでおります。また、当社グループは、外貨建てによる原材料等の輸入や製品等の輸出に伴い、外国為替相場の変動による影響を受ける可能性がありますが、債権債務を概ね均衡させるとともに、適宜為替予約等を実施することで、その影響の低減に取り組んでおります。 当社グループは、化学製品並びに機械製品については、海外に生産、開発、サービス拠点を有しており、アジア、北中南米、欧州等にて主に事業活動を展開しております。2022年度の海外売上高は、連結売上高の約52%を占めております。これらの事業活動には、海外の政治・経済情勢の悪化、戦争・紛争・テロ等に伴う社会的混乱、進出先の外資に対する規制強化、経済・通商政策の変更、環境関連の規制強化、労働争議の発生等のリスクを内在しており、これらが顕在化した場合は業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、海外事業展開における緊急事態に速やかに対処するため、情報の集約や緊急時の対応等のマニュアルを整備し、専門コンサルタントを有効活用するとともに、危機対応委員会が主体となり、必要な情報の収集及び現地の各拠点との適時・適切な情報共有を行える体制を整えております。更に、有事の際には対策本部を設置し、従業員の安全を最優先事項として迅速・的確な対応を図ってまいります。 当社グループは、知的財産権が重要な資産であることを認識し、事業競争力の強化を図っておりますが、当社グループの重要な技術やノウハウが予期せぬ事態により外部に流出する可能性や当社グループの知的財産権が侵害される可能性があります。他方、将来的に他社との間で知的財産を巡って紛争が生じた際に当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。このような場合には、事業における競争力が低下し業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、国内外において知的財産権の取得・管理、更に、技術ノウハウ等の適正な情報管理等により知的財産の保護を図るとともに、第三者が保有する知的財産権についてもその権利を尊重し、特許クリアランスの確保に万全を期しております。 当社グループは、事業拡大、技術獲得、又は競争力強化等を目的として、国内外において企業買収・資本提携等を実施しております。このような買収や資本提携等においては、当初の期待を下回るシナジー効果、コスト改善の失敗、想定外の瑕疵の発覚や債務の拡大、出資先企業の経営成績や財政状態の悪化による企業価値の低下等によって業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループは、事前段階の適切な市場調査やデューデリジェンス、慎重な事業評価と契約交渉、十分な社内審議等のプロセスを経ることで、リスクを極力低減させることに努めております。 当社グループは、国内外で行う広範な事業活動の中で訴訟、その他の法的手続に関わる場合があります。将来の帰趨を予測することは困難ですが、訴訟等において不利益な決定や判決がなされる場合には、業績に悪影響を与える可能性があります。なお、現在係争中の主な訴訟事件は次のとおりです。 2008年5月以降、建設作業等従事者及びその遺族らが国及びウベボード㈱(当社連結子会社)を含む建材メーカー40社余に対して、建設現場で使用されていた石綿含有建材の石綿粉じんを吸引して石綿関連疾患に罹患したとして、連帯して損害を賠償するように求めて訴えを順次提起していますが、これまでの判決において、ウベボード㈱に対する請求はいずれも棄却されました。現在、全国の裁判所に17件の訴訟が係属中で、その請求額は最大で85億円です。 以上のような訴訟リスクに対しては、業務に関連する法令情報の収集や法令遵守に関する研修等を継続的に実施し、紛争発生を予防するとともに、訴訟の発生後も弁護士等と適切に連携を取りながら訴訟活動を行うことによって、会社業績への影響の低減等に努めております。 当社グループは、国内外から種々の原燃料、資材等を調達し、また、国内外に製品を出荷しております。調達においては、関連企業の倒産、戦争・紛争・テロ、パンデミック、自然災害、地球環境問題、人権問題等により原燃料価格の上昇、調達ルートの寸断等が発生し、また、物流においてはドライバー不足や燃料費の高騰によりコストの上昇や寸断が発生し、ともに当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 以上のようなリスクに対して当社グループでは、原燃料、資材価格の上昇に対しては、製品価格への迅速な転嫁や製造コストの削減を実施し、調達ルートの寸断に対しては、原燃料の調達先及び生産拠点の分散、適正な在庫量の確保等、リスクが顕在化した場合に被害を最小化するよう努めております。また、物流のコスト上昇や寸断に対しては、国内においてはモーダルシフトの拡充、海外においては複数輸送手段の確保等、安定した物流の確保に努めております。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。 当社グループは、当連結会計年度からスタートした3カ年の中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation ~1st Stage~」において、「スペシャリティ化学を中心としてグローバルに利益成長を追求」「地球環境問題に対応した事業構造改革」「持続的成長に向けた人的資本の充実」「DXの推進による企業価値の向上と顧客価値の創出」「ガバナンスの更なる向上」を基本方針とし、事業構造改革と成長の実現に向けた取組みを推進してまいりました。 当連結会計年度においては、ウクライナ情勢に伴う原燃料価格高騰に対して各製品の販売価格是正を進め、また機能品セグメントにおいて販売が堅調に推移しましたが、セメント関連事業を持分法適用関連会社(UBE三菱セメント㈱)に移管した影響が大きく、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益は、樹脂・化成品セグメントにおける原燃料価格高騰及び需要減退による販売数量減少に加え、アンモニア工場で隔年の定期修理を実施した影響が大きく、前連結会計年度を下回りました。経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少に加え、セメント関連事業が石炭価格高騰の影響を受け持分法投資損益が大きく悪化したことから、前連結会計年度を下回り損失となりました。 この結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ1,605億2千7百万円減の4,947億3千8百万円、営業利益は277億4千8百万円減の162億9千万円、経常損失は86億8千9百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は70億6百万円となりました。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 当連結会計年度における機械の受注実績を示すと、次のとおりです。 なお、機械を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、セメント関連事業を持分法適用関連会社に移管した影響等により、1,063億1千8百万円(△12.7%)減少し、7,316億3千6百万円となりました。 流動資産は、現金及び預金、売掛金等の売上債権が減少したこと等により1,116億7千3百万円(△28.3%)減少し、2,830億1千6百万円となりました。 固定資産は、有形固定資産等が減少した一方で、投資有価証券が増加したこと等により53億3千9百万円(1.2%)増加し、4,484億7千1百万円となりました。 繰延資産は、社債発行費が増加したことにより1千6百万円増加し、1億4千9百万円となりました。 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、セメント関連事業を持分法適用関連会社に移管した影響等により、939億4千2百万円(△21.2%)減少し、3,499億7千7百万円となりました。有利子負債は236億6千9百万円(△9.8%)減少し、2,181億4千3百万円となりました。 流動負債は、支払手形及び買掛金、コマーシャル・ペーパーが減少したこと等により780億1千5百万円(△31.3%)減少し、1,711億5千9百万円となりました。 固定負債は、社債が増加したものの、長期借入金が減少したこと等により159億2千7百万円(△8.2%)減少し、1,788億1千8百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、123億7千6百万円(△3.1%)減少し、3,816億5千9百万円となりました。 株主資本は、剰余金の配当により96億9千2百万円、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が70億6百万円減少したこと等により164億3千4百万円(△4.7%)減少し、3,351億1千5百万円となりました。 その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が増加したこと等により89億3千1百万円(50.8%)増加し、265億2千4百万円となりました。 非支配株主持分は、44億3千4百万円(△18.2%)減少し、199億4千9百万円となりました。 この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ、5.3ポイント増加し49.4%となりました。 営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、145億8千4百万円減の181億2千7百万円となりました。これは、運転資金が改善したものの、税金等調整前当期純損失となったこと等によるものです。 投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、173億5千4百万円減の260億1千9百万円となりました。これは、貸付金の回収による収入が増加したことと、有形及び無形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものです。 財務活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、59億2千8百万円減の24億4千3百万円となりました。これは、自己株式の取得による支出が減少したものの、有利子負債の増減による収入が減少したこと等によるものです。 この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、セメント関連事業を持分法適用関連会社に移管したことによる減少の影響もあり、現金及び現金同等物に係る換算差額等を含め、前連結会計年度末に比べ、480億5千8百万円(△61.0%)減の307億3百万円となりました。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 中期経営計画の初年度に当たる当連結会計年度の業績は、前連結会計年度に比べ、売上高は機械セグメントを除くすべてのセグメントで増加しましたが、セメント関連事業を持分法適用関連会社(UBE三菱セメント㈱)に移管したことが影響し、減少となりました。営業利益は機械セグメントを除いて減少し、特に樹脂・化成品セグメントにおいては、原燃料価格高騰及び需要減退による販売数量減少に加え、アンモニア工場で隔年の定期修理を実施したことが大きく影響しました。 各セグメントの主要製品の状況は次のとおりです。 ポリイミドについては、原料であるBPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)、フィルム及びワニスのそれぞれの強みを活かし、ニッチな市場で高いシェアを維持・拡大してまいります。 当連結会計年度においては、大型ディスプレイ向けCOFフィルムで高いシェアを維持するとともに、半導体の製造装置・検査装置で使用されるパウダーについては、販売量が増加しました。 足元の事業環境においては、ディスプレイ市場は、パネルメーカーの生産調整が長期化しておりますが、ディスプレイの需要は今後も成長が見込まれており、新規用途(5G対応FPC、車載モーター等)での需要拡大も予想されます。 今後については、現在建設中のBDPA及びフィルムの新規設備の速やかな立ち上げを目指すとともに、パウダーや新規ワニス等の非回路基板分野での販売拡大や、フレキシブルPV向けフィルムや水系ワニス等の環境貢献型製品の販売拡大を図ってまいります。 分離膜については、環境・エネルギー分野を基軸とした事業拡大と商品力強化に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、受注数量が中期計画を大きく上回り、特に、バイオメタン製造向けCO2分離膜の需要が急増しました。また、ガス分離膜用ポリイミド中空糸膜製造設備及び分離膜モジュール製造設備の増設を前倒しで決定し、2025年度上期稼働に向けて着手しました。 足元の事業環境では、非化石エネルギー確保のため欧米でバイオ燃料の検討や生産が急速に進んでおり、カーボンニュートラルへ向け多様化する再生可能なエネルギー・化学品用途の需要が増加することが予想されます。 今後については、欧州・北米とともに南米・アジアへ伸長するバイオメタン製造向けの需要を確実に取り込みながら、生産能力の増強を図ります。また、再生可能なエネルギー・化学品製造用途の水素分離膜及びアルコール脱水膜の販売計画の上積みにも取り組んでまいります。 セラミックスについては、着実に伸長を見せる需要に応じた生産体制の確立に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、需要の拡大にあわせ、xEV市場向けの軸受及び基板用途を中心に販売を拡大しました。 足元の事業環境では、軸受及び基板用途は、川下顧客の増産計画が進行しており、xEV市場向けの需要拡大が加速しております。切削工具やグロープラグ、蛍光体向けは需要が安定しております。需給バランスが非常にタイトになっており、生産性向上を図ってまいります。 今後については、更なる需要の増加が見込まれるxEV市場向けに拡販、事業拡大を図るとともに、イミド熱分解法の特長を活かし、品質の更なる差別化を推進してまいります。 セパレータについては、xEV向けでの競争力強化による拡販に加え、乾式膜の特性が活かせる非車載用途への展開に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、車載用ではHEV用途を中心に新規案件を獲得しました。また、非車載用での拡販対応及び顧客要求にあわせた開発を推進しました。 足元の事業環境では、世界的な脱炭素化社会の流れで自動車の電動化及び再生可能エネルギー発電の普及による電力貯蔵システム(ESS)の必要性が拡大しております。セパレータの需要は旺盛なものの、半導体や他部材供給逼迫による自動車減産により、足元の需要は軟調です。 今後については、HEV用途を中心に、xEV向け製品特性の向上による販売拡大を図ってまいります。また、更なる競争力強化のためのコストダウン及び品質向上を推進してまいります。 コンポジットについては、エンプラコンポジットメーカーとしてグローバルに存在感のあるソリューションプロバイダーを目指しております。 当連結会計年度においては、タイでのコンポジット能力増強と、水素タンクライナー用途グレードや難燃グレード等の非強化特殊グレードの生産設備の新設に計画どおり着手しました。北米でも非強化付加価値製品の販売が本格化し、ナイロン6製品だけでなくナイロン12製品の立ち上げも現在進行中です。 足元においては、半導体等の部材不足による自動車減産に伴い、エンプラ需要も一時的に減少しております。世界の自動車生産台数は、2023年度は一定の回復が予測されますが、コロナ前の水準までは至らないと考えられます。 今後については、現状の生産能力は約5万トン/年、売上規模は約400億円ですが、2030年までに生産能力を8万トン/年以上まで増強し、600億円以上の売上規模を目指します。そのために、環境対応型製品の開発及び市場投入を行い、スペシャリティビジネスの事業拡大とグローバル展開に取り組んでまいります。また、自動車部材の需要拡大にあわせ、タイに続き欧州やアメリカでも能力増強を計画しており、M&Aやアライアンスによる事業拡大(水平展開、川下展開)も選択肢として検討してまいります。 ナイロンポリマーについては、環境貢献型製品投入及びアジア重合期系再編の加速を進めております。 当連結会計年度においては、タイで共重合グレード製造ラインへの改造が完了し、アジア向けに販売を開始しました。 足元においては、物価高止まりによる欧州食品包装用フィルムの需要が減速し、半導体不足等による民生用LiB外装フィルム用途の需要が減少しました。汎用グレードは、中国品との価格競争が世界市場で激化しております。 今後については、共重合グレードを日本からタイへ完全移管し、アジア重合体制最適化の更なる推進に取り組んでまいります。また、環境貢献型製品(バイオマス、マテリアルリサイクル材、薄膜化材)の市場投入や価格競争に晒されない共重合ナイロン高付加価値グレードの拡充にも取り組んでまいります。 ナイロン原料のカプロラクタム及び硫安については、事業損益変動の最小化に向けた再編の検討及び実行を加速するとともに、大粒硫安等の高付加価値製品の事業拡大に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、硫安は、大粒硫安増産に向けた投資を検討するとともに、タイ品大粒硫安の日本向け拡販を実現しました。 足元においては、川下需要や原料価格の変動が大きく厳しい事業環境となりました。日本・スペイン・タイの三極で機動的に生産・出荷バランスを調整し、利益を最大化します。 今後については、カプロラクタムは、宇部地区の2024年度主要期系停止による減産計画を深化させるとともに、硫安は、2024年のスペインでの付加価値品増産に向けた投資・開発の検討を本格化してまいります。また、スペイン・タイでのユーティリティーコスト、GHG削減に向けた設備投資の検討及び着手を進めてまいります。 工業薬品についても、事業損益変動の最小化に向けた再編の検討及び実行を加速するとともに、高純度硝酸等の高付加価値製品の事業拡大に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、宇部地区再編プロジェクトを発足し、アンモニア停止に向けた詳細ステップの検討を進めております。また、2024年初頭に向けた高純度硝酸工場の能力増強を推進しております。 足元においては、アンモニアの川下需要は低調です。原料ガス価格の軟化もあり、市場価格は下落しております。損益への影響を抑えるべく、可能な限りの生産・販売を維持します。 今後については、アンモニアは、市況に注視しつつ最大限の生産・販売量を確保するとともに、硝酸は、半導体市場の拡大にあわせて高純度硝酸工場の生産能力増強に引き続き注力してまいります。 ファインケミカル(C1ケミカル)については、DMC及びEMCの北米・欧州での新規工場建設の検討を進めており、誘導品の高機能コーティングを含めたC1ケミカルチェーン製品(DMC、EMC、PCD、PUD)の積極拡大に取組んでおります。 当連結会計年度においては、LiB電解液用DMCの販売は、概ね計画どおり進捗しました。中国でのDMCライセンス案件数も順調に拡大しております。 足元の事業環境については、半導体不足の影響はあるものの、BEVの生産量は伸長しております。DMCの用途であるLiBの市場規模についても拡大が見込まれ、2030年には現状の4~5倍に拡大すると予想されます。 今後については、C1ケミカルチェーン製品の現在の連結売上高は約130億円ですが、2030年までに北米・欧州にDMC及びEMCの生産拠点を拡大することで、C1ケミカルチェーン製品として連結売上高600~800億円、連結営業利益率20~25%を目指してまいります。2023年度は、DMC及びEMCの北米・欧州での新規工場建設の具体化に向けて取り組んでまいります。 高機能コーティングについては、事業の積極拡大に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、PCDは、タイでのPCD3期設備の建設に着工しました。PUDは、宇部ケミカル工場での無溶剤グレード設備が稼働を開始しております。また、中国市場での販路拡大のため、PUDの中国ラボを設置しました。 足元の事業環境については、PCDは、欧州・日本市場が成熟するものの、アジア、特に中国では成長が継続しております。PUDは、中国を中心に環境対応(溶剤フリー等)製品の需要が拡大しております。 今後については、2023年度にタイにおけるPCD3期設備の稼働を開始するとともに、2025年稼働開始を目標として、タイでのPUD設備の設置を具体化してまいります。 エラストマーについては、製・販・技一体で意思決定及び施策実行をスピードアップさせ、ステークホルダーからの信頼の厚い事業への変革に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、千葉・タイは通年で安定生産を継続しました。期初から原燃料価格が高騰し、下期には需要が減退しましたが、製・販・技一体となり厳しい事業環境に対応しました。 足元の事業環境については、原油や主原料であるブタジエン等の原燃料価格の上昇による収益悪化の懸念があるとともに、景気減速によってブタジエンゴムの需要が低迷しております。また、カーボンニュートラルやサステナビリティへの対応に向けた意識が高まってきております。 今後については、安全・安定生産を継続するとともに、マレーシア工場の再稼働後の安定生産に尽力します。また、スペシャリティ化を推進するとともに、地球環境問題への対応を推進してまいります。 成形機については、自動車のxEV化や電動化、車両部品の軽量化ニーズに対応した製品開発に取り組んでおります。 当連結会計年度においては、ダイカストマシンは、生産・稼働時間短縮に貢献する超ハイサイクル機を開発し、検証設備を設置しました。xEV化進展に伴い、高まる生産効率向上への要求に応えるとともに、CO2削減によりカーボンニュートラルに寄与します。射出成型機は、2プラテン電動射出成型機を2023年2月に販売開始しました。省エネ及び生産効率向上を実現し、油圧機の更新需要を取り込みます。 足元の事業環境では、自動車のxEV化・電動化・軽量化及びカーボンニュートラル・リサイクル分野に資する技術ニーズが高まっております。また、北米、中国、韓国、そしてインド顧客の設備投資が増加傾向にあります。なお、半導体不足による電気部品の長納期化は、継続しております。 今後については、中国では現地OEM体制構築を目指すとともに、インドでは現地代理店を活用した拡販に取り組んでまいります。また、ダイカストマシンは、車のxEV化に伴う生産効率向上への要求に対応した車体部品を低コストで生産可能な超大型ダイカストマシンの開発を行い、射出成型機は、カーボンニュートラルや循環型社会に対応した新製品やプロセスの開発を行ってまいります。 産業機械については、バイオマスハンドリング、洋上風力発電設備、アンモニア関連設備等の環境新市場に参入してまいります。 当連結会計年度においては、洋上風力市場で2つのプロジェクトの大型構造物関連機器を受注しました。 足元の事業環境では、再生可能エネルギー市場や製品リサイクル市場に資する技術ニーズが高まっておりますが、原燃料価格高騰の影響による設備投資の先送りや中止等が生じております。 今後については、環境関連のマーケットニーズを実現する製品やサービスの提供で事業拡大に取り組むとともに、バイオマス燃料搬送設備、洋上風力発電設備、アンモニア関連市場への参入を図ってまいります。また、政府からの補助金を背景に拡大する設備投資やインフラ投資による需要も取り込んでまいります。 医薬については、既存分野の収益基盤拡大と核酸医薬品等高付加価値領域の拡充により高収益化を目指しております。 当連結会計年度においては、参天製薬㈱との共同開発によるOMLONTI®(オミデネパグ イソプロピル点眼液0.002%)の米国食品医薬品局(FDA)承認を取得しました。また、2022年12月には医薬品受託製造会社である㈱エーピーアイコーポレーションの株式を取得しました。核酸原薬開発のためパイロットプラント建設にも着工しており、完工は2025年3月を予定しております。 足元の事業環境では、低分子治療薬は緩やかに成長する一方、核酸やバイオに加え遺伝子治療や再生医療等、新しいモダリティ(治療手段)が浸透しております。国際政情不安による原燃料価格等の高騰とそれに伴うコストアップが発生しており、国内では度重なる品質不適合事象により、高い品質と安定供給に対する要求が高まっております。 今後については、早期ライセンスアウトモデルの継続とマイルストンの着実な獲得を実行してまいります。また、少量・高薬理活性原薬の製造設備である第五医薬品工場の収益最大化を図るとともに、㈱エーピーアイコーポレーションとの協業を深化し、製・販・技各領域における効率的運営体制を構築してまいります。 中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度においては、原燃料価格高騰等の影響を受けたことによって目標未達となりました。足元の経済環境は厳しいですが、ポリイミドや分離膜等のスペシャリティ事業の成長及びベーシック事業の収益改善を進め、2024年度計画の達成を目指してまいります。 当社グループは、財務構造の健全性維持及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、一部の取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。 当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは181億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは260億円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは79億円のキャッシュ・アウトとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払106億円、有利子負債の増減による収入143億円等により24億円のキャッシュ・インとなり、期末における現金及び現金同等物の残高は、セメント関連事業を持分法適用関連会社に移管したことによる減少433億円の影響もあり、307億円となりました。 資金の使途については、当連結会計年度は設備投資に293億円、M&Aを含む投融資に104億円、研究開発費に104億円と、合計501億円を支出しております。このうち、スペシャリティ事業、ベーシック事業、及びその他への支出は、それぞれ42%、24%、34%となりました。中期経営計画に比べてその他の割合が増加しているのは、DX推進のための設備投資を前倒ししたことによるものです。 今後の経営資源の投入計画について、中期経営計画の原計画では、設備投資1,100億円、M&Aを含む投融資200億円、研究開発費320億円、合計して1,620億円の投入計画を策定しておりましたが、足元の3カ年の見通しでは、設備投資額を300億円増額させ、合計で1,920億円の投入計画に見直しております。翌連結会計年度においては、合計585億円の投入を計画しており、その内訳は設備投資が475億円、研究開発費が110億円です。比率はスペシャリティ事業が55%、ベーシック事業が15%、その他が30%であり、ベーシック事業への投入比率を下げ、代わりにスペシャリティ事業への投入比率を上げる予定です。 当連結会計年度は、原燃料価格高騰及び自動車減産、中国市場の需要減退等により、利益項目は期初予想を大幅に下回りましたが、財務体質を示す指標については、UBE三菱セメント㈱へ資産・負債を承継させた影響等により、D/Eレシオは0.60倍、自己資本比率は49.4%と改善し、健全な水準を維持しております。 現中期経営計画では、スペシャリティ事業の成長に向けて重点的に資金を投下します。また、必要に応じて投資の前倒しも行います。スペシャリティ事業を成長させることによりキャッシュ創出力の拡大につなげてまいりますが、その一方で、負債を現在のキャッシュ創出力・株主資本に見合う水準にコントロールし、財務の健全性を維持します。3カ年での分配可能額は、研究開発費を除いた営業キャッシュ・フロー1,820億円、資産売却等150億円及び手元現預金350億円を合計した2,320億円を計画しておりましたが、研究開発費を除いた営業キャッシュ・フローが当連結会計年度及び翌連結会計年度の業績下振れに伴い、1,450億円へと減少を見込んでおります。しかし、新たに550億円の負債調達を行うことで、資産売却等150億円及び手元現預金350億円と合わせて、2,500億円の配分可能総額を予定しております。これに対し、キャッシュ・アロケーションとして、設備投資・投融資1,600億円、研究開発320億円、株主還元は290億円を想定しております。設備投資・投融資については、原計画の1,300億円から300億円積み増し、ポリイミドフィルム工場や分離膜工場の増設等、スペシャリティ事業への投資を進めております。 株主還元については、安定的な配当の継続を基本方針としており、連結総還元性向30%以上、株主資本配当率(DOE)2.5%以上としております。当連結会計年度は連結当期利益が赤字となりましたが、DOEに基づき、前期と同額の配当としました。現中期経営計画期間において積極的な成長投資を行うことにより、将来の株主還元の更なる充実を目指しております。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積り及び仮定が必要であり、過去の実績やその他の様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 当社グループの研究開発活動は、既存事業の製造技術の高度化及び周辺や延長分野における事業拡大を図るとともに、新規事業の創出及び長期的な視野に立った基盤技術の強化を志向しております。 研究開発活動は、当社の研究開発本部並びに、生産・技術部門及び各事業部門の開発部門で行っているほか、一部には連結子会社独自で行っているものもあります。当社及び連結子会社における研究開発スタッフは561名にのぼりますが、これは総従業員数の約7%に当たります。 当社では、研究・開発・技術・製造・営業を強固に連携し、事業としての意思統一、責任体制の明確化及び研究開発のスピードアップを図りながら、既存事業関連の研究を各事業部のもとに集約して行っております。また、研究開発本部については環境関連の技術開発及び新規事業創出に向けた研究開発の役割を担っています。 当連結会計年度における研究開発費の総額は10,422百万円であり、セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりです。 次世代蓄電池、5G対応フィルム、次世代ディスプレイや電池用途向けワニス、バイオガス用新規CO2分離膜、次世代航空機等の先端技術市場に対応したチラノ繊維、窒化珪素セラミックスの研究開発等に取り組んでおります。 ポリイミド・機能品開発部では、UBE独自のBPDA(ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物)ベースのポリイミドを中心に、粉体・ワニス・フィルム・繊維・膜等の様々な形の製品の特性設計・プロセス設計開発を行っています。開発製品は、フレキシブル回路基板用等の電子情報材料から空気分離等のガス分離装置等に展開されており、お客様と連携して高性能化・高品質化も推進しています。 無機材料開発部では、セラミックス材料を中心として新しい事業・製品・プロセスの工業化に向けた開発を行っています。特に、UBEの化学を活かした特徴ある製造技術・設計技術をベースとして、窒化珪素粉末、炭化珪素繊維、酸化物電池材料、光学樹脂用無機ナノ粒子等の強化に取り組むとともに、素材の特異性や長年培ってきたセラミックス合成技術を駆使することにより、先端無機材料の開発を推進しています。 当セグメントに係る研究開発費は2,583百万円です。 C1ケミカル、環境型コーティング、廃プラリサイクル、バイオマスプラスチック、硫安の高付加価値化の研究開発等に取り組んでおります。 エンプラ開発部では、各種エンジニアリングプラスチックスを用いたコンポジット材料、新規ナイロン及びそれを用いたフィルムやモノフィラメント用材料の開発を行っています。また、環境貢献型材料への要求の高まりにも対応して、リサイクルやバイオポリマーの開発にも注力しています。材料設計・成形加工・解析技術等の要素技術を駆使して、材料提案や改良、設計支援等のテクニカルサポートを高度かつタイムリーに実行することで、お客様に貢献しています。また、UBEのエンプラ事業の中核として、タイ・スペインを含む3生産拠点の開発部門の中心として連携強化に努め、グローバルでの事業拡大を積極的に進めています。 ケミカル開発部では、ファインケミカル製品、高機能コーティング製品、工業薬品等の品質・技術・プロセスの改良・開発を行うとともに、新規事業・新規製品のマーケティング・製品開発・アプリケーション開発を行っています。また、自社技術プラットフォームを利用したCO2有効利用や廃プラリサイクル等の地球環境貢献テーマにも取り組んでいます。 当セグメントに係る研究開発費は2,155百万円です。 機械分野の研究開発は連結子会社のUBEマシナリー㈱で行っております。 ダイカストマシン関連ではEV電装ケース向けハイサイクル機及びEVボディ・シャシー向け超大型機の開発を、射出成形機関連では大型2枚プラテン電動機(emⅢ)の大型シリーズ展開に向けた開発を行っています。また、カーボンニュートラルに向けた取組みとして、燃料アンモニア産業への対応機器、低温高圧ガス圧縮用途鋳鋼、EVモーター等の高周波ノイズフィルターの開発を行っております。主な成果としては、大型2プラテン電動機の2,000トン機(2000emⅢ)の上市を実現したこと等が挙げられます。 当セグメントに係る研究開発費は505百万円です。 医薬事業分野では、製薬会社等との共同研究開発や独自に進めている創薬研究開発による新規医薬品の創製、受託医薬品原体の製造プロセスの開発等を行っております。主な成果としては、参天製薬㈱と共同開発した開放隅角緑内障・高眼圧症を対象とした眼圧下降を目的とする点眼薬「OMLONTI®(オミデネパグ イソプロピル点眼液0.002%)」が、米国食品医薬品局(FDA)により承認されたことが挙げられます。 各セグメントに属さない研究開発としては、持続的な成長を可能にする新規事業創出に向けた研究開発の領域として、「サステナビリティ」「エネルギーマネジメント」「ライフサイエンス」を設定し、放熱複合材料、細胞培養技術活用等の研究開発を行っております。 その他セグメント及び全社共通に係る研究開発費は5,179百万円です。
プリマハム株式会社
# プリマハム株式会社 石川県金沢市において初代取締役社長竹岸政則が竹岸ハム商会を創立。 食肉の加工製造を開始。 竹岸畜産工業株式会社(資本金100万円)を富山県高岡市において設立。 旧大阪工場(大阪市大淀区(現 北区))を開設。 北海道工場(北海道上川郡清水町)を開設。 旧東京工場(東京都品川区)を開設。 本店を東京都千代田区大手町に移転。 鹿児島工場(鹿児島県串木野市(現 いちき串木野市))を開設。 秋田工場(現 連結子会社 秋田プリマ食品㈱、秋田県本荘市(現 由利本荘市))を開設。 東京・大阪両証券取引所市場第二部に上場。 東京・大阪両証券取引所市場第一部に上場。 新東京工場(現 茨城工場、茨城県土浦市)を開設。 商号をプリマハム株式会社に変更。 本店を東京都千代田区霞が関に移転。 四国工場(愛媛県西条市)を開設。 プリマファーム㈱(現 連結子会社 太平洋ブリーディング㈱、福島県双葉郡富岡町)を設立。 米国オスカー・マイヤー社と資本並びに技術提携。 三重工場(三重県阿山郡伊賀町(現 伊賀市))を開設。 プライムデリカ㈱(現 連結子会社、相模原市(現 相模原市南区))を設立。 関東物流センター(茨城県土浦市)を開設。 プリマ食品㈱(現 連結子会社、埼玉県比企郡吉見町)を設立。 近畿センター(大阪市西淀川区)を開設。 本店を東京都品川区東大井に移転。 秋田工場を閉鎖し、秋田プリマ食品㈱を設立。 四国工場を閉鎖。 本社機能を東京都品川区東品川に集約。 鹿児島食肉加工センター(鹿児島県いちき串木野市)を開設。 茨城工場ウインナープラント(茨城県土浦市)を開設。 茨城工場ハム・ベーコンプラント(茨城県土浦市)を開設。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。 鹿児島新工場(鹿児島県いちき串木野市)を開設。 連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)の企業集団は、当社及び当社の親会社、連結子会社33社、持分法適用関連会社2社で構成され、加工食品の製造・販売、食肉の処理・加工・販売を主な事業内容とし、さらに各事業に関連する物流、その他のサービス等の事業活動を展開しております。 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の事業に係る位置づけは次のとおりです。 なお、次の2事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 当社及びプリマハムミートファクトリー㈱、秋田プリマ食品㈱、プリマ食品㈱、四国フーズ㈱、プライムフーズ㈱、プリマルーケ㈱が製造し、当社及び販売会社を通じて販売しております。 プライムデリカ㈱、㈱プライムベーカリーは、㈱セブン-イレブン・ジャパンへ調理パン・惣菜等を製造・供給しております。 当社及び北海道プリマハム㈱、北陸プリマハム㈱、㈱エッセンハウス、東栄フーズ㈱は、主にハム・ソーセージ、加工食品、その他関連商品の販売を行っております。 PRIMAHAM(THAILAND) CO.,LTD.、PRIMAHAM FOODS(THAILAND) CO.,LTD.、Rudi's Fine Food Pte Ltd、Continental Deli Pte. Ltd.は、加工食品等の製造・販売を行っております。 清掃等サービスをプリマ環境サービス㈱が行っております。 太平洋ブリーディング㈱、ジャパンミート㈱、クリーンファーム㈱、㈲肉質研究牧場、㈲エクセルファーム、㈲かみふらの牧場が生産し、当社ほかへ供給しております。 Swine Genetics International, Ltd.は豚精液を供給しております。 当社及び㈱かみふらの工房、西日本ベストパッカー㈱が処理・加工し、当社及び販売会社を通じて販売しております。 当社及び関東プリマミート販売㈱、関西プリマミート販売㈱、タッキーフーズ㈱、ティーエムジーインターナショナル㈱は、食肉、その他関連商品を販売しております。 プリマロジスティックス㈱が食肉事業の物流を行っております。 ・検査・衛生管理等コンサルティング業を㈱つくば食品評価センターが行っております。 ・理化学機器の開発・製造・販売をプライムテック㈱が行っております。 ・情報処理業は、プリマシステム開発㈱が行っております。 ・人事・保険・不動産サービス業は、プリマ・マネジメント・サービス㈱が行っております。 事業の系統図は次のとおりになります。 当連結会計年度における従業員数をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。 連結財務諸表提出会社の労働組合には、UAゼンセン全プリマハム労働組合(2023年3月31日現在の組合員数1,128名)があります。なお、組合員数には臨時従業員を含んでおります。 また、当社グループの一部の連結子会社には労働組合があります。 当連結会計年度における管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異を示すと下記のとおりとなります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社は、お客様に対する良質な食肉の提供と畜産業の振興を目指して、1931年に創業しました。創業の志を受け継ぎ、「商品と品質はプリマの命」の経営理念のもと、絶えざる製造技術の革新と新しいものづくりに挑戦し、食肉事業、加工食品事業へ食の領域を拡大してまいりました。 2021年4月より、当社グループの進むべき方向性を共有し、理解、浸透を更に深めるため、目指す姿を改定いたしました。 当社グループは安全・安心でおいしく、愛される商品とサービスによって健康で豊かな食生活と日々の感動を提供し、持続的な成長と企業の永続性の確立を目指します。そして、ライフスタイルや環境に寄りそった食文化と活気ある未来の社会に貢献してまいります。 当社グループは、中期経営計画において財務目標を定めております。2023年度を初年度とする3ヶ年中期経営計画(ローリングプラン)の着実な実行により、自己資本利益率(ROE)10%以上と配当性向30%以上を安定して達成し、持続的な成長と企業の永続性の確立、並びに事業を通じたステークホルダーへの貢献を目指してまいります。 当社グループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」の実現に向けて、中期経営計画の基本方針として、「営業力・開発力・商品力の強化により、売上と利益の規模と質を高め、ESGを重視した経営を推進し、『いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社』になる」を掲げています。経営目標としては、2023年度売上高4,703億円、営業利益115億円、親会社株主に帰属する当期純利益76億円を目指してまいります。 当社グループは2020年度に重要課題(マテリアリティ)を特定しました。現在、重要課題の解決に向けた目標設定と活動計画を策定・推進しております。環境への対応のひとつとして温室効果ガス排出量の抑制に取り組みます。また、従業員は企業の礎であり、成長の柱です。従業員が心身ともに健康で、働きがいのある職場づくりを目指した活動を継続展開し、変革意識の醸成と健全な企業体質を構築します。さらにコンプライアンス意識とガバナンスレベルの向上を実践し、適切な情報開示の充実に努めます。 加工食品事業部門は、茨城工場を基盤としてコスト競争力、供給能力を高めております。加えて2022年度に鹿児島新工場の稼働を開始し、供給能力の拡大と強みのある商品の市場定着を図っております。さらに、当社グループ独自の製造技術の開発や製造基準の見直しに取り組み、価値ある商品の提供を目指します。 また、業務の標準化と自動化を進めて、デジタル技術を活用した効率的な業務プロセスの構築と戦略的な情報管理の実現に向けた活動を進めてまいります。 食肉事業部門は、宮城県で養豚新農場の稼働を開始いたしました。最新の設備と防疫体制を構築しており、2023年秋より肉豚の出荷を開始します。また、既存農場のリニューアルと生産性向上を進めて国産豚肉のインテグレーションを強化し、収益力の向上と安定供給体制を構築します。さらに、食肉事業の販売利益管理を徹底し、収益力の向上を図ります。 伊藤忠商事㈱及びグループ会社とのコラボレーションや業務提携等を主体として、日本国内及び海外の事業領域拡大を進めます。海外事業は、グループ会社の所在国及び周辺国への販売を進めておりますが、東南アジア市場を中心とした市場参入の礎としてシンガポール企業を買収しており、タイの生産子会社とともに東南アジア市場における売上拡大を進めてまいります。 長期間にわたった新型コロナウイルス感染症による日常生活の行動制限や社会活動の制約も概ね解除され、経済活動も常態に近い水準に戻り、消費活動の回復が期待されます。一方、原材料やエネルギーコストの高騰が継続しており、前年に引き続き様々な業種において、値上げが複数回実施されております。ベースアップ等により賃金水準は上昇に向かっているものの、消費者の厳しい生活実感からは十分な水準とは言えず、値上げの容認や消費拡大に直結するとは言い難い市場環境が継続しております。 業界としては、上記の製造コスト上昇要因に加えて、海外現地相場高や、円安水準の継続、さらには採卵鶏を中心に感染が拡大した国内の鶏インフルエンザ等、畜肉市場が大きく影響を受ける要因が多く、注視していく必要があります。 このような状況のなか、当社グループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という当社が「目指す姿」の実現に向けて、営業力・開発力・商品力の強化により売上規模と利益の質を高めるため、ESGを重視した経営を推進します。どのようなリスクや機会があるのかを中長期的な視点で把握し、施策を講じるために重要課題(マテリアリティ)を特定、その解決に向けた取り組みを推進し企業価値を向上させることを目的として「サステナビリティ委員会」を設置し、目標とKPIを策定しました。より具体的な取り組みを行い、当社グループの持続的な成長と持続可能な社会の構築に貢献していきます。 「いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社になる」を基本方針として、中期経営計画の目標達成に向けて「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」と「外部環境の変化に対応した収益基盤の構築」を具体化するとともに「成長投資とグローバル展開」を通して永続的なグループの発展に努めてまいります。 私たちプリマハムグループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」を目指す姿として、中期経営計画の基本方針において「ESGを重視した経営の推進」を掲げております。当社グループは、サステビリティ課題全般及びテーマ別の気候変動では「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の観点から、テーマ別の人的資本では「戦略」「指標と目標」の観点から考え方を整理し、取り組みを強化してまいります。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループが持続的な成長を遂げるためには、中長期的な視点でリスク・機会を把握することが重要であると考え、2020年9月に当社グループの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。また、2021年10月にはサステナビリティ推進の根幹となる「サステナビリティ基本方針」を定めました。さらに、サステナビリティを経営の中核に置き、その重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた取り組みを推進するために、また同時に、中長期的に企業価値を向上させるために、2021年11月に「サステナビリティ委員会」を設置しました。サステナビリティ委員会は、取締役会の任意の諮問委員会として設置され、取締役会からの諮問を受けて重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた目標の設定、活動計画の策定、その進捗状況の確認とともに、必要に応じて重要課題(マテリアリティ)を適宜見直します。また、本委員会の主要な諮問事項は定期的に取締役会に答申します。なお、本委員会は代表取締役社長を委員長とし、同委員会の管下には6つの分科会が設置されています。 当社グループの2022~2024年度中期経営計画では、基本方針の1つに「重要課題(マテリアリティ)の解消に向けた取り組み」を掲げており、サステナビリティ委員会等の活動を通じて対応に取り組んでいます。2022年度に開催された委員会や分科会での議論を通じて、重要課題(マテリアリティ)に対する目標・KPIを設定しました。 サステナビリティ委員会は、当社グループを取り巻く重要課題(マテリアリティ)に係るリスクや機会について協議し、取締役会へ報告します。これを受けて、取締役会はリスク懸念事象について審議し、当社グループの対応方針や実行計画等を決定していきます。また、リスク懸念事象は、当社グループの事業や業績等に影響を与える全社のリスクであるとの認識を深めます。なお、決定された事項については、サステナビリティ委員会及び分科会で具体的なアクションに落とし込んでいきます。 重要課題(マテリアリティ)の目標・KPIに対する進捗状況は以下の通りです。 気候変動問題はグローバルな重要課題のひとつであり、当社グループにおいても事業や業績、戦略、財務に大きな影響を及ぼす重要課題と認識しています。当社グループは、G20の要請を受けて金融安定理事会(FSB)によって設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に沿って気候変動関連リスク及び機会について開示し、適切な対策を講じていきます。 当社は、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しています。本委員会は、気候変動問題への対応等の重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた目標設定、活動計画の策定、その進捗状況を確認し、必要に応じて重要課題(マテリアリティ)を適宜見直します。2022年度は4回の委員会を開催し、議論を進めました。なお、本委員会は代表取締役社長を委員長とし、同委員会の管下には6つの分科会が設置されています。分科会は社内の他会議や委員会と連携して活動しています。この分科会のひとつに「環境分科会」があり、同分科会で気候変動の対応についても議論しています。取締役会は、サステナビリティ委員会から報告された事項について審議するとともに、重要課題(マテリアリティ)の進捗について確認・議論していきます。気候変動への対応においては、グループ全体の温室効果ガス排出量の削減が重要となります。このことから、サステナビリティ委員会及び環境分科会において、太陽光パネルや高効率エネルギー設備の導入、フロン冷媒から自然冷媒への転換、フロン対策工事等生産拠点への設備投資計画を中心とした議論がなされています。 当社グループの2022~2024年度中期経営計画では、基本方針の1つに「重要課題(マテリアリティ)の解消に向けた取り組み」を掲げており、サステナビリティ委員会の活動を通じて気候変動問題の解消に向けた対応に取り組んでいます。低炭素・脱炭素技術の代替や原材料コストの上昇、感染症の蔓延等は、当社グループの事業や財務に影響を及ぼす可能性があります。現時点で、当社グループへの影響が想定されるリスク・機会については以下のとおりです。 気候変動によってリスクと想定される事柄について、当社は財務的な影響をシミュレーションし、対策を講じていきます。特に、気候変動による原材料コストへの影響については、当社の飼料コスト等の上昇が懸念され、財務的な影響も大きいと予測しており、以下の仮説のもと、対応策の検討を進めていきます。 サステナビリティ委員会は、当社グループを取り巻く気候変動に係るリスクや機会について協議し、取締役会へ報告します。これを受けて、取締役会はリスク懸念事象について審議し、当社グループの環境課題への対応方針や実行計画等を決定していきます。また、リスク懸念事象は、当社グループの事業や業績等に影響を与える全社のリスクであるとの認識を深めます。なお、決定された事項については、サステナビリティ委員会及び分科会で具体的なアクションに落とし込んでいきます。 当社グループは、気候変動の緩和に向けて温室効果ガス排出量(Scope1・2)を算定しています。また、「温室効果ガス排出量の抑制」を当社グループの重要課題(マテリアリティ)のひとつとして位置付けており、2022年度の取締役会において「2030年度までに温室効果ガス排出量24.3%削減(2021年度比)※」という目標を立てました。この目標の達成に向けた活動に取り組むことで、気候変動問題に対応していきます。なお、温室効果ガス排出量の削減目標は日本政府の方針等をふまえており、今後も気候変動に関連する規制要件に配慮していきます。さらに、サプライチェーンで発生する温室効果ガス排出量(Scope3)についても対応を検討していきます。 なお、最新の取り組み状況・進捗については、当社ホームページ内にあるサステナビリティに関するウェブサイトにて発信していきます。 近年、企業には非財務資本を重視した経営が求められており、特に日本の労働人口が減少するなかで「人的資本」の重要性が増しています。当社グループでは、中期経営計画(2022~2024年度)における「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」のなかで「人材育成と働きがいの向上による変革意識の醸成」を掲げています。また、その実現に向けて2020年9月に特定した重要課題(マテリアリティ)では、「働きがいのある職場環境をつくる」をテーマに、「多様な働き方の尊重、推進」と「優秀な人材の雇用と育成」、「心身の健康に配慮した労働安全衛生」を重要課題(マテリアリティ)として掲げ、現在、具体的なアクションプランに取り組んでいます。さらに、人材育成及び社内環境整備においては以下の通り基本方針を定めています。 Ⅰ 若手層から管理職層に至るまで、幅広く育成機会を提供することによって、将来的に当社の経営を担える人材を育成します。 Ⅱ 業務に必要な知識、専門性を高めるための研修プログラムを展開し、社会や事業環境の変化に適応できる人材を育成します。 Ⅲ 全ての従業員が能動的に、自らの課題意識をもって業務に取り組める様、自己啓発を積極的に支援します。 また、基本方針に基づき以下3点を教育の柱としつつ、働きがい改革推進プロジェクト等での意見も反映させながら各種施策を展開します。 Ⅰ 持続的な成長に向けて、多様な人材が多様な働き方をできる環境の整備に取り組みます。 Ⅱ 安全な職場づくりを追求するとともに、従業員の心身の健康に配慮した制度・体制を整備します。 Ⅲ 人権を尊重し、不当な差別、いやがらせ、ハラスメントの根絶を目指します。 さらに、基本方針に基づき以下の事項に取り組みます。 Ⅰ 持続的な成長に向けて、多様な人材が多様な働き方をできる環境の整備に取り組みます。 Ⅱ 安全な職場づくりを追求するとともに、従業員の心身の健康に配慮した制度・体制を整備します。 Ⅲ 人権を尊重し、不当な差別、いやがらせ、ハラスメントの根絶を目指します。 人的資本関連の指標と目標については「(1)サステナビリティ課題全般」に記載しております。また、男女間賃金格差の実績については「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクは、以下のようなものがあります。当社グループは、リスクを要因ごとに分類し、リスク発生の未然防止方法とリスク発生時の対応方法を定めています。また、当社グループのリスク情報は、当社の主管部署が情報や対策を進捗管理しており、取締役会等へリスク懸念事項として報告しています。なお、各項目における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは販売用食肉、ハム・ソーセージ、加工食品等の製造・販売をしており原材料となる畜産物の市況や商品・原油市況の高騰が業績に影響を与える。 当社グループは原材料、商品を米国、欧州、中国等から輸入しており、為替レートの変動が業績に影響を与える。海外子会社の現地通貨建ての業績が円換算される際に影響がある。 が発生することで、お客様の健康を損ねる懸念や社会的信頼が失墜し、事業継続が困難になる。 当社グループの有形固定資産及び無形固定資産が事業計画と乖離し、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす。 当社グループの事業活動を行う上で、法令違反は会社に甚大な影響を与える。 当社グループ及び仕入先が災害事件・事故の発生により、人的・物的被害を被ると、商品供給の遅延停止、生産物流拠点や事業所の整備により、業績に甚大な悪影響を及ぼす。 当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症が蔓延した場合、事業活動の継続が困難となり、業績に甚大な悪影響を及ぼす。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりです。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。 なお、当連結会計年度の期首より表示方法の変更を行っており、経営成績については当該表示方法の変更を反映した組替え後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しています。 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による日常生活の制約や社会活動への制限が緩和・解除され、旅行や帰省等の国内移動が回復し、外国人の入国制限も段階的に解除され、人流が戻り通常レベルの経済活動に戻りつつあります。飲食業、観光業、百貨店等、制限下で非常に苦慮していた業種においても流行以前まで業績が回復する企業もでてきています。個人の家計消費も娯楽や旅行、外食等の支出増加が牽引し、前年を上回る水準となっております。 一方、2022年10月以降、一定の揺り戻しはあったものの、依然として日米の金利差や貿易赤字等を背景にした円安、ウクライナ情勢等の影響を受け、原材料やエネルギーコストが高騰し、これらの結果製造コストが大幅に上昇しており、幅広い業種において値上げが実施されています。しかしながら、消費者物価指数(CPI)や企業物価指数が示すとおり、国内物価は上昇しているものの、製造コストの上昇をカバーしきれておらず、複数回の値上げを実施する企業も数多く、食品は未曾有の値上げラッシュとなっております。これに対し個人は生活防衛意識の高まりから買い控え行動がおきる等、今後の消費動向は予断を許さない状況となっております。年末に日本銀行によるイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の運用見直しが実施され、また、年度末には米欧の金融不安が生じる等、金利や為替相場のボラティリティが高まり、今後の経済見通しは一層予測がつきにくくなっています。 当業界におきましても、畜肉相場の上昇、飼料価格の高値継続、円安による海外からの調達条件の悪化等の影響を受け、製造コストが想定以上に上昇する一方、販売価格は思うように値上げできず、厳しい環境が継続しています。 このような状況の中、当社グループの「目指す姿」である「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という基本的な考えのもと、中期経営計画の目標の達成に向けて、「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」、「既存事業の領域拡大及び収益基盤のさらなる強化」及び「成長投資とグローバル展開」を基本方針と位置づけ、諸施策を講じてまいりました。 結果、売上高は4,307億40百万円(前期比2.4%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は97億25百万円(前期比30.7%減)、経常利益は105億10百万円(前期比29.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、有形固定資産、のれんの減損損失を計上したこと等により45億5百万円(前期比53.6%減)となりました。 目標とする経営指標につきましては自己資本利益率(ROE)4.0%となり、純利益減により未達となりました。 2022年2月に引き続き、9月に2回目のハム・ソーセージ商品及び加工食品の価格改定を行い、販売先への納品価格の引き上げを実施いたしました。市販用商品市場の販売額が前年を下回る厳しい環境においても、当社市販用のシェアは継続的に上昇しましたが、当初の想定以上に製造コストが急上昇していることを受け、収益面では厳しい結果となりました。 主力ブランドの「香薫®あらびきポークウインナー」は、定番の2個束商品に加え、大袋ジッパー付き商品の販売も引き続き好調に推移しました。販売促進政策では、香薫20周年記念として宝塚歌劇団のご招待キャンペーンが好評をいただきました。東京ディズニーリゾート®ご招待キャンペーンやSNSを活用したキャンペーン等を継続的に実施し、当期も販売シェアの拡大が継続し、世代を問わず幅広い支持を得ています。その他の市販用商品の拡販にも努め、売上高、販売数量ともに前期を上回ることができました。業務用商品においても、市場の回復や価格改定の実施等の施策を進め、販売は好調に推移いたしました。 加工食品部門では、常温商品の「ストックディッシュ」、手軽に食べられる「サラダチキンスティック」等の市販用商品が消費者から評価を得ており、順調に拡販を進めることができました。また、業務用商品においては、市場の回復や価格改定に伴い売上を拡大いたしましたが、原材料等の仕入コストの大幅な上昇を補いきれず、利益面では前期を下回る結果となりました。 コンビニエンスストア向けのベンダー事業についても、お客様の要望に応えた新商品開発や原材料コスト上昇を補った新商品発売を継続して行いましたが、電気代、燃料費等のエネルギーコストの急騰や、人件費の上昇等により、利益面では前期を下回る結果となりました。 これらの結果、加工食品事業部門は、売上高3,006億54百万円(前期比5.3%増)となり、セグメント利益102億45百万円(前期比27.2%減)となりました。 海外の畜肉相場高や穀物相場の高止まり、円安による輸入仕入コストの上昇等、食肉事業の仕入環境は極めて厳しい状況が継続しています。販売先の店頭価格は、原料肉の相場上昇を補うまでの価格上昇には至らず、家計調査をみても、消費者の生鮮肉の購買数量は、牛肉を中心に前年から減少しています。販売先への価格転嫁の浸透不足と生鮮肉市場の需要ダウンが重なり、販売数量の維持、利益の確保が難しく、食肉販売の売上高及び採算が大きく悪化しています。国産の豚肉相場は高水準で推移しているものの、飼料価格の高騰には追いつかないため、養豚事業も収益的には厳しい状況であります。しかしながら、将来的なサステナビリティ対応強化方針を見据えて、国産豚肉の先進的生産事業の拡大と農場生産性向上を計画的に推進しており、先行投資は堅実に実行しているところです。 これらの結果、食品事業部門は、売上高1,295億56百万円(前期比3.8%減)となり、セグメント損失1億83百万円(前年同期はセグメント利益12億92百万円)となりました。 その他事業(理化学機器の開発・製造・販売等)の売上高5億29百万円(前期比10.3%増)となり、セグメント利益2億32百万円(前期比2.1%増)となりました。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ81億65百万円増加し、2,298億87百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が60億24百万円、ソフトウエア仮勘定が34億45百万円、商品及び製品が21億97百万円、受取手形及び売掛金が23億67百万円増加し、預け金が59億86百万円減少したことによるものです。 負債については、前連結会計年度末に比べ75億38百万円増加し、1,066億92百万円となりました。これは主に、長期借入金(1年以内返済予定含む)が50億79百万円、未払法人税等が14億14百万円増加したことによるものです。 純資産については、前連結会計年度末に比べ6億27百万円増加し、1,231億94百万円となりました。これは主に、利益剰余金が12億39百万円、為替換算調整勘定が7億47百万円増加し、退職給付に係る調整累計額が8億94百万円減少したことによるものです。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて21億32百万円減少(前連結会計年度は135億42百万円減少)し、140億98百万円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは117億19百万円のネット入金(前連結会計年度は167億39百万円のネット入金)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益59億円、減価償却費109億58百万円、減損損失46億43百万円、棚卸資産34億93百万円の増加、売上債権23億3百万円の増加、法人税等の支払16億87百万円です。 投資活動によるキャッシュ・フローは150億89百万円のネット支払(前連結会計年度は237億13百万円のネット支払)となりました。主な要因は、生産設備更新、生産性向上及び品質安定を目的とした有形固定資産の取得による支出181億86百万円、預け金の払戻による収入50億円です。 財務活動によるキャッシュ・フローは12億6百万円のネット入金(前連結会計年度は66億16百万円のネット支払)となりました。主な要因は、長期借入による収入90億円、長期借入金の返済による支出39億20百万円、配当金の支払32億68百万円です。 配当性向は72.5%となり、目安である30%以上の水準を維持しております。着実な営業キャッシュ・フローの創出を原資に財務規律を守りながら成長投資を着実に実行しつつ、安定した配当を継続するバランス経営を実施してまいります。 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 当社の子会社プライムデリカ㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しており、また、当社の子会社プライムテック㈱は受注生産を行っておりますが、金額が些少なため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りへの反映につきましては、当社グループの現時点での市場環境及び業績推移を踏まえて、特段の考慮は不要と判断しております。 当社グループは、主として移動平均法による原価法で棚卸資産を評価しておりますが、収益性の低下した棚卸資産につきましては正味売却価額まで帳簿価額を切り下げております。 棚卸資産の実現可能価額は、通常の事業活動による見積り販売価額から見積り直接販売経費を控除して算出されます。棚卸資産の評価は、棚卸資産が先の方法で正しく評価されているかどうかを確認するため、定期的に実施されております。当社グループは、必要と判断された場合、棚卸資産の帳簿価額と正味売却価額との差額を棚卸資産の評価損として計上しております。見積り販売価額や見積り直接販売経費は過去の状況や将来の消化予想、その他の要素を加味して算出しております。また、将来破棄する棚卸資産についても考慮しております。当社グループの棚卸資産の評価は適正であると判断しておりますが、市況や消費者ニーズが当社グループの計画と大きく乖離する場合、評価損の金額は増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、現在、一定期間における回収可能性に基づき相当額の繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計上は、予測される将来における課税所得により影響を受けます。将来の課税所得の見積りにあたっては、過去の業績やタックス・プランニング等も考慮しております。当社グループの将来の収益性に係る判断は、将来における市場の動向その他の要因により影響を受けます。これらの状況に変化があった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 投資有価証券については、時価が取得価額を下回り、かつ時価の下落又は実質価額の低下が一時的でないと判断される場合は、評価損が計上されます。当社グループは、投資有価証券の時価の下落が一時的であるかどうかを、下落の期間や程度、発行体の財政状態や業績の見通し、又は時価の回復が予想される十分な期間にわたって保有する意思等を含めた基準により四半期ごとに判断しております。 当社グループは、評価損を判断する基準は合理的なものであると考えておりますが、市場の変化や予測できない経済及びビジネス上の前提条件の変化によって個々の投資に関する状況の変化があった場合には、投資有価証券の評価額に影響を受ける可能性があります。 なお、2023年3月31日現在、当社グループが保有する投資有価証券のいくつかの銘柄については、時価が簿価を下回っております。これらの銘柄については、下落期間や入手可能な発行体の業績等をもとに一時的な下落であると判断し、評価損は計上しておりません。 2023年3月31日現在、重要な影響を与える含み損は発生しておりません。 当社グループが保有する有形固定資産については、帳簿価額の回収ができないという兆候を示す事象が発生した場合には、将来の見積キャッシュ・フローに基づき減損の判定を実施し、減損が生じたと判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超える金額を減損損失として計上しております。 減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。 2023年3月期において、減損損失の認識の判定で割引前将来キャッシュ・フローの総額が、固定資産の簿価を下回っていると判断されたため、プライムデリカ㈱の一部の資産を回収可能価額である正味売却価額まで減額し減損損失を計上しております。この結果生じた減損損失3,821百万円については、特別損失に計上しております。 のれん及び顧客関連資産は、その効果の発現する期間を見積り、その期間に基づく定額法により償却しています。また、のれん及び顧客関連資産の評価にあたっては、事業計画に基づく将来キャッシュ・フローや割引率等の見積りや仮定を用いており、将来の事業計画や経営環境の変化等によりこれらの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。 2023年3月期において、減損損失の認識の判定で割引前将来キャッシュ・フローの総額が、のれん及び顧客関連資産の帳簿価額を下回っていると判断されたため、ティーエムジーインターナショナル㈱ののれんを減額し減損損失を計上しております。この結果生じた減損損失807百万円については、特別損失に計上しております。 当社及び国内連結子会社は、確定給付型の制度として企業年金基金制度、退職一時金制度及び確定拠出年金制度を採用しております。また、一部の連結子会社は、中小企業退職金共済制度を採用しております。退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出されております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれております。これらの前提条件は年に一度見直しております。当社グループは、使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、仮定自体の変更により、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。 当連結会計年度の売上高は4,307億40百万円(前期は4,207億17百万円)となりました。利益面におきましては、営業利益97億25百万円(前期比30.7%減)、経常利益105億10百万円(前期比29.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益45億5百万円(前期比53.6%減)となりました。 なお、当社グループは、自己資本利益率(ROE)を最も重要な経営指標として位置づけております。 2023年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画(ローリングプラン)の着実な実行により、自己資本利益率(ROE)10%以上、配当性向30%以上を目指してまいります。 当連結会計年度の売上高は4,307億40百万円であり、前連結会計年度と比較しますと100億23百万円の増収となっております。 加工食品事業部門は、新型コロナウイルス感染症対策としてまん延防止等重点措置の期間延長が続く最中、前年の反動を受ける環境下でもありました。自家消費の需要に応じた主力ブランドを中心に大袋商品やおつまみ系商品の販売拡大、業務用商品の売上回復に取り組みました。LINEや公式Twitterを活用したキャンペーン、ブランド認知向上にも取り組んだ結果、販売数量拡大及びシェアアップに貢献しました。また、食肉事業部門は、感染症対策に伴い海外の相場高、長期化する輸送遅延の影響が大きく、オリジナルブランド商品の拡販や得意先とのオンライン商談を行い、売上拡大に取り組みましたが前期を下回る結果となりました。 加工食品事業部門の業績は、原材料、燃料、電力等の調達コスト上昇とともに人件費アップの影響により利益率が悪化しました。食肉事業部門においても、輸入肉の調達コストの高騰、国産豚生産事業の餌飼料調達コスト上昇により前期を下回る結果となり、当連結会計年度の営業利益は、97億25百万円となり、前連結会計年度と比較しますと43億12百万円の減益となりました。 当連結会計年度の経常利益は105億10百万円であり、前連結会計年度と比較しますと43億73百万円の減益となりました。 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は45億5百万円であり、前連結会計年度と比較しますと52億13百万円の減益となりました。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載しております。 当社グループの運転資金は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。 当社及び国内子会社においてキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うとともに、当社グループの余剰資金を、伊藤忠商事㈱のグループ金融制度に預け入れ、資金の効率的な運用を図っております。 また、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、当社及び当社グループの十分な手元流動性の確保をしております。 加工食品事業部門につきましては、2022年度に鹿児島新工場の稼働を開始いたしました。鹿児島新工場は地産商品の拡充やライン自動化を目的とした、最新鋭設備導入等の設備投資を行い、これらの投資により生産数量の拡大、省人化、環境負荷の軽減、新技術開発や工程改革を推し進め、商品規格数の適正管理、原材料の有効活用、物流コスト削減等を図り、事業競争力を高めることに注力してまいります。 食肉事業部門につきましては、肉豚生産事業のインテグレーション強化に向けた投資に注力しております。具体的には肥育舎の増設による生産規模の拡大、農場近代化による生産効率の向上を目的とした投資を行い、子会社加工場へ肉豚を安定供給し、品質の高い国産肉豚の生産体制を確立し、販売競争力を高め、収益力の拡大を推進してまいります。2022年度に宮城新農場での母豚搬入、種付け、子豚の出産を開始いたしました。 その他事業につきましては、グループの人事・総務、情報システム等のサービス業務の充実を図ることでグループ経営基盤を強化する方針にて事業を推進してまいります。 該当事項はありません。 当連結会計年度では、当社の研究開発部門である開発本部基礎研究所を中心に「おいしさ、安全・安心、健康、環境負荷低減、細胞工学」の5つの分野において、食肉加工あるいは食肉生産に関する先端的な基礎研究、それらを活用した商品開発あるいは一部の生産技術開発に至るまで、精力的な研究開発活動を行いながら、独自の研究技術成果等の社内への導入を積極的に行っております。また、研究開発体制の構築や研究開発のレベルアップ及び効率化のため、大学等の各種研究機関との共同研究を通じて連携の強化を行い、研究を推進していきます。 おいしさに関する研究では、分析型及び嗜好型の官能評価に加え、各種検査装置による味・香り・食感・外観等の解析から、商品のおいしさを客観的かつ具体的に評価し、おいしさの見える化(数値化)するための手法を構築しました。当期では、構築した手法により当社及び他社のウインナー、ハンバーグ、唐揚げ等の商品ごとの特徴を明確化するとともに、科学的解析に基づいたおいしさの数値化を行いました。解析した結果は当社の営業本部等の他部門にも情報提供することにより商品開発、品質改善、販売促進活動のサポート等に繋がっております。また、関連学会への研究報告や新規検査手法の特許出願を行いました。今後もより精度の高い見える化を行うため、新たな検査装置や手法の情報収集を継続しております。 安全・安心に関する研究では、食物アレルゲン検査キットのAOAC認証取得、新規微生物検査装置の開発、「おいしさと安全・安心」を実現させる自社基準の策定を行いました。 ① 食物アレルゲン検査キットの開発では、国内初となるAOAC認証済みのイムノクロマトキットを目指し、取得に必要な作業を進めております。AOAC認証は、コロナ禍や追加テスト等の影響により当初の計画に対し遷延しておりますが、2023年度での取得を予定しており、AOAC認証済み検査キットとして精度や信頼性を国内外に広めていきます。また、これまでのアレルゲン検査に関する研究結果をまとめ、関連学会での研究報告や特許出願を行いました。 ② 新規微生物検査装置の開発では、工程や包装後の製品において、微生物が有する自家蛍光を利用した菌の性状を解析する手法を用いて、微生物を迅速に検出する方法の研究を行っております。なお、本装置の開発は自家蛍光に関する研究を行っている外部研究機関、検査装置の開発を行う機器メーカーとの三者間で秘密保持契約を締結し、研究を開始しております。 ③ これまで基礎研究所では、「おいしさと安全・安心」を実現させながら自社製品の品質を向上させるため、生産工場の製造環境・ラインの改善、工程管理基準の見直しを進めてきました。当期では、ハンバーグ等を含む真空調理食品の製造及び配合基準の見直しを社内品質保証本部、生産本部、営業本部及び外部検査機関と連携しながら実施し、ハンバーグ類の真空調理食品に対する新たな加熱及び配合基準を策定しました。翌期では策定した新基準を当社各工場やグループ各社に水平展開することにより、安全性を担保しつつ、おいしさと感動で食文化と社会に貢献する商品の開発に繋げていきます。 健康に関する研究では、健康で豊かな食生活を創造するために、健康機能を持つ食肉製品の開発を目的とし、短期課題として既存の健康成分を活用した商品の開発、中長期課題として食肉の中から新規の健康成分を探索し、活用するための基礎研究を行っております。 ① 健康成分を活用した商品開発では、これまでの減塩商品の風味や食感のさらなる改良の開発を継続しながら、当期では鶏肉に含まれるイミダゾールジペプチドを活用した抗疲労効果訴求の商品、大豆に含まれるタンパク質β-コングリシニンを活用したBMIや中性脂肪の減少効果を訴求する商品の開発を開始しました。 ② 食肉の中からの健康機能性成分の検索は外部研究機関との共同研究により進め、畜肉副産物に含まれるヘム鉄や軟骨等からの機能性成分の探索と機能性の解明及び成分を付与した商品開発を検討しております。 環境負荷低減に関する研究では、当社の養豚事業や食品製造時に発生する環境負荷を考慮し、環境に対する積極的な取り組みが責務となると考えられ、当期では以下の4課題の取り組みを継続しました。いずれの課題も外部研究機関等との共同研究を実施し、基礎的な研究から社内実装を行うための応用研究を行う予定としております。 養豚場や食品工場から排出される放流水に含まれるリンの回収技術の確立、当社事業場からの排水の浄化、リン資源の安定的な確保を目指し検討を進めております。当期では、ダイオプサイトを使用したリン回収の条件検討から基本的な特性等を把握し、本技術に関する特許出願を行いました。 有機性廃棄物(動植物性残さや家畜の糞尿等)の資源化の一環として、メタン発酵消化液による植物の病気抑制効果と、使用済みスモークチップの多孔性に着目し、抗菌性の確認及び土壌改良材の開発に関わる基礎的な研究を実施しました。 ラン藻を利用した技術開発を行っております。当期では、ラン藻培養のスケールアップ、ラン藻菌体を豚の健康に寄与する飼料として活用可能か判断するため、ラン藻由来の有機酸やタンパク質等を高効率に産生する培養条件の検討及びラン藻菌体を家畜用飼料にするため、食品素材を使用した培地組成の検討を行いました。 秘密保持契約を締結した企業と当社工場から排出された廃プラスチック2種の油化試験を実施し、いずれも油化原料として問題がないことを確認しました。今後は、工場等の他部門と連携しながら検討を進める予定としております。 将来的な世界人口の増加による食肉供給不足や環境保全の問題から、植物由来代替肉や細胞農業による培養肉の開発が注目され、当社においても培養肉のメーカー、技術動向、市場性等を分析するため、前期より調査研究を開始しております。当期は、外部研究機関と秘密保持契約を締結し、培養肉開発に関する技術の検証、新規代替肉素材の探索及び当社製品への応用について検討を実施しました。得られた結果は関連学会で研究報告を行っております。 当期の研究開発活動では、これまで以上に社内外の関連部門との連携を強化し、研究活動の中から得られた情報を全社に向けて発信することにより研究開発部門、他事業部門が一体となって具体的施策の推進・利益の最大化・企業価値向上に貢献することを目標に活動を実施してまいりました。また、関連学会での研究報告や新技術の特許化等、社外に対する情報発信も行っております。 なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、389百万円です。
理想科学工業株式会社
# 理想科学工業株式会社 株式会社理想科学研究所(本社 東京都世田谷区若林町、資本金100万円)として設立。 本社を東京都千代田区神田錦町に移転。 理想科学工業株式会社に商号変更。 茨城県稲敷郡阿見町に霞ヶ浦工場完成。 本社を東京都港区新橋に移転。 東京都港区三田に東京工場設置、操業開始。 全国主要都市に営業所開設。 東京工場を霞ヶ浦工場へ移転統合。 リソグラフ販売を主力とする直販展開を目的として、全国に拠点作りを開始。 茨城県稲敷郡阿見町に筑波工場完成。 米国マサチューセッツ州に RISO,INC. 設立。 山口県宇部市に宇部工場完成。 英国ロンドンに RISO EUROPE LTD. 設立。 社団法人日本証券業協会に株式店頭登録。 独国ハンブルグに RISO (Deutschland) GmbH 設立。 茨城県稲敷郡阿見町に商品開発研究所完成。 仏国リヨンに RISO FRANCE S.A. 設立。 英国ロンドンに RISO (U.K.) LTD. 設立。 スペイン バルセロナに RISO IBERICA, S.A. 設立。 香港に RISO HONG KONG LTD. 設立。 茨城県稲敷郡阿見町に筑波出荷センター完成。 本社事務所を東京都港区芝に移転。 茨城県稲敷郡阿見町に開発技術センター完成。 中国広東省に 珠海理想科学工業有限公司 設立。 香港に理想工業(香港)有限公司 設立。 東京都新宿区にオリンパス株式会社との合弁会社 オルテック株式会社 設立。 日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場。 本店登記住所を東京都港区芝に変更。 東京証券取引所市場第一部に株式を上場。 ジャスダック証券取引所の株式上場を廃止。 米国フロリダに RISO LATIN AMERICA,INC. 設立。 ロシア モスクワに RISO EURASIA LLC 設立。 オリンパス株式会社との合弁を終了し、オルテック株式会社を完全子会社化。 タイ アユタヤ県に RISO INDUSTRY (THAILAND) CO.,LTD. 設立。 オルテック株式会社を吸収合併。 茨城県つくば市に理想開発センター完成。 タイ アユタヤ県に RISO INDUSTRY (THAILAND) CO.,LTD.のロジャナ工場完成。 シンガポール共和国 シンガポールに RISO (SG) PTE. LTD. 設立。 トルコ共和国 イスタンブールに RISO TURKEY BASKI COZUMLERI A.S. 設立。 茨城県つくば市に理想開発センターⅡ完成。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。 当社グループは、印刷機器事業として、高速カラープリンター「オルフィス」を主としたインクジェット事業と、デジタル印刷機「リソグラフ」を主とした孔版事業を行っております。また、不動産事業と、その他にプリントクリエイト事業及びデジタルコミュニケーション事業を行っております。 事業内容と当社及び主要な関係会社の当該事業にかかる位置付けは次のとおりであります。なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一の区分であります。 事業系統図は次のとおりであります。 労働組合はありません。 当社グループは、2025年3月期を最終年度とした3ヵ年計画「第八次中期経営計画(RISO Vision 25)」を策定し、取り組んでおります。 インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する。 当社グループの主要事業である印刷機器事業においては、孔版事業は減収傾向が続いております。インクジェット事業の収益力を強化することが当社グループの対処すべき課題ととらえております。また、当社グループの中長期的な経営課題は、経営環境の変化に適応し当社グループを効率的で強い企業体質に変えることだと認識しております。 当社グループの中長期的な成長を実現するために、製品の特長をいかした販売活動を全世界で展開してまいります。また、新規事業の創出に向けた開発活動を行ってまいります。 第八次中期経営計画(RISO Vision 25)の2年目となる2024年3月期は以下の項目を経営方針に掲げ運営してまいります。 サステナビリティに関する課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に取り組んでおります。 当社は「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、全社的なリスク管理体制を構築しております。 ガバナンス及びリスク管理に関する内容については、3「事業等のリスク」をご参照ください。 当社グループのサステナビリティに関する取り組みは、次のとおりであります。 当社は、「世界に類のないものを創る」を開発ポリシーとし、製品やサービスを通じて世界中のお客様の生産性・経済性・利便性の向上に貢献します。 当社は、社会とのつながりを大切にし、社会の一員として様々な活動に取り組んでおります。製品やサービスを通じて、地域社会や学校などのコミュニケーションをより良いものにします。 サプライヤーとのパートナーシップを推進することで、法令を遵守した常に公正で透明な調達を行っています。 社員一人ひとりが健康で、チャレンジと成長を続けている風土づくりに取り組んでいます。 当社は、お客様に環境負荷の低い製品をお使いいただくために、開発から製造、物流、販売にわたり全社をあげて環境活動に取り組んでおります。 美しい健全な環境を次世代に引き継ぐために地球規模での環境保全に貢献します。 指標及び目標に関する詳細は、当社ウェブサイトに掲載の「環境データブック」をご参照ください。 当社の人事制度は、「多様な人材や働き方が認められ、活躍できる会社」を掲げ、多様な貢献タイプを示し、自らが主体的に選択できることを支援し、そのために必要なスキル・実力向上の場と機会を提供しております。 経営人材育成の取り組みとして、次世代リーダーの発掘・育成プログラムを継続的に実施しております。 また、女性社員向けのキャリア研修を実施し、育児・介護休業等の取扱細則を定め、女性社員が安心して仕事ができる環境づくりとともに男性の育児休業取得促進に努めております。 さらに、人種・国籍などを問わず能力を重視して採用するよう努め、多様性の確保を推進しております。 当社は、会社法の定めに基づき「損失の危険の管理に関する規程」を制定しています。重要な業務は、執行に伴うリスク分析や対策の検討をしたうえで、業務執行会議や取締役会で審議・決定します。また、「リスク・コンプライアンス委員会」では、当社グループを取り巻くさまざまなリスクが発生した場合の影響度などを分析・評価して、「リスクマップ」を作成しています。グループ経営に重大な影響を与えるリスクについては、個別にリスク管理プログラムを策定し実行することで、リスクの低減・回避に努め、統合的なリスク管理と体制整備を推進しています。 リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しており、リスク・コンプライアンス委員会ではリスクの発現状況及び発現したリスクに対する対応状況を定期的に確認しています。 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク並びに投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの主力である事務用印刷機器関連製品においては、同じテクノロジーを用いた孔版印刷機やインクジェットプリンターを始め、同様のマーケットを対象にする複写機やレーザービームプリンターなどとの競合が考えられます。 性能面あるいは価格面における競争が激化した場合は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事務用印刷機器関連製品の開発・製造・販売をコアビジネスとしております。このような中で、当社の孔版印刷技術やインクジェット技術に対抗するような技術革新が起こった場合は、当社グループの製品の競争力が著しく低下する可能性があります。従って、当社グループが技術革新の流れを十分に予測することができず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの販売子会社は、販売不振等により、継続的に経常損失を計上している業績不振の子会社が存在しております。当該子会社では、経費の削減のみならず販路の再構築や陣容の見直し等の実施などにより業績の改善を図っておりますが、計画どおりに業績が改善しない場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの印刷機器事業においては、売上高の半分近くが海外の顧客向けであります。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。 当社グループは、中国及びタイに製造拠点を有するとともに、世界各地域に販売子会社を設立しております。これらの海外市場への事業進出は、以下のような不測の事態が発生するリスクがあります。 当社グループは、製造拠点の存する中国及びタイ並びに販売子会社の存する各国の情勢把握には常に注意を払い、損害を未然に防止できるよう努めておりますが、大規模な労働争議、テロ、戦争、暴動、自然災害などの不測の事態が発生した場合には、当該地域における生産活動や販売活動の停止、現地資産の喪失などにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、製造拠点を分散しておりますが、地震等の自然災害あるいは火災などの事故によって、当社グループの製造拠点の設備が壊滅的な被害を被った場合、当社製造拠点の操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高が減少する恐れがあります。また、製造拠点の修復のための多額の費用を保険でカバーできない場合もあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、事業の過程において顧客の個人情報を取得するとともに技術分野におけるノウハウや顧客情報など貴重な機密情報を保有しております。当社グループは、これらの情報の適正な管理を行うため「個人情報保護規程」、「企業機密管理規程」等の諸規程を定めるとともに、従業員教育を通じて情報管理への意識を高め、グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐよう努めております。また、当社は一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークの認定を取得しております。しかし、これらの施策にもかかわらず、個人情報や機密情報が万一漏洩した場合、損害賠償責任や社会的責任を負うばかりでなく、企業の競争力が削がれ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、製品の開発・製造・販売等の事業活動において、第三者の知的財産権を侵害しないよう、製品設計段階における特許調査等により細心の注意を払っております。しかしながら、製品の精密化、製品技術の多様化、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合、販売差し止めや設計変更等に伴うコスト増加の可能性があります。一方、第三者による当社グループの知的財産権侵害を完全に防止することができない可能性もあり、その場合、当社グループの製品が想定するシェアを確保できず、売上が減少する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、印刷機器及び関連消耗品を茨城県及び山口県、並びに中国及びタイの製造拠点で品質管理に最大限の配慮を置き製造しております。しかし、製品に重大な欠陥が発生しないという絶対の保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、リコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は多額のコストを生じることに加え、当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が減少し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、日本国内のみならず事業展開する世界各国において適用される法令を遵守し活動しなければなりません。また、当社グループは、法令の遵守だけでなく、正義感や倫理に基づいて判断できるような社員教育を心がけ、「遵法経営規程」や「コンプライアンス行動指針」を制定して経営にあたっております。さらに従業員向けの相談窓口として、コンプライアンスホットラインやハラスメントホットラインを設置しておりますが、一社員の行動や判断の誤りから一瞬にして信用を失うことも予想されます。万が一当社グループの役員又は社員が社会的信用を失うような法令違反を犯した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、日本国内のみならず事業展開する世界各国において、事業の許認可、国家安全保障、独占禁止、通商、為替、租税、特許、環境、情報統制等の法的規制を受けております。このような中、当社グループは法令遵守に努めておりますが、将来当社グループの営む事業の継続に影響を及ぼすような法的規制が課せられる場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、製品の開発・製造・販売等の事業活動において、必要と認めた各種の認定基準を満たすよう努めております。そのため新たな認定基準が導入された場合、もしくは認定基準が変更された場合は、設計変更等に伴いコストが増加する可能性があります。また、認定基準を満たせない場合は、販売機会が減少し売上が減少する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、継続的に事業を発展させるためには専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営に優れた人材を確保する必要があります。しかしながら、日本国内における少子高齢化や労働人口の減少により、人材の確保が計画どおりに進まなかった場合、長期的には事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、日本をはじめ世界各地域に製造・販売拠点を有しております。そのため感染症の大規模な流行が発生した場合、以下のリスク全てを回避することは困難であり、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 従業員が感染した場合、行政機関と連携し対応いたしますが、事業所等の消毒などに必要な期間や、生産や販売に必要な体制を整えることができない場合などに休業を余儀なくされる可能性があります。 部材調達先や運送会社等の取引先が感染により休業を余儀なくされた場合には、当社製造拠点の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。 感染症の影響に伴い世界経済が停滞し、国内・海外の景気低迷が長期化した場合、顧客の需要動向が変化することにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は市場性のある株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合にはその他有価証券評価差額金の減少、評価損の計上、売却時に損失が発生するなど当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用及び計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。当社グループは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。そのため、経営環境の著しい悪化等が見込まれ減損の兆候が生じた場合、減損損失の認識の判定の結果、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、税効果会計における繰延税金資産の回収可能性について、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下等により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 当社グループは、2025年3月期を最終年度とした第八次中期経営計画(RISO Vision 25)を策定し、『インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する』を中期の経営目標に掲げて運営しております。 当期は前期と比べ増収増益となりました。印刷機器事業において、インクジェット事業は堅調に推移しましたが、孔版事業は減少傾向が継続しました。 売上高は746億5千5百万円(前期比7.7%増)、営業利益は59億5千5百万円(同43.0%増)、経常利益は62億1百万円(同33.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は46億2千4百万円(同29.2%増)となりました。 なお、当連結会計年度の期中平均為替レートは、1米ドル135.47円(前期比23.09円の円安)、1ユーロ140.97円(同10.41円の円安)となりました。 セグメントごとの業績は次のとおりです。 当社グループは、印刷機器事業として、高速カラープリンター「オルフィス」を主としたインクジェット事業とデジタル印刷機「リソグラフ」を主とした孔版事業を行っております。 印刷機器事業は、原材料の高騰による売上原価上昇の影響がありましたが、為替の円安影響もあり前期と比べ増収増益となりました。売上高は730億3千万円(前期比7.7%増)、セグメント利益は53億2千3百万円(同49.5%増)となりました。 日本では、インクジェット事業の売上が前期を上回りましたが、孔版事業の売上は前期を下回りました。なお、当第4四半期においては、価格改定に伴う前倒し需要などによる販売増がありました。海外では、インクジェット事業及び孔版事業の売上が前期を上回りました。 日本の売上高は369億5千8百万円(同3.1%増)、米州の売上高は54億6千5百万円(同34.5%増)、欧州の売上高は159億3千8百万円(同10.0%増)、アジアの売上高は146億6千6百万円(同9.2%増)となりました。 当社グループは、不動産事業として、ビルの賃貸を行っております。 不動産事業の売上高は、10億9千5百万円(前期比0.1%増)、セグメント利益は7億9千6百万円(同0.2%増)となりました。 当社グループは、上記の報告セグメントの他、プリントクリエイト事業とデジタルコミュニケーション事業を行っております。 その他の売上高は、5億2千8百万円(前期比37.4%増)、セグメント損失は1億6千5百万円(前期は1億9千万円のセグメント損失)となりました。 当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ29億4千3百万円増加し、847億7千3百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ16億1千9百万円増加し、204億7千7百万円となりました。 た。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ8億4千2百万円増加し、196億7千6百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果獲得した資金は56億4千4百万円(前期比4.7%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益63億5千5百万円、減価償却費28億1千9百万円、売上債権の増加額6億5千3百万円、仕入債務の増加額4億4千7百万円、法人税等の支払額16億7千1百万円によるものです。 投資活動の結果支出した資金は7億4千2百万円(同46.1%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出4億4千7百万円、無形固定資産の取得による支出4億5千5百万円によるものです。 財務活動の結果支出した資金は44億4千3百万円(同23.7%増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出7億9千9百万円、配当金の支払額33億7千1百万円によるものです。 当社の生産実績は主に印刷機器事業によるものであり、当連結会計年度における印刷機器事業の生産実績は、49,754百万円(前年同期比109.0%)であります。なお、金額は出荷価格によっております。 当社グループは見込生産が主体で、受注生産は稀少であるため記載を省略しております。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。 総資産は29億4千3百万円増加し、847億7千3百万円となりました。 資産の部における主な増減要因は、当期純利益の増加による現金及び預金の増加、日本における価格改定に伴う前倒し需要の販売増などによる売掛金の増加、余剰資金の短期的運用による有価証券の増加、時価評価の増加による投資有価証券の増加によるものです。主な増減内容は、現金及び預金1億9千7百万円、売掛金11億4千2百万円、有価証券7億1千万円、投資有価証券3億4千1百万円がそれぞれ増加しました。 負債の部における主な増減要因は、支払サイト内の取引高の増加による支払手形及び買掛金の増加、法人税等の増加による未払法人税等の増加によるものです。主な増減内容は、支払手形及び買掛金7億3千5百万円、未払法人税等2億4千9百万円がそれぞれ増加しました。 以上の結果、流動比率は0.6ポイント増加し251.0%となりました。 純資産は13億2千4百万円増加し、642億9千6百万円となりました。 純資産の部における主な増減要因は、利益剰余金の増加、自己株式の取得による自己株式の増加、為替換算調整勘定の増加によるものです。主な増減内容は、利益剰余金12億5千1百万円、自己株式8億円、為替換算調整勘定7億4千8百万円がそれぞれ増加しました。 以上の結果、自己資本比率は1.2ポイント減少し75.8%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たりの純資産額は58円37銭増加し、1,924円95銭となりました。 当期は前年と比べ売上高は増収、営業利益は増益となりました。売上高は746億5千5百万円(前期比7.7%増)、営業利益は59億5千5百万円(同43.0%増)となりました。 経常利益は、有価証券等の受取利息、受取配当金等による営業外収益4億2千6百万円(同26.7%減)、海外子会社の借入金に対する支払利息、為替差損等の営業外費用1億8千万円(同77.4%増)により、62億1百万円(同33.5%増)となりました。 税金等調整前当期純利益は、保険返戻金による特別利益1億5千3百万円により63億5千5百万円(同34.7%増)となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税19億1千7百万円(同42.6%増)、法人税等調整額△1億8千7百万円(前期は△2億4百万円)により46億2千4百万円(前期比29.2%増)となりました。 以上の結果、1株当たり当期純利益は137円72銭(同30.9%増)となりました。 セグメントごとの経営成績の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。当社グループは、財務体質の強化と設備投資・研究開発等当社グループの成長、企業価値の向上に必要な資金及び営業活動上の運転資金を効率的に確保しております。さらに、グループ会社との間では、グループ各社における余剰資金を子会社配当金として当社が受け取り、余剰資金の有効活用に努めております。 当社グループの運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料費及び製造費、また、製品の販売及び研究開発の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。設備資金のうち主なものは、製造拠点における生産設備等の更新等によるものです。将来の成長に向けた戦略的な投資に対しては、投資効率等を総合的に勘案し対応していく方針です。 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。資金調達にあたっては、財務体質にも留意しながら、その可否を判断しております。具体的には、当社の資金調達は、必要な資金の金額、時期、期間に応じて間接金融、直接金融、不動産の流動化等から適切な調達方法を選択します。また、海外子会社の資金調達は、為替リスクを考慮し、原則として現地で間接金融による調達を行っております。複数の金融機関との間で合計36億6千7百万円の当座貸越契約を締結しており(借入未実行残高36億6千7百万円)、緊急時の流動性を確保しております。 当社グループ全体として得られた資金は、成長投資、株主還元、手許資金に振り分けています。成長投資については、設備投資・研究開発等に活用し、業績向上に努める所存です。設備投資は、投資対効果を見極め、売上拡大・コスト削減につなげる投資を行っていきます。M&Aや業務提携は、当社の技術を活かし新たな市場開拓ができるような案件があれば考えていく所存です。株主還元については、①企業体質を強化しつつ業績に裏付けられた成果の配分を行うこと、②安定配当の継続に努めること、の2点の「基本方針」に基づき、期末配当による年1回の剰余金の配当を行います。なお、自己株式の取得も株主に対する利益還元の一つと考えており、株価水準や市場の動向を考慮しながら適宜実施します。また、所有する自己株式は原則として消却いたします。手許資金については、原則として、安全性の高い金融商品で、短期間(主に3か月)での運用を行っております。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定には以下のようなものがあります。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 棚卸資産は、取得原価で測定しておりますが、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で測定し、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しております。また、営業循環過程から外れて滞留する棚卸資産については、将来の需要や市場動向を反映して正味売却価額等を算定しております。市場環境が予測より悪化して正味売却価額が著しく下落した場合には損失が発生する可能性があります。 売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。 当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用及び計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、税効果会計における繰延税金資産の回収可能性について、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下等により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。当社グループは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。そのため、経営環境の著しい悪化等が見込まれ減損の兆候が生じた場合、減損損失の認識の判定の結果、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、2025年3月期を最終年度とした第八次中期経営計画(RISO Vision 25)を策定し、『インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する』を中期の経営目標に掲げて運営しております。 第八次中期経営計画(RISO Vision 25)の1年目となる当期は、連結売上高は746億5千5百万円、連結営業利益は59億5千5百万円となりました。 該当事項はありません。 当社グループは、カラードキュメントへのニーズに対応したインクジェット方式の高速プリンターや孔版技術をいかしたデジタル印刷機など、独自性のある製品の研究開発に取り組んでおります。製品の開発・設計においては、省エネルギー・省資源といった環境への配慮を行っております。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は4,443百万円です。研究開発の活動は主に印刷機器事業によるものであり、その主な成果は次のとおりです。 プロダクションプリンター市場向けブランド「VALEZUS」の新製品として、2022年5月にプリント速度毎分165ページの『VALEZUS T1200』を海外向けに発売しました。 また、2022年9月に両面プリント速度毎分330ページの『VALEZUS T2200』を世界各国で発売しました。コンパクトなシステムでありながら生産性が高い特長を活かし、帳票印刷などの大量印刷用途での設置を進めていきます。
アクサスホールディングス株式会社
# アクサスホールディングス株式会社 アクサス株式会社(以下「アクサス」という)及びACリアルエステイト株式会社(以下「ACリアルエステイト」という)は、定時株主総会の承認を前提として、アクサスにおいては取締役決定により、またACリアルエステイトにおいては取締役会決議により、株式移転に係る株式移転計画書の作成及び経営統合契約書の締結を決定いたしました。 アクサス及びACリアルエステイトの各定時株主総会において、アクサス及びACリアルエステイトが共同で株式移転の方法により当社を設立し、両社がその完全子会社となることについて決議いたしました。 アクサス及びACリアルエステイトが株式移転の方法により当社が設立いたしました。また、当社の普通株式を東京証券取引所に上場いたしました。 連結子会社であるアクサスを吸収合併存続会社、同じく連結子会社であるACリアルエステイトを吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施いたしました。 なお、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の組織再編に係る概要図は次のとおりであります。 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、提出会社及び子会社6社により構成されており、化粧品、生活雑貨、スポーツギア、アウトドアギア、酒類等の小売業(実店舗)及び生活雑貨、国内外の化粧品、香水、酒類等の無店舗小売業(EC)並び酒類、化粧品、ファッション雑貨等の輸入卸売、酒類製造事業、不動産賃貸事業からなる総合ライフスタイルカンパニーであります。 事業内容と当社及び子会社の位置付け、並びにセグメントとの関連は以下のとおりであります。 美と健康を体の内と外の両面からサポートする「ドラッグストアチャーリー」、「ビューティーライフストアチャーリー」、「アレックスコンフォート」を展開しております。 日用品、医薬品をはじめ、化粧品、化粧雑貨を強化し、ゆとりある暮らしに必要な商品を幅広く取り揃えております。 生活シーンを提案する「プラザアレックス」を展開しております。 生活雑貨、家具、アパレル等、毎日を満たされた気持ちで暮らすための洗練されたアイテムを取り揃えております。 アクティブスポーツシーンをリードし、あらゆるブランドの商品が一堂に揃う「アレックススポーツ」を展開しております。 「アレックススポーツ」では、「競技者を強くする」をキーワードに、競技用品、アウトドア用品、カジュアルアイテムを豊富に取り揃えております。また、山が好きな方、アウトドアを楽しむ方、お客様それぞれにあわせた登山やアウトドアライフを応援、サポートする「好日山荘」のフランチャイズ加盟店の運営を行っております。 住のゆとりをサポートするホームキーパー「デコール」、圧倒的な文房具の品揃えを誇る「文具館チャーリー」、低価格自転車から本格ロードバイクまでを品揃えした「GoGoBIKE」を展開しております。 日頃の生活の中で使用するアイテムの「用途と機能」をしっかり見極めたうえで、お求めやすさ、信頼性、新しい便利さをご提供できるよう、多様な商品を季節と生活行事にあわせてタイムリーに取り揃えております。 広く明るい店内に、酒類を中心に、飲料、調味料、食品等、国産・輸入品あわせて3,000種類以上の圧倒的な品揃えを誇る大型リカー&フードストアである「アワーリカー」、国内外の定番品から、入手困難なプレミアムウイスキーを取り揃えたウイスキーとスピリッツの専門店「元町WHISKY」等を展開しております。お客様の多様な嗜好に、自信の品揃えで対応しております。 国内外の化粧品、香水やウイスキー等の酒類、日常をより楽しく機能的に過ごせる生活雑貨やこだわりを持ってセレクトしたキッチンツール等を無店舗(EC)にて販売を行っております。 世界中から選び抜いた商品を、全国のショップへ卸販売しており、さらにオリジナルブランドのビール・ワイン・ウイスキー・リキュールも展開しております。 神戸のランドマークである六甲山において、ウイスキー類の製造・熟成、見学・試飲及び販売事業を通じて、国内はもとより、世界中のお酒好きや情報に敏感な人々に訴求することで、ウイスキーを軸とした新たなカルチャーの発信地となることを目的とした六甲山蒸溜所を操業しております。 主にアジアンチーク材を加工したインテリア商品の販売を手掛けており、アジア各地に独自の供給ルートを持つことを強みに、工務店や内装業者、ホームセンター等への資材の卸売りを行うとともに、自社で加工した木材インテリア等の卸売りや小売りを行い、オリジナリティの高い商品の販売を行っております。 オフィスビル、複合商業施設、ロードサイド店舗等(土地を含む)の不動産を賃貸しており、安定的な収益獲得に寄与しております。 事業系統図は次のとおりであります。 当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 当社には、労働組合はありませんが、労使関係は安定しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、お客様、そして地域社会の「生活文化の質的な向上」を、美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルにお届けすることをコアミッションとしており、複数分野にわたる事業部からなる小売事業と、酒類や化粧品等の輸入卸事業、酒類製造事業及び不動産事業からなる総合ライフスタイルカンパニーであります。グループ全体で顧客満足・社員満足を高めていくことで会社満足を高め、これら3つの満足によって企業価値の更なる向上に努めるとともに、「株主様」「取引先様」をはじめとする全ての関係者の皆様への利益還元と社会貢献の実現を目指しております。 当社グループは、より多くのお客様や地域へ取り組みをお届けするため、京阪神エリアを中心とし、首都圏・中部・近畿・中国地方への出店地域の拡大に積極的に取り組んでまいります。しかしながら、継続的な成長を確保するために資本効率を重視し、出店予定エリアの市場性や地域の特性等を考慮したうえで最適な店舗形態を選択し出店してまいります。 また当社グループは、総合ライフスタイルカンパニーとして、出店エリアのニーズに合わせて、複数の保有ブランドをマルチ展開し、ライフスタイルという領域において多角的に地域シェアを獲得することを目指してまいります。 各ブランドにおいて、豊富な品揃えはもちろんのこと、生活必需品に限らず、洗練されたアイテムを「美・健康・ゆとりや時代の空気」というフィルターに通してご提案することで、心・体の両面から日々の豊かさを提供してまいります。また、お客様のニーズに合わせて、「化粧品×雑貨×食品酒類」といった、保有ブランドをハイブリッドにした売場展開を拡大してまいります。各事業部・ブランドで培った商品戦略基盤を保有するからこそ可能であるアイテムミックスにより、お客様のニーズにお応えすることで、差別化を図ってまいります。 また、リテール部門の店舗コンセプト等に合う酒類飲料や食品等、独自性のある商品を貿易事業部と川上の段階より共同開発を行い、川下の店舗で販売するという当社グループ内で一貫する垂直連携のプロセスも強化していくことで、他社にない魅力のあるオリジナル商品の販売にも努めてまいります。 インターネットやモバイル端末の普及により様々な情報を入手することが可能になったことでお客様の生活スタイル・消費行動が変化し、さらにニーズ・嗜好も多様化してきております。これらに迅速に対応するためECサイト「アクサスオンラインコレクション」、「チャーリーオンラインショップ」の充実も図ってまいります。また、アクサススタンプカードアプリ及びPOSデータをはじめとした顧客購買データの活用を図るとともに、EC事業を専業としている当社連結子会社(孫会社)のノースカンパニー及びハイブリッジ、並びにコスメバンクからも消費動向のマーケティングのサンプルデータをより多く入手することが可能となったことで、出店戦略、商品戦略並びに販売戦略のさらなる向上を目指してまいります。 当社グループは、売上高、営業利益のほか、自己資本利益率、自己資本比率を、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として用いております。 国外においては、インフレ抑制のため米欧各国の中央銀行が政策金利を引き上げたことや、中国における不動産市場の低迷等により世界的な景気後退懸念が強まっております。また、国内においては、ウクライナ危機による資源高や急速な円安の影響等により生活必需品が高騰し、消費者の生活防衛意識が高まっております。 このような状況下、当社グループは、より洗練されたアイテムを「美・健康・ゆとりや時代の空気」というフィルターに通してご提案することで、お客様に心・体の両面から日々の豊かさを提供していくことに努めるとともに、引き続き資本効率を重視し、営業キャッシュ・フローとバランスのとれた回収可能性の高い設備投資を吟味することにより、着実な成長を図ってまいります。 当連結会計年度におきましては、主として小売事業において、京阪神エリアへの新規出店や売場を拡張し品揃えを充実させるリニューアルを実施した店舗を中心に販売が好調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症拡大による影響や資源高、急速な円安の影響等により収益が減少いたしました。 翌連結会計年度(令和6年8月期)におきましては、国内経済活動の正常化に伴い、急速に変化するであろう消費活動領域に対応した、より積極的な事業活動に即した販売促進等の必要性が高まると見込まれます。 当社グループでは、財務体質の改善を重要な課題として認識し、自己資本比率を向上させることを経営目標に掲げております。また、運転資金枠及びシンジケートローンを活用することで、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入しており、財務の健全性を確保するとともに、今後の出店等で増加する経常運転資金の変化に即応した施策の実行を可能としております。 新規出店等の設備投資にあたりましては、営業キャッシュ・フローとバランスのとれた回収可能性の高い設備投資を実施するとともに、在庫削減・コスト低減をすることにより、有利子負債を抑制し、自己資本比率の改善に努めてまいります。 当社グループでは、商品・サービスによって美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルにお届けすることをコアミッションとしており、お客様の日常から最も近いところにいる私たちにとって、本当にいいものや必要とされるものを見極める感性を磨き続け、良質な提案をスピーディーにお届けすることも最重要使命のひとつであります。国内外の視察等により日々感性を磨くとともに、研修制度や外部委託による顧客満足度(CS)調査により小売業の基本となる接客サービスや幹部候補育成に積極的に取り組み、プロフェッショナルとしての自覚を持った人材の育成に取り組んでまいります。 近年、地政学リスク等で国際情勢が一段と不透明なものとなり、国内においては人口減少に歯止めがかからず、GDPも減少が続く等、当社グループを取り巻く経営環境は急激に変化しております。このような経営環境の変化をいち早く察知し、柔軟に対応するため、当社グループでは、これからもM&Aを成長エンジンの一つと捉え、新たな事業分野での事業価値の創造による成長を図ることで、企業価値の向上を目指してまいります。 お客様の安心・信頼に繋がる店舗運営を実現するため、内部監査室による店舗監査を定期的に実施し、健全な店舗管理体制の維持に努めてまいります。内部統制につきましては、経験・見識の豊富な社外取締役を選任し活発な議論を図るとともに、監査等委員監査、会計監査人監査並びに内部監査の三様監査の相互連携と独立性の確保を図り、健全なガバナンス体制の維持に努めてまいります。また、法務・会計・税務等の専門分野について重要な判断を要する案件につきましては、顧問弁護士、顧問会計士、顧問税理士等、外部専門家に適宜、指導や助言を受けることでコンプライアンスを徹底してまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「美」・「健康」・「ゆとり」・「時代の空気」などの側面から、お客様の暮らしや地域社会の生活文化の質的向上を応援するというミッションを掲げており、そのミッションを通じて社会の持続可能な発展に貢献していくことが、当社グループに期待されているサステナビリティと考えております。 事業活動を通じて持続可能な社会の実現に寄与するため、環境や社会などの諸問題に対して適切な対応を行うため、取締役及び監査等委員である取締役を中心に、サステナビリティに関する議論をし、当社グループの方針について検討したうえで、中長期的な企業価値に影響を与える重要な案件については取締役会に付議・審議しております。 当社グループにおける、人材の育成等人的資本に関する方針、戦略として、当社グループは多様な人材に門戸を開放し、性別や国籍に関わりなく、同一の基準で採用・登用しております。そして、当社グループで働くすべての社員が、事業全般を通じて、お客様に200%の満足をご提供するために活動し、そのためには社員のひとり一人が、個性の中にも共通する価値観と高い倫理観を持って行動する必要があると考えております。そこで当社グループの基本的使命や社会的責任を十分に認識し、日常の業務における行動や判断が、これらの使命や責任に即したものであるかを判断するスタッフ行動規範冊子「アクサスの羅針盤」を作成し、これに基づいた社内研修を実施する等、人材の育成に取り組んでおります。 また、スポーツ活動を通じて健康増進を図るとともに、自身の能力を向上させ、自己研鑽をしていく過程を経験することで、社員の生活の質を高めることを目的とした「スポーツ魂支援制度」を平成28年3月に制定・実施しており、これにより社員の健康保持・増進が図られ、当社グループの将来的な収益性等の向上にも寄与していくと考えております。 当社グループでは、グループ全体的なリスク管理は、コンプライアンス規程の定めに従い都度設置されるコンプライアンス委員会において行っており、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクにつきましても、本委員会において協議・検討しております。また、中長期的な企業価値に影響を与える重要な案件については取締役会に付議・審議しております。 上記「(2)戦略」において記載した人材の育成等人的資本に関する指標及び目標については以下の通りです。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループのコア事業である小売業界は激しい競争環境にあり、ライフスタイル商品を取り扱うあらゆる販売チャネルが競合となります。当社グループは美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルにお届けすることをコアミッションとし、その事業分野の店舗や商品・サービスにおいて提案力・迅速性・専門性・独自性で付加価値を生むことで他社との差別化を図っておりますが、市場の動向により価格競争、来店客数の減少等、様々な要因により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの卸売事業及びEC事業は商品を海外から輸入しており、取引通貨は円以外にも米ドル・ユーロ等の通貨があり、急激な円安の進行や、円安が長期的に推移した場合、実質的な仕入価額が上がるため、売上総利益率の変動を受ける可能性があり、場合により売価を見直す等、為替リスクを回避する対策を講じておりますが、当該為替リスクを完全に価格転嫁できる保証はなく、為替相場等の変動による一般的な市場リスクを有しております。 (3)気候条件・災害等について 当社グループは、幅広い商品展開を行っておりますが、夏・冬の気候の影響が強い商品群が存在します。季節商品の動向は、一定期間に集中する傾向にあるものの、予測・コントロール不可能な気候条件の変動により左右されるため、今後も気候条件の変動が財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、災害等により、当社グループが出店する周辺地域に被害が生じ、円滑な営業活動が阻害された場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)関連法令等について 当社グループでは、関連法令等に十分留意した営業活動を行っておりますが、万一、これらに反する事由が生じた場合には、企業活動が制限される可能性があります。また、関連法令等の改正や新たな法規制への対応及び有資格者の確保等のため、経営コストが増加する可能性があります。したがって、関連法令等により事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、当連結会計年度末日現在において12,794百万円の銀行借入金、社債、リース債務の残高があります。当社グループは、銀行借入金等の削減に向けた様々な取り組みを行っていますが、当社グループの成長戦略に伴い、銀行借入金等がさらに増加する可能性があります。長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入し、財務の健全性を確保するとともに事業環境の変化に即応した施策の実行を可能にすることを目的とし、当社の連結子会社であるアクサスは、取引金融機関各行と運転資金枠及びシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。コミットメントライン契約には、一定の財務制限条項が付されており、財務制限条項に抵触した場合、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、今後においても競合の激化や予期せぬ商圏の変動等により店舗の収益性に変化があった場合には、固定資産の減損処理が必要になる場合があります。その場合、特別損失が計上され財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、お客様へのサービス向上のための各種クレジットカードの取扱いを通じ、お客様の個人情報を保有しております。これらの情報の管理につきましては、個人情報保護法に基づき「個人番号及び特定個人情報保護規程」や事務手続等を策定し、従業員への教育・研修等による情報管理の重要性の周知徹底、情報システムのセキュリティ対策等を行っております。また、マイナンバー制度に関する特定個人情報の管理体制についても万全の対応を行っております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重要な情報が外部に漏洩した場合、社会的信用問題や個人への賠償問題等、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 米中をはじめとする2国間関係やロシア・ウクライナ情勢を巡る多国間関係等、国際的な地政学リスクが高まり、戦争・紛争が発生した場合、取引先や物流に影響を及ぼす事象が発生する等、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 当連結会計年度(令和4年9月1日から令和5年8月31日まで)のわが国の経済は、インフレ抑制のため米欧各国の中央銀行が政策金利を引き上げたことや、中国における不動産市場の低迷等により世界的な景気後退懸念が強まっております。国内においては、ウクライナ危機による資源高や急速な円安の影響等でガソリン価格や電気代、食料品といった生活必需品が高騰し、消費者の生活防衛意識が高まった一方で、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の撤廃や、円安で外国人観光客が増加しインバウンド需要が新型コロナウイルス感染症拡大前の水準近くまで回復する傾向も見られました。そのような経済環境のなか、当社グループは、お客様の日常から最も近いところから 「本当にいいものや必要とされるものを見極める感性を磨き続け、良質な提案をスピーディーにお届けすること」を最重要使命とし、グループ全体でお客様、そして地域社会の生活文化の質的な向上を「美・健康・ゆとりの側面」から応援し、顧客満足、社員満足を高めていくことで会社満足も高め、これら3つの満足によってグループ価値の更なる向上に努め、株主様、取引先様をはじめとするすべての関係者の皆様への利益還元と社会貢献の実現を目指しております。 具体的な取り組みとして、令和4年10月、アレックスコンフォート岸和田カンカンベイサイドモール(大阪府岸和田市)をオープン、同年11月、チャーリーサザンモール六甲店(神戸市灘区)をハイブリッド型店舗としてリニューアルオープン、令和5年2月、プラザアレックスラクエ四条烏丸(京都市下京区)を京都府に初出店、同年4月、アレックスコンフォート高松丸亀町グリーン(香川県高松市)において、「脱マスク」に向けメイクやコスメ関連商品の売場を拡大するリニューアルを実施、同年7月、アレックスコンフォートクレフィ三宮(神戸市中央区)をオープンいたしました。その一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による影響や近隣の市場環境の状況を鑑み、令和4年12月、プラザアレックスブランチ大津京(滋賀県大津市)、令和5年6月、アレックスコンフォートイコットニコット岡山(岡山市北区)、同年7月、アレックススポーツ脇町店(徳島県美馬市)とアレックススポーツ川内店(徳島県徳島市)を閉店いたしました。また、チャーリー小松島店(徳島県小松島市)については、現状の収益と不動産賃貸事業へ転換した場合の収益の将来キャッシュ・フローを比較検討し、不動産賃貸事業への転換がより合理的であると判断し、令和5年1月に不動産賃貸事業に転換いたしました。 その結果、当連結会計年度末におけるグループ店舗数は、42店舗となりました。 また、令和5年6月30日、当社連結子会社であるアクサス株式会社(以下、「アクサス」という)が、株式会社ノースカンパニー(以下、「ノースカンパニー」という)及び株式会社ハイブリッジ(以下、「ハイブリッジ」という)、並びに株式会社コスメバンク(以下、「コスメバンク」という)の全株式(間接保有分を含む)を取得し、当社の連結子会社(孫会社)といたしました。リアル店舗での売上が大半を占めているアクサスの小売事業と、創業以来、EC事業を専業として取り組むことで業容を拡大してきたノースカンパニー及びハイブリッジ、並びにコスメバンクとが融合、相互補完することで、精度の高い商品選定やマーチャンダイジングを可能にし、お客様満足と当社グループの企業価値向上に寄与しております。なお、みなし取得日を当連結会計年度末日(令和5年8月31日)としているため、貸借対照表のみを連結しております。 以上の結果、当連結会計年度は、売上高11,064百万円(前期比2.3%減)、営業利益183百万円(同58.7%減)、経常利益33百万円(同89.3%減)となりました。特別損失及び法人税等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1百万円(同99.6%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 小売事業につきましては、ヘルス&ビューティーケアユニットでは、外出機会の増加に伴いリップやファンデーション等のメイク関連商品の販売が好調に推移した一方で、ベビーやマタニティ用のスキンケア関連商品の客注販売が落ち込みました。 ライフスタイルユニットでは、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が解除されたことに伴い外出の機会が増えたことにより、アウターやトップス等のアパレル商品の販売が好調に推移した一方で、家ナカ生活を楽しむ食器等のキッチン用品の販売が苦戦いたしました。 アスレユニットでは、プロサッカーチーム関連の大口販売やメンズトップスの販売が好調に推移した一方で、これまで好調に推移していた人気アウトドアブランドのアパレルの販売が伸び悩みました。 ホームキーパーユニットでは、ミニ観葉植物や中鉢観葉植物等のインドアグリーンの販売が好調に推移した一方で、台風や年末年始の記録的な寒波の影響等でアウトドアグリーンの販売が落ち込みました。 アルコユニットでは、国内出荷額が減少傾向にある日本酒等の販売が落ち込みましたが、ECサイトの高級シャンパンや定期的にイベント販売を実施した国産ウイスキー、樽出しウイスキーの量り売り等の販売が好調に推移いたしました。 これらの結果、当セグメントの売上高は7,320百万円(前期比3.4%減)、セグメント利益は193百万円(同43.7%減)となりました。 卸売事業につきましては、急速な為替の変動や資材の高騰、新型コロナウイルス感染症の5類への移行等、市況の変化に対し様々な営業戦略や商品構成の変化に取り組みました。供給面においては、市場に合わせたプレミアム商品の拡充や景気需要に比較的影響を受けにくいコストパフォーマンスの高いウイスキー及びワインのラインナップの充実を図りました。営業においては、様々な流通チャネル先に応じた商品提案に取り組みましたが、商品の値上がりによる買い控えやナイトマーケットを中心とした需要回復の遅れ、消費者の嗜好の変化等により、当セグメントの売上高、売上総利益額を押し上げるまでには至りませんでした。 六甲山蒸溜所においては、日本酒を製造する際に使われる杉樽で貯蔵したウイスキーの販売等、商品ラインナップの拡充を図るとともに、全国的な展示会への出展を実施したことにより、売上高、売上総利益額は伸長いたしました。 これらの結果、当セグメントの売上高は3,385百万円(前期比0.5%増)、セグメント利益は261百万円(同16.0%減)となりました。 不動産賃貸事業につきましては、所有物件の価値を維持、向上させることにより、引き続き既存テナントから安定した売上を確保しております。 これらの結果、当セグメントの売上高は623百万円(前期比0.0%減)、セグメント利益は208百万円(同10.1%減)となりました。 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,584百万円減少し、当連結会計年度末残高は797百万円(前期末比66.5%減)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果獲得した資金は1,265百万円(前期は400百万円の使用)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益15百万円に対し、減価償却費327百万円、棚卸資産の減少額625百万円等により増加いたしました。 投資活動の結果使用した資金は153百万円(前期比89.6%減少)となりました。主な要因は連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入143百万円、預り保証金の受入による収入31百万円等により増加し、有形固定資産の取得による支出229百万円、預り保証金の返還による支出30百万円等により減少いたしました。 財務活動の結果使用した資金は2,697百万円(前期は205百万円の獲得)となりました。主な要因は長期借入れによる収入200百万円、社債の発行による収入300百万円等により増加し、短期借入金の純減少額2,570百万円、長期借入金の返済による支出289百万円、社債の償還による支出200百万円等により減少いたしました。 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度における販売実績をセグメント及び地域別に示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用した重要な会計方針等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当社グループの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に関する、当連結会計年度の達成状況及び翌連結会計年度の計画等につきましては、次のとおりであります。 総資産は17,594百万円(前期末比7.0%減)となりました。うち流動資産は6,433百万円(同23.7%減)、固定資産は11,148百万円(同6.4%増)、繰延資産は12百万円(同71.0%増)となりました。 負債合計は15,515百万円(前期末比7.3%減)となりました。うち流動負債は10,687百万円(同12.3%減)、固定負債は4,827百万円(同6.0%増)となりました。 純資産合計は2,079百万円(前期末比4.5%減)となりました。以上の結果、自己資本比率は11.8%(同0.3ポイント増)となりました。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因等につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、小売事業及び卸売事業で販売する商品の仕入れ並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要のうち主なものは、店舗に関わる設備投資及び賃貸不動産の取得等であります。 当社グループは、運転資金需要に対しては、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入し、財務の健全性を確保するとともに事業環境の変化に即応した施策の実行を可能にすることを目的とし、当社の連結子会社であるアクサスは、取引金融機関各行と運転資金枠及びシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。設備資金需要に対しては、設備投資計画に基づき、案件ごとに調達方法を検討し、適切な調達を行っております。 なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は12,794百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は797百万円となっております。 当社は、平成28年3月1日付で連結子会社であるアクサスとの間で、同社に対する経営管理業務に関し、経営指導に関する契約を締結しております。 また、令和5年9月1日付で当社の連結子会社であるアクサスとノースカンパニー及びハイブリッジとの間で、両社に対する経営管理業務に関し、経営指導に関する契約を締結しております。 当社の連結子会社であるアクサスは、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入することで、財務の健全性を確保するとともに、今後出店等による経常運転資金増加の事業環境の変化に即応した施策の実行を可能にすることを目的として、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。 当社は、令和5年6月30日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるアクサスが、ノースカンパニー及びハイブリッジ、並びにコスメバンクの全株式(間接保有分を含む)を取得する株式譲渡契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。 該当事項はありません。
株式会社MIEコーポレーション
# 株式会社MIEコーポレーション 伊藤伝七氏はスウェーデン式ホーロー鉄器の製造を目的とし、資本金50万円をもって琺瑯鉄器株式会社を設立。 三重琺瑯株式会社と商号変更する。輸出向ホーロー鉄器の専門メーカーとして、「イーグル」商標のもとに確固たる地位を確立。 名古屋証券取引所市場第二部に上場。 桑名市大字星川1001番地の現在地に本社工場を移転。 三重ホーロー株式会社と商号変更。 現社名「株式会社MIEテクノ」と商号変更。 連結子会社である株式会社MIEテクノが株式移転の方法により当社を設立。 当社の普通株式を株式会社名古屋証券取引所市場第二部(現・名古屋証券取引所メイン市場)に上場。 中国現地法人 上海桑江金属科技有限公司が連結子会社から持分法適用関連会社に異動。 当社は、金属加工品の製造・販売を行う子会社及びグループ会社の経営計画・管理並びにそれに付帯する事業を行っています。 なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。また、当社及び関係会社の位置付けは、次のとおりであります。 当社グループのステンレス製管継手の事業の専業メーカーとして、工業用継手、建築用継手、フランジ、ねじ込み継手、プレハブ加工の製造、販売を行なっている。 業務委託契約に基づき、当社グループの製品・商品の梱包・マーキング・出荷業務を行っている。なお、当社グループ所有の土地を賃貸している。 当社グループの管継手製品を販売している。 当社グループの管継手製品の製造販売を行っている。 当社には労働組合はありません。当社グループには㈱MIEテクノ労働組合が組織されております。 なお、労使関係について円満な関係にあり、特記すべき事項はありません。 また、㈱MIEテクノを除く連結子会社2社については労働組合は組織されておりませんが、懸案事項はありません。 提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、経営理念「顧客・市場から評価され得る経営品質の創造」「グループの成長・発展を目指す一体運営の実践」「株主・社員・社会への調和のとれた成果の還元」の3つを経営の柱とし、お客様満足と市場での優位性を得る製品品質と経営戦略で、さらなるグループの企業価値の創造を追求してまいります。 2022年度に当社グループは創業115周年を迎えました。次なる5年、10年を迎えるにあたり、長期的な再成長に向け重要な3年間と位置づけております。あるべき事業構造を再度見直し同時に成長のための種を模索する、新中期経営計画「Planting Seeds for Growth ~成長に向けた種をまこう~」を策定いたしました。「既存事業の強靭化」と「半導体分野などの成長分野への参入」に注力し、外部環境に振り回されない経営体質の構築を目指してまいります。 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制約は解消に向かい、正常化の動きが見られます。一方、原材料価格やエネルギー価格の高騰、不安定な為替相場など依然として先行きが不透明な状況が続いております。 ステンレス製管継手業界につきましては、各業界における設備投資により需要は堅調に推移しましたが、調達価格は高止まりの傾向にあり、難しい舵取りを迫られております。 このような状況下において、前連結会計年度から引き続き流通問屋向けの商流を中心に製品の調達価格上昇を製品販売価格に転嫁することにご協力をいただき、売上及び利益ともに大幅に改善することができました。 今後の見通しにつきましては、ステンレス製管継手の需要は底堅く推移する見通しです。一方、材料価格の高騰により調達価格は不安定な状態が続いており引き続き注視が必要です。 こういった環境のもと、継手の技術力・品質力を生かしたモノづくりのメリットで、ユーザーニーズを取り込み、市況に左右されない付加価値の高い製品受注を目指してまいります。 新中期経営計画において優先的に対処すべき課題として「既存事業の強靭化」「半導体分野などの成長分野への参入」を掲げ、中長期的な課題を解決するため2つの戦略テーマを設定しております。 当社グループは、経営指標として売上高、売上総利益率及び経常利益を採用しております。これらを重要な指標として認識し、重点戦略を着実に実行し、収益の安定的な確保を進め、目標の達成に努めてまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「地球環境の継続的改善・向上」が企業の最重要課題の一つであることを認識し、環境に配慮した事業活動を推進しております。具体的には、各部の代表を委員とし、代表取締役および監査役が参加する環境管理委員会を月1回実施し、事業活動によって生じる環境への影響(地球温暖化、水質汚濁、廃棄物発生、有害物質の使用など)を的確に把握し、目標設定や計画に対する進捗状況のモニタリング、実施内容の評価を行っております。 なお、環境管理委員会で顕在化した課題・リスクについては取締役会に報告され、監督される体制としております。 当社グループは、気候関連のリスク・機会に関して下記のように認識し、リスクの抑制、機会獲得に向け取り組んで参ります。 当社グループでは、従業員が当社グループの成長を支える重要かつ必要不可欠な存在であると認識し、多様な人材が最大限に能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでおります。 上記の考えのもと当社グループは、管理職への登用等に当たっては、年齢、性別や社歴等で区分せず、意欲と能力のある従業員が平等に機会を得られるよう、環境整備を進めております。また、スキルアップのためのセミナー、講習会への参加の推進など、状況に応じた環境の整備を行なうこととしております。 具体的な取組みは下記のとおりです。 事業の推進に不可欠な多様性を確保する取組みとして、当社グループの様々なフィールドで活躍する女性社員で構成される「Mie-Smile」を組織し、女性社員が活躍できる職場づくりの検討、外部講師を招いての研修会を実施し、女性社員の積極的な採用、女性管理職登用に向けた取り組みを実施しております。 マネジメント層、リーダー層、スタッフ層に分け、経営幹部研修・リーダー研修などの階層別研修、コミュニケーション研修、語学研修などの職能別研修を外部研修機関から講師を招いて実施し、当社グループの将来を担う社員の育成に努めております。 当社グループは、グループの代表及び管理職並びに監査役を委員とするグループリスク管理委員会を年4回実施し、定期的なモニタリングを実施しております。事業活動によって生じる一般的なリスク及び当社特有のリスクなどを把握し、継続的にモニタリングできる環境を構築しております。 詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、ステンレス製管継手部門が事業の90%以上占めているため、国内はもとより国際的なステンレス鋼材の需給変動が、業績に及ぼす可能性があります。 2023年度の業績予想において、年間平均でステンレス鋼材が前年比1トン当たり10ドル変動した場合の売上原価に与える影響は、年間10百万円と予想しております。 なお、当社グループは、ステンレス鋼材の価格変動を月一度開催される経営会議で確認し、大きな変動があった場合は、OEM先との価格交渉及び販売価格の改定などの対策を講じております。 ニッケル、クロム、モリブデン、鉄などの原材料価格は国際的な指標価格や資源需給により大きく変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 2023年度の業績予想において、主要材であるニッケルについては、LMEにおいて年間平均で前年比1ポンド当たり0.1ドル変動した場合の売上原価に与える影響は、年間3百万円と予想しております。 なお、当社グループは、当該原材料の価格変動を月一度開催される経営会議で確認し、大きな変動があった場合は、OEM先との価格交渉及び販売価格の改定などの対策を講じております。 当社グループは製品の一部について海外OEM調達を行っており、為替の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。 2023年度の業績予想において、為替レート変動が連結税引前利益に与える影響は、米ドルに対して円が1円変動した場合は年間7百万円と試算しております。 なお、当社グループは、為替変動のリスクに備えるため、為替の動向を注視し、状況に応じ為替予約を実施しております。 当社グループの保有する投資有価証券について、経営環境により財政状態が悪化し、取得価額に比べ大きく低下した場合又は市場価格が下落した場合、減損処理による投資有価証券評価損を計上する場合があり、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループの従業員及び海外OEM先において、新型コロナウイルス感染症等の感染拡大を含め、災害等が発生した場合、一時的に操業停止や輸入停止など、経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループにおいては、緊急時の社内体制の整備・対応策の設定に取り組んでおります。また、海外OEM先については、主に中国や東南アジアなど複数の調達先に分散し、災害等発生時の影響の最小化を図っております。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響があったものの社会経済活動の正常化の動きがみられました。一方、原材料価格やエネルギー価格の高騰、不安定な為替相場など世界経済は依然として先行きが不透明な状況が続いております。 当社グループのステンレス製管継手業界につきましては、各業界における設備投資により需要は堅調に推移しましたが、調達価格は高止まりの傾向にあり、難しい舵取りを迫られております。 このような経営環境の下、当社グループは2020年度からの3年間を再成長から次なるステージに向かう飛躍の年にするため、新中期経営計画Make The Next Stage『変革と飛躍』を策定し、提案営業による物件受注の強化を中心として、収益体質の強化と財政基盤の確立に取り組んで参りました。 この結果、当連結会計年度の連結売上高は、販売価格の上昇等により、6,579百万円(前連結会計年度比15.5%増)となりました。また、利益につきましては、売上増加に伴い売上総利益は1,359百万円(前連結会計年度比28.3%増)となり、営業利益は498百万円(前連結会計年度比76.4%増)とそれぞれ増益となりました。経常利益は、431百万円(前連結会計年度比71.3%増)と増益となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は358百万円(前連結会計年度比89.3%増)と増益になりました。 当社グループは、ステンレス製管継手部門へ事業を集中してまいりました結果、同部門の売上高、営業利益に占める割合がこの2年間いずれも90%を超えております。このため、事業の種類別セグメントは省略しております。 生産実績、仕入実績及び販売実績の主な区分別内訳は次のとおりであります。 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ490百万円増加し、7,273百万円となりました。これは主に、電子記録債権が111百万円、土地が334百万円、それぞれ減少しましたが、現金及び預金が68百万円、棚卸資産が757百万円、投資有価証券が49百万円、繰延税金資産が71百万円、それぞれ増加したことによるものであります。 負債合計は、前連結会計年度末に比べ107百万円増加し、5,204百万円となりました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が186百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が11百万円、短期借入金が196百万円、未払法人税等が55百万円、賞与引当金が24百万円、それぞれ増加したことによるものであります。 純資産の部につきましては、前連結会計年度末に比べ382百万円増加し、2,068百万円となりました。これは主に、当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純利益358百万円を計上したことによるものであります。 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ、68百万円増加し、495百万円となりました。 営業活動の結果使用した資金は、115百万円(前連結会計年度は245百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益で423百万円、減価償却費で88百万円、売上債権の減少で167百万円、それぞれ資金が増加しましたが、棚卸資産の増加で757百万円、法人税等の支払で82百万円、それぞれ資金が減少したものであります。 投資活動の結果得た資金は、201百万円(前連結会計年度は112百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出で61百万円、有形固定資産の取得による支出で91百万円、それぞれ資金が減少しましたが、定期預金の払戻による収入で37百万円、有形固定資産の売却による収入で330百万円、それぞれ資金が増加したものであります。 財務活動の結果使用した資金は、17百万円(前連結会計年度は171百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の増加で196百万円、長期借入れによる収入で720百万円、それぞれ資金が増加しましたが、長期借入金の返済による支出で906百万円資金が減少したものであります。 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。 連結財務諸表の作成においては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積もり及び判断を行っておりますが、見積もりにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。 当連結会計年度は、原材料価格の高騰により調達環境は厳しいものとなりましたが、各業界において設備投資が積極的に行われ需要が底堅く推移したこと、原材料価格の上昇分を価格に転嫁することができたため、売上高は前年同期比プラス15.5%の6,579百万円となりました。売上総利益は、前年同期比で299百万円増加し、1,359百万円となりました。また、売上総利益率は、高付加価値の受注品の需要増加もあり20.7%(前年同期18.6%)となりました。人件費等で販管費は増加しましたが、営業利益は、前年同期比で215百万円増加し、498百万円となりました。また、経常利益は、前年同期比で179百万円増加の431百万円となりました。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 当社グループの戦略的状況と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。 当社グループは、営業活動により得た資金を財源とし、設備投資や借入金の返済に充てております。設備投資については、主として生産性向上に資する生産設備やITシステムを中心として投資を行っております。また、運転資金につきましては、2017年に締結したシンジケート・ローンにより資金繰りは安定しており、加えて近年安定的に利益を計上することができるようなったことから、月商の2ヶ月程度の流動性資金を確保できております。 しかしながら、財政状態は未だに脆弱であり、連結ベースでの利益剰余金はプラス化しましたが、業績の先行きが未だに不透明な状況で、2008年以降は配当を見送らせていただいております。今後、安定的な収益な確保及び必要な設備投資を実施し、足元の財政基盤を固めた上で将来的に配当を実現できるよう努めてまいります。 なお、事業活動を行う上で十分な運転資金を有するとともに、即時に借入可能なコミットメントラインに基づく借入枠を設定しており、万一の緊急時における資金調達に備えております。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)キャッシュ・フロー」に記載しております。 特記事項はありません。 特記事項はありません。
ヤーマン株式会社
# ヤーマン株式会社 当社グループは、当社及び連結子会社3社(LABO WELL株式会社、YA-MAN U.S.A LTD.、 雅萌(上海)美容科技有限公司)、関連会社2社(MACHERIE BEAUTY TECHNOLOGY CO.,LTD、株式会社エフェクティム)の計6社で構成されており、美容健康関連事業を主たる事業として、家庭用美容健康機器(フェイスケア・ボディケア等)及び化粧品の研究開発・製造・仕入販売、バラエティ雑貨等の仕入販売を行っております。 当社グループの事業内容と当社、連結子会社及び関連会社の事業における位置づけ、並びにセグメントとの関連は、次のとおりであります。 なお、次の4部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 MACHERIE BEAUTY TECHNOLOGY CO.,LTD は当社及び連結子会社各社との間に営業上の取引がないため、下記の事業内容及び事業系統図には含めておりません。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。 当社グループには、労働組合はありません。 なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「美しくを、変えていく。」という企業スローガンの下、お客様の理想の美しさをかなえ、世界中に夢や驚きを届けるために、お客様のためにできること・すべきことを全社員が常に意識し、研究開発活動、製品・商品のご提供、お問い合わせ対応などを通して、新しい「美のカタチ」を追求し続けることを経営方針としております。 当社グループの属する美容健康関連業界は、今後も成長が期待される分野であり、それに比例して競争も激化しております。 このような中、当社グループでは、「日本発のグローバルブランドカンパニー」として、他者が真似できない製品を作り続けるとともに、新しい発想で新たな市場を作り出すことを中長期的な経営ビジョンとし、次に掲げる事項を当面の経営課題としてその解決に注力してまいります。 当社グループが属する美容健康関連業界では、様々な製品・商品が販売されており、その中からお客様に選ばれるためには、お客様のニーズに応えるのはもちろん、美容の常識を塗り替えるような夢や驚きのある製品の開発が必要になります。 2020年に立ち上げた「表情筋研究所」を軸に、産学連携の推進など研究開発への投資を更に強化してまいるほか、FDA・NMPAなどの各種認証への対応にも注力してまいります。 売上規模の拡大のためには、個々の製品・商品のみならず、「ヤーマン」という企業ブランド自体の認知をグローバルに広げ、底上げを図っていく必要があります。 特に新カテゴリであるヘアケア・シェーバーについては、育成ブランドとして積極的に広告投資を継続するほか、企業イメージ向上を狙った広告宣伝についても充実させてまいります。 また、多様な人材の活用による組織の強化と活性化、SDGs推進に向けた環境問題への取り組みなどを通して、「ヤーマン」ブランドの確立と浸透に注力してまいります。 当社グループは、「日本発のグローバルブランドカンパニー」として、アジアのみならず全世界への展開を目指しております。 ユニバーサルデザインの推進や各種認証の取得などによるグローバルに通用する製品開発、海外を視野に入れた広告展開などを進めてまいります。 また、当社グループには、米国と中国に海外子会社がありますが、これらを足掛かりにグローバル展開を加速すべく、投資を強化してまいります。 新型コロナウイルス感染症の拡大はお客様の消費行動を大きく変え、収束の兆しが見え始めた今もなお、変化を続けています。 当社グループでは、この経営環境の変化をビジネスチャンスと捉え、新しい市場の創出と新しいニーズの発掘を行い、「日本発のグローバルブランドカンパニー、ヤーマン」の実現を目指してまいる所存です。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「美しくを、変えていく。」という企業スローガンにもあるとおり、美容の常識を打ち破って新しい美の習慣を創り出し、「日本発のグローバルブランドカンパニー」として、夢と驚きに満ちた製品を世界中のお客様にお届けすることを目指しております。 その実現のためには、環境の保全や経済活動の発展に配慮しながら、人的資本の充実を図り、社会に認められることが重要な経営課題であると認識しております。 当社グループでは、従業員一人一人が、「志をカタチに」、「オリジナリティの追求」、「チャンスは自ら」、「お客様ファースト」、「共に創る」という5つのクレドを遵守しながら、常にお客様を始めとする様々なステークホルダーのためにできること・すべきことを意識し、研究開発、製品のご提供、お問い合わせ対応などの事業活動を通して、社会に貢献するものとしております。 様々な研修や啓発活動を通してこの考え方を徹底し、企業風土として定着させるよう取り組んでおります。 社内取締役4名・社外取締役3名で構成される取締役会及び社内取締役1名・社外取締役2名で構成される任意の指名報酬諮問委員会は、経営に外部視点を取り入れ、事業活動における関係法令の遵守と経営の公平を監督するとともに、経営情報の適時かつ適正な開示の強化を図っております。 当社グループは、社内に異なる経験・技能・属性が存在することにより多様な視点や価値観が生まれることが、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなるとの認識を持っております。 採用や管理職への登用にあたっては、性別・国籍等にとらわれず、人物や能力、これまでの実績等を総合的に評価しているほか、人事評価制度の整備や労働環境の改善などにより、従業員の満足度と定着率の向上を図っております。 この結果、当社の外国籍社員、女性社員、女性管理職の比率は一定程度維持されていると考えておりますが、今後の積極的なグローバル展開も見据え、引き続き従業員の多様性の確保に向けて、様々な施策を推進してまいる所存です。 また、当社グループでは、サステナビリティに基づく企業価値向上のため、次の事項に積極的に取り組んでおります。 製品パッケージ・緩衝資材・梱包資材等の軽量化や簡素化による減量について、継続的に検討を進めております。 化粧品の一部についてはポストサイズのメール便への切り替えを実施するなど、再配達の抑制に向けて継続的に検討を進めております。 株式会社yaotomiと提携し、同社の農業活性化を通した脱炭素社会の実現に向けた取り組みを支援しております。 事業活動において、全てのステークホルダーの基本的人権を尊重するとともに、性別・年齢・国籍・人種・民族・信条・宗教・社会的身分・身体障害の有無によって、労働条件や互いの言動等を不当に差別することがないよう、当社グループの全役員・全従業員に対して定期的な教育及び啓蒙を実施し、周知徹底を図っております。 企画・設計・製造・販売する製品について、品質保証に必要な体制を整備し、安全・安心な製品を提供するため、継続的に品質管理体制の維持・向上に努めながら、サプライチェーンにおける品質状況やお客様からのご意見を的確に把握し、関係法令の遵守と顧客満足度の向上を図っております。 当社の技術で開発した製品やサービスにより、既存の美の習慣を新しい習慣へと変化させ、新たな市場を創造していくことで、全てのステークホルダーのQOL向上を目指しております。 当社グループは、これまで独自のノウハウによって数多くの知的財産を取得し、画期的な製品を提供してまいりました。引き続き、技術開発を推進し、当社だけが提供可能な画期的な製品を、日本国のみならずグローバルに展開していけるよう積極的に取り組んでおります。 情報セキュリティの基本方針を定め、関連法令や社内規程を遵守し、機密情報や個人情報等を様々な脅威から保護するための対策を行うとともに、当社グループの全役員・全従業員に対して定期的な教育及び啓蒙を実施し、継続的に組織・対策の見直しと強化を行っております。 継続的に赤十字活動を支援しており、日本赤十字社に対して寄付金や支援物資の寄付を行っております。 「一般財団法人ヤーマン奨学財団」の活動として、理系を志望する女子学生や女性技術者への奨励金・報奨金等の支給を通して、継続的な女性技術者の育成支援を行っております。 当社グループでは、事業を遂行する上で直面し得るリスクについて、将来を見据えて正しく把握するとともにそれらをビジネスチャンスとして捉え、適切に対応するためのリスクマネジメント・フローを構築することが、持続的な成長に必須であると考えております。 サステナビリティに関するリスクは、各部門が、全社的なリスクマネジメント・フローを統括しているコンプライアンス管理統括部門及びリスク管理統括部門と連携の上、個別のリスクの認識及び対応方針の策定を行います。 認識されたリスクは、リスク管理規程に従って、定期的に取締役会に報告され、評価されます。 また、リスクマネジメント・フローを継続的に見直すことにより、体制の強化を図っております。 当社グループでは、上記(2)戦略に記載した人材育成及び社内環境整備に関する方針をモニタリングする指標として、次の指標を用いております。 なお、環境に対する取り組みに関して、長期的な評価を行うための具体的な指標については、今後、取締役会において議論してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与えると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える具体的な影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、研究開発に関する専門技術、ノウハウ等の機密情報について、特定の個人への依存を避けるとともに、十分な漏洩防止体制を整えております。 しかしながら、人材の他社への流出その他の予期せぬ事象により、進行中若しくは考案中の新技術等の機密情報が競合他社等に流出した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが展開する美容健康関連事業において販売する製品・商品には、お客様が直接・間接的に身体へ接触させ使用する製品・商品が含まれます。そのため、当社グループでは、お客様の身体に危害が生じることがないよう細心の注意を払って製品・商品のチェックを行い、また、取扱い方法の適切な表示を心がけております。 しかしながら、万が一当社グループの販売する製品・商品によりお客様の身体に危害が生じたため、賠償対応及びリコール対応等が必要となったり、当社グループの製品・商品に対するイメージが損なわれるような事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、研究開発により新たに獲得された技術と、長年の経験により蓄積されたノウハウとの結び付きにより、新製品・商品の開発を進めております。そのため、当社グループは研究開発活動に力を注いでおり、獲得された技術等について、特許権をはじめとした知的財産権として確保することにも取り組んでおります。その結果、2023年4月末日現在において保有する特許権は、国内外で108件に至っております。 当社グループでは、これら保有する知的財産権の保護についても注意を払っており、他社による権利侵害の疑いを認識した場合には、直ちに知的財産権の侵害に係る通知を実施する等、適切な措置を講じております。一方、当社グループが他社の知的財産権を侵害しないよう、製品開発及び商品販売に際しては十分な調査を行うようにしております。 しかしながら、第三者により権利侵害を受けた場合又は権利侵害を行ったとして係争を起こされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが属する美容健康関連業界は、近年、その市場規模を急速に拡大しており、これを受けて当該業界への新規参入を志向する家電メーカー等が増加しております。既存の競合他社においても、新製品の開発及び商品の獲得に向けたマーケティング活動が積極的に展開されており、当社グループとしましては、アフターサービスの充実や製品・商品の企画及び開発の強化等によって競合他社との差別化を図り、ヒット商品の更なる創出に努めております。 しかしながら、有力な競合品の登場により当社グループの製品・商品の競争力が相対的に低下した場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、製造設備を自社で保有せず、製品の製造は外部に委託しております。 そのため、外注先の工場において、重大事故の発生又は自然災害や感染症の流行等の国内情勢の影響により生産ラインに支障が生じた場合には、代替措置の確保までの間、販売機会の損失が生じる可能性があります。 また、今後、当該外注先と何らかの事情により提携関係等を維持することができない状況となった場合には、生産体制に影響が及び、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが販売する製品・商品には、中国や米国といった海外諸国で生産される製品・商品が数多く含まれており、今後も当該海外諸国で生産される製品・商品の輸入販売を継続する方針であります。 そのため、当社グループの販売する製品・商品の生産国において、予期せぬ法律や規制の変更や為替相場の変動が生じた場合、当社グループの製品・商品の流通に直接影響を及ぼすような自然災害やテロの発生により社会情勢等に混乱が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの属する美容健康関連業界では、取り扱われる製品・商品の特性上、期待された効果が得られない場合や使用方法の誤り等による事故等により、メーカー又は取扱業者と消費者の間でトラブルが生じるケースがあります。 当社グループでは、このような問題が生じないよう製品・商品の安全性管理を徹底しておりますが、同業界の中で業界全体のイメージダウンに繋がるようなトラブル等が発生した場合には、結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの展開する事業に関する法的規制としては、製品の製造委託に関する「下請代金支払遅延等防止法」、自社開発製品の製造販売に関する「製造物責任法」、化粧品の仕入販売に関する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」、インフォマーシャルやWebを用いた個人消費者への直接販売に関する「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、広告表現に関する「景品表示法」、「不当景品類及び不当表示防止法」などがあります。法令遵守に関しては、当社グループ内において周知徹底し、内部監査による定期的な確認も実施しておりますが、万が一法令違反行為等が発生した場合、また、その対応に不備があった場合には、社会的信用の低下による顧客離れや、損害賠償等の負担、営業停止等による企業活動の制限等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの直販部門では、テレビショッピングやインターネット等の媒体を利用した直接個人顧客への販売を行っており、購入者に関する個人情報を多数保有しております。当社グループでは、個人情報の取扱いについて「個人情報の保護に関する法律」をはじめとする法令諸規則を遵守すべく、日本工業規格「個人情報マネジメントシステム-要求事項」(JIS Q 15001:2017)に準拠した個人情報マネジメントシステムを制定・運用し、定期的に運用状況の監査を実施するなど、個人情報の管理を徹底しております。 しかしながら、予期せぬ事態により、個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合には、当社グループの社会的信頼の低下や金銭的な補償の負担等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが行うインフォマーシャル等の広告宣伝活動は、収益に及ぼす効果が大きく、また、近年の当社グループの業績規模の拡大に伴ってその金額も増加しています。そのため、広告宣伝活動を行う際には、個々の製品・商品ごとに、実施時期・手段・規模等について、販売見込みや経済環境等を十分に検討した上で実施を決定しております。 しかしながら、広告宣伝活動によって見込まれる売上高の増加が当初想定した水準に満たない場合や、広告宣伝活動によって発現する売上高の増加の時期が想定より時間を要する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが通販事業者と締結する取引基本契約の中には、当該通販事業者が販売できなかった製品・商品については、当社グループへ返品できることとするものがあります。また、個人顧客向け直販事業は、法律に定められたクーリングオフの対象となる事業ではありませんが、販売戦略の一環として当社グループ独自に一定の期間内での返品保証制度を実施しております。 当社グループでは、これら返品の発生を極力防ぐために、通販事業者への販売については、過去の販売状況等を分析した結果に基づいて適正販売数量を決定しており、また、直販部門においては、使用方法の誤りによって効果が得られないことを理由とした返品が起こらないように、説明書の内容をより分かりやすく工夫し、個人顧客からの返品連絡については、カスタマーサービスのオペレーターが返品理由についてヒアリングし情報収集を行うとともに、使用方法の誤りによって効果が得られていないようなケースについては、正しい使用方法等の説明を行う等の対処を図っております。 しかしながら、想定以上の返品が生じた場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、地震等の自然災害や感染症等の発生に対し、事業活動への影響を最小限にする体制及び対策を講じております。 しかしながら、想定の範囲を超える事態が発生した場合には、外注先工場の損壊などによる生産ライン停止、卸売先店舗の休業やテレビ通販番組の中止などの販売経路の遮断、更には市場の消費意欲の低下といった間接的な影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが取扱う製品・商品には、季節性の高いものが含まれており、季節により業績に偏りが生じる場合があります。 そのような製品・商品については、厳密な需要見通しのもとに仕入・販売計画を策定しておりますが、気候条件による季節的な影響を正確に予測することは困難であり、実際の気候が予測と異なることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは外貨建ての輸出入取引を行っており、為替の変動リスクに晒されております。 当社グループでは、当該為替変動リスクを軽減するため、一部為替予約によりヘッジを行うなどしておりますが、為替が予想を超えて変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 連結財務諸表の作成のために当社グループが採用している重要な会計処理基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。 連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。 これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果が見積りと異なる場合があります。 当社が行った見積りのうち重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 なお、仮定の前提となる新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。 当連結会計年度におけるわが国経済は、長らく続いた新型コロナウイルス感染症拡大にようやく収束の兆しが見え始めたことから、徐々に回復のペースを加速させてまいりました。 海外各国においても同様に、経済活動は総じて回復傾向にありました。 しかしながら、インフレ圧力を背景とした相次ぐ消費財の値上がりや不安定な為替の動向、ロシアによるウクライナ侵攻を始めとする世界的な政情不安の影響などにより、先行きに対する不透明感は払拭できないままとなりました。 このような状況の下、当社グループは、これまで美顔器で培ってきた技術とヤーマンブランドを活かしつつ、より大きな市場であるヘアケア・シェーバーといった新カテゴリの創出に取り組んでまいりました。 また、当連結会計年度は2020年11月に公表した中期経営計画の集大成の年でもあり、目標として掲げた「売上高500億円、営業利益率20%」を実現すべく、広告宣伝や研究開発への投資を強めてまいりました。 海外部門が中国において大きく売上を伸ばしたことや、国内各販路もそれぞれ堅調な売上となったことから、当連結会計年度の売上高は42,996,308千円(前連結会計年度比5.0%増)と前連結会計年度を上回りましたが、投資が先行したことから、営業利益は6,134,819千円(前連結会計年度比10.8%減)、経常利益は5,917,504千円(前連結会計年度比26.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,913,141千円(前連結会計年度比30.0%減)と利益面では前連結会計年度には及びませんでした。 中期経営計画が未達となったことを受け、2023年6月13日付で新たな中期経営計画となる「Going Global Strategy」を策定し、あらためてグローバルブランドカンパニーへの道程を示すとともに、中期(2028年4月期)では売上高700億円を目標とすることを公表しております。 これを達成するため、引き続きブランディング、研究開発、海外展開などに対する投資を強化し、各販路の更なる伸長を図ってまいる所存です。 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。 通販部門では、テレビによる通信販売業者を経由した個人顧客への販売、カタログ通販会社向けの販売、インターネット専売業者向けの販売を行っております。 当連結会計年度においては、地上波テレビ通販やカタログ通販などの販路を中心に手堅い売上となったことから、売上高は6,666,868千円(前連結会計年度比28.1%増)、セグメント利益は2,299,568千円(前連結会計年度比7.9%増)と売上・利益ともに前連結会計年度を上回りました。 店販部門では、家電量販店、百貨店、バラエティショップ等への販売を行っております。 当連結会計年度においては、百貨店や直営店では持ち直しの兆しがあったものの、家電量販店向けやバラエティショップ向けの販売が苦戦し、売上高は7,953,879千円(前連結会計年度比5.3%減)、セグメント利益は1,826,322千円(前連結会計年度比27.2%減)と売上・利益ともに前連結会計年度を下回りました。 直販部門では、インフォマーシャルや雑誌、新聞、Web等を用いた個人顧客への販売を行っております。 当連結会計年度においては、化粧品などのリピート商材強化への投資を重点的に継続した結果、売上高は9,922,142千円(前連結会計年度比14.2%減)、セグメント利益は4,587,896千円(前連結会計年度比21.5%減)と前連結会計年度に及びませんでした。 海外部門では、海外の通信販売業者、卸売業者、個人顧客等への販売を行っております。 当連結会計年度においては、米国及び中国の子会社への投資の強化に着手したほか、その他の国や地域への進出にも積極的に取り組んでまいりました。 中国国内市場が引き続き好調に推移したことから、売上高は17,894,298千円(前連結会計年度比23.2%増)、セグメント利益は6,870,475千円(前連結会計年度比56.7%増)と売上・利益ともに前連結会計年度を大きく上回りました。 当連結会計年度における生産実績は、前連結会計年度比5.8%減の24,350,013千円(販売価格)、商品仕入実績は、前連結会計年度比33.2%減の2,828,789千円(仕入価格)であります。 なお、当社グループは、販売チャネルを基礎としてセグメントを決定しており、通販部門・店販部門・直販部門・海外部門・その他の全セグメントで共通して生産活動及び仕入活動を行っているため、セグメントごとに生産実績、商品仕入実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 当社グループは、受注生産ではなく市場見込生産を行っているため、該当事項はありません。 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度に比べ427,352千円(1.4%)増加し、30,979,525千円となりました。商品及び製品の増加1,131,070千円、現金及び預金の減少502,967千円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少259,750千円が主な要因であります。 負債は、前連結会計年度末に比べ2,915,384千円(34.5%)減少し、5,543,580千円となりました。未払法人税等の減少1,310,237千円、未払金の減少804,535千円、長期借入金の減少624,000千円が主な要因であります。 純資産は、前連結会計年度末に比べ3,342,736千円(15.1%)増加し、25,435,945千円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上3,913,141千円及び剰余金の配当591,478千円による利益剰余金の増加3,325,110千円が主な要因であります。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比して502,967千円(3.1%)減少して、15,691,984千円となりました。 営業活動の結果獲得した資金は、986,150千円(前連結会計年度は4,647,847千円の獲得)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純利益5,837,005千円、法人税等の支払額△3,052,843千円、棚卸資産の増加△1,011,424千円、未払金の減少△811,328千円によるものであります。 前連結会計年度に比して、売上債権の増減は△1,193,669千円の増加から259,613千円の減少となりましたが、税金等調整前当期純利益が8,019,198千円から5,837,005千円と減少したことに加え、棚卸資産の増減が△413,688千円の増加から△1,011,424千円の増加に、法人税等の支払額が△2,529,825千円から△3,052,843千円になるなど資金の使用が増加したことから、資金の獲得額は前連結会計年度を大きく下回る結果となりました。 投資活動の結果使用した資金は、632,039千円(前連結会計年度は619,372千円の使用)となりました。 これは主に、敷金及び保証金の差入による支出△289,473千円、金型等の有形固定資産の取得による支出△203,428千円、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出△151,039千円によるものであります。 当連結会計年度中も積極的に投資を行ったことから、前連結会計年度並みの資金の使用となりました。 財務活動の結果使用した資金は、1,223,931千円(前連結会計年度は1,094,405千円の使用)となりました。 これは主に、長期借入金の返済による支出△624,000千円及び配当金の支払い△591,305千円によるものであります。 当連結会計年度においても、前連結会計年度と同様に新たな資金調達を行わなかったため、前連結会計年度並みの資金の使用となりました。 キャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。 当連結会計年度において新たな資金調達は行っておらず、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は1,351,999千円と、前連結会計年度末から618,121千円減少いたしました。 当社グループでは、企業価値を向上させ、「日本発のグローバルブランド・カンパニー」の実現を目指していくに当たり、売上規模の拡大と収益性の向上を重要な要素と認識しており、売上高及び営業利益率を目標とする経営指標としております。 また、メーカーとして、研究開発費の総額や原価率についても継続的にモニタリングすべき指標と考えているほか、配当性向、ROEなどの指標も重視しております。 当社グループは、2023年6月に中期経営計画を公表し、2028年4月期までの5か年に係る目標を「売上高700億円」としております。 該当事項はありません。 当社グループにおける研究開発活動は、お客様の理想の美しさをかなえ、世界中に夢や驚きを届けるために、お客様のためにできること・すべきことを常に意識し、新しい「美のカタチ」を追求し続ける、という経営方針に基づいて行われております。 当社グループの研究開発活動は、当社の開発部門が主体を担っておりますが、開発部門が単独で活動するのではなく、企画・立案から製品化までの全過程において、お客様と直接接する立場にある営業部門と綿密に連携を図りながら、製品化を推進しております。これにより、常にお客様のニーズに対応した製品を創出しうる研究開発体制としております。 当社グループは、研究開発活動の過程で発見した技術の権利化を積極的に行っており、類似製品との差別化を図っております。 当連結会計年度における特許権の取得は12件(国内9件、海外3件)となり、2023年4月末現在における総取得件数は108件(国内77件、海外31件)となっております。 また、当連結会計年度における特許権の新規出願62件(国内46件、海外16件)となり、2023年4月末現在における総出願中件数は152件(国内96件、海外56件)となっております。 当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は、845,177千円であります。 当社グループでは、研究開発活動の強化を経営上の最重要課題と位置づけ、製品開発はもちろんのこと、効果効能の測定、安全性の検証、品質管理についても、更なる人員強化と体制整備を図ってまいる計画です。 なお、当社グループは、販売チャネルを基礎としてセグメントを決定しており、通販部門、店販部門、直販部門、海外部門、その他の全セグメントで共通して研究開発活動を行っているため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。
株式会社フュートレック
# 株式会社フュートレック 第19期:潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため。 第20期から第23期:潜在株式が存在しないため。 第19期:潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため。 第20期から第23期:潜在株式が存在しないため。 当社グループは、当社及び連結子会社3社より構成されております。 当社グループの事業セグメントは、「音声認識事業」「デジタルマーケティング事業」「映像制作事業」「その他事業」の4つに区分しております。 なお、当連結会計年度の期首から報告セグメントを従来の「ソフトウエア開発・ライセンス事業」「映像制作・メディア事業」「その他事業」の3区分から、「音声認識事業」「デジタルマーケティング事業」「映像制作事業」「その他事業」の4区分に変更しております。 これにより、「ソフトウエア開発・ライセンス事業」に含まれていた「音声認識事業」「デジタルマーケティング事業」を独立の報告セグメントとし、従来「システム開発事業分野」と呼称しておりました株式会社スーパーワンの事業を「その他事業」に含めております。また、より事業活動の内容に沿う名称に、報告セグメントの名称の変更を行っております。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「社会の変化に柔軟に対応して、その時代に求められる商品を追求し、継続的に発展する会社を目指す。」を経営理念としております。当社の考える、柔軟とは「過去に捉われず」、商品とは「様々な商品の形態」を、継続的にとは「毎年着実に」と、考えております。この経営理念のもと、当社グループは、LSI設計会社からスタートし、ソフトウエアの開発から各種サービス事業への展開、M&A等により、事業内容を変化させながらグループを運営してまいりました。 より楽しく(Fun)・便利(Useful)・簡単(Easy)で豊かな生活の実現に貢献したい。これが私たちグループの願いであり使命と考えております。 当社グループは、「音声認識事業」「デジタルマーケティング事業」に経営資源を集中させるとした経営方針のもと、事業拡大に努めてまいります。 2024年3月期も、当社コア事業セグメント「音声認識事業」「デジタルマーケティング事業」を核とした事業経営を行ってまいります。 音声認識事業においては、2023年3月期は、音声収録に関する受託業務が増加しましたため、売上高が増加いたしました。しかしながら、同受託業務に伴う外注費の増加等によりセグメント利益への影響は微増にとどまり、セグメント利益は赤字となりました。2024年3月期は、引き続き音声収録に関する受託業務の受注獲得に注力するとともに、作業効率化ツールのさらなる改善、機能拡張による同業務の作業時間の短縮及び外注費の削減を実施し、利益率の向上を図ります。また、既存の音声認識製品の性能改善に取り組むとともに、効果的な営業活動を実施し、新規ライセンスの増加を目指します。 また、当社は株式会社エーアイと資本業務提携契約を締結いたしました。本資本業務提携契約に基づき、下記音声認識事業のシナジー実現に向け活動してまいります。 デジタルマーケティング事業においては、デジタルマーケティング関連市場での事業拡大を目指し、新商品であるVisionary Cloudを主力商品とすべく、CDP等の機能追加開発投資を継続します。また並行して、Visionary Cloudの新規採用に向けた営業活動及び、既存顧客の改善要望に対応し売上高の増加を図ります。 「音声認識事業」「デジタルマーケティング事業」以外の事業セグメントについては、受注案件の精査及び業務の効率化等の施策により、利益の最大化を目指してまいります。 当社グループは、豊かで快適な生活を提供するサービス・商品を開発し続ける考えであります。そのために必要となる研究開発を実行しうる利益の確保に努めてまいります。 当社グループが目標とする経営指標は、「売上高営業利益率」及び「1株当たり当期純利益」と考えております。企業の本業での収益を測る経営指標である売上高営業利益率を高めていくことが、収益力のある企業形成に不可欠であると考えております。そのために高付加価値商品の開発及び高収益なビジネスモデルの構築に努めてまいります。 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や海外からの入国制限の段階的な緩和を受け、社会経済活動の正常化が徐々に進みました。しかし一方で、不安定な国際情勢を背景に、エネルギー・原材料価格の高騰、急速な円安等が重なり物価が上昇するなど、先行きについては不透明な状況が続いております。 当社グループでは、当社を取り巻く経営環境を考慮して事業の拡大を実現するうえで、下記の事項を対処すべき課題として取り組んでまいります。 当社グループの音声認識事業は、AI技術の急速な進歩に伴い、音声認識技術だけでなく自然言語処理技術など周辺技術の飛躍的な性能向上もあり、利用用途は更に拡大すると考えられます。そして、その市場には大手グローバル企業を始めとした競合が存在しております。当社では、最新の技術を取り入れつつ、商品の開発・改善を進めるとともに、パートナー企業等との連携強化により、特色ある新たな製品やサービスの創出に注力してまいります。 当社のデジタルマーケティング事業は、ECサイトとリアル店舗との関連強化及び顧客データの効果的活用等、デジタルトランスフォーメーション推進の時流により、市場は更に拡大するものと考えられます。当社では同事業の拡大を目的として、開発投資を行い、新商品「Visionary Cloud」の追加機能開発を進めておりますが、競合他社も機能改善に取り組んでいます。当社では、お客様の要望と市場の動向を的確に把握し、「Visionary Cloud」を競合先商品に対して競争力の高い商品として、多くのお客様に提供できる体制の構築を早期に実現できるよう努めてまいります。 当社グループの音声認識・デジタルマーケティング事業を含むソフトウエア業界は、常に先進的な技術を取り入れ、技術開発を継続するために、専門的な知識を有する技術者の確保が重要です。しかし、近年ソフトウエア業界のみならず多くの分野でIT技術者が需要に対して不足している状況です。当社ではこのような状況においても、組織および個人の目標や就業条件を設定し、テレワークの定着等一人ひとりがライフスタイルに合った勤務形態を選択できる環境を整えることによりモチベーション向上を図り、優秀な技術者の獲得および社員の育成に注力してまいります。 当社グループの継続的発展と企業価値の向上には、有効な内部統制システムとその適切な運用が不可欠と認識しております。当社では、内部統制基本方針に基づき、内部統制委員会での定期的なモニタリングの実施と課題への対応や全役職員に対するコンプライアンス教育等を継続して実施しております。今後も当社グループは、コーポレート・ガバナンスのより一層の充実を図り、内部統制システムの強化およびその運用の更なる徹底に努めてまいります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社の経営理念「社会の変化に柔軟に対応して、その時代に求められる商品を追求し、継続的に発展する会社を目指す。」と、社名FueTrek(フュートレック)に込められた、Fun(楽しく)・Useful(便利)・Easy(簡単)な商品を追求して社会に貢献したい、という思いの実現のためには、サステナビリティが重要な経営課題であると考えております。そのため、サステナビリティの推進をより一層強化するため「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、代表取締役社長を委員長として、年2回その他必要に応じて開催いたします。構成員は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)、取締役(監査等委員)等であり、委員長により選任されます。同委員会が必要と認めた場合、委員以外の者を出席させ報告と意見を求めております。 同委員会は以下の事項について審議し、取締役会に対して報告並びに決議事項を上程しております。 上記、ガバナンス及びリスク管理を通じて「人材・職場環境」、「事業と技術革新」、「社内環境・会社運営」「ガバナンス」を重要なサステナビリティ項目として識別しております。 重要なサステナビリティ項目のうち、「人材・職場環境」、「事業と技術革新」について当社の企業価値、業績等に与える影響度が重要であると判断しており、これらの項目に対する戦略としての当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。 当社グループは、新商品の開発及び追加機能開発等を進めることにより、将来の競争優位・差別化を図るべく、知的財産の維持・強化を推進しております。そのためには、専門的な知識を有する優秀な技術者の獲得及び社員の育成が重要であると認識しております。 組織及び個人の目標や就業条件を設定し、テレワークの定着等従業員一人ひとりがライフスタイルに合った勤務形態を選択できる環境を整えることにより、優秀な技術者の獲得及び従業員の育成に注力し、採用においては性別、国籍等にはとらわれず、その能力や成果に応じた人事評価に基づいた人材登用を実施しており、女性の管理職への登用も積極的に行うなど、人材確保や人材育成の強化のため人的資本への投資を行っております。 当社は、上記(2)戦略で記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。 以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。ただし、以下の記載は当社グループの事業等に関するリスクを全て網羅するものではありませんのでご留意下さい。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。 当社グループの音声認識事業は、AIの実用化の世界規模で技術開発が活発に行われている分野です。また当社のデジタルマーケティング事業ではマイクロサービスアーキテクチャによる自社商品の開発を継続して行っております。当社グループでは、これら事業に対して新しい技術の自社開発や市場からの導入、技術力向上に有効な協業などの対策を講じております。しかし画期的な技術やサービスが急速に拡大した場合、技術の方向性によっては、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、音声認識事業においては、開発活動等によって各種環境下での音声認識率の向上や声による認証等の普及に努めていく方針ではありますが、開発状況によっては研究開発等の費用が非常に高額となる可能性や、研究開発活動等によって得られた成果を事業化できない可能性、また事業化した場合でも当社グループが想定している収益を得られない可能性も否定できません。またデジタルマーケティング事業においては、更なる売上高、利益の向上を目指して新商品を継続して開発しておりますが、想定した期間、予算で開発が完了できない場合や仕様通りの性能が得られない可能性があります。このような場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおける各事業、製品においては、国内外に当社グループと競合する有力な事業者が存在しております。当社グループでは、製品においては独自技術の開発や他社との協業等により差別化を図っております。経営面ではビジネスモデルの工夫により差別化を図っております。しかしながら、既存の事業者または新規参入の事業者との競合によって、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、第三者との間の知的財産権に関する紛争を未然に防止するため、新しい製品やサービスの開発の際には調査を行い、また、必要に応じて先行特許調査を依頼し、弁護士の助言を得ながら製品の開発、ライセンスを実施しておりますが、第三者との知的財産権に関する紛争を完全に防止することは事実上不可能であります。当社グループでは、特許権等の知的財産権の取得、弁護士等の専門家との連携等により知的財産権に関する紛争の防止に努めておりますが、第三者と知的財産権に係る紛争が生じた場合、当該紛争に対応するために多くの人的または資金的負担が当社グループに発生するとともに、場合によっては損害賠償請求、ライセンス料等の支払請求や製品等の差止の請求等を受ける可能性があり、当社グループの事業や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、特にソフトウエア開発に関しては、開発管理規程に基づき不具合を発生させないための諸施策を実施しておりますが、バグ等の不具合の発生を完全に防止することはできません。当連結会計年度末において当社グループの責任による不具合の発生により、顧客の事業に影響を与えるような大きな事象は発生しておりませんが、このような事象が発生した場合、不具合収束にかかる費用の負担、当社グループに対する信用低下等から、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、各業務において精通した従業員を配置し組織構成しております。 当社グループの事業戦略を成し遂げるには、事業の立案・進捗をつかさどる役員を含む管理職とスキルを有する技術者が必要であります。グループ運営力を拡大・強化し、成長を遂げていくために、必要とされる人材の確保と育成を積極的に進めてまいりますが、昨今のあらゆる分野でソフトウエアエンジニアの需要が増えている中、求める人材の採用が進まなかった場合は、当社グループの事業に支障をきたす可能性があります。 当社グループは、将来の企業成長において必要と考える技術開発や市場の獲得のために、企業買収、新会社の設立、出資を伴う業務提携等により当社グループの増強を進めてまいります。前述の施策については十分な事前調査及び検討を実施してまいりますが、それらの事業が当社の計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、情報セキュリティ基本方針を定めるとともに情報セキュリティ対策規程を制定し、顧客情報を含む社内の情報資産の管理・システム運営を徹底しており、プライバシーマークも取得しております。しかし、想定外の事態により情報資産が流出する可能性はゼロではなく、流出が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、月1回開催される内部統制委員会での内部統制状況の点検を行い、さらに年2回開催される全社員が出席する全体会議を中心としてコンプライアンスについての教育を行っております。また、内部監査によりグループ内での内部統制システムの継続的な強化を図っております。このようにグループ一丸となり法令遵守を徹底してまいりますが、予測できない法令等への抵触や不正行為が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの音声認識事業においては、NTTテクノクロス株式会社、株式会社ATR-Promotions、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)より音声認識に関するソフトウエア等の使用許諾を受けております。各社とはパートナーとして確固たる関係を築いておりますが、契約取消に抵触するような重大な違反等が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、グループ各社の本社を、大阪市、名古屋市、東京都と分散しております。加えて、テレワークを推奨し、オフィス以外の場所でも業務が可能な環境の整備を進めておりますが、大規模な自然災害や、今般の新型コロナウイルス感染症のように広範囲に影響を及ぼす事象が長期間発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や海外からの入国制限の段階的な緩和を受け、社会経済活動の正常化が徐々に進みました。しかし一方で、不安定な国際情勢を背景に、エネルギー・原材料価格の高騰、急速な円安等が重なり物価が上昇するなど、先行きについては不透明な状況が続いております。 このような環境のなか、当社グループは、音声認識事業とデジタルマーケティング事業を中核事業とし、各事業の更なる強化に努めました。 音声認識事業におきましては、他社との差別化を図るための音声認識技術の機能向上と声認証関連技術の開発を行いつつ、拡販活動を継続してまいりました。 結果として、当社の声認証技術や、音声認識技術・音声認識モデル自動作成システム等が新たに採用されましたが、これらの新規ライセンス案件は業績に貢献するまでには至りませんでした。同事業においては、音声収録に関する受託業務が増加したことにより、期初の計画よりも売上高は増加いたしましたが、同受託業務にかかる外注費の増加等により、利益への影響は微増にとどまりました。また、音のAI検査・識別(異音検知技術)は、複数の会社と協業してその効果を確認しながら、事業化に向けた取り組みを継続しております。 デジタルマーケティング事業におきましては、自社商品であるVisionaryをご採用いただいているお客様へのサービスの継続や、カスタマイズのご要望に対応すると共に、新商品であるVisionary Cloudの追加機能開発及び拡販準備を進めました。前連結会計年度は、Visionary Cloudの大型案件の売上が計上されましたが、当連結会計年度においては同様の大型案件がないことに加え、Visionary Cloudの研究開発投資を行ったことにより、前連結会計年度と比較して売上高及びセグメント利益は大きく減少いたしました。 当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりであります。 当連結会計年度における経営成績といたしまして、売上高は1,662,566千円(前連結会計年度比4.5%増)、経常損失は235,450千円(前連結会計年度は経常利益121,366千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は663,938千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益133,273千円)となりました。 セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりであります。 なお、当連結会計年度の期首から報告セグメントを従来の「ソフトウエア開発・ライセンス事業」「映像制作・メディア事業」及び「その他事業」の3区分から、「音声認識事業」「デジタルマーケティング事業」「映像制作事業」及び「その他事業」の4区分に変更いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。このため、前連結会計年度のセグメント情報を変更後のセグメントに組替えて記載し、セグメントごとの比較増減につきましても変更後の報告セグメント区分・名称により記載しております。 売上高は822,960千円(前連結会計年度比61.8%増)、営業損失は73,211千円(前連結会計年度は営業損失99,819千円)となりました。 前連結会計年度と比較し、売上高は主に音声収録に関する受託業務が増加したことにより、増加いたしましたが、同受託業務にかかる外注費の増加等により、営業損失は微減となりました。 売上高は518,492千円(前連結会計年度比30.6%減)、営業損失は228,016千円(前連結会計年度は営業利益199,166千円)となりました。 前連結会計年度と比較し、売上高は主にVisionary Cloudのライセンス提供に係る売上高が減少したことにより、減少いたしました。また、売上高の減少に加えVisionary Cloudの研究開発費の増加等により、営業損失が増加いたしました。 売上高は185,914千円(前連結会計年度比24.1%減)、営業損失は2,312千円(前連結会計年度は営業利益1,839千円)となりました。 前連結会計年度と比較し、売上高が減少し営業損失が増加している主な要因は、2021年8月にメディアジャパンエージェンシー株式会社を連結の範囲から除外したことによるものであります。 売上高は135,189千円(前連結会計年度比50.8%増)、営業利益は50,216千円(前連結会計年度比131.3%増)となりました。 主に連結子会社である株式会社スーパーワンにおいて、利益率の高い受託案件の受注により売上高、営業利益ともに増加いたしました。 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ549,604千円減少し、3,318,833千円となりました。総資産の内訳は、流動資産が3,200,022千円(前連結会計年度末比32,126千円増)、固定資産が118,811千円(同581,730千円減)であります。流動資産の主な変動要因は、現金及び預金の増加90,518千円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加51,147千円、有価証券の減少100,000千円、流動資産のその他の減少9,314千円によるものであり、固定資産の主な変動要因は、有形固定資産の減少28,954千円、無形固定資産の減少465,419千円、投資有価証券の減少84,981千円によるものであります。 負債の部では、流動負債が1,248,856千円(同181,274千円増)、固定負債が80,677千円(同5,122千円減)となりました。流動負債の主な変動要因は、買掛金の増加110,573千円、短期借入金の増加800,000千円、1年内返済予定の長期借入金の減少696,500千円であり、固定負債の主な変動要因は、長期借入金の減少5,900千円によるものであります。 純資産の部では、利益剰余金の減少701,369千円等により1,989,299千円(同725,756千円減)となりました。 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9,481千円減少し、当連結会計年度末には2,695,016千円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 営業活動の結果、使用した資金は104,935千円(前連結会計年度は得られた資金406,599千円)となりました。 これは主に、税金等調整前当期純損失665,811千円及び非現金支出費用の減価償却費127,397千円、減損損失399,488千円、売上債権の増加額51,147千円、仕入債務の増加額110,573千円、未払消費税の減少額46,215千円によるものであります。 投資活動の結果、得られた資金は34,917千円(前連結会計年度は使用した資金220,072千円)となりました。 これは主に、投資事業組合からの分配による収入69,140千円によるものであります。 財務活動の結果、得られた資金は60,536千円(前連結会計年度は使用した資金19,152千円)となりました。 これは主に、短期借入れによる収入900,000千円、長期借入金の返済による支出702,400千円、配当金の支払額37,063千円によるものであります。 当連結会計年度の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。当社の取締役会においては、連結財務諸表の作成に際し、会計上の見積りについて合理的な見積金額を計算しておりますが、実際の結果は異なる場合があります。 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、翌連結会計期間の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重要な影響を及ぼす事項はありません。 当連結会計年度の売上高は、1,662,556千円(前連結会計年度比4.5%増加)となりました。 当連結会計年度の営業損失は253,323千円(前連結会計年度は営業利益122,897千円)となりました。 売上高の増加の主たる要因は、音声認識事業における受託売上が増加したことによるものであります。 当社グループが目標とする指標である「売上高営業利益率」は、前連結会計年度の7.7%から当連結会計年度は△15.2%となりました。「1株当たり当期純利益」は14.24円から△70.95円となりました。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討の内容は次のとおりであります。 売上高は822,960千円(前連結会計年度比61.8%増加)、営業損失は73,211千円(前連結会計年度は営業損失99,819千円)となりました。 売上高の増加及び営業損失の減少の主たる要因は、受託売上高の増加375,427千円によるものであります。 売上高営業利益率は前連結会計年度△19.6%から△8.9%となりました。 セグメント資産は前連結会計年度に比べ66,473千円減少し、698,293千円となりました。 セグメント資産の減少は、主に固定資産の減損損失計上によるものであります。 売上高は518,492千円(前連結会計年度比30.6%減少)、営業損失は228,016千円(前連結会計年度は営業利益199,166千円)となりました。 売上高の減少及び営業損失の増加の主たる要因は、前年におけるVisonary Cloudに係る大型案件に相当する大型案件がなかったことと、Visionary Cloudの拡販に向けた研究開発に注力したことにより、販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。 売上高営業利益率は前連結会計年度26.6%から△44.0%となりました。 セグメント資産は前連結会計年度に比べ420,573千円減少し、126,074千円となりました。 セグメント資産の減少は、主に固定資産の減損損失計上によるものであります。 売上高は185,914千円(前連結会計年度比24.1%減少)、営業損失は2,312千円(前連結会計年度は営業利益1,839千円)となりました。 売上高営業利益率は前連結会計年度0.8%から△1.2%となりました。 セグメント資産は前連結会計年度に比べ46,596千円減少し、191,829千円となりました。 売上高の減少、営業損失の増加及びセグメント資産の減少は、広告代理店業務を主業務とするメディアジャパンエージェンシー株式会社を連結の範囲から除外したことによるものであります。 売上高は135,189千円(前連結会計年度比50.8%増加)となりました。 営業利益は50,216千円(前連結会計年度比131.3%増加)となりました。 売上高営業利益率は前連結会計年度24.2%から37.1%となりました。 セグメント資産は前連結会計年度に比べ52,860千円増加し、84,730千円となりました。 売上高及び営業利益の増加、セグメント資産の増加は、利益率の高い受託案件の受注によるものであります。 当連結会計年度における資金の期末残高は、前連結会計年度末に比べ9,481千円減少し2,695,016千円となりました。 詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 当社グループの運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則としております。また、必要な資金は銀行等金融機関からの借入により調達しております。 なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は985,800千円となっております。 当社グループの運転資金需要の主なものは、売掛金、買掛金の回転期間差異に基づく運転資金及び研究開発資金であります。運転資金については自己資金により対応できておりますが、大規模な設備投資や研究開発への投資の必要性が生じた場合に機動的な対応を可能とするため、一定の流動性資金が必要と判断し金融機関からの借入を行っております。 当社グループは、「より楽しく(Fun)・便利(Useful)・簡単(Easy)を実現するための技術を提供する」の方針のもと、音声認識事業を中心に研究開発を進めております。 当連結会計年度においては、音声認識技術の開発、声認証技術の開発、収録音声データ管理システムの開発、「音のAI検査」技術の開発、Visionary Cloudの開発等を実施いたしました。 研究開発費用総額は140,605千円であり、その内訳は、音声認識事業に係る研究開発費44,299千円及びデジタルマーケティング事業に係る研究開発費96,305千円であります。 従来の音声認識に加えて、話者分離機能をシームレスに使える音声認識技術の開発し提供を開始しました。この技術は、音声認識しながら話者の声の特徴を判別することで、文字化された音声認識結果を発言者ごとに分離して記録する技術で、議事録作成やコールセンター向けの音声認識システム等の商品に活用できます。 あらかじめ登録した音声の中から、発話した本人を識別する声認証技術の継続開発を行い、自由フレーズにおける認証性能の改善と声認証SDK(開発用キット)のバージョンアップを行いました。 当連結会計年度の売上に大きく貢献した音声収録に関する受託業務の作業の効率化を目的として、収録音声データ管理システムの開発を行いました。 製品や機器の発する音を機械学習させることで、その異常音を検知して故障や劣化などを即座に検出する「音のAI検査」技術の開発と検証を実施しました。 今後のデジタルマーケティング市場でのさらなる事業拡大を目指し、当社が独自に開発・提供する統合型CRMソリューションVisionaryのマルチテナント版であるVisionary Cloudの開発を行いました。すでに基礎的な開発は完了し、ファーストユーザーの会員管理基盤として活用されており、当連結会計年度は、汎用的な商品として多くのお客様にご利用いただくための追加機能開発を行いました。 音声認識事業の研究開発活動は、当社の音声認識事業部及び株式会社ATR-Trekにて実施しております。 当社では、音声認識、声認証のシステム開発とこれらを用いた製品・サービス開発を実施しております。 株式会社ATR-Trekでは、音声認識、声認証、音のAI検査の要素技術の研究開発を実施しております。
ナガイレーベン株式会社
# ナガイレーベン株式会社 東京都千代田区神田三崎町一丁目に株式会社永井商店を設立。 秋田県仙北郡南外村(現大仙市)に生産子会社ナガイ白衣工業株式会社を設立。 国産初のポリエステル100%のニット白衣を開発、販売。 札幌市東区に関連会社北海道ナガイ株式会社を設立。 東レ株式会社との提携により米国アンジェリカ社ブランドの新素材、新デザインによるリース用白衣を発売。 秋田県大曲市(現大仙市)に大曲工場を設置。 大阪府豊中市に大阪支店を設置。 福岡市南区に福岡支店、広島市中区に広島支店を設置。商号をナガイ株式会社に変更。 株式会社クラレと「やまもと寛斎」ブランド使用のライセンス契約を締結。 香川県高松市に高松営業所を設置。 秋田県大曲市(現大仙市)にナガイ白衣物流センター(現ナガイレーベン第2物流センター)を設置。 秋田県仙北郡中仙町(現大仙市)に中仙工場を設置。 ユニチカ株式会社と「花井幸子」ブランド使用のライセンス契約を締結。 東京都千代田区岩本町に新社屋を建設、本社を移転。 秋田県仙北郡千畑町(現美郷町)に株式会社ナガイホワイトエースを設立。 秋田県仙北郡南外村(現大仙市)に南外工場を設置。 宮城県仙台市に東北支店を設置。 本社にアパレルCAD(コンピューターによるデザインシステム)を導入し、子会社ナガイ白衣工業株式会社と生産及び企画のオンライン化を図る。 子会社ナガイ白衣工業株式会社全額出資により、株式会社ナガイ大曲工場(株式会社ナガイホワイト大曲)、株式会社ナガイ南外工場(株式会社ナガイホワイト南外)、株式会社ナガイ中仙工場(株式会社ナガイホワイト中仙)を設立し、各製造部門の営業譲渡を行う。 東京都千代田区岩本町に子会社エミット興産株式会社を設立。 子会社エミット興産株式会社へ販売部門を営業譲渡し、同子会社の商号をナガイ株式会社に、当社の商号をエミット興産株式会社に変更。 秋田県秋田市に子会社ナガイ白衣工業株式会社全額出資により、株式会社ナガイルミナースを設立。 エミット興産株式会社の商号をエミット株式会社に変更。 子会社ナガイ株式会社及び子会社ナガイ白衣工業株式会社を吸収合併、当社エミット株式会社はナガイ株式会社に商号を変更し、同時に同年8月に設立されていた同名別会社の子会社ナガイ白衣工業株式会社に生産部門を営業譲渡。 秋田県仙北郡神岡町(現大仙市)にアパレルCAD・CAM(コンピューターによるデザイン及び自動裁断システム)を備えたナガイ白衣カッティングセンターを竣工し、子会社ナガイ白衣工業株式会社へ賃貸。 抗菌用白衣メディガードを発売。 インドネシア国ジャカルタ市にインドネシア駐在事務所を設置。 商号をナガイレーベン株式会社に変更。 秋田県仙北郡神岡町(現大仙市)にナガイレーベン物流センターを設置。 当社株式を日本証券業協会の店頭登録銘柄として登録。 ユニチカ株式会社と「クレージュ」ブランド使用のライセンス契約を締結。 中華民国台北市に台北支店を設置。 名古屋市千種区に名古屋営業所を設置。 東レ株式会社と「アツロウタヤマ」ブランド使用のライセンス契約を締結。 当社株式を東京証券取引所市場第二部へ上場。 秋田県仙北郡神岡町(現大仙市)に子会社ナガイ白衣工業株式会社の本社を移転。 株式会社ナガイホワイト大曲、株式会社ナガイホワイト南外、株式会社ナガイホワイト中仙、株式会社ナガイホワイトエース、株式会社ナガイルミナースを子会社ナガイ白衣工業株式会社に吸収合併。 東レ株式会社と米国スタンダードテキスタイル社が有する技術の供与と商標使用に関するライセンス契約を締結。 名古屋営業所を名古屋支店に昇格。 広島県東広島市にナガイレーベン西日本物流センターを設置。 関連会社北海道ナガイ株式会社の全株式を取得し、当社の完全子会社とする。 ISO9001の認証取得。 当社株式が東京証券取引所の市場第一部に指定。 子会社北海道ナガイ株式会社を吸収合併し、北海道支店を設置。 ISO14001の認証取得。 クラレトレーディング株式会社と「ケイタ マルヤマ」ブランド使用のライセンス契約を締結。 ユニチカテキスタイル株式会社(現ユニチカトレーディング株式会社)がプロモスティル・ジャパン株式会社と共同で企画した「デザイン及び商標を使用したヘルスケア・ユニフォーム」を商品化する権利に関するライセンス契約を締結。 株式会社ディック・ブルーナ・ジャパンと「ミッフィー他 ディック・ブルーナ創作のイラストレーションを使用したヘルスケアユニフォーム」を商品化する権利に関するライセンス契約を締結。 東京都千代田区鍛冶町に新社屋を建設、本社を移転。 監査等委員会設置会社へ移行。 株式会社資生堂と「ブライトデイズ」ブランドの共同開発に関する契約を締結。 秋田県大仙市にソーイングセンターを設置。 大曲工場及び中仙工場をソーイングセンターに統合し稼働。 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行。 八木通商株式会社及び株式会社マッキントッシュジャパンと「MACKINTOSH PHILOSOPHY」ブランド使用のライセンス契約を締結。 当社グループは、当社(ナガイレーベン㈱)及び連結子会社1社により構成されており、各種メディカルウェアの企画、製造、販売並びにシューズ等を販売しております。 当社グループの事業内容及び当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。 なお、当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載は省略しております。 当社は、自社企画・開発商品である医療従事者及び介護従事者が使用するメディカルウェアを、製造子会社であるナガイ白衣工業㈱から供給を受け、販売しております。 また、当社は、一部のメディカルウェアについて、海外及び国内での生産品をナガイ白衣工業㈱および一般取引先から購入し、販売しております。 当社は、一般取引先から購入し、販売しております。 当社グループについて図示すると次のとおりであります。 当社及び連結子会社は、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載は省略しております。 なお、会社別の従業員数は次のとおりであります。 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。 提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載しておりません。 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下の通りであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは、「いのちの力になりたい」を理念に掲げ、メディカルウェアの企画・生産・販売を通じて、人の生命と健康に貢献する企業を目指しております。 生命と健康との関わりが最も深い医療・介護従事者と患者・高齢者の間にあって、医療とは何か、看護とは何か、介護とは何かを奥深く理解することを原動力とし、より優れた製品を世に送り出す喜びを共感することを基本理念としております。加えて、より多くの投資家へ向けたIR活動を積極的に行い、株主への利益還元の充実を経営の重要課題のひとつと認識し、成長機会へのキャッシュの再投資、自社株買い及び配当によるキャッシュの還元の充実により、企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。 当社グループとしては、売上高営業利益率及び株主資本利益率(ROE)の長期的な向上を重要な経営指標と考えております。 当社のコア市場であるヘルスケアウェア、ドクターウェアにおいて、高感覚のハイエンド商品群、高機能の高付加価値商品群を商品企画開発の柱として商品ラインナップの充実を図るとともに、販促活動及びプロモーション活動を強化し、市場での買い替え需要を喚起いたします。 また、時代の流れに即した新しい販売チャネルの構築に向けても経営資源を投入してまいります。 手術ウェアにおいては、医療廃棄物削減が医療機関の大きな環境課題と捉え、米国スタンダードテキスタイル社との技術提携による再利用可能な環境対策医療資材商品「コンペルパック」の市場浸透に注力し、手術ウェアにおけるシェア拡大を図ります。 患者ウェアにおいては、利用者の視点に立った高感度、高機能商品の開発、市場投入を行い、市場の成長を享受すべく努力を引き続き行ってまいります。 海外市場においては、東アジアを中心として販売活動を行っておりますが、着実に市場での当社認知度は高まってきており、国内で培ったノウハウを活かしたビジネスモデルの海外展開により、業容拡大を目指してまいります。 メディカルウェアの専門メーカーとして、当社が培ってきたノウハウを活かした感染対策商品の開発に積極的に取り組み、医療現場支援に向け努力してまいります。 国内生産においては、連結子会社のナガイ白衣工業㈱との連携を強化し、グループ全体の経営効率化を図り、小ロット・多品種生産に対応する効率的な生産体制と、高品質、高付加価値、短納期の商品供給体制を強化します。 国外生産においては、為替の変動や東南アジア諸国の発展に伴う人件費の上昇やカントリーリスクを見据え機動的な為替先物予約や適地生産を柔軟に行うことで安定供給を強固にし、原価の維持、低減を図ってまいります。 当社グループといたしましては、企画・生産・販売の連携をより一層強化し、高利益率な経営体質の継続的な向上に取り組んでまいります。 今後の見通しといたしまして、業界は引続き物価上昇の影響を受け厳しい経営環境が続くものと考えられます。しかしながら、来年6月に予定されている診療報酬・介護報酬の同時改定ではその対策として報酬本体の引上げが検討されており、その改定率が注目されるところであります。 売上高に関しまして、前年同期比3.6%増の過去最高の17,800百万円を目指します。コア市場では、新たなブランドとして「マッキントッシュ フィロソフィー」を投入いたします。認知度の高い当ブランドに加え前年から好調な「アースソング」シリーズのラインナップの充実により市場の購買意欲を刺激し、更新遅れの解消を図って参ります。また周辺市場では、前年に開発された高機能患者ウェアの拡販によるシェアアップ、手術ウェアではコンペルパックの全国展開を推進いたします。海外市場では、洗濯アウトソーシングの普及とEC直販によるビジネスモデルの確立を目指してまいります。 生産に関しましては、引き続き原油相場高騰による原材料価格の高止まり、人件費の上昇も見込まれる中、国内外の適地生産の見直しをさらに進めることで、原価低減に努めてまいります。また国内物流費の高騰が予想されるものの物流体制の見直しを進めコスト低減に努めます。一方価格改定の浸透が進むことで利益の改善が予想されるものの、為替相場での円安急進などの外部環境の急変によっては、原価への影響が大きく現れる可能性もあります。 当社グループでは、厳しい経済環境のなか、遵法精神に基づいた顧客サービスの向上を経営上の課題ととらえ、以下の諸施策を推進することにより市場での競争優位性の確保と更なるシェアアップを目指しております。 これらの課題に対して、ISOマネジメントシステムを利用し、品質についてはISO9001の運用を徹底し、継続的な顧客サービスと顧客ニーズを把握した商品提供を進めており、環境面においては、ISO14001の運用に取り組んでまいります。また、情報の有効活用と情報管理の徹底のために、社内ルールの作成・更新に取り組んでおります。 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社は、「いのちの力になりたい。」を理念に掲げ、人の「和」を社是としております。 人と、企業利益(企業成長)と、社会貢献、それぞれがバランス良く熟成してこそ、社会に求められる企業集団になると考えております。さらに、「ナガイズム」ともいえる4つの行動指針があります。人を信じること、原理原則を探求し、ぶれないこと、永続する成長ビジネスモデルをつくりあげること、そして、周囲への感謝を忘れないこと。「ナガイズム」とは、これらの人材を作り続ける集団力。当社はこれらの理念・指針に基づき、もっと人に、深く、広く、健康一般へ、人と健康のあらゆる分野へ、活動の場を広げていくことで当社の持続的成長につながるものと考えております。 当社の商品の多くは枯渇性資源に由来する素材を使用しており、繰り返し・永く使用できる商品として企画・製造・販売することで、限りある資源の有効活用、環境負荷の低減につながるものと考えております。たとえば、当社の商品の一つ「COMPELPAK」では、使い捨て材料の多く使われる手術現場に、繰り返し洗濯・滅菌して使用できるウェアを提供することで、医療廃棄物の削減にもつながるものとなります。 また、本社を対象にISO14001を2005年に取得し、環境マネジメントシステムの構築・推進を通じて、社内での環境意識の浸透に努めております。 なお、当社のサステナビリティに関する具体的な取り組みについては当社ホームページ SDGs, CSR 説明資料(https://www.nagaileben.co.jp/ir/csresg/)に記載の通りです。 当社グループのサステナビリティに関する経営課題への取り組みについては、年1回開催される中長期経営会議において、中長期的な企業価値向上の視点で協議を行っております。 気候変動に関する課題については、環境推進室を設置し、グループ全体の環境問題対策に係る新規事業の調査・検討及び企画立案を推進しております。 各取り組みの対応状況は、原則毎週開催される経営会議で確認を行い、必要に応じて取締役会に報告しております。 当社グループは、企業の持続的成長におけるコーポレート・ガバナンスの重要性を認識しており、取引の公正・適正の確保に努めるとともに、経営の透明性、健全性を高めつつ、事業環境の変化に対応できる体制の構築に努めております。 当社グループは、事業全般の各リスクについて、各取締役がリスク管理責任者となり、業務上発生しうるリスクの予防措置、発生したリスクの初動対応について管理・執行をし、経営会議等にて報告する体制をとっております。また、新たに生じたリスクについては取締役会において速やかに対応責任者となる取締役を定めております。取締役及び従業員は、具体的リスクを積極的に予見し、リスクの種類、想定されるシナリオ、発生頻度及び損害の程度を適切に評価するとともに、当社グループにとって最小のコストで最良の結果が得られるよう、その回避、低減及び移転その他必要な措置を事前に講じることとしております。なお、組織横断的リスク状況の監視及び全社的対応は当社総務部が行うものとしております。 当社はグループの気候変動に関するリスクと機会の分析の結果としまして、現時点では事業活動に対して気候変動問題が重大な影響を及ぼす可能性は低いと判断をしております。当社の商品のほとんどは使い捨てではなく何回も利用できるリユース商品であり、おおよそ3年から4年のサイクルで買替が発生するユニフォームであることから、さらなる長寿命化や環境配慮設計(快適機能性繊維製品による冷暖房使用抑制や汚れの落ち易さによる節水・洗濯時間短縮、リサイクルのしやすい製品設計等)に成功すれば、気候変動課題解決に貢献できるものと考えております。また、現在手術室で多用されている使い捨てのガウン等が、当社の商品である50~80回程度繰り返し洗濯・滅菌し使用できるリユースのガウン等に置き換わることで、気候変動課題解決に貢献するとともに、収益拡大にも寄与するものと考えております。 また、急性の物理リスクである異常気象の激甚化に対しては、ハザードマップにて各拠点の洪水想定浸水を確認し、必要に応じた対策を進めております。 当社はグループの気候変動に係る指標として、現時点では事業運営における電力消費を中心としたCO2排出量を想定し、各事業活動におけるデータの収集などを進め、基本方針の策定に向けた取り組みを進めております。 当社グループは、会社にとって最大の資産は「人」と考え、全社会議等の様々な機会を通じ、社員一人ひとりに企業理念の浸透、経営への参画意識を高める取組みを推進しております。また、性別、年齢、国籍で差別せず、経験・技能・属性に応じた階層別(新入社員、管理職等)研修及び職能別研修を定期的に実施し、OJTと合わせ人材育成強化に努めるとともに、管理本部総務部総務課が主体となり、従業員エンゲージメント向上のための継続的な昇給(継続的ベースアップ、賞与アップ)や永年勤続表彰制度、若年層生活支援など、社内体制整備にも継続的に取り組む方針であります。 当社は、性別、年齢別、国籍別で差別せず、経験・技能・属性を反映した多様な人財を確保し、会社の持続的な成長が図れるよう努めております。また障害者雇用も積極的に行っております。具体的には、生産現場において、多くの女性が縫製作業に携わっており、女性の割合はグループ全体で66%を占めております。女性の管理職は現在3名であります。 また、当社単体での新卒採用においても女性採用を積極的に行っており、過去5年の新卒採用においても50%以上が女性であります。引き続き女性の採用を継続していくことで、女性比率の向上と管理職登用も将来的に見込まれるものと考えております。 中途採用者につきましては、全体の62%を占めており、管理職における中途採用者の割合は50%を超えております。現状、外国人管理職の登用は1名でありますが、外国籍を保有している従業員も複数在籍しております。引き続き優秀な人材については性別、国籍等の属性に依ることなく積極的に採用していく方針です。 なお、当社は、女性の管理職への登用につきましては、現状以上とすることを目標とし、社員の育成に努めております。また、中途採用者及び外国人の管理職への登用につきましては、基本的に国籍、年齢に関係なく必要とされる経験や能力に基づく登用を行っているため、目標を設定しておりません。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。 当社グループでは、一部の商品については海外で縫製しております。海外の生産拠点において、政治・経済情勢の悪化、政変、治安の悪化、テロ・戦争の発生により生産活動に問題が生じた場合には、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、輸入決済を外貨建てとしております。長期先物予約により為替リスクを軽減するための手段を講じておりますが、急激な為替レートの変動は財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、生産・販売・物流のネットワークシステム及び生産ラインの中断による潜在的なリスクを回避するため、データのバックアップ及び災害防止検査と設備点検を実施しておりますが、天災等により売上の低下、コストの増加を招き、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 火災、停電、戦争、感染症の伝染等が発生した場合、当社グループの事業運営及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらリスクに備え、事業継続のための対策チームの設置など、従業員の安全の確保を行うとともに、医療現場で必要とされる当社グループ製品の安全供給のための体制を整備し、リスクの低減に努めております。 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、活動制限が解除され、社会経済活動の正常化に向けた動きが進行したものの、ウクライナ情勢の長期化などの地政学上リスクの継続や、原材料価格及びエネルギー価格の高騰、為替の変動などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。 医療・介護を取り巻く環境としましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行を契機として医療・介護機関も緊急対応態勢の緩和が図られ沈静化して参りました。一方、現在も進行している諸物価の高騰や人件費アップ等のインフレにより、医療・介護機関のみならず業界のサプライヤーも含め、業界の経営環境は急速に厳しさを増してきております。今年が定期的な診療報酬、介護報酬の改定に当たらないことも経営環境の悪化に拍車を掛けているものと見られます。 このような状況のもと、当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の売上高は、前年同期比3.2%の減収と厳しい結果となりました。第2四半期までは比較的に順調に推移しましたものの、高騰する原価上昇に対応するため商品価格改定を2月に行った結果、業界の経営悪化の影響もあり、コア市場での一部の更新物件において期ズレが発生いたしました。また周辺市場においても同様にインフレの影響を受け、ここ数年売上を大きく伸ばしてきた患者ウェアも前年同期比2.3%の微増に留まりました。 この結果、当連結会計年度の売上高につきましては17,181百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益は4,604百万円(同8.5%減)、経常利益は4,673百万円(同9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,226百万円(同14.6%減)を計上いたしました。 なお、当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。 当連結会計年度末の総資産は47,377百万円となり、前期比29百万円の増加となりました。 流動資産は38,995百万円となり、前期比92百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の減少1,401百万円、棚卸資産の増加1,173百万円、受取手形及び売掛金の減少63百万円、電子記録債権の減少196百万円等、によるものであります。 固定資産は8,382百万円となり、前期比63百万円の減少となりました。 有形固定資産は7,312百万円となり、前期比69百万円の減少となりました。これは主に、建物及び構築物の減価償却等による減少56百万円等によるものであります。 無形固定資産は59百万円となり、前期比2百万円の増加となりました。 投資その他の資産は1,010百万円となり、前期比3百万円の増加となりました。 負債の合計額は4,163百万円となり、前期比減少929百万円となりました。これは主に、その他流動負債の減少629百万円等によるものであります。 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を3,226百万円計上した一方、株主還元としての配当金1,935百万円の実施等により43,214百万円となり、前期比958百万円の増加となりました。 以上により、自己資本比率は、前連結会計年度末の89.2%から91.2%になりました。 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は7,759百万円となり、前連結会計年度末より2,298百万円増加(前連結会計年度は218百万円の減少)いたしました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 営業活動の結果獲得した資金は1,812百万円(前連結会計年度は3,442百万円)となりました。 主な増加要因は、税金等調整前当期純利益4,671百万円(同5,468百万円)、減価償却費272百万円(同283百万円)、売上債権の減少67百万円(前連結会計年度は478百万円の増加)、減少要因は、棚卸資産の増加1,173百万円(同270百万円)、法人税等の支払1,620百万円(同1,584百万円)等であります。 投資活動の結果獲得した資金は3,417百万円(前連結会計年度は471百万円の使用)となりました。 主な増加要因は、定期預金の預入に対する払戻の超過収入3,700百万円(前連結会計年度は払戻に対する預入の超過支出900百万円)、減少要因は、有形固定資産の取得による支出258百万円(同94百万円)等であります。 財務活動の結果使用した資金は2,935百万円(同3,202百万円)となりました。 主な要因は、配当金の支払額1,935百万円(同1,971百万円)、自己株式の取得による支出額373百万円(同1,231百万円)であります。 当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであります。 当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであります。 当社グループは、見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。 当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、市場別情報を記載しております。 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 売上高につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績)」に記載のとおりであります。 売上総利益につきましては、7,547百万円(前年同期比4.2%減)となりました。生産面におきまして、国内・海外生産において、石油由来の資材をはじめとした原材料価格の高騰の影響を受けました。また国内生産においては、最低賃金の引き上げに伴い人件費の上昇の影響を受けました。一方、海外生産においては、急激な円安の進行による原価上昇の影響があったものの、為替先物予約により影響の低減を図りました。売上高総利益率は、期初想定では前年同期比2.5ポイントダウンの41.9%と想定していましたが、海外生産シフトおよび価格改定等の利益率改善施策の結果、前年同期比0.5ポイントダウンの43.9%となりました。 販売費及び一般管理費につきましては、2,942百万円(前年同期比3.2%増)となりました。主な要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症に関連し、医療機関への訪問規制が緩和され、国内外での営業活動の回復により、旅費交通費及び展示会費が増加し、前年同期比3.2%増となりました。 以上の結果、営業利益につきましては、4,604百万円(前年同期比8.5%減)となりました。 営業外収益は118百万円(前年同期は147百万円)、営業外費用は50百万円(前年同期は39百万円)となりました。 以上の結果、経常利益につきましては、4,673百万円(前年同期比9.1%減)となりました。 特別利益はなし(前年同期は338百万円)、特別損失は1百万円(前年同期は10百万円)となりました。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、3,226百万円(前年同期比14.6%減)となりました。 財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(財政状態)」に記載のとおりであります。 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループは、企業体質の強化を図りながら持続的な企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。 当社グループの資本の財源は、主に営業活動によるキャッシュ・フローで生み出した資金を源泉とし、運転資金及び設備資金は自己資金で賄っており、当連結会計年度の設備投資につきましては、主に建物関連への設備投資を行いました。 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。 なお、重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当社グループの2024年8月期は売上高178億円、営業利益46億円、中期経営計画として2026年8月期は売上高189億円、営業利益55億円を目標としております。 その達成のため、市場戦略としてコア市場の深耕、周辺市場のシェア拡大、海外市場の開拓、商品戦略としてハイエンド/高付加価値商品の展開、生産戦略として生産の海外シフト化による原価低減、また顧客満足度を高めるため国内生産QR/多品種小ロット追求といった取り組みを進めてまいります。 当社グループ(契約の締結者は当社)が締結している主な技術援助契約は次のとおりであります。 当連結会計年度において、終了した契約は以下のとおりであります。 当社グループの研究開発活動の方針は、ユーザー第一主義に基づき、ユーザーを良く知り、ユーザーに喜んでいただける商品を提供することであります。医療・介護供給体制の変化、ファッションの多様化、医療の高度化等、市場の変化に応じて要求される高感覚、高機能、高品質商品の開発を目的に、商品企画室において①営業本部、マーケティング室と連動したマーケティング活動、②素材の共同開発、③新商品企画を実施しております。 マーケティングリサーチにより、医療・介護行政、業界の動向、施策を把握し、現場を中心としたユーザーニーズを融合させることで、市場開発、商品開発テーマの絞り込みが行われます。 当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染問題及び進行しているインフレによる急激な物価上昇の医療、介護業界に対する影響の調査を行ってまいりました。また機能分化が進む医療、介護業界においてはそのニーズも多様化してきており、今後さらにきめ細かい市場調査を推進していく予定です。 マーケティング活動により策定されたテーマを具現化するため、素材メーカー及び仕入先メーカーと素材の共同開発を行っております。 当連結会計年度におきましては、EPA,FTAの優遇税制を活用した海外素材開発をいたしました。 開発素材をベースに商品試作が行われます。素材特長を活かし、ファッショントレンドを反映したデザイン作成、人間工学に基づいた機能性を追求したパターン作成を行い、商品サンプルが作られます。サンプルは、使用状況を考慮した幾度もの厳しい物性試験、モニター活動によるユーザー評価による改良を繰り返し、最終的な新商品となります。 新商品は、ナガイレーベン㈱のCADシステム(コンピューターによるデザインシステム)とナガイ白衣工業㈱のアパレルCAD・CAM(コンピューターによるデザイン及び自動裁断システム)をオンライン化することで、迅速かつ正確に商品仕様を生産部門に伝達することが可能となっております。 当連結会計年度の新商品企画は、新たなブランドとして「MACKINTOSH PHILOSOPHY」を導入致しました。医療・介護機関は患者・利用者が緊張感を和らげリラックスして過ごせる環境、高い安心感を得られる環境を作ることが求められており、そのために上質で落ち着いたホテルライクな空間によって満足度を高める施設が増加してきています。そのような空間に相応しいメディカルウェアのニーズに対応したハイエンドブランドとして、英国を代表するMACKINTOSHのモノづくり精神とクラシックで時代性のあるスタイルを受け継いだ「MACKINTOSH PHILOSOPHY」ブランドを導入することと致しました。アイテムはスクラブ・パンツ・コート&ジャケットと医療従事者のメインアイテムの構成となっています。素材はポリエステル90% キュプラ10%のワープニット 制菌・制電・吸水・防汚等のメディカル分野で求められる機能や医療従事者の動きに順応したストレッチ性能にて医服内環境に適応している快適素材です。 また売上が引続き好調に推移しています「EARTH SONG」(アースソング)にラインナップの充実を図るべく新商品の開発を行いました。当シリーズは、SDGsが叫ばれ自然回帰への流れが高まる中、自然の力を敬い、自然環境に寄り添い、医療従事者の心と体を癒す“ヒューマンサスティナブル”をコンセプトとした商品群です。自然を彷彿させるナチュラルなカラーリングと、医療従事者が必要とするハイスペックな機能が、高機能素材と高度なパターン設計により提供される快適な着心地とマッチし、市場では大いに評価を受けております。 機能の中でも高齢者社会に向けて、リハビリ環境における医療従事者の役割が年々高い専門性が求められている今、医療従事者の衣服内の快適環境を医服内環境と捉え、医服内環境がより快適であるために開発された「プロファンクション」トップスは医療現場の声を広くリサーチを行い、人工気象室等にて機能性実証試験を行って、モニタリングを繰り返すことにより、「エアーアームカット」は腕上げ動作において肩周りのストレスフリーな着心地を実現させました。商品バリエーションが広がった「プロファンクション」パンツは衣服圧を軽減するパターン設計・仕様にすることによって太ももから膝にかけてのツッパリ感が解消され、動作時のストレスを解消させてくれます。かがんでもずり下がりにくい機能を生み出すウェストの高伸縮素材の採用とともにリハビリ職だけでなくナースやヘルパーの方々にも着用いただいて引続き好調な販売を推移しています。これらの機能商品は特許出願中です。 資生堂ビューティクリエーションセンター監修による「Bright Days」は「肌色をいきいきと美しく見せる」といった観点で白衣とメイクの美しい調和をお届けしています。MAKE UP提案も同時に行っております、医療現場で起こりやすいナースの肌の悩みや美容に関する疑問の解決、患者様・ご家族に好感度が高く、信頼感向上に繋がるナースのためのビューティ講座はコロナ禍においても参加のご要望が多数ありましたのでWebによるビューティ講座を開催、現在はリアル講座も再開させていただいております。 クリニック分野において発売初年度から好調な販売を続けてきた「Beads Berry」はクリニックのみならず、新たに病院の医療事務職への採用が拡大することで人気商品シリーズに成長して参りました。当ブランドの持つ高級感、落ち着きのあるデザイン、快適な着心地が得られる高機能素材等が評価されたものと考えております。世界中の子供から大人まで幅広く愛され続けている「Miffy」Seriesは可愛いミッフィのモチーフをデザインした接触冷感・高通気新素材採用のスクラブがクリニックや小児病棟の医療従事者を中心に好評をいただき好調な売れ行きとなっています。 高品位のドクターコートの信頼高級ブランド「4D+」。そのエントリーモデルとして誕生した「4DBlueBlanc」、高級感あるデザインであり、かつ着心地はそのままに洗濯の仕上がりの美しさも兼ね備え着実に売り上げを伸長させています。 当連結会計年度の研究開発費の総額は、199,914千円となっております。 なお、当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。